説明

3−フェノキシメチルピロリジン化合物

一態様では、本発明は、式(I)(式中、R1〜6は、明細書に定義されている通りである)の化合物、または薬学的に許容されるその塩に関する。式Iの化合物は、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害剤である。別の態様では、本発明は、このような化合物を含む医薬組成物、このような化合物の使用方法、ならびにこのような化合物を調製するためのプロセスおよび中間体に関する。本発明のさらに別の態様は、哺乳動物においてセロトニン再取込を阻害する方法に関し、哺乳動物にセロトニン輸送体を阻害する量の本発明の化合物を投与することを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロトニン(5−HT)およびノルエピネフリン(NE)再取込阻害剤としての活性を有する3−フェノキシメチルピロリジン化合物に関する。本発明はまた、このような化合物を含む医薬組成物、このような化合物を調製するためのプロセスおよび中間体、ならびに神経因性疼痛などの疼痛性障害および他の病気を治療するためのこのような化合物の使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疼痛は、実在もしくは潜在する組織損傷に随伴し、またはそのような損傷に関して形容される不快な感覚および感情の経験である(International Association for the Study of Pain、Pain Terminology)。慢性痛は、急性痛の範囲を超えて、または傷害が治癒する予想期間を過ぎても続く(非特許文献1)。神経因性疼痛は、神経系における原発性の病変または機能障害によって始まり、または引き起こされる疼痛である。末梢神経因性疼痛は、病変または機能障害によって末梢神経系が冒されるときに起こり、中枢神経因性疼痛は、病変または機能障害によって中枢神経系が冒されるときに起こる(IASP)。
【0003】
現在、例えば、三環系抗うつ薬(TCA)、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害剤(SNRI)、カルシウムチャネルリガンド(例えば、ギャバペンチンおよびプレガバリン)、局所用リドカイン、およびオピオイド作動薬(例えば、モルヒネ、オキシコドン、メサドン、レボルファノール、およびトラマドール)を含めて、いくつかの種類の治療剤が神経因性疼痛の治療に使用されている。しかし、神経因性疼痛は、治療するのが非常に難しい場合があり、患者のわずか40〜60%が、最善でもその疼痛の部分的な緩和を実現しているにすぎない(非特許文献2の247頁)。その上、神経因性疼痛の治療に現在使用されている治療剤はすべて、一部の患者においてその有効性を制限することのある種々の副作用(例えば、悪心、鎮静、眩暈、および傾眠)を伴う(非特許文献2、前掲書、241頁)。
【0004】
デュロキセチンやベンラファキシンなどのSNRIは、神経因性疼痛治療の一次療法としてしばしば使用される。これらの薬剤は、セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン(5−hydroxytrypamine)、5−HT)およびノルエピネフリン(NE)の両方の再取込を、セロトニンおよびノルエピネフリン輸送体(それぞれSERTおよびNET)に結合することにより阻害する。しかし、デュロキセチンおよびベンラファキシンは両方とも、NETよりもSERTに対する親和性が高い(非特許文献3)。
【0005】
前臨床研究により、SERTとNETの両方を阻害することが、神経因性および他の慢性の疼痛状態の最大限に有効な治療に必要となり得ることが示唆されている(非特許文献4;非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7)。しかし、臨床研究では、SERTの阻害は、悪心および他の副作用に関連することが報告されている(非特許文献8)。したがって、よりバランスの取れたSERTおよびNET親和性、またはわずかに高いNET親和性を有する治療剤が、悪心などの副作用をより少なくしか生じさせずに慢性疼痛を治療するのに特に有用であると予想される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】American Pain Society、「Pain Control in the Primary Care Setting」、2006年:15巻
【非特許文献2】R. H. Dworkinら(2007年)Pain 132巻:237〜251頁
【非特許文献3】Vaishnaviら(2004年)Biol. Psychiatry 55巻(3号):320〜322頁
【非特許文献4】Jonesら(2006年)Neuropharmacology 51巻(7〜8号):1172〜1180頁
【非特許文献5】Vickersら(2008年)Bioorg. Med. Chem. Lett. 18巻:3230〜3235頁
【非特許文献6】Fishbainら(2000年)Pain Med. 1巻(4号):310〜316頁
【非特許文献7】Mochizucki(2004年)Human Psychopharmacology 19巻:S15〜S19頁
【非特許文献8】Greistら(2004)Clin. Ther. 26巻(9号):1446〜1455頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、神経因性疼痛などの慢性疼痛の治療に有用である新規な化合物が求められている。特に、慢性疼痛の治療に有用であり、悪心などの副作用が低減されている新規化合物が求められている。また、SERTとNETの両方を、高い親和性(例えば、pIC50≧8.0またはK≦10nM)およびバランスの取れた阻害(例えば、0.1〜100のSERT/NET結合K比)で阻害する新規な二重作用性化合物が求められている。
【0008】
本発明は、セロトニン再取込阻害活性およびノルエピネフリン再取込阻害活性を有することが見出されてきた新規な化合物を提供する。したがって、本発明の化合物は、神経因性疼痛などの、セロトニンおよび/またはノルエピネフリン輸送体の阻害によって治療することのできる疾患および障害のための治療剤として有用であり、有利であると予想される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩に関し、
【0010】
【化1】

式中、
は、−CHOH、−C1〜2アルキレン−O−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキレン−S−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキレン−O−フェニル、−C1〜2アルキレン−S−フェニル、−C1〜2アルキレン−O−ベンジル、−C1〜2アルキレン−S−ベンジル、テトラヒドロピラニル、およびテトラヒドロフラニルから選択され、
からRは、水素、ハロ、−C1〜6アルキル、−CF、−O−C1〜6アルキル、−CN、−C(O)−C1〜6アルキル、−S−C1〜6アルキル、−C3〜8シクロアルキル、および−NOから独立に選択され、またはRとRが一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成しており、またはRとRが一緒になって−CH−CH=CH−CH−を形成する。
【0011】
本発明の別の態様は、
【0012】
【化2】

から選択される配置を有し、またはそのような配置を有する立体異性体形態が富化されている式Iの化合物に関する。
【0013】
本発明のさらに別の態様は、薬学的に許容される担体および本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。このような組成物は、アルツハイマー病治療薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、パーキンソン病治療薬、セロトニン−ノルエピネフリン再取込二重阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、ノルエピネフリン再取込阻害剤、オピオイド作動薬、選択的セロトニン再取込阻害剤、ナトリウムチャネル遮断薬、交感神経遮断薬、およびこれらの組合せなどの他の活性剤を任意選択で含有し得る。したがって、本発明のさらに別の態様では、医薬組成物は、本発明の化合物、第2の活性剤、および薬学的に許容される担体を含む。本発明の別の態様は、本発明の化合物および第2の活性剤を含む活性剤の組合せに関する。本発明の化合物は、さらなる薬剤(複数可)と一緒に製剤、またはさらなる薬剤(複数可)と別々に製剤することができる。別々に製剤されるときは、薬学的に許容される担体は、さらなる薬剤(複数可)と共に含んでもよい。したがって、本発明のまた別の態様は、医薬組成物の組合せに関し、この組合せは、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩および第1の薬学的に許容される担体を含む第1の医薬組成物、ならびに第2の活性剤および第2の薬学的に許容される担体を含む第2の医薬組成物を含む。本発明はまた、このような医薬組成物を含有するキットに関し、例えば第1および第2の医薬組成物は、別々の医薬組成物である。
【0014】
本発明の化合物は、セロトニン再取込阻害活性およびノルエピネフリン再取込阻害活性を有し、したがってセロトニンおよび/またはノルエピネフリン輸送体の阻害によって治療される疾患または障害を患っている患者を治療するための治療剤として有用であることが期待される。したがって、本発明の一態様は、神経因性疼痛などの疼痛障害、大うつ病などの抑うつ障害、不安障害などの情動障害、注意欠陥多動性障害、認知症などの認知障害、腹圧性尿失禁、肥満、または閉経に関連する血管運動性の症状の治療方法であって、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む方法に関する。
【0015】
本発明のさらに別の態様は、哺乳動物においてセロトニン再取込を阻害する方法に関し、哺乳動物にセロトニン輸送体を阻害する量の本発明の化合物を投与することを含む。本発明のまた別の態様は、哺乳動物においてノルエピネフリン再取込を阻害する方法に関し、哺乳動物にノルエピネフリン輸送体を阻害する量の本発明の化合物を投与することを含む。また本発明の別の態様は、哺乳動物にセロトニン輸送体およびノルエピネフリン輸送体を阻害する量の本発明の化合物を投与することを含む、哺乳動物においてセロトニン再取込およびノルエピネフリン再取込を阻害する方法に関する。
【0016】
本発明の化合物は、セロトニン再取込阻害活性およびノルエピネフリン再取込阻害活性を有するため、このような化合物はまた、研究ツールとして有用である。したがって、本発明の一態様は、本発明の化合物を使用した生物学的アッセイを行うことを含む、本発明の化合物を研究ツールとして使用する方法に関する。本発明の化合物はまた、新規な化合物を評価するために使用することができる。したがって、本発明の別の態様は、生物学的アッセイにおいて試験化合物を評価する方法に関し、(a)試験化合物で生物学的アッセイを行い、第1のアッセイ値を提供することと、(b)本発明の化合物で生物学的アッセイを行い、第2のアッセイ値を提供すること(ステップ(a)は、ステップ(b)の前、後または同時に行われる)と、(c)ステップ(a)からの第1のアッセイ値をステップ(b)からの第2のアッセイ値と比較することとを含む。例示的な生物学的アッセイには、セロトニン再取込アッセイおよびノルエピネフリン再取込アッセイが含まれる。本発明のさらに別の態様は、セロトニン輸送体、ノルエピネフリン輸送体、または両方を含む生物系または生物試料を研究する方法に関し、この方法は、(a)生物系または生物試料を本発明の化合物と接触させることと、(b)生物系または生物試料に対する化合物によってもたらされる作用を決定することとを含む。
【0017】
本発明はまた、本発明の化合物の調製に有用なプロセスおよび中間体に関する。したがって、本発明の一態様は、式XVIIの化合物
【0018】
【化3】

またはその塩[式中、Pはアミノ保護基である]を脱保護して、xおよびR1〜6が式Iについて規定した通りである式Iの化合物を得るステップを含む、式Iの化合物の調製プロセスに関する。他の態様では、本発明は、そのようなプロセスで使用する新規な中間体に関する。
【0019】
本発明のさらに別の態様は、医薬の製造、特に疼痛障害、抑うつ障害、感情の障害、注意欠陥多動性障害、認知障害、腹圧性尿失禁の治療に有用な、哺乳動物においてセロトニン再取込を阻害し、または哺乳動物においてノルエピネフリン再取込を阻害する医薬の製造のための、本発明の化合物の使用に関する。本発明のさらに別の態様は、研究ツールとしての本発明の化合物の使用に関する。本発明の他の態様および実施形態は、本明細書において開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0020】
一態様では、本発明は、式Iの新規化合物または薬学的に許容されるその塩に関する。
【0021】
【化4】

本明細書において使用する場合、「本発明の化合物」という用語には、下記に記載する式Ia〜Id、II〜XVIIにおいて具体化されている種およびこのような式の他のすべての亜種などの式Iによって包含される全ての化合物が含まれる。さらに、本発明の化合物が塩基性基または酸性基(例えば、アミノまたはカルボキシル基)を含有する場合、化合物は、遊離塩基、遊離酸として、または様々な塩の形態で存在することができる。全てのこのような塩の形態は、本発明の範囲内に含められる。したがって、本明細書において化合物についての言及、例えば、「本発明の化合物」または「式Iの化合物」についての言及には、他に示さない限り、式Iの化合物、ならびにその化合物の薬学的に許容される塩が含まれることを当業者なら理解するであろう。さらに、式Iの化合物の溶媒和物は、本発明の範囲内に含まれる。
【0022】
式Iの化合物は、少なくとも2つのキラル中心を含有し、したがって、これらの化合物は、様々な立体異性体の形態で調製および使用してもよい。したがって、本発明はまた、他に示さない限り、ラセミ混合物、純粋な立体異性体(例えば、エナンチオマーおよびジアステレオマー)、立体異性体が富化された混合物などに関する。本明細書において化学構造が立体配置なしに示されているとき、全ての可能性のある立体異性体がこのような構造に包含されていることが理解される。したがって、例えば、用語「式Iの化合物」、「式IIの化合物」などは、この化合物の全ての可能な立体異性体を含むことを意図する。同様に、本明細書において特定の立体異性体が示されまたは挙げられているとき、他に示さない限り少量の他の立体異性体が本発明の組成物中に存在することがあるが、ただし、このような他の異性体が存在することによって全体としての組成物の有用性が排除されないことを当業者であれば理解するであろう。個々のエナンチオマーは、適切なキラル固定相もしくは支持体を使用したキラルクロマトグラフィー、またはそれらをジアステレオマーに化学的に変換し、ジアステレオマーをクロマトグラフィーもしくは再結晶などの従来の手段によって分離し、次いで最初のエナンチオマーを再び生じさせることを含めた、当技術分野で周知の多数の方法によって得てもよい。さらに、適用できる場合、本発明の化合物の全てのシス−トランスまたはE/Z異性体(幾何異性体)、互変異性型および位置異性形態は、他に特定しない限り本発明の範囲内に含まれる。
【0023】
より詳細には、式Iの化合物は、次式で記号*および**によって示す少なくとも2つのキラル中心を含んでいる。
【0024】
【化5】

一立体異性体では、*および**記号によって識別される両方の炭素原子が(R)配置を有する。本発明のこの実施形態を式Iaに示す。
【0025】
【化6】

この実施形態では、化合物は、*および**炭素原子において(R,R)配置を有し、またはこれらの炭素原子において(R,R)配置を有する立体異性体形態が富化されている。
【0026】
別の立体異性体では、*および**記号によって識別される両方の炭素原子が(S)配置を有する。本発明のこの実施形態を式Ibに示す。
【0027】
【化7】

この実施形態では、化合物は、および**炭素原子において(S,S)配置を有し、またはこれらの炭素原子において(S,S)配置を有する立体異性体の形態で富化されている。
【0028】
さらに別の立体異性体では、記号*によって識別される炭素原子が(S)配置を有し、記号**によって識別される炭素原子が(R)配置を有する。本発明のこの実施形態を式Icに示す。
【0029】
【化8】

この実施形態では、化合物は、*および**炭素原子において(S,R)配置を有し、またはこれらの炭素原子において(S,R)配置を有する立体異性体形態が富化されている。
【0030】
さらに別の立体異性体では、記号*によって識別される炭素原子が(R)配置を有し、記号**によって識別される炭素原子が(S)配置を有する。本発明のこの実施形態を式Idに示す。
【0031】
【化9】

この実施形態では、化合物は、*および**炭素原子において(R,S)配置を有し、またはこれらの炭素原子において(R,S)配置を有する立体異性体形態が富化されている。
【0032】
式IaとIbの化合物は、エナンチオマーであり、したがって、別の態様では、本発明は、個々の各エナンチオマー(すなわち、IaまたはIb)、IaとIbのラセミ混合物、またはIaを主体もしくはIbを主体として含むエナンチオマー富化されたIaとIbの混合物に関する。同様に、式IcおよびIdの化合物もエナンチオマーであり、したがって、別の態様では、本発明は、個々の各エナンチオマー(すなわち、IcまたはId)、IcとIdのラセミ混合物、またはIcを主体もしくはIdを主体として含むエナンチオマー富化されたIcとIdの混合物に関する。
【0033】
一部の実施形態では、本発明の化合物の治療活性を、例えば神経因性疼痛を治療するように最適化するために、*および**の記号によって識別される炭素原子が、特定の(R,R)、(S,S)、(S,R)、もしくは(R,S)配置を有し、またはそのような配置を有する立体異性体形態が富化されていることが望ましい場合もある。例えば、一実施形態では、本発明の化合物は、式Icの(S,R)配置を有し、または(S,R)配置を有する立体異性体形態が富化されており、別の実施形態では、本発明の化合物は、式Idの(R,S)配置を有し、または(R,S)配置を有する立体異性体形態が富化されている。他の実施形態では、本発明の化合物は、ラセミ混合物として、例えば、式IaとIbのエナンチオマーの混合物として、または式IcとIdのエナンチオマーの混合物として存在する。
【0034】
本発明は、式Iの同位体標識化合物、すなわち、1個または複数の原子が、同一の原子番号を有するが、自然において優勢である原子質量と異なる原子質量を有する原子で置換または富化されている式Iの化合物を含む。式Iの化合物に組み込み得る同位体の例には、それだけに限らないが、H、H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、35S、36Cl、および18Fが含まれる。特に重要なのは、例えば組織分布調査で使用することのできる、トリチウムまたはカーボン14が富化されている式Iの化合物;例えば、その結果代謝安定性のより高い化合物が得られる、特に代謝部位においてジュウテリウムが富化されている式Iの化合物;および例えば、電子放射断層法(Positron Emission Topography)(PET)調査において使用することのできる、11C、18F、15O、および13Nなどの陽電子放出同位体が富化されている式Iの化合物である。
【0035】
本発明の化合物は、セロトニン再取込阻害活性およびノルエピネフリン再取込阻害活性を有することが見出されてきた。他の特性の中で、このような化合物は、神経因性疼痛などの慢性疼痛を治療するための治療剤として有用であることが期待される。二重活性を単一の化合物中に合わせることによって、単一の活性成分を使用して、二重療法、すなわち、セロトニン再取込阻害活性およびノルエピネフリン再取込阻害活性を達成することができる。1種の活性成分を含有する医薬組成物は、2種の活性成分を含有する組成物を製剤するより典型的には容易であるため、このような単一成分組成物は、2種の活性成分を含有する組成物より有意な利点を提供する。
【0036】
多くのセロトニンおよびノルエピネフリン再取込複合阻害剤(SNRI)は、NETよりSERTに選択的である。例えば、ミルナシプラン、デュロキセチン、およびベンラファキシンは、SERTに対してNETのそれぞれ2.5倍、10倍、および100倍の選択性(pKとして測定される)を示す。しかし、SERTでのpKが7.0であり、NETでのpKが6.7である、ビシファジンなどの、選択性がより弱いものもある。選択的な化合物を避けることが望ましい場合もあるので、本発明の一実施形態では、化合物は、よりバランスのとれたSERTおよびNET活性を有する。
【0037】
本発明の化合物を命名するために本明細書において使用される命名法は、本明細書において実施例に例示されている。この命名法は、市販のAutoNomソフトウェア(MDL、San Leandro、California)を使用して得た。式Iの化合物は、3−フェノキシメチルピロリジン核を有する。したがって、Rが−CH−O−C1〜6アルキルである式Iの化合物は、3−(1−フェノキシ−2−アルコキシエチル)ピロリジン等々として命名している。
代表的な実施形態
下記の置換基および値は、本発明の様々な態様および実施形態の代表例を提供することを意図する。これらの代表値は、このような態様および実施形態をさらに定義および例示することを意図し、他の実施形態を除外または本発明の範囲を限定することを意図しない。これに関しては、特定の値または置換基が好ましいという表現は、特に明記しない限り本発明から他の値または置換基を除外することを決して意図しない。
【0038】
一態様によれば、本発明は、式Iの化合物に関する。
【0039】
【化10】

