説明

高粘度液体により制御された送達システム及び内科又は外科用デバイス

【課題】生物学的に活性な物質の制御された様式での送達に、及び内科又は外科用デバイスとしての利用に適した液体の高粘度の材料を形成する非高分子化合物及び組成物の提供。
【解決手段】少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルを含み、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有し、周囲又は生理的条件下で生では結晶化しない、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料を含む液体組成物。これらの材料は、適宜、溶剤で希釈して、一層低粘度の材料を形成して、該材料の投与を容易にすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御された様式での生物学的に活性な物質の送達並びに内科又は外科用デバイスとしての使用に適した液体の、高粘度の材料を形成する新規な非高分子化合物及び組成物に関係する。これらの材料は、適宜、溶剤で希釈して一層低粘度の材料を形成させて、該材料の投与を容易にすることができる。この溶剤は、水不溶性であっても水溶性であってもよく、水溶性溶剤は、この材料から、イン・ビボで、速やかに拡散し又は移動して、一層高粘度の液体材料を残す。
【背景技術】
【0002】
生物分解性の生理活性物質の制御された放出のためのシステムの分野では、広範囲な研究がなされてきた。薬物送達用の生物分解性マトリクスは、薬物の涸渇したデバイスを除去する必要がないので有用である。
【0003】
薬物送達のための最も一般的なマトリクス材料は、高分子材料である。生物分解性高分子の分野は、ポリ乳酸の合成及び生物分解性が1966年に Kulkarni等(「Polylactic acid for surgical implants」Arch. Surg.,93:839)により報告されて以来、急速に発展した。送達用デバイスのためのマトリクスとして有用であるとして報告されている他のポリマーの例には、ポリ無水物、ポリエステル例えばポリグリコリド及びポリラクチド−コグリコリド、ポリアミノ酸例えばポリリジン、ポリエチレンオキシド、アクリル終端ポリエチレンオキシドのポリマー及びコポリマー、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオルトエステル、ポリアクリロニトリル及びポリホスファゼンが含まれる。例えば、Langerの米国特許第4,891,225号及び4,906,474号(ポリ無水物)、Hutchinsonの4,767,628号(ポリラクチド、ポリラクチド−コグリコリド酸)、Tice等の4,530,840号(ポリラクチド、ポリグリコリド及びコポリマー)及び5,234,520号(Dunn等、biodegradable polymers for controlled delivery in treating periodontal disease)を参照されたい。
【0004】
生物起源の分解性材料は、周知であり、例えば、架橋されたゼラチンが含まれる。ヒアルロン酸は、生物医学的応用のための分解性の膨潤性ポリマーとして架橋されて用いられてきた(Della Valle等の米国特許第4,957,744号;(1991)「Surface modification of polymeric biomaterials for reduced thrombogenicity」Polym.Mater.Sci.Eng.,62:731-735])。
【0005】
生物分解性ヒドロゲルも又、制御された薬物送達における使用のために生物学的に活性な物質(例えば、ホルモン、酵素、抗生物質、抗新生物剤及び細胞懸濁液)のキャリアーとして開発された。運ばれる種の機能的特性の一時的保存並びにそれらの種の局所的組織又は全身的循環への制御された放出が達成された。例えば、Cohenの米国特許第5,149,543号を参照されたい。ヒドロゲルマクロマーの適当な選択によって、外科、医学的診断及び治療における様々な応用に適したある範囲の透過性、細孔寸法及び分解速度を有する膜を生成することができる。
【0006】
多くの分散系が、現在、物質(特に、生物学的に活性な化合物)のキャリアーとして使用され又は使用のために探究されている。医薬及び化粧用配合物のために用いられる分散系は、懸濁液又は乳液に類別することができる。懸濁液は、懸濁化剤を用いる液体媒質中に分散された数ナノメートルから数百ミクロンの寸法範囲の固体粒子として定義される。固体粒子には、ミクロスフェア、マイクロカプセル及びナノスフェアが含まれる。乳液は、一の液体が他の液体中に分散して、乳化剤例えば界面活性剤及び脂質の界面膜により安定化されたものとして定義される。乳液配合物には、油中水及び水中油乳液、多重乳液、ミクロエマルジョン、微小液滴及びリポソームが含まれる。微小液滴は、Haynesに発行された米国特許第4,622,219号及び4,725,442号において定義されたように、油相を内側に有する球状脂質層よりなる単一ラメラリン脂質小胞である。リポソームは、水不溶性の極性脂質を水溶液と混合することにより製造されるリン脂質小胞である。水中で不溶性の脂質を混合することにより生じる好ましくないエントロピーは、閉じ込めた水溶液を有するリン脂質の同心の閉じた膜の高度に規則正しいアセンブリを生じる。
【0007】
Dunn等の米国特許第4,938,763号は、非反応性の、水不溶性の熱可塑性ポリマーを、生体適合性の、水溶性の溶剤に溶解させて液体を形成し、その液体を体内に配置して、該溶剤を放散させて固体の移植物を生成することによる移植物のイン・シトゥーでの形成方法を開示している。このポリマー溶液は、注射器により体内に配置することができる。この移植物は、その周囲の空隙の形状をとることができる。別の具体例においては、この移植物は、溶剤を含まず、適所で硬化して固体を形成する(通常、硬化触媒の添加を用いる)反応性の、液体の低重合体ポリマーから形成される。
【0008】
多くの材料が、制御された物質の送達における利用につき評価されてきたが、該送達のための低毒性の一層簡単なシステムを与えることに対する要求が存在し続けている。例えば、上記の送達システムは、ポリマー及び充填されたポリマーマトリクス、又はヒドロゲル、又は他の複雑な若しくは脆弱な組成物の調製を必要とする。特に、送達すべき物質と容易に配合されて容易に投与される液体ベースの送達システムの提供に対する要求がある。
【0009】
それ故、物質の送達のための簡単なシステムを提供することは、この発明の目的である。
【0010】
送達すべき物質と容易に配合されて容易に投与される液体ベースの送達システムを提供することは、この発明の他の目的である。
【0011】
簡単な液体ベースのシステムにおける物質の制御された送達の方法を提供することは、本発明の他の目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
この発明は、化合物及びそれらを含む組成物並びにこれらの化合物及び組成物の物質(例えば、生理活性物質)送達用のビヒクル例えば制御された送達用のビヒクルとしての利用方法に関係する。この発明は又、これらの化合物、組成物、及びそれらの内科又は外科用デバイス(例えば、内科又は外科用移植物、膜、又は移植片組成物)としての利用方法にも関係する。これらの組成物は、一般に、液体形態であり、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有する少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルよりなる少なくとも一の非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料(周囲の又は生理的条件下では生では(そのままでは)結晶化しない)を含む。これらの組成物は、生理的に許容しうる溶剤に溶解させて粘度を低下させて投与を容易にすることができる。しかしながら、水溶性の溶剤を含む組成物の投与後には、この溶剤は、この材料から拡散し或は放散し、それ故、粘度が有意に増大し、それにより、生理活性物質、内科若しくは外科用移植物、膜、又は移植片のための制御された放出のためのマトリクスが形成される。非水溶性溶剤も又利用できるが、非高分子エステル又は混合エステルから遥かにゆっくりと拡散するであろう。
【0013】
溶剤中での溶解は、非常に高い粘度(例えば、37℃で、100,000cPのオーダー)を有する非高分子エステル又は混合エステルを用いる場合に特に有用である。この発明での使用に適した幾つかの非高分子エステル又は混合エステルは、37℃で5,000cPを超える粘度を有するが、それほど粘性でなく、そのままで(即ち、溶剤を加えないで)投与することができる。
【0014】
他の面において、この発明は、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有する少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルよりなる非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料(生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない)及び生物学的に活性な物質を含む組成物を植物又は動物に投与することによって、生物学的に活性な物質を植物又は動物(ヒトを含む)に投与する方法に関係する。特定の投与方法は変更することができ、局所投与、経口投与(例えば、溶液、乳液として、又はゼラチンカプセルで)、鼻投与、肺投与、直腸投与、膣投与又は注射(動物の場合)及び局所投与又は注射(植物の場合)を含むことができる。
【0015】
他の面において、この発明は、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有する少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルよりなる非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料(生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない)を含む内科若しくは外科用移植物、膜又は移植片組成物に関係する。
【0016】
更に別の面において、この発明は、下記を含む移植物、膜又は移植片の、それを必要とする患者におけるイン・ビボでの形成方法に関係する:
(1)下記を含む混合物:
(a)37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有する少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルよりなる非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料(生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない);及び
(b)非高分子の、非水溶性の、液体キャリアー材料が溶解する溶剤;
を患者の組織と接触させ(この混合物は、37℃で、約6000cP未満の粘度を有する);そして
(2)この溶剤を患者の組織内に放散又は拡散させ、それにより、非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料の移植物、膜又は移植片を形成する。この発明の尚更に特別の面においては、この混合物は、37℃で、約4,000cP未満の、一層特別には、約1,000cP未満の粘度を有する。
【0017】
更に別の面において、この発明は、下記よりなる群から選択する構造を有する新規な化合物に関係する:
II:
【化22】

(式中、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、nは、1〜20であり、そしてR、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
III:
【化23】

(式中、nは、4〜8の整数であり、そしてR及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
IV:
【化24】

V:
【化25】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
VI:
【化26】

VII:
【化27】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
VIII:
【化28】

(式中、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である)。
【0018】
一層特別の面において、この新規な化合物は、下記の構造を有する:
【化29】

