説明

4−シアノピラゾール−3−カルボキシアミド誘導体、それらの製造法およびCB1カンナビノイドアンタゴニストとしての用途

本発明は、式(I):


の4-シアノピラゾール-3-カルボキシアミド誘導体、それらの製造法およびCB1カンナビノイド受容体アンタゴニストとしてのそれらの治療用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4-シアノピラゾール-3-カルボキシアミド誘導体、それらの製造法およびそれらの治療用途に関する。
【背景技術】
【0002】
4-シアノピラゾール-3-カルボキシアミド誘導体:N-フェニル-1-(2-クロロフェニル)-4-シアノ-5-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドは、Biochem. Pharmacol., 2000, 60(9), 1315-1323に記載されており、公知である。それが、CB1カンナビノイド受容体に対してアンタゴニストの性質、より正確には該受容体に対して逆アゴニストの性質を有するとされている。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の主題は、式(I):
【化1】

(式中、
− R1は水素または(C1-C4)アルキルを表し;
− R2は、
・(C3-C7)アルキル基;
・無置換であるか、または(C1-C4)アルキルおよび/またはヒドロキシ基で1回または数回置換された、非芳香族のC3-C10炭素環式基;
・ハロゲン原子、および/または(C1-C4)アルキルおよび/またはトリフルオロメチルおよび/または(C1-C4)アルコキシ基で1回または数回置換されたフェニル;
・NR9R10基;
・フェニル基の一方または両方が無置換であるか、あるいはハロゲン原子および/または(C1-C4)アルキルおよび/または(C1-C4)アルコキシ基で1回または数回置換された、CH[(C1-C4)アルキル]ベンズヒドリル基
を表すか;
− またはR1およびR2はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、4位が一つのフェニルもしくはベンジル基、および一つの(C1-C4)アルキル基もしくは一つの(C1-C3)アルカノイルでジ置換されたピペリジン-1-イル基を構成し;
【0004】
− R3、R4、R5、R6、R7、R8は互いに独立して、水素もしくはハロゲン原子、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシもしくはトリフルオロメチル基を表し、但し、置換基R3、R4、R5、R6、R7、R8の少なくとも1つは水素でなく;
− R9は水素原子を表し;
− R10は(C3-C6)アルキルを表し;
− またはR9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、OもしくはNから選択される第2のヘテロ原子を含んでいてもよい、5〜10原子の、飽和もしくは不飽和のヘテロ環式基を構成し、該基は無置換であるか、または(C1-C4)アルキルおよび/またはヒドロキシおよび/または(C1-C4)アルコキシおよび/またはメトキシ(C1-C2)アルキレンおよび/または(C1-C4)アルカノイル基で1回または数回置換されているか、あるいはスピロシクロブタン、スピロシクロペンタンもしくはスピロシクロへキサンで置換されている)
に相当する化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの水和物である。
【0005】
式(I)の化合物は、1以上の不斉炭素原子を含み得る。それゆえ、それらはエナンチオマーまたはジアステレオマーの形態で存在し得る。これらのエナンチオマー、ジアステレオマーおよびラセミ混合物を含むそれらの混合物は、本発明の一部を構成する。
式(I)の化合物は、塩の形態で存在し得る。そのような付加塩は本発明の一部を構成する。
【0006】
これらの塩は、医薬的に許容される酸で有利に製造されるが、例えば式(I)の化合物の精製または単離のために有用な他の酸との塩も、本発明の一部を構成する。
式(I)の化合物は、水和物または溶媒和物の形態、すなわち1分子以上の水もしくは溶媒との会合または化合による形態で存在し得る。そのような水和物および溶媒和物も本発明の一部を構成する。
【0007】
本発明によれば、
− R1が水素または(C1-C4)アルキルを表し;
− R2
・(C3-C7)アルキル基;
・無置換であるか、または(C1-C4)アルキルで1回または数回置換された非芳香族のC3-C10炭素環式基;
・ハロゲン原子で、および/または(C1-C4)アルキル、トリフルオロメチルもしくは(C1-C4)アルコキシ基で置換されたフェニル;
・NR9R10基;
・フェニル基の1方または両方が無置換であるか、またはハロゲン原子で、または(C1-C4)アルキルもしくは(C1-C4)アルコキシ基で置換されたCH[(C1-C4)アルキル]ベンズヒドリル基
を表すか;
− またはR1およびR2が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、4位が一つのフェニルもしくはベンジル基で、ならびに一つの(C1-C4)アルキル基もしくは一つの(C1-C3)アルカノイルでジ置換されたピペリジン-1-イル基を構成し;
【0008】
