説明

黄色度の低下したポリエステル/ポリカーボネートブレンド

【課題】安定化の必要性のない、黄色度が低下したポリエステル/ポリカーボネートブレンドを提供する。
【解決手段】元素チタン1〜30ppmの量のチタン含有触媒化合物及び、場合によっては、更に、ポリエステルの酸成分がジカルボン酸ジエステルから得られる場合に、使用する活性元素1〜150ppmの量のエステル交換触媒の存在下において(前記ppmはポリエステルの総重量に基づく)(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を存在させることなく)、前記ポリエステルを製造することを含んでなり、前記ポリエステルが40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜60モル%のエチレングリコール及び0〜20モル%の、炭素数3〜12の他のジオールからの反復単位を含むジオール成分を含んでなり、前記酸成分の総モル%が100モル%であり且つ前記ジオール成分の総モル%が100モル%である熱可塑性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリエステル/ポリカーボネートブレンド、更に詳しくは、ポリエステルの製造に使用される触媒によってもたらされる、黄色度が低下しかつ熱安定性及び溶融安定性が増大した前記ブレンドに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリエステル/ポリカーボネートブレンドから製造される熱可塑性組成物は知られている。例えば非特許文献1は、ポリカーボネートと、テレフタル酸及び1,4−シクロヘキサンジメタノールとエチレングリコールとの混合物を基剤とするポリエステルとのブレンドを開示している。同様なブレンドは、特許文献1及び2に開示されている。ポリカーボネートと別の群のポリエステルとのブレンド、即ち、テレフタル酸とイソフタル酸との混合物及び1,4−シクロヘキサンジメタノールに基づくポリエステルとのブレンドは特許文献3及び4に開示されている。特許文献5は、ポリカーボネートと、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び6員ヘキサ炭素環式ジカルボン酸とのブレンドを開示している。Mohnらは、1,4−シクロヘキサンジメタノール及びテレフタル酸又はテレフタル酸/イソフタル酸を基剤とするポリエステルとポリカーボネートとのブレンドの熱的性質について報告し[非特許文献2]、2つの系の間に挙動のごくわずかな差があるという結論を下した。特許文献6は、18g/10分超のメルトフローインデックスを有するポリカーボネートと、フタル酸並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール及びエチレングリコールのジオール部分から得られたポリエステルとのブレンドを記載している。ブレンドに使用されるポリエステルの合成に関しては、前記特許はいずれも特許文献7をもっぱら参照している。特許文献7は、ポリエステルの製造におけるエステル交換触媒の使用については教示しているが、個々の触媒の型又は触媒レベルは特定していない。特許文献7中の54のポリエステル例は、チタンを基剤とする触媒の使用を示す。これらの例中のチタン濃度は一様に35百万分率(ppm)より高く、典型的には50〜200ppmの範囲である。
【0003】
特許文献8は、ポリカーボネート並びに脂環式二酸及び脂環式ジオールを基剤とするポリエステルを含むブレンドに由来する光記憶装置用の製品を開示する。特許文献8は、ポリエステルは一般に、チタン基剤触媒系を適当な量で、典型的には最終製品に基づきチタン50〜200ppmで用いてポリエステルを製造することを教示し、ポリエステルの合成に関しては特許文献9及び10を参照している。特許文献9は、アルカリ触媒金属を用いたポリエステルの製造を開示しており、特許文献10は、アンチモン触媒系を用いたポリエステルの製造を開示しているが、いずれも個々の触媒レベルを特定していない。
【0004】
ポリエステルとポリカーボネートとの溶融ブレンド時には相互作用が起こる。これらの相互作用は、溶融粘度、結晶化度、色に変化をもたらし、気体副生成物を生成する可能性がある。詳細には、無色のポリカーボネート及び無色のポリエステルとの溶融ブレンド時に黄色が生じる。これらの不都合な相互作用は一般に、安定化剤、典型的にリンを基剤とする化合物の使用によって制御される。特許文献3;特許文献4;特許文献1;特許文献2;特許文献8;特許文献6はそれぞれ、安定剤の使用を教示している。特許文献1は、ブレンド組成物がホスファイト、ホスフェート、エポキシド又はそれらの組合せのような安定剤を含むことができると述べている。ポリエステル/ポリカーボネートブレンド中におけるリン基剤安定剤の使用は更に、特許文献11及び12に開示されている。特許文献13は、メタフォスフェート繊維によって安定化された改良ポリエステル/ポリカーボネートブレンドを開示している。特許文献14は、脂肪族及び芳香族ホスファイト化合物の組合せによって改良されたポリエステル/ポリカーボネートブレンドを開示している。特許文献15は、特定の環状エーテル基剤ホスファイトの添加によって改良されたポリエステル/ポリカーボネートブレンドについて特許請求をしている。特許文献16は、オルガノシリケートによって安定化された改良ポリエステル/ポリカーボネートブレンドを開示している。特許文献17は、シリルホスフェートで安定化された改良ポリエステル/ポリカーボネートブレンドを開示している。特許文献18は、5 YI単位又はそれ以下の黄色度指数(YI)をもたらす着色を防ぐためには、ブレンドは有効量の安定剤、典型的にリン基剤安定剤を含まなければならないことを教示している。しかし、特許文献19に記載されるように、高い安定剤濃度は、ポリエステル/ポリカーボネートブレンドの性能に対して悪影響があることが知られている。従って、ポリエステル/ポリカーボネートブレンドに必要な安定化レベルを減少させることは有利であろう。
【0005】
純粋なポリエステルの改良のための、ポリエステル触媒の型及びレベルの変化は先行技術、例えば、特許文献20において幅広く言及されているが、その結果得られるポリエステル/ポリカーボネートブレンドの性質に対する触媒の型及びレベルのメリットについてはほとんど言及されていない。特許文献21は、安定剤を添加せずに、錫基剤エステル交換触媒を用いて改良された、Gardner b値が6未満の改良ポリエステル/ポリカーボネートブレンドを開示する。特許文献21は、チタン基剤触媒を用いて製造されたポリエステルとポリカーボネートとの、安定剤を含まないブレンドは典型的に黄色を形成し、Gardner bカラー値が概ね20超であることを教示している。特許文献21において特許請求された、ポリカーボネートとブレンドするためのポリエステルは、テレフタル酸及びイソフタル酸の酸部分並びに炭素数3〜20の脂肪族ジオールのジオール部分から得られる。錫基剤触媒とエチレングリコールとの間の相互作用は純粋ポリエステル中において、続いてポリカーボネートとのブレンド中において着色を引き起こし、そのために炭素数2のジオールが除外される。特許文献22は、リン及びチタン化合物を含むポリエステルエステル化触媒を用いることによって、強度の増大及び加工時間の短縮に関連して改良されたポリエステル/ポリカーボネートブレンドを開示する。触媒は、ポリエステルの製造において二酸及びジオールのエステル化過程において重縮合前に添加される。チタン触媒は、元素チタン50ppm超の、先行技術に典型的な量である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,786,692号
【特許文献2】米国特許第5,478,896号
【特許文献3】米国特許第4,188,314号
【特許文献4】米国特許第4,391,954号
【特許文献5】British Patent Specification 1,599,230(1980年1月16日刊行)
【特許文献6】米国特許第6,323,291号
【特許文献7】米国特許第2,901,466号
【特許文献8】米国特許第6,221,556号
【特許文献9】米国特許第2,465,319号
【特許文献10】米国特許第3,047,539号
【特許文献11】米国特許第3,953,539号
【特許文献12】米国特許第4,088,709号
【特許文献13】米国特許第4,981,898号
【特許文献14】米国特許第5,254,610号
【特許文献15】米国特許第5,491,179号
【特許文献16】米国特許第5,502,119号
【特許文献17】米国特許第5,922,816号
【特許文献18】米国特許第6,221,556号
【特許文献19】米国特許第5,354,791号
【特許文献20】米国特許第5,886,133号
【特許文献21】米国特許第5,239,020号
【特許文献22】米国特許第5,453,479号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Research Disclosure 22921、May 1983
【非特許文献2】J.Appl.Polym.Sci.,23,575(1979)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このため、安定化の必要性のない、又は低下された安定化レベルの、黄色度が低下したポリエステル/ポリカーボネートブレンドが当業界で必要とされている。従って、このようなポリエステル/ポリカーボネートを提供することが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ポリエステル/ポリカーボネートブレンドの熱可塑性組成物は、低下した黄色度並びに改良された熱安定性及び溶融安定性を有する。このような予想外の改良は、低下したチタン触媒レベルで生成されたポリエステルを用いてブレンドを製造することによって達成される。最終用途のカラー要件に応じて、本発明のポリエステル/ポリカーボネートブレンドは、従来の安定化化合物の不存在下において使用でき、それによって安定化化合物を組み入れる工程及びコストを排除できる。更に、このようなブレンドのb*黄色の更なる低下は、最終用途要件にもよるが、従来の使用濃度よりもはるかに低い濃度で安定化化合物を添加することによって達成できる。チタンレベルの低いポリエステル/ポリカーボネートブレンドは黄色度が低下し、必要であるとしても、これらのb*カラーの低下に必要な安定化レベルは、先行技術の対応する、チタンレベルの高いポリエステル/ポリカーボネートブレンドに比較して低い。
