説明

5HT2C受容体に関連した疾患の治療に有用な5HT2C受容体のモジュレータとしてのN−ビアリール及びN−アリールヘテロアリール2−置換ピペラジン誘導体

本発明は、5HT2C受容体のモジュレータである、式(Ia)の特定のN−ビアリールおよびN−アリールヘテロアリール2−置換ピペラジン誘導体に関する。従って、本発明の化合物は、5HT2C受容体に関連する疾患または障害、たとえば、肥満、アルツハイマー病、勃起不全及び関連する障害の治療に有用である。1つの局面において、本発明は、薬学上許容可能なキャリアと組み合わせて本発明の化合物を構成する医薬組成物を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、5HT2C受容体のモジュレータである特定のN−ビアリール及びN−アリールヘテロアリール2−置換ピペラジン誘導体に関する。従って、本発明の化合物は、たとえば、肥満、アルツハイマー病、勃起不全及び関連する障害のような5HT2C受容体に関連する疾患及び障害の治療に有用である。
【背景技術】
【0002】
(背景技術)
肥満は、たとえば、II型糖尿病、高血圧症、卒中、ある種の癌及び胆嚢疾患を含むが、これらに限定されない合併症から生じる罹患率及び死亡率のリスクを高める生命にかかわる障害である。
【0003】
肥満は、先進国では主な健康管理の課題となっており、開発途上国の一部でも次第に課題になっている。肥満の人々の数の増加は、高脂肪含量の食品への嗜好の増加に大きく起因しており、このことがさらに重要な因子でありうるが、ほとんどの人々の生活における活動の低下にも起因している。最近の10年間で、米国では肥満の発生に30%の増加しており、米国の人口のその約30%が今や肥満とみなされている。肥満に連結した健康への懸念に認識が高まっているにもかかわらず、太り過ぎ又は肥満である人の比率は増加し続けている。実際、太り過ぎと定義される子供及び青年の比率は、1970年代初頭の2倍を超え、子供及び青年の約13パーセントが今や深刻な太り過ぎである。公衆衛生の観点からの最も重要な懸念は、太り過ぎの子供は太り過ぎ又は肥満の大人に成長するということであり、その結果、主な健康問題のより大きなリスクにさらされるということである。従って、太り過ぎ又は肥満の人の数は増え続けると思われる。
【0004】
太り過ぎ又は肥満に分類されるかどうかは一般に、彼又は彼女の肥満度指数(BMI)に基づいて判定され、それは、体重(キログラム、kg)を身長の二乗(メートルの二乗、m)で割ることのよって算出される。従って、BMIの単位は、kg/mである。BMIは、身長及び体重のそのほかのいかなる指数よりも高度に体脂肪に相関する。25〜30kg/mの範囲のBMIを有する場合、太り過ぎとみなされる。30kg/mを超えるBMIを持つ人は肥満として分類されるが、肥満はさらに3つの階級、階級I(約30〜約34.9kg/mのBMI)、階級II(約35〜39.9kg/mのBMI)及び階級III(約40kg/m以上のBMI)に分割される。完全な分類については以下の表1を参照のこと。
【0005】
【化2】

個体のBMIが上昇するにつれて、正常なBMIを持つ個体に比べて罹患率及び死亡率のリスクが増大する。従って、太り過ぎ及び肥満の個体(約25kg/m以上のBMI)は、たとえば、高血圧、循環器疾患(特に、高血圧症)、高い血中コレステロール、異常脂質血症、II型(インスリン非依存性)糖尿病、インスリン耐性、ブドウ糖耐性、高インスリン血症、冠状動脈心疾患、狭心症、鬱血性心不全、卒中、胆石、胆嚢炎及び胆石症、痛風、変形性関節症、閉塞型睡眠時無呼吸症候群及び呼吸器の問題、ある種の癌(たとえば、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌及び結腸癌)、妊娠合併症、女性の性と生殖に関する乏しい健康(たとえば、月経不順、不妊、不順な排卵)、生殖の疾病(たとえば、男性の勃起不全を含めた、男性と女性双方の性的機能不全)、膀胱の制御の問題(たとえば、ストレス性尿失禁)、尿酸腎結石症、心理的障害(たとえば、うつ病、摂食障害、歪められた身体図式及び低い自己尊重)のような、しかし、これらに限定されない、身体の不調のリスクが増す。研究によって、体重の控えめな低下でさえ、たとえば、冠状動脈心疾患、しかし、これに限定されないそのほかの病気を発生するリスクの有意な低下に相当することが示されている。
