説明

3,5−ビスアリールピラゾール化合物及びこれを有効成分として含有するエリスロポエチン産生促進剤

【課題】低分子性のEPO産生促進作用を有する化合物の提供。
【解決手段】次の一般式(1):


[式中、A環は、ベンゼン環等を示し、R、R、R、R、R、R、R、Rは、水素原子等を示す]で表されるピラゾール化合物、若しくはその塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なエリスロポエチン産生促進剤に関する。さらに詳細にはエリスロポエチン産生低下に起因する疾患、例えば貧血の予防及び/又は治療剤に関する。また本発明は、エリスロポエチン産生促進作用を有する新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
エリスロポエチン(Erythropoietin:EPO)は、赤芽球前駆細胞から成熟赤血球への成熟と分化に関与する糖タンパク質ホルモンであり、天然に存在する165アミノ酸からなる単量体ポリペプチドである(非特許文献1)。
【0003】
ヒトのEPOは、赤血球の増殖・分化において必須であり、赤血球産生の低下を特徴とする血液疾患の治療に有用である。臨床的には、EPOは、慢性腎不全(chronic renal failure:CRF)患者における貧血、自己貯血及び未熟児貧血の治療(非特許文献2〜4)、AIDS及び化学療法を受けている癌患者において使用されている(非特許文献5)。また、EPOは慢性貧血における有効性も認められている。
【0004】
EPOは、成人では主に腎臓で産生されるが、それ以外では、中枢神経系のアストロサイト及びニューロンにおいても産生され、EPO及びEPO受容体は脳−末梢境界の毛細血管において発現している。さらに、EPOを全身投与すると、EPOは血液脳関門を通過して、脳及び脊髄虚血、機械的外傷、てんかん、興奮毒及び神経炎症に応答したニューロン細胞の喪失を減少させることが報告されている(非特許文献6〜10)。
【0005】
EPOのようなタンパク質を用いた療法においては、プロテアーゼによる分解を受けやすいことによる血漿半減期の短さ(非特許文献11、12)や、循環における化合物の治療有効濃度を維持するために、静脈内注射を頻回行わねばならないなどの問題がある。また、静脈内注射に代わる投与経路として皮下注射があるが、投与部位からの吸収が遅いため、徐放効果は有るものの、血漿中濃度が静脈内注射に比べて有意に低くなる。そこで、同等の治療効果を挙げるためには静脈内注射の場合と同様の回数を注射しなければならず、患者への負担となる。また、ヒト血清EPOは糖タンパク質であって、EPO表面に結合した糖鎖の構造は複雑であり、そのグリコシル化は広範かつ多様であることから、サイズの不均一性を示し、組換えヒトEPOではヒト血清EPOを再現よく作製することができない、などの問題もある。
【0006】
従って、上記に示したような貧血を含むEPO産生低下に起因する疾患の治療において生体利用性の低いEPOでなく、内因性EPOを増加させる方法及び化合物が当該技術分野において必要とされている。
【0007】
一方、EPOの発現量は、転写因子である低酸素誘導性因子(hypoxia inducible factor:HIF)を介して酸素濃度により制御されていることが知られている(非特許文献13)。すなわち、通常大気下では、2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素によりプロリン残基がヒドロキシル化されたHIFサブユニット(HIF−1α)がユビキチン−プロテアソーム系により分解され、EPOの産生は促進されないが、低酸素下では、2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素によるHIF−1αのプロリン残基のヒドロキシル化が抑制され、その結果、安定化されたHIF−1αは細胞質から核内に移行し、HIF−1βと二量体を形成してEPO遺伝子のhypoxia responsible element(HRE)配列に結合して転写を促進し、EPOの産生を促進する。
【0008】
このようなEPO産生機構を利用した2−オキソグルタル酸ジオキシゲナーゼ酵素などのHIFプロリルヒドロキシラーゼに対する酵素阻害剤が、EPO産生促進剤として報告されている(特許文献1〜4)。
【0009】
しかしながら、HIFにより産生が制御されている遺伝子には、EPOをコードする遺伝子だけではなく、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)をコードする遺伝子なども挙げられる。VEGFは血管新生促進作用を有しており、この機能を介して悪性腫瘍を悪化させる原因となり得ることも報告されている(非特許文献14、15)。また、貧血は癌による化学治療によっても引き起こされ、貧血治療薬はそのような化学療法を受けている癌患者に投与されることも考えられることから(非特許文献6)、癌を悪化させるVEGFなどの産生も促進する可能性のあるHIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害作用を有する化合物には、そのような危険性も内包される。
【0010】
EPOの産生は、EPOの5’側に位置するプロモーター及び3’側に位置するエンハンサーにより制御されており、HIFはエンハンサー中のHRE配列に結合し、EPOの発現を促進すると考えられている。加えて、GATA−2、NFκBなどもEPO産生を制御するとされており(非特許文献16、17)、HIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害以外の作用機構でもEPO産生促進は達成できると考えられる。このようなことからHIFプロリルヒドロキシラーゼ酵素活性阻害に依存しないEPO産生促進作用を有する化合物は、貧血治療において有用であると考えられる。
【0011】
また、前述のように、EPOは赤芽球前駆細胞の増殖及び成熟を促進するが、EPOの産生を介さずに赤芽球前駆細胞の成熟・分化を促進する作用を有する化合物も貧血治療薬として有用である。EPOの有する血球増殖促進作用を増強する活性を有する化合物やEPOのシグナル伝達の重要な制御機構のひとつである脱リン酸化を触媒する造血細胞ホスファターゼに対して阻害作用を有する化合物が報告されているが(特許文献5〜7)、その活性は必ずしも十分とは言えない。また、EPO受容体に作用する合成ペプチド、ヘマタイドが報告されているが(非特許文献18)、EPOと同等の活性発現には高用量の投与が必要であり、経口投与に適さないという問題点がある。
【0012】
従って、EPO産生促進作用を持つ経口投与可能な低分子性の貧血治療剤が、今後の貧血治療において有用であると考えられる。
【0013】
一方、本発明に関連する3,5−ビスアリールピラゾール骨格を有する化合物には、種々の薬理作用が報告されている。例えば、糖尿病治療(特許文献8)、尿酸排泄促進(特許文献9)、アルツハイマー症治療(特許文献10、11)、癌治療(特許文献12、13)、C型肝炎ウイルス感染症治療(特許文献14、15)、抗真菌剤(特許文献16)、除草剤(特許文献17)、自己免疫性疾患治療(特許文献18)、アレルギー性疾患治療(特許文献19)等に使用できることが報告されている。
【0014】
また、アリールピラゾール骨格を有する化合物が貧血治療剤として有用であることを記載している文献がある(特許文献20〜22)。しかしながら、これらの文献に記載されている化合物は、アリール基上にアミド基又はアミノアルキル基の置換基を持つことを特徴としている点で本発明化合物と異なる。さらに、これら公知文献に記載の化合物は、エリスロポエチンの感受性を増強させることでヘモグロビンの増加をもたらすことが記載されているが、本発明化合物のようなエリスロポエチンの産生自体を促進する作用に関しての記載や示唆はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2006−137763号公報
【特許文献2】WO2003/53997号パンフレット
【特許文献3】WO2005/11696号パンフレット
【特許文献4】WO2007/38571号パンフレット
【特許文献5】特表2000−536365号公報
【特許文献6】特開平11−171774号公報
【特許文献7】特開2002−275159号公報
【特許文献8】WO2007/061923号パンフレット
【特許文献9】WO2007/043400号パンフレット
【特許文献10】WO2007/034279号パンフレット
【特許文献11】特表2002−522422号公報
【特許文献12】WO2006/109680号パンフレット
【特許文献13】EP01398029号公報
【特許文献14】WO2004/099164号パンフレット
【特許文献15】特表2006−501312号公報
【特許文献16】WO2004/033432号パンフレット
【特許文献17】特開平04−124178号公報
【特許文献18】WO1998/056785号パンフレット
【特許文献19】WO2004/080972号パンフレット
【特許文献20】WO2000/046207号パンフレット
【特許文献21】WO2000/046206号パンフレット
【特許文献22】特表2002−536348号公報
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Lin F-K et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82: 7580-7584 (1985)
【非特許文献2】Eschbach JW, et al., N. Engl. J. Med, 316: 73-78(1987)
【非特許文献3】Eschbach JW, et al., Ann. Intern. Med., 111: 992 (1989)
【非特許文献4】Lim VS, et al., Ann. Intern. Med., 110: 108-114 (1989)
【非特許文献5】Danna RP, et al., Erythropoietin in Clinical Applications-An International Perspective, New York: Marcel Dekker; p301-324 (1990)
【非特許文献6】Sakanaka M, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 95, 4635-4640 (1998)
【非特許文献7】Celik M, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 99, 2258-2263 (2002)
【非特許文献8】Brines ML, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 97, 10526-10531 (2000)
【非特許文献9】Calapai G, et al., Eur. J. Pharmacol., 401, 349-356 (2000)
【非特許文献10】Siren A-L, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA., 98, 4044-4049 (2001)
【非特許文献11】Spivack JL and Hogans BB, Blood, 73: 90 (1989)
【非特許文献12】McMahon FG, et al., Blood, 76: 1718 (1990)
【非特許文献13】Jelkman W, Internal Medicine 43, 649-659 (2004)
【非特許文献14】Maxwell PH, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 94, 15, 8104-8109 (1997)
【非特許文献15】Fang J, et al., Cancer Res., 61, 15, 5731-5735 (2001)
【非特許文献16】Imagawa S, et al., Blood 89, 1430-1439 (1997)
【非特許文献17】La Ferla K, et al., FASEB J, 16, 1811-1813 (2002)
【非特許文献18】Stead RB, et al., Blood 108, 1830-1834 (2006)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、低分子性のEPO産生促進作用を有する化合物を提供することにある。さらに詳細には、貧血の予防及び/又は治療に有用な医薬を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記実情に鑑み、本発明者らは、EPO産生促進作用を持つ化合物を鋭意探索した結果、下記一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物が、ヒト肝臓癌由来のHepG2細胞を用いた試験においてEPO産生を促進することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0019】
すなわち本発明は、次の一般式(1):
【0020】
【化1】

