5−アミノレブリン酸の不飽和アルキルエステル、その製法及びその用途
【課題】5−アミノレブリン酸の不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩、その製法及びその用途を提供する。
【解決手段】本発明は、下記化学式Iの5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩、その製法及びその用途に関する:
【化1】
前記化学式(I)で、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
本発明は、5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩の製法及び化合物を含有した光線力学療法による皮膚疾患治療用の薬学的組成物に関する発明であって、本発明の実施によって経皮吸収が容易で細胞毒性の少ない化合物を提供し、アミノ基の保護過程を経ないことによって、収率を高めた製法を提供することを特徴とする。
【解決手段】本発明は、下記化学式Iの5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩、その製法及びその用途に関する:
【化1】
前記化学式(I)で、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
本発明は、5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩の製法及び化合物を含有した光線力学療法による皮膚疾患治療用の薬学的組成物に関する発明であって、本発明の実施によって経皮吸収が容易で細胞毒性の少ない化合物を提供し、アミノ基の保護過程を経ないことによって、収率を高めた製法を提供することを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記化学式Iの5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩、その製法及びその用途に関する。
【0002】
【化1】
前記化学式Iで、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
【0003】
また、本発明は、前記化学式(I)の化合物及びそれの薬学的に許容されるその塩を有効成分として含むにきび治療用の薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
5−アミノレブリン酸(5−aminoleculinic acid、ALA)は、光線力学療法(photodynamic therapy、PDT)に使われる光敏感物質の前駆物質である。
【0005】
ALAが塗布や貼布などを通じて皮膚に吸収されれば、細胞内に移動したALAがポルフィリン(porphyrin)の生合成過程を通じてプロトポルフィリンIX(protoporphyrinIX、PpIX)という光線力学療法に利用される実質的な光敏感剤に変わる。
【0006】
ALAは、同じ条件で正常細胞や正常組職よりは、非正常細胞や非正常組職にさらに早く吸収されて光敏感剤であるプロトポルフィリンに転換される。
【0007】
プロトポルフィリン(PpIX)は、可視光線領域(450〜650nm)の光を吸収すれば蛍光を表わすが、この蛍光は、周辺酸素分子にエネルギーを供給して安全な酸素を活性酸素の一つであるsigglet oxygenに転換させて、周辺にある細胞や組職を破壊する毒素として作用する。
【0008】
したがって、プロトポルフィリンを高濃度で蓄積させた非正常細胞または非正常組職(皮膚)に光を照射すれば、さまざまな治療効果を表わす。
【0009】
しかし、ALAは、新水性は強く、疎水性が弱くて皮膚の角質層及び細胞壁のような障壁を容易に通過することができないために、細胞内へのALAの蓄積に時間がかかるか、所望の治療効果を奏し得ない短所がある。
【0010】
このような点のために、ALAを細胞内に効果的に伝達する方法でALAをメチルエステル(methyl ester)やブチルエステル(butyl ester)などの誘導体で作って使う方法がある。この方法は、カルボン酸より親水性が大きく減少して脂質層が存在する皮膚の角質層と細胞壁のような障害物を通過するのに非常に効果的であるが、この化合物は使用範囲が狭く、制限的な短所を有する。
【0011】
また、前述したエステルの誘導体合成法は、アミノ作用基を保護する保護基を導入し、これを再び除去しなければならない複雑な過程を通さなければならないために、生産効率が低くて、実用化には難点があった。
【0012】
したがって、本発明は、ALAを細胞内に効果的に伝達しながら幅広くに使うことができる不飽和アルキル基を有したエステルなどの誘導体を作って使う方法を開発するようになり、このような不飽和アルキル基を有したエステルはいまだに報告された例がない。
【0013】
また、ALAでアミノ保護基を使わずにエステルを合成する方法は、いろいろ他のエステルを開発して研究するのに有用であるので、本発明では、アミノ保護基を使わずにエステルを合成して収率の高いALAエステルの製法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記問題点を改善するために案出されたものであって、本発明は、経皮吸収が容易な形態である5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を提供することにその目的がある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記化合物を高収率で得ることができる製法を提供することである。
【0016】
本発明のまた他の目的は、前記化合物を含んだ皮膚疾患治療用の薬学的組成物を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、前述した目的に制限されず、言及されていないまた他の目的は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを果たす方法は、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、相異なる多様な形態に具現可能であり、単に本実施例は、本発明の開示を完全にさせ、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範疇によって定義されるだけである。明細書全体に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を指称する。
【0019】
前記目的を果たすために、本発明は、下記化学式(I)で表示される5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を提供する:
【0020】
【化2】
前記化学式(I)で、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
【0021】
また、他の目的を果たすために、本発明は、(a)下記化学式(II)化合物を塩化チオニル及びN,N−ジメチルホルムアミドと反応させる段階と、(b)前記(a)段階で得られた物質をアリルアルコール、3−ブテノール(3−butenol)、4−ペンテノール(4−pentenol)、5−ヘキセノール(5−hexenol)、シス−2−ペンテノール(cis−2−pentenol)、シス−3−ヘキセノール(cis−3−hexenol)、シス−4−ヘキセノール(cis−4−hexenol)及びトランス−2−ヘキセノール(trans−2−hexenol)からなる群から選択された不飽和アルコールと反応させる段階と、を含む前記5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩の製法を提供する:
【0022】
【化3】
また、また他の目的を果たすために、本発明は、前記5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む皮膚疾患治療用の薬学的組成物を提供する。
【0023】
この際、本発明で皮膚疾患は、局部的な皮膚疾患の治療に使うことができるが、具体的に、にきびまたは皮膚癌の皮膚疾患治療に使うことができ、このうち皮膚癌は、詳細に光線角化症や砒素角化症などの皮膚前駆癌や基底細胞癌の皮膚癌治療に使うことができる。
本発明は、化合物とその製法及び光線力学療法に前記化合物を含有した治療用の薬学的組成物に関する発明であって、本発明の実施によって経皮吸収が容易で細胞毒性の少ない化合物を提供し、アミノ基の保護過程を経ないことによって、収率を高めた製法を提供することを特徴とする。
【0024】
本発明による皮膚疾患治療用の薬学的組成物は、レミントン薬剤学ハンドブック(Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook,Mack Pub,Co.,N.Y.,USA)などの公知された方法によって、有効成分である本発明の5−アミノレブリン酸アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を薬学的に許容された担体と混合して、皮膚に局所的に塗るか塗布することができるクリーム、軟膏、ローションまたはパッチ(patch)の剤型で製造することができる。望ましくは、本発明の5−アミノレブリン酸アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩は、薬学的組成物総重量基準に約15%(w/v)または15%(w/w)を使う。
【0025】
前記担体は、塩水、緩衝剤、デクストロース、水、グリセロール、リンゲル液、ラクトース、スクロース、珪酸カルシウム、メチルセルロース、エタノール及びこれらの混合物などを使うことができる。但し、本発明の担体が、前述した担体に限定されるものではない。
【0026】
それ以外に、本発明による皮膚疾患治療用の組成物の剤型に充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などをさらに含んで製造することができる。
【0027】
本発明の5−アミノレブリン酸アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩の有効量は、使用目的及び患者の疾患軽重によって当業者によって決めることができるが、具体的に、一回使用時に薬学的組成物基準に1gを超えないようにすることが望ましい。
本発明の薬学的組成物は、患者の病変皮膚に均等に塗布するか貼布するが、投与して4時間を超過しないようにする。
【0028】
本発明の薬学的組成物を塗布した皮膚の局所部位は、光敏感反応を示すことができるために、塗布した部位は光を遮断しなければならない。
【0029】
光線力学療法で治療した部位には、最小48時間光線遮断剤(sunscreen)をさらに塗布して光を遮断させることが望ましい。
【0030】
また、本発明は、経皮吸収が容易で細胞毒性の少ない化合物を提供し、アミノ基の保護過程を経ないことによって、収率を高めた製法を提供することを特徴とする。
【0031】
本発明の化合物及び薬学的に許容されたその塩を製造する方法は、次の通りである。
【0032】
1.5−アミノレブリン酸 2−プロペニル塩酸塩[(5−アミノレブリン酸アリル塩酸塩)2−propenyl 5−aminolevulinate hydrochloride、(ALA allyl ester hydrochloride)]
【0033】
【化4】
2.5−アミノレブリン酸 3−ブテニル塩酸塩(3−butenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0034】
【化5】
3.5−アミノレブリン酸 4−ペンテニル塩酸塩(4−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0035】
【化6】
4.5−アミノレブリン酸 5−ヘキセニル塩酸塩(5−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0036】
【化7】
