説明

2−アミノ−5−シアノ安息香酸誘導体を調製するためのプロセス

【化1】


式2の化合物を、式3の少なくとも1種の化合物と、エーテルおよびニトリルから選択される1種以上の有機溶剤を含む溶剤および式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含む触媒的に有効な量のパラジウム錯体の存在下に接触させる工程を含む式1の化合物を調製するための方法であって、式中、RはNHRまたはORであり;RはCHまたはClであり;RはH、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロプロピルメチルまたはメチルシクロプロピルであり;RはHまたはC〜Cアルキルであり;Mはアルカリ金属であり;ならびに、R、RおよびRは本開示に定義されており;ただし、RがClである場合XはBrである方法が開示されている。また、上述の方法により式1の化合物を調製することを特徴とする式1の化合物を用いる式5(式中、R14、R15、R16およびZは、開示に定義されているとおりである)の化合物を調製するための方法が開示されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−置換2−アミノ−5−シアノ安息香酸誘導体を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一定の2−アミノ−5−シアノ安息香酸の調製およびこれらの関連する殺虫性シアノアントラニルジアミドを調製するための中間体としての実用性が開示されている(例えば、特許文献1におけるスキーム9;特許文献2におけるスキーム9および実施例2、ステップA;ならびに、特許文献3におけるスキーム15および実施例6、ステップBを参照のこと)。
【0003】
非特許文献1は、Pd触媒およびZn(CN)を用いる臭化物置換を介して芳香族シアノ化する方法を開示する。特許文献3は、実施例6、ステップBにおいて、溶剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中にZn(CN)を用いるパラジウム触媒シアノ化による2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの調製を開示する。DMFは高沸点の水溶性溶剤であるため、再利用は容易ではない。
【0004】
しかも、カリウムまたはシアン化ナトリウムなどのアルカリ金属シアン化物を用いるシアノ化は、高価ではなく、最終生成物の精製を簡素化することとなる。しかしながら、これらの塩は、金属触媒を非活性化させる傾向が強く、また、触媒および溶剤の選択に対してより敏感である。従って、Zn(CN)が、パラジウム触媒シアノ化のために通常用いられる金属シアン化物である。シアン化カリウムを代わりに用いる文献報告は、非特許文献2であり、これは、Pd触媒およびKCNを用いる、高温、かつ、助触媒として少なくとも20mol%のアミンの存在下での一定のクロロアレーンのシアノ化を開示する。
【0005】
ClおよびBr置換の両方を行って2−アミノ−5−シアノ安息香酸誘導体を調製することが可能であり、高温または反応促進助触媒を必要とせず、容易に再利用される溶剤を用い、ならびに、重金属を含有しないシアノ化剤を用いる、多角的なシアノ化方法に対する要求が未だある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/067528号パンフレット
【特許文献2】国際公開第2006/068669号パンフレット
【特許文献3】国際公開第2006/062978号パンフレット
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Maligresら、Tetrahedron Lett.1999年、40、8193ページ
【非特許文献2】Sundermeierら、Chem.Eur.J.2003年、9(8)、1828〜36ページ
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、式1
【化1】

[式中、
はNHRまたはORであり;
はClまたはCHであり;
はH、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロプロピルメチルまたはメチルシクロプロピルであり;および
はHまたはC〜Cアルキルである]
の化合物を調製するための方法であって、
(1)式2
【化2】

[XはBrまたはClである]
の化合物を、
(2)式3
CN

[式中、Mはアルカリ金属である]
の少なくとも1種の化合物と、
(3)エーテルおよびニトリルから選択される1種以上の有機溶剤を含む溶剤;および(4)式4
P(R)(R)R

[式中、
は、C〜C10第2級アルキル、C〜C10第3級アルキル、ネオペンチル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは−L−P(R)Rであり;
およびRは、独立してt−ブチル、1−アダマンチルまたはフェニルであり;および
Lは、−(CH−、−(CH−または1,1’−フェロセンジイルである]
の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含む触媒的に有効な量のパラジウム錯体の存在下に接触させる工程を含み、
ただし、RがClである場合XはBrであり;およびXがClである場合、R、RおよびRは各々t−ブチルである方法に関する。
【0009】
本発明はまた、式5
【化3】

[式中、
はClまたはCHであり;
はH、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロプロピルメチルまたはメチルシクロプロピルであり;
Zは、CR17またはNであり;
14は、Cl、Br、CF、OCFHまたはOCHCFであり;
15は、F、ClまたはBrであり;
16は、H、FまたはClであり;および
17は、H、F、ClまたはBrである]
の化合物を、式1の化合物を用いて調製する方法を提供する。この方法は、式1の化合物を上述の方法により式2の化合物から調製することを特徴とする。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書に使用される場合、用語「含んでなる」、「含んでなっている」、「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「含有する」、「含有している」またはそれらの他のいずれかの変形は、非排他的包含を包括するように意図される。例えば、要素のリストを含んでなる組成物、混合物、プロセス、方法、物品または装置はそれらの要素のみに必ずしも限定されるのではなく、明白に記載されていないか、またはかかる組成物、混合物、プロセス、方法、物品もしくは装置に固有である他の要素も含んでよい。さらに、それとは反対の記載が明白にされない限り、「あるいは、または、もしくは」は包含的論理和を指し、排他的論理和を指さない。例えば、条件AまたはBは以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(または存在する)、Bが偽である(または存在しない)。Aが偽であり(または存在しない)、Bが真である(または存在する)。ならびにAおよびBの両方が真である(または存在する)。
【0011】
また本発明の要素または構成成分を先行する不定冠詞「a」および「an」は、要素または構成成分の実例の数(すなわち、発生数)に関して非限定的であるように意図される。したがって、「a」または「an」は、1または少なくとも1を含むように読解されるべきであり、その数が明らかに単数を意味しない限り、要素または構成成分の単数形は複数も含む。
【0012】
本明細書において用いられるところ、「方法」および「プロセス」という用語は同義語である。例えば、「調製するための方法」は「調製するためのプロセス」と同じ意味を有する。また、方法またはプロセスを記載する文脈において、「接触させる」という用語は、「組み合わせる」という用語と同義語である。「少なくとも1種」という表記は、「1種以上」と同一の意味を有する。
【0013】
上記言及において、「アルキル」という用語は、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、または様々なブチル異性体を含む。他に規定されていない限りにおいて、「アルキル」は、直鎖であっても分岐であってもよい。「第2級アルキル」とは、アルキル基を残りの分子と結合する炭素原子がアルキル基中の2個のおよび2個のみの他の炭素原子と結合しているアルキル基を指す。「第3級アルキル」とは、アルキル基を残りの分子と結合する炭素原子がアルキル基中の3個の他の炭素原子と結合しているアルキル基を指す。第2級アルキルおよび第3級アルキル基の両方は、この基を残りの分子に結合する炭素原子以外の炭素原子で分岐されていてもよい。「シクロアルキル」としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルが挙げられる。本明細書において用いられるところ、「Ph」は、フェニルの略記である。
【0014】
炭素ベースのラジカルとは、単結合を介してラジカルを残りの化学的構造に結合する炭素原子を含む一価分子構成成分を指す。炭素ベースのラジカルは、任意により飽和、不飽和および芳香族基、鎖、環および環系、ならびにヘテロ原子を含むことが可能である。炭素ベースのラジカルはサイズに何ら特定の制限を課せられることがなく、本発明の文脈において、これらは、典型的には1〜16個の炭素原子および0〜3個のヘテロ原子を含む。注目すべきは、任意によりC〜Cアルキル、ハロゲンおよびニトロから選択される1〜3個の置換基で置換される、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキルおよびフェニルから選択される炭素ベースのラジカルである。
【0015】
「単座」という用語は、式4の第3級ホスフィンに関しては、第3級ホスフィンが単座リガンド(すなわちRが−L−P(R)R以外)であることを意味する。
【0016】
本開示に記述される場合、「カルボン酸」という用語は、少なくとも1個のカルボン酸官能基(すなわち、−C(O)OH)を含んでなる有機化合物を意味する。「カルボン酸」という用語には化合物の炭酸(すなわち、HOC(O)OH)は含まれない。カルボン酸には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロル酢酸、安息香酸、マレイン酸、およびクエン酸が含まれる。「有効pK」という用語は、カルボン酸官能基のpKを示すか、またはその化合物が1個より多いカルボン酸官能基を有する場合、「有効pK」は最も酸性のカルボン酸官能基のpKを示す。本明細書に記述される場合、反応混合物のような非水系物質または混合物の「有効pH」は、物質または混合物の一定量を約5〜20体積の水と混合し、次いで得られた水性混合物のpHを(例えばpHメータで)測定することによって決定される。本明細書に記述される場合、「実質的に無水の」物質とは、約1重量%以下の水を含有する物質を意味する。化学名「イサト酸無水物」は、現行のケミカルアブストラクト名「2H−3,1−ベンゾキサジン−2,4(1H)−ジオン」に対応するもう1つの名前である。
【0017】
いくつかの事例においては、本明細書において比は、数1を基準とする単一の数字として言及され;例えば、4の比は4:1を意味する。
【0018】
本発明の実施形態は以下を含む。
実施形態A1.試薬(1)(すなわち式2の化合物)を、試薬(2)(すなわち式3の少なくとも1種の化合物)と、試薬(3)(すなわち、エーテルおよびニトリルから選択される1種以上の有機溶剤を含む溶剤)および試薬(4)(すなわち、式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含むパラジウム錯体)の存在下に接触させる方法を含む、式1の化合物を調製するための、発明の概要に記載の方法。
【0019】
実施形態A2.パラジウム錯体がその場で生成される実施形態A1の方法。
【0020】
実施形態A3.Rがt−ブチルである実施形態A1の方法。
【0021】
実施形態A4.各RおよびRが、独立してt−ブチルまたは1−アダマンチルである実施形態A1の方法。
【0022】
実施形態A5.各RおよびRがt−ブチルである実施形態A4の方法。
【0023】
実施形態A6.パラジウムが、ベンジル−ジ−1−アダマンチル−ホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、di−t−ブチルネオペンチル−ホスフィンおよびトリ−t−ブチルホスフィンからなる群から選択される少なくとも1種のリガンドで錯化される実施形態A1の方法。
【0024】
実施形態A7.溶剤が、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびアセトニトリルからなる群から選択される1種以上の有機溶剤を含む実施形態A1の方法。
【0025】
実施形態A8.溶剤が、テトラヒドロフランおよびジオキサンからなる群から選択される1種以上の有機溶剤を含む実施形態A7の方法。
【0026】
実施形態A9.溶剤がテトラヒドロフランを含む実施形態A8の方法。
【0027】
実施形態A10.溶剤がエーテルを含む実施形態A1の方法。
【0028】
実施形態A11.溶剤が、ニトリルをさらに含む実施形態A8、A9またはA10のいずれか1つの方法。
【0029】
実施形態A12.溶剤がアセトニトリルを含む実施形態A11の方法。
【0030】
実施形態A13.溶剤が、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびアセトニトリルからなる群から選択される実施形態A7の方法。
【0031】
実施形態A14.溶剤が、テトラヒドロフランおよびアセトニトリルからなる群から選択される1種以上の有機溶剤を含む実施形態A7の方法。
【0032】
実施形態A15.溶剤がクラウンエーテルをさらに含む実施形態A1またはA7〜A14のいずれか1つの方法。
【0033】
実施形態A16.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を約0〜約140℃の温度で接触させる実施形態A1の方法。
【0034】
実施形態A17.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を約20〜約100℃の温度で接触させる実施形態A11の方法。
【0035】
実施形態A18.方法が、0〜140℃の温度で実施される実施形態A1の方法。
【0036】
実施形態A19.方法が、20〜100℃の温度で実施される実施形態A18の方法。
【0037】
実施形態A20.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を少なくとも約0℃の温度で接触させる実施形態A1の方法。
【0038】
実施形態A21.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を少なくとも約20℃の温度で接触させる実施形態A20の方法。
【0039】
実施形態A22.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を約140℃以下の温度で接触させる実施形態A1の方法。
【0040】
実施形態A23.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を約100℃以下の温度で接触させる実施形態A22の方法。
【0041】
実施形態A24.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を触媒促進剤の存在下に接触させる実施形態A1の方法。
【0042】
実施形態A25.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を亜鉛金属の存在下に接触させる実施形態A1の方法。
【0043】
実施形態A26.方法が、亜鉛金属の存在下に実施される実施形態A1の方法。
【0044】
実施形態A27.亜鉛金属が亜鉛粉末または微粉の形態である実施形態A25またはA26の方法。
【0045】
実施形態A28.亜鉛金属が活性化される実施形態A25、A26またはA27の方法。
【0046】
実施形態A29.試薬(1)、試薬(2)、試薬(3)および試薬(4)を不活性ガス下で接触させる実施形態A1の方法。
【0047】
実施形態A30.RがNHRである実施形態A1の方法。
【0048】
実施形態A31.RがC〜Cアルキルまたはシクロプロピルメチルである実施形態A1の方法。
【0049】
実施形態A32.Rがメチルである実施形態A31の方法。
【0050】
実施形態A33.Rがメチルである実施形態A1の方法。
【0051】
実施形態A34.MがNaまたはKである実施形態A1の方法。
【0052】
実施形態A35.試薬(2)が粉末の形態である実施形態A1の方法。
【0053】
実施形態B1.式2の化合物から調製された式1の化合物を用いて式5の化合物を調製する、発明の概要に記載の方法。
【0054】
実施形態B2.RがNHRである実施形態B1の方法。
【0055】
実施形態B3.ZがNである実施形態B1の方法。
【0056】
実施形態B4.RがC〜Cアルキルまたはシクロプロピルメチルである実施形態B1の方法。
【0057】
実施形態B5.Rがメチルである実施形態B4の方法。
【0058】
実施形態B6.Rがメチルである実施形態B1の方法。
【0059】
実施形態B7.R14がBrである実施形態B1の方法。
【0060】
実施形態B8.R15がClである実施形態B1の方法。
【0061】
実施形態B9.R16がHである実施形態B1の方法。
【0062】
実施形態B10.ZがCHである実施形態B1の方法。
【0063】
本発明の実施形態は、任意の様式で組み合わされることが可能である。
【0064】
以下のスキーム1〜8において、式1〜12の化合物における、R、R、R、R、R14、R15、R16、R17、M、XおよびZの定義は、特に記載のない限り、発明の概要に上述したとおりである。式1a〜1cは式1の種々のサブセットであり、式1a〜1cについてのすべての置換基は式1について上述されているとおりである。
【0065】
スキーム1に記載されているとおり、本発明の方法においては、式1の化合物は、式2の化合物を、式3の少なくとも1種のアルカリ金属シアン化物と、エーテルおよびニトリルから選択される1種以上の有機溶剤を含む溶剤および触媒的に有効な量の式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含むパラジウム錯体の存在下に接触させることにより調製される。
【化4】

