説明

高体温による処置のための注入可能な超常磁性ナノ粒子および高体温インプラントを形成するための使用

高体温による処置のための注射可能な処方物は、液体キャリア、および20nmを超えない平均直径を有する熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子を含む。この注射可能な処方物は、体液または組織との接触に際し、インサイチュで高体温固形または半固形インプラントを形成し得る。この高体温固形または半固形インプラントは、高体温によって腫瘍または変性椎間板疾患を処置するために有用であり得る。本発明のインプラントは、外部磁場への曝露に際し、繰り返して加熱され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、高体温による処置のための注入可能な処方物であって、液体キャリアおよび熱発生ナノ粒子を含む注入可能な処方物、体液または組織との接触の際にインサイチュで高体温インプラントを形成するためのこの注入可能な処方物の使用、この高体温インプラントおよびこの注入可能な処方物における使用のためのナノ粒子含有シリカビーズを調製するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、癌のような増殖性疾患は、健康管理システムにすさまじい負担を提示する。
【0003】
代表的に細胞の集団の非制御分裂によって特徴付けられる癌は、固形または半固形腫瘍の形成、そしてその後の1つ以上の部位への転移を頻繁に生じる。
【0004】
手術に加え、癌処置の従来の方法は、悪性細胞にそれらが細胞分裂できないようにするよう物理的損傷を実現するように機能する放射線療法、および/あるいは一般にDNAの正常の構造、機能または複製を改変する細胞傷害性化学療法薬物を全身に投与することを含む化学療法を含む。
【0005】
しかし、これらのアプローチに付随する問題は、放射線療法の場合における照射、および化学療法の場合における化学療法薬物が、正常組織に対してもまた毒性であり、そしてしばしば生命を脅かす副作用を生じることである。
【0006】
癌の処置において、単独で、または放射線療法および/もしくは化学療法と組み合わせてのいずれかで適用され得る非常に有望な治療アプローチは、最近の臨床治験によって示されるような高体温である(非特許文献1;非特許文献2;非特許文献3;非特許文献4;非特許文献5)。
【0007】
高体温は、癌細胞のアポトーシスを誘導するために癌によって影響された器官または組織の温度を41〜46℃の間に増加するために用いられる治療手順として規定され得る。
【0008】
高体温は、放射線療法と組み合わせて用いられるときには、腫瘍細胞の照射損傷を増大させることが知られており、そして化学療法と組み合わせて用いられるときには、化学療法の効き目を増大させることが知られている。
【0009】
さらに、一様に緩やかに上昇された温度は、放射線療法および化学療法の影響を顕著に強力にすることが知られている。
【0010】
このような組み合わせの処置様式は、所定の効果を達成するために必要な化学療法薬剤または放射活性の投与量をより低くさせ得、それ故、毒性をより少なくし得る。
【0011】
従って、高体温を用いることは、放射線療法および化学療法によって引き起こされる生命を脅かす副作用を低減することを可能にする、有利な処置様式として考えられるべきである。
【0012】
必要な温度増加を達成するために提唱された種々の技法の中で、例えば、非特許文献6および非特許文献7によって詳細に報告されるものが引用され得る。
【0013】
しかし、高体温を誘導するためにこれまでに用いられているこれらの種々の技法は、なお顕著な制限を受け、その中で最も重要なことは、腫瘍に送達される熱があまり制御できないこと、腫瘍内スペース充填の制御があまりできないこと、および高体温効果の正確な局在化の制御があまりできないことである。
【0014】
従って、規定された腫瘍標的部位における、適度の温度の制御された温度に到達させるために高体温技法を提供することは、なお開発中の技術的挑戦である。
【0015】
熱発生ナノ粒子を用いることにより、局在化され、そして標的化された高体温を誘導するためのいくつかの方法が提唱されている。
【0016】
特許文献1は、金の金属伝導シェル層によって取り囲まれた希土エミッター、または硫化金でドープされたシリカの別個の誘電性または半導体コアセクションを有するナノシェルタイプのナノ粒子を細胞または組織に送達すること、およびこれらナノ粒子を電磁放射線に、これらナノ粒子がこの電磁放射線照射への曝露に際し熱を発する条件下で曝すことにより、この細胞または組織における局在化かつ標的化された高体温を誘導するための方法を提案している。このナノ粒子を構成するコアおよびシェルは、所定の時間の後にこれら粒子の除去を容易にするために、身体中で加水分解によって分解するポリヒドロキシ酸ポリマーのような生分解性材料を用いることによって連結され得る。
【0017】
特許文献2は、局在化され、そして標的化された高体温を誘導するための方法を開示し、この方法は、イオン的標的化により、腫瘍細胞中にシェルタイプのナノ粒子を取り込むこと(このナノ粒子は、鉄酸化物を含む超常磁性コアおよびこのコアを取り囲む少なくとも2つのシェル、より詳細にはカチオン性内側シェルおよびアニオン性外側シェルを有する)、およびこれらナノ粒子を、電磁放射線照射に、この電磁放射線照射への曝露に際しこれらナノ粒子が熱を発する条件下で曝すことによる。
【0018】
特許文献3は、シリカシェル中の、そして標的する薬剤によって取り囲まれる(そして必要に応じてトラッキング色素を含む)鉄酸化物ナノ粒子からなる、いわゆる「ナノクリニック」を提案している。直流磁場の付与は、磁性により誘導される溶解を通じて標的にされた細胞を破壊すると考えられる−交流磁場の下で得られる熱発生とは対照的である。
【0019】
A.Jordanおよび協同研究者による特許文献4はまた、少なくとも2つのシェル中に包埋された鉄酸化物粒子を提案している。中性基および/またはアニオン基を有する外側シェルが、腫瘍組織中への適切な分布を可能にする。内側シェルは、カチオン基を提示し、細胞による吸着/吸収を促進する。これらナノ粒子は懸濁物として注入され(「磁性流体」)、そして次に高体温処置のために交流磁場に曝される。
【0020】
しかし、これらの方法は、規定された標的容量中で適度の温度の制御された温度に到達することを可能にせず、そしてナノ粒子を含む処方物の繰り返された投与なくして規定された標的容量中で加熱手順を繰り返すことを可能にしない。
【0021】
特許文献5は、高体温処置で用いられるための、骨中に侵襲的に移植されなければならない形状化された材料のインプラントを開示し、この形状化された材料のインプラントは、アルミナ粉末、50nmを超える直径を有するFeを含む交流磁場で熱を発生する強磁性粉末、および重合メタクリレートモノマーを含む。
【非特許文献1】M.H.Falk,R.D.Issel,「腫瘍学における高体温」,Int.J.Hyperthermia 17:1−18(2001)
【非特許文献2】P.Wust,B.Hildebrandt,G.Sreenivasa,B.Rau,J.Gellermann,H.Riess,R.Felix.P.Schlag,「癌の組み合わせ処置における高体温」,The Lancet Oncology,3:487−497(2002)
【非特許文献3】A.Jordan,T.Rheinlanderら、「磁性流体の磁性分画による比吸収速度(SAR)の増加」,Journal of Nanoparticle Research 5(5−6):597−600(2003)
【非特許文献4】A.Jordan,W.Schmidtら、「熱不活性化の新規モデルおよびヒト結腸腺癌細胞に対するクローン原性生存データへのその適用」,Radiation Research 154(5):600−607(2000)
