説明

高周波振動による洗浄方法及びその装置

【課題】 水を伝搬媒体として高周波振動エネルギーを効率良く放射させて、人体や家畜の洗浄や血行促進及び抗菌消臭をなし、或いは水中の菌類や微生物の繁殖抑制を図る方法及び装置の提供。
【解決手段】 圧電磁器振動板材と金属板材及び金属膜とをユニモルフ構造若しくはバイモルフ構造に接合のうえ、放射振動板材の内面に均等に分散配置し、且背面に振動吸収板材が挟持されたうえ、密閉基板と放射振動板材とで密閉形成された高周波振動放射具と、該放射振動板材より20乃至100kHzの高周波振動を放射させる高周波電源とからなり、高周波振動放射具を水と接触させて洗浄や血行促進、抗菌消臭をなす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は伝搬インピーダンスの高い水を伝搬媒体として高周波振動エネルギーを効率良く放射させて、人体や家畜類の洗浄や血行促進及び消臭抗菌をなし、或いは水中の菌類や微生物類の繁殖抑制のなしえる方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在においては財やサービスの生産手段はもとより、提供される財やサービスにも環境や省エネルギー、安全性、健康維持或いは高齢者への対応等の要件を具備することが不可欠とされている。
即ち従来までの状況について見れば、入浴においては身体からの発汗や分泌物と且汚れの洗浄及び温浴に伴う疲労回復には有効な方法であるが、浴温はせいぜい42乃至45℃以下で利用されるものであるから、人体より浴水内に剥離混入する細菌類等は有機物や油脂分を栄養源として繁殖し易く、仮令排水させても風呂釜との管路内に残留して繁殖し、再利用時には浴水が著しく汚染された状態となる。
【0003】
加えて入浴に際しては、温浴とともに石けんや洗剤を用いて身体を擦りながら発汗や分泌物或いは汚れの除去を図る事がなされているものの、高齢化に伴い皮膚の新陳代謝機能が低下することから、石けんや洗剤により擦り除去することは皮膚を著しく損傷せしむるばかりか、該損傷部分からの雑菌類の進入による数多の皮膚炎症を惹起せしめている結果となっている。
【0004】
更に近年においては健康志向を反映して、全国各地にスーパー銭湯と称される温浴施設が林立しているものであるが、該スーパー銭湯では大人数の利用がなされるため、膨大量に昇る浴水と且加熱エネルギーを要することから省浴水化及び省エネルギー化への対処としてその殆んどが循環方式を採用している。而しながら大人数の利用はそれだけ浴水中に多種多様の発汗や分泌物及び雑菌類が混入するばかりか、この雑菌類が循環管路内にスライムとなって付着するとともに、このスライムがレジオネラ菌の格好の温床ともなる。
これがため温浴施設においては定期に次亜鉛酸ソーダ等の殺菌剤による消毒を施すものの、スライム内に潜在するレジオネラ菌には十分な殺菌効果が発揮されぬため、適宜の栄養分と且温度条件とにより急速に繁殖し、度々人命を損なう惨事を惹起せしめている。
【0005】
他方養牛、養豚、養鶏等の畜産業においても、古くからの自然条件下での開放的飼育から、近年においては牛舎や豚舎或いは鶏舎等の施設内における半開放的飼育に転換されているものの、かかる半開放的施設内の床面は飼育される家畜類の糞尿や飼料残滓或いは泥土等が混在した状態におかれ、且かかる施設内は比較的温暖であることとも相俟って雑菌類が猛烈に繁殖した状態におかれている。そして乳牛においては乳房部位に昆虫類が飛来掴止し若しくは生理的痒み等を除去するため雑菌類の付着する尾部で掻打することによる乳房炎の発症や、或いは養鶏においてはコッカス菌類による脱毛死亡事故が多発している。これがため実情としては抗生物質の混入された飼料や或いは殺菌剤による消毒をなさざるを得ない状況におかれている。
【0006】
加えて近年では都市化による都市部への極度の集中化に伴い、土地の有効利用のうえから事務所や店舗はもとより住居に至るまで高層若しくは超高層建物への転換が図られている。