部分は、−CHOH、−C1〜2アルキルレン−O−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキルレン−S−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキルレン−O−フェニル、−C1〜2アルキルレン−S−フェニル、−C1〜2アルキルレン−O−ベンジル、−C1〜2アルキルレン−S−ベンジル、テトラヒドロピラニル、またはテトラヒドロフラニルである。一実施形態では、Rは−CHOHである。別の実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−O−C1〜6アルキルであり、その例として、−CH−O−CH、−(CH−O−CH、−CH−O−CHCH、および−CH−O−CH(CHが挙げられる。別の実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−S−C1〜6アルキルであり、その例として、−(CH−S−CHが挙げられる。別の実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−O−フェニルであり、その例として、−CH−O−フェニルおよび−(CH−O−フェニルが挙げられる。別の実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−S−フェニルであり、その例として、−CH−S−フェニルおよび−(CH−S−フェニルが挙げられる。別の実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−O−ベンジルであり、その例として、−CH−2−O−ベンジルおよび−(CH−O−ベンジルが挙げられる。別の実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−S−ベンジルであり、その例として、−CH−2−S−ベンジルが挙げられる。別の実施形態では、Rはテトラヒドロピラニルである。さらに別の実施形態では、Rはテトラヒドロフラニルである。
【0040】
部分からR部分は、水素、ハロ、−C1〜6アルキル、−CF、−O−C1〜6アルキル、−CN、−C(O)−C1〜6アルキル、−S−C1〜6アルキル、−C3〜8シクロアルキル、および−NOから独立に選択され、またはRとRが一緒になって、−CH=CH−CH=CH−を形成しており、またはRとRが一緒になって、−CH−CH=CH−CH−を形成する。
【0041】
本発明の一部の実施形態では、アリール環上の1つまたは複数の位置は、非水素部分で置換されている。例えば、そのような一実施形態は、「Rは、非水素部分である」と述べることにより記載できる。これは、Rが、式Iにおいて規定した非水素部分、すなわち、ハロ、−C1〜6アルキル、−CF、−O−C1〜6アルキル、−CN、−C(O)−C1〜6アルキル、−S−C1〜6アルキル、−CF、−C3〜8シクロアルキル、および−NOのいずれかでよいこと、またはRと一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成し、もしくはRと一緒になって−CH−CH=CH−CH−を形成することを意味すると理解される。一実施形態では、R基からR基の少なくとも1つは、非水素部分である。別の実施形態では、R基からR基の少なくとも2つが非水素部分である。さらに別の実施形態では、R基からR基の少なくとも3つが非水素部分である。一実施形態では、R基からR基の少なくとも4つが非水素部分であり、さらに別の実施形態では、R基からR基のすべてが非水素部分である。
【0042】
例となるハロ基として、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードが挙げられる。例となる−C1〜6アルキル基として、−CH(「Me」)、−CHCH(「Et」)、および−CH(CHが挙げられる。例となる−O−C1〜6アルキル基として、−OCH(「OMe」)、−O−CHCH、および−OCH(CHが挙げられる。例となる−C(O)−C1〜6アルキル基として、−C(O)CHおよび−C(O)CHCHが挙げられる。例となる−S−C1〜6アルキル基として、−SCHが挙げられる。例となる−C3〜8シクロアルキル基として、シクロヘキシルが挙げられる。
【0043】
一実施形態では、Rは−CHOHであり、式IIのように示される。
【0044】
【化11】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。別の実施形態では、Rは−C1〜2アルキレン−O−C1〜6アルキルであり、式IIIのように示される。
【0045】
【化12】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。さらに別の実施形態では、Rは−C1〜2アルキレン−S−C1〜6アルキルであり、式IVのように示される。
【0046】
【化13】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。別の実施形態では、Rは−C1〜2アルキレン−O−フェニルであり、式Vのように示される。
【0047】
【化14】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。別の実施形態では、Rは−C1〜2アルキレン−S−フェニルであり、式VIのように示される。
【0048】
【化15】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。別の実施形態では、Rは−C1〜2アルキレン−O−ベンジルであり、式VIIのように示される。
【0049】
【化16】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。別の実施形態では、Rは−C1〜2アルキレン−S−ベンジルであり、式VIIIのように示される。
【0050】
【化17】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。一実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−テトラヒドロピラニルであり、テトラヒドロピラニルは、式
【0051】
【化18】

を有し、利用可能な任意の結合点に結合しており、以下のものが挙げられる。
【0052】
【化19】

例となる一実施形態は、式IXのように示される。
【0053】
【化20】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。さらに別の実施形態では、Rは、−C1〜2アルキルレン−テトラヒドロフラニルであり、テトラヒドロフラニルは、式
【0054】
【化21】

を有し、利用可能な任意の結合点に結合しており、以下のものが挙げられる。
【0055】
【化22】

例となる一実施形態は、式Xのように示される。
【0056】
【化23】

式中、R〜Rは、式Iについて規定した通りである。
【0057】
特定の一実施形態では、RおよびRは非水素部分であり、R、RおよびRは水素であり、式XIのように示される。
【0058】
【化24】

式中、Rは、式Iについて規定した通りである。
【0059】
特定の一実施形態では、RおよびRは非水素部分であり、R、RおよびRは水素であり、式XIIのように示される。
【0060】
【化25】

式中、Rは、式Iについて規定した通りである。
【0061】
特定の一実施形態では、RおよびRは非水素部分であり、R、RおよびRは水素であり、式XIIIのように示される。
【0062】
【化26】

式中、Rは、式Iについて規定した通りである。
【0063】
特定の一実施形態では、R、RおよびRは非水素部分であり、RおよびRは水素であり、式IXのように示される。
【0064】
【化27】

式中、Rは、式Iについて規定した通りである。
【0065】
特定の一実施形態では、R、RおよびRは非水素部分であり、RおよびRは水素であり、式XVのように示される。
【0066】
【化28】

式中、Rは、式Iについて規定した通りである。
【0067】
一実施形態では、Rは、水素、ハロ、−C1〜6アルキル、または−CFであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。別の実施形態では、Rは、水素、フルオロ、クロロ、−CH、または−CFであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。
【0068】
一実施形態では、Rは、水素、ハロ、または−CFであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。別の実施形態では、Rは、水素、フルオロ、クロロ、または−CFであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。
【0069】
一実施形態では、Rは、水素、ハロ、−C1〜6アルキル、−CF、または−CNであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。別の実施形態では、Rは、水素、フルオロ、クロロ、−CH、−CF、または−CNであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。
【0070】
一実施形態では、Rは、水素、またはハロであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。別の実施形態では、Rは、水素、またはクロロであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。
【0071】
一実施形態では、Rは、水素、またはハロであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。別の実施形態では、Rは、水素、フルオロ、またはクロロであり、別の態様では、この実施形態は、式II〜XVを有する。
【0072】
さらに別の実施形態では、RとRが一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成し、またはRとRが一緒になって−CH−CH=CH−CH−を形成しており、それぞれ式XVIaおよびXVIbのように示される。
【0073】
【化29】

式中、Rは、式Iについて規定した通りである。
【0074】
さらに、対象とする式Iの特定化合物には、下記の実施例において記載されているもの、および薬学的に許容されるその塩が含まれる。
【0075】
定義
本発明の化合物、組成物、方法およびプロセスを記述するときに、下記の用語は、他に示さない限り下記の意味を有する。さらに、本明細書において使用する場合、単数形「a」、「an」および「the」には、使用する状況がそれ以外のことを明らかに示さない限り相当する複数形が含まれる。「含む」、「含まれる」および「有する」という用語は、包括的であることを意図し、一覧表示された要素以外のさらなる要素があり得ることを意味する。
【0076】
「薬学的に許容される」という用語は、本発明において使用されるとき、生物学的にまたはその他の点で許容されないことはない材料を意味する。例えば、「薬学的に許容される担体」という用語は、許容されない生物学的作用をもたらさず、または組成物の他の成分と許容されない態様で相互作用せずに、組成物中に組み込むことができ、患者に投与することができる材料を意味する。このような薬学的に許容される材料は典型的には、毒性試験および製造試験の必要とされる基準を満たしており、米国食品医薬品局による適切な非活性成分として同定されているそれらの材料が含まれる。
【0077】
「薬学的に許容される塩」という用語は、哺乳動物などの患者への投与のために許容される塩基または酸から調製される塩(例えば、投与計画について哺乳動物にとって許容される安全性を有する塩)を意味する。しかし、本発明によって包含される塩は、患者に投与することを意図しない中間化合物の塩など、薬学的に許容される塩である必要はないことが理解される。薬学的に許容される塩は、薬学的に許容される無機塩基または有機塩基に、および薬学的に許容される無機塩または有機酸に由来することができる。さらに、式Iの化合物が、塩基性部分(アミンなど)、および酸性部分(カルボン酸など)の両方を含有するとき、双性イオンが形成されることがあり、本明細書において使用する場合「塩」という用語内に含められる。薬学的に許容される無機塩基に由来する塩には、アンモニウム塩、カルシウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、リチウム塩、マグネシウム塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩、カリウム塩、ナトリウム塩、および亜鉛塩などが含まれる。薬学的に許容される有機塩基に由来する塩には、置換アミン、環状アミン、天然アミンなど(アルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N−エチルモルホリン、N−エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン(piperazine)、ピペラジン(piperadine)、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなど)を含めた第一級、第二級および第三級アミンの塩が含まれる。薬学的に許容される無機酸に由来する塩には、ホウ酸、炭酸、ハロゲン化水素酸(臭化水素酸、塩酸、フッ化水素酸またはヨウ化水素酸)、硝酸、リン酸、スルファミン酸および硫酸の塩が含まれる。薬学的に許容される有機酸に由来する塩には、脂肪族ヒドロキシル酸(例えば、クエン酸、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、ラクトビオン酸、リンゴ酸、および酒石酸)、脂肪族モノカルボン酸(例えば、酢酸、酪酸、ギ酸、プロピオン酸およびトリフルオロ酢酸)、アミノ酸(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)、芳香族カルボン酸(例えば、安息香酸、p−クロロ安息香酸、ジフェニル酢酸、ゲンチシン酸、馬尿酸、およびトリフェニル酢酸)、芳香族ヒドロキシル酸(例えば、o−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、1−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸および3−ヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸)、アスコルビン酸、ジカルボン酸(例えば、フマル酸、マレイン酸、シュウ酸およびコハク酸)、グルクロン酸、マンデル酸、粘液酸、ニコチン酸、オロト酸、パモ酸、パントテン酸、スルホン酸(例えば、ベンゼンスルホン酸、カンホスルホン酸、エジシル酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、ナフタリンスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸)、キシナホ酸などの塩が含まれる。
【0078】
「溶媒和物」という用語は、溶質の1種もしくは複数の分子、例えば、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩、および溶媒の1種もしくは複数の分子によって形成される複合体または凝集物を意味する。このような溶媒和物は典型的には、実質的に固定されたモル比の溶質および溶媒を有する結晶性固体である。代表的な溶媒には、例示として、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸などが含まれる。溶媒が水であるとき、形成される溶媒和物は水和物である。
【0079】
「治療有効量」という用語は、それを必要としている患者に投与されたときに治療をもたらすのに十分な量、すなわち、所望の治療効果を得るのに必要とされる薬物の量を意味する。例えば、神経因性疼痛を治療するための治療有効量は、例えば、神経因性疼痛の症状を減少、抑制、除去もしくは予防し、または神経因性疼痛の根本にある原因を治療するのに必要とされる化合物の量である。他方、「有効量」という用語は、必ずしも治療結果ではないことがある所望の結果を得るのに十分な量を意味する。例えば、ノルエピネフリン輸送体を含む系を研究するときに、「有効量」は、ノルエピネフリン再取込を阻害するのに必要な量であり得る。
【0080】
「治療する」または「治療」という用語は、本明細書において使用する場合、下記の1つまたは複数を含む、哺乳動物(特に、ヒト)などの患者において疾患または医学的状態(神経因性疼痛など)を治療することまたは治療を意味する。(a)疾患または医学的状態が起こることを予防すること、すなわち、患者の予防的治療;(b)疾患または医学的状態を寛解すること、すなわち、患者において疾患または医学的状態の除去または後退をもたらすこと;(c)疾患または医学的状態を抑制すること、すなわち、患者において疾患または医学的状態の発症を緩徐化または抑止すること;あるいは(d)患者において疾患または医学的状態の症状を緩和すること。例えば、「神経因性疼痛を治療する」という用語には、神経因性疼痛が起こることを予防し、神経因性疼痛を寛解し、神経因性疼痛を抑制し、神経因性疼痛の症状を緩和することが含まれる。「患者」という用語には、疾患の予防または特定の疾患もしくは医学的状態の治療のために現在治療されている、治療または疾患の予防を必要としているヒトなどのそれらの哺乳動物、および本発明の化合物がアッセイにおいて評価または使用される試験対象、例えば動物モデルが含まれることを意図する。
【0081】
「アルキル」という用語は、直鎖状または分岐状でよい一価の飽和炭化水素基を意味する。別段の定義がない限り、このようなアルキル基は典型的には、1〜10個の炭素原子を含有し、例えば、−C1〜2アルキル、−C1〜3アルキル、−C1〜4アルキル、−C1〜6アルキル、および−C2〜6アルキルが含まれる。代表的なアルキル基には、例示として、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシルなどが含まれる。「アルキレン」という用語は、直鎖状または分岐状でよい二価の飽和炭化水素基を意味する。
【0082】
「シクロアルキル」という用語は、一価の飽和炭素環式炭化水素基を意味する。別段の定義がない限り、このようなシクロアルキル基は典型的には、3〜10個の炭素原子を含有し、例えば、−C3〜5シクロアルキル、−C3〜6シクロアルキルおよび−C3〜8シクロアルキルが含まれる。代表的なシクロアルキル基には、例示として、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。
【0083】
本明細書において使用される特定の用語について炭素原子の特定の数が意図されているとき、炭素原子の数は、下付き数字として用語に先行して示される。例えば、「−C1〜6アルキル」という用語は、1〜6個の炭素原子を有するアルキル基を意味し、「−C3〜8シクロアルキル」という用語は、3〜8個の炭素原子を有するシクロアルキル基を意味し、炭素原子は任意の許容される配置にある。
【0084】
「ハロ」という用語は、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを意味する。
【0085】
本明細書において使用される全ての他の用語は、それらが関係する当業者によって理解されるようなそれらの通常の意味を有することを意図する。
【0086】
一般の合成手順
本発明の化合物は、下記の一般法、実施例に記載された手順を使用して、または当業者には公知の他の方法、試薬、および出発物質を使用することによって、容易に利用可能な出発物質から調製することができる。下記の手順は、本発明の特定の実施形態を例示し得るが、本発明の他の実施形態は、同じもしくは同様の方法を使用して、または当業者には公知の他の方法、試薬および出発物質を使用することによって、同様に調製することができることが理解される。典型的または好ましいプロセス条件(すなわち、反応温度、時間、反応物のモル比、溶媒、圧力など)が所与である場合、特に明記しない限り、他のプロセス条件もまた使用することができることはまた理解されるであろう。最適な反応条件は、様々な反応パラメーター(使用する特定の反応物、溶媒および量など)によって典型的には変化する一方、当業者は、通常の最適化手順を使用して適切な反応条件を容易に決定することができる。
【0087】
さらに、当業者であれば明らかであろうように、従来の保護基は、特定の官能基が望ましくない反応を起こることを妨げるために必要であるか、または望ましいことがある。特定の官能基のために適した保護基の選択、ならびにこのような官能基の保護および脱保護のために適した条件および試薬は、当技術分野において周知である。本明細書に記載されている手順において例示されているもの以外の保護基を、必要に応じて使用し得る。例えば、多数の保護基、ならびにそれらの導入および除去は、GreeneおよびWuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、ニューヨーク、1999年、およびそこで引用されている参照文献に記載されている。
【0088】
さらに具体的には、下記のスキームでは、Pは、アミノ基において望ましくない反応を防止するのに適した保護基を意味するように本明細書において使用される用語である「アミノ保護基」を表す。代表的なアミノ保護基には、それだけに限らないが、t−ブトキシカルボニル(BOC)、トリチル(Tr)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、ホルミルなどが含まれる。標準的な脱保護技術、およびDCM中のTFAもしくは1,4−ジオキサン中のHCl、メタノールまたはエタノールなどの試薬を使用して、存在する場合、保護基を除去する。例えば、BOC基は、塩酸、トリフルオロ酢酸などの酸性試薬を使用して除去することができ、一方Cbz基は、アルコール性溶媒中のH(1atm)、10%Pd/Cなどの接触水素化条件を用いることによって除去することができる。
【0089】
これらのスキームにおいて適切な不活性希釈剤または溶媒には、例示として、限定的ではなく、テトラヒドロフラン(THF)、アセトニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、トルエン、ジクロロメタン(DCM)、クロロホルム(CHCl)などが含まれる。
【0090】
全ての反応は典型的には、約−78℃〜110℃の範囲の温度、例えば室温で行われる。反応は、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、および/またはLCMSの使用によって完了するまでモニターし得る。反応は、数分で完了することがあり、数時間、典型的には1〜2時間および48時間までかかることがあり、数日、例えば、最大3〜4日かかることがある。完了すると、このように得られた混合物または反応生成物は、所望の生成物を得るためにさらに処理し得る。例えば、このように得られた混合物または反応生成物は、下記の手順の1つまたは複数に供し得る。希釈(例えば、飽和NaHCOによる);抽出(例えば、酢酸エチル、CHCl、DCM、HCl水溶液による);洗浄(例えば、DCM、飽和NaCl水溶液、または飽和NaHCO水溶液による);乾燥(例えば、MgSOもしくはNaSO上で、または真空中で);濾過;濃縮(例えば、真空中で);再溶解(例えば、1:1 酢酸:HO溶液中で);ならびに/または精製(例えば、分取HPLC、逆相分取HPLC、もしくは結晶化による)。
【0091】
実例として、式Iの化合物ならびにその塩は、以下のスキームによって、ならびに実施例に記載する手順によって調製することができる。*キラル中心は、SまたはRであることが分かっており、それに応じて表記する。しかし、**キラル中心は、明白には分かっておらず、ジアステレオ異性体中間体(保護されたアルコール)の混合物から、逆相HPLCによる第一の溶離ピークに基づき、RまたはSと指定した。そのようなキラルな第二級アルコールの立体化学の割当ては、確立されたモッシャーのエステル分析(例えば、DaleおよびMosher(1969年)J. Org. Chem. 34巻(9号):2543〜2549頁を参照されたい)を利用して実現することができる。Rが、−CHOH、−C1〜2アルキレン−O−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキレン−S−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキレン−O−フェニル、−C1〜2アルキレン−S−フェニル、−C1〜2アルキレン−O−ベンジル、または−C1〜2アルキレン−S−ベンジルである化合物については、以下のことが当てはまる。すなわち、*キラル中心がSであると分かっている化合物では、第一の溶離ピークを**キラル中心におけるRと指定し、第二の溶離ピークを**キラル中心におけるSと指定し、また*キラル中心がRであると分かっている化合物では、第一の溶離ピークを**キラル中心におけるSと指定し、第二の溶離ピークを**キラル中心におけるRと指定した。Rがテトラヒドロピラニルである化合物については、以下のことが当てはまる。すなわち、*キラル中心がSであると分かっている化合物では、第一の溶離ピークを**キラル中心におけるSと指定し、第二の溶離ピークを**キラル中心におけるRと指定し、また*キラル中心がRであると分かっている化合物では、第一の溶離ピークを**キラル中心におけるRと指定し、第二の溶離ピークを**キラル中心におけるSと指定した。
【0092】
以下のスキームでは、特定の一方の立体異性体の生成を例示し、他方の立体異性体は、異なる立体化学を有する出発材料を使用することにより、同様にして生成することができる。
【0093】
スキームI
【0094】
【化30】

