説明

(2S,3R)−N−(2−((3−ピリジニル)メチル)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)ベンゾフラン−2−カルボキサミド、その新規塩形態およびその使用方法

本発明は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド、その新規塩形態、その調製方法、新規中間体、ならびに中枢神経系および自律神経系の機能障害に関連するものを含む、広範囲の症状および障害を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2007年9月12日に出願の米国仮出願第60/971,654号、2007年8月2日に出願の同第60/953,610号、2007年8月2日に出願の同第60/953,613号、および2007年8月2日に出願の同第60/953,614号(これらの各出願は、参照によりその全内容を本明細書に組み入れるものとする)に基づく優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
本発明は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド、その新規塩形態、その調製方法、新規中間体、ならびに、中枢神経系および自律神経系の機能障害に関連するものを含む、広範囲の症状および障害を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
中枢神経系(CNS)に特有の神経性ニコチン受容体(NNR)は様々なサブタイプで存在することが明らかとなっており、その最も一般的なものはα4β2とα7のサブタイプである。例えば、Schmitt, Current Med. Chem. 7: 749 (2000)(参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。α7 NNRサブタイプと相互作用するリガンドは様々な症状および障害の治療に有用であることが提唱されている。α7神経性ニコチン受容体サブタイプについてのバックグラウンドの理解に関しては、Mazurovら, Curr. Med. Chem. 13: 1567-1584 (2006)およびその中の参考文献(これらは参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。これらの症状および障害のうち代表的であるのは、認識障害、統合失調症、炎症、血管形成、神経障害性疼痛および線維筋痛である。
【0004】
統合失調症患者の死後の脳組織では海馬のNNRの数が減少している。また、喫煙していない統合失調症患者に対し、喫煙している統合失調症患者では心理的影響に改善がみられる。ニコチンは、動物および統合失調症患者における感覚入力系障害(sensory gating deficits)を改善する。α7 NNRサブタイプを遮断すると、統合失調症で見られる入力系障害と似た障害が起こる。例えば、Leonardら, Schizophrenia Bulletin 22(3): 431 (1996)(参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。P50聴覚誘発電位入力系障害のある患者の感覚処理に関する生化学研究、分子的研究および遺伝学的研究は、α7 NNRサブタイプが抑制性ニューロン経路で機能している可能性があることを示唆している。例えば、Freedmanら, Biological Psychiatry 38(1): 22 (1995)(参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。
【0005】
さらに最近、Heeschenら、J. Clin. Invest. 100:527 (2002)(これは参照により本明細書に組み入れるものとする)によって記載されているように、α7 NNRは血管新生のメディエーターであることが提唱された。これらの研究では、α7サブタイプを阻害すると炎症性血管新生が減少することが明らかとなった。また、α7 NNRは神経発生および腫瘍増殖を制御するための標的として提唱されている(Utsugisawaら、Molecular Brain Research 106(1-2):88 (2002)および米国特許出願2002/0016371、これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れるものとする)。最近になってようやく、認知(LevinおよびRezvani, Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):423 (2002))、神経保護(O'Neillら、Current Drug Targets:CNS and Neurological Disorders 1(4):399 (2002)およびJeyarasasingamら、Neuroscience 109(2):275 (2002))、ならびに神経因性疼痛(Xiaoら、Proc. Nat. Acad. Sci. (US) 99(12):8360 (2002))におけるα7サブタイプの役割が認識されるようになってきた(ここに引用したものはそれぞれ参照により本明細書に組み入れるものとする)。
【0006】
様々な化合物が、α7 NNRと相互作用することが報告されており、またそれに基づく治療法として提案されている。例えば、PCT WO 99/62505、PCT WO 99/03859、PCT WO 97/30998、PCT WO 01/36417、PCT WO 02/15662、PCT WO 02/16355、PCT WO 02/16356、PCT WO 02/16357、PCT WO 02/16358、PCT WO 02/17358、Stevensら、Psychopharm. 136:320 (1998)、Dolleら、J. Labelled Comp. Radiopharm. 44:785 (2001)およびMacorら、Bioorg. Med. Chem. Lett. 11:319 (2001)ならびにこれらの文献中の参考文献を参照されたい。なお、これらの文献については、α7 NNRと提案されている治療法のバックグラウンド教示に関して参照により本明細書に組み入れるものとする。これらの化合物に共通する構造テーマは、置換二環式第3級アミン(例えば、キヌクリジン)という構造テーマである。類似の置換キヌクリジン化合物がムスカリン受容体に結合することも報告されている。例えば、Sabbの米国特許第5,712,270号ならびにPCT国際公開公報 WO 02/00652およびWO 02/051841を参照されたい(これらはそれぞれ、かかる化合物に関して参照により本明細書に組み入れるものとする)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
一部のニコチン化合物には、例えば、筋肉受容体および神経節受容体を刺激することにより、これら化合物が望ましくない様々な副作用に関係しているという欠点がある。このため、引き続き、CNS障害などの各種の症状または障害を予防または治療する(これらの障害の症状を緩和することを含む)化合物、組成物および方法が必要とされている。この場合の前記化合物は、すなわち、CNSの機能に有効な作用を及ぼすが、それに伴った有意な副作用はない、ニコチン性薬効薬理を示すものである。CNS機能には作用するが、望ましくない副作用(例えば、心臓血管部位および骨格筋部位において感知される活性)を誘発する可能性のあるこれらのニコチン受容体サブタイプに著しい影響を及ぼすことのない化合物、組成物および方法が要求されている。本発明は、かかる化合物、組成物および方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明の要約
本発明の一態様は、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩である。別の態様は、実質的に純粋な形態の(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド、またはその製薬上許容可能な塩である。さらなる態様は、実質的に(2S,3S)異性体、(2R,3S)異性体または(2R,3R)異性体を含まない、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩である。
【0009】
さらに、別の態様は、立体異性的に豊んだ(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は90%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は95%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は98%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は99%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は99.5%以上である。
【0010】
本発明の別の態様は、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの酸性塩(ここで、前記酸は、塩酸、硫酸、リン酸、マレイン酸、p-トルエンスルホン酸、ガラクタル(粘液)酸、D-マンデル酸、D-酒石酸、メタンスルホン酸、R-およびS-10-カンファースルホン酸、ケトグルタル酸または馬尿酸から選択される)である。一実施形態では、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドと酸との化学量論比は2:1、1:1または1:2である。一実施形態では、化学量論比は1:1である。本発明の一実施形態は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド塩酸塩またはその水和物もしくは溶媒和物(部分的な水和物または溶媒和物を含む)である。さらなる実施形態は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩またはその水和物もしくは溶媒和物(部分的な水和物または溶媒和物を含む)である。
【0011】
また本発明は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドおよび新規中間体のスケールアップ可能な合成を提供する。
【0012】
本発明の範囲には、本明細書に記載した態様、実施形態および好ましい事例のすべての組み合わせを包含する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A−1】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド;ラセミ化合物、すなわち、(2S,3R)(2R,3S)(2R,3R)および(2S,3S)の混合物;それぞれの立体異性体;およびアセチルコリン(ACh)に対する哺乳類GH4C1細胞で発現されたラットα7受容体の応答を示す図である。
【図1A−2】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド;ラセミ化合物、すなわち、(2S,3R)(2R,3S)(2R,3R)および(2S,3S)の混合物;それぞれの立体異性体;およびアセチルコリン(ACh)に対する哺乳類GH4C1細胞で発現されたラットα7受容体の応答を示す図である。
【図1A−3】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド;ラセミ化合物、すなわち、(2S,3R)(2R,3S)(2R,3R)および(2S,3S)の混合物;それぞれの立体異性体;およびアセチルコリン(ACh)に対する哺乳類GH4C1細胞で発現されたラットα7受容体の応答を示す図である。
【図1A−4】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド;ラセミ化合物、すなわち、(2S,3R)(2R,3S)(2R,3R)および(2S,3S)の混合物;それぞれの立体異性体;およびアセチルコリン(ACh)に対する哺乳類GH4C1細胞で発現されたラットα7受容体の応答を示す図である。
【図1B】有効な血漿濃度範囲内の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イルに、ベンゾフラン-2-カルボキサミド;ラセミ化合物、すなわち、(2S,3R)(2R,3S)(2R,3R)および(2S,3S)の混合物;およびそれぞれの立体異性体に対する哺乳類GH4C1細胞で発現されたラットα7受容体の機能的応答の比較を示す図である。
【図2A】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドに対するツメガエル卵母細胞で発現されたヒトα7受容体の応答を示す図である。
【図2B】提示濃度で化合物を施用した後のヒトα7受容体の制御応答を示す図である。データは、実験用アゴニスト誘発応答の5分前に得られたコントロール300μM ACh応答の総電荷に標準化した。各ポイントは、少なくとも4つの卵母細胞の標準化応答の平均±SEMを表す。
【図3】((2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドが0.3mg/kgおよび1mg/kgの腹腔内投与においてプラス効果を有している(*p<0.5)ことを証明する、物体認識(OR)パラダイムの認知作用の評価を示す図である。
【図4】経口投与投与された(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドが広範な用量範囲(0.3〜10mg/kg)にわたってプラス効果を有している(* p<0.5)ことを証明する、ORパラダイムの認知作用の評価を示す図である。
【図5A】OR割当て作業で、市販のNMDA受容体の非競合アンタゴニストである、MK-801(ジゾシルピンとしても知られている)によって誘発される認知障害の予防における腹腔内投与された(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの効果を示す図である。
【図5B】OR割当て作業で、市販のNMDA受容体の非競合アンタゴニストである、MK-801(ジゾシルピンとしても知られている)によって誘発される認知障害の予防における腹腔内投与された(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの効果を示す図である。
【図6】最終の亜急性投与(経口投与)試験の30分後、6時間後または24時間後にビヒクル処理した群による、OR割当て作業での物体A対物体Bに費やした平均時間は、有意な相違はなかった(それぞれ、p=0.17、p=0.35、およびp=0.12)ことを示す図である。別法として、0.3mg/kgの(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの最終亜急性投与の30分後、2時間後、6時間後、18時間後、被験体は物体B(知己)よりも物体A(新規)に有意に(P<0.05)より多くの時間を調査に費やす。さらに、0.3mg/kgの(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドで処置した動物では、最終投与の30分後にビヒクル処理した群の認識指数(54%)と比較すると、2時間(75%)および6時間(71%)に認識指数は有意に改善された。
【図7】ラジアルアーム迷路(RAM)パラダイムにおける認知作用の評価を示す図である。(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(0.1、0.3および1.0mg/kg)を、毎日のセッションの30分前に経口投与した。0.3mg/kgの(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドで処理した群では、投与の第2週に、割当て作業中のパフォーマンスにおける改良が明白であった。
【図8】ドーパミン過剰刺激によって誘発された活動過多挙動として測定される、抗精神病作用に関する研究を示す図である。これによると、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(0.3および1.0mg/kg;s.c.)は、ラットに皮下投与した後のアポモルヒネ(1.0mg/kg)によって誘発される活動過多を軽減することが明らかである。
【図9】抗精神病評価のプレパルス阻害を示す図である。アポモルヒネに誘発される障害は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドで前処置し、その後皮下投与することで改善することを示す。
【図10A】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩のX線結晶学的解析の結果を示す図である。これによりこの物質の絶対立体化学が確定された。記載した化合物は、示したように、不斉ユニット内に完全に規律正しい塩化物アニオンと部分的に占められた水分子をもつ、部分的に水和された塩酸塩である。
【図10B】この物質の絶対立体化学を証明する、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩のX線結晶学的解析の結果を示す図である。参照のため番号付与したスキームを記載した。図では、下向きが単位セルの結晶学的なb軸である。破線は分子間の水素結合を示す。
【図11A】(2R,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドp-クロロベンゾエートのX線結晶学的解析の結果を示し、この物質の絶対立体化学を証明するものである。
【図11B】(2R,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドp-クロロベンゾエートのX線結晶学的解析の結果を示し、この物質の絶対立体化学を証明するものである。参照のため番号付与したスキームを記載している。
【図12】N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの4つの立体異性体を特徴決定するフルクロマトグラムを示す。この場合、2S,3Rは5.3分の保持時間でピークを示し、2R,3Sは7.3分の保持時間でピークを示し、2R,3Rは8.2分の保持時間でピークを示し、2S,3Sは12.4分の保持時間で示す。本明細書に記載のとおり、適切に分割するためには分析に移動相が必要であり、1.0ml/min、カラム温度20℃、UV検出270nmにおいて、ヘキサン:エタノール:ジ-n‐ブチルアミン(60:40:0.2)組成物でした。
【図13】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩のXRPDであり、観測パターン(明るい方)と計算パターン(濃い方)の両方を示す。両パターンは2θ値の点では一致している。強度には小さな差があり、またピーク幅は機器分析および選択配向作用に起因している場合がある。本明細書に記載したとおり、さらなるわずかな差は、室温で収集している測定値と120Kの構造の計算データとの温度のずれが原因と考えられる。
【図14】(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドモノトシレートのXRPDを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
発明の詳細な説明
α7 NNRサブタイプに対して選択的に作用し、かつ親和性である(Ki値が1nM以下)特定化合物の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、認知(認知増強)および精神病(抗精神病作用)の動物モデルにおいて効果を明らかにする。
【0015】
本発明の一態様は、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩である。別の態様は、実質的に純粋な形態の(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩である。さらなる態様は、(2S,3S)異性体、(2R,3S)異性体または(2R,3R)異性体を実質的に含まない、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩である。
【0016】
さらに、別の態様は、立体異性的に豊んだ(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は90%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は95%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は98%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は99%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は99.5%以上である。
