説明

駐車支援装置の画像表示方法及び駐車支援装置

【課題】ドライバーが理解しやすい画面を表示することができる駐車支援装置の画像表示方法及び駐車支援装置を提供する。
【解決手段】車両に搭載された駐車支援システム1の制御ユニット2において、車両に設けられたカメラ20から撮影データGを取得し、撮影データGを用いた合成画像をディスプレイ8に出力する画像プロセッサ15を備えた。画像プロセッサ15は、車両を進行方向の斜め上方に設定された視点から俯瞰した車両画像を、車両の現在位置に相当する位置に出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車支援装置の画像表示方法及び駐車支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車両後方を撮影した映像をディスプレイに表示する駐車支援装置が知られている。この装置は、車両後端に取り付けられた車載カメラから撮影データを入力し、その撮影データに基づく周辺画像を、ガイド線とともに運転席近傍に設けられたディスプレイに出力する。
【0003】
例えば、特許文献1には、車載カメラから入力した撮影データに基づき、車両周辺の俯瞰画像を表示するとともに、現在の車両位置に基づき車両後方の外形を俯瞰画像に重畳する装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−354467号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ユーザは、普段、自分が所有する車両を上方から見ることはないため、俯瞰画像に重畳された車両外形が画面に表示されても、それが車両を示していることをすぐに理解できない場合がある。或いは、画面に表示された車両外形が、車両前部を示すのか、又は車両後部を示すのかが判りにくい場合がある。従って、俯瞰画像と車両との位置関係が把握できず、俯瞰画像がどの領域の背景画像であるかを直感的に理解できないことがある。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドライバーが理解しやすい画面を表示することができる駐車支援装置の画像表示方法及び駐車支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、車両に設けられた撮像装置から取得した撮影データを用いて、車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を表示手段に出力する駐車支援装置の画像表示方法において、前記車両を進行方向の斜め上方から俯瞰した車両画像を、前記俯瞰画像上の前記車両の現在位置に相当する位置に出力することを要旨とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、車両に搭載された駐車支援装置において、前記車両に設けられた撮像装置から撮影データを取得する撮影データ取得手段と、前記撮影データを用いて、車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を表示手段に出力する出力制御手段と、前記車両を進行方向の斜め上方から俯瞰した車両画像を、前記俯瞰画像上の前記車両の現在位置に相当する位置に出力する自車位置指標描画手段とを備えたことを要旨とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の駐車支援装置において、前記俯瞰画像に対し、前記車両の反進行方向に向かって画像表示範囲を狭くする画像加工手段をさらに備えたことを要旨とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の駐車支援装置において、前記画像加工手段は、前記反進行方向に向かうに従い画像表示範囲を狭くするマスクを前記俯瞰画像に重畳することを要旨とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、前記車両の予想軌跡又は車幅ガイド線を、前記車両の反進行方向に向かうに従い縮小して表示するガイド指標描画手段をさらに備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、俯瞰画像に、車両を斜め上方から俯瞰した車両画像が出力される。