説明

2次元ペン配列を有する並列リソグラフィのための物品

カンチレバーおよび材料の表面への探針を用いた移動を含む2次元配列を使用する高分解能および高品質の高速での、構造およびナノ構造の大規模並列印刷。配列は、探針だけが表面に接触するように設計されている。これは、長い探針および屈曲されたカンチレバーおよび整列によって達成されることができる。配列が複数の基底行を含み、各基底行が複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが基底から離れたカンチレバー端において探針を含み、カンチレバーの数が250よりも多く、かつ探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、複数のカンチレバーの2次元配列と、配列のための支持体とを含む、物品。組み合わせの配列および生物配列が調製されることができる。配列は、微細機械加工法によって製造されることができる。


【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
背景
Dip-Pen Nanolithographic(登録商標)(DPN)(登録商標)印刷は、少なくとも一部の態様において、例えば50nm以下から何マイクロメートルまでの長さスケールで表面をパターン形成するための原子間力顕微鏡(AFM)の探針(tip)のような、コーティングされた鋭い探針を使用する走査プローブベースの技術としてさまざまな態様で開発されてきた(例えば、Piner et al. Science 283, 661-663(1999)(非特許文献1)を参照のこと)。そのさまざまな態様におけるこの新規の印刷技術は、ソフトマターの高分解能の走査プローブとの適合性とAFM法とを組み合わせることができ、それにより、分子電子工学から生物医学に至る範囲のさまざまな分野においてミクロパターン化基板およびナノパターン化基板を使用する他とは異なる機会を提供する。しかし、商業利用の一部の用途についてのDPN印刷における障害は、その比較的低い処理能力(例えば、Hong et al. Science 288, 1808-1811(2000)(非特許文献2); Salaita et al. Small 1, 940-945(2005)(非特許文献3)を参照のこと)、概して走査プローブリソグラフィの分野に伴う制限(例えば、Gates et al. Chem. Rev. 105, 1171-1196(2005)(非特許文献4); Tseng et al., J. Vac. Sci & Tech. B 23, 877-894(2005)(非特許文献5)を参照のこと)である。特にDPN法は、並列的方法というより逐次的方法として一般的に使用されており、個別にアドレス指定されたフィードバックシステムから生じる指数関数的複雑性およびコストが、そのアクセス可能性およびパターン形成の速度を制約し得る。従って、DPN法の簡易性を維持しながらその処理能力を改善する商業的必要性が存在する。
【0002】
多くの場合、パターン形成化合物または材料を表面に移すため、1つの機器について一つのペンを使用するリソグラフィが今日まで実施されてきた。しかし、1つの機器上で複数のペンが並列的に動作する複数ペンシステムを使用する1つのアプローチがある。例えば、Mirkinらの国際公開公報第00/41213号(特許文献1)は、カンチレバー配列およびナノリソグラフ適用の説明についてのQuateら(Stanford)の米国特許第5,666,190号(特許文献2)を参照して、単一の装置を有する複数の探針の使用を記載する。また、Mirkinらの国際公開公報第01/91855号(特許文献3)は、8個の探針についての直線配列が探針のより大きいウェハブロックから得られ、セラミック探針キャリアに備え付けられ、かつ、エポキシ接着剤を使用してAFM探針ホルダに備え付けられた複数の探針についての実施例を記載する。
【0003】
Salatiaら Small, 2005, 1 , No. 10, 940-945(非特許文献3)は、250ペン配列、26ぺン配列、および26ぺン配列のブロックを有する並列印刷を記載する。Liuらの米国特許第6,642,129号(特許文献4)は、直線配列および2次元配列を含むナノリソグラフィ用の並列個別アドレス指定可能プローブを記載する。Angew. Chem. Int. Ed. 43, 30-45 (2004)(非特許文献6))のGingerらによる総説は、10,000ペンシステムを記載する。
【0004】
4インチ径ウェハあたり120万個のペンを有するシステムを含む大規模並列ナノ配列プラットフォームが、注目されている。例えば、Demers et al., Genetic Engineering News, vol. 23, no. 15, September 1, 2003, 32(非特許文献7)を参照のこと。
【0005】
並列プローブはIBMによって開発もされている。例えば、Vettiger et al.,IBMJ. Res. Dev. 2000, 44, 323(非特許文献8)、King et al.,J. Microelectromech Syst. 2002, 11, 765(非特許文献9)を参照のこと。また、Binnig et al.の米国特許第5,835,477号(特許文献5)を参照のこと。
【0006】
しかし、例えば2次元配列を含む限定された空間において多数のペンを作製することに、および印刷処理を制御するため、より大きいまたは特製の機器にペンを適用する際に伴う困難を鑑みて、このアプローチを改善する必要がなお存在する。例えば大量のカンチレバーおよび探針の水平出しおよび整列は技術的難問である。できるだけ多くのペンが使用可能であるように、ペンは効率的に生産されなければならない。製作は利便的であるべきであり、ペンは、さまざまなパターン形成化合物および材料を伴う商用利用のために頑丈でなければならない。ナノ構造を含む高速のパターン形成構造が、高い分解能および位置合わせにおいて必要である。パターン形成用に複数ペンシステムが使用されている一方で、接触によって生成されたドットの数は、典型的にはペンの数と同じである。そうでなければ、2組のドット間で位置合わせが存在しない。さらに良好な位置合わせおよび整列を含む大型ペンシステムの書き込み能力をさらに充分に実証する必要性が存在する。
【0007】
【特許文献1】国際公開公報第00/41213号
【特許文献2】米国特許第5,666,190号
【特許文献3】国際公開公報第01/91855号
【特許文献4】米国特許第6,642,129号
【特許文献5】米国特許第5,835,477号
【非特許文献1】Piner et al. Science 283, 661-663(1999)
【非特許文献2】Hong et al. Science 288, 1808-1811(2000)
【非特許文献3】Salaita et al. Small 1, 940-945(2005)
【非特許文献4】Gates et al. Chem. Rev. 105, 1171-1196(2005)
【非特許文献5】Tseng et al., J. Vac. Sci & Tech. B 23, 877-894(2005)
【非特許文献6】Ginger et al. Angew. Chem. Int. Ed. 43, 30-45 (2004)
【非特許文献7】Demers et al., Genetic Engineering News, vol. 23, no. 15, September 1, 2003, 32
【非特許文献8】Vettiger et al.,IBMJ. Res. Dev. 2000, 44, 323
【非特許文献9】King et al.,J. Microelectromech Syst. 2002, 11, 765
【発明の開示】
【0008】
概要
本発明は、複数の異なる態様を含む。
【0009】
例えば、1つの態様は、カンチレバーが、カンチレバー端において探針を含み、探針が実質的に平坦な表面と接触される場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている、複数のカンチレバーの2次元配列を含む。
【0010】
別の態様は、(i)配列が複数の基底行(base row)を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが基底行から離れたカンチレバー端において探針を含み、探針が実質的に平坦な表面と接触する場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている、複数のカンチレバーの2次元配列と、(ii)配列のための支持体とを含む物品を含む。
【0011】
別の態様は、(i)配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが、基底行から離れたカンチレバー端において探針を含み、探針が実質的に平坦な表面と接触する場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている複数のカンチレバーの2次元配列を含む物品を含む。
【0012】
別の態様において、本発明は、配列が複数の基底行を含み、各基底行が複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが、基底から離れたカンチレバー端において探針を含み、かつ探針がカンチレバーに対して少なくとも例えば4μmの頂点の高さを有する複数のカンチレバーの2次元配列と、配列のための支持体とを含む物品を提供する。
【0013】
別の態様は、配列が複数の基底行を含み、各基底行が複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが、基底から離れたカンチレバー端において探針を含み、ならびに探針がカンチレバーの探針側で金属でコーティングされており、かつカンチレバーがその基底から少なくとも例えば10°の角度で曲げられている複数のカンチレバーの2次元配列を含む物品を提供する。
【0014】
別の態様において、本発明は例えば、複数のカンチレバーの2次元配列と配列のための支持体とを含む物品を作製する方法であって、(i)端部に探針を含む複数のカンチレバーを含む2次元配列を形成し、カンチレバーが犠牲支持構造に支持されている工程と、(ii)複数のカンチレバーを含む2次元配列への結合に適合されている複数の基底行を含む配列支持体を形成する工程と、(iii)カンチレバーを基底行に結合する工程と、(iv)支持構造を除去してカンチレバーを解放し、かつ配列を形成する工程とを含む方法を提供する。
【0015】
なおさらに、別の態様は、(1)カンチレバーの2次元配列を微細機械加工し、カンチレバーを支持し、かつカンチレバーを動きのため機器に連結することもできる装置に結合するようにカンチレバーが適合されている工程と、(2)カンチレバーを装置に結合する工程とを含む方法である。
【0016】
また、マイクロメートルスケールおよびナノメートルスケールの構造の加工を含む、2次元配列および支持構造を含む機器ならびに機器を構築し使用する方法も提供される。
【0017】
また、本明細書に記載された配列、装置、および機器から作製されたパターン化基板も提供される。
【0018】
また、例えば、毎分少なくとも100,000または少なくとも1,000,000のナノ構造を含むナノ構造の高速パターン形成のための方法も提供される。
【0019】
好ましい態様において、例えば大きい平方センチメートル面積に関して100nm以下の分解能を有する金基板をパターン形成するための並列DPN印刷実験に関し、新規の55,000ペンの2次元配列の使用による処理能力限界に対する解決が提供される。
【0020】