【0017】
本発明の別の態様は、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの酸性塩(ここで、前記酸は、塩酸、硫酸、リン酸、マレイン酸、p-トルエンスルホン酸、ガラクタル(粘液)酸、D-マンデル酸、D-酒石酸、メタンスルホン酸、R-および-S-10-カンファースルホン酸、ケトグルタル酸または馬尿酸から選択される)である。一実施形態では、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドと酸との化学量論比は2:1、1:1または1:2である。一実施形態では、化学量論比は1:1である。本発明の一実施形態は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド塩酸塩またはその水和物もしくは溶媒和物(部分的な水和物または溶媒和物を含む)である。さらなる実施形態は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩またはその水和物もしくは溶媒和物(部分的な水和物または溶媒和物を含む)である。
【0018】
本発明の別の態様は、(2S,3R)-(2-((3-ピリジニル)メチル)-3-アミノ-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンである。
【0019】
本発明の別の態様は、本発明の化合物と1種または複数の製薬上許容可能な担体とを含む医薬組成物である。
【0020】
本発明の別の態様は、本発明の化合物を投与することを含む、中枢神経系障害、炎症、疼痛または新血管新生を治療または予防する方法である。一実施形態では、中枢神経系障害は正常な神経伝達物質放出の変調を特徴とする。一実施形態では、中枢神経系障害は、軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、初老期認知症、早発性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、微小梗塞性認知症、エイズ関連認知症、HIV認知症、多発性脳梗塞、パーキンソン症候群、パーキンソン病、ピック病、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、うつ病、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される。一実施形態では、中枢神経系障害は、アルツハイマー病、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される。
【0021】
本発明の別の態様は、中枢神経系障害、炎症、疼痛または新血管新生を治療または予防するための薬剤の製造における本発明の化合物の使用を包含する。一実施形態では、中枢神経系障害は正常な神経伝達物質放出の変調を特徴とする。一実施形態では、中枢神経系障害は、軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、初老期認知症、早発性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、微小梗塞性認知症、エイズ関連認知症、HIV認知症、多発性脳梗塞、パーキンソン症候群、パーキンソン病、ピック病、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、うつ病、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害、またはトゥーレット症状群から選択される。一実施形態では、中枢神経系障害は、アルツハイマー病、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される。
【0022】
本発明の別の態様は、中枢神経系障害、炎症、疼痛または新血管新生の治療または予防で使用するための本発明の化合物である。一実施形態では、中枢神経系障害は正常な神経伝達物質放出の変調を特徴とする。一実施形態では、中枢神経系障害は、軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、初老期認知症、早発性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、微小梗塞性認知症、エイズ関連認知症、HIV認知症、多発性脳梗塞、パーキンソン症候群、パーキンソン病、ピック病、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、うつ病、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される。一実施形態では、中枢神経系障害は、アルツハイマー病、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害、またはトゥーレット症状群から選択される。
【0023】
上記の方法および使用において、本発明の一実施形態では、有効量は、24時間当たり約1mg〜10mgである。
【0024】
本発明の別の態様は、(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-オンの連続的な動的分割および立体選択的な還元的アミノ化による、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩の製造方法である。
【0025】
本発明の範囲には、本明細書に記載されている態様、実施形態および好ましい事項の組み合わせがすべて含まれる。
【0026】
候補薬剤の商業的開発には、化学合成および精製のスケールアップ、最適な塩形態の探索などをはじめとする、多数の工程が含まれる。医薬組成物の製剤化において、薬剤物質は都合よく取り扱かわれ、処理できる形態であることが好ましい。検討項目には、実用化ならびに製造の一貫性が含まれる。さらに、医薬組成物の製造においては、患者への投与後、信頼性かつ再現性のある一定血漿濃度の薬物プロファイルが得られることが重要である。
【0027】
活性成分の化学的安定性、固体安定性および「保存期間」もまた、非常に重要な要素である。薬剤物質およびそれを含有する組成物は、好ましくは、活性成分の物理化学的特性(例えば、その化学組成、密度、吸湿性および溶解度)に有意な変化を示すことなく適当な期間にわたって有効に保存できなければならない。その上、できるだけ化学的に純粋な形態の薬剤を提供できることも重要である。本発明のこれらの態様をより詳細に下記に説明する。
【0028】
I. 化合物
本発明の化合物は、これ以降、化合物Aとして表記している、(2S,3R)-N(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド、または化合物Aの製薬上許容可能な塩である。
【化1】

【0029】
ラセミ化合物のN-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド、その合成および内科治療における有用性については、Mazurovらの米国特許第6,953,855号(参照により本明細書に組み入れるものとする)に記載されている。
【0030】
ラセミ型のN-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、神経性ニコチン受容体(NNR)のα7サブタイプに対する高親和性リガンドである。ラセミ型のN-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、非対称的に置換された2個の炭素原子を含有する。したがって、ラセミ型のN-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドには、4種類の立体異性体形態、すなわち(S,S)、(S,R)、(R,R)および(R,S)が存在する。(S,R)、すなわち(2S,3R)が化合物Aである。
【0031】
これまで、報告済みの合成(米国特許第6,953,855号を含む)で得られる主要な立体異性形態は、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(キヌクリジン)環の2位および3位でのシス相対配置を特徴としていた。言いかえると、シス-ジアステレオマー((2R,3R)および(2S,3S)のエナンチオマーのペア)が報告されている方法で調製した場合に得られる主要な形態であったと考えられる。主としてシス合成のこの決定は以下に基づくものであった:(i) キヌクリジン環の、および単離されたジアステレオマー(シスおよびトランス)中間体の2位および3位水素原子核の1H結合定数を文献で報告されている結合定数と比較する;(ii) Warawaら, J. Med. Chem. 18(6): 587-593 (1975)およびVitiら, Letrahedron Lett. 35(32): 5939-5942 (1994)(これらはいずれも参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照し、文献と同様にして、化合物混合物の生産に用いる合成化学の立体化学の結果を予測する。かくして、シス立体配置が形成されるであろうという期待がもたれた。このため、ラセミ化合物を用いた生物学的試験からは、主たるシス立体配置に起因するものと推定される結果が得られた。
【0032】
本来の合成で生産される主なジアステレオマーは、実際にはトランスジアステレオマーであったことが結晶塩形態および類似体のX線回折によって今回分かった。さらに、トランス相対立体化学をもつ2種のエナンチオマー、すなわち(2S,3R)および(2R,3S)は、α7 NNRサブタイプと相互作用するそれらの能力において、実質的に互いに異なることが分かった。この(2S,3R)立体配置の化合物Aは、より高い活性を有する。
【0033】
さらなる分析によると、化合物Aは、
i) 別々に得られた、他の3つのそれぞれの立体異性体;
ii) 4つの立体異性体すべての混合物(すなわち、ラセミ化合物);
iii) 文献で報告されている他のα7 NNRリガンド
とは異なる薬理学的性質を有することが分かった。
【0034】
(2S,3R)-N(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(化合物A)は、(活性に関する)EC50値が顕著に低く、EC50と(残存阻害に関する)IC50との間に良好な分離のある、α7 NNR受容体で非常に選択的に作用する全的作動薬であり、治療上有用な広範囲の濃度にわたって機能的な作動が得られる。
【0035】
II. (2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドのスケールアップ合成
詳細な合成工程はスケールアップにより様々である。反応は、安全上の注意、試薬の費用、困難な後処理または精製、反応エネルギー学(熱力学または動力学)、および反応収率をはじめとする様々な理由のため、スケールアップするには能力的に難しいことが分かっている。
【0036】
本明細書に記載の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの合成は、キログラム量の物質を生産するために用いられ、その成分の反応は高収率で多量のキログラムスケールで行なわれた。
【0037】
スケールアップ合成は、ラセミ化可能なケトン(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンの動的分割、および分割ケトンの(R)-α-メチルベンジルアミンイミン誘導体の立体選択的還元(還元的アミノ化)の両方を利用する。本明細書に報告した合成手順は容易にスケールアップ合成でき、またクロマトグラフィー精製をしなくて済む。
【0038】
III. (2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの新規塩形態の調製
遊離塩基としての(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、ごく限られた水溶性の非晶質粉末である。遊離塩基は無機酸および有機酸の両方に反応し、医薬組成物の調製に有利な物理的性質および化学的性質(例えば、これらに限定されるものではないが、結晶化、水溶性および安定性など)を有する、特定の酸付加塩を作る。本発明の塩の化学量論は変わる場合がある。
【0039】
本明細書に記載の塩が形成される方法に応じて、塩は、塩形成中に存在する溶媒を閉じ込めた結晶構造をとり得る。よって、塩は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドに対して溶媒の化学量論が様々である水和物および他の溶媒和物として存在する場合がある。
【0040】
塩形態を調製する方法はいろいろある。(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの塩形態の調製は、一般に、
(i) 遊離塩基または遊離塩基の溶液と混合するステップ、すなわち、好適な溶媒中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドを原液の酸と、または好適な溶媒中の酸の溶液と混合するステップと;
(iia) 得られた塩溶液を冷却し、必要に応じて析出させるステップと;あるいは、
(iib) 適切な貧溶媒を加え、析出させるステップと;あるいは、
(iic) 第1の溶媒を蒸発させ、新しい溶媒を加え、ステップ(iia)またはステップ(iib)のいずれかを繰り返すステップと;
(iii) 得られた塩を濾過し回収するステップ
とを含む。
【0041】
一実施形態では、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは立体異性的に富んでいる。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は90%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は95%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は98%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は99%以上である。一実施形態では、鏡像異性体過剰率および/またはジアステレオマー過剰率は99.5%以上である。
【0042】
使用される化学量論比、溶媒混合物、溶質濃度および温度は変わる場合がある。塩形態を調製または再結晶するのに使用可能な典型的な溶媒としては、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、酢酸エチルおよびアセトニトリルが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
適切な製薬上許容可能な塩の例としては、無機酸付加塩、例えば塩化物、臭化物、硫酸塩、リン酸塩および硝酸塩;有機酸付加塩、例えば、酢酸塩、ガラクタル酸塩(galactarate)、プロピオン酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、およびアスコルビン酸塩;アミノ酸との塩、例えば、アスパラギン酸塩およびグルタミン酸塩が挙げられる。塩は、場合によっては、水和物またはエタノール溶媒和物であってもよい。代表的な塩は、Dullらの米国特許第5,597,919号、Dullらの米国特許第5,616,716号およびRuecroftらの米国特許第5,663,356号(これらはそれぞれ参照により本明細書に組み入れるものとする)に記載されているようにして得られる。
【0044】
遊離塩基(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドに対する塩をスクリーニングすることにより、製薬上許容可能な酸の多くの塩を形成させることができるが、これらの塩のうち少数の塩のみが商業的生産を行うことができる特性を有していることがわかった。したがって、商業的に実現可能な塩により例示される特性を予測する能力はない。結晶性の塩が得られる酸(すなわち、有る程度の結晶化度を示す塩)はこれらが調製される方法によって変わるが、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、p-トルエンスルホン酸、ガラクタル(粘液)酸、D-マンデル酸、D-酒石酸、メタンスルホン酸、R-およびS-10-カンファースルホン酸、マレイン酸、ケトグルタル酸および馬尿酸などである。これらの塩のうち、塩酸、リン酸、マレイン酸およびp-トルエンスルホン酸塩は、それぞれ、高融点、良好な水溶性および低吸湿性といった付加的な好ましい特性を示した。これらの塩のこれらの特性は予期されなかった。
【0045】
IV. 医薬組成物
本発明の医薬組成物は、本明細書に記載した塩を純粋な状態で、あるいは化合物が他の任意の製薬上適合性のある製品(これは不活性であってもよいし、生理的に活性であってもよい)と組み合わされた組成物の形態で含む。得られた医薬組成物は、ある症状または障害に罹患しやすい被験体の症状または障害を予防し、かつ/または当該症状または障害に罹患している被験体を治療するために用いることができる。本明細書に記載した医薬組成物は、本発明の化合物および/またはその製薬上許容可能な塩を含む。
【0046】
本化合物の投与方法は様々である。本組成物は、好ましくは経口で(例えば、水性もしくは非水性の液体などの溶媒中に含まれる液体の形態で、または固体担体中に含まれる形態で)投与される。経口投与用の好適な組成物としては、丸剤、錠剤、カプセル剤、カプレット剤、シロップ剤、および液剤、ならびに硬ゼラチンカプセル剤および徐放性カプセル剤が挙げられる。標準的な添加剤としては、結合剤、賦形剤、着色剤、可溶化剤などが挙げられる。組成物は、単位用量剤形で、または複数回用量もしくはサブユニット用量で製剤化することができる。好適な組成物は、液体または半固体形態である。水などの製薬上不活性な液体担体または他の製薬上混合可能な液体もしくは半固体を含む組成物を使用することができる。かかる液体および半固体の使用は、当業者には周知である。
【0047】
本組成物は注射により、すなわち、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、動脈内、髄腔内、および脳室内に投与することができる。静脈内投与が好ましい注射方法である。注射用の適切な担体は当業者に周知であり、例えば、5%ブドウ糖溶液、生理食塩水およびリン酸緩衝生理食塩水が挙げられる。また、本医薬品は、輸液または注射薬として(例えば、懸濁液として、または製薬上許容可能な液体または液体混合物中のエマルションとして)投与することもできる。
【0048】
本製剤は、他の手段、例えば直腸投与を利用して投与することもできる。坐薬などの直腸投与に有用な製剤は、当業者には周知である。また本医薬品は、吸入により(例えば、エアロゾルの形態で経鼻的に、もしくはBrooksらの米国特許第4,922,901号(この文献はその全内容を本明細書に組み入れるものとする)に記載されているタイプの送達器具を利用して);局所的に(例えば、ローション形態で);経皮的に(例えば、経皮パッチの使用)もしくはイオン導入的に;あるいは舌下投与または口腔内投与によって投与することもできる。化合物はバルク活性化学製品の形態で投与することができるが、効率的かつ効果的な投与のためには、医薬品を医薬組成物または製剤の形態で提供するのが好ましい。
【0049】
化合物を投与する典型的な方法は、当業者には自明であろう。これらの製剤の有用性は、使用する特定の組成物および治療を受ける特定の被験体によって異なる可能性がある。これらの製剤には、油性、水性、乳状であってもよい液体担体を含有させることができるか、または投与方法に適した一定の溶媒を含有させることもできる。
【0050】
本組成物は、断続的に、または段階的で連続的な一定速度もしくは制御された速度で、温血動物(例えば、マウス、ラット、ネコ、ウサギ、イヌ、ブタ、ウシ、またはサルなどの哺乳動物)に投与することができるが、有利にはヒトへの投与である。さらに、医薬製剤を投与する時刻および1日当たりの回数も様々である。
【0051】
本発明の化合物を投与するための他の適切な方法は、Smithらの米国特許第5,604,231号(この内容は参照により本明細書に組み入れるものとする)に記載されている。
【0052】