而してかかる高層若しくは超高層建物においては膨大数に亘って区画され若しくは区分所有されて利用されるもので、それぞれの区画や区分所有内では多様な業務や生活がなされるものであるから、排水される水質も極めて多種多様な水質に亘り、且各階毎には横排水管で而も所要の間隔毎に設けられた縦排水管へと連結されて浄化槽や下水道へと放流されるものである。而しながらかかる排水管は建物構造内に配設されるため年間を通して温暖なうえ、排水される水質も生活雑排水や調理用排水等有機物や油脂等が多く、従って該排水管内には細菌類や微生物類の繁殖によるスライムの付着が重積され、更には該スライムに食品残滓や毛髪等が絡着され、短期に排水管の閉塞や臭気の発生も招来されるため、定期に排水管清掃をなさねばならず、莫大な費用と時間及び労力が強いられる結果となっている。
【0007】
発明者はかかる問題に対して早くから環境や省エネルギー、安全性或いは健康保持面等にも対処できる解決手段について鋭意研究を重ねてきた結果、圧電セラミックスのピエゾ電気逆効果を利用した圧電磁器振動素子若しくは磁歪振動素子によって略100Hz乃至200MHz程度に亘る振動発生が可能であることを究明するとともに、特定の高周波振動によっては水に対してキャビテーション作用が発揮され且その使用安全性が高いこと等により、既に水中に投げ込んで超音波を発生させるものや、美容器のプロープを振動させて美肌効果を高めるもの、或いは液体を収納する容器と一体に低周波発信器と高圧電源を隔離室を介して保持させ、超音波発生素子から発生させた超音波で被処理物の洗浄をなす装置等が公知されている。
【特許文献1】 特開平10−52669号公報
【特許文献2】 特開2000−233005号公報
【特許文献3】 特開平5−253275号
【0008】
而して本発明は浴水中の細菌類や微生物類の繁殖を抑制させて浴槽や水槽若しくは循環管路内の浄化とレジオネラ菌の繁殖防止を初め、洗剤の使用や擦りを要することなく身体の浄化を図り若しくは家畜類の洗浄と抗菌による防病と育成促進を図ること、或いは給水管や排水管内の細菌類や微生物類の繁殖抑制と給水管や排水管内への赤錆、スケール、スライム等の付着物の除去や付着重積を防止することにある。これがためには高周波振動の振動数領域を広範囲に亘り、且間欠的若しくは連続的に放射させ而も伝搬インピーダンスの高い水を伝搬媒体として放射伝搬させることにより、低出力で高い洗浄効果や血行促進或いは消臭抗菌効果が発揮されることに想到し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は伝搬インピーダンスの高い水を伝搬媒体として高周波振動エネルギーを効率良く放射させ、人体や家畜類の洗浄や血行促進及び消臭抗菌をなし、或いは水中の菌類や微生物類の繁殖抑制しえる高周波振動による洗浄方法及びその装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術的手段は、その高周波振動放射具には20乃至100kHzの高周波振動数を振動放射しえる圧電磁器板材の一側面に金属板材及び他側面には銀、銅等の金属膜を接合したユニモルフ構造、若しくは金属板材の両側面に圧電磁器板材及びその外側面にそれぞれ銀、銅等の金属膜を接合してバイモルフ構造となしたうえ、金属やセラミックス若しくは合成樹脂素材からなる放射振動板材の内面に略均等に分散配置させ、且このユニモルフ構造若しくはバイモルフ構造体の背面には、高弾性素材からなり高周波振動を吸収緩和しえる振動吸収板材が挟持されてなり、而も密閉基板と放射振動板とにより密閉されて高周波振動放射具が形成されている。
【0011】
更に高周波振動放射具としては圧電磁器板材に代えて磁歪振動板材を使用することも可能で、磁歪振動板材による場合は予め所要の形状に磁歪フェライトを用いて形成してなる磁歪振動板材の脚部下端にバイアス磁場フェライト磁石を挟持させたうえ、脚部上部にそれぞれ励起用コイルを巻着させ、この励起用コイルに共振周波数に等しい周波数の高周波電力を付加してバイアス磁場に交番磁場を重ねることにより、磁歪振動板材より高周波振動を放射せしめるもので、脚部側面や下面には高周波振動を吸収緩和しえる高弾性素材からなる振動吸収板材が挟持されたうえ、全体を金属若しくはセラミックス若しくは合成樹脂素材からなる密閉基板により密閉形成された構成からなる。
【0012】
