説明

4−(N−メチル−2−クロロ−5−ピリジルメチルアミノ)−2,5−ジヒドロフラン−2−オンの新規結晶変態

本発明は、式(I)で表される化合物の定義されている結晶変態、それの調製方法、及び、農薬調製物におけるそれの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)で表される化合物の新規結晶変態、それの調製方法、及び、農薬調製物におけるそれの使用に関する。
【0002】
【化1】

【背景技術】
【0003】
式(I)で表される化合物は、EP−A 0539588から知られている。これは、EP−A 0539588中に記載されている方法によって合成することができる。
【0004】
その従来技術に記載されている合成方法においては、式(I)で表される化合物の結晶変態II(その命名法及び特性に関しては、本明細書の下記記載を参照されたい)が得られる。この結晶変態は、準安定である。
【0005】
一部の多形に関し、特定の変態は融点までの全温度範囲にわたって熱力学的に安定な相である一方で、別の物質系では安定比が逆になる1以上の転移点が存在しているということが知られている。安定比を予測することは不可能であり、特に、上記転移点の存在及び位置を予測することは不可能である。これらの基本的な熱力学的反応に関する従来技術の論評が、「J. Bernstein, R.J. Davey, J. O. Henck, Angew. Chem. Int. Ed., 1999, 38, 3440−3461」に示されている。
【0006】
活性化合物が種々の結晶変態(多形性)で存在しているということは、調製方法の案出及び製剤の開発の両方にとって重要である。かくして、化合物の種々の結晶変態は、外観(晶癖)及び硬度が異なっているのみではなく、多くのさらなる物理化学的特性においても異なっている。安定性、濾過性、粉砕性、溶解性、吸湿性、融点、固相密度及び流動性に関する相違は、作物処理剤の品質と効力に大きな影響を及ぼし得る。これまで、物理化学的特性を含めて結晶変態の存在及びその個数を予測することはできなかった。特に、熱力学的安定性及び生きている生物に投与した後の種々の挙動は、予め決定することはできない。
【0007】
式(I)で表される化合物の結晶変態IIなどのような準安定な結晶変態は、調製方法に関して、また、活性化合物及び製剤の貯蔵及び輸送に関しても、熱力学的に安定な形態と比較して一般に不利点を有している。熱力学的に準安定な形態を使用した場合には調製中又は貯蔵中に別の多形体に完全に又は部分的に変換し得るということは、「J. Halebian, W. McCrone, J. Pharm. Sci. 58 (1969) 911」から知られている。関連する現象として、好ましくない結晶成長(再結晶)、生物学的利用能の変化、アグロメレーションなどが観察される。上記変換は、比較的長期間にわたって又は自然発生的に起こり得るものであって、予測することは不可能である。別の結晶変態が形成されるか否か、いつ形成されるか、及び、どのような量で形成されるかは、本質的に、偶然による。準安定な結晶変態の上記挙動は、開発及び輸送に対して、並びに、特に貯蔵安定性に対して、大きな影響を及ぼし得る。
【0008】
さらに、式(I)で表される化合物の結晶変態IIなどのような準安定な結晶変態は、製剤の調製に際して、特に、活性化合物が固体形態で存在している製剤の調製に際して、又は、製剤の調製中に活性化合物が一定期間固体形態で存在している場合の製剤の調製に際して、該製剤の特性を思わしくないものとし得るということも、知られている。実際、準安定な結晶変態を使用する場合には製剤を調製することが不可能であるという可能性もある。活性化合物が固体形態で使用される製剤を調製する場合、一般に、その活性化合物を粉砕することが必要である。このプロセスは機械的なものであり、従って、温度の上昇を引き起こす。温度が上昇すると、当該活性化合物の熱力学的に準安定な形態は、安定な結晶変態に変換する傾向があり、これは、粉砕中に膠着(seizure)を引き起こし得る。粉砕中の膠着は、活性化合物又は活性化合物と粉砕媒体の懸濁液が粉砕装置内で完全に硬化するまで固化することを意味するものと理解される。粉砕中の膠着のリスクは、準安定な変態の予測不可能な変換率に影響される。たとえ準安定な変態の活性化合物を用いて製剤を調製することが可能であっても、その製剤を貯蔵すると、多くの場合、問題が生じる。それは、準安定な変態の極めて低い変換率であっても、貯蔵特性に対して悪影響を及ぼし得るのからである。貯蔵中のそのような変換に起因し得る典型的な負の特性は、結晶成長、粒子凝集、沈澱又は生成物の固化である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】EP−A 0539588。
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】J. Bernstein, R.J. Davey, J. O. Henck, Angew. Chem. Int. Ed., 1999, 38, 3440−3461;
【非特許文献2】J. Halebian, W. McCrone, J. Pharm. Sci. 58 (1969) 911。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、その物理化学的特性によって製剤に際して首尾良く取り扱うことが可能な式(I)で表される化合物の新規結晶変態を提供することである。本発明のさらなる目的は、粉砕プロセスを用いることが必要な製剤を調製するのに特に適している式(I)で表される化合物の新規結晶変態の調製である。一例として、及び、好ましいものとして、しかしながら、限定することなく、以下の製剤を挙げることができる: 活性化合物が固体(乾燥)形態で存在している製剤、例えば、粒剤、カプセル化粒剤、錠剤、顆粒水和剤、水分散性錠剤、水和剤又は種子処理用水和剤、粉剤; 活性化合物が分散された形態で存在している製剤、例えば、懸濁製剤、油性懸濁製剤、サスポエマルション製剤又は種子処理用懸濁製剤。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明により、上記目的は、以下において結晶変態I(安定な変態)と称されている式(I)で表される化合物の新規結晶変態によって達成される。
【0013】
従って、本発明は、結晶変態Iを提供し、ここで、該結晶変態Iは、CuKα照射を用いたときに以下の反射面(2θ,>20%相対強度)を有するX線粉末ディフラクトグラムを有することを特徴とする。
【0014】
【表1】

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】式(I)で表される化合物の結晶変態IのX線粉末ディフラクトグラムを示す図である。
【図2】式(I)で表される化合物の結晶変態IIのX線粉末ディフラクトグラムを示す図である。
【図3】式(I)で表される化合物の結晶変態IのIRスペクトルを示す図である。
【図4】式(I)で表される化合物の結晶変態IIのIRスペクトルを示す図である。
【図5】式(I)で表される化合物の結晶変態Iのラマンスペクトルを示す図である。
【図6】式(I)で表される化合物の結晶変態IIのラマンスペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましい実施形態によれば、該結晶変態Iは、CuKα照射を用いたときに以下の反射面(2θ,>20%相対強度)を有するX線粉末ディフラクトグラムを有することを特徴とする。
【0017】
【表2】

【0018】
さら好ましい実施形態によれば、該結晶変態Iは、CuKα照射を用いたときに以下の反射面(2θ,>20%相対強度)を有するX線粉末ディフラクトグラムを有することを特徴とする。
【0019】
【表3】


【0020】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、結晶変態IのX線粉末ディフラクトグラムは、表1に示されている反射面を有する。本発明のさらに極めて特に好ましい実施形態によれば、結晶変態IのX線粉末ディフラクトグラムは、図1に示されているシグナルを有している。従って、結晶変態IのX線粉末ディフラクトグラムの最も強いシグナル(2θ)は、16.80°、19.58°、21.11°、21.32°、22.92°、23.23°、23.97及び28.00°(いずれの場合も、±0.2°)に存在している。
【0021】
全てのX線粉末回折データは、下記取得パラメータを用いて得られた。
【0022】
【表4】

【0023】
【表5】


【0024】
式(I)で表される化合物の既知結晶変態IIは、下記表2に示されている反射面(2θ)を有するX線粉末ディフラクトグラムを有していることを特徴とする。結晶変態IIのX線粉末ディフラクトグラムは、図2にも示してある。
【0025】
【表6】


【0026】
式(I)で表される化合物の本発明による結晶変態Iは、さらに、IR分光法及びラマン分光法によっても特徴付けることができる。
【0027】
従って、本発明は、さらに、式(I)で表される化合物の結晶変態Iを提供し、ここで、該結晶変態Iは、下記バンド[cm−1]を有するIRスペクトルを有していることを特徴とする。
【0028】
【表7】

【0029】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)で表される化合物の結晶変態IのIRスペクトルは、表3に示されているバンドを有している。本発明のさらに特に好ましい実施形態によれば、結晶変態IのIRスペクトルは、図3に示されているシグナルを有している。
【0030】
本発明は、さらに、式(I)で表される化合物の結晶変態Iを提供し、ここで、該結晶変態Iは、下記バンド[cm−1]を有するラマンスペクトルを有していることを特徴とする。
【0031】
【表8】


【0032】
本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)で表される化合物の結晶変態Iのラマンスペクトルは、表3に示されているバンドを有している。本発明のさらに極めて特に好ましい実施形態によれば、結晶変態Iのラマンスペクトルは、図5に示されているシグナルを有している。
【0033】
式(I)で表される化合物の既知結晶変態IIは、下記表3に示されているバンドを有するIRスペクトル又はラマンスペクトルを有していることを特徴とする。結晶変態IIのIRスペクトル及び結晶変態IIのラマンスペクトルは、それぞれ、図4及び図6にも示してある。
【0034】
全てのIRスペクトルは、下記取得パラメータを用いて得られた。
【0035】
【表9】

