説明

11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1の阻害剤

本発明は、11β−HSD 1型アンタゴニスト活性を有する、式Iで表される新規な化合物、


並びにかかる化合物を調製する方法に関する。他の実施形態では、本発明は、式Iの化合物を含んでなる医薬組成物、並びに、11β−HSDタイプ1の活性に関連する糖尿病、高血糖、肥満、高血圧、高脂血症、メタボリックシンドローム及び他の症状を治療するための、当該化合物及び組成物を使用する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は、2006年4月24日に出願の米国仮特許出願第60/745475号の優先権を主張する。
【0002】
(技術分野)
本発明は、11−β−ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ タイプ1(「11−β−HSD1」)の阻害剤としての化合物、それを含む医薬組成物、並びにヒト若しくは動物の身体の治療への、これらの化合物及び組成物の使用、並びに当該阻害剤の調製にとり有用な、新規な中間体を提供する。本発明の化合物は、11−β−HSD1を強力かつ選択的に阻害し、それにより11−β−HSD1の変調に応答する障害(例えば糖尿病、メタボリックシンドローム、認知障害など)の治療に有用である。
【背景技術】
【0003】
肝、脂肪組織及び筋において、活性を示す糖質コルチコイドは、グルコース、脂質及びタンパク質代謝の重要なレギュレータである。慢性的な糖質コルチコイド過剰はインスリン抵抗性、内臓の肥満症、高血圧及び異脂肪血症を伴い、またメタボリックシンドロームの古典的な特徴を示す。11−β−HSD1は、不活性コルチゾンの活性コルチゾルへの転換を触媒するため、メタボリックシンドロームの進行との関連がこれまで示唆されている。特にげっ歯類及びヒトにおける研究成果から、メタボリックシンドロームと11−β−HSD1との関連が示されている。また更なる研究成果から、2型糖尿病患者において、11−β−HSD1を特異的に阻害する薬剤が、肝臓における糖新生によって、血糖を低下させ、中心性肥満を減少させ、アテローム生成的なリポタンパク質表現型を改良し、血圧を低下させ、インスリン抵抗性を低下させることが示されている。筋肉内におけるインシュリン効果が強化され、更に小島β細胞からのインシュリン分泌も増加されうる。また、動物及びヒトにおける研究成果から、糖質コルチコイドの過剰により認知機能が損なわれることが示されている。更に最近の研究成果から、11−β−HSD1の不活性化により、ヒト及びマウスにおいて、記憶が強化されることが示されている。更に、11−β−HSD阻害化合物カルベノキソロンが健康な初老の男性及び2型糖尿病患者の認知機能を改良し、また11−β−HSD1遺伝子の不活性化によりマウスの老化により誘発される障害を防止することが示されている。更に、医薬品による11−β−HSD1の選択的阻害により、マウスの記憶力が改良されることが最近示されている。
【0004】
11−β−HSD1阻害剤に関する報告が、近年幾つかなされている。例えば、11−β−HSDの阻害化合物としてアダマンチルアセトアミドを開示している特許文献1、11−β−HSDの阻害化合物としてピロリジン−2−オン及びピペリジン−2−オン誘導体を開示している特許文献2、及び11−β−HSDの阻害化合物としてアダマンチルピロリジン−2−オン誘導体を開示している特許文献3を参照されたい。11−β−HSD1が関与する疾患の治療法が多く存在するにもかかわらず、現在行われている治療法に幾つかの欠点が存在する(例えば不十分な効果、許容できない副作用及び特定の患者集団における禁忌など)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
以上より、11−β−HSD1を阻害し、11−β−HSD1阻害が良好な効果をもたらしうる疾患を治療するための、代替的若しくは改良された医薬品を使用することを特徴とする、新規な治療方法に対するニーズが依然存在する。本発明は、ある新規な化合物が11−β−HSD1に対する強力かつ選択的な阻害活性を示すという発見に基づくものであり、それは当該技術分野に対する貢献となる。本発明は特定の構造及びそれらの活性において、先行技術を凌駕するものである。糖尿病、メタボリックシンドローム及び認知障害を治療するための新規な方法に対するニーズが依然存在するため、これらの及びその他のニーズを満たすことが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の構造式で表される化合物
【化1】

又は製薬的に許容し得る塩を提供する。式中、

【化2】

であり(点線はR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
は−OH、ハロゲン、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−SCF、−C(O)O(C−C)アルキル、−O−CH−C(O)NH−(C−C)シクロアルキル、
−O−フェニル−C(O)O−(C−C)アルキル、−CH−フェニル、−NHSO−(C−C)アルキル、
−NHSO−フェニル(R21)(R21)、−(C−C)アルキル−C(O)N(R10)(R11)、
【化3】

であり(点線はR位置への結合部位を表す)、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−SO−(C−C)アルキル、−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化4】

であり(式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
式中、mは、1、2又は3であり、
式中、nは0、1又は2であり、nが0であるとき“(CH)n”は結合であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に−H、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は、
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
10及びR11は各々独立に水素又は−(C−C)アルキルであるか、又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニル基を形成し、
20は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−CN又は−C(O)−N(R22)(R22)であり、任意に、2つのR22は、それらが結合する窒素原子と共にアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル基を形成してもよく、
22は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に水素、−(C−C)アルキル又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0007】
他の実施形態では、本発明は、式Iの構造式で表される化合物
【化5】

(I)
又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。式中、

【化6】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
は−OH、ハロゲン、−CN、(−C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−SCF、−C(O)O(C−C)アルキル、−O−CH−C(O)NH、−(C−C)シクロアルキル、
−O−フェニル−C(O)O−(C−C)アルキル、−CH−フェニル、−NHSO−(C−C)アルキル、
−NHSO−フェニル(R21)(R21)、−(C−C)アルキル−C(O)N(R10)(R11)、
【化7】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−SO−(C−C)アルキル、−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、 −C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化8】

であり(点線はRにより示される位置への結合部位を表す)、
式中、mは1、2又は3であり、
式中、nは0、1又は2であり、nが0であるとき“(CH)n”は結合であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
は各々独立に−水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
10及びR11は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキルであるか、又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニル基を形成し、
20は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−CN、−C(O)−N(R22)(R22)であり、任意に、2つのR22は、それらが結合する窒素原子と共にアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル基を形成してもよく、
22は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に水素、−(C−C)アルキル又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0008】
本発明は11−β−HSD1の強力かつ選択的な阻害にとり有用である、式Iの化合物を提供する。本発明は更に、式Iの化合物又はその製薬塩、並びに製薬的に許容し得る担体、希釈剤又は賦形剤を含む医薬組成物を提供する。本発明は更に、メタボリックシンドローム及びそれに関係する障害の治療方法であって、かかる障害に罹患する患者に有効量の式Iの化合物又はその製薬的に許容し得る塩を投与することを含んでなる方法を提供する。
【0009】
一実施形態では、本発明は上記で説明した、式Iの化合物又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。本発明に係る化合物の全てが有用であるが、その中でも幾つかの化合物が特に興味深く、好適である。以下に幾つかの好適な化合物群を示す。
【0010】
他の実施形態では、本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。詳細には、式中、

【化9】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
はハロゲンであり、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は−OH、ハロゲン、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−(C−C)アルコキシ(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−SCF、−C(O)O(C−C)アルキル、−O−CH−C(O)NH、−(C−C)シクロアルキル、−O−フェニル−C(O)O−(C−C)アルキル、−CH−フェニル、−NHSO−(C−C)アルキル、
−NHSO−フェニル(R21)(R21)、−(C−C)アルキル−C(O)N(R10)(R11)、
【化10】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、(−C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−SO−(C−C)アルキル、
−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化11】

であり(点線はRにより示される位置への結合部位を表す)、
式中、mは1、2又は3であり、
式中、nは0、1又は2であり、nが0であるとき“(CH)n”は結合であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は、
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
10及びR11は各々独立に水素又は−(C−C)アルキルであるか、又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニル基を形成し、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に、水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−CN、−C(O)−N(R22)(R22)であり、任意に、2つのR22は、それらが結合する窒素原子と共にアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル基を形成してもよく、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0011】
他の実施形態では、本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。詳細には、式中、

【化12】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化13】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−SO−(C−C)アルキル、
−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化14】

であり(点線は位置への結合部位がRにより示されることを表す)、式中、mは1、2又は3であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
は各々独立に水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
20は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−CN、−C(O)−N(R22)(R22)であり、任意に、2つのR22は、それらが結合する窒素原子と共にアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル基を形成してもよく、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0012】
他の実施形態では、本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。詳細には、式中、

【化15】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化16】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、
は水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−SO−(C−C)アルキル、−N(R)(R)、
【化17】

であり(点線はRにより示される位置への結合部位を表す)、式中、mは1、2又は3であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−CN、−C(O)−N(R22)(R22)であり、任意に、2つのR22は、それらが結合する窒素原子と共にアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル基を形成してもよく、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0013】
他の実施形態では、本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。詳細には、式中、

【化18】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化19】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、

【化20】

であり(点線はRにより示される位置への結合部位を表す)、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
20は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−CN、−C(O)−N(R22)(R22)であり、任意に、2つのR22は、それらが結合する窒素原子と共にアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル基を形成してもよく、
22は各々独立に、水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に、水素、−(C−C)アルキル又は−C(O)O−(C−C)アルキルである。
【0014】
他の実施形態では、本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。詳細には、式中、

【化21】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化22】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、
は−SO−(C−C)アルキル、
【化23】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、式中、mは1、2又は3であり、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0015】
他の実施形態では、本発明は、式Iの構造式で表される化合物、又はその製薬的に許容し得る塩を提供する。詳細には、式中、

【化24】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は塩素、フッ素又は臭素であり、Rは塩素、フッ素又は臭素であり、Rは水素又はハロゲンであり、

【化25】

であり(点線は式IのR位置への結合部位を表す)、
は−N(R)(R)、
【化26】

であり、式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に水素、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)である。
【0016】
本発明の別の実施形態は、上記の実施形態を更に限定した形態の提供に関し、それは以下から選択される。具体的には、下記の各々の形態を各々独立に、上記の実施形態の各々と組み合わせてもよく、またかかる特定の組合せを選択し、かかる選択の際に可変部分を適宜調整することにより、更に限定された他の実施形態とすることができる。
好ましくは、R
【化27】

である。好ましくは、R
【化28】

である。好ましくは、R
【化29】

である。好ましくは、Rは塩素、フッ素又は臭素である。好ましくは、Rは塩素、フッ素又は臭素である。好ましくは、Rはハロゲンである。好ましくは、Rは−CHである。好ましくは、Rは塩素、フッ素又は臭素である。好ましくは、Rは塩素である。好ましくは、Rはフッ素である。好ましくは、Rは臭素である。好ましくは、Rはハロゲンである。好ましくは、Rは−CHである。好ましくは、Rは塩素、フッ素又は臭素である。好ましくは、Rは塩素である。好ましくは、Rはフッ素である。好ましくは、Rは、臭素である。好ましくは、Rは塩素であり、Rは塩素である。好ましくは、Rは水素である。好ましくは、Rはハロゲンである。
好ましくは、R
【化30】

