説明

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリルのプロドラッグ

本願は、2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリルのプロドラッグ誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患、特に心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリルのプロドラッグ誘導体、それらの製造方法、疾患の処置および/または予防のためのそれらの使用、並びに、疾患、特に心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
プロドラッグは、実際の有効成分が遊離する前に1つまたはそれ以上の段階においてインビボで酵素的かつ/または化学的な生物変換を受ける、有効成分の誘導体である。プロドラッグの残基は、通常、基礎となる有効成分の特性のプロフィールを改善するために使用される[P. Ettmayer et al., J. Med. Chem. 47, 2393-2404 (2004)]。これに関して、最良の効果のプロフィールを達成するために、プロドラッグの残基の設計および所望の遊離メカニズムが、個々の有効成分、適応症、作用部位および投与経路と非常に正確に適合することが必要である。多数の医薬が、基礎となる有効成分と比較して改良されたバイオアベイラビリティーを示すプロドラッグとして投与され、それは、例えば、物理化学的プロフィール、特に、溶解性、能動的または受動的吸収特性または組織特異的分布を改良することにより達成される。プロドラッグに関する広範な文献から言及し得る例は、H. Bundgaard (Ed.), Design of Prodrugs: Bioreversible derivatives for various functional groups and chemical entities, Elsevier Science Publishers B.V., 1985 である。
【0003】
プリンヌクレオシドのアデノシンは、全ての細胞に存在し、多数の生理的および病態生理的刺激のもとで放出される。アデノシンは、アデノシン−5'−一リン酸(AMP)およびS−アデノシルホモシステインの分解の際に中間体として細胞内で産生されるが、細胞から放出され得、次いで、特定の受容体に結合することにより、ホルモン様物質または神経伝達物質としての効果を発揮する。特に、様々な組織の興奮性および/または作業性(working)細胞における必須の機能は、アデノシンA1受容体の影響を受ける [cf. K. A. Jacobson and Z. G. Gao, Nat. Rev. Drug Discover. 5, 247-264 (2006)]。
【0004】
化合物2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル[化合物(A)]は、経口で活性なアデノシンA1受容体アゴニストであり、現在、特に心血管障害の予防および処置用の可能性のある新規活性医薬成分として、徹底的な臨床試験が行われている[WHO Drug Information Vol. 20, No. 2 (2006); 製造および使用には、WO03/053441、実施例6参照]。
【化1】

【0005】
しかしながら、化合物(A)は、水、生理的媒体および有機溶媒において限られた溶解性しかなく、結晶性物質の懸濁剤の経口投与後に、低いバイオアベイラビリティーしかない。一方で、このことは、有効成分の静脈内投与を非常に低い投与量でしか可能にしない;生理食塩水をベースとする点滴液は、従来の可溶化剤が有する困難さを伴ってしか製造できない。他方で、錠剤の形態での製剤化は困難である。従って、上述の媒体における改善された溶解性、および/または、改善された経口投与後のバイオアベイラビリティーを有し、同時に、投与後に患者の体内での有効成分(A)の遊離の制御を可能にする、化合物(A)の誘導体またはプロドラッグを同定することが、本発明の目的であった。加えて、静脈内投与の可能性の改善により、この有効成分のさらなる治療的使用の領域が開かれ得る。
【0006】
カルボン酸エステルをベースとするプロドラッグ誘導体およびそのような化合物の潜在的な特性の総説は、例えば、K. Beaumont et al., Curr. Drug Metab. 4, 461-485 (2003) で与えられる。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、一般式(I)
【化2】

[式中、
は、式
【化3】

{式中、
*は、O原子への結合点を意味し、
は、結合、−CH−または−CHCH−であり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルであり、これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよいか、
または、
およびRは、相互に結合して、それらが結合している窒素原子と一体となって、5員または6員の飽和複素環を形成しており、これは、NおよびOからなる群からのさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、(C−C)−アルキル、アミノ、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群からの同一であるかまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
は、水素、または、天然αアミノ酸またはそのホモログもしくは異性体の側鎖の基であるか、
または、
は、Rに結合しており、この2つが、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員の飽和複素環を形成しており、これは、(C−C)−アルキル、アミノ、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群からの同一であるかまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
は、水素またはメチルであり、
は、結合または直鎖の(C−C)−アルカンジイルもしくは(C−C)−アルケンジイルであり、これらは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される4個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてもよく、
ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよく、
かつ/または、
上述の(C−C)−アルキルラジカルの2個は、相互に結合し、それらが結合している炭素原子と一体となって、3員ないし6員の飽和炭素環を形成していてもよく、それは、アミノ、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていてもよい}
の基であり、
そして、
は、水素、または、式
【化4】

{式中、
#は、N原子への結合点を意味し、
nは、1、2、3または4の数であり、
そして、
およびRは、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルである}
の基である]
の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明による化合物は、式(I)の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、式(I)に包含される後述する式の化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物、並びに、式(I)に包含される例示的実施態様として後述する化合物およびそれらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物(式(I)に包含され、後述する化合物が、既に塩、溶媒和物および塩の溶媒和物でない場合に)である。
【0009】
本発明による化合物は、それらの構造によって、立体異性体(エナンチオマー、ジアステレオマー)で存在し得る。従って、本発明は、エナンチオマーまたはジアステレオマーおよびそれらの各々の混合物に関する。そのようなエナンチオマーおよび/またはジアステレオマーの混合物から、立体異性的に純粋な構成分を既知の方法で単離できる。
本発明による化合物が互変異性体で存在できる場合、本発明は、全ての互変異性体を含む。
【0010】
本発明の目的上、好ましいは、本発明による化合物の生理的に許容し得る塩である。しかしながら、それら自体は医薬適用に適さないが、例えば本発明による化合物の単離または精製に使用できる塩も含まれる。単塩(mono-salt)に加えて、本発明は、存在し得る多塩(multiple salt)、例えば、二または三塩(di- or tri-salt)も含む。
【0011】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、鉱酸、カルボン酸およびスルホン酸の酸付加塩、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸および安息香酸の塩が含まれる。
【0012】
本発明による化合物の生理的に許容し得る塩には、また、通常の塩基の塩、例えば、そして好ましくは、アルカリ金属塩(例えばナトリウムおよびカリウム塩)、アルカリ土類金属塩(例えばカルシウムおよびマグネシウム塩)およびアンモニアまたは1個ないし16個のC原子を有する有機アミン類(例えば、そして好ましくは、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、エチルジイソプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、コリン、ジシクロヘキシルアミン、ジメチルアミノエタノール、プロカイン、ジベンジルアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、アルギニン、リジン、エチレンジアミン、ピペリジンおよびN−メチルピペリジン)から誘導されるアンモニウム塩が含まれる。
【0013】
本発明の目的上、溶媒和物は、固体または液体状態で溶媒分子との配位により錯体を形成している、本発明による化合物の形態を表す。水和物は、配位が水と起こる、溶媒和物の特別な形態である。本発明に関して、好ましい溶媒和物は水和物である。
【0014】
本発明に関して、断りのない限り、置換基は、以下の意味を有する:
(C−C)−アルキルは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキルラジカルである。好ましく言及し得る例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルである。
【0015】
(C−C)−アルコキシは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルコキシラジカルである。好ましく言及し得る例は、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシである。
【0016】
モノ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。好ましく言及し得る例は、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノである。
【0017】
ジ−(C−C)−アルキルアミノは、本発明に関して、2個の同一であるかまたは異なる、各々1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖のアルキル置換基を有するアミノ基である。好ましく言及し得る例は、N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N−エチル−N−メチルアミノ、N−メチル−N−n−プロピルアミノ、N−イソプロピル−N−n−プロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N−n−ブチル−N−メチルアミノ、N−tert−ブチル−N−メチルアミノである。
【0018】
(C−C)−アルカンジイルは、本発明に関して、1個ないし6個の炭素原子を有する直鎖の2価のアルキルラジカルである。1個ないし4個の炭素原子を有する直鎖のアルカンジイルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,5−ペンチレン、1,6−ヘキシレンである。
【0019】
(C−C)−アルケンジイルは、本発明に関して、2個ないし6個の炭素原子および2個までの二重結合を有する直鎖の2価のアルケニルラジカルである。2個ないし4個の炭素原子および1個の二重結合を有する直鎖のアルケンジイルラジカルが好ましい。好ましく言及し得る例は、エテン−1,2−ジイル、プロペン−1,3−ジイル、ブト−1−エン−1,4−ジイル、ブト−2−エン−1,4−ジイル、ブタ−1,3−ジエン−1,4−ジイル、ペント−2−エン−1,5−ジイル、ヘキサ−3−エン−1,6−ジイルおよびヘキサ−2,4−ジエン−1,6−ジイルである。
【0020】
3員ないし6員の炭素環は、本発明に関して、3個ないし6個の環内炭素原子を有する単環式飽和シクロアルキル基である。好ましく言及し得る例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルである。
【0021】
5員または6員の複素環は、本発明に関して、環内窒素原子を含有し、NおよびOからなる群から第2の環内ヘテロ原子を含有してもよい、全部で5個または6個の環内原子を有する単環式飽和ヘテロシクロアルキル基である。好ましく言及し得る例は、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニルである。
【0022】
の意味におけるα−アミノ酸の側鎖の基は、天然産生α−アミノ酸の側鎖の基およびこれらのα−アミノ酸のホモログおよび異性体の側鎖の基の両方を含む。α−アミノ酸は、これに関して、LおよびD配置の両方を有し得るか、または、L体およびD体の混合物であり得る。言及し得る側鎖の基の例は、メチル(アラニン)、プロパン−2−イル(バリン)、プロパン−1−イル(ノルバリン)、2−メチルプロパン−1−イル(ロイシン)、1−メチルプロパン−1−イル(イソロイシン)、ブタン−1−イル(ノルロイシン)、tert−ブチル(2−tert−ブチルグリシン)、フェニル(2−フェニルグリシン)、ベンジル(フェニルアラニン)、p−ヒドロキシベンジル(チロシン)、インドール−3−イルメチル(トリプトファン)、イミダゾール−4−イルメチル(ヒスチジン)、ヒドロキシメチル(セリン)、2−ヒドロキシエチル(ホモセリン)、1−ヒドロキシエチル(スレオニン)、メルカプトメチル(システイン)、メチルチオメチル(S−メチルシステイン)、2−メルカプトエチル(ホモシステイン)、2−メチルチオエチル(メチオニン)、カルバモイルメチル(アスパラギン)、2−カルバモイルエチル(グルタミン)、カルボキシメチル(アスパラギン酸)、2−カルボキシエチル(グルタミン酸)、4−アミノブタン−1−イル(リジン)、4−アミノ−3−ヒドロキシブタン−1−イル(ヒドロキシリジン)、3−アミノプロパン−1−イル(オルニチン)、2−アミノエチル(2,4−ジアミノ酪酸)、アミノメチル(2,3−ジアミノプロピオン酸)、3−グアニジノプロパン−1−イル(アルギニン)、3−ウレイドプロパン−1−イル(シトルリン)である。Rの意味における好ましいα−アミノ酸の側鎖の基は、メチル(アラニン)、プロパン−2−イル(バリン)、プロパン−1−イル(ノルバリン)、ブタン−1−イル(ノルロイシン)、ベンジル(フェニルアラニン)、イミダゾール−4−イルメチル(ヒスチジン)、ヒドロキシメチル(セリン)、1−ヒドロキシエチル(スレオニン)、2−カルボキシエチル(グルタミン酸)、4−アミノブタン−1−イル(リジン)、3−アミノプロパン−1−イル(オルニチン)、2−アミノエチル(2,4−ジアミノ酪酸)、アミノメチル(2,3−ジアミノプロピオン酸)、3−グアニジノプロパン−1−イル(アルギニン)である。各場合でL配置が好ましい。
【0023】
本発明による化合物中のラジカルが置換されているならば、これらのラジカルは、断りのない限り、1回またはそれ以上、置換されていてよい。本発明に関して、1個より多く存在する全てのラジカルは、相互に独立の意味を有する。1個または2個の同一であるかまたは異なる置換基による置換が好ましい。1個の置換基による置換が、ことさら特に好ましい。
【0024】
好ましいのは、式中、
が、式
【化5】

{式中、
*は、O原子への結合点を意味し、
は、結合、−CH−または−CHCH−であり、
およびRは、相互に独立して、水素またはメチルであるか、
または、
およびRは、相互に結合して、それらが結合している窒素原子と一体となって、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ環を形成しており、
は、水素、メチル、プロパン−2−イル、プロパン−1−イル、ブタン−1−イル、ベンジル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、4−アミノブタン−1−イル、3−アミノプロパン−1−イル、2−アミノエチル、アミノメチルまたは3−グアニジノプロパン−1−イルであるか、
または、
は、Rに結合しており、この2つが、それらが結合している原子と一体となって、ピロリジンまたはピペリジン環を形成しており、
は、水素であり、
は、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレンまたはエテン−1,2−ジイルであり、ここで、1,2−エチレンおよび1,3−プロピレンは、各々アミノにより置換されていてもよい}
の基であり、
そして、
は、水素、または、式
【化6】

{式中、
#は、N原子への結合点を意味し、
nは、1、2または3の数であり、
そして、
およびRは、相互に独立して、水素またはメチルである}
の基である、
式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0025】
特に好ましいのは、式中、
が、式
【化7】

{式中、
*は、O原子への結合点を意味し、
は、結合であり、
およびRは、相互に独立して、水素またはメチルであり、
は、水素、メチル、プロパン−2−イル、プロパン−1−イル、ブタン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、4−アミノブタン−1−イル、3−アミノプロパン−1−イル、2−アミノエチル、アミノメチルまたは3−グアニジノプロパン−1−イルであり、
そして、
は、水素である}
の基であり、
そして、
が、水素である、
式(I)の化合物、並びに、それらの塩、溶媒和物および塩の溶媒和物である。
【0026】
本発明は、さらに、Rが水素である本発明による式(I)の化合物の製造方法に関し、その方法は、
[A]化合物(A)
【化8】

