説明

駆動伝達装置及び通信装置

【課題】タイミング制御のズレが生じてもスイッチが破損することがない駆動伝達装置を提供する。
【解決手段】駆動伝達装置10は、パルスモータ53により正逆回転される太陽ギヤ52と、太陽ギヤ52から駆動伝達されるカム55と、太陽ギヤ52の正転を伝達してカム55を正転させ、太陽ギヤ52の逆転を所定のトルクで伝達してカム55を逆転させるとともに所定のトルクより強い負荷により逆転を伝達せずに滑るクラッチバネ61と、カム55の正逆転により太陽ギヤ52の軸回りを公転する遊星ギヤ62,63と、遊星ギヤ62,63と噛離する伝達ギヤ88〜92と、カム55を所定の回転位置で逆転方向に対して制止するストッパ66と、スイッチレバー105の揺動に基づいて電気信号を発生するスイッチ104と、逆転するカム55の凸部111〜116とスイッチレバー105との接触によるスイッチレバー105の揺動を回避する回避機構とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動源の駆動力を、太陽ギヤ及び遊星ギヤを介して伝達ギヤへ伝達する駆動伝達装置に関し、特に遊星ギヤを公転させる回転部材の回転位置がスイッチにより検出される駆動伝達装置に関する。また、本発明は、該駆動伝達装置を備えた通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばファクシミリ装置などの通信装置において、一つのモータからの駆動力を分配する構成が採用される。このような駆動力の分配は、例えば、原稿や記録用紙の搬送、原稿の画像読取り、記録紙への記録などの各動作に対応されている。駆動力を分配する機構として、駆動伝達装置が採用される。従来の駆動伝達装置として、例えば、モータからの駆動力を、太陽ギヤ及び遊星ギヤを介して伝達ギヤに伝達するものがある(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0003】
図22〜図24には、従来の駆動伝達装置による駆動伝達の切り換えが示される。カム200には、2つの遊星ギヤ201,202が回転自在に支持されている。カム200は、ほぼ円板形状であり、中心を軸として回転する。カム200に支持された各遊星ギヤ201,202は、カム200とともに回転する。図22〜図24には示されていないが、カム200に対して同軸に、太陽ギヤが設けられている。この太陽ギヤからクラッチを介してカム200に駆動伝達されてカム200が正転又は逆転される。また、太陽ギヤと各遊星ギヤ201,202とは噛合している。したがって、各遊星ギヤ201,202は、太陽ギヤの周囲を公転することができ、且つ太陽ギヤから駆動伝達されて自転する。
【0004】
カム200の周囲の所定の位置には5つの伝達ギヤ203,204,205,206,207が設けられている。各伝達ギヤ203,204,205,206,207は、カム200の回転位置により遊星ギヤ201,202と噛合する。例えば、図22に示されるカム200の回転位置おいては、遊星ギヤ201が伝達ギヤ203と噛合して駆動伝達し、図23に示されるカム200の回転位置おいては、遊星ギヤ202が伝達ギヤ205と噛合して駆動伝達する。カム200には、ストッパ208が設けられている。ストッパ208が図示されない駆動フレームの孔と係合することにより、カム200が所定の回転位置で制止される。
【0005】
カム200の外周には、複数の凸部209,210が形成されている。カム200は、6つの凸部を有するが、各図においては、図に現れている2つのみに符号が付されている。カム200に隣接してスイッチ212が配設されている。スイッチ212のスイッチレバー213は凸部209,210により揺動される。このスイッチレバー213の揺動によりスイッチ212がオンの電気信号を発生する。スイッチ212の電気信号と、駆動源であるパルスモータのパルス数とに基づいて、カム200の回転位置が判定される。
【0006】
このような従来の駆動伝達装置は、図22,図23においてカム200が反時計回りに回転(以下、「正転」という。)されることにより、遊星ギヤ201,202と伝達ギヤ203,204,205,206,207との駆動伝達の切り換えが行われる。また、図22,図23においてカム200が時計回りに回転(以下、「逆転」という。)されることにより、所定の遊星ギヤ201,202と伝達ギヤ203,204,205,206,207との間で駆動伝達が行われる。例えば、図22に示される回転位置から図23に示される回転位置へ、カム200が回転されることにより、遊星ギヤ201と伝達ギヤ203との噛合から、遊星ギヤ202と伝達ギヤ205との噛合へ、駆動伝達が切り換えられる。
【0007】
カム200の正逆転は、パルスモータの正逆転の切り換えによって行われる。また、そのタイミング制御は、スイッチ212の電気信号と駆動源であるパルスモータのパルス数とに基づいて行われる。
【0008】
【特許文献1】特開2002−257210号公報
【特許文献2】特開2006−7606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
前述された従来の駆動伝達装置において、電気的なノイズなどの影響を受けて、パルスモータの正逆転の切り換えタイミングがずれることがある。カム200が所定の回転位置まで正転されて、ストッパ208により回転が制止される前に、カム200が逆転されると、図24に示されるように、カム200の凸部210がスイッチ212のスイッチレバー213に逆転方向から衝突する。スイッチ212のスイッチレバー213は、正転方向する凸部209,210との衝突に対して揺動すべく構成されているので、逆方向からの衝突によってスイッチ212が破損するおそれがある。
【0010】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、タイミング制御のズレが生じてもスイッチが破損することがない駆動伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1) 本発明に係る駆動伝達装置は、駆動源から伝達された駆動力により正逆回転される太陽ギヤと、円周方向の所定の位置に径方向の凹部及び凸部を有し、上記太陽ギヤから駆動伝達されて正逆回転される回転部材と、上記太陽ギヤの正転を伝達して上記回転部材を正転させ、上記太陽ギヤの逆転を所定のトルクで伝達して上記回転部材を逆転させるとともに、該トルクより強い負荷により逆転を伝達せずに滑るクラッチと、上記太陽ギヤと噛合し、上記回転部材の正逆転により上記太陽ギヤの軸回りを公転する遊星ギヤと、上記遊星ギヤの公転軌道に沿って配置されて上記遊星ギヤと噛離する伝達ギヤと、上記回転部材を所定の回転位置で逆転方向に対して制止するストッパと、正転する上記回転部材の凸部との接触により揺動するスイッチレバーを有し、該スイッチレバーの揺動に基づいて電気信号を発生するスイッチと、を具備する。上記回転部材又は上記スイッチレバーの少なくともいずれか一方は、逆転する上記回転部材の凸部と上記スイッチレバーとの接触による上記スイッチレバーの揺動を回避する回避機構を有する。
【0012】
駆動源により正逆転された太陽ギヤの回転は、クラッチを介して回転部材に伝達される。太陽ギヤが正逆転すると、回転部材が正逆転する。回転部材が正逆転すると、遊星ギヤが太陽ギヤの軸回りに公転する。この公転により、遊星ギヤが、伝達ギヤと噛離する。クラッチは、太陽ギヤの逆転を回転部材へ伝達する際に、所定のトルクより強い負荷が生じると、太陽ギヤの回転を回転部材へ伝達せずに滑る。つまり、太陽ギヤは逆転して遊星ギヤへ回転を伝達するが、回転部材は停止する。
【0013】
ストッパは、回転部材を所定の回転位置で逆転方向に対して制止する。所定の回転位置とは、例えば、遊星ギヤと伝達ギヤが噛合する位置、遊星ギヤが伝達ギヤから離脱する位置である。このストッパの制止力により、太陽ギヤの逆転を伝達するクラッチが滑って、逆転している回転部材が所定の回転位置で制止される。ストッパにより定められる回転部材の回転位置により、遊星ギヤと伝達ギヤの噛離が制御される。
【0014】
