説明

駆動装置および容器検査装置

【課題】原動機により回転軸を回転させる自動操作と手動により回転軸を回転させる手動操作との切換を簡易な構成で、かつ非常に簡単な操作で行うことができ、また簡易かつ安価な構成で原動機を過負荷から保護することができる駆動装置を提供する。
【解決手段】駆動装置1は、被駆動体が接続される回転軸2と、回転軸2に接続可能なハンドル3と、原動機4により回転駆動される駆動輪5とを備えている。駆動装置1は、略半径方向に延びる半径方向孔8に収容された係合ボール9と、係合ボール9を半径方向内側から駆動輪5に押圧する押圧ボール11とを備えている。係合ボール9は、その半径方向外側への移動により駆動輪5の内周面に形成された凹部5cに係合する。駆動装置1は、押圧ボール11を付勢する圧縮ばね13と、圧縮ばね13に抗して押圧ボール11を押圧して係合ボール9と駆動輪5との係合を解除する押圧棒14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置に係り、特に原動機により回転軸を回転させる自動操作と、手動により回転軸を回転させる手動操作とが可能な駆動装置に関するものである。また、本発明は、かかる駆動装置を備えた容器検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種機械や装置においては、各種の要素を回転させたり移動させたりするために回転軸が多く用いられている。この回転軸を手動で回転させる場合には回転軸の端部に操作用のハンドルが固定される(例えば特許文献1参照)。また、回転軸を自動で回転させる場合には、回転軸にプーリや歯車等の伝達部材を介してモータが連結される。
【0003】
自動操作および手動操作の両方が可能な回転軸においては、手動で回転軸を回転させる場合に、モータのブレーキ機構を解除した後に、ハンドル付きの回転軸を手動で回転させるようにする。この場合、ブレーキ機構は、電磁力あるいは空気圧等によってモータ側のディスクに摩擦板を押し当てる構造が代表的であり、電磁力あるいは空気圧等を解除すれば摩擦板がディスクから離れ、自由にモータ軸が回転できるようになっている。ブレーキ機構はモータに内蔵されているものと外付けされるものがあるが、手動操作が必要となった場合には、電磁力あるいは空気圧等を解除する操作が必要となる。
【0004】
上述の操作用のハンドル付の回転軸を用いた装置の一例として容器検査装置がある。この容器検査装置は、ガラス壜やペットボトル等の容器を搬送するコンベヤと、コンベヤに隣接して側方または上方等に配置され容器を照明するランプと、容器からの透過光または反射光を撮影するCCDカメラなどからなる撮像用カメラを備え、コンベヤにより搬送される容器にランプから投光し、容器からの透過光または反射光を撮像用カメラにより撮影し、容器の外観検査を行っている。
【0005】
この場合、容器の検査部位は複数あるため、コンベヤに沿って複数の撮影ステーションが配置されている。複数の撮影ステーションにおける照明用ランプと撮像用カメラは、高さの異なる容器に対応するため、それぞれ個別に昇降可能に構成しなければならない。このため、照明用ランプと撮像用カメラとを1つの支持具に支持させ、この支持具を昇降用ネジにより昇降できるようにした1つのユニットとして構成し、複数の撮影ステーションとも同一のユニットを使用する容器の外観検査装置が開発されている(例えば特許文献2参照)。この検査装置において、高さの異なる容器を検査する場合には、ハンドル付の回転軸を回転させて、昇降用ネジにより支持具を昇降させ、照明用ランプと撮像用カメラとを一体に昇降させ、照明用ランプと撮像用カメラの容器に対する高さ調整をすることができるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2005−273726号公報
【特許文献2】特許第3195759号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述した従来の駆動装置において、自動操作から手動操作に切り換える場合には、モータのブレーキ機能を解除しているが、その解除作業に手間がかかる。また、上述した容器検査装置においては、照明用ランプと撮像用カメラを昇降させる場合に昇降速度は高速ではない場合が多く、そのため減速用のギアを具備したギアードモータが多く用いられるが、モータブレーキを解除しただけでは、手動でハンドルを回す際にモータの減速機も一緒に回すことになり、大きなトルクが必要となり、手動でハンドルを回す作業が容易ではない。この場合、容器検査装置に限らず、このような駆動装置を用いる各種装置にあっては、同様に回転軸の回転速度は高速ではない場合が多く、同様にギアードモータが多く用いられており、手動操作において同様な問題点がある。さらに、上述した容器検査装置においては、容器の検査部位を増加したいという要請があり、照明用ランプと撮像用カメラの個数が増加し、1人の調整員が負担する作業が多くなっている状況で、従来の駆動装置の機能では重労働になるという問題点がある。
