説明

(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の固体形態、及びそれらを使用する方法

(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸及びその塩の固体形態が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1. 発明の分野
本発明は、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸及びその塩の固体形態に関する。
【0002】
本願は、2007年10月8日に出願された米国仮出願第60/978,303号明細書(この全体が参照により本明細書中に援用される)に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
同じ化合物の種々の固体形態は、実質的に異なる特性を有し得る。例えば、或る薬の無定形形態は、その結晶形態(複数可)と異なる溶解特性、及び異なるバイオアベイラビリティパターン、すなわち最適な効果を達成するための薬の投与方法に影響を及ぼし得る特性を示すことがある。薬の無定形形態及び結晶形態はまた、異なる取扱特性(例えば、流動性、圧縮性)、溶解速度、溶解度及び安定性を有する場合があり、これらは全て、剤形(dosage forms)の製造に影響を及ぼし得る。結果として、薬の複数の形態の利用が様々な理由から望まれている。さらに、規制当局(例えば、米国食品医薬品局)が、新たな薬剤物質を含有する製品を認可するのに先立って、新たな薬剤物質の全ての固体形態の特定を要求する可能性がある(非特許文献1)。
【0004】
化合物は、1つ又は複数の結晶形態で存在し得るが、それらの形態の存在及び特性を確実に予測することはできない。加えて、化合物の考え得る全ての多形形態の調製に関する標準的な手法は存在しない。そして、1つの多形が特定された後であっても、他の形態の存在及び特性は、さらなる実験によってしか決定することができない(上記)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】A. Goho, Science News 166(8):122-123 (2004)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
3. 発明の概要
本発明は、部分的には、トリプトファンヒドロキシラーゼ阻害剤(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸及びその薬学的に許容される塩の固体形態を対象とする。特定の固体形態は、結晶である。
【0007】
本発明の一実施の形態は、本明細書に記載の固体形態を含む薬学的組成物を包含する。
4. 図面の簡単な説明
本発明の或る特定の態様を、添付した図面を参照して理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】無水(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸トシル酸塩(tosylate)の結晶性の固体形態のX線回折パターンを示す図である。株式会社リガクのMiniFlex回折計(銅Kα照射)を使用して回折図(diffractogram)を得た。
【図2】(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル− 4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸トシル酸塩一水和物の結晶性の固体形態のX線回折パターンを示す図である。BrukerのD8 Advance回折計(銅Kα照射)を使用して回折図を得た。
【図3】(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸トシル酸塩一水和物の結晶性の固体形態のFT−ラマンスペクトルを示す図である。BrukerのRFS100分光計(1064nm励起)を使用してスペクトルを得た。
【図4】(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸トシル酸塩二水和物の結晶性の固体形態のX線回折パターンを示す図である。株式会社リガクのMiniFlex回折計(銅Kα照射)を使用して回折図を得た。
【発明を実施するための形態】
【0009】
5. 発明の詳細な説明
本発明は、部分的には、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸及びその薬学的に許容される塩の固体(例えば結晶)形態を対象とする。この化合物は、トリプトファンヒドロキシラーゼの阻害剤である。動物に投与すると、この化合物は末梢セロトニンレベルを減少させ、広範な疾患及び障害を治療するために使用され得る。2006年12月12日に出願された米国特許出願第11/638,677号明細書及び2007年6月26に出願された米国特許出願第60/946,246号明細書を参照されたい。
【0010】
本発明は、また、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の固体形態を含む剤形と、それらを使用する方法とを対象とする。
5.1. 定義
特に明示のない限り、「末梢セロトニンにより媒介される疾患又は障害」及び「末梢セロトニンにより媒介される疾患及び障害」という語句は、1つ又は複数の症状を有する疾患及び/又は障害であって、その重症度が末梢セロトニンレベルにより影響される、疾患及び/又は障害を意味する。
【0011】
特に明示のない限り、「管理する(manage)」、「管理すること(managing)」及び「管理(management)」という用語は、特定の疾患又は障害を既に患ったことのある患者において疾患若しくは障害の再発を予防すること、及び/又は疾患若しくは障害を患っている患者が寛解を保つ時間を長くすることを包含する。この用語は、疾患若しくは障害の閾値、発症及び/又は継続期間を調節すること、又は患者の疾患若しくは障害に対する応答の仕方を変化させることを包含する。
【0012】
特に明示のない限り、「予防する(prevent)」、「予防すること(preventing)」及び「予防(prevention)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に起こる、疾患又は障害の重症度を抑制又は軽減させる作用を意図する。すなわち、本用語は予防法を包含する。
【0013】
特に明示のない限り、化合物の「予防的有効量」は、疾患若しくは病態、又は疾患若しくは病態に関連する1つ若しくは複数の症状を予防するのに、又はその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的有効量は、単独で又は他の薬剤と併用して、疾患又は病態の予防において予防的利点を提供する治療剤の量を意味する。「予防的有効量」という用語は、予防法全体を改善する、又は別の予防剤の予防有効性を高める量を包含し得る。
【0014】
特に明示のない限り、化合物の「治療的有効量」は、疾患若しくは病態の治療若しくは管理において治療的利点を提供するのに、又は疾患若しくは病態に関連した1つ若しくは複数の症状を遅延若しくは最小化するのに十分な量である。化合物の治療的有効量は、単独で又は他の療法と併用して、疾患又は病態の治療又は管理において治療的利点を提供する、治療剤の量を意味する。「治療的有効量」という用語は、療法全体を改善するか、疾患若しくは病態の症状若しくは原因を軽減若しくは回避するか、又は別の治療剤の治療有効性を高める量を包含し得る。
【0015】
特に明示のない限り、「治療する(treat)」、「治療すること(treating)」及び「治療(treatment)」という用語は、患者が特定の疾患又は障害を患っている間に起こる作用を意図し、これにより疾患若しくは障害の重症度、又は1つ若しくは複数のその症状が軽減されるか、又は疾患若しくは障害の進行が遅延又は減速する。
【0016】
特に明示のない限り、「挙げられる(複数)(include)」という用語は、「挙げられる(include)が、限定されない」と同じ意味を有し、「挙げられる(単数)(includes)」という用語は、「挙げられる(includes)が、限定されない」と同じ意味を有する。同様に、「等」という用語は、「等(限定されない)」という用語と同じ意味を有する。
【0017】
特に明示のない限り、一連の名詞の直前にくる1つ又は複数の形容詞は、それぞれの名詞を修飾するものと解釈される。例えば、「必要に応じて置換されたアルキル、アリール又はヘテロアリール」という語句は、「必要に応じて置換されたアルキル、必要に応じて置換されたアリール、又は必要に応じて置換されたヘテロアリール」と同じ意味を有する。
【0018】
満たされていない原子価を有する図中に示された任意の原子は、この原子価を満たすのに十分な水素原子と結合していると推測されることにも留意すべきである。加えて、一本の破線に平行な一本の実線で示された化学結合は、原子価が許容する場合、単結合及び二重結合(例えば、芳香族)の両方を包含する。1つ又は複数のキラル中心を有する化合物を表すが、(例えば、太線又は破線で)立体化学を示さない構造は、純粋な立体異性体及びその混合物(例えば、ラセミ混合物)を包含する。同様に、1つ又は複数のキラル中心を有するが、これらの中心の立体化学を特定しない化合物の名称は、純粋な立体異性体及びその混合物を包含する。
5.2. 固体形態
本発明は、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸:
【0019】
【化1】

