説明

高圧プレス用の圧力容器

本発明は、シリンダ本体(2)を形成する少なくとも第1及び第2のサブシリンダ(4,6)と、高圧媒体の漏れに対して両サブシリンダ間のジョイント(3)をシールするシーリング構成体とを具備する高圧プレス用の圧力容器(1)に関する。シーリング構成体は、リング形状のシーリングバンド(18)と、第1及び第2のサブシリンダ内にそれぞれ配置された第1及び第2の突出フランジ(30、32)とを具備する。シーリングバンドは、装着位置で径方向にプレストレスを与えられるようにして、両突出フランジに当接し、両サブシリンダ間のジョイントをシールするように重ねるように、両突出フランジ内で同心に位置されている。シーリング構成体は、その構成要素の交換を容易にするために、第2のサブシリンダの内壁に配置され、第1の突出フランジから、第2のサブシリンダから離れるように軸方向に延びた第1の周縁の装着スペース(51)を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軸方向で互いに接続され、シーリング構成体によってシールされた第1のサブシリンダ及び第2のサブシリンダを有する高圧プレスに関する。本発明は、さらに、前記シーリング構成体の構成要素の交換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧プレスの高圧プレス成形動作中、圧力媒体は、非常に高い圧力に加圧される。圧力媒体は、流体である。高圧プレスは、さまざまなアプリケーションで使用されることができる。高圧プレスは、例えば、閉じた圧力容器中に与えられた流体をかなり加圧することによって、シート状の金属片を所定の形状にするために使用されることができ、中間ダイアフラムなどに圧力を及ぼすように使用する。高圧プレスが圧力容器中の内容物の全ての側に等しい圧力を及ぼすのであれば、プレスは静水圧プレスと呼ばれる。静水圧プレスは、金属又はセラミックの粉末の圧縮又は高密度化のために、鋳造又は焼結物品の細孔又はボイドの減少のために、食料の滅菌及び保存のためになど使用されることができる。静水圧プレス成形のプロセスの間、圧力媒体の温度に応じて、プロセスは、熱間静水圧プレス成形(HIP)、温間(warm)静水圧プレス成形又は冷間静水圧プレス成形(CIP)と呼ばれることができる。
【0003】
通常の高圧プレスの圧力容器は、シリンダ本体を有する。シリンダ本体は、シリンダの両端部で閉じぶたによって閉じられる。フレームワークが、シリンダ本体の両端部で閉じぶたを保持するように配置されている。
【0004】
圧力容器のクラックの形成及び伝播に耐える能力を高めるために、圧力容器は、通例、プレストレスを与えられる(pre-stress)。容器は、例えば、自緊(autofrettage)によって、収縮によって、又はワイヤ巻回によって、プレストレスを与えられることができる。
【0005】
圧力容器中の圧力のレベルは、プレスのタイプ及びプレスされる材料によって決まる。シート状の金属を形成する際には、プレスは、代表的には140MPaまでの圧力、CIPでは100MPaないし600MPaの圧力、HIPでは300MPaまでの圧力に設定される。
【0006】
高圧プレス用のシリンダは、慣習的には、鍛造によって製造される。シリンダ本体は、まず、鋳造されて、続いて、シリンダ本体を形成するために鍛造される。熱処理の後、シリンダ本体が、その最終的な形状及び寸法に機械加工される。非常に大きなシリンダを製造するために、高い圧力が、鍛造プロセス、熱処理プロセス及び機械加工プロセス用の設備に必要である。
【0007】
近頃、ますます大きなサイズのプレスされる物品の必要性が高まってきており、これは、ますます大きなプレスの必要性を含意している。比較的大きなプレスを形成する1つのやり方は、互いに接続された複数のサブシリンダを有するシリンダ本体を備えた圧力容器を製造することである。そして、シリンダ本体は、互いに接続されるようにして配置された複数のそれぞれのサブシリンダを有することができ、これにより、静水圧プレスのシリンダ本体の寸法(軸方向の全長)は、1つの単一の大きなシリンダの製造プロセスによって制限されない。
【0008】
大きなプレスは、互いに接続された複数のサブシリンダを有するシリンダ本体から利益を得るだけではない。比較的小さなサイズの圧力容器は、この構造体に関して、比較的短い運搬時間を与える。
【0009】
このように軸方向で分割された高圧容器に関する問題は、サブシリンダの間のジョイントの十分なシールである。圧力媒体の漏れは、腐食、あるいは所望の高圧に到達して維持することに関する困難性を引き起こしうる。圧力媒体のジョイントへの漏れは、止められるべきであり、漏れた圧力媒体は、サブシリンダにかなりの分離する力を伝達する可能性があり、これは、サブシリンダの間の接続へのダメージ、あるいはサブシリンダの分離さえも導きうる。
【0010】
高圧プレスのシーリング構成体に関する他の問題は、これらが摩耗しやすく、交換が難しいことである。
【発明の概要】
【0011】
従って、本発明の目的は、上で述べられた問題の少なくともいくつかを軽減させることである。
【0012】
この目的は、添付の請求項1、17に係る特徴を有する圧力容器により果される。さらなる実施の形態が、従属請求項2ないし16に規定される。
【0013】
本発明に係る高圧プレス用の圧力容器は、高圧媒体を収容するシリンダ本体を形成するために軸方向で互いに接続された、少なくとも第1のサブシリンダ及び第2のサブシリンダと、前記高圧媒体の漏れに対して前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間のジョイントをシールするために、前記シリンダ本体の内壁に配置されたシーリング構成体とを具備する。前記シーリング構成体は、リング形状のシーリングバンドと、前記第1のサブシリンダの内壁に接して配置され、かつ、前記ジョイントから、前記第2のサブシリンダから離れるように軸方向に延びている第1の周縁の突出フランジと、前記第2のサブシリンダの内壁に接して配置され、かつ、前記ジョイントから、前記第1のサブシリンダから離れるように軸方向に延びている第2の周縁の突出フランジとを有する。前記シーリングバンドは、装着位置で、径方向にプレストレスを与えられるようにして、前記第1及び第2の突出フランジに当接し、かつ、前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間の前記ジョイントをシールするように重ねるように、前記シーリングバンドが、前記第1及び第2の突出フランジ内で同心に位置される。前記シーリング構成体は、さらに、前記シーリング構成体の構成要素の交換を容易にするために、前記第1のサブシリンダの前記内壁に配置され、かつ、前記第1の突出フランジから、前記第2のサブシリンダから離れるように軸方向に延びている第1の周縁の装着スペースを有する。
