高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置
【課題】空力騒音の低減を図ることのできるヒンジカバーを備えた高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置を提供する。
【解決手段】架線と接触する舟体と、舟体を支持する上部枠2と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠3とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、上部枠2と下部枠3とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバー10の空洞部を充填する。これにより、ヒンジカバー10の空洞部による共鳴音や渦による騒音を抑制することができる。またヒンジカバー10の側面に水平方向の溝10aを設けることにより、発生した渦を崩壊させ、空気圧の圧力変動を小さくする。このヒンジカバー装置は、新設の高速鉄道用車両はもちろん、既設の車両のパンタグラフの騒音抑制を図ることができ、鉄道車両の高速化に対応することができる。
【解決手段】架線と接触する舟体と、舟体を支持する上部枠2と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠3とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、上部枠2と下部枠3とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバー10の空洞部を充填する。これにより、ヒンジカバー10の空洞部による共鳴音や渦による騒音を抑制することができる。またヒンジカバー10の側面に水平方向の溝10aを設けることにより、発生した渦を崩壊させ、空気圧の圧力変動を小さくする。このヒンジカバー装置は、新設の高速鉄道用車両はもちろん、既設の車両のパンタグラフの騒音抑制を図ることができ、鉄道車両の高速化に対応することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新幹線等、高速で走行する電気鉄道車両の屋根に設置され、架線から電力を受電するためのパンタフラフ装置の騒音抑制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の高速化を図るうえで沿線騒音の環境基準を満たすことが必要不可欠である。鉄道騒音には音源別に、レールと車輪との相互作用から生じる転動騒音、パンタグラフなどの集電装置から発生する集電系空力騒音及び車両間隔部などの車両上部から発生する車両上部空力騒音、構造物の振動等が発生原因となる構造物騒音等に分類できる。なかでも空力騒音の音の強さは列車速度の6乗に比例する(例えば、非特許文献1)ことから、更なる列車の高速化を目指すためには空力騒音の低減が求められている。
【0003】
鉄道車両の屋根の上方に設置されるパンタグラフ装置は、架線に接触して電力を取り入れる集電舟と、この集電舟を弾力的に支持する支持機構とを有している。この支持機構の形式には、従来より菱形、下枠交差形などがあるが、新幹線等の高速鉄道車両に使用するものとして、近年では、運転時に発生する気流騒音の低減を考慮して、所謂シングルアーム構造のものが使用されている。
【0004】
そのシングルアーム構造の高速列車用パンタグラフの一例を図1に示す。同図において、1は架線10と接触する舟体、2は舟体1を支持する上部枠、3は鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠、4は上部枠2と下部枠3を連結するヒンジ部を覆うヒンジカバー、5は下部枠3の下部の碍子部等を保護するための保護カバーである。
【0005】
パンタグラフについては様々な機関で低騒音化に向けた研究がなされており、騒音源としてなびき方向(図1において右側に進む方向)では舟体1が、反なびき方向(図1において左側に進む方向)ではヒンジカバー4が主要な音源であることが分かっている(例えば、特許文献1,2、非特許文献2)。これまで舟体1については数多く研究(例えば、非特許文献3)がなされており、低減策についても提案されている。
【0006】
一方、特許文献3には、鉄道車両の屋根面上に碍子を介して絶縁支持される台枠と、一部に上下両面同士を連通させる透孔を有し、この台枠の上方に設けられた、絶縁材製の中間カバーと、台枠の上面に起倒自在に設けられ、透孔を通じてその上部がこの中間カバーの上方に突出したパンタグラフ枠と、このパンタグラフ枠の上端部に支持された集電舟装置と、屋根面上で鉄道車両の前後両側から中間カバーを挟む位置に設けられ、この中間カバーの下面と屋根面との間で碍子及び台枠を設置した空間の前後両端部を塞ぐ、それぞれが絶縁材製である1対の端部カバーとを備え、これら両端部カバーの上面と中間カバーの上面とを滑らかに連続させたパンタグラフ装置が記載されている。この構成により、中間カバー、端部カバーに覆われた部分に風が当たらないようにして、高速走行時における気流騒音の発生を抑えるようにしている。
【0007】