− R3、R4、R5、R6、R7、R8が互いに独立して、水素もしくはハロゲン原子、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシもしくはトリフルオロメチル基を表し、但し、置換基R3、R4、R5、R6、R7、R8の少なくとも1つは水素でなく;
− R9が水素原子を表し;
− R10が(C3-C6)アルキルを表すか;
− またはR9およびR10が、それらが結合している窒素原子と一緒になって、OまたはNから選択される第2のヘテロ原子を含んでいてもよい、5〜10原子の、飽和もしくは不飽和のヘテロ環式基を構成し、該基は無置換であるか、または(C1-C4)アルキル、ヒドロキシもしくは(C1-C4)アルコキシ基、メトキシ(C1-C2)アルキレンで置換されているか、あるいはスピロシクロブタン、スピロシクロペンタンまたはスピロシクロへキサンで置換されている)
である式(I)の化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの水和物を区別することが可能である。
【0009】
本発明の文脈中において、語句:
− アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、n-ヘキシル、イソヘキシルのような直鎖または分枝の基を意味すると理解され、(C1-C4)アルキルについてはメチル基が好ましく、(C3-C7)アルキルについてはtert-ブチル基、1,1-ジメチルプロピルおよび2-メチルブチル-2が好ましい;
− (C1-C4)アルコキシ基は、1〜4の炭素原子を含む直鎖または分枝の基を意味すると理解され、メトキシ基が好ましい;
− ハロゲン原子は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子を意味すると理解され、フッ素、塩素または臭素原子が好ましい。
【0010】
C3-C10炭素環式基または芳香族基は、縮合または架橋された、単環式または多環式の基を含む。
単環式基は、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルのようなシクロアルキルを含み、シクロヘキシルおよびシクロペンチルが好ましい。
縮合した、架橋したまたはスピロの、2または3環式基は、例えばビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2.]オクタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニル、ビシクロ[3.2.1]オクタニルおよびアダマンチルを含み、ビシクロ[3.1.1]ヘプタニルおよびビシクロ[3.2.1]オクタニルが好ましい。
【0011】
OまたはNのような第2のヘテロ原子を含んでいてもよい、5〜10原子の飽和または不飽和のヘテロ環式基の語句は、モルホリン-4-イル、ピペリジン-1-イル、ピペラジン-1-イル、ピロリジン-1-イル、3,6-ジヒドロピリジン-1-イルおよびオクタヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2-イルのような基を意味すると理解され、ピペリジン-1-イルおよびモルホリン-4-イル基が好ましい。
【0012】
本発明によれば、
− R1が水素原子または(C1-C4)アルキル基、好ましくは水素原子を表し;
− R2が(C3-C7)アルキル基またはNR9R10基(ここで、R9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、無置換であるか、または4,4-ジメチル基でジ置換された、またはスピロシクロペンタン基で4位が置換されたピペリジン-1-イル基を構成する)を表し;
− そして/または置換基R3、R4、R5の1つまたは2つが、ハロゲン原子またはメチルもしくはメトキシ基を表し、好ましくは、R3が4位にあって、塩素もしくは臭素原子またはメトキシ基を表し、R4、R5が水素原子を表し;
− そして/または置換基R6、R7、R8の1つまたは2つが、ハロゲン原子またはメチル基を表し、好ましくは、R6およびR7が2,4-位にあって、2つの塩素原子を表し、R8が水素原子を表す
の式(I)の化合物、ならびにそれらの塩、それらの溶媒和物およびそれらの水和物が好ましい。
【0013】
本発明によれば、5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミド、5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-(1,1-ジメチルプロピル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミド、5-(4-クロロフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-ピペリジン-1-イル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミド、5-(4-メトキシフェニル)-4-シアノ-1-1(2,4-ジクロロフェニル)-N-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドおよび5-(4-クロロフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-イル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドが特に好ましい。
【0014】
本発明の化合物を製造する方法も、本発明の主題である。
この方法は、式:
【化2】