加えて高周波振動放射具としてコンデンサー振動によるものを提案されるもので、所要の寸法に形成された絶縁性基材の上面は金属素材からなり且その上面側に微細凹凸面が形成された金属背極板が接合され、更にこの金属背極板にはその上面に金属蒸着等の金属膜が施された合成樹脂フィルム材が接合されることで、微細凹凸面による空気層をコンデンサーにしてコンデンサースピーカーとして機能させ、且これら全面を耐水被覆層で密閉させた構成からなるものである。
【0013】
そしてこれら高周波振動放射具には、それぞれの高周波振動放射具を駆動させて高周波振動を振動放射させるため、高周波電源より所定の高周波数若しくは所定範囲の高周波数の高周波電力を間欠的に若しくは連続的に付加させる構成とにより、本発明高周波振動による洗浄装置が形成されるものであって、且この高周波振動放射具を浴槽や水槽若しくは給水管、排水管路内等において高周波伝搬インピーダンスの高い水と直接接触させた状態で効率良く振動放射伝搬させて、人体や家畜類の洗浄や血行促進及び抗菌消臭或いは水中の菌類、微生物類の繁殖抑制をなす高周波振動による洗浄方法に存する。
【発明の効果】
【0014】
本発明は上述の如き構成からなるもので、高周波電源もトランジェスターやサイリスターの利用により、所要の高周波数若しくは所要の範囲の高周波数で且適宜の間隔を以って間欠的に若しくは連続的に、高周波振動放射具に対して小型で簡便な回路と大きな出力を以って付加させることができ、且高周波振動放射具が圧電磁器板材からなりユニモルフ若しくはバイモルフ構造によるときは、共振波長に関係なく極めて広範囲の高周波振動をその放射振動板材より対向方向に、拡散減衰させることなく振動放射がなしえる。加えて高周波振動放射具がコンデンサースピーカーの構成からなる場合には、高出力の振動放射が要請されぬ場合には極めて広面積に亘っての高周波振動放射がなされる。
更に高周波振動放射具が磁歪振動板材からなる場合には、バイアス磁場と交番磁場との重ね合せにより振動放射がなされるため、小面積の振動放射面より強力な高周波振動放射がなしえる。
【0015】
そして本発明高周波振動放射具は、その外周面全体が放射振動板及び密閉基板とにより密閉形成されてなるばかりか、該高周波振動放射具の圧電磁器板材やコンデンサースピーカーの絶縁性基材或いは磁歪振動板材等の背面や脚部側面には、高弾性素材からなる振動吸収板材が挟持挟着されてなるから、浴槽や水槽若しくは循環管路等において、その振動放射面が水に浸漬され若しくは水と接触するように浴槽や水槽或いは循環管路に係止、吸着、或いは螺着固定等により設置されても高周波振動が浴槽や水槽或いは循環管路に直接振動放射されることが防止され、設置構築物の劣化や脆化も保護される。
【0016】
加えて高周波振動放射面には、高周波振動の伝搬インピーダンスの高い水と接触しているため、高周波振動エネルギーが浴槽や水槽全体に効率よく伝搬され、水のキャビテーション化の促進により洗浄効果はもとより発生する−OHイオンによる高い殺菌力と分解力とによる抗菌性と且消臭性も発揮され、而も高周波振動数の適宜変換や間欠的高周波振動の放射で、人体や家畜類においては微細振動の付加により血行促進が著しく高まり、且浴槽や水槽若しくは給水管、排水管等循環管路内の付着重積している赤錆、スケール、スライムの除去効果や付着防止効果も発揮される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
高周波振動放射具が圧電磁器板材を用いたバイモルフ構造からなり、この高周波振動放射具に高周波電源よりその周波数が20kHz乃至100kHzの高周波数で、且適宜の間隔を以って間欠的若しくは連続的に付加せしめるとともに、該高周波振動放射具を水中に浸漬させ若しくは水が接触する状態で高周波振動放射をなす。
【実施例1】
【0018】
以下に本発明実施例を浄化装置の図とともに詳細に説明すれば、図1は本発明浄化装置1の高周波振動放射具1Aが圧電磁器板材10Aにより形成される場合の断面説明図であって、同図1のAには圧電磁器板材10Aによるユニモルフ構造の場合が示されてなるもので、所要の寸法形状に形成された圧電磁器板材10Aの一側面にはステンレスや黄銅等からなる金属板材11Aが銀、銅若しくはアルミ等の金属膜12Aを通電極として介在させ接合され、且圧電磁器板材10Aの他側面にも銀、銅若しくはアルミ等の金属膜12Aが通電極として接合された構成からなるものである。
