説明

骨関節炎を治療する方法

この発明は、骨関節炎を予防又は治療するために、軟骨損傷を予防又は治療するために、慢性関節リウマチを予防又は治療するために、関節機能を改善するために、関節痛を含む痛みを軽減するため等に、それを必要とする患者において、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を活性化合物として使用又は有する、方法、組成物、及び組合せ物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の分野】
【0001】
この発明は、骨関節炎(OA)を予防又は治療するために、軟骨損傷を予防又は治療するために、慢性関節リウマチ(RA)を予防又は治療するために、関節機能を改善するために、関節痛を含む痛みを軽減するため等に、それを必要とする患者において、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を活性化合物として使用又は有する、方法、組成物、及び組合せ物に関する。
【発明の背景】
【0002】
世界中で1億人が、何らかの形態の関節又は背骨(強直性脊椎炎)の、関節炎、動作不能、身体障害、疾患又は障害で苦しんでいる。疾患又は障害のタイプに依存して、関節炎で苦しむ患者は、乾癬(乾癬性関節炎)、自己免疫状態(例えば、全身性エリテマトーデス)、痛風、筋肉障害(例えば、フィブロミアルギア(fibromyalgia))、関節感染症(感染性関節炎)、強皮症、又は次の1若しくはそれを越える状態:尿道炎、前立腺炎、子宮頸炎、膀胱炎、眼病、又は皮膚病(ライター症候群)などの追加の状態でも苦しむことがある。
【0003】
例えば、米国だけでも300,000人の子供(例えば、若年性慢性関節リウマチ)を含む4千2百万人以上が何らかの形態の関節炎を有し、2020年までに総人数が6千万人にまで増えると考えられる。合衆国では関節炎の種々の形態のうちOAが最も多く、2千百万人が苦しんでいる。軟骨損傷を患っているOA患者は主に痛みと、関節変形と関節機能の低下又は喪失をもたらす関節硬直とを経験する。
【0004】
RAを患っている患者では、その臨床的帰結が軟骨及び骨の進行性破壊に関連する。RAで害された関節では、慢性的に炎症した増殖性の滑膜組織が、隣接する軟骨と骨に侵襲し、関節機能の喪失と動作不能をもたらす。
【0005】
アスピリンと、イブプロフェン、ジクロフェナック及びナプロキセンなどの慣用的な非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)は、RA関連炎症又はRA若しくはOA関連痛を治療するために用いられる典型的な薬剤である。NSAIDは、アラキドン酸からの細胞膜脂質のシクロオキシゲナーゼ−1(COX−1)及び/又はシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)媒介転化を遮断することによりプロスタグランジン放出を阻害する。しかしながら、慣用的なNSAIDの治療的使用は、生命を脅かす胃潰瘍及び腎毒を含む薬剤及びメカニズム付随副作用のために限界がある。更に、これら薬剤は、軟骨損傷、慢性関節リウマチ、又は骨関節炎に付随する痛みなどの二次的症状を治療するだけである。それらは、軟骨又は骨への損傷である根底にある病態生理学的状態を予防も治療もしない。かくして、これら疾患のための新規で改良された療法の必要性が継続している。
【0006】
本発明者らは、今回、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物である諸化合物、又は、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を含む薬学的に許容できるそれらの塩が、軟骨損傷を予防又は治療するのに、慢性関節リウマチを予防又は治療するのに、関節機能を改善するのに、関節痛を含む痛みを軽減するのに、及び骨関節炎を予防又は治療する等に有用であることを発見した。この発明の方法を実施するのに必要なのは、治療を必要とする対象に、有効量の、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を、又は、前記化合物と、COX−2阻害剤などの別の治療的に活性な物質とを含んでなる組合せ物を投与することだけである。
【発明の要旨】
【0007】
この発明は、骨関節炎(OA)を予防又は治療するために、軟骨損傷を予防又は治療するために、慢性関節リウマチ(RA)を予防又は治療するために、関節機能を改善するために、関節痛を含む痛みを軽減するため等に、それを必要とする患者において、置換ジアルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物を使用又は有する、方法、組成物、及び組合せ物に関する。
【0008】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における軟骨損傷を阻害する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0009】
この発明の別の側面は、哺乳動物における軟骨損傷を予防する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0010】
この発明の別の側面は、哺乳動物における骨関節炎を予防する方法であって、該哺乳動物に、骨関節炎予防有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0011】
この発明の別の側面は、哺乳動物における骨関節炎を治療する方法であって、該哺乳動物に、骨関節炎治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0012】
この発明の別の側面は、哺乳動物における慢性関節リウマチを予防する方法であって、該哺乳動物に、慢性関節リウマチ予防有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0013】
この発明の別の側面は、哺乳動物における慢性関節リウマチを治療する方法であって、該哺乳動物に、慢性関節リウマチ治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0014】
この発明の別の側面は、哺乳動物における関節炎症を治療する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0015】
この発明の一つの側面では、関節炎症は慢性関節リウマチ関節炎症である。
この発明の別の側面は、哺乳動物における関節機能を改善する方法であって、該哺乳動物に、関節機能改善有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0016】
この発明の別の側面は、哺乳動物における痛みを軽減する方法であって、該哺乳動物に、痛み軽減有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0017】
この発明の別の側面は、哺乳動物における全身性エリテマトーデスを治療する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0018】
この発明の別の側面は、哺乳動物における混合結合組織病を治療する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0019】
この発明の別の側面は、哺乳動物におけるIL−6媒介疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0020】
この発明の別の側面は、哺乳動物におけるIL−6レセプター媒介疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法である。
【0021】
この発明の別の側面では、IL−6又はIL−6レセプター媒介疾患は、敗血症である。
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、該置換ジアルキルエーテルが、式I:
【0022】
【化1】

【0023】
(式中:
n及びmは、独立に2〜9の整数であり;
1、R2、R3、及びR4は、独立にC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、又はC2〜C6アルキニルであるか;又は
1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒に、又は、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、又は、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒に、及び、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6の炭素を有する炭素環を形成することができ;
1及びY2は、独立に、COOH、CHO、テトラゾール、又はCOOR5であって、R5がC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、又はC2〜C6アルキニルであり;そして
該アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、ハロ、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、及びフェニルから選択される1又は2の基で置換されていてもよい。
【0024】
ここで、ハロは、クロロ、ブロモ、及びヨードを含み、C1〜C6アルコキシは、酸素を介して連結したC1〜C6アルキル基である。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩である方法である。
【0025】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸と命名される化合物又は薬学的に許容できるその塩である方法である。
【0026】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物である方法である。
【0027】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩水和物と命名される化合物である方法である。
【0028】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、投与されるものが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物の1型結晶である置換ジアルキルエーテルである方法である。
【0029】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、投与されるものが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物の2型結晶である置換ジアルキルエーテルである方法である。
【0030】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩エチルアルコール溶媒和物と命名される化合物である方法である。
【0031】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩メタノール溶媒和物と命名される化合物である方法である。
【0032】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩1−プロピルアルコール溶媒和物と命名される化合物である方法である。
【0033】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩2−プロピルアルコール溶媒和物と命名される化合物である方法である。
【0034】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩1−ブチルアルコール溶媒和物と命名される化合物である方法である。
【0035】
この発明の別の側面は、哺乳動物における軟骨損傷を阻害する方法であって、該哺乳動物に、軟骨損傷阻害有効量の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を投与することを含んでなる方法である。
【0036】
この発明の別の側面は、哺乳動物における軟骨損傷を予防する方法であって、該哺乳動物に、軟骨損傷予防有効量の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を投与することを含んでなる方法である。
【0037】
この発明の別の側面は、哺乳動物における骨関節炎を予防する方法であって、該哺乳動物に、骨関節炎予防有効量の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を投与することを含んでなる方法である。
【0038】
この発明の別の側面は、哺乳動物における骨関節炎を治療する方法であって、該哺乳動物に、骨関節炎治療有効量の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を投与することを含んでなる方法である。
【0039】
この発明の別の側面は、哺乳動物における慢性関節リウマチを予防する方法であって、該哺乳動物に、骨関節炎予防有効量の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を投与することを含んでなる方法である。
【0040】
この発明の別の側面は、哺乳動物における慢性関節リウマチを治療する方法であって、該哺乳動物に、骨関節炎治療有効量の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を投与することを含んでなる方法である。
【0041】
この発明の別の側面は、哺乳動物における痛みを軽減する方法であって、該哺乳動物に、痛み軽減有効量の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物を投与することを含んでなる方法である。
【0042】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式Iの化合物は、
7,7'−オキシビス(2,2−ジメチルヘプタン酸);
5,5'−オキシビス(2,2−ジメチルペンタン酸);
4,4'−オキシビス(2,2−ジメチルブタン酸);
8,8'−オキシビス(2,2−ジメチルオクタン酸);
2,2−ジメチル−5−(4−メチル−4−エトキシカルボニルペンチルオキシ)ペンタン酸エチル;
2,2−ジメチル−6−(5−メチル−5−エトキシカルボニルヘキシルオキシ)ヘキサン酸エチル;
2,2−ジメチル−8−(7−メチル−7−メトキシカルボニルオクチルオキシ)オクタン酸メチル;及び
7−(4−メチル−4−ヒドロキシカルボニルペンチルオキシ)−2,2−ジメチルペンタン酸;
又は薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0043】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式Iの化合物は、
5−(3−カルボキシ−3−メチル−ブトキシ)−2,2−ジメチル−ペンタン酸;
2,2−ジエチル−5−(4−メトキシカルボニル−4−メチル−ペンチルオキシ)−ペンタン酸;
6−(3−カルボキシ−3−エチル−4−メチル−ペンチルオキシ)−2,2−ジエチル−ヘキサン酸メチルエステル;
2−(3−クロロ−プロピル)−5−(5−ホルミル−7−ヒドロキシ−5−メチル−ヘプチルオキシ)−2−メチル−ペンタン酸;
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸;
6−(5−カルボキシ−5−エチル−ヘプチルオキシ)−2,2−ジエチル−ヘキサン酸・2ナトリウム塩;
6−(5−ブチル−5−メトキシカルボニル−ノニルオキシ)−2−エチル−2−メチル−ヘキサン酸;
6−(5−エトキシカルボニル−6−ヒドロキシ−5−ヒドロキシメチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ビス−ヒドロキシメチルヘキサン酸エチルエステル;
2,2−ジプロピル−6−[5−プロピル−5−(1H−テトラゾール−5−イル)−オクチルオキシ]−ヘキサナール;
1−{4−[4−(1−カルボキシシクロプロパン−1−イル)−ブチルオキシ]−ブチル}−シクロプロパンカルボン酸;
1−[4−(5,5−ジメチル−6−オキソ−ヘキシルオキシ)−ブチル]−シクロペンタンカルボアルデヒド;
2−ベンジル−6−(5,5−ジメチル−6−オキソ−ヘキシルオキシ)−2−メチル−ヘキサナール;
6−(6−エチル−6−ホルミル−オクチルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸;
7−(5−カルボキシ−5−エチル−6−メチル−ヘプチルオキシ)−2−エチル−2−イソブチル−ヘプタン酸;
2−[2−(6−カルボキシ−6−ヘキシル−ドデシルオキシ)−エチル]−2−ヘキシル−オクタン酸;
8−(3−カルボキシ−3−イソブチル−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジプロピル−オクタン酸・2カリウム塩;
8−(4−カルボキシ−4−メチル−ペンチルオキシ)−2,2−ジエチル−オクタン酸;
2−ブロモメチル−9−(4−カルボキシ−4−クロロメチル−5−ヒドロキシ−ペンチルオキシ)−2−ヨードメチル−ノナン酸;
9−(5−カルボキシ−5−ペンチル−デシルオキシ)−2,2−ビス−メトキシメチル−ノナン酸のトリエチルアミンとの1:1塩;
10−(5,5−ジメチル−6−オキソ−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−デカン酸;
11−(5−ヘキシルオキシカルボニル−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ウンデカン酸エチルエステル;
5−{3−エチル−11−[6−エチル−6−(1H−テトラゾール−5−イル)−オクタン−1−イルオキシ]−ウンデカン−3−イル}−テトラゾール;及び
11−(10−ベンジル−10−カルボキシ−11−クロロ−ウンデシルオキシ)−2,2−ジエチル−ウンデカン酸;
又は薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0044】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換アルキル化合物が、式II:
【0045】
【化2】

【0046】
(式中、nは、6、7、8、9又は10であり;
R及びR1は、水素及びC1〜C8アルキルからなる群から選択される。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩である方法である。
【0047】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式IIの化合物は、
2,2,9,9−テトラメチルデカン二酸;及び
2,2,12,12−テトラメチルトリデカン二酸;
又は薬学的に許容できるその塩
から選択される。
【0048】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換アルキル化合物が、式III:
【0049】
【化3】

【0050】
(式中、nは、6、7、8、9又は10であり;
R及びR1は、水素、(C1〜C12アルキル)−C(=O)−、HO2C(CH2)m−CH2−C(=O)−、フェニル−CH2−C(H)(NH2)−C(=O)−、及び(HO)2−P(=O)−から選択され;そして
mは、1〜3の整数であり;ここで、アルキルは、直鎖状又は分枝状である。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩である方法である。
【0051】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式IIIの化合物は、
2,2,9,9−テトラメチル−1,10−デカンジオール;
又は薬学的に許容できるその塩
から選択される。
【0052】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換アリール−アルキルエーテルが、式IV:
【0053】
【化4】

【0054】
(式中、
1は、C1〜C10アルキル、C3〜C7シクロアルキル、フェニル−(C1〜C5アルキル)−、フェニル、チエニル、フラニル、チアゾリル、ピリジニル、又はR34N−であり;
3及びR4は、同じでも異なっていてもよいC1〜C4アルキルであるか、又は、R3及びR4が互いに組合わさって、直接に又はN、O及びSから選択されるヘテロ原子を介在したものとして、それら両方が結合している窒素原子と5又は6員環を形成し、その際、該5又は6員環は、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、又はピペラジニルであり;
2は、結合又は−(CH2)m−であり;
1及びL2は、同じでも異なっていてもよいC1〜C4アルキルであるか、又は、L1及びL2が互いに組合わさって−(CH2)p−を形成し;
pは、2〜6の整数であり;そして
1が、C3〜C7シクロアルキル、フェニル−(C1〜C5アルキル)−、フェニル、チエニル、フラニル、チアゾリル、ピリジニル、又はR34N−であるときは、L1及びL2は、更にハロゲンであることができ;
該C3〜C7シクロアルキル、フェニル−(C1〜C5アルキル)−、フェニル、チエニル、フラニル、チアゾリル、ピリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、及びピペラジニル基は、C1〜C4アルキル、(C1〜C4アルキル)−O−、F、Cl、Br、I、OH、及び式−O−(CH2)m−O−のメチレンジオキシ基であって該メチレンジオキシ基の酸素原子が隣接の炭素原子に結合して5〜7員の環を形成しているものから独立に選択される1〜3の置換基を有していてもよく;そして
各々のmは、独立に1〜3の整数である。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩である方法である。
【0055】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式IVの化合物は、
5−[4−(1−メチルシクロヘキシルメチルオキシ)ベンジル]チアゾリジン−2,4−ジオン;
米国特許第4,287,200号の実施例1〜8、10及び11のいずれか1の化合物;
米国特許第4,287,200号の実施例10の化合物番号1〜54のいずれか1の化合物;及び
米国特許第4,287,200号の実施例12の化合物番号1〜7のいずれか1の化合物;
又は薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0056】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物が、式V:
【0057】
【化5】

【0058】
(式中、
1及びR2は、フェニル、OH、(C1〜C6アルキル)−O−、F、Cl、又はBrにより置換されていてもよいC1〜C6アルキル;C2〜C6アルケニル;C2〜C6アルキニル;C3〜C7シクロヘキシル;OH、(C1〜C6アルキル)−O−、C1〜C6アルキル、F、Cl、又はBrにより置換されていてもよいフェニル;又はヘテロ環から選択される未置換又は置換ヒドロカルビル基を表し;
X及びYは、各々独立に、水素、C1〜C6アルキル、F、Cl、Br、COOH、(C1〜C6アルキル)−O−C(=O)−、又は(C1〜C6アルキル)−N(H)−C(=O)−を表し、更に、X及びYの一方は、(C1〜C6アルキル)−O−、HO、又はNC−であることもでき;
Qは、8〜14の炭素原子のアルキレニル二価基、又は、炭素原子と、S、S(O)、S(O) 2、N(H)、N(C1〜C6アルキル)、N(CH2−フェニル)、及びOから選択されるヘテロ原子とを有する8〜14員のヘテロアルキレニル二価基からなる二価基を表し、その際、該アルキレニル又はヘテロアルキレニルが、オキソ(=O)、F、Cl、Br、OH、又は(C1〜C6アルキル)−O−により置換されていてもよく、そして、該アルキレニル又はヘテロアルキレニル中の1〜4の隣接原子がC3〜C7シクロアルキルを含んでいてもよく、そして、該アルキレニル又はヘテロアルキレニル中の2〜4の隣接原子がフェニルを含んでいてもよい。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩、又は、(C1〜C5アルキル)−COOHとのエステル、アミド、又は無水物から選択される in vivo 加水分解官能性誘導体である方法である。
【0059】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式Vの化合物は、
2,3,3,14,14,15−ヘキサメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジ−カルバモイル−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,14−ジエチル−3,14−ジメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラ−(2−プロペニル)−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラ−シクロヘキシル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジブロモ−3,3,14,14−テトラフェニル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
1,2−シクロプロピリジン−ビス−(3,3−ジメチル−7−イル−ヘプタン酸);
9,9−ペンタメチレン−3,3,15,15−テトラメチル−ヘプタデカン−1,17−二酸;
1,2−シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−7−イル−ヘプタン酸);
1,2−フェニレン−(3,3−ジメチル−7−イル−ヘプタン酸);
3,3,15,15−テトラメチル−9−チア−ヘプタデカン−1,17−二酸;
9−オキサ−3,3,15,15−テトラメチル−ヘプタデカン−1,17−二酸;
9−アザ−3,3,15,15−テトラメチル−ヘプタデカン−1,17−二酸;
3,3,14,14−テトラメチル−6,11−ジチアヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジフルオロ−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,2,15,15−テトラフルオロ−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,2,15,15−テトラクロロ−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラヒドロキシメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジクロロ−3,14−ジ(クロロメチル)−3,14−ジメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジクロロ−3,3,14,14−テトラ(クロロメチル)−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラ−(4−クロロフェニル)−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラ−(4−メチル−フェニル)−ヘキサデカン−1,16−二酸;及び
3,3,14,14−テトラ−(4−メトキシ−フェニル)−ヘキサデカン−1,16−二酸;
又は薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0060】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式Vの化合物は、
1,1,14,14−テトラ(エトキシカルボニル)−2,2,13,13−テトラメチル−テトラデカン;
1,1,16,16−テトラ(エトキシカルボニル)−2,2,15,15−テトラメチル−ヘキサデカン;
1,1,12,12−テトラ(エトキシカルボニル)−2,2,11,11−テトラメチル−ドデカン;
3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,16,16−テトラメチル−オクタデカン−1,18−二酸;
3,3,12,12−テトラメチル−テトラデカン−1,14−二酸;
1,14−ジ−(エトキシカルボニル)−1,14−ジシアノ−2,2,13,13−テトラメチル−テトラデカン;
2,15−ジシアノ−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジブロモ−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
2,3,3,14,14,15−ヘキサメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
1,14−ジエトキシカルボニル−2,2,13,13−テトラメチル−テトラデカン;
1,14−ジ−(エトキシカルボニル)−1,14−ジブロモ−2,2,13,13−テトラメチル−テトラデカン;
1,14−ビス−カルバモイル−2,2,13,13−テトラメチル−テトラデカン;
2,15−ジクロロ−3,3,14,14−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジブロモ−3,3,14,14−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸;
2,15−ジヒドロキシ−3,3,14,14−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸;
1,14−ジ−(カルボメトキシ)−1,14−ジブロモ−2,2,13,13−テトラメチルテトラデカン;
1,14−ジ−(カルボメトキシ)−1,14−ジクロロ−2,2,13,13−テトラメチルテトラデカン;
2,15−ジメトキシ−3,3,14,14−テトラメチルヘキサデカン−1,16−二酸;
1,1,18,18−テトラ(カルボエトキシ)−2,2,17,17−テトラメチルオクタデカン;
3,3,18,18−テトラメチルエイコサン−1,20−二酸;
3,3,14,14−テトラメチル−8−ヘキサデセン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラフェニル−6,11−ジケトヘキサデカン−1,16−二酸;
3,3,14,14−テトラフェニルヘキサデカン−1,16−二酸;
1,4−フェニレン−ビス−[(1,1−ジメチル−4−ブチル)−ジプロピオン酸ジメチルエステル];
1,4−フェニレン−ビス−[(1,1−ジメチル−4−ブチル)−ジプロピオン酸];
1,4−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−6−イル−5−ヘキセン酸メチルエステル);
1,3−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−6−イル−5−ヘキセン酸メチルエステル);
1,4−フェニレン−ビル(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸メチルエステル);
1,3−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸メチルエステル);
1,4−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸);
1,3−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸);
1,4−(シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸メチルエステル);
1,3−(シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸メチルエステル);
1,4−(シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸);
1,3−(シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−6−イル−ヘキサン酸);
1,4−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−7−イル−5−ヘプタン酸);
1,3−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−7−イル−5−ヘプタン酸);
1,4−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−7−イル−ヘプタン酸);
1,3−フェニレン−ビス(3,3−ジメチル−7−イル−ヘプタン酸);
1,4−(シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−7−イル−ヘプタン酸);
1,3−(シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−7−イル−ヘプタン酸);及び
1,4−(シクロヘキシリデン−ビス−(3,3−ジメチル−5−オキソ−7−イル−ヘプタン酸);
又は薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0061】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物が、式VI:
【0062】
【化6】