また、特許文献4には、鉄道車両の屋根面上に取り付けられる支持部材と、この支持部材に、この鉄道車両の幅方向に設けられた横軸と、この横軸の一端部により下端部を、揺動変位自在に片持ち式に支持されて、上端部に集電舟を支持するパンタグラフ枠と、このパンタグラフ枠を起倒させるための起倒機構とを備えたパンタグラフ装置が記載されている。そして、支持部材の上面に設けられた起倒機構がカバーにより覆われており、横軸の一端部でこのカバーに片側面に形成された通孔を通じてこのカバー外に突出した部分にパンタグラフ枠の下端部が支持されている。この構成により、高速走行時に発生する気流騒音を抑えるようにしている。
【0008】
特許文献5には、鉄道車両の屋根面上に絶縁支持される台枠と、一部に上下両面同士を連通させる透孔を有し、この台枠の上方に設けられた、絶縁材製のカバーと、台枠の上面に起倒自在に設けられ、透孔に挿通した状態でその上部をこのカバーの上方に突出させたパンタグラフ枠と、このパンタグラフ枠の上端部に支持された集電舟装置とを備え、透孔は、パンタグラフ枠の変位を許容すべくこのパンタグラフ枠の変位方向に長い形状としており、透孔の周縁とこの周縁に対向するパンタグラフ枠の外周面との開口部に、鉄道車両の運転時に於けるこのパンタグラフ枠の変位に拘らずこの開口部を塞ぐ第二のカバーを設けたパンタグラフ装置が記載されている。この第二のカバーを設けることにより、パンタグラフ枠の変位に拘わらず、透孔部分で発生する気流騒音を低減させるようにしている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−178105号公報
【特許文献2】特開平11−178106号公報
【特許文献3】特開2004−274986号公報
【特許文献4】特開2005−65350号公報
【特許文献5】特開2005−130595号公報
【非特許文献1】高石武久,日本ガスタービン学会誌,33−6(2005−11),p52
【非特許文献2】手塚和彦,鉄道総研講演会要旨集,(2005),p55
【非特許文献3】池田充,他2名,鉄道総研報告,Vol.18,No.18,(2004−8),p23
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の特許文献3〜5において提案された騒音抑制技術は、新たに製造される高速走行電気鉄道車両では適用できる。しかし、現在、既に走行している、図1に示すような構造の、ヒンジ部が露出しているパンタグラフ構造を有する鉄道車両を高速化(例えば300km/時から350km/時に時速を上げる)しようとする場合、現行速度では環境基準値以内に収まっていた空力騒音が、高速走行により環境基準値を超えるおそれがある。前述のように、空力騒音の音の強さは列車速度の6乗に比例することから、既存車両を高速化する場合にも、空力騒音を低減するための対策が求められている。高速化する全車両を、ヒンジ部を外部に露出しない構造に改造することは、コスト面でも、困難性がある。
【0011】
そこで本発明は、高速鉄道用パンタグラフのヒンジ部に着目し、音響特性の解明および音源の特定を行った結果に基づいて想到されたものであり、空力騒音の低減を図ることのできる高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置は、架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を充填したことを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の構成の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置は、架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を開放したことを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の構成の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置は、第1の構成において、前記ヒンジカバーの側面に、水平方向の溝を形成したことを特徴とする。
【0015】
本発明では、高速鉄道用パンタグラフ装置のヒンジ部、特に低騒音性能において着目し、音響特性についての実験を行い本発明の優位性を得た。従来技術においては、ヒンジの形状が騒音発生源となり定在波による音と、不規則な渦の発生に起因する音が発生するが、本発明では、定在波及び渦の発生の双方の抑制を同時に行える形状を提案する。
【0016】
すなわち、ヒンジカバーの空洞部を充填するか、開放することにより、キャビティーを無くし、ヒンジカバー内部における定在波による音の発生と、不規則な渦による音の発生を抑制する。
【0017】
また、ヒンジカバーの側面に水平方向の溝を設けることにより、発生した渦を崩壊させ、空気圧の圧力変動を小さくする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パンタグラフ装置のヒンジカバーの空洞部を充填するか、開放することにより、定在波の発生を抑制し、空力騒音の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