大面積に関する並列走査プローブリソグラフィへのこの新規のアプローチは、独立フィードバックシステムを有する直線および2次元カンチレバー配列の製造に注目した他の研究と、制御された酸化(例えば、Minne et al. J. Vac. Sci & Tech. B 14, 2456-2461(1996); Minne et al. Appl. Phys. Lett. 73, 1742-1744(1998)を参照のこと)または基礎基板の溶解(例えば、Vettiger et al. IEEE Trans. Nanotechnology 1, 39-55 (2002)を参照のこと)について対比されることができる。
【0021】
特に、フィードバックが使用されない場合、分子ベースのインクで表面をパターン形成する能力と結びつけられたフィードバックシステムの欠如は、例えば、柔軟な有機材料および硬質の無機材料の両方に関する高処理能力ナノ加工の実験および市販化のために、この大規模並列DPN能力を大変利用しやすくかつ魅力的にすることができる。これは例えば、所望のナノ構造または特定のタイプのナノパターン化された基板の構造および複製物の組み合わせライブラリーを作製するために特に有用である。
【0022】
詳細な説明
序論/DPN印刷
好ましい態様を詳細に参照し、その実施例を添付の図面に示す。本発明の多くの様相を好ましい態様と共に説明するが、それらは、本発明をそのような態様に限定することを意図しないことが理解されよう。反対に、本発明は、添付の特許請求の範囲によっておよびそれらの均等物によって規定される本発明の精神および範囲内に含まれ得る代替物、修正物、および均等物に及ぶことが意図されている。
【0023】
2006年4月19日出願のMirkinらの優先の米国特許仮出願第60/792,950号は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0024】
本明細書に記載したさまざまな態様の実施のため、リソグラフィ機器、マイクロリソグラフィ機器、およびナノリソグラフィ機器、ペン配列、能動(active)ペン、受動(passive)ペン、インク、パターン形成化合物、キット、インク送達、ソフトウェア、ならびに直記式(direct-write)印刷およびパターン形成のためのアクセサリーが、NanoInk, Inc., Chicago, IL.から入手可能である。ソフトウェアは、リソグラフィ設計および制御のためのユーザーインターフェイスを提供するINKCADソフトウェア(NanoInk, Chicago, IL)を含む。Eチャンバ(E-Chamber)が環境制御のために使用されることができる。Dip Pen Nanolithography(商標)およびDPN(商標)は、NanoInk, Inc.の商標である。
【0025】
カンチレバー、探針、およびパターン形成化合物の使用を伴う直記式印刷に関する以下の特許および同時係属中の出願は、その全体が参照により本明細書に組み入れられ、インク、パターン形成化合物、ソフトウェア、インク送達装置および同様のものを含む本明細書に記載のさまざまな態様の実施において使用されることができる。
1.Mirkinらの米国特許第6,635,311号は、インク、探針、基板、および他の計装パラメータおよびパターン形成法を含むDPN印刷の基本的局面を記載する。
2.Mirkinらの米国特許第6,827,979号は、ソフトウェア制御、エッチング手順、ナノプロッタ、および複雑かつ組み合わせ的な配列形成を含むDPN印刷の基本的局面をさらに記載する。
3.2002年9月5日に公開された米国特許出願公開第2002/0122873 Al号("Nanolithography Methods and Products Produced Therefor and Produced Thereby")は、DPN印刷のアパーチャ(aperture)態様および駆動力態様を記載する。
4.2003年2月14日出願のEbyらの正式の米国特許出願第10/366,717号("Methods and Apparatus for Aligning Patterns on a Substrate")は、DPN印刷のための整列方法を記載する(2003年10月2日に2003/0185967として公開)。
5.2003年2月28日出願のDupeyratらの正式の米国特許出願第10/375,060号("Nanolithographic Calibration Methods")は、DPN印刷のための較正法を記載する。
6.2003年4月10日に公開されたMirkinらの米国特許出願公開第2003/0068446号("Protein and Peptide Nanoarrays")は、タンパク質およびペプチドのナノ配列を記載する。
7.2002年12月2日に出願されたMirkinらの正式の米国特許出願第10/307,515号 ("Direct-Write Nanolithographic Deposition of Nucleic Acids from Nanoscopic Tips")は、核酸パターン形成を記載する(2003年6月12日に公開されたPCT /US2002/038252)。
8.2002年12月17日出願のMirkinらの正式の米国特許出願第10/320,721号("Patterning of Solid State Features by Direct-Write Nanolithographic Printing")は、反応性パターン形成およびゾルゲルインクを記載する(現在2003/0162004として2003年8月28日に公開されている)。
9.Liuらの米国特許第6,642,129号および米国特許第6,867,443号("Parallel, Individually Addressible Probes for Nanolithography")は、能動ペン配列を記載する。
10.2003年1月9日に公開されたSchwartzの米国特許出願公開第2003/0007242号("Enhanced Scanning Probe Microscope and Nanolithographic Methods Using Same")
11.2003年1月9日に公開されたSchwartzの米国特許出願公開第2003/0005755号("Enhanced Scanning Probe Microscope")
12.2003年8月11日に出願され、現在2004/0101469として公開されている米国特許出願第10/637,641号は、触媒ナノ構造およびカーボンナノチューブの用途を記載している。
13.現在2004/0026681として2004年2月12日に公開されている2003年5月23日出願の米国特許出願第10/444,061号および2004年1月15日に公開されている米国特許出願公開第2004/0008330号は、タンパク質および導電性ポリマーの印刷をそれぞれ記載している。
14.現在は米国特許第7,005,378号である2003年8月26日に出願された米国特許出願第10/647,430号は、パターン形成化合物として導電性材料を記載している。
15.現在2004/017563として2004年9月9日に公開されている2003年10月21日出願の米国特許出願第10/689,547号は、フォトマスク修復を含むマスク用途を記載している。
16.現在2005/0035983として2005年2月17日に公開されている2003年11月12日に出願された米国特許出願第10/705,776号は、ミクロ流体力学およびインク送達を記載している。
17.現在2005/0009206として2005年1月13日に公開されている2004年3月1日出願の米国特許出願第10/788,414号は、ペプチドおよびタンパク質の印刷を記載している。
18.現在2005/0272885として2005年12月8日に公開されている2004年7月19日に出願された米国特許出願第10/893,543号は、ROMP法および組み合わせ配列を記載している。
19.現在2005/0255237として2005年11月17日に公開されている2005年2月14日出願の米国特許出願第11/056,391号は、スタンプ探針(stamp tip)またはポリマーコーティングされた探針用途を記載している。
20.現在2005/0235869として2005年10月27日に公開されている2005年2月25日出願の米国特許出願11/065,694号は、探針無しカンチレバーおよびフラットパネルディスプレイ用途を記載している。
21.2006年1月19日に公開された米国特許出願公開第2006/001,4001号は、DPN法によって作製されたナノ構造のエッチングを記載している。
22.2004年12月2日に公開されたLiuとMirkinの国際公開公報第2004/105046号は、接触印刷のための走査プローブを記載している。
【0026】
上記の1〜20において引用された全ての参照文献は参照によって組み込まれ、その教示は、本明細書に記載のさまざまな態様を伴う使用に適合されることができる。
【0027】
DPN法は、Gingerらの"The Evolution of Dip-Pen Nanolithography," Angew. Chem. Int. Ed. 2004, 43, 30-45にも記載され、高い処理能力の並列法の説明を含んでいる。
【0028】
DPN印刷およびパターン転送(pattern transfer)法を含む直記法は、例えばDirect-Write Technologies, Sensors, Electronics, and Integrated Power Sources, Pique and Chrisey (Eds), 2002に記載されている。
【0029】
本明細書に記載した直記ナノリソグラフィ機器および方法は、ペプチド、タンパク質、核酸、DNA、RNA、ウィルス、生体分子および同様のものに基づく生物的配列、ナノ配列、およびミクロ配列の調製における使用のために特に対象となる。例えば、チップおよびライブラリーの大量製作についての米国特許第6,787,313号、ピペットチップを使用して自動化された分子生物学実験についての第5,443,791号、薬学的用途における分子配列の自動化された合成のための機械についての第5,981,733号を参照のこと。組み合わせの配列が調製されることができる。例えばHendersonらの米国特許第7,008,769号、米国特許第6,573,369号、および米国特許第6,998,228号も参照のこと。
【0030】
走査プローブ顕微鏡法は、Bottomley, Anal. Chem., 1998, 70, 425R-475Rに概説されている。また例えば米国特許第5,705,814号(Digital Instruments)に記載されたプローブ交換機構を含む走査プローブ顕微鏡は、当技術分野において公知である。
【0031】
2次元配列
1つの態様は、(i)配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが、基底行から離れたカンチレバー端において探針を含み、探針が実質的に平坦な表面に接触する場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている複数のカンチレバーの2次元配列と、(ii)配列のための支持体とを含む物品である。1つの特定の態様が、限定されない実施例および図で説明される。
【0032】
1つの態様は、(i)配列が複数の基底行を含み、各基底行が複数のカンチレバーを含み、カンチレバーのそれぞれが、基底から離れたカンチレバー端において探針を含み、カンチレバーの数が250よりも多く、探針がカンチレバーに対して少なくとも例えば4μmの頂点の高さを有する複数のカンチレバーの2次元配列と、(ii)配列のための支持体とを含む物品も提供する。1つの特定の態様が、限定されない実施例および図で説明される。
【0033】
別の態様は、配列が複数の基底行を含み、各基底行が複数のカンチレバーを含み、カンチレバーのそれぞれが、基底から離れたカンチレバー端において探針を含み、カンチレバーの数が250よりも多く、ならびにカンチレバーの探針側で探針が金属でコーティングされ、かつカンチレバーが、その基底から例えば少なくとも10°の角度で曲げられている複数のカンチレバーの2次元配列を含む物品を提供する。1つの特定の態様が、限定されない実施例および図で説明される。
【0034】
