駆動機構及び駆動機構を用いた画像形成装置
【課題】処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力を抑制することができる駆動機構及び駆動機構が組み込まれた画像形成装置を提供する。
【解決手段】ギアを有する処理装置を駆動する駆動機構であって、駆動源と、駆動源からの駆動力を所定の処理を行う処理装置に伝達する第1ギアと、第1ギアに近接する第1位置と第1ギアから離間する第2位置との間で移動可能な第2ギアと、第1位置に存する第2ギアと第1ギアとを連結させ、第2ギアから駆動源の駆動力を伝達させるとともに、第2ギアを第2位置に移動させ、第1ギアとの連結を解除させるラチェット機構を備え、処理装置のギアが第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、第1ギアに噛み合わせられた噛み合わせ時において、ラチェット機構は、第2ギアを第2位置へ移動させることを特徴とする駆動機構。
【解決手段】ギアを有する処理装置を駆動する駆動機構であって、駆動源と、駆動源からの駆動力を所定の処理を行う処理装置に伝達する第1ギアと、第1ギアに近接する第1位置と第1ギアから離間する第2位置との間で移動可能な第2ギアと、第1位置に存する第2ギアと第1ギアとを連結させ、第2ギアから駆動源の駆動力を伝達させるとともに、第2ギアを第2位置に移動させ、第1ギアとの連結を解除させるラチェット機構を備え、処理装置のギアが第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、第1ギアに噛み合わせられた噛み合わせ時において、ラチェット機構は、第2ギアを第2位置へ移動させることを特徴とする駆動機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構及び駆動機構を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の処理を行う処理装置を筐体外から筐体内に収容し、筐体内の駆動機構に処理装置を接続するように設計された機械設備は広く用いられている。例えば、このような機械設備として、コピー機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの機能を備える複合機といった画像形成装置を挙げることができる。
【0003】
特許文献1は、筐体内外へ着脱自在に取り付けられる現像装置を備える画像形成装置を開示する。特許文献1の画像形成装置の現像装置は、現像装置が備える現像ローラといった回転体の回転中心軸に対して平行な方向に着脱される。使用者は、現像装置を着脱することにより、例えば、画像形成装置の筐体内で詰まったシートを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−240975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置の設計上の理由から、現像装置の着脱方向は、現像装置が備える現像ローラといった回転体の回転中心軸に対して、例えば、直交する方向に定められることがある。このような設計の下で用いられる現像装置並びに現像装置を駆動する駆動機構には、以下のような課題が生ずる。
【0006】
画像形成工程の間、現像装置は一方向に回転する。したがって、現像装置に対して、画像形成工程時の回転方向とは逆の方向の回転を与えることは望ましくない。しかしながら、上述の設計では、現像装置を駆動する駆動装置のギアと現像装置とのギアが噛み合わせられたときに発生する力が、現像装置を逆回転させるように作用することがある。
【0007】
現像装置は、感光体ドラムといった像担持体にトナーを供給する処理を行う。したがって、現像装置は、感光体ドラムに近接した位置で位置決めされることが望ましい。しかしながら、上述の設計の下では、現像装置を駆動する駆動装置のギアと現像装置とのギアが噛み合わせられたときに発生する力が、感光体ドラムへ向けて移動する現像装置に対する抗力として働き、現像装置が所定の位置決め位置に到達することを阻害することがある。
【0008】
上述の課題は、画像形成処理を行う画像形成装置に限らず、着脱自在な処理装置を内蔵する任意の装置にも共通するものである。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力を抑制することができる駆動機構及び駆動機構が組み込まれた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係る駆動機構は、ギアを有する処理装置を駆動する駆動機構であって、駆動源と、該駆動源からの駆動力を所定の処理を行う処理装置に伝達する第1ギアと、該第1ギアに近接する第1位置と前記第1ギアから離間する第2位置との間で移動可能な第2ギアと、前記第1位置に存する前記第2ギアと前記第1ギアとを連結させ、前記第2ギアから前記駆動源の前記駆動力を伝達させるとともに、前記第2ギアを前記第2位置に移動させ、前記第1ギアとの連結を解除させるラチェット機構を備え、前記処理装置の前記ギアが前記第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、前記第1ギアに噛み合わせられた噛み合わせ時において、前記ラチェット機構は、前記第2ギアを前記第2位置へ移動させることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
上記構成によれば、駆動源からの駆動力は、第1ギアと噛み合うギアを有する処理装置に伝達される。処理装置は、所定の処理を行う。ラチェット機構は、第1位置に存する第2ギアと第1ギアとを連結させ、第2ギアから駆動源の駆動力を第1ギアへ伝達させる。この結果、駆動源からの駆動力は、第1ギアに近接した第1位置に存する第2ギアから第1ギアへ伝達される。処理装置のギアは、第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、第1ギアに噛み合わせられる。このとき、ラチェット機構は、第2ギアを第2位置へ移動させ、第1ギアと第2ギアとの間の連結を解除させる。この結果、第1ギアは、第2ギアからの抗力をほとんど受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【0012】
上記構成において、前記ラチェット機構は、前記第1ギアから前記第2ギアに向けて突出する第1ラチェット歯と、前記第2ギアから前記第1ギアに向けて突出するとともに前記第1ラチェット歯と相補的な第2ラチェット歯と、前記回転中心軸に沿って延びるとともに前記第1ギア及び前記第2ギアを回転可能に支持するシャフトと、前記第2ギアを前記第1位置に向けて付勢する付勢部材と、を含み、前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第2ラチェット歯は前記第1ラチェット歯と噛み合い、前記駆動源からの前記駆動力を、前記第1ラチェット歯を介して、前記第1ギアに伝達し、前記噛み合わせ時において、前記第1ラチェット歯は前記第2ラチェット歯を介して、前記第2位置に向かう力を前記第2ギアに伝達することが好ましい(請求項2)。
【0013】
上記構成によれば、付勢部材は、第2ギアを第1位置に向けて付勢するので、第2ラチェット歯は第1ラチェット歯に安定的に噛み合うこととなる。この間、第2ラチェット歯は、第1ラチェット歯を介して、駆動源からの駆動力を第1ギアに伝達するので、第1ギアと噛み合うギアを含む処理装置は好適に駆動されることとなる。第1ギアと処理装置のギアとの間の噛み合わせ時において、第1ラチェット歯は、第2ラチェット歯を介して、第2位置に向かう力を第2ギアに伝達する。したがって、第2ギアは、第2位置へ移動する。この結果、第1ギアは、第2ギアからの抗力を受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【0014】
上記構成において、前記第1ラチェット歯は、前記シャフトの延出方向に沿う方向に延びる第1伝達縁と、該第1伝達縁に対して傾斜した第1案内縁と、を含み、前記第2ラチェット歯は、前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第1伝達縁に対向する第2伝達縁と、前記第1案内縁に対向する第2案内縁と、を含み、前記噛み合わせ時において、前記第1案内縁は前記第2案内縁を通じて、前記第2ギアに対して前記第2位置へ向かう力を伝達し、前記駆動源が前記像担持体を駆動する間、前記第2伝達縁は前記第1伝達縁を通じて前記第1ギアに駆動力を伝達することが好ましい(請求項3)。
【0015】
上記構成によれば、第2ギアが第1位置に存する間、第1ラチェット歯の第1伝達縁及び第2ラチェット歯の第2伝達縁が対向するので、駆動源からの駆動力は好適に第1ギアを通じて、処理装置へ伝達される。また、第1ギアと処理装置のギアとの噛み合い時において、第1案内縁は第2案内縁を通じて、第2ギアに対して前記第2位置へ向かう力を伝達する。したがって、第2ギアは、第2位置へ移動する。この結果、第1ギアは、第2ギアからの抗力を受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【0016】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上述の駆動機構と、該駆動装置によって駆動されるとともにシートに形成されるトナー画像を担持する像担持体と、を含み、前記処理装置は、前記像担持体にトナーを供給する現像装置であることを特徴とする(請求項4)。
【0017】
上記構成によれば、駆動装置は、像担持体と現像装置を駆動する。現像装置のギアと駆動装置の第1ギアとの間の噛み合わせ時において、第1ギアは、第2ギアからの抗力を受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【発明の効果】
【0018】
上述の如く、本発明は、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力を抑制することができる駆動機構及び駆動機構が組み込まれた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示される現像装置の拡大斜視図である。
【図3】図2に示される現像装置が除去された下部筐体を示す図である。
【図4】図2に示される現像装置の外観斜視図である。
【図5】図2に示される現像装置の取り付けに用いられるフレームの斜視図である。
【図6】図5に示されるフレームに取り付けられる駆動機構の斜視図である。
【図7】図5に示されるフレームに取り付けられる駆動機構の斜視図である。
【図8】図6及び図7に示される駆動機構が取り付けられたフレームの斜視図である。
【図9】図6及び図7に示される駆動機構の第2外殻体の斜視図である。
【図10】図9に示される第2外殻体に構築された伝達部の斜視図である。
【図11】図6及び図7に示される駆動機構のモータを取り付けるための支持板の斜視図である。
【図12】図6及び図7に示される駆動機構のモータを取り付けるための支持板の斜視図である。