式Iの化合物は、芳香族求核置換反応(SAr)を使用して、適切なアルコール出発材料と任意選択で置換されている所望のフルオロベンゼンを反応させることにより調製できる。この反応は通常、DMFなどの溶媒中で水素化ナトリウム(NaH)を使用して実施する。次いで脱保護すると、所望の式Iの化合物が得られる。
【0095】
スキームII
【0096】
【化31】

式Iの化合物は、アルコール出発材料と任意選択で置換されているフェノールの光延カップリング反応(MitsunobuおよびYamada(1967年)M. Bull. Chem. Soc. JPN. 40巻:2380〜2382頁)を使用して調製することもできる。この反応は通常、アゾジカルボン酸ジエチルやアゾジカルボン酸ジイソプロピルなどのアゾジカルボキシレートおよびトリフェニルホスフィンなどのホスフィン触媒を含有するレドックス系を使用し、標準の光延カップリング条件を用いて実施する。次いで脱保護すると、所望の式Iの化合物が得られる。
【0097】
アルコール出発材料は、ウィッティヒ反応によってアルデヒドをオレフィン化した後、メチルトリオキソレニウム(VII)などの酸素転移触媒および末端酸化剤としての過酸化水素を使用してアルケンをエポキシ化することにより、調製することもできる。次いでジアステレオ異性体をジェイコブセン速度論的光学分割によって分離して、単一異性体としてのエポキシドを得る。
【0098】
スキームIII
【0099】
【化32】

次のステップには、アルコキシドによるエポキシドの開環が伴い、通常はNaHを使用して実施する。適切なアルコールの例として、エタノール(Rは−CH−OCHCHである)およびイソプロピルアルコール(Rは−CH−OCH(CHである)が挙げられる。(R,S)アルコール出発材料は、(R)アルデヒド出発材料を使用し、同様にして調製することができる。
【0100】
アルコール出発材料は、(R)−3−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシフリーラジカル(TEMPO)を媒介として酸化して、(R)−3−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを得ることにより調製することもできる。
【0101】
スキームIV
【0102】
【化33】

酸化の際に起こり得るラセミ化の量を最小限に抑えることにより、この方法は特に有用である。PがBocまたはベンジルである3−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、市販されている。あるいは、(R)−3−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルは、第一級アルコールをアルデヒドに変換するのに適する任意の酸化剤を使用して酸化することもできる。代表的な酸化剤として、例えば、ジメチルスルホキシド、Collins試薬、Corey試薬、二クロム酸ピリジニウムなどが挙げられる。次のステップには、ホルミル化合物とグリニャール試薬R−MgX(Xは、例えば、クロロまたはブロモである)とのグリニャール反応が伴う。このステップは通常、標準のグリニャール反応条件を使用して実施する。例となるグリニャール試薬として、4−テトラヒドロピランマグネシウムクロリド(Rはテトラヒドロピラニルである)などが挙げられる。(S,R)および(S,S)アルコール出発材料は、(S)−3−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルとしても知られている(S)−Boc−3−ピロリジンメタノールを使用し、同様にして調製することができる。
【0103】
アルコール出発材料は、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)などの非求核性強塩基を使用してピロリジノンをアシル化した後、ボラン還元を実施してアルコールを生成することにより調製してもよい。適切な還元試薬として、ボランジメチルスルフィド錯体(BH・MeS)、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、ボラン1,2−ビス(t−ブチルチオ)エタン錯体、ボランt−ブチルアミン錯体、ボランジ(t−ブチル)ホスフィン錯体、ボラン−テトラヒドロフラン錯体(BH・THF)などが挙げられる。
【0104】
スキームV
【0105】
【化34】

例となる酸塩化物試薬として、塩化3−メトキシプロピオニル(Rは−(CH)OCHである)および塩化3−メチルチオプロピオニル(Rは−(CH)SCHである)が挙げられる。
【0106】
所望なら、遊離酸形態または塩基形態の式Iの化合物を薬学的に許容される塩基または酸と接触させることにより、式Iの化合物の薬学的に許容される塩を調製してもよい。
【0107】
本明細書に記載の中間体のいくつかは、新規であると考えられ、したがって、例えば、式XVIIの化合物
【0108】
【化35】

