説明

2,3−ジアミノプロピオン酸誘導体のエナンチオマー体の製造方法。

本発明は式(I)の、2,3−ジアミノプロピオン酸誘導体のエナンチオマー体を式(II)の化合物から不斉水素化により製造するための方法に関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不斉水素化による式Iの2,3−ジアミノプロピオン酸誘導体のエナンチオマー体を製造する方法に関する。この式Iの化合物は、IkBキナーゼ阻害剤製造のために好適な中間体である(WO01/30774A1、WO2004/022553)。
【背景技術】
【0002】
α,β−ジアミノプロピオン酸誘導体が、スキーム1に従って、ロジウム触媒による不斉水素化により製造できることは公知である(J. Org. Chem., Vol. 66, 11, 2001, pages 4141-4147)。しかしながら、この不斉水素化は、両方の窒素原子がアシル化されている場合のみ首尾よく行なわれる。
【化1】

N,N−ジメチレンアミン又はN,N−ジエチレンアミンを水素化する試みは成功しなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
この度、不斉合成は、式IIの化合物に対してさえも成功することが分かった。式Iの化合物の合成は、高収率、高エナンチオ選択性を以って首尾よく行なわれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
それ故、本発明は、式I:
【化2】

ここで、R1及びR2は、同一か又は異なり、そして、互いに独立に、
1)水素原子;
2)−(C1−C4)−アルキル;
3)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又はR11により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R11は、
a)F、Cl、I又はBr;
b)−(C1−C4)−アルキル;
c)−CN;
d)−CF3
e)−OR5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
f)−N(R5)−R6、ここで、R5及びR6は、互いに独立に、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
g)−C(O)−R5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;又は
h)−S(O)x−R5、ここで、xは、整数の0、1又は2であり、そして、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
である;
4)−CH(R7)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−CH3、F、Cl若しくは臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R7は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;又は
5)4〜15員環のHet環、ここでHet環は、置換されていないか、又は−(C1−C5)−アルキル、−(C1−C5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ヒドロキシ−(C1−C4)−アルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル又は−(C1−C4)−アルコキシカルボニルにより、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
であり;
R3は、
1)水素原子;
2) −(C1−C4)−アルキル;
3)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl又は臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
4)−O−C(CH33;又は
5)−O−CH(R7)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−CH3、F、Cl又は臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R7は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
であり;
R4は、
1) 水素原子;
2) −(C1−C4)−アルキル;又は
3)−CH(R8)−アリール、ここで、R8は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
である;
の化合物を得るための方法であって、
式II:
【化3】

ここで、R1、R2、R3及びR4は、各々式Iで定義した通りであり、
化合物は二重結合上で、E又はZ配置で存在しても良い;
の化合物を、水素及び触媒の存在下で水素化することを含む方法に関する。
【0005】
本発明は、更に、式I、ここで、
R1は、フェニル又は水素原子であり;
R2は、フェニル、ピリジル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジル又はチアゾリルは、置換されていないか又はフッ素若しくは塩素で置換され;及び
R3は、フェニル又は−O−CH2−フェニルであり;そして、
R4は、メチル又はエチルである;
の化合物を得るための方法に関する。
【0006】
本発明は、更に、式III:
【化4】

ここで、R1、R2及びR4は、各々、式Iにおいて定義された通りである;
の化合物、又はそれらの塩を得るための方法であって、
a)式II:
【化5】

ここで、R1、R2、R3及びR4は、各々、式Iにおいて定義された通りである;
の化合物を水素及び触媒の存在下で水素化して、式I:
【化6】

の化合物に転換すること;及び
b)得られた式Iの化合物を式IIIの化合物に転換すること;
を含む方法に関する。
【0007】
方法工程b)は、例えば、T.Greene, P.Wuts による Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscienceに記載の、アミド又はカルバメートの開裂のための反応条件に従って行われる。選択された反応条件、ここでは、殊に強塩基性条件の如何によって、式Iの化合物の式IIIの化合物への直接転換により、不斉水素化によるキラル中心でのラセミ化、又は他の望ましくない副反応が起こる。これは、式Iの化合物を化合物IVに転換する場合、例えば、tert−ブトキシカルボニル保護基を導入するために、二炭酸tert−ブチル又は別の試剤を用いて、防ぐことができる。tert−ブトキシカルボニル保護基は、アセトニトリル、テトラヒドロフラン又はトルエンの様な好適な溶媒中で、より好ましくは、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)などのアシル化触媒の助力によって導入される。
反応温度は、0〜120℃であり、好ましくは、20〜40℃である。
反応時間は、混合物の組成、選択した温度範囲の如何によって、一般的には、0.5〜24時間である。
得られた式IVの化合物は、次いで、マグネシウムメトキシドの様な穏やかな条件で、式Iaの化合物へ転換される。
【0008】
式IIIの化合物への転換は、典型的には、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)保護基の開裂のための、T.Greene, P.Wuts による Protective Groups in Organic Synthesis, Wiley-Interscienceに記述された文献で知られている反応条件下で行われる。
【化7】

