説明

高齢の動物の生活の質を向上させるための方法

敏捷性を向上させ、活力を改善し、軟骨を保護し、筋肉量を維持し、消化率を向上させ、皮膚および毛の質を改善するために有効量の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、アミノ酸、ミネラル、および抗酸化物質の種々の組み合わせとから成る組成物を給餌することによって、高齢または超高齢の動物の生活の質を向上させるための方法。前記組成物を給餌することによって動物内に誘発される、いくつかの生物学的経路と関係する遺伝子の発現における変化は、生活の質の向上と一致する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 関連特許の相互参照
本出願は、2004年12月30日出願の米国特許仮出願第60/640,890号に対する優先権を主張する、2005年12月30日出願の国際出願第PCT/US2005/047461号、国際公開第2006/074089号の35 USC第371条に基づく米国国内段階登録である、係属中の2008年3月28日出願の米国特許出願第11/813,276号の一部継続出願であり、これらはそれぞれ、あらゆる目的において参照により、その全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
[0002] 本発明は、概して、動物の生活の質を向上するための方法に関し、特に、高齢または超高齢の動物の生活の質を向上させるために、オメガ−3多価不飽和脂肪酸を含有する食物組成物を使用することに関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] イヌおよびネコ等のペット動物は、多くの場合、その生命段階(年齢)、寸法、身体組成物、および品種に応じて、食餌を分ける必要がある。イヌおよびネコ両方の栄養素要件は、年齢(成長期のイヌ(または、ネコ)、成齢のイヌ(または、ネコ)、および高齢のイヌ(または、ネコ))に基づいて、3つの異なる生命段階に区分され得る。後者の分類の高齢のイヌ(または、ネコ)は、高齢(または、成熟成齢)および超高齢(または、老齢)を含む、2つの段階にさらに区分され得る。イヌは、中型種のイヌ対大型種のイヌの異なる分類にさらに区分される。
【0004】
[0004] オメガ−3およびオメガ−6多価不飽和脂肪酸からなる必須脂肪酸は、動物の健康のために重要な栄養素である。しかしながら、これらの栄養素は、動物によって作り出すことができない、または効果を引き出すために十分な量を作り出すことができず、したがって、動物用の食餌において摂取されなければならない。 例えば、Hornstra, G., et al.,“Essential fatty acids in pregnancy and early human development”, Eur. J. Obs. & Gyn.and Reprod.Biology,61:57−62 (1995) を参照されたい。これまで、オメガ−3多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(「DHA」)は、老齢のマウスにおける迷路学習能力および脳機能の増加に有効であることが主張されている。Lim, S.−Y.,「Intakes of dietary docosahexaenoic acid ethyl ester and egg phosphatidylcholine improve maze−learning ability in young and old mice”, J. Nutr., 130:1629−1632(2000)を参照されたい。
【0005】
[0005] Rogersは、特に、高齢者において、認知機能の低下を遅らせるために、抗酸化物質の使用の可能性に関する理論を論じている。Rogers, P., A healthy body, a healthy mind:long_−term impact of diet on mood and cognitive function”, Proceedings of the Nutrition Society, 60:135−143(2001)を参照されたい。
【0006】
[0006] 認知能力の改善に関する研究および開発にもかかわらず、例えば、高齢および超高齢の動物における敏捷性の向上、活力の改善、軟骨保護、筋肉量の維持、消化率の向上、ならびに皮膚および毛の質の向上によって測定されるように、高齢の動物の生活の質を向上させるための方法の必要性が存続する。上述のように、本明細書で記載される超高齢ペット用の食物組成物は、本結果を達成するために投与され得る。加えて、本明細書では、我々は、本明細書に開示されるペット用食物組成物の投与によって達成される、高齢および超高齢の動物の生活の質の向上は、ゲノムレベルで反映されるという、驚くべき発見を報告する。具体的には、以下の実施例に詳述されるように、遺伝子チップデータは、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性(integrity)、炎症反応、軟骨変性(degeneration)および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達等の、いくつかの生物学的経路と関係するタンパク質をコードする、遺伝子の発現が修飾される、すなわち、一般にその大部分が、本明細書で記載される超高齢ペット用食物組成物の動物への投与を通して、有益に改変されることを示す。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Hornstra, G., et al.,“Essential fatty acids in pregnancy and early human development”, Eur. J. Obs. & Gyn.and Reprod.Biology,61:57−62 (1995)
【非特許文献2】Lim, S.−Y.,「Intakes of dietary docosahexaenoic acid ethyl ester and egg phosphatidylcholine improve maze−learning ability in young and old mice”, J. Nutr., 130:1629−1632(2000)
【非特許文献3】Rogers, P., A healthy body, a healthy mind:long_−term impact of diet on mood and cognitive function”, Proceedings of the Nutrition Society, 60:135−143(2001)
【発明の概要】
【0008】
[0007] 本発明は、少なくとも約9重量%のタンパク質と、少なくとも約5重量%の脂肪と、少なくとも約0.05重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸とを含む、組成物を動物に給餌することによって、高齢および超高齢の動物の生活の質を改善するための方法を提供する。
【0009】
[0008] 一実施形態では、方法は、動物の生活の質を向上させるために有効量の組成物を動物に給餌することを含み、向上した生活の質は、敏捷性、活力、軟骨保護、筋肉量の維持、消化率、ならびに皮膚および毛の質から成る群から選択される、1つ以上の特性における改善によって明らかとされる。
【0010】
[0009] 別の実施形態では、方法は、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)およびエイコサペンタエン酸(「EPA」)から成る群から選択される、少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸を含む組成物を動物に給餌することを含む。付加的実施形態では、方法は、少なくとも1つの抗酸化物質と、コリン、マンガン、メチオニン、システイン、L−カルニチン、リシン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1つの栄養素とを含む組成物を動物に給餌することを含む。
【0011】
[0010] 一実施形態では、方法は、動物の生活の質を改善または向上させるために有効量の組成物を動物に給餌することを含み、生活の質の向上は、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達から成る群から選択される、1つ以上の生物学的経路における改善によって明らかとされる。
【0012】
[0011] 別の実施形態では、方法は、動物の生活の質を向上させるために有効量の組成物を動物に給餌することを含み、生活の質の向上は、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の完全保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達から成る群から選択される生物学的経路に関係または関連するタンパク質をコードする1つ以上の遺伝子の発現における変化により明らかとされる。
【0013】
[0012] さらに別の実施形態では、本発明は、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達から成る群から選択される、生物学的経路と関係または関連する障害または疾患に罹患する動物を治療するための方法に関し、方法は、本明細書に開示される組成物を前記動物に投与することを含む。一実施形態では、前記組成物は、少なくとも約9重量%のタンパク質と、少なくとも約5重量%の脂肪と、少なくとも約0.05重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸とを含む。さらなる実施形態では、組成物は、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)およびエイコサペンタエン酸(「EPA」)から成る群から選択される、少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸を含む。さらなる付加的実施形態では、組成物は、少なくとも1つの抗酸化物質と、コリン、マンガン、メチオニン、システイン、L−カルニチン、リシン、およびその混合物から成る群から選択される、少なくとも1つの栄養素とをさらに含む。
【0014】
[0013] 別の実施形態では、本発明は、表5〜14に開示されるものから成る群から選択される、動物における1つ以上の遺伝子の遺伝子発現レベルを定量化することと、動物の前記レベルを餌組成物投与前の動物におけるレベルと比較することによって、本明細書で記載される組成物が給餌される、動物、特に、高齢または超高齢の動物の生活の質における向上を測定または特性化する方法に関する。
【0015】
[0014] さらなる実施形態では、本発明は、本発明のペット用食物組成物の投与後、インビボで見られる発現パターンを模倣するために、動物において、表5〜14に列挙された1つ以上の遺伝子の発現レベルを調節(すなわち、そこに示される上方調節または下方調節)することによって、動物の生活の質を向上させる方法に関する。また、本明細書では、これら遺伝子の発現レベルを調節することが、様々な生物学的経路と関連する疾患あるいは障害の治療に関する、治療的価値を有し得ることが想定される。
【0016】
[0015] 本発明はまた、本明細書に開示される組成物の給餌から恩恵を受け得る動物を同定するための方法に関し、方法は、前記動物において表5〜14に列挙されるいずれかの1つ以上の遺伝子発現レベルを測定することと、前記レベルを表5〜14に見られる遺伝子発現レベルと比較することと、を含み、表5〜14に見られるものとは異なるレベルを伴う動物は、本発明の組成物の給餌から恩恵を受ける可能性があると、同定される。
【0017】
[0016] 本発明のさらに別の態様では、アッセイ方法およびキットが提供され、キットは、動物に由来する体内組織試料において、本明細書に開示される遺伝子をコードするポリヌクレオチドの発現、コードされたタンパク質のレベル、またはその断片を検出するために必要な成分を含み、かかるキットは、例えば、前記ポリペプチド、もしくはその断片に結合する抗体、または前記ポリヌクレオチドとハイブリッド形成するオリゴヌクレオチドプローブを含む。好ましい実施形態では、かかるキットはまた、キットの構成成分が使用されるべき手順を詳述する取扱説明書を含む。
【0018】
[0017] 本発明のその他およびさらなる目的、特徴、ならびに利点は、当業者に容易に明白となるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0019】
定義
[0018] 本明細書で記載される発明は、説明される特定の方法論、プロトコル、および試薬が、異なり得るため、これらに限定されないことが想定される。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的にすぎず、本発明の範囲をいかようにも限定することを意図するものではないことを理解されたい。
【0020】
[0019] 別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語はすべて、本発明が属する当業者によって一般的に理解されるものと同一の意味を有する。それらの本明細書で記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料が、本発明の実施あるいは試験において使用可能であるが、本明細書では、好ましい方法、デバイス、ならびに材料について説明する。本明細書に言及される刊行物はすべて、本発明と併用され得る、刊行物中に報告される材料および方法論を説明ならびに開示することを目的として、参照により本明細書に組み込まれる。
