説明

駐輪設備の在荷検出装置

【課題】循環経路を移動する駐輪台上の各自転車支持台上の自転車の有無を、駐輪台の横側方位置から検出することが出来る在荷検出装置を提案する。
【解決手段】各自転車支持台の前輪支持部に、水平支軸44の周りに揺動自在に軸支され且つ前輪当接部36,38と被検出部37,40とを備えた可動部材32,33が設けられ、この可動部材32,33を待機姿勢に付勢保持する付勢手段35が設けられ、被検出部37,40は、1つの駐輪台上の全ての可動部材32,33が付勢手段35の付勢力に抗して作用姿勢に切り換わったとき、駐輪台を横側方から見たときに各可動部材32,33の被検出部37,40が互いに重ならないで且つ個別に視認できるように配設され、駐輪台の循環経路中の横側方には、作用姿勢にある可動部材32,33の被検出部37,40を個別に検出する検出手段としての光電センサー46〜49が配設された構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、循環経路を回動する各駐輪台が複数台の自転車を並列状態で支持するタイプの駐輪設備における在荷検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駐輪台の循環経路が縦長で、その上下両端部に軸支された各1つの大径の案内輪間に無端状駆動索が掛張され、この無端状駆動索に、複数台の自転車が並列状態で支持される駐輪台が等間隔おきに吊り下げられた構成の縦長垂直循環型駐輪設備では、垂直な昇降経路部の下端に設定された自転車入出庫用停止位置で停止する駐輪台上の並列設置された各自転車支持部に対応させて、その各自転車支持部に支持される自転車の前輪の左右両側に配置した光電センサーなどの検出手段により、自転車支持部ごとの自転車の有無を検出するように構成した在荷検出装置が一般的に知られている。このような構成の在荷検出装置が採用できるのは、当該在荷検出装置の検出手段を、循環経路を移動する駐輪台やその上に支持されている自転車と干渉しない位置に配置することが容易であることに起因している。しかしながら、駐輪設備の機高を低くして、既設建造物の上下の床版間、例えば高架線路下、高架道路下、ビルの任意の階層などに設置することが出来るような駐輪設備を構成しようとすると、例えば特許文献1に記載されるように、四隅に軸支された小径の案内輪に無端状駆動索を掛張して構成した、垂直面に沿った角型循環経路を各駐輪台が回動するように構成された駐輪設備を、その上下両水平経路部を長くすると共に両端の上下方向経路部を、例えば駐輪台間の間隔に等しい位に短くして、水平横長角型の循環経路を各駐輪台が回動するように構成することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭55−13370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように水平横長角型の循環経路を各駐輪台が回動するように構成された駐輪設備では、その下側水平経路部と片側の上下方向経路部との間の角部に自転車入出庫用停止位置が設定され、この自転車入出庫用停止位置で停止する駐輪台上で支持される自転車の前輪が、前記下側水平経路部側に隣り合う駐輪台のある側に位置することになる。従って、この自転車入出庫用停止位置に停止した駐輪台上の並列する各自転車支持部上の自転車の有無を、従来の縦長垂直循環型駐輪設備に採用されているような構成の在荷検出装置によって検出しようとすると、当該在荷検出装置を構成する光電センサーなどの各検出手段が、下側水平経路内に配置されることになり、当該下側水平経路部を移動する駐輪台と干渉することになるので、実施することが出来ない。勿論、床面側に配設した検出手段により在荷検出を行うことも考えられるが、当該検出手段に光電センサーを使用する場合、当該光電センサーの投受光部が上向きになるので汚損し易いばかりでなく、高精度の検出が困難である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題点を解消することのできる駐輪設備の在荷検出装置を提案するものであって、本発明に係る駐輪設備の在荷検出装置は、後述する実施例との関係を理解し易くするために、当該実施例の説明において使用した参照符号を括弧付きで付して示すと、垂直面に沿って循環経路を移動する駐輪台(1)が、その移動方向に対し直交する水平方向に並