【非特許文献5】A.Jordan,W.Schmidtら、「磁性流体高体温でのヒト固形腫瘍の処置のための新規磁場療法システムの提示」,Journal of Magnetism and Magnetic Materials 225(1−2):118−126(2001)
【非特許文献6】P.Wust,B.Hildebrandt,G.Sreenivasa,B.Rau,J.Gellermann,H.Riess,R.Felix,P.Schlag,「癌の組み合わせ処置における高体温」,The Lancet Oncology,3:487−497(2002)
【非特許文献7】P.Moroz,S.K.JonesおよびBruce N.Gray,「進行した肝臓癌の処置における高体温の状態」,J.Surg.Oncol.77:259−269(2001)
【特許文献1】国際公開第01/58458号パンフレット
【特許文献2】国際公開第03/55469号パンフレット
【特許文献3】米国特許第6,514,481号明細書
【特許文献4】米国特許第6,541,039号明細書
【特許文献5】特開平10−328314号公報
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
公知の高体温技法の欠点を克服するための研究の間に、本発明者らは、驚くべきことに、懸濁された熱発生ナノ粒子を含むポリマーを基礎にした溶液を含む特別に設計された注入可能な処方物を提供することにより、そしてこの処方物を腫瘍または熱感受性損傷の予め存在する組織スペース中に直接注入することにより、この損傷コアのインサイチュの鋳物を得ることができること、しかも、ナノ粒子を含むポリマーマトリックスを基礎にした上記インプラントが、外部磁場への曝露に際し、繰り返して加熱され得ることを見出した。
【0023】
これらの結果を基礎にして、本発明者らは、腫瘍または熱感受性損傷の最小侵襲的な画像案内される処置のための新規液体処方物の、腫瘍または熱感受性部位における直接穿孔を通る注入により形成される、新規高体温インプラントを開発した。これは、腫瘍または熱感受性部位およびその近傍で細胞傷害性影響の区画化を可能にし、そしてこれは、従来の塞栓または高体温手順と比較したとき、処置の効き目および安全性を増加させる。
【0024】
熱切除およびその後の組織壊死を誘導する局所過熱を生じ得る侵襲的プローブを用いるより多くの従来の高体温処置技法とは対照的に、本発明者らによって開発された高体温インプラントは、5℃〜10℃の範囲にある代表的な温度増加をともなう穏和な加熱を送達する。
【0025】
この新規に提案された高体温インプラントはまた、いわゆる「磁性流体」とは異なる。なぜなら、これら粒子は、腫瘍部位におけるすべての粒子の正確な局在化を保証する注射可能なポリマーマトリックスによって案内されるからである。
【0026】
(発明の要旨)
第1の局面によれば、本発明は、高体温による処置のための注入可能な処方物を提供し、液体キャリア、および20nmより大きくない平均直径を有する熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子を含み、この注入可能な処方物は、体液または組織との接触に際し、高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成し得る。
【0027】
好ましい実施形態では、この熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子は、5〜15nmの範囲の平均直径を有し得る。
【0028】
さらなる好ましい実施形態では、上記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子は1以下のスパンを有し得、このスパンは、スパン=d90%−d10%/d50%で規定され、ここで、d90%、d10%およびd50%は、前記ナノ粒子の直径サイズであり、そして所定の%値がそのサイズより小さい粒子の%である。
【0029】
上記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子は、好ましくは、磁赤鉄鉱ナノ粒子、磁鉄鉱ナノ粒子またはそれらの混合物である。
【0030】
上記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子は、好ましくは、非球形形状を有し、ここで、より小さな直径に対するより大きな直径の直径比は、1〜3の範囲である。
【0031】
上記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子は、生体適合性ポリマーで被覆され得る。
【0032】
あるいは、上記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子は、有機ビーズまたは無機ビーズ中に固定化され得る。
【0033】
特に好ましい実施形態では、上記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子は、好ましくは20nm〜1μm、より好ましくは300nm〜800nmの範囲の平均直径を有するシリカビーズ中に固定化され得る。
【0034】
上記鉄酸化物ナノ粒子を含有するシリカビーズは、生体適合性ポリマーでさらに被覆され得る。
【0035】
上記液体キャリアは、好ましくは、水混和性溶媒中の沈殿するポリマーの溶液、インサイチュで重合または架橋する化合物、熱硬化性化合物およびヒドロゲルのいずれかに基づき、そしてより好ましくは、周辺の生理学的水で有機溶媒を交換した後に組織中で沈殿し得るこの溶媒中に予備成形されたポリマーの溶液にある、水混和性溶媒中の沈殿するポリマーの溶液に基づき、それ故、上記組織を充填するポリマー鋳物を形成し得る。
【0036】
上記注入可能な処方物は放射線不透過性剤を含んでもよいし、またはそうでなければ上記液体キャリアが、放射線不透過性ポリマーベースであってもよい。
【0037】
上記注入可能な処方物は、薬物または生物薬剤をさらに含み得る。
【0038】
第2の局面によれば、本発明は、高体温固形または半固形インプラント、好ましくは腫瘍または変性椎間板疾患を処置するための高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成するための、上記第1の局面に従う注入可能な処方物の使用を提供する。
【0039】
第3の局面によれば、本発明は、高体温の固形または半固形インプラントを提供し、このインプラントは、第1の局面に従う注入可能な処方物が身体中に注入されるとき、この注入可能な処方物と体液または組織との接触に際してインサイチュで形成される。
【0040】
第4の局面によれば、本発明は、上記第1の局面による注射可能な処方物における使用のための鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを調製するプロセスを提供し、このプロセスは、鉄酸化物ナノ粒子の凝集物を得るために制御された量のポリ(ビニルアルコール)(PVA)の存在下で鉄酸化物ナノ粒子を凝集する工程;および鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを得るために、この鉄酸化物ナノ粒子の凝集物を、シリカ前駆体と反応させる工程を包含する。
【0041】
第5の局面によれば、本発明は、腫瘍の高体温処置のための方法を提供し、この方法は、哺乳動物身体の腫瘍部位で上記第1の局面による注入可能な処方物を投与する工程、上記注入可能な処方物の液体キャリアを相変換させ、インサイチュで高体温インプラントを形成する工程、および外部磁場を付与し、上記インプラントの温度の増加を誘導する工程を包含する。
【0042】
本発明の利点は、以下の説明で明らかになる。
【0043】
本発明は、ここで、より詳細な様式で説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0044】
(発明の詳細な説明)
