説明

(ヒドロキシアルキル)ピロール誘導体のアトロプ異性体

本発明は、心血管疾患の予防および/または治療のための化合物から成る。該化合物は、以下の一般式(I)によって表される、化合物のアトロプ異性体である。


式中、Rは、C1−C3アルキル基を表し、Rは、2−ヒドロキシ−C4−C6アルキル基を表し、Rは、ハロゲノ基、ハロゲノ−C1−C3アルキル基等を表し、Rは、水素原子、ハロゲノ基等を表し、Rは、C1−C3アルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲノ基等、またはそのアトロプ異性体を表す。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
関連特許の相互参照
本願は、2008年10月8日に出願され、参照することによって全体として本明細書に組み込まれる、米国暫定出願第61/103,715号の利益を請求するものである。
【技術分野】
【0002】
本発明は、(ヒドロキシアルキル)ピロール誘導体、そのアトロプ異性体に関し、予防あるいは治療薬としてのそのような化合物に関し、高血圧症、狭心症、急性冠動脈症候群、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、および原発性アルドステロン症の予防または治療のためのそれらの使用に関し、ならびに非常に優れたミネラルコルチコイド受容体拮抗作用を有するそのような化合物に関する。
【0003】
発明の開示
ミネラルコルチコイド受容体(MR)(アルドステロン受容体)は、身体および血圧中の電解質平衡の制御において、重要な役割を果たすことが知られており(例えば、非特許文献1参照)、ステロイド構造を有するスピロノラクトンおよびエプレレノン等のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬は、高血圧症および心不全を治療するために有用であることが知られている。
【0004】
高血圧症は、心血管、心臓、および腎疾患発症の主要原因であるだけではなく、アテローム性動脈硬化症、心血管疾患、虚血性心疾患、糖尿病、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、および多嚢胞性腎疾患等の他の機構によって生じるこれらの疾患の進行の危険因子でもある(非特許文献2)。
【0005】
腎不全では、慢性心不全の症例と同様に、いくつかの臨床試験において、ACE阻害剤によるRAAS連鎖反応の遮断は、腎疾患の制限に有益であることが実証されている(非特許文献3)。また、付随研究において、アルドステロン拮抗薬は、進行性腎疾患に典型的に認められる蛋白尿症および腎障害を軽減可能であって、ACE阻害剤単独と比較して、さらなる治療的有用性をもたらすことも実証されている(非特許文献4)。
【0006】
現在、非ステロイド骨格を有するミネラルコルチコイド受容体拮抗薬として、特許文献1の論説に記載されている、ピロール誘導体が知られている。しかしながら、本発明の一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体は、知られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/012642号
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Advances in Physiology Education、26(1):8−20(2002)
【非特許文献2】J. Am. Soc. Nephrol., 14:2395−2401(2003)
【非特許文献3】Am. J. Kid. Dis., 37(4):677−688(2001)
【非特許文献4】Hypertension., 31 :451−458(1998)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
心血管疾患のための優れた予防薬または治療薬を開発することを目的として、種々の(ヒドロキシアルキル)ピロール誘導体の薬理学的活性に関する広範な研究を行った結果、本発明者らは、一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体が存在することと、アトロプ異性体のうちの1つは、他と比較して、ミネラルコルチコイド受容体拮抗作用(体外活性および体内活性)の持続性および薬効に非常に優れていることを見出した。さらに、アトロプ異性体のうちの1つは、溶解性、経口吸収性、血中濃度、代謝安定性、および安全性等の観点から、優れた特性を有し、高血圧症、狭心症、急性冠動脈症候群、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、原発性アルドステロン症、または心疾患等の疾患、より好ましくは、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、高血圧症等、特に好ましくは、高血圧症、および特に好ましくは、糖尿病性腎症のための薬剤として、好ましくは、予防薬または治療薬(特に、治療薬)として、有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明は、優れたミネラルコルチコイド受容体拮抗作用を有する、一般式(I)によって表される化合物(そのアトロプ異性体を含む)、その医薬組成物(予防または治療薬(特に、治療薬)としての薬剤を含む)、ならびに高血圧症、狭心症、急性冠動脈症候群、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、原発性アルドステロン症、または心疾患(より好ましくは、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、および高血圧症、特に好ましくは、高血圧症のため)の予防または治療のためのその使用を提供する。好ましい化合物/組成物は、その構造の他のアトロプ異性体と比較して、優れたミネラルコルチコイド受容体拮抗薬活性を有する、本発明の化合物のアトロプ異性体から成る。
【0011】
すなわち、本発明は、
(1):以下の一般式(I)によって表される、化合物、
【0012】
【化1】