【0008】
また、自動操作時に予期しない誤操作や障害物などにより回転軸が固定されてしまう場合がある。そのような場合には、モータに過負荷が生じ、機械を破損させるおそれがある。このようなモータの過負荷を防止するためには、別に過負荷保護機構を取り付けたり、トルク制限機能を有するモータを用いてモータのトルクに制限をかけたりする必要がある。しかしながら、別に過負荷保護機構を取り付けると、部品点数が増え、装置のコストが上昇する。また、トルク制限機能を有するモータも高価であるため装置のコストが上昇してしまう。
【0009】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、原動機により回転軸を回転させる自動操作と手動により回転軸を回転させる手動操作との切換を簡易な構成で、かつ非常に簡単な操作で行うことができ、また簡易かつ安価な構成で原動機を過負荷から保護することができる駆動装置を提供することを第1の目的とする。
【0010】
また、本発明は、検査ユニットを吊り下げ方式にして一体で昇降可能な構成にすることにより、照明用ランプと撮像用カメラの高さ調整を容易に行うことができるようにし、高さの異なる容器に極めて簡単に対応することができる容器検査装置を提供することを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の態様によれば、原動機により回転軸を回転させる自動操作と手動により回転軸を回転させる手動操作との切換を簡易な構成で、かつ非常に簡単な操作で行うことができ、また簡易かつ安価な構成で原動機を過負荷から保護することができる駆動装置が提供される。この駆動装置は、被駆動体が接続される回転軸と、上記回転軸に接続可能なハンドルと、原動機により回転駆動される駆動輪とを備えている。駆動輪は、上記回転軸の外周部を囲むように設けられる。また、駆動装置は、上記回転軸に形成された略半径方向に延びる半径方向孔に収容された係合ボールと、軸方向に沿った第1の方向への移動により上記係合ボールを半径方向内側から上記駆動輪に押圧する押圧部材とを備えている。係合ボールは、その半径方向外側への移動により上記駆動輪の内周面に形成された凹部に係合する。さらに、駆動装置は、上記押圧部材を上記第1の方向に付勢する付勢手段と、上記付勢手段に抗して上記押圧部材を上記第1の方向とは反対の第2の方向に押圧して、上記係合ボールと上記駆動輪との係合を解除する解除手段とを備えている。
【0012】
上記押圧部材を上記第1の方向に付勢するばねにより上記付勢手段を構成してもよい。また、上記駆動輪の凹部を非対称形状にして、回転軸の回転方向によってリリーストルクを変えてもよい。上述したトルク制限機能を有するモータでは、回転軸の回転方向によってリリーストルクを変えるためにトルク制限の条件選択など制御が複雑になるが、本発明に係る駆動装置によれば駆動輪の凹部の形状によりリリーストルクを変えることができるので、トルク制限の条件選択などの複雑な制御が不要となる。
【0013】
さらに、上記押圧部材は、上記係合ボールに接触可能な押圧ボールを含んでいてもよい。また、上記回転軸に形成された軸方向に延びる軸方向孔に収容された押圧棒により上記解除手段を構成してもよい。また、上記半径方向孔を複数個形成してもよく、上記係合ボールを複数個設けてもよい。さらに、上記押圧部材の位置を検知するセンサを設けて、原動機の過負荷を検知してもよい。
【0014】
本発明に係る駆動装置によれば、付勢手段により付勢された押圧部材が、係合ボールを半径方向内側から駆動輪に押圧し、これにより係合ボールが駆動輪の内周面に形成された凹部に係合する。この結果、駆動輪と回転軸とが結合され、原動機の駆動により駆動輪が回転されると、駆動輪と一体に回転軸が回転される。一方、解除手段により付勢手段に抗して押圧部材を押圧して、係合ボールと駆動輪との係合を解除して、駆動輪と回転軸との結合を解除することができる。これにより、回転軸を駆動輪とは切り離してハンドルにより回転させることができる。
