説明

3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールのHCl多形体

【課題】
本発明の課題は、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール類の塩酸塩を結晶性固体物質として得ることにある。
【解決手段】
上記課題は、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールと塩化水素の結晶塩(好ましくは1:1の組成で)、これらの塩の種々の結晶形並びにそれらの製造方法、医薬組成物及び医薬中の有効物質としてこれらの塩の使用によって解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールと塩化水素の結晶塩(好ましくは1:1の組成で)、この塩の種々の結晶形並びにその製造方法、この塩を含有する医薬組成物及びこの塩を医薬中の医薬有効物質としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
欧州特許公開(EP−A1)第0753506号明細書には、鎮痛作用を有する3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール類が記載されている。この明細書中に、これらの化合物の遊離塩基から塩、たとえば塩酸塩を製造することもできることも述べられている。しかしながら、この欧州特許公開(EP−A1)第0753506号明細書には、この塩酸塩を結晶性固体物質として得ることができることについて何ら示唆する記載がない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】欧州特許公開第0753506号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
驚くべきことに、本発明者は、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールが塩化水素と、結晶性固体物質としての付加塩を、好ましくは割合1:1の組成で形成することを見出した。更に、本発明者は、結晶性固体としての3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールHClが多形体形を形成し、これをそれぞれ適切に製造することができ、そして少なくとも一部がその安定性に基いて、特に医薬組成物の調製するための有効物質として適することを見出した。たとえば結晶形IIは、その動力学的安定性に基き医薬組成物を調製するための有効物質として適当である。
【0005】
更に、結晶形Vはその安定性に基き、水の存在下、たとえば空気中の湿気の形にある水の存在下で、医薬組成物を調製するための有効物質として適当である。更に、本発明者は、この塩酸塩が水中で極めて良好な溶解性を有する点で優れていることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
したがって、本発明の対象は、塩化水素と3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールの結晶塩であり、この際、下記式(1)
【0007】
【化1】

【0008】
で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶塩が好ましい。
【0009】
式(1)で表わされる化合物は、シクロヘキサン環の1−及び2−位にそれぞれ1個のキラルC−原子を有する。式(1)で表わされる化合物はすべての立体異姓体及び立体異姓体の混合物を含む。フェニル環及びジメチルアミノメチル基がトランス配置であるジアステレオマー又はエナンチオマー性ジアステレオマーの混合物(1R,2R−又は1S,2S−配置)が好ましく、この際、絶対配置(1R,2R)を有するエナンチオマーがまさに特に好ましい。
【0010】
3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールの(1R,2R)−エナンチオマーの構造を、下記に再度示す:
【0011】
【化2】

【0012】
本発明の別の対象は、下記工程を含む、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造方法である:
a)3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールを溶剤に溶解させるか又は懸濁させるか、あるいは3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールを固体として存在させ、
b)得られた溶液、固体又は懸濁液を塩化水素の溶液、特に塩酸と混合し、場合により冷却又は加熱して、−80℃〜150℃、好ましくは−20℃〜30℃、特に好ましくは−5℃〜5℃の温度で、固体の形成が終了するまで維持し、ついで
c)式(1)で表わされる化合物を単離させる。
【0013】
あるいは、溶液の形にある、懸濁液としての又は固体としての3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールを、塩化水素を含有する溶液又はガスに移行させることも当然のことながら可能である。
【0014】
上記処理工程の工程b)中の塩酸は、特に水溶液としてか又は有機溶剤、好ましくは、ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル及びテトラヒドロフランより成る群から選ばれた溶剤中の溶解された溶液として存在することができる。
【0015】
同様に、本発明の対象は、下記工程を含む式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造方法である:
a)3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールを溶剤に溶解させるか、又は3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールを固体として存在させ、ついで
b)塩化水素ガスを溶液又は懸濁液中に導入するか、あるいは塩化水素ガスを固体上に移行させる。
【0016】
式(1)で表わされる化合物は、塩形成の本発明の方法において、非晶質形でも得られる。式(1)で表わされる化合物の非晶質形は、たとえば簡単に溶液の凍結乾燥又は急速冷却によって得られる。式(1)で表わされる非晶質化合物は極めて不安定であり、そして湿気の存在下に水和物を形成しがちである。同様に、式(1)で表わされる化合物の非晶質形は、溶媒和化溶剤、たとえばアセトン、エタノール、メタノール、メチルエチルケトン、イソプロパノール、n−プロパノール及びn−オクタノール中で、対応する溶媒和物の製造に適当である。式(1)で表わされる化合物の非晶質形を、同様に結晶形の適切な製造に使用することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明者は、式(1)で表わされる化合物が結晶性固体として多形体形を形成し、この多形体形が3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩から適切に製造することができ、そしてその安定性の故に、特に医薬組成物の調製のための有効物質として適することを見出した。結晶形IIはその動力学的安定性の故に、医薬組成物の調製のための有効物質として最適である。同様に、結晶形Vはその安定性の故に水存在下、たとえば空気中の湿気の形での水の存在下に、医薬組成物の調製のための有効物質として最適である。
【0018】
特にZ. Jane Li等、J. Pharm. Sci.、1999、Vol. 88(3)、第337〜346頁から、エナンチオマーが同一にX線回折パターン及びラマンスペクトルを生じ、それゆえに同一の多形体形を形成することが知られている。したがって、本発明の範囲に、すべてのエナンチオマーの多形体形が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は多形体形IのX線回折パターンを示す。
【図2】図2は多形体形Iのラマンスペクトルを示す。
【図3】図3は多形体形IIのX線回折パターンを示す。
【図4】図4は多形体形IIのラマンスペクトルを示す。
【図5】図5は多形体形IIIのX線回折パターンを示す。
【図6】図6は多形体形IIIのラマンスペクトルを示す。
【図7】図7は多形体形IVのX線回折パターンを示す。
【図8】図8は多形体形IVのラマンスペクトルを示す。
【図9】図9は多形体形VのX線回折パターンを示す。
【図10】図10は多形体形Vのラマンスペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の別の対象は、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形、2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的なシグナル(ピーク):
11.2(w)、14.1(m)、17.1(w)、19.5(w)、19.8(vs)、20.5(w)、21.5(m)、24.1(m)、26.1(s)、26.8(w)、31.3(m)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形であって、以下、形Iとして表示する。
【0021】
本発明の別の対象は、下記の特有の反射を有する特徴的ばX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールHClの結晶形Iである。
【0022】
2シータ値の計測精度は、±0,2の範囲内にある。
【0023】
【表1】

【0024】
上記及び後記の括弧内の省略形は次の意味を示す:(vs)=極めて強い強度、(s)=強い強度、(m)=中程度の強度、(w)=弱い強度、及び(vw)=極めて弱い強度。ラマンスペクトルの表中での省略形の「sh」は、ショルダーを意味する。
【0025】
本発明による別の対象は、波数(cm−1)で表わされる、次の特徴的な極性を有する特徴的なラマンスペクトルを有する、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールフマル酸塩の結晶形である:
式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Iは、次の波数(cm−1)で表わされる、特徴的な極性を有する特徴的なラマンスペクトルを示す:
【0026】
【表2】

【0027】
波数の記載は、±4cm−1の精度でもって行われる。
【0028】
本発明の別の対象は、図1に示されるような特徴的なX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Iである。
【0029】
本発明の別の対象は、図2に示されるようなラマンスペクトルによって特徴づけられる式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Iである。
【0030】
この結晶形Iは、たとえば約40℃までの低い温度で熱力学的に最も安定な形態である。結晶形Iは、空気中の湿気の存在下に相対空気湿気>50%で結晶形Vの不可逆的水和物を生じる。相対空気湿気>95%の場合、8%〜10%の範囲で水和物の重量に対する結晶水の割合を有する水和物が生じる。水和物の形成を回避するために、結晶形Iの化合物を好ましくは湿気の少ない環境中に、たとえば五酸化リンを介する容器中に又は分子ふるい中に貯蔵することができる。同様に、結晶形Iを乾燥保護ガス(たとえば窒素)下に貯蔵するのが好ましい。融点は約150℃である。
【0031】
多形体Iを、通常1μm〜約500μmの範囲にある、所望の平均粒子サイズ誘導体固形の粉末として製造することができる。
【0032】
式(1)で表わされる化合物は、高められ温度で熱力学的に安定な、別の結晶形IIを形成し、得られた結晶は空気中での通常の条件で、そして空気中の湿気の遮断下で同様に安定である。同様に、結晶形IIは取り扱うことができるので医薬組成物の製造に使用することができる。
【0033】
本発明の別の対象は、2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
11.1(m)、12.9(w)、16.1(m)、17.1(w)、19.1(s)、19.6(w)、19.9(m)、23.2(w)、25.8(w)、26.1(s)、33.6(w)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形であり、以下、これを形IIとして表示する。
【0034】
本発明の別の対象は、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールHClの結晶形IIであり、これは次の特有の反射を有する特徴的なX線回折パターンを示す。
【0035】
【表3】

【0036】
本発明の別の対象は、次の波数(cm−1)によって表わされる、特徴的なバンドを有する特徴的なラマンスペクトルを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIである。
【0037】
【表4】

