説明

1個の局側装置と複数の加入者装置で構成される符号分割多重通信を行うネットワークにおける同期方法及びネットワーク

【課題】新規ONUの同期調整用の信号が、既存ONUのデータ通信用の信号と同期していない状態で重なってしまい、正常な通信ができなくなるのを防ぐ。
【解決手段】同期調整区間10において、複数の加入者装置の各々の送信位相を変化させることにより、局側装置と複数の加入者装置との間で同期調整を行う同期調整過程と、ユーザデータ区間20において、局側装置と複数の加入者装置との間で、ユーザデータを送受信するユーザデータ送受信過程とを備えている。ここで、同期調整区間及びユーザデータ区間は、順次に繰り返し設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、1個の局側装置と複数の加入者装置で構成される符号分割多重通信を行うネットワークにおける同期方法及びネットワークに関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11を参照して、32チャネルの10/100BASE−TXの信号を符号分割多重(CDM)により多重する光通信ネットワークについて説明する(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
光通信ネットワーク1100は、波長分割多重(WDM)技術と、符号分割多重(CDM)技術を組み合わせた、受動型光加入者ネットワーク(PON)、すなわちWDM−CDM−PONシステムである。基幹ネットワークに近い中央局1110に局側装置(OLT)1200が配置され、加入者側にユーザ端末装置(ONU)1300が配置されている。ONU1300側には波長フィルタ1120が設けられ、中央局1110と波長フィルタ1120の間が1本の光ファイバ1130で接続されている。中央局1110からONU1300に向けて送られたWDM−CDM信号は、波長フィルタ1120で波長ごとに分岐され、それぞれ光カプラ1400に送られる。
【0004】
光カプラ1400には、複数のONU1300が接続されている。この1つの光カプラ1400に接続されているONU群と、1つのOLT1200とで1つのグループが構成される。
【0005】
この1つのグループ内の通信は、CDM技術を用いて、ONU1300からOLT1200に向かう上り通信、及びOLT1200からONU1300に向かう下り通信とで同一の波長を使用する。一方、各グループには、それぞれ異なる波長が割り当てられていて、波長フィルタ1120と、中央局1110内に設けられた局内フィルタ1122とで波長分離あるいは波長多重が行われる。
【0006】
OLT1200はインタフェース1210を備えており、基幹ネットワークとの間でパケットの送受信、フレームの生成及びパケットの抽出などを行う。各エンコーダ1232−1〜32には、32種類の符号が割り当てられている。エンコーダ1232−1〜32は、上り方向のフレームを変換して符号拡散信号を生成する。符号拡散信号は、加算多重器1240で加算されることにより、符号分割多重(CDM)信号が生成される。このCDM信号は光モジュール1250でCDM光信号に変換されて、ONU1300に対して送信される。各OLT1200で生成されたCDM光信号は、局内フィルタ1122で波長多重されてWDM−CDM信号としてONU1300に向けて送られる。
【0007】
WDM−CDM信号は波長フィルタ1120で波長分離されて、分離された各CDM光信号が光カプラ1400に送られる。CDM光信号は、光カプラ1400で32分岐された後、各ONU1300に送られる。
【0008】
各ONU1300では、光モジュール1350によりCDM光信号がCDM電気信号に変換された後、CCDマッチドフィルタ1384及びコンパレータ1386を備えるデコーダ1382に送られる。
【0009】
CCDマッチドフィルタ1384は、デコーダ1382に割り当てられた符号をCDM電気信号に対して畳み込み演算する。コンパレータ1386は、CCDマッチドフィルタ1384での畳み込み演算の結果から下り方向のフレームを再生する。その後、インタフェース1310を経てフレームから抽出されたパケットはユーザ端末に送られる。
【0010】
一方、ユーザ端末からの信号は、ONU1300のインタフェース1310で受信され、エンコーダ1332で符号化された後、光モジュール1350で光信号に変換される。この光信号が、光カプラ1400で多重されCDM光信号となり、さらに波長フィルタ1120で波長多重されてWDM−CDM信号として、中央局1110に送られる。このWDM−CDM信号は、局内フィルタ1122でCDM光信号に波長分離された後、OLT1200に送られる。
【0011】
OLT1200では、光モジュール1250でCDM光信号をCDM電気信号に変換し、この電気信号を分配器1270で分配して、各デコーダ1282−1〜32に送る。デコーダ1282−1〜32は、ONU1300が備えるデコーダ1382と同様にそれぞれCCDマッチドフィルタとコンパレータで構成され、電気信号から上りフレームを再生する。この上りパケットは、インタフェース1210を経て、基幹ネットワークへ送信される。
【非特許文献1】G.C.Gupta et al.,“Hybrid WDM−CDM−PON for Ultra Long Reach Access Network”,European Conference on Optical Communication ECOC We3,147項,2006年9月
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上術の構成の光ネットワークにおいては、下り方向のCDM信号は、OLT1200で一括生成されるので、送信クロック及び変調クロックの位相が揃っている。ここで、送信クロックは、チップ数kの符号で符号拡散する場合のチップの周期Tchipを定める。また、変調クロックはデータの周期Tdata(=Tchip×k)を定める。
【0013】
しかしながら、上り方向の通信の場合は、各ONU1300の光カプラ1400からの距離の違いによって、各チャネル間の送信クロック及び変調クロックが同期していない状態、すなわち位相が揃っていない状態で、光カプラ1400において多重され、その結果、OLT側で上りフレームが再生できない恐れがある。そこで、上り方向の送信クロックの位相を揃える必要がある。
【0014】
送信クロックの同期は、通常OLTから各ONUへの指示による位相シフトで行うが、各ONUは、カプラからの距離の差を認識できない。
【0015】
そのため、ONUを増設する場合など、新規ONUの同期調整用の信号が、既存ONUのデータ通信用の信号と同期していない状態で重なってしまい、正常な通信ができなくなる恐れがある。
【0016】
そこで、この出願に係る発明者が鋭意研究を行ったところ、送信する信号に同期調整区間とユーザデータ区間を設け、データ通信用のフレームはユーザデータ区間にのみ配置し、同期調整は、同期調整区間のみで行い、さらに同期が取れていない加入者装置については、ユーザデータ区間での送信を停止することで、既存のONUでのデータ通信を妨害することなく、新規ONUの同期調整が可能になることを見出した。
【0017】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、1個の局側装置と複数の加入者装置で構成される、符号分割多重通信を行うネットワークにおいて、既存のONUとOLTの間のデータ通信を妨害することなく、新規ONUの同期調整を可能にする、同期方法及びネットワークを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上述した目的を達成するために、この発明の第1の要旨によれば、1個の局側装置と複数の加入者装置で構成される、符号分割多重通信を行うネットワークにおける同期方法が提供される。