【0063】
(式中、
1及びR2は、各々独立に、OH、(C1〜C6アルキル)−O−、F、Cl、Br又はフェニルにより置換されていてもよい未置換若しくは置換C1〜C6アルキルであって、該フェニルは、OH、(C1〜C6アルキル)−O−、C1〜C6アルキル、F、Cl、又はBrにより1又はそれを越えて置換されていてもよいもの;C2〜C6アルケニル;C2〜C6アルキニル;C3〜C7シクロアルキル;OH、(C1〜C6アルキル)−O−、C1〜C6アルキル、F、Cl、又はBrにより置換されていてもよいフェニル;又はヘテロ環を表し;
X及びYは、各々独立に、水素、C1〜C6アルキル、(C1〜C6アルキル)−O−、HO、NC−、F、Cl、Br、COOH、(C1〜C6アルキル)−O−C(=O)−、又は(C1〜C6アルキル)−N(H)−C(=O)−を表し;
Qは、8〜14の炭素原子のアルキレニル二価基、又は、炭素原子と、S、S(O)、S(O) 2、N(H)、N(C1〜C6アルキル)、N(CH2−フェニル)、及びOから選択されるヘテロ原子とを有する8〜14員のヘテロアルキレニル二価基からなる二価基を表し、その際、該アルキレニル又はヘテロアルキレニルが、オキソ(=O)、F、Cl、Br、OH、又は(C1〜C6アルキル)−O−により置換されていてもよく、そして、該アルキレニル又はヘテロアルキレニル中の1〜4の隣接原子がC3〜C7シクロアルキルを含んでいてもよく、そして、該アルキレニル又はヘテロアルキレニル中の2〜4の隣接原子がフェニルを含んでいてもよい。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩、又は、(C1〜C5アルキル)−COOHとのエステル、アミド、又は無水物から選択される in vivo 加水分解官能性誘導体である方法である。
【0064】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式VIの化合物は、
2,15−ジフルオロ−3,3,14,14−テトラメチル−1,16−ヘキサデカン二酸;
2,15−ジクロロ−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸ジイソプロピルエステル;及び
2,2,15,15−テトラクロロ−3,3,14,14−テトラメチル−ヘキサデカン−1,16−二酸;
又は薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0065】
別の側面は、上記発明方法のいずれか1つであって、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物が、式VII:
【0066】
【化7】

【0067】
(式中、
1、R2、R3、及びR4は、各々独立に、水素、未置換若しくは置換ヒドロカルビル基であって、C1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、C2〜C6アルキニル、C3〜C7シクロヘキシル、フェニル、及びフェニル−(C1〜C3アルケニル)、又はヘテロ環から選択されるヒドロカルビル基を表し;
5及びR6は、独立に、水素、ヒドロキシル、C1〜C6アルキル、クロロ、ブロモ、シアノ、ニトロ、C1〜C6アルコキシ、又はCF3を表し;
Qは、2〜14の炭素原子の未置換又は置換直鎖であって、その炭素原子の1又はそれを越えるものが、O、S、S(O)、S(O) 2、N(H)、N(C1〜C6アルキル)、及びN(CH2フェニル)から選択されるヘテロ原子により置き換わっていてもよいものからなる二価基を表し;
置換基が、オキソ(=O)、F、Cl、Br、OH、又は(C1〜C6アルキル)−O−から選択され、そして、該直鎖中の1〜4の隣接原子がC3〜C7シクロアルキルを含んでいてもよく、そして、該直鎖中の2〜4の隣接原子がフェニルを含んでいてもよい。)
の化合物又は薬学的に許容できるその塩、又は、C1〜C6カルボン酸とのC1〜C6アルキルエステル、未置換アミド、C1〜C6アルキルアミド、ビス(C1〜C6アルキル)アミド、無水物、及びCOOH基とR5又はR6のいずれかのOH基との間の脱水閉環によって形成されるラクトンから選択される、そのカルボキシル基の in vivo 加水分解官能性誘導体である方法である。
【0068】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式VIIの化合物は、R1、R2、R3、R4、R5及びR6が各々水素ではない化合物である。
別の側面では、本発明方法で利用されることができる式VIIの化合物は、
4,4,11,11−テトラメチルテトラデカン二酸;
4,4,13,13−テトラメチルヘキサデカ−2,5,11,14−テトラエン二酸ジエチル;
4,4,13,13−テトラメチルヘキサデカン二酸;
4,4,15,15−テトラメチルオクタデカン二酸;
2,2,15,15−テトラメチルヘキサデカン二酸;及び
2,2,17,17−テトラメチルオクタデカン二酸
から選択される。
【0069】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第10/205,939号;米国特許第6,410,802号;6,459,003号;及び6,506,799号;米国特許出願公開第US2003/0065195号;及びWO00/59855のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩である。
【0070】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第10/205,939号;米国特許第6,410,802号;6,459,003号;及び6,506,799号;米国特許出願公開第US2003/0065195号;及びWO00/59855のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩であって:
6−(6−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン−1−オール;
リン酸 モノ−(1,1−ジメチル−5−(5−メチル−5−ホスホノオキシ−ヘキシルオキシ)−ペンチル)エステル・ナトリウム塩;
リン酸 ジベンジルエステル 5−(5−(ビス−ベンジルオキシ−ホスホリルオキシ)−5−メチル−ヘキシルオキシ)−1,1−ジメチル−ペンチルエステル;
リン酸 モノ−(1,1−ジメチル−4−(4−メチル−4−ホスホノオキシ−ペンチルオキシ)−ブチル)エステル・ナトリウム塩;
リン酸 ジベンジルエステル 4−(4−(ビス−ベンジルオキシ−ホスホリルオキシ)−4−メチル−ペンチルオキシ)−1,1−ジメチル−ブチルエステル;及び
6−(5−ヒドロキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2−メチル−ヘキサン−2−オール;又は
薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0071】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,867号;米国特許出願公開第US2003/0018013号;及びWO02/30863のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩である。
【0072】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,867号;米国特許出願公開第US2003/0018013号;及びWO02/30863のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩であって:
5−[2−(5−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−ペンチルオキシ)−エトキシ]−2,2−ジメチル−ペンタン−1−オール;及び
3−{3−[3−(2−カルボキシ−2−メチル−プロピル)−フェノキシ]−フェニル}−2,2−ジメチル−プロピオン酸;又は
薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0073】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,938号;米国特許出願公開第US2003/0078239号;及びWO02/30860のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩である。
【0074】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,938号;米国特許出願公開第US2003/0078239号;及びWO02/30860のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩であって:
1,13−ジヒドロキシ−2,2,12,12−テトラメチル−トリデカン−7−オン;
2,2,12,12−テトラメチル−7−オキソ−トリデカン二酸ジエチルエステル;
1,11−ジヒドロキシ−2,2,10,10−テトラメチル−ウンデカン−6−オン;
2,12−ジメチル−7−オキソ−2,12−ジ−p−トリル−トリデカン二酸;
1,13−ジヒドロキシ−2,12−ジメチル−2,12−ジ−p−トリル−トリデカン−7−オン;
2,12−ビス−(4−イソブチル−フェニル)−2,12−ジメチル−7−オキソ−トリデカン二酸;
1,13−ジヒドロキシ−2,12−ビス−(4−イソブチル−フェニル)−2,12−ジメチル−トリデカン−7−オン;
2,10−ジメチル−6−オキソ−2,10−ジフェニル−ウンデカン二酸;
1,11−ジヒドロキシ−2,10−ジメチル−2,10−ジフェニル−ウンデカン−6−オン;
9−ヒドロキシ−3−(6−ヒドロキシ−5,5−ジメチル−ヘキシル)−8,8−ジメチルノナン−2−オン;
ビス[3−(3−ヒドロキシ−2,2−ジメチルプロピル)フェニル]メタノン;
3−{3−[3−(2−カルボキシ−2−メチル−プロピル)−ベンゾイル]−フェニル}−2,2−ジメチル−プロパン酸;
2,2,12,12−テトラメチル−7−オキソ−トリデカン二酸ビスメチルアミド;
2,2,12,12−テトラメチル−7−オキソ−トリデカン二酸ビスフェニルアミド;及び
7−オキソ−2,12−ジメチル−2,12−ジフェニル−トリデカン二酸;又は
薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0075】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,898号;米国特許出願公開第US2002/0077316号;及びWO02/30884のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩である。
【0076】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,898号;米国特許出願公開第US2002/0077316号;及びWO02/30884のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩であって:
5−[2−(4−カルボキシ−4−メチル−ペンチルスルファニル)−エチルスルファニル]−2,2−ジメチル−ペンタン酸;
ビス−(5,5−ジメチル−6−テトラヒドロピラニルオキシ−ヘキシル)−スルフィド;
6−(5,5−ジメチル−6−ヒドロキシ−ヘキシル−スルファニル)−2,2−ジメチル−ヘキサン−1−オール;
5−メルカプト−2,2−ジメチルペンタン酸エチル;
2,2,12,12−テトラメチル−6,8−ジチアトリデカン−1,13−二酸;
6−(6−ヒドロキシ−5−メチル−5−フェニルヘキシルスルファニル)−2−メチル−2−フェニルヘキサン−1−オール;
6−(5−カルボキシ−5−フェニルヘキシルスルファニル)−2−メチル−2−フェニル−ヘキサン酸;
ジ−(6−ヒドロキシ−5,5−ジメチルペンチル)スルフィド;
5−(5−ヒドロキシ−4−メチル−4−フェニルペンチルスルファニル)−2−メチル−2−フェニルペンタン−1−オール;及び
2,2,12,12−テトラメチル−5,9−ジチアトリデカン二酸ジナトリウム塩;又は
薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0077】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,899号;米国特許出願公開第US2003/0022865号;及びWO02/30882のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩である。
【0078】
別の側面では、本発明方法で利用されることができる化合物は、米国特許出願第09/976,899号;米国特許出願公開第US2003/0022865号;及びWO02/30882のあらゆる単一の化合物又は属の化合物、又は薬学的に許容できるその塩であって:
6−(5,5−ジメチル−6−ヒドロキシ−ヘキサン−1−スルフィニル)−2,2−ジメチル−ヘキサン−1−オール;
6−(6−ヒドロキシ−5−メチル−5−フェニルヘキシルスルフィニル)−2−メチル−2−フェニルヘキサン−1−オール;
5−(5−ヒドロキシ−4,4−ジメチル−ペンチル−1−スルフィニル)−2,2−ジメチル−ペンタン−1−オール;及び
5−(5−ヒドロキシ−4−メチル−4−フェニルペンチルスルフィニル)−2−メチル−2−フェニルペンタン−1−オール;又は
薬学的に許容できるそれらの塩
から選択される。
【0079】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における軟骨損傷を阻害する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における軟骨損傷を阻害するための治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0080】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における軟骨損傷を予防する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における軟骨損傷を予防するための治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0081】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における骨関節炎を予防する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における骨関節炎を予防するための骨関節炎予防有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0082】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における骨関節炎を治療する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における骨関節炎を治療するための骨関節炎治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0083】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における慢性関節リウマチを予防する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における慢性関節リウマチを予防するための慢性関節リウマチ予防有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0084】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における慢性関節リウマチを治療する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における慢性関節リウマチを治療するための慢性関節リウマチ治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0085】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における関節機能を改善する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における関節機能を改善するための関節機能改善有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0086】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における全身性エリテマトーデスを治療する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における全身性エリテマトーデスを治療するための全身性エリテマトーデス治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0087】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における混合結合組織病を治療する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における混合結合組織病を治療するための治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0088】
この発明の一つの側面は、哺乳動物におけるIL−6媒介疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物におけるIL−6媒介疾患を治療するための治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0089】
この発明の一つの側面は、哺乳動物におけるIL−6レセプター媒介疾患を治療する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物におけるIL−6レセプター媒介疾患を治療するための治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0090】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における敗血症を治療する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における敗血症を治療するための治療有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0091】
この発明の一つの側面は、哺乳動物における痛みを軽減する方法であって、該哺乳動物に、哺乳動物における痛みを軽減するための痛み軽減有効量の手段を薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤と混合して投与することを含んでなる方法である。
【0092】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが骨関節炎痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが慢性関節リウマチ痛である方法である。
【0093】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが関節痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが骨関節炎関節痛である方法である。
【0094】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが慢性関節リウマチ関節痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが急性痛である方法である。
【0095】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが急性関節痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが慢性痛である方法である。
【0096】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが慢性関節痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが炎症痛である方法である。
【0097】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが炎症関節痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが機械的痛みである方法である。
【0098】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが機械的関節痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みがIL−6、IL−6sR、又はIL−6レセプターによって媒介される痛みである方法である。
【0099】
別の側面は、上記の、関節痛、骨関節炎痛、慢性関節リウマチ痛、及び炎症関節痛より他の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みがIL−6、IL−6sR、又はIL−6レセプターによって媒介される痛みである方法である。
【0100】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みがタンパク質又はタンパク質とそのレセプターであって、オンコスタチン−M、オンコスタチン−Mとオンコスタチン−Mレセプター、白血病阻害因子(LIF)、LIFと白血病阻害因子レセプター(LIFR)、インターロイキン−11(IL−11)、及びIL−11とインターロイキン−11レセプター(IL−11R)から選択されるものによって媒介される方法である。
【0101】
別の側面は、上記の、関節痛、骨関節炎痛、慢性関節リウマチ痛、及び炎症関節痛より他の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みがエンドセリン−1によって媒介される痛みである方法である。
【0102】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが骨癌痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが神経障害性の痛みである方法である。
【0103】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが静的異痛である方法である。
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが動的異痛である方法である。
【0104】
別の側面は、上記の痛みを軽減するいずれか1つの方法であって、該痛みが頭痛である方法である。
この発明の別の側面は、医薬組成物であって、上記方法のいずれか1つで使用するのに有効な量の、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩、及び薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含んでなる組成物である。
【0105】
この発明の別の側面は、医薬組成物の使用であって、上記方法のいずれか1つで使用するのに有効な量の、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩、及び薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含んでなる組成物を含んでなる組成物の使用である。
【0106】
この発明の別の側面は、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩の、上記方法のいずれか1つで使用するのに有効な医薬品の製造における使用である。
【0107】
この発明の別の側面は、組合せ物であって、選択的COX−2阻害剤、又は薬学的に許容できるその塩と、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アリールエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩とを含んでなる組合せ物である。
【0108】
この発明の別の側面は、組合せ物であって、セレコキシブ、バルデコキシブ、及びパレコキシブから選択される選択的COX−2阻害剤と、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と命名される化合物とを含んでなる組合せ物である。
【0109】
この発明の別の側面は、組合せ物であって、メトトレキサートと、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アリールエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩とを含んでなる組合せ物である。
【0110】
この発明の別の側面は、組合せ物であって、治療的生物学的物質と、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩とを含んでなる組合せ物である。
【0111】
この発明の別の側面は、いずれかの発明方法であって、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物が、該置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン、又は置換アルキル化合物と、他の治療的に活性な化合物又は治療的生物学的物質とを含んでなる発明組合せ物で置き換えられる方法である。
【0112】
この発明の別の側面は、医薬組成物であって、上記の方法のいずれかの1つで使用するのに有効な量の発明組合せ物、及び薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含んでなる組成物である。
【0113】
この発明の別の側面は、医薬組成物の使用であって、上記の方法のいずれかの1つで使用するのに有効な量の発明組合せ物、及び薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤を含んでなる組成物の使用である。
【0114】
製剤例1
錠剤製剤
【0115】
【表1】

【0116】
当該発明で有用な当該置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物及びコーンスターチ(混合用)を混合して均一にする。当該コーンスターチ(ペースト用)を200mLの水に懸濁させ、攪拌しながら加熱してペーストにする。当該ペーストを用いて当該混合粉体を顆粒化する。当該湿潤顆粒をNo.8の手動篩を通過させ80℃で乾燥する。当該乾燥した顆粒を1%のステアリン酸マグネシウムで滑らかにし、錠剤に打型する。当該錠剤は軟骨損傷の防止、関節機能の改善、関節リュウマチの治療又は変形性関節炎の治療のためにヒトへ1日に4回投与できる。
【0117】
製剤例2
コーテッド錠剤
製剤例1の錠剤を通常の方法にて蔗糖、ジャガイモ澱粉、タルク、トラガカント及び色材でコートする。
【0118】
製剤例3
注射用バイアル
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩500g及びリン酸水素二ナトリウム5gを、3Lの二回蒸留した水中で2M塩酸を用いてpH6.5に調整する。当該溶液は滅菌的にろ過し、ろ液を注射バイアルに充填し、滅菌条件下で凍結乾燥し、無菌で封をする。各注射バイアルは6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を25mg含有している。
【0119】
製剤例4
座薬
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩25g、大豆レシチン100g、及びカカオバター1400gを溶解し、型に流し込み、冷却させる。各座薬は25gの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含んでいる。
【0120】
製剤例5
溶液剤:
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩1g、NPO・12HO9.38g、Na2HPO・12HO28.48g及び二回蒸留した水940mLに溶かした塩化ベンザルコニウム0.1gで溶液を調製する。当該溶液剤のpHにつき2M塩酸を使用してpH6.8に調整する。当該溶液は二回蒸留した水で1.0Lに希釈し、放射線照射で滅菌する。25mL容量の溶液剤は25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0121】
製剤例6
軟膏
500mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を99.5gのワセリンと無菌条件で混合する。5gの軟膏は25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0122】
製剤例7
カプセル
2kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を硬ゼラチンカプセル中に通例の方法で注入すると、各カプセルは25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0123】
製剤例8
アンプル
2.5kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩の溶液を二回蒸留した水60L中に溶解する。当該溶液を滅菌的にろ過し、ろ液をアンプルに充填する。当該アンプルは滅菌条件下で凍結乾燥し、無菌で封をする。各アンプルは25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0124】
製剤例9
錠剤処方:
【0125】
【表2】

【0126】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩、バルデコキシブ、乳糖及びコーンスターチ(混合用)を混合して均一にする。当該コーンスターチ(ペースト用)を200mLの水に懸濁させ、攪拌しながらペーストにした。当該ペーストを用いて当該混合粉末を顆粒化させる。湿潤顆粒をNo.8の手動篩を通過させ、80℃で乾燥する。当該乾燥した顆粒を1%ステアリン酸マグネシウムで滑らかにし、錠剤に打型する。当該錠剤は慢性関節リウマチを含む上で挙げた病気の1つを治療するために1日に1から4回ヒトに投与できる。
【0127】
製剤例10
コーテッド錠剤:
製剤例9の錠剤を通常の方法にて蔗糖、ジャガイモ澱粉、タルク、トラガカント及び色材の被膜でコートする。
【0128】
製剤例11
注射バイアル:
250gのバルデコキシブ、500gの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩及び5gのリン酸水素ナトリウムの溶液を3Lの二回蒸留した水の中で2M塩酸を用いてpH6.5に調整する。当該溶液は滅菌ろ過し、当該ろ液を注射用バイアルに充填し、無菌条件下で凍結乾燥して無菌で封をする。各注射バイアルは12.5mgのバルデコキシブ及び25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0129】
製剤例12
座薬
50gのバルデコキシブ、25gの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩、100gの大豆レシチン及び1400gのカカオバターの混合物を溶解し、鋳型に流し込んで冷却させる。各座薬は50mgのバルデコキシブ、25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0130】
製剤例13
溶液剤:
0.5gのバルデコキシブ、1gの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩、9.38gのNaHPO/12HO、28.48gのNaHPO・12HO及び0.1gの塩化ベンザルコニウムを940mLの二回蒸留水で溶液に調製する。当該溶液のpHは2M塩酸を用いてpH6.8に調整する。当該溶液を二回蒸留水で1.0Lに希釈し、放射線照射で滅菌する。当該溶液剤の25mLは12.5mgのバルデコキシブ及び25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0131】
製剤例14
軟膏
100mgのバルデコキシブ、500mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を無菌条件下で99.4gのワセリンで混合する。5gの当該軟膏は5mgのバルデコキシブ及び25mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0132】
製剤例15
カプセル剤:
2kgのバルデコキシブ及び20kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を硬ゼラチンカプセルに通例の方法で注入すると、各カプセルは25mgのバルデコキシブ及び250mgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有している。
【0133】
製剤例16
アンプル剤:
2.5kgのバルデコキシブ及び2.5kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩の溶液を60Lの二回蒸留水に溶解する。当該溶液を滅菌ろ過し、当該ろ液をアンプルに充填する。当該アンプルを無菌条件下で凍結乾燥し、無菌的に封をする。各アンプルは各25mgのバルデコキシブ及び6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する。
【0134】
製剤例17
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩の錠剤処方
【0135】
【表3】

