説明

高濃度亜鉛を含有する鉄鉱石から亜鉛を分離し、鉄、有価物を抽出する方法

本発明は、鉄鋼を製造するための高亜鉛含量鉄鉱石を処理するための改善された方法において、平均粒度が35〜70μmの鉄酸化物と平均粒度が25〜60μmの炭素質材料と平均粒度が45〜85μmのフラックスとの混合物を含んでなる凝集塊を生成して、有機結合材と無機結合材との組合せ及び水分を用いて8〜15mmの粒度の凝集塊を形成し、前記凝集塊の望ましい特性を達成する工程;炉中で凝集塊の脱亜鉛及び金属化を行う工程;前記の還元された凝集塊を熱装入条件/冷装入条件で融解して、炉で溶銑を形成し、結果として粗鋼を製造する工程;従来の亜鉛抽出プロセスを実施することによって、前記炉の廃ガス流から亜鉛有価物を回収する工程;を含んでなる、上記方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高濃度亜鉛を含有する、プロセスにおける塵埃(process dust)及び鉄鉱石を用いて、亜鉛の除去と鉄鉱石の還元と液体金属の生成とを行うための二段階方法に関する。本発明は更に、還元反応が行われる間、高温で亜鉛蒸気の除去を促進する多孔性の連続調整によって、炉の温度プロフィール及び凝集塊の結合材を選定することに関する。第1の段階では、非シャフト炉(non-shaft furnace)を用いて、亜鉛の除去、並びに、鉄鉱石及び塵埃の還元を行う。第2の段階では、電気炉を用いて、液体金属を生成し、次いで、革新的なスラグ化学を用いることによって、還元された金属から残留亜鉛を除去する。
【背景技術】
【0002】
高炉プロセスは、様々な鉄鉱石を用いて、溶銑を生成するために、世界的に用いられている。高炉プロセスにおいて、アルカリ金属、亜鉛、鉛、等の揮発性不純物は、操作上の様々な問題を引き起こす。従って、高炉プロセスは、高亜鉛含量の鉄鉱石を処理するための好都合な方法ではない。鉄鋼を製造するために開発された、シャフト炉を用いる代替的方法もまた、これらの高亜鉛含量鉱石を処理するのに適切していない。亜鉛金属の沸点は、約910℃であり、酸化条件において、亜鉛金属は安定な酸化亜鉛(固相)を形成する。様々な温度帯域及び酸化条件が存在する炉では、炉内部において、亜鉛は、再生利用され、蓄積される。例えば、シャフト炉において、高温帯域(底部分)から生じる亜鉛蒸気は、頂部の低温領域(T<900℃)の装入壁(charge wall)又は炉壁の上で凝縮される。そのことによって、結果的に、系内部で亜鉛の再循環が生じる。亜鉛の再循環によって、コークス比は増大し、且つ、操作上の多くの困難が引き起こされる。従って、高亜鉛含量鉄鉱石は、鉄鋼業ではほとんど用いられない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従って、非シャフト炉中での固相還元を用いることによって、高亜鉛含量の鉄鉱石の脱亜鉛及び金属化を行うための改善された方法を提案することが、本発明の目的である。
本発明のもう1つの目的は、間隙率を逐次的に調整することによって、還元反応を行う間、亜鉛蒸気の迅速除去を行うための凝集プロセスの改善方法における結合材の組合せを提案することである。
本発明の更なる目的は、第1の段階の生成物、即ち、直接還元鉄を用いて、鉄鋼を製造するためのプロセスの適切な組合せを選定することである。
本発明の更なる目的は、Zn金属を抽出するための廃ガス流から亜鉛有価物を回収するための方法を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
従って、鉄鋼を製造するための高亜鉛含量鉄鉱石を処理するための改善された方法において、各々、平均粒度が35〜70μmの鉄酸化物と平均粒度が25〜60μmの炭素質材料と平均粒度が45〜85μmのフラックスとの混合物を含んでなる凝集塊を生成して、有機結合材と無機結合材との組合せ及び水分を用いて8〜15mmの粒度の凝集塊を形成し、前記凝集塊の望ましい特性を達成する工程、炉中で凝集塊の脱亜鉛及び金属化を行う工程、前記の還元された凝集塊を熱装入条件/冷装入条件で融解して、炉中で溶銑を形成し、結果として鋼を製造する工程、従来の亜鉛抽出プロセスを実施することによって、前記炉の廃ガス流から亜鉛有価物を回収する工程、を含んでなる、上記方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
