説明

駐車制御システム、及び、駐車制御方法

【課題】複数のカメラから得た車外画像に基づいて駐車枠を認識するときに、その認識の確度が大きい駐車枠に基づいて車両を駐車枠内へ適切に駐車させる駐車制御の技術を提供する。
【解決手段】駐車制御システムは、複数のカメラから得た車外画像に基づいて駐車枠を認識する。そして、駐車制御システムは、認識した複数の駐車枠のうち最も認識の確度が大きい駐車枠に基づいて車両の駐車制御を実行する。このため、車両を駐車枠内へ適切に駐車させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の挙動を制御する駐車制御を行って駐車枠内へ車両を駐車させる駐車制御システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、駐車枠内へ車両を駐車させる駐車制御システムが開発されている。
【0003】
より詳しく説明すると、車両に備わるカメラが撮影した車外画像に基づいて駐車枠の位置を認識し、現在位置から認識した駐車枠の位置へ誘導するルートを駐車制御システムが導出する。そして、駐車制御システムは導出したルートを辿るように車両を制御して駐車枠内へ駐車させる。
【0004】
これにより、ユーザは車両を駐車枠内へ簡単に駐車させることができる。このような技術は、例えば、特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−195224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、車外画像に基づいて駐車枠を認識する確度が小さい場合は、車両を駐車枠へ適切に駐車させることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、認識する確度が大きい駐車枠に基づいて車両を駐車枠内へ適切に駐車させる駐車制御の技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、車両に搭載され、前記車両の挙動を制御する駐車制御を行って駐車枠内へ前記車両を駐車させる駐車制御システムであって、前記車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像を取得する取得手段と、前記複数の車外画像に含まれる前記駐車枠の像を認識する認識手段と、前記複数の車外画像それぞれで認識された前記駐車枠の像のうち認識の確度が最も大きい前記駐車枠の像を選択する選択手段と、選択された前記駐車枠の像に基づいて前記駐車制御を実行する制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の駐車制御システムにおいて、前記認識手段は、前記車外画像の前記駐車枠の像のエッジを検出し、前記選択手段は、前記エッジに基づいて前記認識の確度を求めることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3の発明は、請求項1または2に記載の駐車制御システムにおいて、前記複数のカメラは、前記車両の側方を撮影するサイドカメラを含み、前記選択手段は、前記駐車制御により前記車両が曲線的に後進している場合は、前記サイドカメラが取得した前記車外画像に含まれる前記駐車枠の像を選択することを特徴とする。
【0011】
また、請求項4の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、前記複数のカメラは、前記車両の後方を撮影するリヤカメラを含み、前記選択手段は、前記駐車制御により前記車両の後進を開始させるときは、前記リヤカメラが取得した前記車外画像に含まれる前記駐車枠の像を選択することを特徴とする。
【0012】
また、請求項5の発明は、請求項1乃至4の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、前記駐車制御により前記車両の後進を開始させる前に、認識された前記駐車枠の像に基づいて仮想マップ上の前記車両の後進開始位置と前記駐車枠の位置とを導出する第1導出手段と、導出された前記後進開始位置と前記駐車枠の位置とに基づいて前記車両を前記駐車枠内へと誘導する前記仮想マップ上のルートを導出する第2導出手段と、前記駐車制御により前記車両の後進を開始させた後に、認識された前記駐車枠の像に基づいて前記仮想マップ上の前記車両の現在位置を判定する判定手段と、を備え、前記制御手段は、前記現在位置が前記ルートと一致するように前記車両の挙動を制御することを特徴とする。
【0013】
また、請求項6の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、前記複数のカメラのレンズは魚眼レンズであることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7の発明は、請求項1乃至6の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、前記複数の車外画像に基づいて前記車両の周辺を仮想視点からみた合成画像を生成する生成手段と、前記駐車制御の実行中に、前記合成画像を表示する表示手段と、を更に備えたことを特徴とする。
【0015】
また、請求項8の発明は、車両の挙動を制御する駐車制御を行って駐車枠内へ前記車両を駐車させる駐車制御方法であって、(a)前記車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像を取得する工程と、(b)前記複数の車外画像に含まれる前記駐車枠の像を認識する工程と、(c)前記複数の車外画像それぞれで認識された前記駐車枠の像のうち認識の確度が最も大きい前記駐車枠の像を選択する工程と、(d)選択された前記駐車枠の像に基づいて前記駐車制御を実行する工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項9の発明は、画像を処理する画像処理装置であって、車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像を取得する取得手段と、前記複数の車外画像に含まれる前記駐車枠の像を認識する認識手段と、前記複数の車外画像それぞれで認識された前記駐車枠の像のうち認識の確度が最も大きい前記を選択する選択手段と、前記選択された前記駐車枠の像に基づく情報を、前記車両の挙動を制御して駐車枠内へ前記車両を駐車させる駐車制御装置に出力する出力手段と、を備えることを特徴とする画像処理装置。
