説明

高いUV露光最終用途で有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維

480kJ入射UV放射後に4以上の耐光堅牢度を有する染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維、および該繊維の製造方法が提供される。該繊維は、自動車用途およびUV吸収が予想される他の用途で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本件出願は、参照により本明細書に援用される、2004年6月10日出願の米国特許出願第10/865,112号明細書の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維および該ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法に関する。該繊維は、自動車用途などの、繊維がかなりのUV露光を受ける用途での使用に好適である。
【背景技術】
【0003】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)(「PTT」ともいわれる)は、テキスタイル、フローリング、包装および他の最終用途での使用のためのポリマーとして大きな注目を最近集めている。
【0004】
ある種の最終用途では繊維に厳しい要求がある。例えば、自動車内装では、布は、長期間の使用および潜在的に厳しい環境条件で望ましい物理的特性を維持することが期待される。たとえ太陽光遮蔽の薄い色のついた窓が出現したとしても、UV露光は非常に高いものであり得る。これを組み合わせるのは、柔らかさが脆性よりも一般に好まれる氷点下から、北米大陸のより南の地域で特に、過熱された温室のような条件までにわたる温度範囲では非常に難しい。航空機からレジャー用ボートまでの輸送最終用途は、より広範囲の自動車最終用途の同じ厳しい条件のうちの幾つかを有する。
【0005】
自動車内装の分野で、異なる最終用途には、シート被覆材料、ドアパネル装飾パネルおよびヘッドライナが含まれる。色堅牢度は、これらの用途のすべてで望まれる。色以外の物理特性の持続もまた望ましい。これらの用途の幾つかでは、試験/時間の長期にわたる物理性能の安定性は、任意の所与の物理パラメータ、例えば、伸び(その幾つかはデザイン配慮によって相殺され得る)についての絶対値より恐らくもっと重要である。
【0006】
輸送に連結した最終用途に加えて、ハウジング(オーニング)、庭園およびパティオ家具、ならびにアパレルおよび作業員(太陽光)保護具のある種の品目をはじめとする屋外最終用途では、用いられる布材料に厳しいUVおよび熱安定性要件がある。
【0007】
非常に望ましい美的資質を有する布材料は、「PTT」ともいわれるポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む繊維で製造された布である。かかる布は、他の望ましい特性の中でも特に、柔らかさ(手触り)、弾力性、および伸び回復を示す。試験する対象の物理的特性には、テナシティおよび伸びが含まれる。
【0008】
旅行および輸送テキスタイル(Travel and Transportation Textiles)(Ciba Specialty Chemicals,Inc.,2000年4月)は、自動車布染色技術の概要を示している。自動車布でのポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の潜在的な実用性がその魅力的な物理的特性の点から記載されているが、高温耐光堅牢度の結果は「通常のポリエステル(すなわちポリエチレンテレフタレート)の性能のレベルに達することの困難さ」を示唆している。該刊行物は、「通常のポリエステルは室内装飾品のための有力な繊維になったし、少なくとも近い将来については有力な繊維であり続けるであろう」と述べている。UV吸収剤の使用は、耐光堅牢度の向上方法として記載されているが、通常のポリエステルに関連して記載したにすぎない(Rhodia製ポリエステルのTersuisse(登録商標)ブランドが試験に使用された)。
【0009】
特開2000−192375号公報は、昇華色堅牢度をもたらすためのポリ(トリメチレンテレフタレート)布の染色方法を開示している。該公報は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)布を90〜140℃で15〜90分間染色した後、染色された布は55℃と染浴の沸点との間の温度で染浴から取り出され、それは所望の色堅牢度を提供することを開示している。生じた染色ポリ(トリメチレンテレフタレート)布について実施された唯一の試験は、昇華堅牢度および貯蔵中の昇華堅牢度についての試験である。
【0010】
特開2002−180384号公報は、3級またはそれ以上の光に対する色堅牢度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維からなる染色物品、およびその製造方法、耐光向上剤としてトリアジンおよび/またはベンゾトリアジン誘導体を開示している。該公報は、染色が90〜130℃、15〜120分間で実施できることを開示し、120℃で45分間の染色を例証している。UV露光および耐光堅牢度試験の条件は開示されていない。
【0011】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)が水性媒体中、常圧で、100℃以下の温度で染色できることは公知である。例えば、米国特許第5,782,935号明細書は、キャリアの不在下におよび圧力の印可なしに、水溶液の沸点以下で、水溶液中で繊維を処理することによるポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の染色方法を開示している。米国特許第6,187,900 B1号明細書は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(エチレンテレフタレート)の染色可能な繊維を開示しており、染色はキャリアの不在下に100℃以下で実施される。特開2002−054047号公報は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む縫糸の染色が120℃で圧力下によりむしろ98℃で常圧で有利に実施されることを開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