本発明による、高体温による処置のための注入可能な処方物は、液体キャリア、および20nmより大きくない平均直径を有する熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子を含み、この注入可能な処方物は、体液または組織との接触に際し、高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成し得る。
【0045】
20nmより大きい平均直径を有する鉄酸化物ナノ粒子は適切ではない。なぜなら、それらは、10,000J/m〜50,000J/mの範囲にある高磁気飽和および高磁気異方性で超常磁性挙動を示さず、そしてそれ故、交流磁場において、ヒト処置に適切な穏和な加熱を発生できないからである。
【0046】
ヒト身体に対して受容可能な、付与される最大の磁場強度は、誘導された渦電流が25W/Iより少ない熱産生を発生するように選択しなければならない。
【0047】
これは、交流場の周波数が制御される場合に可能である。
【0048】
例として、図1は、ヒト身体(直径40cm)に対する周波数に依存する最大の付与された磁場強度、および「Scientific and Clinical Application of Magnetic carriers」編者U.Haefeli、W.Schutt、J.Teller、M.Zborowski、Plenum Press、New York、1997、569〜595頁中で、A.Jordan、P.Wurst、R.Scholz、H.Faehling、J.Krause、R.Felixによって開示されるような、0.4S/mの身体の推定される電気伝導度を示す。
【0049】
例えば、50kHzの周波数について、10kA/mの最大の磁場強度が可能であり、より高い周波数は、より低い場強度をもたらす。
【0050】
鉄酸化物ナノ粒子は、好ましくは、5〜15nmの範囲の平均直径を有し、1以下のスパン値によって表現され得る狭いサイズ分布を備える。
【0051】
このスパン値は、(d10%−d90%)/d50%で規定され、d10%は直径のサイズを表し、粒子の10%がこのサイズより小さく、d90%は直径のサイズを表し、粒子の90%がこのサイズより小さく、そしてd50%は直径のサイズを表し、粒子の50%がこのサイズより小さい。
【0052】
本発明によれば、1以下のスパン値は、3〜30mTの範囲の磁束密度(2.388kA/m〜28kA/mに対応する)を有する100〜500kHzの範囲にある周波数が付与されるとき、有効な熱発生を保証する。
【0053】
最終サイズは、付与された交流磁場の周波数に依存する。
【0054】
本発明の目的には、上記鉄酸化物ナノ粒子は、好ましくは、磁赤鉄鉱ナノ粒子、磁鉄鉱ナノ粒子またはそれらの混合物である。
【0055】
好ましい実施形態では、上記ナノ粒子は、非球形形状を有し得、より好ましくは、より高い異方性定数を示すために、1〜3の範囲のより小さな直径に対するより大きな直径の直径比を備える。
【0056】
本発明における使用のための鉄酸化物ナノ粒子は、鉄酸化物なの粒子を調製するための古典的湿潤化学的プロセス、例えば、A.BeeおよびR.Massartによって、Journal of Magnetism and Magnetic Materials、122巻、1、(1990)に開示されるような、水溶液中の第二鉄および第一鉄塩化物のアルカリ同時沈殿、洗浄、熱化学的処理、および遠心分離の工程を含むプロセスに従って調製され得る。
【0057】
本発明の1つの実施形態では、上記鉄酸化物ナノ粒子は、生体適合性ポリマーで被覆され、それらの生体適合性を改善する。
【0058】
上記被覆された鉄酸化物ナノ粒子は、公知の生体適合性ポリマーで被覆する従来プロセスによって得られ得る。
【0059】
あるいは、本発明の別の実施形態では、上記鉄酸化物ナノ粒子は、無機ビーズまたは有機ビーズ中に固定化され得、Neel緩和に基づく熱発生を可能にし、これは、次に、再現可能な熱産生を確実にする。
【0060】
有機ビーズは、水不溶性ポリマーまたは水溶性ポリマーに基づき得る。
【0061】
上記水不溶性ポリマーまたは水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアセテート)のようなビニルポリマー、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、メチルセルロース、ヒドロキシプロビルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、またはカルボキシメチルセルロースのようなセルロースおよびその誘導体;ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、EudragitTMまたはポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)のようなアクリル;ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリアクリルアミド、ポリ(アミノ酸)、ポリ(ヒドロキシ酸)またはポリオルトエステルのような生分解性ポリマー;およびこれらのコポリマーが挙げられる。
【0062】
無機ビーズは、シリカ、(ヒドロキシアパタイト、リン酸三カルシウムを含む)リン酸カルシウム、炭酸カルシウムまたは硫酸カルシウム、およびチタン酸化物、ジルコニウム酸化物またはアルミニウム酸化物のような生体適合性酸化物、または鉱物ガラス(例えば、BioglassTM)に基づき得る。
【0063】
本発明の特に好ましい実施形態では、上記鉄酸化物ナノ粒子は、シリカビーズ中に固定化され得る。
【0064】
本明細書中で「鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズ」とも称される、上記鉄酸化物ナノ粒子を固定化するシリカビーズは、好ましくは20nm〜1μm、そしてより好ましくは300nm〜800nmの範囲の平均直径を有する。
【0065】
本発明における使用のための上記鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズは、本発明の一部を形成する新規プロセスに従って鉄酸化物ナノ粒子から調製され得る。
【0066】
鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを調製する上記新規プロセスは:
−鉄酸化物ナノ粒子の凝集物を得るために制御された量のポリ(ビニルアルコール)(PVA)の存在下で鉄酸化物ナノ粒子を凝集する工程、
−鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを得るために、上記鉄酸化物ナノ粒子の凝集物を、シリカ前駆体と反応させる工程、
を包含する。
【0067】
図2に示されるような、より詳細な様式で、図2a)に示されるような鉄酸化物ナノ粒子の凝集が、鉄酸化物ナノ粒子の凝集物を得るように制御された量のポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含む懸濁物中で実施され、ここで、最初の鉄酸化物ナノ粒子1は、図2b)で示されるように、PVA2で被覆される。
【0068】
鉄酸化物の凝集は、媒体中のPVAの存在によって強く影響される。なぜなら、PVAは、鉄酸化物ナノ粒子の表面上に吸着し、そして凝集に対してそれらを安定化させるからである。
【0069】
この懸濁物中に含まれるPVAの量を制御することは、最初の鉄酸化物ナノ粒子の凝集物のサイズを制御することを可能にする。
【0070】
上記懸濁物に添加されるPVAの量は、鉄酸化物に基づく低い含量のPVAは、800nmを超えるサイズを有する大きな凝集物をもたらし、鉄酸化物に基づく高含量PVAは50nmより小さいサイズを有する小さな凝集物をもたらすことを考慮して、場合により選択される。
【0071】
しかし、好ましい実施形態では、鉄酸化物に対するPVAの重量比は、好ましくは0.01〜1、そしてより好ましくは0.1〜0.43の範囲である。
【0072】