【0021】
[0020] 本発明を実施する際、分子生物学における多くの従来技術が、使用され得る。これらの技術は、周知であって、例えば、Current Protocols in Molecular Biology, Volumes I, II,and III,1997 (F. M. Ausubel ed.)、Sambrook et al, 1989, Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, N.Y.、DNA Cloning:A Practical Approach, Volumes I and II, 1985 (D. N. Glover ed.)、Oligonucleotide Synthesis, 1984 (M. L. Gait ed.)、Nucleic Acid Hybridization, 1985, (Hames and Higgins)、Transcription and Translation, 1984 (Hames and Higgins eds.)、Animal Cell Culture, 1986 (R. I. Freshney ed.)、Immobilized Cells and Enzymes, 1986 (IRL Press)、Perbal, 1984, A Practical Guide to Molecular Cloning; the series, Methods in Enzymology (Academic Press, Inc.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells, 1987 (J. H. Miller and M. P. Calos eds., Cold Spring Harbor Laboratory)、およびMethods in Enzymology Vol. 154 and Vol. 155 (Wu and Grossman, and Wu, eds., respectively)に説明されている。
【0022】
[0021] 本明細書および添付の請求項で使用されるとき、単数形「a」、「an」、および「the」は、別途文脈によって、明確に指示されない限り、複数形の参照も含む。
[0022] 用語「高齢」または「成熟成齢」とは、動物の生命段階を指す。小型種のまたは中型種のイヌの場合、「高齢」生命段階は、約7〜約10歳である。ネコの場合、「高齢」生命段階は、約7〜約12歳である。大型種のイヌの場合、5歳を超えると、後述のように、「超高齢」を表す。
【0023】
[0023] 用語「超高齢」または「老齢」とは、動物の特定の生命段階を指す。小型種のまたは中型種のイヌの場合、超高齢段階は、10歳を超える任意の年齢である。大型種のイヌの場合、超高齢段階は、5歳を超える任意の年齢である。ネコの場合、超高齢段階は、12歳を超える任意の年齢である。
【0024】
[0024] 用語「大型種の」イヌとは、通常、成齢時で55ポンドを超える体重のイヌを意味する。
[0025] 用語「中型種の」イヌとは、成齢時で55ポンド未満の体重のイヌを意味する。
【0025】
[0026] 用語「小型種の」イヌとは、成齢時で20ポンド未満の体重のイヌを意味する。
[0027] 用語「超高齢のペット用食物組成物」とは、本明細書に開示されるあらゆるペット用食物組成物を指す。
【0026】
[0028] 本明細書で使用されるとき、用語「炭水化物」は、加水分解されると、エネルギーのために代謝される、多糖類(例えば、澱粉およびデキストリン)ならびに糖類(例えば、蔗糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、および果糖)を含む。本明細書に開示される組成物中に含有するのに好適な炭水化物の例として、トウモロコシ、穀実用モロコシ、小麦、大麦、および米が挙げられるが、それらに限定されない。
【0027】
[0029] 用語「抗酸化物質」とは、遊離基と反応し、それらを中和可能な物質を意味する。そのような物質の例証的実施例として、ベータカロテン、セレン、コエンザイムQ10(ユビキノン)、ルテイン、トコトリエノール、大豆イソフラボン、S−アデノシルメチオニン、グルタチオン、タウリン、N−アセチルシステイン、ビタミンE、ビタミンC、リポ酸、およびL−カルニチンが挙げられる。1つ以上の抗酸化物質を有用レベルで含有する食物の例として、イチョウ、緑茶、ブロッコリー、柑橘類果肉、葡萄搾汁かす、トマト搾汁かす、人参、ホウレン草、および様々な果物類食餌および野菜類食餌が挙げられるが、それらに限定されない。抗酸化物質の単位は、「ppm」として提供され得るが、また、適切な量の抗酸化物質は、例えば、ビタミンE等の所与の抗酸化物質の場合、必要および慣例に応じて、「IU/kg」として提供され得ることが、当業者によって理解されるであろう。
【0028】
[0030] 遺伝子発現における「有益な変化」、または遺伝子発現が、「有益に改変」され得る等の用語は、関係付けられた生物学的経路が、正常に機能する可能性が高く、例えば、超高齢の動物の典型であり得る、経路の病理学的変化を反映する傾向が低くなり得るように、遺伝子によってコードされるタンパク質のレベルが、対応して修飾され得る、遺伝子発現における修飾(例えば、mRNAレベルの上方または下方調節)を指す。概して、遺伝子発現の有益な変化は、動物における健康の改善および/または疾患の緩和傾向に関連する。本明細書で使用されるとき、遺伝子発現「レベル」の差異の測定等の用語は、例えば、ある動物において、遺伝子の発現が、対照レベルと比較して、上方または下方調節されているかどうかを特性化することを指す。
【0029】
[0031] 本明細書で使用されるとき、動物の生活の質を「改善させる」または「向上させる」とは、敏捷性、活力、軟骨の保護、筋肉量の維持、消化率、ならびに皮膚および毛の質から成る群から選択される、1つ以上の特性の改善または向上を指す。加えて、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達における改善/向上もまた、想定される。
【0030】
[0032] 特性または生物学的経路における「改善」あるいは「向上」とは、特性もしくは経路が、正常に出現および/または機能する傾向にあって、例えば、超高齢の動物の典型であり得る、特性あるいは経路における病理学的変化を反映する傾向が低くなるような、特性または生物学的経路の修飾を指す。
【0031】
[0033] 本明細書で使用されるとき、疾患あるいは障害に罹患する動物を「治療する」ための方法は、疾患もしくは障害を防止および/または軽減するための方法も包含することを意味する。
【0032】
発明
[0034] 本発明は、高齢または超高齢の動物の生活の質を改善あるいは向上させるための方法を提供する。方法は、少なくとも約9重量%のタンパク質と、少なくとも約5重量%の脂肪と、少なくとも約0.05重量%オメガ−3多価不飽和脂肪酸とを含む組成物を動物に給餌することを含む。方法は、高齢または超高齢の動物において、敏捷性を向上させ、活力を改善し、軟骨を保護し、筋肉量を維持し、消化率を向上し、ならびに皮膚および毛の質を改善するために有用である。また、方法は、動物において、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、および電子伝達経路から成る群から選択される、1つ以上の生物学的経路を向上するために有用であって、そのような改善はまた、ゲノムレベルでの有益な全体的変化にも反映される。また、本明細書では、本発明の組成物を投与することを含む、これらの生物学的経路と関係または関連する障害あるいは疾患に罹患する動物を治療するための方法も、想定される。
【0033】
[0035] 理論に拘束されるわけではないが、本発明の効果は、高齢または超高齢の動物の食餌へのオメガ−3多価不飽和脂肪酸の添加による、生理学的効果の結果であり得る。同様に、抗酸化物質、コリン、および他の栄養素も、高齢または超高齢の動物の生活の質を向上させる役割を果たし得る。
【0034】
[0036] 本発明の方法は、上述の特性すべてを改善させる、または上述の生物学的経路のすべてを向上することによって、動物の生活の質を改善し得るが、本明細書に定義されるように、「向上された生活の質」を達成するために、特性あるいは経路それぞれにおいて、実質的改善を実証する必要はない。
【0035】
[0037] 組成物が高齢または超高齢の動物に投与されると、動物は、生活の質の向上を経験する、例えば、敏捷性の向上、活力の改善、軟骨の保護、筋肉量の維持、消化率の向上、皮膚および毛の質の改善同様に、ゲノムレベルでの有益な全体的変化によって示されるように、例えば、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、および電子伝達経路における改善のうちの1つ以上を呈する、または経験する。これらの生活の質の測定を判定するための方法は、当業者に周知である。例えば、敏捷性は、代謝および抗酸化物質マーカーの分析を含む、種々の手段によってだけではなく、参加したペット飼主への追跡質問による臨床研究を通しても、測定可能である。潜在的代謝マーカーとして、グレリン、GLP−1、甲状腺ホルモン、および/または成長ホルモンが挙げられ得る。抗酸化物質状態の潜在的マーカーとして、血清ビタミンE、ORAC、グルタチオンペルオキシダーゼ、アルカン1、および/または細胞損傷指標が挙げられ得る。さらに、活力も、代謝および抗酸化物質マーカーの分析を含む、種々の手段によってだけではなく、参加ペット飼主への追跡質問による臨床研究を通しても、測定可能である。同様に、軟骨保護も、関節炎バイオマーカーの分析を含む、種々の手段によって測定可能である。潜在的関節炎バイオマーカーとして、II型コラーゲン合成、マトリクスメタロプロテアーゼ、オステオカルシン、アルカリ性ホスファターゼ活性、COMP、および軟骨損傷の断片が挙げられ得る。筋肉量の維持は、参加ペット飼主への追跡質問による臨床研究および栄養素の消化率を判定するための動物への給餌を含む、種々の手段によって測定可能である、身体組成物および消化率の分析を含む、種々の手段によって測定可能である。皮膚および毛の質は、参加ペット飼主への追跡質問による臨床研究を含む、種々の手段によって測定可能である。加えて、上述のように、生活の質の改善はまた、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性と保護および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達経路を含む、種々の重要な生物学的経路と関係する、大部分の遺伝子の発現に関する有益な変化を示す、遺伝子チップデータによって明らかとされるように、ゲノムレベルでも反映される。これらの遺伝子の同定は、以下の実施例において提供される。
【0036】
[0038] 本発明の方法は、霊長類(例えば、サル、チンパンジー等)、ペット動物(例えば、イヌ、ネコ、ウマ等)、家畜(例えば、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ等)、実験動物(例えば、マウス、ラット等)、鳥類(例えば、カナリア、オウム等の家禽、およびニワトリ、カモ、シチメンチョウ等の養鶏)、齧歯類(例えば、ハムスター、テンジクネズミ、アレチネズミ、ウサギ、ハリネズミ、フェレット、チンチラ等)、ならびに野生動物、外国種動物、動物園動物(例えば、オオカミ、クマ、シカ等)を含む、ヒトおよび動物の生活の質を向上させるために有用である。種々の実施形態では、動物は、ネコ、イヌ、またはウマである。
【0037】
[0039] 本発明の組成物は、消化率を向上させ、咀嚼能力を改善するように設計される。イヌおよびネコ用食物は、典型的には、生命段階(年齢)、寸法、身体組成物、ならびに品種に基づいて、調合される。したがって、本発明のいくつかの実施形態は、中型種のまたは小型種のイヌ、大型種のイヌ、およびネコ間の特定の栄養上の差異に対処するように調合される、組成物を含む。
【0038】
[0040] 本発明は、少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸を含有する、種々の組成物を利用する方法を提供する。組成物として、食物、栄養補助剤、おやつ、および玩具(典型的には、咀嚼可能かつ摂取可能玩具)が挙げられる。また、方法は、生活の質の改善をもたらすために十分な長さの一定時間にわたって、指定動物に組成物を提供する。一実施形態では、方法は、少なくとも30日間、組成物を動物に提供する。
【0039】
[0041] 本発明の方法において使用するための組成物は、概して、乾物基準において、少なくとも約0.02重量%(または、約0.05%〜約10%、あるいは約0.1%〜約6%)のオメガ−3多価不飽和脂肪酸含有量を有する。いくつかの実施形態では、オメガ−3多価不飽和脂肪酸は、DHAである。他の実施形態では、オメガ−3多価不飽和脂肪酸は、EPAである。さらに他の実施形態では、オメガ−3多価不飽和脂肪酸は、DHAとEPAの混合物を含む。
【0040】
[0042] いくつかの実施形態では、オメガ−3多価不飽和脂肪酸を含有する組成物は、食物である。液体および固体食物の両方が提供されるが、固体食物が、典型的には、好ましい。食物は、乾燥食物および湿潤食物の両方を含む。食物の非多価不飽和脂肪成分およびそれらの好ましい割合のうちのいくつかとして、表1に列挙されるものを含む。
【0041】
【表1】