【0013】
そのN−オキシド;そのジアステレオマー、ラセミ体、またはジアステレオマーに富んだ化合物;上述のもののアトロプ異性体、アトロプ異性体の等量混合物、またはアトロプ異性体に富んだ化合物;あるいは上述のものの薬学的に許容される塩であって、
は、C1−C3アルキル基を表し、
は、2−ヒドロキシ−C4−C6アルキル基を表し、
は、ハロゲノ基、C1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシル基、ハロゲノ−C1−C3アルキル基、またはハロゲノ−C1−C3アルコキシル基を表し、
は、水素原子、ハロゲノ基、またはC1−C3アルキル基を表し、
は、C1−C3アルキル基を表し、
は、水素原子、ハロゲノ基、C1−C3アルキル基、またはC1−C3アルコキシル基を表す、
一般式(I)によって表される化合物、そのN−オキシド;そのジアステレオマー、ラセミ体、またはジアステレオマーに富んだ化合物;上述のもののアトロプ異性体、アトロプ異性体の等量混合物、またはアトロプ異性体に富んだ化合物;あるいは上述のものの薬学的に許容される塩を提供する。
【0014】
加えて、本発明は、
(2):一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体と、
(3):Rが、メチル基である、上述の(1)または(2)に記載の化合物と、
(4):Rが、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基である、上述の(1)から(3)のいずれか1つに記載の化合物と、
(5):Rが、(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基である、上述の(1)から(3)のいずれか1つに記載の化合物と、
(6):Rが、メチル基、クロロ基、ハロゲノメチル基、またはハロゲノメトキシ基である、上述の(1)から(5)のいずれか1つに記載の化合物と、
(7):Rが、クロロ基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、またはトリフルオロメトキシ基である、上述の(1)から(5)のいずれか1つに記載の化合物と、
(8):Rが、クロロ基またはトリフルオロメチル基である、上述の(1)から(5)のいずれか1つに記載の化合物と、
(9):Rが、水素原子である、またはハロゲノ基である、上述の(1)から(8)のいずれか1つに記載の化合物と、
(10):Rが、水素原子、フルオロ基、またはクロロ基である、上述の(1)から(8)のいずれか1つに記載の化合物と、
(11):Rが、メチル基である、上述の(1)から(10)のいずれか1つに記載の化合物と、
(12):Rが、水素原子、クロロ基、またはメチル基である、上述の(1)から(11)のいずれか1つに記載の化合物と、
(13):Rが、水素原子である、上述の(1)から(11)のいずれか1つに記載の化合物と、
を含む。
【0015】
さらに、本発明は、
(14):以下の化合物:
1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
上述のもののいずれかのN−オキシド、アトロプ異性体、および上述のもののいずれかの薬学的に許容される塩と、
を提供する。
【0016】
加えて、本発明は、
(15):以下の化合物:
1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドと、
上述のもののいずれかのN−オキシド、アトロプ異性体、および上述のもののいずれかの薬学的に許容される塩と、
を提供する。
【0017】
さらに、本発明は、
(16):他のアトロプ異性体と比較して、高いミネラルコルチコイド受容体拮抗薬活性を示す、上述の(1)から(15)のいずれか1つに記載の化合物のアトロプ異性体のうちの1つ、
を提供する。
【0018】
加えて、本発明は、
(17):活性成分として、上述の(1)から(16)のいずれか1つに記載のアトロプ異性体を含む、薬剤と、
(18):活性成分として、上述の(1)から(16)のいずれか1つに記載のアトロプ異性体を含む、心血管疾患のための予防薬または治療薬と、
(19):活性成分として、上述の(1)から(16)のいずれか1つに記載のアトロプ異性体を含む、高血圧症のための予防薬または治療薬と、
(20):活性成分として、上述の(1)から(16)のいずれか1つに記載のアトロプ異性体を含む、糖尿病性腎症のための予防薬または治療薬と、
を提供する。
【0019】
さらに、本発明は、
(21):上述の(1)から(16)のいずれか1つに記載のアトロプ異性体と、薬理学的/薬学的に許容される担体と、を含む、医薬組成物、
を提供する。
【0020】
本発明の(ヒドロキシアルキル)ピロール誘導体のアトロプ異性体は、他と比較して、より強力なミネラルコルチコイド受容体拮抗薬活性を有するため、高血圧症、狭心症、急性冠動脈症候群、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、原発性アルドステロン症、または心疾患等の疾患、より好ましくは、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、高血圧症等、特に好ましくは、高血圧症、特に好ましくは、糖尿病性腎症の予防または治療のための予防薬または治療薬(特に、治療薬)として有用である。
【0021】
同一構造を有する他のアトロプ異性体と比較して、優れたミネラルコルチコイド受容体拮抗薬活性を有する、本発明の一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体は、高経口吸収性、血漿濃度レベル、および長い血中半減期を示し、優れた薬理学的活性を呈する。加えて、そのような本発明の一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体は、体内分布、血中半減期等の優れた体内動態/薬物動態を有し、腎臓および肝臓等の器官に対して毒性が低い。さらに、本発明の一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体は、非常に安定である。例えば、7日間室温でメタノール中に、および4時間60℃でアセトニトリル−フタル酸緩衝液中に放置した後も、ラセミ化は、観察されなかった。
【0022】
したがって、本発明の一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体は、例えば、薬剤として有用であって、特に、種々の心血管疾患(好ましくは、高血圧症、狭心症、急性冠動脈症候群、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、原発性アルドステロン症、または心疾患)を予防または治療するための薬剤として有用である。
【0023】
定義
本明細書における置換基について、以下に説明する。
【0024】
(1)「ハロゲノ基」は、フルオロ基、クロロ基、およびブロモ基、好ましくは、フルオロ基ならびにクロロ基である。
【0025】
(2)「C1−C3アルキル基」は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、およびイソプロピル基、好ましくは、メチル基ならびにエチル基等の1つから3つの炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖アルキル基である。
【0026】
(3)「C1−C3アルコキシル基」は、上述の「C1−C3アルキル基」から構築される、C1−C3アルキルオキシ基であって、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、およびイソプロポキシ基等の1つから3つの炭素原子を有する、直鎖または分岐鎖アルコキシル基を表し、好ましくは、メトキシ基を表す。
【0027】
(4)「2−ヒドロキシ−C4−C6アルキル基」は、直鎖または分岐鎖「C4−C6アルキル基」が、2−位において、1つのヒドロキシ基で置換される、基であって、例えば、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、2−エチル−2−ヒドロキシブチル基、1−エチル−2−ヒドロキシブチル基、2−ヒドロキシ−(3−メチル)ブチル基、2−ヒドロキシ−(3,3−ジメチル)ブチル基、2−ヒドロキシペンチル基、および2−ヒドロキシヘキシル基、好ましくは、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基が挙げられ得る。
【0028】
(5)「ハロゲノ−C1−C3アルキル基」は、上述の「C1−C3アルキル基」が、同一または異なる1つから5つのハロゲノ基で置換される、基であって、例えば、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロジフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2−フルオロ−1−メチルエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエチル基、および3−フルオロプロピル基、好ましくは、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、2−フルオロエチル基、2−フルオロプロピル基、ならびに2−フルオロ−1−メチルエチル基等が挙げられ得る。
【0029】
(6)「ハロゲノ−C1−C3アルコキシル基」は、上述の「C1−C3アルコキシル基」が、同一または異なる1つから5つのハロゲノ基で置換される、基であって、例えば、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、2−フルオロエトキシ基、1,1−ジフルオロエトキシ基、1,1,2,2,2−ペンタフルオロエトキシ基、および3−フルオロプロポキシ基、好ましくは、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられ得る。
【0030】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0031】
一般式(I)中のR、R、R、R、R、およびRについて説明する。
【0032】
【化2】

【0033】
一般式(I)中のRは、
(a)C1−C3アルキル、
(b)メチルまたはエチル、あるいは
(c)メチル、を表す。
【0034】
一般式(I)中のRは、
(a)2−ヒドロキシ−C4−C6アルキル、
(b)2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、または
(c)(1R、2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル、を表す。
【0035】
一般式(I)中のRは、
(a)ハロゲノ、C1−C3アルキル、C1−C3アルコキシ、ハロゲノ−C1−C3アルキル、またはハロゲノ−C1−C3アルコキシであって、ハロゲノ基として、クロロ基が、好ましく、C1−C3アルキル基として、メチル基が、好ましく、C1−C3アルコキシル基として、メトキシ基が、好ましく、ハロゲノ−C1−C3アルキル基として、ジフルオロメチル基またはトリフルオロメチル基が、好ましく、ハロゲノ−C1−C3アルコキシル基として、ジフルオロメトキシ基またはトリフルオロメトキシ基が、好ましく、
(b)メチル、クロロ、ハロゲノメチル、またはハロゲノメトキシ、
(c)クロロ、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメトキシ、またはトリフルオロメトキシ、あるいは
(d)クロロまたはトリフルオロメチル、を表す。
【0036】
一般式(I)中のRは、
(a)水素、ハロゲノ、またはC1−C3アルキル、あるいは
(b)水素またはハロゲノ、を表す。
【0037】
一般式(I)中のRは、
(a)C1−C3アルキル、または
(b)メチル、を表す。
【0038】
一般式(I)中のRは、
(a)水素、ハロゲノ、C1−C3アルキル、またはC1−C3アルコキシ、
(b)水素、クロロ、またはメチル、あるいは
(c)水素を表す。
【0039】
一般式(I)によって表される好ましい化合物として、
1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
またはN−オキシド、上述のいずれかのアトロプ異性体、あるいは上述のいずれかの薬学的に許容される塩、から成る群から選択される1つの化合物が挙げられ得る。上述のいずれかの4つの立体異性体の一対のアトロプ異性体のうち、より強力なミネラルコルチコイド受容体拮抗作用を示すものが、より好ましい。
【0040】
一般式(I)によって表される好ましい化合物として、(表1):
【0041】
【表1】

【0042】
N−オキシド、上述のいずれかのアトロプ異性体、および上述のいずれかの薬学的に許容される塩、を含む。上述のいずれかの4つの立体異性体の一対のアトロプ異性体のうち、より強力なミネラルコルチコイド受容体拮抗作用を示すものが、より好ましい。
【0043】
さらに、一般式(I)によって表される好ましい化合物として、
1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド、
N−オキシド、上述のいずれかのアトロプ異性体、および上述のいずれかの薬学的に許容される塩、を含む。アトロプ異性体のうち、より強力なミネラルコルチコイド受容体拮抗薬活性を示すものが、より好ましい。
【0044】
一般式(I)によって表される好ましい化合物として、(表2):
【0045】
【表2】