(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、(I)について定義されたとおりである)
の4-シアノ-1,5-ジフェニルピラゾール-3-カルボン酸の官能性誘導体を、式HNR1R2 (III)(ここで、R1およびR2は、(I)について定義されたとおりである)のアミンと処理することを特徴とする。
このようにして得られる化合物は、その塩または溶媒和物の1つに任意に変換される。
【0015】
酸(II)の官能性誘導体として、酸クロライド、酸無水物、混合酸無水物、C1-C4アルキルエステル(ここで、アルキルは直鎖または分枝状である)、例えばp-ニトロフェニルエステルのような活性エステル、例えばN,N-ジシクロヘキシルカルボジイミドで、またはベンゾトリアゾール-N-イルオキソトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(BOP)もしくはベンゾトリアゾール-1-イルオキソトリス(ピロリジノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)で、適宜活性化された遊離の酸を用いることができる。
【0016】
したがって、本発明の方法において、式(II)の酸と塩化チオニルを反応させて得られるピラゾール-3-カルボン酸クロライドを、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン)またはアミド(例えば、N,N-ジメチルホルムアミド)のような不活性な溶媒中、不活性雰囲気下、0℃から室温の間の温度で、トリエチルアミン、N-メチル-モルホリンまたはピリジンのような3級アミンの存在下に、アミンHNR1R2と反応させることができる。
【0017】
変法は、トリエチルアミンのような塩基の存在下、式(II)の酸とエチルクロロホルメートを反応せることにより式(II)の酸の混合酸無水物を製造し、それを、ジクロロメタンのような溶媒中、不活性雰囲気下、室温で、トリエチルアミンのような塩基の存在下に、アミンHNR1R2と反応させることよりなる。
【0018】
式(II)の化合物は、例えばJ. Heterocyclic Chem., 1977, 14 (3), 375-381に記載されているような、文献で公知の種々の方法により製造され得る。
スキーム1
【化3】

工程a1)において、式(IV)のアニリンが、Razdanら, Med. Chem. Res., 1995, 5, 54に記載されているように、酸性媒体中、亜硝酸塩の作用によりジアゾニウム塩(V)に変換される。次いで、ジアゾニウム塩をエチル 2-クロロ-3-オキソブタノエート(VI)と反応させてヒドラゾン誘導体(VII)を得る。
【0019】
ピラゾール誘導体(IX)を得るために、エタノール中ナトリウムエトキサイドのような強塩基の存在下に、ヒドラゾン誘導体(VII)を式(VIII)のニトリルと縮合させる。最後に、ピラゾール誘導体(IX)は、例えばTHF/水混液中のLiOHのような緩和な条件を用いるケン化により、酸(II)に変換される。
【0020】
式(II)の酸および式(IX)のそれらのエステルは、一般に新規である。これらの化合物のいくつかは、J. Heterocyclic Chem., 1977, 14 (3), 375-381に記載されており、1-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-5-(4-メトキシフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸のエチルエステルは、Interchim. Intermediatesカタログ中に挙げられている。
【0021】
したがって、本発明の主題は、式:
【化4】