である。好ましくは、R
【化31】

である。好ましくは、R
【化32】

である。好ましくは、R
【化33】

であり、Rは水素である。好ましくは、R
【化34】

である。好ましくは、R
【化35】

である。好ましくは、R
【化36】

である。好ましくは、R
【化37】

である。好ましくは、R
【化38】

である。好ましくは、R
【化39】

である。
好ましくは、R
【化40】

である。
好ましくは、Rは−N(R)(R)、
【化41】

である。
好ましくは、Rは−SO−(C−C)アルキル、
【化42】

である。
好ましくはR
【化43】

である。
好ましくは、R
【化44】

であり、式中、Rは−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)又は
【化45】

である。好ましくは、R
【化46】

である。好ましくは、R
【化47】

である。好ましくは、Rは水素である。好ましくは、Rはハロゲンである。好ましくは、Rは−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、Rは水素である。好ましくは、Rはハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、Rはハロゲンである。好ましくは、Rは−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、Rは各々独立に水素である。好ましくは、Rは各々独立に、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)である。好ましくは、Rは各々独立に−CHである。好ましくは、Rは水素である。好ましくは、Rはハロゲンである。好ましくは、Rはフッ素であり、Rはフッ素である。
【0017】
本発明の好ましい実施形態は、式(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンである化合物、又はその製薬的に許容し得る塩である。本発明の好ましい実施形態は、式(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンである化合物、又はその製薬的に許容し得る塩である。本発明の別の実施形態は、本願明細書に記載の新規な中間体であって、11−β−HSD1の阻害に有用な、本願明細書に記載の式Iの化合物及びそれに関連する諸実施形態に係る化合物の調製用の中間体を提供する。本発明の別の実施形態は、本願明細書に記載の新規な中間体であって、(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン又はその製薬的に許容し得る塩の調製にとり有用な中間体を提供する。
【0018】
2型糖尿病患者では通常、罹患率及び早熟性の死亡率の増加につながる異常なグルコースホメオスタシス及び高血糖症の原因となる「インシュリン耐性」が進行する。異常なグルコースホメオスタシスは、肥満症、高血圧、並びに脂質、リポタンパク質及びアポリポタンパク質の代謝の変調を伴う。2型糖尿病患者では、心血管性の合併症(例えばアテローム性動脈硬化症、冠状心疾患、発作、末梢血管疾患、高血圧、腎症、神経病変及び網膜症)が発症する危険性が高い。したがって、グルコースホメオスタシス、脂質代謝、肥満症及び高血圧の治療的制御は、糖尿病の抑制及び治療において、重要である。インスリン抵抗性を有するが2型糖尿病を示さない多くの患者は「X症候群」又は「メタボリックシンドローム」に罹患する危険性が高い。メタボリックシンドロームは、腹部の肥満、高インスリン血症、高血圧症、低HDL、高VLDL、高血圧、アテローム性動脈硬化症、冠状心疾患及び慢性腎不全と共にインスリン抵抗性が示されるのが特徴である。これらの患者は、顕性の糖尿病が進行しているか否かに関わらず、上記の心血管性の合併症に罹患する危険性が高い。
【0019】
本発明の化合物は、11−β−HSD1を阻害することにより、11−β−HSD1の阻害が効果的である、広範囲にわたる症状及び障害の治療に有用である。これらの障害及び症状を、「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」として本願明細書では定義する。当業者であれば、11−β−HSD1活性の、障害時における病態又は障害へのホメオスタシス応答との関連性から、「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」を同定することが可能である。すなわち、当該化合物は、例えば「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」の疾患、症状、関連する症候又は後遺症の予防、治療又は軽減にとり有用である。
【0020】
「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」としては、限定されないが、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、高血糖、高インシュリン血症、β細胞不全、第1段階応答の復元によるβ細胞機能の改良、食事による高血糖、アポトーシス防止、障害性の絶食時グルコースレベル(IFG)、メタボリックシンドローム、低血糖、高/低カリウム血症、標準グルカゴンレベル、改良されたLDL/HDL比率、間食の減少、摂食障害、体重減少、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、糖尿病の結果としての肥満症、成人における不顕性自己免疫性糖尿病(LADA)、インスリン症、小島移植、小児糖尿病、妊娠糖尿病、糖尿病性の遅い合併症、ミクロ/マクロアルブミン尿症、腎症、網膜症、神経病変、糖尿病性足潰瘍、グルカゴン投与による腸運動性の減少、短小腸症候群、制瀉、胃液分泌増加、血流減少、勃起障害、緑内障、手術後侵襲、虚血後の血流再潅流によって生じる器官・組織損傷の回復、虚血心障害、心臓機能不全、うっ血性心不全、発作、心筋梗塞、不整脈、早死、抗アポトーシス、癒傷、耐糖能異常(IGT)、インスリン抵抗症候群、メタボリックシンドローム、エックス症候群、高脂血症、異脂肪血症、過トリグリセリド血症、リポ蛋白過剰血症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症などの動脈硬化、グルカゴノーマ、急性膵炎、循環器病、高血圧、心臓肥大症、胃腸障害、肥満症、肥満症の結果としての糖尿病、糖尿病性異脂肪血症などが挙げられる。すなわち、本発明はまた、「糖尿病性障害」及び「メタボリックシンドローム障害」の治療に伴う不必要な副作用の1つ以上を低減又は排除する、当該障害の治療方法を提供する。
【0021】
本発明は更に、11−β−HSD1活性の阻害、11−β−HSD1活性により媒介される哺乳類の細胞応答の阻害、哺乳類における血糖値の減少、過剰な11−β−HSD1活性から生じる疾患の治療、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変の治療、及び損傷回復に使用するための、式Iの化合物若しくはその製薬塩、又は式Iの化合物若しくはその製薬塩並びに製薬的に許容し得る担体、希釈剤若しくは賦形剤を含有する医薬組成物を提供する。すなわち、本発明の方法には、式Iの化合物の予防的及び治療的投与が包含される。
【0022】
本発明は更に、11−β−HSD1活性の阻害用薬剤の製造、11−β−HSD1活性により媒介される哺乳類の細胞応答の阻害用薬剤の製造、哺乳類における血糖値の抑制用薬剤の製造、過剰な11−β−HSD1活性から生じる疾患の治療用薬剤の製造、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療用薬剤の製造、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変及び不良な損傷回復の治療用薬剤の製造への、式Iの化合物若しくはその製薬塩の使用方法を提供する。
【0023】
本発明は更に、哺乳類における過剰な11−β−HSD1活性から生じる疾患の治療方法、哺乳類における11−β−HSD1活性の阻害方法、11−β−HSD1活性により媒介される哺乳類の細胞応答の阻害方法、哺乳類における血糖値の低減方法、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療方法、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変及び不良な損傷回復の治療方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に、11−β−HSD1活性の阻害に十分な量の、式Iの化合物若しくはその製薬的に許容し得る塩、又は、式Iの化合物若しくはその製薬塩、並びに製薬的に許容し得る担体、希釈剤若しくは添加剤を含んでなる医薬組成物を投与することを含んでなる前記方法を提供する。
【0024】
本発明は更に、式Iの化合物若しくはその製薬塩、並びに製薬的に許容し得る担体、希釈剤若しくは添加剤を含んでなる医薬組成物であって、11−β−HSD1活性の阻害、11−β−HSD1活性により媒介される細胞応答の阻害、哺乳類における血糖値の減少、哺乳類における糖尿病及び他のメタボリックシンドローム障害の治療、並びに糖尿病、メタボリックシンドローム、肥満症、高血糖、アテローム性動脈硬化症、虚血性心疾患、発作、神経病変及び不良な損傷回復の予防又は治療用に調製された、前記医薬組成物を提供する。
【0025】
本発明の更なる態様では、本発明の化合物は、更なる1つ以上の活性物質と適切な比率で組み合わされて投与される。かかる更なる活性物質は、例えば抗糖尿病剤、抗肥満症剤、降圧剤、糖尿病に起因若しくは関連する合併症の治療剤、並びに肥満症に起因若しくは関連する合併症及び障害の治療剤から選択されてもよい。以下のリストにおいて、かかる組合せの幾つかのグループを列挙する。以下に名称を列挙する各々の薬剤を、同様に名称を列挙する他の薬剤と混合して、更なる組合せを提供してもよいことが理解されよう。
【0026】
すなわち、本発明の別の実施形態では、本発明の化合物を、1つ以上の抗糖尿病剤との組み合わせで投与してもよい。
【0027】
好適な抗糖尿病剤としては、インシュリン、インシュリンアナログ及び誘導体(欧州特許出願公開第792290号(Novo Nordisk A/S)に記載の例えばNeB29−テトラデカノイル・デス(B30)ヒトインスリン、欧州特許出願公開第214826号及び第705275号(Novo Nordisk A/S)に記載の例えばAspB28ヒトインスリン、米国特許第5504188号(イーライ・リリー)に記載の例えばLysB28ProB29ヒトインスリン、欧州特許出願公開第368187号(アベンティス)に記載の例えばLantus(登録商標))、GLP−1及びGLP−1誘導体(例えば国際公開第98/08871号(Novo Nordisk A/S)に記載のもの)、並びに経口投与において有効な血糖降下剤が挙げられる。
【0028】
経口投与で有効な血糖降下剤としては、以下のものが包含される:イミダゾリン、スルホニルウレア、ビグアニド、メグリチニド、オキサジアゾリジンジオン、チアゾリジンジオン、インシュリン増感剤、インシュリン分泌促進物質(例えばグリメピリド)、α−グルコシダーゼ阻害剤、及びβ−細胞のATP依存性カリウムチャネルに作用する物質(例えば国際公開第97/26265号、国際公開第99/03861号及び国際公開第00/37474号(Novo Nordisk A/S)において開示されるようなカリウムチャネル開放物質、又はミチグリニド、又はカリウムチャネルブロッカー(例えばBTS−67582)、ナテグリニド、グリカゴン拮抗剤(例えば、国際公開第99/01423号及び第00/39088(Novo Nordisk A/S及びAgouron Pharmaceuticals, Inc.)、GLP−1アンタゴニスト、DPP−IV(ジペプチジルペプチダーゼ−IV)阻害剤、PTPアーゼ(チロシンホスファターゼ)阻害剤、糖新生及び/又は糖原分解の刺激に関係する肝酵素阻害剤、グルコース取り込み調節因子、グルコキナーゼ(GK)の活性剤(国際公開第00/58293号、国際公開第01/44216号、国際公開第01/83465号、国際公開第01/83478号、国際公開第01/85706号、国際公開第01/85707号及び国際公開第02/08209号(Hoffman−La Roche社)に開示されるもの、又は国際公開第03/00262号、国際公開第03/00267号及び国際公開第03/15774号(AstraZeneca社)において開示されるもの)、GSK−3(グリコゲン合成酵素キナーゼ−3)阻害剤、HMG CoA阻害剤(スタチン)などの抗脂質物質などの脂質代謝調節化合物、摂食を低下させる化合物、PPAR−α、PPAR−γ及びPPAR−δサブタイプを含むPPAR(ペルオキシソーム増殖剤で活性化する受容体)リガンド及びRXR(レチノイドX受容体)アゴニスト(例えばALRT−268、LG−1268又はLG−1069)。
【0029】
他の実施形態では、本発明の化合物はインスリン又はNeB29−テトラデカノイル−デス(B30)ヒトインスリン、AspB28ヒトインスリン、LysB28 ProB29ヒトインスリン、Lantus(登録商標)などのインスリンアナログ又は誘導体、又はこれらの1つ又はそれ以上からなる混合製剤と併用して投与される。
【0030】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はグリベンクラミド、グリピジド、トルブタマイド、クロロパミデム、トラザミド、グリメプリド、グリカジド及びグリブリドなどのスルホニル尿素と併用して投与される。
【0031】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はビグアニド例えばメトルミンと併用して投与される。
【0032】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物はメグリチニド例えばレパグリニド又はナテグリニドと併用して投与される。
【0033】
本発明のなお更に他の実施形態では、本発明の化合物はチアゾリジンジオンインスリン抵抗性改善薬例えばトログリタゾン、シグリタゾン、ピオリタゾン、ロシグリタゾン、イサグリタゾン、ダルグリタゾン、エングリタゾン、CS−011/CI−1037又はT174又は、国際公開第97/41097号パンフレット、国際公開第97/41119号パンフレット、国際公開第97/41120号パンフレット、国際公開第00/41121号パンフレット及び国際公開第98/45292号パンフレット(Dr. Reddy’s Research Foundation)に開示された化合物と併用して投与される。
【0034】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は、例えばGI262570、YM−440、MCC−555、JTT−501、AR水素039242、KRP−197、GW−409544、CRE−16336、AR水素049020、LY510929、LY510929、MBX−102、CLX−0940、GW−501516などのインスリン抵抗性改善薬と、又は、ラガグリタザール(NN 622又は(−)DRF 2725)(Dr. Reddy’s Research Foundation)などの国際公開第99/19313号パンフレット、国際公開第00/50414号パンフレット、国際公開第00/63191号パンフレット、国際公開第00/63192号パンフレット、国際公開第00/63193号パンフレットに開示される、及び国際公開第00/23425号パンフレット、国際公開第00/23415号パンフレット、国際公開第00/23451号パンフレット、国際公開第00/23445号パンフレット、国際公開第00/23417号パンフレット、国際公開第00/23416号パンフレット、国際公開第00/63153号パンフレット、国際公開第00/63196号パンフレット、国際公開第00/63209号パンフレット、国際公開第00/63190号パンフレット及び国際公開第00/63189号パンフレット(Novo Nordisk A/S)に開示される化合物と併用して投与してもよい。
【0035】
本発明の更なる実施形態では、本発明の化合物はα−グルコシダーゼ阻害剤、例えばボグリボース、エミグリテート、ミグリトール又はアカルボースと併用して投与される。
【0036】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物はβ−細胞のATP−依存性のカリウムチャネルに作用する薬剤、例えばトルブタマイド、グリベンクラミド、グリピジド、グリカジド、BTS−67582又はレパグリニドと併用して投与される。
【0037】
本発明の更に他の実施形態では、ナテグリニドと併用して本発明の化合物を投与してもよい。
【0038】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は抗脂血薬又は抗高脂血薬、例えばコレスチラミン、コレスチポル、クロフィブレート、ゲムフィブロジル、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ピタバスタチン、ロスバスタチン、プロブコル、デキストロチロキシン、フェノフィブレート又はアトロバスチンと併用して投与される。
【0039】
本発明の更に他の実施形態では、本発明の化合物は食物摂取を低下させる化合物と併用して投与される。
【0040】
本発明の他の実施形態では、本発明の化合物は一種以上の上記化合物と併用して、例えば、メトホルミンとグリブライドなどのスルホニル尿素、スルホニル尿素とアカルボース、ナテグリニドとメトホルミン、レパグリニドとメトホルミン、アカルボースとメトホルミン、スルホニル尿素、メトホルミンとトログリタゾン、インスリンとスルホニル尿素、インスリンとメトホルミン、インスリン、メトホルミン及びスルホニル尿素、インスリンとトログリタゾン、インスリンとロバスタチン等と併用して投与される。
【0041】
本願明細書における化合物の説明に使用される用語は、それらの通常の意味を有する。
【0042】
本発明の用語「(C−C)アルキル」、「(C−C)アルキル」又は「(C−C)アルキル」は、示された炭素原子数の直鎖又は分岐鎖状の飽和脂肪族基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチルなど)を指す。用語「(C−C)アルコキシ」は、酸素原子を介して結合したC−Cアルキル基を指し、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ基などが包含される。「ハロゲン」という用語はフッ素、塩素、臭素及びヨウ素のことを指す。用語「(C−C)シクロアルキル」は、3〜8個の炭素原子数(通常3〜7個の炭素原子数)の飽和若しくは部分的に飽和した炭素環式化合物のことを指す。(C−C)シクロアルキルの例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル基などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0043】
本明細書で用いられる「任意に置換されてもよい」又は「任意の置換基」という用語は、対象となる基が、非置換でもよく、又は1つ以上の特定の置換基で置換されてもよいことを意味する。その対象となる基が複数の置換基で置換されてもよいとき、それらの置換基は同じでもよく、異なってもよい。更に、用語「独立に」、「独立に〜である」及び「独立に〜から選択される」とは、対象となる基が同じでもよく、あるいは異なってもよいことを意味する。本願明細書で定義される具体的な用語は構造式中で複数回用いられてもよく、また各々の用語は各々の出現の際に個別的に定義されるものとする。
【0044】
例えばモルモット、イヌ、ネコ、ネズミ、マウス、ハムスター及び霊長類(ヒトを含む)は、本発明の用語「患者」の範囲内に包含されるものと理解される。「患者」という用語には家畜が包含される。家畜は食糧生産のために飼育される動物である。乳牛、種牛、雌牛、去勢ウシ、ヒツジ、バッファロ、バイソン、ヤギ及びアンテロープのようないわゆる反芻動物が、家畜の例として挙げられる。家畜の他の例としては、ブタ及び鳥(家禽)(例えば鶏、カモ、シチメンチョウ及びガチョウ)などが挙げられる。治療対象となる患者は、好ましくは哺乳類(特にヒト)である。
【0045】
本明細書に用いられる用語「治療」、「処置する」及び「治療する」はそれらの一般的に容認される意味を包含し、即ち、特定の症状又は病気の発現及び進行のリスクを予防・減少し、本明細書に記載の病気、疾患又は病理的状態の進行又は重症化を防止、阻害、抑制、緩和、改善、緩慢化、停止、遅延又は逆転させ、予防し、及び/又は現存する症状を治療するための、患者の管理及び看護を含み、例えば症状又は合併症の緩和又は軽減、又はその病気、疾患又は病理的状態の治癒又は排除を包含する。本発明の方法は、必要に応じて、医学的な治療及び/又は予防的治療の両方を含んでなる。
【0046】
本発明の用語「治療上有効量」とは、本願明細書に記載の様々な病的症状の症候を緩和するのに十分な、本発明の化合物の量を意味する。本発明により投与される化合物の具体的な投与量は、当然ながら、例えば投与される化合物、投与経路、患者健康状態及び治療対象の病的症状などの、個別的な症状を取り巻く具体的な状況を考慮して決定される。
【0047】
「組成物」とは医薬組成物を意味し、1つ以上の式Iの化合物を含有する1つ以上の主成分と、担体を構成する1つ以上の不活性成分を含んでなる医薬製剤が包含される。したがって、本発明の医薬組成物には、本発明の化合物と、製薬的に許容し得る担体とを混ぜることにより調製されるあらゆる組成物が包含される。
【0048】
「実質的に純粋な」という用語は、所望の結晶形態の化合物を約90%超、好ましくは所望の結晶形態の化合物を約95%超含有する、純粋な結晶形態の状態のことを指す。
【0049】
用語「適切な溶媒」とは、反応物質を十分に溶解させ、進行中の反応に影響を与えず、所望の反応のための媒体を提供する、あらゆる溶媒又は溶媒の混合物のことを指す。
【0050】
用語「ユニットドーズの形態」とは被験者及び他の非ヒト動物に対する単位の薬用量として適切な物理的に個別の単位を意味し、各単位は適当な医薬担体との組み合わせで所望の治療効果を生じると計算された活性物質の所定量を含有する。
【0051】
本発明の化合物は1つ以上のキラル中心を有してもよく、種々の立体配座を有してもよい。本発明の化合物は、これらのキラル中心の結果として、ラセミ化合物として存在してもよく、個々の鏡像異性体若しくは鏡像異性体の混合物として存在してもよく、あるいはジアステレオマー若しくはジアステレオマー混合物として存在してもよい。全てのかかるラセミ化合物、鏡像異性体、ジアステレオマー及び混合物は、純粋であっても、部分的に精製されていても、未精製の混合物であっても、本発明の範囲内に包含される。本願明細書において、提供される例において、キラル中心又は周知の立体配座中心を含有する分子を示すときは、その立体化学を、化合物名と分子の構造表示を用いて示すものとする。立体化学が不明若しくは未定義である場合、その立体化学は化合物名又は分子の構造表示では示さない。本発明の実施形態には、本願明細書において、提供される実施例が含有され、その実施例においては1つのキラル若しくは立体配座の形又はその塩のみが記載されているが、当然ながら、本発明の別の実施形態には他の全ての立体異性体及び/又構造異性体、並びにその製薬的に許容し得る塩が包含される。これらの実施形態には、あらゆる単離された鏡像異性体、ジアステレオマー、及び/又はこれらの構造異性体、並びに複数の形を含んでいるいかなる混合物も包含される。
【0052】
更に、分子中に、二重結合、完全若しくは部分的に飽和した環系、又は回転が制限された1以上の不斉中心又は結合が存在するとき、ジアステレオマーが形成されうる。本発明では、単離された、純粋な、部分的に精製されたジアステレオマー又はそれらの混合物としてのいかなるジアステレオマーであってもよく、本発明の範囲内に包含されることに留意すべきである。更にまた、本発明の化合物の幾つかは異なる互変異体の形として存在してもよく、当該化合物がとることができるいかなる互変異体の形態も本発明の範囲内に包含されることに留意すべきである。
【0053】
本明細書で用いられる用語「鏡像異性体富化」は、一方の鏡像異性体の量の、他方の鏡像異性体と比較しての増大を指す。達成された鏡像異性体富化を表現する簡便な方法は、鏡像異性体過剰率の概念、すなわち「ee」の概念であって、以下の式を用いて表される。
【数1】