【0136】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩、乳糖及びコーンスターチ(混合用)を混合して均一にする。当該コーンスターチ(ペースト用)を200mLの水に懸濁し、攪拌しながら加熱してペーストを形成する。当該ペーストを用いて当該混合粉末を顆粒化する。当該湿潤顆粒をNo.8の手動篩を通し、80℃で乾燥する。当該乾燥顆粒を1%ステアリン酸マグネシウムにより滑らかにし、押圧して錠剤とする。
バルデコキシブの注射用バイアル処方:
500gのバルデコキシブ及び5gのリン酸水素二ナトリウム溶液のpHを3Lの二回蒸留水中で2M塩酸を用いてpH6.5に調整する。当該溶液を滅菌ろ過し、当該ろ液を注射用バイアルに注入し、滅菌条件下で凍結乾燥し、無菌的に封をする。各注射用バイアルは25mgのバルデコキシブを含有する。
【0137】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する当該錠剤は上に挙げた病気の治療用に1日1から4回ヒトに投与でき、バルデコキシブを含有する当該注射用溶液剤は1日に1又は2回ヒトに投与できるが、関節リュウマチを含む上で挙げた病気の1つの治療用として、注射による投与は場合により当該錠剤の投与と同時又は異なる回数である。
【0138】
製剤例18
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有するコーテッド錠剤:
製剤17の錠剤は通常の方法にて蔗糖、ジャガイモデンプン、タルク、トラガカント及び色材の被膜でコートされる。
【0139】
バルデコキシブ含有カプセル:
2kgのバルデコキシブを通常の方法で硬ゼラチンカプセルに注入し、各カプセルは25mgのバルデコキシブを含有するようにする。
【0140】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含有する当該コーテッド錠剤は、上で挙げた病気の治療用に1日に1から4回ヒトに投与することができ、バルデコキシブを含有するカプセルはヒトに1日に1又は2回投与できるが、カプセルの投与は上に挙げた病気の1つの治療のためには場合により当該錠剤の投与と同時又は異なる回数である。
【0141】
発明の方法、組成物及び組合わせの他の態様は、本発明の詳細な説明において以下で具体的に示しているように、発明者は意図している。
【発明の詳細な説明】
【0142】
上で要約したように、本出願は骨関節炎(“OA”)の防止又は治療、軟骨損傷の防止又は阻止、関節リュウマチ(“RA”)の防止又は治療、関節機能の改善又は関節痛を含む痛みの軽減の活性成分として、それらを必要としている患者に置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物或いは薬学的に許容できるそれらの塩を使用又は有する方法、組成物及び組合わせに関する。
【0143】
発明した方法にて有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、組成物又は組合せには、各々参照により本明細書中に援用されている米国特許番号第3,773,946号;第3,930,024号:第4,287,200号;第4,689,344号:第4,711,896号;第5,648,387号;第5,750,569号;第5,756,544号;第5,783,600号;第6,410,802号;第6,459,003号及び第6,506,799号;米国特許出願番号09/976,864;09/976,938;09/976,898;09/976,899及び10/205,939;米国出願公開公報番号US2002/0077316:US2003/0018013;US2003/0022865;US2003/0065195及びUS2003/0078239;及びPCT国際公開公報番号WO96/30328;WO98/30530;WO00/59855;WO01/55078;WO02/30860;WO02/30863;WO02/30882及びWO02/30884に記載されている治療用化合物のいずれの態様又は実施形態が含まれる。
【0144】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸、カルシウム塩と名付けた化合物を含む式Iの置換ジアルキルエーテル類及び薬学的に許容できるその塩類は、米国特許第5,648,387号及びその分割出願番号第5,750,569号;5,756,544号及び第5,783,600号及びPCT国際公開番号WO96/30328;WO01/55078に記載されている
式IIの置換アルキル化合物及び医薬品にて許容されているその塩類は米国特許第3,773,946号に記載されている。
【0145】
式IIIの置換アルキル化合物及び薬学的に許容できるその塩類は米国特許第3,930,024号に記載されている。
式IVの置換アリール−アルキルエーテル類及び医薬品にて許容されているその塩類は米国特許第4,287,200号に記載されている。
【0146】
式Vの置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩類は米国特許第4,689,344号に記載されている。
【0147】
式VIの置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩類は米国特許第4,711,896号に記載されている
式VIIの置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩類はPCT国際特許出願公開番号WO98/30530に記載されている。
【0148】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩類は米国特許出願番号10/205,939;米国特許番号第6,410,802号;第6,459,003号及び第6,506,799号;米国特許公開公報番号US2003/0065195及びPCT国際特許公開公報番号WO00/59855に記載されている。
【0149】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物及び薬学的に許容できるそれらの塩類は米国特許出願番号09/976,867;米国特許公開公報番号US2003/0018013及びPCT国際公開公報番号WO02/30863に記載されている。
【0150】
置換ジアルキルチオエーテル類は米国特許出願番号09/976,898;及び09/976,899;米国特許公開公報番号US2002/0077316とUS2003/0022865及びPCT国際特許公開公報番号WO02/30882及びWO02/30884に記載されている。
【0151】
置換ジアルキルケトン類は米国特許出願番号09/976,938;米国特許公開公報番号US2003/0078239及びPCT国際特許公開公報番号WO02/30860に記載されている。
【0152】
当然のことながら、発明の方法、組成物又は組合せで利用されている化合物は、これに限らないが酸添加及び/又は塩基添加の塩を含む薬学的に許容できる塩類を更に形成することができる。当該酸の添加の塩類は塩基性化合物から形成され、塩基添加塩類は酸性化合物から形成される。これらの形態の全ては発明の方法、組成物又は組合せにて有用な化合物の範囲内である。
【0153】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の薬学的に許容できる酸添加塩類には、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、よう化水素酸、フッ化水素酸、亜リン酸など無機酸由来の毒性のない塩類及び、同じく脂肪族モノ及びジカルボン酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸、アルカン二酸、芳香族酸、脂肪族及び芳香族スルホン酸など有機酸由来の毒性のない塩類が含まれる。当該塩類にはそれ故、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、よう化物、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、プロピオン酸、カプリン酸塩、イソ酪酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、フマール酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、安息香酸、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、フタール酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、フェニル酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩などが含まれる。同様に意図されているのはアルギニン塩などのようなアミノ酸の毒性のない塩類及びグルコン酸塩、ガラクツロン酸塩もある(参照、例えばBerge S.M.等.,“Pharmaceutical Salts,”J.of Pharma.Sci.,1977;66:1)。
【0154】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の酸添加塩は、当該化合物の遊離塩基型を望ましい酸の充分な量と従来方法で接触させて調製し、毒性のない塩を生産する。当該化合物の遊離塩基型はこうして作成した当該酸添加塩を塩基と接触させ、当該化合物の遊離塩基型を従来方法で単離して再生される。化合物の遊離塩基型はこれらのそれぞれの酸添加塩型とは溶解度、結晶形、吸湿性など一定の物理的性質が異なるが、さもなければ当該化合物の遊離塩基型及びそれらの個々の酸添加塩型は発明の方法、組成又は組合せにて同等に利用できる。
【0155】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の医薬品にて許容されている塩基添加塩は、当該化合物の遊離酸型をアルカリ、アルカリ土類カチオン又はアミン、特に有機アミンのような金属カチオンと接触させて調製することができる。適した金属カチオン類の例には、ナトリウムカチオン(Na)、カリウムカチオン(K)、マグネシウムカチオン(Mg2+)、カルシウムカチオン(Ca2+)などが含まれる。適したアミン類の例はN,N'−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、N−メチルグルカミン及びプロカインである(参照、例えば、Berge,上記.,1977)。
【0156】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の塩基添加塩は、当該化合物の遊離酸型を望ましい塩基の充分な量と従来の方法で接触させて調製できる。当該化合物の遊離酸型はこうして形成させた塩型を酸と接触させ、従来の方法にて当該化合物の遊離酸を単離して再生させる。当該化合物の遊離酸型はそれら塩型のそれぞれとは溶解度、結晶構造、吸湿性など幾らかの物理的性質が幾分異なるが、さもなければ発明の方法、組成物又は組合せで同等に利用できる。
【0157】
発明の方法、組成物又は組合せにおいて有用な化合物は、水和物型を含む溶媒和型と共に非溶媒和型で存在することができる。一般的に、水和物形を含む溶媒和型は非溶媒和型と同等である。発明の方法、組成物又は組合せでは、当該化合物の水和物型を含むいずれの溶媒和型でもそれらの混合物と共に利用できる。
【0158】
当該発明の方法、組成物又は組合せで有用な化合物は1個以上の不斉中心を有することができ、各中心はR又はSの立体配置で存在できる。発明の方法、組成物又は組合せは、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトンのジアステレオマー、鏡像体又はエピマーの型を全て、又は薬学的に許容できるそれらの塩と共にそれらの混合物を利用できる。
【0159】
発明の方法、組成物又は組成物において有用なある種の化合物は2個以上の互変異性型が存在することができる。当該置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の互変異性型は、例えばエノール化/脱エノール化である1,2−水素化物、1,3−水素化物又は1,4−水素化物転換などを介して入れ替わることができる。発明の方法、組成物又は組合せは当該化合物の全ての互換異性体型を、それらの混合物と共に利用が可能である。
【0160】
発明の方法、組成物又は組合せで有用な幾つかの化合物は反対側E又は同じ側Zの立体構造で存在できるアルケニル基を有するが、その場合全てのその幾何学的形、E及びZの両方、シスとトランス及びそれらの混合物は発明の方法、組成物又は組合せにて利用できる。
【0161】
発明の方法、組成物又は組合せにて有用な幾つかの化合物は、1個より多くの炭素原子が置換されているシクロアルキル基を有するが、その場合それらの全ての幾何学的形、シスとトランスの両方及びそれらの混合物は発明の方法、組成物又は組合せで使用することができる。
【0162】
発明の方法、組成物又は組合せにて有用な幾つかの化合物は、無定形又は結晶性固体として存在でき、その場合その包接化合物及びそれらの混合物を含んだ全てのその形態が発明の方法、組成物又は組合せにて使用できる。
【0163】
発明の方法、組成物又は組合せは同じように、発明の方法、組成物又は組合せにて有用な同位体標識化合物を利用するが、それらは自然界で通常見られる原子量又は質量数とは異なる原子量又は質量数を有する原子で1つ以上の原子が置換わっているということを除いては、上で列挙したものと同一である。発明の方法、組成物又は組合せで利用される化合物に組み込むことができる同位体類の例には其々H,H,13C,14C,15N,18O,17O,31P,32P,35S、18F及び36Clのような水素、炭素、窒素、酸素、リン、フッ素及び塩素が含まれる。前に説明した同位体類及び/又は他原子の他の同位体類を含有する化合物及び前記化合物の医薬品で許容される塩類は発明の方法、組成物又は組合せで使用できる。発明の方法、組成物又は組合せで使用されるある種の同位体標識化合物、例えばH及び14Cのような放射性同位体を組み込んだものは薬物及び/又は基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化した、即ちH及び炭素−14、即ち14C同位体は調製及び検出が簡単なことで知られている。更に、重水素、即ちHのようなより重い同位体による置換は、例えば生体での半減期の増大又は必要な用量の減少など、代謝安定性がより高いことによるある種の治療的利点を提供でき、幾つかの環境では使用ができる。発明の方法、組成物又は組合せにおいて、上で説明した同位体標識化合物は一般的には上や以下の参照文献で援用した手順、又はスキームの項及び/又は本明細書で開示した実施例及び調製の項にあれば、非同位体標識試薬を容易に入手可能な同位体標識試薬で代えて開示した手順を実施することで調製できる。
【0164】
上で説明したように、本発明の態様は軟骨組織破壊を防止又は抑制する方法である。発明の方法、組成物又は組合せにおいて軟骨損傷を防止又は抑制するのに有用な当該化合物の能力は、活性化合物の滑膜の変化及び脛骨プラトーの損傷に対する良好な効果、及び大腿顆及び脛骨プラトーへの損傷低減についての薬効で証明できる。更なる証拠には関節のプロテオグリカン含有量への活性化合物の有益な効果含むことができる。
【0165】
発明の方法、組成物又は組合せにおいて有用な化合物は変形関節症又は慢性関節リウマチの治療、或いは痛みの軽減用の現存薬剤との組合せで使用することもできる。組合せで使用されるのに適した薬剤には、ピロキシカム、ジクロフェナックのような標準的な非ステロイド系抗炎症剤(以後NASID's)、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、ケトプロフェン及びイブプロフェンのようなプロピオン酸系、メフェナミン酸、インドメタシン、スリンダック、アパゾーンのようなフェナメート系、フェニルブタゾンのようなピラゾロン系、アスピリンのようなサリチル酸系、セレコキシブ(G.D.Searle&Co.,Stokie,Illinoisによる商品名CELEBREX(登録商標))、バルデコキシブ(Pharmacia&Upjohn Company,North Peapack,New Jerseyによる商品名BEXTRA(登録商標))、エトリコキシブ(Merck&Co.,Inc.,Whitehouse Station,New Jerseyによる商品名ARCOXIA(登録商標))、ルミラコキシブ(Novartis AG,Basel,SwitzerlandによるPREXIGE(登録商標))、パレコキシブ及びロフェコキシブ(のMerk&Co.,Inc.,Whitehouse Station New Jerseyによる商品名VIOXX(登録商標))、デラコキシブ(Novartis AG,Bsel,Switzerlandによる商品名DERAMAXX(登録商標))のようなCOX−2阻害剤、及びカルプロフェン鎮痛剤並びにコルチコステロイドのような関節内治療薬及びヒアルガンやシンビスクのようなヒアルロン酸が含まれる。
【0166】
この発明の別の側面はヒト、猫、家畜及び犬を含む哺乳動物に活性化合物、組成物又は組合せを投与することを含む炎症過程及び病気を治療するための方法並びに医薬組成物に関し、そこでは前記炎症過程及び病気は上のように定義され、前記化合物は以下の条件下で1種以上の治療用活性薬剤との組合せで使用される:
A)関節が著しい炎症を起こすと共に同時に細菌、真菌、原虫及び/又はウイルスに感染された場合、前記阻止用組合せを1種以上の抗生剤、抗真菌剤、抗原虫剤及び抗ウイルスの治療剤との組合せで投与される;
B)痛み及び炎症の多重治療が必要な場合、前記阻止用組合せを、基本的に以下の群からなる群から別々に選んだ1種以上を含んでいる炎症の他のメディエーター阻害剤との組合せで投与する:
(1)NASIDs;
(2)H−レセプター拮抗剤;
(3)キニン−B−及びB−レセプター拮抗剤;
(4)PGD−、PGF−PGI−及びPGEレセプター拮抗剤からなる群より選んだプロスタグランジン阻害剤;
(5)トロンボキサンA(TXA−)阻害剤;
(6)5−,12及び15−リポキシゲナーゼ阻害剤;
(7)ロイコトリエンLTC−、LTD/LTE−及びLTB−阻害剤;
(8)PAF−レセプター拮抗剤;
(9)1種以上の親水性基を有するアウロチオ基の形である金;
(10)シクロスポリン、アザチオプリン及びメトトレキサートからなる群から選んだ免疫抑制剤
(11)抗炎症のグルココルチコイド類;
(12)ペニシラミン;
(13)ヒドロキシクロロキン;
(14)コルヒチンを含む抗痛風剤;アルプリノールを含むキサンチンオキシダーゼ阻害剤;及びプロベネシド、スルフィンピラゾン及びベンズブリマロンから選んだ尿酸排泄剤;
C.高齢哺乳動物が老年哺乳動物で見られる病気の状態、症候群及び症状の治療を受けている際、前記阻害用組合せを基本的に以下から構成されている群から別々に選んだ1種以上との組合せで投与する:
(1)記憶喪失及び記憶障害を是正するための認知療法;
(2)降圧剤、及びアテローム性動脈硬化症、高血圧症、心筋虚血症、狭心症、うっ血性心不全及び心筋梗塞の結果を改善する目的で、以下から成る群から選んだ他の心臓血管薬:
a.利尿剤;
b.血管拡張剤;
c.β−アドレナリンレセプター拮抗剤;
d.アンジオテンシン−II転換酵素阻害剤(ACE−阻害剤)単独又は場合により中性エンドペプチダーゼ阻害剤と共に;
e.アンジオテンシンIIレセプター拮抗剤;
f.レニン阻害剤;
g.カルシウムチャンネル阻害剤;
h.交感神経遮断剤;
i.α−アドレナリン作動薬;
j.α−アドレナリンレセプター拮抗剤;及び
k.HMG−CoA−リダクターゼ阻害剤(抗コレステロール過剰血症);
(3)以下より選んだ抗腫瘍性薬:
a.以下より選んだ有糸分裂阻害剤:
i.以下より選んだビンカアルカロイド類:
[1]ビンブラスチン及び
[2]ビンクリスチン;
(4)成長ホルモン分泌促進薬;
(5)強力鎮痛剤;
(6)局部及び全身麻酔薬;そして
(7)H−レセプター拮抗剤、プロトンポンプ阻害剤及び他の胃腸保護剤。
【0167】
発明の方法、組成物又は組合せで有効な化合物は、当該阻害剤のクラスから原則的になる群より選んだ1種以上を含む他の炎症伝達物質との組合せで投与してもよいが、その例にはマトリックスプロテイナーゼ阻害剤、アグリカナーゼ阻害剤、TACE阻害剤、ロイコトリエンレセプター拮抗剤、IL−1処理及び放出阻害剤、ILra,H−レセプター拮抗剤;キニン−B−及びB−レセプター拮抗剤;PGD−,PGF−,PGI2及びPGE−レセプター拮抗剤のようなプロスタグランジン阻害剤;トロンボキサンA2(TXA2−)阻害剤;5−及び12−リポキシゲナーゼ阻害剤;ロイコトリエンLTC−,LTD/LTE−及びLTB−阻害剤;PAF−レセプター拮抗剤;MEK阻害剤;IKK阻害剤;MKK阻害剤;種々の親水基のあるアウロチオ基の形の金;免疫抑制剤、例えばサイクロスポリン、アザチオプリン及びメトトレキサート;抗炎症性グルココルチコイド;ペニシラミン;ヒドロキシクロロキン;抗痛風剤、例えばコルヒチン、キサンチンオキシダーゼ阻害剤、例えばアリプリノール及び尿酸排泄剤、例えばプロベネシド、スルフィンピラゾン及びベンズブロマロンが含まれる。
【0168】
発明の方法、組成物又は組合せで有用な化合物は、エンドスタチン及びアンジオスタチンのような抗癌剤又はアドリアマイシン、ダウノマイシン、シス−プラチン、エトポシド、タキソール、タキソテレール及びビンクリスチンのようなアルカロイド類及びメトトレキサートのような抗生物質との組合せで使用してもよい。
【0169】
発明の方法、組成物又は組合せで有用な化合物は、高血圧症を含むアテローム性動脈硬化症、狭心症を含む心筋虚血、うっ血性心不全及び心筋梗塞の結果を弱めることを目的とする抗高血圧症薬及び他の心臓脈管薬であるヒドララジンのような血管拡張薬、プロプラノノールのようなβ−アドレナリンレセプター拮抗薬、ニフェジピンのようなカルシウムチャンネル遮断薬、クロニジンのようなα2−アドレナリン作動薬、プラゾシンのようなα−アドレナリンレセプター拮抗薬及びロバスタチン又はアトルバスタチンのようなHMG−CoAレリダクターゼ阻害剤(コレステロール過剰血症)から選択したものとの組合せで使用してもよい。
【0170】
発明の方法で有用な化合物、組成物又は組合せは1種以上の抗生物質、抗真菌剤、抗ウイルス剤又は同じような治療剤との組合せで投与してもよい。
発明の方法で有用な化合物、組成物又は組合せは、抗鬱剤(セルトラリンのような)、抗パーキンソン病薬(L−ドーパ、レクイップ、ミラペックス、セレギンやラサギリンのようなMAOB阻害薬、タスマールのようなcomP阻害剤、A−2阻害剤、ドーパミン再取り込み阻害剤、NMDA拮抗剤、ニコチン作動薬、ドーパミン作動薬及び神経一酸化窒素合成酵素の阻害剤)、並びにドネペジル、タクリン、COX−2阻害剤、プロペントフィリン又はメトリフォナートのような抗アルツハイマー薬などのCNS剤との組合わせで使用してもよい。
【0171】
発明の方法、組成物又は組合せで有効な化合物は、ロロキシフェン、ラゾフォキシフェン、ドロロキシフェン又はフォソマックスのような骨粗鬆症薬及びFK−506やラパマイシンのような免疫抑制剤と組合わせて使うこともできる。
【0172】
発明の組成物を単独又は以下に規定する医薬組成物中に含ませて投与して治療が可能な他の哺乳動物での病気及び障害には、発熱(リュウマチ熱及びインフルエンザ及び他のウイルス性感染に関する熱)、風邪、月経困難症、生理痛、炎症性大腸炎、クローン病、気腫、急性呼吸逼迫症候群、喘息、気管支炎、慢性閉塞性肺疾患、アルツハイマー病、器官移植毒性、悪液質、アレルギー反応、アレルギー性接触過敏症、悪性腫瘍(大腸癌、乳癌、肺癌及び前立腺癌含む固形腫瘍癌;白血病及びリンパ腫を含む造血器悪性腫瘍;ホジキンス病;再生不良性貧血、皮膚癌と家族性腺種ポリープ症)、組織潰瘍、消化性潰瘍、胃炎、限局性腸炎、潰瘍性大腸炎、憩室炎、再発性胃腸障害、消化管出血、凝固、貧血症、滑膜炎、痛風、強直性脊椎炎、再狭窄、歯周病、表皮水疱症、骨粗鬆症、人工関節移植の弛緩、アテローム性動脈硬化症(動脈硬化性プラークの破裂を含む)、動脈瘤(腹部動脈瘤及び脳動脈瘤を含む)、結節性動脈周囲炎、うっ血性心不全、心筋梗塞、脳梗塞、脳虚血、頭部外傷、脊髄損傷、神経痛、神経変性病(急性及び慢性)、自己免疫疾患、ハンチントン病、パーキンソン病、偏頭痛、鬱病、末梢神経症、痛み(腰痛及び首痛、頭痛及び歯痛を含んでいる)、歯肉炎、脳のアミロイド脈管障害、精神向性又は認知亢進、筋萎縮性側索硬化症、多発性硬化症、眼球血管新生、角膜外傷、黄斑変性、結膜炎、異常創傷治癒、筋肉又は関節の捻挫又は変形、腱炎、皮膚障害(乾癬、湿疹、強皮症及び皮膚炎)、重症筋無力症、多発性筋炎、筋炎、滑液包炎、火傷、糖尿病(I型及びII型糖尿病、糖尿病性網膜症、糖尿病性神経障害及び糖尿病性腎症を含む)、腫瘍浸潤、腫瘍増殖、腫瘍転移、角膜瘢痕化、強膜炎、免疫不全症(ヒトでのAIDs及びネコでのFLV,FIVのような)、敗血症、早産、低プロトロンピン血症、血友病、甲状腺炎、サルコイドーシス、ベーチェット症候群、過敏症、腎臓病、リケッチア感染症(ライム病、エールリヒア症のような)、原虫感染症(マラリア、ジアルディア、コクジウムのような)、繁殖障害(例えば家畜)、てんかん、痙攣及び敗血症ショックなどが含まれる。
【0173】
本明細書で開示した置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は、骨関節炎の防止と治療、関節リュウマチの防止と治療、関節機能の改善、これだけには限らないがOA痛、RA痛、関節痛、炎症性痛覚、急性痛、慢性痛、骨癌痛、IL−6、IL−6sR又はIL−6とIL−6sRの組合せが介在する痛み、エンドセリン−1が介在する痛み、静的異痛、動的異痛、機械的痛み、頭痛などが介在する痛みの軽減及び哺乳動物における軟骨損傷の防止と阻止、及び軟骨損傷が徴候であるか、又は治療している病気の内在する病変に軟骨損傷が関与する何れの他の病気又は障害を防止或いは治療するためのヒト及び家畜用の薬物として有用である。
【0174】
本明細書で使用する用語及び語句は下で定義したような、さもなければ当該明細書にて出てくる通りである。
当該語句“置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物”は語句“活性化合物”と同意語で、それは発明の方法、組成物又は組合せにおいて有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物を言うか、又はその薬学的に許容できる塩又は本明細書に説明されているそれらの他の形である。置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は、当該エーテル酸素原子が式(A)の官能基、及び置換ジアルキルスルフォキシド類又は置換ジアルキルスルフォン類で置換されたオキソ置換チオエーテル化合物を含んだ、上で説明したような環状エーテルを含むいずれかの化合物である:
【0175】
【化8】

