説明

駆動機構兼用発電装置

【課題】 ポンプ油圧モータMおよびモータ兼用発電機Gを設けるとともに、それらの両機能を個別に発揮できるようにする。
【解決手段】 ポンプ兼用油圧モータMと、このポンプ兼用油圧モータに連結したモータ兼用発電機Gとを備えるとともに、切換弁Sを発電モードに切り換えたとき、シリンダ1からの戻り流れをポンプ兼用油圧モータMに導き、このポンプ兼用油圧モータMからの戻り流れを、上記切換弁を介してタンクTに還流させる一方、この切換弁をアクチュエータ駆動モードに切り換えたとき、モータ兼用発電機Gを駆動源として回転するポンプ兼用油圧モータにタンクからの作動油を吸い込ませるとともに、そのポンプ兼用モータからの吐出油をアクチュエータに供給する構成にしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、アクチュエータの慣性エネルギーや位置エネルギーを利用して油圧モータを駆動するとともに、この油圧モータの回転力で発電機を回す駆動機構兼用発電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、特許文献1に記載された装置が従来から知られている。この従来の装置は、アクチュエータに慣性エネルギーや位置エネルギーが作用したときに、戻り側となる通路に、オンオフ的に切り換わる切換弁を設けている。そして、この切換弁がノーマル位置にあるとき、アクチュエータの戻り油が、この切換弁を経由してタンクに還流する。また、上記切換弁がノーマル位置から切り換え位置に切り換わったときには、上記慣性エネルギーや位置エネルギーが作用したアクチュエータの戻り油が油圧モータに導かれるようにしている。そして、この油圧モータには発電機が連結されていて、上記戻り油で油圧モータが回転したとき、その回転力で発電機が回って発電される。
【特許文献1】特開2004−11168号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のようにした従来の装置では、切換弁を上記切り換え位置からノーマル位置に切り換えたとき、言い換えると、切換弁を切り換え位置に保持して、油圧モータを駆動している最中に、切換弁を急遽ノーマル位置に戻して、アクチュエータを通常の制御に戻そうとしたとき、発電機に連結した油圧モータ側で負圧が発生してしまう。なぜなら、切換弁をノーマル位置に切り換えたとしても、油圧モータや発電機の慣性エネルギーが大きいために、それらがすぐに停止しないからである。特に、発電機の慣性エネルギーは大きいので、この発電機に連結した油圧モータが急に停止できずに、その吸い込み側で負圧が発生してしまう。
【0004】
上記のように油圧モータの吸い込み側が負圧になると、そこにキャビテーションが発生するが、このキャビテーションが原因で、騒音が発生したり、油圧モータの摺動部に損傷が生じたりする。そこで、負圧を発生させないようにするために、例えば、アクチュエータを制御する切換制御弁をゆっくりと切り換えることも考えられるが、これでは、アクチュエータを歯切れよく制御できなくなってしまう。いずれにしても、従来の装置では、キャビテーションが発生しやすいという問題があり、その問題をオペレータの操作能力でカバーしようとすると、今度は歯切れのよい制御ができなくなるという問題があった。
【0005】
また、油圧モータおよび発電機を止めようとして、切換弁をノーマル位置に切り換えても、上記のように発電機の慣性エネルギーが非常に大きいので、それがなかなか停止しない。油圧モータや発電機が停止するまでに時間がかかりすぎれば、油圧モータの吸い込み側における負圧がさらに大きくなってしまう。したがって、切換弁をノーマル位置に切り換えたときには、油圧モータや発電機を速やかに停止させなければならないが、短時間で上記エネルギーを吸収しようとすると、発電機を大型化しなければならない。
【0006】
なぜなら、上記慣性エネルギーを吸収するために、発電機が、そのエネルギーを電気変換という形で吸収しなければならないので、エネルギーの吸収時間を短くしようとすれば、発電機を大型化せざるを得ないからである。ところが、発電機を大型化すれば、今度は発電機の慣性エネルギーがますます大きくなるということになり、慣性エネルギーを短時間で吸収するということと、発電機を小型に保つということとは、二律背反的な関係になってしまい、従来の装置ではそれらを一気に解決することができなかった。
【0007】
さらに、アクチュエータに慣性エネルギーが作用したときに戻り側となる通路を上記のように油圧モータに接続したときと、それを油圧モータに接続せずに切換制御弁を介して直接タンクに戻す場合とで、アクチュエータの作動速度が相違することがある。このようにアクチュエータの作動速度が相違すると、オペレータにとっては、それが操作感の違いとして印象づけられてしまい、その違和感が操作性を悪くするという問題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、ポンプ兼用油圧モータと、このポンプ兼用油圧モータに連結したモータ兼用発電機とを備えるとともに、上記ポンプ兼用油圧モータに切換弁を接続し、この切換弁に設けた第1〜第5ポートのうち、第1ポートを上記ポンプ兼用油圧モータの一方の側に接続し、第2ポートをポンプ兼用油圧モータの他方の側に接続し、第3ポートをアクチュエータに接続し、第4ポートをタンクに接続し,第5ポートをロードチェック弁を介してアクチュエータに接続し、上記切換弁を発電モードに切り換えたとき、第5ポートを閉じる一方、上記第1ポートと第3ポートとを連通するとともに、第2ポートと第4ポートとを連通して、アクチュエータからの戻り流れを、第3ポートから第1ポートを経由してポンプ兼用油圧モータに導き、このポンプ兼用油圧モータから排出される戻り流れを、上記切換弁の第2ポートから第4ポートを介してタンクに還流させ、上記切換弁をアクチュエータ駆動モードに切り換えたとき、第3ポートを閉じる一方、第1ポートと第5ポートとを連通し、第2ポートと第4ポートとを連通し、モータ兼用発電機を駆動源として回転するポンプ兼用油圧モータには、第4ポートから第2ポートを経由してタンクから吸い込まれた作動油を吸い込ませるとともに、そのポンプ兼用油圧モータからの吐出油は、第1ポートから第5ポートを経由してアクチュエータに供給する構成にした点に特徴を有する。