(式中、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である)。
【0019】
この発明の液体組成物は、米国特許出願第08/944,022号、第478,450号及び08/474,337号(現在、米国特許第5,747,058号)(これらの各々の全内容を参考として本明細書中に援用する)にHVLCM又はLVLCMについて開示された何れかの効用又は応用において用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料
非高分子で、非水溶性であり、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を(適宜、少なくとも10,000、15,000;20,000;25,000cPの又は50,000cPの粘度さえ)有する高粘度液体キャリアー材料(生では周囲又は生理的条件下で結晶化しないもの)を選択すべきである。用語「非水溶性」は、周囲条件下で1重量パーセント未満の程度まで水に溶解する材料をいう。用語「非高分子」は、本質的に酸部分に反復ユニットを有しないエステル又は混合エステル並びに官能性ユニットが少ない回数反復している酸部分(即ち、オリゴマー)を有するエステル又は混合エステルをいう。一般に、ここで用いる場合、エステルの酸部分に5つより多くの同一の隣接する反復ユニットを有する材料は、用語「非高分子」から除くが、2量体、3量体、4量体又は5量体を含む材料は、この用語の範囲に含まれる。エステルが更にエステル化可能なヒドロキシ含有カルボン酸(例えば、乳酸又はグリコール酸)部分から形成される場合には、反復ユニットの数は、乳酸又はグリコール酸部分の数ではなく、ラクチド又はグリコリド部分の数に基づいて計算する(ラクチド反復ユニットは、2つのそれぞれヒドロキシ及びカルボキシ部分にてエステル化された乳酸部分を含み、グリコリド反復ユニットは、2つのそれぞれヒドロキシ及びカルボキシ部分にてエステル化されたグリコール酸部分を含む)。アルコール部分に1〜約20のエーテル化ポリオールを有し又は1〜約10のグリセロール部分を有するエステルは、非高分子とみなす(該用語をここで用いる場合)。
【0021】
特定の具体例において、高粘度の液体キャリアー材料(HVLCM)は、内科若しくは外科用移植物、移植片若しくは膜として投与することのできる低粘度の液体キャリアー材料(LVLCM)を形成する溶剤と混合したとき、又は制御された送達のための生物学的に活性な物質と混合したとき、又はこれらの組み合わせの幾つかの場合に、有意に粘度が低下する。LVLCM/生物学的に活性な物質の組成物は、典型的に、注射器その他の移植用手段への出し入れが一層容易であるので、HVLCM/生物学的に活性な物質の組成物より体内に置くのが容易である。それは、乳液として配合するのも容易にできる。LVLCMの粘度範囲は、約6,000cP未満、特に約4,000cP未満、一層特には、約1,000cP未満、尚一層特には、200cP未満が、イン・ビボ応用には、典型的に有用であることが見出されている。
【0022】
この発明で用いられる特定のHVLCMは、様々な材料の少なくとも1つであってよい。適当な材料には、少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルが含まれる。特定の具体例において、このエステルは、約2〜20のヒドロキシ部分を有するポリオールとエステル化したカルボン酸から形成される(1〜約20のエステル化ポリオールを含むこともできる)。HVLCMのエステルの酸部分を形成するのに特に適したカルボン酸には、少なくとも一のヒドロキシ基を有するカルボン酸(例えば、ラクトン若しくは環状カーボネートの開環性アルコーリシスにより得られるもの、又はカルボン酸無水物のアルコーリシスにより得られるもの)が含まれる。アミノ酸も又、ポリオールとのエステルを形成するのに適している。特定の具体例において、このエステル又は混合エステルは、カルボン酸無水物(例えば、環状無水物)のアルコーリシスにより得られる少なくとも一のカルボン酸とエステル化された少なくとも一つの末端ヒドロキシ部分を有するアルコール部分を含む。
【0023】
この発明のHVLCMを形成するようにエステル化されうる適当なカルボン酸の非制限的な例には、グリコール酸、乳酸、ε−ヒドロキシカプロン酸、及び任意のラクトン又はラクタム、トリメチレンカーボネート及びジオキサノンが含まれる。これらのヒドロキシ含有酸は、それら自体、そのヒドロキシ部分と更なるカルボン酸(この材料中の他のカルボン酸部分と同じものでも異なるものでもよい)との反応によって更にエステル化されうる。適当なラクトンには、グリコリド、ラクチド、ε−カプロラクトン、ブチロラクトン及びバレロラクトンが含まれるが、これらに限らない。適当なカーボネートには、トリメチレンカーボネート及びプロピレンカーボネートが含まれるが、これらに限らない。
【0024】
このエステル又は混合エステルのアルコール部分は、約2〜20のヒドロキシ基を有するポリヒドロキシアルコールから誘導することができ、上記のように、1〜20ポリオール分子のエーテル化によって形成することができる。適当なアルコール部分には、少なくとも1つの水素原子を:一官能性C〜C20アルコール、二官能性C〜C20アルコール、三官能性アルコール、ヒドロキシ含有カルボン酸、ヒドロキシ含有アミノ酸、ホスフェート含有アルコール、四官能性アルコール、糖アルコール、単糖類及び二糖類、糖酸、及びポリエーテルポリオールから除去することにより誘導されるものが含まれる。特に、これらのアルコール部分は、ドデカノール、ヘキサンジオール、特に、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、セリン、ATP、ペンタエリトリトール、マンニトール、ソルビトール、グルコース、フルクトース、シュークロース、グルクロン酸、ポリグリセロールエーテル(1〜約10のグリセロールユニット含有)、ポリエチレングリコール(1〜約20のエチレングリコールユニット含有)の少なくとも1つを含むことができる。
【0025】
この発明の特定の具体例において、この発明のエステル又は混合エステルの少なくとも一のカルボン酸部分は、少なくとも一のオキシ部分を含む。更に一層特定の具体例において、これらのカルボン酸部分の各々は、少なくとも一のオキシ部分を含む。
【0026】
他の特定の具体例において、この発明のエステル又は混合エステルの少なくとも一のカルボン酸部分は、2〜4炭素原子を含む。一層特定の具体例において、この発明のエステル又は混合エステルのカルボン酸部分の各々は、2〜4炭素原子を含む。
【0027】
この発明の他の一層特定の具体例において、この発明のエステル又は混合エステルの少なくとも一のカルボン酸部分は、2〜4炭素原子を有し、少なくとも一のオキシ部分を含む。この発明の他の一層特定の具体例において、この発明のエステル又は混合エステルのカルボン酸部分の各々は、2〜4炭素原子を有し、少なくとも一のオキシ部分を含む。
【0028】
特定の具体例において、この発明は、上記の化合物、組成物及び利用方法を含み、その場合、HVLCMは、下記よりなる群から選択する構造を有する:
I:
【化30】

(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRの少なくとも3つは、水素以外である);及び
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、アセチル及びイソブチリルよりなる群から選択し、R、R、R、R、R、R、R及びRの少なくとも3つはアセチルである);
II:
【化31】

(式中、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、nは、1〜20である);
III:
【化32】

