説明

高パワー短パルスファイバレーザ

【課題】コンパクトなパッケージで、機械的な振動と環境変動から保護され、最適な性能を得るために頻繁な調整を必要としない光学部品を用いた短パルスレーザを提供する。
【解決手段】パルスレーザ100は、発振器102と増幅器106を有し、パルスレーザ100からのレーザパルス出力の性能と或いは品質とを改善するために、発振器102と増幅器106との間にパルスコンディショナ104が配置されてもよい。パルスコンディショナ104は減衰器及び/或いは予備圧縮器で構成され、予備圧縮器は発振器102と増幅器106の間に設けるスペクトルフィルタ及び/或いは分散素子からなる。パルスレーザ100は、通信コード等級の品質と信頼性を持つモジュール型デバイスを有するモジュール型デザインにしても良い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、高パワー短レーザパルスを出力するファイバレーザのような導波路型レーザに関する。より詳しくは、本技術は、減少パルス幅のような改善された性能をもたらし、好ましくは小型で頑丈なモジュール型デザインを含む、パルスレーザに関する。
【背景技術】
【0002】
パワーレーザ光源は、様々な分野における実際の応用のために重要である。高ピークパワーパルスレーザは、例えば、医学と産業応用、リモートセンシング応用、及び光パラメトリック発振器において、魅力的である。幾つかの模範的な応用は、光増幅器のポンプ光源としての使用と、医学と分光学での使用のためのラマンレーザと、を含む。希土類ドープ二重クラッドファイバレーザは、高パワーと特に有益である空間ビーム品質との優れた組み合わせを提供する。
【0003】
様々な次の文献は、レーザシステムを論じており、ここに参照によって組み込まれている。
〔1〕U.S. Patent Application No. 09/576,772 filed on May23,2000 by M.E. Fermann, A. Galvanauskas, and D. Harter entitled “Modular, high energy, widely-tunable ultrafast fiber source”(Docket No. IM-83)
〔2〕U.S. Patent Application No. 10/627,069 filed on July 24, 2003 by M.E. Fermann, and G.C. Cho entitled “Integrated Fiber Laser Pulse Source With Pulse Width Control”(Docket No. IMRAA. 021A/IM-99)
〔3〕U.S. Patent No. 6,151,338 issued to S.G. Grubb, D.F. Welch, and R.Zanoniin November 21, 2000 entitled “High power laser optical amplifier system”
〔4〕O.G. Okhotnikov, L.A. Gomes, N. Xiang T. Jouhti, A.K. Chin, R. Singh, and A.B. Grudinin, “980-nm picosecond fiber laser” IEEE Photonics Technology Letters, 15(11),1519-1521(2003)
〔5〕H. Lim, F.O. Ilday, and F.W. Wise, “Generation of 2-nJ pulse from a femtosecond ytterbium fiber laser” Optics Letters, 28(8),660-662(2003)
【0004】
最近では、従来のパルスレーザが実用的な制限をもっている。例えば、従来の市場の短パルスレーザと超短パルスレーザの光学部品は、通常ブレッドボードのような設置プレートに機械的に設置されている。そのような部品の設置は、かさばったパッケージングをもたらし、機械的な振動と環境変動から損害を被る。さらに、そのような設置は、最適な性能を得るために頻繁な調整を必要とする。したがって、改善されたレーザとレーザシステムの需要が存在する。
【発明の概要】
【0005】
本発明の一つの実施例は、持続時間と対応するパルス幅をもつパルスを出力するパルスファイバレーザを有している。そのパルスレーザは、モードロックファイバ発振器、増幅器、可変減衰器、及び圧縮器を有している。そのモードロックファイバ発振器は、光パルスを出力する。増幅器は、その光パルスを受け取るためにモードロックファイバ発振器に光学的に接続されている。増幅器は、その光パルスに利得を与える利得媒質を有する。その可変減衰器は、モードロックファイバ発振器と増幅器との間に配置される。可変減衰器は、モードロックファイバ発振器から増幅器に結合される光エネルギが減衰されるように、調整可能な伝導をもっている。圧縮器はパルスを圧縮し、それによってパルスの幅を減少させる。好ましくは、最小パルス幅が得られる。
【0006】
本発明の別の実施例は、少なくとも200mWの光パワーと約200フェムト秒又はそれ未満のパルス持続時間とをもつ圧縮された高パワー短レーザパルスを生成する方法を有している。この方法では、レーザ共振器の縦モードが、レーザパルスを繰り返し生成するために、実質上モードロックされている。そのレーザパルスは、増幅される。レーザパルスは、またチャープされており、それにより光パルスの光周波数を時間に関して変化させる。レーザパルスは、また短縮された時間の持続をもつ圧縮されたレーザパルスを生成するために、異なる光周波数成分のレーザパルスを異なるように伝搬させることで、圧縮される。さらに、圧縮されたレーザパルスの持続時間をさらに短縮するために、レーザパルスは、レーザパルスの増幅の前に選択的に減衰される。
【0007】
発明の別の実施例は、高パワー短パルスファイバレーザの製造方法を有する。この方法は、光パルスを出力するモードロックファイバ型発振器を有する。この方法は、ファイバ型発振器からの光パルスを可変減衰器を通して増幅器に送り込むために、可変減衰器を通してファイバ型発振器に増幅器を光学的に結合するステップをさらに有する。可変減衰器は、増幅器に供給される光パルスの強度を減らすためと、パルスを短くするために、光パルスの測定に基づいて調整される。
【0008】
発明の別の実施例は、パルス幅をもつパルスを出力するパルスファイバレーザを有している。そのパルスファイバレーザは、モードロックファイバ発振器、増幅器、及びスペクトルフィルタを有する。モードロックファイバ発振器は、パルス幅とバンド幅をもつスペクトルパワー分布とをもつ複数の光パルスを有する光出力を生成する。増幅器は、光パルスを増幅するために、モードロックファイバ増幅器に光学的に接続されている。スペクトルフィルタは、増幅器に達する前にモードロックファイバ発振器の光出力を受光するために配置される。スペクトルパワー分布の一部を減衰し、それによりスペクトルバンド幅を減らすために、スペクトルフィルタは、モードロックファイバ発振器の光出力のスペクトルパワー分布と重なるバンドエッジを備えるスペクトル伝導をもつ。モードロックファイバ発振器からファイバ増幅器に結合される光パルスのパルス幅は、それにより減少される。
【0009】
本発明の別の実施例は、圧縮された光パルスを生成する方法を有する。この方法では、スペクトルバンド幅を備える対応するスペクトルパワー分布をもつ光パルスの列を生成するために、ファイバ共鳴共振器の縦モードは、実質上モードロックされる。光パルスは、増幅され、圧縮された光パルスを生成するため圧縮される。圧縮される光パルスが、より短い持続時間をもつように、スペクトルパワー分布のスペクトルバンド幅が、減らされる。
【0010】
本発明の別の実施例は、モードロックファイバ発振器、増幅器、一つ以上の光ポンプ光源、パルス圧縮器、及び予備圧縮器を有するパルスファイバレーザを有している。モードロックファイバ発振器は、利得ファイバと、共鳴共振器を形成するために利得ファイバに関して配置された一対の反射光学素子と、を有する。モードロックファイバ発振器は、平均パルス幅をもつ光パルス列を生成する。増幅器は、光パルスが増幅器を伝搬できるように、モードロックファイバ増幅器に光学的に接続される。ファイバ増幅器は、光パルスを増幅する。一つ以上の光ポンプ光源が、ファイバ発振器とファイバ増幅器とをポンプするために、モードロックファイバ発振器とファイバ増幅器とに光学的に接続される。パルス圧縮器が、ファイバ増幅器により増幅された光パルス出力を受け取るために光学的に結合される。パルス圧縮器は、ファイバ増幅器での光パルス出力のパルス幅を短縮する。予備圧縮器は、モードロックファイバ発振器とファイバ増幅器との間の光路に配置される。圧縮器での光パルスのパルス持続時間がさらに短縮されるように、予備圧縮器は、ファイバ増幅器に入力される光パルスの持続時間を短縮する。
【0011】
発明の別の実施例は、短い高パワー光パルスを生成する方法を有する。平均パルス幅を持つ複数のレーザパルスを有する光信号を生成するため、この方法は、実質上レーザ共振器のモードロック光モードを有する。その光信号は、周波数成分の分布を有する。この方法は、増幅され圧縮された光パルスを生成するために、光パルスを圧縮するステップと、圧縮された光パルスを増幅するステップと、をさらに有する。増幅され圧縮された光パルスは、スペクトル成分を区別するために、分散光学素子を使い且つ異なるスペクトル成分に異なる位相シフトを導入して、増幅の後にさらに圧縮される。
【0012】
本発明の別の実施例は、モードロックファイバ発振器、ファイバ増幅器、光学的ポンプ光源、及びパルス圧縮器を有するパルスファイバレーザを有している。モードロックファイ発振器は、光パルスを出力する。ファイバ増幅器は、モードロックファイバ発振器に光学的に接続され、光パルスを増幅する。光学的ポンプ光源は、ファイバ増幅器に光学的に接続される。パルス圧縮器は、ファイバ増幅器から増幅された光パルス出力を受け取るために光学的に結合される。パルスファイバレーザは、(i)モードロックファイバ発振器とファイバ増幅器との間の光路中の第1光タップ及び第1光タップからの出力の測定に基づきモードロックファイバ発振器を制御するための第1タップからの第1フィードバックループ、及び(ii)ファイバ増幅器と圧縮器との間の光路中の第2光タップ及び第1タップからの出力の測定に基づきファイバ増幅器を制御するための第2タップからの第2フィードバックループ、の少なくとも一つをさらに有する。
【0013】