かかる染色が通常実施されるものより高い温度および圧力でポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を染色し、かつ、向上した色堅牢度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)を提供する能力が望まれる。本発明は、これらのおよび他の重要な目的に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、着色ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維、および該繊維の製造方法を提供する。該繊維は、しばしばまた厳しい熱条件の存在下に、繊維が高いUV露光を受ける輸送最終用途での使用に好適である。本方法は、ベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤の使用を含む。
【0014】
本発明の一態様は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、分散染料、およびベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤を含み、かつ、試験方法AATCC方法16−1998を用いて488kJ入射UV放射後に4以上の耐光堅牢度を有する組成物、すなわち、繊維−染料組合せである。幾つかの実施形態では、繊維は、試験方法AATCC方法16−1998を用いて779kJ入射UV放射後に3以上、より具体的には3〜5の耐光堅牢度を有し、好ましい実施形態ではさらに4以上、より具体的には4〜5の耐光堅牢度を有する。好ましい実施形態では、繊維は、試験方法AATCC方法16−1998を用いて481kJのUV放射線での露光後に約10%未満のテナシティ損失を示す。好ましい繊維は0〜約10%、典型的には約1〜約10%の範囲の損失を典型的に示す。
【0015】
本発明の別の態様は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、分散染料、およびベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤を含み、かつ、試験方法AATCC方法16−1998を用いて488kJ入射UV放射後に4以上の耐光堅牢度を有する着色繊維である。幾つかの実施形態では、繊維は、試験方法AATCC方法16−1998を用いて779kJ入射UV放射後に4以上の耐光堅牢度を有する。好ましい実施形態では、繊維−染料組合せは、試験方法AATCC方法16−1998を用いて481kJのUV放射線への露光後に約10%未満のテナシティの損失を示す。
【0016】
本発明の別の態様は、
a.ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を提供する工程と、
b.好ましくは、すべての重量パーセントが繊維の重量を基準にして、約2:1〜約40:1の水:繊維比を提供して形成するために十分な量の水入りの、ベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤を含む水溶液を含有する染浴を提供する工程と
c.染浴のpHを約4〜約6に調整する工程と、
d.染浴を(好ましくは少なくとも約1℃毎分の速度で)約105〜約145℃の温度に加熱する工程と、
e.ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を染浴に浸漬する工程と、
f.染浴温度を少なくとも約30分間(好ましくは145分間以下)維持して染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を生成する工程と、
g.染浴を放冷する工程と、
h.染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維をリンスする工程と
を含む、染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法である。
【0017】
幾つかの実施形態では、繊維は、試験方法AATCC方法16−1998を用いて試験された時に488kJ入射UV放射線への露光後に4以上の耐光堅牢度を有する。
【0018】
幾つかの実施形態では、繊維は、分散染料がケミカルインデックス(CI)ディスパース・レッド(Disperse Red)86、CIディスパース・レッド161、CIディスパース・イエロー(Disperse Yellow)42、CIディスパース・イエロー96、CIディスパース・イエロー160、CIディスパース・ブルー(Disperse Blue)200、CIディスパース・ブルー60およびCIディスパース・ブルー77から選択された場合、試験方法AATCC方法16−1998を用いて試験された時に779kJ入射UV放射線への露光後に4以上の耐光堅牢度を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む繊維、および染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造方法を提供する。本明細書に開示される方法に従って製造された繊維は、試験方法AATCC方法16−1998を用いて488kJのUV放射線への露光後に、そしてさらにある種の分散染料が使用された場合、試験方法AATCC方法16−1998を用いて779kJのUV放射線への露光後でさえ、少なくとも4の耐光堅牢度格付けを有することができる。驚くべきことに、本明細書に開示される方法を用いて、特開2000−192375号公報および特開2002−180384号公報などの、幾つかの先行公報に開示された最高温度よりさらに高い温度および圧力で染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維が、従来の方法を用いて染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維と比べて向上した色堅牢度を有することが分かった。本発明がいかなる特定の理論に縛られることは意図されないが、本明細書に開示される方法は、染料分子による繊維への比較的より深い浸透を可能にし、それが色堅牢度を向上させると考えられる。
【0020】