またはその塩[式中、Pは、アミノ保護基、特にt−ブトキシカルボニル(BOC)を表し、RおよびR2〜6は、式Iについて規定した通りである]を含めて、そうした化合物を本発明のさらなる態様として提供する。本発明の一実施形態では、本発明の化合物は、式Vの化合物を脱保護して、式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩を得ることにより調製できる。
【0109】
本発明の代表的な化合物またはその中間体を調製するための特定の反応条件および他の手順に関するさらなる詳細を、下記に示される実施例に記載する。
有用性
本発明の化合物は、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害活性を有する。したがって、これらの化合物は、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込組合せ阻害剤(SNRI)としての治療有用性を有する。一実施形態では、本発明の化合物は、同等またはほぼ同等のセロトニン再取込阻害活性およびノルエピネフリン再取込阻害活性を有する。
【0110】
化合物の阻害定数(K)は、放射リガンド結合阻害アッセイにおける、放射リガンドが存在しないならば輸送体の50%を占有することになるリガンドの濃度である。K値は、アッセイ1に記載するような、(ノルエピネフリン輸送体、NETでは)H−ニソキセチンおよび(セロトニン輸送体、SERTでは)H−シタロプラムを用いた放射リガンド結合研究から決定することができる。これらのK値は、Cheng−Prusoff式および放射リガンドのK(ChengおよびPrusoff(1973年)Biochem. Pharmacol. 22巻(23号):3099〜3108頁)を使用して、結合アッセイにおけるIC50値から求められる。機能的IC50値は、アッセイ2に記載する取込みアッセイの機能的阻害において決定することができる。これらのIC50値は、Cheng−Prusoff式および輸送体の伝達物質のKを使用して、K値に変換することができる。しかし、アッセイ2で記載する取込みアッセイ条件は、アッセイで使用する神経伝達物質濃度(5−HT、NE、またはDA)がそれぞれの輸送体についてのそのKを十分に下回るので、IC50値がK値に極めて近くなるようなものであり、数学的な変換が望まれるはずであることを留意されたい。一実施形態では、本発明の化合物は、0.1〜100の範囲のSERT K/NET Kを示し、別の実施形態では、0.3〜100の範囲のSERT K/NET Kを示し、さらに別の実施形態では、0.3〜10の範囲のSERT K/NET Kを示す。
【0111】
セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害の別の尺度は、pIC50値である。一実施形態では、本発明の化合物は、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害pIC50値が7以下であり、別の実施形態では、本発明の化合物は、セロトニン再取込阻害pIC50が7以下、かつノルエピネフリン再取込阻害pIC50が8以下であり、さらに別の実施形態では、本発明の化合物は、セロトニン再取込阻害pIC50が8以下、かつノルエピネフリン再取込阻害pIC50が7以下であり、別の実施形態では、本発明の化合物は、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害pIC50値が8以下である。特定の一実施形態では、こうした化合物は、式II〜XVIを有する。
【0112】
別の実施形態では、本発明の化合物は、ドーパミン輸送体(DAT)以上にSERTおよびNETの阻害に選択的である。例えば、この実施形態では、特に重要な化合物は、DATに対する結合親和性の少なくとも5倍、またはDATの少なくとも10倍、またはDATの少なくとも20倍もしくは30倍であるSERTおよびNETに対する結合親和性を示す化合物である。別の実施形態では、化合物は、有意なDAT阻害を示さない。さらに別の実施形態では、化合物は、794nMの濃度で測定したとき、DAT活性の阻害を50%未満しか示さない。使用したアッセイ条件下では、50%以上の阻害を示す化合物は、DATにおける推定pK値が6.1以上となる。
【0113】
さらに別の実施形態では、本発明の化合物は、ドーパミン再取込阻害活性に加えて、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害活性を有する。例えば、この実施形態では、特に重要な化合物は、8.0以上のSERTおよびNETにおけるpIC50および、7.0以上のDATにおけるpIC50を示す化合物である。
【0114】
場合によっては、本発明の化合物は、弱いセロトニン再取込阻害活性または弱いノルエピネフリン再取込阻害活性を有し得ることが注目される。これらの場合、このような化合物は、主に各々NET阻害剤もしくはSERT阻害剤として有用性を有する、または研究ツールとして有用性を有することを当業者であれば理解するであろう。
【0115】
本発明の化合物のセロトニンおよび/またはノルエピネフリン再取込阻害活性を測定するアッセイの例には、限定ではなく実例として、SERTおよびNET結合を、例えば、アッセイ1およびTsurudaら(2010年)Journal of Pharmacological and Toxicological Methods 61巻(2号):192〜204頁に記載の通りに測定するアッセイが挙げられる。加えて、アッセイ1に記載するものなどのアッセイにおいてDAT結合および取込みのレベルを理解することも有用である。有用な二次的アッセイとして、それぞれのヒトまたはラット組換え輸送体(hSERT、hNET、またはhDAT)を発現する細胞へのセロトニンおよびノルエピネフリン取込みの阻害を測定するための、アッセイ2に記載するような神経伝達物質取込みアッセイ、ならびに組織におけるSERT、NET、およびDATのインビボ占有率を決定するのに使用する、アッセイ3に記載するようなエクスビボ放射リガンド結合および神経伝達物質取込みアッセイが挙げられる。試験化合物の薬理学的性質を評価するのに有用である他のアッセイとして、アッセイ4に記載のものが挙げられる。インビボアッセイの例としては、神経因性疼痛治療の臨床的な有効性を高い信頼性で予測するものである、アッセイ5に記載のホルマリン足試験、およびアッセイ6に記載の脊髄神経結紮モデルが挙げられる。前述のアッセイは、本発明の化合物の治療有用性、例えば、神経因性疼痛緩和活性を判定する際に有用である。本発明の化合物の他の特性および有用性は、当業者には周知の様々なインビトロおよびインビボアッセイを使用して示すことができる。
【0116】
本発明の化合物は、モノアミン輸送体機能の調節が関係している医学的状態、特にセロトニンおよびノルエピネフリン再取込の阻害による影響を受け、またはその阻害に応答する状態の治療および/または予防に有用であると予想される。したがって、セロトニンおよび/またはノルエピネフリン輸送体の阻害によって治療される疾患または障害に罹患している患者を、治療有効量の本発明のセロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害剤を投与することにより治療できることが予想される。そのような医学的状態には、例として、神経因性疼痛、線維筋痛症、および慢性疼痛などの疼痛障害、大うつ病などの抑うつ障害、不安障害などの情動障害、注意欠陥多動性障害、認知症などの認知障害、ならびに腹圧性尿失禁が挙げられる。
【0117】
用量当たり投与される活性剤の量、または1日当たり投与される総量は、予め定めてもよく、または患者の状態の性質および重篤度、治療される状態、患者の年齢、体重、および身体全体の健康、患者の活性剤への耐性、投与経路、薬理学的考察(投与される活性剤および任意の第2の薬剤の活性、効力、薬物動態および毒物検査プロファイルなど)などを含めた多数の要因を考慮に入れることによって、個々の患者に基づいて決定し得る。疾患または医学的状態(神経因性疼痛など)を患っている患者の治療は、所定の投与量または治療を行う医師によって決定される投与量から始めることができ、疾患または医学的状態の症状を予防、寛解、抑制、または緩和するのに必要な期間続ける。このような治療を受けている患者を、典型的には定期的にモニターし、療法の有効性を決定する。例えば、神経因性疼痛の治療では、治療の有効性の尺度に、患者の生活の質、例えば、患者の睡眠パターン、出勤状況、運動および歩行の能力などの改善についての評価を含めることができる。局部ベースで活用される疼痛スケールも、患者の疼痛レベルの評価に役立てることができる。本明細書に記載されている他の疾患および状態についての指標は、当業者に周知であり、治療を行う医師にとって容易に利用可能である。医師による連続モニタリングによって、いつでも最適な量の活性剤が投与されることが確実となり、かつ治療期間の決定を容易にする。第2の薬剤がまた投与されるときに、それらの選択、投与量、および治療の期間についてまた調整が必要となることがあるため、これは特に重要である。このようにして、治療計画および投与スケジュールでは、所望の有効性を示す最も低い量の活性剤が投与され、さらに、疾患または医学的状態を首尾よく治療するのに必要である限りにのみ投与が続けられるように、治療に亘って調節することができる。
【0118】
疼痛障害
SNRIは、有痛性糖尿病性神経障害(デュロキセチン、Goldsteinら(2005年)Pain 116巻:109〜118頁;ベンラファキシン、Rowbothamら(2004年)Pain 110巻:697〜706頁)、線維筋痛症(デュロキセチン、Russellら(2008年)Pain 136巻(3号):432〜444頁;ミルナシプラン、Vittonら(2004年)Human Psychopharmacology 19巻:S27〜S35頁)、および偏頭痛(ベンラファキシン、Ozyalcinら(2005年)Headache 45巻(2号):144〜152頁)などの疼痛に有益な効果をもたらすことが分かっている。したがって、本発明の一実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、疼痛障害の治療方法に関する。通常、治療有効量は、疼痛の緩和に十分である量となる。例となる疼痛障害には、実例として、急性疼痛、持続性疼痛、慢性疼痛、炎症性疼痛、および神経因性疼痛が挙げられる。より詳細には、関節炎;慢性腰痛を含めた背痛;腫瘍に関連した疼痛(例えば、骨痛、頭痛、顔面痛、または内臓痛)および癌治療に伴う疼痛(例えば、化学療法後症候群、慢性術後疼痛症候群、および照射後症候群)を含めて、癌;毛根管症候群;線維筋痛症;慢性緊張性頭痛を含めた頭痛;多発性筋痛、リウマチ様関節炎、および骨関節炎に伴う炎症;偏頭痛;複合性局所疼痛症候群を含めた神経因性疼痛;全般的な疼痛;術後疼痛;肩部痛;卒中後痛ならびに脊髄損傷および多発性硬化症に伴う疼痛を含めた中枢痛症候群;幻肢痛;パーキンソン病に伴う疼痛;および内臓痛(例えば、過敏性大腸症候群)に伴う疼痛またはこれらによって引き起こされる疼痛が挙げられる。特に重要なのは、糖尿病性末梢神経障害(DPN)、HIV関連神経障害、ヘルペス後神経痛(PHN)、および化学療法による末梢神経障害を含む神経因性疼痛の治療である。神経因性疼痛などの疼痛障害の治療に使用する際、本発明の化合物は、抗痙攣薬、抗うつ薬、筋弛緩剤、NSAID、オピオイド作動薬、選択的セロトニン再取込阻害剤、ナトリウムチャネル遮断薬、および交感神経遮断薬を含めた他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。そうした部類の化合物の例は、本明細書に記載する。
【0119】
抑うつ障害
本発明の別の実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、抑うつ障害の治療方法に関する。通常、治療有効量は、うつ病を軽減し、一般的な快適の感覚をもたらすのに十分な量となる。例となる抑うつ障害には、限定ではなく実例として、アルツハイマー病、双極性障害、癌、幼児虐待、不妊、パーキンソン病、心筋梗塞後、および精神病に関連するうつ病;気分変調症;不機嫌または短気な老人症候群(grumpy or irritable old man syndrome);誘発性うつ病;大うつ病;小児うつ病;閉経後うつ病;産後うつ病;反復性うつ病;単一エピソードうつ病;および亜症候群性症候性うつ病(subsyndromal symptomatic depression)が挙げられる。特に重要なのは、大うつ病の治療である。抑うつ障害の治療に使用する際、本発明の化合物は、抗うつ薬およびセロトニン−ノルエピネフリン再取込二重阻害剤を含めた他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。そうした部類の化合物の例は、本明細書に記載する。
【0120】
情動障害
本発明の別の実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、情動障害の治療方法に関する。情動障害の例には、限定ではなく実例として、全般性不安障害などの不安障害;回避性人格障害;神経性食欲不振症、神経性過食症、および肥満などの摂食障害;強迫性障害;パニック障害;回避性人格障害や注意欠陥多動性障害(ADHD)などの人格障害;外傷後ストレス症候群;広場恐怖などの恐怖症、ならびに単純恐怖症および他の恐怖症、および社会恐怖;月経前症候群;統合失調症や躁病などの精神障害;季節性情動障害;早漏症、男性インポテンス、および女性性的覚醒障害などの女性性機能不全を含めた性機能不全;社会不安障害;ならびにアルコール、ベンゾジアゼピン、コカイン、ヘロイン、ニコチン、およびフェノバルビタールへの嗜癖などの化学物質依存症、およびこれらの依存症から発症し得る禁断症候群を含めた物質乱用障害が挙げられる。情動障害の治療に使用する場合、本発明の化合物は、抗うつ薬を含めた他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。そうした部類の化合物の例は、本明細書に記載する。
【0121】
NETに10倍選択的であるアトモキセチンが、注意欠陥多動性障害(ADHD)治療について認可されており、臨床研究では、SNRIであるベンラファキシンも、ADHDの治療において有益な効果をもたらす場合があることが示されている(Mukaddesら(2002年)Eur. Neuropsychopharm. 12巻(追補3):421頁)。したがって、本発明の化合物も、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することにより注意欠陥多動性障害を治療する方法において有用であると予想される。うつ病の治療に使用する際、本発明の化合物は、抗うつ薬を含めた他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。そうした部類の化合物の例は、本明細書に記載する。
【0122】
認知障害
本発明の別の実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、認知障害の治療方法に関する。認知障害の例には、限定ではなく実例として、変性認知症(例えば、アルツハイマー病、クロイツフェルト−ヤコブ病、ハンチントン舞踏病、パーキンソン病、ピック病、および老年認知症)、血管性認知症(例えば、多発脳梗塞性認知症)、ならびに頭蓋内の空間を占拠する病変、外傷、感染および関連状態(HIV感染を含める)、代謝、毒素、無酸素、およびビタミン欠乏に関連する認知症を含む認知症;および年齢に関連する記憶障害、健忘性障害、年齢に関連した認知機能低下などの、加齢に関連する軽度認知障害が挙げられる。認知障害の治療に使用する際、本発明の化合物は、アルツハイマー病治療薬およびパーキンソン病治療薬を含めた他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。そうした部類の化合物の例は、本明細書に記載する。
他の障害
SNRIは、腹圧性尿失禁の治療にも有効であることが示されている(Dmochowski(2003年)Journal of Urology 170巻(4号):1259〜1263頁)。したがって、本発明の別の実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、腹圧性尿失禁の治療方法に関する。腹圧性尿失禁の治療に使用する際、本発明の化合物は、抗うつ薬を含めた他の治療剤と組み合わせて投与してもよい。そうした部類の化合物の例は、本明細書に記載する。
【0123】
SNRIであるデュロキセチンは、慢性疲労症候群の治療におけるその効力を評価するための臨床試験を受けており、このほど、線維筋痛症の治療において有効であることが示された(Russellら(2008年)Pain 136巻(3号):432〜444頁)。本発明の化合物も、SERTおよびNETを阻害することができるため、この効用を有することが予想され、本発明の別の実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、慢性疲労症候群の治療方法に関する。
【0124】
ノルエピネフリンおよびドーパミン再取込阻害剤であるシブトラミンは、肥満の治療において有用であることが示されている(Wirthら(2001年)JAMA 286巻(11号):1331〜1339頁)。本発明の化合物も、NETを阻害することができるため、この効用を有することが予想され、本発明の別の実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、肥満の治療方法に関する。
【0125】
SNRIであるデスベンラファキシンは、閉経に伴う血管運動症状を緩和することが示されている(Deecherら(2007年)Endocrinology 148巻(3号):1376〜1383頁)。本発明の化合物も、SERTおよびNETを阻害することができるため、この効用を有することが予想され、本発明の別の実施形態は、患者に治療有効量の本発明の化合物を投与することを含む、閉経に伴う血管運動症状の治療方法に関する。
【0126】
研究ツール
本発明の化合物は、セロトニン再取込阻害活性とノルエピネフリン再取込阻害活性の両方を有するので、このような化合物は、セロトニンまたはノルエピネフリン輸送体を含む生物系または生物試料の調査または研究のための調査ツールとしても有用である。セロトニンおよび/またはノルエピネフリン輸送体を有する任意の適切な生物系または生物試料は、インビトロまたはインビボで行い得るこのような研究において用いてもよい。このような研究に適した代表的な生物系または生物試料には、それだけに限らないが、細胞、細胞抽出物、形質膜、組織試料、摘出器官、哺乳動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタ、ヒトなど)などが含まれ、哺乳動物を特に対象とする。本発明の特定の一実施形態では、セロトニン再取込を阻害する量の本発明の化合物を投与することにより、哺乳動物におけるセロトニン再取込を阻害する。他の特定の実施形態では、哺乳動物におけるノルエピネフリン再取込は、ノルエピネフリン再取込を阻害する量の本発明の化合物を投与することによって阻害される。本発明の化合物はまた、このような化合物を使用した生物学的アッセイを行うことによって研究ツールとして使用することができる。
【0127】
研究ツールとして使用する場合、セロトニン輸送体および/またはノルエピネフリン輸送体を含む生物系または生物試料を、典型的にはセロトニン再取込を阻害またはノルエピネフリン再取込を阻害する量の本発明の化合物と接触させる。生物系または生物試料が化合物に曝露した後、従来の手順および装置を使用して、セロトニン再取込および/またはノルエピネフリン再取込を阻害する作用を決定する。曝露は、細胞または組織を化合物と接触させること、化合物を哺乳動物に、例えばi.p.またはi.v.投与などによって投与することを包含する。この決定ステップは、反応の測定、すなわち定量分析を含んでもよいし、または観察、すなわち定性分析を含んでもよい。反応を測定することは、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込アッセイなどの従来の手順および装置を使用して、例えば、生物系または生物試料に対する化合物の作用を決定することを伴う。アッセイ結果を使用して、活性レベル、ならびに所望の結果を達成するのに必要な化合物の量、すなわち、セロトニン再取込を阻害およびノルエピネフリン再取込を阻害する量を決定することができる。
【0128】
さらに、本発明の化合物は、他の化合物を評価するための研究ツールとして使用することができ、したがってまた例えば、セロトニン再取込阻害活性およびノルエピネフリン再取込阻害活性の両方を有する新規な化合物を発見するためのスクリーニングアッセイにおいて有用である。このように、本発明の化合物を、アッセイにおいて標準物質として使用して、試験化合物によって得た結果および本発明の化合物によって得た結果の比較を可能にし、もしあれば、ほぼ同じまたはより優れた再取込阻害活性を有するそれらの試験化合物を同定する。例えば、試験化合物または試験化合物の群についての再取込データを、本発明の化合物についての再取込データと比較して、所望特性を有するそれらの試験化合物、例えばもしあれば、本発明の化合物とほぼ同じまたはより優れた再取込阻害活性を有する試験化合物を同定する。本発明のこの態様には、別々の実施形態として、(適当なアッセイを使用した)比較データの生成および試験データの分析の両方が含まれ、対象とする試験化合物を同定する。したがって、(a)試験化合物で生物学的アッセイを行い、第1のアッセイ値を提供するステップと、(b)本発明の化合物で生物学的アッセイを行い、第2のアッセイ値を提供するステップ(ステップ(a)は、ステップ(b)の前、後または同時に行われる)と、(c)ステップ(a)からの第1のアッセイ値と、ステップ(b)からの第2のアッセイ値を比較するステップとを含む方法によって、試験化合物を生物学的アッセイにおいて評価することができる。例示的生物学的アッセイには、セロトニンおよびノルエピネフリン再取込アッセイが含まれる。
【0129】
医薬組成物および製剤
本発明の化合物は典型的には、医薬組成物または製剤の形態で患者に投与される。このような医薬組成物は、それだけに限らないが、経口、直腸、腔、経鼻、吸入、(経皮を含めた)局所および非経口の投与方法を含めた任意の許容される投与経路によって患者に投与し得る。さらに、本発明の化合物は、1日当たり多回用量(例えば、1日2回、3回、もしくは4回)で、単一の1日用量、2回の1日用量、単一の週用量などで、例えば経口投与し得る。特定の投与方法に適した本発明の化合物の任意の形態(すなわち、遊離塩基、薬学的に許容される塩、溶媒和物など)は、本明細書において論じられている医薬組成物に使用することができることが理解されるであろう。
【0130】
したがって、一実施形態では、本発明は、薬学的に許容される担体および本発明の化合物を含む医薬組成物に関する。組成物は、所望であれば他の治療剤および/または製剤化剤を含有し得る。組成物について論じるとき、「本発明の化合物」はまた、それを担体などの製剤の他の成分と区別するために、本明細書において「活性剤」と称してもよい。したがって、「活性剤」という用語は、式Iの化合物、ならびにその化合物の薬学的に許容される塩および溶媒和物が含まれることが理解される。
【0131】
本発明の医薬組成物は典型的には、治療有効量の本発明の化合物を含有する。しかし、当業者でれば、医薬組成物は、治療有効量を超えて(すなわち、バルク組成物)含有し、または治療有効量未満(すなわち、治療有効量を達成するために多回投与のために設計された個々の単位用量)を含有し得ることを理解するであろう。典型的には、組成物は、約0.01〜10重量%などの約0.01〜30重量%を含めた約0.01〜95重量%の活性剤を含有し、実際の量は製剤それ自体、投与経路、投与頻度などによって決まる。一実施形態では、経口剤形に適した組成物は、例えば、約5〜70重量%、または約10〜60重量%の活性剤を含有し得る。
【0132】
任意の従来の担体または添加剤を、本発明の医薬組成物において使用してもよい。特定の担体もしくは添加剤、または担体もしくは添加剤の組合せの選択は、特定の患者を治療するために使用される投与方法または医学的状態もしくは病態のタイプによって決まるであろう。これに関して、特定の投与方法のための適切な組成物の調製は、十分に製薬技術における当業者の範囲内である。さらに、このような組成物において使用される担体または添加剤は市販である。さらに例示するために、従来の製剤の記述は、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott Williams & White、Baltimore、Maryland(2000年);およびH. C. Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott Williams & White、Baltimore、Maryland(1999年)に記載されている。
【0133】
薬学的に許容される担体の役割を果たすことができる材料の代表的な例には、それだけに限らないが、下記が含められる。糖類(ラクトース、グルコースおよびスクロースなど);デンプン(コーンスターチおよびジャガイモデンプンなど);セルロース(微結晶性セルロース、およびその誘導体(カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロースおよび酢酸セルロースなど)など);トラガカント粉末;麦芽;ゼラチン;タルク;添加剤(カカオバターおよび坐薬ワックスなど);油(落花生油、綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油およびダイズ油など);グリコール(プロピレングリコールなど);ポリオール(グリセリン、ソルビトール、マンニトールおよびポリエチレングリコールなど);エステル(オレイン酸エチルおよびラウリン酸エチルなど);寒天;緩衝剤(水酸化マグネシウムおよび水酸化アルミニウムなど);アルギン酸;発熱物質を含有しない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;リン酸緩衝液;圧縮噴射ガス(クロロフルオロカーボンおよびハイドロフルオロカーボンなど);ならびに医薬組成物中に用いられている他の無毒性の適合性物質。
【0134】
医薬組成物は典型的には、活性剤を、薬学的に許容される担体および1種または複数の任意選択の成分と徹底的および本質的に混合またはブレンドすることによって調製される。次いで、このように得られた均一にブレンドされた混合物を、従来の手順および装置を使用して、錠剤、カプセル剤、丸剤、キャニスター、カートリッジ、ディスペンサーなどに成形または充填してもよい。
【0135】
一実施形態では、医薬組成物は経口投与に適している。例となる一投与計画は、経口剤形が1日1回または2回投与されるものであろう。経口投与に適した組成物は、各々が所定の量の活性剤を含有する、カプセル剤、錠剤、丸剤、ロゼンジ、カシェ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤、水性もしくは非水性液体中の溶液剤または懸濁剤、水中油型もしくは油中水型液体エマルジョン、エリキシル剤またはシロップ剤などの形態でよい。
【0136】
固体剤形での経口投与(すなわち、カプセル剤、錠剤、丸剤などとして)を意図するとき、組成物は典型的には、活性剤と、クエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウムなどの1種または複数の薬学的に許容される担体とを含む。固体剤形はまた、充填剤または増量剤(デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸など);結合剤(カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアカシアなど);湿潤剤(グリセロールなど);崩壊剤(寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のシリケート、および/または炭酸ナトリウムなど);溶解遅延剤(パラフィンなど);吸収促進剤(第四級アンモニウム化合物など);湿潤剤(セチルアルコールおよび/またはモノステアリン酸グリセロールなど);吸収剤(カオリンおよび/またはベントナイト粘土など);滑沢剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および/またはその混合物など);着色剤;ならびに緩衝剤を含み得る。
【0137】
離型剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤および香料剤、保存剤および抗酸化剤はまた、医薬組成物中にあってもよい。錠剤、カプセル剤、丸剤および同種のもののための例示的コーティング剤には、腸溶性コーティングのために使用されるもの(酢酸フタル酸セルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、酢酸トリメリット酸セルロース、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)が含まれる。薬学的に許容される抗酸化剤の例には、水溶性抗酸化剤(アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウムなど);油溶性抗酸化剤(パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、α−トコフェロールなど);および金属キレート剤(クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、リン酸など)などが含まれる。
【0138】
例示として、様々な割合のヒドロキシプロピルメチルセルロース、または他のポリマーマトリックス、リポソームおよび/またはミクロスフィアを使用して、組成物をまた製剤して、活性剤の持続放出または制御放出を実現し得る。さらに、本発明の医薬組成物は乳白剤を含有してもよく、任意選択で遅延した態様で、消化管の特定の部分において活性剤のみ、またはそれを優先的に放出するように製剤してもよい。使用することができる包埋組成物の例には、高分子物質およびワックスが含まれる。活性剤はまた、適切な場合、上記の添加剤の1種または複数を有するマイクロカプセル化形態でよい。
【0139】
経口投与のための適切な液体剤形には、例示として、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。液体剤形は典型的には、活性剤および不活性希釈剤(例えば、水または他の溶媒など)、可溶化剤および乳化剤(エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(例えば、綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、ならびにこれらの混合物など)を含む。懸濁剤は、例えば、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天およびトラガカント、ならびにこれらの混合物などの懸濁化剤を含有し得る。
【0140】
経口投与を対象とするとき、本発明の医薬組成物は、単位剤形にパッケージングしてもよい。「単位剤形」という用語は、患者に投与するのに適した物理的に個別の単位を意味し、すなわち、各ユニットは、単独でまたは1つもしくは複数のさらなるユニットと組み合わせて所望の治療効果を生じるように計算した所定の量の活性剤を含有する。例えば、このような単位剤形は、カプセル剤、錠剤、丸剤などでよい。
【0141】
別の実施形態では、本発明の組成物は吸入投与に適しており、典型的にはエアロゾルまたは粉末の形態である。このような組成物は一般に、周知の送達装置(ネブライザー、乾燥粉末、または定量吸入器など)を使用することによって投与される。ネブライザー装置は、組成物を患者の気道中に運ばれる霧として噴霧する高速空気流を生じさせる。例示的なネブライザー製剤は、担体に溶解した活性剤を含み、溶液を形成し、または微粉状にして担体と合わせた活性剤を含み、呼吸に適したサイズの微粉化粒子の懸濁液を形成する。乾燥粉末吸入器は、吸気の間に患者の気流中に分散する易流動性粉末として活性剤を投与する。例示的な乾燥粉末製剤は、添加剤(ラクトース、デンプン、マンニトール、デキストロース、ポリ乳酸、ポリラクチド−co−グリコリド、およびこれらの組合せなど)とドライブレンドした活性剤を含む。定量吸入器は、圧縮噴射ガスを使用して一定量の活性剤を放出する。例示的な定量製剤は、液化噴射剤(クロロフルオロカーボンもしくはハイドロフルオロアルカンなど)中の活性剤の溶液または懸濁液を含む。このような製剤の任意選択の成分には、共溶媒(エタノールまたはペンタンなど)、ならびに界面活性剤(トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、レシチン、およびグリセリンなど)が含まれる。このような組成物は典型的には、冷却または加圧したヒドロフルオロアルカンを、活性剤、エタノール(存在する場合)および界面活性剤(存在する場合)を含有する適切な容器に加えることによって調製される。懸濁液を調製するために、活性剤を超微粉砕し、次いで噴射剤と合わせる。代わりに、懸濁状製剤は、界面活性剤のコーティングを活性剤の微粉化粒子上に噴霧乾燥することによって調製することができる。次いで、製剤を、エアロゾル缶に充填し、それが吸入器の一部を形成する。
【0142】
本発明の化合物はまた、非経口的に(例えば、皮下、静脈内、筋内、または腹腔内注射によって)投与することができる。このような投与のために、活性剤は、無菌溶液剤、懸濁剤、または乳剤で提供される。このような製剤を調製するための例示的溶媒には、水、食塩水、低分子量アルコール(プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、油、ゼラチン、脂肪酸エステル(オレイン酸エチルなど)などが含まれる。典型的な非経口製剤は、pH4〜7の無菌活性剤水溶液である。非経口製剤はまた、1種または複数の可溶化剤、安定剤、保存剤、湿潤剤、乳化剤、および分散剤を含有し得る。これらの製剤は、無菌の注射可能な媒質、滅菌剤、濾過、照射、または熱を使用することによって無菌にし得る。
【0143】
本発明の化合物はまた、公知の経皮的送達系および添加剤を使用して経皮的に投与することができる。例えば、化合物は、浸透促進剤(プロピレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、アザシクロアルカン−2−オンなど)と混合することができ、パッチまたは同様の送達系に組み込むことができる。ゲル化剤、乳化剤および緩衝液を含めたさらなる添加剤は、必要に応じてこのような経皮的組成物中で使用してもよい。
【0144】
必要に応じて、本発明の化合物は、1種または複数の他の治療剤と組み合わせて投与し得る。したがって、一実施形態では、本発明の組成物は、本発明の化合物と同時投与される他の薬物を任意選択で含有してもよい。例えば、組成物は、アルツハイマー病治療薬、抗痙攣薬(抗てんかん薬)、抗うつ薬、パーキンソン病治療薬、セロトニン−ノルエピネフリン再取込二重阻害剤(SNRI)、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、ノルエピネフリン再取込阻害剤、オピオイド作動薬(オピオイド鎮痛薬)、選択的セロトニン再取込阻害剤、ナトリウムチャネル遮断薬、交感神経遮断薬、およびこれらの組合せからなる群から選択される1種または複数の薬物(「二次的薬剤(複数可)」とも呼ぶ)をさらに含んでもよい。このような治療剤の多数の例は当技術分野で周知であり、例は本明細書に記載されている。本発明の化合物を第2の薬剤と合わせることによって、2種のみの活性成分を使用して3重療法(すなわち、セロトニン再取込阻害活性、ノルエピネフリン再取込阻害活性、および第2の薬剤(例えば、抗うつ作用)と関連する活性)を達成することができる。2種の活性成分を含有する医薬組成物は、3種の活性成分を含有する組成物より典型的には製剤が容易であるため、このような2種成分の組成物は、3種の活性成分を含有する組成物よりも有意な利点を提供する。したがって、本発明のさらに別の態様では、医薬組成物は、本発明の化合物、第2の活性剤、および薬学的に許容される担体を含む。第3、第4などの活性剤をまた組成物に含んでもよい。併用療法において、投与される本発明の化合物の量、および第2の薬剤の量は、単独療法において典型的に投与される量よりも少ないことがある。
【0145】
本発明の化合物は、第2の活性剤を物理的に混合して両方の薬剤を含有する組成物を形成し得る、または各薬剤は、患者に同時にまたは順次に投与される、別々で異なる組成物中に存在し得る。例えば、本発明の化合物は、従来の手順および装置を使用して第2の活性剤と合わせ、本発明の化合物および第2の活性剤を含む活性剤の組合せを形成することができる。さらに、活性剤は、薬学的に許容される担体と合わせ、本発明の化合物、第2の活性剤および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を形成し得る。この実施形態では、組成物の成分は、典型的には混合またはブレンドされ、物理的混合物が生じる。次いで、物理的混合物は、本明細書に記載されている経路のいずれかを使用して治療有効量で投与される。
【0146】
代わりに、活性剤は、患者に投与する前に別々で異なるままでよい。この実施形態では、薬剤は、投与前に物理的に一緒に混合されないが、同時または別々の時に別々な組成物として投与される。このような組成物は、別々にパッケージングすることができ、またはキット中に一緒にパッケージングしてもよい。別々の時に投与されるとき、第2の薬剤は典型的には、本発明の化合物の投与と同時から投与後約24時間までの範囲で、本発明の化合物の投与後24時間未満で投与される。これはまた順次投与と称される。したがって、本発明の化合物は、2種の錠剤を使用して別の活性剤と同時または順次に経口投与することができ、1つの錠剤が各々の活性剤のためにあり、順次とは、本発明の化合物の投与の直後に、または所定の時間後(例えば、1時間後または3時間後)に投与することを意味し得る。代わりに、組合せは、異なる投与経路によって、すなわち、1つは経口で、他方は吸入によって投与し得る。
【0147】
一実施形態では、キットは、本発明の化合物を含む第1の剤形と、本発明の方法を実施するのに十分な量で、本明細書において記載されている第2の薬剤の1種または複数を含む少なくとも1種のさらなる剤形とを含む。第1の剤形および第2の(または第3などの)剤形は、患者における疾患または医学的状態の治療または予防のための治療有効量の活性剤を一緒に含む。
【0148】
第2の薬剤(複数可)は、含まれているとき治療有効量で存在する、すなわち、典型的には本発明の化合物と同時投与されたときに治療的に有益な効果を生じる量で投与される。第2の薬剤は、薬学的に許容される塩、溶媒和物、光学的に純粋な立体異性体などの形態でよい。したがって、以下に一覧表示されている第2の薬剤は、全てのこのような形態を含むことを意図し、市販であるか、または従来の手順および試薬を使用して調製することができる。
【0149】
代表的なアルツハイマー病治療薬としては、それだけに限らないが、ドネペジル、ガランタミン、メマンチン、リバスチグミン、セレギリン、タクリン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0150】
代表的な抗痙攣薬(抗てんかん薬)としては、それだけに限らないが、アセタゾラミド、アルブトイン、4−アミノ−3−ヒドロキシ酪酸、ベクラミド、カルバマゼピン、シンロミド、クロメチアゾール、クロナゼパム、ジアゼパム、ジメタジオン、エテロバルブ、エタジオン、エトスクシミド、エトトイン、フェルバメート、ホスフェニトイン、ギャバペンチン、ラコサミド、ラモトリギン、ロラゼパム、臭化マグネシウム、硫酸マグネシウム、メフェニトイン、メフォバルビタール、メトスクシミド、ミダゾラム、ニトラゼパム、オキサゼパム、オクスカルバゼピン、パラメタジオン、フェナセミド、フェネトライド、フェノバルビタール、フェンスクシミド、フェニトイン、臭化カリウム、プレガバリン、プリミドン、プロガビド、臭化ナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、スルチアム、チアガビン、トピラメート、トリメタジオン、バルプロ酸、バルプロミド、ビガバトリン、ゾニサミド、およびこれらの組合せが挙げられる。特定の実施形態では、抗痙攣薬は、カルバマゼピン、ギャバペンチン、プレガバリン、およびこれらの組合せから選択される。
【0151】
代表的な抗うつ薬としては、それだけに限らないが、アジナゾラム、アミトリプチリン、クロミプラミン、デシプラミン、ドチエピン(例えば、ドチエピン塩酸塩)、ドキセピン、イミプラミン、ロフェプラミン、ミルタザピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、トリミプラミン、ベンラファキシン、ジメリジン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0152】
代表的なパーキンソン病治療薬としては、それだけに限らないが、アマンタジン、アポモルヒネ、ベンズトロピン、ブロモクリプチン、カルビドパ、ジフェンヒドラミン、エンタカポン、レボドパ、ペルゴリド、プラミペキソール、ロピニロール、セレギリン、トルカポン、トリヘキシフェニジル、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0153】
代表的なセロトニン−ノルエピネフリン再取込二重阻害剤(SNRI)としては、それだけに限らないが、ビシファジン、デスベンラファキシン、デュロキセチン、ミルナシプラン、ネファゾドン、ベンラファキシン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0154】
代表的な非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)には、それだけに限らないが、アセメタシン、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、アルクロフェナク、アルミノプロフェン、アンフェナク、アミプリロース、アモキシプリン、アニロラク、アパゾン、アザプロパゾン、ベノリラート、ベノキサプロフェン、ベズピペリロン、ブロペラモール、ブクロクス酸、カルプロフェン、クリダナク、ジクロフェナク、ジフルニサル、ジフタロン、エノリカム、エトドラク、エトリコキシブ、フェンブフェン、フェンクロフェナク、フェンクロズ酸、フェノプロフェン、フェンチアザク、フェプラゾン、フルフェナム酸、フルフェニサール、フルプロフェン、フルルビプロフェン、フロフェナク、イブフェナク、イブプロフェン、インドメタシン、インドプロフェン、イソキセパク、イソキシカム、ケトプロフェン、ケトロラク、ロフェミゾール、ロルノキシカム、メクロフェナメート、メクロフェナム酸、メフェナム酸、メロキシカム、メサラミン、ミロプロフェン、モフェブタゾン、ナブメトン、ナプロキセン、ニフルム酸、ニメスリド、ニトロフルルビプロフェン、オルサラジン、オキサプロジン、オキシピナク、オキシフェンブタゾン、フェニルブタゾン、ピロキシカム、ピルプロフェン、プラノプロフェン、サルサラート、スドキシカム、スルファサラジン、スリンダク、スプロフェン、テノキシカム、チオピナク、チアプロフェン酸、チオキサプロフェン、トルフェナム酸、トルメチン、トリフルミダート、ジドメタシン、ゾメピラク、およびこれらの組合せが含まれる。特定の実施形態では、NSAIDは、エトドラク、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドメタシン、ケトプロフェン、ケトロラク、メロキシカム、ナプロキセン、オキサプロジン、ピロキシカム、およびこれらの組合せから選択される。特定の一実施形態では、NSAIDは、イブプロフェン、インドメタシン、ナブメトン、ナプロキセン(例えば、ナプロキセンナトリウム)、およびこれらの組合せから選択される。
【0155】
代表的な筋弛緩剤としては、それだけに限らないが、カリソプロドール、クロルゾキサゾン、シクロベンザプリン、ジフルニサル、メタキサロン、メトカルバモール、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0156】
代表的なノルエピネフリン再取込阻害剤としては、それだけに限らないが、アトモキセチン、ブプロプリオンおよびブプロプリオン代謝産物のヒドロキシブプロプリオン、マプロチリン、レボキセチン(例えば、(S,S)−レボキセチン)、ビロキサジン、およびこれらの組合せが挙げられる。特定の一実施形態では、ノルエピネフリン再取込阻害剤は、アトモキセチン、レボキセチン、およびこれらの組合せから選択される。
【0157】
代表的なオピオイド作動薬(オピオイド鎮痛薬)としては、それだけに限らないが、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジヒドロコデイン、フェンタニル、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、レバロルファン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルヒネ、ナルブフィン、ナルメフェン、ナロルフィン、ナロキソン、ナルトレキソン、ナロルフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、トラマドール、およびこれらの組合せが挙げられる。特定の実施形態では、オピオイド作動薬は、コデイン、ジヒドロコデイン、ヒドロコドン、ヒドロモルフォン、モルヒネ、オキシコドン、オキシモルフォン、トラマドール、およびこれらの組合せから選択される。
【0158】
代表的な選択的セロトニン再取込阻害剤(SSRI)としては、それだけに限らないが、シタロプラムおよびシタロプラム代謝産物のデスメチルシタロプラム、ダポキセチン、エスシタロプラム(例えば、エスシタロプラムシュウ酸塩)、フルオキセチンおよびフルオキセチン脱メチル代謝産物のノルフルオキセチン、フルボキサミン(例えば、フルボキサミンマレイン酸塩)、パロキセチン、セルトラリンおよびセルトラリン代謝産物のデメチルセルトラリン、およびこれらの組合せが挙げられる。特定の実施形態では、SSRIは、シタロプラム、パロキセチン、セルトラリン、およびこれらの組合せから選択される。
【0159】
代表的なナトリウムチャネル遮断薬としては、それだけに限らないが、カルバマゼピン、ホスフェニトイン、ラモトリギン(lamotrignine)、リドカイン、メキシレチン、オクスカルバゼピン、フェニトイン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0160】
代表的な交感神経遮断薬としては、それだけに限らないが、アテノロール、クロニジン、ドキサゾシン、グアネチジン、グアンファシン、モダフィニル、フェントラミン、プラゾシン、レセルピン、トラゾリン(例えば、トラゾリン塩酸塩)、タムスロシン、およびこれらの組合せが挙げられる。
【0161】
下記の製剤は、本発明の代表的な医薬組成物を例示する。
【0162】
経口投与のための例示的硬質ゼラチンカプセル
本発明の化合物(50g)、噴霧乾燥ラクトース(440g)およびステアリン酸マグネシウム(10g)を、徹底的にブレンドする。次いで、このように得られた組成物を、硬質ゼラチンカプセル(カプセル毎に500mgの組成物)に充填する。
【0163】
代わりに、本発明の化合物(20mg)を、デンプン(89mg)、微結晶性セルロース(89mg)およびステアリン酸マグネシウム(2mg)と徹底的にブレンドする。次いで、混合物を、No.45メッシュU.S.篩に通し、硬質ゼラチンカプセル(カプセル毎に200mgの組成物)に充填する。
【0164】
経口投与のための例示的ゼラチンカプセル製剤
本発明の化合物(100mg)を、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(50mg)およびデンプン粉末(250mg)と徹底的にブレンドする。次いで、混合物をゼラチンカプセル(カプセル毎に400mgの組成物)に充填する。
【0165】
代わりに、本発明の化合物(40mg)を、微結晶性セルロース(Avicel PH103;259.2mg)およびステアリン酸マグネシウム(0.8mg)と徹底的にブレンドする。次いで、混合物をゼラチンカプセル(サイズ#1、白、不透明)(カプセル毎に300mgの組成物)に充填する。
【0166】
経口投与のための例示的錠剤製剤
本発明の化合物(10mg)、デンプン(45mg)および微結晶性セルロース(35mg)をNo.20メッシュU.S.篩に通し、徹底的に混合する。このように生成された顆粒を50〜60℃で乾燥させ、No.16メッシュU.S.篩を通す。ポリビニルピロリドンの溶液(滅菌水中の10%溶液として4mg)を、デンプングリコール酸ナトリウム(4.5mg)、ステアリン酸マグネシウム(0.5mg)、およびタルク(1mg)と混合し、次いでこの混合物をNo.16メッシュU.S.篩に通す。次いで、デンプングリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウムおよびタルクを顆粒に加える。混合後、混合物を錠剤成形機で圧縮し、100mgの重量の錠剤を得る。
【0167】
代わりに、本発明の化合物(250mg)を、微結晶性セルロース(400mg)、ヒュームド二酸化ケイ素(10mg)、およびステアリン酸(5mg)と徹底的にブレンドする。次いで、混合物を圧縮し、錠剤を形成する(錠剤毎に665mgの組成物)。
【0168】
あるいは、本発明の化合物(400mg)を、コーンスターチ(50mg)、クロスカルメロースナトリウム(25mg)、ラクトース(120mg)、およびステアリン酸マグネシウム(5mg)と十分にブレンドする。次いで混合物を圧縮して、単割線入り錠剤(一錠あたり600mgの組成物)とする。
【0169】
経口投与のための例示的懸濁状製剤
下記の成分を混合し、10mLの懸濁液毎に100mgの活性剤を含有する懸濁液を形成する。
【0170】
【化36】

