説明

駐車場緑化システム

【課題】灌水に要する手間やコストを充分に軽減することができる有効適切な駐車場緑化システムを提供する。
【解決手段】1台の車両が駐車する駐車スペース2を対象として該駐車スペース内の両側部に確保される車輪乗入部3の下部にその周辺への降雨を集水して貯留する貯水槽5をそれぞれ設置し、それら車輪乗入部の間を緑化対象の緑化部4とする。それら貯水槽の間の地盤表層部を土壌層8としてそこに植栽を行う。土壌層の下層側には水分を保有可能な導水シート6を敷設し、その両縁部をそれぞれ貯水槽内の貯留水中に浸漬することにより、貯水槽に貯留されている雨水を導水シートにより吸い上げて緑化部4の土壌層への給水を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は屋外に設けられる駐車場を植栽により緑化するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市部におけるヒートアイランド現象の緩和やアメニティ空間の創出等を目的として、駐車場を植栽により緑化することが試みられている。
駐車場を緑化するための有効適切な手法は未だ確立されていないが、たとえば特許文献1や特許文献2に示されるような埋設型植栽装置の適用が可能であると考えられる。これは、地盤を掘り下げて埋設したプレキャストコンクリート容器内に植栽容器を配置し、その植栽容器内に芝生等の植物を植栽したうえで、その上部をグレーチング蓋により覆うことによって、地上部を道路等として使用しつつその領域を緑化するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−46006号公報
【特許文献2】特開2007−135452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
駐車場を緑化する場合においては、車両や歩行者による植栽物への踏圧の影響を考慮する必要があるのみならず、植栽物への日常的かつ不断の灌水作業(水遣り)が必要であるのでそのための手間や設備が不可欠であり、それが管理面およびコスト面での解決すべき重要な課題である。
その点に関し、特許文献1や特許文献2に示される埋設型植栽装置はいずれもグレーチング蓋により植栽物を保護するものであるので踏圧による影響は回避できるものの、灌水については保水性の高いマットを用いることや灌水の必要性の少ない植物を植栽することで対処し得るに過ぎない。
【0005】
したがって、これら従来の埋設型植栽装置を単に駐車場に設置しても、植栽物への日常的な灌水作業が必要であってそのためのに多大の手間を要するものとなるし、またそのための何らかの灌水設備を別途備える必要もあるから、管理面およびコスト面での負担が大きくならざるを得ず、その点で駐車場を緑化する場合の課題を解決し得るものではなく広く普及するに至っていない。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は植栽への踏圧の影響を回避できることはもとより、灌水に要する手間やコストも充分に軽減することができる有効適切な駐車場緑化システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は屋外に設けられる駐車場を緑化するためのシステムであって、1台の車両が駐車する駐車スペースを対象として該駐車スペース内の両側部に確保される車輪乗入部の下部にその周辺への降雨を集水して貯留する貯水槽をそれぞれ設置し、前記両側の貯水槽の間を緑化対象の緑化部としてその表層部を土壌層として該土壌層に植栽を行うとともに、該土壌層の下層側には水分を保有可能な導水シートを敷設して、該導水シートの両縁部をそれぞれ前記貯水槽内の貯留水中に浸漬することにより、前記貯水槽に貯留されている雨水を前記導水シートにより吸い上げて該導水シートにより前記緑化部の土壌層への給水を行う構成としたことを特徴とする。
【0008】
本発明においては、前記貯水槽を、上部が開放されたU断面の溝形の容器本体と、該容器本体の上部に装着されて車両が乗り入れ可能かつ車両重量を支持可能な蓋体とにより構成し、前記導水シートの縁部に、前記容器本体と前記蓋体との間に挟持されて前記貯水槽内の上部に保持される保持部を形成するとともに、該保持部の下面側に貯留水中に浸漬される吸水部を形成し、前記蓋体は周囲への降雨を前記容器体内に流入させるための流入口を有するとともに、前記容器本体の側部には流入雨水の水位が制限水位を超える際に周囲に流出せしめる溢水口を形成することが好ましい。
【0009】