式中、Eは第1の鏡像異性体の量であり、Eは第2の鏡像異性体の量である。このようにして、二つの鏡像異性体の第一の比がラセミ体混合物に存在するように50:50であり、かつ、70:30の最終比を生じるに十分な鏡像異性体富化が達成される場合、第1の鏡像異性体に関する上記ee(鏡像異性体過剰率)は40%である。しかしながら、最終比が90:10である場合、第1の鏡像異性体に関する上記ee(鏡像異性体過剰率)は80%である。90%を超えるeeが好ましく、95%を超えるeeが最も好ましく、99%を超えるeeが特に最も好ましい。鏡像異性体富化は当業者によりキラルカラムによるガスクロマトグラフィ又は高性能液体クロマトグラフィなどの標準の技法及び方法を使用して容易に決定される。鏡像異性体対の分離実施に必要な適切なキラルカラム、溶出液及び条件の選択は、当業者にとって公知である。更に、式Iの化合物の特異的な立体異性体及び鏡像異性体は当業者によって、J.Jacquesら、「Enantiomers,Racemates,and Resolutions」John Wiley and Sons, Inc.、1981、及びE.L.ElielとS.H.Wilen,「Stereochemistry of Organic Compounds」(Wiley−Interscience 1994)、並びに1998年4月29日発行の欧州特許出願公開第838448号明細書に開示されたような周知の技法及び分離法を利用して調製できる。分離の例としては、再結晶技法又はキラルクロマトグラフィーが挙げられる。
【0054】
式Iの化合物は種々の手順により当該技術の当業者により調製できるが、その幾つかに関して、以下に記載の手順及び反応式において、示すこととする。式Iの化合物の生成必要な具体的な工程の順序は、合成しようとする具体的な化合物、出発物質及び置換基の相対的反応性などにより変化する。試薬又は出発物質は当業者であれば容易に入手でき、市販品でない材料の場合には、当業者に公知の通常用いられる標準的な工程に従い、下記の種々の工程及び反応式に沿って容易に合成できる。
【0055】
以下の反応式、調製、実施例及び手順は本発明の実施をより詳細に説明するために提供されるものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものと解釈すべきではない。当業者であれば、本発明の技術思想と範囲から逸脱することなく多様な改善を実施できることを認識するであろう。本明細書で言及される全ての刊行物は、本発明が属する分野の当業者のレベルを示す。
【0056】
反応式、調製、実施例及び手順における最適反応時間は、反応の進行を通常のクロマトグラフィによりモニターすることにより決定できる。更に、本発明の化学反応は、アルゴン又は窒素などの不活性雰囲気下で実施することが好ましい。溶媒の選択は、その使用する溶媒が進行中の反応に不活性で、かつ反応物質を十分に可溶化して所望の反応を実施するものである限り、通常問題とはならない。化合物は、その後の反応に供する前に分離・精製することが好ましい。化合物形成反応の間に反応溶液から化合物を析出させ、濾過して回収してもよいし、あるいは反応溶媒を抽出、蒸発又は流出させて除去してもよい。中間体及び式Iの最終産物は、必要に応じ、再結晶又はシリカゲル又はアルミナなどの固体支持体上のクロマトグラフィ等、通常の方法で更に精製してもよい。
【0057】
熟練した当業者は全ての置換基が全ての反応条件と適合するわけではないことを認識する。これらの化合物は合成の際、公知の方法により適切なタイミングで保護又は修飾してもよい。
【0058】
本明細書の反応式、調製、実施例及び工程に用いられる用語並びに略語は、特に指示されない限り通常の意味を有する。例えば、本願明細書では以下の用語はそれぞれ以下の意味を有する。「psi」は平方インチ当たりのポンド(圧力)を指す。「TLC」は薄層クロマトグラフィを指す。「HPLC」は高速液体クロマトグラフィを指す。「R」は保持係数を指す。「R」は滞留時間を指す。「δ」はテトラメチルシランからのppmダウンフィールドを指す。「MS」は質量分析を指す。測定された分子量は、特に明記しない限り[M+H]のことを指す。“MS(APCi)は気圧化学イオン化法のことを指す。「UV」は紫外線分光測定法を指す。「H NMR」は陽子核磁気共鳴分光測定法を指す。「LCMS」は液体クロマトグラフィ−質量分析のことを指す。「GC/MS」はガスクロマトグラフィ/質量分析のことを指す。「IR」は赤外線スペクトロメトリのことを指し、IRスペクトラムとして列挙される最大吸収は対象となる部分のみを示し、全ての最大吸収を観察したものではない。「RT」は室温のことを指す。
【0059】
「THF」はテトラヒドロフランのことを指す。「LAH」は水素化アルミニウムリチウムのことを指す。「LDA」はリチウムジイソプロピルアミドのことを指す。「DMSO」はジメチルスルホキシドのことを指す。「DMF」はジメチルホルムアミドのことを指す。「EtOAc」は酢酸エチルのことを指す。「Pd−C」はパラジウム/炭素のことを指す。「DCM」はジクロロメタンのことを指す。「DMAP」はジメチルアミノピリジンのことを指す。「LiHMDS」はリチウムヘキサメチルジシリザンのことを指す。「TFA」はトリフルオロ酢酸のことを指す。「EDAC」はN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸のことを指す。「HOBT」は1−ヒドロキシベンゾトリアゾールのことを指す。「Bn−9−BBN」はベンジル−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンのことを指す。「Pd(dppf)Cl」は、[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−フェロセン]ジクロロパラジウム(II)のことを指す。「EDCI」はN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸のことを指す。「DBU」は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7のことを指す。「TBSCl」はtert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシメチルクロリドのことを指す。「NBS」はN−ブロモスクシニミドのことを指す。「TsOH」はp−トルエンスルホン酸のことを指す。「DCE」はジクロロエタンのことを指す。「DAST」は三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄のことを指す。「EA/H」は酢酸エチル/ヘキサン混合物のことを指す。「Pd(dba)」はビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウムのことを指す。「BINAP」は2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ−1,1’−ビナフタレンのことを指す。「NMP」はN−メチルピロリジンのことを指す。「TMSCN」はトリメチルシリルシアニドのことを指す。「TBAF」はテトラブチルアンモニウムフルオライドのことを指す。「TfO」はトリフルオロメタンスルホン酸無水物のことを指す。「TBSO」はtert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシのことを指す。「OTf」はトリフルオロメタンスルホネートのことを指す。「MeTi(Oi−Pr))」はトリイソプロポキシメチルチタンのことを指す。「BBr」は三臭化ホウ素のことを指す。「PBr」は三臭化リンのことを指す。「Pd(PPh」はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のことを指す。「OAc」はアセテートのことを指す。「DME」はジメチルエタンのことを指す。「EtO」はジエチルエーテルのことを指す。「(PhP)Pd」はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)のことを指す。「DMFDMA」はN,N−ジメチルホルムアミドジメチルアセタールのことを指す。「EtN」はトリエチルアミンのことを指す。「tBu」はt−ブチルのことを指す。「DIPEA」はジイソプロピルエチルアミンのことを指す。「EDC」は−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸のことを指す。「HOAc」は酢酸のことを指す。「boc」はt−ブトキシカルボニルのことを指す。構造式中、「Ph」はフェニル基のことを指し、「Me」はメチル基のことを指し、「Et」はエチル基のことを指し、「Bn」はベンジル基のことを指し、「MeOH」はメタノールのことを指し、「OTf」はトリフルオロメタンスルホネートのことを指し、「TIPSO」はトリイソプロピルシラニルオキシ基のことを指し、「TBSO」はtert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ基のことを指し、「NaBH(OAc)」はナトリウムトリアセトキシボロヒドリドのことを指し、「[Ir(cod)Cl]」はジ−クロロビス((1,2,5,6−エタ)−1,5−シクトオクタジエン)ジイリジウムのことを指す。
【0060】
本明細書に記載する実施例は本発明を例示するものであり、請求項に記載された本発明の範囲を限定することを目的とするものではない。調製例及び実施例では、MDL Information Systems社製のChemDraw UltraのAutoNom 2.2又はMDL ISIS/Draw Version2.5 SP1のAutoNom 2000を使用するか、又はChemical Abstracts Servicesを利用することにより命名した。
【0061】
Varian INOVA 400MHzスペクトロメータを用い、H NMRスペクトル(溶媒中)を得た。Mass Spectrometer(Agilent MSD SL)を備えたAgilent HP1100計測器を用いてLCMSを実施した。Waters Xterra C18(2.1×50mm、3.5ミクロン)を固定相として用い、標準的な方法として、5−100%のアセトニトリル/メタノール(50:50)の勾配(0.2%のギ酸アンモニウムを含有)で3.5分間処理し、更に50℃のカラム温度で0.5分間、100%のB液で1.0mL/分の流速で処理する方法を用いた。他の標準的な方法として、5−100%のアセトニトリル/メタノール(50:50)の勾配(0.2%のギ酸アンモニウムを含有)で7分間処理し、更に50℃のカラム温度で1分間、100%のB液で1.0mL/分の流速で処理する方法を用いた。Agilent MSD(ループマシン)を経た更なるMS分析は、標準的なフロー注入分析(FIA)であり、カラムを用いず、0.5ml/分の流速で、80%のMeOH(6.5mMの酢酸アンモニウムを含有)で、30秒のラン時間で処理することにより実施した。
【0062】
反応式A
【化48】