本発明の別の実施例は、光源モジュール、アイソレータモジュール、増幅器モジュール、及び圧縮器モジュールを有するパルス光源を有している。光源モジュールは、光ファイバを有し、光パルスを出力する。アイソレータモジュールは、入力及び出力ファイバを持つハウジングの中に光アイソレータを有する。入力ファイバは、光源モジュールの光ファイバに光学的に結合されている。入力ファイバに導入された光パルスが、アイソレータで受け取られ、光路に沿って出力結合器に進むことが許されるように、光アイソレータは、入力と出力ファイバとを接続する光路中に配置される。増幅器モジュールは、増幅媒質を有し、光パルスを増幅するためにアイソレータモジュールの出力ファイバに光学的に接続された光入力を持つ。圧縮器モジュールは、光パルスを圧縮するために増幅器モジュールに光学的に結合されている。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】高パワーレーザパルスを形成するための一般化されたモジュール型アプローチを示す。
【図2A】ファイバ型発振器の一実施例を模式的に示す。
【図2B】ソリトン発振器の分散波サイドピークを取り去るために発振器内にフィルタを持つファイバ型発振器の一実施例を模式的に示す。
【図2C】発振器での模範的な光スペクトル出力を示す。
【図3A】高パワー短パルス出力を発生するためのモジュール型部品の種々の模範的な組み合わせと配列とを示す。
【図3B】高パワー短パルス出力を発生するためのモジュール型部品の種々の模範的な組み合わせと配列とを示す。
【図3C】高パワー短パルス出力を発生するためのモジュール型部品の種々の模範的な組み合わせと配列とを示す。
【図4A】増幅前に種パルスを短縮するための予備圧縮器を模範的なモジュール型レーザへ使用することを示す。
【図4B】増幅前に種パルスを短縮するための予備圧縮器を模範的なモジュール型レーザへ使用することを示す。
【図4C】増幅前に種パルスを短縮するための予備圧縮器を模範的なモジュール型レーザへ使用することを示す。
【図5A】フォトニック結晶ファイバの予備圧縮器としての使用を示す。
【図5B】フォトニック結晶ファイバの予備圧縮器としての使用を示す。
【図5C】フォトニック結晶ファイバの予備圧縮器としての使用を示す。
【図6A】ファイバブラッグ格子の予備圧縮器としての使用を示す。
【図6B】ファイバブラッグ格子の予備圧縮器としての使用を示す。
【図6C】ファイバブラッグ格子の予備圧縮器としての使用を示す。
【図7A】発振器出力スペクトルの一部を選択し増幅前に種パルスを短縮するためのバンドパスフィルタの使用を示す。
【図7B】発振器出力スペクトルの一部を選択し増幅前に種パルスを短縮するためのバンドパスフィルタの使用を示す。
【図7C】発振器出力スペクトルの一部を選択し増幅前に種パルスを短縮するためのバンドパスフィルタの使用を示す。
【図8】増幅器の上流にバンドパスフィルタを使用して生成された模範的なサブ100フェムト秒(fs)パルスを示す。
【図9A】発振器出力スペクトルの一部を選択し増幅前に種パルスを短縮するための長周期ファイバ格子の使用を示す。
【図9B】発振器出力スペクトルの一部を選択し増幅前に種パルスを短縮するための長周期ファイバ格子の使用を示す。
【図9C】発振器出力スペクトルの一部を選択し増幅前に種パルスを短縮するための長周期ファイバ格子の使用を示す。
【図10】1つ以上のタップと、システムの性能をモニタし安定な動作のためにシステムをアクティブに制御するためのフィードバック部品とをもつ模範的なレーザシステムを示す。
【図11A】可飽和吸収体モジュール、減衰器モジュール、及びアイソレータモジュールを含む巧みに工作されたモジュールの模範的な実施例を示す。
【図11B】可飽和吸収体モジュール、減衰器モジュール、及びアイソレータモジュールを含む巧みに工作されたモジュールの模範的な実施例を示す。
【図11C】可飽和吸収体モジュール、減衰器モジュール、及びアイソレータモジュールを含む巧みに工作されたモジュールの模範的な実施例を示す。
【図12】二つの模範的な部品或いはモジュールがファイバピッグテールのスプライスで如何に光学的に結合されるかを示している。
【図13A】スプライスされた光結合で提供されるモジュール型部品の配列における柔軟性の幾つかの可能な優位性を示す。
【図13B】スプライスされた光結合で提供されるモジュール型部品の配列における柔軟性の幾つかの可能な優位性を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本教示のこれらと他の見地、優位性、及び新奇な特徴は、以下の詳細な記述からと、添付図と関連して明確になるだろう。図において、同様の要素は同様の引用符号を持つ。
【0016】
図1は、高パワー短パルス116を出力するパルスレーザシステム100の総体的なコンセプトを示す。好ましくは、出力パルス116は、約200フェムト秒(fs)未満の時間幅と、約200ミリワット(mW)より大きい平均パワーとを持つ。これらの模範的な性能パラメータが、本技術の目的を決して制限するつもりはないということに注意して欲しい。
【0017】
きれいな短パルスを得るために、たとえば以下で十分に議論されるような減衰器、スペクトルフィルタ及び圧縮素子の包含のような幾つかの技術が含まれ得る。一つ以上のそのような部品の使用は、約90fs以下のパルス幅と200mW以上の平均パワーと提供することができる。
【0018】
本教示の別の見地は、様々な部品がモジュールとしてパッケージされ、モジュール型部品が必要とされると接続される、モジュール型デザインアプローチに関する。幾つかのモジュールは、動作環境から様々な光学素子をシールドするハウジングにパッケージされたバルク光学系或いは平面導波路のような光学素子を有する。熱的な絶縁を含み、ハーメチックにシールされるこれらのハウジングからファイバピッグテールが伸びる。ファイバピッグテールは、たとえば光ファイバ融着を介して他のモジュールに潜在的にシームレス接続することができる。そのようなケースへのパッケージは、バルク或いは物理的光学系と光機械素子を含むモジュールの場合、そのような包み込みを要求しないファイバ素子に比べて、特に優位である。
【0019】
ファイバ式部品或いはファイバ入力と出力を持つパッケージを使用するそのようなシステムは、ファイバのスプライスで与えられる有効でコンパクトな結合はもちろん、部品のコンパクト特性の恩恵を得ることができる。モジュール内の光学系は、好ましくは微小光学系とファイバ光学系或いは他の導波路素子を有する。したがって、モジュールは、小さく且つ縮小した形状ファクタを持つ。モジュールは、容易に取り替えられ或いは置き換えられ且つレーザシステムの中に再スプライスされるので、モジュール型アプローチは、レーザシステムの修理と改造を単純化する。
【0020】
図1に示すように、模範的なレーザシステム100は、カップリング120でパルスコンディショナー104に光学的に結合された種パルス生成器102を有する。種パルス生成器102は、パルスコンディショナー104に種パルス110を与える。増幅器で短パルスを増幅するための一つの方法は、増幅器へのパルス送給の振幅を低下させるために、パルスを広げることである。次にそのような振幅低下パルスは、好ましくは増幅器の線形領域で、振幅を増加するために増幅される。広げられた幅を持つ増幅されたパルスは、次に相対的に高い振幅と相対的に短いパルス出力を作り出すために圧縮される。
【0021】
図1で、パルスコンディショナー104は、広くて低い振幅のパルス112を作り出すために、入力種パルス110を広げるように描かれている。レーザシステム100は、カップリング122でコンディショナー104に光学的に結合された増幅器106をさらに有する。増幅器106は、増幅された広いパルスを作り出すために、広げられたパルス112を増幅するように描かれている。増幅された広いパルス114は、増幅された短パルス出力116を出力126として作り出すために、圧縮器108(カップリング124で増幅器106に結合されている)で圧縮されるように描かれている。この圧縮器108は、下記の実施例のあるケースでは除外される。
【0022】
単純化されたこの種のパルス増幅は、短パルスを増幅する模範的な一般プロセスであることが理解されるであろう。また、パルスコンディショニングは、種パルスの時間的伸長以外の光学的操作を含むことができるということも、以下の記載のように理解されるであろう。様々なデザイン目標と動作条件に適応させるために、そのほかの変更がレーザシステムに組み込まれる。幾つかのそのようなデザイン理由が、以下に詳細に記載されている。たとえば、幾つかの実施例で、パルスコンディショナー104及び/或いは圧縮器108は除外される。レーザシステム100のその他の変更と実施も可能である。
【0023】
幾つかの実施例では、種パルス生成器102が、希土類ドープファイバを持つ発振器を有する。ドーパントは、他の材料と同様、たとえばEr,Yb,Nd或いはそれらの組み合わせを含む。ドープファイバは、単一クラッド或いは二重クラッドであり、偏光保持或いは非偏光保持である。希土類ドープファイバで短及び超短パルスを生成するために、受動の一つの単純性と本質的により安定であることを除けば、能動と受動モードロック技術が、使用される。三つの通常の受動モードロック技術は、共振器の一部である可飽和吸収体、非線形偏光展開、或いはそれらの組み合わせを含む。ある応用では、可飽和吸収体に基づく受動モードロック技術が好ましく、相対的に単純で信頼できる共振器の構築を可能にする。受動モードロック技術に関する付加的な詳細が、ここに参照によって完全に組み込まれている、題名が“Integrated Fiber Laser Pulse Source With Pulse Width Control”で、M.E. FermannとG.C.Choによって2003年7月24日に提出された、共同出願の米国特許出願No.10/627,069(包帯No. IMRAA. 021A/IM-99)に開示されている。
【0024】
増幅器は、ドープファイバのような利得ファイバを持つファイバ増幅器を有する。しかしながら、増幅器は、ファイバ増幅器に限定されない。同様に、増幅器は、ここに参照によって完全に組み込まれている、題名が“Modular, high energy, widely-tunable ultrafast fiber source”で、M.E. Fermann, A. Galvanauskas, 及びD. Harterによって200年5月23日に提出された、共同出願の米国特許出願No.09/576,772(包帯No.IM-83)に、記載されているような放物線パルス増幅器を有する。しかしながら、他のタイプの増幅器も採用される。
【0025】
図2Aは、受動モードロック種パルスを供給することができるファイバ式発振器130の一実施例を示す。模範的な発振器130は、可飽和吸収体132と、ポンプ結合器146を介してポンプダイオード148でポンプされるYb ドープ利得ファイバ140と、を有する。(Ybイオンが低コストの商業的に入手可能なレーザダイオードでポンプされる980nm近くに大きな吸収断面積を提供するので、Ybファイバは、たとえば、1.0μmから1.1μmのスペクトル範囲で良好な候補である。さらに、このファイバの大きな蛍光スペクトル範囲は、短パルス生成を可能にする。)図2Aに示すポンプダイオード148は、集積化された発振器モジュールの一部であるか、或いは、発振器モジュールに入力を与える別のモジュールである。発振器130は、ファイバ格子142を介して利得ファイバ140と結合する出力ファイバ144をさらに有する。ファイバ格子142は、分散制御素子として機能し、同時に出力結合器の役を担う。