【0066】
スキーム1の方法において、式3の化合物は、アルカリ金属、好ましくはK、Na、CsまたはRb、および最も典型的にはKまたはNaであるMを含む。この反応の化学量論比は、式3の化合物によりもたらされる少なくとも1モル当量のシアン化物を必要とする。より多量の式3化合物を用いることも可能であるが、これによる特定の利点はなく、より多くの量は、出発材料および廃棄物処理コストを増大させる。典型的には、式2の化合物を基準とする式3の化合物(すなわちCNの量)のモル比は、約1〜約2、より典型的には約1〜約1.5、および最も典型的には約1〜約1.3である。いくつかの場合において、式3シアン化物対式2の化合物の最適なモル比は、式3シアン化物の粒径に応じて変化する(モル比が上述した比の範囲内にあっても)。例えば、市販されているアルカリ金属シアン化物は、様々な粒径分布を有する不規則な形状の粒子から構成されていることが可能であり;それ故、より小さい粒径の材料を用いる代わりに市販のアルカリ金属シアン化物を用いる場合には、最適なモル比は時々より大きい。使用する前のアルカリ金属シアン化物の粉砕または磨砕はより小さい粒径の材料をもたらすことが可能である。従って、本方法の一実施形態において、式3の化合物は粉末の形態で用いられる。いくつかの事例においては、最良の結果が、反応混合物への添加の前に粉末に粉砕されていないアルカリ金属シアン化物を用いることで得られる場合がある。
【0067】
スキーム1の方法において、パラジウム錯体は、式1の化合物を形成する式2の化合物のシアノ化を触媒し、従って、パラジウム錯体をパラジウム触媒としてみなすことが可能である。当業者には周知であるとおり、パラジウム錯体は、パラジウム原子が配位共有結合を介して1つ以上のリガンドに結合されている配位化合物である。典型的には、パラジウム原子は、形式的には0または+2酸化状態にあり、実際には、酸化状態は、反応過程の最中に0と+2との間を往復すると考えられている。
【0068】
リガンドおよび配位化学は、「Coordination Compounds」、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、John Wiley & Sons、DOI:10.1002/0471238961.0315151801180308.a01.pub2に記載のとおり、当該技術分野において周知である。リガンドは、典型的には、金属原子への配位に利用可能である少なくとも1対の電子を有するルイス塩基である。リガンドは、普通、中性または荷電されていることが可能であると共に、単座、二座以上であることが可能である。リガンドは、典型的には、金属原子への配位に利用可能である自由電子対を有する窒素、酸素、リン、硫黄または砒素原子を含む少なくとも1つの官能基を有する。
【0069】
本発明によるエーテルおよびニトリル溶剤中での式2の化合物から式1の化合物へのパラジウム触媒シアノ化については、一定の第3級ホスフィンが、触媒作用を提供するパラジウム錯体におけるリガンドとして特に好適に作用することが発見された。これらの第3級ホスフィンは、式4
P(R)(R)R