回転部材は、円周方向の所定の位置に凹部及び凸部を有する。つまり、凹部及び凸部は、回転部材の円周方向に配置されている。回転部材が正転することにより、凸部が接触してスイッチレバーを揺動させる。このスイッチレバーの揺動により、スイッチはオン又はオフの如く所定の電気信号を発生する。これにより、回転部材の凸部が検出される。凸部及び凹部は回転部材の円周方向に配置されているので、例えば凸部の検出タイミングによって、回転部材の回転位置が判定される。したがって、回転部材が正転されるとともに凸部が検出されることにより、回転部材が所望の回転位置へ正転される。
【0015】
ストッパにより制止される回転位置を若干超えて回転部材が正転された後、回転部材が逆転されると、その回転位置でストッパが回転部材を制止する。この回転位置で、仮に遊星ギヤと伝達ギヤとが噛合していると、太陽ギヤの回転が遊星ギヤを介して伝達ギヤに伝達される。
【0016】
仮に、回転部材が逆転した際に回転部材がストッパにより制止されず、回転部材の凸部がスイッチレバーに接触すると、回避機構によりスイッチレバーの揺動が回避される。これにより、回転部材がストッパにより制止される前に逆転されて、凸部がスイッチレバーに接触しても、スイッチレバーが逆方向、すなわち正転する回転部材の凸部との接触方向と逆方向へ揺動することが防止される。
【0017】
(2) 上記回避機構は、上記回転部材の凸部又は上記スイッチレバーを上記回転部材の軸方向へ退避させるものである。これにより、スイッチレバーが逆方向へ揺動することを簡易に回避できる。
【0018】
(3) 上記回避機構として、上記回転部材の凸部に形成されて上記スイッチレバーを相対的に退避方向へ案内するガイド面を有するものが考えられる。
【0019】
(4) 上記スイッチレバーとして、退避方向へ弾性変形可能なものが考えられる。これにより、スイッチレバーの退避が一層容易になる。
【0020】
(5) 本発明に係る通信装置は、上記駆動伝達装置を有し、上記遊星ギヤと上記伝達ギヤとの噛離により、所定の駆動部への駆動伝達が制御されるものである。例えば、原稿の読取りや記録紙への記録などのための駆動伝達を、上記駆動伝達装置を用いて行うことができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る駆動伝達装置によれば、回転部材が逆転する際に、回転部材の凸部がスイッチレバーに接触すると、回避機構によりスイッチレバーの揺動が回避されるので、スイッチレバーが逆方向へ揺動することが防止される。これにより、電気的なノイズなどにより回転部材が誤作動しても、スイッチが破壊されることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
本発明に係る駆動伝達装置は、通信装置の一部として構成されうる。通信装置としては、ファクシミリ装置が代表的に挙げられる。ファクシミリ装置において、駆動伝達装置は、原稿の画像読取りや記録紙への記録などに対応した駆動伝達を行う。本実施形態では、駆動伝達装置が通信装置に適用された場合を例に説明がされるが、本発明に係る駆動伝達装置は、通信装置以外の他の装置にも適用可能である。
【0023】
図1は、通信装置としてのファクシミリ装置1の内部構成を示す断面図である。ファクシミリ装置1は、電話回線等を通じて他の通信装置と電気信号を送受信するものであり、送受信に際して、画像や音声と電気信号との変換を行う。ファクシミリ装置1は、その機能に基づいて、操作部2、画像読取部3、画像記録部4に大別される。
【0024】
操作部2は、ファクシミリ装置1の正面側(図1の右側)へ向かって設けられている。操作部2は、ファクシミリ装置1の上カバーをなす操作パネル20に、ボタン21や液晶パネルなどがレイアウトされて構成される。操作部2の構成は、ファクシミリ装置において一般的であるので、その詳細な説明は省略される。なお、図1には液晶パネルは現れていない。ファクシミリ装置1は、操作部2からの入力に基づいて動作する。
【0025】
画像読取部3は、ファクシミリ送信する原稿の画像を読み取る。操作パネル20の上側に原稿挿入口30が形成されている。操作パネル20の下側に原稿排出口31が形成されている。原稿挿入口30から原稿排出口31へ向かって、原稿搬送路32が形成されている。原稿搬送路32には、原稿供給ローラ33、原稿分離プレート34、イメージセンサ35、原稿排出ローラ36、ピンチローラ37が配設されている。原稿供給ローラ33及び原稿排出ローラ36は、本駆動伝達装置により駆動伝達されて回転される。
【0026】
原稿供給ローラ33及び原稿分離プレート34は、原稿挿入口30付近に対向して配置されている。原稿分離プレート34は、原稿供給ローラ33のローラ面に圧接されている。原稿挿入口33に挿入された原稿は、原稿供給ローラ33及び原稿分離プレート34により、1枚毎に分離されて原稿搬送路32を原稿排出口31へ向かって搬送される。
【0027】
イメージセンサ35は、原稿供給ローラ33と原稿排出ローラ36との間の原稿搬送路32に配置されている。イメージセンサ35は、多数の光電変換素子が1ライン上に配置されたものであり、一般にコンタクトイメージセンサと称される。原稿搬送路32を搬送される原稿は、イメージセンサ35により画像読取りされる。イメージセンサ35から出力された画像データは、所定の通信規格に基づいて電気信号に変換され、電話回線を通じて他の通信装置へ送信される。
【0028】
原稿排出ローラ36及びピンチローラ37は、原稿排出口31付近に対向して配置されている。ピンチローラ37は、原稿排出ローラ36に圧接され、原稿排出ローラ36の回転に従動する。イメージセンサ35により画像読取りされる原稿は、搬送方向上流側において原稿供給ローラ33及び原稿分離プレート34に狭持され、搬送方向下流側において原稿排出ローラ36及びピンチローラ37に狭持されて、原稿排出口31へ搬送される。
【0029】
画像記録部4は、ファクシミリ受信に基づいて記録紙に画像を記録する。ファクシミリ装置1の背面側(図1の左側)に記録紙トレイ40が配設されている。記録紙トレイ40には、複数枚の記録紙が貯えられる。記録紙トレイ40と原稿挿入口30との間に、記録紙排出口41が形成されている。記録紙トレイ40から記録紙排出口41へ向かって、記録紙搬送路42が形成されている。記録紙搬送路42は、図1において下側から上側へ向かってUターンする湾曲経路である。記録紙搬送路42には、記録紙供給ローラ43、記録紙分離プレート44、サーマルヘッド45、プラテンローラ46、記録紙排出ローラ47、ピンチローラ48が配設されている。記録紙供給ローラ43、プラテンローラ46、及び記録紙排出ローラ47は、本駆動伝達装置により駆動伝達されて回転される。
【0030】
記録紙供給ローラ43及び記録分離プレート44は、記録紙トレイ40の下流側に対向して配置されている。記録紙分離プレート44は、記録紙供給ローラ43のローラ面に圧接されている。記録紙トレイ40に貯えられた記録紙は、記録紙供給ローラ43及び記録紙分離プレート44により、1枚毎に分離されて記録紙搬送路42を記録紙排出口41へ向かって搬送される。
【0031】
サーマルヘッド45及びプラテンローラ46は、記録紙供給ローラ43と記録紙排出ローラ47との間の記録紙搬送路42に対向して配置されている。サーマルヘッド45は、多数の発熱素子が1ライン上に配置されたものである。後述されるインクリボン49が、サーマルヘッド45により加熱されるとともに、プラテンローラ46により記録紙に圧着されて、インクが記録紙に転写される。ファクシミリ装置1が受信した電気信号は、印刷データに変換されて、サーマルヘッド45により記録紙に画像記録される。
【0032】
記録紙排出ローラ47及びピンチローラ48は、記録紙排出口41付近に対向して配置されている。ピンチローラ48は、記録紙排出ローラ47に圧接され、記録紙排出ローラ47の回転に従動する。サーマルヘッド45により画像記録される記録紙は、搬送方向上流側において記録紙供給ローラ43及び記録紙分離プレート44に狭持され、搬送方向下流側において記録紙排出ローラ47及びピンチローラ48に狭持されて、記録紙排出口41へ搬送される。
【0033】