本発明は、添付図面を用いてより詳細に説明される。
【図1】本発明を実施するのに用いられる、Zn酸化物及びFe酸化物の還元反応のための[自由エネルギーの変化]対[温度]のプロットを示す。
【図2】炉中の内側の様々な帯域のガス雰囲気を制御するために、且つ、廃ガス流れから亜鉛を分離するために用いられる、ZnFe−Oの状態図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
通常の亜鉛鉱物は、閃亜鉛鉱、ZnSである。しかし、亜鉛は、フランクリン石[(Zn,Fe,Mn)[Fe,Mn]]、酸化物鉱物の形態ででも見出だされる。マグネタイト格子において、Zn2+は、安定な(Fe−ZnFe)固溶体相を形成するFe2+カチオンと置換され得る。Zn2+カチオンは、大きさがFe2+より小さいので、Fe2+がZn2+によって置換されると、格子膨張及び歪みエネルギーが減少する。従って、マグネタイト中のZnOが融解すると、熱力学的安定性及び構造的安定性が増大する。赤鉄鉱の結晶構造(HCP)は、ZnOの融解にとって好都合ではないが、その構造は、空孔子点の形成と、格子の膨張とによって、Zn2+カチオンによるFe3+の部分的置換に適応することができる。従って、高亜鉛濃度は、(ベトナム、タックケー(Thach Khe)の酸化鉱の場合のような)赤鉄鉱鉱物中に検出される。磁気選鉱、重力分離等の従来の選鉱技術によって、鉄鉱石中のこの格子の亜鉛を除去することは可能ではない。従って、本発明は、鉄鉱物の格子に閉じ込められている亜鉛を除去することができる方法であって、従来の鉄鋼製造プロセスと一体化され得る方法を提供する。
【0007】
ZnO、Fe及びZnFeの固体炭素及びCOガスとの重要な還元反応は、以下に記載され、これらの還元反応の[自由エネルギー]対[温度]のプロットは、図1に示される。
ZnO + C → Zn + CO ・・・(R1)
ZnO + CO → Zn + CO ・・・(R2)
Fe + 4C → 3Fe + 4CO ・・・(R3)
Fe + 4CO → 3Fe + 4CO ・・・(R4)
ZnFe + 4C → Zn + 2Fe + 4CO ・・・(R5)
ZnFe + 4CO → Zn + 2Fe + 4CO・・・(R6)
【0008】
図1から、酸化亜鉛は、900℃より高い温度で固体炭素によって亜鉛金属に還元される(反応R1)のに対し、炭素による純マグネタイトの還元(反応R3)は、710℃より高い温度で始まることが分かる。酸化亜鉛が亜鉛フェライトの形態で存在するとき、酸化亜鉛の熱力学的活量は著しく変化するので、亜鉛フェライトの金属亜鉛及び金属鉄への還元(反応R5)は、固体炭素によって、750℃より高い温度で起こり得る(ΔG<0)。図1によって、一酸化炭素によるZnO又はZnFeのガス還元は、高温、即ち、1200℃より高い温度を必要とすることが確認される。ファクト−セージ(FACT-Sage)プログラムを用いて計算された、ZnFeの−Oの状態図を図2に示す。図2は、様々な相(固相、液相及び気相)のZn−Fe−O化合物の熱力学的安定性のための境界線を示す。従って、750℃より高い温度で、且つ10−16より低い酸素分圧での固相還元は、マグネタイト格子から亜鉛を除去するための熱力学的臨界条件(critical thermodynamic conditions)である。
【0009】