【0009】
第2の発明は、ポンプ兼用油圧モータと、このポンプ兼用油圧モータに連結したモータ兼用発電機とを備えるとともに、上記ポンプ兼用油圧モータに切換弁を接続し、この切換弁に設けた第1〜第4ポートのうち、第1ポートを上記ポンプ兼用油圧モータの一方の側に接続し、第2ポートをポンプ兼用油圧モータの他方の側に接続し、第3ポートをアクチュエータに接続し、第4ポートをタンクに接続する一方、上記第1ポートとポンプ兼用油圧モータの一方の側とを接続する流路過程にチェック制御弁を設け、このチェック制御弁は、一方の切り換え位置において上記一方の側の流路を自由流れとし、他方の切り換え位置においてポンプ兼用油圧モータからアクチュエータへの流通のみを許容するチェック機能を備え、上記切換弁は、第1ポートと第3ポートとを連通させ、かつ、第2ポートと第4ポートとを連通させる作動位置と、第1ポートと第3ポートとの連通を遮断し、かつ、第2ポートと第4ポートとを絞り開度を維持して連通させる非作動位置とに切り換え可能にし、発電モードにおいて、切換弁を作動位置に保って、チェック制御弁を上記一方の切り換え位置に切り換え、アクチュエータ駆動モードにおいて、切換弁を作動位置に保って、チェック制御弁を上記他方の位置に切り換える構成にした点に特徴を有する。
【0010】
第3の発明は、一ポンプ兼用油圧モータと、このポンプ兼用油圧モータに連結したモータ兼用発電機とを備えるとともに、上記ポンプ兼用油圧モータに一対の切換弁を接続し、一方の切換弁は第1ポートと第3ポートとを備え、上記第1ポートをポンプ兼用アクチュエータの一方の側に接続し、第3ポートをアクチュエータに接続してなり、他方の切換弁は、第2ポートと第4ポートとを備え、第2ポートをポンプ兼用アクチュエータの他方の側に接続し、第4ポートをタンクに連通してなり、しかも、一方の切換弁は、発電モードにおいてアクチュエータとポンプ兼用油圧モータとの間の流れを自由流れ位置と、アクチュエータ駆動モードにおいてポンプ兼用油圧モータからアクチュエータへの流通のみを許容する規制流れ位置とに切り換え可能にし、他方の切換弁は、発電モードおよびアクチュエータ駆動モードのいずれの場合にも第2ポートと第4ポートとを自由流れの状態を保つ自由流れ位置と、ポンプ兼用油圧モータの非作動時に第2ポートと第4ポートとを絞り開度を維持して連通させる絞り位置とに切り換え可能にした点に特徴を有する。
【0011】
第4の発明は、上記切換弁の第1ポートとポンプ兼用油圧モータの一方の側とを接続する一方の流路と、第2ポートとポンプ兼用油圧モータの他方の側とを接続する他方の流路との間には、上記一方の流路の最高圧を制御するリリーフ弁を設けた点に特徴を有する。
【0012】
第5の発明は、上記切換弁の第1ポートに接続した上記一方の流路と、第2ポートに接続した上記他方の流路との両方に、補給流路を接続するとともに、補給流路と上記一方の流路への流路過程に、補給流路から上記一方の流路への流通のみを許容するチェック弁を設け、補給流路と上記他方の流路への流路過程に、補給流路から上記他方の流路への流通のみを許容するチェック弁を設けた点に特徴を有する。
【0013】
第6の発明は、切換弁の上記第1ポートとポンプ兼用油圧モータの一方の側とを接続する上記一方の流路と、第2ポートとポンプ兼用油圧モータの他方の側とを接続する上記他方の流路との間に、短絡流路を設け、この短絡流路に上記他方の流路から一方の流路に流れる流れのみを許容するチェック弁とを設けた点に特徴を有する。
【0014】
第7の発明は、アクチュエータを制御する切換制御弁を設け、この切換制御弁を通過してタンクに流れる流量Qtと、上記切換弁を通過して油圧モータに流れる流量Qmとの合計流量が、アクチュエータの戻り制御に必要とされる流量Qcに等しくなる関係を保って、上記切換制御弁と切換弁の開度とを制御する制御機構を設けた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0015】
第1〜3の発明によれば、ポンプ兼用油圧モータを、発電機を回す駆動源としたり、あるいはアクチュエータを駆動するための駆動源としたりすることができる。
【0016】
また、切換弁を中立位置に切り換えてポンプ兼用油圧モータを停止させようとしたとき、第2ポートと第4ポートとの連通過程には絞り開度が保たれるので、慣性エネルギーで回転し続けるポンプ兼用油圧モータからの吐出油が上記絞り開度を介してタンクに戻されることになる。このように慣性エネルギーで回転し続けるポンプ兼用油圧モータからの吐出油がタンクに戻されるので、停止時にポンプ兼用モータにショックが発生しない。
【0017】
さらに、上記ポンプ兼用油圧モータからアクチュエータに連通する流路過程にロードチェック弁を設けたので、ポンプ兼用油圧モータがポンプとして機能するとき、そのポンプ吐出圧が十分に確保されない状態でも、アクチュエータの作動油が逆流することはなくなる。そして、ポンプ兼用油圧モータのポンプ吐出圧が所定の圧力以上になったとき、当該ポンプ吐出油がアクチュエータに供給されることになる。
【0018】