本明細書に開示される方法に従って製造された繊維はまた、繊維と一体の染料分子の存在を示す、「繊維−染料組合せ」ということもできる。
【0021】
好ましい実施形態では、本発明による染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造方法は、
a.ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を提供する工程と、
b.水性媒体中室温で、すべての重量パーセントが繊維の重量を基準にして、約0.5重量パーセントのアルコールエトキシレート界面活性剤、約0.25重量パーセントの金属イオン封鎖剤、3重量パーセントのベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤、0.5重量パーセントの分散染料、および約2:1〜約40:1の水:繊維比を提供するために十分な水を組み合わせて染浴を形成する工程と、
c.染浴のpHを約4〜約5に調整する工程と、
d.染浴を少なくとも約1℃毎分の速度で132〜145℃の温度に加熱する工程と、
e.ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を染浴に浸漬する工程と、
f.染浴温度を少なくとも約30分間維持して染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を生成する工程と、
g.染浴を放冷する工程と、
h.染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維をリンスする工程と
を含む。
【0022】
前述の方法ですべての百分率は「繊維の重量を基準にした」(OWF)重量パーセントである。
【0023】
本明細書に開示される方法は、ある種の分散染料、特に自動車布の染色に好適なかかる染料、具体的には、繊維の重量を基準にした(OWF)0.5%染色深さでの色指数(Color Index)(「CI」)ディスパース・レッド86、CIディスパース・レッド91、CIディスパース・レッド161、CIディスパース・レッド279、CIディスパース・イエロー42、CIディスパース・イエロー96、CIディスパース・イエロー160、CIディスパース・ブルー27、CIディスパース・ブルー60、およびCIディスパース・ブルー77でAATCC方法番号16−1998による488kJのUV露光下に4以上、より具体的には4〜5の格付けの望ましい耐光堅牢度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を提供する。AATCC方法番号16−1998によれば、耐光堅牢度の格付けは1〜5の範囲であり、5が最高の格付けである。従って、4〜5の耐光堅牢度が非常に望ましい。
【0024】
幾つかの好ましい実施形態では、本明細書に開示される方法は、ある種の分散染料、具体的には0.5%OWF染色深さでのCIディスパース・レッド86、CIディスパース・レッド161、CIディスパース・イエロー42、CIディスパース・イエロー96、CIディスパース・イエロー160、CIディスパース・ブルー60およびCIディスパース・ブルー77で779kJのUV露光で4以上の格付けの望ましい耐光堅牢度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を提供する。
【0025】
染料の百分率量は、繊維の重量を基準にする重量パーセント染料を意味する、%OWFとして本明細書では開示される。
【0026】
CI分散染料は当業者に公知であり、ポリエステル繊維、特にポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の染色での使用に適切な分散染料は当業者によって選択され得る。繊維、特に本明細書に開示される方法に従って製造される、自動車用途向けに好適な繊維の染色での使用に好適な商業的に入手可能な分散染料の例には、Terasil(登録商標)Pink 2GLA−01(CIディスパース・レッド86)、Disperserite(登録商標)Pink REL(CIディスパース・レッド91)、Dorospers(登録商標)Red KFFB(CIディスパース・レッド161)、Dorospers(登録商標)Red KFFN(CIディスパース・レッド279)、Terasil(登録商標)Yellow GWL(CIディスパース・イエロー42)、Dorospers(登録商標)Golden Yellow R.Conc(CIディスパース・イエロー96)、Dianix(登録商標)Yellow SG(CIディスパース・イエロー160)、Terasil(登録商標)Blue GLF(CIディスパース・ブルー27)、Terasil(登録商標)Blue BGE−01(200)(CIディスパース・ブルー60)およびDorospers Blue BLFR(CIディスパース・ブルー77)が挙げられる。色堅牢度特性を有する、かつ、ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を染色するために本明細書に開示される条件下での使用に好適な新たに開発された分散染料は、本発明の範囲内であることが意図される。当業者は、かかる染料が本明細書に開示される標準条件を用いて例えば、Sorona(登録商標)ポリ(トリメチレンテレフタレート)などの商業的に入手可能なポリ(トリメチレンテレフタレート)について試験できることを認めるであろう。
【0027】
特に明記しない限り、用語「ポリ(トリメチレンテレフタレート)」、および「PTT」には、本明細書で用いるところでは、少なくとも70モル%のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位を含有するホモポリマーおよびコポリマー、ならびに少なくとも70モル%のトリメチレンテレフタレートホモポリマーまたはコポリエステルを含有するポリマーブレンドが含まれる。コポリマーおよびブレンドを含む好ましいポリ(トリメチレンテレフタレート)は、少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、さらにより好ましくは少なくとも95モル%、さらにより一層好ましくは少なくとも98モル%、最も好ましくは約100モル%のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位を含有する。便宜上、ポリ(トリメチレンテレフタレート)はまた、本明細書では「PTT」ともいわれる。