このため、例えば車両のリヤウィンドウ、テイルランプ、ヘッドライト等、ドライバーが普段から目にしている部分が表示されるので、ドライバーは俯瞰画像が車両後方又は前方の画像を表示していることを一目で理解することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、俯瞰画像に、車両を斜め上方から俯瞰した車両画像が出力される。このため、例えば車両のリヤウィンドウ等、ドライバーが普段から目にしている部分が表示されるので、ドライバーは俯瞰画像が車両後方又は前方の画像を表示していることを一目で理解することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、進行方向と反対側の画像表示範囲を狭めることにより、俯瞰画像に遠近感を生じさせることができる。このため、斜め上方から見た車両画像と合わせて表示されても、違和感のない画面にすることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、進行方向と反対側の画像表示範囲を狭くするマスクを重畳することにより俯瞰画像に遠近感を発生させるので、遠近感を生じさせる処理を簡単にすることができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、ガイド指標のうち、進行方向側を拡大表示し、その反対側を縮小するので、ガイド指標に遠近感を発生させることができる。このため、斜め上方から見た車両画像と合わせて表示されても、違和感のない画面にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図9に従って説明する。図1は、駐車支援システム1の構成を説明するブロック図である。
図1に示すように、駐車支援システム1は、駐車支援装置としての制御ユニット2を備えている。制御ユニット2は、ナビゲーションコンピュータ5を備えている。ナビゲーションコンピュータ5は、CPU、RAM、ROM等(図示略)を有し、駐車支援プログラムを格納している。そして、このプログラムに従って各種処理の主制御を行う。
【0017】
またナビゲーションコンピュータ5には、車両画像データ5aが記憶されている。車両画像データ5aは、車両位置を、表示手段としてのディスプレイ8の画面上で示すためのデータである。車両画像データ5aは、図2に示す車両画像6のように、車両C(図3参照)を進行方向(図3中x方向)に対して反対の方向である反進行方向(図3中反x方向)から俯瞰した写真データ又は描画データである。本実施形態の車両画像データ5aは、車両後端を、路面に対して、70度以上90度(鉛直方向)未満の角度で俯瞰している。図2に示すように、車両画像データ5aに基づく車両画像6は、ルーフ6r、リヤウィンドウ6w、ウィンカー6i、タイヤ6t、ナンバープレート6p、テイルランプ6lの画像を有し、これらの画像はその車両Cの外形に合わせた画像になっている。従って、ドライバーが通常目にするリヤウィンドウ6w、ウィンカー6i、タイヤ6t、ナンバープレート6p、テイルランプ6lが表示されているので車両Cのルーフだけを示す車両画像よりも、ドライバー自身が運転する車両Cであることを、すぐに把握することができる。
【0018】
ディスプレイ8は、感圧式又は静電式のタッチパネルであって、操作画面を表示する。また、操作画面に指が接触すると、その接触位置を検出し、その入力操作に応じた信号を
ユーザ入力I/F部10を介してナビゲーションコンピュータ5に出力する。また、ディスプレイ8に隣設された操作スイッチ9が押釦されると、図示しない検出部が、その入力操作に応じた信号をナビゲーションコンピュータ5に出力する。
【0019】
また、制御ユニット2は、音声プロセッサ11を備えている。音声プロセッサ11は、音声データを格納したメモリや、D/A変換器等(いずれも図示略)を備え、その音声データを適宜読み出して、駐車支援システム1が備えるスピーカ12から、案内音声や警告音を出力する。
【0020】
さらに、ナビゲーションコンピュータ5は、車両Cに設けられた車速センサ30から車速パルスを入力し、パルス数をカウントする。また、ナビゲーションコンピュータ5は、ジャイロ31から方位検出信号を入力し、ナビゲーションコンピュータ5に記憶された現在方位を更新する。そして、車速パルス及び方位検出信号に基づき、自律航法により自車位置を算出する。
【0021】
また、ナビゲーションコンピュータ5は、車両Cのニュートラルスタートスイッチ32から、シフトポジション信号を入力し、ナビゲーションコンピュータ5に格納された変数であるシフトポジションを更新する。さらに、ナビゲーションコンピュータ5は、ステアリングセンサ33から、ステアリングセンサ信号を入力する。