注射による投与のための例示的注射用製剤
本発明の化合物(0.2g)を、0.4Mの酢酸ナトリウム緩衝液(2.0mL)とブレンドする。このように得られた溶液のpHを、0.5Nの塩酸水溶液または0.5Nの水酸化ナトリウム水溶液を必要に応じて使用してpH4に調節し、次いで注射のための十分な水を加え、20mLの総容量とする。次いで、混合物を無菌フィルター(0.22ミクロン)で濾過し、注射による投与に適した無菌溶液を得る。
吸入による投与のための例示的組成物
本発明の化合物(0.2mg)を微粉状にし、次いでラクトース(25mg)とブレンドする。次いで、このブレンドした混合物をゼラチン吸入カートリッジに充填する。カートリッジの中身を、例えば乾燥粉末吸入器を使用して投与する。
【0171】
代わりに、微粉状にした本発明の化合物(10g)を、レシチン(0.2g)を脱塩水(200mL)に溶解することによって調製した溶液に分散させる。このように得られた懸濁液を噴霧乾燥し、次いで微粉状にし、約1.5μm未満の平均直径を有する粒子を含む微粉状にした組成物を形成する。次いで、微粉状にした組成物は、吸入器によって投与するとき、1回分毎に約10μg〜約500μgの本発明の化合物を提供するのに十分な量の加圧した1,1,1,2−テトラフルオロエタンを含有する定量吸入器カートリッジ中に充填する。
【0172】
代わりに、本発明の化合物(25mg)を、クエン酸で緩衝化した(pH5)等張食塩水(125mL)に溶解する。化合物が溶解するまで、混合物を撹拌し、超音波処理する。溶液のpHをチェックし、1Nの水酸化ナトリウム水溶液をゆっくりと加えることによって必要に応じてpH5に調節する。1回分毎に約10μg〜約500μgの本発明の化合物を提供するネブライザー装置を使用して溶液を投与する。
【実施例】
【0173】
本発明の特定の実施形態を例示するために調製および実施例を提供する。しかし、これらの特定の実施形態は、特に明記しない限り本発明の範囲を制限することを決して意図するものではない。下記の略語は、他に示さない限り下記の意味を有し、本明細書において使用される。定義されていない任意の他の略語は、それらの標準的な意味を有する。
AcOH 酢酸
BH・MeS ボランジメチルスルフィド錯体
BSA ウシ血清アルブミン
DCM ジクロロメタン(すなわち、塩化メチレン)
DIAD アゾジカルボン酸ジイソプロピル
DMEM ダルベッコ変法イーグル培地
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミンテトラ酢酸
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
FBS ウシ胎児血清
hDAT ヒトドーパミン輸送体
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジンエタンスルホン酸
hNET ヒトノルエピネフリン輸送体
hSERT ヒトセロトニン輸送体
Me メチル
MeCN アセトニトリル
MeOH メタノール
PBS リン酸緩衝生理食塩水
PPh トリフェニルホスフィン
TEMPO 2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ、フリーラジカル
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
本明細書で使用しているが定義はしていない他の任意の略語は、その標準的な一般に受け入れられている意味を有する。別段指摘しない限り、試薬、出発材料、溶媒などのすべての材料は、民間の供給業者(Sigma−Aldrich、Fluka Riedel−de Haenなど)から購入し、さらに精製することなく使用した。
【0174】
実施例に記載の化合物のすべてにおいて、2つのキラル中心は、*および**の記号によって識別される。立体化学について記載するとき、*記号によって表示される炭素原子を最初に指定する。したがって、「SR」の呼称は、*記号によって表示される炭素原子において(S)配置を有し、**炭素原子において(R)配置を有する化合物を表す。同じことがラセミ混合物にも当てはまる。例えば、「RS/SR」の呼称は、(R,S)化合物と(S,R)化合物のラセミ混合物、すなわち、*炭素原子において(R)配置、**炭素原子において(S)配置を有する化合物と、*炭素原子において(S)配置、**炭素原子において(R)配置を有する化合物の混合物を表す。
調製例1
(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルおよび(S)−3−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
(S)−3−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(25.0g、124mmol)のDCM(200mL)溶液を、0℃で撹拌しながら冷却した。臭化カリウム(1.5g、12.4mmol)および炭酸水素ナトリウム(1.5g、17.4mmol)を水(100mL)に溶解させた溶液を加えた。0℃で15分間撹拌した後、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(195.3mg、1.2mmol)を加えたのに続き、内部温度を6〜8℃の範囲に保ちながら、次亜塩素酸ナトリウム(77.3mL、136.6mmol)をゆっくりと滴下した。層が分離するまで混合物を氷浴に浸し、層を再びDCM(200mL)で抽出した。有機層を合わせて1M NaCl水溶液(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮して、未精製の(S)−3−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(21.5g)を得た。
【0175】
臭化メチルトリフェニルホスホニウム(16.1g、45.2mmol)のTHF(50mL)スラリーを−78℃に冷却した。1Mのナトリウムビス(トリメチルシリル)アミドTHF溶液(38.0mL)を加え、混合物を30分間撹拌した。(S)−3−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(3.0g、15.0mmol)のTHF(10mL)溶液をゆっくりと加え、混合物を−78℃で2時間撹拌した。混合物を3時間かけて室温に温め、半飽和NHCl(50mL)で反応をクエンチした。有機層を飽和NaCl水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を集め、MgSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。得られる油をヘキサン(50mL)にスラリー化し、沈殿を濾別した。濾液を濃縮し、ヘキサン(25mL)で希釈し、−20℃で一晩深冷した。沈殿を濾別し、濾液を、EtOAcヘキサン溶液(0〜100%)を溶離液とするカラムクロマトグラフィーによって精製して、(R)−3−ビニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを油(2.1g)として得た。
【0176】
H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=5.81−5.71 (m,1H),5.13−5.07 (m,1H),5.05−5.01 (m,1H),3.56−3.42 (m,2H),3.32−3.24 (m,1H),3.08−3.00 (m,1H),2.83−2.71 (m,1H),2.04−1.95 (m,1H),1.74−1.60 (m,1H),1.45 (s,9H)。
【0177】
(R)−3−ビニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(6.1g、30.8mmol)に、3−ピリジンカルボニトリル(320mg、3.1mmol)およびメチルトリオキソレニウム(VII)(192mg、769μmol)を加えた。均質になるまで混合物を撹拌した。混合物を氷水浴に浸し、温度を35℃より低く保ちながら、30%過酸化水素(33:77、過酸化水素:HO、4.08mL、40.0mmol)を加えた。混合物を2時間撹拌した。追加のメチルトリオキソレニウム(VII)(50mg)を加え、混合物を2時間撹拌した。有機層を集め、氷浴を用いながら飽和メタ重亜硫酸ナトリウム溶液(10mL)で洗浄した。次いで材料を飽和NaCl水溶液で洗浄した。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜100%のEtOAcヘキサン溶液)によって精製して、(S)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを黄色がかった油(4.2g)として得た。
【0178】
H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=3.38−3.28 (m,2H),3.24−3.12 (m,1H),3.08−2.98 (m,1H),2.94−2.88 (m,1H),2.72−2.66 (m,1H),2.52−2.46 (m,1H),2.28−2.00 (m,1H),1.98−1.84 (m,1H),1.76−1.60 (m,1H),1.40 (s,9H)。
【0179】
(R,R)−(−)−N,N’−ビス(3,5−ジ−t−ブチルサリチリデン)−1,2−シクロヘキサンジアミノコバルト(II)(32.6mg、53.9μmol)をトルエン(2.0mL)に溶解させた。AcOHを加え(6.1μL)、得られる混合物を空気中にて室温で1時間撹拌した。次いで混合物を濃縮し、高真空中で乾燥させた。(S)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(2.3g、10.8mmol)に続いて水(97.1μL)を加え、得られる混合物を6時間激しく撹拌した。ヘキサン(15mL)を加えた。得られる固体を手作業で砕き、追加のヘキサンを加え、赤色の固体が黄色がかった沈殿になるまで撹拌した。沈殿を濾過し、2回分のヘキサンで洗浄した。沈殿を真空中で乾燥させて、(S)−3−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルをオフホワイトの固体(1.3g)として得た。濾液を濃縮し、SiOフラッシュクロマトグラフィー(0〜100%のEtOAcヘキサン溶液)によって精製して、(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを油(970mg)として得た。
【0180】
(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル:H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=3.38−3.28 (m,2H),3.24−3.12 (m,1H),3.08−2.98 (m,1H),2.94−2.88 (m,1H),2.72−2.66 (m,1H),2.52−2.46 (m,1H),2.28−2.00 (m,1H),1.98−1.84 (m,1H),1.76−1.60 (m,1H),1.40 (s,9H)。
調製例2
(S)−3−((S)−2−ベンジルオキシ−1−ヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
(S)−3−((S)−1,2−ジヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(294.0mg、1.3mmol)をDCM(6.3mL)に溶かした室温の溶液に、臭化ベンジル(181.4μL、1525μmol)に続いて酸化銀(II)(472.4mg、3.8mmol)を加えた。得られる混合物を一晩撹拌した。混合物を濾過し、濾液を同量の酸化銀(II)および臭化ベンジルの存在下に置き、一晩撹拌した。混合物を濃縮し、残渣をフラッシュクロマトグラフィー(12gのシリカゲル、0〜50%のEtOAc/ヘキサン)によって精製した。所望の画分を合わせ、濃縮して表題化合物を無色の油(165.6mg)として得た。
代替合成例
(S)−(S)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(3.0g、14.1mmol)のDMF(30mL)溶液に、ベンジルアルコール(1460μL、14.1mmol)に続いてNaH(506mg、21.1mmol)を加えた。得られる混合物を50℃で3時間撹拌し、次いで室温に冷却した。混合物をEtOAc(25mL)および飽和NaCl(25mL)で抽出した。水層をEtOAc(5mL)で洗浄した。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(30〜80%のEtOAc/ヘキサン)によって精製して、表題化合物(2.14g)を得た。
調製例3
(S)−3−[(R)−2−ベンジルオキシ−1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
【0181】
【化37】