により総称的に記載されている。
式中、
は、C〜C10第2級アルキル、C〜C10第3級アルキル、ネオペンチル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは−L−P(R)Rであり;
およびRは、独立してt−ブチル、1−アダマンチルまたはフェニルであり;および
Lは、−(CH−、−(CH−または1,1’−フェロセンジイルである。
【0070】
これらの第3級ホスフィンの例としては、トリフェニルホスフィン、トリス(1,1−ジメチル−エチル)ホスフィン(トリ−t−ブチルホスフィンとも命名される)、ビス(1,1−ジメチルエチル)(2,2−ジメチルプロピル)ホスフィン(ジ−t−ブチルネオペンチルホスフィンとも命名される)、シクロヘキシル−ビス(1,1−ジメチルエチル)ホスフィン(ジ−t−ブチル−シクロヘキシル−ホスフィンとも命名される)、ビス(1,1−ジメチルエチル)フェニルホスフィン(ジ−t−ブチルフェニルホスフィンとも命名される)、ビス(1,1−ジメチルエチル)(1−メチルエチル)ホスフィン(ジ−t−ブチル−イソプロピルホスフィンとも命名される)、1,1’−(1,4−ブタンジイル)ビス[1,1−ジフェニルホスフィン](1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタンとも命名される)、1,1’−(1,3−プロパンジイル)ビス[1,1−ジフェニルホスフィン](1,3−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−プロパンとも命名される)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(dppfまたはDPPFと略記される)および(フェニル−メチル)−ビス−(トリシクロ−[3.3.1.13,7]−デシ−1−イル)ホスフィン(ベンジル−ジ−1−アダマンチル−ホスフィンとも命名される)が挙げられる。
【0071】
しかも、t−ブチルが、本方法に対して最大の触媒有効性を有するパラジウム錯体を提供するリン置換基であることが発見された。従って、R、RおよびRの少なくとも1つ、ならびに、より好ましくはR、RおよびRの少なくとも2つがt−ブチルである第3級ホスフィンリガンドが好ましい。R、RおよびRの各々がt−ブチル(すなわちトリ−t−ブチルホスフィン)であることが最も好ましい。XがBrのかわりにClである式2の化合物はシアノ化に対する反応性がかなり低いため、トリ−t−ブチルホスフィンが、XがClである場合に本方法について推奨される唯一の第3級ホスフィンリガンドである。
【0072】
本方法によるパラジウム錯体は、式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含んでいなければならず、他のリガンドをもさらに含み得る。式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含むパラジウム錯体は、式2および3の化合物および溶剤を含有する反応媒体に添加されることが可能であり、または、このパラジウム錯体は、その場で形成されることが可能である。このパラジウム錯体は、単に、パラジウムソースを式4の第3級ホスフィンリガンドと反応媒体中で接触させることにより、その場で容易に調製される。微細なパラジウム金属がパラジウムのソースを提供することが可能であるが、より典型的には、パラジウムソースは、パラジウム塩または錯体である。パラジウム塩の例としては、これらに限定されないが、塩化物などのハロゲン化物、窒化物、硫酸塩、酢酸塩またはこれらの混合物が挙げられる。広い範囲のパラジウム錯体をパラジウムソースとして用いることが可能であるが、市販されている錯体トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba))が、式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含むパラジウム錯体のその場形成に特に簡便、かつ、有用であることが見出された。式4の第3級ホスフィンリガンドは非プロトン化ホスフィンの形態で反応媒体に添加されることが可能であるが、度々、これらは、より容易に利用可能であり、テトラフルオロボレートなどのホスホニウム塩として取り扱われる。非プロトン化ホスフィンが、エーテルおよびニトリルから選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む溶剤の存在下での塩基との接触により、ホスホニウム塩から放出されることが可能である。カリウムt−ブトキシドなどのアルコキシドおよび炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属炭酸塩を含む広く多様な塩基を用いることが可能である。
【0073】
式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンリガンドを含むパラジウム錯体は、エーテルおよびニトリル溶剤中でアルカリ金属シアン化物を用いる式2の化合物の式1の化合物へのシアノ化のためにきわめて有効な触媒であることが発見された。従って、スキーム1の方法におけるパラジウム錯体の触媒的に有効な量は、かなり少量であるがそれでもなお顕著な転換を達成することが可能である。亜鉛金属などの触媒促進剤を含むことで、有用な転換を維持しつつも、パラジウム錯体の量を低減させることが可能である。典型的には、パラジウム錯体は、式2の化合物に対して少なくとも約0.01mol%Pdの量で用いられる。より典型的には、パラジウム錯体は、式2の化合物に対して少なくとも約0.1mol%Pdの量で用いられる。パラジウム錯体の量の上限は経済的な要件により主に設定されるが、典型的には、パラジウム錯体の量は、式2の化合物に対して約5mol%Pd以下であり、およびより典型的には、約2mol%以下の量である。所望の転換速度、ならびに、第3級ホスフィン、アルカリ金属シアン化物、溶剤および他のプロセス条件の選択についてのパラジウム錯体の最適な量は、単純な実験により判定することが可能である。式2の化合物に対して約1mol%Pdのパラジウム錯体の量が簡便な出発点であり得る。
【0074】
式4の1種以上の第3級ホスフィン対パラジウムの広い範囲のモル比をスキーム1の方法において用いることが可能であるが、典型的には、ホスフィンの総モル数対パラジウムの比は約0.5:1〜約5:1である。より典型的には、ホスフィンの総モル数対パラジウムの比は約0.8:1〜約3:1である。単座第3級ホスフィンの総モル数対パラジウムの約1:1の比が、典型的には、約85℃以下の温度でのスキーム1の方法によるシアノ化に対して最適な触媒活性をもたらし、その一方で、約2:1の比は、より高い温度で高い触媒安定性をもたらす。度々、約1:1モル比が式2の化合物においてXがBrである本方法において用いられ、これは、約85℃未満の温度でシアノ化を好適な速い速度で進行させ、その一方で、単座第3級ホスフィン対パラジウムの約2:1のモル比は、XがClである式2の化合物で用いられ、これは、典型的には、好適な速い反応速度のために約85℃を超える温度を必要とする。ホスフィン対パラジウムの最適なモル比は、単純な実験によって判定することが可能である。
【0075】
本方法は、1種以上の触媒促進剤の存在下に実施されることが可能である。触媒促進剤は、典型的には、金属亜鉛およびマンガン(これらを含む合金(例えば、マンガン−鉄合金)を含む)、ならびに、シラン還元剤(例えば、ポリメチルヒドロシロキサン)などの還元剤である。亜鉛金属が、本方法において特に有用であると見出された。最大の表面積をもたらすために、反応媒体中の亜鉛金属は、典型的には、粉末または微粉(例えば、粒径<10μm)の形態である。亜鉛金属は、水性酸で処理して、亜鉛金属粒子の酸化物被膜を反応媒体に添加する前に除去することにより活性化させることが可能である。しかしながら、亜鉛金属粉末または微粉はまた、事前の活性化をせずに用いることが可能である。亜鉛金属などの触媒促進剤は本方法においては任意であるが、触媒促進剤は、良好な転換を維持しながらパラジウム錯体の量を低減させることが可能であるため、亜鉛金属などの触媒促進剤の反応媒体中への包含は、特に注目すべき実施形態である。特に、亜鉛金属は任意であると共に、大過剰量は害をもたらさないため、亜鉛対パラジウムのきわめて広い範囲のモル比を用いることが可能である。典型的には、亜鉛対パラジウムのモル比は、約5:1〜約50:1、およびより典型的には約10:1〜約40:1の範囲である。典型的には、式2の化合物に対する亜鉛のモル量は、約1mol%〜約50mol%、およびより典型的には約2mol%〜約20mol%の範囲である。
【0076】
スキーム1の方法は、エーテルおよびニトリル(これらの混合物を含む)から選択される少なくとも1種の有機溶剤を含む溶剤の存在下に実施される。これらの溶剤は、再利用のために蒸留により比較的容易に分離される。当業者には周知であるとおり、エーテル溶剤は、典型的には低級アルキルまたはアルキレンラジカルを接続する少なくとも1種のエーテル(すなわち−O−)部分を含む有機化合物である。一般的なエーテル溶剤の例としては、ジエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(グリムとしても知られる)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリムとしても知られる)、テトラヒドロフランおよびジオキサンが挙げられる。テトラヒドロフランおよびジオキサンが、本方法について特に有用であることが見出された。当業者には周知であるとおり、ニトリル溶剤は、典型的には低級アルキルラジカルに結合したニトリル(すなわち−CN)ラジカルを含む有機化合物である。ニトリル溶剤の例としては、アセトニトリルおよびプロピオニトリルが挙げられる。アセトニトリルが本方法において特に有用であることが見出された。エーテルおよびニトリル溶剤が、アルカリ金属シアン化物(すなわち式3)を用いる式2の化合物の式1の化合物へのパラジウム触媒シアノ化について良好に作用することが発見され、従って、亜鉛シアン化物は不要である。しかしながら、これらの溶剤はまた、XがClである式2の化合物のシアノ化についても、亜鉛シアン化物と共に良好に作用することが発見された。本方法のための溶剤として、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはアセトニトリル(これらの混合物を含む)に注目すべきであり、およびテトラヒドロフランまたはアセトニトリル(これらの混合物を含む)に特に注目すべきである。
【0077】
本方法における溶剤は、典型的には、ほとんど水を含有しない。市販されている無水グレード溶剤を用いることが可能であり、または溶剤は、分子ふるい上での保存、または水酸化カルシウム、五酸化リンおよびベンゾフェノン−ナトリウムなどの乾燥剤からの蒸留などの従来の乾燥方法を用いて乾燥させることが可能である。酸素は本触媒法に対して有害であると考えられており、従って、溶剤は、使用前に脱酸素(すなわち溶解酸素の除去)されることが好ましい。溶剤を、無酸素雰囲気(例えば、窒素またはアルゴンガス)下での乾燥剤からの蒸留により、乾燥すると共に脱酸素することが好ましい。あるいは、溶剤は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスを拡散させる(すなわち通気させる)ことにより脱酸素させることが可能である。他の方法において、溶剤は、真空に供し、次いで、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスの雰囲気で圧力を回復させることにより脱酸素される。
【0078】
反応体は、多様な順番で添加されて反応媒体を形成することが可能であるが、典型的には、かつ、好ましくは、式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンを含むパラジウム錯体が最後に添加される。度々、パラジウム錯体が溶液中に添加される。反応溶剤がアセトニトリル(トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)などの一定のパラジウム錯体が容易には溶解しない)などのニトリル溶剤を含む場合、テトラヒドロフランなどのエーテル溶剤の溶液中にパラジウム錯体を溶解させるかまたは形成させ、次いで、パラジウム錯体溶液をニトリル溶剤を含む反応媒体に添加することにより、良好な結果が得られることが発見された。従って、スキーム1の方法の注目すべき実施形態は、エーテルを含む溶剤中の、式4の少なくとも1種の第3級ホスフィンを含むパラジウム錯体の溶液と、式2の化合物、式3の少なくとも1種の化合物およびニトリル溶剤を含む混合物とを接触させる工程を含む。
【0079】
エーテルおよびニトリル溶剤中には、式2の出発化合物およびパラジウム触媒は、典型的には可溶性であるが、その一方で、式3のアルカリ金属シアン化物は、わずかな溶解度のみ有する。従って、アルカリ金属シアン化物は、典型的には、反応媒体中にスラリーとして存在する。反応が生じている間は、スラリーを適当に維持するために掻き混ぜているべきであり、スラリーは、反応の過程の最中に徐々に溶解するであろう。
【0080】
溶剤中の反応体および触媒の濃度は様々であることが可能であるが、生成物の選択性および収率もまた変化することが可能であることが認識されるであろう。典型的には、溶剤の体積対式2の出発化合物の重量の比は、より濃縮された反応混合物は攪拌が困難である可能性があるために少なくとも約3mL/gである。反応速度は希釈度が高まるに伴って低下する傾向にあると共に、過剰な溶剤はコストを増大させ、従って、典型的には、溶剤体積対式2の出発化合物の重量の比は、約20mL/g以下である。より典型的には、比は、少なくとも約4mL/gおよび約15mL/g以下である。
【0081】
相間移動剤または溶解剤は本方法には典型的には必要ではないが、クラウンエーテル(例えば、18−クラウン−6)などの相間移動剤または溶解剤が溶剤中に含まれていることが可能であり、いくつかの状況においては有利であり得る。
【0082】
スキーム1の方法は広い範囲の温度にわたって実施されることが可能であるが、ただし、温度は、反応体または生成物の分解がもたらされるような高温ではない。本方法の反応は、典型的には、約0〜約140℃、およびより典型的には約20〜約100℃の温度で実施される。
【0083】
酸素は本触媒法に対して有害であると考えられているため、脱酸素溶剤が用いられるのみではなく、反応体および生成物に対して不活性なガスの雰囲気が反応媒体上に維持されることが好ましい。典型的には不活性ガスは窒素またはアルゴンである。
【0084】
本方法の生成物(すなわち式1の化合物)は、ろ過、抽出、蒸発および結晶化を含む当該技術分野において公知である標準的な技術により単離されることが可能である。式1の化合物は、典型的には、周囲温度では固形分であるため、これらは、ろ過により最も容易に単離されるが、任意により、事前に反応混合物の濃縮され、ならびに、任意により、その後、水および/または有機溶剤(例えば、アセトニトリル)で洗浄される。さらに、生成物は、濾液の減圧下での濃縮、得られた残渣の好適な有機溶剤(例えばアセトニトリル)中でのスラリー化、ろ過、ならびに、任意により水および/または有機溶剤(例えば、アセトニトリル)での洗浄により単離されることが可能である。固形分は、適切な有機溶剤(例えば、エタノール、メタノール、アセトニトリル)からの再結晶によりさらに精製されることが可能である。
【0085】
式2の出発化合物は、当該技術分野において公知である多様な方法によって形成することが可能である。一般的な一方法によれば、式2の化合物は、対応する式6の化合物をスキーム2に示すとおりハロゲン化することにより調製されることが可能である。反応は、臭素、塩素、塩化スルフリル、N−クロロスクシンイミド(NCS)、N−ブロモ−スクシンイミド(NBS)を含む文献において公知である多様なハロゲン化剤、ならびに、過酸化水素およびハロゲン化水素を含む混合物などのハロゲン化剤を用いて実施されることが可能である。これらの方法を説明する優れた文献については、国際公開第2006/068669号パンフレット(スキーム11および実施例1、ステップE)、国際公開第2003/015519号パンフレット(スキーム4および実施例1、ステップA)、国際公開第2006/062978号パンフレット(スキーム15;実施例2、ステップA;実施例4、ステップBおよび実施例5、ステップB)、および国際公開第2004/067528号パンフレット(スキーム11および実施例1、ステップA)を参照のこと。
【化5】