【発明の効果】
【0017】
請求項1ないし9の発明によれば、複数の駐車枠のうち最も認識の確度が大きい駐車枠に基づいて車両の駐車制御を実行するため、車両を駐車枠内へ適切に駐車させることができる。
【0018】
また、請求項2の発明によれば、車外画像の前記駐車枠の像のエッジによって駐車枠の像の認識する確度を求めるため、複数の駐車枠のうちから駐車制御に適切な駐車枠を選択することができる。
【0019】
また、請求項3の発明によれば、駐車制御により車両が曲線的に後進している場合は、サイドカメラが取得した車外画像に含まれる駐車枠の像を選択するため、複数の駐車枠の像のうち認識の確度が最も良い駐車枠の像に基づいて駐車制御を実行できる。
【0020】
また、請求項4の発明によれば、駐車制御により車両の後進を開始させるときは、リヤカメラが撮影する車外画像に含まれる駐車枠の像を選択するため、複数の駐車枠の像のうち認識の確度が最も良い駐車枠の像に基づいて駐車制御を実行できる。
【0021】
また、請求項5の発明によれば、駐車枠の像に基づいて判定した現在位置が、駐車枠の像に基づいて導出したルートと一致するように車両を駐車制御するため、車両の現在位置が駐車制御の途中でルートから外れても復帰させることができる。
【0022】
また、請求項6の発明によれば、複数のカメラのレンズを魚眼レンズとすることで、比較的広い範囲の車外を撮影できる。結果、車外画像において駐車枠の像をしっかり捉えることができる。
【0023】
また、請求項7の発明によれば、複数のカメラが撮影する車外画像は、車両を仮想視点からみた合成画像を生成するために用いられ、かつ、駐車制御する機能にも用いられるため、同じカメラが撮影した車外画像を有効に活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、駐車制御システムブロックを示す図である。
【図2】図2は、車両を示す図である。
【図3】図3は、車両を示す図である。
【図4】図4は、車両及び車外画像を示す図である。
【図5】図5は、車外画像を合成する処理を説明する図である。
【図6】図6は、車庫入れ駐車制御を説明する図である。
【図7】図7は、車外画像を示す図である。
【図8】図8は、車庫入れ駐車制御を説明する図である。
【図9】図9は、車外画像を示す図である。
【図10】図10は、車外画像を示す図である。
【図11】図11は、車外画像を示す図である。
【図12】図12は、車外画像を示す図である。
【図13】図13は、制御フローを示す図である。
【図14】図14は、制御フローを示す図である。
【図15】図15は、制御フローを示す図である。
【図16】図16は、車外画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
【0026】
<第1の実施の形態>
図1は、第1の実施の形態の駐車制御システムSYの構成を示す図である。この駐車制御システムSYは車両1に搭載され、車両1の挙動を制御する駐車制御行って駐車枠内へ車両1を駐車させる。
【0027】
より具体的に説明すると、駐車制御システムSYは、車両1に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像を取得する。そして、駐車制御システムSYは、複数の車外画像に含まれる駐車枠の像を認識する。そして、駐車制御システムSYは、複数の車外画像それぞれで認識された駐車枠の像のうち認識の確度が最も大きい駐車枠の像を選択する。そして、駐車制御システムSYは、選択された駐車枠の像に基づいて駐車制御を実行する。
【0028】
(駐車制御システムの構成)
この駐車制御システムSYが発揮するその機能を説明するために、まず、駐車制御システムSYの構成を図1に基づいて説明する。
【0029】
駐車制御システムSYは、画像処理装置2、ディスプレイ12、及び、駐車制御装置13などを備える。
【0030】
画像処理装置2は、フロントカメラ3、左サイドカメラ4、右サイドカメラ5、リヤカメラ6(以降において、カメラ3〜6という)、車速センサ7、操舵角センサ8、駐車制御装置13、及び、ディスプレイ12などとケーブルによって電気的に接続される。
【0031】
駐車制御装置13は、画像処理装置2、エンジン制御装置9、操舵装置10、及び、ブレーキ装置11などとケーブルによって電気的に接続される。
【0032】
フロントカメラ3は、図2に示すように車両1の前端にあるナンバープレート取付位置の近傍に設けられ、その光軸は車両1の直進方向へ向けられている。
【0033】
右サイドカメラ5は、図2に示すように右サイドミラーに設けられており、その光軸は車両1の直進方向を基準にした右方向に沿って外部へ向けられている。
【0034】
左サイドカメラ4は、図2に示すように左サイドミラーに設けられており、その光軸は車両1の直進方向を基準にした左方向に沿って外部へ向けられている。
【0035】
リヤカメラ6は、図2に示すように車両1の後端にあるナンバープレート取付位置の近傍に設けられ、その光軸は車両1の直進方向の逆方向へ向けられている。
【0036】
なお、フロントカメラ3やリヤカメラ6の取り付け位置は、左右略中央であることが望ましいが、左右中央から左右方向に多少ずれた位置であってもよい。
【0037】
カメラ3〜6のレンズとしては魚眼レンズが採用されており、カメラ3〜6は180度以上の画角を有している。このため、これら4つの撮像部を利用することで、図3に示すように、車両1の全周囲をカバーする領域H1〜H4の撮影が可能となっている。
【0038】
車速センサ7は、車両1が移動した際に車輪が回転する速度を車速信号として画像処理装置2へ出力する。車速センサ7は、車両1のエンジンルーム内に設置される。
【0039】
操舵角センサ8は、車両1に備わるステアリングがユーザにより操舵された際の角度を操舵角度信号として画像処理装置2へ出力する。操舵角センサ8は、ステアリングの回転軸近傍に設置される。
【0040】
画像処理装置2は、取得部20、画像処理部21、制御部22、及び、出力部23などを備える。
【0041】
取得部20は、例えば、インターフェースであり、カメラ3〜6が撮影した車外画像、車速センサ7が出力する車速信号、及び、操舵角センサ8が出力する操舵角信号などを取得する。