【0006】
上述のように、肥満は、循環器疾患を発生するリスクを高める。冠状動脈機能不全、アテローム性疾患、及び心不全は、肥満によって誘発される循環器合併症の最前線である。冠状動脈疾患の発生率は、30%太り過ぎの50歳未満の対象で2倍である。糖尿病患者は、寿命の30%削減に直面している。45歳以上の糖尿病の人は、糖尿病でない人よりも重大な心疾患を有する確率は約3倍高く、卒中を有する確率は5倍まで高い。これらの知見は、NIDDMと冠状動脈心疾患のリスク因子の相互関係及び肥満の防止に基づくこれら症状の防止への統合されたアプローチの潜在的価値を強調している[非特許文献1]。もし、全人口が理想体重を有したなら、冠状動脈機能不全は25%減少し、心不全及び脳卒中のリスクは35%減少するであろうことが概算されている。
【0007】
糖尿病もまた、腎疾患、眼科疾患、及び神経系の問題の発生に関係するとみなされている。腎症とも呼ばれる腎疾患は、腎臓の「ろ過機能」が損傷された場合、発生し、過剰量のタンパク質が尿中に漏れ、最終的に腎臓は機能しなくなる。糖尿病はまた、網膜損傷の主な原因であり、白内障及び緑内障のリスクを高める。最終的に糖尿病は、特に下肢における神経の損傷に関連し、それは痛みを感じる能力を妨害し、重篤な感染に寄与する。総合すれば、糖尿病合併症は、国民の主な死因の1つである。
【0008】
太り過ぎ又は肥満の人の治療の第一線は、食事及び生活習慣のアドバイス、たとえば、食事中の脂肪含量を減らすこと及び身体活動を増やすこと、を提供することである。しかしながら、多数の患者は、それらを維持することが難しいと思い、それらの努力の結果を持続するために薬剤療法からの追加的援助を必要とする。
【0009】
最も最近市場に出された製品は、有効性の欠如及び受け入れ難い副作用特性のために肥満の治療としては成功しなかった。今までのところ、最も上手く行った薬剤は、間接的に作用する5−ヒドロキシトリプタミン(5−HT)作動薬、d−フェンフルラミン(レダックス(商標))であるが、患者集団の1/3に心臓弁の異常が報告されて1998年のFDAによる退薬につながった。
【0010】
さらに、最近、米国及びヨーロッパで2種の薬剤が売り出された:オルリスタット(ゼニカル(商標))、膵臓リパーゼの阻害によって脂肪の吸収を妨げる薬剤、及びシブトラミン(レダクチル(商標))、5−HT/ノルアドレナリン再取り込み阻害剤である。しかしながら、これら製品に関連する副作用によってその長期の利用性が制限される可能性がある。ゼニカル(商標)による治療は、一部の患者に胃腸障害を誘発することが報告されている一方で、シブトラミンは、一部の患者における血圧の上昇に関係する。
【0011】
セロトニン(5−HT)の神経伝達は、健康な状態及び精神医学的障害の双方における多数の生理的過程で重要な役割を担っている。かねてから、5−HTは摂食行動の調節に関係するとみなされている。5−HTは、満腹又は飽満の感情を誘導するので、より早期に摂食停止を誘導することによって機能し、より少ないカロリーが消費される。5HT2C受容体に対する5−HTの刺激作用は、d−フェンフルラミンの摂食制御及び肥満防止効果において重要な役割を担っていることが示されている。5HT2C受容体は、脳(辺縁系構造、錐体外路、視床及び視床下部、すなわちPVN及びDMHにおいて顕著並びに脈絡叢において優勢)で高密度に発現され、末梢組織では低密度で発現されるか、又は存在しないので、選択性5HT2C受容体作動薬は、有効且つ安全な肥満防止剤でありうる。また、5HT2Cノックアウトマウスは、認識の損傷及び発作の感受性を伴って太り過ぎなので、5HT2C受容体に関連する疾患又は障害における5HT2C受容体作動薬に対して明瞭な使用を確立している。
【0012】
5HT2C受容体は、うつ病及び癲癇の一部の形態である、強迫性強制性障害で役割を担っている。従って、5HT2C受容体は、パニック防止特性を有し、性的機能不全の治療に有用な特性を有することができる。さらに、5HT2C受容体作動薬は、たとえば、神経性食欲不振及び過食症、しかし、これには限定ざれない摂食障害を持つ個体における精神医学的症状及び行動を治療するのに有用である。神経性食欲不振の個体は、社会的隔離を示すことが多い。神経性食欲不振の個体は、沈鬱な、不安な、強迫の、完全主義的な特質並びに性的無関心を提示することが多い。そのほかの摂食障害には、神経性食欲不振、過食症、大食症(脅迫的摂食)及びED−NOS(すなわち、特に特定されない摂食障害−公式の診断)が挙げられる。ED−NOSと診断された個体は、その個体が特定の診断について2、3の基準を除いてすべて満たす状況を含めて非定型の摂食障害を持つ。個体が食物及び体重に関して行っていることは正常でもなければ健康的でもない。