【0046】
そのN−オキシド、上述のいずれかのアトロプ異性体、および上述のいずれかの薬学的に許容される塩、を含む。アトロプ異性体のうち、より強力なミネラルコルチコイド受容体拮抗薬活性を示すものが、より好ましい。
【0047】
ここでは、本明細書における「鬱血性心不全」として、「慢性心不全」および「CHF(慢性心不全)」を含む。
【0048】
本明細書における「線維症」の特定の実施例として、心内膜線維症、血管線維症、腎線維症、および肝線維症が挙げられる。
【0049】
本明細書における用語「心疾患」とは、虚血性心疾患、心不全、心臓収縮機能障害、心臓拡張機能障害、心筋壊死、肺静脈鬱血、心房細動、心筋梗塞、心筋線維症、または慢性心不全を意味する。
【0050】
本明細書における用語「腎疾患」、または「腎臓疾患」、あるいは「腎症」として、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、多嚢胞性腎、非糖尿病性腎症、および慢性腎疾患を含む。
【0051】
以下、本発明の化(I)によって表される化合物の産生プロセスについて説明する。
【0052】
本発明の化(I)の化合物は、以下の[スキーム1]に示される方法によって産生可能である。
【0053】
【化3】

【0054】
化(I)の化合物は、以下の[スキーム1]に示される方法によって産生可能である。
【0055】
化(I)の化合物は、最初に、5−ブロモピロール(1)と、アリールボロン酸誘導体である、化合物(2)とのカップリング反応を介して、5−アリルピロールカルボン酸エステル誘導体(3)を調製し、その後、化合物(3)の加水分解によって産生可能である。次いで、酸塩化物である、化合物(5)を調製し、化合物(5)とアニリン(6)との縮合反応を行い、アミド誘導体である、化合物(7)を得、その後、化合物(7)のアルキル化を行なう。
【0056】
化(I)の化合物が、不斉炭素、軸不斉等から生じる光学異性体を有する場合、単一異性体は、必要に応じて、光学分離を行うことによって得ることが可能である。
【0057】
【化4】

【0058】
(上述の化学式中、Rは、C1−C3アルキル基を表し、Rは、2−ヒドロキシ−C4−C6アルキル基を表し、Rは、ハロゲノ基、C1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシル基、ハロゲノ−C1−C3アルキル基、またはハロゲノ−C1−C3アルコキシル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲノ基、またはC1−C3アルキル基を表し、Rは、C1−C3アルキル基を表し、Rは、水素原子、ハロゲノ基、C1−C3アルキル基、またはC1−C3アルコキシル基を表し、Rは、C1−C4アルキル基、またはアリル基を表す。)
ブロモピロール誘導体である、化合物(1)と、アリールボロン酸誘導体(2)とのカップリング反応(クロスカップリング反応)の参考文献として、特許文献(WO2006/012642)が、挙げられ得る。カップリング反応のための触媒として、一般的パラジウム試薬が使用可能であって、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)が、好ましい。塩基として、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等が使用可能であって、炭酸ナトリウムが、好ましい。反応溶媒として、水、または塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミド等の不活性極性溶媒等が、単独であるいは溶媒混合物として使用可能であって、トルエンと水等の溶媒混合物が、好ましい。反応温度としては、0℃から溶媒の沸点の範囲であって、好ましくは、室温から溶媒の沸点の範囲である。反応時間としては、通常、約0.5時間から約24時間である。
【0059】
ピロールカルボン酸エステル誘導体である、化合物(3)のアルカリ性加水分解と、加水分解後、アニリン誘導体である、化合物(6)またはその塩とのハロゲン化反応によって得られる、ピロールカルボン酸塩化物誘導体である、化合物(5)の縮合反応では、特許文献(WO2006/012642)に記載の方法が、使用されるものとする。最初に、ピロールカルボン酸(4)の酸塩化物を得るための変換反応では、一般的ハロゲン化試薬が使用可能であって、好ましくは、塩化オキサリルである。化合物(5)と、アニリン誘導体である、化合物(6)との縮合反応では、塩基の存在下、この反応を行うことが好ましい。塩基として、トリエチルアミンおよびジイソプロピルエチルアミン等の有機塩基が、好ましい。該縮合反応のための溶媒として、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、またはN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が、好ましい。反応温度としては、−20℃から溶媒の沸点の範囲であって、好ましくは、室温から溶媒の沸点の範囲である。反応時間としては、通常、約2時間から約24時間である。
【0060】
ピロールカルボン酸のアミド誘導体である、化合物(7)のアルキル化では、塩基性条件下で行われる、周知のアルキル化方法が、使用されてもよい。アルキル化試薬として、4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド、炭酸エステル誘導体等の環状硫酸エステル誘導体が使用可能であって、好ましくは、(4S,5S)−4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシドである[参考文献:Bull. Chem. Soc. Jpn. 66, 513−522(1993)]。塩基として、ナトリウムtert−ブトキシド、水素化ナトリウム、炭酸カリウム等が使用可能であって、好ましくは、ナトリウムtert−ブトキシドである。反応溶媒として、エタノール等のアルコール溶媒、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒、トルエン等の炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒、ならびにN,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメチルアセトアミド等の極性溶媒が使用可能であって、好ましくは、N,N−ジメチルアセトアミドである。反応温度としては、−20℃から溶媒の沸点の範囲であって、好ましくは、室温から溶媒の沸点の範囲である。反応時間としては、通常、約0.5時間から約24時間である。
【0061】
【化5】