サーマルヘッド45の近傍には、インクリボン49及びスプール50が配設されている。フィルム状のインクリボン49は、円柱形状の芯に巻き取られてロールをなしている。インクリボン49は、ロールから引き出されてサーマルヘッド45とプラテンローラ46との間に導かれ、スプール50に巻き取られる。スプール50は、本駆動伝達装置により駆動伝達されて回転される。
【0034】
以下、本発明に係る駆動伝達装置について説明する。ファクシミリ装置1において、駆動伝達装置は、ファクシミリ装置1の動作に対応して駆動伝達を切り換える。ファクシミリ装置1は、ファクシミリ送信における原稿の画像読取り、ファクシミリ受信における記録紙への画像記録、コピーモードにおける画像読取り及び画像記録を行う。
【0035】
図2は、駆動伝達装置10の構成を示す正面図である。図3は、駆動伝達装置10の構成を示す背面図である。駆動伝達装置10は、ファクシミリ装置1に組み付けられて、原稿供給ローラ33、原稿排出ローラ36、記録紙供給ローラ43、プラテンローラ46、記録紙排出ローラ47、及びスプール50へ駆動伝達を行う。なお、図1においては、駆動伝達装置10は示されていない。
【0036】
図2及び図3に示されるように、駆動伝達装置10は、フレーム51に各種ギヤ等が組み付けられてなる。フレーム51は、各種ギヤの軸支や各部材の組み付けに適した形状が採用されるが、ほぼ平板形状である。
【0037】
まず、本発明における太陽ギヤが太陽ギヤ52として説明される。図2に示されるように、フレーム51のほぼ中央に太陽ギヤ52が回転自在に設けられている。太陽ギヤ52は、パルスモータ53の駆動軸に設けられた駆動ギヤ54と噛合している(図5参照)。なお、図2及び図3にはパルスモータ53は示されていない。パルスモータ53は、本発明における駆動源の一例である。パルスモータ53は、所定の駆動電圧が付与されて正逆転する。パルスモータ53の正逆転が駆動ギヤ54を介して太陽ギヤ52に伝達され、太陽ギヤ52が正逆転する。
【0038】
図4は、太陽ギヤ52等を取り除いた状態の駆動伝達装置10の平面図である。図5は、太陽ギヤ52からカム55への駆動伝達機構を示す部分断面図である。なお、図4においては、各伝達ギヤ88,89,90,91,92は省略又は略示されている。
【0039】
つぎに、本発明における回転部材としてのカム55が説明される。図2において、太陽ギヤ52の下側にカム55が、フレーム51に回転自在に設けられているが、図2においては、カム55は太陽ギヤ52に隠れて現れていない。図5に示されるように、フレーム51には支軸56が形成されている。太陽ギヤ52及びカム55は、軸方向に並べられて支軸56に支持されている。これにより、太陽ギヤ52及びカム55は、支軸56を回転中心として同軸で回転する。
【0040】
図4に示されるように、カム55はほぼ円板形状であり、その外周の所定位置に、径方向に凹凸する凸部111,112,113,114,115,116及び凹部117,118,119,120,121,122が形成されている。この凸部111,112,113,114,115,116及び凹部117,118,119,120,121,122については後に詳述される。なお、本実施形態では、凸部111,112,113,114,115,116及び凹部117,118,119,120,121,122がカム55の外周に形成されているが、本発明において凸部及び凹部が形成される位置は回転部材の外周に限定されない。図5に示されるように、カム55の中央には、支軸56に外嵌される円筒部57が形成されている。円筒部57は、太陽ギヤ52へ向かって突出している。
【0041】
太陽ギヤ52の中央には、支軸56に外嵌される円筒部58が形成されている。円筒部58はカム55へ向かって突出している。支軸56に支持された太陽ギヤ52及びカム55は、互いの円筒部57,58を当接させた状態で、それぞれが独立して回転自在である。円筒部58の外周側には、所定の隙間が隔てられて第2ギヤ60が形成されている。つまり、太陽ギヤ52は、大径の第1ギヤ59と小径の第2ギヤ60とを有する二段ギヤである。第1ギヤ59は、パルスモータ53の駆動ギヤ54と噛合している。太陽ギヤ52により、第1ギヤ59と第2ギヤ60とのギヤ比に基づいて回転が減速されて伝達される。
【0042】
つぎに、本発明におけるクラッチとしてのクラッチバネ61が説明される。太陽ギヤ52の円筒部58とカム55の円筒部57にはクラッチバネ61が外嵌されている。クラッチバネ61は、太陽ギヤ52の回転をカム55へ伝達するものである。
【0043】
クラッチバネ61は、帯状のバネ鋼がコイル形状に巻かれたものである。クラッチバネ61は、コイル形状の径が若干拡げられた状態で、つまり径が拡がるように弾性変形された状態で、円筒部57,58に外嵌されている。したがって、クラッチバネ61は、径が縮まるように弾性復帰することにより、円筒部57,58に圧接する。クラッチバネ61のコイル形状は、図2において太陽ギヤ52が反時計回りに回転する際に径が縮まる方向に巻かれている。換言すれば、図2において太陽ギヤ52が時計回りに回転する際に、クラッチバネ61のコイル形状の径が拡がる。クラッチバネ61の径が縮まると、クラッチバネ61は円筒部57,58に一層強く圧接する。これにより、太陽ギヤ52からカム55への駆動伝達が強いトルクで確実になされる。
【0044】
クラッチバネ61の径が拡がると、クラッチバネ61が円筒部57,58に圧接する力が弱くなる。太陽ギヤ52が時計回りに回転してクラッチバネ61の径が拡がった状態でも、太陽ギヤ52からカム55へ所定トルクで駆動伝達が行われる。前述されたように、太陽ギヤ52が反時計回りに回転する場合に比べて、太陽ギヤ52が時計回りに回転する場合は、クラッチバネ61と円筒部57,58との圧接力が弱くなる。したがって、太陽ギヤ52からカム55へ駆動伝達する所定トルクも小さくなる。よって、所定トルクより大きな負荷によりカム55の回転が制止されると、クラッチバネ61が円筒部57,58に対して滑る。つまり、太陽ギヤ52がカム55に対して滑りながら時計回りに回転する。
【0045】
なお、本発明では、図2において、太陽ギヤ52の反時計回りの回転が「正転」と称され、太陽ギヤ52の時計回りの回転が「逆転」と称される。しかし、正転と逆転とは相対的な概念であり、図2における時計回り方向の回転を正転又は逆転のいずれと称するかは任意である。
【0046】
つぎに、本発明における遊星ギヤが、2つの遊星ギヤ62,63として説明される。本実施形態では、遊星ギヤが2つである場合を例に説明がされるが、本発明において遊星ギヤの数は特に限定されない。図4に示されるように、カム55には、2つの遊星ギヤ62,63が回転自在に支持されている。なお、図5においては、一方の遊星ギヤ63が現れていないが、各遊星ギヤ62,63は、カム55の回転方向に対する位置が異なるものの、カム55により支持される構造は同様であるので、遊星ギヤ62の支持構造を例に説明がされる。図5に示されるように、カム55には、遊星ギヤ62,63の軸を支持する断面がC型の半円筒部64が形成されている。半円筒部64に遊星ギヤ62の軸65が嵌め込まれて、回転自在に支持されている。半円筒部64に支持された状態において、遊星ギヤ62の軸は、太陽ギヤ52の軸方向と並行である。また、遊星ギヤ62は、太陽ギヤ52の第2ギヤ60と噛合している。
【0047】
図4に示されるように、遊星ギヤ63は、遊星ギヤ62と別の位置において、カム55に回転自在に支持されている。前述されたように、カム55が遊星ギヤ63を支持する構造は、遊星ギヤ62の支持構造と同様である。また、遊星ギヤ63も太陽ギヤ52の第2ギヤ60と噛合している。遊星ギヤ62と遊星ギヤ63とは、カム55の回転方向に対する位置が異なる。この位置は、カム55の周囲に配置された各伝達ギヤ88,89,90,91,92の配置に対応する。カム55が回転すると、遊星ギヤ62,63もカム55とともに回転する。カム55は太陽ギヤ52と同軸であるので、カム55の回転により、遊星ギヤ62,63は太陽ギヤ52の第2ギヤ60と噛合した状態で、太陽ギヤ52の軸回りを公転する。太陽ギヤ52が回転すると、遊星ギヤ62,63は自転する。
【0048】