【0010】
更に詳しくは、ポリエステルとポリカーボネートとの配合ブレンドを含む熱可塑性組成物において、改良は、元素チタン約1〜約30ppmの量(ppmはポリエステルの総重量に基づく)のチタン含有触媒化合物の存在下でポリエステルを製造することを含む。場合によっては、ポリエステルの酸性成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合には、活性元素約1〜約150ppmの量のエステル交換触媒を使用する。
【0011】
あるいは、約1〜約99重量%のポリエステルと約99〜約1重量%のポリカーボネートとのポリマー混合物を含む熱可塑性組成物において、改良は、(i)元素チタン約1〜約30ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン約1〜約150ppmの量の前重縮合リン含有化合物、及び(iii)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合には使用される、活性元素約1〜約150ppmの量(ppmはポリエステルの総重量に基づく)のエステル交換触媒の触媒残基を含むポリエステルを含む。
【0012】
別の実施態様において、熱可塑性組成物は、改良は、
(a)(i)約80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの混合物及び0〜約20モル%の、炭素数約4〜約40の他のジカルボン酸単位からの反復単位を含む酸成分(酸成分の総モル%は100モル%である)並びに
(ii)約40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜約60モル%のエチレングリコール、及び0〜約20モル%の、炭素数3〜約12の他のジオール単位からの反復単位を含んでなるジオール成分(ジオール成分の総モル%は100モル%である);
を含むポリエステル約1〜約99重量%;と
(b)4,4−イソプロピリデンジフェノールのポリカーボネート約99〜約1重量%との混和性ブレンドを含み、前記ポリエステルが、(i)元素チタン約1〜約20ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン約1〜約150ppmの量の前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物約1〜約10ppm(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素約1〜約150ppmの量のエステル交換触媒の触媒残基を含む点にある。
【0013】
更に別の実施態様において、熱可塑性組成物は、テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からの反復単位を含む酸成分並びに約40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約0〜約60モル%のエチレングリコールからの反復単位を含んでなるジオール成分からなるポリエステル(100モル%の酸成分及び100モル%のジオール成分に基づく)約1〜約99重量%と4,4−イソプロピリデンジフェノールのポリカーボネート約99〜約1重量%との混和性ブレンドを含む。改良は、以下のことを含む:
【0014】
(1)前記ポリエステルを、(i)元素チタン約1〜約15ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン約45〜約100ppmの前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物約1〜約5ppm(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素約10〜約65ppmの量のエステル交換触媒から本質的になる触媒の存在下(ppmはポリエステルの総重量に基づく)で製造すること、並びに
(2)前記混和性ブレンドが脂肪族ホスファイト化合物、芳香族ホスファイト化合物又はそれらの混合物からなる群から選ばれた、前記ブレンド総重量%の基づき約0.05〜約0.15重量%の後重縮合リン含有化合物を含む。
【0015】
更に別の実施態様において、ポリエステルとポリカーボネートとのブレンドの製造方法は、
(a)(i)少なくとも1種の芳香族、脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸の二酸又はエステル誘導体(前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数が6〜20であり、前記脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸の脂肪族部分若しくは脂環式部分は炭素数が3〜20である)100モル%と、少なくとも1種の炭素数2〜20の脂肪族、脂肪族エーテル若しくは脂環式ジオール100モル%とを、二酸のエステル化又はエステル誘導体のエステル交換を行うのに充分な温度及び圧力において反応させ;そして
(ii)工程(i)の生成物を、重縮合を行うのに充分な温度及び圧力において、元素チタン約1〜約30ppmの量のチタン含有触媒化合物の存在下(ppmはポリエステルの総重量に基づく)で重縮合する
ことによってポリエステルを生成せしめ;そして
(b)工程(a)のポリエステル約1〜約99重量%をポリカーボネート約99〜約1重量%と配合して(重量%は前記ブレンドの総重量に基づく)ブレンドを形成する
工程を含む。
【0016】
更に別の実施態様において、熱可塑性組成物の製造方法は、
(a)(i)酸成分100モル%に基づき、約80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からの反復単位を含んでなる酸成分;
(ii)ジオール成分100モル%に基づき、約40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約0〜約60モル%のエチレングリコールからの反復単位を含んでなるジオール成分;並びに
(iii)元素チタン約1〜約20ppmの量のチタン含有触媒化合物、元素リン約1〜約100ppmの量の前重縮合リン含有化合物及び酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合には、場合によっては更に活性元素約1〜約150ppmの量のエステル交換触媒(ppmはポリエステルの総重量に基づく)の残基
を含んでなるポリエステル約1〜約99重量%;と
(b)ポリカーボネート約99〜約1重量%
とを配合する工程を含む。
【0017】
本発明の更に別の実施態様において、ポリエステル組成物は、
(a)テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からの反復単位を含む酸成分;
(b)1,4−シクロヘキサンジメタノール約40〜100モル%及びエチレングリコール約0〜約60モル%からの反復単位を含むジオール成分;並びに
(c)(i)元素チタン約1〜約15ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン約45〜約100ppmの前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物約1〜約5ppmの(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素約10〜約65ppmの量のエステル交換触媒から本質的になる触媒残基(酸成分は100モル%の基づき、ジオール成分も100モル%に基づき、ppmはポリエステルの総重量に基づく)を含む。好ましくは、ポリエステルは、テレフタル酸約95〜100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール約58〜約66モル%及びエチレングリコール約42〜約34モル%を含む。また、好ましくは、ポリエステルは、1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%、イソフタル酸約22〜約30モル%及びテレフタル酸約78〜約70モル%を含む。
【発明を実施するための形態】
【0018】
成型品、フィルム及びシートの製造に使用される本発明の熱可塑性組成物は、ポリエステルとポリカーボネートとのポリマー混合物を含む。ポリエステル用の触媒の変化により、その結果得られる、ポリエステル及びポリカーボネートとの配合ブレンドは、黄色度が低下し(即ち、b*ペレットカラー約6.0〜約−2.0)、熱安定性及び溶融安定性が改良されている。これらの改良は意外にも、元素チタン約1〜約30ppmの量のチタン含有触媒触媒の存在下でポリエステルが製造された、ポリエステルとポリカーボネートとの配合ブレンド中で達成される。好ましくは、元素チタンの量は約1〜約20ppm、より好ましくは約1〜約15ppmであり、ppmはポリエステルの総重量に基づく。場合によっては、ポリエステル酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合には、活性元素約1〜約150ppmの量のエステル交換触媒をポリエステルの製造に使用する。本発明における元素チタンのこのレベルは、典型的には元素チタン50ppm又はそれ以上を含むポリエステルを用いて製造された先行技術のポリエステル/ポリカーボネートブレンドに比較して低い。実施例中に示す通り、チタンレベルを約50ppmから約20ppm未満に低下させても、純粋なポリエステルにおいて黄色度、熱安定性及び溶融安定性に関しては得られる改良はわずか、ないしは全くない。しかし、意外なことに、黄色度の有意な低下並びに熱安定性及び溶融安定性の改良は、従来のより高いレベル(元素Ti50ppm超)のチタン含有触媒化合物を用いて製造されたポリエステルを用いた、対応するポリエステル/ポリカーボネートブレンドに比較して、低いレベル(元素Ti30ppm未満)のチタン含有触媒化合物を用いて製造されたポリエステルを用いてポリエステル/ポリカーボネートブレンドを形成することによって得られる。更に、本発明のポリエステル/ポリカーボネートブレンドには、色を更に低下させるための安定化は、必要であるとしてもより少ない。
