鰹加工食品及びその使用方法
【課題】咀嚼に最適な食材として、かつ高含有のL-ヒスチジン食材である鰹の利点を生かすことができる鰹加工食品を提供する。また、このような鰹加工食品の特性に適した使用方法を提供する。
【解決手段】鰹加工食品は、鰹(スズキ目サバ亜目カツオ属)の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程を任意の順序で行い、且つ、少なくともb)加熱工程を経た後にc)乾燥工程を行い、水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片でなる。また、このような鰹加工食品をメタボリックシンドロームの予防又は治療に用いる
【解決手段】鰹加工食品は、鰹(スズキ目サバ亜目カツオ属)の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程を任意の順序で行い、且つ、少なくともb)加熱工程を経た後にc)乾燥工程を行い、水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片でなる。また、このような鰹加工食品をメタボリックシンドロームの予防又は治療に用いる
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鰹加工食品及びその使用方法に係り、より詳細には、咀嚼するに適した肉片あるいはこれをほぐした形体であり、咀嚼により脳内ヒスタミン神経系を賦活化するとともに、経口で鰹に含まれるヒスチジンを安全に供給することができる鰹加工食品及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内臓脂肪の蓄積は、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病を引き起こし、メタボリックシンドロームを誘発する。このため、飽食の現代社会では内臓脂肪蓄積の抑制が重要課題となっている。内臓脂肪蓄積の防止・削減に有効なダイエットが必要なことは、誰もが認めるところであるが、現在市販されているダイエットは、食欲抑制、低カロリーの食事、代謝促進のための運動といった当人のそれまでの生活スタイルを変革することを必須とするため、ほとんどの症例でリバウンドが不可避となっている。
【0003】
内臓脂肪の調節には、脳内ヒスタミン神経系によるエネルギー代謝機能と大きく関係していることが明らかになっている。ヒスタミン神経系のエネルギー代謝は、満腹中枢の視床下部腹内側核(Ventromedial hypothalamus:VMH)や室傍核(paraventricular nucleus:PVN)への投射を介して食欲を抑制する系と、PVNや視床下部背内側核(dorsomedial nucleus:DMH)を介して遠心性交感神経活動の賦活化により内臓脂肪分解と脱共役蛋白機能の亢進を介した末梢でのエネルギー消費を促進する系の二つの調節系がある。
【0004】
このヒスタミン神経系賦活化を誘発する入力系の一つに、咀嚼がある。咀嚼によって感知した感覚、つまり口腔内固有感覚は、歯根膜や咬筋の筋紡錘に分岐する三叉神経感覚枝で捉えられ、三叉神経中脳路感覚核(Me5)に伝播される。後部視床下部(PH)に細胞体をもつヒスタミン神経系は、Me5からの神経投射を受けているので、Me5を介して咀嚼情報がヒスタミン神経系の活動を賦活化し、神経ヒスタミンを量産することになる。賦活された神経ヒスタミンは、満腹中枢のVMHを賦活化することで食事終了の満腹信号として働くので、食欲が抑えられ食事摂取量が減少する。同時に、咀嚼の一次中枢であるMe5ではMo5への反射路を介して咀嚼運動に作用し、食事の速度を減速することがあきらかになっている。
【0005】
ヒスタミンは、経口的に投与しても血液脳関門を通過できないので、脳内の神経ヒスタミン濃度には変化が及ばない。しかし、その前駆アミノ酸であるL-ヒスチジンを経口的に投与すると脳内ヒスタミン濃度が優位に増加することが既に確認されている。すなわち、L-ヒスチジンを経口投与すれば脳内で神経ヒスタミンを量産し、その結果ヒスタミン神経系を賦活化することになる。〔非特許文献1、非特許文献2、参照〕。このような見地から、メタボリックシンドローム罹患患者ないしはその予備軍に対する効果的な治療として、咀嚼法を実施し、同時にL-ヒスチジン高含有食品の励行はもっとも効率のよい手立てになることが提唱されている。
【0006】
咀嚼を続ける目的に対しては、例えば、咀嚼回数が多いことによる内因的な満足度の充足と、呈味感覚の抑制に由来する外因的な食品等の摂取欲求の減退とを目的としてギムネマ酸を有効成分とした肥満防止のダイエット用チューインガム〔特許文献1参照〕、咀嚼機能を改善しつつ健康の維持と回復を図ることを目的として、グミ菓子よりも咀嚼時間を長くすると共に、ポリフェノール類により弾力性及び伸展性を向上して構成されたことを特徴とする機能性咀嚼物〔特許文献2参照〕などの食品組成物が提案されている。
【0007】
一方、L-ヒスチジンを経口により摂取する立場から、鰹エキスからヒスチジンを含む有効成分を抽出したヒスチジンを含むダイエット加工食品用原料〔特許文献3参照〕の提案がある。
【0008】
【非特許文献1】Sakata T. Histamine neurons activated by mastication satiate appetite and up−regulate their energy expenditure. In: Histamine Biology eds. by Falus A. and Grossman N., pp.221−256,SpringMed,Budapest,Hungary.,2004.
