説明

(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体及びそれを用いた製品

【課題】油相中での分散性及び撥水性に優れ、且つ、化粧品に含有させた際に皮膚上での伸びや感触を向上させることができる化粧品用粉体の提供。
【解決手段】揮発性シリコーンオイル、ポリシロキサン主鎖に(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分がグラフトしている(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー、及び粉体を含む混合物から得られる、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体、及びそれを用いた製品、特に化粧品を含むパーソナルケア製品に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品用粉体は、皮膚、毛髪、爪等の彩色、しみ、そばかす等の隠蔽、又は紫外線からの皮膚の防御等を目的として、各種化粧品に配合されている。このような化粧品用粉体としては、無機顔料粉体、高分子粉体等がある。
【0003】
一般に、無機顔料粉体は表面が親水性であるため油相中への分散性が悪く、粘度の上昇、色別れ、粒子の凝集や沈殿等が生じる。よって、油相中への分散性向上のために、粉体表面を表面処理する(例えば、金属石鹸を吸着させる)ことが試みられている。シリコーンにより粉体の表面処理を行った場合、得られる表面処理粉体は、油相中への分散性が向上することに加え、撥水性及び皮膚への付着性も改善される。
【0004】
有機ケイ素化合物(特に、メチルハイドロジェンポリシロキサン)で表面処理された顔料又は体質顔料を化粧料に用いることは知られている(特許文献1)。
【0005】
また、有機ケイ素化合物処理顔料又は体質顔料として、重合度が25〜100、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.0〜1.3である、一方の分子鎖末端にアミノ水素基、ハロゲン原子、水酸基またはアルコキシ基を有する直鎖状の反応性アルキルポリシロキサンを加熱処理により顔料または体質顔料の表面に配向吸着させたものも知られている(特許文献1)。
【0006】
更に、特許文献2には、分子鎖の片末端にラジカル反応性基を有するジメチルポリシロキサン化合物(A)とアルキル(メタ)アクリレート(B)とをラジカル共重合させてなるアクリル−シリコーン系グラフト共重合体で、流動層コートにより、又は当該共重合体を揮発性溶剤に溶解し、粉体と共に混合分散スラリーとし、これを減圧下加熱して溶剤を留去することにより、被覆処理して得られた化粧料用粉体、及びかかる粉体を含有する化粧料が記載されている。
【特許文献1】特開平7−196946号公報
【特許文献2】特開平5−339125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記した粉体表面における表面処理の進歩にも拘らず、油相中での分散性及び撥水性を損なうことなく、化粧品に含有させた際の皮膚上での伸びや感触を更に向上させることができる、化粧品用粉体が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本明細書においては、揮発性シリコーンオイル、ポリシロキサン主鎖に(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分がグラフトしている(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー、及び粉体を含む混合物から得られる、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体が提供される。
【0009】
また、本明細書においては、上記処理粉体を含む化粧品が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本明細書によると、油相中での分散性及び撥水性に優れ、且つ、化粧品に含有させた際に皮膚上での伸びや感触を向上させることができる化粧品用粉体を得ることが可能となる。
【0011】
また、粉体の処理に用いられる(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー成分使用量が少ない場合であっても、得られた処理粉体を化粧品に含有させた際に、未処理粉体に比べて、皮膚上での伸びや感触を大幅に改善することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本明細書では、好適な実施形態に基づいて、より詳細な説明を行う。なお、本明細書において、用語「(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー」とは「アクリルグラフトシリコーンポリマー」又はそれに対応する「メタクリルグラフトシリコーンポリマー」を意味し、用語「(メタ)アクリル系単量体」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリル酸エステル」とは、それぞれ、「アクリル系単量体」、「アクリル酸」、「アクリル酸エステル」又はそれに対応する「メタクリル系単量体」、「メタクリル酸」、「メタクリル酸エステル」を意味する。
【0013】
本明細書において、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体は、揮発性シリコーンオイル、ポリシロキサン主鎖に(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分がグラフトしている(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー、及び粉体を含む混合物から得られる。
【0014】
混合物には、得られる処理粉体の撥水性、皮膚上での伸びや感触の観点から、揮発性シリコーンオイルが用いられる。揮発性シリコーンオイルとしては、特に制限はなく、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーを溶解することができ、処理粉体とする際に除去できるものであれば、いずれの揮発性シリコーンオイルも使用可能である。ある態様においては、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、及びドデカメチルペンタシロキサン等の直鎖状シリコーンオイル; メチルトリメチコン等の分岐鎖状シリコーンオイル; カプリリル変性トリシロキサン等の変性シリコーンオイル; ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、及びドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーンオイル等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて使用することができる。なお、ここで「揮発性」とは、空気中において常温で揮発しやすい性質を指し、特にその沸点が50℃から240℃であることを意味する。ある態様においては、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理紛体を得る工程における作業性(例えば、揮発性シリコーンオイルの揮発速度、沸点、凝固点、引火点、粘度及び安全性等)の観点から、ジメチルポリシロキサン及び/又はデカメチルシクロペンタシロキサンを用いることが好適である。
【0015】
次に、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーについて説明する。(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーは、ポリシロキサン主鎖に(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分がグラフトしている構造を有している。
【0016】
(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーは、以下の一般式(2)に示す構造を有することができる。
【化1】