【0019】
この同期方法は、同期調整区間において、複数の加入者装置の各々の送信位相を変化させることにより、局側装置と複数の加入者装置との間で同期調整を行う同期調整過程と、ユーザデータ区間において、局側装置と、当該局側装置と同期している複数の加入者装置との間で、ユーザデータを送受信するユーザデータ送受信過程とを備えている。ここで、同期調整区間及びユーザデータ区間は、順次に繰り返し設けられる。
【0020】
上述した同期方法の実施に当たり、同期調整過程では、複数の加入者装置のうち、1つの加入者装置について同期調整を行い、同期調整区間及びユーザデータ区間の繰り返し毎に、同期調整を行う対象の加入者装置を切り替えるのが良い。
【0021】
また、この発明の同期方法の好適な実施形態によれば、ネットワークに新たに接続された新規加入者装置を非運用状態としておき、同期調整過程は、さらに同期調整開始指示過程と、待機状態移行過程と、送信位相同期過程と、送信可否通知過程と、状態移行過程とを備えるのが良い。
【0022】
同期調整開始指示過程では局側装置が、同期調整を行う対象の加入者装置である新規加入者装置に対して、同期調整開始を指示する。待機状態移行過程では、新規加入者装置が、同期調整開始指示に応答して待機通知を含む上り信号を局側装置に送信するとともに、非運用状態から待機状態へ移行する。
【0023】
送信位相同期過程では、局側装置が、待機通知を含む上り信号の受信に応答して、新規加入者装置が待機状態であることを認識するとともに、新規加入者装置に対して送信位相を変化させる同期調整指示を送る。一方、新規加入者装置は、同期調整指示に応答して送信位相を変化させた後、待機通知を含む上り信号を送信して、局側装置と新規加入者装置を同期させる。
【0024】
送信可否通知過程では、局側装置は、局側装置と新規加入者装置が同期している場合は、送信可否通知として送信可を示す信号を新規加入者装置に送信する。状態移行過程では、新規加入者装置が、送信可を示す送信可否通知の受信に応答して、運用状態に移行する。
【0025】
また、この発明の同期方法の好適な実施形態によれば、新規加入者装置は、自己のチャネル番号を保持している。
【0026】
同期調整開始指示過程において、新規加入者装置は、同期調整開始の指示に含まれる加入者装置のチャネル番号が、自己のチャネル番号と等しいか否かを判定し、異なっている場合は、自己を非運用状態へ移行して同期調整過程を終了する。
【0027】
また、この発明の同期方法の他の好適な実施形態によれば、局側装置は、各加入者装置に対して、加入者チャネル番号と、運用状態、非運用状態又は待機状態を示す加入者状態情報を保持しており、及び、新規加入者装置は、自己のチャネル番号と運用状態、非運用状態又は待機状態を示す自己状態情報を保持している。
【0028】
同期調整開始指示過程において、新規加入者装置は、同期調整開始の指示に含まれる加入者装置のチャネル番号が、自己のチャネル番号と等しいか否かを判定し、異なっている場合は、自己を非運用状態として同期調整過程を終了する。
【0029】
一方、加入者チャネル番号と自己チャネル番号とが等しい場合は、さらに同期調整開始の指示に含まれる加入者状態情報と、自己状態情報について判定を行う。その結果、加入者情報が運用状態を示し、自己状態情報が非運用状態を示す場合は、端末重複を表示した後、同期調整過程を終了する。
【0030】
また、上述の同期方法の実施に当たり、同期調整過程では、1つの加入者装置は、同期調整区間の開始から一定区間、及び同期調整区間の終了までの一定区間の間、局側装置への送信を停止するのが良い。
【0031】
また、この発明の第2の要旨によれば、1つの局側装置が、複数の加入者装置に接続されて構成される、局側装置と加入者装置との間で符号分割多重通信を行うネットワークが提供される。
【0032】
局側装置は、局側情報挿入部と、局側情報抽出部と、局側制御部とを備えて構成される。
【0033】
局側情報挿入部は、同期調整区間とユーザデータ区間を設定し、同期調整区間に、加入者チャネル番号、運用状態、非運用状態又は待機状態を示す加入者状態情報、送信遅延量及び送信可否情報のいずれか1つ又は2以上の情報を含む局側加入者情報を挿入し、及び、前記ユーザデータ区間に、フレームを配置して下り送信信号を生成する。
【0034】
局側情報抽出部は、当該局側装置内で復調された受信信号から、同期調整区間に含まれる加入者側加入者情報を抽出するとともに、ユーザデータ区間に含まれるフレームを抽出する。
【0035】
局側制御部は、ネットワークに含まれる全ての加入者装置についての、加入者情報を読み出し及び書換え自在に保存していて、局側情報抽出部で抽出された加入者側加入者情報に基づいて、加入者情報を更新し、または、当該加入者情報を読み出して、局側情報挿入部へ局側加入者情報として送る。
【0036】
また、複数の加入者装置は、それぞれ、加入者側情報挿入部と、加入者側情報抽出部と、加入者側制御部とを備えて構成される。
【0037】
加入者側情報挿入部は、同期調整区間とユーザデータ区間を設定し、同期調整区間に、運用状態、非運用状態又は待機状態を示す加入者状態情報を含む加入者側加入者情報を挿入し、及び、ユーザデータ区間に、フレームを配置して上り送信信号を生成する。
【0038】
加入者側情報抽出部は、当該加入者装置内で復調された下り受信信号から、同期調整区間に含まれる局側加入者情報を抽出するとともに、ユーザデータ区間に含まれるフレームを抽出する。
【0039】
加入者側制御部は、局側加入者情報に基づいて、自己のチャネル番号及び加入者チャネル番号の比較と、自己状態情報及び加入者状態情報の判定とを行い、比較と判定の結果に基づき、自己の状態を運用状態、非運用状態又は待機状態に切り替える。
【発明の効果】
【0040】
この発明の同期方法及びネットワークによれば、送信する信号に同期調整区間とユーザデータ区間を設け、同期調整を同期調整区間で行い、データ通信用のフレームをユーザデータ区間にのみ配置している。ユーザデータ区間では局側装置と同期している加入者装置のみが送信を行うことにより、すなわち、局側装置と同期していない加入者装置については、ユーザデータ区間での送信を停止することで、既存の加入者装置と局側装置との間の通信を妨害することなく、新規加入者装置の同期調整が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0042】
(ネットワーク構成)
図1を参照して、本発明の実施形態の同期方法が実施されるネットワークの構成について説明する。図1は、ネットワークの構成例として、光通信ネットワークを示す概略図である。この構成例の光通信ネットワーク100は、1個の局側装置(OLT:Optical Line Terminal)200と、複数の加入者装置として、第1から第nまでn個(nは、2以上の整数)のユーザ端末装置(ONU:Optical Network Unit)300−1〜nを備えて構成されている。
【0043】
OLT200は、光カプラ400で分岐された光ファイバ410を介して、第1〜nのONU300−1〜nに接続されている。OLT200は、インターネットなどの基幹ネットワーク(図示を省略する。)に接続されている。また、各ONU300は、パーソナルコンピュータなどの通信端末(図示を省略する。)に接続されている。
【0044】
OLT200と各ONU300−1〜nとの間では、OLT200からONU300−1〜nへ向かう下り方向の通信と、ONU300−1〜nからOLT200へ向かう上り方向の通信とが行われる。その結果、基幹ネットワークと各通信端末との間で、パケットの送受信が行われる。ここでは、例えばファーストイーサネット(登録商標)規格のパケットとして、100BASE−TXのパケットが送受信される例について説明する。
【0045】
先ず、下り方向の通信の概略を説明する。
【0046】
