説明

3−アミノ−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミドまたはその塩の合成のための方法

式Iの3−アミノ−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミド


またはその塩の調製方法は、本明細書に記載の式VIの化合物を、大部分はジメチルスルホキシド(DMSO)を含む溶液中に準備し、本明細書に記載の式VIIの中間体化合物の後処理または単離を行うことなく、この化合物を本明細書に記載の式VIIIの化合物に直接変換するものである。本発明の別の態様は、式Zの(1R,2S,5S)−3−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサミド,N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[(2S)−2−[[[1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニルアミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチルまたはその塩の新規な調製方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、3−アミノ−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミドまたはその塩の新規な調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
本セクションまたは本出願の任意のセクションにある任意の刊行物の識別は、そうした刊行物が本発明の先行技術であると認めるものではない。
【0003】
化合物3−アミノ−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミドは、式Iの構造を有する。
【0004】
【化1】

式Iの化合物は、以下の構造を有するC型肝炎ウイルス(「HCV」)プロテアーゼ阻害剤(1R,2S,5S)−3−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサミド,N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[(2S)−2−[[[1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニルアミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチルの調製で使用される鍵中間体である。
【0005】
【化2】

式Zの化合物は、C型肝炎および関連障害の治療に有用である。詳細には、式Zの化合物は、HCV NS3/NS4aセリンプロテアーゼの阻害剤である。
【0006】
式Iの化合物またはその塩を使用する、式Zの化合物の調製方法は、特許文献1および特許文献2のそれぞれに記載されており、この特許の全内容を参照により本明細書に完全に援用する。
【0007】
特許文献3(以下では「’220特許」)は、式Iの化合物およびその塩の調製方法を記載している。’220特許に記載されている式Iの化合物およびその種々の塩の製造方法を、以下スキームAに示す。
【0008】
スキームA
ステップ(1)式IIの化合物をアルキル化し、脱保護して、式IIIの化合物を得る。
【0009】
【化3】

[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表す。]
ステップ(2)式IIIの化合物を保護基(P)で保護して、式IVの化合物を得る。
【0010】
【化4】

ステップ(3)式IVの化合物を還元して、式Vの化合物を得る。
【0011】
【化5】

ステップ(4)式Vの化合物を酸化させて、式VIの化合物を得る。
【0012】
【化6】

ステップ(5)式VIの化合物を
【0013】
【化7】

と反応させて、式VIIの化合物を得る。
【0014】
【化8】

ステップ(6)式VIIの化合物を水和して、式VIIIの化合物を得る。
【0015】
【化9】

および
ステップ(7)式VIIIの化合物を脱保護して、式Iの化合物を得る。
【0016】
【化10】

’220特許に記載の方法では、そこに記載されている様々な中間体からの式Iの生成物の収率は比較的低くなる。たとえば、’220特許に示されている実施例のステップ4〜7に記載されているように、’220特許の方法では、式Vの化合物(保護基「P」は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)である)の使用量に基づく式Iの化合物の溶液収率が、約67%となる。
【0017】
さらに、’220特許の方法の1ステップ、すなわち式VIIの化合物を生成するステップにおいて、’220特許の方法は、毒性危険物である金属シアン化物、たとえば、シアン化カリウムを使用する。加えて、式VIIの化合物の生成において、’220特許の方法は、シアン化物水溶液を含有する廃液流をもたらす水性後処理ステップを含む。したがって、’220特許の実施例ステップ5では、シアン化カリウム水溶液と共にヨウ化テトラブチルアンモニウム相間移動触媒を使用して、酢酸エチルに溶解させたアセトンシアノヒドリンと式VIの化合物の反応を促進している。式VIの化合物とアセトンシアノヒドリンの反応が完了した際、水層を分離し、そうして得られた有機層を20%塩化ナトリウム溶液で洗浄して後処理し、次いで濃縮して、式VIIのBoc化合物を含有する酢酸エチル層を得る。
【0018】
’220特許の方法を商業的な量の式Iの化合物の調製に適するバッチサイズに拡大したとき、式Vの化合物の使用量に基づいて67.4%の式VIIIの化合物が得られた。理論に囚われるものではないが、認められる収率損失のかなりの部分は、アセトンシアノヒドリン反応終了時に必要となる水性後処理の間に式VIIが分解するためであると考えられる。’220特許の方法に従って調製された式VIIIの化合物の不純物プロフィールが高いことも、後処理の間に式VIIの化合物が分解するためであると考えられ、このため、この方法を商業規模で実施した場合、適度に純粋な生成物を得るのに複数のスラリーステップが必要であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0019】
【特許文献1】米国特許第7,012,066号明細書
【特許文献2】米国特許第7,244,721号明細書
【特許文献3】米国特許第6,992,220号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
前述の事項を考慮すると、作業員が固体金属シアン化物を取り扱う必要を省き、さらに処理の間に反応混合物中で式VIIの中間体化合物が分解するのを最小限に抑える、式Iの化合物の調製方法が求められている。また、この方法で生じるシアン化物含有廃棄物の量を削減し、除去する方法も求められている。また、式Iの化合物をより高い収率で提供する方法も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0021】
これらの要求および他の要求は、一態様において以下のスキームIに従う新規な方法である本発明の方法によって満たされ、
【0022】
【化11】