列する複数の自転車支持台(14A〜15B)を備え、各自転車支持台(14A〜15B)には、自転車(C)の前輪(Cf)が嵌合する前輪支持部(16a)が設けられている駐輪設備において、各自転車支持台(14A〜15B)の前輪支持部(16a)に、水平支軸(44)の周りに揺動自在に軸支され且つ前輪当接部(36,38)と被検出部(37,40)とを備えた可動部材(32,33)が設けられ、この可動部材(32,33)を、その前輪当接部(36,38)が前輪支持部(16a)内に突出する待機姿勢に付勢保持する付勢手段(35)が設けられ、各可動部材(32,33)の前記被検出部(37,40)は、1つの駐輪台(1)上の全ての前記可動部材(32,33)が、その前輪当接部(36,38)が前輪支持部(16a)内に嵌合した自転車前輪(Cf)によって押されて前記付勢手段(35)の付勢力に抗して作用姿勢に切り換わったとき、駐輪台(1)を循環経路の横側方から見たときに各可動部材(32,33)の前記被検出部(37,40)が互いに重ならないで且つ個別に視認できるように配設され、前記循環経路中の横側方には、定位置で停止した駐輪台(1)の各可動部材(32,33)に対応して、作用姿勢にある可動部材(32,33)の前記被検出部(37,40)を個別に検出する検出手段(46〜49)が配設された構成となっている。
【発明の効果】
【0006】
上記本発明の構成によれば、循環経路上の定位置で停止した駐輪台上の並列する各自転車支持台上における自転車の有無を、各自転車支持台別に、駐輪台の循環経路脇に設けられた各自転車支持台に対応する検出手段(例えば光電センサー)によって確実に検出することが出来る。従って、先に説明したような水平横長角型の循環経路を各駐輪台が回動するように構成された駐輪設備であって、その下側水平経路部と片側の上下方向経路部との間の角部に自転車入出庫用停止位置が設定され、この自転車入出庫用停止位置で停止する駐輪台上で支持される自転車の前輪が、前記下側水平経路部側に隣り合う駐輪台のある側に位置する状況においても、その自転車入出庫用停止位置で停止した駐輪台上の並列する各自転車支持台上の自転車の有無を光電センサーなどの検出手段により確実に検出することが出来る。勿論、光電センサーなどの検出手段は、駐輪台上ではなく、駐輪台の循環経路の横側方に配設するのであるから、駐輪台の台数に関係なく1セットの検出手段を使用すれば良く、移動する駐輪台上に設ける場合よりも配線系の構成が極めて簡単になる。又、検出手段として光電センサーを使用する場合、床面側に上向きに光電センサーを配設する場合と比較して、光電センサーの投受光部の汚損の恐れが極減し、常に高精度の在荷検出が行える。
【0007】
尚、上記本発明を実施する場合、具体的には請求項2に記載のように、前記自転車支持台(14A〜15B)として、前輪支持部(16a)の高さが低い複数の低位自転車支持台(14A,15A)と前輪支持部(16a)の高さが高い複数の高位自転車支持台(14B,15B)とを交互に並列設置し、各低位自転車支持台(14A,15A)には、その被検出部(37,40)の位置が異なる前記可動部材(32,33)を取り付け、各高位自転車支持台(14B,15B)には、低位自転車支持台(14A,15A)に取り付けられた可動部材(32,33)と同一の可動部材(32,33)を取り付けることが出来る。
【0008】
この構成によれば、1つの駐輪台上に並列設置される自転車支持台の台数に対して、各自転車支持台に取り付けられる前記可動部材の種類を半減させることが出来、コストダウンを図ることが出来る。
【0009】
又、請求項3に記載のように、自転車支持台(14A〜15B)は、自転車(C)の車輪が転動自在に嵌合する上側開放の溝形のレール部材(16)によって構成すると共に、前端に一段低くなった前輪支持部(16a)を設け、前記可動部材(32,33)は、前記レール部材(16)の内側に嵌合させると共に、その長さ方向の中間位置を、前記前輪支持部(16a)の後端角部に水平支軸(44)でシーソー運動自在に軸支し、当該可動部材(32,33)の前輪支持部(16a)側の前端底板部(32a,33a)を前記前輪当接部(36,38)に構成すると共に、当該可動部材(32,33)の後端部から上向きに連設された側板部(32b,33b)によって前記被検出部(37,40)を構成し、前記可動部材(32,33)が作用姿勢になったとき、前記被検出部(37,40)が、自転車支持台(14A〜15B)と自転車前輪(Cf)との間の入隅空間内に突出するように構成することが出来る。