【0036】
全てのラマンスペクトルは、下記取得パラメータを用いて得られた:
【0037】
【表10】

【0038】
【表11】



【0039】
驚くべきことに、結晶変態Iの状態にある式(I)の化合物は、熱力学的に安定であり、長期間の貯蔵中においてさえ別の結晶変態に変換しないということが分かった。さらに、結晶変態Iが別の結晶変態と比較して粉砕/摩砕が容易であること、及び、結晶変態Iを用いて調製した製剤が貯蔵後においてさえ安定であることが分かった。これによって、例えば、懸濁製剤、油性懸濁製剤及び顆粒水和剤並びに種子処理用の類似した製剤の調製が可能となる。さらに、結晶変態IIと比較して、結晶変態Iは、大気中の水分を吸収する傾向が低い。これらの理由により、結晶形態Iは、固体製剤を調製するのに非常に適している。結晶変態Iは、その安定性によって、上記製剤に望ましい長期にわたる貯蔵安定性を付与する。かくして、結晶変態Iを用いれば、式(I)で表される化合物の安定な固体調製物を目標とする定められた方法で調製することが可能である。
【0040】
結晶変態Iの状態にある式(I)の化合物は、その安定性によって、有害生物を防除するための組成物を調製するのに非常に適している。従って、本発明は、有害生物を防除するための組成物も提供し、ここで、該組成物は、式(I)で表される化合物の結晶変態Iを、単独で、又は、補助剤及び担体との混合物として含んでおり、並びに、別の活性化合物との混合物としても含んでいる。
【0041】
本発明は、さらにまた、式(I)で表される化合物の結晶変態Iと結晶変態IIを含んでいる組成物も包含する。該製剤に関して、式(I)で表される化合物の結晶変態IIを20重量%未満しか含んでいない組成物を使用するのが好ましく、特に好ましくは、15重量%未満、極めて特に好ましくは、10重量%未満、とりわけ好ましくは、5重量%未満、最も好ましくは、4重量%未満、3重量%未満、2重量%未満又は1重量%未満の式(I)で表される化合物の結晶変態IIを含んでいる組成物を使用する。
【0042】
約80重量%〜約100重量%の式(I)で表される化合物の結晶変態I及び約20重量%〜約0重量%の式(I)で表される化合物の結晶変態IIを含んでいる組成物も好ましい。約85重量%〜約100重量%の結晶変態I及び約15重量%〜約0重量%の結晶変態IIを含んでいる組成物が特に好ましい。約90重量%〜約100重量%の結晶変態I及び約10重量%〜約0重量%の結晶変態IIを含んでいる組成物が極めて特に好ましい。約95重量%〜約100重量%の結晶変態I及び約5重量%〜約0重量%の結晶変態IIを含んでいる組成物がとりわけ好ましい。約96重量%〜約100重量%の結晶変態I及び約4重量%〜約0重量%の結晶変態IIを含んでいる組成物、又は、約97重量%〜約100重量%の結晶変態I及び約3重量%〜約0重量%の結晶変態IIを含んでいる組成物、又は、約98重量%〜約100重量%の結晶変態I及び約2重量%〜約0重量%の結晶変態IIを含んでいる組成物、又は、約99重量%〜約100重量%の結晶変態I及び約1重量%〜約0重量%の結晶変態IIを含んでいる組成物を含んでいる組成物が最も好ましい。
【0043】
本発明は、さらにまた、有害生物を防除するための組成物も提供し、ここで、該組成物は、結晶変態Iの状態にある式(I)で表される化合物及び式(I)で表される化合物の結晶変態Iとは異なっている少なくとも1種類の形態を含んでいる。式(I)で表される化合物の結晶変態Iとは異なっている形態の例は、結晶変態II及び無定型形態である。製剤に関しては、式(I)で表される化合物の結晶変態Iとは異なっている式(I)で表される化合物の形態を20重要%未満しか含んでいない品質の活性化合物を使用するのが好ましく、式(I)で表される化合物の結晶変態Iとは異なっている式(I)で表される化合物の形態を、特に好ましくは10重要%未満、極めて特に好ましくは5重要%未満、最も好ましくは2重要%未満しか含んでいない品質の活性化合物を使用する。
【0044】
式(I)で表される化合物の結晶変態Iは、安定性を有していることにより、たとえ製剤後には式(I)で表される化合物がもはや結晶変態Iの状態では存在していないが、例えば、溶解した形態にあるとしても、式(I)で表される化合物を含んでいる任意の有害生物防除用組成物を調製するための出発物質として極めて一般的に適している。
【0045】
従って、本発明は、さらに、式(I)で表される化合物の結晶変態Iを用いて有害生物防除用組成物を調製する方法、及び、式(I)で表される化合物を含んでいる有害生物防除用組成物(ここで、該組成物は、式(I)で表される化合物の結晶変態Iから得られた)も提供する。式(I)で表される化合物の結晶変態Iを使用することによって、式(I)で表される化合物の調製の安全性が増大し、従って、投与量を間違うリスクが低減される。
【0046】
式(I)で表される化合物の結晶変態Iは、適切な補助剤及び担体又は溶媒を用いて、既知方法で、慣習的な製剤、例えば、懸濁製剤、油性懸濁製剤、コロイド濃厚製剤(colloidal concentrate)、分散性濃厚製剤(dispersible concentrate)、乳剤、種子粉衣エマルション剤(emulsion seed dressing)、種子粉衣懸濁液剤(suspension seed dressing)、粒剤、微粒剤、サスポエマルション製剤、水溶性粒剤、水溶性濃厚製剤(water-soluble concentrate)及び顆粒水和剤などに変換することができる。ここで、活性化合物は、混合物総量の約0.5〜90重量%の濃度で、即ち、必要とされる投与レベルを達成するのに充分な量で、存在させるべきである。該製剤は、適切な場合には、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は別の補助剤(例えば、浸透剤)を用いて、例えば、式(I)で表される化合物の結晶変態Iを水、溶媒及び/又は担体で増量することによって調製する。
【0047】
懸濁製剤を調製する場合、種子処理に使用される懸濁製剤であっても、活性化合物及び増量剤(水、溶媒又は油)に加えて、一般に、さらなる補助剤を添加する。溶媒又は油を含んでいる懸濁製剤に関しては、連続相中の活性化合物を湿らせるために湿潤剤を添加し、液相中の懸濁液を安定化させるために分散剤を使用し、非水相を乳化するために乳化剤を使用する。必用に応じて、不凍剤、殺生物剤、増粘剤、着色剤、展着剤及び/又は取込を促進する薬剤を組み入れる。
【0048】
式(I)で表される化合物の結晶変態Iは、下記調製方法によって得ることができる。
【0049】
適切な溶媒を添加した後(ここで、結晶変態IIの状態にある式(I)で表される化合物は懸濁液の形態で存在している。)、結晶変態IIの状態にある式(I)で表される化合物(4−{[(6−クロロピリド−3−イル)メチル](メチル)アミノ}フラン−2(5H)−オン;EP−A 0539588から既知;準安定な変態)を撹拌しながら約80℃まで昇温させ(各成分が混合された状態にある。)、その温度で約1時間以上撹拌する。そのサンプルを加熱されていない作業台の上に一晩放置する。これにより、結晶変態I(安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物が得られる。
【0050】
代替的な調製方法では、結晶変態IIの状態にある式(I)で表される化合物(4−{[(6−クロロピリド−3−イル)メチル](メチル)アミノ}フラン−2(5H)−オン;EP−A 0539588から既知;準安定な変態)を適切な溶媒(例えば、酢酸ブチル又はトルエン)の中で撹拌しながら沸騰させ、還流温度(90〜120℃)でさらに1〜12時間撹拌する。次いで、加熱スイッチを切り、その混合物を撹拌しながら冷却し、結晶変態Iの状態にある式(I)で表される少量の化合物(安定な変態;実施例1に準じて得ることができる。)を約90〜110℃で添加する。室温になった後、生成物を吸引濾過し、適切な溶媒(例えば、石油エーテル、トルエン、ヘキサン、ヘプタン又はシクロヘキサン)で洗浄し、残渣を真空乾燥室内で30〜60℃で乾燥させる。これにより、90〜95%の結晶変態I(安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物及び5〜10%の結晶変態II(準安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物が得られる。
【0051】
実施例1、実施例1.1及び実施例1.2には、式(I)で表される化合物の結晶変態Iを調製するための上記調製方法の特定の実施形態が記載されている。
【0052】
本発明の活性化合物は、植物が良好な耐性を示すこと及び温血動物に対する毒性が望ましい程度であること及び環境によって充分に許容されることと相まって、植物及び植物の器官を保護するのに適しており、収穫高を増大させるのに適しており、収穫物の質を向上させるのに適しており、並びに、農業において、園芸において、畜産業において、森林で、庭園やレジャー施設で、貯蔵生産物や材料物質(material)の保護において、及び、衛生学の分野において遭遇する害虫(animal pest)、特に、昆虫類、クモ形類動物、蠕虫類、線虫類及び軟体動物を防除するのに適している。これらは、好ましくは、植物保護剤として使用することができる。これらは、通常の感受性種及び抵抗性種に対して有効であり、さらに、全ての発育段階又は一部の発育段階に対して活性を示す。上記害虫(pest)としては、以下のものを挙げることができる:
シラミ目(Anoplura)(Phthiraptera)の、例えば、ダマリニア属種(Damalinia spp.)、ハエマトピヌス属種(Haematopinus spp.)、リノグナツス属種(Linognathus spp.)、ペジクルス属種(Pediculus spp.)、トリコデクテス属種(Trichodectes spp.);
クモ綱(Arachnida)の、例えば、アカルス・シロ(Acarus siro)、アセリア・シェルドニ(Aceria sheldoni)、アクロプス属種(Aculops spp.)、アクルス属種(Aculus spp.)、アンブリオンマ属種(Amblyomma spp.)、アルガス属種(Argas spp.)、ボオフィルス属種(Boophilus spp.)、ブレビパルプス属種(Brevipalpus spp.)、ブリオビア・プラエチオサ(Bryobia praetiosa)、コリオプテス属種(Chorioptes spp.)、デリマニスス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae)、エオテトラニクス属種(Eotetranychus spp.)、エピトリメルス・ピリ(Epitrimerus pyri)、エウテトラニクス属種(Eutetranychus spp.)、エリオフィエス属種(Eriophyes spp.)、ヘミタルソネムス属種(Hemitarsonemus spp.)、ヒアロンマ属種(Hyalomma spp.)、イクソデス属種(Ixodes spp.)、ラトロデクツス・マクタンス(Latrodectus mactans)、メタテトラニクス属種(Metatetranychus spp.)、オリゴニクス属種(Oligonychus spp.)、オルニトドロス属種(Ornithodoros spp.)、パノニクス属種(Panonychus spp.)、フィロコプトルタ・オレイボラ(Phyllocoptruta oleivora)、ポリファゴタルソネムス・ラツス(Polyphagotarsonemus latus)、プソロプテス属種(Psoroptes spp.)、リピセファルス属種(Rhipicephalus spp.)、リゾグリフス属種(Rhizoglyphus spp.)、サルコプテス属種(Sarcoptes spp.)、スコルピオ・マウルス(Scorpio maurus)、ステノタルソネムス属種(Stenotarsonemus spp.)、タルソネムス属種(Tarsonemus spp.)、テトラニクス属種(tetranychus spp.)、バサテス・リコペルシシ(Vasates lycopersici);
ニマイガイ綱(Bivalva)の、例えば、ドレイセナ属種(Dreissena spp.);
キロポーダ目(Chilopoda)の、例えば、ゲオフィルス属種(Geophilus spp.)、スクチゲラ属種(Scutigera spp.);
コウチュウ目(Coleoptera)の、例えば、アカントセリデス・オブテクツス(Acanthoscelides obtectus)、アドレツス属種(Adoretus spp.)、アゲラスチカ・アルニ(Agelastica alni)、アグリオテス属種(Agriotes spp.)、アンフィマロン・ソルスチチアリス(Amphimallon solstitialis)、アノビウム・プンクタツム(Anobium punctatum)、アノプロホラ属種(Anoplophora spp.)、アントノムス属種(Anthonomus spp.)、アントレヌス属種(Anthrenus spp.)、アポゴニア属種(Apogonia spp.)、アトマリア属種(Atomaria spp.)、アタゲヌス属種(Attagenus spp.)、ブルキジウス・オブテクツス(Bruchidius obtectus)、ブルクス属種(Bruchus spp.)、セウトリンクス属種(Ceuthorhynchus spp.)、クレオヌス・メンジクス(Cleonus mendicus)、コノデルス属種(Conoderus spp.)、コスモポリテス属種(Cosmopolites spp.)、コステリトラ・ゼアランジカ(Costelytra zealandica)、クルクリオ属種(Curculio spp.)、クリプトリンクス・ラパチ(Cryptorhynchus lapathi)、デルメステス属種(Dermestes spp.)、ジアブロチカ属種(Diabrotica spp.)、エピラクナ属種(Epilachna spp.)、ファウスチヌス・クバエ(Faustinus cubae)、ジビウム・プシロイデス(Gibbium psylloides)、ヘテロニクス・アラトル(Heteronychus arator)、ヒラモルファ・エレガンス(Hylamorpha elegans)、ヒロトルペス・バジュルス(Hylotrupes bajulus)、ヒペラ・ポスチカ(Hypera postica)、ヒポテネムス属種(Hypothenemus spp.)、ラクノステルナ・コンサングイネア(Lachnosterna consanguinea)、レプチノタルサ・デセムリネアタ(Leptinotarsa decemlineata)、リソロプトルス・オリゾフィルス(Lissorhoptrus oryzophilus)、リキスス属種(Lixus spp.)、リクツス属種(Lyctus spp.)、メリゲテス・アエネウス(Meligethes aeneus)、メロロンタ・メロロンタ(Melolontha melolontha)、ミゴドルス属種(Migdolus spp.)、モノカムス属種(Monochamus spp.)、ナウパクツス・キサントグラフス(Naupactus xanthographus)、ニプツス・ホロレウクス(Niptus hololeucus)、オリクテス・リノセロス(Oryctes rhinoceros)、オリザエフィルス・スリナメンシス(Oryzaephilus surinamensis)、オチオリンクス・スルカツス(Otiorrhynchus sulcatus)、オキシセトニア・ジュクンダ(Oxycetonia jucunda)、ファエドン・コクレアリアエ(Phaedon cochleariae)、フィロファガ属種(Phyllophaga spp.)、ポピリア・ジャポニカ(Popillia japonica)、プレムノトリペス属種(Premnotrypes spp.)、プシリオデス・クリソセファラ(Psylliodes chrysocephala)、プチヌス属種(Ptinus spp.)、リゾビウス・ベントラリス(Rhizobius ventralis)、リゾペルタ・ドミニカ(Rhizopertha dominica)、シトフィルス属種(Sitophilus spp.)、スフェノホルス属種(Sphenophorus spp.)、ステルネクス属種(Sternechus spp.)、シンフィレテス属種(Symphyletes spp.)、テネブリオ・モリトル(Tenebrio molitor)、トリボリウム属種(Tribolium spp.)、トロゴデルマ属種(Trogoderma spp.)、チキウス属種(Tychius spp.)、キシロトレクス属種(Xylotrechus spp.)、ザブルス属種(Zabrus spp.);
トビムシ目(Collembola)の、例えば、オニキウルス・アルマツス(Onychiurus armatus);
ハサミムシ目(Dermaptera)の、例えば、ホルフィクラ・アウリクラリア(Forficula auricularia);