この方法は、
(i)アセトンシアノヒドリンを、式VIの化合物と実質的にジメチルスルホキシド(DMSO)である溶媒とを含む溶液と反応させ、それによって式VIIの化合物を生成するステップ[「P」は酸に不安定な保護基である]と、
(ii)ステップ「i」から得られた反応混合物を過酸化物と反応させ、それによって式VIIIの化合物をin situで生成するステップと、
(iii)ステップ(ii)から得た反応混合物を酸と反応させ、それによって式VIIIの化合物を脱保護し、式Iの化合物を得るステップと
を含む。
【0023】
ある実施形態では、Pは、BOC(アミノ窒素とカルバミン酸エステルを形成するtert−ブトキシカルボニル部分、[(CHC−O−C(O)−])であることが好ましい。ある実施形態では、スキームIIに示す方法に従って、式VIの化合物のDMSO溶液を準備することが好ましく、
【0024】
【化12】

この方法は、
(i)式IIの化合物(Rはアルキル基または置換アルキル基を表す)を、塩基の存在下、シクロブチルメチルハロゲン化物でアルキル化し、生成物を脱保護して、式IIIの化合物を得るステップと、
(ii)ステップ「i」から単離された式IIIの化合物のアミノ基を保護して、Pが酸に不安定な窒素保護基である式IVの化合物を得るステップと、
(iii)式IVの化合物を還元して、対応する式Vのアルコールを生成するステップと、
(iv)式Vの化合物のジクロロメタン溶液を酸化させて、式VIの化合物を得るステップと、
(v)ステップ「iv」からのジクロロメタン溶液を最小量の体積に濃縮し、DMSOを濃縮物と混合し、混合物から揮発性物質を留去するステップと
を含む。
【0025】
本発明のある実施形態では、スキームIIに関して、ステップ「i」、ステップ「ii」、ステップ「iii」、および/またはステップ「iv」に記載の方法の1つまたは複数を、上述の’220特許に説明および記述のある実験の詳細に従って実施することが好ましく、この特許の全内容は、すでに参照により本明細書に援用している。ある実施形態では、TEMPO媒介による酸化ステップの条件を、ジクロロメタン中での酸化の実施に適する条件、たとえば、以下の実施例Iに示す条件に適合させることが好ましい。本明細書に記載の本発明の方法の態様の詳細は、以下で述べる。
【0026】
本発明の別の態様は、式Zの(1R,2S,5S)−3−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサミド,N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[(2S)−2−[[[1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニルアミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチル
【0027】
【化13】

またはその塩の新規な調製方法であり、
この方法は、
(i)本明細書に記載の本発明の方法に従って、式Iの化合物またはその塩を調製するステップと、
(ii)式Iの化合物またはその塩を、それぞれ参照により本明細書に援用される米国特許第7,012,066号または米国特許第7,244,721号に記載の方法によって式Zの化合物に変換するステップと
を含む。
【0028】
本発明の他の態様および利点は、本発明についての以下の記述から明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0029】
上述のように、本発明の方法は、式VIの化合物を、式Vの化合物の最初の使用量に基づいて80%より高い単離収率で式VIIIの化合物に変換する方法を提供する。これは、本発明の方法からの単離収率が、式Vの化合物の使用量に基づいて67%の溶液収率が報告されている米国特許第6,992,220号(’220特許)に記載の方法によって得られる溶液収率(単離されていない生成物)を20%より多く上回るということである。
【0030】
本発明者らは、’220特許に記載の方法を商業生産に適する規模に拡大したとき、この方法からは単離生成物中に不純物が生じるので、暫定的な精製手順、たとえば複数のスラリーステップを組み入れて、式VIIIの化合物を適度に純粋な形態で得ることが必要になることを見出した。こうした複数の精製ステップによって、単離された生成物の収率は低下する。したがって、この方法では、式Iの化合物の単離収率が、’220特許の方法で獲得できるより大幅にさえ向上する。さらに、本発明の方法は、これまで必要となっていた水性後処理を省く条件下でアセトンシアノヒドリン反応を利用し、それによって作業効率を向上させる。ここでも上述のように、本発明の方法は、その行程の間に同時生成する水性シアン化物廃棄物の量もその上減少させ、したがってこの方法の実施に伴う廃棄物処理の必要性を減少させる。
【0031】
米国特許第6,992,220号(’220特許)に記載の方法について説明する、上記背景技術のセクションに示した方法スキームAに関して、本発明の方法は、スキームAでステップ4〜6として確認されるステップに対するいくつかの改良点を提供する。そうした改良点を、以下スキームIIIにおいてステップIおよびIIとして示す。ここで、BOCは、アミノ窒素とカルバミン酸エステルを形成するtert−ブトキシカルボニル部分[(CHC−O−C(O)−]である。
【0032】
【化14】

