説明

5α−レダクターゼ1型及び2型依存性症状を治療するための方法及び組成物

本発明は一般に、ヒトステロイド5α−レダクターゼ遺伝子の発現を調節し、かくしてジヒドロテストステロン(DHT)のレベルを調節させるためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA及びリボザイムの使用に関する。DHTの上昇したレベルは、限定されるわけではないが、皮膚病、脱毛、多毛症(hirsuitism)及び良性前立腺肥大を含むさまざまな障害と結びつけられる。本発明は、具体的には、障害を治療及び予防するための投与のためのこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA及びリボザイムの製剤に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.関連特許出願
本出願は、その各々の全体が本明細書に参照して援用される2003年10月21日出願の米国仮出願第60/512,689号及び2004年2月18日出願の米国仮出願第60/545,146号の利益を享受するものである。
【0002】
2.技術分野
本発明は一般に、ヒトステロイド5α−レダクターゼ遺伝子の発現を調節しかくしてジヒドロテストステロン(DHT)のレベルを調節させるためのアンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA及びリボザイムの使用に関する。高レベルのDHTは、限定されるわけではないが、皮膚病、脱毛、多毛症(hirsuitism)及び良性前立腺肥大を含むさまざまな障害に関連する。本発明は、具体的には、障害を治療及び予防するための投与のためのこれらのアンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA及びリボザイムの製剤に関する。
【背景技術】
【0003】
3.背景技術
3.1 ヒトステロイド5α−レダクターゼ
1型及び2型という2つの5α−レダクターゼのイソ酵素が人間の場合において記述されてきた(1型及び2型という呼称は、遺伝子が単離された年代順を反映している)(例えばアンダーソン(Andersson)及びラッセル(Russell)、「Structural and biochemical properties of cloned and expressed human and rat steroid 5α−reductases」、Proc Natl Acad Sci.USA、第87巻、3640−4頁、1990年を参照のこと。同様にアンダーソンら、「Deletion of Steroid 5 alpha−Reductase 2 Gene in Male Pseudohermaphroditism」、Nature、第354巻、159−61頁、1991年も参照のこと)。構造的差異に加えて、2つのイソ酵素は、その生化学的特性、発現パターン、遺伝的特徴及び薬理学に関して異なっている(例えばアンダーソンら、1991年、前掲を参照のこと;同様にジェンキンス(Jenkins)ら、「Genetic and Paramacologic Evidence For More Than One Human Steroid 5α−Reductase」、J.Clin.Inv.、第89巻、293−300頁、1992年も参照のこと)。例えば5α−レダクターゼ1型は脂腺(例えば前立腺及び皮膚)の中に見られ、5α−レダクターゼ2型は例えば前立腺及び毛嚢中に見られる。組織分布及びアンドロゲン作用において2つのステロイド5α−レダクターゼイソ酵素が果たす役割を解明することが現在、熱心な研究の主題となっている。
【0004】
ステロイド5α−レダクターゼ1型の遺伝子座名はSRD5α1である。この遺伝子はp15バンド内の染色体5の短腕に対してマップされる。ステロイド5α−レダクターゼ2型についての遺伝子座名はSRD5α2であり、染色体2の2p23バンドにマッピングする。これらの遺伝子に加えて、X染色体のq24−qter領域にマッピングするSRD5αP1と呼ばれるステロイド5α−レダクターゼ1型についての不活性処理済み偽遺伝子が存在するとも思われる(ジェンキンスら、「Characterization and Chromasomal Mapping of Human Steroid 5α−Reductase Gene and Pseudogene and Mapping of the Mouse Homologue」、Genomics、第11巻、1102−1112頁、1991年;シグペン(Thigpen)及びラッセル、「Four Amino Acid Segment in Steroid 5α−Reductase 1 Confers Sensitivity to Finasteride、A Competitive Inhibitor」、J.Biol.Chem.、第267巻、8577−8583頁、1992年)。
【0005】
ステロイド5α−レダクターゼ1型及びステロイド5α−レダクターゼ2型の重複部分を含むゲノムクローンが単離され配列決定されてきた。配列分析に基づいて、両方の遺伝子共少なくとも20Kbの長さを有し正確に同じ位置で4つのイントロンにより中断された5つのエクソンを有するように思われる。遺伝子構造の類似性から、2つの遺伝子が祖先遺伝子の重複とそれに続く発散から発生しかくして別々の生理学的役割を導くことになるということが示唆された(ジェンキンスら、1991年、前掲;シグペン及びラッセル、1992年、前掲)。
【0006】
2つのステロイド5α−レダクターゼ遺伝子は類似のプロモータを有し同じ転写因子に応答すると思われるが、2つのイソ型が全ての生理学的条件下で同時に調節されるか否かは明確でない。現在の証拠から、2つのイソ酵素の発現は異なる組織及び細胞型において変動することが示唆されている。最近の薬理学的証拠は、1つのイソ酵素の阻害がもう一方のイソ酵素のアップレギュレーションを導くような形でステロイド5α−レダクターゼの発現を調節することが可能であるということを示唆している(ヒルシュ(Hirsch)ら、「A Selective、Non−steroidal Inhibitor of Human Steroid 5α−Reductase Type 1」、Proc.Natl.Acad.Sci.、USA、第90巻(11):5277−81頁、1993年)。酵素ステロイド5α−レダクターゼ1型はステロイド5α−レダクターゼ2型に対し一次アミノ酸配列において約50%の相同性を示す。しかしながらそれらのハイドロパシープロットはほぼ同一であり、より高次の構造が高い保存度を示すことを意味している(アンダーソンら、1991年、前掲)。2つのイソ酵素間の構造的類似性は、恐らく触媒活性にとって必要な制約を反映している。
【0007】
酵素活性には、テストステロンのジヒドロテストステロンへの還元のための補因子としてNADPHの存在が必要である。最近の報告は、NADPHと酵素の会合がアロステリックとして作用してタンパク質の3次元構造の立体配座の変化を誘発し、かくして基質が触媒部位にアクセスできるようにする、ということを示唆している(メトカーフ(Metcalf)ら、「Potent Inhibition Of Human Steroid 5α−Reductase(EC1.3.1.30)by 3−Androstene−3−Carboxylic Acids」、Bioogranic Chem.、第1巻、372−376頁、1989年)。ステロイド5α−レダクターゼ1型に最適なpHは、比較的広く(pH6〜8)、これはpH5.5でインビトロでの最大活性を示すステロイド5α−レダクターゼ2型と明確な対照をなす(ジェンキンスら、1992年、前掲)。薬理学的研究により2つのイソ酵素が阻害物質に対する異なる感応性を示すということが、示された(ジェンキンスら、1992年、前掲)。
【0008】
3.1.1. 5α−レダクターゼ1型
ステロイド5α−レダクターゼ1型遺伝子(配列番号1)は、約29kDaの分子量をもつタンパク質をコードする。該酵素は疎水性が非常に高く、13%の荷電アミノ酸残基しか含まない(アンダーソン及びラッセル、1990年、前掲;アンダーソンら、1991年、前掲;アンダーソンら、「Expression Cloning And Regulation Of Steroid 5 Alpha−Reductase、An Enzyme Essential For Male Sexual Differentiation」、J Biol Chem、第264巻、16249−55頁、1989年)。ステロイド5α−レダクターゼ1型の転写は、約2.1kbのメッセンジャRNAを産生する。当初、遺伝子は発現クローニング及びPCRによりcDNAコピーからクローニングされた。結果として得られたクローンは完全に配列決定されており、ゲノムクローンに由来するエクソンの配列に対し完全な同一性を示す(アンダーソンら、1991年、前掲;ジェンキンスら、1991年、前掲;シグペン及びラッセル、1992年、前掲;アンダーソンら、1989年、前掲)。ステロイド5α−レダクターゼ1型遺伝子についてのメッセージは5’末端でキャッピングされ、3’末端でポリアデニル化される。推定ポリアデニル化部位は、ポリAテールの部分を含有するcDNAクローンの配列に基づいて同定された。
【0009】
3.1.2 5α−レダクターゼ2型
ステロイド5α−レダクターゼ2型(配列番号28)の機能は、男性仮性半陰陽(pseudohermaphrodism)におけるその欠乏によって規定されるが、ステロイド5α−レダクターゼ1型の、アンドロゲンの生理機能における正確な役割は、はっきりと分かっていない(同上参照;ジェンキンスら、1992年、前掲も参照のこと)。最近の分子遺伝学の証拠は、ステロイド5α−レダクターゼ2型が胚性外生殖器及び前立腺の分化を担当することを示唆した(アンダーソンら、1991年、前掲)。生化学研究も又、ステロイド5α−レダクターゼ2型が成人前立腺における酵素の主要な形態を表わしていることを示した(アンダーソン及びラッセル、1990年、前掲;ジェンキンスら、1992年、前掲)。しかしながら、最近の研究からの証拠は、前立腺がステロイド5α−レダクターゼレダクターゼ1型を発現する能力をも有することを示唆した(ヒルシュら、1993年、前掲)。4−アザステロイド、フィナステリド(MK−906、Proscar(登録商標))は、ステロイド5α−レダクターゼ1型の比較的弱い阻害物質(Ki≧300nM)である(アンダーソン及びラッセル、1990年、前掲)。対照的に、フィナステリドは、低いナノモル濃度(Ki=3〜5nM)でステロイド5α−レダクターゼ2型を阻害する。最近になって、〜11nMのKiでステロイド5α−レダクターゼ1を選択的に阻害する新しい一連の阻害物質が同定された。(ノイバウアー(Neubauer)ら、「LY191704 inhibits type I steroid 5 alpha−reductase in human scalp」、J Clin Endocrinal Metab、(1996年)第81巻(6)、2055−60頁)。
【0010】
3.2 尋常性座瘡
座瘡の発生には、脂腺のアンドロゲン刺激が必要とされる(シーハン・デアー(Sheehan−Dare)ら、1988年、前掲)。座瘡の重症度は、ホルモンの制御下にあると報告されている皮脂排出速度に関係する。座瘡に関与する脂腺毛包は、共に微小面皰を形成する異常に落屑を呈する角質細胞及び過剰皮脂の蓄積により特徴づけされる。この環境は、Propionibacterium acnesにとって理想的生育条件を提供する。微小面皰中に見られるP.acnesのレベルは、低から非常に高までの範囲内にある。皮脂レベルの低減は徴環境を改変しかくしてP.acnesの繁栄能力を低減させる。疾病についてのアンドロゲン原理は、座瘡の治療に抗アンドロゲン療法が有効に利用されてきたという観察事実によって裏づけされる。座瘡の発生は、循環するアンドロゲンレベルの上昇と関係しないことから、DHTの局所的産生が座瘡の発生における病因的要素でありうるということが仮定された。具体的には、疾症の重症度は、TをDHTに代謝させる皮膚の能力に関係すると思われる。この観察事実は、皮膚の中のステロイド5α−レダクターゼ活性が座瘡対象において上昇することが報告されているという発見事実と一貫性をもつ(ヘイ(Hay)及び(ホッギンス)Hodgins、「Metabolism Of Androgens By Human Skin In Acne」、Br.J.Dermatol.、第91巻:123−133頁、1974年;ルッキングビル(Lookingbill)ら、「Tissue Production Of Androgens In Women With Acne」、J.Am.Acad.Dermatol.、第12巻、1985年;サンソン(Sansone)及びライズナー(Reisner)、「Differential Rates Of Conversion Of Testosterone To Dihydrotestosterone In Acne And In Normal Human Skin−A Possible Pathogenic Factor In Acne」、J.Invest.Dermatol.、第56号、366−72頁、1971年)。その他のアンドロゲン依存性障害と同様、ステロイド5α−レダクターゼ生合成の阻害は、座瘡を治療するための安全かつ有効な手段であるはずである。
【0011】
3.3 良性前立腺肥大(BPH)
ヒトにおいては、前立腺は、加齢に伴って頻度を増す肥大及び新生物変化を受ける(デュロシェ(Durocher)ら、「Tyrosine Protein Kinase Of Human Hyperplastic Prostate And Carcinoma Cell Lines PC3 And DU145」、Cancer、第49巻、4818−4823頁、1989年;ウォルシュ(Walsh)、「Benign Prostatic Hyperplasia:Etiological Considerations(編)」、Prostatic Diseases、1−6頁、New York、ニューヨーク州、Alan R.Liss Inc、1976年)。思春期に起こる成長期の後、前立腺の重量は、約75〜80パーセントの男性において腺が第2期成長する50才代まで比較的一定(約20グラムで)にとどまる(クラーク(Clark)ら、「Mechanisms Of Steroid Hormone Action」In:J.D.ウイルソン(Wilson)及びD.W.フォスター(Foster)(編)、Textbook of Endocrinology、67−68頁、Philadelphia、ペンシルバニア州、W.B.Saunders Company、1985年)。結果としてもたらされる非悪性前立腺肥大(BPH)は、腺の拡大を導き、その結果、尿管感染の疾病素質と共に閉塞性及び刺激性放尿症状が発生することになる(デュロッシェら、1989年、前掲;スミス(Smith)ら、「Benign Prostatic Hyperplasia」、Prostgrad.Med.、第83巻、79−85頁、1988年)。
【0012】
100年以上の間、良性前立腺肥大は外科的に治療されてきており、その結果前立腺摘除術は65才以上の男性において実施された最も一般的な外科手術となっている(スティムソン(Stimson)及びフィン(Finn)、「Benign Prostatic Hyperplasia And Its Treatment」、J.Gen.Int.Med.、第5巻、153−165頁、1990年)。1985年だけで、米国では約30億ドルのコストで367,000件の前立腺摘除術が実施された。さらに、最近の証拠から、80才まで生きている男性の20パーセント超が前立腺の外科的切除を受けていることになるということが示唆されている。前立腺外科手術は大幅に洗練されてきたが、それでもなお高齢者における病的状態の主たる原因であり続けている(マツキン(Matzkin)及びブラフ(Braf)、「Endocrine Treatment Of Benign Prostatic Hypertrophy:Current Concepts」、Urology、第37巻、1−16頁、1991年)。前立腺の経尿道的電気切除術(TURP)は通常脊椎麻酔下で行なわれ、約1パーセントの死亡率を示す。尿路閉塞の再発は、外科手術を受けた患者の最高20%において発生し得る。
【0013】
良性前立腺肥大患者由来の前立腺組織の組織学的検査は、腺の収縮、慢性的炎症及び間質線維症を特徴とする局所性萎縮の領域を顕示する。該疾病は、複数の形態で存在するが、最も一般的なものは、前立腺間質の5倍の増大及び腺組織の2倍の増大によって特徴づけされる(マキンドー(MacIndoe)ら、「Comparative Studies Of 5 Alpha−Reductase Inhibitors Within MCF−7 Human Breast Cancer Cells」、J Steroid Biochem、第20巻、1095−100頁、1984年;マックニール(McNeal)、「The Anatomic Heterogeneity Of The Prostate、Models for Prostate Cancer」、149−160頁、New York、ニューショーク州、Alan R.Liss、1980年;マックニール、「Normal Histology Of The Prostate」、Am.J.Surg.Pathol.、第12巻、619頁、1988年)間質の内部には、同様に結合組織の蓄積及び平滑筋要素の活性化も存在する(ブルエンガー(Bruengger)ら、「Smooth Muscle Cell Of The Canine Prostate In Spontaneous Benign Hyperplasia、Steroid Induced Hyperplasia And Estrogen Or Tamoxifen Treated Dogs」J.Urol.、第130巻、1208−1210頁、1983年)。
【0014】
良性前立腺肥大の病因は不明瞭であるが、前立腺肥大の発生におけるアンドロゲンの役割を裏づける強力な証拠が存在する(ウォルシュ、1976、前掲)。男性の生殖組織は、正常に成長し機能するためにアンドロゲンの連続的存在に大きく依存している(ウォルシュ、1976年、前掲;ジョゼランド(Djoseland)ら、「5α−Reductase Activity In Stromal And Epithelium Of Rat Prostate And Epididymis.A Contribution To Elucidation Of The Mechanism For The Development Of Hyperplastic Growth Of Prostatic Tissue」Acta Endo.、第103巻、273−281頁、1983年;ヒエロウスキ(Hierowski)ら、「The Partial Dependency Of Hyman Prostatic Growth Factors On Steroid Hormones In Stimulating Thymidine Incorporation Into DNA」J.Urol.第138巻、909−912頁、1987年; キプリアヌ(Kyprianou)及びアイザック(Isaacs)、「Identification Of A Cellular Receptor For Transforming Growth Factor In Rat Ventral Prostate And Its Negative Regulation By Androgens」、Endocrinology、第123巻、2124−2131頁、1988年)。テストステロン(T)は、こう丸により産生され広く分配されるが、一方ジヒドロテストステロン(DHT)は、膜結合酵素(I)によって触媒されるNADPH依存性反応を通してテストステロンから局所的に産生される(EC.1.3.995)(ウイルソン、「Handbook of Physiology:Endocrinology」、第5巻、491−508頁、Washington、Am.Physiol.Soc.、1975年)。テストステロン及びDHTは、アンドロゲン生理学において重複する役割と全く異なる役割の両方を有する。胚の中では、Tはウイルス管の男性化を促進するように作用して、輸精管、副こう丸及び精のうの形成を導く。DHTは外生殖器及び前立腺の形成を誘発するように作用する(グリフィン(Griffin)及びウイルソン編)、「The Metabolic Basis of Inherited Diseases」、1919−1944頁、New York:McGraw−Hill、1989年)。
【0015】
大部分の哺乳動物種では、DHTの産生はアンドロゲン応答性組織の細胞内で局所的に発生する。初期の研究は、過形成の腺において、アンドロゲンジヒドロテストステロン(DHT)の濃度が正常な前立腺組織で観察されるものよりも大きいということを明らかにした(シッテーリ(Siiteri)ら、「Dihydrotestosterone In Prostatic Hypertrophy」、J.Clin.Inv.、第49号、1737−1745頁、1970年)。さらに、最高のDHT濃度は尿道周囲領域内に発生すると思われる。細胞過形成が最も多く観察されるのはこの領域内においてである。前立腺DHT濃度の上昇は、前立腺ステロイド5α−レダクターゼ活性の増加に原因があるとされてきた(ブルショブスキー(Bruchovsky)及びリースコブスキー(Lieskovsky)、「Increased Ratio Of 5alpha−Reductase:3alpha(Beta)−Hydroxysteroid Dehydrogenase Activities In The Hyperplastic Human Prostate」、J.Endo.、第80巻、289−301頁、1979年)。正常な前立腺組織と良性前立腺肥大由来の前立腺組織により発現されるステロイド5α−レダクターゼ活性の検査は、過形成組織内のKmの変化はなかったものの酵素のVmaxは約10倍増大し、これは病気がタンパク質の発現の増大と関連づけられることを示唆している、ということを明らかにした(ハドソン(Hudson)ら、「Studies On The Nuclear 5α−Reductase Of Human Prostatic Tissue:Comparison Of Enzyme Activities In Hyperplastic、Malignant、And Normal Tissue」Can.J.Cell Bio.、第61巻、750−755頁、1982年)。間質ステロイド5α−レダクターゼ活性の増大は、年令に関係する現象であるように思われる(ホシュストラット(Hochstrate)ら、「Effects Of Aging On Kinetic Parameters Of 5α−Reductase In Epithelium And Stroma Of Normal And Hyperplastic Human Prostate」J.Clin.Endocrinol.Metab.、第67巻、979−985頁、1988年)。
【0016】
アンドロゲン特にDHTの前立腺生理学における重要性に基づいて、最近の良性前立腺肥大治療の試みは、ステロイド5α−レダクターゼ活性の阻害を通してアンドロゲンの活動を遮断しようと努めてきた(米国特許第4,760,071号明細書)。この治療的アプローチは、前立腺肥大の発生を導く発症機序を治療する試みを表わしている。これまで、数多くのステロイド5α−レダクターゼ阻害物質が記述されてきた(メトカーフら、「Inhibitors Of Steroid 5 Alpha−Reductase In Benign Prostatic Hyperplasia、Male Pattern Baldness And Acne」、Trends Pharmacol Sci、第10巻、491−5頁、1989年;メタカーフら、1989年、前掲;ペトロー(Petrow)ら、「Prostatic Cancer.I.6−Methylene−4−Pregnen−3−Ones As Irreversible Inhibitors Of Rat Prostatic Delta 4−3 Ketosteroid 5 Alpha−Reductase」、Steroids、第38巻、121−40頁、1981年;ペトローら、「Inhibition Of Prostatic Growth In Rats By 6−Methylene−4−3,20−Dione」、J.Endocrinol、第95巻、311−3頁、1982年;マーツ(Marts)ら、「A Comparison Of The Effects Of Castration And 6−Methylene Progesterone、A 5 Alpha−Reductase Inhibitor、On The Rat Ventral Prostate」、Biochem Cell Biol、第65巻、626−34頁、1987年;ストーナー(Stoner)、「The Clinical Development Of A 5α−Reductase Inhibitor、Finasteride」、J.Steroid Biochem Mol Biol、第37巻、375−8頁、1990年)。既存の化合物のうち、フィナステリド(MK−906、プロペシア(Propecia)(登録商標)、プロスカール(Proscar)(登録商標))は良性前立腺肥大患者において最も広範な臨床試験を受けてきた。これらの試験の結果は、該化合物が血漿DHTレベルの65パーセントの減少をひき起こす一方、Tの循環レベルは維持される又はわずかだけ増大する、ということを示している(ストーナー、1990年、前掲)。その結果、性欲及び筋力及びその他の推定上テストステロン依存性の特徴はステロイド5α−レダクターゼの阻害による影響を受けない。フィナステリドによるステロイド5α−レダクターゼの阻害には、良性前立腺肥大患者の約30パーセントにおける前立腺体積の減少及び最大尿道流速の増大が随伴する(ストーナー、1990年、前掲)。
