説明

駆動回路基板、画像形成装置

【課題】モータ等の駆動力を発生させる部品に実装する駆動回路基板に印加される振動を抑制する。
【解決手段】駆動力を発生する駆動力発生部品としてのモータ20及びその他の部品としての実装部品60、70、80等が実装される駆動回路基板であって、基板本体10又はその他の部品としてのヒートシンク50に設けられた、モータ20の駆動に伴い生ずる振動の方向に振動する動吸振器30、40及び板状部材51、52及び53を備えた、駆動回路基板。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ等の画像形成装置又は光ディスク装置等の駆動部分、駆動ユニットに組み込まれる駆動回路基板及びそれを用いた画像形成装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より複写機やプリンタ等の画像形成装置、又はMFP(Multifunction Peripheral)の多機能化に伴い、それらに内蔵される現像装置の感光ドラムや搬送ローラ等の回転部材の制御も複雑化している。それは、装置の動作の複雑化に伴う回転数自体の増加や、回転部材の点数の増加に伴う制御対象の増加である。
【0003】
このような回転部材の制御の複雑化に伴い、回転部材の駆動に用いられるモータ等の部品が生じさせる振動に起因する悪影響、すなわち、出力画像の品質劣化、動作時の騒音等が無視できなくなってきている。
【0004】
このような、回転部材の動作に起因する振動を低減することを目的として、モータの取り付けに用いられるブラケットに動吸振器の機構を持たせるこが提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
【0005】
図7は、特許文献1に示される動吸振器の機構を有するブラケットを含めた駆動機構の構成図である。図7に示すように、駆動機構100は、モータ106及びモータ106の駆動力が伝達されるためのギア107を内蔵した、鋼板製のブラケット101から構成される。ブラケット101の壁面101a及び101bには、その表面の一部に対し、切り欠、折り曲げ加工されることにより動吸振器102及び103がそれぞれ形成されている。
【0006】
動吸振器102は、壁面101aの一部をモータ106の回転軸106aの延伸方向に向かって折り曲げて形成される。又、動吸振器102は長方形の振動部102aと支持部102bとからなるT字型形状を有し、更に振動部102aの両端に錘104を備えた構成となっている。これにより、振動部102aは、ブラケット101の鉛直方向の振動に伴い、支持部102bを基点として鉛直方向に所定の周波数で振動することで、ブラケット101の鉛直方向の振動を抑制する。
【0007】
又、動吸振器103は、ブラケット101の壁面101bにコの字状の切り込みを設け、これをブラケット101の外側へ折り曲げて形成した一対の振動部103aを有する。又、動吸振器103のそれぞれの両端には錘105が設けられる。これにより、動吸振器3の振動部103aは、ブラケット101が水平方向に振動するに伴い、振動部103aの折り曲げ部分を基点として水平方向に所定の周波数で振動することで、ブラケット101の水平方向の振動を抑制する。
【0008】
なお、上記の説明において「所定の周波数」とは、モータ106及びその先端に設けられたギア106b、並びにブラケット101に設けられたギア107によりブラケット101に加えられる振動の振動数(以下、加振周波数)と一致するように設定された周波数であって、動吸振器102、103の各部の寸法、又は錘104、105の重量によって調整することができる。
【特許文献1】特開2002−258286号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、図7に示す従来の技術においては、以下のような課題があった。すなわち、図7の構成は、ブラケット101自身に動吸振器の構造をとりいれるものであるが、これは、ブラケット101がモータ106の動作、及びモータの106のギア106bと協働するギア107の動作に起因する振動の伝達先であることに基づく。
【0010】
ところが、実際のモータ等の回転部材の動作においては、モータそれ自身が実装される駆動回路基板の振動の問題を無視することが出来ない。一般に駆動回路基板はガラスエポキシなどの板状の形状を持つものが多く、又、モータ自身を駆動させるための制御用のIC等の電子部品が実装されるため、モータの振動の直接の影響を受けやすい。
【0011】
これに対し、上記従来の技術は、ブラケット等の、モータの駆動力の伝達先の各部材の振動の抑制を考慮したものであり、モータの実装元である基板の振動の抑制を考慮したものではなかった。