本発明の方法は、’220特許に記載のものと類似したTEMPO媒介による酸化を利用するが、しかし、本発明の方法では、酢酸エチルの代わりにジクロロメタン反応溶媒中で実施するように適合させている。他の溶媒、たとえば酢酸エチルを使用することもできるが、驚くべきことに、クリーンな反応をもたらすTEMPO媒介による酸化には、ジクロロメタンが適する溶媒であることが見出されている。
【0033】
その上、驚くべきことに、式VIの化合物から式VIIの化合物を生成する、アセトンシアノヒドリンとの引き続く反応は、炭酸カリウムを触媒として使用して、DMSO中で実施できることも見出されており、すなわち、相間移動触媒または金属シアン化物化合物の使用なしにアセトンシアノヒドリン反応を実施できる環境が提供される。さらに、シアノヒドリン反応をDMSO中で実施すると、そうして得られた反応混合物は、それ以上の後処理または溶媒交換を必要とすることなく、過酸化物を使用して生成物を酸化させることのできる媒質となる。こうして、驚くべきことに、式VIの化合物から式VIIの化合物を生成するシアノヒドリン反応と、式VIIの化合物を酸化させて式VIIIのアミドアミノアルコールにする酸化反応は、式VIIの化合物の単離、または酸化反応前の任意の追加の後処理および/もしくは溶媒交換の必要を省いて、ワンポット法として実施することができる。したがって、この方法は、’220特許に記載の方法に存在したステップならびに分解および収率損失のもとを効果的に排除する。
【0034】
したがって、ステップIでジクロロメタンを用いる本発明のある実施形態では、ステップIで使用する式Vの化合物が式Vaの化合物であるとき、塩化メチレン/式Vaの化合物の約5倍〜約10倍(vol/w)、好ましくは塩化メチレンの約6.5倍(vol/w)の量のジクロロメタンを使用してステップIを実施することが好ましい。本発明のある実施形態では、約0.4〜約1.0当量の臭化ナトリウム、好ましくは約0.5当量の臭化ナトリウムを使用してステップIを実施することが好ましい。本発明のある実施形態では、約0.8〜約1.5当量、好ましくは1.5当量の炭酸水素ナトリウムを使用してステップIを実施することが好ましい。本発明のある実施形態では、式Vの化合物の使用量の約0.001倍〜約0.01倍(w/w)の2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルを使用してステップIを実施することが好ましく、このラジカルは、約0.0025倍(w/w)の量で使用することが好ましい。ある実施形態では、次亜塩素酸ナトリウムを酸化剤(NaClO)として使用し、ステップIの酸化工程を実施することが好ましい。次亜塩素酸ナトリウムを用いるある実施形態では、式Vの化合物の使用量に対して約0.95当量〜約1.2当量、好ましくは約1.05当量の次亜塩素酸ナトリウムを用いることが好ましい。ある実施形態では、まず1当量の次亜塩素酸ナトリウムを加え、反応を一定期間、好ましくは次亜塩素酸塩を加えた後約20分間モニターし、反応混合物中に存在する未反応のアルコールの量に基づく追加量の次亜塩素酸ナトリウムを加えることにより、ステップIを実施することが好ましい。ある実施形態では、反応混合物を、チオ硫酸ナトリウムの水溶液、好ましくは100mlずつの水中に13gのチオ硫酸ナトリウムを使用して作製した溶液と接触させることにより、反応に使用した過剰の次亜塩素酸塩を失活させることが好ましい。
【0035】
本発明のある実施形態では、温度約(−10)℃〜約(+10)℃、好ましくは温度約(−5)℃〜約(0)℃でステップIを実施することが好ましい。
【0036】
ジクロロメタンは、ステップIを実施する溶媒の形態として好ましいが、他の極性が弱い非プロトン性低沸点溶媒をその代わりに使用してもよいことは理解されよう。本発明から逸脱することなく、選択した溶媒系と適合性のある、次亜塩素酸ナトリウム以外の酸化剤を使用してもよいことも理解されよう。
【0037】
本発明の範囲から逸脱することなく、式VIaの化合物を任意の方法で調製し、単離し、DMSOに溶かして、スキームIIIのステップIIを実施できることは理解されよう。
【0038】
本発明のある実施形態では、スキームIIIのステップIIを実施する反応溶媒であるDMSOへの「溶媒交換」を行う前に、スキームIIIのステップIに従って調製した式VIの化合物のジクロロメタン溶液を濃縮することが好ましい。ある実施形態では、溶媒の蒸留が止むまで、約60トル〜約80トルの真空下に置き、溶液の温度を約25℃未満に保つことにより、溶液を濃縮することが好ましい。本発明の範囲を逸脱することなく、溶液を濃縮する他の手段を使用してもよいことは理解されるであろう。本発明のある実施形態では、ジクロロメタン溶液を濃縮した後、DMSOを加え、揮発性物質を、溶媒の蒸留が再び止むまで約60トル〜約80トルの真空下に置き、溶液の温度を約25℃未満に保つことによって再び留去することにより、「溶媒交換」を行うことが好ましい。ある実施形態では、(ジクロロメタン濃縮物中に存在する式VIの化合物の重量に基づき)約1倍vol/w〜約10倍vol/w、好ましくは約2倍vol/w〜約4倍vol/wの量のDMSOを加えることが好ましい。
【0039】