4−クロロ−2−メチルフェノール(14.1mg、98.9μmol)を、トルエン(87.8μL)に溶解させたPPh(26.0mg、98.9μmol)と合わせ、混合物を100℃で加熱した。DIAD(19.5μL、98.9μmol)を、トルエン(58.0μL)に溶解させた(S)−3−((S)−2−ベンジルオキシ−1−ヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(19.1mg、59.3μmol)と合わせ、加熱した混合物にゆっくりと加え、2時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮した。残渣を1.25MのHCl EtOH溶液(474.6μL)で室温において一晩処理した。混合物を濃縮し、残渣を、MeCN(0.4mL)、AcOH(0.6mL)、および水(0.6mL)からなる混合物に溶解し直し、濾過し、逆相分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(7.8mg、純度99%)として得た。MS m/z: [M+H]2024ClNOに対する計算値,346.15; 実測値 346.2。
【0182】
(実施例1)
(R)−2−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−(S)−ピロリジン−3−イル−エタノール
【0183】
【化38】

(S)−3−[(R)−2−ベンジルオキシ−1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)エチル]−ピロリジン・TFA(4.6mg、10μmol)をEtOH(2.0mL)に溶かした室温の溶液に、濃HCl(約50μL)を加えた。撹拌した混合物に、20%Pd(OH)/C(水中50wt%、4.0mg)を加えた。得られる混合物を脱気し、水素で3回フラッシュし、次いで水素バルーンを用いて25分間水素化した。混合物を濾過し、濾液を濃縮した。得られる残渣を、AcOH(0.5mL)と水(1.0mL)の混合物に溶解し直し、濾過し、逆相分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(0.6mg、純度98%)として得た。MS m/z: [M+H]1318ClNOに対する計算値,256.10; 実測値 256.2。
【0184】
(実施例2)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IIを有する化合物2−1および2−2を一TFA塩として調製した。
【0185】
【化39−1】

【0186】
【化39−2】

1.(R)−2−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−(S)−ピロリジン−3−イル−エタノール
2.(R)−2−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−(S)−ピロリジン−3−イル−エタノール
調製例4
(S)−3−((S)−1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルおよび(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
MeOH(30mL)にナトリウム金属(2.7g、120mmol)を慎重に加えて、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液を作製する。(S)−(S)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(5.0g、23mmol)を加え、反応液を50℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、水(100mL)を加えた。生成物をEtOAc(2×50mL)で抽出した。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を分取HPLCによって精製して、(S)−3−((S)−1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを油(3.0g)として得た。
【0187】
H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=4.80 (d,J=5.4Hz,1H),3.52−3.42 (m,1H),3.37−3.29 (m,2H),3.28−3.20 (m,5H),3.18−3.06 (m,1H),3.06−2.98 (m,1H),2.23−2.09 (m,1H),1.82−1.72 (m,1H),1.68−1.50 (m,1H),1.38 (s,9H)。
【0188】
(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを、(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルを使用する以外は同じようにして調製した。
【0189】
H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=4.80 (d,J=5.5Hz,1H),3.54−3.46 (m,1H),3.36−3.26 (m,2H),3.26−3.21 (m,5H),3.14−3.03 (m,1H),3.00−2.88 (m,1H),2.23−2.07 (m,1H),1.90−1.77 (m,1H),1.73−1.58 (m,1H),1.38 (s,9H)。
【0190】
(実施例3)
(S)−3−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
【0191】
【化40】

(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−メトキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(10.0mg、40.8μmol)をDMF(0.1mL)に溶解させた。NaH(1.5mg、61.1μmol)をゆっくりと加え、混合物を室温で15分間撹拌した。次いで2,4−ジクロロ−1−フルオロベンゼン(20.2mg、122μmol)を加えた。混合物を100℃で1時間撹拌し、次いで室温に冷却した。混合物を濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(1.0mL、1.2mmol)に溶解させ、室温で一晩撹拌した。生成物を濃縮し、分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(12.8mg、純度99%)として得た。MS m/z: [M+H]1317ClNOに対する計算値,290.06; 実測値 290.0。
【0192】
(実施例4)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IIIaを有する化合物4−1から4−30を一TFA塩として調製した。
【0193】
【化41−1】

【0194】
【化41−2】

【0195】
【化41−3】

1.3−[1−(2−クロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
2.3−[1−(2−クロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
3.(S)−3−[(R)−2−メトキシ−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
4.3−[1−(4−クロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
5.3−[1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
6.3−[1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
7.(R)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
8.(R)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
9.(S)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
10.(S)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
11.(R)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
12.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
13.(S)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
14.(R)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
15.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
16.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
17.(R)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
18.3−[1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
19.(R)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
20 (S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
21.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
22.(R)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
23.(S)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
24.(R)−3−[(S)−1−(2−クロロ−4−メチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
25.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
26.3−[1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
27.(S)−3−[(S)−1−(2,6−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
28.(S)−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
29.3−[1−(3,5−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
30.3−[1−(3,5−ジクロロフェノキシ)−2−メトキシエチル]ピロリジン
調製例5
3−(1−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
2−オキソピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(1.4mL、8.2mmol)を窒素中でTHF(10mL)に溶解させ、次いで−78℃で冷却した。2Mのリチウムジイソプロピルアミドヘプタン/THF/エチルベンゼン溶液(8.2mL、16mmol)を20分かけて加え、得られる混合物を−78℃で1.5時間撹拌した。塩化3−メトキシプロピオニル(1.0g、8.2mmol)をTHF(10mL)に溶解させ、混合物に、シリンジで30分かけてゆっくりと滴下し、次いで室温で一晩撹拌した。飽和NHCl水溶液(50mL)で反応をクエンチし、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物をEtOAc(200mL)で抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液(2×75mL)、次いで飽和NaCl水溶液(2×75mL)で洗浄した。水層を合わせ、EtOAc(75mL)で抽出し直した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。次いで材料を高真空中に10分間置いて、未精製の赤色の油(2.0g)を得た。油を分取HPLCによって精製した(50%のAcOH/HOに溶解させた試料;10〜70%のMeCN/HO;0.05%のTFA;2”カラムにおいて40mL/分で80分間)。画分を集め、凍結乾燥して、黄色の油を得た。
【0196】
油をTHF(2.0mL)に溶解させた。氷浴で冷却しながら、2MのBH・MeS THF溶液(10mL、20mmol)をゆっくりと加えた。混合物を室温で1時間、次いで60℃で2時間撹拌した。次いで冷MeOH(20mL)で反応を慎重にクエンチし(発熱注意)、混合物を室温で一晩撹拌した。次いで混合物をEtOAc(30mL)で希釈し、NaHCO(50mL×2)、次いで飽和NaCl水溶液(30mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮して、表題化合物を黄色の油(50mg)として得た。MS m/z: [M+H]1325NOに対する計算値,259.34; 実測値 260.4。
【0197】
(実施例5)
3−[1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−3−メトキシプロピル]ピロリジン
【0198】
【化42】

3−(1−ヒドロキシ−3−メトキシプロピル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(50mg、0.2mmol)をDMF(1.00mL)に溶解させた。撹拌しながら、60%の油中NaH(0.4:0.6、NaH:鉱油、40mg、0.6mmol)をゆっくりと加え、混合物を15分間撹拌した。5−クロロ−2−フルオロトルエン(74uL、610μmol)を加えた。混合物を室温で15分間撹拌した後、80℃で3時間加熱した。MeOH(2mL)で反応をクエンチし、15分間撹拌した。溶媒を除去し、未精製材料を1.25MのHCl EtOH溶液(1.0mL、1.2mmol)に溶解させ、室温で一晩撹拌した。溶媒を除去し、生成物を分取HPLCによって精製して、2種の立体異性体混合物、すなわちRS/SR立体異性体の混合物およびRR/SS立体異性体の混合物を一TFA塩として得た。
【0199】
第1ピーク(10.7mg、純度100%):LSMS m/z: [M+H]1522ClNOに対する計算値,283.79; 実測値 284.4.H−NMR (400 MHz,CDOD): δ (ppm)=7.17−7−13 (dd 2H),7.03−7.01 (d,1H),4.70−4.65 (m,1H),3.51−3.48 (m,2H),3.40−3.37 (m,2H),3.30 (s,3H),3.26−3.18 (m,2H),2.86−2.78 (m,1H),2.25 (s,3H),1.97−1.94 (m,2H),1.93−1.82 (m,2H)。
【0200】
第2ピーク(8.2mg、純度100%):LSMS m/z: [M+H]1522ClNOに対する計算値,283.79; 実測値 284.4.H−NMR (400 MHz,CDOD): δ (ppm)=7.18−7.03 (dd 2H),7.02−7.00 (d,1H),4.71−4.68 (m,1H),3.53−3.48 (m,2H),3.45−3.40 (m,2H),3.30 (s,3H),3.08−3.03 (m,2H),2.84−2.79 (m,1H),2.26 (s,3H),2.10−2.05 (m,2H),1.98−1.92 (m,2H)。
【0201】
調製例6
(S)−3−((R)−2−エトキシ−1−ヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
2MのナトリウムエトキシドEtOH溶液(2.1mL、4.1mmol、EtOHとNaHから調製したもの)に、(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(440mg、2.1mmol)を加えた。得られる溶液を100℃で10分間マイクロ波反応器にかけ、次いで室温に冷却した。DCM(5mL)を加えた後、飽和NaCl水溶液(5mL)で洗浄した。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜100%のエーテル/ヘキサン)によって精製して、表題化合物を透明な油(400mg)として得た。
【0202】
H−NMR (400 MHz,CDCl): δ (ppm)=3.67−3.61 (m,1H),3.58−3.38 (m,5H),3.32−3.20 (m,2H),3.04−2.98 (m,1H),2.28−2.16 (m,1H),2.11−2.02 (m,1H),1.85−1.74 (m,1H),1.45 (s,9H),1.27−1.18 (m,4H)。
【0203】
(実施例6)
(S)−3−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
【0204】
【化43】

(S)−3−((R)−2−エトキシ−1−ヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(25.0mg、96.4μmol)をDMF(200μL)に溶解させた。NaH(2776μg、115.7μmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。2,4−ジクロロ−1−フルオロベンゼン(22.6μL、192.8μmol)を加え、混合物を70℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(1.0mL、1.2mmol)に溶解させ、一晩撹拌した。生成物を濃縮し、分取HPLC(10〜40%、60分、BDS)によって精製して、表題化合物を一TFA塩油状物(24.4mg、純度100%)として得た。MS m/z: [M+H]1419ClNOに対する計算値,304.08; 実測値 304.0。
【0205】
(実施例7)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IIIbを有する化合物7−1から7−32を一TFA塩として調製した。
【0206】
【化44−1】

【0207】
【化44−2】

【0208】
【化44−3】

1.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
2.(S)−3−[(R)−2−エトキシ−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
3.(S)−3−[(S)−2−エトキシ−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
4.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
5.(S)−3−[(R)−2−エトキシ−1−(4−フルオロフェノキシ)エチル]ピロリジン
6.(S)−3−[(R)−2−エトキシ−1−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
7.(S)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
8.(S)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
9.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
10.(S)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
11.(S)−3−[(R)−1−(2,3−ジフルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
12.(S)−3−[(R)−2−エトキシ−1−(2−フルオロ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
13.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
14.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
15.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
16.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
17.(S)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
18.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−4−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
19.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−4−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
20 3−クロロ−4−((R)−2−エトキシ−1−(S)−ピロリジン−3−イルエトキシ)ベンゾニトリル
21.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロ−2−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
22.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
23.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
24.(S)−3−[(R)−1−(3,4−ジクロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
25.2−クロロ−4−((R)−2−エトキシ−1−(S)−ピロリジン−3−イルエトキシ)ベンゾニトリル
26.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
27.(S)−3−[(R)−1−(3,5−ジクロロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
28.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−5−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
29.(S)−3−[(R)−1−(3,4−ジクロロ−2−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
30.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3,6−ジフルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
31.(S)−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロ−4−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン
32.(S)−3−[(R)−1−(3,6−ジクロロ−2−フルオロフェノキシ)−2−エトキシエチル]ピロリジン。
【0209】
調製例7
(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−イソプロポキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
イソプロピルアルコール(215μL、2.8mmol)をTHF(428μL)に溶解させ、混合物を0℃で冷却した。NaH(33.8mg、1.4mmol)を4回で加え、混合物を室温で10分間撹拌した。(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(200mg、938μmol)を加えた。得られる溶液を100℃で10分間マイクロ波反応器にかけ、次いで室温に冷却した。混合物をヘキサン(10mL)で抽出し、水(10mL)で洗浄した。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜100%のEtOAcヘキサン溶液)によって精製して、表題化合物を透明な油(162mg)として得た。
【0210】
H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=4.71 (d,J=5.2Hz,1H),3.58−3.48 (七重線,J=6.1Hz,1H),3.47−3.41 (m,1H),3.36−3.20 (m,4H),3.15−3.04 (m,1H),3.00−2.90 (m,1H),2.21−2.10 (m,1H),1.90−1.80 (m,1H),1.72−1.57 (m,1H),1.38 (s,9H),1.0 (d,J=6.1Hz,6H)。
【0211】
(実施例8)
(S)−3−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
【0212】
【化45】

(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−イソプロポキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(25.0mg、91.4μmol)をDMF(190μL)に溶解させた。NaH(2.6mg、109.7μmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。2,4−ジクロロ−1−フルオロベンゼン(21.4μL、182.9μmol)を加え、混合物を70℃で3時間撹拌した。混合物を濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(949μL、1.1mmol)に溶解させ、一晩撹拌した。生成物を濃縮し、分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩油状物(29.5mg、純度97%)として得た。MS m/z: [M+H]1521ClNOに対する計算値,318.10; 実測値 318.0。
【0213】
(実施例9)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IIIcを有する化合物9−1から9−29を一TFA塩として調製した。
【0214】
【化46−1】

【0215】
【化46−2】

【0216】
【化46−3】

1.(R)−3−[(S)−2−イソプロポキシ−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
2.(R)−3−[(R)−2−イソプロポキシ−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
3.(S)−3−[(S)−2−イソプロポキシ−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
4.(S)−3−[(R)−2−イソプロポキシ−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
5.(R)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
6.(R)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
7.(S)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
8.(S)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
9.(R)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
10.(R)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
11.(S)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
12.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
13.(R)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
14.(R)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
15.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
16.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
17.(R)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
18.(R)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
19.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
20 (S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチル−フェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
21.(R)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
22.(R)−3−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
23.(S)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
24.(R)−3−[(S)−1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
25.(R)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
26.(R)−3−[(S)−1−(2,6−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
27.(R)−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
28.(S)−3−[(S)−1−(2,6−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
29.(S)−3−[(R)−1−(2,6−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロポキシエチル]ピロリジン
(実施例10)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式VIIaを有する化合物10−1から10−5を一TFA塩として調製した。
【0217】
【化47−1】

【0218】
【化47−2】

【0219】
【化47−3】

1.((S)−3−[(R)−2−ベンジルオキシ−1−(2−クロロフェノキシ)エチル]ピロリジン
2.((S)−3−[(R)−2−ベンジルオキシ−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)エチル]ピロリジン
3.((S)−3−[(R)−2−ベンジルオキシ−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)エチル]ピロリジン
4.((S)−3−[(R)−2−ベンジルオキシ−1−(2,6−ジクロロフェノキシ)エチル]ピロリジン
5.((S)−3−[(R)−2−ベンジルオキシ−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
(実施例11)
(S)−3−[(R)−2−エトキシ−1−(ナフタレン−1−イルオキシ)エチル]ピロリジン
【0220】
【化48】