【0017】
ここで、Rは、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシル基、アルキル基、アリル基、ハロゲン化アルキル基、アリーレン基を示し、Xは、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分がグラフトしている構造部分である。また、mは10〜540の整数、nは1以上の整数である。なお、上記式(2)中(式(1)、(3)及び(4)も同様)、−(RRSiO)m−部と−(RXSiO)n−部とは、ポリシロキサン主鎖中においてブロックに存在する必要はなく、ランダムに存在することができる。
【0018】
ある態様において、上記式(2)におけるRは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、アリル基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基を示す。また、ある態様において、Rはそれぞれ独立にヒドロキシル基、アリル基又は炭素数1〜3のアルキル基である。Rはそれぞれ独立に炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、メチル基がより好ましい。更に、Rが全てメチル基であることが特に好ましい。
【0019】
ポリシロキサン主鎖部分の重量平均分子量は、ある態様においては、750以上とすることができ、得られる(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーの粘弾性の点から、3,500以上がより好ましい。また、揮発性シリコーンオイルへの溶解性の点から、ポリシロキサン主鎖部分の重量平均分子量は、40,000以下であることが好ましく、より好ましくは25,000以下である。
【0020】
ポリシロキサン主鎖にグラフトしているX成分、すなわち、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分の量は、ポリシロキサン主鎖100重量部に対して、30重量部〜300重量部の範囲とすることができる。得られる(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーの粘弾性の点から、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分の量は、ポリシロキサン主鎖100重量部に対して40重量部以上であることが好ましい。また、揮発性シリコーンオイルへの溶解性の点から、ポリシロキサン主鎖100重量部に対して200重量部以下であることが好ましい。
【0021】
また、ポリシロキサン主鎖にグラフトできる(メタ)アクリル系単量体としては、酸性の(メタ)アクリル系単量体、塩基性の(メタ)アクリル系単量体、水酸基含有(メタ)アクリル系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系の(メタ)アクリル系単量体等が挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらの(メタ)アクリル系単量体は、ホモポリマーとしてグラフトしていても、複数種の(メタ)アクリル系単量体のコポリマーとしてグラフトしていてもよい。
【0022】
酸性の(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピル(メタ)アクリル酸、イソプロピル(メタ)アクリル酸、イタコン酸、フマール酸、(メタ)アクロイルオキシエチルフタレート、(メタ)アクロイルオキシサクシネート、(メタ)アクリル酸2−スルホン酸エチル、ブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸、及び(メタ)アクリル酸2−ホスホン酸エチル等が挙げられる。
【0023】
塩基性の(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸メチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸メチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸エチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸エチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルメチルクロライド塩、及び(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルベンジルクロライド塩等が挙げられる。
【0024】
水酸基含有(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、及び(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。
【0025】
(メタ)アクリル酸エステル系の(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸ステアリル、及び(メタ)アクリル酸ベヘニル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル; (メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル等の(メタ)アクリル酸非芳香族性環エステル(脂環族アルキルエステル、シクロアルキルエステル); (メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル等の(メタ)アクリル酸アルコキシエステル; (メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル等が挙げられる。
【0026】
ポリシロキサン主鎖にグラフトできる(メタ)アクリル系単量体以外の単量体成分としては、(メタ)アクリル系単量体と共重合可能であれば特に制限はないが、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン、酢酸ビニル、ビニルエーテル、塩化ビニル、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、ブタジエン、及びイソプレン等が挙げられる。かかる(メタ)アクリル系単量体以外の単量体成分の量は、使用する単量体成分によって異なるが、得られる(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理紛体の特性を損なわない範囲であれば、任意の量で配合可能である。一般的に、かかる(メタ)アクリル系単量体以外の単量体成分の量は、ポリシロキサン主鎖にグラフトされる全単量体成分に対して、過半量以下であることが好ましい。
【0027】
ある態様において、単量体成分は、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル系単量体を含む。ある態様においては、単量体成分は、(メタ)アクリル酸及び/又は(メタ)アクリル酸エステルである。また、揮発性シリコーンオイルへの溶解性の点から、単量体成分は、(メタ)アクリル酸エステルを含むことが好ましい。
【0028】
(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーは、下記一般式(3)のラジカル反応性基を有するシリコーンポリマーに、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分をグラフトさせることにより得ることができる。
【化2】