【0017】
前立腺内のステロイド5α−レダクターゼの優勢な形態は、2型であると思われるが、最近の薬理学的証拠は、培養された前立腺細胞がステロイド5α−レダクターゼ1型を発現する能力を有することを実証している(ヒルシュら、1993年)。
【0018】
3.4 男性ホルモン性脱毛症
顔面及び体の毛の成長の大部分はアンドロゲンにより刺激される。しかしながら、頭髪の成長は、禿頭症の遺伝的素因を示す個体においてDHTにより阻害されることが示されてきた(エブリング(Ebling)、「Steroids And The Skin:A General Review」、Biochem Soc Trans、第4巻、597−602頁、1976年;ラッキー(Lucky)、「The Paradox Of Androgens And Balding:Where Are We Now?」、J Invest Dermatol、第91巻、99−100頁、1988年;ブロッドランド(Brodland)及びミュラー(Muller)、「Androgenetic Alopecia (Common Baldness)」、Cutis、第47号:173−6頁,1991年)。禿頭症の表現型発現はアンドロゲンが存在しないと発生しない。男性ホルモン性脱毛症又は一般的な禿頭症は毛髪喪失の症例全ての99パーセントを占めている(ブロッドランド及びミュラー、1991年、前掲)。30代〜50代の男性における罹患率は約47パーセントであり、年令と共に増大する。更年期前の女性では、罹患率は比較的低い(9パーセント)。しかしながら、60才代までには、女性における禿頭症の発生は39パーセントと推定されてきた。
【0019】
アンドロゲン特にDHTが毛髪の生物学を調節するように機能する機序は、発毛サイクルの調節によるものである(エブリング、1976年、前掲;ベルグフェルド(Bergfeld)及びレドモンド(Redmond)、「Androgenic Alopecia」、Dermatol Clin、第5巻:491−500頁、1987年)。発毛に対するDHTの効果は、禿かかっている個体からの頭皮でTをDHTに変換させる能力は、禿かけていない個体の頭皮に見られるものよりも大きいという点で、ホルモンの全身的レベルよりもむしろ局所的レベルに関係しているように思われる(エブリング、1976年、前掲;ラッキー、1988年、前掲;シュワイケルト(Schweikert)及びウイルソン、1974年、「Regulation Of Human Hair Growth By Steroid Hormones.I.Testerone Metabolism In Isolated Hairs」、J Clin Endocrinol Metab、第38巻、811−9頁、1974年)。禿頭症が頭皮内のDHTの過剰産生に関係するという概念を裏づけるさらなる証拠は、ベニガオザルにおけるアザ−ステロイド4−MA(17β−N,N,−ジエチルカルバモイル−4−メチル−4−アザ−5a−アンドロスタン−3−オン)での研究によって提供されている。これらのサルは人間において観察されるものと類似の年令関連性脱毛を経験する(リットマスター(Rittmaster)ら、「The Effects Of N,N−Diethyl−4−Methyl−3−Oxo−4−Aza−5Alpha−Androstane−17Beta−Carboxamide、A 5Alpha−Reductase Inhibitor And Antiandorogen、On The Development Of Baldness In The Stumptail Macaque」、J Clin Endocrinol Metab、第65巻、188−93頁、1987年)。このモデル系では、化合物で治療したサルは未治療のサル又はビヒクル単独で処置されたサルよりも著しく多くの毛を成長させた(リットマスターら、1987年、前掲)。予備的な生化学的証拠は、ヒトにおいて頭皮が主にステロイド5α−レダクターゼ1を発現することを示唆している(イタミ(Itami)、Journal of Investigative Dermatology、第95巻、57−60頁、1991年)。最近の報告書は、4−MAが両方のステロイド5α−レダクターゼイソ酵素を阻害する能力をもつことを示唆した(アンダーソン及びラッセル、1990年、前掲)。
【0020】
3.5 多毛症
多毛症は、女性の11パーセントに発生し、男性の発毛パターンでの粗い硬毛の過剰成長を特徴とする(ベルグフェルド及びレドモンド、Hirsutism.Dermatolo.Clin.、第5巻、501−507頁、1987年;エーアマン(Ehrmann)及びローゼンフィールド(Rosenfield)、「Clinical Review 10:An Endocrinologic Approach To The Patient With Hirsutism」、J Clin Endocrinol Metab、第71巻、1−4頁、1990年)。特異的には、胸、顔面、肩、背中及び腹部に細かい軟毛から粗い硬毛への変換が存在する。男性においてそうであるように、この発毛パターンは、アンドロゲン依存性であることが報告されている。多毛症の女性は往々にして(50〜85%)、頭髪の早期脱毛及び薄化を伴う或る種の形態のアンドロゲン過剰を示す。
【0021】
その他のアンドロゲン依存性条件においてそうであるように、多毛症における発毛パターンに対するアンドロゲンの効果は、DHTの局所的産生の増加に関係すると思われる。さらに、該症状を発現する女性においてはTからDHTへの変換がアンドロゲン標的組織内で増大しているということを示唆する証拠が存在する(ロボ(Lobo)ら、「Production of 3alpha−Androstenediol Glucuronide In Human Genital Skin」、J.Clin.Endocrinol.Metab、第65巻、711−714頁、1987年)。皮膚では、ステロイド5α−レダクターゼ活性は、アンドロゲン応答性である脂腺及び汗腺に局在化されていた(エーアマン及びローゼンフィールド、1990年、前掲)。最近の報告書は、アンドロゲン依存性組織において、ステロイド5α−レダクターゼ活性の発現がアンドロゲンにより調節されることを示唆している(ジョージ(George)ら、「Feed−Forward Control Of Prostate Growth:Dihydrotestosterone Induces Expression Of Its Own Biosynthetic Enzyme、Steroid 5 Alpha−Reductase」、Proc Natl Acad Sci USA、第88巻、8044−7頁、1991年)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0022】
4.発明の要約
本発明は、5α−レダクターゼ1型及び2型に関係する障害を治療し予防するための組成物及び方法に関する。
【0023】
1実施態様においては、本発明は、テステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害又は緩和する能力をもつ治療上又は予防上有効な量のアンチセンスオリゴヌクレオチド、低分子干渉RNA(「siRNA」)又はリボザイムを含む組成物を包含する。
【0024】
もう1つの実施態様においては、本発明は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNAの発現を削除するか又は動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ1型のためのmRNAにハイブリダイズする能力をもつ本発明の治療上又は予防上有効な量の1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物を包含する。さらにもう1つの実施態様において、本発明は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNAの発現を削除するか又は動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ2型のためのmRNAにハイブリダイズする能力をもつ本発明の治療上又は予防上有効な量の1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物を包含する。さらにもう1つの実施態様において、本発明は、動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の酵素活性を削減する本発明の治療上又は予防上有効な量の1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物を包含する。もう1つの実施態様において、本発明は、動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の酵素活性を削減する本発明の治療上又は予防上有効な量の1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物を包含する。
【0025】
さらにもう1つの実施態様においては、本発明は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNAの発現を削除するか又は動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ1型のためのmRNAにハイブリダイズする能力をもつ本発明の治療上又は予防上有効な量の低分子干渉RNAを含む組成物を包含する。もう1つの実施態様において、本発明は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNAの発現を削除するか又は動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ2型のためのmRNAにハイブリダイズする能力をもつ本発明の治療上又は予防上有効な量のsiRNAを含む組成物を包含する。さらにもう1つの実施態様において、本発明は、動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の酵素活性を削減する本発明の治療上又は予防上有効な量のsiRNAを含む組成物を包含する。もう1つの実施態様において、本発明は、動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の酵素活性を削減する本発明の治療上又は予防上有効な量のsiRNAを含む組成物を包含する。
【0026】
さらにもう1つの実施態様においては、本発明は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNAの発現を削除するか又は動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ1型のためのmRNAにハイブリダイズする能力をもつ本発明の治療上又は予防上有効な量のリボザイムを含む組成物を包含する。さらにもう1つの実施態様において、本発明は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNAの発現を削除するか又は動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ2型のためのmRNAにハイブリダイズする能力をもつ本発明の治療上又は予防上有効な量のリボザイムを含む組成物を包含する。さらにもう1つの実施態様において、本発明は、動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の酵素活性を削減する本発明の治療上又は予防上有効な量のリボザイムを含む組成物を包含する。もう1つの実施態様において、本発明は、動物におけるヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の酵素活性を削減する本発明の治療上又は予防上有効な量のリボザイムを含む組成物を包含する。
【0027】
本発明の治療上又は予防上有効な量のオリゴヌクレオチド又はリボザイムを含む組成物は、皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ(steatoma)、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)障害を治療又は予防する上で有用である。理論によって制限されることなく、1つの作用様式において、本発明の組成物は、テストステロンのジヒドロテストステロンへの変換を阻害する上で有用であると考えられている。
【0028】
もう1つの実施態様においては、本発明は、それを必要とする患者の体内でのテストステロンのジヒドロテストステロンへの変換を阻害する方法において、本発明の治療上又は予防上有効な量の1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチドを含む組成物を前記患者に対し投与することを含有する方法を包含する。
【0029】
もう1つの実施態様において、本発明は、必要とする患者において皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する方法において、前記患者に対して、本発明の治療上又は予防上有効な量の1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムを含む組成物を投与することを含有する方法を包含している。
【0030】
もう1つの実施態様においては、本発明は、1つ以上の付加的な治療剤と組合わせて治療上又は予防上有効な量の1つ以上のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムを含む組成物を包含している。その他の治療剤は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムを単独で投与した場合に比べて付加的な又は相乗的な価値を提供する。
【0031】
本発明はさらに、エチルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコールエステル、EDTA、パンテチン及び亜鉛などの二価カチオンを含むが、これらに制限されるわけではない浸透性エンハンサの取込みにより皮膚へのこれらの組成物の浸透の増強を提供する送達用ビヒクルを包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
6.詳細な説明
6.1 定義
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「動物」という語は哺乳動物特にヒトを意味する。
【0033】
本明細書で使用されている通り、別途指示ある場合を除き、「アンチセンス」又は「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という語は、ステロイド5α−レダクターゼ1型遺伝子のpre−mRNA又はmRNAに対して又はステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子のpre−mRNA又はmRNAに対して配列特異的な形で結合するオリゴヌクレオチド又は修飾済みオリゴヌクレオチドを意味する。アンチセンス組成物にはさらにDNA;RNA;ペプチド核酸(PNA);ホスホロチオアート、メチルホスホナート、又はベンジルホスホナートなどの修飾済み主鎖連結を有するオリゴヌクレオチド;2’−メトキシエチル糖又は2’−メトキシエトキシ糖などの修飾された糖類を有するオリゴヌクレオチド;又は5−メチルシトシン、2’−デオキシウラシル又は7−デアザ−2’−デオキシグアノシンなどの修飾された塩基をもつオリゴヌクレオチドが含まれる可能性がある。アンチセンス分子は、化学合成又は転写を内含するあらゆる方法により産生され得る。ひとたび細胞内に導入されたならば、相補的アンチセンス分子は、該細胞により産生された天然に発生する核酸と塩基対合して、転写又は翻訳のいずれかを遮断する2重鎖を形成する。
【0034】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「本発明のオリゴヌクレオチド」という語句には、「アンチセンスオリゴヌクレオチド」、「オリゴヌクレオチド」、「オリゴデオキシヌクレオチド」、「オリゴデオキシリボヌクレオチド」、「核酸系化合物(nucleic acid−based compound)」、「核酸分子」、「siRNA」、「リボザイム」及び「アプタマー」といった用語が含まれ、生物学的に有意なヌクレオチド、アデニン、デオキシアデニン、グアニン、デオキシグアニン、チミジン、ウリジン、シトシン及びデオキシシトシンのオリゴマ及び重合体、ならびにその他の新規のヌクレオチドを含有するオリゴマ及び重合体が含まれる。これらの用語には同様に、化学的に修飾された1つ以上のプリン又はピリミジン部分、糖部分又はヌクレオチド間連結を有するオリゴマ及び重合体も含まれる。これらの用語には、(当該技術分野において「アルファアノマー」として知られている)ベータ形態でなくアルファ形態で糖部分に接合されている塩基又は修飾済み塩基をも含有する以上で列挙されている任意の修飾を含むヌクレオチド又はこれらの修飾のうちの1つ以上のものを含有する任意のオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドで構成されたあらゆるオリゴマ及び重合体が含まれる。該オリゴヌクレオチドは線状又は環状であり得、5’末端、3’末端又は鎖の中央のどこかにおいて修飾されるオリゴマを含む。修飾には同様に主鎖が関与するか又は、修飾はレポータ基を伴う核酸塩基を通して発生するかもしれない。これらのレポータ基は、脂質、リン脂質、糖脂質、エーテル脂質、ペプチド、既知の又は未知のレセプタに対するリガンド、又は、細胞膜を横断する浸透を増強するべくオリゴヌクレオチドに付着される担体基を含む特定の細胞型に対するオリゴヌクレオチドのターゲティング又は細胞摂取を増強又は調節できるその他のあらゆる疎水性部分であり得、ここで前記担体には、脂質、ペプチド、脂肪族基(例えばメチレン、エチレン、プロピレン)又は非極性基が含まれるがこれらに制限されるわけではない。レポータ基は同様に、生物学的又は化学的活性化を伴って又は伴わずオリゴヌクレオチドとターゲティングされたmRNAとの間の共有結合による連結を形成することのできる架橋基でもあり得る。糖−リン酸塩主鎖は、3’−5’又は2’−5’連結によって接合され得る。オリゴヌクレオチドの主鎖修飾には、ホスホトリエステル、メチルホスホナート、ホスホジエステル又はホスホロチオアートを含めた当該技術分野において既知のもののみならず、現在利用されているか又は当業者により使用される可能性のあるペプチド又はその他のあらゆる非リン酸塩連結に基づくこのような主鎖修飾も含まれる可能性がある。これらの用語は、同様に、天然のものであれ修飾を含むものであれ、2’−3’ホスホジエステル、2’−5’ホスホジエステル又はホスホロチオアート連結などの3’−5’でない連結内で互いに接合されるヌクレオシドを有するあらゆるオリゴマ又は重合体をも内含する。
【0035】
「本発明のオリゴヌクレオチド」という用語は、同様にその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体及びプロドラッグをも内含する。さらに、本発明のオリゴヌクレオチドは、1つ以上のキラル中心及び/又は2重結合を含有する可能性があり、従って2重結合異性体(すなわち幾何異性体)、鏡像異性体又はジアステレオマーなどの立体異性体として存在する。本発明に従うと、本明細書で記述された化学的構造、ひいては本発明のオリゴヌクレオチドは、対応するオリゴヌクレオチドの鏡像異性体及び立体異性体の全て、すなわちステレオマーとして純粋(例えば幾何学的に純粋、鏡像異性体的に純粋又はジアステレオマー的に純粋)な形態及び鏡像異性的及び立体異性体の混合物の両方を包含する。鏡像異性体及び立体異性体混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィ、キラル相高性能液体クロマトグラフィ、キラル塩複合体としての化合物の結晶化又はキラル溶媒中での化合物の結晶化などの周知の方法によりその成分鏡像異性体又は立体異性体へと分解され得る。鏡像異性体及び立体異性体は同様に、ステレオマー的又は鏡像異性体的に純粋な中間体、試薬及び触媒から、周知の非対称合成方法により得ることができる。「本発明のオリゴヌクレオチド」及び「アンチセンスオリゴヌクレオチド」という用語は、全体を通して互換的に使用され、互いに包含し合う。
【0036】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「本発明の組成物」という用語は、本発明のオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体及びプロドラッグ及び薬学的に許容されるビヒクルを意味する。
【0037】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「薬学的に許容される」という用語は、動物、より具体的にはヒトにおいて使用する目的で連邦又は州政府の規制当局により承認された又は、米国薬局方又はその他の一般的に認識された薬局方の中で列挙されている、ということを意味する。「ビヒクル」という用語は、本発明の化合物がそれと共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は担体を意味する。かかる薬学的ビヒクルは、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などの、石油、動物、植物又は合成由来のものを含めた油及び水といった液体であり得る。薬学ビヒクルは、生理食塩水、メチラッセルロース、アラビアゴム、ゼラチン、でんぷんペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿などであり得る。さらに、助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤を使用することができる。患者に投与された場合、本発明の組成物及び薬学的に許容されるビヒクルは好ましくは無菌である。本発明の組成物が静脈内投与される場合、水が好ましいビヒクルである。特に注射用溶液のためには、液体ビヒクルとして食塩溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液も利用可能である。適切な薬学ビヒクルには同様に、でんぷん、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどといった賦形剤も含まれる。望ましい場合、本組成物は、少量の湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤を含有することもできる。
【0038】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「薬学的に許容される塩(単複)」という文言は、本組成物内で使用される化合物中に存在し得る酸性又は塩基性基が含まれるがこれらに制限されるわけではない。事実上塩基性である本組成物内に含まれるオリゴヌクレオチドは、さまざまな無機及び有機酸とさまざまな塩を形成する能力を有する。かかる塩基性化合物の薬学的に許容される酸付加塩を調製するために使用可能な酸は、硫酸、クエン酸、マレイン酸、酢酸、シュウ酸、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸塩、硫酸塩、亜硫酸塩、リン酸塩、過リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、過クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチアニン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩及びパモ酸塩(例えば、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトアート))塩を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)非毒性酸付加塩(すなわち薬学的に許容されるアニオンを含有する塩)を形成するものである。アミノ部分を内含する本組成物の中に含まれるオリゴヌクレオチドは、上述の酸に加えてさまざまなアミノ酸と薬学的に許容される塩を形成し得る。事実上酸性である本組成物内に含まれるオリゴヌクレオチドは、さまざまな薬理学的に許容されるカチオンと塩基塩を形成する能力をもつ。かかる塩の例としては、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、及び特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウム及び鉄塩がある。
【0039】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「薬学的に許容される溶媒和物」という用語は、非共有分子間力によって結合された溶媒を化学量論量又は非化学量論量だけさらに含む本発明のオリゴヌクレオチドを意味する。好ましい溶媒は揮発性、非毒性でかつ/又は微量でヒトに対するai strationのために許容されるものである。
