説明

4−オキソ−1−(3置換フェニル)−1,4−ジヒドロ−1,8−ナフチリジン−3−カルボキサミドホスホジエステラーゼ4阻害剤及びその製造方法

本発明は構造式(22):


の化合物、その結晶形態及び結晶性遊離酸、これらの化合物を含有する医薬組成物、並びにその製造方法に関する。これらの化合物はホスホジエステラーゼ4阻害剤であり、喘息及び炎症の治療に有用であり、更に認知力増進に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は構造式(22):
【0002】
【化3】

の化合物、構造式(22)の結晶形態とその遊離酸、これらの化合物を含有する医薬組成物、並びにこれらの化合物の製造及び使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ホルモンは細胞活性に様々な影響を与える化合物である。多くの点でホルモンは特定細胞応答及び活性を誘発するためのメッセンジャーとして作用する。しかし、ホルモンにより生じる多くの作用はホルモンのみの作用により生じるものではない。代わりに、ホルモンはまず受容体と結合することにより、第2の化合物の放出を誘発し、その後、第2の化合物が細胞活性に作用する。この場合、ホルモンを第1のメッセンジャーと言い、第2の化合物を第2のメッセンジャーと言う。環状アデノシン一リン酸(アデノシン3’,5’環状一リン酸、「cAMP」又は「環状AMP」)はエピネフリン、グルカゴン、カルシトニン、コルチコトロフィン、リポトロピン、黄体形成ホルモン、ノルエピネフリン、副甲状腺ホルモン、甲状腺刺激ホルモン及びバソプレッシン等のホルモンの第2のメッセンジャーと言われる。従って、cAMPはホルモンに対する細胞応答を誘導する。環状AMPは各種神経伝達物質に対する細胞応答も誘導する。
【0004】
ホスホジエステラーゼ(「PDE」)は3’,5’環状ヌクレオチドを5’ヌクレオシド一リン酸に代謝させることにより、cAMPの第2のメッセンジャー活性を終了させる酵素ファミリーである。特に、親和性の高いcAMP特異的なIV型PDEであるホスホジエステラーゼ4(「PDE4」、あるいは「PDE−IV」とも言う)は新規抗喘息及び抗炎症性化合物開発の可能性ある標的として注目されている。PDE4は各々異なる遺伝子によりコードされる少なくとも4種のアイソザイムとして存在することが分かっている。4種の公知PDE4遺伝子産物の各々がアレルギー及び/又は炎症応答に様々な役割を果たすと考えられている。従って、PDE4、特に有害な応答を生じる特定PDE4アイソフォームの阻害はアレルギー及び炎症症状に有益に作用すると考えられている。PDE4活性を阻害する新規化合物及び組成物を提供できるならば望ましい。
【0005】
PDE4阻害剤の使用に伴う主な問題はC.Burnoufら(「Burnouf」),Ann.Rep.In Med.Chem.,33:91−109(1998)に記載されているような数種の候補化合物で観察されている嘔吐の副作用である。B.Hughesら,Br.J.Pharmacol.,118:1 183−1191(1996);M.J.Perryら,Cell Biochem.Biophys.,29:113−132(1998);S.B.Christensenら,J.Med.Chem.,41:821−835(1998);及びBurnoufは各種化合物が示す望ましくない副作用の重篤度が大きく変動することを記載している。M.D.Houslayら,Adv.In Pharmacol,44:225−342(1998)及びD.Spinaら,Adv.In Pharmacol,44:33−89(1998)に記載されているように、治療薬としてのPDE4阻害剤は大きな関心を集め、広く研究されている。
【0006】
国際特許公開WO9422852はPDE4阻害剤としてのキノリンについて記載している。国際特許公開WO9907704はPDE4阻害剤としての1−アリール−1,8−ナフチリジン−4−オン誘導体について記載している。
【0007】
WO2004/048374(公開日2004年6月10日)は式(21)の化合物とその製造方法を開示している。
【0008】
WO2004/048377(公開日2004年6月10日)及びUS6,909,002(発行日2005年6月21日)はナフチリデンPDE4阻害剤の製造に有用な方法を開示している。
【発明の開示】
【0009】
発明の要旨
本発明は構造式(22):
【0010】
【化4】

の化合物、構造式(22)の結晶形態とその遊離酸、これらの化合物を含有する医薬組成物、並びにこれらの化合物の製造及び使用方法に関する。
【0011】
図面の簡単な説明
図1は、構造式(22)の結晶性ナトリウム塩の特徴的X線回折パターンを示す。
図2は、構造式(22)の結晶性ナトリウム塩の炭素13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図3は、構造式(22)の結晶性ナトリウム塩のフッ素19マジック角回転(MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図4は、構造式(22)の結晶性ナトリウム塩の典型的ラマンスペクトルを示す。
図5は、構造式(21)の結晶性遊離酸の特徴的X線回折パターンを示す。
図6は、構造式(21)の結晶性遊離酸の炭素13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図7は、構造式(21)の結晶性遊離酸のフッ素19マジック角回転(MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
図8は、構造式(21)の結晶性遊離酸の典型的示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。
【0012】
図1からの主要ピークは以下の通りである(波長CuKα)。
【0013】
【表11】

【0014】
図5からの主要ピークは以下の通りである(波長CuKα)。
【0015】
【表12】

【0016】
発明の詳細な説明
1側面では、本発明は式(22):
【0017】
【化5】

の化合物に関する。
【0018】
別の側面では、構造式(22)の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物が提供される。
【0019】
この側面には、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン生合成阻害剤、M2/M3アンタゴニスト、コルチコステロイド、H1受容体アンタゴニスト又はβ2アドレナリン受容体アゴニストを更に含有する類の医薬組成物が含まれる。
【0020】
この側面には、COX−2選択的阻害剤、スタチン又はNSAIDを更に含有する別の類の医薬組成物が含まれる。
【0021】
別の側面では、本発明は治療有効量又は予防有効量の構造式(22)の化合物を投与する段階を含む喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肉芽腫、乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋及び脳の再潅流傷害、炎症性関節炎、骨粗鬆症、慢性糸球体腎炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、動物の慢性閉塞性肺疾患、尿崩症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、神経性炎症、疼痛、咳、関節リウマチ、強直性脊椎炎、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、胃酸分泌過多、細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性、変形性関節症、癌、悪液質、筋肉疲労、鬱病、記憶障害、単極性鬱病、炎症性要素を伴う急性及び慢性神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄損傷、頭部外傷、多発性硬化症、腫瘍増殖並びに正常組織の癌浸潤の治療又は予防方法に関する。
【0022】
別の側面では、本発明は安全な認知力増進量の構造式(22)の化合物を投与する段階を含む対象における認知力の増進方法に関する。
【0023】
別の側面では、本発明は構造式(22)の化合物の結晶形態に関する。
【0024】
別の側面では、本発明は構造式(21):
【0025】
【化6】

の化合物の結晶形態に関する。
【0026】
別の側面では、構造式(21)又は(22)の結晶性化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物が提供される。
【0027】
この側面には、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン生合成阻害剤、M2/M3アンタゴニスト、コルチコステロイド、H1受容体アンタゴニスト又はβ2アドレナリン受容体アゴニストを更に含有する類の医薬組成物が含まれる。
【0028】
この側面には、COX−2選択的阻害剤、スタチン又はNSAIDを更に含有する別の類の医薬組成物が含まれる。
【0029】
別の側面では、本発明は治療有効量又は予防有効量の構造式(21)又は(22)の結晶性化合物を投与する段階を含む喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肉芽腫、乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋及び脳の再潅流傷害、炎症性関節炎、骨粗鬆症、慢性糸球体腎炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、動物の慢性閉塞性肺疾患、尿崩症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、神経性炎症、疼痛、咳、関節リウマチ、強直性脊椎炎、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、胃酸分泌過多、細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性、変形性関節症、癌、悪液質、筋肉疲労、鬱病、記憶障害、単極性鬱病、炎症性要素を伴う急性及び慢性神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄損傷、頭部外傷、多発性硬化症、腫瘍増殖並びに正常組織の癌浸潤の治療又は予防方法に関する。
【0030】
別の側面では、本発明は安全な認知力増進量の構造式(21)又は(22)の結晶性化合物を投与する段階を含む対象における認知力の増進方法に関する。
【0031】
別の側面では、本発明は構造式(22)の化合物の結晶性塩と、検出可能な量の場合により結晶性の構造式(21)の遊離酸を含有する組成物に関する。
【0032】
この側面には、約5〜約100重量%の前記場合により結晶性の遊離酸を含有する類の組成物が含まれる。
【0033】
この側面には、約10〜約100重量%の前記場合により結晶性の遊離酸を含有する類の組成物が含まれる。
【0034】
この側面には、約25〜約100重量%の前記場合により結晶性の遊離酸を含有する類の組成物が含まれる。
【0035】
この側面には、約50〜約100重量%の前記場合により結晶性の遊離酸を含有する類の組成物が含まれる。
【0036】
この側面には、約75〜約100重量%の前記場合により結晶性の遊離酸を含有する類の組成物が含まれる。
【0037】
この側面には、実質的に全部が前記場合により結晶性の遊離酸から構成される類の組成物が含まれる。
【0038】
1側面では、本発明は式(20)、(21)及び(22):
【0039】
【化7】