本発明の実施形態において、また当業者により十分に理解されるとおり、本発明の化合物は他の治療用化合物と組み合わせて投与することができる。例えば、本発明の化合物は、以下のものと組み合わせて使用することができる:他のNNRリガンド(例えばバレニクリン)、酸化防止剤(例えばフリーラジカル除去剤)、抗菌物質(例えばペニシリン系抗生物質)、抗ウィルス剤(例えばジドブジンおよびアシクロビルなどのヌクレオシド類似体)、抗凝血剤(例えばワルファリン)、抗炎症剤(例えばNSAID類)、解熱剤、鎮痛剤、麻酔薬(例えば外科で使用されるもの)、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えばドネペジルおよびガランタミン)、抗精神病薬(例えばハロペリドール、クロザピン、オランザピンおよびクエチアピン)、免疫抑制薬(例えばシクロスポリンおよびメトトレキサート)、神経保護薬、ステロイド(例えばステロイドホルモン)、コルチコステロイド(例えばデクサメタゾーン、プレドニゾン(predisone)およびヒドロコルチゾン)、ビタミン、無機質、栄養補助食品、抗うつ薬(例えばイミプラミン、フルオキセチン、パロキセチン、エスシタロプラム、セルトラリン、ベンラファキシンおよびズロキセチン)、不安緩解剤(例えばアルプラゾラムおよびブスプイロン)、抗痙攣薬(例えばフェニトインおよびガバペンチン)、血管拡張剤(例えばプラゾシンおよびシルデナフィル)、気分安定薬(例えばバルプロエートおよびアリピプラゾール)、抗癌剤(例えば抗増殖剤)、血圧降下薬(例えばアテノロル、クロニジン、アムロピジン(amlopidine)、ベラパミルおよびオルメサルタン)、緩下剤、便軟化剤、利尿薬(例えばフロセミド)、抗痙攣薬(anti-spasmotics)(例えばジサイクロミン)、抗運動障害剤(anti-dyskinetic agents)、および抗潰瘍薬(例えばエソメプラゾール)。
【0053】
本発明の化合物は、単独で、または他の治療薬と組み合わせて用いることができる。製薬上活性のある薬剤のかかる組み合わせは、一緒にまたは別々に投与することができるが、別々に投与される場合、投与は任意の順序で、同時にまたは連続して行うことができる。化合物または薬剤の量および投与の相互のタイミングは、所望の治療効果が得られるように選択する。組み合わせにおける投与は、(1) 複数の化合物を含む単一の医薬組成物;あるいは(2)それぞれ1つの化合物を含む個別の医薬組成物、による同時的な投与によるものであってもよい。あるいは、当該組み合わせは、1つの治療薬を最初に投与し、別の第2の治療薬を投与する(またはその逆も可)といった、連続的な方法で別々に投与することができる。かかる連続的な投与は、時間的に接近していてもよいし、時間的に離れていてもよい。本発明の化合物は、様々な障害および症状の治療で使用することができる。また、そのような場合、本発明の化合物は、それらの障害または症状の治療または予防に有用な他の様々な適切な治療薬と組み合わせて使用することができる。
【0054】
本化合物の適切な用量は、障害の症状の発生を予防するか、または患者が罹患している障害のある症状を治療するのに有効な量である。記載されている「有効量」、「治療量」または「有効投与量」とは、所望の薬理効果または治療効果を引き出し、それにより障害の効果的な予防または治療をもたらすのに十分な量を意味する。
【0055】
CNS障害を治療する場合、化合物の有効量は、患者の血液脳関門を通過するのに、また患者の脳内の関連受容体部位と結合するのに、また関連するNNRサブタイプの活性をモジュレートする(例えば、神経伝達物質の分泌をもたらし、それにより障害の効果的な予防または治療が得られる)のに十分な量である。障害の予防効果は、障害の症状の発症を遅らせることにより現れる。障害の治療効果は、障害と関係がある症状の緩和または障害の症状の再発の軽減により現れる。好ましくは、有効量は所望の結果を得るのに十分なものであるが、重い副作用を引き起こすには満たない量である。
【0056】
有効投与量は、患者の状態、障害の症状の重症度、および医薬組成物の投与方法といった要因に応じて変わる。患者がヒトの場合、一般に、典型的な化合物の有効な投与は、化合物が関連するNNRをモジュレートするのに十分な量で投与することを必要とするが、その量は骨格筋および神経節に対する影響を有意な程度まで引き起こすには不十分でなければならない。もちろん、化合物の有効投与量は患者によって異なり、一般には、CNS作用または他の所望の治療効果をもたらすよう作動する量であるが、筋肉に対する影響が認められる量よりも低い量である。
【0057】
本明細書に記載した化合物を本明細書に記載の方法に従い有効量で用いる場合には、CNSまたは他の障害の進行をある程度予防し、症状を改善し、すなわち、ある程度まで回復させ、さらに再発をある程度まで予防することができる。これらの化合物の有効量は、典型的には、例えば骨格筋または神経中枢に関する作用などの、感知され得るほどの副作用を誘発するのに必要な閾値濃度よりも低いものである。本化合物は、特定のCNSおよび他の障害が治療され、かつ特定の副作用が回避される治療濃度域で投与することができる。理想的には、本明細書に記載した化合物の有効投与量は、障害に対して所望の効果を提供するのには十分であるが、望ましくない副作用をもたらすには十分でない量である(すなわち、十分な高濃度ではない)。好ましくは、本化合物を、CNSまたは他の障害を治療するには有効であるが、特定の副作用を有意な程度にまで誘発するのに必要な量の大抵は1/5未満、大抵は1/10未満である用量で投与する。
【0058】
最も好ましくは、有効投与量は、最大効果が認められるが副作用は最小限に抑えられる極低濃度である。典型的には、かかる化合物の有効投与量は、一般に、5mg/患者体重kg未満の量で本化合物を投与することを必要とする。大抵、本発明の化合物は、約1mg/患者体重kg未満から通常は約100μg/患者体重kg未満の量で投与されるが、多くの場合は約10μg〜100μg/患者体重kg未満の量で投与される。前述の有効投与量は、典型的には、単回用量として投与される量、または1回または複数回の投与量として24時間にわたって投与される量に相当する。
【0059】
患者がヒトの場合、典型的な化合物の有効投与量は、一般に、少なくとも約1mg/24hr/患者、大抵は少なくとも約10mg/24hr/患者、多くの場合、少なくとも約100mg/24hr/患者の量で本化合物を投与することが必要である。患者がヒトの場合、典型的な化合物の有効投与量は、一般に、約500mg/24hr/患者を超えない本化合物、大抵は約400mg/24hr/患者を超えない本化合物、多くの場合、約300mg/24hr/患者を超えない本化合物を投与することを必要とする。さらに、本組成物は、患者の血漿中の化合物濃度が普通は50ng/mLを超えないような有効投与量、大抵は30ng/mLを超えないような有効投与量、多くの場合、10ng/mLを超えないような有効投与量で投与するのが有利である。本発明の一実施形態では、有効投与量は24時間に約1mg〜10mgである。
【0060】
IV. 医薬組成物の使用方法
本明細書で使用する場合、「アゴニスト」とは、その結合パートナー、典型的には受容体を刺激する物質である。刺激は特定のアッセイとの関連で定義されるか、当業者には明らかように、実質的に類似した状況下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として認められている因子または物質との比較を行っている本明細書に記載の文献の考察から明らかな場合もある。刺激は、アゴニストまたは部分アゴニストと結合パートナーとの相互作用によって誘導され、かつアロステリック効果を含み得る、特定の効果または機能の増大に関して定義することができる。
【0061】
本明細書で使用する場合、「アンタゴニスト」は、その結合パートナー、典型的には受容体を阻害する物質である。阻害は特定のアッセイとの関連で定義されるか、当業者には明らかなように、実質的に類似した状況下で特定の結合パートナーの「アゴニスト」または「アンタゴニスト」として認められている因子または物質との比較を行っている本明細書に記載の文献中の考察から明らかな場合もある。阻害は、アンタゴニストと結合パートナーとの相互作用によって誘導され、かつアロステリック効果を含み得る、特定の効果または機能の低下に関して定義することができる。
【0062】
本明細書では、「部分的アゴニスト」または「部分的アンタゴニスト」は、それぞれ、その結合パートナーに対し、各々十分にまたは完全にアンタゴニストまたはアゴニストではないレベルの刺激または阻害を提供する物質である。刺激、そしてまた阻害は、アゴニスト、アンタゴニストまたは部分アゴニストとして定義される、あらゆる物質または物質カテゴリーに関して実質的に定義されるものと理解されたい。
【0063】
本明細書では、「固有の活性(intrinsic activity)」または「有効性(効果)」は、結合パートナー複合体の生物学的効果にある程度関係する。受容体の薬理学に関し、固有の活性または有効性を定義すべき状況は、結合パートナー(例えば、受容体/リガンド)複合体の状況と、特定の生物学的成果に関連する活性を考慮することによって決まる。例えば、ある状況においては、固有の活性は、それに関与する特定の第2のメッセンジャー系によって変動する可能性がある。Hoyer, D.およびBoddeke, H., Trends Pharmacol. Sci. 14(7): 270-5 (1993)(かかる教示に関する参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。こうした前後関係的な特定の評価(contextually specific evaluations)がどんな点で関連しあっているか、またそれらが本発明の内容とどのように関連しあっているかは、当業者には明らかであろう。
【0064】
本明細書では、受容体のモジュレーションには、受容体のアゴニズム、部分的アゴニズム、アンタゴニズム、部分的アンタゴニズムまたは逆アゴニズムが含まれる。
【0065】
本明細書では、その放出が本明細書に記載の化合物によって調節される神経伝達物質としては、これらに限定されるものではないが、アセチルコリン、ドーパミン、ノルエピネフリン、セロトニンおよびグルタミン酸塩が挙げられ、本明細書に記載の化合物は、α7サブタイプのCNS NNRでモジュレーターとして機能する。
【0066】
本明細書では、「予防」または「予防処置(prophylaxis)」という用語には、疾患、障害もしくは症状の進行を有る程度遅くすること、または発症を遅らせることが含まれる。この用語は、特定の疾患、障害または症状に対する保護作用だけでなく、疾患、障害または症状の再発の改善を提供することを含む。よって、別の態様では、本発明は、NNRまたはnAChR介在性障害が再発している被験体、あるいはNNRまたはnAChR介在性障害の再発を起こすリスクまたは経験するリスクのある被験体を治療する方法を提供する。本発明の化合物および医薬組成物は、例えば、CNS機能不全の被験体で有効な治療効果または予防効果を得るために使用することができる。
【0067】
上記のように、本発明の遊離塩基および塩化合物は、CNSのα7 NNRサブタイプの特性をモジュレートし、各種症状または障害(CNSの症状または障害を含む)を、α7 NNRをモジュレートすることにより、こうした症状もしくは障害のある被験体またはこうした症状もしくは障害にかかりやすい被験体における予防または治療に使用することができる。本化合物は、例えば、記載したようなアゴニスト、部分的アゴニスト、アンタゴニストとして作用するように、α7 NNRに選択的に結合し、かつニコチン様の薬理を発現する能力を有する。例えば、本発明の化合物は、それを必要としている患者に対して有効量を投与した場合に、CNS障害の進行をある程度予防し、すなわち保護作用を提供し、CNS障害の症状を改善するか、CNS障害の再発を改善するか、あるいはこれらの組み合わせを提供する。
【0068】
本発明の化合物を使用することにより、他のタイプのニコチン化合物がその治療用物質として有用であることが提唱または明示されている、これらの種類の症状および障害の治療または予防に使用することができる。例えば、本明細書で既に前に記載した文献、ならびに、Williamsら、Drug News Perspec. 7(4):205 (1994);Arnericら、CNS Drug Rev. 1(1):1-26 (1995);Arnericら、Exp. Opin. Invest. Drugs 5(1):79-100 (1996);Bencherifら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 279:1413 (1996);Lippielloら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 279:1422 (1996);Damajら、J. Pharmacol. Exp. Ther. 291:390 (1999);Chiariら、Anesthesiology 91:1447 (1999);Lavand'homme およびEisenbach, Anesthesiology 91:1455 (1999);Holladayら、J. Med. Chem. 40(28):4169-94 (1997);Bannonら、Science 279:77 (1998)、PCT WO 94/08992、PCT WO 96/31475、PCT WO 96/40682、ならびにBencherifらの米国特許第5,583,140号、Dullらの米国特許第5,597,919号、Smithらの米国特許第5,604,231号、およびCosfordらの米国特許第5,852,041号(これらの各文献の開示内容は、かかる治療に関する開示について参照することにより本明細書中に組み入れるものとする)を参照されたい。
【0069】
本化合物およびその医薬組成物は、神経変性疾患、精神神経障害、神経疾患および依存症をはじめとする、様々なCNS障害の治療または予防において有用である。本化合物およびその医薬組成物は、認知障害および機能障害(加齢によるものなど);注意障害および認知症(病原菌または代謝障害によるものを含む)の治療または予防に;神経保護の提供に;痙攣および多発性脳梗塞の治療に;気分障害、強迫行為および常習行為の治療に;痛覚の消失を得るために;例えばサイトカインおよび核因子κBが関与する炎症の調節に;炎症性疾患の治療に;疼痛寛解をもたらすために;糖尿病またはメタボリック症候群などの代謝性疾患の治療に;ならびに、細菌感染、真菌感染およびウイルス感染を治療する抗感染薬剤として感染症の治療に用いることができる。
【0070】
CNS障害
本発明の化合物および医薬組成物を治療または予防に使用することができる障害、疾患および症状には、次のものがある:加齢性記憶障害(AAMI)、軽度認識障害(MCI)、加齢性認知力低下(ARCD)、初老期認知症、早発性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、認識障害(認知障害なし)(CIND)、レヴィー小体認知症、HIV認知症、エイズ関連認知症、血管性認知症、ダウン症候群、頭部外傷、外傷性脳損傷(TBI)、ボクサー認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病およびプリオン病、卒中、乏血、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、失読症、統合失調症、分裂病様障害、分裂情動性障害、統合失調症における認知機能障害、記憶力(例えば、作業記憶、実行職能、注意、覚醒、情報処理および学習)などの統合失調症における認知障害、統合失調症に関連した認知症(軽度、中程度、重度)、統合失調症に関連した認知症(軽度、中程度、重度)、パーキンソン症候群(例えば、パーキンソン病)、脳炎後パーキンソン症候群、グアム・パーキンソン痴呆複合、前頭側頭痴呆パーキンソン病群(FTDP)、ピック病、ニーマン・ピック病、ハンチントン病、ハンチントン舞踏病(Huntington's chorea)、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、進行性核上性麻痺、進行性核上性不全麻痺、下肢静止不能症候群、多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患(MND)、多系統萎縮症(MSA)、大脳皮質基底核変性症、ギラン・バレー症候群(GBS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパシー(CIDP)、てんかん、常染色体優性夜間前頭葉てんかん、躁病、不安症、うつ病、月経前情動不安、パニック障害、過食症、拒食症、ナルコレプシー、日中の過剰眠気、双極性障害、全般性不安障害、強迫性障害、激怒、反抗挑戦性障害、トゥーレット症状群、自閉症、薬物依存症およびアルコール依存症、タバコ中毒、肥満、悪液質、乾癬、狼瘡、急性胆管炎、アフタ性口内炎、潰瘍、喘息、潰瘍性大腸炎、炎症性腸疾患、クローン病、術後腸閉塞、痙性異緊張症、下痢、便秘、嚢炎、膵臓炎、ウイルス性肺炎、関節炎、例えば、関節リウマチおよび変形性関節症、内毒素血症、敗血症、アテローム性動脈硬化、特発性肺線維症、急性疼痛、慢性疼痛、神経病、尿失禁、糖尿病および新生物。
【0071】
認識障害または機能障害は、統合失調症および他の精神障害などの精神障害または精神疾患(例えば、これらに限定されるものではないが、精神病性障害、分裂病様障害、分裂情動性障害、妄想性障害、一時的精神病性障害、共有精神病性障害、および1種または複数の一般的な疾患に起因する精神疾患)、認知症および他の認知障害(例えば、これらに限定されるものではないが、軽度認識障害、初老期認知症、アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、加齢性記憶障害、レヴィー小体認知症、血管性認知症、エイズ関連認知症、失読症、パーキンソン症候群、例えばパーキンソン病、パーキンソン病の認識障害および認知症、多発性硬化症の認識障害、外傷性脳損傷によって誘発される認識障害、他の全身性疾患に起因する認知症)、不安障害(例えば、これらに限定されるものではないが、広場恐怖を伴わないパニック障害、広場恐怖を伴うパニック障害、パニック障害歴のない広場恐怖症、特定の恐怖症、社会恐怖症、強迫性障害、外傷後ストレス障害、急性ストレス障害、全般性不安障害および一般的な疾患に起因する全般性不安障害)、気分障害(例えば、これらに限定されるものではないが、大うつ病、気分変調性障害、双極性うつ病、双極性躁病、双極I型障害、躁病に関連したうつ病、うつ病エピソードまたは混合型エピソード、双極II型障害、循環病、および一般的な疾患に起因する気分障害)、睡眠障害(例えば、これらに限定されるものではないが、睡眠障害、原発性不眠症、原発性過眠症、ナルコレプシー、錯睡眠障害、悪夢障害、夜間恐怖症および夢遊病)、精神遅滞、学習障害、運動技能障害、コミュニケーション障害、広汎性発達障害、注意障害および破壊的行動障害、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、乳児期、幼年期または大人の栄養補給障害および摂食障害、チック病、排泄障害、薬物関連の障害(例えば、これらに限定されるものではないが、薬物依存症、薬物濫用、薬物中毒、薬物離脱、アルコール関連の障害、アンフェタミンまたはアンフェタミン類似物関連の障害、カフェイン関連の障害、大麻関連の障害、コカイン関連の障害、幻覚剤関連の障害、吸入剤関連の障害、ニコチン関連の障害、オピオイド関連の障害、フェンシクリジンまたはフェンシクリジン類似物関連の障害、および鎮静剤、催眠薬または不安緩解剤関連の障害)、人格障害(例えば、これらに限定されるものではないが、強迫性人格障害および衝動制御障害)に随伴する場合がある。
【0072】
統合失調症の症状は、一般に、陽性症状、陰性症状および認知症状の3つのカテゴリーに分類される。陽性症状は「精神病(性)」症状とも呼ばれ、妄想および幻覚がそれに含まれる。「陽性」とは明らかな症状を有していることを意味する。陰性症状には、感情荒廃、または表現の欠如、開始能力および活動を最後までやり通す能力の喪失、短く内容のない会話、活動における楽しみまたは興味の欠如が含まれる。「陰性」とは、そうでなければ健康な個人に存在するであろう特定の特性の欠如を意味する。認知症状は思考過程に関係する。認知症状には、記憶力(例えば、作業記憶、実行職能、注意、覚醒、情報処理および学習)などの認知障害が含まれるが、Sharmaら, Cognitive Function in Schizophrenia: Deficits, Functional Consequences, and Future Treatment, Psychiatr. Clin. N. Am. 26 (2003) 25-40を参照されたい(これは参照により本明細書に組み入れるものとする)。統合失調症はまた気分にも影響する。統合失調症に罹患している多くの人が憂鬱になる一方で、一部の人には気分変動および双極性に似た状態さえ見受けられることがある。
【0073】
上記の症状および障害は、例えば、American Psychiatric Association: Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fourth Edition, Text Revision, Washington, DC, American Psychiatric Association, 2000にさらに詳細に記載されている(これは、こうした症状および障害の定義に関して参照することにより本明細書に組み入れるものとする)。このマニュアルはまた、薬物の使用、乱用および依存に関連した症状および診断上の特徴について、より詳細に参照することができる。
【0074】
疾患、障害および症状の本治療または予防は、感知され得るほどの有害な副作用(例えば、血圧および心拍数の有意な上昇、消化管に対する有意な悪影響、ならびに骨格筋に対する有意な影響)を引き起こすことがなく行われるのが好ましい。
【0075】