【0021】
[式中、
A環は、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環又はキノリン環を示し、
は、水素原子又はC1−6アルキル基を示し、
は、水素原子、C1−6アルキル基、アミノ基、C1−6アルキルアミノ基又はジC1−6アルキルアミノ基を示し、
、R、R、R、R、Rは、同一又は異なってもよく、水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基又はカルボキシル基を示す]
で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするEPO産生促進剤に関する。
【0022】
より詳細には、本発明は次の化合物群:
4−[1−メチル−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸(化1)、
4−[1−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−5−イル]安息香酸(化2)、
5−メチル−2−(1−メチル−5−フェニルピラゾール−3−イル)フェノール(化3−2)、
5−メチル−2−(1−メチル−3−フェニルピラゾール−5−イル)フェノール(化3−3)、
4−ジメチルアミノ−3,5−ジフェニルピラゾール(化4−2)、
4−メチルアミノ−3,5−ジフェニル−1−メチルピラゾール(化5−2)、
4−アミノ−3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化6)、
4−アミノ−3,5−ビス(4−フルオロフェニル)ピラゾール(化7)、
4−アミノ−3,5−ビス(4−メチルフェニル)ピラゾール(化8)、
4−アミノ−3,5−ビス(4−メトキシフェニル)ピラゾール(化9)、
3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール(化10)、
4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール(化11)、
3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール(化12)、
4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール(化13)、
5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール(化14)、
4−アミノ−5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール(化15)、
3−フェニル−5−(キノリン−4−イル)ピラゾール(化16)、
4−アミノ−3−フェニル−5−(キノリン−4−イル)ピラゾール(化17)、
4−アミノ−3−(2−メトキシフェニル)−5−フェニルピラゾール(化18)、
3−(2−エトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化19)、
3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化20)、及び
3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニル−4−プロピルピラゾール(化21)
からなる群から選択される前記EPO産生促進剤を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、前記一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするEPO産生促進剤に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれる3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、EPO産生促進用の製剤を製造するための、前記一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)に関する。より詳細には、本発明は、EPO産生促進用の製剤を製造するための、前記した化合物群から選ばれる3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の使用(use)を提供するものである。
【0025】
さらに、本発明は、前記一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を、EPOの産生促進が必要とされる患者に投与することを特徴とする、EPO産生の促進方法(method)に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれる3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を、EPOの産生促進が必要とされる患者に投与することを特徴とする、EPO産生の促進方法(method)を提供するものである。
【0026】
また、本発明は、前記一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を細胞に接触させて、当該細胞におけるEPOの産生を促進させる方法に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれる3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の有効量を細胞に接触させて、該細胞におけるEPOの産生を促進させる方法を提供するものである。ここで、「接触」とは、本明細書中で使用するとき、インビトロ又はインビボにおいて、本発明の2−アルキルアミノキノリン化合物等が、細胞による前記化合物等の取り込み作用又は細胞表面での相互作用などにより、増殖、分化、生理活性物質の分泌などの細胞の機能を調節するように前記化合物等を細胞に添加することを意味する。
【0027】
別の観点からは、本発明は、次の化合物群:
4−[1−メチル−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸(化1)、
4−[1−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−5−イル]安息香酸(化2)、
5−メチル−2−(1−メチル−5−フェニルピラゾール−3−イル)フェノール(化3−2)、
5−メチル−2−(1−メチル−3−フェニルピラゾール−5−イル)フェノール(化3−3)、
4−ジメチルアミノ−3,5−ジフェニルピラゾール(化4−2)、
4−メチルアミノ−3,5−ジフェニル−1−メチルピラゾール(化5−2)、
4−アミノ−3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化6)、
4−アミノ−3,5−ビス(4−フルオロフェニル)ピラゾール(化7)、
4−アミノ−3,5−ビス(4−メチルフェニル)ピラゾール(化8)、
4−アミノ−3,5−ビス(4−メトキシフェニル)ピラゾール(化9)、
3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール(化10)、
4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール(化11)、
3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール(化12)、
4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール(化13)、
5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール(化14)、
4−アミノ−5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール(化15)、
3−フェニル−5−(キノリン−4−イル)ピラゾール(化16)、
4−アミノ−3−フェニル−5‐(キノリン−4−イル)ピラゾール(化17)、
4−アミノ−3−(2−メトキシフェニル)−5−フェニルピラゾール(化18)、
3−(2−エトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化19)、
3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化20)、及び
3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニル−4−プロピルピラゾール(化21)
からなる群から選択される、3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を提供するものである。
【0028】
さらに、本発明は、前記一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物、及び医薬として許容される担体とを含有してなるEPOの産生を促進させるための医薬組成物に関する。より詳細には、本発明は、前記した化合物群から選ばれる3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の1種又は2種以上の化合物、及び医薬として許容される担体とを含有してなるEPOの産生を促進させるための医薬組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、優れたEPO産生促進作用を有している、3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を見出したものであり、EPO産生を促進することにより症状が改善される疾患(例えば、慢性腎不全患者における貧血、自己貯血及び未熟児貧血、AIDS及び化学療法を受けている癌患者の貧血、慢性貧血、鉄欠乏性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血、巨赤芽球性貧血などの貧血)の予防及び/又は治療のための医薬組成物として有用である。また、本発明は、EPO産生促進作用を有する経口投与可能な低分子性の化合物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0031】
本発明における用語の定義は以下のとおりである。
【0032】
本明細書中で使用するとき、「ハロゲン原子」とは、ハロゲノ基を意味し、具体的にはフッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子等である。
【0033】
本明細書中で使用するとき、「アルキル基」は、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「C1−6アルキル基」としては、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、4−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、3−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、1−メチルペンチル基、3,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基等の炭素数1〜6個の直鎖又は分枝状のアルキル基が挙げられる。
【0034】
本明細書中で使用するとき、「アルコキシ基」は、直鎖又は分枝状であってもよい。従って、「C1−6アルコキシ基」としては、具体的にはメチルオキシ基、エチルオキシ基、n−プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec−ブチルオキシ基、tert−ブチルオキシ基、n−ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、ネオペンチルオキシ基、4−メチルブチルオキシ基、1−エチルプロピルオキシ基、n−ヘキシルオキシ基、イソヘキシルオキシ基、3−メチルペンチルオキシ基、2−メチルペンチルオキシ基、1−メチルペンチルオキシ基、3,3−ジメチルブチルオキシ基、2,2−ジメチルブチルオキシ基、1,1−ジメチルブチルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチルブチルオキシ基、2−エチルブチルオキシ基等の炭素数1〜6の直鎖又は分枝状のアルコキシ基が挙げられる。
【0035】
本明細書中で使用するとき、「アルキルアミノ基」とは、前記したアルキル基が窒素原子に1つ結合した基を意味する。従って、「C1―6アルキルアミノ基」には、メチルアミノ基、エチルアミノ基、n−プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n−ブチルアミノ基、sec−ブチルアミノ基、tert−ブチルアミノ基、n−ペンチルアミノ基、イソペンチルアミノ基、ネオペンチルアミノ基、4−メチルブチルアミノ基、1−エチルプロピルアミノ基、n−ヘキシルアミノ基、イソヘキシルアミノ基、3−メチルペンチルアミノ基、2−メチルペンチルアミノ基、1−メチルペンチルアミノ基、3,3−ジメチルブチルアミノ基、2,2−ジメチルブチルアミノ基、1,1−ジメチルブチルアミノ基、1,2−ジメチルブチルアミノ基、1,3−ジメチルブチルアミノ基、2,3−ジメチルブチルアミノ基、1−エチルブチルアミノ基、2−エチルブチルアミノ基等が挙げられる。
【0036】
本明細書中で使用するとき、「ジアルキルアミノ基」とは、同一であるか又は異なっていてもよい、前述した「アルキル基」の2つが窒素原子に結合した基を意味する。従って、「ジC1―6アルキルアミノ基」としては、具体的には、ジメチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、メチル−n−プロピルアミノ基、エチル−n−プロピルアミノ基、ジ−n−プロピルアミノ基、メチルイソプロピルアミノ基、エチルイソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、メチル−n−ブチルアミノ基、エチル−n−ブチルアミノ基、n−プロピル−n−ブチルアミノ基、ジ−n−ブチルアミノ基、ジ−sec−ブチルアミノ基、ジ−tert−ブチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基等である。
【0037】
その他、ここに定義のない基については、通常の定義に従う。
【0038】
一般式(1)中、A環としては、下記で表されるものが好ましい。
【0039】
【化2】