OLT200は、基幹ネットワークから、第1〜nのONU300−1〜nに対応して、チャネル(CH)1〜CHnの100BASE−TXの下りパケット(図中、矢印500−1〜nで示す。)を受信する。
【0047】
OLT200は、受信したCH1〜CHnの下りパケット500−1〜nを符号分割多重(CDM:Code Division Multiplex)技術を用いてCDM信号を生成した後、電気信号であるCDM信号を、下り多値光信号(図中、矢印530で示す。)に変換する。
【0048】
OLT200で生成された下り多値光信号530は、光カプラ400で第1〜nの分岐多値光信号(図中、矢印532−1〜nで示す。)に分岐されて、各ONU300−1〜nに送られる。
【0049】
各ONU300−1〜nは、受信した分岐多値光信号532−1〜nを復調して、自分宛の下りパケットを抽出する。抽出された下りパケット(図中、矢印550−1〜nで示す。)は、それぞれ各ONU300−1〜nから通信端末に送られる。
【0050】
次に、上り方向の通信の概略を説明する。
【0051】
各ONU300−1〜nは、それぞれ通信端末からCH1〜CHnの上りパケット(図中、矢印552−1〜nで示す。)を受信する。各ONU300−1〜nは、受信した上りパケット552−1〜nを符号拡散信号に変調した後、上り光信号(図中、矢印570−1〜nで示す。)に変換する。
【0052】
各ONU300−1〜nで生成された上り光信号570−1〜nが光カプラ400で、合波されて、上り多値光信号(図中、矢印572で示す。)が生成される。この上り多値光信号572は、OLT200に送られる。
【0053】
OLT200は、上り多値光信号572から、第1〜nのONU300−1〜nに含まれる上りパケット(図中、矢印590−1〜nで示す。)を抽出して、基幹ネットワークへ送信する。
【0054】
この場合、基幹ネットワークからOLT200に入力されたCH1の下りパケット500−1と、第1のONU300−1から通信端末に送られるCH1の下りパケット550−1とは、同じ内容のパケットになる。また、通信端末から第1のONU300−1に入力されたCH1の上りパケット552−1と、OLT200から基幹ネットワークに送られるCH1の上りパケット590−1とは、同じ内容のパケットになる。他のCH2〜CHnの下りパケット及び上りパケットについても同様である。
【0055】
なお、光カプラ400で上り多値光信号572がCDM光信号として生成されるためには、各上り光信号570−1〜nが互いに同期している、すなわち、時間軸上での位置が揃っている必要がある。
【0056】
各上り光信号の同期は、例えばOLT200から各ONU300−1〜nへ位相シフトの指示を送り、指示を受けたONU300−1〜nで位相シフトをすることで行われる。このとき、通常、各ONU300−1〜nは、光カプラ400から各ONU300−1〜nまでの距離の差を認識できない。そのため、ONUを増設する場合など、新規ONUからの上り信号と、既存ONUからの上り信号とが同期しない状態で重なると、OLTと既存のONUの間で正常な通信ができなくなる恐れがある。そこで、正常な通信ができなくなるのを防ぐため、信号を以下説明するように構成する。
【0057】
図2を参照して、OLT200と各ONU300との間で送受信される信号の構成について説明する。図2は、光通信ネットワークで送受信される信号の構成を示す模式図である。
【0058】
この光通信ネットワーク100で送受信される信号は、時間軸上に同期調整区間10及びユーザデータ区間20を繰り返し有している。ここで、ユーザデータ区間20は、基幹ネットワークと端末装置の間で送受信されるパケットを含むフレームが送受信される区間である。また、同期調整区間10は、OLT200と各ONU300−1〜nとを同期させるための信号を送受信する区間である。
【0059】
ここで、同期調整区間10での同期調整の対象となるONU(対象ONU)は、ネットワークを構成する全てのONUであって、各区間について、1つのONUが割り当てられている。対象ONUは、同期調整区間10とユーザデータ区間20の繰り返しごとに、順次に切り替えられる。すなわち、各ONUは、一定期間ごとに、同期調整の対象となり、自己のONU宛の同期調整開始指示を受信する。
【0060】
なお、パケットを含むユーザデータの送受信については、送信信号にユーザデータ区間と同期調整区間が設けられ、同期調整区間でユーザデータの送受信が行われずに、ユーザデータ区間でのみ送受信されることを除けば、従来周知であるのでここでは説明を省略する。
【0061】
図3を参照して、局側装置(OLT)について説明する。図3は、OLTの構成例を示す概略図である。
【0062】
OLT200は、インタフェース部210、フレーマ220、局側情報挿入部225、変調部230、加算多重器240、光モジュール250、分配器270、復調部280、局側情報抽出部285、クロック制御部260及び局側制御部290を備えて構成される。
【0063】
インタフェース部210は、外部との間、ここでは基幹ネットワークとの間でパケットの送受信を行う。具体的には、インタフェース部210は、CH1〜CHnの下りパケット500−1〜nを、基幹ネットワークから受信してフレーマ220へ送る。また、インタフェース部210は、CH1〜CHnの上りパケット590−1〜nを、フレーマ220から受け取って、基幹ネットワークへ送信する。インタフェース部210として、従来周知の任意好適な、PHY(物理層)デバイスを用いることができる。
【0064】
フレーマ220は、インタフェース部210から受け取った下りパケット500−1〜nに、ヘッダを付与して、CDMに適した下りフレーム(図中、矢印504−1〜nで示す。)に変換する。100BASE−TXの規格では、データレートが100Mbps(bit per second)と規定されている。フレーマ220において、下りパケット500−1〜nが変換されて生成される下りフレーム504−1〜nは、データレートが125Mbpsになる。ここで、フレーマ220で付与されるヘッダには、誤り検出用データなどの管理用データが含まれる。フレーマ220で生成された下りフレーム504−1〜nは、局側情報挿入部225に送られる。
【0065】
また、フレーマ220は、各ONUから送られてきて、OLT200内で再生された上りフレーム(図中、矢印586−1〜nで示す。)を、局側情報抽出部285から受け取る。フレーマ220は、上りフレーム586−1〜nからヘッダを除去して、それぞれCH1〜CHnの上りパケット590−1〜nを抽出する。この場合、フレーマ220で、データレートが125Mbpsの上りフレームから、100Mbpsの上りパケット590−1〜nが抽出される。
【0066】
ここで、フレーマ220は、局側制御部290からの指示に基づいて、下りフレームに付与するヘッダを生成し、また、上りフレームに含まれているヘッダの情報を局側制御部290に送る。
【0067】
フレーマ220としては、任意好適な従来周知のMAC(メディアアクセス制御)デバイスを用いることができる。
【0068】
局側情報挿入部225は、フレーマ220から受け取った下りフレーム504−1〜nに、局側制御部290から受け取った局側の加入者情報を付加して、下り送信信号(図中、矢印506−1〜nで示す。)を生成する。下り送信信号は、時間軸上に同期調整区間及びユーザデータ区間を繰り返し有している。下りフレームは、ユーザデータ区間に配置される。また、局側加入者情報は、同期調整区間に挿入される。なお、加入者情報については、後述する。
【0069】
変調部230は、CH1〜CHnに対応して第1〜nのエンコーダ232−1〜nを備えて構成される。
【0070】