【0014】
本発明に係る、上で説明されたような圧力容器の摩耗したシーリングバンドの交換方法は、
摩耗したシーリングバンドを圧力容器から取り外す工程と、
第1の装着スペースにくさび形状の面を有するツールを挿入して、これにより、前記くさび形状の面が、前記第1の装着スペースの底部と前記第1の突出フランジの最も内側の径方向の端部との間の長さに少なくとも沿って、少なくとも選択された周縁部分に、軸方向に摺動面を形成するように、第1の挿入スペースにくさび形状の面を有するツールを挿入する工程と、
円形の交換用シーリングバンドを楕円状の形状に変形させる工程と、
前記変形された交換用シーリングバンドを前記圧力容器に取り入れる工程と、
前記変形された交換用シーリングバンドを前記第1の装着スペースに置く工程と、
前記第1の装着スペースで、前記変形された交換用シーリングバンドを元の円形の形状にほぼ戻すように、前記変形された交換用シーリングバンドを変形させる工程と、
前記交換用シーリングバンドが、径方向にプレストレスを与えられるようにして、前記第1及び第2の突出フランジに対して当接し、かつ、前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間の前記ジョイントをシールするように重ねるように、前記ツールの前記くさび形状の面の上の前記交換用シーリングバンドを、前記第1及び第2の突出フランジ内で同心にシーリング位置に押圧する工程とを具備する。
【0015】
プレストレスを与えるようにしてジョイントに対して当接するシーリングバンドにより、問題となる高圧に対する十分なシーリングを確実にする、シーリングバンドとジョイントとの間の所望の接触圧が果されることが可能である。所望の接触圧が、元の、緩んだ状態に拡大しようとするように、ジョイントを支持している、プレストレスが与えられたシーリングバンドによって与えられる。シーリングバンドの適切な径及び厚さ、並びに突出フランジの適切な径方向の突出を選択することによって、所望の接触圧、従って所望のシーリングが果されることができる。
【0016】
第1の装着スペースの準備により、新しいシーリングバンドに対して、本発明に係るシーリングバンドを交換することが可能であり、また、新しいシーリングバンドは、十分な接触圧でジョイントを支持し、この接触圧は、シーリングバンドへのプレストレスによって与えられる。摩耗されたシーリングバンドが取り外された後、例えば、シーリングバンドを切断することによって、新しいシーリングバンドが圧力容器に取り入れられることができる。シーリングバンドが、シーリングバンドの外側シーリング面がシリンダ本体の内壁によって傷付けられないように、変形され、適切に回転される。そして、装着スペースのさらなるスペースを使用して、プレストレスが与えられた装着位置を仮定している突出フランジの上に圧縮され押圧されるように、適所で新しいシーリングバンドを回転させることが可能である。本発明に係る突出フランジ及び装着スペースのおかげで、シーリングバンドは、最大のプレストレスが与えられた状態で突出フランジの軸方向の延長部の短い長さだけ押圧される必要があるのみであり、これにより、シーリングバンドの外側シーリング面を傷付けるリスクが低減される。
【0017】
対照的に、従来技術では、圧力容器は、同一平面にある(flush)内壁を備えたシリンダ本体を有し、シーリングは、圧力容器がまだ緩んでいる段階で、圧力容器の組立て中、ジョイントの上に与えられる。そして、シーリングバンドが、プレストレス手段の適用中、圧力容器に所望の接触圧を与えるようにプレストレスが与えられ、シーリングバンドは、例えば、圧力容器の外側エンベローブ面に巻回された金属バンドである。このような従来技術の圧力容器では、例えば、圧力容器が径方向にプレストレスが与えられたときに新しいシーリングバンドを古いシーリングバンドと交換するとき、シーリングバンドの外側シーリング面に深刻なダメージを与えることなく、シーリングバンドを所定の位置に置くことが可能でないか、少なくとも非常に難しい。なぜならば、シーリングバンドは、内壁面の上を摺動するとき、高い圧縮力を受ける。
【0018】
くさび形状の面を有するツールを使用することによって、装着スペースから突出フランジに及びその上にわたってシーリングバンドを押圧する本発明の方法により、シーリングバンドの圧縮が容易になり、シーリングバンドの外側シーリング面及び突出フランジの縁又はコーナを損傷するリスクが低減される。
【0019】
本発明の圧力容器は、例えば、ふたによって、両端部で閉じられるシリンダ本体を有する。ふたは、例えば、圧力容器の圧力プロセスで加圧処理される対象物又は物品を圧力容器に装入するところで開閉されるように配置されることができる。
【0020】
シリンダ本体及びふたは、通常、フレームワークによって適所に保持されている。このように、従来技術から、一端部のところのふたから他端部のところのふたへとシリンダ本体の外側に延びている外側フレームによって、軸方向で一緒にそのシリンダ本体及びふたを保持することが知られている。
【0021】
圧力容器のシリンダ本体は、高圧処理される物品を保持するように配置されている。シリンダ本体は、通常、高圧プロセスが始まる前に、高圧媒体で充填される。本発明に係る圧力容器は、高圧で動作するように構成されている。本発明の圧力容器の圧力のレベルは、プレスのタイプ及びプレスされる材料によって決まる。シート状の金属を形成する際には、プレスは、代表的には140MPaまでの圧力、CIPでは100MPaないし600MPaの圧力、HIPでは300MPaまでの圧力に設定される。
【0022】
高圧媒体は、通常、流体であり、例えば、アルゴンガス、油又は水である。
【0023】
ここで使用されるような、シリンダ本体は、一般的に、ほぼ円形の横断面及びシリンダ壁を有するチューブ状の本体を参照している。
【0024】
本出願の意図において、軸方向は、シリンダ本体の中心軸線に沿った方向である。径方向は、軸方向に直交し、従って、シリンダ本体に対して径方向に向いている。周縁の延長部は、例えば、内面に沿った、又は外面の周りの、シリンダ本体の円形の延長部を参照している。
【0025】