【0042】
画像処理部21は、認識部30、選択部31、生成部32、及び、表示部33などを備える。画像処理部21は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェア回路である。
【0043】
認識部30は、カメラ3〜6により撮影された複数の車外画像に含まれる駐車枠の像を認識する処理を実行する。認識部30が実行するこの認識処理の詳細については後述する。
【0044】
選択部31は、複数の車外画像それぞれで認識された駐車枠の像のうち認識する確度が最も大きい駐車枠の像を選択する処理を実行する。選択部31が実行するこの選択処理の詳細については後述する。
【0045】
生成部32は、カメラ3〜6が撮影して得た複数の車外画像に基づいて、仮想視点から見た車両1及び車両の周辺の様子を示す合成画像を生成する。生成部32が実行するこの生成処理の詳細については後述する。
【0046】
表示部33は、駐車制御の実行中に生成された合成画像をディスプレイ12へ表示させる処理を実行する。表示部33が実行するこの表示処理の詳細については後述する。
【0047】
制御部22は、例えば、CPU、ROM、及び、RAMなどを備えるマイクロコンピュータである。CPUは、ROMに記憶された種々のプログラムに従って演算処理を行うことで種々の機能を実現させる。この制御部22は、種々の機能のうち一部の機能を実現する導出部34及び判定部35などを備える。
【0048】
導出部34は、駐車制御により車両1の後進を開始させる前に、認識された駐車枠の像に基づいて仮想マップ上の車両1の後進開始位置と駐車枠の位置とを導出する。また、導出部34は、導出した後進開始位置と駐車枠の位置とに基づいて車両1を駐車枠内へと誘導する仮想マップ上のルートを導出する。導出部34が実行するこの導出処理の詳細については後述する。
【0049】
判定部35は、駐車制御により車両1の後進を開始させた後に、認識された駐車枠の像に基づいて仮想マップ上の車両1の現在位置を判定する。判定部35が実行するこの判定処理の詳細については後述する。
【0050】
出力部23は、例えば、インターフェースであり、画像処理部21が備える生成部32によって生成された合成画像をディスプレイ12へ出力する。更に、出力部23は、画像処理部31が備える選択部31によって選択された駐車枠の像に基づく情報を駐車制御装置13へ出力する。
【0051】
駐車制御装置13は、例えば、マイクロコンピュータなどの電子部品が実装された電子基板などを収めた箱体である。この駐車制御装置13は、駐車制御部36などを備える。
【0052】
駐車制御部36は、エンジン制御装置9、操舵装置10、及び、ブレーキ装置11などと協働して車両1の加減速、方向の変更、及び、停止などの車両1の挙動を制御して駐車位置へ車両1を駐車させる。
【0053】
つまり、駐車制御部36は、選択された駐車枠の像に基づく情報を画像処理装置2から取得する。そして、駐車制御部36は、取得した駐車枠の像に基づく情報によって駐車制御する際に利用する仮想マップを生成する。そして、駐車制御部36は、生成した仮想マップ上の車両1の現在位置が仮想マップ上のルートと一致するように車両1を走行させて駐車枠内へ駐車させる駐車制御を実行する。
【0054】
<生成処理>
次に、生成部32が実行する生成処理について詳細に説明する。
【0055】
画像処理装置2が備える取得部20は、カメラ3〜6が撮影した、図4に示すような、車外画像Z1〜Z4をカメラ3〜6より取得する。取得部20は、取得した車外画像Z1〜Z4を画像処理部21へ出力する。
【0056】
画像処理部21は、入力した車外画像Z1〜Z4を図示しない揮発性記憶部へ記憶する。
【0057】
画像処理部21が備える生成部32は、図示しない揮発性記憶部に記憶された、車外画像Z1〜Z4を、図5に示すような、仮想的な三次元空間における立体曲面Pに投影する。立体曲面Pは、例えば略半球状(お椀形状)をしており、その中心部分(お椀の底部分)が車両1が存在する位置として定められている。車外画像Z1〜Z4に含まれる各画素の位置と、この立体曲面Pの各画素の位置とは予め対応関係が定められている。このため、立体曲面Pの各画素の値は、この対応関係と車外画像Z1〜Z4に含まれる各画素の値とに基づいて決定される。
【0058】
車外画像Z1〜Z4の各画素の位置と立体曲面Pの各画素の位置との対応関係は、車両1における4つのカメラ、即ち、カメラ3〜6の配置(相互間距離、地上高さ、光軸角度等)に依存する。このため、この対応関係を示すテーブルデータが、図示しない不揮発性記憶部に記憶された車種別データに含まれている。
【0059】
また、車種別データに含まれる車体の形状やサイズを示すポリゴンデータが利用され、車両1の三次元形状を示すポリゴンモデルである車両像が仮想的に構成される。構成された車両像は、立体曲面Pが設定される三次元空間において、車両1の位置と定められた略半球状の中心部分に配置される。
【0060】
さらに、立体曲面Pが存在する三次元空間に対して、生成部32により仮想視点AGLが設定される。仮想視点AGLは、視点位置と視野方向とで規定され、この三次元空間における車両1の周辺に相当する任意の視点位置に任意の視野方向に向けて設定される。
【0061】
そして、設定された仮想視点AGLに応じて、立体曲面Pにおける必要な領域が画像として切り出される。仮想視点AGLと、立体曲面Pにおける必要な領域との関係は予め定められており、テーブルデータとして図示しない不揮発性記憶部等に予め記憶されている。一方で、設定された仮想視点AGLに応じてポリゴンのモデルに関してレンダリングがなされ、その結果となる二次元の車両1の像が、切り出された画像に対して重畳される。これにより、車両1及びその車両1の周辺を任意の仮想視点AGLからみた様子を示す合成画像が生成されることになる。
【0062】
例えば、視点位置が車両1の位置の略中央の直上で、視野方向が直下方向とした仮想視点AGL1を設定した場合は、車両1の略直上から車両1を見下ろすように、車両1及び車両1の周辺の領域を示す合成画像G1が生成される。また、図中に示すように、視点位置が車両1の位置の左後方で、視野方向が車両1における略前方方向とした仮想視点AGL2を設定した場合は、車両1の左後方からその周辺全体を見渡すように、車両1及び車両1の周辺の領域を示す合成画像G2が生成される。
【0063】