【図13】現像装置と駆動機構との間の接続を示す斜視図である。
【図14】現像装置と駆動機構との間の接続を示す斜視図である。
【図15】現像装置と駆動機構との間の接続を示す斜視図である。
【図16】駆動機構のラチェット機構の動作を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成処理を受ける他のシート材料を意味する。以下の説明で用いられる「上流」、「下流」及びこれらに類する用語は、シートの搬送方向における「上流」、「下流」及びこれらに類する概念を意味する。「シートの幅方向」との用語は、シートの搬送方向に直交する方向を意味する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を概略的に示す。尚、図1の画像形成装置は、複写機であるが、他の実施形態において、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機やシートに画像を形成可能な他の装置であってもよい。また、以下の説明において、画像形成装置の筐体に着脱自在な現像装置が処理装置として説明されるが、他の実施形態において、所定の処理を行う任意の装置が処理装置として用いられてもよい。
【0022】
画像形成装置100は、トナー画像を形成するのに必要とされる機器を収容する主筐体110と、主筐体110の上面に配設される原稿送り装置120とを含む。主筐体110は、下部筐体111と、下部筐体111の上方に配設される上部筐体112と、下部筐体111と上部筐体112との間に配設される連結筐体113とを含む。下部筐体111、上部筐体112及び連結筐体113に取り囲まれてなる空間Rには、印刷処理がなされたシートSが排出される。
【0023】
上部筐体112は、主に、トナー画像の基となる原稿を読み取るための機器を収容する。下部筐体111は、トナー画像を形成するための機器を収容する。連結筐体113は、トナー画像が形成されたシートSを排出するための機器を収容する。主筐体110の外面には、画像形成装置100を操作するための操作パネル(図示せず)が配設される。使用者は、操作パネルを通じて、画像形成装置100に所望の指示を与える。
【0024】
原稿送り装置120は、上下に回動するように主筐体110に取り付けられる。使用者は、原稿送り装置120に所望の原稿を設置する。その後、操作パネルを操作し、原稿送り装置120を動作させ、原稿送り装置120の下面と主筐体110の上面との間に送り込むことができる。代替的に、使用者は、原稿送り装置120を上方に回動させ、主筐体110の上面に原稿を載置し、その後、原稿送り装置120を下方に回動させることで、原稿を主筐体110の上面と原稿送り装置120の下面との間に配設することができる。
【0025】
上部筐体112内には、主筐体110の上面と原稿送り装置120の下面との間に配設された原稿を走査して読み取る走査機構113が構築される。走査機構113は、光学的に原稿に付された像を走査して読み取る。その後、走査機構113は、読み取った像をデジタル信号として出力する。
【0026】
下部筐体111内には、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づくトナー画像が形成されるシートSを収容するカセット210が配設される。カセット210は、リフト板211と、リフト板211の下流端(図1中、右端)をカセット210内で上下に回動させるための昇降機構212とを含む。使用者は、複数のシートが積層されてなるシートSの束をリフト板211上に載置する。リフト板211の下流端が昇降機構212によって押し上げられることにより、カセット210からシートが搬送されることとなる。
【0027】
下部筐体111の左側板には、手差しトレイ220が回動可能に取り付けられる。使用者は、下部筐体111の左側板から突出するように回動された手差しトレイ220にシートSを載置してもよい。手差しトレイ220上のシートは、下部筐体111内に引き込まれ、その後、トナー画像の形成処理がなされることとなる。
【0028】
カセット210及び手差しトレイ220は、シートSの供給源として用いられる。使用者は、操作パネルの操作を通じて、所望の大きさのシートSを収容するカセット210或いは手差しトレイ220を選択することができる。選択されたシート供給源210,220に配設されたシートSは、下部筐体111内で搬送され、画像形成処理を受けることとなる。
【0029】
リフト板211の上方には、ピックアップローラ311が配設される。昇降機構212がリフト板211の下流端を上昇させると、リフト板211上のシートSはピックアップローラ311に接触する。ピックアップローラ311は、シートSをカセット外へ送り出すように回転する。
【0030】
ピックアップローラ311の下流には、給紙ローラ312及び給紙ローラ312に近接して配設される捌きローラ313が配設される。給紙ローラ312は捌きローラ313の上側に配設される。ピックアップローラ311によってカセット210から送り出されたシートSは、給紙ローラ312と捌きローラ313との間に送り込まれる。給紙ローラ312は、シートSを更に下流に送り出すように回転し、捌きローラ313は逆に、シートSをカセット210へ戻すように回転する。この結果、ピックアップローラ311が複数枚重なったシートSをカセット210から送り出したとき、給紙ローラ312と接触するシートS(最も上側に存するシート)のみが下流に送られ、他のシートSはカセット210に戻されることとなる。かくして、シートSは1枚ずつ下流へ送り込まれることとなる。
【0031】
手差しトレイ220の基端部付近に、給紙ローラ316及び給紙ローラ316に圧接される捌きローラ317が配設される。手差しトレイ220上に載置されたシートSは、給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれる。給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれるシートSは、給紙ローラ316と捌きローラ317との間を通過する。給紙ローラ316が複数枚のシートを下部筐体111内に引き込もうとするとき、捌きローラ313は逆に、シートSを手差しトレイ220へ戻すように回転する。この結果、給紙ローラ316と接触するシートS(最も上側に存するシート)のみが下部筐体111内に引き込まれることとなる。かくして、手差しトレイ220からシートSが1枚ずつ下部筐体111内に送り込まれることとなる。
【0032】
上述の如く、カセット210又は手差しトレイ220から送り出されたシートSは、レジストローラ対318へ向かう。レジストローラ対318の下流には、画像形成部400が構築される。画像形成部400は、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づいてトナー画像を形成し、シートSにトナー画像を転写する。レジストローラ対318は、画像形成部400の画像形成工程にタイミングを合わせて、シートSを画像形成部400へ送り込む。かくして、シートSの所定位置にトナー画像が形成されることとなる。
【0033】
本実施形態において、ピックアップローラ311、給紙ローラ312,316、捌きローラ313、317、レジストローラ対318は、シートSを画像形成部400へ供給する供給部として用いられる。
【0034】
画像形成部400は、円筒形状の感光体ドラム410を含む。感光体ドラム410は、シートSに形成されるトナー画像を担持する像担持体として用いられる。感光体ドラム410は、後述される如く、回転シャフトを含み、下部筐体111内で回転可能に支持される。感光体ドラム410の周面に静電潜像が形成された後、静電潜像に合致するトナー画像が形成される。その後、感光体ドラム410はトナー画像を担持しつつ回転し、レジストローラ対318によって画像形成部400に送り込まれたシートSにトナー画像を転写する。
【0035】
画像形成部400は、帯電器411と露光装置412とを含む。帯電器411は、感光体ドラム410の周面を一様に帯電させる。露光装置412は、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づいて、レーザ光を感光体ドラム410の周面に照射する。レーザ光が照射された部分の電荷が消失することによって、原稿に表された像に合致する静電潜像が感光体ドラム410の周面に形成される。
【0036】
画像形成部400は、トナーを収容するトナーコンテナ413と、トナーコンテナ413から供給されたトナーを感光体ドラム410に供給する現像装置414とを含む。感光体ドラム410は、静電潜像を担持しつつ回転し、現像装置414からトナーを供給される。現像装置414から感光体ドラム410へ供給されたトナーは、感光体ドラム410の周面に静電的に付着する。この結果、感光体ドラム410の周面にトナー画像が形成されることとなる。
【0037】
画像形成部400は、感光体ドラム410に圧接される転写ローラ415を含む。レジストローラ対318は、感光体ドラム410と転写ローラ415との間にシートSを送り込む。転写ローラ415は、感光体ドラム410が担持するトナーとは逆のバイアスをシートSに与える。この結果、感光体ドラム410上のトナーは電気的にシートSの表面に引き剥がされることとなり、トナー画像がシートSに転写される。その後、感光体ドラム410及び転写ローラ415は、下流へシートSを送り出す。
【0038】
画像形成部400はクリーニング装置416を含む。クリーニング装置416は、シートSへのトナー画像の転写後の感光体ドラム410の周面に残存するトナーを除去する。その後、清浄化された感光体ドラム410の周面は、除電器417によって除電処理がなされる。その後、感光体ドラム410は、帯電器411によって再度一様に帯電され、新たな画像形成処理を受けることとなる。
【0039】
画像形成部400の下流には、画像形成部400で形成されたトナー画像をシートSに定着させる定着部500が配設される。定着部500は、ヒータ511を内蔵する加熱ローラ510と、加熱ローラ510に圧接される加圧ローラ520とを含む。感光体ドラム410及び転写ローラ415は、加熱ローラ510と加圧ローラ520との間にシートSを送り込む。
【0040】
加熱ローラ510からの熱エネルギによって、シートS上のトナーが溶融され、加熱ローラ510と加圧ローラ520との間で生ずる圧力によって、トナー画像がシートSに定着されることとなる。加熱ローラ510及び加圧ローラ520は、その後、シートSを下流へ送り出す。
【0041】
定着部500の下流には、排出部600が形成される。排出部600は、排出ローラ対610を含む。使用者が操作パネルを通じて、片面印刷の指示を画像形成装置100に与えると、排出ローラ対610は、定着部500から送られたシートSを空間Rに排出する。使用者が操作パネルを通じて、両面印刷の指示を画像形成装置100に与えると、排出ローラ対610は、シートSを空間Rへ排出する方向と、シートSを、再度、連結筐体113内へ引き戻す方向との間で回転方向を切り換えるスイッチバック動作を行う。
【0042】