【0086】
式2の化合物(XがBrであると共にRがNHRである)を調製する他の方法は、参照例1の手法により例示されているとおり、臭素を含有するガスでの処理による式6の化合物の臭素化を含む。
【0087】
式2の化合物(RがNHRである)はまた、スキーム3に例示されているとおり、式7のイサト酸無水物を式8のアルキルアミンと、カルボン酸の存在下に接触させることにより調製されることが可能である。
【化6】

【0088】
式8の化合物のようなアミンは塩基であるため、カルボン酸がない場合、式7および式8の化合物の混合物は塩基性となる(例えば、有効pH>7)。カルボン酸は緩衝剤として働き、反応混合物の有効pHを低下させる。唯一の必要条件は、酸性を付与する少なくとも1つのカルボン酸基であるため、多種多様のカルボン酸が有用である。他の官能基が存在してもよく、カルボン酸分子上に2個以上のカルボン酸基が存在してもよい。典型的にカルボン酸の有効pKは約2〜約5の範囲である。カルボン酸としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クロル酢酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、酒石酸、およびクエン酸が挙げられる。費用的理由から、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、および安息香酸のような安価なカルボン酸が好ましい。無水物の形態(「氷酢酸」として知られる)で低価格で市販品として入手可能である酢酸が特に好ましい。
【0089】
カルボン酸と式8の塩基性アミンとを組み合わせることによって、カルボン酸のアミン塩が形成する。このアミン塩は、式7のイサト酸無水物化合物の添加の前に予め形成可能であるが、式7の化合物とカルボン酸との混合物中に式8のアミンを計り入れることによって、その場でこのアミン塩を発生させることもできる。いずれの添加の様式であっても、反応間の混合物の有効pHを約3〜約7に維持することが、一般に最適である。
【0090】
混合物の有効pHは、式8のアミンと組み合わせられたカルボン酸の緩衝効果から得られるものであるため、カルボン酸対式8のアミンのモル比を調節することによって、カルボン酸の有効pKによって有効pHを調節することができる。典型的に、式8のアミン対カルボン酸のモル量は約0.8〜約3の範囲である。特に組み合わせの様式が、式8のイサト酸無水物化合物とカルボン酸との混合物中への式8のアミンの計り入れを伴う場合、式8のアミン対カルボン酸のモル比は、好ましくは約0.95〜約3である。組み合わせの様式が式7の化合物の添加の前のアミン塩の形成を伴う場合、式8のアミン対カルボン酸のモル比は、好ましくは約0.8〜約1.05である。ほぼ等モル比(例えば、約0.95〜約1.05)の式8のアミン対カルボン酸が使用される限り、形成したアミン塩は、典型的に、式7の化合物に対して約1.1〜約5モル当量の比率で使用される。どのように成分が混合されるかにかかわらず、最適な転化を得るためには、式8のアミン対式7のイサト酸無水物化合物のモル比は、効率や経済的理由から約1.1〜約1.5が好ましいが、少なくとも1.0であるべきである。式8のアミン対式7の化合物のモル量は、特にほぼ等モル比(例えば、約0.95〜約1.05)のアミン対酸が使用される場合、実質的に1.5より大きくてもよい。
【0091】
反応媒体が実質的に無水である場合、最も高い生産収率および純度が達成される。したがって、反応媒体は典型的に、式7および式8の実質的に無水の化合物とカルボン酸とから形成される。好ましくは、反応媒体および形性物質は、約5重量%以下、より好ましくは約1重量%以下、最も好ましくは約0.1重量%以下の水を含有する。カルボン酸が酢酸である場合、氷酢酸の形態が好ましい。
【0092】
スキーム3の反応は典型的に液相で行われる。多くの場合、式2、式7および式8の化合物とカルボン酸以外の溶媒を用いずに反応を行うことができる。しかしながら、好ましい手順では、反応物を懸濁し、少なくとも部分的に溶解することができる溶媒の使用を伴う。好ましい溶媒は、反応成分と非反応性であり、誘電率が約5以上であって、アルキルニトリル、エステル、エーテルまたはケトンのような溶媒である。好ましくは、溶媒は、実質的に無水の反応媒体の達成を容易にするために、実質的に無水であるべきである。溶媒対式7の化合物の重量比は、効率や経済的理由から、典型的に約1〜約20、好ましくは約5である。
【0093】
スキーム3の反応の副生物として二酸化炭素が形成される。形成された二酸化炭素の大部分は反応媒体から気体として放出する。式8のアミンを含有する反応媒体中に式7の化合物を添加すること、または式7の化合物を含有する反応媒体中に式8のアミンを添加することは、好ましくは、二酸化炭素の放出の制御を容易にするような速度および温度で行われる。反応媒体の温度は、典型的に約5℃〜75℃、より典型的には約35℃〜55℃である。
【0094】
pH調節、抽出、蒸発、結晶化およびクロマトグラフィーを含む当該技術分野で既知の標準技術によって、式2の生成物を単離することができる。例えば、式8の出発化合物に対して約3〜15重量部の水を用いて反応媒体を希釈することができ、酸性または塩基性不純物の除去を最適化するために、場合により酸または塩基によってpHを調節することができ、場合により水相を分離することができ、また有機溶媒の大部分を減圧下で蒸留または蒸発することによって除去することができる。式2の化合物は典型的に周囲温度で結晶固体であるため、一般に、場合により水を用いた洗浄とその後の乾燥が続けられる濾過によって最も容易に単離される。
【0095】
スキーム4に記載されているとおり、式7のイサト酸無水物は、式2aのアントラニル酸(RがORであると共にRがHである式2)から、トルエンまたはテトラヒドロフランなどの好適な溶剤中でのトリホスゲンまたはアルキルクロロホルメート(例えば、クロロ蟻酸メチル)などのホスゲンまたはホスゲン等価物でのアントラニル酸の処理を含む環化反応を介して調製されることが可能である。この方法は、スキーム4に関連する特定の実施例を含む国際公開第2006/068669号パンフレットに記載されている。また、Coppola、Synthesis、1980年、505およびFabisら、Tetrahedron、1998年、10789を参照のこと。
【化7】

【0096】
本発明の他の態様において、スキーム1の方法により調製される式1の化合物は、式5の化合物を調製するための中間体として有用である。式5の化合物は、例えば国際公開第2003/015518号パンフレットおよび国際公開第2006/055922号パンフレットに記載されているとおり、殺虫剤として有用である。
【化8】

[式中、
はClまたはCHであり;
はH、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロプロピルメチルまたはメチルシクロプロピルであり;
Zは、CR17またはNであり;
14は、Cl、Br、CF、OCFHまたはOCHCFであり;
15は、F、ClまたはBrであり;
16は、H、FまたはClであり;および
17は、H、F、ClまたはBrである]
【0097】
式1の化合物からの式5の化合物の調製のためには多様な経路が可能である。スキーム5に概説されているとおり、このような方法の1つは、式1aの化合物(RがORであると共にRがHである式1)と式9のピラゾール−5−カルボン酸とのカップリングを含み、式10のシアノベンゾキサジノンが得られる。シアノベンゾキサジノンの式11のアミンとのその後の反応が式5の化合物をもたらす。最初のステップのための条件は、トリエチルアミンまたはピリジンなどの第三級アミンの存在下での式9のピラゾールへのメタンスルホニルクロリドの逐次的な添加、続いて、式1aの化合物の添加、続いて、第三級アミンおよびメタンスルホニルクロリドの2回目の添加を含む。この反応は、そのままで、またはテトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタンあるいはクロロホルムを含む多様な好適な溶剤中に、室温から溶剤の還流温度までの範囲の最適な温度で実施されることが可能である。アントラニルアミドを生成するベンゾキサジノンのアミンとの反応である第2のステップは、化学文献中に十分に記載されている。ベンゾキキサジノン化学の一般的な概論に関してはJakobsenら、Biorganic and Medicinal Chemistry 2000年、8、2095〜2103ページおよびこの中の引用文献、ならびに、G.M.Coppola、J. Heterocyclic Chemistry 1999年、36、563〜588ページを参照のこと。また、スキーム5に関連する実験例を含むスキーム5に示される一般的な方法を教示する、国際公開第2004/067528号パンフレットも参照のこと。
【化9】

【0098】
式5の化合物を調製するための他の方法がスキーム6に示されている。この方法においては、式5の化合物は、式1bの化合物(RがNHRである式1)、式9のピラゾールおよび塩化スルホニルを、その全体が本明細書において参照により援用される国際公開第2006/062978号パンフレットに教示されている一般的な方法に準拠して組み合わせることにより調製される。
【化10】