【0015】
また、自動操作中に何らかの原因で回転軸が固定された場合には、係合ボールが駆動輪の凹部から抜け出して、係合ボールと駆動輪との係合が解除されるので、駆動輪の回転が回転軸に伝達されず、原動機を過負荷から保護することができる。このように、本発明によれば、原動機の過負荷を防止するために、別途過負荷保護機構を取り付けたり、トルク制限機能を有するモータを用いたりする必要がない。したがって、簡易かつ安価な構成で原動機を過負荷から保護することが可能となる。
【0016】
本発明の第2の態様によれば、検査ユニットを吊り下げ方式にして一体で昇降可能な構成にすることにより、照明用ランプと撮像用カメラの高さ調整を容易に行うことができるようにし、高さの異なる容器に極めて簡単に対応することができる容器検査装置が提供される。この容器検査装置は、容器を搬送するコンベヤと、上記コンベヤにより搬送される容器を照明するランプと、上記ランプにより照明した容器からの光を撮影するカメラとを備えている。また、容器検査装置は、上記ランプおよび上記カメラを支持する支持具と、上記支持具を昇降させる昇降用ねじと、上記昇降用ねじを被駆動体として回転させる上記駆動装置とを備えている。
【0017】
本発明に係る容器検査装置によれば、ランプおよびカメラの容器に対する距離を変えるときには、上述した駆動装置において自動操作および手動操作を切り換え、原動機またはハンドルにより回転軸を回転させて昇降用ネジを回転させ、ランプおよびカメラを支持する支持具を昇降させて支持具の高さ位置を変えることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る駆動装置によれば、原動機により回転軸を回転させる自動操作と手動で回転軸を回転させる手動操作との切換を押圧部材の軸方向への移動だけで行うことができるので、切換機構が簡素になり、かつ切換用の操作が非常に簡単になる。また、手動操作の場合には、駆動輪と回転軸との結合が解除されているので、回転軸の回転がモータ側に伝達されることがないため、モータの減速機も一緒に回すことがなく、手動で回転軸を回す作業が容易になる。さらに、自動操作中に何らかの原因で回転軸が固定されても、係合ボールと駆動輪との係合が解除されるので、駆動輪の回転が回転軸に伝達されず、原動機を過負荷から保護することができる。
【0019】
また、本発明に係る容器検査装置によれば、検査ユニットを吊り下げ方式にして一体で昇降可能な構成にすることにより、照明用ランプと撮像用カメラの高さ調整を容易に行うことができ、高さの異なる容器に極めて簡単に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る駆動装置を有する容器検査装置の実施形態について図1から図8を参照して詳細に説明する。なお、図1から図8において、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態における駆動装置を有する容器検査装置の全体構成を示す立面図である。図1に示すように、容器検査装置は、ガラス壜やペットボトル等の容器21を搬送するコンベヤ22と、容器21の搬送方向に沿って配設された複数の撮影ステーションS1,S2,S3,S4とを有している。各撮影ステーションS1〜S4は、照明用ランプと撮像用カメラとを備え、容器21の複数の検査部位(胴部、口部など)を個別に検査することができるようになっている。なお、容器検査装置には装置の制御やモニタを行う操作用パネルPが設けられている。
【0022】
図2は、図1の容器検査装置における撮影ステーションS2を図1のII方向から見た模式図である。図2に示すように、コンベヤ22を挟んで、かつ搬送方向に沿ってフレーム25が設置されている。フレーム25は、鉛直方向に延びる4本の支柱26(図1では前方の2本のみ示す)と、コンベヤ22の搬送方向に沿いかつ前後2本の支柱26の上部間を接続する2本の梁27と、4本の支柱26の下部で相隣接する2本の支柱間を接続する複数の横木28とから構成されている。梁27はコンベヤ22上で搬送される容器21より上方に位置している。
【0023】