【0020】
及びその塩の固体形態を対象とする。特定の塩は、結晶性である。特定の塩としては、トシル酸塩及びマレイン酸塩が挙げられる。
【0021】
本発明の一実施形態は、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート(propanoate)トシル酸塩の無水の及び水和した結晶形態を包含する。
【0022】
この化合物の特定の形態は、DSCにより決定される約241℃の融点(開始温度)を有する、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩無水物(anhydrate)である。これに関して「約(about)」という用語は、±5.0℃を意味する。この形態は、約3.5度、7.0度、8.6度、10.9度、13.5度、14.0度、15.1度、17.3度及び/又は20.5度(2θ)の1つ又は複数のピークを含有するX線回折(XRPD)パターンを提供する。これに関して「約」という用語は、±0.3度を意味する。当業者には十分に明らかなように、結晶物質のXRPDパターンにおけるピークの相対強度は、試料の調製方法とデータの収集方法とに応じて変動し得る。この点を考慮に入れて、この結晶形態のXRPDパターンの一例を図1に示す。
【0023】
この化合物の別の形態は、DSCにより決定される約221℃の融点(約227℃で最大値を有する吸熱ピークの開始温度)を有する、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩一水和物である。これに関して「約」という用語は、±5.0℃を意味する。この形態は、約3.6度、8.2度、8.7度、13.1度、14.5度、17.5度、18.0度、19.9度及び/又は21.4度(2θ)の1つ又は複数のピークを含有するXRPDパターンを提供する。これに関して「約」という用語は、±0.3度を意味する。この結晶形態のXRPDパターンの一例を、図2に示す。図3は、この形態のラマンスペクトルの一例を示す。
【0024】
この化合物の別の形態は、DSCにより決定される約238℃の融点(約242℃で最大値を有する吸熱ピークの開始温度)を有する、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩二水和物である。これに関して「約」という用語は、±5.0℃を意味する。この形態は、約8.6度、9.0度、17.2度、17.8度、18.6度、21.6度、25.2度及び/又は26.9度(2θ)の1つ又は複数のピークを含有するXRPDパターンを提供する。これに関して「約」という用語は、±0.3度を意味する。この形態のXRPDパターンの一例を、図4に示す。
【0025】
本発明の別の実施形態は、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートマレイン酸塩の無水の及び水和した形態を包含する。
【0026】
本発明は、無定形形態及び結晶形態の両方の混合物である固体を包含する。或る特定のこのような固体は、結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸又はその薬学的な(pharmaceutically)塩を、少なくとも約50重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%又は99重量%の量で含む。
【0027】
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の結晶塩は、該化合物及び薬学的に許容される酸を含む溶液を加熱すること、得られた塩の溶解度を低減すること、及び得られる塩を単離することにより、調製することができる。一実施形態では、溶液はTHF/水の溶液である。特定の一方法では、THF/水の溶液を約40℃〜60℃に加熱する。その後、高温の溶液に貧溶媒(anti-solvent)(例えばアセトニトリル)を添加した後で、該溶液を冷却することにより、塩の結晶化が達成される。
5.3. 治療方法
本発明は、トリプトファンヒドロキシラーゼ(TPH)を阻害する方法であって、TPHを本発明の化合物(すなわち、本明細書中に開示される化合物)と接触させることを含む、方法を包含する。特定の方法では、TPHはTPH1アイソフォームである。別の方法では、TPHはTPH2アイソフォームである。特定の方法では、阻害はin vitroでの阻害である。別の方法では、阻害はin vivoでの阻害である。
【0028】
本発明は、末梢セロトニンにより媒介される様々な疾患及び障害を治療、予防及び管理する方法であって、このような治療、予防又は管理が必要な患者においてTPH1活性を阻害することを含む、方法を包含する。
【0029】
特定の疾患及び障害としては、カルチノイド症候群、並びに胃腸の疾患及び障害が挙げられる。特定の疾患及び障害の例としては、腹痛(例えば、甲状腺髄様癌に関連する)、不安神経症、カルチノイド症候群、セリアック病、便秘(例えば、医原性因を有する便秘及び特発性便秘)、クローン病、うつ病、糖尿病、下痢(例えば、胆汁酸下痢、エンテロトキシン誘導性分泌性下痢、医原性因を有する下痢、特発性下痢(例えば、特発性分泌性下痢)、及び旅行者下痢)、嘔吐、機能性腹痛、機能性消化不良、過敏性腸症候群(IBS)、ラクトース不耐症、I型及びII型のMEN、オギルビー症候群、膵性コレラ症候群、膵機能不全、褐色細胞腫(pheochromacytoma)、強皮症、身体化障害、及びゾリンジャー−エリソン症候群が挙げられる。
【0030】
本発明の特定の方法では、中枢神経系(CNS)セロトニンレベルの変化と関連した副作用を回避しながら、疾患又は障害の治療、管理及び/又は予防が達成される。このような副作用の例としては、激越(agitation)、不安障害、うつ病及び睡眠障害(例えば不眠症及び睡眠異常(disturbance))が挙げられる。
5.4. 薬学的組成物
本発明は、本発明の固体形態を含む薬学的組成物及び剤形を包含する。本発明の薬学的組成物及び剤形は、1つ又は複数の薬学的に許容される担体又は賦形剤(excipients)を必要に応じて含有し得る。或る特定の薬学的組成物は、患者への経口、局所、粘膜(例えば鼻、肺、舌下、膣、頬側若しくは直腸)、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内若しくは動脈内)又は経皮投与に好適な単回単位(single unit)剤形である。剤形の例としては、錠剤;カプレット;軟ゼラチンカプセル等のカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;包帯剤;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば経鼻スプレー又は吸入剤);ゲル;懸濁液(例えば、水性又は非水性の液体懸濁液、水中油型乳濁液、又は油中水型液体乳濁液)、溶液及びエリキシルを含む、患者への経口投与又は粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供するために再構成され得る滅菌固体(例えば結晶性又は無定形の固体)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0031】
本製剤は、投与様式に適合する必要がある。例えば、経口投与には、胃腸管内での分解から活性成分を保護するための腸溶コーティングが必要であり得る。別の例としては、活性成分は、分解酵素から活性成分を保護し、循環系における輸送を容易にし、及び/又は細胞膜を介する細胞内部位への送達を達成するために、リポソーム製剤で投与され得る。
【0032】
本発明の剤形の組成、形状及び種類は、典型的にはその用途に応じて異なる。例えば、疾患の急性期治療で使用される剤形は、それが含む活性成分の1つ又は複数を、同一疾患の慢性期治療で使用される剤形よりも多量に含有し得る。同様に、非経口剤形は、それが含む活性成分の1つ又は複数を、同一疾患を治療するために使用される経口剤形よりも少量含有し得る。本発明により包含される特定の剤形が互いに異なる、これらの方法及び他の方法が、当業者には容易に明らかであろう。例えば「レミントンの薬学(Remington's Pharmaceutical Sciences)」、第18版、Mack Publishing、Easton PA(1990)を参照されたい。
【実施例】
【0033】
6. 実施例
6.1. (R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの調製
【0034】
【化2】

【0035】
この化合物を、文献(Ohkuma, et al. J. Am. Chem. Soc., 120:13529-13530 (1998))の手法に基づき調製した。1L容高圧容器に、4−ブロモ−トリフルオロアセトフェノン(1、Wilmington PharmaTech、Delaware、100.0g、395ミリモル)、カリウムtert−ブトキシド(2−メチル−2−プロパノール中の1M溶液、5.0ml、10.0ミリモル、0.025当量)及び触媒[(trans)−RuCl[(R)−Xyl−P−Phos][(R)−DIAPEN](Johnson Matthey、New Jersey、200mg、0.16ミリモル、0.04モル%)を投入した。混合物を無水2−プロパノール(175ml)中に溶解し、3回の真空−融解サイクルにより容器全体をアルゴンでパージした。その後反応混合物を、3回の真空−融解サイクルにより水素でパージした。反応を、60psiの水素雰囲気下で実施した。24時間撹拌し水素消費がなくなった後、GC−MS分析(出発時のケトンの消失)により反応を完了したとみなした。反応容器の内容物を、MeOHでリンス(3×20ml)して丸底フラスコに移し、蒸留による溶媒の消失がなくなるまで減圧下で濃縮した。得られた橙褐色の油を、その後ヘプタン(1000ml)に溶解し、水(2×100ml)、塩水(brine)(100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。乾燥させた有機層に、Darco(登録商標)活性炭(20g)及びHyflo(登録商標)Super Cel(20g)を添加し、混合物を70℃で1時間加熱した。高温で混合物を濾過し、淡黄色の溶液を得た。濾過物(filtrate)を、蒸留される溶媒がなくなるまで減圧下で加熱(約50℃〜60℃)して濃縮した。得られた黄色の油を、60℃の温かいヘプタン(350ml)中に溶解し、冷却しながら撹拌した。温度が室温まで下がるにつれて、白色の固体が沈殿し始めた。4時間の撹拌後、固体を濾過し、乾燥させ、表題の生成物(63.5g、63%、99%超ee)を白色の粉末として得た。m.p.:56.7℃。[α]=−30.1(c1.09、エタノール)。GC−MS(CI):MH=255.8。H NMR(CDCl)δ7.58(m,2H)、7.42(d,J=8.3Hz,2H)、5.00(m,1H)、2.62(d,J=4.3Hz,1H)。13C NMR(CDCl):δ133.2、132.2、129.5、125.7、124.3(q,J=282Hz)、72.6(q,J=32Hz)。19F NMR(CDCl):δ−78.5(d,J=5.6Hz)。
6.2. (S)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノールの調製
上記の実施例と同様の手法を用いて、触媒[(trans)−RuCl[(S)−Xyl−P−Phos][(S)−DIAPEN](Johnson Matthey、New Jersey)を使用して表題の化合物を調製した。
6.3. (R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(p−トリル)エタノールの調製
【0036】
【化3】