【0176】
当然ながら、本明細書に活性化合物として記載したいずれの化合物も全ての発明の方法、組成物又は組合せに使用することができる。
当然ながら、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸と名付けた置換ジアルキルエーテルは以下に描く構造で表すことができる:
【0177】
【化9】

【0178】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた置換ジアルキルエーテルは以下に描いた構造で表すことができる:
【0179】
【化10】

【0180】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた置換ジアルキルエーテルは、“6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸モノカルシウム塩”、“6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸モノ−カルシウム塩”、“6,6'−オキシビス(2,2−ジメチルヘキサン酸)”、“CI−1027”及びゲンカベンカルシウムを含む他の名前でも知られている。CI−1027は異常脂質血症の治療用として臨床開発中である。CI−1027は本明細書で定義したように置換アルキルエーテルで、モノカルシウム塩である。
【0181】
当然であるが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と命名した置換ジアルキルエーテルは結晶形1及び結晶形2を含んだ多くの異なる物理的形状で存在できる。6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と命名した置換ジアルキルエーテルの結晶形1及び結晶形2はPCT国際特許公開公報番号WO01/55078で開示されている。これらの結晶形の各々についての利用法は本発明の方法の範囲内である。
【0182】
結晶形1は実質的に以下を含むX線粉末回折パターンを有する:
【0183】
【表4】

【0184】
結晶形2は実質的に以下を含んだX線粉末回折パターンをもつ。
【0185】
【表5】

【0186】
当然であるが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた置換ジアルキルエーテルは、更に水和物としても6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩水和物の名前でPCT国際特許公開公報番号WO01/55078において知られている。本物質や他の水和物形の利用法も本発明の方法の範囲内である。
【0187】
当然ながら、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた置換ジアルキルエーテルは、更にエチルアルコール、メタノール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール又は1−ブチルアルコールの溶媒和物を含むC〜C12アルコール溶媒和物として存在でき、それぞれ6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサンモノ酸カルシウム塩エチルアルコール溶媒和物、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸モノカルシウム塩メタノール溶媒和物、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸モノカルシウム塩1−プロピルアルコール溶媒和物、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸モノカルシウム塩2−プロピルアルコール溶媒和物、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸モノカルシウム塩1−ブチルアルコール溶媒和物という名前でPCT国際特許公開公報番号WO01/55078において知られている。これら及び他のアルコール溶媒和物の利用法は本発明の方法の範囲内である。
【0188】
語句“治療用生物剤”にはCP−870、エタナーセプト(腫瘍壊死因子アルファ(“TNF−アルファ”)レセプター免疫グロブリン分子;Immunex Corporation,Seattle,Washintonの商品名ENBREL(登録商標)及びENBREL ENTANERCEPT(登録商標)、インフリキシマブ(Centocor,Inc.,Malvern,Pennsylvaniaの抗TNF−アルファキメラIgG1Kモノクローナル抗体;商品名REMICADE(登録商標))、メトトレキサート(American Cyanamid Company,Wayne,New Jerseyの商品名RHEUMATREX(登録商標))及びアマリムマブ(Abbott Laboratories,Abbott Park,Illinoisのヒトモノクローナル抗TNF−アルファ抗体;商品名HUMUIRA(登録商標))が含まれる。
【0189】
用語“エタナーセプト”は、ヒトIgG1のFc部分に結合したヒト75キロダルトン(“p75”)腫瘍壊死因子レセプター(“TNFR”)の細胞外配位子結合部分からなる二分子からなる融合タンパク質を意味する。エタナーセプトのFc成分はC2領域、C3領域及び蝶番領域を含むがIgG1のC1領域は含まない。エタナーセプトはチャイニーズハムスター卵巣(“CHO”)哺乳動物細胞発現系において組換えDNA技術により生産されている。これは934個のアミノ酸からなり、約150キロダルトンの見掛け分子量を有する。エタナーセプトは腫瘍壊死因子アルファ(“TNFアルファ”)の阻害剤である。
【0190】
エタナーセプトは米国にてENBREL(登録商標)及びENTANERCEPT(登録商標)の商品名で慢性関節リウマチ及び乾癬性関節炎の治療用に市販されている。ENBREL(登録商標)及びENTANERCEPT(登録商標)はImmunex Corporation,Seattle,Wshingtonが登録している。ENBREL(登録商標)は、提供される注射用の殺菌した静菌水,USP(0.9%のベンジルアルコールを含む)1mLで再溶解して非経口投与するように無菌の白色、防腐剤なしの凍結乾燥粉末で供与される。再溶解すると、ENBREL(登録商標)の溶液剤は透明で無色、pHは7.4±0.3である。ENBREL(登録商標)の各使い捨てのバイアルには25mgのエタナーセプト、40mgのマンニトール、10mgの蔗糖及び1.2mgのトロメタミンを含有する。
【0191】
用語“インフリキシマブ”には米国で関節リュウマチの治療用に商品名REMICADE(登録商標)で市販されている製品が含まれる。REMICADE(登録商標)はCentocor,Inc.,Malvern,Pensylvaniaが登録している。
【0192】
用語“メトトレキサート”には、N−[4−[[2,4−ジアミノ−6−プテリジニル]メチル]メチルアミノ]ベンゾイル]−L−グルタミン酸と命名した化合物、又はその薬学的に許容できる塩が含まれる。メトトレキサートはある種の腫瘍性疾患、重度な乾癬及び成人関節リューマチの治療に使用される。例えば、経口用のメトトレキサートナトリウム錠剤は、5mg、7.5mg、10mg、12.5mg及び15mgのモトトレキサート及び以下にある薬学的に許容できる賦形剤、希釈剤又は担体:乳糖、ステアリン酸マグネシウム及びアルファ化デンプンを週間投与スケジュールによる治療用RHEUMATREX(登録商標)メトトレキサートナトリウム服用量パックとして設定した梱包システムにて利用できる。RHEUMATREX(登録商標)はAmerican Cyanamid Company,Wayne,New Jerseyが登録している。当該錠剤はコーンスターチも含有している。メトトレキサートは筋肉内、静脈内注射、動脈内又は脊髄内注射によっても投与される。
【0193】
当然のことながら、COX−2はプロスタグランジン合成酵素−2、プロスタグランジンPGH合成酵素及びプロスタグランジン−H合成酵素−2としても知られている。
COX−2の選択的阻害剤はCOX−1に対しCOX−2を選択的に阻害する化合物なので、COX−1が伴う化合物のIC50の割合をCOX−2が伴う当該化合物のIC50の割合で割ると、5より大きいか、又は5に等しいかであり、その割合は一回以上のアッセイで測定する。化合物が選択的COX−2阻害剤であるかどうかを決める際に必要なのは、当技術分野でよく知られた数多くのアッセイ法の1つにて化合物をアッセイすることである。
【0194】
当然ながら、シクロオキシゲナーゼ(“COX”)は2つの形、即ち通常シクロオキシゲナーゼ−1(“COX−1”)と呼ばれる構成型のイソ型及び通常シクロオキシゲナーゼ−2(“COX−2”)と呼ばれる誘導型のイソ型が知られており、後者の発現は炎症の部位で上方制御される。COX−1は生理的役割を果たし、胃腸及び腎臓の保護に関与しているように見える。他方で、COX−2は病的な役割を果たすように見え、炎症状態において存在する主なイソ型と考えられている。通常はCOX−1とCOX−2の両方の非選択的阻害剤である従来のCOX阻害剤の治療的使用は、生命を脅かす潰瘍及び腎臓毒性を含む薬の関連副作用により制限される。COX−2を選択的に阻害する化合物はCOX−1阻害に関連する悪い副作用なしに抗炎症効果を行うであろう。
【0195】
本発明の目的として、COX−2の選択的阻害には以下から選んだ化合物又は薬学的に許容できるその塩が含まれる:
LAS−34475;
UR−8880;
ABT−963;
バルデコキシブ;
BMS−347070;
セレコキシブ;
チラコキシブ;
式(B)の化合物
【0196】
【化11】

【0197】
CS−502[Chemical Abstracts Service Registry Number(“CAS Reg.No.”)176429−82−6];
(6aR,10aR)−3−(1,1−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−カルボン酸(“CT−3”);
CV−247;
2(5H)−フラノン,5,5−ジメチル−3−(1−メチルエトキシ)−4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−(“DFP”);
カルプロフェン(Pfizer,Inc.,New York,New Yorkの商品名RIMADYL(登録商標));
デラコキシブ(Novartis AG,Basel,Switzerlandの商品名DERMAXX(登録商標));
エトリコキシブ(MERK&CO.,Inc.,Whitehouse Station,New Jerseyの商品名ARCOXIA(登録商標));
GW−406381;
チラコキシブ;
メロキシカム;
ニメスリド;
2−(アセチルオキシ)安息香酸,3−[(ニトロオキシ)メチル]フェニルエステル(“NCX−4016”);
ルミラコキシブ(Novartis AG,Basel,Switzerlandの商品名PREXIGE(登録商標));
パレコキシブ(G.D.Searle&Co.,Skokie,IllinoisのDYNASTAT(登録商標)の商品名申請中);
P54(CAS Reg.No.130996−28−0);
ロフェコキシブ(MERK&CO.,Inc.,Whitehouse Station,New Jerseyの商品名VIOXX(登録商標));
RevlMiD;
2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−[(E)−(2−エチル−1,1−ジオキソ−5−イソチアゾリジニリデン)メチル]フェノール(“S−2474”);
5(R)−チオ−6−スルホンアミド−3(2H)−ベンゾフラノン(“SVT−2016”);及び
N−[3−(ホルミルアミノ)−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−7−イル]−メタンスルホンアミド(“T−614”);又は薬学的に許容できるそれらの塩。
【0198】
用語“セレコキシブ”は4−(5−(4−メチルフェニル)−3−(トリフルオロメチル)−1H−ピラゾール−1−イル)−ベンゼンスルホンアミドを意味する。セレコキシブは、最近FDAが骨関節炎、関節リューマチ及び家族性ポリープ症腺腫の治療用に認可した選択的シクロゲナーゼ−2(“COX−2”)阻害剤である。セレコキシブは商品名“CELEBREX(登録商標)”で市販されている。セレコキシブは最近膀胱癌、肺癌の化学的予防及び手術後の痛みの治療用として臨床試験中で、月経困難症の治療では登録された。セレコキシブは以下に描いた構造を有する:
【0199】
【化12】

【0200】
用語“バルデコキシブ”は米国特許第5,633,272号、第5,859,257号及び第5,985,902号に記載されている4−(5−メチル−3−フェニル−4−イソキサゾリル)−ベンゼンスルホンアミドと名付けた化合物を意味し、参照により本明細書中に援用されている。バルデコキシブはFDAが変形性関節炎、関節リューマチ、月経困難症及び一般的痛みの治療用として認可し、商品名“BEXTRA(登録商標)”で上市されている。バルデコシブは偏頭痛の治療用として臨床試験中である。バルデコシブは以下に描いた構造を有する:
【0201】
【化13】