本発明による上記新規プロセスで用いられるPVAは、10kD〜100kD、そしてより好ましくは12kD〜20kDの範囲の分子量を有し、そして好ましくは50%〜100%、より好ましくは83%〜89%の範囲の加水分解の程度を有する。
【0073】
特に好ましい実施形態では、それから鉄酸化物ナノ粒子が凝集される懸濁物は、水、エタノール、アンモニアおよびPVAの混合物を含む。
【0074】
水、エタノールおよびアンモニア含量は、好ましくは、それぞれ、25.7、8.0および0.9Mであり、その一方、エタノール含量は、1〜16Mで変動され得、そしてアンモニア含量は、0.1〜2Mで変動され得る。
【0075】
次に、鉄酸化物ナノ粒子の凝集物は、その構造およびサイズを失うことなく、図2c)に示されるように、鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを得るために、シリカの前駆体、例えば、テトラエトキシシラン(TEOS)と反応される。
【0076】
この工程では、シリカは、シリカ「ブリッジ」によってともに連結された、いくつかのシリカで被覆された鉄酸化物ナノ粒子から作製される高度に開かれた構造に至る鉄酸化物ナノ粒子表面を形成する。
【0077】
この方法は、有利なことに、最初のナノ粒子1各々の完全なシリカ3による被覆をもたらし、これは、磁性性質にとって重要である。なぜなら、凝集物中の各ナノ粒子の隔離が、これもまた凝集された形態にある超常磁性挙動を保証するからである。
【0078】
シリカ前駆体は、好ましくは0.01〜2M、より好ましくは0.03〜0.06Mの範囲の濃度で添加される。
【0079】
この反応は、好ましくは攪拌下、好ましくは室温〜60℃で、好ましくは30〜300分の範囲の時間実施される。
【0080】
鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズは、通常、本発明による注入可能な処方物へのそれらの取り込みの前に、従来の洗浄工程および透析工程にさらに供される。
【0081】
特定の実施形態では、上記鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズは、生体適合性ポリマーでさらに被覆され得、それらの生体適合性を改善する。
【0082】
上記被覆された鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズは、公知の生体適合性ポリマーで被覆する従来プロセスによって得られ得る。
【0083】
本発明の注入可能な処方物の液体キャリアは、上記鉄酸化物ナノ粒子または鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズのためのキャリアとして作用し、そして体液または組織との接触に際し、鉄酸化物ナノ粒子を保持する固形または半固形インプラントをインサイチュで形成し得る。
【0084】
本発明の注入可能な処方物の注入後、体液または組織との接触に際し、インサイチュで形成される固形または半固形インプラントは、標的にされた部位の病的組織に熱発生鉄酸化物ナノ粒子を送達し得、その一方、病的組織の可塑化による、および標的にされた部位に熱発生鉄酸化物ナノ粒子を保持することによる治療効果に寄与する。
【0085】
身体中に注入されるとき体液または組織との接触に際し固形または半固形インプラントをインサイチュで形成し得、そして上記鉄酸化物ナノ粒子または鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを取り込む本発明の注入可能な処方物の液体キャリアは、
(i)水混和性溶媒中の沈殿性ポリマー溶液、
(ii)インサイチュ重合または架橋化合物、
(iii)熱硬化化合物、
(iv)ヒドロゲル、に基づき得る。
【0086】
本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の注入可能な処方物の液体キャリアは、水混和性溶媒中の沈殿性ポリマー溶液に基づく。
【0087】
この好ましい実施形態において、上記液体キャリアは、周辺の生理学的な水との溶媒の交換の後、組織中で沈殿する有機溶媒中の予め形成されたポリマーの溶液中にあり、それ故、組織を充填するポリマー鋳物を生成する。
【0088】
このような液体キャリアは、以下ではまた、「沈殿性ポリマー溶液」として設計される。
【0089】
この沈殿は、ポリマーと生理学的流体との間の界面で優先的に生じるので、これらの沈殿する因子は、その他のシステムと比較したとき、静脈の漏れのリスクを減少する傾向にある。
【0090】
上記液体キャリアは、ポリマー濃度を変更することによるか、またはポリマーの分子量を変更することによるかのいずれかにより制御され得る、注入のために適切な粘度を有する。
【0091】
用いられる有機溶媒は、好ましくは、臨床的または薬学的前例のいずれかを有するべきであり、例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、エタノール、酢酸水溶液、ジメチルイソソルビド(DMI)、N−メチルピロリドン(NMP)または2−ピロリドンのようなピロリドン、グリコフロール、イソピロリデングリセロール(ソルケタール)、エチルラクテート、グリセロール、ポリエチレングリセロール、プロピレングリコールまたはポリグリコール、およびトリエチルシトレート、ベンジルアルコールまたはベンジルベンゾエートのような親油性溶媒である。上記で述べた有機溶媒の水溶液および混合物が同様に用いられ得る。
【0092】
好ましくは、NMPまたはDMSOが用いられる。
【0093】
上記に述べられた溶媒中に溶解されるべきポリマーとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートのようなセルロースおよびその誘導体;ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)のようなアクリル;ポリウレタン、ポリ(ビニルアルコール)またはポリ(ビニルアセテート)のようなビニルポリマー;エレチンビニルアルコールコポリマー(EVAL);ポリウレタン;ポリカーボネート;ポリアクリロニトリル;ポリ(アミノ酸);およびこれらのコポリマーが挙げられる。
【0094】
生分解性ポリマーが同様に用いられ得、ポリ(ヒドロキシ酸)、ポリオルトエステル、セバシン酸またはその他の二酸コポリマーに基づくポリ(無水物)を含む。
【0095】
Dunnらによる米国特許第4,938,763号によ開示されるようなポリマーもまた、用いられ得る。
【0096】
好ましいポリマーは、臨床の前例を有し、例えば、K.Sugiu、K.Kinugasa、S.Mandai、K.Tokunaga&T.Ohmoto「セルロースアセテートポリマー(CAP)での実験的動脈瘤の直接塞栓:技術的側面、血管造影追跡、および組織学的研究」J.Neurosurg83、531−538(1995)およびK.C.Wright、R.J.Greff&R.E.Price「選択的動脈塞栓化のためのセルロースアセテートNFおよびエチレン−ビニルアルコールコポリマーの実験的評価」J Vasc Interv Radiol 10、1207〜1218(1999)によって開示されるセルロースアセテート、またはW.Takiら、「動静脈奇形の塞栓化のための新規液体材料」American Journal of Neuroradiology11、163〜168(1990)により;R.Jahanら「23患者におけるOnyx臨床病理経験にともなう動静脈奇形の塞栓化」Neurosurgery48、984〜995(2001)およびA.Komemushiら、「肝臓腫瘍のための新規液体塞栓材料」Acta Radiol43、183〜91(2002)によって開示されるポリ(エチレンビニルアルコール)、または生分解性ポリ(ヒドロキシ酸)がある。
【0097】
沈殿するポリマー溶液は、溶媒中にポリマーを3%〜60%W/W、そして好ましくは5%〜20%W/Wの範囲の濃度で溶解することにより得られる。