【0037】
同様に、触媒[(trans)−RuCl[(R)−Xyl−P−Phos][(R)−DIAPEN]を使用して2,2,2−トリフルオロ−1−(p−トリル)エタノンに水素付加し、表題の化合物を得た。m.p.:44.2℃。H NMR(CDCl):δ7.38(d,J=6.0Hz,2H)、7.25(d,J=6.0Hz,2H)、5.00(dq,J=6.6Hz,J=3.3Hz,1H)、2.49(d,J=3.8Hz,1H)、2.42(s,3H)。
6.4. (S)−2,2,2−トリフルオロ−1−(p−トリル)エタノールの調製
同様に、触媒[(trans)−RuCl[(S)−Xyl−P−Phos][(S)−DIAPEN]を使用して表題の化合物を調製した。
6.5. (R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エタノールの調製
【0038】
【化4】

【0039】
(R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(2、69g、0.27モル、99%超ee)、3−メトキシフェニルボロン酸(Matrix、51g、0.34モル、純度97%)及びビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(0.95g、0.5モル%)の、撹拌したエタノール溶液(560ml)に、炭酸カリウム(112g、0.81モル)の水溶液(140ml)を窒素下で添加した。得られた混合物を75℃で1時間加熱し、GC−MS又はTLCにより完了したとみなした。反応混合物を40℃に冷却した後、Celiteのパッドを通して濾過し、メタノール(3×100ml)で洗浄した。濾過物を100mlの水で希釈し、濃縮した。得られたシロップを、700mlの酢酸エチルに溶解し、1N水酸化ナトリウム(2×100ml)、水(2×100ml)及び塩水(1×100ml)で洗浄した。有機層を、活性炭(14g)及びHyflo Super Cel(14g)と、60℃で1時間加熱した。高温でこの混合物を濾過し、酢酸エチル(100ml)で洗浄し、その後濃縮してシロップとした。このシロップを直ぐに1%酢酸エチル/ヘプタン(700ml)に溶解し、4時間撹拌した。得られたスラリーを濾過し、乾燥させ、表題の化合物を白色の結晶固体(3、68g、収率89%、99%超ee)として得た。
【0040】
代替的な結晶化方法では、粗生成物のシロップ/固体(10g)を、MTBE(10ml)に溶解し、ヘプタン(200ml)で希釈した。溶液を、約70mlまで減圧下で濃縮した。この混合物を室温で終夜撹拌し、得られたスラリーを濾過し、乾燥させ、表題の化合物(3、8.8g)を白色の結晶固体として得た。m.p.:107.6℃。[α]=−31.85(c1.067、エタノール)。LC−MS(ESI):MH=283.1。H NMR(CDCl):δ7.66(m,2H)、7.56(d,J=8.2Hz,2H)、7.42(t,J=7.8Hz,2H)、7.20(m,1H)、7.14(m,1H)、6.95(m,1H)、5.82(q,J=6.6Hz,1H)、3.85(s,3H)、2.63(br s,1H)。13C NMR(CDCl):δ160.3、142.6、142.2、133.5、130.3、128.3、127.8、124.8(q,J=282Hz)、120.1、113.4、113.3、73.0(q,J=32Hz)、55.7。19F NMR(CDCl):δ−78.3(d,J=6.4Hz)。残留パラジウム:11ppm。Anal.Calcd for C1513:C、63.83;H、4.64。Found:C、63.78;H、4.60。
6.6. (R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エタノールの調製
メカニカルスターラー、温度調節器と結合した熱電対、及び窒素管(line)を有する冷却器を備えた22L容丸底フラスコに、化合物2(1.00kg、1倍重量、3.92モル)及びエタノール(4.5L、4.5倍容量)を投入した。混合物を窒素で10分間スパージし、(PhP)PdCl(12.6g、0.0126倍重量、Strem)を添加した。追加の窒素でのスパージの後、KCO(1.63kg、3当量)の水(2倍容量)溶液を添加した。混合物を、窒素下で75℃まで加熱し、その後、約20%の3−メトキシフェニルボロン酸(715g、4.70モル、1.2当量、Usun)のエタノール(4.5倍容量)溶液を、蠕動ポンプにより添加した。20分後に、インプロセス制御(IPC)試料を採取し、それによりボロン酸が消費されていることが示された。全てのボロン酸を添加し終えるまで、このプロセスを繰り返した。さらに20分間撹拌した後、HPLC分析により、反応が完了したことが示された。熱のスイッチを切り、69℃で、水(3.6倍容量)を添加した。その後反応混合物を、Celite(Celpure P300、0.15倍重量、Sigma)のパッドを通して50℃で濾過し、濾過ケーキ(filter cake)をメタノール(2×2.5倍容量)で洗浄した。濾過物を、減圧下40℃〜45℃で5倍容量まで濃縮した。その後スラリーを分液漏斗に移し、MTBE(10倍容量)を添加した。その後混合物を、水酸化ナトリウムの50%溶液(0.6倍容量)で洗浄した。撹拌後、層を分離し、MTBE(1.5倍容量)で水相を抽出した。有機抽出物を組み合わせ、水(1倍容量)でその後20%塩化ナトリウム水溶液(1倍容量)で洗浄し、11.9倍容量の有機生成物溶液を得た。溶液を反応器に移し、MTBE(1倍容量)中のDarco G−60(0.3倍重量)のスラリーで処理し、50℃まで加熱した。90分後、混合物を、Celpure P300(0.15倍重量)のパッドを通して濾過し、MTBE(2×3倍容量)で洗浄した。
【0041】
濾過物(14.8倍容量)を反応器に移し、真空下45℃で蒸留し、MTBEを除去した。濾過物を2.5時間かけて6.7倍容量まで低減し、その後ヘプタン(3.15倍容量)を添加した。溶液を50℃で1時間かけて6.7倍容量までさらに蒸留し、その後追加のヘプタン(3.15倍容量)を添加した。溶液を55℃で1.5時間かけて6.7倍容量まで濃縮し、その後ヘプタン(3.15倍容量)を添加した。沈殿が直ぐに観察され、真空下60℃で蒸留を継続した。2.5時間後、蒸留を停止し(残り7倍容量)、熱のスイッチを切り、終夜周囲温度までバッチを冷却した。バッチを24℃で濾過し、ヘプタン(1.5倍容量)で洗浄した。固体を週末の間中真空下室温で乾燥させ、799.7gの3を白色の固体として得た[収率72%、99%超(AUC)]。
6.7. (R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−フルオロビフェニル−4−イル)エタノールの調製
【0042】
【化5】

【0043】
上記の手法と同様に、(R)−1−(4−ブロモフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノール(2)及び3−フルオロフェニルボロン酸から表題の化合物を調製した。H NMR(CDCl):δ7.62(d,J=6.0Hz,2H)、7.56(d,J=6.3Hz,2H)、7.42(m,2H)、7.28(m,1H)、7.06(m,1H)、5.82(q,J=5.1Hz,1H)。
6.8. 2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(トリフルオロメチルスルホニルオキシ)フェニル)プロパン酸(S)−メチルの調製
【0044】
【化6】