【0099】
国際公開第2006/062978号パンフレットに記載されるように、本変換には様々な反応条件が可能である。典型的に、溶媒および塩基の存在下、式1Bの化合物と式9の化合物との混合物に塩化スルホニルを添加する。塩化スルホニルは一般に、式RS(O)Clで表され、式中、Rは炭素をベースとする基である。通常本方法では、Rは、C〜Cアルキル、C〜Cハロアルキル、またはハロゲン、C〜Cアルキルおよびニトロからなる群から独立して選択される1〜3個の置換基によって場合により置換されていてもよいフェニルである。市販品として入手可能な塩化スルホニルとしては、塩化メタンスルホニル(RがCHである)、塩化プロパンスルホニル(Rが(CHCHである)、塩化ベンゼンスルホニル(Rがフェニルである)、そして塩化p−トルエンスルホニル(Rが4−メチルフェニルである)が挙げられる。費用がより低いこと、添加の容易さ、および/または廃物の少なさという理由から、注目すべきは塩化メタンスルホニルである。完全な転化を得るためには、式9の化合物1モルあたり、少なくとも1モル当量の塩化スルホニルが化学量論的に必要とされる。典型的に、塩化スルホニル対式9の化合物のモル比は約2.5以下、より典型的に約1.4以下である。
【0100】
式1b、式9の出発化合物と塩化スルホニルがそれぞれ少なくとも部分的に溶解性である組み合わせられた液相中で、それぞれが互いに接触した時に式5の化合物が形成する。式1bおよび式9の出発化合物は典型的に通常の周囲温度で固体であるため、これらの出発化合物の溶解性が高い溶媒を使用することによって、本方法は最も満足に実行される。したがって、典型的に本方法は溶媒を含んでなる液相中で実行される。式9のカルボン酸の溶解性が非常に低い場合、塩基の添加によって形成したその塩が溶媒中でより高い溶解性を有することもある。本方法に適切な溶媒としては、アセトニトリルおよびプロピオニトリルのようなニトリル、酢酸メチル、酢酸エチルおよび酢酸ブチルのようなエステル、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)およびメチルブチルケトンのようなケトン、ジクロロメタンおよびトリクロロメタンのようなハロアルカン、エチルエーテル、メチル第三級ブチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)およびp−ジオキサンのようなエーテル、ベンゼン、トルエン、クロロベンゼンおよびジクロロベンゼンのような芳香族炭化水素、トリアルキルアミン、ジアルキルアニリンおよび場合により置換されていてもよいピリジンのような第三級アミン、ならびに上記の混合物が挙げられる。注目すべき溶媒としては、アセトニトリル、プロピオニトリル、酢酸エチル、アセトン、MEK、ジクロロメタン、メチル第三級ブチルエーテル、THF、p−ジオキサン、トルエンおよびクロロベンゼンが挙げられる。優れた収率および/純度で生成物が得られることが多いため、特に注目すべき溶媒はアセトニトリルである。
【0101】
本方法の反応では副産物として塩化水素が生じ、これは式1b、式5および式9の化合物の塩基中心と結合するため、少なくとも1種の添加された塩基が存在する条件で、この方法は最も満足に実行される。塩基は、カルボン酸と塩化スルホニル化合物およびアントラニルアミドとの構成的な相互作用も促進し得る。添加された塩基と式9のカルボン酸との反応によって塩が生じ、この塩は反応媒体中でカルボン酸よりも高い溶解性を有する。塩基は同時に添加されても、交互に添加されても、または塩化スルホニルの添加後に添加されてもよいが、塩基は典型的に塩化スルホニルの添加前に添加される。第三級アミンのようないくつかの溶媒も塩基として作用し、これらが溶媒として使用される場合、塩基として非常に化学量論的過剰量である。塩基が溶媒として使用されない場合、塩基対塩化スルホニルの公称モル比は典型的に約2.0〜約2.2であり、好ましくは約2.1〜約2.2である。好ましい塩基は、置換ピリジンを含む第三級アミンである。より好ましい塩基としては、2−ピコリン、3−ピコリン、2,6−ルチジンおよびピリジンが挙げられる。式9のカルボン酸との塩がアセトニトリルのような溶媒中で非常に溶解性であることが多いため、特に注目すべき塩基は3−ピコリンである。
【0102】
式5の化合物は、結晶化、ろ過および抽出を含む当業者に公知である方法により、反応混合物から単離されることが可能である。国際公開第2006/062978号パンフレットに開示されているとおり、スキーム6のカップリング反応条件下のいくつかの場合において、式5の化合物は、以下のスキーム7に示されているとおり、部分的に環化されて式12のイミノベンゾキサジン誘導体を形成することが可能である。
【化11】

【0103】
国際公開第2006/062978号パンフレットに開示されているとおり、これらの事例において、度々、単離の前に、式12のイミノベンゾキサジン化合物を式5のアミドに転換し戻すことが有利である。この転換は、反応混合物を酸水溶液(例えば、水性塩酸)で処理し;または式12の混合物および式5化合物を単離し、次いで、この混合物を、任意により、好適な有機溶剤(例えば、アセトニトリル)の存在下で酸水溶液で処理することにより達成することが可能である。国際公開第2006/062978号パンフレットは、式5の化合物を単離する前の酸水溶液での反応混合物の処理を例示する実施例を含む、スキーム6の方法に関連する特定の実施例を開示する。
【0104】
あるいは、式12の化合物は、反応混合物を水と接触させると共に加熱することにより、単離の前に式5の化合物に転換し戻されることが可能である。典型的には、式12化合物の式5化合物への転換は、式1の出発化合物の重量に対して約2〜6重量部の水を添加し、次いで、約45〜約65℃に加熱することにより達成することが可能である。式12の化合物の式5の化合物への転換は、通常は、1時間以下で完了する。
【0105】
式9のピラゾール−5−カルボン酸は、5−オキソ−3−ピラゾリジンカルボキシレートから、ハロゲン化剤で処理して3−ハロ−4,5−ジヒドロ−1H−ピラゾール−5−カルボキシレートをもたらすことにより調製することが可能であり、これは、その後、酸化剤で処理されて式9の酸のエステルをもたらすことが可能である。このエステルは、次いで、酸(すなわち式9)に転換されることが可能である。用いることが可能であるハロゲン化剤としては、例えば、リンのオキシハロゲン化物、リンの三ハロゲン化物、リンの五ハロゲン化物、塩化チオニル、ジハロトリアルキルホスホラン、ジハロジフェニルホスホラン、塩化オキサリルおよびホスゲンが挙げられる。酸化剤は、例えば、過酸化水素、有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、一過硫酸カリウム(例えば、オキソン(登録商標))または過マンガン酸カリウムであることが可能である。ハロゲン化および酸化法の記載、および出発5−オキソ−3−ピラゾリジンカルボキシレートを調製するための手法については、国際公開第2003/016283号パンフレット、国際公開第2004/087689号パンフレットおよび国際公開第2004/011453号パンフレットを参照のこと。エステルをカルボン酸に転換するために、無水条件下での求核性開裂、または、酸または塩基の一方を用いる加水分解(方法の概説については、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第2版、John Wiley & Sons,Inc.、ニューヨーク(New York)、1991年、224〜269ページを参照のこと)を含む、化学文献において報告されている多様な方法を利用することが可能である。塩基触媒加水分解法が、対応するエステルから式9のカルボン酸を調製するために好ましい。好適な塩基としては、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、またはカリウムなど)水酸化物が挙げられる。例えば、エステルは、水とメタノールなどのアルコールとの混合物中に溶解されることが可能である。水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムとの処理で、エステルは鹸化してカルボン酸のナトリウムまたはカリウム塩がもたらされる。塩酸または硫酸などの強酸での酸性化がカルボン酸をもたらす。国際公開第2003/016283号パンフレットは、エステルの酸への転換のための塩基触媒加水分解法を例示する関連する実験例を提供する。
【0106】
あるいは、式9のピラゾール−5−カルボン酸は、酸触媒脱水反応を介して4,5−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−5−カルボキシレートから式9のエステルがもたらされ、次いで、これが酸に転換されることで調製されることが可能である。典型的な反応条件は、4,5−ジヒドロ−5−ヒドロキシ−1H−ピラゾール−5−カルボキシレートの例えば硫酸といった酸での、酢酸などの有機溶剤中での、約0〜100℃の温度での処理を含む。この方法は、国際公開第2003/016282号パンフレットに記載されている。エステルの酸への転換は、上述の方法を用いて行うことが可能である。また、国際公開第2003/016282号パンフレットは、エステルの酸への転換のための関連する実験例を提供する。
【0107】
式1bのアントラニルアミドはまた、以下のスキーム8に示されているとおり、式1cの対応する酸またはエステル(RがORであると共にRがHまたはC〜Cアルキルである式1)から調製されることが可能である。カルボン酸からのアミドの形成は、典型的には、カップリング剤(例えば、四塩化ケイ素、または、代替的に、度々1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾールの存在下にジシクロヘキシルカルボジイミドあるいは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド)の添加を含む。アントラニル酸からのアントラニルアミドの調製は、M.J.Kornet、Journal of
Heterocyclic Chemistry、1992年、29(1)、103〜5ページ;国際公開第01/66519−A2号パンフレット;T.Asanoら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2004年、14(9)、2299〜2302ページ;H.L.Birchら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2005年、15(23)、5335〜5339ページ;およびD.Kimら、Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters、2005年、15(8)、2129〜2134ページに開示されている。また、T.Asanoらは、N−保護アニリン中間体または4H−3,1−ベンゾキサジン−2,4(1H)−ジオン(イサト酸無水物)中間体を介するアントラニル酸からのアントラニルアミドの調製を報告している。エステルからのアミドの形成は、度々、エチレングリコールなどの極性溶剤中での適切なアミンとのエステルの加熱を伴う。アントラニルエステルのアントラニルアミドへの転換のために有用な手法が国際公開第2006/062978号パンフレットに記載されている。また、E.B.Skiboら、Journal of Medicinal Chemistry、2002年、45(25)、5543〜5555ページが、シアン化ナトリウム触媒を用いる、対応するアントラニルエステルからのアントラニルアミドの調製を開示する。
【化12】