【0028】
用語「モルパーセント」は、本明細書で用いるところでは、例えば、ポリマー中のモノマー単位の全モル数を基準にして、モル単位での、ある特定の成分のパーセントを意味する。
【0029】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーの例には、それぞれが2つのエステル形成基を有する、3以上の反応体を使用して製造されたコポリエステルが挙げられる。例えば、コポリ(トリメチレンテレフタレート)は、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの、4〜12個の炭素原子を有する線状、環式、および分岐の脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸などの、テレフタル酸以外の、8〜12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸;エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオールなどの、1,3−プロパンジオール以外の、2〜8個の炭素原子を有する線状、環式、および分岐の脂肪族ジオール;ならびにヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテルなどの、4〜10個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族エーテルグリコールから選択されたコモノマーを使用して製造することができる。あるいはまた、コポリ(トリメチレンテレフタレート)は、ジエチレンエーテルグリコールなどの、約460未満の分子量を有するポリ(エチレンエーテル)グリコールを使用して製造することができる。コモノマーは典型的には、約0.5モル%〜約15モル%でコポリエステル中に存在し、30モル%以下の量で存在することができる。
【0030】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、少ない量の、例えば、約10モル%以下の、幾つかの実施形態では約5モル%以下の、トリメチレンテレフタレート以外の1つ以上のコモノマーを含有することができ、そしてかかるコモノマーは通常、それらが特性に有意の悪影響を及ぼさないように選択される。使用することができる例示的なコモノマーには、好ましくは約0.2〜5モル%の範囲内の量で使用される、5−ナトリウム−スルホイソフタレートなどの官能性コモノマーが含まれる。非常に少量の、約5モル%以下の、さらに2モル%以下の、例えば、トリメリット酸などの、三官能性コモノマーを粘度コントロールのために組み入れることができる。
【0031】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーは、1つ以上の他のポリマーとブレンドすることができる。好ましくは、ブレンドされる場合、ポリ(トリメチレンテレフタレート)は約30モルパーセント以下の1つ以上の他のポリマーとブレンドされる。ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーとのブレンディングに好適なポリマーの例は、上に記載されたものなどの、他のジオールから製造されたポリエステルである。好ましいポリ(トリメチレンテレフタレート)ブレンドは、少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、さらにより好ましくは少なくとも95モル%、さらにより一層好ましくは少なくとも98モル%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーを含有する。ある種の非常に好ましい実施形態では、ブレンドは、実質的に約100モル%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたはコポリマーを含有する。幾つかの用途向けにはブレンドは好ましくない。
【0032】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)の固有粘度は、少なくとも約0.70dl/g、好ましくは少なくとも約0.80dl/g、より好ましくは少なくとも約0.90dl/g、最も好ましくは少なくとも約1.0dl/gである。また、固有粘度は好ましくは約2.0dl/g以下、より好ましくは約1.5dl/g以下、最も好ましくは約1.2dl/g以下である。
【0033】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)の数平均分子量(Mn)は好ましくは少なくとも約10,000、より好ましくは少なくとも約20,000であり、そしてまた好ましくは約40,000以下、より好ましくは約25,000以下である。好ましいMnは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)の成分に依存し、そしてまたポリ(トリメチレンテレフタレート)の物理的特性に影響を及ぼす、使用される任意の添加剤または改質剤の性質および量によっても影響を受け得る。
【0034】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造方法は公知であり、例えば、米国特許第5,015,789号明細書、米国特許第5,276,201号明細書、米国特許第5,284,979号明細書、米国特許第5,334,778号明細書、米国特許第5,364,984号明細書、米国特許第5,364,987号明細書、米国特許第5,391,263号明細書、米国特許第5,434,239号明細書、米国特許第5,510,454号明細書、米国特許第5,504,122号明細書、米国特許第5,532,333号明細書、米国特許第5,532,404号明細書、米国特許第5,540,868号明細書、米国特許第5,633,018号明細書、米国特許第5,633,362号明細書、米国特許第5,677,415号明細書、米国特許第5,686,276号明細書、米国特許第5,710,315号明細書、米国特許第5,714,262号明細書、米国特許第5,730,913号明細書、米国特許第5,763,104号明細書、米国特許第5,774,074号明細書、米国特許第5,786,443号明細書、米国特許第5,811,496号明細書、米国特許第5,821,092号明細書、米国特許第5,830,982号明細書、米国特許第5,840,957号明細書、米国特許第5,856,423号明細書、米国特許第5,962,745号明細書、米国特許第5,990,265号明細書、米国特許第6,235,948号明細書、米国特許第6,245,844号明細書、米国特許第6,255,442号明細書、米国特許第6,277,289号明細書、米国特許第6,281,325号明細書、米国特許第6,312,805号明細書、米国特許第6,325,945号明細書、米国特許第6,331,264号明細書、米国特許第6,335,421号明細書、米国特許第6,350,895号明細書、米国特許第6,353,062号明細書、および米国特許第6,538,076号明細書、EP998 