【0013】
さらに、5HT2C受容体はまた、アルツハイマー病(AD)のようなそのほかの疾患、症状及び障害にも関与する。現在、アルツハイマー病に処方される治療剤は、酵素、アセチルコリンエステラーゼを阻害することによって作用するコリン作動性作用剤である。得られる結果は、アセチルコリンのレベルの上昇であり、それは、AD患者におけるニューロンの機能及び認知を穏やかに改善する。コリン作用性の脳ニューロンの機能不全は、ADの初期の兆候であるが、おそらく、たとえば、震え吐き気、嘔吐及び口渇のような末梢のコリン作用性の副作用によって投与することができる用量が限定されるので、これらの作用剤によって疾患の進行を遅らせる試みは控えめな成功しか有していない。さらに、ADが進行するにつれて、コリン作用性のニューロンを継続して失うために、これらの作用剤はその有効性を失う傾向がある。
【0014】
従って、現在の治療法で認められる副作用なしで、認知を改善すること及び疾患の進行を遅らせること又は阻止することによってADにおいて、特に症状を緩和することにおいて有益な効果を有する作用剤へのニーズがある。従って、専ら脳で発現されるセロトニン5HT2C受容体は、魅力的な標的である。
【0015】
ADの主な特徴は、脳の選択された領域におけるアミロイド沈着から成る老人性プラークの形成である。新しい治療法は、これらの老人性プラークの産生を防止することに焦点を置くべきである。主としてβ−アミロイドペプチド(Aβ)から構成されるアミロイド沈着はプラークの中心を占める。Aβは、さらに大きなアミロイド前駆体タンパク質、APPに由来する40〜43残基のペプチドである[非特許文献2]。APPは脳の細胞に高レベルで存在する普遍的な膜貫通型の糖タンパク質である。APPはまた、分泌型としても存在する。APPのAβ領域における切断によって、長いN末端断片(分泌APP、APPs)が細胞外空間に分泌される。Aβ産生の比率は、APPs分泌の比率に対して反比例関係にあると思われる。幾つかの細胞培養では、APPsの分泌は、Aβ分泌の低下を伴う[非特許文献3、非特許文献4、非特許文献5、非特許文献6]ということは、APPの分泌型APPsへの刺激された分泌プロセシングが潜在的にアミロイド形成性の誘導体又はプラークの形成の低下に関連していることを示唆している。
【0016】
APPsは、血漿及び脳脊髄液に見い出される[非特許文献7、非特許文献8]。膜結合型APP及びAPPs双方の量の多さから考えて、それが重要な生物学的機能を有する可能性は高い。APPの機能に関する現在の知識は、APPは、ニューロン及びシナプスの構造及び機能の維持に決定的に必要とされることを示している。膜結合型APPは、受容体様構造を有し[非特許文献9]、GTP結合タンパク質との複合体形成が可能である細胞質ドメインを持つことが示唆されている[非特許文献10]。膜に埋め込まれた全長APPはまた、細胞接着機能を有してもよい[非特許文献11]。
【0017】
APPは、試験管内で神経栄養性及び神経保護性であることが示されている[非特許文献12、非特許文献11]。APPのそのほかの提案された機能には、血液凝固の調節[非特許文献13、非特許文献14、非特許文献15]、創傷治癒[非特許文献16]、細胞外のプロテアーゼ活性[非特許文献17、非特許文献18]、神経突起の伸長[非特許文献19、非特許文献20]、細胞接着性[非特許文献21]、細胞増殖[非特許文献22、非特許文献23]、及び分化[非特許文献24、非特許文献25、非特許文献26]が挙げられる。
【0018】
非選択性のセロトニン5HT2C作動薬、デクスノルフェンフルアミン(DEXNOR)は、モルモットでアミロイド前駆体タンパク質(APPs)の分泌を刺激したが、繰り返し投与した後、生体内でAβ産生のレベルを低下させた[非特許文献27]。モルモットとヒトのAPPは98%の配列相同性を示し[非特許文献28]、タンパク質が類似して処理され[非特許文献29]、Aβのペプチド配列は同一である[非特許文献30]ので、モルモットが選択された。DEXNORは非選択性ではあるけれども、選択性セロトニンHT2A拮抗剤によって認められた効果は減衰されたが、選択性セロトニン5HT2C拮抗剤はDEXNORの効果を反転しなかったということは、選択性セロトニン5HT2C受容体は、この効果に対する最も関連有る標的であることを示している。