【0019】
好ましくは、配合ブレンドは更に、配合ブレンドの総重量に基づき、元素リン約0.01〜約500ppmの量のリン含有化合物を更に含んでなる。リン含有化合物は、ポリエステルの製造過程において重縮合前に添加できる(即ち、前重縮合リン)。前重縮合リンは、ポリエステルの重量に基づき約10〜約100ppmの量で存在する。また、リン含有化合物は、ポリエステルの製造過程において重縮合後に又はポリエステル/ポリカーボネートブレンドの製造過程において添加できる(即ち、後重縮合リン)。後重縮合リンは、約10〜約350ppmの量で、好ましくは約50〜約150ppmの量で存在する(ppmは配合ブレンドの総重量に基づく)。
【0020】
本発明の一実施態様は、約1〜約99重量%のポリエステルと約99〜約1重量%のポリカーボネートとのポリマー混合物を含んでなる熱可塑性組成物である。改良は、ポリカーボネートと組合せて使用される特定のポリエステル組成物にある。このポリエステルは、(i)元素チタン約1〜約30ppmの量のチタン含有触媒及び(ii)元素リン約1〜約150ppmの量の前重縮合リン含有化合物の残基を含む。場合によっては、(iii)酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合には、活性元素約1〜約150ppmの量のエステル交換触媒を使用する。前記ppmは全て、ポリエステルの総重量に基づく。
【0021】
ポリマー混合物において、ポリエステルは好ましくは約10〜約90重量%、より好ましくは約20〜約80重量%の範囲の量で存在する。ポリカーボネートは、約90〜約10重量%、好ましくは約80〜約20重量%の範囲の量で存在する。重量%は、総熱可塑性組成物又はポリマー混合物の重量に基づく。
【0022】
ポリエステル
本発明には任意のポリエステルを使用できる。ポリマー混合物中に使用する個々のポリエステルの決定は、混和性と不混和性のいずれの配合ブレンドが望ましいかよる。
【0023】
本発明によれば、全ての実施態様に関して、ポリエステルは触媒として元素チタン約1〜約30ppm、好ましくは約1〜約20ppm、より好ましくは約1〜約15ppmの量のチタン含有化合物を含んでなる。チタン含有化合物は、エステル化及び/又は重縮合触媒として有用である。
【0024】
チタン含有化合物は好ましくはアルキルチタネートである。代表的な化合物としては以下のものが挙げられる:アセチルトリイソプロピルチタネート、チタンテトライソプロポキシド、チタングリコレート、チタンブトキシド、ヘキシレングリコールチタネート、テトライソオクチルチタネート、チタンテトラメチレート、チタンテトラブチレート、チタンテトライソプロピレート、チタンテトラプロピレート、テトラブチルチタネートなど。好ましいアルキルチタネートはアセチルトリイソプロピルチタネートである。好ましくは、残基はテトライソプロピルチタネートからの元素チタン約1〜約20ppmを含んでなる。
【0025】
本発明の各実施態様に好ましい代表的なポリエステルにおいて、ポリエステルの酸成分は、少なくとも1種の芳香族、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸からの反復単位を含んでなり、前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数が6〜20であり、前記脂肪族又は脂環式ジカルボン酸の脂肪族又は脂環式部分は炭素数が3〜20である。有用な脂肪族ジカルボン酸の例は、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,4−、1,5−及び2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、及びcis−又はtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸である。有用な芳香族ジカルボン酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸、トランス3,3’−及びtrans−4,4−スチルベンジカルボン酸、4,4’−ジベンジル−ジカルボン酸、1,4−、1,5−、2,3−、2,6−及び2,7−ナフタレンジカルボン酸である。酸の対応するエステル、酸無水物及び酸塩化物は本発明に使用する酸と等価である。好ましいジカルボン酸は、テレフタル酸及びイソフタル酸又はそれらの混合物である。
【0026】
各実施態様に好ましい代表的なポリエステルにおけるポリエステルのジオール成分は、炭素数2〜20、好ましくは2〜8の少なくとも1種の脂肪族、脂肪族エーテル又は脂環式ジオールからの反復単位を含んでなる。有用なジオールの例は、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−、1,3−、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール、及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオールである。好ましいジオールは、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール又はそれらの混合物である。
【0027】
混和性ブレンドである熱可塑性組成物を製造するために、酸成分はテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの混合物約80〜100モル%及び炭素数約4〜約40の他のジカルボン酸単位0〜約20モル%からの反復単位を含んでなる。本発明において使用するのに適当な他のジカルボン酸の例は、スルホイソフタル酸、スルホジ安息香酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、スベリン酸、ダイマー酸、ドデカン二酸など、又はそれらの混合物である。ジオール成分は、約40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜約60モル%のエチレングリコール、及び炭素数3〜約12の他のジオール単位0〜約20モル%からの反復単位を含んでなる。本発明において使用するのに適当な他のジオールの例は、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、ジエチレングリコールなど、又はそれらの混合物である。前記ポリエステルは、100モル%の酸成分及び100モル%のジオール成分に基づく。
【0028】
混和性ブレンドの製造に好ましいポリエステルは、テレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物からの反復単位及び1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレングリコール又はそれらの混合物からの反復単位を含んでなる。
【0029】
最も好ましくは、混和性ブレンドに使用されるポリエステルは、テレフタル酸約95〜100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール約58〜約66モル%及びエチレングリコール約42〜約34モル%を含んでなる。別の最も好ましいポリエステルは、1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%、イソフタル酸約22〜約30モル%、及びテレフタル酸約78〜約70モル%を含んでなる。
【0030】
ポリエステルの製造に使用する1,4−シクロヘキサンジメタノール及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸部分は、トランス異性体、シス異性体又は異性体のトランス/シス混合物であることができる。任意のナフタレンジカルボン酸異性体又は異性体混合物を使用できるが、1,4−、1,5−、2,6−及び2,7−異性体が好ましい。
【0031】
ポリエステルは典型的には2工程で製造する。第1工程は、二酸をジオールと反応させる場合には直接エステル化を、又は二酸のジアルキルエステルをジオールと反応させる場合にはエステル交換を含む。エステル化にはエステル化触媒を使用する。好ましくは、チタン基剤触媒化合物を使用する。ジアルキルエステルを使用する場合には、エステル交換触媒を使用する。好ましくは、マンガン又は亜鉛基剤触媒化合物をエステル交換に使用し、それは約10〜約65ppmで存在する。第1工程の後、目的生成物は次に、目的分子量(一般にインヘレント粘度(IV)として測定)まで重縮合を受ける。ポリエステルの製造プロセスの間に、リン含有化合物は典型的には工程1と工程2の間に添加して、工程1からの触媒が重縮合過程において関わらないようにエステル化又はエステル交換触媒の活性を制御する。これらのリン含有化合物は、本明細書中において、下記の後重縮合リンから区別されるように前重縮合リンと称する。
【0032】
本発明のポリエステルの製造に使用する適当な前重縮合リン含有化合物としては、ホスフェート、有機リン酸エステル、有機亜リン酸エステル、リン酸、二リン酸、ポリリン酸、ホスホン酸及び前記全ての置換誘導体が挙げられるがこれらに限定されない。
【0033】
リン酸誘導体の特別な例は、「PHMエステル」、即ち、式Iのオキシアルキル化アルキルヒドロキシアルキルリン酸エステル又は式IIのホスホン酸エステルである:
【0034】
【化1】