の化合物の製造方法として、
(a)式(5):
【0040】
【化8】

の化合物を第1の溶媒中でピナコール:
【0041】
【化9】

と反応させ、式(15):
【0042】
【化10】

のエステルを得る段階と、
(b)式(15)のエステルを非プロトン性溶媒中でルイス酸及びシクロプロピルアミン:
【0043】
【化11】

と反応させた後に酸性水溶液で洗浄し、式(16):
【0044】
【化12】

の化合物を得る段階と、
(c)パラジウム触媒とホスフィン配位子を第3の溶媒に懸濁した懸濁液中で式(16)の化合物を式(3):
【0045】
【化13】

の臭化アリールと反応させた後に水性緩衝液を加え、式(20):
【0046】
【化14】

の化合物を得る段階と、
(d)式(20)の化合物をC1−6アルカノール溶媒中で強塩基と反応させ、式(21):
【0047】
【化15】

の化合物を得る段階と、
(e)水とC1−6アルカノール溶媒を含む溶媒中で式(21)の化合物をナトリウム塩基と反応させ、式(22):
【0048】
【化16】

の化合物を得る段階を含む方法に関する。
【0049】
段階(a)に関して、式(5)の化合物とピナコールのモル比は約0.5:1〜2:1であり、一般には約1:1であり、ピナコールを僅かに過剰とする。本明細書の趣旨では、第1の溶媒は共沸蒸留により水を除去することが可能な任意非反応性溶媒として定義される。第1の溶媒としてはトルエンやキシレン等の溶媒が挙げられる。反応段階(a)は60〜120℃、一般には80〜110℃の温度範囲で適切に実施することができ、実質的に完了するまで1〜6時間、一般には2〜4時間進行させる。
【0050】
段階(b)に関して、式(15)の化合物とルイス酸のモル比は約0.5:1〜2:1であり、一般には約1:1であり、エステルを僅かに過剰とする。式(15)の化合物とシクロプロピルアミンのモル比は約0.8:1〜1:6であり、一般には約1:3〜1:5である。本明細書の趣旨では、非プロトン性溶媒はジメチルアセトアミド(DMAc)とジメチルホルムアミド(DMF)を含むものとして定義される。この反応段階の趣旨では、ルイス酸はMgClとZnClを含むものとして定義される。反応段階(b)は0〜60℃、一般には15〜50℃の温度範囲で適切に実施することができ、実質的に完了するまで1〜6時間、一般には2〜4時間進行させる。
【0051】
段階(c)に関して、式(16)の化合物と式(3)の化合物のモル比は約0.5:1〜2.0:1であり、一般には約1:1である。パラジウム触媒と式16の化合物のモル比は約0.001:1〜0.1:1であり、一般には0.02:1〜0.05:1である。水性緩衝液と式(16)の化合物のモル比は2:1以上である。水性緩衝液としては炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カリウム等の緩衝液が挙げられる。ホスフィン配位子と式16の化合物のモル比は約0.05:1〜0.5:1であり、一般には0.1:1〜0.3:1である。本明細書の趣旨では、第3の溶媒はジメチルホルムアミド、プロパノール(n−プロパノールを含む)及びこれらの溶媒の混合物を含むものとして定義される。ホスフィン配位子はP(t−ブチル)、P(Cy)及びP(t−ブチル)(ビフェニル)等のP(C1−6アルキル)又は(フェニル)等のP(アリール)を含むものとして定義される。本明細書の趣旨では、パラジウム触媒としては、Fu触媒(即ちP(t−ブチル)−Pd−P(t−ブチル))、[PdCl(アリル)]、Pd(dba)、及び[P(t−ブチル)PdBr](Johnson−Matthey触媒)が挙げられる。反応段階(c)は0〜100℃、一般には20〜85℃の温度範囲で適切に実施することができ、実質的に完了するまで進行させる。
【0052】
段階(d)に関して、式(20)の化合物とNaSのモル比は約1:0.05〜1:0.2であり、一般には約1:0.1である。式(20)の化合物と強塩基のモル比は約1:2〜1:4であり、一般には1:3以上である。強塩基としては水素化ナトリウムが挙げられる。本明細書の趣旨では、C1−6アルカノール溶媒はメタノール、エタノール、i−プロパノール及びn−プロパノールを含むものとして定義される。反応段階(d)は実質的に完了するまで0.5〜4時間、一般には1〜3時間進行させる。
【0053】
段階(e)に関して、式(21)の化合物とナトリウム塩基のモル比は約0.5:1〜2.0:1.05であり、一般には約1:1又はナトリウム塩基過剰である。本明細書の趣旨では、C1−6アルカノール溶媒は段階(d)で定義した通りである。本明細書の趣旨では、ナトリウム塩基は水酸化ナトリウムとナトリウムメトキシド等のナトリウムアルコキシドを含むものとして定義される。反応段階(e)は0〜100℃、一般には20〜80℃の温度範囲で適切に実施することができ、実質的に完了するまで進行させる。
【0054】
この側面には、
非プロトン性溶媒がジメチルアセトアミド又はジメチルホルムアミドであり;
ルイス酸がMgCl又はZnClであり;
パラジウム触媒がP(t−ブチル)−Pd−P(t−ブチル)、[PdCl(アリル)]、Pd(dba)又は[P(t−ブチル)PdBr]であり;
ホスフィン配位子がP(t−ブチル)、P(Cy)又はP(フェニル)であり;
第3の溶媒がジメチルホルムアミド又はプロパノール又はその混合物であり;
強塩基が水酸化ナトリウムであり;
ナトリウム塩基が水酸化ナトリウム又はナトリウムアルコキシドであり;
1−6アルカノール溶媒がメタノール、エタノール、i−プロパノール又はn−プロパノールであり;
水性緩衝液が炭酸ナトリウムである類が含まれる。
【0055】
別の側面では、本発明は式(3):
【0056】
【化17】

の中間体化合物の製造方法として、
(f)MTEB(メチルt−ブチルエーテル)中で酸素の不在下にトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)−ベンゼン錯体を式(10):
【0057】
【化18】

のビスオキサゾリン配位子と反応させ、式(10−Cu):
【0058】
【化19】

をもつと考えられる銅(I)触媒を得る段階と、
(g)MTEB中で式(10−Cu)の銅(I)触媒の存在下に式(2):
【0059】
【化20】

のビニルベンゼンをジアゾ酢酸エチルと反応させ、式(3):
【0060】
【化21】

の化合物を生成する段階を含む方法を包含する。
【0061】
段階(f)に関して、式(10)の配位子とトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)−ベンゼン錯体のモル比は約0.5:1〜2.0:1であり、一般には約1:1〜1.5:1である。本明細書の趣旨では、溶媒はメチルt−ブチルエーテル、THF、ヘキサン類、ヘプタン及びトルエンを含むものとして定義される。反応段階(f)は0〜50℃、一般には10〜30℃の温度範囲で適切に実施することができ、実質的に完了するまで0.5〜2時間進行させる。
【0062】
段階(g)に関して、式(2)のビニルベンゼンとジアゾ酢酸エチルのモル比は約0.3:1〜2.0:1であり、一般には約1:2である。本明細書の趣旨では、溶媒はメチルt−ブチルエーテル、THF、ヘキサン類、ヘプタン及びトルエンを含むものとして定義される。反応段階(g)は実質的に完了するまで進行させる。
【0063】
別の側面では、本発明は式(2):
【0064】
【化22】