【0045】
この化合物を、文献(Shieh, et al. J. Org. Chem., 1992, 57, 379-381)の手法に基づき調製した。Boc−Tyr−OMe(4、Bachem、California、100g、0.34モル)及びN−メチルモルホリン(51g、1.5当量)のジクロロメタン溶液(1000ml)に、−5℃〜−15℃で2時間かけて、トリフリック・アンハイドライド(triflic anhydride)(100g、1.05当量)を添加した。得られた赤色の溶液を、10分間−10℃で撹拌した。HPLC分析により、出発物質の完全な消失が示された。反応を、10%クエン酸(500ml)で停止した。有機層を、10%クエン酸(500ml)で、その後水(500ml)で洗浄した。得られた淡いピンク色の溶液を、減圧下で200mlまで濃縮した。これをアセトニトリル(600ml)で希釈し、さらに濃縮し200gの溶液とした。この溶液を、さらに精製することなく、次の工程に使用した。試料をストリッピングにより乾燥させて低融点の淡黄色の固体を得て、収率を98%と評価した。LC−MS(ESI):MH=428.0、MNH=445.0。H NMR(CDCl)δ7.16(m,4H)、4.95(d,J=7.1Hz,1H)、4.53(m,1H)、3.64(s,3H)、3.10(dd,J=5.7Hz,J=13.8Hz,1H)、2.97(dd,J=6.3Hz,J=13.6Hz,1H)、1.34(s,9H)。13C NMR(CDCl)δ172.3、155.4、149.0、137.4、131.5、121.7、119.1(q,J=321Hz)、80.54、54.62、52.7、38.3、28.6。19F NMR(CDCl)δ−73.4。
6.9. (S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(borolan)−2−イル)フェニル)プロパン酸の調製
【0046】
【化7】

【0047】
このエステル化合物6を、文献(Firooznia, et al., Tetrahedron Lett., 1999, 40, 213-216)の手法に基づき調製した。ビス(ピナコラト)ジボロン(90g、1.1当量)、酢酸カリウム(63g、2当量)、トリシクロヘキシルホスフィン(2.3g、2.5モル%)及び酢酸パラジウム(0.72g、1モル%)を、アセトニトリル(950ml)中で混合し、得られた混合物を室温で5分間撹拌した。上記のトリフラート(triflate)(5)溶液(190g、0.32モル)を添加し、得られた混合物を80℃で1時間加熱し、冷却した。HPLCにより、出発物質の完全な消費が示された。反応混合物を、炭酸水素カリウム水溶液(475mlの水中57g)で停止し、得られた混合物を、室温で30分間撹拌した。20μのセルロースのパッドを通して混合物を濾過し、パラジウム黒を除去した。有機層の試料を濃縮し、カラムクロマトグラフィ(グラジエント:酢酸エチル/ヘキサン 1:10→1:4)により精製し、エステル化合物6を透明な油として得た。LC−MS(ESI):MH=406.2、MNH=423.2、M=811.5、MNH=428.5。H NMR(CDCl)δ7.76(d,J=8.1Hz,2H)、7.15(d,J=7.6Hz,2H)、4.96(d,J=7.3Hz,1H)、4.60(m,1H)、3.72(s,3H)、3.13(m,2H)、1.44(s,9H)、1.36(s,12H)。
【0048】
上記の6の有機層を、室温で30分間、水酸化リチウム水溶液(500mlの水中23g)で撹拌した。得られたスラリーのpHを、6N塩酸で約10に調整し、濾過した。ケーキを水(200ml)で洗浄した。減圧下でアセトニトリルを濾過物から除去し、水性のスラリーを得た(950ml、追加の水を蒸留時に添加した)。20μmのセルロースのパッドを通してスラリーを濾過し、水(200ml)で洗浄した。濾過物をMTBE(500ml)で洗浄し、700mlのMTBEで再希釈した(rediluted)。混合物を、6N塩酸でpH約4.5に酸性化した。有機層を、水(500ml)で洗浄し、減圧下で濃縮し、褐色の油として表題の生成物(7)を得た(206g、NMRにより評価した純度に基づき収率95%)。粗生成物は、次の工程で直接使用することができる。LC−MS(ESI):MH=392.2、MNH=409.2、M=783.4、MNH=800.4。H NMR(CDCl)δ7.95(br s,1H)、7.76(d,J=7.8Hz,2H)、7.21(d,J=7.6Hz,2H)、5.03(d,J=7.8Hz,1H)、4.62(m,1H)、3.18(m,2H)、1.43(s,9H)、1.35(s,12H)。13C NMR(CDCl)δ175.8、155.7、139.7、135.4、129.2、84.2、80.5、54.5、38.3、28.7、25.2。
【0049】
化合物7も、結晶化により単離した。例えば、上記の7のMTBE溶液を無水NaSOで乾燥させ、真空下で約1.0倍容量まで濃縮した。ヘプタン(2.5倍容量)を添加し、真空下で約1.5倍容量まで濃縮した。ヘプタン(4.2倍容量)を36℃〜42℃でゆっくりと添加し、その後ゆっくりと5℃〜10℃まで冷却した。得られたスラリーを濾過し、ヘプタンで洗浄し、真空下20℃〜30℃で乾燥させ、生成物7を収率約76%で得た。
6.10. (S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン酸の代替的結晶化
メカニカルスターラー、温度プローブを有するゴムセプタム、及びガスバブラーを備えた1L容ジャケット付き三口丸底フラスコに、50.88gの7を含有するエタノール溶液100mlを投入した。溶液を窒素下で撹拌しておき、エタノール35mlで、その後2−プロパノール50mlで希釈し、約60℃まで加熱した。その後、250mlの水を添加して曇点(cloudy point)に達せしめ、混濁液を約60℃で75分間保持し、その後約1.5時間かけて約10℃まで冷却した。45分後、混合物は二相であり、追加の2−プロパノール30mlで希釈した。混合物を窒素下10℃で終夜撹拌し、得られた白色の微細懸濁物を濾過した。回収した固体を9:1の水:2−プロパノール(100ml)で洗浄し、真空中約50℃〜60℃で乾燥させ、39.88gの7を粉を吹いた(chalky)白色の粉末として得た(回収率78%)。濾過物中の固体を濾過し、乾燥させ、淡黄色の顆粒状の固体4.51gを得た。HPLCにより、この物質は大部分がボロン酸であることが示唆された。
6.11. (S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の調製
【0050】
【化8】