【0202】
同様に当然なことであるが、カルプロフェン及びデラコキシブはそれぞれ動物、特にイヌの関節炎の治療で必要とされている。
当然なことであるが、用語“利用する”、“活用する”及び“使用する”及びその派生物は、発明の方法、組成物又は組合せの態様を説明するとき互換的に使用される。
【0203】
当該用語“含まれる”、“有する”及び“含有する”は他に示唆がなければ幅広い解釈ができる。
当該語句 “混合した”又は“混合物で”は不均一又は均一混合物のどちらかを含むように成分を混合することを意味する。ある種の状況では均一な混合物が好ましい。他の状況では不均一混合物が好ましい。
【0204】
当該用語“ED40”は活性化合物又は薬学的に許容できるその塩を含む薬物に関し、治療を受けた患者の少なくとも40%にて軟骨損傷が阻止されるか、上で挙げた病気又は障害を治療するのに十分な用量を意味する。
【0205】
語句“治療用薬剤”、“活性成分”、“活性化合物”及び“有効成分”と同意語である用語“薬物”には活性化合物であるセレコキシブ又は薬学的に許容できるその塩、バルデコシブ又は薬学的に許容できるその塩のような非毒性の治療用剤が含まれ、上で説明した他の治療用薬剤の更に1種か2種が含まれても良い。
【0206】
当該用語“非毒性”とは、患者集団の10%以上で毒効果が見られる用量より効果ある用量が10倍以上であることを意味する。
用語“患者”は哺乳動物であり、当該2つの用語は本明細書では互換的に用いる。
【0207】
本発明の目的では、用語“哺乳動物”にはヒト、ネコやイヌのようなペット動物、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギとヒツのような家畜、及びモルモット、ウサギ、ラット、マウス、ハムスター及びサルのような実験動物、並びにそれらの遺伝子組換え変種が含まれる。ヒトの患者が好ましい。同様に好ましいのはペット動物で、特にイヌ、ネコ及びウマである。同じように好ましいのは実験室動物で、特にウサギ、ラット、マウス及びサル並びそれらの遺伝子組換え変種である。
【0208】
当該語句“ペット動物”にはイヌ、ネコ、ハムスター、サル、ウマ及び他の家庭用又は農家の愛玩動物である。
本明細書で使用する語句“家畜用動物”は飼い慣らした四肢動物を称し、それには肉用及び種々な副産物用に育てられる動物、例えば畜牛を含むウシ亜科動物及びウシ属の他の動物、家畜のブタを含むブタ類及びイノシシ属の他の動物、ヒツジを含むヒツジ類及びヒツジ属の他の動物;荷物運びの動物として使役のように特殊な仕事用に飼い慣らした四肢動物、例えば家畜のウマを含むウマ類動物及びウマ属ウマ科の他の動物、又は捜査及び監視用、例えば家庭用イウを含めたイヌ類及びイヌ属の他の動物;並びに主にレクリエーション目的に飼い慣らした四肢動物、例えばウマ属及びイヌ族の動物と共に家庭用ネコを含めたネコ類及びネコ科、ネコ属の他の動物が含まれる。
【0209】
本発明の目的である、当該用語“関節炎”には骨関節炎、関節リュウマチ、退行性関節疾患、脊椎関節症、痛風性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、若年性関節炎及び乾癬性関節炎が含まれる。本発明の方法、組成物又は組合せで有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は同じように、退行性関節疾患、脊椎関節症、痛風性関節炎、全身性紅斑性狼瘡、若年性関節炎及び乾癬性関節炎に対して有用になりうる。
【0210】
当該語句“軟骨損傷”は関連する関節の中や周りの肥大が特徴である関節の軟骨及び軟骨下骨の疾患を意味し、それは関節軟骨の表面の悪化を伴うこともあり、伴わないこともある。本明細書で用いられるように、当該語句の軟骨損傷は関節軟骨への破壊に関する。
【0211】
当然のことながら、軟骨は関節被覆部及び、例えば鼻を含む身体の他の部位で見られる多細胞性組織である。軟骨組織は関節運動について摩擦のない表面を供し、鼻の鼻孔のような身体の軟組織造作用の構造及び支持を提供する。軟骨組織が病気や外傷で破壊されると、分解産物が生じ、当該組織の生理的機能が損なわれる。身体には関節軟骨を含めて主に3種類の軟骨がある。
【0212】
当該語句“軟骨損傷の阻止”とは、上記のような化合物又は組合せの治療的効果を意味し、病気又は障害の病状の要素として軟骨の破壊を有するいずれの病気や障害に見られる軟骨損傷の生理的特質又は徴候のいずれか1つ以上の発症の除去、緩和、阻止又は防止、進行の抑制、更なる進行の防止又は進行の逆転を一部又は全体的に行う。軟骨損傷を有する患者が治療されるように、軟骨損傷が進行する危険性がある患者は、予防的に処置を受けることができる。
【0213】
当然ながら、当該病気又は障害の生理的特質は当該病気又は障害で苦しめられている身体の直接的又は間接的結果である身体の構造的変化に関連する。当該構造的変化は臨床での観察、生検組織の試験、生理的試験により、或いは影響を受けた構造のX線又は磁気共鳴画像解析のような画像手法で確認される。生理的特質の例には、軟骨への組織病理学的損傷、骨の肥大化又は菲薄化、筋肉の肥大、線維症、靭帯又は腱での裂傷などが含まれる。
【0214】
当該用語“骨関節炎”には、関節軟骨損傷の病理的特質及び、場合により関節痛の徴候により主に特色付けられる病気が含まれる。骨関節炎の患者は典型的には当該関節の炎症で苦しむのではないが、時々一時的な炎症性発赤で悩む。
【0215】
当該用語“関節リュウマチ”には、関節の炎症及び場合により関節痛の症状で主に特色付けられる関節のリュウマチ性病気が含まれる。関節リュウマチ患者は関節の軟骨への破壊でもいずれは悩まされる。
【0216】
当該用語“治療する”とは、今までに定義した本発明の方法による当該化合物又は組合せの1つ以上の投与を意味し、それがこれだけには限らないが軟骨損傷の病理学的特質及び痛みや炎症の徴候を含み治療を受ける病気又は障害のいずれか1つの病理的特質又は徴候のいずれか1つ以上につき、一部分的又は全体的に発症の除去、緩和、阻止又は防止、進行の阻止、更なる進行の防止又は進行の逆転を行う。病気や損傷が進行する危険性のある患者は、当該病気や障害がある患者が治療を受けるように予防的に処置をうけることができる。
【0217】
当該用語“防止”は上で定義したような発明の方法により、当該発明の活性化合物又は組合せの1つ以上を、当該病気又は障害の危険がある無症状患者へ防止するために予防的投与し、これだけに限らないが軟骨損傷の特質及び痛みと炎症の徴候を含む関連した病理学的特質又は徴候の発症を阻害することを意味する。更に、病理的特質又は徴候の発症が一旦開始したとしても、防止は病理学的特質又は徴候の一部分又は全体的に更なる進行を防ぐか進行を逆転させることを意味する。
【0218】
これまでに述べたように、活性化合物は骨関節炎、関節リュウマチ、関節機能の低下、軟骨損傷又は無症候患者(哺乳動物)におけるいずれかの痛みを防ぐか阻止するために予防的に投与して発症を防止又は阻止してもよい。当然なことであるが、防止するような病気又は障害の危険がある無症候患者は遺伝的危険因子(遺伝又は自然発生の突然変異の病気及び障害)、家族の医学的履歴、職業、運動競技活動への参加、一般的な医学的選別などの分析で確認することができる。
【0219】
当該用語“改善”は上で定義したような発明の方法により、当該化合物又は組合せの1つ以上の投与を意味し、それがこれだけには限らないが関節リュウマチ及び骨関節炎を含む改善すべき病気及び障害のいずれかで苦しむ患者における機能の臨床的指標のいずれか1つ以上の低下を除去又は防止し、更なる低下を阻止又は部分的又は全体的に改善する。
【0220】
当該語句“関節機能”は、これに限らないが関節リュウマチ及び骨関節炎を含む改善すべき病気や障害のいずれか1つで苦しんでいる患者における、硬さ、動きの範囲、柔軟性及び動きに関連する徴候(例えば変化した肢取り、痛み、温熱及び炎症)を含んだ関節機能の臨床的評価のいずれか1つ以上に関する。The Western Ontario and Mcmaster University Osteoarthritis Index(“WOMAC”)を臨床医は関節機能の評価に使用することができる。
【0221】
当該語句“痛み軽減”は上で定義した発明の方法による1種以上の化合物又は組合せの効果を意味し、それでこれに限らないが軟骨損傷、急性痛、慢性痛、機械的痛み、静的異痛、動的異痛、骨癌痛、頭痛、変形性関節炎痛、炎症痛及び自己免疫又は線維筋痛による痛み徴候の阻止、軽減、防止、阻止又は除去を含む患者での痛みの除去、痛み発生の阻止又は防止、痛みの抑制、軽減、防止か、さもなければ阻止をする。
【0222】
当該語句“関節痛”は関節における何れの痛みも意味する。
当該語句“骨関節炎痛”は変形性関節炎の関節での関節痛を意味する。
当該語句“関節リュウマチ痛”は関節リュウマチの関節における関節痛を意味する。
【0223】
当該語句“炎症性痛”は、炎症性関節痛を含む炎症を起こした組織の浮腫又は腫れによる痛みを意味する。炎症性関節痛には関節リュウマチ痛が含まれる。
当該語句“機械的痛み”は、骨関節炎、手術の痛み、火傷の痛み、骨癌痛などが含まれる身体の構造への傷又は損傷に関連した痛みを意味する。
【0224】
当該語句“急性痛”は、関節痛、骨関節炎痛、関節リュウマチ痛、火傷の痛み、切傷の痛み、手術の痛み、線維筋痛の痛み、骨癌の痛み、生理痛、背痛、頭痛、静的異痛及び動的異痛を含むが、これには限らず、いずれかの痛みを意味し、それは治療しなければ起こる毎に1分間から91日間、1分間から31日間、1分間から7日間、1分間から5日間、1分間から3日間、1分間から2日間、1時間から91日間、1時間から31日間、1時間から7日間、1時間から5日間、1時間から3日間、1時間から2日間、1時間から24時間、1時間から12時間又は1時間から6時間続く。急性痛には、関節痛、骨関節炎痛、関節リュウマチ痛、炎症性痛、火傷による痛み、切傷による痛み、手術の痛み、線維筋痛の痛み、骨癌の痛み、生理痛、背痛、頭痛、静的異痛、動的異痛、急性関節痛、急性骨関節炎痛、急性関節リュウマチ痛、急性炎症性痛、急性頭痛、急性生理痛、急性背痛及び線維筋痛による急性痛が含まれるが、これだけには限らない。急性痛は急性関節痛、急性骨関節炎痛、急性関節リュウマチ痛、急性炎症性痛、急性頭痛、急性生理痛、急性背痛から選ぶことができる。急性痛は、急性関節痛、急性変形関節痛、急性関節リュウマチ性痛及び急性炎症性痛から選択することができる。急性痛は急性関節痛、急性骨関節炎痛、急性関節リュウマチ痛から選ぶことができる。急性痛は急性関節痛及び急性骨関節炎痛から選ぶことができる。
【0225】
当然ながら、急性痛を軽減するとは、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物活性化合物及び他の活性化合物を含む活性化合物又は組合せの最初の用量を投与した後91,31,7,5,3又は2日或いは24、12、6、3、2、1、0.5、0.25、0.20、0.17又は0.10時間内に相当な痛みの軽減効果があることを意味する。
【0226】
当該語句“慢性痛”は、関節痛、骨関節炎痛、関節リュウマチ痛、炎症痛、火傷による痛み、切傷による痛み、手術の痛み、線維筋痛の痛み、骨癌の痛み、生理痛、背痛、頭痛、静的異痛、動的異痛、慢性関節痛、慢性骨関節炎痛、慢性関節リュウマチ痛、慢性炎症性痛、慢性頭痛、慢性背痛及び、線維筋痛による慢性痛が含まれるが、これだけには限らず、それは治療しないでいて1旦起こると91日間、6ヶ月、1年間、5年間又は10年間より長く続く。慢性痛は慢性関節痛、慢性骨関節炎痛、慢性関節リュウマチ痛、慢性炎症痛、慢性頭痛、慢性背痛及び線維筋痛による慢性痛から選ぶことができる。慢性痛は慢性関節痛、慢性骨関節炎痛、慢性関節リュウマチ痛、慢性炎症痛、慢性頭痛、慢性背痛から選ぶことができる。慢性痛は慢性関節痛、慢性骨関節炎痛、慢性関節リュウマチ痛及び慢性炎症痛から選ぶことができる。慢性痛は慢性関節痛、慢性骨関節炎痛及び慢性関節リュウマチ痛から選ぶことができる。慢性痛は慢性関節痛及び慢性骨関節炎痛から選ぶことができる。
【0227】
当然なことではあるが、慢性痛の軽減とは、活性化合物又は他活性成分の最初の用量を投与した後、91、60、31、28、21、14、7,3又は2日或いは24、12、6、3、2、1、0.5、0.25、0.20、0.17又は0.10時間内に相当な痛み軽減効果があることを意味する。
【0228】
当該語句“痛みはIL−6、1L−6sR又はIL−6レセプターが介在する”とは、サイトカインのインターロイキン(“IL−6”)、その細胞結合したレセプターのインターロイキン−6レセプター(“IL−6レセプター”)又は、IL−6に結合できるIL−6レセプターの非結合開裂断片であるインターロイキン−6可溶性レセプター(“IL−6sR”)の阻害剤を患者に投与することで軽減される患者の痛みを称する。IL−6、IL−6sR又はIL−6レセプターが介在する痛みの阻害剤は、下にある生物学的方法5の方法を実施しても確認ができる。IL−6、IL−6sR又はIL−6レセプター阻害剤には、IL−6、IL−6sR又はIL−6レセプターの発現及び生物活性の阻害剤、並びにIL−6、IL−6sR又はIL−6のクリアランスのプロモーターがそれぞれ含まれる。
【0229】
当然のことであるが、器官(例えば、脳、心臓又は肝臓)における酸素の不肢から実質的に生じる痛み(>10%)は本明細書で開示したいずれの痛みにも包含されない。
当該語句“治療的に効果的な量”及び“効果量”は同意語で、治療される特定の患者において認識又は疑われ又は予想されている病気或いは障害における、いずれか1種以上の病理的特質又は徴候の発症を、部分的又は全体的に緩和、除去、阻止又は防止するのに十分な、上記の化合物又は組合せの量を意味する。
【0230】
当然ではあるが、治療的に効果的又は効果量は、その量を投与した患者において望ましい効果を発揮するのに充分な量を意味する。具体的な例としては、軟骨損傷が阻止される場合、治療的に効果的量には軟骨損傷阻止効果量が含まれる。骨関節炎を治療する場合、治療的に効果的量には骨関節炎治療効果量が含まれる。痛みが軽減される場合、治療的に効果的な量には痛み軽減効果量が含まれる。骨関節炎痛又は関節リュウマチ性痛が軽減される場合、治療的な効果的量には骨関節炎痛又は関節リュウマチ痛の軽減効果量がそれぞれ含まれる。
【0231】
当然なことながら、エンドセリン−1は21残基ペプチドファミリーの一員である。当該エンドセリンペプチドは多様な刺激に応じる細胞タイプの膨大な配列により産生され、特異なET及びET受容を通して仲介される。ETタイプのレセプターはエンドセリン−3よりエンドセリン−1に高い親和性を示し、当技術分野で知られている拮抗剤で選択的にブロックできる。
【0232】
抗炎症性、鎮痛性、抗関節症性又は軟骨損傷阻止効果或いは、これらの効果のいずれかの組合せを有する活性化合物は、医薬品又は医療技術に携わる当事者であれば、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物活性化合物を良く知られたアッセイ法のいずれかでアッセイして、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の関節破壊、関節炎、炎症又は痛みへの効果を測定し、容易に確認できる。これらのアッセイ法には軟骨試料を用いる生体外アッセイ法と、軟骨損傷、炎症の阻止又は痛み軽減を測定する動物全体における生体アッセイ法が含まれる。
【0233】
生体外での軟骨損傷アッセイに関する例として、活性化合物又は対照賦形剤のある量を軟骨損傷剤と共に投与し、両方の試験における軟骨損傷阻止効果を軟骨の肉眼的試験又は組織病理学的試験或いはプロテオグリカン含有量又はヒドロキシプロリン含有量のような軟骨損傷の生体指標の測定により検討する。更に、軟骨損傷をアッセイする生体内アッセイ法は以下のように行われる:活性化合物又は対照希釈剤の一定量を軟骨損傷剤と共に動物に投与し、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の効果を動物の軟骨でアッセイするが、軟骨の肉眼的試験又は組織病理学的試験、軟骨損傷から生じる影響を受けた関節の機能制限につき急性モデルにおける効果の観察、また例えばプロテオグリカン含有量又はヒドロキシプロリン含有量のような軟骨損傷の生物的指標の測定により評価できる。
【0234】
軟骨損傷阻止特性を持つ活性化合物を確認する幾つかの方法を以下に説明する。当該アッセイ法において投与する量は採用する個々のアッセイ法に依存するが、いずれにしろ個々のアッセイ法が効果的に適応できる化合物の良く知られている最大量よりは高くない。
【0235】
同様に、痛み軽減特性を有している置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は、痛みに関する多数の生体内動物モデルのいずれかの1つを用いて確認できる。当技術分野では関節痛の多くの生体内動物モデルが知られていて、エンドセリン−1介在痛のモデルは、参照により本明細書中に援用されているPiovezan,Anna P.等,British Journal of Pharmacology,2000;129:961〜968に記載されている。
【0236】
更に同様に、抗炎症特性を有する置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は多数ある炎症の生体内動物モデルの何れかを使用して確認できる。例えば、炎症モデルの例としては、参照により本明細書中に援用されている米国特許番号第6,329,429号を参照されたい。
【0237】
更に同様に、抗関節炎特性を有する置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は多数ある関節炎の生体内動物モデルの何れかを使用して確認できる。例えば、炎症モデルの例としては、米国特許番号第6,329,429号を参照されたい。
【0238】
臨床の状況では、医者は骨関節炎、関節リュウマチ、損なわれた関節機能、骨関節炎痛、関節リュウマチ性痛、急性痛、関節痛、慢性痛、炎症痛、炎症痛、IL−6、IL−6sR又はIL−6レセプターが介在する痛み又は機械的痛みの治療を必要又は治療に応じている患者を、WOMAC又はPatient Global Impression of Change(“PGIC”)のような標準評価アンケートを行って評価することができる。
【0239】
更に前に述べた痛みの状況及び骨癌痛、エンドセリン−1介在の痛み、静的異痛及び動的異痛の治療を必要としているか治療に対している患者の評価に関しては、医者は患者がその痛みに応じて左端を無痛で右端を最悪の痛みとした100ミリメートルラインの上に点を付けるように要請されるVisual Analog Scale(“VAS”)か、又は患者がその痛みを0(無痛)から10(最悪の痛み)までの数的基準の上に分類するように要請されるような痛み評価基準Likertスコアなどを適用することができる。
【0240】
発明の方法、組成物又は組合せにおいて有用な化合物は単独、又は1種以上の他の治療薬と共に処方してもよいが、前記異なる薬物は種々の半減期を有することを含んだ意図した組合せを、比較的均一な投薬ができるように異なる放出時間をもつ前記薬物の放出制御方式を作成したり、非ヒト患者の場合は組合せにて使用する前記薬物を飼料組成物中に混合物で一緒に存在させる薬用飼料剤形を作成したりすることによって形成する。本明細書で更に提供するものは、薬物の組合せを同時又は非同時、逐次又は平行で行われる併用方法であり、前記薬物の投与は異なる剤形及び異なる投与経路による併用、或いは前記組合せを構成している個々の薬物を前記患者に同時に投与しなくても処置された患者において前記関連薬物の望ましい血漿レベルが維持することが達成できるように、異なるが規則的な連続的投薬スケジュールに従った組合せの利用を含んだ組合せで行われる。
【0241】
本発明の方法により痛みの軽減、骨関節炎の防止又は治療、関節リュウマチの防止又は治療、関節機能の改善又は軟骨損傷の防止又は阻止するための活性化合物又は薬学的に許容できるその塩、又はそれらと選択的COX−2阻害剤との組合せの治療的効果量を構成するものを判断する際、開業医又は獣医の経験、刊行された臨床実験、被験者の(即ち、哺乳動物の)年齢、性別、体重及び、一般的状態と共に処置されている病気、障害或いは状態のタイプと程度及び、もしあれば当該被験者の他の薬剤使用など、開業医又は獣医は一般的に多くの因子につき考慮するであろう。そのような量は一般的に被験者体重の約0.1mg/kgから約300mg/kgであろう。典型的な服用量は普通の体重の成人被験者で、約10から約5000mg/日であろう。臨床での応用では、例えば米国でのFDAのような監督機関が一定の治療効果量を要求するであろう。
【0242】
このように、当該投与する用量は上で述べた範囲又は量に入るかその範囲外、即ち下か上のどちらかになるが、それらの範囲は治療を受ける個々の被験者、状態の重症度及び使用する特定な治療的処方に依存する。
【0243】
個々の状態についての適正量の決定は医者又は獣医の技量の範囲内になる。一般的に治療は当該発明の方法で有用な活性化合物、又は薬学的に許容できる塩、或いはそれらと他の治療剤との組合せを、より少ない用量で開始するのがよいが、それは個々の被験者に適した量より少ない。そこで、当該投薬量は、現場での最適効果まで少しずつ増加させることができる。便宜上、当該一日の投与量全体は分割し、必要ならば一日の間に分けて投与できる。
【0244】
本発明の方法は、本発明で有用な活性化合物又は薬学的に許容できるその塩或いはそれらを他の治療薬との組合わせを、単独又は医薬品投与に適した組成物に処方して投与することで実施できる。ここで簡単に、下により詳しく説明する本発明で有用な活性化合物の医薬組成物或いは薬学的に許容できるその塩は、投薬単位形状で医薬品担体と共に処方することで生産される。投薬単位形状の幾つかの例は、錠剤、カプセル、丸薬、粉末、水溶性と非水溶性系経口溶液剤及び懸濁液剤、並びに1つ或いは数つかのより多くの投薬単位のどちらかを含有する容器に詰めたもので、各用量に分割できるような非経口溶液剤である。
【0245】
医薬品希釈剤を含む適切な医薬品担体の幾つかの例には、ゼラチンカプセル;乳糖や蔗糖のような糖類;コーンスターチ及びポテトスターチのようなデンプン;カルボキシメチルセルロースナトリウム塩;エチルセルロース;メチルセルロース及び酢酸フタル酸セルロースのようなセルロース誘導体;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;ピーナッツ油、綿実油;ゴマ油;オリーブ油;トウモロコシ油;カカオ脂のような植物油;プロピレングリコール;グリセリン;ソルビトール;ポリエチレングリコール;水;寒天;アルギン酸;等張食塩水及びリン酸緩衝水;と共に他の医薬品処方で通常使用される相性のよい物質が含まれる。
【0246】
本発明で用いる組成物は、着色剤、賦香剤及び/又は保存料のような他の成分も含む事ができる。これらの材料は存在しても比較的少量が使用される。当該組成物は必要ならば通常骨関節炎に用いられる他の治療薬も含有することができる。更に、当該組成物は、例えば軟骨損傷を伴う又は伴わない炎症又は痛みのような二次的症状を治療するのに通常用いられる他の治療薬も、必要ならば含有することができる。例えば、当該組成物はアスピリン、ナプロキシン又は同様な抗炎症鎮痛薬を含む事ができる。
【0247】
前述の組成物における活性成分のパーセントは広い範囲で変化しうるが、実用的な目的のためには固体組成物では少なくとも10%、主要な液体組成物では少なくとも2%で、最高は両方において約95%である。
【0248】
本発明の方法における有用な活性化合物又は薬学的に許容できるその塩、或いは他の治療薬を伴うその組合せなどの投与の典型的経路は、経口又は非経口である。例えば、有効な静脈注射の用量は5と50mgの間で、有効な経口投与の用量は20と80mgの間である。当該投薬量は、軟骨損傷、関節機能の低下又は関節リュウウマチ及び骨関節炎のような痛みで生じる病気の治療で使用されるか、或いは上記のように当該患者の必要に従って医者が決定するような投薬範囲内である。
【0249】
本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるその塩、或いはこれらと上記の他の治療薬との組合せは、単位剤形を含むいずれかの形態で投与することができる。本発明で有用な活性化合物、又は薬学的に許容できるその塩の単位剤形で、本発明にて使用されるものは、軟骨損傷又は関節機能の低下を生じる病気の治療で有効な他の化合物も含むこともできる。
【0250】
本発明の利点には、本発明で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の比較的毒性のない性質、それらの調製の容易さ、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の許容性が良好である事実、及びIVの調整並びに当該薬物の経口投与の容易さが含まれる。
【0251】
本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の他の重要な利点は、関節炎痛及び軟骨損傷の新規の機構的治療を示すことである。これは上で説明したようなOA,OA痛、RA痛、軟骨損傷などに関する現行の薬理的治療効果の限界及び/又は安全性の限界が示されている患者にとって重要なことであろう。例えば、カルシウムイオノフォアが刺激したラット塩基親和性白血病細胞からのプロスタグランジン−F2a(“PGF2a”)発現、又はカルシウムイオノフォアが刺激したラット塩基親和性白血病細胞からのロイコトリエンB4(“LTB4”)発現を、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルーヘキサン酸カルシウム塩は阻害しないことが見出されているので、ナプロキサン又はインドメタシンのようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤、或いは5−リポキシナーゼ阻害剤の胃腸障害(例えば、胃の潰瘍及び出血、消化不良など)は起こさないであろう。
【0252】
他の重要な利点は、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は、関節痛軽減剤のVIOXX(商標登録)に対し一部の患者で見られた血圧の上昇をさせない。例えば、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルーヘキサン酸カルシウム塩は正常で健康なヒトの血圧には効果を示さないか、恐らくは僅かではあるが(1〜5MMG)低下させることさえすることが分かった。
【0253】
他の重要な利点は、本発明で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は、変形関節症及び他の病気並びにそれらの病変の一部として軟骨損傷を有する障害に対して病気改善活性作用を供する。この治療効果が認められている承認薬は現在市場にはない。更に、この軟骨損傷阻害効果及びOAとRA徴候(痛み)治療効果が今1つの薬物で見出され、その置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物は1日に1回投与すればよい。患者が2種の代わりに1種の薬物を、2個以上の丸薬の代わりに1個のみ丸薬を摂取できれば、患者の服薬順守、それゆえ利益は向上する。
【0254】
更に本発明は、必要ならば関節破壊及び炎症及び/又は痛みで悩む患者の治療に現在用いている抗炎症剤及び/又は鎮痛薬の量を減少させる、或いは無くすことさえできる。抗炎症剤及び鎮痛薬は胃腸の出血及び潰瘍のような望ましくない副作用を起こす可能性が知られている。本発明を用いて軟骨損傷を阻止すれば、これらの副作用は避けられるか、減少させるか又は無くすことができる。
【0255】
本発明で有用な活性化合物の合成用の中間体、又は薬学的に許容できるその塩は、有機化学の技術に携わる技術者であれば有機化学の技術分野でよく知られている種々の合成手順を用いて調製できる。これら合成手順につき幾つか挙げると、例えばReagents for Organic Synthesis,by Fieser and Fieser,John Wiley & Sons,Inc,New York,2000;Comprehensive Organic Transformations,by Richard C.Larock,VCH Publishers,Inc,New York,1989;the series Compendium of Organic Synthetic Methods,1989、by Wiley−Interscience;thetext AdvancedOrganic Chemistry,4th edition,by Jerry March,Wiley−Interscience,New York,1992;又はthe Handbook of Heterocyclic Chemistry by Alan R.Katritzky,Pergamon Press Ltd,London,1985などの文献中に見出せる。それに代わるものとして、習熟した技術者であれば当該中間体を調製するのに有用な方法を、例えばChemical Abstracts Service,Columbus,Ohio又はMDL Information Systems GmbH(以前のBeilstein Information Systems GmbH),Frankfurt,Germanyから入手可能なもののように利用できるデータベースを広く検索して見出せるであろう。
【0256】
発明の方法、組成物又は組合わせにおいて有用な化合物の調製では、市販先から購入できる出発原料、試薬、溶媒及び触媒を用いるか、又はそれらは上で引用した参考文献又は情報源にある手順を用いて容易に調製できる。置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物を調製するのに有用な出発原料、試薬及び触媒の市販先には、例えばThe Aldrich Chemical Company及びSigma−Aldrich Corporation,St.Louis,Missouriの他の子会社、BACHEM,BACHEM A.G.,Switzerland又はLancaster Synthesis Ltd,United Kingdomが含まれる。
【0257】
発明の方法、組成物又は組合せで有用な幾つかの化合物の合成は、反応性官能基を含む出発原料、中間体又は反応生成物が活用できる。化学反応の間、利用する反応条件にて反応性官能基を実質的に不活性にする保護基を用いて反応性官能基を保護することができる。保護基が必要である反応段階を実施するに先立ち、出発原料に保護基を導入する。当該保護基が必要なくなれば、保護基は除去できる。活性化合物又は薬学的に許容できるその塩の合成の間に保護基を導入し、その後それらを除去するのは当技術分野の従事者の技術範囲である。保護基の導入及び除去についての手順は知られており、例えば参照により本明細書中に援用されているProtective Groups in Organic Synthesis,2nded.,Greene T.W and Wuts P.G.,John Wiley & Sons,New York:New York,1991のような中に参考文献が収載されている。そこで、例えば以下のような保護基がアミノ基、水酸基及び他の基を保護するのに利用することができる:例えばホルミル、アセチル及びトリフルオロアセチルのようなカルボキシルアシル基;エトキシカルボニル、三級ブトキシカルボニル(BOC)、β,β,β−トリクロロエトキシカルボニル(TCEC)及びβ−ヨードエトキシカルボニルのようなアルコキシカルボニル基;例えばベンジルカルボニル(CBZ)、パラーメトキシベンジルオキシカルボニル及び9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(FMOC)のようなアラルキルオキシカルボニル基;例えばトリメチルシリル(TMS)及び三級ブチルジメチルシリル(TBDMS)のようなトリアルキルシリル基;そして例えばトリフェニルメチル(トリチル)、テトラヒドロピラニル、ビニルオキシカルボニル、オルソ−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィニル、パラ−トルエンスルホニル(Ts)、メシル、トリフルオロメタンスルホニル及びベンジルのような他の基などがある。保護基の除去のための手順の例には、例えば10%パラジウム担持炭素のような水素化触媒の存在下50psiの水素ガスを用いるCBZ基使用の水素化分解や、例えばジクロロメタン中の塩化水素、ジクロロメタン中のトリフルオロ酢酸(TFA)などを用いるBOC基の酸分解、フッ化物イオンによるシリル基の反応、及び亜鉛金属によるTCEC基の還元開裂が含まれる。
【0258】
本発明の方法で有用な活性化合物又は薬学的に許容できるその塩は参照により特許類に援用され、出願公開公報を参考のために上に援用する。
当然なことであるが、以下の実験でmg/kgでの用量とは、試験動物のキログラム体重当たりの試験化合物のミリグラム重量を意味する。
【0259】
当然のことであるが、以下の生物学的方法1,2,4及び5では、対照の関節(試験化合物ビヒクルのみを投与された動物における)を有する四肢の肢と対側の試験関節を有する四肢の後肢間の後肢荷重差(対照又は試験化合物ビヒクルのみ投与した誘因動物及び試験化合物ビヒクルに溶解した試験化合物を投与した処置動物での)をインキャパシタンステスター、モデル2KG(Linton Instrumentation,Norfolk,United Kingdom)を用いて測定した。当該インキャパシタンステスターは上部に、ラットの前肢を支える外面に傾斜した前面壁及び、この測定を容易にする各後肢用に1個の2つの重量検出パッドを持つチャンバーを有する。当該後肢荷重が示す差はグラムで表し、以下のように計算した:(当該対照肢のグラムでの平均重量から各誘発又は処置動物の対側試験肢のグラムでの平均重量を差し引く)から(当該対照肢のグラムでの平均重量から各対照動物の対側試験肢のグラムでの平均重量を差し引く)を差し引く。全ての結果は、誘発又は処置群についての平均結果とその対照群の同時点での平均結果を比較しながら共分散(“ANCOVA”)の解析を用い、次いでHoebergの手順にて統計的に分析したが、特に注がなければそれらについての統計的有意はρ<0.05である。
【0260】
当然なことながら、本発明の方法ではANCOVAに次いでHochbergの手順を用いてデータの統計的解析する必要はない。代わりになる統計解析はHochbergの手順なしのANCOVA、Hochbergの手順を伴う分散の解析(“ANOVA”)、Hochbergの手順なしのANOVA、Hochbergの手順を伴うt−検定及びHochbergの手順なしのt−検定を使用してよいことが知られている。
【0261】
更に当然のことながら、以下の例の全てに記載されているように使用したIL−6及びIL−6sRは市販され入手可能である、R&DSystems,Minneapolis,MInnesotaから購入した組換えヒトIL−6及びヒトIL−6sRである。
【0262】
更に当然なことながら、生物学的方法1,2及び4おけるMIA、又は生物学的方法5におけるIL−6にIL−6sRを加えたものの注射に先立ち、ラットは5%容量/容量(“v/v”)のイソフルランガスで倒れるまで麻酔をし、2%v/vイソフルランで維持する。ラットはイソフルラン投与を中止すると、約5分で意識を完全に回復する。
【0263】
当然のことながら、生物学的方法5では当該サイトカインのビヒクルは水中に0.5%のHPMCに加えて0.2%Tween80が含まれていた。
6−(5−カルボキシ−5メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩の投与が(IL−6に加えてIL−6sR)誘導した痛みを阻止したことが以下の生物学的方法5で示されるであろう。
【0264】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、或いは薬学的に許容できるそれらの塩の新たに見出された軟骨損傷、痛み軽減及び変形性関節炎を阻止する効能は以下で説明する動物モデルで確立した。
【0265】
生物学的方法1
軟骨損傷のラットモデル(“MIA Rat”)におけるヨード酢酸モノナトリウム誘導骨関節炎
組織学的分析により測定したこのモデルにおける骨関節炎誘導の1つの最終結果は、トルイジンブルー染色の低下及び骨棘の生成を特徴とするような冒された関節内の骨関節炎的状態の進行である。冒された関節を持つ肢の後肢重量分布に対する効果で証明されるように、組織学的変化に関連して関節軟骨の濃度依存的劣化は、生化学的分析で証明されるように関節におけるプロテオグリカン又はヒドロキシプロリンの増量の存在であり、又は骨関節炎の病変の組織病理学的分析結果である。本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物或いは薬学的に許容できるそれらの塩について以下に報告する後肢重量分布効果、又は観測されることが期待される効果は、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物或いは薬学的に許容できるそれらの塩が関節軟骨への破壊を直接的に阻止できる能力から生じるか、或いは生じるであろう。
【0266】
一般的にMIA Ratモデルは、0日目にオスWistar系ラット(150g)の右関節炎関節と左健常関節の間の後肢重量差をインキャパシタンステスター、モデル2KG(Linton Instrumentation,Norfolk,United kingdom)にて測定する。当該インキャパシタンステスターはチャンバーの上部にラットの前肢を支える外側に傾斜した前面壁、及び本測定を容易にする各後肢に対して1個の重量検知用パッド2個を有する。その後当該ラットをイソフルオリンで麻酔にかけ、1.0mgのモノ−ヨード酢酸(“MIA”)につき膝蓋下靭帯を通して右の後肢膝関節に注射する。当該関節へのMIAの注射は解糖の阻止及び結果として周囲の軟骨細胞の死を生じる。当該ラットは更に、本発明の方法で有効な活性化合物、又はその医薬品として許容されている塩又はビヒクル(本事例では水)のいずれかを14日間又は28日間、毎日投与される。本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、或いは薬学的に許容できるそれらの塩を典型的には、1日にラットキログラム当たり本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物或いは薬学的に許容できるそれらの塩を30mgの用量で投与するが、例えば検討する当該化合物の要求量に応じて10mg/kg/日、60mg/kg/日、90mg/kg/日又は100mg/kg/日のような他の用量を投与してもよい。このモデルにおいて、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物或いは薬学的に許容できるそれらの塩の適切な用量を決めるのは薬剤技術では通常のレベル範囲内で十分である。このモデルにおける置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物或いは薬学的に許容できるそれらの塩の投与は、場合に応じて経口又は、浸透ポンプによる静脈注射で行う。2週間の実験における7及び14日後、又は4週間の実験における7、14及び28日後、当該後肢重量分布を再度測定する。典型的には、ビヒクルのみを投与された動物では右後肢より冒されていない左後肢がより重いが、本発明の方法で有用な活性化合物又は薬学的に許容できるその塩を投与された動物はその後肢間でより正常な重量平均(即ち、より健常な動物のような)を示す。重量分布でのこの変化は関節軟骨損傷の程度に比例している。後肢関節機能の変化のパーセント阻止率は対照動物に対する処置動物についての後肢重量分布におけるパーセント変化として計算される。例えば、2週間の実験では、
後肢重量分布における変化のパーセント阻止率
【0267】
【数1】