【0042】
[0043] 一実施形態では、本発明の方法は、動物の生活の質を向上させるために有効量の組成物を超高齢の動物に給餌することを含む。そのような組成物は、概して、以下:
(a)0.02%(または約0.05%〜約10%、または約0.1%〜約6%)の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
(b)
(i)約10%〜約55%(または約18%〜約30%、または約33%〜約55%、または約18%〜約20%、または約33%〜約36%)のタンパク質と、
(ii)約7%〜約35%(または約18%〜約35%、または約7%〜約24%、または約14%〜約24%、または約14%〜約16%、または約18%〜約24%)の脂肪と、
(iii)少なくとも約.05(または約0.05ppmもしくはIU/kg〜約7500ppmもしくはIU/kg、または約250ppmもしくはIU/kg〜約3600ppmもしくはIU/kg、または約250ppmもしくはIU/kg〜約1650ppmもしくはIU/kg、または約5ppmもしくはIU/kg〜約225ppmもしくはIU/kg、または約0.05ppmもしくはIU/kg〜約2.4ppmもしくはIU/kg)の抗酸化物質、
のうちの少なくとも1つ、を含む。
【0043】
[0044] 別の実施形態では、本発明の方法は、イヌの生活の質を向上させるために有効量の組成物を超高齢の中型種のまたは小型種のイヌに給餌することを含む。組成物は、概して、以下:
(a)
(i)少なくとも約0.02%(または約0.02%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.2%)のDHAと、
(ii)少なくとも約0.1%(または約0.1%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.3%)のEPA、
のうちの少なくとも1つと、
(b)少なくとも約9%(または約9%〜約30%、または約18%〜約30%、または約18%〜約20%)のタンパク質と、
(c)少なくとも約7%(または約7%〜約24%、または約14%〜約24%、または約14%〜約16%)の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または約250IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1000IU/kg)のビタミンEと、
(iv)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約301ppm)のビタミンCと、
(v)少なくとも約600ppm(または約600ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約1545ppm)のタウリンと、
(vi)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約200ppm、または約100から約160、または約100から約155)のリポ酸と、
(vii)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約350ppm)のカルニチン、
のうちの少なくとも1つ、を含む。
【0044】
[0045] 別の実施形態では、本発明の方法は、イヌの生活の質を向上させるために有効量の組成物を超高齢の大型種のイヌに給餌することを含む。組成物は、概して、以下:
(a)
(i)少なくとも約0.02%(または約0.02%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.2%)のDHAと、
(ii)少なくとも約0.1%(または約0.1%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.3%)のEPA、
(b)少なくとも約9%(または約9%〜約30%、または約18%〜約30%、または約18%〜約20%)のタンパク質と、
(c)少なくとも約7%(または約7%〜約24%、または約14%〜約24%、または約14%〜約16%)の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または約250IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1000IU/kg)のビタミンEと、
(viii)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約301ppm)のビタミンCと、
(ix)少なくとも約600ppm(または約600ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約1575ppm)のタウリンと、
(x)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約200ppm、または約100から約160、または約100から約155)のリポ酸と、
(xi)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約350ppm)のカルニチン、
のうちの少なくとも1つ、を含む。
【0045】
[0046] 別の実施形態では、本発明の方法は、ネコの生活の質を向上させるために有効量の組成物を超高齢のネコに給餌することを含む。組成物は、概して、以下から成る。
(a)
(i)少なくとも約0.05%(または約0.05%〜約0.30%、または約0.1%〜約0.30%、または約0.1%〜約0.2%)のDHAと、
(ii)少なくとも約0.1%(または約0.1%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.3%)のEPA、
のうちの少なくとも1つと、
(b)少なくとも約15%(または約15%〜約55%、または約30%〜約55%、または約33%〜約36%)のタンパク質と、
(c)少なくとも約9%(または約9%〜約35%、または約18%〜約35%、または約18%〜約24%)の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または約250IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1100IU/kg)のビタミンEと、
(xii)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約300ppm、または約100ppm〜約300ppm、または約100ppm〜約200ppm)のビタミンCと、
(xiii)少なくとも約1100ppm(または約1100ppm〜約3500ppm、または約2300ppm〜約3500ppm、または約2300ppm〜約2350ppm)のタウリンと、
(xiv)少なくとも約200ppm(または約200ppm〜約750ppm、または約400から約750、または約400から約525)のリポ酸と、
(xv)少なくとも約0.05%(または約0.05%〜約0.6%、または約0.1%〜約0.6%、または約0.1%〜約0.4%)のシスチン、
のうちの少なくとも1つ、を含む。
【0046】
[0047] 別の実施形態では、本発明の方法は、動物の敏捷性および活力を向上させるために有効量の組成物を超高齢の動物に給餌することを含む。組成物は、概して、以下:
(a)0.02%(または約0.05%〜約10%、または約0.1%〜約6%)の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
(b)
(xvi)約10%〜約55%(または約18%〜約30%、または約33%〜約55%、または約18%〜約20%または約33%〜約36%)のタンパク質と、
(xvii)約7%〜約35%(または約18%〜約35%、または約7%〜約24%、または約14%〜約24%、または約14%〜約16%または約18%〜約24%)の脂肪と、
(xviii)少なくとも約.05(または約0.05ppm〜約7500ppm、または約250から約3600、または約250ppm〜約1650ppm、または約5ppm〜約225ppm、または約0.05ppm〜約2.4ppm)の抗酸化物質と、
(xix)少なくとも約1000ppm(または約1000ppm〜約5000ppm、約3300ppm〜約5000ppm、または約2000ppm〜約3000ppm、または約3000ppm〜約4000ppm)のコリと、
のうちの少なくとも1つ、を含む。
【0047】
[0048] 別の実施形態では、本発明の方法は、イヌの敏捷性および活力を向上させるために有効量の組成物を超高齢の中型種のまたは小型種のイヌに給餌することを含む。組成物は、概して、以下:
(a)
(i)少なくとも約0.02%(または約0.02%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.2%)のDHAと、
(ii)少なくとも約0.1%(または約0.1%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.3%)のEPA、
(b)少なくとも約9%(または約9%〜約30%、または約18%〜約30%、または約18%〜約20%)のタンパク質と、
(c)少なくとも約7%(または約7%〜約24%、または約14%〜約24%、または約14%〜約16%)の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または約250IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1000IU/kg)のビタミンEと、
(xx)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約301ppm)のビタミンCと、
(xxi)少なくとも約600ppm(または約600ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約1545ppm)のタウリンと、
(xxii)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約200ppm、または約100から約160、または約100から約155)のリポ酸と、
(xxiii)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約350ppm)のカルニチン、
のうちの少なくとも1つと、
(e)少なくとも約1000ppm(または約1000ppm〜約3200ppm、または約2000ppm〜約3200ppm、または約2000ppm〜約2500ppm)のコリンと、
(f)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約150ppm、または約100ppm〜約150ppm、または約100ppm〜約110ppm)のマンガンと、
(g)少なくとも約0.4%(または約0.4%〜約2%、または約0.9%〜約2%、または約0.9%〜約1.2%)のリシンと、
(h)少なくとも約0.4%〜約1.5%のメチオニン、を含む。
【0048】
[0049] 別の実施形態では、本発明の方法は、イヌの敏捷性および活力を向上させるために有効量の組成物を超高齢の大型種のイヌに給餌することを含む。組成物は、概して、以下:
(a)
(i)少なくとも約0.02%(または約0.02%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.3%、または約0.05%〜約0.2%)のDHAと、
(ii)少なくとも約0.1%(または約0.1%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.3%)のEPA、
のうちの少なくとも1つと、
(b)少なくとも約9%(または約9%〜約30%、または約18%〜約30%、または約18%〜約20%)のタンパク質と、
(c)少なくとも約7%(または約7%〜約24%、または約14%〜約24%、または約14%〜約16%)の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または約250IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1000IU/kg)のビタミンEと、
(xxiv)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約500ppm、または約100ppm〜約301ppm)のビタミンCと、
(xxv)少なくとも約600ppm(または約600ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約2400ppm、または約1260ppm〜約1575ppm)のタウリンと、
(xxvi)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約200ppm、または約100から約160、または約100から約155)のリポ酸と、
(xxvii)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約500ppm、または約200ppm〜約350ppm)のカルニチン、
のうちの少なくとも1つと、
(e)少なくとも約1000ppm(または約1000ppm〜約3200ppm、または約2000ppm〜約3200ppm、または約2000ppm〜約2500ppm)のコリンと、
(f)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約150ppm、または約100ppm〜約150ppm、または約100ppm〜約110ppm)のマンガンと、
(g)少なくとも約0.4%(または約0.4%〜約2%、または約0.9%〜約2%、または約0.9%〜約1.2%)のリシンと、
(h)少なくとも約0.4%〜約1.5%のメチオニン、を含む。
【0049】
[0050] 別の実施形態では、本発明の方法は、ネコの敏捷性および活力を向上させるために有効量の組成物を超高齢のネコに給餌することを含む。組成物は、概して、以下:
(a)
(i)少なくとも約0.05%(または約0.05%〜約0.30%、または約0.1%〜約0.30%、または約0.1%〜約0.2%)のDHAと、
(ii)少なくとも約0.1%(または約0.1%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.5%、または約0.2%〜約0.3%)のEPA、
のうちの少なくとも1つと、
(b)少なくとも約15%(または約15%〜約55%、または約30%〜約55%、または約33%〜約36%)のタンパク質と、
(c)少なくとも約9%(または約9%〜約35%、または約18%〜約35%、または約18%〜約24%)の脂肪と、
(d)
(i)少なくとも約250IU/kg(または約250IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1500IU/kg、または約500IU/kg〜約1100IU/kg)のビタミンEと、
(xxviii)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約300ppm、または約100ppm〜約300ppm、または約100ppm〜約200ppm)のビタミンCと、
(xxix)少なくとも約1100ppm(または約1100ppm〜約3500ppm、または約2300ppm〜約3500ppm、または約2300ppm〜約2350ppm)のタウリンと、
(xxx)少なくとも約200ppm(または約200から約750ppm、または約400ppm〜約750ppm、または約400から約525ppm)のカルニチンと、
(xxxi)少なくとも約0.05%(または約0.05%〜約0.6%、または約0.1%〜約0.6%、または約0.1%〜約0.4%)のシスチン、
のうちの少なくとも1つと、
(e)少なくとも約1600ppm(または約1600ppm〜約5000ppm、または約3300ppm〜約5000ppm、または約3300ppm〜約3400ppm)のコリンと、
(f)少なくとも約50ppm(または約50ppm〜約150ppm、または約100ppm〜約150ppm、または約100ppm〜約110ppm)のマンガンと、
(g)少なくとも約0.7%(または約0.7%〜約3%、または約1.4%〜約3%、または約1.4%〜約1.7%)のリシンと、
(h)少なくとも約0.4%〜約1.5%のメチオニン、を含む。
【0050】
[0051] 別の実施形態では、本発明は、高齢または超高齢の小型種のあるいは中型種のイヌの生活の質を改善するための方法を提供する。方法は、以下:
約60〜約70重量%の炭水化物と、
動物性タンパク質および植物性タンパク質から成る群から選択される、約15〜約25重量%のタンパク質と、
動物性脂肪および植物性脂肪から成る群から選択される、約5〜約7重量%の脂肪と、
約2.5〜約4重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
約1〜約4重量%の繊維と、
約1〜約2重量%のミネラルと、
約0.5〜約1.5重量%のビタミン、を含む組成物をイヌに給餌することを含む。
【0051】
[0052] 別の実施形態では、本発明は、高齢または超高齢の大型種のイヌの生活の質を改善するための方法を提供する。方法は、以下:
約60〜約70重量%の炭水化物と、
動物性タンパク質および植物性タンパク質から成る群から選択される、約15〜約25重量%のタンパク質と、
動物性脂肪および植物性脂肪から成る群から選択される、約5〜約10重量%の脂肪と、
約3〜約5重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
約1〜約4重量%の繊維と、
約0.5〜約1重量%のミネラルと、
約0.75〜約1.25重量%のビタミン、を含む組成物をイヌに給餌することを含む。
【0052】
[0053] 別の実施形態では、本発明は、高齢または超高齢のネコの生活の質を改善するための方法を提供する。方法は、以下:
約30〜約35重量%の炭水化物と、
動物性タンパク質および植物性タンパク質から成る群から選択される、約35〜約50重量%のタンパク質と、
動物性脂肪および植物性脂肪から成る群から選択される、約12〜約15重量%の脂肪と、
約1〜約2重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
約1〜約5重量%の繊維と、
約1〜約2重量%のミネラルと、
約1〜約2重量%のビタミン、を含む組成物をネコに給餌することを含む。
【0053】
[0054] さらなる実施形態では、本発明は、以下の表IAに示されるような成分を含む組成物を動物(例えば、場合によっては、小型種の、中型種の、または大型種のイヌあるいはネコ)に給餌することを含む、高齢または超高齢の動物の生活の質を改善するための方法を提供する。
【0054】
【表1A】

