説明

高速アップリンク・パケット・アクセス(HSUPA)における可変電力制御ステップサイズ

【課題】高速アップリンク・パケット・アクセスにおける可変電力制御ステップサイズを提供する。
【解決手段】電力制御のステップ・サイズ増分値のセットが、少なくとも2つのステップ・サイズ増分値が互いに異なるように決定され、移動局MSへ送信される。MSに対する第1電力コマンドは、無線リソース上でのアップリンク・データ伝送用の第1電力を通知する。同じ無線リソース上の電力を変更するために、オフセットが計算されると共に、ステップ・サイズ増分値のセットを利用して当該増分値のどれが(またはどの組み合わせが)このオフセットを生じるかが決定され、さらに第2メッセージにより第2電力がMSに通知される。第2メッセージは、単独または組み合わせでこのオフセットを生じるセット中の要素を特定する。MSは、第1電力とステップ・サイズ増分値(単数または複数)との関数としての第2電力を、第2メッセージから決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の教示は、全般的に無線通信システムに関し、特に、ユーザ装置(UE: user equipment)からネットワーク・ノードへの無線伝送が電力制御される、デジタル無線通信システムに関する。
【背景】
【0002】
全般的に、無線ネットワーク制御装置RNC(Radio network controller)、NodeBおよびユーザ装置UEという、通信システムの3つのノードが関連する。NodeBは、基地送受信局BTS(base transceiver station)と同義と見なされ、UEは、移動局MS(mobile station)と同義と見なされる。RNCおよびNodeBがネットワークの構成要素である一方、UEは、ネットワークと通信はするもののその一部とは見なされない。通常、複数のNodeBが1つのRNCの制御下にあり、通常、複数のUEが1つのNodeBの制御下にある。いかなるパケット交換無線システムにおいても、電力制御は、複数のユーザが同時にシステムにアクセスできるようにするために重要な機能ある。
【0003】
「3GPP TS 25-321」のリリース6にあるように、HSUPA(High Speed Uplink Packet Access:高速アップリンク・パケット・アクセス)は、以下でE−DCHと称されるアップリンク専用トランスポート・チャネル(DCH: dedicated transport channel)の拡張版を、パケット・データ・トラフィック用に含む。HSUPAにおける1つの重要な拡張は、パケット・スケジューラ機能の一部が、複数のNodeB(基地送受信局装置と称されることもある)に分配されることに関する。このような再分配をする1つの理由は、(例えばパケット化された)集中的な、非実時間の(音声でなくデータなどの)トラフィックのスケジューリングが、無線ネットワーク制御装置(RNC)のレイヤ3(L3: Layer 3)を使用するよりも迅速に達成されることである。無線リンクの適合が速いほど、パケット・データ・ユーザ間でのアップリンク電力リソースの共有効率が高まるということが、基本前提となっている。例えば、あるUEからデータ・パケットが伝送された後は、スケジュール済みのリソースを即座に別のUEが利用できるようにすることができる。この手法は、集中的な高データ転送速度のアプリケーションを実行するユーザに高データ転送速度が割り当てられたときに、ノイズ増大の急激な変化(peaked variability)を回避しようとするものである。
【0004】
現在、システム・レベルの構成では、パケット・スケジューラはRNCにある。その結果スケジューラの能力は、少なくとも、RNCとUEとの間の無線リソース制御(RRC: Radio Resource Control)信号インタフェースの帯域幅に関わる制約が原因となって、瞬間トラフィックに十分適応できない。したがってパケット・スケジューラは、次のスケジューリング期間における無効ユーザの影響を考慮するために、控えめにアップリンク電力を割り当てるよう設計され、変化に対応するようになっている。しかし、この控えめな手法では、高データ転送速度および長いリリース・タイマ値が割り当てられていると、周波数の面で不十分となる。
【0005】
E−DCHにより、パケット・スケジューラ機能の多くはNodeBに移されており、これは言い換えれば、アップリンク・リソースの割り当てを担うNodeBスケジューラが定義されたということである。
【0006】
この種のスケジューリングが効率的に実行されるには、NodeBがUEからデータ転送速度のリクエストを取得する必要がある。スケジューリングが決定されると、NodeBは、絶対グラント(absolute grant)および相対グラント(relative grant)を送信することで、その決定をUEに通知できる。絶対グラントにより、E−DCHデータ・パケット・チャネルE−DPDCH(E-DCH data packet channel:チャネルの前の接頭部Eは、アップリンク専用データ・チャネル構造の拡張形式に入るチャネルを示す)に一定の電力が割り当てられる。この電力は、専用物理制御チャネルDPCCH(dedicated physical control channel)上の電力に相対的に与えられる(DPCCH電力に対するE−DPDCH電力の割合等)。相対グラント・チャネルE−RGCH(relative grant channel)はUP/KEEP/DOWNコマンドを含み、これに対しUEは次のように応答する。UEがUPコマンドを受信すると、UEは、その伝送電力割り当てを一定のステップ・サイズ分増加させ、UEがDOWNコマンドを受信すると、その電力割り当てを一定のステップ・サイズ分低下させる。実行可能なステップ・サイズは、RNCによってUEへ送信される。
【0007】
現在のところ、DPCCHに対するE−DPDCHの電力の割合(E−DPDCHとDPCCHとの間の電力比)は、−10、・・・、+21dBの範囲で、1dBずつという均一な細かさで定義されている。つまり、アップリンク電力制御の範囲は、32の1dBずつのステップに定義されているということである。例えば、NodeBがUEにE−DPDCH上の伝送電力を変更させたい場合、NodeBは、相対グラント・チャネル上でUPコマンドまたはDOWNコマンドを送信する。UEは、DPCCHに対するE−DPDCHの割合として絶対グラント・チャネル上で受信されたUEの電力を、それぞれ+1dBまたは−1dBのどちらかで調整することで応答する。それに続くUPコマンドおよびDOWNコマンドにより、UEのE−DPDCH上の伝送電力が、各コマンドごとに+/−1dBずつ、さらに調整される。これは、UEが伝送するのに望ましい電力を決定するのがそもそもNodeBであるのかRNCであるのかに関わらず、目標の電力変更が+/−1dBを超える場合にリンク適合が遅くなるという結果につながる。
【0008】
【非特許文献1】3GPP TS 25-321、リリース6
【概要】
【0009】
ここで説明されるこれらの教示の具現化に基づき、前述の問題および他の問題が打開され、その他の利点が実現される。