本発明によれば、本方法のステップ2において、式VIの化合物を、一定分量の炭酸カリウムを加えた触媒条件下のDMSO中でアセトンシアノヒドリンと反応させるが、これによって、相間移動触媒または金属シアン化物が存在する必要なしに、式VIIの中間体化合物を生成する、シアノヒドリンと式VIの化合物の直接の反応が可能になる。この段階でDMSOを反応溶媒として使用すると、追加の溶媒交換、後処理、または中間体化合物の単離なしに、式VIIの化合物を引き続いて式VIIIの化合物へと酸化させることも可能になり、したがって式VIIの化合物の分解が軽減される。
【0040】
その上、反応混合物を引き続く酸化ステップでそのまま使用することにより、シアノヒドリン反応の間に生じるいかなるシアン化物廃棄物も、反応混合物を引き続いて過酸化物で処理する際にin situで分解される。すなわち、引き続いて処理しなければならない別途のシアン化物含有廃棄物が、反応の間に生じない。
【0041】
スキームIIIのステップIIに関して、本発明のある実施形態では、上述のようにDMSOへの「溶媒交換」を行い、化合物VIを含有するDMSO溶液に、アセトンシアノヒドリンを(溶液中の化合物VIの量に対して)約0.1倍w/w〜約1.0倍w/w、好ましくは反応混合物中の式VIの化合物の量に対して約0.3倍w/w〜約0.5倍w/wの量で続いて加えることが好ましい。ある実施形態では、シアノヒドリンを加えた後に一定分量の炭酸カリウムを反応混合物に加えて、式VIaの化合物とアセトンシアノヒドリンの反応に触媒作用を及ぼすことが好ましい。ある実施形態では、炭酸カリウム触媒を、反応混合物中の式VIの化合物の量に対して約0.1倍w/wまでの量で加えることが好ましく、反応混合物中の式VIの化合物の量に対して約0.01倍w/w〜約0.03倍w/wの量の炭酸カリウムを加えることがより好ましい。
【0042】
本発明のある実施形態では、反応をHPLCによってモニターし、HPLCの結果によって式VIの化合物の変換が完全に消費されたことが示されたとき、過酸化物反応を実施することが好ましい。したがって、ある実施形態では、反応混合物中で式VIの化合物が消費されたとき、酸化反応の実施に備えて、反応混合物に第2の一定分量の炭酸カリウムを加えて反応混合物を中和することが好ましい。ほとんどの適用例で、中和には、式VIの化合物が消費された後、第2の一定分量の炭酸カリウムが、溶液中に存在する式VIIの化合物の量に対して約0.1倍w/w〜約1.0倍w/wの量で必要となり、溶液中の式VIIの化合物の量に対して約0.3倍w/w〜約0.5倍w/wの量の第2の一定分量の炭酸カリウムを加えることがより好ましい。この反応のある実施形態では、第2の一定分量の炭酸カリウムを加えて反応液が中和されたなら、反応混合物を周囲温度より高温、好ましくは温度約35℃〜約45℃、より好ましくは約40℃に加熱し、反応混合物が温度に達した後、過酸化水素水溶液を加えて、式VIIの化合物の式VIIIの化合物への酸化を引き起こすことが好ましい。ある実施形態では、混合物を約4時間かけて過酸化水素と反応させ、その間反応混合物の温度を約35℃〜約45℃に保つことが好ましい。
【0043】
ある実施形態では、反応混合物中の化合物VIIの量に対して約0.5倍〜約3倍w/w、好ましくは反応混合物中の化合物VIIの量に対して約0.7倍w/w〜約0.9倍w/wの量の過酸化水素を加えることが好ましい。スキームIIIのステップIIの相で使用する過酸化水素の濃縮が絶対必要であるとは考えられていないが、ある実施形態では、35%強度の過酸化水素溶液をもたらす過酸化水素の濃縮を採用することが好ましい。
【0044】
上記および本明細書全体を通して使用するとき、以下の用語は、別段表記しない限り、以下の意味を有するものとする。
【0045】
「アルキル」とは、直線状でも分枝状でもよい脂肪族炭化水素基を意味し、鎖中に約1個〜約20個の炭素原子を含む。好ましいアルキル基は、鎖中に約1個〜約12個の炭素原子を含んでいる。より好ましいアルキル基は、鎖中に約1個〜約6個の炭素原子を含んでいる。分枝状とは、メチル、エチル、またはプロピルなどの1個または複数の低級アルキル基が、直線状アルキル鎖に結合していることを意味する。「低級アルキル」とは、鎖中に約1個〜約6個の炭素原子を有する、直線状でも分枝状でもよい基を意味する。用語「置換アルキル」とは、アルキル基が、同じでも異なってもよい1個または複数の置換基で置換されていてもよいことを意味し、各置換基は、ハロ、アルキル、シアノ、ヒドロキシ、アルコキシ、アルキルチオ、アミノ、−NH(アルキル)、−N(アルキル)、カルボキシ、および−C(O)O−アルキルからなる群からそれぞれ独立に選択される。適切なアルキル基の非限定的な例として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ヘプチル、ノニル、デシル、フルオロメチル、およびトリフルオロメチルが挙げられる。
【0046】
「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、またはヨード基を意味する。好ましいのは、フルオロ、クロロ、またはブロモであり、より好ましいのは、フルオロおよびクロロである。
【0047】
「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。好ましいのは、フッ素、塩素、または臭素であり、より好ましいのは、フッ素および塩素である。
【0048】