本発明の化合物は、有効量で用いられた場合、α7 NNRの活性はモジュレートするが、ヒト神経中枢に特徴的なニコチン性サブタイプとの間に感知され得る相互作用はないと考えられる。このことは、副腎のクロム親和組織または骨格筋のニコチン機能を生じさせる能力に欠けること、さらには筋肉型ニコチン受容体を発現する細胞調製物においてニコチン機能を生じさせる能力に欠けることにより示されている。よって、これらの化合物は、神経節部位および神経筋部位での活性に関連する有意な副作用を誘発することなく、疾患、障害および症状を治療または予防することができると考えられる。このため、本化合物を投与することで特定の疾患、障害および症状の治療が提供され、かつ特定の副作用は回避される治療濃度域が得られると考えられる。すなわち、本化合物の有効投与量はこれらの疾患、障害および症状に対して所望の効果を得るのに十分であるが、望ましくない副作用が起こるには不十分である(すなわち十分な高濃度ではない)と考えられる。
【0076】
したがって、本発明は、治療(例えば上記のような治療)で使用するための、本発明の化合物またはその製薬上許容可能な塩の使用を提供する。
【0077】
また別の態様では、本発明は、CNS障害(例えば、上記のような障害、疾患または症状)の治療で使用するための薬剤製造における本発明の化合物またはその製薬上許容可能な塩の使用を提供する。
【0078】
炎症
神経系は、主として迷走神経を通じて、マクロファージ腫瘍壊死因子(TNF)の放出を抑制することにより先天的免疫反応の程度を調節することが知られている。この生理学的機序は、「コリン作用性抗炎症経路」として公知である(例えば、Tracey, "The inflammatory reflex," Nature 420: 853-9 (2002)(これは参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい)。過剰な炎症および腫瘍壊死因子の合成は、様々な疾患における罹患率の、また死亡率までもの原因となる。これらの疾患としては、内毒素血症、関節リウマチ、変形性関節症、乾癬、喘息、アテローム性動脈硬化、特発性肺線維症、および炎症性腸疾患などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0079】
本明細書に記載の化合物を投与することにより治療または予防することができる炎症性の症状としては、慢性および急性炎症、乾癬、内毒素血症、痛風、急性偽性痛風、急性痛風性関節炎、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎、スティル病、成人発症スティル病、同種移植片拒絶、慢性移植拒絶反応、喘息、アテローム性動脈硬化、単核食細胞依存性肺損傷、特発性肺線維症、アトピー性皮膚炎、慢性閉塞性肺疾患、成人型呼吸窮迫症候群、鎌型赤血球症における急性胸部症候群、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、急性胆管炎、アフタ性口内炎、嚢炎、糸球体腎炎、ループス腎炎、血栓症および移植片対宿主反応が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0080】
細菌および/またはウィルス感染に伴う炎症反応
多くの細菌および/またはウイルス感染症(例えば脳膜炎、肝炎および腎炎)は、毒素の形成によって生じる副作用、ならびに細菌もしくはウイルスおよび/またはその毒素に対する身体の自然反応に関係している。上述のように、感染に対する身体の反応は、有意な量のTNFおよび/または他のサイトカインの生成が関与していることが多い。これらのサイトカインの過剰発現は、結果として、敗血症性ショック(細菌がセプシスである場合)、内毒素性ショック、尿路性敗血症および毒素性ショック症候群などの深刻な障害をもたらす場合がある。
【0081】
サイトカインの発現にはNNRが介在しており、これらの受容体のアゴニストまたは部分的アゴニストを投与することにより抑制することができる。したがって、これらの受容体のアゴニストまたは部分的アゴニストである、本明細書に記載の化合物を使用して、細菌感染ならびにウイルス感染および真菌感染に伴う炎症反応を低減することができる。こうした細菌感染の例としては、炭疽病、ボツリヌス中毒および敗血症が挙げられる。これらの化合物の一部はまた、抗菌特性を有することもある。
【0082】
これらの化合物は、抗生物質、抗ウイルス薬および抗真菌薬などの細菌、ウイルスおよび真菌感染を処置する既存の治療薬と併用し補助治療薬として使用することもできる。また抗毒素を使用して、感染因子により生じた毒素に結合させ、この結合した毒素が炎症反応を起こすことなく体内を通過できるようにすることもできる。抗毒素の例は、例えば、Bundleらの米国特許第6,310,043号(これは参照により本明細書に組み入れるものとする)に開示されている。細菌および他の毒素に対して効果のある他の薬剤も有効である可能性があり、これらの治療効果は、本明細書に記載の化合物と同時投与することで得ることができる。
【0083】
疼痛
本化合物は、急性疼痛、神経因性疼痛、炎症性疼痛、神経障害性疼痛および慢性疼痛をはじめとする、疼痛を治療および/または予防するために投与することができる。本明細書に記載の化合物の鎮痛活性は、米国公開特許出願第20010056084 A1 (Allgeierら)(これは参照に組み入れるものとする)に記載されているようにして行われる、持続性炎症性疼痛モデルおよび神経因性疼痛モデルで証明することができる。なお、前記モデルは、炎症性疼痛の完全フロイトアジュバントラットモデルにおける痛覚過敏、および神経因性疼痛のマウス坐骨神経一部結紮モデルにおける機械的痛覚過敏で証明される。
【0084】
この鎮痛作用は、様々な起源および原因の疼痛、特に、炎症性疼痛および関連痛覚過敏、神経因性疼痛および関連痛覚過敏、慢性疼痛(例えば、重症慢性疼痛、術後疼痛、ならびに癌、口狭炎、腎仙痛または胆石仙痛、月経痛、偏頭痛および痛風をはじめとする様々な症状に伴う疼痛)の治療に適している。炎症性疼痛は、関節炎およびリウマチ性疾患、腱鞘炎ならびに脈管炎をはじめとする様々な起源のものであってもよい。神経因性疼痛としては、三叉神経痛またはヘルペス性神経痛、糖尿病性神経障害性疼痛、灼熱痛、腰痛および求心路遮断症候群(例えば腕神経叢裂離)が挙げられる。
【0085】
新血管新生
α7 NNRは、新血管新生に関連する。例えば、α7 NNRのアンタゴニスト(または一定の投与量での部分的アゴニスト)の投与によって新血管新生を抑制することで、望ましくない新血管新生または脈管形成を特徴とする症状を治療または予防することができる。こうした症状には、炎症性脈管形成および/または虚血誘発性脈管形成を特徴とする症状を挙げることができる。腫瘍増殖に伴う新血管新生も、α7 NNRのアンタゴニストまたは部分的アゴニストとして機能する、本明細書に記載のこれらの化合物を投与することにより抑制することができる。
【0086】
α7 NNR特異的活性の特定のアンタゴニズムは、炎症、虚血および新形成に対する脈管形成性の反応を低減する。本明細書に記載の化合物評価の適切な動物モデル系に関するガイダンスは、例えば、Heeschen, C.らの"A novel angiogenic pathway mediated by non-neuronal nicotinic acetylcholine receptors," J. Clin. Invest. 110(4):527-36 (2002)で確認することができる。この文献は、脈管形成のα7特異的抑制、ならびにヒトの疾患に関連した脈管形成活性の細胞(in vitor)モデルおよび動物モデル、特にルイス肺腫瘍モデル(マウスのin vivoモデル、特に、529ページおよび532〜533ページを参照)の記載に関して、参照により本明細書に組み入れるものとする。
【0087】
本明細書に記載の化合物を使用して治療することができる代表的な腫瘍の種類としては、NSCLC、卵巣癌、膵癌、乳癌、結腸癌、直腸癌、肺癌、中咽頭癌、下咽頭癌腫、食道癌腫、胃癌、膵臓癌、肝癌、胆嚢癌、胆管癌、小腸癌、尿路癌、腎癌、膀胱癌、尿路上皮癌、女性生殖管癌、子宮頸癌、子宮癌、卵巣癌、絨毛癌、妊娠性絨毛性疾患、男性生殖器官癌、前立腺癌、精嚢癌、精巣癌、胚細胞腫瘍、内分泌腺癌、甲状腺癌、副腎癌、脳下垂体癌、皮膚癌、血管腫、メラノーマ、肉腫、骨組織肉腫および軟部組織肉腫、カポジ肉腫、脳腫瘍、神経腫瘍、眼部腫瘍、髄膜腫瘍、星状細胞腫、神経膠腫、膠芽腫、網膜芽細胞腫、神経腫、神経芽細胞腫、シュヴァン鞘腫、髄膜腫、造血性悪性腫瘍から生じる固形腫瘍(例えば、白血病、緑色腫、形質細胞腫、ならびに菌状息肉腫および皮膚T細胞リンパ腫/白血病のプラークおよび腫瘍など)、ならびにリンパ腫から生じる固形腫瘍が挙げられる。
【0088】
本化合物は、抗癌治療の他の剤形と併用して投与することも可能であり、これには、それ自体当技術分野で公知である、シス・プラチン、アドリアマイシン、ダウノマイシンなどの抗新生物抗腫瘍薬および/または抗VEGF(血管内皮増殖因子)薬との同時投与が含まれる。
【0089】
本化合物は、腫瘍部位を標的とするような方法で投与することができる。例えば、本化合物は、微粒子を腫瘍部位に送達する様々な抗体に抱合させたマイクロスフェア、微粒子またはリポソームで投与することができる。さらに、本化合物は、動脈および静脈は通過するが、腫瘍周囲の毛細血管床に留まり、本化合物を腫瘍に局所的に投与するよう適切なサイズにしたマイクロスフェア、微粒子またはリポソーム中に存在させることができる。こうした薬剤送達デバイスは、当技術分野で公知である。
【0090】
他の障害
CNS障害、炎症、新血管新生および疼痛の治療に加えて、本発明の化合物は、NNRが関与する特定の他の症状、疾患および障害を予防または治療するために使用することもできる。例としては、狼瘡などの自己免疫疾患、サイトカイン放出関連疾患、感染に続発する(例えば、AIDS、AIDS関連複合症および新形成の際に発症するような)悪液質、代謝性疾患、例えば、I型糖尿病、II型糖尿病、メタボリック症候群、肥満または高血糖、天疱瘡(pemphitis)、尿失禁、網膜疾患、感染症、筋無力症、イートン・ランバート症候群、高血圧症、骨粗鬆症、血管収縮、血管拡張、心律動異常、過食症、拒食症、ならびにPCT公開公報WO 98/25619に記載されている適応症(かかる疾患に関して参照により本明細書に組み入れるものとする)などが挙げられる。本発明の化合物を投与して、痙攣(例えば、癲癇の症状に基づくもの)を治療することも可能であり、また、梅毒およびクロイツフェルト・ヤコブ病などの症状を治療することもできる。
【0091】
診断用途
本化合物は、特に、適切な標識を含むように修飾されている場合、プローブなどの診断用組成物に使用することができる。これらのプローブを使用して、例えば、特異的受容体、特にα7受容体サブタイプの相対数および/または機能を判定することができる。この目的において、本発明の化合物は、最も好ましくは、11C、18F、76Br、123Iまたは125Iなどの放射性同位体成分で標識する。
【0092】
投与された化合物は、用いた標識に適する公知の検出方法を使用して検出することができる。検出方法の例としては、陽電子放射断層撮影法(PET)および単一光子放射型コンピュータ断層撮影法(SPECT)が挙げられる。上記の放射性標識は、11Cについては約20.4分、18Fについては約109分、123Iについては約13時間および76Brについては約16時間の半減期で、PET(例えば、11C、18Fまたは76Br)およびSPECT(例えば、123I)画像診断で有用である。選択した受容体サブタイプを非飽和濃度で視覚化するには、高い特異的活性が望まれる。投与する用量は、典型的には毒性範囲より下であり、高コントラスト画像が得られる量である。本化合物は、非毒性レベルで投与できることが望まれる。投与量の決定は、放射性標識画像診断の当業者に公知の手法で行う。例えば、Londonらの米国特許第5,969,144号(かかる化合物の投与に関して参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。
【0093】
本化合物は、公知の技法を用いて投与することできる。例えば、上述のLondonらの米国特許第5,969,144号(かかる投与に関して参照により組み入れるものとする)を参照。本化合物は、他の成分(例えば、診断用組成物を製剤化する際に有用な成分の種類のものなど)を加えた製剤組成物で投与することができる。本発明の実施により有用である化合物は、最も好ましくは、高純度の形態で利用する。例えば、Elmalchらの米国特許第5,853,696号(かかる分析に関して参照することにより本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。
【0094】
本化合物を被験体(例えば、ヒト被験体)に投与した後で、被験体内のこの化合物の存在を適切な技法により画像化し、定量して、選択したNNRサブタイプの存在、量および機能性を示すことができる。本化合物は、ヒトの他に、マウス、ラット、イヌおよびサルなどの動物にも投与することができる。SPECTおよびPET画像診断は、適切な技法および装置を使用して実施することができる。代表的な画像化技術の記載については、Villemagneら、(Arnericら編), Neuronal Nicotinic Receptors: Pharmacology and Therapeutic Opportunities, 235-250 (1998)、およびElmalchらの米国特許第5,853,696号(これらはそれぞれ、参照により本明細書に組み入れるものとする)を参照されたい。
【0095】
本放射性標識化合物は、選択的NNRサブタイプ(例えばα7)に対して高親和性で結合し、好ましくは、他のニコチンコリン作動性受容体サブタイプ(例えば、筋肉および神経節に関連したこうした受容体サブタイプ)に対しては無視できる非特異的結合を示す。このように、本化合物は、様々なCNS疾患および障害に関連した診断を行うための、被験体の体内(特に脳内)のニコチンコリン作動性受容体サブタイプの非侵襲性画像化剤として使用することができる。
【0096】
一態様では、本診断組成物は、ヒト患者などの被験体の疾患の診断方法で使用することができる。この方法は、本明細書に記載の検出可能な標識化合物を患者に投与すること、および選択したNNRサブタイプ(例えば、α7受容体サブタイプ)に対する当該化合物の結合を検出することを含む。PETおよびSPECTなどの診断ツールの使用に関する当業者は、本明細書に記載の放射性標識化合物を使用して、中枢神経系および自律神経系の機能不全に伴う症状および疾患をはじめとする各種症状および障害を診断することができる。かかる障害としては、アルツハイマー病、パーキンソン病および統合失調症を含む様々なCNS疾患および障害が挙げられる。評価可能なこれらおよび他の代表的な疾患および障害には、Bencherifらの米国特許第5,952,339号(これは参照により本明細書に組み入れるものとする)に記載されているものが挙げられる。
【0097】
別の態様においては、本診断用組成物は、ヒト患者などの被験体の選択的ニコチン受容体サブタイプをモニターする方法で使用することができる。この方法は、本明細書に記載の検出可能な標識化合物をその患者に投与すること、および選択したニコチン受容体サブタイプ(すなわち、α7受容体サブタイプ)に対するこの化合物の結合を検出することを含む。
【0098】
受容体結合
本発明の化合物は、NNRサブタイプ(特にα7受容体サブタイプ)に結合する化合物に関する結合アッセイでリファレンスリガンドとして使用することができる。この目的においては、本発明の化合物は、放射性アイソトープ成分(例えば、3Hまたは14C)で標識化するのが好ましい。
【実施例】
【0099】
V. 合成実施例
以下の合成実施例は本発明を説明するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。これらの実施例において、すべての部およびパーセントは、特に断わりのない限り、重量によるものである。溶液はすべて、特に断りのない限り水性である。
【0100】
実施例1:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(化合物A)およびそのエナンチオマー、(2R,3S)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの小規模合成
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
水酸化カリウム(56g、0.54mol)をメタノール(420mL)に溶解した。塩酸3-キヌクリジノン(75g、0.49mol)を加え、この混合物を30分間、周囲温度で撹拌した。3-ピリジンカルボキシアルデヒド(58g、0.54mol)を加え、この混合物を16時間、周囲温度で撹拌した。この反応混合物は、この間に黄色になり、同時に固体がフラスコの壁面にこびりついた。固体をフラスコ壁からこすり落とし、これらのかたまりを粉砕した。急速撹拌しながら、水(390mL)を加えた。固体が溶解した後、この混合物を4℃で一晩冷却した。結晶を濾過により回収し、水で洗浄し、風乾し、80gの黄色の固体を得た。濾液をこの以前の量の〜10%に濃縮し、4℃で一晩冷却して、第2の収量(8g)を得た。両方の収量は、次の変換にあたり充分に純粋であった(88g、収率82%)。
【0101】
2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(20g、93mmol)をメタノール(200mL)に懸濁させ、46mLの6N 塩酸で処理した。炭素担持10%パラジウム(1.6g)を加え、この混合物を25psiの水素下で16時間振盪した。混合物を珪藻土に通して濾過し、ロータリーエバポレーションにより濾液から溶媒を除去した。これにより、粗製の塩酸2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンが白色のゴム状物(20g)として得られた。これを2Mの水酸化ナトリウム(50mL)およびクロロホルム(50mL)で順次処理し、1時間撹拌した。クロロホルム層を分離し、水相を、2Mの水酸化ナトリウム(〜約5mL、このpHを10に上げるために充分な量)と、飽和塩化ナトリウム水溶液(25mL)とで処理した。この水性混合物をクロロホルム(3×10mL)で抽出し、合わせたクロロホルム抽出物を乾燥させ(無水硫酸マグネシウム)、ロータリーエバポレーションにより濃縮した。残留物(18g)を温エーテル(320mL)に溶解し、4℃に冷却した。白色固体を濾過し、少量の冷エーテルで洗浄し、風乾した。濾液をこの以前の量の〜10%に濃縮し、4℃に冷却して、第2の収量を得た。合わせた収量16g(79%)が得られた。
【0102】
3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
窒素下で、無水メタノール(20mL)中の2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(3.00g、13.9mmol)の撹拌溶液に、エーテルに溶解した塩化亜鉛の1M溶液(2.78mL、2.78mmol)を加えた。周囲温度で30分間撹拌した後、この混合物を固体ギ酸アンモニウム(10.4g、167mmol)で処理した。さらに1時間、周囲温度で撹拌した後、固体シアノ水素化ホウ素ナトリウム(1.75g、27.8mmol)を少量ずつ加えた。次に、この反応物を周囲温度で一晩撹拌し、水(〜5mL)を添加して反応を停止させた。この反応停止反応物を5Mの水酸化ナトリウム(10mL)とクロロホルム(20mL)で分配した。水層をクロロホルム(20mL)で抽出し、合わせた有機層を乾燥させ(硫酸ナトリウム)、濾過し、濃縮した。これにより、2.97gの黄色のゴム状物が残った。GCMS分析によると、この生成物は、微量の対応するアルコールを一緒に含む、シスアミンとトランスアミンの1:9混合物であることがわかった(全質量回収率98%)。
【0103】
(2R,3S)および(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン
ジ-p-トルオイル-D-酒石酸(5.33g、13.8mmol)を、メタノール(20mL)中の粗製3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(6.00g、27.6mmol、1:9のシス/トランス)の撹拌溶液に添加した。完全に溶解した後、この透明な溶液をロータリーエバポレーションにより固体の塊になるまで濃縮した。この固体を最少量の沸騰メタノール(〜5mL)に溶解した。この溶液を、最初は周囲温度に(1時間)、次に〜4時間にわたって5℃に、最後に一晩で-5℃に、ゆっくりと冷却した。沈殿した塩を吸引濾過により回収し、5mLのメタノールから再結晶させた。残った1.4gの白色固体を風乾し、これをクロロホルム(5mL)と2Mの水酸化ナトリウム(5mL)とで分配した。クロロホルム層と、水層のクロロホルム抽出物5mLを合わせ、乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮して、無色の油状物(0.434g)を得た。この遊離塩基のエナンチオマー純度は、一部をこのN-(tert-ブトキシカルボニル)-L-プロリンアミドに転化させることにより決定し、次いで、LCMSを用いてこれをジアステレオマー純度について分析した(98%)。