を、不活性溶媒中、塩基の存在下、塩化ホスホリルと反応させ、続いて、水と共に加熱することにより、式(I−A)
【化9】

の化合物に変換する、
【0027】
または、
[B]化合物(A)を、不活性溶媒中、式(II)
【化10】

(式中、Lは、上記の意味を有する)
の化合物と、(II)のカルボキシル基を活性化してカップリングし、式(III)
【化11】

(式中、Lは、上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、tert−ブチルエステル基を、酸を利用して切り離し、式(I−B)
【化12】

(式中、Lは、上記の意味を有する)
の化合物を得る、
【0028】
または、
[C]化合物(A)を、不活性溶媒中で、式(IV)
【化13】

(式中、L、RおよびRは、上記の意味を有し、
そして、R1aおよびR2aは、同一であるかまたは異なり、各々上記のRおよびRの意味を有するか、または、一時的なアミノ保護基である)
の化合物と、(IV)中のカルボキシル基を活性化してカップリングし、式(V)
【化14】

(式中、L、R1a、R2a、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、存在する保護基を除去し、式(I−C)
【化15】

(式中、L、R、R、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、得られる式(I−A)、(I−B)および(I−C)の化合物を、各々、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)酸もしくは塩基により、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする。
【0029】
式(I−A)、(I−B)および(I−C)の化合物は、また、上記の方法による製造において、塩の形態で直接生じ得る。これらの塩は、必要に応じて、不活性溶媒中での塩基または酸による処理により、クロマトグラフィー的方法により、または、イオン交換樹脂により、各々の遊離塩基または酸に変換できる。本発明による化合物のさらなる塩は、必要に応じて、イオン交換クロマトグラフィーを利用する対イオンの交換により、例えば、Amberlite(登録商標)樹脂を用いて、製造することもできる。
【0030】
式(II)および(IV)の化合物のラジカルR、R、Rおよび/またはL中に必要に応じて存在する官能基、例えば、特に、アミノ、グアニジノ、ヒドロキシル、メルカプトおよびカルボキシル基は、好都合または必要であれば、上記の反応順序において、一時的な保護形態にあってもよい。そのような保護基の導入および除去は、これに関して、ペプチド化学から知られている従来の方法で行う[例えば、T.W. Greene and P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley, New York, 1999; M. Bodanszky and A. Bodanszky, The Practice of Peptide Synthesis, Springer-Verlag, Berlin, 1984]。
【0031】
好ましく使用されるアミノおよびグアニジノ保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)またはベンジルオキシカルボニル(Z)である。ヒドロキシルまたはカルボキシル官能基に好ましく用いられる保護基は、好ましくは、tert−ブチルまたはベンジルである。これらの保護基の除去は、常套の方法により、好ましくは塩化水素、臭化水素またはトリフルオロ酢酸などの強酸との、ジオキサン、ジクロロメタンまたは酢酸などの不活性溶媒中での反応により実施する;除去は、必要に応じて、さらなる不活性溶媒を用いずに行うこともできる。保護基としてのベンジルおよびベンジルオキシカルボニルの場合、これらは、パラジウム触媒の存在下での水素化分解により除去することもできる。上述の保護基の除去は、必要に応じて、ワンポット反応で同時に、または、別の反応工程で、実施し得る。
【0032】
化合物(A)の塩化ホスホリルとの反応は、好ましくは、不活性溶媒としてのジクロロメタン、テトラヒドロフランまたはジオキサン中、−20℃ないし+30℃の温度範囲で実施する。適する塩基は、特に、トリエチルアミンなどの第三級アミン塩基である。続くリン酸二水素エステル(I−A)への加水分解は、反応混合物を水と共に+50℃ないし+100℃の温度で加熱することにより実施する。
【0033】
工程(A)+(II)→(III)および(A)+(IV)→(V)におけるカップリング反応(エステル形成)用の不活性溶媒は、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、グリコールジメチルエーテルまたはジエチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンまたは鉱油留分などの炭化水素類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレンまたはクロロベンゼンなどのハロゲン化炭化水素類、または、アセトン、酢酸エチル、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、N,N'−ジメチルプロピレンウレア(DMPU)、N−メチルピロリドン(NMP)またはアセトニトリルなどの他の溶媒である。上述の溶媒の混合物を使用することも可能である。好ましいのは、ジクロロメタン、ジメチルホルムアミドまたはこれらの2種の溶媒の混合物である。
【0034】
これらのカップリング反応において化合物(II)および(IV)中のカルボキシル基を活性化するのに適するのは、例えば、N,N'−ジエチル−、N,N'−ジプロピル−、N,N'−ジイソプロピル−、N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)またはN−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)などのカルボジイミド類、N,N'−カルボニルジイミダゾール(CDI)などのホスゲン誘導体、2−エチル−5−フェニル−1,2−オキサゾリウム−3−サルフェートまたは2−tert−ブチル−5−メチルイソキサゾリウムパークロレートなどの1,2−オキサゾリウム化合物、2−エトキシ−1−エトキシカルボニル−1,2−ジヒドロキノリンなどのアシルアミノ化合物、または、イソブチルクロロホルメート、プロパンホスホン酸無水物、ジエチルシアノホスホネート、ビス−(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスホリルクロリド、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート、ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ピロリジノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TBTU)、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)、2−(2−オキソ−1−(2H)−ピリジル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TPTU)、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HATU)またはO−(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート(TCTU)であり、必要に応じて、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)またはN−ヒドロキシスクシンイミド(HOSu)などのさらなる補助剤と、また、塩基として、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウム、または、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−メチルピペリジン、N,N−ジイソプロピルエチルアミンまたは4−N,N−ジメチルアミノピリジンなどの有機塩基と組み合わせる。好ましいのは、4−N,N−ジメチルアミノピリジンと組み合わせたN−(3−ジメチルアミノイソプロピル)−N'−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC)を使用することである。
【0035】
反応(A)+(II)→(III)および(A)+(IV)→(V)は、一般的に、0℃ないし+50℃の温度範囲で、好ましくは+20℃ないし+40℃で実施する。これらの反応は、常圧、加圧または減圧下で実施できる(例えば、0.5ないし5bar)。一般的に、これらの反応は大気圧で実施する。
【0036】
が水素ではない本発明による式(I)の化合物は、反応順序(A)+(IV)→(V)→(I−C)と同様に、上記の式(I−A)、(III)、(I−B)、(V)および(I−C)の化合物の1つを、不活性溶媒中で、式(VI)
【化16】

(式中、nは、上記の意味を有し、
そして、R5aおよびR6aは、同一であるかまたは異なり、各々上記のRおよびRの意味を有するか、または、一時的なアミノ保護基である)
の化合物と、(VI)のカルボキシル基を活性化してカップリングし、続いて、必要に応じて、存在する保護基を除去することにより、製造できる。
【0037】
化合物(VI)とのカップリング反応(アミド形成)のために、反応(A)+(IV)→(V)について上記した溶媒および活性化剤などの反応パラメーターを、同様に適用する。化合物(VI)との反応は、好ましくは、+20℃ないし+60℃の温度範囲で実施する。
【0038】
式(I)中のRおよびRが同一の基を示すならば、対応する本発明による化合物は、化合物(A)をワンポット反応で過剰の化合物(VI)と反応させることにより製造することもできる。
【0039】
式(II)、(IV)および(VI)の化合物は、購入できるか、文献から知られているか、または、文献中の常套の方法により製造できる。従って、例えば、Lが−CH−または−CHCH−である式(IV)の化合物は、カルボン酸の鎖延長のための既知の方法、例えば、アルント・アイステルト(Arndt-Eistert)反応 [Eistert et al., Ber. Dtsch. Chem. Ges. 60, 1364-1370 (1927); Ye et al., Chem. Rev. 94, 1091-1160 (1994); Cesar et al., Tetrahedron Lett. 42, 7099-7102 (2001)]、メルドラム酸(Meldrum's acid)による誘導体化 [Smrcina, Tetrahedron 53, 12 867-12 874 (1997) 参照]、または、N−ヒドロキシ−2−チオピリドンとの反応[Barton et al., Tetrahedron Lett. 32, 3309-3312 (1991) 参照]により、各場合でLが結合である式(IV)の化合物から出発して、入手できる。
【0040】
化合物(A)、即ち、2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリルの製造は、WO03/053441に実施例6として記載されている。
【0041】
本発明による化合物の製造は、以下の合成スキームにより例示説明できる:
スキーム1
【化17】