(式中、nは、4〜8の整数であり、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
IV:
【化33】

V:
【化34】

(式IV及びV中、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
VI:
【化35】

VII:
【化36】

(式VI及びVII中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
VIII:
【化37】

(式中、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する)。
【0029】
式I〜VIIIの各々において、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びのアシルオキシ置換されたアルカノイル基の少なくとも一つは、2〜6炭素原子(カルボニル炭素を含む)を有するアルカノイル部分を含んでよい。その上、この発明の他の一層特定の具体例において、式I〜VIIIの各々は、少なくとも一つのヒドロキシ置換された又はアシルオキシ置換されたアルカノイル部分を含む。更に一層特定の具体例において、これらのヒドロキシ置換された又はアシルオキシ置換されたアルカノイル部分の少なくとも一つは、2〜6炭素原子(カルボニル炭素を含む)を有するアルカノイル部分を含む。
【0030】
この発明のアシルオキシ置換基を形成するアシル基は、用語「アシル」の一般に受け入れられる定義に従う、カルボン酸に由来する任意の部分であってよい。特に、この発明の組成物のアシル基は、RCO−型のもの(Rは、2〜6の、適宜オキシ置換されたアルキルである)であってよい。このオキシ置換は、ヒドロキシ置換、又は更なるアシル部分の置換の形態を取ることができる。例えば、Rは、オキシ置換されたカルボン酸のオリゴマー(一の酸のヒドロキシと他の酸のカルボキシとの間のエステル結合により結合されたもの)であってよい。一層特定の例においては、Rは、1〜5のラクチド又はグリコリドユニットである(ラクチドユニットは、2つの一緒にエステル化された乳酸部分を含み、グリコリドユニットは、2つの一緒にエステル化されたグリコール酸部分を含む)。或は、Rは、混合ラクチド及びグリコリドユニットを含むことができ、又は混合乳酸及びグリコール酸を含むことができる(ラクチド又はグリコリドユニットが存在しない場合)。
【0031】
特定のHVLCM材料には、式II又はIIIに従う化合物が含まれる(式中、R、R及びRは、独立に、ラクトイル、ポリラクトイル、ε−カプロイル、ヒドロキシアセチル又はポリヒドロキシアセチルであり、ポリラクトイル及びε−カプロイル、又はポリラクトイル及びポリヒドロキシアセチルである)。
【0032】
この発明のエステル又は混合エステルにおける比較的小さい鎖(2〜6炭素原子)、オキシ置換されたカルボン酸部分の利用は、有利である。これらの酸部分がオリゴマーエステル(即ち、前の酸部分に、後続のカルボキシと前のオキシのエステル化により結合された後続の酸部分)の形態で存在する場合には、この材料の加水分解は、6より多い炭素原子からできたオリゴマーより、一層親水性であるので、かなり容易である。一般に、薬物送達のためには、HVLCMが水不溶性であるが幾らか親水性であることが望ましい。一般に、一層親水性のユニット(一層高いO:C比により測定)を用いて合成したHVLCMは、一層迅速に水を吸収して一層急速に分解することが予想される。例えば、4モルのグリコリドを1モルのグリセロールに共有結合させることにより生成したHVLCMは、2モルのグリコリドと2モルのラクチドを1モルのグリセロールに共有結合させることにより生成したHVLCMより一層急速に水を吸収して一層急速に分解することが予想される。一層可撓性の分子及び自由体積アーギュメントに基づく一層分枝した球状の分子について、同様の増加が予想される。可撓性の及び分枝した分子の利用は、LVLCMの粘度を低下させる利益をも有しうる。異なる鎖長のカルボン酸及び/又はポリオールの利用及びオキシ置換を有するカルボン酸の利用は、生成したエステルの親水性及び溶解度の程度の正確な制御を与える。これらの材料は、生理活性物質の体内への制御された放出及びそれに伴うか又は続くイン・ビボでのオキシ結合の加水分解を与えることができるだけ十分にイン・ビボでの分解に耐性である。
【0033】
更に一層特定の具体例において、この発明は、2:6のアセテートのイソブチレート酸部分に対する比を有するシュークロースのアセテート及びイソブチレートエステルを排除する。しかしながら、2:6のアセテートのイソブチレート部分に対する比を有するシュークロースアセテートイソブチレートは、エアゾール配合物における利用のための並びにリゾチーム、パクリタキゼル、5−フルオロウラシル及び抗レトロウイルス剤(AZT及びddCなど)の送達のためのこの発明(以下に記載して例示する)の範囲内に含まれる。この材料は、米国特許第2,931,802号に記載された手順に従って製造することができる。
【0034】
一般に、この発明のHVLCMエステルは、生成したエステルのアルコール部分を形成する少なくとも一のアルコール(特に、少なくとも一のポリオール)を、生成したエステルの酸部分を形成する少なくとも一のカルボン酸、ラクトン、ラクタム、カーボネート又はカルボン酸無水物と反応させることにより製造することができる。エステル化反応は、幾つかの場合には強酸又は強塩基エステル化触媒の添加を用いるが、加熱することにより簡単に行うことができる。或は、エステル化触媒例えば2‐エチルヘキサン酸第一錫を利用することができる。加熱した反応混合物(触媒を伴うか又は伴わないもの)を攪拌しながら加熱し、次いで、例えば真空中で乾燥して如何なる未反応の出発材料をも除去して、液体の生成物を生成する。シュークロースアセテートイソブチレートは、米国特許第2,931,802号に記載の手順に従って製造することができる。
【0035】
このことについて、ポリオールは、カルボン酸の特にラクチド、グリコリド又は他のエステル化ヒドロキシ置換カルボン酸のオリゴマーのエステル化の基質を与えるという意味において、オリゴマー化の開始剤とみることができる。
【0036】
溶剤
上記のように、この発明の一具体例において、HVLCMを、粘度低下溶剤と混合して、一層低い粘度の液体キャリアー材料(LVLCM)を形成し、次いで、送達すべき生物学的に活性な物質と混合してから、投与することができる。これらの溶剤は、水溶性の、非水溶性の又は水混和性のものであってよく、アセトン、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、N−(ベータヒドロメチル)ラクタミド、ブチレングリコール、カプロラクタム、カプロラクトン、トウモロコシ油、デシルメチルスルホキシド、ジメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、エタノール、エチルアセテート、エチルラクテート、エチルオレエート、グリセロール、グリコフロール(テトラグリコール)、イソプロピルミリステート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、MIGLYOL(カプリル酸及び/又はカプリン酸とグリセロール又はアルキレングリコールとのエステル、例えばMIGLYOL810又は812(カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド)、MIGLYOL818(カプリル酸/カプリン酸/リノール酸トリグリセリド)、MIGLYOL829(カプリル酸/カプリン酸/コハク酸トリグリセリド)、MIGLYOL840(プロピレングリコールジカプリレート/カプレート))、オレイン酸、落花生油、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、2−ピロリドン、胡麻油、SOLKETAL([±]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール)、テトラヒドロフラン、TRANSCUTOL(ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カルビトール)、トリアセチン、トリエチルシトレート、及びこれらの組合せが含まれうる。加えて、もしこの組成物をエアゾールとして適用すべきであるならば(例えば、局所的適用のため)、溶剤は、少なくとも一の噴射剤例えばCFC噴射剤(例えば、トリクロロフルオロメタン及びジクロロフルオロメタン)、非CFC噴射剤(例えば、テトラフルオロエタン(R−134a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(R−227)、ジメチルエーテル、プロパン及びブタン)であるか該剤を含有することができる。特に適した溶剤及び/又は噴射剤には、ベンジルベンゾエート、ジメチルスルホキシド、エタノール、エチルラクテート、グリセロール、グリコフロール(テトラグリコール)、N−メチル−2−ピロリドン、MIGLYOL810、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、2−ピロリドン、及びテトラフルオロエタンが含まれる。
【0037】
この組成物を生物学的に活性な物質の投与との関連においてLVLCMとして用いる場合、それは、HVLCMが可溶性となる溶剤を含むべきである。ある場合には、投与すべき物質もこの溶剤中で可溶性である。この溶剤は、無毒性或は生体適合性であるべきである。毒性の溶剤は、医学又は農業目的には用いるべきでない。この組成物を動物に注射するために用いる溶剤は、移植部位で有意の組織刺激又は壊死を、刺激又は壊死が所望の効果である場合を除いて、引き起こすべきでない。
【0038】
一具体例において、この溶剤は、急速に体液又は他の水性環境に拡散して、組成物を凝固させ又は固化させるように、少なくとも水溶性であるべきである。他の具体例において、この溶剤は、組成物からの拡散及び対応する粘度の増加が遅くなるように、完全には水又は体液と混和性でない。
【0039】
1,6−ヘキサンジオール又はグリセロールのエステルをHVLCMとして用いる場合には、幾つかの可能な溶剤は、エタノール、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート及びPEG400である。
【0040】
この溶剤は、典型的には、これらの組成物に、該組成物の全重量に対して、約1〜95重量パーセントの、特に、約5〜90wt%の範囲の量で加える。尚一層特には、この溶剤は、該組成物中に、約10〜55重量パーセントの範囲の量で存在する。他の特定の範囲には、約10〜50重量パーセント及び約10〜30重量パーセントが含まれる。
【0041】
更なる具体例は、単独でHVLCMと組み合わせたとき又はHVLCM用の溶剤と組み合わせたときに、生成された組成物が乳液を形成しないように、HVLCM用の溶剤でない溶剤の利用を含む。かかる乳液は、HVLCMを分散相中に含むことができ(水中又はグリセロール中に乳化されたSAIB/MIGLYOL混合物の場合など)、又はそれらは、HVLCMを連続相成分として含むことができる(HVLCM中に乳化された水溶液又は水混和性溶剤中のHVLCMの溶液の場合など)。
【0042】
送達すべき物質
動物又は植物への物質の送達又は制御された放出のためのビヒクルとしてHVLCM又はLVLCMを用いる場合には、この物質は、所望の特性を示す任意の物質であってよい。特定の具体例において、この物質は、生物学的に活性な物質である。
【0043】
用語「生物学的に活性な物質」は、ここで用いる場合、動物(鳥類及びヒトを含む哺乳類を含むが、これらに限らない)に投与したときに生物学的効果を引き起こす薬物、ペプチド、タンパク質、炭水化物(単糖類、オリゴ糖類、及び多糖類を含む)、核タンパク質、ムコタンパク質、脂質タンパク質、合成のポリペプチド及びタンパク質、又はタンパク質に結合する小分子、糖タンパク質、ステロイド、核酸(CDNAを含む任意の形態のDNA,又はRNA又はこれらの断片)、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド(アンチセンスオリゴヌクレオチドを含む)、遺伝子、脂質、ホルモン、ビタミン(ビタミンC及びビタミンEを含む)、又はこれらの組合せを含む無機又は有機分子をいう。