【0009】
それ故、本発明は、更に、式IIIの化合物を得るための方法であって、
a)式II、ここで、R1、R2、R3及R4は、各々、式Iで定義した通りである、の化合物を、水素及び触媒の存在下で水素化し、それを式Iの化合物へ転換すること;
b)得られた式Iの化合物を、二炭酸tert−ブチル及びアシル化触媒、例えばジメチルアミノピリジン(DMAP)と反応させ、式IV:
【化8】

ここで、R1、R2、R3及びR4は、式Iで定義した通りである;
の化合物を得ること;
c)次いで、得られた式IVの化合物を式Ia:
【化9】

ここで、R1、R2、R3及びR4は、各々式Iで定義した通りである;
の化合物に転換すること;
d)得られた式Iaの化合物を式III、ここで、R1、R2及びR4は、各々、式Iで定義した通りである、の化合物又はそれらの塩に転換すること;
を含む方法に関する。
【0010】
式IVの化合物の式Iaの化合物への転換は、例えば、水酸化リチウム、ヒドラジン又はマグネシウムメトキシドの様な塩基で処理することにより達成される(文献:J. Org. Chem. 1997, 62, 7054-7057)。tert−ブチルオキシカルボニル基は、適切な溶媒中で、トリフルオロ酢酸(TFA)、塩酸又はp−トルエンスルホン酸との処理の様な標準条件下で脱離し、式IIIの化合物を得る。
望ましくないエナンチオマーは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール及びそれらのエステルなどの適切な溶媒から式I又はIIIの化合物を結晶化することにより減らされる。式IIIの化合物の場合、結晶化は、好ましくは、塩酸塩、メタンスルホン酸塩又はp−トルエンスルホン酸塩の様なそれらの(酸性)塩の形で行われる。これらの条件下では、>99%の光学的純度が達成される。適切には、全反応工程は、化合物IV及びIaを単離することなくワンポット法で行うことが出来る。この場合得られる収率及び光学的純度は、上記の値に対応する。
【0011】
用語「触媒」は、例えば、E.N.Jacobson, A.Pfaltz, H.Yamamoto による Comprehensive Asymmetric Catalysis, Springer-Verlag, 1999 または X.ZhangによるChemical Reviews, 2003, 103, 3029-3069、及び、そこで引用された文献において記載された化合物、例えば、光学的に活性なロジウム、ルテニウム若しくはイリジウム錯体、又はそれらの混合物を意味する。触媒活性のある錯体は、金属錯体を光学活性なホスフィンと反応させることにより生成される。上記のアシル化2,3−ジアミノプロピオン酸誘導体の場合、Me−Duphos又はEt−Duphos−ロジウム錯体は、非常に良好なエナンチオ選択性及び転換率を示す。キラルβ−アミノ酸が、触媒としてBICP、t−Bu−BisP、BDPMI、Et−FerroTANE、MalPHOS及びMonoPHOS型のロジウム錯体を用いることにより製造できることは、又、良く知られている。
【0012】
用語「−(C1−C4)−アルキル」又は「−(C1−C5)−アルキル」は、その炭素鎖が、直鎖状又は分枝鎖状であり、そして、1〜4個又は1〜5個の炭素原子を含む炭化水素基、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert−ブチル又はペンチルを意味すると理解されている。
【0013】
用語「−CH(R7)−」又は「−CH(R8)−」は、メチレン、エチレン、イソプロピレン、イソブチレン又はペンチレンの様な直鎖−又は分枝鎖−の炭化水素基を意味すると理解されている。例えば、R7が水素原子であり、アリールがフェニルである場合、「−CH(R7)−アリール」基はベンジル基である。
【0014】
用語「−(C6−C14)−アリール」又は「アリール」は、環に6〜14個の炭素原子を有する芳香族炭素基を意味すると理解されている。−(C6−C14)−アリール基は、例えば、フェニル、例えば、1−ナフチル及び2−ナフチルの様なナフチル、アントリル又はフルオレニルである。ナフチル基、及び特にフェニル基は、好ましいアリール基である。
【0015】
用語「4〜15員環のHet環」は、4〜15個の炭素原子を有する環系で、それらは、互いに結合した、1つ、2つ又は3つの環系で存在し、そして、1、2、3又は4個の、同一又は異なった、酸素、窒素又は硫黄のグループからのヘテロ原子を含む環系を意味すると理解される。これらの環系の例としては、アクリジニル、アゼピニル、アゼチジニル、アジリジニル、ベンゾイミダザリニル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフラニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾテトラゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、カルバゾリル、4aH−カルバゾリル、カルボリニル、キナゾリニル、キノリニル、4H−キノリジニル、キノキサリニル、キヌクリジニル、クロマニル、クロメニル、シンノリニル、デカヒドロキノリニル、ジベンゾフラニル、ジベンゾチオフェニル、ジヒドロフラン[2,3−b]テトラヒドロフラニル、ジヒドロフラニル、ジオキソリル、ジオキサニル、2H,6H−1,5,2−ジチアジニル、フラニル、フラザニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、イミダゾリル、1H−インダゾリル、インドリニル、インドリジニル、インドリル、3H−インドリル、イソベンゾフラニル、イソクロマニル、イソインダゾリル、イソインドリニル、イソインドリル、イソキノリニル(ベンゾイミダゾリル)、イソチアゾリジニル、2−イソチアゾリニル、イソチアゾリル、イソオキサゾリル、イソオキサゾリジニル、2−イソオキサゾリニル、モルホリニル、ナフチリジニル、オクタヒドロイソキノリニル、オキサジアゾリル、1,2,3−オキサジアゾリル、1,2,4−オキサジアゾリル、1,2,5−オキサジアゾリル、1,3,4−オキサジアゾリル、オキサゾリジニル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、オキソチオラニル、ピリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリドオキサゾリル、ピリドイミダゾリル、ピリドチアゾリル、ピリドチオフェニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリジニル、ピロリニル、2H−ピロリル、ピロリル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロピリジニル、6H−1,2,5−チアジアジニル、1,2,3−チアジアゾリル、1,2,4−チアジアゾリル、1,2,5−チアジアゾリル、1,3,4−チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、チエノチアゾリル、チエノオキサゾリル、チエノイミダゾリル、チオモルホリニル、チオフェニル、トリアジニル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,3−トリアゾリル、1,2,4−トリアゾリル、1,2,5−トリアゾリル、1,3,4−トリアゾリル及びキサンテニル基がある。
【0016】
式I又はIIの化合物における炭素原子上の星印は、特にその炭素原子がキラルであり、そして、その化合物は、R又はSエナンチオマーのいずれかとして存在することを意味している。
【0017】
式IIの化合物の不斉水素化は、10〜200℃の温度で、そして、1〜200barの水素圧で、有利に行われる。触媒−反応剤のモル比は、1:100〜1:10000が有利である。
【0018】
不斉水素化のための好適な溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールなどの低級アルコール、トルエンなどの芳香族炭化水素、アセトンなどのケトン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、酢酸エチルなどのカルボン酸エステル及びテトラヒドロフランなどのエーテルがある。
【0019】
式I、III及びIVのような光学的に活性な2,3−ジアミノプロピオン酸誘導体は、エナンチオマー混合物及びそれらの塩を含め又、本発明の主題物質の一部を形成する。エナンチオマー混合物は、ここでは特に、1つのエナンチオマーが他方と比べて濃縮されたものであることを意味すると理解するべきである。
【0020】
式IIの化合物は公知であるか、又は、例えば、式VI、ここで、R3及びR4は各々上記で定義されたものである、の化合物を、式V、ここで、R1及びR2は各々上記で定義されたものである、のアミンと反応させることにより、製造することが出来る。
【化10】