主筐体110の左側板に沿って、戻し搬送路319が形成される。戻し搬送路319の下端(下流端)は、カセット210及び/又は手差しトレイ220からのシートSをレジストローラ対318へ案内する供給搬送路320に接続される。使用者からの両面印刷の指示を受け、スイッチバック動作により連結筐体113内に引き戻されたシートSは、戻し搬送路319を通じて、レジストローラ対318の上流へ送られる。その後、シートSは、画像形成部400及び定着部500を通過する。この結果、シートSの両面にトナー画像が形成されることとなる。両面印刷処理がなされたシートは、排出ローラ対610によって、空間Rに排出される。
【0043】
図2は、主筐体110に組み付けられた現像装置414の拡大斜視図である。図2と併せて、図1を参照しつつ、主筐体110に対する現像装置414の組み付けが説明される。
【0044】
図2に示される現像装置414は、図2に概略的に示された感光体ドラム410に近接した位置で、位置決めされている。図2に示される位置において、現像装置414は感光体ドラム410に適切にトナーを供給することができる。
【0045】
下部筐体111は、現像装置414を支持するための支持床壁141を含む。また、下部筐体111は、現像装置414の正面で上下方向に延びる正面壁142を含む。正面壁142は、支持床壁141に接続され、支持床壁141を支持する。正面壁141には、略J字形状の開口部143が形成される。開口部143の上端部分を介して、感光体ドラム410が概略的に示されている。感光体ドラム410の左下に配設された現像装置414の左方に向けて、開口部143は延びる。図1に示されるように、現像装置414の左方にトナーコンテナ413が配設される。
【0046】
トナーコンテナ413が除去されると、現像装置414は、左右に移動可能となる。この現像装置414の移動方向は、シートSの幅方向に延びる感光体ドラム410の回転中心軸Cの延接方向に直交する方向である。以下の説明において、感光体ドラム410に近接して、位置決めされる位置に向かう現像装置414の移動方向は、第1方向と便宜的に称される。また、第1方向と反対方向(即ち、感光体ドラム410から離間する現像装置414の移動方向)は、第2方向と便宜的に称される。
【0047】
図3は、現像装置414が除去された下部筐体111を示す。図3と併せて、図2を参照しつつ、現像装置414の移動が説明される。
【0048】
支持床壁141上には、スライド台144が配設される。図2に示される現像装置414は、スライド台144上に取り付けられる。スライド台144は、レバーユニット145を操作することにより、第1方向及び第2方向に移動可能である。レバーユニット145によって第1方向に移動された現像装置414及びスライド台144は、支持床壁141上に押圧バネ145によって、第1方向に向けて押圧され、感光体ドラム410に近接した位置で位置決めされる。感光体ドラム410に近接して位置決めされた現像装置414は、正面壁142と反対側に配設された駆動機構800(後述される)と接続される。
【0049】
図4は、現像装置414の斜視図である。図4と併せて、図1及び図2を参照しつつ、現像装置414が更に説明される。
【0050】
図1に示される如く、現像装置414は、筐体146と、感光体ドラム410へ筐体146内のトナーを供給する現像ローラ147と、トナーコンテナ413から筐体146内へ送られたトナーを攪拌する一対の攪拌ローラ148とを含む。筐体146は、現像ローラ147及び攪拌ローラ148を回転可能に支持する。
【0051】
図4に示される如く、筐体146の外部には、ギア149が取り付けられる。ギア149は、筐体146から外方に突出する円筒形状のボス150に挿通されたボルト等の固定具151を介して、筐体146に取り付けられる。ギア149が回転すると、筐体146の現像ローラ147及び攪拌ローラ148が連動して回転する。
【0052】
図5は、現像装置414と駆動機構800との間の接続に用いられるフレームの斜視図である。図5と併せて、図3及び図4を参照しつつ、フレーム710が説明される。
【0053】
フレーム710は、図3に示される駆動機構800に隣接して配設される。フレーム710は、現像装置414と駆動機構800との間に配置される。フレーム710は、略矩形状の主板711と、主板711の周縁から現像装置414が取り付けられる側と反対方向に突出する側板712とを含む。以下の説明において、現像装置414に対向する主板711の面(即ち、現像装置414が取り付けられる面)は、便宜的に、第1面713と称される。また、第1面713と反対側の面は、便宜的に、第2面714と称される。
【0054】
フレーム710の主板711には、水平方向に延びる長穴750が形成される。長穴750には、図4に関連して説明された現像装置414のボス150が挿通される。長穴750の右上には、感光体ドラム410の回転シャフトが挿通される貫通穴715が形成される。長穴750の端部のうち、貫通穴715に近接する端部751に現像装置414のボス150が到達したとき、第1方向へ向かう現像装置414の移動が停止されることとなる。かくして、図3に関連して説明された押圧バネ145による押圧と、長穴750とボス150との間の係合とにより、現像装置414の位置決めがなされる。主板711には、長穴750及び貫通穴715の他、多数の開口部が設けられているが、これら開口部は、画像形成装置100の下部筐体111内に配設される様々な装置(例えば、図1に関連して説明された各種装置)の取付或いは駆動に用いられる。
【0055】
図6は、主板711側から見た駆動機構800の外観斜視図である。図7は、図6と反対側から見た駆動機構800の外観斜視図である。図6及び図7と併せて、図1及び図5を参照しつつ、駆動機構800が説明される。
【0056】
駆動機構800は、感光体ドラム410及び現像装置414への駆動力を発生させる駆動源として用いられるモータ810と、モータ810から感光体ドラム410及び現像装置414へ駆動力を伝達する伝達部(後述される)と、伝達部を収容する筐体820とを備える。筐体820は、第1外殻体821と、第2外殻体822とを含む。第1外殻体821は、フレーム710の主板711と第2外殻体822との間に配設される。第1外殻体821及び第2外殻体822は、互いに重なり合って、伝達部を収容するための内部空間を形成する。モータ810は、第2外殻体822の外面に取り付けられる。モータ810のシャフトは、第1外殻体821及び第2外殻体822が形成する内部空間内に挿通され、伝達部へ駆動力を伝達する。
【0057】
図8は、駆動機構800が取り付けられたフレーム710の斜視図である。図8と併せて、図1、図4乃至図6を参照しつつ、フレーム710への駆動機構800の取付が説明される。
【0058】
第1外殻体821の外面から複数のギアやシャフトが露出する。複数のギアやシャフトのうち最下位置のギア831は、手差しトレイ220から下部筐体111内へシートSを給紙するための給紙ローラ316を駆動するために用いられる。ギア831の斜め上方の回転シャフト832には、カセット210からのシートSを給紙するための給紙ローラ312が接続される。回転シャフト832の上方に配設されるギア833は、画像形成部400の上流に配設されるレジストローラ318を駆動するために用いられる。ギア833の左斜め上方に位置する第1ギア834は、図4に関連して説明された現像装置414のギア149と噛み合い、現像装置414を駆動するために用いられる。第1ギア834の右方に配設されるギア835は、戻し搬送路319の下流側に配設される搬送ローラ対321を駆動するために用いられる。第1外殻体821は、第1ギア834及びギア835の上方に位置する略円筒状の位置決め筒823を含む。位置決め筒823に感光体ドラム410の回転シャフトが挿入される。位置決め筒823の上方に位置するギア836は、加熱ローラ510を駆動するために用いられる。
【0059】
図5に示される如く、主板711には、上述の長穴750及び貫通穴715に加えて、ギア831を第1面713側に突出させるための貫通穴716、シャフト832を第1面713側に露出させるための貫通穴717、ギア833を第1面713側に突出させるための貫通穴718、第1ギア834を第1面713側に突出させるための貫通穴719、ギア835を第1面713側に突出させるための貫通穴720及びギア836を第1面713側に突出させるための貫通穴721が形成される。第1外殻体821の外面から突出するように形成された位置決め筒823は、貫通穴715を通じて、主板711を貫通し、第1面713側に突出する。
【0060】
図9は、第2外殻体822の内部構造を示す斜視図である。図10は、第2外殻体822の内面側に構築された伝達部の斜視図である。図9及び図10と併せて、図6を参照しつつ、第2外殻体822及び伝達部が説明される。
【0061】
第2外殻体822は、ギア831を支持するシャフト824、シャフト832を回転させるためのギア837を収容するための空間825、ギア833へ駆動力を伝達するためのギア838を収容する空間826、第1ギア834を支持するシャフト827、ギア835を支持するシャフト828、ギア836を支持するシャフト829を含む。第2外殻体822は、これらシャフトや空間の他、これらギアへ駆動力を伝達するための多数のギアを支持又は収容するための空間を含む。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられた複数のギアから構成される。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられる複数のギアの中で最も大きい直径の大径ギア850を含む。また、第2外殻体は、大径ギア850を収容するための空間を形成する隔壁851を含む。
【0062】
図11及び図12は、第2外殻体822の外面へのモータ810の接続に用いられる支持板の斜視図である。図11は、モータ810が接続される外面側から見た支持板の斜視図である。図12は、第2外殻体822に対向する面側から見た支持板の斜視図である。図11及び図12と併せて、図7、図9及び図10を参照しつつ、支持板が説明される。
【0063】
モータ810は、支持板860を介して、第2外殻体822の外面に取り付けられる。支持板860は、例えば、金属製の板材からなり、モータ810を支持するとともに第2外殻体822の剛性を向上させる。モータ810のシャフト811は、支持板860を貫通する。モータ810のシャフト811の先端には、駆動ギア812が取り付けられる。モータ810のシャフト811は更に、第2外殻体822を貫通し、伝達部830に接続される。駆動ギア812は、大径ギア850及び大径ギア850以外の他のギアへ駆動力を伝達するためのギア899と噛み合う。第1ギア834へ駆動力を伝達するための第2ギア839は、ギア899と噛み合い、第1ギア834へ駆動力を伝達する。かくして、伝達部830へモータ810の駆動力が伝達される。
【0064】