マグネタイト格子において、Zn2+カチオン及びFe3+カチオンは、ゼロの8面体位置選択的エネルギーを有し、従って、カチオンのサイト占有率は、主として、カチオンの半径及び電荷に基づいて決定される。結果として、より小さいZn2+カチオン及びFe3+カチオンは、4面体位置と8面体位置との両方を占有するのに対して、大きいFe2+カチオンは、マグネタイト格子において8面体位置を選択的に占有する。還元性雰囲気において、印加された酸素の化学ポテンシャルは、Feカチオン及びZnカチオンが、マグネタイトのCCP(立方最密充填構造)格子上の酸素アニオンを通って、結晶粒の表面上の反応界面の方へ拡散するのを促進する。このプロセスの間に生じた空孔子点は、内側に向かって拡散し、次いで、カチオンが反応界面の方へ拡散するのを促進する。Fe3+カチオン及びZn2+カチオンは、ゼロの8面体位置選択的エネルギーを有するので、これらのカチオンは、1つの8面体位置から、隣接する空の4面体位置を経由して、もう1つの8面体位置へ飛び越える。電荷及びイオンのバランスのとれた拡散経路は、アニオンによって引き離されている2つの8面体位置の間を直接飛び越えることが、エネルギー的により有利である。高温で、亜鉛は、格子中で均一に分配されており(T>非混和性ドーム(immiscibility dome))、亜鉛除去速度は、アニオン格子を通過するZnの拡散によって決まる。反応速度論及び反応機構の詳細な研究によって、律速過程は酸素アニオン格子を通過するカチオンの拡散であることも示された。従って、反応温度は、脱亜鉛のための熱力学的条件よりも高い。
【0010】
この革新的方法において、高亜鉛含量の鉄鉱石は、還元剤としての炭素質材料、及び他のフラックスと一緒に混合される。該混合物は、次いで、ペレット又はブリケットの形態に凝塊形成される。それら凝集塊の望ましい特性は、6〜8の範囲の湿式滴数と、10〜15の範囲の乾式滴数と、1.5kg/ペレットの未焼成圧潰強度と、15kg/ペレットの乾燥圧潰強度とを含んでなる。未焼成凝集塊は、乾燥されて水分を除去する。固相還元及び固相脱亜鉛を行うためには、回転炉床炉のような非シャフト炉が用いられる。しかし、本発明は、他のタイプの炉による操作を排除しない。回転炉床炉において、凝集塊の供給材料は、該炉床の上で適切な高さに保持されている装入原料へ層状に連続的に装入される。それら凝集塊は、炉の様々な帯域で加熱される。吸熱還元反応のために必要な熱は、燃焼生成物と炉用ヒーター/バーナーからの放射エネルギーとによって供給される。炉用バーナーの空気と燃料との比は、様々な帯域において適切なレベルに維持されて、炉の様々な帯域における望ましい還元性条件を維持する。凝集塊中の炭素質材料は、還元剤として作用し、しかも、還元性雰囲気を反応界面の近辺に維持する。[鉱石]対[炭素質材料]の比は調整されて、還元のために、且つ、反応界面に還元性雰囲気を維持するために必要なCを提供する。炉の温度プロフィールは、所望通りに維持されて、融解スラグを適切な時間で形成し、且つ、還元された金属の融合を可能にする。冷却帯域において、還元されたペレットは、後続のプロセスに必要な800℃〜1000℃まで冷却される。必要に応じて、DRI(直接還元鉄)は、高温ブリケットプロセスによって凝集化される。冷却帯域及び後続の高温プロセスの雰囲気を制御して、新たに形成される金属鉄の再酸化を最小限に抑える。この革新的プロセスにおいて、80〜95%の脱亜鉛を伴う金属化の70〜95%程度は、1100〜1400℃の温度範囲及び10〜60分の加熱サイクルで達成され得る。本プロセスはまた、非常に低いケイ素含量(0.1〜0.9%)及び炭素含量(0.3〜1.5%)のDRIを生じる。
【0011】
本発明では、図2に示されるように、生成ガスが、炉から出て来る亜鉛蒸気に吹きかけられ/該亜鉛蒸気を運搬するようなやり方で、炉条件を維持することが好ましい。好ましい実例において、高温ガスが低温の装填材料と接触せず、亜鉛蒸気が炉の内側に堆積し再循環し/蓄積し得るように、ガス流は、装填材料/中心部の動きに追随する。この革新的プロセスで用いられる他の選択肢は、高温帯域からのガスを回収し、次いで、900℃未満の温度まで冷却して亜鉛蒸気を分離し、次いで、該炉中で再利用して還元性雰囲気を維持することである。しかし、高温炉頂ガスの他の用途(例えば、空気及び燃料の予熱)は、本発明において排除されない。
【0012】