【0010】
この構成によれば、自転車を自転車支持台に乗せていないときは、前記可動部材の前端側の前輪当接部から後端側の被検出部までの殆ど全体を、自転車支持台を構成するレール部材の内側に収納した状態として保護することが出来、しかも、自転車を自転車支持台に乗せたときは、当該自転車支持台と自転車との間の空間内に前記可動部材の被検出部が突出することになって、やはり、自転車支持台とその上の自転車を含む全体の輪郭から前記可動部材の被検出部が突出することは避けられる。従って、前記自転車支持台の前輪支持部の前端側に前記可動部材を軸支して、その被検出部が自転車支持台の前端から斜め前方上方に突出する構成と比較して、前記可動部材を含む自転車支持台全体が大型になる恐れがないばかりでなくはなく、前記可動部材に他物が衝突したりして破損するなどの恐れも極減する。
【0011】
上記の構成を採用する場合、請求項4に記載のように、前記可動部材(32,33)は、自転車前輪(Cf)が嵌合通過できる上側開放の溝形材で構成し、その底板部(32a,33a)の長さ方向中央部から下向きに突設された軸受け部材(34)を、前記レール部材(16)の前輪支持部(16a)の後端角部の底面に設けられた開口部(41)から下方に突出させて、当該レール部材(16)の外側に取り付けられた軸受け板(43)に水平支軸(44)により軸支し、前記付勢手段は、前記可動部材(32,33)の底板部(32b,33b)の後端部下側に取り付けられた重錘(35)で構成し、前記レール部材(16)の底板部には、前記重錘(35)が上下に嵌脱自在な開口部(42)を設けることが出来る。
【0012】
この構成によれば、前記可動部材を薄板で構成しながら十分な曲げ強度を持たせることが出来、しかも、付勢手段としてバネを使用する場合と比較して、構造が簡単で所期の作用を常に確実に行わせることが出来る。又、前記可動部材の待機姿勢を決めるストッパーとして、前記レール部材の底板部をそのまま活用することが出来、別部材から成るストッパーを取り付けなければならない場合と比較して構造が簡単になる。
【0013】
更に、請求項5に記載のように、前記可動部材(33)の被検出部(40)を構成する側板部(33b)には、他の自転車支持台の可動部材(32)の被検出部(37)と側面視において重なる箇所において切欠き凹部(39)を形成することが出来る。この構成によれば、同一高さに設置された複数台の自転車支持台に取り付けられる前記可動部材の被検出部が当該可動部材の長さ方向に位置が異なることになり、この可動部材の長さ方向に対し直角上下方向に被検出部の位置を変える構成と比較して、待機姿勢にある可動部材を前記レール部材の内側に収納する点や、作用姿勢にある可動部材の被検出部を前記レール部材とその上の自転車との間の空間内に収める点で影響が殆どなく、前記請求項3や4に記載の構成を実施するのに好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】駐輪台が循環する横長角型の循環経路とその付帯手段を説明する中間省略の側面図である。
【図2】設備の縦断正面図である。
【図3】駐輪台の側面図である。
【図4】設備の要部の平面図である。
【図5】駐輪台上の低位自転車支持台を示す縦断側面図である。
【図6】駐輪台上の高位自転車支持台を示す縦断側面図である。
【図7】在荷検出用の第一可動部材が作用状態にあるときの要部の拡大縦断側面図である。
【図8】在荷検出用の第二可動部材が作用状態にあるときの要部の拡大縦断側面図である。
【図9】全てが作用状態にあるときの低位自転車支持台側の第一及び第二両可動部材と高位自転車支持台側の第一及び第二両可動部材を示す側面図である。
【図10】A図は第一可動部材の斜視図、B図は第二可動部材の斜視図、C図は各可動部材の軸支部の構造を示す縦断正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1において、駐輪台1が循環移動する横長角型の循環経路は、前後水平向きの下側水平経路部2、前後水平向きの上側水平経路部3、及び両端の上下方向経路部4,5によって構成されている。両端の上下方向経路部4,5は、点対称形のもので、一方の上下方向経路部4は、下側水平経路部2の一端から直角上向きに延出する下側垂直経路部4aと、この下側垂直経路部4aの上端から内側へ45度の角度で延出して上側水平経路部3の一端につながる上側傾斜経路部4bとから形成され、他方の上下方向経路部5は、上側水平経路部3の他端から直角下向きに延出する上側垂直経路部5aと、この上側垂直経路部5aの下端から内側へ45度の角度で延出して下側水平経路部2の他端につながる下側傾斜経路部5bとから形成されている。