本発明においては、前記蓋体を板体により構成して該蓋体に植物を植栽するための開口部を設け、該開口部内に前記導水シートの保持部により支持して土壌層を形成して植栽を行う構成とすることが考えられる。
【0010】
あるいは、前記蓋体をグレーチングにより構成して該蓋体の下面と前記導水シートの保持部との間に間隔を確保し、該蓋体の下面側に前記導水シートの保持部により支持して土壌層を形成して植栽を行う構成とすることも考えられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の駐車場緑化システムは、各駐車スペース内の車輪乗入部の間の領域を対象として緑化するので、植栽物に対する車輪や歩行者による踏圧による影響を回避しつつ駐車場全体の面積の大半を緑化できるものである。
また、降雨の際には車輪乗入部の下部に設置した貯水槽に雨水が自ずと貯留され、その貯留水が導水シートにより吸い上げられて自ずと緑化部に供給されるから、緑化部が長期間にわたって自ずと湿潤状態に維持されて植栽物の生育に好ましい環境に常に維持可能である。したがって本システムの採用により、人為的な日常の灌水作業の手間を省略ないし大幅に軽減でき、駐車場を緑化するために必要とされている管理上およびコスト上の負担を充分に軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の駐車場緑化システムの実施形態を示す概要図である。
【図2】同、1台分の駐車スペースを緑化した状態を示す図である。
【図3】同、貯水槽および導水シートを示す図である。
【図4】同、他の実施形態を示す図である。
【図5】同、貯水槽を示す図である。
【図6】同、さらに他の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の駐車場緑化システムの基本的な実施形態を図1〜図3に示す。
本実施形態の駐車場緑化システムは、図1に示すように歩行部1を挟んで車両1台分の駐車スペース2が多数並べられて配置されている屋外駐車場に適用するものであって、基本的には各駐車スペース2内の両側部の車輪乗入部3の間を緑化対象の緑化部4とするものである。
すなわち、この種の駐車場においては、各駐車スペース2に至る車路と、各駐車スペース2内の両側部の車輪乗入部3(駐車スペース2に車両が進入/退出する際に車輪が乗り入れて通過する範囲)と、歩行者用の通路として各駐車スペース2の間に確保される歩行部1については、車両と歩行者とによる踏圧によって植栽物への影響が避けられないことから、本実施形態の緑化システムでは車路はもとより車輪乗入部3と歩行部2への緑化は敢えて考慮せず、車輪や歩行者による踏圧の懸念のない車両乗入部3の間の領域のみを緑化対象の緑化部4としてそこに植栽を行うようにしており、それにより駐車場全体の面積の大半を緑化するようにしている。
【0014】
そして、本実施形態の緑化システムでは、車輪乗入部3の下部に雨水を貯留するための貯水槽5を設けるとともに、緑化部4には導水シート6を全面的に敷設することにより、貯水槽5に貯留した雨水が導水シート6によって緑化部4に自ずと給水されるようになっており、それにより緑化部4への人為的な灌水作業を省略ないし大幅に軽減し得るものとなっている。
【0015】
具体的には、図2に示すように、緑化部4の基盤7上に導水シート6を全面的に敷設してその上に土壌層8を形成し、そこに所望の植物を植栽するようにしている。
なお、導水シート6の下に止水シートを設置しても良く、それにより水が地盤にしみ込むことによる無駄を減らすことができ、また降雨を貯水槽5に効率良く導くことができる。
緑化部4への植栽物の種類は特に限定されないが、芝生が好適である他、駐車車両の車高の範囲内で生育するものであれば各種の低草木類が好適に採用可能であり、特に排気ガスに対する充分な耐性を有するばかりでなく窒素固定能力に優れていることから排気ガスを浄化する作用も期待できるヒメイタビ(クワ科イチジク属のつる性常緑樹)が最適である。
土壌層8の土質や層厚はそこへの植栽物を生育するうえで好ましい条件となるように適正に調整すれば良く、天然の土材料によることでも人工培土の類によることでも良い。
【0016】
導水シート6はそれ自体が多量の水分を吸水可能かつ保有可能な特性を有するものであれば良く、適宜の市販製品を採用可能であるが、たとえば厚さ5mm程度のポリエステル系の保水マットが好適に採用可能である。
本実施形態では、その導水シート6を緑化部4の全体にわたって土壌層8の下層側に全面的に敷設したうえで、図2および図3(b)に示すように導水シート6の両縁部を貯水槽5の上部にまで延出させてそこに貯水槽5内に保持される保持部9としており、さらにその保持部9の下面側には貯留水中に浸漬される2面の吸水部10を一体に形成したものとなっている。