【0038】
本発明の別の対象は、図3に示されるようなX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIである。
【0039】
本発明の別の対象は、図4に示されるようなラマンスペクトルを有する、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIである。
【0040】
結晶形IIの化合物は、結晶形I、III又はIVの化合物よりも少ない吸湿性であり、そしてまず相対空気湿気>70%で、結晶形Vの水和物を生じる。したがってたとえば60%の相対空気湿気での結晶形IIの貯蔵5時間後、著しい吸湿は確認されない(水の割合<0.15重量%)。結晶形IIは、酢酸エチル中で−20℃〜30℃の温度で、好ましくは23℃の温度で攪拌混合して、この温度で熱力学的に安定な形Iに徐々にしか変化しないので、32日後初めて結晶形IIを完全に結晶形Iに変わる。結晶形Iの比較的僅かな割合を、3日の攪拌後に検出することができる。攪拌混合による結晶形IIの結晶形Iへの変換は、結晶形Iの結晶種付けの存在下でも徐々にしか行われない。少ない吸湿性及び動力学的安定性が結晶形IIを医薬組成物中の適する有効物質にさせる。
【0041】
結晶形IIの化合物は、良好な化学安定性を有する。この化合物は、空気中の湿気の存在下で相対空気湿気>70℃で結晶形Vの水和物をほんの徐々にしか形成しない。相対空気湿気>95%で、8%〜10%の範囲で水和物の重量に対する結晶水の割合を有する水和物を生じる。水和物の形成を回避するために、結晶形IIの化合物を好ましくは湿気の少ない環境中に、たとえば五酸化リンを介する容器中に又は分子ふるい中に貯蔵することができる。同様に、結晶形IIを乾燥保護ガス(たとえば窒素)下に貯蔵するのが好ましい。
【0042】
融点は、175℃〜178℃の範囲にあり、そして溶融エンタルピーは10℃/分の加熱速度でDSCで測定して約93.3J/gである。多形体IIは所望の平均粒径を有する固体粉末として製造することができ、この平均粒径は原則として1μm〜約500μmの範囲内にある。
【0043】
式(1)で表わされる化合物は、別の安定な結晶形IIIを形成し、この結晶は高められた温度で、好ましくは70℃〜155℃の温度で、特に好ましくは75℃〜151℃の温度で、熱力学的に安定であり、そして同様に空気中での通常の条件で、そして空気中の湿気の遮断下で安定である。
【0044】
本発明の別の対象は、2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
6.9(s)、13.9(m)、16.3(m)、17.7(w)、20.9(vs)、22.1(w)、22.5(w)、27.8(w)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形III(以下形IIIとして表示する。)である。
【0045】
本発明の別の対象は、下記の特有の反射を有する特徴的ばX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールHClの結晶形IIIである。
【0046】
【表5】

【0047】
本発明による別の対象は、波数(cm−1)で表わされる、次の特徴的な極性を有する特徴的なラマンスペクトルを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールフマル酸塩の結晶形IIIである:
【0048】
【表6】

【0049】
本発明の別の対象は、図5に示されるような特徴的ばX線回折パターンを有する、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIIである。
【0050】
本発明の別の対象は、図6に示されるようなラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIIである。
【0051】
結晶形IIIは、空気中の湿気の存在下に相対空気湿気>50%で結晶形Vの不可逆的水和物を生じる。相対空気湿気>95%の場合、8%〜10%の範囲で水和物の重量に対する結晶水の割合を有する水和物が生じる。水和物の形成を回避するために、結晶形IIIの化合物を好ましくは湿気の少ない環境中に、たとえば五酸化リンを介する容器中に又は分子ふるい中に貯蔵することができる。同様に、結晶形IIIを乾燥保護ガス(たとえば窒素)下に貯蔵するのが好ましい。
【0052】
融点は、155℃〜158℃の範囲にあり、そして溶融エンタルピーは10℃/分の加熱速度でDSCで測定して約87J/gである。多形体IIIは所望の平均粒径を有する固体粉末として製造することができ、この平均粒径は一般に1μm〜約500μmの範囲内にある。
【0053】
式(1)で表わされる化合物は、別の安定な結晶形IVを形成し、この結晶は高められた温度で、好ましくは70℃〜155℃の温度で、特に好ましくは75℃〜130℃の温度で、更に好ましくは75℃〜122℃の温度で、熱力学的に安定であり、そして同様に空気中での通常の条件で、そして空気中の湿気の遮断下で安定である。
【0054】
本発明の別の対象は、2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
12.0(m)、13.0(m)、17.3(m)、17.7(m)、19.2(s)、19.7(m)、20.2(m)、21.3(m)、23.4(m)、24.2(m)、24.6(m)、43.1(vs)、44.2(vs)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形(以下、形IVとして表示する。)である。
【0055】
本発明の別の対象は、下記の特有の反射を有する特徴的ばX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールHClの結晶形IVである。
【0056】
【表7】

【0057】
本発明の別の対象は、次の波数(cm−1)によって表わされる、特徴的なバンドを有する特徴的なラマンスペクトルを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IVである:
【0058】
【表8】

【0059】
本発明の別の対象は、図7に示されるような特徴的ばX線回折パターンを有する、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IVである。
【0060】
本発明の別の対象は、図8に示されるようなラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IVである。
【0061】
結晶形IVは、空気中の湿気の存在下に相対空気湿気>50%で結晶形Vの不可逆的水和物を生じる。相対空気湿気>95%の場合、8%〜10%の範囲で水和物の重量に対する結晶水の割合を有する水和物が生じる。水和物の形成を回避するために、結晶形IVの化合物を好ましくは湿気の少ない環境中に、たとえば五酸化リンを介する容器中に又は分子ふるい中に貯蔵することができる。同様に、結晶形IVを乾燥保護ガス(たとえば窒素)下に貯蔵するのが好ましい。
【0062】
融点は、166℃〜172℃の範囲にあり、そして溶融エンタルピーは10℃/分の加熱速度でDSCで測定して約78J/gである。多形体IVは所望の平均粒径を有する固体粉末として製造することができ、この平均粒径は一般に1μm〜約500μmの範囲内にある。
【0063】
式(1)で表わされる化合物は、別の安定な結晶形IVを形成し、この結晶は高められた温度で、好ましくは70℃〜155℃の温度で、特に好ましくは75℃〜130℃の温度で、更に好ましくは75℃〜122℃の温度で、熱力学的に安定であり、そして同様に空気中での通常の条件で、そして空気中の湿気の遮断下で安定である。
【0064】
更に、式(1)で表わされる化合物は、空気中での通常の条件で安定である、結晶形Vの安定な水和物を形成する。
【0065】
結晶形Vの水和物は結晶水の割合を水和物の重量に対して1%〜10%の範囲で、特に好ましくは5%〜9%の範囲で、まさに特に好ましくは6%〜8.5%、更により好ましくは7%〜8%の範囲でを有するのが好ましい。
【0066】
本発明の別の対象は、2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
11.4(m)、12.1(m)、16.7(w)、19.2(m)、19.4(w)、20.1(m)、21.1(m)、22.4(vs)、24.0(m)、31.3(w)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形(以下、式Vとして表示する)である。
【0067】
本発明の別の対象は、下記の特有の反射を有する特徴的ばX線回折パターンを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールHClの結晶形Vである。
【0068】
【表9】

【0069】
本発明の別の対象は、次の波数(cm−1)によって表わされる、特徴的なバンドを有する特徴的なラマンスペクトルを示す、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Vである:
【0070】
【表10】