かかる場合において圧電磁器板材10Aの素材としては通常チタン酸ジルコン酸鉛(ZroTio)Oが使用されるが、更に最近に至っては第3成分としてマグネシウム・ニオブ酸鉛を付加したPbTio−PbZrO−Pb(MgNb)O等も使用されている。
加えて圧電磁器板材10Aはユニモルフ構造やバイモルフ構造にかかわりなく、共振波長の制約を受けることなく略20乃至100kHzの高周波振動を放射しえるもので、より望ましくはその形状が円形で且その直径においては略2乃至6cm、厚さにおいては略0.1乃至0.5mm程度が望まれる。
【0019】
更に図1のBにはバイモルフ構造による断面説明図が示されており、該バイモルフ構造においては所要の寸法形状に形成されてなる圧電磁器板材10Aがステンレスや黄銅からなる金属板材11Aを挟んで接合され、且それぞれの圧電磁器板材10Aの外面に銀、銅、アルミ等の金属膜12Aが通電極として接合された構成からなるものである。
【0020】
図2は本発明浄化装置1における高周波振動放射具1Aの断面説明図であって、使用目的に合せて要請される高周波振動エネルギーの放射面積に合せて形成された振動放射板材10の内面には、圧電磁器板材10Aからなるユニモルフ構造若しくはバイモルフ構造のものが略均等に分散配置されており、且その背面及び空隙部分には、高弾性素材からなり高周波振動を吸収緩和しえる振動吸収板材10Bが挟持されている。
この振動吸収板材10Bは、高周波振動放射具1Aの実用使用に際して、浴槽3Aや水槽3B或いは循環管路3C等に適宜手段で設置させる場合に、これら浴槽3Aや水槽3B或いは循環管路3C等の設備3への高周波振動の放射を遮断して、該設備3等の劣化や脆化の防止と且高周波振動に伴う振動音の発生防止にある。かかる場合の振動吸収板材10Bの具体的素材としては、合成ゴムやポリウレタン樹脂素材による軟質独立気泡シート材が挙げられる。
【0021】
そして振動放射板材10の内面には、圧電磁器板材10Aからなるユニモルフ構造若しくはバイモルフ構造のものが略均等に分散されて配置され、且その背面や空隙部分に振動吸収板材10Bが挟持されたうえは、密閉基板11Bにより振動放射板材10とを密閉接合させて、水中使用若しくは水との接触使用に際しての十分な防止性を付与せしめている。
かかる場合における密閉基板11Bの素材としては特段に制約は無いが、成可く強靭で且振動放射板材10との接着性に優れる素材であれば良い。そして、それぞれの設備3の適宜部位に高周波振動放射具1A等を係止や固定させるうえから、必要に応じて密閉基板11Bの裏面には固定フック12B若しくは吸着盤13B等を設けることも提案される。図3には前記高周波振動放射具1Aの正面図が示されている。無論、高周波振動放射具1Aはかかる形状に限定されることなく、目的に応じて多角形状や多面形状も使用される。
【0022】
かくしてなる高周波振動放射具1Aには、所望の高周波振動エネルギーを振動放射せしむるうえから、高周波電源2より所望の高周波電力2Aを付加させるものであるが、この高周波電源2からの高周波電力2Aは水をキャビテーションさせて微細気泡の発生とその崩壊による衝撃力を以って洗浄をなし、及び気泡崩壊に伴い創出される−OHイオンによる抗菌や消臭作用の発揮、或いは高周波振動に伴う振動波の刺激による人体や家畜類へのマッサージ作用或いは浴槽や水槽或いは給水管、排水管等の循環管路内に付着重積する赤錆、スケール、スライムの除去や付着防止、若しくは人体や家畜類の体内透過による血行促進等の目的により、その高周波数や付加方法も変化させることが望ましい。
【0023】
即ち水のキャビテーションによる軽度の洗浄を図るものでは25乃至40kHzの高周波をトランジェスタ自励発振回路20Aより連続的に付加せしむることでなしえるものであって、図4のAには高周波振動38kHz放射、出力20Wの場合のトランジェスタ自励発振回路20Aが示されている。
反面強力な高周波振動放射をなすうえからは、主発振/電力増幅方式が好適で且高周波振動放射具1Aも圧電磁器板材10Aによるユニモルフ構造やバイモルフ構造に代えて、磁歪振動板材10Cを用いた高周波磁歪振動放射具1Cの使用が望まれるもので、図4のBには振動放射が28kHzで放射出力30Wの場合の主発振/電力増幅発振回路図20Bが示されている。
【0024】