図2は反なびき方向に車両が走行した場合の従来の構成のヒンジカバーによる空力騒音の発生原理を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【0020】
図2(a)に示すように、上部枠2と下部枠3を連結するヒンジ部を覆う従来の構成のヒンジカバー4は、ほぼ三角形の側壁板4aと上下の連結部4bからなっており、反なびき方向は開口しており、内部は空洞である。このような構造では、図2(b)に示すように、ヒンジカバー4の長さLの気柱における共鳴(L=λ/4,3λ/4,・・・)と、ヒンジカバー4の外壁部で生じる渦による圧力変動に基づく騒音の発生がある。
この共鳴と渦による騒音の発生を抑制するために、図3及び図4に示す構造を考えた。
【0021】
図3は本発明の第1実施例に係る溝付空洞無しヒンジカバー10を示す斜視図、図4は本発明の第2実施例に係るV型ヒンジカバー11を示す斜視図である。
図3において、第1実施例に係る溝付空洞無しヒンジカバー10は、側壁板の外周に、水平方向に沿う溝10aを設け、内部の空洞部を充填した。このヒンジカバー10の材質は、強度、耐候性等を考慮して例えばFRP製とすることが好ましい。実験では、ヒンジカバー10は木材を使用して製作し、板厚5mm、厚さD=38mm、長さL=70mm(実スケールの約1/2)で実験を行った。
【0022】
空洞部を充填する方法としては、図5に示すように、ヒンジカバー10の空洞部の開口を覆うゴム板12を設け、パンタグラフ装置内に内蔵されているエアシリンダーより下部枠3内部に設けたエア通路13に配管し、空洞内部に空気を送り込み、その場合にゴム板12が風船のようにふくらむような構造にする。別の例としては、図6に示すように、ヒンジカバー10の空洞部内に、あらかじめシリコンゴム等の伸縮性材料14を充填しておき、折りたたんだ場合にでもリンク動作の妨げにならない構造にする。
ヒンジカバー10の側壁板の外周に形成する溝10aは、実験例では、溝の幅は5mm、間隔は10mm、高さは3mmとした。
【0023】
溝10aを設けることにより、騒音が低減する理由について説明する。
図7は騒音低減の理由1を示す説明図であり、図7(a)に示す幅Dの直方体を空気の流れの中に置いたときに、渦が発生するには、渦が放出される際の二次元性の程度を示す指標である相関長さは、Dの3倍から6倍が必要とされている。そこで、図7(b)に示すように、空気の流れの方向に沿った溝を3D〜6Dより小さい間隔で形成すると、相関長さが短くなり、二次元的な渦放出を抑えることができ、騒音を低減できる。
【0024】
図8は騒音低減の理由2を示す説明図である。上部枠2及び下部枠3の各々に沿って流れる空気の速度成分が異なるため、その速度差によって不規則な渦が放出される。そこで、空気の流れ方向に沿う溝10aを設けることにより、渦が崩壊することで、騒音の低減を図ることができる。
【0025】
本発明の第2実施例を示す図4では、上部枠2と下部枠3のヒンジ部に、V型ヒンジカバー11を取り付けている。すなわち、内部に空洞が形成されないように、側壁を除去した構成となっている。このV型ヒンジカバー11が騒音を抑制できる理由は、単純に、ヒンジカバー11の内部に空洞が存在せず、共鳴が生じないことによる。このヒンジカバー11の材質は強度、耐候性等を考慮して例えばFRP製とすることが好ましい。
【実験例】
【0026】
実験は低騒音風洞と木製の模型を用いて行った。実験装置の概略図を図9、図10に示す。流れは回流式で測定部は無響室内に設置され、半開放型になっている。図中20は半円形集音器、21,22はマイクロフォン、23はノズル、24は音響透過性端板、25はFFT(高速フーリエ変換)アナライザ、26は解析用のパソコンである。
【0027】
ノズル23の出口の開口が180mm×360mm、長さが1200mmの測定部を有し、ジェットエッジとヒンジカバー模型Mの干渉を除くためにポーラス材と、厚さ1.2mmの穴あき鉄板(穴径8mm)を補強材として組み合わせた音響透過性端板24を用いた。作動気体は空気とし、主流速度は30m/sで実験を行った。図9,図10に示すようにヒンジ部分をノズル下流480mmの位置に固定し、流れを回流させながら上面位置(90°位置)及び側面位置(0°位置)におけるマイクロフォン21,22において騒音を計測し、FFT(高速フーリエ変換)解析を行った。音圧レベルは聴覚の周波数特性に近づけるため、A特性の重み付けを行った。
【0028】
図11に、実験で用いた模型の概略図を示す。ヒンジ部の要素を抽出した簡易型モデル(図11(a))を用いて発生騒音の音響特性を得た。その後、発生騒音の原因を特定するため、円柱を2つ組み合わせた傾斜2円柱モデル(図示せず)およびキャビティ部分を埋めたモデル(図11(b))を用いて騒音測定実験を行った。これらの結果から騒音低減に有効と考えられる改良型模型、溝付空洞無しモデル(図11(c))およびV型ヒンジカバーモデル(図11(d))を作成し、騒音測定実験を行った。
【0029】
実験結果及び考察
(1) 発生騒音の音響特性について