反応式Aでは、任意に置換されたフェノール(1)を保護(例えばTBSClで)して化合物2を形成させ、更に化合物2をアルデヒド(3)に変化させる。化合物3を、保護基(Pg)及び脱離基(Lg)を含む化合物と反応させ、エーテル化合物4を得る。Pgは−CH又は−CH−フェニルであってもよく、Lgはメシラート又はハロであってもよい。好ましくはLg−Pg化合物はI−CH又はBr−CH−フェニルである。アルデヒドを還元してアルコール(5)を形成させ、更に化合物6に変化させる。好ましくは化合物5をPBrでハロゲン化し、2−ブロモメチル化合物を調製する。
【0063】
式Iその他の形の化合物に対する化合物の保護及び脱保護は、熟練した職人にとって周知で、文献に記載されている。(例えば:Green及びWuts、Organic SynthesisのProtective Groups、3版、ジョン・ワイリー社、1999を参照)。
【0064】
反応式B
【化49】

反応式Bは、中間体化合物9を形成する、立体選択的な合成を示す。塩化4−ペンテノイルで、市販の(R)−4−ベンジル−オキサゾリジン−2−オンをアシル化し、化合物7を形成させる。任意に置換された化合物6(反応式Aを参照)でアルキル化し、化合物8を得る。化合物8を、オゾン及びトリフェニルホスフィン又は四酸化オスミウム及びナトリウムメタペリオデートなどの酸化剤を使用して酸化し、アルデヒド中間体化合物9を生成する。
【0065】
反応式C
【化50】

反応式Cにおいて、アルデヒド9をアミンで処理し、ヒドラジド10を得る。化合物10を脱保護しフェノール化合物11を形成させ、更にトリフルオロメタンスルホン酸無水物及び塩基(例えばピリジン)で処理し、トリフレート化合物12を形成させる。フェニルホウ酸試薬及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を使用して(12)にカップリング反応を実施してエステル(13)を調製し、更に加水分解して酸(14)を得る。酸(14)を、標準的なアミドカップリング条件(例えば1,1’−カルボニルジイミダゾール)を使用してアミンとカップリングさせ、アミド(15)を得る。
【0066】
反応式D:
【化51】

反応式Dにおいて、フェニルホウ酸試薬及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を使用して(16)とのカップリング反応を実施し、化合物17を調製する。
【0067】
反応式E:
【化52】

反応式Eにおいて、フェニルホウ酸試薬及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を使用して(16)とのカップリング反応を実施し、化合物19を調製する。記載されている試薬を使用して、アミド(20)、ベンゾイソキサゾール(21)及びインダゾール(22)を、化合物19から形成させる。
【0068】
反応式F
【化53】

【0069】
反応式G
【化54】

反応式Gにおいて、アミンによるアルデヒド9の処理を行いヒドラジド26を調製し、更にトリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネートで処理し、化合物27を得る。更に化合物27をパラジウム/炭素を使用して脱保護し、フェノール(28)を調製し、更にトリフルオロメタンスルホン酸無水物で処理して化合物29を得る。フェニルホウ酸試薬及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を用いて(29)とのカップリング反応を実施してエステル(30)を調製し、更に加水分解して酸(31)を得る。酸(31)を、標準的なアミドカップリング条件(例えば1,1’−カルボニルジイミダゾール)を使用してアミンとカップリングさせ、アミド(32)を得る。更にアミド(32)を酸(例えばトリフルオロ酢酸)で処理し、アミド(33)を得る。
【0070】
反応式H
【化55】

反応式Hにおいて、フェニルホウ酸試薬(RB(OH))及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を用いて(34)とのカップリング反応を実施して化合物35を調製し、更にトリフルオロ酢酸で処理して化合物36を形成させる。
【0071】
反応式I
【化56】

反応式Iにおいて、フェニルホウ酸試薬(RB(OH))及び触媒(例えばパラジウムテトラキストリフェニルホスフィン)を用いて(37)とのカップリング反応を実施し、化合物38を調製する。
【0072】
反応式J
【化57】

反応式Jにおいて、記載されている試薬を使用して、ベンゾイソキサゾール(40)、インダゾール(41)及びアミド(42)を、化合物39から形成させる。
【0073】
反応式K
【化58】