【0055】
[0055] 本発明の方法において使用するための組成物は、マンガン、メチオニン、システイン、メチオニンとシステインの混合物、L−カルニチン、リシン、およびアルギニンから成る群から選択される、少なくとも1つの栄養素をさらに含む。組成物中の各成分の具体的に好ましい量は、例えば、組成物を摂取する動物の種、組成物中に含まれる特定の成分、年齢、体重、一般的健康、性別、動物の食餌、動物の摂取率等を含む、種々の要因に依存するであろう。したがって、成分量は、大きく異なり得、本明細書に与えられる割合から逸脱する場合さえあり得る。
【0056】
[0056] オメガ−3脂肪酸は、種々の源から得られ得る。便宜的源の1つは、例えば、メンハーデン、サバ、ニシン、カタクチイワシ、およびサケからの魚油である。DHAおよびEPAは、そのような魚油中に存在する、典型的脂肪酸であって、多くの場合、併せて、油の約25%〜約38%等の、油のかなりの部分を占める。
【0057】
[0057] 組成物が、動物用食物である場合、ビタミンおよびミネラルは、好ましくは、欠乏を回避し、健康を維持するために必要な量として含まれる。これらの量は、当技術分野において、容易に利用可能である。National Research Council(NRC)は、例えば、家畜のためのそのような原料の推奨量を提供する。例えば、Nutrient Requirements of Swine(10th Rev. Ed., Nat’l Academy Press, Wash. D. C., 197298)、Nutrient Requirements of Poultry(9th Rev. Ed., Nat’l Academy Press, Wash. D. C., 1994)、Nutrient Requirements of Horses(Fifth Rev. Ed., Nat’l Academy Press, Wash. D. C., 1989)、Nutrient Requirements of Dogs and Cats(Nat’l Academy Press, Wash. D. C, 2006)を参照されたい。American Feed Control Officials(AAFCO)は、例えば、イヌおよびネコのためのそのような原料の推奨量を提供する。American Feed Control Officials, Inc., Official publication, pp. 126−140(2003)を参照されたい。食物添加物として有用なビタミンの実施例として、ビタミンA、B1、B2、B6、B 12、C、D、E、K、H(ビオチン)、K、葉酸、イノシトール、ナイアシン、およびパントテン酸が挙げられる。食物添加物として有用なミネラルおよび微量元素の実施例として、カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、銅、亜鉛、塩化物、および鉄塩が挙げられる。
【0058】
[0058] 本発明の方法は、当技術分野において周知の他の添加物をさらに含有し得る、組成物を含む。好ましくは、そのような添加物は、本発明によって提供される目的および効果を損なうことがない量として存在する。添加物の実施例として、例えば、安定効果を伴う物質、加工助剤、食味を向上させる物質、発色剤、および栄養効果を提供する物質が挙げられる。
【0059】
[0059] 安定化物質として、例えば、組成物の保存期間を増加させる傾向にある物質が挙げられる。そのような物質の潜在的に好適な実施例として、例えば、防腐剤、抗酸化物質、共力剤および金属イオン封鎖剤、充填ガス、安定剤、乳化剤、増粘剤、ゲル化剤、ならびに保湿剤が挙げられる。乳化剤および/または増粘剤の実施例として、例えば、ゼラチン、セルロースエーテル、澱粉、澱粉エステル、澱粉エーテル、および加工澱粉が挙げられる。
【0060】
[0060] 着色、食味(「食味促進剤」)、および栄養目的のための添加物として、例えば、着色剤(例えば、赤色、黄色、または茶色形態等の酸化鉄)、塩化ナトリウム、クエン酸カリウム、塩化カリウム、および他の食用塩、ビタミン、ミネラル、および香味料が挙げられる。そのような添加物は、当技術分野において周知である。例えば、米国特許第3,202,514号を参照されたい。また、米国特許第4,997,671号も参照されたい。香味料として、例えば、乳製品香味料(例えば、牛乳またはチーズ)、食肉香味料(例えば、ベーコン、レバー、牛肉、鶏肉、または魚)、オレオレジン、ピナコール、およびFEMA(Flavor Extract Manufacturers Association)番号による取引の際に同定される種々の香味料が挙げられる。香味料は、付加的食味を提供するのに役立ち、当技術分野において周知である。例えば、米国特許第4,997,672号を参照されたい。また、米国特許第5,004,624号も参照されたい。また、米国特許第5,114,704号も参照されたい。また、米国特許第5,532,010号も参照されたい。また、米国特許第6,379,727号も参照されたい。組成物中のそのような添加物の濃度は、典型的には、最大約5重量%であり得る。いくつかの実施形態では、そのような添加物の濃度(特に、そのような添加物が、主に、ビタミンおよびミネラル等の栄養調整剤である場合)は、約0〜約2.0重量%である。いくつかの実施形態では、そのような添加物の濃度(同様に、特に、そのような添加物が、主に、ビタミンおよびミネラル等の栄養調整剤である場合)は、約0〜約1.0重量%である。
【0061】
[0061] 栄養補助剤として、例えば、栄養バランスまたは全体性能を改善するための別の餌と併用される餌が挙げられる。栄養補助剤として、他の餌への栄養補助剤として、不希釈のまま給餌される、別個に利用可能な動物の配給量の他の部分を伴う、自由選択として供給される、または動物の通常の餌と希釈および混合され、完全な餌を産生する、組成物が挙げられる。AAFCOは、例えば、American Feed Control Officials, Inc. Official publication, p. 220(2003)において、栄養補助剤に関する議論を提供する。栄養補助剤は、例えば、粉末、液体、シロップ、錠剤、カプセル組成物等を含む、種々の形態であり得る。
【0062】
[0062] おやつとして、例えば、非食餌時間の間、動物の食欲を誘発するために、動物に与えられる、組成物が挙げられる。イヌ用おやつとして、例えば、イヌ用の骨が挙げられる。おやつは、含栄養であって、その組成物は、1つ以上の栄養素を含み、例えば、上述のような食物のための組成物を有し得る。非含栄養おやつとして、非毒性の任意の他のおやつが挙げられる。
【0063】
[0063] 玩具として、例えば、咀嚼可能玩具が挙げられる。イヌ用玩具として、例えば、人工骨が挙げられる。現在、広範囲にわたる好適な玩具が市販されている。例えば、米国特許第5,339,771号(および、米国特許第5,339,771号に開示される参考文献)を参照されたい。また、例えば、米国特許第5,419,283号(および、米国特許第5,419,283号に開示される参考文献)も参照されたい。本発明は、部分的摂取可能玩具(例えば、プラスチック成分を含む玩具)および完全摂取可能玩具(例えば、生皮および種々の人工骨)の両方を提供する。さらに、本発明は、ヒトおよび非ヒトの両方の使用、特に、ペット、農場、および動物園動物の使用、特に、イヌ、ネコ、または鳥類の使用のための玩具を提供することを認識されたい。
【0064】
[0064] 「食物」とは、意図される受食動物(例えば、飼ネコまたは飼イヌ)のための栄養的に完全な食餌である。「栄養的に完全な食餌」とは、ダイエット中の健康な動物の正常な健康を維持するために十分な栄養素を含む、食餌である。本発明の方法は、任意の具体的リストのタンパク性または脂肪性原料や製品形態によって制限されることが意図されない、組成物を利用する。組成物は、従来のペット用食物処理を使用して、例えば、乾燥、缶詰、湿潤、または中間水分形態として調製可能である。いくつかの実施形態では、水分含有量は、組成物の全重量のうちの約10%〜約90%である。他の実施形態では、水分含有量は、組成物の全重量のうちの約65%〜約75%である。
【0065】