【0044】
適当なタンパク質には、ヒト成長ホルモン、繊維芽細胞成長因子(FGF)、エリスロポエチン(EPO)、血小板由来成長因子(PDGF)、顆粒球コロニー刺激因子(g−CSF)、ウシソマトトロピン(BST)、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、インターロイキン、インスリン及びインターフェロンが含まれるが、これらに限らない。
【0045】
用語薬物は、ここで用いる場合、病気又は障害の治療、回復又は予防のための医薬として内用又は外用される任意の物質をいい、免疫抑制剤、抗酸化剤、麻酔剤、鎮痛剤、化学療法剤、ステロイド(レチノイドを含む)、ホルモン、抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、増殖抑制剤、抗ヒスタミン剤、抗凝固剤、抗光老化剤、メラノトロピックペプチド、非ステロイド及びステロイド抗炎症性化合物、抗精神病薬及び放射線吸収剤(UV吸収剤を含む)を含むが、これらに限らない。
【0046】
用語生物学的に活性な物質は、殺虫剤、農薬、殺真菌剤、殺鼠剤及び植物栄養剤及び成長促進剤などの薬剤をも包含する。
【0047】
一具体例において、この組成物は、ワクチンとして機能し、送達すべき物質は抗原である。この抗原は、細胞、細菌又はウイルス粒子又はこれらのタンパク質に由来するものであってよい。ここに規定のように、抗原は、免疫原性応答を動物例えば哺乳動物、鳥類又は魚類において誘出するタンパク質、ペプチド、多糖類、糖タンパク質、糖脂質、核酸又はこれらの組合せであってよい。ここに規定のように、免疫原性応答は、液性であっても細胞媒介性であってもよい。免疫原性応答が望まれる材料に抗原性が乏しい場合には、それを、標準的な共有結合技術(例えば、幾つかの市販の試薬キットの一つ)を用いて、アルブミンなどのキャリアー又はハプテンに結合することができる。
【0048】
好適な抗原の例には、ウイルスタンパク質例えばインフルエンザタンパク質、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)タンパク質、及びA、B又はC型肝炎タンパク質、及び細菌タンパク質、リポ多糖例えばグラム陰性細菌細胞壁及び淋菌タンパク質、及びパルボウイルスが含まれる。この発明の組成物を用いて、粘膜及び全身性免疫応答の両方を、この発明のHVLCM(適宜、上記のように粘度を低下させるための溶剤を使用)を免疫原性材料と共に、粘膜表面に、例えば鼻、膣又は直腸から投与するワクチンにて、投与することにより誘出することもできる。この免疫原性材料は、粘膜組織への送達が望まれる任意の免疫原性薬剤であってよい。これらの免疫原性材料は、ウイルス、細菌、原生動物又は真菌性の疾患(例えば、呼吸シンシチウム、パラインフルエンザウイルス、インフルエンザ菌、百日咳菌、淋菌、肺炎連鎖球菌、及び熱帯熱マラリア原虫又は他の病原性微生物により引き起こされる疾患)に対して予防接種するための抗原、巨視的生物例えば蠕虫病原体により引き起こされる疾患に対して予防接種するための抗原、及びアレルゲンに対して予防接種するための抗原を含む。この具体例の更に一層特別の面において、HVLCM又はLVLCMを、上記の式II〜VIIIから選択する。この型のワクチンは、米国仮出願第60/132,096(1999年4月30日出願)において、SAIBにつき記載された手順に従って調製して投与することができる(該出願の全内容を参考として本明細書中に援用する)。
【0049】
他の具体例において、この組成物は、ヒト及び動物における再生治療のための制御された放出用組成物として機能する。例えば、HVLCM又はLVLCMは、ゴナドトロピン放出ホルモン又はその類似体若しくはアゴニストと組合せることができる。この具体例の特別の面において、HVLCM又はLVLCMは、アセテート対ブチレート比2:6を有するSAIBではない。この具体例の尚一層特別の面において、HVLCM又はLVLCMを、上記の式II〜VIIIから選択する。これらの組成物は、SAIBについて、米国出願第09/001,123(1997年12月30日出願)に記載された手順に従って調製して投与することができる(該出願の全内容を、参考として本明細書中に援用する)。
【0050】
薬理学的材料の非制限的な例には、抗感染剤例えばニトロフラゾン、ナトリウムプロピオネート、抗生物質(ペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、バシトラシン、ナイスタチン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ポリミキシン、グラミシジン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン及びアジスロマイシンを含む);スルホンアミド(スルファセタミド、スルファメチゾール、スルファメタジン、スルファメラジン及びスルフィソキサゾールを含む)、及び抗ウイルス剤(イドクスウリジンを含む);抗アレルギー剤例えばアンタゾリン、メタピリテン、クロルフェニラミン、ピリラミンプロフェンピリダミン、ヒドロコルチゾン、コルチゾン、ヒドロコルチゾンアセテート、デキサメタゾン21−ホスフェート、フルオシノロン、トリアムシノロン、メドリゾン、プレドニゾロン、プレドンゾロン21−ナトリウムスクシネート及びプレドニゾロンアセテート;脱感作剤例えばブタクサ花粉抗原、枯草花粉抗原、塵抗原及び乳抗原;ワクチン例えば天然痘、黄熱病、ジステンパー、豚コレラ、水痘、抗毒、猩紅熱、ジフテリア毒素、破傷風毒素、鳩痘、百日咳、インフルエンザ狂犬病、流行性耳下腺炎、はしか、小児麻痺及びニューカッスル病ワクチン;充血除去剤例えばフェニレフリン、ナファゾリン及びテトラヒドラゾリン;縮瞳薬及び抗コリンエステラーゼ薬例えばピロカルピン、エスペリンサリチレート、カルバコール、ジイソプロピルフルオロホスフェート、ホスホリンヨージド及びデメカリウムブロミド;副交感神経遮断剤例えばアトロピンスルフェート、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、ユーカトロピン及びヒドロキシアンフェタミン;交感神経様作用薬例えばエピネフリン;鎮静剤及び催眠剤例えばペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(a−ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマール;精神賦活薬例えば3−(2−アミノプロピル)インドールアセテート及び3−(2−アミノブチル)インドールアセテート;精神安定剤例えばレセルピン、クロルプロマジン及びチオプロパゼート;麻酔薬例えばノビカイン及びブピバカイン;アンドロゲン性ステロイド例えばメチル−テストステロン及びフルオリメステロン;エストロゲン例えばエストロン、17−fl−エストラジオール、エチニルエストラジオール及びジエチルスチルベストロール;プロゲステロン剤例えばプロゲステロン、メゲストロール、メレンゲストロール、クロルマジノン、エチステロン、ノルエチノドレル、19−ノルプロゲステロン、ノルエチンドロン、メドロキシプロゲステロン及び17−0−ヒドロキシ−プロゲステロン;体液性剤例えばプロスタグランジン例えばPGE2、PGE2及びPGF2;解熱剤例えばアスピリン、ナトリウムサリチレート及びサリチルアミド;鎮痙薬例えばアトロピン、メタンテリン、パパベリン及びメトスコポラミンブロミド;抗マラリア薬例えば4−アミノキノリン、8−アミノキノリン、クロロキニン及びピリメタミン、抗ヒスタミン剤例えばジフェンヒドラミン、ジメンヒドリネート、トリペレンアミン、ペルフェナジン及びクロロフェナジン;心臓作用薬例えばジベンズヒドロフルメチアジド、フルメチアジド、クロロチアジド及びアミノトレート;栄養剤例えばビタミン、天然及び合成の生理活性ペプチド及びタンパク質(成長因子、細胞接着因子、サイトカイン及び生物学的応答調節物質を含む)が含まれる。
【0051】
活性な化合物は、この組成物に、宿主動物又は植物に所望の効果を達成するのに有効な量を送達するのに十分な量で含まれる。この組成物に組み込まれる薬物又は生物学的に活性な薬剤の量は、所望の放出プロフィル、生物学的効果に必要な薬物の濃度、及び薬物放出の所望期間に依存する。
【0052】
この組成物中の活性な化合物の濃度は又、薬物の吸収、不活性化及び排泄速度
並びに他の当業者に公知の要因にも依存する。投薬量の値は軽減すべき病状の重さによっても変化するということに注意すべきである。任意の特定の患者、特定の投薬養生法は、個々の必要性及び組成物の投与者又は該投与を管理する専門家の判断に従って経時的に調節されるべきであるということ、及びここに示した濃度範囲は単なる例であり、請求している組成物の範囲又は実施を制限することを意図するものではないということは更に理解されるべきである。この組成物は、一回の投薬量で投与することもできるし、間隔を変えて投与するための幾つかの一層少ない投与量に分割することもできる。
【0053】
この生物学的に活性な物質は、典型的には、組成物中に、該組成物の全重量の約0.1〜20重量パーセントの、一層特には約0.5〜20重量パーセントの範囲で存在し、一層典型的には、約1〜15重量パーセント以上の範囲で存在する。他の好適な範囲は、約2〜10重量パーセントである。成長因子などの非常に活性な薬剤については、好適範囲は、1重量%未満であり、0.0001%未満である。
【0054】
可溶性の物質と不溶性の物質の両者を、制御された送達のために、HVLCM又はLVLCM中に分配することができる。その上、これらの生物学的に活性な物質及びHVLCM又はLVLCMを含む配合物は、更に、高分子の賦形剤と配合して改変された特性を有する薬物送達用マトリクスを提供することができる。その結果生成した組成物は、当分野で公知の技術によって、ミクロスフェアに、又は巨視的な移植物その他の幾何学形状及び寸法に形成することができる。或は、生物学的に活性な物質を内部に取り込んだ、予備成形したミクロスフェア又は移植物を、例えば注射用ビヒクルとしてのHVLCM又はLVLCMと合わせることができる。ここに、HVLCM又はLVLCMは、二次的バリヤーを形成して、増大された薬物送達を与える。このHVLCM又はLVLCM相は、特定の生物学的要求に従って、他の生物学的に活性な物質を含むこともできるし、含まなくてもよい。これらの他の生物学的に活性な物質は、上記のものの何れであってもよいが、生物学的に活性な物質は、当分野で公知の技術によるミクロスフェア又は移植物への組み込みに適していなければならない。
【0055】
添加物
様々な添加物を、適宜、HVLCM又はLVLCMに添加して、この材料の特性を所望のように改変することができ、特に、この組成物の含有する生物学的に活性な物質についての放出特性を改変することができる。これらの添加物は、所望の特性を組成物に付与するのに十分な任意の量で存在してよい。使用する添加物の量は、一般に、その添加物の性質及び達成すべき効果の関数であり、型どおりの仕事しかしない人によって容易に決定することができる。適当な添加物は、米国特許第5,747,058号に記載されている(その全内容を参考として本明細書中に援用する)。一層特に、適当な添加物には、水、生物分解性ポリマー、生物分解性でないポリマー、天然油、合成油、炭水化物又は炭水化物誘導体、無機塩類、BSA(ウシ血清アルブミン)、界面活性剤、有機化合物例えば糖類、及び有機塩類例えばナトリウムシトレートが含まれる。これらのクラスの添加物の幾つかは、以下で一層詳細に説明する。一般に、添加物が水溶性でない程(即ち、親油性である程)、それは、物質の放出速度を、添加物を有しない同じ組成物と比べて遅くする。加えて、組成物の強度又は多孔度などの特性を増大させる添加物を含むことは望ましいであろう。
【0056】