「アルコキシ」とは、アルキル−O−基を意味し、アルキル基は、以前に述べたとおりである。適切なアルコキシ基の非限定的な例として、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、およびヘプトキシが挙げられる。親部分への結合は、エーテル酸素を介する。
【0049】
「アルキルチオ」とは、アルキル−S−基を意味し、アルキル基は、以前に述べたとおりである。適切なアルキルチオ基の非限定的な例として、メチルチオ、エチルチオ、i−プロピルチオ、およびヘプチルチオが挙げられる。親部分への結合は、硫黄を介する。
【0050】
用語「任意選択で置換されている」とは、指定の基、ラジカル、または部分による任意選択の置換を意味する。
【0051】
スキーム1および2の特定の化合物は、窒素原子上を保護基Pで保護することもできる。本発明の改良された方法ステップでは、用いる保護基は、アミノ窒素とカルバミン酸エステルを形成するtert−ブトキシカルボニル部分[(CHC−O−C(O)−]であることが好ましいが、他の適切な基も用いることができ、本発明の範囲内のままとなることは理解されよう。本発明を実施するために用いることのできる、酸に不安定なN保護基の例としては、アリル、メトキシメチル、ベンジルオキシメチル、CYCO(Yはハロゲンである)、ベンジルオキシカルボニル、トリチル、ピバロイルオキシメチル、テトラヒドラニル、ベンジル、ジ(p−メトキシフェニル)メチル、トリフェニルメチル、(p−メトキシフェニル)ジフェニルメチル、ジフェニルホスフィニル、ベンゼンスルフェニル、メチルカルバメート、2−トリメチルシリルエチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(「Boc」、一部の化学者には「t−Boc」とも呼ばれる)、シクロブチルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、アダマンチルカルバメート、ビニルカルバメート、アリルカルバメート、シンナミルカルバメート、8−キノリルカルバメート、4,5−ジフェニル−3−オキサゾリン−2−オン、ベンジルカルバメート、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、およびS−ベンジルカルバメートが挙げられるがこれに限らない。好ましいN保護基としては、メチルカルバメート、2−トリメチルシリルエチルカルバメート、1−メチル−1−フェニルエチルカルバメート、t−ブチルカルバメート(「Boc」)、シクロブチルカルバメート、1−メチルシクロブチルカルバメート、アダマンチルカルバメート、ビニルカルバメート、アリルカルバメート、シンナミルカルバメート、8−キノリルカルバメート、ベンジルカルバメート、9−アントリルメチルカルバメート、ジフェニルメチルカルバメート、S−ベンジルカルバメートが挙げられ、Bocがより好ましい。
【0052】
上述のように、特に、ジクロロメタン(CHCl)中での化合物VIの製造の下準備となるスキームIIのステップのための基本的な処理条件は、’220特許で見ることができる。しかし、式VIの化合物、好ましくは式VIaの化合物をもたらすどんな手段も使用することができ、やはり本発明の範囲内に含めてよいことは理解されよう。
【0053】
ある好ましい実施形態では、化合物Vを適切な溶媒中で酸化剤に供することによって、化合物Vを化合物VIに酸化させる。好ましい実施形態では、溶媒は、酢酸エチルもしくはtert−ブチルメチルエーテル、または特にジクロロメタンである。溶媒がジクロロメタンである場合、化合物Vの量の5〜10倍、好ましくは化合物Vの量の6〜7倍の量で使用する。
【0054】
酸化剤は、適切などんな酸化剤でもよいが、次亜塩素酸ナトリウムであることが好ましい。次亜塩素酸ナトリウムを用いる場合、0.95〜1.2モル当量、好ましくは1.00〜1.05モル当量の量で用いる。
【0055】
酸化は、1種または複数の触媒および塩基の存在下で実施することが好ましい。特に好ましい触媒としては、反応混合物中の化合物Vの量の0.001〜0.01倍、好ましくは反応混合物中の化合物Vの量の0.0025倍の量で用いる2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO);および0.4〜1.0モル当量、好ましくは約0.5モル当量の量で用いる金属臭化物、特に臭化ナトリウムが挙げられる。塩基は、特に炭酸水素ナトリウムなどであり、0.8〜1.5モル当量、特に約1.5モル当量の量で用いることが好ましい。
【0056】
酸化の反応温度は、−10℃〜+10℃、好ましくは−5℃〜0℃の範囲である。
【0057】
本発明の例としての実施形態を以下の非限定的な実施例に即してここでより詳細に記載する。
【実施例】
【0058】
別段指定しない限り、以下の実施例において、以下の略語は指定の意味を有する。
MHz=メガヘルツ
NMR=核磁気共鳴分光法
mL=ミリリットル
g=グラム
THF=テトラヒドロフラン
TFA=トリフルオロ酢酸
TEMPO=2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル
DMSO=ジメチルスルホキシド
TBME=t−ブチルメチルエーテル
t−Boc=t−ブトキシカルボネート
(実施例1)
ジクロロメタン中での化合物Vaの化合物VIaへのTEMPO媒介による酸化
【0059】
【化15】