440号明細書、国際公開第00/14041号パンフレットおよび国際公開第98/57913号パンフレット、H.L.Traub著、「ポリ(トリメチレンテレフタレート)の合成およびテキスタイル化学特性(Synthese und textilchemische Eigenschaften des Poly−Trimethyleneterephthalats)」、Stuttgart大学学位論文(1994年),ならびにS.Schauhoff著、「ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)の製造の新進展(New Developments in the Production of Poly(trimethylene terephthalate)(PTT))」、人造繊維年報(Man−Made Fiber Year Book)(1996年9月)に記載されている。ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、商標Soronaで、E.I.du Pont de Nemours and Company,Wilmington,Delawareから商業的に入手可能である。
【0035】
他のポリマー添加物を、押出後加工を容易にするまたは他の便益を提供するためにポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマー、コポリマーまたはブレンドに加えることができる。例えば、ヘキサメチレンジアミンを、ポリマーに強度および加工性を追加するために約0.5〜約5モル%の少ない量で加えることができる。ナイロン6またはナイロン6−6などのポリアミドを、ポリマーに強度および加工性を追加するために約0.5〜約5モル%の少ない量で加えることができる。核剤、好ましくは0.005〜2重量%のテレフタル酸モノナトリウム、ナフタレンジカルボン酸モノナトリウムおよびイソフタル酸モノナトリウムからなる群から選択されたジカルボン酸のモノナトリウム塩を核剤として、米国特許第6,245,844号明細書に開示されているように加えることができる。
【0036】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーおよびブレンドは、必要ならば、添加剤、例えば、艶消剤、核剤、熱安定剤、粘度増強剤、蛍光増白剤、顔料、および酸化防止剤を含有することができる。TiO2または他の顔料をポリ(トリメチレンテレフタレート)およびブレンドに、または繊維製造時に添加することができる。ポリ(トリメチレンテレフタレート)での使用に好適な添加剤は、例えば、米国特許第3,671,379号明細書、米国特許第5,798,433号明細書および米国特許第5,340,909号明細書、EP699 700号明細書およびEP847 960号明細書、ならびに国際公開第00/26301号パンフレットに開示されている。
【0037】
幾つかの実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維は、布、例えば、織布または不織布の形で提供される。同様に、幾つかの実施形態では、繊維は、場合により布として、それへの界面活性剤、金属イオン封鎖剤、UV吸収剤、および/または染料の添加の前に水に浸漬される。
【0038】
好ましくは、本方法は開始される、すなわち、繊維および染浴成分は、例えば、約22〜28℃であり得る室温で組み合わせられる。同様に好ましくは、本方法は密封容器中自生圧力で実施される。容器は密封されているので、本方法中に、容器内の圧力は上昇する。約0.50重量パーセントのアルコールエトキシレート界面活性剤、約0.25重量パーセントの金属イオン封鎖剤、3.00重量パーセントのベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤、および0.5重量パーセントの分散染料が水性媒体中で組み合わせられて約2:1〜約40:1の水:繊維比を提供する。好ましくは、水:繊維比は少なくとも約6:1である。水:繊維比は、本方法で使用中の物質の容量に一部依存する、本方法で使用中の装置に依存して変動することができる。本方法の幾つかの適用、特により大規模生産では、約8:1〜約12:0、さらにより好ましくは約10:1の水:繊維比が好ましいかもしれない。繊維が布の形で使用される場合、同じ比が適用される、すなわち、重量を基準にして、該比は水:布比である。しかしながら、かかる比の範囲を用いることができる。ある特定の用途にとって適切な比は当業者によって選択され得る。
【0039】
本方法では、染浴およびその成分ならびに繊維は、少なくとも約1℃毎分、そして8℃毎分より遅い速度で加熱される。好ましくは、加熱速度は約5℃毎分もしくはそれ以下、より好ましくは約4℃毎分もしくはそれ以下、最も好ましくは約3℃毎分もしくはそれ以下である。非常に好ましい実施形態では、加熱速度は約2℃毎分である。
【0040】
染浴および成分は105〜145℃、好ましくは132〜140℃、より好ましくは132〜135℃の温度に、そして非常に好ましい実施形態では、約132℃に加熱される。いったん染浴が所望温度に達すると、それは少なくとも約30分間、好ましくは少なくとも約45分、好ましくは145分以下当該温度に維持される。典型的には、染浴を所望温度で約60分間維持すると、十分な染色を確実にするが、より短いまたはより長い時間がある種の染料調合物にとって望ましいかもしれず、染色された繊維に望まれる色合いおよび色の強度に依存する。
【0041】