【0022】
また、制御ユニット2は、撮影データ取得手段、出力制御手段、自車位置指標描画手段、画像加工手段、ガイド指標描画手段としての画像プロセッサ15を備えている。画像プロセッサ15は、画像入力部15a、画像合成部15b、ガイド線描画部15c、画像出力部15dを備えている。画像入力部15aは、車両Cに設けられた撮像装置としてのバックモニタカメラ(以下、単にカメラ20という)から、撮影データGを逐次取得する。
【0023】
カメラ20は、図3に示すように、車両Cのバックドア等、車両の後端に光軸を下方に向けて取り付けられている。このカメラ20は、カラー画像を撮像するデジタルカメラであって、広角レンズ、ミラー等から構成される光学機構と、CCD撮像素子(いずれも図示略)とを備えている。カメラ20は、車両後端を含む後方数メートルを撮像領域Zとしている。
【0024】
画像プロセッサ15の画像入力部15aは、所定のフレームレートで撮影された撮影データGを入力し、画像メモリ17に記憶する。撮影データGは、図4(a)に示すように、車両後方を斜め上方からみた背景を撮影したデータであって、カメラ20のレンズによる歪みが生じている。そして、画像プロセッサ15の画像合成部15bは、このような撮影データGを、アフィン変換等の公知の画像処理を行うことによって、図4(b)に示すような俯瞰データG1を生成する。このとき視点は、カメラ視点から、路面に対して鉛直方向上方に設定された視点に変更されている。これにより、俯瞰データG1は、路面に対して鉛直方向上方に設定された視点から路面を俯瞰したデータになる。
【0025】
画像合成部15bは、後退開始位置Piで撮影した撮影データGを俯瞰変換し、俯瞰データG1aを生成すると、図5(a)に示すように、画像メモリ17の画像書込領域Aのうち、後退開始位置Piに対応した位置にその俯瞰データG1aを書き込む。さらに、次に生成された俯瞰データG1bを入力すると、画像プロセッサ15は、ナビゲーションコンピュータ5から、相対座標データ及び相対ステアリング角度を入力する。相対座標データは、後退開始位置Piを基準としていた現在の相対座標を示す。相対ステアリング角度は、後退開始位置Piのステアリング角度を基準とした現在のステアリング角を示す。
【0026】
さらに画像合成部15bは、図5(a)に示すように、画像書込領域Aのうち、相対座
標データに対応する位置に俯瞰データG1bを書き込む。後退開始直後と比較してステアリング角度が変更されている場合には、相対ステアリング角度に基づき、俯瞰データG1を回転させて書き込む。新しい俯瞰データG1bを書き込む際、既に書き込まれた俯瞰データG1aと、新しい俯瞰データG1bとが重複する場合には、重複領域を新しい俯瞰データG1bによって上書きする。このように、各俯瞰データG1bをその時の車両位置に応じて画像書込領域Aに書き込むと、各俯瞰データG1が互いに連続した車両周辺画像を蓄積することができる。
【0027】
画像メモリ17に俯瞰データG1が所定枚数以上蓄積されると、画像合成部15bは、書き込まれた俯瞰データG1のうち、図5(b)に示すように、所定領域A1の俯瞰データG1を抽出し、過去画像データG3を取得する。所定領域A1は、例えば現在の車両Cのリヤオーバーハング、又は後車軸から車両後端までの範囲であって、車両後端から約800mm〜1mの範囲に相当する。また、画像入力部15aは、現在の車両周辺状況が反映された最新の撮影データG(以下、現在撮影データG2という)をカメラ20から新たに取得する。そして、画像合成部15bは、現在撮影データG2に対し、俯瞰データG1と同様に、視点を路面に対して鉛直方向上方に設定した俯瞰変換処理を行った後、図9に示すようにその現在撮影データG2及び過去画像データG3を合成処理し、画像出力部15dは、生成された合成データG4をディスプレイ8に表示する。
【0028】
また、図9に示すように、画像プロセッサ15のガイド線描画部15cは、ガイド指標としての車幅ガイド線W及び予想到達位置指標Pの描画座標を演算する。予想到達位置指標Pは、ステアリングセンサ33に基づき演算した車両Cの予想軌跡であって、第1〜第5予想到達位置指標P1〜P5を有している。各予想到達位置指標P1〜P5は、その時点のステアリング角度に基づき、後退開始位置Piから1m毎の予想到達位置に描画される。そして、車両位置が、各予想到達位置指標Pのいずれかに到達すると、ガイド線描画部15cは、その予想到達位置指標Pを消去する。