【0071】
本発明の別の対象は、図9に示されるような特徴的ばX線回折パターンを有する、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Vである。
【0072】
本発明の別の対象は、図10に示されるようなラマンスペクトルによって特徴づけられる、式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Vである。
【0073】
結晶形Vは室温で空気中で安定であり、したがってこれは特に医薬組成物中の有効物質として適する。
【0074】
結晶形Vを困難にしか脱水することができない。減圧及び(又は)吸湿性試薬、たとえば五酸化リンは、結晶形Vからの水の不完全な放出を導く。たとえば水蒸気又は空気中の湿気の形で存在することができる水の存在下に、結晶形の部分的に脱水された化合物は水を急速に再度吸収する。結晶形Vの化合物は、高められた圧、たとえば8000バールの圧下で60分間、又は粉砕時に変化せず、そして高めらた圧力下で結晶形I、II、III又はIVへの変化は観察されない。
【0075】
融点は、105℃〜115℃の範囲にあり、そして溶融エンタルピーは10℃/分の加熱速度でDSCで測定して約77J/gである。
【0076】
式(1)で表わされる化合物は、溶媒和化溶剤、たとえばエタノール、メタノール、メチルエチルケトン、イソプロパノール、n−プロパノール、n−オクタノール及びアセトン中で安定な溶媒和物を形成する。溶媒和物は相互に、そして同様に結晶形Vとの水和物に対して同形体である。溶剤を、減圧によって全く除去することができないか又は不完全にしか除去することができない。
【0077】
式(1)で表わされる化合物の対応する溶媒和物中でのエタノールの補償(Erastz)は、高められた空気中の湿気での貯蔵を、たとえば硝酸マグネシウム過飽和水溶液又は塩化ナトリウム過飽和水溶液の存在下に、少なくとも2ヶ月の期間、好ましくは少なくとも4ヶ月の期間の貯蔵を可能にする。
【0078】
多形体形I、II、III、IV及びVをそれぞれ別の結晶形に変換することができる。たとえば多形体形II、III及びIVを多形体形Iに変えることができる。多形体形III及びIVを多形体形IIに変えることができる、多形体形IIIを多形体形IVに変えることができ、そして多形体形I及びIIを多形体形III又はIVに変えることができる。したがって、本発明の別の対象は、またそれ自体任意の混合割合にある結晶形I、II、III、IV及びVの混合物である。
【0079】
形I、II、III、IV及びVの結晶格子は、明らかに相互に異なり、したがってラマンスペクトル及びX線回折パターンは著しい相違を示す。それ故、形Iは、19°2θの範囲で強い強度を有するピークを示し、形IIIは7°、14°及び21°2θの範囲で強い強度を有するピークを示し、そして形Vは12°及び22°2θの範囲で強い強度を有するピークを示す。
【0080】
多形体形I、II、III及びIVを、それ自体公知の結晶化方法によって、塩の3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩から製造することができる。これは、たとえば懸濁液の攪拌(相平衡の調整)、沈殿、再結晶、溶剤の蒸発又は融解物からの結晶化によって行われる。希釈された、飽和の又は過飽和溶液を、結晶芽晶形成剤の種付けによって又は種付けせずに使用することができる。溶液の形成のための温度は、100℃までであることができる。結晶化を約−100℃〜30℃、好ましくは−30℃〜20℃に冷却することによって開始することができる。その際冷却は連続的に又は徐々に行うことができる。溶液又は懸濁液の製造のために、非晶質の又は結晶性出発材料を、溶液の形で高濃度を得るために、そしてその他の結晶形を得るために、使用することができる。
【0081】
したがって、本発明の別の対象は、下記のように3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Iを製造する方法である。すなわち
a)結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩又は結晶形Vの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、溶剤中で、好ましくは1:100〜100:1の量割合で、特に好ましくは1:10〜10:1の量割合で、更に特に好ましくは1:5〜5:1の量割合で、結晶形Iの形成が終了するまで攪拌するか、又は
b)結晶形IIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形Iの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、溶剤中で、好ましくは1:100〜8:1の量割合で、特に好ましくは11:1〜9:1の量割合で、結晶形Iの形成が終了するまで攪拌し、
この際、方法a)及びb)における温度は、せいぜい40℃、好ましくはせいぜい30℃、特に好ましくはせいぜい25℃である。
【0082】
方法a)及びb)を、空気の存在下又は不活性ガス、たとえば窒素及び希ガスの存在下に実施することができる。環境媒体としての空気が経済的理由から好ましい。ガスの相対湿度は好ましくは<50%、特に好ましくは<20%、更に特に好ましくは<5%である。
【0083】
方法a)及びb)の期間は、主に3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶の大きさ及び濃度に依存し、そして好ましくは1〜250時間、特に好ましくは3〜72時間、更に特に好ましくは5〜25時間である。3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の濃度は、それぞれ溶剤の重量に対して好ましくは0.5%〜50%、特に好ましくは2%〜30%、更に特に好ましくは5%〜20%、更により好ましくは5%〜8%である。
【0084】
単離後、結晶性残留物を常法で乾燥させ、その際温度は40℃を超えないのが好都合である。
【0085】
方法a)及びb)を、好ましくは非溶媒和化溶剤中で実施するのが好ましい。特に好ましくは、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族ハロゲン炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、ジ−及びテトラクロロエタン)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンングリコールジエチルエーテル、ジエチレンングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、ジオキサン)、長鎖アルコール(ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール)及びカルボン酸エステル及びラクトン(酢酸プロピル−、酢酸エチル−又は酢酸メチルエステル、バレロラクトン)を含む群から選ばれる溶剤である。溶剤が酢酸エチルであるのが更に特に好ましい。
【0086】
溶剤を単独で又は少なくとも2種の溶剤の混合物として使用することができる。当業者に周知の生理学的に危険のない溶剤を使用するのが有利である。単離後、使用される溶剤又は溶剤混合物を常法で周知の乾燥方法によって除去することができる。
【0087】
本発明の別の対象は、上記方法にしたがって得られる式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Iである。
【0088】
本発明の別の対象は、同様に、
a)結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩、又は結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形Vの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の混合物を、150℃〜160℃の温度で、好ましくは154℃〜158℃の温度で、結晶形IIの形成が終了するまで加熱するか(getempert)、又は
b)結晶形IIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩又は結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、溶剤中で、好ましくは1:100〜1:8の量割合で、特に好ましくは11:1〜1:9の量割合で、結晶形IIの形成が終了するまで攪拌するか、又は
c)キャリヤーとしての溶剤中、好ましくは溶媒和物を形成しない溶剤中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、30℃〜50℃の温度で、好ましくは35℃〜45℃の温度で、特に好ましくは40℃の温度で、結晶形IIの形成が終了するまで攪拌するか、又はd)結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を溶剤中で、溶剤中で、好ましくは1:100〜100:1の量割合で、特に好ましくは1:10〜10:1の量割合で、更に特に好ましくは1:5〜5:1の量割合で、結晶形IIの形成が終了するまで攪拌し、
この際、方法b)及びd)における温度は、せいぜい60℃、好ましくはせいぜい40℃、特に好ましくはせいぜい30℃、更に特に好ましくはせいぜい25℃であることを特徴とする、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIの製造方法である。
【0089】
方法b),c)及びd)を、空気の存在下又は不活性ガス、たとえば窒素及び希ガスの存在下に実施することができる。環境媒体としての空気が経済的理由から好ましい。ガスの相対湿度は好ましくは<50%、特に好ましくは<20%、更に特に好ましくは<5%である。
【0090】
方法b)及びd)の期間は、主に3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶の大きさ及び濃度に依存し、そして好ましくは1〜250時間、特に好ましくは3〜72時間、更に特に好ましくは5〜25時間である。方法c)の期間は、好ましくは少なくとも300時間、特に好ましくは少なくとも350時間、更に特に好ましくは400時間である。方法b)、c)及びd)における3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の濃度は、それぞれ溶剤の重量に対して好ましくは0.5%〜50%、特に好ましくは2%〜30%、更に特に好ましくは5%〜20%、更により好ましくは5%〜8%である。
【0091】