(式中、Rは水素原子または(C1-C4)アルキル基であり、R3、R4、R5、R6、R7、R8は、(I)について定義されたとおりである。但し、置換基R3、R4、R5の少なくとも1つおよび置換基R6、R7、R8の少なくとも1つは水素でなく、そしてR3がメトキシ基を表し、かつR6が臭素原子を表すとき、置換基R4、R5、R7、R8は水素でない)
の化合物でもある。
【0022】
本発明によれば、
− R3が4位にあって、塩素もしくは臭素原子、またはメチル、エチル、トリフルオロメチルもしくはメトキシ基を表し;
− R6が2位にあって、塩素原子を表し;
− R7が4位にあって、水素原子または塩素原子を表し;
− R4、R5およびR8が水素原子を表す
式(IIa)の化合物を区別することができる。
【0023】
より具体的には、
− R3が4位にあって、塩素または臭素原子を表し;
− R6およびR7が2,4位にあって、2つの塩素原子を表し;
− R4、R5およびR8が水素原子を表す
式(IIa)の化合物が好ましい。
アミンHNR1R2は公知であるか、またはChem. Ber., 1986, 119, 1413-1423に記載されているような公知の方法で製造される。
【0024】
以下の例は、本発明によるいくつかの化合物の製造を記載している。これらの例は、本発明を限定するものではなく、単に説明するだけのものである。例示された化合物番号は、本発明のいくつかの化合物の化学構造および物理的性質を示す以下の表に示された番号である。
【0025】
以下の記載において、次の略語が使用されている:
AcOEt:酢酸エチル
BOP:ベンゾトリアゾリルオキシトリスジメチルアミノホスホニウム ヘキサフルオロホスフェート
DCM:ジクロロメタン
DMF:ジメチルホルムアミド
EtOH:エタノール
m.p. 融点
iPr2O:イソプロピルエーテル
RT:室温
THF:テトラヒドロフラン
【0026】
本発明の化合物は、LC/UV/MS(液体クロマトグラフィー/UV検出/質量分析)連結装置で分析される。分子ピーク(MH+)および分での保持時間(t)が測定される。
【0027】
ここで、Watersより市販のXterra Waters(登録商標)MS C18カラム(2.1 × 30 mm、3.5 μm)が室温、流速1 ml/分で使用される。
溶出剤は次のように調製される:
− 溶媒A:トリフルオロ酢酸(TFA)0.025%の水溶液
− 溶媒B:TFA0.025%のアセトニトリル溶液
勾配:溶媒Bのパーセンテージは、B100%で1分間のプラトーを有し、2分間で0〜100%に変化する。
UV検出は、210 nm〜400 nmの間で行われ、質量検出は大気圧で化学的イオン化により行われる。
【0028】
NMRスペクトルは、DMSO-d6中200 MHzで測定された。
核磁気共鳴(NMR)スペクトルの判読について、次の略語が使用される:s:シングレット、d:ダブレット、m:未解析なコンプレックス、bs:ブロード シングレット、dd:ダブル ダブッレト、mt:マルチプレット
【実施例】
【0029】
製造例1
5-(4-クロロフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
A) エチル クロロ[(2,4-ジクロロフェニル)ヒドラジノ]アセテート
24%塩酸溶液(75 ml)中のジクロロアニリン(7.3 g)および水(200 ml)を撹拌して混合し、撹拌を2時間維持する。この混合物を氷浴で冷却し、水(21 ml)中にNaNO2(3.1 g)を含む溶液を30分間で滴下する。得られた混合物を、氷浴で冷却したEtOH(450 ml)中に酢酸ナトリウム(3.51 g)およびエチル 2-クロロ-3-オキソブタノエート(6.21 ml)を含む溶液に加える。撹拌を維持している間に、温度をゆっくりと上昇させる。生成した沈殿物を濾過し、水で洗浄し、次いで真空下に乾燥する。所期の化合物(11.43 g)を得る。
NMR: 1.40 ppm: t: 3H; 4.40 ppm: d: 2H; 7.40-7.80 ppm: m: 3H; 9.25 ppm: s: 1H.
【0030】
B) エチル 5-(4-クロロフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート
EtOH(120 ml)中の前工程からの化合物(3.27 g)、3-(4-クロロフェニル)-3-オキソプロパンニトリル(1.99 g)、およびナトリウムエトキサイド(25 mlのEtOH中に0.28 gのナトリウムを混合して調製された)を含む混合物を、18時間加熱還流する。RTに戻した後、混合物を蒸発乾固させ、AcOEt(150 ml)中に採取し、生成する沈殿物を濾過し、有機相を水、次いでNaCl飽和溶液で洗浄する。得られた油状物を、AcOEt/トルエン (2/98〜3/97; v/v) の混液で溶出するシリカのクロマトグラフィーに付す。得られた固体をCH2Cl2/iPr2Oの混液から2回再結晶して、所期の化合物(1.12 g)を白色の結晶の形態で得る。 m.p. = 112℃
【0031】
C) 5-(4-クロロフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
THF(25 ml)中の前工程で得られたエステル(0.436 g)と水(5 ml)中のLiOH(50 mg)とを混合し、この混合物を65℃で2時間加熱する。媒体を半分まで濃縮し、反応媒体を氷冷水(50 ml)および5% HCl(5 ml)中に注ぐ。有機混合物をCH2Cl2で抽出し、次いでNaClで洗浄する。所期の化合物(0.41 g)を固体の形態で得る。m.p. = 132-137℃
NMR: 7.42 ppm: d: 2H; 7.61 ppm: d: 2H; 7.69 ppm: dd: 1H; 7.89 ppm: s: 1H; 7.92 ppm: d: 1H; 13.8-14.6 ppm: bs: 1H.
【0032】
製造例2
5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
A) 3-(4-ブロモフェニル)-3-オキソプロパンニトリル
水(20 ml)中にKCN(9.4 g)を含む溶液を調製し、次いで、それを90%エタノール(800 ml)に溶解した2-ブロモ-1-(4-ブロモフェニル)エタノン(20 g)を含む混合液に滴下する。RTで5時間撹拌後、生成した固体を濾過し、次いで氷冷水ですすぐ。得られた固体を水(400 ml)に溶解し、次いで活性炭を加え、混合物を20分間撹拌し、次いでセライト(登録商標)で濾過する。得られた濾液を10% HClで処理し、生成した白色の沈殿物を濾過し、水で洗浄し、次いで真空下に乾燥する。所期の化合物(7.63 g)を得る。m.p. = 164℃
NMR: 4.75 ppm: bs: 2H; 7.80 ppm: mt: 4H
【0033】
B) エチル 5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシレート
EtOH(107 ml)にナトリウム(0.86 g)を混合して、ナトリウムエトキサイド溶液を調製し、EtOH(610 ml)中の前工程で製造された化合物(7.63 g)を素早く加え、次いで製造例1の工程Aで得られた化合物(9.2 g)加え、反応媒体をRTで一晩撹拌し続ける。不溶物を濾過し、次いで濾液を減圧下に濃縮する。得られた生成物をシリカ上で濃縮し、トルエン/AcOEt (96/4; v/v)の混液で溶出する。所期の化合物(5 g)を得る。
NMR: 1.25 ppm: t: 3H; 4.30 ppm: q: 2H; 7.20 ppm: d: 2H; 7.50-7.70 ppm: m: 3H; 7.70-8.00 ppm: m: 2H.
【0034】
C) 5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-1H-ピラゾール-3-カルボン酸
前工程で得られたエステル(2.8 g)をTHF(90 ml)中に入れ、水(8 ml)中のLiOH(0.4 g)を加え、次いで混合物を65℃で3時間加熱する。反応媒体を、氷冷水(240 ml)および10% HCl(16 ml)の混合物に注ぐ。有機相をCH2Cl2で抽出し、次いでNaCl飽和溶液で洗浄する。所期の化合物(2.3 g)を得る。
NMR: 7.30 ppm: d: 2H; 7.60-7.80 ppm: m: 3H; 7.80-8.00 ppm: m: 2H; 14.15 ppm: bs: 1H.
【0035】
上記の製造例による操作を行うことにより、次の表中の化合物が得られる。
表1
【表1】