本方法はベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤を使用する。かかる吸収剤は、例えば、Ciba Geigy,Inc.から商業的に入手可能である。好ましいベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤はCibafast USM(登録商標)UV吸収剤である。
【0042】
UV吸収剤の量は好ましくは少なくとも約2重量パーセント、より好ましくは少なくとも約3重量パーセントである。例えば、約4重量パーセントより高いUV吸収剤量を用いることができるが、かかるより高いレベルの使用は必要とされず、幾つかの用途向けには費用効率が高くないかもしれない。
【0043】
染浴のpHは、好適な酸を加えることによって調整することができる。プロピオン酸およびギ酸をはじめとする、他の有機または無機酸を使用することができるが、酢酸が好ましい。好ましくは、染浴のpHは約4〜約6、好ましくは4.2〜約4.85、より好ましくは約4.25〜4.7、最も好ましくは4.50〜4.75の範囲内に調整される。
【0044】
アルコールエトキシレート界面活性剤は公知であり、商業的に入手可能である。例示的なアルコールエトキシレート界面活性剤は、DuPont Specialty Chemicals,Wilmington,DEから入手可能なSurfactant LF−Hである。
【0045】
本明細書に開示される方法は金属イオン封鎖剤を使用する。キレート剤としても知られる、金属イオン封鎖剤は、望ましくないまたは過剰のイオンを溶液から除去する。金属イオン封鎖剤の例は、ニトリロ三酢酸(NTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)およびその塩をはじめとする、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)およびその誘導体である。EDTAが好ましい金属イオン封鎖剤である。金属イオン封鎖剤は周知であり、商業的に入手可能である。EDTAは、例えば、Dow Chemical Co.,Midland,MIからVersene(登録商標)100 EDTAとして商業的に入手可能である。
【0046】
繊維が染浴に浸漬され、染浴が所望温度で所望時間維持された後、染浴は、繊維がリンスされる前に放冷される。染浴は、いかなる外部冷却法またはデバイスも使用せずに室温に戻らせることができ、または、必要ならば、冷却を、例えば、冷却水の適用によって促進することができる。また、冷却すると、染浴は好ましくは大気圧に降圧する。
【0047】
よごれ、粒子、および染色を妨げ得る他の不純物を除去するために前洗浄(prescour)を前述の方法に先行させることが有利である。前洗浄は、例えば、ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を、0.50%の界面活性剤、0.25%の金属イオン封鎖剤、および0.50%のTSPP(ピロリン酸四ナトリウム)を含有する浴中約60℃で約20分間維持することによって実施することができる。
【0048】
ルーズな染料分子および残留化学薬品を除去するために、染色プロセスの後に還元的後洗浄を行うこともまた有利であり、それは耐光堅牢度を最大にするのに役立つ。後洗浄には好ましくは、2.0g/lのハイドロサルファイトナトリウムおよび2.0g/lのソーダ灰を室温で加えることによって洗浄浴を提供すること、例えば、約1〜22℃毎分の速度で約60℃以上、しかし180℃未満に温度を上げること、温度60℃に20分間保持すること、および繊維をリンスし、中和することが含まれる。中和は、酢酸などの好適な有機酸の添加によってpHを6.0〜7.0に調整された浴中での最終リンスで、例えば、成し遂げることができる。
【0049】
本方法は、染色された繊維、例えば、標準の耐光堅牢度試験を用いて望ましく機能する着色繊維を提供する。耐光堅牢度試験手順は当業者に公知であり、米国繊維化学者・色彩技術者協会(American Association of Textile Chemists and Colorists)(AATCC)の刊行物に記載されている。本明細書に開示される方法に従って製造された、ブレンドおよびコポリマーから製造された繊維をはじめとする、ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維は、標準試験方法AATCC 16−1998に従って488kJのUV光への露光後に、4つの割れより悪い色割れを全く示さない、すなわち、AATCC生機スケールで4以上を示すことが分かった。幾つかの実施形態では、ある種の分散染料が染色法に用いられる時に(同じ試験手順を用いるが488kJのUV光を用いる試験より厳しい試験を効果的に用いる)779kJのUV光露光後に4より悪くない色割れが観察された。
【0050】
さらに、色に加えて物理的特性の望ましい保持を実証する繊維が得られる。長時間UV露光前後のテナシティの試験は、テナシティの損失をほとんど示さない。好ましくは、本明細書に開示される方法に従って製造された染色ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維のテナシティは、少なくとも481kJのUV放射線への露光後に、約10%以下のテナシティの損失を示す。より好ましくは、本明細書に開示される方法に従って製造された染色ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維のテナシティは、少なくとも779kJのUV放射線への露光後に、約10%以下のテナシティの損失を示す。
【0051】
UV露光下の色堅牢度および強度を試験するために、候補繊維は典型的には、チューブ、またはカード上にラップされた形状の試験形態へ編まれる。試験は、例えば、Weather−O−Meter(登録商標)UV露光装置で実施することができる。試験することができる物理的特性には、テナシティおよび伸び、ならびに厳しいUV光露光/高温条件下での色堅牢度が含まれる。
【実施例】
【0052】
次の実施例は、本発明を例示する目的のために提示され、限定することを意図しない。すべての部、百分率などは、特に明記しない限り重量による。
【0053】
テナシティ
次の実施例で報告されるポリ(トリメチレンテレフタレート)糸のテナシティは、Instron Corp.引張試験機モデルNo.1122を用いて測定した。テナシティはASTM(米国材料試験協会)D−2256に従って測定した。
【0054】
キセノン耐光堅牢度