方法b)、c)及びd)を、好ましくは非溶媒和化溶剤中で実施するのが好ましい。特に好ましくは、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族ハロゲン炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、ジ−及びテトラクロロエタン)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンングリコールジエチルエーテル、ジエチレンングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、ジオキサン)、長鎖アルコール(ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール)及びカルボン酸エステル及びラクトン(酢酸プロピル−、酢酸エチル−又は酢酸メチルエステル、バレロラクトン)を含む群から選ばれる溶剤である。
【0092】
溶剤が酢酸エチルであるのが更に特に好ましい。
【0093】
溶剤を単独で又は少なくとも2種の溶剤の混合物として使用することができる。当業者に周知の生理学的に危険のない溶剤を使用するのが有利である。単離後、使用される溶剤又は溶剤混合物を常法で周知の乾燥方法によって除去することができる。
【0094】
本発明の別の対象は、上記方法にしたがって得られる式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIである。
【0095】
本発明の別の対象は、同様に
a)エタノール−又はアセトン−溶媒和物の形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を溶剤に溶解させ、攪拌し、ついで沈殿させるか、又は
b)キャリヤーとしての溶剤中、好ましくは溶媒和物を形成しない溶剤中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、30℃〜80℃の温度で、好ましくは35℃〜50℃の温度で、特に好ましくは40℃の温度で、結晶形IIIの形成が終了するまで攪拌することを特徴とする、
3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIIの製造方法である。
【0096】
処理工程a)で、結晶形I、II、IV、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非結質形又は対応する混合物を溶液の製造に使用することができる。溶液中の3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の濃度は、選択された温度及び溶剤に依存する。溶解される量は、溶剤に対して好ましくは0.5%〜50%、特に好ましくは2%〜30%、更に特に好ましくは3%〜25%、更により好ましくは5%〜20%である。溶解するための温度は70℃まで、好ましくは60℃までである。酢酸エチルを溶剤として、溶液の製造に使用するのが好ましい。
【0097】
沈殿を冷却、溶剤の部分的又は完全な除去、溶剤の添加(この溶剤、たとえばヘプタン、tert−ブチルメチルエーテル又は酢酸エチル及び対応する混合物中で、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩はほんの僅かな溶解性しか示さない。)又はこれらの手段の組み合わせによって行うことができる。冷却とは、徐々の冷却又は−20℃までの温度に、好ましくは0℃までの温度に急激に冷却を意味する。溶剤をガス流中で、減圧の設定下で又はこれらの手段の組み合わせで加熱することによって除去することができる。溶剤の除去のための加熱は、処理工程a)でせいぜい40℃の温度、好ましくはせいぜい30℃の温度を意味する。
【0098】
方法b)を、空気の存在下又は不活性ガス、たとえば窒素及び希ガスの存在下に実施することができる。環境媒体としての空気が経済的理由から好ましい。ガスの相対湿度は好ましくは<50%、特に好ましくは<40%、更に特に好ましくは<20%である。
【0099】
方法b)の期間は、主に3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶の大きさ及び濃度に依存し、そして好ましくは1〜350時間、特に好ましくは10〜300時間、更に特に好ましくは20〜300時間である。方法b)における3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の濃度は、それぞれ溶剤の重量に対して好ましくは0.5%〜50%、特に好ましくは2%〜30%、更に特に好ましくは5%〜20%、更により好ましくは5%〜15%である。単離後、結晶性残留物を常法で乾燥させ、その際温度は40℃を超えないのが好都合である。
【0100】
方法b)を、好ましくは非溶媒和化溶剤中で実施するのが好ましい。特に好ましくは、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族ハロゲン炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、ジ−及びテトラクロロエタン)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンングリコールジエチルエーテル、ジエチレンングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、ジオキサン)、長鎖アルコール(ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール)及びカルボン酸エステル及びラクトン(酢酸プロピル−、酢酸エチル−又は酢酸メチルエステル、バレロラクトン)を含む群から選ばれる溶剤である。
【0101】
更に特に好ましくは、溶剤はヘプタン、tert−ブチルメチルエーテル及び酢酸エチルである。
【0102】
本発明の別の対象は、上記方法にしたがって得られる式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIIである。
【0103】
本発明の別の対象は、同様に
a)結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、150℃〜160℃の温度で、好ましくは154℃〜158℃の温度で、結晶形IVの形成が終了するまで加熱するか(getempert)、又は
b)キャリヤーとしての溶剤中、好ましくは溶媒和物を形成しない溶剤中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、40℃〜120℃の温度で、好ましくは40℃〜100℃の温度で、特に好ましくは40℃〜80℃の温度で、結晶形IVの形成が終了するまで攪拌するか、又は
c)結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を溶剤中で、好ましくは1:100〜1:8の量割合で、特に好ましくは1:11〜1:9の量割合で、結晶形IVの形成が終了するまで攪拌し、
この際、方法c)における温度は、せいぜい40℃、好ましくはせいぜい30℃、特に好ましくはせいぜい25℃であることを特徴とする、
3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IVの製造方法である。
【0104】
方法b)及びc)を、空気の存在下又は不活性ガス、たとえば窒素及び希ガスの存在下に実施することができる。環境媒体としての空気が経済的理由から好ましい。ガスの相対湿度は好ましくは<50%、特に好ましくは<40%、更に特に好ましくは<20%である。
【0105】
方法b)及びc)の期間は、主に3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶の大きさ及び濃度に依存し、そして好ましくは1〜250時間、特に好ましくは10〜200時間、更に特に好ましくは30〜150時間である。方法b)における3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の濃度は、それぞれ溶剤の重量に対して好ましくは0.5%〜50%、特に好ましくは0.5%〜20%、更に特に好ましくは0.5%〜10%、更により好ましくは1%〜8%である。単離後、結晶性残留物を常法で乾燥させ、その際温度は40℃を超えないのが好都合である。
【0106】
方法b)及びc)を、好ましくは非溶媒和化溶剤中で実施するのが好ましい。特に好ましくは、脂肪族、環状脂肪族及び芳香族炭化水素(ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン)、脂肪族ハロゲン炭化水素(塩化メチレン、クロロホルム、ジ−及びテトラクロロエタン)、ニトリル類(アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル)、エーテル(ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレンングリコールジエチルエーテル、ジエチレンングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、メチル−テトラヒドロフラン、ジオキサン)、長鎖アルコール(ブタノール、tert−ブタノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール)及びカルボン酸エステル及びラクトン(酢酸プロピル−、酢酸エチル−又は酢酸メチルエステル、バレロラクトン)を含む群から選ばれる溶剤である。
【0107】
溶剤は、tert−ブチルメチルエーテルであるのが更に特に好ましい。
【0108】
溶剤を単独で又は少なくとも2種の溶剤の混合物として使用することができる。当業者に周知の生理学的に危険のない溶剤を使用するのが有利である。単離後、使用される溶剤又は溶剤混合物を常法で周知の乾燥方法によって除去することができる。
【0109】
本発明の別の対象は、上記方法にしたがって得られる式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IVである。
【0110】
本発明の別の対象は、同様に
a)結晶形I、II、III又はIVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を空気中に放置するか、又は水蒸気で処理するか、又は
b)水及び場合により少なくとも1種の、キャリヤーとしての溶剤からなる混合物中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、20℃〜60℃の温度で、好ましくは20℃〜30℃の温度で攪拌し、ついで残存する水又は溶剤を除去する、
3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Vの製造方法である。
【0111】
本発明の別の対象は、上記方法にしたがって得られる式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Vである。
【0112】