【0035】
[式中、残基R1は同一又は異なるアルキル、ヒドロキシアルキル又はアルコキシル化ヒドロキシル残基である];
【0036】
【化2】

【0037】
[式中、R1は同一又は異なる一価アルキル残基であり、R2は二価アルキル残基である]。
【0038】
本発明のポリエステルの製造において前重縮合リン含有化合物としての使用に適当なリン酸エステルとしては、エチル酸ホスフェート(ethyl acid phosphate)、ジエチル酸ホスフェート(diethyl acid phosphate)、アリールアルキルホスフェート及びトリアルキルホスフェート、例えばトリエチルホスフェート及びトリス−2−エチルヘキシルホスフェートが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい前重縮合リン含有化合物はリン酸エステルである。
【0039】
好ましくは、本発明の各実施態様のポリエステルは、得られるポリエステルに所望の無彩色を与えるトナーを含む。着色剤を組み込む好ましい方法は、着色剤が共重合され且つポリエステル中に混和されて、ポリエステルの色相を改良するように、反応性末端基を有する熱安定性有機着色化合物を含む着色剤を使用することである。例えば反応性ヒドロキシル又はカルボキシル基を有する染料のような着色剤(青色又は赤色置換アントラキノンを含むがこれらに限定されない)をポリマー鎖に共重合させることができる。適当な着色剤及び染料(又は色素)は、米国特許第4,521,556号;第4,740,581号;第4,749,772号;第4,749,773号;第4,749,774号;第4,950,732号;第5,252,699号;第5,384,377号;第5,372,864号;第5,340,910号;及び第5,681,918号に記載されており、これらを引用することによってその全体を本明細書中に取り入れる。色素を着色剤として使用する場合には、それらはエステル交換又はエステル化反応中又は後に添加できる。色素の総量は一般に約1〜約10ppmである。少量のコバルトもトナー材料として使用できる。このような場合、コバルトはトナー及びポリマー増成触媒の両方として働く。
【0040】
より好ましい実施態様において、ポリエステルは更に、少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物約1〜約10ppm、好ましくは約1〜約5ppmのトナー残基を含んでなり、前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む。
【0041】
本発明のポリエステルのインヘレント粘度は、ASTM Test Method D2857−70に従って測定した場合、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%から成る溶媒混合物中で25℃において約0.3〜約1.5dl/gの範囲であることができ、好ましい範囲は約0.6〜約1.2dl/gである。
【0042】
ポリエステルは、公知の回分又は連続操作を用いて従来の重縮合法によって製造できる。代表的な方法としては、ジオールによる酸の直接縮合、又は酸の低級アルキルエステルを用いたエステル交換が挙げられる。例えばテレフタル酸ジメチルのようなテレフタル酸ジアルキルは、エステル交換触媒の存在下において高温でジオールによってエステル交換する。1つの適当な方法としては、約100〜約315℃及び約0.1〜760mmHgにおいて、ポリエステルを形成するのに充分な時間、酸をジオールと反応させる工程を含む。ポリエステルを製造するための個々の方法については、米国特許第2,901,466号及び第3,772,405号を引用し、それらの内容を引用によって本明細書中に取り入れる。ポリエステルはまた、更なる分子量増成のために固相重合法に供することもできる。
【0043】
後重縮合リン添加
本発明の配合ポリエステル/ポリカーボネートブレンドは、同様な従来のブレンドよりも黄色度が低下しているが、微小の黄色着色がまだ存在する場合がある。より無彩色を必要とする用途の場合には、黄色着色は、ブレンド安定剤、典型的にはリン含有化合物をブレンドに添加することによって更に抑制できる。
【0044】
このリン含有化合物は、ポリエステルの製造中においてポリエステルの重縮合後に又はポリエステル/ポリマーブレンドの配合中に添加し、ポリエステルの形成中に添加されるリン含有化合物とは区別される。好ましくは、本発明の熱可塑性組成物は、約0.01〜約0.35重量%、好ましくは約0.05〜約0.15重量%の後重縮合リン含有化合物を含む。実施例5に示されるように。本発明のブレンドに関してより無彩色(ゼロに等しいb*)を得るのに必要な後重縮合リン含有化合物のレベルは、先行技術の相当するブレンドに典型的に必要とされるレベルよりもかなり低い。具体的には、ポリエステル中に高レベルのチタンを有する従来のブレンドは、ブレンド安定剤をわずか0.05重量%しか必要としない低レベルのチタンを含む、本発明の相当するブレンドと同一黄色度(b*約1.3)に達するのに同一ブレンド安定剤を0.15重量%必要とする。
【0045】
本発明のポリエステル/ポリカーボネートブレンドに使用するのに適当な後重縮合リン含有化合物としては、以下のものが挙げられるがこれらに限定するものではない。
(a)
【0046】
【化3】

【0047】
又は
(b)
【0048】
【化4】

【0049】
[式中、R1、R2及びR3はそれぞれ、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基又はOR基(式中、Rは水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基及び炭素数7〜20のアリールアルキル基である)を表し;R1、R2及びR3は互いに異なることもできるし、あるいはR1、R2及びR3の少なくとも2つが同一であることもできるし、あるいはR1、R2及びR3の少なくとも2つが環を形成することもできる]
及びこれらのリン化合物の金属塩;
(c)
【0050】
【化5】

【0051】
[式中、R1は炭素数2〜12の二価アルキル基又は炭素数6〜15の二価アリール基を表し;R2及びR3は炭素数2〜18の一価アルキル基、又は炭素数6〜15の一価アリール又は置換アリール基である];
(d)
【0052】
【化6】

【0053】
[式中、R1は、炭素数2〜12の二価アルキル若しくはポリ(アルキレンオキシド)基又は炭素数6〜15の二価アリール若しくは置換アリール基を表す];
並びに
(e)
【0054】
【化7】