第4の発明によれば、一方の流路と他方の流路との間に、リリーフ弁を設けたので、ポンプ兼用油圧モータを、油圧モータとして利用するときにも、ポンプとして利用するときにも、それらの最高圧を上記リリーフ弁で制御することができる。
【0019】
第5の発明によれば、両方の流路に補給流路を接続したので、例えば、切換弁を中立位置に切り換えた状態で、ポンプ兼用油圧モータが慣性エネルギーで回転したとしても、上記補給流路から不足分の作動油を補給できる。したがって、上記一方の流路側で負圧が発生したりせず、当然のこととして、その負圧が原因となって発生するキャビテーションや、ポンプ兼用油圧モータの損傷等の問題も発生しない。また、ポンプ兼用油圧モータがポンプ機能を発揮しているときにも、その吸い込み側において負圧が発生したりしない。
【0020】
第6の発明によれば、一方の流路と他方の流路とを短絡させることができるので、自ら排出した作動油を吸い込み側に戻すことができる。しかも、第5の発明の補給流路とも相まって、切換弁が中立状態にあるとき、ポンプ兼用油圧モータおよびモータ兼用発電機が慣性エネルギーで回転し続けても、ポンプ兼用油圧モータの吸い込み側に負圧が発生したりしない。したがって、従来のようにキャビテーションが発生せず、しかも、このキャビテーションが原因となっていた騒音や油圧モータの損傷などという問題も発生しない。
【0021】
また、ポンプ兼用油圧モータが慣性エネルギーによって回転し続けても問題ないので、目的に応じた大きさのモータ兼用発電機を自由に選択できる。例えば、従来の装置で、大きな慣性エネルギーを短時間で吸収しようとすれば、その分、大きな発電機を用いなければならない。しかし、大きな発電機はさらに慣性エネルギーが大きくなるので、採用できる発電機の大きさには限界があった。しかし、この発明によれば、油圧モータおよび発電機の大きさにかかわりなく慣性エネルギーを吸収できるので、発電機の大きさを選択する設計の自由度が大幅に増すことになる。
【0022】
第7の発明によれば、制御機構によって、アクチュエータに接続した切換制御弁を通過してタンクに流れる流量Qtと、上記切換弁を通過してポンプ兼用油圧モータに流れる流量Qmとの合計流量が、アクチュエータの戻り制御に必要とされる流量Qcに等しくなるので、ポンプ兼用油圧モータに流量を供給する必要がない場合のアクチュエータの作動速度を保つことができる。したがって、モータ兼用発電機を駆動しているときにも、オペレータは違和感なくアクチュエータを操作することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1に示した第1実施形態は、この発明のアクチュエータであるシリンダ1に、3位置4ポート弁である切換制御弁2を接続したもので、そのポンプポート2aをポンプPに接続し、タンクポート2bをタンクTに接続している。また、一対のアクチュエータポート2c,2dのうち、一方のアクチュエータポート2cを、通路3を介してシリンダ1のロッド側室1aに接続し、他方のアクチュエータポート2dを、通路4を介してピストン側室1bに接続している。
【0024】
上記のようにした切換制御弁2は、図示の中立位置にあるとき、各ポート2a〜2dのすべてを閉じた状態に保つ。そして、切換制御弁2が、図面左側位置に切り換わったとき、ポンプポート2aとアクチュエータポート2dとが連通し、タンクポート2bとアクチュエータポート2cとが連通する。したがって、ポンプPの吐出油は、シリンダ1のピストン側室1bに供給され、シリンダ1を伸長させるとともに、ロッド側室1aからの戻り油は、タンクTに返戻される。また、切換制御弁2を図面右側位置に切り換えると、今度は、上記ピストン側室1bがタンクTに連通し、ロッド側室1aがポンプPに連通することになり、シリンダ1を収縮させる。
【0025】
なお、この第1実施形態におけるシリンダ1は、そのピストン側室1bを下にした状態で設置される。したがって、ピストン側室1bをタンクTに連通して、シリンダ1を収縮させるとき、このシリンダ1に作用している負荷によって、当該シリンダ1に慣性エネルギーや位置エネルギーが作用するとともに、このときには、通路4が戻り側の通路ということになる。また、当然のこととして、ピストン側室1bをポンプPに連通させたときには、シリンダ1はそれに作用している負荷を上昇させることになるので、当該シリンダ1には負荷による慣性エネルギーや慣性エネルギーは作用しない。
【0026】
上記のようにした切換制御弁2を制御するのが、パイロット制御機構5である。このパイロット制御機構5は、その操作レバー5aを操作することによって、切換制御弁2のいずれか一方のパイロット室にパイロット圧を導き、そのパイロット圧で切換制御弁2を上記のように切り換えるようにしている。
【0027】
そして、上記シリンダ1が収縮動作するとき、その負荷に応じた慣性エネルギーや位置エネルギーが作用すること上記の通りであるが、このようにシリンダ1に慣性エネルギーが作用するときに戻り側となる通路4には、3位置5ポート弁である切換弁Sを接続している。このようにした切換弁Sは、第1〜5ポート6〜10を備えるとともに、第1ポート6は、モータ兼用発電機Gの動力源であるポンプ兼用油圧モータMに対して供給側となる第1流路11に接続している。また、第2ポート7は、上記ポンプ兼用油圧モータMに対して戻り側となる第2流路12に接続し、第3ポート8は接続通路13を介して前記通路4に接続し、第4ポート9は接続通路14を介してタンクTに接続し、第5ポート10は、ロードチェック弁15を介して接続通路13に接続している。なお、このロードチェック弁15は第5ポート10から接続通路13への流通のみを許容するものである。
【0028】