【0010】
本発明の例示的実施形態に基づき、無線通信システムにおいて電力を制御する方法が提供される。この方法では、無線リソース上で移動局がデータを伝送する際の可能な第1電力を示す第1メッセージが、移動局へ伝送される。電力制御の増分ステップ・サイズのセットから、少なくとも1つのステップ・サイズが選択される。このセットは、当該セットに含まれる少なくとも1つの増分ステップ・サイズが、当該セットに含まれる少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なることを特徴とする。続いて、無線リソース上で移動局が伝送する際の可能な第2電力を示す第2メッセージが、移動局へ伝送される。第2メッセージは、選択された少なくとも1つのステップ・サイズおよび第1電力の関数として、第2電力を示す。
【0011】
本発明の別の例示的実施形態に基づき、情報担持媒体に有形に具現化され、電力制御を移動局に提供することを目的とした動作を実行するようデジタル・データ・プロセッサにより実行可能な、機械可読命令のプログラムが提供される。この実施形態では、動作は、移動局へ第1メッセージを送信すること、電力制御の増分ステップ・サイズのセットから、そのセットに含まれる少なくとも1つのステップ・サイズを選択すること、および移動局へ第2メッセージを送信することを含む。第1メッセージは、無線リソース上で移動局がデータを伝送する際の可能な第1電力を示す。第2メッセージは、第1メッセージの後に送信され、無線リソース上で移動局が伝送する際の可能な第2電力を、選択された少なくとも1つのステップ・サイズおよび第1電力の関数として示す。電力制御の増分ステップ・サイズのセットは、当該セットに含まれる少なくとも1つの増分ステップ・サイズが、当該セットに含まれる少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なることを特徴とする。
【0012】
本発明の別の例示的実施形態に基づき、無線リソース上で移動局がデータを伝送する際の可能な第1電力を示す第1メッセージを、移動局へ送信するよう構成された回路を含む、ネットワーク構成要素が提供される。回路は、電力制御の増分ステップ・サイズのセットから少なくとも1つのステップ・サイズを選択するようさらに構成されており、当該セットに含まれる少なくとも1つの増分ステップ・サイズは、当該セットに含まれる少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なる。さらにこの回路は、少なくとも1つのステップ・サイズを選択した後に、無線リソース上で移動局が伝送する際の可能な第2電力を示す第2メッセージをコンパイルし、移動局へ送信するよう構成されている。第2メッセージは、選択された少なくとも1つのステップ・サイズおよび第1電力の関数として、第2電力を示す。
【0013】
本発明の別の例示的実施形態に基づき、既知の電力値を格納するため、および、電力制御の増分ステップ・サイズのセットを格納するための手段を含む装置が提供される。ここで、少なくとも1つの増分ステップ・サイズは少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なる。格納手段は、例えば電子、光学または磁気の種類の、コンピュータ可読格納媒体であればよい。装置は、既知の電力値から当該セットに含まれる少なくとも1要素分オフセットされた目標の電力レベルを決定する手段をさらに含む。この決定手段は、プロセッサにつながれた送受信機とコンピュータ可読格納媒体とを含むとよい。装置は移動局であってもよく、その場合装置はさらに、目標の電力でユーザ・データを伝送し、受信した電力制御メッセージにより当該セットに含まれる少なくとも1つの要素を決定する。装置は基地送受信局などのネットワーク構成要素であってもよく、その場合装置はさらに、上記セットに含まれる少なくとも1つの要素の指示を、移動局へ電力制御メッセージとして伝送し、このセットに含まれる少なくとも1つの要素は、当該セットに含まれる少なくとも1つの要素および既知の電力値の関数として、目標の電力を命令する。
【0014】
本発明の別の例示的実施形態に基づき、移動局を操作する方法が提供される。この方法では、電力制御のステップ・サイズ増分値のセットが受信および格納され、このセットに含まれる少なくとも2つの増分値は同一ではない。第1電力制御値を示す第1メッセージが初回に受信される。第1電力制御値以下の電力で、無線リソースを通してユーザ・データが伝送される。セットに含まれる少なくとも1つの増分値を示す第2メッセージが、初回の次の2回目に受信される。第2メッセージから、第1電力制御値と格納されているセットに含まれる少なくとも1つの増分値との関数として、第2電力制御値が決定される。続いて、第2電力制御値以下の電力で、無線リソースを通してユーザ・データが伝送される。
【0015】
本発明の別の例示的実施形態に基づき、移動局において伝送電力を制御する方法が提供される。この方法では、第1電力レベルでデータ・チャネルを通してユーザ・データが伝送される。次に、UP指示またはDOWN指示のうちの1つおよびインデックスを含む相対グラント・メッセージが受信される。格納されているデータベースおよびインデックスから電力調整値が決定される。データベースは移動局においてローカルに格納されており、電力調整値はデータベース中でインデックスに関連付けられている。相対グラント・メッセージがUP指示を含む場合、データベースから決定された電力調整値が第1電力に加算されて第2電力が作られ、ユーザ・データがその第2電力以上の電力でデータ・チャネル経由で伝送される。または、相対グラント・メッセージがDOWN指示を含む場合は、データベースから決定された電力調整値が第1電力から減算されて第3電力が作られ、ユーザ・データがその第3電力以下の電力でデータ・チャネル経由で伝送される。データベースは、ルックアップ表の形式であっても、インデックスと電力調整値との相関関係を生成するアルゴリズムであっても、または記憶装置内の複数のデータ列を関連付ける他の何らかの形式であってもよい。
【0016】
種々の実施形態および実装に関するさらなる詳細を、以下で詳しく述べる。
【0017】
これらの教示の前述の態様およびその他の態様は、以下の詳細な説明を添付の図面と併せて読むことで、さらに明らかとなる。
【本発明の実施形態の詳細な説明】
【0018】
上記の通り、本発明の実施形態は無線通信においての電力制御に関する。上記の背景から、NodeBが相対グラントを使用する権限を与えられている状況で、先行技術の場合のようにステップ・サイズが1dBのみであると、リンク適合の速度が多少低下するということが分かる。例えば、NodeBがUEに電力を数dB増加させたい場合、それぞれ1ステップ・サイズ分の増加を命令するUEへの制御メッセージが複数必要となる。複数の制御メッセージに関連する信号伝達のオーバーヘッドは、1つのメッセージと比べると無線リソースの明らかな無駄を表す一方、上記の構造における時間遅延の結果、無線リソースが最も効率的に割り当てられることはなく、かなり非効率的になってしまう可能性もある。