【0062】
(式中、R2aおよびR2bは、1)同一または相互に異なり、メチル基またはエチル基を表す、あるいは2)R2aまたはR2bの一方は、水素原子であって、他方は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、またはtert−ブチル基を表し、R、R、R、R、およびRは、上述と同一を表す。)
アルコール誘導体である、化(I−a)の化合物は、最初に、市販または周知の方法によって合成可能である、アルキル化剤である環状硫酸エステル誘導体(2−1)を使用して、酸性触媒の存在下、硫酸エステル誘導体である、化合物(2−2)を調製し、次いで、化合物(2−2)を加水分解することによって、[スキーム2]に記載のように産生可能である。酸性触媒として、塩酸、硫酸、酢酸等が使用可能であって、好ましくは、塩酸である。溶媒として、水、エタノール等のアルコール溶媒、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素溶媒、トルエン等の不活性炭化水素溶媒、テトラヒドロフラン等の不活性エーテル溶媒、またはN,N−ジメチルホルムアミド等の不活性極性溶媒が使用可能であって、好ましくは、テトラヒドロフランである。反応温度としては、0℃から溶媒の沸点の範囲であって、好ましくは、室温から溶媒の沸点の範囲である。反応時間としては、通常、約0.5時間から約24時間である。
【0063】
上述の化合物(I)に関して、ピロールとフェニルとの間の軸不斉から生じるアトロプ異性体、またはsp3不斉炭素等から生じる光学異性体が存在する場合がある。アトロプ異性体の光学分離は、本質的に、sp3不斉炭素等から生じる鏡像異性体のものと同一である。例えば、直接分離は、キラルカラムを使用する高性能液体クロマトグラフィーによって行うことが可能である。キラルカラムとして、例えば、CHIRALPAK AD−H、AS−H等が挙げられ得る。
【0064】
本発明におけるアトロプ異性体は、制約分子内回転から発生する、軸性または面性キラリティーに基づく、構造的異性体である。本発明の一般式(I)を有する化合物は、置換基としてR基を有するフェニル基と、立体障害のため置換されたピロール環とを接続する、化学結合の回転の制約から発生する軸不斉から生じる、2つのアトロプ異性体を有する。本発明のアトロプ異性体に関して、一般式(I)を有する化合物または一般式(I)の化合物が、不斉炭素等から発生する異性体を有する場合、そのような異性化合物のそれぞれに存在する、一対のアトロプ異性体のうちのいずれか一方を意味する。優れた薬理学的/薬物動態活性、安定性、体内動態、安全性等を備え、薬剤として好ましい特性を有する、アトロプ異性体が、好ましい。
【0065】
ここで、本発明は、一般式(I)の化合物に存在するアトロプ異性体のうち、優れたまたは好ましい薬理学的および/または薬物動態活性、安定性、体内動態、安全性等を有するアトロプ異性体から成り、薬剤として好ましい特性を有する。しかしながら、また、本発明は、主要成分として好ましい特性を有する、アトロプ異性体に富んだ化合物/組成物から成る、あるいはまた、そのような好ましい特性を実証する限り、任意の比率での他のアトロプ異性体との混合物も含む。優れたおよび/または好ましい特性を有する、アトロプ異性体に富んだ化合物/組成物では、そのような特性を有するアトロプ異性体は、他のアトロプ異性体より高濃度で存在する。好ましくは、好ましいアトロプ異性体は、同一構造のアトロプ異性体を、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、または99%より多く含む。好ましい実施形態では、好ましいアトロプ異性体以外、同一構造のアトロプ異性体は、検出されない。
【0066】
上述の方法によって産生されるアトロプ異性体の分離および精製方法として、例えば、クロマトグラフィーを含むが、その方法は、それに限定されない。以下、クロマトグラフィーを使用する一般的光学分離方法の詳細について記載する。
【0067】
クロマトグラフィーを使用する光学分離方法では、糖等の誘導体と結合した不斉要素を組み込む固定相が、担体として使用される場合、クロマトグラフィーの滞留時間に違いが出てきて、それによって、分離を可能にする。本特性を利用することによって、直接分離が、キラルカラムを使用する高性能液体クロマトグラフィーによって行われることが可能である。キラルカラムは、例えば、CHIRALPAK AD−H、CHIRALCEL OJ−RH(DAICEL)等を含む。また、アトロプ異性体混合物の場合、標準的シリカゲルカラムが使用されてもよい。
【0068】
本発明のアトロプ異性体が、薬剤として使用される場合、上述の一般式(I)を有する化合物のアトロプ異性体は、そのまま(または、そのアトロプ異性体に富んだ組成物として)投与可能であるか、あるいはアトロプ異性体(または、アトロプ異性体に富んだ化合物/組成物)は、薬理学的に許容可能な適切な賦形剤、希釈剤等と混合され、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、シロップ等として、経口投与されるか、あるいは注射、坐薬、粘着製剤、または外用製剤として、非経口的に投与可能である。
【0069】
これらの調合薬は、賦形剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、乳化剤、安定剤、矯正剤、および希釈剤等の添加剤を使用することによって、周知の方法を通して産生される。
【0070】
また、本発明は、ミネラルコルチコイド受容体を本発明の有効阻害量の化合物と接触することを含む、インビトロおよびインビボの両方において、ミネラルコルチコイド受容体活性を阻害する方法を含む。一好ましい実施形態では、該受容体は、細胞中にある。該細胞は、動物体内にあることが好ましく、好ましくは、ヒトの体内にあることが好ましい。そのような方法は、任意の治療効果とは関係なく、インビトロおよびインビボでの生物学的プロセスにおけるミネラルコルチコイド受容体の役割を研究するために有用である。
【0071】
また、本発明は、ミネラルコルチコイド受容体媒介病態または疾患を予防または治療する方法を含む。そのような病態または疾患として、例えば、高血圧症、狭心症、急性冠症候群、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、原発性アルドステロン症、および浮腫を含む。この予防および/または治療の方法は、動物(好ましくは、ヒト)に本発明の有効量の化合物(単独または医薬組成物として)を投与することを含む。本明細書で使用されるように、「治療」とは、治癒および緩和の両方を包含する。
【0072】
その投与量は、症状、年齢等に応じて変動するが、ヒトの成人への経口投与の場合の用量は、下限として投与量あたり0.02mg/kg(好ましくは、0.1mg/kg)から上限として投与量あたり100mg/kg(好ましくは、10mg/kg)であって、非経口投与の場合の用量は、下限として投与量あたり0.002mg/kg(好ましくは、0.01mg/kg)から上限として投与量あたり10mg/kg(好ましくは、1mg/kg)であって、投与量は、症状に応じて、1日あたり1時間から6時間、投与可能である。
【0073】
好ましい薬理学的および/または薬物動態活性を有する、本発明の化合物のアトロプ異性体は、本明細書に説明されるおよび/または当業者に周知の方法を使用して、規定通りに判定および同定可能である。
【0074】
本明細書に参照される刊行物(特許および非特許)はすべて、参照することによって本明細書に組み込まれる。
【実施例】
【0075】
実施例
以下、実施例および試験実施例を参照して、本発明を具体的に説明するが、しかしながら、本発明は、これらにいかようにも限定されるものではない。
【0076】
ここで、実施例中の記号「NMR」と「MS」は、それぞれ、「核磁気共鳴」および「質量分析」とを意味する。クロマトグラフィーを使用する分離および精製の部分に記載される溶出のための溶媒の比率は、別途注記されない限り、体積比を指す。「NMR」とは、別途注記されない限り、1H−NMRを意味し、括弧の中の内容は、測定のための溶媒を示し、全例に対して、内部標準物質として、TMS(テトラメチルシラン)を使用した。さらに、「Anal. Calcd for RATIONAL FORMULA」と「required」は、それぞれ、元素分析および高分解能質量分析(HRMS)のための計算値を意味し、測定値は、「found」の後に得られる。加えて、高性能液体クロマトグラフィーでは、分析および精製は、以下の条件を使用して行った。
【0077】
分析HPLC
機器:SHIMADZU CLASS−VPシステム(LC−10ADVP/SCL−10AVP/SPD−M10AVP/CTO10ACVP/DGU12A);
オーブン:40℃、流速:1.0mL/分、検出:UV(254nm)。
分取HPLC
機器:SHIMADZU CLASS−VPシステム(LC−8A/SCL−10AVP/SIL−10AP/SPD−10AVP/FRC−10A);
オーブン:室温、流速:20mL/分、検出:UV(254nm)。
【0078】
(実施例1)
1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
【0079】
【化6】