(式(3)中、R、m及びnは上で定義した通りであり、Zはラジカル反応性基である。)
【0029】
ある態様においては、ラジカル反応性基Zがメルカプトアルキル基であるシリコーンポリマー、すなわちメルカプト変性シリコーンポリマーが使用される。
【0030】
ここで、メルカプト変性シリコーンポリマーは、任意の公知の方法、例えば、(1)1又は複数のメルカプト置換炭化水素基を有するオルガノアルコキシシランとメルカプト基を有さないオルガノアルコキシシランとの混合物の同時加水分解、(2)1又は複数のメルカプト置換炭化水素基を有するオルガノアルコキシシランと、環状オルガノポリシロキサン又はメルカプト基を有さないシラノール末端型ジオルガノポリシロキサンとの反応、(3)1又は複数のメルカプト置換炭化水素基を有する環状又は直鎖オルガノポリシロキサンと、メルカプト基を有さない環状又は直鎖オルガノポリシロキサンとの平衡反応、(4)1又は複数の求核基と求電子試薬とのメルカプト変性シリコーンポリマーを得るための反応、及び(5)1又は複数の求電子基と求核試薬とのメルカプト変性シリコーンポリマーを得るための反応によって調製できる。
【0031】
メルカプト変性シリコーンポリマーは、市販品として購入することもできる。例えば、信越化学社製、商品名「KF−2001及びKF−2004」、Gelest社製、商品名「SMS−022、SMS−042及びSMS−992」、United chemical社製、商品名「PS848、PS849、PS849.5、PS850、PS850.5及びPS927」が挙げられる。これらの市販品は、それぞれ重量平均分子量、分子量分布及びメルカプト基の導入率が異なり、任意に選択することができる。
【0032】
ある態様においては、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーは、下記一般式(1)で表されるメルカプト変性シリコーンポリマーと、
【化3】

(式(1)中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、アリル基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基;Rはアリーレン基又は炭素数1〜3のアルキレン基;mは10〜540の整数;nは1以上の整数;をそれぞれ示す。)
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分との重合生成物である。
【0033】
また、ある態様においては、上記一般式(1)中、下記一般式(4)で示されるメルカプト変性シリコーンポリマーが使用される。
【化4】