図12に、上面位置(90°位置)、側面位置(0°位置)における簡易型モデル(図11(a))のなびき方向、反なびき方向と模型を設置しない状態で流れを流した場合の騒音レベルである暗騒音(BGN)の音圧スペクトルを示す。縦軸はA特性音圧レベル[dB(A)]、横軸は周波数[Hz]である。
これらの結果から、簡易型モデルを用いた風洞実験により、反なびき方向がなびき方向よりも騒音が大きい特性が得られた。また発生騒音は指向性を持ち、90°方向には1887[Hz]に大きいピーク、0°方向には、多数のピーク列が存在することが分かった。
【0030】
(2)騒音発生原因について
図13に、上面位置(90°位置)、側面位置(0°位置)それぞれにおける、簡易型モデル・傾斜2円柱モデル・キャビティ部分を埋めたモデル・暗騒音の音圧スペクトルを示す。これらの結果から傾斜2円柱はほとんど騒音が発生しないことが分かった。また0°方向で発生した多数のピーク列は、キャビティの有無によらず存在している。このことから、ヒンジカバー前縁で剥離した流れにより不規則に渦が発生し、多数のピークが生じたと考えられる。また90°方向で発生したピークは1887[Hz]であり、音の波長の4分の1の長さがキャビティの深さと一致する。したがって、キャビティの有無によりピーク音圧レベルに差が生じるのは、簡易型モデルでは、ヒンジカバー前縁での流れの剥離が音源となり、キャビティ内部で共鳴していると考えられる。
【0031】
(3)改良型模型について
図14に、上面位置(90°位置)、側面位置(0°位置)それぞれにおける簡易型モデル・溝付空洞無しモデル・V型ヒンジカバーモデル及び暗騒音の音圧スペクトルを示す。また表1にそれぞれの模型のオーバーオール値の一覧を示す。
これらの結果から溝付空洞無しモデル・V型ヒンジカバーモデルともに騒音低減効果があることが分かった。ヒンジカバー側面に渦スケールより小さな溝を設けることによって渦の発生を抑制することで側面方向でみられた多数のピークの音圧レベルを低減できたと考えられる。また、V型ヒンジカバーモデルでは、キャビティを無くし、ヒンジカバー前縁で生じる流れの剥離を抑制したことにより騒音低減につながったと考えられる。
【0032】
【表1】
【0033】
以上の実験より、次のことが判明した。
(1)簡易型モデルを用いた騒音測定実験から、なびき方向よりも反なびき方向の音圧レベルが大きく、発生する騒音は指向性があることが分かった。
(2)90°方向のピーク音はキャビティの有無、0°方向の多数のピーク音はヒンジカバー前縁で生じる流れの剥離が原因であることがわかった。
(3)対策を施すことで騒音は低減可能であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、定在波の発生を抑制し、空力騒音の低減を図ることができるパンタグラフ装置として、新設の高速鉄道用車両はもちろん、既設の車両のパンタグラフの騒音抑制を図ることができ、鉄道車両の高速化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】シングルアーム構造の高速列車用パンタグラフの一例を示す斜視図である。
【図2】反なびき方向に車両が走行した場合の従来の構成のヒンジカバーによる空力騒音の発生原理を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る溝付空洞無しヒンジカバーを示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るV型ヒンジカバーを示す斜視図である。
【図5】第1実施例において空洞部を充填する方法の1つの例を示す説明図である。
【図6】第1実施例において空洞部を充填する方法の別の例を示す説明図である。
【図7】第1実施例において騒音低減の理由1を示す説明図である。
【図8】第1実施例において騒音低減の理由2を示す説明図である。
【図9】実験装置を示す側断面図である。
【図10】実験装置を示す正面図である。
【図11】(a)〜(d)は、実験で用いた模型の概略図を示す斜視図である。
【図12】簡易型モデルのなびき方向、反なびき方向と模型を設置しない状態で流れを流した場合の騒音レベルである暗騒音の音圧スペクトルを示すグラフである。
【図13】簡易型モデル・傾斜2円柱モデル・キャビティ部分を埋めたモデル・暗騒音の音圧スペクトルを示すグラフである。
【図14】簡易型モデル・溝付空洞無しモデル・V型ヒンジカバーモデル及び暗騒音の音圧スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
1 舟体
2 上部枠
3 下部枠
4 ヒンジカバー
5 保護カバー
6 架線
10 溝付空洞無しヒンジカバー
10a 溝
11 V型ヒンジカバー
12 ゴム板
13 エア通路
14 伸縮性材料
20 半円形集音器
21,22 マイクロフォン
23 ノズル
24 音響透過性端板
25 FFTアナライザ
26 解析用のパソコン
【技術分野】
【0001】
