説明

高速撮像装置

【課題】画素周辺記録型撮像素子を数十万から百万フレーム/秒以上の高速で駆動することのできる高速撮像装置を提供する。
【解決手段】被写体の光学像をアナログ電気信号に変換する光電変換部11と、光電変換部11から出力されるアナログ電気信号から雑音を除去する信号処理を行うアナログ電気信号処理部12と、信号処理後のアナログ電気信号に基づいて画像信号を生成する画像信号生成部13と、撮像速度に応じた周波数の制御信号を生成する制御信号生成部14と、制御信号に基づいてアナログ電気信号処理部駆動信号、画像信号生成部駆動信号および光電変換部駆動信号を生成する駆動信号生成部15と、制御信号の周波数が高くなるほど光電変換部駆動信号のデューティ比を小さく補正するデューティ比補正部と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速撮像装置に係り、特に、画素周辺記録型撮像素子を使用して高速で撮像することの可能な高速撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1秒間に100万フレーム程度の画像を撮影可能な撮像素子として画素周辺記録型撮像素子は既に提案されており、超高速撮影装置に組み込まれて様々な分野で使用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、従来の画素周辺記録型撮像素子を適用した高速撮像装置は、画素周辺記録型撮像素子自体は百万フレーム/秒で撮像可能な性能を有しているにも係らず、数十万から百万フレーム/秒以上の高速で撮影すると撮像素子に印加される駆動信号の電圧が低下し画質が悪化するという課題があった。
【0004】
図11は、従来の高速撮像装置の構成を示すブロック図であって、従来の高速撮像装置110は、被写体の光学像をアナログ電気信号に変換する光電変換部111と、光電変換部111から出力されるアナログ電気信号からノイズを除去しデジタル電気信号に変換するアナログ電気信号処理部112と、アナログ電気信号処理部112から出力されるデジタル電気信号を処理して画像信号を生成する画像信号生成部113と、撮像速度に応じた周波数の制御信号を生成する制御信号生成部114と、制御信号に基づいて光電変換部111、アナログ電気信号処理部112および画像信号生成部113を駆動する駆動信号を生成する駆動信号生成部115とを含む。
【0005】
また、図12は駆動信号生成部115の出力(実線)と光電変換部111に実際に印加される電圧波形(破線)であって、10万フレーム/秒の撮像速度(a)であれば光電変換部111には駆動信号生成部115の出力電圧がほぼそのまま印加されるが、100万フレーム/秒の撮像速度(b)となると光電変換部111に実際に印加される電圧の振幅は駆動信号生成部115の出力電圧の振幅よりも小さくなる。
【0006】
図13は、駆動信号生成部115が矩形波を出力する場合に光電変換部111で実際に測定される電圧(以下、実電圧Vrealという。)の最大電圧Vreal_Hと最小電圧Vreal_Lと撮像速度との関係を示すグラフであって、40万フレーム/秒以上の撮像速度となると最大電圧Vreal_Hと最小電圧Vreal_Lの差電圧は徐々に減少し、数百万フレーム/秒以上の撮像速度となると最大電圧Vreal_Hと最小電圧Vreal_Lの差電圧が減少して、信号対雑音比(S/N)が極端に悪化し、撮像不可能な状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−345441号公報([0032]〜[0035]、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、画素周辺記録型撮像素子を使用して数十万から百万フレーム/秒以上の高速でもS/Nの劣化のない映像を撮像することの可能な高速撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の高速撮像装置は、被写体の光学像をアナログ電気信号に変換する光電変換部と、前記光電変換部から出力される前記アナログ電気信号から雑音を除去しデジタル電気信号に変換する信号処理を行うアナログ電気信号処理部と、前記アナログ電気信号処理部から出力される前記デジタル電気信号に基づいて画像信号を生成する画像信号生成部と、撮像速度に応じた周波数の制御信号を生成する制御信号生成部と、前記制御信号に基づいてアナログ電気信号処理部駆動信号、画像信号生成部駆動信号および光電変換部駆動信号を生成する駆動信号生成部と、前記制御信号の周波数が高くなるほど前記光電変換部駆動信号のデューティ比を小さく補正するデューティ比補正部と、を含む構成を有している。