【0051】
上記の粗化合物7(0.32モル)をエタノール(800ml)に溶解し、得られた溶液を減圧下で約700mlまで濃縮し、エタノール(1300ml)で希釈した。この溶液に、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(74g、1.4当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(2.3g、1モル%)及び炭酸水素カリウム水溶液(97g、3当量、水380ml)を添加した。この混合物を75℃〜80℃で2時間加熱し、その時点でHPLC分析により、出発物質の完全な消費が示された。減圧下でエタノールを濾過物から除去し、水性スラリー(600ml、蒸留時に追加の水を添加した)を得た。スラリーを濾過し200mlの水で洗浄した。ケーキを真空下50℃で乾燥させ、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジンを黄褐色の固体(30g、元の投入量の41%)として回収した。H NMR(DMSO−d)δ7.58(br s,2H)、6.84(s,1H)。13C NMR(DMSO−d)δ162.8、160.9、107.5。濾過物を酢酸エチル(400ml)で洗浄し、3:1のTHF/MTBE(600ml)で希釈した。混合物を酸性化しpHを約3.5とした。有機層を塩水(300ml)で洗浄し、濃縮して粗生成物8を赤色の油(180g)として得た。この油をTHF(300ml)中に再溶解し、清澄濾過し(polish-filtered)、THF(100ml)で洗浄した。濾過物をイソプロパノール(400ml)で希釈し、混合物を大気圧で(atmospherically)約300mlまで蒸留した。さらにイソプロパノール(400ml)を添加し、体積が約500mlに達するまで蒸留を継続した。その後混合物を1時間かけて45℃まで冷却し2時間保持した後、1時間かけて室温まで冷却した。さらに1時間後、スラリーを濾過し、イソプロパノール(150ml)で洗浄し、真空下50℃で乾燥させ、生成物8を淡いピンク色の固体(46.2g、Boc−Tyr−OMe(4)からの収率37%)として得た。純度:93.4%(HPLCによる)。キラル純度:99%超ee。トリメチルシリルジアゾメタンを使用して調製した、対応するメチルエステル誘導体について、キラル分析を行った。分析的に純粋な試料をカラムクロマトグラフィ(グラジエント:メタノール/ジクロロメタン 1:20→1:10)により得た。LC−MS(ESI)MH=393.1、MH+アセトニトリル=434.1、M=785.3。H NMR(DMSO−d)δ12.60(s,1H)、8.02(d,J=8.3Hz,2H)、7.38(d,J=8.1Hz,2H)、7.23(s,1H)、7.13(br s,2H)、3.09(dd,J=4.4Hz,J=13.5Hz,1H)、2.91(dd,J=10.5Hz,J=13.8Hz,1H)、1.32(s,9H)。13C NMR(DMSO−d)δ173.4、165.8、163.5、161.0、155.4、141.4、134.0、129.4、126.8、104.4、78.0、54.8、36.2、28.1。Anal.Calcd for C1821ClN:C、55.03;H、5.39;N、14.26。Found:C、54.76;H、5.65;N、14.09。
【0052】
化合物8の標準溶液に対する上記の母液のHPLC分析により、さらに38gの生成物8(Boc−Tyr−OMe(4)からの収率30%)が示された。また、母液のさらなる濃縮により生成物8を部分的に回収し、Boc−Tyr−OMe(4)からの総収率を60%とした。
6.12. (S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の調製
メカニカルスターラー、温度調節器と結合した熱電対、及び窒素管を有する冷却器を備えた22L容丸底フラスコに、化合物7(850g、1倍重量、2.17モル)、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(712.3g、2当量、Usun)及びエタノール(13.6L、16倍容量)を投入した。スラリーを窒素で10分間スパージし、その後(PhPdCl(18.3g、0.021倍重量、Strem)を添加し、窒素スパージを10分間継続した。その後炭酸水素カリウム(783g、3.6当量)の水(3.2L、3.7倍容量)溶液を反応器に投入すると、ガス発生が観察された。混合物を計11.5時間75℃まで加熱し、その後45℃まで終夜冷却した。75℃で9.5時間後のHPLC分析により、残存する7は約3.0%である(変換による)ことが示された。反応物を45℃まで冷却し終夜撹拌すると、HPLC分析により残存する7は1.0%未満であることが示された。
【0053】
その後バッチを減圧下45℃で15時間の期間にわたり蒸留し、4L〜5Lの黄色のスラリーを得た。バッチをその後終夜冷却した。水を添加し(3倍容量)、45℃まで加熱した後、蒸留物が回収されなくなるまで蒸留を1時間継続した。真空を解除し、水(3倍容量)をバッチに添加した。沈降させた後、バッチを、水(1倍容量)中のセルロース粉末(20ミクロン、0.2倍重量)のスラリーにより濾過した。水(2倍容量)を、反応器中に残存する固体/スラリーに添加し、これを焼結ガラス漏斗により濾過した。この濾過物をその後さらにセルロースパッドを通して濾過し、11.2Lの生成物溶液(13.2倍容量)を得た。
【0054】
その後溶液を、EtOAc(3.3倍容量)を含有する分液漏斗に移した。撹拌及び分離後、水相を22L容反応器に移し、その後PBu(212ml、0.25倍容量、97%)のEtOAc溶液(3.5倍容量)を反応器に投入した。溶液を50℃で2.5時間加熱した。追加のEtOAc(3.3倍容量)を反応器に添加し、内容物を分液漏斗に投入し、2つの相を分離した。水相(41℃)を分液漏斗に戻し投入し(charged back)、追加のEtOAc(3.3倍容量)で洗浄した。2つの相を分離し、その後水相を22L容反応器に投入し、45℃まで加熱した。ヘプタン(5倍容量)を反応器に添加し、反応器の内容物を分液漏斗に移し、2つの相を分離した。水相(11.2L、13.2倍容量)を22L容反応器に投入し、14倍容量まで水で希釈し、その後、水(1倍容量)中のDarco G−60(0.2倍重量)のスラリーを反応器に投入した。混合物を60℃まで加熱し、60℃で2時間撹拌した。熱のスイッチを切り、週末の間中バッチを撹拌した。Celpure P300(0.2倍重量、Sigma)のパッドを通してバッチを濾過し、水(2×1.2倍容量)で洗浄した。
【0055】
メカニカルスターラー、温度調節器と結合した熱電対、及びpHメーターと結合したpHプローブを備えた22L容丸底フラスコに、クエン酸(127.5g、0.15倍重量)及び水(2倍容量)を投入した。溶液を40℃まで加熱し、溶液のpHを2Mの水酸化ナトリウム溶液で4.0に調整した。クエン酸溶液(40重量%、2L)を添加漏斗に投入し、反応器と結合した。その後8の塩基性溶液を、蠕動ポンプによりインラインフィルタを通してクエン酸溶液に移し、pHを40%クエン酸溶液でpH4.0に維持した。添加が完了すると、バッチを60℃まで加熱し2時間撹拌した。その後バッチを終夜冷却し、固体を29℃で濾過した。ケーキを水(2×2.5倍容量)で洗浄し、その後45℃〜50℃で24時間乾燥させ、85.9%(AUC)の純度を有する720gの8を得た(収率84%)。
6.13. (S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の精製
【0056】
【化9】

【0057】
上で説明したように調製すると、掲題の化合物8は、典型的には約6%の二酸不純物Aと、約4%のアミノ化生成物Bとを含有する。化合物8はその粗形態で使用することができるが、下に説明したアプローチを使用して精製することができる。
【0058】
方法1. 250ml容三口丸底フラスコに、粗化合物8(10.0g、25.4ミリモル、純度90%、6%のA及び4%のBを有する)、i−PrOH/トルエン(1:1、80ml/80ml、8×/8×)及びtert−ブチルアミン(13.4ml、5.0当量)を添加した。得られた混合物を撹拌し、78℃で1時間加熱し、その後0℃までゆっくりと冷却し、さらに1時間撹拌した。固体を濾過により回収し、20mlのi−PrOH/トルエン(1:3)でケーキを洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、所望の8のtert−ブチルアミン塩を淡黄色の固体(8.8g、収率74%、純度94%、A3%、B3%)として得た。
【0059】
250ml容三口丸底フラスコに、8のtert−ブチルアミン塩(20.0g、42.9ミリモル)を、その後HO/THF/トルエン(400ml/200ml/160ml、20×/10×/8×)を添加した。得られた混合物を60℃まで加熱し、混合物のpHが4.0に達するまで6M HClをゆっくりと添加した。混合物を、室温まで冷却し、有機層を分離した。有機層をHO(100ml、5×)で洗浄し、回転蒸発により約160mlの全体積まで濃縮した。固体を濾過により回収し、ケーキを20mlのトルエンで洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、8を淡黄色の固体(15.0g、収率89%、純度94%、A3%、B3%)として得た。
【0060】
方法2. 250ml容三口丸底フラスコに、粗化合物8(20.0g、42.9ミリモル、純度90%、6%のA及び4%のBを有する)を、その後THF/トルエン(200ml/160ml、10×/8×)を添加した。得られた混合物を60℃まで1時間加熱し、室温まで冷却した。THFを回転蒸発により除去し、約160mlの全体積とした。固体を濾過により回収し、ケーキを20mlのトルエンで洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、淡黄色の固体(11.8g、収率70%、純度92.8%、A6.0%、B1.3%)として8を得た。
【0061】
250ml容三口丸底フラスコに、上記の8(10.0g、25.4ミリモル)及びtert−ブチルアミン(13.4ml、5当量)を、その後i−PrOH/トルエン(1:1、80ml/80ml、8×/8×)を添加した。得られた混合物を1時間加熱して透明に(to clear)(78℃)し、0℃までゆっくりと冷却し、さらに1時間0℃で撹拌した。固体を濾過により回収し、ケーキを20mlのi−PrOH/トルエン(1:3)で洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、8のtert−ブチルアミン塩を淡黄色の固体(9.7g、収率82%、純度96%、A3.3%、B0.6%)として得た。
【0062】
250ml容三口丸底フラスコに、8のtert−ブチルアミン塩(20.0g、42.9ミリモル)を、その後HO/THF/トルエン(400ml/200ml/160ml、20×/10×/8×)を添加した。得られた混合物を60℃まで加熱し、混合物のpHが4.0に達するまで6M HClをゆっくりと添加した。混合物を室温まで冷却し、水層を分離した。有機層をHO(100ml、5×)で洗浄し、回転蒸発により約160mlの全体積まで濃縮した。固体を濾過により回収し、ケーキを20mlのトルエンで洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、8を淡黄色の固体(15g、収率88%、純度96%、A3.3%、B0.5%)として得た。
【0063】
方法3. 3L容三口丸底フラスコに、約50gの8(90%、A6%、B4%、全て正規化したAUC)を含有するカリウム塩の水溶液を、その後THF/トルエン(500ml/400ml、10×/8×)を添加した。得られた混合物を60℃まで加熱し、混合物のpHが4.0に達するまで6M HClをゆっくりと添加した。混合物を室温まで冷却し、水層を分離した。有機層をHO(250ml、5×)で洗浄し、回転蒸発により約400mlの全体積まで濃縮し、約8×トルエン中の8のスラリーを得た。
【0064】
3L容三口丸底フラスコに、スラリー(8×トルエン中、400ml)及びtert−ブチルアミン(67ml、5.0当量)を、その後i−PrOH(400ml、8×)を添加した。得られた混合物を78℃で1時間加熱し、0℃まで冷却し、0℃でさらに1時間撹拌した。固体を濾過により回収し、ケーキを100mlのi−PrOH/トルエン(1:3)で洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、8のtert−ブチルアミン塩を淡黄色の固体(42.4g、収率72%、純度95%、A3.2%、B1.9%)として得た。
【0065】
250ml容三口丸底フラスコに、8のtert−ブチルアミン塩(42.4g、91.0ミリモル)を、その後HO/THF/トルエン(1000ml/500ml/400ml、20×/10×/8×)を添加した。得られた混合物を60℃まで加熱し、pHが4.0に達するまで6M HClをゆっくりと添加した。混合物を室温まで冷却した。有機層を分離し、HO(250ml、5×)で洗浄した。有機溶液を回転蒸発により約400mlの全体積まで濃縮した。固体を濾過により回収し、ケーキを100mlのトルエンで洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、8を淡黄色の固体として得た(35.4g、収率89.5%、純度96%、A2.9%、B1.6%)。
【0066】
方法4. 試験管に、8(198.6mg、0.5ミリモル)及びシンコニジン(167.1mg)を、その後アセトニトリル(7.5ml)を添加した。得られた混合物を加熱して透明にし、室温まで冷却し、さらに2時間撹拌した。固体を濾過により回収し、ケーキを1mlのMTBEで洗浄した。ケーキを真空下で一定重量まで乾燥させ、最終生成物を得た(208mg、収率68%、純度92%、A4.4%、B1.4%)。
6.14. 炭酸カリウムを塩基として使用する、(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸(8)の調製
メカニカルスターラー、熱調節器を備えた500ml容三口丸底フラスコに、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(12.57g、1.5当量)、ボロナート化合物7(20.00g、51.1ミリモル)、炭酸カリウム(21.19g、3.0当量)及びエタノール/水(200ml、体積で5:1)を投入した。混合物を撹拌し、触媒ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(359mg、1モル%)を添加した。混合物を80℃まで加熱し、2時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、水(100ml)で希釈した。その後混合物を減圧下で濃縮してエタノールの大部分を除去し、1N NaOH(60ml)を添加した。混合物を酢酸エチル(2×200ml)で2回抽出し、1N HClを使用して水層を酸性化しpHを約3とした。混合物を酢酸エチルで2回(それぞれ、200ml及び100ml)抽出し、組み合わせた有機層を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィ(グラジエント:メタノール/ジクロロメタン 1:20→1:10)により精製して、化合物8を淡黄色の固体(15.92g、79%)として得た。
6.15. (S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−(4−(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェニル)プロパン酸のリチウム塩を使用する、(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の調製
【0067】
【化10】