本発明は、新幹線等、高速で走行する電気鉄道車両の屋根に設置され、架線から電力を受電するためのパンタフラフ装置の騒音抑制技術に関する。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両の高速化を図るうえで沿線騒音の環境基準を満たすことが必要不可欠である。鉄道騒音には音源別に、レールと車輪との相互作用から生じる転動騒音、パンタグラフなどの集電装置から発生する集電系空力騒音及び車両間隔部などの車両上部から発生する車両上部空力騒音、構造物の振動等が発生原因となる構造物騒音等に分類できる。なかでも空力騒音の音の強さは列車速度の6乗に比例する(例えば、非特許文献1)ことから、更なる列車の高速化を目指すためには空力騒音の低減が求められている。
【0003】
鉄道車両の屋根の上方に設置されるパンタグラフ装置は、架線に接触して電力を取り入れる集電舟と、この集電舟を弾力的に支持する支持機構とを有している。この支持機構の形式には、従来より菱形、下枠交差形などがあるが、新幹線等の高速鉄道車両に使用するものとして、近年では、運転時に発生する気流騒音の低減を考慮して、所謂シングルアーム構造のものが使用されている。
【0004】
そのシングルアーム構造の高速列車用パンタグラフの一例を図1に示す。同図において、1は架線10と接触する舟体、2は舟体1を支持する上部枠、3は鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠、4は上部枠2と下部枠3を連結するヒンジ部を覆うヒンジカバー、5は下部枠3の下部の碍子部等を保護するための保護カバーである。
【0005】
パンタグラフについては様々な機関で低騒音化に向けた研究がなされており、騒音源としてなびき方向(図1において右側に進む方向)では舟体1が、反なびき方向(図1において左側に進む方向)ではヒンジカバー4が主要な音源であることが分かっている(例えば、特許文献1,2、非特許文献2)。これまで舟体1については数多く研究(例えば、非特許文献3)がなされており、低減策についても提案されている。
【0006】
一方、特許文献3には、鉄道車両の屋根面上に碍子を介して絶縁支持される台枠と、一部に上下両面同士を連通させる透孔を有し、この台枠の上方に設けられた、絶縁材製の中間カバーと、台枠の上面に起倒自在に設けられ、透孔を通じてその上部がこの中間カバーの上方に突出したパンタグラフ枠と、このパンタグラフ枠の上端部に支持された集電舟装置と、屋根面上で鉄道車両の前後両側から中間カバーを挟む位置に設けられ、この中間カバーの下面と屋根面との間で碍子及び台枠を設置した空間の前後両端部を塞ぐ、それぞれが絶縁材製である1対の端部カバーとを備え、これら両端部カバーの上面と中間カバーの上面とを滑らかに連続させたパンタグラフ装置が記載されている。この構成により、中間カバー、端部カバーに覆われた部分に風が当たらないようにして、高速走行時における気流騒音の発生を抑えるようにしている。
【0007】
また、特許文献4には、鉄道車両の屋根面上に取り付けられる支持部材と、この支持部材に、この鉄道車両の幅方向に設けられた横軸と、この横軸の一端部により下端部を、揺動変位自在に片持ち式に支持されて、上端部に集電舟を支持するパンタグラフ枠と、このパンタグラフ枠を起倒させるための起倒機構とを備えたパンタグラフ装置が記載されている。そして、支持部材の上面に設けられた起倒機構がカバーにより覆われており、横軸の一端部でこのカバーに片側面に形成された通孔を通じてこのカバー外に突出した部分にパンタグラフ枠の下端部が支持されている。この構成により、高速走行時に発生する気流騒音を抑えるようにしている。
【0008】
特許文献5には、鉄道車両の屋根面上に絶縁支持される台枠と、一部に上下両面同士を連通させる透孔を有し、この台枠の上方に設けられた、絶縁材製のカバーと、台枠の上面に起倒自在に設けられ、透孔に挿通した状態でその上部をこのカバーの上方に突出させたパンタグラフ枠と、このパンタグラフ枠の上端部に支持された集電舟装置とを備え、透孔は、パンタグラフ枠の変位を許容すべくこのパンタグラフ枠の変位方向に長い形状としており、透孔の周縁とこの周縁に対向するパンタグラフ枠の外周面との開口部に、鉄道車両の運転時に於けるこのパンタグラフ枠の変位に拘らずこの開口部を塞ぐ第二のカバーを設けたパンタグラフ装置が記載されている。この第二のカバーを設けることにより、パンタグラフ枠の変位に拘わらず、透孔部分で発生する気流騒音を低減させるようにしている。
【0009】
【特許文献1】特開平11−178105号公報
【特許文献2】特開平11−178106号公報
【特許文献3】特開2004−274986号公報
【特許文献4】特開2005−65350号公報
【特許文献5】特開2005−130595号公報
【非特許文献1】高石武久,日本ガスタービン学会誌,33−6(2005−11),p52
【非特許文献2】手塚和彦,鉄道総研講演会要旨集,(2005),p55
【非特許文献3】池田充,他2名,鉄道総研報告,Vol.18,No.18,(2004−8),p23
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