【0017】
本実施形態における貯水槽5はプレキャストコンクリート製のもので、図3(a)に示すようにU字溝のように上部が開放されたU型断面の溝形の水槽本体11と、その上部に装着される平坦な板体からなる蓋体12により構成されているものである。
蓋体12はその上部に車輪が乗入可能とされ、かつ車両重量を支持可能な強度を有するものであるが、この蓋体12の両側部にはスリット状の流入口13が形成されていて、降雨の際にはそれら流入口13に雨水が流入し、導水シート6の保持部9を透過して水槽本体11内に貯留可能とされている。
水槽本体11は流入口13から流入した雨水を所望水深で貯留可能なものであり、大雨時において多量の雨水が流入した際には両端部に形成している堰14および両側面に形成している溢水口15から余剰水を流出させて周囲地盤に浸透させるようになっている。
【0018】
なお、貯水槽5は図示例のように水槽本体11および蓋体12をそれぞれ車輪乗入部3の全長にわたる長さの横長形状に一体成形することでも良いが、通常のU字溝やその蓋のように所定の規格寸法のものを連結して所望の形状・寸法・容量の貯水槽5を形成することでも良い。
また、降雨の際に雨水を貯水槽5に有効に流入させるためには、貯水槽5の周囲の地表面を貯水槽5側に向かって若干の下がり勾配となるような傾斜面としておくと良い。
【0019】
そしてこの貯水槽5は、水槽本体11と蓋体12とによって導水シート6の縁部に形成している上記の保持部9を上下から挟持することによってその保持部9を貯水槽5内の上部に保持し、その状態では保持部9の下面側に形成されている吸水部10の少なくとも下端部が常に貯留水中に浸漬されるようになっている。
これにより、貯水槽5に貯留されている貯留水は吸水部10による毛細管現象によって自ずと吸い上げられて保持部9から導水シート6全体に浸透していき、その浸透水が導水シート6から土壌層8に対して自ずと給水されるようになっている。
【0020】
なお、降雨量の少ない地域や晴天が続く時期においても貯水槽5から土壌層8への給水を長期間にわたって安定に行うためには、貯水槽5の容量を可及的に大きくしておいて常時多量の貯留水を保有しておくことが有利であるが、貯水槽5を過度に大型化することは設備費が嵩むばかりでなく、導水シート6の吸水部10による吸水能力にも自ずと限界がある(一般的な導水シートでは水面上への吸い上げ可能な高さは70cm〜1m程度である)から水深を徒に大きくしても無駄になる。
したがって、貯水槽5の容量としては、降雨のたびごとに保有水がそのつど補充されて少なくとも次の降雨までの間に涸渇してしまうことがない範囲で最少限度に設定することが最も合理的であり、そのためには導水シート6による土壌層8への給水能力はもとより各地の年間を通じた降雨量や降雨日数等の気象条件も考慮して、年間を通じて安定な給水が可能なように貯水槽5の容量を最適に設定すれば良い。
【0021】
上記構成のもとに、本実施形態の緑化システムによれば、降雨のたびに貯水槽5に自ずと雨水が貯留され、貯水槽5に貯留水が保有されている限りはその貯留水が導水シート6の吸水部10により吸い上げられて保持部9を介して土壌層8に自ずと供給されるから、緑化部4における土壌層8が長期間にわたって湿潤状態に維持されて植栽物の生育に好ましい環境に常に維持され、したがって人為的な日常の灌水作業の手間を省略ないし大幅に軽減できるものである。
勿論、本システムは駐車場施工時に貯水槽5の設置と導水シート6の敷設を行うだけでそれ以上の灌水設備は不要であるから安価に導入できるものであるし、動力源および給水源も不要であり、保守管理も殆ど不要(必要に応じて貯水槽5に対して時折の清掃作業を行う程度)であり、したがって駐車場を緑化するために必要とされている管理上およびコスト上の負担を充分に軽減することができるものである。
【0022】
また、特に大雨時には貯水槽5に流入した雨水の一部が余剰水として堰14および溢水口15からオーバーフローして周囲地盤に浸透し、その浸透水も導水シート6に吸水されて土壌層8に対して下層側から効果的に給水がなされることになるし、貯水槽5は雨水を地下水に還元するための浸透枡の機能も併せもつものとなるから、本システムの採用は水資源を自然循環させるための一助ともなる。
【0023】
さらに、近年,都市域においてはいわゆるゲリラ的な集中豪雨が多発しており、そのような集中豪雨時には短時間で駐車場全体が冠水してしまうような水害事故も想定されるが、本システムはそのような水害事故に対する備えとして採用することも有効である。