添加物の添加を利用して、活性成分の送達時間を長くして、組成物を、長期間の投与に応答性の障害又は病気の治療に適したものにすることもできる。このことについて、適当な添加物には、米国特許第5,747,058号に開示されたものが含まれる。特に、この目的に適した添加物には、高分子の添加物例えばセルロース系ポリマー及び生物分解性ポリマーが含まれる。適当なセルロース系ポリマーには、セルロースアセテート、セルロースエーテル、及びセルロースアセテートブチレートが含まれる。適当な生物分解性ポリマーには、ポリアセトン、ポリ無水物、及びポリオルトエステル特にポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン及びこれらのコポリマーが含まれる。
【0057】
存在する場合、添加物は、典型的には、これらの組成物中に、組成物の全重量に対して約0.01〜20重量パーセントの、一層特に、約0.1〜20重量パーセントの量で存在し、一層典型的には、組成物中に、約1、2又は5〜約10重量パーセントの量で存在する。ある種の添加物例えば緩衝剤は、組成物中に、単に少量で存在する。
【0058】
下記のカテゴリーは、この組成物中で用いることのできる添加物のクラスの非制限的な例である。
【0059】
ここに開示したこと及び達成する目的が与えられれば、当業者は、容易に、他の添加物を選択して所望の目的を達成することができよう。これらの具体例のすべては、この開示した発明の内に入ると考えられる。
【0060】
A.生物分解性ポリマー
添加物の一つのカテゴリーは、生物分解性のポリマー及びオリゴマーである。
これらのポリマーを用いて、送達すべき物質の放出プロフィルを変え、組成物に完全性を加え、或は組成物の特性を改変することができる。適当な生物分解性ポリマー及びオリゴマーの非制限的な例には、ポリ(ラクチド)、ポリ(ラクチド−コグリコリド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(カプロラクトン)、ポリアミド、ポリ無水物、ポリアミノ酸、ポリオルトエステル、ポリシアノアクリレート、ポリ(ホスファジン)、ポリ(ホスホエステル)、ポリエステルアミド、ポリジオキサノン、ポリアセタール、ポリケタール、ポリカーボネート、ポリオルトカーボネート、分解性ポリウレタン、ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシバレレート、ポリアルキレンオキサレート、ポリアルキレンスクシネート、ポリ(マレイン酸)、キチン、キトサン、及びコポリマー、ターポリマー、酸化セルロース、又は上記の材料の組合せ若しくは混合物が含まれる。
【0061】
ポリ(α−ヒドロキシ酸)の例には、ポリ(グリコール酸)、ポリ(DL−乳酸)及びポリ(L−乳酸)、及びこれらのコポリマーが含まれる。ポリラクトンの例には、ポリ(ε−カプロラクトン)、ポリ(δ−バレロラクトン)及びポリ(ガンマブチロラクトン)が含まれる。
【0062】
B.生物分解性でないポリマー
本発明の組成物と共に用いるための他の添加物は、生物分解性でないポリマーである。添加物として用いることのできる非腐食性ポリマーの非制限的な例には、ポリアクリレート、エチレン−ビニルアセテートポリマー、セルロース及びセルロース誘導体、アシル置換されたセルロースアセテート及びこれらの誘導体、非腐食性ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルクロリド、ポリビニルフルオリド、ポリビニル(イミダゾール)、クロロスルホネートポリオレフィン、ポリエチレンオキシド及びポリエチレンが含まれる。
【0063】
好適な生物分解性でないポリマーには、ポリビニルピロリドン、エチレンビニルアセテート、ポリエチレングリコール、セルロースアセテートブチレート(「CAB」)及びセルロースアセテートプロピオネート(「CAP」)が含まれる。
【0064】
C.油及び脂肪
本発明の組成物において用いることのできる添加物の更なるクラスは、天然及び合成の油及び脂肪である。動物又は植物の種子(典型的には、ナッツの種子)から得られる油には、脂肪酸(特に、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸及びリノール酸)のグリセリドが含まれる。原則的に、分子が水素を多く含む程、その油は一層濃密となる。
【0065】
適当な天然及び合成の油の非制限的な例には、植物油、落花生油、中鎖トリグリセリド、大豆油、扁桃油、オリーブ油、胡麻油、落花生油、茴香油、椿油、トウモロコシ油、綿実油、及び大豆油(粗製又は精製品)及び中鎖脂肪酸トリグリセリドが含まれる。
【0066】
脂肪は、典型的には、高級脂肪酸例えばステアリン酸及びパルミチン酸のグリセリルエステルである。かかるエステル及びそれらの混合物は、室温で固体であり、結晶構造を示す。ラード及び獣脂は、例である。一般に、油及び脂肪は、HVLCMの疎水性を増大させ、分解及び水の取り込みを遅らせる。
【0067】
D.炭水化物及び炭水化物誘導体
本発明の組成物で用いることのできる添加物の他のクラスは、炭水化物及び炭水化物誘導体である。これらの化合物の非制限的な例には、単糖類(フルクトース及びその異性体のグルコース(デキストロース)などの単一の糖);シュークロース、マルトース、セロビオース及びラクトースなどの二糖類;及び多糖類が含まれる。
【0068】
LVLCM及びHVLCM組成物の利用
ここに記載の組成物は、達成すべき結果により変化しうる様々な方法によって宿主に投与することができる。宿主がヒトなどの動物である場合には、該組成物を、例えば、局所投与、全身投与(例えば、粘膜(口、直腸、膣、又は鼻)から)、非経口投与(静脈投与、皮下投与、筋肉内投与又は腹腔内投与)するか、肺組織から、所望であれば適当なキャリアーにて投与することができる。この組成物を、ヒト若しくは動物への投与に用い、又は農業目的に用いる場合には、注射、流し込み、スプレーディップ、エアゾル又は塗布装置により適用することができる。この組成物のエアゾル又は霧は、エアゾル噴射剤を用いて(例えば、局所投与のために)、又は適当な噴霧器を用いて(例えば、肺、鼻又は口腔粘膜投与のために)投与することができる。
【0069】
好ましくは、製薬目的又は獣医学的目的のためには、本発明の組成物は、液体として注射により、又はエアゾル、ペースト若しくは乳液にて投与する。LVLCMとして注射により投与する場合には、水溶性溶剤が組成物で用いられているならば、その溶剤は、宿主の水性液体中に浸出して、物質の制御された送達のための高粘度の貯蔵所又は癒着を防止し若しくは最少にする組織の被覆を形成する。上で説明したように、LVLCM製造における水溶性溶剤の利用は、浸出時間を有意に減少させる。エアゾル又は乳液にて用いる場合には、溶液中の少量の溶剤が、適用に際して蒸発して、LVLCMをHVLCMとして硬化させる。エアゾル及び乳液の形成は、当業者に公知の技術を用いて達成することができる。例えば、Ansel,H.C.等、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 第6版、1995を参照されたい。
【0070】
これらの組成物を用いて、防護用組織被覆を形成することができ、特に、外科的癒着の形成を防止することができる。このHVLCMは、周囲の組織又は骨に接着することができ、それ故、皮下にコラーゲンのように注射して組織を作り又は欠損部に充填することができる。それは、傷(火傷を含む)に注入して深い傷痕の形成を防止することもできる。HVLCMの分解時間は、例えば、該HVLCMへの添加物としてポリマーを用いることにより調節することができる。次いで、HVLCMにより形成された移植物は、体内でゆっくり生物分解されて、天然組織の成長及び該移植物の消滅の際の該移植物との置換を可能にする。これらの組成物は、適宜、麻酔剤、鎮痛剤、抗生物質及び抗炎症剤を含む(但し、これらに限らない)生物学的に活性な物質を含むことができる。
【0071】
上記のように、この発明のHVLCM及びLVLCM材料は、動植物への生理活性物質などの物質の制御された放出及び送達のためにのみ用いられるのではなく、米国特許出願第08/044022号に記載されたように、内科又は外科用デバイスとしても利用される(該特許出願の全内容を参考として本明細書中に援用する)。
【0072】
この発明の組成物のデバイスの有用性には、外科的癒着のブロック、空所の充填、誘導組織再生、止血誘導、組織癒着、足場及び傷用医薬材料が含まれるが、これらに限らない。これらの応用の各々は、適宜、生物学的に活性な物質の放出又は薬物送達を含むことができる。例えば、傷用医薬材料としての非高分子エステル又は混合エステル組成物は、容易に、傷の治癒を促進する様々な成長因子を提供する。一般に、これらの有用性のために、組成物の全重量に対して約99.5〜25重量パーセントの量で存在する、非高分子の、非水溶性の、液体キャリアー材料を有する組成物を利用することができる。これらの組成物は、溶剤で希釈することができ、該溶剤には、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、グリコフロール、カプリン酸/カプリル酸トリグリセリド、ベンジルベンゾエート、エチルオレエート、イソプロピルミリステート、トリエチルシトレート、及び任意のエアゾル噴射剤の一つ以上が含まれる(移植可能な又は噴霧可能な組成物を得るために、組成物の全重量に基づいて計算して、約10〜90重量%の非高分子の、非水溶性の、液体キャリアー材料の濃度まで)が、これらに限らない。
【0073】
外科的癒着をブロックするためには、同じ又は異なる臓器の癒着をブロックする噴霧された又は塗布されたフィルムが適当である。非高分子エステル又は混合エステル組成物を、様々な溶剤の何れかにおいて配合し、該溶剤には、エタノール、エチルラクテート、N−メチル−2−ピロリドン、又は任意の一般的エアゾル噴射剤、ジメチルエーテル、又は任意の噴射剤(添加物を伴うか又は伴わない)が含まれ、エアゾルスプレーとして適用することができる。その結果生成したフィルムは、癒着、密着、分解若しくは多孔度又はこれらの組合せをもたらすことができる。
【0074】
空所充填のためには、非高分子エステル又は混合エステル組成物は、化粧修復のためのコラーゲンのように、典型的に、適当である。関連する応用において、非高分子エステル又は混合エステル組成物は、骨折時に骨細片を一緒に保持するために有用であり、適宜、麻酔剤、抗生物質又は成長因子を狙いを定めた送達のために含むことができる。
【0075】
誘導組織再生は、上皮の移動をブロックするための歯周囲修復などの他の応用である。有利には、本発明の組成物を、溶液から適用する。これらの組成物に誘導組織再生のために組み込まれる典型的な薬物には、様々な成長因子及び細胞再付着因子が含まれるが、これらに限らない。
【0076】
止血又は血流を止めることは、典型的に、外科環境における、他の有用性である。本発明の組成物は、生物分解性である。適当な添加物には、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール又はカルボキシメチルセルロースが含まれるが、これらに限らない。適当な溶剤には、エチルラクテート及びプロピレンカーボネートが含まれる。
【0077】
非高分子エステル又は混合エステル組成物の噴霧又は塗布用組成物は、傷の閉鎖のための組織癒着として適当である(一次密閉剤として又は縫合糸若しくはステープルと共に使用)。適当な添加物には、カルボキシメチルセルロース又はポリビニルピロリドンが含まれるが、これらに限らない。適当な溶剤には、プロピレンカーボネート、エチルラクテート、グリコフラール、ジメチルスルホキシド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン及びエタノールが含まれるが、これらに限らない。これらの組成物に組織癒着のために組み込まれる生物学的に活性な物質には、抗生物質、抗炎症性化合物、鎮痛剤、麻酔剤及び成長因子が含まれるが、これらに限らない。
【0078】