カンチレバーの2次元配列は、当技術分野において公知である。例えば2次元配列は、好ましくは実質的に互いに直交する、長さおよび幅を提供する一連の行および列であり得る。配列は、第1の次元および第2の次元を含むことができる。2次元配列は、第2の次元を構築するために隣どうしに配列された一連の1次元配列であることができる。2次元は垂直であることができる。カンチレバーは、自由端および束縛端を含むことができる。カンチレバーは、束縛端から遠位の自由端にまたはその近くに探針を含むことができる。一行のカンチレバーは、次の行上のカンチレバーと同じ方向に向けることができるか、または一行のカンチレバーは、次の行上のカンチレバーと対向する方向に向けることができる。
【0035】
2次元配列は、各部分が2次元でパターン形成され、かつ2次元において互いに接合されるように適合されている面を有している、2つの部分を組み合わせることで作製されることができる。
【0036】
1つの重要な変数は、意図された目的のために実際に機能することができる配列におけるカンチレバーの割合またはパーセンテージである。場合によっては、一部のカンチレバーは不完全に形成され得るかまたは形成後に別に損傷され得る。カンチレバー歩留まりは、使用可能なカンチレバーのこのパーセンテージを反映する。好ましくは、配列は、少なくとも75%の、もしくは少なくとも80%の、もしくは少なくとも90%の、もしくは少なくとも95%の、またはさらに好ましくは、少なくとも98%の、またはさらに好ましくは少なくとも99%のカンチレバー歩留まりを特徴とする。カンチレバー歩留まりを特徴づける際に、内部カンチレバーと比較してエッジの処理によって損傷されている行の端部におけるカンチレバーは無視されてもよい。例えば中央の75%が測定されることができる。ウェハ製作においてエッジ効果が公知であるので、多くの場合、製作は、エッジよりも中央においてさらに良好になされるであろう。中央からエッジに移動するため、場合によっては欠陥密度が増加することがある。
【0037】
探針が実質的な平坦な表面に接触する場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列は適合されることができる。例えばカンチレバーアームは、表面に接触すべきではなく、従って例えば屈曲によるなどで適合されることができる。この探針は、例えば長い探針を含んで、これにも適合されることができる。この結果を達成するために有用であり得る要因は、長い探針の使用、カンチレバーアームの屈曲、探針水平出し、行水平出し、および全次元におけるカンチレバーの水平出しを含む。1つまたは複数の要因の組み合わせが使用されることができる。
【0038】
カンチレバー探針は、当技術分野において通常よりも長くても良い。例えば探針は、カンチレバーに対し平均して少なくとも4μmの頂点の高さを有することができ、かつ所望の場合は、探針は、カンチレバーに対し平均して少なくとも7μmの頂点の高さを有することができる。さらに探針の頂点の高さは、少なくとも10μm、または少なくとも15μm、または少なくとも20μmであってもよい。特定の上限は存在せず、当技術分野において公知の技術および改善が使用されることができる。この長い長さは、探針のみが表面に接触することを確実するのを助けることができる。頂点の高さは、多くの探針頂点の高さの平均として取られることができ、通常は頂点の高さは、実質的に探針毎に変わらないように設計される。実施例に示した方法を含む、当技術分野において公知の方法が、探針の頂点の高さを計測するために使用されることができる。
【0039】
配列に対するパラメータを計測する際に、平均計測が使用されることができる。平均計測は、例えば代表的な画像または顕微鏡写真の概説を含む当技術分野において公知の方法によって得られることができる。全体の配列は、非現実的であり得るので計測不要である。
【0040】
探針無しカンチレバーは、好ましい態様ではないが一部の態様において使用されることができる。例えば1つの態様は、(i)配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、カンチレバーのそれぞれが探針無しカンチレバーであり、カンチレバーがその基底から傾いて曲げられている複数のカンチレバーの2次元配列を含む物品を提供する。
【0041】
さらに、カンチレバーは、パターン化される面の方への屈曲を含んで曲げられることができる。当技術分野において公知の方法が、屈曲を生じさせるために使用されることができる。カンチレバーは、基底および支持体から離れ傾いて曲げられることができる。カンチレバーは、カンチレバーの屈曲に適合された複数層を含むことができる。例えば、異なる熱膨張またはカンチレバーバイモルフがカンチレバーを曲げるために使用されることができる。カンチレバー屈曲は、少なくとも2つの異なる材料を使用して、引き起こされることができる。あるいは同じものであるがカンチレバー屈曲を提供する応力が異なる材料が使用されることができる。別の方法は、1つの材料を含むカンチレバー上に、同じものであるが内在する応力勾配を有する材料の第2の層を堆積することである。あるいはカンチレバーの表面が酸化されてもよい。カンチレバーは、例えばその基底から少なくとも5°の、もしくはその基底から少なくとも10°の角度で、またはその基底から少なくとも15°の角度で曲げられることができる。これを測定するために、実施例において示した方法を含む、当技術分野において公知の方法が使用されることができる。角度に対する平均値が使用されることができる。カンチレバーは平均して、約10μmから約50μmまで、または約15μmから約40μmまで曲げられることができる。屈曲のこの距離は、実施例において示した方法を含む、当技術分野において公知の方法によって計測されることができる。平均距離が使用されてもよい。例えば約±20μmもしくはそれ未満または約±10μmもしくはそれ未満の整合ずれが補正されることができるように、屈曲は、基板のあらさおよび形態ならびに配列内での探針の整合ずれにより大きな裕度をもたらし得る。
【0042】
屈曲を容易にするため、カンチレバーは、2つの主層および任意の接着層のような複数層を含むことができ、例えばバイモルフカンチレバーであることができる。カンチレバーの探針側において、カンチレバーは金属または金属酸化物でコーティングされることができる。カンチレバーを熱で曲げることを助ける際に金属または金属酸化物が有用である限り、金属は特に限定されない。例えば金属は、金のような貴金属であってもよい。
【0043】
好ましい態様において、カンチレバーが、表面に向かって曲げられ、かつ画像化のためだけに使用される探針に比べて通常よりも長い探針を含みもするように、配列は適合されることができる。
【0044】
探針は、使用前に作製され、かつとがらせて、かつ例えば100nm未満の平均曲率半径を有することができる。平均曲率半径は、例えば10nmから100nmまで、または20nmから100nmまで、または30nmから90nmまでであることができる。探針の形状は、例えばピラミッド形、円錐形、楔形、および箱形を含めて変更されることができる。探針は、中空探針であってもよく、または中空探針を含む孔と探針の端部へと至る微小流体のチャンネルを有して微細加工を介して形成された開口探針(aperture tip)とを含んでもよい。流体材料は、探針の端部において格納されることができるか、または探針を介して流れることができる。
【0045】
探針形状は変更されることができ、かつ例えば中実探針または中空探針であることができる。Hendersonらの国際公開公報第2005/115630号(PCT/US2005/014899)は、本明細書において使用され得る表面に材料を堆積するための探針形状を記載されている。
【0046】
2次元配列は、各2次元(例えば、長さ次元および幅次元)における探針間隔を特徴とすることができる。探針間隔は、例えば探針配列を製造する方法から選び取られるか、または製造された配列から直接に観察されることができる。探針間隔は、高密度の探針およびカンチレバーを提供するように設計されることができる。例えば探針密度は、少なくとも平方インチあたり10,000、または少なくとも平方インチ当たり40,000、または少なくとも平方インチ当たり70,000であってもよい。配列は、2次元配列の第1の次元において300μm未満の探針間隔、かつ2次元配列の第2の次元において300μm未満の探針間隔を特徴とすることができる。さらに高い密度を達成するため、探針間隔は、例えば1次元において約200μm未満であり、かつ別の次元において、約100μm未満または約50μm未満であってもよい。あるいは探針間隔は、1次元において例えば100μm未満であり、第2の次元において25μm未満であってもよい。配列は、2次元配列のうちの少なくとも1次元において100μmまたはそれ未満の探針間隔を特徴とすることができる。1つの態様において、探針間隔は、1次元において約70μmから約110μmまでであり、かつ第2の次元において約5μmから約35μmまでであることができる。製作方法は徐々により密の探針間隔を可能にするであろうから、探針間隔に関しては特定の下限が存在しない。下限の例は、1μm、または5μm、または10μmを含むので、例えば、探針間隔は、1μmから300μmまで、または、1μmから100μmまでであってもよい。
【0047】
2次元配列上のカンチレバーの数は特に限定されないが、少なくとも約3個、少なくとも約5個、少なくとも約250個、または少なくとも約1,000個、または少なくとも約10,000個、または少なくとも約50,000個、または少なくとも約55,000個、または少なくとも約100,000個、または約25,000個から約75,000個までであることができる。この数は、パターン形成のための特定の機器および空間制約に許容される量まで増加され得る。例えば製作の容易性、量および特定の密度の必要性のような特定用途の比較検討について適切なバランスが達成されることができる。
【0048】
探針は、常に表面に接触するための整合的な間隔を有するように設計されることができる。例えばそれぞれの探針は、探針端部から支持体に至る距離Dを特徴とすることができ、探針配列は、探針端部から支持体の平均距離D'を特徴とし、かつ少なくとも90%の探針について、Dは、D'との差が50μm以内である。別の態様において、少なくとも90%の探針について、Dは、D'との差が10μm以内である。探針端部と支持体との間の距離は、例えば、約10μmから約50μmまでであることができる。この距離は、例えば、基底行の高さ、屈曲の距離、および探針の高さの追加的な組み合わせを含むことができる。
【0049】
基底行長は特に限定されない。例えば基底行は、少なくとも約1mmの平均長を有することができる。基底行についての平均長は、例えば約0.1mmから約30mmまで、または約0.1mmから約15mmまで、または約0.1mmから約5mmまで、または約0.5mmから約3mmまでであってもよい。
【0050】
基底行は、少なくとも約5μmの支持体に対しての高さを有することができる。この高さは、特に限定されないが適切なカンチレバー屈曲を伴う使用に適合されることができる。
【0051】
カンチレバーの力の定数は特に限定されない。例えばカンチレバーは、例えば、約0.001N/mから約10N/mまでの平均の力の定数を、またはその代わりに約0.05N/mから約1N/mまでの平均の力の定数を、あるいは約0.1N/mから約1N/mまで、または約0.1N/mから約0.6N/mまでの平均の力の定数を有することができる。
【0052】
さまざまな方法が、カンチレバーを基底に結合するため使用されることができ、かつ方法は特に限定されない。結合方法は、例えば、Madou, Fundamentals of Microfabrication, 2nd Ed.,. pages 484-494に記載され、これは、例えば、陽極接合、静電結合、またはマロリー法(Mallory process)としても公知のフィールド補助(field assisted)熱結合を記載する。低い処理温度を提供する方法が使用されてもよい。例えばカンチレバーは、非接着性の結合によって基底に束縛されることができる。結合例は、静電結合、フィールド補助熱結合、シリコン融解結合、中間層を伴う熱結合、共晶接合、金拡散結合、金熱圧着結合、接着結合、およびガラスフリット結合を含む。