キセノン耐光堅牢度試験は、AATCC方法16−1998およびブルーウール耐光堅牢度標準L−4(ロット5)の確立された試験手順に従って「Atlas」ウェザロメーター(Atlas Material Testing Technology LLC,4114 N.Ravenswood Ave.,Chicago,IL 60613)を用いて行った。
【0055】
目視による格付けは、5が「目に見える変化なし」を示し、1が「厳しい色変化」を示す、1〜5のAATCC生機スケール格付けシステムを用いてUV光への露光後のすべてのサンプルについて行った。半分の単位の格付けはポリマー基材間での有意な変動であるとは考えず、4以上の格付けは紫外光への長時間露光後に優れた退色性能であると判断した。
【0056】
UV放射線への露光によるテナシティの劣化
Sorona(登録商標)PTTの糸の引張特性への紫外光への長時間露光の影響を試験した。ベースライン・テナシティはSorona(登録商標)PTTのテクスチャー加工糸の「模擬染色した」ニットチューブについての測定値から得た。「模擬染色」は、着色染料以外の染浴の全成分が使用され、そして温度、圧力などをはじめとする、染色法の工程のすべてが含まれることを意味する。模擬染色は、ポリマーの強度保持試験のためのベースラインを提供するために用いられる。報告されるデータは、10の個々のInstron測定値の平均である。
【0057】
染浴中にCibafast(登録商標)USM紫外線吸収剤入りで製造した染色ニットチューブを、Atlas Weather−O−Meter(登録商標)装置で、481、486.5、および496kJでの露光後に試験した。長時間UV露光後のPTT製の染色ニットチューブからの糸のテナシティを、最初の模擬染色した(露光前の)ベースラインデータと比較し、UV露光によるテナシティの損失を測定した。
【0058】
原料の出所
本明細書で使用するすべての原料は商業的に入手可能である。Sorona(登録商標)ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維製の延伸テクスチャー加工糸は米国特許第6,333,106号明細書に記載されたものに類似の方法で製造した。Dacron(登録商標)ポリ(エチレンテレフタレート)繊維(PET)はInvista,Inc.(Wilmington,DE.)から入手した。使用した化学試薬は次の通りであった。
【0059】
Dianix(登録商標)染料(DyStar L.P.,9844−A Southern Pine Blvd.,Charlotte,NC 28274);Dispersrite(登録商標)染料(Rite Industries,Inc.,Highpoint,NC);Dorospers(登録商標)染料(M.Dohmen USA Inc.,Greenville,SC);Terasil(登録商標)染料およびCibafast(登録商標)USM(Ciba Specialty Chemicals,Colors Div.,High Point,NC);Versene(登録商標)100(Dow Chemical Co.,Midland,MI);Surfactant LF−H(DuPont,Wilmington,DE);Burco Reduct T(登録商標)(Burlington Chemical Co.,Burlington,NC)。
【0060】
試験は、テクスチャー加工Dacron(登録商標)ポリ(エチレンテレフタレート)ホモポリマーの仮撚り糸(対照)およびLawson−Hempill FAK円形編機(Lawson Hemphill Sales Inc.,Spartanburg,SC 29304)でチューブへ編まれたSorona(登録商標)ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーの糸(試験)について行った。
【0061】
テクスチャー加工ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の試験糸を、テクスチャー加工Dacron(登録商標)ポリ(エチレンテレフタレート)の対照糸と一緒に同じ染色補助装置および条件を用いて試験した。UV光への長時間露光後に良好な耐光堅牢度を示すことが分かった様々な分散染料の評価に加えて、Sorona(登録商標)PTTのテクスチャー加工試験糸対Dacron(登録商標)PET対照糸のUV光への露光による引張特性の劣化に対する抵抗性を検討した。染料および化学薬品のすべての百分率は、布の重量を基準にする(OWF)重量パーセントである。前洗浄、染色、および後洗浄を、Mathis Labomat(登録商標)BFA 16試験装置(Werner Mathis U.S.A.Inc.,Concord,NC)で行った。
【0062】
前洗浄手順
試験および対照サンプルのニットチューブを、
・0.50%のSurfactant LF−H(登録商標)界面活性剤
・0.25%のVersene(登録商標)100(金属イオン封鎖剤)
・0.50%のピロリン酸四ナトリウム
を含有する浴中60℃で20分間前洗浄した。
【0063】
染色手順
・0.50%の「Surfactant」LF−H
・0.25%の「Versene」100(金属イオン封鎖剤)
・3.00%の「Cibafast」USM(UV吸収剤)
・分散染料(量および染料は表1に示す)
・pHを4.50〜4.75に調整するために必要とされるような酢酸
を含有する染浴を室温で容器中調製した。
【0064】
試験用の布を染浴に浸漬し、容器を密封した。温度を2℃毎分の速度で132℃(270°F)に上げ、次に132℃に45分間保持した。染浴を冷却し、降圧させ、そして布サンプルを取り出し、十分にリンスした。
【0065】
還元的後洗浄手順
2.0g/lのBurco Reduct T(登録商標)ハイドロサルファイトナトリウムおよび2.0g/lのソーダ灰を含有する後洗浄浴を室温で調製した。温度を2℃毎分で60℃(140°F)に上げた。布を後洗浄浴に浸漬し、60℃で20分間保持し、十分にリンスし、酢酸で6〜7に調整したpHの浴中での最終リンスで中和した。
【0066】
様々な染料を用いて染色し、異なる時間のUV露光で試験した布についての耐光堅牢度結果を表1に示す。
【0067】
キセノンアーク耐光堅牢度試験
表1

【0068】