第1〜nのエンコーダ232−1〜nは、局側情報挿入部225で生成された下り送信信号506−1〜nを、チャネルごとに予め設定されている符号を用いた符号拡散を行って、符号拡散信号(図中、矢印508−1〜nで示す。)を生成する。ここでは、下りフレームの1ビットが16チップに拡散される。データレートが125Mbpsである下りフレームが16チップに拡散されると、チップレートが2G(=125M×16)cps(chip per second)の符号拡散信号になる。例えば、1ビットが示すデータが“1”のとき、符号拡散信号は、“10100…01”となり、一方、データが“0”のとき、符号拡散信号は、“01011…10”となる。
【0071】
加算多重器240は、変調部230の各エンコーダ232−1〜nで生成されたnチャネルの符号拡散信号508−1〜nを多重する。このとき、“0”と“1”の2値信号である符号拡散信号508−1〜nがチップごとに多重されて、下り多値電気信号(図中、矢印512で示す。)が得られる。ここでは、nチャネルの符号拡散信号508−1〜nが多重されるので、下り多値電気信号512は、0〜nのn+1値を取る。
【0072】
各エンコーダ232−1〜n、すなわち変調部230と加算多重器240とは、CDM技術を用いた通信システムで通常用いられるものと同様の構成にすることができる。
【0073】
光モジュール250は、各ONUとの間で符号拡散信号の送受信を行う部分であり、局側符号拡散信号送受信部とも称される。
【0074】
ここでは、光モジュール250は、電気−光(E/O)変換及び光−電気(O/E)変換を行い、従来周知の、例えばレーザダイオード(LD)252と、フォトダイオード(PD)254とを備えて構成される。光モジュール250では、LD252がE/O変換を行い、PD254がO/E変換を行う。
【0075】
光モジュール250では、LD252が下り多値電気信号512を下り多値光信号530に変換した後、各ONU300に向けて送信する。また、PD254は、上り多値光信号572を上り多値電気信号(図中、矢印576で示す。)に変換した後、分配器270へ送る。また、上り多値電気信号576の一部は、クロック制御部260に送られる。
【0076】
分配器270は、上り多値電気信号576をチャネル数に応じて分配する。ここでは、分配器270は、上り多値電気信号576をn分割した第1〜nの上り電気信号(図中、矢印580−1〜nで示す。)を復調部280へ送る。
【0077】
復調部280は、第1〜nのデコーダ282−1〜nを備えて構成される。各デコーダ282−1〜nは、それぞれ第1〜nの上り電気信号580−1〜nを復調する。
【0078】
各デコーダ282−1〜nは、図11を参照して説明した従来周知の構成とすれば良く、例えば、電荷結合素子(CCD:Charge Coupled Device)マッチドフィルタ284と、コンパレータ286を備えて構成される。
【0079】
CCDマッチドフィルタ284は、上り電気信号580−1〜nに対して、チャネルごとに定められた復号用の符号を畳み込み演算する。符号化したときの符号パタンと復号用の符号パタンとが一致しているときに、CCDマッチドフィルタ284は、正方向又は負方向の強い自己相関ピークを出力する。自己相関ピークの方向は、データの“1”又は“0”に対応していて、例えば、データが“1”のときに正方向のピークを出力し、データが“0”のときに負方向のピークを出力する。
【0080】
コンパレータ286は、CCDマッチドフィルタ284の出力を、データレートに対応する周期、すなわち125MHzのタイミングで判定する。コンパレータ286は、例えば、CCDマッチドフィルタ284の出力が、正の場合は“1”を出力し、負の場合は“0”を出力する。この出力はデータの周期Tdataの間ラッチされ、次の変調クロックのタイミングまで維持される。この結果、各チャネルに対応した上り受信信号584−1〜nが再生される。
【0081】
復調部280で復調されて得られた上り受信信号584−1〜nは、局側情報抽出部285に送られる。局側情報抽出部285は、ユーザデータ区間に配置された上りフレーム586−1〜nを抽出してフレーマ220に送り、また、同期調整区間に配置された加入者側の加入者情報を抽出して局側制御部290に送る。
【0082】
加入者情報は、例えば、同期パタン、同期調整区間開始フラグ、加入者チャネル番号、加入者状態情報、送信遅延量及び送信可否情報のいずれか1つ又は2以上を含んでいる。
【0083】
同期パタンは、OLTと各ONUとが同期しているか否かを判定するために用いられるパタンである。同期調整区間開始フラグは、同期調整区間の開始を示すフラグである。加入者チャネル番号は、同期調整の対象となるONU(以下、対象ONUと称することもある。)のチャネル番号である。加入者状態情報は、対象ONUが、運用状態、非運用状態及び待機状態のいずれであるかを示す。送信遅延量は、対象ONUに対する位相シフトの大きさを示す。
【0084】
OLTでは、局側制御部290が、加入者情報を読み出し及び書換え自在に保持している。局側制御部290は、読み出した加入者情報を、局側加入者情報として局側情報挿入部225に送る。また、局側制御部290は、局側情報抽出部285で抽出された加入者側加入者情報を受け取り、当該加入者側加入者情報に応じて、格納している加入者情報を更新する。
【0085】
クロック制御部260は、125MHz発振器262、2GHz発振器264、クロック抽出回路266及びクロック比較回路268を備えて構成される。
【0086】
125MHz発振器262で生成された125MHzのクロックは、下り変調クロック及び上り復調クロックとして、それぞれフレーマ220及び復調部280に送られる。また、2GHz発振器で生成された2GHzのクロックは、下り送信クロック及び上り受信クロックとして、変調部230、加算多重器240及び光モジュール250に送られる。クロック抽出回路266は、光モジュール250で生成された上り多値電気信号576を用いて、上り送信クロックを抽出する。
【0087】
クロック比較回路268は、2GHz発振器264で生成された上り受信クロックの周波数と、クロック抽出回路266で抽出された上り送信クロックの周波数とを比較する。この比較の結果は、局側制御部290に送られる。
【0088】
125MHz発振器262及び2GHz発振器264は、任意好適な従来周知の発振器を用いることができる。なお、125MHz発振器262については、2GHz発振器264で生成される下り送信クロックを16分の1に分周する、従来周知の分周器で構成されていても良い。クロック比較回路268は、上り受信クロックと上り送信クロックの2つのクロックの周波数を比較し、周波数差に応じて異なる信号を出力する機能を有していれば良く、従来周知の位相比較器などを用いることができる。
【0089】
図4及び図5を参照してクロック抽出回路266について説明する、図4はクロック抽出回路の構成を説明するための概略図である。図5はクロック抽出方法を説明するための模式的なタイムチャートである。図5では横軸に時間軸を取って示し、及び縦軸に信号レベルを任意単位で取って示している。
【0090】
クロック抽出回路266は、多値信号からクロックを抽出する機能を有しており、例えば、信号変換回路2660及びクロックリカバリ回路2666を備えて構成される。
【0091】
クロック抽出回路266には、多値シリアル信号Snとして上り多値電気信号が入力される(図5(A))。
【0092】
信号変換回路2660は、入力された多値シリアル信号Snを、二値シリアル信号Sbに変換する。信号変換回路2660は、多値信号Snの信号値が上昇を開始してから下降を開始するまでの期間に対応してハイレベルを出力し、かつ、多値シリアル信号Snの信号値が下降を開始してから上昇を開始するまでの期間に対応してローレベルを出力する。このために、信号変換回路2660は、遅延回路2662と、ヒステリシス付きコンパレータ2664とを備えている。
【0093】
遅延回路2662は、多値シリアル信号Snを遅延させることにより、遅延信号Sdを生成する。遅延回路2662の遅延時間τは、多値シリアル信号Snの周波数よりも小さい値に設定される。例えば、伝送速度2GHzの伝送データを多値シリアル信号として使用する場合、信号1ビット当たりの伝搬時間は500ピコ秒であり、したがって、遅延時間τは500ピコ秒未満、例えば100ピコ秒に設定される(図5(B))。