【0053】
カンチレバーは、力のフィードバックを含むフィードバックに適合されないように設計されることができる。あるいは少なくとも1つのカンチレバーが、力のフィードバックを含むフィードバックに適合されてもよい。または実質的に全てのカンチレバーが、力のフィードバックを含むフィードバックに適合されてもよい。例えば90%を超える、または95%を超える、または99%を超えるカンチレバーが、力のフィードバックを含むフィードバックに適合されてもよい。
【0054】
カンチレバーは、静電結合により基底に留められることができる。
【0055】
カンチレバーは、例えばシリコン、多結晶シリコン、窒化ケイ素、またはシリコンを多量に含んだ窒化物(silicon-rich nitride)を含む、AFMプローブにおいて使用された材料から作製されることができる。カンチレバーは、長さ、幅、および高さまたは厚みを有することができる。長さは、例えば約10μmから約80μmまで、または約25μmから約65μmまでであることができる。幅は、例えば5μmから約25μmまで、または約10μmから約20μmまでであることができる。厚みは、例えば100nmから約700nmまで、または約250nmから約550nmまでであることができる。探針無しカンチレバーは、配列、配列を作製する方法、配列を使用する方法において使用されることができる。
【0056】
カンチレバーは、基底行上で支持されることができ、かつ基底行は配列のためのより大きい支持体上に支持されることができる。基底行は、配列のためのより大きい支持体から延びることができる。配列支持体は、約2平方センチメートルまたはそれ未満、またはその代わりに約0.5平方センチメートルから約1.5平方センチメートルまでである表面積を特徴とすることができる。サイズは、機器と連結するため必要に応じて調整され得る。
【0057】
配列は、受動ペンまたは能動ペンの使用に適合されることができる。各探針の制御は、例えば、圧電性、容量性、または熱電性作動によって実施され得る。
【0058】
配列は、探針コーティングおよびインク送達の統合に適合されることができる。例えば探針のインク付けおよびコーティングを制御するために微小流体が使用されることができる。中空探針の態様については、探針は装置に浸されるか、またはインクが直接探針の内部領域を介して送達されることができる。
【0059】
探針は、パターン形成化合物またはインク材料でコーティングされることができる。コーティングは、特に限定されず、パターン形成化合物またはインク材料が、探針端部に配置されることができる。パターン形成化合物および材料は、ナノリソグラフィ印刷の技術分野において公知であり、かつ有機化合物および無機材料、化学的、生物学的材料、非反応性材料および反応性材料、分子化合物および粒子、ナノ粒子、自己集合した単分子層を形成する材料、可溶性化合物、ポリマー、セラミックス、金属、磁性材料、金属酸化物、主族元素、化合物および材料の混合物、導電性ポリマー、核酸材料、RNA、DNA、PNA、タンパク質およびペプチドを含む生体分子、抗体、酵素、脂質、炭化水素を、ならびにウィルスのような生物でさえも含む。序論の項で記載した参照文献は、使用され得る多くのパターン形成化合物を記載する。チオールおよび硫化物を含む硫黄含有化合物が使用されてもよい。
【0060】
探針をコーティングできる方法は、例えば溶液浸漬または真空蒸着ならびに上記の微小流体法を含み得る。2005年2月17日に2005/0035983として現在は公開されている2003年11月12日出願の米国特許出願第10/705,776号を参照のこと。
【0061】
2次元配列を作製する方法
別の態様は2次元配列を作製する方法を含む。例えば態様は、物品が、複数のカンチレバーの2次元配列と配列のための支持体とを含む、物品を作製する方法であって、(i)その終端において探針を含む複数のカンチレバーを含む2次元配列を形成し、カンチレバーが犠牲支持構造上に支持されている工程と、(ii)複数のカンチレバーを含む2次元配列に結合するために適合されている複数の基底行を含む配列支持体を形成する工程と、(iii)カンチレバーを基底行に結合する工程と、(iv)カンチレバーを解放し、かつ配列を形成するために、支持構造を除去する工程とを含む作製方法を含む。以下の限定されない実施例は、このような工程を実行するための1つの方法を提供する。図2を参照すること。図2において「静電結合」と示した構造は、パターン化されたカンチレバーを含む(パターン形成は示さず)。
【0062】
一部の態様において、探針無しカンチレバーを作製することができる。
【0063】
2次元配列と支持体とを含む物品についての上記の説明は、2次元配列を作製する方法にも当てはまる。例えば作製する方法において、探針が実質的に平坦な表面に接触している場合に、探針は、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように適合されることができる。作製する方法において、探針は、カンチレバーに対して少なくとも4μmまたは少なくとも7μmの頂点の高さを有することができる。作製する方法において、方法は、カンチレバーを支持体から離れ傾いて曲げる工程をさらに含むことができる。例えば方法は、カンチレバーを支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げる工程を含むことができる。作製する方法において、探針は、カンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有することができ、かつカンチレバーは、支持体から離れ傾いて曲げられている。また作製する方法において、探針はカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有することができ、かつカンチレバーは、支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられている。
【0064】
微細加工法は、例えばMadou, Fundamentals of Microfabrication, 2nd Ed., CRC Press, 2002;およびVan Zant, Microchip Fabrication. 5th Ed., 2004に広範に記載されている。
【0065】
加工方法の一部において、2次元配列は、微細加工および微細機械加工法によって形成されることができる。中間製品(sub-product)は、後に使用前に除去され得る犠牲支持体上に支持されたカンチレバーを含むことができる。ウェハ、酸化、パターン形成、エッチング、堆積、深堀り反応性イオンエッチング(deep reactive ion etching)(ボッシュプロセス)、およびカンチレバーおよび探針を作製するための公知の他の工程を含む微細加工工程が使用されることができる。
【0066】
加工方法の別の部分において、カンチレバーの2次元配列への結合のために適合されている配列支持体が形成される。これは、カンチレバーの2次元配列を、動きのため機器に連結するために適合されることもできる。配列支持体の表面から外へ延びる基底行は、形成され、かつ、加工されるとカンチレバーのための支持体を提供することができる。
【0067】
カンチレバーは基底行に結合されることができる。結合法の例は静電結合である。
【0068】
カンチレバーのための犠牲支持体は、カンチレバーを自由にするかまたは解放するために除去される。当技術分野において公知の方法が、この工程を実施するために使用されることができる。
【0069】
以下の実施例から図2は、そこに記載されたパラメータおよび材料が修正され得るが、加工方法を示す。例えば200nm層のシリコン酸化物は、例えば100nmから300nmまでであることができ、950℃は、例えば850℃から1050℃までであることができ、30分は、例えば15分から45分までであることができ、10μm四方の開口は、矩形である必要はなく、例えば5μmから15μmまでであることができ、400nmの窒化ケイ素層は、200nmから600nmまで、または300nmから500nmまでであることができ、200nm厚のクロム層は、例えば、100nmから300nmまでであることができ、100μmの溝(trench)は、例えば50μmから約150μmまでであることができ、8μmの凹部は、カンチレバーの自由な動きを可能とするように、例えば3μmから13μmまでであってもよい。
【0070】
実施例はまた、ペン配列を焼なますための方法を提供し、そこに記載されたパラメータは修正されることができる。例えば5nmのTi接着層は、2nm厚から20nm厚までであってもよく、かつ25nmの金層は、5nm厚から100nm厚までであってもよい。焼なまし温度は、例えば150℃から約500℃までであってもよく、焼なましのための時間は、例えば30分から250分までであってもよい。
【0071】
(1)カンチレバーを支持し、かつカンチレバーを動きのため機器に連結することもできる機器に結合するように適合されているカンチレバーの2次元配列を微細機械加工する工程と、(2)カンチレバーを装置に結合する工程とを含む方法も提供される。装置はハンドルウェハと呼ばれることができる。一方の側は、カンチレバーへの結合のためである。別の側は、より大きい機器への連結のためである。以下の実施例は、例えば、この態様も示す。
【0072】
水平出し
2次元配列の各次元における水平出しを提供するために水平が実行されることができる。水平出しは、探針のみが表面に接触するので、配列を適合することに役立つことができる。以下の実施例は、カンチレバーの2次元配列が機器に備え付けられる前の、カンチレバーの水平出しの例を提供する。例えば重力および重力に近い力が、犠牲基板上でカンチレバーを水平出しするために使用されることができる。外部の力が使用されてもよい。他の力は、特定の2次元配列に必要とされる場合に使用されてもよい。例えば力は、約0.2nN/探針から約2,000nN/探針まで、または約2nN/探針または約200nN/探針、または約20nN/探針であってもよい。犠牲基板は、可能な限り平坦に、かつ所定の用途に実用的に作製されることができる。
【0073】
接着備え付け法はまた、水平出しを改善して、所望の場合はフィードバックシステムの使用を避けることを可能とする。
【0074】
光学顕微鏡が、水平出しを容易にするために使用されてもよい。
【0075】
1つの態様は、(i)複数のカンチレバーの2次元配列を調製し、配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが、基底行から離れたカンチレバー端において探針を含む工程と、(ii)配列の探針を圧力下で犠牲基板と接触させる工程と、(iii)基板上で整列された配列を形成する工程と、(iv)整列された配列を配列の動きのために適合された機器に取り付ける工程とを含む方法を提供する。圧力は、外部からまたは重力を使用して生成されることができる。取り付けは、接着剤または機械的取り付けであることができる。方法は、配列の探針から犠牲基板を除去する工程をさらに含むことができる。
【0076】
支持された2次元配列の機器への備え付け
配列の機器への備え付けは、個別にまたは組み合わせて動作する1つまたは複数の機構によって達成されることができる。例えば備え付けは、機械的連結、摩擦嵌合、または磁気連結を使用して実施されることができる。速硬性システムおよびUV硬化性システムを含む接着剤(adhesive)およびグルー(glue)が使用されてもよい。間隙充填剤または空間充填剤としてのその使用を含むエポキシ接着剤を以下に記載する。
【0077】
x運動、y運動、z運動、またはx、y、z運動を含むそれらの組み合わせを提供する機器へ、支持された2次元配列を連結するため、接着備え付けが使用されることができる。高分解能パターン形成および、例えば走査プローブ機器により見られるような高分解能を可能とする動作が提供される。