【非特許文献2】坂田利家.日本味と匂学会誌、10巻、2号、223〜228頁、2003年8月、日本味と匂学会刊
【特許文献1】特開平07−184548号公報
【特許文献2】特開2007−246541号公報
【特許文献3】特開2005−224169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献1や特許文献2のように、咀嚼回数を増やすためにチューインガムやグミ菓子を用いる例がある。これらの提案は、現状を勘案した実質的に効果を奏し得る咀嚼法には至っていないという問題点を包含している。その理由はチューインガムを頻回長期に用いれば、ほとんどの対象は顎関節症を併発し咀嚼の継続は望めない。グミ菓子その他の食材では咀嚼に適さない食材であるため、咀嚼法の実効はあがらない。味付けという点でも、短時間に味がなくなってしまうため、実質的な咀嚼効果が発揮出来ない。一方、特許文献3のようなL-ヒスチジン高含有食品は市中に出回っているが、残念なことに咀嚼法を加味した利用という見地からは使用されておらず、咀嚼といった面からは特別の配慮がなされていない。このような現状に鑑みてなされた、本発明の目的は、咀嚼に最適な食材として、かつ高含有のL-ヒスチジン食材である鰹の利点を生かすことができる鰹加工食品を提供することにある。また、このような鰹加工食品の特性に適した使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成すべくなされた本発明の鰹加工食品は、スズキ目サバ亜目カツオ属の鰹の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程を任意の順序で行い、且つ、少なくともb)加熱工程を経た後にc)乾燥工程を行い、水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片でなることを特徴とする。このような鰹加工食品において、a)切断工程は、鰹肉片の筋肉繊維束が積層された辺が0.5〜3cmで他辺が筋肉繊維束が積層された辺以上の大きさに角切りすることが好ましく、b)加熱工程は、水を加えて煮ることが好適である。また、少なくともa)切断工程、b)加熱工程を経た後に、さらにd)圧縮工程を行って鰹肉片を押し潰してなることが好ましい。そしてまた、上記目的を達成するため本発明による鰹加工食品の使用方法は、上述のような鰹加工食品を、メタボリックシンドロームの予防又は治療に用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鰹加工食品は、短時間のうちに嚥下しきってしまうことなく、さしたる忍耐を伴わずに長い時間に亘り咀嚼を続けることができ、しかも、うま味に富んだ食品であるため積極的な摂取を促し、生理的な咀嚼回数の増加と長年月に亘る咀嚼法の継続ができる。かつまた、L-ヒスチジンの直接経口摂取を同時に可能にするため、内臓脂肪を特異的に効率よく削減させることができる。このような鰹加工食品は安全性も高く、高血糖、高血圧、高脂血症を含む広くメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)の予防、改善のための用途には最適なものとなり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
鰹は、スズキ目サバ亜目カツオ属の魚であり、生で、煮た生利節として、あるいは鰹節として古来から食用とされている。本発明の鰹加工食品は、鰹の生肉を、任意の順で切断、加熱、乾燥して水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片、あるいはさらにこれを押し潰してほぐした鰹加工食品である。乾燥は少なくとも加熱した後に行なうことが好ましい。また、味付けすることもでき、味付けする場合には乾燥する前に行なえば良い。鰹の生肉は、内臓を除去した丸ごと、又は後段の作業に適する大きさにぶつ切りした状態としたものであっても良いが、3枚に卸した状態としたものが好ましい。
【0013】
本実施形態の鰹加工食品は、鰹の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程、b′)味付け工程を行う。
a)切断工程は、鰹の生肉を、食するに適し、さらに本発明が目的とする咀嚼回数を多くもたせるに適した大きさにするもので、代表的には、後述する乾燥工程の前又は後において、鰹肉片の筋肉繊維束が積層された辺が0.5〜3cmで他辺が筋肉繊維束が積層された辺以上の大きさとなる角切りの鰹肉片とする。筋肉繊維束が積層された辺とは、筋肉繊維の延びる方向に対し略垂直方向に切断するときの断面(筋肉横断面)を構成する一辺(短辺)を意味する。角切り鰹肉片の形状は、特に限定するものではないが、通常は三角から六角の角柱状であり、より好ましくは、厚さが1.0〜1.5cmで、縦横の一辺が1〜3cmの立方体(四角柱状)である。
【0014】
b)加熱工程は、肉の全体に火が通すのが目的であり、水を加えて煮る、加熱水蒸気により蒸す、電子レンジによる加熱、直火で焼くなどで達成できる。
【0015】
b′)味付け工程は、鰹の肉部分を食するに適した味に仕上げる工程であり、本実施形態においては必須工程ではなく省略することが出来る。味は、任意に決められるものであるが、代表的には、調味料として醤油、味醂、砂糖、塩などを用いて煮る、あるいは鰹の生肉を調味料に浸漬する、などで達成できる。水分活性値を下げ、製造工程中における微生物による変敗、ヒスタミンの生成などを抑制することがある点では味付けを加えることが好ましいが、一方で味付けが濃いと飽きられてしまったり、塩分過多により長期間に亘る継続摂取の障害となる場合がある点では、味付けを施さないか、調味料の使用を低く(例えば、塩分2.7重量%以下、好ましくは2.3重量%以下)抑えることが好ましい。
【0016】
a)切断工程、b)加熱工程、b′)味付け工程を行う順序は特に限定されるものではなく、任意な順序で実施し得るが、最も一般的には、生の肉を切断し、水を加えて加熱し、最後に調味料を加え、必要によりさらに加熱する。その他、生の肉を調味料に浸けて、次いで加熱し、最後に切断してもよく、また、調味料の入った水中で煮沸して加熱と味付けを同時に行う、など適宜選択して実施できる。魚臭さを減ずることができる点では、少なくとも加熱工程を経た後にb′)味付け工程を行なうことが好ましい。一方、遊離アミノ酸やカルノシン、アンセリンのようなヒスチジンを構成アミノ酸として含むペプチドの減量を最小限に抑えられる点では、加熱工程が味付け工程を兼ねていることが好ましい。
【0017】
鰹の肉には、本来的にヒスチジンが多く含まれており、本発明はこの本来的に含まれるヒスチジンの効果を期待するものであるが、さらに上記b′)味付け工程において、調味料とともにヒスチジンを加えて、鰹加工食品中のヒスチジン含有量を高めることができる。(なお、本明細書において、アミノ酸は特記しないものを含めて全てL体である。)
【0018】
a)切断工程、b)加熱工程、b′)味付け工程を経たものは、食品として充分通用する食品となり得るが、本発明はこれを、さらにc)乾燥工程を実施して、水分を22〜43重量%とすることに特徴がある。乾燥工程を行うにあたり、上記b)加熱工程、b′)味付け工程における液体部分を除くことが好ましい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、肉部分を、加熱空気と接触させる方法、常温又は加熱下で減圧乾燥する方法、焙乾(薫乾)などで実施できる。加熱空気と接触させる方法では、60〜70℃の空気で、2〜5時間で目的の水分範囲となる。
【0019】