【0019】
さらに、5−HTは、セロトニン5HT2A及び5HT2C受容体を介してAPPsの外部ドメインの分泌を刺激する[非特許文献31]。この研究では、研究者らは、セロトニン5HT2A及び5HT2C受容体を安定して発現している3T3線維芽細胞をセロトニン(5−HT)で刺激した。5−HTは双方の細胞株で用量依存性にAPPsの分泌を高めた。APPs分泌の最大の刺激は、約4倍でピークとなった。選択性セロトニン5HT2A及び5HT2C拮抗剤は、各細胞株における効果を遮断した。
【0020】
セロトニン5HT2C受容体作動薬は、ADを治療し、老人性プラークを防止するのに有効であることができる。このクレームに対する支持は、Aβが神経毒性であり、ADに関与する老人性プラークの鍵となる成分であることが知られ、APPsの分泌とAβのレベルが反比例関係にあり、試験管内にて、セロトニン5HT2C受容体を安定して発現している細胞株でセロトニン5HT2C作動薬は、APPsのレベルを高め、一方、生体内では、モルモットの脳脊髄液で測定したとき、セロトニン5HT2C作動薬は、APPsのレベルを高め、Aβのレベルを低下させるという事実によってもたらされる。
【0021】
ADの治療についてセロトニン5HT2C受容体にて作動活性を持つ本発明の化合物を使用することを支持する証拠が存在する。本発明の化合物は、単独で使用することができ、又は通常ADに対して処方される別の作用剤(単数)若しくは作用剤(複数)(たとえば、AChE阻害剤、しかし、これに限定されない)と併用で使用することができる。
【0022】
5HT2C受容体の機能に関連しうる別の疾患、障害又は症状は、勃起不全(ED)である。勃起不全は、性交、射精又はその双方について十分に硬い勃起を達成又は維持することの不能性である。米国では、推定2〜3000万人の男性が、人生のいつか、この症状を有する。症状の罹患率は年齢とともに上昇する。40代男性の5パーセントがEDを報告している。この比率は65歳までに15〜25%の間に増え、75歳を超えた男性では55%に増加する。
【0023】
勃起不全は、多数の別個の問題から生じる。これらには、欲求又は性欲の喪失、勃起を維持することの不能、早漏、発射の欠如、及びオルガスムを達成することの不能が挙げられる。これら複数の問題が同時に存在することが多い。症状は、ほかの疾患状態(通常、慢性の症状)に対して二次的であってもよく、泌尿生殖器系又は内分泌系の特定の障害の結果であってもよく、医薬剤(たとえば、抗過敏剤、抗うつ剤、抗精神病薬など)に対して二次的であってもよく、或いは精神的問題の結果であってもよい。勃起不全は、器質的であれば、主としてアテローム性硬化症、糖尿病及び高血圧症に関連する血管の不規則性に起因する。
【0024】
男性及び女性における性的機能不全の治療にセロトニン5HT2C作動薬を使用するための証拠がある。セロトニン5HT2C受容体は、感覚情報の処理及び統合、中枢モノアミン作用性系の調節、並びに神経内分泌反応、不安、摂食行動及び脳脊髄液の産生の変調に関わっている[非特許文献32]。さらに、セロトニン5HT2C受容体は、ラット、サル及びヒトにおけるペニスの勃起の介在に関係するとみなされている。
【0025】
ペニスの勃起に5HT2C受容体が介在する正確なメカニズムは不明のままである。しかしながら、ペニスの勃起への介在においてセロトニン5HT2C受容体の役割を支持する間接的及び直接的な良好な証拠がある。解剖学的な研究によって、ペニスは、脊髄に局在する交感神経及び副交感神経の核から自律神経支配を受ける[非特許文献33]。同調して、実験データ及び臨床データは、ペニスの勃起は脊髄反射によって支配されていることを支持している。さらに周到な解析によって5HTの脊髄受容体の活性化が麻酔下のネコで陰部反射を促進することが示された[非特許文献34]。従って、5HT2C受容体の刺激は、勃起促進性であることが示され[非特許文献35]、5HT2C受容体は、勃起促進性の脊髄副交感神経ニューロン上に記載されている[非特許文献36]。