【0078】
機器類はまた、ペンを静止させ、かつ基板をx運動、y運動、および/またはz運動で動かすように適合されることができる。
【0079】
好ましい態様において、結合剤は、2次元配列を機器に備え付けることと、また探針配列の水平出しを容易にもすることの両方の働きをする。
【0080】
機器
印刷機器およびパターン形成機器ならびにナノリソグラフィ機器を含む機器も提供される。画像化能力およびパターン形成能力の両方を提供する機器が使用されることができる。本明細書の方法および装置は、走査プローブおよびAFM機器類と共に使用されることができるが、機器はそのようには限定されない。小規模量の材料を表面に送達するための分配機器および器具は公知である。例えば米国特許第6,024,925号、米国特許第6,087,274号、米国特許第5,981,733号を参照のこと。
【0081】
マイクロリソグラフィおよびナノリソグラフィを含むリソグラフィ用の機器の好ましい実施例は、NanoInk(Chicago, IL)のNScriptor(商標)である。市販のAFM機器が使用されてもよい。
【0082】
機器は、Hendersonの米国特許第7,008,769号に記載されている。
【0083】
2次元配列の使用
DPNパターン形成が、序論の項の上記の参照文献および本明細書で引用した他の文献に記載されている。
【0084】
基板は、著しく高速で形成された多数のマイクロメートルスケールまたはナノメートルスケールの構造またはナノ構造を有して作製されることができる。例えば1つの重要なパラメータは、構造が形成されることができる速度である。本明細書に記載した方法を使用すると、構造は、少なくとも毎分100,000構造、または少なくとも毎分1,000,000構造の速度で、およびなおさらに少なくとも毎分2,000,000構造、およびなおさらに少なくとも毎分3,000,000構造、およびなおさらに少なくとも毎分4,000,000構造、およびなおさらに少なくとも毎分5,000,000構造、およびなおさらに少なくとも毎分10,000,000構造の速度で形成されることができる。例えば高速で形成された構造は、例えば約25nmから約500nmまでの直径、または約50nmから約200nmまでの直径を有するドット構造であり得る。構造はドットおよび円であってもよく、探針はパターン形成化合物の堆積中X−Y方向には動かされない。
【0085】
他の速度パラメータが使用されてもよい。例えば直記は、(例えば探針が例えば1um/sの速度のような適切な速度で動かされる場合は)少なくとも1.0メートル/分、または少なくとも3.3メートル/分の速度で実施されることができる。パターン形成は、毎時10,000,000平方μmで実施されることができる。速度は、場合によっては、1つのペンについて広がる拡散の速度がペンの数で乗算されて決定されてもよい。
【0086】
好ましい態様は、少なくとも毎分100,000の速度でナノ構造を直接記入し、直接記入が、その上にパターン形成化合物を有する探針を基板に接触させる工程を含む工程を含む、直記ナノリソグラフィのための方法を含む。この速度は、少なくとも毎分1,000,000、または少なくとも毎分4,000,000であってもよい。ナノ構造は、ドット、線、または実質的に完全な円を含むことができる。ナノ構造は、約50nmから約1000nmまでの直径を有するドットを含むことができる。ナノ構造は、約50nmと約1,000nmとの間の、または約100nmから約750nmまでの距離で分離されることができる。
【0087】
基板は、例えば、少なくとも25,000,000構造、または少なくとも50,000,000構造、または少なくとも75,000,000構造、または少なくとも1,000,000構造、または少なくとも500,000,000,000,000構造、または少なくとも1,000,000,000構造でコーティングされ、かつパターン形成されることができる。
【0088】
重要な局面は、基板上に形成されたパターンが実質的に、(1)ソフトウェアで生成され、かつ探針動作により作製されたパターン、または(2)探針が表面の上を動かされない場合の配列のパターンのどちらかと一致するということである。
【0089】
重要な態様は、フィードバックシステムの削除を含む。この態様は、これが削除されているので、基本的かつ新規の特徴である。
【0090】
パターン形成のための基板は、単層または多層であることができる。それらは、ポリマー、ガラス、複合物、シリコン、マイカ、ダイヤモンド、セラミックス、金属、ならびにさまざまな酸化物および複雑な混合物を含む固体であり得る。
【0091】
インク−基板の組み合わせは、安定な構造を提供するように選択されることができる。安定性は、共有結合もしくは化学吸着、または静電気引力の使用により高められることができる。
【0092】
配列は、ウィルス、タンパク質、カーボンナノチューブ、ナノワイヤ、デンドリマー、フラーレンおよび同様のもののようなナノ構造を含む、無機材料、有機材料、または生物学的材料から形成されることができる。組み合わせの配列が形成されてもよい。配列における各スポットが、次のスポットと比較して同じ組成または異なる組成を提供することができる。
【0093】
防振台が使用されてもよい。噴霧器、温度制御用および湿度制御用リアルタイムセンサー、ならびに加熱ファンおよび冷却ファンを含む環境室が使用されてもよい。高分解能の光学系が使用されてもよい。独立した三つのモータの水平出しが使用されてもよい。探針バイアス(tip biasing)が使用されてもよい。
【0094】
AFM様機器類が使用される場合は、モードは、接触モード、非接触モード、または断続接触モードであることができる。
【0095】
使用の別の例は、Lenhertらの"Massively Parallel Dip-Pen Nanolithography of Heterogeneous Supported Phospholipid Multilayer Patterns," Small, 2007, 3, No. 1, 71-75に見出すことができ、これは、図1〜4、実験の項、およびそこに引用した注記参照文献を含む参照により本明細書に組み入れられる。本明細書に記載した機器は、多重二分子層積重ね(図1)、フルオロフォアドーピングを含むリン脂質パターン(図2)、膜の流動性をテストすることを含む複数インクの並列記入、および蛍光顕微鏡写真の生成を制御するために使用されることができる。
【0096】
さまざまな態様を以下の非限定的な実施例によってさらに説明する。
【0097】
実施例
従来のフォトリソグラフィ技術を使用して、55,000ペンの2次元配列が作製された(ペン歩留まり>98%、ペン間隔90×20μm、図1a)。パターン形成実験中に基板を覆う全ての55,000ペンの水平出しの難題が、各探針に関する独立したフィードバックの必要を無くして克服された。いくつかの重要なパラメータが開発された。
【0098】
第1に、ピラミッド形探針を有するSi3N4(またはシリコンを多量に含んだ窒化物材料)カンチレバーの配列は、探針が通常の窒化ケイ素AFM探針の約3倍大きいように作製された(各探針の頂点は、そのカンチレバー基底よりも7.6±0.2μm高かった)。
【0099】
第2に、カンチレバーは、25nmのAu(および5nmのTi接着層)でこれをコーティングし、かつその後300℃で焼なますことによって、その基底から約20°の角度で曲げられた。この曲がりは、Si3N4およびAuの異なる熱膨張係数の結果である(例えば、Wenzler, et al. T. P. Rev. Sci. Instrun. 67, 4191-4197(1996)を参照のこと)。この配列構成は、基盤形態および配列内における固有の探針整合ずれに、より大きな裕度を生じる(±10μmの整合ずれが補正されることができる)。
【0100】
第3に、使用前に全ての探針を犠牲基板に接触させるため、複雑な一式のフィードバックシステムの代わりに重力(約20nN/探針)が使用された。
【0101】
最後に、即硬性エポキシ樹脂の展性を利用して、探針配列が圧電スキャナヘッドに対して適所に固定された(補足情報を参照のこと)。配列内の全ての探針が、慎重なかつ制御された様式でフィードバックシステム無しで係合され、かつ係合が解かれることができたので、この整合手順は有用であった。一旦係合されると、ペン配列は、下にある基板上に実質的に任意のパターンの分子を直接書き込み、かつ同時に約55,000の複製を生成するために使用されることができる。
【0102】
ペン配列の書き込み能力をテストするため、そのカンチレバーは、蒸着によって均一に1−オクタデカンチオール(ODT)でコーティングされ、その後、5nmのTi接着層を有する酸化ケイ素基板上に25nmフィルムの多結晶金をパターン形成するために使用された。ケミカルエッチレジストとしてODTを使用して、分子パターンは、金ナノ構造へと展開され、光学または走査型電子顕微鏡の使用で大きい面積に渡ってパターンを特徴づけことを可能にした。最初の実験において、20分足らずで約8800万ドット構造を生成するために(各探針は、40×40配列において1,600の100±20nmドットを生成する。)、55,000ペン配列が使用された(図1b)。意義深いことに、全ペンの>99%(処理中に損傷された1〜2%のペンを除いて)が作動している。AFMおよびSEM画像は、見当印(registry)および整列が各探針の視野内で、かつ探針間においても維持されることを裏づける。下にある基盤の上で探針配列の相対的な動作を制御する統合されたソフトウェアと共にこのアプローチを使用して、非常に洗練された構造を生成することさえもできる。実際に、トーマスジェファーソン(Thomas Jefferson)の肖像画が2005年合衆国5セントコインから取得され、80nmの画素分解能で約55,000回複製された(図1c)。
【0103】
材料
文献の手順に従って金基板が調製された。(Weinberger et al., Advanced Materials, 12, 1600(2000); Zhang et al., Langmuir, 20, 962-968 (2004))。1−オクタデカンチオール(ODT)(98%)および1−オクタノール(99%)が、Aldrich Chemical Co.から購入された。Fe(NO3)39H2O(99%)がAcros Chemicalsから購入され、チオ尿素(ACSグレード)がFisher Scientificから購入され、エタノール(ACS/USPグレード)がPharmco Products Inc.から購入された。5-min エポキシゲル(5-min epoxy gel)が、Devconから購入され、メーカーによる仕様通りに使用された。全ての化学製品が標準とされるように使用された。
【0104】
55,000のカンチレバー配列の作製
探針を生成するために使用された微細加工処理は、簡単かつ丈夫であるように設計され、それにより高い歩留まりを提供し、その後の修正がしやすい(図2)。酸化ケイ素の200nmの層が、シリコン<100>ウェハ上で熱成長され(950℃、30分)、かつ90×20μmの間隔で10μm平方の開口を有してリソグラフィによりパターン形成された。酸化パターンは、その後、シリコンウェハにおいてピラミッド形探針モールドを形成するために、異方性シリコンエッチングのためのエッチマスクとして使用された(37%KOH、20分)。酸化エッチマスクは、緩衝化HF(6:6:1 H20:NH4F:HF, 5分)中で除去され、かつ400nm厚のSi3N4薄膜が、低圧の低応力化学蒸着プロセス(low stress chemical vapor deposition process)を使用して堆積された。ウェハの正面側上のSi3N4層が、その後、カンチレバーの配列を形成するために、リソグラフィによりパターン形成された。裏側には酸化物層が残ってない。
【0105】