ジプローダ目(Diplopoda)の、例えば、ブラニウルス・グツラツス(Blaniulus guttulatus);
ハエ目(Diptera)の、例えば、アエデス属種(Aedes spp.)、アノフェレス属種(Anopheles spp.)、ビビオ・ホルツラヌス(Bibio hortulanus)、カリホラ・エリトロセファラ(Calliphora erythrocephala)、セラチチス・カピタタ(Ceratitis capitata)、クリソミイア属種(Chrysomyia spp.)、コクリオミイア属種(Cochliomyia spp.)、コルジオビア・アントロポファガ(Cordylobia anthropophaga)、クレクス属種(Culex spp.)、クテレブラ属種(Cuterebra spp.)、ダクス・オレアエ(Dacus oleae)、デルマトビア・ホミニス(Dermatobia hominis)、ドロソフィラ属種(Drosophila spp.)、ファンニア属種(Fannia spp.)、ガストロフィルス属種(Gastrophilus spp.)、ヒレミイア属種(Hylemyia spp.)、ヒポボスカ属種(Hyppobosca spp.)、ヒポデルマ属種(Hypoderma spp.)、リリオミザ属種(Liriomyza spp.)、ルシリア属種(Lucilia spp.)、ムスカ属種(Musca spp.)、ネザラ属種(Nezara spp.)、オエストルス属種(Oestrus spp.)、オシネラ・フリト(Oscinella frit)、ペゴミイア・ヒオシアミ(Pegomyia hyoscyami)、ホルビア属種(Phorbia spp.)、ストモキス属種(Stomoxys spp.)、タバヌス属種(Tabanus spp.)、タンニア属種(Tannia spp.)、チプラ・パルドサ(Tipula paludosa)、ウォールファールチア属種(Wohlfahrtia spp.);
マキガイ綱(Gastropoda)の、例えば、アリオン属種(Arion spp.)、ビオムファラリア属種(Biomphalaria spp.)、ブリヌス属種(Bulinus spp.)、デロセラス属種(Deroceras spp.)、ガルバ属種(Galba spp.)、リムナエア属種(Lymnaea spp.)、オンコメラニア属種(Oncomelania spp.)、スクシネア属種(Succinea spp.);
ゼンチュウ綱(Helminths)の、例えば、アンシロストマ・ズオデナレ(Ancylostoma duodenale)、アンシロストマ・セイラニクム(Ancylostoma ceylanicum)、アシロストマ・ブラジリエンシス(Acylostoma braziliensis)、アンシロストマ属種(Ancylostoma spp.)、アスカリス・ルブリコイデス(Ascaris lubricoides)、アスカリス属種(Ascaris spp.)、ブルギア・マライ(Brugia malayi)、ブルギア・チモリ(Brugia timori)、ブノストムム属種(Bunostomum spp.)、カベルチア属種(Chabertia spp.)、クロノルキス属種(Clonorchis spp.)、コオペリア属種(Cooperia spp.)、ジクロコエリウム属種(Dicrocoelium spp)、ジクチオカウルス・フィラリア(Dictyocaulus filaria)、ジフィロボトリウム・ラツム(Diphyllobothrium latum)、ドラクンクルス・メジネンシス(Dracunculus medinensis)、エキノコックス・グラヌロスス(Echinococcus granulosus)、エキノコックス・ムルチロクラリス(Echinococcus multilocularis)、エンテロビウス・ベルミクラリス(Enterobius vermicularis)、ファシオラ属種(Faciola spp.)、ハエモンクス属種(Haemonchus spp.)、ヘテラキス属種(Heterakis spp.)、ヒメノレピス・ナナ(Hymenolepis nana)、ヒオストロングルス属種(Hyostrongulus spp.)、ロア・ロア(Loa Loa)、ネマトジルス属種(Nematodirus spp.)、オエソファゴストムム属種(Oesophagostomum spp.)、オピストルキス属種(Opisthorchis spp.)、オンコセルカ・ボルブルス(Onchocerca volvulus)、オステルタギア属種(Ostertagia spp.)、パラゴニムス属種(Paragonimus spp.)、シストソメン属種(Schistosomen spp.)、ストロンギロイデス・フエレボルニ(Strongyloides fuelleborni)、ストロンギロイデス・ステルコラリス(Strongyloides stercoralis)、ストロニロイデス属種(Stronyloides spp.)、タエニア・サギナタ(Taenia saginata)、タエニア・ソリウム(Taenia solium)、トリキネラ・スピラリス(Trichinella spiralis)、トリキネラ・ナチバ(Trichinella nativa)、トリキネラ・ブリトビ(Trichinella britovi)、トリキネラ・ネルソニ(Trichinella nelsoni)、トリキネラ・プセウドプシラリス(Trichinella pseudopsiralis)、トリコストロングルス属種(Trichostrongulus spp.)、トリクリス・トリクリア(Trichuris trichuria)、ウケレリア・バンクロフチ(Wuchereria bancrofti)。
【0053】
さらにまた、エイメリア(Eimeria)などの原生動物も防除することができる。
【0054】
ヘテロプテラ目(Heteroptera)の、例えば、アナサ・トリスチス(Anasa tristis)、アンテスチオプシス属種(Antestiopsis spp.)、ブリスス属種(Blissus spp.)、カロコリス属種(Calocoris spp.)、カムピロンマ・リビダ(Campylomma livida)、カベレリウス属種(Cavelerius spp.)、シメクス属種(Cimex spp.)、クレオンチアデス・ジルツス(Creontiades dilutus)、ダシヌス・ピペリス(Dasynus piperis)、ジケロプス・フルカツス(Dichelops furcatus)、ジコノコリス・ヘウェチ(Diconocoris hewetti)、ジスデルクス属種(Dysdercus spp.)、エウシスツス属種(Euschistus spp.)、エウリガステル属種(Eurygaster spp.)、ヘリオペルチス属種(Heliopeltis spp.)、ホルシアス・ノビレルス(Horcias nobilellus)、レプトコリサ属種(Leptocorisa spp.)、レプトグロスス・フィロプス(Leptoglossus phyllopus)、リグス属種(Lygus spp.)、マクロペス・エクスカバツス(Macropes excavatus)、ミリダエ(Miridae)、ネザラ属種(Nezara spp.)、オエバルス属種(Oebalus spp.)、ペントミダエ(Pentomidae)、ピエスマ・クワドラタ(Piesma quadrata)、ピエゾドルス属種(Piezodorus spp.)、プサルス・セリアツス(Psallus seriatus)、プセウドアシスタ・ペルセア(Pseudacysta persea)、ロドニウス属種(Rhodnius spp.)、サールベルゲラ・シングラリス(Sahlbergella singularis)、スコチノホラ属種(Scotinophora spp.)、ステファニチス・ナシ(Stephanitis nashi)、チブラカ属種(Tibraca spp.)、トリアトマ属種(Triatoma spp.);
ホモプテラ目(Homoptera)の、例えば、アシルトシポン属種(Acyrthosipon spp.)、アエネオラミア属種(Aeneolamia spp.)、アゴノセナ属種(Agonoscena spp.)、アレウロデス属種(Aleurodes spp.)、アレウロロブス・バロデンシス(Aleurolobus barodensis)、アレウロトリクスス属種(Aleurothrixus spp.)、アムラスカ属種(Amrasca spp.)、アヌラフィス・カルズイ(Anuraphis cardui)、アオニジエラ属種(Aonidiella spp.)、アファノスチグマ・ピリ(Aphanostigma piri)、アフィス属種(Aphis spp.)、アルボリジア・アピカリス(Arboridia apicalis)、アスピジエラ属種(Aspidiella spp.)、アスピジオツス属種(Aspidiotus spp.)、アタヌス属種(Atanus spp.)、アウラコルツム・ソラニ(Aulacorthum solani)、ベミシア属種(Bemisia spp.)、ブラキカウズス・ヘリクリシイ(Brachycaudus helichrysii)、ブラキコルス属種(Brachycolus spp.)、ブレビコリネ・ブラシカエ(Brevicoryne brassicae)、カリジポナ・マルギナタ(Calligypona marginata)、カルネオセファラ・フルギダ(Carneocephala fulgida)、セラトバクナ・ラニゲラ(Ceratovacuna lanigera)、セルコピダエ(Cercopidae)、セロプラステス属種(Ceroplastes spp.)、カエトシホン・フラガエホリイ(Chaetosiphon fragaefolii)、キオナスピス・テガレンシス(Chionaspis tegalensis)、クロリタ・オヌキイ(Chlorita onukii)、クロマフィス・ジュグランジコラ(Chromaphis juglandicola)、クリソムファルス・フィクス(Chrysomphalus ficus)、シカズリナ・ムビラ(Cicadulina mbila)、コッコミチルス・ハリイ(Coccomytilus halli)、コックス属種(Coccus spp.)、クリプトミズス・リビス(Cryptomyzus ribis)、ダルブルス属種(Dalbulus spp.)、ジアレウロデス属種(Dialeurodes spp.)、ジアホリナ属種(Diaphorina spp.)、ジアスピス属種(Diaspis spp.)、ドラリス属種(Doralis spp.)、ドロシカ属種(Drosicha spp.)、ジサフィス属種(Dysaphis spp.)、ジスミコックス属種(Dysmicoccus spp.)、エンポアスカ属種(Empoasca spp.)、エリオソマ属種(Eriosoma spp.)、エリトロネウラ属種(Erythroneura spp.)、エウセリス・ビロバツス(Euscelis bilobatus)、ゲオコックス・コフェアエ(Geococcus coffeae)、ホマロジスカ・コアグラタ(Homalodisca coagulata)、ヒアロプテルス・アルンジニス(Hyalopterus arundinis)、イセリア属種(Icerya spp.)、イジオセルス属種(Idiocerus spp.)、イジオスコプス属種(Idioscopus spp.)、ラオデルファクス・ストリアテルス(Laodelphax striatellus)、レカニウム属種(Lecanium spp.)、レピドサフェス属種(Lepidosaphes spp.)、リパフィス・エリシミ(Lipaphis erysimi)、マクロシフム属種(Macrosiphum spp.)、マハナルバ・フィムブリオラタ(Mahanarva fimbriolata)、メラナフィス・サッカリ(Melanaphis sacchari)、メトカルフィエラ属種(Metcalfiella spp.)、メトポロフィウム・ジロズム(Metopolophium dirhodum)、モネリア・コスタリス(Monellia costalis)、モネリオプシス・ペカニス(Monelliopsis pecanis)、ミズス属種(Myzus spp.)、ナソノビア・リビスニグリ(Nasonovia ribisnigri)、ネホテッチキス属種(Nephotettix spp.)、ニラパルバタ・ルゲンス(Nilaparvata lugens)、オンコメトピア属種(Oncometopia spp.)、オルテジア・プラエロンガ(Orthezia praelonga)、パラベムシア・ミリカエ(Parabemisia myricae)、パラトリオザ属種(Paratrioza spp.)、パルラトリア属種(Parlatoria spp.)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp.)、ペレグリヌス・マイジス(Peregrinus maidis)、フェナコックス属種(Phenacoccus spp.)、フロエオミズス・パセリニイ(Phloeomyzus passerinii)、ホロドン・フムリ(Phorodon humuli)、フィロキセラ属種(Phylloxera spp.)、ピンナスピス・アスピジストラエ(Pinnaspis aspidistrae)、プラノコックス属種(Planococcus spp.)、プロトプルビナリア・ピリホルミス(Protopulvinaria pyriformis)、プセウドアウラカスピス・ペンタゴナ(Pseudaulacaspis pentagona)、プセウドコックス属種(Pseudococcus spp.)、プシラ属種(Psylla spp.)、プテロマルス属種(Pteromalus spp.)、ピリラ属種(Pyrilla spp.)、クアドラスピジオツス属種(Quadraspidiotus spp.)、クエサダ・ギガス(Quesada gigas)、ラストロコックス属種(Rastrococcus spp.)、ロパロシフム属種(Rhopalosiphum spp.)、サイセチア属種(Saissetia spp.)、スカホイデス・チタヌス(Scaphoides titanus)、シザフィス・グラミヌム(Schizaphis graminum)、セレナスピズス・アルチクラツス(Selenaspidus articulatus)、ソガタ属種(Sogata spp.)、ソガテラ・フルシフェラ(Sogatella furcifera)、ソガトデス属種(Sogatodes spp.)、スチクトセファラ・フェスチナ(Stictocephala festina)、テナラファラ・マラエンシス(Tenalaphara malayensis)、チノカリス・カリアエホリアエ(Tinocallis caryaefoliae)、トマスピス属種(Tomaspis spp.)、トキソプテラ属種(Toxoptera spp.)、トリアレウロデス・バポラリオルム(Trialeurodes vaporariorum)、トリオザ属種(Trioza spp.)、チフロシバ属種(Typhlocyba spp.)、ウナスピス属種(Unaspis spp.)、ビテウス・ビチホリイ(Viteus vitifolii);
ハチ目(Hymenoptera)の、例えば、ジプリオン属種(Diprion spp.)、ホプロカンパ属種(Hoplocampa spp.)、ラシウス属種(Lasius spp.)、モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis)、ベスパ属種(Vespa spp.);
ワラジムシ目(Isopoda)の、例えば、アルマジリジウム・ブルガレ(Armadillidium vulgare)、オニスクス・アセルス(Oniscus asellus)、ポルセリオ・スカベル(Porcellio scaber);
シロアリ目(Isoptera)の、例えば、レチクリテルメス属種(Reticulitermes spp.)、オドントテルメス属種(Odontotermes spp.);