[0065] 本発明の方法と併用するための組成物の調製では、任意の原料(例えば、魚油)は、概して、例えば、組成物の他の成分の混合中および/または後等、調合の処理の際、組成物に組み込まれ得る。組成物中へのこれらの成分の分布は、従来の手段によって達成可能である。一実施形態では、家畜および家禽タンパク性組織が、魚油、穀物、他の栄養的にバランスのとれた原料、特殊用途添加物(例えば、ビタミンおよびミネラル混合物、無機塩、セルロースおよびビート果肉、膨張剤等)を含む、他の原料と混合され、処理のために十分な水もまた、添加される。これらの原料は、好ましくは、加熱しながら、成分を混成するために好適な容器中で混合される。例えば、直接蒸気注入によって、または熱交換器を備える容器を使用して等、混合物の加熱は、任意の好適な手法を使用してもたらされ得る。最終原料の添加後、混合物は、約50°F(10℃)〜約212°F(100℃)の温度範囲まで加熱される。いくつかの実施形態では、混合物は、約70°F(21℃)〜約140°F(60℃)の温度範囲まで加熱される。これらの範囲外の温度も、概して、許容可能であるが、他の加工助剤の使用を伴わずには、商業的に実施不可能であり得る。適切な温度まで加熱されると、材料は、典型的には、高濃度液の形態をとるであろう。高濃度液は、缶に充填される。蓋が閉められ、容器が密封される。次いで、密封された缶は、中身を滅菌するように設計された従来の機器に定置可能となる。これは、通常、例えば、使用される温度および組成物に応じて、適切な時間の間、約230°F(110℃)を超える温度まで加熱されることによって達成される。
【0066】
[0066] 本発明の方法は、従来のプロセスを使用して、乾燥形態として調製可能な組成物を利用することを含む。一実施形態では、例えば、動物性タンパク質源、植物性タンパク質源、穀類等を含む、乾燥原料をあわせて、粉砕および混合する。次いで、脂肪、油、動物性タンパク質源、水等を含む、水分または液体原料が添加され、乾燥混合物と混合される。次いで、混合物は、キブルまたは同様の乾燥片に加工される。キブルは、多くの場合、乾燥と湿潤原料の混合物が、高圧および温度で機械的作用に曝露され、小開口を通して付勢され、回転刃によってキブルに切断される、押出プロセスを使用して形成される。次いで、湿潤したキブルは、乾燥され、随意に、例えば、香味、脂肪、油、粉末等を含み得る、1つ以上の局所的コーティングでコーティングされる。また、キブルは、押出ではなく、乾燥加熱処理前に、生地が型に入れられる、焼成プロセスを使用して、生地からも作製可能である。
【0067】
[0067] また、組成物は、咀嚼が容易となるように設計される。イヌおよびネコ用食物は、典型的には、生命段階(年齢)、寸法、身体組成物、ならびに品種に基づいて、調合される。本発明の方法では、組成物のいくつかの実施形態は、超高齢の中型種のまたは小型種のイヌ、大型種のイヌ、およびネコ間の具体的栄養差異に対処する。
【0068】
[0068] 本明細書に表されるパーセンテージはすべて、別途具体的に述べられない限り、乾物基準による重量に基づく。
[0069] 上述のように、本発明は、部分的に、動物の生活の質を向上させるための方法を対象とする。方法は、敏捷性を向上させ、活力を改善し、軟骨を保護し、筋肉量を維持し、消化率を向上させ、ならびに皮膚および毛の質を改善するために有効量の組成物を高齢または超高齢に給餌することを含む。加えて、本明細書では、我々は、本発明の組成物の投与によって達成される、動物の生活の質の向上が、ゲノムレベルで反映されるという驚くべき発見を報告する。以下に提示される表に開示される遺伝子のうちの任意の1つの発現の変化は、有益または有害な生物学的効果をもたらし得る場合もあるが、本明細書に提示されるデータは、全体的に、観察された発現プロファイルが、本明細書に開示される食餌の投与後、体内に見られる有益な生物学的効果と一致することを示す。具体的には、遺伝子チップデータは、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達等のいくつかの生物学的経路と関係または関連する、タンパク質をコードする遺伝子の発現が、大部分において、本明細書で記載される組成物の動物への投与を通して、有益に改変されることを示す。したがって、本発明はまた、表5〜14に開示されるものから成る群から選択される、動物における1つ以上の遺伝子の遺伝子発現レベルを定量化し、動物の前記レベルを餌組成物投与前の動物におけるレベルと比較することによって、本明細書で記載される組成物が給餌される、動物、特に、高齢または超高齢の動物の生活の質の向上を測定または特性化する方法に関する。遺伝子発現の定量化は、当業者に周知の多数の方法で行われ得、RT PCR同様に、遺伝子チップアッセイおよびNorthernブロッティング等の技術を含む。したがって、本明細書では、検出された発現レベルは、例えば、本明細書に開示されるように、動物の生活の質の向上を測定するための方法において使用され得ることが想定される。
【0069】
[0070] 別の態様において、本発明はキットに関し、このキットは、
(a)本明細書に開示される遺伝子のポリヌクレオチドまたはその断片と、
(b)(a)のものと相補的なヌクレオチド配列と、
(c)本明細書で開示される遺伝子によりコードされるポリペプチド、もしくはその断片、または
(d)本明細書に開示される遺伝子によりコードされるポリペチドに対する抗体、もしくはその断片、を含む。かかる任意のキットにおいて、(a)、(b)、(c)、または(d)は、実質的成分を含み得ることを理解されたい。本明細書で記載されるキットおよびその成分(例えば、抗体産生)の製造は、従来の方法によって、達成し得る。
【0070】
[0071] 本明細書では、本明細書に開示されるこれら遺伝子の発現レベルを調節することが、様々な生物学的経路と関連する障害あるいは疾患の治療に関する、治療的価値を有し得ることが想定される。過度の実験をせずに遺伝子ベースによる、かかる判断が遺伝子において作成され得、例えば、組織および血液試料における発現レベル、または細胞のインビトロにおける遺伝子レベルのアッセイ、もしくは特定の疾患状態に関連する、およびかかる実験に好適な樹立細胞株の評価。疾患のインビボモデルはまた、かかる実験においても利用し得る。これら、および他の適当な付加的アッセイの本質は、当業者には周知で有り得る。したがって、本明細書で開示されるゲノムデータに基づき、本発明はまた、本発明のペット用食物組成物の投与後、インビボで見られる発現パターンを模倣するために、動物において、表5〜14に列挙された(すなわち、そこで示されている上向または下向調節)1つ以上の遺伝子の発現レベルを調節することによって、動物の生活の質を向上する方法に関する。
【0071】
[0072] リボザイム、アンチセンスオリゴヌクレオチド、三重らせんDNA、RNAアプタマー、および/または着目遺伝子の適当なヌクレオチド配列に向けられた二本鎖RNAを含むが、これらに限定されない、遺伝子発現レベルの調節は、インビボ投与に適当な既知の遺伝子発現の修飾因子を介し達成し得る。これらの阻害分子は、当業者によって、過度の実験および負担重荷無しに従来の技術を使用することによって作成され得る。例えば、遺伝子発現の修飾(例えば、阻害)は、本明細書で詳述される遺伝子の調節領域、すなわち、プロモーター、エンハンサー、およびイントロンに対し、DNAまたはRNA、アンチセンス分子を設計することによって得られ得る。例えば、転写開始部位、例えば開始部位から+10〜−10、から導出したオリゴヌクレオチドが使用し得る。それでも、遺伝子の全ての領域は、mRNAに最大の混成を与えるものを作成するため、アンチセンス分子を設計ことに使用され得、ならびにかかる好適なアンチセンスオリヌクレオチドは、当業者に周知で有り得る標準アッセイ手順により産生および同定され得る。
【0072】
[0073] 同様に、遺伝子発現の阻害は、「三重らせん」塩基対手順を使用し、達成し得る。三重らせん対は、ポリメラーゼ、転写因子、または制御分子への結合に、二重らせんの阻害能力を十分に開放させる原因となるため有用である。最近の三重鎖DNAを使用した治療上の進歩は、文献に説明されている(Gee, J.E. et al. (1994) In: Huber, B.E. and B. I. Carr, Molecular and Immunologic Approaches、Futura Publishing Co., Mt. Kisco, N.Y)。これらの分子はまた、リボソームへの結合から転写を防止することによって、mRNAの翻訳を遮断するように設計され得る。
【0073】
[0074] 酵素的RNA分子であ瑠璃簿財務はまた、特定のRNAの切断を解媒することによって、遺伝子発現を調節するのに使用され得る。リボザイム作用の機構は、リボザイム分子の配列特異的混成、相補的標的RNAに続き、エンドヌクレアーゼ切断を含む。使用され得る例として、遺伝子配列のエンドヌクレアーゼ切断を効率的および具体的に解媒するために設計することができる、操作された「ハンマーヘッド型」または「ヘアピン型」モチーフリボザイム分子を含み得る。