つぎに、本発明におけるストッパが、ストッパ66として説明される。ストッパ66は、カム55を所定の回転位置で時計回り方向(逆転方向)に対して制止するものである。図4及び図5に示されるように、カム55の所定の位置にストッパ66が設けられている。図6は、図5におけるVI−VI部分拡大断面図である。
【0049】
図5及び図6に示されるように、カム55には所定の隙間が隔てられて対向する支持壁67,68が形成されている。支持壁67,68はカム55の径方向に離間されている。また、支持壁67,68間に対応する位置にはカム55に孔79が穿たれている。孔79は、カム55を軸方向に貫通する。この支持壁67,68の間に回転翼69が配設されている。回転翼69は、図6において紙面と垂直な方向へ突出する軸部70と、軸部70の径方向へ突出する翼部71とを有する。図6に示されるように、支持壁68には、下端から上方へ向かって切り欠き72が形成されている。図6には示されていないが、支持壁67にも同様の切り欠きが形成されている。この切り欠き72に軸部70が嵌め込まれて、回転翼69が支持壁67,68間に配置されている。
【0050】
支持壁67,68間に配置された回転翼69の翼部71は、孔79を通じてカム55の下方へ突出されている。翼部71の先端は、フレーム51に到達している。翼部71には、バネ受け部73が設けられている。バネ受け部73は、翼部71から水平方向へ突出されている。バネ受け部73が突出する方向は、カム55の逆転方向であり、図6において矢印74で示される。軸部70にはネジリコイルバネ75のコイル部76が嵌められている。ネジリコイルバネ75の一方のアーム77は、軸部70の下方からほぼ水平方向に延出されてバネ受け部73に係止されている。ネジリコイルバネ75の他方のアーム78は、軸部70の下方からアーム77と逆方向となる水平方向に延出されて、カム55の上面に係止されている。ネジリコイルバネ75により、回転翼69は、図6における反時計回り方向へ付勢される。ネジリコイルバネ75により付勢された回転翼69は、翼部71が孔79の周縁80に当接することにより、所定の回転位置で制止される。図6には、回転翼69が制止された状態が示されている。
【0051】
図6に示されるように、回転翼69は、制止状態で翼部71がカム55から下方へ突出する。回転翼69は、時計回り方向の外力を受けると、ネジリコイルバネ75の付勢力に抗して回転される。図7には、回転翼69が時計回りに回転された状態が示されている。図6及び図7に示されるように、カム55の孔79は、矢印74の方向へ長く穿たれている。したがって、翼部71が孔79に収容されるようにして、回転翼69が時計回りに回転される。図7に示されるように、フレーム51と接触する翼部71の角は、接触摩擦を軽減するために丸められている。
【0052】
図3に示されるように、フレーム51には6つの孔81,82,83,84,85,86が穿たれている。各孔81,82,83,84,85,86は、カム55とともに回転するストッパ66の回転軌道上に配置されている。図6には、その一つである孔86が示されている。孔86はフレーム51の厚み方向に穿たれている。孔86の周囲には周壁87が形成されている。カム55の回転により、ストッパ66が孔86に対応する位置に回転されると、回転翼69の翼部71が孔86の内側へ進入する。この状態から、カム55に時計回りの駆動力が付与されると、つまり矢印74方向の駆動力が付与されると、翼部71が孔86の周壁87に当接する。前述されたように、回転翼69は、制止状態から反時計回りに回転されない。これにより、ストッパ66がカム55の時計回りの回転、つまり逆転を制止する。
【0053】
一方、図6に示された状態から、カム55に反時計回りの駆動力が付与されると、つまり矢印74と逆方向の駆動力が付与されると、前述されたように、回転翼69が時計回りに回転する。そして、図7に示されるように、回転翼69の翼部71は、孔86を離脱する。したがって、ストッパ66はカム55の反時計回りの回転、つまり正転は制止しない。また、ストッパ66の回転翼69が孔86から離脱した状態では、ストッパ66はカム55の時計回りの回転、つまり逆転も制止しない。
【0054】
フレーム51の他の孔81,82,83,84,85については詳細に説明しないが、孔86と同様である。したがって、カム55が正転(図3においては時計回り方向)すると、ストッパ66は、回転翼69の翼部71を各孔81,82,83,84,85,86に進退させながら、カム55とともに回転する。回転翼69の翼部71がいずれかの孔81,82,83,84,85,86に進入した状態において、カム55に逆転方向の駆動力が付与されても、ストッパ66によりカム55の逆転が制止される。
【0055】
つぎに、本発明における伝達ギヤが、伝達ギヤ88,89,90,91,92として説明される。伝達ギヤ88,89,90,91,92は、遊星ギヤ62,63の公転軌道に沿って配置されてフレーム51に回転自在に支持されている。各伝達ギヤ88,89,90,91,92は、カム55の回転位置に対応して遊星ギヤ62,63と噛離する。
【0056】
伝達ギヤ88は、スプール50へ駆動伝達するためのものである。図2及び図4に示す位置に配置された伝達ギヤ88は、その下側に、つまりフレーム51との間に同軸に配置された伝達ギヤ93(図3参照)へクラッチバネを介して駆動伝達する。このクラッチバネは図に現れていないが、クラッチバネ61と同様に、正転又は逆転の一方向に対して締め付けトルクで回転伝達し、逆方向に対して緩みトルクで回転伝達する。図3に示されるように、伝達ギヤ93は、フレーム51に対して伝達ギヤ88と反対側に配置された伝達ギヤ94と噛合されている。伝達ギヤ94は、隣接して配置された伝達ギヤ95と噛合されている。なお、伝達ギヤ94,95は、ともにフレーム51に回転自在に支持されている。各図には示されていないが、伝達ギヤ95からスプール50へは、ギヤ列やベルトなどの駆動伝達機構により駆動伝達がされている。したがって、伝達ギヤ88が回転されると、最終的にスプール50へ駆動伝達される。
【0057】
また、伝達ギヤ95は、隣接して配置された連動ギヤ96と噛合されている。連動ギヤ96は、摩擦クラッチ103を介して伝達ギヤ101へ駆動伝達されている(図2参照)。伝達ギヤ101は、後に詳述されるように、プラテンローラ46へ駆動伝達するためのものである。伝達ギヤ88が回転されると、伝達ギヤ94,95を介して連動ギヤ96へ駆動伝達されるが、プラテンローラ46に生じる摩擦抵抗により、摩擦クラッチ103が滑って、連動ギヤ96から伝達ギヤ101への駆動伝達が遮断される。したがって、伝達ギヤ88が回転されてもプラテンローラ46へは駆動伝達されない。
【0058】
伝達ギヤ89は、記録紙排出ローラ47へ駆動伝達するためのものである。図2及び図4に示す位置に配置された伝達ギヤ89は二段ギヤであり、所定の減速比で駆動伝達する。各図には示されていないが、伝達ギヤ89から記録紙排出ローラ47へは、ギヤ列やベルトなどの駆動伝達機構により駆動伝達がされている。したがって、伝達ギヤ89が回転されると、最終的に記録紙排出ローラ47へ駆動伝達される。
【0059】
伝達ギヤ90は、原稿供給ローラ33及び原稿排出ローラ36へ駆動伝達するためのものである。図2及び図4に示す位置に配置された伝達ギヤ90は二段ギヤである。図3に示されるように、伝達ギヤ90は、フレーム51に対して反対側に配置された減速ギヤ97と噛合されている。減速ギヤ97は、隣接して配置された伝達ギヤ98と噛合されている。なお、減速ギヤ97及び伝達ギヤ98は、ともにフレーム51に回転自在に支持されている。各図には示されていないが、伝達ギヤ98から原稿供給ローラ33及び原稿排出ローラ36へは、ギヤ列やベルトなどの駆動伝達機構により駆動伝達がされている。したがって、伝達ギヤ90が回転されると、最終的に原稿排出ローラ36及び原稿排出ローラ36へ駆動伝達される。
【0060】