100gの2−t−ブトキシカルボニルアミノ−3−シクロブチル−1−プロパノール(式Vaの化合物、米国特許第6,992,220号に記載の手順に従って得たもの)を650mLのジクロロメタンに溶解させて作製した、(−4)℃に冷却した溶液に、22.5gの臭化ナトリウム(0.5当量)および55gの炭酸水素ナトリウム(1.5当量)を80mlの水に加えて作製したスラリーを加えた。得られる混合物に、0.25gの2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル(TEMPO試薬)を3mLのジクロロメタンに溶解させて作製した溶液を加えた。反応混合物を(−4)℃に冷却し、10分間撹拌した。撹拌期間の終わりに、525mLの5.5wt%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を1.5時間かけて加え(次亜塩素酸塩活性は1.0当量と滴定された)、その間反応混合物の温度は(−5)℃〜0℃の間に保った。次いで混合物を約20分間撹拌し、その間液体クロマトグラフィーによって出発アルコールの残量をモニターした。20分の終わりに、検出された未反応出発アルコールの量に相当する追加量の次亜塩素酸ナトリウムを20分間かけて充填し、その間反応混合物の温度は(−4)℃〜0℃の間に保った。次いで、反応混合物を10分間撹拌した。撹拌期間の終わりに、13gのチオ硫酸ナトリウムを100mlの水に溶かした溶液を約5分間かけて加えて、過剰の次亜塩素酸塩を失活させ、その間反応混合物を15℃に温めた。混合物を30分間撹拌し、その間追加の400mlの水を加えて、存在する無機塩を完全に溶解させた。撹拌を止め、反応混合物を静置させ、その後相を分割した。生成物を含有する有機相を150mLの飽和ブラインで10分間洗浄し、次いで層を分割し、分離した。無水硫酸マグネシウムでの処理および濾過によって有機層を乾燥させた。ジクロロメタン溶液は、化合物VIa(活性物(active)90.6g、モル収率91.4%)を含有していた。
【0060】
【化15−2】