【0042】
スキーム2
【化18】

【0043】
スキーム3
【化19】

【0044】
本発明による化合物およびそれらの塩は、有効成分化合物(A)の有用なプロドラッグである。一方では、それらは、様々なpH値で良好な安定性を示し、他方では、それらは、生理的pHおよび特にインビボで、有効成分化合物(A)への効率的な変換を示す。本発明による化合物は、さらに、水性または他の生理的に耐容される媒体中での改善された溶解性を有し、それらを特に静脈内投与での治療的使用に適するものにしている。加えて、経口投与後の懸濁液からのバイオアベイラビリティーは、親の物質(A)と比較して改善されている。
【0045】
式(I)の化合物は、単独で、または、1種もしくはそれ以上の他の有効成分と組み合わせて、様々な障害、例えば、そして特に、心血管系の障害(心血管障害)の予防および/または処置、並びに、心臓の病変後の心臓の保護、および、代謝障害に適する。
【0046】
心血管系の障害または心血管障害は、本発明に関して、例えば、以下の障害を意味する:高血圧症(高血圧)、末梢および心血管の障害、冠動脈心疾患、冠動脈再狭窄、例えば、末梢血管のバルーン拡張術後の再狭窄、心筋梗塞、急性冠動脈症候群、ST上昇を伴う急性冠動脈症候群、ST上昇を伴わない急性冠動脈症候群、安定および不安定狭心症、心筋の不全、プリンスメタル型狭心症、持続性虚血性機能不全(「冬眠心筋」)、一過性虚血後機能不全(「気絶心筋」)、心不全、頻拍症、心房頻拍、不整脈、心房および心室細動、持続性心房細動、永続性心房細動、正常な左心室機能を伴う心房細動、左心室機能の障害を伴う心房細動、ウォルフ・パーキンソン・ホワイト症候群、末梢血流の障害、フィブリノーゲンおよび低密度LDLのレベルの上昇、並びに、プラスミノーゲン活性化因子阻害因子1(PAI−1)濃度の上昇、特に、高血圧症、冠動脈心疾患、急性冠動脈症候群、狭心症、心不全、心筋梗塞および心房細動。
【0047】
本発明に関して、心不全の用語には、急性および慢性の両方の心不全の顕在化、並びに、この疾患の特異的または関連のタイプ、例えば、急性非代償性心不全、右心不全、左心不全、全体的不全、虚血性心筋症、拡張型心筋症、先天性心疾患、心臓弁疾患、心臓弁疾患に関連する心不全、僧帽弁狭窄症、僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、大動脈弁閉鎖不全症、三尖弁狭窄症、三尖弁閉鎖不全症、肺動脈弁狭窄症、肺動脈弁閉鎖不全症、複合心臓弁疾患、心筋の炎症(心筋炎)、慢性心筋炎、急性心筋炎、ウイルス性心筋炎、糖尿病性心不全、アルコール性心筋症、心臓の蓄積症、並びに、拡張期および収縮期心不全が含まれる。
【0048】
本発明による化合物は、さらに、梗塞により冒された心筋の領域の縮小、および、二次梗塞の予防にも、特に適する。
【0049】
本発明による化合物は、さらに、血栓塞栓性障害、虚血後の再灌流障害、微小血管性および大血管性の病変(血管炎)、動脈および静脈血栓症、浮腫、虚血、例えば、心筋梗塞、卒中および一過性虚血発作の予防および/または処置に、冠動脈バイパス術(CABG)、プライマリー(primary)経皮経管冠動脈形成(PTCA)、血栓症後のPTCA、レスキュー(rescue)PTCA、心臓移植および心臓切開手術に関する心臓の保護に、また、移植、バイパス術、カテーテル検査および他の外科手術的方法に関する器官の保護に、特に適する。
【0050】
本発明による化合物を使用できるさらなる適応症の領域は、例えば、急性腎不全、不安定膀胱、尿失禁、勃起不全および女性の性機能不全などの泌尿生殖領域の障害の予防および/または処置であるが、炎症性皮膚疾患および関節炎、特にリウマチ性関節炎などの炎症性障害の、中枢神経系の障害および神経変性障害(卒中後の症状、アルツハイマー病、パーキンソン病、認知症、ハンチントン舞踏病、てんかん、うつ病、多発性硬化症)の、疼痛症状および片頭痛、肝線維症および肝硬変の、癌の、並びに、癌治療に関連する悪心および嘔吐の予防および/または処置、並びに、創傷の治癒でもある。
【0051】
さらなる適応症の領域は、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD、慢性気管支炎)、肺気腫、気管支拡張症、嚢胞性線維症(粘液粘稠症(mucoviscidosis))および肺高血圧症、特に肺動脈高血圧などの呼吸器障害の予防および/または処置である。
【0052】
最後に、本発明による化合物は、糖尿病、特に、真性糖尿病、妊娠糖尿病、インスリン依存型糖尿病およびインスリン非依存型糖尿病、糖尿病の続発症、例えば、網膜症、腎症および神経障害などの代謝障害、メタボリックシンドローム、高血糖症、高インスリン血症、インスリン抵抗性、グルコース不耐性および肥満症(脂肪過多症)などの代謝障害、並びに、動脈硬化症および脂質異常症(高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、食後の血漿トリグリセリド濃度の上昇、低アルファリポ蛋白血症、複合型高脂血症)、特に、糖尿病、メタボリックシンドロームおよび脂質異常症の予防および/または処置にも適する。
【0053】
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防のための、本発明による化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、障害、特に上述の障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、本発明による化合物の使用に関する。
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物の有効量を使用することによる、障害、特に上述の障害の処置および/または予防方法に関する。
【0054】
本発明による化合物は、単独で、または、必要であれば、他の有効成分と組み合わせて用いることができる。本発明は、さらに、特に上述の障害の処置および/または予防のための、少なくとも1種の本発明による化合物および1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む医薬に関する。
【0055】
例として、そして好ましく言及し得る適する組み合わせの有効成分は、脂質代謝を変更する有効成分、抗糖尿病薬、血圧を下げる物質、血流を促進し、かつ/または、抗血栓効果を有する物質、抗不整脈剤、抗酸化剤、ケモカイン受容体アンタゴニスト、p38キナーゼ阻害剤、NPYアゴニスト、オレキシンアゴニスト、食欲低下薬、PAF−AH阻害剤、抗炎症剤(COX阻害剤、LTB−受容体アンタゴニスト)、並びに、鎮痛薬、例えば、アスピリンである。
【0056】
本発明は、特に、少なくとも1種の本発明による化合物の、少なくとも1種の脂質代謝を変更する有効成分、抗糖尿病薬、血圧を下げる有効成分、抗不整脈剤、および/または、抗血栓効果を有する物質との組合せに関する。
【0057】
好ましくは、本発明による化合物を、以下の1種またはそれ以上と組み合わせることができる;
・脂質代謝を変更する有効成分、例えば、そして好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、HMG−CoAレダクターゼ発現阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、LDL受容体誘導剤、コレステロール吸収阻害剤、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、LPL活性化剤、フィブラート類、ナイアシン、CETP阻害剤、PPAR−α、PPAR−γおよび/またはPPAR−δアゴニスト、RXRモジュレーター、FXRモジュレーター、LXRモジュレーター、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬(thyroid mimetic)、ATPクエン酸リアーゼ阻害剤、Lp(a)アンタゴニスト、カンナビノイド受容体1アンタゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、ボンベシン受容体アゴニスト、ヒスタミン受容体アゴニストおよび抗酸化剤/ラジカル捕捉剤の群からのもの;
【0058】
・Rote Liste 2004/II、第12章に記載の抗糖尿病薬、並びに、例えば、そして好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド(meglitinide)誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、ジペプチジルペプチダーゼIVの阻害剤(DPP−IV阻害剤)、オキサジアゾリジノン類、チアゾリジンジオン類、GLP1受容体アゴニスト、グルカゴンアンタゴニスト、インシュリン増感剤、CCK1受容体アゴニスト、レプチン受容体アゴニスト、糖新生および/またはグリコーゲン分解の刺激に関与する肝臓の酵素の阻害剤、グルコース取り込みのモジュレーターおよびカリウムチャネル開口固定薬、例えばWO97/26265およびWO99/03861に開示のものの群からのもの;
・血圧を下げる有効成分、例えば、そして好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、レニン阻害剤、ベータアドレナリン受容体アンタゴニスト、アルファアドレナリン受容体アンタゴニスト、利尿薬、アルドステロンアンタゴニスト、ミネラルコルチコイド受容体アンタゴニスト、ECE阻害剤およびバソペプチダーゼ阻害剤の群からのもの;
【0059】
・抗血栓効果を有する物質、例えば、そして好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からのもの;
・抗不整脈剤、特に、上室性不整脈および頻脈症の処置用のもの;
・虚血および再灌流障害の予防および処置用の物質;
・バソプレシン受容体アンタゴニスト;
・有機硝酸塩およびNO供与源;
・陽性の変力性活性を有する化合物;
・環状グアノシン一リン酸(cGMP)および/または環状アデノシン一リン酸(cAMP)の分解を阻害する化合物、例えば、ホスホジエステラーゼ(PDE)1、2、3、4および/または5の阻害剤、特にPDE5阻害剤、例えば、シルデナフィル、バルデナフィルおよびタダラフィル、および、PDE3阻害剤、例えばミルリノン;
・ナトリウム利尿ペプチド、例えば、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP、アナリチド(anaritide))、B型ナトリウム利尿ペプチドまたは脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP、ネシリチド)、C型ナトリウム利尿ペプチド(CNP)およびウロジラチン(urodilatin);
・プロスタサイクリン受容体(IP受容体)のアゴニスト、例えば、イロプロスト、ベラプロストおよびシカプロスト;
【0060】
・カルシウム感受性増強薬、例えば、そして好ましくは、レボシメンダン;
・カリウム・サプリメント;
・NOおよびヘムに依存しないグアニル酸シクラーゼの活性化剤、例えば、特に、WO01/19355、WO01/19776、WO01/19778、WO01/19780、WO02/070462およびWO02/070510に記載の化合物;
・NOに依存しないが、ヘムに依存するグアニル酸シクラーゼの刺激剤、例えば、特に、WO00/06568、WO00/06569、WO02/42301およびWO03/095451に記載の化合物;
・ヒト好中球エラスターゼ(HNE)の阻害剤、例えば、シベレスタットおよびDX−890(レルトラン(reltran));
・シグナル伝達カスケードを阻害する化合物、例えば、チロシンキナーゼ阻害剤、特に、ソラフェニブ、イマチニブ、ゲフィチニブおよびエルロチニブ;
・心臓のエネルギー代謝に影響を与える化合物、例えば、エトモキシル、ジクロロ酢酸、ラノラジンまたはトリメタジジン;
・鎮痛剤;および/または
・悪心および嘔吐の予防および処置用の物質。
【0061】
脂質代謝を変更する有効成分は、好ましくは、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、スクアレン合成阻害剤、ACAT阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、MTP阻害剤、リパーゼ阻害剤、甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬、ナイアシン受容体アゴニスト、CETP阻害剤、PPAR−αアゴニスト、PPAR−γアゴニスト、PPAR−δアゴニスト、ポリマー性胆汁酸吸着剤、胆汁酸再吸収阻害剤、抗酸化剤/ラジカル捕捉剤、並びに、カンナビノイド受容体1アンタゴニストの群からの化合物を意味する。
【0062】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ロスバスタチン、セリバスタチンまたはピタバスタチンなどのスタチン類のクラスからのHMG−CoAレダクターゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0063】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、BMS−188494またはTAK−475などのスクアレン合成阻害剤と組み合わせて投与される。
【0064】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アバシミブ(avasimibe)、メリナミド、パクチミブ(pactimibe)、エフルシミブ(eflucimibe)またはSMP−797などのACAT阻害剤と組み合わせて投与される。
【0065】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エゼチミブ、チクエシド(tiqueside)またはパマクエシドなどのコレステロール吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0066】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、イムプリタピド(implitapide)、BMS−201038、R−103757またはJTT−130などのMTP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0067】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、オーリスタットなどのリパーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0068】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、D−サイロキシンまたは3,5,3'−トリヨードサイロニン(T3)などの甲状腺ホルモンおよび/または甲状腺ホルモン模倣薬と組み合わせて投与される。
【0069】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ナイアシン、アシピモックス、アシフラン(acifran)またはラデコール(radecol)などのナイアシン受容体のアゴニストと組み合わせて投与される。
【0070】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルセトラピブ、JTT−705、BAY60−5521、BAY78−7499またはCETPワクチン(Avant)などのCETP阻害剤と組み合わせて投与される。
【0071】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどのPPAR−γアゴニストと組み合わせて投与される。
【0072】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、GW−501516またはBAY68−5042などのPPAR−δアゴニストと組み合わせて投与される。
【0073】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コレスチラミン、コレスチポール、コレソルバム(colesolvam)、CholestaGel またはコレスチミドなどのポリマー性胆汁酸吸着剤と組み合わせて投与される。
【0074】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ASBT(=IBAT)阻害剤、例えば、AZD−7806、S−8921、AK−105、BARI−1741、SC−435またはSC−635などの胆汁酸再吸収阻害剤と組み合わせて投与される。
【0075】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロブコール、AGI−1067、BO−653またはAEOL−10150などの抗酸化剤/ラジカル捕捉剤と組み合わせて投与される。
【0076】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リモナバンまたはSR−147778などのカンナビノイド受容体1アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0077】
抗糖尿病薬は、好ましくは、インシュリンおよびインシュリン誘導体並びに経口で活性な低血糖有効成分を意味する。これに関して、インシュリンおよびインシュリン誘導体には、動物、ヒトまたは生物工学的起源のインシュリンおよびそれらの混合物の両方が含まれる。経口で活性な低血糖有効成分には、好ましくは、スルホニルウレア類、ビグアナイド類、メグリチニド誘導体、グルコシダーゼ阻害剤、DPP−IV阻害剤およびPPAR−γアゴニストが含まれる。
【0078】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、インシュリンと組み合わせて投与される。
【0079】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、トルブタミド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリピジドまたはグリクラジドなどのスルホニルウレアと組み合わせて投与される。
【0080】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、メトホルミンなどのビグアナイドと組み合わせて投与される。
【0081】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、レパグリニドまたはナテグリニドなどのメグリチニド誘導体と組み合わせて投与される。
【0082】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ミグリトールまたはアカルボースなどのグルコシダーゼ阻害剤と組み合わせて投与される。
【0083】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、シタグリプチンまたはビルダグリプチンなどのDPP−IV阻害剤と組み合わせて投与される。
【0084】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ピオグリタゾンまたはロシグリタゾンなどの、チアゾリジンジオン類のクラスからのPPAR−γアゴニストと組み合わせて投与される。
【0085】
血圧を下げる物質は、好ましくは、カルシウム拮抗薬、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、ACE阻害剤、レニン阻害剤、ベータ−アドレナリン受容体アンタゴニスト、アルファ−アドレナリン受容体アンタゴニストおよび利尿剤の群からの化合物を意味する。
【0086】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニフェジピン、アムロジピン、ベラパミルまたはジルチアゼムなどのカルシウム拮抗薬と組み合わせて投与される。
【0087】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ロサルタン、バルサルタン、カンデサルタン、エンブサルタン(embusartan)、オルメサルタンまたはテルミサルタンなどのアンジオテンシンAIIアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0088】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、エナラプリル、カプトプリル、リシノプリル、ラミプリル、デラプリル、ホシノプリル、キノプリル(quinopril)、ペリンドプリルまたはトランドプリル(trandopril)などのACE阻害剤と組み合わせて投与される。
【0089】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アリスキレン、SPP−600またはSPP−800などのレニン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0090】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プロプラノロール、アテノロール、チモロール、ピンドロール、アルプレノロール、オクスプレノロール、ペンブトロール、ブプラノロール、メチプラノロール、ナドロール、メピンドロール、カラザロール(carazalol)、ソタロール、メトプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ビソプロロール、カルテオロール、エスモロール、ラベタロール、カルベジロール、アダプロロール、ランジオロール、ネビボロール、エパノロールまたはブシンドロールなどのベータ−アドレナリン受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0091】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、プラゾシンなどのアルファ−アドレナリン受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0092】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、フロセミド、ブメタニド、トルセミド、ベンドロフルメチアジド、クロロチアジド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロフルメチアジド、メチクロチアジド、ポリチアジド、トリクロロメチアジド、クロルタリドン、インダパミド、メトラゾン、キネタゾン、アセタゾラミド、ジクロフェナミド、メタゾラミド、グリセロール、イソソルビド、マンニトール、アミロライドまたはトリアムテレンなどの利尿剤と組み合わせて投与される。
【0093】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、スピロノラクトンまたはエプレレノンなどのアルドステロンまたは鉱質コルチコイド受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0094】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、コニバプタン、トルバプタン、リキシバプタン(lixivaptan)またはSR−121463などのバソプレシン受容体アンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0095】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、ニトロプルシドナトリウム、ニトログリセリン、一硝酸イソソルビド、二硝酸イソソルビド、モルシドミンまたはSIN−1などの有機硝酸塩またはNO供給源と組み合わせて、または、吸入NOと組み合わせて、投与される。
【0096】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、強心配糖体(ジゴキシン)、および、ベータ−アドレナリンおよびドーパミンアゴニスト、例えば、イソプロテレノール、アドレナリン、ノルアドレナリン、ドーパミンおよびドブタミンなどの陽性の変力活性を有する化合物と組み合わせて投与される。
【0097】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、レセルピン、クロニジンもしくはアルファ−メチルドーパなどの交感神経抑制薬(antisympathotonic)と組み合わせて、または、ミノキシジル、ジアゾキシド、ジヒドララジンもしくはヒドララジンなどのカリウムチャネルアゴニストと組み合わせて、投与される。
【0098】
抗血栓効果を有する物質は、好ましくは、血小板凝集阻害剤または抗凝血剤の群からの化合物を意味する。
【0099】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、アスピリン、クロピドグレル、チクロピジンまたはジピリダモールなどの血小板凝集阻害剤と組み合わせて投与される。
【0100】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、キシメラガトラン、メラガトラン、ビバリルジンまたはクレキサンなどのトロンビン阻害剤と組み合わせて投与される。
【0101】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、チロフィバンまたはアブシキシマブなどのGPIIb/IIIaアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0102】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、リバロキサバン(BAY59−7939)、DU−176b、アピキサバン、オタミキサバン(otamixaban)、フィデキサバン(fidexaban)、ラザキサバン(razaxaban)、フォンダパリヌクス、イドラパリヌクス、PMD−3112、YM−150、KFA−1982、EMD−503982、MCM−17、MLN−1021、DX9065a、DPC906、JTV803、SSR−126512またはSSR−128428などのXa因子阻害剤と組み合わせて投与される。
【0103】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、ヘパリンまたは低分子量(LMW)ヘパリン誘導体と組み合わせて投与される。
【0104】
本発明の好ましい実施態様では、本発明による化合物は、例えば、そして好ましくは、クマリンなどのビタミンKアンタゴニストと組み合わせて投与される。
【0105】
抗不整脈剤は、好ましくは、クラスIa抗不整脈剤(例えば、キニジン)、クラスIc抗不整脈剤(例えば、フレカイニド、プロパフェノン)、クラスII抗不整脈剤(例えば、メトプロロール、アテノロール、ソタロール、オクスプレノロールおよび他のベータ受容体遮断薬)、クラスIII抗不整脈剤(例えば、ソタロール、アミオダロン)およびクラスIV抗不整脈剤(例えば、ジゴキシン、および、ベラパミル、ジルチアゼムおよび他のカルシウムアンタゴニスト)の群からの物質を意味する。
【0106】
本発明に関して、特に好ましいのは、少なくとも1種の本発明による化合物、並びに、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤(スタチン類)、利尿剤、ベータ−アドレナリン受容体アンタゴニスト、アルファ−アドレナリン受容体アンタゴニスト、有機硝酸塩およびNO供与源、カルシウム拮抗薬、ACE阻害剤、アンジオテンシンAIIアンタゴニスト、アルドステロンおよび鉱質コルチコイド受容体アンタゴニスト、バソプレシン受容体アンタゴニスト、血小板凝集阻害剤、抗凝血剤および抗不整脈剤からなる群から選択される1種またはそれ以上のさらなる有効成分を含む組み合わせ、並びに、上述の障害の処置および/または予防のためのそれらの使用である。
【0107】
本発明は、さらに、少なくとも1種の本発明による化合物を、通常1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と共に含む医薬、および上述の目的でのそれらの使用に関する。
【0108】
本発明による化合物は、全身的および/または局所的に作用できる。この目的で、それらは、適する方法で、例えば、経口、非経腸、肺、鼻腔、舌下、舌、頬側、直腸、皮膚、経皮、結膜もしくは耳の経路で、または、インプラントもしくはステントとして、投与できる。本発明による化合物は、これらの投与経路に適する投与形で投与できる。
【0109】
経口投与に適するのは、先行技術に準じて機能し、本発明による化合物を迅速におよび/または改変された様式で送達し、本発明による化合物を結晶および/または無定形および/または溶解形態で含有する投与形であり、例えば、錠剤(非被覆または被覆錠剤、例えば、腸溶性被覆、または、不溶であるか、または、遅れて溶解し、本発明による化合物の放出を制御する被覆を有する錠剤)、口中で迅速に崩壊する錠剤、または、フィルム/オブラート、フィルム/凍結乾燥剤、カプセル剤(例えば、ハードまたはソフトゼラチンカプセル剤)、糖衣錠、顆粒剤、ペレット剤、散剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤または液剤などである。
【0110】
非経腸投与は、吸収段階を回避して(例えば、静脈内、動脈内、心臓内、脊髄内または腰椎内に)、または吸収を含めて(例えば、筋肉内、皮下、皮内、経皮または腹腔内)、行うことができる。非経腸投与に適する投与形は、とりわけ、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥剤または滅菌粉末剤の形態の注射および点滴用製剤である。
【0111】
他の投与経路に適するのは、例えば、吸入用医薬形(とりわけ、粉末吸入器、噴霧器)、点鼻薬、液またはスプレー、舌に、舌下にまたは頬側に投与するための錠剤、フィルム/オブラートまたはカプセル剤、坐剤、眼または耳用の製剤、膣用カプセル剤、水性懸濁剤(ローション、振盪混合物)、親油性懸濁剤、軟膏、クリーム、経皮治療システム(例えば、パッチ)、ミルク、ペースト、フォーム、散布用粉末剤(dusting powder)、インプラントまたはステントである。
経口または非経腸投与、特に経口および静脈内投与が好ましい。
【0112】
本発明による化合物は、上述の投与形に変換できる。これは、不活性、非毒性、医薬的に適する補助剤と混合することにより、それ自体既知の方法で行うことができる。これらの補助剤には、とりわけ、担体(例えば微結晶セルロース、ラクトース、マンニトール)、溶媒(例えば液体ポリエチレングリコール類)、乳化剤および分散剤または湿潤剤(例えばドデシル硫酸ナトリウム、ポリオキシソルビタンオレエート)、結合剤(例えばポリビニルピロリドン)、合成および天然ポリマー(例えばアルブミン)、安定化剤(例えば抗酸化剤、例えばアスコルビン酸など)、着色料(例えば無機色素、例えば酸化鉄など)および香味および/または臭気の隠蔽剤が含まれる。
【0113】
一般に、非経腸投与で約0.001ないし1mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし0.5mg/体重kgの量を投与するのが、有効な結果を達成するために有利であると明らかになり、経口投与では、投与量は、約0.01ないし100mg/体重kg、好ましくは約0.01ないし20mg/体重kg、ことさら特に好ましくは約0.1ないし10mg/体重kgである。
【0114】
それにも拘わらず、必要に応じて、特に、体重、投与経路、有効成分に対する個体の応答、製剤の性質および投与を行う時間または間隔に応じて、上述の量から逸脱することが必要であり得る。従って、上述の最小量より少なくても十分な場合があり、一方、上述の上限を超えなければならない場合もある。大量に投与する場合、これらを1日に亘る数個の個別用量に分割するのが望ましいことがある。
【0115】
以下の例示的実施態様は、本発明を例示説明する。本発明は、これらの実施例に限定されない。
以下の試験および実施例における百分率のデータは、断りの無い限り、重量パーセントである;部は、重量部である。液体/液体溶液の溶媒比、希釈比および濃度のデータは、各場合で体積に基づく。
【実施例】
【0116】
A. 実施例
略号および頭字語:
【表1】