本発明のシリンダ本体は、複数のサブシリンダを有する。サブシリンダは、シリンダ形状の部品である。一方のサブシリンダが他方のサブシリンダと軸方向で接続されたとき、2つのサブシリンダを有するシリンダ本体が形成される。このように、本発明は、2つのサブシリンダの使用に限定されず、シリンダ本体は、3つ、4つ、5つ又は他の適切な数のサブシリンダを有することができる。
【0026】
本発明のリング形状のシーリングバンドは、例えば、ブロンズ材料でできている。シーリングバンドは、その軸方向に延長部を備えたリング形状である。シーリングバンドは、突出フランジの位置にあるとき、突出フランジの間のジョイントがシーリングバンドによってシールされるように、径方向に圧縮されるように配置されている。シーリングバンドの外面及び配置形状には、フランジに対してシーリングを与えるように構成された形状及び面の粗い部分(roughness)が設けられる。シリンダ本体の内側に面している、シーリングバンドの内面及び配置形状は、いかなる輪郭形状又は面の粗さであってもよい。内側の配置形状は、好ましくは、シリンダ本体のスペース及び形状が、単一のシリンダに関するスペース及び形状と実質的に同じであるように形成されている。
【0027】
周縁の突出フランジは、内側のシリンダの壁の突出部分として配置されている。フランジは、装着スペースから突出し、この結果、装着スペースの内径は、フランジの直径よりも大きい。フランジは、周縁にあり、軸方向に突出部を有し、この結果、プラトーが、シーリングバンドがその上に当接されるジョイントの各側に形成される。フランジは、好ましくは、ジョイントの周りに対称的に配置されているが、非対称的な構成体もまた、本発明の一部であることが意図されている。
【0028】
本発明の周縁の装着スペースは、第1のサブシリンダの内壁に配置され、かつ、第1の突出フランジから、第2のサブフランジから離れるように軸方向に延びており、シーリング構成体の構成要素の交換を容易にするように配置されている。シーリング構成体の構成要素の交換は、例えば、補助的なシーリング構成体の交換、及びシーリングバンドの交換を有する。
【0029】
本発明の摩耗したシーリングバンドの交換方法は、プレストレスが与えられた圧力容器に装着されたシーリングバンドを交換するように適用可能である。シーリングバンドは、交換されるときに摩耗されている必要なく、交換は、安全性又は動作上の信頼性の理由により行われることができる。シーリングバンドの取り外しは、例えば、シーリングバンドを切断したり、折り曲げたり、又は可塑的に変形させたりすることによって行われ、これにより、シリンダ本体の内壁を傷付けることなく、圧力容器から取り外されることができる。
【0030】
円形の交換用シーリングバンドを楕円状の形状に変形させることによって、シリンダ本体への新しいシーリングバンドの挿入中に、シリンダ本体の内面とシーリングバンドとの間の接触が回避されることができる。これらの間の接触は、スクラッチ傷の形成のリスクを含意しており、シーリング特性に関する欠点である。
【0031】
装着スペースの寸法、深さ及び幅は、楕円状の形状から、元の、ストレスが与えられていない形状に戻るように、新しいシーリングバンドの変形を形状的に係合させるように設定される。装着スペースは、さらに、ツールとシーリングバンドとの両方を同時に係合し、この結果、シーリングバンドの交換方法が果されることができる。装着スペースの内径は、さらに、摩耗したシーリングバンドの交換方法の間、シーリングバンドが装着スペースに位置されたとき、新しいシーリングバンドをその元の円形の形状に戻すように変形されることが可能であるように、寸法が設定されている。
【0032】
装着位置のシーリングバンドと突出フランジとの間の接触圧は、ストレスが与えられていない元の直径、突出フランジに対してシーリング位置に装着されたときのシーリングバンドの直径、シーリングバンドの材料、配置形状、厚さのようなパラメータによって決まり、これにより、その弾性が、圧縮変形、シーリングバンドと突出フランジとの間の境界面の全領域に応答する。シーリングバンド及び接触状態の特性は、好ましくは、シーリングバンドがそのシーリング位置に弾性的に変形されるように選択される。これにより、シーリングバンドのシーリング特性は、高圧プロセス中に生じうるシリンダの壁の動きの間でさえも維持されることができる。接触圧のレベルは、さらに、圧力容器のデザイン及びパラメータ、及びその高圧レベルの後に合わせられる。
【0033】
装着スペースは、例えば、シリンダの残りの部分の内径よりも小さな寸法であるフランジの内径を形成することによって形成されることができる。代わって、シリンダの残りの部分が、フランジの直径と同じ内径であり、装着スペースが、大きな直径であり、内側のシリンダの壁に埋設されている(countersink)。
【0034】
本発明の一実施の形態では、シーリングバンドが、装着位置で、弾性的に圧縮されることによって径方向にプレストレスを与えられて、シーリングバンドと突出フランジとの間の接触圧が、少なくとも2MPaであるように、両突出フランジが、径方向に所定の径方向の長さだけ突出し、かつ、シーリングバンドが、ストレスが与えられていない状態で所定の外径を有する。圧力容器の寸法が小さいほど、好ましい接触圧が高い。従って、接触圧は、フランジの突出部の割合、シーリングバンドの材料及びストレスが与えられていない状態でのシーリングバンドの外径の変化によって、選択され、寸法が設定されることができる。
【0035】
本発明の一実施の形態では、突出フランジは、シーリングバンドの対応しているシーリング面とシールするように接触するために、それぞれ、周縁の、シーリング接触面を有する。接触面は、シリンダ本体の中心軸線と平行に軸方向に延びている。シリンダ本体の中心軸線に平行に延びている接触面を有する効果は、シーリングバンドが軸方向に等圧で押し引きされることができるということである。さらに、プレストレスの適用中、又は圧力プロセスの間、シーリングバンドに働く圧力は、主として径方向であり、そのシーリング位置から軸方向に出るようにシーリングバンドを動かしにくい。
【0036】
本発明の一実施の形態では、シーリングバンドには、その周縁のフランジの少なくとも1つに沿って面取りされた縁部が設けられている。この面取りされた縁部は、請求項17の方法に係る新しいシーリングバンドを装着するところで使用されることができ、面取りされた縁部は、ツールの面に沿って摺動するように配置されることができる。シーリングバンドの面取りされた縁部を有するさらなる効果は、シーリングバンド、ツール又は突出フランジのスクラッチ又は材料のダメージのリスクが低減されるということである。