【0026】
間接的な証拠は、選択性のセロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の使用によって誘導される副作用の研究及び報告によってもたらされる。SSRIは、セロトニン5HT2C受容体にて拮抗作用を実証した[非特許文献37、非特許文献38、非特許文献39]。中でも、ヒトで言及されるSSRIの最も不名誉な副作用は、ペニスの勃起をより困難にすることである。SSRIは、豊富な医薬特性を有するが、5HT2C受容体でのSSRIの拮抗効果はペニス勃起の阻害に関係するとみなされればよいと考えられる[非特許文献39]。
【0027】
さらなる証拠は、セロトニン5HT2C受容体に対する既知の作動活性を持つ種々の化合物による研究からもたらされる。ラット及びアカゲザルによる薬学試験は、セロトニン5HT2C受容体の作動薬の勃起促進性特性の直接的な証拠を提供している[非特許文献40、非特許文献41]。それぞれセロトニン5HT2A及び5HT2Bの受容体の拮抗剤によってこれらの勃起促進性効果は影響を受けない。セロトニン5HT2C受容体の拮抗剤は、5HT2Cの作動薬の勃起促進性効果を減衰した。阻害作用は、5HT2C受容体に対する各拮抗剤の親和性に相当した。さらに、セロトニン5HT2A及び5HT2Bの受容体の作動薬はペニスの勃起を誘発しなかった。
【0028】
要約すれば、5HT2C受容体が検証され、5HT2C受容体は5HT2Cが介在する受容体の疾患及び障害、たとえば、肥満、摂食障害、精神的障害、アルツハイマー病、性的機能不全及びそれに関連する障害の予防及び/又は治療を目的とするよく認められた受容体である。これらニーズに安全に対処できる選択性5HT2C受容体作動薬のニーズがあることがわかる。本発明は、これら、並びにそのほかの重要な目的を対象とする。
【非特許文献1】Perry I.J.ら、BMJ、1995年、第310巻:560−564
【非特許文献2】Selkoe DJら、Am.Rev.Neurosci.、1994年、第17巻:489−517
【非特許文献3】Buxbaum JDら、Proc.Natl.Acad.Sci.、1993年、第90巻:9195−9198
【非特許文献4】Gabuzba Dら、J.Neurochem.、1993年、第96巻:2326−2329
【非特許文献5】Hung AYら、J.Biol.Chem.、1993年、第268巻:22959−22962
【非特許文献6】Wolf BAら、J.Biol.Chem.,、1995年、第270巻:4916−4922
【非特許文献7】Ghiso Jら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、1989年、第163巻:430−437
【非特許文献8】Podlisny MBら、Biochem.Biophys.Res.Comm.、1990年、第167巻:1094−1101
【非特許文献9】Kang Jら、Nature、1987年、第325巻:733−736
【非特許文献10】Nishimooto Iら、Nature、1993年、第362巻:75−79
【非特許文献11】Qiu Wら、J.Neurosci、1995年、第15巻:2157−2167
【非特許文献12】Mattson MPら、Neuron、1993年、第10巻:243−254
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【非特許文献14】Smith RPら、Science、1990年、第248巻:1126−1128
【非特許文献15】Van Nostrandら、Science、1990年、第248巻:745−748
【非特許文献16】Cunningham JMら、Histochemistry、1991年、第95巻:513−517
【非特許文献17】Oltersdorf Tら、Nature(London)、1989年、第341巻:144−147
【非特許文献18】Van Nostrand WEら、Nature、1989年、第341巻:546−548
【非特許文献19】Jin Lら、J.Neurosci.、1994年、第14巻:5461−5470