【0104】
最初の結晶化から得た母液を2Mの水酸化ナトリウムで塩基性(〜pH 11)にし、クロロホルム(10mL)で2回抽出した。これらのクロロホルム抽出物を乾燥させ(無水硫酸ナトリウム)、濃縮して、油状物を得た。このアミン(3.00g、13.8mmol)をメタノール(10mL)に溶解し、ジ-p-トルオイル-L-酒石酸(2.76g、6.90mmol)で処理した。この混合物を温めて溶解を促し、次いで、-5℃までゆっくりと冷却し、そのまま一晩置いた。吸引濾過により沈殿を回収し、メタノールから再結晶させ、乾燥させた。これによって、1.05gの白色固体が残った。この塩を遊離塩基に転化させ(収量=0.364g)、他の異性体について上で説明したように、プロリンアミド法を用いてこのエナンチオマー純度を評価した(97%)。
【0105】
N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドのトランスエナンチオマーA
ジフェニルクロロホスフェート(0.35mL、0.46g、1.7mmol)を、無水ジクロロメタン(5mL)中のベンゾフラン-2-カルボン酸(0.28g、1.7mmol)およびトリエチルアミン(0.24mL、0.17g、1.7mmol)の溶液に滴下添加した。周囲温度で30分間撹拌した後、無水ジクロロメタン(5mL)中の(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(0.337g、1.55mmol)(ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩から誘導体化したもの)およびトリエチルアミン(0.24mL、0.17g、1.7mmol)の溶液を加えた。この反応混合物を一晩、周囲温度で撹拌し、次いで、10%水酸化ナトリウム(1mL)で処理した。この二相混合物を分離させ、有機層をGenevac遠心エバポレーターで濃縮した。残留物をメタノール(6mL)に溶解し、0.05%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル/水の勾配を溶離剤として使用するC18シリカゲルカラムでのHPLCにより精製した。選択画分を濃縮し、得られた残留物をクロロホルムと飽和重炭酸ナトリウム水溶液で分配し、クロロホルムを蒸発させると、0.310g(収率42%)の白色粉末(GCMSによると純度95%)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.51 (d, 1H), 8.34 (dd, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.58 (dt, 1H), 7.49 (d, 1H), 7.44 (s, 1H), 7.40 (dd, 1H), 7.29 (t, 1H), 7.13 (dd, 1H), 6.63 (d, 1H), 3.95 (t, 1H), 3.08 (m, 1H), 2.95 (m, 4H), 2.78 (m, 2H), 2.03 (m, 1H), 1.72 (m, 3H), 1.52 (m, 1H)。
【0106】
この物質(トランスエナンチオマーA)は、その後、キラルクロマトグラフ分析により、その絶対立体配置が2S,3Rである物質と同一であることがわかった(X線結晶解析により確定された)。
【0107】
N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドのトランスエナンチオマーB
ジフェニルクロロホスフェート(96μL、124mg、0.46mmol)を、無水ジクロロメタン(1mL)中のベンゾフラン-2-カルボン酸(75mg、0.46mmol)およびトリエチルアミン(64μL、46mg、0.46mmol)の溶液に滴下添加した。周囲温度で45分間攪拌した後、無水ジクロロメタン(1mL)中の(2R,3S)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(0.10g、0.46mmol)(ジ-p-トルオイル-L-酒石酸塩から誘導体化したもの)およびトリエチルアミン(64μL、46mg、0.46mmol)の溶液を加えた。この反応混合物を一晩、周囲温度で撹拌し、次いで、10%水酸化ナトリウム(1mL)で処理した。この二相混合物を分離させ、有機層および水層のクロロホルム抽出物(2mL)をロータリーエバポレーションにより濃縮した。残留物をメタノールに溶解し、0.05%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル/水の勾配を溶離剤として使用するC18シリカゲルカラムでのHPLCにより精製した。選択画分の濃縮し、得られた残留物をクロロホルムと飽和重炭酸ナトリウム水溶液で分配し、クロロホルムを蒸発させると、82.5mg(収率50%)の白色粉末が得られた。NMRスペクトルは、2S,3R異性体について得たものと同一であった。この物質(トランスエナンチオマーB)の直接前駆体は2S,3R化合物(トランスエナンチオマーA)の直接前駆体に鏡像異性であるので、トランスエナンチオマーBの絶対立体配置は2R,3Sであると推定される。
【0108】
実施例2:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドおよび(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)-1-ベンゾフラン-2-カルボキサミドp-トルエンスルホン酸塩の大規模合成
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン
塩酸3-キヌクリジノン(8.25kg、51.0mol)およびメタノール(49.5L)を、窒素雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブおよびコンデンサーを装備した100Lガラス製反応フラスコに加えた。水酸化カリウム(5.55kg、99.0mol)を約30分にわたって粉末ロートを通して加えたところ、反応温度が50℃〜56℃に上昇した。約2時間かけて、3-ピリジンカルボキシアルデヒド(4.80kg、44.9mol)をこの反応混合物に加えた。得られた混合物を最低12時間、20℃±5℃で撹拌し、同時にこの反応を薄層クロマトグラフィー(TLC)によってモニターした。反応完了後、反応混合物を焼結ガラスロートを通して濾過し、濾過ケーキをメタノール(74.2L)で洗浄した。濾液を濃縮し、反応フラスコに移し、水(66.0L)を加えた。この懸濁液を最低30分間撹拌し、濾過し、洗浄液のpHが7〜9になるまで濾過ケーキを水(90.0L)で洗浄した。固体を最低12時間、50℃±5℃で真空下にて乾燥させたところ、2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンが8.58kg(89.3%)得られた。
【0109】
(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩
2-((3-ピリジニル)メチレン)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(5.40kg、25.2mol)およびメタノール(40.5L)を、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブ、低圧ガス流量調節器系および圧力計を装備した72Lの反応槽に加えた。ヘッドスペースに窒素を充填し、混合物を撹拌して、透明な黄色の溶液を得た。このフラスコに、炭素担持10%パラジウム(50% wet)(270g)を加えた。真空ポンプを使用してリアクターの雰囲気を減圧排気し、ヘッドスペースを水素で水圧10〜20インチまで置き換えた。この排気と水素による気圧調節をさらに2回繰り返し、3回目の気圧調節後に、リアクターを水圧20インチの水素ガス圧力にした。反応混合物を最低12時間、20℃±5℃で撹拌し、その反応をTLCによりモニターした。反応完了後、懸濁液を焼結ガラスロート上のCelite(登録商標)545(1.9kg)ベッドを通して濾過し、濾過ケーキをメタノール(10.1L)で洗浄した。濾液を濃縮して半固体を得た。これを窒素雰囲気下で、メカニカルスターラー、コンデンサーおよび温度プローブを取り付けた200Lの反応フラスコに移した。この半固体をエタノール(57.2L)に溶解させ、ジ-p-トルオイル-D-酒石酸(DTTA)(9.74kg、25.2mol)を加えた。撹拌反応混合物を最低1時間、さらに最低12時間、加熱還流し、さらに反応物を15℃〜30℃に冷却した。懸濁液を卓上用フィルターを用いて濾過し、濾過ケーキをエタノール(11.4L)で洗浄した。生成物を周囲温度で真空下にて乾燥させ、(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩を11.6kg(収率76.2%、純度については59.5%)得た。
【0110】
(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩
水(46.25L)および重炭酸ナトリウム(4.35kg、51.8mol)を200Lのフラスコに加えた。完全に溶解した後、ジクロロメタン(69.4L)を加えた。(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩(11.56kg、19.19mol)を加え、反応混合物を2分〜10分撹拌した。最低2分で層が分離された(層の分配時に必要ならば、追加の水(20L)を加えた)。有機相を取り出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ジクロロメタン(34.7L)を残りの水相に加え、その懸濁液を2分〜10分撹拌した。これらの層を2分〜10分で分離させた。再度、有機相を取り出し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させた。ジクロロメタン(34.7L)による水相の抽出を上述のように再度繰り返した。それぞれの抽出試料をキラルHPLC分析に用いた。硫酸ナトリウムを濾過により除去し、濾液を濃縮し、固体として(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(4.0kg)を得た。
【0111】
(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オン(3.8kg)を、窒素雰囲気下で、メカニカルスターラーおよび温度プローブが取り付けられたきれいな100Lのガラス反応フラスコに移した。無水テトラヒドロフラン(7.24L)および(+)-(R)-α-メチルベンジルアミン(2.55L、20.1mol)を加えた。チタン(IV)イソプロポキシド(6.47L、21.8mol)を1時間にわたってその撹拌反応混合物に加えた。反応物は、最低12時間、窒素雰囲気下で撹拌した。エタノール(36.17L)を反応混合物に加えた。反応混合物を-5℃以下に冷却し、反応温度を15℃より下に維持しながら、水素化硼素ナトリウム(1.53kg、40.5mol)を少量ずつ加えた(この添加には数時間かかった)。次いで、この反応混合物を最低1時間、15℃±10℃で撹拌した。反応はHPLCによりモニターし、反応が完了したら(残存する(2S)-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-オンが0.5%未満と示された時に)、2Mの水酸化ナトリウム(15.99L)を加え、混合物を最低10分間撹拌した。反応混合物を卓上用ロート中のCelite(登録商標)545ベッドを通して濾過した。濾過ケーキをエタノール(15.23L)で洗浄し、濾液を濃縮して油状物を得た。
【0112】
濃縮物を、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラーおよび温度プローブを装備したきれいな100Lガラス反応フラスコに移した。水(1L)を加え、混合物を0℃±5℃に冷却した。混合物のpHをpH 1に調整するため、2Mの塩酸(24L)を混合物に加えた。次いで、この混合物を最低10分撹拌し、混合物のpHをpH 14に調整するため、2Mの水酸化ナトリウム(24L)をゆっくりと加えた。混合物を最低10分撹拌し、水相をジクロロメタン (3×15.23L)で抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウム(2.0kg)で乾燥させ、濾過し、濃縮して、(2S,3R)-N-((1R)-フェニルエチル)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル))-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(4.80kg、収率84.7%)を得た。
【0113】
(2S,3R)-N-((1R)-フェニルエチル)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラーおよび温度プローブを装備した22Lのガラスフラスコに移した。水(4.8L)を加え、撹拌混合物を5℃±5℃に冷却した。濃塩酸(2.97L)を、混合物の温度を25℃より下に維持しながら反応フラスコにゆっくりと加えた。得られた溶液を、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブおよびコンデンサーを装備した、エタノール(18L)入りの72Lの反応フラスコに移した。このフラスコに、炭素担持10%パラジウム(50%wet)(311.1g)およびシクロヘキセン(14.36L)を加えた。反応混合物を最低12時間加熱還流し、反応をTLCによりモニターした。反応完了後、反応混合物を45℃以下に冷却し、焼結ガラスロート上のCelite(登録商標)545(1.2kg)ベッドを通して濾過した。濾過ケーキをエタノール(3L)ですすぎ、濾液を濃縮し、水相を得た。水(500mL)を濃縮濾液に加え、この合わせた水層をメチルtert-ブチルエーテル(MTBE)で洗浄した(2×4.79L)。混合物のpHをpH 14に調整するため、2Mの水酸化ナトリウム(19.5L)を水相に加えた。次いで、混合物を最低10分間撹拌した。水相をクロロホルム(4×11.96L)で抽出し、合わせた有機相を無水硫酸ナトリウム(2.34kg)で乾燥させた。濾液を濾過し、濃縮して、(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(3.49kg、>量的収率)を油状物として得た。
【0114】
(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、コンデンサーおよび温度プローブを装備したきれいな100Lの反応フラスコに移した。エタノール(38.4L)およびジ-p-トルオイル-D-酒石酸(3.58kg、9.27mol)を加えた。この反応混合物を最低1時間、穏やかに加熱還流した。次いで、反応混合物を15℃〜30℃に冷却しながら、最低12時間撹拌した。得られた懸濁液を濾過し、濾過ケーキをエタノール(5.76L)で洗浄した。濾過ケーキを、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、温度プローブおよびコンデンサーを装備したきれいな100Lのガラス反応フラスコに移した。エタノール/水(9:1)の溶液(30.7L)を加え、得られたスラリーを最低1時間、穏やかに加熱還流した。次いで、反応混合物は、15℃〜30℃に冷却しながら、最低12時間撹拌した。混合物を濾過し、濾過ケーキはエタノール(5.76L)で洗浄した。生成物を回収し、最低12時間、50℃±5℃で真空下にて乾燥させ、(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩を5.63kg(収率58.1%)を得た。
【0115】
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド
(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン ジ-p-トルオイル-D-酒石酸塩(3.64kg、5.96mol)および10%塩化ナトリウム水溶液(14.4L、46.4mol)を、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラーを備えた72Lのガラス反応フラスコに加えた。この撹拌混合物に、混合物のpHをpH 14に調整するため、5Mの水酸化ナトリウム(5.09L)を加えた。次いで、混合物を最低10分間撹拌した。水溶液をクロロホルム(4×12.0L)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウム(1.72kg)で乾燥させた。合わせた有機層を濾過し、濾液を濃縮し、油状物として(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(1.27kg)を得た。
【0116】
(2S,3R)-3-アミノ-2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを、不活性雰囲気で、メカニカルスターラーを備えた50Lのガラス反応フラスコに移した。ジクロロメタン(16.5L)、トリエチルアミン(847mL、6.08mol)、ベンゾフラン-2-カルボン酸(948g、5.85mol)およびO-(ベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N,1-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(2.17kg、5.85mol)を反応混合物に加えた。この混合物を周囲温度で最低4時間撹拌し、反応をHPLCによりモニターした。反応完了後、10%の炭酸カリウム水溶液(12.7L、17.1mol)を反応混合物に加え、混合物を最低5分間撹拌した。これらの層を分離させ、有機相を10%ブライン(12.7L)で洗浄した。層を分離させ、有機相を15℃±10℃に冷却した。反応混合物に、混合物のpHをpH 1に調整するため、3Mの塩酸(8.0L)をゆっくりと加えた。次いで、混合物を最低5分間撹拌し、層を最低5分間で分離させた。固体をテーブルトップフィルターを使用して濾過した。濾液の層が分離され、ロートから得た水相および固体を反応フラスコに移した。混合物のpHをpH 14に調整するため、3Mの水酸化ナトリウム(9.0L)をフラスコにゆっくりと少量ずつ加えた。水相をジクロロメタン(2×16.5L)で抽出した。合わせた有機相を無水硫酸ナトリウム(1.71kg)で乾燥させた。混合物を濾過し、濾液を濃縮し、黄色固体として(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(1.63kg、収率77.0%)を得た。
【0117】
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]ベンゾフラン-2-カルボキサミド p-トルエンスルホネート
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(1.62kg、4.48mol)およびジクロロメタン(8.60kg)をカーボイへ加えた。溶液中の物質の重量/重量パーセントはHPLC分析により測定した。溶液を油状にまで濃縮し、アセトン(4L)を加え、その混合物を油状固体にまで濃縮した。さらにアセトン(12L)をロータリーエバポレーション球中の油状固体に加え、得られたスラリーを、不活性雰囲気下で、メカニカルスターラー、コンデンサー、温度プローブおよびコンデンサーを備えた50Lのガラス反応フラスコに移した。反応混合物を50℃±5℃に加熱した。水(80.7g)を溶液に加え、それを最低10分間撹拌した。p-トルエンスルホン酸(853g、4.44mol)を約15分間かけて反応混合物に少量ずつ加えた。反応混合物を加熱還流し、最低30分間その温度で維持し、溶液を得た。その反応物を約2時間、40℃±5℃に冷却した。酢酸イソプロピル(14.1L)を約1.5時間かけて加えた。反応混合物を最低10時間かけて周囲温度までゆっくりと冷却した。混合物を濾過し、濾過ケーキを酢酸イソプロピル(3.5L)で洗浄した。分離された生成物を2時間〜9時間、105℃±5℃で真空乾燥し、2.19kg(収率88.5%)の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド p-トルエンスルホネート(mp 226-228℃)を得た。1H NMR (500 MHz, D2O) δ 8.29 (s, 1H), 7.78 (m, J = 5.1, 1H), 7.63 (d, J = 7.9, 1H), 7.54 (d, J = 7.8, 1H), 7.49 (d, J = 8.1, 2H), 7.37 (m, J = 8.3, 1H), 7.33 (m, J = 8.3, 6.9, 1.0, 1H), 7.18 (m, J = 7.8, 6.9, 1.0, 1H), 7.14 (d, J = 8.1, 2H), 7.09 (s, 1H), 6.99 (dd, J = 7.9, 5.1, 1H), 4.05 (m, J = 7.7, 1H), 3.74 (m, 1H), 3.47 (m, 2H), 3.28 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 3.15 (dd, J = 13.2, 4.7, 1H), 3.02 (dd, J = 13.2, 11.5, 1H), 2.19 (s, 3H), 2.02 (m, 2H), 1.93 (m, 2H), 1.79 (m, 1H)。13C NMR (126 MHz, D2O) δ 157.2, 154.1, 150.1, 148.2, 146.4, 145.2, 138.0, 137.0, 130.9, 128.2 (2), 126.9, 126.8, 125.5 (2), 123.7, 123.3, 122.7, 111.7, 100.7, 61.3, 50.2, 48.0, 40.9, 33.1, 26.9, 21.5, 20.8, 17.0。