上記のようにした切換弁Sは、その両側にパイロット室16,17とセンタリングスプリング18,19とを設けている。そして、上記一方のパイロット室16はパイロット制御機構5に連通させ、切換制御弁2を図面左側に切り換えたとき、言い換えると、ポンプPの吐出油をシリンダ1のピストン側室1bに供給するとき、上記パイロット室16にパイロット圧が作用するようにしている。また、他方のパイロット室17は、パイロット圧制御弁20を接続しているが、このパイロット圧制御弁20は、ソレノイド20aの励磁電流に応じてパイロット圧を制御するものである。したがって、パイロット圧制御弁20は上記ソレノイド20aに印可された励磁電流に応じたパイロット圧を、上記パイロット室17に導くとともに、このパイロット圧の大きさに応じて切換弁Sが切り換わることになる。
【0029】
上記のようにした切換弁Sは、通常は、センタリングスプリング18,19の作用で、図示の中立位置を保つが、切換弁Sが中立位置にあるとき、第1,3,5ポート6,8,10が閉じられ、第2,4ポート7,9が絞り開度を保って連通する。そして、シリンダ1のピストン側室1bにポンプPの吐出油を供給するために、切換制御弁2を図面左側位置に切り換えると、それにともなって切換弁Sも、上記中立位置から図面上側位置であるアクチュエータ駆動モードに切り換えられる。このように切換弁Sがアクチュエータ駆動モードに切り換えられると、第1ポート6と第5ポート10とが連通し、第2ポート7と第4ポート9とが連通する。なお、このときには、第3ポート8は閉じられた状態を保つ。
【0030】
また、他方のパイロット室17にパイロット圧が作用すると、切換弁Sは図面下側位置である発電モードに切り換わり、第5ポート10を閉じるとともに、第1ポート6と第3ポート8とを連通させ、第2ポート7と第4ポート9とを連通させる。ただし、このときの上記各ポートの連通開度は、上記したようにソレノイド20aの励磁電流に応じて制御されるものである。なお、このソレノイド20aの励磁電流と、前記したパイロット制御機構5の操作レバー5aの操作量とが同期するように、図示していないコントローラが制御している。
【0031】
また、上記第1流路11と第2流路12との間には、それら両者を短絡させる短絡流路21を設けるとともに、この短絡流路21には、第2流路12から第1流路11への流れのみを許容するチェック弁22を設けている。
【0032】
さらに、上記第1流路11と第2流路12との間には、リリーフ弁23を設けているが、このリリーフ弁23は第1流路11の最高圧を制御するものである。また、上記第1,2流路11,12には、補給流路24を接続し、タンクTから不足流量を吸い込めるようにしている。なお、図中符号25,26は補給流路24に設けたチェック弁で、チェック弁25はタンクTから第1流路11への流通のみを許容し、チェック弁26はタンクTから第2流路12への流通のみを許容するものである。
【0033】
次に、この第1実施形態の作用を説明する。今、切換制御弁2を図示の中立位置に保った状態から、パイロット制御機構5の操作レバー5aを操作して、切換制御弁2を図面右側位置に切り換えたとすると、ポンプPの吐出油がロッド側室1aに供給されるが、ピストン側室1bからの排出油は、タンクTに戻される。ただし、このときには、切換制御弁2のアクチュエータポート2dとタンクポート2bとの間には、絞り27が形成されるようにしているが、この絞り27の開度は、切換制御弁2の切り換えストロークに応じて変化するようにしている。
【0034】
また、上記のように切換制御弁2が図面右側位置に切り換わると、切換弁Sが図面下側位置である発電モードに切り換わる。このとき、図示していないコントローラは、切換制御弁2の切り換え量、すなわち絞り27の開度に応じて、ソレノイド20aに供給する励磁電流を制御する。したがって、切換弁Sの発電モードにおける切り換え量は、上記絞り27の開度に応じて制御されることになるが、その切り換え量は次のようにして制御される。
【0035】
すなわち、上記切換制御弁2を通過してタンクTに流れる流量Qtと、上記切換弁Sを通過して油圧モータMに供給される流量Qmとの合計流量が、シリンダ1の戻り制御に必要とされる流量Qcに等しくなるようにしている。言い換えると、シリンダ1からの戻り流量の全量Qcが、上記絞り27を通過する流量Qtと、切換弁Sを通過する流量Qmとの合計流量になるように制御される。このように流量が制御されることによって、ポンプ兼用油圧モータMとモータ兼用発電機Gとを設けた場合と、それを設けなかった場合とで、オペレータが感覚するシリンダ1の操作感がほとんど違わなくなるといった効果が期待できる。
【0036】
上記のようにして切換弁Sが、発電モードに切り換わると、上記絞り27の圧力損失分の圧油が、第1流路11に導かれるので、ポンプ兼用油圧モータMがその圧力で回転してモータ兼用発電機Gを回し、発電機能を発揮させる。なお、このモータ兼用発電機Gには、図示していないバッテリーを接続し、その発電した電力を蓄電できるようにしている。そして、上記の状態から、切換制御弁2を図示の中立位置に戻すと、シリンダ1が停止するとともに、図示していないコントローラが機能して、切換弁Sの励磁電流をゼロに設定し、切換弁Sを、図示の中立位置に復帰させる。
【0037】
切換弁Sが、上記のように中立位置に復帰すれば、ポンプ兼用油圧モータMへの圧油の供給が断たれるので、ポンプ兼用油圧モータMは停止しようとするが、ポンプ兼用油圧モータMおよびモータ兼用発電機Gの慣性エネルギーによって、ポンプ兼用油圧モータMは、上記慣性エネルギーが吸収されるまで回転し続ける。このように油圧モータMが慣性エネルギーで回転し続けると、当該ポンプ兼用油圧モータMは、実質的にポンプ作用をする。したがって、第1流路11側から作動油を吸い込んで、第2流路12側に作動油を吐出するが、上記したように、切換弁Sの第1ポート6と第3ポート8との連通が遮断されているので、ポンプ兼用油圧モータMは、第1流路11から十分に作動油を吸い込むことができない。