乾燥により、鰹の肉に特有の硬さが出て、本発明の目的である咀嚼に適する硬さとなる。この咀嚼に適する硬さにあるのは、鰹肉中の水分が22〜43重量%、好ましくは30〜40重量%、さらに好ましくは35〜38重量%である。
22重量%未満では、肉が硬くなり過ぎて噛み続けることが難しくなり、43重量%を超えると、柔らか過ぎて噛み応え感に欠け、また、味の不均一を生じることがある点で好ましくない。
なお、鰹の水分は、生の状態で春獲り72.2重量%、秋獲り67.3重量%、蒸煮した生利で66.9重量%、水抜き焙乾した生利節で58.8重量%、鰹節では15.2重量%(削り節17.2重量%)が標準的な値といわれている(5訂増補2006日本食品標準成分表)。
また、(食感を含む)咀嚼に適する硬さは、水分活性によって規定できる場合がある。水分活性値は、乾燥条件の他、b)加熱工程やb′)味付け工程における加熱条件、調味料の種類、使用量や、肉片形状なども反映される。好ましい水分活性は0.72以上、0.97未満であり、より好ましくは0.73以上、0.95以下、さらに好ましくは0.84以上、0.94未満である。
【0020】
少なくともa)切断工程、b)加熱工程を経た後、又は乾燥された後に、任意にさらにe)圧縮工程により肉を押し潰す。ここでは、乾燥された肉が潰されればよく、例えば相反する二つの面に挟んで潰す方法で実施できる。乾燥された後の肉の塊は、健康な人の口では、噛み砕くことができるので、この圧縮工程はなくとも本発明は実現できる。しかし、噛む力の弱い人をも対象とする市販商品では、予め圧縮し(ほぐし)ておくのが好ましいといえる。
【0021】
本発明の鰹加工食品は、食品としてはやや硬めで、かつ粘弾性のある食感であり、かつ味付けによる味覚と、鰹本来の味覚とが相俟って、咀嚼を長時間行うに好適となる。特に、鰹本来の味覚は、味付けによる味覚と異なり、噛めば噛むほどにうま味に富んだ味わいのあるものとなり、咀嚼の持続にとって重要となる。そして、咀嚼によりヒスタミンニューロン系の活動を賦活化し、神経ヒスタミンを量産し、体内に満腹信号を出すことになる。さらに、本発明の鰹加工食品は、鰹本来に含まれるヒスチジンを大きく損なわずに依然多く含んでおり、経口的に摂取でき、神経ヒスタミンの量産を促すことになる。
【0022】
本発明が期待する抗肥満効果を実現するには、本発明の鰹加工食品を、1回に10〜30g、好ましくは15〜25gを用い、5〜15分間、好ましくは10〜15分間咀嚼し、これを1日3回行うのがよい。この摂取量は、あくまで目安であり、この範囲より少ないとその効果が明確でなくなり、この範囲より多くともそれに見合う効果の増大が期待できないことがある。本発明の鰹加工食品は、極端に過食しない限り体に悪い影響を与えるものではなく、従って、多量に摂取することの体への実質的な害はないといえる。1回の咀嚼時間は、これより短くともそれなりの効果はあるが充分とはいえず、また、これより長いことは、長期的にみると継続が不可能になる。
【実施例】
【0023】
〔実施例1〕
上述の実施形態による鰹加工食品に準じ、身卸しした鰹生肉を一辺が1〜1.5cmの四角柱状(サイコロ状)に角切りし(切断工程)、水で30分間煮込み(加熱工程)、煮込み液から取り出した肉を乾燥機内の棚に並べて60℃の熱風で3時間乾燥した後、室温下で乾燥空気を流して、1時間静置し(乾燥工程)、水分含量が42.3重量%の鰹加工食品を得た。水分含量は、食品衛生検査指針・理化学編(社団法人 日本食品衛生協会)に準じ、ケット科学社製、FD−720を用いて測定した。ここで室温とは20℃±5℃の温度範囲に空調した室内温度を示す(以降の実施例も同様)。
【0024】
〔実施例2〕
乾燥工程における60℃乾燥時間を3.5〜4時間とした以外は実施例1と同様にして、水分含量が36.6重量%の鰹加工食品を得た。
【0025】
〔実施例3〕
乾燥工程における60℃乾燥時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして、水分含量が30.2重量%の鰹加工食品を得た。
【0026】
〔実施例4〕
乾燥工程における60℃乾燥時間を5時間、室温下で乾燥空気を流し静置する時間を16時間とした以外は実施例1と同様にして、水分含量が22.6重量%の鰹加工食品を得た。
【0027】
〔実施例5〕
上述の実施形態による鰹加工食品に準じ、鰹の生肉1kgを、一辺が1〜1.5cmのサイコロ状(四角柱状)に切断し(切断工程)、水で30分間煮込み(加熱工程)、加熱工程終了後の煮込み液を除去した後、濃口醤油90g、本味醂100g、液糖140g、冷凍生姜汁50g、水700gよりなる調味料液(Brix30)で30分間、残留煮汁のBrixが21となるように水を加えながら煮込んだ後(味付け工程)、煮汁を除いて、肉は1080gとなった。これを60℃で3時間乾燥し、さらに室温下で乾燥空気を流して1時間放置した(乾燥工程)。また、乾燥工程を経た四角柱状の鰹加工食品につき圧縮工程をさらに行いほぐした状態の鰹加工食品を調製した。このようにして得た鰹加工食品の性状を表1に示す。Brix(ブリックス値:糖度)は、昭和61年、株式会社建帛社発行、食品鑑別・検査法研究会編「改訂食品鑑別・検査法ハンドブック」p.626に従い、ヒスチジンは、衛生試験法、食品成分試験法、飲食物試験法アミノ酸(衛生試験法・注解、日本薬学会編、1990年金原出版株式会社発行、pp281−284)に従って測定し、他の項目は、食品衛生検査指針・理化学編(社団法人 日本食品衛生協会)に従って測定した。水分含量測定には、ケット科学社製、FD−720を用い、水分活性測定には、ロトニック社製、Hygroscop DTを用いた。
【0028】
【表1】
【0029】
〔実施例6〕
残留煮汁のBrixが25となるように水を加えながら煮込んだ以外は、実施例5と同様にして、水分含量32.5重量%の鰹加工食品(ほぐし状)を得た。水分活性値は0.93、塩分は2.0重量%であった。
【0030】
〔実施例7〕
残留煮汁のBrixが30となるように水を加えながら煮込んだ以外は、実施例5と同様にして、水分含量31.9重量%の鰹加工食品(ほぐし状)を得た。水分活性値は0.90、塩分は2.2重量%であった。
【0031】
〔実施例8〕
残留煮汁のBrixが30となるように水を加えながら煮込んだ(味付け工程)後、乾燥工程における乾燥温度を70℃とした以外は、実施例5と同様にして、水分含量25.9重量%の鰹加工食品(四角柱状)を得た。水分活性値は0.84、塩分は2.3重量%であった。
【0032】
〔比較参考例1〕
乾燥工程を施さないことを除き、実施例1と同様に切断工程、加熱工程を行い、水分含量59.2重量%の実施例1〜4における中間原料に相当する鰹加工参考品を得た。
【0033】
〔比較参考例2〜6〕
比較参考例2〜6として、夫々、市販されている鮪乾燥角煮((株)久慈食品社製、「ツナチョロ(商品名)」:比較参考例2)、鰹角煮(鮒佐社製:比較参考例3)、鮪角煮(鮒佐社製:比較参考例4)、鰹角煮(柳屋本店社製:比較参考例5)、鰹角煮(海老屋社製:比較参考例6)を入手した。
【0034】
〔水分の差による硬さの検討〕
実施例1〜4の鰹加工食品、及び比較参考例1〜6の各試料について、実施例5に記載した測定条件、機器により水分含量の他、水分活性、塩分の測定を行なった。また、レオメーター(不動工業株式会社製、RM−2010J−CW)を用い、各試料の硬さ:直径3mm、テーパ長さ(斜辺長)5mmの針型のプランジャを10mm/min.にて筋肉組織(筋肉繊維の延びる方向)に平行或は垂直方向に進入させたときに示す最大値(kg)の測定を行なった。各測定の結果は表2に示すとおりであり、各試料について、硬さ(平行と垂直)の関係を示すグラフを図1に示した。比較参考例2では、筋肉組織が粉砕された後に立方体状に固められたものと推定され、筋肉繊維の延びる方向が特定できない状態であったが、表2における硬さ(垂直)欄に測定値を示した。また、水分含量と硬さ(垂直)との関係を示すグラフを図2に、水分含量と硬さ(平行)との関係を示すグラフを図3に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