【0036】
実施例1:化合物1
5-(4-クロロフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-ピペリジン-1-イル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミド
製造例1からの酸(0.39 g)を、CH2Cl2(15 ml)中に1-アミノピペリジン(0.20 ml)およびトリエチルアミン(0.50 ml)を含む溶液に滴下し、次いでBOP(0.80 g)を滴下し、この混合物をRTで20時間撹拌し続ける。反応媒体を水で加水分解し、次いで有機相を2% HCl溶液、5% Na2CO3溶液、次いでNaCl飽和溶液で洗浄する。乾燥後、得られた物質を、MeOH/CH2Cl2 (0.5/99.5; v/v)の混液で溶出するシリカのクロマトグラフィーに付し、泡状物を得る。CH2Cl2/iPr2Oの混液から結晶化して、所期の化合物(0.28 g)を得る。 m.p. = 227-229℃
【0037】
実施例2:化合物12
5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミド
製造例2からの酸(0.437 g)、tert-ブチルアミン(0.19 ml)、NEt3(0.5 ml)、次いでBOP(0.79 g)をCH2Cl2(20 ml)中で混合し、この混合物をRTで48時間撹拌し続ける。反応媒体を水で加水分解し、次いで有機相を2% HCl溶液、5% Na2CO3溶液、次いでNaCl飽和溶液で洗浄する。乾燥後、得られた物質を、トルエン/AcOEt (95/5; v/v)の混液で溶出するシリカのクロマトグラフィーに付し、イソプロピルエーエルから結晶化して、370 mgを得る。 m.p. = 184℃
NMR: 1.35 ppm; s: 9H; 7.30 ppm: d: 2H; 7.60-8.00 ppm; m: 6H.
【0038】
次の表は、本発明の化合物のいくつかの例の化学構造および物理的性質を示している。
この表において、Me、EtおよびtBuはそれぞれメチル、エチルおよびtert-ブチル基を表す。
表2
【表2−1】