の中間体化合物の製造方法として、
(h)炭化水素溶媒中でホスフィン配位子とパラジウム触媒の存在下に式(1):
【0065】
【化23】

の化合物を式:
【0066】
【化24】

の塩化ビニルマグネシウム及びZnClと反応させ、式(2)の化合物を得る段階を含む方法を包含する。
【0067】
段階(h)に関して、式(1)の化合物と塩化ビニルマグネシウムのモル比は約0.3:1〜3:1であり、一般には約1:2である。式(1)の化合物とZnClのモル比は約1:1である。本明細書の趣旨では、炭化水素溶媒はTHF、ペンタン類、ヘキサン類、ヘキサン及びトルエンを含むものとして定義される。本明細書の趣旨では、ホスフィン配位子はP(t−ブチル)、P(Cy)、P(t−ブチル)(ビフェニル)等のP(C1−6アルキル)とP(フェニル)等のP(アリール)を含むものとして定義される。本明細書の趣旨では、パラジウム触媒としては、Fu触媒(即ちP(t−ブチル)−Pd−P(t−ブチル))、[PdCl(アリル)]、Pd(dba)、及び[P(t−ブチル)PdBr](Johnson−Matthey触媒)が挙げられる。反応段階(h)は実質的に完了するまで1〜10時間、一般には2〜6時間進行させる。
【0068】
この側面には、
炭化水素溶媒がペンタン又はヘキサンであり;
ホスフィン配位子がP(t−ブチル)、P(Cy)、P(t−ブチル)(ビフェニル)又はP(フェニル)であり;
パラジウム触媒がP(t−ブチル)−Pd−P(t−ブチル)、[PdCl(アリル)]、Pd(dba)又は[P(t−ブチル)PdBr]である類が含まれる。
【0069】
別の側面では、式(3):
【0070】
【化25】

の純度を増加させる方法として、そのシス対応部分、式(3−cis)の化合物、並びに式(11)及び(12):
【0071】
【化26】

の化合物を除去することにより純度を増加させる方法が提供され、本方法は、
(i)C1−6アルカノール中で前記化合物を水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤と反応させ、式(11)及び(12)の化合物を式(11a):
【0072】
【化27】

の化合物に還元し、
式(11a)の化合物と3−cisを除去する段階と、
(j)段階(i)の生成物をLiOHで加水分解し、式(3)の化合物を式(13):
【0073】
【化28】