(式(4)中、mは10〜540の整数;nは1以上の整数を示す。)
【0034】
(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーは、具体的に、上記ラジカル反応性基含有シリコーンポリマーと上記単量体成分とを、ラジカル重合開始剤の存在下において重合させ、ラジカル反応性基含有シリコーンポリマーのラジカル反応性基を介して単量体成分がグラフトすることにより得ることができる。ラジカル重合開始剤に関しては、特に制限はない。具体的には、熱重合開始剤として、アゾ化合物、ペルオキシド、ヒドロキシペルオキシド、過酸及び過エステルを用いることができる。アゾ化合物としては、例えば、2,2’−アゾビス−イソブチロニトリル、2,2’―アゾビス(2―メチルブチロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス―イソブチレート、ジメチル2,2’―アゾビス(2―メチルプロピオネート)、アゾビス―ジフェニルメタン、4,4’―アゾビス―(4―シアノペンタノン酸)が挙げられる。ペルオキシドとしては、例えば、ベンゾイルペルオキシド、キュミルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシド、シクロヘキサノンペルオキシド、グルタル酸ペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、過酸化水素が挙げられる。ヒドロキシペルオキシドとしては、例えば、tert−ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドが挙げられる。過酸としては、例えば、過酢酸、過安息香酸、過硫酸カリウムが挙げられる。過エステルとしては、例えば、過炭酸ジイソプロピル等が挙げられる。また、光重合開始剤としては、ベンゾインエーテル、例えば、ジエトキシアセトフェノン、オキシミノーケトン、アシルホスフォンオキシド、ジアリールケトン、ベンゾフェノン、2−イソプロピルチオキサントン、ベンジル、キノン誘導体、3−ケトクマリンを用いることができる。これらの化合物は、1種を単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0035】
重合方法としては、溶媒中において行われる溶液重合で調製されることが好ましい。溶液重合で用いられる溶媒としては、ラジカル重合におけるモノマー及び反応生成物に対して不活性であり、反応に有害な影響を及ぼさない任意の有機溶媒であることが好ましい。また、溶媒は、−10℃から50℃の間で液体であることが好ましい。より具体的には、エステル系溶媒、ケトン系溶媒及びアルコール系溶媒を用いることが好ましい。これらの溶媒の具体例として、エステル系溶媒としては、例えば、酢酸エチルや酢酸ブチルが、ケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトンが、アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールが挙げられる。
【0036】
重合反応を行う場合、まず、ラジカル反応性基含有シリコーンポリマー、(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分、ラジカル重合開始剤及び溶媒を任意の容器に入れ、ラジカル重合開始剤を光又は熱により分解させ、ラジカル重合を行う。生成した(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーは、溶媒のエバポレーションや、適当な溶媒(例えば、メタノール、ヘキサン又は水)への沈殿により回収することができる。また、得られた(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーは、ポリマーの重合度、ポリマー末端等が異なるポリマーの混合物であってもよい。
【0037】
続いて、粉体について説明する。粉体としては、何ら制限はなく、従来から知られているものが使用される。ある態様においては、化粧品用途に用いられるものが使用される。具体的には、無機顔料、有機顔料、無機顔料及び/又は無機顔料の複合粉体、ポリマー粉体、パール顔料、光輝性顔料等が挙げられる。また、これら粉体を複数種組み合わせて使用することも可能である。
【0038】
無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、水和酸化鉄、黄土、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト、群青、紺青、二酸化ジルコニウム、タルク、カオリン、セリサイト、白雲母、金雲母、紅雲母、合成雲母、リチア雲母、バーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、珪ソウ土、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、シリカ、ヒドロキシアパタイト、ゼオライト、窒化ホウ素、及び硫酸バリウム等が挙げられる。
【0039】
有機顔料としては、例えば、赤色201号(リソールルビンB)、赤色202号(リソールルビンBCA)、赤色203号(レーキレッドC)、赤色204号(レーキレッドCBA)、赤色207号(リソールレッド)、赤色213号(ローダミンB)、赤色226号(ヘリンドンピンクCN)、赤色405号(パーマネントレッド)、青色1号(ブリリアントブルーFCF)、青色404号(フタロシアニンブルー)、黄色4号(タートラジン)、黄色5号(サンセットイエローFCF)、紅花色素、β−カロチン、クロロフィル、及びコチニール等が挙げられる。
【0040】
複合紛末としては、例えば、二酸化チタン−酸化鉄、二酸化チタン−シリカ、セリサイト−二酸化チタン、シリカ−酸化セリウム、シリカ−酸化亜鉛、マイカ−水酸化アルミニウム、マイカ−二酸化チタン−シリカ、マイカ−酸化鉄−シリカ、二酸化チタン−酸化鉄−シリカ、硫酸バリウム−二酸化チタン、硫酸バリウム−酸化亜鉛、マイカ−硫酸バリウム−二酸化チタン、及びマイカ−硫酸バリウム−酸化亜鉛等が挙げられる。
【0041】
ポリマー粉体としては、例えば、ナイロンパウダー、シリコーンパウダー、ポリエチレンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリスチレンパウダー、セルロースパウダー、ウレタンパウダー、ポリエチレン・ポリメタクリル酸パウダー、エポキシパウダー、及びポリメタクリル酸パウダー等が挙げられる。
【0042】
パール顔料、光輝性顔料としては、例えば、魚鱗箔、アルミニウムパウダー、金属被覆ガラスフレーク、金属酸化物被覆ガラスフレーク、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・ウレタン積層末、及びポリエチレンテレフタレート・ポリメタクリル酸メチル積層末等が挙げられる。
【0043】
(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体は、少量の(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーで粉体処理を行う場合でも、得られる処理粉体の伸び及び感触の改善効果が大きい。ある態様においては、混合物中における(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーの量は、粉体100重量部に対して、0.1重量部以上とすることができる。より安定した伸び及び感触を与えるためには、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーの量を粉体100重量部に対して、0.5重量部以上、より好ましくは1重量部以上とすることができる。なお、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理量の上限については、特に制限はないが、一般的に、一定量以上用いても、得られる処理粉体の伸び及び感触の改善効果は大きく変わらない。ある態様においては、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーの量は粉体100重量部に対して10重量部以下とすることができる。
【0044】
混合物には、上述の3成分のほかに、他の成分が含まれていても良い。具体的には、揮発性シリコーンオイル以外の揮発性溶媒、可塑剤、界面活性剤、皮膜形成剤、粉末処理剤、油剤等が挙げられる。
【0045】
ここで、揮発性シリコーンオイル以外の揮発性溶媒としては、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーを溶解できるものであれば特に限定はない。例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン、酢酸エチル、酢酸イソブチル等のエステル、イソプロパノール、ブタノール等のアルコールが使用可能である。なお、かかる揮発性シリコーンオイル以外の揮発性溶媒の量は、得られる処理粉体の伸び及び感触の点から、少なくすることが好ましく、併用される揮発性シリコーンオイルの量より少量とすることがより好ましい。揮発性シリコーンオイル以外の揮発性溶媒を含まないことが特に好ましい。
【0046】
次に、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーによる粉体の処理方法について説明する。処理方法としては、まず、揮発性シリコーンオイル、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー及び粉体の混合物を調製する。この際、揮発性シリコーンオイルに(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーを溶解させて溶液とし、この溶液に粉体を添加して撹拌することで、混合物とすることができる。なお、混合物を調製する際、上記した成分(揮発性シリコーンオイル以外の揮発性溶媒、可塑剤、界面活性剤、皮膜形成剤、粉末処理剤、油剤等)も適宜添加できる。
【0047】
次いで、得られた混合物から揮発成分(揮発性シリコーンオイルを含む)の除去及び乾燥処理を行う。除去及び乾燥処理は、室温で行っても高温下(例えば、約50℃〜100℃)で行ってもよく、また減圧下で行うことも可能である。なお、除去及び乾燥処理時間についても、適宜設定することができる。一般的には、30〜360分程度である。
【0048】
(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体は、化粧品中に配合することができる。ここで、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体を、同量のシリコーングラフト(メタ)アクリルポリマー((メタ)アクリルポリマー主鎖にシリコーングラフト部分を有するポリマー)で同様に処理された処理粉体と比較した場合、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体の方が、シリコーングラフト(メタ)アクリルポリマーより、皮膚上での伸び及び感触の点で優れている。特に、実際の化粧品配合において、この差は顕著であり、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体を用いた場合、化粧品使用時の伸び、肌への付き、なじみに優れ、化粧崩れが生じにくい化粧品を得ることが可能となる。このように、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体は、化粧品用途において非常に好適である。また、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーによる粉体処理の場合には、少量の(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーで処理した場合でも、得られた処理粉体の伸び及び感触の改善効果が大きいため、実際の化粧品配合の観点からすると、少量の(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー使用量で十分な化粧品特性が得られることになる。このことは、商業的規模での製造及び製品コストの点で大きな利点となる。