そして近年においてはサイリスタ(SCR)の採用により大出力の高周波振動放射のための発振回路が、小型で簡易且安価に作成できることから、かかるサイリスタ(SCR)発振回路20Cの採用が好適であって、図4のCにサイリスタ発振回路20Cが示されてなるもので、該サイリスタ発振回路20Cは振動放射が10kHzで放射出力500Wの場合のもので、かかる如く振動放射出力が大きな場合には、高周波振動放射具1Aも圧電磁器板材10Aをボルト締めで立体的に組合せたランジュバン型放射具(BLT)の使用が望ましい。
【0025】
加えて該サイリスタ発振回路20Cで明らかな如く、パルス発生器を内蔵させておき任意周波数の高周波パルスを適宜に発生させ若しくは所要の間隔を以って間欠的に発生させることにより、高周波振動放射も多様な高周波振動と且連続的若しくは間欠的に放射させることができる。
【0026】
図5は圧電磁器板材10Aによる高周波振動放射具1Aでの浴槽3Aにおける使用態様図であって、浴槽3Aの壁面に高周波振動放射具1Aの背面を係止若しくは吸着固定させたうえ、該高周波振動放射具1A全体が水浸しえる水位まで浴水30を注入のうえ、高周波電源2より高周波電力2Aを付加させる。
更に他の使用方法としては、該高周波振動放射具1Aを浴槽3Aの底面に敷設させ、若しくは浴水30面に浮遊させて使用しても良い。
【0027】
図6は牛や豚、羊等の家畜類の洗浄や抗菌消臭に使用する場合の態様図であって、所要容積の水槽3Bには家畜類の歩行路40が設けられ、且水槽3Bの壁面に高周波振動放射具1Aの放射振動板材10面を対向配設させて高周波電力2Aを付加させ、歩行路40に沿って家畜類を歩行移動させることが提案される。
【0028】
図7は給水管若しくは排水管の循環管路3C内の給水若しくは排水循環水31の洗浄や抗菌消臭及び赤錆、スケール、スライム等の剥除若しくは付着防止のための使用態様図であって、かかる場合の使用に際しては比較的振動放射出力の強い振動放射が望まれるため、圧電磁器板材10Aを用いたランジュバン型放射具や高周波磁歪振動放射具1Cが好適であって、配設方法としては排水管若しくは循環管路3Cの連結端縁に、その振動放射板材10を排水や循環水と接触するように嵌着させるか、若しくは該排水管3Cに包着固定させれば良い。かかる振動放射には略30乃至60kHz程度の高周波振動と、且好ましくは略1乃至5秒間程度の間欠的振動放射がスライム剥除のうえから望ましい。
【0029】
図8には高周波コンデンサー振動放射具1B及び高周波磁歪振動放射具1Cの原理図が示されてなるもので、同図8のAはコンデンサー振動放射においては、絶縁素材からなる絶縁性基板4Aの上面に金属素材からなり、その表面に微細若しくは粗雑な凹凸を形成させた金属背極板4Bが接合され、且この金属背極板4Bの上面にはその外面に金属膜4Cが形成された絶縁シート4Eが密閉接合される構成のもので、かかる構成により絶縁シート4Eと金属背極板4Bとの間に密閉される凹凸が空気薄層を形成して、コンデンサー機能を保持し、金属背極板4Bと金属膜4Cとに高周波電力2Aを付加することにより、高周波振動放射がなされるもので、放射振動出力が比較的小さく且広面積に亘って振動放射をなす場合には極めて好都合である。絶縁シート4Eはポリエステルフィルムの厚さ5乃至30μmの外面のアルミや銅等を蒸着させたものが有利であり、且かかる構成における振動放射は絶縁シート4Eの厚さと空気薄層の厚さとにより共振周波数も影響を受けるが、本発明における実用使用の高周波振動が略20乃至100kHzのものでは、かかる構成で対処できる。
【0030】
図8のBに高周波磁歪振動放射具1Cの原理図であって、所要の形状に形成された磁歪振動板材5Aは磁歪フェライトを用いて所要の形状に形成され、且該磁歪振動板材5Aにはバイアス磁場に交番磁場を付加させるための励起用コイル5Bを巻回させる脚部5Cが形成されている。そしてこの脚部5Cの下端にはバイアス磁場フェライト磁石5Dが挟持されており、且この励起用コイル5Bに共振周波数に等しい周波数の高周波電力2Aを付加させることで、バイアス磁場に交番磁場が加重されて磁歪振動板材5Aより高周波振動放射がなされるもので、該高周波磁歪振動放射具1Cは比較的狭い範囲に強力な高周波振動放射をなす場合には極めて有利となる。
【産業条の利用可能性】
【0031】