【0039】
【表2−2】

【0040】
【表2−3】

【0041】
【表2−4】

【0042】
本発明の化合物は、CB1カンナビノイド受容体のアンタゴニスト効果を測定することができる薬理試験に付された。
式(I)の化合物は、M. Rinaldi-Carmonaらにより記載された実験条件下(FEBS Letters, 1994, 350, 240-244)、in vitroでCB1カンナビノイド受容体に対して非常に良好な親和性(IC50 ≦ 10-7M)を有する。
式(I)の化合物のアンタゴニストの性質は、M. Rinaldi-Carmonaら、J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 278, 871-878およびM. Bouaboulaら、J. Biol. Chem., 1997, 272, 22330-22339に記載されたアデニレートシクラーゼ阻害モデルにおいて得られた結果により示された。
【0043】
本発明の化合物は、RinaldiCarmonaらにより記載された実験条件(J. Pharmacol. Exp., 1998, 284, 644-650)により、静脈内および/または経口投与後、マウスでのin vivo (ex vivoバインディング) 試験が行われた。静脈内経路では、これらの化合物のCB1受容体に対する有効用量(ED50)は10 mg/kg以下である。経口では、化合物2、3、4、11および12は、CB1受容体に対して1〜20 mg/kgの間のED50を有する。
【0044】
式(I)の化合物の毒性は、医薬としての使用に矛盾がないものである。
これらの観点のもう1つによれば、本発明は、CB1カンナビノイド受容体が関与する疾病の治療または予防を目的とした医薬の製造のために、式(I)の化合物、またはその医薬的に許容される塩、溶媒和物もしくは水和物の1つの使用に関する。
【0045】
非限定的に例示すれば、式(I)の化合物は、特に不安、うつ病、気分障害、不眠、譫妄障害、強迫障害を含む精神障害、精神病一般、統合失調症、注意欠陥多動性障害(特に、多動の小児(MBD)における)の治療用、および精神作用性の物質の使用に関連のある障害、特にアルコール依存およびニコチン依存を含む物質の乱用および/または物質の依存の場合の障害の治療用の精神作用薬として有用である。
【0046】
本発明の式(I)の化合物は、偏頭痛、ストレス、心身由来の疾病、パニック発作、癲癇発作、運動障害 (特に、ディスキネジーまたはパーキンソン病)、振戦およびジストニー用の医薬として使用され得る。
【0047】
本発明の式(I)の化合物は、記憶障害、認知障害の治療、特に老人性痴呆、アルツハイマー病の治療、ならびに注意または不眠障害の治療における医薬としても使用できる。
さらに、式(I)の化合物は、虚血、頭蓋の外傷の治療、および舞踏病、ハンチントン舞踏病、トゥーレット症候群を含む神経変性疾患の治療における神経保護剤としても有用であり得る。
本発明の式(I)の化合物は、疼痛:神経障害性の疼痛、急性の末梢性の疼痛、炎症由来の慢性の疼痛の治療における医薬として使用できる。
【0048】
本発明の式(I)の化合物は、食欲障害、欲求障害(糖質、炭水化物、薬物、アルコールまたはいかなる食欲をそそる物質に対して)および/または消化管障害の治療における医薬、特に食欲抑制薬として、または肥満もしくは貪食症の治療用およびII型糖尿病もしくは非インスリン依存性糖尿病の治療用ならびに脂肪血症異常(dyslipidemia)および代謝症候群の治療用の医薬として使用され得る。
【0049】
さらに、本発明の式(I)の化合物は、胃腸管障害、下痢疾患、潰瘍、嘔吐、膀胱および泌尿器の障害、内分泌起源の障害、循環器障害、低血圧、出血性ショック、敗血症性ショック、慢性肝硬変、喘息、慢性気管支炎および慢性閉塞性肺疾患、レイノー病、緑内障、生殖能異常、炎症現象、免疫系の疾患、特に、慢性関節リウマチ、反応性関節炎、髄鞘脱落が原因の疾患、多発性硬化症のような自己免疫および神経系の炎症疾患、脳炎のような感染性およびウイルス性の疾患、卒中の治療における医薬として、ならびに抗癌化学療法用およびギラン-バレー症候群の治療における医薬として使用され得る。
【0050】
本発明によれば、式(I)の化合物は、特に精神障害、より具体的には統合失調症、注意欠陥多動性障害(ADHD)(とりわけ、多動の小児(MBD)における)の治療用、食欲障害および肥満の治療用、記憶および認知障害の治療用、アルコール依存症、ニコチン依存症の治療、すなわちアルコールからの離脱用および禁煙用ならびに脂肪血症異常および代謝症候群の治療用の医薬として有用である。
【0051】
1つの観点によれば、本発明は、上記の障害および疾患の治療のための、式(I)の化合物、その医薬的に許容される塩およびそれらの溶媒和物または水和物の使用に関する。
【0052】
本発明の式(I)の化合物は、上記の疾患の予防および/または治療に有用な1以上の他の活性成分と組み合わせて使用され得る。
式(I)の化合物と組み合わされ得る活性成分の例として、抗精神病薬、抗不安薬、記憶増強剤、抗パーキンソン薬、抗癲癇薬、食欲抑制薬または他の抗肥満薬、ニコチン作用薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬、鎮痛薬、抗炎症薬、アンジオテンシンII AT1受容体アンタゴニスト、変換酵素阻害剤、カルシウム拮抗剤、ベータ受容体遮断薬のような抗高血圧薬、抗糖尿病薬、抗高脂血症薬、抗高コレステロール血症薬、PPAR (ペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)アゴニストが挙げられる。
【0053】
一般的に、本発明の化合物は用量単位形態で投与される。
該用量単位は、好ましくは、活性成分が医薬賦形剤と混合される医薬組成物中に配合される。
したがって、もう1つの観点によれば、本発明は、活性成分として、式(I)の化合物、その医薬的に許容される塩の1つまたはそれらの溶媒和物の1つを含む医薬組成物に関する。
【0054】
上記の式(I)の化合物およびその医薬的に許容される塩または溶媒和物は、治療される哺乳動物の体重kg当り、1日の用量0.01〜100mg、好ましくは1日の用量0.02〜50 mg/kgで使用され得る。ヒトにおいては、治療される患者の年齢または治療の様式、すなわち予防的かもしくは治療的かにより、好ましくは、1日当り0.05〜4000 mg、より具体的には1日当り0.1〜1000 mgで用量を変えることが出来る。これらの用量は、平均的な症状の例であるが、より高いまたはより低い用量が適当な特別な場合もあり得るし、そのような用量も本発明に属する。通常の診療では、各患者への適当な用量は、該患者への投与様式、年齢、体重および応答に従い、医師により決められる。
【0055】
経口、舌下、吸入、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所または直腸投与のための本発明の医薬組成物において、活性成分は、慣用の医薬担体との混合物として、動物およびヒトへの投与単位形態で投与され得る。
投与用の適当な単位形態は、錠剤、ゼラチンカプセル、散剤、顆粒剤および経口液剤または懸濁液剤のような経口ルートによる形態、舌下もしくは口腔内投与用の形態、噴霧剤、局所投与用の形態、インプラント、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内もしくは眼内投与用の形態および直腸投与用の形態を含む。
【0056】
本発明の医薬組成物において、活性成分は、日々の投与用の用量単位当り、0.05〜1000 mg、有利には0.1〜500 mg、好ましくは1〜200 mgの活性成分を含んで用量単位中に一般的に配合される。
例えば、錠剤における本発明の化合物の投与用の単位形態は、次の成分を含み得る:
本発明の化合物 :50.0 mg
マンニトール :223.75 mg
クロスカルメロースナトリウム :6.0 mg
トウモロコシデンプン :15.0 mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース :2.25 mg
ステアリン酸マグネシウム :3.0 mg
【0057】
経口ルートでは、1日当り投与される活性成分の用量は、1回量または分割量で0.01〜100 mg/kg、好ましくは0.02〜50 mg/kgまでであり得る。
より高いかまたはより低い用量が適当な特別な場合もあり得、そのような用量は本発明の範囲から逸脱しない。通常の診療では、各患者への適当な用量は、該患者への投与様式、体重および応答に従い、医師により決められる。
【0058】
もう1つの観点によれば、本発明は、本発明の化合物の有効量、またはその医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物の1つの有効量を患者に投与することを含む、上記の疾病を治療する方法にも関する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