【0040】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「薬学的に許容される水和物」という用語は、非共有分子間力によって結合された水を化学量論量又は非化学量論量だけさらに含む本発明のオリゴヌクレオチドを意味する。
【0041】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「薬学的に許容されるクラスレート」という用語は、内部に捕捉されたゲスト分子(例えば溶媒又は水)を有する空間(例えばチャンネル)を含む結晶格子の形をした本発明のオリゴヌクレオチドを意味する。
【0042】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「薬学的に許容される多形体」という用語は、複数の全く異なる形態(例えば結晶質、非結晶質)で存在する本発明のオリゴヌクレオチドを意味し、本発明はこれらの形態全てを包含する。多形体はその名が示す通り、結晶格子内の分子の順序の結果として異なる物理的特性を有する同じ分子の結晶である。多形体が示す物理的特性の差異は、貯蔵安定性、圧縮性及び密度(処方及び製品製造において重要)及び溶解速度(生物学的利用能を判定する上で重要な要因)などの薬学的パラメータに影響を及ぼす。安定性の差異は、化学反応性の変化(例えば1つの多形体で構成されている場合にもう1つの多形体で構成されている場合よりも急速に剤形が変色するような酸化差)又は機械的変化(例えば、反応速度的に有利な多形体が熱力学的により安定した多形体へと変換するにつれて錠剤が貯蔵時に粉々になる)又はその両方(例えば1つの多形体の錠剤が高湿度でより崩壊しやすい)の結果としてもたらされる可能性がある。溶解度/溶解差の結果、極端なケースでは、一部の多形転移は効能の欠如を結果としてもたらし、もう一方の極端においては毒性さえもたらされる。さらに、結晶の物理的特性はプロセッシングにおいて重要でありうる。すなわち例えば、1つの多形体は溶媒和物を形成する確率がより高い場合に考えられ、そうでなければ不純物が無くなるようろ過及び洗浄するのが困難であるかもしれない(すなわち、粒子形状及び粒度分布は、多形体によって異なる可能性がある。
【0043】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「薬学的に許容されるプロドラッグ」という用語は、生物学的条件(インビトロ又はインビボ)下で加水分解、酸化又はその他の形で反応してその化合物を提供できる化合物誘導体を意味する。プロドラッグの例としては、生物加水分解可能なアミド、生物加水分解可能なエステル、生物加水分解可能なカルバミン酸塩、生物加水分解可能な炭酸塩、生物加水分解可能なウレイド及び生物加水分解可能なリン酸塩類似体などの生物加水分解可能な部分を含む化合物が含まれるが、ただしこれらに制限されるわけではない。プロドラッグのその他の例としては、オリゴヌクレオチド、ペプチド、脂質、脂肪族及び芳香族基又はNO、NO2、ONO及びONO2部分を含む化合物が含まれる。プロドラッグは、標準的には、「Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery」、172、178、949、982頁(Manfred E.Wolff編、第5版、1995年)、及び「Design of Prodrugs」(H.Bundgaard編、Elselvier、New York 1985年)内で記述されているものなどの周知の方法を用いて調製可能である。
【0044】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「生物加水分解可能なアミド」、「生物加水分解可能なエステル」、「生物加水分解可能なカルバミン酸塩」、「生物加水分解可能な炭酸塩」、「生物加水分解可能なウレイド」、「生物加水分解可能なリン酸塩」という用語は、1)該化合物の生物学的活性と干渉しないがその化合物に対し、摂取、作用持続時間又は作用の開始といったインビボで有利な特性を付与することのできるか;又は2)生物学的に不活性であるもののインビボで生物学的に活性な化合物に変換されるかのいずれかである化合物のそれぞれアミド、エステル、カルバミン酸塩、炭酸塩、ウレイド又はリン酸塩を意味する。生物加水分解可能なエステルの例としては、低級アルキルエステル、低級アシルオキシアルキルエステル(例えばアセトキシメチル、アセトキシエチル、アミノカルボニルオキシ−メチル、ピバロイルオキシメチル及びピバロイルオキシエチルエステル)、ラクトニルエステル(例えばフタリジル及びチオフタリジルエステル)、低級アルコキシアシルオキシアルキルエステル(例えばメトキシカルボニルオキシ−メチル、エトキシカルボニルオキシエチル及びイソプロポキシカルボニルオキシエチルエステル)、アルコキシアルキルエステル、コリンエステル、及びアシルアミノアルキルエステル(例えばアセタミドメチルエステル)が含まれるがこれらに制限されるわけではない。生物加水分解可能アミドの例としては、低級アルキルアミド、アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド及びアルキルアミノアルキル−カルボニルアミドが含まれるがこれらに制限されるわけではない。生物加水分解可能カルバミン酸塩の例としては低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環及び複素芳香族アミン、及びポリエーテルアミンが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0045】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「治療上有効な」という用語は、疾病又は障害又は少なくとも1つのその識別可能な症候の改善をひき起こすことのできる、本発明のオリゴヌクレオチド、本発明のsiRNA又は本発明のリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグの量を意味する。「治療上有効な」という用語は、必ずしも患者が識別できるわけではない少なくとも1つの測定可能な物理的パラメータの改善を結果としてもたらすための、本発明のオリゴヌクレオチド、本発明のsiRNA又は本発明のリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグの量を意味する。さらにもう1つの実施態様では、「治療上有効な」という用語は、疾病又は障害の進行を物理的に(例えば識別可能な症候の安定化)又は生理学的に(例えば物理的パラメータの安定化)、又はその両方の形で阻害するための、本発明のオリゴヌクレオチド、本発明のsiRNA又は本発明のリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグの量を意味する。さらにもう1つの実施態様においては、「治療上有効な」という用語は、疾病又は障害の発症を遅らせる結果となる、本発明のオリゴヌクレオチド、本発明のsiRNA又は本発明のリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグの量を意味する。
【0046】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「予防上有効な」という用語は、一定の与えられた疾病又は障害を獲得する危険性の低減をひき起こす、本発明のオリゴヌクレオチド、本発明のsiRNA又は本発明のリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグの量を意味する。1つの実施態様においては、本発明の組成物は、本明細書で記述する障害に対する遺伝的素因を有する動物、好ましくはヒトに対して予防措置として投与される。本発明のもう1つの実施態様においては、本発明のオリゴヌクレオチド、本発明のsiRNA又は本発明のリボザイム又は、オリゴヌクレオチド、本発明のsiRNA又は本発明のリボザイムを含む組成物は、本明細書で開示されている障害に対する非遺伝的素因をもつ患者に対して予防措置として投与される。従って、本発明の組成物は、1つの疾病又は障害を予防し同時にもう1つの疾病又は障害を治療する(例えば尿失禁を治療しながら良性前立腺肥大(benign protatic hyperplasia)を予防する)ために使用可能である。
【0047】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「下流側」という用語は、本明細書ではヌクレオチド配列内の5’−3’方向を表わすために使用される。同様にして、「上流側」という用語は、3’−5’方向を表わす。
【0048】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「実質的に相補的な」という用語は、本明細書ではオリゴヌクレオチドがそのmRNA標的配列に対しハイブリダイズする能力をもつことを表わすために使用される。
【0049】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「mRNA」という語は、本明細書において、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型又はヒトステロイド5α−レダクターゼ2型をコードする成熟又はプロセッシング済みメッセンジャ−RNA、又は未プロセッシングの核pre−mRNAのいずれかを表わすべく使用されている。
【0050】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型」又は「ヒトステロイド5α−レダクターゼ1」という用語は本明細書では、5位においてテストステロンなどのアンドロゲンの還元を担当するヒトステロイド5α−レダクターゼのイソ酵素の1つを表わすべく使用されている(アンダーソン、S.及びラッセル、D.W.、1990年、Proc Natl Acad Sci USA、第87巻、3640−3644頁;ジェンキンス、E.P.ら、1992年、J.Clin.Inv.、第89巻、293−300頁)。テストステロンに対するヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の活性は、テストステロンから5α還元型テストステロン又はジヒドロテストステロンつまりDHTへの酵素的変換を結果としてもたらす。
【0051】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型」又は「ヒトステロイド5α−レダクターゼ2」という用語は本明細書では、5位においてテストステロンなどのアンドロゲンの還元を担当するヒトステロイド5α−レダクターゼのイソ酵素の1つを表わすべく使用されている(アンダーソン、S.及びラッセル、D.W.、1990年、Proc Natl Acad Sci USA、第87巻、3640−3644頁;ジェンキンス、E.P.ら、1992年、J.Clin.Inv.第89巻、293−300頁)。テストステロンに対するヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の活性は、テストステロンから5α還元型テストステロン又はジヒドロテストステロンつまりDHTへの酵素的変換を結果としてもたらす。
【0052】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「皮脂分泌を低減させる」という用語は、本明細書では本発明の組成物によりもたらされる皮脂分泌速度の検出可能な低減を表わすべく使用される。本発明の組成物は、約10%、約10〜20%、約20〜30%、約30〜40%、約40〜50%、約50〜60%、約60〜70%、約70〜80%又はそれ以上だけ皮脂分泌速度を実質的に低減させることができる。
【0053】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「発現を実質的に阻害する」という用語は、本明細書では、本発明の組成物によってもたらされる核酸分子からのコード化された酵素の発現(翻訳)レベルの検出可能な低減を表わすべく使用される。本発明の組成物は、約10%、約10〜20%、約20〜30%、約30〜40%、約40〜50%以上だけ、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型又は2型の発現を実質的に阻害することができる。
【0054】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「特異的に結合する」という用語は、本明細書では、5α−レダクターゼ1型又は2型の発現の実質的阻害が、関係のない細胞核酸に対する結合に起因する実質的な効果なく示されるような形で、インビボ又はインビトロの細胞環境で起こる核酸分子の結合を意味する。
【0055】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「発現」という語は、本発明の核酸フラグメントから誘導されたセンス(mRNA)又はアンチセンスRNAの転写及び安定した蓄積を意味する。発現は同様に、ポリペプチドへのmRNAの翻訳をも意味する。「アンチセンス阻害」というのは、標的タンパク質の発現を抑制する能力をもつアンチセンスRNA転写物の産生を意味する。「過剰発現」というのは、正常な又は形質転換されていない生体の産生レベルを超過するトランスジェニック生体における遺伝子産物の産生を意味する。「共抑制」というのは、同一の又は実質的に類似の外来の又は内因性遺伝子の発現を抑制する能力をもつセンスRNA転写物の産生を意味する(例えば本明細書に参照により援用されている米国特許第5,231,020号を参照のこと)。
【0056】
本明細書で使用される通り、別途指示ある場合を除き、「ハイブリダイズする」又は「ハイブリダイゼーション」という用語は、ポリヌクレオチドストランドが既定のハイブリダイゼーション条件下で塩基対合を通して相補性ストランドとアニールするプロセスを意味する。特異的ハイブリダイゼーションは、2つの核酸配列が高度の相補性又は逆相補性(すなわち極性が逆転されている;例えば5’→3’は3’→5’オリゴヌクレオチドの逆相補体である)を共有することを表わしている。特異的なハイブリダイゼーション複合体は許容アニーリング条件下で形成し、「洗浄」ステップの後ハイブリダイズした状態にとどまる。洗浄ステップは、ハイブリダイゼーションプロセスのストリンジェンシーを判定する上で特に重要であり、よりストリンジェントな条件は非特異的結合(すなわち完全に整合されていない核酸ストランド対間の結合)を可能にすることが少ない。核酸配列のアニーリングのための許容条件は、当業者が日常的に判定でき、複数のハイブリダイゼーション実験間で一貫性のあるものであり得るが、一方、洗浄条件は、所望のストリンジェンシーひいてはハイブリダイゼーション特異性を達成するべく複数の実験間で変動し得る。許容アニーリング条件は、例えば、約6×SSC、約1%(w/v)のSDS及び約100mu・g/mlのせん断された変性サケ精子DNAの存在下で68℃で発生する。一般に、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーは、一部には洗浄ステップが実施される温度を基準にして表現され、かかる洗浄温度は、標準的に規定のイオン強度及びpHにおける特定の配列についての熱融点(Tm)によりも約5℃〜20℃低くなるように選択される。Tmは、標的配列の50%が完全に整合されたプローブにハイブリダイズする(規定のイオン強度及びpH下の)温度である。Tm及び核酸ハイブリダイゼーションのための条件は周知であり、サンブルック(Sambrook)J.ら、(1989年)、「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」、2.sup.nd ed.、第1−3巻、Cold Spring Harbor Press、Plainview N.Y.の中に見い出すことができる。詳細には第2巻、第9章を参照のこと。
【0057】
本明細書で使用される通り、「ベクター」という用語は、広く、外因性核酸をコードするあらゆるプラスミド又はウイルスを意味する。該用語は、同様に、例えばポリリジン化合物などの、核酸のビリオン又は細胞内への移送を容易にする非プラスミド、非ファージミド及び非ウイルス化合物を内含するものとみなされる。ベクターは、1つの細胞に対する核酸又はその突然変異体の送達のための送達用ビヒクルとして適切であるウイルスベクターであり得、そうでなければベクターは、同じ目的に適した非ウイルスベクターであり得る。細胞及び組織へのDNAの送達用のウイルス及び非ウイルスベクターの例は当該技術分野において周知であり、例えばマー(Ma)ら、(1997年、Proc.Natl.Acad.Sci.、U.S.A.第94巻、12744−12746頁)の中で記述されている。ウイルスベクターの例としては、組換え型ワクチンウイルス、組換え型アデノウイルス、組換え型レトロウイルス、組換え型アデノ関連ウイルス、組換え型鶏痘ウイルスなどが含まれるがこれらに制限されるわけではない(クラナージュ(Cranage)ら、1986年、EMBO J.第5巻、3057−3063頁;1994年8月18日付けの国際公開第94/17810号パンフレット;1994年10月27日付けの国際公開第94/23744号パンフレット)。非ウイルスベクターの例としてはリポゾーム、DNAのポリアミン誘導体などが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0058】
6.2. 一般的説明
本発明は、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する治療上又は予防上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNA又はリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを含む医薬組成物を包含する。特定の実施態様においてはアンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。もう1つの特定の実施態様においてはsiRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。もう1つの特定の実施態様においてはリボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。
【0059】
もう1つの実施態様においては、本発明は、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドsiRNA又はリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを含む医薬組成物を包含する。特定の実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。もう1つの特定の実施態様においてはsiRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。もう1つの特定の実施態様においてはリボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。
【0060】
もう1つの実施態様においては、該医薬組成物は、局所、静脈内、経口又は鼻腔内投与に適している。もう1つの実施態様においては、該医薬組成物は、皮膚の角質層を通してのアンチセンスオリゴヌクレオチドの浸透を増強させる送達用製剤をさらに含む。特定の実施態様においては、送達用製剤は、エチルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセルロース、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコールエステル、EDTA、パンテチン及び二価カチオンを含む。より特定の実施態様においては、送達用製剤は約15〜約40%のエチルアルコール;約0.5〜約5.0%のプロピレングリコール;約0.5〜約5.0%のグリセリン;約0.1〜約2.0%のジメチルイソソルビド;約0.1〜約2.0%のポリエチレングリコールエステル;約0.01〜約0.5%のEDTA二ナトリウム;約0.01〜約0.2%のパンテチン及び約0.001〜約2%の二価カチオンを含む。もう1つの実施態様においては、該医薬組成物は、少なくとも4週間の局所投与向けに処方されている。もう1つの実施態様においては、該医薬組成物は、およそ1日1回、約1日2回又は最高1日約4回の投与向けに処方されている。もう1つの実施態様においては、送達用製剤は同様に、例えばポリ(オルトエステル)ミクロスフェアを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)重合体ミクロスフェアの形で本発明のプラスミドのオリゴヌクレオチドと共に包埋された重合体の形を取り得る。
【0061】
もう1つの実施態様においては、該医薬組成物は、皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する上で有用である。
【0062】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNA、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする。
【0063】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする。
【0064】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする。
【0065】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする。
【0066】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分に相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分に相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分に相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする。
【0067】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする。
【0068】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする。
【0069】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする。
【0070】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、siRNAは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする。もう1つの実施態様においては、リボザイムは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする。
【0071】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド1〜75の相補体、配列番号1のヌクレオチド620〜682の相補体及び配列番号1のヌクレオチド1175〜1250の相補体からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。
【0072】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号28のヌクレオチド1〜42の相補体、配列番号28のヌクレオチド10〜30の相補体及び配列番号28のヌクレオチド21〜230の相補体からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。
【0073】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。
【0074】
もう1つの実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45及び46からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。
【0075】
もう1つの実施態様においては、該医薬組成物は、第2の活性作用物質をさらに含み、該第2の活性作用物質は抗真菌剤、H1受容体拮抗薬、レチノイド、抗肥満薬、ホルモン、ホスホジエステラーゼ−5阻害物質、抗生物質、抗癌剤、局所ステロイド又は収斂薬である。
【0076】
もう1つの実施態様においては、本発明は、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害することによって治療又は予防できる障害を治療又は予防する方法において、それを必要とする患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法を包含する。
【0077】
もう1つの実施態様においては、本発明は、必要とする患者において皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する方法であって、前記患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法を包含する。
【0078】
もう1つの実施態様においては、本発明は、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換を阻害することによって治療又は予防できる障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法を包含する。