【0108】
スキーム5および6の方法は、式1の化合物を式5のカルボキサミドに転換するための多くの方法の単に2つの例示である。広く多様な一般的な方法が、カルボキサミドをカルボン酸およびアミンから調製するために当該技術分野において公知である。一般的な概説については、M.North、Contemporary Org.Synth.1995年、2、269〜287ページを参照のこと。特定の方法は、国際公開第2003/15518号パンフレットに一般に開示されているとおり、式1bの化合物を式9の化合物と、1,1’−カルボニルジイミダゾール、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィン酸塩化物またはベンゾトリアゾール−1−イルオキシ−トリス(ジメチル−アミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロリン酸などの脱水カップリング剤;または、ポリマー−結合ジシクロヘキシルカルボジイミドなどのポリマー−結合類似薬の存在下に、典型的にはジクロロメタンまたはN,N−ジメチルホルムアミドなどの不活性溶剤中に接触させる工程を含む。また、国際公開第2003/15518号パンフレットには、式9化合物を塩化チオニルまたは塩化オキサリルと、触媒量のN,N−ジメチルホルムアミドの存在下に接触させ、次いで、誘導された塩化アシルを式1bの化合物と、アミン塩基(例えば、トリエチルアミン、N,N−−ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、およびポリマー−担持類似体)または水酸化物またはカーボネート(例えば、NaOH、KOH、NaCO、KCO)などの酸掃去剤の存在下に、典型的には、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、エチルエーテルまたはジクロロメタンなどの不活性溶剤中に接触させることによる、式9の塩化アシル誘導体化合物の調製方法が開示されている。式5の化合物である生成物は、結晶化、ろ過および抽出を含む当業者に公知の方法により反応混合物から単離されることが可能である。
【0109】
さらなる詳細なしで、前述の記載を利用する当業者は、本発明を最大限に利用することが可能であると考えられている。以下の実施例は、従って、単に例示的であり、本開示を如何様にも限定することはないと解釈されるべきである。
【実施例】
【0110】
実験例
以下の実施例は合成手法を例示し、各実施例の出発材料は、必ずしも、その手法が参照例を含む他の実施例に記載されている特定の調製法によって調製されていない場合がある。
【0111】
実施例1〜4、11および13において用いた亜鉛微粉はAldrichから購入したまま用いた。実施例5〜8および12において用いた活性化亜鉛微粉は、市販の亜鉛微粉(J.T.Baker、10g)を、窒素パージ下に1N塩酸(約20mL)と共に10分間攪拌し、次いで、減圧ろ過を用いて回収し、水(50mL)およびアセトニトリル(50mL)で順次洗浄し、ならびに、減圧中に周囲温度で乾燥させることにより調製した。実施例9および10において用いた活性化亜鉛粉末は、市販の亜鉛粉末(J.T.Baker、50g)を、1N塩酸(200mL)と共に約15分間攪拌し、次いで、減圧ろ過を用いて回収し、水(2×100mL)およびメタノール(3×100mL)で順次洗浄し、ならびに、窒素ガス下に周囲温度で減圧乾燥させることにより調製した。
【0112】
本開示および特許請求の範囲において用いられるところ、「脱酸素」という用語は、溶剤に関しては、溶剤中に溶解した酸素ガスの除去を指す。実施例1〜3において用いたテトラヒドロフラン(THF)は、窒素下でナトリウム/ベンゾフェノンから蒸留し、ならびに、窒素充填グローブボックス中で直前にか焼した分子ふるい(4Å)上に保存することにより乾燥させおよび脱酸素した。実施例4および13において用いたジオキサンは、Aldrichから入手した無水グレードであり、分子ふるい上に保存した。実施例5〜8および12において用いたテトラヒドロフランおよびアセトニトリルは、窒素下で、それぞれ、ナトリウム/ベンゾフェノンおよび水酸化カルシウムから蒸留することにより乾燥させおよび脱酸素した。実施例9において用いたアセトニトリルは、EMD Chemicals Inc.から入手した無水グレードであり、真空(約330Pa)を引き、その後、アルゴンガスでの雰囲気を補充する3回のサイクルにより脱酸素した。実施例10において用いたテトラヒドロフランはEMD Chemicals Inc.から入手した無水グレードであり、真空(約330Pa)を引き、その後、アルゴンガスでの雰囲気を補充する4回のサイクルにより脱酸素した。実施例11において用いたアセトニトリルは、窒素下で、Pから蒸留して乾燥させおよび脱酸素した。
【0113】
国際公開第2006/062978号パンフレットは、2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドおよび2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミドを調製するための手法を記載する。参照例1は、2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドを調製するための追加の手法を記載する。実施例1〜4および13において用いた2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドおよび2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド出発材料の両方を、Halliday、YoungおよびGrushin、Org.Lett.、2003年、5、2003〜2005ページにより記載されているとおり、トルエン溶剤および、2つのネスト状のシンブル(内側シンブルが精製されるべき材料を含有すると共に、内側シンブルと外側シンブルとの間の空隙にシリカゲルを含有する)を備えるSoxhlet抽出器を用いて精製した。この装置は、抽出、シリカゲルをとおしたろ過および精製された物質の結晶化を同時に許容する。
【0114】
いくつかの実施例からの結果をH NMRにより分析した。分析した化合物の調製およびH NMRスペクトルのための方法は、既に報告されている。特に、国際公開第2006/062978号パンフレットは、以下の化合物についての調製手法および参照H NMRスペクトルを開示する:2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド−H NMR(CDCl)δ2.14(s,3H)、2.94(d,3H,J=5Hz)、5.37(br s,2H)、6.21(br s,1H)、6.56(t,J=7.5Hz,1H)、7.10(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,1H)、7.18(dd,J=7.5Hz,7.5Hz,1H);2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド−H NMR(CDCl)δ2.14(s,3H)、2.95(d,J=5Hz,3H)、5.55(br s,2H)、6.01(br s,1H)、7.21(m,1H)、7.30(d,J=2Hz,1H);2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド−H NMR(DMSO−d)δ2.08(s,3H)、2.72(d,J=4.5Hz,3H)、6.34(br s,2H)、7.12(d,J=2.4Hz,1H)、7.39(d,J=2.4Hz,1H)、8.31(br d,1H);2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド−H NMR(CDCl)δ2.16(s,3H)、2.98(d,J=4.8Hz,3H)、6.17(br s,3H)、7.34(d,J=1.8Hz,1H)、7.56(d,J=1.8Hz,1H)。
【0115】
実施例5〜10および12におけるHPLC分析は、0.1体積%トリフルオロ酢酸の水中のアセトニトリルの溶剤勾配で溶出すると共に254nm UV検出を利用するZorbax Eclipse XDB−C8逆相カラム(3.5μm、4.6×75mm)を用いて実施した。
【0116】
以下の実施例において、「mol%」は式2の出発化合物に対するモル比較である。同様に、「当量」は、式2の出発化合物に対する等価物の数に関する。実施例4および13に記載の選択性は化学反応選択性を指し、形成された所望の生成物のモル数を消費された出発材料のモル数により除し、次いで、この商に100%を乗じることにより算出される。
【0117】
参照例2はスキーム6の方法を例示し、これは、式2の化合物からスキーム1の方法により調製された式1の化合物から式5の化合物を調製するために有用である。
【0118】
参照例1
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)の調製
機械的攪拌機、熱電対、コンデンサおよびTeflon(登録商標)フルオロポリマーチューブ(1/16インチ(0.16)cm I.D.×1/8インチ(0.32cm)O.D.)(チューブの端部が反応混合物の表面下に浸るよう位置させた)を備えた1000−mLフラスコに酢酸(226mL)を充填した。水性水酸化ナトリウム(50%、25g)の水(85g)中の溶液を15分間かけて添加し、次いで、2−アミノ−N,3−ジメチル−ベンズアミド(50g、0.305mol)(調製方法については国際公開第2006/062978号パンフレットを参照のこと)を添加し、および、混合物を55℃に加熱した。Teflon(登録商標)チューブ浸漬管を一方の首に取り付けた二首200−mLフラスコに液体臭素(50.1g)を充填し、他方の首を、1000−mLフラスコのTeflon(登録商標)チューブに接続した。次いで、窒素ガスを液体臭素の表面下で、約0.012m(0.4cu ft)/時間の流量で2.5時間浸漬管を通して流し、この時間の間、窒素ガス中に混入した蒸発した臭素および臭素蒸気のすべてが二首200−mLフラスコから流出すると共に、Teflon(登録商標)チューブを介して反応混合物に進入した。反応温度を臭素蒸気添加の最中およびその後30分間は約55℃で維持し、次いで、45℃に冷却して一晩攪拌した。水性水酸化ナトリウム(50%、52g)の水(88mL)中の溶液を反応混合物に0.8mL/分の流量で添加した。水酸化ナトリウム溶液の総体積の約10%が添加された後、添加を停止すると共に、反応混合物を1時間45℃で攪拌した。1時間後、残りの水酸化ナトリウム溶液を0.8mL/分の流量で添加した。添加が完了した後、反応を30分間45℃で攪拌し、次いで、10℃に冷却すると共に1時間攪拌した。混合物をろ過すると共に、回収した固体をメタノール(130mL)および水(260mL)で洗浄し、次いで、一定重量まで真空−オーブン中に45℃で乾燥させて、表題の化合物を、133〜135℃で溶融する固体として得た(67g、HPLCによる99.4面積%純度、89.7%収率)。
【0119】
H NMR(DMSO−d)δ8.30(m,1H)、7.49(d,1H)、7.22(d,1H)、6.35(br s,2H)、2.70(d,3H)、2.06(s,3H)。
【0120】
実施例1
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、THF中のNaCN、Pd(dba)、t−BuPおよび亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、試薬を窒素充填グローブボックスを用いて移した。触媒溶液を、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(Pd(dba)、Aldrich、25mg、0.027mmol、0.055mmolPd)およびトリ−t−ブチルホスフィン(t−BuP、Strem、99%、9mg、0.044mmol)をTHF(4mL)中に、25℃で1.5時間攪拌することにより調製した。グローブボックスにおいて、円柱状のTeflon(登録商標)被覆22×5mm磁気攪拌棒を含む4つの標準的な20−mLシンチレーションバイアルを、実験A、B、CおよびDのために以下のとおり充填した。
【0121】
実験A.2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(500mg、2.06mmol)、亜鉛(Zn)微粉(Aldrich、30mg、0.46mmol)、シアン化ナトリウム(NaCN、Fluka、97+%、グローブボックス中で乳鉢および乳棒で粉砕、130mg、2.65mmol、1.3当量)、THF(5mL)、ならびに、1.5mLの触媒溶液(約1mol%Pd、約0.8mol%P)。
【0122】
実験B.実験Aと同じであるが、Zn微粉の量を10mg(0.15mmol)に減らした。
【0123】
実験C.実験Aと同じであるが、触媒溶液の量を0.6mLに減らすと共に、6mLのTHFを用いた。
【0124】
実験D.実験Cと同じであるが、Zn微粉の量を10mg(0.15mmol)に減らした。
【0125】
バイアルを、ドライボックス内で窒素下にシールし、混合物を25℃で63時間激しく攪拌した。反応混合物の分析(H NMR)は、シアン化生成物2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの>99%(実験A)、>99%(実験B)、95%(実験C)、および83%(実験D)収率での形成を示した。
【0126】
実施例2
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、THF中のNaCN、Pd(dba)、t−BuPおよび亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の他の調製
この実施例においては、試薬を窒素充填グローブボックスを用いて移した。触媒溶液を、Pd(dba)(Aldrich、36.2mg、0.040mmol、0.079mmolPd)およびt−BuP(Strem、99%、14.5mg.0.072mmol)をTHF(3mL)中に溶解し、次いで、2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(80mg、0.33mmol)を添加し、この混合物を25℃で一晩攪拌することにより調製した。グローブボックスにおいて、円柱状のTeflon(登録商標)被覆22×5mm磁気攪拌棒を含む標準的な20−mLシンチレーションバイアルに、2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(すなわち参照例1の生成物)(1.00g、4.11mmol)、Zn微粉(Aldrich、10mg、0.15mmol、3.6mol%)、NaCN(Fluka、97+%、グローブボックスにおいて乳鉢および乳棒で粉砕、215mg、4.39mmol、1.06当量)、THF(4mL)、および0.32mLの触媒溶液(約0.19mol%Pd、約0.17mol%P)を充填した。バイアルを、ドライボックス内で窒素下にシールし、混合物を25℃で24時間激しく攪拌した。反応混合物のH NMR分析は、シアン化生成物2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの95%収率での形成を示した。
【0127】
実施例3
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、THF中のNaCN、Pd(dba)、t−BuPおよび亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の他の調製
この実施例においては、試薬を窒素充填グローブボックスを用いて移した。触媒溶液を、Pd(dba)(Aldrich、38mg、0.041mmol、0.083mmolPd)およびt−BuP(Strem、99%、17mg、0.084mmol)をTHF(3mL)中に25℃で3時間攪拌することにより調製した。グローブボックスにおいて、4つの標準的な20−mLシンチレーションバイアルを、実験A、B、CおよびDのために以下のとおり充填した。
【0128】
実験A.2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(1.00g、4.11mmol)、Zn微粉(Aldrich、10mg、0.15mmol、3.6mol%)、NaCN(Fluka、97+%、グローブボックスにおいて乳鉢および乳棒で粉砕、210mg、4.28mmol、1.04当量)、THF(4mL)、および0.3mLの触媒溶液(約0.2mol%Pd、約0.2mol%P)。
【0129】
実験B.実験Aと同じ(再現性検査)。
【0130】
実験C.実験Aと同じであるが、触媒溶液の量を0.15mL(約0.1mol%Pd、約0.1mol%P)に減らした。
【0131】
実験D.実験Cと同じ(再現性検査)。
【0132】
バイアルをドライボックス内で窒素下にシールし、この混合物をAquasonic 50HT超音波浴中に25℃で24時間超音波処理した。反応混合物のH NMR分析は、シアン化生成物2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの>99%(実験A)、>99%(実験B)、95%(実験C)、および88%(実験D)収率での形成を示した。
【0133】
実施例4