【0038】
しかし、このときには、ポンプ兼用油圧モータMから第2流路12側に吐出された作動油が、短絡通路21を介して、圧力が低くなっている第1流路11側に返戻される。しかも、補給流路24からも、タンクTの作動油が補給されるので、ポンプ兼用油圧モータMの吸い込み側において、負圧が発生せず、その負圧が原因となってキャビテーションが発生するという問題は解消されることになる。
【0039】
また、例えば、シリンダ1を伸長させたりあるいは収縮させたりする動作を、短時間で繰り返すことがあるが、このような動作を短時間で繰り返すと、切換弁Sも実質的にオンオフ動作を繰り返すことになる。しかし、慣性エネルギーの大きなモータ兼用発電機Gと連結したポンプ兼用油圧モータMは、短時間で停止と駆動を繰り返すことができないが、この実施形態では、切換弁Sが、短時間でオンオフを繰り返しても、発電機Gの慣性エネルギーを吸収することができるとともに、第1流路11側に負圧も発生せず、当然のこととしてキャビテーションも発生しない。
【0040】
しかも、切換弁Sが、図示の中立位置に急に切り換わったとしても、第2ポート7と第4ポート9とは、絞り開度を維持して連通するので、ポンプ兼用油圧モータMにショックが発生することもない。
【0041】
一方、上記切換制御弁2を図面左側位置に切り換えて、シリンダ1のピストン側室1bにポンプPの吐出油を供給すると、そのときの切換制御弁2を切り換えるためのパイロット圧が切換弁Sの一方のパイロット室16に作用する。したがって、このときには、切換弁Sが図面上側位置であるアクチュエータ駆動モードに切り換わる。このように切換弁Sが、アクチュエータ駆動モードに切り換わると、第1ポート6と第5ポート10とが連通するので、第1流路11はこれら第1,5ポート6,10およびロードチェック弁15を介して接続通路13に連通し、この接続通路13から通路4を経由して、シリンダ1のピストン側室1bに連通する。また、第2ポート7と第4ポート9とが連通するので、第2流路12はタンクTに連通することになる。
【0042】
上記のように切換弁Sがアクチュエータ駆動モードに切り換わった状態で、図示していないバッテリーに蓄電された電力を利用してモータ兼用発電機Gを電動モータとして、発電時とは逆回転させると、その回転力によってポンプ兼用油圧モータMが回転し、ポンプとして機能することになる。つまり、ポンプ兼用油圧モータMは、第2流路12,第2,4ポート6,9を介してタンクTに連通するので、このタンクTから作動油を吸い込むことになる。また、このポンプ機能を果たすポンプ兼用油圧モータMから吐出された吐出油は、第1流路11→第1ポート6→第5ポート10→ロードチェック弁10→接続通路13を介して通路4内の作動油と合流することになる。
【0043】
したがって、ポンプ機能を果たすポンプ兼用油圧モータMから吐出された作動油はシリンダ1を伸長させるための動力源として機能することになる。なお、第5ポート10と接続通路13との通路過程にロードチェック弁15を設けているので、ポンプ兼用油圧モータMの吐出圧が十分に高くならず、通路4側との間で圧力差が生じているときには、このロードチェック弁15が開かない。したがって、シリンダ1のピストン側室1b側の圧油が、第1流路11に逆流するおそれはいっさいない。そして、ポンプ兼用油圧モータMの吐出圧が十分に高くなれば、ロードチェック弁15を押し開いて、ポンプ兼用油圧モータMからの吐出油が、通路4側に合流することになる。
【0044】
図2に示した第2実施形態は、切換弁Sの構成と、チェック制御弁28を新たに設けたこととが、第1実施形態と相違するもので、その他の構成はすべて第1実施形態と同じである。したがって、第1実施形態と同一の構成要素については、その構成および作用の詳細な説明を省略するとともに、同一の構成要素については同一符号を用いる。
【0045】
この第2実施形態の切換弁Sは、2位置4ポート弁からなり、図示のノーマル位置である非作動位置と図面下側位置である作動位置とに切り換え可能にしている。そして、この切換弁Sは、第1〜4ポート29〜32を有するとともに、第1ポート29は第1流路11に接続し、第2ポート30は第2流路12に接続している。また、第3ポート31は接続通路13を介してシリンダ1のピストン側室1bに接続し、第4ポート32は接続通路14を介してタンクTに接続している。
【0046】
上記のようにした切換弁Sは、その一方の側にスプリング33のバネ力を作用させ、他方の側にはパイロット室34を設けている。このパイロット室34には、パイロット圧制御弁35を接続しているが、このパイロット圧制御弁35は、ソレノイド35aの励磁電流に応じてパイロット圧を制御するものである。したがって、パイロット圧制御弁35は上記ソレノイド35aに印可された励磁電流に応じたパイロット圧を、上記パイロット室35に導くとともに、このパイロット圧の大きさに応じて切換弁Sが切り換わることになる。
【0047】
上記のようにした切換弁Sは、通常は、プリング33の作用で、図示の非作動位置を保つが、切換弁Sがこの非作動位置にあるとき、第1,3ポート29,31が閉じられ、第2,4ポート30,32が絞り開度を保って連通する。そして、上記切換制御弁2が中立位置を保っているときには、この切換弁Sも図示の非作動位置を保つ。一方、切換制御弁2を、図示の中立位置から左右いずれかに切り換えると、それを図示していないコントローラが検出してソレノイド35aを励磁し、パイロット室34にパイロット圧を作用させる。パイロット室34にパイロット圧が作用すると、切換弁Sが図面下側である作動位置に切り換わり、第1ポート29と第3ポート31とを連通させるとともに、第2ポート30と第4ポート32とを連通させる。なお、ソレノイド35aの励磁電流と、前記したパイロット制御機構5の操作レバー5aの操作量とが同期するように、図示していないコントローラが制御している。