の化合物又はそのLi塩に変換し、式(11a)の化合物をその二酸又はリチウム塩に変換する段階と、
(k)MTBE、ヘプタン及び/又はその混合物等の有機溶媒で抽出することによりcis−3を除去する段階と、
(l)メタノール、水又はその混合物等の適切な結晶化溶媒から結晶化させることにより式13の化合物を精製する段階と、
(m)式13の化合物をエタノール及び塩化チオニルと反応させ、式(3)の化合物を形成する段階を含む。
【0074】
式(21)及び(22)の化合物は有用なホスホジエステラーゼ4阻害剤であり、哺乳動物における例えば喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肉芽腫、乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋及び脳の再潅流傷害、炎症性関節炎、骨粗鬆症、慢性糸球体腎炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、動物の慢性閉塞性肺疾患、尿崩症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、神経性炎症、疼痛、咳、関節リウマチ、強直性脊椎炎、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、胃酸分泌過多、細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性、変形性関節症、癌、悪液質、筋肉疲労、鬱病、記憶障害、単極性鬱病、炎症性要素を伴う急性及び慢性神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄損傷、頭部外傷、多発性硬化症、腫瘍増殖並びに正常組織の癌浸潤の治療に有用である。
【0075】
本発明の医薬組成物は活性成分としての式(21)又は(22)により表される化合物と、医薬的に許容可能なキャリヤーと、場合により他の治療成分又はアジュバントを含有する。このような他の治療成分としては、例えばi)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ii)ロイコトリエン生合成阻害剤、iii)コルチコステロイド、iv)H1受容体アンタゴニスト、v)β2アドレナリン受容体アゴニスト、vi)COX−2選択的阻害剤、vii)スタチン類、viii)非ステロイド性抗炎症薬(「NSAID」)、及びix)M2/M3アンタゴニストが挙げられる。組成物としては経口、直腸、局所及び非経口(皮下、筋肉内及び静脈内を含む)投与に適した組成物が挙げられるが、任意所与患者に最適な経路は特定宿主、及び活性成分が投与される症状の種類と重篤度により異なる。医薬組成物は単位用量形態にすると適切であると思われ、製薬分野で周知の任意方法により製造することができる。
【0076】
局所用には、式Iの化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液を利用することができる。本発明の趣旨では、マウスウォッシュと嗽薬も局所用の範囲に含む。
【0077】
i)肺疾患(例えば喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、咳、動物の慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、及び小児呼吸窮迫症候群)、ii)胃腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎、クローン病、及び胃酸分泌過多)、iii)感染症(例えば細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、及び敗血症性ショック)、iv)神経疾患(例えば脊髄損傷、頭部外傷、神経性炎症、疼痛、及び脳の再潅流傷害)、v)炎症性疾患(例えば乾癬性関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性)、vi)アレルギー性疾患(例えばアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎及び好酸球性肉芽腫)、vii)精神疾患(例えば鬱病、記憶障害及び単極性鬱病)、viii)神経変性疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、急性及び慢性多発性硬化症)、ix)皮膚疾患(例えば乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、並びに蕁麻疹)、x)腫瘍疾患(例えば癌、腫瘍増殖及び正常組織の癌浸潤)、xi)代謝疾患(例えば尿崩症)、xii)骨疾患(例えば骨粗鬆症)、xiii)心臓血管疾患(例えば動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、心筋の再潅流傷害)、及びxiv)他の疾患(例えば慢性糸球体腎炎、春季カタル、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、並びに悪液質)等のPDE4阻害剤に応答性の症状の治療には、約0.001mg/kg〜約140mg/kg体重/日(又は約0.05mg〜約7g/患者/日)の用量レベルが有用である。例えば、炎症は化合物約0.005mg〜10又は25又は50mg/kg体重/日、あるいは約0.25mg〜約2.5g/患者/日を投与することにより有効に治療することができる。更に、当然のことながら、本発明のPDE4阻害性化合物は上記症状を予防するために予防薬として有効な用量レベルで投与することができる。
【0078】
単一用量形態を製造するためにキャリヤー材料と配合することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方法により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤は合計組成物の約5〜約95%の範囲の妥当且つ適切な量のキャリヤー材料と活性剤約0.25mg〜約5gを配合すると適切であると思われる。単位用量形態は一般に活性成分約0.01mg〜約1000mg、一般には0.01mg、0.05mg、0.25mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有する。
【0079】
しかし、当然のことながら、任意特定患者の特定用量レベルは年齢、体重、一般健康状態、性別、食事、投与時間、投与方法、排泄速度、薬剤併用及び治療する特定疾患の重篤度等の種々の因子により異なる。
【0080】
実際には、本発明の式Iにより表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩を活性成分として慣用医薬配合技術により医薬キャリヤーと混和することができる。キャリヤーは例えば経口又は非経口(静脈内を含む)等の投与に所望される製剤形態に応じて多様な形態をとることができる。従って、本発明の医薬組成物は規定量の活性成分を各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤等の経口投与に適した分離単位形態とすることができる。更に、組成物は散剤、顆粒剤、溶液剤、水性液体懸濁液剤、非水性液剤、水中油エマルション又は油中水液エマルションとすることができる。上記一般剤形に加え、式Iにより表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩は制御放出手段及び/又は送達装置により投与することもできる。組成物は任意製薬法により製造することができる。一般に、このような方法は1種以上の必要成分を構成するキャリヤーと活性成分を配合する段階を含む。一般に、組成物は活性成分を液体キャリヤー又は微粉状固体キャリヤー又はその両者と均一混和することにより製造される。その後、製剤を所望形態に適切に成形することができる。
【0081】
従って、本発明の医薬組成物は医薬的に許容可能なキャリヤーと式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有することができる。式Iの化合物又はその医薬的に許容可能な塩を医薬組成物で1種以上の他の治療活性化合物と併用してもよい。
【0082】
使用する医薬キャリヤーは例えば固体、液体又は気体とすることができる。固体キャリヤーの例としては乳糖、石膏、蔗糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアガム、ステアリン酸マグネシウム及びステアリン酸が挙げられる。液体キャリヤーの例としては糖蜜、落花生油、オリーブ油及び水が挙げられる。気体キャリヤーの例としては二酸化炭素と窒素が挙げられる。
【0083】
経口剤形用組成物を製造するには、適当な任意医薬媒体を使用することができる。例えば、水、グリコール、油類、アルコール類、香味剤、防腐剤、着色剤等を使用して懸濁液剤、エリキシル剤及び溶液剤等の経口液体製剤を形成することができ、澱粉、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、顆粒化剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等のキャリヤーを使用して散剤、カプセル剤及び錠剤等の経口固体製剤を形成することができる。投与し易いという理由から錠剤とカプセル剤が好ましい経口用量単位であるので、固体医薬キャリヤーを利用する。場合により、標準水性又は非水性技術により錠剤に被覆してもよい。
【0084】
本発明の組成物を含有する錠剤は場合により1種以上の補助成分又はアジュバントを加えて圧縮又は成形により製造することができる。圧縮錠は散剤や顆粒剤等のさらさらした形態の活性成分を場合により結合剤、滑沢剤、不活性希釈剤、界面活性剤又は分散剤と混合し、適当な機械で圧縮することにより製造することができる。成形錠は不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化合物の混合物を適当な機械で成形することにより製造することができる。錠剤は1錠当たり活性成分約0.1mg〜約500mgを含有することが好ましく、各カシェ剤又はカプセル剤は活性成分約0.1mg〜約500mgを含有することが好ましい。
【0085】
非経口投与に適した本発明の医薬組成物は活性化合物の水溶液又は水性懸濁液として製造することができる。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース等の適当な界面活性剤を加えることができる。グリセロール、液体ポリエチレングリコール及びその油中混合物で分散液剤を製造することもできる。更に、微生物の有害な増殖を防ぐために防腐剤を加えてもよい。
【0086】
注射用に適した本発明の医薬組成物としては滅菌水溶液又は分散液が挙げられる。更に、組成物は前記滅菌注射溶液又は分散液の即席調製用滅菌粉末の形態でもよい。いずれの場合も、最終注射剤形態は無菌でなければならず、注射針を通過し易いように十分流動性でなければならない。医薬組成物は製造及び貯蔵条件下で安定でなければならないので、細菌や真菌等の微生物の汚染作用から保護することが好ましい。キャリヤーは例えば、水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール)、シクロデキストリン、植物油及び適当なその混合物を含む溶媒又は分散媒とすることができる。
【0087】
本発明の医薬組成物は例えばエアゾール、クリーム、軟膏、ローション、散布剤等の局所用に適した形態とすることができる。更に、組成物は経皮装置で使用するのに適した形態とすることができる。これらの製剤は本発明の式Iにより表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩を使用して慣用加工法により製造することができる。1例として、クリーム又は軟膏は親水性材料と水を化合物約5重量%〜約10重量%と混合して所望コンシステンシーをもつクリーム又は軟膏とすることにより製造される。
【0088】
本発明の医薬組成物はキャリヤーを固体とする直腸投与に適した形態とすることができる。混合物は単位用量座剤を形成することが好ましい。適切なキャリヤーとしてはカカオバターや当分野で一般に使用されている他の材料が挙げられる。座剤はまず組成物を軟化又は溶融キャリヤーと混合した後に冷却し、型で成形することにより適切に形成することができる。
【0089】
上記キャリヤー成分に加え、上記医薬製剤は希釈剤、緩衝液、香味剤、結合剤、界面活性剤、増粘剤、滑沢剤、防腐剤(酸化防止剤を含む)等の1種以上の他のキャリヤー成分を適宜添加することができる。更に、製剤を所期レシピエントの血液と等張にするように他のアジュバントを添加することができる。式Iにより表される化合物又はその医薬的に許容可能な塩を含有する組成物は粉末又は濃厚液形態で製造してもよい。
【0090】
本発明の化合物及び医薬組成物はPDE4阻害剤としての生物活性を示すことが判明した。従って、本発明の別の側面は有効量の本発明の化合物の投与による哺乳動物における以下の疾患の治療、例えばi)肺疾患(例えば喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、咳、動物の慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、及び小児呼吸窮迫症候群)、ii)胃腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎、クローン病、及び胃酸分泌過多)、iii)感染症(例えば細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、及び敗血症性ショック)、iv)神経疾患(例えば脊髄損傷、頭部外傷、神経性炎症、疼痛、及び脳の再潅流傷害)、v)炎症性疾患(例えば乾癬性関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性)、vi)アレルギー性疾患(例えばアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎及び好酸球性肉芽腫)、vii)精神疾患(例えば鬱病、記憶障害及び単極性鬱病)、viii)神経変性疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、急性及び慢性多発性硬化症)、ix)皮膚疾患(例えば乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、並びに蕁麻疹)、x)腫瘍疾患(例えば癌、腫瘍増殖及び正常組織の癌浸潤)、xi)代謝疾患(例えば尿崩症)、xii)骨疾患(例えば骨粗鬆症)、xiii)心臓血管疾患(例えば動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、心筋の再潅流傷害)、及びxiv)他の疾患(例えば慢性糸球体腎炎、春季カタル、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、並びに悪液質)、即ちPDE4アイソザイムの阻害により改善することができ、その結果としてcAMP値が上昇する疾患の治療である。「哺乳動物」なる用語はヒトと他の動物(例えばイヌ、ネコ、ウマ、ブタ及びウシ)を意味する。従って、当然のことながらヒト以外の哺乳動物の治療はヒト疾患である上記例に相関する臨床疾患の治療である。
【0091】
更に、上述のように、本発明の化合物は他の治療化合物と併用することができる。特に、本発明のPDE4阻害性化合物はi)ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ii)ロイコトリエン生合成阻害剤、iii)COX−2選択的阻害剤、iv)スタチン類、v)NSAID、vi)M2/M3アンタゴニスト、vii)コルチコステロイド、viii)H1(ヒスタミン)受容体アンタゴニスト及びix)β2アドレナリン受容体アゴニストと有利に併用することができる。
【0092】
従って、例えば、肺疾患(例えば喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、咳、動物の慢性閉塞性肺疾患、成人呼吸窮迫症候群、及び小児呼吸窮迫症候群)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0093】
胃腸疾患(例えば潰瘍性大腸炎、クローン病、及び胃酸分泌過多)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0094】
感染症(例えば細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、及び敗血症性ショック)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0095】
神経疾患(例えば脊髄損傷、頭部外傷、神経性炎症、疼痛、及び脳の再潅流傷害)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0096】
炎症性疾患(例えば乾癬性関節炎、関節リウマチ、強直性脊椎炎、変形性関節症、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0097】
アレルギー性疾患(例えばアレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎及び好酸球性肉芽腫)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0098】
精神疾患(例えば鬱病、記憶障害及び単極性鬱病)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0099】
神経変性疾患(例えばパーキンソン病、アルツハイマー病、急性及び慢性多発性硬化症)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0100】
皮膚疾患(例えば乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、アトピー性皮膚炎、並びに蕁麻疹)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0101】
腫瘍疾患(例えば癌、腫瘍増殖及び正常組織の癌浸潤)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0102】
代謝疾患(例えば尿崩症)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0103】
骨疾患(例えば骨粗鬆症)、心臓血管疾患(例えば動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、心筋の再潅流傷害)、及び他の疾患(例えば慢性糸球体腎炎、春季カタル、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、並びに悪液質)は本願の化合物又はその医薬的に許容可能な塩の活性成分0.25mg、0.5mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg又は500mgを各々含有するカプセル剤、カシェ剤又は錠剤を1日1回、2回又は3回投与することにより適切に治療することができる。
【0104】
認知力増進(例えば記憶力、学習力、記憶保持力、回想力、認識力及び判断力増進)には、約0.0001mg/kg〜約50mg/kg体重/日又は約0.005mg〜約2.5g/患者/日の用量レベルが有用である。あるいは、化合物約0.001mg〜10mg/kg体重/日、又は約0.05mg〜約500mg/患者/日の用量レベルが有用である。
【0105】
単一用量形態を製造するためにキャリヤー材料と配合することができる活性成分の量は治療する宿主と特定投与方法により異なる。例えば、ヒト経口投与用製剤は活性剤約0.005mg〜約2.5gを妥当且つ適切な量のキャリヤー材料と配合すると適切であると思われる。単位用量形態は一般に活性成分約0.005mg〜約1000mgを含有し、一般には0.005、0.01mg、0.05mg、0.25mg、1mg、5mg、25mg、50mg、100mg、200mg、300mg、400mg、500mg、600mg、800mg又は1000mgを含有し、1日1回、2回又は3回投与する。
【実施例】
【0106】
生物活性を立証するアッセイ
ヒト全血におけるLPS及びFMLP誘導性TNF−α及びLTBアッセイ
全血はPDE4選択的阻害剤等の抗炎症性化合物の生化学的効力の試験に適切な蛋白及び細胞含量の高い培地を提供する。正常非刺激ヒト血液は検出可能な濃度のTNF−α及びLTBを含有していない。LPSで刺激すると、活性化された単球は8時間までTNF−αを発現及び分泌し、血漿濃度は24時間安定に維持される。公開された研究報告によると、PDE4阻害及び/又はアデニル酸シクラーゼ活性亢進により細胞内cAMPが上昇することによるTNF−αの阻害は転写レベルで生じることが分かっている。LTB合成も細胞内cAMP値に感受性であり、PDE4選択的阻害剤により完全に阻害することができる。全血の24時間LPS刺激中にLTBは殆ど産生されないので、活性化好中球によるLTB合成には更にLPS刺激を加えた後にヒト全血をfMLPで攻撃することが必要である。従って、同一血液サンプルを使用することにより、全血中のPDE4活性の2種の代理マーカーに及ぼす化合物の効力を以下の手順により評価することが可能である。
【0107】
健康な(男女)ヒトボランティアから静脈穿刺により新鮮血液をヘパリン管に採血した。これらの対象は外観上炎症症状がなく、採血前少なくとも4日間NSAIDの投与を停止した。500μL血液アリコートをビヒクル(DMSO)2μL又は各種濃度の試験化合物2μLと共に15分間37℃でプレインキュベートした。その後、ブランクとしてビヒクル(PBS)10μL又はLPS(終濃度1μg/mL,大腸菌由来#L−2630(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO),血清型0111:B4;(PBS中)0.1%w/v BSAで希釈)10μLを加えた。24時間37℃でインキュベーション後、更にPBS(ブランク)10μL又はLPS(終濃度1μg/mL)10μLを血液に加え、30分間37℃でインキュベートした。次に、血液をPBS(ブランク)10μL又はfMLP(終濃度1μM,#F−3506(Sigma);(PBS中)1%w/v BSAで希釈)10μLで15分間37℃にて攻撃した。血液サンプルを1500×gで10分間4℃にて遠心し、血漿を得た。50μL血漿アリコートを蛋白沈殿のためにメタノール200μLと混合し、上記のように遠心した。酵素イムノアッセイキット(Cayman Chemical Co.,Ann Arbor,MI製品#520111)を製造業者の手順に従って使用して上清のLTBをアッセイした。ELISAキット(Cistron Biotechnology,Pine Brook,NJ)を製造業者の手順に従って使用して(PBSで)希釈した血漿中のTNF−αをアッセイした。
【0108】
インビボ抗アレルギー活性
感作モルモットによる抗原吸入により誘導したIgEによるアレルギー性肺炎症に及ぼす効果について本発明の化合物を試験した。抗原を水酸化アルミニウム及び百日咳ワクチンと共に腹腔内注射することにより、シクロホスファミドによる軽度免疫抑制条件下にまずモルモットをオボアルブミン感作した。2週間後と4週間後にブースター用量の抗原を投与した。6週目に抗ヒスタミン剤(メピラミン)の腹腔内投与下に動物をエアゾール化オボアルブミンで攻撃した。更に48時間後に、気管支肺胞洗浄(BAL)を実施し、BAL液中の好酸球及び他の白血球数を計数した。更に、炎症性損傷の組織学的試験のために肺を摘出した。抗原攻撃後48時間3回まで実施例の化合物を投与(0.001〜10g/kg i.p.又はp.o.)すると、好酸球増加症及び他の炎症性白血球の蓄積は有意に低減する。
【0109】
SPAに基づくPDE活性アッセイプロトコール
IV型cAMP特異的ホスホジエステラーゼによるcAMPからAMPへの加水分解を阻害する化合物を96ウェルプレートフォーマットで以下のようにスクリーニングした。
【0110】
30℃の96ウェルプレートに試験化合物(DMSO 2μLに溶解)と、[2,8−H]アデノシン3’,5’−環状リン酸(cAMP,100nM〜50μM)、10mM MgCl、1mM EDTA,50mM Tris,pH7.5を含有する基質緩衝液188mLを加えた。10mLのヒト組換えPDE4を加えることにより反応を開始した(10分で〜10%生成物が形成されるように量を調節した。)。10分後にPDE−SPAビーズ(Amersham Pharmacia Biotech,Inc.,Piscataway,NJ)1mgを加えることにより反応を停止した。生成した生成物AMPをWallac Microbeta(登録商標)96ウェルプレートカウンター(EG&G Wallac Co.,Gaithersburg,MD)で定量した。酵素の不在下のシグナルをバックグラウンドとして定義した。酵素とDMSOの存在下で検出されたシグナルからバックグラウンドを差し引いた値を100%活性として定義した。相応に阻害百分率を計算した。10点滴定からの標準4パラメーター/多重結合部位方程式を使用して非直線回帰フィットによりIC50値を近似した。
【0111】
以下に開示する実施例のIC50値はバキュロウイルス/Sf−9発現システムから生産されたヒト組換えホスホジエステラーゼIVb(met−248)の精製GST融合蛋白を使用して100nM cAMPで決定した。
【0112】
1.実験セクション
3.1.スチレン化合物2の製造
【0113】
【化29】