2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、ジオキサン中のKCN、(t−BuP)Pd、亜鉛微粉および18−クラウン−6を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、試薬を窒素充填グローブボックスを用いて移した。2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(1.00g、5.03mmol)、Zn微粉(Aldrich、15mg、0.23mmol、4.6mol%)、シアン化カリウム(KCN、Aldrich、97%、グローブボックスにおいて乳鉢および乳棒で粉砕、0.33g、5.07mmol、1.0当量)、ビス(トリ−t−ブチルホスフィン)パラジウム(0)((t−BuP)Pd、J.Am.Chem.Soc.、2001年、123、2719ページに記載のとおり調製した;25mg、0.049mmol、0.97mol%Pd)、18−クラウン−6(Aldrich、99.5+%、15mg、0.057mmol、1.1mol%)およびジオキサン(7mL)のシュレンク丸底フラスコ中の混合物を、還流下および窒素雰囲気下に24時間攪拌した。反応混合物のH NMR分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの65%収率、>98%選択性での形成を示した。
【0134】
実施例5
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、アセトニトリルおよびTHF中のNaCN、Pd(dba)、t−BuPおよび亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の他の調製
この実施例においては、反応は、窒素充填グローブボックス中に標準的なガラス器具および磁気攪拌を用いて実施した。Pd(dba)(0.039g、0.040mmol、0.42mol%Pd)およびトリ−t−ブチルホスフィン(0.018g、0.087mmol、0.43mol%P)のテトラヒドロフラン(5mL)中の溶液を周囲温度で30分間攪拌し、次いで、2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(5.00g、20.4mmol)、シアン化ナトリウム(1.30g、25.7mmol、1.26当量)および活性化亜鉛微粉(0.20g、3.1mmol)のアセトニトリル(35mL)中の混合物に添加した。この緑−茶色の不均質な混合物を50℃で4.5時間攪拌し、この間、混合物は、黄−緑色および固形分できわめて濃厚になった。HPLCによる分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド対2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドの98:2モル比を、微量の2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド副産物と共に示した。
【0135】
実施例6
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、アセトニトリルおよびTHF中のNaCN、KO−t−Bu、t−BuPHBF、Pd(dba)および亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、反応は、窒素充填グローブボックス中に標準的なガラス器具および磁気攪拌を用いて実施した。触媒溶液を調製するために、カリウムt−ブトキシド(THF中に1.0M;0.10mL、0.10mmol、0.49mol%)を含有するTHF溶液を、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(Aldrich、0.025g、0.084mmol、0.41mol%P)のアセトニトリル(1mL)中の溶液と組み合わせ、得られた混合物を、周囲温度で5分間攪拌した。この混合物に、THF(4mL)およびPd(dba)(0.038g、0.040mmol、0.41mol%Pd)を添加し、および得られた濃い赤色の混合物を周囲温度で攪拌した。30分後、この触媒溶液を2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(5.00g、20.4mmol)、シアン化ナトリウム(1.30g、25.7mmol、1.26当量)および活性化亜鉛微粉(0.20g、3.1mmol)のアセトニトリル(35mL)中の混合物に周囲温度で添加した。緑−茶色の不均質な混合物を、50℃で4.5時間攪拌し、この間、混合物は、黄−緑色および固形分できわめて濃厚になった。HPLCによる分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド対2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドの99:1モル比を、微量の2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド副産物と共に示した。
【0136】
実施例7
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、アセトニトリルおよびTHF中のNaCN、NaCO、t−BuPHBF、Pd(dba)および亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、反応は、窒素充填グローブボックス中に標準的なガラス器具および磁気攪拌を用いて実施した。炭酸ナトリウム(0.109g、1.0mmol、5.0mol%)、Pd(dba)(0.038g、0.040mmol、0.41mol%Pd)、およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(Aldrich、0.025g、0.084mmol、0.41mol%P)のTHF(5mL)中の混合物を周囲温度で攪拌した。30分後、この触媒混合物を2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(5.00g、20.4mmol)、シアン化ナトリウム(1.30g、25.7mmol、1.26当量)および活性化亜鉛微粉(0.20g、3.1mmol)のアセトニトリル(35mL)中の予熱した混合物に79℃で添加した。緑色のスラリーを79℃で5時間攪拌した後、混合物をHPLCにより分析した。HPLC分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド対2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドの94:6モル比を、約0.8%の2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド副産物と共に示した。
【0137】
実施例8
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、アセトニトリルおよびTHF中のKCN、NaCO、t−BuPHBF、Pd(dba)および亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、反応は、窒素充填グローブボックス中に標準的なガラス器具および磁気攪拌を用いて実施した。炭酸ナトリウム(0.109g、1.0mmol、5.0mol%)、Pd(dba)(0.038g、0.040mmol、0.41mol%Pd)、およびトリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(Aldrich、0.025g、0.084mmol、0.41mol%P)のTHF(5mL)中の混合物を周囲温度で攪拌した。30分後、この触媒混合物を、2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(5.00g、20.4mmol)、シアン化カリウム(1.30g、25.7mmol、1.26当量)および活性化亜鉛微粉(0.20g、3.1mmol)のアセトニトリル(35mL)中の混合物に周囲温度で添加した。スラリーを50℃で17時間攪拌した後、混合物をHPLCにより分析した。HPLC分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド対2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドの91:9モル比を、微量の2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド副産物と共に示した。
【0138】
実施例9
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、アセトニトリル中のNaCN、Pd(dba)、ベンジル−ジ−1−アダマンチルホスフィン、活性化亜鉛粉末を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(5g、20.4mmol)、Pd(dba)(Aldrich、93mg、0.1mmol、1mol%Pd)、ベンジル−ジ−1−アダマンチルホスフィン(Strem、94mg、0.2mmol、1mol%)、NaCN(周囲雰囲気下に粉砕、1.08g、21.4mmol、1.05当量)および活性化亜鉛粉末(134mg、2.1mmol、10mol%)のアセトニトリル(40mL)中のスラリーを、窒素下で攪拌しながら還流するように加熱(約81〜82℃)した。このスラリーを17時間掻き混ぜると共に、N,N−ジメチルホルムアミド(40mL)で希釈した後にサンプルを得た。HPLCによる生成混合物の分析は、86面積%の2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドを示した。
【0139】
実施例10
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、THF中のNaCN、NaCO、t−BuPHBF、Pd(dba)、活性化亜鉛粉末および水を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(5g、20.4mmol)、Pd(dba)(Aldrich、37mg、0.040mmol、0.081mmolPd、0.40mol%Pd)、トリ−t−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(Strem、25mg、0.084mmol、0.41mol%)、NaCO(0.109g、1.0mmol)および活性化亜鉛粉末(0.2g、3.1mmol、15mol%)のTHF(40mL)中のスラリーを周囲温度で30分攪拌し、次いで、NaCN(1.3g、25.7mmol、1.26当量)および水(0.1g、5.6mmol)を添加した。この混合物のサンプルを2.5時間後に得た。HPLCによる分析は、21面積%の2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドを示した。
【0140】
実施例11
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、アセトニトリル中のKCN、(dppf)PdPh)(I)、および亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、試薬を窒素充填グローブボックスを用いて移した。2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(2.43g、10.0mmol)、Zn微粉(Aldrich、130mg、1.99mmol)、シアン化カリウム(Aldrich、粉砕せず、0.73g、11.2mmol、1.12当量)、(dppf)Pd(Ph)(I)(J.Am.Chem.Soc.、1997年、119、8232〜45ページに記載のとおり調製した;86mg、0.099mmol、0.99mol%Pd)およびアセトニトリル(12mL)のシュレンク丸底フラスコ中の混合物を、還流下および窒素雰囲気下で1時間40分攪拌した。反応混合物のH NMR分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの40%収率での形成を示した。
【0141】
実施例12
2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、アセトニトリルおよびTHF中のNaCN、KO−t−Bu、t−Bu(ネオペンチル)PHBF、Pd(dba)および亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、反応は、窒素充填グローブボックス中に標準的なガラス器具および磁気攪拌を用いて実施した。触媒溶液を調製するために、カリウムt−ブトキシド(THF中に1.0M;0.10mL、0.10mmol、0.49mol%)のTHF溶液を、ジ−t−ブチルネオペンチルホスホニウムテトラフルオロボレート(FMC Corp.、98%、0.025g、0.081mmol、0.40mol%P)のアセトニトリル(1mL)中の溶液と組み合わせると共に、得られた混合物を周囲温度で5分間攪拌した。この混合物にTHF(4mL)およびPd(dba)(0.038g、0.040mmol、0.41mol%Pd)を添加すると共に、得られた濃い赤色の混合物を周囲温度で攪拌した。30分後、この触媒溶液を2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミド(5.00g、20.4mmol)、シアン化ナトリウム(1.30g、25.7mmol、1.26当量)および活性化亜鉛微粉(0.20g、3.1mmol)のアセトニトリル(35mL)中の混合物に周囲温度で添加した。緑−茶色の不均質な混合物を50℃で攪拌した。6時間後、HPLC分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド対2−アミノ−5−ブロモ−N,3−ジメチルベンズアミドの36:64モル比を、微量の2−アミノ−N,3−ジメチルベンズアミド副産物と共に示した。
【0142】
実施例13
2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(式2の化合物)からの、ジオキサン中のZn(CN)、(t−BuP)Pdおよび亜鉛微粉を用いる2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(式1の化合物)の調製
この実施例においては、試薬を窒素充填グローブボックスを用いて移した。2−アミノ−5−クロロ−N,3−ジメチルベンズアミド(1.00g、5.03mmol)、Zn微粉(Aldrich、60mg、0.92mmol)、亜鉛シアン化物(Zn(CN)、Aldrich、98%、0.32g、2.73mmol、1.08当量)、(t−BuP)Pd(J.Am.Chem.Soc.2001年、123、2719ページに記載のとおり調製した;25mg、0.049mmol、0.97mol%Pd)およびジオキサン(Aldrich、無水、分子ふるい上に保存した、8mL)のシュレンク丸底フラスコ中の混合物を、還流下および窒素雰囲気下で11時間攪拌した。反応混合物のH NMR分析は、2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミドの83%収率、>98%選択性での形成を示した。この実施例は、ジオキサンなどのエーテル溶剤が、亜鉛シアン化物と共に、反応性に劣る、XがClである式2の化合物のシアノ化に特に有用であることを示す。
【0143】
参照例2
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−N−[4−シアノ−2−メチル−6−[(メチルアミノ)−カルボニル]フェニル]−1H−ピラゾール−5−カルボキサミド(式5の化合物)の調製
3−ブロモ−1−(3−クロロ−2−ピリジニル)−1H−ピラゾール−5−カルボン酸(調製方法については国際公開第2003/015519号パンフレットを参照のこと)(97.4%純度、15.4g、49.6mmol)および2−アミノ−5−シアノ−N,3−ジメチルベンズアミド(10.0g、52.5mmol)のアセトニトリル(80mL)中の混合物に、3−ピコリン(13.9g、148mmol)を添加した。この混合物を15〜20℃に冷却し、次いで、メタンスルホニルクロリド(8.2g、71.2mmol)を15〜20℃で滴下した。1時間後、水(37.3g)をこの反応混合物に滴下する一方で、15〜20℃で温度を維持した。添加が完了した後、混合物を45〜50℃で30分間加熱し、次いで、15〜25℃に1時間冷却した。この混合物をろ過すると共に、回収した固形分をアセトニトリル−水(およそ5:1混合物、2×10mL)およびアセトニトリル(2×10mL)で洗浄し、次いで、窒素下で乾燥させて24.0g(6%の含水量での91.6%のアッセイに基づく93.6%補正収率)の表題の化合物を、オフホワイトの固体として得た。
【0144】
H NMR(DMSO−d)δ10.53(br s,1H)8.49(dd,1H)、8.36(m,1H)、8.16(dd,1H)、7.87(d,1H)、7.76(d,1H)、7.60(m,1H)、7.41(s,1H)、2.67(d,3H)、2.21(s,3H)。
【0145】
表1は、本発明の方法により式1の化合物を式2の化合物から調製する特定の変換を例示する。特に、式2の化合物の式1の化合物への転換は、スキーム1の方法により達成することが可能である。これらの変換については、例えば、パラジウム錯体は、パラジウム(0)およびトリ−t−ブチルホスフィン(例えば、XがBrであるときに1:1モル比、およびXがClであるとき1:2モル比で)を含み、この溶剤は、XがBrであるときテトラヒドロフランであり、XがClであるときはジオキサンであり、反応混合物は亜鉛微粉を含有する。表1および2において:tは第3級を意味し、sは第2級を意味し、nはノルマルを意味し、iはイソを意味し、cはシクロを意味し、Meはメチルを意味し、Etはエチルを意味し、Prはプロピルを意味し、ならびに、Buはブチルを意味する。基の連結は同様に略記されている;例えば、「c−PrCH」はシクロプロピルメチルを意味する。
【0146】
【表1】