【0074】
[0075] 任意の潜在的RNA標的内における特異的リボザイム切断部位は、標的分子を、以下の配列を含むリボザイム切断部位に対し走査することによって、まず同定される:GUA、GUU、およびGUC。同定されると、断裂部位を含有する標的遺伝子の領域に一致するリボヌクレオチド15〜20の短いRNA配列は、操作不可能なオリゴヌクレオチドを提供し得る、二次構造の特徴に対し評価され得る。標的候補の好適性はまた、リボヌクレアーゼ保護アッセイを使用し、相補的オリゴヌクレオチドとの混成への到達性を試験することによって評価され得る。
【0075】
[0076] リボザイム法は、細胞をリボザイムに暴露すること、またはかかる小分子RNAリボザイムの細胞における発現を誘発することを含む(Grassi and Marini, 1996, Annals of Medicine 28: 499−510; Gibson, 1996, Cancer and Metastasis Reviews 15: 287−299)。少なくとも1つの本明細書で詳述される遺伝子に一致するmRNAを標的とするハンマーヘッド型およびヘアピン型リボザイムの細胞内発現は、その遺伝子によりコードされるタンパク質を阻害するのに活用され得る。
【0076】
[0077] リボザイムは、リボザイム配列を組み込むRNAオリゴヌクレオチドの形態で、直接細胞に送達されるか、または所望のリボザイムRNAをコードする発現ベクターとして、細胞内に組み込まれ得る。リボザイムは、mRNAを切断するために解媒的に有効であるのに十分な数でインビボに日常的に発現させることができ、それにより細胞におけるmRNA存在量を修飾する(Cotten et al, 1989 EMBO J. 8:3861−3866)。特に、従来、周知の規定により設計、ならびに合成、例えば標準ホスホロアミダイト化学、されたDNA配列をコードするリボザイムは、アンチコドン幹において、制限酵素部位、およびtRNAをコードし、次いで、当技術分野において所定の方法により着目遺伝子において発現または形質転換され得る遺伝子のループに連結され得る。好ましくは、誘導性プロモーター(例えば、グルココルチコイドまたはテトラサイクリン応答配列)は、リボザイム発現が選択的に調節されるように、このコンストラクトにまた組み込まれる。飽和使用においては、高および構成的活性プロモーターが使用し得る。それらのサイズが小さく、高転写率、および異なる組織の種類における偏在性発現のため、tDNA遺伝子(すなわち、tRNAsをコードする遺伝子)は、この応用において有用である。したがって、リボザイムは、実質的に任意のmRNA配列を切断するよう日常的に設計し得、ならびに細胞は、リボザイム配列に対しコードするDNAと共に日常的に形質転換され得、よって、解媒的および制御可能な有効量のリボザイムが発現される。故に、実質的に細胞におけるどのRNA種の存在量も、修飾または錯乱され得る。
【0077】
[0078] リボザイム配列は、説明されたアンチセンスヌクレオチドと本質的には同様の様式で修飾され得、例えば、リボザイム配列は修飾塩基部分を含み得る。
[0079] RNAアプタマーはまた、RNA存在量もしくは活性を修飾するのに、細胞において発現、または組み込まれる。TatおよびRev RNA (Good et al., 1997, Gene Therapy 4:45−54)等の特異的にそれらの翻訳を阻害し得る、タンパク質の特異的RNAリガンドは、RNAアプタマーである。
【0078】
[0080] 遺伝子発現の遺伝子特異的阻害はまた、従来のRNAi技術を使用しても達成し得る。かかる技術を説明する多数の参考文献が存在するが、例えば国際公開第99/32619号、Miller et al. Cell MoI Neurobiol 25:1195−207 (2005)、Lu et al. Adv Genet 54:117−42 (2005)が挙げられる。
【0079】
[0081] 本発明のアンチセンス分子、三重らせんDNA、RNAアプタマーおよびリボザイムは、当技術分野において周知の核酸分子の合成におけるいずれの方法によっても、調製し得る。これらは、固相ホスホラミダイト化学合成等のオリヌクレオチドの化学的合成における技術を含む。交互に、RNA分子は、本明細書で詳述される遺伝子をコードするDNA配列のインビトロおよびインビボ転写により、生成され得る。かかるDNA配列は、T7またはSP6等の好適なRNAポリメラーゼプロモーターに伴い、従来の方法によって、広範の様々なベクターに組み込まれ得る。交互に、アンチセンスRNAを構造的または誘導的に合成するcDNAコンストラクトは、当業者に周知の方法で、樹立細胞株、細胞、または組織に取り込まれ得る。ベクターは、多数の利用可能な方法、およびインビボ、インビトロ、または体外において、細胞または組織に取り込まれ得る。体外治療において、ベクターは、動物から採取された幹細胞に取り込まれ、ならびに同動物への再自己移植のためにクローン的に繁殖され得る。tトランスフェクションおよびリポソーム注射による送達は、当技術分野において周知である方法を使用し達成し得る。
【0080】
[0082] 本発明はまた、本明細書に開示される組成物の給餌から恩恵を受け得る動物を同定するための方法を含み、前記動物において表5〜14に列挙されている1つ以上の遺伝子発現レベルを測定することと、前記レベルを表5〜14において見られる遺伝子発現レベルと比較することを含み、表5〜14(例えば、上方調節される対下方調節される)で見られるものとは異なるレベルを伴う動物は、本発明の組成物の給餌から恩恵を受け得る可能性があると、同定され得る。
【0081】
[0083] また、本明細書では、本発明は、任意の1つ以上の以下の生物学的経路と関係または関連する障害または疾患に罹患する動物を治療するための方法に関し、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達に関し、本発明の組成物を動物に投与することを含む、ことが想定される。
【0082】
[0084] 本発明は、本明細書で記載される特定の方法論、プロトコル、および試薬が異なり得るため、それらに限定されない。さらに、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的のためだけのものであって、本発明の範囲を限定するように意図されない。用語「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、および「含む(comprising)」は、排他的ではなく、包括的に解釈されるべきである。
【0083】
[0085] 別途定義されない限り、本明細書で使用される技術的および科学的用語ならびに任意の頭字語はすべて、当業者によって一般的に理解されるものと同一意味を有する。それらの本明細書で記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料が、本発明の実施において使用可能であるが、本明細書では、好ましい方法、デバイス、ならびに材料について説明する。
【0084】
[0086] 本明細書に言及される特許、特許出願、および刊行物はすべて、本発明と併用され得る、刊行物中に報告される組成物、化学物質、方法、およびそこで報告される本発明と使用し得る情報を、説明ならびに開示することを目的とし、法に許される範囲において、参照により本明細書に組み込まれる。しかし、本明細書のいずれも、本発明が先願発明の効力によりかかる開示に先行する資格がないことの承認として解釈されるべきではない。
【0085】
[0087] 本明細書において、本発明の典型的に好ましい実施形態が開示されており、特定の用語が用いられるが、それらは包括的および記述的判断のためのみに使用されており、限定を目的とするものではなく、本発明の範囲は、以下の特許請求の範囲に記載される。本発明の多くの修正および変形例が、上述の教示に照らして可能である。したがって、添付の請求項の範囲内において、本発明は、具体的に説明されるもの以外にも、実施され得ることを理解されたい。
【実施例】
【0086】
[0088] 本発明は、その好ましい実施形態の以下の実施例によってさらに例証され得るが、これらの実施例は、例証目的として含まれるにすぎず、別途具体的に示されない限り、発明の範囲を限定するように意図されるものではないことが理解されるであろう。
【0087】
実施例1
[0089] 高齢または超高齢の中型種のあるいは小型種のイヌのために調合される組成物を表2に示す。
【0088】
【表2】