【0021】
反応温度は、0〜120℃、好ましくは、20〜60℃である。
反応時間は、混合物の組成及び選択された温度範囲の如何によるが一般的には0.5〜8時間である。次いで、得られた式IIの化合物は、水性処理、及び、例えば、酢酸エチル若しくはジクロロメタンの様な好適な溶媒による抽出、又は結晶化により、反応混合物から取り出される。
【0022】
本発明の更なる態様は、式II:
ここで、R1及びR2は同一か又は異なり、そして、互いに独立に、
1)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又はR11により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R11は、
a)F、Cl、I又はBr;
b)−(C1−C4)−アルキル;
c)−CN;
d)−CF3
e)−OR5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
f)−N(R5)−R6、ここで、R5及びR6は、互いに独立に、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
g)−C(O)−R5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;又は
h)−S(O)x−R5、ここで、xは、整数の0、1又は2であり、そして、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
であり;又は
2)4〜15員環のHet環、ここで、Het環は、置換されていないか、又は−(C1−C5)−アルキル、−(C1−C5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ヒドロキシ−(C1−C4)−アルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル又は−(C1−C4)−アルコキシカルボニルにより、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
であり;
【0023】
R3は、
1)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl又は臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
2)−O−C(CH33;又は
3)−O−CH(R7)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−CH3、F、Cl若しくは臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R7は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
であり;
R4は、
1)水素原子;
2)−(C1−C4)−アルキル;又は
3)−CH(R8)−アリール、ここで、R8は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
である;
の新規な化合物に関する。
【0024】
本発明の更なる態様は、式IV:
【化11】