別々に、パイレックス(Pyrex)ウェハが200nm厚クロム層でコーティングされ、かつリソグラフィによりパターン形成され、100μmの矩形溝を形成した。パイレックスは、反応性イオンエッチャー中でエッチングされ、カンチレバーの自由な動きを可能とするために8μmの凹部を形成し、かつクロムはその後除去された。窒化ケイ素ウェハおよびパイレックスウェハは、その後静電的に結合され、パイレックスウェハの裏は、ダイヤモンドソーによって1cm2基板へと線堀りされた(scribed)。最後に、窒化された探針配列がパイレックスに取り付けられたままでシリコンウェハがエッチングされた。得られたカンチレバー構造は、光学および電子顕微鏡によって特徴づけられた(図3)。作製された探針配列についての計測された曲率半径は60nm±20nmであった。
【0106】
l、w、およびtの長さ、幅、および厚みを有する固定無しカンチレバー梁の力の定数(k)は、微小変位の仮定の下で、k = Ewt3/4l3(1)で与えられる。項Eはプローブ材料の弾性係数を示す。低応力で堆積されたSi3N4層の薄膜についておおよその弾性係数は、145GPaである。カンチレバーは、l = 45μm、w = 14.5μm、およびt = 400nmという計測された寸法を有し、これは、力の定数k = 0.40±0.10N/mに対応する。
【0107】
ペン配列の焼なまし
カンチレバー基底から離れて探針をカールさせることを引き起こすため、カンチレバーの探針側が、まず5×10-7mbar未満の基準圧力で作動されたBOC 306 Edwards真空蒸発器を使用して5nmのTi接着層および25nm Auでコーティングされた。その後ペン配列が2時間300℃に保持されてオーブンに置かれ、その後<5℃/分の割合で室温に徐冷された。カンチレバーの屈曲の程度は、光学顕微鏡によって検査され、かつSEMによって定量的に測定された。400℃でのペン配列の焼なましは、より程度の大きいカンチレバー屈曲を誘発したが、増加したAu拡散のため、高温はまた、金粒子の粗大化も生じた。従って焼なまし温度として300℃が選択された。カンチレバー屈曲は、金(αAU = 13.8 × 10-6-1)およびSi3N4(αSi3N4 = 3.6 × 10-6-1)の異なる熱膨張によって生じる。金コーティングされたSi3N4カンチレバーをバイモルフシステムにモデル化することによって、アークRの半径として表される焼なまし誘導曲率を等式2から計算できる。

式中、Dは、厚み(D1 = DAu = 25nm; D2 = DSi3N4 = 400nm)であり、Eは、ヤング率(E1 = EAu = 0.8 × 1O11N m-2; E2 = ESi3N4 = 3.8 x 1011N m-2であり、Δαは熱膨張の係数における差であり、およびΔTは温度における変化である。カンチレバーの自由端によって移動された撓みまたは距離dは、d = L2/2Rによって表されることができ、ここでLはカンチレバーの長さである。
【0108】
探針を300℃に加熱すると、14μmの期待された撓みまたはカールを生じるであろう。しかし、実験的に決定された値は約20〜30μmであり、これは、全探針配列に渡るAu層およびSi3N4層の厚みの偏差の結果である可能性がかなり高い。(Wenzler et al., Review of Scientific Instruments, 67, 4191-4197 (1996))。
【0109】
インクコーティング
ペン配列は、ODTを有する密封された金属容器の内部に配置された(ペン配列は、両面テープの一片で容器のカバーに取り付けられた)。容器は70℃まで加熱され、かつ30分保持され、その後ゆっくりと徐冷された。この蒸気コーティングプロセスは、DPN印刷の実験のために探針が十分にODTでコーティングされるまで繰り返された(典型的には2〜3回)。重要なことには、さらに多くのODTインクで探針を再コーティングする必要なく、3日間の期間中に25サンプルを超えるサンプルをパターン形成するために、コーティングされたペン配列を使用することができた。
【0110】
ペン配列の備え付け
ペン配列は、犠牲AuコーティングされたSiOx基板上へそっと置かれて、探針配列の重量(約100mg、20nN/探針)により全探針を基板と接触させた。エポキシコーティングされた磁化探針フォルダ(1cm×0.2cm)が、その際、AFMのzモータを使用してペン配列のパイレックス支持体と接触してそっと降ろされた(図4右)。探針ホルダと探針配列との間の隙間を充填するためにエポキシが広がり始めるまで、モータを使用して十分な圧力が印加された(エポキシ探針配列の接触点よりも約20〜50μm低い)(図4)。エポキシはその後、少なくとも1時間にわたって十分に硬化するためにおかれた。この実施例において、エポキシが重合中に1〜10%の体積減少を被り得るため、過剰を避けつつ、薄膜のエポキシを使用することが重要であったことに注意すること。(Schoch et al., Thermochimica Acta, 417, 115-118 (2004); Ramos et al., Polymer, 46, 3323-3328(2005))。エポキシが十分に硬化された後、全ての探針は、その後z−モータを同じ(±0.2μm)硬化位置へ移動することによって、基板と係合されることができる。興味深いことに、探針基板の接触は、カンチレバーの光反射率における屈曲誘導した変化をモニタすることによって見られることができる(図5)。Auコーティングは、探針反射率を高めることに注意すること。探針−基板接触の正確な位置は±1μm以内まで維持され、かつ、20を超える基板は同じz位置に戻ることによってパターン形成された。顕著なことに、ペン配列は、スキャナヘッドに再備え付けされ、高分解能パターン形成に使用されることができる。このシステムは、スキャナヘッド上に探針配列を再備え付けした後、cm平方面積上にパターン形成することに成功させた。磁気探針ホルダの再備え付けは、少量のエポキシのスキャナヘッドの一方の縁への成形を可能にすることによって容易になされた。
【0111】
つけペンナノリソグラフィ
DPN実験が、100μmスキャナおよび閉ループスキャナ制御および市販のリソグラフィックソフトウェア(DPNWrite,(商標)DPN System-1, NanoInk, Inc., Chicago, IL)を備えたNscriptor(商標)(NanoInk, Inc., Chicago, IL)で行われた。全てのDPNパターン形成実験が、クリーンルーム(相対湿度約30%、約20℃)の助けを借りることなく実験室環境条件下で実行された。
【0112】
Auの選択的エッチング
オクタノール飽和ナノピュア水中の13.3 mM Fe(NO339H2O、20 mM チオ尿素、0.3% HClの槽に浸漬することで、DPNパターン形成された金基板上にエッチングが行われた(約1平方cm基板について15mLのエッチ溶液)。(Xia et al., Chemistry of Materials, 7, 2332-2337(1995); Geissler et al., Langmuir, 18, 2374-2377(2002); Zhang et al., Nano Letters, 3, 43-45(2003))。(約6nm/分の速度で)基板がエッチングについて目視検査されるので、槽はゆっくりと攪拌された。基板の色は、金が溶解するにつれて黄から紺色に変化した。
【0113】
パターン特徴づけ
エッチング後のパターン化構造は、SEM (Leo Gemini 1525)、およびPenguin 600CLデジタルカメラおよびStreamPixソフトウェアを備えた光学顕微鏡(Zeiss Axiovert 1OOA 倒立顕微鏡, Thornwood NY)によって特徴づけられた。これらのツールは、パターン化構造の質を評価するための比較的高い処理能力の方法を提供する。0.5Hzの速度で走査され、かつ512×512の画素解像度に設定されたシリコン探針(NCH-W, Veeco, バネ定数40 N/m)を有するVeeco(Santa Barbara, CA)のNanoscope IV controllerを備えたNanoman AFMでタッピングモードSFM画像が収集された。0.05N/mのバネ定数を有する金コーティングされた市販のAFMカンチレバー(研削(sharpened)Si3N4、Type A、NanoInk, Inc.)が接触モード画像化に使用された。
【0114】
2D並列DPNについての追加の実施例
以下に示すのは、本明細書に報告された2D並列DPNのラピッドプロトタイピング能力を実証する三つの追加の実施例である。図6は、各カンチレバーのほぼ全書込み範囲に渡るAuドット配列を示す。図7は、文字「2D DPN」の形で分子ODTパターンから展開されたAu構造を示す。各ペンは、9×7μmの面積を占める5つの構造を、9分のパターン形成総時間で生成した。図8は、各ペンのパターン形成領域4つの4等部分を占める、9個の三角形、4本の線、5×5ドット、および「スマイルマーク」の形状のAu構造を示す。この場合のパターン形成総時間は、約5分であった。このような構造は2つの実施例だけであり、事実上任意のパターン形状を生成できることに注意すること。
【0115】
頂点の高さは、図9に示すピラミッド形探針について計測された。
【0116】
図10は、カンチレバーがその基底から傾いて曲げられており、カンチレバーが平均距離で曲げられている場合の、屈曲の距離および屈曲の角度の計測方法を示す。
【0117】
本明細書に引用した全参照文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【0118】
追加して番号付けした態様は、以下を含む。
1.配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが基底行から離れたカンチレバー端において探針を含み、
探針が実質的に平坦な表面と接触する場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている、
複数のカンチレバーの2次元配列と、
配列のための支持体と
を含む、物品。
2.探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、態様1に記載の物品。
3.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有する、態様1に記載の物品。
4.カンチレバーが支持体から離れ傾いて曲げられている、態様1に記載の物品。
5.カンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられている、態様1に記載の物品。
6.探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れ傾いて曲げられている、態様1に記載の物品。
7.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられている、態様1に記載の物品。
8.配列が、2次元配列のうちの第1の次元における300μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における300μm未満の探針間隔を特徴とする、態様1に記載の物品。
9.配列が、2次元配列のうちの第1の次元における200μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における50μm未満の探針間隔を特徴とする、態様1に記載の物品。
10.配列が、2次元配列のうちの少なくとも1次元における100μmまたはそれ未満の探針間隔を特徴とする、態様1に記載の物品。
11.カンチレバーの数が250よりも多い、態様1に記載の物品。
12.カンチレバーの数が10,000よりも多い、態様1に記載の物品。
13.カンチレバーの数が55,000よりも多い、態様1に記載の物品。
14.それぞれの探針が探針端部から支持体に至る距離Dを特徴とし、かつ探針配列が探針端部から支持体までの平均距離D'を特徴とし、かつDが、少なくとも90%の探針についてD'との差が50μm以内である、態様1に記載の物品。