【0080】
無水N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)(0.53L)中、4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド(28g、66mmol)の溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド(15g、15mmol)を添加し、N下、30分間、室温で撹拌した。無水DMA(2.0ml)中、(4S,5S)−4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド(15g、99mmol)を溶液に添加し、2.0時間、70℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、2N HCl(0.14L)を添加し、回転蒸発機で濃縮した。本残留物に、無水テトラヒドロフラン(THF)(140ml)および5N HCl(0.14L)を添加し、90分間、60℃で撹拌した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄し、NaHCOおよび塩水で飽和し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製し(ジクロロメタン:酢酸エチル、9:1から1:1)、白色固体(22.5g、69%)として、表題化合物のアトロプ異性体混合物を得た。
H−NMR(500MHz、CDCl)δ:7.92−7.87(2H、m)、7.86−7.75(3.5H、m)、7.72(1H,s)、7.68−7.56(2H、m)、7.47(0.5H、s)、7.38−7.29(1H、m)、4.09−4.01(0.5H、m)、3.85−3.75(0.5H、m)、3.59−3.42(1H、m)、3.05(3H、s)、2.07(3H、s)、1.75−1.61(1H、m)、1.42(1.5H、d、J=6.8Hz)、1.34(1.5H、d、J=6.8Hz)、1.11(1.5H、d、J=6.4Hz)、1.03(1.5H、d、J=6.4Hz);
MS(ESI)m/z:495[M+H]
滞留時間:5.8分(異性体A)、7.0分(異性体B)
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
表題化合物のアトロプ異性体混合物(5.10g、10.3mmol)をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1から1:9)によって分離し、白色固体として、アトロプ異性体のうちの1つ(異性体A、900mg、1.82mmol)を得た。
【0081】
実施例1−異性体A
H−NMR(500MHz、CDCl)δ:7.91(2H、d、J=8.8Hz)、7.85−7.80(3H、m)、7.73(1H、s)、7.68−7.58(2H、m)、7.46(1H、s)、7.35(1H、d、J=6.8Hz)、3.85−3.75(1H、m)、3.58−3.50(1H、m)、3.06(3H、s)、2.07(3H、s)、1.58−1.50(1H、m)、1.42(3H、d、J=6.8Hz)、1.03(3H、d、J=6.4Hz)。
MS(ESI)m/z:495[M+H]
HRMS(ESI)calcd for C2426S[M+H]、required m/z495.1565、found 495.1570。
滞留時間:5.8分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
表題化合物のアトロプ異性体(1.0g、1.9mmol)をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって分離し(ヘキサン:酢酸エチル、1:1から1:9)白色固体として、別の異性体(異性体B、0.26g、0.50mmol)を得た。
【0082】
実施例1−異性体B
H−NMR(500MHz、CDCl)δ:7.90(2H、d、J=8.3Hz)、7.84−7.80(3H、m)、7.78(1H、s)、7.72(1H、s)、7.68−7.57(2H、m)、7.31(1H、d、J=7.3Hz)、4.09−4.00(1H、m)、3.54−3.44(1H、m)、3.05(3H、s)、2.07(3H、s)、1.71(1H、d、J=4.9Hz)、1.33(3H、d、J=6.8Hz)、1.11(3H、d、J=6.4Hz)。
MS(ESI)m/z:495[M+H]+
HRMS(ESI)calcd for C2426S[M+H]、required m/z495.1565、found 495.1556。
滞留時間:7.0分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
(実施例2)
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
メチル5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸の調製
【0083】
【化7】

【0084】
トルエン/水(10:1、10ml)中、メチル5−ブロモ−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.27g、1.2mmol)、[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(0.61g、2.9mmol)、NaCO(0.6g、5.7mmol)、およびパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(96mg、0.083mmol)の混合物を、N下、1.5時間、110℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。この混合物を水および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、3:1から1:3)によって精製し、淡黄色固体として、表題化合物(0.23mg、62%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:8.35−8.25(1H、brs)、7.48(1H、dd、J=2.7、9.0Hz)、7.45(1H、d、J=3.1Hz)、7.40(1H、dd、J=5.5、8.2Hz)、7.30(1H、dt、J=2.7、8.2Hz)、3.82(3H、s)、2.15(3H、s)。
【0085】
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸の調製
【0086】
【化8】

【0087】
メタノール(4.0ml)中、メチル5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.23g、0.77mmol)の溶液に、5N NaOH(3.0ml)を添加し、2.0時間、80℃で混合物を撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、2N HCl(8.0ml)を添加した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1から1:9)によって精製し、白色固体として、表題化合物(211mg、96%)を得た。
H−NMR(400MHz、DMSO−d)δ:11.62(1H、s)、11.34(1H、s)、7.74(1H、dd、J=2.5、9.2Hz)、7.59(1H、dt、J=2.5、8.6Hz)、7.48(1H、dd、J=5.8、8.6Hz)、7.32(1H、d、J=3.1Hz)、1.93(3H、s)。
【0088】
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドの調製
【0089】
【化9】

【0090】
ジクロロメタン(60ml)中、5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(7.7g、27mmol)の懸濁液に、塩化オキサリル(5.1ml、59mmol)を添加した。2.0時間、混合物を室温で撹拌し、その後、溶媒を回転蒸発機から除去した。本茶色残留物に、4−(メタンスルホニル)塩酸アニリン(5.8g、28mmol)、テトラヒドロフラン(THF)(80ml)、およびジイソプロピルエチルアミン(DIEA)(14ml、80mmol)を添加した。2.0時間、室温でこの溶液を撹拌した。反応混合物を濃縮し、残留物に、2N HCl(80ml)および水(80ml)を添加し、30分間、結果として得られた懸濁液を撹拌した。固体を濾過し、水およびジイソプロピルエーテル(IPE)で洗浄し、白色固体として、表題化合物(11g、90%)を得た。
H−NMR(500MHz、DMSO−d)δ:11.40(1H、s)、9.93(1H、s)、7.98(2H、d、J=8.3Hz)、7.84(2H、d、J=8.3Hz)、7.77(1H、d、J=9.3Hz)、7.68(1H、s)、7.65−7.57(1H、m)、7.54−7.47(1H、m)、3.16(3H、s)、2.00(3H、s)。
【0091】
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
【0092】
【化10】

【0093】
無水DMA(160ml)中、5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド(23g、52mmol)の溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド(12g、0.12mol)を添加し、30分間、N下、室温で撹拌した。無水DMA(20ml)中、(4S,5S)−4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド(12g、78mmol)をその溶液に添加し、2.0時間、70℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、2N HCl(80ml)を添加し、回転蒸発機で濃縮した。本残留物に、無水THF(0.12L)および5N HCl(0.14L)を添加し、80分間、60℃で撹拌した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和NaHCO、および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:酢酸エチル、1:2、)によって精製し、淡黄色固体として、表題化合物のアトロプ異性体混合物(14.3g、52%)を得た。
MS(ESI)m/z:513[M+H]
滞留時間:5.5分(異性体A)、8.3分(異性体B)
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
上述と同様に、表題化合物のラセミ混合物を同一開始材料(0.5g、1.1mmol)から合成後、抽出後の結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、3:7から2:8)によって精製し、それぞれ、アトロプ異性体異性体A(91mg、0.18mmol)および異性体B(62mg、0.12mmol)を得た。
【0094】
実施例2−異性体A
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.87(2H、d、J=9.0Hz)、7.85−7.77(3H、m)、7.53(1H、d、J=8.6Hz)、7.48(1H、s)、7.37−7.33(2H、m)、3.84−3.74(1H、m)、3.57−3.48(1H、m)、3.05(3H、s)、2.06(3H、s)、1.70(1H、d、J=4.7Hz)、1.41(3H、d、J=6.7Hz)、1.04(3H、d、J=6.7Hz)。
MS(ESI)m/z:513[M+H]
HRMS(ESI)calcd for C2425S[M+H]、required m/z513.1471、found 513.1482.
滞留時間:5.5分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
実施例2−異性体B
H−NMR(500MHz、CDCl)δ:7.89(2H、d、J=8.8Hz)、7.82(2H、d、J=8.8Hz)、7.78(1H、s)、7.73(1H、s)、7.53(1H、dd、J=3.0、8.3Hz)、7.39−7.23(2H、m)、4.10−4.00(1H、m)、3.50−3.40(1H、m)、3.05(3H、s)、2.05(3H、s)、1.73(1H、d、J=5.4Hz)、1.33(3H、d、J=6.8Hz)、1.13(3H、d、J=6.8Hz)。
MS(ESI)m/z:513[M+H]
HRMS(ESI)calcd for C2425S[M+H]、required m/z513.1471、found 513.1466.
滞留時間:8.3分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
(実施例3)
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
メチル5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸の調製
【0095】
【化11】