【0040】
[式中、R、R、Rは前記と同じものを示す]
【0041】
一般式(1)中、Rにおける「C1−6アルキル基」としては、「C1−4アルキル基」が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0042】
一般式(1)中、Rにおける「C1−6アルキル基」としては、「C1−4アルキル基」が好ましく、n−プロピル基がより好ましい。
【0043】
一般式(1)中、Rにおける「C1−6アルキルアミノ基」としては、「C1−4アルキルアミノ基」が好ましく、メチルアミノ基がより好ましい。
【0044】
一般式(1)中、Rにおける「ジC1−6アルキルアミノ基」としては、「ジC1−4アルキルアミノ基」が好ましく、ジメチルアミノ基がより好ましい。
【0045】
一般式(1)中、R、R、R、R、R、Rにおける「C1−6アルキル基」としては、「C1−4アルキル基」が好ましく、メチル基がより好ましい。
【0046】
一般式(1)中、R、R、R、R、R、Rにおける「C1−6アルコキシ基」としては、「C1−4アルコキシ基」が好ましく、メトキシ基、エトキシ基がより好ましい。
【0047】
一般式(1)中、R、R、R、R、R、Rにおける「ハロゲン原子」としては、フッ素原子が好ましい。
【0048】
本発明の一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物の具体例として、下記化合物を挙げることができる。
【0049】
【表1】

【0050】
【表2】

【0051】
【表3】

【0052】
本発明の一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物は、本発明の3,5−ビスアリールピラゾール化合物のみならず、その医薬として許容される塩、それらの各種の水和物や溶媒和物、及び結晶多形を有する物質、及びこれらの物質のプロドラッグとなる物質を包含している。
【0053】
本発明の一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物の医薬として許容される塩としては、具体的には、化合物を塩基性化合物として扱う場合は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等)や有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸等)との酸付加塩等が挙げられ、化合物を酸性化合物として扱う場合には、無機塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等)や有機塩(例えば、ピリジニウム塩、ピコリニウム塩、トリエチルアンモニウム塩等)が挙げられる。
【0054】
本発明の一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物やその医薬として許容される塩の溶媒和物としては、水和物や各種の溶媒和物(例えば、エタノールなどのアルコールとの溶媒和物)が挙げられる。
【0055】
本発明の一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物は、公知の方法により製造することができる。例えば、以下に示す方法、あるいはこれに準じた方法により製造することができるが、これに限定されるものではない。また、必要に応じて官能基を保護して各反応を行ってもよい。保護、脱保護条件としては一般に用いられる方法(Protective Groups in Organic Synthesis Third Edition, John Wiley & Sons, Inc.)を参考にして行うことができる。
【0056】
[1]Rが水素原子又はC1−6アルキル基である化合物の製造
【0057】
【化3】