【0026】
一つの実施例では、発振器の共振器ファイバは、Ybドープ偏光保持利得ファイバの区間を有する。発振器の共振器ファイバは、全体の共振器内分散を制御するために、非ドープ偏光保持ファイバ区間をさらに有することができる。幾つかの実施例で、この非ドープ部分の長さは、ファイバの非ドープ部分がドープファイバとチャープファイバブラッグ格子(ファイバ格子142の一実施形態)との組み合わせと一緒になって共振器にゼロ分散或いは負分散を与えるように、選定される。
【0027】
一つの実施例で、共振器ファイバは、相対的に短い。短い利得ファイバ140の使用は、一般に高いポンプ率と関係があり、したがって、長いファイバと関係するそれより、飽和レベルにより近い利得ダイナミックスを駆動する。さらに、Ybドーパントの基底状態の分布変化が、環境温度変化に影響されなくなる。これらの効果は、環境温度の変化に曝される発振器130の動作の安定性を高める。一つの実施例において、他のモジュールが十分一定温度に保たれると仮定して、発振器出力の安定性は、約0.5%/C未満の環境ファイバ温度への出力依存によって証明される。
【0028】
図2Aに示すように、模範的な発振器130は、可飽和吸収体132を利得ファイバ140に光学的に結合する光学素子の組み立て品をさらに有する。一つの実施例で、光学素子の組み立て品は、ファイバ140と可飽和吸収体132の間の光をコリメートし、集光するレンズ134と138を有する。組み立て品は、さらに偏光子136を有することができる。これらの素子は、図11Aについて十分に議論されたようなファイバピッグテールを備えるハウジングに含まれ得る。
【0029】
図2Aの模範的なファイバ発振器の一実施例は、使用したファイバブラッグ格子142の分散パラメータに依存する約1から30nmの範囲のスペクトルバンド幅を持つパルスを生成する。高い負分散ファイバブラッグ格子142で、狭いバンド幅のパルスが生成される。サイドピークも発振器のソリトンによる分散波形はえかわり(dispersive wave shedding)により生成される。そのようなサイドピークは、バンドパスフィルタを含むことで十分除去される。
【0030】
図2Bは、共振器内にバンドパスフィルタ165を有する発振器150の一実施例を示す。そのようなフィルタは、図2Aに関して上述した高い負分散ファイバブラッグ格子によるサイドピークを、実質上同じスペクトルバンド幅を維持しながら、除去することができる。
【0031】
一実施例において、フィルタ165のバンド幅は、システムの解析或いは実験的解析により、約1−2ナノメートルの精度内で予め決められる。別の方法は、回転できる誘電体バンドパスフィルタを使用して、異なる入射角に対してフィルタを回転し、スペクトル位置と幅を与えるための関連するエタロン効果を利用することである。さらに別の方法は、たとえば誘電体コーティング工業で使用されるv-或いはu-コーティングを使用して伝導のスペクトル形状を変えることである。そのようなフィルタは、過大利得での非線形位相ひずみ或いは高次ソリトン形成から生じるスペクトル中のサイドローブを実質上除去することができる。
【0032】
図2Bに示すように、バンドパスフィルタ165を持つ模範的な発振器150は、図2Aの模範的な発振器と類似のデザインであるように描かれている。可飽和吸収体152、レンズ154、158、偏光子156、利得ファイバ160、ファイバ格子162、出力ファイバ164、ポンプ結合器166、及びポンプダイオード168は、発振器130の可飽和吸収体132、レンズ134、138、偏光子136、利得ファイバ140、ファイバ格子142、出力ファイバ144、ポンプ結合器146、及びポンプダイオード148に対応する。発振器150は、バンドパスフィルタ165の使用が可能であることを説明するために示されている。したがって、発振器の二つの模範的な実施例のそのような類似性は、発振器のデザインをそのような構成に制限すると決して解釈されないということが理解されるであろう。
【0033】
図2Bに関連して上述したように、高い負分散ファイバ格子及び関連のサイドローブ効果は、バンド幅フィルタの使用で軽減される。低い負分散格子が使用されると、発振器(たとえば、図2Aの130)は、大きなバンド幅のスペクトルを生成することができ、実質上サイドピークは観察されない。
【0034】
図2Cは、図2Aに関連して上述された発振器で生成された模範的なスペクトル170を示す。ここでファイバブラッグ格子は約−0.11psの分散を持つ。この発振器出力のスペクトルバンド幅は、約19nmである。
【0035】
発振器(図2AとBの130と150)が、ファイバ発振器として記載されているが、本技術のコンセプトはそのような発振器に限定されないことは明らかである。モジュール型発振器は、好ましくは約500ps未満の時間幅を持つパルスを出力する任意のタイプのパルスレーザである。発振器からの種パルス出力のスペクトルバンド幅は、好ましくは約8から10nm以上であるが、バンド幅は、この範囲外でも良い。しかしながら、ここに記載されるように、小型パッケージングの理由のため、ファイバ型レーザが好ましい。他の導波路型レーザも可能であり、同様に小型デザインをもたらす。
【0036】
以下に、より十分に記載されるように、発振器130、150、或いはそれらの一部は、光学部品に対して実質上の安定支持を提供するハウジングにパッケージされる。そのようなハウジングは、好ましくは環境からの保護をもたらし、光学デバイスの性能の安定性を改善する。他の部品に接続されるファイバピッグテール入力及び/或いはファイバピッグテール出力を、パッケージは含むこともできる。これらのピッグテールは、シングルモード偏光保持ファイバを有するが、他のタイプのピッグテールファイバが採用されても良い。レーザシステムの幾つかの部品は、ハウジングに封入されないがファイバピッグテールにスプライスされる光ファイバ或いはファイバ部品を有しても良い。
【0037】
図3−9は、発振器モジュールで生成された種パルスを調節する様々な可能な方法のブロック図を示している。図3A-Cは、高パワー且つ短いパルスを生成するための基本的なモジュール型デザインの模範的な三つの実施例を示す。レーザシステム180の一実施例は、アイソレータ184を介して増幅器186に結合された発振器182を有する。発振器182と増幅器186の間のアイソレータ184は、独立したモジュール型部品を有しても良い、或いは図2AとBに関連して上述されたファイバブラッグ格子を含んでも良い。後者の場合、発振器182とアイソレータ184の機能ブロックの少なくとも一部は、同じモジュールに物理的にパッケージされる。アイソレータの包含は、安定な動作を維持するように下流から発振器或いは増幅器のような上流へのバック反射を阻止するためのバリアを与えることであり、詳しくは図11Cを参照。また増幅器186の出力は、アイソレータ188を介して圧縮器モジュール190に結合される。
【0038】
図3Bは、発振器182及びそれらの間の減衰器202を備える増幅器206を有するレーザシステム200の基本的なデザインの別の実施例を示す。このレーザシステム200は、発振器と増幅器との間にアイソレータ204をさらに有する。減衰器202は、アイソレータ204の後、増幅器206の前に配置される。
【0039】
また図3Cは、発振器と増幅器とそれらの間の減衰器222を有するレーザシステム220の基本的なデザインの別の実施例を示す。減衰器222は、発振器224の後、アイソレータ226の前に配置される。
【0040】
好ましくは、減衰器は、可変減衰器であり、約1〜20dBの範囲で制御される可変伝導を持つ。そのような可変減衰は、レーザシステムの製造と調整に優位に採用される。
【0041】
ファイバ増幅器は、ユニットからユニットへの性能の変化を示す。結果として、製造中にレーザに組み込まれる異なる増幅器は、類似の動作レーザを与えるために、異なる振幅の入力パルスを必要とする。増幅器性能の変化を適応させるために、図3B−3Cに示すような調整できる減衰器が、レーザシステムに含まれる。レーザの組み立て中に、部品がテストされ、増幅器への光パルスに対して適当な振幅を与えるために、減衰器が、調節される。そのようなやり方で、実質上標準化されたレーザ性能が、個々の製品に対して達成される。
【0042】
可変減衰器に対する適当な調整を決めるために、異なる測定値とそれら測定値の解析が、採用される。たとえば、パルスパワー及び/或いはパルス幅が、測定されるか、或いはスペクトル測定値が、採用される。測定値は、減衰器の前又は後、或いは増幅器又はレーザの出力、或いはその他の場所で得られる。その他の測定値も同様に使用され、同様に測定と評価技術が、ここに列挙されたそれらに限定されない。
【0043】
この可変減衰器は、回転できる波長板とMacNeile偏光子のような偏光ビームスプリッタとを有する。波長板は、光の分布を直交偏光に変えるために回転される。偏光ビームスプリッタは、波長板の状態により光の一部をレーザの外に向けるために使用される。したがって、波長板を回転させ、光の偏光を変えることで、ユーザは、増幅器に到達する光の量を制御することができ、それによってシステムを調節することができる。好ましくは、波長板とMacNeile偏光子とは、微小光学系を有するか、或いは小型レーザシステムを提供するために十分小さい。また、これらの光学素子は、図11Bに示すようなファイバピッグテールを含むハウジングに、好ましくはパッケージされる。レンズ、ミラー或いはその他の結合素子が、ピッグテールの入力及び出力からとピッグテールの入力及び出力へ光を結合するために採用される。光学系、例えば、波長板、MacNeile偏光子、結合レンズ、ミラー、他は、調整と支持を行うためにハウジングに取り付けられる。また、ハウジングは、環境からの保護を提供し、熱絶縁でもよいし、できればハーメチックシールでもよい。しかしながら、好ましくは、光学系とハウジングで形成されたモジュールは、小型で頑丈である。
【0044】
他のタイプの減衰器モジュールが代わりに採用されてもよい。可変減衰が、波長板と偏光選択光学素子とにより行われる必要がない。ファイバ或いは導波路素子が、同様に使用される。そのような可変減衰は、手動或いは自動制御される。様々な他のデザインが可能である。
【0045】
システム構成も同様に変更されてもよい。パルス伸長は、いつもレーザシステムに組み込まれる必要がない。例えば、サブマイクロジュールのパルスエネルギのファイバ増幅システムにおいて、数ピコ秒の種パルスは、増幅ファイバの非線形位相変調を著しく減少させるのに十分長い。したがって、長いファイバ或いはチャープファイバブラッグ格子の形態へのパルス伸長器の採用は、一般的に必要とされない。
【0046】
一般に、種パルス特性の時間領域だけでの予備調整、例えばパルス幅の伸長は、高品質の増幅されたパルスを生成するために常に適当な方法である訳ではない。様々なケースで、種パルス生成器による種パルスの操作は、パルス再圧縮に対して十分な自由度を容易に与える。しかしながら、再圧縮されるパルスの目標特性によるので、結果は、最も好ましい必要がなく、そのようなアプローチは、パルス制御方法の技術的な複雑さを著しく単純化する。