なお、実際に合成画像を生成する場合においては、立体曲面Pの全ての画素の値を決定する必要はなく、設定された仮想視点AGLに対応して必要となる領域の画素の値のみを車外画像Z1〜Z4に基づいて決定することで、処理速度を向上できる。
【0064】
画像処理装置2では、このような生成部32の機能を利用することで、車両1の周辺の任意の視点からみた合成画像を生成して、ディスプレイ12へ生成した合成画像を表示させることができる。
【0065】
<表示処理>
次に、表示部33が実行する表示処理について詳細に説明する。
【0066】
表示部33は、駐車制御の実行中に生成された合成画像をディスプレイ12へ表示させる処理を実行する。このため、車両1が駐車内へ駐車される様子をユーザはディスプレイ12において見ることができる。
【0067】
<認識処理>
次に、認識部30が実行する認識処理について詳細に説明する。認識部30は、カメラ3〜6により所定の周期(例えば、100ms)ごとに得られた複数の車外画像に含まれる駐車枠の像を認識する。
【0068】
なお、駐車枠の像は、少なくとも、車両1が駐車された際に車両1の両側の近傍に位置するサイドラインを備える。サイドラインL1、2は、例えば、図6などに示すような長細いU字型の白線である。
【0069】
認識部30による複数の車外画像に含まれる駐車枠の像の認識は、車外画像の駐車枠の像のエッジを検出することによって実行される。つまり、認識部30は、取得した車外画像に基づいたモノクロ画像に対してエッジ検出処理を実行する。認識部30は、検出したエッジにより把握される対象物の像の長さや太さなどに基づいて駐車枠の像を認識する。
【0070】
<駐車方法>
ここで、駐車制御システムSYが実行する駐車制御の駐車方法について説明する。駐車制御システムSYが実行する駐車方法は、所謂、「車庫入れ駐車」である。駐車制御システムSYが実行する「車庫入れ駐車」は次のような手順により実行される。
【0071】
初めに、図6に示すような駐車場において、車両1が初期位置P1で、その駐車を開始させる指示をユーザから受け付けたときに、駐車制御システムSYは車両1を、初期位置P1から途中位置P2を通過させて後進開始位置P3へと前進させる。そして、駐車制御システムSYは車両1を後進開始位置P3で一旦停車させる。そして、駐車制御システムSYは車両1を後進開始位置P3から後進させて駐車枠内の駐車位置PPで停車させる。
【0072】
以降、この「車庫入れ駐車」の制御を「車庫入れ駐車制御」という。
【0073】
<導出処理>
まず、導出部34が実行する導出処理の詳細について説明する。導出処理は基本導出処理、第1導出処理、及び、第2導出処理とを含む。
【0074】
<基本導出処理>
初めに、導出部34が実行する基本導出処理の詳細について説明する。「車庫入れ駐車制御」が実行されることによって車両1が図6に示す初期位置P1から後進開始位置P3まで移動する際に、認識部30が複数の駐車枠の像を認識する。認識された複数の駐車枠に基づいて、複数の駐車枠が備えるサイドラインL1〜L5の、駐車枠の像の車両進入側の角位置ED1〜ED6を導出部34が導出する。
【0075】
この角位置ED1〜ED6は、サイドラインL1〜L5の縦の最端のエッジと横の最端のエッジとを夫々延長させた場合に交差する位置である。
【0076】
<第1導出処理>
次に、導出部34が実行する第1導出処理の詳細について説明する。駐車位置PPは、車両1が後進開始位置P3で一旦停車されたときにリヤカメラ6が撮影した図7に示すような車外画像に含まれる駐車枠の像に基づいて導出される。
【0077】
つまり、車両1が後進開始位置P3で一旦停車されたときのリヤカメラ6が撮影した車外画像の所定の領域D1に映る角位置ED1と角位置ED2との間を駐車位置PPとして導出部34が導出する。
【0078】
次に、「車庫入れ駐車制御」によって車両1を後進させる制御を開始する前に認識された駐車枠の像に基づいて図8に示すような仮想マップ上の車両1の後進開始位置P3と、角位置ED1、ED2とを導出部34が導出する。角位置ED1、ED2とは、後進開始位置P3との仮想マップ上の相対的な位置である。なお、この場合において、仮想マップ上の後進開始位置P3に車両1の基準点BPが位置する。基準点BPは、車両1に相対的に固定される点であって、仮想マップ上の車両1の位置を示す点である。
【0079】
この仮想マップは、車両1を仮想の視点から俯瞰した際のXY座標によって定義される。この仮想マップにおいて、車両1の後進開始位置P3はXY座標の原点(X=0、Y=0)に設定される。従って、仮想マップ上の車両1の基準点BPはXY座標の原点に位置する。更に、導出された角位置ED1、ED2がXY座標における適切な位置に設定される。
【0080】
<第2導出処理>
次に、導出部34が実行する第2導出処理の詳細について説明する。導出した後進開始位置P3と駐車位置PPとに基づいて車両1を駐車枠内へと誘導する仮想マップ上のルートRを導出部34が導出する。
【0081】
仮想マップ上のルートRは、後進開始位置P3から駐車位置PPへ車両1を最短で誘導できるように考慮されて導出される。更に、仮想マップ上のルートRは、車両1を誘導する際に駐車枠のサイドラインL1、2の外側に存在するかもしれない物体(例えば、他の駐車車両)と車両1とが接触しないように考慮されて導出される。
【0082】
<選択処理>
次に、選択部31が実行する選択処理について詳細に説明する。車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像それぞれに基づいて認識部30が認識した駐車枠の像のうち認識される確度が最も大きい駐車枠の像を選択部31が選択する。
【0083】
認識される確度は、例えば、認識部30が検出したエッジにより把握される対象物の像の長さや太さなどが駐車枠の像の長さや太さであるとする場合の確からしさの程度である。その確からしさが比較的大きいとは、例えば、車外画像の中央よりも下方の領域において、エッジの長さが途切れることなく比較的長い場合や、エッジの太さが比較的太い場合である。なお、その確度とは駐車枠の像を検出する精度とも考えられる。
【0084】