【0096】
トルエン/水(9:1、10ml)中、メチル5−ブロモ−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.44g、2.0mmol)、[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ボロン酸(0.90g、4.0mmol)、NaCO(0.64g、6.0mmol)、およびパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.12g、0.10mmol)の混合物を、2.0時間、N下、110℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。この混合物を水および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン)によって精製し、淡黄色固体として、表題化合物(0.41g、65%)を得た。
MS(ES)m/z:318[M+H]
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸の調製
【0097】
【化12】

【0098】
メタノール(5.0ml)中、メチル5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.39g、1.3mmol)の溶液に、5N NaOH(5.0ml)を添加し、3.0時間、80℃で混合物を撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、蟻酸(3.0ml)を添加した。この混合物を回転蒸発機で濃縮した。残留物に、水を添加し、完全に粉砕した。固体を濾過および乾燥させ、茶色固体として、表題化合物(0.37g、93%)を得た。
H−NMR(400MHz、DMSO−d)δ:8.38(1H、s)、7.77(1H、s)、7.66−7.54(2H、m)、7.38(1H、d、J=8.2Hz)、2.19(3H、s)。
【0099】
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドの調製
【0100】
【化13】

【0101】
ジクロロメタン(5.0ml)中、5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.36g、1.2mmol)の懸濁液に、塩化オキサリル(0.3ml、3.5mmol)を添加した。1.0時間、混合物を室温で撹拌し、その後、溶媒を回転蒸発機から除去した。本茶色残留物に、THF(5.0ml)、4−(メタンスルホニル)塩酸アニリン(0.3g、1.4mmol)、およびDIEA(0.81ml、4.8mmol)を添加した。3.0時間、この溶液を室温で撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。残留物に、IPEを添加し、完全に粉砕した。固体を濾過し、表題化合物(0.24g、44%)を得た。
H−NMR(400MHz、DMSO−d)δ:11.39(1H、s)、9.92(1H、s)、7.97(2H、d、J=9.0Hz)、7.96(1H、s)、7.87−7.79(3H、m)、7.69(1H、d、J=3.1Hz)、7.47(1H、d、J=8.2Hz)、3.15(3H、s)、2.01(3H、s)。
【0102】
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
【0103】
【化14】

【0104】
無水DMA(234ml)中、5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド(21g、47mmol)の溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド(10g、0.11mol)を添加し、30分間、N下、室温で撹拌した。無水DMA(50ml)中の(4S,5S)−4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド(11g、70mmol)をこの溶液に添加し、2.0時間、70℃で撹拌した。反応混合物を0℃まで冷却し、2N HCl(100ml)を添加し、回転蒸発機で濃縮した。本残留物に、無水THF(120ml)および5N HCl(120ml)を添加し、90分間、60℃で撹拌した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和NaHCO、および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1から1:9)によって精製し、白色固体として、表題化合物のアトロプ異性体混合物(10.9g、44%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.94−7.86(2H、m)、7.85−7.79(3H、m)、7.76(1H、s)、7.73(0.5H、s)、7.66−7.60(1H、m)、7.47(0.5H、s)、7.34−7.24(1H、m)、4.10−4.00(0.5H、m)、3.83−3.73(0.5H、m)、3.58−3.42(1H、m)、3.05(3H、s)、2.07(3H、s)、1.74−1.58(1H、m)、1.42(1.5H、d、J=7.0Hz)、1.33(1.5H、d、J=7.0Hz)、1.13(1.5H、d、J=6.7Hz)、1.04(1.5H、d、J=6.7Hz)。
MS(ESI)m/z:529[M+H]
滞留時間:5.1分(異性体A)、5.7分(異性体B)
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
上述から得られたアトロプ異性体混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、1:1から1:9)によって分離し、異性体Aおよび異性体Bを得た。
【0105】
実施例3−異性体A
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.91(2H、d、J=8.6Hz)、7.84−7.79(3H、m)、7.70(1H、s)、7.62(1H、dd、J=2.4、8.2Hz)、7.45(1H、s)、7.31(1H、d、J=8.2Hz)、3.83−3.75(1H、m)、3.57−3.49(1H、m)、3.05(3H、s)、2.07(3H、s)、1.51(1H、d、J=2.4Hz)、1.42(3H、d、J=7.0Hz)、1.04(3H、d、J=6.3Hz)。
MS(ESI)m/z:529[M+H]
HRMS(ESI)calcd for C2425ClFS[M+H]、required m/z529.1176、found 529.1192.
滞留時間:5.1分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
実施例3−異性体B
H−NMR(500MHz、DMSO−d)δ:9.93(1H、s)、8.02−7.94(4H、m)、7.89−7.82(3H、m)、7.48(1H、d、J=7.8Hz)、5.05(1H、d、J=5.9Hz)、3.86−3.76(1H、m)、3.35−3.27(1H、m)、3.17(3H、s)、1.92(3H、s)、1.31(3H、d、J=6.8Hz)、0.92(3H、d、J=6.4Hz)。
MS(ESI)m/z:529[M+H]
HRMS(ESI)calcd for C2425ClFS[M+H]、required m/z529.1176、found 529.1179.
滞留時間:5.7分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
(実施例4)
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド
メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸の調製
【0106】
【化15】

【0107】
トルエン/水(10:1、25ml)中、メチル5−ブロモ−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.63g、2.8mmol)、(2−クロロ−4−フルオロフェニル)ボロン酸(1.0g、5.7mmol)、NaCO(0.91g、8.6mmol)、およびパラジウムテトラキス(トリフェニルホスフィン)(0.17g、0.14mmol)の混合物を、9.0時間、N下、110℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチルで希釈した。この混合物を水および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、6:1から1:1)によって精製し、白色固体として、表題化合物(634mg、84%)を得た。
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:8.50−8.20(1H、brs)、7.48(1H、d、J=3.1Hz)、7.33(1H、dd、J=6.3、8.6Hz)、7.24(1H、dd、J=2.7、8.2Hz)、7.06(1H、dt、J=2.7、8.2Hz)、3.82(3H、s)、1.57(3H、s)。
【0108】
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸の調製
【0109】
【化16】

【0110】
メタノール(10ml)中、メチル5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.64g、2.4mmol)の溶液に、5N NaOH(10ml)を添加し、4.0時間、80℃で混合物を撹拌した。反応混合物を回転蒸発機で濃縮した。残留物に、水を添加し、EtOで洗浄した。結果として得られた溶液を濃縮HClで中和し、酢酸エチルで抽出した。有機層を水および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮し、茶色固体として、表題化合物(610mg、quant)を得た。
H−NMR(400MHz、DMSO−d)δ:11.67(1H、s)、11.43(1H、s)、7.57(1H、dd、J=2.7、9.0Hz)、7.43(1H、dd、J=6.3、8.6Hz)、7.38(1H、d、J=3.1Hz)、7.31(1H、dt、J=2.7、8.6Hz)、2.05(3H、s)。
【0111】
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドの調製
【0112】
【化17】