【0047】
図4A-Cは、レーザシステムが動作する方法を改善するために、増幅器への入力種パルスが、どのようにさらに調整されるかを示している。説明の目的のために、図4A-Cに示す模範的なデザインは、図3A-Cに関連して上述された模範的な基本デザインにビルドオンする。
【0048】
一般に、発振器からの出力パルスは、高パワーのために増幅器に供給される。発振器と増幅器との間の供給ファイバの結果として、パルス幅が伸長される。例えば、約2メートルの供給ファイバは、約1psのパルス幅増加に相当する。しかしながら、好ましい種パルス幅は、約1ps未満であるように特徴づけられる。
【0049】
圧縮器後にきれいで短いパルスを得るために、好ましくは増幅器に到達する前に種パルス幅を短縮するために様々な技術が使用される。一つの方法は、種パルスを増幅器に注入する前に予備圧縮することである。一実施例において、予備圧縮部品の使用は、約1ps未満及び好ましくは約150fsと同じくらい短いパルス幅をもつ予備圧縮された種パルスをもたらすことができる。増幅器に供給されたそのような予備圧縮された種パルスは、非線形効果により約30nmより大きなスペクトルバンド幅をもつ増幅出力をもたらすことができる。そのような増幅出力は、約100fsの幅をもつ最終パルスをもたらすために、圧縮器で圧縮される。
【0050】
図4Aに示すように、模範的なレーザシステム240の一実施例は、図3Aの模範的な基本デザインに類似している。モジュール型予備圧縮器部品242は、アイソレータ244と増幅器246の間の光路に配置される。予備圧縮器242は、アイソレータ244による出力であるパルスを増幅器246に注入する前に予備圧縮する。
【0051】
図4Bは、図3Bの模範的な基本システムに類似し、減衰器264を含む模範的なレーザシステム260の一実施例を示している。モジュール型予備圧縮器部品262は、減衰器264と増幅器266の間の光路に配置される。予備圧縮器262は、減衰器264による出力であるパルスを増幅器266に注入する前に予備圧縮する。
【0052】
図4Cは、図3Cの模範的な基本システムに類似する模範的なレーザシステム280の一実施例を示している。モジュール型予備圧縮器部品282は、アイソレータ284と増幅器286の間の光路に配置される。予備圧縮器282は、アイソレータ284による出力であるパルスを増幅器286に注入する前に予備圧縮する。
【0053】
予備圧縮器は、バルク、ファイバ、或いはその他の導波路光学系を有してもよい。予備圧縮器モジュールを有する部品の例は、バルク格子対、単一格子(例えば、バルク或いは導波路)、プリズム対、他を含む。チャープファイバブラッグ格子のようなファイバ部品も採用される。その他のファイバと非ファイバ部品も同様に採用される。幾つかの実施例において、部品は、そこへの安定な取り付けと環境からの保護ももたらすハウジングに入れられる。ハウジングは、ファイバピッグテール入力及び/或いはファイバピッグテール出力をさらに有してもよい。そのようなピッグテールファイバは、上述の仕方でスプライスされる。
【0054】
図5A-Cは、予備圧縮器としてフォトニック結晶ファイバの使用を示している。フォトニック結晶ファイバは、それらの分散を制御し且つ動作波長で負分散を与えるように仕立てられる。一つの実施例において、フォトニック結晶の短い片がフェムト秒台に圧縮される種パルスの(増幅器への)注入をもたらすことができる。都合のよいことに、フォトニック結晶ファイバは、そのファイバ特性により、スプライスによるような他のファイバ型部品をもつレーザシステムに都合よく組み入れられ、小型で頑丈な配置にシームレス接続を提供する。
【0055】
図5Aは、図4Aの模範的なレーザシステムに類似の模範的なレーザシステム300を示している。予備圧縮器は、アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるフォトニック結晶ファイバ302を有している。
【0056】
図5Bは、図4Bの模範的なレーザシステムに類似の模範的なレーザシステム320を示している。予備圧縮器は、減衰器と増幅器の間の光路に配置されるフォトニック結晶ファイバ322を有している。
【0057】
図5Cは、図4Cの模範的な基本システムに類似し、また減衰器も含む模範的なレーザシステム340の一実施例を示している。しかしながら、予備圧縮器は,アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるフォトニック結晶ファイバ342を有している。
【0058】
図6A-Cは、予備圧縮器としてファイバブラッグ格子の使用を示している。都合のよいことに、ファイバブラッグ格子は、そのファイバ特性により、他のファイバ式部品をもつレーザシステムに都合よく組み入れられる。
【0059】
図6Aは、図4Aの模範的なレーザシステムに類似の模範的なレーザシステム360を示している。予備圧縮器は、アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるファイバブラッグ格子362を有している。
【0060】
図6Bは、図4Bの模範的なレーザシステムに類似の模範的なレーザシステム380を示している。予備圧縮器は、減衰器と増幅器の間の光路に配置されるファイバブラッグ格子382を有している。
【0061】
図6Cは、図4Cの模範的な基本システムに類似し、また減衰器も含む模範的なレーザシステム400の一実施例を示している。予備圧縮器は,アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるファイバブラッグ格子402を有している。
【0062】
増幅器の非線形性は、利得形成、不均一な自己位相変調,及び高次分散のような異なるファクタの相互作用の結果である。そのようなファクタは、全体のパルススペクトル内のスペクトル位置に非常に敏感である。それらのファクタを制御し、それにより増幅器の非線形性を制御する一つの方法は、発振器からの出力スペクトルを操作することである。一実施例において、増幅される発振器スペクトルの一部を選択するために、バンドパスフィルタが使用される。同時に、フィルタは、種のパルス幅を短縮する。
【0063】
様々な実施例で、バンドパス、ハイパス、或いはローパスフィルタが、発振器からの光出力のスペクトルパワー分布をスペクトル的に狭く、制御するために採用される。好ましくは、フィルタは、発振器からの出力パルスのスペクトルパワー分布と重なるバンドエッジを備えるスペクトル伝導をもっている。バンドパスフィルタは、それによりスペクトルパワー分布の一部を減衰させ、スペクトルバンド幅を減少させる。発振器からファイバ増幅器に結合される光パルスのパルス幅は、それにより減らされる。好ましくは、結果として生じるスペクトルバンド幅は、約5と12nmの間、好ましくは約10nm未満であるが、この範囲外でもよい。
【0064】
スペクトルフィルタは、例えば、ファイバ或いは平面導波路素子のようなその他の導波路デバイスを有してもよいし、バルク光学系を有してもよい。スペクトルフィルタの例は、格子、エタロン、薄膜コーティング、他を含む。好ましくは、フィルタは、微小光学系を有する。様々な好ましい実施例では、フィルタは、小型で頑丈な仕方のファイバ式システムに容易に物理的に接続されるファイバブラッグ格子のようなファイバ素子を有する。スペクトルフィルタリングを与えるための他のタイプのフィルタ及び構成も採用される。
【0065】
図7A-Cは、図4A-Cのそれに類似の模範的なデザインのためのスペクトル選択器/予備圧縮器としてのバンドパスフィルタの使用を示している。
【0066】
図7Aは、図4Aの模範的なレーザシステムに類似の模範的なレーザシステム420の一実施例を示している。スペクトル選択器/予備圧縮器は、アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるバンドパスフィルタ422を有している。
【0067】
図7Bは、図4Bの模範的なレーザシステムに類似し、且つ減衰器を含む模範的なレーザシステム440の一実施例を示している。スペクトル選択器/予備圧縮器は、減衰器と増幅器の間の光路に配置されるバンドパスフィルタ442を有している。
【0068】
図7Cは、図4Cの模範的な基本システムに類似し、また減衰器も含む模範的なレーザシステム460の一実施例を示している。スペクトル選択器/予備圧縮器は、アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるバンドパスフィルタ462を有している。
【0069】
スペクトルフィルタの位置は、ここに示される位置に限定されない。しかしながら、好ましくは、スペクトルフィルタは、発振器と増幅器との間の光路に配置される。
【0070】
図8は、図7A-Cに関連して上述されたバンドパスフィルタを使用してレーザシステムで生成された模範的なパルス480を示す。一つの実施例で、発振器出力は、約12nmのバンド幅をもつ。バンドパスフィルタで種パルスを約12nmから約6nmに二等分することは、約1.3psから約700fsに二等分される選定されたパルス幅をもたらす。狭いバンド幅をもつバンドパスフィルタ或いは傾斜フィルタを使用することで、一層短いパルスが、圧縮器素子なしで達成される。圧縮器からの模範的なパルス480出力は、約88fsの幅をもつ。
【0071】
自由空間バンドパスフィルタの代わりのものとして、長周期ファイバ格子が、発振器出力信号の一部を波長領域と時間領域の両方で選択するために使用される。長周期ファイバ格子(LPG)は、基本導波モードからの光を前方伝搬クラッドモードへ結合させる。一対のマッチしたLPGが、使用される。一つのLPGは、基本モードからの光をクラッドモードに結合させ、一つのLPGは、クラッドモードから戻る光を基本モードに結合させる。クラッドは、それにより共鳴光のためにバイパスとして使用され、コア中の非共鳴光の伝搬が、実質上阻止される。また、LPGの作製中にLPGのおおよそ中間にπ位相シフトを導入することで、一つのLPGだけを使用してバンドパスフィルタが作られる。LPGのπ位相シフトは、クラッドモードに結合された光が基本モードに戻ることができるように、結合方向を反転させる。バンドパスフィルタとしてLPGを使用することの一つの優位性は、伝導スペクトルが、与えられた増幅器動作に適切であるように都合よくデザインされ得るということである。
【0072】
図9A-Cは、図4A-Cのそれに類似の模範的なデザインのためのスペクトル選択器/予備圧縮器としての長周期ファイバ格子(LPG)の使用を示している。
【0073】
図9Aは、図4Aの模範的なレーザシステムに類似の模範的なレーザシステム490の一実施例を示している。スペクトル選択器/予備圧縮器は、アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるLPG492を有している。
【0074】