【0037】
本発明の一実施の形態では、シーリングバンドは、金属材料、好ましくはブロンズでできている。シーリングバンドは、好ましくは、プレストレス中又は高圧プロセス中、可塑的に変形せず、サブシリンダの硬さよりも低い硬さであり、効果的なシーリング特性を有する。
【0038】
本発明の一実施の形態では、第1の装着スペースは、プレ装着位置にあるシーリングバンドが第1の装着位置に位置されたとき、シーリングバンドが好ましくは実質的にストレスが与えられていないように、寸法が設定されている。実質的にストレスが与えられていないシーリングバンドは、摩耗したシーリングバンドの交換において効果的である。これは、ストレスが与えられていないシーリングバンドを元の円形の形状に変形することは、ストレスが与えられたシーリングバンドを元の円形の形状に変形するよりも難しくない。
【0039】
本発明の一実施の形態では、シーリングバンドは、装着位置で、周縁のシーリングチャネルが、シーリングバンドと、第1の突出フランジの径方向の面と、第1のサブシリンダの内壁との間に形成されるように、第1の突出フランジを通り、第1の装着スペースの一部の上に軸方向に延びている周縁部分を有する。シーリング構成体は、さらに、周縁の補助的なシーリング構成体を有し、この補助的なシーリング構成体は、シーリングバンドと第1の突出フランジとの間のジョイントをシールするために、シーリングチャネルに配置されている。補助的なシーリング構成体は、シーリング構成体及びジョイントが、これにより、さらにシールされるという点で効果的である。第1の突出フランジを通って軸方向に延びているシーリングバンドの部分が、さらに、摩耗したシーリングバンドの取り外しで、及び交換用シーリングバンドの配置及び押圧でグリップ部材として使用されることができる。
【0040】
本発明の一実施の形態では、第1の装着スペースは、補助的なシーリング構成体の少なくとも構成要素の交換のためにシリンダ本体内からシーリングチャネルにアクセスする軸方向の延長部を有する。従って、補助的なシーリング構成体の構成要素は、交換されることができ、一方、シーリングバンドは、装着位置にとどまる。シーリングチャネルは、さらに、例えば、非破壊的な鋳造材料で鋳造することによって、装着スペースを介してクラック発生の制御で検査されることができる。代わって、シーリングチャネルは、シーリングチャネルに向いた軸方向にシーリングバンドをわずかに動かすことによって、目によって、つまり視覚的に検査されるか制御されることができる。
【0041】
一実施の形態では、補助的なシーリング構成体が、例えば、O−リング、角リング又はUカップシールである軟性のシールを有する。補助的なシーリング構成体は、代わって、同じシーリングチャネルに配置された複数の軟性のシールを有することができ、2つの軟性のシールの間のスペースは、例えば、グリースのような腐食抑制剤を保つために使用されることができる。
【0042】
本発明の一実施の形態では、シーリング構成体は、装着位置におけるシーリングバンドの軸方向の動きを防ぐために、第1の装着スペースに配置されたロッキング部材をさらに有する。ロッキング部材は、さらに、シーリングバンドの交換で、シーリング位置にシーリングバンドを押圧するとき、摺動ストップ又はガイドとして利用されることができる。
【0043】
本発明の一実施の形態では、ロッキング部材は、サークリップを有する。このサークリップは、ロッキングリングの装着及び取り外しが容易であるという点で効果的である。
【0044】
本発明の一実施の形態では、第1の装着スペースは、第1のサブシリンダの内壁に周縁の装着溝によって形成され、ロッキング部材の径方向の厚さは、第1の突出フランジ及びシーリングバンドの結合した径方向の厚さに等しく、ロッキング部材は、シーリングバンドの周縁から、装着溝の先端に軸方向に延び、これにより、シーリングバンドの径方向の内面、ロッキング部材及び装着溝の外側のシリンダ本体の内面は、同一平面にある。シリンダ本体の同一平面にある内面は、効果的には、圧力処理される物品又は対象物のホルダの内部構成体であるという点で効果的である。同一平面にある内面は、さらに、物品又は対象物の装入(loading)及び装出(unloading)において効果的である。
【0045】
本発明の他の実施形態では、シーリング構成体は、第2の周縁の装着スペースをさらに有する。第2の周縁の装着スペースは、第2のサブシリンダの内壁に配置され、第2の突出フランジから、第1のサブシリンダから離れるように軸方向に延び、第1の周縁の装着スペースとして配置され、第1の周縁の装着スペースのようなシーリング構成体の対応している特徴部分と協働する。一実施の形態では、シーリング構成体は、第1のサブシリンダと第2のサブシリンダとの間のジョイントに対して対称的である。対称的なシーリング構成体は、例えば、補助的なシーリング構成体が、シーリングバンドと第2の突出フランジとの間のジョイントをシールするように配置されることができるという点で効果的である。上で説明された非対称的なシーリング構成体の特徴部分を有する効果は、対称的なシーリング構成体にもまた適用されることができる。
【0046】
本発明の一実施の形態では、プレストレス手段は、シリンダ本体のエンベロープ面の周りに設けられ、これにより、シリンダ本体は、径方向にプレストレスを与えられる。プレスストレス手段は、ワイヤ巻回、又は収縮、あるいは他のプレストレス手段であることができる。シリンダ本体の径方向のプレストレス手段は、クラックの形成及び伝播に耐える圧力容器の能力が高められるという点で効果的である。
【0047】
本発明の一実施の形態では、第1のサブシリンダと第2のサブシリンダとは、取着部材によって軸方向で接続され、
第1のサブシリンダには、取着部材の第1の部分を受ける第1のシートが設けられ、
第2のサブシリンダには、取着部材の第2の部分を受ける第2のシートが設けられ、
取着部材は、第1及び第2のシートに係合され、
取着部材と、第1及び第2のシートとは、取着部材と、第1及び第2のシートとが、第1のサブシリンダと第2のサブシリンダとの間の相対的な軸方向の動きを防ぐために協働するように配置され、
プレストレス手段は、シリンダ本体が、径方向にプレストレスを与えられ、かつ、取着部材が、第1及び第2のシートにロックされるように、シリンダ本体のエンベロープ面の周りに設けられている。
【0048】
本発明の取着部材は、サブシリンダの間の軸方向に分離する動きを防ぐように、第1及び第2のサブシリンダを保持し、固定し、接続し又は取着するために配置された部材である。