【0016】
上記構成の横長角型の循環経路には、その各角部に同心状に左右一対軸支された案内輪6a〜6c及び7a〜7cを介して当該循環経路に沿うように左右一対の無端状駆動索8が掛張されている。一方の上下方向経路部4の上端角部に軸支された左右一対の案内輪6cは、左右水平方向の駆動軸9の両端部と夫々チエン伝動手段10を介して連動連結され、この駆動軸9を正逆任意の方向に回転駆動するモーター11が設けられている。左右一対の無端状駆動索8としては、チエンやワイヤーロープなどが利用され、案内輪6a〜7cとしては、使用する無端状駆動索8に応じてスプロケットホイールやプーリーなどが利用される。
【0017】
駐輪台1は、図2〜図4に示すように、左右一対の側枠12の下端部間に左右水平方向の支持部材13を前後一対架設した、正面形状が角U字形のもので、支持部材13上に、前後方向向きに自転車Cをほぼ水平姿勢で支持する2台の低位自転車支持台14A,14Bと、前後方向向きに自転車Cを前上がり傾斜姿勢で支持する2台の高位自転車支持台15A,15Bが左右方向交互に且つ等間隔おきに据え付けられている。全ての自転車支持台14A〜15Bは、図5及び図6に示すように、同一構造のレール部材16を支持部材13上に低位自転車支持台用の取付け部材17と高位自転車支持台用の取付け部材18を介して設置したものである。レール部材16は、自転車Cの車輪を嵌合させて転動移動させることが出来る上側開放の溝形材から構成されたもので、一段低くなった前輪支持部16a、中央連結部16b、及び一段低くなった後輪支持部16cを、前端からこの順に備えている。前記前輪支持部16aは、自転車前輪Cの前輪Cfを下側から支持する水平部と前輪Cfの後側に当接する傾斜部とから成るもので、前輪Cfを左右両側から挟んで垂直姿勢に保持すると共に当該前輪Cfを前輪支持部16aの後側傾斜部との間で挟んで前後方向の位置決めをする、平面形状がU字形の前輪ガイド枠16dが取り付けられている。
【0018】
駐輪台1の左右一対の側枠12には、夫々の下側辺の前後両端外側に、支持用車輪19a,19bが左右水平支軸により軸支されると共に、夫々の上端寄り中央位置の外側に、第三の支持用車輪も兼ねる1つの振れ止め用ローラー20が左右水平支軸により軸支され、更に、夫々の上端中央位置の外側に、水平外向きに突出する連結軸21が突設されている。尚、両側枠12の支持用車輪19a,19b、振れ止め用ローラー20、及び連結軸21は、互いに同心状に配設されると共に、図2に示すように、下端の支持用車輪19a,19bの位置よりも振れ止め用ローラー20の位置が外側に張り出すと共に、この振れ止め用ローラー20の位置よりも連結軸21が外側へ突出している。上記構成の駐輪台1は、左右一対の無端状駆動索8に左右一対の連結軸21を利用して無端状駆動索8の長さ方向等間隔おきに取り付けられ、当該連結軸21の周りに前後揺動自在に吊り下げられている。
【0019】
一方、横長角型の循環経路には、図1に示すように、上下各水平経路部2,3において各駐輪台1を、その下端の支持用車輪19a,19bを介して当該水平経路部2,3に沿って移動自在に支持する左右一対の支持用ガイドレール22,23が架設されている。而して、左右一対の無端状駆動索8の回動により、当該無端状駆動索8に等間隔おきに連結された各駐輪台1が横長角型の循環経路に沿って回動することになるが、水平経路部2,3を移動する各駐輪台1は、その支持用車輪19a,19bを介して支持用ガイドレール22,23に支持された状態で前後水平方向に移動する。両端の上下方向経路部4,5を昇降移動する駐輪台1は、無端状駆動索8によって吊り下げられた状態で昇降移動する。尚、この両端の上下方向経路部4,5の長さは、駐輪台1の間隔とほぼ等しい長さとして、上下方向経路部4,5には常に1台の駐輪台1のみが在席するように構成している。
【0020】