【0117】
LC−MSおよびHPLCの方法:
方法1(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0118】
方法2(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0119】
方法3(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Synergi 2μ Hydro-RP Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0120】
方法4(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0121】
方法5(分取HPLC):
HPLC装置タイプ:Abimed/Gilson Pump 305/306; Manometric Module 806; UV Knauer Variable Wavelength Monitor;カラム:Gromsil C18, 10 nm, 250 mm x 30 mm;溶離剤A:水1l+99%トリフルオロ酢酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l;グラジエント:0.0分2%B→10分2%B→50分90%B;流速:20ml/分;体積:628mlのAおよび372mlのB。
【0122】
方法6a(分取HPLC):
カラム:VP 250/21 Nukleodur 100-5 C18 ec, Macherey & Nagel Nr. 762002;溶離剤A:水/0.01%トリフルオロ酢酸、溶離剤B:アセトニトリル/0.01%トリフルオロ酢酸;グラジエント:0分0%B→20分20%B→40分20%B→60分30%B→80分30%B→90分100%B→132分100%B;流速:5ml/分;温度:室温;UV検出:210nm。
【0123】
方法6b(分取HPLC):
カラム:VP 250/21 Nukleodur 100-5 C18 ec, Macherey & Nagel Nr. 762002;溶離剤A:水1l/99%トリフルオロ酢酸1ml、溶離剤B:アセトニトリル1l/99%トリフルオロ酢酸1ml;グラジエント:0分30%B→20分50%B→40分80%B→60分100%B;流速:5ml/分;温度:室温;UV検出:210nm。
【0124】
方法7(分析HPLC):
カラム:XTerra 3.9 x 150 WAT 186000478;溶離剤A:水2.5l中の70%過塩素酸10ml、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0.0分20%B→1分20%B→4分90%B→9分90%B;温度:室温;流速:1ml/分。
【0125】
方法8(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Onyx Monolithic C18, 100 mm x 3 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2分65%A→4.5分5%A→6分5%A;流速:2ml/分;オーブン:40℃;UV検出:208−400nm。
【0126】
方法9(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Platform LCZ;カラム:Thermo Hypersil GOLD 3μ, 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分100%A→0.2分100%A→2.9分30%A→3.1分10%A→5.5分10%A;オーブン:50℃;流速:0.8ml/分;UV検出:210nm。
【0127】
方法10(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:HP 1100 Series; UV DAD;カラム:Phenomenex Gemini 3μ 30 mm x 3.00 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→2.5分30%A→3.0分5%A→4.5分5%A;流速:0.0分1ml/分→2.5分/3.0分/4.5分2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0128】
方法11(LC−MS):
MS装置タイプ:Micromass ZQ;HPLC装置タイプ:Waters Alliance 2795;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.01分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:210nm。
【0129】
方法12(LC−MS):
装置:HPLC Agilent Series 1100 を備えた Micromass Quattro LCZ;カラム:Phenomenex Synergi 2.5 μ MAX-RP 100A Mercury 20 mm x 4 mm;溶離剤A:水1l+50%ギ酸0.5ml、溶離剤B:アセトニトリル1l+50%ギ酸0.5ml;グラジエント:0.0分90%A→0.1分90%A→3.0分5%A→4.0分5%A→4.1分90%A;流速:2ml/分;オーブン:50℃;UV検出:208−400nm。
【0130】
例示的実施態様:
実施例1
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルジヒドロゲンホスフェート
【化20】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル[WO03/053441、実施例6]5.35g(10.29mmol)を、THF200mlに溶解する。トリエチルアミン2.15ml(15.43mmol)を添加し、次いで、塩化ホスホリル1.44ml(15.43mmol)を滴下して添加する。混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、水500mlに注ぐ。次いで、溶液を還流下で1時間加熱し、その時間中に、沈殿が形成される。冷却後、この沈殿を吸引濾過し、水で洗浄し、DMFに溶解する。水と酢酸エチルの混合物をこの溶液に添加し、次いで、飽和重炭酸ナトリウム溶液を添加する。相を分離する。水相を5N塩酸で酸性化する。乳濁した沈殿が形成される。この乳濁した懸濁液を還流に加熱する。次いで、室温で沈殿を吸引濾過する。残渣を水で2回洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物5.70g(理論値の92%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 2.44 分; MS (ESIpos): m/z = 600 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 4.13-4.28 (m, 4H), 4.64 (br. s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.96 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0131】
実施例2
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルジヒドロゲンホスフェート二カリウム塩
【化21】

実施例1の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルジヒドロゲンホスフェート1.00g(1.57mmol)をDMF15mlに溶解する。水10mlを添加すると、溶液が濁る。次いで、酢酸カリウム0.46g(4.71mmol)を添加すると、溶液は再度透き通る。次いで、溶液をロータリーエバポレーターで濃縮する(溶媒約5mlを留去する)。沈殿が形成され、これを濾過し、酢酸エチルで3回洗浄し、乾燥させる。沈殿をTHF15mlおよび水3mlに溶解する。トルエン15mlを添加する。次いで、溶媒をロータリーエバポレーターで再度除去する。全部で3回、トルエンを残渣に添加し、溶液を各場合で再度濃縮する。得られる結晶を、五酸化リンで、減圧下で終夜乾燥させる。これにより、所望の生成物0.98g(理論値の92%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 2.39 分; MS (ESIpos): m/z = 600 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 3.89-3.98 (m, 2H), 4.12-4.17 (m, 2H), 4.63 (s, 2H), 7.09 (d, 2H), 7.43 (d, 2H), 7.54 (d, 2H), 7.88-7.97 (m, 3H), 8.10 (br. s, 2H).
【0132】
実施例3
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルジヒドロゲンホスフェートカルシウム塩
【化22】

実施例1の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルジヒドロゲンホスフェート60mg(0.09mmol)を、DMF5mlに溶解する。水5ml、次いで、酢酸カルシウム二水和物27mg(0.14mmol)を添加する。溶液のpHは5.6である。次いで、溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を廃棄する。ロータリーエバポレーターで、水相を約3mlの体積に濃縮する。沈殿が形成され、それを吸引濾過し、水で1回洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物29mg(理論値の48%)を無色粉末として得る。
【0133】
実施例4
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルジヒドロゲンホスフェート二ナトリウム塩
【化23】

実施例1の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルジヒドロゲンホスフェート60mg(0.09mmol)を、DMF5mlに溶解する。水5ml、次いで酢酸ナトリウム23mg(0.28mmol)を添加する。溶液のpHは5.6である。次いで溶液を酢酸エチルで抽出し、有機相を廃棄する。ロータリーエバポレーターで、水相を約3mlの体積に濃縮する。沈殿が形成され、それを吸引濾過し、水で1回洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物31mg(理論値の51%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 2.30 分; MS (ESIpos): m/z = 600 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 3.98-4.23 (m, 4H), 4.54-4.65 (br. s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.38 (d, 2H), 7.53 (d, 2H), 7.83-7.95 (m, 3H), 8.06 (br. s, 2H).
【0134】
実施例5
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルグリシネート
【化24】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.250g(0.481mmol)、Boc−グリシン0.093g(0.53mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.111g(0.58mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.006g(0.048mmol)を、ジクロロメタン10mlおよびDMF2.5ml中で合わせ、次いで室温で2時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0135】
残渣をジクロロメタン5mlに取り、トリフルオロ酢酸1mlを添加する。混合物を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をジクロロメタンとジエチルエーテルの混合物から結晶化する。結晶を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。次いで、固体を酢酸エチルに取り、半飽和重炭酸ナトリウム溶液および酢酸エチルの混合物に添加する。有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。これにより、所望の生成物220mg(理論値の79%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.83 分; MS (ESIpos): m/z = 577 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.64 (br. s, 2H), 4.26-4.30 (m, 2H), 4.47-4.51 (m, 2H), 4.63 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0136】
実施例6
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルグリシネート二塩酸塩
【化25】