ここで、R1及びR2は同一か又は異なり、そして互いに独立に、
1)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又はR11により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R11は、
a)F、Cl、I又はBr;
b)−(C1−C4)−アルキル;
c)−CN;
d)−CF3
e)−OR5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
f)−N(R5)−R6、ここで、R5及びR6は、互いに独立に、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
g)−C(O)−R5、ここで、R5は、水素原子若しくは−(C1−C4)−アルキルである;又は
h)−S(O)x−R5、ここで、xは、整数の0、1若しくは2であり、そして、R5は、水素原子若しくは−(C1−C4)−アルキルである;
であり;又は
2)4〜15員環のHet環、ここで、Het環は、置換されていないか、又は−(C1−C5)−アルキル、−(C1−C5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ヒドロキシ−(C1−C4)−アルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル又は−(C1−C4)−アルコキシカルボニルにより、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
であり;
【0025】
R3は、
1)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl又は臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
2)−O−C(CH33;又は
3)−O−CH(R7)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−CH3、F、Cl若しくは臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R7は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
であり;
R4は、
1)水素原子;
2)−(C1−C4)−アルキル;又は
3)−CH(R8)−アリール、ここで、R8は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
である;
の新規な化合物に関する。
【0026】
本発明は更に、式IVの新規な化合物を得るための方法であって、
a)式II、ここで、R1、R2、R3及びR4は、各々式IIの新規化合物において定義された通りである、の化合物を、水素及び触媒の存在下で水素化し、それを式Iの化合物へ転換すること;
b)得られた式Iの化合物を、二炭酸tert−ブチル及びジメチルアミノピリジン(DMAP)の様なアシル化触媒と反応させて、式IV:
【化12】

ここで、R1、R2、R3及びR4は、式IIの新規化合物において定義された通りである;
の化合物を得ることを含む方法に関する。
【0027】
式I、II、III及びIVの化合物は、IkBキナーゼ阻害剤(WO01/30774A1)の製造のための中間体として好適である。
【0028】
以下に、実施例を参照しながら、本発明を詳細に説明する。最終生成物は、一般的には、1HNMR(400MHz、DMSO−D6)で測定され、各々の場合、主ピーク又は2つの主ピークが報告される。温度は摂氏で報告され、RTは室温(22〜26℃)を意味する。使用される略号は、説明されるか、又は、通常の慣例に対応している。
【0029】
〔実施例1〕
2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチルの製造
【化13】

2−ベンゾイルアミノ−3−ジメチルアミノアクリル酸メチル(66g、266mmol)及びジフェニルアミン(50g、295mmol)を、40℃で、イソプロパノール(1,300ml)に溶解した。溶液を濃塩酸(60ml、725mmol)と5分以内で混合し、更に、10分間撹拌した。溶媒(550ml)を減圧下で蒸発させ、懸濁液を10℃に冷却し、結晶化した生成物を濾別した。
収率:83.5g(理論値の84%)
1HNMR:3.62(s,3H),6.95−7.10(m,6H),7.20−7.30(m,8H),7.32−7.40(m,1H),7.61(s,1H),8.70(s,1H)。
【0030】
〔実施例2〕
2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチルの製造
【化14】

2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ジメチルアミノアクリル酸メチル (36g、129mmol)及びジフェニルアミン(24.12g、142mmol)をイソプロパノール(630ml)中に、40℃で溶解した。続いて、溶液を濃塩酸(17.4ml)と、5分以内で混合し、そして、40℃において、更に30分間撹拌した。反応溶液を300mlまで濃縮し、水(300ml)を徐々に混合した。結晶化した生成物を吸引濾過し、減圧下、40℃で乾燥した。
収率:30.5g(理論値の59%)
1HNMR:3.62(s,3H),4.68(s,2H),6.95−7.10(m,6H),7.20−7.50(m,9H),7.61(s,1H)。
【0031】
〔実施例3〕
ラセミ体の2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチルの製造
【化15】