本発明の更に好都合な具体例によると、乾燥した炭素複合材料ペレットの間隙率を調整して、反応界面近辺の亜鉛の蒸発と、出口ガス流までのZn蒸気の迅速な運搬とを促進することが好ましい。このことは、凝塊形成において複合型結合材と水分との組合せを用いることによって達成される。無機結合材の投与量は、0.5〜2%の間の範囲であり、その場合、有機結合材は、1〜5%の間の投与量で用いられる。鉄鉱石、石炭、結合材及び水分の体積比は、還元及び脱亜鉛の反応が進行するにつれて、凝集塊内部に間隙率を生じるような革新的やり方で調整される。結合材の蒸発工程及び石炭の利用工程は、還元反応が行われる間、凝集塊の焼結縮み(shrinkage)を補償し、且つ、還元されたペレットに所要強度を実現するようなやり方で順序付けられる。複合材料ペレットは、110〜300℃の温度範囲で乾燥されて、水分を除去し、それによって、間隙率(一次間隙)を発生させる。本発明において、有機結合材と無機結合材との組合せは、該有機結合材が、乾燥したペレット/ブリケットの強度を高めるのに対し、該無機結合材が、還元反応の間、炉内側に高温で強度を提供するように、用いられる。有機結合材は、還元反応の初期段階で蒸発する。そのことによって、ペレット/ブリケットの間隙率(二次間隙)は、5〜10%増大する。低温で生じたこれらの間隙チャネル(一次間隙及び二次間隙)は、マグネタイト及び亜鉛フェライトの固溶体相が800℃より高い温度で固相還元される間に形成されたZn蒸気の迅速な運搬を促進する。還元反応が進むにつれて、炭素/還元剤は消費され、そのことによって、気相を反応界面から炉内雰囲気まで迅速に運搬するための間隙チャネル、即ち、高間隙率も維持される。
【0013】
本発明の更に好都合な具体例によると、凝塊形成プロセスのために用いられる供給材料(鉄鉱石、還元剤、フラックス及び結合材)の粒度並びに粒度分布を調整して、所要の未焼成乾燥ペレットの強度を達成し、ガス生成物の迅速な運搬のための間隙チャネルを生成し、且つ、還元反応(トポ化学)の速度を高める。鉄酸化物、炭素質材料及びフラックスを調製して、それぞれ、35〜70μm、25〜60μm、及び45〜85μmの平均粒度を実現し、8〜15mmの粒度の凝集塊を形成する。結果的に、高い生産性(トン/時間/m)が、この短時間の還元プロセス(加熱及び冷却のサイクル)で達成される。
【0014】
本発明では、フラックスの組合せを用いて、望ましい液相線を有するスラグを形成する。還元反応の速度はまた、融解スラグを形成する還元反応が行われる間、装入材料中に所望量のFeOを生成する革新的方法でも調整される。装入材料に用いられるフラックスは、融解スラグに望ましい物理化学的特性を付与し、且つ、該スラグ相中のFeの損失を抑制する。融解スラグが間隙を遮断し、それによって、Zn蒸気及び生成ガスの流れを妨げないように、前記スラグ特性は調整されて、脈石相を融解し、且つ、所望の粘度をも維持する。高温では、所望レベルの脱亜鉛が達成されるとき、計画されたスラグ化学によって、還元済み金属粒子の融合と、スラグと金属とのより良好な分離とを促進する流動性スラグが形成される。従って、本発明では、革新的なフラックス化学と加熱サイクル/加熱速度とによって、迅速な脱亜鉛、及びより良好なスラグ−金属の分離が達成される。
【0015】
本発明では、適切な等級の鉄鉱石濃縮物を用いることによって、より高度の金属化及び脱亜鉛も達成された。鉄鉱石のFe含量の増大によって、金属化の程度が高められ、脈石成分の除去は、フラックスの必要条件を低減するのに役立つ。しかし、金属化の割合がより高く、且つ、スラグ含量がより低いと、還元されたペレットの冷間圧潰強さは低下する。従って、加熱サイクル、間隙率、供給材料の粒度、及びスラグ化学を調整して、還元されたペレット/ブリケットの望ましい特性を達成する。
【0016】
本発明に関して記述されるプロセスは、亜鉛を約0.07%含有する鉄鉱石を処理するために用いられた。本発明に関して解説される複数種類の結合材の組合せを用いながら、無煙炭、鉄鉱石の細粒、及びフラックスを用いて、凝集塊が調製された。該凝集塊は、1100〜1400℃の温度範囲の望ましい加熱プロフィールを用いて、炉中で還元された。70〜95%の範囲で金属化され、0.01%未満の亜鉛を含有するDRI(直接還元鉄)が、本プロセスによって生成された。該DRIを用いて、電気炉で液体金属を生成した。
本発明のプロセスの第2の工程において、高温DRIは、電気炉で直接融解されて、(a)C、Si、S、Pの濃度を調整することによって、BOF鋼の製造に用いられ得る溶銑を形成するか、又は(b)二度のスラグ実施を行うことによって直接鋼を形成する。製造工程の選択は、地域経済学によって決定されるであろう。