【0058】
〔式中、R、R、R、R、R、R、Rは、前記と同じものを示し、Rは、水素原子又はC1−6アルキル基を示し、Rは、低級アルキル基を示し、Xはハロゲン原子、スルホニルオキシ基等の脱離基を示す〕
【0059】
[工程1]アセトフェノン誘導体(I)とエステル化合物(II)を塩基の存在下、溶媒中でクライゼン反応を行うことにより、1,3−ジケト化合物(III)を製造することができる。ここで用いる塩基としては、例えば、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコラート類、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等の有機アルカリ金属類、リチウムジイソプロピルプロピルアミド等のアルカリ金属アミド類が挙げられる。溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリム等のエーテル系溶媒が挙げられる。反応条件は、0〜180℃、好ましくは80〜140℃で、30分〜24時間、好ましくは1時間〜12時間反応を行えばよい。本反応は、必要に応じて12−クラウン−4、15−クラウン−5、18−クラウン−6、ジベンゾ−18−クラウン−6等のクラウンエーテル類、テトラブチルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムブロミド、テトラブチルアンモニウムヨーダイド等の4級アンモニウム塩等の触媒を用いることもできる。
【0060】
[工程2]1,3−ジケト化合物(III)とヒドラジンとを溶媒中で反応を行うことにより、Rが水素原子であるピラゾール誘導体(1a)を製造することができる。ここで用いる溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、酢酸エチル等が挙げられ、アルコール類を溶媒として用いることが好ましい。反応条件は、0〜180℃、好ましくは80〜140℃で、30分〜24時間、好ましくは1時間〜12時間反応を行えばよい。
【0061】
[工程3]ピラゾール誘導体(1a)と化合物(IV)とを、塩基の存在下、溶媒中で反応し、RがC1−6アルキル基であるピラゾール誘導体(1b)を製造することができる。ここで用いる塩基としては例えばピリジン、ピコリン、トリエチルアミン等の有機アミン類、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム等の水素化アルカリ金属類、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムtert−ブトキシド、カリウムtert−ブトキシド等のアルカリ金属アルコラート類、リチウムジイソプロピルアミド、ナトリウムジイソプロピルアミド、カリウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属アミド類、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等のアルキル金属類を使用することができる。溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、酢酸エチル等が挙げられる。反応条件は、−20〜120℃、好ましくは0〜80℃で、30分〜24時間、好ましくは1時間〜12時間反応を行えばよい。
【0062】
[2]Rがアミノ基、C1−6アルキルアミノ基又はジC1−6アルキルアミノ基である化合物の製造
【0063】
【化4】

【0064】
〔式中、R、R、R、R、R、Rは、前記と同じものを示し、R10はC1−6アルキル基を示し、Xはハロゲン原子、スルホニルオキシ基等の脱離基を示す〕
【0065】
[工程4]1,3−ジケト化合物(V)を酸触媒の存在下、溶媒中で亜硝酸塩と反応することにより、化合物(VI)を製造することができる。ここで用いる酸触媒としては、酢酸等の有機酸が挙げられる。溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、酢酸エチル、水等を単独又は組み合わせて使用することができる。また、酢酸等の有機酸酸触媒自体を溶媒として用いてもよい。反応条件は、−40〜120℃、好ましくは−20〜80℃で、30分〜24時間、好ましくは1時間〜12時間反応を行えばよい。
【0066】
[工程5]化合物(VI)とヒドラジンとを溶媒中で反応を行うことにより、Rがアミノ基であるピラゾール誘導体(1c)を製造することができる。本工程は工程2で記載したものと同様である。
【0067】
[工程6]ピラゾール誘導体(1c)と化合物(VII)とを、塩基の存在下、溶媒中で反応し、RがC1−6アルキルアミノ基であるピラゾール誘導体(1d)及びRがジC1−6アルキルアミノ基であるピラゾール誘導体(1e)とを製造することができる。ここで用いる塩基としては弱塩基が好ましく、例えばピリジン、ピコリン、トリエチレンアミン等の有機アミン類、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム等の炭酸アルカリ金属類、炭酸カルシウム等の炭酸アルカリ土類金属類、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の炭酸水素アルカリ金属類を使用することができる。溶媒、反応条件は、工程3で記載したものと同じである。
【0068】
前記の各反応で得られた中間体及び目的物は、有機合成化学で常用されている精製法、例えば、ろ過、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、再結晶、各種クロマトグラフィー等に付して必要に応じて単離、精製することができる。また、中間体においては、特に精製することなく次反応に供することもできる。
【0069】
さらに、各種の異性体は異性体間の物理化学的性質の差を利用した常法を適用して単離できる。例えば、ラセミ混合物は、例えば、酒石酸等の一般的な光学活性酸とのジアステレオマー塩に導き光学分割する方法、又は、光学活性カラムクロマトグラフィーを用いた方法等の一般的ラセミ分割法により、光学的に純粋な異性体に導くことができる。また、ジアステレオマー混合物は、例えば、分別結晶化又は各種クロマトグラフィー等により分割できる。また、光学活性な化合物は適当な光学活性な原料を用いることにより製造することもできる。
【0070】
本発明のEPO産生促進剤、又は貧血治療剤は、一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、その塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有するものであって、医薬組成物として使用することができる。その場合、本発明の化合物を単独で用いてもよいが、通常は医薬として許容される担体、及び/又は希釈剤を配合して使用される。
【0071】
投与経路は、特に限定されないが、治療目的に応じて適宜選択することができる。例えば、経口剤、注射剤、坐剤、吸入剤等のいずれでもよい。これらの投与形態に適した医薬組成物は、公知の製剤方法を利用することによって製造できる。
【0072】
経口用固形製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物に医薬として許容される賦形剤、更に必要に応じて結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤等を加えた後、常法を利用して、錠剤、被覆錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤等を製造することができる。添加剤は、当該技術分野で一般的に使用されているものでよい。例えば、賦形剤としては、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、微結晶セルロース、珪酸等が挙げられる。結合剤としては、水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン液、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、メチルセルロース、エチルセルロース、シェラック、リン酸カルシウム、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。崩壊剤としては、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、乳糖等が挙げられる。滑沢剤としては、精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ砂、ポリエチレングリコール等が挙げられる。矯味剤としては、白糖、橙皮、クエン酸、酒石酸等が挙げられる。
【0073】
経口用液体製剤を調製する場合は、一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物に矯味剤、緩衝剤、安定化剤、矯臭剤等を加えて常法を利用して内服液剤、シロップ剤、エリキシル剤等を製造することができる。矯味剤としては上記に挙げられたものでよく、緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム等が、安定化剤としてはトラガント、アラビアゴム、ゼラチン等が挙げられる。
【0074】
注射剤を調製する場合は、一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物にpH調節剤、緩衝剤、安定化剤、等張化剤、局所麻酔剤等を添加し、常法を利用して皮下、筋肉及び静脈内注射剤を製造することができる。pH調製剤及び緩衝剤としてはクエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等が挙げられる。安定化剤としてはピロ亜硫酸ナトリウム、EDTA、チオグリコール酸、チオ乳酸等が挙げられる。局所麻酔剤としては塩酸プロカイン、塩酸リドカイン等が挙げられる。等張化剤としては、塩化ナトリウム、ブドウ糖等が挙げられる。
【0075】
坐薬を調製する場合は、一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物に公知の坐薬用担体、例えば、ポリエチレングリコール、ラノリン、カカオ脂、脂肪酸トリグリセライド等、更に必要に応じて界面活性剤(例えば、ツイーン(登録商標))等を加えた後、常法を利用して製造することができる。
【0076】
上記以外に、常法を利用して適宜好ましい製剤とすることもできる。
【0077】
本発明の一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、通常は成人に対して一般式(1)で表わされる化合物として1日あたり1mgから1000mgを、1回又は数回に分けて経口投与又は非経口投与するのが好ましい。
【実施例】
【0078】
次に、実施例、試験例を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0079】
実施例1:4−[1−メチル−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸(化1)の製造
【0080】
【化5】