酸素を除去したオートクレーブに、2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチル(1g、2.68mmol)及びトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(40mg、0.042mmol)を装填した。アルゴンでパージした後、酸素を含まないメタノール(40ml)を加えた。オートクレーブを気密シールし、そして、溶液を室温で20時間水素化した。オートクレーブの圧力を下げ、窒素でパージした。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を、シリカゲル60を充填したカラムを通してクロマトグラフィーにかけた(溶出液:酢酸エチル/ヘプタン=1/1)。溶媒を減圧下で蒸発させた後、白色固体が残り、これを、方法の定式化のために、そしてキラル相上のHPLCによるエナンチオマー純度の測量のためのシステム試験として用いた。
HPLCカラム:CHIRALPAK OD 4×250、
溶出液:45:2:1ヘキサン/EtOH/MeOH+ジチルアミン(0.1%)、
温度:30℃、
反応物質の保持時間:13.2分、
S−異性体の保持時間:11.8分、
R−異性体の保持時間:14.2分
収率:0.5g(理論値の50%)、
1HNMR:3.62(s,3H),4.15−4.35(m,2H),4.75−4.90(m,1H),6.90−7.05(m,6H),7.20−7.30(m,4H),7.40−7.48(m,2H),7.50−7.60(m,1H),7.70−7.78(d,2H),8.85(d,1H)。
【0032】
〔実施例4〕
(S)−2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチルの製造
【化16】

酸素及び湿気を除去したアンプルに、2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチル(100mg、0.255mmol)及び[(S,S)−Et−FerroTANE−Rh]BF4(1.9mg、0.0026mmol、0.01当量)を装填した。アルゴンでパージした後、酸素を含まないメタノール(5ml)を加えた。アンプルを気密シールし、水素圧20barで、24時間オートクレーブ中で水素化した。オートクレーブの圧力を下げ、窒素でパージした。水素化の転換率はHPLCで測定した。エナンチオ選択率は、実施例4で記述した方法によるキラル相カラムのHPLCで測量した。[(R,R)−Et−FerroTANE−Rh]BF4触媒で、対応するR誘導体が、
同一の収率及びエナンチオ純度で得られた。
ee:87%。
【0033】
〔実施例5〕
(S)−及び(R)−2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチルの製造
実施例4と同様に、2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチルを種々の触媒及び溶媒を用いて水素化した。事前に製造しなかった触媒の場合においては、活性触媒は、光学的に活性なホスフィン配位子、及びロジウム(I)塩として等モルの[Rh(cod)Cl]2からその場で製造された。結果は下記の表1にまとめられている。
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
〔実施例6〕
酸素を除去したオートクレーブに、表1で特定された量の、2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチル及び[(R,R)−Me−DUPHOS−Rh]CF3SO3を装填した。アルゴンでパージした後、以下に特定された量の、酸素を除去したメタノールを加えた。オートクレーブを気密シールし、水素圧30barで、室温において、20時間水素化した。オートクレーブの圧力を下げ、窒素でパージした。水素化の転換率はHPLCで測定した。エナンチオ選択率は、実施例4で記述した方法によるキラル相カラムのHPLCで測定した。表2に結果を示す。
【表4】

【0037】
〔実施例7〕
酸素を除去したオートクレーブに、表2で特定された量の、2−ベンゾイルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチル及び[(S,S)−Et−FerroTANE−Rh]BF4を装填した。アルゴンでパージした後、以下に特定された量の、酸素を除去したメタノールを加えた。オートクレーブを気密シールし、水素圧30barで、室温において、20時間水素化した。オートクレーブの圧力を下げ、窒素でパージした。溶液を濾過し、同量の水を40℃で混合し、室温で2時間撹拌した。結晶化した生成物を吸引濾過し、減圧下、45℃で恒量になるまで乾燥した。水素化の転換率はHPLCで測定した。エナンチオ選択率は、実施例4で記述した方法によるキラル相カラムのHPLCで測量した。結果を表3に示す。
【表5】

【0038】
〔実施例8〕
【化17】

酸素を除去したオートクレーブに、2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチル(1g、2.68mmol)及びトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)クロリド(40mg、0.042mmol)を装填した。アルゴンでパージした後、酸素を除去したメタノール(40ml)を加えた。オートクレーブを気密シールし、溶液を室温で、20時間水素化した。オートクレーブの圧力を下げ、窒素でパージした。溶媒を減圧下で蒸発させ、残留物を、シリカゲル60を充填したカラムを用いて精製した(溶出液:酢酸エチル/ヘプタン=1/1)。溶媒を減圧下で蒸発させた後、白色固体が残り、これを、方法の定式化のために、そしてキラル相上のHPLCによるエナンチオマー純度の測定のためのシステム試験として用いた。
HPLCカラム:Chiralpak OD 4×250、
溶出液:50:2:1ヘキサン/EtOH/MeOH=+0.1%ジエチルアミン、
温度:30℃、
反応物質の保持時間:19.2分、
S−異性体の保持時間:14.6分、
R−異性体の保持時間:16.0分、
収率:0.2g(理論値の20%)
1HNMR:3.60(s,3H),3.95−4.15(m,2H),4.35−4.45(m,1H),4.92−5.05(m,2H),6.90−7.00(m,6H),7.15−7.40(m,9H),7.85−7.90(d,1H)。
【0039】
〔実施例9〕
【化18】