(実施例2)
DMSO反応媒質を使用する、化合物VIIIaの化合物VIaからのワンポット合成
【0061】
【化16−1】

HPLCによって塩化メチレン中に17.44gの式VIaの化合物を含有することがわかっている、先行する実施例で調製したある量の実施例1で調製した化合物VIaの塩化メチレン溶液を、バッチ温度を25℃より低く保ちながら真空中(60〜80トル)で最小体積に濃縮した(25℃での蒸留が止んだとき、濃縮を中止した)。蒸留が止まったとき、濃縮物に59mLのDMSOを加えた。NMRによって混合物中に塩化メチレンが検出されなくなるまで、混合物を同じ条件下(60〜80トル、反応混合物を25℃より低温に保つ)で再び濃縮した。反応混合物(その溶媒は実質的にDMSOを含んだ)に、7.8mLのアセトンシアノヒドリン(Aldrich、受け入れたままで使用)を加えた後、0.3gの炭酸カリウムを加えた。HPLCによって検出可能な出発化合物VIaがなくなるまで反応混合物を室温で16時間撹拌した。スラリーに8.0gの炭酸カリウムをさらに充填し、40℃に加熱した後、バッチ温度を35℃〜45℃の間に保ちながら14.5mLの過酸化水素(35%)を4時間かけて加えた。反応混合物を40℃でさらに1時間撹拌した後、反応混合物の温度を40℃に保ちながら183mLの水をゆっくりと加えた。水を加えた後、混合物をさらに1時間撹拌した。得られるスラリーを0℃に冷却し、混合物を0℃に保ちながら6時間撹拌した。生成物を濾過によって単離した後、20mLずつの分量の4回の水で洗浄した。生成物を真空オーブンに入れて60℃で12時間かけて乾燥させて、白色の固体(18.75g、収率89.7%)を得た。
【0062】
【化16−2】

(実施例3)
米国特許第6,992,220号に従う保護されたアミノアルコールの調製
【0063】
【化17−1】

【0064】
【化17−2】

ステップ1:
35.0kg(131mol)の(ジフェニルメチレン)グリシンエチルエステルIIを158LのTHFに溶かした−20℃〜−30℃の溶液に、17.9kg(160mol)のカリウムtert−ブトキシドを158LのTHFに溶かした溶液を加えた。加えた後、混合物を−5℃〜0℃に温め、1時間撹拌し、18L(162mol)の(ブロモメチル)シクロブタンを加えた。加えた後、混合物を20℃〜25℃にさらに温め、24時間撹拌した。この期間の後、35LのHClの溶液(140Lの水中37%)を加えた。得られる混合物を2時間撹拌し、次いで静置させ、分離させた。有機層を105Lの水で洗浄した。水層を合わせ、280LのTBMEで2回洗浄した。洗浄後、水層に、175LのTBME、および52.5kgの炭酸カリウムを105Lの水に溶かした溶液を加えた。得られる混合物を30分間撹拌し、静置させ、分離させた。水層を175LのTBMEで抽出して、式IIIの化合物を含有する有機層を得た。
【0065】
ステップ2:
ステップ1からの有機層を合わせて140Lの体積に濃縮し、0℃〜5℃に冷却した。二炭酸ジ−t−ブチル(75重量%、THF溶液)(24.9kg、131mol)を加えた。加えた後、混合物を20℃〜25℃に温め、4時間撹拌し、70Lの水で洗浄した。有機層を共沸蒸留によって乾燥させ、140Lの体積に濃縮し、30℃〜35℃に冷却して、式IVの化合物を得た。
【0066】
ステップ3:
水素化ホウ素リチウムのTHF溶液(2.0M)(58.5kg、131mol)を、ステップ2からの式IVの化合物に加えた。得られる混合物を6時間撹拌し、15℃〜20℃に冷却した。17.5kgのリン酸二水素カリウムを175Lの水に溶かした溶液を加えて反応を失活させた。分離した後、水層を105LのTBMEで抽出した。合わせた有機層を水および塩化ナトリウム溶液で洗浄した。有機層中のTBMEを蒸留によってヘプタンと入れ換え、生成物をヘプタン溶液から結晶化した。濾過し、乾燥させた後、13.0kgの式Vの化合物(43%)を得た。
【0067】
【化18】

上記の本発明についての説明は、例示的なものであり限定するものではない。本明細書に記載の実施形態の様々な変更または改良を当業者が着想する場合もある。そうした変更は、本発明の範囲または真意から逸脱することなく行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの3−アミノ−3−シクロブチルメチル−2−ヒドロキシプロピオンアミドの調製方法であって、
【化19】

(i)アセトンシアノヒドリンを、式VIの化合物
【化20】

と実質的にジメチルスルホキシド(DMSO)である溶媒とを含む溶液と反応させ、それによって式VIIの化合物
【化21】

[式中、「P」は酸に不安定な保護基である]を生成するステップと、
(ii)ステップ「i」から得た反応混合物を過酸化物と反応させ、それによって式VIIIの化合物
【化22】