【0049】
(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体を用いる化粧品の種類としては、例えば、洗顔クリーム、及びフェイシャルパック等のスキンケア化粧品、日焼け止め等のサンケア化粧品、化粧下地、ファンデーション類、コンシーラー、フェースパウダー、口紅、リップグロス、リップクリーム、ほお紅、マスカラ、アイシャドウ、アイブロー、及びアイライナー等のメイクアップ化粧品等が挙げられる。
【0050】
また、化粧品の剤形としては、例えば、溶液状、ジェル、二層状、油中水型エマルジョン、水中油型エマルジョン、油性、スプレー、ムース、紛末状、及び固体状等が挙げられる。
【0051】
化粧品への粉体の配合量としては、目的とする化粧品によって異なる。一般的には、化粧品100重量部に対し、例えば、パウダリーファンデーションの場合は70重量部から95重量部、リキッドファンデーションの場合は5重量部から60重量部、油性ファンデーションの場合は20重量部から80重量部、フェースパウダーの場合は80重量部から100重量部、口紅の場合は5重量部から30重量部、固形ほほ紅の場合は70重量部から95重量部、日焼け止め化粧品の場合は5重量部から30重量部とすることができる。
【0052】
また、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体を化粧品中へ配合する場合、化粧品の種類、剤形に応じて、通常化粧品用途に使用される成分(化粧品原料)と自由に組み合わせることが可能である。具体的な成分として、以下のものが挙げられる。
【0053】
炭化水素: 例えば、流動パラフィン、イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、パラフィン、オゾケライト、スクワラン、植物性スクワラン、プリスタン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、モンタンワックス、オレフィンオリゴマー、ポリイソブチレン、ポリブテン、及び水素添加ポリイソブテン等が挙げられる。
【0054】
室温で液状の油脂: 例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ヒマワリ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、グレープシード油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、及び月見草油等が挙げられる。
【0055】
室温で固体の油脂: 例えば、カカオ脂、ヤシ油、牛脂、羊脂、馬脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヤシ油、硬化パーム油、硬化牛脂、硬化油、及び硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0056】
ロウ: 例えば、ミツロウ、キャンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、カポックロウ、サトウキビロウ、ラノリン、酢酸ラノリン、液状ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、還元ラノリン、硬質ラノリン、ラウリン酸ヘキシル、ジョジョバロウ、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、及びPOE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0057】
低級アルコール: 例えば、エタノール、及びイソプロパノール等が挙げられる。
【0058】
高級アルコール: 例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、及びセトステアリルアルコール等の直鎖アルコール、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2−デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、及びオクチルドデカノール等の分枝鎖アルコール等が挙げられる。
【0059】
多価アルコール: 例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、及びグリセリン等が挙げられる。
【0060】
高級脂肪酸: 例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、及びイソステアリン酸等が挙げられる。
【0061】
エステル類: 例えば、ミリスチン酸イソプロピル、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、1,2−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、1,2−ヒドロキシステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリド、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2−エチルヘキサノエート、2−エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ポリグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、トリ2−エチルヘキサン酸エリスリチル、トリ2−エチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパンオリゴエステル、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、(アジピン酸・2−エチルヘキサン酸・ステアリン酸)グリセリンオリゴエステル、(2−ヘキシルデカン酸・セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2−エチルヘキシル、酢酸エチル、酢酸ブチル、及びクエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0062】
シリコーンオイル: 例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、及びメチルハイドロジェンポリシロキサン等の直鎖状シリコーンオイル、メチルトリメチコン等の分岐鎖状シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、ポリグリセリン変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、及びポリエーテルポリアルキル変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、及びテトラヒドロテトラメチルシクロテトラシロキサン等の環状シリコーンオイル等が挙げられる。
【0063】
フッ素系溶媒: 例えば、パーフルオロデカリン、メチルパーフルオロブチルエーテル、メチルパーフルオロイソブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、及びエチルパーフルオロイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0064】
界面活性剤: 例えば、N−アルキロイルメチルタウリンナトリウム、ステアリン酸カリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及びラウレス−12硫酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、クオタニウム−18等のカチオン性界面活性剤、ココベタイン、及びラウリルベタイン等の両性界面活性剤、PEG−2水添ヒマシ油、及びステアリン酸グリセリル等のノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0065】
保湿剤: 例えば、ポリエチレングリコール、ソルビトール、乳酸ナトリウム、2−ピロリドン−5−カルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、及びベタイン等が挙げられる。
【0066】
増粘剤: 例えば、クインスシードガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシビニルポリマー、及びベントナイト等が挙げられる。
【0067】
皮膜形成剤: 例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ニトロセルロース、トリメチルシロキシケイ酸、及びアクリルシリコーン等が挙げられる。
【0068】
薬剤: 例えば、ビタミンC類、アルブチン、コウジ酸、エラグ酸、及びルシノール等の美白剤、ビタミンA類、及びα−ヒドロキシ酸等の抗しわ剤、β−グリチルレチン酸、グリチルリチン酸ジカリウム、及びアズレン等の抗炎症剤、イオウ、サリチル酸、及びレゾルシン等のにきび用薬剤、ハマメリスエキス、アロエエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、ショウブエキ、チョウジエキ、ティーツリー油、ローズマリーエキ、アシタバエキ、及びアマチャエキス等の生薬等が挙げられる。
【0069】
紫外線吸収剤: 例えば、パラメトキシ桂皮酸エチル、パラメトキシ桂皮酸イソプロピル、パラメトキシ桂皮酸オクチル、パラメトキシ桂皮酸2−エトキシエチル、パラメトキシ桂皮酸ナトリウム、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル、及び4−t−ブチル−4’−メトキシジベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0070】
防腐殺菌剤: 例えば、安息香酸、安息香酸塩類、サリチル酸、サリチル酸塩類、フェノール、ソルビン酸、ソルビン酸塩類、デヒドロ酢酸、デヒドロ酢酸塩類、パラベン類、クロルクレゾール、ヘキサクロロフェン、レゾルシン、イソプロピルメチルフェノール、オルトフェニルフェノール、塩化クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、臭化アルキルイソキノリニウム、トリクロロカルバニリド、ハロカルバン、感光素201号、フェノキシエタノール、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、及び塩化ベンゼトニウム、等が挙げられる。
【0071】
金属イオン封止剤: 例えば、エデト酸等が挙げられる。
【0072】
香料: 例えば、リモネン、β−カリオフィレン、シス−3−ヘキセノール、リナロール、ファルネソール、β−フェニルエチルアルコール、2,6−ノナジエナール、シトラール、α−ヘキシルシンナミックアルデヒド、β−イオノン、l−カルボン、シクロペンタデカノン、リナリルアセテート、ベンジルベンゾエート、γ−ウンデカラクトン、オイゲノール、ローズオキサイド、インドール、フェニルアセトアルデヒドジメチルアセタール、及びオーランチオール等が挙げられる。
【0073】
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【実施例】
【0074】
以下、本発明の好適な実施例について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0075】
<物性評価方法>
(分散性評価)
3mLポリスチレン製試験管に、デカメチルシクロペンタシロキサン2.4g、及び以下の実施例及び比較例で得られたシリコーン処理粉体(又は未処理粉体自体)0.1gを投入し、評価用サンプルとした。得られたサンプルを20分間超音波処理した後、12時間静置し、サンプル中の沈殿物の高さを測定した。
【0076】
(撥水性評価)
30mLガラス製サンプル管に、水及びデカメチルシクロペンタシロキサンを適量と、以下の実施例及び比較例で得られたシリコーン処理粉体(又は未処理粉体自体)0.02gを投入し、評価用サンプルとした。得られたサンプルを手で良く振ってから1時間静置した。静置後の状態について、表1に示す基準で点数を付けた。
【表1】