実施例5と同様に、2−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ジフェニルアミノアクリル酸メチルを種々の触媒と溶媒を用いて水素化した。事前に製造しなかった触媒においては、活性触媒は、光学的に活性なホスフィン配位子、及びロジウム(I)塩として等モルの[Rh(cod)Cl]2からその場で製造された。結果は下記の表1にまとめられている。
【0040】
【表6】

【0041】
【表7】

【0042】
〔実施例10〕
(S)−2−(ベンゾイル−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチルの製造
【化19】

(S)−2−(ベンゾイル−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチル(18.7g、ee=85%)、二炭酸ジ−tert−ブチル(20.6g)及びN,N−ジメチルアミノピリジン(1.2g)をアセトニトリル(90ml)中に溶解し、40℃で3時間撹拌した。アセトニトリルを減圧下で蒸発させ、残った残留物をジイソプロピルエーテルに取り込み、熱い状態で濾過した。生成物を、一夜かけて無色の固体に結晶化させた。
収率:23.7g(理論値の88%)
1HNMR:1.38(s,9H),3.70(s,3H),4.35−4.58(m,2H),5.45−5.52(m,1H),6.93−7.05(m,6H),7.13−7.18(m,2H),7.22−7.30(m,4H),7.32−7.30(m,2H),7.45−7.52(m,1H)。
【0043】
〔実施例11〕
(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチルの製造
【化20】

(S)−2−(ベンゾイル−tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチル(1.3g)をメタノール(13ml)に溶解し、メタノール中の1Mのマグネシウムメトキシド溶液(2.74ml)と混合した。溶液を室温で終夜撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を酢酸エチルに取り込み、水で洗浄した。酢酸エチル相を硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、減圧下で濃縮した。残留物を少量のジイソプロピルエーテル/ヘプタンから結晶化させた。
収率:0.95g(理論値の90%)
1HNMR:1.38(s,9H),3.55(s,3H),4.10−4.25(m,2H),4.50−4.62(m,1H),5.10−5.25(m,1H),6.90−7.05(m,6H),7.20−7.30(m,4H)。
【0044】
〔実施例12〕
(S)−2−アミノ−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチル・p−トルエンスルホナートの製造
【化21】

(S)−2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)−3−ジフェニルアミノプロピオン酸メチル(18.5g、ee=85%)をジクロロメタン(100ml)に溶解し、そして、トリフルオロ酢酸(TFA)(50ml)と混合した。溶液を還流下で30分間加熱し、次いで、減圧下で体積100mlになるまで濃縮した。溶液を水で洗浄し、p−トルエンスルホン酸(9g)と混合した。n−ブタノール(125ml)を加え、残留したジクロロメタンを蒸発させた。p−トルエンスルホン酸塩を結晶化させるため、溶液を室温に冷却し、終夜撹拌した。固体を吸引濾過し、減圧下で恒量になるまで乾燥した。
収率:16.6g(理論値の81%、所望の異性体を基準にして)
1HNMR:2.38(s,3H),3.30(s,3H),4.10−4.35(m,3H),5.45−5.52(m,1H),6.73−6.95(m,6H),7.01−7.05(m,2H),7.10−7.18(m,4H),7.58−7.62(m,2H),8.30−8.55(s,broad,3H,NH)。
ee:99%。
【0045】
〔実施例13〕
2ベンゾイルアミノ−3−フェニルアミノアクリル酸メチルの製造
【化22】

2−ベンゾイルアミノ−3−ジメチルアミノアクリル酸メチル(10g、39.5mmol)及びアニリン(11.1g、118mmol)を40℃で、イソプロパノール(200ml)に溶解した。溶液を5分以内に濃塩酸(3.6ml、43.5mmol)と混合し、更に10分間撹拌した。脱イオン水(200ml)を加え、懸濁液を10℃に冷却し、結晶化した生成物を濾別した。
収率: 11.5g(理論値の92%)
1HNMR:3.62(s,3H);6.90−7.00(m,1H);7.19(d,2H);7.25−7.30(m,2H);7.48−7.61(m,3H);7.93(d,1H);8.02(d,2H);8.90(d,1H);9.15(s,1H)。
【0046】
〔実施例14〕
2−ベンゾイルアミノ−3−(4−フルオロフェニルアミノ)アクリル酸メチルの製造
【化23】