例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P4に位置する場合においては、図9に示す右サイドカメラ5が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度が、左サイドカメラ4及びリヤカメラ6が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度よりも大きいときは、右サイドカメラ5に基づく駐車枠の像が選択部31によって選択される。
【0085】
また、例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P5に位置する場合においては、図10に示す右サイドカメラ5が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度が、左サイドカメラ4及びリヤカメラ6が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度よりも大きいときは、右サイドカメラ5に基づく駐車枠の像が選択部31によって選択される。
【0086】
また、例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P6に位置する場合において、図11に示すリヤカメラ6が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度が、左サイドカメラ4及び右サイドカメラ5が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度よりも大きいときは、リヤカメラ6に基づく駐車枠の像が選択部31によって選択される。
【0087】
また、例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P7に位置する場合において、図12に示すリヤカメラ6が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度が、左サイドカメラ4及び右サイドカメラ5が撮影した車外画像に基づいて認識された駐車枠の像の認識する確度よりも大きいときは、リヤカメラ6に基づく駐車枠の像が選択部31によって選択される。
【0088】
<判定処理>
次に、判定部35が実行する判定処理について詳細に説明する。
【0089】
判定部35は、「車庫入れ駐車制御」によって車両1を後進させる制御を開始した後に、認識された駐車枠の像に基づいて仮想マップ上の車両1の現在の基準点BP、即ち、車両1の現在位置を判定する。
【0090】
具体的には、まず、後進開始位置P3から駐車位置PPへと車両1が移動する途中に、所定の周期(例えば、120ms)で選択部31によって選択された駐車枠の像の角位置ED1、ED2と車両1の基準点BPとの仮想マップ上の相対的な位置を判定部35が判定する。
【0091】
そして、既に、把握されている車両1の後進開始位置P3と角位置ED1、ED2との仮想マップ上の相対的な位置(以降、初期の相対位置という)とその相対的な位置(以降、現在の相対位置という)とに基づいて仮想マップ上の車両1の基準点BPの位置を判定する。つまり、車両1が「車庫入れ駐車制御」により車両1を後進させる制御を開始した時から所定の周期で仮想マップ上の車両1の現在位置を判定部35が判定する。
【0092】
例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P4に位置する場合は、右サイドカメラ5が撮影した図9に示す車外画像に基づいて認識された駐車枠の像が選択部31によって選択されたときに、その駐車枠の像の角位置ED1と車外画像に映る車両1の像から想定される基準点BPとの仮想マップ上の現在の相対位置を判定部35が判定する。そして、初期の相対位置と現在の相対位置とに基づいて車両1の現在位置を判定部35が判定する。
【0093】
また、例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P5に位置する場合は、右サイドカメラ5が撮影した図10に示す車外画像に基づいて認識された駐車枠の像が選択部31によって選択されたときに、その駐車枠の像の角位置ED1と車外画像に映る車両1の像から想定される基準点BPとの仮想マップ上の相対的な位置を判定部35が判定する。そして、初期の相対位置と現在の相対位置とに基づいて車両1の現在位置を判定部35が判定する。
【0094】
また、例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P6に位置する場合は、リヤカメラ6が撮影した図11に示す車外画像に基づいて認識された駐車枠の像が選択部31によって選択されたときに、その駐車枠の像の角位置ED2と車外画像に映る車両1の像から想定される基準点BPとの仮想マップ上の相対的な位置を判定部35が判定する。そして、初期の相対位置と現在の相対位置とに基づいて車両1の現在位置を判定部35が判定する。
【0095】
また、例えば、車両1の基準点BPが図8に示す途中位置P7に位置する場合は、リヤカメラ6が撮影した図12に示す車外画像に基づいて認識された駐車枠の像が選択部31によって選択された場合に、その駐車枠の像の角位置ED1と対向する角位置ED1Xと車外画像に映る車両1の像から想定される基準点BPとの仮想マップ上の相対的な位置を判定部35が判定する。そして、初期の相対位置と現在の相対位置とに基づいて車両1の現在位置を判定部35が判定する。
【0096】
この場合は、導出部34によって導出された、駐車枠が備えるサイドラインL1、2の、駐車枠の像の車両進入側とは反対側の角位置ED1X、ED2Xに基づいてその判定がされる。その理由は、リヤカメラが撮影した車外画像に基づいて角位置を認識したほうが他のカメラが撮影した車外画像に基づいて認識された角位置よりも、その認識する確度が高いからである。
【0097】
なお、魚眼レンズを備えるカメラ3〜6が撮影する車外画像は歪んでいるため、その歪みを考慮して車両1の現在の相対位置が判定される。
【0098】
<駐車制御処理>
次に、駐車制御部36が実行する駐車制御処理について詳細に説明する。駐車制御処理は、第1駐車制御処理、及び、第2駐車制御処理とを含む。なお、この駐車制御処理は前述した「車庫入れ駐車制御」である。
【0099】
<第1駐車制御処理>
初めに、第1駐車制御処理の詳細について説明する。
【0100】
「車庫入れ駐車制御」を開始させる指示をユーザから受け付けたときに、駐車制御部36は、図6に示す初期位置P1から並列に位置する複数の駐車枠と並行して走行するように車両1を制御する。