図1に示すように、上側水平経路部3に架設された左右一対の支持用ガイドレール23の両端の上下方向経路部4,5に接続する箇所には、昇降移動する駐輪台1の支持用車輪19a,19bや連結軸21との干渉を避けるために、支持用ガイドレール24が部分的に切欠された車輪通過用開口部24a,24bが設けられる。従って、支持用ガイドレール23の両端部を前記支持用ガイドレール23に支持されて水平に移動する駐輪台1の支持用車輪19a又は19bが前記車輪通過用開口部24a,24bに落ち込むのを防止するために、駐輪台1の左右一対の振れ止め用ローラー20を利用して駐輪台1を移動自在に支持する支持用補助ガイドレール25,26が上側水平経路部3の両端部に架設されている。
【0021】
又、両端の上下方向経路部4,5では、駐輪台1は無端状駆動索8に左右一対の連結軸21を介して吊り下げられた状態で昇降移動するので、当該駐輪台1は、連結軸21の周りに前後方向に揺動自在である。この昇降移動時の駐輪台1の前後揺動を防止するために、上下方向経路部4の全域と上下方向経路部5の上側垂直経路部5aには、駐輪台1の左右一対の振れ止め用ローラー20を介して当該駐輪台1の前後揺動を防止する振れ止め用ガイドレール27a,27b及び28が配設されている。
【0022】
図1に示すように、上下方向経路部4の外側には、設備を囲む垂直な壁構造体の一部分となる扉枠29が立設されている。この扉枠29は、特許文献などによって従来周知のものであって、下側水平経路部2の上下方向経路部4側の端部、即ち、駐輪台1の連結軸21が案内輪6aの軸心真下に位置する自転車入出庫用停止位置Aで停止した駐輪台1に対する自転車入出庫口30と、この自転車入出庫口30を、駐輪台1上で並列する複数台(図示例では4台)の自転車支持台14A〜15Bの各々に対向する自転車通過エリアごとに分けて択一的に開くことが出来る開閉扉31を備えている。
【0023】
以上のように構成された立体駐輪設備において、自転車Cの入出庫時には、その入出庫対象の1つの駐輪台1を自転車入出庫用停止位置Aに呼び出すべく、モーター11を稼動させ、駆動軸9及び左右一対のチエン伝動手段10を介して上下方向経路部4の上端角部の案内輪6cを回転駆動し、左右一対の無端状駆動索8を横長角型の循環経路に沿って正転又は逆転駆動する。そして、入出庫対象の駐輪台1が自転車入出庫用停止位置Aに達したとき、モーター11による無端状駆動索8の駆動を停止し、当該入出庫対象の駐輪台1を自転車入出庫用停止位置Aに停止させる。自転車入出庫用停止位置Aで停止した駐輪台1は、その真上の案内輪6aの軸心の真下に連結軸21が位置しており、当該駐輪台1は、駐輪台1が水平に移動する下側水平経路部2の一端に位置しているので、支持用車輪19a,19bは下側水平経路部2の支持用ガイドレール22に支持された状態にある。又、自転車入出庫用停止位置Aで停止した駐輪台1は、各自転車支持台14A〜15Bの後輪支持部16cが自転車入出庫口30の内側に位置し、その前輪支持部16aは、自転車入出庫口30のある側とは反対側の下側水平経路部2のある側に位置している。
【0024】
而して、自転車入出庫用停止位置Aに入出庫対象の駐輪台1が呼び出されて停止したならば、自転車入出庫口30の開閉扉31を開動制御して、自転車入出庫用停止位置Aで停止する入出庫対象の駐輪台1上の複数台の自転車支持台14A〜15Bの内、入出庫対象の1つの自転車支持台に対応する、自転車入出庫口30の特定の自転車通過エリアのみを開き、出庫の場合は、自転車入出庫口30の開かれた特定のエリアを利用して、当該開かれた特定の自転車通過エリアの奥に位置する1つの自転車支持台上から出庫対象の自転車Cを自転車入出庫口30の外に引き出す。入庫の場合は、自転車入出庫口30の開かれた特定の自転車通過エリアを利用して、当該開かれた特定の自転車通過エリアの奥に位置する1つの自転車支持台上に自転車Cを挿入移載する。
【0025】
上記の自転車入出庫作業に際して行われる開閉扉31の自動制御や、設備全体の自転車預かり状況の管理などに、自転車入出庫用停止位置Aに停止した入出庫対象の駐輪台1上の全ての自転車支持台14A〜15Bごとの自転車の有無の検出、即ち、在荷検出が必要である。以下に、本発明による在荷検出装置の一実施例を図に基づいて説明する。
【0026】