2−ベンゾイルアミノ−3−ジメチルアミノアクリル酸メチル(10g、39.5mmol)及び4−フルオロアニリン(11.4ml、118mmol)を40℃で、イソプロパノール(200ml)に溶解した。溶液を5分以内に濃塩酸(3.6ml、43.5mmol)と混合し、更に30分間撹拌した。懸濁液を10℃に冷却し、結晶化した生成物を濾別した。
収率: 12.4g(理論値の94%)
1HNMR:3.62(s,3H);7.05−7.24(m,4H);7.48−7.52(m,3H);7.88(d,1H);8.00−8.04(m,2H);8.90(d,1H);9.15(s,1H)。
【0047】
〔実施例15〕
2−ベンゾイルアミノ−3−(ピリジン−2−イルアミノ)アクリル酸メチルの製造
【化24】

2−ベンゾイルアミノ−3−ジメチルアミノアクリル酸メチル(10g、39.5mmol)及び2−アミノピリジン(11.3ml、118mmol)を40℃で、イソプロパノール(200ml)に溶解した。溶液を5分以内に濃塩酸(3.96ml、48mmol)と混合し、更に30分間撹拌した。懸濁液を10℃に冷却し、結晶化した生成物を濾別した。
収率:7.3g(理論値の60%)
1HNMR:3.62(s,3H);6.92−6.97(m,1H);7.02(d,1H);7.45−7.70(m,4H);8.02(d,2H);8.22−8.24(m,1H);8.60(d,1H);9.22(s,1H);9.45(d,1H)。
【0048】
〔実施例16〕
2−ベンゾイルアミノ−3−(チアゾール−2−イルアミノ)アクリル酸メチルの製造
【化25】

2−ベンゾイルアミノ−3−ジメチルアミノアクリル酸メチル(10g、39.5mmol)及び2−アミノチアゾール(11.3g、118mmol)を40℃で、イソプロパノール(200ml)に溶解した。溶液を5分以内に濃塩酸(3.96ml、48mmol)と混合し、更に60分間撹拌した。脱イオン水(75ml)を加え、懸濁液を終夜冷却し、結晶化した生成物を濾別した。
収率: 8.6g(理論値の70%)
1HNMR:3.62(s,3H);7.08(d,1H);7.32(d,1H);7.45−7.60(m,3H);8.02(d,2H);8.22(d,1H);9.28(s,1H);10.45(d,1H)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式II:
【化1】

[式中、R1及びR2は同一か又は異なり、そして互いに独立に、
1)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又はR11により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R11は、
a)F、Cl、I又はBr;
b)−(C1−C4)−アルキル;
c)−CN;
d)−CF3
e)−OR5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
f)−N(R5)−R6、ここで、R5及びR6は、互いに独立に、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
g)−C(O)−R5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;又は
h)−S(O)x−R5、ここで、xは、整数の0、1又は2であり、そして、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
であり;又は
2)4から15員環のHet環、ここで、Het環は、置換されていないか、又は−(C1−C5)−アルキル、−(C1−C5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ヒドロキシ−(C1−C4)−アルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル又は−(C1−C4)−アルコキシカルボニルにより、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
であり;
R3は、
1)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O(C1−C4)−アルキル、F、Cl又は臭素により 独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
2)−O−C(CH33;又は
3)−O−CH(R7)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−CH3、F、Cl若しくは臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R7は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
であり;
R4は、
1)水素原子;
2)−(C1−C4)−アルキル;又は
3)−CH(R8)−アリール、ここで、R8は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
である]の化合物。
【請求項2】
式IV:
【化2】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、請求項1に記載された式IIの化合物において定義された通りである)の化合物。
【請求項3】
式I:
【化3】