図9Bは、図4Bの模範的なレーザシステムに類似し、且つ減衰器を有する模範的なレーザシステム510の一実施例を示している。スペクトル選択器/予備圧縮器は、減衰器と増幅器の間の光路に配置されるLPG512を有している。
【0075】
図9Cは、図4Cの模範的なレーザシステムに類似し、また減衰器も有する模範的なレーザシステム530の一実施例を示している。しかしながら、スペクトル選択器/予備圧縮器は、アイソレータと増幅器の間の光路に配置されるLPG532を有している。
【0076】
スペクトル操作は、バンド精選及び/或いはスペクトル形状変更を行うスペクトルフィルタで達成される。バンド精選は、種スペクトルの適当な選定(例えば、位置とバンド幅)をもたらす。位置は、約1045から1055nmまでの範囲であり、バンド幅は、約5から12nmの範囲であるが、これらの範囲は、可能である他の実施例を制限するようには解釈されない。選択されるバンドは、改善されたパルス圧縮性のために、増幅器の利得形成と非線形位相歪みに整合される。ガウス型或いはフラットトップ又はその他のプロフィールのような適当なスペクトル形状は、スペクトル形成フィルタで適合される。このコンセプトは、能動的或いは受動的に制御された“ペデスタル平坦化フィルタ”にさらに拡張され得る。
【0077】
図10は、モニタリングとフィードバック制御能力を持つレーザシステム550の一実施例を示している。希土類ドープファイバ吸収は、環境温度に強く依存する。そのような依存は、温度によるレーザ性能のドリフトをもたらす。例えば、発振器のモードロック閾値が、高温で決まって増加する。
【0078】
レーザシステムの一実施例において、システムの幾つかのポイントでの出力パワーのような性能のモニタリングと、アクティブ制御のためにダイオードポンプドライバへフィードバックを与えることは、安定な動作を達成させることができる。図10は、そのようなモニタリングとフィードバックの特徴を持つレーザシステム550の一実施例を示している。模範的なレーザシステム550は、アイソレータ554を介して減衰器552に結合された発振器552を有している。減衰器556からの出力は、バンドパスフィルタ558に供給され、そのフィルタの出力は、次に増幅器560に向けられる。増幅器560からの出力は、アイソレータ562を介して圧縮器564に供給される。減衰器556とバンドパスフィルタ558の使用は、模範的であり、これらの部品のどちらかは除外されてもよく、ここに開示されたそれらを含むその他の任意のモジュール型部品が、フィードバックをもつレーザシステムに使用されるということを知るべきである。
【0079】
図10に示すように、レーザシステム550は、発振器552の後でシステムの性能パラメータをモニタする第1モニタ部品570をさらに有する。モニタ570は、検出器と制御器を有する。モニタ570は、調整コマンドを発振器552で実施する第1ドライバ572に調整コマンドを出す。
【0080】
模範的なレーザシステム550は、増幅器560の後でシステムの性能パラメータをモニタする第2モニタ部品574をさらに有するために、示されている。モニタ574は、同じく検出器と制御器を有する。モニタ574は、調整コマンドを増幅器560で実施する第2ドライバ576に調整コマンドを出す。
【0081】
模範的なモニタ570及び/或いは574で実施されるシステムのモニタリングは、例えば光強度、又はパワー或いは例えば周波数とスペクトルのようなその他の適切なパラメータをモニタする光検出器と電子回路とを有する。そのような測定に対する応答では、例えばポンプ強度及び/或いはポンプ率を調節することで、或いは動作温度を調節することで、モニタとドライバとは発振器及び/或いは増幅器に変化を引き起こす。発振器の温度制御を含む模範的な実施例が、より完全に下に記載されている。発振器の温度制御は、周波数変動はもちろん、利得ダイナミックスも安定化させることができる。増幅器の温度制御も利得ダイナミックスを安定化するために使用され得る。
【0082】
レーザシステムの動作を制御するためにフィードバックを与えるための他の配置も採用されてよい。例えば、多少のフィードバックループが、含まれてもよい。ループは、もたらすべく適当な調節を決めるための計算のような動作を行う電子回路を含む。フィードバックは、システムの他の場所から得られてもよいし、同様に他の部品を調整するためにも使用される。図10と関連して記載された実施例は、可能性を制限すると解釈されるべきでない。
【0083】
図3−10に関連して与えられた様々な模範的なデザインの記載において、様々な部品は、モジュールとして描かれている。これらのモジュールは、独立したモジュール型部品である必要がある。しかしながら、他の構成も可能である。例えば、二つ以上のこれらの部品が、集積化モジュールに一緒にパッケージされてもよい。或いは、幾つかの実施例の中で、一つ以上の光学素子を含むモジュールが解体及び/或いは分離されてもよいし、別のモジュールに含まれてもよい。
【0084】
一実施例において、例えば、図3A-Cで発振器の下流にあるように描かれたアイソレータは、ファイバブラッグ格子を含み、発振器と一緒にパッケージされる。アイソレータは、それによって発振器と併合される。同様に、別々の機能グループと考えられる様々な部品は、同じハウジングと支持構造に含まれてもよい。例えば、増幅器は、固体或いは平面導波路増幅器のような非ファイバ素子を含んでもよく、同じプラットフォームに含まれてもよく、アイソレータ光学系がそれによって増幅器とアイソレータとの機能を併合するように、同じハウジングに入れられてもよい。しかしながら、機能の分離は、優位性をもたらし、したがって、幾つかの実施例では好ましい。
【0085】
モジュール型デザインコンセプトは、さらに発振器、増幅器及びレーザシステムを含むその他の構成要素内の要素にも拡張され得る。図11A−Cは、本技術の有利なモジュール型アプローチでデザインされパッケージされ得る模範的な実施例を描画している。
【0086】
図11は、通信コード(Telcordia)仕様にしたがってパッケージされた可飽和吸収体モジュール710の一実施例を示している。可飽和吸収体モジュール710は、複数の光学素子を含むハウジング712を有している。角度研磨或いは割断された面をもつ光ファイバ716を有する光ファイバコネクタ714が、ハウジング712の一側面を通して複数の光学部品を含むハウジングの内側領域に達している。これらの光学部品は、光ファイバ716から出力される光を受けて好ましくはコリメートするための第1レンズ718、可変波長板724、及び偏光選択光学素子722、可飽和吸収体724を含んでいる。可変波長板720は、回転円板726に取り付けられた回転波長板と、マックニール(MacNeille)プリズムのような偏光ビームスプリッタを有する偏光選択光学素子722とを有する。偏光選択光学素子722と可飽和吸収体724の間に配置された第2レンズ728は、好ましくは、波長板720と偏光ビームスプリッタ722を通して伝搬する光を可飽和吸収体の上に集光する。光ファイバ716から反射性の可飽和吸収体724まで波長板720とプリズム722を通して、光路が形成される。光は、この光路に沿って両方向に伝搬し、発振器の共振器の一部を形成する。
【0087】
様々な好ましい実施例では、レーザの中の光が直線偏光している。直線偏光の度合いは、直交する偏光成分間の最大強度比の測定に相当する偏光消光比(PER)で表される。ある実施例では、光源光の偏光状態は、偏光保持シングルモードファイバを使用することで保持される。例えば、個々のモジュール型デバイスのピッグテールが偏光保持ピッグテールファイバで作られる。そのようなケースでは、各々のモジュール段階のPERは、約23dBより高い。一連のモジュールに渡って高い偏光消光比を保証することが、シングルモード偏光保持ファイバの使用にも拘わらず、挑戦する。PERの低下は、一連のモジュール内のファイバフェルール、ファイバホルダ、或いは融着で起きることがある。
【0088】
図11Aに示すように、23dBを越えるPERのレベルは、モジュール中に直線偏光光学部品を使用して得られ、図中で偏光ビームスプリッタ722は、偏光フィルタとして動作し、それによって実質上直線偏光を与える。偏光ビームスプリッタ722で濾過され失われる光の量を減らすため、回転できる波長板720は、好ましくはファイバ716からの偏光出力を調節する。他の実施例において、回転できる波長板720の調整の代わり或いは調整に加えて偏光を変えるために、光ファイバ716が、回転される。
【0089】
ファイバフェルール、ファイバホルダ、或いは融着のような偏光劣化素子を含むモジュールへの直線偏光部品の使用は、有利である。直線偏光子は、各偏光劣化素子からの位相シフトの重ね合わせを取り消す。10度の重ね合わせ位相シフトは、約15dBにPERを減少させ、この場合、直線偏光子を通しての強度変動は、約4%より大きい。対照的に、直線偏光子をモジュールの連鎖中にはめ込むことで、個々のモジュールとスプライスのPERが約20dBを上回るという条件で、強度変動が約1%を下回る。
【0090】
好ましくは、第1レンズ718、回転できる波長板720、マックニール偏光子722及び可飽和吸収体724のような光学素子は、微小光学系を有するか、或いは、小型モジュールを提供するために十分小さい。また、ハウジング712の中の素子は、好ましくはレーザ溶接によるようなハウジングのベースに確実に固定される。ハウジング712は、シールされ、その上、熱的に絶縁されているとよい。様々な好ましい実施例において、これらのモジュールは、通信コード標準と仕様に従っている。
【0091】
図11Bは、制御可能な量の光減衰を与えるための光学部品を含むハウジング732を有する可変減衰器モジュール730の一実施例を示している。角度研磨或いは割断された面をもつ光ファイバ736を有する第1光ファイバコネクタ734が、ハウジング732の一側壁を通して複数の光学部品を含むハウジングの内側領域に達している。これらの光学部品は、光ファイバ736から出力される光を受けて好ましくはコリメートするための第1レンズ738、可変波長板740、及び偏光選択光学素子742を含んでいる。角度研磨或いは割断された面をもつ光ファイバ745を有する第2光ファイバコネクタ744が、ハウジング732の別の側壁を通して光学部品を含む内側領域に達している。可変波長板740は、回転円板746に取り付けられた回転波長板と、マックニール(MacNeille)プリズムのような偏光ビームスプリッタを有する偏光選択光学素子742とを有する。偏光選択光学素子742の間に配置された第2レンズ748は、偏光ビームスプリッタ742と第2光ファイバ745の間の光を結合する。第1光ファイバ736から第2光ファイバコネクタ744まで波長板740とプリズム742を通して、光路が形成される。
【0092】
波長板740は、光の分布を直交する偏光に変えるために回転される。偏光ビームスプリッタ742は、波長板740の状態に依存して、光の一部を第1と第2ファイバコネクタ734、744の間の光路外に向けるために使用される。従って、ユーザは、波長板740を回転させ、光の偏光を変えて、第1と第2光ファイバコネクタ734、744の間の光結合量を制御することができ、それにより減衰のレベルを調整することができる。