【0098】
別の実施形態では、本発明の注入可能な処方物の液体キャリアは、インサイチュで重合するか、または架橋する化合物(ii)に基づく。
【0099】
インサイチュで重合するか、または架橋する化合物の例は、モノマー、プレポリマーおよび最終的には開始剤を含み得る。
【0100】
例えば、このようなインサイチュで重合するか、または架橋する化合物は、シアノアクリレート接着剤、およびそれらの誘導体(例えば、アルキルシアノアクリレート)、整形外科セメントのために用いられるようなアクリルベースのポリマー(例えば、メタクリレートおよびアクリル誘導体)、または国際公開WO−A−03080144に開示されるようなMichaelの付加により架橋する化合物を含み得る。
【0101】
別の実施形態では、本発明の注入可能な処方物は、熱硬化性化合物(iii)に基づく。
【0102】
上記鉄酸化物ナノ粒子を送達および局在化するために用いられ得る熱硬化性化合物の例は、ポロキサマーおよびポロキサミン、アガロース、n−イソプロピルアクリルアミド(NIPAAM)、または米国特許第6,344,488号に開示されるもの、または国際出願PCT/EP04/002988号に開示されるもの(ヒドロゲルを形成する偽熱硬化性中和キトサン組成物およびそれを生成するプロセス)のようなキトサンを基礎にした熱硬化性ゲルを含む。
【0103】
国際公開第WO−A−9921908号に開示されるような、3ブロック生分解性コポリマーを基礎にした注入可能なポリマーもまた、高体温インプラントを生成するために用いられ得る。
【0104】
本発明のその他の実施形態では、上記鉄酸化物ナノ粒子またはナノ粒子含有ビーズは、ヒドロゲル処方物(iv)に取り込まれえる。
【0105】
上記ヒドロゲル処方物は、イオン濃度またはpH変化に従って固化し得る化合物を含む(例は、二価カチオンの存在下のアルギネート、またはSadato,Aら(ポリ(ビニルアセテート)エマルジョンの液体塞栓材料としての研究および臨床使用)Neuroradiology36、634〜641(1994)によるポリビニルアセテートラテックスである)。
【0106】
上記ヒドロゲル化合物はまた、2000年9月5日の「動脈瘤の治療処置のためのヒドロゲル」、米国特許第6,113,629号に開示されるような損傷の塞栓に用いられるようなものを含む。
【0107】
本発明による注入可能処方物は、鉄酸化物ナノ粒子の存在に起因して、ある程度の放射線不透過性を有する。
【0108】
しかし、さらなる放射線不透過性が要求され得、そしてこのさらなる放射線不透過性は、当業者によって知られるように、この注入可能な処方物に放射線不透過性剤の添加により得られ得る。
【0109】
この目的を達成するため、タンタル、タングステン、バリウム、ビスマス、ヨウ素またはジルコニウムのような大きな元素を含む金属、無機塩または有機化合物が添加され得る。
【0110】
より具体的には、硫酸バリウム、酸化ビスマス、タンタル粉末、タングステン粉末または酸化ジルコニウム、およびF.Mottu,D.A.RufenachtおよびE.Doelker(生物材料研究の医療用途−現在の局面のための放射線不透過性ポリマー材料)Inv.Radiol 34、323〜335(1999)によって開示される材料が、この目的のために用いられ得る。
【0111】
あるいは、放射線不透過性は、O.Jordan、J.Hilborn、O.Levrier、P.H.Rolland P.H、D.A.RufenachtおよびE.Doelder(介入放射線学のための新規放射線不透過性ポリマー)第7回World Biomaterials Congress Proceedings、Sydney、706頁(2004);F.Mottu、D.A.Rufenacht、A.Laurent&E.Doelker(大脳動脈瘤および動静脈奇形の直接塞栓形成のための放射線不透過性ポリマーとしてのヨウ素含有セルロース混合エステル)Biomaterials23、121〜131(2002);およびC.A.Mauerら(随伴する門脈の閉塞に起因して拡大されたブタ中の肝臓壊死を引き起こす新規放射線不透過性ポリマーでの肝臓動脈塞栓形成)J Hepatol32、261〜268(2000)によって開示されるような放射線不透過性ポリマーに基づく液体キャリアを用いることにより得られ得る。
【0112】
高体温療法と放射線療法または化学療法との間の公知の相乗効果を用いることによるさらなる治療効果を得るために、本発明による注射可能な処方物は、薬物または生物薬剤をさらに含み得る。
【0113】
より詳細には、本発明による注入可能な処方物は、薬物または生物薬剤(ペプチド、タンパク質、ヌクレオチド、遺伝子材料)、好ましくは抗癌物質または抗感染物質のような活性物質をさらに含み得る。
【0114】
これらの活性物質は、遊離物質、ポリマー誘導体化物質、またはナノキャリアもしくはマイクロキャリア中に包埋(ナノ粒子、マイクロ粒子、リポソームなど)された形態の下のいずれかで上記注射可能な処方物に取り込まれ得る。
【0115】
薬物または生物薬剤を含む上記注入可能な処方物から成形されるインプラントは、それ故、薬物を放出するため、または生物薬剤を送達するために用いられ得、この薬物放出/生物薬剤送達は、熱の生成によって増大され得るか、または誘引され得る有利な効果をともない、局在化され、制御可能な治療効果を可能にする。
【0116】
本発明による注入可能な処方物は、腫瘍を標的にするための固形または半固形インプラントをインサイチュで形成するために用いられ得る。
【0117】
例として、本発明による注入可能な処方物は、図3に示され得る手順に従う最小侵襲的操作によって腫瘍を処置するための固形または半固形インプラントをインサイチュで形成するために用いられ得る。
【0118】
最初に、図3a)に示されるように、適切なニードル4が、腫瘍コア5中への直接経皮穿孔によって導入される。
【0119】
第2に、本発明による注入可能な処方物が、図3b)に示されるように、このニードル4を通じて注入され、腫瘍コア5の腫瘍内スペースを充填し、そして次にこの注入可能な処方物は、体液または組織との接触に際して変性され、高体温固形または半固形インプラント6を形成する。
【0120】
従来の血管内塞栓形成とは対照的に、損傷の「可塑化(plastification)」が存在し、そして腫瘍壊死を崩壊する経過はない。
【0121】
上記インプラントは、温和な高体温処置のために熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子を担持する。
【0122】
次いで、図3c)に示されるように、高体温インプラントのインサイチュ形成の後、インプラント部位の周りの残りの腫瘍組織は、インプラントが腫瘍を取り囲むリム7中で細胞死に至る温和な高体温効果を誘導する交流磁場を受けるとき、加熱され得る。
【0123】
この加熱手順は、所望の効果を得るために繰り返され得る。
【0124】
最後に、腫瘍細胞死が、腫瘍内スペース充填および局在化加熱の組み合わせから得られる。
【0125】
熱切除およびその後の壊死をもたらす局所的過熱を生じ得る、侵襲的プローブを用いる従来の高体温処置とは対照的に、本発明による高体温インプラントは、細胞アポトーシスの誘導の点で、温和な加熱を送達する。
【0126】
本発明によるインプラントの独創性は、腫瘍部位およびその近傍で細胞傷害性効果の区画化を可能にすることであり、それ故、従来の塞栓形成または高体温手順と比較したとき、処置の効き目および安全性を増加させる。
【0127】
適用は種々の腫瘍を含み得る。なぜなら、直接穿刺手順は、多くの腫瘍の損傷内スペースへの接近を提供し得ることが観察されているからである。
【0128】
本発明の高体温インプラントが有利に適用され得る腫瘍タイプは、例えば、グロムス腫瘍で見られるような、そうでなければ積極的な外科的曝露を必要とし、そして外科的合併症の高いリスクを保持する、頭蓋底の稀な高度な血管損傷;現在のアクリルセメント移植に類似の、脊柱および骨盤の原発性および二次腫瘍損傷(J.B.Martinら、Radiology、229:593〜597(2003);D.San Millan Ruizら、BONE 25:85S−90S(1999)を参照のこと)があるが;前立腺癌;結腸直腸癌から生じるような肝臓転移にさらなる熱処置を提供する能力を備える。