【0068】
化合物7の調製時に、遊離酸の単離は必要に応じて省略することができる。したがって、5.0gのBoc−Tyr−OMe(4、17ミリモル)から調製した、100mlの水における化合物7のリチウム塩の水溶液を、2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(3.3g、1.2当量)、炭酸水素カリウム(5.0g、3当量)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(60mg、0.5モル%)及び100mlエタノールと混合した。得られた混合物を70℃で5時間加熱した。追加の2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(1.1g、0.4当量)を添加し、70℃でさらに2時間加熱を継続した。HPLC分析により、約94%の変換率が示された。冷却及び濾過して、濾過物を、化合物8の標準溶液に対するHPLCにより分析した。アッセイにより、3.9gの化合物8が溶液中に含有されることが示された。(化合物4からの収率59%)。
6.16. 炭酸カリウムを塩基として使用して、(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸を調製するための代替的手法
【0069】
【化11】

【0070】
ボロン酸化合物11(Ryscor Science, Inc., North Carolina、1.0g、4.8ミリモル)及び炭酸カリウム(1.32g、2当量)を、水性エタノール(エタノール15ml及び水8ml)中で混合した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(1.25g、1.2当量)を、一度に添加した。室温で30分かき混ぜた後、HPLC分析により、出発化合物11の完全な消費が示された。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(1.18g、1.5当量)及び触媒ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)二塩化物(34mg、1モル%)を添加し、得られた混合物を65℃〜70℃で3時間加熱した。HPLC分析により、化合物12の完全な消費が示された。濃縮及び濾過後、化合物8の標準溶液に対する得られた水溶液のHPLC分析により、化合物8が1.26g(収率67%)であることが示された。
6.17. 炭酸カリウム/炭酸水素カリウムを塩基として使用して、(S)−3−(4−(2−アミノ−6−クロロピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸を調製するための代替的手法
【0071】
【化12】

【0072】
ボロン酸化合物11(10g、48ミリモル)及び炭酸水素カリウム(14.4g、3当量)を、水性エタノール(エタノール250ml及び水50ml)中で混合した。ジ−tert−ブチルジカーボネート(12.5g、1.2当量)を、一度に添加した。HPLC分析により、室温での終夜の撹拌後も反応が完了していないことが示された。炭酸カリウム(6.6g、1.0当量)と、追加のジ−tert−ブチルジカーボネート(3.1g、0.3当量)を添加した。2.5時間室温でかき混ぜた後、HPLC分析により、出発化合物11の完全な消費が示された。2−アミノ−4,6−ジクロロピリミジン(11.8g、1.5当量)及び触媒ビス(トリフェニルホスフィン)−パラジウム(II)二塩化物(0.34g、1モル%)を添加し、得られた混合物を、75℃〜80℃で2時間加熱した。HPLC分析により、化合物12の完全な消費が示された。混合物を減圧下で濃縮し、濾過した。濾過物を、酢酸エチル(200ml)で洗浄し、3:1のTHF/MTBE(120ml)で希釈した。この混合物を、6N塩酸によりpH約2.4まで酸性化した。有機層を、塩水で洗浄し、減圧下で濃縮した。残留物をイソプロパノール中で沈殿させ、濾過し、真空下50℃で乾燥させてオフホワイト色の固体として化合物8(9.0g、収率48%)を得た。純度:92.9%(HPLC分析による)。母液の濃縮により、追加の2.2gのオフホワイト色の粉末を得た(収率12%)。純度:93.6%(HPLC分析による)。
6.18. (S)−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)プロパン酸の調製
【0073】
【化13】

【0074】
メカニカルスターラー、熱調節器を備えた250ml容三口丸底フラスコに、一塩化物8(20.39g、51.9ミリモル)、アルコール3(17.58g、1.2当量)、炭酸セシウム(84.55、5.0当量)及びジオキサン(205ml)を投入した。混合物を100℃まで加熱し、17時間撹拌した。反応物を室温まで冷却し、水(80ml)で希釈した。2つの相を分離して有機層を回収し、酢酸エチル(200ml)で希釈し、塩水(50ml)及び1N HCl(50ml)の混合物で洗浄した。有機層を濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィ(グラジエント:メタノール/ジクロロメタン 1:30→1:20、0.5%酢酸)により精製して、黄色の固体として化合物9を得た。この固体を、EtOH及びヘプタンから再結晶化し、21.78gの淡黄色の固体を得た。母液のさらなる結晶化により、2.00gの淡黄色の固体(全23.78g、収率72%)を得た。トリメチルシリルジアゾメタンを使用して調製した、対応するメチルエステル誘導体のキラル分析により、検出可能な量のジアステレオマーは示されなかった。LC−MS(ESI):MH=639.2。H NMR(DMSO−d)δ12.60(br s,1H)、8.00(d,J=8.0Hz,2H)、7.77(d,J=8.0Hz,2H)、7.67(d,J=8.0Hz,2H)、7.37(m,3H)、7.21(m,2H)、7.13(d,J=8.0Hz,1H)、6.96(m,1H)、6.84(m,2H)、6.75(s,2H)、4.15(m,1H)、3.82(s,3H)、3.10(dd,J=13.6,4.4Hz,1H)、2.89(dd,J=13.6,10.4Hz,1H)、1.32(s,9H)。13C NMR(DMSO−d)δ173.4、168.4、166.1、162.9、159.7、155.4、141.5、140.8、134.8、130.7、130.0、129.3、128.4、127.2、126.6、124.1(q,J=281Hz)、119.1、113.4、112.3、91.3、78.0、71.3(q,J=30Hz)、55.1、54.9、36.2、28.1。19F NMR(DMSO−d):δ−74.6(d,J=7.2Hz)。Anal.Calcd.for C3333:C、62.06;H、5.21;N、8.77。Found:C、62.25;H、5.10;N、8.69。
6.19. (S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の調製
【0075】
【化14】