足場形成は、本発明の組成物の他のデバイス有用性であり、特に、新しい組織の成長に適応できる。典型的な配合物には、ポリビニルピロリドン及びトリカルシウムホスフェートが含まれる。この足場形成は、骨又は神経細胞の付着及び成長に適したマトリクスを提供する。足場形成のためにこれらの組成物に組み込まれる生物学的に活性な物質には、成長因子が含まれるが、これらに限らない。
【0079】
本発明の組成物の他の応用は、傷用医薬材料である(それに組み込まれる適当な薬物を伴うか又は伴わない)。この傷用医薬材料は、傷を保護するように機能して、治癒プロセスを促進する。一つの典型的な応用において、非高分子エステル又は混合エステル組成物を、エアゾルスプレーとして適用する。傷用医薬材料におけるこれらの組成物に組み込まれる生物学的に活性な物質には、抗生物質例えばアミカシン、抗炎症性化合物、鎮痛剤、麻酔剤又は成長因子例えば繊維芽細胞成長因子が含まれるが、これらに限らない。
【0080】
この発明の組成物を、生物学的に活性な物質の制御された放出送達のために用いるにせよ又はデバイス若しくは移植物として用いるにせよ、これらの組成物は、非常に高い粘度を有しうる。上記のように、HVLCM材料は、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有する。一層特別の具体例において、これらのHVLCM材料は、37℃で、10,000cPより高い、一層特には15,000cPより高い、尚一層特には約20,000、25,000又は50,000cPより高い粘度を有する。
【0081】
実施例1 DL−ラクチド/ε−カプロラクトン75/25初期モル濃度の高粘度の液体は、1,6−ヘキサンジオールと反応した。
清浄な、1リットルのガラス製反応用フラスコにアセトンですすいだステンレス鋼製の機械的攪拌機を取り付けて、3時間、0.5mmHgの真空下で乾燥させ、同時に、150℃の油浴に浸した。この反応器をこの浴から取り出して冷却してから、197.5グラム(1.37モル)のDL−ラクチド、52.5グラム(0.46モル)のε−カプロラクトン、及び40グラム(0.34モル)の1,6−ヘキサンジオールを充填した。添加後に、この反応フラスコを窒素で5回パージして、150℃の油欲に浸した。この混合物を、大部分が溶融したように見えた後で、ゆっくり攪拌して相変化を促進した。全内容物が溶融した後に、1.28mL(210μモル)の0.164M 2‐エチルヘキサン酸第一錫溶液(トルエン中)を加えた。約1時間にわたってこの触媒が分散するまで攪拌を続けた。この溶液を、攪拌せずに、18時間、150℃に維持した。その結果生成した化合物を、次いで、真空(<0.5mmHg)下で150℃で4〜5時間にわたって乾燥させて、如何なる未反応の出発材料をも除去した(低速の攪拌を適用)。その結果得られた生成物は、30℃で0.049dL/g(CHCl中)の固有然度を有した。
【0082】
実施例2 DL−ラクチド/グリコリドの75/25初期モル濃度の高粘度の液体は、1,6−ヘキサンジオールと反応した。
実施例1に詳述した手順を用いて、247.13g(1.71モル)のDL−ラクチド、62.87g(0.54モル)のグリコリド、及び49.6g(0.42モル)の1,6−ヘキサンジオールを用いて、材料を調製した。初期溶融に続いて、1.84mL(260μモル)の0.141M 2‐エチルヘキサン酸第一錫溶液(トルエン中)を加えた。その結果生成した生成物は、30℃で0.058dL/g(CHCl中)の固有粘度を有した。この材料は、室温で液体であった。
【0083】
実施例3 DL−ラクチド/ε−カプロラクトンの75/25初期モル濃度の高粘度の液体は、グリセロールと反応した。
実施例1に記載した手順を用いて、198.14g(1.37モル)のDL−ラクチド、54.8g(0.47モル)のε−カプロラクトン及び40g(0.43モル)のグリセロールを用いて、材料を調製した。初期溶融の後に、1.36mL(210μモル)の0.154M 2‐エチルヘキサン酸第一錫溶液(トルエン中)を加えた。その結果生成した生成物は、30℃で0.038dL/g(CHCl中)の固有粘度を有した。この生成物は、室温で液体であった。
【0084】
実施例4 DL−ラクチド/グリコリドの75/25初期モル濃度の高粘度の液体は、グリセロールと反応した。
実施例1に記載の手順を用いて、247.33g(1.72モル)のDL−ラクチド、62.87g(0.54モル)のグリコリド、及び50.0g(0.54モル)のグリセロールを用いて、化合物を調製した。初期溶融に続いて、1.46mL(260μモル)の0.179M 2‐エチルヘキサン酸第一錫溶液(トルエン中)を加えた。その結果生成した生成物は、30℃で0.028dL/g(CHCl中)の固有粘度を有した。この材料は、室温で液体であった。
【0085】
実施例5 グリコリドの高粘度の液体は、グリセロールと反応した。
清浄な、1リットルのガラス製反応用フラスコにアセトンですすいだステンレス鋼製の機械的攪拌機を取り付けて、3時間、0.5mmHgの真空下で乾燥させ、同時に、150℃の油浴に浸した。この反応器をこの浴から取り出して冷却してから、174グラム(1.5モル)のグリコリド及び92グラム(1.0モル)のグリセロールを充填した。添加後に、この反応フラスコを窒素で5回パージして、150℃の油欲に浸した。この混合物を、その大部分が溶融したように見えた後で、ゆっくり攪拌して相変化を促進させた。全内容物が溶融した後に、1.28mL(210μモル)の0.164M 2‐エチルヘキサン酸第一錫溶液(トルエン中)を加えた。約1時間にわたってこの触媒が分散するまで攪拌を続けた。この溶液を、攪拌せずに、18時間、150℃に維持した。その結果生成した化合物を、次いで、真空(<0.5mmHg)下で150℃で4〜5時間にわたって低速で攪拌しながら乾燥させて、如何なる未反応の出発材料をも除去した。
【0086】
実施例6 ε−カプロラクトンの高粘度液体は、1−ドデカンと反応した。
実施例5に記載した手順を用いて、513g(4.5モル)のε−カプロラクトン及び93g(0.5モル)の1−ドデカンを用いて、材料を調製した。試薬の添加の後に、1.36mL(210μモル)の0.154M 2‐エチルヘキサン酸第一錫溶液(トルエン中)を加えた。この反応を実施例5に記載したように進行させて、そこに記載のように精製した。
【0087】
この発明の組成物を利用する方法を以下に例示する。
【0088】
例A
CAPROL 10G40(デカグリセロールテトラオレエート)を、ベンジルベンゾエートに50:50の重量比で溶解させた。ブピバカインを、この混合物に、8.75wt%の濃度で溶解させた。約100mgの重量の液滴を40mLの緩衝液を含む試験管中に滴下した。緩衝液の試料を特定の時点で取り出して新鮮な緩衝液と置き換えた。これらの試料を、UV−可視分光測光法により265nmで分析して、各緩衝液試料中のブピバカインの濃度を測定した。4時間の時点で、液滴中のブピバカインの7.5wt%未満が緩衝液中に放出された。48時間の時点で、ブピバカインの約24.0wt%が放出された。その累積的放出プロフィルを図1に示した。
【0089】
例B
実施例1で生成した1,6−ヘキサンジオールラクテートε−ヒドロキシカプロン酸をN−メチルピロリドンに重量比70:30で溶解させた。次いで、10wt%のブピバカインをこの混合物に加えて溶解させた。約100mgの重量の液滴を、40mLの緩衝液に滴下させた。緩衝液の試料を特定の時点で取り出して新鮮な緩衝液と置き換えた。緩衝液試料を、UV−可視分光測光法により265nmで分析して、各緩衝液試料中のブピバカインの濃度を測定した。4時間の時点で、滴下した液滴に含まれるブピバカインの約4.1wt%が放出された。24時間の時点で、ブピバカインの約8.6wt%が放出された。その累積的放出プロフィルを図1に示した。
【0090】
例C
実施例4により調製したグリセロールラクテートグリコレートを、エタノール中に、70:30の重量比で溶解させた。次いで、10wt%のエストラジオールをこの混合物に懸濁液として加えた。この配合物をホモゲナイズしてから試験して適当な混合を確実にした。この配合物の液滴を、緩衝液を含む試験管内に注入した。グリセロールラクテートグリコレートを滴下して、エストラジオールがゆっくり放出される貯蔵所を形成した。緩衝液の試料を特定の時点で取り出して新鮮な緩衝液と置き換えた。これらの各試験管から取り出した緩衝液試料を、UV−可視分光測光法により280nmで分析して、各試料中のエストラジオール濃度を測定した。アッセイした濃度を用いて、液滴から放出されたエストラジオールのパーセントを計算した。図2は、エストラジオールの累積的放出プロフィルを示している。
【0091】
例D
実施例2により調製した1,6−ヘキサンジオールラクテートグリコレートをプロピレンカーボネート中に、80:20の重量比で溶解させた。10wt%のプロゲステロンをこの混合物中に懸濁液として取り込ませた。この配合物をホモゲナイズしてから試験して、適当な混合を確実にした。その結果生成した配合物を分析して、そのイン・ビトロ溶解プロフィルを測定した。この配合物の液滴を緩衝液を含む試験管内に注入した。1,6−ヘキサンジオールラクテートグリコレートを滴下して、プロゲステロンがゆっくり放出される貯蔵所を形成した。緩衝液の試料を特定の時点で取り出して、新鮮な緩衝液と置き換えた。これらの緩衝液試料を、UV−可視分光測光法により244nmで分析して、各試料中の薬物濃度を測定した。アッセイした濃度を用いて、液滴から放出されたプロゲステロンのパーセンテージを計算した。この累積的放出プロフィルを図3に示した。
【0092】
例E
実施例3により調製したグリセロールラクテートε−ヒドロキシカプロン酸をポリエチレングリコール(PEG)400に36:64の重量比で溶解させた。リゾチームを乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、生成した粉末をこの混合物に懸濁液として10wt%の濃度で取り込んだ。この配合物をスパーテルを用いて徹底的に混合した。この配合物の約500μLの容積の試料を、各10mLの緩衝液を含んだ3本の試験管に注入した。緩衝液のアリコート(8mL)を特定の時点で取り出して、新鮮な緩衝液と置き換えた。リゾチームを含む緩衝液の各試料を、ミクロBCAタンパク質アッセイ用試薬キットを用いて分析して、この溶解試料中のタンパク質含有量を測定した。このアッセイしたリゾチーム濃度を用いて、液滴から放出されたリゾチームのパーセントを計算した。その累積的放出プロフィルを図4に示した。
【0093】
例F
CAPROL 6G2O(ヘキサグリセロールジオレエート)をベンジルベンゾエートに25:75の重量比で溶解させた。リゾチームを乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、生成した粉末をこの混合物に懸濁液として10wt%の濃度で取り込んだ。この配合物をスパーテルを用いて徹底的に混合した。この配合物の約500μLの容積の試料を、各10mLの緩衝液を含んだ3本の試験管に注入した。緩衝液のアリコート(8mL)を特定の時点で取り出して、新鮮な緩衝液と置き換えた。リゾチームを含む緩衝液の各試料を、ミクロBCAタンパク質アッセイ用試薬キットを用いて分析して、この溶解試料中のタンパク質含有量を測定した。このアッセイしたリゾチーム濃度を用いて、液滴から放出されたリゾチームのパーセントを計算した。その累積的放出プロフィルを図4に示した。
【0094】
例G
1,6−ヘキサンジオールラクテートε−ヒドロキシカプロン酸(実施例1により調製)及び1,6−ヘキサンジオールラクテートグリコレート(実施例2により調製)をポリエチレングリコール(PEG)400に、それぞれ、34:66及び33:67の重量比で溶解させた2種の溶液を調製した。各配合物の液滴を、脱イオン水を含む試験管に注入し、1,6−ヘキサンジオールラクテートε−ヒドロキシカプロン酸及び1,6−ヘキサンジオールラクテートグリコレートをこれらの試験管の底に滴下した。これらの液滴は、それらの形状を一週間より長期間にわたって保持した。
【0095】
例H
下記の表に列記した配合物は、実施例1〜4で調製したエステルを用いて調製した。それぞれの場合に、混合物は、均一な溶液を生じた。
【表1】