【0019】
図1を参照すると、無線ネットワーク制御装置RNC10はNodeB30(あるいは、本願明細書では基地送受信局BTSとも呼ばれる)につながれており、NodeB30もまた無線リンクを通してユーザ装置UE40(あるいは、本願明細書では移動局MSとも称される)につながれている。UE40は、無線周波数(RF: radio frequency)送受信機42、データ・プロセッサ(DP: data processor)44、およびDP44により実行されるプログラムが格納された記憶装置(M:memory)46を含むと想定される。NodeB30も、送受信機、データ・プロセッサ、記憶装置を含むと想定され、RNCも同様に、データ・プロセッサおよび記憶装置を含むと想定される。NodeB30およびUS40はどちらも、種々の無線チャネルを通して互いに通信するために、少なくとも1つのアンテナを含む。RNC10−およびBTS30は、無線で、または有線リンクを介して通信するとよい。種々の記憶装置に格納されたコンピュータ・プログラムは、つながっているデータ・プロセッサを本発明に従って動作させる複数のプログラム命令を含む。送受信機、データ・プロセッサおよび記憶装置は、これらが有する本発明の実施形態を実現するための機能が、ハードウェア、ソフトウェア、または一般的にはその両方の組み合わせにあるものと思われるため、共に回路と考えられてもよい。
【0020】
一般的に、UE40の種々の実施形態は、セル式電話、無線通信機能を有する携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)、無線通信機能を有する携帯用コンピュータ、無線通信機能を有するデジタル・カメラなどの画像キャプチャ・デバイス、無線通信機能を有するゲーム・デバイス、無線通信機能を有する音楽記憶再生機器、無線でのインターネット・アクセスおよびブラウジングが可能なインターネット機器、ならびにそのような機能の組み合わせが組み込まれた携帯用ユニットまたは携帯端末を含み得るが、これらに限定はされない。無線通信機能は、後述のように電力制御された伝送機能を含むと想定される。
【0021】
本発明の実施形態は、RNC10からUE40へNodeB30を介して送信される、場合によっては不等である構成可能な電力制御のステップのフォーマット(ステップ・サイズ)を規定する。加えて、本発明の教示は、NodeB30がRNC10へフォーマットを提案するための機構も提供するが、ステップ・サイズは、RNC10により決定されUE40およびNodeB30の両方に与えられることも、または標準仕様により定義されることも、同様に可能である。
【0022】
上記の通り、以前の決定では、−10、・・・、+21dBの範囲で1dBずつの細かさ、つまり32ステップの、E−DPDCHのDPCCHに対する電力オフセット(例えば、E−DPDCHとDPCCHとの間の電力差)が設けられている。しかし発明者らは、1dBステップの増分値は多くの場合において不十分であると判断した。以下の説明では、3GPP TS-25.321、「MACプロトコル仕様(MAC Protocol Specification)(リリース6)」の用語を使用するが、さらに一般的な電力制御のケースに拡大されてもよい。そういったことから、特定のチャネル、オフセット決定のもととなる特定の電力レベル、および信号伝達プロトコルについての教示は具体例であり、限定するものとは見なされない。
【0023】
本発明の教示に基づき、RNC10はステップ・サイズのセットをUE40へ送信するが、このセットは、E−DPDCHの実行可能な電力レベル(DPCCHに相対的)を含む。限定的な意味のない一例として、先行技術のような均一な1dBステップの増分値ではなく、−10、−8、−6、−3、0、+3、+6、+10、+15、+21dBという増分値であってもよい。この例では、ステップ・サイズ増分値が等しくなくてもよいということが明らかであり、例えば、3、2、3、3、3、3、4、5、および5dBであってもよい。なお、ステップ・サイズ増分値のセットでは、その少なくとも1つの増分ステップ・サイズは、少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なる。UE40は、UPコマンドの受信に応答し、現在の電力割り当てが(例えば)+3dBである場合、UE40は、ステップ・サイズのシーケンスで+3dBよりも大きい1つ上の定義済みステップ・サイズ増分値である、+6dBの使用を開始する。UEがDOWNコマンドを受信した場合にも同じ手順が適用される。このように、UPコマンドまたはDOWNコマンドにより命令される電力調整(最新のステップ・サイズ)は、電力調整対象のデータ・チャネル(例えば、E−DPDCH)上で現在使用されている電力の関数となる。これは、先行技術には当てはまらないのであるが、その理由は、データ・チャネル電力に対するステップ・サイズが全て均一であり、E−DPDCHにおける現電力は特定のUPコマンドまたはDOWNコマンドのいずれにも関連せず、各コマンドが常に1dBの増加または低下であったためである。本発明では、ステップ・サイズの固定されたセットを使用してもよいが、ステップ・サイズを小さくまたは大きくした方が適切となるような状況の変化に適合できるよう、ネットワークにおいて構成可能であればより好ましい。
【0024】
さらに、本発明の教示に基づき、NodeB30がステップ・サイズを決定してもよい。これが望ましいのは、少なくとも、ステップ・サイズ、スケジューリング・アルゴリズムおよび更新頻度が、共に全体の性能に大きな影響を及ぼすという理由からである。そのため、システム内の、スケジューリング・アルゴリズムがあるのと同じ場所でステップ・サイズが決定されることは有益である。
【0025】
したがって、本発明のこの実施形態では、UE40のE−DCH電力制御用のステップのセットを、NodeB30が定義する。この定義は、実装されたNodeBのパケット・スケジューラ32により定義され、固定的であってもよいが、UE固有とすることもできる。例えば、ステップ・サイズ増分値のセットが、NodeB30とUE40との間の特定の無線リンクについて測定または受信されたリンク品質に基づくことができる。その場合NodeBは、関連するリンク品質データをRNC10に送信する(または、NodeB自体がステップ・サイズのセットを決定してもよい)。RNC10は、NodeB30からリンク品質情報または決定されたステップ・サイズのセットを受信し、その後、例えばE−DCH接続が確立されたときなどに、ステップのセットをUE40へ信号で伝える。UE40は、ステップのセット(NodeB30を介して送信される)をRNC10から受信して記憶装置46に格納し、NodeB30からUP/DOWN信号を受信したときに、格納されたステップに従って動作する。
【0026】