【0118】
この試料物質を、水酸化ナトリウム水溶液による処理とクロロホルムによる抽出によって、化合物A遊離塩基(塩選択の研究で使用するもの)に転化した。クロロホルムを完全に蒸発されると、以下のスペクトル特性を持つオフホワイト色の粉末が残った(mp 167-170℃)。陽イオンエレクトロスプレーMS [M+H]+ ion m/z = 362。1H NMR (500 MHz, DMSO-d6) δ 8.53 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.43 (d, J = 1.7 Hz, 1H), 8.28 (dd, J = 1.6, 4.7 Hz, 1H), 7.77 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 7.66 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 7.63 (dt, J = 1.7, 7.7 Hz, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.46 (m, J = 8.5, 7.5 Hz, 1H), 7.33 (m, J = 7.7, 7.5 Hz, 1H), 7.21 (dd, J = 4.7, 7.7 Hz, 1H), 3.71 (m, J = 7.6 Hz, 1H), 3.11 (m, 1H), 3.02 (m, 1H), 2.80 (m, 2H), 2.69 (m, 2H), 2.55 (m, 1H), 1.80 (m, 1H), 1.77 (m, 1H), 1.62 (m, 1H), 1.56 (m, 1H), 1.26 (m, 1H)。13C NMR (126 MHz, DMSO-d6) δ 158.1, 154.1, 150.1, 149.1, 146.8, 136.4, 135.4, 127.1, 126.7, 123.6, 122.9, 122.6, 111.8, 109.3, 61.9, 53.4, 49.9, 40.3, 35.0, 28.1, 26.1, 19.6。
【0119】
化合物Aの一塩酸塩(実施例5を参照)をX線結晶解析に用いた。得られた結晶構造(それぞれ、図10Aおよび10Bに示す)から、化合物Aの2S,3R 絶対立体配置が証明された。
【0120】
実施例3:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドリン酸塩の合成
円底フラスコに、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(8.18g、22.6mmol)および2-プロパノール(180mL)を加えた。混合物を撹拌し、固体がすべて溶解するまで65〜70℃で加熱した。この溶液を65〜70℃で激しく撹拌し、リン酸(1.65mL、24.3mmol)をピペットで滴下添加した。直ちに、白色の粒状固体が生じた。この混合物を30分間65〜70℃で撹拌し、周囲温度(23℃)まで冷却し、さらに24時間撹拌した。白色固体を吸引濾過によって回収し、濾過ケーキを2-プロパノール(20mL)で洗浄し、固体を少なくとも1時間風乾した。固体を75℃で一晩(16時間)真空オーブンでさらに乾燥させ、10.7gの生成物(>量的収率)を得た。mp 265〜273℃、分解あり、〜180℃で結晶性変化あり。1H-NMR (DMSO-d6)により、2-プロパノール(濃い溶媒和物)の存在が示されたが、これで量的収率よりも多いことを説明することができる。キラルLC分析では、純度が97.1%(270nm)であった。
【0121】
実施例4:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドマレイン酸塩の合成
マレイン酸(0.067g、0.630mmol)を、酢酸イソプロピル(2mL)に溶解した(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(0.203g、0.560mmol)の加熱スラリーに加えたところ、ゴム状の残留物と共に、微細な白色固形物が沈殿した。追加の酢酸イソプロピル(3mL)およびマレイン酸(0.006g)を加え、混合物を加熱還流した。イソプロパノール(5mL)を還流で加えた。得られた白色固体の混合物を周囲温度まで冷却し、濾過し、固体を酢酸イソプロピル(2mL)で洗浄した。生成物を60℃で18時間真空乾燥し、0.228gのオフホワイト色のフレーク状固体(収率84.7%)を得た(mp 180-182℃)。1H NMR (DMSO-d6)は、一塩の化学量論比を示した。C22H23N3O2・C4H4O4に関する計算値:C, 65.40; H, 5.70; N, 8.80;実測値:C, 65.35, 65.29; H, 5.86, 5.68; N, 8.69, 8.78。
【0122】
実施例5:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド塩酸塩の合成
一塩酸塩:濃塩酸(12Mの1.93mL、23.2mmol)を冷却THF 8.5mLに滴下添加することにより、塩酸/THF溶液を調製した。この溶液を周囲温度まで加温した。丸底フラスコに、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(8.49g、23.5mmol)およびアセトン(85mL)を加えた。混合物を撹拌し、完全な溶液が得られるまで、45〜50℃で加熱した。上記のように調製した塩酸/THF溶液を5分間かけて滴下添加し、転移にTHF(1.5mL)をさらに用いた。粒状の白色固体がこの酸溶液の添加中に生じ始めた。その混合物を周囲温度まで冷却し、一晩(16時間)撹拌した。固体を吸引濾過によって回収し、濾過ケーキをアセトン(10mL)で洗浄し、固体を30分間吸引により風乾した。固体を2時間、75℃の真空オーブン中でさらに乾燥させ、8.79gの微細な白色結晶(収率94%)を得た(mp 255〜262℃)。キラルLC分析では、純度が98.8%(270nm)であった。1H-NMR (DMSO-d6)からは残留溶媒は示されず、また一化学量論比が確認された。1H NMR (300 MHz, DMSO-d6) δ 10.7 (broad s, 1H -4級アンモニウム)、8.80 (broad s, 1H -アミドH)、8.54 (s, 1H), 8.23 (d, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.47 (m, 2H), 7.33 (m, 1H), 7.19 (m, 1H), 4.19 (m, 1H), 4.08 (m, 1H), 3.05-3.55 (m, 6H), 2.00-2.10 (m, 3H), 1.90 (m, 1H), 1.70 (m, 1H)。この塩のX線結晶解析からは、立体化学の帰属と化学量論比が証明された(図10Aおよび10Bを参照)。
【0123】
二塩酸塩:無水エーテル(25mL)に溶解した(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(1.9g、5.3mmol)の氷冷溶液に、塩化水素ガスをゆっくりとバブリングした。最初に窒素流の中で、次に高真空で揮発成分を除去した(高真空ラインの水酸化ナトリウムスクラバー)。残留物を少量の無水エーテル(廃棄されたもの)で数回摩砕し、残った固体を高真空下で乾燥させた。これにより2.17gのオフホワイト色の粉末(収率94%)が得られた(mp 210-212℃(吸湿性))。キラルLC分析によると、純度は93.7%(270nm)であった。陽イオンエレクトロスプレーMS [M+H]+ ion m/z = 362。1H NMR (300 MHz, CD3OD) δ 9.15 (s, 1H), 8.84 (d, 1H), 8.63 (d, 1H), 7.97 (t, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.61 (d, 1H), 7.52 (m, 2H), 7.35 (t, 1H), 4.50 (m, 1H), 4.32 (m, 1H), 3.40-3.85 (m, 6H), 1.95-2.40 (m, 5H)。
【0124】
実施例6:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドヘミガラクタル酸塩の合成
ガラクタル(粘液)酸(36.3mg、0.173mmol)を、熱エタノール(1mL)中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(125mg、0.346mmol)の溶液に加えた。水(8滴)を加えながら、混合物を還流した。次いで、熱混合物を綿栓を通して濾過し、続いてそれをエタノール(1mL)ですすいだ。冷却しても沈殿物は生じなかった。揮発性分をロータリーエバポレーションによって除去し、残留物(白色の泡状物)をイソプロパノール(廃棄されたもの)で摩砕し、残った固体を還流アセトン/水(7:1、4mL)に溶解させた。5℃まで徐々に冷却すると白色固体が生じ、これを濾過し、イソプロパノール(3×1mL)で洗浄し、高真空下で乾燥させた。これにより微細な白色のプレートが残った118mg(収率73%)。mp 134〜139℃。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 8.29 (s, 1H), 7.78 (d, 1H), 7.62 (d, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.35 (m, 2H), 7.18 (t, 1H), 7.10 (s, 1H), 6.98 (m, 1H), 4.08 (s, 1H, ガラクタル酸), 3.98 (d, 1H), 3.77 (s, 1H, ガラクタル酸), 3.66 (m, 1H), 3.35 (m, 1H), 2.95-3.30 (m, 4H), 1.65-2.05 (m, 5H)。
【0125】
実施例7:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド D-酒石酸塩の合成
酒石酸(25.6mg、0.173mmol)を、熱エタノール(1mL)中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(125mg、0.346mmol)の溶液に加えた。得られた溶液を周囲温度までゆっくり冷却した。固体の沈殿はなかったので、溶液を濃縮したところ、白色の泡状物が得られた。イソプロパノール中で結晶化させる試験はうまくいかなかった。泡状物をメタノールに溶解させ、別の半当量の酒石酸(25.6mg、0.173mmol)を加えた。混合物を濃縮し、白色の泡状物を得た。これはメタノールおよびイソプロパノールの混合物から結晶化しなかった。次いで、濃縮物質(固体およびゴム状液体の混合物)を酢酸エチル(1mL)中でスラリー化し、白色固体を得た。これを濾過(酢酸エチル洗浄)によって単離し、真空オーブン(40℃で18時間)で乾燥させ、141mgのモノ化学量論比の塩(収率79.7%)(NMR)を得た(mp 136〜140℃)。キラルLC分析では、純度は98.1%(270nm)であった。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 8.50 (s, 1H), 8.01 (d, 1H), 7.86 (d, 1H), 7.75 (d, 1H), 7.56 (m, 2H), 7.38 (t, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.21 (t, 1H), 4.34 (s, 2H, tartaric acid), 4.26 (d, 1H), 3.95 (m, 1H), 3.64 (m, 2H), 3.15-3.55 (m, 4H), 1.90-2.30 (m, 5H)。
【0126】
実施例8:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドメタンスルホン酸塩の合成
メタンスルホン酸(33.2mg、0.346mmol)を、熱エタノール(1mL)中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(125mg、0.346mmol)の溶液に加えた。冷却しても沈殿物は生じなかった。混合物を還流し、熱混合物を綿栓を通して濾過し、続いてこれをメタノール(1mL)ですすいだ。揮発性分をロータリーエバポレーションにより除去し、残留物(淡黄色の泡状物)を熱イソプロパノール(1mL)に溶解させた。再度、冷却したがた沈殿物は生じなかった。イソプロパノールを蒸発させ、残留物をアセトン(1mL)中でスラリー化した。濾過し真空オーブン乾燥(50℃で18時間)して、146mgの明るいベージュ色の固体(収率92.5%)を得た(mp 240〜243℃)。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 8.32 (s, 1H), 7.82 (d, 1H), 7.66 (d, 1H), 7.57 (d, 1H), 7.38 (m, 2H), 7.20 (m, 1H), 7.12 (s, 1H), 7.01 (m, 1H), 4.09 (d, 1H), 3.75 (m, 1H), 3.47 (m, 2H), 3.00-3.40 (m, 4H), 2.67 (s, 3H,メタンスルホン酸)、1.75-2.15 (m, 5H)。
【0127】
実施例9:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド D-マンデル酸塩の合成
D-マンデル酸(52.6mg、0.346mmol)を、熱エタノール(1mL)中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(125mg、0.346mmol)の溶液に加えた。酢酸エチル(4mL)で稀釈し、冷却したが沈殿物は生じなかった。揮発性物質をロータリーエバポレーションにより除去し、残留物(白色泡状物)を熱イソプロパノール(0.5mL)に溶解させた。5℃に冷却すると白色の結晶が得られ、これを吸引濾過により回収した。真空オーブンで乾燥し(45℃で18時間)、111mgの明るいベージュ色の固体(収率62.4%)を得た(mp 188.5〜193℃)。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 8.33 (s, 1H), 7.83 (s, 1H), 7.67 (d, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.27 (m, 8H、マンデル酸)、7.12 (s, 1H), 7.01 (m, 1H), 4.85 (s, 1H, マンデル酸), 4.10 (d, 1H), 3.75 (m, 1H), 3.48 (m, 2H), 3.00-3.40 (m, 4H), 1.75-2.15 (m, 5H)。
【0128】
実施例10:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド R-カンファースルホン酸塩の合成
R-10-カンファースルホン酸(80.3mg、0.346mmol)を、熱エタノール(1mL)中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(125mg、0.346mmol)の溶液に加えた。冷却したがいかなる沈殿物も生じなかった。揮発性物質をロータリーエバポレーションによって除去し、残留物(白色泡状物)を熱イソプロパノール(0.5mL)に溶解させた。5℃まで冷却すると、少量の白色結晶と乳白色の懸濁液が得られた。スパチュラでフラスコ側面をこすり取ることで、最終的には混合物を厚い塊の微細白色結晶に変えた。別のイソプロパノール0.5mLを加え、結晶を吸引濾過により回収した。真空オーブン乾燥(70℃で5時間の後、110℃で2時間)し、193mgの白色固体(収率93.8%)を得た(mp 149.5〜156℃)。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 8.30 (s, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.64 (d, 1H), 7.55 (d, 1H), 7.36 (m, 2H), 7.18 (m, 1H), 7.11 (s, 1H), 6.99 (m, 1H), 4.07 (d, 1H), 3.73 (m, 1H), 3.45 (m, 2H), 3.95-3.35 (m, 5H,カンファースルホン酸)、2.64 (d, 1H, カンファースルホン酸)、 2.22 (m, 2H), 1.70-2.10 (m, 8H,カンファースルホン酸)、1.45 (m, 1H,カンファースルホン酸)、1.25 (m, 1H, カンファースルホン酸)、 0.85 (s, 3H,カンファースルホン酸)、0.68 (s, 3H, カンファースルホン酸)。
【0129】
実施例11:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド S-カンファースルホン酸塩の合成
S-10-カンファースルホン酸(80.3mg、0.346mmol)を熱エタノール(1mL)中の(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド(125mg、0.346mmol)の溶液に加えた。酢酸エチル(4mL)で稀釈し、冷却したがいかなる沈殿物も生じなかった。揮発性物質をロータリーエバポレーションによって除去し、残留物(白色泡状物)を熱イソプロパノール(1.5mL)に溶解させた。5℃まで冷却すると白色結晶が得られた。この混合物を〜0.5mLまで濃縮し、再度5℃まで冷却した。次いで、固体を吸引濾過により回収し、最初は45℃で18時間、次いで続いてそれより高い温度で(最終的には110℃で)真空乾燥し、残存のイソプロパノールを除去した。これにより、143mgの白色固体(収率69.7%)が得られた(mp 153.5〜157℃)。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 8.29 (s, 1H), 7.79 (d, 1H), 7.63 (d, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.34 (m, 2H), 7.18 (m, 1H), 7.10 (s, 1H), 6.99 (m, 1H), 4.05 (d, 1H), 3.73 (m, 1H), 3.44 (m, 2H), 3.95-3.35 (m, 5H, カンファースルホン酸)、2.67 (d, 1H, カンファースルホン酸)、2.23 (m, 2H), 1.70-2.10 (m, 8H, カンファースルホン酸)、1.46 (m, 1H, カンファースルホン酸)、1.25 (m, 1H, カンファースルホン酸)、0.84 (s, 3H, カンファースルホン酸)、0.64 (s, 3H,カンファースルホン酸)。
【0130】
先に報告した方法(実施例3〜11)と同様の方法を用いて、他の様々な塩形態を特徴決定した。それらの調製の結果を実施例12〜14で報告する。
【0131】
実施例12:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド硫酸塩の合成
硫酸塩を酢酸イソプロピルおよび水の混合物から沈殿させた。MP 278℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 9.28 (broad s, 1H, amide), 8.56 (dd, 1H), 8.24 (t, 1H), 7.77 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.60 (s, 1H), 7.40 (m, 2H), 7.35 (s, 1H), 7.21 (m, 1H), 4.21 (m, 1H), 3.93 (m, 2H), 3.10-3.60 (m, 5H), 2.05 (m, 3H), 1.92 (m, 1H), 1.73 (m, 1H)。
【0132】