伝達ギヤ91は、記録紙供給ローラ43へ駆動伝達するためのものである。図4に示す位置に配置された伝達ギヤ91は、図2に示される伝達ギヤ99と噛合されている。なお、図2においては、伝達ギヤ91は伝達ギヤ101の下側に配置されているので現れていない。伝達ギヤ99は、隣接して配置された伝達ギヤ100と噛合されている。なお、伝達ギヤ99,100は、ともにフレーム51に回転自在に支持されている。各図には示されていないが、伝達ギヤ100から記録紙供給ローラ43へは、ギヤ列やベルトなどの駆動伝達機構により駆動伝達がされている。したがって、伝達ギヤ91が回転されると、最終的に記録紙供給ローラ43へ駆動伝達される。
【0061】
伝達ギヤ92は、プラテンローラ46へ駆動伝達するためのものである。図2及び図4に示す位置に配置された伝達ギヤ92は、図2に示される伝達ギヤ101と噛合されている。伝達ギヤ101は、隣接して配置された伝達ギヤ102と噛合されている。なお、伝達ギヤ101,102は、ともにフレーム51に回転自在に支持されている。各図には示されていないが、伝達ギヤ102からプラテンローラ46へは、ギヤ列やベルトなどの駆動伝達機構により駆動伝達がされている。したがって、伝達ギヤ92が回転されると、最終的にプラテンローラ46へ駆動伝達される。
【0062】
前述されたように、伝達ギヤ101は、摩擦クラッチ103を介して、フレーム51の反対側に配置された連動ギヤ96へ駆動伝達されている。摩擦クラッチ103は、伝達ギヤ101をバネ付勢されたクラッチ板で狭持することにより、所定の回転トルクで駆動伝達する。連動ギヤ96と伝達ギヤ101との間に所定の回転トルクを超える負荷が生じた場合には、伝達ギヤ101に対してクラッチ板が滑る。この駆動伝達機構により、プラテンローラ46の回転とスプール50の回転とが同期される。つまり、プラテンローラ46の回転に同期してスプール50が回転し、スプール50に巻き取られるインクリボン49が、サーマルヘッド45とプラテンローラ46との間を通過する。しかし、スプール50にインクリボン49が巻き取られるにつれて、巻き取られたインクリボン49の厚み分だけスプール50の巻き取り速度が増加する。プラテンローラ46の回転速度とスプール50の巻き取り速度との差によりインクリボン49に過大な張力が生じると、摩擦クラッチ103が滑ってスプール50への駆動伝達が一時的に切断される。つまり、摩擦クラッチ103は、インクリボン49が破断しない程度の回転トルクで駆動伝達する。
【0063】
つぎに、本発明におけるスイッチが、スイッチ104として説明される。スイッチ104は、スイッチレバー105の揺動に基づいてオン又はオフの電気信号を発生するものである。スイッチレバー105は、カム55の凸部111,112,113,114,115,116により揺動される。
【0064】
図2及び図4に示されるように、スイッチ104は、カム55の近傍に配置されてフレーム51に固定されている。スイッチ104の固定構造は特に限定されず、例えばスナップフィットのような係止爪をフレーム51に形成して、スイッチ104を所定位置に係止してもよい。スイッチ104からは、2本のリード線106,107が引き出されている。各図においてリード線106,107は、その途中から省略されている。リード線106,107は、ファクシミリ装置1の制御基板に接続される。したがって、スイッチ104のオン又はオフはリード線106,107を通じて制御基板に出力される。なお、各図において制御基板は表されていない。
【0065】
スイッチ104の本体108には、スイッチレバー105が所定範囲で揺動可能に設けられている。図4に示されるように、スイッチレバー105は、カム55へ向かって突出している。図8に示されるように、スイッチレバー105は、外力が付与されない状態では、所定の位置で静止する。この状態において、スイッチレバー105は、カム55の凸部111,112,113,114,115,116とは接触し、凹部117,118,119,120,121,122とは接触しない長さである。また、この状態では、スイッチ104の出力はオフである。スイッチレバー105は、正転(図8における反時計回り)するカム55の各凸部111,112,113,114,115,116との接触により、時計回り方向へ揺動する。これにより、スイッチ104はオンを出力する。スイッチレバー105は、時計回り方向への揺動に反してバネ付勢されており、各凸部111,112,113,114,115,116が離れると、図8に示される所定位置へ復帰する。なお、図示されていないが、スイッチレバー105は、図8に示す位置から反時計回りへは揺動しないように、ストッパなどにより揺動が制止されている。
【0066】
カム55の外周に形成された各凸部111,112,113,114,115,116と各凹部117,118,119,120,121,122は相対する関係にある。つまり、隣接する各凸部111,112,113,114,115,116間に各凹部117,118,119,120,121,122が位置する。
【0067】
凸部111から凸部116までは、カム55の回転位相に対して均等に配置されている。そして、隣接する各凸部111,112,113,114,115,116間の回転位相は、フレーム51に形成された孔81,82,83,84,85,86の間隔に対応している。つまり、スイッチレバー105が、各凸部111,112,113,114,115,116間の所定の位置にあるときに、換言すれば各凹部117,118,119,120,121,122の所定の位置にあるときに、ストッパ66の回転翼69がいずれかの孔81,82,83,84,85,86に進入する。
【0068】
つぎに、本発明における回避機構が説明される。回避機構は、逆転するカム55の凸部111,112,113,114,115,116とスイッチレバー105との接触によって、スイッチレバー105が静止位置(図8参照)から反時計回りへ揺動することを回避するものである。この回避機構は、カム55又はスイッチレバー105のいずれに設けられてもよいが、本実施形態では、カム55に設けられた場合が説明される。
【0069】
図9は、逆転するカム55の凸部116がスイッチレバー105に接触する寸前の状態を示す平面図である。図10は、図9における矢視Xからみた部分拡大図である。逆転する凸部116において、スイッチレバー105と接触する側の面には、ガイド面123が形成されている。ガイド面123は、カム55の軸方向に対してフレーム51側へ傾いた斜面である。
【0070】
図9及び図10に示す状態から、カム55がさらに逆転されると(図9において時計回りに回転)、凸部116のガイド面123がスイッチレバー105に接触する。ガイド面123は、カム55の軸方向に対してフレーム51側へ傾いているので、スイッチレバー105がカム55の凸部116に対して、相対的に退避方向へ案内される。本実施形態では、図5に示されるように、カム55及び太陽ギヤ52が、フレーム51の支軸56に対して軸方向に若干のガタをもって組み付けられている。したがって、カム55は支軸56に対して摺動するように上方向(退避方向)へ移動可能である。カム55が退避方向へ移動することにより、図11に示されるように、スイッチレバー105は、凸部116の下側へ案内される。そして、カム55がさらに逆転されると、スイッチレバー105の上側を凸部116が通過する。
【0071】
なお、他の凸部111,112,113,114,115については、図示して説明しないが、他の凸部111,112,113,114,115にも、上記ガイド面123と同様のガイド面が形成されている。したがって、カム55が逆転されて他の凸部111,112,113,114,115とスイッチレバー105が接触する場合にも、各ガイド面により、スイッチレバー105が他の凸部111,112,113,114,115に対して、相対的に退避方向へ案内される。
【0072】
以下、ファクシミリ装置1における駆動伝達装置10による駆動切換動作が説明される。駆動伝達装置10は、カム55の回転により遊星ギヤ62,63と伝達ギヤ88,89,90,91,92とを噛離させて、原稿供給ローラ33、原稿排出ローラ36、記録紙供給ローラ43、プラテンローラ46、記録紙排出ローラ47、及びスプール50の各駆動部分へ選択的に駆動伝達する。
【0073】