5.5−アミノレブリン酸 cis−2−ペンテニル塩酸塩(cis−2−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0037】
【化8】
6.5−アミノレブリン酸 cis−3−ヘキセニル塩酸塩(cis−3−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0038】
【化9】
7.5−アミノレブリン酸 cis−4−ヘキセニル塩酸塩(cis−4−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0039】
【化10】
8.5−アミノレブリン酸 trans−2−ヘキセニル塩酸塩(trans−2−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0040】
【化11】
【発明の効果】
【0041】
本発明によるALAエステルは、細胞毒性が少なく、経皮吸収が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、当業者において、本発明の技術的思想を外れない範囲内でさまざまな置き換え、変形及び変更が可能であるので、実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
〔実施例1〕
5−アミノレブリン酸 2−プロペニル塩酸塩[5−アミノレブリン酸アリル塩酸塩)2−propenyl 5−aminolevulinate hydrochloride、(ALA allyl ester hydrochloride)]の製造
【0044】
【化12】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、5−アミノレブリン酸塩酸塩(ALA.HCl、200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてアリルアルコールを入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 2−プロペニル塩酸塩[(5−アミノレブリン酸アリル塩酸塩)2−propenyl 5−aminolevulinate hydrochloride、(ALA allyl ester hydrochloride)]を73%の収率で得た。
【0045】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.57(s、3H)、6.2〜6.09(m、1H)、5.57〜5.41(m、2H)、4.77(dt、J=5.4Hz、1.5Hz、2H)、4.15(br s、2H)、3.05(t、J=6Hz、2H)、2.81(t、J=6Hz、2H);13C NMR(75MHz,DMSO−d6):δ171.8、152.63、143.22、132.62、117.58、64.36、31.78、28.86。
【0046】
〔実施例2〕
5−アミノレブリン酸 3−ブテニル塩酸塩(3−butenyl 5−aminolevulinate hydrochloride )の製造
【0047】
【化13】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させて3−ブテノール(3−butenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 3−ブテニル塩酸塩(3−butenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を77%の収率で得た。
【0048】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.24(s、3H)、5.80〜5.74(m、1H)、5.16〜5.04(m、2H)、4.06(t、J=6.63Hz、2H)、2.80(t、J=6.63Hz、2H)、2.52(t、J=6.6Hz、2H)、2.33(q、J=6.54、2H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ172.07、152.64、143.20、134.43、117.07、62.88、32.52、31.90、28.91。
【0049】
〔実施例3〕
5−アミノレブリン酸 4−ペンテニル塩酸塩(4−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0050】
【化14】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させて4−ペンテノール(4−pentenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて減圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 4−ペンテニル塩酸塩、4−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochlorideを47%の収率で得た。
【0051】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.27(s、3H)、5.84〜5.73(m、1H)、5.06〜4.94(m、2H)、4.0(t、J=6.6Hz、2H)、3.97(s、2H)、2.79(t、J=6.3Hz、2H)、2.54(t、J=6.6Hz、2H)、2.06(q、J=7.6Hz、2H)、1.65(quintet、J=6.6Hz、2H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ172.09、152.67、143.18、137.68、115.20、63.20、31.91、29.39、28.91、27.18。
【0052】
〔実施例4〕
5−アミノレブリン酸 5−ヘキセニル塩酸塩(5−hexenyl 5−aminolevulinate hydro chloride)の製造
【0053】
【化15】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、5−アミノレブリン酸塩酸塩(ALA.HCl、200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させて5−ヘキセノール(5−hexenol)を入れる。反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 5−ヘキセニル塩酸塩(5−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を89%の収率で得た.
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.33(s、3H)、5.85〜5.71(m、1H)、5.04〜4.92(m、2H)、3.99(t、J=6.5Hz、2H)、3.93(s、2H)、2.78(t、J=6.6Hz、2H)、2.53(t、J=6.6Hz、2H)、2.02(q、J=7Hz、2H)、1.56(quintet、J=6.7Hz、2H)、1.38(quintet、J=5.1Hz、2H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ202.66、172.05、138.41、115.02、63.92、46.52、34.26、32.69、27.56、27.08、24.55。
【0054】
〔実施例5〕
5−アミノレブリン酸 cis−2−ペンテニル塩酸塩(cis−2−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0055】
【化16】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてシス−2−ペンテノール(cis−2−pentenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 cis−2−ペンテニル塩酸塩(cis−2−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を68%の収率で得た。
【0056】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.37(s、3H)、5.62〜5.58(m、1H)、5.47〜5.41(m、1H)、4.56(d、J=6.8Hz、2H)、3.93(s、2H)、2.79(t、J=6.3Hz、2H)、2.53(t、J=6.5Hz、2H)、2.06(quintet、J=7Hz、2H)、0.92(t、J=7.5Hz、3H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ171.94、152.62、143.18、136.30、123.03、59.60、31.90、28.91、20.27、13.86。
【0057】
〔実施例6〕
5−アミノレブリン酸 cis−3−ヘキセニル塩酸塩(cis−3−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0058】
【化17】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてシス−3−ヘキセノール(cis−3−hexenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 cis−3−ヘキセニル塩酸塩(cis−3−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を72%の収率で得た。
【0059】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.42(br s、3H)、5.43−5.35(m、2H)、3.97(t、J=6Hz、2H)、3.91(s、2H)、2.79(t、J=6Hz、2H)、2.50(t、J=6Hz、2H)、2.04(q、J=7Hz、2H)、1.59(quintet、J=7Hz、2H)、1.56(t、J=7Hz、3H);13C NMR(75MHz、CDCl3):δ202.59、172.81、134.78、123.83、64.65、48.25、35.21、27.72、26.85、20.83、14.45。
【0060】
〔実施例7〕
5−アミノレブリン酸 cis−4−ヘキセニル塩酸塩(cis−4−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0061】
【化18】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてシス−4−ヘキセノール(cis−4−hexenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 cis−4−ヘキセニル塩酸塩、cis−4−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochlorideを90%の収率で得た。
【0062】
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ8.25(s、3H)、5.51〜5.45(m、1H)、5.39〜5.33(m、1H)、4.28(s、2H)、4.05(t、J=6.7Hz、2H)、2.92(t、J=6Hz、2H)、2.65(t、J=6Hz、2H)、2.10(q、J=7.2Hz、2H)、1.67(t、J=7Hz、2H)、1.80(d、J=6Hz、3H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ202.35、172.60、129.05、124.92、64.49、47.91、34.96、28.32、27.49、23.12、12.73。
【0063】
〔実施例8〕
5−アミノレブリン酸 trans−2−ヘキセニル塩酸塩(trans−2−hexenyl 5−aminolevulin−ate hydrochloride)の製造
【0064】