〔官能評価〕
実施例5の四角柱状(平均2.7g/1個)とほぐし状の各鰹加工食品、比較参考例2の鮪乾燥角煮(平均1.1g/1個)について、夫々20gを試料に用い、5名のパネリストによる10分間および15分間の咀嚼継続の難易度に関する官能評価を行なった。各試料を15分間咀嚼し、10分間経過時及び15分間終了時に、表3に示す5段階で評点した結果を表4に示した。表4の評点から、Studentのt検定を用いて危険率5%以下で有意差検定を行った結果、10分間、15分間咀嚼ともに、実施例5の四角柱状とほぐし状の各鰹加工食品間で有意差は認められないが、実施例5の四角柱状(サイコロ状)又はほぐし状の鰹加工食品と比較参考例2の鮪乾燥角煮との間には、有意差が認められた。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
〔内臓脂肪への影響の検討〕
実施例5の鰹加工食品(ほぐし状)を咀嚼用試験食として用い、女性健常者4名(平均年齢29.8歳、平均BMI 20.6kg/m2)を被験者(ID:m1〜m4)とする内臓脂肪への影響を検討した。第I期では月経開始5日後から3日間毎食、食前に咀嚼用試験食20gを10分間専心して咀嚼させた後、摂取量を制限せず自由に食事を摂取させた。第II期では咀嚼用試験食の咀嚼は実施せず、第I期に被験者が摂取した同じ食事内容で同じ摂取量の食事を3日間摂取させた。第I期と第II期の間に1カ月間のウオッシュアウト期間を設定した。第I期、第II期とも毎朝食前にウエスト周囲径を測定した。第I期と第II期では、いずれも介入前と介入後に体重、MRIによる臍位内臓脂肪面積、交感神経活動の指標としてホルター心電図測定器によるheart rate variability(HRV)、VAS法(Visual Analogue Scale :満腹度検出票)による満腹度をそれぞれ測定した。各介入期間中のエネルギー消費量を推定するため、ライフコーダ(歩数計)を装着させて被験者の身体活動量を測定した(図4)。
MRIの測定は、福岡鳥飼病院に委託した。MRI測定装置は、日立メディコ社製、AIRIS IIを用い、仰臥位にて臍位横断面を測定した。得られたMRI画像(第I期:図5〜図12、第II期:図13〜図20)について、面積計算ソフト(NIH Image Image J Version 1.38x)を用い、自動的に画像の濃淡で計算される内臓脂肪面積、総脂肪面積を求め、総脂肪面積から内蔵脂肪面積を差し引いて皮下脂肪面積の算出を行なった(各3回の平均値)。得られた脂肪面積の算出結果は、被験者の体重、BMIの推移と共に表5に示した。
【0040】
【表5】
【0041】
表5に示した試験結果について、I期の介入前後を比較すると、内臓脂肪面積は平均値で48.3cm2 から45.3cm2 に有意に減少した(paired t test,p=0.017)。しかも、この減少は被験者の4名全員で認められた(図21)。皮下脂肪面積(図21)、身体活動量(図22)、体重(図23)、エネルギー摂取量(図24)はいずれも各介入期間中およびI期、II期の間に有意差を認めなかった。 これらの結果を総合すると、内臓脂肪の減少がエネルギー摂取量や消費量によって起こったのではなく、咀嚼やヒスチジン経口負荷によってヒスタミン神経系が賦活化され、内臓脂肪分解が亢進したことを示唆する。
たんばく質およびヒスチジンはII期および介入前に比べ、咀嚼用試験食(実施例5鰹加工食品)を負荷したI期で有意に高値を示した。しかし、脂質、炭水化物とも各期間に有意差は認めなかった(図24)。
なお、VAS法による満腹度、HRV、ウエスト周囲径は、I期、II期ともにいずれの期間も有意な変動を認めなかった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の鰹加工食品及び比較参考例の硬さについての測定結果を示すグラフである。
【図2】本発明の鰹加工食品及び比較参考例について、水分含量と硬さ(筋肉繊維の延びる方向に垂直)の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の鰹加工食品及び比較参考例について、水分含量と硬さ(筋肉繊維の延びる方向に平行)の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の鰹加工食品を用いた内臓脂肪への影響検討実験のデザインを示す説明図である。
【図5】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図6】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図7】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図8】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図9】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図10】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図11】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図12】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図13】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図14】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図15】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図16】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図17】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図18】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図19】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図20】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図21】内臓脂肪への影響検討実験、第I期、第II期各介入前後における内臓脂肪面積、皮下脂肪面積の変動を示すグラフである。
【図22】内臓脂肪への影響検討実験、第I期、第II期各介入中におけるエネルギー消費量の変動を示すグラフである。
【図23】内臓脂肪への影響検討実験、第I期、第II期各介入前後における体重のの変動を示すグラフである。