【0017】
本発明の具体例の1つは、亜鉛の回収である。炉中で還元が行われる間に蒸発された亜鉛は、廃ガス流によって運び去られる。該亜鉛蒸気は、温度を900℃未満に下げることによって、且つ、必要に応じて、廃ガス流の酸素分圧を再調整することによって、濃縮される。鉄鋼を製造するために用いられる電気炉からの廃ガス流もまた、同様の方法で処理されて、亜鉛有価物が回収される。凝縮器で凝縮された酸化亜鉛は、回収される。石炭は還元剤として用いられるので、該酸化亜鉛の塵埃もまた、除去される必要のある多くの不純物を含有する。該塵埃中の亜鉛濃度が、>40%である場合、該塵埃は、亜鉛を抽出するために直接用いられる。本発明において、酸化亜鉛の炭素熱還元(carbo-thermic reduction)は、金属亜鉛を抽出するために実施される。該金属亜鉛は、次いで、従来の電気分解方法によって精製される。一方、亜鉛濃度が40%未満である塵埃は、別の方法で還元されて、鉄を分離し、高亜鉛含量塵埃を生じさせる。亜鉛富裕濃縮の塵埃を得るために用いられる他の方法は、アーク炉で炉塵埃を溶解することであり、それによって、高亜鉛含有塵埃が生成される。該高亜鉛含有塵埃は、次いで、従来の方法により処理され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄鋼を製造するための高亜鉛含有鉄鉱石を処理するための改善された方法において、
平均粒度が35〜70μmの鉄酸化物と平均粒度が25〜60μmの炭素質材料と平均粒度が45〜85μmのフラックスとの混合物を含んでなる凝集塊を生成して、有機結合材と無機結合材との組合せ及び水分を用いて8〜15mmの粒度の凝集塊を形成し、前記凝集塊の所望の特性を達成する工程と、
炉中で前記凝集塊の脱亜鉛及び金属化を行う工程と、
前記の還元された凝集塊を熱装入条件及び冷装入条件で融解して溶銑を形成し、粗鋼を製造する工程と、
従来の亜鉛抽出プロセスを実施することによって、前記炉の廃ガス流から亜鉛有価物を回収する工程と、
を含んでなる、上記方法。
【請求項2】
前記凝集塊の前記所望の特性が、6〜8の範囲の湿式滴数と、10〜15の範囲の乾式滴数と、1.5kg/ペレットの未焼成圧潰強度と、15kg/ペレットの乾燥圧潰強度とを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の脱亜鉛及び金属化を行う工程は、
80℃〜150℃の温度で水分蒸発を行う間、凝集塊の間隙率(一次間隙)を連続的に調整する工程と、
130℃〜300℃の間の温度で前記有機結合材を蒸発させて、第2の間隙を作る工程と、
前記炭素質材料を、500℃〜1200℃の間の温度の還元状態で消耗させて三次間隙を作る工程と、
を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記の脱亜鉛及び金属化を行う工程は、
前記凝集塊を形成する前記諸成分の平均粒度を選択することによって、ガス生成物の迅速な運搬を行うための間隙チャネルを提供する工程
を更に含んでなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記の脱亜鉛及び金属化を行う工程は、
前記間隙チャネルの閉塞が回避されるように、前記の形成されたスラグの粘度を、前記フラックスの組合せによって制御する工程であって、前記ガス生成物が円滑に放出されるのを可能にする工程
を更に含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記炉は、回転炉床炉、非シャフト炉及び多炉床炉のタイプから選ばれる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記鉄酸化物が、鉄鉱石由来の0.01〜1%の範囲の高亜鉛濃度を含有する鉄鉱石と、電気アーク炉ダストと、工場廃棄物とそれらの組合せである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記炭素質材料が、無煙炭、歴青炭、粘結炭、ペトコール、粉コークス、他の炭素質材料及びそれらの組