【0094】
ヒステリシス付きコンパレータ2664には、+入力端子から多値シリアル信号Snが入力され、かつ、−入力端子から遅延信号Sdが入力される。そして、ヒステリシス付きコンパレータ2664は、両信号値の差Sn−Sdが所定の正値V1(0<V1)よりも大きくなるとハイレベルを出力する。一旦ハイレベルの出力が開始されると、ヒステリシス付きコンパレータ2664は、差Sn−Sdが所定の負値V2(0>V2)よりも小さくなるまで、ハイレベルの出力を維持する。差Sn−Sdが所定の負値V2よりも小さくなると、ヒステリシス付きコンパレータ2664は、ローレベルを出力する。そして、一旦ローレベルの出力が開始されると、ヒステリシス付きコンパレータ2664は、差Sn−Sdが正値V1よりも大きくなるまで、ローレベルの出力を維持する。これにより二値シリアル信号Sbが生成され、信号変換回路2660から出力される(図5(C))。すなわち、V1,V2の設定値によって、ヒステリシスの大きさが定まる。この実施形態では、多値シリアル信号Snが上昇或いは下降を開始してからSn−Sd>V1或いはSn−Sd<V2となるまでの時間が遅延時間τよりも短くなるように、V1,V2が設定される。ヒステリシス付きコンパレータ2664の内部構成については、公知であるため、説明を省略する(例えば、特開平9−18297参照)。
【0095】
クロックリカバリ回路2666は、二値シリアル信号Sbから、クロックCLKを再生する。クロックリカバリ回路2666の構成は、従来のクロックリカバリ回路と同じでよい(例えば、特開2006−261725参照)。すなわち、二値シリアル信号SbからクロックCLKを再生するものであれば、どのような構成のものであっても、この実施形態のクロックリカバリ回路2666として採用することができる。
【0096】
図6を参照して、ONUについて説明する。図6は、ONUの構成例を示す概略図である。
【0097】
ONU300は、インタフェース部310、フレーマ320、加入者側情報挿入部325、エンコーダ332、光モジュール350、デコーダ382、加入者側情報抽出部385、クロック制御部360、加入者側制御部390及び可変信号遅延部345を備えて構成される。
【0098】
ONU300が有するインタフェース部310、フレーマ320、エンコーダ332、及びデコーダ382は、図3を参照して説明したOLT200のインタフェース部210、フレーマ220、エンコーダ232、及びデコーダ282と同様の構成にすることができる。従って、ここでは、説明を省略する。
【0099】
また、クロック制御部360は、クロック抽出回路366、分周器367及びクロック位相調整器369を備えて構成される。クロック抽出回路366は、図4を参照して説明したのと同様の構成にすることができる。クロック抽出回路366は、光モジュール350で生成された下り多値電気信号(図中、矢印536で示す。)から、下り送信クロックを抽出する。この下り送信クロックは、下り受信クロックとしても用いられる。
【0100】
また、分周器367は下り受信クロックを分周して下り復調クロックを生成する。分周器367は、任意好適な従来周知のものを用いることができる。また、クロック位相調整器369は、下り復調クロックの位相を、例えば加入者側制御部390からの指示で調整する機能を有していれば良く、従来周知の可変遅延器を用いることができる。
【0101】
下り多値電気信号は、CCDマッチドフィルタ384及びコンパレータ386を有するデコーダ382で下り受信信号(図中、矢印540で示す。)が再生される。再生された下り受信信号は、加入者側情報抽出部385に送られる。加入者側情報抽出部385は、ユーザデータ区間に配置された下りフレームを抽出してフレーマ320に送り、また、同期調整区間に配置された局側の加入者情報を抽出して、加入者側制御部390に送る。
【0102】
加入者側制御部390は、局側加入者情報に基づいて、自己のチャネル番号及び加入者チャネル番号の比較と、自己状態情報及び加入者状態情報の判定とを行う。加入者側制御部390は、これらの比較と判定の結果に基づき、自己の状態を運用状態、非運用状態又は待機状態に切り替える。
【0103】
フレーマ320で下りフレーム540から下りパケット550が抽出され、インタフェース部310を経て通信端末に送られる。
【0104】
インタフェース部310が受け取った上りパケット552は、フレーマ320で上りフレーム(図中、矢印556で示す。)に変換される。上りフレーム556は、加入者側情報挿入部325に送られる。
【0105】
加入者側情報挿入部325は、OLT200の局側情報挿入部225と同様の構成及び機能を有している。上り送信信号は、下り送信信号と同様に、時間軸上に同期調整区間及びユーザデータ区間を繰り返し有している。加入者側情報挿入部325は、ユーザデータ区間に、上りフレームを配置し、また、同期調整区間に、加入者情報を挿入して、上り送信信号を生成する。
【0106】
上り送信信号は、エンコーダ332で符号拡散信号560に変調される。符号拡散信号560は、可変信号遅延器345にて遅延を受けた(図中、矢印564で示す。)後、光モジュール350に送られる。可変信号遅延器345は、符号拡散信号の遅延量を加入者側制御部390からの指示に応じた大きさだけ遅延させる。なお、ここでは、上り送信信号に遅延を与えて位相調整を行う例を示しているが、クロック制御部360において、上り送信クロック及び上り変調クロックを位相シフトさせることで位相調整を行っても良い。この場合、可変信号遅延器を備えない構成にすることができる。
【0107】
光モジュール350は、可変信号遅延器345で遅延を受けた符号拡散遅延信号(図中、矢印564で示す。)を上り光信号570に変換して、OLTに向けて送る。なお、この光モジュール350は、OLT200の光モジュール250と同様にLD352及びPD354を備えて構成される。ここで、LD352は、加入者側制御部390からの指示に応答して、送信及びその停止を行う。すなわち、ONU300は、ユーザデータ区間では受信のみ行い、OLTへの送信を停止することができる。
【0108】
また、ONU300は、任意好適な表示手段395を備えており、ONU300の状態を表示することができる。
【0109】
OLT200が有する、局側情報挿入部225、局側情報抽出部285及び局側制御部290と、ONU300が有する、加入者側情報挿入部325、加入者側情報抽出部385及び加入者側制御部390は、それぞれ上述した機能を有していれば良く、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを有する集積回路として構成することができる。また、例えば、局側制御部290や加入者側制御部390を、メモリとしてRAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)を有するMPU(Microprocessing Unit)として構成して、メモリに読出し自在に保存されているプログラムを読み出して、当該プログラムを実行することにより、各機能手段を実現する構成にしても良い。
【0110】
(同期方法)
OLT200と複数のONU(既存ONU)で構成された光通信ネットワークに、新たにONUを追加する場合について説明する。
【0111】
既存の各ONUは、いずれもOLTとの間で同期しており、ユーザデータの送受信を行っている状態(以下、運用状態と称する。)であるものとする。OLTから各ONUへの下り送信信号、及び各ONUからOLTでの上り送信信号は、いずれも時間軸上に同期調整区間10及びユーザデータ区間20を繰り返し有している。ここで、ユーザデータ区間20は、基幹ネットワークと端末装置の間でユーザデータを送受信する区間である。また、同期調整区間10は、OLTと各ONUとで、同期させるための信号を送受信する区間である。