さらに、本発明の教示に基づき、RNC10がステップ・サイズを決定してもよい。これが望ましいい理由は、少なくとも、例えばUE40のサブスクリプションおよびサービスに関連しRNC10がアクセスできる情報に基づき、ステップ・サイズをUE固有に定義できるためである。より単純にするには、RNC10は、ネットワーク全体にわたって、または少なくとも特定のNodeB30のセル内で一律に使用されるステップ・サイズ増分値のセットを決定すればよい。当然のことながら、このように一律に実装する場合は、セットを、一日1回、週1回または月1回など時々更新できるようにするとよい。
【0027】
このように、本発明のこの実施形態において、RNC10はUE40のE−DCH電力制御用のステップのセットを定義する。この定義は、ネットワーク計画で定義されRNC10に入力され、固定的であってもよいが、UE固有とすることもできる。NodeB30は、RNC10からステップのセットを受信し、さらに、例えばE−DCH接続が確立されたときなどに、ステップのセットをUE40へ信号で伝える。UE40は、ステップのセットを(NodeB30を介し)RNC10から受信して記憶装置46に格納し、NodeB30からUP/DOWN信号を受信したときに、格納されたステップに従って動作する。
【0028】
図2は、実施形態に従った工程段階を示す。ブロック50では、電力制御のステップ・サイズのセットが決定される。セットがRNC10によって決定される場合、セットはブロック52で、異なるステップ・サイズそれぞれに関連した複数のインデックス番号を有する表として、BTS30へ送信される。一例として、上述した上記の例示的なステップ・サイズのセットに対応するインデックス付きの表は、次のようになるであろう。
【0029】
【表1】

【0030】
BTS30がステップ・サイズを決定する場合は、ブロック52は不要であるが、代わりにBTS30はインデックス付きの表をRNC10へ送信し、セル内での動作についてRNC10に常に通知しておく。続いて図2において、BTS30は、インデックス付きの表をMS40へ送信する。RNC10がセットを決定する場合は、RNC10は、MS40を対象としインデックス付きの表を含むメッセージを送信すればよく、この場合、BTS30は単に当該メッセージを転送すればよい。ステップ・サイズは、ルックアップ表、アルゴリズム、またはステップ・サイズを定義する他のデータ構造の形式であればよい。
【0031】
その後ある時点で、拡張プロトコルに従って送られる追加のパケット・データをMS40が有することが確認される。一般的にMSは、図2における次のシーケンスを開始するために拡張データ・チャネルをリクエストする。MS40は、ブロック56で、DPCCHなどの制御チャネルを通して無線リソースをリクエストする。一部の実施形態では、MS40は特定のデータ転送速度をリクエストし、ネットワークは、適切な電力を与えられるチャネルを割り当てることで、リクエストされた当該データ転送速度に対応しようとする。ブロック58で、拡張専用トランスポート・チャネル(E−DCH)、具体的にはE−DPDCH(拡張専用物理データ・チャネル)を通したパケット・データ伝送に、MS40がスケジュールされる。上で詳述したように、このスケジューリングはRNC10またはBTS30により行われ得る。どちらの場合でも、ネットワーク構成要素10、30はそれぞれ、ソフトウェア、ハードウェア、またはソフトウェアおよびハードウェアの組み合わせに組み込まれたパケット・スケジューラ32の機能を有し、その特定のMS40を、目的のE−DPDCHにおけるパケット・データの伝送にスケジュールする。
【0032】
ブロック58にあるようにMS40をスケジューリングすると、ブロック60において、データ・チャネルのリクエスト時にDPCCH上でMS40により(ブロック56で)使用された電力に相対的に、当該E−DPDCH上での伝送に望ましい電力が決定される。続いて、ブロック62で、BTS30はABSOLUTE POWER CONTROL(APC:絶対電力制御)メッセージをMS40へ送信し、専用物理制御チャネルE−DPDCH上で伝送するための電力レベルを(DPCCH上の電力に対する割合の形で)MS40に通知する。このAPCメッセージは、拡張絶対グラント・チャネル(E-AGCH: enhanced absolute grant channel)を通して送信され、MSのパケット・データを伝送するための無線リソースについての、MSに対する実際の許可を含めばよい。なお、APCメッセージは、DPCCH電力に相対的にE−DPDCH電力を与える;ネットワークは、制御チャネルを通してMSにより(ブロック56で)送信されたメッセージから、(拡張)データ・チャネル上でのMSの最大電力がいくらであるべきかを決定し、ブロック62で、制御チャネル電力に対するデータ・チャネル電力の割合として絶対グラントを送信する。これは、ネットワークが新しい最大電力を与えるまで、MS40がデータ・チャネル上で伝送する際の可能な最大電力となる。許可された最大電力がいくらであろうと、MS40は、割り当てられた当該最大電力に適切なデータ転送速度を選択して、その転送速度および電力で伝送する。続いて、図2のブロック64で、MS40はそのユーザ・データを、絶対グラント・チャネル上で与えられた電力レベルであり、制御チャネル上の電力に相対的な電力レベルにより、データ・チャネル上で伝送する。
【0033】
ここで、ブロック66において、MS40が当該データ・チャネル上で伝送する際の電力レベルを変更する必要があるとネットワークが判断したと考える。理由は特に重要ではなく、MS40がより速いデータ転送速度をリクエストすることもあれば、BTS30が、そのセルの全MSを受信電力の狭帯域内に保つために電力調整が必要と判断することなどもある。調整を正当化する理由には関係なく、ブロック68において、上記の工程によって絶対グラント・チャネルで与えられ、データ・チャネル上でMS40により現在使用されている電力からのオフセットとして、調整がネットワーク内で計算される。加えて、ブロック68では、ブロック54の表の適切な値が当該オフセットに一致するよう選択され、ブロック70で、MS40へ相対グラント・チャネル上においてRELATIVE POWER CONTROL(RPC:相対電力制御)メッセージ中で送信される。
【0034】