【表2】



【0096】
例I
米国特許第5,747,058号に記載されたように調製した5.33gのブピバカインの10wt%溶液(70:30のSAIB/NMPを含む組成物中)をエアゾル用コンテナに加えた。14.32gの噴射剤R−143a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を加えた。この混合物は、泡立つことなく容易に噴霧される溶液を形成した。
【0097】
例J
米国特許第5,747,058号に記載されたように調製した5.44gのブピバカインの10wt%溶液(70:30のSAIB/NMPを含む組成物中)をエアゾル用コンテナに加えた。16.55gの14.32gの噴射剤R−143a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を加えた。この混合物は、泡立つことなく容易に噴霧される溶液を形成した。
【0098】
例K
0.87gのブピバカイン塩基をエアゾルコンテナに加えた。2.5wt%の生物分解性ポリマー(65:35 DLPLG)を含む8.47gのSAIB/プロピレンカーボネート溶液(70:30)をこのコンテナに加えた。0.98gのエタノールを、薬物の溶解を助けるために加えた。一度溶解したら、約16gの噴射剤R−134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)を加えた。この混合物は、泡立つことなく容易に噴霧される溶液を形成した。
【0099】
例L
SAIBを、噴射剤134a(1,1,1,2−テトラフルオロエタン)及び227(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン)に、5及び10wt%のレベルで溶解させた。透明な溶液が形成された。
【0100】
例M
更なる例を行って、リゾチームの持続的放出を提供するために高粘度の化合物シュークロースアセテートイソブチレート(SAIB)を利用する新規な制御された放出システムを評価した。少量の溶剤が、SAIBを容易に注射可能な液体に変換する。一度注射されると、溶剤が放散して、高粘度の、生物分解性の移植物を形成する。放出プロフィルは、異なる溶剤及び添加物を用いることにより変えることができる。
【0101】
粉砕したリゾチーム(10wt%)を、溶剤エチルラクテート、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、MIGLYOL 810及びベンジルベンゾエートを含むSAIB/溶剤混合物に懸濁させた。酸、エステル又はPEG末端基を有する3つのポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)ポリマーを添加物として評価した。放出速度を測定するために、配合物の液滴を、pH6.24の緩衝液を入れた試験管に注入してから、震盪機中で37℃でインキュベートした。ある時点で、緩衝液のアリコートを取り出して、新鮮な緩衝液と置き換えた。緩衝液中のリゾチーム濃度を、BCAタンパク質アッセイによって測定した。タンパク質活性を、ミクロコッカス・リゾダイクチカス(lysodeikticus)の懸濁液の細胞溶解を分光測光法により測定する酵素アッセイを用いて測定した。450nmの吸光度の減少を時間の関数として記録した(これは、活性リゾチーム濃度と直接関係している)。
【0102】
6時間の時点で、放出は、70:30 SAIB/NMP配合物の1.3wt%(110.3±5.0%活性)から40:60 SAIB/エチルラクテート配合物の4.5wt%(107.6±6.1%活性)に及んだ。7日目で放出されたパーセントは、40:60 SAIB/エチルラクテートの46.7%(88.9±6.8%活性)から70:30 SAIB/MIGLYOLの96.4%(107.6±7.0%活性)に及んだ。これら3つのポリマーの各々のSAIB/NMP配合物への0.5wt%の添加は、放出プロフィルに有意の影響を与えなかった。
【0103】
これらの結果は、上記のSAIB/溶剤送達システムが、活性状態のタンパク質の持続的放出を与えうるということ、及びその放出速度を調節してある範囲の放出プロフィルを与えることができるということを示してる。
【0104】
例N
更なる例を行って、SAIB送達システムに基づく配合物からの化学療法剤のパクリタクセルと5−フルオロウラシル(5−FU)の放出に対する配合物の変数の効果を評価した。上記の記載から、SAIB送達システムがシュークロースアセテートイソブチレート(SAIB)、完全にエステル化された水不溶性のシュークロース誘導体を賦形剤として利用するということは理解されよう。それは、少量の溶剤例えばエタノール、MIGLYOL、エチルラクテート、プロピレンカーボネート、又はDMSO添加により、低〜中位の粘度の液体として配合することができ、容易に注射できる配合物を生成する。
【0105】
適当な溶剤中のSAIBの溶液を、添加物の取り込みを伴って又は伴わないで調製することができる。活性成分を計って試験管に入れ、SAIB/混合物を加えて、徹底的に混合して溶液又は懸濁液を所望の薬物配合で生成した。この混合物の単一の液滴を、標準的な注射器と注射針を用いて注入することにより緩衝液中に滴下した。試料を震盪機中で37℃に維持し、周期的にサンプリングして、UV−可視分光測光法により、活性な放出につき分析した。パクリタクセル及び5−FU試料を、それぞれ、232nm及び266nmで分析した。
【0106】
薬物配合の効果を、パクリタクセルについて評価した。5、25及び50mg/mLの薬物配合を比較した。7日後に、これら3つの薬物配合についての累積的放出は、それぞれ、106.4%、85.9%及び33.8%であった。界面活性剤添加物の効果も評価した。25mg/mLのパクリタクセル配合物と10mg/mLの5−FU配合物(共に、85:15のSAIB/EtOH中)を作成して5wt%のCremophor(登録商標)ELを加えた。この界面活性剤の添加は、両配合物に対して放出速度を増大させた。このパクリタクセル配合物から放出されたパーセントは、イン・ビトロで、2日後に、56.0〜77.0%増大された。同様に、5−FU配合物から放出されたパーセントは、2日後に、80.6〜106.0%増大した。第二の界面活性剤Pluronic(登録商標)L−101を、10mg/mL 5−FU(85:15のSAIB/EtOH配合物中)に加えた。この界面活性剤も、2日後に、80.6〜102.0%放出量を増大させた。
【0107】
パクリタクセル及び5−フルオロウラシルなどの薬物のSAIB送達システムからの放出速度は、薬物配合及び界面活性剤の種類を含む配合物の変数によって調節することができる。これらの薬物のこのシステムからの放出の持続時間もやはり、数時間から数日間まで変えることができ、一層低い薬物配合と界面活性剤の添加により一層短い持続時間となる。
【0108】
例O
他の例を行って、HIV感染の治療に用いる抗レトロウイルス剤の経口投与後に延長された放出を与えるSAIB送達システムの潜在能力を評価した。上記のように、SAIB送達システムは、シュークロースアセテートイソブチレート(SAIB)、完全にエステル化された水不溶性のシュークロース誘導体を賦形剤として利用している。
【0109】
ジドブジン(AZT)及びジデオキシシトジン(ddC)懸濁液を、薬物をSAIB/溶剤溶液と混合することにより調製した(セルロース賦形剤を伴うものと伴わないもの)。約1gの各配合物を、軟質ゼラチンカプセルに充填して熱シールした。溶解プロフィルを、Apparatus2、MethodB(USP XXIII)を用いて、50rpmのパドルスピードで測定した。個々のゲルキャップを別々の溶解容器中に置き、各容器中の緩衝液の試料を、0.25、0.5、1、2、3、6及び24時間の時点で得た。これらの試料を、Perkin Elmer Lambda 20 UV−可視分光測光器にて、AZT及びddC薬物含有量について、それぞれ、266及び272nmで分析した。
【0110】
AZT及びddCの放出を、SAIB送達システムにおいて異なる溶剤を用いることにより、容易に調節することができる。70:30SAIB/ミギロール(登録商標)810の組合せを用いることにより、2時間の時点での、放出された累積的パーセントは、11.1wt%AZT配合物について、104.1%であり、0.225wt%ddCについて、74.2%であった。比較して、85:15のSAIB/EtOHの組合せを用いた場合には、このAZT配合物中の薬物の71.2%が放出され、ddC配合物中の薬物の59.5%が放出された。放出は、薬物配合を変えることによっても調節することができる。85:15のSAIB/EtOH配合物の活性な配合は、11.1から22.2wt%まで倍化され、放出された累積パーセントは、71.2%から93.8%に増大した。高分子添加物、セルロースアセテートブチレート(CAB)の放出を調節するための利用も又、評価した。85:15 SAIB/EtOH配合物中の11.1wt%AZTについては、0.02及び0.2wt% CABの添加が、2時間での放出量を、71.2%から、それぞれ、25.6%及び7.6%に減少させた。85:15 SAIB/EtOH配合物中の0.225wt% ddCについては、0.5及び1.0wt% CABの添加が、2時間での放出量を、59.5%から、それぞれ、39.4%及び13.5%に減少させた。
【0111】
これらのデータは、このSAIB送達システムの配合物が、AZT及びddCのためのある範囲の溶解プロフィルを与えるように調節されうることを示している。これらの活性物質の制御された放出を与えることにより、このシステムは、1日当たりの必要とされる丸薬の数を減らし、製造コストを減らし、そして患者のコンプライアンスを改善することができる。
【0112】
こうして記載してきた本発明、その変形及び改変物は、当業者には明らかであろうが、添付の請求の範囲内にあるものと理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】ブピバカインのこの発明によるデカグリセロールテトラオレエートからそして1,6−ヘキサンジオールラクテートε−ヒドロキシカプロン酸からの累積的放出プロフィルを示すグラフである。
【図2】エストラジオールのこの発明によるグリセロールラクテートグリコレートからの累積的放出プロフィルを示すグラフである。
【図3】プロゲステロンのこの発明による1,6−ヘキサンジオールラクテートグリコレートからの累積的放出プロフィルを示すグラフである。
【図4】リゾチームのこの発明によるヘキサグリセロールジオレエート及びグリセロールラクテートグリコレートからの累積的放出プロフィルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物学的に活性な物質の送達のための液体組成物であって:
少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルを含み、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有し、周囲又は生理的条件下で生では結晶化しない、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料を含む液体組成物。
【請求項2】
前記の少なくとも一のカルボン酸の少なくとも1つが、ヒドロキシ酸である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記の非高分子エステル又は混合エステルが、ラクトン又は環状カーボネートの開環反応によって得られる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記の非高分子エステル又は混合エステルが、2〜約20のヒドロキシ酸部分を含む、請求項2に記載の組成物。
【請求項5】
前記の非高分子エステル又は混合エステルが、2〜約20のヒドロキシ酸部分を含む、請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
前記の少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルが、2〜約20のヒドロキシ部分を有するポリオキシアルコール部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
前記の非高分子エステル又は混合エステルが、カルボン酸無水物のアルコーリシスにより得られるカルボン酸によりエステル化された少なくとも一の末端ヒドロキシ部分を有するアルコール部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項8】
前記のカルボン酸無水物が、環状無水物である、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記の非高分子エステル又は混合エステルが、アミノ酸によりエステル化された少なくとも一の末端ヒドロキシ部分を有するアルコール部分を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記の非高分子エステル又は混合エステルが、単官能性C〜C20アルコール、二官能性C〜C20アルコール、三官能性アルコール、ヒドロキシ含有カルボン酸、ヒドロキシ含有アミノ酸、ホスフェート含有アルコール、四官能性アルコール、糖アルコール、単糖類及び二糖類、糖酸並びにポリエーテルポリオールよりなる群から選択するアルコールから少なくとも一つの水素原子を除去することにより得られるアルコール部分を含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項11】
単官能性C〜C20アルコールが、ドデカノールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
二官能性C〜C20アルコールが、ヘキサンジオールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項13】
三官能性アルコールが、グリセロールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項14】
ヒドロキシ含有カルボン酸が、グリコール酸若しくは乳酸又はこれらの組合せである、請求項10に記載の組成物。
【請求項15】
ヒドロキシ含有アミノ酸が、セリンである、請求項10に記載の組成物。
【請求項16】
ヒドロキシ含有酸が、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸又はこれらの少なくとも一の混合物である、請求項10に記載の組成物。
【請求項17】
ホスフェート含有アルコールが、ATPである、請求項10に記載の組成物。
【請求項18】
四官能性アルコールが、ペンタエリトリトールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項19】
糖アルコールが、マンニトール又はソルビトールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項20】
単糖類が、グルコース又はフルクトースである、請求項10に記載の組成物。
【請求項21】
二糖類が、シュークロースである、請求項10に記載の組成物。
【請求項22】
糖酸が、グルクロン酸である、請求項10に記載の組成物。
【請求項23】
ポリエーテルポリオールが、1〜約10のグリセロールユニットを含むポリグリセロールエーテルであるか、又は1〜約20のエチレングリコールユニットを含むポリエチレングリコールである、請求項10に記載の組成物。
【請求項24】
ラクトンを、グリコリド、ラクチド、ε−カプロラクトン、ブチロラクトン、バレロラクトンよりなる群から選択し、環状カーボネートを、トリメチレンカーボネート、プロピレンカーボネートよりなる群から選択する、請求項3に記載の組成物。
【請求項25】
生物学的に活性な物質を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項26】
前記の生物学的に活性な物質をミクロスフェアにカプセル封入した、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
生物学的に活性な物質を、タンパク質、ペプチド、核タンパク質、ムコタンパク質、リポタンパク質及び合成ポリペプチドよりなる群から選択する、請求項25に記載の組成物。
【請求項28】
タンパク質を、ヒト成長ホルモン、繊維芽細胞成長因子(FGF)、エリスロポエチン(EPO)、血小板由来成長因子(PDGF)、顆粒球コロニー刺激因子(g−CSF)、ウシソマトトロピン(BST)、腫瘍壊死因子(TNF)、トランスフォーミング成長因子β(TGF−β)、インターロイキン、インスリン及びインターフェロンよりなる群から選択する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
生物学的に活性な物質を、核酸、ヌクレオチド、ヌクレオシド、オリゴヌクレオチド及び遺伝子よりなる群から選択する、請求項25に記載の組成物。
【請求項30】
核酸が、DNA、RNA又はこれらの断片を含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
高粘度の液体キャリアー材料が、下記よりなる群から選択する構造を有する、請求項1に記載の液体組成物:
I:
【化1】