【0049】
第1及び第2のサブシリンダのシートに配置される取着部材に対して、第1及び第2のサブシリンダを有する圧力容器の準備により、取着部材は、プレストレス手段によってロックされることができ、これにより、軸方向に分離する動きが防止されることができる。2つのサブシリンダの間の軸方向の接続は、これらの結合に基づき、一方では、取着部材と第1及び第2のシートとは、分離する軸方向の力を防ぐために協働するように構成かつ配置され、他方では、プレストレス手段は、シートに取着部材をロックするために配置されている。シートの適所に取着部材を確実に吸収する力を保持するのに加えて、プレストレス手段は、機械的なコネクタ(シート及び取着部材)にさらなる力を加える。この結果、2つのサブシリンダの間の確実な接続が、本発明に係る圧力容器で果されることが可能である。
【0050】
取着部材は、好ましくは、2つのサブシリンダの間にジョイントを接続するように位置され、これにより、ジョイントから離れたシリンダのところにさらなるスペースを必要としない。これは、圧力容器のデザインの残りの部分が、均質なシリンダ本体を有するものから適用される、又は再設計される必要がないという点で効果的である。互いに接続されるサブシリンダの数は、例えば、接続スペースの不足により制限されず、従って、シリンダ本体は、互いに接続される2つのサブシリンダよりも多いいくつかのサブシリンダを有することができる。
【0051】
理想的には、圧力容器から外部への漏れは起こらない。しかし、漏れがシーリング手段のところで起こったならば、圧力媒体は、シリンダ本体から外に流れ出る。
【0052】
第1のサブシリンダと第2のサブシリンダとの間のジョイントには、一実施の形態では、シリンダ本体の内側のところのシーリング構成体から、シリンダ本体を通って径方向に、取着部材の貫通排出孔の入口まで延びている、少なくとも1つの径方向の排出チャネルが設けられている。
【0053】
本発明の一実施の形態では、取着部材には、取着部材を通って径方向に延びている、第1のサブシリンダと第2のサブシリンダとの間のジョイントのところに入口を備えた少なくとも1つの排出貫通孔が配置されている。
【0054】
排出チャネルは、一実施の形態では、シリンダ本体とプレストレス手段との間に、シリンダ本体の軸方向に配置されている。このような構造体の一例は、シリンダ本体のエンベロープ面の周りにロッドを配置しているものである。ロッドとシリンダ本体のエンベロープ面との間のスペースは、ロッドがシリンダ本体の外面に沿って配置されたとき、シリンダ本体の軸方向に排出チャネルを形成する。ロッドは、円形の横切断面形状であることができるが、好ましくは、縁が付けられ、より好ましくは6つの縁が付けられている。
【0055】
排出孔及び排出チャネルの横断面積は、一実施の形態では、第1のサブシリンダと第2のサブシリンダとの間のジョイントを介して、径方向の排出チャネル、排出孔及び軸方向の排出チャネルへと、シリンダ本体から漏れ出る圧力媒体の漏れフローが、等しい、又は拡大している横断面積を備えた経路を流れるように構成されている。これは、例えば、サブシリンダの分離する方向に働く力が回避されるように、排出フローの方向の流れ抵抗を減少させる。
【0056】
圧力容器に配置された排出部は、漏れが初期段階で観察されることができるという点で効果的である。漏れ制御は、安全性及び性能の理由から重要である。漏れが初期段階で気付かれなければ、圧力容器の破損のリスクが高まる。
【0057】
一般的には、特許請求の範囲で使用される全ての用語は、ここに明確に定義しない限り、技術分野の通常の意味に従って解釈される。
【0058】
本発明の他の目的、特徴並びに効果は、以下の詳細な説明、添付の従属請求項、及び添付図面から明らかである。
【0059】
本発明の上述の、及びさらなる目的、特徴並びに効果は、添付図面を参照して以下に図示され本発明の好ましい実施の形態の非限定的な詳細な説明によって理解される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態に係るシーリング構成体の概略図である。
【図2】図2は、本発明の一実施の形態に係るシーリング構成体の概略図である。
【図3】図3は、本発明の一実施の形態に係る図2に対応する概略図であり、O−リングが交換される。
【図4】図4は、本発明の一実施の形態に係る図2に対応する概略図であり、シーリングバンドが交換される。
【発明を実施するための形態】
【0061】
図1は、本発明の一実施の形態に係る圧力容器1の概略的な横断面図である。圧力容器1は、2つの接続されたサブシリンダ4、6からなるシリンダ本体2を有する。シリンダ本体2は、ふた10、11によって両端部で閉じられ、これらふたは、フレームワーク12によって適所に保持されている。シリンダ本体2は、高圧処理される物品を保持するように配置されている。
【0062】
シリンダ本体2の外側エンベロープ面には、巻回された鋼のバンド8のパッケージの形態であるプレストレス手段が設けられている。バンドは、圧力容器の壁に径方向の圧縮応力を与えるように、シリンダ本体2のエンベロープ面の周りに径方向に緊密に巻回されている。バンドは、矩形の横断面形状を有し、一端部から他端部へと巻回されている。一端部から他端部への各巻回は、それぞれプレストレスを形成し、全体のプレストレス手段が、巻回された鋼のバンドのいくつかの層を有する。
【0063】
また、フレームワーク12には、軸方向の負荷を受けるフレームワーク12をアシストするように、巻回された鋼のバンド14のパッケージが設けられている。圧力容器1を開くために、フレームワーク12は、シリンダ本体2の軸方向に垂直な方向に動かされ、それによって、ふた10、11が、シリンダ本体2の内側へのアクセスを与えるように取り外されることができる。
【0064】
2つのサブシリンダ4、6は、取着部材16によって軸方向で接続されている。この取着部材16は、シリンダ本体2のエンベロープ面の周りに配置された巻回された鋼のバンド8のパッケージの形態である径方向のプレストレス手段によって適所に保持されている。
【0065】
シリンダ本体2の内壁には、2つのサブシリンダ4、6の間のジョイント3をシールするシーリング構成体が設けられている。シーリング構成体は、ロッキング部材20、21によって軸方向で適所に保持されるシーリングバンド18を有する。シーリング構成体は、図2を参照して以下により詳細に説明される。
【0066】