【0081】
工程1:3’,4’,5’−トリメトキシアセトフェノン500mg(2.4mmol)、テレフタル酸ジメチルエステル462mg(2.4mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物96mg(2.0mmol)、18−クラウン−6 32mg(0.12mmol)を、THF8mL溶媒中、還流下3時間攪拌した。反応終了後、反応液に1N塩酸を加えてpH5〜6とし、セライトろ過、エタノールで溶出した。有機層を減圧濃縮し、4−[3−オキソ−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパノイル]安息香酸メチル800mgを得た。
【0082】
工程2:4−[3−オキソ−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)プロパノイル]安息香酸メチル(2.1mmol)、ヒドラジン一水和物0.11mL(2.2mmol)を、エタノール3mL溶媒中、還流下2時間攪拌した。反応液を0℃に冷却後、析出する結晶をろ取し、4−[5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸メチル580mg(2段階66%)を得た。
【0083】
工程3:4−[5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸メチル580mg(1.6mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物84mg(1.8mmol)、ヨウ化メチル130mL(2.1mmol)を、THF5mL溶媒中、室温で2時間攪拌した。反応終了後、反応液に1N塩酸及び水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製し、4−[1−メチル−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸メチル270mg(45%)及び4−[1−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−5−イル]安息香酸メチル130mg(22%)を得た。
【0084】
工程4:4−[1−メチル−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸メチル270mg(0.71mmol)、1N水酸化ナトリウム水溶液1mLをエタノール3mL溶媒中、還流下5時間攪拌した。反応終了後、溶媒を留去し、残渣に水を加え、エーテルで洗浄した。水層に1N塩酸を加えてpH5〜6とし、クロロホルムで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をメタノール−クロロホルム−ヘキサンで結晶化し、表題化合物180mg(69%)を白色結晶性粉末として得た。
【0085】
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.92 (6 H, s), 3.93 (3 H, s), 3.97 (3 H, s), 6.67 (1 H, s), 6.66 (2 H, s), 7.94 (2 H, d, J = 8.3 Hz), 8.17 (2 H, d, J = 8.3 Hz)
【0086】
実施例2:4−[1−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−5−イル]安息香酸(化2)の製造
【0087】
【化6】

【0088】
実施例1の工程3で得られた4−[1−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−5−イル]安息香酸メチル130mg(0.34mmol)を実施例1の工程4と同様に反応処理し、メタノール−クロロホルム−ヘキサンで結晶化して、表題化合物65mg(52%)を白色結晶性粉末として得た。
【0089】
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.89 (3 H, s), 3.95 (6 H, s), 3.99 (3 H, s), 6.66 (1 H, s), 7.07 (2 H, s), 7.61 (2 H, d, J = 8.3 Hz), 8.23 (2 H, d, J = 8.3 Hz)
【0090】
実施例3:3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化3−1)、5−メチル−2−(1−メチル−5−フェニルピラゾール−3−イル)フェノール(化3−2)及び5−メチル−2−(1−メチル−3−フェニルピラゾール−5−イル)フェノール(化3−3)の製造
【0091】
【化7】

【0092】
工程1:アセトフェノン3.6g(30mmol)、4−メチル−2−(メトキシメチル)オキシ安息香酸エチル7.4g(33mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物1.5g(31mmol)、18−クラウン−6 400mg(1.5mmol)を、THF130mL溶媒中で実施例1の工程1と同様に反応処理し、1−[2−(メトキシメトキシ)−4−メチルフェニル]−3−フェニルプロパン−1,3−ジオンを得た。
【0093】
工程2:1−[2−(メトキシメトキシ)−4−メチルフェニル]−3−フェニルプロパン−1,3−ジオン、ヒドラジン一水和物1.5mL(31mmol)を、エタノール溶媒中で、実施例1の工程1と同様に反応処理し、3−[2−(メトキシメトキシ)−4−メチルフェニル]−5−フェニルピラゾール3.2g(2段階36%)を得た。
【0094】
工程3:3−[2−(メトキシメトキシ)−4−メチルフェニル]−5−フェニルピラゾール3.2g(11mmol)、4M塩化水素/酢酸エチル4.0mL(16mmol)を、メタノール10mL溶媒中、60℃で5時間攪拌した。反応終了後、有機層を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10〜)で精製し、5−メチル−2−(5−フェニルピラゾール−3−イル)フェノール1.6g(59%)を得た。
【0095】
工程4:5−メチル−2−(5−フェニルピラゾール−3−イル)フェノール50mg(0.20mmol)、2.0Mトリメチルシリルジアゾメタン/ヘキサン0.14mL(0.28mmol)、ジイソプロピルエチルアミン0.050mL(0.28mmol)を、アセトニトリル−メタノール(10:1)2.2mLの混合溶媒中、室温で12時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。得られた粗生成物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化3−1)33mg(62%)を淡黄色無定形粉末として、5−メチル−2−(1−メチル−5−フェニルピラゾール−3−イル)フェノール(化3−2)と5−メチル−2−(1−メチル−3−フェニルピラゾール−5−イル)フェノール(化3−3)の混合物5.3mg(10%)を単黄色固体として得た。
【0096】
[化3−1]1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.40 (3 H, s), 3.99 (3 H, s), 6.85 (1 H, br. s), 6.89 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz), 6.90 (1 H, s), 7 32 (1 H, tt, J = 7.8, 1.2 Hz), 7.43 (2 H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.62 (2 H, d, J =, 7.8 Hz), 7.88 (2 H, dd, J = 7.8, 1.2 Hz)
【0097】
[化3−2と3−3]1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.34 (3 H, s), 3.91 (3 H, s), 6.63 (1 H, s), 6.73 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz), 6.86 (1 H, br. s), 7.44-7.52 (6 H, m), 10.79 (1 H, br. s)
【0098】
実施例4:4−ジメチルアミノ−1−メチル−3,5−ジフェニルピラゾール(化4−1)及び4−ジメチルアミノ−3,5−ジフェニルピラゾール(化4−2)の製造
【0099】
【化8】

【0100】
工程1:1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン6.7g(30mmol)、亜硝酸ナトリウム2.1g(30mmol)を、酢酸−水(1:1)40mLの混合溶液中、室温で6時間攪拌した。反応終了後、反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮した。得られた組成生物を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:10〜1:2)で精製し、2−ヒドロキシイミノ−1,3−ジフェニルプロパン−1,3−ジオン4.5g(60%)を得た。
【0101】
工程2:2−ヒドロキシイミノ−1,3−ジフェニルプロパン−1,3−ジオン2.0g(7.9mmol)、ヒドラジン一水和物4.0mL(82mmol)を、エタノール60mL溶媒中で、実施例1の工程2と同様に反応処理した。得られた組成生物をエタノールで再結晶し、4−アミノ−3,5−ジフェニルピラゾール1.6g(86%)を白色プリズム晶として得た。
【0102】
工程3:4−アミノ−3,5−ジフェニルピラゾール50mg(0.21mmol)、ヨウ化メチル0.15mL(2.4mmol)、炭酸カリウム300mg(2.2mmol)を、アセトニトリル3mL溶媒中で、実施例1の工程3と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で精製し、4−ジメチルアミノ−1−メチル−3,5−ジフェニルピラゾール(化4−1)28mg(48%)及び4−ジメチルアミノ−3,5−ジフェニルピラゾール(化4−2)8mg(14%)をそれぞれ単黄色固体として得た。
【0103】
[化4−1]1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.52 (6 H, s), 3.64 (3 H, s), 7.30 (1 H, tt, J = 7.8, 1.2 Hz), 7.37-7.53 (7 H, m), 8.04 (2 H, dd, 7.8, 1.2 Hz)
【0104】
[化4−2]1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.66 (6 H, s), 7.34-7.49 (6 H, m), 7.77 (4 H, br. d, J = 7.8 Hz)
【0105】
実施例5:4−アミノ−3,5−ジフェニル−1−メチルピラゾール(化5−1)及び4−メチルアミノ−3,5−ジフェニル−1−メチルピラゾール(化5−2)の製造
【0106】
【化9】