図4〜図6に示すように、駐輪台1上に並設された全ての自転車支持台14A〜15Bには、在荷検出用の可動部材32,33が取り付けられている。ここで、低位自転車支持台14Aと高位自転車支持台15Aには、互いに同一構造の第一可動部材32が取り付けられ、低位自転車支持台14Bと高位自転車支持台15Bには、互いに同一構造の第二可動部材33が取り付けられている。第一及び第二各可動部材32,33は、図7、図8、及び図10に示すように、各自転車支持台14A〜15Bを構成しているレール部材16の内側に遊嵌し且つ自転車Cの前輪Cfを長さ方向に嵌合転動させることが出来る上側開放の溝形材で構成され、その底板部32a,33aの前端から同一距離だけ離れたほぼ中央位置の外側には門形の軸受け部材34が下向きに固着突設されると共に、当該軸受け部材34から後端側に同一距離だけ離れた底板部32a,33aの外側には、重錘35が固着されている。
【0027】
第一可動部材32は、その底板部32aの前端部が自転車前輪Cfによって押し下げられる前輪当接部36を構成すると共に、左右両側板部32bの後端部が被検出部37を構成している。又、第二可動部材33は、第一可動部材32と同様に、その底板部33aの前端部が自転車前輪Cfによって押し下げられる前輪当接部38を構成するものであるが、重錘35の取り付け位置から後端までの長さが第一可動部材32よりも長いもので、第一可動部材32と第二可動部材33とを、その軸受け部材34の軸孔が同心状になるように並列させたとき、側面視において、第一可動部材32の前記被検出部37と重なる箇所において左右両側板部33bに切欠き凹部39が上側辺から切欠形成され、当該左右両側板部33bの前記切欠き凹部39と後端までの間の部分が被検出部40を構成している。
【0028】
各自転車支持台14A〜15Bのレール部材16の底板部には、前輪支持部16aの後端角部、即ち、前輪支持部16aの後側傾斜部と中央連結部16bとの間の角部に、可動部材32,33の軸受け部材34が遊嵌する軸受け用開口部41が設けられると共に、中央連結部16bには、可動部材32,33の重錘35が遊嵌する重錘用開口部42が設けられている。又、レール部材16の前輪支持部16aの後端角部の外側には、左右一対の軸受け板43が下向きに固着突設されている。而して、各可動部材32,33は、その前端側の前輪当接部36,38が前輪支持部16a側に位置する向きでレール部材16内に嵌合されると共に、その軸受け部材34が開口部41からレール部材16の下側に突出され、当該軸受け部材34とその左右両側に隣接するレール部材16側の左右一対の軸受け板43とが、水平支軸44によって軸支連結され、各可動部材32,33が水平支軸44の周りにシーソー運動可能に構成されている。
【0029】
上記のようにレール部材16に取り付けられた各可動部材32,33は、後端側の重錘35に作用する重力により後端が下がる方向に付勢されているので、図5、図6、及び図7と図8の仮想線で示すように、その重錘35がレール部材16側の前記開口部42に嵌合して、各可動部材32,33の底板部32a,32bの後端側が中央連結部16bの底板部上に当接する待機姿勢に保持されることになる。この状態では、各可動部材32,33の前端部がレール部材16の前輪支持部16a(後側傾斜部)から前方に突出するだけで、各可動部材32,33の大部分はレール部材16の内側に収納されている。
【0030】
各自転車支持台14A〜15Bのレール部材16上に自転車Cが挿入され、その前輪Cfが前輪支持部16aに嵌合支持されて、当該前輪支持部16aの後側傾斜部と前輪ガイド枠16dとの間で位置決めされた状態では、図7及び図8に示すように、各可動部材32,33の前端側の前輪当接部36,38が前輪支持部16aに嵌合支持されている前輪Cfによって、重錘35の重力、即ち、下向きの付勢力に抗して押し下げられ、各可動部材32,33は、その底板部32a,33aの前端側が前輪支持部16a(後側傾斜部)の底板部に当接する作用姿勢に切り換えられている。この作用姿勢にある可動部材32,33は、後端側の重錘35がレール部材16側の重錘用開口部42から上方に脱出すると共に、両側板部32b,33bで構成された被検出部37,40が、レール部材16の中央連結部16bより上側に突出している。この作用姿勢にある各可動部材32,33の被検出部37,40は、自転車支持台14A〜15Bに支持された自転車Cの前輪Cfと、自転車支持台14A〜15Bのレール部材16(中央連結部16b)との間に形成される入隅部内で且つ、当該レール部材16(中央連結部16b)と自転車Cとの間の空間内に位置しており、横側方から視認できる状態にある。
【0031】