【0079】
もう1つの実施態様においては、本発明は、必要とする患者において皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する方法であって、前記患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法を包含する。
【0080】
もう1つの実施態様においては、本発明は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型又は2型の発現を実質的に阻害する少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムを含み、さらに角質層を通してのアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムの浸透を増強するための作用物質を含む、皮膚の障害を治療又は予防するための皮膚科用組成物を包含する。特定の実施態様においては、浸透を増強する作用物質は、エチルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコールエステル、EDTA、パンテチン及び二価カチオンを含む。特定の実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号1のヌクレオチド1〜75の相補体、配列番号1のヌクレオチド620〜682の相補体及び配列番号1のヌクレオチド1175〜1250の相補体からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。特定の実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。もう1つの特定の実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号28のヌクレオチド10〜30の相補体、配列番号28のヌクレオチド620〜682の相補体及び配列番号28のヌクレオチド1175〜1250の相補体からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。特定の実施態様においては、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45及び46からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む。
【0081】
もう1つの実施態様においては、皮膚科用組成物は、脂肪質物質による皮膚の毛穴の閉塞を阻害する第2の作用物質をさらに含む。特定の実施態様においては、第2の分子はレチノイン酸、トレチノイン、又はレチン−Aである。
【0082】
6.3 アンチセンスオリゴヌクレオチド
1つの実施態様においては、本発明のオリゴヌクレオチドはアンチセンスオリゴヌクレオチドである。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは当該技術分野において既知の標準的な合成方法を用いて調製され、Applied Biosystems、Inc.、Beckman、Millipore、BioServe Biotechnologies Ltd.、Biosset、Genemachinesなどから入手可能なものといったDNA合成装置で合成され得る。本発明のオリゴヌクレオチドは以下で論述するように化学的に修飾可能でもある。本発明のオリゴヌクレオチドは、当該技術分野において既知の方法により構築され精製され得る。特定のオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型又はヒトステロイド5α−レダクターゼ2型をコードする遺伝子の一部分を含むヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有するように構築される。本発明のオリゴヌクレオチドは標準的には長さ21塩基であるが約3塩基という少ないもの及び約100塩基という多いものを含むこともできる。ターゲティングされた配列は、それがステロイド5α−レダクターゼ1型転写物又はステロイド5α−レダクターゼ2型転写物のいずれかの翻訳にとって不可欠であることから選択されてきた。
【0083】
例示的実施態様においては、本発明のオリゴヌクレオチドは、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型転写物又はヒトステロイド5α−レダクターゼ2型転写物内でユニーク配列を規定するのに充分である約8塩基から約100塩基までのサイズ範囲のDNAの予め定められた配列を含む。8個未満の塩基を使用することもできるが、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型又はヒトステロイド5α−レダクターゼ2型をコードするmRNA転写物に対する配列特異性度はオリゴヌクレオチドの長さが短縮するにつれて低下し得る。反対に、約100塩基超のオリゴヌクレオチド配列は、細胞による摂取の低下の対象となり得る。一つの実施態様においては、オリゴヌクレオチドは約8〜約50の塩基を含む。もう1つの実施態様においては、オリゴヌクレオチドは約12〜約20の塩基を含む。さらにもう1つの実施態様においては、オリゴヌクレオチドは約15〜25塩基を含む。
【0084】
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドは、医薬組成物の中で使用することを意図されており、治療的利益を提供するような形で標的mRNA又はタンパク質の発現を低下させるのに必要な充分な濃度を達成する。本発明で考慮されているオリゴヌクレオチドは、さまざまな分解性酵素(例えばヌクレアーゼ)に対する耐性を増強することによりその安定性を増大させるように構築されるか又はその他の形で修飾されている。かかる修飾は、オリゴヌクレオチド療法薬の濃度を、治療上有効な利益を実現するのに充分ではあるもののその標的配列に対するオリゴヌクレオチドの特異性を実質的に改変し得ないようなレベルで維持できるように機能する。オリゴヌクレオチドの安定性又は有効性を改善する修飾としては、リン酸塩主鎖、末端、糖部分及び個々の核酸塩基に対する修飾が含まれるがこれらに制限されるわけではない。ペプチド、タンパク質、炭水化物、脂質、ビタミンに対する抱合又は治療上の効能又は有効性を増大させるその他の抱合も同様に使用可能である。同じく、オリゴヌクレオチド及び標的配列の環化を含む安定した二次構造を結果としてもたらすあらゆる修飾及びmRNAに対する共有結合又はハイブリダイゼーション及び3本鎖結合を通した5’末端に対する3’末端のストランド内接合も行なうこともできる。親和性及び基質を特異的に維持し未修飾のオリゴヌクレオチドが示す溶解度を実質的に維持しながらヌクレアーゼの感応性を削減するあらゆる修飾も、本発明の範囲内に入る。本発明のオリゴヌクレオチドに対するその他の修飾には、DNAインターカレーター、光化学活性化された架橋又は分割剤、アルキル化剤及び酸化還元活性核酸分割基が含まれるがこれらに制限されるわけではない。細胞に対しベクターを導入し転写時点で長いRNA分子を産生することができる。本発明で使用するためのこのような発現単位は一般に、5’→3’の配向で操作可能な形で連結された、転写プロモータ、分泌シグナル配列、アンチセンスオリゴヌクレオチドをコードするDNA配列といった要素を含む。本発明のベクターにおいては、アンチセンスオリゴヌクレオチドのあらゆる配置を使用することができる。適切なプロモータ、シグナル配列及びターミネータの選択は、選択された宿主細胞によって決定され、当業者には明白であろう。
【0085】
ヌクレアーゼ活性に対する耐性を実質的に遮断又は改善する複数の化学的に修飾されたオリゴヌクレオチドが開発されてきた。これらのオリゴヌクレオチド修飾には、リン酸塩の1つが硫黄によって置換される、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドが含まれる。もう1つのタイプのオリゴヌクレオチド修飾は、電荷リン酸酸素をメチル基又はその他のアルキル基で置換することによって達成される。これらの非イオンDNA類似体には例えばリン酸メチル、アルキルホスホロチオアート及びO−アルキルホスホトリエステルが含まれる。本発明の1つの例示的O−アルキルホスホトリエステルがO−メチルホスホトリエステルである。リン酸塩基におけるその他のDNA主鎖修飾には例えば、ホスホロジチオアート及びホスホトリエステルオリゴヌクレオチド又はタンパク質−核酸構造又はモルフォリノ様構造に基づくオリゴヌクレオチドが含まれる。
【0086】
3’−又は5’−末端及び個々の核酸塩基のいずれか又は両方に対するさまざまな化学的修飾が、ヌクレアーゼに対するオリゴヌクレオチドの安定性を改善し、その特異的標的分子とのオリゴヌクレオチドの相互作用を安定化するか又は細胞によるオリゴヌクレオチドの摂取を増強するものとして知られている。その上、3’−又は5’−末端に対する化学的修飾又はオリゴヌクレオチド内部の修飾も同様に例えばオリゴヌクレオチドのトラッキングを可能にするためのレポータ分子として、又は細胞の摂取を増強するための脂肪親和性部分として導入することができる。かかる分子は、未修飾及び主鎖修飾済みの合成オリゴヌクレオチドの両方に対して導入可能である。これらの部分は例えば、末端ヒドロキシル又はリン酸塩基又は特異的塩基に対するチオ又はアミノ連結を通して導入可能である。
【0087】
本発明において考慮されているオリゴヌクレオチドに対するその他の修飾には例えばDNAインターカレーター、光化学活性化された架橋又は分割剤、アルキル化剤及び酸化還元核酸分割基が含まれる。
【0088】
利用された修飾の如何に関わらず、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はステロイド5α−レダクターゼ1型又はステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を阻害し、非力学ベースの毒性の潜在的可能性を低減させるのに充分な特異性でハイブリダイズするように設計されている。その他のアンチセンスオリゴヌクレオチドの毒性の調査から、細胞に対する多大な損傷又は致死性は明らかにならなかった。これまでのところ、アンチセンスオリゴヌクレオチドの毒性を調査するインビトロ研究は、ヌクレオシドの間のホスホジエステル連結かホスホロチオアート又はメチルホスホナートのいずれかと置換されている修飾済みオリゴマに主として制限されてきた。テストされた条件の下で、ホスホロチオアートオリゴマに対するさまざまな細胞系の曝露は、結果としていかなる有意な毒性ももたらさなかった(ガオ(Gao)ら、1990年;リード(Reed)ら、1990年)。
【0089】
6.4.リボザイム
酵素的RNA分子であるリボザイムも同様に、特異的RNA分割を触媒するのに使用可能である。本発明のリボザイムの作用メカニズムには、相補的標的RNAに対するリボザイム分子の配列特異的ハイブリダイゼーションとそれに続くエンドヌクレアーゼ的分割が関与する。一例示的実施態様においては、本発明の工学処理されたハンマーヘッド型モチーフのリボザイムは、5α−レダクターゼ1型又は5α−レダクターゼ2型をコードする配列のエンドヌクレアーゼ的分割を特異的かつ効率的に触媒することができる。
【0090】
あらゆる潜在的RNA標的内の特異的リボザイム分割部位は、当初、GUA、GUU及びGUCという配列を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)リボザイム分割部位について標的分子を走査することにより同定される。ひとたび同定されたならば、例えば分割部位を含有する標的遺伝子の領域に対応する約15〜約20個のリボヌクレオチドの短かいRNA配列を、オリゴヌクレオチドを操作不能にし得る二次的な構造的特長について評価することができる。候補標的の適切さをリボヌクレアーゼ保護検定を用いて相補的オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションに対するアクセス可能性をテストすることによって評価することが可能である。
【0091】
本発明のリボザイムは、核酸分子の合成のため、当該技術分野において既知のあらゆる方法によって調製可能である。これらには、固相ホスホラミダイト化学合成などのオリゴヌクレオチドを化学的に合成するための技術が含まれるが、これらに制限されるわけではない。代替的には、5α−レダクターゼ1型又は5α−レダクターゼ2型をコードするDNA配列のインビトロ及びインビボ転写により、RNA分子を生成することができる。かかるDNA配列は、T7又はSP6などの適切なRNAポリメラーゼプロモータと共に広範なベクター内に取込むことが可能である。代替的には、構成的又は誘発的に相補的RNAを合成するこれらのcDNA構成体を、細胞系、細胞又は組織内に導入することができる。
【0092】
ヒト5a−レダクターゼI型及びII型の両方のための例示的ハンマーヘッドリボザイム設計が表1に例示されている。リボザイムは、3’→5’の要領で読むよう線形的に列挙されている(すなわち、5aRmRNA配列に対する逆相補体)。
【0093】
【表1】

【0094】
全ての配列内でリボザイム配列CAAAGCAGGAGUGCCUGAGUAGUC(nts4〜26)が保存されている。最初の3つの塩基及び最後の6つは、そのそれぞれのmRNAにおいて各々のターゲティングされた配列について特異的である(すなわち逆相補体)。分割部位は、リボザイムの4/5位にあるCAのすぐ後の標的mRNAストランド内に位置づけされている。
【0095】
6.5 低分子干渉RNA
本発明は同様に、遺伝子サイレンシング用の低分子干渉RNA(「siRNA」)を含む組成物及び方法をも包含する。本発明のsiRNAは、化学的合成、インビトロ転写、siRNA発現ベクター及びPCR発現カセットを含む複数の方法により調製可能であるが、これらに制限されるわけではない。
【0096】
本発明のsiRNAは約10〜約50、好ましくは約12〜約40、より好ましくは約15〜約30そして最も好ましくは約19〜約22個のヌクレオチド(「nt」)2本鎖RNAである。
【0097】
理論によって制限されることなく、本発明のsiRNAはその同起源RNAを分割し破壊することによって働くと考えられている。siRNAはまず第1にRNA誘発されたサイレンシング複合体の形に集合し、次にそのRNAストランドをほどくことにより複合体を活性化させる。ほどかれたRNAストランドは次に複合体を相補的RNA分子まで導き、そこで複合体は同起源RNAを分割し破壊し、その結果RNA干渉がもたらされる。「RNA干渉」(RNAi)というのは、siRNAにより開始される配列特異的な翻訳後遺伝子サイレンシングのプロセスである。RNAiは、ショウジョウバエ、線虫、真菌、植物、及びヒトを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)数多くの生体内で見られ、遺伝子発現の抗ウイルス防御、トランスポゾン活性の調節及び遺伝子発現の調節に関与すると考えられている。RNAiの間、siRNAは、標的mRNAの分解を誘発し、その結果遺伝子発現が配列特異的に阻害される。
【0098】
本明細書で使用される通り、「低分子干渉RNA」、「短かい干渉RNA」又は「siRNA」という用語は、遺伝子の利益にターゲティングされているヌクレオチドのRNA2重鎖である。「RNA2重鎖」というのは、RNA分子の2つの領域の間の相補性対合によって形成される構造を意味する。siRNAは、その2重鎖部分のヌクレオチド配列がターゲティングされた遺伝子又はmRNAのヌクレオチド配列に相補的であるという点で遺伝子(例えば5α−レダクターゼ(redcutase)についてコードする遺伝子)に「ターゲティング」されている。
【0099】
本発明の1実施態様においては、siRNAの2重鎖の長さは約30ヌクレオチドである。もう1つの実施態様においては、2重鎖は長さが約29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11又は10ヌクレオチドであり得る。もう1つの実施態様においては、2重鎖の長さは約19〜25ヌクレオチドである。siRNAのRNA2重鎖部分は、ヘヤピン構造の一部であり得る。2重鎖部分に加えて、ヘヤピン構造は、2重鎖を形成する2つの配列の間に位置づけされたループ部分を含有し得る。ループの長さは変動し得る。一部の実施態様においては、ループの長さは約5、6、7、8、9、10、11、12又は13ヌクレオチドである。ヘヤピン構造は同様に3’又は5’のオーバーハング部分を含むこともできる。一部の実施態様では、オーバーハングは、長さが0、1、2、3、4又は5ヌクレオチドの3’又は5’オーバーハングである。
【0100】
もう1つの実施態様においては、siRNAは核酸配列によってコードされ、核酸配列は同様にプロモータをも内含し得る。核酸配列は同様にポリアデニル化シグナルも内含し得る。一部の実施態様では、ポリアデニル化シグナルは合成最小ポリアデニル化シグナルである。
【0101】
もう1つの実施態様においては、本発明のsiRNAは過渡的トランスフェクションによって導入され、配列特異的な要領で哺乳動物の培養細胞内でRNA干渉を有効に誘発する。特定の実施態様においては、siRNAは、標的RNA及びタンパク質レベルの80%超、好ましくは90%超、より好ましくは95%超、そして最も好ましくは99%超の減少を結果としてもたらす。もう1つの特定の実施態様においては、本発明のsiRNAは、2ntの3’オーバーハングを伴う21ntのdsRNAである。特定の実施態様においては、siRNAの配列特異性は、siRNAとその標的mRNAとの間の単一の塩基対不整合がサイレンシングを劇的に削減することから、ストリンジェンドである。もう1つの特定の実施態様では、siRNA配列特異性は非ストリンジェントである。
【0102】
siRNAは小さい2重鎖RNA分子として使用され得、そうでなければ、インビトロ又はインビボで2本鎖RNA分子を産生するべく発現ベクター内で使用可能である。siRNA分子は、天然に発生するRNA分子で構成され得、そうでなければ、複素環、糖、リン酸塩主鎖、或る種の化学的に付着されたペンダント基に対する修飾で構成され得又、インビトロ及びインビボで遺伝子サイレンサとしてのその機能をsiRNAが維持することになるようなその他の要領で改変可能である。
【0103】
ヒトステロイド5α−レダクターゼイソ型I型及びII型をターゲティングするsiRNA阻害物質の例が表2に列挙されている。例示的siRNAはステロイド5α−レダクターゼI型及びII型タンパク質の発現をサイレンシングし、従って、ヒトにおいて該タンパク質の存在を削減するためにインビボで用いることができる。
【0104】
【表2】


【0105】
6.6 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムによるヒトステロイド5α−レダクターゼ1型及び2型の阻害
本発明は、5α−レダクターゼ1型及び5α−レダクターゼ2型をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的でありかつ、それとハイブリダイズする能力を有し、かつmRNA転写物の翻訳又は遺伝子の転写を阻害し、かくして5α−レダクターゼ1型又は5α−レダクターゼ2型の濃度を減少させる能力をもつヌクレオチド配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムを包含する。干渉を受けるべきRNAの機能としては、タンパク質翻訳部位へのRNAの転座、RNAからのタンパク質の翻訳、1つ以上のmRNA種を生成するためのRNAのスプライシング及びRNA内に携わる又はRNAにより容易になる可能性のある触媒活性が含まれるが、これらに制限されるわけではない。標的核酸機能とのこのような干渉の全体的効果は、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1又はヒトステロイド5α−レダクターゼ2の発現の調節である。特に、単独で又は、ステロイド5α−レダクターゼ活性を減少させるか又はその他のステロイド5α−レダクターゼ遺伝子の発現を実質的に阻害するその他の作用物質(例えばフィナステリド)との組合せの形で投与された場合にヒトステロイド5α−レダクターゼ1型及びヒトステロイド5α−レダクターゼ2型のmRNA転写物にハイブリダイズする能力をもつ塩基配列を有するオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムが提供されている。ステロイド5α−レダクターゼ1型mRNA又は5α−レダクターゼ2型mRNAに対するオリゴヌクレオチドのハイブリダイゼーションは、実質的にmRNA転写物の翻訳を遮断する。理論によって制限されることなく、酵素ステロイド5α−レダクターゼがテストステロン(T)からジヒドロテストステロン(DHT)への変換にとって不可欠であることから、DHTのレベルはアンドロゲン応答性の組織内で減少し、DHTの過剰産生を特徴とする症状を示す患者にとって治療上の利益を結果としてもたらす、と考えられている。
【0106】
本発明のオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムは、それらが、翻訳開始部位に対する配列5’又は3’と共に、翻訳開始部位を含む転写物の領域に対して高い特異性でハイブリダイズする能力を有するという理由で、選択されてきた。mRNAの5’cap領域又はcap部位に対する配列3’又は5’にハイブリダイズするその他のオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムが選択されてきている。本発明の付加的なオリゴヌクレオチド配列は、ステロイド5α−レダクターゼ1型遺伝子の3’非翻訳領域内に見い出される配列に対し相補的であり、ステロイド5α−レダクターゼ1型遺伝子に対してユニークである。このような配列は、ステロイド5α−レダクターゼ1型mRNA転写物の3’−非翻訳領域内に見られる配列に対し特異的にハイブリダイズする能力をもつ。上述の配列に加えて、5α−レダクターゼ1型転写物の中に含まれるその他の配列がターゲティングされる。その上、本発明は、ステロイド5α−レダクターゼ1型遺伝子のいずれかの部分に相補的でかつDNAを架橋するか、DNAをインターカレートするか又は例えば3重ストランド形成などの機序により、より密に結合する能力をもつアンチセンスオリゴヌクレオチドを考慮している。
【0107】
さらに、本発明の付加的なオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイム配列は、ステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子の3’非翻訳領域内に見られる配列と相補的であり、ステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子にユニークである。ステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子の3’非翻訳領域内に見い出され、ステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子にユニークである本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムも同様に開発された。かかる配列は、ステロイド5α−レダクターゼ2型mRNA転写物の3’非翻訳領域内に見い出される配列に特異的にハイブリダイズする能力をもつ。上述の配列に加えて、5α−レダクターゼ2型転写物内に含まれるその他の配列がターゲティングされる。その上、本発明はさらに、ステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子のいずれかの部分に相補的でかつDNAを架橋するか、DNAをインターカレートするか例えば3重ストランド形成などの機序によりさらに密に結合する能力をもつアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムを考慮している。
【0108】
かくして、本発明は、ステロイド5α−レダクターゼ1型及び5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する能力をもつアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムを考慮する。
【0109】
アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムが有効な療法となるためには、オリゴヌクレオチド又は修飾済みオリゴヌクレオチドは、標的遺伝子、pre−mRNA又はmRNAを発現する細胞によって摂取されるか又は細胞内で発現されなくてはならない。本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムは、オリゴヌクレオチドが血漿膜を通過し、ステロイド5α−レダクターゼ1型又はステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に減少させるのに充分である細胞内濃度を達成することを保証するように構築される。ステロイド5α−レダクターゼ1型又はステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子又はmRNAに結合するように構築された本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムは、必要とあらば、転写を低減させるのに充分なレベルにある核膜をそれらが通過できるようにさらに修飾され得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドの細胞摂取を増強させようとする最近の試みでは、リポタンパク(ド・シュミット(de Schmidt)ら、1991年)及びポリ−L−リジン及びコレステロールなどのさまざまな抱合(グッドチャイルド(Goodchild)、1990年)の使用を含めたさまざまな技術が利用されてきた。オリゴヌクレオチドの5’末端に対するコレステロールの抱合は、対照のオリゴ−デオキシヌクレオチド(ODN)で見られるものに比べ腎臓排泄物の減少に起因する血清クリアランスの減少を示す分子を結果としてもたらすことが報告されてきた(ド・シュミットら、1991年)。その結果、ODNに対するコレステロールの抱合は、LDL輸送機序を介した肝細胞への薬物の送達の増加を可能にし得る。細胞特異的抗体の添加により、アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有するリポゾームを特定の細胞型にターゲティングすることも可能である(レオネッティ(Leonetti)ら、1990年;ミズノ(Mizuno)ら、1990年)。本明細書に規定されている通りのプロドラッグの製造を含めた、オリゴヌクレオチドの適切な細胞内濃度を達成し維持するこれらの及びその他の方法が本発明によって考慮されており、これには、内在化されたオリゴヌクレオチドの流出を減少させるか又は細胞摂取を増強させる能力をもつその他の方法及び組成物が含まれる。かかる修飾が、その標的配列に対するオリゴヌクレオチドの特異性を改変することはない。
【0110】
6.7 本発明の組成物の治療的使用
本発明に従うと、該オリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム、その薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグは、皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を患う又はそのリスクの高い患者好ましくはヒトに対する投与のために有用である。一実施態様において、「治療」又は「治療用」という用語は、疾病又は障害、又は少なくとも1つのその認識可能な症状の改善を意味する。もう1つの実施態様において、「治療」又は「治療用」という用語は、物理的(例えば識別可能な症候の安定化)、又は生理学的(例えば物理的パラメータの安定化)又はその両方の形で1つの疾病又は障害の発症を遅らせる又はその進行を阻害することを意味する。
【0111】
いくつかの実施態様においては、本発明の化合物又は本発明の組成物は、かかる障害又は疾病に対する予防的措置として患者好ましくはヒトに対し投与される。本明細書で使用される、「予防」又は「予防用」という用語は、一定の与えられた疾病又は障害を獲得するリスクの低減を意味する。1つの実施態様においては、本発明の組成物は、皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症に対する遺伝的素因を有する患者、好ましくはヒトに対して予防的措置として投与される。
【0112】
もう1つの実施態様においては、本発明の組成物は、皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症に対する非遺伝的素因を有する患者に対し予防的措置として投与される。
【0113】
6.7.1 皮膚の炎症の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む皮膚の炎症の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「皮膚の炎症」という用語には、臨床的に小嚢を特徴とする表皮浮腫辺縁が不完全な赤み、浮腫、滲出、痂皮、落屑、通常は引掻き又は擦過によりひき起こされるかゆみ及び苔癬化が含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0114】
6.7.2 ステアトーマの治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含むステアトーマの治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「ステアトーマ」という用語には、脂などの物質を含む嚢胞又は、頭皮、耳、顔面、背中又は陰嚢上に頻繁に見られる濾胞性及び角質性物質を含む成長の遅い良性嚢胞が含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0115】
6.7.3 嚢腫性座瘡の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む嚢腫性座瘡の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「嚢腫性座瘡」という用語は、皮膚の内部の奥深くにある嚢腫の細菌感染の結果としてもたらされる座瘡の一形態を意味する。治療しないでおくと、嚢腫性座瘡は瘢痕化をもたらす。
【0116】
6.7.4 面皰の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む面皰の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「面皰」という用語は、開放、非炎症性面皰(例えば黒面皰)又は閉鎖面皰(例えば白面皰)を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)座瘡病変を意味する。
【0117】
6.7.5 丘疹の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む丘疹の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「丘疹」という用語は、非化膿性である皮膚の小さい炎症を起こした持ち上りを意味する。
【0118】
6.7.6 稗粒腫の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む稗粒腫の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「稗粒腫」という用語は、顔面の皮膚の腺内のわずかなケラチン栓を意味する。結果としての隆起は、新生児の顔面の一般的の特長である。稗粒腫の小さな隆起は1ミリ又は2ミリメートル以下である。これらは大方の場合鼻又はあごの先端にあるのが一般的であり、頬及び額にも頻繁に見られる。さらに稀には、体幹上半部又は手足さらには陰茎にさえ見受けられる。
【0119】
6.7 脂漏性皮膚炎の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む脂漏性皮膚炎の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「脂漏性皮膚炎」という用語は、頭皮、鼻の側面、まゆ毛、まぶた、耳の後ろの皮膚及び胸の中央によく見られる赤く、うろこ状のかゆみを伴う発疹を意味する。へそ、臀部、腕の下の皮膚のひだ、腋窩部、胸部及びそけい部といったその他の部域も同様に関与し得る。この症状は、幼年期(このときそれは、「新生児頭部皮膚炎」と呼ばれる)、壮年期及び初老という3つの年令群において最も一般的である。新生児頭部皮膚炎は通常生後8〜12ヵ月までに治療しないでも治る。一部の幼児では、脂漏性皮膚炎は、おむつの部域内のみに発生する可能性があり、ここではそれはおむつかぶれの他の形態と混同され得る。脂漏性皮膚炎がその他の年令で発生する場合、それは現われてはすぐに消える可能性がある。脂漏性皮膚炎は、北方気候において特に季節的に悪化し得る。これは油性の肌又は毛髪をもつ人において一般的であるが、座瘡又は乾癬と合わせて見うけられる。酵母様の生体が脂漏性皮膚炎の原因として関与している可能性がある。
【0120】
脂漏性皮膚炎は、パーキンソン病といった神経系の疾病をもつ患者において発生し得る。心臓発作などのストレスの大きい病状から回復中の患者もこの問題を発生させる可能性がある。病院又は高齢者福祉施設にいる人々及び免疫系障害をもつ人々もこの障害により陥りやすいと思われる。かくしてこれらの障害を治療する上で有用な薬物を本発明の組成物と組合せることが可能である。
【0121】
6.7.8 脂漏性湿疹の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む脂漏性湿疹の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「脂漏性湿疹」という用語は、成人と同様幼児も罹患する頭皮の湿疹を意味する。両方の症状共、一般に頭皮から始まるが、体のその他の場所に広がる能力がある。1才未満の幼児における脂漏性湿疹は、新生児頭部皮膚炎として知られる。それは頭皮上に皮殻質の黄味がかった又は赤味がかった皮膚として現われる。それはまさに、このようなかわいい子供の肌には魅力なく見えるが、幼児にとって痛みやかゆみをひき起こすものではないと思われる。この症状は、罹患した幼児におけるビオチン欠乏に結びつけられるものと考えられている。それは数ヵ月で消えるが、バスオイル及び保湿クリームを用いることが一助となり得る。20才から40才までの成人がこのタイプの湿疹を患う可能性がある。脂漏性湿疹は、ふけという穏やかな症例として頭皮に発生する。この症状は、赤く炎症したパサパサした状態になり、急速に顔面、耳、首及び胸までひろがる可能性がある。この症状はストレスにより強まることがわかっており、かつ脂腺の閉塞に関係すると思われている。
【0122】
6.7.9 脂漏性角化症の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む脂漏性角化症の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「脂漏性角化症」という用語は、皮膚の外部層の非癌性腫瘍を意味する。1つの腫瘍しか無い場合もあれば、クラスタ状に数多く発生する場合もある。これらは通常褐色であるが、明るい黄褐色から黒色まで色が変化し得る。そのサイズは、直径数分の1インチから1/2ドル以上まで変動する。脂漏性角化症の主要な特長は、そのろう質で「貼り付いた」又は「粘着した」ような外観にある。それらは時として皮膚上に落下した温かい褐色のろうそくのろうの一塗りのように見える。脂漏性角化症は胸や背中に見られることが最も多いが、頭皮、顔面、首又は体のほぼ至るところに見受けられる。ウエストより下に見られることは稀である。これは日光によってひき起こされるわけではないことから、日光に露出された部域又は被覆された部域にも見られる。最初に現われた時、該腫瘍は通常小さい、粗いかゆみのある隆起として一度に1つずつ開始する。最終的に、これらは肥厚して、粗いいぼ状表面を発生させる。
【0123】
6.7.10 酒さの治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む酒さの治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「酒さ」という用語は、顔面上の赤み及び膨れをひき起こす皮膚疾患を意味する。往々にして「成人座瘡」と呼ばれる酒さは、紅潮する傾向又は容易に赤面する傾向として始まり、徐々にほお、額、あご及び鼻が関与しうる顔面中心の持続する赤味へと進行し得る。同様にこれには耳、胸及び背中も関与し得る。疾病が進行するにつれて、小さい血管及び小さな吹き出物が赤くなった部域の上及び周囲に現われ始める。しかし、座瘡とは異なり、黒面皰は無い。酒さの吹き出物は、小さい赤色の隆起として顔面に現われ、その一部は膿汁を含み得る。これらには、皮膚の表面上の数多くの小さな血管の発達及び顔面の持続的赤みが随伴しうる。酒さのより進行した症例では、鼻瘤(ryno−fi−ma)と呼ばれる症状が発生し得る。脂肪分泌腺は拡大し、球根状の拡大した赤鼻及び膨れぼったい頬をひき起こす。ぶ厚い隆起が鼻の下半分及び近くのほおに発生し得る。鼻瘤の発生は女性では比較的少ない。
【0124】
6.7.11 口囲皮膚炎の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む口囲皮膚炎の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「口囲皮膚炎」という用語は、口のまわりの部域における小さな赤色隆起さらには膿隆起及び穏やかな剥離を意味する。時として、隆起は最も明白な特長であり、該疾患は座瘡にきわめて似ている可能性がある。最も罹患しやすい部域は鼻から唇の側面にかけてのラインの辺縁内部及びあごである。唇を縁取る皮膚の小帯域の割愛が頻繁にみられる。時に、鼻、眼及びほおのまわりの部域も罹患し得る。穏やかな痒み及び/又は灼熱感を感じる場合がある。
【0125】
6.7.12 尋常性座瘡の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む尋常性座瘡の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「尋常性座瘡」という用語は、皮膚の脂腺の炎症性症状を意味する。それは、小膿疱、そしてさらには瘢痕化をひき起こしうる嚢腫へと発達しうる皮膚上の赤く持上った部域からなる。尋常性座瘡は大部分の場合、最も一般的には10代の若者そしてそれよりは少ないが若手成人の顔面、首及び背中に発生する。該症状は、一部には、アンドロゲン(男性ホルモン)による皮膚の過度の刺激の結果である。皮膚の細菌感染も1つの役割を果たすと思われる。
【0126】
6.7.13 皮脂嚢胞の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む皮脂嚢胞の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「皮脂嚢胞」という用語は、「ペースト状」又は「チーズ状」に見える物質を含有する皮膚のすぐ下に発生する閉鎖嚢を意味する。皮脂嚢胞を満たす該物質中には往々にして腐敗臭も存在する。ケラチンは、皮脂嚢胞と呼ばれる細胞の嚢を作り出すタンパク質である。これらの小さな塊又は隆起は、膣、生殖器、胸部、腹部、顔面、首又は体のその他の場所の皮膚のすぐ下に発生し得る。
【0127】
6.7.14 基底細胞乳頭腫の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む基底細胞乳頭腫の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「基底細胞乳頭腫」という用語は、まぶたのへり又はまぶたの皮膚上に小さな塊として一般に見られるいぼ様の腫瘍を意味する。
【0128】
6.7.15 マイボーム嚢胞の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含むマイボーム嚢胞の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「マイボーム嚢胞」という用語は、まぶたの表面上に目に見える塊を結果としてもたらすまぶたの脂肪分泌腺内の塊を意味する。これらは、感染してまぶた内の痛み及び膨れを結果としてもたらす可能性がある。
【0129】
6.7.16 多毛症の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む多毛症の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「多毛症」という用語は、女性における発毛増加を意味する。これは、男性型の毛(すなわち口ひげ及びあごひげ部域)又は手足上に通常以上に濃く発生する毛を意味する。胸毛又は腹部及び大腿部までの恥毛の拡張が存在しうる。多毛症は元来ほとんどが遺伝的である。
【0130】
6.7.17 黒色丘疹性皮膚症の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む黒色丘疹性皮膚症の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「黒色丘疹性皮膚症」という用語は、通常顔面上の多数の小さな色素が増加した無症状の血疹を特徴とする良性皮膚状態を意味する。
【0131】
6.7.18 良性前立腺肥大の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む良性前立腺肥大の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「良性前立腺肥大」という用語は、男性における良性の新生物(前立腺の非癌性拡大)を意味し、年令と共に増大する高い有病率を示す。前立腺のその嚢内部でのサイズの増大はこの嚢を通過する尿道を圧迫し、その結果尿流を閉塞する。
【0132】
6.7.19 前立腺癌の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む前立腺癌の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「前立腺癌」という用語は、前立腺中の癌細胞の成長を意味する。正常な前立腺細胞のものと同様、それは男性ホルモン特にテストステロンにより刺激される。
【0133】
6.7.20 男性ホルモン性脱毛症の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム或いは本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む男性ホルモン性脱毛症の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「男性ホルモン性脱毛症」という用語は、男性及び女性型禿頭症を意味する。男性ホルモン性脱毛症では、長年にわたり脱毛がゆっくりと起こる。それは20才を過ぎるといつでも起こり得る。脱毛の家族歴が通常存在する。女性においては、毛髪は頭皮全体にわたり痩せ細り、通常は、禿は発生しない。男性の最初にこめかみで脱毛が発生し、その後頭の頂部に禿が拡大する。男性ホルモン性脱毛症はホルモンに対する発毛組織の感応性に起因すると思われている。男性における男性ホルモン性脱毛症は同様に、男性型禿頭症とも呼ばれる。
【0134】
6.7.21 尿失禁の治療又は予防
本発明は、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム又は本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイム及び薬学的に許容されるビヒクルを含む組成物を治療上又は予防上有効な量だけ患者に投与するステップを含む尿失禁の治療又は予防のための方法を提供する。本明細書で使用されている通り、「尿失禁」という用語は、無意識の尿もれを意味する。尿失禁の大部分のケースは、以下の6つの主たる亜型、つまり、緊張性尿失禁、過活動膀胱、混合型尿失禁、溢流性尿失禁、連続性欠如又は変形性、又は機能性尿失禁のうちの1つに入る。
【0135】
6.8.治療的/予防的投与及び組成物
本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムは、標的組織内で効果的なレベルを達成するために投与される。かくして、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムは、局所、皮膚、皮下、経皮、非経口、経口、直腸を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)任意の数の経路を通って、或いはオリゴヌクレオチド又はリボザイム含有ポンプの外科的移植又はその他の徐放性製剤を含めたその他の手段によって投与可能である。組成物は通常、適切な薬学的担体と共にヒトステロイド5α−レダクターゼ1型遺伝子又はヒトステロイド5α−レダクターゼ2型遺伝子のmRNA転写物の一部分に対し少なくとも実質的に相補的であるヌクレオチド配列を有する医薬組成物の形で利用される。
【0136】
本発明の化合物及び組成物の活性に起因して、これらは、動物及び人間の医療において有用である。上述の通り、本発明の組成物は、皮膚の炎症、皮脂分泌又は皮脂分泌過剰に関係する障害、皮脂産生又は過剰皮脂産生に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、小膿疱、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症の治療又は予防において有用である。
【0137】
本発明は、本発明のオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムを含む組成物を治療上有効な量だけ患者に対して投与することによる治療及び予防方法を提供する。患者は、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、七面鳥、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモットなどの動物を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)動物であり、より好ましくは哺乳動物、そして最も好ましくはヒトである。
【0138】
本発明の組成物は、例えば経口、局所のいずれの適切な経路でも、静脈内注射又はボーラス注入法によってでも、上皮又は粘膜皮膚裏層(例えば口腔粘膜、直腸及び腸粘膜など)を通した吸収によってでも投与可能であり、生物学的に活性なもう1つの作用物質と共に投与することができる。本発明の組成物は好ましくは局所投与される。投与は全身的であっても局所的であってもよい。例えばリポソーム、微粒子、マイクロカプセル、カプセルなどの中への封入といったさまざまな送達系が知られており、本発明の組成物を投与するために使用可能である。或る種の実施態様においては、本発明の2つ以上の組成物が一人の患者に投与される。投与方法には、皮内、筋内、腹腔内、静脈内、皮下、鼻腔内、硬膜外、経口、舌下、鼻腔内、大脳内、膣内、経皮、直腸投与、吸入又は局所特に耳、鼻、眼、頭皮又は皮膚への局所投与が含まれるが、これらに制限されるわけではない。好ましい投与様式は、医師の裁量に委ねられ、一部には病状の部位により左右される。大部分のケースで、投与は、細胞による最大の摂取のための本発明の組成物の放出を結果としてもたらすことになる。
【0139】
特定の実施態様においては、治療を必要とする部域に対し局所的に本発明の1つ以上の組成物を投与することが望ましい可能性がある。これは、例えば制限的な意味なく、局所的塗布(例えばクリームとして)によって;外科手術中の局所的輸液によって(例えば外科手術後の創傷包帯と併用して);カテーテルを用いて;座薬を用いて;又は移植片(なお該移植片は、サイアラスティック(sialastic)膜といった膜又はファイバを含む多孔質、非多孔質又はゼリー状材料のものである)を用いて達成可能である。1つの実施態様においては、投与は、動脈硬化性プラーク組織の部位(又は前部位)における直接注入によるものであり得る。
【0140】
一部の実施態様、例えば皮膚の炎症、男性ホルモン性脱毛症、尋常性座瘡の治療のための実施態様においては、局所、鞘内又は硬膜外注射を含めたあらゆる適切な経路により皮膚又は頭皮に直接本発明の1つ以上の化合物を導入することが望ましい可能性がある。本発明の組成物は、座瘡に罹患した皮膚又は油性肌に対してのみならず、座瘡、その他のしみ及び局所的炎症を導く皮脂の蓄積及び座瘡を予防するため皮膚に対し予防的に塗布することができる。本発明の組成物での治療の利益を特に受けるのは、十代の若者、若年成人そして、月経周期の或る段階にある女性であると思われる。
【0141】
もう1つの実施態様においては、組成物は、罹患した部域に対する直接的塗布のため体の表面部域に直接的に又は間接的に投与するのに適した形態で調製される。この処方には、乾燥防止剤(例えばパンテテイン)、浸透増強剤(例えばジメチルイソソルビド)、加速剤(例えばイソプロピルミリスタート)又は業界では既知であり局所施用に用いられているその他の一般的な添加剤(例えばグリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチルアルコール、リポソーム、脂質、オイル、クリーム又は皮膚軟化剤)が含まれるがこれらに制限されるわけではない。さらに、本発明の送達ビヒクルには、毛穴から皮脂栓をとり除くレチノイン酸(すなわちレチン−A)などの皮膚の毛穴に対し有利な効果を有する化合物;抗酸化剤(例えばブチル化ヒドロキシアニソール)、又はキレート防腐剤(例えばEDTA二ナトリウム)が含まれ得る。さらに、本発明の送達ビヒクルは、治療中の体の皮膚の部域及び/又は局所施用のために用いられている核酸のサイズ又は性質(すなわち1本鎖又は2本鎖)を考慮に入れるべく調整可能である。
【0142】
角質層を通して組成物を送達する局所製剤の有効性をさらに改善するため、ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドを使用することができる。ホスホロチオアート修飾済みオリゴヌクレオチドは、アンチセンス応用分野での使用にとって多大な将来性を示した。ホスホロチオアート修飾済みオリゴヌクレオチドは、これらの修飾が未修飾オリゴヌクレオチドに比べた場合にオリゴヌクレオチドの生物学的半減期の著しい改善を示すものとして知られているという理由から使用される。標準的には、ホスホロチオアート修飾済みオリゴヌクレオチドは、天然に発生するDNA分子と同じ特性を示す。同じ長さをもつ天然及びホスホロチオアートベースのDNAオリゴヌクレオチドは両方共ほぼ同じサイズであり、同じ二次的及び三次的構造を形成し、各々のヌクレオシド間連結において1つの負の電荷を伴って大きい正味負電荷を有する。しかしながら、ホスホロチオアート修飾されたオリゴヌクレオチドは、ホスホジエステルヌクレオシド間連結の非架橋酸素原子のうちの1つの置換された硫黄原子の存在のため、核酸分解性分解に対しさらに大きな耐性を有する。