【0101】
車両1がその走行をしている際に、ユーザから駐車させたい駐車枠を選択する操作を受け付けたときに、駐車制御部36は、選択された駐車枠の車両の進入側へ車両1の後部を向けて車両1を停車させる。かつ、そのときは、駐車制御部36は、車両1の前後方向と駐車枠の長辺方向とが所定の角度(例えば、25度)になるようにして車両1を停車させる。つまり、駐車制御部36が図8に示すような位置関係で車両1を後進開始位置P3に停車させる。
【0102】
<第2駐車制御処理>
次に、第2駐車制御処理について説明する。
【0103】
駐車制御部36は、仮想マップ上の車両1の現在位置が仮想マップ上のルートRと一致するように車両1を走行させて駐車枠内へ駐車させる駐車制御を実行する。
【0104】
仮想マップ上の車両1の現在位置が仮想マップ上のルートRを辿るための車両1の制御量を、後進開始位置P3において決めて、その制御量で「車庫入れ駐車制御」を実行、即ち、オープンループ制御を実行したとする。この場合に、車両1の走行時に車両1に備わるタイヤがスリップすると、仮想マップ上のルートRから車両1の現在位置が外れてしまって車両1を駐車位置PPへ適切に駐車させることができない虞がある。
【0105】
従って、リアルタイムに取得した仮想マップ上の車両1の現在位置が仮想マップ上のルートRと一致するように車両1を走行させて駐車枠内へ駐車させる駐車制御を実行、即ち、フィードバック制御を実行する。このため、仮想マップ上のルートRから車両1の現在位置が外れることがあってもそのルートRへ復帰させることができる。結果、車両1を駐車位置PPへ適切に駐車させることができる。
【0106】
<制御フロー>
次に、駐車制御システムSYが実行する制御フローについて説明する。
【0107】
駐車制御システムSYは、ユーザにより車両1のシステムが起動されて、「車庫入れ駐車制御」を実行するボタンが操作された場合に、図13に示す第1制御フローを所定の周期(以降、第1の周期という)で実行する。また、駐車制御システムSYは、その場合に図14に示す第2制御フローを第1の周期よりも長い周期(以降、第2の周期という)で実行する。また、駐車制御システムSYは、その場合に図15に示す第3制御フローを第2の周期よりも長い周期(以降、第3の周期という)で実行する
なお、第1の周期は、例えば、25msであり、第2の周期は、例えば、33msであり、第3の周期は38msである。
【0108】
(第1制御フロー)
駐車制御部36は、第1の周期ごとに図13に示す第1制御フローのステップSA1の処理を実行する。
【0109】
まず、生成部32は、駐車制御が開始されたか否かを判定する(ステップSA1)。具体的には、駐車制御の開始は、ユーザの操作に応答して「車庫入れ駐車制御」を駐車制御部36が実行する際の信号を検知して、生成部32がその制御が開始されたか否かを判定する。
【0110】
次に、生成部32は前述した生成処理を実行する(ステップSA2)。これにより、生成部32は車両1を仮想的に俯瞰した合成画像を生成する。
【0111】
次に、表示部33は前述した表示処理を実行する(ステップSA3)。これにより、表示部33はその合成画像をディスプレイ12へ表示する。
【0112】
次に、駐車制御システムSYは図13に示す第1制御フローを終了する。
【0113】
つまり、駐車制御システムSYは、ユーザの操作に応答して「車庫入れ駐車制御」を実行するため、「車庫入れ駐車制御」を実行中にディスプレイ12へ時間的に生成された合成画像をリアルタイムに表示する。
【0114】
このため、駐車制御システムSYは、ディスプレイ12において「車庫入れ駐車制御」がされる車両1の動きを動画でリアルタイムに表示させることができる。結果、ユーザは車庫入れ駐車制御がされる車両1をリアルタイムに見ることができる。
【0115】
(第2制御フロー)
駐車制御システムSYは、第2の周期ごとに図14に示す第2制御フローのステップSB1の処理を実行する。
【0116】
まず、取得部20は、カメラ3〜6が撮影したそれぞれの車外画像を取得する(ステップSB1)。そして、取得部20は、画像処理部21へ複数の車外画像を送信する。
【0117】
次に、認識部30は、前述した認識処理を実行する(ステップSB2)。これにより、複数の車外画像に含まれる駐車枠の像を認識する。
【0118】
次に、選択部31は、前述した選択処理を実行する(ステップSB3)。これにより、複数の車外画像それぞれで認識された駐車枠の像のうち認識する確度が最も大きい駐車枠の像を選択する。
【0119】
従って、駐車制御システムSYは、認識する確度が最も大きい駐車枠の像に基づいて、後述する第3の制御フローで実行する第2駐車制御を実行するため、車両1を駐車位置PPへ適切に駐車させることができる。
【0120】
(第3制御フロー)
駐車制御システムSYは、第3の周期ごとに図15に示す第3制御フローのステップSC1の処理を実行する。
【0121】
まず、駐車制御部36は、車両1が図6に示す後進開始位置P3から駐車位置PPへ後進して駐車させる制御を開始するか否かを判定する(ステップSC1)。
【0122】
車両1を後進させて駐車させる制御を開始すると判定されない場合(ステップSC1においてNOの場合)は、駐車制御部36は、前述した第1駐車制御処理を実行する(ステップSC2)。つまり、駐車制御部36が図6に示す初期位置P1から、並列に位置する複数の駐車枠と並行して走行するように車両1を制御する。
【0123】
次に、導出部34は、前述した基本導出処理を実行する(ステップSC3)。つまり、車両1が図6に示す初期位置P1から後進開始位置P3まで移動する際に、認識部30が複数の駐車枠の像を認識する。
【0124】
次に、第3制御フローを終了する。
【0125】
そして、駐車制御システムSYは、次の周期に第3制御フローのステップSC1の処理を実行する。
【0126】
車両1を後進させて駐車させる制御を開始すると判定された場合(ステップSC1においてYESの場合)に、車両1を後進させて駐車させる制御を実施中ではないと駐車制御部36によって判定されたとき(ステップSC4においてNOのとき)は、前述した第1導出処理を導出部34が実行する(ステップSC5)。
【0127】
なお、車両1を後進させて駐車させる制御を開始し、かつ、車両1を後進させて駐車させる制御を実施中ではない場合とは、車両1を後進させて駐車させる制御を実施する直前の状態である。