【化19】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてトランス−2−ヘキセノール(trans−2−hexenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 trans−2−ヘキセニル塩酸塩(trans−2−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を70%の収率で得た。
【0065】
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ8.21(s、3H)、5.81〜5.71(m、1H)、5.58〜5.49(m、1H)、4.50(d、J=6.5Hz、2H)、4.27(s、2H)、2.92(t、J=6.5Hz、2H)、2.66(t、J=6.5Hz、2H)、2.02(q、J=7.5Hz、2H)、1.40(sixtet、J=7.4Hz、2H)、0.9(t、J=7.4Hz、3H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ171.84、152.62、143.19、135.13、124.19、64.37、33.58、31.88、28.91、21.50、13.41。
【0066】
〔実験例〕
1.公示材料
ア.細胞株
人体表皮角質形成細胞株(human epidermal keratinocyte、HEK)、
人体真皮線維細胞株(human dermal fibroblast、hF)
扁平細胞癌細胞株:A431(KCLB No.80005)
悪性黒色腫細胞株:TXM13(KCLB No.80029)
イ.動物
ICRマウス(大韓バイオリンク、韓國生命工學研究院、韓国)7〜8株の雌(female;♀)
ウ.光源照射器
光源照射器は、LED(Light Emitting Diode)光源器を利用し、最大波長410nm(波長帯;400〜430nm)であるblue light(青色)及び635nm(波長帯;615〜645nm)である赤色LED(Luxeon、Lumileds Light)を用いて5−30J/cm2の光源量を照射した。
【0067】
2.溶解度検査
本実験は、前記実施例で製造された本発明のALAエステル(粉末)の溶媒別の溶解度検査を実行した。
【0068】
その結果を下記表1に表わした。
【0069】
【表1】
前述した結果、本発明のALAエステルは、アルコール、水、DMSOなどの溶媒に易しく溶解される特性を有していることが分かった。
【0070】
したがって、本発明のALAエステルは、局所用の外用軟膏剤などの剤型化で水溶性または油溶性媒介剤(vehicle)をいずれも使うことができる。
【0071】
3.細胞毒性検査(細胞生存率検査)
本実験は、細胞毒性検査であるMTT assay(Chemicon、serologicals corporation、USA)を通じて次のような細胞毒性検査を実行した。
【0072】
細胞株は、各well当たり3×104個の細胞株が含まれるように96well plate(Nunc Do、Denmark)に種まきした。
約24時間経過後、細胞が培養容器の底を60〜70%程度覆った時、ALA及びALA−esterを濃度別に含有した無血清培養液100ulずつ交換して24時間さらに培養した。
【0073】
培養液にMTT溶液(0.5mg/mL)をwell当たり10ulずつ添加して4時間反応してFomazan結晶体を形成させた後、発色溶液(isopropanol with 0.04 N HCl)を100ulずつ入れて不溶性であるFomazan結晶体を溶解させた。
【0074】
溶解物の吸光度は、570nm波長下にELISA判読器(EMAX、Molecular Device、USA)で測定した。
【0075】
(1)人体表皮角質形成細胞株(HEK)
ALA及び本発明のALAエステルを処理した人体角質形成細胞(human epidermal keratinocyte)で細胞生存率の結果を対照区(ALA)と比べて、下記表1及び表2に表わした。この際、表1と表2は、相異なる時期に実験して異なる数値方法で表わしたものである。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
(2)人体真皮線維細胞株(hF)
【0078】
【表4】
(3)扁平細胞癌細胞株(A431)
【0079】
【表5】
(4)悪性黒色腫細胞株(TMX13)
【0080】
【表6】
前述した表1ないし表5に表わしたように、ALA及びALAエステルは、1mM以下の濃度では人体表皮角質形成細胞株であるHEKを除外したすべての細胞生存率が70%以上を保持することが分かった。これは、本発明の不飽和アルキル基を有したALAエステルは、ALAと比べて毒性反応を有さないことを示したものである。
【0081】
4.蛍光分光法(Fluorescence spectroscopy)
蛍光分光法を通じてALA及び不飽和アルキル基を有したALAエステルによるPpIXの合成量を細胞及び皮膚組職で定量化した。
【0082】
PpIX合成量は、蛍光分光器(fluorescence spectrophotometer、Uvikon、model943)を用いて測定した。この際、蛍光測定は、浮き上がり波長を408nmにして測定した。
【0083】
ア.細胞株
2×105個の各細胞株は、10cm2のdishes(Falcon)に分周させて、70〜80%の融合された状態(confluent state)になった時、ALA及びALAエステルを濃度別(0.001〜1mM)に含有した無血清培養液を添加して4時間培養した。
【0084】
培養物は、PBSで一回水洗した後、1M次亜塩素酸(HClO4)が含有された50%メタノール(methanol)溶液を入れてコスターセルスクレーパー(Costarcell scraper)で掻き出した(scraping)。
【0085】
セルスクレーパーで回収した細胞は、5分間培養し、遠心分離して上澄み液を分離した。
【0086】
分離された上澄み液は、蛍光分光度計(spectrofluorimeter)を用いて興奮波長が405nmであり、放出波長が605nmにして測定した。
【0087】
その結果は、図1及び図2に図示した。
【0088】
前記測定結果、本発明のALAエステル、すなわち、ALA−1、4、6は、ALAと比較時、A431細胞株内でPpIX合成がさらに高いことが分かった(図1)。
【0089】
また、すべての細胞株でPpIX合成量は、0.01〜1mMのALA及び本発明のALAエステルの処理濃度と比例して増加することが分かった。また、同一の細胞株でPpIX合成量を観察した結果、本発明のALAエステル、すなわち、5−アミノレブリン酸の不飽和アルキルエステルは、ALAと比較時、効果的に細胞内でPpIXを合成することができることが分かった(図2)。この際、図2で、(A)は人体角質形成細胞(HEK)、(B)は人体真皮線維細胞株(hF)、(C)は扁平細胞癌細胞株(A431)及び(D)は悪性黒色腫(TXM13)を表わしたものである。
【0090】
前述した結果、本発明のALAエステルは、正常細胞及び癌細胞でPpIXを合成できることを示す。
【0091】
イ.組職
(1)軟膏剤の製造
ALA及び本発明のALAエステルを含有した軟膏剤は、ALA及び本発明のALAエステル粉末とオクタデシルアルコール、ポリエチレングリコール、精製水などで組成されている水溶性ベース(water soluble base)である水溶性軟膏基剤(SAMABASE、韓国)を混合して製造した。この際、ALA及び本発明のALAエステルの混合比率は、それぞれ5%、10%及び15%(w/w)にした。
【0092】
(2)臨床
前記製造した濃度別の軟膏剤は、毛が除去されたICRマウスの背中(back)に一定量(0.25g)を塗布させた。
【0093】
塗布1時間及び4時間が経た後、ICRマウスは頸部を脱骨させて殺した後、ICRマウスなどの皮膚を採取した。
【0094】
採取した皮膚500mgは、トリプシン/EDTA(trypsin/EDTA)溶液2mlに入れた後、30,000rpm及び5分間組職均質器(tissue homogenizer)で均質化した。
【0095】
均質物は、暗室(Darkroom)に入れて37℃で1時間タンパク質分解反応を実行し(trypsinized)、1M過塩素酸(perchloric acid)を含有した50%(w/w)メタノール2mlを添加した後、遠心分離して上澄み液を収得した。
【0096】
分離された上澄み液は、蛍光分光度計を用いて興奮波長が405nmであり、放出波長が605nmにして測定した。
【0097】
その結果は、図3及び図4に図示した。
【0098】
前述した蛍光分光法を利用した測定結果、ALAと同様に本発明のALAエステルも吸収されてPpIXを合成できることが分かり、本発明のALAエステルがALAに比較時、さらに細胞壁をより容易に通過して光敏感剤であるPpIX物質をさらに多く合成できることが分かった(図3)。
【0099】
また、皮膚組職で吸収された本発明のALAエステルは、ALAと比べて皮膚角質の脂質層をより容易に通過して光敏感剤であるPpIX物質をさらに多く合成できることが分かり、生体でのPpIX合成は、塗布時間と量とによって左右されることが分かった(図4)。
【0100】
5.蛍光顕微鏡観察法
前記本発明のALAエステルを含んだ軟膏剤は、前記同一の方法で各細胞株及びICRマウスの皮膚組職に処理し、該処理した細胞株と皮膚組職で合成されたPpIXの発現部位とを蛍光顕微鏡で観察した。
【0101】
ア.細胞株
本実験は、本発明のALAエステル及びALAを正常細胞株である人体角質形成細胞(HEK)と人体真皮線維細胞株(hK)及び癌細胞である扁平細胞癌細胞株であるA431(C)と悪性黒色腫細胞株であるTXM13(D)の培養液に**mMで処理した後、各細胞の細胞質で合成されるPpIXの蛍光を蛍光顕微鏡で観察した。
【0102】
図5に図示したように、本発明のALAエステル及びALAを正常細胞株である人体角質形成細胞(A)と人体真皮線維細胞株(B)、扁平細胞癌細胞株(A431)と及び悪性黒色腫(TXM13)に処理した場合、すべての細胞の細胞質でいずれもPpIXが合成されて蓄積されていることが分かった(図5)。これは、正常細胞及び癌細胞でALAだけではなく、ALAエステルによってPpIXを合成できることを示す。
【0103】
イ.皮膚組職
本実験は、本発明のALAエステル及びALAを含んだ軟膏剤をIPCマウス皮膚に塗布した後、1時間、2時間及び3時間後に発現されるPpIXを蛍光顕微鏡で測定した。
【0104】
その結果を図6及び図7に図示した。
【0105】
図6に図示されたように、IPCマウスの正常皮膚組職で経時的にPpIXの合成量が増加することが分かった。特に、皮膚組職の表皮と皮脂腺で経時的に強く発現された。この際、(A)は1時間、(B)は2時間、(C)は3時間及びControlは、対照群を表わしたものである。
【0106】
図7に図示されたように、多様な皮膚疾患を表わす病変組職では、PpIXが特定の癌細胞の部位から発現されることを観察できた。
【0107】
前述した結果から、本発明のALAエステルを含んだ軟膏剤は、特定病変組職の治療が可能であることを確認できた。
【0108】
6.細胞枯死(apoptosis)及び細胞死(cell death)研究
ア.細胞株
流体細胞測定法(Flow cytometry、FACS:FACSCalibur、BD、USA)を用いて6well plateに培養した各細胞株は、ALA及び本発明のALAエステルで処理し、LED可視光線を照射した後、Annexin V−FITCとPI(Annexin V−FITC Apoptosis detectionKit、BD)とで染色して、細胞枯死(apoptosis)を測定した。
【0109】
その結果は、図8に図示した。
【0110】
図8に図示したように、ALA及び本発明の不飽和ALAアルキルエステルで処理していない細胞とALA及びALAエステルを投与して可視光線を照射していない場合と可視光線である光源のみを照射(5−20J/cm2)した場合、細胞は85%以上の生存率を表わした(図8A及び図8B)。しかし、1mM ALAと本発明のALAエステルを処理して光を照射した場合(5−20J/cm2)に細胞は細胞枯死(Annexin V+/PI−)や細胞枯死の末期段階(Annexin V+/PI+)に進行した(図8C及び図8D)。