実施例5の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルグリシネート5.57g(9.64mmol)を、2−プロパノールに部分的に溶解し、ジオキサン中の4M塩化水素溶液5ml(20mmol)を添加する。沈殿した結晶を吸引濾過し、ジクロロメタンおよびジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物5.83g(理論値の93%)を無色結晶として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.83 分; MS (ESIpos): m/z = 577 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 3.88 (br. s, 2H), 4.28-4.35 (m, 2H), 4.52-4.58 (m, 2H), 4.63 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.15 (br. s, 2H), 8.48 (br. s, 2H).
【0137】
実施例7
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−ノルロイシネート
【化26】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.100g(0.19mmol)、Boc−L−ノルロイシン0.049g(0.21mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.044g(0.23mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.002g(0.02mmol)を、ジクロロメタン4mlおよびDMF1ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0138】
残渣をメタノール5mlに溶解し、ジオキサン中の4N塩化水素溶液1mlを添加し、溶液を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を、半飽和重炭酸ナトリウム溶液および酢酸エチルの混合物に添加する。有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。シリカゲル15gのカラムクロマトグラフィーにより残渣を精製する(移動相:ジクロロメタン/酢酸エチル3:1→ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール30:10:2)。これにより、所望の生成物54mg(理論値の44%)をベージュ色粉末として得る。
LC-MS (方法 2): Rt = 2.10 分; MS (ESIpos): m/z = 633 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 0.79 (t, 3H), 1.15-1.31 (m, 4H), 1.38-1.58 (m, 2H), 1.77-1.90 (m, 1H), 4.26-4.32 (m, 2H), 4.33-4.48 (m, 2H), 4.63 (s, 2H), 7.10 (d, 2H), 7.46 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0139】
実施例8
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−プロリネートビス(トリフルオロ酢酸塩)
【化27】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−3,5−ピリジンジカルボニトリル100mg(0.19mmol)、Boc−L−プロリン45mg(0.21mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩44mg(0.23mmol)および4−ジメチルアミノピリジン2mg(0.02mmol)を、DMF1mlおよびジクロロメタン4ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を、半飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの混合物に添加する。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0140】
残渣をジクロロメタン5mlに溶解し、トリフルオロ酢酸1mlを添加する。混合物を室温で12時間撹拌し、次いで濃縮する。先ず、残渣をジクロロメタンとジエチルエーテルの混合物から結晶化し、得られる結晶をジエチルエーテルで洗浄する。次いで、THFとジクロロメタンの混合物から生成物を再結晶し、結晶をジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物35mg(理論値の22%)を無色結晶として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.91 分; MS (ESIpos): m/z = 617 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.85-1.95 (m, 2H), 1.97-2.04 (m, 1H), 2.22-2.32 (m, 1H), 3.13-3.26 (m, 2H), 4.30 (s, 2H), 4.43 (t, 1H), 4.50-4.60 (m, 2H), 4.60 (s, 2H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.52 (d, 2H), 7.91 (d, 2H), 7.93 (s, 1H), 8.02-8.30 (br. s, 2H), 9.07-9.32 (br. s, 2H).
【0141】
実施例9
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−プロリネート塩酸塩
【化28】

実施例8の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−プロリネートビス(トリフルオロアセテート)100mg(0.12mmol)を、DMF8mlに溶解し、ジオキサン中の4M塩化水素溶液0.06ml(0.24mmol)を添加する。沈殿した結晶を吸引濾過し、高真空下で乾燥させる。これにより、所望の生成物60mg(理論値の73%)を無色結晶として得る。
LC-MS (方法 3): Rt = 2.13 分; MS (ESIpos): m/z = 617 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.85-2.04 (m, 3H), 2.22-2.32 (m, 1H), 3.14-3.30 (m, 2H), 4.32-4.65 (m, 8H), 7.14 (d, 2H), 7.49 (d, 2H), 7.56 (d, 2H), 7.93 (d, 2H), 7.98 (s, 1H), 8.15 (br. s, 2H), 8.93 (br. s, 1H), 9.78 (br. s, 1H).
【0142】
実施例10
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−プロリネートp−トルエンスルホン酸塩
【化29】

実施例8の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−プロリネートビス(トリフルオロアセテート)60mg(0.07mmol)を、ジクロロメタンとTHFの混合物に溶解し、p−トルエンスルホン酸24mg(0.14mmol)を添加する。形成された沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、所望の生成物42mg(理論値の75%)を無色固体として得る。
LC-MS (方法 2): Rt = 2.09 分; MS (ESIpos): m/z = 617 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.85-2.04 (m, 3H), 2.22-2.32 (m, 1H), 2.28 (s, 3H), 3.16-3.30 (m, 2H), 4.32-4.63 (m, 5H), 4.65 (s, 2H), 7.08-7.14 (m, 4H), 7.44-7.52 (m, 4H), 7.57 (d, 2H), 7.93 (d, 2H), 7.96 (s, 1H), 8.14 (br. s, 2H), 8.88 (br. s, 1H), 9.40 (br. s, 1H).
【0143】
実施例11
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−セリネート塩酸塩
【化30】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.250g(0.48mmol)、Boc−L−セリン0.138g(0.53mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.111g(0.58mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.006g(0.048mmol)を、ジクロロメタン10mlおよびDMF2.5ml中で合わせ、室温で24時間撹拌する。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0144】
残渣をジクロロメタン10mlに溶解し、トリフルオロ酢酸2mlを添加し、溶液を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製する。5N塩酸を生成物画分に添加し、混合物を濃縮する。残渣をTHFに溶解し、ジオキサン中の2N塩化水素溶液を添加し、混合物を再度濃縮する。この操作をもう一度繰り返す。これにより、所望の生成物141mg(理論値の44%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.77 分; MS (ESIpos): m/z = 607 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 3.77-3.89 (m, 2H), 4.15-4.22 (m, 1H), 4.30-4.47 (m, 2H), 4.48-4.61 (m, 2H), 4.64 (s, 2H), 6.15 (br. s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.12 (br. s, 2H), 8.50 (s, 3H).
【0145】
実施例12
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−グルタミネート塩酸塩
【化31】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.250g(0.48mmol)、Boc−L−グルタミン酸0.160g(0.53mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.111g(0.58mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.006g(0.048mmol)を、ジクロロメタン10mlおよびDMF2.5ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液および酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0146】
残渣をジクロロメタン10mlに溶解し、トリフルオロ酢酸2mlを添加し、溶液を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣を分取HPLCにより精製する。5N塩酸を生成物画分に添加し、混合物を濃縮する。残渣をTHFに溶解し、ジオキサン中の2N塩化水素溶液を添加し、混合物を再度濃縮する。この操作をもう一度繰り返す。これにより、所望の生成物233mg(理論値の69%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.90 分; MS (ESIpos): m/z = 663 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.04-2.10 (m, 2H), 4.08-4.14 (m, 1H), 4.30-4.36 (m, 2H), 4.47-4.60 (m, 2H), 4.64 (s, 2H), 5.78 (br. s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.94 (d, 2H), 7.96 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H), 8.60 (br. s, 2H).
【0147】
実施例13
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−スレオニネート塩酸塩
【化32】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.250g(0.48mmol)、Boc−L−スレオニン0.146g(0.53mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.111g(0.58mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.006g(0.048mmol)を、ジクロロメタン10mlおよびDMF2.5ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。次いで、さらに1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.056g(0.29mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.003g(0.024mmol)を添加し、混合物をもう一度室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0148】
残渣をジクロロメタン10mlに溶解し、トリフルオロ酢酸2mlを添加し、溶液を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をTHFに溶解する。溶液を半飽和重炭酸ナトリウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣を分取HPLCにより精製する。5N塩酸を生成物画分に添加し、混合物を濃縮する。残渣をTHFに溶解し、ジオキサン中の2N塩化水素溶液を添加し、混合物を再度濃縮する。この操作をもう一度繰り返す。これにより、所望の生成物44mg(理論値の14%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 2): Rt = 1.95 分; MS (ESIpos): m/z = 621 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.21 (d, 3H), 3.96-4.02 (m, 1H), 4.12-4.58 (m, 5H), 4.63 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.94 (d, 2H), 7.96 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H), 8.34 (br. s, 2H).
【0149】
実施例14
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−リジネート二塩酸塩
【化33】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.250g(0.48mmol)、Nα,Nβ−ジ−Boc−L−リジン0.183g(0.53mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.111g(0.58mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.006g(0.048mmol)を、ジクロロメタン10mlおよびDMF2.5ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0150】
残渣をジクロロメタン10mlに溶解し、トリフルオロ酢酸2mlを添加し、溶液を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をTHFに溶解する。次いで、反応混合物を半飽和重炭酸ナトリウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。沈殿が形成され、それを吸引濾過し、水で洗浄し、乾燥させる。次いで、沈殿をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製する(移動相:ジクロロメタン/メタノール10:1→ジクロロメタン/メタノール/アンモニア100:20:2)。生成物画分をTHFに溶解し、ジオキサン中の2N塩化水素溶液1mlを添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、THFで洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物235mg(理論値の68%)を無色結晶として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.53 分; MS (ESIpos): m/z = 648 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.36-1.60 (m, 4H), 1.74-1.86 (m, 2H), 2.68-2.78 (m, 2H), 4.02-4.62 (m, 5H), 4.64 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H), 8.55-8.65 (m, 2H).
【0151】
実施例15
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチル(N,N−ジメチル)グリシネート
【化34】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.100g(0.19mmol)、N,N−ジメチルグリシン0.022g(0.21mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.044g(0.23mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.002g(0.019mmol)を、ジクロロメタン4mlおよびDMF1ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製する(移動相:ジクロロメタン/酢酸エチル3:1→ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール30:10:1)。これにより、所望の生成物82mg(理論値の70%)を、無色泡状物として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 1.87 分; MS (ESIpos): m/z = 605 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.22 (s, 6H), 3.21 (s, 2H), 4.27-4.30 (m, 2H), 4.40-4.44 (m, 2H), 4.62 (s, 2H), 7.11 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.93 (d, 2H), 7.96 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0152】
実施例16
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−フェニルアラニネート塩酸塩
【化35】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.250g(0.48mmol)、Boc−L−フェニルアラニン0.140g(0.53mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.111g(0.58mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.006g(0.048mmol)を、ジクロロメタン10mlおよびDMF2.5ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。
【0153】
残渣をジクロロメタン10mlに溶解し、トリフルオロ酢酸2mlを添加し、溶液を室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、ジクロロメタンとジエチルエーテルの混合物から残渣を結晶化する。固体を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、DMFに溶解する。次いで、この溶液を半飽和重炭酸ナトリウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。ジクロロメタンとジエチルエーテルの混合物から残渣を結晶化する。結晶を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。次いで、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製する(移動相:ジクロロメタン/酢酸エチル5:1→ジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール100:20:2)。生成物画分をTHFに溶解し、ジオキサン中の2N塩化水素溶液1mlを添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、THFで洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物132mg(理論値の38%)を無色結晶として得る。
LC-MS (方法 2): Rt = 2.13 分; MS (ESIpos): m/z = 667 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.79 (br. s, 2H), 2.80-2.88 (m, 2H), 3.61 (t, 1H), 4.15-4.26 (m, 2H), 4.32-4.48 (m, 2H), 4.63 (s, 2H), 7.08-7.18 (m, 7H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0154】
実施例17
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−フェニルアラニネートp−トルエンスルホン酸塩
【化36】

実施例16の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−フェニルアラニネート塩酸塩100mg(0.15mmol)を、THF2mlに溶解する。p−トルエンスルホン酸26mg(0.15mmol)を溶液に添加する。次いで、混合物を乾燥するまで濃縮する。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、固体を吸引濾過する。これにより、所望の生成物120mg(理論値の95%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 4): Rt = 2.03 分; MS (ESIpos): m/z = 667 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.28 (s, 3H), 3.02-3.18 (m, 2H), 3.58 (br. s, 4H), 4.14-4.26 (m, 2H), 4.36-4.54 (m, 3H), 4.63 (s, 2H), 7.06-7.12 (m, 3H), 7.22 (s, 4H), 7.48 (d, 2H), 7.50 (d, 1H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.94 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H), 8.42 (br. s, 2H).
【0155】
実施例18
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−フェニルアラニネートメタンスルホン酸塩
【化37】

実施例16の2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−フェニルアラニネート塩酸塩100mg(0.15mmol)を、THF2mlに溶解する。メタンスルホン酸14mg(0.15mmol)を溶液に添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物104mg(理論値の91%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 4): Rt = 2.03 分; MS (ESIpos): m/z = 667 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.30 (s, 3H), 3.02-3.18 (m, 2H), 3.72 (br. s, 4H), 4.15-4.27 (m, 2H), 4.35-4.55 (m, 3H), 4.63 (s, 2H), 7.08 (d, 2H), 7.21 (s, 5H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H), 8.42 (br. s, 2H).
【0156】
実施例19
4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソ酪酸塩酸塩
工程a):
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルtert−ブチルスクシネート
【化38】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル2.50g(4.81mmol)、モノ−tert−ブチルスクシネート0.92g(5.29mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩1.11g(5.77mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.059g(0.048mmol)を、ジクロロメタン100mlおよびDMF25ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液と酢酸エチルの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をジエチルエーテルでトリチュレートし、固体を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物2.76g(理論値の85%)を無色結晶として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 3.06 分; MS (ESIpos): m/z = 676 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.38 (s, 9H), 2.44-2.55 (m, 4H), 4.25-4.28 (m, 2H), 4.35-4.40 (m, 2H), 4.63 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.94 (d, 2H), 7.96 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0157】
工程b):
4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソ酪酸塩酸塩
【化39】

2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルtert−ブチルスクシネート845mg(1.25mmol)およびトリフルオロ酢酸5mlを、ジクロロメタン50ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮し、トルエンを2回添加し、混合物を再度濃縮する。残渣をジクロロメタンから結晶化させる。結晶を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いでジクロロメタンとTHFの混合物に溶解する。ジエチルエーテル中の2N塩化水素溶液5mlを添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。これにより、所望の生成物725mg(理論値の88%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 2): Rt = 2.75 分; MS (ESIpos): m/z = 620 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.45-2.58 (m, 4H), 4.25-4.29 (m, 2H), 4.43-4.48 (m, 2H), 4.65 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.56 (d, 2H), 7.94 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0158】
実施例20
4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソ酪酸カリウム塩
【化40】

実施例19の4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソ酪酸500mg(0.81mmol)を、THF5mlに溶解する。水5mlおよび水酸化カリウム45mg(0.81mmol)を添加する。次いで、THFをロータリーエバポレーターで除去し、残っている溶液を凍結乾燥する。これにより、所望の生成物532mg(理論値の100%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 2.59 分; MS (ESIpos): m/z = 620 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.12 (t, 2H), 2.38 (t, 2H), 4.25-4.28 (m, 2H), 4.28-4.34 (m, 2H), 4.64 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.58 (d, 2H), 7.94 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0159】
実施例21
4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソ酪酸ナトリウム塩
【化41】