【0012】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、モータ等の駆動力を発生させる部品に実装する駆動回路基板に印加される振動を抑制することを可能とする駆動回路基板等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の目的を達成するために、第1の本発明は、駆動力を発生する駆動力発生部品及びその他の部品が実装される駆動回路基板であって、
基板本体又は前記その他の部品に設けられた、前記駆動力発生部品の駆動に伴い生ずる振動の方向に振動する吸振部を備えた、駆動回路基板である。
【0014】
又、第2の本発明は、前記吸振部は前記その他の部品に設けられ、
前記その他の部品は、ヒートシンクである、第1の本発明の駆動回路基板である。
【0015】
又、第3の本発明は、前記ヒートシンクは、
その端部に達する開放端を有する第1のスリットが形成された、単数又は複数の板状部材を有する、第2の本発明の駆動回路基板である。
【0016】
又、第4の本発明は、前記板状部材は、前記基板本体の主面に対して直交して設けられている、第3の本発明の駆動回路基板である。
【0017】
又、第5の本発明は、前記板状部材は、前記基板本体の主面に対して平行に設けられている、第3の本発明の駆動回路基板である。
【0018】
又、第6の本発明は、前記ヒートシンクは、前記基板本体の主面に対して直交して設けられた前記板状部材及前記基板本体の主面に対して平行にして設けられた前記板状部材とを有するバケット状の形状を有する、第3の本発明の駆動回路基板である。
【0019】
又、第7の本発明は、前記吸振部は前記基板本体に設けられ、
前記吸振部は、振動部と、前記振動部及び前記基板本体を接続する梁部とを有し、
前記基板本体と前記梁部との境界、及び前記振動部と前記梁部との境界は、継ぎ目無く一体的に形成されており、
前記振動部と前記基板本体との間の、前記梁部が設けられていない部分には第2のスリットが形成されている、第1の本発明の駆動回路基板である。
【0020】
又、第8の本発明は、前記第2のスリットは前記基板本体の縁部に達しないように前記基板本体内に形成されている、第7の本発明の駆動回路基板である。
【0021】
又、第9の本発明は、前記第2のスリットは前記基板本体の縁部に達する開放端を有するよう形成されている、第7の本発明の駆動回路基板である。
【0022】
又、第10の本発明は、前記吸振部は、前記梁部、前記振動部及び前記基板本体の接続方向に対して左右対称な形状を有する、第7から第9のいずれかの本発明の駆動回路基板である。
【0023】
又、第11の本発明は、前記基板本体は矩形状の形状を有し、前記振動部、前記振動部及び前記基板本体の接続方向は、前記基板本体の長手方向に対して平行又は垂直である、第7から第9のいずれかの本発明の駆動回路基板である。
【0024】
又、第12の本発明は、前記基板本体は矩形状の形状を有し、前記振動部、前記振動部及び前記基板本体の接続方向は、前記基板本体の長手方向に対して斜交している、第7から第9のいずれかの本発明の駆動回路基板である。
【0025】
又、第13の本発明は、用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に前記用紙を供給する給紙部とを備え、
前記画像形成部又は前記給紙部の駆動系に、第1から第12のいずれかの本発明の駆動回路基板を有する、画像形成装置である。
【発明の効果】
【0026】
以上のような本発明によれば、モータ等の駆動力を発生させる部品に実装する駆動回路基板に印加される振動を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0028】
図1(a)(b)は、本発明の実施の形態の駆動回路基板1の斜視図である。本実施の形態においては、駆動回路基板1の基板本体10にモータ20を実装した状態を示した。ただし本発明の駆動回路基板はモータ等の駆動力発生部品を含まないことは言うまでもない。
【0029】
図1(a)はモータ20を実装した面(以下表面と称す)側の構成を示し、図1(b)は表面に対する裏面側の構成を示す。
【0030】
又、図2(a)(b)(c)(d)はそれぞれ、本実施の形態の駆動回路基板1の平面図、背面図、側面図及び正面図である。
【0031】
図1(a)(b)に示すように、基板本体10は外形矩形状の基板であり、ガラスエポキシ等の樹脂材料により作成される。モータ20は基板本体10の長手方向上半分の領域であって、モータ20の回転軸21が基板本体10の主面を貫通する向きに配置される。図2(c)に示すように、基板本体10とモータ20とは、固定部材12及び13を間に介して両者は固定される。基板本体10の裏面であってモータ20の回転軸21の周囲には金属性の軸受け11が設けられる。
【0032】