【0111】
イ.皮膚組職
濃度別(5〜15%)にALA及び本発明のALAエステルを含有した軟膏剤は、毛が除去されたICRマウスの背中に一定量(0.25g)を塗布させた。
【0112】
1時間と4時間が経過した後、塗布された皮膚部位にLED可視光線(照射量25J/cm2)を照射した。
【0113】
24時間、48時間及び72時間経過した後、マウスなどで皮膚組職を採取し、該採取された皮膚組職は、ヘマトキシリン−エオジン(Hematoxylin−eosin;H&E)で染色して組職の細胞死を観察した。
【0114】
その結果を図9及び図10に図示した。
【0115】
図9に図示したように、ALA及び本発明のALAエステルを皮膚に塗布して光線を照射したマウス群では、24時間に皮膚組職の表皮が壊死または枯死が観察され(図9A)、48時間後には、皮膚組職の表皮が壊死と再生とが同時に観察された(図9B及び図9C)。この際、図9で(A)は、ALA塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(B)は、ALA−1(ALA−methyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射48時間後を表わしたものであり、(C)は、ALA−6(ALA−hexenyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射48時間後を表わしたものであり、(D)は、対照群で不飽和アルキルエステルを塗布した後、光線照射をしない場合を表わしたものである。
【0116】
図10に図示されたように、皮脂腺が一部または全部破壊されるか萎縮されることが観察された。これは、皮脂腺が関与するにきび皮膚疾患の治療に関与することができることを示唆する。この際、(A)は、ALA塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(B)は、ALA−1(ALA−methyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(C)は、ALA−6(ALA−hexenyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(D)は、対照群で不飽和アルキルエステルを塗布した後、光線照射をしない場合を表わしたものである。
【0117】
7.貼布検査(patch test)
本実験例は、前記4−(イ)−(1)で製造した軟膏剤がアレルギー性及び原発性接触皮膚炎(allergic and primary contact dermatitis)を起こすかどうかを調べるのために、50名の正常人を対象で貼布検査を施行した。
【0118】
正常ICRマウス(60匹)の皮膚に5%、10%及び15%(w/w)濃度の軟膏剤を6時間と12時間塗布した後、蒸溜水で軟膏を除去し、軟膏剤を塗らなかった対照群(20匹)と比べて90日間肉眼で皮膚を観察した。
【0119】
また、正常人体の皮膚に5%、10%及び15%濃度の軟膏剤を塗布して6時間、12時間及び24時間蜜閉した後に塗布部位を観察した。
【0120】
その結果、マウス(図示せず)や人体皮膚(図11)にいずれも陰性所見を示した。
したがって、本発明のALAエステルを含んだ軟膏剤は、如何なるアレルギー性または一次的接触(光毒性)皮膚炎も引き起こさないことが分かった。
【0121】
8.本発明による軟膏剤の皮膚疾患治療効果
本実験は、15%(w/w)のALA−6(ALA hexenyl ester)を含有した軟膏剤をにきび、光線角化症、砒素角化症及び基底細胞癌の患者に光線力学療法で治療して、治療効果があるか否かを確認しようとした。
【0122】
その結果、図12ないし図19に図示されたように、にきび、光線角化症、砒素角化症及び基底細胞癌治療に効果があるということが分かった。この際、図12ないし図17は、にきび治療効果を患者別に表わしたものであり、図18は、光線角化症(A)と砒素角化症(B)との治療効果を表わしたものであり、図19は、基底細胞癌の治療効果を表わしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明では、ALAの効果的なエステルを開発して光線力学療法に利用される既存のALAより安全で効果的な光敏感物質として光線力学療法で皮膚疾患治療用の薬学的組成物に利用し、また、それら化合物を効率的に合成する製法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明のALAエステルを処理したA431細胞で形成されたPpIXの量を定量してグラフで表わしたものである。
【図2】本発明のALAエステルを処理した及び細胞株で形成されたPpIXの量を定量してグラフで表わしたものである。
【図3】同一の濃度のALA及び本発明のALAエステルを塗布した皮膚で形成されたPpIX定量を表わしたものである。
【図4】本発明のALAエステルを濃度別に塗布した皮膚で形成されたPpIXの定量を処理1時間後(A)と4時間後(B)とに区分して表わしたものである。
【図5】本発明のALAエステルを正常細胞株に処理した後、各細胞の細胞質で合成されるPpIXの蛍光を表わしたものである。
【図6】本発明のALAエステルをIPCマウス皮膚に塗布した後、1時間(A)、2時間(B)及び3時間(C)後に発現されるPpIXを蛍光顕微鏡で表わしたものである。
【図7】ALA及び本発明のALAエステルをにきび(A、B)、乾癬(C、D)、乳房外ページェット病(E、F)、基底細胞癌(G、H)の病変に3時間塗布した後、病変の炎症及び癌細胞で合成されるPpIXを顕微鏡(A、C、E及びG)と組職染色(B、D、F及びH)で確認して表わしたものである。
【図8】本発明のALAエステル及びALAを培養細胞に処理した後、光線照射による細胞死結果をAnnexin V assayによるflow cytometry(FACS)の結果で表わしたものである。
【図9】本発明のALAエステル及びALAをICRマウス皮膚で塗布した後、光線照射による皮膚表皮の壊死及び再生可否を表わしたものである。
【図10】本発明のALAエステル及びALAをICRマウス皮膚で塗布した後、光線照射時間による皮膚組職内の毛嚢と皮脂腺との変化を表わしたものである。
【図11】人体皮膚に対する本発明のALAエステルの安全性を貼布実験で表わしたものである。
【図12】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図13】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図14】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図15】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図16】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図17】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図18】本発明による軟膏剤の光線角化症(A)及び砒素角化症(B)の治療効果を表わしたものである。
【図19】本発明による軟膏剤の基底細胞癌の治療効果を表わしたものである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、下記化学式Iの5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩、その製法及びその用途に関する。
【0002】
【化1】
前記化学式Iで、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
【0003】
また、本発明は、前記化学式(I)の化合物及びそれの薬学的に許容されるその塩を有効成分として含むにきび治療用の薬学的組成物に関する。
【背景技術】
【0004】
5−アミノレブリン酸(5−aminoleculinic acid、ALA)は、光線力学療法(photodynamic therapy、PDT)に使われる光敏感物質の前駆物質である。
【0005】
ALAが塗布や貼布などを通じて皮膚に吸収されれば、細胞内に移動したALAがポルフィリン(porphyrin)の生合成過程を通じてプロトポルフィリンIX(protoporphyrinIX、PpIX)という光線力学療法に利用される実質的な光敏感剤に変わる。
【0006】
ALAは、同じ条件で正常細胞や正常組職よりは、非正常細胞や非正常組職にさらに早く吸収されて光敏感剤であるプロトポルフィリンに転換される。
【0007】
プロトポルフィリン(PpIX)は、可視光線領域(450〜650nm)の光を吸収すれば蛍光を表わすが、この蛍光は、周辺酸素分子にエネルギーを供給して安全な酸素を活性酸素の一つであるsigglet oxygenに転換させて、周辺にある細胞や組職を破壊する毒素として作用する。
【0008】
したがって、プロトポルフィリンを高濃度で蓄積させた非正常細胞または非正常組職(皮膚)に光を照射すれば、さまざまな治療効果を表わす。
【0009】
しかし、ALAは、新水性は強く、疎水性が弱くて皮膚の角質層及び細胞壁のような障壁を容易に通過することができないために、細胞内へのALAの蓄積に時間がかかるか、所望の治療効果を奏し得ない短所がある。
【0010】
このような点のために、ALAを細胞内に効果的に伝達する方法でALAをメチルエステル(methyl ester)やブチルエステル(butyl ester)などの誘導体で作って使う方法がある。この方法は、カルボン酸より親水性が大きく減少して脂質層が存在する皮膚の角質層と細胞壁のような障害物を通過するのに非常に効果的であるが、この化合物は使用範囲が狭く、制限的な短所を有する。
【0011】
また、前述したエステルの誘導体合成法は、アミノ作用基を保護する保護基を導入し、これを再び除去しなければならない複雑な過程を通さなければならないために、生産効率が低くて、実用化には難点があった。
【0012】
したがって、本発明は、ALAを細胞内に効果的に伝達しながら幅広くに使うことができる不飽和アルキル基を有したエステルなどの誘導体を作って使う方法を開発するようになり、このような不飽和アルキル基を有したエステルはいまだに報告された例がない。
【0013】
また、ALAでアミノ保護基を使わずにエステルを合成する方法は、いろいろ他のエステルを開発して研究するのに有用であるので、本発明では、アミノ保護基を使わずにエステルを合成して収率の高いALAエステルの製法を提供する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、前記問題点を改善するために案出されたものであって、本発明は、経皮吸収が容易な形態である5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を提供することにその目的がある。
【0015】
本発明の他の目的は、前記化合物を高収率で得ることができる製法を提供することである。
【0016】
本発明のまた他の目的は、前記化合物を含んだ皮膚疾患治療用の薬学的組成物を提供することである。
【0017】
本発明の目的は、前述した目的に制限されず、言及されていないまた他の目的は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の利点及び特徴、そして、それらを果たす方法は、詳細に後述されている実施例を参照すれば明確になる。しかし、本発明は、以下で開示される実施例に限定されるものではなく、相異なる多様な形態に具現可能であり、単に本実施例は、本発明の開示を完全にさせ、当業者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、特許請求の範疇によって定義されるだけである。明細書全体に亘って同じ参照符号は、同じ構成要素を指称する。