一方、図4に示すように、駐輪台1が循環移動する循環経路中の自転車入出庫用停止位置Aには、前記各可動部材32,33と共に在荷検出装置を構成する検出手段45が併設されている。この検出手段46は、図9にも示すように、自転車入出庫用停止位置Aに停止した駐輪台1の各自転車支持台14A〜15Bに取り付けられた前記可動部材32,33が作用姿勢にあるとき、各可動部材32,33の被検出部37,40によって光軸が遮断されるように、各自転車支持台14A〜15Bに対応して設けられた4組の透過型光電センサー46〜49から構成されている。各光電センサー46〜49は、投光器46a〜49aと受光器46b〜49bとの組み合わせからなり、これら投光器46a〜49aと受光器46b〜49bが自転車入出庫用停止位置Aの左右両側の固定壁フレーム50に取り付けられることになるが、同一高さにある低位自転車支持台14A,14B(又は高位自転車支持台15A,15B)に取り付けられている第一可動部材32と第二可動部材33の被検出部37,40を検出する2組の光電センサー46,47(又は48,49)の光軸は非常に接近することになるので、誤動作を避けるために、図9に示すように、投光器と受光器の配置を逆にすることが望ましい。
【0032】
上記構成の在荷検出装置によれば、自転車入出庫用停止位置Aに駐輪台1が停止したとき、各光電センサー46〜49を動作ONに切り換えることにより、各光電センサー46〜49の受光器46b〜49bのON,OFF状態から自転車支持台14A〜15Bごとの自転車Cno有無、即ち、在荷状態を検出することが出来る。即ち、自転車支持台14A〜15Bの内、自転車Cが支持されている自転車支持台の可動部材32又は33は、前記のように作用姿勢に切り換わっていて、その被検出部37又は40が、当該自転車Cが支持されている自転車支持台の可動部材32又は33に対応する光電センサー46〜49の光軸を遮断し、受光器46b〜49bはOFF状態であるから、この受光器46b〜49bのOFF状態から当該自転車支持台は在荷状態であると判別し、逆に、自転車支持台14A〜15Bの内、自転車Cが支持されていない空の自転車支持台の可動部材32又は33は、前記のように待機姿勢のままであって、その被検出部37又は40はレール部材16内に収納されているので、当該空の自転車支持台の可動部材32又は33に対応する光電センサー46〜49の光軸は遮断されずに受光器46b〜49bに入光され、当該受光器46b〜49bはON状態となるから、この受光器46b〜49bのON状態から当該自転車支持台は空状態であると判別することが出来る。
【0033】
尚、図9に示すように、同一高さにある低位自転車支持台14A,14B又は高位自転車支持台15A,15Bに取り付けられている第二可動部材33が作用姿勢にあるとき、第一可動部材32の被検出部37を検出する光電センサー46,48の光軸は、第二可動部材33の側板部33bに設けられた切欠き凹部39内を通過し、当該第二可動部材33の側板部33bによって遮断されることはないので、第一可動部材32の被検出部37を検出する光電センサー46,48は、第一可動部材32が作用姿勢にあるか否か、即ち、第一可動部材32を備えた自転車支持台14A又は15Aが在荷状態であるか否かを確実に検出することが出来る。
【0034】
尚、駐輪台1上に4台の自転車支持台14A〜15Bを並列設置したが、自転車支持台の台数はこの4台に限定されない。又、各自転車支持台14A〜15Bの構造も上記実施例のものに限定されない。更に、検出手段として、投光器と受光器を相対向させて配設する透過型の光電センサーを使用しているが、各可動部材32,33の被検出部37,40を光線の反射面として使用する反射型の光電センサーを使用することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明の立体駐輪設備の在荷検出装置は、特に既設建造物のスラブ下空間、例えば高架線路下空間、高架道路下空間、ビルの任意の階層空間などに設置するのに好適な、機高の低いタイプの立体駐輪設備において、駐輪台上に並列設置された自転車支持台ごとの自転車の有無を検出する手段として活用出来る。
【符号の説明】
【0036】
A 自転車入出庫用停止位置
C 自転車
1 駐輪台
2 下側水平経路部
3 上側水平経路部
4,5 上下方向経路部
4a,5a 垂直経路部
4b,5b 傾斜経路部
6a〜6c及び7a〜7c 案内輪
8 無端状駆動索
9 駆動軸