MSへのRPCメッセージが特定の電力オフセットを特定するよう、ブロック68および70を実装する方法は、幾つかある。ある実装においては、セットの要素の、目標の電力に最も近い単一の値が選択され、その単一の値に関連したインデックスがブロック70のメッセージ中で送信される。別の実装では、合計が目標のオフセットと等しくなるか、または最も近くなるよう、セットの複数の要素が選ばれる。この場合には、ブロック70のメッセージは一連のビットを含み、それぞれがセットの1要素に関連する。ある値のビット(例えばビットオン、すなわち1)が、セットの関連する要素が合計に含まれることを示す一方、反対のビット値(例えばビットオフ、すなわち0)は、関連する要素が合計されないことを示す。10要素を有する上の表を使用し、各ビットの位置がこの表で与えられたビットの順番(左から右)に対応する場合、目標のオフセット−5は、ビット・シーケンス[0,1,0,0,0,1,0,0,0,0]で表されるとよく、これは、[(−8)+(+3)]の合計により−5のオフセットを生じることになる(ゼロ・ビットに関連する要素は合計されない)。別の実装においては、ブロック64のメッセージは、コマンドUPおよびDOWNと、それに続く、表の要素に対応するインデックス番号とを含み、これは、表の、現在使用している電力設定に近接する当該要素にアクセスし、インデックスに合う量だけ電力を上または下に調整するよう、MSに直接命令する。この実装においては、表は正値および負値ではなく、絶対値のみを含めばよい。別の実装においては、絶対グラント・チャネルを通して設定された電力は、ゼロのステップ・サイズ(例示した表のインデックス0)に対応し、その後のUPコマンドおよびDOWNコマンドは、次に続くステップ・サイズへ、表に沿って移動する。例えば、17dBの絶対グラントに相対グラントUP、UP、UP、DOWNが続くと想定する。その場合、E−DPDCH上での伝送用にMS40において設定される電力は、20dB(最初のUPコマンドは、17dBの絶対グラント電力に対する+3を示す)、26dB(次のUPコマンドは、現電力20dBに対する+6を示す)、36dB(次のUPコマンドは、現電力26dBに対する+10を示す)、および22dB(続くDOWNコマンドは、現電力36dBからの−4を示す)。この場合、表のステップ・サイズのうち電力変更で最後に採用されたのがどれであるかを示すために、BTS30およびMS40両方共が、動的なマーカを設定するか、または何らかの記憶装置を使用する。
【0035】
表から単数または複数の要素を選択するための、上記のものを限定する意味のない例とする具体的な実装に関わらず、RPCメッセージはブロック70でMS40へ送信される。これは、RNC10によりコンパイルされBTS30を通して送信されるか、またはBTS30のみによりコンパイルおよび送信され、さらに、ある実装においては、拡張相対グラント・チャネルE−RGCH上で送信される。E−RGCHは、E−AGCHと異なる論理チャネルである。MS40は、ブロック72で当該RPCメッセージを受信し、MS40がデータ・チャネル上での伝送に使用している現電力に対するオフセットとして当該RPCメッセージにより特定される表の要素(単数または複数)を適用することで、適切な(調整後の)電力を決定する。続いてブロック74で、MS40は、そのパケット・データをブロック72で決定された電力を使用しE−DPDCHを通して伝送する。これを新たな現電力と称する。
【0036】
ここで、新たな調整が必要であると想定する。図2のフィードバック・ループ76は、ブロック66で、ネットワークが再度新たな(追加の)電力調整が必要であると判断したことを検出し、ブロック68で、調整済み現電力に関連して表からステップ・サイズを選択し、上記のように適切なRPCメッセージをMS40へ送信する。この場合MS40は、ブロック68の初回の反復工程からの調整済み電力を、第2RPCメッセージ内のステップ・サイズ分さらに調整する。つまり、MSのデータ・チャネル上の現伝送電力にオフセットが適用されるのであるが、この現電力がAPCメッセージ中で与えられた最初の電力であるのは、それまでの間にこの電力に対し調整が行われていない場合のみである。これに続くフィードバック・ループ74を介した調整は、無線リソース、つまり拡張データ・チャネル自体が当該MS40に有効に与えられている限り継続してもよい。ステップ・サイズの適用対象が、E−AGCHを通して受信されたAPCメッセージ中で与えられた電力であるか、またはE−RGCHを通して受信された先行のRPCメッセージにより決定された調整済み電力であるかに関わらず、オフセットは与えられたステップ・サイズで、データ・チャネル上で使用されている現電力に対し適用される。APCメッセージ中で最初に与えられた/命令された電力はDPCCHの電力に相対的であるが、調整済み電力は、最初のものを含めどのRPCメッセージ中で与えられた/命令されたものも、DPDCHの現電力の関数である。これは、ネットワークが、均一で変化しない1dBステップ分だけ進める、汎用のUPコマンドまたはDOWNコマンドではなく、現電力からの目標のオフセットに基づいてステップ・サイズを選択することが理由である。
【0037】
上記の種々の実装から、一定の混合型の実装を容易に導き出すことができる。例えば、UP/DOWN命令ではなく表のインデックス番号を使用しながら、UP/DOWNコマンドを実装する場合と同様に、最初のRPCメッセージはDPCCHの電力に直接関係するオフセットを与え、それに続く、同一の当該無線リソースが与えられている中での調整では、E−DPDCH上の現電力に相対的に調整を加えてもよい。表には絶対値要素のみが含まれ、RPCメッセージには[UP,index #]または[DOWN,index #]が含まれてもよい。その他の種々の組み合わせも容易に分かるであろう。
【0038】
限定する意味のない好適な実施形態では、BTS30とRNC10との間の信号伝達はNBAP(Node B Application Part:NodeBアプリケーション部)プロトコルを使用する一方、RNC10とMS40との間の信号伝達は無線リソース制御(RRC)プロトコルを使用する。上述の通り、RPCメッセージは、E−RGCH(EDCH相対グラント・チャネル)を使用してBTS30からMS40へ伝送されるとよい。
【0039】
ステップ・サイズのセットは、測定または推定されたチャネル状況に基づき、リアルタイムで動的に構成できるようにしてもよいが、ステップ・サイズを一日1回かまたはそれより低い頻度でごくまれに調整すると、よりバランスの取れた形での実装になるものと思われる。それに関係なく、与えられた無線リソースがMS40によって利用されるすべての場合に対し、ネットワークによりE−DCHが設定されるよりも前に、図2にあるようにセットとして伝達されたときなどにステップのセットを固定することで、関連のネットワーク・ノード10、30、およびMS40によりステップのセットが事前に知られているようにすることも可能である。
【0040】
本発明のこれらの実施形態を使用することは有利であるが、その理由は少なくとも、ステップ・サイズが構成可能で柔軟性が高まること、および、パケット・スケジューリングの知識がある位置(NodeB30パケット・スケジューラ32が例であるが、RNCパケット・スケジューラにおいて決定されてもよい)で決定を下せることである。
【0041】
なお、NodeB30とRNC10との間で追加の信号伝達がいくつか使用されるものの、ステップ・サイズはそれほど頻繁に変更する必要はない(おそらく週1回/月1回の頻度でしかない)ため、信号伝達の増加量は最小限となると思われる。
【0042】
本発明の態様は、電力制御の増分ステップ・サイズのセットを決定するよう、ただし少なくとも1つの増分ステップ・サイズは少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なるよう、ネットワーク構成要素を操作する方法、装置およびコンピュータ・プログラムに関するということが、本発明の実施形態について前述した説明から理解できる。好適な実施形態では、決定されたセットはUEへ伝達される。このネットワーク構成要素は、パケット・スケジューラ機能があるものであることが好ましい。