【0029】
1対の車幅ガイド線Wは、車幅の目安を示す指標であって、車両後端から車両後方に延ばして描画され、各車幅ガイド線Wの幅は車幅及び駐車に必要なクリアランス幅を加算した幅になっている。この車幅ガイド線Wは、鉛直方向上方から俯瞰した俯瞰データG1及び現在撮影データG2に合わせて、同じように鉛直方向上方から俯瞰した状態で描画されている。即ち、各車幅ガイド線Wは、互いに平行であって、本実施形態では画面において垂直な方向(x方向)に平行に描画されている。ドライバーは、上記した予想到達位置指標Pに基づきステアリング角度を調節し、車幅ガイド線Wに基づき、駐車目標領域を区画する白線と車両Cとの相対位置を確認する。このとき、各車幅ガイド線Wが平行に描画されるため、ドライバーは、ステアリング角の目安が付けやすく駐車操作がしやすくなる。(処理手順)
次に、本実施形態の処理手順について、図6〜図8に従って説明する。図6に示すように、ナビゲーションコンピュータ5は、駐車支援システム1が起動されると、変数やカウントのリセットやデータ消去等、システムの初期化を行う(ステップS1)。システムの初期化を行うと、開始トリガの入力を待機する(ステップS2)。本実施形態では、開始トリガは、ニュートラルスタートスイッチ32から出力された、リバースを示すシフトポジション信号である。
【0030】
開始トリガを入力すると(ステップS2においてYES)、画像蓄積処理(ステップS3)、描画処理(ステップS4)を行い、終了トリガの入力の有無を判断する(ステップS5)。本実施形態では、終了トリガは、ニュートラルスタートスイッチ32から出力されたリバース以外を示すシフトポジション信号である。終了トリガを入力しない場合には(ステップS5においてNO)、画像蓄積処理(ステップS3)、描画処理(ステップS4)を繰り返し行う。終了トリガを入力した場合には(ステップS5においてYES)、
駐車支援処理を終了する。
(画像蓄積処理)
次に、画像蓄積処理(ステップS3)について、図7に従って説明する。画像プロセッサ15の画像入力部15aは、所定時間毎にカメラ20から撮影データGを取得し(ステップS3−1)、画像合成部15bは、取得した撮影データGを公知の方法で画像処理して俯瞰データG1を生成する(ステップS3−2)。俯瞰データG1を生成すると、画像合成部15bは、画像メモリ17の画像書込領域Aに俯瞰データG1を書き込む(ステップS3−3)。これにより、画像メモリ17に複数の俯瞰データG1が書き込まれ、路面の画像が蓄積されていく。
(描画処理)
次に、描画処理について図8に従って説明する。俯瞰データG1を書き込むと、画像合成部15bは、合成データG4を生成する(ステップS4−1)。具体的には、上記したように、書き込まれた俯瞰データG1のうち所定領域A1を抽出し、過去画像データG3とする。また、画像合成部15bは、最新の現在撮影データG2を取得し、俯瞰変換する。さらに、図9に示すように、現在撮影データG2及び過去画像データG3を、表示フレームFの下方領域及び上方領域にそれぞれ配置して、合成データG4を生成する。このとき、俯瞰データG1に対し新たに俯瞰変換を行うことなく、視点が鉛直方向上方に変更された俯瞰データG1を画像メモリ17から読み出し、同じく俯瞰変換された現在撮影データG2と合成するだけでよいので、処理が比較的軽減される。
【0031】
合成データG4を生成すると、画像出力部15dは、合成データG4をディスプレイ8に出力する(ステップS4−2)。この際、車両画像データ5aを、表示フレームFのうち、車両Cの現在位置に相当する位置に出力する(ステップS4−3)。本実施形態では、画像合成部15bは、過去画像データG3を出力する領域の中央に車両画像データ5aを表示する。
【0032】
さらに、画像合成部15b及び画像出力部15dは、合成データG4に基づく画像に擬似的に遠近感をもたせるためのマスク44を出力する(ステップS4−4)。その結果、図9に示すように、駐車支援画面45には、合成データG4に基づく俯瞰画像としての合成画像40が表示される。合成画像40の下部には、現在撮影データG2に基づく現在画像42が表示され、上部には過去画像データG3に基づく過去画像41が表示されている。現在画像42は、車両後方の現在状況を反映した背景画像であって、車両後方の路面を俯瞰している。過去画像41及び現在画像42は、路面を鉛直方向上方から俯瞰した画像になっているので、車両位置、駐車目標領域等の相対位置や相対距離が理解しやすい。また、過去画像41及び現在画像42は、駐車目標領域を区画する1対の白線が平行に表示された画像になっているため、ステアリング角や後退距離の目安が付けやすく駐車操作がしやすくなる。