【0107】
実施例4の工程2で製造した4−アミノ−3,5−ジフェニルピラゾール50mg(0.21mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物10mg(0.21mmol)、ヨウ化メチル30mg(0.21mmol)を、THF2mL溶媒中で実施例1の工程3と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=2:3)で精製し、4−アミノ−3,5−ジフェニル−1−メチルピラゾール(化5−1)48mg(91%)及び4−メチルアミノ−3,5−ジフェニル−1−メチルピラゾール(化5−2)4mg(7%)をそれぞれ単黄色固体として得た。
【0108】
[化5−1]1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:3.11 (1 H, br. s), 3.81 (3 H, s), 7.32 (1 H, tt, J = 7.8, 1.2 Hz), 7.42-7.48 (5 H, m), 7.53 (2 H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.81 (2 H, dd, J = 7.8, 1.2 Hz)
【0109】
[化5−2]1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.50 (3 H, s), 3.77 (3 H, s), 7.32 (1 H, br. t, J = 7.8 Hz), 7.41-7.48 (5 H, m), 7.52 (2 H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.87 (2 H, br. d, J = 7.8 hz)
【0110】
実施例6:4−アミノ−3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化6)の製造
【0111】
【化10】

【0112】
工程1:アセトフェノン337mg(2.8mmol)、2−メトキシ−4−メチル安息香酸エチル530mg(2.8mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物134mg(2.8mmol)、18−クラウン−6 37mg(0.12mmol)を、THF13mL溶媒中で実施例1の工程1と同様に反応処理し、1−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−フェニルプロパン−1,3−ジオンを得た。
【0113】
工程2:1−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−フェニルプロパン−1,3−ジオン90mg(0.34mmol)、亜硝酸ナトリウム24mg(0.35mmol)を、酢酸−水(1:1)2mLの混合溶媒中で実施例4の工程1と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、2−ヒドロキシイミノ−1−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−フェニルプロパン−1,3−ジオン50mg(51%)を得た。
【0114】
工程3:2−ヒドロキシイミノ−1−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−フェニルプロパン−1,3−ジオン50mg(7.9mmol)、ヒドラジン一水和物100mg(2.0mmol)を、エタノール2mL溶媒中で実施例1の工程2と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1)で精製し、表題化合物38mg(80%)を淡黄色無定形粉末として得た。
【0115】
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:2.40 (3 H, s), 3.88 (3 H, s), 6.83 (1 H, br. s), 6.88 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz), 7.33 (1 H, br. t, J = 7.8 Hz), 7.44 (2 H, dd, J = 7.8, 7.8 Hz), 7.56 (2 H, br. d, J = 7.8 Hz), 7.74 (2 H, br. d, J = 7.8 Hz)
【0116】
実施例7:4−アミノ−3,5−ビス(4−フルオロフェニル)ピラゾール(化7)の製造
【0117】
【化11】

【0118】
工程1:4−フルオロアセトフェノン690mg(5.0mmol)、4−フルオロ安息香酸エチル840mg(5.0mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物240mg(5.0mmol)、18−クラウン−6 66mg(0.25mmol)を、THF15mL溶媒中で実施例1の工程1と同様に反応処理した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20)で精製し、1,3−ビス(4−フルオロフェニル)−1,3−プロパンジオン530mg(41%)を得た。
【0119】
工程2:1,3−ビス(4−フルオロフェニル)−1,3−プロパンジオン200mg(0.77mmol)、亜硝酸ナトリウム53mg(0.77mmol)を、酢酸−水(1:1)4mLの混合溶媒中で実施例4の工程1と同様に反応処理した。得られた組成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:20〜1:2)で精製し、1,3−ビス(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−1,3−プロパンジオン60mg(27%)を得た。
【0120】
工程3:1,3−ビス(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−1,3−プロパンジオン60mg(0.2mmol)、ヒドラジン一水和物100mg(2.0mmol)を、エタノール2mL溶媒中で実施例1の工程2と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、クロロホルム−メタノール−ヘキサンで結晶化して、表題化合物32mg(59%)を淡黄色無定形粉末として得た。
【0121】
1H-NMR(400MHz,CDCl3)δ:7.15 (4 H, dd, J = 8.5 Hz, 3JHF = 8.5 Hz), 7.64 (4 H, dd, J = 8.5 Hz, 4JHF = 5.4 Hz)
【0122】
実施例8:4−アミノ−3,5−ビス(4−メチルフェニル)ピラゾール(化8)の製造
【0123】
【化12】

【0124】
工程1:4−メチルアセトフェノン671mg(5.0mmol)、4−メチル安息香酸エチル821mg(5.0mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物240mg(5.0mmol)、18−クラウン−6 66mg(0.25mmol)を、THF15mL溶媒中で実施例1の工程1と同様に反応処理した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:50〜)で精製し、1,3−ビス(4−メチルフェニル)−1,3−プロパンジオン720mg(57%)を得た。
【0125】
工程2:1,3−ビス(4−メチルフェニル)−1,3−プロパンジオン200mg(0.79mmol)、亜硝酸ナトリウム55mg(0.79mmol)を、酢酸−水(1:1)4mLの混合溶媒中で実施例4の工程1と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製し、1,3−ビス(4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−1,3−プロパンジオン40mg(18%)を得た。
【0126】
工程3:1,3−ビス(4−メチルフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−1,3−プロパンジオン40mg(0.14mmol)、ヒドラジン一水和物70mg(1.4mmol)を、エタノール2mL溶媒中で実施例1の工程2と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:ヘキサン=1:3)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンで結晶化して、表題化合物14mg(37%)を淡黄色無定形粉末として得た。
【0127】
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6)δ:2.34 (6 H, s), 3.83 (2 H, s), 7.20-7.30 (4 H, br.), 7.50-7.70 (4 H, br.), 12.60 (1 H, s)
【0128】
実施例9:4−アミノ−3,5−ビス(4−メトキシフェニル)ピラゾール(化9)の製造
【0129】
【化13】

【0130】
工程1:1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−1,3−プロパンジオン200mg(0.70mmol)、亜硝酸ナトリウム50mg(0.70mmol)を、酢酸−水(1:1)4mLの混合溶媒中で実施例4の工程1と同様に反応処理し、1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−1,3−プロパンジオンを得た。
【0131】
工程2:1,3−ビス(4−メトキシフェニル)−2−ヒドロキシイミノ−1,3−プロパンジオン、ヒドラジン一水和物350mg(7mmol)を、エタノール3mL溶媒中で実施例1の工程2と同様に反応処理した。得られた組成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:2)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンで結晶化して、表題化合物38mg(2step、29%)を淡黄色無定形粉末として得た。
【0132】
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6)δ:3.72 (2 H, br. s), 3.79 (6 H, s), 6.95-7.05 (4 H, br.), 7.55-7.75 (4 H, br.), 12.48 (1 H, s)
【0133】
実施例10:3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール(化10)の製造
【0134】
【化14】

【0135】
工程1:アセトフェノン360mg(3.0mmol)、イソニコチン酸エチル455mg(3.0mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物144mg(3.0mmol)、18−クラウン−6 50mg(0.15mmol)を、THF15mL溶媒中で実施例1の工程1と同様に反応処理した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:5〜1:3)で精製し、1−フェニル−3−(4−ピリジル)−1,3−プロパンジオン400mg(59%)を得た。
【0136】
工程2:1−フェニル−3−(4−ピリジル)−1,3−プロパンジオン100mg(0.44mmol)、ヒドラジン一水和物22mg(0.44mmol)を、エタノール3mL溶媒中で実施例1の工程2と同様に反応処理した。得られた組成生物をプレパラティブ薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、メタノール−クロロホルム−ヘキサンで結晶化し、表題化合物78mg(80%)を白色結晶性粉末として得た。
【0137】
1H-NMR(400MHz, DMSO-d6)δ:7.19 (1 H, s), 7.34 (1 H, br. t, J = 7.6 Hz), 7.44 (2 H, dd, J = 7.6, 7.6 Hz), 7.48 (2 H, d, J = 5.9 Hz), 7.80 (2 H, br. d, J = 7.6 Hz), 8.59 (2 H, d, J = 5.9 Hz), 13.14 (1 H, br. s)
【0138】
実施例11:4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール(化11)の製造
【0139】
【化15】