【0043】
本発明のさらなる態様は、電力制御の増分ステップ・サイズのセットを受信および格納するようUEを操作し、少なくとも1つの増分ステップ・サイズは少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なり、UPコマンドまたはDOWNコマンドの受信に応答して、格納された電力制御の増分ステップ・サイズのセットから次の増分値を使用するよう切り替える方法、装置およびコンピュータ・プログラムに関するということが、本発明の実施形態の前述の説明から理解できる。
【0044】
本発明の別の態様は、有形のコンピュータ可読媒体内に格納されたデータ構造に関し、このデータ構造は電力制御の増分ステップ・サイズのセットを含み、少なくとも1つの増分ステップ・サイズは少なくとも1つの他の増分ステップ・サイズと異なるということが、本発明の実施形態の前述の説明からさらに理解できる。
【0045】
本発明の実施形態は、RNC10、BTS30、MS40もしくはその他のホスト装置のデータ・プロセッサ44によって実行可能なコンピュータ・ソフトウェアにより、またはハードウェアにより、またはソフトウェアとハードウェアとの組み合わせにより実現されるとよい。さらに、これに関連し、図2の論理流れ図にある種々のブロックは、プログラム工程、または相互接続された論理回路、論理ブロックおよび論理機能、または、プログラム工程と、論理回路、論理ブロックおよび論理機能との組み合わせを表し得るということにも留意されたい。
【0046】
単数または複数の記憶装置46は(RNC10、BTS30またはMS40のうちのどれにあるかに関わらず)、ローカル技術環境に適した任意の種類でよく、半導体ベースの記憶デバイス、磁気記憶デバイスおよび磁気記憶システム、光学記憶デバイスおよび光学記憶システム、固定記憶装置および取り外し可能な記憶装置など、任意の適切なデータ記憶技術を使用して実装されるとよい。データ・プロセッサ(単数または複数)44は(RNC10、BTS30またはMS40のうちのどれにあるかに関わらず)、ローカル技術環境に適した任意の種類でよく、限定する意味のない例として、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP: digital signal processor)およびマルチコア・プロセッサ構造に基づくプロセッサのうち、1つまたは複数を含んでもよい。
【0047】
概して、ハードウェア、もしくは専用回路、専用ソフトウェア、専用論理、またはそれらの任意の組み合わせで、種々の実施形態が実現され得る。例えば、一部の態様をハードウェアにおいて実現する一方、他の態様を、制御装置、マイクロプロセッサまたはその他のコンピュータ・デバイスにより実行可能なファームウェアまたはソフトウェアで実現してもよいが、本発明はこれに限定はされない。本発明の種々の態様は、ブロック図、流れ図として、または他の図的表現を使用して示し説明できるが、当然のことながら、本願明細書で説明されたこれらのブロック、装置、システム、教示または方法は、限定する意味のない例として、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、専用回路もしくは専用論理、汎用ハードウェアもしくは汎用制御装置、またはその他のコンピュータ・デバイス、またはそれらの何らかの組み合わせにおいて実現され得る。
【0048】
本発明の実施形態は、集積回路モジュールなどの種々の構成要素において実践され得る。集積回路の設計は全般的にみて、高度に自動化されたプロセスである。論理レベルの設計を、半導体基板上にすぐにエッチングおよび形成可能な半導体回路設計に変換するために利用できる、複雑かつ強力なソフトウェア・ツールが複数ある。
【0049】
カリフォルニア州マウンテン・ビュー(Mountain View, California)のシノプシス社(Synopsys, Inc.)、およびカリフォルニア州サンノゼ(San Jose, California)のケイデンス・デザイン(Cadence Design)により提供されているようなプログラムは、確立された設計ルール、ならびに記憶済みの設計モジュールのライブラリを使用して、自動的に半導体チップ上に導体を経路付けし、構成要素を位置付ける。半導体回路の設計が完了すれば、結果として生じた設計が製造用に、半導体加工施設、つまり「fab(生産工場)」へ、標準化された電子形式(例えばOpus、GDSII、または同種のものなど)で伝送されればよい。
【0050】
特定の実施形態に照らして説明したが、当業者であれば、これらの教示に対して複数の修正および種々の変更を生じ得ることがすぐに分かるであろう。そのため、当業者には当然のことながら、本発明をその1つまたは複数の実施形態について詳しく示し説明してきたものの、上記で説明した本発明の範囲および意図、または続く特許請求の範囲を逸脱することなく、一定の修正および変更が加えられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に従って動作する構成要素を示す、システム・レベルのブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に従った工程を示すプロセス図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信システムにおいて電力を制御する方法であって、
ネットワーク構成要素において、電力制御増分ステップ・サイズのセットを決定すること、ただし、前記セットのうち少なくとも二つの電力制御増分ステップ・サイズは同一ではなく、前記セットにおいて異なる電力制御増分ステップ・サイズは、制御チャネル電力に対するデータ・チャネル電力の電力比の全範囲のうち異なる部分のために用いられ、前記電力比は、移動局に用いられる前記データ・チャネルの電力と前記制御チャネルの電力との間のオフセットを示す、前記決定することと;
前記移動局へ絶対電力制御メッセージを伝送すること、ただし前記絶対電力制御メッセージは、前記データ・チャネルのための第1電力レベルを決定するために前記電力比を含む、前記伝送することと;
前記移動局へ相対電力制御メッセージを伝送すること、ただし前記相対電力制御メッセージは、前記電力制御増分ステップ・サイズのセットから選択された少なくとも1つの電力制御増分ステップ・サイズを含み、それによって前記移動局は、前記選択された少なくとも一つの電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第1電力レベルの関数として第二電力レベルを決定すると共に、前記第二電力レベルを用いて前記データ・チャネルでデータ送信を行う、前記伝送することと;
を含む方法。
【請求項2】
前記データ・チャネルは拡張専用物理データ・チャネルであり、前記制御チャネルは専用物理制御チャネルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記決定した電力制御増分ステップ・サイズのセットによって情報を前記移動局へ送信することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記データ・チャネルの前記第二電力レベルがさらなる調整を必要としていることを決定することと;