支持板860には略円筒状の支持筒861が、かしめて取り付けられる。支持筒861は、第2外殻体822を貫通し、大径ギア850を回転可能に支持する。感光体ドラム410の回転シャフトは、位置決め筒823を通じて、筐体820内に挿入される。回転シャフト420の先端部は、筐体820内で突出する支持筒861内に挿入され、支持筒861によって回転可能に支持される。感光体ドラム410の回転シャフトは、カップリングといった適切な手段を用いて、大径ギア850に接続され、大径ギア850とともに回転する。
【0065】
図10に示される第2ギア839は、シャフト827に沿って移動可能である。第1ギア834に近接する第2ギア839の位置は、便宜的に、第1位置と称される。また、第1ギア834から離間する第2ギア839の位置は、便宜的に、第2位置と称される。
【0066】
図13乃至図15は、現像装置414のギア149と噛み合う第1ギア834及び第1ギア834へモータ810からの駆動力を伝達する第2ギア839をそれぞれ異なる角度から描いた斜視図である。尚、図13乃至図15には、現像装置414のギア149と第1ギア834との噛み合いを明瞭に示すため、図5に関連して説明されたフレーム710及び図6に関連して説明された第1外殻体821は示されていない。図13乃至図15と併せて、図1、図4及び図10を参照しつつ、第1ギア834及び第2ギア839が説明される。
【0067】
第2ギア839から第1ギア834へのモータ810の駆動力の伝達は、ラチェット機構900を用いてなされる。ラチェット機構900は、第1位置に存する第2ギア839と第1ギア834とを連結させ、モータ810からの駆動力を伝達する一方で、第2ギア839を第2位置へ移動させ、第1ギア834と第2ギア839との間の連結を解除する役割を担う。ラチェット機構900は、第1ギア834から第2ギア839に向けて突出する環状の第1ラチェット環910と、第2ギア839から第1ギア834に向けて突出する環状の第2ラチェット環920と、第1ギア834及び第2ギア839を回転可能に支持するシャフト827と、シャフト827を取り巻くとともに第2ギア839と第2外殻体822との間に配設されるコイルバネ930とを含む。第1ギア834は、シャフト827の軸方向に移動しないようにシャフト827の先端に取り付けられるが、第2ギア839は、シャフト827に案内されて、第1位置と第2位置との間で、シャフト827の軸方向に移動可能である。コイルバネ930は、第2位置へ向かおうとする第2ギア839を第1位置へ押し戻すように付勢する付勢部材としての役割を担う。第1ラチェット環910の先端縁及び第2ラチェット環920の先端縁は互いに相補的な鋸刃形状をなす。第2ギア839が第1ギア834に近接する第1位置にあるとき、第1ラチェット環910の先端縁及び第2ラチェット環920は互いに噛み合う。モータ810が伝達部830へ駆動力を伝達し、図1に示される如く、感光体ドラム410を回転させると、第1ラチェット環910と第2ラチェット環920は互いに噛み合い、図13乃至図15において矢印で示される方向に第1ギア834は回転する。
【0068】
図16は、図2乃至図5に関連して説明された現像装置414を第1方向に移動に伴うラチェット機構900の動作を示す模式図である。図16(a)は、第1ギア834と噛み合う前の現像装置414のギア149を概略的に示す。図16(b)は、第1ギア834と噛み合った後の現像装置414のギア149を概略的に示す。図16(c)は、図16(a)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ラチェット環910及び第2ラチェット環920の位置関係を概略的に示す。図16(d)は、図16(b)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ラチェット環910及び第2ラチェット環920の位置関係を概略的に示す展開図である。図16(e)は、図16(a)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ギア834と第2ギア839との間の位置関係を概略的に示す展開図である。図16(f)は、図16(a)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ギア834と第2ギア839との間の位置関係を概略的に示す。図16と併せて、図2、図4、図10及び図13を参照しつつ、現像装置414を第1方向に移動に伴うラチェット機構900の動作が説明される。
【0069】
第1ラチェット環910は、複数の略三角板状の第1ラチェット歯911を円環状に整列してなる。第2ラチェット環920は、第1ラチェット環910と同様に、複数の略三角板状の第2ラチェット歯921を円環状に整列してなる。第1ラチェット歯911は、第1位置と第2位置との間での第2ギア839の移動方向(即ち、シャフト827の延出方向)に沿って延びる第1伝達縁912と、第1伝達縁912に対して傾斜した第1案内縁913とを含む。同様に、第2ラチェット歯921は、第1位置と第2位置との間での第2ギア839の移動方向(即ち、シャフト827の延出方向)に沿って延びる第2伝達縁922と、第2伝達縁922に対して傾斜した第2案内縁923とを含む。
【0070】
現像装置414のギア149が第1ギア834と噛み合う前において、コイルバネ930に付勢された第2ギア839は、第1ギア834に近接する第1位置に配設される。このとき、第1ラチェット環910(第1ラチェット歯911)と第2ラチェット環(第2ラチェット歯921)は互いに噛み合う。第1ラチェット環910と第2ラチェット環920が互いに噛み合っている間、第1伝達縁912は第2伝達縁922に対向する。また、第1案内縁913は第2案内縁923に対向する。
【0071】
現像装置414を感光体ドラム410に近接した位置で位置決めするため、現像装置414が第1方向(即ち、第1ギア834の回転中心軸に沿うシャフト827の延接方向に対して交差(本実施形態においては、直交する)する方向)へ移動されると、現像装置414のギア149は、第1ギア834に噛み合うこととなる。現像装置414のギア149の歯と、第1ギア834の歯との間の衝突により、図16(b)の矢印で示される方向(時計回り)に、第1ギア834は回転する。
【0072】
図10に示される如く、駆動機構800の伝達部830は多数のギアを含むので、現像装置414のギア149の歯と、第1ギア834の歯との間の衝突では、第2ギア839はほとんど回転しない。図16(a)の矢印の方向に第1ギア834が回転すると、第1ラチェット環910は、第1ラチェット歯911の第1案内縁913が、第2ラチェット歯921の第2案内縁923に圧接される方向に移動する。この結果、第1案内縁913は、現像装置414のギア149の歯と第1ギア834の歯との間の衝突力を、第2案内縁923を通じて、第1ギア834から離間する第2位置へ向かう力として伝達する。かくして、第1ラチェット環910が、第1案内縁913を第2案内縁923上で摺動させつつ移動している間、第2ギア839は第2位置に向けて移動する。かくして、第1方向に移動する現像装置414のギア149と第1ギア834との間の噛み合う噛み合い時において、第1ギア834は、現像装置414のギア149に不必要な抗力を与えることなく回転動作をする。この結果、第1ギア834が回転することにより、現像装置414のギア149と第1ギア834との噛み合いの際に生ずる力により現像装置414の第1方向への移動が妨げられず、適切に現像装置414を位置決めすることが可能となる。
【0073】
感光体ドラム410とともに現像装置414を駆動するとき、コイルバネ930に付勢され、第1位置に配設された第2ギア839の第2ラチェット環920は第1ラチェット環910と噛み合う。感光体ドラム410とともに現像装置414を駆動するとき、コイルバネ930により第1位置に保持された第2ギア839から突出する第2ラチェット環920の第2伝達縁922は、第1伝達縁912に圧接される。第2伝達縁922は、モータ810からの駆動力を、第1伝達縁912を介して、第1ギア834へ伝達する。結果として、第1ギア834と噛み合う現像装置414のギア149は、モータ810からの駆動力を受けて好適に回転動作することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、筐体に対して着脱自在であるとともに筐体内の駆動機構に接続される任意の処理装置を備える装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0075】
100・・・画像形成装置
149・・・ギア
410・・・感光体ドラム(像担持体)
414・・・現像装置
800・・・駆動機構
810・・・モータ(駆動源)
827・・・シャフト
834・・・第1ギア
839・・・第2ギア
900・・・ラチェット機構
911・・・第1ラチェット歯
912・・・第1伝達縁
913・・・第1案内縁
921・・・第2ラチェット歯
922・・・第2伝達縁
923・・・第2案内縁
930・・・コイルバネ(付勢部材)
S・・・・・シート
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動機構及び駆動機構を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
所定の処理を行う処理装置を筐体外から筐体内に収容し、筐体内の駆動機構に処理装置を接続するように設計された機械設備は広く用いられている。例えば、このような機械設備として、コピー機、プリンタ、ファクシミリ或いはこれらの機能を備える複合機といった画像形成装置を挙げることができる。
【0003】
特許文献1は、筐体内外へ着脱自在に取り付けられる現像装置を備える画像形成装置を開示する。特許文献1の画像形成装置の現像装置は、現像装置が備える現像ローラといった回転体の回転中心軸に対して平行な方向に着脱される。使用者は、現像装置を着脱することにより、例えば、画像形成装置の筐体内で詰まったシートを除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−240975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
画像形成装置の設計上の理由から、現像装置の着脱方向は、現像装置が備える現像ローラといった回転体の回転中心軸に対して、例えば、直交する方向に定められることがある。このような設計の下で用いられる現像装置並びに現像装置を駆動する駆動機構には、以下のような課題が生ずる。
【0006】
画像形成工程の間、現像装置は一方向に回転する。したがって、現像装置に対して、画像形成工程時の回転方向とは逆の方向の回転を与えることは望ましくない。しかしながら、上述の設計では、現像装置を駆動する駆動装置のギアと現像装置とのギアが噛み合わせられたときに発生する力が、現像装置を逆回転させるように作用することがある。
【0007】
現像装置は、感光体ドラムといった像担持体にトナーを供給する処理を行う。したがって、現像装置は、感光体ドラムに近接した位置で位置決めされることが望ましい。しかしながら、上述の設計の下では、現像装置を駆動する駆動装置のギアと現像装置とのギアが噛み合わせられたときに発生する力が、感光体ドラムへ向けて移動する現像装置に対する抗力として働き、現像装置が所定の位置決め位置に到達することを阻害することがある。