すなわち、各駐車スペース2のそれぞれに本システムによる貯水槽5を設けておくことにより、駐車場全体ではそれら貯留槽5の全体で多量の雨水を一時的に貯留できるものとなり、したがって集中豪雨の際に駐車場が短時間で冠水してしまうような水害事故を未然に回避することが期待できる。
また、駐車場からの雨水流出量がピークカットされる(駐車場への降雨量がそのまま一気に場外に流出してしまうことが抑制される)から、公共下水道の雨水処理能力に対するバッファ効果も期待でき、以上のことから本システムは特に都市域に設ける大規模な屋外駐車場に適用するものとして極めて合理的であり有効である。
【0024】
以上で本発明の基本的な実施形態を説明したが、次に他の実施形態を説明する。
上記実施形態では車輪および歩行者による踏圧を避けるために、緑化部4を各駐車スペース2内の両側部の車輪乗入部3の間の領域にのみ設定し、それによっても駐車場全体の面積の大半を緑化できるのであるが、以下の実施形態では緑化対象範囲のさらなる拡張を目的として車輪の踏圧による影響を回避しつつ車輪乗入部3も緑化するようにしたものである。
【0025】
図4〜図5に示す実施形態のシステムは、基本的には上記実施形態と同様に車輪乗入部3にプレキャストコンクリート製の貯水槽5を設置してそこから導水シート6により緑化部4に対して給水を行うものであるが、それに加えて貯水槽5の蓋体12に植栽用の開口部20を形成してその開口部20内にも植栽を行うようにしており、それにより緑化部4のみならずその両側の車輪乗入部3も緑化するようにしたものである。
【0026】
本実施形態においても貯水槽5を構成している水槽本体11と蓋体21とにより導水シート6の保持部9を上下から挟持して保持しており、したがって蓋体12に形成されている開口部20の底面にはその保持部9が露出するから、開口部20内への植栽はその保持部9上に直接行えば良い。つまり、緑化部4と同様の土壌層8を蓋体21の下面側において保持部9上に形成して開口部20内に露出する土壌層8に対して植栽を行うか、あるいは植栽物を予め適宜の培土に植栽してそれを開口部20内に配置すれば良く、それにより貯水槽5内の保有水を導水シート6の吸水部10および保持部9を介して開口部20内の植栽物へも安定に給水可能である。
【0027】
但し、本実施形態では、開口部20内に植栽する植物はその背丈が開口部20の高さの範囲内に納まるものであることが現実的であるし、開口部20の大きさが過大であるとその内部への植栽物が車輪により踏圧されてしまうばかりでなく、車輪が開口部20にはまり込んで車両の安定な移動に支障を来してしまうから、開口部20の大きさは車輪が開口部20を跨いでその両側で安定に支持される程度に小さく設定しておく必要がある。
勿論、
【0028】
また、上記のように開口部20の底面に露出する導水シート6の保持部9上に植栽を行うことのみでは植栽物を充分に保持できない場合や、そこへの植栽物が車輪や歩行者によって踏み抜かれてしまうようなことが懸念される場合には、植栽物を下方から支持するための適宜の支持部材を水槽本体11内に設置したり、あるいは水槽本体11の内側両側面に適宜の段部を形成して植栽物を支持するようにしても良い。
【0029】
さらに、この種の駐車場においては車輪乗入部3の奥部に車輪止めを設置することが通常であるが、本実施形態では上記の開口部20のいずれかを利用して車輪止めを容易に設置することができる。
すなわち、図5に示しているように開口部20に嵌着可能な凸部を有するブロック状の車輪止め21を用意して、その車輪止め21をいずれかの開口部20に装着することのみで、車輪止め21を車輪乗入部3の要所に容易に設置することが可能である。
【0030】
図6は車輪乗入部3を緑化する場合のさらに他の実施形態を示す。
図6に示す実施形態は、貯水槽5の蓋体をグレーチング22により形成してそのグレーチング22の下方に植栽を行うようにしたものである。
すなわち、本実施形態では車輪を支持可能なグレーチング22によって貯水槽5の蓋体を形成してそれを水槽本体11に装着することにより、グレーチング22の周部の枠体と水槽本体11との間で導水シート6の保持部9を保持するとともに、その保持部9とグレーチング22の下面との間を植栽のための空間として確保し、そこに土壌層8を形成して植栽を行うようにしたものである。
【0031】
これにより本実施形態では、貯水槽5の蓋体としてのグレーチング22上の車輪を支障なく乗り入れることができることはもとより、そのグレーチング22を通して水槽本体11への雨水の流入が可能であるし、貯水槽5内への採光と通気も可能となっており、さらに上記実施形態と同様に貯水槽5内の保有水を導水シート6の吸水部10および保持部9を通して保持部9上への土壌層8に給水することが可能であるから、それにより貯水槽5の内部への植栽物の生育を可能としたものである。