3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩、特に結晶形II及びVの3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩は、有利な全体の特性プロフィールに基づき、医薬組成物のための、さらに特に鎮痛する医薬のための有効物質として特に優れている。したがって、本発明の対象は、医薬中の有効物質としての、好ましくは鎮痛剤中の有効物質としての式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の使用でもある。この全体の出願明細書においてと同様に、ここでも、フェニル環とジメチルアミノメチル基とのトランス配置を有するジアステレオマー又はエナンチオマー性のジアステレオマーの混合物(1R,2R−又は1S,2S−配置)が有利であり、その際、絶対配置(1R,2R)を有する上記エナンチオマーがさらに特に好ましい。
【0113】
本発明による他の対象は、有効量の式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び医薬用キャリヤー又は薬学的希釈剤を含有する、医薬組成物である。
【0114】
上記組成物中に、式(1)で表わされる化合物が結晶形I、II、III、IV、Vとして又は形I、II、III、IV及びVの混合物の形て存在することができる。
【0115】
結晶形II及び(又は)I及び(又は)Vを含有するのが好ましい。
結晶形II及び(又は)Vを含有するのが特に好ましい。
【0116】
結晶形IIの化合物の結晶形Iの化合物への変化を、医薬組成物中に、薬学的に許容し得る添加物及び成分の使用によって又は当業者に周知の、適当な製剤助剤の使用によって阻止することができる。
【0117】
式(1)で表わされる化合物の量は、主に製剤のタイプ及び投与の期間の間の所望の用量に依存する。式(1)で表わされる化合物それぞれの塩を患者に投与すべき量は、変動させることができ、たとえば患者の体重又は年齢並びに適用種類、適応症及び疾患の重さに依存する。通常では、患者の体重1kg当たり、少なくとも1種のこのような化合物0.005〜5000mg、特に好ましくは0.05〜500mg、更に特に好ましくは0.5〜100mg/kg、更により好ましくは2〜20mg/kgが適用される。
【0118】
経口製剤は固形製剤、たとえば錠剤、カプセル、丸剤、トローチであることができる。経口製剤は液状製剤、たとえば液剤、懸濁液、シロップ又はエリキシルであることができる。液状及び固形製剤は、式(1)で表わされる化合物を固体又は液体の食品中に混入することも含む。さらに、液体は腸管外適用のための、たとえば注入又は注射用溶液をも含む。
【0119】
式(1)で表わされる化合物及び結晶形は、粉末(微粉化した粒子)、顆粒、懸濁液又は溶液として直接使用することができるか、又は他の製剤学的に許容可能な添加剤又は成分と混合し、次いで粉末化し、この粉末を、硬質ゼラチン又は軟質ゼラチンからなるカプセル内へ充填するか、錠剤、丸剤又はトローチに圧縮成形するか、又はこの粉末を懸濁液、シロップ又はエリキシルの製造のためにキャリヤー中に懸濁させるか、又は溶かすことができる。錠剤、丸剤又はトローチは、圧縮成形の後にコーティングを施すことができる。
【0120】
種々の製剤タイプのための薬学的に許容し得る添加物及び成分は、それ自体公知である。これは、たとえば、結合剤、たとえば合成又は天然のポリマー、医薬用キャリヤー、滑剤、界面活性剤、甘味剤及び香料、被覆剤、保存剤、着色剤、増粘剤、助剤、抗菌剤及び種々の製剤タイプのためのキャリヤーであることができる。
【0121】
結合剤の例は、アラビアゴム、トラガカントゴム、アカシアゴム及び生分解性ポリマー、たとえばジカルボン酸、アルキレンジオール、ポリアルキレングリコール及び(又は)脂肪族ヒドロキシカルボン酸のホモポリエステル又はコポリエステル、ジカルボン酸、アルキレンジアミン及び(又は)脂肪族アミノカルボン酸のホモポリアミド又はコポリアミド;相応するポリエステル−ポリアミド−コポリマー、ポリアンヒドリド、ポリオルトエステル、ポリホスファゼン及びポリカーボネートである。この生分解性ポリマーは、線状でも、分枝状でも又は架橋されていてもよい。特別な例は、ポリグリコール酸、ポリ乳酸及びポリ−d,l−乳酸/グリコール酸である。ポリマーの他の例は、水溶性ポリマー、たとえばポリオキサアルキレン(ポリオキサエチレン、ポリオキサプロピレン及びこれらのコポリマー)、ポリアクリルアミド及びヒドロキシアルキル化ポリアクリルアミド、ポリマレイン酸及びそのエステル又はそのアミド、ポリアクリル酸及びそのエステル又はそのアミド、ポリビニルアルコール及びそのエステル又はそのエーテル、ポリビニルイミダゾール、ポリビニルピロリドン及び天然のポリマー、たとえばキトサンである。
【0122】
医薬用キャリヤーの例は、リン酸塩、たとえばリン酸二カルシウムである。
【0123】
滑剤の例は、天然油又は合成油、脂肪、ワックス又は脂肪酸塩、たとえばステアリン酸マグネシウムである。
【0124】
界面活性剤(表面活性剤)は、アニオン性、カチオン性、両性又は中性であることができる。界面活性剤の例は、レシチン、リン脂質、オクチルスルファート、オクチルスルファート、デシルスルファート、ドデシルスルファート、テトラデシルスルファート、ヘキサデシルスルファート及びオクタデシルスルファート、オレイン酸ナトリウム又はカプリン酸ナトリウム、1−アシルアミノエタン−2−スルホン酸、たとえば1−オクタノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−デカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ドデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−テトラデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、1−ヘキサデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、及び1−オクタデカノイルアミノエタン−2−スルホン酸、胆汁酸、その塩及びその誘導体、たとえばコール酸、デオキシコール酸、タウロコール酸、タウロデオキシコール酸及びグリココール酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、マレイン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ナトリウム、硫酸化ヒマシ油、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、コカミドプロピルベタイン及びラウリルベタイン、脂肪アルコール、コレステロール、グリセリンモノステアラート又はグリセリンジステアラート、グリセリンモノオレアート又はグリセリンジオレアート、グリセリンモノパルミタート又はグリセリンジパルミタート、及びポリオキシエチレンステアラートである。
【0125】
甘味剤の例は、スクロース、フルクトース、ラクトース又はアスパルテームである。
【0126】
香料の例は、ペパーミント、ウィンターグリーン油又は果実アロマ、たとえばチェリーアロマ又はオレンジアロマである。
【0127】
被覆剤の例は、ゼラチン、ワックス、セラック、糖又は生分解性ポリマーである。
【0128】
保存剤の例は、メチルパラベン又はプロピルパラベン、ソルビン酸、クロロブタノール及びフェノールである。
【0129】
助剤の例は、香料である。
【0130】
増粘剤の例は、合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩、脂肪酸エステル及び脂肪アルコールである。
【0131】
液体キャリヤーの例は、水、アルコール(エタノール、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール)、ポリトリアジン及び油である。固体キャリヤーの例は、タルク、アルミナ、微結晶セルロース、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び類似の固体である。
【0132】
本発明による組成物は、等張剤、たとえば糖、生理学的緩衝剤及び塩化ナトリウムを含有することができる。
【0133】
本発明による組成物は、水性環境中で分解して飲用溶液又は飲用懸濁液を形成する発泡錠剤又は発泡粉末として調製することもできる。
【0134】
シロップ剤又はエリキシル剤は、式(1)で表わされる化合物、甘味剤としての糖、たとえばスクロース又はフルクトース、保存剤(たとえばメチルパラベン)、着色剤及び矯味剤(たとえば香料)を含有することができる。
【0135】
本発明による組成物は、胃腸管の体液との接触で遅延されかつ制御された有効物質放出を示す製剤であることもでき、血漿中での有効物質のほぼ一定でかつ有効なレベルが維持される。式(1)で表わされる化合物は、この目的で生分解性ポリマー、水溶性ポリマー又は両方のポリマーのポリマーマトリックス中に、場合により適当な界面活性剤と一緒に埋め込むことができる。埋め込みとは、この関連において、ポリマーマトリックス中での微小粒子の混入を意味する。遅延されかつ制御された有効物質放出を示す製剤は、分散液及びエマルションの公知の被覆技術による分散可能な微小粒子又は乳化された微小液滴のカプセル化によっても得ることができる。
【0136】
式(1)で表わされる化合物は、混合療法のために少なくとも1種の他の製剤学的有効物質と一緒に使用することもできる。このために、少なくとも1種の他の有効物質を、本発明による組成物中にさらに分散又は溶解させることができる。
【0137】
本発明の課題は、医薬組成物の製造のための、特に疼痛状態の治療のための、式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール−塩酸塩の使用でもある。
【0138】
本発明による他の課題は、疼痛を患う患者に有効量の式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール−塩酸塩を投与する、疼痛状態の治療方法である。
【0139】
好ましくは本発明による医薬(本発明による医薬組成物)は、疼痛、好ましくは急性痛、慢性痛、ニューロパシー性痛及び内臓性痛からなる群から選ばれた疼痛、偏頭痛、鬱病、神経変性性疾患、好ましくはパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病及び多発性硬化症からなる群から選ばれた神経変性性疾患、認識疾患、好ましくは認識不足状態、特に好ましくは注意欠陥症候群(ADS)、パニック発作、てんかん、咳、尿失禁、下痢、掻痒、精神分裂症、脳虚血、筋肉痙攣、痙攣、摂食障害、好ましくは多食症、悪液質、拒食症及び肥満症からなる群から選ばれた摂食障害、アルコール乱用及び(又は)ドラッグ乱用(特にニコチン乱用及び(又は)コカイン乱用)及び(又は)薬物乱用、アルコール依存症及び(又は)ドラッグ依存症(特にニコチン依存症及び(又は)コカイン依存症)及び(又は)薬物依存症の予防及び(又は)治療のため、好ましくはアルコール依存症及び(又は)ドラッグ依存症(特にニコチン依存症及び(又は)コカイン依存症)及び(又は)薬物依存症の場合の禁断症状、薬物に対する、特にオピオイドに対する耐性現象の発生、胃食道逆流症候群の予防及び(又は)軽減のため、利尿のため、抗ナトリウム利尿のため、心臓血管系の影響のため、不安解消のため、覚醒向上のため、性欲増進のため、運動能力の調節のため及び局部麻酔のために適している。