図2は、本発明の一実施形態に係る2つのサブシリンダ4、6の間のジョイント3の拡大を示す図である。シリンダ本体2の壁及び巻回された鋼のバンド8のパッケージが、ジョイント3の領域に切断面で示される。縞がかけられた領域は、切断面を示している。
【0067】
図示される2つのサブシリンダ4、6は、円形の横断面を備えた円形状の部品であり、サブシリンダの壁の厚さ、並びに外径及び内径は、同じ寸法である。
【0068】
2つのサブシリンダ4、6は、シリンダ本体2の外壁に配置された取着部材16によって軸方向で接続されている。第1のシート22は、第1のサブシリンダ4の外壁に配置され、また、第2のシート26は、第2のサブシリンダ6の外壁に配置されている。取着部材16は、サブシリンダ4、6の第1及び第2のシート22、26に係合され、2つのサブシリンダ4、6の間にジョイント3を対称的に重ねる。取着部材16の第1の部分24は、第1のサブシリンダ4の第1のシート22に配置され、また、取着部材16の第2の部分28は、第2のサブシリンダ6に配置された第2のシート26に配置されている。取着部材は、2つの円弧状に形成されたセグメントを有し、シート22、26に係合されたとき、シリンダ本体2の周りで周縁に延びている。
【0069】
取着部材16は、互いに接続された2つのサブシリンダを有するシリンダ本体2の外面が同一平面にあるように、シリンダ本体2の壁に埋設されている。第1のシート22は、第1のサブシリンダ4に埋設され、また、第2のシート26は、第2のサブシリンダ28に埋設されて、この結果、取着部材16が、シート22、26に係合し、また、取着部材の径方向の最も外側の面は、接続された2つのサブシリンダの径方向の最も外側の面に平行である。これにより、応力集中が回避され、プレストレス手段によって及ぼされる圧縮応力は、均一に分配される。
【0070】
圧力容器1には、シリンダ本体2の内壁に配置されたシーリング構成体が設けられ、2つのサブシリンダ4、6の間でジョイント3をシールする。シーリング構成体は、シーリングバンド18と、ロッキングリング20、21と、O−リング33、34、35、36と、突出フランジ30、32と、スペーサ38、39と、装着スペース39とを有する。
【0071】
シーリングバンド18は、ブロンズでできており、スペーサ38、39は、プラスチック材料でできている。ロッキングリング20、21は、サークリップである。
【0072】
シーリングバンド18は、第1及び第2の突出フランジ30、32に対して当接している径方向にプレストレスを与えるようにして、かつ、第1及び第2のサブシリンダ4、6の間のジョイント3をシールするように重ねるようにして、第1及び第2の突出フランジ30、32に同心に位置されている。
【0073】
2つのサブシリンダ4、6の間の軸方向の接続をさらにシールするために、補助的なシーリング構成体が設けられる。シーリングバンド18の周縁部分は、突出フランジ30、32を通って軸方向に延び、これにより、シーリングチャネルは、突出フランジ30、32の両方の下に形成される。シーリングチャネルは、シーリングバンドの軸方向に延びている部分と、突出フランジ30、32の径方向の面と、サブシリンダ4、6の内壁との間に形成されている。各シーリングチャネルには、2つのO−リング33、34、35、36と、スペーサ38、39とが設けられている。隣接している2つのO−リング33、34、又は35、36の間には、グリースが、腐食抑制剤として作用するように設けられている。スペーサ38、39は、障害物として機能し、かつ、O−リング33、34、35、36がシーリングチャネルを出るのを防ぐように装着されている。
【0074】
シーリングバンド18は、シーリングバンド18の両側で装着スペース51、52に配置されたロッキング部材20、21によって適所で軸方向に保持されている。ロッキング部材20、21は、装着スペース51、52に軸方向で係合するように、寸法が設定されている。
【0075】
シリンダ本体2の内面は、シリンダ本体2の内部の配置及び形状が、シーリング構成体によって影響を受けないように、装着されたシーリング構成体と同一平面にあるように配置されている。
【0076】
装着スペース51、52は、周縁にあり、シーリング構成体の構成要素の交換を容易にするように配置されている。装着スペース51、52の寸法は、隣接しているロッキングリング20、21及びスペーサ38、39が取り外されたとき、O−リング33、34、35、36へのアクセスを与えるのに十分であるが、一方で、シーリングバンド18は、その装着位置にある。交換プロセスにおけるO−リング33が、図3に示される。上側ロッキング部材20は、圧力容器から出るように動き、これにより、最も外側のO−リング33がアクセスしやすくなる。最も内側のO−リング34でさえもアクセスでき、これにより、装着スペース51を介して交換可能である。例えば、2つの新しいO−リング及びグリースは、シーリングチャネルに配置されることができる。シーリングチャネル、特に、サブシリンダ4、6の面は、さらに、装着スペース51、52を介して検査されることができる。
【0077】
本発明は、さらに、摩耗したシーリングバンドの交換方法を含む。交換工程の1つの例が、図4に示される。くさび形状の面を有するツール50が、第1の装着スペース51に挿入され、これにより、くさび形状の面は、第1の装着スペース51の底部と第1の突出フランジ30の最も内側の径方向の端部との間の長さに沿って軸方向に、かつ、装着スペース51の周縁部分に沿って径方向に、摺動面を形成する。
【0078】
新しいシーリングバンド18が、楕円状の形状の圧力容器1に取り入れられる。シーリングバンド18は、装着スペース51に置かれ、その元の円形状に戻るように変形される。
【0079】
図4は、ツール50のくさび形状の面の上のシーリングバンド18を、第1及び第2の突出フランジ30、32内で同心にシーリング位置に押圧する工程中のシーリングバンド18を示している。シーリングバンド18には、シーリングバンド18がツール50に対して摺動するのに沿って面取りされた縁部40が設けられている。シーリングバンド18の押圧は、シーリングバンド18が突出フランジ30、32に対して当接したときに径方向の圧縮状態に装着スペースにあるとき、元のストレスが与えられていない状態からのシーリングバンド18の圧縮を含意している。新しい交換されたシーリングバンド18は、突出フランジ30、32の上部に位置するように動かされたとき、2つのサブシリンダ4、6の間にジョイント3をシールするように重なる。
【0080】