【0077】
(官能性評価)
以下の実施例及び比較例で得られたシリコーン処理粉体(又は未処理粉体自体)を、前腕部に塗布したときの粉体の伸び及び感触について、表2に示す基準に基づき7人の被験者で評価した。尚、未処理粉体を基準サンプルとして、各実施例及び比較例の処理粉体の評価を行った。
【表2】

【0078】
<(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーの合成>
(合成例1〜6)
225mLガラス製ボトル容器に、表3に示す組成で、メルカプト変性ジメチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社製、商品名「KF−2001」、メルカプトプロピルメチルシロキサン単位:4モル%、重量平均分子量:20000)、単量体成分、溶媒及び重合開始剤を、総合計が160.5g(合成例2、4)又は162.4g(合成例1、3、5、6)となるように加え、窒素ガスで10分間バブリングを行った。次いで、容器を密封し、65℃の恒温槽中で攪拌しながら重合を行った。24時間後、容器を恒温槽から取り出し、室温まで冷却した。得られた重合溶液を水中に攪拌しながら滴下し、析出物を回収した。上記析出物を室温で乾燥し、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーを得た。
【表3】

【0079】
<シリコーン処理粉体の作製・評価(1)>
〔実施例1〜14、比較例1〜8〕
【0080】
225mLガラス製ボトル容器に、各成分を表4に基づき総合計105gとなるように加え、ディスパーで攪拌して溶解させた。次いで、ディスパーで攪拌をしながら、二酸化チタン粉体(テイカ株式会社製、商品名「MT500B」)45gを徐々に加えた。次いで、表4に示す回転数で1時間、ディスパーで攪拌を行った。得られた分散液をアルミカップに取り出し、ホットプレート上で50℃から100℃に加熱して乾燥させ、シリコーン処理二酸化チタン粉体を得た。また、比較例1として、未処理二酸化チタン粉体(テイカ株式会社製、商品名「MT500B」)をそのまま用いた(基準サンプル)。
【0081】
実施例1〜14及び比較例1〜8の粉体について、上記評価方法に従い、分散性、撥水性、伸び及び感触を評価した。結果を表4に示す。
【表4】