(式中、
− R1は水素または(C1-C4)アルキルを表し;
− R2は、
・(C3-C7)アルキル基;
・無置換であるか、または(C1-C4)アルキルおよび/またはヒドロキシ基で1回または数回置換された非芳香族のC3-C10炭素環式基;
・ハロゲン原子で、および/または(C1-C4)アルキルおよび/またはトリフルオロメチルおよび/または(C1-C4)アルコキシ基で置換されたフェニル;
・NR9R10基;
・フェニル基の1方または両方が無置換であるか、あるいはハロゲン原子で、および/または(C1-C4)アルキルもしくは(C1-C4)アルコキシ基で1回または数回置換された、CH[(C1-C4)アルキル]ベンズヒドリル基
を表すか;
− またはR1およびR2はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、4位が一つのフェニルもしくはベンジル基で、ならびに一つの(C1-C4)アルキル基もしくは一つの(C1-C3)アルカノイルでジ置換されたピペリジン-1-イル基を構成し;
− R3、R4、R5、R6、R7、R8は互いに独立して、水素もしくはハロゲン原子、(C1-C6)アルキル、(C1-C6)アルコキシもしくはトリフルオロメチル基を表し;但し、置換基R3、R4、R5、R6、R7、R8の少なくとも1つは水素でなく;
− R9は水素原子を表し;
− R10は(C3-C6)アルキルを表すか;
− またはR9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になって、OもしくはNから選択される第2のヘテロ原子を含んでいてもよい、5〜10原子の、飽和もしくは不飽和のヘテロ環式基を構成し、該基は無置換であるか、または(C1-C4)アルキルおよび/またはヒドロキシおよび/または(C1-C4)アルコキシおよび/またはメトキシ(C1-C2)アルキレンおよび/または(C1-C4)アルカノイル基で1回または数回置換されているか、あるいはスピロシクロブタン、スピロシクロペンタンもしくスピロシクロへキサンで置換されている)
に相当する、塩基もしくは酸付加塩の形態、および水和物もしくは溶媒和物の形態にある化合物。
【請求項2】
− R1が水素原子または(C1-C4)アルキル基を表し;
− R2が(C3-C7)アルキル基またはNR9R10基 (ここで、R9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になってピペリジン-1-イル基を構成し、該基は無置換であるか、または4,4-ジメチル基でジ置換されているか、あるいは4位がスピロシクロペンタン基で置換されている)を表し;
− そして/または置換基R3、R4、R5の1つまたは2つが、ハロゲン原子またはメチルもしくはメトキシ基を表し;
− そして/または置換基R6、R7、R8の1つまたは2つが、ハロゲン原子またはメチル基を表す
ことを特徴とする、塩基もしくは酸付加塩の形態、および水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の式(I)の化合物。
【請求項3】
− R1が水素原子を表し;
− R2が(C3-C7)アルキル基またはNR9R10基 (ここで、R9およびR10はそれらが結合している窒素原子と一緒になってピペリジン-1-イル基を構成し、該基は無置換であるか、または4,4-ジメチル基でジ置換されているか、あるいは4位がスピロシクロペンタン基で置換されている)を表し;
− R3が4位にあって、塩素もしくは臭素原子またはメトキシ基を表し、
− R4およびR5が水素原子を表し;
− R6およびR7が2,4位にあって、2つの塩素原子を表し、
− R8が水素原子を表す
ことを特徴とする、塩基もしくは酸付加塩の形態、および水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1または2に記載の式(I)の化合物。
【請求項4】
5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-tert-ブチル-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドおよび5-(4-ブロモフェニル)-4-シアノ-1-(2,4-ジクロロフェニル)-N-(1,1-ジメチルプロピル)-1H-ピラゾール-3-カルボキシアミドから選択される、塩基もしくは酸付加塩の形態、および水和物もしくは溶媒和物の形態にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
式:
【化2】