【0055】
[式中、R1及びR2は、炭素数2〜18の一価アルキル基、又は炭素数6〜15の一価アリール若しくは置換アリール基を表す]。
式(e)の好ましい後重縮合リン含有化合物は、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(R1及びR2はC1837である)である。
【0056】
これらの安定剤は単独で又は組合せて使用できる。これらの安定剤は、ポリエステル/ポリカーボネート混合物の形成前にポリカーボネート若しくはポリエステルに、ポリエステル/ポリカーボネート混合物の形成過程において、ポリエステル/ポリカーボネートブレンドを生成するためのポリエステル/ポリカーボネート混合物の配合中に添加できる。個々の化合物の安定剤としての使用適性及び安定剤と使用すべき量の決定は、ポリエステル成分、ポリカーボネートの混合物をその化合物を用いて又は用いずに製造し且つ溶融粘度又は色彩安定性に対する効果を判定することによって容易に決定できる。
【0057】
ポリカーボネート
任意のポリカーボネートを本発明に使用できる。好ましいポリカーボネートは二価フェノールをホスゲン又はジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体と反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートである。
【0058】
使用する二価フェノールは公知であり、反応性基はフェノール性ヒドロキシル基であると考えられる。使用する二価フェノールのいくつかの代表的なものは以下の通りである:ビスフェノール、例えば、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)、3,3,5−トリメチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、2,4−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチル−ブタン、1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α,α’−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,2−ビス−(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、2,2−ビス−(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−メタン、2,2−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホキシド、ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−スルホン、ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−シクロヘキサン、α、α’−ビス−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン及び4,4’−スルホニルジフェノール。他の二価フェノールとしては以下のものを挙げられるかもしれない:ヒドロキノン、レソルシノール、ビス−(ヒドロキシフェニル)−アルカン、ビス−(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス−(ヒドロキシフェニル)−ケトン、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホキシド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルフィド、ビス−(ヒドロキシフェニル)−スルホン、及びα、α−ビス−(ヒドロキシフェニル)ジイソプロピルベンゼン並びにそれらの核アルキル化化合物。これら及びその他の適当な二価フェノールは、例えば米国特許第2,991,273号;第2,999,835号;第2,999,846号;第3,028,365号;第3,148,172号;第3,153,008号;第3,271,367号;第4,982,014号;第5,010,162号に記載されており、これら全てを引用することによって本明細書中に取り入れる。本発明のポリカーボネートは、それらの構造中に、1種又はそれ以上の適当なビスフェノールから得られる単位を含むことができる。最も好ましい二価フェノールは、2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン(ビスフェノールA)である。
【0059】
ポリカーボネート前駆体は、典型的には、ハロゲン化カルボニル、ジアリールカーボネート、又はビスハロホルメートである。ハロゲン化カルボニルとしては、例えば臭化カルボニル、塩化カルボニル及びそれらの混合物が挙げられる。ビスハロホルメートとしては、二価フェノールのビスハロホルメート、例えば2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパン、ヒドロキノンのビスクロロホルメートなど、又はグリコールのビスハロホルメートなどが挙げられる。前記カーボネート前駆体は全て有用であるが、ホスゲンとしても知られる塩化カルボニル、及びジフェニルカーボネートが好ましい。
【0060】
ポリカーボネートは、エステル交換、溶融重合及び界面重合を含む、種々の従来型の公知方法によって製造できる。ポリカーボネートは一般に、メルト又は溶液中で二価フェノールをホスゲン、ハロホルメート又は炭酸エステルのようなカーボネート前駆体と反応させることによって製造する。本発明のポリカーボネートを製造するための適当な方法は、米国特許第2,991,273号;第2,999,846号;第3,028,365号;第3,153,008号;第4,123,436号に記載されており;その全てを引用することによって本明細書中に取り入れる。
【0061】
本発明のポリカーボネートは、ゲル透過クロマトグラフィーによって測定された重量平均分子量が約10,000〜200,000、好ましくは10,000〜80,000であり、ASTM D−1238による300℃における、それらのメルトフローインデックスは約1〜100g/10分、好ましくは約2〜80g/10分である。ポリカーボネートは分岐又は非分岐のいずれでもよい。ポリカーボネートは、種々の公知末端基を有することができると考えられる。本発明に使用するのに適当なポリカーボネートは公知であり、一般に市販されている。
【0062】
ブレンド
ブレンドは、1種より多いポリエステル及び1種より多いポリカーボネートを含むことができ、公知の従来の加工法、例えば、溶融ブレンド又は溶液ブレンドによって製造できる。
【0063】
ブレンドは、一軸又は二軸スクリュー押出機上で溶融ブレンドして均一ブレンドを形成し、次いで押出し、そしてペレット化されたペレット混合物を作ることによって製造できる。これらの溶融ブレンドされたペレットは次に、再溶融し、押出してフィルム、シート材料、若しくは形材を形成するか、又は射出成形して造形品を形成することができる。あるいは、ポリエステル及びポリカーボネートのペレットは別々に供給し、メルトを混合してから、押出又は射出成形操作を行うこともできる。溶融ブレンド法は、ポリエステル及びポリカーボネート部分を溶融するのに充分な温度においてポリマーをブレンドし、然る後にブレンドを、有用な目的物を生成するのに充分な温度に冷却することを含む。本明細書中で使用する用語「メルト」は、ポリマーを単に軟化させることを含むがこれらに限定されない。ポリマー業界において一般に知られた溶融混合法に関しては、Mixing and Compounding of Polymers(I.Manas−Zloczower&Z.Tadmor eds,Carl Hanser Verlag publisher,New York 1994)参照。
【0064】
溶液ブレンド法は、適当な重量/重量比のポリエステル及びポリカーボネートを塩化メチレンのような適当な有機溶媒中に溶解させ、溶液を混合し、そしてブレンドの沈澱又は溶媒の蒸発によって溶液からブレンド組成物を分離することを含む。溶液製造ブレンド法が当業界で一般に知られている。
【0065】
本発明のポリエステル/ポリカーボネートブレンドは、混和性でも不混和性でもよい。ブレンドの混和性は、ブレンドに関係するポリエステルの化学的性質及びポリカーボネートの化学的性質によって異なる。例えばテレフタル酸及び/若しくはイソフタル酸の二酸又は化学当量残基、並びにエチレングリコール及び/若しくは1,4−シクロヘキサンジメタノールのジオール残基からなるポリエステルにおいて、ビスフェノールAポリカーボネートとの混和性は、ポリエステルのジオール残基のモル比によって異なる。Research Disclosure 22921に示されるように、ビスフェノールAポリカーボネートとの混和性は一般に、少なくとも40モル%のジオール成分が1,4−シクロヘキサンジメタノールであるポリエステルに関して生じる。Mohnらによって記載されるように、テレフタル酸からイソフタル酸への二酸若しくは化学当量残基の変化は、ポリエステルとビスフェノールAポリカーボネートとの混和性にごくわずかしか影響を与えない[J.Appl.Polym.Sci.,23,575(1979)]。
【0066】
更に、本発明の熱可塑性組成物は、着色剤、離型剤、難燃剤、可塑剤、成核剤、紫外線安定剤、充填剤及び耐衝撃性改良剤のような一般的な添加剤を含むことができる。耐衝撃性改良剤は、全組成物の0.1〜25重量%の常用量で対象組成物に添加できる。当業界でよく知られた典型的な市販耐衝撃性改良剤の例としては、エチレン/プロピレンターポリマー、スチレン基剤ブロックコポリマー耐衝撃性改良剤、及び種々のアクリルコア/シェル型耐衝撃性改良剤が挙げられるがこれらに限定するものではない。
【0067】
強化材もまた、本発明の成形材料中で有用である。強化材としては、炭素フィラメント、シリケート、マイカ、クレイ、タルク、二酸化チタン、ウォラストナイト、ガラスフレーク、ガラスビーズ、ガラス繊維、ポリマー繊維並びにそれらの組合せが挙げられる。好ましい強化材はガラスでできたものであり、繊維ガラスフィラメント、ガラスとタルクとの混合物、ガラスとマイカとの混合物及びガラスとポリマー繊維との混合物を使用するのが更に好ましい。
【0068】
本発明の組成物は、公知の任意の方法でフィルム又はシートに二次加工できる。例えば、フィルムは、公知のキャストフィルム押出法、ブローンフィルム押出法及び押出被覆法によって製造でき、押出被覆法は支持体上への押出を含む。溶融キャスト又はフリーブロー成形によって製造されたフィルムは、熱によって支持体に接着させるか又は接着剤を用いて支持体にシールすることができる。当業者は、本発明の開示があれば、必要以上の実験をせずにこのようなフィルム及びこのようなフィルムを含む製品を製造できる。
【0069】
更に、本発明は、本発明のブレンド組成物並びにフィルム及びシートから形成された製品に関する。本発明の製品は、射出成形のような任意の適当な方法を用いて製造できる。本発明のブレンドを含んでなる押出品は、広範囲の商業的用途を有する。例えばフィルム及びシートは、看板、天窓並びに食品、衣類及び医薬品に有用である。押出フィルム/シートは、そのまま使用することもできるし、あるいは食品、ハードウェア及び他の商品を包装できるように熱成形することもできる。本発明のポリエステル/ポリカーボネートブレンドは、公知方法を用いて押出操作の間に発泡させることもできる。例えば、有用な発泡法は米国特許第5,399,595号;第5,482,977号;及び第5,654,347号に開示されている。
【0070】
他の実施態様
本発明の一実施態様において、混和性ブレンドは、
(a)(i)約80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの混合物及び0〜約20モル%の、炭素数約4〜約40の他のジカルボン酸からの反復単位を含む酸成分(酸成分の総モル%は100モル%である)並びに
(ii)約40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜約60モル%のエチレングリコール、及び0〜約20モル%の、炭素数3〜約12の他のジオール単位からの反復単位を含むジオール成分(ジオール成分の総モル%は100モル%である);
を含むポリエステル約1〜約99重量%;と
【0071】
(b)約99〜約1重量%の、4,4−イソプロピリデンジフェノールのポリカーボネート
を含んでなり;前記ポリエステルが、(i)元素チタン約1〜約20ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン約1〜約150ppmの量の前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物約1〜約10ppm(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素約1〜約150ppmの量のエステル交換触媒の触媒残基(ppmはポリエステルの総重量に基づく)を含む点で改良されている。
【0072】
本発明の一実施態様は、ポリエステルとポリカーボネートとのブレンドの製造方法である。ポリエステルは、以下の工程を含む一段法で製造される。
(i)少なくとも1種の芳香族、脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸の二酸又はエステル誘導体(前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数が6〜20であり、前記脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸の脂肪族部分若しくは脂環式部分は炭素数が3〜20である)100モル%と、少なくとも1種の炭素数2〜20の脂肪族、脂肪族エーテル若しくは脂環式ジオールからなるジオール100モル%とを、二酸のエステル化又はエステル誘導体のエステル交換を行うのに充分な温度及び圧力において反応させ;そして
(ii)工程(i)の生成物を、元素チタン約1〜約20ppmの量のチタン含有触媒化合物及び約1〜約150ppmの量の前重縮合リン含有化合物の存在下(ppmはポリエステルの総重量に基づく)で重縮合を実施するのに充分な温度及び圧力において重縮合させる。
ポリエステルの製造後、約1〜約99重量%のポリエステルを、約99〜約1重量%のポリカーボネートと配合して(重量%はブレンドの総重量に基づく)、ブレンドを形成する。
【0073】
別の実施態様において、熱可塑性組成物の製造方法は、
(a)(i)少なくとも1種の芳香族、脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸からの反復単位を含む酸成分(前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数が6〜20であり、前記脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸の脂肪族部分若しくは脂環式部分は炭素数が3〜20である)100モル%;
(ii)少なくとも1種の炭素数2〜20の脂肪族、脂肪族エーテル若しくは脂環式ジオールからの反復単位を含むジオール成分100モル%;
(iii)元素チタン約1〜約20ppmの量のチタン含有触媒化合物、元素リン約1〜約100ppmの量の前重縮合リン含有化合物、及び場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素約1〜約150ppmの量のエステル交換触媒(ppmはポリエステルの総重量に基づく)の残基
を含むポリエステル約1〜約99重量%;と
(b)ポリカーボネート約99〜約1重量%
とを配合する工程を含む。
【0074】
本発明の更に別の実施態様において、ポリエステル組成物は、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒混合物中で25℃において測定したインヘレント粘度が約0.6〜約1.2dl/gであり、前記ポリエステルは、
(a)テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からの反復単位を含む酸成分;
(b)1,4−シクロヘキサンジメタノール約40〜100モル%及びエチレングリコール約0〜約60モル%からの反復単位を含むジオール成分;並びに
(c)(i)元素チタン約1〜約15ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン約45〜約100ppmの前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物約1〜約5ppm(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素約10〜約65ppmの量のエステル交換触媒から本質的になる触媒残基(酸成分は100モル%に基づき、ジオール成分も100モル%に基づき、ppmはポリエステルの総重量に基づく)を含む。好ましくは、ポリエステルは約95〜10モル%のテレフタル酸、約58〜約66モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び約42〜約34モル%のエチレングリコールを含む。また、好ましくは、ポリエステルは100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、約22〜約30モル%のイソフタル酸及び約78〜約70モル%のテレフタル酸を含む。
【0075】
本発明は更に、その好ましい実施態様の以下の実施例によって更に説明することができるが、これらの実施例は、単に説明のために記載するのであって、特に断らない限り、本発明の範囲を限定することを目的としないことを理解されたい。出発原料は、特に断らない限り、市販品である。百分率は全て、特に断らない限り、重量に基づく。
【実施例】
【0076】
ポリエステルは、テレフタル酸と種々のモル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM)及びエチレングリコール(EG)とから製造した。所定のポリエステル組成物に関して、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒中で25℃において測定された場合にインヘレント粘度(IV)がほとんど同じ2種のポリエステルを、種々のレベルのチタン基剤触媒を用いて製造した。製造されたポリエステル中のチタンレベル及び前重縮合リンレベルを、X線分析によってチタンレベルを測定することによって確認した。製造したポリエステルに関する詳細を以下の表に示す。
【0077】
【表1】