2本の梁27の間には、支持フレーム30が掛け渡されている。撮影ステーションS2は、コンベヤ22を挟んで一方に配置され、容器21を照明するランプ38と、他方に配置され容器21を撮影するCCDカメラ39とを備えている。ランプ38とCCDカメラ39とは1つの支持具31に支持されている。支持具31は、昇降用ねじ33により吊り下げられて支持されている。支持フレーム30には2つのガイドリング34が固定されており、これら2つのガイドリング34には支持具31に接続された2本のガイドバー42が嵌合されている。昇降用ねじ33には支持具31に固定されたナット43が螺合しており、また、昇降用ねじ33の上端は支持フレーム30に回転可能に支持されている。さらに、昇降用ねじ33にはタイミングギア44が固定されている。
【0024】
図2に示すように、撮影ステーションS2には、被駆動体としてのタイミングギア44を回転駆動する駆動装置1が設けられている。この駆動装置1は、上述したタイミングギア44に連結される回転軸2と、回転軸2の端部に接続されるハンドル3と、回転軸2を回転駆動するモータ(原動機)4とを備えている。モータ4は支持フレーム30に固定されており、このモータ4はブレーキ機能を有さない、いわゆるオフブレーキモータから構成されている。この駆動装置1は、ハンドル3を手動で回転させることにより、あるいは、モータ4を駆動することにより、回転軸2を回転させ、昇降用ねじ33を回転させて支持具31を昇降するようになっている。
【0025】
すなわち、回転軸2にはタイミングギア45が固定されており、2つのタイミングギア44,45はタイミングベルト46によって連結されている。したがって、回転軸2を回転させることにより、2つのタイミングギア44,45およびタイミングベルト46を介して昇降用ねじ33が回転する。昇降用ねじ33には、ナット43が螺合しているため、昇降用ねじ33の回転に伴い支持具31が昇降される。支持具31にはランプ38とCCDカメラ39とが支持されているため、容器21に対するランプ38とCCDカメラ39の高さ調整を行うことができる。
【0026】
図3は、図1の容器検査装置における駆動装置1を示す断面図である。図3に示すように、支持フレーム30には軸受ハウジング60が固定されており、回転軸2は軸受ハウジング60内のボールベアリング61,62によって回転可能に支持されている。また、回転軸2は、軸部2aと、軸部2aより大きい外径を有する大径部2bとを有しており、回転軸2の大径部2bの外周部を囲むように円筒状の駆動輪5が設けられている。
【0027】
図3に示すように、駆動輪5の外周部には、タイミングギア5a(またはスプロケット)が形成されており、タイミングギア5aの外周部にはタイミングベルト6が巻回されている。また、図2に示すように、タイミングベルト6は、モータ4の回転軸4aに固定されたタイミングギア7(またはスプロケット)に巻回されている。したがって、駆動輪5はタイミングギア5a,7およびタイミングベルト6を介してモータ4に連結されており、駆動輪5はモータ4により回転駆動されるように構成されている。
【0028】
図4は、図3のIV−IV線断面図である。図4に示すように、回転軸2の大径部2bには、大径部2bの軸心より外周まで略半径方向に延びる4つの半径方向孔8が形成されており、それぞれの半径方向孔8には2つの係合ボール9が収容されている。これらの4つの半径方向孔8は、回転軸2の円周方向に等間隔で形成されている。また、図5に示すように、駆動輪5の内周面5bには、回転軸2の半径方向孔8に対応して凹部5cが形成されている。
【0029】
また、図3に示すように、回転軸2には、回転軸2の軸方向に延びる軸方向孔10が形成されている。半径方向孔8の上方に位置する軸方向孔10には、半径方向孔8の半径方向内側に位置する4つの係合ボール9に接触する押圧ボール11と、下端で押圧ボール11を押圧する第1の押圧棒12とが収容されている。回転軸2の上端には、第1の押圧棒12を下方に付勢する圧縮ばね13が設けられている。なお、係合ボール9および押圧ボール11としては、高精度で安価な汎用の軸受鋼球を用いることができる。
【0030】
また、半径方向孔8の下方に位置する軸方向孔10には、押圧ボール11を上方に押圧する第2の押圧棒14が収容されている。この第2の押圧棒14の下端にはボール15が配置されている。このボール15は、ハンドル3の上端に設けられた押圧ピン3aによって上方に押圧されるようになっている。ハンドル3は上下動可能に構成されており、その上下方向の位置は固定ノブ16により固定される。
【0031】
このような構成の駆動装置1によれば、回転軸2をモータ4で回転させる自動操作と、回転軸2をハンドル3で回転させる手動操作とを切り換えて回転軸2を回転させることができる。以下、自動操作と手動操作について述べる。