【0140】
好ましくは本発明による医薬(本発明による医薬組成物)は、疼痛、好ましくは急性痛、慢性痛、ニューロパシー性痛又は内臓性痛、鬱病、てんかん、パーキンソン病、アルコール乱用及び(又は)ドラッグ乱用(特にニコチン乱用及び(又は)コカイン乱用)及び(又は)薬物乱用、アルコール依存症及び(又は)ドラッグ依存症(特にニコチン依存症及び(又は)コカイン依存症)及び(又は)薬物依存症の予防及び(又は)治療のため、好ましくはアルコール依存症及び(又は)ドラッグ依存症(特にニコチン依存症及び(又は)コカイン依存症)及び(又は)薬物依存症の場合の禁断症状の予防及び(又は)軽減のため、薬物に対する、特にオピオイドに対する耐性現象の発生の予防及び(又は)軽減のため、又は不安解消のために特に適している。
【0141】
本発明による医薬は、疼痛、好ましくは急性痛、慢性痛、ニューロパシー性痛又は内臓性痛の予防及び(又は)治療のためにさらに特に適している。
【0142】
特に有利なのは、それぞれ場合により純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、そのラセミ化合物の形で又は上記立体異性体の混合物、特にエナンチオマー及び(又は)ジアステレオマーの任意の混合比での混合物の形での少なくとも1種の本発明による塩、並びに場合により1種又は数種の薬学的に許容し得る助剤の、疼痛、好ましくは急性痛、慢性痛、ニューロパシー性痛及び内臓性痛からなる群から選ばれた疼痛、偏頭痛、鬱病、神経変性性疾患、好ましくはパーキンソン病、アルツハイマー病、ハンチントン病及び多発性硬化症からなる群から選ばれた神経変性性疾患、認識疾患、好ましくは認識不足状態、特に好ましくは注意欠陥症候群(ADS)、パニック発作、てんかん、咳、尿失禁、下痢、掻痒、精神分裂症、脳虚血、筋肉痙攣、痙攣、摂食障害、好ましくは多食症、悪液質、拒食症及び肥満症からなる群から選ばれた摂食障害、アルコール乱用及び(又は)ドラッグ乱用(特にニコチン乱用及び(又は)コカイン乱用)及び(又は)薬物乱用、アルコール依存症及び(又は)ドラッグ依存症(特にニコチン依存症及び(又は)コカイン依存症)及び(又は)薬物依存症の予防及び(又は)治療のため、好ましくはアルコール依存症及び(又は)ドラッグ依存症(特にニコチン依存症及び(又は)コカイン依存症)及び(又は)薬物依存症の場合の禁断症状、ドラッグ及び(又は)薬物に対する耐性現象の発生、特にオピオイドに対する耐性現象の発生、胃食道逆流症候群の予防及び(又は)軽減のため、利尿のため、抗ナトリウム利尿のため、心臓血管系の影響のため、不安解消のため、覚醒向上のため、やる気増加(Libidosteigerung)のため、運動能力の調節のため及び局部麻酔のための医薬の製造のための使用である。
【0143】
本発明による医薬は、液状、半固体又は固体の医薬剤形として、たとえば注射溶液、滴剤、液剤、シロップ剤、スプレー剤、懸濁剤、錠剤、パッチ剤、カプセル剤、プラスター、坐剤、軟膏、クリーム、ローション剤、ゲル、エマルション、エアロゾルの形で又は多粒子の形で、たとえばペレット又は顆粒剤の形、場合によりタブレットに圧縮成形され、カプセルに充填され又は液体中に懸濁されて存在しかつそれ自体も投与することができる。
【0144】
場合により純粋な立体異性体、特にエナンチオマー又はジアステレオマー、そのラセミ化合物の形にあるか、又は上記立体異性体の混合物、特にエナンチオマー又はジアステレオマーの任意の混合比での混合物の形にある、少なくとも1種の本発明による塩の他に、本発明による医薬(本発明による医薬組成物)は、通常の他の生理学的に許容される助剤を含有し、この助剤は好ましくはキャリヤー材料、充填剤、溶剤、希釈剤、界面活性剤、着色剤、保存剤、崩壊剤、潤滑剤、滑沢剤、香料及び結合剤より成る群から選ぶことができる。
【0145】
生理学的に許容し得る助剤の選択及びその使用される量は、その医薬が経口、皮下、腸管外、静脈内、腹腔内、経皮、筋肉内、鼻腔内、バッカル、直腸又は局所に、たとえば皮膚の、粘膜の及び眼の感染媒体に投与されねばならないかどうかに依存する。経口投与に、たとえば錠剤、糖衣錠、カプセル、顆粒、ペレット、滴剤、液剤及びシロップの形の製剤、非経口、外用及び吸入投与に、溶液、懸濁液、容易に再構成可能な乾燥調製物並びにスプレーの形の製剤が最適である。
【0146】
適当な経皮適用製剤は、溶解した形又はプラスターの形のデポー製剤でもあり、場合により皮膚浸透を促進する薬剤が添加されている。
【0147】
経口又は経皮適用することができる製剤形は、それぞれ本発明による塩を徐放することができる。
【0148】
本発明による医薬の製造は、従来の技術から周知の通常の手段、装置、手法及び方法を用いて、たとえば“Remington’s Pharmaceutical Sciences”, 編者A.R. Gennaro, 第17版, Mack Publishing Company, Easton, Pa, 1985, 特に第8部、第76章〜第93章に記載されているように行われる。対応する文献記載を本願に引用して援用し、開示したものとしてみなす。
【0149】
本発明によるそれぞれの塩の患者に投与すべき量は変えることができ、たとえば患者の体重又は年齢ならびに投与の種類、症状及び疾患の重さの度合いに従う。通常、このような本発明の化合物少なくとも1種を患者の体重1kgあたり、少なくとも1種のこのような化合物0.005〜5000mg、好ましくは0.05〜500mgが投与される。
【0150】
次の実施例で、本発明を詳述するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0151】
全てのDSC測定の場合に(その他に明記しない限りは)加熱速度は10℃/分である。記載したた温度はピーク最大値である。
【0152】
例0.1:
塩基3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールの合成
工程a)
1000mLの一頸フラスコ中に、52g(183mmol)の前駆体1−(2−(3−メトキシフェニル)シクロヘキシル)−N,N−ジメチルメタンアミン(GCによる純度:97.5%のトランス−ジアステレオマー)及び250mLの臭化水素酸(47%水溶液)を一緒に添加し、ついで2時間還流下で磁気攪拌器を用いて攪拌する。
【0153】
反応の終了後、臭化水素を減圧の設定(水流ポンプ)下で蒸留する。蒸留残留物から、酢酸エチル及び炭酸カリウム水溶液を用いて、塩基3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールを遊離させる。このとき有機相をMgSOを用いて乾燥させ、ついで塩基3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールを帯黄色油状物として単離する(粗収量:42g、理論値の98.6%に相当)。塩基3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールに、250mLの酢酸エチルを添加し、一晩冷却棚中で貯蔵する。固体が沈殿しないので、溶液を新たに蒸発させ、この際著しい泡が観察される。
【0154】
工程b)
1000mLの一頸フラスコ中に、125g(440mmol)の前駆体1−(2−(3−メトキシフェニル)シクロヘキシル)−N,N−ジメチルメタンアミン及び500mLの臭化水素酸(47%水溶液)を一緒に添加し、ついで2時間還流下で磁気攪拌器を用いて攪拌する。反応の終了後、臭化水素を減圧の設定(水流ポンプ)下で蒸留する。蒸留残留物に250mLの水を添加し、懸濁液を1000mLの酢酸エチルで層状にする。水酸化ナトリウム水溶液(c=32%w/w)を用いて反応混合物の氷での冷却下にpH8に調整する。
【0155】
有機及び水性相を分離し、水性相を3回それぞれ350mLの酢酸エチルで抽出する。このときpH値を調節し、水酸化ナトリウム水溶液(c=32%w/w)を用いて少なくともpH8の値に維持する。2回更にそれぞれ150mLの酢酸エチルで抽出し、有機相をMgSOを用いて乾燥させる。回転蒸発器(浴温度44℃、減圧<20mbar)中で、溶剤を除去する。粗生成物3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールの収量は101gである。粗生成物3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールに100mLのアセトンを添加し、淡い褐色の物質が固化するまで攪拌する。引き続きこの材料を吸引濾取し少量のジエチルエーテルで洗浄する。収量は粗生成物の使用量に対して48%である。
【0156】
例0.2:
3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
塩酸塩の製造のために、42gの塩基3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールに210mLのメチル−エチルケトンを添加する。ついで、2mLの水及び、45mLのメチル−エチル−ケトンに溶解された、23mLのトリメチルクロロシランを添加する。反応混合物を氷で冷却することによって0℃に冷却し、一晩冷たい状態で(約4℃で冷却棚中で)保存する。
【0157】
沈殿した固体を、減圧の設定下でヌッツェフィルターを用いて吸引濾取し、ついで30mLのアセトンで洗浄する。3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の収量は、49gである(理論値の100%に相当)。NMR及びGC分析によると、分析値>95%トランス−ジアステレオマー。融点は122−126℃である。
【0158】
例1a:
(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
塩酸塩の製造のために、48.5g(208mmol)の塩基3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールに、例0.1に記載したように工程b)にしたがって250mLのアセトンを添加する。ついで2mlの水、及び125mLのアセトンに溶解された27mlのトリメチルクロロシラン(TMCS)を添加する。沈殿した固体を減圧の設定下でヌッツェフィルターを用いて吸引濾取し、ついでジエチルエーテルで洗浄する。
【0159】
収量は53gである。(GC分析によれば、100%トランス−ジアステレオマー)。
【0160】
塩酸塩の3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩のその他のチャージを上述のように製造する。
【0161】
【表11】