【0078】
実施例1
以下の熱可塑性組成物は、ポリエステル#1/ポリカーボネートブレンドに比較した、ポリエステル#2/ポリカーボネートブレンドにおける黄色度の低下を示す。
【0079】
メルトフローインデックス5g/10分のビスフェノールAポリカーボネートであるDow Chemical Company製のCalibre 302.5を、ブレンド前に125℃において10時間乾燥させた。ポリエステル#1及び#2を、ブレンド前に65℃において10時間乾燥させた。ブレンド組成物は、Sterling 1.25”
一軸スクリュー押出機を用いて280℃においてスクリュー速度80rpmでブレンドすることによって製造した。純粋な材料に同様な熱履歴を与えるために、純粋な材料もまた押出した。次いで、得られたペレット組成物を65℃において16時間乾燥させた。Toyo Plastar Ti−90G射出成形機を用いて300及び325℃の溶融温度においてペレットから厚さ1/8”の4”×4”のプラークを射出成形した。成形温度は30℃とし、射出から冷却までの、射出成形プロセスのサイクル時間を30秒とした。
【0080】
ペレットのガラス転移温度(Tg)は、TA Instruments 2920示差走査熱量計(DSC)を用いて走査速度20℃/分で測定した。ポリマーペレット及びプラークの色は、Hunter Associates Laboratory,Inc.,Reston,Virginia製のHunterLab UltraScan Colorimeterを用いて常法によって測定した。この機器は、HunterLab Universal Software(version 3.8)を用いて操作した。この機器のキャリブレーション及び操作は、HunterLab User Manualに従って行った。全ての比色計上の結果を再現するために、機器はその指示書に従って動かし、以下の試験パラメーターを用いた:D65 Light Source(昼光,色温度6500°K),Reflectance Mode,Large Area View,Specular Included,CIE 10° Observer,Outputs:CIE L*,a*,b*。ペレットは、深さ25mm×幅及び高さ55mmのホルダーに入れた。ホルダーは黒で、1つの側面に窓を有している。試験中、ホルダーの透明な側を、反射モードで試験する場合に通常なされるように、比色計の反射ポートに固定した。プラークを、反射モードで試験する場合に通常なされるようにして標準白色背景タイルで比色計の反射ポートに固定することによって試験した。
【0081】
実施例1のブレンドは、2つのガラス転移温度(一方はポリステルと関連し、他方はポリカーボネートと関連する)の存在によって明らかなように、不混和性である。ポリエステルの型は、評価した組成物のTgにほとんど影響しなかった。更に、実施例1のブレンドは、ポリエステルとポリカーボネートとの屈折率の差のために不透明である。等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#2/ポリカーボネートブレンドのペレットb*はポリエステル#1/ポリカーボネートブレンドのペレットb*よりも低い。等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#2/ポリカーボネートブレンドのプラークb*は両成形温度においてポリエステル#1/ポリカーボネートブレンドのプラークb*よりも低い。更に、等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#2/ポリカーボネートブレンドは、ポリエステル#1/ポリカーボネートブレンドよりも、着色に関して、より低いΔb*値によって示されるように、より優れた熱安定性を有する。これらのブレンド中に見られる黄色度の低下は、純粋なポリエステル(組成物A)に見られる黄色度の低下よりも著しく大きい。
【0082】
【表2】

【0083】
実施例2
以下の熱可塑性組成物は、ポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドに比較した、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドにおける黄色度の低下を示す。
【0084】
メルトフローインデックス5g/10分のビスフェノールAポリカーボネートであるDow Chemical Company製のCalibre 302.5を、ブレンド前に125℃において10時間乾燥させた。ポリエステル#3及び#4を、ブレンド前に65℃において10時間乾燥させた。ブレンド組成物は、Sterling 1.25”
一軸スクリュー押出機を用いて280℃においてスクリュー速度80rpmでブレンドすることによって製造した。純粋な材料に同様な熱履歴を与えるために、純粋な材料もまた押出した。次いで、得られたペレット組成物を65℃において16時間乾燥させた。Toyo Plastar Ti−90G射出成形機を用いて300及び325℃の溶融温度においてペレットから厚さ1/8”の4”×4”のプラークを射出成形した。成形温度は30℃とし、射出から冷却までの、射出成形プロセスのサイクル時間を30秒とした。
【0085】
実施例2のブレンドは、1つのガラス転移温度の存在によって明らかなように、混和性である。ポリエステルの型は、評価した組成物のTgにほとんど影響しなかった。更に、実施例2のブレンドは、ポリカーボネート又はポリエステルが結晶化する傾向が低いので、透明である。等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドのペレットb*はポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドのペレットb*よりも低い。等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドのプラークb*は両成形温度においてポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドのプラークb*よりも低い。更に、等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドは、ポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドよりも、着色に関して、より低いΔb*値によって示されるようにより優れた熱安定性を有する。これらのブレンドに見られる黄色度の低下は、純粋なポリエステル(組成物A)に見られる黄色度の低下よりも著しく大きい。
【0086】
【表3】

【0087】
実施例3
以下の熱可塑性組成物は、ポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドに比較した、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドにおける熱安定性の改良を示す。
【0088】
メルトフローインデックス5g/10分のビスフェノールAポリカーボネートであるDow Chemical Company製のCalibre 302.5を、ブレンド前に125℃において10時間乾燥させた。ポリエステル#3及び#4を、ブレンド前に65℃において10時間乾燥させた。ブレンド組成物は、Sterling 1.25”
一軸スクリュー押出機を用いて280℃においてスクリュー速度80rpmでブレンドすることによって製造した。純粋な材料に同様な熱履歴を与えるために、純粋な材料もまた押出した。次いで、得られたペレット組成物を65℃において24時間、真空オーブン中で乾燥させた。各組成物に関して、11〜14mgのサンプルを、TA Instruments 2950 Thermograviametric Analyzer(TGA)中に280℃において20分間入れ、減量%を記録した。減量%が低いほど、改良された熱安定性を示す。
【0089】
等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドの熱安定性はポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドの熱安定性よりも改良されている。ブレンドの熱安定性の改良は、低ポリカーボネート使用量においては特に(組成物B、C、D)、純粋なポリエステルの熱安定性の改良よりも大きい。改良は、高ポリカーボネート使用量においては(組成物E)、多量のポリカーボネートのせいでそれほど顕著でない。
【0090】
【表4】