【0143】
角質層を通してDNAを送達することに関する研究作業がいくつか存在していたものの、応用可能と思われる。その他のアプローチが存在する。主要な制約は、分子のサイズにあると思われる数多くの製剤が角質層を通して化合物を搬送する能力を実証してきたが、これらの化合物はDNA分子ほど大きくない。例えば、20個のヌクレオチドからなるアンチセンスオリゴマについて予想される分子量は約6200ダルトンであろう。しかしながら角質層の抵抗は、裸DNA、オリゴヌクレオチド、リボザイム、アプタマーさらにはcDNA構成体の送達を達成することができるような形で特異的製剤により調節可能である。
【0144】
大部分の薬物は、角質層を横断することができない。しかしながら、集合的に「浸透増強剤」として知られている1クラスの化合物を使用して浸透の増強を達成することができる。アルコール、スルホキシド、脂肪酸、エステル、アゾン、ピロリドン、尿素及びポリオールは、この化合物クラスの成員のほんの一部にすぎない(カルビッツ(Kalbitz)ら、1996年)。これらの浸透増強剤の目的は、角質層内の薬物の拡散率及び溶解度を変更することにあり、かくして一部は脂質経路を通してその効果を調節し、一部は極性経路を介して拡散を調節させる。
【0145】
増強剤グリセリンのさまざまな濃度での添加が、サイクロスポリンの浸透を増強することが示されてきた(ナカシマ(Nakashima)ら、1996年)。水性プロピレングリコールと併せたテルペンベースの浸透増強剤の使用も同じく、5−フルオロウリシルの局所送達速度を増強する能力を示した(ヤマネ(Yamane)ら、1995年)。5−フルオロウリシル、5−FUは、経皮透過研究における親水性化合物の特性を検査するためのモデル化合物である。かくして、ポリレングリコール内のテルペンの添加(最高80%)は、皮膚内への流入速度を増強させることができた。
【0146】
ジメチルイソソルビド(DMI)は、薬学製剤としての将来性を示したもう1つの浸透増強剤である。DMIは、比較的低い粘度をもつ水混和性液体である(ジア(Zia)ら、1991年)。DMIは、水及びポリレングリコールとの錯化を受けるがポリエチレングリコールとは錯化しない。さまざまなステロイドの浸透を増強する能力をビヒクルに提供するのは、水と錯化するDMIの能力である。1:2というDMI:水比で最大の効果が見られた。文献中の証拠から、DMIに対するpHの効果は、さまざまな製剤の中でDMIを使用する場合に重要な考慮事項であることが示唆されている(ブリセート(Brisaert)ら、1996年)。
【0147】
(吸入器又はネブライザーを用いることなどにより)、そしてエアロゾル化剤を伴う処方又はフルオロカーボン又は合成肺界面活性剤中での灌流を介して、肺投与も同様に利用可能である。いくつかの実施態様においては、本発明の化合物を、従来の結合剤及びトリグリセリドといったビヒクルと共に座薬として処方することができる。
【0148】
もう1つの実施態様においては、本発明の組成物を小嚢特にリポソーム内に送達することができる(ランゲル(Langer)、1990年、Science第249巻、1527−1533頁;トリート(Treat)ら、「Liposomes in the Therapy of Infectious Disease and Cancer」中、ロペス・ベレスタイン(Lopez−Berestein)及びフィドラー(Fidler)(編)、Liss、New York、353−365頁(1989年);ロペス・ベレスタイン、同書、317−327頁参照;同書全体を参照のこと)。
【0149】
さらにもう1つの実施態様においては、本発明の組成物は、制御型放出系で送達され得る。1実施態様においては、ポンプを使用することができる(ランゲル、前掲;セフトン(Sefton)、1987年、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.第14巻、201頁;ブッシュワルド(Buchwald)ら、1980年、Surgery、第88巻、507頁、ソーデック(Saudek)ら、1989年、N.Engl.J.Med.第321巻、574頁を参照のこと)。もう1つの実施態様においては、重合体材料を使用することができる(「Medical Applications of Controlled Release」、ランゲル及びワイズ(Wise)(編)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.(1974年);「Controlled Drug Bioavailability、Drug Product Design and Performance」、スモーレン(Smolen)及びボール(Ball)(編)、Wiley、New York(1984年);ランゲル及びペパス(Peppas)、1983年、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.第23巻、61頁参照;レビー(Levy)、1985年、Science第228巻、190頁;ドュアリング(During)ら、1989年、Ann.Neurol.第25巻351頁;ハワード(Howard)ら、1989年、J.Neurosurg.第71巻、105頁も同じく参照のこと)。さらにもう1つの実施態様においては、治療すべき標的部域(例えば肝臓)の近くに、制御型放出系を置くことができ、かくして全身的用量の数分の1しか必要でなくなる(例えばグッドソン(Goodson)、「Medical Applications of Controlled Release」、前掲、第2巻、115−138頁(1984年)中を参照)。ランゲル、1990年、Science第249巻:1527−1533頁)による論評の中で論述されているその他の制御型放出系も使用可能である。
【0150】
この組成物は、治療上有効な量の本発明の組成物、任意には2つ以上の本発明の組成物を好ましくは精製された形で、適切な量の薬学的に許容されるビヒクルと共に含み、かくして患者に対する適切な投与のための形態を提供することになる。
【0151】
「ビヒクル」という用語は、本発明の組成物が共に投与される希釈剤、アジュバント、賦形剤又は担体を意味する。かかる薬学的ビヒクルは、落花生油、大豆油、鉱油、ゴマ油などの石油、動物、植物又は合成由来のものを含めた油及び水といった液体であり得る。該薬学ビヒクルは、生理食塩水、アラビアゴム、ゼラチン、でんぷんペースト、タルク、ケラチン、コロイドシリカ、尿素などであり得る。さらに、助剤、安定化剤、増粘剤、潤滑剤及び着色剤を使用することができる。患者に投与する時点で、本発明の組成物及び薬学的に許容されるビヒクルは、好ましくは無菌である。本発明の化合物が静脈内投与される場合、水が好ましいビヒクルである。特に注射溶液のための液体ビヒクルとして、生理食塩水溶液及び水性デキストロース及びグリセロール溶液も利用可能である。適切な薬学的ビヒクルとしては同様に、でんぷん、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、コメ、小麦、胡粉、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、ドライスキムミルク、グリセロール、プロピレン、グリコール、水、エタノールなどの賦形剤も含まれる。本組成物は、望ましい場合、湿潤剤又は乳化剤又はpH緩衝剤を少量含むこともできる。核酸ベースの化合物のための有効な送達ビヒクルの上述の組成物用の好ましい濃度範囲は以下の通りである: エチルアルコール15〜40%;プロピレングリコール0.5〜5.0%;グリセリン0.5〜5.0%;ジメチルイソソルビド0.1〜2.0%;ポリエチレングルコールエステル(Laureth−4のようなもの)0.1〜2.0%;EDTA二ナトリウム0.01〜0.5%;パンテチン0.01〜0.2%、2価陽イオン(銅、マグネシウム、マンガン、亜鉛、銅リチウムなど)0.01〜2%及び100%充分量の水。
【0152】
本組成物は、溶液、懸濁液、エマルジョン、錠剤、丸薬、小丸薬、液体の入ったカプセル、粉末、持続放出型製剤、座薬、エマルジョン、エアゾル、スプレー、懸濁液、又はその他の使用に適した形態といった形をとり得る。1実施態様においては、薬学的に許容されるビヒクルはカプセルである(例えば米国特許第5,698,155号明細書を参照のこと)。適切な薬学的ビヒクルのその他の例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、E.W.マーチン(Martin)著の中で記述されている。一実施例においては、本発明の組成物は、ヒトへの静脈内投与に適合された医薬組成物として日常的手順に従って処方される。標準的には、静脈内投与のための本発明の組成物は、無菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要な場合、該組成物は同様に可溶化剤を内含し得る。静脈内投与するための組成物には任意には、注射の部位における疼痛を緩和させるためリグノカインなどの局所麻酔薬を内含し得る。一般に、成分は、例えば活性作用物質の数量を示すアンプル又は小袋などの密封されたコンテナの中の乾燥した凍結乾燥済み粉末又は無水濃縮物として単位剤形の形に混和されて又は別々に供給される。本発明の組成物が静脈内注射により投与される場合、これは例えば、無菌の薬学グレードの水又は生理食塩水の入った輸液びんを用いて送り出すことができる。本発明の化合物が注射により投与される場合、投与前に成分を混合できるように、注射用無菌水又は生理食塩水のアンプルが具備され得る。
【0153】
経口送達のための本発明の組成物は、錠剤、トローチ剤、水性又は油性懸濁液、顆粒、粉末、エマルジョン、カプセル、シロップ又はエレキシル剤の形をしていてよい。経口送達用の本発明の化合物及び組成物は、食品及び食品ミックスの形でも処方可能である。経口投与される組成物は、薬学的に味が良い調製物を提供するべく例えばフルクトース、アスパルテーム又はサッカリンなどの甘味剤;ペパーミント、ウィンターグリーン油又はチェリーなどの芳香剤;着色剤;及び保存剤などの1つ以上の任意の作用物質を含有していてよい。その上、錠剤又は丸薬の形をしている場合、組成物は胃腸管内での崩壊及び吸収を遅延させかくして長時間にわたり持続した作用を提供するべく、コーティングを受けていてもよい。浸透活性駆動化合物をとり囲む選択的に浸透性ある膜も同様に、本発明の経口投与される組成物に適している。これらの後者のプラットフォームでは、カプセルをとり囲む環境からの流体は駆動化合物により吸収され、この化合物は膨らんで作用物質又は作用物質組成物をアパーチャを通って変位させる。これらの送達プラットフォームは、即時放出型製剤の急上昇プロファイルと異なり基本的にゼロ次送達プロファイルを提供し得る。モノステアリン酸グリセロール又はステアリン酸グリセロールなどの時間遅延材料も同様に使用可能である。経口組成物はマンニトール、ラクトース、でんぷん、ステアリン酸マグネシウム、サッカリンナトリウム、セルロース、炭酸マグネシウムなどといった標準ビヒクルを内含できる。かかるビヒクルは好ましくは薬学グレードのものである。
【0154】
本明細書で開示されている特定の障害又は症状の治療において有効となる本発明の組成物の量は、障害又は身体の性質によって左右されることになり、標準的臨床技術によって決定可能である。さらに、最適な投薬量範囲を同定する一助となるように、インビトロ又はインビボ検定も任意に利用できる。組成物中で利用すべき精確な用量は、同様に投与経路及び疾病又は障害の重症度によっても左右され、医師の判断及び核各患者の状況に従って決定されるべきである。しかしながら、経口投与のための適切な投薬量範囲は、体重1kgあたり一般に約0.01ナノモル(「nM」)から200ミリモル(「mM」)の本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムである。本発明の特定の好ましい実施態様においては、経口用量は、体重1キログラムあたり0.01nmから70mM、より好ましくは0.1nM〜50mM、さらに好ましくは0.5nM〜20mM、さらに一層好ましくは1mM〜10mMである。最も好ましい実施態様においては、経口用量は、体重1キログラムあたり5nMの本発明の組成物である。本明細書で記述されている投薬量は、投与される合計量を意味する。すなわち、本発明の組成物が2つ以上投与される場合、好ましい投薬量は、投与される本発明の化合物の合計量に対応する。経口組成物は好ましくは重量で10%〜95%の活性成分を含有する。
【0155】
静脈内(i.v.)投与のための適切な投薬量範囲は、体重1キログラムあたり0.01nM〜100mM、0.1nM〜35mMそして1nM〜10nMである。鼻腔内投与のための適切な投薬量範囲は一般に、体重1kgにつき約0.01nM〜1nMである。座薬は一般に体重1キログラムあたり0.01nM〜50mMの本発明の組成物を含有し、0.5重量%〜10重量%の範囲内の活性成分を含む。皮内、筋内、腹腔内、皮下、硬膜外、舌下、脳内、膣内、経皮投与又は吸入による投与のための推奨される投薬量は、体重1キログラムあたり0.001nM〜200mMの範囲内である。局所投与のための本発明の化合物の適切な用量は、その化合物を投与する部域に応じて0.001nM〜1mMの範囲内である。有効用量は、インビトロ又は動物モデル試験系から導出された用量−応答曲線から外挿され得る。このような動物モデル及び系は、当該技術分野において周知である。
【0156】
非経口投与の場合(例えば良性前立腺肥大の治療用)、本発明の組成物は、標的細胞の選択性を提供するべくヒト前立腺特異的タンパク質に対して向けられた抗体にカップリングされるリポソーム「外皮」内に封入され得る。製剤の特定的性質は、例えば局所、非経口、経口、直腸、外科移植といった所望の投与経路によって、又はその他の局所的(前立腺内)送達手段によって決定される。投薬量はその投与経路に関して決定される。組成物中のオリゴヌクレオチド又はリボザイムの量は、組成物の約0.01〜99重量%の範囲であり得る。前立腺の直接的治療には、超音波検査器による検査下での少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドの適切な調製物の腹腔内投与が関与する可能性がある。注射は、過形成ゾーン内又は外部腺内のいずれかで行なうことができる。抗生物質の前立腺内注射を通しての慢性前立腺炎の治療のためにも類似のアプローチが報告されてきた(ジーメンス(Jimenez)ら、1988年)。これらの研究においては、注射中又は注射後の疼痛と合わせた一過性の注射後血精液症が、この療法で見られる唯一の有害事象であった。
【0157】
直腸投与のための組成物は、例えば結合剤、潤滑剤及び崩壊剤を含む通常の有用な薬学的賦形剤のいずれかを用いて調製される。組成物は同様に、脂肪族スルホキシドなどの細胞浸透増強剤をも内含し得る。好ましい実施態様においては、本発明の組成物は座薬の形をしている。
【0158】
本発明は同様に、本発明の1つ以上の化合物が充てんされた1つ以上のコンテナを含む薬学的パック又はキットをも提供する。場合によってはかかるコンテナには、ヒトへの投与のための製造、使用又は販売についての政府機関による承認を反映する、医薬品又は生物学的製品の製造、使用又は販売を規制する該政府機関によって規定された形態の通告が付随している。或る実施態様においては、該キットは、本発明の化合物を2つ以上を収納している。もう1つの実施態様では、該キットは、本発明の化合物そしてレチン−A、アロエ、酸化防止剤、エッセンシャルオイル、グリセリン、カモミール、グリコール酸、キンセンカ、アンズ、アボガド、アスコルビン酸、抗癌剤、過酸化ベンゾイル、アルファブロッカー、抗−アンドロゲン、非ペプチドホルモン、抗生物質などを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)もう1つの脂質媒介化合物を含んでいる。
【0159】
本発明の化合物は、好ましくは、ヒトにおける使用に先立ち、所望の治療上又は予防上の活性について、インビトロ及びインビボで検定される。例えば、本発明の特定の組成物又は本発明の組成物の組合せの投与が5α−レダクターゼのレベルを阻害するために好ましいか否かを決定するのにインビトロ検定を使用することができる。本発明の組成物は同様に、動物モデル系を用いて有効かつ安全であることを実証することもできる。
【0160】
その他の方法が当業者にとって既知のものとなると思われ、これらは本発明の範囲内に入る。
【0161】
6.9 組合せ療法
本発明の一部の実施態様においては、本発明の組成物は、少なくとも1つのその他の治療薬との組合せ療法において使用可能である。本発明の組成物と該治療薬は、付加的に又はより好ましくは相乗的に作用することができる。好ましい実施態様においては、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムは、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムと同じ組成物の一部でもあり得るし又異なる組成物でもあり得るもう1つの治療薬の投与と同時に投与される。もう1つの実施態様においては、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムを含む組成物は、もう1つの治療薬の投与に先立って又はその後に投与される。本発明の組成物が治療上有用である障害の多くが慢性障害であることから、1つの実施態様において組合せ療法には、本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド又はリボザイムを含む組成物及びもう1つの治療薬を含む組成物の投与を交互に行なうこと(例えば特定の薬物に付随する毒性を最小限にするため)が関与する。各薬物又は治療薬の投与の長さは例えば、一ヵ月、三ヵ月、六ヶ月又は一年であり得る。或る実施態様においては、本発明の組成物が、毒性を含む(ただしこれらに制限されるわけではない)不利な副作用を生成する潜在的可能性のあるもう1つの治療薬と同時に投与される場合、該治療薬は、不利な副作用が惹起される閾値より低くなる用量で投与されるのが有利であり得る。
【0162】
本組成物は、抗真菌薬と共に投与され得る。本発明の組成物と組合せて使用するための抗真菌薬(antigungals)としてはアンフォB、クロトリマゾール、フルコナゾール、フルシトシン、イタラコナゾール、ケトコナゾール、ナイスタチン、テリビナフィン、ブテナフィン、シクロピロックス、エンコナゾール、ナフチフィン、ミコナゾール、オキシコナゾール及びトルナフタートが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0163】
本組成物は、H1受容体拮抗薬と共に投与することもできる。本発明の組成物と組合せて使用するためのH1受容体拮抗薬にはジフェニンヒドラミン、ピリラミン、プロメタジン、クロルフェニラミン、クロルシクリジン、ロラタジン、デスカルボエトキシロラチジン、フェニラミン、トリペレナミン及びシクリジンが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0164】
本組成物は、レチノイドのビタミンAファミリー由来の化合物と共に投与することもできる。本発明の組成物と組合せて使用するためのレチノイドにはレチノール、オール−トランス−レチノール、オール−トランス−14−ヒドロキシレトロレチノール、オール−トランス−レチナール、オール−トランス−レチノイン酸、オール−トランス−3,4−ジデヒドロレチノイン酸、9−シス−レチノイン酸、11−シス−レチナール、13−シス−レチナール及び13−シス−レチノイン酸が含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0165】
本組成物は、抗肥満薬と共に投与することもできる。本発明の化合物と組合わせて使用するための抗肥満薬にはベータ−アドレナリン受容体アゴニスト、好ましくはベータ−3受容体アゴニスト、フェンフルラミン、デクスフェンフルラミン、シブトラミン、ブプロピオン、フクオキセチン、及びフェンテルミンが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0166】
本組成物は同様にホルモンと共に投与することもできる。本発明の化合物と組合わせて使用するためのホルモンとしては、甲状腺ホルモン、エストロゲン及びインシュリンが含まれるがこれらに制限されるわけではない。好ましいインシュリンには、注射用インシュリン、経皮用インシュリン、吸入用インシュリン又はそれらの任意の組合せが含まれるがこれらに制限されるわけではない。インシュリンの代用として、インシュリン誘導体、分泌促進薬、増感体又は模倣薬を使用することができる。本発明の化合物と組合わせて使用するためのインシュリン分泌促進薬にはフォルスコリン、ジブトリルcAMP又はイソブチルメチルキサンチン(IBMX)が含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0167】
本組成物は同様にホスホジエステラーゼ−5−阻害物質と共に投与することもできる。本発明の化合物と組合わせて使用するためのホスホジエステラーゼ−5阻害物質薬物にはシルデナフィル、ヴァルデナフィル及びタダラフィルが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0168】
本組成物は抗生物質製剤と共に投与することができる。本発明の化合物と組合わせて使用するための抗生物質製剤にはアミノグリコシド、ストレプトマイシン、ネオマイシン、アナマイシン、アミカシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、ストレプトマイシンB、ジヒドロストレプトマイシン、スペクチノマイシン、ペニシリン、アンピシリン、ヘタシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、セファロスポリン、セファロリジン、セファロチンナトリウム、セファログリシンジヒドラテム、セファレキシン一水和物、テトラサイクリン、テトラサイクリンヒドロクロリド、オキシテトラサイクリンヒドロクロリド、クロロテトラサイクリンヒドロクロリド、ドキソサイクリン一水和物、メタシジンヒドロクロリド、7−クロロ−6−ジメチルテトラサイクリン、エリタマイシン、スルホンアミド、カルボマイシン、オレアノドマイシン、トロレアノドマイシン、ポリミキシン、Bコリスチン及びクロラムフェニコールが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0169】
本組成物は、抗癌剤と共に投与することもできる。本発明の化合物と組合せて使用するための抗癌薬には、メトトレキセート、タキソール、メルカプトプリン、チオグアニン、ヒドロキシ尿素、シタラビン、シクロホスファミド、イフォスファミド、ニトロソウレア、シスプラチン、カルボプラチン、マイトマイシン、ダカルバジン、プロカルビジン、エトポシド、カンパテシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、イダルビシン、タウノルビシン、ダクチノマイシン、プリカマイシン、ミトキサントロン、アスパラギナーゼ、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビノレルビン、パクリタキセル及びドセタキセルが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0170】
本組成物は、局所的ステロイドと共に投与することもできる。本発明の化合物と組合わせて使用するための局所的ステロイドにはメチルプレドニゾロン及びプレドニゾンなどのコルチコステロイド(ただしこれらに制限されるわけではない)及び3−フェナントリジノン及び17−N,N−ジエチルカルバモイル−4−メチル−4−アザ−5−アンドロスタン−3−オン(例えば、4−MA)などの(ただしこれらに制限されるわけではない)改質ステロイドが含まれる。
【0171】
本組成物は、収斂薬と共に投与することもできる。本発明の化合物と組合わせて使用するための収斂薬にはマンサク、酢酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、酸化亜鉛、酢酸亜鉛、重炭酸ナトリウム及びカラミンが含まれるがこれらに制限されるわけではない。
【0172】
本組成物は、HS5αR1型の酵素活性を阻害する第2の作用物質と合わせて投与することもできる。かかる作用物質は、テストステロンからジヒドロテストステロン(DHT)の酵素的変換を阻害することから、組成物へのその内含により、DHTの局所的濃度を低下させるための第2の機序が提供される。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、mRNAレベルでのさらなるHS5αR産生を阻害するのに役立ち、一方酵素阻害物質は、残りのHS5αR酵素の活性を阻害するのに役立つ。
【0173】
本組成物は同様に、皮膚の毛穴を塞ぎ座瘡細菌の生長を促進する環境を作り上げる皮脂物質の形成を阻害する第2の作用物質と共に投与することもできる。1つの作用物質例としては、皮脂腺内の皮脂細胞の増殖を予防することによって機能すると考えられるレチン−A(レチノイン酸、トレチノイン)がある。皮脂細胞は、成熟するにつれて皮脂を蓄積させ、皮脂導管に向かって移動し、ここでそれらは破断し皮脂と細胞破片を毛嚢脂腺流路内に放出する。これらの廃棄物は次に栓を形成する(ダウニング(Downing)ら、1982年)。毛穴が閉塞されなくなると、皮脂は自由に流れる。これら2つの作用物質を組合わせることで、皮膚の毛穴を開いた状態に保ち皮脂の流れを低減させ皮膚の条件を改変してそれらが細菌の成長及び感染にとってさほど有利でなくなるようにする組成物が生み出される。毛穴内の細菌は皮脂を遊離酸に変換できこれが炎症を開始させることから、P.acnesレベルの低減は結果として座瘡及び炎症を低減させることになる。