次に、基板本体10の主面上であってモータ20の実装位置の下部には、動吸振器40、ヒートシンク50及び実装部品60、70、80が設けられている。動吸振器40及びヒートシンク50の機能については後述する。実装部品60、70及び80は外部電源から電力供給を受けて、モータ20の回転を制御する電子部品であって、IC等により実現される。なお、実装部品60他と駆動回路基板1との間の接続は、リフローはんだ付け、フリップチップ実装等の周知の方法に依ってよい。
【0033】
更に、図1(b)、図2(a)(b)に示すように、基板本体10の主面上であってモータ20の実装位置の更に上部には、動吸振器30が設けられている。
【0034】
以上の構成において、本発明の実施の形態による駆動回路基板1は、基板本体10上に設けられた動吸振器30、40及びヒートシンク50により、モータ20の駆動に起因する基板本体10の振動を抑制することを特徴とする。
【0035】
以下、上述の各図を参照して、更に詳細に説明を行う。
【0036】
(動吸振器30)
図1(b)に示すように、動吸振器30は、基板本体10の上端部分の左右を帯状に切り欠いてスリット33a及び33bを設けることにより形成され、当該上端部分を振動部32及び梁部31に加工した。スリット33a及び33bは基板本体10の左右両端の縁部に達して開放端を形成しているため、その間に挟まれる梁部31は基板本体10及び振動部32により横幅が狭くなっている。
【0037】
又、動吸振器30において振動部32は梁部31に接続され、梁部31は基板本体10の残りの部分に接続される関係となるが、動吸振器30は一枚の部材である基板本体10の加工により形成されていることから、基板本体10、梁部31及び振動部32は継ぎ目無く一体的に形成されており、かつ、図2(c)に示すように、振動部32及び梁部31は、基板本体10と同一の厚みを有する。
【0038】
更に、振動部32は、基板本体10の長手方向において左右対称な構成を有し、端手方向の左右に伸びた振動子32a及び振動子32bを有する。
【0039】
以上のような構成を備えた動吸振器30により、モータ20の駆動に伴い基板本体10が振動すると、基板本体10の長手方向の振動成分に関して、梁部31を基点として振動部32が当該長手方向に、加振周波数に対応させた周波数で振動することで、基板本体10の長手方向における振動を抑制することができる。
【0040】
なお、上記の説明において、動吸振器30は本発明の吸振部に相当し、振動部32は本発明の振動部に、梁部31は本発明の梁部にそれぞれ相当する。又、スリット33a及び33bは本発明の、基板本体の縁部に達する第2のスリットに相当する。
【0041】
(動吸振器40)
図2(a)(b)に示すように、動吸振器40は、基板本体10の下隅部分に、互いに向き合った一対のコの字状のスリット42a及び42bを設けることにより形成され、基板本体10の、当該スリット42a及び42bにより囲まれる内側の部分を振動部41に加工した。スリット42a及び42bのコの字の両端は一定の間隔をおいて離隔しており、この離隔した部分が一対の梁部43a及び43bからなる梁部43を形成する。
【0042】
動吸振器40において振動部41は梁部43に接続され、梁部31は基板本体10の、スリット42a及び42bにより離隔されていない部分に接続される関係となるが、動吸振器30の場合と同様、動吸振器40は一枚の部材である基板本体10の加工により形成されていることから、基板本体10、梁部43及び振動部41は継ぎ目無く一体的に形成されており、かつ、図2(c)に示すように、振動部41及び梁部43は、基板本体10と同一の厚みを有する。
【0043】
更に、振動部41は、基板本体10の短手方向に平行な方向であって、梁部43aと43bとを結ぶ直線に対して左右対称な構成を有し、対称軸に対して左右に伸びた振動子41a及び振動子41bを有する。
【0044】
以上のような構成を備えた動吸振器40により、モータ20の駆動に伴い基板本体10が振動すると、基板本体10の短手方向の振動成分に関して、梁部43を基点として振動部41が当該短手方向に、加振周波数に対応させた周波数で振動することで、基板本体10の短手方向における振動を抑制することができる。
【0045】
なお、上記の説明において、動吸振器40は本発明の吸振部に相当し、振動部41は本発明の振動部に、梁部43は本発明の梁部にそれぞれ相当する。又、スリット42a及び42bは本発明の、基板本体の縁部に達しないよう基板本体内に形成された第2のスリットに相当する。
【0046】
(ヒートシンク50)
図1(a)に示すように、ヒートシンク50は、基板本体10の、モータ20が実装された部分の直下に設けられた放熱のための部材であり、一枚の略十文字状の金属板の三辺を、それぞれの端部を中心に向かって折り曲げ加工することにより、平行6面体の外形を有するバケット状の形状を得ている。