【0140】
工程1:実施例10の工程1で製造した1−フェニル−3−(4−ピリジル)−1,3−プロパンジオン300mg(1.3mmol)、亜硝酸ナトリウム92mg(1.33mmol)を、酢酸−水(1:1)4mLの混合溶媒中で実施例4の工程1と同様に反応処理し、2−ヒドロキシイミノ−1−フェニル−3−(4−ピリジル)−1,3−プロパンジオン300mgを得た。
【0141】
工程2:2−ヒドロキシイミノ−1−フェニル−3−(4−ピリジル)−1,3−プロパンジオン300mg、ヒドラジン一水和物650mg(13.0mmol)を、エタノール10mL溶媒中で実施例1の工程2と同様に反応処理した。得られた組成生物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘキサン=1:1〜3:1)で精製し、酢酸エチル−ヘキサンで結晶化して、表題化合物を淡黄色針状晶として得た。
【0142】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:3.38 (2 H, br. s), 7.39 (1 H, tt, J = 7.5, 1.2 Hz), 7.49 (2 H, dd, J = 7.5, 7.5 Hz), 7.59 (2 H, dd, J = 7.5, 1.2 Hz), 7.69 (2 H, d, J = 6.1 Hz), 8.66 (2 H, d, J = 6.1 Hz)
【0143】
実施例12:3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール(化12)の製造
【0144】
【化16】

【0145】
イソニコチン酸エチルの代わりにニコチン酸エチルを用いて、実施例10と同様に反応処理し、表題化合物を白色結晶性粉末として得た。
【0146】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:6.90 (1 H, s), 7.37 (1 H, ddd, J = 8.0, 4.9, 0.9 Hz), 7.40 (1 H, tt, J = 7.4, 1.3 Hz), 7.47 (2 H, dd, J = 7.4, 7.4 Hz), 7.68 (2 H, br. d, J = 7.4 Hz), 8.11 (1 H, br. d, J = 8.0 Hz), 8.60 (1 H, dd, J = 4.9, 1.8 Hz, 9.06 (1 H, d, J = 1.8 Hz)
【0147】
実施例13:4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール(化13)の製造
【0148】
【化17】

【0149】
イソニコチン酸エチルの代わりにニコチン酸エチルを用いて、実施例10の工程1及び実施例11と同様に反応処理し、表題化合物を白色結晶性粉末として得た。
【0150】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:3.30 (2 H, br. s), 7.39 (1 H, br. t, J = 7.7 Hz), 7.40 (1 H, dd, J = 7.8, 4.9 Hz), 7.50 (2 H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz), 7.61 (2 H, br. d, J = 7.7 Hz), 8.08 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz), 8.60 (1 H, br. d, J = 4.9 Hz), 9.04 (1 H, br. s)
【0151】
実施例14:5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール(化12)の製造
【0152】
【化18】

【0153】
イソニコチン酸エチルの代わりに2−ナフタレンカルボン酸メチルを用いて、実施例10と同様に反応処理し、表題化合物を白色結晶性粉末として得た。
【0154】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:7.00 (1 H, s), 7.39 (1 H, t, J = 7.3 Hz), 7.48 (2 H, dd, J = 7.3, 7.3 Hz), 7.47-7.55 (2 H, m), 7.73-7.80 (2 H, m), 7.85-7.95 (4 H, m), 8.21 (1 H, br. s)
【0155】
実施例15:4−アミノ−5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール(化15)の製造
【0156】
【化19】

【0157】
イソニコチン酸エチルの代わりに2−ナフタレンカルボン酸メチルを用いて、実施例10の工程1及び実施例11と同様に反応処理し、表題化合物を赤褐色結晶性粉末として得た。
【0158】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:3.49 (1 H, br. s), 7.39 (1 H, br. t, J = 7.4 Hz), 7.50-7.55 (2 H, m), 7.51 (2 H, dd, J = 7.4, 7.4 Hz), 7.70 (2 H, br. d, J = 7.4 Hz), 7.83-7.92 (3 H, m), 7.96 (1 H, br. d, J = 8.6 Hz), 8.16 (1 H, br. s)
【0159】
実施例16:3−フェニル−5−(キノリン−4−イル)ピラゾール(化16)の製造
【0160】
【化20】

【0161】
イソニコチン酸エチルの代わりに4−キノリンカルボン酸メチルを用いて、実施例10と同様に反応処理し、表題化合物を白色結晶性粉末として得た。
【0162】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:6.96 (1 H, s), 7.37-7.42 (1 H, m), 7.44-7.48 (2 H, m), 7.57-7.61 (2 H, m), 7.75 (2 H, dd, J = 8.3, 1.5 Hz), 7.76 (1 H, dd, J = 8.4, 1.5 Hz), 8.17 (1 H, br. d, J = 8.4 Hz), 8.52 (1 H, br. d, J = 4.4 Hz), 8.92 (1 H, d, J = 4.4 Hz)
【0163】
実施例17:4−アミノ−3−フェニル−5−(キノリン−4−イル)ピラゾール(化17)の製造
【0164】
【化21】

【0165】
イソニコチン酸エチルの代わりに4−キノリンカルボン酸メチルを用いて、実施例10の工程1及び実施例11と同様に反応処理し、表題化合物を黄色結晶性粉末として得た。
【0166】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.15 (2 H, br. s), 7.37 (1 H, br. t, J = 7.3 Hz), 7.47 (2 H, dd, J = 7.3, 7.3 Hz), 7.53-7.62 (2 H, m), 7.71 (2 H, br. d, J = 7.3 Hz), 7.76 (1 H, ddd, J = 8.3, 6.8, 1.3 Hz), 8.17 (1H, br. d, J = 8.3 Hz), 8.17 (1H, d, J = 4.3 Hz), 8.92 (1H, br. d, J = 4.3 Hz)
【0167】
実施例18:4−アミノ−3−(2−メトキシフェニル)−5−フェニルピラゾール(化18)の製造
【0168】
【化22】

【0169】
イソニコチン酸エチルの代わりにo−アニス酸メチルを用いて、実施例10の工程1及び実施例11と同様に反応処理し、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
【0170】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:3.83 (3 H, s), 7.05 (1 H, br. d, J = 7.7 Hz), 7.11 (1 H, td, J = 7.7, 1.5 Hz), 7.32-7.37 (2 H, m), 7.48 (2 H, dd, J = 7.7, 7.7 Hz), 7.73 (1 H, dd, J = 7.7, 1.5 Hz), 7.75 (2 H, dd, J = 7.7, 1.5 Hz)
【0171】
実施例19:3−(2−エトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化19)の製造
【0172】
【化23】

【0173】
イソニコチン酸エチルの代わりに2−エトキシ−4−メチル安息香酸エチルを用いて、実施例10と同様に反応処理し、表題化合物を白色結晶性粉末として得た。
【0174】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:1.57 (3 H, t, J = 7.0 Hz), 2.39 (3 H, s), 4.23 (2 H, q, J = 7.0 Hz), 6.83 (1 H, br. s), 6.88 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz), 6.91 (1 H, s), 7.32 (1 H, br. t, J = 7.4 Hz), 7.43 (2 H, dd, J = 7.4, 7.4 Hz), 7.62 (1 H, d, J = 7.8 Hz), 7.88 (2 H, br. d, J = 7.4 Hz), 11.34 (1 H, br. s)
【0175】
実施例20:3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール(化20)の製造
【0176】
【化24】