【0129】
本発明による高体温固形または半固形インプラントは、さらなる適用、例えば、変性椎間板疾患を処置するために用いられ得る。
【0130】
この背中の痛みの頻繁な原因は、椎間板の線維状輪状靱帯の変性を含み、椎間板核のフラグメントの漏失を可能にし、潜在的に神経根刺激に至る。
【0131】
熱処置は、さらなる漏失を避けるように椎間板乾燥および瘢痕誘導のために用いられ、そして椎間板インプンントは、椎間板核を補充すると考えられ得る。
【0132】
本発明による高体温固形または半固形インプラントは、これら2つの処置形態を組み合わせるために有利に用いられ得る。
【0133】
従って、特定の実施形態では、本発明による注入可能な処方物は、変性椎間板疾患、例えば、椎間板ヘルニアを処置するための高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成するために用いられ得る。
【0134】
本発明による高体温固形または固形インプラントのさらなる用途は、高体温療法により処置され得る任意のその他の病変を処置するために予見され得る。
【0135】
痛み軽減のための身体治療の様式として外部再使用可能保熱パッドの形態の加熱材料のさらなる使用がさらに予見される。なぜなら、表面の熱は、急性の腰痛で用いられるように、痛みを消滅し、そして局所的な筋肉の痙攣を減少することが知られているからである。
【0136】
以下の実施例は、本発明を例示することが意図される。しかし、それらは、いかなる場合においても、本発明の範囲を制限すると考えられることはできない。
【実施例】
【0137】
(実施例1 鉄酸化物ナノ粒子)
8.65gのFeCl・6HO(0.086M)および3.18gのFeCl・4HO(0.043M)を、370mlの超純水に連続的攪拌の下で溶解した。30mlのアンモニア水(25容量%)を激しく攪拌しながら1ステップで添加した。黒い沈殿物が即座に形成された。この沈殿物を、永久磁石上に沈降させ、そして上澄液を除去した。この黒い沈降物を1回に400mlの超純水で3回洗浄した。分散物の最終容量は、超純粋を添加することにより300mlに設定した。このようにして得た分散物を、プラスチック遠心分離チューブに移し、そして5000gで5分間遠心分離した。遠心分離された固形分を丸底フラスコに配置した。60mlの0.35MのFe(NO・9HO水溶液および40mlの2M硝酸を添加した。この混合物を1時間還流した。このステップの間に、黒い分散物は褐色に変わった。この混合物を、永久磁石上に配置されたビーカー中に移し、そして冷却させた。上澄液を棄て、そして100mlの超純粋を添加した。このようにして得た分散物を適切な透析チューブ(Sigma Dialysis Tubing、セルロース膜、カットオフ>12,000)中で硝酸(10−2M)に対して2日間透析した。透析に用いた硝酸は、1日に2回交換した。最終産物をプラスチック遠心分離チューブに移し、そして30,000gで15分間遠心分離した。上澄液を集め、そして「濃縮磁性流体」と称する。
【0138】
この鉄酸化物ナノ粒子を含む「磁性流体」および「濃縮磁性流体」は、TEM、AFM、XRDおよびBETによって確認されたとき、9±1nmの数加重平均値をもつ5〜15nmの範囲の平均直径を示した。この鉄酸化物ナノ粒子は、わずかに細長く(楕円)、1.3±0.3のより小さな直径に対するより大きな直径の直径比を有していた。スパンは0.66であった。
【0139】
(実施例2 鉄酸化物ナノ粒子含有ビーズ)
(合成実験1)
a)ポリマー溶液:
ポリマー溶液は、乾燥ポリマー(PVA、Mowiol(登録商標)3−83、Clariant)を水中に溶解し、そしてこの溶液を90℃で15分間急速に加熱することにより調製した。このポリマー溶液のポリマー濃度は、0〜0.21重量%の範囲であった。Ultra−pure水(Seralpur deltaUV/UF設定、0.055μS/cm)を、すべての合成ステップで用いた。
【0140】
b)3.3mlの磁性流体を丸底フラスコ中の6.6mlのポリマー溶液と混合した。この混合物を、室温で5分間攪拌した。10mlのエタノールおよび1.5mlの水性濃縮アンモニアを激しく攪拌しながら添加した。フラスコを、50℃に設定されたサーモスタットに移した。250mlのテトラエトキシシランをこの混合物に攪拌しながら注入した。この系を50℃で1時間攪拌し、次いで、25mlの超純粋を添加し、そしてこの混合物を室温まで冷却した。このように生成された鉄酸化物シリカビーズのサイズは、50nmであった。
【0141】
(精製)
初期PVA濃度に依存して、このようにして得られた分散物は、
a)永久磁石上に沈降した(低ポリマー濃度)か、または
b)遠心分離された(高ポリマー濃度)。
【0142】
例えば、0.2重量%の初期ポリマー濃度(合成実験1)は、30,000gでの30分の遠心分離を必要とした。上澄液は棄て、そして超純粋を添加した。この手順は、少なくとも3回繰り返した。最終濃度は、超純粋で調節された。
【0143】
(合成実験2)
1mlの「濃縮磁性流体」を20mlのエタノールに分散した。0.1重量%のポリマー(PVA、「Mowiol」、Clariant、3−83、Mw:14,000g/mol、加水分解の程度:83%)を添加した。この合成は、上記に記載された合成実施例1の手順に従って実施した。このように生成されたビーズのサイズは、200nmであった。
【0144】
(合成実験3)
1mlの「濃縮磁性流体」を20mlのエタノールに分散した。ポリマーは添加しなかった。この合成は、上記に記載された合成実施例1の手順に従って実施した。このように生成されたビーズのサイズは、600nmであった。
【0145】
(実施例3:鉄酸化物ナノ粒子含有ビーズを含む注入可能な処方物およびインプラント)
44%エチレン含量を有するエチレン−ビニルアルコールコポリマー(EVAL E−105B、EVAL Europe、Belgium)を、DMSOに溶解した(8gポリマー/100ml DMSO)。シリカマトリックス(直径<1μmのビーズ)中に包埋された、鉄酸化物ナノ粒子(NP、直径<15nm)を、完全にボルテックスすることおよび音波処理により、ポリマー溶液中に懸濁した。5%〜30%のNP含量は、18Gシリンジを通じて注入可能な処方物を生じた。リン酸緩衝液pH7.2中の沈殿は、腫瘍可塑化のために適切な軟質の塊を生成した。沈殿緩衝液中の1ヶ月のインキュベーションの後、視覚検査によってはナノ粒子放出は観察されなかった。上澄液の分光光度計測定は、1%未満の鉄酸化物ナノ粒子が放出されことを示した(測定誤差内の値)。従って、ナノ粒子放出を示すことはインビトロでは観察されなかった。
【0146】
(実施例4:画像案内技法とのインプラント適合性)
実施例3のインプラントを、コンピューター化断層撮影スキャナー(CT走査)下で調べた。X線画像で見られ、図4に示されるように、NP含量とともに視界認知度は増加した。放射線不透過性を改善するために、10%の硫酸バリウムが添加され、高度に放射線不透過性の化合物を得た(2800のハウンスフィールド値)。この後者の処方物は、蛍光透視下で小さな斑点のある外観で不均一な放射線不透過性を提供し、組織中に注入される流体の流れを見ることを可能にした。あるいは、ヨウ素化基でグラフト化されたポリマー(44%ヨウ素W/W)は、放射線不透過性を改善するために用いられ得る(2300のハウンスフィールド値)。
【0147】
(実施例5:シリカビーズなしの鉄酸化物ナノ粒子を含有する注射可能な処方物およびインプラント)