図5に示されるように、パルスモータ53の正逆転を受けて、太陽ギヤ52が正逆転する。太陽ギヤ52の正逆転は、クラッチバネ61を介してカム55に伝達される。カム55が正逆転すると、遊星ギヤ62,63が太陽ギヤ52の軸回りに公転する。この公転により、遊星ギヤ62,63が、各伝達ギヤ88,89,90,91,92と噛離する。クラッチバネ61は、太陽ギヤ52の逆転をカム55へ伝達する際に、所定のトルクより強い負荷が生じると、太陽ギヤ52の回転をカム55へ伝達せずに滑る。つまり、太陽ギヤ52は逆転して遊星ギヤ62,63へ回転を伝達するが、カム55は停止する。
【0074】
カム55を停止させる負荷はストッパ66に付与される。図6に示されるように、ストッパ66の回転翼69が、フレーム51の孔81,82,83,84,85,86のいずれかに進入すると、カム55が逆転方向に対して制止される。カム55が制止される回転位置は、ストッパ66の回転翼69がいずれの孔81,82,83,84,85,86に進入したかによって定まる。
【0075】
図12〜図17は、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔81,82,83,84,85,86のいずれかに進入した場合のカム55の回転位置を示す平面図である。なお、各図において、孔81,82,83,84,85,86はカム55の下方にあるので現れていない。また、各図において、太陽ギヤ52は省略されている。
【0076】
図12には、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔81に進入した状態が示されている。このカム55の回転位置において、遊星ギヤ62は伝達ギヤ92と噛合する。また、遊星ギヤ63は伝達ギヤ90と噛合する。スイッチ104のスイッチレバー105は、凹部118に位置する。カム55は、ストッパ66により、矢印125で示される逆転方向に対して制止されている。一方、カム55は、矢印124で示される正転方向へは回転可能である。したがって、太陽ギヤ52が矢印125の方向へ逆転しても、クラッチバネ61が滑り、カム55は図12に示される回転位置で制止される。太陽ギヤ52の逆転は、第2ギヤ60を介して遊星ギヤ62,63にそれぞれ伝達される。遊星ギヤ62の回転は、伝達ギヤ92を介して、最終的にプラテンローラ46及びスプール50へ伝達される。遊星ギヤ63の回転は、伝達ギヤ90を介して、最終的に原稿供給ローラ33及び原稿排出ローラ36へ伝達される。つまり、図12に示されるカム55の回転位置では、画像読取部3により原稿の画像が読み取られるともに、画像記録部4により記録紙への画像記録が行われる。この動作は、ファクシミリ装置1を用いたコピーにおいて行われる。本実施形態では、この動作が「コピーモード」と称される。
【0077】
図13には、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔82に進入した状態が示されている。このカム55の回転位置において、遊星ギヤ62は伝達ギヤ88と噛合する。また、遊星ギヤ63はいずれの伝達ギヤ88,89,90,91,92とも噛合しない。スイッチ104のスイッチレバー105は、凹部119に位置するが、図13には凹部119は現れていない(図8参照)。カム55は、ストッパ66により、矢印125で示される逆転方向に対して制止されている。一方、カム55は、矢印124で示される正転方向へは回転可能である。したがって、太陽ギヤ52が矢印125の方向へ逆転しても、クラッチバネ61が滑り、カム55は図13に示される回転位置で制止される。太陽ギヤ52の逆転は、第2ギヤ60を介して遊星ギヤ62,63にそれぞれ伝達される。遊星ギヤ62の回転は、伝達ギヤ88を介して、最終的にプラテンローラ46及びスプール50へ伝達される。遊星ギヤ63は駆動伝達を行わない。つまり、図13に示されるカム55の回転位置では、スプール50によるインクリボン49の巻き取りが行われる。この動作は、ファクシミリ装置1にインクリボン49を装填する際において行われる。本実施形態では、この動作が「インクリボン巻き取りモード」と称される。
【0078】
図14には、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔83に進入した状態が示されている。このカム55の回転位置において、遊星ギヤ62はいずれの伝達ギヤ88,89,90,91,92とも噛合しない。また、遊星ギヤ63は伝達ギヤ89と噛合する。スイッチ104のスイッチレバー105は、凹部120に位置するが、図14には凹部120は現れていない(図8参照)。カム55は、ストッパ66により、矢印125で示される逆転方向に対して制止されている。一方、カム55は、矢印124で示される正転方向へは回転可能である。したがって、太陽ギヤ52が矢印125の方向へ逆転しても、クラッチバネ61が滑り、カム55は図14に示される回転位置で制止される。太陽ギヤ52の逆転は、第2ギヤ60を介して遊星ギヤ62,63にそれぞれ伝達される。遊星ギヤ62は駆動伝達を行わない。遊星ギヤ63の回転は、伝達ギヤ89を介して、最終的に記録紙排出ローラ47へ伝達される。つまり、図14に示されるカム55の回転位置では、記録紙排出ローラ47による記録紙の排出が行われる。この動作は、ファクシミリ装置1が、ファクシミリ受信又はコピーの際に、記録紙に画像記録を終えた後において行われる。本実施形態では、この動作が「記録紙排出モード」と称される。
【0079】
図15には、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔84に進入した状態が示されている。このカム55の回転位置において、遊星ギヤ62は伝達ギヤ90と噛合する。また、遊星ギヤ63はいずれの伝達ギヤ88,89,90,91,92とも噛合しない。スイッチ104のスイッチレバー105は、凹部121に位置する。カム55は、ストッパ66により、矢印125で示される逆転方向に対して制止されている。一方、カム55は、矢印124で示される正転方向へは回転可能である。したがって、太陽ギヤ52が矢印125の方向へ逆転しても、クラッチバネ61が滑り、カム55は図15に示される回転位置で制止される。太陽ギヤ52の逆転は、第2ギヤ60を介して遊星ギヤ62,63にそれぞれ伝達される。遊星ギヤ62の回転は、伝達ギヤ90を介して、最終的に原稿供給ローラ33及び原稿排出ローラ36へ伝達される。遊星ギヤ63は駆動伝達を行わない。つまり、図15に示されるカム55の回転位置では、原稿供給ローラ33及び原稿排出ローラ36による原稿の搬送が行われる。この動作は、ファクシミリ装置1が、ファクシミリ送信のために原稿の画像読み取る際に行われる。本実施形態では、この動作が「原稿読取りモード」と称される。
【0080】
図16には、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔85に進入した状態が示されている。このカム55の回転位置において、遊星ギヤ62はいずれの伝達ギヤ88,89,90,91,92とも噛合しない。また、遊星ギヤ63は伝達ギヤ91と噛合する。スイッチ104のスイッチレバー105は、凹部122に位置する。カム55は、ストッパ66により、矢印125で示される逆転方向に対して制止されている。一方、カム55は、矢印124で示される正転方向へは回転可能である。したがって、太陽ギヤ52が矢印125の方向へ逆転しても、クラッチバネ61が滑り、カム55は図16に示される回転位置で制止される。太陽ギヤ52の逆転は、第2ギヤ60を介して遊星ギヤ62,63にそれぞれ伝達される。遊星ギヤ62は駆動伝達を行わない。遊星ギヤ63の回転は、伝達ギヤ91を介して、最終的に記録紙供給ローラ43へ伝達される。つまり、図16に示されるカム55の回転位置では、記録紙供給ローラ43による記録紙トレイ40からの記録紙の搬送が行われる。この動作は、ファクシミリ装置1が、ファクシミリ受信又はコピーのために記録紙に画像記録する際に行われる。本実施形態では、この動作が「記録紙供給モード」と称される。
【0081】