【0032】
自動操作を行う場合には、固定ノブ16を緩めてハンドル3を取り外す。この状態では、図6(a)に示すように、押圧ボール11が押圧棒12を介して圧縮ばね13により下方に押圧され、これにより半径方向孔8内の半径方向内側に位置する4つの係合ボール9が押圧されて半径方向外側に移動する。したがって、半径方向孔8内の半径方向外側に位置する4つの係合ボール9が駆動輪5の内周面5bに所定の力で押圧される。このとき、モータ4が駆動されると、タイミングギア5aおよびタイミングベルト6を介して駆動輪5が回転され、この回転に伴って半径方向外側に位置する4つの係合ボール9が駆動輪5の凹部5cに嵌り込む。これにより、回転軸2と駆動輪5とが強固に結合され、駆動輪5の回転が回転軸2に伝達される。したがって、モータ4による回転が駆動輪5から回転軸2に伝達され、支持具31を昇降させてランプ38とCCDカメラ39の高さ調整を行うことができる。
【0033】
手動操作を行う場合には、回転軸2の端部にハンドル3を取り付ける。このときハンドル3の上端部の押圧ピン3aが係合ボール9を上方に押し上げる。これにより第2の押圧棒14が上方に押圧され、図6(b)に示すように、押圧ボール11が圧縮ばね13の付勢力に抗して上方に押される。この結果、半径方向孔8内の半径方向内側に位置する4つの係合ボール9の押圧ボール11による押圧が解除され、半径方向外側の4つの係合ボール9と駆動輪5との係合が解除される。したがって、回転軸2と駆動輪5との結合が解除される。この状態では、モータ4の回転は回転軸2には伝わらないため、回転軸2のモータ駆動(自動操作)はできない。この代わりに、ハンドル3を手動で操作して回転軸2を回転させ、支持具31を昇降させてランプ38とCCDカメラ39の高さ調整を行うことができる。
【0034】
ここで、自動操作中に、何らかの原因(例えば予期せぬ誤操作や障害物)で回転軸2が固定された場合を考える。このとき、駆動輪5は回転しようとするため、図7(a)に示すように、駆動輪5の凹部5cが、その凹部5cに嵌り込んでいた係合ボール9を半径方向内側に押し戻そうとする。上述したように、係合ボール9を押圧している押圧ボール11は圧縮ばね13により押圧されているため、係合ボール9を押し戻そうとする力が圧縮ばね13の押圧力よりも大きくなると、第1の押圧棒12が上方に動き、図7(b)に示すように、係合ボール9が駆動輪5の凹部5cから抜け出す。この結果、駆動輪5の回転は回転軸2に伝達されずに、モータ4の過負荷を保護することができる。
【0035】
ここで、例えば、第1の押圧棒12の上下方向の位置をセンサ17(図2参照)により検知し、第1の押圧棒12が上方に移動したことを検知すると、モータ4を停止してもよい。このようにすることで、モータ4の過負荷を防止することができる。また、圧縮ばね13のばね定数を変更することにより、モータ4の過負荷保護機構が始動されるときのトルク(許容トルク)を調整することができる。
【0036】
なお、上述した例では、それぞれの半径方向孔8は、回転軸2の軸心に垂直な面内で回転軸2の半径方向に延びているが、必ずしも回転軸2の軸心に垂直な面内にある必要はなく、軸方向に対してある程度傾いて半径方向に延びていてもよい。
【0037】
また、図5に示す例では、駆動輪5に対称形状の凹部5cが形成されているが、例えば、図8に示すように、非対称形状の凹部5dを形成してもよい。例えば、支持具31を持ち上げる方向に回転軸2を回転させる場合は、重力に抗して支持具31を持ち上げなければならないため、大きな力が必要となる。したがって、駆動輪5に大きな力が加わっても、駆動輪5と回転軸2との結合が維持されていなければならない。一方、支持具31を下降させる場合には、それほど大きな力が必要とされないため、駆動輪5に大きな力が加わった場合にモータ4の過負荷保護機構を始動する必要がある。このような場合に、図8に示すような非対称形状の凹部5dを用いることで、モータ4の過負荷保護機構が始動されるときのトルクを駆動輪5の回転方向によって変えることができる。
【0038】
また、上述の実施形態では、本発明に係る駆動装置を容器検査装置に適用した例を説明したが、本発明に係る駆動装置は、歯車やスプロケット、チェーンなどの伝達要素を被駆動体として回転させるものであれば、どのような装置にも適用できるものである。
【0039】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態における駆動装置を有する容器検査装置の全体構成を示す立面図である。