【0019】
前記目的を果たすために、本発明は、下記化学式(I)で表示される5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を提供する:
【0020】
【化2】
前記化学式(I)で、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
【0021】
また、他の目的を果たすために、本発明は、(a)下記化学式(II)化合物を塩化チオニル及びN,N−ジメチルホルムアミドと反応させる段階と、(b)前記(a)段階で得られた物質をアリルアルコール、3−ブテノール(3−butenol)、4−ペンテノール(4−pentenol)、5−ヘキセノール(5−hexenol)、シス−2−ペンテノール(cis−2−pentenol)、シス−3−ヘキセノール(cis−3−hexenol)、シス−4−ヘキセノール(cis−4−hexenol)及びトランス−2−ヘキセノール(trans−2−hexenol)からなる群から選択された不飽和アルコールと反応させる段階と、を含む前記5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩の製法を提供する:
【0022】
【化3】
また、また他の目的を果たすために、本発明は、前記5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を有効成分として含む皮膚疾患治療用の薬学的組成物を提供する。
【0023】
この際、本発明で皮膚疾患は、局部的な皮膚疾患の治療に使うことができるが、具体的に、にきびまたは皮膚癌の皮膚疾患治療に使うことができ、このうち皮膚癌は、詳細に光線角化症や砒素角化症などの皮膚前駆癌や基底細胞癌の皮膚癌治療に使うことができる。
本発明は、化合物とその製法及び光線力学療法に前記化合物を含有した治療用の薬学的組成物に関する発明であって、本発明の実施によって経皮吸収が容易で細胞毒性の少ない化合物を提供し、アミノ基の保護過程を経ないことによって、収率を高めた製法を提供することを特徴とする。
【0024】
本発明による皮膚疾患治療用の薬学的組成物は、レミントン薬剤学ハンドブック(Remington’s Pharmaceutical Sciences Handbook,Mack Pub,Co.,N.Y.,USA)などの公知された方法によって、有効成分である本発明の5−アミノレブリン酸アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩を薬学的に許容された担体と混合して、皮膚に局所的に塗るか塗布することができるクリーム、軟膏、ローションまたはパッチ(patch)の剤型で製造することができる。望ましくは、本発明の5−アミノレブリン酸アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩は、薬学的組成物総重量基準に約15%(w/v)または15%(w/w)を使う。
【0025】
前記担体は、塩水、緩衝剤、デクストロース、水、グリセロール、リンゲル液、ラクトース、スクロース、珪酸カルシウム、メチルセルロース、エタノール及びこれらの混合物などを使うことができる。但し、本発明の担体が、前述した担体に限定されるものではない。
【0026】
それ以外に、本発明による皮膚疾患治療用の組成物の剤型に充填剤、抗凝集剤、潤滑剤、湿潤剤、香料、乳化剤及び防腐剤などをさらに含んで製造することができる。
【0027】
本発明の5−アミノレブリン酸アルキルエステル及び薬学的に許容されるその塩の有効量は、使用目的及び患者の疾患軽重によって当業者によって決めることができるが、具体的に、一回使用時に薬学的組成物基準に1gを超えないようにすることが望ましい。
本発明の薬学的組成物は、患者の病変皮膚に均等に塗布するか貼布するが、投与して4時間を超過しないようにする。
【0028】
本発明の薬学的組成物を塗布した皮膚の局所部位は、光敏感反応を示すことができるために、塗布した部位は光を遮断しなければならない。
【0029】
光線力学療法で治療した部位には、最小48時間光線遮断剤(sunscreen)をさらに塗布して光を遮断させることが望ましい。
【0030】
また、本発明は、経皮吸収が容易で細胞毒性の少ない化合物を提供し、アミノ基の保護過程を経ないことによって、収率を高めた製法を提供することを特徴とする。
【0031】
本発明の化合物及び薬学的に許容されたその塩を製造する方法は、次の通りである。
【0032】
1.5−アミノレブリン酸 2−プロペニル塩酸塩[(5−アミノレブリン酸アリル塩酸塩)2−propenyl 5−aminolevulinate hydrochloride、(ALA allyl ester hydrochloride)]
【0033】
【化4】
2.5−アミノレブリン酸 3−ブテニル塩酸塩(3−butenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0034】
【化5】
3.5−アミノレブリン酸 4−ペンテニル塩酸塩(4−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0035】
【化6】
4.5−アミノレブリン酸 5−ヘキセニル塩酸塩(5−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0036】
【化7】
5.5−アミノレブリン酸 cis−2−ペンテニル塩酸塩(cis−2−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0037】
【化8】
6.5−アミノレブリン酸 cis−3−ヘキセニル塩酸塩(cis−3−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0038】
【化9】
7.5−アミノレブリン酸 cis−4−ヘキセニル塩酸塩(cis−4−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0039】
【化10】
8.5−アミノレブリン酸 trans−2−ヘキセニル塩酸塩(trans−2−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)
【0040】
【化11】
【発明の効果】
【0041】
本発明によるALAエステルは、細胞毒性が少なく、経皮吸収が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
本発明は、当業者において、本発明の技術的思想を外れない範囲内でさまざまな置き換え、変形及び変更が可能であるので、実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0043】
〔実施例1〕
5−アミノレブリン酸 2−プロペニル塩酸塩[5−アミノレブリン酸アリル塩酸塩)2−propenyl 5−aminolevulinate hydrochloride、(ALA allyl ester hydrochloride)]の製造
【0044】
【化12】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、5−アミノレブリン酸塩酸塩(ALA.HCl、200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてアリルアルコールを入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 2−プロペニル塩酸塩[(5−アミノレブリン酸アリル塩酸塩)2−propenyl 5−aminolevulinate hydrochloride、(ALA allyl ester hydrochloride)]を73%の収率で得た。
【0045】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.57(s、3H)、6.2〜6.09(m、1H)、5.57〜5.41(m、2H)、4.77(dt、J=5.4Hz、1.5Hz、2H)、4.15(br s、2H)、3.05(t、J=6Hz、2H)、2.81(t、J=6Hz、2H);13C NMR(75MHz,DMSO−d6):δ171.8、152.63、143.22、132.62、117.58、64.36、31.78、28.86。
【0046】
〔実施例2〕
5−アミノレブリン酸 3−ブテニル塩酸塩(3−butenyl 5−aminolevulinate hydrochloride )の製造
【0047】
【化13】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させて3−ブテノール(3−butenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 3−ブテニル塩酸塩(3−butenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を77%の収率で得た。
【0048】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.24(s、3H)、5.80〜5.74(m、1H)、5.16〜5.04(m、2H)、4.06(t、J=6.63Hz、2H)、2.80(t、J=6.63Hz、2H)、2.52(t、J=6.6Hz、2H)、2.33(q、J=6.54、2H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ172.07、152.64、143.20、134.43、117.07、62.88、32.52、31.90、28.91。
【0049】
〔実施例3〕
5−アミノレブリン酸 4−ペンテニル塩酸塩(4−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0050】
【化14】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させて4−ペンテノール(4−pentenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて減圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 4−ペンテニル塩酸塩、4−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochlorideを47%の収率で得た。
【0051】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.27(s、3H)、5.84〜5.73(m、1H)、5.06〜4.94(m、2H)、4.0(t、J=6.6Hz、2H)、3.97(s、2H)、2.79(t、J=6.3Hz、2H)、2.54(t、J=6.6Hz、2H)、2.06(q、J=7.6Hz、2H)、1.65(quintet、J=6.6Hz、2H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ172.09、152.67、143.18、137.68、115.20、63.20、31.91、29.39、28.91、27.18。
【0052】
〔実施例4〕
5−アミノレブリン酸 5−ヘキセニル塩酸塩(5−hexenyl 5−aminolevulinate hydro chloride)の製造
【0053】
【化15】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、5−アミノレブリン酸塩酸塩(ALA.HCl、200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させて5−ヘキセノール(5−hexenol)を入れる。反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 5−ヘキセニル塩酸塩(5−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を89%の収率で得た.