【0047】
すなわち、ヒートシンク50は、図2(c)に示すように基板本体10の主面に平行な板状部材51と、板状部材51に対し互いに直交する板状部材52、53、54とを有し、図2(b)に示すように板状部材52と53は対向して配置され、板状部材54は板状部材52と54との間に位置するよう配置された構成を有する。
【0048】
又、図2(d)に示すように、折り曲げられない板状部材55は基板本体10との固定に用いられ、ヒートシンク50の他の部分を基板本体10から持ち上げている。
【0049】
これにより、ヒートシンク50は一部が開口した空間を基板本体10上に形成し、本実施例においては当該空間に実装部品60を収納して、主に実装部品60からの発熱を効果的に放熱するようにしている。なお、ヒートシンク50は実装部品60上に直接実装して放熱を図る構成としてもよい。
【0050】
次に、ヒートシンク50の動吸振器としての構成、作用について説明を行う。
【0051】
ヒートシンク50において、板状部材51〜53にはそれぞれ一対のスリットが設けられる。図2(a)を参照して、板状部材51は、その左右両端の一部を帯状に切り欠いてスリット51a及び51bを設けている。これにより、板状部材51は、動吸振器30と同様の構成となる。すなわち、板状部材51の上端部分は、スリット51a及び51bが加工されることにより振動部51c及び梁部51dを形成する。振動部51cは、振動部32と同様、基板本体10の長手方向において左右対称な構成を有する。
【0052】
したがって、板状部材51は動吸振器として機能し、モータ20の駆動に伴い基板本体10が振動すると、基板本体10の長手方向の振動成分に関して、梁部51dを基点として振動部51cが当該長手方向に、加振周波数に対応させた周波数で振動することで、ヒートシンク50と一体化した基板本体10の長手方向における振動を抑制する。
【0053】
又、図2(c)を参照して、板状部材53は、その左右両端の一部を帯状に切り欠いてスリット53a及び53bを設けている。これにより、板状部材53の上端部分は、スリット53a及び53bが加工されることにより振動部53c及び梁部53dを形成する。ここで、振動部53cは、基板本体10の主面と直交する平面において、基板本体10の長手方向に対して左右対称な構成を有する。
【0054】
したがって、板状部材53は動吸振器として機能し、モータ20の駆動に伴い基板本体10が振動すると、基板本体10の、基板本体10の長手方向における振動成分に関して、梁部51dを基点として振動部51cが当該平面上に、加振周波数に対応させた周波数で振動することで、ヒートシンク50と一体化した基板本体10の長手方向における振動を抑制する。
【0055】
又、板状部材52は、図1及び図2(a)に示すように板状部材53と同様の構成を有するので、上記板状部材53と同様の動吸振器として機能する。
【0056】
更に、ヒートシンク50においては、図20(d)に示すように、板状部材55よりもその上部に位置する部分のほうが幅広の構造を有するため、当該部分が振動部50aとして、又、板状部材55が梁部50bとしてそれぞれ機能することにより、ヒートシンク50全体が一体の動吸振器として機能することができる。
【0057】
このように、ヒートシンク50においては、放熱のための板状部材51〜53のそれぞれ、及びヒートシンク50全体が一個の動吸振器として機能することにより、基板本体10の振動を抑制することが可能となる。
【0058】
なお、上記の説明において、ヒートシンク50は本発明のヒートシンクに相当し、板状部材51〜54はそれぞれ本発明の板状部材にそれぞれ相当する。又、スリット51a、51b、53a、53b他、板状部材51〜54に設けられたスリットは本発明の第1のスリットに相当する。
【0059】
以上のように、本発明の実施の形態による駆動回路基板1は、基板本体10上に設けられた動吸振器30、40及びヒートシンク50により、モータ20の駆動に起因する基板本体10の振動を抑制することができる。
【0060】
なお、以上の構成においては、本発明の吸振部としての動吸振器は動吸振器30、40及びヒートシンク50の3つであるとしたが、基板本体10に設ける動吸振器の個数は、モータ20によって生ずる振動の大きさ等に応じて任意の数としてもよい。
【0061】
又、図1(a)に示すように、動吸振器30、40はそれぞれ、矩形状の基板本体10の長手方向、短手方向から見て左右対称な形状であると説明したが、図3に示す動吸振器30′のように、基板本体10に対して斜交する方向からみて左右対称な形状であるとしてもよい。
【0062】