【0128】
次に、導出部34が、前述した第2導出処理を実行する(ステップSC6)。つまり、導出した後進開始位置P3と駐車枠の位置とに基づいて車両1を駐車枠内へと誘導する仮想マップ上のルートRを導出部34が導出する。
【0129】
次に、第3制御フローを終了する。
【0130】
そして、駐車制御システムSYは、次の周期に第3制御フローのステップSC1の処理を実行する。
【0131】
車両1を後進させて駐車させる制御を開始すると判定された場合(ステップSC1においてYESの場合)に、車両1を後進させて駐車させる制御を実施中であると駐車制御部36によって判定されたとき(ステップSC4においてYESのとき)は、前述した判定処理を判定部35が実行する(ステップSC7)。つまり、「車庫入れ駐車制御」によって車両1を後進させる制御が開始された後に、認識された駐車枠の像に基づいて仮想マップ上の車両1の現在位置を判定部35が判定する。
【0132】
次に、駐車制御部36が、前述した第2駐車制御処理を実行する(ステップSC8)。つまり、仮想マップ上の車両1の現在位置が仮想マップ上のルートRと一致するように前記車両の挙動を制御する。
【0133】
次に、第3制御フローを終了する。
【0134】
つまり、仮想マップ上の車両1の現在位置が仮想マップ上のルートRと一致するように車両1を走行させて駐車枠内へ駐車させる駐車制御を実行する、即ち、フィードバック制御を実行することによって、仮想マップ上のルートRから車両1の現在位置が外れることがあっても、そのルートRへ復帰させることができる。結果、車両1を駐車位置PPへ適切に駐車させることができる。
【0135】
更に、駐車制御システムSYは、前述した第2の制御フローで実行した認識処理、及び、選択処理によって選択された認識する確度が最も大きい駐車枠の像に基づいて第2駐車制御を実行するため、車両1を駐車位置PPへ精度良く駐車させることができる。
【0136】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、以降の説明においては、第1の実施の形態と第2の実施の形態とにおいて相違する点を主に説明する。
【0137】
第1の実施の形態の選択処理は、「車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像それぞれに基づいて認識部30が認識した駐車枠の像のうち認識される確度が最も大きい駐車枠の像を選択部31が選択する」と説明したが、第2の実施の形態の選択処理は、車庫入れ駐車制御により車両1が曲線的に後進している場合は、サイドカメラが取得した車外画像に含まれる駐車枠の像を選択部31が選択する。
【0138】
その選択処理の詳細を説明する。
【0139】
駐車制御部36が実行する第1駐車制御処理によって、図8に示すように、車両1は後進開始位置P3において一旦停車される。車両1が停車する方向は、駐車枠の車両の進入側へ車両1の後部が向く。かつ、その方向は、車両1の前後方向と駐車枠の長辺方向とが所定の角度(例えば、25度)になるように向く。
【0140】
このため、導出部34が実行する第2導出処理によって、導出される仮想マップ上のルートRは曲線になる。
【0141】
つまり、駐車制御部36が実行する第2駐車制御処理による車両1の後進は曲線的になる。
【0142】
すると、図8に示すように、仮想マップ上の車両1の現在位置が仮想マップ上のルートRと一致するように駐車制御部36が後進させる場合は、即ち、車両1を左方向へ曲線的に後進させる場合は、車両1の右サイドカメラ5が最も駐車枠と近くなる。
【0143】
結果、車両1が左方向へ曲線的に後進しているときは右サイドカメラ5が撮影した車外画像に含まれる駐車枠の認識する確度が、他のカメラが撮影した車外画像に含まれる駐車枠の認識する確度と比べて最も大きくなる傾向がある。
【0144】
従って、車庫入れ駐車制御により車両1が曲線的に後進している場合は、サイドカメラが取得した車外画像に含まれる駐車枠の像を選択部31が選択することによって、認識する確度が最も大きい駐車枠が選択される。結果、認識する確度が最も大きい駐車枠の像に基づいて、第2駐車制御が実行されるため、車両1を駐車位置PPへ適切に駐車させることができる。
【0145】
<第3の実施の形態>
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、以降の説明においては、第1の実施の形態と第3の実施の形態とにおいて相違する点を主に説明する。
【0146】
第1の実施の形態の選択処理は、「車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像それぞれに基づいて認識部30が認識した駐車枠の像のうち認識される確度が最も大きい駐車枠の像を選択部31が選択する」と説明した。
【0147】
第3の実施の形態ではその選択処理は省略され、車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像それぞれに基づいて認識部30が認識した複数の駐車枠の像の認識される確度を値化するとともに、その値を相対的な値(重み)にする算出処理を算出部が実行する。
【0148】
その確度は前述したように、「認識部30が検出したエッジにより把握される対象物の像の長さや太さなどが駐車枠の像の長さや太さであるとする場合の確からしさである。その確からしさが比較的大きいとは、例えば、車外画像の中央よりも下方の領域において、エッジの長さが途切れることなく比較的長い場合や、エッジの太さが比較的太い場合である」と説明した。
【0149】
このような基準に基づいてそれぞれの駐車枠の像の認識する確度を算出部が値化するとともに、夫々の値(重み)の合計が100となるように相対的な値とする。
【0150】
そして、導出部34は、夫々の角位置を夫々の値で重み付けして適切な角位置を導出する。
【0151】
例えば、サイドカメラ5が撮影した車外画像に含まれる駐車枠の像の仮想マップ上、即ち、XY座標上の角位置が、X=5、Y=5であり、リヤカメラ6が撮影した車外画像に含まれる駐車枠の像のXY座標上の角位置が、X=5、Y=8である。そして、前者の角位置の値(重み)が60であり、後者の角位置の値(重み)が40である。
【0152】
このような場合において、導出部34は夫々の角位置を夫々の値で重み付けした結果、X=5、Y=6.2からなる角位置を導出する。