【0082】
<シリコーン処理粉体の作製・評価(2)>
〔実施例15〜16、比較例9〜13〕
【0083】
225mLガラス製ボトル容器に、各成分を表5に基づき総合計105gとなるように加え、ディスパーで攪拌して溶解させた。次いで、ディスパーで攪拌をしながら、セリサイト粉体(三信鉱工株式会社製、商品名「FSE」)45gを徐々に加えた後、ディスパーの回転数を1500rpmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた分散液をアルミカップに取り出し、ホットプレート上で50℃から100℃に加熱して乾燥させ、シリコーン処理セリサイト粉体を得た。また、比較例9として、未処理セリサイト粉体(三信鉱工株式会社製、商品名「FSE」)をそのまま用いた(基準サンプル)。
【0084】
〔比較例14〕
メチルハイドロジェンポリシロキサンによりシリコーン処理されたセリサイト粉体(三好化成株式会社製、商品名「SI−FSE」)を用いた。
【0085】
〔比較例15〕
ジメチルポリシロキサンによりシリコーン処理されたセリサイト粉体(三好化成株式会社製、商品名「SA−FSE」)を用いた。
【0086】
実施例15〜16及び比較例9〜15の粉体について、上記評価方法に従い、分散性、撥水性、伸び及び感触を評価した。結果を表5に示す。
【0087】
【表5】

【0088】
<シリコーン処理粉体の作製・評価(3)>
〔実施例17、比較例16〜18〕
【0089】
225mLガラス製ボトル容器に、各成分を表6に基づき総合計105gとなるように投入し、ディスパーで攪拌して溶解させた。次いで、ディスパーで攪拌をしながら、化粧品用粉体45gを徐々に加えた後、ディスパーの回転数を1000rpmとした以外は実施例1と同様の操作を行った。得られた分散液をアルミカップに取り出し、ホットプレート上で50℃から100℃に加熱して乾燥させ、シリコーン処理粉体を得た。なお、「化粧品用粉体」とは、セリサイト(東色ピグメント株式会社製、商品名「TKC」)65.1重量部、タルク(浅田製粉株式会社製、商品名「JA−46R」)32.6重量部、黄色酸化鉄(チタン工業株式会社製、商品名「LL−XLO」)1.1重量部、赤色酸化鉄(チタン工業株式会社製、商品名「R−516L」)0.6重量部、黒色酸化鉄(チタン工業株式会社製、「BL−100」)0.6重量部を混合したものである。また、比較例16として、かかる未処理化粧品用粉体をそのまま用いた(基準サンプル)。
【0090】
実施例17及び比較例16〜18の粉体について、上記評価方法に従い、分散性、撥水性、伸び及び感触を評価した。結果を表6に示す。
【0091】
【表6】

【0092】
<シリコーン処理粉体を用いた化粧品の作製・評価(1)>
(製造例A〜F)
ガラス製ボトル容器に、各成分を表7に基づき投入し、ディスパーで攪拌して溶解させた。次いで、ディスパーで攪拌をしながら、表7に示した組成で、粉体を徐々に加え、さらに攪拌を行った。得られた分散液をアルミカップに取り出し、ホットプレート上で50℃から100℃に加熱して乾燥させ、シリコーン処理粉体を得た。
【0093】
【表7】

【0094】
〔実施例18〕
表8に示すように、製造例A及びBのシリコーン処理粉体を用い、パウダリーファンデーションを作製した。まず、(1)から(8)をミキサーで攪拌した後、(9)と(10)を加えてミキサーで十分攪拌を加えた。ミキサーから取り出した混合物を汎用の金属製容器に充填し、1000kgfの加重でプレスを行い、パウダリーファンデーションとした。
【0095】
【表8】

【0096】
〔比較例19〕
表9に示すように、パウダリーファンデーションを作製した。まず、(1)から(8)をミキサーで攪拌した後、(9)から(13)を加えてミキサーで十分攪拌を加えた。ミキサーから取り出した混合物を汎用の金属製容器に充填し、1000kgfの加重でプレスを行い、パウダリーファンデーションとした。
【0097】
【表9】

【0098】
〔比較例20〕
表10に示すように、製造例C及びDのシリコーン処理粉体を用い、パウダリーファンデーションを作製した。まず、(1)から(8)をミキサーで攪拌した後、(9)と(10)を加えてミキサーで十分攪拌を加えた。ミキサーから取り出した混合物を汎用の金属製容器に充填し、1000kgfの加重でプレスを行い、パウダリーファンデーションとした。
【0099】
【表10】

【0100】
〔比較例21〕
表11に示すように、製造例E及びFのシリコーン処理粉体を用い、パウダリーファンデーションを作製した。まず、(1)から(8)をミキサーで攪拌した後、(9)と(10)を加えてミキサーで十分攪拌を加えた。ミキサーから取り出した混合物を汎用の金属製容器に充填し、1000kgfの加重でプレスを行い、パウダリーファンデーションとした。
【0101】
【表11】