【0114】
【表1】

【0115】
72L容丸底フラスコに塩化亜鉛THF溶液(0.5M,33.2L,16.62mol)を加えた。溶液を−5℃まで冷却し、温度を20℃未満に維持しながら塩化ビニルマグネシウムTHF溶液(1.6M,20.80L,33.24mol)をゆっくりと加えた。トリフェニルホスフィン(149.5g,0.570mol)を加えた後、Pd(PPhCl(200g,0.285mol)を加えた。混合物を10分間撹拌し、1−ブロモ−3−フルオロ−4−ヨードベンゼンを加えた。HPLCにより反応が完了したと判断されるまで反応混合物を周囲温度で4〜6時間撹拌した。
【0116】
塩化亜鉛及び塩化ビニルマグネシウムTHF溶液の混合は発熱性であった。添加速度と冷却浴温度を調整することにより温度を制御した。
【0117】
ヨウ化アリール(1)の添加後のカップリング反応はやや発熱性であった。冷却浴の不在下では温度は約1時間で11℃から37℃まで上昇した後、低下した。
【0118】
200Lエキストラクターで予め冷却(0℃)しておいたペンタン(20L)、水(12L)及び濃HCl(1.0L)の混合物に反応混合物を注いでクエンチした。2層を分離した。有機層をペンタン(20L)で希釈し、水洗(16L)し、減圧濃縮した。
【0119】
化合物2は非常に揮発性であり、ロータリーエバポレーターで濃縮中に〜20%が失われた。濃縮前の生成物のアッセイによると、80〜85%の生成物収率が得られた。
【0120】
生成物を更に以下のように精製した。残渣をペンタン(10L)に取った。得られた懸濁液を濾過した。固形分をペンタン(1.0L)で洗浄した。濾液と洗浄液を合わせて濃縮した。粗油状物を0.1〜0.2mmHgで真空蒸留により精製した。
【0121】
精製物は淡黄色であり、0.1〜0.2mmHgで沸点45〜50℃であった。蒸留回収率は〜95%であった。生成物は93〜95重量%であった。蒸留釜内の残渣は蒸留後に液体であったが、冷却すると固化した。
【0122】
1.2.臭化シクロプロピルアリール3の製造
1.2.1.シクロプロパン化
【0123】
【化30】

【0124】
【表2】

【0125】
窒素雰囲気下で5L容丸底フラスコにトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)−ベンゼン錯体(39.0g,0.0775mol)を仕込んだ。フラスコに脱気MTBE(0.775L)を仕込み、15℃まで冷却した。ビスオキサゾリン配位子(49.7g,0.163mol)の脱気MTBE(2.33L)溶液をカニューレで加えた。得られた懸濁液を15〜25℃で1時間撹拌した後、30分間放置した。上清をインラインフィルターで濾過し、濃緑色触媒溶液を得た。
【0126】
トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)−ベンゼン錯体と得られる銅錯体は酸素感受性であるため、窒素雰囲気下で操作すべきである。
【0127】
Cu(I)触媒はin situ製造してもよい。その場合には、4−ブロモ−2−フルオロ−1−ビニルベンゼンをトリフルオロメタンスルホン酸銅(I)とビスオキサゾリン配位子のMTBE懸濁液に加え、透明な濃緑色溶液を得る。反応は著しく迅速に進行するが、選択性(de及びee)はやや低下する。
【0128】
機械的撹拌機、熱電対、窒素導入管及び投入用漏斗を取付けた72L容丸底フラスコに4−ブロモ−2−フルオロ−1−ビニルベンゼン(2.00kgアッセイ重量,9.95mol)を仕込んだ。フラスコを排気し、窒素を3回充填した。0〜5℃(ドライアイス−アセトン浴)まで冷却後、上記のように調製した銅(I)錯体溶液を加えた。ジアゾ酢酸エチル(38.7g,88%)の脱気MTBE(0.30L)溶液を5分間加え、得られた混合物を10分間熟成させ、GCによりアッセイした。
【0129】
ジアゾ酢酸エチルの蓄積は避けるべきである。生成物の形成が確認されるまで、残りのジアゾ酢酸エチルを添加してはならない。変換を開始するために反応混合物を加熱する(20〜30℃)ことが必要な場合もある。
【0130】
内部温度を−2〜13℃に維持しながら脱気MTBE(14.63L)中の残りのジアゾ酢酸エチル(1.90kg,88%)を7時間かけてゆっくりと加えた。添加の完了後、混合物を0〜5℃で2時間撹拌した。
【0131】
ジアゾ酢酸エチルの添加は非常に発熱性であり、多量の窒素ガスが発生する。ジアゾ酢酸エチルが蓄積しないように反応の進行をチェックする必要がある。ジアゾ酢酸エチルの添加中にガス発生又は発熱が停止する場合には、反応を再開するために反応混合物を加熱(20〜30℃)することが必要な場合もある。ビニルベンゼンの完全な消費後、ジアゾ酢酸エチルは自己反応してマレイン酸ジエチルとフマル酸ジエチルを生じ、窒素ガスと熱を発生する。
【0132】
ビニルベンゼンを完全に変換させるにはジアゾ酢酸エチルを僅かに過剰(1.5モル当量)にすれば十分である。しかし、分取実験室合成では、相当部分のビニルベンゼンが残留していた。従って、完全な変換を得るために追加量のジアゾ酢酸エチルを加えた。
【0133】
内部温度を0〜14℃に維持しながらジアゾ酢酸エチル(519g)の脱気MTBE(3.6L)溶液を90分間加えた。得られた混合物を0〜5℃で1時間撹拌し、15℃まで昇温した。
【0134】
NaBH(105.2g,2.78mol,二量体に対して約0.6モル当量)の無水エタノール(5.12L)溶液を反応溶液に加え、得られた混合物を13〜20℃(20〜25℃)で3.5時間撹拌した。
【0135】
NaBH還元はやや発熱性であり、バッチを冷却するために氷水浴を使用してもよい。NaBHの量はシクロプロパン化で生じた二量体の量に基づいて計算した。二量体を還元すると琥珀酸ジエチルが得られ、GCにより確認された。
【0136】
反応混合物を6℃まで冷却し、バッチ温度を6℃未満に維持しながら2M HCl水溶液(6.11L)を加えることによりクエンチした。得られた混合物を濾過し、17℃まで昇温した。有機層を分離し、飽和NaHCO水溶液(3.33L)で洗浄した。化学収量は2418.9g(85%)であった。
【0137】
1.2.2.加水分解
【0138】
【化31】