【0174】
本組成物は、ミノキソジルを含む(ただしこれらに制限されるわけではない)毛髪再成長を促進する作用物質と共に投与することもできる。
【0175】
さらなる記述はなくとも、当業者であれば、以上の説明及び以下の実施例を用いて本発明の化合物を製造、利用しかつ請求対象の方法を実践することができると考えられる。従って以下の作業例は、本発明の好ましい実施態様を特定的に指摘するものであり、開示の残りの部分をいかなる形であれ制限するものとしてみなされるべきものではない。
【0176】
7.標的遺伝子及び標的配列の例
1つの実施態様に従うと、本発明は、酵素5α−レダクターゼ1型及び2型の発現又はアンドロゲン受容体自体と干渉する本発明のオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムを用いて障害を治療又は予防する方法に向けられている。適切なオリゴヌクレオチドには、アンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA、リボザイム、第3ストランドオリゴヌクレオチド及び3重鎖オリゴヌクレオチドが含まれている。適切なオリゴヌクレオチド、siRNA及びリボザイムがアンチセンスオリゴヌクレオチド、siRNA又はリボザイムであることが好ましい。
【0177】
本発明の1実施例に従うと、ヒトステロイド5α−レダクターゼについてコードするDNA上の標的配列又はそこから転写されたmRNAに対して又は該mRNAについての転写開始部位からすぐ上流側にある配列に対して相補的である本発明のオリゴヌクレオチド又はリボザイムの投与によってヒトステロイド5α−レダクターゼ酵素の発現を予防するか又はこれと干渉することによって、皮膚の炎症、皮脂分泌過剰に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療し予防する方法が提供されている。投与されるオリゴヌクレオチドは、アンチセンスオリゴヌクレオチド、第3ストランドオリゴマ−又は3重鎖オリゴマ−対であり得る。アンチセンスオリゴマは、標的遺伝子から転写されたRNAの配列に対して、又は、1本鎖DNA標的配列に対して、又は2重鎖内に収納された単一のRNA又はDNAストランドに対し相補的である。第3ストランドオリゴヌクレオチドは、2本鎖核酸の1配列と水素結合しそれと3重らせん複合体を形成する能力をもつような形で選択された塩基配列を有する。3重鎖オリゴマ−対の第1及び第2のオリゴマは、標的遺伝子又はその転写産物のターゲティングされた1本鎖核酸配列に対して又は2重鎖の1本鎖に対して相補的でかつそれらと水素結合する能力をもちかつ1本鎖核酸と共に3重らせん複合体を形成するような形で選択された配列を有する。
【0178】
標的遺伝子は酵素5−アルファ−レダクターゼ1型及び2型をコードする遺伝子から選択され、その遺伝子の転写開始部位からすぐ上流側に標的配列を内含するものとみなされる。好ましくは標的配列は5−アルファレダクターゼ遺伝子の−500から+20(転写開始部位との関係において)までの配列を含むことになる。より好ましくは、適切な配列は5−アルファレダクターゼ遺伝子の−100から+20まで(転写開始部位との関係において)の部域内の標的配列を含むことになる。
【0179】
約8〜100ヌクレオチド、より好ましくは約12〜約40ヌクレオチド、そして最も好ましくは約15〜約25ヌクレオチドの適切な長さのオリゴマが、部分的又は全体的に標的に対しハイブリダイズされた時点でこれらの部位に隣接するか又はこれらの部位を網羅するべく選択される。標的配列がmRNAである場合の好ましい部位は、5−アルファレダクターゼ遺伝子内において、5’−非翻訳領域、(好ましくはAUG開始コドンから下流側に最高約20ヌクレオチドのところまでの)AUG開始コドンのわずかに下流側にある領域を含む翻訳開始領域、スプライスアクセプタ、スプライスドナー及び3’非翻訳領域を内含する。
【0180】
かくして、本発明の好ましい1態様に従うと、5−アルファ−レダクターゼ及びアンドロゲン受容体について以上に含まれるヌクレオチド位により定義される通り、部分的又は全体的にこれらの部位とハイブリダイズしかつそれらを網羅するか又はこれらの部位にすぐ隣接する部位とハイブリダイズする配列を有するように、好ましくは約8〜40ヌクレオシド、そしてより好ましくは約12〜約23ヌクレオシド、特に約15〜約25ヌクレオシドという適切な長さの本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチドが選択される。
【0181】
アンチセンスオリゴヌクレオチドが使用される場合、オリゴヌクレオチドの配列は、ターゲティングされた領域に対しハイブリダイズできるようにターゲティングされた領域の配列の逆相補体である。
【0182】
第3ストランドオリゴヌクレオチドが使用される場合、該オリゴヌクレオチドは、2本鎖核酸標的と配列特異的水素結合相互作用を形成するように選択される。
【0183】
3重鎖オリゴマ対が使用される場合、第1及び第2のオリゴマは、1本鎖核酸と配列特異的水素結合相互作用を形成し、共に3重らせん構造で形成するように選択される。
【0184】
本発明の理解を助ける目的で、一連の実験の結果を記述する以下の実施例が含まれている。この発明に関する以下の実施例は、当然のことながら本発明を特異的に制限するものとしてみなされるべきではなく、当業者の視野の中に入る現在既知の又は将来開発される本発明の変形形態は、以上で請求されている本発明の範囲内に入るものとみなされる。
【実施例】
【0185】
8.例示的な実施例
8.1 実施例1: アンチセンスオリゴヌクレオチドの調製
ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型及び2型mRNA転写物(それぞれ配列番号1及び配列番号28)に含まれる特異的なヌクレオチド配列に対し実質的に相補的な塩基配列をもつ一連のオリゴヌクレオチドは、以下のように調製される。当該技術分野において実践されている標準的技術を用いて、自動化された固相DNA合成装置上でアンチセンスオリゴヌクレオチドが合成される。対応するホスホロチオアート・オリゴデオキシリボヌクレオチドは、標準的手順を用いて合成される(アイヤー(Iyer)ら、1990年)。ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型生合成を阻害するように設計されているオリゴヌクレオチドの配列は表3に列挙されており、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型生合成を阻害するように設計されているオリゴヌクレオチドの配列は表4中に列挙されている。本発明のオリゴヌクレオチドは、同様に溶液相合成又は逆転写酵素技術によっても調製可能である。オリゴヌクレオチドは同様に例えば遺伝子工学技術又はその他の合成方法によっても調製可能である。
【0186】
【表3】

【0187】
【表4】

【0188】
8.2 実施例2: アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いた治療の効果
ステロイド5α−レダクターゼ1型の発現に対するアンチセンスオリゴヌクレオチドの効果を判定するために、ヒト生殖器皮膚線維芽細胞系Hs68(CRL1635、American Type Culture Collection、Manassas、バージニア州)といった酵素を正常に発現する培養細胞か又は所望のステロイド5α−レダクターゼcDNAをトランスフェクトされた培養ヒト前立腺細胞又は細胞系のいずれかを用いて酵素活性を測定する。この目的のための適切な細胞には、サルCOS細胞及びヒト胎児性腎293細胞(CRL1573)が含まれるが、これらに制限されるわけではない。ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型cDNAを含む発現プラスミドについては、以前に記述されている(アンダーソン及びラッセル、1990年)。サルCOS細胞(CRL1651)を生育し、DEAEデキストランプロトコルを用いてトランスフェクトする(エッサー(Esser)ら、1988年)。細胞を、O295%、CO25%の雰囲気で37℃に維持し、前述の方法に従ってひろげる(ジェンキンスら、1992年;シグペン及びラッセル、1992年)。
【0189】
ステロイド5α−レダクターゼを構成的に発現する細胞内でオリゴヌクレオチドを0.001〜10.0μMの濃度で培地に添加する。一過性トランスフェクションアッセイにおいて、オリゴヌクレオチドをステロイド5α−レダクターゼcDNAでコトランスフェクトするか又はトランスフェクションの後0.001〜10.0μMの濃度で培地に添加する。細胞をマルチウェル組織培養プレートに播種する。特定のアッセイに使用するウェルのサイズは、既定の細胞系により発現されるステロイド5α−レダクターゼのレベルによって決定される。
【0190】
基質は、無水エタノール中に未標識テストステロン(シグマケミカル(Sigma Chemical Co.)、St.Louis、ミズーリ州)を溶解し、その後〔7−3H(N)〕−テストステロン(23.3Ci/mmol)又は〔14C〕−テストステロン(50mCi/mmol)(ニューイングランドニュークリア(New England Nuclear)、Boston、マサチューセッツ州)を添加することにより調製される。溶媒は、窒素の流れの下で蒸発させ、ステロイドが適当な培地中で再構築される。
【0191】
試料ウェル中の培地を吸引し、放射性標識済み基質を含む新鮮な培地と交換する。培地と基質を含むが細胞を含まないさらに3つのウェルも、該基質の非酵素的代謝を説明する目的で含み入れる。その後プレートをインキュベータに戻し、該細胞系が発現するステロイド5α−レダクターゼのレベルに応じた長さの時間インキュベートする。
【0192】
インキュベーションの最後に、培地を収集し、未標識キャリアステロイド(エストリオール、エストラジオール、エストロン、5α−アンドロスタン−3a,17β−ジオール、5α−アンドロスタン−3β,17β−ジオール、4−アンドロステン−3,17−ジオン、5α−アンドロスタン−3,17−ジオン、テストステロン及び5α−ジヒドロテストステロン(ステロイド(Steraloids、Inc.)、Wilton、ニューハンプシャー州)の各々を40〜250μgずつ添加したトルエン−エタノール(9:1)が5ml入った抽出管へ移す。放射性標識されたステロイドを検出するために用いられる方法に応じて、抽出溶媒は1,000及び10,000dpmの〔4−14C〕−ジヒドロテストステロン(ステロイド50〜60mCi/mmol)及び〔4−14C〕−テストステロン〔50mCi/mmol〕(ニューイングランドニュークリア、Boston、マサチューセッツ州)をそれぞれ含んでいてもいなくてもよい。基質として〔7−3H(N)〕−テストステロンを利用するアッセイにおいて、手順上の損失を定量するべく回収標準として〔14C〕−ステロイドが含み入れられる。発泡を防ぐための抽出管に少量のNaClも添加する。試料を約30秒間ボルテックスし、次に500×gで10分間遠心する。有機相を収集し、溶媒を蒸発させる。その後ステロイドをジクロロメタン−メタノール(9:1)で再構築させ、薄層クロマトグラフィにより分析する。
【0193】
シリカゲル60F254、厚み0.25mmの薄層クロマトグラフィプレート(EMサイエンス(EM Science)、Cincinnati、オハイオ州)に、抽出試料を適用する。クロロホルム:酢酸エチル(3:1、マリンクロッド(Mallinckrodt Inc.)、Paris、ケンタッキー州)の溶媒系内でプレートを展開する。溶媒先端がプレートの上面から2.0cm以内に移動するまで、プレートを展開する。展開槽から取り出した後、プレートを風乾させる。その後、プレートを254nmのUV光の下で検分し、可視スポットをマークする。その後プレートにプリムリンを噴霧し(ライト(Wright)、1971年)の方法に従ってアセトン−水(4:1)中0.001%)、これにより365nmのUV光の下で付加的なステロイドの同定が可能となる。真空ラインに取付けられたグラスウールの栓付きパスツールピペットを用いてプレートからスポットを剥ぎ取る。0.2mlのジクロロメタンの添加とそれに続く2.0mlのメタノールの2回の洗浄により、シンチレーションバイアル内に直接ステロイドを溶離させる。有機溶媒を蒸発させ、10.0mlのシンチレーション液(レディーオーガニック(Ready Organic)、ベックマン・インスツルメント(Beckman Instruments,Inc.)、Fullerton、カリフォルニア州)を添加する。試料を液体シンチレーション分光分析によって分析する。基質として〔14C〕テストステロンを利用するアッセイにおいて、ホスホイメージャ(Phosphor Imager)イメージングシステム(モレキュラーダイナミックス(Molecular Dynamics,Inc.)、San Jose、カリフォルニア州)を用いて直接ステロイド代謝を分析する。
【0194】
抽出用媒質の除去後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)で洗浄し、次にトリプシン−EDTA溶液(0.025%のトリプシン、0.265mMのEDTA)に曝露することによりこれを収獲する。細胞を収集し1400×gで5分間遠心分離する。上清を傾潟し、細胞をPBS中で再懸濁させる。細胞懸濁液のアリコートをコールターカウンター(Coulter Counter)ZM型(コールターエレクトロニクス(Coulter Electronics、Ltd.)、Luton Beds、英国)を用いて計数する。残った細胞を超音波処理し、ブラッドフォードの方法(ブラッドフォード(Bradford)、1976年)に従ってタンパク質を定量する。手順上の損失について補正を行ない、細胞105個あたりのピコモル又はタンパク質1mgあたりのピコモル単位で、ステロイド濃度を基準にして阻害パーセントとしてデータを表す。
【0195】
8.3: 実施例3:皮脂分泌に対する効果を査定するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる被験者の治療
4週間にわたり1日2回局所的にヒトの被験者を治療し、その皮脂産生レベルを測定した。(短期間にわたり産生された皮脂の量を定量する)セブテープ(SebuTape)を用いることにより、皮脂産生の基底レベルを決定し、その後、該被験者の額を、10μMの濃度でアンチセンス阻害物質(配列番号5)を伴うビヒクル又はビヒクル単独のいずれかを含有する消毒綿でふいた。5人の被験者はビヒクル単独の処置を受け、5人は同じビヒクル中にアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する組成物の処置を受けた。アンチセンス阻害が再現可能となるように、該研究を反復した。結果は、両方の研究においてアンチセンス化合物が有効で、4週間後に基線皮脂産生に比べ約37%及び約27%の減少を生み出すということを示した。
【0196】
8.4 実施例4:皮脂分泌に対する効果を査定するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる被験者の治療
各5人の被験者からなる3つのグループを抗ヒトステロイド5α−レダクターゼ(抗−HS5αR)アンチセンスオリゴヌクレオチド(1μMDPC1528)又はミス−センス又はスクランブルアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する局所製剤又は対照製剤で4週間治療した。治療に先立ち、セブメーター(Sebu Mater)SM810(カレッジアンドカザカエレクトロニクス(Courage & Khazaka Electronics))を用いて、各被験者の皮脂分泌速度をモニターした。セブメーターの読取りのために、被験者を環境制御された部屋(温度及び湿度)の中に30分間入れた。まず最初にその額をふいて、既存の皮脂を除去し、新たに分泌された皮脂の量を測定した。被験者はその額に4週間毎日2回3つの溶液のうちの1つを約0.5ml塗布し、その皮脂分泌速度を次にセブメーターで再度測定した。DPC1528は、皮脂産生の25%の減少を生み出し、一方スクランブル配列を伴うミスセンス対照は、皮脂産生を改変しなかった(図1参照)。n=5で、TTest(両側検定)を用いて有意性を判定した。
【0197】
8.5 実施例5: 皮脂分泌に対する効果を査定するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる被験者の治療
各5人の被験者からなる3つのグループを用いて、1μM(研究1及び2)又は5μM(研究3)の抗−HS5αRアンチセンスオリゴヌクレオチド(DPC1528)を含有する製剤での1日2回の治療が皮脂分泌速度に対する効果を評価した。治療に先立ち、セブメーターSM810(カレッジアンドカザカエレクトロニクス)を用いて、各被験者の皮脂分泌速度をモニターした。セブメーターの読取りのために、被験者を環境制御された部屋(温度及び湿度)の中に30分間入れた。まず最初にその額をふいて、既存の皮脂を除去し、新たに分泌された皮脂の量を測定した。被験者はその額に4週間にわたり毎日2回テスト製剤が約0.5ml塗布され、その皮脂分泌速度を次にセブメーターで再度測定した。DPC1528は、皮脂産生の24〜27%の低下を生じ、5μMでは33%の低下を生じた(図2参照)。
【0198】
8.6 実施例6: 皮脂分泌に対する効果を査定するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる被験者の治療
1μMのDPC1528での毎日2回の治療2ラウンドがもたらす効果を評価するために、5人の被験者を使用した。治療に先立ち、セブメーターSM810(カレッジアンドカザカエレクトロニクス)を用いて、各被験者の皮脂分泌速度をモニターした。セブメーターの読取りのために、被験者を環境制御された部屋(温度及び湿度)の中に30分間入れた。まず最初にその額をふいて、既存の皮脂を除去し、その後新たに分泌された皮脂の量を測定した。被験者はその額に4週間にわたり毎日2回DPC1528溶液を約0.5ml塗布し、次にその皮脂分泌速度をセブメーターで再度測定した。1μMのDPC1528は、最初の4週間後に皮脂分泌速度の24%の低下をもたらした。皮脂分泌は、治療の中止後2週間でその治療前レベルに戻り、2回目の治療周期は、4週間の治療後に20%の皮脂分泌速度の低下をもたらした(図3参照)。
【0199】
8.7 実施例7: 脱毛症に対する効果を査定するためのアンチセンスオリゴヌクレオチドによる被験者の治療
1μMのDPC1676での毎日2回の治療の2ラウンドの効果を評価するために5人の被験者を使用する。治療に先立ち、各被験者の脱毛症度を、手で計数して又は顕微鏡写真内での計数を通して毛嚢の数、長さ及び密度をモニターすることによって測定する。被験者はその頭皮に、4週間にわたり1日2回DPC1676溶液を約0.5ml塗布し、その後、マニュアルでの計数によって又は顕微鏡写真内での計数を通して毛嚢の数、長さ及び密度により毛密度が再度モニターされ、これは、毛髪喪失に対するDPC1676の投与による影響が存在することを示す。
【0200】
8.8 実施例8: 局所送達ビヒクルの査定
本発明の局所送達ビヒクルを評価するため、局所施用後に角質層を通してのオリゴヌクレオチドの浸透を増強させるビヒクルの能力を評価するべくヒトの死体の皮膚外植片を用いて研究を実施した。この研究のためには、テスト化合物として15のヌクレオチドからなるホスホロチオアートオリゴヌクレオチドをテスト化合物として選択した。標準ホスホン酸水素化学を用いた合成の後、各々の糖間結合を各結合において放射性硫黄分子を含有するオリゴヌクレオチドを生ずる元素〔358〕と反応させた。このオリゴヌクレオチドを用いて、皮膚のさまざまな層内のオリゴヌクレオチドの量を定量し、さまざまな層内へのその浸透を査定することができる。放射性標識が放射活性の代謝性崩壊及び放出に由来するか否かも同様に判定可能である。〔35S〕−標識されたオリゴヌクレオチドの原液を、7μMの濃度でリポフェクチンTM(LTI、Gaithersburg、メリーランド州)中で調製した。リポフェクチンは、カチオン脂質N−[1−(2,3−ジオレイオキシル)プロピル]−N,N,Nトリメチルアンモニウム(triethlyammonium)クロリド(DOTMA)及び中性脂質ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)の1:1(w/w)の混合物で構成されている。正電荷及び中性脂質が、核酸と錯化し細胞内への核酸の送達を容易にするリポソームを形成する。リポフェクチン混合物に加えて、100%となるように、水中の20%のエチルアルコール、2%のプロピレングリコール、0.5%のジメチルイソソルビド、1%のLaureth−4、0.15%のEDTA二ナトリウム、0.03%のパンテチンの中で類似の濃度(7μM)を調製した。
【0201】
62才の白人男性からの低温保存されたヒトの頭皮をキーストンスキンバンク(Keystone Skin Bank)臓器獲得センターから入手した。このドナーについての血清検査は陰性であった。ヒトの皮膚を切り取り、毛を剃り、脂肪を皮膚表面から除去した。その後、番号11の穿孔具(直径9mm又は63.6mm2の曝露面積を提供する)でヒトの皮膚から全層ディスクを作り、氷冷ハンクの平衡塩類溶液(HBSS)の中に保存した。皮膚試料をブロノー(Bronaugh)貫流拡散セルの中に表皮表面を上部チャンバに向けて入れた。各々の皮膚試料のバリア機能を、20分にわたりトリチウム化水の浸透を測定することによって判定した。各試料は、テスト化合物の適用に先立って適切なバリア機能を示した。
【0202】
24時間上述のビヒクルの1つの中の放射性標識されたオリゴヌクレオチドを塗布することによって、実験を実施した(N=6)。充分なバリア機能をもつ皮膚試料を単離した後、全ての皮膚試料の表皮表面にテスト化合物(7μMのオリゴヌクレオチド50マイクロリットル)を添加した。インキュベーションの最後に、各皮膚表面を複数の乾燥した消毒綿で拭い、洗浄剤(1%)で2回洗浄した。次に皮膚を各々のブロノーセルから除去し、乾燥ぶきした。消毒綿及び皮膚表面から収集した溶液を1NのNaOH中に少なくとも24時間溶解させてから放射定量法を行なった。洗浄後、浸透実験内で使用された皮膚試料を取り出し、成分層へと分離させた。完全なヒトの皮膚の角質層をテープ剥離により除去し、表皮と真皮をブロノー及びメイバック(Maibach)(1991年)に従って熱処理により分離した。ヒトの皮膚の分離した層及び皮膚試料全体を少なくとも24時間1NのNaOH中で消化させ、その後試料に対してシンチレーション液を添加し、少なくとも24時間室温で暗所に置いて化学ルミネセンスを崩壊させた。これらの画分(消毒綿、洗液、皮膚層、及び受容体流体収集物からの残りの供試体)の全てを液体シンチレーション分光分析により評価して、各画分内の放射活性パーセンテージ及び皮膚表面を通して吸収された化学物質の量(合計回収用量のパーセンテージとして表現されたもの)を決定した。全ての皮膚層から回収した化学物質の量に対し受容体流体の合計放射活性を付加することによって、合計吸収量を計算した。システムから回収した全塗布用量で合計吸収値を除することによって表皮及び真皮内に吸収されたパーセンテージを計算した。結果は、リポフェクチン内のオリゴヌクレオチドが角質層を横断する能力を実際わずかにしか示さなかったのに対し、72時間後塗布されたオリゴヌクレオチドの13%が表皮内に浸透し11%超が真皮に達した(下表5参照)ことから、ジメチルイソソルビドビヒクルが結果としてオリゴヌクレオチドの浸透を増強させたということを示していた。
【0203】
【表5】

【0204】
8.9 実施例9:送達ビヒクル中のジメチルイソソルビドの効果
ジメチルイソソルビド含有ビヒクル中のオリゴヌクレオチドの一回の塗布が表皮内への浸透の増加を示したことから、反復的塗布での研究を実施して局所送達ビヒクル中でのその使用をさらに評価した。皮膚浸透の増強に対するジメチルイソソルビドビヒクルの複数回投与の効果を特徴づけするため、60μMの濃度で水中で〔35S〕標識されたオリゴヌクレオチドの原液を調製した。最終濃度7μMのオリゴヌクレオチドを生成するように、300マイクロリットルの原液オリゴヌクレオチドを、水中の20%のエチルアルコール、2%のプロピレングリコール、0.5%のジメチルイソソルビド、1%のラウレス(Laureth)−4、0.15%のEDTA二ナトリウム、0.03%のパンテチンからなる2.4mlのビヒクルと合わせた。皮膚外植片に対する塗布のために用いるべき希釈溶液50マイクロリットルは、液体シンチレーション計数を介して83,751.64dpmを含有することが示された。
【0205】
実験は、各々分析のためのディスクN=6でそれぞれ24、48及び72時間で収獲される3アッセイセットとして実施された。上述した同じ個体からの皮膚をバリア機能について特徴づけし、その後持続する実験で使用した。充分なバリア機能をもつ皮膚試料を単離した後、全ての皮膚試料の表皮表面に対してテスト化合物(7μMのオリゴヌクレオチド50マイクロリットル)を添加した。受容体流体(4%のアルブミンを含有するハンクの平衡塩類溶液からなる皮膚の下部表面を通して流れる培地)をT=12時間及び24時間で収集し、アッセイセット1をそれぞれの分析のため24時間で収獲した。残りの2セットを水で洗浄して残留テスト組成物を除去し、その後テスト組成物を再び塗布した。受容体流体をT=36及び48時間で全ての残りの試料から収集し、アッセイセット2を、それぞれの分析のため48時間で収獲した。アッセイセット3を水で洗浄して残渣残留テスト組成物を除去し、その後テスト組成物を再度塗布した。受容体流体をT=60及び72時間で全ての残りの試料から収集し、アッセイセット3をそれぞれの分析のために72時間で収獲した。