【0074】
調製1:
2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド
3Lのジメチルホルムアミド(DMF)中に3,5ジクロロフェノール(1kg、6.13mol)を溶解し、0℃に冷却した。イミダゾール(918.74g、6.75mol)、更にtert−ブチルジメチルシリルクロライド(1017.13g、6.75mol)を添加した。室温に混合物を加温し、15分間撹拌した。水(6L)中に注ぎ、エーテル(4L)で抽出した。水で2回、10%の塩化リチウム水溶液、更に塩水で有機層を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過し、真空下で濃縮し、油状物としてtert−ブチル−(3,5−ジクロロフェノキシ)−ジメチル−シラン(1700g)を得た。
4Lの無水テトラヒドロフラン中にtert−ブチル−(3,5−ジクロロフェノキシ)−ジメチル−シラン(425g、1.5mol)を溶解させ、−68℃に冷却した。徐々にsec−ブチルリチウム(103.1g、1.61mol)1.1当量を−68℃(〜1.75時間)で添加した。添加終了後、反応液を−70℃で30分間撹拌した。ジメチルホルムアミド(168.5g、2.3mol)を添加し、反応液を−70℃で1時間撹拌した。1Mの塩酸水溶液(3.5L)を添加し、反応液を室温に加温した。
反応混合物をエーテル(5L)に注入し、水、更に塩水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、橙色固体となるまで真空濃縮した。冷却したジクロロメタンでリンスして粉末状とし、濾過し、250g(80%)の淡黄色の固体を得た。
【0075】
調製2:
2,6−ジクロロ−4メトキシベンズアルデヒド
900mLのジメチルホルムアミド中で2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(120g、628.24mmol)及び炭酸カリウム(173.65g、1256.5mmol)を混合し、ヨウ化メチル(107g、753.9mmol)で処理した。室温で3時間反応液を撹拌した。固体を濾過して除去し、6Lの水に注いだ。固体を濾過し、水で数回洗浄し、空気乾燥し、酢酸エチル中に溶解させた。水、更に塩水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させた。濾過し、〜100mLの体積となるまで真空濃縮し、固体を析出させた。更に濾過し、濾液を濃縮し、第2の生成物を得た。ヘキサンで洗浄し、すべての固体を混合し、真空乾燥させ、112.3gのオフホワイトの物質(固体)を得た:H NMR(400MHz、CDCl)δ10.41(s、1H)6.90(s、2H)3.87(s、3H)。
【0076】
調製3:
2,6−ジクロロ−4−ベンジルオキシ−ベンズアルデヒド
2Lのジメチルホルムアミド中の、2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンズアルデヒド(250g、1.3mol)及び炭酸カリウム(361.8g、2.62mol)の混合物を、臭化ベンジル(268.64g、1.57mol)で処理した。室温で1時間、反応液を撹拌した。固体を濾過して除去し、12Lの水に注いだ。固体を濾過して除去し、水で数回洗浄し、空気乾燥し、酢酸エチル中に溶解させた。硫酸マグネシウム上で乾燥させ、濾過し、〜1.5Lとなるまで真空濃縮した。一晩静置し、濾過した。最少量のヘキサンで固体を洗浄し、真空乾燥した。濾液を真空下で濃縮し、ヘキサンでリンスして第2の生成物を得、それを第1の生成物と混合し、245gの白色の結晶を得た。操作を繰り返し、淡い褐色の粉末(88%の全収率)として第3の生成物80gを得た:1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ10.26(s、1H)7.43(m、5H)7.28(s、2H)5.25(s、2H)。
【0077】
調製4:
(2,6−ジクロロ−4−メトキシフェニル)−メタノール
1500mLのエタノール中に2,6−ジクロロ−4−メトキシ−ベンズアルデヒド(112g、546mmol)を懸濁し、氷浴中で7℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(20.67、546mmol)を徐々に添加し、溶液を調製した。氷浴を除去し、2時間撹拌した。反応混合物を慎重に飽和塩化アンモニウム溶液(4L〜)に添加し、完全に反応が停止するまで撹拌した。ジクロロメタン(3×1L)で抽出し、硫酸ナトリウム上で混合有機抽出液を乾燥させた。濾過し真空濃縮して、淡い褐色の固体113gを得た:1H NMR(400MHz、CDCl)δ6.86(s、2H)4.86(s、2H)3.78(s、3H)2.07(s、1H)。
【0078】
調製5:
(2,6−ジクロロ−4−ベンジルオキシ−フェニル)−メタノール
基本的に調製4の方法に従い、標記の化合物を調製した。NMR(DMSO−d)δ7.38(m、4H)7.33(m、1H)7.12(s、2H)5.14(s、2H)5.05(t、1H)4.59(d、2H)。
【0079】
調製6:
2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−5メトキシベンゼン
1200mLの無水THF中に(2,6−ジクロロ−4−メトキシフェニル)−メタノール(113g、545.76mmol)を溶解させ、窒素下で0℃に冷却した。窒素雰囲気下でPBr(59.1g、218.3mmol)を添加し、0℃で30分間撹拌した。飽和NaHCO水溶液中に注ぎ、EtOAcで抽出した。乾燥させ、真空濃縮し、オフホワイトの固体として129.4gの製品を得た。NMR(CDCl)δ6.88(s、2H)4.73(s、2H)3.79(s、3H)。
【0080】
調製7:
2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−5−ベンジルオキシ−ベンゼン
基本的に調製6の方法に従い、89%の収量で標記化合物を調製した。ES MS(m/z):347(M+1)。
【0081】
調製8:
(R)−4−ベンジル−3−ペント−4−エノイル−オキサゾリジン−2−オン
撹拌装置、内部温度プローブ/Nインレット及び1Lの滴下漏斗を備えた12Lの3口丸底フラスコに、20分間窒素フラッシュし、(R)−4−ベンジル−2−オキサゾリジノン(250g、1.41mol)を添加した。テトラヒドロフラン(THF)(1.8L)で希釈し、ドライアイス/アセトン槽中で内部温度が−74℃となるまで冷却した。n−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(970mL、1.552mol)をカニューレを介して滴下漏斗へ移し、内部温度が−65℃以上とならない速度で徐々にオキサゾリジノンエステル溶液に添加した。添加終了後、反応液を30分間、冷却浴中で撹拌した。4−ペントエノイルクロリド(175mL、1.585mol)を滴下漏斗へ移し、滴下しながら25分間にわたりアニオン溶液に添加した。冷却浴中で45分間反応液を撹拌した。冷却浴を除去し、18時間反応液を撹拌させ、徐々に室温に加温した。混合液を、1N塩酸水溶液(1.5L)及びジエチルエーテル(1L)で希釈した。層分離させ、水(2×1L)、塩水(1L)で有機相を洗浄した。混合した洗浄水をエーテル(1L)で抽出した。無水硫酸マグネシウム上で混合有機相を乾燥させ、濾過し、淡い黄褐色の油状物390gとなるまで濃縮した。ヘキサン:酢酸エチルを使用し、シリカゲルクロマトグラフィによって、この物質を精製し、澄んだ黄色の油状物345g(94.5%)を得た。
【0082】
調製9:
(R)−4−ベンジル−3−[(S)−2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−ペント−4−エノイル]−オキサゾリジン−2−オン
内部温度プローブ/窒素導入口及び滴下漏斗を備える12Lの3口丸底フラスコ中で(R)−4−ベンジル−3−ペント−4−エノイル−オキサゾリン−2−オン(345g、1.33mol)及びTHF(1.8L)の混合液を窒素雰囲気下で撹拌し、−75℃に冷却した。1M LiHMDS(1.6L)を滴下漏斗へ移し、内部温度が−60℃以上とならない速度で徐々に添加した。添加終了後、−25℃で30分間反応液を撹拌し、約−60℃に冷却した。この時点で、5分間にわたり固体状の2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−5−ベンジルオキシ−ベンゼンを徐々に添加した。添加終了後、反応容器を−10℃アセトン浴槽に移し、1時間10℃未満に内部反応温度を維持した。0℃に混合物を冷却し、2Lの1N塩酸水溶液でクエンチした。混合物を22Lの分液漏斗へ移し、2.5Lの水及び2Lのエーテルで希釈した。層を分離し、エーテルで水性層を抽出した。無水硫酸マグネシウム上で混合有機相を乾燥させ、濾過し、濃縮し、濃い油状物800gを得た。ヘキサン:酢酸エチルを使用し、シリカゲルクロマトグラフィで精製し、無色油状物597g(86%)を得た。
【0083】
調製10:
(R)−4−((R)−4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒド
(R)−4−ベンジル−3−[(S)−2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロベンジル)−ペント−4−エノイル]−オキサゾリジン−2−オン(100g、190.68mmol)及びジクロロメタン(800mL)の混合液を−74℃に冷却した。オゾン(75%の速度でA−113オゾン発生器から発生)を、5CFMの速度でキャリアーエアーと共に反応液に供給してバブリングし、溶液が青色となるまで(約3時間)反応させた。トリフェニルホスフィン(60g、228.8mmol)のジクロロメタン(200mL)溶液を添加し、反応液を撹拌し、一晩かけて室温に加温した。真空下で溶液を濃縮し、ヘキサン中20−50%の酢酸エチル勾配を使用してシリカゲルクロマトグラフィで精製し、白い泡状物として生成物82.1g(82%)を得た:MS(m/z):526(M+)。
【0084】
(R)−4−(R)−4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒドの代替調製方法:
(R)−4−ベンジル−3−[(S)−2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−ペント−4−エノイル]−オキサゾリジン−2−オン(0.96g、1.8mmol)、THF(21mL)及び水(7mL)の混合物を、2.5%の四酸化オスミウムのt−ブタノール(46mg、0.18mmol)溶液で処理した。過ヨウ素酸ソーダ(1.17g、5.5mmol)を添加し、室温で4時間反応液を撹拌した。水で反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出した。1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液、更に塩水で有機相を洗浄した。硫酸マグネシウム上で有機層を乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。ヘキサン:酢酸エチルを使用し、シリカゲルクロマトグラフィで粗生成物を精製し、純粋な生成物を溶出させた。所望の生成物を含有する画分を真空濃縮し、所望の生成物0.46g(48%)を得た。MS(m/z):526(M+)。
【0085】
調製11:
(R)−4−ベンジル−3−[(S)−2−(4−メトキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−ペント−4−エノイル]−オキサゾリジン−2−オン
(R)−4−ベンジル−3−ペント−4−エノイル−オキサゾリジン−2−オン(5.0g、19.3mmol)及びテトラヒドロフラン(75mL)の混合物を、−75℃で、250mLの丸底フラスコ中で撹拌した。シリンジを介して2M LDA(14.5mL)をフラスコへ移し、内部温度が−60℃超とならない速度で添加した。添加終了後、−25℃で30分間反応液を撹拌し、約−60℃に冷却した。この時点で、2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−5メトキシベンゼン(7.76g、28.96mmol)のTHF(25mL)溶液を添加した。添加終了後、反応容器を徐々に0℃に加温し、内部反応温度を4時間0℃に維持した。30mLの1N塩酸水溶液で反応をクエンチした。混合物を500mLの分離漏斗へ移し、100mLの水及び100mLのエーテルで希釈した。層を分離し、エーテルで水性層を抽出した。無水硫酸ナトリウム上で混合有機層を乾燥させ、濾過し、濃縮し、濃い油状物を得た。シリカゲルクロマトグラフィを使用してヘキサン:酢酸エチルで精製し、淡黄色の油状物6.65g(76%)を得た。
【0086】
調製12:
(R)−4−((R)−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−メトキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒド
(R)−4−ベンジル−3−[(S)−2−(4−メトキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−ペント−4−エノイル]−オキサゾリジン−2−オン(6.65g、14.87mmol)、テトラヒドロフラン(140mL)及び水(45mL)の混合物を、t−ブタノール(378mL、1.487mmol)中の2.5%の四酸化オスミウムで処理した。ナトリウム過ヨウ素酸塩(9.55g、44.63mmol)を添加し、室温で4時間反応液を撹拌した。水で反応をクエンチし、酢酸エチルで抽出した。1Nチオ硫酸ナトリウム水溶液、更に塩水で有機相を洗浄した。硫酸マグネシウム上で有機層を乾燥させ、濾過し、真空濃縮した。ヘキサン:酢酸エチルを使用し、シリカゲルクロマトグラフィで粗生成物を精製し、純粋な生成物を溶出させた。真空下で生成物を含有する画分を濃縮し、所望の生成物3.35g(49%)を得た。MS(m/z):451(M+)。
【0087】
調製13:
1−ニトロソ−ピペリジン−4−オール
亜硝酸ナトリウム(13.8g、200mmol)の水溶液(40mL)を、4−ヒドロキシピペリジン(10.1g、100mmol)の水溶液(20mL)に添加した。アイスバス上で混合物を0℃に冷却した。20分間、酢酸(8.6mL、150mmol)を滴加した。添加後、0℃で30分間撹拌し、室温に徐々に加温し、5時間、室温で撹拌した。炭酸ナトリウム(15.9g、150mmol)を徐々に添加し、酸をクエンチした。酢酸エチル(3×60mL)で反応液を抽出し、有機相を混合し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、黄色の油状物として所望の生成物を得た。収率:12.9g(98%)。
【0088】
調製14:
1−アミノ−ピペリジン−4−オール
LAH(1.0M、175mL)の溶液を、THF(250mL)中の1−ニトロソ−ピペリジン−4−オール(12.9g)に40分かけて少しずつ添加した。添加後、反応液を3時間還流させ、室温に冷却し、更にアイスバス上で0℃に冷却した。水(40mL)を添加し、反応液を10分間にわたり徐々に室温に加温し、更に30分間還流した。沈殿物を濾過し、加熱したTHF(100mL)中で懸濁させ、再度濾過した。濾過液を混合し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、淡黄色の油状物として所望の生成物を得た。収率:10.7g(94%)。
【0089】
調製15:
(R)−トリフルオロメタン硫酸 3,5−ジクロロ−4−[1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル
(R)−3−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.2g、0.558mmol)、4−ジメチルアミノピペリジン(0.204g、1.676mmol)の混合物の0℃メチレンクロライド溶液を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.473g、1.676mmol)で処理した。0℃で1時間、更に室温で2時間、反応液を撹拌した。反応混合物をメチレンクロライドで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥させ(NaSO)、真空内で溶媒を除去し、50%の酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチルを使い、シリカゲルカラム上で粗生成物を精製し、標題化合物0.17g(62%)を得た。MS(m/z):490(M+)。
【0090】
調製16:
(R)−3’,5’−ジクロロ−3−フルオロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボニトリル
(R)−トリフルオロメタンスルホン酸3,5−ジクロロ−4−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル(0.18g、0.28mmol)、3−フルオロ−4−シアノフェニルホウ酸(0.055g、0.33mmol)、炭酸ナトリウム(0.089g、0.84mmol)のTHF(10mL)及び水(3mL)の混合液を、10分間窒素でパージした。Pd(PPh(0.016g、0.01mmol)を混合物に添加した。80℃で1時間反応液を撹拌した。反応を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、更に0%〜50%の酢酸エチル/ヘキサン勾配でシリカゲルカラムを使って精製し、標題の生成物0.151gを得た。MS(m/z):617(M+)。
【0091】
調製17:
(R)−4−{3,5−ジクロロ−4−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−ベンゾニトリル
(R)−4−{3,5−ジクロロ−4−[1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−ベンゾニトリル(0.238g、0.5mmol)及び15mLのジクロロメタンの混合液をアイスバス中で撹拌した。ピリジン(0.205g、2.59mmol)、更にトリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネート(0.19g、0.62mmol)を添加した。冷水浴を取り除き、室温で1時間反応液を撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機相を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物を、0%〜50%の酢酸エチル/ヘキサン勾配でシリカゲルクロマトグラフィを使って精製し、標題化合物0.295gを得た。MS(m/z):615(M+)。
【0092】
調製18:
(R)−4−{3,5−ジクロロ−4−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−ベンズアミド
(R)−4−{3,5−ジクロロ−4−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−ベンゾニトリル(0.295g、0.48mmol)のDMSO(5mL)溶液をアイスバス上で冷却した。炭酸カリウム(0.331g、2.4mmol)及び過酸化水素(30%水溶液(1mL))の溶液に添加し、反応液を0℃で1.5時間、更に室温で12時間撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、水で3回、更に塩水で1回洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機相を乾燥させ、濾過し、濃縮した。40−100%の酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル勾配により、シリカゲルクロマトグラフィを使って精製し、標題化合物0.210g(69%)を得た。MS(m/z):633(M+)。
【0093】
調製19:
(R)−トリフルオロメタンスルホン酸 3,5−ジクロロ−4−(1−モルホリン−4−イル−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル)−フェニルエステル
(R)−3−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−モルホリン−4−イル−ピロリジン−2−オン(0.4g、1.16mmol)及びピリジン(10mL)の混合物を、0℃でトリフルオロメタンスルホン酸無水物(1.05g、3.72mmol)で処理した。0℃で1時間、更に室温で1時間反応液を撹拌した。真空内で過剰なピリジンを除去し、残余物にジクロロメタンを添加し、水及び飽和塩化アンモニウムで洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去し、50−100%の酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチルでシリカゲルカラムを使って粗生成物を精製し、標題化合物0.4g(72%)を得たMS(m/z):477(M+)。
【0094】
調製19A:
(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−1−モルホリン−4−イル−ピロリジン−2−オン トリフルオロアセテート
トリフルオロメタンスルホン酸 (R)−3,5−ジクロロ−4−(1−モルホリン−4−イル−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル)−フェニルエステル(0.126g、0.26mmol)、4−フルオロフェニルホウ酸(0.044g、0.31mmol)、炭酸ナトリウム(0.084g、0.79mmol)のTHF(10mL)及び水(3mL)の混合液を60℃に加温した。60℃の混合液にPd(PPh(0.015g、0.011mmol)を添加し、更に反応温度を80℃まで上昇させ、2時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、50の酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチルによりシリカゲルカラムで精製し、標題生成物0.102g(92%)を得、更にトリフルオロ酢酸で処理しTFA塩に変化させた。MS(m/z):423(M+)。
【0095】
調製19B:
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−(1−モルホリン−4−イル−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル
(R)−トリフルオロメタンスルホン酸 3,5−ジクロロ−4−(1−モルホリン−4−イル−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル)−フェニルエステル(0.19g、0.4mmol)、4−t−ブチルオキシカルボニルフェニルホウ酸(0.106g、0.48mmol)、炭酸ナトリウム(0.127g、1.2mmol)のTHF(10mL)及び水(3mL)の混合液を60℃に加温した。60℃の混合液に、Pd(PPh(0.023g、0.02mmol)を添加し、更に反応温度を80℃まで上げ、3時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、更に40%の酢酸エチル/ヘキサンによりシリカゲルカラムを使って精製し、標題の生成物0.15g(74%)を得た。MS(m/z):461(M+)。
【0096】
調製19C:
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−(1−モルホリン−4−イル−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボン酸 トリフルオロアセテート
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−(1−モルホリン−4−イル−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル(0.15g)のジクロロメタン(5mL)溶液をTFA(1mL)で処理し、室温で12時間反応液を撹拌した。真空内で溶媒及び過剰なTFAを除去し、標題化合物0.165g(98%)を得た。MS(m/z):449(M+)。
【0097】
調製20:
(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(1.23g、2.75mmol)と15mLのジクロロメタンの混合液をアイスバス中で撹拌した。ピリジン(0.52g、6.6mmol)、更にトリイソプロピルシリルトリフルオロメタンスルホネート(0.924g、3.02mmol)を添加した。冷水浴を取り除き、室温で12時間反応液を撹拌した。反応液をジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機相を乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物を、ヘキサン:エチル酢酸=4:1でシリカゲルクロマトグラフィを使って精製し、標題の化合物1.2g(72%)を得た。MS(m/z):605(M+)。
【0098】
調製21:
(R)−3−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
及びHを用い、(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(1.2g)及び20%の水酸化パラジウム(II)/カーボン(0.24g)のエタノール(40mL)中混合物をパージし、室温で2時間、20psiのH下で撹拌した。混合物をセライトで濾過し、真空内で濾過液を濃縮し、標題の生成物0.95g(99%)を得た。MS(m/z):515(M+)。
【0099】
調製22:
(R)−トリフルオロメタンスルホン酸 3,5−ジクロロ−4−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル
(R)−3−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(20.2g、39.3mmol)ピリジン(31.05g、393mmol)のメチレンクロライド(200mL)溶液を、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(13.30g、47.16mmol)で0℃で処理した。0℃で1時間、更に室温で1時間反応液を撹拌した。反応混合物をメチレンクロライドで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を25%の酢酸エチル/ヘキサンでシリカゲルカラムを使って精製し、標題化合物22g(87%)を得た。MS(m/z):647(M+)。
【0100】
調製23:
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸 メチルエステル
(R)−トリフルオロメタンスルホン酸 3,5−ジクロロ−4−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル(0.52g、0.8mmol)、4−メトキシカルボニルフェニルホウ酸(0.174g、0.966mmol)、炭酸ナトリウム(0.256g、2.41mmol)のTHF(20mL)及び水(6mL)混合液を60℃に加温した。60℃の混合液に、Pd(PPh(0.046g、0.04mmol)を添加し、反応温度を80℃まで上げ、1時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、25%〜50%の酢酸エチル/ヘキサン勾配でシリカゲルカラムを使って精製し、標題の生成物0.49g(96%)を得た。MS(m/z):633(M+)。
【0101】
調製24:
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(0.36g)のTHF(5mL)及びメタノール(2mL)溶液を、2N LiOH(5mL)で処理し、室温で3時間撹拌した。酢酸エチル(25mL)及び1N HCl(10mL)で混合物を分離した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去し、標題化合物0.34g(97%)を得た。MS(m/z):619(M+)。
【0102】
調製25:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸(0.337g、0.545mmol)のCHCl(20mL)溶液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.177g、1.09mmol)で処理し、室温で45分間撹拌した。反応液を4−トリフルオロメチルピペリジン塩酸(0.155g、0.818mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.106g、0.818mmol)で処理し、室温で12時間撹拌した。混合物をシリカゲルカラムにロードし、25%〜50%の酢酸エチル/ヘキサンでフラッシュし、標題化合物0.34g(84%)を得た。MS(m/z):754(M+)。
【0103】
調製26:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸(4.0g、6.45mmol)のCHCl(40mL)溶液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(2.09g、12.91mmol)で処理し、室温で1時間撹拌した。反応液を4,4−ジフルオロピペリジン塩酸塩(1.53g、9.68mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(1.69g、9.68mmol)で処理し、室温で12時間撹拌した。シリカゲルカラム上に混合物をロードし、25%〜35%の酢酸エチル/ヘキサンでフラッシュクロマト精製し、標題化合物3.8g(81%)を得た。MS(m/z):722(M+)。
【0104】
調製27:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(モルホリン−4−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸(0.2g、0.32mmol)のCHCl(15mL)溶液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.10g、0.65mmol)で処理し、室温で1時間撹拌した。反応をモルホリン(0.06g、0.65mmol)で処理し、室温で12時間撹拌した。シリカゲルカラム上に混合物をロードし、25%〜35%の酢酸エチル/ヘキサンでフラッシュクロマト精製し、標題化合物0.20g(90%)を得た。MS(m/z):688(M+)。
【0105】
調製28:
(R)−3−[4−(3−アミノ−ベンゾ[d]イソキサゾル−6−イル)−2,6−ジクロロ−ベンジル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
アセトヒドロキサム酸(0.046g、0.61mmol)、炭酸カリウム(0.169g、1.22mmol)のDMF(5mL)及び水(2mL)混合液を室温で10分間撹拌した。当該混合液に、(R)−3’,5’−ジクロロ−3−フルオロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボニトリル(0.151g、0.244mmol)の溶液を添加し、室温で5時間、更に60℃で1時間反応液を撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチル(40mL)で希釈し、水で3回(各15mL)、更に塩水(15mL)で洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機層を乾燥させ、濾過し、真空下で濃縮した。残余物を、0%〜50%の酢酸エチル勾配/ヘキサンでシリカゲルクロマトグラフィを使って精製し、標題化合物0.095g(62%)を得た。MS(m/z):631(M+)。
【0106】
調製29:
(R)−3−(2−クロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
及びHで、(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(36.61g)及び20%の水酸化パラジウム(II)/炭素(7.2g)のエタノール(250mL)及びメタノール(250mL)混合液をパージし、更に室温で12時間、H下で撹拌した。混合液をセライトで濾過した。真空内で濾過液を濃縮し、粗混合液を25%〜35%の酢酸エチル/ヘキサンでシリカゲルカラムを使って精製し、標題の生成物0.75gを得た。MS(m/z):481(M+)。
【0107】
調製30:
トリフルオロメタンスルホン酸 3−クロロ−4−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル
(R)−3−(2−クロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.75g、1.56mmol)、ピリジン(1.26g、15.6mmol)のメチレンクロライド(200mL)混合液を、0℃においてトリフルオロメタンスルホン酸無水物(0.66g、2.34mmol)で処理し、0℃で1時間、更に室温で1時間、反応液を撹拌した。反応混合物をメチレンクロライドで希釈し、水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、粗生成物を25%の酢酸エチル/ヘキサンでシリカゲルカラムを使って精製し、標題化合物0.94g(98%)を得た。MS(m/z):613(M+)。
【0108】
調製31:
3’−クロロ−4’−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸 メチルエステル
トリフルオロメタンスルホン酸 3−クロロ−4−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル(0.83g、1.35mmol)、4−メトキシカルボニルフェニルホウ酸(0.29g、1.62mmol)、炭酸ナトリウム(0.43g、4.06mmol)のTHF(20mL)及び水(6mL)混合液を60℃に加温した。60℃の混合液に、Pd(PPh(0.08g、0.07mmol)を添加した。反応温度を80℃まで上げ、1時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、0%〜50%の酢酸エチル/ヘキサン勾配でシリカゲルカラムを使って精製し、標題の生成物0.76g(93%)を得た。MS(m/z):599(M+)。
【0109】
調製32:
3’−クロロ−4’−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸
3’−クロロ−4’−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸メチルエステル(0.76g)のTHF(15mL)溶液を、2N LiOH(15mL)で室温で5時間処理した。酢酸エチル(25mL)及び1N HCl(10mL)で混合物を分離した。NaSOで有機層を乾燥させ、真空内で溶媒を除去し、標題化合物0.73g(98%)を得た。MS(m/z):585(M+)。
【0110】
調製33:
(R)−3−[3’−クロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
3’−クロロ−4’−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸(0.2g、0.34mmol)のCHCl(15mL)溶液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.11g、0.68mmol)で処理し、室温で60分間撹拌した。反応液を4−トリフルオロメチルピペリジン塩酸(0.10g、0.51mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.07g、0.51mmol)で処理し、室温で12時間撹拌した。シリカゲルカラム上へ混合液をロードし、0%〜50%の酢酸エチル/ヘキサンでフラッシュクロマト精製し、標題化合物0.12g(49%)を得た。MS(m/z):720(M+)。
【0111】
調製34:
(R)−3−[3−クロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
3’−クロロ−4’−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−ビフェニル−4−カルボン酸(0.2g、0.34mmol)のCHCl(15mL)溶液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.11g、0.68mmol)で処理し、室温で1時間撹拌した。反応液を4,4−ジフルオロピペリジン塩酸(0.08g、0.51mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.07g、0.51mmol)で処理し、室温で12時間撹拌した。シリカゲルカラム上へ混合液をロードし、0%〜50%の酢酸エチル/ヘキサンでフラッシュクロマト精製し、標題化合物0.15g(64%)を得た。MS(m/z):688(M+)。
【0112】
調製35:
(S)−4−ベンジル−3−[(R)−2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−ペント−4−エノイル]−オキサゾリジン−2−オン
25mlの無水THF中に4−ベンジル−3−ペント−4−エノイル−オキサゾリジン−2−オン(2.21g、8.52mmol)を溶解させた。−78℃に冷却した。LiN(TMS)(10.23ml、10.23mmol)を添加した。同じ温度で30分間撹拌した。5mlのTHF中に、5−ベンジルオキシ−2−ブロモメチル−1,3−ジクロロ−ベンゼン(3.10g、8.95mmol)を添加した。反応液を徐々に室温に加温した。
塩化アンモニウム飽和溶液でクエンチした。酢酸エチルで抽出した。カラムクロマトにより、生成物3.09g(69%)を得た。
【0113】
調製36:
(S)−4−(S)−4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒド
THF/水(100ml)の3/1混合液に、4−ベンジル−3−[2−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−ペント−4−エノイル]−オキサゾリジン−2−オン(3.09g、5.89mmol)を溶解させた。OsO(5.99g、0.59mmol)及びNaIO(3.82g、17.86mmol)を添加した。室温で3時間、得られる懸濁液を撹拌した。1Mのチオ硫酸ナトリウム(300ml)の溶液でクエンチした。酢酸エチルで抽出した。カラムクロマトで精製し、4−(4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒド0.885g(28.5%)を得た。
【0114】
実施例1:
(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−モルホリン−4−イル−ピロリジン−2−オン
【化59】