すなわち、本発明の吸振部は、振動部と梁部との境界、及び梁部と基板本体との境界のそれぞれを結ぶ直線方向に対して左右対称な形状であればよく、本実施の形態の動吸振器30を例に取った場合、振動部32と梁部31との接続位置、及び梁部31と基板本体10との接続位置とを結ぶ直線が、基板本体10の長手方向にあるのは設計上の理由に過ぎない。したがって、本発明の吸振部は、基板本体及び梁部の接続位置と梁部及び振動部の接続位置とを結ぶ直線に対して左右対称な形状であれば、梁部及び振動部が基板本体10上のどの場所において形成されるかによって限定されることはない。又、基板本体の形状によって限定されるものでもない。
【0063】
又、上記の説明においては、スリットはいずれも直線であるとして説明を行ったが、図3に示すスリット33a″、33b″のように、曲線であってもよい。
【0064】
又、上記の説明においてヒートシンク50は一枚の略十文字状の金属板の三辺を、それぞれの端部を中心に向かって折り曲げ加工することにより、板状部材51〜55から構成され、平行6面体の外形を有するバケット状の形状を有するものとして説明を行ったが、本発明のヒートシンクを形成する板状部材の形状はこれに限定されるものではない。図4(a)に示すように、断面Lの字状の板状部材56からなるものとして、基板本体10の主面に対して平行に設けられるものであってもよい。又、図4(b)(c)にそれぞれ示すように、基板本体10の主面に対して直角である一枚の板状部材57又は58からなるものであってもよい。要するに、本発明のヒートシンクの形状は、第1のスリットが設けられた単数又は複数の板状部材から構成されているものであれば、その具体的な形状によって限定されるものではない。
【0065】
又、上記の説明においては、基板本体10は、ガラスエポキシ製の一枚の基板からなるものとして説明を行ったが、複数のガラスエポキシ層又はコンポジット層等の材料層を積層した積層基板であってもよい。この場合、積層基板の各層の一部をなす単数又は複数の層を用いて、本発明の吸振部を構成することができる。図5(a)(b)に示す例では、基板本体10はガラスエポキシ層10a、10b、10cの三層構造であるとしたが、動吸振器30を構成する梁部31及び振動部32は、ガラスエポキシ層10bのみを切り出して形成した。このような構成とすることにより、動吸振器としての振動部の重量調整をより精密かつ柔軟に行うことができ、周波数の調整幅を広げることが可能となる。
【0066】
又、上記の説明においては、動吸振器30、40及びヒートシンク50の各部の寸法、重量の設定は、周知の方法によって行えばよい。すなわち、モータ20等を動作させて加振周波数を測定し、これに一致する共振周波数が得られるような値を設定する。又、動吸振器30、40及びヒートシンク50はそれぞれ同一の加振周波数に対応させる必要はなく、測定誤差や測定個所における加振周波数の違いに応じて調整した値で設定してもよい。
【0067】
又、上記の構成においてはモータ20を本発明の駆動力発生部品であるとしたが、駆動力を発生することが可能な部品であればよく、モータ以外の部品、電力に限らず油圧等で動作するアクチュエータ等も本発明の駆動力発生部品に含まれる。
【0068】
以上のような本発明の駆動回路基板は、一例としては、用紙上に画像を形成する画像形成部と、画像形成部に前記用紙を供給する給紙部とを備えた画像形成装置において、画像形成部又は給紙部の駆動系のモータやアクチュエータの実装に用いることができる。図6に、画像形成部に組み込んだ一例を示す。モータを実装した状態の駆動回路基板90は、画像形成装置の本体側に組み込まれ、ユニット化した画像形成部98とジョイント94により脱着可能かつ回動可能に接続され、モータの駆動力を、ギア91、92、95、96を介して伝達させ現像ドラム97を回転駆動させる。
【0069】
図6のような構成において、本実施の形態の駆動回路基板を用いることにより、モータの駆動に起因する騒音や、振動に起因する動作不良の可能性を低減することができる。
【0070】
又、本発明は、画像形成装置の他に、MFPや光ディスク装置などの回転駆動を行う装置、又は搬送系などの駆動装置において用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、モータ等の駆動力を発生させる部品に実装する駆動回路基板に印加される振動を抑制できる効果を有し、駆動回路基板、及びこれを用いた画像形成装置等において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】(a)本発明の実施の形態の駆動回路基板の構成を表面側から示す斜視図である。(b)本発明の実施の形態の駆動回路基板の構成を裏面側から示す斜視図である。
【図2(a)】本発明の実施の形態の駆動回路基板の構成を示す平面図である。
【図2(b)】本発明の実施の形態の駆動回路基板の構成を示す背面図である。
【図2(c)】本発明の実施の形態の駆動回路基板の構成を示す側面図である。