【0032】
なお、この場合、グレーチング22の目は充分に粗い方がその下方への植栽物への採光や通気を確保し得て生育条件としては有利であるが、クレーチング22の目が過度に粗いと車輪の乗り入れや歩行者の歩行に対して支障を来すことも想定されるし、特にピンヒールがはまり込むようだと歩行が困難であるから、それも考慮してグレーチング22の目の大きさを適度に設定すれば良く、たとえば図6に示しているように全体としては目を適度に粗くしておくとともに歩行者の足がかかることが想定される歩行部1側の側部のみは目を充分に細かくしておくことが考えられる。
【0033】
以上で本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものでは勿論なく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であればさらに適宜の設計的変更や応用が可能であることは当然である。
たとえば、上記実施形態では導水シート6の縁部に保持部9および吸水部10を形成して、保持部9を貯水槽5の水槽本体11と蓋体12とにより保持した状態で吸水部10を保有水中に浸漬するようにしたが、要は導水シート6がそれ自体で保有水を吸い上げて土壌層8に対して給水できるように構成すれば良いのであって、その限りにおいてたとえば導水シート6の縁部を単にそのまま保有水に浸漬するような構成でも良い。
また、上記実施形態では貯水槽5に浸透枡の機能も持たせるべく堰14や溢水口15を設けたが、貯水槽5は基本的には貯水機能があれば良いからそれらの堰14や溢水口15は必ずしも設けることはなく省略しても差し支えない。
【符号の説明】
【0034】
1 歩行部
2 駐車スペース
3 車輪乗入部
4 緑化部
5 貯水槽
6 導水シート
7 基盤
8 土壌層
9 保持部
10 吸水部
11 水槽本体
12 蓋体
13 流入口
14 堰
15 溢水口
20 開口部
21 車輪止め
22 グレーチング(蓋体)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設けられる駐車場を緑化するためのシステムであって、
1台の車両が駐車する駐車スペースを対象として該駐車スペース内の両側部に確保される車輪乗入部の下部にその周辺への降雨を集水して貯留する貯水槽をそれぞれ設置し、
前記両側の貯水槽の間を緑化対象の緑化部としてその表層部を土壌層として該土壌層に植栽を行うとともに、該土壌層の下層側には水分を保有可能な導水シートを敷設して、該導水シートの両縁部をそれぞれ前記貯水槽内の貯留水中に浸漬することにより、
前記貯水槽に貯留されている雨水を前記導水シートにより吸い上げて該導水シートにより前記緑化部の土壌層への給水を行う構成としたことを特徴とする駐車場緑化システム。
【請求項2】
請求項1記載の駐車場緑化システムであって、
前記貯水槽を、上部が開放されたU断面の溝形の容器本体と、該容器本体の上部に装着されて車両が乗り入れ可能かつ車両重量を支持可能な蓋体とにより構成し、
前記導水シートの縁部に、前記容器本体と前記蓋体との間に挟持されて前記貯水槽内の上部に保持される保持部を形成するとともに、該保持部の下面側に貯留水中に浸漬される吸水部を形成し、
前記蓋体は周囲への降雨を前記容器体内に流入させるための流入口を有するとともに、前記容器本体の側部には流入雨水の水位が制限水位を超える際に周囲に流出せしめる溢水口を形成してなることを特徴とする駐車場緑化システム。
【請求項3】
請求項2記載の駐車場緑化システムであって、
前記蓋体を板体により構成して該蓋体に植物を植栽するための開口部を設け、該開口部内に前記導水シートの保持部により支持して土壌層を形成して植栽を行う構成としたことを特徴とする駐車場緑化システム。
【請求項4】
請求項2記載の駐車場緑化システムであって、
前記蓋体をグレーチングにより構成して該蓋体の下面と前記導水シートの保持部との間に間隔を確保し、該蓋体の下面側に前記導水シートの保持部により支持して土壌層を形成して植栽を行う構成としたことを特徴とする駐車場緑化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−207108(P2010−207108A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−54202(P2009−54202)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(000140502)株式会社岡本 (9)
【Fターム(参考)】