実施例19の4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソ酪酸500mg(0.81mmol)を、THF5mlに溶解する。水5mlおよび水酸化ナトリウム32mg(0.81mmol)を添加する。次いで、THFをロータリーエバポレーターで除去し、残っている溶液を凍結乾燥する。これにより、所望の生成物520mg(理論値の100%)を無色粉末として得る。
LC-MS (方法 1): Rt = 2.60 分; MS (ESIpos): m/z = 620 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 2.09 (t, 2H), 2.38 (t, 2H), 4.24-4.34 (m, 4H), 4.64 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.47 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.13 (br. s, 2H).
【0160】
実施例22
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−オルニチネート二塩酸塩
【化42】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(1.92mmol)、Nα,Nβ−ジ−Boc−L−オルニチン1.92g(5.77mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.442g(2.31mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.117g(0.96mmol)を、ジクロロメタン25mlおよびDMF25ml中で合わせ、室温で1時間撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を濃縮し、残渣をジクロロメタンに取り、5%濃度クエン酸、重炭酸ナトリウム溶液および水で連続的に抽出する。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(5:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体1.6g(理論値の99%)が残る。
【0161】
残渣をジクロロメタン30mlおよび無水トリフルオロ酢酸20mlに取り、溶液を室温で30分間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をもう2回アセトニトリルから濃縮する。次いで、ジエチルエーテル中の2M塩化水素溶液を、残っている残渣に添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。次いで、沈殿をメタノール25mlから再結晶する。これにより、所望の生成物744mg(理論値の55%)を無色結晶として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.9 分;
LC-MS (方法 12): Rt = 1.32 分; MS (ESIpos): m/z = 634 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.6-2.0 (m, 4H), 2.8 (t, 2H), 4.1 (t, 1H), 4.35 (m, 2H), 4.55 (m, 2H), 4.65 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.0 (br. s, 2H), 8.55-8.65 (m, 2H).
【0162】
実施例23
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−バリネート二塩酸塩
【化43】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(1.92mmol)、Boc−L−バリン0.460g(2.11mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.442g(2.31mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.023g(0.19mmol)を、ジクロロメタン40mlおよびDMF10ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液とジクロロメタンの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(グラジエント10:1→7:1→5:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体0.85g(理論値の62%)が残る。
【0163】
残渣をジクロロメタン5mlおよび無水トリフルオロ酢酸5mlに取り、溶液を室温で2時間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をもう2回トルエンで濃縮する。残っている残渣をアセトニトリルに取り、1N塩酸5mlを添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、イソプロパノールおよびジエチルエーテルで洗浄する。これにより、表題化合物673mg(理論値の82%)を無色結晶として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 5.3 分;
LC-MS (方法 10): Rt = 2.01 分; MS (ESIpos): m/z = 619 (M+H)+.
【0164】
実施例24
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチル(2S)−2,4−ジアミノブタノエート二塩酸塩
【化44】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(1.92mmol)、Nα,N−ジ−Boc−L−ジアミノ酪酸0.67g(2.1mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.442g(2.31mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.023g(0.19mmol)を、ジクロロメタン25mlおよびDMF6ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液およびジクロロメタンの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(グラジエント10:1→6:1→3:1)を使用して精製する。次いで、カラムをジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール(150:50:5)で溶出する。適当な画分を濃縮し、残っている残渣を分取HPLC(方法5)によりさらに精製する。生成物画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体0.542g(理論値の33%)が残る。
【0165】
残渣をジクロロメタン3mlおよび無水トリフルオロ酢酸3mlに取り、溶液を室温で1時間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をもう一度ジクロロメタンで濃縮する。次いで、残っている残渣を酢酸エチル150mlに取り、ジエチルエーテル中の塩化水素の飽和溶液を添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで2回洗浄し、次いで乾燥させる。次いで、混合物を水から凍結乾燥する。これにより、表題化合物415mg(理論値の92%)を得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.9 分;
LC-MS (方法 12): Rt = 1.4 分; MS (ESIpos): m/z = 620 (M+H)+.
【0166】
実施例25
2−(4−{2−[(4−アミノブタノイル)アミノ]−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル}フェノキシ)エチル4−アミノブタノエート二塩酸塩
【化45】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1.5g(2.88mmol)、4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]酪酸1.41g(6.92mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩1.3g(6.92mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.846g(6.92mmol)を、ジクロロメタン90ml中で合わせ、還流下で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液とジクロロメタンの混合物に注ぐ。有機相を分離し、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(グラジエント10:1→7:1→5:1→3:1→2:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を除去する。残っている残渣をジクロロメタンに溶解し、ジエチルエーテルと石油エーテルの混合物を使用して再沈殿させる。高真空下で乾燥させた後、保護中間体1360mg(理論値の53%)が残る。
【0167】
残渣をジクロロメタン10mlおよび無水トリフルオロ酢酸5mlに取り、溶液を室温で1時間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をもう2回トルエンで濃縮する。次いで、残っている残渣をジクロロメタン15ml、THF5mlおよびメタノール5mlに取り、ジエチルエーテル中の塩化水素の飽和溶液を添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで2回洗浄し、乾燥させる。次いで、混合物を水から凍結乾燥する。これにより、表題化合物1170mg(理論値の95%)を得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.7 分;
LC-MS (方法 11): Rt = 1.1 分; MS (ESIpos): m/z = 690 (M+H)+.
【0168】
実施例26
2−{4−[2−(ベータ−アラニルアミノ)−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルベータ−アラニネート二塩酸塩
【化46】

実施例25と同様に、2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(1.92mmol)およびN−(tert−ブトキシカルボニル)−β−アラニン0.8g(4.23mmol)から、表題化合物を製造する。
収率:2工程にわたる理論値の61%
HPLC (方法 7): Rt = 4.7 分;
LC-MS (方法 4): Rt = 1.51 分; MS (ESIpos): m/z = 662 (M+H)+.
【0169】
実施例27
2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)エタンアミニウム4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)4−オキソブタノエート
【化47】

2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルtert−ブチルスクシネート(実施例19、工程a)8450mg(12.5mmol)およびトリフルオロ酢酸50mlを、ジクロロメタン500ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮し、トルエンを2回添加し、混合物を再度濃縮する。残渣をジクロロメタンから結晶化させる。結晶を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。
得られるカルボン酸のアリコート3380mg(5.45mmol)を、イソプロパノール360mlに取り、ジエタノールアミン573mg(5.45mmol)および水60mlを添加する。イソプロパノールを減圧下で蒸発させ、次いで、水性溶液を凍結乾燥する。かくして、表題化合物3850mgを得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 3.99 分; MS (ESIpos): m/z = 620 (M+H)+.
【0170】
実施例28
2−ヒドロキシ−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)4−オキソブタノエート
【化48】

2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルtert−ブチルスクシネート(実施例19、工程a)8450mg(12.5mmol)およびトリフルオロ酢酸50mlを、ジクロロメタン500ml中で合わせ、室温で2時間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮し、トルエンを2回添加し、混合物を再度濃縮する。残渣をジクロロメタンから結晶化させる。結晶を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄する。
得られるカルボン酸のアリコート375mg(0.605mmol)を、ジオキサン13mlに取り、コリン水溶液13.2ml(0.605mmol)を添加する。室温で短時間撹拌した後、溶液を凍結乾燥する。これにより、表題化合物437mg(定量的)を得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 3.82 分; MS (ESIpos): m/z = 620 (M+H)+.
【0171】
実施例29
2−ヒドロキシ−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム3−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)3−オキソプロパノエート
【化49】

工程a):
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(1.92mmol)、モノ−tert−ブチルマロネート0.389g(2.12mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.442g(2.31mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.023g(0.19mmol)を、ジクロロメタン40mlおよびDMF10ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液およびジクロロメタンの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をジクロロメタンに溶解し、石油エーテルで再沈殿させ、吸引濾過し、次いでシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(グラジエント10:1→7:1→5:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体0.916g(理論値の72%)が残る。
LC-MS (方法 10): Rt = 3.24 分; MS (ESIpos): m/z = 662 (M+H)+.
【0172】
工程b):
工程a)からの中間体916mg(1.38mmol)を、ジクロロメタン5mlに取り、トリフルオロ酢酸5mlを滴下して添加し、混合物を室温で2時間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮し、トルエンを2回添加し、混合物を再度濃縮する。残渣をジクロロメタンに取り、イソプロパノールを添加する。沈殿した結晶を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで高真空下で乾燥させる。これにより、遊離酸543mg(理論値の65%)を無色粉末として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 5.7 分;
LC-MS (方法 10): Rt = 2.89 分; MS (ESIpos): m/z = 606 (M+H)+.
【0173】
工程c):
工程b)のカルボン酸100mg(0.165mmol)のアリコートを、ジオキサン3.5mlに取り、コリン水溶液3.6ml(0.165mmol)を添加する。室温で短時間撹拌した後、溶液を凍結乾燥する。これにより、表題化合物116mg(定量的)を得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 3.79 分; MS (ESIpos): m/z = 606 (M+H)+.
【0174】
実施例30
2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)エタンアミニウム3−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−3−オキソプロパノエート
【化50】

実施例29、工程b)のカルボン酸のアリコート100mg(0.165mmol)を、ジオキサン3.5mlに取り、ジエタノールアミン水溶液2ml(0.165mmol)を添加する。室温で短時間撹拌した後、溶液を凍結乾燥する。これにより、表題化合物118mg(定量的)を得る。
LC-MS (方法 8): Rt = 3.79 分; MS (ESIpos): m/z = 606 (M+H)+.
【0175】
実施例31
2−ヒドロキシ−N,N,N−トリメチルエタンアミニウム(2Z)−4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソブト−2−エノエート
【化51】

工程a):
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル3g(5.77mmol)および無水マレイン酸3.39g(34.6mmol)を、ピリジン200ml中で合わせ、混合物を110℃で6時間撹拌する。次いで、さらに1.7gの無水マレイン酸を添加し、反応混合物を110℃で3時間撹拌する。次いで、反応混合物を冷却し、高真空下で濃縮する。残渣をジクロロメタン/メタノールに取り、先ず、シリカゲルを充填したフリットを通す。濾過ケーキをジクロロメタン/メタノール(1:1)1.5lで洗浄し、次いで、濾液を濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相トルエン/エタノール(2:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。次いで、残渣をシリカゲルのクロマトグラフィーにより、移動相トルエン/エタノール(7:1)を使用して、もう一度精製する。もう一度、生成物画分を合わせ、濃縮する。高真空下で乾燥させた後、所望のマレイン酸セミエステル1018mg(理論値の29%)が残る。
HPLC (方法 7): Rt = 5.83 分;
LC-MS (方法 8): Rt = 3.88 分; MS (ESIpos): m/z = 618 (M+H)+.
【0176】
工程b):
工程a)の化合物のアリコート29mg(0.047mmol)を、ジオキサン15mlに取り、0.1Mコリン水溶液469μl(0.047mmol)を添加する。室温で短時間撹拌した後、溶液を凍結乾燥する。これにより、表題化合物27mg(理論値の81%)を得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 3.02 分; MS (ESIpos): m/z = 618 (M+H)+.
【0177】
実施例32
2−ヒドロキシ−N−(2−ヒドロキシエチル)エタンアミニウム(2Z)−4−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−4−オキソブト−2−エノエート
【化52】

実施例31、工程a)の化合物のアリコート29mg(0.047mmol)を、ジオキサン15mlに取り、ジエタノールアミン水溶液469μl(0.047mmol)を添加する。室温で短時間撹拌した後、溶液を凍結乾燥する。これにより、表題化合物31mg(理論値の91%)を得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 3.09 分; MS (ESIpos): m/z = 618 (M+H)+.
【0178】
実施例33
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−ヒスチジネート二塩酸塩
【化53】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.5g(0.961mmol)、N,1−ビス(tert−ブトキシカルボニル)−L−ヒスチジン1.025g(2.884mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.24g(1.25mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.059g(0.481mmol)を、ジクロロメタン25mlおよびDMF25ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。次いで、さらに1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.12gおよび4−ジメチルアミノピリジン0.01gを添加し、室温での撹拌を16時間継続する。次いで、反応混合物を濃縮する。残渣をジクロロメタンに取り、5%濃度クエン酸、重炭酸ナトリウム溶液および水で連続的に抽出する。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相トルエン/エタノール(6:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体653mg(理論値の79%)が残る。
【0179】
この中間体をジクロロメタン25mlおよび無水トリフルオロ酢酸20mlに取り、溶液を室温で30分間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、もう2回残渣をアセトニトリルで蒸発させる。次いで、ジエチルエーテル中の2M塩化水素溶液を、残っている残渣に添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、表題化合物556mg(定量的)を無色結晶として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.8 分;
LC-MS (方法 10): Rt = 1.63 分; MS (ESIpos): m/z = 654 (M+H)+.
【0180】
実施例34
2−(4−{2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノ−6−[(N,N−ジメチルグリシル)アミノ]ピリジン−4−イル}フェノキシ)エチルN,N−ジメチルグリシネート
【化54】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(1.92mmol)、N,N−ジメチルグリシン塩酸塩436mg(4.23mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩885mg(4.6mmol)および4−ジメチルアミノピリジン564mg(4.62mmol)を、ジクロロメタン100ml中で合わせ、還流下で終夜加熱する。次いで、さらにN,N−ジメチルグリシン218mg(2.12mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩442mg(2.3mmol)および4−ジメチルアミノピリジン282mg(2.32mmol)を添加し、反応混合物をもう一度還流下で終夜加熱する。次いで、反応混合物を半飽和重炭酸ナトリウム溶液とジクロロメタンの混合物に注ぐ。有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相として、先ずジクロロメタン/酢酸エチル(3:1)を、次いでジクロロメタン/酢酸エチル/メタノール(150:50:10)を使用して、残渣を精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。次いで、シリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相トルエン/酢酸エチル(2:1)を使用して、残渣をさらに精製する。もう一度、生成物画分を合わせ、濃縮する。残渣を高真空下で乾燥させた後、表題化合物1.04g(理論値の78%)を無色泡状物として得る。
LC-MS (方法 12): Rt = 1.3 分; MS (ESIpos): m/z = 690 (M+H)+.
【0181】
実施例35
2−(4−{2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノ−6−[(N,N−ジメチルグリシル)アミノ]ピリジン−4−イル}フェノキシ)エチルN,N−ジメチルグリシネート二塩酸塩
【化55】