表2は、Sorona(登録商標)PTTのテクスチャー加工糸のテナシティへのUV光への長時間露光の影響を示す。露光された糸のテナシティの損失は、露光された染色ニットチューブのテナシティを計算のためのベースラインを提供する「模擬染色した」ニットチューブのそれと比較することによって計算した。UV光への長時間露光によって引き起こされる劣化に対するSorona(登録商標)PTTの糸の高い抵抗性は明らかである。
【0069】

【0070】
本発明の実施形態の前述の開示は、例示および説明の目的のために提示されてきた。包括的であることまたは開示された厳密な形に本発明を限定することは意図されない。本明細書に記載された実施形態の多くの変形および変更は、本開示を踏まえて当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)、染料、およびベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤を含む、試験方法AATCC方法16−1998を用いて488kJ入射UV放射線の露光後に4以上の耐光堅牢度を有する着色繊維。
【請求項2】
前記繊維中のポリマーの総量を基準にして、少なくとも80モル%のポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む請求項1に記載の着色繊維。
【請求項3】
少なくとも70モル%のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位を含有するポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む請求項1または2に記載の着色繊維。
【請求項4】
少なくとも98モル%のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位を含有するポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載の着色繊維。
【請求項5】
試験方法AATCC方法16−1998を用いて779kJ入射UV放射線への露光後に4以上の耐光堅牢度を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の着色繊維。
【請求項6】
前記染料がCIディスパース・レッド(Disperse Red)86、CIディスパース・レッド91、CIディスパース・レッド161、CIディスパース・レッド279、CIディスパース・イエロー(Disperse Yellow)42、CIディスパース・イエロー96、CIディスパース・イエロー160、CIディスパース・ブルー(Disperse Blue)27、CIディスパース・ブルー60、およびCIディスパース・ブルー77から選択される請求項1〜5のいずれか一項に記載の着色繊維。
【請求項7】
前記繊維の重量を基準にして2〜4重量パーセントのベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤を含む請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色繊維。
【請求項8】
前記初期テナシティが試験方法AATCC方法16−1998を用いて試験された時に481kJ入射UV放射線での露光後に約10%以下だけ低下する、初期テナシティを有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の着色繊維。
【請求項9】
試験方法AATCC方法16−1998を用いて488kJ入射UV放射線の露光後に4〜5の耐光堅牢度を有する請求項1〜8のいずれか一項に記載の着色繊維。
【請求項10】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)が0.80〜1.5dl/gの固有粘度を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の着色繊維。
【請求項11】
a.ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を提供する工程と、
b.ベンゾトリアジン誘導体UV吸収剤を含有する水溶液を含有する染浴を提供する工程と、
c.前記染浴のpHを約4〜約6に調整する工程と、
d.前記染浴を105〜145℃の温度に加熱する工程と、
e.前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を前記染浴に浸漬する工程と、
f.染浴温度を少なくとも約30分間維持して染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維を生成する工程と、
g.前記染浴を放冷する工程と、
h.前記染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維をリンスする工程と
を含む、染色されたポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法。
【請求項12】
前記染色された繊維がAATCC方法番号16−1998による448kJ入射UV放射線での露光後に4以上の耐光堅牢度を有する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記繊維がAATCC方法番号16−1998を用いて488kJ入射UV放射線での露光後に4〜5の耐光堅牢度を有する請求項11〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記繊維がある初期テナシティを有し、そして前記初期テナシティがAATCC方法番号16−1998を用いて488kJ入射UV放射線での露光後に約10%以下だけ低下する請求項11〜14のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−502820(P2008−502820A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527758(P2007−527758)
【出願日】平成17年6月8日(2005.6.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/020415
【国際公開番号】WO2005/123823
【国際公開日】平成17年12月29日(2005.12.29)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】