【0048】
また、上記第1流路11には、上記したチェック制御弁28を接続しているが、このチェック制御弁28は、2位置2ポート弁からなり、通常は、そのスプリング36のバネ力の作用で図示のノーマル位置である一方の切り換え位置を保ち、第1流路11を自由流れの状態に保つ。そして、上記スプリング36と対向する側にはパイロット室37を設けているが、このパイロット室37にパイロット圧が作用すると、チェック制御弁28はスプリング36のバネ力にこうして他方の切り換え位置に切り換わる。このようにチェック制御弁28が他方の切り換え位置に切り換わると、第1流路11を経由してポンプ兼用油圧モータからアクチュエータへ流れる流通のみを許容するチェック機能を発揮する。
【0049】
今、発電モードに切り換えるときには、切換制御弁2を図面右側位置に切り換えるとともに、この切り換えにともなってパイロット圧制御弁35のソレノイド35aが励磁して、切換弁Sのパイロット室34にパイロット圧を作用させる。したがって、切換弁Sは、図示の非作動位置から作動位置に切り換わる。切換弁Sが作動位置に切り換われば、第1,3ポート29,31が連通するとともに、第2,4ポート30,32も連通する。このように切換弁Sを作動位置に保ったら、チェック制御弁28を図示の位置に保って、第1流路11を自由流れ状態にする。
【0050】
上記のようにすれば、切換制御弁2の絞り27の圧力損失分の圧油が、接続通路13→第3ポート31→第1ポート29→チェック制御弁28→第1流路11を経由してポンプ兼用油圧モータMに供給されるので、ポンプ兼用油圧モータMが回転し、モータ兼用発電機Gを回して発電機能を発揮する。このとき、ポンプ兼用油圧モータMから排出される戻り流れは、第2流路12→第2ポート30→第4ポート32→接続通路14を経由してタンクTに戻される。
【0051】
そして、上記の状態から切換制御弁2を中立位置に復帰させると、それにともなって切換弁Sも非作動位置に復帰する。したがって、第1流路11には圧油が供給されなくなるが、第1実施形態と同様にポンプ兼用油圧モータMおよびモータ兼用発電機Gは、その慣性エネルギーによって回転し続ける。このときには、ポンプ兼用油圧モータMから排出される戻り油が、短絡流路21を経由して第1流路11に供給されるとともに、補給流路24からも不足分が補給されるので、第1流路11側に負圧が発生しない。また、切換弁Sの第2ポート30と第4ポート32とは絞り開度を維持して連通するので、切換弁Sの切り換え時のショックは発生しない。これらのことは第1実施形態とまったく同じである。
【0052】
次に、アクチュエータ駆動モードに切り換えるときには、切換制御弁2を図面左側位置に切り換えるとともに、この切換制御弁2の切り換え操作に応じて、パイロット圧制御弁35のソレノイド35aが励磁して、切換弁Sのパイロット室34にパイロット圧を作用させる。したがって、切換弁Sは、図示の非作動位置から作動位置に切り換わる。切換弁Sが作動位置に切り換われば、第1,3ポート29,31が連通するとともに、第2,4ポート30,32も連通する。このように切換弁Sを作動位置に保ったら、チェック制御弁28を図示の位置に保って、第1流路11を自由流れ状態にする。
【0053】
これと同時に、チェック制御弁28を図示の一方の切り換え位置から、図面上側となる他方の切り換え位置に切り換え、第1流路11の流れをシリンダ1のピストン側室1bへの流れのみを許容する状態にする。そして、モータ兼用発電機Gを駆動源としてポンプ兼用油圧モータMを、発電時とは逆回転させれば、ポンプ機能を果たすポンプ兼用油圧モータMから吐出された圧油が、第1流路11→ロードチェック弁38→第1,3ポート29,31→接続通路13→通路4を経由してシリンダ1のピストン側室1bに供給される。そして、このときのロードチェック弁38の機能は、第1実施形態のロードチェック弁15とまったく同じである。
【0054】
図3に示した第3実施形態は、切換弁Sを2つの切換弁S1とS2とに分離したもので、その他は第1実施形態と同じである。したがって、この第3実施形態においても、第1実施形態と同一の構成要素については、その構成および作用の詳細な説明を省略するとともに、同一の構成要素については同一符号を用いる。
【0055】
一方の切換弁S1には第1ポート29と第3ポート31とを設け、この第1ポート29を第1流路11に連通し、第3ポート31を接続ポート13に接続している。そして、この切換弁S1は、その一方にスプリング39を設け、このスプリング39と反対側にはパイロット室40を設けている。しかも、このパイロット室40には、パイロット圧制御弁41を接続しているが、このパイロット圧制御弁41は、ソレノイド41aの励磁電流に応じてパイロット圧を制御するものである。したがって、パイロット圧制御弁41は上記ソレノイド41aに印可された励磁電流に応じたパイロット圧を、上記パイロット室40に導くとともに、このパイロット圧の大きさに応じて切換弁S1が切り換わることになる。
【0056】
上記のようにした一方の切換弁S1は、通常は、プリング39の作用で、図示の規制流れ位置を保つが、この規制流れ位置においては、切換弁S1に組み込んだロードチェック弁42が第1流路11上に位置することになる。そして、このロードチェック弁42はポンプ兼用油圧モータMからシリンダ1への流通のみを許容するものである。また、切換弁S1がパイロット室40のパイロット圧の作用で自由流れ位置に切り換わると、第1流路11は自由流れになる。そして、切換制御弁2を、図示の中立位置から左右いずれかに切り換えると、それを図示していないコントローラが検出してソレノイド41aを励磁し、パイロット室40にパイロット圧を作用させること、第1実施例と同様である。