をin situで生成するステップと、
(iii)ステップ(ii)から得た反応混合物を酸と反応させ、それによって式VIIIの化合物を脱保護し、式Iの化合物を得るステップと
を含む方法。
【請求項2】
ステップ「i」におけるシアノヒドリンとの前記反応に、0.1倍w/wまでの炭酸カリウムによって触媒作用を及ぼす、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記反応混合物中に存在する化合物VIの量に対して約0.1倍w/w〜約1.0w/wの量でアセトンシアノヒドリンを加える、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記シアノヒドリン反応を室温で実施する、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記過酸化物反応ステップiiの前に、前記反応混合物を、前記反応混合物中に存在する式VIIの化合物の量に対して約0.1倍w/w〜約1.0倍w/wの一定分量の炭酸カリウムで中和する、請求項1から4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップ「ii」で使用する過酸化物供給源が35%過酸化水素水溶液であり、これを、前記反応混合物中に存在する式VIIの化合物の量に対して約0.5倍w/w〜約3.0倍w/wをもたらす量で加える、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記反応ステップ「ii」を温度約35℃〜約45℃で実施する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
a)式Vの化合物
【化23】

のジクロロメタン溶液を、酸化剤と反応させて、式VIの化合物
【化24】

を得るステップと、
b)ステップ「a」で調製した式VIの化合物の前記ジクロロメタン溶液を、温度約25℃以下かつ圧力約60トル〜約80トルで揮発性物質を留去することによって濃縮するステップと
を含む方法によって、ステップ「i」で用いる溶液を準備する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記酸化反応ステップ「a」を、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)媒介型次亜塩素酸ナトリウムを使用して実施する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記反応混合物中に存在する式Vの化合物の量に対して約0.001倍w/w〜約0.01倍w/wの範囲の量でTEMPOを用いる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式Vの化合物の量の約0.0025倍の量でTEMPOを用いる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記次亜塩素酸ナトリウム酸化剤を0.95〜1.2モル当量の量で用いる、請求項9から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記次亜塩素酸ナトリウム酸化剤を1.00〜1.05モル当量の量で用いる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化を−10℃〜+10℃の温度で実施する、請求項8から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記酸化を−5℃〜0℃の温度で実施する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
(i)式IIの化合物
【化25】

[式中、Rはアルキル基または置換アルキル基を表す]を、塩基の存在下、シクロブチルメチルハロゲン化物との反応でアルキル化し、生成物を脱保護して、式IIIの化合物
【化26】

を得るステップと、
(ii)ステップ「i」から単離された式IIIの化合物のアミノ基を保護して、式IVの化合物
【化27】

[式中、Pは酸に不安定な窒素保護基である]を得るステップと、
(iii)ステップ「ii」で得た式IVの化合物を還元して、対応する式Vのアルコールを生成するステップと
を含む方法によって式Vの化合物を準備する、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
「R」がエチル−であり、式IIの化合物をカリウムtert−ブトキシドの存在下、ブロモメチルシクロブタンでアルキル化することによりステップ1を実施し、次いで反応混合物をHCl、次いで炭酸カリウム水溶液で後処理し、得られる、「R」がエチルである式IIIの化合物をtert−ブチルメチルエーテル中に抽出し;式IIIの化合物のMTBE溶液を二炭酸ジtert−ブチルで処理し、「P」がtert−ブトキシカルボニル保護基である式IVの化合物を得ることによりステップ2を実施し;ステップ2からの後処理反応混合物を水素化ホウ素リチウムで処理し、「P」がブトキシカルボニル保護基である式Vのアルコール生成物を結晶化することによりステップ3を実施する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
式Zの(1R,2S,5S)−3−アザビシクロ[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサミド,N−[3−アミノ−1−(シクロブチルメチル)−2,3−ジオキソプロピル]−3−[(2S)−2−[[[1,1−ジメチルエチル)アミノ]カルボニルアミノ]−3,3−ジメチル−1−オキソブチル]−6,6−ジメチル
【化28】

またはその塩の調製方法であって、
a)請求項1に従って、式Iの化合物またはその塩を調製するステップと、
b)式Iの化合物またはその塩を、それぞれ参照により本明細書に援用される米国特許第7,012,066号または米国特許第7,244,721号に記載の方法に従って式Zの化合物に変換するステップと
を含む方法。

【公表番号】特表2011−507876(P2011−507876A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539747(P2010−539747)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/087228
【国際公開番号】WO2009/085858
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(596129215)シェーリング コーポレイション (785)
【氏名又は名称原語表記】Schering Corporation
【Fターム(参考)】