【0093】
好ましくは、第1と第2レンズ738、748、回転できる波長板740、及びマックニール偏光子742のような光学素子は、微小光学系を有するか、或いは、小型モジュールを提供するために十分小さい。ハウジング732の中の素子は、レーザ溶接されるか、もしくはハウジングのベースに確実に固定される。ハウジング732は、シールされ、その上、熱的に絶縁されているとよい。様々な好ましい実施例において、これらのモジュールは、通信コード標準と仕様に従っている。
【0094】
図11Cは、光学的なアイソレーションを行うための光学部品を含むハウジング762を有するアイソレータモジュール760の一実施例を示している。角度研磨或いは割断された面をもつ光ファイバ766を有する第1光ファイバコネクタ764が、ハウジング762の一側壁を通して複数の光学部品を含むハウジングの内側領域に達している。これらの光学部品は、光ファイバ766から出力される光を受けて好ましくはコリメートするための第1レンズ768、光アイソレータ770、及びビームスプリッタ772を含んでいる。角度研磨或いは割断された面をもつ光ファイバ775を有する第2光ファイバコネクタ774が、ハウジング762の別の側壁を通して光学部品を含む内側領域に達している。アイソレータ770は、例えば、ファラデー回転子、直線偏光子(図示しない)を有してもよい。ビームスプリッタ772は、ビームの一部を第3ファイバコネクタ780に向かわせるプレート或いはウェッジを有してもよい。他の実施例では、レンズがビームスプリッタ722と第3ファイバコネクタ780の間で光を結合してもよい。第3のファイバコネクタ780は、第1光ファイバ766と第2光ファイバ775の間を伝搬する光の一部をタッピングオフするためのタップを有し、アイソレータ770の動作に一般には含まれない。従って、ビームスプリッタ772とタップ780は、アイソレータモジュールデザインの他の実施例から取り除かれる。しかしながら、タップ780は、ここに記載されたようなレーザシステムに対してフィードバックを与えるのに有益である。ビームスプリッタ772と第2光ファイバ775との間に配置された第2レンズ778は、ビームスプリッタ772と第2光ファイバの間の光を結合する。第1光ファイバ766から第2光ファイバコネクタ774までアイソレータ770とビームスプリッタ772を通して、光路が形成される。しかしながら、この光路は、アイソレータ770の結果として、実質上単一方向である。
【0095】
このモジュール760は、図11Aに関連して記載されたような偏光保持を手伝うために、波長板と偏光選択光学素子をさらに有してもよい。例えば、直線偏光子のような偏光選択素子を含む他の実施例において、回転できる波長板を提供する代わり或いは提供に加えて偏光を変えるために、光ファイバが、回転される。
【0096】
好ましくは、第1と第2レンズ768、778、アイソレータ770、及びプリズム772のような光学素子は、微小光学系を有するか、或いは、小型モジュールを提供するために十分小さい。ハウジング762の中の素子は、レーザ溶接されるか、もしくはハウジングのベースに確実に固定される。ハウジング762は、シールされ、その上、熱的に絶縁されているとよい。様々な好ましい実施例において、これらのモジュールは、通信コード標準と仕様に従っている。
【0097】
図11A-11Cに示すモジュール710、730、760と関連して描かれたデザイン形状と異なるものに他のデザインが採用されてもよい。例えば、他の部品が加えられ、代替部品が使用され、或いはモジュールの中の部品の配置と形状が異なってもよい。幾つかのケースでは、部品が取り除かれてもよい。ハウジングも異なってもよい。さらに、その他の変更が可能である。
【0098】
図11Dは、図2Aと2Bに関連して上述されたような発振器の模範的な図式表示を描いている。一実施例において、発振器600は、共振器ファイバ組み立て品モジュール604に光学的に結合された可飽和吸収体モジュール602を有している。二つのモジュールがファイバピッグテールで光学的に結合され、モジュール602、604の間のファイバの長さが、共振器の望ましい群遅延分散に寄与するために変えられる。
【0099】
可飽和吸収体モジュール602及び/或いは共振器ファイバ組み立て品モジュール604は、それぞれの温度制御部品606と608に結合されてもよい。一実施例において、温度制御部品606と608は、相対的に大きな温度範囲で温度制御を行うペルチェ素子を有する。温度制御器は、例えば、利得を安定化しノイズを減らすために発振器の利得ファイバの温度を調節するために使用される。
【0100】
図12は、様々な部品を光学的に結合するための一アプローチを示している。模範的な結合610は、スプライス640で第2部品618から第2ピッグテールファイバ616に結合された第1部品614からの第1ピッグテールファイバ612を示している。一実施例では、スプライスは融着である。知られているように、そのようなスプライスは、二つのファイバ区分が一つの物理的に接続されたファイバ光路に併合されるので、光ファイバと関連した有利な特徴をもたらす。バルク光学系と比べ、一度ファイバが一緒に結合されると、複雑で潜在的に脆い調整と位置あわせが必要ない。スプライスは、それにより結合された部品間で実質上不変の信号伝導をもたらす。そのような技術は、既に実施され、従って生産性を改善し、コストを下げる。そのような技術を使用すると、ファイバの位置と結合が環境変化を受けやすくなくなり、それによりレーザシステムの改善された安定性をもたらす。突き合わせ結合のような他の技術も他の実施例で採用される。
【0101】
光ファイバは、例えばレンズシステムと比べて小型で軽量であるが、レンズや他のバルク光学系は、例えば、異なるモジュールに使用されてもよい。前述のやり方で結合された部品は、様々な方法で配列される。モジュール型部品間の光学的な相互連結が、ファイバで行われるので、モジュールは光学的に調整される必要がなく、モジュールは弾力的なやり方で配列されパッケージされる。
【0102】
図13は、モジュールを通る軸の調整(すなわち、自由空間の入力と出力結合に関連する方向)がそれぞれのデザインを制限するものでないモジュールの模範的な配列を示している。図13に示すように、模範的な結合620は、第1部品622を第2部品624にスプライス626を介して光学的に結合する。従って、第2部品624は、第1部品622を通る軸が第2部品を通る軸と向きが合わされる必要がないように、向けられる。同様に、反射体或いはミラーのようなバルク光学系は、二つの部品622、624の間の光学的接続をもたらすために必要とされない。
【0103】
上述のように、モジュールは、ハウジング内に支持される一つ以上の光学素子を有してもよい。これらの光学素子は、レンズとミラーのようなバルク光学系、或いは物理光学系でもよく、平面導波路のような導波路構造を有してもよい。かなりの実施例で、ファイバ光学部品は、そのようなハウジングに入れられてもよいが、光ファイバがハウジングから延びるファイバピッグテールに接続されてもよいし、また、個々のハウジングをもたなくてもよい。例えば、一つのレーザシステムは、ハウジングから延びる光ピッグテールをもつハウジングに可飽和吸収体を有してもよく(図11Aのような)、ピッグテールは、少なくとも一部が利得を与えるためにドープされた発振器ファイバにスプライスされ、且つ部分反射体としてのブラッグ格子を含む。ファイバブラッグ格子は、別のハウジング内に配置されたバルク光学部品を有するアイソレータ(図11Cのような)の入力ピッグテールにスプライスされてもよい。アイソレータモジュールから延びる出力ピッグテールは、可変減衰器(図11Bのような)を形成するバルク光学系を含む別のモジュールにスプライスされてもよい。可変減衰器モジュールは、ファイバ増幅器を有する利得ファイバに光学的に接続された出力ファイバピッグテールをもってもよい。ファイバ増幅器は、圧縮を行うファイバブラッグ格子或いはフォトニック結晶ファイバにスプライスされてもよい。その他の構成も可能である。
【0104】
上述のモジュール型アプローチは、多くの優位性をもたらす。ファイバ式モジュール型アプローチは、デザインすること、制限を処理すること、及び医学、工業、その他の環境への応用に対して実際の解を与えること、を援助する。多くの場合、信頼できる複雑な光学及びレーザシステムのデザインは、一般的に過度の資源と多大な量の時間を伴う困難な仕事である。モジュール型光学機械素子を使用すると、超短パルスレーザが特定の応用のためにより効率よくデザインされる。有利なことに、システムのデザインは、初めて単純化され、システムを幾つかの機能グループに分けることで達成される。機能は、別々にデザインされテストされる異なるモジュールで達成される。信頼性のデザイン評価は、より少ない時間とより少ない資源を伴う非常に低いコストで達成される。製品開発のための分離モジュールの工学は、より管理しやすい。
【0105】
また、モジュール型アプローチは、レーザシステムの組立プロセスを非常に単純化し且つ生産性を改善することができる。レーザシステムは、自由空間調整なしで、簡単な融着で組み立てられる。そのようなプロセスは、労働コストを減らし、動作の安定性、信頼性、及び再現性を増す。モジュールは、置き換えできる及び/或いは交換できるので、修理、交換、及び品質向上もモジュール型アプローチで容易に行われる。
【0106】
様々な好ましい実施例において、モジュール内の光学系は、他のタイプの光学系が可能であるが、微小光学素子を有している。好ましくは、光学系は、ハウジングにしっかりと固定されており、レーザシステムが頑丈且つ強固であるように、ハウジングは、十分な保護を提供する。様々な実施例において、光学素子の動作或いは信頼性を妨害する水滴、湿気、埃、塵、或いはその他の汚染の増大を減少させるために、ハウジングは、熱絶縁を有し、且つ/或いはハーメチックにシールされてもよい。
【0107】
ここに開示されたモジュール型デザインは、高パワー短パルスレーザシステムのデザインと性能で他の優位性を与える。減少された部品の形状ファクタと質量は、高度の光学的な安定性を可能にする。また、システムの環境安定性が、デバイスの温度を制御することで改善される。幾つかの実施例では、レーザシステムが、性能と品質で通信標準を満たすためにパッケージされる。幾つかの実施例で、例えば、レーザシステム或いはその一部が、GR-1221-COREと GR-468-COREのような通信コード信頼性保証要求に従ってパッケージされる。
【0108】
通信産業の最近の先例のない成長は、成熟したファイバ技術と、信頼でき且つ費用対効果の高い部品の開発をもたらした。しかしながら、通信要求の特性により、市場のファイバ部品は、低いパワー処理能力と連続波(CW)動作でたいてい制限される。高い平均パワー(>200mW)と超高速パルス動作とは、特別にデザインされた部品を必要とした。しかしながら、好ましくは、超短ファイバレーザと増幅器システムは、適用できる通信コード信頼性保証要求、例えばGR-1221-COREと GR-468-COREに従うと規定される。