実施例13:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド ケトグルタル酸塩の合成
α-ケトグルタル酸塩は酢酸イソプロピルから沈殿させた。MP 177℃。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.64 (s, 1H, amide), 8.50 (d, 1H), 8.20 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.60 (m, 1H), 7.45 (m, 1H), 7.32 (m, 2H), 7.18 (m, 1H), 4.10 (m, 1H), 3.78 (m, 2H), 3.00-3.45 (m, 5H), 2.81 (m, 2H, ケトグルタル酸)、2.41 (m, 2H, ケトグルタル酸)、1.96 (m, 3H), 1.83 (m, 1H), 1.60 (m, 1H)。
【0133】
実施例14:(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド馬尿酸塩の合成
馬尿酸塩はアセトンから沈殿させた(吸湿性が過剰のため融点は得られなかった)。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.79 (s, 1H, アミド), 8.56 (d, 1H), 8.44 (s, 1H, 馬尿酸)、8.29 (m, 1H), 7.87 (m, 2H, 馬尿酸), 7.76 (d, 1H), 7.65 (m, 1H), 7.54 (m, 1H),7.49 (m, 4H, 馬尿酸), 7.34 (m, 2H), 7.21 (m, 1H), 3.91 (m, 1H), 3.74 (m, 2H), 3.00-3.50 (m, 5H), 2.80 (m, 2H, 馬尿酸), 1.79 (m, 2H), 1.60 (m, 2H), 1.30 (m, 1H)。
【0134】
実施例15:(2R,3R)-および(2S,3S)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの単離とガラクタル酸塩への転換
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]ベンゾフラン-2-カルボキサミド p-トルエンスルホン酸(実施例2)の単離から得た上清の試料をロータリーエバポレーションにより濃縮し、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH 10に調節し、ジクロロメタンで抽出した。ジクロロメタン抽出物を蒸発させ、0.5%のジ-n‐ブチルアミンを含有する無水アルコール(55mL)にその残留物(1.8g)を溶解させた。この溶液を、60:40:0.2のヘキサン/エタノール/ジ-n‐ブチルアミン(流速=30mL/分)で溶離する、25cm×2.1cmのChiralpak(登録商標) ADキラルHPLCカラムに0.25mLに分けて注入し、270nmでモニターした。〜7.5分で溶出した溶出物と〜13.5分で溶出した溶出物を単離し、溶媒を蒸発させたところ、それぞれ、0.48g(キラル純度98%)および0.47g(キラル純度99%)の無色の油状物が得られた。この2つのNMRスペクトルは同一であった。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.49 (s, 1H), 8.45 (d, 1H), 7.74 (d, 1H), 7.52 (m, 4H), 7.35 (t, 1H), 7.20 (dd, 1H), 7.05 (d, 1H), 4.55 (dt, 1H), 3.43 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 2.90 (m, 5H), 2.09 (m, 1H), 1.88 (m, 4H)。
【0135】
無水アルコール(10mL)中の各遊離塩基試料の加温溶液を、1当量のガラクタル酸で処理した。得られた混合物を75℃で5分間加熱し、撹拌しながら周囲温度に冷却した。得られた固体を吸引濾過により回収し、真空乾燥し、それぞれ、0.65g(収率87%)および0.62g(収率85%)の白色の粒状固体を得た(いずれの場合もmp 200〜205℃)。1H NMR (300 MHz, D2O) δ 8.38 (s, 1H), 8.28 (d, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.48 (t, 1H), 7.40 (m, 1H), 7.32 (m, 2H), 4.42 (m, 1H), 4.21 (s, 2H), 3.87 (s, 2H), 3.68 (m, 1H), 3.35 (m, 6H), 2.25 (m, 2H), 2.02 (m, 3H)。
【0136】
実施例16:(2R,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドp-クロロ安息香酸塩の合成
固体のp-クロロ安息香酸(46.8mg、0.299mmol)を、アセトン(10mL)中の実施例15で得たN-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル]ベンゾフラン-2-カルボキサミドの先に溶出した異性体(108mg、0.299mmol)の溶液に一度に加えた。この混合物を約30分間加熱還流し、周囲温度まで冷却した。沈殿物の形成はなかったため、この溶液をその以前の容量の約20%まで濃縮したところ(ホットプレート)、その時点で結晶を形成し始めた。混合物を冷却し、イソプロパノール(2mL)で希釈した。この混合物を周囲温度で溶媒をゆっくりと蒸発させることで濃縮し、得られた固体を回収して乾燥させた。これにより、145mgの淡黄色の結晶(収率94%)(mp 150〜152℃)が得られた。1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.49 (s, 1H), 8.38 (d, 1H), 7.93 (d, 2H, p-クロロ安息香酸)、7.67 (m, 2H), 7.57 (d, 1H), 7.45 (m, 1H), 7.36 (d, 2H, p-クロロ安息香酸), 7.30 (m, 1H), 7.27 (s, 1H), 7.16 (m,1H), 7.00 (d, 1H, アミド), 6.90(broad s、4級アンモニウム)、4.62 (m, 1H), 3.85 (dd, 1H), 3.36 (m, 1H), 2.95-3.25 (m, 5H), 2.16 (s, 1H), 1.70-2.10 (m, 4H)。
【0137】
この試料をX線結晶解析すると、その絶対立体化学が2R,3Rであることがわかった(図11Aおよび11Bを参照)。実施例15ので後に溶出した異性体は、2S,3Sの絶対立体配置を有している。
【0138】
実施例17:立体異性体を分析するためのキラルクロマトグラフィー法
4つの立体異性体を互いに分離するためのキラルクロマトグラフィー法の実施は、非常に困難であることが分かった。最初の試験(ヘキサン/イソプロパノール/トリエチルアミン移動相を使用)では、オーバーラップピークが生じ、最適なピーク形状とはいえなかった。イソプロパノールからエタノールへ、またトリエチルアミンからジ-n‐ブチルアミンに変更すると、分割およびピーク形状が改善され、実行時間が短縮された。
【0139】
方法の詳細は以下のとおりである:
分析カラム:Chiralpak(登録商標) AD (250×4.6mm、5μm)
移動相:60:40:0.2 ヘキサン/エタノール/ジ-n‐ブチルアミン
注入量:10μL
流速:毎分1.0mL
温度:20℃
検出:UV 270nm
総実行時間:〜25分間
溶出順(RT):2S,3R (5.3分);2R,3S (7.3分); 2R,3R (8.3分); 2S,3S (12.1分)。
【0140】
立体異性体類似体の代表的なクロマトグラムを図12に示す。
【0141】
実施例18:XRPD
本明細書に記載の様々な塩の試料に対して、XRPD分析を行った。塩酸塩(図13)およびトシル酸塩(図14)塩に関する回折パターンを提供する。
【0142】
X線粉末回析(XRPD)
X線粉末回折パターンを2つの機器のいずれか、または両方から得た。一部のパターンは、CuKα放射(40kV, 40mA)、θ-θゴニオメーター、V20設定の発散スリットおよび検出スリット、グラファイト二次モノクロメーターおよびシンチレーションカウンターを使用する、Siemens D5000回折計で取得した。機器は、認定コランダム標準試料(NIST 1976)を使用して確認を行った。周囲条件下で走査する試料は、得られた粉末を使用して、平板験体として調製した。研磨された、ゼロバックグラウンド(510)シリコンウェーファーにカットされているくぼみに、約35mgの試料を丁寧に充填した。試料は、分析の間、それ自体を平面で回転させ、CuKα1(λ=1.5406Å)を使用し、一工程当たり4秒で、0.05°のステップで2°〜42°で走査した。
【0143】
一部のX線粉末回折パターンは、CuKα放射(40kV、40mA)、自動化XYZステージ、自動サンプル位置決めのためのレーザービデオ顕微鏡およびHiStar 2次元面積検出器を使用する、Bruker AXS C2 GADDS回折計において取得した。X線光学機器は、0.3mmのピンホールコリメータと一体となった単一Gobel多層鏡から成る。ビーム拡がり角(すなわち、試料上のX線ビームの有効なサイズ)は、約4mmであった。3.2〜30.0°の有効2θ範囲をもたらす20cmの試料・検出器の距離を有するθ−θ連続走査モードを使用した。典型的には、試料はX線光線に120秒間暴露されるであろう。周囲条件下で走査される試料を、磨砕せずに得られた粉末を用いて平板試験体として調製した。約1〜2mgの試料を、シリコンウエハー上で軽く圧縮して平面を得た。非周囲条件下で走査される試料を、熱伝導化合物とともにシリコンウエハー上に載せた。次いで、試料を約10℃/分で適切な温度に加熱し、続いて約5分間、等温的に保持した後、データ収集を開始した。
【0144】
示差走査熱量測定法(DSC)
DSCデータは、50位置のオートサンプラーを備えたTA Instruments Q1000で収集した。機器は、認定インジウムを使用し、エネルギーおよび温度較正を行った。典型的には、0.5〜1.5mgのそれぞれの試料を、ピンホールアルミニウム平板中で、25℃から175〜200℃で10℃/分にて加熱した。30mL/分の窒素パージを試料上に維持した。
【0145】
熱重量分析(TGA)
TGAデータは、16位置のオートサンプラーを備えたTA Instruments Q500 TGAで収集した。この機器は、認定アルメルを使用して温度較正を行った。一般的に、予め風袋計量した(pre-tared)白金るつぼおよびアルミニウムDSC皿に5〜10mgの各試料を充填し、周囲温度〜350℃まで10℃/分で加熱した。60mL/分の窒素パージを試料上に維持した。
【0146】
偏光顕微鏡法(PLM)
画像キャプチャー用のデジタルカメラの付いたLeica LM/DM偏光顕微鏡で試料を調べた。少量の各試料をスライドガラス上に載せ、液浸油をマウントし、カバーガラスで覆い、個々の粒子ができるだけ隔たるようにした。試料を、適切な倍率で、またλ着色フィルタと連結された部分偏光で見た。
【0147】
高温顕微鏡検査(HSM)
高温顕微鏡検査を、Mettler-Toledo MTFP82HTホットステージおよび画像キャプチャー用のデジタルカメラを組み合わせたLeica LM/DM偏光顕微鏡を使用して実施した。少量の各試料を、個々の粒子ができるだけ隔たるようにガラススライド上に置いた。試料は、一般には10℃/分で周囲温度から加熱しながら、適切な倍率で、またλ着色フィルタと連結された部分偏光で見た。
【0148】
重量蒸気収着(Gravimetric Vapor Sorption)(GVS)
等温収着曲線を2つの機器のいずれかで、または両方で測定した。一部の実験は、VTI FlowSystem 4ソフトウェアにより調節される、VTI Corporation SGA-100水分収着分析器を使用して行った。試料温度は、Polyscience恒温槽を用いて25℃に維持した。湿度はドライ窒素流およびウェット窒素流を混合することにより調節した。%RHの関数としての重量変化を、+/-0.0001gの精度でCahn Digital Recording Balance D-200を使用してモニターした。
【0149】
一般的に、周囲条件下で、風袋計量した(tared)秤量皿に10〜20mgの試料を置いた。試料を50℃で1時間乾燥させた。標準吸着等温線は、5〜95%のRH範囲にわたって、25℃で5%のRH間隔で実施し、脱着等温線は、95〜5%のRH範囲にわたって、25℃で5%のRH間隔で実施した。試料の平衡基準は、5分で0.0100wt%を含むか、それぞれの%RHデータポイントに対して180分の最大平衡時間を含んでいた。
【0150】
一部の等温収着曲線は、CFRSorpソフトウェアにより調節される、Hiden IGASorp水分収着分析器を用いて取得した。試料温度は、Huber再循環ウォータバスにより25℃で維持した。湿度は、ドライ窒素流およびウェット窒素流を混合することにより、250mL/分の総流速で調節した。相対湿度は、試料近くに置いた、較正済みのVaisala RHプローブ(0〜95%RHのダイナミック・レンジ)により測定した。%RHの関数としての試料の重量変化(質量緩軽減)は、絶えず微量天秤(精度±0.001mg)によりモニターした。典型的には、10〜20mgの試料を周囲条件下で風袋計量したメッシュステンレス鋼バスケットに置いた。試料は、40%RHおよび25℃で(代表的な周囲条件で)充填し取り出した。水分等温収着曲線は、下記に説明したように実施した(2回の走査で1回の完全なサイクルとなる)。標準的な等温線は、0〜90%RHの範囲にわたり、10%RH間隔で25℃にて実施した。
【0151】
GVSの一般的な方法のパラメーター
【表1】

【0152】
ソフトウェアは、漸近値を予測するため、質量軽減のモデルと一緒に最小自乗最小化法を用いる。測定された質量軽減値は、次の%RH値が選択される前に、ソフトウェアにより予測されるものの5%以内になければならない。最小平衡時間は1時間に設定し、最大時間は4時間に設定した。典型的には、試料は等温線の完了後に回収され、XRPDにより再分析された。
【0153】
カール・フィッシャー(Karl Fischer)(KF)による水分測定法
それぞれの試料の含水量を、Hydranal Coulomat AG試薬およびアルゴンパージを用いて、Mettler Toledo DL39 Coulometerで測定した。水の移入を避けるため、秤量した固体試料をスバシール(subaseal)に接続された白金TGA皿に入れた。およそ10mgの試料を滴定ごとに使用し、それぞれの分析を2通り行った。
【0154】
HPLCによる熱力学的水溶解度
水溶解度は、0.25mLの水に十分な化合物を懸濁させて、この化合物の親遊離形態の>10mg/mLの最大最終濃度を得ることによって測定した。懸濁液を25℃にて24時間平衡化し、次いでpHを測定した。その後、懸濁液はガラスファイバーC フィルターを通して96ウェルプレートに濾過した。次に、濾液を101倍に希釈した。定量は、HPLCを用いて、DMSOに約0.1mg/mLで溶かした標準溶液を参照して行った。様々な容量の標準品、希釈試料溶液および不希釈試料溶液を注入した。標準品の注入における最大ピークと同じ保持時間で確認されたピーク面積の積分により、溶解度を算出した。フィルタープレート中に十分な固体があった場合、XRPDを収集した。
【0155】
熱力学的水溶解度法に関する一般的な方法の詳細
【表2】

【0156】
HPLCによる化学的純度
純度分析は、ダイオードアレイ検出器を備えたAgilent HP1100システムで、Chemstation V9 ソフトウェアを用いて行った。下記の2つの方法のうち1つを用いた。
【0157】
方法1
【表3】

【0158】
方法2
【表4】

【0159】
イオンクロマトグラフィー
データは、IC Netソフトウェアv2.3を使用して、Metrohm 861 Advanced Compact ICで収集した。試料は、水に溶解した1000ppmのストックとして調製した。試料の溶解度が低かった場合、DMSOなどの共溶媒を使用した。試料は、試験前に、適切な溶媒で50ppmまたは100ppmまで希釈した。定量は、分析されるイオンの既知濃度の基準溶液と比較して行った。
【0160】
アニオンに関するイオンクロマトグラフィー法
【表5】

【0161】
カチオン関するイオンクロマトグラフィー法
【表6】

【0162】
約50mgの(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド塩酸塩をガラスバイアルに秤量し、50℃に加熱した。この固体に、1-ブタノール/水(5容量%水)の100μl分量を透明な溶液が形成されるまで加えた(合計500μl)。試料を50℃で1時間撹拌し、観察を行った。50℃で1時間加熱した後に試料は透明な溶液のままであり、毎時1.4℃の速度で50℃から25℃まで冷却した。試料は冷却時も透明な溶液のままであり、パラフィルムでカバーし、ピンホールをあけ、周囲温度で蒸発させた。2週間後、大きな結晶が部分的に蒸発させた試料で観察された。図13は、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩のXRPDであり、実測パターン(明るい方)と算出パターン(濃い方)の両方を示している。
【0163】
実験パターンは、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩の試料から得たものであり、算出による実施例は、本明細書に記載し、かつ図10Aおよび10Bに示した単結晶X線構造から得たものである。両パターンは2θ値に関して一致しており、強度およびピーク幅におけるわずかな差は機器分解能によるものと考えられ、配向結果は好ましいと思われる。さらに、これらのわずかな差は、室温で収集している測定値と、120Kで構造から得られた算出データとの温度のずれが原因と考えられる。
【0164】
トシル酸塩(特に結晶性一塩)を確認し、CuKα放射(40kV、40mA)、θ-θゴニオメーター、V20発散スリットおよび検出スリット、グラファイト第2モノクロメーターおよびシンチレーションカウンターを使用した回折パターンを図14に示す。40℃/75%RHにおける1週間後のトシル酸塩に関するXRPD回析結果には変化が明らかであったが、試料は形態1のままである。この変化は高水和物の形態によるものと思われる。
【0165】
VII. 生物学的アッセイ
各種NNRサブタイプに結合し、その機能をモジュレートするする化合物Aの能力とその立体異性体は、Mazurovらの米国特許第6,953,855号(これにより、これらの全内容は参考により組み入れるものとする)に記載のようにして測定した。化合物Aに関する受容体選択性プロファイリング(5HT3およびムスカリン受容体を含む)は、NovaScreen(登録商標) Biosciences Corporationにより処理した。
【0166】
α7 NNR応答の電気生理学的測定は、次の2つの発現系:哺乳類GH4C1細胞におけるラットα7 NNRおよびツメガエル卵母細胞におけるヒトα7 NNRで得た。
【0167】
ラットα7 NNRを発現するGH4C1細胞は、PlaczekらのMol. Pharm. 68(6): 1863-1876 (2005)(参考により組み入れるものとする)に記載のようにして調製した。アゴニスト活性の電気生理学的測定は、このGH4C1細胞発現系を使用して、Dynaflow高速灌流システムおよびパッチクランプを用いて行った。アセチルコリンおよびニコチンはともに、α7介在性電流の濃度依存的活性化を生じた。文献で得られたアゴニストEC50値は、この方法を使用して得た値に匹敵した(Dunlopら、Biochem Pharmacol in press (2007)およびDynaflow online materials (www.cellectricon.com)を参照(これらはそれぞれ、こうした方法に関して参考により組み入れるものとする)。
【0168】
Axopatch 700Aアンプで記録された全細胞の電流は1kHzでフィルタリングし、PCIカード(National Instrument)によって5kHzでサンプリングした。従来の研究に対し、電流の安定性を高めるため、記載のように食塩水を変更した。細胞は、以下の細胞外培地中で室温にて記録した:130mM NaCl、5mM KCl、2mM CaCl2、2mM MgCl2、10mM HEPES、NaOH水溶液でpH 7.4に調整。ホウケイ酸塩電極(3〜5MΩ)を以下の培地で満たした:130mM TRISリン酸塩、5mM NaCl、2mM MgCl2、10mM HEPES、10mM EGTA、KOH水溶液でpH 7.4に調整(Wuら, J. Physiol. 576: 103-118 (2006)を参照、なお、このような内容に関して参照により組み入れるものとする)。これらの条件下において、NNR全細胞の記録で得られるマクロ電流活性は、1000μMのアセチルコリン(ACh)濃度で誘発した場合、最大60分まで続く。