【0091】
実施例4
以下の熱可塑性組成物は、ポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドに比較した、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドにおける溶融安定性の改良を示す。
【0092】
メルトフローインデックス5g/10分のビスフェノールAポリカーボネートであるDow Chemical Company製のCalibre 302.5を、ブレンド前に125℃において10時間乾燥させた。ポリエステル#3及び#4を、ブレンド前に65℃において10時間乾燥させた。ブレンド組成物は、Sterling 1.25”
一軸スクリュー押出機を用いて280℃においてスクリュー速度80rpmでブレンドすることによって製造した。純粋な材料に同様な熱履歴を与えるために、純粋な材料もまた押出した。次いで、得られたペレット組成物を65℃において24時間、真空オーブン中で乾燥させた。次に、ペレットを、Rheometrics製の25mm平行板Aresレオメーター中に入れた。粘度を、間隙設定値1mm、歪レベル0.10及び試験周波数25rad/秒を用いて空気中で30分間、時間の関数として30分間測定した。
【0093】
製造した組成物に関する初期粘度と30分後の最終粘度を以下の表に示す。粘度変化%は、初期粘度によって標準化された粘度変化に等しい。粘度変化が低いほど、溶融安定性の改良を示す。等しいポリカーボネート使用量において、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドの溶融安定性はポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドの溶融安定性よりも改良されている。ブレンドの溶融安定性の改良は、ごくわずかである純粋なポリエステルの溶融安定性の改良よりも大きい。
【0094】
【表5】

【0095】
実施例5
以下の熱可塑性組成物は、更に減色が必要な場合に、その達成のために必要な安定化レベルが、ポリエステル#1/ポリカーボネートブレンドに比較してポリエステル#2/ポリカーボネートブレンドにおいて、また、ポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドに比較してポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドにおいて低いことを示す。
【0096】
メルトフローインデックス5g/10分のビスフェノールAポリカーボネートであるDow Chemical Company製のCalibre 302.5を、ブレンド前に125℃において10時間乾燥させた。ポリエステル#1、#2、#3及び#4を、ブレンド前に65℃において10時間乾燥させた。Weston 619を二軸スクリュー押出機上でポリカーボネート中に配合することによって、5重量%のWeston 619濃縮物を作った。Weston 619は、GE Specialty Chemicals製のジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトである。Weston 619は、ポリエステル/ポリカーボネートブレンド中において有効な安定剤であることが知られている。この濃縮物を用いて、Weston 619をポリエステル/ポリカーボネートブレンド中に効率的に添加した。種々のレベルのWeston 619を含む50/50重量%ポリエステル/ポリカーボネートブレンドをバッグブレンドし、次いで均一性を与えるために混合スクリュー及び混合ノズルを装着したToyo Plastar
Ti−90G射出成形機によって厚さ100milのカラーチップに射出成形した。溶融温度280℃、成形温度40℃、射出から冷却までのサイクル時間30秒。
【0097】
ポリエステル/ポリカーボネートの重量比50/50のブレンド中における種々のブレンド安定剤使用量(樹脂100部当たりの部(phr))に関するカラーチップのb*値を以下の表に示す。データから明らかなように、ポリエステル#2/ポリカーボネートブレンドにおいてはポリエステル#1/ポリカーボネートブレンドに比較してより低い安定化レベル(ブレンド安定化剤phr)によって低いb*を達成できる。データから明らかなように、ポリエステル#4/ポリカーボネートブレンドにおいてはポリエステル#3/ポリカーボネートブレンドに比較してより低い安定化レベル(ブレンド安定化剤phr)によって低いb*を達成できる。
【0098】
【表6】