(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRの少なくとも3つは、水素以外である);及び
(式中、R、R、R、R、R、R、R及びRは、アセチル及びイソブチリルよりなる群から選択し、R、R、R、R、R、R、R及びRの少なくとも3つはアセチルである);
II:
【化2】

(式中、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、nは、1〜20である);

III:
【化3】

(式中、nは、4〜8の整数であり、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
IV:
【化4】

V:
【化5】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
VI:
【化6】

VII:
【化7】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);
VIII:
【化8】

(式中、R、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する)。
【請求項32】
高粘度の液体キャリアーが、下記よりなる群から選択する構造を含む、請求項31に記載の組成物:
【化9】

(式中、nは1であり、R、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル、及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する);及び
【化10】

(式中、nは6であり、R及びRは、独立に、水素、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル、及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する)。
【請求項33】
高粘度の液体キャリアーが、下記の構造を含む、請求項32に記載の組成物:
【化11】

(式中、nは1であり、R、R及びRの少なくとも1つは、独立に、ヒドロキシ置換されたアルカノイル、及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択する)。
【請求項34】
、R及びRを、独立に、ラクトイル、ポリラクトイル、ε−カプロイル、ヒドロキシアセチル及びポリヒドロキシアセチルよりなる群から選択する、請求項33に記載の組成物。
【請求項35】
、R及びRを、独立に、ポリラクトイル及びε−カプロイルよりなる群から選択する、請求項33に記載の組成物。
【請求項36】
、R及びRを、独立に、ポリラクトイル及びポリヒドロキシアセチルよりなる群から選択する、請求項33に記載の組成物。
【請求項37】
高粘度の液体キャリアーが、下記の構造を含む、請求項32に記載の組成物:
【化12】

(式中、nは1であり、R、R及びRの少なくとも1つは、独立に、アルカノイル、ヒドロキシ置換されたアルカノイル、及びアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、これらは、各々、2〜4炭素原子を有する)。
【請求項38】
高粘度の液体キャリアーが、下記の構造を含む、請求項32に記載の組成物:
【化13】

(式中、nは6であり、R及びRは、独立に、ラクトイル、ポリラクトイル、ε−カプロイル、ヒドロキシアセチル及びポリヒドロキシアセチルよりなる群から選択する)。
【請求項39】
及びRを、独立に、ポリラクトイル及びε−カプロイルよりなる群から選択する、請求項38に記載の組成物。
【請求項40】
及びRを、独立に、ポリラクトイル及びポリヒドロキシアセチルよりなる群から選択する、請求項38に記載の組成物。
【請求項41】
高粘度の液体キャリアー材料の溶剤を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項42】
溶剤を、アセトン、ベンジルアルコール、ベンジルベンゾエート、N−(ベータヒドロメチル)ラクタミド、ブチレングリコール、カプロラクタム、カプロラクトン、トウモロコシ油、デシルメチルスルホキシド、ジメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、1−ドデシルアザシクロヘプタン−2−オン、エタノール、エチルアセテート、エチルラクテート、エチルオレエート、グリセロール、グリコフロール(テトラグリコール)、イソプロピルミリステート、メチルアセテート、メチルエチルケトン、N−メチル−2−ピロリドン、カプリル酸及び/又はカプリン酸とグリセロール又はアルキレングリコールとのエステル、オレイン酸、落花生油、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、2−ピロリドン、胡麻油、[±]−2,2−ジメチル−1,3−ジオキソラン−4−メタノール、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、カルビトール、トリアセチン、トリエチルシトレート、及びこれらの組合せよりなる群から選択する、請求項41に記載の組成物。
【請求項43】
溶剤を、トリクロロフルオロメタン、ジクロロフルオロメタン、テトラフルオロエタン(R−134a)、ジメチルエーテル、プロパン、ブタン及びこれらの組合せよりなる群から選択する、請求項41に記載の組成物。
【請求項44】
溶剤を、ベンジルベンゾエート、ジメチルスルホキシド、エタノール、エチルラクテート、グリセロール、グリコフロール(テトラグリコール)、N−メチル−2−ピロリドン、カプリル/カプリン酸トリグリセリド、ポリエチレングリコール、プロピレンカーボネート、2−ピロリドン、及びこれらの組合せよりなる群から選択する、請求項41に記載の組成物。
【請求項45】
組成物をミクロスフェアにカプセル封入した、請求項1に記載の組成物。
【請求項46】
組成物が、ミクロスフェアにカプセル封入された生物学的に活性な物質を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項47】
組成物が、乳液形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項48】
添加物を更に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項49】
添加物を、生物分解性ポリマー、生物分解性でないポリマー、天然油、合成油、炭水化物、炭水化物誘導体、無機塩類、不活性有機化合物及び水よりなる群から選択する、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
生物学的に活性な物質をそれを必要とする植物又は動物に投与する方法であって:
該植物又は動物に、
少なくとも一種のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルを含み、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有し、生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料と;
生物学的に活性な物質と;を含む組成物を投与することを含む上記方法。
【請求項51】
組成物が、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料が可溶性である溶剤を更に含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記の溶剤が前記の非水溶性の高粘度の液体キャリアー材料から拡散し又は移動し、それにより、組成物の粘度が増大することを更に含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記の組成物が、前記の生物学的に活性な物質を、その組成物から植物又は動物の組織中に経時的に放出する、請求項50に記載の方法。
【請求項54】
前記の投与が、注射による投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項55】
前記の投与が、直腸投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項56】
前記の投与が、膣内投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項57】
前記の投与が、鼻腔内投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項58】
前記の投与が、局所投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項59】
前記の投与が、肺投与を含む、請求項50に記載の方法。
【請求項60】
内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物であって:
少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルを含み、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有し、生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料を含む上記組成物。
【請求項61】
非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料が、37℃で、少なくとも10,000cPの粘度を有する、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項62】
非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料が、37℃で、少なくとも15,000cPの粘度を有する、請求項61に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項63】
非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料が、37℃で、少なくとも20,000cPの粘度を有する、請求項62に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項64】
非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料が、37℃で、少なくとも25,000cPの粘度を有する、請求項63に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項65】
非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料が、37℃で、少なくとも50,000cPの粘度を有する、請求項64に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項66】
非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料が、添加物を更に含む、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項67】
添加物を、水、生物分解性ポリマー又はオリゴマー、生物分解性でないポリマー又はオリゴマー、天然油、合成油、炭水化物、炭水化物誘導体、無機塩類及び不活性有機化合物よりなる群から選択する、請求項66に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項68】
制御された送達のための、生物学的に活性な物質を更に含む、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項69】
外科的癒着に対するブロックである、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項70】
生物組織内の空所充填材である、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項71】
組織再生のガイドである、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項72】
止血材である、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項73】
組織接着剤である、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項74】
生物学的組織足場である、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項75】
傷用医薬材料である、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項76】
非高分子の非水溶性の液体キャリアー材料が、組成物の全重量に対して、約99.5〜10重量パーセントの量で存在する、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項77】
非高分子の非水溶性の液体キャリアー材料が、組成物の全重量に対して、約99.5〜25重量パーセントの量で存在する、請求項60に記載の内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物。
【請求項78】
下記の混合物を含む、内科又は外科用の移植又は噴霧可能な組成物:
(a)37℃で少なくとも5000cPの粘度を有し、生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない、非高分子の非水溶性の高粘度の液体キャリアー材料;及び
(b)この非高分子の非水溶性の液体キャリアー材料が可溶性である溶剤;
ここに、この混合物は、37℃で、約6,000cP未満の粘度を有する。
【請求項79】
溶剤を、エタノール、ジメチルスルホキシド、エチルラクテート、エチルアセテート、ベンジルアルコール、トリアセチン、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、プロピレンカーボネート、グリコフロール及びエアゾル用噴射剤よりなる群から選択する、請求項78に記載の内科又は外科用の移植又は噴霧可能な組成物。
【請求項80】
非高分子の非水溶性の液体キャリアー材料が可溶性である溶剤が、移植又は噴霧可能な組成物の重量の約1〜90重量%の量で存在する、請求項78に記載の内科又は外科用の移植又は噴霧可能な組成物。
【請求項81】
非高分子の非水溶性の液体キャリアー材料が可溶性である溶剤が、移植又は噴霧可能な組成物の重量の約10〜90重量%の量で存在する、請求項80に記載の内科又は外科用の移植又は噴霧可能な組成物。
【請求項82】
混合物が、37℃で、約4,000cP未満の粘度を有する、請求項60に記載の内科又は外科用の移植又は噴霧可能な組成物。
【請求項83】
混合物が、37℃で、約1,000cP未満の粘度を有する、請求項82に記載の内科又は外科用の移植又は噴霧可能な組成物。
【請求項84】
移植物、膜又は移植片の、それを必要とする患者における、イン・ビボ形成の方法であって:
(1)下記を含む混合物:
(a)少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルよりなり、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有し、生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料;及び
(b)該非高分子の、非水溶性の、液体キャリアー材料が溶解する溶剤;
を患者の組織と接触させ、この混合物は、37℃で、約6000cP未満の粘度を有し;そして
(2)この溶剤を患者の組織内に放散又は拡散させ、それにより、非高分子の、非水溶性の、高粘度の、液体キャリアー材料の移植物、膜又は移植片を形成することを含む当該方法。
【請求項85】
前記の接触が、脈管移植片を前記の混合物で被覆すること及び該脈管移植片を患者に移植することを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記の接触が、前記の混合物を患者の組織の内部又は表面に注射し又は噴霧することを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項87】
内科又は外科用移植物、膜又は移植片組成物の投与方法であって、少なくとも一のカルボン酸の非高分子エステル又は混合エステルを含み、37℃で少なくとも5,000cPの粘度を有し、生では周囲又は生理的条件下で結晶化しない、非水溶性の高粘度の液体キャリアー材料を、それを必要とする患者の組織と接触させて置くことを含む上記の方法。
【請求項88】
下記よりなる群から選択する構造を有する化合物:
II:
【化14】

(式中、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、nは、1〜20であり、そしてR、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
III:
【化15】

(式中、nは、4〜8の整数であり、そしてR及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
IV:
【化16】

V:
【化17】

(式中、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
VI:
【化18】

VII:
【化19】

(式中、R、R、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である);
VIII:
【化20】

(式中、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である)。
【請求項89】
下記の構造を有する、請求項88に記載の化合物:
【化21】

(式中、R、R、R及びRは、独立に、水素、2〜6炭素を有するアルカノイル、2〜6炭素を有するヒドロキシ置換されたアルカノイル、及び2〜6炭素を有するアシルオキシ置換されたアルカノイルよりなる群から選択し、そしてR、R、R及びRの少なくとも1つは、水素以外である)。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−143935(P2009−143935A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2735(P2009−2735)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【分割の表示】特願2001−520145(P2001−520145)の分割
【原出願日】平成12年8月24日(2000.8.24)
【出願人】(500119639)デュレクト コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】