【0139】
【表3】

【0140】
機械的撹拌機、熱電対、窒素導入管及び投入用漏斗を取付けた72L容丸底フラスコにトランスエチルエステル(2.42kgアッセイ,シクロプロパン化からの粗溶液)を仕込んだ。溶液をMeOH(13.8L)で希釈し、フラスコを10分間窒素パージした。LiOH・HO(590g,13.8mol)のHO(6.90L)溶液をゆっくりと加えた。添加中に反応混合物の温度は13℃から23℃まで上昇した。追加量(227g)のLiOH・HOを加え、得られた混合物を38〜40℃まで4.5時間加熱した。
【0141】
出発時のエチルエステルをメタノールで加溶媒分解することによりまず対応するメチルエステルに変換した後に、カルボン酸に変換した。
【0142】
トランスエステルはシスエステルよりも塩基性メタノール又はNaOHに対する反応性が高い。生成物(カルボン酸)のジアステレオマー過剰率は出発材料よりも著しく高くすべきである。シス酸レベルがトランス酸よりも迅速に増加し始めるまで撹拌を続けた。生成物の最終ジアステレオマー過剰率は一般に97%(de)であった。
【0143】
反応混合物を20℃まで冷却し、エキストラクターシリンダーに移し、撹拌下にHO(28.7L)とヘプタン(5.42L)で希釈した。水層を分離し、インランイフィルターで濾過し、ヘプタン(9.88L)で洗浄した。ヘキサン(9.88L)とMTBE(13.1L)を加え、得られた混合物を0〜10℃まで冷却した。撹拌下に温度を10℃未満に維持しながらHCl水溶液(10.7L,2M)を加え、混合物を撹拌下に17℃まで昇温した。収量は2052.6g(94%)であった。
【0144】
溶媒を蒸発させ、得られた固形分を減圧乾燥した。乾燥した固形分をMeOH(5.31L)に溶かした。バッチ温度を23℃未満に維持しながらHO(2.92L)をゆっくりと加えた。カルボン酸(40g)のMeOH/HO(100mL/55mL)スラリーを種結晶として加えた。得られた混合物を23℃で10分間撹拌した。バッチ温度を24℃未満に維持しながらHO(15.5L)を80分間加え、スラリーを22〜24℃で2時間撹拌した。固形分を濾取し、HO(10.7L)で洗浄し、窒素流下に乾燥し、カルボン酸を淡黄色固体(2019gアッセイ重量)として得た。
【0145】
1.2.3.エステル化
【0146】
【化32】

【0147】
【表4】

【0148】
撹拌機と温度プローブを取付けた22L容丸底フラスコで4℃のアリールボロン酸13(2.19kg)のエタノール(9.0L)溶液に撹拌下に塩化チオニル(0.64L)を滴下漏斗で1時間加えた。添加の完了後、溶液を1時間11℃で撹拌した後、40〜45℃で2時間撹拌した。溶液を20℃まで冷却し、トルエン(9.0L)を加えた。撹拌機と温度プローブを取付けた100L容ジャケット付きシリンダーに水(12L)と炭酸ナトリウム一水和物(1.92kg)を仕込んだ。炭酸ナトリウム溶液を10℃まで冷却し、20分間15〜20℃で撹拌下に真空ラインを通して反応バッチを100L容シリンダーに移した。2相を分離し、水相をトルエン(5.0L)で逆抽出した。有機相を合わせて濃縮した。得られた溶液を次段階反応で直接使用した処、アッセイ収率は95%であった。
【0149】
3.3.アミドボロン酸の製造
3.3.1.ボロン酸ピナコールエステルの製造
【0150】
【化33】

【0151】
【表5】

【0152】
50L容フラスコで周囲温度のボロン酸5(3.01kg)のトルエン(30.0L)懸濁液に撹拌下にピナコール(0.83kg)を粉末用漏斗で加えた。漏斗に残分が残っている場合にはトルエン(0.5L)を使用してリンスした。混合物を還流温度に3時間加熱すると、この間に水は共沸蒸留により除去された(ディーン・スタークトラップで集めた)。
【0153】
初期還流温度は83.5℃であり、3時間で106℃まで上昇した。得られた溶液を一晩放冷すると、この間に生成物は結晶化した。
【0154】
酸22は0.2LCAP未満である。スペクトルにおけるB−OHのH NMR消滅。
【0155】
反応混合物を〜12Lまで減圧濃縮し、ヘキサン(24L)を加えた。懸濁液を周囲温度で2時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、フィルターケーキをヘキサン(2×4L)で洗浄した。生成物をフィルター上で一晩乾燥し、トレーに載せた真空オーブンに移し、窒素流下に35℃で乾燥し、95.2%収率で生成物(2.55kg,98.0重量%)を得た。濾液中の生成物損失率は3.2%であった。
【0156】
1.3.2.アミド化
【0157】
【化34】

【0158】
【表6】

【0159】
撹拌機と温度プローブを取付けた22L容丸底フラスコでピナコールエステル15(2.90kg)のDMAc(10L)懸濁液に撹拌下にMgCl(0.57kg)を一度に加えた。バッチの温度は24℃から38℃まで上昇した。懸濁液を脱気(3×窒素/真空パージ)し、シクロプロピルアミン(2.4L)を5分間加えた。バッチの温度は44.5℃まで上昇し、溶液が得られた。溶液を40〜45℃で3時間撹拌した。
【0160】
撹拌機と温度プローブを取付けた100L容ジャケット付きシリンダーに2.5N HCl(55L)を仕込んだ。バッチを減圧下に15〜18℃で1時間かけて100L容シリンダーに移した。トランスファーラインをDMAc(0.8L)でリンスし、水(4L)を加えた。懸濁液を15℃で2時間撹拌した。生成物を濾過により単離し、減圧乾燥した。
【0161】
濾過は非常に時間がかかったので、バッチを2個のフィルターポットに分けた。バッチを水洗した。
【0162】
乾燥工程は非常に時間がかかったが、生成物は水を含有しているので鈴木カップリングで使用することができる。この段階の単離収率は〜93%であった。
【0163】
3.4.鈴木カップリング
【0164】
【化35】

【0165】
【表7】

【0166】
機械的撹拌機、N導入管付き冷却器、熱電対及びストッパーを取付けた100L容四つ口フラスコをNパージし、DMF(8L)とnPrOH(8L)を仕込んだ後、Pd(OAc)(14.9g)とPPh(52.2g)を仕込んだ。固形分をDMF(4L)とnPrOH(4L)で洗浄した。
【0167】
Pd(OAc)が壁に付着すると反応中に黒変するので、固形分はフラスコから入念に洗浄する。
【0168】
混合物を15分間18〜23℃で撹拌した。フラスコにボロン酸(1.68kg)と臭化アリール(1.40kg)を加えた後、DMF(2.7L)、nPrOH(2.7L)、及びNaCO・HO(1.44kg)の2M HO(溶液5.79Lとするために十分な量)溶液を加えた。蒸気釜を使用して反応混合物を70℃まで加熱した。
【0169】
4時間後に、HPLCは0.3A%臭化アリールを示した。加熱を停止し、混合物を静かに撹拌しながら22℃まで2時間かけてゆっくりと冷却した。水(14.7L)を30分間加え、混合物を0〜5℃まで(1時間)冷却した。スラリーを濾過し、ケーキを冷1:1:2 DMF/nPrOH/HO(10L)とHO(30L)で順次洗浄した。ケーキを減圧下にNスイープで乾燥し、淡黄色固体1.61kgを得た。
【0170】
生成物は93.0重量%、96.2A%(89.7%収率)であった。パラジウム濃度は980ppmであった。濾液と1回目の洗浄液のHPLCは28g,1.7%を示した。
【0171】
1.5.加水分解とPd除去
【0172】
【化36】