【0112】
なお、同期調整区間10での同期調整の対象となるONU(対象ONU)は、ネットワークを構成する全てのONUであって、各区間について、1つのONUが割り当てられている。対象ONUは、同期調整区間10とユーザデータ区間20の繰り返しごとに、順次に切り替えられる。すなわち、各ONUは、一定期間ごとに、同期調整の対象となり、自己のONU宛の同期調整開始指示を受信する。
【0113】
なお、ユーザデータの送受信については、送信信号にユーザデータ区間と同期調整区間が設けられ、ユーザデータ区間でのみ送受信されることを除けば、従来周知であるのでここでは説明を省略する。また、同期調整については、以下、詳細に説明する。
【0114】
図7は、同期方法を説明するためのシーケンス図である。また、図8は、同期調整過程における、新規ONUでの処理フローを示す図である。
【0115】
先ず、新規ONUを、光通信ネットワークを構成する光ファイバ410に接続した後、電源をオン状態にする。この状態では、新規ONUは、電源がオン状態となることにより、OLT200からの下り信号を受信するが、通信端末へのパケットの送信とOLTへの上り信号の送信を行わない状態(以下、非運用状態と称する。)になる。
【0116】
OLT200の局側制御部290は、各ONU300に関するチャネル番号、状態などの情報を加入者情報として保持している。ここでは、既存ONUが運用状態となっており、新規ONUが非運用状態となっている。
【0117】
OLT200では、インタフェース部210が、基幹ネットワークから受け取った下りパケットをフレーマ220に送る。フレーマ220は、各下りパケットにヘッダを付与して、下りフレームを生成する。ここで、下りフレームは、クロック制御部260から受け取った共通の変調クロックを用いて生成されるので、各下りフレームの位相が揃っている。
【0118】
局側情報挿入部225は、フレーマ220から受け取った各下りフレームに基づいて、時間軸上に同期調整区間及びユーザデータ区間を繰り返し有する、下り送信信号を生成する。局側情報挿入部225は、ユーザデータ区間に、下りフレームを配置し、局側情報挿入部225は、局側制御部290から受け取った加入者情報を局側加入者情報として同期調整区間に挿入する。
【0119】
下り送信信号は、それぞれ変調部230で変調された後、加算多重部240で多重される。多重された結果得られた符号分割多重(CDM)信号は、光モジュールで、CDM光信号に変換された後、各ONUに送られる。
【0120】
CDM光信号は、光カプラでn分岐されて、各ONUに送られる。
【0121】
CDM光信号を受信した新規ONU300では、光モジュール350が、下り多値光信号532を下り多値電気信号536に変換する。続いて、下り多値電気信号536を復調するが、下り復調クロックが下り変調クロックと同期していない場合は、正常に復調を行うことができない。そこで、新規ONUでは、下り復調クロックを下り変調クロックと同期させる。
【0122】
この同期は、例えば以下のように行われる。
【0123】
先ず、新規ONU300のクロック抽出回路366は、下り多値電気信号から下り送信クロックを抽出する。この抽出された下り送信クロックは、新規ONU300において、下り受信クロックとして用いられる。
【0124】
続いて、分周器367は、下り受信クロックを分周して下り復調クロックを生成する。この生成された下り復調クロックはデコーダ382に送られる。
【0125】
続いて、デコーダ382が、分周器367で生成された下り復調クロックのタイミングで、下り受信信号540の復調を行う。光モジュールでの変換の結果得られた下り受信信号は、加入者側情報抽出部に送られる。加入者側情報抽出部では、同期調整区間から加入者情報を抽出する。抽出された加入者情報は、加入者側制御部に送られる。
【0126】
新規ONUの加入者側制御部では、加入者情報に、同期パタンが含まれていない場合は、ONUの下り復調クロックがOLTの下り変調クロックと同期していないと判定する。この場合、下り復調クロックを位相シフトさせて、新規ONUの下り復調クロックを、OLTの下り変調クロックと同期させる。例えば、下り受信クロックを分周して下り復調クロックを生成している場合は、位相シフトの大きさを下り受信クロックの周期を単位として設定すればよい。このように設定することにより、最大でもチップ数と同じ回数の位相シフトを行えば、ONUの下り復調クロックとOLTの下り変調クロックとが同期する。
【0127】
ONUの下り復調クロックとOLTの下り変調クロックとが同期した後、新規ONUは、自己のONU宛の同期調整開始指示を受信するのを待つ。
【0128】
新規ONUは、同期調整区間の度に、いずれかのONU宛の同期調整開始指示を含む下り信号を受信する(S10)。新規ONUでは、加入者側制御部390が、加入者側情報抽出部325で下り信号から抽出された加入者情報を受け取って解析する。
【0129】
S20において、加入者側制御部390は、加入者情報に含まれる対象ONUの加入者チャネル番号が、自己チャネル番号と等しいか否かの判定を行う。
【0130】
この過程では、加入者側制御部390は、ONUに設けられた記憶部に読出し自在に格納されている自己チャネル番号を読み出す。この記憶部は、加入者側制御部390をMPUで構成する場合は、ROMやRAMとして構成することができる。また、加入者側制御部390を、FPGAを用いて構成するなど集積回路として構成する場合は、例えば、電気抵抗値を自己チャネル番号に対応付けるなどしても良い。
【0131】
自己チャネル番号と、対象ONUの加入者チャネル番号が異なっている場合(No)は、ONUは、非運用状態のまま、同期調整過程を終了する。すなわち、今回の同期調整区間での同期調整を行わず、次の同期調整区間まで待機する。
【0132】
一方、自己チャネル番号と、加入者チャネル番号が等しい場合(Yes)は、次に、S30において、状態の判定を行う。
【0133】
新規ONUは、電源をオン状態にした時点では、非運用状態である。従って、自己状態情報は、非運用状態を示している。一方、OLTでは、これまで新規ONUの接続を認識していないので、加入者状態情報は、非運用状態を示している。
【0134】
そこで、加入者情報に含まれる加入者状態情報と、自己状態情報がいずれも非運用状態を示している場合(No)は、新規ONUは待機状態に移行して、同期調整信号を送信する(S40)。この待機状態では、新規ONUは、同期調整区間において、同期調整信号の送信を行うが、ユーザデータ区間における、ユーザデータの送信や、新規ONUに接続されている通信端末の間の送受信は行わない。
【0135】
一方、自己状態情報が非運用状態であり、加入者状態情報が運用状態の場合(Yes)は、自己のチャネル番号が、他のONUで使用済み、すなわち、新規ONUが、既存のONUと重複していると判定される。新規ONUと既存のONUが重複している場合、自己のONU宛の信号を、他のONUで復調できてしまったり、重複している複数のONUからOLTへの通信において、データ誤りを発生させ、正常な通信を不可にしてしまったりする。
【0136】
そこで、新規ONUは、自己が備える表示手段を介して、自己が既存のONUと重複している旨の表示を行い、同期調整過程を終了する。
【0137】
OLTは、同期調整信号の受信に応答して、保持している加入者情報を更新して、対象ONUの状態を、非運用状態から、待機状態に切り替える。
【0138】
OLTの上り受信クロック及び上り復調クロックと、対象ONUの上り送信クロック及び上り変調クロックとが同期していない場合がある。上り受信クロックと上り送信クロックが同期していないと、正常にクロック抽出を行うことができない。
【0139】