(S)−3−((R)−2−エトキシ−1−ヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(200mg、0.8mmol)および1−フルオロナフタレンをDMF(2.7mL)に溶解させた。NaH(27.8mg、1.2mmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌し、次いで120℃で4時間加熱した。次いで混合物を室温に冷却した。混合物を濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(19mL、23mmol)に溶解させ、室温で一晩撹拌した。生成物を濃縮し、分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(125mg、純度94%)として得た。MS m/z: [M+H]1823NOに対する計算値,286.17; 実測値 286.2。
【0221】
調製例8
4−テトラヒドロピランマグネシウムクロリド
4−クロロテトラヒドロピラン(650μL、6.0mmol)をTHF(6mL)に溶解させた。混合物にマグネシウム旋削くず(2.0g、80.7mmol)を加えた後、ヨウ化メチル(14μL、230μmol)を加えた。混合物を30℃で10分間撹拌し、THF(60mL)に希釈した追加の4−クロロテトラヒドロピラン(9.3g、77mmol)を滴下した。2.0Mの塩化イソプロピルマグネシウムTHF溶液(2.0mL)を加え、混合物を30℃で一晩撹拌した。混合物を室温に冷却して、4−テトラヒドロピランマグネシウムクロリドの約0.8Mの灰色のTHFスラリーを得た。
【0222】
調製例9
(R)−3−[(S)−ヒドロキシ(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]
ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
(R)−3−ヒドロキシメチル−ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(20.0g、99.4mmol)のDCM(200mL、3100mmol)溶液に、TEMPO((310mg、2.0mmol)および臭化カリウム(590mg、5.0mmol)を加えた。この混合物を0℃で冷却し、0.7M NaOCl水溶液(140mL)と飽和NaHCO水溶液(140ml)の1:1混合物を30分間かけて滴下した。得られる混合物をDCM(200mL)で抽出した。有機層を合わせて水(2×200mL)および飽和NaCl水溶液(1×200mL)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、表題化合物を油(15.5g)として得、これをさらに精製することなく使用した。
【0223】
H−NMR (400 MHz,CDCl): δ (ppm)=9.68 (d,J=1.6Hz,1H),3.76−3.60 (m,1H),3.58−3.44 (m,1H),3.44−3.28 (m,2H),3.08−2.96 (m,1H),2.28−2.00 (m,2H),1.45 (s,9H)。
【0224】
0.8Mの4−テトラヒドロピランマグネシウムクロリドTHF溶液(37.6mL)を0℃で冷却した。(R)−3−ホルミルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(4.0g、20mmol)を含有するTHF(40mL)を滴下し、得られる混合物を一晩かけてゆっくりと室温に温めた。飽和NHCl水溶液(50mL)を滴下して反応をクエンチした。真空中でTHFを除去し、得られる溶液をEtOAc(3×100mL)で抽出した。有機層を飽和NaCl水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物を分取HPLC(20〜50%、c18カラム充填材料、60分)によって精製して、分離した異性体を透明な油として得た。
【0225】
(R)−3−[(R)−ヒドロキシ(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(1.4g、第1ピーク)。H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=5.00−4.60 (br,1H),3.90−3.80 (m,2H),3.40−3.30 (m,1H),3.30−3.20 (m,3H),3.15−3.05 (m,2H),3.00−2.85 (m,1H),2.30−2.15 (m,1H),1.90−1.75 (m,1H),1.75−1.55 (m,2H),1.45−1.20 (m,13H)。
【0226】
(R)−3−[(S)−ヒドロキシ(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(1.8g、第2ピーク)。H−NMR (400 MHz,DMSO): δ (ppm)=3.90−3.80 (m,2H),3.40−3.30 (m,2H),3.30−3.20 (m,2H),3.20−3.05 (m,2H),3.05−2.90 (m,1H),2.30−2.15 (m,1H),1.80−1.70 (m,1H),1.70−1.50 (m,2H),1.5−1.20 (m,13H)。
【0227】
(実施例12)
(R)−3−[(S)−(2,3−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
【0228】
【化49】

(R)−3−((S)−ヒドロキシ(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(30mg、0.1μmol)をDMF(380μL)に溶解させた。NaH(3.0mg、126μmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。1,2−ジクロロ−3−フルオロベンゼン(34.7mg、210μmol)を加え、混合物を100℃で一晩撹拌した。混合物を濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(510μL、610μmol)に溶解させ、一晩撹拌した。生成物を濃縮し、分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(10.8mg、純度100%)として得た。MS m/z: [M+H]1621ClNOに対する計算値,330.10; 実測値 330.0。
【0229】
(実施例13)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IXaを有する化合物13−1から13−30を一TFA塩として調製した。
【0230】
【化50−1】

【0231】
【化50−2】

【0232】
【化50−3】

1.(S)−3−[(S)−(2−クロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
2.(R)−3−[(R)−(2−クロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
3.(R)−3−[(S)−(2−クロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
4.(S)−3−[(R)−(2−クロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
5.(R)−3−[(S)−(3−フルオロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
6.(R)−3−[(R)−(3−フルオロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
7.(R)−3−[(R)−(テトラヒドロピラン−4−イル)(3−トリフルオロメチルフェノキシ)メチル]ピロリジン
8.(S)−3−[(S)−(テトラヒドロピラン−4−イル)(3−トリフルオロメチルフェノキシ)メチル]ピロリジン
9.(R)−3−[(R)−(4−クロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
10.(R)−3−[(R)−(4−フルオロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
11.(S)−3−[(S)−(テトラヒドロピラン−4−イル)(4−トリフルオロメチルフェノキシ)メチル]ピロリジン
12.(S)−3−[(R)−(2,3−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
13.(R)−3−[(R)−(2,3−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
14.(S)−3−[(S)−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
15.(S)−3−[(R)−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
16.(R)−3−[(R)−(2−クロロ−3−フルオロ−ヘノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
17.(R)−3−[(S)−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
18.(S)−3−[(S)−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)−メチル]−ピロリジン
19.(S)−3−[(R)−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)−メチル]−ピロリジン
20 (R)−3−[(R)−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)−メチル]−ピロリジン
21.(R)−3−[(S)−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)(テトラヒドロ−ピラン−4−イル)−メチル]−ピロリジン
22.(S)−3−[(S)−(2,4−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
23.(R)−3−[(R)−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
24.(S)−3−[(S)−(2,6−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
25.(S)−3−[(R)−(2,6−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
26.(R)−3−[(R)−(2,6−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
27.(R)−3−[(S)−(2,6−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
28.(S)−3−[(S)−(3,5−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
29.(R)−3−[(R)−(3,5−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン
30.(R)−3−[(S)−(3,5−ジクロロフェノキシ)(テトラヒドロピラン−4−イル)メチル]ピロリジン。
【0233】
調製例10
(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−メチルスルファニルエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
ナトリウムメチルメルカプチド(296mg、4.2mmol)をTHF(1.0mL)に溶解させ、混合物を室温で10分間撹拌した。(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(300mg、1.41mmol)をTHF(0.4mL)に溶解させ、混合物に加えた。得られる溶液を100℃で30分間マイクロ波反応器にかけ、次いで室温に冷却した。ヘキサン(3×10mL)に続いて水(10mL)を加えた。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜100%のEtOAcヘキサン溶液)によって精製して、表題化合物を透明な油(207mg)として得た。
【0234】
H−NMR (400 MHz,CDCl): δ (ppm)=3.65−3.28 (m,3H),3.25−3.07 (m,2H),2.94 (t,J=8.0,1H),2.58 (dd,J=4.0,16.0,1H),2.40 (t,J=12.0,1H),2.27−2.10 (m,1H),2.10−1.90 (m,4H),1.84−1.65 (m,1H),1.36 (s,9H)。
【0235】
(実施例14)
(S)−3−[(R)−1−(4−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
【0236】
【化51】

(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−メチルスルファニルエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(20mg、80μmol)をDMF(367μL)に溶解させた。NaH(3.7mg、153μmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。5−クロロ−2−フルオロトルエン(33.2mg mg、230μmol)を加え、混合物を100℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(2.2mL、2.7mmol)に溶解させ、室温で一晩撹拌した。生成物を濃縮し、分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(0.6mg、純度85%)として得た。MS m/z: [M+H]1420ClNOSに対する計算値,286.10; 実測値 286.0。
【0237】
(実施例15)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IVaを有する化合物15−1から15−14を一TFA塩として調製した。
【0238】
【化52−1】

【0239】
【化52−2】

【0240】
【化52−3】

1.(S)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
2.(S)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
3.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
4.(S)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
5.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
6.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
7.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]−ピロリジン
8.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
9.(S)−3−[(R)−2−メチルスルファニル−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
10.(S)−3−[(S)−2−メチルスルファニル−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
11.(S)−3−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
12.(S)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
13.(S)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロ−6−メチルフェノキシ)−2−メチルスルファニルエチル]ピロリジン
14.(S)−3−[(S)−2−メチルスルファニル−1−(2,3,4−トリフルオロフェノキシ)エチル]ピロリジン。
【0241】
調製例11
(S)−3−((R)−2−エチルスルファニル−1−ヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
エタンチオール(312μL、4.2mmol)をTHF(1.0mL)に溶解させ、混合物を0℃に冷却した。NaH(50.6mg、2.1mmol)を4回でゆっくりと加え、混合物を室温で10分間撹拌した。(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(300mg、1.4mmol)をTHF(0.4mL)に溶解させ、混合物に加えた。得られる溶液を100℃で30分間マイクロ波反応器にかけ、次いで室温に冷却した。ヘキサン(3×10mL)に続いて水(10mL)を加えた。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜100%のEtOAcヘキサン溶液)によって精製して、表題化合物を透明な油(315mg)として得た。
【0242】
H−NMR (400 MHz,CDCl): δ (ppm)= 3.58−3.32 (m,3H),3.32−3.15 (m,2H),2.97 (dd,J=4.0,12.0,1H),2.70 (dd,J=4.0,12.0,1H),2.56−2.37 (m,3H),2.30−2.10 (m,1H),2.10−1.96 (m,1H),1.84−1.68 (m,1H),1.38 (s,9H),1.21 (t,J=4.0,3H)。
【0243】
(実施例16)
(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
【0244】
【化53】

(S)−3−((R)−2−エチルスルファニル−1−ヒドロキシエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(10mg、40μmol)をDMF(174μL)に溶解させた。NaH(1.3mg、54.5μmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。2−クロロ−6−フルオロベンゾトリフルオリド(21.6mL、109μmol)を加え、混合物を100℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(890μL、1.1mmol)に溶解させ、室温で一晩撹拌した。生成物を濃縮し、粗生成物を1:1AcOH/HO(1.5mL)に溶解し、次いで分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(3.4mg、純度97%)として得た。MS m/z: [M+H]1519ClFNOSに対する計算値,354.08; 実測値 354.0。
【0245】
(実施例17)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IVbを有する化合物17−1から17−14を一TFA塩として調製した。
【0246】
【化54】

【0247】
【化55】

1.(S)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
2.(S)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
3.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
4.(S)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
5.(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
6.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−メチルフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
7.(S)−3−[(R)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
8.(S)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
9.(S)−3−[(R)−1−(3,4−ジクロロフェノキシ)−2−エチルスルファニル−エチル]ピロリジン
10.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]−ピロリジン
11.(S)−3−[(R)−2−エチルスルファニル−1−(4−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
12.(S)−3−[(S)−2−エチルスルファニル−1−(3−トリフルオロメチルフェノキシ)エチル]ピロリジン
13.(S)−3−[(R)−1−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−エチルスルファニルエチル]ピロリジン
14.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−エチルスルファニエチル]ピロリジン。
【0248】
調製例12
(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−イソプロピルスルファニルエチル)
ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
2−プロパンチオール(98.0μL、1.1mmol)をTHF(250μL)に溶解させ、混合物を0℃に冷却した。NaH(12.6mg、527μmol)を4回でゆっくりと加え、混合物を室温で10分間撹拌した。(S)−(R)−3−オキシラニルピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(75mg、350μmol)をTHF(0.1mL)に溶解させ、混合物に加えた。得られる溶液を100℃で30分間マイクロ波反応器にかけ、次いで室温に冷却した。ヘキサン(3×10mL)に続いて水(10mL)を加えた。有機層を集め、NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物をカラムクロマトグラフィー(0〜100%のEtOAcヘキサン溶液)によって精製して、表題化合物を透明な油(60mg)として得た。
【0249】
H−NMR (400 MHz,CDCl): δ (ppm)= 3.58−3.30 (m,3H),3.27−3.10 (m,1H),2.95 (dd,J=4.0,12.0,1H),2.90−2.78 (m,2H),2.72 (dd,J=4.0,12.0,1H),2.47−2.35 (m,1H),2.26−2.10 (m,1H),2.10−1.93 (m,1H),1.80−1.65 (m,1H),1.34 (s,9H),1.30−1.10 (m,6H)。
【0250】
(実施例18)
(S)−3−[(R)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]ピロリジン
【0251】
【化56】

(S)−3−((R)−1−ヒドロキシ−2−イソプロピルスルファニルエチル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(10mg、0.030μmol)をDMF(166μL)に溶解させた。NaH(1.7mg、69.1μmol)を加え、混合物を室温で15分間撹拌した。2−クロロ−6−フルオロベンゾトリフルオリド(20.6mg、104μmol)を加え、混合物を100℃で1時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、濃縮し、次いで1.2M HCl EtOH溶液(1.0mL、1.2mmol)に溶解させ、室温で一晩撹拌した。生成物を濃縮し、粗生成物を1:1AcOH/HO(1.5mL)に溶解し、次いで分取HPLCによって精製して、表題化合物を一TFA塩(9.2mg、純度94%)として得た。MS m/z: [M+H]1621ClFNOSに対する計算値,368.10; 実測値 368.0。
【0252】
(実施例19)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IVcを有する化合物19−1から19−7を一TFA塩として調製した。
【0253】
【化57−1】

【0254】
【化57−2】

1.(S)−3−[(R)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]ピロリジン
2.(S)−3−[(S)−1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]ピロリジン
3.(S)−3−[(R)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]ピロリジン
4.(S)−3−[(S)−1−(2−クロロ−3−フルオロフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]ピロリジン
5.(S)−3−[(S)−1−(2,4−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]ピロリジン
6.(S)−3−[(S)−1−(3−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]ピロリジン
7.(S)−3−[(R)−1−(3,4−ジクロロフェノキシ)−2−イソプロピルスルファニルエチル]−ピロリジン。
【0255】
調製例13
3−(1−ヒドロキシ−3−メチルスルファニルプロピル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル
2−オキソピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(4.1g、22.0mmol)を窒素中でTHF(30mL)に溶解させ、次いで−78℃に冷却した。2Mのリチウムジイソプロピルアミドヘプタン/THF/エチルベンゼン溶液(22.0mL、43.9mmol)をシリンジで1時間かけて滴下し、得られる混合物を−78℃で1.5時間撹拌した。塩化3−メチルチオプロピオニル(3.0g、22mmol)をTHF(30mL)に溶解させ、混合物に、シリンジで1時間かけてゆっくりと滴下し、次いで室温で一晩撹拌した。飽和NHCl水溶液(50mL)で反応をクエンチし、混合物を室温で30分間撹拌した。混合物をEtOAc(200mL)で抽出した。有機層を飽和NaHCO水溶液(2×75mL)、次いで飽和NaCl水溶液(2×75mL)で洗浄した。水層を合わせ、EtOAc(75mL)で抽出し直した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮した。次いで材料を高真空中に10分間置いて、未精製の橙色の油(7.0g)を得た。油を分取HPLCによって精製した(2×3.5gの粗生成物;50%のAcOH/HOに溶解させた試料;2〜50%のMeCN/HO;0.05%のTFA;2”カラムにおいて40mL/分で80分間)。画分を、所望の生成物である3−(3−メチルスルファニルプロピオニル)−2−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステルに相当する白色の固体(606mg)として集めた。LCMS m/z: [M+H]1321NOSに対する計算値,287.37; 実測値 288.4。
【0256】
3−(3−メチルスルファニルプロピオニル)−2−オキソ−ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(188mg、654μmol)を窒素中でTHF(531μL)に溶解させた。2MのBH・MeS THF溶液(981μL)をシリンジで15分かけて加えた。混合物を室温で1時間撹拌し、次いで65℃で1時間加熱し、次いで室温に冷却した。混合物を氷浴で冷却し、冷MeOH(100mL)で反応をゆっくりとクエンチした。混合物を一晩撹拌し、次いでEtOAc(30mL)で希釈し、飽和NaHCO水溶液(2×50mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濾過し、ロータリーエバポレーターを用いて濃縮して黄色の油(300mg)を得、これをさらに精製することなく使用した。LCMS m/z: [M+H]1325NOSに対する計算値,275.40; 実測値 276.4。
【0257】
(実施例20)
3−[1−(2,3−ジクロロフェノキシ)−3−メチルスルファニルプロピル]ピロリジン
【0258】
【化58】

3−(1−ヒドロキシ−3−メチルスルファニルプロピル)ピロリジン−1−カルボン酸t−ブチルエステル(49mg、180μmol)をDMF(550μL)に溶解させた。60%油中NaH(60:40、NaH:鉱油、8.5mg、210μmol)をゆっくりと加え、混合物を室温で15分間撹拌した。1,2−ジクロロ−3−フルオロベンゼン(62μL、530μmol)を加え、得られる混合物を90℃で24時間加熱した。MeOHで反応をクエンチし、真空中でDMF/MeOHを除去した。生成物を1.25MのHCl EtOH溶液(1.4mL、1.8mmol)に溶解させ、室温で一晩撹拌した。次いで生成物を分取HPLCによって精製して、4種の全立体異性体(R,R、R,S、S,S、およびS,R)の混合物としての表題化合物を一TFA塩(20mg、純度100%)として得た。MS m/z: [M+H]1419ClNOSに対する計算値,320.06; 実測値 320.0。
【0259】
(実施例21)
上記実施例に記載の手順に従い、適切な出発材料および試薬を代わりに用いて、式IVdを有する化合物21−1を一TFA塩として調製した。
【0260】
【化59−1】