【0177】
イソニコチン酸エチルの代わりに2−メトキシ−5−メチル安息香酸メチルを用いて、実施例10と同様に反応処理し、表題化合物を黄色結晶性粉末として得た。
【0178】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:2.36 (3 H, s), 2.39 (3 H, s), 3.97 (3 H, s), 6.91 (1 H, s), 6.93 (1 H, d, J = 8.6 Hz), 7.11 (1 H, dd, J = 8.6, 1.7 Hz), 7.24 (2 H, d, J = 8.1 Hz), 7.54 (1 H, d, J = 1.7 Hz), 7.77 (2 H, d, J = 8.1 Hz)
【0179】
実施例21:3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニル−4−プロピルピラゾール(化21)の製造
【0180】
【化25】

【0181】
工程1:バレロフェノン490mg(3.0mmol)、2−メトキシ−4−メチル安息香酸エチル590mg(3.0mmol)、50%水素化ナトリウム鉱油分散物150mg(3.1mmol)、18−クラウン−6 50mg(0.19mmol)を、THF10mL溶媒中、還流下5時間攪拌した。反応終了後、反応液に1N塩酸及び水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで除水後、減圧濃縮し、2−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−フェニル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオン480mgを得た。
【0182】
工程2:2−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−3−フェニル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオン480mg、ヒドラジン一水和物100mg(2.0mmol)を、エタノール5mL溶媒中で実施例1の工程2と同様に反応処理し、表題化合物16mg(2段階2%)を白色固体として得た。
【0183】
1H-NMR(400MHz, CDCl3)δ:0.80 (3 H, t, J = 7.3 Hz), 1.44 (2 H, td, J = 7.3, 7.3 Hz), 2.42 (3 H, s), 2.65-2.69 (2 H, m), 3.87 (3 H, s), 6.84 (1 H, br. s), 6.88 (1 H, br. d, J = 7.8 Hz), 7 35 (1 H, br. t, J = 7.4 Hz), 7.36 (1 H, d, J = 7.8 Hz), 7.44 (2 H, dd, J = 7.4, 7.4 ), 7.65 (2 H, br. d, J = 7.4 Hz)
【0184】
[試験例]
試験例に使用した化合物は、実施例記載の方法で製造したものを使用した。
【0185】
試験例
本発明の3,5−ビスアリールピラゾール化合物によるEPO産生促進活性は、EPOプロモーター活性に基づいて測定した。
【0186】
<材料と方法>
pGL3 basic(プロメガ)のルシフェラーゼ遺伝子にヒトEPOの5’プロモーター領域、及び3’エンハンサー領域を連結したベクターをリポフェクションによってヒト肝臓癌由来である細胞株HepG2に遺伝子導入した。得られた安定発現株(HepG2 EPO−luc)を被検化合物の評価に使用した。次に、HepG2 EPO−lucは、10%ウシ胎児血清を含む最小必須培地(MEM)(シグマ)を用いて96ウェルプレートの各ウェルに5×103細胞ずつ播種した。その後、DMSOに溶解した被検化合物を最終濃度10μMとなるように各ウェルに添加し、培地量を1ウェルあたり100μlとした。酸素濃度を4%としたCO2インキュベーターで24時間インキュベート後、EPOプロモーター活性として、Bright―Glo(商標)Luciferase Assay System(プロメガ)を100μl/ウェルで添加し、直ちに、ARVO(パーキンエルマー)を用いてルシフェラーゼ活性を測定した。上記方法は、Bright−Glo(商標)Luciferase Assay Systemに添付された取扱説明書に準じた。
【0187】
化合物を添加しない未刺激状態でのEPOプロモーター活性を100%とし、各化合物により誘導されたEPOプロモーター活性(% of control)を求めた。結果を表1に示す。
【0188】
【表4】

【0189】
<結果>
被検化合物を濃度10μM添加することにより、最大で2967%(化合物6)のEPO産生促進が認められた(表1参照)。このことから、これらの化合物にはEPO産生促進作用があることが明らかとなり、貧血治療剤として有用であることがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0190】
本発明は、一般式(1)で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物が、優れたEPO産生促進作用を有していることを初めて見出し、優れたEPO産生促進作用を有する経口投与可能な低分子性の貧血の予防及び/又は治療剤を提供するものである。本発明は、低分子性の新たな貧血の予防及び/又は治療剤を提供し、製薬工業において有用であり、産業上の利用可能性を有している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式(1):
【化1】

[式中、
A環は、ベンゼン環、ナフタレン環、ピリジン環又はキノリン環を示し、
は、水素原子又はC1−6アルキル基を示し、
は、水素原子、C1−6アルキル基、アミノ基、C1−6アルキルアミノ基又はジC1−6アルキルアミノ基を示し、
、R、R、R、R、Rは、同一又は異なってもよく、水素原子、C1−6アルキル基、C1−6アルコキシ基、ハロゲン原子、水酸基又はカルボキシル基を示す]
で表される3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とするEPO産生促進剤。
【請求項2】
一般式(1)で表される化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分とする貧血の予防及び/又は治療剤。
【請求項3】
一般式(1)中、A環が下式:
【化2】

[式中、R、R、Rは前記と同じものを示す]
から選択される化合物である、請求項1又は2に記載の剤。
【請求項4】
次の化合物群、
4−[1−メチル−5−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−3−イル]安息香酸、
4−[1−メチル−3−(3,4,5−トリメトキシフェニル)ピラゾール−5−イル]安息香酸、
5−メチル−2−(1−メチル−5−フェニルピラゾール−3−イル)フェノール、
5−メチル−2−(1−メチル−3−フェニルピラゾール−5−イル)フェノール、
4−ジメチルアミノ−3,5−ジフェニルピラゾール、
4−メチルアミノ−3,5−ジフェニル−1−メチルピラゾール、
4−アミノ−3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール、
4−アミノ−3,5−ビス(4−フルオロフェニル)ピラゾール、
4−アミノ−3,5−ビス(4−メチルフェニル)ピラゾール、
4−アミノ−3,5−ビス(4−メトキシフェニル)ピラゾール、
3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール、
4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−4−イル)ピラゾール、
3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール、
4−アミノ−3−フェニル−5−(ピリジン−3−イル)ピラゾール、
5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール、
4−アミノ−5−(ナフタレン−2−イル)−3−フェニルピラゾール、
3−フェニル−5−(キノリン−4−イル)ピラゾール、
4−アミノ−3−フェニル−5‐(キノリン−4−イル)ピラゾール、
4−アミノ−3−(2−メトキシフェニル)−5−フェニルピラゾール、
3−(2−エトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール、
3−(2−メトキシ−5−メチルフェニル)−5−フェニルピラゾール、及び
3−(2−メトキシ−4−メチルフェニル)−5−フェニル−4−プロピルピラゾール
から選ばれる3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項5】
請求項4記載の化合物群から選ばれる3,5−ビスアリールピラゾール化合物、若しくはその塩、又はそれらの溶媒和物の1種又は2種以上の化合物、及び医薬として許容される担体とを含有してなる医薬組成物。
【請求項6】
EPOの産生を促進させるためのものである、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
貧血の予防及び/又は治療用である、請求項5に記載の医薬組成物。

【公開番号】特開2011−42591(P2011−42591A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−190112(P2009−190112)
【出願日】平成21年8月19日(2009.8.19)
【出願人】(000163006)興和株式会社 (618)
【Fターム(参考)】