この場合、OLTは、加入者情報として、位相シフトさせる旨の指示を対象ONUに送る。対象ONUでは、加入者情報に含まれる位相シフトの大きさに応じて、位相シフトを行い、再び、同期調整フレームを送信する。この過程は、正常にクロック抽出が行われるまで、繰り返される。
【0140】
上り送信クロックと上り受信クロックが同期した後、OLTは、同期調整区間に含まれる同期パタンを調べる。上り変調クロックと上り復調クロックとが同期していれば、同期調整区間には、同期パタンが繰り返し含まれる。
【0141】
同期パタンが含まれない場合は、上り変調クロックと上り復調クロックが同期していないと判定される。そこで、OLTは、加入者情報として、位相シフトさせる旨の指示を対象ONUに送る。対象ONUでは、加入者情報に含まれる位相シフトの大きさに応じて、位相シフトを行い、再び、同期調整フレームを送信する。この過程は、正常に同期パタンが確認されるまで、繰り返される。
【0142】
正常に同期パタンが確認された後、すなわち、上り変調クロックと上り復調クロックが同期した後、OLTは、対象ONUの状態を運用状態に切換えて、対象ONUに対して、ユーザデータ送信可通知を送る。
【0143】
ユーザデータ送信可通知を受け取ったONUは、自己の状態を運用状態に切換える。運用状態のONUは、ユーザデータ区間で受信したユーザデータを通信端末に送るとともに、通信端末から受信した上りパケットを、フレームに変換した後、ユーザデータ区間に配置して、OLTに対して送信する。
【0144】
ここで、1つの同期調整区間で同期が確立せず、運用状態に移行できない場合は、待機状態を維持し、次の自己の同期調整区間で同期を行う。
【0145】
この構成によれば、同期調整区間とユーザデータ区間とを分けている。新規に接続されたONUなど、同期していないONUは、同期するまで、ユーザデータ区間での送信を行わない。このため、他のチャネルの通信を妨げることなく、ONUを増設することが可能になる。
【0146】
また、同期調整区間を繰り返し設けているので、経年変化や温度変動によるクロック位相のずれを、定期的に検出し、再調整することができる。
【0147】
さらに、この構成によれば、新規ONUについて、新規ONUに割り当てられているチャネル番号に対して、変調及び復調に用いられる符号が異なっている場合は、新規ONUは、運用状態に移行できない。このとき、新規ONUでは、ONU間の重複を表示するので、オペレータがONU側で重複を判定できる。また、OLTにおいては、新規ONUから同期調整信号を受信しないことにより、接続された新規ONUについての異常を認識できる。
【0148】
この結果、OLTは、端末認証等の制御回路を有する必要がなく、簡単な回路構成及び制御により、端末の正常運用を確認できる。
【0149】
ここで、同期調整区間とユーザデータ区間とを分けた場合であっても、光カプラから各ONUまでの距離の差によっては、既存のONUのユーザデータ区間と、新規ONUの同期調整区間が重なってしまう恐れがある。そこで、同期調整区間とユーザデータ区間と重なった区間にガードタイムを設定して、その間は新規ONUから局側装置へ送信を行わない構成にするのが良い。
【0150】
図9及び10を参照して、既存ONUのユーザデータ区間と新規ONUの同期調整区間が重なってしまう場合のガードタイムについて説明する。ここでは、第1のONU300−1を既存ONUとし、第2のONU300−2を新規ONUとして説明する。
【0151】
図9では、光カプラ400から第1のONU300−1までの距離をX(単位:m)とし、光カプラ400から第2のONU300−2までの距離をY(単位:m)とし、第2のONU300−2が第1のONU300−1よりも光カプラに近い(X>Y)場合を示している。
【0152】
この場合、下り多値信号530は光カプラ400に到達するまで、位相が揃っているが、光カプラ400で分岐された分岐多値光信号532−1及び532−2については、それぞれ第1のONU300−1及び第2のONU300−2に到達する時間が異なる。さらに、第1のONU300−1及び第2のONU300−2でそれぞれ処理された後の、上り光信号570−1及び570−2は、光カプラ400に到達する時間が異なっており、第2のONU300−2からの上り信号570−2の方が、第1のONU300−1からの上り信号570−1よりも早く光カプラ400に到達する。従って、第1のONU300−1からの上り信号570−1のユーザデータ区間の末尾付近と、第2のONU300−2からの上り信号570−2の同期調整区間の先頭付近が重なってしまう。
【0153】
そこで、第2のONU300−2では、同期調整区間の開始から一定区間Tg1の間、上り信号の送信を停止するガードタイム12を設けるのが良い。このガードタイム12の区間Tg1内は、光モジュールの送信を停止して、第2のONU300−2からOLT200への送信は行わない。
【0154】
図10では、光カプラから第1のONU300−1までの距離をX(単位:m)とし、光カプラから第2のONU300−2までの距離をY(単位:m)とし、第2のONU300−2が第1のONU300−1よりも光カプラに遠い(X<Y)場合を示している。
【0155】
この場合、第1のONU300−1及び第2のONU300−2からOLTに向かう上り信号については、光カプラに到達する時間が異なっており、第1のONU300−1からの上り信号の方が、第2のONU300−2からの上り信号よりも早く光カプラに到達する。従って、第1のONU300−1からの上り信号のユーザデータ区間の先頭付近と、第2のONU300−2からの上り信号の同期調整区間の末尾付近が重なってしまう。
【0156】
そこで、第2のONU300−2では、同期調整区間の終了までの一定区間Tg2の間、上り信号の送信を停止するガードタイム14を設けるのが良い。このガードタイム14の区間Tg2内は、光モジュールの送信を停止して、ONUからOLTへの送信は行わない。
【0157】
ガードタイムの長さは、設定に応じて好適な値にすればよい。なお、光カプラから各ONUまでの距離については、各ONUが把握することはできない。そこで、このガードタイムの長さを、予め定めておいて、OLT及びONUの制御部内に読出し自在に格納しておくか、あるいは、OLTから同期調整区間内の信号でONUに送信する構成とすることができる。
【0158】
ガードタイムの長さは、例えば、以下のような方針で定められる。
【0159】
光ファイバ中の光信号の伝送時間は1メートル当たり、5ナノ秒である。光カプラから各ONUまでの距離の差は、最大でも10キロメートル程度である。この場合、光カプラから各ONUを往復する光信号の伝送時間の差は100マイクロ秒である。また、各ONU内で光信号を受信してからOLTに対して送信を行うまでに、復調や情報抽出などの処理を行う時間(装置内処理時間)を要する。そこで、装置内処理時間が1マイクロ秒程度であるときは、伝送時間と装置内処理時間にさらにマージンを確保して、ガードタイムを110マイクロ秒に設定するのが良い。
【0160】
例えば、同期調整区間が1ミリ秒であり、ユーザデータ区間が99ミリ秒である場合、ガードタイムの大きさを、110マイクロ秒に設定すれば、新規ONUの同期調整区間における同期調整が既存ONUのユーザデータ区間で行われることはない。
【0161】
この結果、新規ONUを接続した際に、既存のONUのユーザデータ区間と新規ONUの同期調整区間の一部が重なってしまう場合であっても、既存の通信を妨げずに、同期調整を行うことができる。
【0162】
なお、ここでは、100BASE−TXの規格のパケットを16チップの符号分割多重する例について説明したが、パケットの規格やチップ数は、これに限定されるものではない。また、この実施形態の同期方法は、光通信ネットワークだけでなく、CDM無線通信に適用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】光通信ネットワークの概略図である。