チョウ目(Lepidoptera)の、例えば、アクロニクタ・マジョル(Acronicta major)、アエジア・レウコメラス(Aedia leucomelas)、アグロチス属種(Agrotis spp.)、アラバマ・アルギラセア(Alabama argillacea)、アンチカルシア属種(Anticarsia spp.)、バラトラ・ブラシカエ(Barathra brassicae)、ブックラトリクス・ツルベリエラ(Bucculatrix thurberiella)、ブパルス・ピニアリウス(Bupalus piniarius)、カコエシア・ポダナ(Cacoecia podana)、カプア・レチクラナ(Capua reticulana)、カルポカプサ・ポモネラ(Carpocapsa pomonella)、ケイマトビア・ブルマタ(Cheimatobia brumata)、キロ属種(Chilo spp.)、コリストネウラ・フミフェラナ(Choristoneura fumiferana)、クリシア・アンビグエラ(Clysia ambiguella)、クナファロセルス属種(Cnaphalocerus spp.)、エアリアス・インスラナ(Earias insulana)、エフェスチア・クエーニエラ(Ephestia kuehniella)、エウプロクチス・クリソルホエア(Euproctis chrysorrhoea)、エウキソア属種(Euxoa spp.)、フェルチア属種(Feltia spp.)、ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella)、ヘリコベルパ属種(Helicoverpa spp.)、ヘリオチス属種(Heliothis spp.)、ホフマノフィラ・プセウドスプレテラ(Hofmannophila pseudospretella)、ホモナ・マグナニマ(Homona magnanima)、ヒポノメウタ・パデラ(Hyponomeuta padella)、ラフィグマ属種(Laphygma spp.)、リトコレチス・ブランカルデラ(Lithocolletis blancardella)、リトファネ・アンテンナタ(Lithophane antennata)、ロキサグロチス・アルビコスタ(Loxagrotis albicosta)、リマントリア属種(Lymantria spp.)、マラコソマ・ネウストリア(Malacosoma neustria)、マメストラ・ブラシカエ(Mamestra brassicae)、モシス・レパンダ(Mocis repanda)、ミチムナ・セパラタ(Mythimna separata)、オリア属種(Oria spp.)、オウレマ・オリザエ(Oulema oryzae)、パノリス・フランメア(Panolis flammea)、ペクチノホラ・ゴシピエラ(Pectinophora gossypiella)、フィロクニスチス・シトレラ(Phyllocnistis citrella)、ピエリス属種(Pieris spp.)、プルテラ・キシロステラ(Plutella xylostella)、プロデニア属種(Prodenia spp.)、プセウドアレチア属種(Pseudaletia spp.)、プセウドプルシア・インクルデンス(Pseudoplusia includens)、ピラウスタ・ヌビラリス(Pyrausta nubilalis)、スポドプテラ属種(Spodoptera spp.)、テルメシア・ゲンマタリス(Thermesia gemmatalis)、チネア・ペリオネラ(Tinea pellionella)、チネオラ・ビセリエラ(Tineola bisselliella)、トルトリクス・ビリダナ(Tortrix viridana)、トリコプルシア属種(Trichoplusia spp.);
バッタ目(Orthoptera)の、例えば、アケタ・ドメスチクス(Acheta domesticus)、ブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis)、ブラッテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica)、グリロタルパ属種(Gryllotalpa spp.)、レウコファエア・マデラエ(Leucophaea maderae)、ロクスタ属種(Locusta spp.)、メラノプルス属種(Melanoplus spp.)、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)、シストセルカ・グレガリア(Schistocerca gregaria);
ノミ目(Siphonaptera)の、例えば、セラトフィルス属種(Ceratophyllus spp.)、キセノプシラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis);
コムカデ目(Symphyla)の、例えば、スクチゲレラ・インマクラタ(Scutigerella immaculata);
アザミウマ目(Thysanoptera)の、例えば、バリオトリプス・ビホルミス(Baliothrips biformis)、エンネオトリプス・フラベンス(Enneothrips flavens)、フランクリニエラ属種(Frankliniella spp.)、ヘリオトリプス属種(Heliothrips spp.)、ヘルシノトリプス・フェモラリス(Hercinothrips femoralis)、カコトリプス属種(Kakothrips spp.)、リピホロトリプス・クルエンタツス(Rhipiphorothrips cruentatus)、シルトトリプス属種(Scirtothrips spp.)、タエニオトリプス・カルダモニ(Taeniothrips cardamoni)、トリプス属種(Thrips spp.);
シミ目(Thysanura)の、例えば、レピスマ・サカリナ(Lepisma saccharina)。
【0055】
植物寄生性線虫としては、例えば、以下のものを挙げることができる:アングイナ属種(Anguina spp.)、アフェレンコイデス属種(Aphelenchoides spp.)、ベロノアイムス属種(Belonoaimus spp.)、ブルサフェレンクス属種(Bursaphelenchus spp.)、ジチレンクス・ジプサシ(Ditylenchus dipsaci)、グロボデラ属種(Globodera spp.)、ヘリオコチレンクス属種(Heliocotylenchus spp.)、ヘテロデラ属種(Heterodera spp.)、ロンギドルス属種(Longidorus spp.)、メロイドギネ属種(Meloidogyne spp.)、プラチレンクス属種(Pratylenchus spp.)、ラドホルス・シミリス(Radopholus similis)、ロチレンクス属種(Rotylenchus spp.)、トリコドルス属種(Trichodorus spp.)、チレンコリンクス属種(Tylenchorhynchus spp.)、チレンクルス属種(Tylenchulus spp.)、チレンクルス・セミペネトランス(Tylenchulus semipenetrans)、キシフィネマ属種(Xiphinema spp.)。
【0056】
適切な場合には、本発明の化合物は、特定の濃度又は特定の施用量において、除草剤、薬害軽減剤、成長調節剤若しくは植物の特性を改善する作用薬としても使用し得るか、又は、殺微生物剤(microbiocide)として、例えば、殺菌剤(fungicide)、抗真菌剤(antimycotic)、殺細菌剤若しくは殺ウイルス剤(これは、ウイロイドに対する作用薬も包含する)としても使用し得るか、又は、MLO(マイコプラズマ様生物)及びRLO(リケッチア様生物)に対する作用薬としても使用し得る。適切な場合には、本発明の化合物は、別の活性化合物を合成するための中間体又は前駆物質としても使用することができる。
【0057】
上記活性化合物は、溶液剤、エマルション剤、水和剤、水性懸濁液剤、油性懸濁液剤、粉末剤(powders)、粉剤(dusts)、ペースト剤、可溶性粉末剤、可溶性顆粒剤、ばらまき用顆粒剤、サスポエマルション製剤、活性化合物を含浸させた天然物質、活性化合物を含浸させた合成物質、肥料及びポリマー物質中にマイクロカプセル化したもののような慣習的な製剤に変換することができる。
【0058】
これらの製剤は、既知方法で、例えば、場合により界面活性剤(即ち、乳化剤及び/又は分散剤及び/又は泡形成剤)を使用して、上記活性化合物を増量剤(即ち、液体溶媒及び/又は固体担体)と混合させることにより製造する。そのような製剤は、適切な設備で調製するか、又は、施用前若しくは施用中に調製する。
【0059】
補助剤として使用するのに適しているものは、当該組成物自体及び/又はそれから誘導された調製物(例えば、散布液、種子粉衣)に、特定の特性、例えば、特定の技術的特性及び/又特定の生物学的特性などを付与するのに適している物質である。典型的な適する補助剤は、増量剤、溶媒及び担体である。
【0060】
適切な増量剤は、例えば、水、並びに、極性及び非極性の有機化学的液体、例えば、以下の種類から選択されるものである:芳香族及び非芳香族の炭化水素類(例えば、パラフィン類、アルキルベンゼン類、アルキルナフタレン類、クロロベンゼン類)、アルコール類及びポリオール類(これらは、適切な場合には、置換されていてもよく、エーテル化されていてもよく、及び/又は、エステル化されていてもよい)、ケトン類(例えば、アセトン、シクロヘキサノン)、エステル類(これは、脂肪類及び油類を包含する)及び(ポリ)エーテル類、置換されていない及び置換されているアミン類、アミド類、ラクタム類(例えば、N−アルキルピロリドン類)及びラクトン類、スルホン類及びスルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)。
【0061】
使用する増量剤が水である場合、例えば有機溶媒を補助溶媒として使用することもできる。本質的に、適する液体溶媒は、芳香族化合物、例えば、キシレン、トルエン又はアルキルナフタレン類、塩素化芳香族化合物又は塩素化脂肪族炭化水素、例えば、クロロベンゼン類、クロロエチレン類又は塩化メチレン、脂肪族炭化水素、例えば、シクロヘキサン又はパラフィン類、例えば、石油留分、鉱油及び植物油、アルコール類、例えば、ブタノール又はグリコールとそれらのエーテル及びエステル、ケトン類、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン又はシクロヘキサノン、強極性溶媒、例えば、ジメチルスルホキシドなどであり、さらに、水も適している。
【0062】
本発明によれば、担体は、適用性(特に、植物又は植物の部分又は種子に対して施用するための適用性)を向上させるために当該活性化合物と混合又は結合させる、固体又は液体であることが可能な天然又は合成の有機物質又は無機物質である。一般に、そのような固体又は液体の担体は、不活性であり、及び、農業上有用であるべきである。
【0063】
適切な固体担体は、例えば、アンモニウム塩、及び、粉砕された天然鉱物、例えば、カオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルジャイト、モンモリロナイト又はケイ藻土、及び、粉砕された合成鉱物、例えば、微粉砕シリカ、アルミナ及びシリケートなどであり; 粒剤に適する固体担体は、例えば、粉砕して分別した天然石、例えば、方解石、大理石、軽石、海泡石及び苦灰岩、並びに、さらに、無機及び有機の粗挽き粉からなる合成顆粒や、有機材料、例えば、紙、おがくず、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸及びタバコの葉柄などからなる顆粒などであり; 適切な乳化剤及び/又は泡形成剤は、例えば、非イオン性及びアニオン性の乳化剤、例えば、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレン脂肪アルコールエーテル類、例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル類、アルキルスルホネート類、アルキルスルフェート類、アリールスルホネート類、及び、さらに、タンパク質加水分解物などであり; 適切な分散剤は、非イオン性及び/又はイオン性の物質、例えば、アルコール−POE−及び/又は−POPエーテル類、酸及び/又はPOP−POEエステル類、アルキルアリール及び/又はPOP−POEエーテル類、脂肪−及び/又はPOP−POE付加体、POE−及び/又はPOP−ポリオール誘導体、POE−及び/又はPOP−ソルビタン若しくは糖付加体、アルキル若しくはアリールのスルフェート類、アルキル若しくはアリールのスルホネート類及びアルキル若しくはアリールのホスフェート類又はそれらの対応するPOエーテル付加体の類から選ばれたものである。さらに、適切なオリゴマー又はポリマー、例えば、ビニルモノマーから誘導されたもの、アクリル酸から誘導されたもの、EO及び/又はPOの単独又は例えば(ポリ)アルコール類若しくは(ポリ)アミン類と組み合わせたものから誘導されたもの。さらに、リグニン及びそのスルホン酸誘導体、未変性セルロース及び変性セルロース、芳香族及び/又は脂肪族のスルホン酸並びにそれらのホルムアルデヒドとの付加体なども使用することができる。
【0064】
上記製剤において、粘着付与剤、例えば、カルボキシメチルセルロース、粉末又は顆粒又はラテックスの形態にある天然ポリマー及び合成ポリマー、例えば、アラビアゴム、ポリビニルアルコール及びポリ酢酸ビニル、並びに、天然のリン脂質、例えば、セファリン及びレシチン、及び、合成リン脂質などを使用することができる。
【0065】
着色剤、例えば、無機顔料、例えば、酸化鉄、酸化チタン及びプルシアンブルー(Prussian Blue)、並びに、有機染料、例えば、アリザリン染料、アゾ染料及び金属フタロシアニン染料、並びに、微量栄養素、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などを使用することができる。
【0066】
可能な別の添加剤は、芳香物質、場合により改質されていてもよい鉱油及び植物油、蝋、並びに、栄養素(微量栄養素を包含する)、例えば、鉄塩、マンガン塩、ホウ素塩、銅塩、コバルト塩、モリブデン塩及び亜鉛塩などである。
【0067】
安定剤(例えば、低温安定剤)、防腐剤、酸化防止剤、光安定剤、又は、化学的及び/若しくは物理的安定性を向上させる別の作用剤も存在させることができる。
【0068】
上記製剤から調製した使用形態の上記活性化合物の含有量は、広い範囲内で変えることができる。使用形態における上記活性化合物の濃度は、0.00000001〜97重量%の範囲の活性化合物、好ましくは、0.0000001〜97重量%の範囲、特に好ましくは、0.000001〜83重量%の範囲又は0.000001〜5重量%の範囲、及び、極めて特に好ましくは、0.0001〜1重量%の範囲の活性化合物である。
【0069】
本発明の活性化合物は、その市販製剤中において、及び、そのような製剤から調製した使用形態中において、殺虫剤、誘引剤、不妊剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤、殺菌剤、成長調節物質、除草剤、薬害軽減剤、肥料又は情報化学物質などの別の活性化合物との混合物として存在させることが可能である。
【0070】
別の既知活性化合物、例えば、除草剤、肥料、成長調節剤、薬害軽減剤、情報化学物質との混合物も可能であり、又は、植物の特性を改善する作用薬との混合物も可能である。
【0071】
殺虫剤として使用する場合、本発明の活性化合物は、さらにまた、それらの市販されている製剤中においても、及び、それらの製剤から調製された使用形態中においても、協力剤との混合物として存在させることもできる。協力剤は、本発明の活性化合物の効果を増大させる化合物であり、その際、加えられる協力剤自体は必ずしも活性を有する必要はない。
【0072】
殺虫剤として使用する場合、本発明の活性化合物は、さらにまた、それらの市販されている製剤中においても、及び、それらの製剤から調製された使用形態中においても、抑制剤(inhibitor)との混合物として存在させることも可能であり、ここで、該抑制剤は、使用された後で、植物の周辺又は植物の部分の表面又は植物の組織内において該活性化合物の分解を低減させる。
【0073】
市販されている製剤から調製した使用形態の上記活性化合物の含有量は、広い範囲で変えることができる。使用形態における上記活性化合物の濃度は、0.00000001〜95重量%の活性化合物、好ましくは、0.00001〜1重量%の活性化合物であることができる。
【0074】
当該化合物は、その使用形態に適合した慣習的な方法で使用する。
【0075】
本発明に従って、全ての植物及び植物の全ての部分を処理することができる。本発明に関連して、植物は、望ましい野生植物及び望ましくない野生植物又は作物植物(天然に発生している作物植物を包含する)のような全ての植物及び植物個体群を意味するものと理解される。作物植物は、慣習的な育種法と最適化法によって得ることができる植物であり得るか、又は、生物工学的方法と遺伝子工学的方法によって得ることができる植物であり得るか、又は、前記方法の組合せによって得ることができる植物であることができる。そのような作物植物には、トランスジェニック植物も包含され、また、植物育種家の権利によって保護され得る植物品種又は保護され得ない植物品種も包含される。植物の部分は、苗条、葉、花及び根などの、植物の地上部及び地下部の全ての部分及び器官を意味するものと理解され、その例として挙げることができるのは、葉、針状葉、葉柄、茎、花、子実体、果実、種子、根、塊茎及び根茎である。収穫物、並びに、栄養繁殖器官(vegetative propagation material)及び生殖繁殖器官(generative propagation material)、例えば、挿穂、塊茎、根茎、側枝及び種子なども、植物の部分に包含される。