【0206】
インキュベーション期間の終りで、各皮膚表面を複数の乾燥した消毒綿で拭い、洗浄剤(1%)で2回洗浄した。次に皮膚を各々のブロノーセルから除去し、乾燥ぶきした。消毒綿及び皮膚表面から収集した溶液を1NのNaOH中に少なくとも24時間溶解させてから放射定量法を行なった。洗浄後、浸透実験内で使用された皮膚試料を取り出し、成分層へと分離させた。完全なヒトの皮膚の角質層をテープ剥離により除去し、表皮と真皮をブロノーメイバック(1991年)に従って熱処理により分離した。ヒトの皮膚の分離した層及び皮膚試料全体を少なくとも24時間1NのNaOH中で消化させ、その後試料に対してシンチレーション流体を添加し、少なくとも24時間室温で暗所に置いて化学ルミネセンスを崩壊させた。これらの画分(消毒綿、洗液、皮膚層、及び受容体流体収集物からの残りの供試体)の全てを液体シンチレーション分光分析により評価して、各画分内の放射活性パーセンテージ及び皮膚表面を通して吸収された化学物質の量(合計回収用量のパーセンテージとして表現されたもの)を決定した。全ての皮膚層から回収した化学物質の量に対し受容体流体の合計放射活性を付加することによって、合計吸収量を計算した。システムから回収した全塗布用量で合計吸収値を除することによって吸収されたパーセンテージを計算した。
【0207】
結果(図4)は、時間の増加につれて、角質層を横断するオリゴヌクレオチドの量の増加があり、表皮を飽和させること、そしてこのとき化合物は有意な濃度で真皮層に浸透できることを示した。ヒトの皮膚外植体に対する72時間の塗布の後、皮膚内のさまざまな層に達する塗布済み化合物のパーセンテージは、角質層まで4.1%、表皮まで13.9%、そして真皮まで11.6%であった。化合物の大部分(68.7%)は外植体内に吸収されず、さまざまな皮膚層の分析に先立ち洗浄ステップにおいて回収された。塗布済み化合物のうち、わずか1.7%だけが皮膚外植体を通って浸透し、支持貫流流体に入った。
【0208】
テスト化合物での処理の後、2つの皮膚栓を成分部分に分離し、真皮層をその中に見い出される放射性標識の特性について分析した。試料をプロテアーゼで消化させ、次に当該技術分野において既知の手順に従って核酸をフェノールで抽出し、エタノールを沈殿させた。変性ポリアクリルアミド電気泳動(7Mの尿中20%のポリアクリルアミド)を用いて核酸試料を分析し、4週間の曝露後にオートラジオグラフを撮った。オートラジオグラフィのデンシトメーターによる分析は、真皮から抽出されたオリゴヌクレオチド化合物の大部分が、類似の長さの化合物のラダー及び出発材料と比較した場合に全長であったことを示した。全長であったパーセンテージは、ヒトヌクレアーゼの存在下でのホスホロチオアート修飾済みオリゴヌクレオチドについて予想されるように、24時間後に約91%、48時間後に約84%そして72時間後に約79%であった。かくして、放射性標識の浸透は、角質層下の層内へのオリゴヌクレオチドの浸透を反映している。
【0209】
各々の収集間隔についてテスト流入速度を計算し、各24時間インキュベーション期間について吸収されたパーセンテージの値を計算し、これを使用して表皮及び真皮内に被着した化合物の濃度を計算した(下表6参照)。最終的流入データ(流入についてのng/cm2/時単位)を分析して、値が90%の信頼限界外にある(シェルフラー(Schelfler)、WC 1991年)複数である「外れ値」を決定し、これらを削除した。外れ値として除外されなかった全ての複製の記述統計学(平均及び標準偏差)を次に計算した。結果は、わずかな量の化合物しか貫流内へと横断しないことそしてこの被着が真皮内の量の増大に従って時間依存型であることを示した。
【0210】
【表6】

【0211】
上述の実験から、角質層を通してのオリゴヌクレオチドの浸透がカチオン性リポソーム製剤、リポフェクチンの使用によって大幅に増強されないことを判定することが可能である。しかしながらジメチルイソソルビド、エチルアルコール、グリセリン、ポリエチレングリコールエステル、プロピレングリコール、パンテチン、亜鉛及びEDTA二ナトリウムを含有するビヒクルとオリゴヌクレオチドを組合わせると、角質層を横断する浸透の有意な増加が生成される。このビヒクルを用いて塗布されたオリゴヌクレオチドは、真皮内で約330nMの濃度を生成することができた。治療的応用分野で使用される核酸ベースの化合物については、これは、最も忠実なアンチセンス又はリボザイムアプローチについてのIC50が30のM未満であることから、効果を惹起するのに充分な濃度であろう。
【0212】
本発明は、以上の実施例を参考にして詳細に記述されてきたが、本発明の精神から逸脱することなくさまざまな変更を加えることが可能であるのは当然である。従って、本発明は上述のクレームによってのみ制限される。本出願中に参考指示された全ての引用特許、特許出願、特許公報及び文献論文は、明示的にその全体が本明細書に参照して援用される。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】抗ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型(抗−HS5αR)アンチセンスオリゴヌクレオチド(1μM DPC1528)又はミスセンス又はスクランブルアンチセンスオリゴヌクレオチド又は対照製剤を含有する局所製剤で4週間、5人の被験者からなるグループを1日2回ずつ治療した試験の結果を示す。アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する製剤は、ミスセンス及びビヒクル対照と比較して皮脂産生の25%の低下を生じた。
【図2】1μM(研究1及び2)又は5μM(研究3)抗−HS5αRアンチセンスオリゴヌクレオチド(DPC1528)を含む製剤で毎日2回ずつ4週間治療した後の皮脂産生の阻害を示す。1μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する製剤は、皮脂産生の24〜27%の低下をもたらし、5μMを含有する製剤は33%の低下を生じた。
【図3】抗−HS5αRアンチセンスオリゴヌクレオチド(DPC1528)での断続的治療後の皮脂産生の減少を示す。1μMのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する製剤を、各々2週間の介在期間治療無しで、4週間の期間2回にわたり局所的に2回塗布した。アンチセンスオリゴヌクレオチドを含有する製剤は最初の4週間にわたり皮脂産生の24%の低下を、又次の4週間にわたり20%の低下を生じた。
【図4】ヒトの皮膚外植体内のジメチルイソソルビドを含有するビヒクルによる〔35S〕−ホスホロチオエートオリゴヌクレオチドの送達の増強を示す。ジメチルイソソルビドを含有する処方中の7μM濃度のオリゴヌクレオチドで1回、2回又は3回処置されたヒトの皮膚外植体を、皮膚の角質層下層内に輸送される該化合物の能力についてテストした。オリゴヌクレオチド含有化合物を24時間皮膚に浸透させ、その後浸透を増強させる処方の能力を測定した。
【図5】DPC1676、ホスホロチオアート修飾済み21−ヌクレオチドアンチセンス阻害物質によるヒト5−α−レダクターゼII型を発現するCOS細胞内でのステロイド5α−レダクターゼII型の阻害、及び組成は類似であるが線形配列の異なる3つのスクランブル又は非アンチセンスホスホロチオアート修飾済み配列の発現阻害不良を示している。
【図6】21−マ−・ホスホDPC1676によるヒトステロイド5α−レダクターゼII型投与応答の投与応答阻害及びDPC1676から誘導されたスクランブル配列であるDPC1533による投与応答の欠如を示している。DPC1676についてのIC50は、約3nMであり、約10nMで最大の阻害が見られる。
【図7】ヒトステロイド5α−レダクターゼII型を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドDPC1676が、ヒト5aRII型を発現するCOS細胞に対し100nMで塗布した場合ビヒクル処置された対照細胞と比較して80%だけ5α−レダクターゼII型イソ型の発現を阻害することを示す。スクランブル対照ホスホロチオアートオリゴマ−PDC5265もDPC1676、DPC5277に対する逆相補型ホスホロチオアートオリゴヌクレオチドも発現を減少させなかった。しかしながら、DPC1676及びDPC5277の同時投与は、これらの2つのホスホロチオアートオリゴマ同士の結合を結果としてもたらし、5−α−レダクターゼ型IIについてmRNAに対し結合するDPC1676の能力を減少させ、ひいては、DPC1676が単独で投与された場合に標準的に見られるタンパク質の発現阻害を減少させた。このデータは、DPC1676がアンチセンス機序によりヒトステロイド5−α−レダクターゼII型の発現を阻害する能力をもつことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを含有する医薬組成物であって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする、医薬組成物。
【請求項2】
患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを含有する医薬組成物であって、前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分と相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする、医薬組成物。
【請求項3】
薬学的に許容される担体、ビヒクル又は賦形剤をさらに含有する請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
局所、静脈内、経口又は鼻腔内投与に適している、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項5】
投与が局所投与である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項6】
皮膚の角質層を通してのアンチセンスオリゴヌクレオチドの浸透を増強させる送達用製剤をさらに含有する請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記送達用製剤がエチルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコールエステル、EDTA、パンテチン及び二価カチオンを含む、請求項6に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記送達用製剤が約15〜約40%のエチルアルコール;約0.5〜約5.0%のプロピレングリコール;約0.5〜約5.0%のグリセリン;約0.1〜約2.0%のジメチルイソソルビド;約0.1〜約2.0%のポリエチレングリコールエステル;約0.01〜約0.5%のEDTA二ナトリウム;約0.01〜約0.2%のパンテチン及び約0.01〜約2%の二価カチオンを含有する、請求項7に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記組成物が約1週間の局所投与向けに処方されている、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記組成物がおよそ1日1回の投与向けに処方されている、請求項9に記載の医薬組成物。
【請求項11】
皮膚の炎症、皮脂分泌過剰に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症を治療又は予防するのに有用である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項12】
良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する上で有用である、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドがヒトステロイド5α−レダクターゼ1型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分に相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドがヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項19】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドがヒトステロイド5α−レダクターゼ2型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1のヌクレオチド1〜75の相補体、配列番号1のヌクレオチド620〜682の相補体及び配列番号1のヌクレオチド1175〜1250の相補体からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含有する、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号37、38、39、40、41、42、43、44、45及び46からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含有する、請求項2に記載の医薬組成物。
【請求項25】
第2の活性作用物質をさらに含む医薬組成物であって、前記第2の活性作用物質が抗真菌剤、H1受容体拮抗薬、レチノイド、抗肥満薬、ホルモン、ホスホジエステラーゼ−5阻害物質、抗生物質、抗癌剤、局所ステロイド又は収斂薬である、請求項1又は2に記載の医薬組成物。
【請求項26】
テストステロンのジヒドロテストステロンへの変換を阻害することによって治療又は予防できる障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法。
【請求項27】
必要とする患者における、皮膚の炎症、皮脂分泌過剰に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する方法において、前記患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法。
【請求項28】
テストステロンのジヒドロテストステロンへの変換を阻害することによって治療又は予防できる障害を治療又は予防する方法であって、それを必要とする患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法。
【請求項29】
必要とする患者において皮膚の炎症、皮脂分泌過剰に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症、良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する方法であって、前記患者に対し、患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチド又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを投与することを含有する方法。
【請求項30】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが翻訳開始部位、前記翻訳開始部位に対する領域5’、前記翻訳開始部位に対する領域3’、前記mRNAの前記5’cap領域、前記mRNAの前記cap領域に対する領域5’、前記mRNAの前記cap領域に対する領域3’及び前記3’非翻訳領域からなる群から選択されている前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型転写物の領域に結合する、請求項26、27、28又は29に記載の方法。
【請求項31】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1のヌクレオチド1〜75の相補体、配列番号1のヌクレオチド620〜682の相補体及び配列番号1のヌクレオチド1175〜1250の相補体からなる群から選択された少なくとも約8個の連続するヌクレオチドの配列を含む、請求項26、27、28又は29に記載の方法。
【請求項32】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの長さが約8〜約50ヌクレオチドである、請求項26、27、28又は29に記載の方法。
【請求項33】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11からなる群から選択された少なくとも約8個の連続するヌクレオチドの配列を含む、請求項26、27、28又は29に記載の方法。
【請求項34】
前記組成物がさらに、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の活性を実質的に阻害する第2の分子を含んでなる、請求項26、27、28又は29に記載の方法。
【請求項35】
前記組成物が約1週間にわたり皮膚に塗布される請求項26、27、28又は29に記載の方法。
【請求項36】
前記組成物が1日約1回皮膚に塗布される、請求項15に記載の方法。
【請求項37】
ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する少なくとも1つのアンチセンスオリゴヌクレオチドを含み、さらに角質層を通しての前記アンチセンスオリゴヌクレオチドの浸透を増強するための作用物質を含有する、皮膚の障害を治療又は予防するための皮膚科用組成物。
【請求項38】
前記浸透を増強する作用物質がエチルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコールエステル、EDTA、パンテチン及び二価カチオンである、請求項37に記載の皮膚科用組成物。
【請求項39】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号1のヌクレオチド1〜75の相補体、配列番号1のヌクレオチド620〜682の相補体及び配列番号1のヌクレオチド1175〜1250の相補体からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含む、請求項38に記載の皮膚科用組成物。
【請求項40】
前記アンチセンスオリゴヌクレオチドが配列番号2、3、4、5、6、7、8、9、10及び11からなる群から選択された少なくとも8個の連続するヌクレオチドの配列を含有する、請求項38に記載の皮膚科用組成物。
【請求項41】
前記組成物が皮脂性物質による皮膚の毛穴の閉塞を阻害する第2の作用物質をさらに含有する、請求項38に記載の皮膚科用組成物。
【請求項42】
前記第2の分子がレチノイン酸、トレチノイン、又はレチン−Aである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ1型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのリボザイム又はsiRNA又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを含有する医薬組成物。
【請求項44】
患者のヒトステロイド5α−レダクターゼ2型の発現を実質的に阻害する治療上有効な量の少なくとも1つのリボザイム又はsiRNA又はその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、クラスレート、多形体又はプロドラッグを含有する医薬組成物。
【請求項45】
薬学的に許容される担体、ビヒクル又は賦形剤をさらに含有する請求項43又は44に記載の医薬組成物。
【請求項46】
局所、静脈内、経口又は鼻腔内投与に適している、請求項43又は44に記載の医薬組成物。
【請求項47】
前記投与が局所投与である、請求項4に記載の医薬組成物。
【請求項48】
皮膚の角質層を通してのアンチセンスオリゴヌクレオチドの浸透を増強させる送達用製剤をさらに含有する請求項43又は44に記載の医薬組成物。
【請求項49】
前記送達用製剤がエチルアルコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジメチルイソソルビド、ポリエチレングリコールエステル、EDTA、パンテチン及び二価カチオンを含有する、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項50】
前記送達用製剤が約15〜約40%のエチルアルコール;約0.5〜約5.0%のプロピレングリコール;約0.5〜約5.0%のグリセリン;約0.1〜約2.0%のジメチルイソソルビド;約0.1〜約2.0%のポリエチレングリコールエステル;約0.01〜約0.5%のEDTA二ナトリウム;約0.01〜約0.2%のパンテチン及び約0.01〜約2%の二価カチオンを含有する、請求項49に記載の医薬組成物。
【請求項51】
前記組成物が少なくとも約4週間の局所投与向けに処方されている、請求項48に記載の医薬組成物。
【請求項52】
前記組成物が1日2回の投与向けに処方されている、請求項51に記載の医薬組成物。
【請求項53】
皮膚の炎症、皮脂分泌過剰に関係する障害、ステアトーマ、嚢腫性座瘡、過剰ケラチン産生、面皰、丘疹、稗粒腫、脂漏性皮膚炎、ふけ、脂漏性湿疹、乳児脂漏性湿疹、脂漏性角化症、酒さ、口囲皮膚炎、皮脂嚢胞、尋常性座瘡、油性肌、脂漏性いぼ、老人性いぼ、基底細胞乳頭腫、多毛症、黒色丘疹性皮膚症を治療又は予防するのに有用である、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項54】
良性前立腺肥大、前立腺癌、尿失禁、男性ホルモン性脱毛症及び男性型禿頭症を治療又は予防する上で有用である、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項55】
前記リボザイムが、ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項56】
前記リボザイムがヒトステロイド5α−レダクターゼ1型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項57】
前記リボザイムが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする、請求項43に記載の医薬組成物。
【請求項58】
前記リボザイムが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ1型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項59】
前記リボザイムが、ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするヌクレオチド配列の少なくとも一部分に相補的であり、それと特異的にハイブリダイズする、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項60】
前記リボザイムがヒトステロイド5α−レダクターゼ2型と呼称されるタンパク質をコードするmRNA転写物に特異的にハイブリダイズする、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項61】
前記リボザイムがヒトステロイド5α−レダクターゼ2型によりコードされる前記mRNA転写物の翻訳開始部位、5’−非翻訳配列、3’−非翻訳配列、イントロン/エキソンジャンクションのいずれか、又は介在配列に特異的にハイブリダイズする、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項62】
前記リボザイムが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型転写物の5’cap部位又は5’cap部位に隣接する領域に特異的にハイブリダイズする、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項63】
前記リボザイムが前記ヒトステロイド5α−レダクターゼ2型mRNA転写物内のコード配列の一部分に特異的にハイブリダイズする、請求項44に記載の医薬組成物。
【請求項64】
第2の活性作用物質をさらに含有する請求項43又は44に記載の医薬組成物。
【請求項65】
前記第2の活性物質が、抗真菌剤、H1受容体拮抗薬、レチノイド、抗肥満薬、ホルモン、ホスホジエステラーゼ−5阻害物質、抗生物質、抗癌剤、局所ステロイド又は収斂薬である、請求項43又は44に記載の医薬組成物。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2007−509151(P2007−509151A)
【公表日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536703(P2006−536703)
【出願日】平成16年10月20日(2004.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/034510
【国際公開番号】WO2005/042741
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(506137642)ダイアド ファーマシューティカル コーポレーション (1)
【Fターム(参考)】