【0010】
この構成により、フォトダイオードの電荷の排出能力を高めることができるとともに、メモリCCDの電荷転送能力を高めることができることとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、制御信号の周波数に応じた光電変換部駆動信号を生成する駆動信号生成部を設けることにより、画素周辺記録型撮像素子を使用して数十万から百万フレーム/秒以上の高速でもS/Nの劣化のない映像を撮像することができるという効果を有する高速撮像装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る高速撮像装置のブロック図
【図2】本発明に係る高速撮像装置を適用した高速カラー撮像装置の構成を示すブロック図
【図3】赤色光光電変換部として使用される画素周辺記録型撮像素子の構造図
【図4】駆動信号生成部で生成された赤色光光電変換部駆動信号Vdの最大電圧Vd_Hおよび最小電圧Vd_Lと赤色光光電変換部に印加される実電圧Vrealの最大電圧Vreal_Hおよび最小電圧Vreal_Lとの関係を示すグラフ
【図5】赤色光光電変換部と駆動信号生成部との接続関係を表すブロック図
【図6】赤色光光電変換部用振幅補正部が有する電圧補正回路の一例
【図7】赤色光光電変換部用振幅補正部の入力と出力の波形を示すグラフ
【図8】赤色光光電変換部駆動信号Vdの波形と赤色光光電変換部で観測した実電圧Vrealの波形を示すグラフ
【図9】デューティ比を50%および25%とした場合の赤色光光電変換部に印加される実電圧Vrealの最大電圧Vreal_H、最小電圧Vreal_Lを示すグラフ
【図10】デューティ比補正部から出力される赤色光光電変換部駆動信号Vd、赤色光光電変換部に印加された実電圧Vrealを示すグラフ
【図11】従来の高速撮像装置の構成を示すブロック図
【図12】駆動信号生成部の出力と光電変換部に実際に印加される電圧波形を示すグラフ
【図13】実電圧Vrealの最大電圧Vreal_Hと最小電圧Vreal_Lと撮像速度との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る高速撮像装置の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0014】
(第1の実施形態)
即ち、本発明に係る高速撮像装置1の第1の実施形態は、図1のブロック図に示すように、被写体の光学像をアナログ電気信号に変換する光電変換部11と、光電変換部11から出力されるアナログ電気信号から雑音を除去しデジタル電気信号に変換する信号処理を行うアナログ電気信号処理部12と、アナログ電気信号処理部12から出力されるデジタル電気信号に基づいて画像信号を生成する画像信号生成部13と、撮像速度に応じた周波数の制御信号を生成する制御信号生成部14と、制御信号に基づいてアナログ電気信号処理部駆動信号、画像信号生成部駆動信号および光電変換部駆動信号を生成する駆動信号生成部15と、制御信号の周波数が高くなるほど光電変換部駆動信号の振幅を大きく補正する振幅補正部16とを含む。
【0015】
図2は、本発明に係る高速撮像装置1を適用した高速カラー撮像装置の構成を示すブロック図であって、高速カラー撮像装置2は、被写体光を取り込むレンズ27と、被写体光の入射および遮断を制御するシャッター機構28と、シャッター機構28を介して高速カラー撮像装置2に入射した被写体光を分光する分光プリズム29と、分光プリズム29により分光された赤色光、緑色光および青色光をそれぞれアナログ電気信号に変換する赤色光光電変換部211、緑色光光電変換部212および青色光光電変換部213と、赤色光光電変換部211、緑色光光電変換部212および青色光光電変換部213から出力される赤色光アナログ電気信号、緑色光アナログ電気信号および青色光アナログ電気信号から雑音を除去し、赤色光デジタル電気信号、緑色光デジタル電気信号および青色光デジタル電気信号に変換する電気信号処理を行う赤色光アナログ電気信号処理部221、緑色光アナログ電気信号処理部222および青色光アナログ電気信号処理部223と、赤色光デジタル電気信号、緑色光デジタル電気信号および青色光デジタル電気信号に基づいてカラー画像信号を生成するカラー画像信号生成部23と、撮像速度に応じた周波数の制御信号を生成する制御信号生成部24と、制御信号に基づいてアナログ電気信号処理部駆動信号、画像信号生成部駆動信号および光電変換部駆動信号を生成する駆動信号生成部25と、制御信号の周波数が高くなるほど光電変換部駆動信号の振幅を大きく補正する振幅補正部26とを含む。