図4では、両ロッキング部材20、21が、シリンダ本体2から出るように取り外されるが、シーリングバンド18の交換を容易にするために、ロッキング部材20、21の一方のみが、装着スペース51、52から取り外される必要がある。新しいO−リング33、34、35、26及びスペーサ38、40は、好ましくは、新しいシーリングバンドが装着されるように装着される。
【0081】
図1ないし図4の圧力容器1は、さらに、第1及び第2のサブシリンダのジョイントの境界面に配置された径方向の排出チャネル44、取着部材に配置された排出孔42、及びシリンダ本体2のエンベロープ面の間に配置されたロッド46とを有する排出構成体と、排出チャネルに径方向に向いて形成されているプレストレス手段8とを有する。
【0082】
取着部材16には、取着部材16を通って径方向に延びている、第1のサブシリンダ4と第2のサブシリンダ6との間のジョイント3のところに入口を備えた貫通排出孔42が設けられている。このような貫通排出孔42は、取着部材16の周縁の周りに点在する(frequent)間隔で配置されている、図3参照。
【0083】
2つのサブシリンダ4、6の間のジョイント3には、シリンダ本体2の内側のところのシーリング構成体18から、シリンダ本体2を通って径方向に、取着部材16の貫通排出孔42の入口まで延びている、径方向に延びている排出チャネル44が設けられている。
【0084】
6つの縁を付けられたロッド46が、シリンダ本体2とプレストレス手段との間に、シリンダ本体2の外側エンベロープ面の周りに配置されている。ロッド46は、プレストレス手段が適用された後、シリンダ本体2の周りに並べて(side to side)置かれる。軸方向に延びているチャネルは、隣接しているロッドの各対と、シリンダ本体2の面との間に形成され、これにより、排出チャネルが、エンベロープ面に沿って、シリンダ本体2の軸方向に形成される。
【0085】
理想的には、圧力容器1から外部への漏れは起こらない。しかし、漏れがシーリング手段のところで起こったならば、圧力媒体は、シリンダ本体2から外に流れ出る。
【0086】
漏れフローは、シーリング手段を介して、まず、径方向に延びている排出チャネル44を介して、そして、貫通排出孔42を通って、最後に、軸方向に延びている排出チャネルに続く経路を流れる。漏れフローの経路の直径又は横断面積は、フローが、等しい、又は拡大している直径又は横断面積の経路に続くように配置されている。これにより、ジョイント3を通って漏れ出る圧力媒体は、低い流れ抵抗で流れ、サブシリンダに働く分離する力は、減少される。この排出構成体は、初期段階で漏れに気付くことを可能にする。横断面の形状に応じて、横断面積のサイズが、低い流れ抵抗の所望の結果を達成するようにさらに調整されることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧媒体を収容するシリンダ本体を形成するために軸方向で互いに接続された、少なくとも第1のサブシリンダ及び第2のサブシリンダと、
前記高圧媒体の漏れに対して前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間のジョイントをシールするために、前記シリンダ本体の内壁に配置されたシーリング構成体とを具備し、
前記シーリング構成体は、
リング形状のシーリングバンドと、
前記第1のサブシリンダの内壁に接して配置され、かつ、前記ジョイントから、前記第2のサブシリンダから離れるように軸方向に延びている第1の周縁の突出フランジと、
前記第2のサブシリンダの内壁に接して配置され、かつ、前記ジョイントから、前記第1のサブシリンダから離れるように軸方向に延びている第2の周縁の突出フランジとを有し、
前記シーリングバンドは、装着位置で、径方向にプレストレスを与えられるようにして、前記第1及び第2の突出フランジに当接し、かつ、前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間の前記ジョイントをシールするように重ねるように、前記第1及び第2の突出フランジ内で同心に位置され、
前記シーリング構成体は、さらに、前記シーリング構成体の構成要素の交換を容易にするために、前記第1のサブシリンダの前記内壁に配置され、かつ、前記第1の突出フランジから、前記第2のサブシリンダから離れるように軸方向に延びている第1の周縁装着スペースを有する高圧プレス用の圧力容器。
【請求項2】
前記シーリングバンドが、装着位置で、弾性的に圧縮されることによって径方向にプレストレスを与えられて、前記シーリングバンドと前記突出フランジとの間の接触圧は、少なくとも2MPaであるように、前記両突出フランジは、径方向に所定の径方向の長さだけ突出し、かつ、前記シーリングバンドは、ストレスが与えられていない状態で所定の外径を有する請求項1の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項3】
前記突出シーリングフランジは、前記シーリングバンドの対応しているシーリング面とシールするように接触するために、それぞれ、周縁の、シーリング接触面を有し、
前記接触面は、前記シリンダ本体の中心軸線と平行に軸方向に延びている請求項1又は2の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項4】
前記シーリングバンドには、その周縁の少なくとも1つに沿って、面取りされた縁部が設けられている請求項1ないし3のいずれか1の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項5】
前記シーリングバンドは、金属材料、好ましくはブロンズ材料でできている請求項1ないし4のいずれか1の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項6】
前記第1の装着スペースは、プレ装着位置で前記シーリングバンドが前記第1の装着スペースに位置されたとき、前記シーリングバンドが好ましくは実質的にストレスを与えられないように、寸法が設定されている請求項1ないし5のいずれか1の方法。
【請求項7】
前記シーリングバンドは、装着位置で、周縁のシーリングチャネルが、前記シーリングバンドと、前記第1の突出フランジの径方向の面と、前記第1のサブシリンダの内壁との間に形成されるように、前記第1の突出フランジを通り、前記第1の装着スペースの一部の上に軸方向に延びている周縁部分を有し、