以上の特許文献3〜5において提案された騒音抑制技術は、新たに製造される高速走行電気鉄道車両では適用できる。しかし、現在、既に走行している、図1に示すような構造の、ヒンジ部が露出しているパンタグラフ構造を有する鉄道車両を高速化(例えば300km/時から350km/時に時速を上げる)しようとする場合、現行速度では環境基準値以内に収まっていた空力騒音が、高速走行により環境基準値を超えるおそれがある。前述のように、空力騒音の音の強さは列車速度の6乗に比例することから、既存車両を高速化する場合にも、空力騒音を低減するための対策が求められている。高速化する全車両を、ヒンジ部を外部に露出しない構造に改造することは、コスト面でも、困難性がある。
【0011】
そこで本発明は、高速鉄道用パンタグラフのヒンジ部に着目し、音響特性の解明および音源の特定を行った結果に基づいて想到されたものであり、空力騒音の低減を図ることのできる高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため、本発明の第1の構成の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置は、架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を充填したことを特徴とする。
【0013】
本発明の第2の構成の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置は、架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を開放したことを特徴とする。
【0014】
本発明の第3の構成の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置は、第1の構成において、前記ヒンジカバーの側面に、水平方向の溝を形成したことを特徴とする。
【0015】
本発明では、高速鉄道用パンタグラフ装置のヒンジ部、特に低騒音性能において着目し、音響特性についての実験を行い本発明の優位性を得た。従来技術においては、ヒンジの形状が騒音発生源となり定在波による音と、不規則な渦の発生に起因する音が発生するが、本発明では、定在波及び渦の発生の双方の抑制を同時に行える形状を提案する。
【0016】
すなわち、ヒンジカバーの空洞部を充填するか、開放することにより、キャビティーを無くし、ヒンジカバー内部における定在波による音の発生と、不規則な渦による音の発生を抑制する。
【0017】
また、ヒンジカバーの側面に水平方向の溝を設けることにより、発生した渦を崩壊させ、空気圧の圧力変動を小さくする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、パンタグラフ装置のヒンジカバーの空洞部を充填するか、開放することにより、定在波の発生を抑制し、空力騒音の低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づいて具体的に説明する。
図2は反なびき方向に車両が走行した場合の従来の構成のヒンジカバーによる空力騒音の発生原理を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【0020】
図2(a)に示すように、上部枠2と下部枠3を連結するヒンジ部を覆う従来の構成のヒンジカバー4は、ほぼ三角形の側壁板4aと上下の連結部4bからなっており、反なびき方向は開口しており、内部は空洞である。このような構造では、図2(b)に示すように、ヒンジカバー4の長さLの気柱における共鳴(L=λ/4,3λ/4,・・・)と、ヒンジカバー4の外壁部で生じる渦による圧力変動に基づく騒音の発生がある。
この共鳴と渦による騒音の発生を抑制するために、図3及び図4に示す構造を考えた。
【0021】
図3は本発明の第1実施例に係る溝付空洞無しヒンジカバー10を示す斜視図、図4は本発明の第2実施例に係るV型ヒンジカバー11を示す斜視図である。
図3において、第1実施例に係る溝付空洞無しヒンジカバー10は、側壁板の外周に、水平方向に沿う溝10aを設け、内部の空洞部を充填した。このヒンジカバー10の材質は、強度、耐候性等を考慮して例えばFRP製とすることが好ましい。実験では、ヒンジカバー10は木材を使用して製作し、板厚5mm、厚さD=38mm、長さL=70mm(実スケールの約1/2)で実験を行った。
【0022】
空洞部を充填する方法としては、図5に示すように、ヒンジカバー10の空洞部の開口を覆うゴム板12を設け、パンタグラフ装置内に内蔵されているエアシリンダーより下部枠3内部に設けたエア通路13に配管し、空洞内部に空気を送り込み、その場合にゴム板12が風船のようにふくらむような構造にする。別の例としては、図6に示すように、ヒンジカバー10の空洞部内に、あらかじめシリコンゴム等の伸縮性材料14を充填しておき、折りたたんだ場合にでもリンク動作の妨げにならない構造にする。
ヒンジカバー10の側壁板の外周に形成する溝10aは、実験例では、溝の幅は5mm、間隔は10mm、高さは3mmとした。
【0023】
溝10aを設けることにより、騒音が低減する理由について説明する。