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.33(s、3H)、5.85〜5.71(m、1H)、5.04〜4.92(m、2H)、3.99(t、J=6.5Hz、2H)、3.93(s、2H)、2.78(t、J=6.6Hz、2H)、2.53(t、J=6.6Hz、2H)、2.02(q、J=7Hz、2H)、1.56(quintet、J=6.7Hz、2H)、1.38(quintet、J=5.1Hz、2H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ202.66、172.05、138.41、115.02、63.92、46.52、34.26、32.69、27.56、27.08、24.55。
【0054】
〔実施例5〕
5−アミノレブリン酸 cis−2−ペンテニル塩酸塩(cis−2−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0055】
【化16】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてシス−2−ペンテノール(cis−2−pentenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 cis−2−ペンテニル塩酸塩(cis−2−pentenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を68%の収率で得た。
【0056】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.37(s、3H)、5.62〜5.58(m、1H)、5.47〜5.41(m、1H)、4.56(d、J=6.8Hz、2H)、3.93(s、2H)、2.79(t、J=6.3Hz、2H)、2.53(t、J=6.5Hz、2H)、2.06(quintet、J=7Hz、2H)、0.92(t、J=7.5Hz、3H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ171.94、152.62、143.18、136.30、123.03、59.60、31.90、28.91、20.27、13.86。
【0057】
〔実施例6〕
5−アミノレブリン酸 cis−3−ヘキセニル塩酸塩(cis−3−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0058】
【化17】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてシス−3−ヘキセノール(cis−3−hexenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 cis−3−ヘキセニル塩酸塩(cis−3−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を72%の収率で得た。
【0059】
1H NMR(300MHz、DMSO−d6):δ8.42(br s、3H)、5.43−5.35(m、2H)、3.97(t、J=6Hz、2H)、3.91(s、2H)、2.79(t、J=6Hz、2H)、2.50(t、J=6Hz、2H)、2.04(q、J=7Hz、2H)、1.59(quintet、J=7Hz、2H)、1.56(t、J=7Hz、3H);13C NMR(75MHz、CDCl3):δ202.59、172.81、134.78、123.83、64.65、48.25、35.21、27.72、26.85、20.83、14.45。
【0060】
〔実施例7〕
5−アミノレブリン酸 cis−4−ヘキセニル塩酸塩(cis−4−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)の製造
【0061】
【化18】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてシス−4−ヘキセノール(cis−4−hexenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 cis−4−ヘキセニル塩酸塩、cis−4−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochlorideを90%の収率で得た。
【0062】
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ8.25(s、3H)、5.51〜5.45(m、1H)、5.39〜5.33(m、1H)、4.28(s、2H)、4.05(t、J=6.7Hz、2H)、2.92(t、J=6Hz、2H)、2.65(t、J=6Hz、2H)、2.10(q、J=7.2Hz、2H)、1.67(t、J=7Hz、2H)、1.80(d、J=6Hz、3H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ202.35、172.60、129.05、124.92、64.49、47.91、34.96、28.32、27.49、23.12、12.73。
【0063】
〔実施例8〕
5−アミノレブリン酸 trans−2−ヘキセニル塩酸塩(trans−2−hexenyl 5−aminolevulin−ate hydrochloride)の製造
【0064】
【化19】
塩化チオニル(thionyl chloride、SOCl2)1mlにN,N−dimethylformamide、DMF)を3滴を入れてかき混ぜた後、ALA.HCl(200mg、1.19mmol)を入れて反応物を常温で12時間かき混ぜた。前記反応物を感圧下で濃縮させてトランス−2−ヘキセノール(trans−2−hexenol)を入れた。前記反応混合物を常温で1.5時間かき混ぜて感圧下で濃縮して、シリカゲルを用いて精製して5−アミノレブリン酸 trans−2−ヘキセニル塩酸塩(trans−2−hexenyl 5−aminolevulinate hydrochloride)を70%の収率で得た。
【0065】
1H NMR(300MHz、CDCl3):δ8.21(s、3H)、5.81〜5.71(m、1H)、5.58〜5.49(m、1H)、4.50(d、J=6.5Hz、2H)、4.27(s、2H)、2.92(t、J=6.5Hz、2H)、2.66(t、J=6.5Hz、2H)、2.02(q、J=7.5Hz、2H)、1.40(sixtet、J=7.4Hz、2H)、0.9(t、J=7.4Hz、3H);13C NMR(75MHz、DMSO−d6):δ171.84、152.62、143.19、135.13、124.19、64.37、33.58、31.88、28.91、21.50、13.41。
【0066】
〔実験例〕
1.公示材料
ア.細胞株
人体表皮角質形成細胞株(human epidermal keratinocyte、HEK)、
人体真皮線維細胞株(human dermal fibroblast、hF)
扁平細胞癌細胞株:A431(KCLB No.80005)
悪性黒色腫細胞株:TXM13(KCLB No.80029)
イ.動物
ICRマウス(大韓バイオリンク、韓國生命工學研究院、韓国)7〜8株の雌(female;♀)
ウ.光源照射器
光源照射器は、LED(Light Emitting Diode)光源器を利用し、最大波長410nm(波長帯;400〜430nm)であるblue light(青色)及び635nm(波長帯;615〜645nm)である赤色LED(Luxeon、Lumileds Light)を用いて5−30J/cm2の光源量を照射した。
【0067】
2.溶解度検査
本実験は、前記実施例で製造された本発明のALAエステル(粉末)の溶媒別の溶解度検査を実行した。
【0068】
その結果を下記表1に表わした。
【0069】
【表1】
前述した結果、本発明のALAエステルは、アルコール、水、DMSOなどの溶媒に易しく溶解される特性を有していることが分かった。
【0070】
したがって、本発明のALAエステルは、局所用の外用軟膏剤などの剤型化で水溶性または油溶性媒介剤(vehicle)をいずれも使うことができる。
【0071】
3.細胞毒性検査(細胞生存率検査)
本実験は、細胞毒性検査であるMTT assay(Chemicon、serologicals corporation、USA)を通じて次のような細胞毒性検査を実行した。
【0072】
細胞株は、各well当たり3×104個の細胞株が含まれるように96well plate(Nunc Do、Denmark)に種まきした。
約24時間経過後、細胞が培養容器の底を60〜70%程度覆った時、ALA及びALA−esterを濃度別に含有した無血清培養液100ulずつ交換して24時間さらに培養した。
【0073】
培養液にMTT溶液(0.5mg/mL)をwell当たり10ulずつ添加して4時間反応してFomazan結晶体を形成させた後、発色溶液(isopropanol with 0.04 N HCl)を100ulずつ入れて不溶性であるFomazan結晶体を溶解させた。
【0074】
溶解物の吸光度は、570nm波長下にELISA判読器(EMAX、Molecular Device、USA)で測定した。
【0075】
(1)人体表皮角質形成細胞株(HEK)
ALA及び本発明のALAエステルを処理した人体角質形成細胞(human epidermal keratinocyte)で細胞生存率の結果を対照区(ALA)と比べて、下記表1及び表2に表わした。この際、表1と表2は、相異なる時期に実験して異なる数値方法で表わしたものである。
【0076】
【表2】
【0077】
【表3】
(2)人体真皮線維細胞株(hF)
【0078】
【表4】
(3)扁平細胞癌細胞株(A431)
【0079】
【表5】
(4)悪性黒色腫細胞株(TMX13)
【0080】
【表6】
前述した表1ないし表5に表わしたように、ALA及びALAエステルは、1mM以下の濃度では人体表皮角質形成細胞株であるHEKを除外したすべての細胞生存率が70%以上を保持することが分かった。これは、本発明の不飽和アルキル基を有したALAエステルは、ALAと比べて毒性反応を有さないことを示したものである。
【0081】
4.蛍光分光法(Fluorescence spectroscopy)