図17には、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔86に進入した状態が示されている。このカム55の回転位置において、遊星ギヤ62は伝達ギヤ89と噛合する。また、遊星ギヤ63は伝達ギヤ92と噛合する。スイッチ104のスイッチレバー105は、凹部117に位置する。カム55は、ストッパ66により、矢印125で示される逆転方向に対して制止されている。一方、カム55は、矢印124で示される正転方向へは回転可能である。したがって、太陽ギヤ52が矢印125の方向へ逆転しても、クラッチバネ61が滑り、カム55は図17に示される回転位置で制止される。太陽ギヤ52の逆転は、第2ギヤ60を介して遊星ギヤ62,63にそれぞれ伝達される。遊星ギヤ62の回転は、伝達ギヤ89を介して、最終的に記録紙排出ローラ47へ伝達される。遊星ギヤ63の回転は、伝達ギヤ92を介して、最終的にプラテンローラ46及びスプール50へ伝達される。つまり、図17に示されるカム55の回転位置では、画像記録部4により記録紙への画像記録が行われる。この動作は、ファクシミリ装置1が、ファクシミリ受信において記録紙に画像記録する際に行われる。本実施形態では、この動作が「記録モード」と称される。
【0082】
図12〜図17に示されるように、ストッパ66の回転翼69がフレーム51のいずれの孔81,82,83,84,85,86に進入するかによって、カム55が逆転方向に対して制止される回転位置が定められる。そして、カム55の各回転位置によって、遊星ギヤ62,63がいずれの伝達ギヤ88,89,90,91,92と噛合するかが定まる。これにより、パルスモータ53から各駆動部位、すなわち、原稿供給ローラ33、原稿排出ローラ36、記録紙供給ローラ43、プラテンローラ46、記録紙排出ローラ47、及びスプール50への選択的な駆動伝達が制御される。
【0083】
図8に示されるように、カム55は、外周に凸部111,112,113,114,115,116及び凹部117,118,119,120,121,122を有する。ストッパ66はカム55の逆転のみを制止するものなので、カム55の正転は常に許容されている。したがって、パルスモータ53の回転により、太陽ギヤ52を介してカム55を正転させることにより、カム55を図12〜図17に示される所望の回転位置とすることができる。カム55の正転により、凸部111,112,113,114,115,116がスイッチレバー105に接触する。スイッチレバー105は、正転する各凸部111,112,113,114,115,116との接触により揺動される。各凸部111,112,113,114,115,116との接触によりスイッチレバー105が図8における時計回り方向へ揺動すると、スイッチ104はオンの電気信号を発生する。このオンの電気信号により、ファクシミリ装置1の制御部は、カム55の各凸部111,112,113,114,115,116のいずれかがスイッチ104の位置にあると判定する。
【0084】
カム55がさらに正転されて、各凸部111,112,113,114,115,116がスイッチレバー105から離れることにより、スイッチレバー105は図8に示される状態に復帰する。これにより、スイッチ104はオフの電気信号を発生する。制御部は、オンからオフへの電気信号が変化することに基づいて、各凸部111,112,113,114,115,116のいずれかがスイッチ104の位置を通過したと判定する。なお、ファクシミリ装置1の制御部は詳細に説明されていないが、CPU、ROM、RAM、パルスモータ53のドライバなどから構成される一般的なものが用いられる。
【0085】
図8に示されるように、凸部111から時計回り方向へ凸部116までの間に存在する各凹部118,119,120,121,122は、カム55の円周方向に対して一定の幅である。これに対し、凹部117のみが他の凹部118,119,120,121,122より幅が広い。したがって、カム55が一定の回転速度で正転すると、凸部116との当接によりスイッチ104がオンとなってから、凸部111との当接によりスイッチ104が再びオンとなるまでのタイミングが、他の隣接する凸部111,112,113,114,115間でスイッチ104が2回続けてオンとなる間のタイミングより時間的に長い。換言すれば、凸部116と凸部111との間では、凸部116との当接によりスイッチ104がオンとなってから、所定のパルス数だけパルスモータ53が回転されても、再びスイッチ104がオンとならない。この所定のパルス数は、他の隣接する凸部111,112,113,114,115間では、再びスイッチ104がオンとなるパルス数に設定されている。
【0086】
したがって、スイッチ104がオンとなった後、パルスモータ53を所定のパルス数だけ駆動させても再びスイッチ104がオンとならない場合に、ファクシミリ装置1の制御部は、カム55の凹部117がスイッチ104の位置にあると判定する。そして、その後のスイッチ104がオンとなる回数により、いずれの凹部118,119,120,121,122がスイッチ104の位置にあるかを判定する。このようにして、制御部はカム55の回転位置を判定し、所定の回転位置までカム55を正転させた後に逆転させる。これにより、ストッパ66の回転翼69が最も近いいずれかの孔81,82,83,84,85,86に進入し、カム55が図12〜図17に示されるいずれかの回転位置で制止され、遊星ギヤ62,63が回転位置に応じた伝達ギヤ88,89,90,91,92と噛合する。
【0087】
つぎに、カム55を正転から逆転へ回転方向を切り換えるタイミングが説明される。以下には、カム55が、凹部117にスイッチレバー105が位置する回転位置まで正転された後、逆転されるタイミングを例として説明がされる。
【0088】
ファクシミリ装置1の制御部が、凹部117にスイッチレバー105があると判定してからスイッチ104が6回続けてオンとなると、制御部は、スイッチレバー105が凹部117にあると判定する。カム55はさらに正転され、図17に示される位置を通過して図18に示される位置まで回転される。ストッパ66の回転翼69は、カム55が正転する方向からは孔86へ完全に進入しない。図18に示される位置までカム55が正転されると、ストッパ66の回転翼69は、図7に示されるように、孔86を通過してフレーム51の底面と当接した状態となる。図18に示される回転位置は、6回目のスイッチ104のオンから所定のパルス数だけパルスモータ53を駆動させることにより決定される。この所定のパルス数は、隣接する凸部111,112,113,114,115間において、スイッチ104がオンとなった後、再びオンとならないパルス数に設定されている。
【0089】
図18に示される回転位置では、ストッパ66の回転翼69は、孔86に進入していない(図7参照)。したがって、カム55の逆転は制止されていない。カム55が逆転されて図17に示される回転位置になると、ストッパ66の回転翼69が、カム55が逆転する方向から孔86へ進入する(図6参照)。これにより、図17に示される回転位置でカム55の逆転がストッパ66により制止される。ストッパ66によりカム55の逆転に対して所定の負荷が生じるので、クラッチバネ61が滑って、カム55が制止された状態で太陽ギヤ52が逆転する。太陽ギヤ52の逆転により回転される遊星ギヤ62,63は、伝達ギヤ89,92へ駆動伝達を行い、前述された記録モードになる。
【0090】
他の凹部118,119,120,121,122にスイッチレバー105が位置する場合は説明されないが、凹部117を例とした説明と同様の動作である。このようにして、駆動伝達装置10は、コピーモード、インクリボン巻き取りモード、記録紙排出モード、原稿読取りモード、記録紙供給モード、記録モードに応じた駆動の切り換えを行う。
【0091】
カム55が逆転した際に、カム55の逆転がストッパ66により制止されず、カム55のいずれかの凸部111,112,113,114,115,116がスイッチレバー105に接触するおそれが想定される。例えば、図16に示される回転位置からカム55が正転されると、凸部116がスイッチレバー105を揺動させて、カム55は図18に示される回転位置へ正転されるはずである。しかし、凸部116がスイッチレバー105を揺動させた直後に、電気的なノイズなどが影響して、制御部が所定のパルス数だけパルスモータ53を駆動させずに回転を切り換えることが想定される。