使用目的と高周波振動放射に要する振動放射面積及び振動放射出力に合せて、高周波振動放射具を選択配設のうえ高周波電源より高周波電力を付加させることで簡便に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】 圧電磁器振動板の断面説明図である。
【図2】 高周波振動放射具の断面説明図である。
【図3】 高周波振動放射具の正面見取図である。
【図4】 高周波発振回路の例示図である。
【図5】 浴槽に使用する使用態様図である。
【図6】 家畜類の洗浄水槽における使用態様図である。
【図7】 排水管への使用態様図である。
【図8】 コンデンサー若しくは磁歪振動板による高周波振動の原理図である。
【符号の説明】
【0033】
1 本発明浄化装置
1A 高周波振動放射具
1B 高周波コンデンサー振動放射具
1C 高周波磁歪振動放射具
10A 圧電磁器板材
11A 金属板材
12A 金属膜
10 振動放射板材
10B 振動吸収板材
11B 密閉基板
12B 固定フック
13B 吸着盤
10C 磁歪振動板材
2 高周波電源
2A 高周波電力
20A トランジェスタ自励発振回路
20B 主発振/電力増幅発振回路
20C サイリスタ発振回路
3 設備
3A 浴槽
3B 水槽
3C 排水管路若しくは循環管路
30 浴水
31 給水若しくは排水循環水
4A 絶縁性基板
4B 金属背極板
4C 金属膜
4D 耐水被覆層
4E 絶縁シート
5A 磁歪振動板材
5B 励起用コイル
5C 脚部
5D バイアス磁場フェライト磁石
40 歩行路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電磁器板材と金属板材及び金属膜とをユニモルフ構造若しくはバイモルフ構造に接合したうえ、放射振動板材の内面に略均等に分散配置され、且その背面に振動吸収板材が挟持されたうえ、放射振動板材と密閉基板とにより密閉形成された高周波振動放射具と、該高周波振動放射具のユニモルフ構造若しくはバイモルフ構造に高周波電力を付加せしめて、その高周波振動が20乃至100kHzの範囲の高周波振動を間欠的若しくは連続的に放射振動させる発振回路を有する高周波電源とにより構成される、高周波振動による洗浄装置。
【請求項2】
高周波振動放射具が、所要寸法形状の絶縁性基板に且その上面に微細凹凸面が形成された金属背極板が接合され、更にこの金属背極板にはその上面に金属膜を有する絶縁シートが密閉接合されたうえ、これら全面が耐水被覆層で被覆された構成からなる、請求項1記載の高周波振動による洗浄装置。
【請求項3】
高周波振動放射具が、上部に放射振動部と下部に対向するように脚部が磁歪フェライトを用いて形成され、且対向する脚部下端にバイアス磁場フェライト磁石が挟持され、而も脚部上部には励起用コイルが巻着され、この励起用コイルに共振周波数に等しい高周波電力を付加させて、バイアス磁場に交番磁場を重ねて高周波振動放射をなし、且この全面を密閉基板により密閉形成させた構成からなる、請求項1記載の高周波振動による洗浄装置。
【請求項4】
高周波振動放射具の放射振動面を、浴槽や水槽、給水管、排水管や循環管内の水と接触させ、その放射振動数が20乃至100kHzの高周波振動を間欠的若しくは連続的に放射伝搬させ、以って人体や家畜類の洗浄や血行促進、抗菌消臭或いは給水管、排水管や循環管路内の抗菌消臭若しくは赤錆、スケール、スライムの付着物の除去や付着重積防止をなす、高周波振動による洗浄方法。
【請求項5】
高周波振動放射具より高周波振動を間欠的若しくは連続的に放射振動させる高周波電源に、電池若しくはバッテリーが内蔵されてなる請求項1乃至請求項3記載の高周波振動による洗浄装置。
【請求項6】
高周波振動放射具が多角形状若しくは多面形状に形成されてなる、請求項1乃至請求項3記載の高周波振動による洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−259793(P2008−259793A)
【公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128610(P2007−128610)
【出願日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(508154014)株式会社テックテン (2)
【Fターム(参考)】