【0008】
上述の課題は、画像形成処理を行う画像形成装置に限らず、着脱自在な処理装置を内蔵する任意の装置にも共通するものである。
【0009】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力を抑制することができる駆動機構及び駆動機構が組み込まれた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一局面に係る駆動機構は、ギアを有する処理装置を駆動する駆動機構であって、駆動源と、該駆動源からの駆動力を所定の処理を行う処理装置に伝達する第1ギアと、該第1ギアに近接する第1位置と前記第1ギアから離間する第2位置との間で移動可能な第2ギアと、前記第1位置に存する前記第2ギアと前記第1ギアとを連結させ、前記第2ギアから前記駆動源の前記駆動力を伝達させるとともに、前記第2ギアを前記第2位置に移動させ、前記第1ギアとの連結を解除させるラチェット機構を備え、前記処理装置の前記ギアが前記第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、前記第1ギアに噛み合わせられた噛み合わせ時において、前記ラチェット機構は、前記第2ギアを前記第2位置へ移動させることを特徴とする(請求項1)。
【0011】
上記構成によれば、駆動源からの駆動力は、第1ギアと噛み合うギアを有する処理装置に伝達される。処理装置は、所定の処理を行う。ラチェット機構は、第1位置に存する第2ギアと第1ギアとを連結させ、第2ギアから駆動源の駆動力を第1ギアへ伝達させる。この結果、駆動源からの駆動力は、第1ギアに近接した第1位置に存する第2ギアから第1ギアへ伝達される。処理装置のギアは、第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、第1ギアに噛み合わせられる。このとき、ラチェット機構は、第2ギアを第2位置へ移動させ、第1ギアと第2ギアとの間の連結を解除させる。この結果、第1ギアは、第2ギアからの抗力をほとんど受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【0012】
上記構成において、前記ラチェット機構は、前記第1ギアから前記第2ギアに向けて突出する第1ラチェット歯と、前記第2ギアから前記第1ギアに向けて突出するとともに前記第1ラチェット歯と相補的な第2ラチェット歯と、前記回転中心軸に沿って延びるとともに前記第1ギア及び前記第2ギアを回転可能に支持するシャフトと、前記第2ギアを前記第1位置に向けて付勢する付勢部材と、を含み、前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第2ラチェット歯は前記第1ラチェット歯と噛み合い、前記駆動源からの前記駆動力を、前記第1ラチェット歯を介して、前記第1ギアに伝達し、前記噛み合わせ時において、前記第1ラチェット歯は前記第2ラチェット歯を介して、前記第2位置に向かう力を前記第2ギアに伝達することが好ましい(請求項2)。
【0013】
上記構成によれば、付勢部材は、第2ギアを第1位置に向けて付勢するので、第2ラチェット歯は第1ラチェット歯に安定的に噛み合うこととなる。この間、第2ラチェット歯は、第1ラチェット歯を介して、駆動源からの駆動力を第1ギアに伝達するので、第1ギアと噛み合うギアを含む処理装置は好適に駆動されることとなる。第1ギアと処理装置のギアとの間の噛み合わせ時において、第1ラチェット歯は、第2ラチェット歯を介して、第2位置に向かう力を第2ギアに伝達する。したがって、第2ギアは、第2位置へ移動する。この結果、第1ギアは、第2ギアからの抗力を受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【0014】
上記構成において、前記第1ラチェット歯は、前記シャフトの延出方向に沿う方向に延びる第1伝達縁と、該第1伝達縁に対して傾斜した第1案内縁と、を含み、前記第2ラチェット歯は、前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第1伝達縁に対向する第2伝達縁と、前記第1案内縁に対向する第2案内縁と、を含み、前記噛み合わせ時において、前記第1案内縁は前記第2案内縁を通じて、前記第2ギアに対して前記第2位置へ向かう力を伝達し、前記駆動源が前記像担持体を駆動する間、前記第2伝達縁は前記第1伝達縁を通じて前記第1ギアに駆動力を伝達することが好ましい(請求項3)。
【0015】
上記構成によれば、第2ギアが第1位置に存する間、第1ラチェット歯の第1伝達縁及び第2ラチェット歯の第2伝達縁が対向するので、駆動源からの駆動力は好適に第1ギアを通じて、処理装置へ伝達される。また、第1ギアと処理装置のギアとの噛み合い時において、第1案内縁は第2案内縁を通じて、第2ギアに対して前記第2位置へ向かう力を伝達する。したがって、第2ギアは、第2位置へ移動する。この結果、第1ギアは、第2ギアからの抗力を受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【0016】
本発明の他の局面に係る画像形成装置は、上述の駆動機構と、該駆動装置によって駆動されるとともにシートに形成されるトナー画像を担持する像担持体と、を含み、前記処理装置は、前記像担持体にトナーを供給する現像装置であることを特徴とする(請求項4)。
【0017】
上記構成によれば、駆動装置は、像担持体と現像装置を駆動する。現像装置のギアと駆動装置の第1ギアとの間の噛み合わせ時において、第1ギアは、第2ギアからの抗力を受けないため、処理装置のギアと第1ギアとの噛み合わせ時において生じた力に従って、回転中心軸周りに回転することとなる。かくして、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力が抑制されることとなる。
【発明の効果】
【0018】
上述の如く、本発明は、処理装置と駆動機構とを連結する際に、処理装置に加わる不必要な力を抑制することができる駆動機構及び駆動機構が組み込まれた画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】図1に示される現像装置の拡大斜視図である。
【図3】図2に示される現像装置が除去された下部筐体を示す図である。
【図4】図2に示される現像装置の外観斜視図である。
【図5】図2に示される現像装置の取り付けに用いられるフレームの斜視図である。
【図6】図5に示されるフレームに取り付けられる駆動機構の斜視図である。
【図7】図5に示されるフレームに取り付けられる駆動機構の斜視図である。
【図8】図6及び図7に示される駆動機構が取り付けられたフレームの斜視図である。
【図9】図6及び図7に示される駆動機構の第2外殻体の斜視図である。
【図10】図9に示される第2外殻体に構築された伝達部の斜視図である。
【図11】図6及び図7に示される駆動機構のモータを取り付けるための支持板の斜視図である。
【図12】図6及び図7に示される駆動機構のモータを取り付けるための支持板の斜視図である。
【図13】現像装置と駆動機構との間の接続を示す斜視図である。
【図14】現像装置と駆動機構との間の接続を示す斜視図である。
【図15】現像装置と駆動機構との間の接続を示す斜視図である。
【図16】駆動機構のラチェット機構の動作を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。尚、以下の説明で用いられる「上」、「下」、「左」や「右」などの方向を表す用語は、単に、説明の明瞭化を目的とするものであり、何ら本発明を限定するものではない。また、以下の説明において、「シート」との用語は、コピー用紙、コート紙、OHPシート、厚紙、葉書、トレーシングペーパや画像形成処理を受ける他のシート材料を意味する。以下の説明で用いられる「上流」、「下流」及びこれらに類する用語は、シートの搬送方向における「上流」、「下流」及びこれらに類する概念を意味する。「シートの幅方向」との用語は、シートの搬送方向に直交する方向を意味する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置を概略的に示す。尚、図1の画像形成装置は、複写機であるが、他の実施形態において、プリンタ、ファクシミリ、これらの機能を備える複合機やシートに画像を形成可能な他の装置であってもよい。また、以下の説明において、画像形成装置の筐体に着脱自在な現像装置が処理装置として説明されるが、他の実施形態において、所定の処理を行う任意の装置が処理装置として用いられてもよい。
【0022】
画像形成装置100は、トナー画像を形成するのに必要とされる機器を収容する主筐体110と、主筐体110の上面に配設される原稿送り装置120とを含む。主筐体110は、下部筐体111と、下部筐体111の上方に配設される上部筐体112と、下部筐体111と上部筐体112との間に配設される連結筐体113とを含む。下部筐体111、上部筐体112及び連結筐体113に取り囲まれてなる空間Rには、印刷処理がなされたシートSが排出される。
【0023】
上部筐体112は、主に、トナー画像の基となる原稿を読み取るための機器を収容する。下部筐体111は、トナー画像を形成するための機器を収容する。連結筐体113は、トナー画像が形成されたシートSを排出するための機器を収容する。主筐体110の外面には、画像形成装置100を操作するための操作パネル(図示せず)が配設される。使用者は、操作パネルを通じて、画像形成装置100に所望の指示を与える。
【0024】
原稿送り装置120は、上下に回動するように主筐体110に取り付けられる。使用者は、原稿送り装置120に所望の原稿を設置する。その後、操作パネルを操作し、原稿送り装置120を動作させ、原稿送り装置120の下面と主筐体110の上面との間に送り込むことができる。代替的に、使用者は、原稿送り装置120を上方に回動させ、主筐体110の上面に原稿を載置し、その後、原稿送り装置120を下方に回動させることで、原稿を主筐体110の上面と原稿送り装置120の下面との間に配設することができる。
【0025】
上部筐体112内には、主筐体110の上面と原稿送り装置120の下面との間に配設された原稿を走査して読み取る走査機構113が構築される。走査機構113は、光学的に原稿に付された像を走査して読み取る。その後、走査機構113は、読み取った像をデジタル信号として出力する。
【0026】
下部筐体111内には、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づくトナー画像が形成されるシートSを収容するカセット210が配設される。カセット210は、リフト板211と、リフト板211の下流端(図1中、右端)をカセット210内で上下に回動させるための昇降機構212とを含む。使用者は、複数のシートが積層されてなるシートSの束をリフト板211上に載置する。リフト板211の下流端が昇降機構212によって押し上げられることにより、カセット210からシートが搬送されることとなる。