【0113】
ジクロロメタン(30ml)中、5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.61g、2.4mmol)の懸濁液に、塩化オキサリル(0.41ml、4.8mmol)を添加した。2.0時間、混合物を室温で撹拌し、その後、溶媒を回転蒸発機から除去した。本茶色残留物に、THF(40ml)、4−(メタンスルホニル)塩酸アニリン(495mg、2.38mmol)、およびDIEA(1.6ml、9.5mmol)を添加した。20時間、この溶液を室温で撹拌した。反応混合物を回転蒸発機で濃縮し、2N HCl(30ml)を残留物に添加した。固体を濾過し、2N HCl、水、およびIPEで洗浄し、茶色固体として、表題化合物(812mg、84%)を得た。
H−NMR(400MHz、DMSO−d)δ:11.49(1H、s)、9.94(1H、s)、8.00(2H、d、J=9.0Hz)、7.85(2H、d、J=9.0Hz)、7.74(1H、d、J=3.1Hz)、7.60(1H、dd、J=2.7、9.0Hz)、7.46(1H、dd、J=6.3、8.6Hz)、7.33(1H、dt、J=2.7、8.6Hz)、3.17(3H、s)、2.12(3H、s)。
【0114】
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドの調製
【0115】
【化18】

【0116】
無水DMA(8.0ml)中、5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド(0.50g、1.2mmol)の溶液に、ナトリウムtert−ブトキシド(0.27g、2.8mmol)を添加し、30分間、N下、室温で撹拌した。無水DMA(2.0ml)中、(4S,5S)−4,5−ジメチル−1,3,2−ジオキサチオラン2,2−ジオキシド(0.28g、1.8mmol)をこの溶液に添加し、2.0時間、70℃で撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、2N HCl(2.0ml)を添加し、回転蒸発機で濃縮した。本残留物に、無水THF(4.0ml)および5N HCl(5.0ml)を添加し、80分間、60℃で撹拌した。この混合物を酢酸エチルで希釈し、水、飽和NaHCO、および塩水で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、回転蒸発機で濃縮した。結果として得られた残留物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル、3:7から2:8)によって精製し、白色固体として、表題化合物のアトロプ異性体混合物(0.29g、50%)を得た。
MS(ESI)m/z:479[M+H]
滞留時間:7.0分(異性体A)、10.4分(異性体B)
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
上述から得られたアトロプ異性体混合物を、キラルHPLC[カラム:CHIRALPAK AD−H(20mm×250mm)、溶離剤:ヘキサン−エタノール(70:30、v/v)]によって分離し、異性体Aおよび異性体Bを得た。
【0117】
実施例4−異性体A
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.90(2H、d、J=9.0Hz)、7.81(2H、d、J=9.0Hz)、7.79(1H、s)、7.47(1H、s)、7.31−7.25(2H、m)、7.10(1H、dt、J=2.7、8.2Hz)、3.80−3.70(1H、m)、3.67−3.57(1H、m)、3.06(3H、s)、2.15(3H、s)、1.59(1H、d、J=5.1Hz)、1.52(3H、d、J=7.0Hz)、0.98(3H、d、J=6.3Hz)。
MS(ESI)m/z:479[M+H]
HRMS(ESI)calcd for C2325ClFNS[M+H]、required m/z479.1208、found 479.1194
滞留時間:7.0分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]
実施例4−異性体B
H−NMR(400MHz、CDCl)δ:7.91(2H、d、J=9.0Hz)、7.82(2H、d、J=9.0Hz)、7.76(1H、s)、7.55(1H、s)、7.32−7.21(2H、m)、7.11(1H、dt、J=2.7、8.2Hz)、4.00−3.89(1H、m)、3.69−3.60(1H、m)、3.06(3H、s)、2.15(3H、s)、1.58(1H、d、J=7.4Hz)、1.43(3H、d、J=6.7Hz)、1.06(3H、d、J=6.3Hz)。
MS(ESI)m/z:479[M+H]
HRMS(ESI)calcd for C2325ClFNS[M+H]、required m/z479.1208、found 479.1207
滞留時間:10.4分
キラルHPLC条件:AD−H(0.46cm×25cm)
溶離剤:ヘキサン−EtOH[70:30(v/v)、無勾配]。
【0118】
以下の試験実施例では、1−(2−ヒドロキシエチル)−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミドが、最も好適な比較化合物として、従来技術(WO2006/012642)に記載の化合物から選択され、使用された。
【0119】
(試験実施例1)
酵母転写因子GAL4(アミノ末端における147のアミノ酸に相当)のDNA結合ドメインに結合した、ヒトミネラルコルチコイド受容体(hMR、NM_000901)のリガンド結合ドメイン(LBD、カルボキシ末端における約308のアミノ酸に相当)を有する、GAL4−hMR受容体を発現するプラスミドpM−hMR−LBDを調製した。レポーターアッセイを、GAL4のDNA結合ドメインに結合する配列(UAS配列)を有する、ルシフェラーゼ遺伝子を含む、レポータープラスミド(STRATAGENE CLONING SYSTEMS、pFR−Luc等)を使用して行った。
【0120】
上述で得られたプラスミドpM−hMR−LBDおよびレポータープラスミドを、リポフェクションによって、ヒト胎児の腎細胞株HEK293に遺伝子導入した。翌日、トリプシン処理によって細胞を採取し、活性炭によって処理された5%のFBSを含有するDMEM培地とともに、1ウェルあたり95マイクロリットルの量として、白色96−ウェルプレート(Costar)に分注した。
【0121】
所定の濃度で、ジメチルスルホキシド中に溶解することによって、試験化合物を使用し、最終濃度が0.1%となるように、培地で好適に希釈された試験化合物を白色96−ウェルプレート上の細胞に添加した。試験化合物を添加する際、1nMのアルドステロンを加えた。対照群1のウェル群は、ジメチルスルホキシドが添加され、対照群2のウェル群は、1nMのアルドステロンが添加された。添加後、一晩、培養した。
【0122】
翌日、培地を除去し、次いで、添付に従って、ルシフェラーゼ基質(Wako Pure Chemical Industries, Ltd.)を調製し、50マイクロリットルずつ、各ウェルに添加した。約30分間、撹拌し、Analyst(Molecular Devices)を使用して、各ウェルの発光量を測定し、ルシフェラーゼ活性を得た。試験化合物添加群の量のそれぞれに対して、対照群1のルシフェラーゼ活性値が、0%として得られ、対照群2のルシフェラーゼ活性値が、100%として得られた時の相対的ルシフェラーゼ活性値をプロットしたグラフを作成した。グラフから、最大値を示す試験化合物の濃度をImax(%)として計算し、Imax/2を示す濃度をICmax50(nM)として計算した。ICmax50値を表1に示す。
【0123】
(結果)
本発明のアトロプ異性体に関する、以下の(表3)に示されるように、アトロプ異性体のうちの1つのみが、対応するアトロプ異性体混合物と比較して、強力な活性を有し、有意なミネラルコルチコイド受容体拮抗作用を示した。
【0124】
【表3】