前記シーリング構成体は、さらに、周縁の補助的なシーリング構成体を有し、前記補助的なシーリング構成体は、前記シーリングバンドと前記第1の突出フランジとの間の前記ジョイントをシールするために、前記シーリングチャネルに配置されている請求項1ないし6のいずれか1の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項8】
前記第1の装着スペースは、前記補助的なシーリング構成体の少なくとも構成要素の交換のために、前記シリンダ本体内から前記シーリングチャネルにアクセスする軸方向の延長部を有する請求項7の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項9】
前記補助的なシーリング構成体は、軟性のシールである請求項7又は8に係る高圧プレス用の圧力容器。
【請求項10】
前記シーリング構成体は、装着位置における前記シーリングバンドの軸方向の動きを防ぐために、前記第1の装着スペースに配置されたロッキング部材をさらに有する請求項1ないし9のいずれか1の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項11】
前記第1の装着スペースは、前記第1のサブシリンダの内壁に周縁の装着溝によって形成され、前記ロッキング部材の径方向の厚さは、前記第1の突出フランジ及び前記シーリングバンドの結合した径方向の厚さに等しく、
前記ロッキング部材は、前記シーリングバンドの周縁から、前記装着溝の先端に軸方向に延び、これにより、前記シーリングバンドの径方向の内面、前記ロッキング部材及び前記装着溝の外側の前記シリンダ本体の内面は、同一平面にある請求項10の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項12】
前記ロッキング部材は、サークリップを有する請求項10又は11の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項13】
前記シーリング構成体は、さらに、第2の周縁の装着スペースを有し、前記第2の周縁の装着スペースは、前記第2のサブシリンダの内壁に配置され、前記第2の突出フランジから、前記第1のサブシリンダから離れるように軸方向に延び、前記第1の周縁の装着スペースとして配置され、前記第1の周縁の装着スペースのような前記シーリング構成体の対応している特徴部分と協働する請求項1ないし12のいずれか1の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項14】
前記シーリング構成体は、前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間の前記ジョイントに対して対称的である請求項13の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項15】
この圧力容器は、前記シリンダ本体が径方向にプレストレスを与えられるように、前記シリンダ本体のエンベロープ面の周りに設けられたプレストレス手段をさらに具備する請求項1ないし14の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項16】
前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとは、取着部材によって軸方向で接続され、
前記第1のサブシリンダには、前記取着部材の第1の部分を受ける第1のシートが設けられ、
前記第2のサブシリンダには、前記取着部材の第2の部分を受ける第2のシートが設けられ、
前記取着部材は、前記第1及び第2のシートに係合され、
前記取着部材と、前記第1及び第2のシートとは、前記取着部材と、前記第1及び第2のシートとが、前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間の相対的な軸方向の動きを防ぐために協働するように配置され、
前記プレストレス手段は、前記シリンダ本体が径方向にプレストレスを与えられ、かつ、前記取着部材が、前記第1及び第2のシートにロックされるように、前記シリンダ本体の前記エンベロープ面の周りに設けられている請求項15の高圧プレス用の圧力容器。
【請求項17】
請求項1に係る圧力容器の摩耗したシーリングバンドの交換方法であって、
摩耗したシーリングバンドを前記圧力容器から取り外す工程と、
第1の装着スペースにくさび形状の面を有するツールを挿入して、これにより、前記くさび形状の面が、前記第1の装着スペースの底部と第1の突出フランジの最も内側の径方向の端部との間の長さに少なくとも沿って、少なくとも選択された周縁部分に、軸方向に摺動面を形成するように、前記第1の装着スペースにくさび形状の面を有するツールを挿入する工程と、
円形の交換用シーリングバンドを楕円状の形状に変形させる工程と、
前記変形された交換用シーリングバンドを前記圧力容器に取り入れる工程と、
前記変形された交換用シーリングバンドを前記第1の装着スペースに置く工程と、
前記第1の装着スペースで、前記変形された交換用シーリングバンドを元の円形の形状にほぼ戻すように、前記変形された交換用シーリングバンドを変形させる工程と、
前記交換用シーリングバンドが、径方向にプレストレスを与えられるようにして、前記第1及び第2の突出フランジに対して当接し、かつ、前記第1のサブシリンダと前記第2のサブシリンダとの間の前記ジョイントをシールするように重ねるように、前記ツールの前記くさび形状の面の上の前記交換用シーリングバンドを、前記第1及び第2の突出フランジ内で同心にシーリング位置に押圧する工程とを具備する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2012−519596(P2012−519596A)
【公表日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553288(P2011−553288)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001744
【国際公開番号】WO2010/102645
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(510161026)アブーレ・テクノロジーズ・エービー (4)
【氏名又は名称原語表記】Avure Technologies AB
【住所又は居所原語表記】Quintusvagen 2, 721 66 Vasteras, Sweden
【Fターム(参考)】