10 チエン伝動手段
11 モーター
12 側枠
13 支持部材
14A,14B 低位自転車支持台
15A,15B 高位自転車支持台
16 レール部材
16a 前輪支持部
16b 中央連結部
16c 後輪支持部
16d 前輪ガイド枠
19a,19b 支持用車輪
20 振れ止め用ローラー
21 連結軸
22,23 支持用ガイドレール
30 自転車入出庫口
31 開閉扉
32,33 可動部材
32a,33a 可動部材の底板部
32b,33b 可動部材の左右両側板部
34 軸受け部材
35 重錘(付勢手段)
36,38 可動部材の前輪当接部
37,40 可動部材の被検出部
39 切欠き凹部
41 軸受け用開口部
42 重錘用開口部
43 左右一対の軸受け板
44 水平支軸
45 検出手段
46〜49 透過型光電センサー
46a〜49a 投光器
46b〜49b 受光器
50 固定壁フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
垂直面に沿って循環経路を移動する駐輪台が、その移動方向に対し直交する水平方向に並列する複数の自転車支持台を備え、各自転車支持台には、自転車の前輪が嵌合する前輪支持部が設けられている駐輪設備において、各自転車支持台の前輪支持部に、水平支軸の周りに揺動自在に軸支され且つ前輪当接部と被検出部とを備えた可動部材が設けられ、この可動部材を、その前輪当接部が前輪支持部内に突出する待機姿勢に付勢保持する付勢手段が設けられ、各可動部材の前記被検出部は、1つの駐輪台上の全ての前記可動部材が、その前輪当接部が前輪支持部内に嵌合した自転車前輪によって押されて前記付勢手段の付勢力に抗して作用姿勢に切り換わったとき、駐輪台を循環経路の横側方から見たときに各可動部材の前記被検出部が互いに重ならないで且つ個別に視認できるように配設され、前記循環経路中の横側方には、定位置で停止した駐輪台の各可動部材に対応して、作用姿勢にある可動部材の前記被検出部を個別に検出する検出手段が配設されている、駐輪設備の在荷検出装置。
【請求項2】
前記自転車支持台は、前輪支持部の高さが低い複数の低位自転車支持台と前輪支持部の高さが高い複数の高位自転車支持台とが交互に並列設置され、各低位自転車支持台には、その被検出部の位置が異なる前記可動部材が取り付けられ、各高位自転車支持台には、低位自転車支持台に取り付けられた可動部材と同一の可動部材が取り付けられている、請求項1に記載の駐輪設備の在荷検出装置。
【請求項3】
自転車支持台は、自転車の車輪が転動自在に嵌合する上側開放の溝形のレール部材によって構成されると共に、前端に一段低くなった前輪支持部を備え、前記可動部材は、前記レール部材の内側に嵌合すると共に、その長さ方向の中間位置が、前記前輪支持部の後端角部に水平支軸でシーソー運動自在に軸支され、当該可動部材の前輪支持部側の底板部が前記前輪当接部を構成すると共に、当該可動部材の後端部から上向きに連設された側板部によって前記被検出部が構成され、前記可動部材が作用姿勢になったとき、前記被検出部が、自転車支持台と自転車前輪との間の入隅空間内に突出するように構成された、請求項1又は2に記載の駐輪設備の在荷検出装置。
【請求項4】
前記可動部材は、自転車前輪が嵌合通過できる上側開放の溝形材で構成され、その底板部の長さ方向中央部から下向きに突設された軸受け部材が、前記レール部材の前輪支持部の後端角部の底板部に設けられた開口部から下方に突出して、当該レール部材の外側に取り付けられた軸受け板に水平支軸により軸支され、前記付勢手段は、前記可動部材の底板部の後端部下側に取り付けられた重錘で構成され、前記レール部材の底板部には、前記重錘が上下に嵌脱自在な開口部が設けられている、請求項3に記載の駐輪設備の在荷検出装置。
【請求項5】
前記可動部材の被検出部を構成する側板部には、他の自転車支持台の可動部材の被検出部と側面視において重なる箇所において切欠き凹部が形成されている、請求項3または4に記載の駐輪設備の在荷検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−57428(P2012−57428A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203947(P2010−203947)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】