【0162】
チャージ1−12〜1−16の固体を一緒にし、均一に混合する。
【0163】
残存溶剤(アセトン及びジエチルエーテル)の除去のために、予め乾燥させ(1d、室温、減圧<150mmbar)、ついで6日間70℃で及び減圧<20mbarで乾燥剤(Sicacide)を介して乾燥させる。
【0164】
GC分析によれば、残存溶剤(アセトン、ジエチルエーテル)の割合はそれぞれ200ppmより少ない。
【0165】
例1b:
(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
電動羽根車攪拌基、Pt100温度測定装置及びオイル及びオイルベースの冷却/加熱システムを備えた100Lの二重被覆(Doppelmantel)反応容器中で、37kg(137.12mol)の(1R、2R)−3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキシル)−フェノール塩酸塩を攪拌回転数100U/分で55Lの水に溶解させる。溶液を、澄明な溶液が生じるまで40℃−60℃に加熱する。減圧(約30−50mbar)で38L−41Lの水が除去される。
【0166】
溶液を7℃で約16時間攪拌する。得られた懸濁液を遠心分離によって分離する。生成物を乾燥棚中で45℃で18時間、130mbarの最終圧になるまで減圧で乾燥させる。25.9kg(理論値の70%)の(1R、2R)−3−(2−ジメチルアミノメチル−シクロヘキシル)−フェノール塩酸塩(残存水含量5.9%)が得られる。
【0167】
例2:
非晶質性(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
例2.1:凍結乾燥
500.4mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を5mlの水に溶解させ、その後−74℃に冷却する。ついでこの温度及び圧力<0.1mbarで20時間凍結乾燥させる。定量的に固形の、白色残留物が得られ、これはラマンスペクトルの評価は非晶質である。
【0168】
例2.2:凍結乾燥
212.5mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を2mlの水に溶解させ、その後−89℃に冷却する。ついでこの温度及び圧力<0.01mbarで66時間凍結乾燥させる。定量的に固形の、白色残留物が得られ、これはラマンスペクトルの評価は非晶質である。
【0169】
例2.3:凍結乾燥
651.5mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を6.5mlの水に溶解させ、その後−80℃に冷却する。ついでこの温度及び圧力0.6mbarで21時間凍結乾燥させる。定量的に固形の、白色残留物が得られ、これはラマンスペクトルの評価は非晶質である。
【0170】
例3:
結晶形Iとしての(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
例3.1:
209.7mgの、例1aにしたがって製造された塩酸塩を6mLの酢酸エチルに懸濁させ、10日間、攪拌器の回転数約600Upm(1分当たりの回転)及び温度23℃〜28℃で攪拌し、そのとき温度は最初の2日間23℃で、次の2日間28℃であり、そして残りの期間は23℃である。白色固体を分離し、分析する。ラマンスペクトルによれば、結晶形Iのバンドしか測定されない。
【0171】
例3.2:
101.4mgの、例1aにしたがって製造された塩酸塩を3mLの酢酸エチルに懸濁させ、14.5mgの塩酸塩(結晶形I)を添加し、10日間、攪拌器の回転数約600Upm(1分当たりの回転)及び温度23℃で攪拌する。白色固体が減圧フィルターによって(5分)分離され、空気中で乾燥させる。X線粉末回折パターンによれば、結晶形Iのシグナルしか測定されない。示差走査熱量(DSC、加熱速度10℃/分)を用いて約150℃の融点を調べる。吸熱ピークは121℃〜122℃の範囲で観察される。
【0172】
例4:
結晶形IIとしての(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
例4.1:
191.8mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を23.5時間、開放容器中で155℃で加熱する(getempert)。
【0173】
X線粉末回折パターンによれば、結晶形IIのシグナルしか測定されない。示差走査熱量(DSC、加熱速度10℃/分)を用いて約177℃の融点を調べる。
【0174】
例4.2:
600mgの結晶形IIIの塩酸塩に、100mgの、結晶形IIの形にある塩酸塩を添加し、完全に混合し、ついで10mLの酢酸エチルに懸濁させる。懸濁液を6日間室温で攪拌する。白色固体を、減圧濾過によって分離し、1.5時間乾燥棚中で45℃の温度及び減圧<150mbarで乾燥させる。
【0175】
このようにして得られた固体は、DSC分析(加熱速度10K/分)によれば、吸熱性を177.2℃で示し、これは結晶形IIに分類される。
【0176】
例4.3:
4.0gの結晶形Vの塩酸塩を、溶剤のない容器中で154℃の温度で(油浴154℃〜162℃の温度)攪拌する。
【0177】
得られた固体は、ラマンスペクトルによれば結晶形IIのバンドしか示さない。
【0178】
例5:
結晶形IIIとしての(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩
例5.1:
76.9mgの、例2にしたがって製造された非晶質性塩酸塩を1mLの酢酸エチルに懸濁させ、3日間、約400Upm(1分あたりの回転)の攪拌器回転数及び25℃の温度で、1日40℃で、1日60℃で、1日50℃で、1日45℃で、1日70℃で、そして9日間75℃で攪拌する。この際、3日目からの回転数はそれぞれ600Upmである。白色固体を、減圧濾過(約5分)によって分離し、ついで空気中で乾燥させる。X線粉末回折パターンによれば、結晶形IIIのシグナルしか測定されない。
【0179】
例5.2:
70.5mgの、例2にしたがって製造された非晶質性塩酸塩を1.5mLのtert−ブチルメチルエーテルに懸濁させ、7日間、約600Upm(1分あたりの回転)の攪拌器回転数及び40℃の温度で攪拌する。白色固体を、減圧濾過(約5分)によって分離し、ついで空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば結晶形IIIのバンドしか示さない。示差走査熱量(DSC、加熱速度10℃/分)を用いてガラス転移温度66℃〜67℃及び約150℃の融点を調べる。吸熱ピークは88℃で観察される。
【0180】
例5.3:
147.8mgの、例2にしたがって製造された非晶質性塩酸塩を1.5mLの酢酸エチに懸濁させ、1日、約600Upm(1分あたりの回転)の攪拌器回転数及び40℃の温度で攪拌する。白色固体を、減圧濾過(約5分)によって分離し、ついで空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば結晶形IIIのバンドしか示さない。
【0181】
例5.4:
塩酸塩のアセトン−又はエタノール溶媒和物1gを18mLの酢酸エチルに懸濁させ23℃の温度で攪拌する。白色固体を、減圧濾過(約5分)によって分離し、ついで空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば結晶形IIIのバンドしか示さない。
【0182】
例6:
結晶形IVとしての(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
例6.1:
178.2mgの、例2にしたがって製造された非晶質性塩酸塩を3.6mLのtert−ブチルメチルエーテルに懸濁させ、1日、約600Upm(1分あたりの回転)の攪拌器回転数及び40℃の温度で攪拌する。白色固体を、減圧濾過(約5分)によって分離し、ついで空気中で乾燥させる。X線粉末回折パターンによれば、結晶性形IVの曲線しか測定されない。示差走査熱量(DSC、加熱速度10℃/分)を用いて僅かな発熱が約122℃で観察され、これは別の形のある単一型変化を示唆させる。DSC実験の別の過程で、まず吸熱性ピークが約162℃で、そして別のピークが約171℃で観察される。
【0183】
例6.2:
153.2mgの、例2にしたがって製造された非晶質性塩酸塩を3.5mLのヘプタンに懸濁させ、26日間、約600Upm(1分あたりの回転)の攪拌器回転数及び40℃〜90℃の範囲で攪拌し、このとき温度は最初の8日間40℃で、次の6日間50℃で、1日75℃で、3日間80℃で、ついで8日間90℃である。白色固体を、遠心分離(10000回転で10分)によって分離し、ついで空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば結晶形IVのバンドしか示さない。
【0184】
例6.3:
4.0gの結晶形IIIの塩酸塩を、溶剤不含の、100mLの丸型フラスコ中で5時間154℃の温度で(油浴154℃〜162℃の温度)攪拌する。
【0185】
このようにして得られた固体は、DSC分析(加熱速度10K/分)によれば、吸熱性を168.8℃で示し、これは結晶形IVに分類される。
【0186】
例7:
結晶形Vとしての(1R、2R)−3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の製造
例7.1:
53.7mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を1mLのエタノール及び水(容量割合1:1)に室温で溶解させ、ついで室温で、溶剤混合物が完全に蒸発するまで空気中に放置し、固体が残存する。X線粉末回折パターンによれば、結晶形Vの曲線しか測定されない。したがって固形の残留物は結晶形Vである。
【0187】
例8:室温での安定性
例8.1:
51.4mgの、結晶形Iの形にある塩酸塩及び49.8mgの結晶形IIの形にある塩酸塩を2mLの酢酸エチルに懸濁させ、11日間25℃の温度で攪拌する。固体を減圧濾過によって分離し、空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば、プローブは主に結晶形Iを、そして少量の形Vを含有する。
【0188】
例8.2:
33.6mgの、結晶形IIIの形にある塩酸塩及び31.5mgの結晶形IVの形にある塩酸塩を2mLの酢酸エチルに懸濁させ、12日間23℃の温度で攪拌する。固体を減圧濾過によって分離し、空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば、結晶形Iのバンドしか測定されない。
【0189】
例8.3:
30.6mgの、結晶形IIIの形にある塩酸塩及び30.7mgの結晶形IIの形にある塩酸塩を2mLの酢酸エチルに懸濁させ、3日間23℃の温度で攪拌する。固体を減圧濾過によって分離し、空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば、結晶形IIのバンドしか測定されない。
【0190】
例8.4:
31.1mgの、結晶形IVの形にある塩酸塩及び28.9mgの結晶形IIの形にある塩酸塩を2mLの酢酸エチルに懸濁させ、32日間23℃の温度で攪拌する。固体を減圧濾過によって分離し、空気中で乾燥させる。ラマンスペクトルによれば、結晶形IIのバンドしか測定されない。最初の3つの処理工程の終了後、結晶形Iの最初の痕跡が、そして32日後、ほとんどもっぱら結晶形Iが検出される。
【0191】
例8.1〜8.4から、結晶性化合物I、II、III及びIVの安定性は、室温で溶媒和物の形成を回避するための条件下でこの順序:I>II>III≒IVである。
【0192】
例9:吸湿性
吸湿性を、動的水蒸気吸収(Dynamic Vapor Sorption, DVS)によりSurface Measurement Systems Ltd.社の装置DVS−1で測定する。このプローブを白金ルツボ中で微量天秤の先端に配置する。次いで、このプローブをまず50%の相対空気湿度で釣り合わせ、次いであらかじめ定義された測定プログラムにかける。温度は25℃である。プローブの質量変化が測定される。
【0193】
A)結晶形I
結晶形は相対空気湿気>50%で極めて急速に水を吸収する。相対空気湿度が0%に減少した場合、プローブの水含有量が3.2重量%に下がる。測定サイクルの最後の50%の相対空気湿気での水含有量は7.2%であり、吸収ラマンスペクトルは、結晶形Vのラマンスペクトルに相当する。
【0194】
B)結晶形II
結晶形は、相対空気湿気>75%で極めて急速に水を吸収する。相対空気湿度が0%に減少した場合、プローブの水含有量が3.3重量%に下がる。測定サイクルの最後の50%の相対空気湿気での水含有量は7.9%であり、吸収ラマンスペクトルは、結晶形Vのラマンスペクトルに相当する。
【0195】
C)結晶形III
結晶形は、相対空気湿気>55%で極めて急速に水を吸収する。相対空気湿度が0%に減少した場合、プローブの水含有量が3.1重量%に下がる。測定サイクルの最後の50%の相対空気湿気での水含有量は7.8%であり、吸収ラマンスペクトルは、結晶形Vのラマンスペクトルに相当する。
【0196】
D)結晶形IV
結晶形は、相対空気湿気>60%で極めて急速に水を吸収する。相対空気湿度が0%に減少した場合、プローブの水含有量が3.1重量%に下がる。測定サイクルの最後の50%の相対空気湿気での水含有量は7.6%であり、吸収ラマンスペクトルは、結晶形Vのラマンスペクトルに相当する。
【0197】
例10:結晶形II及びIIIの湿潤貯蔵
貯蔵条件:5時間、24時間及び7日間、25℃及び60%相対空気湿度
試験条件:
1.実験順序:
物質を直接DSC又はTGAルツボ中で秤量し、これらのルツボを環境試験室温中に貯蔵する。
2.実験順序:
各3回50mgの物質を1mLのバイアル中で秤量し、ついでこれらのバイアルを開放環境試験室温中に貯蔵する。
【0198】
2つの結晶形II及びIIIは、異なる吸湿挙動を示す。変態IIは、2つの実験で変態IIIよりもゆっくり水を吸収する。変態IIIは5時間後にすでに最初の実験順序で6.70%又は第二実験順序で1.92%水を吸収するので、変態IIにおいて明瞭な吸湿は確認されない(0.04又は0.12%)。
【0199】
24時間後、変態IIIの場合、第一実験順序で水分値はそれ以上高くならず(6.28%)、一方第一実験順序で24時間、水含有量の増加は6.08%に調整される。変態IIは第二実験順序で24時間後3.28%、そして第二実験順序で6.08%の水を吸収する。
【0200】
60%相対空気湿度で、1週間の貯蔵の後、変態IIIは第一実験順序でも、第二実験順序でも、顕著な吸湿性をもはや記録されない(水含有量:6.74%又は6.83%)。変態IIは2つの反応順序で1週間後、水含有量7.03%又は7.04%を生じる。
【0201】
例11:
例11.1:エタノール溶媒和物の形成
67.1mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を0.25mLのエタノール中で25℃で1日、懸濁液の形で攪拌する。ラマン及びTG−FTIR分析はエタノール溶媒和物である。
【0202】
TG−FTIRを用いて測定された質量損失は8.9%であり、このときエタノール及び少量の水が検出される。
【0203】
例11.2:エタノール溶媒和物の形成
99.7mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を0.2mLのエタノール中で25℃で1日、懸濁液の形で攪拌する。ラマン分析はエタノール溶媒和物である。
【0204】
室温で減圧で一晩、このようにして得られた溶媒和物の保存は脱溶媒和化を生じない。飽和Mg(NO溶液の存在下で2ヶ月間のプローブの更なる保存、ついで飽和NaCl溶液の存在下で2ヶ月間の保存は、水和物形Vを生じる。
【0205】
例11.3:アセトン溶媒和物の形成
100mgの、例1bにしたがって製造された塩酸塩を、23.5時間155℃で加熱する(getempert)。ラマン分析のように、生じる形IIを示す。
【0206】
51mgの得られた材料を。0.1mLのアセトン/水(95:5容量/容量)混合物中に25℃で2日間懸濁する。ラマン分析は溶媒和化した形の形成を示す。TG−FTIRを用いて測定された質量損失は9.4%であり、このときアセトン及び少量の水が検出される。
【産業上の利用可能性】
【0207】
装置、方法:
示差走査熱量測定(DSC):
装置の名称Perkin Elmer DSC 7又はPerkin Elmer Pyris 1。金ルツボ又はアルミニウムルツボ中で可変測定(加熱速度)、Mettler−Toledo DSC 821、穴のあいた40μLのアルミニウム標準ルツボ、可変温度範囲及び可変加熱速度、窒素雰囲気。
【0208】
その他に明記しない限り、物質量は2〜20mgの範囲で使用する。
【0209】
粉末X線回折パターン(PXRD):
PXRDは、Philips 1710粉末X線回折計を用いて実施し、その際、CuKα放射線を使用する。D間隔は、2θ値から計算し、その際1.54060オングストロームの波長を基本にする。一般にこの2θ値は±0.1〜0.2゜のエラー率を有する。従って、このd−間隔値における実験的なエラーは、曲線(ピーク)の位置に依存する。
【0210】
ラマンスペクトル分析:
FTラマンスペクトルはBruker RFS 100 FT−ラマンシステムを用いて記録され、これはNd:YAGレーザー(波長1064nm)及び液体窒素で冷却されたゲルマニウム検出器を用いて運転される。それぞれの試料は2cm−1の分解で64の走査を累算される。一般に、100mWのレーザー出力を使用する。
【0211】
TG−FTIR
Bruke FT−IRスペクトロメータベクタ22を有するNetsch Thermo−Microbalance TG209。
【0212】
測定を、アルミニウムルツボ(開放又は微小穴を有する)中で、窒素雰囲気下実施する。加熱速度は25−250℃の範囲で10K/分である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩化水素と3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノールとの結晶塩、好ましくは式(1)
【化1】