【図24】内臓脂肪への影響検討実験、実験開始前及び、第I期、第II期各介入中における栄養素等摂取量を示す説明図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、鰹加工食品及びその使用方法に係り、より詳細には、咀嚼するに適した肉片あるいはこれをほぐした形体であり、咀嚼により脳内ヒスタミン神経系を賦活化するとともに、経口で鰹に含まれるヒスチジンを安全に供給することができる鰹加工食品及びその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内臓脂肪の蓄積は、高脂血症、高血圧、糖尿病などの生活習慣病を引き起こし、メタボリックシンドロームを誘発する。このため、飽食の現代社会では内臓脂肪蓄積の抑制が重要課題となっている。内臓脂肪蓄積の防止・削減に有効なダイエットが必要なことは、誰もが認めるところであるが、現在市販されているダイエットは、食欲抑制、低カロリーの食事、代謝促進のための運動といった当人のそれまでの生活スタイルを変革することを必須とするため、ほとんどの症例でリバウンドが不可避となっている。
【0003】
内臓脂肪の調節には、脳内ヒスタミン神経系によるエネルギー代謝機能と大きく関係していることが明らかになっている。ヒスタミン神経系のエネルギー代謝は、満腹中枢の視床下部腹内側核(Ventromedial hypothalamus:VMH)や室傍核(paraventricular nucleus:PVN)への投射を介して食欲を抑制する系と、PVNや視床下部背内側核(dorsomedial nucleus:DMH)を介して遠心性交感神経活動の賦活化により内臓脂肪分解と脱共役蛋白機能の亢進を介した末梢でのエネルギー消費を促進する系の二つの調節系がある。
【0004】
このヒスタミン神経系賦活化を誘発する入力系の一つに、咀嚼がある。咀嚼によって感知した感覚、つまり口腔内固有感覚は、歯根膜や咬筋の筋紡錘に分岐する三叉神経感覚枝で捉えられ、三叉神経中脳路感覚核(Me5)に伝播される。後部視床下部(PH)に細胞体をもつヒスタミン神経系は、Me5からの神経投射を受けているので、Me5を介して咀嚼情報がヒスタミン神経系の活動を賦活化し、神経ヒスタミンを量産することになる。賦活された神経ヒスタミンは、満腹中枢のVMHを賦活化することで食事終了の満腹信号として働くので、食欲が抑えられ食事摂取量が減少する。同時に、咀嚼の一次中枢であるMe5ではMo5への反射路を介して咀嚼運動に作用し、食事の速度を減速することがあきらかになっている。
【0005】
ヒスタミンは、経口的に投与しても血液脳関門を通過できないので、脳内の神経ヒスタミン濃度には変化が及ばない。しかし、その前駆アミノ酸であるL-ヒスチジンを経口的に投与すると脳内ヒスタミン濃度が優位に増加することが既に確認されている。すなわち、L-ヒスチジンを経口投与すれば脳内で神経ヒスタミンを量産し、その結果ヒスタミン神経系を賦活化することになる。〔非特許文献1、非特許文献2、参照〕。このような見地から、メタボリックシンドローム罹患患者ないしはその予備軍に対する効果的な治療として、咀嚼法を実施し、同時にL-ヒスチジン高含有食品の励行はもっとも効率のよい手立てになることが提唱されている。
【0006】
咀嚼を続ける目的に対しては、例えば、咀嚼回数が多いことによる内因的な満足度の充足と、呈味感覚の抑制に由来する外因的な食品等の摂取欲求の減退とを目的としてギムネマ酸を有効成分とした肥満防止のダイエット用チューインガム〔特許文献1参照〕、咀嚼機能を改善しつつ健康の維持と回復を図ることを目的として、グミ菓子よりも咀嚼時間を長くすると共に、ポリフェノール類により弾力性及び伸展性を向上して構成されたことを特徴とする機能性咀嚼物〔特許文献2参照〕などの食品組成物が提案されている。
【0007】
一方、L-ヒスチジンを経口により摂取する立場から、鰹エキスからヒスチジンを含む有効成分を抽出したヒスチジンを含むダイエット加工食品用原料〔特許文献3参照〕の提案がある。
【0008】
【非特許文献1】Sakata T. Histamine neurons activated by mastication satiate appetite and up−regulate their energy expenditure. In: Histamine Biology eds. by Falus A. and Grossman N., pp.221−256,SpringMed,Budapest,Hungary.,2004.
【非特許文献2】坂田利家.日本味と匂学会誌、10巻、2号、223〜228頁、2003年8月、日本味と匂学会刊
【特許文献1】特開平07−184548号公報
【特許文献2】特開2007−246541号公報
【特許文献3】特開2005−224169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献1や特許文献2のように、咀嚼回数を増やすためにチューインガムやグミ菓子を用いる例がある。これらの提案は、現状を勘案した実質的に効果を奏し得る咀嚼法には至っていないという問題点を包含している。その理由はチューインガムを頻回長期に用いれば、ほとんどの対象は顎関節症を併発し咀嚼の継続は望めない。グミ菓子その他の食材では咀嚼に適さない食材であるため、咀嚼法の実効はあがらない。味付けという点でも、短時間に味がなくなってしまうため、実質的な咀嚼効果が発揮出来ない。一方、特許文献3のようなL-ヒスチジン高含有食品は市中に出回っているが、残念なことに咀嚼法を加味した利用という見地からは使用されておらず、咀嚼といった面からは特別の配慮がなされていない。このような現状に鑑みてなされた、本発明の目的は、咀嚼に最適な食材として、かつ高含有のL-ヒスチジン食材である鰹の利点を生かすことができる鰹加工食品を提供することにある。また、このような鰹加工食品の特性に適した使用方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる目的を達成すべくなされた本発明の鰹加工食品は、スズキ目サバ亜目カツオ属の鰹の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程を任意の順序で行い、且つ、少なくともb)加熱工程を経た後にc)乾燥工程を行い、水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片でなることを特徴とする。このような鰹加工食品において、a)切断工程は、鰹肉片の筋肉繊維束が積層された辺が0.5〜3cmで他辺が筋肉繊維束が積層された辺以上の大きさに角切りすることが好ましく、b)加熱工程は、水を加えて煮ることが好適である。また、少なくともa)切断工程、b)加熱工程を経た後に、さらにd)圧縮工程を行って鰹肉片を押し潰してなることが好ましい。そしてまた、上記目的を達成するため本発明による鰹加工食品の使用方法は、上述のような鰹加工食品を、メタボリックシンドロームの予防又は治療に用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鰹加工食品は、短時間のうちに嚥下しきってしまうことなく、さしたる忍耐を伴わずに長い時間に亘り咀嚼を続けることができ、しかも、うま味に富んだ食品であるため積極的な摂取を促し、生理的な咀嚼回数の増加と長年月に亘る咀嚼法の継続ができる。かつまた、L-ヒスチジンの直接経口摂取を同時に可能にするため、内臓脂肪を特異的に効率よく削減させることができる。このような鰹加工食品は安全性も高く、高血糖、高血圧、高脂血症を含む広くメタボリックシンドローム(metabolic syndrome)の予防、改善のための用途には最適なものとなり得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