【0057】
また、上記他方の切換弁S2は、第2ポート30と第4ポート32とを設け、この第2ポート30を第2流路12に連通し、第4ポート32を接続ポート14に接続している。そして、この切換弁S2は、その一方にスプリング43を設け、このスプリング43と反対側にはパイロット室44を設けている。しかも、このパイロット室44には、パイロット圧制御弁45を接続しているが、このパイロット圧制御弁45は、ソレノイド45aの励磁電流に応じてパイロット圧を制御するものである。したがって、パイロット圧制御弁45は上記ソレノイド45aに印可された励磁電流に応じたパイロット圧を、上記パイロット室44に導くとともに、このパイロット圧の大きさに応じて切換弁S2が切り換わることになる。
【0058】
上記のようにした他方の切換弁S2は、通常は、プリング43の作用で、図示の規制流れ位置を保つが、この規制流れ位置においては、第2,4ポート30,32が絞り開度を維持して連通する。また、切換弁S2がパイロット室44のパイロット圧の作用で自由流れ位置に切り換わると、第2流路12は接続通路14に対して自由流れになる。
【0059】
なお、切換制御弁2を、図示の中立位置から左右いずれかに切り換えると、それを図示していないコントローラが検出してソレノイド41aあるいは44aを励磁し、パイロット室40あるいは44にパイロット圧を作用させること、第1実施例と同様である。
【0060】
今、発電モードにするときには、切換制御弁2を図面右側位置に切り換えるとともに、この切り換えにともなってパイロット圧制御弁41、45のソレノイド41a、45aが励磁して、切換弁S1およびS2のパイロット室40,44にパイロット圧を作用させる。したがって、切換弁S1,S2は、自由流れ位置に切り換わる。このように切換弁S1,S2が切り換われば、第1,3ポート29,31が連通するとともに、第2,4ポート30,32も連通する。
【0061】
したがって、切換制御弁2の絞り27の圧力損失分の圧油が、接続通路13→第3ポート31→第1ポート29→第1流路11を経由してポンプ兼用油圧モータMに供給されるので、ポンプ兼用油圧モータMが回転し、モータ兼用発電機Gを回して発電機能を発揮する。このとき、ポンプ兼用油圧モータMから排出される戻り流れは、第2流路12→第2ポート30→第4ポート32→接続通路14を経由してタンクTに戻される。
【0062】
そして、上記の状態から切換制御弁2を中立位置に復帰させると、それにともなって切換弁S1,S2も図示の規制流れ位置に復帰する。したがって、第1流路11には、ロードチェック弁42で流れが阻止され、圧油が供給されなくなるが、第1実施形態と同様にポンプ兼用油圧モータMおよびモータ兼用発電機Gは、その慣性エネルギーによって回転し続ける。このときには、ポンプ兼用油圧モータMから排出される戻り油が、短絡流路21を経由して第1流路11に供給されるとともに、補給流路24からも不足分が補給されるので、第1流路11側に負圧が発生しない。また、切換弁Sの第2ポート30と第4ポート32とは絞り開度を維持して連通するので、切換弁Sの切り換え時のショックは発生しない。これらのことは第1実施形態とまったく同じである。
【0063】
次に、アクチュエータ駆動モードにするときには、切換制御弁2を図面左側位置に切り換えるとともに、このときには、切換制御弁2の切り換え操作に応じて、パイロット圧制御弁45のソレノイド45aのみが励磁される。このようにして切換弁S2のパイロット室44にパイロット圧を作用させ、切換弁S2を、図示の自由流れ位置に切り換える。このように切換弁S2が切り換われば、第2,4ポート30,32が連通するとともに、第1,3ポート29,31もロードチェック弁42を介して連通する。
【0064】
これと同時に、モータ兼用発電機Gを駆動源としてポンプ兼用油圧モータMを、発電時とは逆回転させれば、ポンプ機能を果たすポンプ兼用油圧モータMから吐出された圧油が、第1流路11→ロードチェック弁42→第1,3ポート29,31→接続通路13→通路4を経由してシリンダ1のピストン側室1bに供給される。そして、このときのロードチェック弁42の機能は、第1実施形態のロードチェック弁15とまったく同じである。
【0065】
なお、上記いずれの実施形態においても、アクチュエータがシリンダの場合には、このシリンダに慣性エネルギーと位置エネルギーとが作用するが、アクチュエータが、例えば、回転系の油圧モータの場合には、慣性エネルギーのみが作用する。したがって、シリンダの場合には、慣性エネルギーと位置エネルギーとの両方を吸収しなければならないが、油圧モータの場合には慣性エネルギーのみを吸収すれば足りることになる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】第1実施形態の回路図である。
【図2】第2実施形態の回路図である。
【図3】第3実施形態の回路図である。
【符号の説明】
【0067】
1 アクチュエータであるシリンダ
S 切換弁
S1 切換弁
S2 切換弁
6〜10 第1〜5ポート
29〜32 第1〜4ポート
M ポンプ兼用油圧モータ
G モータ兼用発電機
11 第1流路
12 第2流路
15 ロードチェック弁
21 短絡流路
20 開閉弁
22 チェック弁
23 リリーフ弁
24 補給流路