【0173】
【表8】

【0174】
機械的撹拌機、熱電対、窒素導入管及び還流冷却器を取付けた72L容丸底フラスコに鈴木生成物(2.63kgアッセイ,Pd=299ppm)、Na(97.7g)及びMeOH(26.2L)を仕込んだ。NaOH水溶液(15.4L)を加え、混合物を2時間加熱還流した。
【0175】
鈴木生成物が完全に消費された後に、反応混合物を20℃まで冷却し、この温度で3〜12時間エージングさせた。得られた曇った溶液をセライトパッド(2.0kg)で濾過し、残留パラジウム及び不純物を除去した。セライトケーキをMeOH/HO(2/1,14.0L)でリンスした。
【0176】
濾過により、相当量の二量体副生物(24)とパラジウムが除去される。上清中の二量体生成物の量が満足なレベルに低下するまで20℃でエージングを続ける必要がある。反応混合物の小部分をシリンジフィルターで濾過し、濃度をアッセイした。
【0177】
濾過は非常に時間がかかった。加水分解中又は室温エージング中に炭素又は他の樹脂を添加すると、Pdの濾過及び除去を助長できると思われ、今後、更に検討したい。
【0178】
式(21)の化合物のナトリウム塩は結晶性化合物であり、濾過中に沈殿すると思われる。従って、生成物を濾液から完全に溶出させるようにセライトケーキをMeOH/HOで十分にリンスする必要がある。
【0179】
濾液と洗浄液を合わせた。
【0180】
この時点のアッセイは2.43kg遊離酸(98%収率)を示した。
【0181】
溶液を合わせ、温度を20〜25℃に維持しながらTHF(20.6L)と1M HCl水溶液(16.9L)の混合物に2時間かけてゆっくりと加えた。得られたスラリーを22〜24℃で1時間エージングさせた。固形分を濾取し、HO(12.0L)で洗浄し、部分乾燥し、湿潤ケーキ(4.6kg)を得た。
【0182】
/真空下のフィルターポットの乾燥は非常に時間がかかった。将来的には高温オーブン乾燥を検討すべきである。
【0183】
湿潤ケーキは51.4重量%であった。アッセイ重量:2.36kg(95.2%総収率)。
【0184】
Pd濃度は56ppm(乾燥重量に基づく)であった。工程を繰返すと、濃度は19ppmまで低下した。工程を3回繰返す場合には、メタノール中でNaOHの存在下に加熱中に5重量%活性炭を加えた。生成物のPd濃度は6ppmであった。安定したPd除去工程を得るためには更に検討が必要である。
【0185】
1.5.ナトリウム塩の形成
【0186】
【化37】

【0187】
【表9】

【0188】
機械的撹拌機、熱電対及び窒素導入管を取付けた100L容丸底フラスコに酸(2.63kg,82.6重量%)、MeOH(4.88L)及びHO(4.24L)を仕込んだ。NaOH水溶液(471mL,10.0N)を加え、固形分がほぼ溶けるまで混合物を40℃まで加熱した。2−PrOH(52.1L)を加え、混合物を26℃まで放冷し、22〜26℃でエージングさせた。
【0189】
ナトリウム塩が油状物として生成しないように、2−PrOHはゆっくりと加えることが好ましい。分取実験室製造中に、少量の生成物が油状物となった。従って、混合物を〜70℃に〜2時間加熱し、油状物を結晶固体に変換した後に22℃まで冷却した。22℃でエージング後の上清中の生成物濃度は一般に〜2mg/mLであった。結晶化は時間がかかり、一般に完了するまでに3時間を要した。
【0190】
固形分を濾取し、1:10 HO/IPA(5.5L)、1:15 HO/IPA(5.0L)及びIPA(5.0L×2)で洗浄し、窒素流下に乾燥し、オフホワイト固体2.02kgを得た。
【0191】
生成物は4ppm Pdであった。濾液及び洗浄液中の生成物損失量は夫々127g及び29gであった。
【0192】
塩の特性決定実験
粉末X線回折
X線回折パターンは発生器出力40kV及び50mA、2θ=2〜40°でPanalytical X’Pert ProとCu LFF源(CuK−α−波長=1.54187)を併用して測定した。
【0193】
13C SSNMR
固体炭素13 NMRスペクトルはBruker 4mm H/X/Y CPMASプローブを使用してBruker DSX 500WB NMRシステムで取得した。炭素13 NMRスペクトルはプロトン/炭素13交差分極マジック角回転を可変振幅交差分極、全側波帯抑圧及び100kHzのSPINALデカップリングと併用した。サンプルを10.0kHzで回転させ、パルス繰返し時間5秒で1024回積算を行った。FTを実施する前にスペクトルに10Hzの線幅拡大を適用した。グリシンのカルボニル炭素(176.03ppm)を二次基準として使用してTMSスケールで化学シフトを報告する。
【0194】
19F SSNMR
固体フッ素19 NMRスペクトルはBruker 4mm H/F/X CPMASプローブを使用してBruker DSX 500WB NMRシステムで取得した。フッ素19 NMRスペクトルはプロトン/フッ素19交差分極マジック角回転を可変振幅交差分極及び62.5kHzのTPPMデカップリングと併用した。サンプルを15.0kHzで回転させ、パルス繰返し時間5秒で256回積算を行った。FTを実施する前にスペクトルに10Hzの線幅拡大を適用した。化学シフト−122ppmを割り当てた外部二次基準としてポリ(テトラフルオロエチレン)(Teflon(登録商標))を使用して化学シフトを報告する。
【0195】
ラマン分光分析
データはBruker RFS 100/Sラマン分光計を使用して取得した。250mWレーザー強度でサンプルを解析し、分解能4cm−1で64回積算した。サンプルは直径2mmの金属サンプルホルダーで最低4回測定し、平均した。硫黄(Anachemia AC−8734)を使用してピーク位置を確認した。スペクトルは比較のために該当領域内で正規化した。
【0196】
考察
概要
式(22)のPDE4阻害剤とその製造方法を開示する。反応段階の1つは2を立体選択的にシクロプロパン化し、3を得る段階である。所望立体異性体に優れたジアステレオ選択性(93:7)とエナンチオ選択性(>98%ee)が得られた。スチレン誘導体(2)の製造方法として非低温反応が発見された。4からボロン酸部分(5)を合成するための改良方法を開示する。ボロン酸5を対応するアミド6に変換した後、シクロプロピル化合物3とカップリングした。加水分解後、カップリング生成物を式(21)の化合物(遊離酸)に変換した。式(21)の化合物の優れた塩(ナトリウム塩)が同定された。結晶性ナトリウム塩をXRPD、DSC及びTGAにより特性決定した。
【0197】
【化38】

【0198】
所見
2.1.化合物3のシクロプロパン化と精製
銅(I)トリフラートとキラル配位子10から製造したCu触媒を使用するこの合成には改良型エバンスシクロプロパン化プロトコールを使用した。他の配位子とRh触媒も試したが、いずれもジアステレオ選択性が低かった。反応からの主要な副生物はシス異性体、ジアゾ酢酸エチルの二量化からの11及び12であった。溶媒はエナンチオ選択性、ジアステレオ選択性及び二量体不純物の形成に重大な役割を果たす。表1に示すように、THF(45%)を除き、配位性溶媒と非配位性溶媒を含む各種溶媒で良〜優の変換率(74〜98%)が得られた。ジアステレオ選択性は80:20(trans:cis,1,2−ジクロロエタン)〜93:7(trans:cis,MTBE)であり、eeは85%(1,2−ジクロロエタン)〜99%(MTBEを含む多くの溶媒)であった。MTBEで最良の結果が得られたので、最初のGMP試験に溶媒として使用した。MTBE中で触媒を製造した場合には、相当量の沈殿が形成された。初期試験では、シクロプロパン化前にこの沈殿を濾去した。しかし、変換率とジアゾ酢酸エチル蓄積度はバッチ毎に異なっていた。濾過せずに触媒をin situ生成することにより状況は著しく改善された。固体触媒はスチレン添加後に完全に溶解し、ジアゾ酢酸エチル添加前に透明な溶液が得られた。同様のジアステレオ選択性とエナンチオ選択性が得られた。分取実験室ではシクロプロパン化反応を2個のバッチで実施した。第1のバッチは固体触媒を除去する方法を使用し、2.4kg(アッセイ重量,NaBH処理後収率85%,下記参照)の3が得られ、トランス/シス比92:8、トランスのee98.8%であった。ジアゾ酢酸エチル2.0当量を使用した場合に反応の変換率は95%に止まった。第2のバッチは固体を除去せずに触媒をin situ生成する方法を使用した。ジアゾ酢酸エチル1.5当量を使用した場合に完全な変換が認められた。この場合も、2.4kg(アッセイ重量,NaBH処理後収率85%)の3が得られ、トランス/シス比88:12、トランスのee98.9%であった。
【0199】
【化39】