鰹は、スズキ目サバ亜目カツオ属の魚であり、生で、煮た生利節として、あるいは鰹節として古来から食用とされている。本発明の鰹加工食品は、鰹の生肉を、任意の順で切断、加熱、乾燥して水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片、あるいはさらにこれを押し潰してほぐした鰹加工食品である。乾燥は少なくとも加熱した後に行なうことが好ましい。また、味付けすることもでき、味付けする場合には乾燥する前に行なえば良い。鰹の生肉は、内臓を除去した丸ごと、又は後段の作業に適する大きさにぶつ切りした状態としたものであっても良いが、3枚に卸した状態としたものが好ましい。
【0013】
本実施形態の鰹加工食品は、鰹の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程、b′)味付け工程を行う。
a)切断工程は、鰹の生肉を、食するに適し、さらに本発明が目的とする咀嚼回数を多くもたせるに適した大きさにするもので、代表的には、後述する乾燥工程の前又は後において、鰹肉片の筋肉繊維束が積層された辺が0.5〜3cmで他辺が筋肉繊維束が積層された辺以上の大きさとなる角切りの鰹肉片とする。筋肉繊維束が積層された辺とは、筋肉繊維の延びる方向に対し略垂直方向に切断するときの断面(筋肉横断面)を構成する一辺(短辺)を意味する。角切り鰹肉片の形状は、特に限定するものではないが、通常は三角から六角の角柱状であり、より好ましくは、厚さが1.0〜1.5cmで、縦横の一辺が1〜3cmの立方体(四角柱状)である。
【0014】
b)加熱工程は、肉の全体に火が通すのが目的であり、水を加えて煮る、加熱水蒸気により蒸す、電子レンジによる加熱、直火で焼くなどで達成できる。
【0015】
b′)味付け工程は、鰹の肉部分を食するに適した味に仕上げる工程であり、本実施形態においては必須工程ではなく省略することが出来る。味は、任意に決められるものであるが、代表的には、調味料として醤油、味醂、砂糖、塩などを用いて煮る、あるいは鰹の生肉を調味料に浸漬する、などで達成できる。水分活性値を下げ、製造工程中における微生物による変敗、ヒスタミンの生成などを抑制することがある点では味付けを加えることが好ましいが、一方で味付けが濃いと飽きられてしまったり、塩分過多により長期間に亘る継続摂取の障害となる場合がある点では、味付けを施さないか、調味料の使用を低く(例えば、塩分2.7重量%以下、好ましくは2.3重量%以下)抑えることが好ましい。
【0016】
a)切断工程、b)加熱工程、b′)味付け工程を行う順序は特に限定されるものではなく、任意な順序で実施し得るが、最も一般的には、生の肉を切断し、水を加えて加熱し、最後に調味料を加え、必要によりさらに加熱する。その他、生の肉を調味料に浸けて、次いで加熱し、最後に切断してもよく、また、調味料の入った水中で煮沸して加熱と味付けを同時に行う、など適宜選択して実施できる。魚臭さを減ずることができる点では、少なくとも加熱工程を経た後にb′)味付け工程を行なうことが好ましい。一方、遊離アミノ酸やカルノシン、アンセリンのようなヒスチジンを構成アミノ酸として含むペプチドの減量を最小限に抑えられる点では、加熱工程が味付け工程を兼ねていることが好ましい。
【0017】
鰹の肉には、本来的にヒスチジンが多く含まれており、本発明はこの本来的に含まれるヒスチジンの効果を期待するものであるが、さらに上記b′)味付け工程において、調味料とともにヒスチジンを加えて、鰹加工食品中のヒスチジン含有量を高めることができる。(なお、本明細書において、アミノ酸は特記しないものを含めて全てL体である。)
【0018】
a)切断工程、b)加熱工程、b′)味付け工程を経たものは、食品として充分通用する食品となり得るが、本発明はこれを、さらにc)乾燥工程を実施して、水分を22〜43重量%とすることに特徴がある。乾燥工程を行うにあたり、上記b)加熱工程、b′)味付け工程における液体部分を除くことが好ましい。乾燥方法は、特に限定されるものではないが、肉部分を、加熱空気と接触させる方法、常温又は加熱下で減圧乾燥する方法、焙乾(薫乾)などで実施できる。加熱空気と接触させる方法では、60〜70℃の空気で、2〜5時間で目的の水分範囲となる。
【0019】
乾燥により、鰹の肉に特有の硬さが出て、本発明の目的である咀嚼に適する硬さとなる。この咀嚼に適する硬さにあるのは、鰹肉中の水分が22〜43重量%、好ましくは30〜40重量%、さらに好ましくは35〜38重量%である。
22重量%未満では、肉が硬くなり過ぎて噛み続けることが難しくなり、43重量%を超えると、柔らか過ぎて噛み応え感に欠け、また、味の不均一を生じることがある点で好ましくない。
なお、鰹の水分は、生の状態で春獲り72.2重量%、秋獲り67.3重量%、蒸煮した生利で66.9重量%、水抜き焙乾した生利節で58.8重量%、鰹節では15.2重量%(削り節17.2重量%)が標準的な値といわれている(5訂増補2006日本食品標準成分表)。
また、(食感を含む)咀嚼に適する硬さは、水分活性によって規定できる場合がある。水分活性値は、乾燥条件の他、b)加熱工程やb′)味付け工程における加熱条件、調味料の種類、使用量や、肉片形状なども反映される。好ましい水分活性は0.72以上、0.97未満であり、より好ましくは0.73以上、0.95以下、さらに好ましくは0.84以上、0.94未満である。
【0020】
少なくともa)切断工程、b)加熱工程を経た後、又は乾燥された後に、任意にさらにe)圧縮工程により肉を押し潰す。ここでは、乾燥された肉が潰されればよく、例えば相反する二つの面に挟んで潰す方法で実施できる。乾燥された後の肉の塊は、健康な人の口では、噛み砕くことができるので、この圧縮工程はなくとも本発明は実現できる。しかし、噛む力の弱い人をも対象とする市販商品では、予め圧縮し(ほぐし)ておくのが好ましいといえる。
【0021】
本発明の鰹加工食品は、食品としてはやや硬めで、かつ粘弾性のある食感であり、かつ味付けによる味覚と、鰹本来の味覚とが相俟って、咀嚼を長時間行うに好適となる。特に、鰹本来の味覚は、味付けによる味覚と異なり、噛めば噛むほどにうま味に富んだ味わいのあるものとなり、咀嚼の持続にとって重要となる。そして、咀嚼によりヒスタミンニューロン系の活動を賦活化し、神経ヒスタミンを量産し、体内に満腹信号を出すことになる。さらに、本発明の鰹加工食品は、鰹本来に含まれるヒスチジンを大きく損なわずに依然多く含んでおり、経口的に摂取でき、神経ヒスタミンの量産を促すことになる。
【0022】
本発明が期待する抗肥満効果を実現するには、本発明の鰹加工食品を、1回に10〜30g、好ましくは15〜25gを用い、5〜15分間、好ましくは10〜15分間咀嚼し、これを1日3回行うのがよい。この摂取量は、あくまで目安であり、この範囲より少ないとその効果が明確でなくなり、この範囲より多くともそれに見合う効果の増大が期待できないことがある。本発明の鰹加工食品は、極端に過食しない限り体に悪い影響を与えるものではなく、従って、多量に摂取することの体への実質的な害はないといえる。1回の咀嚼時間は、これより短くともそれなりの効果はあるが充分とはいえず、また、これより長いことは、長期的にみると継続が不可能になる。
【実施例】
【0023】
〔実施例1〕
上述の実施形態による鰹加工食品に準じ、身卸しした鰹生肉を一辺が1〜1.5cmの四角柱状(サイコロ状)に角切りし(切断工程)、水で30分間煮込み(加熱工程)、煮込み液から取り出した肉を乾燥機内の棚に並べて60℃の熱風で3時間乾燥した後、室温下で乾燥空気を流して、1時間静置し(乾燥工程)、水分含量が42.3重量%の鰹加工食品を得た。水分含量は、食品衛生検査指針・理化学編(社団法人 日本食品衛生協会)に準じ、ケット科学社製、FD−720を用いて測定した。ここで室温とは20℃±5℃の温度範囲に空調した室内温度を示す(以降の実施例も同様)。
【0024】