【0099】
本発明を、特にその好ましい実施態様に関して詳述したが、本発明の精神及び範囲内で種々の変形及び変更が可能なことを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステルとポリカーボネートとの配合ブレンドを含む熱可塑性組成物であって、改良点が元素チタン1〜30ppmの量のチタン含有触媒化合物及び場合によっては、更に、ポリエステルの酸成分がジカルボン酸ジエステルから得られる場合に、使用する活性元素1〜150ppmの量のエステル交換触媒の存在下において(前記ppmはポリエステルの総重量に基づく)(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を存在させることなく)、前記ポリエステルを製造することを含んでなり、前記ポリエステルが40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜60モル%のエチレングリコール及び0〜20モル%の、炭素数3〜12の他のジオールからの反復単位を含むジオール成分を含んでなり、前記酸成分の総モル%が100モル%であり且つ前記ジオール成分の総モル%が100モル%である熱可塑性組成物。
【請求項2】
前記チタン含有触媒化合物が元素チタンの量1〜20ppmで存在する請求項1に記載の熱可塑性組成物。
【請求項3】
前記チタン含有触媒化合物が元素チタンの量1〜15ppmで存在する請求項1に記載の熱可塑性組成物。
【請求項4】
前記配合ブレンドが更に、後重縮合リン含有化合物を元素リンの量0.01〜500ppm(ppmは配合ブレンドの総重量に基づく)で含む請求項1に記載の熱可塑性組成物。
【請求項5】
前記リン含有化合物が、ポリエステルの製造において、重縮合後に添加され且つ10〜350ppmの量で存在する請求項4に記載の熱可塑性組成物。
【請求項6】
前記リン含有化合物が50〜150ppmの量で存在する請求項5に記載の熱可塑性組成物。
【請求項7】
前記配合ブレンドがポリエステルの製造過程において重縮合前に添加されたリン含有化合物を、ポリエステルの重量に基づき、10〜100ppmの量で更に含む請求項1に記載の熱可塑性組成物。
【請求項8】
1〜99重量%のポリエステルと99〜1重量%のポリカーボネートとのポリマー混合物を含む熱可塑性組成物であって、改良点が前記ポリエステルが(i)元素チタン1〜30ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン1〜150ppmの量の前重縮合リン含有化合物及び(iii)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素1〜150ppmの量のエステル交換触媒の残基を含むこと(ppmはポリエステルの総重量に基づく)にあり(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を存在させることなく)、前記ポリエステルが、80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの混合物及び0〜20モル%の、炭素数4〜40の他のジカルボン酸からの反復単位を含む酸成分;並びに40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜60モル%のエチレングリコール及び0〜20モル%の、炭素数3〜12の他のジオールからの反復単位を含むジオール成分を含んでなり;前記酸成分の総モル%が100モル%であり且つ前記ジオール成分の総モル%が100モル%である熱可塑性組成物。
【請求項9】
前記チタン含有触媒化合物が元素チタン1〜20ppmの量で存在する請求項8に記載の熱可塑性組成物。
【請求項10】
前記チタン含有触媒化合物が元素チタン1〜15ppmの量で存在する請求項8に記載の熱可塑性組成物。
【請求項11】
前記ポリエステルが少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物1〜10ppmを含み且つ前記化合物が少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む請求項8に記載の熱可塑性組成物。
【請求項12】
前記ポリマー混合物がポリマー混合物の総重量に基づき0.01〜0.35重量%の後重縮合リン含有化合物を更に含む請求項8に記載の熱可塑性組成物。
【請求項13】
前記後重縮合リン含有化合物が0.05〜0.15重量%の量で存在する請求項12に記載の熱可塑性組成物。
【請求項14】
前記後重縮合リン含有化合物がジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトである請求項12に記載の熱可塑性組成物。
【請求項15】
前記ポリマー混合物が配合ブレンドである請求項8に記載の熱可塑性組成物。
【請求項16】
請求項8に記載の熱可塑性組成物から形成された成型品。
【請求項17】
請求項8に記載の熱可塑性組成物から形成されたフィルム又はシート。
【請求項18】
前記ポリエステルが(a)少なくとも1種の芳香族、脂肪族又は脂環式ジカルボン酸からの反復単位を含む酸成分(前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数が6〜20であり、前記脂肪族又は脂環式ジカルボン酸の脂肪族又は脂環式部分は炭素数が3〜20である)及び炭素数2〜20の少なくとも1種の脂肪族、脂肪族エーテル又は脂環式ジオールからの反復単位を含むジオール成分を含んでなる、請求項8に記載の熱可塑性組成物。
【請求項19】
前記酸成分が80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの混合物及び0〜20モル%の、炭素数4〜40の他のジカルボン酸単位からの反復単位を含んでなる請求項18に記載の熱可塑性組成物。
【請求項20】
前記ポリエステルがテレフタル酸95〜100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール58〜66モル%及びエチレングリコール42〜34モル%を含む請求項19に記載の熱可塑性組成物。
【請求項21】
前記ポリエステルが1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%、イソフタル酸22〜30モル%及びテレフタル酸78〜70モル%を含む請求項19に記載の熱可塑性組成物。
【請求項22】
(a)(i)80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの混合物及び0〜20モル%の、炭素数4〜40の他のジカルボン酸単位からの反復単位を含む酸成分(酸成分の総モル%は100モル%である)並びに
(ii)40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜60モル%のエチレングリコール及び0〜20モル%の、炭素数3〜12の他のジオール単位からの反復単位を含んでなるジオール成分(ジオール成分の総モル%は100モル%である);
を含むポリエステル1〜99重量%;と
(b)99〜1重量%の、4,4−イソプロピリデンジフェノールのポリカーボネートとの混和性ブレンドを含む熱可塑性組成物であって、改良点が前記ポリエステルが(i)元素チタン1〜20ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン1〜150ppmの量の前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物1〜10ppm(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素1〜150ppmの量のエステル交換触媒の触媒残基を更に含むが、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩の残渣は含まない、熱可塑性組成物。
【請求項23】
前記ポリエステルがテレフタル酸95〜100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール58〜66モル%及びエチレングリコール42〜34モル%を含む請求項22に記載の熱可塑性組成物。
【請求項24】
前記ポリエステルが1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%、イソフタル酸22〜30モル%及びテレフタル酸78〜70モル%を含む請求項22に記載の熱可塑性組成物。
【請求項25】
前記チタン含有触媒化合物が元素チタン1〜15ppmの量で存在する請求項22に記載の熱可塑性組成物。
【請求項26】
前記熱可塑性組成物が、ブレンド総重量に基づき、0.01〜0.35重量%の後重縮合リン含有化合物を更に含む請求項22に記載の熱可塑性組成物。
【請求項27】
前記後重縮合リン含有化合物がジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトである請求項26に記載の熱可塑性組成物。
【請求項28】
請求項22に記載の熱可塑性組成物から形成された成型品。
【請求項29】
請求項22に記載の熱可塑性組成物から形成されたフィルム又はシート。
【請求項30】
テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からの反復単位を含む酸成分並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール40〜100モル%及びエチレングリコール0〜60モル%からの反復単位を含むジオール成分を含んでなるポリエステル(酸成分100モル%及びジオール成分100モル%に基づく)1〜99重量%と、4,4−イソプロピリデンジフェノールのポリカーボネート99〜1重量%との混和性ブレンドを含む熱可塑性組成物であって、改良点が
(1)前記ポリエステルが(i)元素チタン1〜15ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン45〜100ppmの前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物1〜5ppmの(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素10〜65ppmの量のエステル交換触媒から本質的になる触媒の存在下で(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を存在させることなく)、製造され、且つ
(2)前記混和性ブレンドが、脂肪族ホスファイト化合物、芳香族ホスファイト化合物又はそれらの混合物からなる群から選ばれた、前記ブレンド総重量%に基づき0.05〜0.15重量%の後重縮合リン含有化合物を含む点である熱可塑性組成物。
【請求項31】
(a)(i)少なくとも1種の芳香族、脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸の二酸又はエステル誘導体(前記芳香族ジカルボン酸の芳香族部分は炭素数が6〜20であり、前記脂肪族若しくは脂環式ジカルボン酸の脂肪族部分若しくは脂環式部分は炭素数が3〜20である)100モル%と、少なくとも1種の炭素数2〜20の脂肪族、脂肪族エーテル若しくは脂環式ジオールを含むジオール100モル%とを、二酸のエステル化又はエステル誘導体のエステル交換を行うのに充分な温度及び圧力において反応させ;ここで前記ポリエステルが、80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸又はそれらの混合物及び0〜20モル%の、炭素数4〜40の他のジカルボン酸からの反復単位を含む酸成分;並びに40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール、0〜60モル%のエチレングリコール及び0〜20モル%の、炭素数3〜12の他のジオールからの反復単位を含むジオール成分を含んでなり;前記酸成分の総モル%が100モル%であり且つ前記ジオール成分の総モル%が100モル%であり;そして
(ii)工程(i)の生成物を、重縮合を行うのに充分な温度及び圧力において、元素チタン1〜30ppmの量(ppmはポリエステルの総重量に基づく)のチタン含有触媒化合物の存在下で(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を存在させることなく)、重縮合する
ことによってポリエステルを生成し;そして
(b)工程(a)のポリエステル1〜99重量%をポリカーボネート99〜1重量%と配合してブレンドを形成する(重量%は前記ブレンドの総重量に基づく)
工程を含むポリエステルとポリカーボネートとのブレンドの製造方法。
【請求項32】
工程(a)(ii)のチタン含有化合物が元素チタン1〜20ppmの量で存在する請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程(a)(ii)のチタン含有化合物が元素チタン1〜15ppmの量で存在する請求項31に記載の方法。
【請求項34】
元素リン1〜150ppmの量で前重縮合リン含有化合物を工程(a)(ii)に添加する請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記二酸が80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸又はそれらの混合物を含み、且つ前記ジオールが40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び0〜60モル%のエチレングリコールを含む(二酸100モル%及びジオール100モル%に基づく)を含む請求項31に記載の方法。
【請求項36】
工程(b)において、後重縮合リン含有化合物を、ブレンドの総重量に基づき、0.1〜0.35重量%の量でポリエステル及びポリカーボネートと配合する請求項31に記載の方法。
【請求項37】
工程(b)において、後重縮合リン含有化合物を、ブレンドの総重量に基づき、0.05〜0.15重量%の量でポリエステル及びポリカーボネートと配合する請求項31に記載の方法。
【請求項38】
前記後重縮合リン含有化合物がジステアリルペンタエリスリトールジホスファイトである請求項37に記載の方法。
【請求項39】
(a)(i)酸成分100モル%に基づき、80〜100モル%のテレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からの反復単位を含む酸成分;
(ii)ジオール成分100モル%に基づき、40〜100モル%の1,4−シクロヘキサンジメタノール及び0〜60モル%のエチレングリコールからの反復単位を含むジオール成分;
(iii)元素チタン1〜20ppmの量のチタン含有触媒化合物、元素リン1〜100ppmの量の前重縮合リン含有化合物及び場合によっては、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素1〜150ppmの量(ppmはポリエステルの総重量に基づく)のエステル交換触媒の残基(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩の残渣は含まない)
を更に含むポリエステル1〜99重量%;並びに
(b)ポリカーボネート99〜1重量%
を配合する工程を含む熱可塑性組成物の製造方法。
【請求項40】
前記ポリエステルがテレフタル酸95〜100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール58〜66モル%及びエチレングリコール42〜34モル%を含む請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記ポリエステルが1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%、イソフタル酸22〜30モル%及びテレフタル酸78〜70モル%を含む請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記チタン含有化合物が元素チタン1〜15ppmの量で存在する請求項39に記載の方法。
【請求項43】
(a)テレフタル酸、イソフタル酸及びそれらの混合物からの反復単位を含む酸成分;
(b)1,4−シクロヘキサンジメタノール40〜100モル%及びエチレングリコール0〜60モル%からの反復単位を含むジオール成分;並びに
(c)(i)元素チタン1〜15ppmの量のチタン含有触媒化合物、(ii)元素リン45〜100ppmの量の前重縮合リン含有化合物、(iii)少なくとも1つのビスアントラキノン又はビスアントラピリドン(6−アリールアミノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ドン)化合物と結合した6−アリールアミノ−1−シアノ−3H−ジベンズ[f,ij]イソキノリン−2,7−ジオン又は1,4−ビス(2,6−ジアルキルアニリノ)アントラキノンの少なくとも1種の共重合性化合物1〜5ppm(前記化合物は少なくとも1つのポリエステル反応性基を含む);及び(iv)場合によっては更に、酸成分がジカルボン酸のジエステルから得られる場合に使用される、活性元素10〜65ppmの量のエステル交換触媒から本質的になる触媒残基を含む(但し、アルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩の残渣は含まない)、フェノール60重量%及びテトラクロロエタン40重量%からなる溶媒混合物中で25℃において測定されたインヘレント粘度が0.6〜1.2dl/gであるポリエステル組成物。
【請求項44】
前記ポリエステルがテレフタル酸95〜100モル%、1,4−シクロヘキサンジメタノール58〜66モル%及びエチレングリコール42〜34モル%を含む請求項43に記載のポリエステル組成物。
【請求項45】
前記ポリエステルが1,4−シクロヘキサンジメタノール100モル%、イソフタル酸22〜30モル%及びテレフタル酸78〜70モル%を含む請求項43に記載のポリエステル組成物。

【公開番号】特開2010−132917(P2010−132917A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19338(P2010−19338)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【分割の表示】特願2003−580425(P2003−580425)の分割
【原出願日】平成15年3月12日(2003.3.12)
【出願人】(594055158)イーストマン ケミカル カンパニー (391)
【Fターム(参考)】