蛍光分光法を通じてALA及び不飽和アルキル基を有したALAエステルによるPpIXの合成量を細胞及び皮膚組職で定量化した。
【0082】
PpIX合成量は、蛍光分光器(fluorescence spectrophotometer、Uvikon、model943)を用いて測定した。この際、蛍光測定は、浮き上がり波長を408nmにして測定した。
【0083】
ア.細胞株
2×105個の各細胞株は、10cm2のdishes(Falcon)に分周させて、70〜80%の融合された状態(confluent state)になった時、ALA及びALAエステルを濃度別(0.001〜1mM)に含有した無血清培養液を添加して4時間培養した。
【0084】
培養物は、PBSで一回水洗した後、1M次亜塩素酸(HClO4)が含有された50%メタノール(methanol)溶液を入れてコスターセルスクレーパー(Costarcell scraper)で掻き出した(scraping)。
【0085】
セルスクレーパーで回収した細胞は、5分間培養し、遠心分離して上澄み液を分離した。
【0086】
分離された上澄み液は、蛍光分光度計(spectrofluorimeter)を用いて興奮波長が405nmであり、放出波長が605nmにして測定した。
【0087】
その結果は、図1及び図2に図示した。
【0088】
前記測定結果、本発明のALAエステル、すなわち、ALA−1、4、6は、ALAと比較時、A431細胞株内でPpIX合成がさらに高いことが分かった(図1)。
【0089】
また、すべての細胞株でPpIX合成量は、0.01〜1mMのALA及び本発明のALAエステルの処理濃度と比例して増加することが分かった。また、同一の細胞株でPpIX合成量を観察した結果、本発明のALAエステル、すなわち、5−アミノレブリン酸の不飽和アルキルエステルは、ALAと比較時、効果的に細胞内でPpIXを合成することができることが分かった(図2)。この際、図2で、(A)は人体角質形成細胞(HEK)、(B)は人体真皮線維細胞株(hF)、(C)は扁平細胞癌細胞株(A431)及び(D)は悪性黒色腫(TXM13)を表わしたものである。
【0090】
前述した結果、本発明のALAエステルは、正常細胞及び癌細胞でPpIXを合成できることを示す。
【0091】
イ.組職
(1)軟膏剤の製造
ALA及び本発明のALAエステルを含有した軟膏剤は、ALA及び本発明のALAエステル粉末とオクタデシルアルコール、ポリエチレングリコール、精製水などで組成されている水溶性ベース(water soluble base)である水溶性軟膏基剤(SAMABASE、韓国)を混合して製造した。この際、ALA及び本発明のALAエステルの混合比率は、それぞれ5%、10%及び15%(w/w)にした。
【0092】
(2)臨床
前記製造した濃度別の軟膏剤は、毛が除去されたICRマウスの背中(back)に一定量(0.25g)を塗布させた。
【0093】
塗布1時間及び4時間が経た後、ICRマウスは頸部を脱骨させて殺した後、ICRマウスなどの皮膚を採取した。
【0094】
採取した皮膚500mgは、トリプシン/EDTA(trypsin/EDTA)溶液2mlに入れた後、30,000rpm及び5分間組職均質器(tissue homogenizer)で均質化した。
【0095】
均質物は、暗室(Darkroom)に入れて37℃で1時間タンパク質分解反応を実行し(trypsinized)、1M過塩素酸(perchloric acid)を含有した50%(w/w)メタノール2mlを添加した後、遠心分離して上澄み液を収得した。
【0096】
分離された上澄み液は、蛍光分光度計を用いて興奮波長が405nmであり、放出波長が605nmにして測定した。
【0097】
その結果は、図3及び図4に図示した。
【0098】
前述した蛍光分光法を利用した測定結果、ALAと同様に本発明のALAエステルも吸収されてPpIXを合成できることが分かり、本発明のALAエステルがALAに比較時、さらに細胞壁をより容易に通過して光敏感剤であるPpIX物質をさらに多く合成できることが分かった(図3)。
【0099】
また、皮膚組職で吸収された本発明のALAエステルは、ALAと比べて皮膚角質の脂質層をより容易に通過して光敏感剤であるPpIX物質をさらに多く合成できることが分かり、生体でのPpIX合成は、塗布時間と量とによって左右されることが分かった(図4)。
【0100】
5.蛍光顕微鏡観察法
前記本発明のALAエステルを含んだ軟膏剤は、前記同一の方法で各細胞株及びICRマウスの皮膚組職に処理し、該処理した細胞株と皮膚組職で合成されたPpIXの発現部位とを蛍光顕微鏡で観察した。
【0101】
ア.細胞株
本実験は、本発明のALAエステル及びALAを正常細胞株である人体角質形成細胞(HEK)と人体真皮線維細胞株(hK)及び癌細胞である扁平細胞癌細胞株であるA431(C)と悪性黒色腫細胞株であるTXM13(D)の培養液に**mMで処理した後、各細胞の細胞質で合成されるPpIXの蛍光を蛍光顕微鏡で観察した。
【0102】
図5に図示したように、本発明のALAエステル及びALAを正常細胞株である人体角質形成細胞(A)と人体真皮線維細胞株(B)、扁平細胞癌細胞株(A431)と及び悪性黒色腫(TXM13)に処理した場合、すべての細胞の細胞質でいずれもPpIXが合成されて蓄積されていることが分かった(図5)。これは、正常細胞及び癌細胞でALAだけではなく、ALAエステルによってPpIXを合成できることを示す。
【0103】
イ.皮膚組職
本実験は、本発明のALAエステル及びALAを含んだ軟膏剤をIPCマウス皮膚に塗布した後、1時間、2時間及び3時間後に発現されるPpIXを蛍光顕微鏡で測定した。
【0104】
その結果を図6及び図7に図示した。
【0105】
図6に図示されたように、IPCマウスの正常皮膚組職で経時的にPpIXの合成量が増加することが分かった。特に、皮膚組職の表皮と皮脂腺で経時的に強く発現された。この際、(A)は1時間、(B)は2時間、(C)は3時間及びControlは、対照群を表わしたものである。
【0106】
図7に図示されたように、多様な皮膚疾患を表わす病変組職では、PpIXが特定の癌細胞の部位から発現されることを観察できた。
【0107】
前述した結果から、本発明のALAエステルを含んだ軟膏剤は、特定病変組職の治療が可能であることを確認できた。
【0108】
6.細胞枯死(apoptosis)及び細胞死(cell death)研究
ア.細胞株
流体細胞測定法(Flow cytometry、FACS:FACSCalibur、BD、USA)を用いて6well plateに培養した各細胞株は、ALA及び本発明のALAエステルで処理し、LED可視光線を照射した後、Annexin V−FITCとPI(Annexin V−FITC Apoptosis detectionKit、BD)とで染色して、細胞枯死(apoptosis)を測定した。
【0109】
その結果は、図8に図示した。
【0110】
図8に図示したように、ALA及び本発明の不飽和ALAアルキルエステルで処理していない細胞とALA及びALAエステルを投与して可視光線を照射していない場合と可視光線である光源のみを照射(5−20J/cm2)した場合、細胞は85%以上の生存率を表わした(図8A及び図8B)。しかし、1mM ALAと本発明のALAエステルを処理して光を照射した場合(5−20J/cm2)に細胞は細胞枯死(Annexin V+/PI−)や細胞枯死の末期段階(Annexin V+/PI+)に進行した(図8C及び図8D)。
【0111】
イ.皮膚組職
濃度別(5〜15%)にALA及び本発明のALAエステルを含有した軟膏剤は、毛が除去されたICRマウスの背中に一定量(0.25g)を塗布させた。
【0112】
1時間と4時間が経過した後、塗布された皮膚部位にLED可視光線(照射量25J/cm2)を照射した。
【0113】
24時間、48時間及び72時間経過した後、マウスなどで皮膚組職を採取し、該採取された皮膚組職は、ヘマトキシリン−エオジン(Hematoxylin−eosin;H&E)で染色して組職の細胞死を観察した。
【0114】
その結果を図9及び図10に図示した。
【0115】
図9に図示したように、ALA及び本発明のALAエステルを皮膚に塗布して光線を照射したマウス群では、24時間に皮膚組職の表皮が壊死または枯死が観察され(図9A)、48時間後には、皮膚組職の表皮が壊死と再生とが同時に観察された(図9B及び図9C)。この際、図9で(A)は、ALA塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(B)は、ALA−1(ALA−methyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射48時間後を表わしたものであり、(C)は、ALA−6(ALA−hexenyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射48時間後を表わしたものであり、(D)は、対照群で不飽和アルキルエステルを塗布した後、光線照射をしない場合を表わしたものである。
【0116】
図10に図示されたように、皮脂腺が一部または全部破壊されるか萎縮されることが観察された。これは、皮脂腺が関与するにきび皮膚疾患の治療に関与することができることを示唆する。この際、(A)は、ALA塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(B)は、ALA−1(ALA−methyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(C)は、ALA−6(ALA−hexenyl ester)塗布後、光線25J/cm2照射24時間後を表わしたものであり、(D)は、対照群で不飽和アルキルエステルを塗布した後、光線照射をしない場合を表わしたものである。
【0117】
7.貼布検査(patch test)
本実験例は、前記4−(イ)−(1)で製造した軟膏剤がアレルギー性及び原発性接触皮膚炎(allergic and primary contact dermatitis)を起こすかどうかを調べるのために、50名の正常人を対象で貼布検査を施行した。
【0118】