図7は騒音低減の理由1を示す説明図であり、図7(a)に示す幅Dの直方体を空気の流れの中に置いたときに、渦が発生するには、渦が放出される際の二次元性の程度を示す指標である相関長さは、Dの3倍から6倍が必要とされている。そこで、図7(b)に示すように、空気の流れの方向に沿った溝を3D〜6Dより小さい間隔で形成すると、相関長さが短くなり、二次元的な渦放出を抑えることができ、騒音を低減できる。
【0024】
図8は騒音低減の理由2を示す説明図である。上部枠2及び下部枠3の各々に沿って流れる空気の速度成分が異なるため、その速度差によって不規則な渦が放出される。そこで、空気の流れ方向に沿う溝10aを設けることにより、渦が崩壊することで、騒音の低減を図ることができる。
【0025】
本発明の第2実施例を示す図4では、上部枠2と下部枠3のヒンジ部に、V型ヒンジカバー11を取り付けている。すなわち、内部に空洞が形成されないように、側壁を除去した構成となっている。このV型ヒンジカバー11が騒音を抑制できる理由は、単純に、ヒンジカバー11の内部に空洞が存在せず、共鳴が生じないことによる。このヒンジカバー11の材質は強度、耐候性等を考慮して例えばFRP製とすることが好ましい。
【実験例】
【0026】
実験は低騒音風洞と木製の模型を用いて行った。実験装置の概略図を図9、図10に示す。流れは回流式で測定部は無響室内に設置され、半開放型になっている。図中20は半円形集音器、21,22はマイクロフォン、23はノズル、24は音響透過性端板、25はFFT(高速フーリエ変換)アナライザ、26は解析用のパソコンである。
【0027】
ノズル23の出口の開口が180mm×360mm、長さが1200mmの測定部を有し、ジェットエッジとヒンジカバー模型Mの干渉を除くためにポーラス材と、厚さ1.2mmの穴あき鉄板(穴径8mm)を補強材として組み合わせた音響透過性端板24を用いた。作動気体は空気とし、主流速度は30m/sで実験を行った。図9,図10に示すようにヒンジ部分をノズル下流480mmの位置に固定し、流れを回流させながら上面位置(90°位置)及び側面位置(0°位置)におけるマイクロフォン21,22において騒音を計測し、FFT(高速フーリエ変換)解析を行った。音圧レベルは聴覚の周波数特性に近づけるため、A特性の重み付けを行った。
【0028】
図11に、実験で用いた模型の概略図を示す。ヒンジ部の要素を抽出した簡易型モデル(図11(a))を用いて発生騒音の音響特性を得た。その後、発生騒音の原因を特定するため、円柱を2つ組み合わせた傾斜2円柱モデル(図示せず)およびキャビティ部分を埋めたモデル(図11(b))を用いて騒音測定実験を行った。これらの結果から騒音低減に有効と考えられる改良型模型、溝付空洞無しモデル(図11(c))およびV型ヒンジカバーモデル(図11(d))を作成し、騒音測定実験を行った。
【0029】
実験結果及び考察
(1) 発生騒音の音響特性について
図12に、上面位置(90°位置)、側面位置(0°位置)における簡易型モデル(図11(a))のなびき方向、反なびき方向と模型を設置しない状態で流れを流した場合の騒音レベルである暗騒音(BGN)の音圧スペクトルを示す。縦軸はA特性音圧レベル[dB(A)]、横軸は周波数[Hz]である。
これらの結果から、簡易型モデルを用いた風洞実験により、反なびき方向がなびき方向よりも騒音が大きい特性が得られた。また発生騒音は指向性を持ち、90°方向には1887[Hz]に大きいピーク、0°方向には、多数のピーク列が存在することが分かった。
【0030】
(2)騒音発生原因について
図13に、上面位置(90°位置)、側面位置(0°位置)それぞれにおける、簡易型モデル・傾斜2円柱モデル・キャビティ部分を埋めたモデル・暗騒音の音圧スペクトルを示す。これらの結果から傾斜2円柱はほとんど騒音が発生しないことが分かった。また0°方向で発生した多数のピーク列は、キャビティの有無によらず存在している。このことから、ヒンジカバー前縁で剥離した流れにより不規則に渦が発生し、多数のピークが生じたと考えられる。また90°方向で発生したピークは1887[Hz]であり、音の波長の4分の1の長さがキャビティの深さと一致する。したがって、キャビティの有無によりピーク音圧レベルに差が生じるのは、簡易型モデルでは、ヒンジカバー前縁での流れの剥離が音源となり、キャビティ内部で共鳴していると考えられる。
【0031】
(3)改良型模型について
図14に、上面位置(90°位置)、側面位置(0°位置)それぞれにおける簡易型モデル・溝付空洞無しモデル・V型ヒンジカバーモデル及び暗騒音の音圧スペクトルを示す。また表1にそれぞれの模型のオーバーオール値の一覧を示す。
これらの結果から溝付空洞無しモデル・V型ヒンジカバーモデルともに騒音低減効果があることが分かった。ヒンジカバー側面に渦スケールより小さな溝を設けることによって渦の発生を抑制することで側面方向でみられた多数のピークの音圧レベルを低減できたと考えられる。また、V型ヒンジカバーモデルでは、キャビティを無くし、ヒンジカバー前縁で生じる流れの剥離を抑制したことにより騒音低減につながったと考えられる。
【0032】
【表1】
【0033】
以上の実験より、次のことが判明した。
(1)簡易型モデルを用いた騒音測定実験から、なびき方向よりも反なびき方向の音圧レベルが大きく、発生する騒音は指向性があることが分かった。