【0076】
本発明の活性化合物を用いた植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣習的な処理方法によって、例えば、浸漬、散布、気化、噴霧、ばらまき、塗布又は注入などによって、直接的に行うか、又は、当該化合物を植物及び植物の部分の周囲、生息環境若しくは貯蔵空間に作用させることにより行い、また、繁殖器官(propagation material)の場合、特に種子の場合は、さらに、1以上のコーティングを施すことによっても行う。
【0077】
本発明に従って処理可能な植物として、以下のものを挙げることができる:ワタ、アマ、ブドウの蔓、果実、野菜、例えば、バラ科各種(Rosaceae sp.)(例えば、ナシ状果、例えば、リンゴ及びナシ、さらに、核果、例えば、アンズ、サクラ、アーモンド及びモモ、並びに、漿果、例えば、イチゴ)、リベシオイダエ科各種(Ribesioidae sp.)、クルミ科各種(Juglandaceae sp.)、カバノキ科各種(Betulaceae sp.)、ウルシ科各種(Anacardiaceae sp.)、ブナ科各種(Fagaceae sp.)、クワ科各種(Moraceae sp.)、モクセイ科各種(Oleaceae sp.)、マタタビ科各種(Actinidaceae sp.)、クスノキ科各種(Lauraceae sp.)、バショウ科各種(Musaceae sp.)(例えば、バナナの木及びプランテーション)、アカネ科各種(Rubiaceae sp.)(例えば、コーヒー)、ツバキ科各種(Theaceae sp.)、アオギリ科各種(Sterculiceae sp.)、ミカン科各種(Rutaceae sp.)(例えば、レモン、オレンジ及びグレープフルーツ);ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、トマト)、ユリ科各種(Liliaceae sp.)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、レタス)、セリ科各種(Umbelliferae sp.)、アブラナ科各種(Cruciferae sp.)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)、ウリ科各種(Cucurbitaceae sp.)(例えば、キュウリ)、ネギ科各種(Alliaceae sp.)(例えば、リーキ、タマネギ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、エンドウ);重要な有用植物、例えば、イネ科各種(Graminae sp.)(例えば、トウモロコシ、芝、禾穀類、例えば、コムギ、ライムギ、イネ、オオムギ、エンバク、ソルガム、アワ及びライコムギ)、キク科各種(Asteraceae sp.)(例えば、ヒマワリ)、アブラナ科各種(Brassicaceae sp.)(例えば、ハクサイ、赤キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツ、タイサイ、コールラビ、ダイコン菜、並びに、さらに、アブラナ、カラシナ、セイヨウワサビ及びコショウソウ)、マメ科各種(Fabacae sp.)(例えば、インゲンマメ、ピーナッツ)、マメ科各種(Papilionaceae sp.)(例えば、ダイズ)、ナス科各種(Solanaceae sp.)(例えば、ジャガイモ)、アカザ科各種(Chenopodiaceae sp.)(例えば、テンサイ、飼料ビート、フダンソウ、ビートルート(beetroot));庭及び森林における有用な植物及び観賞植物;並びに、いずれの場合にも、これら植物の遺伝子組換えが行われたもの。
【0078】
本発明の活性化合物組合せを用いた植物及び植物の部分の本発明による処理は、慣習的な処理方法によって、例えば、浸漬、散布、気化、噴霧、ばらまき、塗布などによって、直接的に行うか、又は、植物及び植物の部分の周囲、生息環境若しくは貯蔵空間を処理することにより行い、また、繁殖器官(propagation material)の場合、特に種子の場合は、さらに、1以上の層をコーティングすることによっても行う。
【0079】
本発明の混合物は、種子を処理するのに特に適している。本発明による好ましい組合せは、この場合、好ましい又は特に好ましいものとして上記で挙げられている組合せである。害虫(pest)に起因する作物植物の損傷の大部分は、早くも、貯蔵中に種子が侵襲された場合に起こり、種子が土壌中に導入された後で起こり、並びに、植物が発芽している最中及び発芽の直後に起こる。この相は特に危険である。それは、生長している植物の根及び苗条は特に感受性が高く、小さな損傷であっても植物全体が死に至る場合があるからである。従って、適切な組成物を用いて種子及び発芽中の植物を保護することは、特に極めて重要である。
【0080】
植物の種子を処理することによる害虫(pest)の防除は、長い間知られており、継続的に改良が加えられている。しかしながら、種子の処理には、必ずしも満足のいくように解決され得るわけではない一連の問題が伴っている。かくして、播種後又は植物の出芽後に作物保護組成物を追加で施用することが不要となるような、種子及び発芽中の植物を保護するための方法を開発することは望ましい。さらに、用いた活性化合物によって植物自体に損傷を与えることなく、種子及び発芽中の植物を害虫(pest)の攻撃から最大限に保護するように、用いる活性化合物の量を最適化することも望ましい。特に、種子を処理する方法では、最少量の作物保護組成物を使用して種子及び発芽中の植物を最適に保護するために、トランスジェニック植物の内在的な殺虫特性も考慮に入れるべきである。
【0081】
従って、本発明は、特に、害虫(pest)による攻撃から種子及び発芽中の植物を保護する方法にも関し、ここで、該方法は、本発明の組成物で種子を処理することによる。本発明は、さらにまた、種子及び結果として生じた植物を害虫(pest)から保護するために種子を処理するための本発明の組成物の使用にも関する。さらに、本発明は、害虫(pest)に対して保護されるように本発明の組成物で処理された種子にも関する。
【0082】
本発明の有利な点の1つは、本発明の組成物が有している際立った浸透移行性によって、当該組成物を用いた種子の処理により害虫(pest)からその種子自体が保護されるのみではなく、出芽後に生じた植物も保護されるということである。このようにして、播種時又は播種後間もなくの作物の即時処理を省くことができる。
【0083】
さらに別の有利点は、個々の殺虫活性化合物と比較して本発明の組成物が相乗的に増大した殺虫活性を示すことであり、この活性は、個別に施用されたときの当該2種類の活性化合物の期待される活性を超える。個々の殺菌活性化合物と比較して本発明の組成物が相乗的に増大した殺菌活性を示すことも有利点であり、この活性は、個別に施用されたときの当該活性化合物の期待される活性を超える。これにより、使用する活性化合物の量を最適化することが可能となる。
【0084】
さらに、本発明の混合物が、特に、トランスジェニック種子(そのような種子から生じた植物は、害虫(pest)に対抗するタンパク質を発現することができる)においても使用可能であるということは、有利な点として考慮されなければならない。そのような種子を本発明の組成物で処理することで、特定の害虫(pest)は、単に、例えば殺虫活性タンパク質の発現により防除可能であり、それに加えて、本発明の組成物によって損傷に対して保護され得る。
【0085】
本発明の組成物は、農業で、温室内で、森林で又は園芸において用いられる上記ですでに挙げた任意の植物品種の種子を保護するのに適している。特に、トウモロコシ、ラッカセイ、カノラ、ナタネ、ケシ、ダイズ、ワタ、ビート(例えば、テンサイ及び飼料ビート)、イネ、ソルガム及びアワ、コムギ、オオムギ、エンバク、ライムギ、ヒマワリ、タバコ、ジャガイモ又は野菜類(例えば、トマト、キャベツ)の種子の保護に適している。本発明の組成物は、同様に、上記ですでに挙げた果実植物及び野菜の種子を処理するのにも適している。トウモロコシ、ダイズ、ワタ、コムギ及びカノラ又はナタネの種子を処理することは、特に重要である。
【0086】
既に上記で述べたように、本発明の組成物によるトランスジェニック種子の処理も、特に重要である。これは、とりわけ殺虫特性を有するポリペプチドの発現を支配する少なくとも1種類の異種遺伝子を一般に含んでいる植物の種子である。これに関連して、トランスジェニック種子内の異種遺伝子は、バシルス(Bacillus)、リゾビウム(Rhizobium)、シュードモナス(Pseudomonas)、セラチア(Serratia)、トリコデルマ(Trichoderma)、クラビバクテル(Clavibacter)、グロムス(Glomus)又はグリオクラジウム(Gliocladium)などの微生物に由来するものであり得る。本発明は、その遺伝子産物がアワノメイガ(European maize borer)及び/又はコーンルートワーム(maize root worm)に対して活性を示すバシルス属種(Bacillus sp.)に由来する少なくとも1種類の異種遺伝子を含んでいてるトランスジェニック種子を処理するのに特に適している。バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)に由来する異種遺伝子が特に好ましい。
【0087】
本発明の範囲内において、本発明の組成物は、種子に対して、単独で施用するか、又は、適切な製剤中に含ませて施用する。好ましくは、種子は、処理中の損傷を回避するのに充分なほど安定な状態で処理する。一般に、種子は、収穫と播種の間の任意の時点で処理することができる。通常使用される種子は、植物から分離されており、穂軸、殻、葉柄、外皮、被毛又は果肉などを伴っていない。
【0088】
種子を処理する場合、一般に、種子に施用する本発明組成物の量及び/又はさらなる添加剤の量を、種子の発芽が悪影響を受けないように又は生じた植物が損傷を受けないように選択することに関して、注意しなくてはならない。このことは、特定の施用量で薬害作用を示し得る活性化合物の場合には、特に留意しなくてはならない。
【0089】
本発明の組成物は、直接施用することができる。即ち、本発明の組成物は、さらなる成分がなくても、また、前もって希釈しなくても、施用することができる。一般に、本発明組成物は、適切な製剤の形態で種子に施用するのが好ましい。種子を処理するための適切な製剤及び方法は、当業者には知られており、例えば、以下の文献に記載されている:US 4,272,417A、US 4,245,432A、US 4,808,430A、US 5,876,739A、US 2003/0176428A1、WO 2002/080675A1、WO 2002/028186A2。
【0090】
本発明に従って使用可能な活性化合物は、慣習的な種子粉衣製剤、例えば、溶液剤、エマルション剤、懸濁液剤、粉末剤、泡剤、スラリー剤又は種子用の別のコーティング物質、及び、さらに、ULV製剤に変換することができる。
【0091】
これらの製剤は、既知方法で、活性化合物を慣習的な添加剤、例えば、慣習的な増量剤、及び、さらに、溶媒又は希釈剤、着色剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、消泡剤、防腐剤、第2の増粘剤、粘着剤、ジベレリン類、及び、さらに、水と混合させることによって調製する。
【0092】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な着色剤には、そのような目的に慣習的な全ての着色剤が包含される。水中の溶解性が乏しい顔料と水中で溶解する着色剤の両方を使用し得る。挙げることができる例としては、以下の名称で知られている着色剤などがある:「Rhodamine B」、「C.I.Pigment Red 112」、及び、「C.I.Solvent Red 1」。
【0093】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な湿潤剤には、農薬活性化合物の製剤において慣習的な湿潤を促進する全ての物質が包含される。好ましくは、アルキルナフタレンスルホネート類(例えば、ジイソプロピルナフタレンスルホネート又はジイソブチルナフタレンスルホネートなど)を使用することができる。
【0094】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な分散剤及び/又は乳化剤には、農薬活性化合物の製剤において慣習的な非イオン性、アニオン性及びカチオン性の全ての分散剤が包含される。好ましくは、非イオン性若しくはアニオン性の分散剤又は非イオン性若しくはアニオン性の分散剤の混合物を使用することができる。特に適している非イオン性分散剤は、エチレンオキシド−プロピレンオキシドブロックコポリマー、アルキルフェノールポリグリコールエーテル類及びトリスチリルフェノールポリグリコールエーテル類、並びに、それらのリン酸化誘導体又は硫酸化誘導体である。特に適しているアニオン性分散剤は、リグノスルホネート類、ポリアクリル酸塩類及びアリールスルホネート−ホルムアルデヒド縮合物である。
【0095】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な消泡剤には、農薬活性化合物の製剤において慣習的な全ての泡抑制物質が包含される。好ましくは、シリコーン消泡剤及びステアリン酸マグネシウムを使用することができる。
【0096】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な防腐剤には、農薬組成物中で当該目的のために使用することが可能な全ての物質が包含される。例として、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールを挙げることができる。
【0097】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な第2の増粘剤には、農薬組成物中で当該目的のために使用することが可能な全ての物質が包含される。セルロース誘導体、アクリル酸誘導体、キサンタン、変性クレー及び高分散シリカが、好ましく適切である。
【0098】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる適切な粘着剤には、種子粉衣中で使用可能な全ての慣習的な結合剤が包含される。好ましくは、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール及びチロースを挙げることができる。
【0099】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤中に存在させることができる好ましいジベレリンは、ジベレリンA1、ジベレリンA3(=ジベレリン酸)、ジベレリンA4及びジベレリンA7である。ジベレリン酸を使用するのが特に好ましい。ジベレリン類は知られている(cf. R. Wegler, "Chemie der Pflanzenschutz- und Schadlingsbekampfungsmittel", Vol. 2, Springer Verlag, 1970, pp. 401-412)。
【0100】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤は、トランスジェニック植物の種子を包含する極めて多種多様なタイプの種子のいずれか処理するために、直接使用することができるか、又は、予め水で希釈したあとで使用することができる。これに関連して、発現によって形成された物質との相互作用において相乗効果が生じる場合がある。
【0101】
本発明に従って使用可能な種子粉衣製剤又は水を添加することによってその種子粉衣製剤から調製した調製物を用いて種子を処理するための適切な混合装置には、粉衣するのに通常使用可能な全ての混合装置が包含される。粉衣を行うときに採用される特定の手順には、混合機に種子を導入すること、特定の所望量の種子粉衣製剤をそのまま添加するか又は予め水で希釈したあとで添加すること、及び、該製剤が当該種子の表面に均質に分配されるまで混合を実施することを含んでいる。場合により、乾燥工程を続けて行う。
【0102】
上記で既に述べたように、本発明により、全ての植物及びそれらの部分を処理することができる。好ましい実施形態では、野生の植物種及び植物品種、又は、交雑若しくはプロトプラスト融合のような慣習的な生物学的育種法により得られた植物種及び植物品種、並びに、それらの部分を処理する。好ましいさらに別の実施形態では、適切な場合には慣習的な方法と組み合わせた遺伝子工学的方法により得られたトランスジェニック植物及び植物品種(遺伝子組換え生物)及びそれらの部分を処理する。用語「部分(parts)」及び「植物の部分(parts of plants)」及び「植物の部分(plant parts)」については、既に上記で説明した。