【0102】
実施例及び比較例で得られたパウダリーファンデーションについて、前腕部に塗布したときのパウダリーファンデーションの伸び及び感触について、表12に示す基準に基づき5人の被験者で評価した。尚、基準サンプルとして比較例19のパウダリーファンデーションを使用した。
【0103】
【表12】

【0104】
実施例18と比較例19〜21で得られたパウダリーファンデーションについての評価結果を表13に示す。
【0105】
【表13】

【0106】
<シリコーン処理粉体を用いた化粧品の作製及び評価(2)>
【0107】
〔実施例19〕
表14に示すように、製造例Aのシリコーン処理粉体を用い、パウダリーファンデーションを作製した。まず、(1)から(7)をミキサーで攪拌した後、(8)から(11)を加えてミキサーで十分攪拌を加えた。ミキサーから取り出した混合物を汎用の金属製容器に充填し、1000kgfの加重でプレスを行い、パウダリーファンデーションとした。
【表14】

【0108】
〔比較例22〕
表15に示すように、パウダリーファンデーションを作製した。まず、(1)から(7)をミキサーで攪拌した後、(8)から(11)を加えてミキサーで十分攪拌を加えた。ミキサーから取り出した混合物を汎用の金属製容器に充填し、1000kgfの加重でプレスを行い、パウダリーファンデーションとした。
【0109】
【表15】

【0110】
実施例19及び比較例22で得られたパウダリーファンデーションについて、顔に塗布したときのパウダリーファンデーションの伸び、なじみ、化粧崩れについて、10人の被験者で評価した。伸び、なじみ、化粧崩れとも、表16に示す基準に従い、5段階で評価し、実施例19と比較例22で得られたパウダリーファンデーションについての評価結果を表17に示す。
【0111】
【表16】

【0112】
【表17】

【0113】
<シリコーン処理粉体を用いた化粧品の作製及び評価(3)>
(製造例G〜J)
ガラス製ボトル容器に、デカメチルシクロペンタシロキサン重量部及び合成例1のグラフト化シリコーンポリマー3重量部を投入し、ディスパーで攪拌して溶解させた。次いで、ディスパーで攪拌をしながら、表18に基づき、粉体100重量部を徐々に加え、さらに攪拌を行った。得られた分散液をアルミカップに取り出し、ホットプレート上で50℃から100℃に加熱して乾燥させ、シリコーン処理粉体を得た。
【0114】
【表18】

〔実施例20〕
【0115】
表19に示すように、製造例G〜Jのシリコーン処理粉体を用い、リキッドファンデーションを作製した。まず、(11)及び(12)を60℃で混合し、溶解後、室温まで冷却し、ここへ(1)〜(10)を滴下して混合し、油相成分を調製した。一方、(13)から(16)を滴下して混合し、水相成分を調製した。次いで、油相成分中へ室温で水相成分を滴下して混合し、乳化物を得た。この乳化物を汎用のプラスチック容器に充填し、W/O型リキッドファンデーションとした。
【0116】
【表19】

【0117】
〔比較例23〕
表20に示すように、リキッドファンデーションを作製した。まず、(11)及び(12)を60℃で混合し、溶解後、室温まで冷却し、ここへ(1)〜(10)を滴下して混合し、油相成分を調製した。一方、(13)から(16)を滴下して混合し、水相成分を調製した。次いで、油相成分中へ室温で水相成分を滴下して混合し、乳化物を得た。この乳化物を汎用のプラスチック容器に充填し、W/O型リキッドファンデーションとした。
【0118】
【表20】

【0119】
実施例20及び比較例23で得られたリキッドファンデーションについて、顔に塗布したときのリキッドファンデーションのなじみ、化粧崩れについて、10人の被験者で評価した。評価基準については、表16と同様とした。実施例20のリキッドファンデーションは、比較例23のものと比較して、なじみやすく、非常に化粧崩れしにくい特性を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
揮発性シリコーンオイル、ポリシロキサン主鎖に(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分がグラフトしている(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー、及び粉体を含む混合物から得られる、(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマー処理粉体。
【請求項2】
混合物中における(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーの量が、粉体100重量部に対して0.1重量部以上且つ10重量部以下である、請求項1記載の処理粉体。
【請求項3】
(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分が、(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル系単量体を含む、請求項1又は2記載の処理粉体。
【請求項4】
(メタ)アクリルグラフトシリコーンポリマーが、下記一般式(1)で表されるメルカプト変性シリコーンポリマーと、
【化1】

[式(1)中、R、R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、ヒドロキシル基、アリル基、炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基;Rはアリーレン基又は炭素数1〜3のアルキレン基;mは10〜540の整数;nは1以上の整数;をそれぞれ示す。]
(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選択される少なくとも1種の(メタ)アクリル系単量体を含む単量体成分との重合生成物を含む、請求項1〜3の何れか1項に記載の処理粉体。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載の処理粉体を含む化粧品。

【公開番号】特開2009−161598(P2009−161598A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−339836(P2007−339836)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】