ジクロロエタン(25mL)、N−アミノモルホリン(0.204g、2mmol)、(R)−4−((R)−4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒド(1.064g、2mmol)及びナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(1.266g、6mmol)の混合物を、室温で12時間撹拌した。反応液を60℃にし、3時間撹拌した。反応液を冷却し、ジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、50〜75%の酢酸エチル/ヘキサン勾配でシリカゲルを使って精製し、標題の生成物0.07g(80%)を得た。MS(m/z):435(M+)。
【0115】
実施例2:
(R)−3−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−モルホリン−4−イル−ピロリジン−2−オン
【化60】

及びHで、(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−モルホリン−4−イル−ピロリジン−2−オン(0.66g)及び20%の水酸化パラジウム(II)/炭素(0.15g)の酢酸エチル(30mL)混合液をパージし、室温で2時間、Hバルーン下で撹拌した。混合物をセライトで濾過し、真空内で濾過液を濃縮し、標題の生成物0.43g(82%)を得た。MS(m/z):345(M+)。
【0116】
実施例3:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−モルホリン−4−イル−ピロリジン−2−オン
【化61】

(R)−3’,5’−ジクロロ−4’−(1−モルホリン−4−イル−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル)−ビフェニル−4−カルボン酸トリフルオロ酢酸塩(0.16g、0.28mmol)のCHCl(10mL)混合液を、1,1’−カルボニルジイミダゾール(0.092g、0.57mmol)、4−トリフルオロメチルピペリジン塩酸(0.081g、0.43mmol)及びジイソプロピルエチルアミン(0.110g、0.86mmol)で処理し、室温で12時間撹拌した。シリカゲルカラム上に混合液をロードし、50%酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチルでフラッシュクロマトを使って精製し、標題化合物及び不純物の混合物0.081gを得た。逆相HPLCで再度精製し、標題化合物0.055g(34%)を得た。MS(m/z):584(M+)。
【0117】
実施例4:
(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化62】

ジクロロエタン(500mL)、N−アミノ−4−ヒドロキシピペリジン(10.66g、91.88mmol)、(R)−4−((R)−4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒド(40.2g、76.57mmol)及びナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(48.47g、229.71mmol)の混合液を21時間、室温で撹拌した。反応液を55℃にし、1時間撹拌した。反応液を冷却し、ジクロロメタンで希釈し、水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、100%の酢酸エチル及び10%のメタノール/メチレンクロライドでシリカゲルクロマトを使って精製し、標題の生成物30g(90%)を得た。MS(m/z):449(M+)。
【0118】
実施例5:
(R)−3−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化63】

及びHで、(R)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.26g)及び20%の水酸化パラジウム(II)/炭素(0.08g)の酢酸エチル(25mL)混合液をパージし、室温で4時間、Hバルーン下で撹拌した。混合物をセライトで濾過し、真空内で濾過液を濃縮し、標題の生成物0.205g(99%)を得た。MS(m/z):359(M+)。
【0119】
実施例6:
(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−フルオロ−ビフェニル−4−イルメチル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン トリフルオロアセテート
【化64】

トリフルオロメタンスルホン酸 (R)−3,5−ジクロロ−4−[1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル(0.102g、0.21mmol)、4−フルオロフェニルホウ酸(0.035g、0.25mmol)、炭酸ナトリウム(0.066g、0.62mmol)のTHF(10mL)及び水(3mL)混合液を、60℃に加温した。60℃の混合液に、Pd(PPh(0.015g、0.011mmol)を添加し、反応温度を80℃まで上げ、2.5時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、シリカゲルカラム及びHPLC(逆相)で精製し、標題の生成物0.02gを得た、MS(m/z):437(M+)。
【0120】
実施例7:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化65】

(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.34g)、THF(6mL)及び水(6mL)の混合物を、TFA(2mL)を用い、室温で1時間、更に50℃で2時間反応させた。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム(飽和)で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、100%の酢酸エチル、及び10%メタノール/メチレンクロライドでシリカゲルカラムを使って精製し、標題の生成物0.205g(76%)を得た。MS(m/z):598(M+)。
【0121】
実施例8:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化66】

(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンのTHF(60mL)溶液に、水(60mL)及びTFA(20mL)を添加した。室温で12時間、混合物を撹拌した。反応液を、酢酸エチル(200mL)及び重炭酸ナトリウム(飽和溶液150mL)で分離させ、有機層を分離し、更に200mLの酢酸エチルで水性層を抽出し、有機溶液を混合した。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物を40mLのジクロロメタン中に溶解させ、Biotage Si65M 1385−1カラム上にロードし、酢酸エチルによって30分間フラッシュし、8%のメタノール/ジクロロメタンへ切り替え、白色固体として所望の生成物8.02g(97%)を得た。MS(m/z):566(M+)。
【0122】
実施例9:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(モルホリン−4−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化67】

水(3mL)及びTFA(1mL)を、(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(モルホリン−4−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンのTHF(3mL)溶液に添加した。室温で12時間、混合液を撹拌した。反応液を、酢酸エチル(20mL)及び重炭酸ナトリウム(飽和溶液15mL)で分離させ、有機層を分離し、更に20mLの酢酸エチルで水性層を抽出し、有機溶液を混合した。硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残余物を4mLのジクロロメタン中に溶解させ、シリカゲルカラム上にロードし、15分間、酢酸エチルでフラッシュし、8%のメタノール/ジクロロメタンへ切り替え、白色固体として所望の生成物0.13g(84%)を得た。MS(m/z):532(M+)。
【0123】
実施例10:
(R)−3−[4−(3−アミノ−ベンゾ[d]イソキサゾル−6−イル)−2、6−ジクロロ−ベンジル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化68】

水(3mL)及びTFA(1mL)を、(R)−3−[4−(3−アミノ−ベンゾ[d]イソキサゾル−6−イル)−2,6−ジクロロ−ベンジル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.095g)のTHF(3mL)溶液に添加した。室温で5時間、混合液を撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム(飽和溶液)で洗浄し、有機層を分離させ、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。最初に酢酸エチルを用いて、次に5%のメタノール/ジクロロメタンへ切り替え、シリカゲルカラム上で残余物を精製し、白色固体として所望の生成物0.062g(87%)を得た。MS(m/z):475(M+)。
【0124】
実施例11:
(R)−4−{3,5−ジクロロ−4−[1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−ベンゾニトリル
【化69】

(R)−3−(2,6−ジクロロ−4−ヒドロキシ−ベンジル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.5g、1.4mmol)のDMSO溶液に、炭酸カリウム(0.385g、2.8mmol)及び4−フルオロ・ベンゾニトリル(0.253g、2.1mmol)を添加した。80℃で3時間、反応液を撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水で3回、塩水で1回洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機層を乾燥させた後、濾過し、真空下で濃縮した。残余物を、50%の酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチル勾配でシリカゲルクロマトグラフィを使って精製し、標題化合物0.32g(50%)を得た。MS(m/z):460(M+)。
【0125】
実施例12:
(R)−4−{3,5−ジクロロ−4−[1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−2−オキソ−ピロリジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−ベンズアミド
【化70】

水(6mL)及びTFA(2mL)を、(R)−4−{3,5−ジクロロ−4−[2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェノキシ}−ベンズアミド(0.21g)のTHF(6mL)溶液に添加した。室温で12時間、混合物を撹拌した。反応液を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム(飽和溶液)で洗浄し、有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。最初に酢酸エチルを用いて、次に5%のメタノール/ジクロロメタンへ切り替え、シリカゲルカラム上で残余物を精製し、白色固体として所望の生成物0.158g(100%)を得た。MS(m/z):478(M+)。
【0126】
実施例13:
(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化71】

トリフルオロメタンスルホン酸 3,5−ジクロロ−4−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル(0.18g、0.29mmol)、4−トリフルオロメチルフェニルホウ酸(0.07g、0.36mmol)、炭酸ナトリウム(0.09g、0.86mmol)のTHF(26mL)及び水(13mL)混合液を60℃に加温した。60℃の混合物に、Pd(PPh(0.02g、0.01mmol)を添加した。反応温度を80℃まで上げ、1時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、25%〜50%の酢酸エチル/ヘキサン勾配でシリカゲルカラムを使って精製し、0.12gの(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンを得た。
(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−4−イルメチル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.12g)のTHF(6mL)混合液に、水(6mL)及びTFA(2mL)を添加した。室温で12時間、混合物を撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム(飽和)及び水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製混合物を、50%の酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸メチルを使ってシリカゲルカラム上で精製し、標題の生成物0.088gを得た、MS(m/z):487(M+)。
【0127】
実施例14:
(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化72】