で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶塩。
【請求項2】
式(1)で表わされる化合物が、フェニル環とジメチルアミノメチル基がトランス配置(1R,2R−又は1S,2S−配置)であるジアステレオマー又はエナンチオマー性ジアステレオマーの混合物として、好ましくは絶対配置(1R,2R)を有するエナンチオマーとして存在する、請求項1記載の塩。
【請求項3】
2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
11.2(w)、14.1(m)、17.1(w)、19.5(w)、19.8(vs)、20.5(w)、21.5(m)、24.1(m)、26.1(s)、26.8(w)、31.3(m)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形I。
【請求項4】
図1に示されるようなX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形I。
【請求項5】
図2に示されるようなラマンスペクトルを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形I。
【請求項6】
2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
11.1(m)、12.9(w)、16.1(m)、17.1(w)、19.1(s)、19.6(w)、19.9(m)、23.2(w)、25.8(w)、26.1(s)、33.6(w)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形II。
【請求項7】
図3に示されるようなX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形II。
【請求項8】
図4に示されるようなラマンスペクトルを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形II。
【請求項9】
2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
6.9(s)、13.9(m)、16.3(m)、17.7(w)、20.9(vs)、22.1(w)、22.5(w)、27.8(w)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形III。
【請求項10】
図5に示されるようなX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形III。
【請求項11】
図6に示されるようなラマンスペクトルを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形III。
【請求項12】
2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
12.0(m)、13.0(m)、17.3(m)、17.7(m)、19.2(s)、19.7(m)、20.2(m)、21.3(m)、23.4(m)、24.2(m)、24.6(m)、43.1(vs)、44.2(vs)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IV。
【請求項13】
図7に示されるようなX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IV。
【請求項14】
図8に示されるようなラマンスペクトルを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IV。
【請求項15】
結晶水の割合を水和物の重量に対して1%〜10%の範囲で有する、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の水和物。
【請求項16】
結晶水の割合が5%〜9%、好ましくは6〜8.5%、特に好ましくは7%〜8%の範囲にある、請求項15記載の水和物。
【請求項17】
2シータ値で表わされる、次の特有の特徴的な曲線:
11.4(m)、12.1(m)、16.7(w)、19.2(m)、19.4(w)、20.1(m)、21.1(m)、22.4(vs)、24.0(m)、31.3(w)
を有する、2゜〜35゜の2θの範囲内での特徴的なX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の水和物(以下、形Vとして表示する)。
【請求項18】
図9に示されるようなX線回折パターンを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形V。
【請求項19】
図10に示されるようなラマンスペクトルを示す、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形V。
【請求項20】
a)結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩又は結晶形Vの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、結晶形Iの形成が終了するまで、溶剤中で攪拌するか、又は
b)結晶形IIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形Iの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、結晶形Iの形成が終了するまで、溶剤中で攪拌する、請求項3〜5のいずれか1つに記載の、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Iの製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の方法にしたがって得られた、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形I。
【請求項22】
a)結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩、又は結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形Vの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の混合物を、150℃〜160℃の温度で、好ましくは154℃〜158℃の温度で、結晶形IIの形成が終了するまで加熱するか(getempert)、又は
b)結晶形IIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩又は結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、結晶形IIの形成が終了するまで溶剤中で攪拌するか、又は
c)キャリヤーとしての溶剤中、好ましくは溶媒和物を形成しない溶剤中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、30℃〜50℃の温度で、好ましくは35℃〜45℃の温度で、特に好ましくは40℃の温度で、結晶形IIの形成が終了するまで攪拌するか、又はd)結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を溶剤中で結晶形IIの形成が終了するまで攪拌する、
請求項6〜8のいずれか1つに記載の3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIの製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の方法にしたがって得られた、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形II。
【請求項24】
a)エタノール−又はアセトン−溶媒和物の形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を溶剤に溶解させ、攪拌し、ついで沈殿させるか、又は
b)キャリヤーとしての溶剤中、好ましくは溶媒和物を形成しない溶剤中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、30℃〜80℃の温度で、好ましくは35℃〜50℃の温度で、特に好ましくは40℃の温度で、結晶形IIIの形成が終了するまで攪拌する、
請求項9〜11のいずれか1つに記載の3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IIIの製造方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法にしたがって得られた、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形III。
【請求項26】
a)結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を、150℃〜160℃の温度で、好ましくは154℃〜158℃の温度で、結晶形IVの形成が終了するまで加熱するか(getempert)、又は
b)キャリヤーとしての溶剤中、好ましくは溶媒和物を形成しない溶剤中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、40℃〜120℃の温度で、好ましくは40℃〜100℃の温度で、特に好ましくは40℃〜80℃の温度で、結晶形IVの形成が終了するまで攪拌するか、又は
c)結晶形IVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩及び結晶形IIIの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を溶剤中で結晶形IVの形成が終了するまで攪拌する、
請求項12〜14のいずれか1つに記載の、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IVの製造方法。
【請求項27】
請求項26記載の方法にしたがって得られた、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形IV。
【請求項28】
a)結晶形I、II、III又はIVの形にある3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩を空気中に放置するか、又は水蒸気で処理するか、又は
b)水及び場合により少なくとも1種の、キャリヤーとしての溶剤からなる混合物中に、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の非晶質形を有する懸濁液を、20℃〜60℃の温度で、好ましくは20℃〜30℃の温度で攪拌し、ついで残存する水又は溶剤を除去する、
請求項15〜19のいずれか1つに記載の3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形Vの製造方法。
【請求項29】
請求項28記載の方法にしたがって得られた、請求項1又は2記載の式(1)で表わされる、3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の結晶形V。
【請求項30】
請求項1〜19、21、23、25、27及び29のいずれか1つに記載の式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の有効量及び医薬用キャリヤー又は医薬用希釈剤を含有する医薬組成物。
【請求項31】
式(1)で表わされる化合物が、結晶形I、結晶形II、結晶形III、結晶形IV、結晶形Vとして又は形I、II、III、IV及びVの混合物として存在する、請求項30記載の組成物。
【請求項32】
式(1)で表わされる化合物を結晶形IIとして含有する、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
式(1)で表わされる化合物を結晶形Vとして含有する、請求項31記載の組成物。
【請求項34】
請求項1〜19、21、23、25、27及び29のいずれか1つに記載の式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の、医薬組成物、特に疼痛状態の治療用医薬組成物の製造への使用。
【請求項35】
請求項1〜19、21、23、25、27及び29のいずれか1つに記載の式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の、医薬中の有効物質としての、好ましくは鎮痛剤中の有効物質としての使用。
【請求項36】
請求項1〜19、21、23、25、27及び29のいずれか1つに記載の式(1)で表わされる3−[2−(ジメチルアミノ)メチル−(シクロヘキシ−1−イル)]−フェノール塩酸塩の有効量を疼痛を患う患者に投与する、疼痛状態の治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−18776(P2013−18776A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−198012(P2012−198012)
【出願日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【分割の表示】特願2008−521896(P2008−521896)の分割
【原出願日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(390035404)グリュネンタール・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (127)
【Fターム(参考)】