【0268】
式中:ΔWは、14日目に測定した健常左肢及びビヒクルのみ投与対照動物の関節炎肢間の後肢重量差;及び
ΔWは、14日目に測定した健常左肢及び本発明の方法で有用な活性化合物又は薬学的に許容できるそれらの塩を投与した動物の関節炎肢間の後肢重量差である。
【0269】
MIAラットモデルでの生化学的又は組織病理学的終点を測定するために、上の実験における動物の数頭を屠殺し、骨関節炎膝関節及び対側左膝関節の両方での遊離プロテオグリカン量は生物化学的分析で測定できる。対側左膝関節における遊離プロテオグリカン量は健常関節でのプロテオグリカン量についてベースライン値を提供する。本発明で有用な活性化合物を投与した動物の骨関節炎の右膝関節におけるプロテオグリカン量及びビヒクルのみを投与した動物の骨関節炎の右膝関節におけるプロテオグリカン量を別々に対側の左膝関節におけるプロテオグリカン量と比較する。骨関節炎の右膝関節におけるプロテオグリカン損失量は対側左膝関節対照と比較してプロテオグリカンのパーセント損失として表される。プロテオグリカン損失のパーセント阻止率は{1−[ビヒクルを与えた関節からのプロテオグリカン損失(%)]−(本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物を与えた関節からのプロテオグリカン損失)}÷(ビヒクルを与えた関節からのプロテオグリカン損失(%))×100。
【0270】
プロテオグリカン損失の分析から予想されるMIAラットデータは、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と命名した化合物を含む薬学的に許容できるそれらの塩が、ヒトを含んだ哺乳動物患者における軟骨損傷阻止、関節機能改善及び骨関節炎治療に対し効果的であることを立証するであろう。6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と命名した化合物をMIAで試験をし、その結果を生物学的方法2にて以下に記述した。
【0271】
生物学的方法2
MIAにおける6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩
ある特定の実験では、ヨード酢酸モノナトリウム(“MIA”)(1mg/関節)を麻酔したオスWistar系ラットの右膝の膝蓋下靭帯を通して注射した。当該対側対照膝には50μLの生理食塩水を注射した。インキャパシタンステスターを使用して測定した右膝(関節炎)と左膝(対側対照)間の後肢重量分布の変化を関節炎の膝における機能制限の指標として使用した。関節機能における制限は関節炎誘導後、7,14及び28日目に測定した。屠殺後、関節炎の関節からの脛骨プラトーについて侵食重症度を測定した。組織学的分析も同じ標本について行った。本発明の根拠は、1日に2回経口投与(即ち、PO;BID)した6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩が30mg/kg及び10mg/kg用量で軟骨損傷重症度を有意に軽減する能力、及び後肢荷重差における軽減で定義された関節機能制限を軽減する能力から由来する。
【0272】
経口投与には、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を二重蒸留水で溶解した(全ての計算は当該薬物の親物質のパーセントに基づいている)。用量3、10及び30mg/kgでの用量−反応実験[経口(“PO”);1日2回(“BID”)]は、MIA後4週間において6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩30mg/kgでは軟骨への構造的破壊の程度を有意に低下させ、関節痛を有意に低減させた。
【0273】
これらの経口投与実験の結果は下の表1の欄表示“IJFL(%+/−SEM)”で示しているが、そこでIJKLは関節機能制限の阻止を意味し、SEMは標準誤差を意味する;“SDCES”のSDCESは関節侵食重症度における有意な軽減を意味し、“軽減侵食サイズ”の軽減侵食サイズとは、関節侵食の面積のサイズが統計的に有意な減少があるかないかを意味する。
(表1)CI−1027を1日に1用量を2回で経口投与する4週間の実験
【0274】
【表6】