トリフルオロメタン硫酸 3,5−ジクロロ−4−[(R)−2−オキソ−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−3−イルメチル]−フェニルエステル(0.14g、0.22mmol)、4−メチルスルホニルフェニルホウ酸(0.06g、0.28mmol)、炭酸ナトリウム(0.07g、0.67mmol)のTHF(26mL)及び水(13mL)混合液を60℃に加温した。60℃の混合液に、Pd(PPh(0.02g、0.01mmol)を添加した。反応温度を80℃まで上げて、1時間撹拌した。反応液を冷却し、酢酸エチルで希釈し、水及び塩水で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、25%〜50%の酢酸エチル/ヘキサン勾配でシリカゲルカラムを使って精製し、0.12gの(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンを得た。
(R)−3−(3,5−ジクロロ−4’−メタンスルホニル−ビフェニル−4−イルメチル)−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.12g)のTHF(6mL)混合液に、水(6mL)及びTFA(2mL)を添加した。室温で12時間、混合液を撹拌した。反応混合物を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム(飽和)及び水で洗浄した。有機層を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗製混合物を、50%の酢酸エチル/ヘキサン〜100%酢酸エチルを使って、シリカゲルカラム上で精製し、標題の生成物0.088gを得た、MS(m/z):497(M+)。
【0128】
実施例15:
(R)−3−[3’−クロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化73】

(R)−3−[3’−クロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.12g)、THF(3mL)及び水(3mL)の混合液を、室温で5時間、TFA(1mL)で処理した。反応液を酢酸エチルで希釈し、重炭酸ナトリウム(飽和)で洗浄した。有機層を乾燥し(NaSO)、真空内で溶媒を除去して粗生成物を得、100%の酢酸エチル及び10%のメタノール/メチレンクロライドでシリカゲルカラムを使って精製し、標題の生成物0.05g(53%)を得た。MS(m/z):564(M+)。
【0129】
実施例16:
(R)−3−[3−クロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化74】

(R)−3−[3−クロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−トリイソプロピルシラニルオキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(0.15g)のTHF(3mL)溶液に、水(3mL)及びTFA(1mL)を添加した。室温で5時間、混合物を撹拌した。酢酸エチル及び重炭酸ナトリウム(飽和溶液)で反応液を分離させ、有機層を分離し、再度酢酸エチルで水性層を抽出し、有機溶液を混合し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。シリカゲルカラムを使い、残余物を酢酸エチルで30分間、続いて8%のメタノール/ジクロロメタンで精製し、白色固体として所望の生成物0.06g(52%)を得た。MS(m/z):532(M+)。
【0130】
実施例17:
(S)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化75】

(S)−4−((S)−4−ベンジル−2−オキソ−オキサゾリジン−3−イル)−3−(4−ベンジルオキシ−2,6−ジクロロ−ベンジル)−4−オキソ−ブチルアルデヒドを使用したことを除き、実施例7にて説明したのと同じ手順を使用して標題化合物を合成した。MS(m/z):598(M+)。
【0131】
実施例18:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン無水物の結晶
アモルファスの(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(100mg)を、加熱(<50℃)及び撹拌しながら、ヘプタン(1mL)及びEtOAc(1mL)中に溶解させた。30分以内に、加温した溶液からクリスタルのスラリーが形成された。スラリーを一晩40〜45℃に維持し、減圧濾過して固体生成物を分離させ、空気乾燥し、標題化合物(91mg)を得た。
【0132】
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン無水物の結晶の代替調製方法:
アモルファスの(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン(25mg)を、約40倍容のEtOAc:ヘプタン=3:1(v/v)中に、加熱及び撹拌しながら溶解させた。溶液を、撹拌しながら室温で平衡化させ、(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン水和物の種結晶を入れた。45分以内に結晶状のスラリーが形成された。ピペットで母液を除去し、空気乾燥し、湿った固体を空気乾燥した。
【0133】
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン結晶の代替調製方法:
アモルファスの(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンの泡状物59.5gを、110mLのアセトン中に溶解させた。結晶状の(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンの種晶を添加し、2時間スラリーを撹拌した。濾過して白色固体を集め、真空オーブンで乾燥させ、53.2gの結晶(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンを得た。
【0134】
X線による粉末の回析
D4 Endeaver回折計(40kV及び50mAで作動するCuKαソース(λ=1.54056Å)を備えている)を用いてX線粉回折分析を実施した。サンプルを、2θ:3°〜40°、2θ:0.009°のステップサイズ及び>3秒のスキャン速度/ステップでスキャンした。必要に応じ、サンプル置換エラーを、NIST標準SRM675(2θ:8.8°の標準ピーク)を使用して校正した。いかなる所与の結晶形の場合も、回折ピークの相対的強度が水晶の形態及び習慣などの要因に起因する好適な方向に応じて変化しうることは、結晶学の技術分野では周知である。好適な方向の効果がある場合、ピーク強度は変化するが、多形体の特徴的なピーク位置は不変である。例えばThe United States Pharmacopeia #23,National Formulary #18,p1843−1844,1995を参照。更に、いかなる所与の結晶形の場合も、角ピークの位置がわずかに変化しうることは結晶学技術において周知である。例えば、ピーク位置は、サンプルを分析する際の温度又は湿度による変化、サンプル置換又は内部標準の有無に応じて変化しうる。この場合、2θにおける±0.1のピーク位置可変性はこれらの潜在的可変性も計算に入れ、示された結晶形の明解な解析を妨げることもない。
【0135】
結晶形は、特徴的なピーク(°2θを単位)(典型的な、顕著なピーク)のあらゆるユニークな組合せに基づき確認できる。結晶状の(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンは、8.6°及び15.3°の2θ値で特徴的なピークを有するX線粉回折パターンによって特徴づけられ、結晶状の(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンは、8.6°、15.3°及び17.4°の2θ値で特徴的なピークを有するX線粉末回折パターンによって更に特徴づけられる。すべての回折角は、±0.1度の許容度により表される。
表1:
X線粉末回折(CuKα放射線源、λ=1.54056Å)で解析した、結晶(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン無水物のピーク
【表1】

【0136】
反応式L:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンの代替調製方法
【化76】

【0137】
調製37:
(4−ブロモ−フェニル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
200mLのテトラヒドロフラン中に4−ブロモベンゼン20.0g(1当量)を溶解させ、32.7mLのN−メチルモルホリン、10.57gの4−トリフルオロメチルピペリジン塩酸及び12.1gの2−クロロ−4,6−ジメトキシ−1,3,5−トリアジンを添加した。16時間撹拌した後、混合物を濾過し、溶媒を蒸発させた。メチルtert−ブチルエーテルに混合物を再融解し、1N HCl、更に飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び水で洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機層を乾燥させ、固体を蒸発させ、標題の化合物15.5g(83%の収率)を得た。
【0138】
調製38:
酢酸 2,6−ジクロロ−ベンジルエステル
100gの2,6−ジクロロベンジルアルコールに、500mLのジクロロメタン、更に117mLのトリエチルアミンを添加した。溶液を5℃に冷却し、65mLの無水酢酸を添加した。室温で2.5時間反応させた後、更に10mLの無水酢酸、20mLのトリエチルアミン及び0.5gの4−ジメチルアミノピリジンを添加した。有機層を1N HClで洗浄し、更に飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び塩水で洗浄した。硫酸ナトリウムで有機層を乾燥、蒸発させ、油状物として標題の化合物131.5gを得た。
【0139】
調製39:
酢酸2,6−ジクロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンジルエステル
酢酸2,6−ジクロロ−ベンジルエステル62.2g(1当量)を300mLのヘプタンに溶解させ、ビス(ピナコラト)ジボロン71.4g(1.02当量)を添加した。窒素下に混合物を配置し、ジ−mu−クロロビス、[(1,2,5,6−イータ)−1,5−シクロオクタジエン)]ジイリジウム3.67g(0.02当量)及び2,2’−ビピリジン2.56g(0.06当量)を添加した。混合物を8時間還流加熱し、ビス(ピナコラト)ジボロンを更に52g(0.74当量)添加した。混合物を11時間還流加熱した。混合物を約50℃に冷却し、500mLのEtOAc及び10gのHyflo(珪藻土)を添加し、シリカゲルパッドで濾過した。脱色カーボンを4g添加し、濾過した。更に500mLのEtOAcを添加し、水及び塩水で有機層を洗浄した。硫酸ナトリウム上で有機層を乾燥させ、濾過した。溶媒を蒸発させ、茶色の残余物を得た。加熱しながら、1Lのエタノール中に残余物を溶解させた。脱色カーボンを5g添加し、50℃で濾過した。回転蒸発器を用い、40℃で約600mLまで溶媒を蒸発させ、スラリーを得た。スラリーを5℃に冷却し、濾過して固体分を回収し、標題の化合物59.9g(63%の収率)を得た。
【0140】
調製40:
酢酸3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イル メチルエステル
酢酸2,6−ジクロロ−4−(4,4,5,5−テトラメチル−[1,3,2]ジオキサボロラン−2−イル)−ベンジルエステル18.5g(1当量)及び(4−ブロモ−フェニル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン19.9g(1.1当量)を、190mLのジメトキシエタン中に溶解させた。炭酸カリウム8.9g、水95mL、酢酸パラジウム塩0.24g(0.02当量)及びトリフェニルホスフィン0.85g(0.06当量)を添加した。80℃で2.5時間、混合物を加熱した。反応混合物を室温で一晩撹拌し、懸濁液を調製した。7.4gの炭酸カリウム、100mLの水及び100mLのメタノールを添加し、室温で3時間混合物を撹拌した。濾過して固体分を回収し、真空オーブンで50℃で乾燥させ、標題の化合物20.8g(82%の収率)を得た。
【0141】
調製41:
(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
酢酸3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチルエステル20g(1当量)を300mLのメタノール中に、33℃まで加熱しながら溶解させた。25℃で8.2gの炭酸カリウムを添加し、周囲温度で5時間撹拌した。脱色カーボンを約5g添加し、溶液を濾過した。濾過液に水を添加し、回転蒸発器により40℃で若干のメタノールを除去し、スラリーを得た。濾過して固体を除去し、50℃で真空下で乾燥し、標題の化合物14.4g(76%の収率)を得た。
【0142】
調製42:
(4’−ブロモメチル−3’,5’−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン
(3’,5’−ジクロロ−4’−ヒドロキシメチル−ビフェニル−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(13g、1当量)をジクロロメタン(200mL)中に溶解させ、0℃に冷却した。トリフェニルホスフィン(12.2g、1.5当量)、更に四臭化炭素(15.4g、1.5当量)を徐々に添加した。反応混合物を濾過し、濾過液を濃縮した。濾過液をシリカゲルクロマトで精製し、標題の化合物8.0g(54%の収率)を得た。
【0143】
調製43:
(3R,5S)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−5−ヒドロキシメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン
(S)−5−ヒドロキシメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン(1.21g、1当量)をTHF(16mL)に溶解させ、−10℃に冷却した。これに、ジメチルエチルアミン(1.8mL、1.5当量)添加し、更にTMS−Cl(1.46mL、1.1当量)を滴下して添加し、反応液を−10℃で1.5時間撹拌した。ガスクロマトにより、(S)−5−ヒドロキシメチル−ジヒドロ−フラン−2−オンの完全な消費を確認した。混合物を濾過し、更にTHF(25mL)で洗浄した。溶液を−78℃に冷却した。これに、LiHMDS(10mL、(4’−ブロモメチル−3’,5’−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノンの1.23当量)を滴下して添加し、−78℃で30分間撹拌した。(4’−ブロモメチル−3’,5’−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノン(4g、(S)−5−ヒドロキシメチル−ジヒドロ−フラン−2−オンの0.76当量)に添加し、反応液を−78℃に維持した。1時間後、TLC(50%のEtOAc/ヘプタン)は、約50%の(4’−ブロモメチル−3’,5’−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノンを示した。その日の終わりに、LiHMDS(3mL)を添加し、一晩かけて室温に加温した。TLC(50%のEtOAc/ヘプタン)では、まだ少量の(4’−ブロモメチル−3’,5’−ジクロロ−ビフェニル−4−イル)−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−イル)−メタノンが示された。リン酸:水(1:3)溶液(50mL)で反応をクエンチし、室温で1時間撹拌した。EtOAc(3×100mL)で水性層を抽出した。有機層を混合し、乾燥させ、濃縮した。粗製の油状物をシリカゲルプラグ(EtOAc)に通し、標題の化合物(2.57g、60%の収率)を得た。
【0144】
調製44:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−5−ヒドロキシ−ジヒドロ−フラン−2−オン
(3R,5S)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−5−ヒドロキシメチル−ジヒドロ−フラン−2−オン(1.5g、1当量)をTHF(10mL)に溶解させ、更に2N NaOH(3mL)を添加した。室温で1時間、反応液を激しく撹拌した。TLC(50%のEtOAc/ヘプタン)は、出発原料の完全な消費が示した。滴下して過ヨウ素酸(1.5g、2.3当量)の水溶液(5mL)を添加した。反応液は若干発熱を伴い、白いスラリーに変化した。〜1時間後、TLC(50%のEtOAc/ヘプタン)は、反応が終了したことを示した。スラリーを1N HCl(10mL)で希釈し、EtOAcで3回(合計150mL)抽出した。有機層を乾燥させ、濃縮し、白い泡状の固体(1g、68%の収率)として標題の化合物を得た。
【0145】
実施例19:
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オン
【化77】