【0027】
下部筐体111の左側板には、手差しトレイ220が回動可能に取り付けられる。使用者は、下部筐体111の左側板から突出するように回動された手差しトレイ220にシートSを載置してもよい。手差しトレイ220上のシートは、下部筐体111内に引き込まれ、その後、トナー画像の形成処理がなされることとなる。
【0028】
カセット210及び手差しトレイ220は、シートSの供給源として用いられる。使用者は、操作パネルの操作を通じて、所望の大きさのシートSを収容するカセット210或いは手差しトレイ220を選択することができる。選択されたシート供給源210,220に配設されたシートSは、下部筐体111内で搬送され、画像形成処理を受けることとなる。
【0029】
リフト板211の上方には、ピックアップローラ311が配設される。昇降機構212がリフト板211の下流端を上昇させると、リフト板211上のシートSはピックアップローラ311に接触する。ピックアップローラ311は、シートSをカセット外へ送り出すように回転する。
【0030】
ピックアップローラ311の下流には、給紙ローラ312及び給紙ローラ312に近接して配設される捌きローラ313が配設される。給紙ローラ312は捌きローラ313の上側に配設される。ピックアップローラ311によってカセット210から送り出されたシートSは、給紙ローラ312と捌きローラ313との間に送り込まれる。給紙ローラ312は、シートSを更に下流に送り出すように回転し、捌きローラ313は逆に、シートSをカセット210へ戻すように回転する。この結果、ピックアップローラ311が複数枚重なったシートSをカセット210から送り出したとき、給紙ローラ312と接触するシートS(最も上側に存するシート)のみが下流に送られ、他のシートSはカセット210に戻されることとなる。かくして、シートSは1枚ずつ下流へ送り込まれることとなる。
【0031】
手差しトレイ220の基端部付近に、給紙ローラ316及び給紙ローラ316に圧接される捌きローラ317が配設される。手差しトレイ220上に載置されたシートSは、給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれる。給紙ローラ316によって下部筐体111内に引き込まれるシートSは、給紙ローラ316と捌きローラ317との間を通過する。給紙ローラ316が複数枚のシートを下部筐体111内に引き込もうとするとき、捌きローラ313は逆に、シートSを手差しトレイ220へ戻すように回転する。この結果、給紙ローラ316と接触するシートS(最も上側に存するシート)のみが下部筐体111内に引き込まれることとなる。かくして、手差しトレイ220からシートSが1枚ずつ下部筐体111内に送り込まれることとなる。
【0032】
上述の如く、カセット210又は手差しトレイ220から送り出されたシートSは、レジストローラ対318へ向かう。レジストローラ対318の下流には、画像形成部400が構築される。画像形成部400は、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づいてトナー画像を形成し、シートSにトナー画像を転写する。レジストローラ対318は、画像形成部400の画像形成工程にタイミングを合わせて、シートSを画像形成部400へ送り込む。かくして、シートSの所定位置にトナー画像が形成されることとなる。
【0033】
本実施形態において、ピックアップローラ311、給紙ローラ312,316、捌きローラ313、317、レジストローラ対318は、シートSを画像形成部400へ供給する供給部として用いられる。
【0034】
画像形成部400は、円筒形状の感光体ドラム410を含む。感光体ドラム410は、シートSに形成されるトナー画像を担持する像担持体として用いられる。感光体ドラム410は、後述される如く、回転シャフトを含み、下部筐体111内で回転可能に支持される。感光体ドラム410の周面に静電潜像が形成された後、静電潜像に合致するトナー画像が形成される。その後、感光体ドラム410はトナー画像を担持しつつ回転し、レジストローラ対318によって画像形成部400に送り込まれたシートSにトナー画像を転写する。
【0035】
画像形成部400は、帯電器411と露光装置412とを含む。帯電器411は、感光体ドラム410の周面を一様に帯電させる。露光装置412は、走査機構113から出力されたデジタル信号に基づいて、レーザ光を感光体ドラム410の周面に照射する。レーザ光が照射された部分の電荷が消失することによって、原稿に表された像に合致する静電潜像が感光体ドラム410の周面に形成される。
【0036】
画像形成部400は、トナーを収容するトナーコンテナ413と、トナーコンテナ413から供給されたトナーを感光体ドラム410に供給する現像装置414とを含む。感光体ドラム410は、静電潜像を担持しつつ回転し、現像装置414からトナーを供給される。現像装置414から感光体ドラム410へ供給されたトナーは、感光体ドラム410の周面に静電的に付着する。この結果、感光体ドラム410の周面にトナー画像が形成されることとなる。
【0037】
画像形成部400は、感光体ドラム410に圧接される転写ローラ415を含む。レジストローラ対318は、感光体ドラム410と転写ローラ415との間にシートSを送り込む。転写ローラ415は、感光体ドラム410が担持するトナーとは逆のバイアスをシートSに与える。この結果、感光体ドラム410上のトナーは電気的にシートSの表面に引き剥がされることとなり、トナー画像がシートSに転写される。その後、感光体ドラム410及び転写ローラ415は、下流へシートSを送り出す。
【0038】
画像形成部400はクリーニング装置416を含む。クリーニング装置416は、シートSへのトナー画像の転写後の感光体ドラム410の周面に残存するトナーを除去する。その後、清浄化された感光体ドラム410の周面は、除電器417によって除電処理がなされる。その後、感光体ドラム410は、帯電器411によって再度一様に帯電され、新たな画像形成処理を受けることとなる。
【0039】
画像形成部400の下流には、画像形成部400で形成されたトナー画像をシートSに定着させる定着部500が配設される。定着部500は、ヒータ511を内蔵する加熱ローラ510と、加熱ローラ510に圧接される加圧ローラ520とを含む。感光体ドラム410及び転写ローラ415は、加熱ローラ510と加圧ローラ520との間にシートSを送り込む。
【0040】
加熱ローラ510からの熱エネルギによって、シートS上のトナーが溶融され、加熱ローラ510と加圧ローラ520との間で生ずる圧力によって、トナー画像がシートSに定着されることとなる。加熱ローラ510及び加圧ローラ520は、その後、シートSを下流へ送り出す。
【0041】
定着部500の下流には、排出部600が形成される。排出部600は、排出ローラ対610を含む。使用者が操作パネルを通じて、片面印刷の指示を画像形成装置100に与えると、排出ローラ対610は、定着部500から送られたシートSを空間Rに排出する。使用者が操作パネルを通じて、両面印刷の指示を画像形成装置100に与えると、排出ローラ対610は、シートSを空間Rへ排出する方向と、シートSを、再度、連結筐体113内へ引き戻す方向との間で回転方向を切り換えるスイッチバック動作を行う。
【0042】
主筐体110の左側板に沿って、戻し搬送路319が形成される。戻し搬送路319の下端(下流端)は、カセット210及び/又は手差しトレイ220からのシートSをレジストローラ対318へ案内する供給搬送路320に接続される。使用者からの両面印刷の指示を受け、スイッチバック動作により連結筐体113内に引き戻されたシートSは、戻し搬送路319を通じて、レジストローラ対318の上流へ送られる。その後、シートSは、画像形成部400及び定着部500を通過する。この結果、シートSの両面にトナー画像が形成されることとなる。両面印刷処理がなされたシートは、排出ローラ対610によって、空間Rに排出される。
【0043】
図2は、主筐体110に組み付けられた現像装置414の拡大斜視図である。図2と併せて、図1を参照しつつ、主筐体110に対する現像装置414の組み付けが説明される。
【0044】
図2に示される現像装置414は、図2に概略的に示された感光体ドラム410に近接した位置で、位置決めされている。図2に示される位置において、現像装置414は感光体ドラム410に適切にトナーを供給することができる。
【0045】
下部筐体111は、現像装置414を支持するための支持床壁141を含む。また、下部筐体111は、現像装置414の正面で上下方向に延びる正面壁142を含む。正面壁142は、支持床壁141に接続され、支持床壁141を支持する。正面壁141には、略J字形状の開口部143が形成される。開口部143の上端部分を介して、感光体ドラム410が概略的に示されている。感光体ドラム410の左下に配設された現像装置414の左方に向けて、開口部143は延びる。図1に示されるように、現像装置414の左方にトナーコンテナ413が配設される。
【0046】
トナーコンテナ413が除去されると、現像装置414は、左右に移動可能となる。この現像装置414の移動方向は、シートSの幅方向に延びる感光体ドラム410の回転中心軸Cの延接方向に直交する方向である。以下の説明において、感光体ドラム410に近接して、位置決めされる位置に向かう現像装置414の移動方向は、第1方向と便宜的に称される。また、第1方向と反対方向(即ち、感光体ドラム410から離間する現像装置414の移動方向)は、第2方向と便宜的に称される。
【0047】
図3は、現像装置414が除去された下部筐体111を示す。図3と併せて、図2を参照しつつ、現像装置414の移動が説明される。
【0048】
支持床壁141上には、スライド台144が配設される。図2に示される現像装置414は、スライド台144上に取り付けられる。スライド台144は、レバーユニット145を操作することにより、第1方向及び第2方向に移動可能である。レバーユニット145によって第1方向に移動された現像装置414及びスライド台144は、支持床壁141上に押圧バネ145によって、第1方向に向けて押圧され、感光体ドラム410に近接した位置で位置決めされる。感光体ドラム410に近接して位置決めされた現像装置414は、正面壁142と反対側に配設された駆動機構800(後述される)と接続される。
【0049】
図4は、現像装置414の斜視図である。図4と併せて、図1及び図2を参照しつつ、現像装置414が更に説明される。
【0050】
図1に示される如く、現像装置414は、筐体146と、感光体ドラム410へ筐体146内のトナーを供給する現像ローラ147と、トナーコンテナ413から筐体146内へ送られたトナーを攪拌する一対の攪拌ローラ148とを含む。筐体146は、現像ローラ147及び攪拌ローラ148を回転可能に支持する。
【0051】
図4に示される如く、筐体146の外部には、ギア149が取り付けられる。ギア149は、筐体146から外方に突出する円筒形状のボス150に挿通されたボルト等の固定具151を介して、筐体146に取り付けられる。ギア149が回転すると、筐体146の現像ローラ147及び攪拌ローラ148が連動して回転する。