〔実施例2〕
乾燥工程における60℃乾燥時間を3.5〜4時間とした以外は実施例1と同様にして、水分含量が36.6重量%の鰹加工食品を得た。
【0025】
〔実施例3〕
乾燥工程における60℃乾燥時間を5時間とした以外は実施例1と同様にして、水分含量が30.2重量%の鰹加工食品を得た。
【0026】
〔実施例4〕
乾燥工程における60℃乾燥時間を5時間、室温下で乾燥空気を流し静置する時間を16時間とした以外は実施例1と同様にして、水分含量が22.6重量%の鰹加工食品を得た。
【0027】
〔実施例5〕
上述の実施形態による鰹加工食品に準じ、鰹の生肉1kgを、一辺が1〜1.5cmのサイコロ状(四角柱状)に切断し(切断工程)、水で30分間煮込み(加熱工程)、加熱工程終了後の煮込み液を除去した後、濃口醤油90g、本味醂100g、液糖140g、冷凍生姜汁50g、水700gよりなる調味料液(Brix30)で30分間、残留煮汁のBrixが21となるように水を加えながら煮込んだ後(味付け工程)、煮汁を除いて、肉は1080gとなった。これを60℃で3時間乾燥し、さらに室温下で乾燥空気を流して1時間放置した(乾燥工程)。また、乾燥工程を経た四角柱状の鰹加工食品につき圧縮工程をさらに行いほぐした状態の鰹加工食品を調製した。このようにして得た鰹加工食品の性状を表1に示す。Brix(ブリックス値:糖度)は、昭和61年、株式会社建帛社発行、食品鑑別・検査法研究会編「改訂食品鑑別・検査法ハンドブック」p.626に従い、ヒスチジンは、衛生試験法、食品成分試験法、飲食物試験法アミノ酸(衛生試験法・注解、日本薬学会編、1990年金原出版株式会社発行、pp281−284)に従って測定し、他の項目は、食品衛生検査指針・理化学編(社団法人 日本食品衛生協会)に従って測定した。水分含量測定には、ケット科学社製、FD−720を用い、水分活性測定には、ロトニック社製、Hygroscop DTを用いた。
【0028】
【表1】
【0029】
〔実施例6〕
残留煮汁のBrixが25となるように水を加えながら煮込んだ以外は、実施例5と同様にして、水分含量32.5重量%の鰹加工食品(ほぐし状)を得た。水分活性値は0.93、塩分は2.0重量%であった。
【0030】
〔実施例7〕
残留煮汁のBrixが30となるように水を加えながら煮込んだ以外は、実施例5と同様にして、水分含量31.9重量%の鰹加工食品(ほぐし状)を得た。水分活性値は0.90、塩分は2.2重量%であった。
【0031】
〔実施例8〕
残留煮汁のBrixが30となるように水を加えながら煮込んだ(味付け工程)後、乾燥工程における乾燥温度を70℃とした以外は、実施例5と同様にして、水分含量25.9重量%の鰹加工食品(四角柱状)を得た。水分活性値は0.84、塩分は2.3重量%であった。
【0032】
〔比較参考例1〕
乾燥工程を施さないことを除き、実施例1と同様に切断工程、加熱工程を行い、水分含量59.2重量%の実施例1〜4における中間原料に相当する鰹加工参考品を得た。
【0033】
〔比較参考例2〜6〕
比較参考例2〜6として、夫々、市販されている鮪乾燥角煮((株)久慈食品社製、「ツナチョロ(商品名)」:比較参考例2)、鰹角煮(鮒佐社製:比較参考例3)、鮪角煮(鮒佐社製:比較参考例4)、鰹角煮(柳屋本店社製:比較参考例5)、鰹角煮(海老屋社製:比較参考例6)を入手した。
【0034】
〔水分の差による硬さの検討〕
実施例1〜4の鰹加工食品、及び比較参考例1〜6の各試料について、実施例5に記載した測定条件、機器により水分含量の他、水分活性、塩分の測定を行なった。また、レオメーター(不動工業株式会社製、RM−2010J−CW)を用い、各試料の硬さ:直径3mm、テーパ長さ(斜辺長)5mmの針型のプランジャを10mm/min.にて筋肉組織(筋肉繊維の延びる方向)に平行或は垂直方向に進入させたときに示す最大値(kg)の測定を行なった。各測定の結果は表2に示すとおりであり、各試料について、硬さ(平行と垂直)の関係を示すグラフを図1に示した。比較参考例2では、筋肉組織が粉砕された後に立方体状に固められたものと推定され、筋肉繊維の延びる方向が特定できない状態であったが、表2における硬さ(垂直)欄に測定値を示した。また、水分含量と硬さ(垂直)との関係を示すグラフを図2に、水分含量と硬さ(平行)との関係を示すグラフを図3に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
〔官能評価〕
実施例5の四角柱状(平均2.7g/1個)とほぐし状の各鰹加工食品、比較参考例2の鮪乾燥角煮(平均1.1g/1個)について、夫々20gを試料に用い、5名のパネリストによる10分間および15分間の咀嚼継続の難易度に関する官能評価を行なった。各試料を15分間咀嚼し、10分間経過時及び15分間終了時に、表3に示す5段階で評点した結果を表4に示した。表4の評点から、Studentのt検定を用いて危険率5%以下で有意差検定を行った結果、10分間、15分間咀嚼ともに、実施例5の四角柱状とほぐし状の各鰹加工食品間で有意差は認められないが、実施例5の四角柱状(サイコロ状)又はほぐし状の鰹加工食品と比較参考例2の鮪乾燥角煮との間には、有意差が認められた。
【0037】
【表3】
【0038】
【表4】
【0039】
〔内臓脂肪への影響の検討〕
実施例5の鰹加工食品(ほぐし状)を咀嚼用試験食として用い、女性健常者4名(平均年齢29.8歳、平均BMI 20.6kg/m2)を被験者(ID:m1〜m4)とする内臓脂肪への影響を検討した。第I期では月経開始5日後から3日間毎食、食前に咀嚼用試験食20gを10分間専心して咀嚼させた後、摂取量を制限せず自由に食事を摂取させた。第II期では咀嚼用試験食の咀嚼は実施せず、第I期に被験者が摂取した同じ食事内容で同じ摂取量の食事を3日間摂取させた。第I期と第II期の間に1カ月間のウオッシュアウト期間を設定した。第I期、第II期とも毎朝食前にウエスト周囲径を測定した。第I期と第II期では、いずれも介入前と介入後に体重、MRIによる臍位内臓脂肪面積、交感神経活動の指標としてホルター心電図測定器によるheart rate variability(HRV)、VAS法(Visual Analogue Scale :満腹度検出票)による満腹度をそれぞれ測定した。各介入期間中のエネルギー消費量を推定するため、ライフコーダ(歩数計)を装着させて被験者の身体活動量を測定した(図4)。
MRIの測定は、福岡鳥飼病院に委託した。MRI測定装置は、日立メディコ社製、AIRIS IIを用い、仰臥位にて臍位横断面を測定した。得られたMRI画像(第I期:図5〜図12、第II期:図13〜図20)について、面積計算ソフト(NIH Image Image J Version 1.38x)を用い、自動的に画像の濃淡で計算される内臓脂肪面積、総脂肪面積を求め、総脂肪面積から内蔵脂肪面積を差し引いて皮下脂肪面積の算出を行なった(各3回の平均値)。得られた脂肪面積の算出結果は、被験者の体重、BMIの推移と共に表5に示した。
【0040】
【表5】
【0041】
表5に示した試験結果について、I期の介入前後を比較すると、内臓脂肪面積は平均値で48.3cm2 から45.3cm2 に有意に減少した(paired t test,p=0.017)。しかも、この減少は被験者の4名全員で認められた(図21)。皮下脂肪面積(図21)、身体活動量(図22)、体重(図23)、エネルギー摂取量(図24)はいずれも各介入期間中およびI期、II期の間に有意差を認めなかった。 これらの結果を総合すると、内臓脂肪の減少がエネルギー摂取量や消費量によって起こったのではなく、咀嚼やヒスチジン経口負荷によってヒスタミン神経系が賦活化され、内臓脂肪分解が亢進したことを示唆する。