1−アミノ−ピペリジン−4−オール(0.204g、1.1当量)をアセトニトリル(3mL)中に溶解させ、溶液を50℃まで加熱した。温度が35℃に達したとき、(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−5−ヒドロキシ−ジヒドロ−フラン−2−オン(0.829g、1当量)を添加し、50℃で更に1時間加熱した。反応液を室温に冷却させ、ナトリウムトリアセトキシボロハイドライド(0.508g、1.5当量)を添加した。反応液を室温で一晩撹拌した。水を添加し、EtOAcで抽出した。溶媒を除去し、残余物をシリカゲルクロマトで精製し、標題の化合物200mgを得た。MS(m/z):598(M+1、35Cl)(600(M+1、37Cl)。
【0146】
以下のセクションにおいて、酵素的及び機能的アッセイによる本発明の化合物の評価に関して記載する。
【0147】
11β−HSD 1型酵素アッセイ
ヒトの11β−HSD 1型の活性は、蛍光試験法を用い、NADPH生成をアッセイすることにより測定した。固体の化合物は、10mMの濃度となるようにDMSOに溶解させた。各々の20μLを96穴ポリプロピレン製ヌンクプレートのカラムへ添加し、そこで更に50倍に希釈し、その後二段階滴定し、それをTecan Genesis 200自動化システムを使用して更にDMSOを添加しながら、プレート全体にわたり、10回行った。プレートを更に、Tecan Temo 96穴ヘッド及びUltra 384プレートリーダーを装備したTecan Freedom 200システムへ取付けた。96穴ポリプロピレン製ヌンクプレートに試薬を添加し、以下のとおり、黒い96穴Molecular Devices High Efficiencyアッセイプレート(40μL/ウェル)に個々に添加した。基質(2.22mMのNADP、55.5μM Cortisol、10mMのトリス、0.25%のPrionex、0.1%のトリトンX−100):9μL/ウェル、水:3μL/ウェル(化合物用のウェル又はコントロール及びスタンダードウェル)、組換えヒト11β−HSD 1型酵素:6μL/ウェル、希釈した化合物:2μL/ウェル。最終的な阻害%の算出は、最小及び最大のアッセイデータを示す一連のウェルのデータを加算して行った(667μMカルベノキソロンと共に基質を含有する1セット(バックグラウンド)、及び化合物を含まず、基質及び酵素を含有する他のセット(最大シグナル)。最終的なDMSO濃度は全ての化合物、コントロール及びスタンダードにおいて、0.5%であった。次にプレートを15秒間Tecanのロボットアームによってシェーカーに配置し、カバーをかけ、室温で3時間インキュベートした。インキュベート終了後、Tecanロボットアームによって、個々のスタッカから各プレートを取り出し、250μMカルベノキソロン溶液を5μL/ウェルで添加し、酵素反応を停止させた。プレートを更に15秒間振とうし、次にultra 384マイクロプレートリーダー(355EX/460EM)でNADPHの蛍光を検出した。
【0148】
また本発明の化合物を、11−βHSD1の場合と同様のアッセイ(代わりに11−βHSD2エンザイムを用いた)で、11−βHSD2に対する選択性を解析した。11−βHSD2エンザイムを用いたアッセイは、本願明細書に記載のとおりに実施し、また公知の方法により補足できる。実施例7は、11−βHSD2の抑制と比較し、145倍の程度で11−βHSD1酵素を阻害することが確認された。
【0149】
ヒトの大動脈平滑筋細胞アッセイ:
ヒトの大動脈平滑筋細胞(AoSMC)の初代細胞を、継代数6となるまで5%ウシ胎児血清を含有する培地中で培養し、次に遠心分離してペレット化し、11β−HSD1の発現を誘導するために、12ng/mLのhTNFαを含有する0.5%ウシ胎児血清入りの試験培地中に9×10細胞/mLの密度で再懸濁した。細胞を、100μL/ウェル(9×10細胞/ウェル)で96穴組織培養プレートに播種し、37℃(5%のCO)で48時間インキュベートした。誘導後に、細胞を、試験化合物を含有する分析用培地中で、37℃(5%のCO)で4時間インキュベートし、更に分析培地中に溶解させた10μL/ウェルの10μMコーチゾン溶液で処理し、37℃(5%のCO)で16時間インキュベートした。各ウェルの培地を、競合的蛍光共鳴時間分割イムノアッセイを使用する、コルチゾルによる次のアッセイ用のプレートへ移した。溶液中では、アロフィコシアニン(APC)−コルチゾルコンジュゲートと、遊離コルチゾル検体が、マウス抗コルチゾル抗体/ユーロピウム(Eu)−抗マウスIgG複合体との結合に関して競合する。遊離コルチゾルの濃度増加により、ユーロピウム−IgGからのAPC−コルチゾル複合体へのエネルギー移動が減少し、それによりAPC蛍光が減弱する。ユーロピウム及びAPCの蛍光輝度を、LJL Analyst ADを使用して測定した。ユーロピウム及びAPCの励起は360nmの励起により行い、各々615nm及び650nmの発光フィルターを使用して測定した。ユーロピウムの時間分割パラメータは、200μsの遅延を伴う、1000μsインテグレーション時間とした。APCパラメータは、50μsの遅延を伴う150μsインテグレーション時間とした。APCにおいて、測定する蛍光輝度は、Eu蛍光輝度で除算(APC/Eu)することにより修飾した。更にこの比率を用い、4−パラメータロジスティック方程式にフィットさせたコルチゾル標準曲線を使用して、内挿法により、未知のコルチゾル濃度を測定した。これらの濃度を用い、濃度対抑制%をプロットし、4−パラメータ曲線にフィットさせ、IC50を算出することによって、化合物の活性を測定した。
【0150】
本願明細書において開示される全ての実施例では、300nM未満のIC50を有する、ヒトの大動脈平滑筋細胞アッセイにおける活性を示す。ヒト大動脈平滑筋細胞アッセイにおける、実施例化合物のデータを以下に示す。
【表2】

【0151】
急性In Vivoコルチゾン転換アッセイ
化合物をマウスに経口投与し、そのマウスに、化合物投与後、所定の時点でコルチゾンを皮下注射し、その後各マウスの血液を採取した。次に単離した血清をLC−MS/MSを用いてコルチゾン及びコルチゾルのレベルを分析し、更に平均コルチゾルレベル及び各投与群の阻害%の算出を行った。具体的には、オスのC57BL/6マウス(25gの平均体重)を、Harlan Sprague Dawleyから入手した。正確な体重を到着時点で測定し、同様の体重を有するマウス群に無作為に分けた。化合物は25gの推定平均重量で、様々な投与量となるように1%(w−w)HEC、0.25%(w−w)ポリソルベート80、0.05%(w−w)ダウコーニング消泡剤#1510−US混合液中で調製した。化合物を経口投与(動物につき200μl)し、更に化合物投与後、1〜24時間において、30mg/kgのコルチゾンを、動物あたり200μlで皮下投与した。コルチゾン投与の10分後、各動物をCO室で1分間置いて安楽死させ、更に心臓穿刺を介して血清分離チューブ中に血液を採取した。完全に凝固させた後、チューブを2500×gで15分間、4℃で遠心分離し、血清を96穴プレート(Corning Inc、Costar #4410、クラスターチューブ、1.2ml、ポリプロピレン)のウェルへ移し、LC−MS/MSによる分析を行うまでの間、プレートを−20℃で凍結させた。解析時に血清サンプルを解凍し、アセトニトリルを含有するd4−コルチゾル内部スタンダードを添加してタンパク質を析出させた。サンプルをボルテックスして混合し、遠心分離した。加温した窒素流中で上澄を蒸発除去させた。抽出物をメタノール/水(1:1)中で再調製し、LC−MS/MSシステムへ注入した。コルチゾン及びコルチゾル濃度を、3重の四重極子質量分光光度計上で陽ACPIイオン化後に、選択的な反応モニタリングモードによりアッセイした。
【0152】
実施例化合物の、急性期のin vivoコルチゾン変換アッセイにおけるデータを以下に示す。
【表3】

【0153】
製薬的に許容し得る塩、及びそれらを調製するための一般方法は公知である。詳細は、例えばP.Stahlら、“HANDBOOK OF PHARMACEUTICAL SALTS:PROPERTIES,SELECTION AND USE”,(VCHA/Wiley−VCH,2002)、S.M.Bergeら、”Pharmaceutical Salts,”Journal of Pharmaceutical Sciences,Vol.66,No.1,January 1977を参照されたい。本発明の化合物は好ましくは、種々の経路で投与される医薬組成物として製剤化される。最も好ましくは、かかる組成物は経口投与用に製剤化する。かかる医薬組成物及びその調製方法は公知技術である。例えば「REMINGTON:THE SCIENCE AND PRACTICE OF PHARMACY」(A.Gennaroら編、19版、Mack Publishing Co.,1995)を参照のこと。
【0154】
本発明の有効量を構成するのに必要となる、式(I)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩の具体的な量は、治療しようとする症状の具体的な状況により変化する。投与量、投与経路及び投与回数等は、主治医により決定されるのが最も好ましい。通常、経口投与又は非経口投与のための許容・有効量範囲は約0.1mg/kg/日〜約10mg/kg/日、ヒト患者に換算すると約6mg〜600mg、より典型的には30mg〜200mgである。本願明細書に記載されている疾患の治療においては、かかる投与は、治療を必要とする患者に1〜3回/日で行うか、又は効果的である限り、必要な頻度で行う。
【0155】
製薬業者であれば、選択される化合物の具体的な特性、障害又は症状を考慮した上で、適当な形態及び投与方法を、既に治療している障害又は症状のステージ、並びに他の関連する状況に応じて適宜選択することができる(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,Mack Publishing Co.(1990))。本願明細書に係る化合物は、種々の経路で投与できる。本願明細書に記載されている障害に罹患する、若しくはそれが進行するリスクを有する患者を治療する際、式(I)の化合物又はその製薬的に許容し得る塩を、有効量で生物学的に利用可能となる、いかなる形態又は方法(経口及び腸管外経路など)によって、投与してもよい。例えば、有効成分を直腸内、経口、吸入、皮下、筋肉注射、経静脈、経皮、鼻腔内、眼内、局所、舌下、バッカル及び他の任意の経路で投与できる。特に、経口投与が、本願明細書に記載の障害の治療においては好ましい。経口投与が不可能で、かつ望ましくない場合には、非経口的投与(例えば経静脈、腹腔内又は筋肉内、)に適する形態で当該組成物を調製できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式:
【化1】

[式中、

【化2】

であり(点線はR位置への結合部位を表す)、Rはハロゲンであり、Rは水素又はハロゲンであり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン、−O−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、又は−CH(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
は−OH、ハロゲン、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−SCF、−C(O)O(C−C)アルキル、−O−CH−C(O)NH
−(C−C)シクロアルキル、−O−フェニル−C(O)O−(C−C)アルキル、−CH−フェニル、−NHSO−(C−C)アルキル、−NHSO−フェニル(R21)(R21)、
−(C−C)アルキル−C(O)N(R10)(R11)、
【化3】

であり(点線はR位置への結合部位を表す)、
は水素、ハロゲン、−OH、−CN、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−C(O)OH、−C(O)O−(C−C)アルキル、−C(O)−(C−C)アルキル、
−O−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−SO−(C−C)アルキル、−N(R)(R)、−フェニル(R21)(R21)、
−C(O)−NH−(C−C)シクロアルキル、
【化4】

であり(式中、点線はRにより示される位置への結合部位を表し、
式中、mは、1、2又は3であり、
式中、nは0、1又は2であり、nが0であるとき“(CH)n”は結合である)、
は水素、ハロゲン、−CN又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素、ハロゲン又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は各々独立に−H、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、
−C(O)−(C−C)シクロアルキル、−S(O)−(C−C)シクロアルキル又は、
−S(O)−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
は水素又はハロゲンであり、
10及びR11は各々独立に水素又は−(C−C)アルキルであるか、又はR10及びR11はそれらが結合する窒素原子と共にピペリジニル、ピペラジニル又はピロリジニル基を形成し、
20は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
21は各々独立に水素、ハロゲン、−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)、−CN又は−C(O)−N(R22)(R22)であり、任意に、2つのR22は、それらが結合する窒素原子と共にアゼチジニル、ピロリジニル又はピペリジニル基を形成してもよく、
22は各々独立に水素又は−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)であり、
23は各々独立に水素、−(C−C)アルキル又は−C(O)O−(C−C)アルキルである]
で表される化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項2】

【化5】

である、請求項1記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項3】

【化6】

である、請求項1記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項4】
及びRが塩素である、請求項1から3のいずれか1項記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項5】
式中、Rが水素である、請求項1から4のいずれか1項記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項6】

【化7】

である、請求項1から5のいずれか1項記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項7】

【化8】

であり、Rが水素である、請求項1から5のいずれか1項記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項8】

【化9】

であり、Rが−(C−C)アルキル(任意に1〜3のハロゲンで置換されてもよい)又は
【化10】

である、請求項1から7のいずれか1項記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項9】

【化11】

である、請求項6または7に記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項10】

【化12】

である、請求項6または7に記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項11】
が塩素又はフッ素である、請求項1から7のいずれか1項記載の化合物又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか1項記載の化合物又は塩、及び製薬的に許容し得る担体を含んでなる医薬組成物。
【請求項13】
哺乳類の血糖レベルを選択的に低下させる方法であって、それを必要とする哺乳類に、11−βヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1を阻害する有効量の、請求項1から11のいずれか1項記載の化合物、又はその塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項14】
2型糖尿病を治療する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に、有効量の請求項1から11のいずれか1項記載の化合物、又はその塩を投与することを含んでなる方法。
【請求項15】
2型糖尿病を治療する方法であって、かかる治療を必要とする哺乳類に、有効量の請求項12記載の医薬組成物を投与することを含んでなる方法。
【請求項16】
2型糖尿病の治療において使用するための、請求項1から11のいずれか1項記載の化合物又はその塩。
【請求項17】
2型糖尿病の治療のための医薬の製造のための、請求項1から11のいずれか1項記載の化合物又はその塩の使用。
【請求項18】
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンである化合物、又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項19】
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンである化合物、又はその製薬的に許容し得る塩。
【請求項20】
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−5−ヒドロキシ−ジヒドロ−フラン−2−オンである、請求項18記載の化合物を調製するための中間体。
【請求項21】
(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンの結晶。
【請求項22】
実質的に純粋な形の、請求項21記載の(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンの結晶。
【請求項23】
8.6±0.1°及び15.3±0.1の2θ回折角のX線パターンのピークで特徴づけられる、請求項21又は請求項22に記載の(R)−3−[3,5−ジクロロ−4’−(4−トリフルオロメチル−ピペリジン−1−カルボニル)−ビフェニル−4−イルメチル]−1−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−ピロリジン−2−オンの結晶。

【公表番号】特表2009−534468(P2009−534468A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−507912(P2009−507912)
【出願日】平成19年4月23日(2007.4.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/067182
【国際公開番号】WO2007/127688
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【出願人】(594197872)イーライ リリー アンド カンパニー (301)
【Fターム(参考)】