【0052】
図5は、現像装置414と駆動機構800との間の接続に用いられるフレームの斜視図である。図5と併せて、図3及び図4を参照しつつ、フレーム710が説明される。
【0053】
フレーム710は、図3に示される駆動機構800に隣接して配設される。フレーム710は、現像装置414と駆動機構800との間に配置される。フレーム710は、略矩形状の主板711と、主板711の周縁から現像装置414が取り付けられる側と反対方向に突出する側板712とを含む。以下の説明において、現像装置414に対向する主板711の面(即ち、現像装置414が取り付けられる面)は、便宜的に、第1面713と称される。また、第1面713と反対側の面は、便宜的に、第2面714と称される。
【0054】
フレーム710の主板711には、水平方向に延びる長穴750が形成される。長穴750には、図4に関連して説明された現像装置414のボス150が挿通される。長穴750の右上には、感光体ドラム410の回転シャフトが挿通される貫通穴715が形成される。長穴750の端部のうち、貫通穴715に近接する端部751に現像装置414のボス150が到達したとき、第1方向へ向かう現像装置414の移動が停止されることとなる。かくして、図3に関連して説明された押圧バネ145による押圧と、長穴750とボス150との間の係合とにより、現像装置414の位置決めがなされる。主板711には、長穴750及び貫通穴715の他、多数の開口部が設けられているが、これら開口部は、画像形成装置100の下部筐体111内に配設される様々な装置(例えば、図1に関連して説明された各種装置)の取付或いは駆動に用いられる。
【0055】
図6は、主板711側から見た駆動機構800の外観斜視図である。図7は、図6と反対側から見た駆動機構800の外観斜視図である。図6及び図7と併せて、図1及び図5を参照しつつ、駆動機構800が説明される。
【0056】
駆動機構800は、感光体ドラム410及び現像装置414への駆動力を発生させる駆動源として用いられるモータ810と、モータ810から感光体ドラム410及び現像装置414へ駆動力を伝達する伝達部(後述される)と、伝達部を収容する筐体820とを備える。筐体820は、第1外殻体821と、第2外殻体822とを含む。第1外殻体821は、フレーム710の主板711と第2外殻体822との間に配設される。第1外殻体821及び第2外殻体822は、互いに重なり合って、伝達部を収容するための内部空間を形成する。モータ810は、第2外殻体822の外面に取り付けられる。モータ810のシャフトは、第1外殻体821及び第2外殻体822が形成する内部空間内に挿通され、伝達部へ駆動力を伝達する。
【0057】
図8は、駆動機構800が取り付けられたフレーム710の斜視図である。図8と併せて、図1、図4乃至図6を参照しつつ、フレーム710への駆動機構800の取付が説明される。
【0058】
第1外殻体821の外面から複数のギアやシャフトが露出する。複数のギアやシャフトのうち最下位置のギア831は、手差しトレイ220から下部筐体111内へシートSを給紙するための給紙ローラ316を駆動するために用いられる。ギア831の斜め上方の回転シャフト832には、カセット210からのシートSを給紙するための給紙ローラ312が接続される。回転シャフト832の上方に配設されるギア833は、画像形成部400の上流に配設されるレジストローラ318を駆動するために用いられる。ギア833の左斜め上方に位置する第1ギア834は、図4に関連して説明された現像装置414のギア149と噛み合い、現像装置414を駆動するために用いられる。第1ギア834の右方に配設されるギア835は、戻し搬送路319の下流側に配設される搬送ローラ対321を駆動するために用いられる。第1外殻体821は、第1ギア834及びギア835の上方に位置する略円筒状の位置決め筒823を含む。位置決め筒823に感光体ドラム410の回転シャフトが挿入される。位置決め筒823の上方に位置するギア836は、加熱ローラ510を駆動するために用いられる。
【0059】
図5に示される如く、主板711には、上述の長穴750及び貫通穴715に加えて、ギア831を第1面713側に突出させるための貫通穴716、シャフト832を第1面713側に露出させるための貫通穴717、ギア833を第1面713側に突出させるための貫通穴718、第1ギア834を第1面713側に突出させるための貫通穴719、ギア835を第1面713側に突出させるための貫通穴720及びギア836を第1面713側に突出させるための貫通穴721が形成される。第1外殻体821の外面から突出するように形成された位置決め筒823は、貫通穴715を通じて、主板711を貫通し、第1面713側に突出する。
【0060】
図9は、第2外殻体822の内部構造を示す斜視図である。図10は、第2外殻体822の内面側に構築された伝達部の斜視図である。図9及び図10と併せて、図6を参照しつつ、第2外殻体822及び伝達部が説明される。
【0061】
第2外殻体822は、ギア831を支持するシャフト824、シャフト832を回転させるためのギア837を収容するための空間825、ギア833へ駆動力を伝達するためのギア838を収容する空間826、第1ギア834を支持するシャフト827、ギア835を支持するシャフト828、ギア836を支持するシャフト829を含む。第2外殻体822は、これらシャフトや空間の他、これらギアへ駆動力を伝達するための多数のギアを支持又は収容するための空間を含む。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられた複数のギアから構成される。伝達部830は、第2外殻体822に取り付けられる複数のギアの中で最も大きい直径の大径ギア850を含む。また、第2外殻体は、大径ギア850を収容するための空間を形成する隔壁851を含む。
【0062】
図11及び図12は、第2外殻体822の外面へのモータ810の接続に用いられる支持板の斜視図である。図11は、モータ810が接続される外面側から見た支持板の斜視図である。図12は、第2外殻体822に対向する面側から見た支持板の斜視図である。図11及び図12と併せて、図7、図9及び図10を参照しつつ、支持板が説明される。
【0063】
モータ810は、支持板860を介して、第2外殻体822の外面に取り付けられる。支持板860は、例えば、金属製の板材からなり、モータ810を支持するとともに第2外殻体822の剛性を向上させる。モータ810のシャフト811は、支持板860を貫通する。モータ810のシャフト811の先端には、駆動ギア812が取り付けられる。モータ810のシャフト811は更に、第2外殻体822を貫通し、伝達部830に接続される。駆動ギア812は、大径ギア850及び大径ギア850以外の他のギアへ駆動力を伝達するためのギア899と噛み合う。第1ギア834へ駆動力を伝達するための第2ギア839は、ギア899と噛み合い、第1ギア834へ駆動力を伝達する。かくして、伝達部830へモータ810の駆動力が伝達される。
【0064】
支持板860には略円筒状の支持筒861が、かしめて取り付けられる。支持筒861は、第2外殻体822を貫通し、大径ギア850を回転可能に支持する。感光体ドラム410の回転シャフトは、位置決め筒823を通じて、筐体820内に挿入される。回転シャフト420の先端部は、筐体820内で突出する支持筒861内に挿入され、支持筒861によって回転可能に支持される。感光体ドラム410の回転シャフトは、カップリングといった適切な手段を用いて、大径ギア850に接続され、大径ギア850とともに回転する。
【0065】
図10に示される第2ギア839は、シャフト827に沿って移動可能である。第1ギア834に近接する第2ギア839の位置は、便宜的に、第1位置と称される。また、第1ギア834から離間する第2ギア839の位置は、便宜的に、第2位置と称される。
【0066】
図13乃至図15は、現像装置414のギア149と噛み合う第1ギア834及び第1ギア834へモータ810からの駆動力を伝達する第2ギア839をそれぞれ異なる角度から描いた斜視図である。尚、図13乃至図15には、現像装置414のギア149と第1ギア834との噛み合いを明瞭に示すため、図5に関連して説明されたフレーム710及び図6に関連して説明された第1外殻体821は示されていない。図13乃至図15と併せて、図1、図4及び図10を参照しつつ、第1ギア834及び第2ギア839が説明される。
【0067】
第2ギア839から第1ギア834へのモータ810の駆動力の伝達は、ラチェット機構900を用いてなされる。ラチェット機構900は、第1位置に存する第2ギア839と第1ギア834とを連結させ、モータ810からの駆動力を伝達する一方で、第2ギア839を第2位置へ移動させ、第1ギア834と第2ギア839との間の連結を解除する役割を担う。ラチェット機構900は、第1ギア834から第2ギア839に向けて突出する環状の第1ラチェット環910と、第2ギア839から第1ギア834に向けて突出する環状の第2ラチェット環920と、第1ギア834及び第2ギア839を回転可能に支持するシャフト827と、シャフト827を取り巻くとともに第2ギア839と第2外殻体822との間に配設されるコイルバネ930とを含む。第1ギア834は、シャフト827の軸方向に移動しないようにシャフト827の先端に取り付けられるが、第2ギア839は、シャフト827に案内されて、第1位置と第2位置との間で、シャフト827の軸方向に移動可能である。コイルバネ930は、第2位置へ向かおうとする第2ギア839を第1位置へ押し戻すように付勢する付勢部材としての役割を担う。第1ラチェット環910の先端縁及び第2ラチェット環920の先端縁は互いに相補的な鋸刃形状をなす。第2ギア839が第1ギア834に近接する第1位置にあるとき、第1ラチェット環910の先端縁及び第2ラチェット環920は互いに噛み合う。モータ810が伝達部830へ駆動力を伝達し、図1に示される如く、感光体ドラム410を回転させると、第1ラチェット環910と第2ラチェット環920は互いに噛み合い、図13乃至図15において矢印で示される方向に第1ギア834は回転する。
【0068】
図16は、図2乃至図5に関連して説明された現像装置414を第1方向に移動に伴うラチェット機構900の動作を示す模式図である。図16(a)は、第1ギア834と噛み合う前の現像装置414のギア149を概略的に示す。図16(b)は、第1ギア834と噛み合った後の現像装置414のギア149を概略的に示す。図16(c)は、図16(a)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ラチェット環910及び第2ラチェット環920の位置関係を概略的に示す。図16(d)は、図16(b)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ラチェット環910及び第2ラチェット環920の位置関係を概略的に示す展開図である。図16(e)は、図16(a)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ギア834と第2ギア839との間の位置関係を概略的に示す展開図である。図16(f)は、図16(a)に示される位置に現像装置414のギア149が存するときの第1ギア834と第2ギア839との間の位置関係を概略的に示す。図16と併せて、図2、図4、図10及び図13を参照しつつ、現像装置414を第1方向に移動に伴うラチェット機構900の動作が説明される。