【0103】
特に好ましくは、本発明により、いずれの場合も市販されているか又は使用されている植物品種の植物を処理する。植物品種は、慣習的な育種又は突然変異誘発又は組換えDNA技術によって得られた、新しい特性(「形質」)を有する植物を意味するものと理解される。これらは、品種、生物型及び遺伝子型であることができる。
【0104】
植物種又は植物品種、それらの生育場所及び生育条件(土壌、気候、生育期、養分(diet))に応じて、本発明の処理により、相加効果を超える効果(「相乗効果」)が生じることもあり得る。かくして、例えば、本発明により使用し得る物質及び組成物の施用量の低減及び/又は活性スペクトルの拡大及び/又は活性の増強、植物の生育の向上、高温又は低温に対する耐性の向上、干ばつ又は水中若しくは土壌中に含まれる塩分に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易性の向上、より早い成熟、収穫量の増加、収穫された生産物の品質の向上及び/又は栄養価の増加、収穫された生産物の貯蔵安定性の向上及び/又は加工性の向上などが可能であり、これらは、実際に予期された効果を超えるものである。
【0105】
特に有利で有益な形質を植物に付与する遺伝物質を遺伝子修飾により受け取った全ての植物は、本発明により処理するのが好ましいトランスジェニック植物又は植物品種(遺伝子工学により得られたもの)に包含される。そのような形質の例は、植物の向上した生育、高温又は低温に対する向上した耐性、干ばつ又は水中若しくは土壌中に含まれる塩分に対する向上した耐性、向上した開花能力、向上した収穫の容易性、向上した成熟速度、増加した収穫量、収穫された生産物の向上した品質及び/又は向上した栄養価、収穫された生産物の向上した貯蔵安定性及び/又は向上した加工性などである。そのような形質のさらに別の特に重要な例は、害虫及び有害微生物に対する植物の向上した防御、例えば、昆虫類、ダニ類、植物病原性の菌類、細菌類及び/又はウイルス類に対する植物の向上した防御、並びに、特定の除草活性化合物に対する植物の向上した耐性である。挙げることができるトランスジェニック植物の例は、重要な作物植物、例えば、穀類(コムギ、イネ)、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、テンサイ、トマト、エンドウ及び他の野菜種、ワタ、タバコ、ナタネ、並びに、果実植物(果実のリンゴ、ナシ、柑橘類果実及びグレープを有する果実植物)などであり、トウモロコシ、ダイズ、ジャガイモ、ワタ、タバコ及びナタネは特に重要である。特に重要な形質は、植物体内で形成された毒素による、昆虫類、クモ形類動物、線虫類並びにナメクジ類及びカタツムリ類に対する植物の向上した防御であり、特に、バシルス・ツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)からの遺伝物質(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3Bb及びCryIF並びにそれらの組合せ)により植物体内で形成された毒素による、昆虫類、クモ形類動物、線虫類並びにナメクジ類及びカタツムリ類に対する植物の向上した防御である(以下、「Bt植物」と称する)。同様に特に重要な形質は、全身獲得抵抗性(SAR)、システミン(systemin)、フィトアレキシン、誘導因子並びに抵抗性遺伝子及びそれにより発現されるタンパク質及び毒素による、菌類、細菌類及びウイルス類に対する植物の向上した防御である。特に重要であるさらに別の形質は、特定の除草活性化合物、例えば、イミダゾリノン系、スルホニル尿素系、グリホセート又はホスフィノトリシンなどに対する植物の向上した耐性である(例えば、「PAT」遺伝子)。望まれる当該形質を付与する遺伝子は、トランスジェニック植物内で、互いに組み合わせて存在させることも可能である。挙げることができる「Bt植物」の例は、YIELD GARD(登録商標)(例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、KnockOut(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、StarLink(登録商標)(例えば、トウモロコシ)、Bollgard(登録商標)(ワタ)、Nucotn(登録商標)(ワタ)、及び、NewLeaf(登録商標)(ジャガイモ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種、ダイズ品種及びジャガイモ品種などである。挙げることができる除草剤耐性植物の例は、Roundup Ready(登録商標)(グリホセートに対する耐性、例えば、トウモロコシ、ワタ、ダイズ)、Liberty Link(登録商標)(ホスフィノトリシンに対する耐性、例えば、ナタネ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン系に対する耐性)、及び、STS(登録商標)(スルホニル尿素系に対する耐性、例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されているトウモロコシ品種、ワタ品種及びダイズ品種などである。挙げることができる除草剤抵抗性植物(除草剤耐性に関して慣習的な方法で品種改良された植物)としては、Clearfield(登録商標)(例えば、トウモロコシ)の商品名で販売されている品種などがある。もちろん、ここで述べたことは、これらの遺伝形質又は今後開発される遺伝形質を有し、将来において開発及び/又は販売されるであろう植物品種にも適用される。
【0106】
上記で挙げた植物は、一般式(I)で表される化合物及び/又は本発明の活性化合物混合物を用いて、本発明により特に有利に処理することができる。該活性化合物又は混合物について上記で述べた好ましい範囲は、これらの植物の処理にも同様に適用される。特に重要なのは、本明細書内で具体的に言及されている化合物又は混合物による上記植物の処理である。
【0107】
本発明の活性化合物は、植物、衛生及び貯蔵生産物の害虫(pest)に対してのみではなく、獣医学の分野において、マダニ類(hard ticks)、ヒメダニ類(soft ticks)、疥癬ダニ類(mange mites)、ハダニ類(leaf mites)、ハエ類(刺咬性(biting)及び舐性(licking))、寄生性のハエ幼虫、シラミ類、ケジラミ類(hair lice)、ハネジラミ類(feather lice)及びノミ類などの動物寄生虫(外部寄生虫及び内部寄生虫)に対しても有効である。これらの寄生虫としては、以下のものを挙げることができる。
【0108】
アノプルリダ目(Anoplurida)の、例えば、ハエマトピヌス属種(Haematopinus spp.)、リノグナツス属種(Linognathus spp.)、ペジクルス属種(Pediculus spp.)、フチルス属種(Phtirus spp.)、ソレノポテス属種(Solenopotes spp.);
マロファギダ目(Mallophagida)並びにアンブリセリナ亜目(Amblycerina)及びイスクノセリナ亜目(Ischnocerina)の、例えば、トリメノポン属種(Trimenopon spp.)、メノポン属種(Menopon spp.)、トリノトン属種(Trinoton spp.)、ボビコラ属種(Bovicola spp.)、ウェルネキエラ属種(Werneckiella spp.)、レピケントロン属種(Lepikentron spp.)、ダマリナ属種(Damalina spp.)、トリコデクテス属種(Trichodectes spp.)、フェリコラ属種(Felicola spp.);
ハエ目(Diptera)並びにネマトセリナ亜目(Nematocerina)及びブラキセリナ亜目(Brachycerina)の、例えば、アエデス属種(Aedes spp.)、アノフェレス属種(Anopheles spp.)、クレキス属種(Culex spp.)、シムリウム属種(Simulium spp.)、エウシムリウム属種(Eusimulium spp.)、フレボトムス属種(Phlebotomus spp.)、ルトゾミイヤ属種(Lutzomyia spp.)、クリコイデス属種(Culicoides spp.)、クリソプス属種(Chrysops spp.)、ヒボミトラ属種(Hybomitra spp.)、アチロツス属種(Atylotus spp.)、タバヌス属種(Tabanus spp.)、ハエマトポタ属種(Haematopota spp.)、フィリポミイア属種(Philipomyia spp.)、ブラウラ属種(Braula spp.)、ムスカ属種(Musca spp.)、ヒドロタエア属種(Hydrotaea spp.)、ストモキシス属種(Stomoxys spp.)、ハエマトビア属種(Haematobia spp.)、モレリア属種(Morellia spp.)、ファンニア属種(Fannia spp.)、グロシナ属種(Glossina spp.)、カリフォラ属種(Calliphora spp.)、ルシリア属種(Lucilia spp.)、クリソミイア属種(Chrysomyia spp.)、ウォールファールチア属種(Wohlfahrtia spp.)、サルコファガ属種(Sarcophaga spp.)、オエストルス属種(Oestrus spp.)、ヒポデルマ属種(Hypoderma spp.)、ガステロフィルス属種(Gasterophilus spp.)、ヒポボスカ属種(Hippobosca spp.)、リポプテナ属種(Lipoptena spp.)、メロファグス属種(Melophagus spp.);
シフォナプテリダ目(Siphonapterida)の、例えば、プレクス属種(Pulex spp.)、クテノセファリデス属種(Ctenocephalides spp.)、キセノプシラ属種(Xenopsylla spp.)、セラトフィルス属種(Ceratophyllus spp.);
ヘテロプテリダ目(Heteropterida)の、例えば、シメクス属種(Cimex spp.)、トリアトマ属種(Triatoma spp.)、ロドニウス属種(Rhodnius spp.)、パンストロンギルス属種(Panstrongylus spp.);
ブラッタリダ目(Blattarida)の、例えば、ブラッタ・オリエンタリス(Blatta orientalis)、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)、ブラッテラ・ゲルマニカ(Blattela germanica)、スペラ属種(Supella spp.);
アカリ亜綱(Acari(Acarina))並びにメタスチグマタ目(Metastigmata)及びメソスチグマタ目(Mesostigmata)の、例えば、アルガス属種(Argas spp.)、オルニトドルス属種(Ornithodorus spp.)、オトビウス属種(Otobius spp.)、イクソデス属種(Ixodes spp.)、アンブリオンマ属種(Amblyomma spp.)、ボオフィルス属種(Boophilus spp.)、デルマセントル属種(Dermacentor spp.)、ハエモフィサリス属種(Haemophysalis spp.)、ヒアロンマ属種(Hyalomma spp.)、リピセファルス属種(Rhipicephalus spp.)、デルマニスス属種(Dermanyssus spp.)、ライリエチア属種(Raillietia spp.)、プネウモニスス属種(Pneumonyssus spp.)、ステルノストマ属種(Sternostoma spp.)、バロア属種(Varroa spp.);
アクチネジダ目(Actinedida(Prostigmata))及びアカリジダ目(Acaridida(Astigmata))の、例えば、アカラピス属種(Acarapis spp.)、ケイレチエラ属種(Cheyletiella spp.)、オルニトケイレチア属種(Ornithocheyletia spp.)、ミオビア属種(Myobia spp.)、プソレルガテス属種(Psorergates spp.)、デモデクス属種(Demodex spp.)、トロムビクラ属種(Trombicula spp.)、リストロホルス属種(Listrophorus spp.)、アカルス属種(Acarus spp.)、チロファグス属種(Tyrophagus spp.)、カログリフス属種(Caloglyphus spp.)、ヒポデクテス属種(Hypodectes spp.)、プテロリクス属種(Pterolichus spp.)、プソロプテス属種(Psoroptes spp.)、コリオプテス属種(Chorioptes spp.)、オトデクテス属種(Otodectes spp.)、サルコプテス属種(Sarcoptes spp.)、ノトエドレス属種(Notoedres spp.)、クネミドコプテス属種(Knemidocoptes spp.)、シトジテス属種(Cytodites spp.)、ラミノシオプテス属種(Laminosioptes spp.)。
【0109】
本発明の式(I)で表される活性化合物は、さらにまた、農業生産性家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、ブタ、ロバ、ラクダ、スイギュウ、ウサギ、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ及びミツバチなど)、他のペット類(例えば、イヌ、ネコ、籠のトリ及び水槽のサカナなど)及びいわゆる実験動物(例えば、ハムスター、モルモット、ラット及びマウスなど)に寄生する節足動物を防除するのにも適している。これらの節足動物を防除することにより、上記動物の死亡事例が低減し、また、生産性(肉、ミルク、羊毛、皮革、卵、蜂蜜などに関する生産性)の低下が軽減される。従って、本発明の活性化合物を使用することにより、より経済的で且つより容易な畜産業が可能である。
【0110】
本発明の活性化合物は、獣医学の分野において、また、畜産業において、既知方法で、例えば、錠剤、カプセル剤、頓服水剤(potion)、水薬(drench)、顆粒剤、ペースト剤、大型丸薬、フィードスルー法及び坐剤などの形態で腸内投与することにより、並びに、例えば、注射(筋肉内注射、皮下注射、静脈内注射、腹腔内注射など)及びインプラントなどにより非経口投与することにより、並びに、鼻内投与することにより、並びに、例えば、浸漬(dipping)又は薬浴(bathing)、スプレー、ポアオン及びスポットオン、洗浄及び散粉(powdering)の形態で経皮使用することにより、並びに、当該活性化合物を含有する成形品、例えば、首輪、耳標、尾標、肢バンド(limb bands)、端綱、マーキング装置などを用いて、使用する。
【0111】
本発明に従って、畜産業において、例えば家畜、家禽及びペットなどに使用する場合、本発明の活性化合物又は組成物は、適切な製剤、例えば、粉末剤、エマルション剤、自由流動性組成物などとして使用することができる。通常、適切な製剤は、当該活性化合物を、0.1〜80%重量%の範囲の濃度、好ましくは、1〜60重量%の範囲の濃度、特に好ましくは、5〜30重量%の範囲の濃度で含んでいる。該製剤は、直接施用することができるか、又は、100倍〜10000倍に希釈したあとで施用するができる。本発明の活性化合物又は組成物は、薬浴としても使用することができる。
【0112】
さらに、本発明の化合物は、工業材料を破壊する昆虫に対しても強い殺虫作用を示すことが見いだされた。
【0113】
以下に示す昆虫を、例として、及び、好ましいものとして挙げることができるが、何ら限定するものではない:
甲虫類(beetles)、例えば、ヒロトルペス・バジュルス(Hylotrupes bajulus)、クロロホルス・ピロシス(Chlorophorus pilosis)、アノビウム・プンクタツム(Anobium punctatum)、キセストビウム・ルフォビロスム(Xestobium rufovillosum)、プチリヌス・ペクチコルニス(Ptilinus pecticornis)、デンドロビウム・ペルチネキス(Dendrobium pertinex)、エルノビウス・モリス(Ernobius mollis)、プリオビウム・カルピニ(Priobium carpini)、リクツス・ブルネウス(Lyctus brunneus)、リクツス・アフリカヌス(Lyctus africanus)、リクツス・プラニコリス(Lyctus planicollis)、リクツス・リネアリス(Lyctus linearis)、リクツス・プベセンス(Lyctus pubescens)、トロゴキシロン・アエクアレ(Trogoxylon aequale)、ミンテス・ルギコリス(Minthes rugicollis)、キシレボルス属種(Xyleborus spec.)、トリプトデンドロン属種(Tryptodendron spec.)、アパテ・モナクス(Apate monachus)、ボストリクス・カプシンス(Bostrychus capucins)、ヘテロボストリクス・ブルネウス(Heterobostrychus brunneus)、シノキシロン属種(Sinoxylon spec.)、ジノデルス・ミヌツス(Dinoderus minutus);