正常ICRマウス(60匹)の皮膚に5%、10%及び15%(w/w)濃度の軟膏剤を6時間と12時間塗布した後、蒸溜水で軟膏を除去し、軟膏剤を塗らなかった対照群(20匹)と比べて90日間肉眼で皮膚を観察した。
【0119】
また、正常人体の皮膚に5%、10%及び15%濃度の軟膏剤を塗布して6時間、12時間及び24時間蜜閉した後に塗布部位を観察した。
【0120】
その結果、マウス(図示せず)や人体皮膚(図11)にいずれも陰性所見を示した。
したがって、本発明のALAエステルを含んだ軟膏剤は、如何なるアレルギー性または一次的接触(光毒性)皮膚炎も引き起こさないことが分かった。
【0121】
8.本発明による軟膏剤の皮膚疾患治療効果
本実験は、15%(w/w)のALA−6(ALA hexenyl ester)を含有した軟膏剤をにきび、光線角化症、砒素角化症及び基底細胞癌の患者に光線力学療法で治療して、治療効果があるか否かを確認しようとした。
【0122】
その結果、図12ないし図19に図示されたように、にきび、光線角化症、砒素角化症及び基底細胞癌治療に効果があるということが分かった。この際、図12ないし図17は、にきび治療効果を患者別に表わしたものであり、図18は、光線角化症(A)と砒素角化症(B)との治療効果を表わしたものであり、図19は、基底細胞癌の治療効果を表わしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0123】
本発明では、ALAの効果的なエステルを開発して光線力学療法に利用される既存のALAより安全で効果的な光敏感物質として光線力学療法で皮膚疾患治療用の薬学的組成物に利用し、また、それら化合物を効率的に合成する製法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】本発明のALAエステルを処理したA431細胞で形成されたPpIXの量を定量してグラフで表わしたものである。
【図2】本発明のALAエステルを処理した及び細胞株で形成されたPpIXの量を定量してグラフで表わしたものである。
【図3】同一の濃度のALA及び本発明のALAエステルを塗布した皮膚で形成されたPpIX定量を表わしたものである。
【図4】本発明のALAエステルを濃度別に塗布した皮膚で形成されたPpIXの定量を処理1時間後(A)と4時間後(B)とに区分して表わしたものである。
【図5】本発明のALAエステルを正常細胞株に処理した後、各細胞の細胞質で合成されるPpIXの蛍光を表わしたものである。
【図6】本発明のALAエステルをIPCマウス皮膚に塗布した後、1時間(A)、2時間(B)及び3時間(C)後に発現されるPpIXを蛍光顕微鏡で表わしたものである。
【図7】ALA及び本発明のALAエステルをにきび(A、B)、乾癬(C、D)、乳房外ページェット病(E、F)、基底細胞癌(G、H)の病変に3時間塗布した後、病変の炎症及び癌細胞で合成されるPpIXを顕微鏡(A、C、E及びG)と組職染色(B、D、F及びH)で確認して表わしたものである。
【図8】本発明のALAエステル及びALAを培養細胞に処理した後、光線照射による細胞死結果をAnnexin V assayによるflow cytometry(FACS)の結果で表わしたものである。
【図9】本発明のALAエステル及びALAをICRマウス皮膚で塗布した後、光線照射による皮膚表皮の壊死及び再生可否を表わしたものである。
【図10】本発明のALAエステル及びALAをICRマウス皮膚で塗布した後、光線照射時間による皮膚組職内の毛嚢と皮脂腺との変化を表わしたものである。
【図11】人体皮膚に対する本発明のALAエステルの安全性を貼布実験で表わしたものである。
【図12】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図13】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図14】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図15】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図16】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図17】本発明による軟膏剤のにきび治療効果を表わしたものである。
【図18】本発明による軟膏剤の光線角化症(A)及び砒素角化症(B)の治療効果を表わしたものである。
【図19】本発明による軟膏剤の基底細胞癌の治療効果を表わしたものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式(I)で表示される5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステルまたは薬学的に許容されるその塩:
【化1】
前記化学式(I)で、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
【請求項2】
薬学的に許容される塩は、塩酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(a)下記化学式(II)化合物を塩化チオニル及びN,N−ジメチルホルムアミドと反応させる段階と、
(b)前記(a)段階で得られた物質をアリルアルコール、3−ブテノール(3−butenol)、4−ペンテノール(4−pentenol)、5−ヘキセノール(5−hexenol)、シス−2−ペンテノール(cis−2−pentenol)、シス−3−ヘキセノール(cis−3−hexenol)、シス−4−ヘキセノール(cis−4−hexenol)及びトランス−2−ヘキセノール(trans−2−hexenol)からなる群から選択された不飽和アルコールと反応させる段階と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステルまたは薬学的に許容されるその塩の製法:
【化2】
。
【請求項4】
請求項1または2に記載の5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステルまたは薬学的に許容されるその塩を有効成分として含むことを特徴とする皮膚疾患治療用の薬学的組成物。
【請求項5】
前記皮膚疾患は、
にきびまたは皮膚癌であることを特徴とする請求項4に記載の皮膚疾患治療用の薬学的組成物。
【請求項1】
下記化学式(I)で表示される5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステルまたは薬学的に許容されるその塩:
【化1】
前記化学式(I)で、Rは2−プロペニル基、3−ブテニル基、4−ペンテニル基、5−ヘキセニル基、cis−2−ペンテニル基、cis−3−ヘキセニル基、cis−4−ヘキセニル基及びtrans−2−ヘキセニル基を表わす。
【請求項2】
薬学的に許容される塩は、塩酸塩であることを特徴とする請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
(a)下記化学式(II)化合物を塩化チオニル及びN,N−ジメチルホルムアミドと反応させる段階と、
(b)前記(a)段階で得られた物質をアリルアルコール、3−ブテノール(3−butenol)、4−ペンテノール(4−pentenol)、5−ヘキセノール(5−hexenol)、シス−2−ペンテノール(cis−2−pentenol)、シス−3−ヘキセノール(cis−3−hexenol)、シス−4−ヘキセノール(cis−4−hexenol)及びトランス−2−ヘキセノール(trans−2−hexenol)からなる群から選択された不飽和アルコールと反応させる段階と、を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステルまたは薬学的に許容されるその塩の製法:
【化2】
。
【請求項4】
請求項1または2に記載の5−アミノレブリン酸不飽和アルキルエステルまたは薬学的に許容されるその塩を有効成分として含むことを特徴とする皮膚疾患治療用の薬学的組成物。
【請求項5】
前記皮膚疾患は、
にきびまたは皮膚癌であることを特徴とする請求項4に記載の皮膚疾患治療用の薬学的組成物。
【図1】
【図2(A)】
【図2(B)】
【図2(C)】
【図2(D)】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図5(D)】
【図6(A)】
【図6(B)】
【図6C−1】
【図6C−2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18(A)】
【図18(B)】
【図19】
【図2(A)】
【図2(B)】
【図2(C)】
【図2(D)】
【図3】
【図4(A)】
【図4(B)】
【図5(A)】
【図5(B)】
【図5(C)】
【図5(D)】
【図6(A)】
【図6(B)】
【図6C−1】
【図6C−2】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18(A)】
【図18(B)】
【図19】
【公表番号】特表2009−539971(P2009−539971A)
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−515316(P2009−515316)
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003145
【国際公開番号】WO2008/002087
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(308026861)インダストリー ファウンデーション オブ チョンナム ナショナル ユニバーシティー (9)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際出願番号】PCT/KR2007/003145
【国際公開番号】WO2008/002087
【国際公開日】平成20年1月3日(2008.1.3)
【出願人】(308026861)インダストリー ファウンデーション オブ チョンナム ナショナル ユニバーシティー (9)
【Fターム(参考)】
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