磁性流体を凍結乾燥し、そしてそのように調製された鉄酸化物ナノ粒子(NP、直径<15nm)を、完全にボルテックスすること、および音波処理により、DMSO中に懸濁した。44%のエチレン含量を有するつエチレン−ビニルアルコールコポリマーを次いでこの懸濁物中に溶解した(8gポリマー/100ml DMSO)。5%〜30%のNP含量は、18Gシリンジを通じて注入可能な処方物を生じた。リン酸緩衝液pH7.2中の沈殿は、腫瘍可塑化のために適切な軟質な塊を生成した。沈殿緩衝液中の1ヶ月のインキュベーションの後、視覚検査または分光光度計測定によってはナノ粒子放出は観察されなかった。放射線不透過性は、シリカビーズでより有意に高かった(10%W/W濃度で540に代わって、960のハウンスフィールド値)。
【0148】
(実施例6:その他のタイプのポリマーの使用)
実施例3と同様の処方物をまた、ポリウレタン(Tecothane 1075DまたはTecogel、Thermedics)、アクリル(Paraloid A−12、Rohm;ポリ(メチルメタクリレート)、Fluka)、セルロースアセテート(CA−398−3、Eastman)、セルロースアセテートブチレート(CA381−0.5、Eastman)、ポリビニルアセテート(Mowilith 60、Hoechst)、ポリカーボネート−ウレタン(Aldrich 41,831−5)で得た。DMSO中のすべてのこれらの溶液は、シリカマトリックス(ビーズ)または鉄酸化物ナノ粒子中に包埋されたいずれの鉄酸化物ナノ粒子とも10%W/Wで混合され、沈殿物を形成し、そして生物学的組織中の注入のために適切である。
【0149】
(実施例7:代替溶媒の使用)
DMSOより良好な鉄適合性を提示する溶媒が、注入可能なインプラントを処方するために用いられ得る。ポリウレタンポリマー(TecothaneおよびTecogel)をN−メチルピロリドン中に溶解し(5%〜10%W/volのTecothane、15%〜20%W/volのTecogel)、そしてシリカマトリックス(ビーズ)中に包埋された10%の鉄酸化物ナノ粒子と混合し、組織可塑化に適切なソフトな粘着性の沈殿物を生成した。ジメチルイソソルビド(DMI)に溶解したポリ(エチルメタクリレート)(8gポリマー/100ml DMI)またはGlycofurol 75もまた、満足する処方物を生成した。
【0150】
(実施例8:ヒドロゲル様インプラント)
注射可能な緩やかにゲル化するナノ粒子含有アルギネート処方物を、以下のように作製した。2%W/Wアルギン酸ナトリウム(Fluka、Buchs)および0.5%W/Wリン酸三ナトリウムの溶液Aを、10%W/Wのリン酸カルシウムおよび10%W/Wのシリカマトリックス中に包埋した鉄酸化物ナノ粒子を含む溶液Bと混合した。注入を、二重シリンジまたは二重管腔カテーテルを用いて実施した。混合後、緩やかなゲル化が生じ、10分以内に軟質のヒドロゲルを生じた。インビトロではナノ粒子放出は観察することはできなかった。あるいは、迅速にゲル化するマトリックスが、(A)2%アルギン酸ナトリウムおよび(B)10%のナノ粒子含有ビーズを添加された1%〜8%の塩化カルシウム水溶液を混合することによって得られ、数秒以内に固いゲルを生成した。
【0151】
(実施例9:高体温骨セメントインプラント)
ナノ粒子を含むアクリル骨セメントを、アクリル粉末(PMMA)およびアクリル酸モモノマーからなる市販のSimplexTMセメントから作製した。15W/Wセメントを得るために0.45gの鉄酸化物ナノ粒子(シリカマトリックス(ビーズ)中に包埋されたか、または単独)を、1.6gのアクリル粉末および1mlのアクリル酸モノマーと混合した。このセメントには、23%までのナノ粒子含有シリカビーズ、または15%までのナノ粒子を装填し得た。これらセメントは、18Gニードルを通じて注射可能であり、そして通常のセメントと同様に固化した。ナノ粒子の放出は、インビトロでは観察されなかった。
【0152】
(実施例10:鉄酸化物ナノ粒子を含有する注射可能な熱硬化性処方物)
キトサン処方物を、先行技術(PCT/EP2004/002988「ヒドロゲルを形成する偽熱硬化性中和キトサン組成物およびそれを生成するプロセス」)に従って調製した。簡便に述べると、47%の脱アセチル化の程度のキトサンを3mlの塩酸0.03N中に溶解した。この溶液を4℃で冷却した。1mlの、ポリエチレングリコールまたは1,3−プロパンジオールと水との3:7の混合物を攪拌下で添加した。この溶液に、次いで、シリカビーズ中に包埋された10%〜20%W/Wのナノ粒子を添加し、そしてpHをNaOH 0.1Mの添加により6.8に調整した。水により、最終容量を5mlにした。この溶液を、次いで、21Gニードルを通じて37℃に保持された新鮮な移植片であるブタ尿管中に注入した。剛直性ゲルの形成が30分以内に観察された。
【0153】
(実施例11:生物活性骨セメントインプラント)
ヒドロキシアパタイト粉末、炭酸アパタイトセメント、リン酸カルシウムセメントおよびガラスセラミックス粉末に基づく生物活性セメントは、研究中または市販され入手可能である(例えば、NorianTM)。生物活性成分およびポリマー相を組み合わせるセメントは、別の有望な代替物である(例えば、CortossTM)。本発明者らは、2つの市販セメント、NorianTMおよびCortossTMを選択し、シリカビーズに包埋された20%W/Wまでの鉄酸化物ナノ粒子、または20%W/Wまでの鉄酸化物ナノ粒子を装填した。このセメントは18Gニードルを通じて注入し得、そして非装填セメントと同様に硬化された。
【0154】
(実施例12:ナノ粒子装填インプラントから放出される熱)
選択されたインプラントを、140kHzの周波数および4.77kA/mの磁場強度をもつ交流電磁場に提示した。温度増加は、示差熱量計中で測定され、それから生成された熱および材料エネルギー損失を算出した(J.−C.Barciら、Scientiffic and Clinical Application of Magnetic Carrier、Plenum Press、1997)。結果を以下の表1に示す。ナノ粒子(NP)とシリカマトリックス(ビーズ)中に包埋されたナノ粒子との間のエネルギー損失を比較すると、シリカ包埋は、かなりより大きい効率の加熱を提供するように見える。シリカ包埋ナノ粒子は、10〜37W/g範囲にあるエネルギー損失を有し、これは、効率的インビボ高体温療法に至ることが示されている値である。さらに、このインプラントマトリックスは、エネルギー損失に有意に影響し、高体温療法のために適切なインプラントマトリックスを選択することの重要性を示す。
【0155】
【表1】

(実施例13:インビボ予備実験)
シリカマトリックス(ビーズ)中に包埋された10%の鉄酸化物ナノ粒子を含む、実施例3の処方物を、マウス皮下結腸異種移植片腫瘍T380中に注入した。腫瘍容量に対する注入容量の比は、40%であった。図5は、輪郭領域によって示される場合の、高体温インプラントの腫瘍内分布を示す。期待されたように、上記液体は、固化する前に腫瘍の領域スペース中を実施に充填する。
【0156】
(実施例14:エキソビボ実験:イヌ前立腺モデル)
前立腺癌は、高体温インプラントの可能な標的であり、切除したイヌ前立腺を、10%タンタル粉末および10%のシリカマトリックス(ビーズ)中に包埋された鉄酸化物ナノ粒子を含む、N−メチルピロリドン中のポリウレタン(Tecothane 75、Thermedics、USA)5%溶液で塞栓化した。直接穿孔は、図6の蛍光透視画像上に示されるような完全な前立腺充填をもたらした。
【0157】
(実施例15:インプラントからの薬物放出)
本発明者らは、10%のシリカマトリックス(ビーズ)中に包埋された鉄酸化物ナノ粒子およびモデル薬物として10%W/Wのウシ血清アルブミン(BSA)が添加されたN−メチルピロリドン中のTecogel(Thermedics、USA)15%W/Wの溶液を調製した。この溶液は、リン酸緩衝液中で沈殿した。BSA放出を270nmの分光光度法によって測定した。80%のBSAが、図7に示されるように、17時間に亘って放出された。BSAおよび抗生物質のようなより小さな分子の放出はまた、より低い薬物濃度を用いて延長され得る。
【図面の簡単な説明】
【0158】