【0200】
【表10】

【0201】
2.2.アミド化
ナフチリドンボロン酸5は高濃度(10〜20重量%)の残留水を含有していた。40〜50℃のDMF又はDMAc中で5をシクロプロピルアミンにより直接シクロプロピルアミド化するのは問題があることが分かり、多量の酸22(スキーム3)が形成された。ボロン酸を直接乾燥すると、ボロン酸無水物形成の問題が生じた。更に、ボロン酸5及び16の相対不溶性により、アッセイ目的用の純粋なサンプルを得ることは難しくなった。ディーン・スタークトラップを使用して水を除去しながらトルエン還流下に5からピナコールエステル15を形成した後に貧溶媒としてヘキサンを加えると、95%を上回る単離収率で15が得られた。40〜50℃のDMF又はDMAc中でMgClの存在下に15をシクロプロピルアミンで処理すると、希HClでクエンチ後に90〜95%単離収率で16が得られた。酸不純物22は一般に<2%に抑えられた。フェノール21の形成を0.5A%未満まで下げるためには、シクロプロピルアミンの添加前に15とMgClのスラリーを脱気することが必要であった。
【0202】
式16の化合物は約94%収率で得られた。
【0203】
【化40】

【0204】
他の変形又は変更も当業者に自明であり、本発明の範囲と教示に含まれる。本発明は特許請求の範囲の記載以外に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0205】
【図1】構造式(22)の結晶性ナトリウム塩の特徴的X線回折パターンを示す。
【図2】構造式(22)の結晶性ナトリウム塩の炭素13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
【図3】構造式(22)の結晶性ナトリウム塩のフッ素19マジック角回転(MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
【図4】構造式(22)の結晶性ナトリウム塩の典型的ラマンスペクトルを示す。
【図5】構造式(21)の結晶性遊離酸の特徴的X線回折パターンを示す。
【図6】構造式(21)の結晶性遊離酸の炭素13交差分極マジック角回転(CPMAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
【図7】構造式(21)の結晶性遊離酸のフッ素19マジック角回転(MAS)核磁気共鳴(NMR)スペクトルを示す。
【図8】構造式(21)の結晶性遊離酸の典型的示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(22):
【化1】

の化合物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項3】
ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン生合成阻害剤、M2/M3アンタゴニスト、コルチコステロイド、H1受容体アンタゴニスト又はβ2アドレナリン受容体アゴニストを更に含有する請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
COX−2選択的阻害剤、スタチン又はNSAIDを更に含有する請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
治療有効量又は予防有効量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を含む、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肉芽腫、乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋及び脳の再潅流傷害、炎症性関節炎、骨粗鬆症、慢性糸球体腎炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、動物の慢性閉塞性肺疾患、尿崩症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、神経性炎症、疼痛、咳、関節リウマチ、強直性脊椎炎、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、胃酸分泌過多、細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性、変形性関節症、癌、悪液質、筋肉疲労、鬱病、記憶障害、単極性鬱病、炎症性要素を伴う急性及び慢性神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄損傷、頭部外傷、多発性硬化症、腫瘍増殖並びに正常組織の癌浸潤の治療又は予防方法。
【請求項6】
安全な認知力増進量の請求項1に記載の化合物を投与する段階を含む対象における認知力の増進方法。
【請求項7】
請求項1に記載の結晶性化合物。
【請求項8】
構造式(21):
【化2】

の化合物の結晶形態。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の構造式(21)又は(22)の結晶性化合物と医薬的に許容可能なキャリヤーを含有する医薬組成物。
【請求項10】
ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、ロイコトリエン生合成阻害剤、M2/M3アンタゴニスト、コルチコステロイド、H1受容体アンタゴニスト又はβ2アドレナリン受容体アゴニストを更に含有する請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
COX−2選択的阻害剤、スタチン又はNSAIDを更に含有する請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項12】
治療有効量又は予防有効量の請求項7又は請求項8に記載の構造式(21)又は(22)の結晶性化合物を投与する段階を含む、喘息、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、好酸球性肉芽腫、乾癬及び他の良性又は悪性増殖性皮膚疾患、内毒素性ショック(及びウマの蹄葉炎や疝痛等の関連症状)、敗血症性ショック、潰瘍性大腸炎、クローン病、心筋及び脳の再潅流傷害、炎症性関節炎、骨粗鬆症、慢性糸球体腎炎、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、成人呼吸窮迫症候群、小児呼吸窮迫症候群、動物の慢性閉塞性肺疾患、尿崩症、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、春季カタル、動脈再狭窄、アテローム性動脈硬化症、神経性炎症、疼痛、咳、関節リウマチ、強直性脊椎炎、移植拒絶反応及び移植片対宿主病、胃酸分泌過多、細菌性、真菌性又はウイルス性敗血症又は敗血症性ショック、炎症及びサイトカインによる慢性組織変性、変形性関節症、癌、悪液質、筋肉疲労、鬱病、記憶障害、単極性鬱病、炎症性要素を伴う急性及び慢性神経変性疾患、パーキンソン病、アルツハイマー病、脊髄損傷、頭部外傷、多発性硬化症、腫瘍増殖並びに正常組織の癌浸潤の治療又は予防方法。
【請求項13】
安全な認知力増進量の請求項7又は請求項8に記載の構造式(21)又は(22)の結晶性化合物を投与する段階を含む対象における認知力の増進方法。
【請求項14】
10.05、5.16、8.76オングストロームの格子面間隔dに対応する粉末X線回折パターンから得られる回折ピークを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項15】
3.83、4.11、5.95オングストロームの格子面間隔dに対応する粉末X線回折パターンから得られる回折ピークを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項16】
17.67、5.57、4.90オングストロームの格子面間隔dに対応する粉末X線回折パターンから得られる回折ピークを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項17】
10.05オングストロームの格子面間隔dに対応する粉末X線回折パターンから得られる回折ピークを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項18】
図1の粉末X線回折パターンを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項19】
169.1、120.8及び46.5ppmにシグナルを示す固体炭素13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項20】
159.0、150.9及び40.7ppmにシグナルを示す固体炭素13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項21】
図2の固体炭素13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項22】
−126.8ppmにシグナルを示す固体フッ素19MAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項23】
図3の固体フッ素19MAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項24】
波数1625、1609、1600(cm−1)でラマンスペクトルから得られる吸収バンドを更に特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項25】
波数723(cm−1)でラマンスペクトルから得られる吸収バンドを更に特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項26】
波数1294、1281、1000(cm−1)でラマンスペクトルから得られる吸収バンドを更に特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項27】
図4に示すラマンスペクトルを更に特徴とする請求項1に記載の構造式(22)の化合物の結晶性ナトリウム塩。
【請求項28】
16.37、5.79、4.85オングストロームの格子面間隔dに対応する粉末X線回折パターンから得られる回折ピークを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項29】
13.81、8.51、14.49オングストロームの格子面間隔dに対応する粉末X線回折パターンから得られる回折ピークを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項30】
12.63、10.78、9.21オングストロームの格子面間隔dに対応する粉末X線回折パターンから得られる回折ピークを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項31】
図5の粉末X線回折パターンを更に特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項32】
23.2、128.3及び148.6ppmにシグナルを示す固体炭素13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項33】
7.4、181.6及び120.9ppmにシグナルを示す固体炭素13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項34】
179.2、163.7及び110.4ppmにシグナルを示す固体炭素13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項35】
図6の固体炭素13CPMAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項36】
−119.4及び−108.9ppmにシグナルを示す固体フッ素19MAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項37】
図7の固体フッ素19MAS核磁気共鳴スペクトルを特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項38】
258℃での溶融開始を特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。
【請求項39】
図8のDSC曲線を特徴とする請求項8に記載の構造式(21)の化合物の結晶性遊離酸。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−513582(P2009−513582A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536891(P2008−536891)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/CA2006/001729
【国際公開番号】WO2007/048225
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】