【0275】
リジット分析を用いて全体の侵食重症度における差を測定した。このパラメータは侵食等級(0=侵食なし、I=侵食が表面又は中間層まで進展、又はII=深層侵食)及び面積(小、中及び大を最も大きな侵食のそれぞれの点数を3つに分割して定量化する)を同時に行う。当該分析では各重症度の単位が異なることははっきりするが、単位間の数学的相関は分からない。
【0276】
上の表1にて報告されたMIAラットデータは、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた化合物を含んでいる本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物或いは薬学的に許容できるそれらの塩は、軟骨損傷を防止又は阻止、関節機能の改善、関節痛の軽減及び骨関節炎の防止又は治療に効果があることを立証している。
【0277】
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩は浸透ポンプにより皮下での投与もできる。投薬は、例えば100mg/kg/日、90mg/kg/日、30mg/kg/日及び10mg/kg/日投与にて実施できる。
【0278】
生物学的方法3
ウサギにおける試験的骨関節炎の誘導(“ウサギにおけるEOA”)
正常なウサギを麻酔にかけ、右膝の前中央部切開を行う。前面十字靭帯を見えるようにして、切断する。傷を閉じて当該動物を各ケージに収容し、運動及び食餌は自由にさせる。ウサギはビヒクル(みず)又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩又は薬学的に許容できるその塩の何れかを与える(1群10羽)。各群には1日3回6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩又は薬学的に許容できるその塩を、群により30mg/kg/用量又は10mg/kg/用量を受ける。当該ウサギは手術後8週間目に麻酔を施し、脛骨の近位末端及び大腿骨の遠位末端を各動物から取り出す。
【0279】
肉眼での等級化
大腿顆及び脛骨プラトーにつき軟骨変化を解剖顕微鏡下で別々に等級化をする(Sterozoom,Bausch&Lomb.Rochester,NY)。侵食の深度を以下のように0から4のスケールで等級化する:等級0=正常な表面;等級1=最小の原線維化又は表面の僅かな黄変;等級2=侵食が表面又は中層のみに広がっている;等級3=侵食が深層まで広がっている;等級4=侵食が軟骨下骨まで広がっている。表層変化は測定してmmで表す。代表的な標本は組織学的等級化にも使用される(以下を参照)。
【0280】
組織学的等級化
組織学的評価は、大腿顆及び脛骨プラトーの病変域から軟骨の矢状断面につき実施する。連続切片(5μm)を調製してサフラン−Oで染色する。OA病変の重症度は2人の別々な観察者によりMankin等の組織学的−組織化学的スケールを用いて0から14のスケールで等級化する。このスケールはOA病変の重症度を、サフラン−O染色低下(スケール0〜4)、細胞の変化(スケール0〜3)、血管による最高調達点の侵襲(スケール0から)及び構造的変化(スケール0から)に基づいて評価する。この後者のスケールでは、0は正常な軟骨構造及び6は軟骨の侵食は軟骨下骨まで達していることを示す。当該スコアシステムは複数の切片における最も重度な組織的変化に基づいている。
【0281】
中央及び側面の膝区画から、滑膜の代表的な標本を下の組織から分離した。当該標本は固定し、包埋し、そして上記のように切片化(5μm)し、ヘマトキシリン−エオシンで染色する。各区画につき、2つの滑膜標本をスコア化目的で試験をし、各区画からの最高スコアを留保する。平均スコアを計算し、全ての膝についての単位と見なす。滑膜炎の重症度を2人の別々な観察者により0から10のスコアにて等級化し、組織学的指標3のスコアを加える:滑膜被膜細胞の肥厚(スケール0〜2);絨毛の肥厚(スケール0〜3);及び単核及び多核細胞の細胞浸潤の程度(スケール0〜5):0は正常な構造を示す。
【0282】
統計解析
平均値及びSEMを計算し、統計的解析をMann−Whitney U−検定を用いて行った。
【0283】
これらのEOA実験を置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物について実施すると、その結果は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウムという名の化合物を含む活性化合物又は医薬品で許容されるその塩が脛骨プラトーにおける病変サイズ及び多分脛骨又は大腿顆での破壊の縮減を示すことになるだろう。結論として、当該EOA結果は、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウムと名付けた化合物を含む薬学的に許容できるそれらの塩が、軟骨への破壊に対する有意な阻止効果を有することを示すことになるであろう。
【0284】
生物学的方法4
ヨード酢酸モノナトリウム(“MIA”)誘導骨関節炎:
オスWistar系ラット(175〜200g)をソリッドボトム式イソレータケージに、1ケージ当たり2〜4匹のラットを、コーンコブの床敷を敷いて12時間:12時間の明暗サイクルで収容した。動物は標準ラット食餌を水と共に自由摂取で与えた。
【0285】
当該ラットは5%容量/容量(“v/v”)イソフルランガスで麻酔をかけ、2%v/vイソフルランガスで維持した。当該麻酔をかけたラットにMIA1mgの単回関節内注射を右膝膝蓋下靭帯を通して与えた。MIAは生理食塩水に溶解させ、50μLの容量を投与した。当該対側対照膝には50μLの生理食塩水を注射した。イソフルランガス投与を止めると、当該ラットは5分後に完全に意識が戻る。
【0286】
右(関節炎)及び左(対側対照)後脚膝関節を支持している右から左後肢への後肢重量分布における変化を関節痛の指標及び化合物効果の物差しとして利用した。インキャパシタンステスター(Model 2KG,Linton Instrumentation,UK)を後肢重量分布の測定に採用した。各データポイントは5秒間隔で3回の読みの平均である。
【0287】
CI−1027(即ち、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム)をヒドロキシプロピルメチルセルロース(“HPMC”)ビヒクル(0.05%HPMC+0.2%Tween 80;化合物量は遊離酸、即ち6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ジメチル−ヘキサン酸のパーセントに基づいて調整した)中に溶解させた。
【0288】
2種の投薬パラダイムを用いて、このモデルでCI−1027の効果を試験した:(1)急性単回用量投与の後に、CI−1027の関節痛に対する痛み軽減効果を測定するために単回(急性)用量を利用した。(2)関節痛及び/又は軟骨損傷に対するCI−1027の阻止効果を測定するのに、長期(複数日;b.i.d)投薬を利用した。当該急性投薬パラダイムは運動性及び関節機能のような骨関節炎症状及び関節痛のような骨関節炎の徴候に関係している。当該長期投薬パラダイムが疾患改善変形関節症薬(“DMOADs”)を識別する。
【0289】
急性(単回)用量パラダイムに関しては、後肢重量分布での変化を、ベースライン痛み読みを決めるために、以前説明したようにMIA注射後13日目の遅く、又は14日目の早めに測定した。ラットは単回で、CI−1027の用量10、30又は100mg/kgを強制経口投与(PO)で与えた。後肢重量分布の変化は化合物投与後2,4及び6時間目に測定した。
当該長期(複数回)投薬パラダイムでは、MIA及び生理食塩水を0日目に注射した。CI−1027はMIA注射0.5時間前にPOで与えた。CI−1027(3,10又は30mg/kg)をその後約12時間毎に28日間与えた。後肢重量分布は7,14及び28日目に測定した。
【0290】
CI−1027をb.i.dで4週間投与後に当該ラットはCO投与で安楽死させた。右(関節炎)脚から軟組織を取り除き、関節を外し、半月板を注意して除去して脛骨プラトーの表面を露出させる。当該脛骨を取り出し、侵食分析を実施するまで生理食塩水中に入れておく。脛骨プラトー侵食は安楽死と同じ日に、次の通り分析する。各プラトーの侵食を明確にするために約30秒間墨汁中に浸漬し、生理食塩水で濯ぎ、ペーパータオル上で吸い取らせる。デジタルカメラを備えた立体顕微鏡を用いて各プラトーを撮影した。当該脛骨プラトーを撮影し、2名の慣れている人が別々に以下のシステムを用いて等級化した。
【0291】
等級0=侵食なし;
等級I=表面又は中層に広がった侵食
等級II=深層侵食;軟骨がなく、軟骨下骨が露出
当該写真はコンピュータに移し、Zeiss KS300 Image Analysis Systemを使用して画像解析を行い、全侵食域の各等級を判断し、平方ミリメートル(“mm”)で表した。リジッド分析(上を参照)を用いて全侵食重症度における差異を判断した。本分析は侵食等級及び面積(小、中及び大、各スコアの最も大きな侵食の面積を3つに分ける)の両方を同時に考慮に入れる。当該分析では重症度の各単位は分かるが、単位間の数学的相互関係は分からない。
【0292】
急性投与後の関節痛軽減の結果。
CI−1027を以前記述した単回投与パラダイムにてラットMIAモデルで試験をした。MIAを0日目に全てのラットに対し右膝へ注射し、左膝には生理食塩水を注射した。14日目に当該ラットをインキャパシタンステスターで評価し、その後にCI−1027(10,30又は100mg/kg、PO)を与えた。2,4及び6時間後に、当該ラットを再評価した。結果は図1に図形で表すが、それはラット後肢重量分布における変化をグラムで示す用量−反応の折線グラフである。図1では、CI−1027投与後2,4及び6時間目において投薬前測定と比較する統計的有意のやり方で、100mg/kgを投薬した関節症のラットにおける体重荷重ポテンシャル(関節痛)の変化をCI−1027投与が改善した。30mg/kg用量では、服用後4時間時点での変化のみが統計的有意であった。10mg/kg投薬したラットは体重荷重ポテンシャルにおける変化を有意には改善しなかった。
【0293】
統計的有意差はDunnettの多重比較手順に従った一元配置ANOVAにより判断した。データは平均±SEMで表した。1群当たりN=8匹のラットである。
単一用量での長期投与後の関節痛軽減に関する結果:
MIA及び生理食塩水を0日目に注射した。CI−1027(30mg/kg)はMIA注射0.5時間前にPOで与えた。CI−1027はその後b.i.dで28日間与えた。後肢重量分布における変化は7,14及び28日目に測定した。結果は図2に示すが、これはラット後肢重量分布をグラムで表す経過時間折線グラフで示した。図2で示すように、CI−1027は後肢重量分布における変化を、全3時点にて統計的有意で(7、14及び28日目における阻止はそれぞれ47±8%、71±9%及び60±8%;p<0.05)低下させた。統計的有意差はDunnettの多重比較の一元配置ANOVAで判定した(p<0.05)。データは平均±SEMとして表す。1群当たりN=12匹のラットである。
【0294】
用量−反応に関する長期投与後の関節痛軽減の結果:
CI−1027の用量−反応は関節痛を考察するために複数用量投与後に後肢重量分布における変化を測定して実施した。MIA及び生理食塩水を0日目に注射した。その後CI−1027(3,10又は30mg/kg)をb.i.d.で28日間与えた。後肢重量分布での変化は7、14及び28日目に測定した。当該結果は図3に示したが、これはラット後肢重量分布における変化をグラムで表した時間経過の用量−反応折線グラフである。図3に示すように、前の試験と一致して、30mg/kgのCI−1027は14日目及び28日目における後肢重量分布での変化を統計的有意で低下させた(其々50±10%及び62±8%阻止;p<0.05)。しかしながら、7日目において最初の試験で見られた有意な効果を繰り返すことはなかった(38±14%阻止)。10及び3mg/kgでは、試験をした3つの時点全てにおいて後肢重量分布での統計的有意な変化がなかった。統計的有意差はDunnettの多重比較手順を伴う一元配置ANOVAで判定した(p<0.05)。データは平均±SEMとして表す。1群当たりN=12匹のラットである。
【0295】
長期投与後の関節軟骨損傷の阻止結果:
C−1027につきラットMIAモデルにおいて軟骨構造を保護する能力につき検査した。ラットに30g/kg、PO、b.i.d.で28日間投薬し、28日目に屠殺した。当該脛骨プラトーを取り出し、前の方法の部で説明したように分析した。MIA及び生理食塩水を0日目に注射した。CI−1027(30mg/kg)をMIA注射0.5時間前にPOで与え、その後28日間b.i.d.で与えた。侵食分析は28日目に実施した。CI−1027はリジット検定(p=0.10)を用いて分析するとき、脛骨プラトー侵食重症度に対する統計的有意な効果はなかった。1群当たりN=12匹のラットであった。当然ながら、12匹のビヒクル処置ラットの内2匹には侵食がなく、これが統計的有意に欠ける事を部分的に説明できる。それに加えて、これも当然なことながら、CI−1027で処理した12匹の内5匹には侵食がなかった。
【0296】
CI−1027の全侵食面積(等級を考慮せず)に対する効果についても測定した。MIA及び生理食塩水を0日目に注射した。CI−1027(30mg/kg)はMIA注射0.5時間前にPOで与え、その後28日間b.i.d.で与えた。侵食分析は28日目に実施した。統計的有意ではないが、CI−1027は全体の侵食面積を43%減少させた。この減少は統計的に有意ではないが(t−検定で確認したとき;p=0.179;1群当たりN=12匹のラット)、これについては上で参照した侵食なしである2匹のビヒクルラットによっても再度部分的には説明ができる。
【0297】
用量−反応に関する長期投与後における関節軟骨損傷の阻止結果:
ラットにPO,b.i.dで28日間3,10又は30mg/kgで投薬し、脛骨プラトーを取り出して、上で説明したリジット検定を用いて分析した。MIA及び生理食塩水は0日目に注射した。CI−1027(3、10及び30mg/kg)をMIA注射0.5時間前にPOで与え、その後28日間b.i.d.で与えた。侵食分析は28日目に実施した。全ての用量をリジット分析(p<0.05)で判定すると、統計的に有意であった;1群12匹のラット。当該結果は図4に示したが、これは等級0(侵食なし)、等級I(表層軟骨層又は中層軟骨層まで進んだ軟骨侵食重症度で、更にサイズ小、中及び大で特性化する)、又は等級II(深層が侵食;所々軟骨がない、軟骨下骨が所々露出しているが、更にサイズ小、中及び大で特性化する)で表した軟骨侵食重症度、及び(ii)ビヒクル注射の対照動物との比較でパーセント侵食として表現する軟骨サイズへの効果を示した用量−反応棒グラフである。図4で示したように、CI−1027の3種の用量全てで侵食重症度につき統計的に有意な効果を有していた。当然なことながら、全てのビヒクル処置ラットで以前に記載された試験に反して侵食があった。
【0298】
C−1027(3,10及び30mg/kg)の全ての侵食面積に対する効果(等級は考慮せず)も測定した。MIA及び生理食塩水を0日目に注射した。CI−1027(3、10及び30mg)をMIA注射前0.5時間にPOで与え、その後28日間b.i.d.で与えた。侵食の分析は28日目に実施した。統計的有意は一元配置ANOVA、Dunnettの多重比較で判定した(p<0.05;1群N=12匹のラット)。当該結果は図5に示したが、これは平方ミリメートルで表した全軟骨侵食面積に対する効果をビヒクル注射対照動物との比較で、軟骨侵食重症度等級を考慮しないで示した用量−反応の棒グラフである。図5に示したように全侵食面積で統計的有意な減少が見られたのは僅かにCI−1027の10mg/kgのみであった(62.4%)。
【0299】
CI−1027の30mg/kg又は100mg/kgでの単回投与はMIA誘導関節炎ラットで効果的に関節痛を軽減し、本発明の方法のCI−1027及び他の活性化合物は関節痛に対して直接的に抗痛覚過敏効果を有していることを示した。CI−1027は長期に投与すると、同様にラットMIAモデルにおける関節痛を改善した。30mg/kgのCI−1027をPO、b.i.d.で投与すると、投薬の1〜2週間後に関節痛を改善し、持続効果は4週間になる。加えて、CI−1027は3、10又は30mg/kg、POでb.i.d.にて28日間投与すると、内側脛骨プラトー侵食サイズを効果的に減少させ、CI−1027及び本発明の他の活性化合物は関節軟骨損傷において直接的軟骨損傷阻止効果を有することを示した。
【0300】
生物学的方法5
インターロイキン−6可溶性レセプター(“IL−6sR”)を伴うインターロイキン−6(“IL−6”)が誘導した関節痛;
骨関節炎痛に関するIL−6/IL−6sRモデル。
【0301】
オスWistar系ラット(175〜200g)をソリッドボトム式イソレータケージに、コーンコブの床敷を敷いたケージ当たり2〜4匹のラットを12時間:12時間の明暗サイクルで収容した。動物には標準ラット食餌と共に水を自由摂取で与えた。
【0302】
注射前に、ヒト組換え体IL−6(1匹当たり100ng;R&D System、Minneapolis、Mineesota)をヒト組換え体IL−6可溶性レセプター(1匹当たり300ng;R&D System、Minneapolis、Mineesota)と共にリン酸緩衝生理食塩水(“PBS”)の中に室温で15分間温置した。ラットは5%容量/容量(“v/v”)イソフルランガスで麻酔に掛け、2%v/vのイソフルランガスで維持した。当該麻酔をしたラットに右膝の膝蓋下靭帯を通して50μL容量のIL−6/IL−6sRを単回関節内注射で与えた。対側対照膝には50μLのPBSを注射した。イソフルランガスの投与を中止すると、当該ラットは約5分後には完全に意識が戻った。
【0303】
右(関節炎)から左(対側対照)への後肢重量分布の移動を関節痛の指標及び化合物効果の目印として利用した。インキャパシタンステスター(Model2KG,Linton Instrumentation,UK)を後肢重量分布の測定に採用した。各データポイントは3回、5秒読みの平均である。
【0304】
C−1027を上記のようにHPMCビヒクル中に溶解させた。後肢重量分布の読みにおける変化ベースラインはIL−6/IL−6sRの注射の前日に測定した。当該実験の日(0日目)、CI−1027(10,30又は100mg/kg)の1回量をIL−6/IL−6sR注射3時間前に強制経口投与で与えた(1群当たりn=10匹のラット)。後肢重量分布における変化はIL−6/IL−6sRの注射の1,3及び6時間後に測定した。
【0305】
CI−1027(10,30又は100mg/kg)の関節痛への効果はラットのIL−6/IL−6sRモデルで検査した。ベースラインインキャパシタンス読みは−1日目に行った。IL−6/IL−6sR及びPBSを0日目に注射した。CI−1027(10,30又は100mg/kg)をIL−6/IL−6sR注射の3時間前にPOで与えた。後肢重量分布における変化は注射の1,3及び6時間後に測定した(CI−1027投薬後4,6及び9時間)。結果は図6に示すが、それはラット後肢重量分布における変化をグラムで表して示す用量−反応の折線グラフである。図6で示したように、CI−1027の3用量の全てで注射1時間後、CI−1027投与の4時間後において後肢重量分布における変化を統計的に有意で低下させた(10、30及び100mg/kgにおいて其々53±9%、74±8%及び57±15%阻止)。統計的有意差は一次元配置ANCOVAに引き続くHochbergの手順により判断した(p<0.001)。データは平均±SEMで表した。1群は10匹のラットである。注射の3、及び6時間では有意な効果は見られなかった(C−1027投与の6及び9時間後)。
【0306】
上で説明した実験を以下の変化を行って繰り返した:C−1027は10及び30mg/kgのみで検査し、全てのインキャパシタンス検査読みはブラインドで行った。ベースラインインキャパシタンス読みは−1日目に行った。IL−6/IL−6sR及びPBSは0日目に注射した。CI−1027(10又は30mg/kg)をIL−6/IL−6sR注射の3時間前にPOで与えた。後肢重量分布における変化は注射の1,3及び6時間後に測定した(CI−1027投薬の4,6及び9時間後)。統計的な有意差は一次元配置ANCOVAに引き続くHochbergの手順により判断した(p<0.001)。データは平均±SEMで表した。1群はN=10匹のラットである。結果を図7に示すが、これはラットの後肢重量分布における変化をグラムで示している経時の用量−反応の折線グラフである。図7で示したように、また最初の実験で前に分かったように、CI−1027の10及び30mg/kgの一回量では、ビヒクル群と比較して統計的有意で後肢重量分布の変化を低下させた(10及び30mg/kgにおいて、其々63±6%及び71±10%阻止)。
【0307】
ラットIL−6/IL−6sR膝注射モデルでは、CI−1027はIL−6/IL−6sR注射の1時間後で有意に関節痛を軽減し、CI−1027及び本発明の他の活性化合物が直接的に関節痛に対し抗痛覚過敏効果を持っていることを示した。
【0308】
生物学的方法6
カラギーナン誘導の熱性痛覚過敏
目的:潜在性痛覚過敏に基づく鎮痛効果用の化合物を選択する(即ち、関節リュウマチ性痛のような炎症性痛覚の軽減)
Charles River社から得たオスSprague Dawley系ラット(200〜300g)を2匹1群、12時間明/暗サイクルで食餌と水は自由摂取で収容した。動物は試験前の1時間試験室で馴化させた。
【0309】
熱性痛覚過敏につき、Hargreaves他、1988の修正法をに従ったラット肢裏検査を用いて評価した(装置はUniv.California,San Diegoから)。高めに設定したガラス製テーブルの上にある箱毎に各々2匹のラットを収容した3個のパースペックス(透明アクリル板)製箱からなる装置にラットを慣れさせた。移動可能な輻射熱源(ハロゲンランプ)をガラス製テーブルの下に位置させ、後肢に向けた。肢の払いのけ時間(PWL)を秒(“s”)で記録した。組織の損傷を防ぐために自動的な中断点を22.5秒とした。各動物の両後肢について各時点での2〜3回のPWLの平均を採用した。カラギーナン投与前に当該装置を調整してPWLを約10秒にした。
【0310】
基本的PWLを測定した後、動物は肢裏内に10mg/mLの100μLを右後肢に受けた。ラムダカラギーナン(Sigma Chemical Co.)は注射に先立つ5分前に等張生理食塩水中に溶解した。同じプロトコールに従ってPWLはカラギーナン注射2時間後(この時点がピーク痛覚過敏の開始時を示す)に再評価し、痛覚過敏が進展したことを確認した。その後6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を、カラギーナン注射2.5時間後に口腔投薬針にて投与し、再度PWLを薬物投与後30又は60分間隔で6時間行った。
【0311】
データは各動物につき、2〜3回の読み/肢の平均で構成されている。群データは集積した各々の平均である。パーセント阻止率は各時点につき以下のように計算した:(薬物処置の平均−対照の平均)/(ベースラインの平均−対照の平均)×100。
【0312】
阻止結果はその後に統計的解析を行った。
関節痛軽減についてのCI−1027の使用結果は後肢重量分布(MIA及びIL−6)における変化のパーセント阻止率、又は以下の表2に示した肢の払いのけ時間(CITH)で表した。
(表2)7日目(MIA)又は1日目(IL−6及びCITH)に6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩の30mg/kgを単回経口投薬し、投薬4時間後に測定した、後肢重量分布(MIA及びIL−6)の変化の阻止及び肢の払いのけ時間(CITH)により測定した関節痛の軽減:
【0313】
【表7】

【0314】
以下の置換ジアルキルエーテル化合物(参照番号)及び置換アルキル化合物(参照番号)を痛み軽減効果に関し、MIA、IL−6/IL−6sR及びCITHから選んだ上の方法の少なくとも1つで痛み軽減効果についてアッセイした:
7,7'−オキシビス(2,2−ジメチルヘプタン酸)(A1);
5,5'−オキシビス(2,2−ジメチルペンタン酸)(A2);
4,4'−オキシビス(2,2−ジメチルブタン酸)(A3);及び
2,2,12,12−テトラメチルトリデカン二酸(A4)。
【0315】
下の表3から5にデータを示す。下の表3には、生物学的方法4からのデータを後肢重量分布における変化のパーセント阻止率±標準誤差で表す。当該パーセント阻止率は生物学的方法1において上で列挙した式により計算した。
(表3)生物学的方法4の方法に従い、参照番号A1からA4の化合物の30mg/kgを7日目又は14日目に単回経口投薬し、化合物の投薬2,4又は6時間後に測定し、“化合物参照番号”、“7日目2時間(%±SEM)”、“7日目4時間(%±SEM)”、“7日目6時間(%±SEM)”、“14日目2時間(%±SEM)”、“14日目4時間(%±SEM)”及び“14日目6時間(%±SEM)”の欄見出しで其々下に示したように、後肢重量分布におけるMIA誘導変化の阻止で測定した関節痛の軽減:
【0316】
【表8】

【0317】
下記の表4には、生物学的方法5からのデータを、後肢重量分布±標準誤差における変化のパーセント阻止率で表している。パーセント阻止率は以下のように計算した。
後肢重量分布における変化のパーセント阻止率
【0318】
【数2】

【0319】
式中、ΔWは健常な肢とビヒクルのみを投与した対照動物群のhrIL−6+hrIL−6sR注射した肢の間の、注射後1,3又は6時間に測定した後肢重量差であり、そしてΔWGは健常な肢と処置対照動物群のhrIL−6+hrIL−6sRを注射した肢の間の注射した1,3又は6時間後に測定した後肢重量差である。
(表4)生物学的方法5に従い、参照番号A4の化合物30mg/kgを1日目に単回経口投薬し、化合物の投薬1,3又は6時間後に測定し、“化合物参照番号”、“1時間(%±SEM)”、“3時間(%±SEM)”及び“6時間(%±SEM)”の欄見出しで其々下に示すように、パーセント阻止」±標準誤差で表した、後肢重量分布におけるヒト組換え(IL−6/IL−6sR)誘導変化の阻止で測定した関節痛の軽減:
【0320】
【表9】

【0321】
(表5)生物学的方法6に従い、1日目に化合物参照番号A1からA4の30mg/kg又は100mg/kgを単回経口投薬し、下の欄見出し其々“化合物参照番号”、“用量(mg/kg)”及び“CITH(%)”で示すような、パーセント阻止率で表すCITHにおける肢の払いのけ時間で測定した痛みの軽減:
【0322】
【表10】

【0323】
生物学的方法7
生物学的方法5による方法で、そこではIL−6、IL−6sR又はIL−6とIL−6sRは、オンコスタチン−M、オンコスタチン−Mとオンコスタチン−レセプター、白血病抑制因子(“LIF”)、LIFと白血病抑制因子レセプター(“LIFR”)、インターロイキン−11(“IL−11”)、及びIL−11とインターロイキン−11レセプター(“IL−11R”)から選択したタンパク質又はタンパク質とそのレセプターで其々置換える。
【0324】
置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物の関節リュウマチでの活性をアッセイする方法を生物学的方法8に説明する。
【0325】
生物学的方法8
モノクローナル抗体誘導関節炎(“MAIA”)マウスモデル:
マウスでの関節炎の迅速誘導は市販で入手できる関節炎誘導モノクローナル抗体カクテルの利用を通して可能となる。このカクテルには,活性コラーゲン誘導関節炎のDBA/1(H−2ハプロタイプ)マウスに生成させた4種の異なるモノクローナル抗体(“mAbs”)を含有する(“CIA”;CIAは完全フロインドアジュバント中の天然ウシII型コラーゲンに感受性動物の皮内免疫でマウスに誘導できるが、これは典型的には6〜8週間かかり、病気の罹患率及び重症度が極めて変動しやすく、統計的有意を得るには比較的多数のマウスを必要とする)。mAbsの3種類は84アミノ酸残基断片内でクラスター形成している自己抗原性エピトープであるCB11のLyC2(II型コラーゲンの最小関節炎惹起性断片)を認識し、mAbsの4番目はLyC2(Terato,K.,Harper,D.,Griffiths,M.,Hasty、D.,Ye,J.,Cremer,M及びJ.Seyer。マウスにおけるコラーゲン誘導関節炎:大腸菌(“E.Coli”)リポ多糖類の相乗効果はII型コラーゲンに対するモノクローナル抗体による関節炎誘導においてエピトープ特異性を迂回する。Autoimmunity.22(3):137−147)。より大事なことは、4種のmAs全てが多くの動物種の間に保存されているII型コラーゲンのエピトープを認識し、そして同族及び異種のII型コラーゲンの両方と交差反応することである。
【0326】
モノクローナル抗体誘導関節炎プロトコールの従来CIAモデルに対する主な利点の1つは、DBA/1以外のマウス系でCIA様関節炎を誘導する能力である。多くのノックアウトマウスはDBA/1ではなく129/SvJ、BALB/c又はC57BL/6系で作ったので関節リュウマチ用の目標が正当であることを立証するのにノックアウトを使用することは困難であった。研究者達は遺伝欠損の関節炎の発症又は重症度への効果を検証するためにDBA/1バックグランドへのノックアウトマウスの戻し交配に年数を重ねざるを得なかった。
【0327】
129/SvJ、BALB/c、C3H/FeJ及びC57BL/6系を試験するとき、DBA/1が最も敏感に反応するが、BALB/c、C57BL/6及び129/SvJ系はDBA/1より僅かではあるが反応が劣る。C3H/HeJマウスは比較的反応が落ちる。mAb及びLPSの組合せへの129/SvJマウスの反応も低いが、それでも統計的有意は、LPSのみを注射された129/SvJマウスにおけるより高い。
【0328】
優れた前臨床疾病モデルの特質の1つは、ヒトの病気を緩和する薬剤が当該動物モデルにも作用するということである。メトトレキサート、サイクロスポリンA及び抗−TNF−α抗体は全てヒトの関節リュウマチの良き治療に使用された。モノクローナル抗体誘導関節炎モデルを用いてBALB/cマウスを試験すると、メトトレキサート(4mg/kg)及び抗−TNF−α抗体(83.33μg)は両方とも当該病気の経過全体において肢蹠及び踝の腫れを有意に阻止することが見出された。Arthrogen−CIA抗体の注射1及び5日後に抗TNF−α抗体(83.33μg/動物)をi.p.で投与した。サイクロスポリンA(25mg/kg)は腫れの反応の早期阻止を示したが、9日目にはビヒクル対照と差異がなかった。
【0329】
MAIAプロトコール:
典型的なMAIA実験では、4匹のマウス群にArthrogen−CIA Monoclonal Antibody Blend(Chemicon International,Inc.)の10mg/mL溶液を0.4mL(BALB/c及びDBA/1系)又は0.8mL(C57BL/6、129X/SvJ、C3H/HeJ及びC3H/FeJ系)を腹腔内注射した。2日後、当該マウスにLPS(E.Coli株0111B4からのリポ多糖類)の0.25mg/mL溶液0.2mLをi.p.で注射した。2日後、当該マウスにPBS中0.25mg/mLのLPS溶液0.2mLをi.p.で注射した。肢蹠及び踝のサイズをDyer Digital Caliper(#655−030−4916)を用いmAb注射日及びLPS注射後2日毎に評価した。
【0330】
治療薬が関与している実験では、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩30,100又は200mg/kgをArthrogen−CIA抗体に1日先行して経口で投薬し、その後毎日投薬した。
【0331】
ビヒクル又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩30,100又は200mg/kgの経口投与についての結果は図8に示した。図8では、時間的経過で用量−反応の折線グラフは、化合物6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を200mg/kgで投薬したときのマウス踝関節及び肢の腫れの変化阻止を4、7及び9日目に測定、100mg/kg投薬では7日目に測定し、ミリメートル(“mm”)、統計的有意(p<0.05)のやり方で表した。
【0332】
生物学的方法9
MIAにおける置換ジアルキルエーテル及びCOX−2阻害剤の組合せの痛み軽減効果:
急性投与の後の関節痛軽減に関する結果
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩(“CI−1027”)及びロフェコキシブをラットMIAモデルにて前に説明した急性投薬パラダイムで試験をした。0日目に全てのラットの右膝にMIAを、左膝に生理食塩水を注射した。14日目に当該ラットをインキャパシタンステスターで評価し、その後に6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩(10mg/kg、PO)及びロフェコキシブ(3mg/kg、PO)を与えた。2時間後、当該ラットを再評価した。痛みの阻止に関する結果はパーセント±標準誤差として表して以下の表5に示した。当該痛みのパーセント阻止率は上の生物学的方法1にて説明したように測定した。表5では、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩及びロフェコキシブの投与につき、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩及びロフェコキシブの投与2時間後につき、投与前の測定と共に6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩又はロフェコシブのみの場合と統計的有意のやり方で比較して、関節炎ラットにおける体重荷重ポテンシャル(関節痛)の変化を改善した。統計的有意差は一元配置ANOVAに次いでDunnettの多重比較手順で判断し、表5にては“”で示した。データは平均±SEMで表してある。1群はN=8匹のラットである。
【0333】
【表11】