15.それぞれの探針が探針端部から支持体に至る距離Dを特徴とし、かつ探針配列が探針端部から支持体までの平均距離D'を特徴とし、かつDが、少なくとも90%の探針についてD'との差が10μm以内である、態様1に記載の物品。
16.基底行が少なくとも約1mmの平均長を有する、態様1に記載の物品。
17.カンチレバーがカンチレバーの屈曲に適合された複数層を含む、態様1に記載の物品。
18.カンチレバーがバイモルフカンチレバーである、態様1に記載の物品。
19.カンチレバーがフィードバックに適合されていない、態様1に記載の物品。
20.少なくとも1つのカンチレバーがフィードバックに適合されていない、態様1に記載の物品。
21.実質的に全てのカンチレバーがフィードバックに適合されている、態様1に記載の物品。
22.基底行が支持体に対して少なくとも約5μmの高さを有する、態様1に記載の物品。
23.探針が100nm未満の平均曲率半径を有する、態様1に記載の物品。
24.探針が約10nmから約50nmまでの平均曲率半径を有する、態様1に記載の物品。
25.カンチレバーが約0.001N/mから約10N/mまでの平均の力の定数を有する、態様1に記載の物品。
26.カンチレバーが約0.05N/mから約1N/mまでの平均の力の定数を有する、態様1に記載の物品。
27.配列支持体が約2平方cmまたはそれ未満である表面積を含むカンチレバー探針から離れた向こう側の面を特徴とする、態様1に記載の物品。
28.配列が少なくとも95%のカンチレバー歩留まりを特徴とする、態様1に記載の物品。
29.配列が少なくとも98%のカンチレバー歩留まりを特徴とする、態様1に記載の物品。
30.カンチレバーが非接着性結合によって基底に束縛されている、態様1に記載の物品。
31.探針がパターン形成化合物でコーティングされている、態様1に記載の物品。
32.カンチレバーが平均して約10μmから約50μmまで曲げられている、態様1に記載の物品。
33.探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れ傾いて曲げられており、かつ配列が、2次元配列のうちの第1の次元における300μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における300μm未満の探針間隔を特徴とする、態様1に記載の物品。
34.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられており、かつ配列が、2次元配列のうちの第1の次元における300μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における300μm未満の探針間隔を特徴とする、態様1に記載の物品。
35.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられており、かつ配列が、2次元配列のうちの第1の次元における200μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における50μm未満の探針間隔を特徴とする、態様1に記載の物品。
36.カンチレバーの数が250よりも多い、態様34に記載の物品。
37.カンチレバーの数が10,000よりも多い、態様35に記載の物品。
38.カンチレバーがカンチレバーの屈曲に適合された複数層を含む、態様34に記載の物品。
39.カンチレバーが非接着性結合によって基底に束縛されている、態様34に記載の物品。
40.カンチレバーがカンチレバー端において探針を含み、探針が実質的に平坦な表面と接触される場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている、複数のカンチレバーの2次元配列。
41.配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、各カンチレバーが基底から離れたカンチレバー端において探針を含み、
探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、
複数のカンチレバーの2次元配列と、
配列のための支持体と
を含む、物品。
42.配列が少なくとも95%のカンチレバー歩留まりを特徴とする、態様41に記載の物品。
43.配列が、1次元における200μm未満の探針間隔、および第2の次元における50μm未満の探針間隔を特徴とする、態様41に記載の物品。
44.カンチレバーの数が少なくとも50,000である、態様41に記載の物品。
45.探針がパターン形成化合物でコーティングされている、態様41に記載の物品。
46.カンチレバーがカンチレバーの屈曲に適合された複数層を含む、態様41に記載の物品。
47.カンチレバーがその基底から傾いて曲げられている、態様41に記載の物品。
48.カンチレバーがフィードバックに適合されていない、態様41に記載の物品。
49.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有する、態様41に記載の物品。
50.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、カンチレバーがフィードバックに適合されておらず、かつカンチレバーの数が少なくとも250である、態様41に記載の物品。
51.配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、各カンチレバーが基底行から離れたカンチレバー端において探針を含み、
カンチレバーがその基底から傾いて曲げられている、複数のカンチレバーの2次元配列を含む、
物品。
52.配列が少なくとも95%のカンチレバー歩留まりを特徴とする、態様51に記載の物品。
53.配列が、1次元における200μm未満の探針間隔、および第2の次元における100μm未満の探針間隔を特徴とする、態様51に記載の物品。
54.カンチレバーの数が少なくとも50,000である、態様51に記載の物品。
55.探針がパターン形成化合物でコーティングされている、態様51に記載の物品。
56.カンチレバーが力のフィードバックに適合されていない、態様51に記載の物品。
57.カンチレバーがその基底から少なくとも10°の角度で曲げられている、態様51に記載の物品。
58.カンチレバーが平均して約10μmから約50μmまでで曲げられている、態様51に記載の物品。
59.探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、態様51に記載の物品。
60.カンチレバーが力のフィードバックに適合されておらず、カンチレバーの数が少なくとも250であり、かつカンチレバーがその基底から少なくとも10°の角度で曲げられている、態様51に記載の物品。
61.複数のカンチレバーの2次元配列と配列のための支持体とを含む物品を作製する方法であって、
端部に探針を含む複数のカンチレバーを含む2次元配列を形成し、カンチレバーが犠牲支持構造に支持されている工程と、
複数のカンチレバーを含む2次元配列への結合に適合されている複数の基底行を含む配列支持体を形成する工程と、
カンチレバーを基底行に結合する工程と、
カンチレバーを解放し、かつ配列を形成するために、犠牲支持構造を除去する工程と
を含む、方法。
62.探針が実質的に平坦な表面と接触される場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている、態様61に記載の方法。
63.探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、態様61に記載の方法。
64.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有する、態様61に記載の方法。
65.カンチレバーを支持体から離れ傾いて曲げる工程をさらに含む、態様61に記載の方法。
66.カンチレバーを支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げる工程をさらに含む、態様61に記載の方法。
67.探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れ傾いて曲げられる、態様61に記載の方法。
68.探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられる、態様61に記載の方法。
69.配列が少なくとも95%のカンチレバー歩留まりを特徴とする、態様61に記載の方法。
70.配列が、1次元における200μm未満の探針間隔、および第2の次元における50μm未満の探針間隔を特徴とする、態様61に記載の方法。
71.カンチレバーの数が10,000より大きい、態様61に記載の方法。
72.基底行が少なくとも約1mmの平均長を有する、態様61に記載の方法。
73.カンチレバーがカンチレバーの屈曲に適合されている複数層を含む、態様61に記載の方法。
74.カンチレバーがカンチレバーの探針側で金属によってコーティングされている、態様61に記載の方法。
75.カンチレバーが力のフィードバックに適合されていない、態様61に記載の方法。
76.基底行が支持体に対して少なくとも約5μmの高さを有する、態様61に記載の方法。
77.探針が100nm未満の平均曲率半径を有する、態様61に記載の方法。
78.カンチレバーが約0.1N/mから約1N/mまでの平均の力の定数を有する、態様61に記載の方法。
79.カンチレバーがその基底から少なくとも10°の角度で曲げられる、態様61に記載の方法。
80.カンチレバーが平均して約10μmから約50μmで曲げられる、態様61に記載の方法。
81.結合工程が非接着性結合である、態様61に記載の方法。
82.物品を機器に連結し、かつ印刷のために物品を使用する工程をさらに含む、態様61に記載の方法。
83.2次元配列を形成する工程が微細加工を含む、態様61に記載の方法。
84.配列支持体を形成する工程が微細加工を含む、態様61に記載の方法。
85.結合工程の後、配列支持体が約2平方cmまたはそれ未満の区画へ線彫りされる、態様61に記載の方法。
86.結合工程の後、配列支持体が約0.5平方cmから約1.5平方cmまでの区画へ線彫りされる、態様61に記載の方法。
87.各形成工程が微細加工を含み、かつ探針が実質的に平坦な表面と接触する場合に、探針が配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように適合されている、態様61に記載の方法。
88.探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、態様87に記載の方法。
89.カンチレバーを支持体から傾いて曲げる工程をさらに含む、態様88に記載の方法。
90.カンチレバーを支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げる工程をさらに含む、態様89に記載の方法。
91.(1)2次元配列のカンチレバーを微細機械加工し、カンチレバーを支持し、かつカンチレバーを動きのため機器に連結もすることができる装置に結合するようにカンチレバーが適合されている工程と、(2)カンチレバーを装置に結合する工程とを含む、方法。
92.少なくとも毎分100,000の速度でナノ構造を直接書き込み、直接書き込みが、その上にパターン形成化合物を有する探針を基板と接触させる工程を含む、直記ナノリソグラフィのための方法。
93.速度が少なくとも毎分1,000,000である、態様92に記載の方法。
94.速度が少なくとも毎分4,000,000である、態様92に記載の方法。
95.ナノ構造がドットを含む、態様92に記載の方法。
96.ナノ構造が約50nmから約1,000nmまでの直径のドットを含む、態様92に記載の方法。
97.ナノ構造が約50nmと約1,000nmとの間の距離によって分離されている、態様92に記載の方法。
98.態様1、40、41、または51に記載の物品を含む、機器。