【0169】
細胞の取り扱い方法は、Dynaflowに関するCellectricon application notesを採用した。簡単に説明すると、細胞をインキュベータから取り出した後、記録培地で3回完全に洗浄し、ツァイス倒立顕微鏡のステージに置いた。全細胞を記録する立体配置が確立するまで、平均して5分必要であった。細胞条件の変動を避けるため、Dynaflowシリコンチップ中へ一回の細胞充填につき単一の細胞を記録した。実験条件中、応答細胞の画分の差は検出することができないかもしれない。AChに応答した細胞の95%以上を、また測定可能電流を示すすべての細胞を検討した。細胞は実験を通して-60mVで維持した。被験物質の溶液はすべて、毎日ストック溶液から調製した。新しいアセチルコリン(ACh)ストック溶液は、毎日リンゲル液中で調製し希釈した。用量応答曲線は、Prism 5.0 ソフトウェアを使用して、ヒル(Hill)単一方程式により求めた。
【0170】
ヒトα7 NNRを発現するツメガエル卵母細胞は、Papke and Papke, Brit. J. Pharmacol. 137: 49-61 (2002)(これは、参照により組み入れるものとする)に記載されているようにして調製した。卵母細胞の取得には、十分に成長した(>9cm)メスのツメガエル、アフリカヒキガエル(Nasco, Ft. Atkinson, WI)を用いた。ヒキガエルに処置する前に、30分間、1.5g/Lの3-アミノ安息香酸エチルエステル溶液中にこの動物を置き、麻酔をかけた。腹部切開した切開口から卵母細胞を取り出した。
【0171】
卵胞細胞層を取り出すため、採取した卵母細胞を、カルシウム非含有のバース溶液(Barth's solution)(88mM NaCl、1mM KCl、15mM HEPES pH 7.6、0.81mM MgS04、2.38mM NaHCO3、0.1mg/mL 硫酸ゲンタマイシン)中で、室温にて2時間、Worthington Biochemical Corporation (Freehold, NJ)製の1.25mg/mLのコラゲナーゼで処置した。次に、ステージ5の卵母細胞を単離し、ヒトα7 cRNAの50 nL(5〜20ng)をそれぞれ注射した。注射の2〜7日後に記録を行った。新鮮なアセチルコリン(ACh)のストック溶液は、毎日リンゲル液で調製した。
【0172】
実験は、OpusXpress 6000A(Axon Instruments, Union City CA)を使用して行った。OpusXpressは、平行に8個以下の卵母細胞を自動杭囲いし、電圧固定する統合システムである。電圧電極および電流電極には両方とも3M KClで満たした。-60mVの保持電位で細胞を電圧固定した。データを50Hzで収集し、20Hzでフィルタリングした。細胞はリンゲル液でバス潅流し、アゴニスト溶液は、使い捨てチップにより96ウェルプレートから送達し、相互汚染ができるだけ起こらないようにした。流速は2mL/分で設定した。薬剤の適用はAChコントロール群と実験用アゴニストの間で交互に行った。適用は継続して12秒行い、その後の洗浄時間は181秒であった。
【0173】
α7受容体に対する応答は、総電荷として算出した(上記引用のPapke and Papke, Brit. J. Pharmacol. 137: 49-61 (2002)を参照)。各卵母細胞にまずAChのコントロール適用を行い、次いで試験薬剤の適用を行い、次に、ACh(300μM)のフォローアップコントロール適用を行った。試験薬剤の適用に対する応答は、データを標準化するため、先行のAChコントロール応答に対して計算し、卵母細胞中のチャネル発現の様々なレベルを補正した。300μMのAChがα7受容体から最大の総電荷応答を引き起こし、AChコントロールへの標準化を行うことでACh最大応答に対するデータを有効的に標準化できることに注目されたい。平均および標準誤差(SEM)は、それぞれの実験濃度につき、少なくとも4個の卵母細胞の標準化応答から算出した。濃度応答関係については、総電荷分析から得たデータはKaleidagraph 3.0.2(Abelbeck Software; Reading, PA)を使用してプロットし、曲線はヒル式から作製した。
【0174】
化合物Aの挙動上の特徴決定は以下のプロトコルにより導いた。物体認識(OR)作業は、Ennaceur and Delacour Behav. Brain Res. 100: 85-92 (1988)(これは、参照により組み入れるものとする)の記載に従って行った。ラジアルアーム迷路(RAM)パラダイムは、Levinら, Behav. Pharm. 10: 675-680 (1999)(これは、参照により組み入れるものとする)の記述に従い行った。先行刺激抑制(pre-pulse inhibition)(PPI)アッセイは、Suemaruら, Brit. J. Pharmacol. 142(5): 843-850 (2004)の記述に従い行った。アポモルヒネ誘発自発運動(APO LOCO)の逆転アッセイは、Rouxら, Curr. Protocols in Pharmacol. Unit 5.17 (1999)の記載に従い行った。
【0175】
In Vitroにおける生物学的活性の要約
化合物Aは、〜1nMの平衡定数(Ki)値で、ラット脳海馬α7 NNRへの放射標識MLAの結合を競合的に阻害する。これは、化合物Aがα7 NNRサブタイプに対して非常に高い親和性を有していることを示唆している。化合物Aの立体異性体は、ラットα7 NNRで以下のKi値を有する:2R,3S (42nM) [以前は28nMと報告されている];2R,3R (1nM);2S,3S (25M) (図1Aを参照)。図1A2に示す通り、化合物A(2S,3Rエナンチオマー)は、オーバーラップポイントとして示されている、活性の弱いその3つの鏡像異性類似体とは異なり、α7サブタイプで活性を示す。化合物Aはα4β2 NNRには親和性がほとんどないため(Ki値>2μM)結合しない。
【0176】
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩(化合物A)およびその立体異性体の機能活性は、GH4C1(哺乳類)細胞で安定的に発現されるラットα7 NNRを用い、パッチクランプ電気生理学的技術を使用して試験した。これらの実験において、化合物Aは、他の別の異性体と異なり、また4つの異性体すべてのラセミ混合物と異なり、顕著に異なる機能性プロファイルを示した。図1Aおよび図1Bに示すように、化合物Aは、誘発機能応答で、いずれの他の異性体または4つの異性体の混合物よりもはるかに強力であり、より有効である(Emax=アセチルコリン(ACh)に対して93%;EC50=14nM)。実際、図1Bに示す通り、化合物A(2S,3R異性体)は、本明細書に記載のように、10nMのin vivo活性を有し、1〜50nMの濃度範囲にわたって強力なアゴニズムを提供し得る、N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの唯一の異性体である。
【0177】
また、化合物Aの機能活性を、一時的にヒトα7 NNRを発現するツメガエル卵母細胞において電気生理学的に評価した。このシステムでは、化合物Aは、EC50値が33nMで、ACh応答はEmax100%である。(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドを100nM以上の濃度で適用した後に、その後のAChへ調節応答に減少が見られた(IC50=200nM)。以前に報告されているα7フルアゴニルトとは異なり(Astlesら, Current Drug Targets CNS Neurological Disorders 1(4): 337-348 (2002)(かかる報告に関して参照により組み入れるものとする)を参照)、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドに関するEC50値とIC50値の分離は、α7の半分〜最大の機能応答を生じる濃度が完全残存阻害ではなく、最小残存阻害をもたらすということを示す。(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドを、ヒトα4β2サブタイプを発現する卵母細胞に適用した場合、検出可能な活性化はなく、その後のAChに対する調節応答にも有意な減少はみられなかった。このことは、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドがα4β2でアゴニストでもアンタゴニストでもないことを示唆している。
【0178】
本化合物群は、筋肉型受容体(ヒトTE671/RDクローン細胞のα1β1γδサブタイプ)または神経節型受容体(ラット褐色細胞腫PC12細胞のシューターサブクローン、およびヒトSHSY-5Yクローン細胞におけるα3β4サブタイプ)を有する機能的モデルでアゴニスト活性をほとんど示さないか、アゴニスト活性を示さず、これらのサブタイプでのニコチン応答は、10%以下(ヒト筋肉)、20%以下(ラット神経節)および10%以下(ヒト神経節)であった。これらのデータは、PNSサブタイプに対するCNSサブタイプの選択性を示唆している。
【0179】
α7受容体と5-ヒドロキシトリプタミン(5HT3)受容体の間の近似シーケンスおよび構造の相同性、ならびに他のニコチン性リガンドで観察されるこれら2つの受容体への交差反応性により、5HT3受容体に対する化合物Aの親和性を調べた。化合物A(10μM)は、マウス5HT3受容体で放射性リガンド結合の59%阻害を示し、ヒト受容体で25%阻害を示した。ヒト5HT3受容体の機能活性化の調査は、活性化がないか最小限であることを示唆している(すなわち、最大応答の15%活性化は100μMで得られた)。
【0180】
ムスカリン受容体は、他のニコチン性リガンドで観察されている相互作用により関心が持たれる別分野である。M1受容体、M2受容体、非選択的中枢受容体、および非選択的末梢ムスカリン性受容体に対する競合的結合阻害アッセイで化合物Aを試験した場合、相互作用は最小限であるか、相互作用がないことが明らかになった。
【0181】
これらのデータは、化合物Aがα7 NNRリガンドに選択的に作用することを示唆している。化合物Aは、末梢神経系の特性であるニコチン受容体のそれらのサブタイプで、あるいはムスカリン受容体または5HT3セロトニン作動性受容体では十分に結合しない。よって、化合物Aは、末梢神経系との相互作用に関連した副作用は生じることなく、中枢神経系障害の治療における治療可能性を有する。
【0182】
In Vivoにおける生物学的活性の要約
化合物A、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩は、2つの認知の挙動モデルにおいて有意な効果を示す。化合物Aは、腹腔内投与(腹腔内、図3)および経口投与(経口、図4)の後に、ラットにおける物体認識パラダイムで有効な活性を示し、また、経口投与(図4)後、広範な用量範囲にわたって活性を示した。同様の低用量(0.3および1mg/kg)で腹腔内投与した場合、化合物AはOR作業で障害が誘発されるMK-801とは逆の傾向を示し(図5)、0.3mg/kgで経口で投与した場合、化合物Aの認知作用は少なくとも18時間持続した(図6)。作動記憶を検査するラジアルアーム迷路(RAM)(図7)パラダイムでは、化合物Aは、エラー前の正確な選択の数を有意に増加させた。これらの結果からは、統合失調症に関連した認知障害および機能障害(作動記憶のものを含む)を治療する場合に、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドが有効であると思われる。
【0183】
統合失調症の認知機能障害の治療に化合物が有用であるためには、統合失調症の陽性症状に対する古典的抗精神病薬または非定型抗精神病薬の効果を低減させてはならない。よって、その認知促進特性に加えて、化合物Aはまた、統合失調症の陽性症状のアポモルヒネ誘発自発運動活性(APO LOCO)モデル(図8)および前刺激抑制(PPI)(図9)モデルの治療に効果も示す。このため、(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドは、統合失調症に関連した陽性症状、ならびに認知症状に対してさらなる有益性を提供するものと期待される。
【0184】
認められた特異的な薬理学的応答は、選択した特定の活性化合物、存在する医薬担体があるか否か、ならびに製剤の種類および使用される投与方法にしたがって、あるいは応じて変化し得るし、また、そのような結果において予想される変動または差異は本発明の実施に基づいて検討される。
【0185】
本発明の特定の実施形態を本明細書で例示し詳細な説明を行っているが、本発明はそれらに限定されるものではない。上記の詳細な記述は、本発明の具体例として提供されているものであり、本発明にいかなる制限をも制定するものとして解釈されるべきでない。変更は当業者にとっては自明であり、本発明の趣旨から逸脱しない全ての変更は添付の特許請求の範囲に包含されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩。
【請求項2】
実質的に純粋な形態の(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩。
【請求項3】
(2S,3S)、(2R,3S)または(2R,3R)異性体を実質的に含まない、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはそれらの製薬上許容可能な塩。
【請求項4】
立体異性的に富んだ(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩。
【請求項5】
鏡像異性体過剰率またはジアステレオマー過剰率が90%以上、95%以上、98%以上、99%以上、または99.5%以上から選択される、請求項4に記載の立体異性的に富んだ(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド。
【請求項6】
酸が塩酸、硫酸、リン酸、マレイン酸、トルエンスルホン酸、ガラクタル(粘液)酸、D-マンデル酸、D-酒石酸、メタンスルホン酸、R-および-S-10-カンファースルホン酸、ケトグルタル酸または馬尿酸から選択される、(2S,3R) N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドの酸性塩。
【請求項7】
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドと酸との化学量論比が2:1、1:1または1:2である、請求項6に記載の酸性塩。
【請求項8】
化学量論比が1:1である、請求項7に記載の酸性塩。
【請求項9】
(2S,3R)-(2-((3-ピリジニル)メチル)-3-アミノ-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン。
【請求項10】
請求項1〜9に記載の化合物と1種または複数の製薬上許容可能な担体とを含む医薬組成物。
【請求項11】
請求項1〜9に記載の化合物を投与することを含む、中枢神経系障害、炎症、疼痛または新血管新生を治療または予防する方法。
【請求項12】
中枢神経系障害が正常な神経伝達物質の放出の変調を特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
中枢神経系障害が軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、初老期認知症、早発性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、微小梗塞性認知症、エイズ関連認知症、HIV認知症、多発性脳梗塞、パーキンソン症候群、パーキンソン病、ピック病、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、うつ病、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
中枢神経系障害がアルツハイマー病、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される、請求項11〜13に記載の方法。
【請求項15】
中枢神経系障害、炎症、疼痛または新血管新生を治療または予防するための薬剤の製造における請求項1〜9に記載の化合物の使用。
【請求項16】
中枢神経系障害が正常な神経伝達物質の放出の変調を特徴とする、請求項15に記載の使用。
【請求項17】
中枢神経系障害が軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、初老期認知症、早発性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、微小梗塞性認知症、エイズ関連認知症、HIV認知症、多発性脳梗塞、パーキンソン症候群、パーキンソン病、ピック病、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、うつ病、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される、請求項15または16に記載の使用。
【請求項18】
中枢神経系障害がアルツハイマー病、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される、請求項15〜17に記載の使用。
【請求項19】
中枢神経系障害、炎症、疼痛または新血管新生の治療または予防に使用するための、請求項1〜9に記載の化合物。
【請求項20】
中枢神経系障害が正常な神経伝達物質の放出の変調を特徴とする、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
中枢神経系障害が軽度認識障害、加齢に伴う記憶障害、初老期認知症、早発性アルツハイマー病、老年性認知症、アルツハイマー型認知症、アルツハイマー病、レヴィー小体認知症、微小梗塞性認知症、エイズ関連認知症、HIV認知症、多発性脳梗塞、パーキンソン症候群、パーキンソン病、ピック病、進行性核上性麻痺、ハンチントン舞踏病、遅発性ジスキネジー、運動過剰症、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、うつ病、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される、請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
中枢神経系障害がアルツハイマー病、躁病、注意欠陥障害、注意欠陥多動性障害、不安症、失読症、統合失調症、統合失調症の認知機能障害、うつ病、強迫性障害またはトゥーレット症状群から選択される、請求項19〜21に記載の使用。
【請求項23】
(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-オンの連続する動的分割および立体選択性還元的アミノ化を含む、(2S,3R)- N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩の製造方法。
【請求項24】
(2S,3R)-(2-((3-ピリジニル)メチル)-3-アミノ-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタンを含む、(2S,3R)- N-(2-((3-ピリジニル)メチル-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミドまたはその製薬上許容可能な塩の製造方法。
【請求項25】
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド塩酸塩またはその水和物もしくは溶媒和物。
【請求項26】
(2S,3R)-N-(2-((3-ピリジニル)メチル)-1-アザビシクロ[2.2.2]オクタ-3-イル)ベンゾフラン-2-カルボキサミド一塩酸塩またはその水和物もしくは溶媒和物。

【図1A−1】
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【図1A−2】
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【図1A−3】
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【図1A−4】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2010−535251(P2010−535251A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−520213(P2010−520213)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/071872
【国際公開番号】WO2009/018505
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(501054735)ターガセプト,インコーポレイテッド (37)
【Fターム(参考)】