合せを含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記結合材は、無機結合材、有機結合材、及びそれらの組合せを含み、しかも、前記無機結合材は、0.5〜2%の間の投与量で用いられ、前記有機結合材は、1〜5%の間の投与量で用いられる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記有機結合材は、デキストリン、セルロース、デンプン、小麦粉、及びそれらの組合せ、モノアクリレート、ポリアクリレート、及びアクリルアミド、及びそれらの組合せ、グアールガムのようなガムを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記無機結合材が、ベントナイト、コロイドシリカ、膨潤粘土、及びそれらの組合せ、セメント、ナトリウム、ケイ酸塩を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記凝集塊を生成する工程は、
供給材料(鉄鉱石、石炭、結合材及びフラックス)を調製して、表面積を含めて所要の粒度及び粒度分布を達成する工程と、
前記供給材料の微粉を調合して混合し、予備湿潤化を行って、凝集化のために必要な混合を達成する工程と、
所望の水分レベル及びプロセスパラメータを有する皿形及びドラム型の造粒機又はブリケット製造機で前記凝集塊を調製して、前記凝集塊の望ましい特性及び品質を達成する工程と、
110〜300℃の温度範囲で前記凝集塊を乾燥させて、前記水分を除去し、一次間隙を形成する工程と、
を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記の脱亜鉛及び金属化は、様々な温度が様々な帯域で維持される炉の中で行われ、それによって、初期段階で前記有機結合材を除去して、相互連結された間隙チャネルを形成し、次いで、より高い温度で亜鉛を還元し蒸発させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記フラックスは、前記スラグ中の前記Feの損失を最小限に抑える、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記フラックスは、CaO、MgO及びSiOの酸化物、並びに、それらの化合物を含んでなる、請求項1、12及び14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記亜鉛有価物は、前記廃ガスの温度を900℃未満に低下させることによって、且つ、前記廃ガスのCO/CO比を、導入空気によって調整することによって、前記炉の廃ガス流から分離される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記の分離された亜鉛有価物は、廃ガス流から回収される前記生成物中の亜鉛濃度を高めるように、炉中で処理され、しかも、前記廃ガス流から回収される前記化合物は、40%を超える亜鉛含有量を有し、且つ、従来のプロセスによって亜鉛を抽出するのに適合している、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
鉄鋼を製造するための、高亜鉛含有鉄鉱石を処理するための改善された方法であって、添付図面に関連して本明細書に実質的に記述され且つ例示される方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−500902(P2012−500902A)
【公表日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−524530(P2011−524530)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【国際出願番号】PCT/IN2009/000472
【国際公開番号】WO2010/023691
【国際公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(510146377)タータ スチール リミテッド (2)
【Fターム(参考)】