実施例34の化合物250mg(0.362mmol)を、1N塩酸10mlに懸濁し、アセトニトリル2mlを添加する。短時間撹拌した後、澄んだ溶液が形成され、次いでそれを凍結乾燥する。これにより、表題化合物275mg(理論値の99%)を無色泡状物として得る。
LC-MS (方法 12): Rt = 1.15 分; MS (ESIpos): m/z = 690 (M+H)+.
【0182】
実施例36
(2S)−2−アミノ−5−(2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エトキシ)−5−オキソペンタン酸二塩酸塩
【化56】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル3.117g(6mmol)、(4S)−5−tert−ブトキシ−4−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−5−オキソペンタノエート2.0g(6.59mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩1.38g(7.19mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.073g(0.6mmol)を、ジクロロメタン80mlおよびDMF20ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液とジクロロメタンの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。石油エーテルを使用して、残渣をジクロロメタンから沈殿させる。沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。保護中間体4.44g(理論値の92%)が残る。
LC-MS (方法 10): Rt = 3.38 分; MS (ESIpos): m/z = 605 (M+H)+.
【0183】
得られる中間体250mg(0.31mmol)をジクロロメタン中の飽和塩化水素溶液8mlに取り、室温で60時間静置する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、次いで高真空下で乾燥させる。これにより、表題化合物205mg(理論値の96%)を無色結晶として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 5.2 分;
LC-MS (方法 11): Rt = 1.79 分; MS (ESIpos): m/z = 649 (M+H)+.
【0184】
実施例37
2−{4−[2−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−3,5−ジシアノ−6−{[4−(ジメチルアミノ)ブタノイル]アミノ}ピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−バリネートビストリフルオロ酢酸塩
【化57】

工程a):
2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル1g(1.92mmol)、Boc−L−バリン0.460g(2.11mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.442g(2.31mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.023g(0.19mmol)を、ジクロロメタン40mlおよびDMF10ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。澄んだ溶液が形成される。次いで、反応混合物を半飽和塩化アンモニウム溶液とジクロロメタンの混合物に注ぐ。有機相を分離し、水、飽和重炭酸ナトリウム溶液および飽和塩化ナトリウム溶液で連続的に洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、濃縮する。残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(グラジエント10:1→7:1→5:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体0.85g(理論値の62%)が残る。
【0185】
工程b):
工程a)の中間体200mg(0.28mmol)、4−(N,N−ジメチルアミノ)酪酸塩酸塩93mg(0.56mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩160mg(0.84mmol)および4−ジメチルアミノピリジン136mg(1.1mmol)を、ジクロロメタン50ml中で合わせ、還流下で20分間加熱する。次いで、反応混合物を濃縮し、残渣を分取HPLC(方法6b)により精製する。適当な画分を合わせ、ジオキサンから凍結乾燥する。高真空下で乾燥させた後、保護されたビスアシル化合物95mg(理論値の41%)を無色泡状物として得る。
LC-MS (方法 10): Rt = 2.3 分; MS (ESIpos): m/z = 832 (M+H)+.
【0186】
工程c):
工程b)の中間体50mg(0.06mmol)を、ジクロロメタン10mlおよび無水トリフルオロ酢酸5mlに取り、室温で1時間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮する。残渣を水に取り、凍結乾燥する。これにより、表題化合物51mg(理論値の89%)を無色泡状物として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.9 分;
LC-MS (方法 12): Rt = 1.37 分; MS (ESIpos): m/z = 732 (M+H)+.
【0187】
実施例38
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルL−アルギニネート三塩酸塩
【化58】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル0.150g(0.288mmol)、N−[N,N’−ビス(tert−ブトキシカルボニル)カルバミドイル]−N−(tert.−ブトキシカルボニル)−L−オルニチン0.411g(0.865mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩0.083g(0.433mmol)および4−ジメチルアミノピリジン0.018g(0.144mmol)を、ジクロロメタン30mlおよびDMF30ml中で合わせ、室温で3日間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮する。残渣をジクロロメタンに取り、5%濃度クエン酸、重炭酸ナトリウム溶液および水で連続的に抽出する。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(4:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体93mg(理論値の33%)が残る。
【0188】
得られる中間体をジクロロメタン4mlおよび無水トリフルオロ酢酸2mlに取り、溶液を室温で1時間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をもう2回アセトニトリルで蒸発させる。次いで、ジエチルエーテル中の2M塩化水素溶液を、残っている残渣に添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、表題化合物51mg(理論値の68%)を無色結晶として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.8 分;
LC-MS (方法 10): Rt = 1.52 分; MS (ESIpos): m/z = 676 (M+H)+.
【0189】
実施例39
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチルD−オルニチネート二塩酸塩
【化59】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル78mg(0.15mmol)、Nα,Nβ−ジ−Boc−D−オルニチン150mg(0.451mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩37.5mg(0.196mmol)および4−ジメチルアミノピリジン9mg(0.075mmol)を、ジクロロメタン15mlおよびDMF15ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。次いで、さらにNα,Nβ−ジ−Boc−D−オルニチン15mg(0.045mmol)および1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩10mgを添加し、反応混合物を室温でさらに16時間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮する。残渣をジクロロメタンに取り、5%濃度クエン酸、重炭酸ナトリウム溶液および水で連続的に抽出する。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/メタノール/17%濃度水性アンモニア(15:0.5:0.05)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させ、保護中間体43mg(理論値の34%)が残る。
【0190】
得られる中間体40mg(0.048mmol)を、ジクロロメタン5mlおよび無水トリフルオロ酢酸1mlに取り、溶液を室温で30分間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、残渣をもう2回アセトニトリルで蒸発させる。次いで、ジエチルエーテル中の2M塩化水素溶液を、残っている残渣に添加する。形成される沈殿を、上清をデカンタすることにより分離し、水に取り、わずかに濃縮し、次いで凍結乾燥する。これにより、表題化合物32mg(理論値の94%)を得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.8 分;
LC-MS (方法 10): Rt = 1.54 分; MS (ESIpos): m/z = 634 (M+H)+
1H-NMR (400 MHz, DMSO-d6): δ = 1.6-2.0 (m, 4H), 2.8 (m, 2H), 4.1 (m, 1H), 4.35 (m, 2H), 4.55 (m, 2H), 4.65 (s, 2H), 7.12 (d, 2H), 7.48 (d, 2H), 7.57 (d, 2H), 7.92 (d, 2H), 7.95 (s, 1H), 8.0 (br. s, 2H), 8.55-8.65 (m, 2H).
【0191】
実施例40
2−{4−[2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}スルファニル)−3,5−ジシアノピリジン−4−イル]フェノキシ}エチル−3−アミノL−アラニネート二塩酸塩
【化60】

2−アミノ−6−({[2−(4−クロロフェニル)−1,3−チアゾール−4−イル]メチル}チオ)−4−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]ピリジン−3,5−ジカルボニトリル71mg(0.137mmol)、N−(tert−ブトキシカルボニル)−3−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]−L−アラニンジシクロヘキシルアミン塩200mg(0.412mmol)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩40mg(0.206mmol)および4−ジメチルアミノピリジン8.4mg(0.069mmol)を、ジクロロメタン15mlおよびDMF15ml中で合わせ、室温で終夜撹拌する。次いで、さらに1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩20mg(0.103mmol)および4−ジメチルアミノピリジン4mg(0.035mmol)を添加し、混合物を室温でさらに16時間撹拌する。次いで、反応混合物を濃縮する。残渣をジクロロメタンに取り、5%濃度クエン酸、重炭酸ナトリウム溶液および水で連続的に抽出する。有機相を濃縮し、残渣をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーにより、移動相ジクロロメタン/酢酸エチル(3:1)を使用して精製する。適当な画分を合わせ、溶媒を減圧下で除去する。残渣を高真空下で乾燥させた後、保護中間体39mg(理論値の35%)が残る。
【0192】
得られる中間体をジクロロメタン5mlおよび無水トリフルオロ酢酸1mlに取り、溶液を室温で30分間撹拌する。次いで、反応混合物を乾燥するまで濃縮し、もう2回残渣をアセトニトリルで蒸発させる。次いで、ジエチルエーテル中の2M塩化水素溶液を、残っている残渣に添加する。形成される沈殿を吸引濾過し、ジエチルエーテルで洗浄し、高真空下で乾燥させる。これにより、表題化合物26mg(理論値の79%)を無色結晶として得る。
HPLC (方法 7): Rt = 4.8 分;
LC-MS (方法 10): Rt = 1.74 分; MS (ESIpos): m/z = 606 (M+H)+.
【0193】
B. 溶解性、安定性および遊離挙動の測定
a)溶解性の決定:
試験物質を、水または希塩酸(pH4)[実施例1−21]または5%濃度デキストロース水溶液[実施例22−40]に懸濁する。この懸濁液を室温で24時間振盪する。224000gで30分間の超遠心の後、上清をDMSOで希釈し、HPLCにより分析する。DMSO中の試験化合物の2点較正プロットを定量に使用する。
【0194】
酸用のHPLCの方法:
DAD (G1315A)、quat. ポンプ (G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A) およびカラムサーモスタット (G1316A) を備えた Agilent 1100; カラム: Phenomenex Gemini C18, 5 μm, 50 mm x 2 mm;温度:40℃;溶離剤A:水/リン酸pH2、溶離剤B:アセトニトリル;流速:0.7ml/分;グラジエント:0−0.5分85%A、15%B;勾配0.5−3分10%A、90%B;3−3.5分10%A、90%B;勾配3.5−4分85%A、15%B;4−5分85%A、15%B。
【0195】
塩基用のHPLCの方法:
DAD (G1315A)、quat. ポンプ (G1311A)、オートサンプラー CTC HTS PAL、脱気装置(G1322A) およびカラムサーモスタット (G1316A) を備えた Agilent 1100;カラム:VDSoptilab Kromasil 100 C18, 3.5 μm, 60 mm x 2.1 mm;温度:30℃;溶離剤A:水+過塩素酸5ml/l、溶離剤B:アセトニトリル;流速:0.75ml/分;グラジエント:0−0.5分98%A、2%B;勾配0.5−4.5分10%A、90%B;4.5−6分10%A、90%B;勾配6.5−6.7分98%A、2%B;6.7−7.5分98%A、2%B。
【0196】
希塩酸(pH4)中での代表的な例示的実施態様の溶解性を、表1に示す:
表1
【表2】

【0197】
5%濃度デキストロース水溶液中での代表的な例示的実施態様の溶解性を、表2に示す:
表2
【表3】

【0198】
これらの溶液中で例示的化合物の分解は観察されない。
基礎となる活性物質[化合物(A)]の希塩酸(pH4)中での溶解性は、この試験で、<1mg/lであると測定され、5%濃度デキストロース水溶液中でのそれは、<0.1mg/lであると測定される。
【0199】
b)様々なpH値のバッファー中での安定性:
試験物質0.3mgを、2mlのHPLCバイアルに量り入れ、アセトニトリルまたはアセトニトリル/DMSO(9:1)0.5mlを添加する。物質を、サンプル容器を超音波浴に約10秒間置くことにより溶解させる。次いで、各バッファー溶液0.5mlを添加し、サンプルを再度超音波浴で処理する。
【0200】
用いる(バッファー)溶液:
pH4:Millipore 水1lを、1N塩酸でpH4.0に調節する;
pH5:クエン酸0.096molおよび水酸化ナトリウム0.2mol、水で1lとする;
pH7.4:塩化ナトリウム90.0g、リン酸二水素カリウム13.61gおよび1N水酸化ナトリウム溶液83.35gを、水で1lとする;次いで、この溶液をさらに Millipore 水で1:10に希釈する。
pH8:ホウ砂0.013molおよび塩酸0.021mol、水で1lとする。
【0201】
試験溶液5μl分を、HPLCにより、未変化の試験物質および産生される親物質(A)の含有量について、24時間にわたり1時間毎に、37℃で分析する。適切なピークのパーセントの面積を定量に使用する。
【0202】
実施例1−21用のHPLC方法:
DAD (G1314A)、バイナリーポンプ (G1312A)、オートサンプラー (G1329A)、カラムオーブン (G1316A)、サーモスタット (G1330A) を備えた Agilent 1100; カラム: Kromasil 100 C18, 60 mm x 2.1 mm, 3.5 μm;カラム温度:30℃;溶離剤A:水+過塩素酸5ml/l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0−1.0分98%A、2%B;1.0−9.0分2%A、98%B;9.0−13.0分2%A、98%B;13.0−13.5分98%A、2%B;13.5−15.0分98%A、2%B;流速:0.75ml/分;UV検出:210nm。
【0203】
実施例22−40用のHPLC方法:
DAD (G1314A)、バイナリーポンプ (G1312A)、オートサンプラー (G1329A)、カラムオーブン (G1316A)、サーモスタット (G1330A) を備えた Agilent 1100;カラム:Kromasil 100 C18, 125 mm x 4.6 mm, 5 μm;カラム温度:30℃;溶離剤A:水+過塩素酸5ml/l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0−2.0分90%A、10%B;2.0−18.0分64%A、36%B;18.0−20.0分64%A、36%B;20.0−21.0分10%A、90%B;21.0−23.0分90%A、10%B;23.0−26.0分90%A、10%B;流速:2.0ml/分;UV検出:294nm。
【0204】
代表的な例示的実施態様について、各時点でのピーク面積(F)の出発時のピーク面積に対する比を、表3に示す:
表3
【表4】