【0147】
【表2】

【0148】
【表3】

【0149】
表2は、本発明の方法により、式5の化合物を式2および3の化合物から調製するための特定の変換を示す。式2の化合物の式1の化合物への転換は、例えばシアン化ナトリウム(すなわちMがNaである)、表1に記載のパラジウム錯体および溶剤を用いる、RがNHRであるスキーム1の方法により達成されることが可能である。式1の化合物の式5の化合物への転換は、例えば、アセトニトリルなどの溶剤および3−ピコリンなどの塩基の存在下にメタンスルホニルクロリドなどの塩化スルホニルを用いるスキーム6の方法により達成することが可能である。
【0150】
【表4】

【0151】
【表5】

【0152】
【表6】

【0153】
【表7】

【0154】
【表8】

【0155】
【表9】

【0156】
【表10】

【0157】
【表11】

【0158】
【表12】

【0159】
【表13】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式1
【化1】

[式中、
はNHRまたはORであり;
はClまたはCHであり;
はH、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロプロピルメチルまたはメチルシクロプロピルであり;および
はHまたはC〜Cアルキルである]
の化合物を製造する方法であって、
(1)式2
【化2】

[式中、XはBrまたはClである]
の化合物を、
(2)式3
CN 3
[式中、Mはアルカリ金属である]
の少なくとも1つの化合物と、
(3)エーテルおよびニトリルから選択される1つまたはそれ以上の有機溶媒を含む溶媒;および(4)式4
P(R)(R)R
[式中、
は、C〜C10第2級アルキル、C〜C10第3級アルキル、ネオペンチル、C〜Cシクロアルキル、フェニルまたは−L−P(R)Rであり;
およびRの各々は、独立してt−ブチル、1−アダマンチルまたはフェニルであり;および
Lは、−(CH−、−(CH−または1,1’−フェロセンジイルである]
の少なくとも1つの第3級ホスフィンリガンドを含む触媒的に有効な量のパラジウム錯体、の存在下に接触させることを含み、
ただし、RがClである場合XはBrであり;およびXがClである場合、R、RおよびRは各々t−ブチルである方法。
【請求項2】
パラジウム錯体がその場生成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
パラジウムが、ベンジル−ジ−1−アダマンチルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ジ−t−ブチルネオペンチルホスフィンおよびトリ−t−ブチルホスフィンからなる群から選択される少なくとも1つのリガンドと錯体を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
パラジウムが、トリ−t−ブチルホスフィンと錯体を形成する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
溶媒が、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびアセトニトリルからなる群から選択される1つまたはそれ以上の有機溶媒を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
溶媒がクラウンエーテルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
式2の化合物、式3の少なくとも1つの化合物、パラジウム錯体および溶媒を、約0〜約140℃の温度で接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
式2の化合物、式3の少なくとも1つの化合物、パラジウム触媒および溶媒を、約20〜約100℃の温度で接触させる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式2の化合物、式3の少なくとも1つの化合物、パラジウム触媒および溶媒を、触媒プロモーターの存在下に接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
式2の化合物、式3の少なくとも1つの化合物、パラジウム触媒および溶媒を、亜鉛金属の存在下に接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
がNHRである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
が、C〜Cアルキルまたはシクロプロピルメチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
がメチルである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
がメチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
がNaまたはKである、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
がNHRであり、Rがメチルであり、Rがメチルであり、XがBrであり、MがNaであり、パラジウム錯体がトリ−t−ブチルホスフィンを含み、および溶媒がテトラヒドロフランである、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
式2の化合物、式3の少なくとも1つの化合物、パラジウム触媒および溶媒を、亜鉛金属の存在下に接触させる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
エーテルを含む溶媒中のパラジウム錯体の溶液を、式2の化合物、式3の少なくとも1つの化合物およびニトリル溶媒を含む混合物と接触させる、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
式5
【化3】

[式中、
はClまたはCHであり;
は、H、C〜Cアルキル、シクロプロピル、シクロプロピルメチル、またはメチルシクロプロピルであり;
Zは、CR17またはNであり;
14は、Cl、Br、CF、OCFHまたはOCHCFであり;
15は、F、ClまたはBrであり;
16は、H、FまたはClであり;および
17は、H、F、ClまたはBrである]
の化合物を
式1
【化4】

[式中、
はNHRまたはORであり;および
はHまたはC〜Cアルキルである]
の化合物を用いて製造する方法であって、
式1の前記化合物を請求項1に記載の方法により製造することを特徴とする方法。
【請求項20】
がNHRであり、Rがメチルであり、Rがメチルであり、R14がBrであり、R15がClであり、R16がHであり、およびZがNである、請求項19に記載の方法。

【公表番号】特表2010−512316(P2010−512316A)
【公表日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−540296(P2009−540296)
【出願日】平成19年12月5日(2007.12.5)
【国際出願番号】PCT/US2007/025005
【国際公開番号】WO2008/070158
【国際公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】