膜翅類(hymenopterons)、例えば、シレクス・ジュベンクス(Sirex juvencus)、ウロセルス・ギガス(Urocerus gigas)、ウロセルス・ギガス・タイグヌス(Urocerus gigas taignus)、ウロセルス・アウグル(Urocerus augur);
シロアリ類(termite)、例えば、カロテルメス・フラビコリス(Kalotermes flavicollis)、クリプトテルメス・ブレビス(Cryptotermes brevis)、ヘテロテルメス・インジコラ(Heterotermes indicola)、レチクリテルメス・フラビペス(Reticulitermes flavipes)、レチクリテルメス・サントネンシス(Reticulitermes santonensis)、レチクリテルメス・ルシフグス(Reticulitermes lucifugus)、マストテルメス・ダルウィニエンシス(Mastotermes darwiniensis)、ズーテルモプシス・ネバデンシス(Zootermopsis nevadensis)、コプトテルメス・フォルモサヌス(Coptotermes formosanus);
シミ類(bristletails)、例えば、レピスマ・サッカリナ(Lepisma saccharina)。
【0114】
本発明に関連して、工業材料は、非生物材料、例えば、好ましくは、プラスチック、接着剤、サイズ、紙及び厚紙、皮革、木材及び加工木材製品、並びに、塗料などを意味するものと理解される。
【0115】
即時使用可能な(ready-to-use)組成物には、適切な場合には、別の殺虫剤も含ませることができ、また、適切な場合には、1種類以上の殺菌剤も含ませることができる。
【0116】
本発明の化合物は、さらに、海水又は淡海水と接触するもの、例えば、船体、スクリーン、網、建造物、係船設備及び信号システムなどを、付着物から保護するために使用することもできる。
【0117】
さらに、本発明の化合物は、単独で、又は、別の活性化合物と組み合わせて、汚れ止め剤として用いることができる。
【0118】
家庭、衛生及び貯蔵生産物の保護において、本発明の活性化合物は、住居、工場の通路、オフィス及び車両の客室などの密閉空間で見られる害虫(animal pest)、特に、昆虫類、クモ形類動物及びダニ類を防除するのにも適している。それらは、単独で使用することもできるし、又は、上記害虫を防除するための家庭用殺虫剤製品中において、別の活性化合物及び補助剤と組み合わせて使用することもできる。それらは、感受性種及び抵抗性種に対して有効であり、さらに、全ての成育段階に対して有効である。これらの害虫としては、以下のものを挙げることができる。
【0119】
スコルピオニデア目(Scorpionidea)の、例えば、ブツス・オッシタヌス(Buthus occitanus);
ダニ目(Acarina)の、例えば、アルガス・ペルシクス(Argas persicus)、アルガス・レフレクスス(Argas reflexus)、ブリオビア属種(Bryobia ssp.)、デルマニスス・ガリナエ(Dermanyssus gallinae)、グリシファグス・ドメスチクス(Glyciphagus domesticus)、オルニトドルス・モウバト(Ornithodorus moubat)、リピセファルス・サングイネウス(Rhipicephalus sanguineus)、トロムビクラ・アルフレズゲシ(Trombicula alfreddugesi)、ネウトロムビクラ・アウツムナリス(Neutrombicula autumnalis)、デルマトファゴイデス・プテロニシムス(Dermatophagoides pteronissimus)、デルマトファゴイデス・ホリナエ(Dermatophagoides forinae);
クモ目(Araneae)の、例えば、アビクラリイダエ(Aviculariidae)、アラネイダエ(Araneidae);
ザトウムシ目(Opiliones)の、例えば、プセウドスコルピオネス・ケリフェル(Pseudoscorpiones chelifer)、プセウドスコルピオネス・ケイリジウム(Pseudoscorpiones cheiridium)、オピリオネス・ファランギウム(Opiliones phalangium);
等脚目(Isopoda)の、例えば、オニスクス・アセルス(Oniscus asellus)、ポルセリオ・スカベル(Porcellio scaber);
倍脚目(Diplopoda)の、例えば、ブラニウルス・グツラツス(Blaniulus guttulatus)、ポリデスムス属種(Polydesmus spp.);
唇脚目(Chilopoda)の、例えば、ゲオフィルス属種(Geophilus spp.);
シミ目(Zygentoma)の、例えば、クテノレピスマ属種(Ctenolepisma spp.)、レピスマ・サッカリナ(Lepisma saccharina)、レピスモデス・インクイリヌス(Lepismodes inquilinus);
ゴキブリ目(Blattaria)の、例えば、ブラッタ・オリエンタリエス(Blatta orientalies)、ブラッテラ・ゲルマニカ(Blattella germanica)、ブラッテラ・アサヒナイ(Blattella asahinai)、レウコファエア・マデラエ(Leucophaea maderae)、パンクロラ属種(Panchlora spp.)、パルコブラッタ属種(Parcoblatta spp.)、ペリプラネタ・アウストララシアエ(Periplaneta australasiae)、ペリプラネタ・アメリカナ(Periplaneta americana)、ペリプラネタ・ブルネア(Periplaneta brunnea)、ペリプラネタ・フリギノサ(Periplaneta fuliginosa)、スペラ・ロンギパルパ(Supella longipalpa);
サルタトリア目(Saltatoria)の、例えば、アケタ・ドメスチクス(Acheta domesticus);
ハサミムシ目(Dermaptera)の、例えば、ホルフィクラ・アウリクラリア(Forficula auricularia);
シロアリ目(Isoptera)の、例えば、カロテルメス属種(Kalotermes spp.)、レチクリテルメス属種(Reticulitermes spp.);
チャタテムシ目(Psocoptera)の、例えば、レピナツス属種(Lepinatus spp.)、リポセリス属種(Liposcelis spp.);
コウチュウ目(Coleoptera)の、例えば、アントレヌス属種(Anthrenus spp.)、アタゲヌス属種(Attagenus spp.)、デルメステス属種(Dermestes spp.)、ラテチクス・オリザエ(Latheticus oryzae)、ネクロビア属種(Necrobia spp.)、プチヌス属種(Ptinus spp.)、リゾペルタ・ドミニカ(Rhizopertha dominica)、シトフィルス・グラナリウス(Sitophilus granarius)、シトフィルス・オリザエ(Sitophilus oryzae)、シトフィルス・ゼアマイス(Sitophilus zeamais)、ステゴビウム・パニセウム(Stegobium paniceum);
双翅目(Diptera)の、例えば、アエデス・アエギプチ(Aedes aegypti)、アエデス・アルボピクツス(Aedes albopictus)、アエデス・タエニオリンクス(Aedes taeniorhynchus)、アノフェレス属種(Anopheles spp.)、カリフォラ・エリトロセファラ(Calliphora erythrocephala)、クリソゾナ・プルビアリス(Chrysozona pluvialis)、クレクス・クインクエファシアツス(Culex quinquefasciatus)、クレクス・ピピエンス(Culex pipiens)、クレクス・タルサリス(Culex tarsalis)、ドロソフィラ属種(Drosophila spp.)、ファンニア・カニクラリス(Fannia canicularis)、ムスカ・ドメスチカ(Musca domestica)、フレボトムス属種(Phlebotomus spp.)、サルコファガ・カルナリア(Sarcophaga carnaria)、シムリウム属種(Simulium spp.)、ストモキス・カルシトランス(Stomoxys calcitrans)、チプラ・パルドサ(Tipula paludosa);
鱗翅目(Lepidoptera)の、例えば、アクロイア・グリセラ(Achroia grisella)、ガレリア・メロネラ(Galleria mellonella)、プロジア・インテルプンクテラ(Plodia interpunctella)、チネア・クロアセラ(Tinea cloacella)、チネア・ペリオネラ(Tinea pellionella)、チネオラ・ビセリエラ(Tineola bisselliella);
ノミ目(Siphonaptera)の、例えば、クテノセファリデス・カニス(Ctenocephalides canis)、クテノセファリデス・フェリス(Ctenocephalides felis)、プレクス・イリタンス(Pulex irritans)、ツンガ・ペネトランス(Tunga penetrans)、キセノプシラ・ケオピス(Xenopsylla cheopis);
膜翅目(Hymenoptera)の、例えば、カムポノツス・ヘルクレアヌス(Camponotus herculeanus)、ラシウス・フリギノスス(Lasius fuliginosus)、ラシウス・ニゲル(Lasius niger)、ラシウス・ウムブラツス(Lasius umbratus)、モノモリウム・ファラオニス(Monomorium pharaonis)、パラベスプラ属種(Paravespula spp.)、テトラモリウム・カエスピツム(Tetramorium caespitum);
シラミ目(Anoplura)の、例えば、ペジクルス・フマヌス・カピチス(Pediculus humanus capitis)、ペジクルス・フマヌス・コルポリス(Pediculus humanus corporis)、ペムフィグス属種(Pemphigus spp.)、フィロエラ・バスタトリクス(Phylloera vastatrix)、フチルス・プビス(Phthirus pubis);
異翅目(Heteroptera)の、例えば、シメクス・ヘミプテルス(Cimex hemipterus)、シメクス・レクツラリウス(Cimex lectularius)、ロジヌス・プロリクスス(Rhodinus prolixus)、トリアトマ・インフェスタンス(Triatoma infestans)。
【0120】
家庭用殺虫剤の分野においては、それらは、単独で使用するか、又は、別の適切な活性化合物、例えば、リン酸エステル系、カーバメート系、ピレスロイド系、ネオニコチノイド系、成長調節剤又は別の既知の種類の殺虫剤から選択される活性化合物などと組み合わせて使用する。
【0121】
これらは、エーロゾル、非加圧スプレー製品、例えば、ポンプスプレー及び噴霧スプレー、自動霧化システム(automatic fogging system)、噴霧器(fogger)、泡、ゲル、セルロース製又はポリマー製のエバポレーター錠剤を有するエバポレーター製品、液体エバポレーター、ゲル及び膜エバポレーター、プロペラ駆動エバポレーター、エネルギーフリー型蒸発システム又は受動型蒸発システム、防虫紙(moth papers)、防虫バッグ(moth bags)及び防虫ゲル(moth gels)において使用されるか、又は、粒剤若しくは粉剤として、ばらまき用の餌(baits for spreading)に入れて使用されるか、又は、ベイトステーションで使用される。
【0122】
下記実施例により、本発明について限定することなく例証する。下記実施例で用いた溶媒系は、特に好ましいものである。
【実施例】
【0123】
実施例1
結晶変態Iの状態にある式(I)の化合物の調製
4滴の蒸留水を添加した後、120mgの結晶変態IIの状態にある式(I)で表される化合物(4−{[(6−クロロピリド−3−イル)メチル](メチル)アミノ}フラン−2(5H)−オン;EP−A 0539588から既知;準安定な変態)を撹拌しながら80℃まで昇温させ、その温度でさらに約3時間撹拌する。そのサンプルを加熱されていない作業台の上に一晩放置する。これにより、結晶変態I(安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物が得られる。
【0124】
実施例1.1
結晶変態Iの状態にある式(I)の化合物の希釈剤の存在下における調製
撹拌しながら、200gの結晶変態IIの状態にある式(I)で表される化合物(4−{[(6−クロロピリド−3−イル)メチル](メチル)アミノ}フラン−2(5H)−オン;EP−A 0539588から既知;準安定な変態)を400mLの酢酸ブチルと一緒に沸騰させ、還流温度(120℃)でさらに1時間撹拌した。次いで、加熱スイッチを切り、得られた混合物を撹拌しながら冷却させる。約100℃で、結晶変態I(安定な変態;cf.実施例1)の状態にある少量の式(I)の化合物を添加する。
【0125】
室温に達したら、その混合物を吸引濾過する。得られた生成物を250mLの石油エーテルで洗浄し、その残渣を真空乾燥室内で45℃で乾燥させる。
【0126】
これにより、189.1gの固体(HPLC 98.0%)が得られる。この固体は、90〜95%の結晶変態I(安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物と5〜10%の結晶変態II(準安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物を含んでいる。
【0127】
実施例1.2
結晶変態Iの状態にある式(I)の化合物の希釈剤の非存在下における調製
油浴中で、4.5gの結晶変態IIの状態にある式(I)で表される化合物(4−{[(6−クロロピリド−3−イル)メチル](メチル)アミノ}フラン−2(5H)−オン;EP−A 0539588から既知;準安定な変態)を125℃で融解させ、105℃まで冷却する。種晶(結晶変態Iの状態にある式(I)の化合物;安定な変態;cf.実施例1)を添加し、その融解物を室温まで冷却する。
【0128】
これにより、4.4gの結晶〔85〜90%の結晶変態I(安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物と10〜15%の結晶変態II(準安定な変態)の状態にある式(I)で表される化合物〕が得られる。
【0129】
実施例2
懸濁製剤の調製
懸濁製剤を調製するために、最初に、全ての液体成分を混合させる。次の段階で、固体を添加し、得られた混合物を均質な懸濁液が形成されるまで撹拌する。得られた均質な懸濁液を、次いで、最初に粗粉砕に付した後、微粉砕に付して、固体粒子の90%が10μm未満の粒径を有する懸濁液を得る。粉砕中は、ミル内の圧力を一定にすること及び粉砕中の膠着を防止するために温度が40℃を超えないようにすることが重要である。次いで、室温で撹拌しながら、Kelzan(登録商標)S及び水を添加する。これにより、均質な懸濁製剤が得られる。
【0130】
実施例2.1
結晶変態Iの懸濁製剤の調製
式(I)で表される化合物の結晶変態Iの懸濁製剤を調製するために、
43.3gの式(I)で表される結晶変態I(>95%);
8.0gのSoprophor TS 29;
2.0gのAtlox 4913;
20gのグリセロール;
0.8gのKelzan S;
0.16gのPreventol D7;
0.240gのProxel GXL;
0.2gのSilicon Antischaumemulsion SRE;及び
145.3gの水;
を、上記で記載したように処理する。
【0131】
実施例2.2
結晶変態IIの懸濁製剤(比較製剤)の調製
式(I)で表される化合物の結晶変態IIの懸濁製剤を調製するために、
43.6gの式(I)で表される結晶変態II(>95%);
8.0gのSoprophor TS 29;
2.0gのAtlox 4913;
20gのglycerol;
0.8gのKelzan S;
0.16gのPreventol D7;
0.240gのProxel GXL;
0.2gのSilicon Antischaumemulsion SRE;及び
145.0gの水;
を、上記で記載したように処理する。
【0132】
実施例2.3
結晶変態Iの油性懸濁製剤(OD)の調製
100g活性化合物/Lの濃度を有する式(I)で表される化合物の結晶変態Iの油性懸濁製剤(OD)(OD100製剤)を調製するために、
590gの式(II)
【0133】
【化2】