【0076】
500ml容丸底フラスコに、化合物9(20.00g、31.32ミリモル)及びTHF(100ml)を添加した。撹拌して固体を溶解し、6N塩酸(100ml)をゆっくりと添加した。その後混合物を室温で14時間撹拌した。反応物を水(100ml)で希釈し、THFの大部分を減圧下で除去した。その後得られた水溶液を、メカニカルスターラー、pHメーター、熱調節器及び添加漏斗を備えた500ml容三口丸底フラスコに移した。60℃で、水酸化ナトリウムの50%水溶液をpH=4までゆっくりと添加し、その後水酸化ナトリウムの1N水溶液をpHが6.5に達するまで添加した。混合物を60℃でさらに30分間撹拌し、固体を濾過により回収し、真空下オーブンで乾燥させ、化合物10(16.30g、収率96%)を淡黄色の固体として得た。LC−MS(ESI):MH=539.1。H NMR(DMSO−d)δ8.01(d,J=8.0Hz,2H)、7.76(d,J=8.0Hz,2H)、7.67(d,J=8.0Hz,2H)、7.38(m,3H)、7.23(m,2H)、6.96(d,J=8.0Hz,1H)、6.81(m,3H)、3.81(s,3H)、3.59(br m,1H)、3.00(br m,1H)。13C NMR(DMSO−d)169.9、168.4、166.1、162.9、159.7、141.5、140.8、140.8、140.0、134.9、130.7、130.0、129.7、128.4、127.2、126.8、124.1(q,J=281Hz)、119.1、113.4、112.3、91.2、71.4(q,J=30Hz)、55.1、55.0、36.5。19F NMR(DMSO−d):δ−74.6(d,J=6.8Hz)。
6.20. (S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸のワンポット調製
【0077】
【化15】