【0016】
さらに、振幅補正部26は、赤色光光電変換部用振幅補正部261、緑色光光電変換部用振幅補正部262および青色光光電変換部用振幅補正部263とを含んでいる。
【0017】
赤色光光電変換部211、緑色光光電変換部212および青色光光電変換部213、赤色光アナログ電気信号処理部221、緑色光アナログ電気信号処理部222および青色光アナログ電気信号処理部223、ならびに赤色光光電変換部用振幅補正部261、緑色光光電変換部用振幅補正部262および青色光光電変換部用振幅補正部263は、それぞれ同一構成を有するので、以下は赤色光光電変換部211、赤色光アナログ電気信号処理部221および赤色光光電変換部用振幅補正部261について構成と動作を説明する。
【0018】
図3は、赤色光光電変換部211として使用される画素周辺記録型撮像素子3の構造図であって、赤色光の強度をアナログ電気信号に変換するフォトダイオード31は、下方に延伸する約100段のメモリCCD32(太い実線で囲んだ領域)を備える。そして、フォトダイオード31は露光のたびに受光量に比例した電荷を発生し、メモリCCD32に順次転送する。
【0019】
メモリCCD32に蓄積された電荷は、垂直読み出し転送路33(太い破線で囲んだ領域)および水平読み出し転送路34(太い一点鎖線で囲んだ領域)を介して赤色光アナログ電気信号処理部221に出力される。
【0020】
赤色光アナログ電気信号処理部221は、赤色光光電変換部211で生じる雑音を除去する信号処理を実行する相関二重サンプリング(CDS)回路およびアナログ電気信号をデジタル電気信号に変換するアナログ/デジタル変換器を含んでおり、赤色光アナログ電気信号から雑音を除去して赤色光デジタル電気信号を生成する。
【0021】
カラー画像信号生成部23は、例えばデジタル・シグナル・プロセッサ(DSP)で構成され、赤色光デジタル電気信号、緑色光デジタル電気信号および青色光デジタル電気信号から例えばNTSC規格のカラー画像信号を生成する。
【0022】
制御信号生成部24は、撮像速度に応じた周波数の制御信号を生成する。
【0023】
駆動信号生成部25は、例えばフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を使用して構成され、制御信号に基づいてアナログ電気信号処理部駆動信号、画像信号生成部駆動信号および光電変換部駆動信号を生成する。
【0024】
赤色光光電変換部用振幅補正部261は、制御信号の周波数が高くなるほど光電変換部駆動信号の振幅を大きく補正する。
【0025】
図4は、赤色光光電変換部用振幅補正部261で生成された赤色光光電変換部駆動信号Vdの最大電圧Vd_Hおよび最小電圧Vd_Lと、赤色光光電変換部211に印加される実電圧Vrealの最大電圧Vreal_Hおよび最小電圧Vreal_Lとの関係を示すグラフである。
【0026】
このグラフから判明するように、赤色光光電変換部211に印加される実電圧Vrealの最大電圧Vreal_Hと最小電圧Vreal_Lの差を12ボルトに維持するためには、赤色光光電変換部用振幅補正部261は、赤色光光電変換部駆動信号Vdの最大電圧Vd_Hを制御信号の周波数が高くなるに従って上昇させ、最小電圧Vd_Lを制御信号の周波数が高くなるに従って低下させることが必要である。
【0027】
なお、赤色光光電変換部用振幅補正部261は、赤色光光電変換部211を駆動する全てのパルスに対して補正を行う。
【0028】
図5は、赤色光光電変換部211と赤色光光電変換部用振幅補正部261との接続関係を表すブロック図であって、赤色光光電変換部211のメモリCCD32を4相駆動する場合を示す。ここで、赤色光光電変換部用振幅補正部261は、第1の振幅補正部261a、第2の振幅補正部261b、第3の振幅補正部261c、第4の振幅補正部261d、および第5の振幅補正部261eを有するものとする。
【0029】
即ち、赤色光光電変換部用振幅補正部261は、赤色光光電変換部211のフォトダイオード31を制御するフォトゲートパルスφPGを生成する第1の振幅補正部261a、メモリCCD32の第1のセル321、第5のセル325、第9のセル329・・・を制御する第1相パルスφ1を生成する第2の振幅補正部261b、メモリCCD32の第2のセル322、第6のセル326・・・を制御する第2相パルスφ2を生成する第3の振幅補正部261c、メモリCCD32の第3のセル323、第7のセル327・・・を制御する第3相パルスφ3を生成する第4の振幅補正部261d、メモリCCD32の第4のセル324、第8のセル328・・・を制御する第4相パルスφ4を生成する第5の振幅補正部261eを含む。