【0092】
凸部116がスイッチレバー105を揺動させた直後であって、図18に示される位置まで正転される前に、つまり、ストッパ66の回転翼69が孔86を通過する前に、パルスモータ53の回転が切り換えられると、カム55が図17に示される位置で制止されずに逆転される。そして、図19に示されるように、凸部116がスイッチレバー105に当接する。スイッチレバー105は、図19において反時計回り方向へは揺動できないが、図10及び図11に示されるように、スイッチレバー105が凸部116のガイド面123に案内されて、凸部116に対して相対的にカム55の軸方向へ退避される。つまり、カム55が誤作動しても、スイッチレバー105が各凸部111,112,113,114,115,116により逆方向へ揺動されず、スイッチ104の破壊が防止される。また、本実施形態では、カム55を軸方向へ退避可能に構成しているので、本発明における回避機構が簡易に実現できる。
【0093】
なお、上記実施形態では、スイッチレバー105が各凸部111,112,113,114,115,116のガイド面123と当接することにより、カム55が軸方向へ退避されるものとしたが、スイッチ104がカム55の軸方向に退避される構成としてもよい。例えば、スイッチ104を、カム55の軸方向に対して所定のガタが生じるようにフレーム51に固定してもよい。また、図20に示されるように、スイッチ104を支持する周辺のフレーム51に切込み126,127を形成して、スイッチ104を支持するフレーム51の一部分128がカム55の軸方向に撓み易くしてもよい。
【0094】
また、図21に示されるように、スイッチレバー105が、適度に弾性変形可能な素材から形成されることにより、各凸部111,112,113,114,115,116のガイド面123が当接すると、スイッチレバー105自体が撓むようにしてもよい。もちろん、これらを適宜組み合わせて、本発明における回避機構が実現されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係るファクシミリ装置1の内部構成を示す断面図である。
【図2】図2は、駆動伝達装置10の構成を示す正面図である。
【図3】図3は、駆動伝達装置10の構成を示す背面図である。
【図4】図4は、太陽ギヤ52等を取り除いた状態の駆動伝達装置10の平面図である。
【図5】図5は、太陽ギヤ52からカム55への駆動伝達機構を示す部分断面図である。
【図6】図6は、図5におけるVI−VI部分拡大断面図である。
【図7】図7は、回転翼69が時計回りに回転された状態を示す部分拡大断面図である。
【図8】図8は、カム55の構成を示す平面図である。
【図9】図9は、逆転するカム55の凸部116がスイッチレバー105に接触する寸前の状態を示す平面図である。
【図10】図10は、図9における矢視Xからみた部分拡大図である。
【図11】図11は、カム55が軸方向へ退避した状態を示す部分拡大図である。
【図12】図12は、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔81に進入した場合のカム55の回転位置を示す平面図である。
【図13】図13は、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔82に進入した場合のカム55の回転位置を示す平面図である。
【図14】図14は、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔83に進入した場合のカム55の回転位置を示す平面図である。
【図15】図15は、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔84に進入した場合のカム55の回転位置を示す平面図である。
【図16】図16は、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔85に進入した場合のカム55の回転位置を示す平面図である。
【図17】図17は、ストッパ66の回転翼69がフレーム51の孔86に進入した場合のカム55の回転位置を示す平面図である。
【図18】図18は、カム55が正転から逆転へ切り換えられる回転位置を示す平面図である。
【図19】図19は、逆転するカム55の凸部116にスイッチレバー105が当接した状態を示す平面図である。
【図20】図20は、本発明の変形例において、スイッチ104が軸方向へ退避した状態を示す部分拡大図である。
【図21】図21は、本発明の変形例において、スイッチレバー105が軸方向へ退避した状態を示す部分拡大図である。
【図22】図22は、従来の駆動伝達装置による駆動伝達の切り換えを説明するための平面図である。
【図23】図23は、従来の駆動伝達装置による駆動伝達の切り換えを説明するための平面図である。
【図24】図24は、従来の駆動伝達装置による駆動伝達の切り換えを説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0096】
1・・・ファクシミリ装置(通信装置)
10・・・駆動伝達装置
33・・・原稿供給ローラ(駆動部)
36・・・原稿排出ローラ(駆動部)
43・・・記録紙供給ローラ(駆動部)
46・・・プラテンローラ(駆動部)
47・・・記録紙排出ローラ(駆動部)
50・・・スプール(駆動部)
52・・・太陽ギヤ
53・・・パルスモータ(駆動源)
55・・・カム(回転部材)
61・・・クラッチバネ(クラッチ)
62,63・・・遊星ギヤ
66・・・ストッパ
88,89,90,91,92・・・伝達ギヤ
104・・・スイッチ
105・・・スイッチレバー
111,112,113,114,115,116・・・凸部
117,118,119,120,121,122・・・凹部
123・・・ガイド面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源から伝達された駆動力により正逆回転される太陽ギヤと、
円周方向の所定の位置に径方向の凹部及び凸部を有し、上記太陽ギヤから駆動伝達されて正逆回転される回転部材と、
上記太陽ギヤの正転を伝達して上記回転部材を正転させ、上記太陽ギヤの逆転を所定のトルクで伝達して上記回転部材を逆転させるとともに、該トルクより強い負荷により逆転を伝達せずに滑るクラッチと、
上記太陽ギヤと噛合し、上記回転部材の正逆転により上記太陽ギヤの軸回りを公転する遊星ギヤと、
上記遊星ギヤの公転軌道に沿って配置されて上記遊星ギヤと噛離する伝達ギヤと、
上記回転部材を所定の回転位置で逆転方向に対して制止するストッパと、
正転する上記回転部材の凸部との接触により揺動するスイッチレバーを有し、該スイッチレバーの揺動に基づいて電気信号を発生するスイッチと、を具備し、
上記回転部材又は上記スイッチレバーの少なくともいずれか一方に、逆転する上記回転部材の凸部と上記スイッチレバーとの接触による上記スイッチレバーの揺動を回避する回避機構を有するものである駆動伝達装置。
【請求項2】
上記回避機構は、上記回転部材の凸部又は上記スイッチレバーを上記回転部材の軸方向へ退避させるものである請求項1に記載の駆動伝達装置。
【請求項3】
上記回避機構は、上記回転部材の凸部に形成されて上記スイッチレバーを相対的に退避方向へ案内するガイド面を有するものである請求項2に記載の駆動伝達装置。
【請求項4】
上記スイッチレバーは、退避方向へ弾性変形可能なものである請求項3に記載の駆動伝達装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の駆動伝達装置を有し、上記遊星ギヤと上記伝達ギヤとの噛離により、所定の駆動部への駆動伝達が制御される通信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2008−75745(P2008−75745A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255292(P2006−255292)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】