【0334】
前述の研究で、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を含む医薬品で許容されるそれらの塩、又はそのような化合物とCOX−2阻害剤を含む組合せは軟骨損傷の防止及び阻止、関節機能の改善、IL−6誘導関節痛、機械的痛み、OA痛、炎症性痛み、RA痛、急性痛、慢性痛を含む痛みの軽減、急性痛の軽減、慢性痛の軽減などや、ヒトや他の哺乳動物病体における骨関節炎や関節リュウマチに効果があることを立証するか、又は立証するであろう。そのような治療は、痛みや他の二次的な症状のみを軽減する現存の治療とは異なる利点を提供する。本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた化合物を含む医薬品で許容されるそれらの塩のMIAモデルにおける効果は、置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた化合物を含む医薬品で許容されるそれらの塩が軟骨損傷の防止及び/又は治療、関節機能の改善及び痛みの軽減において臨床的に有用な効果を有するであろうことを示す。
【0335】
上で挙げた病気を治療するために本発明の方法で有用な活性化合物及び薬学的に許容できるその塩の本発明の方法による上記して挙げた病気を治療するための哺乳動物への投与は、当該化合物又はその塩を医薬品調剤の形で投与することで果たせるが、必ずしもそれは必要ではない。
【0336】
本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は医薬品で許容されるそれらの塩は幅広い種類の経口及び非経口医薬品調剤形に調製し、投与できる。そこで、本発明で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は医薬品で許容されるそれらの塩は注射で投与、即ち静脈、筋肉、皮内、皮下、十二指腸内又は腹腔内に投与できる。同様に、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は医薬品で許容されるそれらの塩は、例えば鼻腔内のような吸引で投与もできる。加えて、本発明で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は医薬品で許容されるそれらの塩は経皮投与も可能である。当技術分野の当事者であれば、以下の剤形は本発明の方法で有用な活性化合物或いは薬学的に許容できるその塩のどちらかを活性成分として含むことができる。当該活性化合物は一般的に当該処方の重量にして約5%から約95%の濃度で存在する。
【0337】
本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は医薬品で許容されるそれらの塩(即ち、活性成分)から医薬組成物を調製するには、薬学的に許容できる担体は固体又は液体でありうる。固体形態の製剤には粉末、錠剤、丸薬、カプセル、カシェー、座薬及び分散性顆粒が含まれる。固体の担体は1種以上の物質で、それらは希釈剤、賦香剤、可溶化剤、滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤又はカプセル剤としても働く。
粉末中では、当該担体は細かく砕いた固体で細かく砕いた活性成分と混合されている。静脈内投与又は注射での投与に適する粉末は凍結乾燥するのがよい。
【0338】
錠剤では、活性成分を適した比率で必要な結合特性を有する担体と混合し、望ましい形状及びサイズに圧縮する。
当該粉末及び錠剤は典型的には活性成分を全体で約5%から約70%を含有している。適している担体は炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、蔗糖、乳糖、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点の蝋、カカオバターなどである。用語“調製”は、活性成分を担体とするカプセル化材料と共にカプセルをもたらすが、その中には他の担体と共に又は他の成分無しに活性成分が担体に囲まれ、担体と結合している処方が含まれることを意図している。同じように、カッシェ及びトローチ剤も含まれる。錠剤、粉末、丸薬、カッシェ及びトローチ剤は経口投与用に適した固体剤形として使用できる。
【0339】
座薬調製には、脂肪酸グリセリド又はカカオバターのような低融点蝋を最初に溶かし、活性成分をそこへ攪拌などで均一に分散させる。溶融した均一な混合物はその後便利な形をした型に注入し、冷却して固形化させる。
【0340】
液状調製物には溶液剤、懸濁液剤及び乳化液剤が含まれ、例えば水又は水とプロピレングリコール溶液である。非経口注射用には、液状調製物はポリエチレングリコール水溶液中の溶液で処方できる。
【0341】
経口使用用に適した水溶液は活性成分を水に溶解し、適した着色剤、賦香剤、安定剤及び、必要ならば増粘剤を加えて調製できる。
口腔用に適した懸濁水溶液は、天然又は合成ゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び他の良く知られた懸濁剤のような粘性材料と共に細かく砕いた活性成分を分散させて製造できる。
【0342】
同様に固形調製物に含まれるものには、使用直前に口腔投与用に液状調製物に転換するようにしたものがある。当該液状物には溶液、懸濁物及び乳化物が含まれる。これらの調製物は活性成分に加えて、色材、賦香剤、安定剤、緩衝剤、合成及び天然甘味料、分散剤、増粘剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0343】
医薬品調製物は場合により一回用剤形にできる。そのような形態では当該調製物は適当な量の活性成分を有する単位用量に分割される。一回用剤形は包装された調製物でありえて、当該包装物はパックの錠剤、カプセル及び、バイアル又はアンプル中の粉末のような個別な量を含有している。同様に、一回用剤形はカプセル、錠剤、カッシェ又はトローチ剤そのものでもありえるし、包装した形状のそれらのいずれかの適当な数でありえる。
【0344】
単位量製剤中の活性成分の量は個々の適用及び活性成分の効力により、1から500mg又は10から250mgを含む0.01から1000mgで変動又は調整することができる。当該組成物は、必要であれば他の両立できる治療薬も含むことができる。
【0345】
上に挙げた病気を治療する薬剤として治療的使用する場合、本発明の方法で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物、又は薬学的に許容できるそれらの塩、或いは他の治療薬との組合せを、少なくとも1つの臨床的指標、病理的特徴又は治療を受ける病気或いは障害の症状を改善するのに効果的な用量を投与する。当該活性成分の約1mg/kgから約100mg/kgの当初投薬量が効果的であろう。当該活性成分の約35mg/kgから約75mg/kgが毎日の用量では典型的である。しかしながら、当該投薬量は患者での必要量、治療する症状の重症度及び本発明の方法で有効な個々の置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物活性化合物又は薬学的に許容できるそれらの塩、又は使用する組合せにより変動してもよい。特定の状態に対する適した投薬量の決定は上記した当技術分野の当事者の判断範囲内である。典型的な投薬量は治療する病気又は障害を処置するのに効果的な量であるような、約0.1mg/kgから約500mg/kgで、理想的には約25mg/kgから約250mg/kgであろう。
【0346】
イヌ用の典型的な組成物は、溶液、懸濁液、乳化液、逆エマルション、エリキシル剤、エキス、チンキ剤及び濃縮物からなる群より選ぶ摂取可能な液体経口剤形を含み、場合によっては治療するイヌの飲料水に加える。これらの液体剤形のいずれでも、当技術分野でよく知られている方法に従って処方されれば、治療するイヌに直接投与か、或いは治療するイヌの飲料水に添加するかのどちらかができる。他方、濃縮液体が当初所定量の水に加えるように処方されていれば、そこから一定量を取って直接イヌに投与するか、イヌの飲料水に加える。
【0347】
組成物は、本発明の方法で有用な活性化合物又は薬学的に許容できるそれらの塩の遅延放出、持続放出及び/又は制御放出を提供することができる。当該組成物には軟骨損傷又は痛みの40%以上阻止を生じるような全ての剤形が含まれ、活性成分の血漿濃度につき、例えば少なくとも活性成分のED40の3倍を少なくとも2時間;少なくとも4時間;少なくとも8時間;少なくとも12時間;少なくとも16時間;少なくとも20時間又は少なくとも24時間もたらす。例えば、上記剤形内には軟骨損傷又は痛みの40%以上阻止を生み、活性成分のED40の少なくとも5倍の活性成分血漿中濃度を、少なくとも2時間、少なくとも2時間、少なくとも8時間、少なくとも12時間、少なくとも20時間及び少なくとも24時間もたらすものが含まれる。更に、軟骨損傷又は痛みの50%以上阻止を生じ、活性成分の血漿濃度につき、例えば少なくとも活性成分のED40の5倍を少なくとも2時間;少なくとも4時間;少なくとも8時間;少なくとも12時間;少なくとも16時間;少なくとも20時間又は少なくとも24時間もたらす上記剤形が含まれる。
【0348】
上の剤形例は、活性成分、発明の組合せ又は本発明の組合せの活性成分と薬学的に許容できるその塩、希釈剤又は賦形剤並びに薬学的に許容できる担体、希釈剤又は賦形剤の別個の処方を有する組成物類の効果量を有する本発明の医薬組成物を具体的に示している。当該例は代表にすぎず、如何なる点においても本発明を制限するものと解されるべきではない。
【0349】
一方では他の治療薬剤及び6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩又は薬学的に許容できるその塩を同時投与用に一緒に1つのカプセル、錠剤、アンプル、溶液などに処方するのが望ましいが、本発明の方法を実施する目的では必ずしも必要ではない。例えば、発明の組合せのバルデコキシブ及び6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩又は薬学的に許容できるその塩は、また処方例1〜16のいずれか1つのようないかなる形態にでも別々に各々を処方することができ、同時に又は違う時のいずれかで投与することができる。
【0350】
当然なことではあるが、上記病気又は障害を治療するために哺乳動物へ発明の組合せの投与を含む本発明の方法は、異なる病気を同時に治療するために使用してもよい。例えば、本発明の組合せに伴うバルデコキシブの投与は上記のように炎症、関節痛、生理痛及び偏頭痛を治療するために実施できるが、一方では本発明の方法で有用な活性化合物又は薬学的に許容できるその塩は変形関節症、関節リュウマチの治療、関節機能の改善、痛み軽減又は軟骨損傷の阻止するために投与することができる。
【0351】
上で示したように、本発明の方法は軟骨損傷を含む骨関節炎のような病気の現存する治療方法を上回る明確な利点を提供しており、現在の治療法は痛み又は二次的症状を改善はするが病気を改善する効果は示さない。本発明で有用な置換ジアルキルエーテル、置換アリール−アルキルエーテル、置換ジアルキルチオエーテル、置換ジアルキルケトン又は置換アルキル化合物活性化合物、又は6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩と名付けた化合物を含む薬学的に許容できるそれらの塩は、軟骨損傷の阻止、関節リュウマチの防止又は治療、関節機能の改善、骨関節炎の治療又は痛みの軽減に有用であることが示された。
【0352】
本発明はある種特定の態様及びその実施形態を参考にして此れまでに説明し、具体的に示したが、当技術分野の当事者であれば種々なる適応、変更、修正、置き換え、削除又は手順とプロロコールの追加が本発明の目的と範囲を逸脱せずになされることは十分理解するであろう。そこで、本発明は次に続く請求項の目的により定義され、当該請求項は適度に広く解釈されることを意図している。
【0353】
本明細書で引用した全ての特許、特許出願及び出願公開公報を含む公報は、それらの全容を参照により本明細書に援用されている。
発明の方法、組成物及び組合せを説明してきたが、本発明の種々な態様及び実施形態はこの直後の冒頭で請求をする。
【図面の簡単な説明】
【0354】
【図1】図1は、0日目に1mgの酢酸ヨード(MIA)の生理食塩水を右膝の膝蓋下靭帯に注射して誘発した膝関節関節炎を持つラットにつき、その後に10,30又は100mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩(CI−1027)を経口投与した14日目におけるラット後肢の重量分布の変化をグラムで表して示す用量−反応の折れ線グラフである。当該ラット後肢重量分布データは化合物投与後0、2、4及び6時間目に測定した。
【図2】図2(“FIG.2”)は、0日目に1mgの酢酸ヨード(“MIA”)の生理食塩水を右膝の膝蓋下靭帯に注射して誘発した膝関節関節炎を持つラットにつき、その後30mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩対ビヒクルで1日2回b.i.d.で長期経口投与したが、当該化合物はMIAの注射0.5時間前及び、その後最終28日目まで約12時間毎に投与した際の7、14及び28日目におけるラット後肢のグラムで表した重量分布の変化を示す経時変化の折れ線グラフである。
【図3】図3(“FIG.3”)は、0日目に1mgの酢酸ヨード(“MIA”)の生理食塩水を右膝の膝蓋下靭帯に注射して誘発した膝関節関節炎を持つラットにつき、その後3,10、30mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩対ビヒクルで1日2回長期経口投与したが、当該化合物はMIAの注射0.5時間前及び、その後最終28日目まで約12時間毎に投与した際の7、14及び28日目におけるラット後肢重量分布の変化をグラムで表して示す経時の用量−反応の折れ線グラフである。
【図4】図4(“FIG.4”)は、0日目に1mgの酢酸ヨード(“MIA”)の生理食塩水を右膝の膝蓋下靭帯に注射して誘発した膝関節関節炎を持つラットにつき、その後3,10、30mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩対ビヒクルで1日2回長期経口投与したが、当該化合物はMIAの注射前0.5時間及び、その後最終28日目まで約12時間毎に投与した際、28日目における、(i)グレード0(侵食なし)、グレードI(軟骨表面又は中に進展した侵食及び更にサイズを小、中と大で特徴づけた)又はグレードII(深層の侵食;部分的にも軟骨が残存しない、所々に軟骨下骨が露出及び更にサイズで小、中、大で明らかにする)で表す軟骨侵食重症度、及び(ii)ビヒクルを注射した対照動物との比較をパーセント侵食分布で表す軟骨サイズに対する効果を示す用量−反応の棒グラフである。
【図5】図5(“FIG.5”)は、0日目に1mgの酢酸ヨード(“MIA”)の生理食塩水を右膝の膝蓋下靭帯に注射して誘発した膝関節関節炎を持つラットにつき、その後3,10、30mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩対ビヒクルで1日2回の長期経口投与したが、当該化合物はMIAの注射前0.5時間及び、その後28日目まで約12時間毎に投与した際、28日目におけるビヒクル注射対照動物と比較して軟骨侵食重症度を考慮せずに平方ミリメートルで表した、全軟骨侵食面積への効果を示した用量−反応の棒グラフである。
【図6】図6(“FIG6”)は、3,10、30mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を−1時間目に経口投与した後、0時間において50μLのPBSの溶解した100ngのIL−6と300ngのIL−6sRとの組合わせを膝蓋靭帯を通して関節空間に関節内注射した後におけるラット後肢重量分布の変化を示す経時の用量−反応である。当該ラット後肢重量分布データは注射後0,1,3と6時間目、及び化合物投与後の1,2,4と7時間目にそれぞれ測定した。
【図7】図7(“FIG7”)は、10又は30mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩を−1時間目に経口投与した後、0時間において50μLのPBSに溶解させた100ngのIL−6と300ngのIL−6sRとの組合わせを膝蓋靭帯を通して関節空間に関節内注射した後の、ラット後肢重量分布の変化を示す経時の用量−反応である。当該ラット後肢重量分布は注射後0,1,3と6時間目、及び化合物投与後の1,2,4と7時間目にそれぞれ測定した。
【図8】図8(“FIG8”)は、−1日目に開始し、11日目まで連続してビヒクル、又は経口ビヒクルに溶解した30、100又は200mg/kgの6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチル−ヘキサン酸カルシウム塩の経口投与、及び0日目にモノクロ−ナル抗コラーゲン抗体の混合物を腹腔内注射した後のミリメートル(“mm”)で表したマウス踝関節及び後肢の腫れにおける変化を表す経時での用量−反応の折線グラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
哺乳動物における、関節炎、軟骨損傷、関節痛、関節炎症、全身性エリテマトーデス、混合結合組織病、及び敗血症から選択されるIL−6媒介疾患又は障害を治療する方法であって、該哺乳動物に、治療有効量の式I:
【化1】

(式中:
n及びmは、独立に2〜9の整数であり;
1、R2、R3、及びR4は、独立にC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、又はC2〜C6アルキニルであるか;又は
1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒に、又は、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、又は、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒に、及び、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6の炭素を有する炭素環を形成することができ;
1及びY2は、独立に、COOH、CHO、テトラゾール、又はCOOR5であって、R5がC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、又はC2〜C6アルキニルであり;そして
該アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、ハロ、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、及びフェニルから選択される1又は2の基で置換されていてもよい。)
の置換ジアルキルエーテル又は薬学的に許容できるその塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項2】
請求項1の方法であって、該関節炎が、骨関節炎及び慢性関節リウマチから選択される方法。
【請求項3】
請求項1の方法であって、該関節痛が、骨関節炎関節痛、慢性関節リウマチ関節痛、及び炎症性関節痛から選択される方法。
【請求項4】
請求項1の方法であって、該関節痛が、急性関節痛及び慢性関節痛から選択される方法。
【請求項5】
請求項1の方法であって、該関節炎症が慢性関節リウマチ関節炎症である方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項の方法であって、該置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸と命名される化合物又は薬学的に許容できるその塩である方法。
【請求項7】
請求項6の方法であって、該置換ジアルキルエーテルが、
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩水和物;
1型結晶の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩;及び
2型結晶の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩
から選択される方法。
【請求項8】
請求項6の方法であって、該置換ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩と命名される化合物である方法。
【請求項9】
セレコキシブ及びバルデコキシブ、又は薬学的に許容できるそれらの塩から選択されるCOX−2阻害剤、及び6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸と命名される化合物又は薬学的に許容できるその塩から選択される置換ジアルキルエーテル化合物を含んでなる組合せ物。
【請求項10】
請求項9の組合せ物であって、該置換ジアルキルエーテルが、
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩;
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩水和物;
1型結晶の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩;及び
2型結晶の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩
から選択される組合せ物。
【請求項11】
医薬組成物であって、
a)式I:
【化2】

(式中:
n及びmは、独立に2〜9の整数であり;
1、R2、R3、及びR4は、独立にC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、又はC2〜C6アルキニルであるか;又は
1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒に、又は、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、又は、R1及びR2が、それらが結合している炭素原子と一緒に、及び、R3及びR4が、それらが結合している炭素原子と一緒になって、3〜6の炭素を有する炭素環を形成することができ;
1及びY2は、独立に、COOH、CHO、テトラゾール、又はCOOR5であって、R5がC1〜C6アルキル、C2〜C6アルケニル、又はC2〜C6アルキニルであり;そして
該アルキル、アルケニル、及びアルキニル基は、ハロ、ヒドロキシ、C1〜C6アルコキシ、及びフェニルから選択される1又は2の基で置換されていてもよい。)
の置換ジアルキルエーテル又は薬学的に許容できるその塩;
b)選択的COX−2阻害剤又は薬学的に許容できるその塩;
c)薬学的に許容できる担体又は希釈剤
を含んでなる組成物。
【請求項12】
請求項11の医薬組成物であって、前記COX−2阻害剤が、
LAS−34475;
UR−8880;
ABT−963;
バルデコキシブ;
BMS−347070;
セレコキシブ;
チラコキシブ;
式(B):
【化3】

の化合物;
CS−502;
(6aR,10aR)−3−(1,1−ジメチルヘプチル)−6a,7,10,10a−テトラヒドロ−1−ヒドロキシ−6,6−ジメチル−6H−ジベンゾ[b,d]ピラン−9−カルボン酸;
CV−247;
2(5H)−フラノン,5,5−ジメチル−3−(1−メチルエトキシ)−4−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−(“DFP”);
カルプロフェン;
デラコキシブ;
エトリコキシブ;
GW−406381;
チラコキシブ;
メロキシカム;
ニメスリド;
2−(アセチルオキシ)安息香酸・3−[(ニトロオキシ)メチル]フェニルエステル;
ルミラコキシブ;
パレコキシブ;
P54;
ロフェコキシブ;
revlMiD;
2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−[(E)−(2−エチル−1,1−ジオキソ−5−イソチアゾリジニリデン)メチル]フェノール;
5(R)−チオ−6−スルホンアミド−3(2H)−ベンゾフラノン;
N−[3−(ホルミルアミノ)−4−オキソ−6−フェノキシ−4H−1−ベンゾピラン−7−イル]−メタンスルホンアミド;又は
薬学的に許容できるその塩
である組成物。
【請求項13】
請求項11の医薬組成物であって、前記ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸、又は薬学的に許容できるその塩である組成物。
【請求項14】
請求項11の医薬組成物であって、前記ジアルキルエーテルが、
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩水和物;
6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩;
1型結晶の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩;又は
2型結晶の6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩
である組成物。
【請求項15】
請求項11の医薬組成物であって、前記ジアルキルエーテルが、6−(5−カルボキシ−5−メチル−ヘキシルオキシ)−2,2−ジメチルヘキサン酸・カルシウム塩であり、そして、前記COX−2阻害剤が、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、又はセレコキシブである組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2006−501238(P2006−501238A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−530464(P2004−530464)
【出願日】平成15年8月13日(2003.8.13)
【国際出願番号】PCT/IB2003/003664
【国際公開番号】WO2004/017952
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(391011308)ワーナー−ランバート・カンパニー、リミテッド、ライアビリティ、カンパニー (37)
【氏名又は名称原語表記】WARNER−LAMBERT COMPANYLLC
【Fターム(参考)】