【図1】図1は、ヒト身体に対する周波数に依存する、付与された最大の磁場強度を示す。
【図2】図2は、鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを調製するためのプロセスにおける異なるステップを示す。
【図3】図3は、(a)腫瘍部位への経皮接近;(b)適切なニードルでの注入および腫瘍可塑化を生じる液体インプラントの沈殿;(c)インプラントが外部磁場を受けるとき生成されるさらなる穏和な高体温効果の概略図を表す。
【図4】図4は、ナノ粒子含量とともに増加する放射線不透過性を示す図を表す。
【図5】図5は、高体温インプラントの腫瘍内分布を示す塞栓されたマウス腫瘍の断面の写真である。
【図6】図6は、放射線不透過性高体温インプラントで満たされたイヌ前立腺の蛍光画像である。
【図7】図7は、高体温インプラントからのモデル薬物(BSA)の放出を示す図を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高体温による処置のための注入可能な処方物であって、
液体キャリア、および20nmより大きくない平均直径を有する熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子を含み、体液または組織との接触に際し、高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成し得る、注入可能な処方物。
【請求項2】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、5〜15nmの範囲の平均直径を有する、請求項1に記載の注入可能な処方物。
【請求項3】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が1以下のスパンを有し、該スパンがスパン=d90%−d10%/d50%で規定され、ここで、d90%、d10%およびd50%は該ナノ粒子の直径サイズであり、そして所定の%値がそのサイズより小さい粒子の%である、請求項2に記載の注入可能な処方物。
【請求項4】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、磁赤鉄鉱ナノ粒子、磁鉄鉱ナノ粒子またはそれらの混合物である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項5】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、非球形形状を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項6】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、1〜3の範囲のより小さな直径に対するより大きな直径の直径比を有する、請求項5に記載の注入可能な処方物。
【請求項7】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、生体適合性ポリマーで被覆されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項8】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、有機ビーズまたは無機ビーズ中に固定化されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項9】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、シリカビーズ中に固定化されている、請求項8に記載の注入可能な処方物。
【請求項10】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子が、20nm〜1μmの範囲の平均直径を有する、請求項9に記載の注入可能な処方物。
【請求項11】
前記熱発生超常磁性鉄酸化物ナノ粒子を固定化するシリカビーズが、300nm〜800nmの範囲の平均直径を有する、請求項10に記載の注入可能な処方物。
【請求項12】
前記鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズが、生体適合性ポリマーでさらに被覆される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項13】
前記液体キャリアが、水混和性溶媒中の沈殿性ポリマー溶液、インサイチュで重合または架橋する化合物、熱硬化性化合物およびヒドロゲルのいずれかに基づく、請求項1〜12のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項14】
前記液体キャリアが、周辺の生理学的水と有機溶媒を交換した後に組織中で沈殿し得る該溶媒中に予備成形されたポリマーの溶液にある、水混和性溶媒中の沈殿性ポリマーの溶液に基づき、該組織を充填するポリマー鋳物を形成し得る、請求項13に記載の注入可能な処方物。
【請求項15】
放射線不透過性剤をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項16】
前記液体キャリアが、放射線不透過性ポリマーに基づく、請求項13または14に記載の注入可能な処方物。
【請求項17】
薬物または生物薬剤をさらに含む、請求項1〜16のいずれか1項に記載の注入可能な処方物。
【請求項18】
高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成するための、請求項1〜17のいずれか1項に記載の注入可能な処方物の使用。
【請求項19】
腫瘍を処置するための高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成するための、請求項18に記載の注入可能な処方物の使用。
【請求項20】
変性椎間板疾患を処置するための高体温固形または半固形インプラントをインサイチュで形成するための、請求項18に記載の注入可能な処方物の使用。
【請求項21】
高体温の固形または半固形インプラントであって、請求項1〜17のいずか1項に規定される注入可能な処方物が身体中に注入されるとき、該注入可能な処方物と体液または組織との接触に際しインサイチュで形成される、インプラント。
【請求項22】
請求項9に記載の注射可能な処方物における使用のための鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを調製するプロセスであって:
鉄酸化物ナノ粒子の凝集物を得るために制御された量のポリ(ビニルアルコール)(PVA)の存在下で鉄酸化物ナノ粒子を凝集させる工程、
鉄酸化物ナノ粒子含有シリカビーズを得るために、該鉄酸化物ナノ粒子の凝集物を、シリカ前駆体と反応させる工程、
を包含する、プロセス。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2008−545665(P2008−545665A)
【公表日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512689(P2008−512689)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【国際出願番号】PCT/EP2005/005553
【国際公開番号】WO2006/125452
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(503083421)ユニベルシテ ドゥ ジュネーブ (4)
【出願人】(506067039)エコール・ポリテクニーク・フェデラル・ドゥ・ローザンヌ(ウペエフエル) (3)
【氏名又は名称原語表記】Ecole Polytechnique Federale de Lausanne (EPFL)
【出願人】(507352422)ホピト ユニベルシテレ ドゥ ジュネーブ (1)
【Fターム(参考)】