【0030】
図6は、赤色光光電変換部用振幅補正部261が有する電圧補正回路の一例であって、ディスクリート素子によって構成され、入力信号は制御信号と同じ周波数の光電変換部駆動信号Vc、最大電圧Vd_Hおよび最小電圧Vd_Lであり、出力信号である赤色光光電変換部駆動信号Vdは赤色光光電変換部211に供給される。
【0031】
図7は上記赤色光光電変換部用振幅補正部261の入力と出力の波形を示すグラフであって、入力信号(光電変換部駆動信号Vc)と出力信号(赤色光光電変換部駆動信号Vd)の位相は反転するものの、波形が歪むことはなく、矩形波状の赤色光光電変換部駆動信号Vdを赤色光光電変換部211に供給することが可能となる。
【0032】
なお、駆動信号生成部25はFPGAのようなプログラマブル素子で構成してもよい。
【0033】
以下、高速カラー撮像装置2の動作を説明する。
【0034】
即ち、被写体から放射される光はレンズ27を介して高速カラー撮像装置2内に結像する。
【0035】
被写体像は分光プリズム29で赤色光、緑色光および青色光に分光され、赤色光光電変換部211、緑色光光電変換部212および青色光光電変換部213で電気信号に変換される。以下では簡単のため、赤色光の処理について説明する。
【0036】
高速カラー撮像装置2で100万フレーム/秒で撮像する場合は、駆動信号生成部25は、周波数が1MHzである制御信号に基づいてデューティ比50%の光電変換部駆動信号Vcを生成し、赤色光光電変換部用振幅補正部261に光電変換部駆動信号Vcを出力する。なお、この光電変換部駆動信号Vcは、例えば、最大電圧Vc_Hが12ボルト、最小電圧Vc_Lが0ボルトの一定振幅を有する。
【0037】
また、駆動信号生成部25は、周波数1MHzの制御信号に基づいてアナログ電気信号処理部駆動信号および画像信号生成部駆動信号を生成し、それぞれを赤色光アナログ電気信号処理部221およびカラー画像信号生成部23に供給する。
【0038】
また、赤色光光電変換部用振幅補正部261は、実電圧Vrealの最大電圧Vreal_Hを12ボルト、最小電圧Vreal_Lを0ボルトとするために、光電変換部駆動信号Vcを例えば図4の補正特性により補正して、最大電圧Vd_Hが16ボルト、最小電圧Vd_Lが−4ボルト、振幅が20ボルトの赤色光光電変換部駆動信号Vdを発生する。
【0039】
図8は、赤色光光電変換部用振幅補正部261で生成された赤色光光電変換部駆動信号Vdの波形と赤色光光電変換部211で観測した実電圧Vrealの波形を示すグラフであって、赤色光光電変換部211においても12ボルトの振幅が確保され、例えば100万フレーム/秒でも鮮明な画像を撮像可能となることが判る。
【0040】
なお、赤色光光電変換部駆動信号Vdは、フォトゲートパルスφPG、第1相パルスφ1、第2相パルスφ2、第3相パルスφ3、第4相パルスφ4の5つのパルスを含む。
【0041】
赤色光光電変換部211は、フォトゲートパルスφPGが最大電圧となるたびに、受光量に比例した電荷を生成し、順次メモリCCDの第1のセル321に転送する。
【0042】
そして、第1のセル321に転送された電荷は、第2のセル322、第3のセル323・・・と順次転送され、セル中に記憶される。
【0043】
撮像が終了すると、メモリCCD32に記憶されている電荷は垂直読み出し転送路33および水平読み出し転送路34を介して、赤色光アナログ電気信号処理部221に送出される。
【0044】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、光電変換部を駆動する光電変換部駆動信号の振幅を撮像速度に応じて大きくすることにより数十万から百万フレーム/秒以上の高速での撮像が可能となる。
【0045】
(第2の実施形態)
第1の実施形態においては、光電変換部駆動信号の振幅を撮像速度に応じて大きくしているが、これは撮像速度が速くなるとリセット動作において光電変換部のフォトダイオードに蓄積された電荷を完全に排出できずブルーミングが発生することを防止するためである。
【0046】
従って、リセット動作における電荷の排出能力を高めることができれば、光電変換部駆動信号の振幅を撮像速度に応じて大きくすることなく高速撮像が可能となる。