【0033】
過去画像41は、過去に撮影され、画像メモリ17に蓄積された過去画像データG3に基づき、現在のカメラ20の撮像領域Zに含まれない死角領域が表示されている。本実施形態では、現在の車両後端から1m程度に相当する範囲が表示されている。また、過去画像41には、車両画像データ5aに基づく車両画像6が重畳されている。上記したように、車両画像6は、現在の車両位置を示し、リヤウィンドウ6w、ウィンカー6i、タイヤ6t、ナンバープレート6p、テイルランプ6lが表示されている。従って、ドライバーは、その車両Cの見慣れた後部が表示されるため、車両画像6が、車両Cの後部を示していることがすぐに理解できる。また、車両画像6を、俯瞰画像である合成画像40に合わせて、斜め上方から俯瞰した画像としているので、ドライバーは合成画像40が、車両後方周辺を俯瞰した画像であることを直感的に理解しやすい。
【0034】
また、合成画像40には、マスク44が重畳されている。本実施形態のマスク44は、
直角三角形をなし、底辺が表示フレームFの最上端側に斜辺が内側に向けられている。マスク44による遮蔽により、合成画像40は、進行方向(x方向)と反対側の反進行方向(反x方向)に向かうにつれ、画像表示範囲が狭くなっている。換言すると、合成画像40は、マスク44の重畳により、進行方向(x方向)に向かうに従って、画像表示範囲が拡大されている。これにより、合成画像40の反x方向に奥行き感が生じ、ディスプレイ8に表示された合成画像40を視認した際に、斜め上方から路面を俯瞰しているように見える。このため、車両Cを斜め上方から見た車両画像6とともに表示されても、ドライバーは違和感を感じないので、駐車支援画面45がどの領域を表示しているのかをすぐに理解できる。
【0035】
さらに、画像プロセッサ15のガイド線描画部15c及び画像出力部15dは、図9に示すように、合成画像40にガイド線を描画する(ステップS4−5)。予想到達位置指標P1〜P5は、車両Cの後車軸又は後端の予想到達位置を示した指標であって、車両Cの進行方向と略直交な方向に描画された線分である。また、予想到達位置指標P1〜P5は後退開始位置から1m毎に、5m分描画される。そして、各時点の車両位置が、各予想到達位置指標Pに到達すると、その予想到達位置指標Pを消去する。車幅ガイド線Wは、1対の直線であって、各直線の間隔は、車幅及び駐車に必要なクリアランス幅を加算した値になっている。そして、車両Cが後退するに伴い、車幅ガイド線Wを表示フレームF上で移動させて表示する。
【0036】
ガイド線を描画すると、図6に示すステップS5に戻り、終了トリガの有無を判断する。そして、終了トリガを入力しない場合には(ステップS5においてNO)、上記の処理が繰り返される。終了トリガを入力した場合には(ステップS5においてYES)、処理を終了する。
【0037】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、駐車支援システム1の画像プロセッサ15は、カメラ20から撮影データGを取得し、その撮影データGを鉛直方向上方の視点からみた俯瞰データG1に変換するようにした。また、俯瞰データG1を用いた合成画像40をディスプレイ8に表示するようにした。さらに、合成画像40に、車両Cに対して進行方向(後退方向)の斜め上方に設定された視点から俯瞰した車両画像6を、車両Cの現在位置に相当する位置に描画するようにした。このため、例えば車両のリヤウィンドウ6w等、ドライバーが普段から目にしている部分が表示されるので、車両画像6が、車両Cの位置を示す指標であることをすぐに理解できる。また、この車両画像6により、合成画像40が車両後方の画像を表示していることを一目で理解することができる。
【0038】
(2)上記実施形態では、画像プロセッサ15は、合成画像40に三角状のマスク44を重畳することにより、反進行方向に向かうにつれて画像表示範囲が縮小されるようにした。このため、合成画像40に擬似的に遠近感を発生させることができる。従って、鉛直方向上方から俯瞰した合成画像40を、斜め上方から見た車両画像6と合わせて表示しても、違和感のない画面にすることができる。
【0039】
尚、本実施形態は以下のように変更してもよい。
・上記実施形態では、ガイド線として、予想到達位置指標Pを描画したが、後輪の予想軌跡でもよい。