【0078】
メカニカルスターラー、熱調節器を備えた250ml容三口丸底フラスコに、化合物3(8.62g、1.2当量)、化合物8(10.00g、25.46ミリモル)、重硫酸テトラブチルアンモニウム(0.86g、10モル%)及び炭酸セシウム(29.04g、3.5当量)を投入した。ジオキサン(50ml)を添加し、得られた混合物を100℃で18時間加熱した。HPLC分析により、出発物質8の99%の変換が示された。混合物を60℃まで冷却し、水(60ml)を添加した。最上部の有機層をTHF(80ml)で希釈し、塩水(50ml)で洗浄し、500ml容丸底フラスコに移し、80mlの6N塩酸を添加した。混合物を室温で16時間撹拌した。反応混合物のLC−MS分析により、中間体化合物9の完全な消費が示された。反応混合物を500ml容分液漏斗に移した。丸底フラスコを水(2×40ml)で洗浄し、洗浄物も漏斗に移した。混合物を酢酸エチル(2×100ml)で洗浄し、水層を回収し、80mbarの真空下40℃(浴温度)で濃縮し、残存する有機溶媒を全て除去した。その後得られた水溶液を、メカニカルスターラー、pHメーター、熱調節器及び添加漏斗を備えた500ml容三口丸底フラスコに移した。60℃で、水酸化ナトリウムの50%水溶液をpH=4となるまでゆっくりと添加し、その後水酸化ナトリウムの1N水溶液をpHが6.5に達するまで添加した。混合物を60℃でさらに30分間撹拌し、黄色の固体を濾過により回収した。この固体のHPLC分析により、約95%の純度が示された。固体を真空下50℃で終夜乾燥させ、粗生成物の化合物10を黄色の固体として得た(9.48g、全収率69%)。
【0079】
上記の固体(9.48g)を500ml容丸底フラスコに移し、水(95ml)を添加した。混合物を80℃(浴温度)で加熱し、THF(40ml)を添加し、固体を溶解した。その後THFの大部分を真空下80℃で除去した。沈殿物にアセトニトリル(80ml)を添加し、80℃で2時間撹拌し、室温まで冷却し、その後0℃で30分間撹拌した。固体を濾過により回収し、水(2×50ml)で洗浄し、化合物10を淡黄色の固体として得た(8.53g、回収率90%、全収率62%)。HPLC分析により、99%を超える純度が示された。
6.21. (S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸のワンポット調製
メカニカルスターラー、温度調節器と結合した熱電対、及び窒素管を有する冷却器を備えた22L容丸底フラスコに1,4−ジオキサン(4倍容量)を投入し、その後CsCO(2.03kg、3.5当量)、化合物3(603g、1.2当量)及び重硫酸テトラブチルアンモニウム(102.8g、0.147倍重量)を添加した。スラリーを70℃までゆっくりと加熱し、その後1,4−ジオキサン(1.5倍容量)中における化合物8(700.0g、1.782モル、1倍重量)のスラリーを、10分かけて3度に分けて(in three portions)添加した。8を含有するビーカーを1,4−ジオキサン(0.5倍容量)でリンスし、反応器に添加した。反応物は15分間〜30分間の撹拌後一時的に(briefly)高粘度(thick)になったが、バッチ全体は撹拌可能であった。調節器を78℃で終夜加熱し、それから98℃で8時間、その後85℃で終夜加熱した。HPLC分析により、2.1%の8が残存することが示された。反応を78℃で水(6倍容量)を用いて停止し、その後さらに冷却した。42℃で、バッチを分液漏斗に移し、2つの相を分離した。その後有機相をTHF(8倍容量)で希釈し、塩水(5倍容量)で洗浄した。相を分離し、有機相を塩水(5倍容量)で洗浄した。相を分離し、有機相(9.5L)を22L容反応器に移した。6N HCl(11.4倍容量)の溶液を添加し、バッチを40℃〜45℃で2時間加熱した。HPLC分析により反応が完了していることが示され、Darco G−60(0.33倍重量)及び水(2倍容量)を添加した。バッチを40℃で週末の間中撹拌し、その後60℃まで加熱した。反応混合物をPTFEクロスにより60℃で濾過し、反応器を水(6倍容量)でリンスした。リンスした混合物を60℃まで加熱し、Darcoパッドを通して洗浄した。濾過物をその後0.3μmのインラインフィルタを通過させ、IPAcで2回(10倍容量、8.8倍容量)洗浄した。その後水相を、混合物が濁るまで(2時間〜3時間)、20L回転蒸発器を使用して減圧下45℃で濃縮した。回収した蒸留物の体積は約3.3Lであった。バッチをその後22L容反応器に戻し、40℃で終夜保持した。
【0080】
バッチを60℃まで加熱すると、バッチは濁った状態から透明な状態に変わった。別の22L容反応器に、水(1.6倍容量)及び85%リン酸(0.24倍容量)を投入し、50%NaOH溶液(約0.3倍容量)を使用してpHを6.5に調整した。その後酸性生成物溶液を、pH6.5に緩衝した溶液を含有する反応器に蠕動ポンプにより移し、50%NaOH(約3.5倍容量)の添加によりpHを6〜7の範囲内に維持した。反応器の温度を55℃〜65℃に維持した(添加時間2時間)。添加が完了すると、スラリーを60℃〜65℃で90分間加熱し、濾過し、水(2×6.7倍容量)で洗浄した。ウェットケーキを55℃で39時間真空オーブン中で乾燥させ、635gの粗化合物10を黄色の固体として得た(収率66%)。生成物の純度は93.2%(AUC)であった。
6.22. (S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の精製
メカニカルスターラー、温度調節器と結合した熱電対、及び窒素管を有する冷却器を備えた22L容丸底フラスコに、粗化合物10(630g)を投入し、その後THF(5倍容量)を添加した。スラリーを65℃まで加熱した。30分後、5N〜6NのHClのIPA溶液(0.47L、0.746倍容量)を添加し、固体をゆっくりと溶解した。橙色の溶液を65℃で30分間加熱した。温度を60℃〜70℃に維持しながら、IPA(10倍容量)をゆっくりと添加した。添加が完了すると、混合物を20分間撹拌し、その後温度を60℃〜70℃に維持しながらIPAc(10倍容量)をゆっくりと添加した。添加が完了すると、高粘度のスラリーを65℃で1時間撹拌し、その後4.5時間かけて27℃まで冷却した。固体を濾過し、IPA(2×3倍容量)で洗浄した。生成物を真空オーブン中で55℃で15時間乾燥させ、95.0%(AUC)の純度を有する10の二塩酸塩630gを得た(収率88%)。
【0081】
メカニカルスターラー、温度調節器と結合した熱電対、及びpHメーターと結合したpHプローブを備えた12L容丸底フラスコに、10の二塩酸塩(620g、1倍重量)を、その後1M NaOHの水溶液(10倍容量)を投入した。混合物を40℃まで加熱し、全ての固体が溶解するまで(2時間)撹拌し、その後10L容カーボイに移した。12L容丸底フラスコを水で洗浄し、その後85%リン酸(124ml、0.2倍容量)及び水(1.3倍容量)を反応器に投入した。50%NaOH(0.24倍容量)を使用してpHを6.5に調整し、その後65℃まで加熱した。蠕動ポンプにより、カーボイ中の生成物溶液をpHを緩衝した溶液に移し、6M HCl(0.67L)の水溶液の添加によりpHを6〜7に維持した。添加が完了すると、スラリーを65℃で3時間加熱し、固体を濾過した。ケーキを水(3×5倍容量)で洗浄し、その後真空オーブン中で55℃で41時間乾燥させ、97.7%(AUC)の純度を有する473gの10を明るい黄色の固体として得た(収率87%)。
6.23. 結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩無水物の調製
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート遊離塩基(分析値(assay)11.8g、22.0ミリモル)を、THF(35ml)及び水(2.8ml)中におけるTsOH・HO(4.60g、24.0ミリモル)の溶液に40℃で添加する。アセトニトリル(35ml)を添加し、スラリーを得るまで混合物を寝かせる(aged)。さらにアセトニトリル(105ml)を、ゆっくりと1時間かけて添加する。混合物を40℃で2時間寝かせ、その後3時間かけてゆっくりと20℃まで冷却する。20℃で5時間寝かせた後、混合物を濾過し、ACN/THF/HO(50/10/1ml)で洗浄する。濾過ケーキを、真空オーブン中で緩やかな窒素スイープで40℃で乾燥させ、表題の化合物を得る。
6.24. 結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩一水和物の調製
500ml容三口丸底フラスコに、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸(双生イオン、10g、18.6ミリモル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(3.94g、20.4ミリモル)、CHCN(50ml、5×)及び水(10ml、1×)を室温で投入した。懸濁物を、穏やかな還流で75℃まで加熱した。その後AcOH(20ml、2×)を添加し、透明な黄色の溶液(最初の10mlのAcOHにより懸濁物は既に透明であった)を得た。この透明な溶液に、CHCN(60ml、6×)を添加し、この時点での添加(seeding)により濁った溶液を得たが、その後さらにCHCN(40ml、4×)を添加した。得られたスラリーを80℃で40分間撹拌し、その後撹拌しながら室温まで冷却し、さらに終夜撹拌し、濾過し、CHCN/水(15/1、40ml、4×)で洗浄した。淡黄色のウェットケーキを真空下40℃で終夜乾燥させ、オフホワイト色の固体を得た(9.3g、回収率68.6%、リリースされた40分の(released 40 minutes)方法により純度98.8%、KF=0.93%)。紙で覆って4日間実験台上に静置する(standing)と、KFは3.262%まで上昇し、重量は9.61g(71%)まで上昇した。
6.25. 結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩二水和物の調製
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート(120.0g、88重量%、実際量(active)105.6g、196ミリモル)を、THF(240ml)及び水(48ml)の混合物中におけるTsOH・HO(39.8g、209ミリモル)の溶液に添加した。混合物を50℃まで加熱し、均一な溶液を得た。約120mlのACN/水(1200/60ml)の混合物を添加し、混合物に掲題の化合物(0.63g)を添加した(seeded)。40℃で1時間寝かせた後、良好な(nice)スラリーを得た。残存するACN/水混合物を40℃で3時間かけてゆっくりと添加し、スラリーを40℃で2時間寝かせ、その後20℃までゆっくりと冷却し、終夜寝かせた。固体を濾過により回収し、濾過ケーキを、約5体積%の水を有する5/1 ACN/THF(500ml)で洗浄した。終夜室温での空気乾燥により、138.5gの生成物を白色の固体として得た(99.5A%、純度に関して補正した収率93.4%)。母液及び洗浄物の減少は、6.5%であった。固体のKFは4.4%であった。
6.26. 結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートマレイン酸塩の調製
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエート(13.3mg)のメタノール溶液(1ml)に、マレイン酸(3.2mg)を添加した。混合物を加熱して穏やかに還流し、その後室温まで冷却し、表題の化合物を得た。
【0082】
上で言及した全ての文献(例えば、特許及び特許出願)はその全体が、参照により本明細書中に援用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸又はその塩である、結晶化合物。
【請求項2】
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩である、結晶化合物。
【請求項3】
無水物である、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項4】
約241℃の融点を有する、請求項3に記載の結晶化合物。
【請求項5】
約3.5度、7.0度、8.6度、10.9度、13.5度、14.0度、15.1度、17.3度及び/又は20.5度(2θ)の1つ又は複数のピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項3に記載の結晶化合物。
【請求項6】
図1に示す粉末X線回折パターンと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する、請求項3に記載の化合物。
【請求項7】
水和物である、請求項2に記載の結晶化合物。
【請求項8】
一水和物である、請求項7に記載の結晶化合物。
【請求項9】
約221℃の融点を有する、請求項8に記載の結晶化合物。
【請求項10】
約3.6度、8.2度、8.7度、13.1度、14.5度、17.5度、18.0度、19.9度及び/又は21.4度(2θ)の1つ又は複数のピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項11】
図2に示す粉末X線回折パターンと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項12】
図3に示すラマンスペクトルと実質的に同じラマンスペクトルを有する、請求項8に記載の化合物。
【請求項13】
二水和物である、請求項7に記載の結晶化合物。
【請求項14】
約238℃の融点を有する、請求項13に記載の結晶化合物。
【請求項15】
約8.6度、9.0度、17.2度、17.8度、18.6度、21.6度、25.2度及び/又は26.9度(2θ)の1つ又は複数のピークを含む粉末X線回折パターンを有する、請求項13に記載の結晶化合物。
【請求項16】
図4に示す粉末X線回折パターンと実質的に同じ粉末X線回折パターンを有する、請求項13に記載の化合物。
【請求項17】
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートマレイン酸塩である、結晶化合物。
【請求項18】
請求項1に記載の結晶化合物を含む、薬学的剤形。
【請求項19】
前記結晶化合物が(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートトシル酸塩である、請求項18に記載の薬学的剤形。
【請求項20】
前記結晶化合物が(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパノエートマレイン酸塩である、請求項18に記載の薬学的剤形。
【請求項21】
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の結晶塩を調製する方法であって、
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸及び薬学的に許容される酸を含む溶液を加熱して(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の塩を提供すること、
(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸の結晶塩を提供するのに十分な条件下で前記溶液中の前記塩の溶解度を低減すること、及び
前記結晶塩を単離すること、
を含む、方法。
【請求項22】
前記溶液がTHF及び水を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記薬学的に許容される酸がp−トルエンスルホン酸又はマレイン酸である、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記塩の溶解度を、貧溶媒を添加し、前記溶液を冷却することにより低減する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記貧溶媒がアセトニトリルである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸トシル酸塩を調製する方法であって、
水、(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸及びp−トルエンスルホン酸一水和物を含む溶液を加熱すること、
貧溶媒を前記溶液に添加して混合物を提供すること、
前記混合物を冷却すること、並びに
結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸トシル酸塩を、前記混合物から単離すること、
を含む、方法。
【請求項27】
前記貧溶媒がアセトニトリルである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
末梢セロトニンにより媒介される疾患又は障害を治療、予防又は管理する方法であって、結晶性の(S)−2−アミノ−3−(4−(2−アミノ−6−((R)−2,2,2−トリフルオロ−1−(3’−メトキシビフェニル−4−イル)エトキシ)ピリミジン−4−イル)フェニル)プロパン酸又はその塩の治療的有効量又は予防的有効量をこのような治療、予防又は管理が必要な患者に投与することを含む、方法。
【請求項29】
前記疾患又は障害がカルチノイド症候群である、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記疾患又は障害が胃腸の疾患又は障害である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記疾患又は障害が過敏性腸症候群である、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−540665(P2010−540665A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528220(P2010−528220)
【出願日】平成20年10月7日(2008.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2008/079042
【国際公開番号】WO2009/048864
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(508192566)レクシコン ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (38)
【Fターム(参考)】