(2)90°方向のピーク音はキャビティの有無、0°方向の多数のピーク音はヒンジカバー前縁で生じる流れの剥離が原因であることがわかった。
(3)対策を施すことで騒音は低減可能であることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、定在波の発生を抑制し、空力騒音の低減を図ることができるパンタグラフ装置として、新設の高速鉄道用車両はもちろん、既設の車両のパンタグラフの騒音抑制を図ることができ、鉄道車両の高速化に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】シングルアーム構造の高速列車用パンタグラフの一例を示す斜視図である。
【図2】反なびき方向に車両が走行した場合の従来の構成のヒンジカバーによる空力騒音の発生原理を示す説明図であり、(a)は斜視図、(b)は横断面図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る溝付空洞無しヒンジカバーを示す斜視図である。
【図4】本発明の第2実施例に係るV型ヒンジカバーを示す斜視図である。
【図5】第1実施例において空洞部を充填する方法の1つの例を示す説明図である。
【図6】第1実施例において空洞部を充填する方法の別の例を示す説明図である。
【図7】第1実施例において騒音低減の理由1を示す説明図である。
【図8】第1実施例において騒音低減の理由2を示す説明図である。
【図9】実験装置を示す側断面図である。
【図10】実験装置を示す正面図である。
【図11】(a)〜(d)は、実験で用いた模型の概略図を示す斜視図である。
【図12】簡易型モデルのなびき方向、反なびき方向と模型を設置しない状態で流れを流した場合の騒音レベルである暗騒音の音圧スペクトルを示すグラフである。
【図13】簡易型モデル・傾斜2円柱モデル・キャビティ部分を埋めたモデル・暗騒音の音圧スペクトルを示すグラフである。
【図14】簡易型モデル・溝付空洞無しモデル・V型ヒンジカバーモデル及び暗騒音の音圧スペクトルを示すグラフである。
【符号の説明】
【0036】
1 舟体
2 上部枠
3 下部枠
4 ヒンジカバー
5 保護カバー
6 架線
10 溝付空洞無しヒンジカバー
10a 溝
11 V型ヒンジカバー
12 ゴム板
13 エア通路
14 伸縮性材料
20 半円形集音器
21,22 マイクロフォン
23 ノズル
24 音響透過性端板
25 FFTアナライザ
26 解析用のパソコン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を充填したことを特徴とする高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置。
【請求項2】
架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を開放したことを特徴とする高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置。
【請求項3】
前記ヒンジカバーの側面に、水平方向の溝を形成した請求項1記載の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置。
【請求項1】
架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を充填したことを特徴とする高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置。
【請求項2】
架線と接触する舟体と、前記舟体を支持する上部枠と、電気鉄道車両の屋根側に取り付けられる下部枠とを有するシングルアーム構造の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置であって、前記上部枠と前記下部枠とを連結するヒンジ部を覆うヒンジカバーの空洞部を開放したことを特徴とする高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置。
【請求項3】
前記ヒンジカバーの側面に、水平方向の溝を形成した請求項1記載の高速鉄道パンタグラフ用低騒音ヒンジカバー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−104099(P2010−104099A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−271251(P2008−271251)
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(591146893)九州旅客鉄道株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月21日(2008.10.21)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【出願人】(591146893)九州旅客鉄道株式会社 (18)
【Fターム(参考)】
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