【図2】データの構成を示す模式図である。
【図3】局側装置(OLT)の概略図である。
【図4】クロック抽出回路の概略図である。
【図5】クロック抽出方法を説明するためのタイムチャートである。
【図6】ユーザ端末装置(ONU)の概略図である。
【図7】同期方法を説明するためのシーケンス図である。
【図8】処理フローを示す図である。
【図9】ガードタイムについて説明するための模式図(その1)である。
【図10】ガードタイムについて説明するための模式図(その2)である。
【図11】従来の光通信ネットワークの概略図である。
【符号の説明】
【0164】
100 光通信ネットワーク
200 局側装置(OLT)
210、310 インタフェース部
220、320 フレーマ
225 局側情報挿入部
230 変調部
232、332 エンコーダ
240 加算多重器
250、350 光モジュール
260、360 クロック制御部
262 125MHz発振器
264 2GHz発振器
266、366 クロック抽出回路
268 クロック比較回路
270 分配器
280 復調部
282、382 デコーダ
284、384 CCDマッチドフィルタ
285 局側情報抽出部
286、386 コンパレータ
290 局側制御部
300 ユーザ端末装置(ONU)
325 加入者側情報挿入部
345 可変信号遅延部
367 分周器
369 クロック位相調整器
385 加入者側情報抽出部
390 加入者側制御部
400 光カプラ
410 光ファイバ
2660 信号変換回路
2662 遅延回路
2664 ヒステリシス付きコンパレータ
2666 クロックリカバリ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1個の局側装置と複数の加入者装置で構成される、符号分割多重通信を行うネットワークにおける同期方法であって、
同期調整区間において、前記複数の加入者装置の各々の送信位相を変化させることにより、前記局側装置と前記複数の加入者装置との間で同期調整を行う同期調整過程と、
ユーザデータ区間において、前記局側装置と、該局側装置と同期している前記複数の加入者装置との間で、ユーザデータを送受信するユーザデータ送受信過程と
を備え、
前記同期調整区間及び前記ユーザデータ区間が順次に繰り返し設けられる
ことを特徴とする同期方法。
【請求項2】
前記同期調整過程では、前記複数の加入者装置のうち、1つの加入者装置について同期調整を行い、
前記同期調整区間及び前記ユーザデータ区間の繰り返し毎に、同期調整を行う対象の加入者装置を切り替える
ことを特徴とする請求項1に記載の同期方法。
【請求項3】
前記ネットワークに新たに接続された新規加入者装置を非運用状態としておき、
前記同期調整過程は、さらに
前記局側装置が、同期調整を行う対象の加入者装置である新規加入者装置に対して、同期調整開始を指示する同期調整開始指示過程と、
前記新規加入者装置が、前記同期調整開始の指示に応答して待機通知を含む上り信号を前記局側装置に送信するとともに、非運用状態から待機状態へ移行する待機状態移行過程と、
前記局側装置が、前記待機通知を含む前記上り信号の受信に応答して、前記新規加入者装置が待機状態であることを認識するとともに、前記新規加入者装置に対して送信位相を変化させる位相調整指示を送り、該新規加入者装置は、前記位相調整指示に応答して送信位相を変化させた後、待機通知を含む上り信号を送信して、前記局側装置と前記新規加入者装置を同期させる送信位相同期過程と、
前記局側装置は、該局側装置と前記新規加入者装置が同期している場合は、送信可否通知として、送信可を示す信号を前記新規加入者装置に送信する送信可否通知過程と、
前記新規加入者装置が、送信可を示す送信可否通知の受信に応答して、運用状態に移行する状態移行過程と
を備えることを特徴とする請求項2に記載の同期方法。
【請求項4】
前記新規加入者装置は、自己のチャネル番号を保持しており、
前記同期調整開始の指示には、同期調整対象の加入者装置のチャネル番号である加入者チャネル番号が含まれており、
前記同期調整開始指示過程において、
前記新規加入者装置は、前記加入者チャネル番号が、前記自己のチャネル番号と等しいか否かを判定し、異なっている場合は、自己を非運用状態として、前記同期調整過程を終了する
ことを特徴とする請求項3に記載の同期方法。
【請求項5】
前記局側装置は、各加入者装置に対して、チャネル番号と、運用状態、非運用状態又は待機状態を示す加入者状態情報を保持しており、
前記加入者装置は、自己のチャネル番号と、運用状態、非運用状態又は待機状態を示す自己状態情報を保持しており、
前記同期調整開始の指示には、同期調整対象の加入者装置のチャネル番号である加入者チャネル番号と、当該加入者装置の加入者状態情報が含まれており、
前記同期調整開始指示過程において、
前記新規加入者装置は、前記加入者チャネル番号が、前記自己のチャネル番号と等しいか否かを判定し、異なっている場合は、自己を非運用状態として、前記同期調整過程を終了し、
前記加入者チャネル番号と前記自己のチャネル番号とが等しい場合は、さらに加入者状態情報と自己状態情報について判定を行い、
前記加入者状態情報が運用状態を示し、前記自己状態情報が非運用状態を示す場合は、端末重複を表示した後、前記同期調整過程を終了する
ことを特徴とする請求項3に記載の同期方法。
【請求項6】
前記同期調整過程では、
前記加入者装置は、前記同期調整区間の開始から一定区間、及び前記同期調整区間の終了までの一定区間の間、前記局側装置への送信を停止する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の同期方法。
【請求項7】
1つの局側装置が、複数の加入者装置に接続されて構成される、符号分割多重通信を行うネットワークであって、
前記局側装置は、
同期調整区間とユーザデータ区間を設定し、前記同期調整区間に、加入者チャネル番号、運用状態、非運用状態又は待機状態を示す加入者状態情報、送信遅延量及び送信可否情報のいずれか1つ又は2以上を含む局側加入者情報を挿入し、及び、前記ユーザデータ区間に、フレームを配置して下り送信信号を生成する局側情報挿入部と、
当該局側装置内で復調された受信信号から、同期調整区間に含まれる加入者側加入者情報を抽出するとともに、ユーザデータ区間に含まれるフレームを抽出する局側情報抽出部と、
前記ネットワークに含まれる全ての加入者装置についての、加入者情報を読み出し及び書換え自在に保存し、前記局側情報抽出部で抽出された前記加入者側加入者情報に基づいて、前記加入者情報を更新し、または、当該加入者情報を読み出して前記局側情報挿入部へ局側加入者情報として送る局側制御部と
を備え、
前記複数の加入者装置は、それぞれ、
同期調整区間とユーザデータ区間を設定し、前記同期調整区間に、運用状態、非運用状態又は待機状態を示す加入者状態情報を含む加入者側加入者情報を挿入し、及び、前記ユーザデータ区間に、フレームを配置して上り送信信号を生成する加入者側情報挿入部と、
当該加入者装置内で復調された受信信号から、同期調整区間に含まれる局側加入者情報を抽出するとともに、ユーザデータ区間に含まれるフレームを抽出する加入者側情報抽出部と、
前記局側加入者情報に基づいて、自己のチャネル番号及び加入者チャネル番号の比較と、自己状態情報及び加入者状態情報の判定とを行い、前記比較と判定の結果に基づき、自己の状態を運用状態、非運用状態又は待機状態に切り替える加入者側制御部とを
備えることを特徴とするネットワーク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−88757(P2009−88757A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−253200(P2007−253200)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【Fターム(参考)】