【図2】図1の容器検査装置における撮影ステーションを図1のII方向から見た模式図である。
【図3】図1の容器検査装置における駆動装置を示す断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図3の駆動装置における駆動輪を示す断面図である。
【図6】図6(a)は自動操作時の係合ボールおよび押圧ボールの動きを示す断面図、図6(b)は手動操作時の係合ボールおよび押圧ボールの動きを示す断面図である。
【図7】図7(a)および図7(b)は自動操作中に回転軸が固定された場合の回転軸および駆動輪を示す断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態における駆動装置の駆動輪を示す断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 駆動装置
2 回転軸
3 ハンドル
4 モータ(原動機)
5 駆動輪
5b 内周面
5c,5d 凹部
8 半径方向孔
9 係合ボール
10 軸方向孔
11 押圧ボール
12 第1の押圧棒
13 圧縮ばね
14 第2の押圧棒
16 固定ノブ
17 センサ
21 容器
22 コンベヤ
38 ランプ
39 CCDカメラ
31 支持具
33 昇降用ねじ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被駆動体が接続される回転軸と、
前記回転軸に接続可能なハンドルと、
前記回転軸の外周部を囲むように設けられ、原動機により回転駆動される駆動輪と、
前記回転軸に形成された略半径方向に延びる半径方向孔に収容され、半径方向外側への移動により前記駆動輪の内周面に形成された凹部に係合可能な係合ボールと、
軸方向に沿った第1の方向への移動により前記係合ボールを半径方向内側から前記駆動輪に押圧する押圧部材と、
前記押圧部材を前記第1の方向に付勢する付勢手段と、
前記付勢手段に抗して前記押圧部材を前記第1の方向とは反対の第2の方向に押圧して、前記係合ボールと前記駆動輪との係合を解除する解除手段と、
を備えたことを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記付勢手段は、前記押圧部材を前記第1の方向に付勢するばねであることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
【請求項3】
前記駆動輪の凹部は非対称形状を有することを特徴とする請求項1または2に記載の駆動装置。
【請求項4】
前記押圧部材は、前記係合ボールに接触可能な押圧ボールを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項5】
前記解除手段は、前記回転軸に形成された軸方向に延びる軸方向孔に収容された押圧棒であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項6】
前記半径方向孔は複数個あることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項7】
前記係合ボールは複数個あることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項8】
前記押圧部材の位置を検知するセンサをさらに備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の駆動装置。
【請求項9】
容器を搬送するコンベヤと、
前記コンベヤにより搬送される容器を照明するランプと、
前記ランプにより照明した容器からの光を撮影するカメラと、
前記ランプおよび前記カメラを支持する支持具と、
前記支持具を昇降させる昇降用ねじと、
前記昇降用ねじを被駆動体として回転させる請求項1から8のいずれか一項に記載の駆動装置と、
を備えたことを特徴とする容器検査装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2007−263141(P2007−263141A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−85177(P2006−85177)
【出願日】平成18年3月27日(2006.3.27)
【出願人】(390014661)キリンテクノシステム株式会社 (126)
【Fターム(参考)】