たんばく質およびヒスチジンはII期および介入前に比べ、咀嚼用試験食(実施例5鰹加工食品)を負荷したI期で有意に高値を示した。しかし、脂質、炭水化物とも各期間に有意差は認めなかった(図24)。
なお、VAS法による満腹度、HRV、ウエスト周囲径は、I期、II期ともにいずれの期間も有意な変動を認めなかった。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の鰹加工食品及び比較参考例の硬さについての測定結果を示すグラフである。
【図2】本発明の鰹加工食品及び比較参考例について、水分含量と硬さ(筋肉繊維の延びる方向に垂直)の関係を示すグラフである。
【図3】本発明の鰹加工食品及び比較参考例について、水分含量と硬さ(筋肉繊維の延びる方向に平行)の関係を示すグラフである。
【図4】本発明の鰹加工食品を用いた内臓脂肪への影響検討実験のデザインを示す説明図である。
【図5】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図6】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図7】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図8】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図9】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図10】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図11】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図12】内臓脂肪への影響検討実験、第I期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図13】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図14】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m1)を示す図面代用写真である。
【図15】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図16】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m2)を示す図面代用写真である。
【図17】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図18】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m3)を示す図面代用写真である。
【図19】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入前におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図20】内臓脂肪への影響検討実験、第II期介入後におけるMRI測定結果の一例(被験者ID:m4)を示す図面代用写真である。
【図21】内臓脂肪への影響検討実験、第I期、第II期各介入前後における内臓脂肪面積、皮下脂肪面積の変動を示すグラフである。
【図22】内臓脂肪への影響検討実験、第I期、第II期各介入中におけるエネルギー消費量の変動を示すグラフである。
【図23】内臓脂肪への影響検討実験、第I期、第II期各介入前後における体重のの変動を示すグラフである。
【図24】内臓脂肪への影響検討実験、実験開始前及び、第I期、第II期各介入中における栄養素等摂取量を示す説明図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鰹(スズキ目サバ亜目カツオ属)の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程を任意の順序で行い、且つ、少なくともb)加熱工程を経た後にc)乾燥工程を行い、水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片でなることを特徴とする鰹加工食品。
【請求項2】
前記a)切断工程は、前記鰹肉片の筋肉繊維束が積層された辺が0.5〜3cmで他辺が筋肉繊維束が積層された辺以上の大きさに角切りすることを特徴とする請求項1に記載の鰹加工食品。
【請求項3】
前記b)加熱工程は、水を加えて煮ることを特徴とする請求項1又は2に記載の鰹加工食品。
【請求項4】
少なくとも前記a)切断工程、b)加熱工程を経た後に、さらにd)圧縮工程を行って前記鰹肉片を押し潰してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鰹加工食品。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の鰹加工食品を、メタボリックシンドロームの予防又は治療に用いることを特徴とする鰹加工食品の使用方法。
【請求項6】
前記メタボリックシンドロームの予防又は治療が、内臓脂肪の分解作用によるものであることを特徴とする請求項5に記載の鰹加工食品の使用方法。
【請求項1】
鰹(スズキ目サバ亜目カツオ属)の生肉を、a)切断工程、b)加熱工程を任意の順序で行い、且つ、少なくともb)加熱工程を経た後にc)乾燥工程を行い、水分を22重量%以上、43重量%以下とした鰹肉片でなることを特徴とする鰹加工食品。
【請求項2】
前記a)切断工程は、前記鰹肉片の筋肉繊維束が積層された辺が0.5〜3cmで他辺が筋肉繊維束が積層された辺以上の大きさに角切りすることを特徴とする請求項1に記載の鰹加工食品。
【請求項3】
前記b)加熱工程は、水を加えて煮ることを特徴とする請求項1又は2に記載の鰹加工食品。
【請求項4】
少なくとも前記a)切断工程、b)加熱工程を経た後に、さらにd)圧縮工程を行って前記鰹肉片を押し潰してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の鰹加工食品。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の鰹加工食品を、メタボリックシンドロームの予防又は治療に用いることを特徴とする鰹加工食品の使用方法。
【請求項6】
前記メタボリックシンドロームの予防又は治療が、内臓脂肪の分解作用によるものであることを特徴とする請求項5に記載の鰹加工食品の使用方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2010−11816(P2010−11816A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176281(P2008−176281)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「第16回 西日本肥満研究会プログラム・抄録集」、平成20年6月12日 第16回西日本肥満研究会発行
【出願人】(000126089)株式会社にんべん (8)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 「第16回 西日本肥満研究会プログラム・抄録集」、平成20年6月12日 第16回西日本肥満研究会発行
【出願人】(000126089)株式会社にんべん (8)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]