【0040】
・上記実施形態では、マスク44を合成画像40に重畳することにより、合成画像40に遠近感を発生させたが、合成画像40の上部を所定の倍率で縮小するようにしてもよい。
【0041】
・ガイド線は、表示フレームFの上側に向かうにつれて縮小するように表示して、ガイド線自体に遠近感を生じさせてもよい。例えば図10に示すように、進行方向側の予想到達位置指標Pを拡大表示し、車両側の予想到達位置指標Pを縮小表示するようにしてもよい。また、各車幅ガイド線Wの間隔を、車両側に向かうにつれて小さくなるようにしてもよい。このとき、各車幅ガイド線Wの傾きは、マスク44の斜辺と平行になるように描画してもよい。このようにすると、予想到達位置指標Pに遠近感が生じ、合成画像40の遠近感を高めることができる。
【0042】
・上記実施形態では、合成画像40のうち、過去画像41を省略するようにしてもよい。
・上記実施形態では、カメラ20を車両後端に取り付けたが、車両前端に取り付けるようにしてもよい。そして、駐車支援画面として、車両前方の俯瞰画像等を表示するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本実施形態の駐車支援システムのブロック図。
【図2】車両画像の説明図。
【図3】カメラの取付位置及び撮像領域の説明図。
【図4】(a)は画像データ、(b)は俯瞰データの模式図。
【図5】(a)は俯瞰データの書込、(b)は過去画像データの抽出処理の説明図。
【図6】本実施形態の処理手順の説明図。
【図7】画像蓄積処理の説明図。
【図8】描画処理の説明図。
【図9】駐車支援画面の説明図。
【図10】別例の駐車支援画面の説明図。
【符号の説明】
【0044】
1…駐車支援システム、2…駐車支援装置としての制御ユニット、6…車両画像、8…表示手段としてのディスプレイ、15…撮影データ取得手段、出力制御手段、自車位置指標描画手段、画像加工手段、ガイド指標描画手段としての画像プロセッサ、20…撮像装置としてのカメラ、40…俯瞰画像としての合成画像、6…車両画像、44…マスク、C…車両、G…撮影データ、R…ガイド指標としての予想到達位置指標、W…ガイド指標としての車幅ガイド線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に設けられた撮像装置から取得した撮影データを用いて、車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を表示手段に出力する駐車支援装置の画像表示方法において、
前記車両を進行方向の斜め上方から俯瞰した車両画像を、前記俯瞰画像上の前記車両の現在位置に相当する位置に出力することを特徴とする駐車支援装置の画像表示方法。
【請求項2】
車両に搭載された駐車支援装置において、
前記車両に設けられた撮像装置から撮影データを取得する撮影データ取得手段と、
前記撮影データを用いて、車両周辺を俯瞰した俯瞰画像を表示手段に出力する出力制御手段と、
前記車両を進行方向の斜め上方から俯瞰した車両画像を、前記俯瞰画像上の前記車両の現在位置に相当する位置に出力する自車位置指標描画手段と
を備えたことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項3】
請求項2に記載の駐車支援装置において、
前記俯瞰画像に対し、前記車両の反進行方向に向かって画像表示範囲を狭くする画像加工手段をさらに備えたことを特徴とする駐車支援装置。
【請求項4】
請求項3に記載の駐車支援装置において、
前記画像加工手段は、前記反進行方向に向かうに従い画像表示範囲を狭くするマスクを前記俯瞰画像に重畳することを特徴とする駐車支援装置。
【請求項5】
請求項2〜4のいずれか1項に記載の駐車支援装置において、
前記車両の予想軌跡又は車幅ガイド線を、前記車両の反進行方向に向かうに従い縮小して表示するガイド指標描画手段をさらに備えたことを特徴とする駐車支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−137535(P2008−137535A)
【公開日】平成20年6月19日(2008.6.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326956(P2006−326956)
【出願日】平成18年12月4日(2006.12.4)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】