【0125】
(試験実施例2)
カニクイザル(オス)を使用して、試験化合物の投与前日から空腹状態とした。
【0126】
投与試料は、用量が、3mg/2ml/kgとなるように、0.5%MC(メチルセルロース)溶液を試験化合物に添加することによって調製した。投与試料はそれぞれ、チューブを使用して、カニクイザルの胃内に投与した。試料投与後、約5mlの0.5%MCを投与した。投与試料のそれぞれに対して、2匹のカニクイザルの群に投与した。
【0127】
採血に関しては、投与前と、投与30分後、1時間後、2時間後、4時間後、6時間後、8時間後、24時間後、および48時間後に、ヘパリンで処理したガラス注射器を使用して、大腿静脈から約0.5mlの血液を採血することによって行った。血液を遠心分離させ(1,700×g、15分、4℃)、血漿を得た。血漿は、事前処理まで、冷凍庫(−20℃)で保管した。
【0128】
標準溶液および内部標準(「IS」)溶液の調製:試験化合物はそれぞれ、DMSO(ジメチルスルホキシド)中に溶解し、各10mMの溶液を調製した。化合物溶液はそれぞれ、アセトニトリルで希釈し、このようにして、標準的溶液を調製した。さらに、ニフルム酸(Wako Pure Chemistry Industries, Ltd.)を、2mMの濃度で、DMSO中に溶解し、その後、アセトニトリルで希釈し、2μMのIS溶液を調製した。
【0129】
血漿試料の事前処理:20μLの血漿試料を採取し、次いで、25μLの精製水、100μLのアセトニトリル、および100μLのメタノールを添加した。較正曲線の調製のため、25μLの精製水、20μLの各標準溶液(アセトニトリル溶液)、80μLのアセトニトリル、および100μLのメタノールを、20μLの空の血漿に添加した。40μLのアセトニトリル溶液のISを、試料すべてに添加し、次いで、それらの試料を撹拌し、Captivaフィルタープレート(Varian, Inc.)を使用した吸引によって濾過し、次いで、濾液をLC−MS/MS分析のための試料として使用した。
【0130】
試験化合物の定量分析:各試験化合物に対して、LC−MS/MS方法によって、血漿中の濃度を分析した。
[HPLC分析条件]
HPLC:WATERS 2795(Waters Corporation);
カラム:CAPCELL PAK C8、内径2.0mm×50mm、5μm(Shiseido Co., Ltd.)
移動相:A=5mM含水酢酸アンモニウム溶液、B=アセトニトリル
[MS/MS分析条件]
MS:Quattro micro API(Waters Corporation)
イオン化方法:Electrospray Ionization(「ESI」)
イオン化モード:陽
検出モード:MRM
分析:薬物動態パラメータを、WinNonlin Professional(Ver. 4.0.1、Pharsight Corporation)を使用して、血漿中の薬物のそれぞれの濃度から計算した。ここでは、非コンパートメントモデルを、パラメータ計算のためのモデルとして使用した。
【0131】
(結果)
(表4)に示されるように、以下に列挙される比較化合物と実施例化合物の評価の結果は、試験実施例1に記載の高活性を有するアトロプ異性体が、ラセミ形態にある比較化合物と比較して、非常に高濃度を示すことを明らかにした。
【0132】
【表4】

【0133】
(産業上の利用可能性)
本発明の一般式(I)によって表される化合物のアトロプ異性体は、特に、優れたミネラルコルチコイド受容体拮抗作用、降圧作用、血管拡張作用、心臓保護作用、腎症阻害作用、抗動脈硬化作用、および利尿作用等の薬理学的活性を示し、安全性が高いため、高血圧症、狭心症、急性冠動脈症候群、鬱血性心不全、糖尿病性腎症を含む腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、および原発性アルドステロン症のための予防薬または治療薬として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、
【化19】


そのN−オキシド;そのジアステレオマー、ラセミ体、またはジアステレオマーに富んだ化合物;そのアトロプ異性体、アトロプ異性体の等量混合物、またはアトロプ異性体に富んだ化合物;あるいは前記いずれかの薬学的に許容される塩であって、
は、C1−C3アルキル基を表し、
は、2−ヒドロキシ−C4−C6アルキル基を表し、
は、ハロゲノ基、C1−C3アルキル基、C1−C3アルコキシル基、ハロゲノ−C1−C3アルキル基、またはハロゲノ−C1−C3アルコキシル基を表し、
は、水素原子、ハロゲノ基、またはC1−C3アルキル基を表し、
は、C1−C3アルキル基を表し、
は、水素原子、ハロゲノ基、C1−C3アルキル基、またはC1−C3アルコキシル基を表す、一般式(I)のミネラルコルチコイド受容体拮抗薬、そのN−オキシド;そのジアステレオマー、ラセミ体、またはジアステレオマーに富んだ化合物;そのアトロプ異性体、アトロプ異性体の等量混合物、またはアトロプ異性体に富んだ化合物;あるいは前記いずれかの薬学的に許容される塩。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物のアトロプ異性体または薬学的に許容される塩。
【請求項3】
が、メチル基である、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
が、(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル基である、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
が、メチル基、クロロ基、ハロゲノメチル基、またはハロゲノメトキシ基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、クロロ基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメトキシ基、またはトリフルオロメトキシ基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、クロロ基またはトリフルオロメチル基である、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が、水素原子またはハロゲノ基である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
が、水素原子、フルオロ基、またはクロロ基である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
が、メチル基である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
が、水素原子、クロロ基、またはメチル基である、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項13】
が、水素原子である、請求項1から11のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
そのN−オキシド;そのジアステレオマー、ラセミ体、またはジアステレオマーに富んだ化合物;そのアトロプ異性体、アトロプ異性体の等量混合物、またはアトロプ異性体に富んだ化合物;あるいは前記いずれかの薬学的に許容される塩である、化合物。
【請求項15】
1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−5−[2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
5−[4−フルオロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
5−[4−クロロ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
5−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−1−[(1R,2S)−2−ヒドロキシ−1−メチルプロピル]−4−メチル−N−[4−(メチルスルホニル)フェニル]−1H−ピロール−3−カルボキサミド;
そのN−オキシド;そのジアステレオマー、ラセミ体、またはジアステレオマーに富んだ化合物;そのアトロプ異性体、アトロプ異性体の等量混合物、またはアトロプ異性体に富んだ化合物;あるいは前記いずれかの薬学的に許容される塩である、化合物。
【請求項16】
前記化合物の他のアトロプ異性体と比較して、より強力なミネラルコルチコイド受容体拮抗薬活性を示す、請求項1から15のいずれか一項に記載の化合物のアトロプ異性体。
【請求項17】
活性成分として、請求項1から16のいずれか一項に記載のアトロプ異性体を含む、薬剤。
【請求項18】
活性成分として、請求項1から16のいずれか一項に記載のアトロプ異性体を含む、心血管疾患のための予防薬または治療薬。
【請求項19】
活性成分として、請求項1から16のいずれか一項に記載のアトロプ異性体を含む、高血圧症のための予防薬または治療薬。
【請求項20】
活性成分として、請求項1から16のいずれか一項に記載のアトロプ異性体を含む、糖尿病性腎症のための予防薬または治療薬。
【請求項21】
請求項1から16のいずれか一項に記載のアトロプ異性体と、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項22】
ミネラルコルチコイド受容体活性を阻害する方法であって、前記ミネラルコルチコイド受容体を阻害有効量の請求項1−16のいずれか一項に記載の化合物または請求項21に記載の組成物と接触させること、を含む、方法。
【請求項23】
前記受容体が、細胞中にある、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記細胞が、動物体内にある、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記動物が、ヒトである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
動物において、ミネラルコルチコイド受容体媒介病態または疾患を予防または治療する方法であって、前記動物に有効量の請求項1−16のいずれか一項に記載の化合物または請求項21に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項27】
前記病態または疾患が、高血圧症、狭心症、急性冠症候群、鬱血性心不全、腎症、糖尿病性腎症、動脈硬化症、脳梗塞、線維症、原発性アルドステロン症、または浮腫である、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記動物が、ヒトである、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
動物において、糖尿病性腎症を予防または治療する方法であって、前記動物に有効量の請求項1−16のいずれか一項に記載の化合物または請求項21に記載の組成物を投与することを含む、方法。
【請求項30】
前記動物が、ヒトである、請求項29に記載の方法。

【公表番号】特表2012−505225(P2012−505225A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531140(P2011−531140)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059847
【国際公開番号】WO2010/042622
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(506024489)エグゼリクシス, インコーポレイテッド (50)
【出願人】(511084946)第一三共株式会社 (2)
【Fターム(参考)】