前記決定した電力制御増分ステップ・サイズのセットから、少なくとも1つの別の電力制御増分ステップ・サイズを選択することと;
移動局へさらなる相対電力制御メッセージを伝送すること、ただし、前記さらなる相対電力制御メッセージは、前記セットから選択された少なくとも1つの別の電力制御増分ステップ・サイズを含み、それによって前記移動局は、前記選択された少なくとも一つの別の電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第2電力の関数として、前記移動局がデータを送信する際の第3電力レベルを決定する、前記伝送することと;
をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記絶対電力制御メッセージは基地送受信局によって第1制御チャネルを通して伝送され、前記相対電力制御メッセージ及び前記さらなる相対電力制御メッセージは前記基地送受信局によって、前記第1制御チャネルと異なる第2制御チャネルを通して伝送される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ネットワーク構成要素による前記電力制御増分ステップ・サイズのセットの決定は、サービス中の基地送受信局と前記移動局との間のリンク品質の関数として行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
デジタル・データ・プロセッサに実行されることにより、前記デジタル・データ・プロセッサに、移動局への電力制御の提供を目的とした処理を遂行させるコンピュータ・プログラムであって、前記処理が:
ネットワーク構成要素において、電力制御増分ステップ・サイズのセットを決定すること、ただし、前記セットのうち少なくとも二つの電力制御増分ステップ・サイズは同一ではなく、前記セットにおいて異なる電力制御増分ステップ・サイズは、制御チャネル電力に対するデータ・チャネル電力の電力比の全範囲のうち異なる部分のために用いられ、前記電力比は、移動局に用いられる前記データ・チャネルの電力と前記制御チャネルの電力との間のオフセットを示す、前記決定することと;
前記移動局へ絶対電力制御メッセージを伝送すること、ただし前記絶対電力制御メッセージは、前記データ・チャネルのための第1電力レベルを決定するために前記電力比を含む、前記伝送することと;
前記移動局へ相対電力制御メッセージを伝送すること、ただし前記相対電力制御メッセージは、前記電力制御増分ステップ・サイズのセットから選択された少なくとも1つの電力制御増分ステップ・サイズを含み、それによって前記移動局は、前記選択された少なくとも一つの電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第1電力レベルの関数として第二電力レベルを決定すると共に、前記第二電力レベルを用いて前記データ・チャネルでデータ送信を行う、前記伝送することと;
を含む、コンピュータ・プログラム。
【請求項8】
前記データ・チャネルは拡張専用物理データ・チャネルであり、前記制御チャネルは専用物理制御チャネルである、請求項7に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項9】
前記処理が、前記決定した電力制御増分ステップ・サイズのセットによって情報を前記移動局へ送信することを含む、請求項7に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項10】
前記処理が:
前記データ・チャネルの前記第二電力レベルがさらなる調整を必要としていることを決定することと;
前記決定した電力制御増分ステップ・サイズのセットから、少なくとも1つの別の電力制御増分ステップ・サイズを選択することと;
移動局へさらなる相対電力制御メッセージを伝送すること、ただし、前記さらなる相対電力制御メッセージは、前記セットから選択された少なくとも1つの別の電力制御増分ステップ・サイズを含み、それによって前記移動局は、前記選択された少なくとも一つの別の電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第2電力の関数として、前記移動局がデータを送信する際の第3電力レベルを決定する、前記伝送することと;
をさらに含む、請求項7に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項11】
前記絶対電力制御メッセージは基地送受信局によって第1制御チャネルを通して伝送され、前記相対電力制御メッセージ前記基地送受信局によって、前記第1制御チャネルと異なる第2制御チャネルを通して伝送される、請求項10に記載のコンピュータ・プログラム。
【請求項12】
移動局の電力を制御するネットワーク構成要素であって、
ネットワーク構成要素において、電力制御増分ステップ・サイズのセットを決定するように構成される回路、ただし、前記セットのうち少なくとも二つの電力制御増分ステップ・サイズは同一ではなく、前記セットにおいて異なる電力制御増分ステップ・サイズは、制御チャネル電力に対するデータ・チャネル電力の電力比の全範囲のうち異なる部分のために用いられ、前記電力比は、移動局に用いられる前記データ・チャネルの電力と前記制御チャネルの電力との間のオフセットを示す、前記回路と;
前記移動局へ絶対電力制御メッセージを伝送するように構成される回路、ただし前記絶対電力制御メッセージは、前記データ・チャネルのための第1電力レベルを決定するために前記電力比を含む、前記回路と;
前記移動局へ相対電力制御メッセージを伝送するように構成される回路、ただし前記相対電力制御メッセージは、前記電力制御増分ステップ・サイズのセットから選択された少なくとも1つの電力制御増分ステップ・サイズを含み、それによって前記移動局は、前記選択された少なくとも一つの電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第1電力レベルの関数として第二電力レベルを決定すると共に、前記第二電力レベルを用いて前記データ・チャネルでデータ送信を行う、前記回路と;
を備えるネットワーク構成要素。
【請求項13】
前記決定した電力制御増分ステップ・サイズのセットによって情報を前記移動局へ送信するように構成される回路をさらに備える、請求項12に記載のネットワーク構成要素。
【請求項14】
前記絶対電力制御メッセージは前記ネットワーク構成要素によって第1制御チャネルを通して伝送され、前記相対電力制御メッセージは前記ネットワーク構成要素によって前記第1制御チャネルと異なる第2制御チャネルを通して伝送される、請求項12に記載のネットワーク構成要素。
【請求項15】
前記ネットワーク構成要素は基地送受信局を有し、前記基地送受信局は、前記相対電力制御メッセージを無線で送信する前に、前記決定した前記電力制御増分ステップ・サイズのセットを無線ネットワーク制御装置から受信するよう構成された回路を備える、請求項12に記載のネットワーク構成要素。