【0069】
第1ラチェット環910は、複数の略三角板状の第1ラチェット歯911を円環状に整列してなる。第2ラチェット環920は、第1ラチェット環910と同様に、複数の略三角板状の第2ラチェット歯921を円環状に整列してなる。第1ラチェット歯911は、第1位置と第2位置との間での第2ギア839の移動方向(即ち、シャフト827の延出方向)に沿って延びる第1伝達縁912と、第1伝達縁912に対して傾斜した第1案内縁913とを含む。同様に、第2ラチェット歯921は、第1位置と第2位置との間での第2ギア839の移動方向(即ち、シャフト827の延出方向)に沿って延びる第2伝達縁922と、第2伝達縁922に対して傾斜した第2案内縁923とを含む。
【0070】
現像装置414のギア149が第1ギア834と噛み合う前において、コイルバネ930に付勢された第2ギア839は、第1ギア834に近接する第1位置に配設される。このとき、第1ラチェット環910(第1ラチェット歯911)と第2ラチェット環(第2ラチェット歯921)は互いに噛み合う。第1ラチェット環910と第2ラチェット環920が互いに噛み合っている間、第1伝達縁912は第2伝達縁922に対向する。また、第1案内縁913は第2案内縁923に対向する。
【0071】
現像装置414を感光体ドラム410に近接した位置で位置決めするため、現像装置414が第1方向(即ち、第1ギア834の回転中心軸に沿うシャフト827の延接方向に対して交差(本実施形態においては、直交する)する方向)へ移動されると、現像装置414のギア149は、第1ギア834に噛み合うこととなる。現像装置414のギア149の歯と、第1ギア834の歯との間の衝突により、図16(b)の矢印で示される方向(時計回り)に、第1ギア834は回転する。
【0072】
図10に示される如く、駆動機構800の伝達部830は多数のギアを含むので、現像装置414のギア149の歯と、第1ギア834の歯との間の衝突では、第2ギア839はほとんど回転しない。図16(a)の矢印の方向に第1ギア834が回転すると、第1ラチェット環910は、第1ラチェット歯911の第1案内縁913が、第2ラチェット歯921の第2案内縁923に圧接される方向に移動する。この結果、第1案内縁913は、現像装置414のギア149の歯と第1ギア834の歯との間の衝突力を、第2案内縁923を通じて、第1ギア834から離間する第2位置へ向かう力として伝達する。かくして、第1ラチェット環910が、第1案内縁913を第2案内縁923上で摺動させつつ移動している間、第2ギア839は第2位置に向けて移動する。かくして、第1方向に移動する現像装置414のギア149と第1ギア834との間の噛み合う噛み合い時において、第1ギア834は、現像装置414のギア149に不必要な抗力を与えることなく回転動作をする。この結果、第1ギア834が回転することにより、現像装置414のギア149と第1ギア834との噛み合いの際に生ずる力により現像装置414の第1方向への移動が妨げられず、適切に現像装置414を位置決めすることが可能となる。
【0073】
感光体ドラム410とともに現像装置414を駆動するとき、コイルバネ930に付勢され、第1位置に配設された第2ギア839の第2ラチェット環920は第1ラチェット環910と噛み合う。感光体ドラム410とともに現像装置414を駆動するとき、コイルバネ930により第1位置に保持された第2ギア839から突出する第2ラチェット環920の第2伝達縁922は、第1伝達縁912に圧接される。第2伝達縁922は、モータ810からの駆動力を、第1伝達縁912を介して、第1ギア834へ伝達する。結果として、第1ギア834と噛み合う現像装置414のギア149は、モータ810からの駆動力を受けて好適に回転動作することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、筐体に対して着脱自在であるとともに筐体内の駆動機構に接続される任意の処理装置を備える装置に好適に適用される。
【符号の説明】
【0075】
100・・・画像形成装置
149・・・ギア
410・・・感光体ドラム(像担持体)
414・・・現像装置
800・・・駆動機構
810・・・モータ(駆動源)
827・・・シャフト
834・・・第1ギア
839・・・第2ギア
900・・・ラチェット機構
911・・・第1ラチェット歯
912・・・第1伝達縁
913・・・第1案内縁
921・・・第2ラチェット歯
922・・・第2伝達縁
923・・・第2案内縁
930・・・コイルバネ(付勢部材)
S・・・・・シート
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ギアを有する処理装置を駆動する駆動機構であって、
駆動源と、
該駆動源からの駆動力を所定の処理を行う処理装置に伝達する第1ギアと、
該第1ギアに近接する第1位置と前記第1ギアから離間する第2位置との間で移動可能な第2ギアと、
前記第1位置に存する前記第2ギアと前記第1ギアとを連結させ、前記第2ギアから前記駆動源の前記駆動力を伝達させるとともに、前記第2ギアを前記第2位置に移動させ、前記第1ギアとの連結を解除させるラチェット機構を備え、
前記処理装置の前記ギアが前記第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、前記第1ギアに噛み合わせられた噛み合わせ時において、前記ラチェット機構は、前記第2ギアを前記第2位置へ移動させることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記ラチェット機構は、前記第1ギアから前記第2ギアに向けて突出する第1ラチェット歯と、
前記第2ギアから前記第1ギアに向けて突出するとともに前記第1ラチェット歯と相補的な第2ラチェット歯と、
前記回転中心軸に沿って延びるとともに前記第1ギア及び前記第2ギアを回転可能に支持するシャフトと、
前記第2ギアを前記第1位置に向けて付勢する付勢部材と、を含み、
前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第2ラチェット歯は前記第1ラチェット歯と噛み合い、前記駆動源からの前記駆動力を、前記第1ラチェット歯を介して、前記第1ギアに伝達し、
前記噛み合わせ時において、前記第1ラチェット歯は前記第2ラチェット歯を介して、前記第2位置に向かう力を前記第2ギアに伝達することを特徴とする請求項1記載の駆動機構。
【請求項3】
前記第1ラチェット歯は、前記シャフトの延出方向に沿う方向に延びる第1伝達縁と、該第1伝達縁に対して傾斜した第1案内縁と、を含み、
前記第2ラチェット歯は、前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第1伝達縁に対向する第2伝達縁と、前記第1案内縁に対向する第2案内縁と、を含み、
前記噛み合わせ時において、前記第1案内縁は前記第2案内縁を通じて、前記第2ギアに対して前記第2位置へ向かう力を伝達し、
前記駆動源が前記像担持体を駆動する間、前記第2伝達縁は前記第1伝達縁を通じて前記第1ギアに駆動力を伝達することを特徴とする請求項2記載の駆動機構。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか1項に記載の駆動機構と、
該駆動装置によって駆動されるとともにシートに形成されるトナー画像を担持する像担持体と、を含み、
前記処理装置は、前記像担持体にトナーを供給する現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
ギアを有する処理装置を駆動する駆動機構であって、
駆動源と、
該駆動源からの駆動力を所定の処理を行う処理装置に伝達する第1ギアと、
該第1ギアに近接する第1位置と前記第1ギアから離間する第2位置との間で移動可能な第2ギアと、
前記第1位置に存する前記第2ギアと前記第1ギアとを連結させ、前記第2ギアから前記駆動源の前記駆動力を伝達させるとともに、前記第2ギアを前記第2位置に移動させ、前記第1ギアとの連結を解除させるラチェット機構を備え、
前記処理装置の前記ギアが前記第1ギアの回転中心軸に交差する方向から近接されて、前記第1ギアに噛み合わせられた噛み合わせ時において、前記ラチェット機構は、前記第2ギアを前記第2位置へ移動させることを特徴とする駆動機構。
【請求項2】
前記ラチェット機構は、前記第1ギアから前記第2ギアに向けて突出する第1ラチェット歯と、
前記第2ギアから前記第1ギアに向けて突出するとともに前記第1ラチェット歯と相補的な第2ラチェット歯と、
前記回転中心軸に沿って延びるとともに前記第1ギア及び前記第2ギアを回転可能に支持するシャフトと、
前記第2ギアを前記第1位置に向けて付勢する付勢部材と、を含み、
前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第2ラチェット歯は前記第1ラチェット歯と噛み合い、前記駆動源からの前記駆動力を、前記第1ラチェット歯を介して、前記第1ギアに伝達し、
前記噛み合わせ時において、前記第1ラチェット歯は前記第2ラチェット歯を介して、前記第2位置に向かう力を前記第2ギアに伝達することを特徴とする請求項1記載の駆動機構。
【請求項3】
前記第1ラチェット歯は、前記シャフトの延出方向に沿う方向に延びる第1伝達縁と、該第1伝達縁に対して傾斜した第1案内縁と、を含み、
前記第2ラチェット歯は、前記第2ギアが前記第1位置に存する間、前記第1伝達縁に対向する第2伝達縁と、前記第1案内縁に対向する第2案内縁と、を含み、
前記噛み合わせ時において、前記第1案内縁は前記第2案内縁を通じて、前記第2ギアに対して前記第2位置へ向かう力を伝達し、
前記駆動源が前記像担持体を駆動する間、前記第2伝達縁は前記第1伝達縁を通じて前記第1ギアに駆動力を伝達することを特徴とする請求項2記載の駆動機構。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか1項に記載の駆動機構と、
該駆動装置によって駆動されるとともにシートに形成されるトナー画像を担持する像担持体と、を含み、
前記処理装置は、前記像担持体にトナーを供給する現像装置であることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2011−174585(P2011−174585A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−40580(P2010−40580)
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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