[式中、
EOは、−CH−CH−O−を表し;
POは、
【0134】
【化3】

を表し;及び、
数字8及び6は、平均値である。]
で表される化合物と
1606gのひまわり油;
の混合物を室温で撹拌しながら、それに、
298gの式(I)で表される結晶変態I(>85%);
295gのArlaton T(V);
132.8gのAtlox 4894;
14.7gのMorwet D 425;
1.5gのSilfoam SC 1132;
5.9gの無水クエン酸;
5.9gのVulkanox BHT;
を添加する。
【0135】
上記添加が完了した後、その混合物を室温でさらに10分間撹拌する。得られた均質な懸濁液を、最初に粗粉砕に付した後、微粉砕に付して、固体粒子の90%が6μm未満の粒径を有する懸濁液を得る。
【0136】
本発明による組成物の上記成分(商品名で明示されている)は、以下の供給元から入手することができる。
【0137】
【表12】

【0138】
実施例3
調製特性
Getzmann GmbH社製Dispermat(登録商標)SL上で、標準的な設定(ガラスビーズの寸法 0.75〜1.0mm;充填の程度 80%;4000回転/秒;流量 0.3L/時間;ミル内の最高温度 0.01バール未満の圧力で36℃)を用いて、実施例2.1の製剤を調製した。
【0139】
Dispermat(登録商標)SL上で実施例2.2の製剤を調製した場合は、粉砕中の膠着を防止するために流量を0.1L/時間まで低減させなければならなかった。温度が激しく上昇するため及び圧力が上昇するために、実施例2.2の製剤を流量を低減させることなく調製することは不可能であったと思われる。
【0140】
実施例4
貯蔵特性
実施例2.1の製剤及び実施例2.2の製剤を54℃で8週間貯蔵した。貯蔵後、そのサンプルを室温とし、その貯蔵した製剤の特性を実施例2に従って新たに調製したサンプルの特性と比較した。
【0141】
実施例2.1の製剤は、僅かな相分離を示したが、容易に再分散可能であった。この製剤の製剤特性は、貯蔵後においても変化していなかった。
【0142】
実施例2.2の比較製剤は、僅かな相分離を示したが、これは、激しく振盪した後、再分散可能であった。結晶成長及び個々の粒子の強いアグロメレーションも観察された。この製剤から調製した1%強度水性散布液は、1時間以内に、沈澱物が形成され、従って、施用するのが困難であった。
【0143】
生物学的実施例
植物に損傷を与える昆虫に対する式(I)で表される化合物の結晶変態Iの作用/屋外試験(イネ;フィリピン)
トビイロウンカ(Nilaparvata lugens)試験(茎葉への施用)
活性化合物の適切な調製物を製造するために、実施例2.3に従って調製した油性懸濁製剤(OD100製剤)を水で希釈して、所望の濃度とした。所望の期間が経過した後、殺虫率(%)を求めた。100%は、全てのヨコバイが死んだことを意味し、0%は、死んだヨコバイが無かったことを意味する。
【0144】
この試験において、結晶変態Iの状態にある式(I)の化合物は良好な活性を示した:
活性化合物濃度(g/ha): 200
14日後の殺虫率(%) : 100。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化4】

で表される化合物の結晶変態Iであり、CuKα照射を用いたときにX線粉末ディフラクトグラムが以下の反射面
【表13】

を有することを特徴とする、前記結晶変態I。
【請求項2】
CuKα照射を用いたときにX線粉末ディフラクトグラムが以下の反射面
【表14】


を有することを特徴とする、請求項1に記載の結晶変態I。
【請求項3】
請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態I並びに適切な補助剤を含んでいる、組成物。
【請求項4】
請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態I並びに式(I)で表される化合物の結晶変態II並びに適切な補助剤を含んでいる組成物であり、式(I)で表される化合物の結晶変態IIを20重量%以下しか含んでいないことを特徴とする、前記組成物。
【請求項5】
有害生物を防除するための組成物を調製するための、請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態I又は請求項3若しくは4に記載の組成物の使用。
【請求項6】
植物の有害生物を防除するための、請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態I又は請求項3若しくは4に記載の組成物の使用。
【請求項7】
動物寄生性物を防除するための、請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態I又は請求項3若しくは4に記載の組成物の使用。
【請求項8】
工業材料を破壊する昆虫を防除するための、請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態I又は請求項3若しくは4に記載の組成物の使用。
【請求項9】
種子を処理するための、請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態I又は請求項3若しくは4に記載の組成物の使用。
【請求項10】
望ましくない昆虫を防除する方法であり、請求項1及び2の1項以上に記載の式(I)で表される化合物の結晶変態Iを含んでいる組成物又は請求項3若しくは4に記載の組成物を当該昆虫及び/又はそれらの生息環境及び/又は種子に施用することを特徴とする、前記方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−504923(P2010−504923A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−529578(P2009−529578)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【国際出願番号】PCT/EP2007/008102
【国際公開番号】WO2008/040445
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】