【図2(d)】本発明の実施の形態の駆動回路基板の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態の駆動回路基板の他の構成例を示す平面図である。
【図4】(a)本発明の実施の形態の駆動回路基板のヒートシンクの他の構成例を示す斜視図である。(b)本発明の実施の形態の駆動回路基板のヒートシンクの他の構成例を示す斜視図である。(c)本発明の実施の形態の駆動回路基板のヒートシンクの他の構成例を示す斜視図である。
【図5】(a)本発明の実施の形態の駆動回路基板の動吸振器の他の構成例を示す斜視図である。(b)本発明の実施の形態の駆動回路基板の動吸振器の他の構成例を示す要部平面図である。
【図6】本発明の実施の形態の駆動回路基板を画像形成装置に組み込んだ構成を説明するための模式図である。
【図7】従来の技術による、動吸振器の機構を有するブラケットを含めた駆動機構の構成図である。
【符号の説明】
【0073】
10 基板本体
20 モータ
30、40 動吸振器
31、43、43a、43b、51d、53d 梁部
32、41、51c、53c 振動部
33a、33b、42、42a、42b、51a、51b、53a、53b スリット
32a、32b、41a、41b 振動子
50 ヒートシンク
51、52、53、54 板状部材
60、70、80 実装部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動力を発生する駆動力発生部品及びその他の部品が実装される駆動回路基板であって、
基板本体又は前記その他の部品に設けられた、前記駆動力発生部品の駆動に伴い生ずる振動の方向に振動する吸振部を備えた、駆動回路基板。
【請求項2】
前記吸振部は前記その他の部品に設けられ、
前記その他の部品は、ヒートシンクである、請求項1に記載の駆動回路基板。
【請求項3】
前記ヒートシンクは、
その端部に達する開放端を有する第1のスリットが形成された、単数又は複数の板状部材を有する、請求項2に記載の駆動回路基板。
【請求項4】
前記板状部材は、前記基板本体の主面に対して直交して設けられている、請求項3に記載の駆動回路基板。
【請求項5】
前記板状部材は、前記基板本体の主面に対して平行に設けられている、請求項3に記載の駆動回路基板。
【請求項6】
前記ヒートシンクは、前記基板本体の主面に対して直交して設けられた前記板状部材及前記基板本体の主面に対して平行にして設けられた前記板状部材とを有するバケット状の形状を有する、請求項3に記載の駆動回路基板。
【請求項7】
前記吸振部は前記基板本体に設けられ、
前記吸振部は、振動部と、前記振動部及び前記基板本体を接続する梁部とを有し、
前記基板本体と前記梁部との境界、及び前記振動部と前記梁部との境界は、継ぎ目無く一体的に形成されており、
前記振動部と前記基板本体との間の、前記梁部が設けられていない部分には第2のスリットが形成されている、請求項1に記載の駆動回路基板。
【請求項8】
前記第2のスリットは前記基板本体の縁部に達しないように前記基板本体内に形成されている、請求項7に記載の駆動回路基板。
【請求項9】
前記第2のスリットは前記基板本体の縁部に達する開放端を有するよう形成されている、請求項7に記載の駆動回路基板。
【請求項10】
前記吸振部は、前記梁部、前記振動部及び前記基板本体の接続方向に対して左右対称な形状を有する、請求項7から9のいずれかに記載の駆動回路基板。
【請求項11】
前記基板本体は矩形状の形状を有し、前記振動部、前記振動部及び前記基板本体の接続方向は、前記基板本体の長手方向に対して平行又は垂直である、請求項7から9のいずれかに記載の駆動回路基板。
【請求項12】
前記基板本体は矩形状の形状を有し、前記振動部、前記振動部及び前記基板本体の接続方向は、前記基板本体の長手方向に対して斜交している、請求項7から9のいずれかに記載の駆動回路基板。
【請求項13】
用紙上に画像を形成する画像形成部と、
前記画像形成部に前記用紙を供給する給紙部とを備え、
前記画像形成部又は前記給紙部の駆動系に、請求項1から12のいずれかに記載の駆動回路基板を有する、画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2(a)】
image rotate

【図2(b)】
image rotate

【図2(c)】
image rotate

【図2(d)】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−32010(P2010−32010A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196897(P2008−196897)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】