99.複数のカンチレバーの2次元配列を調製し、配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、各カンチレバーが基底行から離れたカンチレバー端において探針を含む工程と、
配列の探針を圧力下で犠牲基板と接触させて、基板上に整列された配列を形成する工程と、
任意で配列の動きに適合された機器に整列された配列を取り付ける工程と
を含む、方法。
100.圧力が外部的にまたは重力と共に生成される、態様99に記載の方法。
101.取り付ける工程が接着性または機械的取り付けである、態様99に記載の方法。
102.犠牲基板を配列の探針から除去する工程をさらに含む、態様99に記載の方法。
103.整列された配列を、配列の動きに適合された機器に取り付ける工程を含む、態様99に記載の方法。
104.カンチレバー端において探針を含む複数のカンチレバーの2次元配列を提供する工程と、
整列された配列を提供するために、犠牲基板を用いて探針を整列する工程と、
整列された配列を配列の動きに適合された機器とロックする工程と
を含む、方法。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】並列の55,000AFMカンチレバーによるDPNパターン形成。(a)パターン形成に使用されたカンチレバーの2D配列の一部の光学顕微鏡写真。挿入図は、探針のSEM画像を示す。(b)酸化ケイ素基板上の88,000,000の金ドット配列(各ブロック内40×40)の一部の大面積SEM画像(左)。ブロックの一部の代表的なAFM凹凸(topographical)画像(右)。(c)2005年米国5セントコインの表面の形で描かれた約55,000の特徴の代表的な光学顕微鏡写真(挿入図はAFM画像を示す)。コインは、ペンの配列に依存する、嘘発見器、巨視的活字印刷機の開発を助けたトーマスジェファーソンの絵を有する。
【図2】2Dカンチレバー配列のための作製プロセスの概略図。
【図3】2D 55,000ペン配列の一部の光学顕微鏡写真。挿入図は、それぞれ側面からの(上)および上面からの(下)ペン配列のSEM画像である。
【図4】(左)ペン配列を備え付けるための手順を説明する概略図。(右)エポキシ樹脂が硬化すると正確な位置にロックされる、備え付けられたペン配列を示す写真。
【図5】基板と接触する前後の2Dペン配列の光学画像。
【図6】2Dペン配列の広い書き込み範囲を示す4×16配列におけるAuドットの暗視野光学顕微鏡写真。
【図7】シリコン基板上に文字「2D DPN」の形で描いたAu構造の光学顕微鏡写真。挿入図(中央)は、1つの探針によって生成された構造の1つの暗視野顕微鏡写真を示す。挿入図(右隅)は、このような構造のSEMである。
【図8】組み合わせAu構造の暗視野顕微鏡写真。各ペンは、9個の三角形、4本の線、25個のドット、および「スマイルマーク」を含む4つの4等部分(quadrant)に分割された1組の構造を生成した。(挿入図)SEMは、高倍率でのこのような構造の1つを示す。
【図9】計測された探針頂点の高さが8.8μmおよび底辺が11.0μmである、ピラミッド形探針のSEM画像。
【図10】カンチレバー屈曲の角度およびカンチレバー屈曲の距離の計測を図示。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列が複数の基底行(base rows)を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、それぞれのカンチレバーが基底行から離れたカンチレバー端において探針(tip)を含み、
探針が実質的に平坦な表面と接触する場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている、
複数のカンチレバーの2次元配列と、
配列のための支持体と
を含む、物品。
【請求項2】
探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項4】
カンチレバーが支持体から離れ傾いて曲げられている、請求項1に記載の物品。
【請求項5】
カンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられている、請求項1に記載の物品。
【請求項6】
探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れ傾いて曲げられている、請求項1に記載の物品。
【請求項7】
探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられている、請求項1に記載の物品。
【請求項8】
配列が、2次元配列のうちの第1の次元における300μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における300μm未満の探針間隔を特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項9】
配列が、2次元配列のうちの第1の次元における200μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における50μm未満の探針間隔を特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項10】
配列が、2次元配列のうちの少なくとも1次元における100μmまたはそれ未満の探針間隔を特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項11】
カンチレバーの数が250よりも多い、請求項1に記載の物品。
【請求項12】
カンチレバーの数が10,000よりも多い、請求項1に記載の物品。
【請求項13】
カンチレバーの数が55,000よりも多い、請求項1に記載の物品。
【請求項14】
それぞれの探針が探針端部から支持体に至る距離Dを特徴とし、かつ探針配列が探針端部から支持体の平均距離D'を特徴とし、かつDが、少なくとも90%の探針についてD'との差が50μm以内である、請求項1に記載の物品。
【請求項15】
それぞれの探針が探針端部から支持体に至る距離Dを特徴とし、かつ探針配列が探針端部から支持体への平均距離D'を特徴とし、かつDが、少なくとも90%の探針についてD'との差が10μm以内である、請求項1に記載の物品。
【請求項16】
基底行が少なくとも約1mmの平均長を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項17】
カンチレバーがカンチレバーの屈曲に適合された複数層を含む、請求項1に記載の物品。
【請求項18】
カンチレバーがバイモルフカンチレバーである、請求項1に記載の物品。
【請求項19】
カンチレバーがフィードバックに適合されていない、請求項1に記載の物品。
【請求項20】
少なくとも1つのカンチレバーがフィードバックに適合されていない、請求項1に記載の物品。
【請求項21】
実質的に全てのカンチレバーがフィードバックに適合されている、請求項1に記載の物品。
【請求項22】
基底行が支持体に対して少なくとも約5μmの高さを有する、請求項1に記載の物品。
【請求項23】
探針が100nm未満の平均曲率半径を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項24】
探針が約10nmから約50nmまでの平均曲率半径を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項25】
カンチレバーが約0.001N/mから約10N/mまでの平均の力の定数を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項26】
カンチレバーが約0.05N/mから約1N/mまでの平均の力の定数を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項27】
配列支持体が、約2平方cmまたはそれ未満である表面積を含むカンチレバー探針から離れた向こう側の面を特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項28】
配列が少なくとも95%のカンチレバー歩留まりを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項29】
配列が少なくとも98%のカンチレバー歩留まりを特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項30】
カンチレバーが非接着性結合によって基底に束縛されている、請求項1に記載の物品。
【請求項31】
探針がパターン形成化合物でコーティングされている、請求項1に記載の物品。
【請求項32】
カンチレバーが平均して約10μmから約50μmまで曲げられている、請求項1に記載の物品。
【請求項33】
探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れ傾いて曲げられており、かつ配列が、2次元配列のうちの第1の次元における300μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における300μm未満の探針間隔を特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項34】
探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられており、かつ配列が、2次元配列のうちの第1の次元における300μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における300μm未満の探針間隔を特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項35】
探針がカンチレバーに対して少なくとも7μmの頂点の高さを有し、かつカンチレバーが支持体から離れて少なくとも10°の角度で曲げられており、かつ配列が、2次元配列のうちの第1の次元における200μm未満の探針間隔、かつ2次元配列のうちの第2の次元における50μm未満の探針間隔を特徴とする、請求項1に記載の物品。
【請求項36】
カンチレバーの数が250よりも多い、請求項34に記載の物品。
【請求項37】
カンチレバーの数が10,000よりも多い、請求項35に記載の物品。
【請求項38】
カンチレバーがカンチレバーの屈曲に適合された複数層を含む、請求項34に記載の物品。
【請求項39】
カンチレバーが非接着性結合によって基底に束縛されている、請求項34に記載の物品。
【請求項40】
カンチレバーがカンチレバー端において探針を含み、探針が実質的に平坦な表面と接触される場合に、配列の非探針構成要素の実質的な接触を防ぐように配列が適合されている、複数のカンチレバーの2次元配列。
【請求項41】
配列が複数の基底行を含み、各基底行が基底行から延びる複数のカンチレバーを含み、各カンチレバーが基底から離れたカンチレバー端において探針を含み、
探針がカンチレバーに対して少なくとも4μmの頂点の高さを有する、
複数のカンチレバーの2次元配列と、
配列のための支持体と
を含む、物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−534200(P2009−534200A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−506497(P2009−506497)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【国際出願番号】PCT/US2007/007186
【国際公開番号】WO2007/126689
【国際公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.パイレックス
2.PYREX
【出願人】(507294960)ノースウエスタン ユニバーシティ (10)
【出願人】(508311352)ナノインク インコーポレーティッド (16)
【Fターム(参考)】