【0153】
これにより、駐車制御システムSYは、適切に導出された駐車枠の像に基づいて駐車制御を実行できる。結果、駐車制御システムSYは、駐車位置へ車両1を適切に駐車させることができる。
【0154】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、この発明は上記実施の形態に限定されるものではなく様々な変形が可能である。以下では他の実施形態である変形例について説明する。もちろん、以下で説明する形態を適宜組み合わせても良い。
【0155】
<変形例1>
上記代表の実施の形態における、サイドラインは、「長細いU字型の白線である」と説明したが、図16に示すようなT字型の白線であっても良い。
【0156】
或いは、コの字型の白線であっても良い。或いは、I字型の白線であっても良い。
【0157】
その理由は、サイドラインの角位置を認識できる形状であるからである。従って、サイドラインの形状は、その角位置を認識できる形状であれば良くこれに限られない。
【符号の説明】
【0158】
1 車両
2 画像処理装置
3 フロントカメラ
4 左サイドカメラ
5 右サイドカメラ
6 リヤカメラ
13 駐車制御装置
20 取得部
21 画像処理部
22 制御部
23 出力部
30 認識部
31 選択部
32 生成部
33 表示部
34 導出部
35 判定部
36 駐車制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、前記車両の挙動を制御する駐車制御を行って駐車枠内へ前記車両を駐車させる駐車制御システムであって、
前記車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像を取得する取得手段と、
前記複数の車外画像に含まれる前記駐車枠の像を認識する認識手段と、
前記複数の車外画像それぞれで認識された前記駐車枠の像のうち認識の確度が最も大きい前記駐車枠の像を選択する選択手段と、
選択された前記駐車枠の像に基づいて前記駐車制御を実行する制御手段と、
を備えることを特徴とする駐車制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車制御システムにおいて、
前記認識手段は、前記車外画像の前記駐車枠の像のエッジを検出し、
前記選択手段は、前記エッジに基づいて前記認識の確度を求めることを特徴とする駐車制御システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の駐車制御システムにおいて、
前記複数のカメラは、前記車両の側方を撮影するサイドカメラを含み、
前記選択手段は、前記駐車制御により前記車両が曲線的に後進している場合は、前記サイドカメラが取得した前記車外画像に含まれる前記駐車枠の像を選択することを特徴とする駐車制御システム。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、
前記複数のカメラは、前記車両の後方を撮影するリヤカメラを含み、
前記選択手段は、前記駐車制御により前記車両の後進を開始させるときは、前記リヤカメラが取得した前記車外画像に含まれる前記駐車枠の像を選択することを特徴とする駐車制御システム。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、
前記駐車制御により前記車両の後進を開始させる前に、認識された前記駐車枠の像に基づいて仮想マップ上の前記車両の後進開始位置と前記駐車枠の位置とを導出する第1導出手段と、
導出された前記後進開始位置と前記駐車枠の位置とに基づいて前記車両を前記駐車枠内へと誘導する前記仮想マップ上のルートを導出する第2導出手段と、
前記駐車制御により前記車両の後進を開始させた後に、認識された前記駐車枠の像に基づいて前記仮想マップ上の前記車両の現在位置を判定する判定手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記現在位置が前記ルートと一致するように前記車両の挙動を制御することを特徴とする駐車制御システム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、
前記複数のカメラのレンズは魚眼レンズであることを特徴とする駐車制御システム。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の駐車制御システムにおいて、
前記複数の車外画像に基づいて前記車両の周辺を仮想視点からみた合成画像を生成する生成手段と、
前記駐車制御の実行中に、前記合成画像を表示する表示手段と、
を更に備えたことを特徴とする駐車制御システム。
【請求項8】
車両の挙動を制御する駐車制御を行って駐車枠内へ前記車両を駐車させる駐車制御方法であって、
(a)前記車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像を取得する工程と、
(b)前記複数の車外画像に含まれる前記駐車枠の像を認識する工程と、
(c)前記複数の車外画像それぞれで認識された前記駐車枠の像のうち認識の確度が最も大きい前記駐車枠の像を選択する工程と、
(d)選択された前記駐車枠の像に基づいて前記駐車制御を実行する工程と、
を備えることを特徴とする駐車制御方法。
【請求項9】
画像を処理する画像処理装置であって、
車両に搭載される複数のカメラにより得られた複数の車外画像を取得する取得手段と、
前記複数の車外画像に含まれる前記駐車枠の像を認識する認識手段と、
前記複数の車外画像それぞれで認識された前記駐車枠の像のうち認識の確度が最も大きい前記を選択する選択手段と、
前記選択された前記駐車枠の像に基づく情報を、前記車両の挙動を制御して駐車枠内へ前記車両を駐車させる駐車制御装置に出力する出力手段と、
を備えることを特徴とする画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−136206(P2012−136206A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291686(P2010−291686)
【出願日】平成22年12月28日(2010.12.28)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】