[式中、R1及びR2は、同じか又は異なり、各々独立に、
1)水素原子;
2)−(C1−C4)−アルキル;、
3)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又はR11により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R11は、
a)F、Cl、I又はBr;
b)−(C1−C4)−アルキル;
c)−CN;
d)−CF3
e)−OR5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
f)−N(R5)−R6、ここで、R5及びR6は、互いに独立に、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
g)−C(O)−R5、ここで、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;又は
h)−S(O)x−R5、ここで、xは整数の0、1又は2であり、そして、R5は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
である;
4)−CH(R7)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−CH3、F、Cl又は臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R7は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;又は
5)4から15員環のHet環、ここで、Het環は、置換されていないか、又は−(C1−C5)−アルキル、−(C1−C5)−アルコキシ、ハロゲン、ニトロ、アミノ、トリフルオロメチル、ヒドロキシル、ヒドロキシ−(C1−C4)−アルキル、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、ホルミル、アセチル、シアノ、ヒドロキシカルボニル、アミノカルボニル又は−(C1−C4)−アルコキシカルボニルにより、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
であり;
R3は、
1)水素原子;
2)−(C1−C4)−アルキル;
3)−(C6−C14)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−(C1−C4)−アルキル、F、Cl又は臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換される;
4)−O−C(CH33;又は
5)−O−CH(R7)−アリール、ここで、アリールは、置換されていないか、又は−NO2、−O−CH3、F、Cl若しくは臭素により、独立に、モノ、ジ若しくはトリ置換され、ここで、R7は水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
であり;
R4は、
1)水素原子;
2)−(C1−C4)−アルキル;又は
3)−CH(R8)−アリール、ここで、R8は、水素原子又は−(C1−C4)−アルキルである;
である]
の化合物を得るための方法であって、式II:
【化4】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々式Iで定義された通りであり、そして、式IIの化合物は、二重結合上で、E又はZ配置で存在しても良い)の化合物を、水素及び触媒の存在下で水素化することを含む上記方法。
【請求項4】
式Iにおいて、
R1は、フェニル又は水素原子であり;
R2は、フェニル、ピリジル又はチアゾリルであり、ここで、フェニル、ピリジル又はチアゾリルは、無置換又はフッ素若しくは塩素で置換され;そして、
R3は、フェニル又は−O−CH2−フェニルであり;そして、
R4は、メチル又はエチルである;
の化合物が得られる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
使用される触媒が、ロジウム錯体、ルテニウム錯体若しくはイリジウム錯体、又はそれらの混合物である、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
触媒の式IIの化合物に対するモル比が、1:100から1:10,000である、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
水素化が、10℃から200℃の温度で、且つ、1barから200barの水素圧で行われる、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
用いる溶媒が、水;メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノールなどのアルコール;トルエンなどの芳香族炭化水素;アセトンなどのケトン;ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素;酢酸エチルなどのカルボン酸エステル;テトラヒドロフランなどのエーテル、又はそれらの混合物を含む、請求項3〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
式III:
【化5】

(式中、R1、R2及びR4は、式Iに定義された通りである)
の化合物又はそれらの塩を得るための方法であって、
a)式II:
【化6】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々式Iで定義された通りである)
の化合物を、水素及び触媒の存在下で水素化し、それを式I:
【化7】

の化合物に転換すること;及び、
b)得られた式Iの化合物を式IIIの化合物に転換すること;
を含む上記方法。
【請求項10】
請求項9に記載された、式IIIの化合物を得るための方法であって、
a)式II、ここで、R1、R2、R3及びR4は、各々式Iで定義された通りである、の化合物を、水素及び触媒の存在下で水素化し、それを式Iの化合物に転換すること;
b)得られた式Iの化合物を、二炭酸tert−ブチル及びN,N−ジメチルアミノピリジンなどのアシル化触媒と反応させて、式IV:
【化8】

(式中、R1、R2、R3及びR4は、各々式Iで定義された通りである)
の化合物を得ること;
c)得られた式IVの化合物を式Ia:
【化9】

の化合物に転換すること;及び、
d)得られた式Iaの化合物を、式III、ここで、R1、R2及びR4は、各々式Iで定義された通りである、又はそれらの塩に転換すること;
を含む上記方法。
【請求項11】
請求項1に記載の、式IIの化合物を得るための方法であって、
式VI:
【化10】

(式中、R3及びR4は、各々請求項1に記載の式IIにおいて定義された通りである)の化合物を、式V:
R1−N(H)−R2 (V)
(式中、R1及びR2は、各々請求項1で記載された式IIにおいて定義された通りである)
のアミンと反応させ、式IIの化合物を得ることを含む上記方法。
【請求項12】
請求項2に記載の、式IVの化合物を得るための方法であって、
a)請求項1に記載された、式II(ここで、R1、R2、R3及びR4は、請求項2で定義された通りである)の化合物を、水素及び触媒の存在下で水素化し、それを式Iの化合物に転換すること;及び、
b)得られた式Iの化合物を、二炭酸tert−ブチル及びジメチルアミノピリジンなどのアシル化触媒と反応させて、式IV:
【化11】

の化合物を得ること;
を含む上記方法。

【公表番号】特表2008−505860(P2008−505860A)
【公表日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519672(P2007−519672)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/EP2005/006920
【国際公開番号】WO2006/005436
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】