【0089】
実施例2
[0090] 高齢または超高齢の大型種のイヌのために調合される組成物を表3に示す。
【0090】
【表3】

【0091】
実施例3
[0091] 高齢または超高齢のネコのために調合される組成物を表4に示す。
【0092】
【表4】

【0093】
実施例4
対照対超高齢のペット用食物のゲノム分析
[0092] 本発明の超高齢のペット用食物組成物の栄養効果をさらに特性化するために、対照動物と比較して、組成物を給餌された動物からの遺伝子発現プロファイルをアッセイし、その結果を以下に詳述する。
【0094】
材料および方法:
研究設計:
[0093] 14日間、Super Senior K9食餌を給餌前および後に、従来の方法によって、9匹のビーグル犬から血液試料を採血する(全18試料)。14日間の試験後に採取された各試料を、その対照と比較する。
【0095】
イヌ血液からのリンパ球の単離
試薬:
[0094] 4mLのイヌ血液、ヘパリンまたはEDTA管、Hank’s Balanced Salt Solution(Gibco 14175〜095)、HEPES緩衝剤(Gibco 15630〜080)、Accu−Paque(Accurate Chemical & Scientific CoRP AN3100)。
【0096】
材料/機器:
[0095] 注入用ピペット(VWR 14670−147)、キャップ付14mL遠心分離管、9インチパスツールピペット、1.5mL微小遠心分離管(VWR 20170−038)、遠心分離管ラック、微小遠心分離管、廃棄物容器、Beckman Coulter Allegra 25R Centrifuge、SN AJCO IJO 15Eppendorf Centrifuge(5417C)。
【0097】
溶液:
25mMのHEPES緩衝剤溶液を含むHank’s Balanced Salt Solution (HBSS)を、12.8mLのHEPES緩衝剤溶液を500mLボトルのHBSSに添加することによって作製する。Hank’s Balanced Salt SolutionおよびAccu−Paqueは、リンパ球の単離を開始する前に、冷蔵室から取り出し、少なくとも30分、室温に置く必要がある。両溶液は、使用直後、冷蔵室(4C)に戻すべきである。
【0098】
手順:
[0096]
1. HEPESを含む4mLのHBSSを正確な数の14mL遠心分離管に注入して測定する(管1本当たり、4mLの採血量)。
【0099】
2. 注入用ピペットを使用して、Vacutainer(登録商標)管から、HEPESを含むHBSSを含有する14mL遠心分離管に、4mLの血液を注入する。
3. 注入用ピペットを使用して、30秒間、ピペットで上下に注入して、試料ウェルを混合する。
【0100】
4. 4.9インチパスツールピペットを14mL遠心分離管それぞれに挿入する。パスツールピペットの底面先端が、管の底面に接触することを確認する。
5. 注入用ピペットを使用して、パスツールピペット内部に液体を流下させ、重力に従って、Accu−Paqueを希釈された血液試料下に積層させることによって、4mLのAccu−Paqueを徐々に添加する。
【0101】
6. パスツールピペットの上部を指で塞ぎ、ピペットをゆっくりと除去する。
7. 室温下、800xgで20分間、管を遠心分離機にかける。子犬の血液の場合、白血球からの赤血球の良好な分離を可能にするために、45分のより長時間機にかける必要である。
【0102】
8. 注入用ピペットを使用して、0.5cmの中間不透明層以内までの上層を丁寧に除去し、廃棄する。
9. 新しい注入用ピペットを使用して、中間不透明層を丁寧に除去し、1.5mL微小遠心管に注入する。底層が注入されないように注意すること。
【0103】
10. 室温下、13,200RPmで3.5分間、微小遠心分離管を遠心分離機にかける。
11. 上清を丁寧に除去し、残留沈殿物(リンパ球)を液体窒素中で急速冷凍する。最終試料を−80℃で保存する。
【0104】
RNA単離:
試薬:
[0097] 脱イオン化HO、無水エタノール(Sigma E7023)、RNA保存液(Ambion 7000)、RNase Zap(登録商標)(Ambion 9780)、緩衝剤RLT、緩衝剤RWl、および緩衝剤RPE(RNeasy Mini Kitとして提供される)。
【0105】
機器/材料:
[0098] RNeasy Mini Kit(Qiagen 74104)、QIAshredderスピンカラム(Qiagen 79656)、P1000 Pipetmanピペット(Rainin)、P200 Pipetmanピペット(Rainin)、100−100 μL濾過ピペット先端(USA Scientific 1126−7810)、1−200μL濾過ピペット先端(USA Scientific 1120−8810)、滅菌注入用ピペット(VWR 14670−147)、55mL滅菌溶液ボウル(VWR 21007−974)、廃棄物容器0.2つ(1つは、液体用、1つは、先端/ピペット用)、1.5mL滅菌微小遠心分離管(VWR 20170−038)、微小遠心分離管ラック、油性マジック、Eppendorf Microcentrifuge(型式#5417C)。
【0106】
手順:
[0099]
1. 若干解凍し、次いで、管をはじき、沈殿物を取り除くことによって、微小遠心分離管内の沈殿物を弛緩させる。
【0107】
2. 適切な量の緩衝剤RLTを添加する(この場合、600μLを使用)。渦動させる、またはピペットで注入し、混合する。
3. 試料をQIAshredder管に注入し、試料を均質にする。14,000RPmで2分間、遠心分離機にかける。スピンカラムを廃棄するが、採血管およびその内容物は保持する。
【0108】
4. 均質化された溶解物に一定量(600μL)の70%エタノールを添加し、ピペットで注入することによって混合する。
5. 2mL採血管中に置かれたRNeasyミニカラムに600μL分割量の試料を入れる。管をゆっくりと閉鎖し、14,000RPmで15秒間、遠心分離機にかける。通過液を廃棄する。第2の600μL分割量の細胞溶解物同一スピンカラムに添加し、繰り返すおよびrepeat。通過液を廃棄する。
【0109】
6. ステップ5の採血管を再使用する。700μLの緩衝剤RW1をカラムに添加する。14,000RPmで15秒間、遠心分離機にかける。通過液および採血管を廃棄する。
【0110】
7. カラムを新しい2mL採血管に移し、500μLの緩衝剤RPEをカラムにピペットで注入する。14,000RPmで15秒間、遠心分離機にかけ、カラムを洗浄する。通過液を廃棄するが、ステップ8のために、採血管は、保存する。
【0111】
8. さらに500mLの緩衝剤RPEをカラムに添加する。14,000RPmで2分間、遠心分離機に書け、膜を乾燥させる。
9. カラムを新しい1.5mL採血管に移す。10μLのRNA保存液を直接膜にペピットで注入する。14,000RPmで1分間、遠心分離機にかけ、RNAを溶離する。第2の量の5μLのRNA保存液を直接膜に添加し、さらに1分間、スピンさせる。最終試料を−80℃で保存する。
【0112】
RNAプローブ調製および混成
試薬:
[0100] プローブ調製用Ovation TM Biotin System v1.0。
【0113】
プロトコル:
[0101] User Guide(Cat#D01002, version 10/27/04, NuGEN Technologies, Inc)。実験手順は、ユーザガイドの説明に従う。プローブ調製はすべて、50ngの総RNAから開始する。
【0114】
遺伝子チップ手順:
[0102] 試験用に使用される遺伝子チップは、Canine Genome 2.0 Array(Affymetrix)である。本遺伝子チップは、44,000のプローブセットを含有する。各新奇なのプローブ同定番号の詳細な配列情報は、製造業者から利用可能である。
【0115】
遺伝子発現分析:
[0103] GCOS Affymetrixソフトウェア(バージョン1.2)に提供されるMAS5を使用して、正規化を行う。分析される遺伝子の発現レベルは、以下の実施例に含まれる表に示される(上向矢印は、遺伝子発現における「上方調節」または増加を指し、下向矢印は、「下方調節」を示す)。同様に、いくつかの表中、上向または下向矢印もまた、一目瞭然のように、特定の経路に関与する、あるタンパク質の活性の増加あるいは減少を示す。
【0116】
遺伝子リストの選択:
[0104] 18の試料中少なくとも9つにおけるその「存在」判定に基づいて、15,411の遺伝子が、さらなる分析用に選択される。
【0117】
[0105] 遺伝子チップ分析の結果は、1088の遺伝子が、対照と超高齢用食餌治療群との間で異なって発現することを示す。これらの1088の遺伝子の発現レベルは、分散が等しくならないことが想定される、パラメータ試験(Welch t試験)を使用して、「食餌」別にグループ化すると、統計的に有意となる。p値カットオフは、0.01であって、多重検定の補正を伴わない。それらの選択基準を使用すると、約154の遺伝子のみ、偶然にも、制限を通過することが予測:されるであろう。ゲノムデータは、以下に詳述される。
【0118】
結果:
疼痛および炎症と関係する遺伝子に及ぼす栄養素の効果
[0106] 遺伝子チップデータの分析に基づいて、P<0.01レベル時の変化した1,088の遺伝子を対照発現レベルと比較した(10は、上方調節され、残りは、下方調節された)。P<0.001レベル時、データは、35の遺伝子の発現が、超高齢用食物を給餌されたビーグル犬において、下方調節されたことを示す。これらの下方調節された遺伝子のうち9つは、炎症および疼痛反応に関連するものと同定される。これらの遺伝子の下方調節は、疼痛緩和、軟骨保護(損傷減)、および炎症反応の減少をもたらすと予測:され得る。本明細書に開示される組成物は、疼痛および/または炎症疾患に罹患する動物を治療するための治療的療法の一部であり得る。これらの遺伝子および炎症および疼痛反応におけるその推定される役割は、以下の表5−表6に提供される。
【0119】
【表5−1】

【0120】
【表5−2】

【0121】
【表5−3】

【0122】
【表5−4】

【0123】
【表5−5】

【0124】
【表5−6】

【0125】
【表5−7】

【0126】
【表5−8】

【0127】
【表6】

【0128】
心臓の健康および血液凝固に関与する遺伝子に及ぼす栄養素の効果
[0107] P<0.001およびP<0.01レベル時、12の遺伝子が、エイコサノイド経路および血液凝固経路の調節を通して、心臓の健康に関連するものと同定される。遺伝子は、血小板活性化および凝集を通して、血液凝固に関与する。栄養素を通したこれらの遺伝子の下方調節は、心臓または脳関連障害をもたらし得る、不適切な血液凝固を防止可能である。本発明の組成物は、血液、心臓、または脳の障害あるいは疾患に罹患する動物を治療するための治療的療法の一部であり得る。これらの遺伝子およびその推定されるインビボでの役割を、以下の表7および8に示す。
【0129】
【表7−1】

【0130】
【表7−2】

【0131】
【表7−3】

【0132】
【表7−4】

【0133】
【表7−5】

【0134】
【表8−1】

【0135】
【表8−2】

【0136】
【表8−3】

【0137】
筋肉および骨調節に関与する遺伝子に及ぼす栄養素の効果
[0108] 10の下方調節された遺伝子は、骨および筋肉の調節を通して、身体組成物に関連するものと同定される。遺伝子は、筋肉の一酸化窒素産生およびグルココルチコイド分解を減少させることによって、筋肉および骨低下を回避する。これらの遺伝子の下方調節は、一酸化窒素産生およびグルココルチコイド反応の減少をもたらす。本明細書に開示される組成物は、筋肉または骨と関係または関連する、疾患あるいは障害に罹患する動物を治療するための治療的療法の一部であり得る。これらの遺伝子および筋肉および骨調節におけるその推定される役割を、以下の表9および10に示す。
【0138】
【表9−1】

【0139】
【表9−2】

【0140】
【表9−3】

【0141】
【表10】

【0142】
DNA損傷/保護および神経機能に関与する遺伝子に及ぼす栄養素の効果
[0109] 11の遺伝子が、DNA損傷/保護および神経機能に関連するものと同定される。後者に関して、同定された遺伝子は、脱分極依存性増強に重要であって、運動学習に潜在的役割を有すると考えられる。興味深いことに、これらの遺伝子のうち、が、ガンマアミノ酪酸(GABA)A受容体のうちの、上方調節されたガンマ2を除き、すべてが、下方調節された。本明細書に開示される組成物は、DNA損傷/保護および神経機能と関係または関連する、疾患あるいは障害に罹患する動物を治療するための治療的療法の一部であり得る。これらの遺伝子の同定およびDNA損傷/保護および神経機能におけるその推定される役割を、以下の表11および12に示す。
【0143】
【表11−1】