【0109】
環境的に安定なレーザデザインは、工業応用にとって非常に望ましい。好ましい工業用レーザシステムは、例えば、0から50度摂氏の環境温度範囲で、0.5dBを下回る出力パワー変動と、通信コードGR-468-COREと GR-1221-COREの振動、熱衝撃、高温保管及び熱サイクル試験の基準の応諾と、で特徴づけられる。この目標は、部品の機能的な分割と、例えば通信コード適合パッケージング技術のようなモジュールへの適当なパッケージングを使用すること、で達成される。従って、好ましくは、モジュールは、通信標準と品質に従うためにデザインされ製造される。
【0110】
上述のように、様々な実施例は、約200mWを越える出力パワーと約200フェムト秒未満のパルス幅とをもつ高パワー超短パルスレーザシステムを有している。幾つかの実施例は、環境温度変化に対する発振器の利得安定性を高めるために短い長さの利得ファイバを採用してもよい。幾つかの実施例において、共振器分散が、可飽和吸収体モジュールと集積化されたファイバピッグテールで与えられる非ドープ偏光保持ファイバを付加することで管理される。上で論じたように、可飽和吸収体と可飽和吸収体と関連する光学系とは、発振器システムの中にツールキットを形成するために通信パッケージング技術でパッケージされる。幾つかのデザインにおいて、モジュールは、温度制御器と集積化される。
【0111】
幾つかの好ましい実施例において、発振器からの光は増幅されてもよい。また、最小のペデスタルと圧縮性のような増幅されたパルスの品質は、発振器の外で種パルスのスペクトルの詳細を操作することで制御される。そのような操作は、他のデザインが可能であるが、スペクトルフィルタを使用することで達成される。パルスのチャープの詳細と増幅器の非線形性に依存するので、幾つかの実施例では、パルスが十分高いパルス品質を備えて圧縮されるように、適当に選定された中心波長とバンド幅をもつ格子対が、チャープに対して適当なバランスを与える。さらに、フィルタのスペクトル特性は、幾つかの実施例において、ペデスタル平坦化にさらに適合される。例えば、特定のペデスタル平坦化フィルタが使用され得る。ある実施例では、放物線増幅器が種パルスを増幅するために使用されてもよい。10nmより大きなスペクトルバンド幅の種の場合、種パルス幅を短縮して増幅と増幅されたパルスの圧縮性とを改善或いは最適化するために、ファイバ式素子が増幅器の前に挿入される。
【0112】
異なるデザインと構成とをもつ他の実施例が可能であり、上述されたものに限定されない。例えば、ここに開示された様々なシステムは、約1050nmの波長で動作できるが、本教示のコンセプトは、他の波長で動作するレーザシステムにも適用され得る。
【0113】
さらに、上記の好ましい実施例は、例として与えられた。与えられた開示から、この技術の当業者は、本発明と付帯する優位性を理解するだけでなく、開示された構造と方法の明確な様々な変更と修正を見つけるであろう。従って、付帯する請求項とその等価なことで規定されるので、本発明の精神と目的に入るような全ての変更と修正を包含することが求められる。
【0114】
(付記)参考までに分割前の原出願から削除された請求項を以下に記す。
(1)光パルスを出力するモードロックファイバ発振器と、
前記光パルスを受け取るために前記モードロックファイバ発振器に光学的に接続され、前記光パルスに利得を与える利得媒質を有する増幅器と、
前記モードロック発振器と前記増幅器との間に配置され、前記モードロックファイバ発振器から前記増幅器に結合される前記光エネルギが減少されるように調節可能な伝導をもつ可変減衰器と、
パルス幅を減少させるためにパルスを圧縮するための圧縮器と、
を有する、持続時間と対応するパルス幅とをもつパルスを出力するパルスファイバレーザ。
(2)前記可変減衰器は、偏光選択光学系を有する(1)のパルスファイバレーザ。
(3)前記可変減衰器は、偏光子を有する(2)のパルスファイバレーザ。
(4)前記可変減衰器は、さらに偏光回転素子を有する(3)のパルスファイバレーザ。
(5)前記偏光回転素子は、波長板を有する(4)のパルスファイバレーザ。
(6)前記可変減衰器は、ハウジングに入れられた一つ以上の光学素子を有し、ハウジングは、前記一つ以上の光学素子に光を結合するために、そこから延びる入力と出力のファイバをもつ、(1)のパルスファイバレーザ。
(7)増幅器から前記増幅された光パルス出力を受け取るために光学的結合され、前記ファイバ増幅器での前記光パルス出力の持続時間を短縮する一つ以上の分散光学素子を有する、パルス圧縮器をさらに有する(1)のパルスファイバレーザ。
(8)前記一つ以上の分散光学素子は、分散光ファイバを有する(7)のパルスファイバレーザ。
(9)レーザパルスを繰り返し生成するためにレーザ共振器の縦モードを実質上モードロックするステップと、
前記レーザパルスを増幅するステップと、
前記レーザパルスをチャープさせ、それにより前記光パルスの光周波数を時間に関して変化させるステップと、
短縮された持続時間をもつ圧縮されたレーザパルスを生成するために、前記レーザパルスの異なる光周波数成分を異なるように伝搬させることで前記レーザパルスを圧縮するステップと、
前記圧縮されたレーザパルスの前記持続時間をさらに短縮するために、前記レーザパルスの前記増幅ステップの前に前記レーザパルスを選択的に減衰するステップと、
を有する少なくとも約200mWの光パワーと約200フェムト秒以下のパルス持続時間とをもつ圧縮された高パワー短レーザパルスを生成する方法。
(10)前記レーザパルスは、約1と20dBの間で減衰される(9)の方法。
(11)前記増幅ステップの後の前記レーザパルスの偏光を前記レーザパルスの前記圧縮ステップまで保持するステップをさらに有する(9)の方法。
(12)光パルスを出力するファイバ式発振器をモードロックするステップと、
増幅器を可変減衰器を通して前記ファイバ式発振器に光学的に結合し、前記ファイバ式発振器からの前記光パルスを前記可変減衰器を通して前記増幅器に与えるようにするステップと、
前記増幅器に供給される光パルスの強度を減少させ、前記パルスを短縮するために、前記光パルスの測定に基づいて前記可変減衰器を調節するステップと、
を有する高パワー短パルスファイバレーザを製造する方法。
(13)前記光パルスを短縮するためにパルス圧縮器を前記増幅器に光学的に結合するステップをさらに有する(12)の方法。
(14)前記ファイバ式発振器からの前記光パルスを増幅するために前記増幅器をポンプするステップと、
前記光パルスを圧縮するステップと、をさらに有し、
前記増幅ステップと圧縮ステップとの後の前記光パルスが、少なくとも約200mWの平均パワーと少なくとも200フェムト秒より短いパルス持続時間とをもつ(12)の方法。
(15)前記可変減衰器は、前記光パルスのパワーの測定に基づいて調整される(12)の方法。
(16)前記可変減衰器は、前記出力パルスのパルス持続時間の測定に基づいて調整される(12)の方法。
(17)前記減衰器を密閉されたハウジングにパッケージするステップをさらに有する(12)の方法。
(18)前記発振器の少なくとも一部を密閉されたハウジングにパッケージするステップをさらに有する(12)の方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パルス幅と、バンド幅をもつスペクトルパワー分布とをもつ複数の光パルスを有する光出力を生成するモードロックファイバ発振器と、
前記光パルスを増幅するための前記モードロックファイバ増幅器に光学的に接続された増幅器と、
前記モードロックファイバ発振器の前記光出力を前記増幅器に達する前に受け取るために配置され、前記スペクトルパワー分布の一部を減衰し、それによりスペクトルバンド幅を減らすために、前記モードロックファイバ発振器の前記光出力の前記スペクトルパワー分布と重なるバンドエッジを備えるスペクトル伝導をもち、前記モードロックファイバ発振器から前記ファイバ増幅器に結合された前記光パルスの幅がそれにより減らされる、スペクトルフィルタと、
を有する、パルス幅をもつパルスを出力するパルスファイバレーザ。
【請求項2】
前記スペクトルフィルタは、バンドパスフィルタ、ローパスフィルタ、及びハイパスフィルタから成る群から選定されたフィルタを有する請求項1のパルスファイバレーザ。
【請求項3】
前記スペクトルフィルタは、バンドパスフィルタを有する請求項1のパルスファイバレーザ。
【請求項4】
前記スペクトルフィルタは、約5と12nmの間のスペクトルバンド幅をもつ請求項1のパルスファイバレーザ。
【請求項5】
前記スペクトルフィルタは、格子を有する請求項1のパルスファイバレーザ。
【請求項6】
前記スペクトルフィルタは、長周期ファイバブラッグ格子を有する請求項1のパルスファイバレーザ。
【請求項7】
前記スペクトルフィルタは、約5と12nmの間でスペクトルバンド幅を減らす請求項1のパルスファイバレーザ。
【請求項8】
前記スペクトルフィルタは、前記モードロックファイバ発振器の光出力を前記スペクトルフィルタを通して結合させる入力及び出力ファイバをもつハウジングに配置される請求項1のパルスファイバレーザ。
【請求項9】
スペクトルバンド幅を備える対応するスペクトルパワー分布をもつ光パルス列を生成するようにファイバ共鳴共振器の縦モードを実質上モードロックするステップと、
光パルスを増幅するステップと、
圧縮された光パルスを生成するために前記光パルスを圧縮するステップと、
前記圧縮された光パルスが短い持続時間をもつように前記スペクトルパワー分布のバンド幅を減少させるステップと、
を有する圧縮された光パルスを生成する方法。
【請求項10】
前記スペクトルバンド幅は、前記光パルスを増幅する前に減少される請求項9の方法。
【請求項11】
前記スペクトルバンド幅は、約5から12nmの間で減少される請求項9のパルスファイバレーザ。
【請求項12】
前記スペクトルバンド幅は、約10nm未満に減少される請求項9のパルスファイバレーザ。
【請求項13】
利得ファイバと共鳴共振器を形成するための前記利得ファイバに関して配置された一対の反射光学素子とを有し、平均パルス幅を持つパルス列を生成するモードロックファイバ発振器と、
前記光パルスが増幅器を通して伝搬できるように、前記モードロックファイバ増幅器に光学的に接続され、前記光パルスを増幅するファイバ増幅器と、
前記ファイバ発振器と前記ファイバ増幅器をポンプするため、前記モードロックファイバ発振器と前記ファイバ増幅器に光学的に接続された一つ以上の光ポンプ光源と、
ファイバ増幅器からの前記増幅された光パルスを受け取るために光学的に結合され、前記ファイバ増幅器での前記光パルス出力のパルス幅を短縮するパルス圧縮器と、
前記モードロックファイバ発振器と前記ファイバ増幅器の間の光路に配置され、前記圧縮器での前記光パルス出力の前記パルス持続時間がさらに短縮され得るように、前記増幅器に導入される前記光パルスの持続時間を短縮する予備圧縮器と、
を有するパルスファイバレーザ。
【請求項14】
前記予備圧縮器は、穴あきファイバを有する請求項13のパルスファイバレーザ。