【請求項16】
前記決定した前記電力制御増分ステップ・サイズのセットを受信する前に、電力制御増分ステップ・サイズの候補のセットをコンパイルし前記無線ネットワーク制御装置へ送信するよう構成された回路を前記基地送受信局がさらに備え、
ここで前記電力制御増分ステップ・サイズの候補のセットは、前記基地送受信局と前記移動局との間のリンク品質に基づいて前記基地送受信局で得られる、請求項15に記載のネットワーク構成要素。
【請求項17】
前記データ・チャネルは拡張専用物理データ・チャネルであり、前記制御チャネルは専用物理制御チャネルである、請求項12に記載のネットワーク構成要素。
【請求項18】
移動局の電力を制御する方法であって、
ネットワーク構成要素から、該ネットワーク構成要素で決定された電力制御増分ステップ・サイズのセットを受信すること、ただし、前記セットのうち少なくとも二つの電力制御増分ステップ・サイズは同一ではなく、前記セットにおいて異なる電力制御増分ステップ・サイズは、制御チャネル電力に対するデータ・チャネル電力の電力比の全範囲のうち異なる部分のために用いられ、前記電力比は、前記移動局に用いられる前記データ・チャネルの電力と前記制御チャネルの電力との間のオフセットを示す、前記受信することと;
第一制御チャネルで絶対電力制御メッセージを受信すること、ただし前記絶対電力制御メッセージは、前記データ・チャネルのための第1電力レベルを決定するために前記電力比を含む、前記受信することと;
前記第一制御チャネルとは異なる第二制御チャネルで相対電力制御メッセージを受信すること、ただし前記相対電力制御メッセージは、前記電力制御増分ステップ・サイズのセットから選択された少なくとも1つの電力制御増分ステップ・サイズを含む、前記受信することと;
前記選択された少なくとも一つの電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第1電力レベルの関数として第二電力レベルを決定することと;
前記第二電力レベルを用いて前記データ・チャネルでデータ送信を行うことと;
を含む、方法。
【請求項19】
前記決定した電力制御増分ステップ・サイズのセットによって、前記ネットワーク構成要素から情報を受信することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記セットから選択された前記1つの電力制御増分ステップ・サイズの指示子が、
前記移動局に格納された、前記選択された電力制御増分ステップ・サイズに関係するインデックスと、UPまたはDOWNの指示子とのうち少なくともいずれかを含み、
前記電力制御増分ステップ・サイズのセットは、前記インデックスを含むインデックステーブルであり、
前記相対電力制御メッセージが前記UP指示子を含む場合は、前記選択された少なくとも一つの電力制御増分ステップ・サイズを前記第一電力レベルに加え、前記第二の電力レベルを得て、前記相対電力制御メッセージが前記DOWN指示を含む場合は、前記選択された少なくとも一つの電力制御増分ステップ・サイズを前記第一電力レベルから減算し、第二電力レベルを得ることを含む、
請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記データ・チャネルは専用トラフィック・チャネルであり;
前記第1制御チャネルは絶対グラント・チャネルを含み;
前記第2制御チャネルは相対グラント・チャネルを含む、
請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記データ・チャネルの前記第二電力レベルがさらなる調整を必要としている場合:
前記第二制御チャネルでさらなる相対電力制御メッセージを受信すること、ただし前記さらなる相対電力制御メッセージは、ネットワークによって前記セットから選択された少なくとも1つの別の電力制御増分ステップ・サイズの指示子を含む、前記受信することと;
前記選択された少なくとも一つの別の電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第2電力を用いて第3電力レベルを決定することと;
前記第3電力レベルを用いて前記データ・チャネルでデータを送信することと;
を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
送受信機及びデータプロセッサを備える装置であって、
前記送受信機は、
ネットワーク構成要素から、電力制御増分ステップ・サイズのセットを受信すること、ただし、前記セットのうち少なくとも二つの電力制御増分ステップ・サイズは同一ではなく、前記セットにおいて異なる電力制御増分ステップ・サイズは、制御チャネル電力に対するデータ・チャネル電力の電力比の全範囲のうち異なる部分のために用いられ、前記電力比は、前記装置に用いられる前記データ・チャネルの電力と前記制御チャネルの電力との間のオフセットを示す、前記受信することと;
第一制御チャネルで絶対電力制御メッセージを受信すること、ただし前記絶対電力制御メッセージは、前記データ・チャネルのための第1電力レベルを決定するために前記電力比を含む、前記受信することと;
前記第一制御チャネルとは異なる第二制御チャネルで相対電力制御メッセージを受信すること、ただし前記相対電力制御メッセージは、前記電力制御増分ステップ・サイズのセットから選択された少なくとも1つの電力制御増分ステップ・サイズを含む、前記受信することと;
を遂行するように構成され、
前記データプロセッサは、前記選択された少なくとも一つの電力制御増分ステップ・サイズおよび前記第1電力レベルの関数として第二電力レベルを決定するように構成され;
前記送受信機はさらに、前記第二電力レベルを用いて前記データ・チャネルでデータ送信を行うように構成される、
装置。
【請求項24】
前記データ・チャネルは拡張専用物理データ・チャネルであり、前記制御チャネルは専用物理制御チャネルである、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
前記送受信機は、前記決定した電力制御増分ステップ・サイズのセットによって、前記ネットワーク構成要素から情報を受信するように構成され、
前記装置は前記電力制御増分ステップ・サイズのセットを格納するように構成される記憶装置を備える、請求項23に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−250443(P2011−250443A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148801(P2011−148801)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【分割の表示】特願2008−509527(P2008−509527)の分割
【原出願日】平成18年5月3日(2006.5.3)
【出願人】(398012616)ノキア コーポレイション (1,359)
【Fターム(参考)】