【0144】
【表11−2】

【0145】
【表11−3】

【0146】
【表11−4】

【0147】
【表11−5】

【0148】
【表11−6】

【0149】
【表12】

【0150】
ブドウ糖代謝に関与する遺伝子に及ぼす栄養素の効果
[0110] ブドウ糖代謝と関係する24の遺伝子は、超高齢用食餌を給餌された動物において下方調節され、これらの動物が、燃料源として、ブドウ糖の代わりに、脂肪(脂肪の酸化)を利用することを示唆する。本明細書に開示される組成物は、糖尿病動物の治療的療法および/または動物における肥満の防止あるいは治療の一部であり得る。これらの下方調節された遺伝子が同定され、ブドウ糖代謝におけるその推定される役割を、以下の表13および14に詳細に示す。
【0151】
【表13−1】

【0152】
【表13−2】

【0153】
【表13−3】

【0154】
【表13−4】

【0155】
【表13−5】

【0156】
【表13−6】

【0157】
【表13−7】

【0158】
【表13−8】

【0159】
【表13−9】

【0160】
【表13−10】

【0161】
【表13−11】

【0162】
【表14−1】

【0163】
【表14−2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
高齢または超高齢の動物の生活の質を改善するための方法であって、
少なくとも約9重量%のタンパク質と、
少なくとも約5重量%の脂肪と、
少なくとも約0.05重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
【請求項2】
前記方法は、前記動物の生活の質を向上させるために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含み、向上した生活の質は、敏捷性、活力、軟骨保護、筋肉量の維持、ならびに皮膚および毛の質から成る群から選択される一つ以上の特性の改善により明らかとされる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記方法は、敏捷性を向上させるために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記方法は、活力を改善するために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記方法は、軟骨を保護するために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方法は、筋肉量を維持するために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法は、皮膚および毛の質を改善するために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記動物は、ネコ、イヌ、およびウマから成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
高齢または超高齢の動物の生活の質を改善するための方法であって、
ドコサヘキサエン酸およびエイコサペンタエン酸から成る群から選択される、少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
少なくとも1つの抗酸化物質と、
コリン、マンガン、メチオニン、システイン、L−カルニチン、リシン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1つの栄養素と、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
【請求項10】
前記組成物中のオメガ−3多価不飽和脂肪酸は、DHAであって、前記組成物は、乾物基準で測定される場合、少なくとも約0.02重量%のDHAを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記組成物中のオメガ−3多価不飽和脂肪酸は、DHAであって、前記組成物は、乾物基準で測定される場合、約0.02〜約0.40重量%のDHAを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記組成物中のオメガ−3多価不飽和脂肪酸は、EPAを含み、前記組成物は、乾物基準で測定される場合、少なくとも約0.1重量%のEPAを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物中のオメガ−3多価不飽和脂肪酸は、EPAを含み、前記組成物は、乾物基準で測定される場合、約0.1〜約1重量%のEPAを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物中のオメガ−3多価不飽和脂肪酸は、DHAとEPAの混合物を含み、前記組成物は、乾物基準において、少なくとも約0.02重量%のDHAと、少なくとも約0.1重量%のEPAを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
前記組成物は、ビタミンE、ビタミンC、タウリン、ベータカロテン、カルニチン、リポ酸、およびシスチンから成る群から選択される、1つ以上の抗酸化物質を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
前記組成物は、少なくとも約500IU/kgのビタミンE、少なくとも約50ppmのビタミンC、および少なくとも約600ppmのタウリンを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物は、少なくとも約1000ppmのコリンを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項18】
前記動物に給餌される組成物は、動物用のおやつまたは動物用の玩具である、請求項9に記載の方法。
【請求項19】
前記動物に給餌される組成物は、栄養補助剤である、請求項9に記載の方法。
【請求項20】
高齢または超高齢の小型種あるいは中型種のイヌ動物の生活の質を改善するための方法であって、
約60〜約70重量%の炭水化物と、
動物性タンパク質および植物性タンパク質から成る群から選択される、約15〜約25重量%のタンパク質と、
動物性脂肪および植物性脂肪から成る群から選択される、約5〜約7重量%の脂肪と、
約2.5〜約4重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
約1〜約2重量%の繊維と、
約1〜約2重量%のミネラルと、
約0.5〜約1.5重量%のビタミンと、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
【請求項21】
高齢または超高齢の大型種のイヌの生活の質を改善するための方法であって、
約60〜約70重量%の炭水化物と、
動物性タンパク質および植物性タンパク質から成る群から選択される、約15〜約25重量%のタンパク質と、
動物性脂肪および植物性脂肪から成る群から選択される、約5〜約7重量%の脂肪と、
約3〜約5重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
約1〜約1.5重量%の繊維と、
約0.5〜約1重量%のミネラルと、
約0.75〜約1.25重量%のビタミンと、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
【請求項22】
高齢または超高齢のネコの生活の質を改善するための方法であって、
約30〜約35重量%の炭水化物と、
動物性タンパク質および植物性タンパク質から成る群から選択される、約40〜約50重量%のタンパク質と、
動物性脂肪および植物性脂肪から成る群から選択される、約12〜約15重量%の脂肪と、
約1〜約2重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸と、
約3〜約5重量%の繊維と、
約1〜約2重量%のミネラルと、
約1〜約2重量%のビタミンと、
を含む組成物を前記動物に給餌することを含む、方法。
【請求項23】
前記方法は、前記動物の生活の質を向上させるために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含み、向上した生活の質は、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達から成る群から選択される、1つ以上の生物学的経路における改善によって明らかとされる、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
前記方法は、前記動物の生活の質を向上させるために有効量の前記組成物を前記動物に給餌することを含み、向上した生活の質は、血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、ならびに電子伝達から成る群から選択される、生物学的経路と関係または関連するタンパク質をコードする、1つ以上の遺伝子の発現における変化によって明らかとされる、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、および電子伝達から成る群から選択される、生物学的経路と関係または関連する障害または疾患に罹患している動物を治療するための方法であって、前記動物に超高齢のペット用食物組成物を投与することを含む、方法。
【請求項26】
前記超高齢のペット用食物組成物は、少なくとも約9重量%のタンパク質と、少なくとも約5重量%の脂肪と、少なくとも約0.05重量%の少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記超高齢のペット用食物組成物は、ドコサヘキサエン酸(「DHA」)およびエイコサペンタエン酸(「EPA」)から成る群から選択される、少なくとも1つのオメガ−3多価不飽和脂肪酸を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記超高齢のペット用食物組成物は、少なくとも1つの抗酸化物質と、コリン、マンガン、メチオニン、システイン、L−カルニチン、リシン、およびそれらの混合物から成る群から選択される、少なくとも1つの栄養素を更に含む、請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記超高齢のペット用食物組成物は、表1または表1Aに開示される組成物を含む、請求項25に記載の方法。
【請求項30】
血液凝固と血小板活性化および凝集、骨および筋肉の保全性、炎症反応、軟骨変性および疼痛反応、DNA損傷および修復経路、神経機能、グリコーゲン合成および分解、解糖、糖新生、ペントースリン酸経路、および電子伝達から成る群から選択される、生物学的経路と関係または関連する障害または疾患に罹患している動物を治療するための方法であって、超高齢のペット用食物組成物の投与後、インビボで見られる発現パターンを模倣するために、前記動物における表5〜14に列挙される1つ以上の遺伝子の発現レベルを調節することを含む、方法。
【請求項31】
前記表超高齢のペット用食物組成物は、表1または表1Aに開示される成分を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
長高齢のペット用食物組成物を給餌された動物の生活の質における向上を測定する方法であって、前記動物において、表5〜14に開示されるものから成る群から選択される1つ以上の遺伝子の遺伝子発現レベルを定量化することと、前記動物の前記レベルを、前記超高齢のペット用食物組成物投与前の前記動物におけるレベルと比較することと、を含む、方法。
【請求項33】
前記超高齢のペット用食物組成物は、表1または表1Aに開示される成分を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
超高齢のペット用食物組成物投与後、インビボで見られる発現パターンを模倣するために、動物における表5〜14に列挙される1つ以上の遺伝子の発現レベルを調節することにより、前記動物の生活の質を向上させる方法。
【請求項35】
前記超高齢のペット用食物組成物は、表1または表1Aに開示される成分を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
長高齢のペット用食物組成物の給餌から恩恵を受け得る動物を同定する方法であって、前記動物において、表5〜14に列挙される任意の1つ以上の遺伝子の遺伝子発現レベルを測定することと、前記レベルを表5〜14に見られる遺伝子発現レベルと比較することと、を含み、表5〜14に見られるものとは異なるレベルを有する動物は、前記組成物の給餌から恩恵を受ける可能性があると同定される、方法。
【請求項37】
前記超高齢のペット用食物組成物は、表1または表1Aに開示される成分を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記動物は、高齢または超高齢の大型種のイヌ動物、中型種のイヌ動物、小型種のイヌ、またはネコから成る群から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項39】
生体試料中の、本明細書の表5〜14に開示される任意の1つ以上の遺伝子のmRNAレベルおよび/またはタンパク質レベルを検出するためのキットであって、前記キットは、
a)本明細書に開示される遺伝子のポリヌクレオチドまたはその断片、
b)a)の配列に相補的なヌクレオチド配列、
c)本明細書に開示される遺伝子によりコードされるポリペプチド、もしくはその断片、または、
d)本明細書に開示される遺伝子によりコードされポリペプチドに対する抗体、もしくはその断片
を含み、構成成分a)、b)、c)、またはd)は、実質的な成分を含む、キット。

【公表番号】特表2011−528555(P2011−528555A)
【公表日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518956(P2011−518956)
【出願日】平成21年7月20日(2009.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/051114
【国際公開番号】WO2010/009458
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(502329223)ヒルズ・ペット・ニュートリシャン・インコーポレーテッド (138)
【Fターム(参考)】