【請求項15】
前記予備圧縮器は、フォトニック結晶ファイバを有する請求項13のパルスファイバレーザ。
【請求項16】
前記予備圧縮器は、フォトニックバンドギャップファイバを有する請求項13のパルスファイバレーザ。
【請求項17】
前記予備圧縮器は、ハウジングに入れられた光学系を有し、前記ハウジングは前記光学系を通して前記光パルスを通過させる入力及び出力ファイバを持つ請求項13のパルスファイバレーザ。
【請求項18】
前記ハウジングの中の前記光学系は、バルク光学系と平面導波路光学系から成る群から選択される請求項17のパルスファイバレーザ。
【請求項19】
前記平面導波路光学系は、平面導波路格子を有する請求項18のパルスファイバレーザ。
【請求項20】
前記ハウジングの中の前記光学系は、格子、偏光子、波長板、アイソレータ、ミラー、ウェッジ、及びレンズを有するバルク光学素子の群から選択される請求項17のパルスファイバレーザ。
【請求項21】
平均パルス幅を持つ複数のレーザパルスを有し周波数成分の分布を有する光信号を生成するためにレーザ共振器の光モードを実質上モードロックするステップと、
前記光パルスを圧縮するステップと、
増幅され圧縮された光パルスを生成するために前記圧縮された光パルスを増幅するステップと、
スペクトル成分を区別し、前記異なるスペクトル成分に異なる位相シフトを導入するために、分散光学素子を使用して前記増幅の後に前記増幅され圧縮された光パルスをさらに圧縮するステップと、
を有する短い高パワー光パルスを生成する方法。
【請求項22】
前記圧縮された光パルスを増幅するステップの前に前記光パルスを圧縮する前記圧縮するステップは、前記スペクトルバンド幅を切り縮めるステップを有する請求項21の方法。
【請求項23】
前記圧縮された光パルスを増幅するステップの前に前記光パルスを圧縮する前記圧縮するステップは、スペクトル成分を区別し、前記異なるスペクトル成分に異なる位相シフトを導入するために、分散光学素子を使用するステップを有する請求項21の方法。
【請求項24】
光パルスを出力するモードロックファイバ発振器と、
前記モードロックファイバ発振器に光学的に接続され、前記光パルスを増幅するファイバ増幅器と、
前記ファイバ増幅器に光学的に接続された光ポンプ光源と、
前記ファイバ増幅器からの前記増幅された光パルス出力を受け取るため光学的に結合されたパルス圧縮器と、
(i)前記モードロックファイバ発振器と前記ファイバ増幅器の間の前記光路中の第1光タップと
前記第1光タップからの出力の測定に基づいて前記モードロックファイバ発振器を制御するための前記第1タップからの第1フィードバックループ、
及び
(ii)前記ファイバ増幅器と前記圧縮器の間の前記光路中の第2光タップと
前記第1光タップからの出力の測定に基づいて前記ファイバ増幅器を制御するための前記第2タップからの第2フィードバックループ、
の少なくとも一つと、
を有するパルスファイバレーザ。
【請求項25】
前記モードロックファイバ発振器と前記ファイバ増幅器の間に可変光減衰器をさらに有する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項26】
前記モードロックファイバ発振器と前記ファイバ増幅器の間に予備圧縮器をさらに有する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項27】
前記予備圧縮器は、スペクトルフィルタを有する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項28】
前記予備圧縮器は、分散光学素子を有する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項29】
前記発振器から前記ファイバ増幅器までの光路中に第1アイソレータをさらに有し、前記第1アイソレータは前記第1タップを有する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項30】
前記ファイバ増幅器から前記圧縮器までの光路中に第2アイソレータをさらに有し、前記第2アイソレータは前記第2タップを含む請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項31】
前記モードロックファイバ発振器をポンプする発振器ポンプ光学系をさらに有し、前記第1タップからの前記フィードバックループが前記発振器ポンプを制御する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項32】
前記モードロックファイバ増幅器をポンプする増幅器ポンプ光学系をさらに有し、前記第2タップからの前記フィードバックループが前記増幅器ポンプを制御する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項33】
前記モードロックファイバ発振器と熱的に接触する温度制御器をさらに有し、前記第1タップからの前記第1フィードバックループが前記温度制御器を制御する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項34】
前記ファイバ増幅器と熱的に接触する温度制御器をさらに有し、前記第2タップからの前記第2フィードバックループが前記温度制御器を制御する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項35】
光ファイバを介して一緒に結合された複数のモジュール型ハウジングをさらに有する請求項24のパルスファイバレーザ。
【請求項36】
前記モードロックファイバ発振器の少なくとも一部は、ハウジングを有する請求項35のパルスファイバレーザ。
【請求項37】
光ファイバを有し、光パルスを出力する光源モジュール;
入力及び出力ファイバを持つハウジングに光アイソレータを有するアイソレータモジュールであって、前記入力ファイバが前記光源モジュールの前記光ファイバに光学的に結合され、前記入力ファイバに導入された前記光パルスが前記アイソレータで受け取られ、前記出力結合器への前記光路に沿って存続することが許されるように、前記光アイソレータは前記入力及び出力ファイバを接続する光路に配置される、アイソレータモジュール;
増幅する媒質を有し、前記光パルスを増幅するために前記アイソレータモジュールの前記出力ファイバに光学的に接続された光入力を持つ増幅器モジュール;及び
前記光パルスを圧縮するために前記増幅器モジュールに光学的に結合された圧縮器モジュールを有するパルス光源。
【請求項38】
前記光源モジュールは、ハウジングの中に可飽和吸収体を有し前記光源モジュールのために前記光ファイバに光学的に接続された可飽和吸収体モジュールをさらに有する請求項37のパルス光源。
【請求項39】
前記光源は、ファイバレーザを有し、前記光源モジュールのための前記ファイバは、利得を持ち、前記ファイバレーザは、共鳴共振器を形成する一対の反射素子を有する請求項37のパルス光源。
【請求項40】
前記光源モジュールのための前記ファイバは希土類ドーパントでドープされ、前記対の反射素子の一つはファイバ格子を有し、前記レーザはポンプダイオードでポンプされ、前記レーザは可飽和吸収体でモードロックされる請求項37パルス光源。
【請求項41】
前記光源のための前記ファイバは、Er, Yb, Er/Yb,及びNdを有する群から選択される希土類ドーパントでドープされる請求項37のパルス光源。
【請求項42】
前記光源のための前記ファイバは、単一クラッドファイバと二重クラッドファイバから成る群から選択される光ファイバを有する請求項41のパルス光源。
【請求項43】
前記光源のための前記ファイバは、偏光保持ファイバと非偏光保持ファイバから成る群から選択される光ファイバを有する請求項37のパルス光源。
【請求項44】
入力及び出力ファイバを持つハウジングの中に減衰光学系を有する減衰器モジュールをさらに有し、前記入力ファイバに導入された光が前記減衰光学系で減衰され、前記出力ファイバで出力されるように、前記減衰光学系が前記入力及び出力ファイバの間の光路に配置され、前記光源モジュールからの光が前記増幅器モジュールに達する前に前記減衰器モジュールで減衰されように、前記減衰器モジュールが前記光源モジュールと前記増幅器モジュールの間の光路に配置される請求項37のパルス光源。
【請求項45】
前記減衰光学系は、波長板と偏光ビームスプリッタ立方体とを有する請求項42のパルス光源。
【請求項46】
前記光源モジュールからの前記光パルスが前記減衰器モジュールに達する前に圧縮器で圧縮されるように、前記光源モジュールと前記増幅器モジュールの間の光路に配置される圧縮器をさらに有する請求項37のパルス光源。
【請求項47】
増幅されたパルスが前記増幅器の中で圧縮され短パルスを生み出すように、前記増幅媒質の中の非線形効果を高めるために、前記圧縮器は、種パルスの幅を十分短縮するべく形成される請求項46のパルス光源。
【請求項48】
前記圧縮器で受け取られる前記光パルスは、対応する光スペクトルを持ち、前記圧縮器は、前記パルスの時間位置を選択しながら前記光スペクトルの一部を選択するスペクトルフィルタを有する請求項47のパルス光源。
【請求項49】
前記圧縮器は、薄膜バンドパスフィルタとファイバ格子から成る群から選択されるフィルタを有する請求項48のパルス光源。
【請求項50】
前記圧縮器は、格子型予備圧縮器を有する請求項46のパルス光源。
【請求項51】
前記圧縮器は、蓄積された分散を少なくとも部分的に補償するために仕立てられた分散を備えるファイバを有する請求項46のパルス光源。
【請求項52】
前記圧縮器は、フォトニック結晶ファイバを有する請求項51のパルス光源。
【請求項53】
前記モジュールは、融着ファイバで光学的に結合される請求項37のパルス光源。
【請求項54】
前記光源モジュールと前記増幅器モジュールの少なくとも一つの温度を安定化させるための温度安定化システムをさらに有する請求項37のパルス光源。
【請求項55】
前記光源モジュールと前記増幅器モジュールの少なくとも一つを選択的に調節するため、タップからの出力をモニタするための検出器とフィードバックを有する制御システムをさらに有する請求項37のパルス光源。
【請求項56】
ソリトン発振器の分散波サイドピークを除去するため前記光源の中にスペクトルバンドパスフィルタをさらに有する請求項37のパルス光源。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【公開番号】特開2011−228738(P2011−228738A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150645(P2011−150645)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【分割の表示】特願2007−506550(P2007−506550)の分割
【原出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】