【0047】
そして、リセット動作における電荷の排出能力を高めるためには、光電変換部駆動信号が最小電圧を維持する時間を長くすればよい。
【0048】
そこで、第2の実施形態にあっては、最大電圧が12ボルト、最小電圧が0ボルトの光電変換部駆動信号Vcのデューティ比を撮像速度に応じて変更する。
【0049】
図9は、デューティ比を50%および25%とした場合の赤色光光電変換部211に印加される実電圧Vrealの最大電圧Vreal_H、最小電圧Vreal_Lを示すグラフである。
【0050】
デューティ比が50%であれば実電圧Vrealの中心電圧は6ボルトであり、撮像速度が数十万フレーム/秒以上となると、画像のダイナミックレンジが低下してしまう。
【0051】
一方、デューティ比を25%とすれば中心電圧は3ボルトまで低下し、リセット動作における電荷の排出能力が高まるため、撮像速度が数十万フレーム/秒であっても電荷を転送することができる。
【0052】
よって、第2の実施形態にあっては、高速撮像装置1を適用した高速カラー撮像装置2は、デューティ比補正特性が組み込まれたデューティ比補正部17を有する。
【0053】
図10は、デューティ比補正部17から出力される赤色光光電変換部駆動信号Vd、赤色光光電変換部211に印加された実電圧Vrealを示すグラフであって、デューティ比を50%とした場合(a)と、デューティ比を25%とした場合(b)を示す。
【0054】
このグラフから判るように、デューティ比を50%とした場合は、赤色光光電変換部211に印加された実電圧Vrealは、中心電圧=6ボルトとなり、転送時に電荷が溢れてブルーミングが発生する状態になる。
【0055】
デューティ比を25%とした場合は、赤色光光電変換部211に印加された実電圧Vrealは最大電圧Vreal_H=6ボルト、最小電圧Vreal_L=1ボルトとなるため、ブルーミングが発生し難い状態となる。
【0056】
第2の実施形態の上記以外の構成、動作は第1の実施形態と同一であるので、説明を省略する。なお、高速カラー撮像装置2は、デューティ比補正部17を単独で備えてもよいし、振幅補正部26とデューティ比補正部17とを同時に備えてもよい。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、光電変換部に印加する光電変換部駆動信号のデューティ比を撮像速度に応じて小さくすることにより数十万から百万フレーム/秒以上の高速での撮像が可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る高速撮像装置は、画素周辺記録型撮像素子を数十万から百万フレーム/秒以上の高速で駆動することができるという効果を有し、撮像装置等として有効である。
【符号の説明】
【0059】
1 高速撮像装置
11 光電変換部
12 アナログ電気信号処理部
13 画像信号生成部
14 制御信号生成部
15 駆動信号生成部
16 振幅補正部
17 デューティ比補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の光学像をアナログ電気信号に変換する光電変換部と、
前記光電変換部から出力される前記アナログ電気信号から雑音を除去しデジタル電気信号に変換する信号処理を行うアナログ電気信号処理部と、
前記アナログ電気信号処理部から出力される前記デジタル電気信号に基づいて画像信号を生成する画像信号生成部と、
撮像速度に応じた周波数の制御信号を生成する制御信号生成部と、
前記制御信号に基づいてアナログ電気信号処理部駆動信号、画像信号生成部駆動信号および光電変換部駆動信号を生成する駆動信号生成部と、
前記制御信号の周波数が高くなるほど前記光電変換部駆動信号のデューティ比を小さく補正するデューティ比補正部と、を含む高速撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−250477(P2011−250477A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−185702(P2011−185702)
【出願日】平成23年8月29日(2011.8.29)
【分割の表示】特願2006−207806(P2006−207806)の分割
【原出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【出願人】(000125347)学校法人近畿大学 (389)
【Fターム(参考)】