25,26 チェック弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ兼用油圧モータと、このポンプ兼用油圧モータに連結したモータ兼用発電機とを備えるとともに、上記ポンプ兼用油圧モータに切換弁を接続し、この切換弁に設けた第1〜第5ポートのうち、第1ポートを上記ポンプ兼用油圧モータの一方の側に接続し、第2ポートをポンプ兼用油圧モータの他方の側に接続し、第3ポートをアクチュエータに接続し、第4ポートをタンクに接続し,第5ポートをロードチェック弁を介してアクチュエータに接続し、上記切換弁を発電モードに切り換えたとき、第5ポートを閉じる一方、上記第1ポートと第3ポートとを連通するとともに、第2ポートと第4ポートとを絞り開度を維持して連通し、アクチュエータからの戻り流れを、第3ポートから第1ポートを経由してポンプ兼用油圧モータに導き、このポンプ兼用油圧モータから排出される戻り流れを、上記切換弁の第2ポートから第4ポートおよびを介してタンクに還流させ、上記切換弁をアクチュエータ駆動モードに切り換えたとき、第3ポートを閉じる一方、第1ポートと第5ポートとを連通し、第2ポートと第4ポートとを連通し、モータ兼用発電機を駆動源として回転するポンプ兼用油圧モータには、第4ポートから第2ポートを経由してタンクから吸い込まれた作動油を吸い込ませるとともに、そのポンプ兼用油圧モータからの吐出油は、第1ポートから第5ポートを経由してアクチュエータに供給する構成にした駆動機構兼用発電装置。
【請求項2】
ポンプ兼用油圧モータと、このポンプ兼用油圧モータに連結したモータ兼用発電機とを備えるとともに、上記ポンプ兼用油圧モータに切換弁を接続し、この切換弁に設けた第1〜第4ポートのうち、第1ポートを上記ポンプ兼用油圧モータの一方の側に接続し、第2ポートをポンプ兼用油圧モータの他方の側に接続し、第3ポートをアクチュエータに接続し、第4ポートをタンクに接続する一方、上記第1ポートとポンプ兼用油圧モータの一方の側とを接続する流路過程にチェック制御弁を設け、このチェック制御弁は、一方の切り換え位置において上記一方の側の流路を自由流れとし、他方の切り換え位置においてポンプ兼用油圧モータからアクチュエータへの流通のみを許容するチェック機能を備え、上記切換弁は、第1ポートと第3ポートとを連通させ、かつ、第2ポートと第4ポートとを連通させる作動位置と、第1ポートと第3ポートとの連通を遮断し、かつ、第2ポートと第4ポートとを絞り開度を維持して連通させる非作動位置とに切り換え可能にし、発電モードにおいて、切換弁を作動位置に保って、チェック制御弁を上記一方の切り換え位置に切り換え、アクチュエータ駆動モードにおいて、切換弁を作動位置に保って、チェック制御弁を上記他方の位置に切り換える構成にした駆動機構兼用発電装置。
【請求項3】
一ポンプ兼用油圧モータと、このポンプ兼用油圧モータに連結したモータ兼用発電機とを備えるとともに、上記ポンプ兼用油圧モータに一対の切換弁を接続し、一方の切換弁は第1ポートと第3ポートとを備え、上記第1ポートをポンプ兼用アクチュエータの一方の側に接続し、第3ポートをアクチュエータに接続してなり、他方の切換弁は、第2ポートと第4ポートとを備え、第2ポートをポンプ兼用アクチュエータの他方の側に接続し、第4ポートをタンクに連通してなり、しかも、一方の切換弁は、発電モードにおいてアクチュエータとポンプ兼用油圧モータとの間の流れを自由流れ位置と、アクチュエータ駆動モードにおいてポンプ兼用油圧モータからアクチュエータへの流通のみを許容する規制流れ位置とに切り換え可能にし、他方の切換弁は、発電モードおよびアクチュエータ駆動モードのいずれの場合にも第2ポートと第4ポートとを自由流れの状態を保つ自由流れ位置と、ポンプ兼用油圧モータの非作動時に第2ポートと第4ポートとを絞り開度を維持して連通させる絞り位置とに切り換え可能にした駆動機構兼用発電装置。
【請求項4】
上記切換弁の第1ポートとポンプ兼用油圧モータの一方の側とを接続する一方の流路と、第2ポートとポンプ兼用油圧モータの他方の側とを接続する他方の流路との間には、上記一方の流路の最高圧を制御するリリーフ弁を設けた請求項1〜3のいずれか一に記載された駆動機構兼用発電装置。
【請求項5】
上記切換弁の第1ポートに接続した上記一方の流路と、第2ポートに接続した上記他方の流路との両方に、補給流路を接続するとともに、補給流路と上記一方の流路への流路過程に、補給流路から上記一方の流路への流通のみを許容するチェック弁を設け、補給流路と上記他方の流路への流路過程に、補給流路から上記他方の流路への流通のみを許容するチェック弁を設けた請求項1〜4のいずれか一に記載された駆動機構兼用発電装置。
【請求項6】
切換弁の上記第1ポートとポンプ兼用油圧モータの一方の側とを接続する上記一方の流路と、第2ポートとポンプ兼用油圧モータの他方の側とを接続する上記他方の流路との間に、短絡流路を設け、この短絡流路に上記他方の流路から一方の流路に流れる流れのみを許容するチェック弁とを設けた請求項1〜4のいずれかに一に記載された駆動機構兼用発電装置。
【請求項7】
アクチュエータを制御する切換制御弁を設け、この切換制御弁を通過してタンクに流れる流量Qtと、上記切換弁を通過して油圧モータに流れる流量Qmとの合計流量が、アクチュエータの戻り制御に必要とされる流量Qcに等しくなる関係を保って、上記切換制御弁と切換弁の開度とを制御する制御機構を設けた請求項1〜5のいずれか一に記載された駆動機構兼用発電装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−113756(P2007−113756A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−308435(P2005−308435)
【出願日】平成17年10月24日(2005.10.24)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】