【0205】
この試験では、有効成分の化合物(A)の増加と同時に、試験物質の含有量の減少があることが見出された。
【0206】
c)ラットおよびヒト血漿におけるインビトロの安定性:
試験物質1mgを2mlのHPLCバイアルに量り入れ、DMSO1.5mlおよび水1mlを添加する。サンプル容器を超音波浴に約10秒間入れることにより物質を溶解させる。ラットまたはヒト血漿0.5mlを37℃でこの溶液0.5mlに添加する。サンプルを振盪し、約10μlを最初の分析用に取り出す(時点t)。4個ないし6個のさらなるアリコートを、インキュベーション開始後2時間までの期間中に、定量用に取り出す。試験時間中、サンプルを37℃で維持する。特徴解析および定量は、HPLCにより行う。
【0207】
HPLCの方法:
DAD (G1314A)、バイナリーポンプ (G1312A)、オートサンプラー (G1329A)、カラムオーブン (G1316A)、サーモスタット (G1330A) を備えた Agilent 1100;カラム:Kromasil 100 C18, 250 mm x 4 mm, 5 μm;カラム温度:30℃;溶離剤A:水+過塩素酸5ml/l、溶離剤B:アセトニトリル;グラジエント:0−8.0分53%A、47%B;8.0−18.0分53%A、47%B;18.0−20.0分90%A、10%B;20.0−21.0分90%A、10%B;21.0−22.5分98%A、2%B;22.5−25.0分98%A、2%B;流速:2ml/分;UV検出:294nm。
【0208】
表4は、代表的な例示的実施態様について、ラット血漿とのインキュベーション後に、有効成分の化合物(A)の可能性のある最大量の50%が産生された各々の時間を示す(t50%A)。評価のために、開始時点と比較した個々の時点でのピーク面積の比を各場合で使用する。
【0209】
表4
【表5】

【0210】
d)Wistar ラットにおけるi.v.薬物動態:
物質投与の前日に、血液採取用のカテーテルを、実験動物(オスの Wistar ラット、体重200−250g)の頸静脈に、イソフルラン(登録商標)麻酔下で移植する。
実験当日、所定の用量の試験物質を、Hamilton(登録商標)ガラスシリンジを使用して、溶液として尾静脈に投与する(ボーラス投与、投与期間<10秒)。血液サンプル(8−12時点)を、カテーテルを通して、物質投与後24時間の期間にわたり逐次取る。ヘパリン処理管中でサンプルを遠心分離することにより、血漿を得る。アセトニトリルを時点毎に所定の血漿体積に添加し、タンパク質を沈殿させる。遠心分離後、上清中の試験物質、および、必要に応じて、試験物質の既知の切断生成物を、適するLC/MS−MSの方法を使用して定量的に測定する。
測定される血漿濃度を使用して、試験物質およびそこから遊離した有効成分化合物(A)の、AUC、Cmax、T1/2(半減期)およびCL(クリアランス)などの薬物動態的パラメーターを算出する。
【0211】
実施例1、実施例5、実施例15および実施例22の化合物のi.v.投与後、これらの物質は、最初の測定点でさえ、もはや血漿中に検出不能であった。また、有効成分(A)のみが、24時間の時点まで検出可能であった。
【0212】
e)Wistar ラットにおける経口での薬物動態:
物質投与の前日に、血液採取用のカテーテルを、実験動物(オスの Wistar ラット、体重200−250g)の頸静脈に、イソフルラン(登録商標)麻酔下で移植する。
実験当日、所定の用量の試験物質を、液剤として胃管栄養法により胃に投与する。血液サンプル(8−12時点)を、カテーテルを通して、物質投与後24時間の経過にわたり逐次取る。ヘパリン処理管中でサンプルを遠心分離することにより、血漿を得る。アセトニトリルを時点毎に所定の血漿体積に添加し、タンパク質を沈殿させる。遠心分離後、上清中の試験物質および、必要に応じて、試験物質の既知の切断生成物を、適するLC/MS−MS方法を使用して定量的に測定する。
測定される血漿濃度を使用して、試験物質およびそこから遊離した有効成分化合物(A)の、AUC、Cmax、T1/2(半減期)などの薬物動態的パラメーターを算出する。
【0213】
実施例5、実施例15、実施例19および実施例22の化合物の経口投与後、これらの物質は、最初の測定点でさえ、もはや血漿中に検出不能であった。また、有効成分(A)のみが、24時間の時点まで検出可能であった。
【0214】
f)麻酔されたラットの心拍数に対する影響の測定:
体重約250gのオスの Wistar ラットを用いる。実験前夜に、動物は飼料を与えられないが、飲料水には依然として自由に接近できる。調製および調査は、トラパナール(Trapanal)(登録商標)麻酔下で実施する(100mg/kgi.p.)。注射と点滴は、頸静脈のカテーテルを通して行い、大腿動脈のカテーテルにより血圧を記録する(トランスデューサー:Braun, Melsungen)。調製後、流体の損失を補償するために、動物を生理食塩水の継続的点滴に繋ぐ。試験物質またはプラセボ溶液を、約1時間の平衡化時間の後に、ボーラスとして静脈内投与する。平衡化の間、そして、ボーラス注射後少なくとも30分間にわたり、デジタルの評価プログラムを利用して、心拍数および動脈圧を記録する。
【0215】
表5は、100μg/kgの有効成分(A)または同等の投与量の代表的な例示的実施態様のi.v.ボーラス後の最初の30分間における、最大心拍数の減少を挙げる:
表5
【表6】

【0216】
C. 医薬組成物の例示的実施態様
本発明の化合物は、例えば、以下の方法で医薬製剤に変換できる:
錠剤:
組成:
本発明の化合物100mg、ラクトース(一水和物)50mg、トウモロコシデンプン(天然)50mg、ポリビニルピロリドン(PVP25)(BASF, Ludwigshafen, Germany)10mgおよびステアリン酸マグネシウム2mg。
錠剤重量212mg、直径8mm、曲率半径12mm。
製造:
本発明の化合物、ラクトースおよびスターチの混合物を、5%強度PVP水溶液(m/m)で造粒する。顆粒を乾燥させ、次いで、ステアリン酸マグネシウムと5分間混合する。この混合物を常套の打錠機で打錠する(錠剤の形状について、上記参照)。ガイドラインとして、打錠力15kNを打錠に使用する。
【0217】
経口懸濁剤:
組成:
本発明の化合物1000mg、エタノール(96%)1000mg、Rhodigel(登録商標) (キサンタンガム、FMC, Pennsylvania, USA より) 400mgおよび水99g。
経口懸濁剤10mlは、本発明の化合物100mgの単回用量と同等である。
製造:
Rhodigel をエタノールに懸濁し、本発明の化合物を懸濁液に添加する。撹拌しながら水を添加する。Rhodigel の膨潤が完了するまで、混合物を約6時間撹拌する。
【0218】
経口液剤:
組成:
本発明の化合物500mg、ポリソルベート2.5gおよびポリエチレングリコール400 97g。本発明の化合物100mgの単回用量は、経口液剤20gに相当する。
製造:
本発明の化合物を、ポリエチレングリコールおよびポリソルベートの混合物に、撹拌しながら懸濁する。本発明の化合物が完全に溶解するまで、撹拌を継続する。
【0219】
i.v.液剤:
本発明の化合物を、生理的に耐容される溶媒(例えば、等張塩水、5%グルコース溶液および/または30%PEG400溶液、各場合でpH3−5に調節する)に飽和溶解度より低い濃度で溶解する。溶液を場合により濾過滅菌し、かつ/または、無菌のパイロジェンを含まない注射容器に分配する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
は、式
【化2】

{式中、
*は、O原子への結合点を意味し、
は、結合、−CH−または−CHCH−であり、
およびRは、同一であるかまたは異なり、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルであり、これは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよいか、
または、
およびRは、相互に結合して、それらが結合している窒素原子と一体となって、5員または6員の飽和複素環を形成しており、これは、NおよびOからなる群からのさらなる環内ヘテロ原子を含有してもよく、(C−C)−アルキル、アミノ、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群からの同一であるかまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
は、水素、または、天然αアミノ酸またはそのホモログもしくは異性体の側鎖の基であるか、
または、
は、Rに結合しており、この2つが、それらが結合している原子と一体となって、5員または6員の飽和複素環を形成しており、これは、(C−C)−アルキル、アミノ、ヒドロキシルおよび(C−C)−アルコキシからなる群からの同一であるかまたは異なる置換基により一置換または二置換されていてもよく、
は、水素またはメチルであり、
は、結合または直鎖の(C−C)−アルカンジイルもしくは(C−C)−アルケンジイルであり、これらは、(C−C)−アルキル、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノおよびジ−(C−C)−アルキルアミノからなる群から選択される4個までの同一であるかまたは異なるラジカルにより置換されていてもよく、
ここで、(C−C)−アルキルは、ヒドロキシル、(C−C)−アルコキシ、アミノ、モノ−(C−C)−アルキルアミノまたはジ−(C−C)−アルキルアミノにより置換されていてもよく、
かつ/または、
上述の(C−C)−アルキルラジカルの2個は、相互に結合し、それらが結合している炭素原子と一体となって、3員ないし6員の飽和炭素環を形成していてもよく、それは、アミノ、ヒドロキシルまたは(C−C)−アルコキシにより置換されていてもよい}
の基であり、
そして、
は、水素、または、式
【化3】

{式中、
#は、N原子への結合点を意味し、
nは、1、2、3または4の数であり、
そして、
およびRは、相互に独立して、水素または(C−C)−アルキルである}
の基である]
の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項2】
式中、
が、式
【化4】

{式中、
*は、O原子への結合点を意味し、
は、結合、−CH−または−CHCH−であり、
およびRは、相互に独立して、水素またはメチルであるか、
または、
およびRは、相互に結合して、それらが結合している窒素原子と一体となって、ピロリジノ、ピペリジノまたはモルホリノ環を形成しており、
は、水素、メチル、プロパン−2−イル、プロパン−1−イル、ブタン−1−イル、ベンジル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、1−ヒドロキシエチル、2−カルボキシエチル、4−アミノブタン−1−イル、3−アミノプロパン−1−イル、2−アミノエチル、アミノメチルまたは3−グアニジノプロパン−1−イルであるか、
または、
は、Rに結合しており、この2つが、それらが結合している原子と一体となって、ピロリジンまたはピペリジン環を形成しており、
は、水素であり、
は、メチレン、1,2−エチレン、1,3−プロピレンまたはエテン−1,2−ジイルであり、ここで、1,2−エチレンおよび1,3−プロピレンは、各々アミノにより置換されていてもよい}
の基であり、
そして、
は、水素、または、式
【化5】

{式中、
#は、N原子への結合点を意味し、
nは、1、2または3の数であり、
そして、
およびRは、相互に独立して、水素またはメチルである}
の基である、
請求項1に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項3】
式中、
が、式
【化6】

{式中、
*は、O原子への結合点を意味し、
は、結合であり、
およびRは、相互に独立して、水素またはメチルであり、
は、水素、メチル、プロパン−2−イル、プロパン−1−イル、ブタン−1−イル、イミダゾール−4−イルメチル、ヒドロキシメチル、4−アミノブタン−1−イル、3−アミノプロパン−1−イル、2−アミノエチル、アミノメチルまたは3−グアニジノプロパン−1−イルであり、
そして、
は、水素である}
の基であり、
そして、
が、水素である、
請求項1または請求項2に記載の式(I)の化合物、または、その塩、溶媒和物もしくは塩の溶媒和物。
【請求項4】
が水素である請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の式(I)の化合物の製造方法であって、
[A]化合物(A)
【化7】

を、不活性溶媒中、塩基の存在下、塩化ホスホリルと反応させ、続いて、水と共に加熱することにより、式(I−A)
【化8】

の化合物に変換する、
または、
[B]化合物(A)を、不活性溶媒中、式(II)
【化9】

(式中、Lは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物と、(II)のカルボキシル基を活性化してカップリングし、式(III)
【化10】

(式中、Lは、上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、tert−ブチルエステル基を、酸を利用して切り離し、式(I−B)
【化11】

(式中、Lは、上記の意味を有する)
の化合物を得る、
または、
[C]化合物(A)を、不活性溶媒中で、式(IV)
【化12】

(式中、L、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有し、
そして、R1aおよびR2aは、同一であるかまたは異なり、各々請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のRおよびRの意味を有するか、または、一時的なアミノ保護基である)
の化合物と、(IV)のカルボキシル基を活性化してカップリングし、式(V)
【化13】

(式中、L、R1a、R2a、RおよびRは、上記の意味を有する)
の化合物を得、次いで、存在する保護基を除去し、式(I−C)
【化14】

(式中、L、R、R、RおよびRは、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の意味を有する)
の化合物を得、得られる式(I−A)、(I−B)および(I−C)の化合物を、各々、必要に応じて、適当な(i)溶媒および/または(ii)酸もしくは塩基により、それらの溶媒和物、塩および/または塩の溶媒和物に変換することを特徴とする、方法。
【請求項5】
疾患の処置および/または予防のための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物。
【請求項6】
心血管障害の処置および/または予防用の医薬を製造するための、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物を、必要に応じて1種またはそれ以上の不活性、非毒性の医薬的に適する補助剤と組み合わせて含む、医薬。
【請求項8】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物を、1種またはそれ以上のさらなる有効成分と組み合わせて含む、医薬。
【請求項9】
心血管障害の処置および/または予防のための、請求項7または請求項8に記載の医薬。
【請求項10】
少なくとも1種の請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の化合物または請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の医薬を使用することによる、ヒトまたは動物における心血管障害の処置および/または予防方法。

【公表番号】特表2010−534695(P2010−534695A)
【公表日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518542(P2010−518542)
【出願日】平成20年7月23日(2008.7.23)
【国際出願番号】PCT/EP2008/006028
【国際公開番号】WO2009/015812
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(507113188)バイエル・シェーリング・ファルマ・アクチェンゲゼルシャフト (141)
【氏名又は名称原語表記】Bayer Schering Pharma Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】