【0261】
【化59−2】

1.3−[1−(4−クロロ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)−3−メチルスルファニルプロピル]ピロリジン
アッセイ1
hSERT、hNET、およびhDAT結合アッセイ
輸送体における試験化合物のpK値を求めるために、膜放射性リガンド結合アッセイを使用して、それぞれのヒト組換え輸送体(hSERTまたはhNETまたはhDAT)を発現する細胞から調製した膜への、標識リガンド(H−シタロプラムまたはH−ニソキセチンまたはH−WIN35428)の結合の阻害を測定した。
hSERT、hNET、またはhDATを発現する細胞からの膜の調製
hSERTまたはhNETをそれぞれ安定して形質移入した組換え型ヒト胚性腎臓(HEK−293)由来細胞系を、37℃の5%CO加湿インキュベーターにおいて、10%の透析FBS(hSERT用)またはFBS(hNET用)、100μg/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、および250μg/mlのアミノグリコシド抗生物質G418で補充したDMEM培地で増殖させた。培養物が80%のコンフルエンスに達したとき、細胞を(Ca2+およびMg2+なしの)PBS中で入念に洗浄し、5mMのEDTA PBS溶液で脱離させた。細胞を遠心分離によってペレット化し、溶解緩衝液(10mMのTris−HCl(pH7.5)、1mMのEDTAを含有)に再懸濁し、ホモジナイズし、遠心分離によってペレット化し、次いで4℃の50mM Tris−HCl(pH7.5)および10%スクロースに再懸濁した。Bio−Rad Bradford Protein Assayキットを使用して、膜懸濁液のタンパク質濃度を決定した。膜を急速冷凍し、−80℃で保存した。hDATを発現するチャイニーズハムスター卵巣膜(CHO−DAT)をPerkinElmerから購入し、−80℃で保存した。
【0262】
結合アッセイ
結合アッセイは、SERT、NET、およびDATについてそれぞれ0.5μg、1μg、および3μgの膜タンパク質を用い、96ウェルアッセイプレートにおいて、総体積200μlのアッセイ緩衝液(50mM Tris−HCl、120mM NaCl、5mM KCl、pH7.4)中で実施した。それぞれH−シタロプラム、H−ニソキセチン、またはH−WIN35428についての放射性リガンドK値を求めるために、0.005〜10nM(H−シタロプラム)、0.01〜20nM(H−ニソキセチン)、および0.2〜50nM(H−WIN35428)の範囲の異なる12段階の放射性リガンド濃度を使用して、飽和結合研究を実施した。試験化合物のpK値を求めるための阻害アッセイは、1.0nMのH−シタロプラム、1.0nMのH−ニソキセチン、または3.0nMのH−WIN35428を用い、10pM〜100μMの範囲の異なる11段階の試験化合物濃度で実施した。
【0263】
試験化合物の保存液(10mMのDMSO溶液)を調製し、希釈緩衝液(50mM Tris−HCl、120mM NaCl、5mM KCl、pH7.4、0.1%BSA、400μMのアスコルビン酸)を使用して段階希釈を行った。hSERT、hNET、またはhDATアッセイについて、それぞれ1μMのデュロキセチン、1μMのデシプラミン、または10μMのGBR12909(いずれも希釈緩衝液溶液)の存在下、非特異的放射性リガンド結合を決定した。
【0264】
22℃で60分間インキュベートした後(または平衡に達するのに十分な期間経過後)、0.3%ポリエチレンイミンで前処理した96ウェルUniFilter GF/Bプレートでの急速濾過によって膜を回収し、300μlの洗浄緩衝液(50mM Tris−HCl、0.9%NaCl、pH7.5、4℃)で6回洗浄した。プレートを室温で一晩乾燥させ、約45μlのMicroScint(商標)−20(Perkin Elmer)を加え、結合した放射活性を液体シンチレーション分光法によって定量化した。GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、阻害曲線および飽和等温線を分析した。Prism GraphPadのSigmoidal Dose Response(可変勾配)アルゴリズムを使用して、濃度反応曲線からIC50値を生成した。Prism GraphPadのSaturation Binding Global Fitアルゴリズムを使用して、飽和等温線から放射性リガンドのK値およびBmax値を生成した。Cheng−Prusoff式(ChengおよびPrusoff(1973年)Biochem. Pharmacol.22巻(23号):3099〜3108頁):K=IC50/(1+[L]/K)([L]=放射性リガンド濃度である)を使用して、最も適合したIC50値および放射性リガンドのK値から、試験化合物のpK(Kの負の常用対数)値を算出した。
【0265】
このアッセイで試験した本発明の化合物は、以下のSERT pK値およびNET pK値を示すことが分かった。
【0266】
【化60】

【0267】
【化61】

【0268】
【化62】

アッセイ2
hSERT、hNET、およびhDAT神経伝達物質取込アッセイ
輸送体における試験化合物のpIC50値を求めるために、神経伝達物質取込アッセイを使用して、H−セロトニン(H−5−HT)、H−ノルエピネフリン(H−NE)、およびH−ドーパミン(H−DA)の、それぞれの輸送体(hSERT、hNET、またはhDAT)を発現する細胞への取込の阻害を測定した。
H−5−HT、H−NE、およびH−DA取込アッセイ
hSERT、hNET、またはhDATをそれぞれ安定して形質移入したHEK−293由来細胞系を、37℃の5%CO加湿インキュベーターにおいて、10%透析FBS(hSERT用)またはFBS(hNETおよびhDAT用)、100μg/mlのペニシリン、100μg/mlのストレプトマイシン、2mMのL−グルタミン、および(hSERTおよびhNETでは)250μg/mlまたは(hDATでは)800ug/mlのアミノグリコシド抗生物質G418で補充したDMEM培地で増殖させた。培養物が80%のコンフルエンスに達したとき、細胞を(Ca2+およびMg2+なしの)PBS中で入念に洗浄し、5mMのEDTA PBS溶液で脱離させた。細胞を1100rpmで5分間の遠心分離によって回収し、PBSに再懸濁することにより1度洗浄し、次いで遠心分離した。上清を廃棄し、細胞ペレットを穏やかに摩砕することにより、HEPES(10mM)、CaCl(2.2mM)、アスコルビン酸(200μM)、およびパルギリン(200μM)を含有する室温のクレブス−リンゲル重炭酸緩衝液(pH7.4)に再懸濁した。細胞懸濁液中の細胞の最終濃度は、SERT、NET、およびDAT細胞系について、それぞれ7.5×10細胞/ml、1.25×10細胞/ml、および5.0×10細胞/mlとした。
【0269】
神経伝達物質取込アッセイは、SERT、NET、およびDATについてそれぞれ1.5×10および2.5×10個の細胞を用い、96ウェルアッセイプレートにおいて、総体積400μlのアッセイ緩衝液(HEPES(10mM)、CaCl(2.2mM)、アスコルビン酸(200μM)、およびパルギリン(200μM)を含有するクレブス−リンゲル重炭酸緩衝液、pH7.4)中で実施した。試験化合物のpIC50値を決定するための阻害アッセイは、10pM〜100μMの範囲の異なる11段階の濃度で実施した。試験化合物の保存液(10mMのDMSO溶液)を調製し、50mM Tris−HCl、120mM NaCl、5mM KCl、pH7.4、0.1%BSA、400μMのアスコルビン酸を使用して段階希釈物を準備した。試験化合物をそれぞれの細胞と共に37℃で30分間インキュベートしてから、放射標識した神経伝達物質のH−5−HT(最終濃度20nM)、H−NE(最終濃度50nM)、またはH−DA(最終濃度100nM)を加えた。hSERT、hNET、またはhDATアッセイについて、それぞれ2.5μMのデュロキセチン、2.5μMのデシプラミン、または10uMのGBR−12909(いずれも希釈緩衝液溶液)の存在下、非特異的な神経伝達物質取込を決定した。
【0270】
放射性リガンドと共に37℃で10分間インキュベートした後、1%BSAで前処理した96ウェルUniFilter GF/Bプレートでの急速濾過によって細胞を回収し、650μlの洗浄緩衝液(氷冷PBS)で6回洗浄した。プレートを37℃で一晩乾燥させ、約45μlのMicroScint(商標)−20(Perkin Elmer)を加え、組み込まれた放射活性を液体シンチレーション分光法によって定量化した。GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、阻害曲線を分析した。Prism GraphPadのSigmoidal Dose Response(可変勾配)アルゴリズムを使用して、濃度反応曲線からIC50値を生成した。
【0271】
このアッセイ、またはTsurudaら(2010年)Journal of Pharmacological and Toxicological Methods 61巻(2号):192〜204頁に記載の蛍光ベースのアッセイ(表においてアスタリスクで指示したデータ)で試験した本発明の化合物は、以下のようなセロトニンおよびノルエピネフリン再取込阻害pIC50値を有することが分かった。
【0272】
【化63】

【0273】
【化64】

【0274】
【化65】

アッセイ3
エクスビボのSERTおよびNET輸送体占有研究
エクスビボの放射性リガンド結合および神経伝達物質取込アッセイを使用して、試験化合物をインビボ投与(短期または長期)した後の、選択した脳領域におけるSERTおよびNETのインビボ占有率を決定する。試験化合物を(静脈内、腹腔内、経口、皮下、または他の経路によって)適切な用量(0.0001〜100mg/kg)で投与した後、ラット(一群につき≧n=4)を特定の時点(10分〜48時間)で断頭によって安楽死させ、脳を氷上で解剖する。関係のある脳領域を解剖し、凍結させ、使用するまで−80℃で保存する。
【0275】
エクスビボSERTおよびNET放射性リガンド結合アッセイ
エクスビボ放射性リガンド結合アッセイでは、SERT選択的(H−シタロプラム)およびNET選択的(H−ニソキセチン)放射性リガンドが、ビヒクルおよび試験化合物で処置した動物から調製した未精製のラット脳ホモジネートと会合する初期速度をモニターする(Hessら(2004年)J. Pharmacol. Exp. Ther. 310巻(2号):488〜497頁を参照されたい)。未精製脳組織ホモジネートは、凍結した組織片を(体重1mgあたり)0.15mlの50mM Tris−HCl、120mM NaCl、5mM KCl(pH7.4)緩衝液中でホモジナイズすることにより調製する。放射性リガンド会合アッセイは、(25μgのタンパク質と等価の)湿重量650μgの組織を用い、96ウェルアッセイプレートにおいて、総体積200μlのアッセイ緩衝液(50mM Tris−HCl、120mM NaCl、5mM KCl、0.025%BSA、pH7.4)中で実施する。ホモジネートをそれぞれH−シタロプラム(3nM)およびH−ニソキセチン(5nM)と共に5分間までインキュベートしてから、0.3%ポリエチレンイミンで前処理した96ウェルUniFilter GF/Bプレートでの急速濾過によって、アッセイを終了させる。次いでフィルターを300μlの洗浄緩衝液(50mM Tris−HCl、0.9%NaCl、pH7.4、4℃)で6回洗浄する。H−シタロプラムまたはH−ニソキセチンについて、それぞれ1μMのデュロキセチンまたは1μMのデシプラミンの存在下で、非特異的放射性リガンド結合を決定する。プレートを室温で一晩乾燥させ、約45μlのMicroScint(商標)−20(Perkin Elmer)を加え、結合した放射活性を液体シンチレーション分光法によって定量化する。GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、H−シタロプラムおよびH−ニソキセチンの会合の初期速度を線形回帰によって決定する。放射性リガンドがビヒクル処置した動物からの脳組織ホモジネートに会合する平均速度を決定する。次いで以下の式を使用して試験化合物の占有%を決定する。
占有%=100×(1−(試験化合物処置組織での初期会合速度/ビヒクル処置組織での平均会合速度))
試験化合物の用量のlog10を占有%に対してプロットすることにより、ED50値を決定する。GraphPad PrismのSigmoidal Dose Response(可変勾配)アルゴリズムを使用して、濃度反応曲線からED50値を生成する。
【0276】
エクスビボSERTおよびNET取込アッセイ
ビヒクルおよび試験化合物で処置した動物から調製した未精製ラット脳ホモジネートへのH−5−HTまたはH−NEの取込の、エクスビボ神経伝達物質取込アッセイを使用してインビボでのSERTおよびNET輸送体占有率を測定する(Wongら(1993年)Neuropsychopharmacology 8巻(1号):23〜33頁を参照されたい)。未精製脳組織ホモジネートは、凍結した組織片を、0.32Mのスクロース、200μMのアスコルビン酸、および200μMのパルギリンを含有する、(湿重量1mgあたり)0.5mlの22℃の10mM HEPES緩衝液(pH7.4)中でホモジナイズすることにより調製する。神経伝達物質取込アッセイは、50μgのタンパク質を用い、96ウェルAxygenプレートにおいて、総体積350μlのアッセイ緩衝液(10mM HEPES、2.2mM CaCl、200μMのアスコルビン酸、および200μMのパルギリンを含有するクレブス−リンゲル重炭酸緩衝液、pH7.4)中で実施する。ホモジネートをそれぞれH−5−HT(20nM)およびH−NE(50nM)と共に37℃で5分間インキュベートしてから、1%BSAで前処理した96ウェルUniFilter GF/Bプレートでの急速濾過によって、アッセイを終了させる。プレートを650μlの洗浄緩衝液(氷冷PBS)で6回洗浄し、37℃で一晩乾燥させてから、約45μlのMicroScint(商標)−20(Perkin Elmer)を加える。組み込まれた放射活性を液体シンチレーション分光法によって定量化する。組織ホモジネートをH−5−HT(20nM)またはH−NE(50nM)と共に4℃で5分間インキュベートする並行したアッセイにおいて、非特異的神経伝達物質取込を決定する。
【0277】
アッセイ4
他のアッセイ
試験化合物の薬理学的性質を評価するのに使用する他のアッセイとして、それだけに限らないが、hSERTまたはhNETを発現する細胞から調製した膜を用いる冷リガンド結合動力学アッセイ(MotulskyおよびMahan(1984年)Molecular Pharmacol.25巻(1号):1〜9頁);放射標識、例えばトリチウム標識した試験化合物を使用する従来の膜放射性リガンド結合アッセイ;例えばげっ歯動物またはヒトの脳からの天然組織を使用する放射性リガンド結合アッセイ;ヒトまたはげっ歯動物の血小板を使用する神経伝達物質取込みアッセイ;げっ歯動物の脳からの未精製または純粋なシナプトソーム調製物を使用する神経伝達物質取込みアッセイが挙げられる。
【0278】
アッセイ5
ホルマリン足試験
ホルマリン(5%)の50μl注射によって惹起される行動反応を抑制する能力について、化合物を評価する。雄Sprague−Dawleyラット(200〜250g)の左後足に金属バンドを取り付け、各ラットをプラスチックの筒(直径15cm)内で60分間バンドに慣れさせる。化合物を薬学的に許容されるビヒクル中に調製し、予め指定した時間に全身投与(腹腔内、経口)した後、ホルマリンを負荷する。注射された(バンドが付けられた)後足をたじろがせることからなる自発的な侵害受容性行動を、自動式侵害受容分析計(UCSD Anesthesiology Research、カリフォルニア州サンディエゴ)を使用して、60分間継続的にカウントする。ビヒクルおよび化合物で処置したラットにおいてたじろぎ行動の数を比較することにより、試験物品の抗侵害受容特性を判定する(Yaksh TLら、「An automated flinch detecting system for use in the formalin nociceptive bioassay」(2001年)J. Appl. Physiol.90巻(6号):2386〜2402頁)。
【0279】
アッセイ6
脊髄神経結紮モデル
神経傷害によって誘発される接触性アロディニア(無害の機械的刺激に対する感受性の増大)を逆転させる能力について、化合物を評価する。雄Sprague−Dawleyラットに、KimおよびChung「An experimental model for peripheral neuropathy produced by segmental spinal nerve ligation in the rat」(1992年)Pain 50巻(3号):355〜363頁に記載の通りに外科的準備を施す。神経傷害の前後に、機械的感受性を、無害の機械的刺激に対する50%の引っ込め反応として判定する(Chaplanら、「Quantitative assessment of tactile allodynia in the rat paw」(1994年)J. Neurosci. Methods 53巻(1):55〜63頁)。外科手術から1〜4週間後、化合物を薬学的に許容されるビヒクル中に調製し、全身投与(腹腔内、経口)する。神経傷害によって誘発される機械的感受性の、処置の前後での度合いを、化合物の抗侵害受容特性の指標として役立てる。
【0280】
本発明を特定の態様またはその実施形態に関して説明してきたが、本発明の真の趣旨および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができ、または等価物で代用することができることを当業者であれば理解するであろう。さらに、適用可能な特許の成文法および規程が許す範囲で、本明細書において引用した全ての公開資料、特許および特許出願は、各書類が本明細書において参照により個々に組み込まれたのと同一程度に参照によりその全体が本明細書に組み込まれている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化66】

[式中、
は、−CHOH、−C1〜2アルキレン−O−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキレン−S−C1〜6アルキル、−C1〜2アルキレン−O−フェニル、−C1〜2アルキレン−S−フェニル、−C1〜2アルキレン−O−ベンジル、−C1〜2アルキレン−S−ベンジル、テトラヒドロピラニル、およびテトラヒドロフラニルから選択され、
からRは、水素、ハロ、−C1〜6アルキル、−CF、−O−C1〜6アルキル、−CN、−C(O)−C1〜6アルキル、−S−C1〜6アルキル、−C3〜8シクロアルキル、および−NOから独立に選択され、またはRとRが一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成しており、またはRとRが一緒になって−CH−CH=CH−CH−を形成する]または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
が−CHOHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が−CH−O−CH、−(CH−O−CH、−CH−O−CHCH、または−CH−O−CH(CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
が−(CH−S−CHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
が−CH−O−ベンジルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がテトラヒドロピラニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
が水素、ハロ、−C1〜6アルキル、または−CFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
が水素、フルオロ、クロロ、−CH、または−CFである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が水素、ハロ、または−CFである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
が水素、フルオロ、クロロ、または−CFである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が水素、ハロ、−C1〜6アルキル、−CF、または−CNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が水素、フルオロ、クロロ、−CH、−CF、または−CNである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
が水素、またはハロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
が水素、またはクロロである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
が水素、またはハロである、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
が水素、フルオロ、またはクロロである、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
とRが一緒になって−CH=CH−CH=CH−を形成する、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
およびRが非水素部分であり、R、RおよびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項19】
およびRが非水素部分であり、R、RおよびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項20】
およびRが非水素部分であり、R、RおよびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
、RおよびRが非水素部分であり、RおよびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
、RおよびRが非水素部分であり、RおよびRが水素である、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
【化67】

から選択される配置を有し、またはそのような配置を有する立体異性体形態が富化されている、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】

【化68】

の化合物[式中、Pは、アミノ保護基を表す]を脱保護して、式Iの化合物またはその塩を得るステップを含む、請求項1から23のいずれか一項に記載の化合物を調製する方法。
【請求項25】

【化69】

[Pは、アミノ保護基を表す]を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の化合物の合成において有用な中間体。
【請求項26】
請求項1から23のいずれか一項に記載の化合物と薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物。
【請求項27】
アルツハイマー病治療薬、抗痙攣薬、抗うつ薬、パーキンソン病治療薬、セロトニン−ノルエピネフリン再取込二重阻害剤、非ステロイド性抗炎症薬、ノルエピネフリン再取込阻害剤、オピオイド作動薬、選択的セロトニン再取込阻害剤、ナトリウムチャネル遮断薬、交感神経遮断薬、およびこれらの組合せから選択される第二の治療剤をさらに含む、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
治療において使用するための、請求項1から23のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項29】
疼痛障害、抑うつ障害、情動障害、注意欠陥多動性障害、認知障害、腹圧性尿失禁、慢性疲労症候群、肥満、および閉経に関連する血管運動症状を治療するための、請求項28に記載の化合物。
【請求項30】
前記疼痛障害が、神経因性疼痛、線維筋痛症、または慢性疼痛である、請求項29に記載の化合物。

【公表番号】特表2012−533625(P2012−533625A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521673(P2012−521673)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【国際出願番号】PCT/US2010/041901
【国際公開番号】WO2011/011231
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】