(式中、R3、R4、R5、R6、R7、R8は請求項1の(I)で定義されたとおりである)
の4-シアノ-1,5-ジフェニルピラゾール-3-カルボン酸の官能性誘導体を、式HNR1R2 (III)(ここで、R1およびR2は請求項1の(I)で定義されたとおりである)のアミンで処理することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)の化合物の製造法。
【請求項6】
式:
【化3】

(式中、Rは水素原子または(C1-C4)アルキル基であり、R3、R4、R5、R6、R7、R8は請求項1の(I)で定義されたとおりであり、但し、置換基R3、R4、R5の少なくとも1つおよび置換基R6、R7、R8の少なくとも1つは水素でなく、そしてR3がメトキシ基を表し、かつR6が臭素原子を表すとき、置換基R4、R5、R7、R8は水素でない)
の化合物。
【請求項7】
− R3が4位にあって、塩素もしくは臭素原子、またはメチル、エチル、メトキシもしくはトリフルオロメチル基を表し;
− R6が2位にあって、塩素原子を表し;
− R7が4位にあって、水素または塩素原子を表し;
− R4、R5およびR8が水素原子を表す
請求項6に記載の式(IIa)の化合物。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはこの化合物と医薬的に許容される酸との付加塩、または水和物もしくは溶媒和物を含むことを特徴とする医薬。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)の化合物、またはこの化合物の医薬的に許容される塩、水和物もしくは溶媒和物、および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項10】
食欲障害、胃腸管障害、炎症の症状、免疫系の疾患、精神障害、アルコール依存症およびニコチン依存症の治療を目的とした医薬を製造するための、請求項1〜4のいずれか1つに記載の式(I)の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−514637(P2007−514637A)
【公表日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516317(P2006−516317)
【出願日】平成16年6月24日(2004.6.24)
【国際出願番号】PCT/FR2004/001580
【国際公開番号】WO2005/000820
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(399050909)サノフィ−アベンティス (225)
【Fターム(参考)】