【非特許文献20】Robakis NKら、Molecular Biology of Alzheimer’s disease (T.Miyatake、DJ.SelkoeおよびY.Ihara編)pp179−188、1990年、Elsevier Science Publishers、B.V.,Amsterdam
【非特許文献21】Schubert Dら、Neuron、1989年、第3巻:689−694
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【非特許文献24】Araki Wら、Biochem.Biophys.Res.Commun.、1991年、第181巻:265−271
【非特許文献25】Milward EAら、Neuron、1991年、第9巻:129−137
【非特許文献26】Yamamoto Kら、J.Neurobiol.、1994年、第25巻:585−594
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【非特許文献28】Beck Mら、Biochem.Biophys.Acta、1997年、第1351巻:17−21
【非特許文献29】Beck Mら、Neuroscience、1999年、第95巻:243−254
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【非特許文献33】Pescatori ESら、J.Urol.、1993年、第149巻:627−32
【非特許文献34】Danuser H & Thor KB、Br.J.Pharmacol.、1996年、第118巻:150−4
【非特許文献35】Millan MJら、European Journal of Pharmacology、1997年、第325巻
【非特許文献36】Bancila Mら、Neuroscience、1999年、第92巻:1523−37
【非特許文献37】Jenckら、European Journal of Pharmacology、1993年、第231巻:223−229
【非特許文献38】Lightlowlerら、European Journal of Pharmacology、1996年、第296巻:137−143
【非特許文献39】Palvimaki Eら、Psycopharmacology、1996年、第126巻:234−240
【非特許文献40】Millan MJら、European Journal of Pharmacology、1997年、第325巻
【非特許文献41】Pomerantzら、European Journal of Pharmacology、1993年、第243巻:227−34
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0029】
(発明の要約)
本発明は、5HT2C受容体に結合し、活性化する化合物、及びその使用に関する。本明細書で使用する場合、用語、5HT2C受容体は、ジェンバンク受入番号AF498983に見い出されるヒトの配列、天然に生じる対立遺伝子の変異体、哺乳類の類縁体及びその組換え変異体を包含する。
【0030】
本発明の態様の1つは、式(Ia)によって表されるような特定のN−ビアリール及びN−アリールヘテロアリール2−置換ピペラジン誘導体又は薬学上許容可能なその塩、溶媒和物若しくは水和物に関する。
【0031】
【化3】

式中、
Xは、N又はCRであり;
Yは、N又はCRであり;
は、H又はC1〜4のアルキルであり;
、R、R及びRは、少なくとも1つの基がH以外であるという条件で、それぞれ独立して、H、C1〜4のアルキル、C1〜4のハロアルキル又はハロゲンであり、
Arは、C1〜4のアシル、C1〜4のアシルオキシ、C1〜4のアシルチオキシ、C2〜4のアルケニル、C1〜4のアルコキシ、C1〜4のアルキル、C1〜4のアルキルカルボキサミド、C1〜4のアルキルスルフィニル、C1〜4のアルキルスルホンアミド、C1〜4のアルキルスルホニル、C1〜4のアルキルチオ、アミノ、C1〜4のアルキルアミノ、カルボ−C1〜4のアルコキシ、カルボキサミド、シアノ、C2〜6のジアルキルアミノ、C1〜4のハロアルコキシ、C1〜4のハロアルキル、C1〜4のハロアルキルスルフィニル、C1〜4のハロアルキルスルホニル、C1〜4のハロアルキルチオ、ハロゲン、ヒドロキシル及びチオールから成る群から独立して選択される1、2、3、4、又は5の置換基で任意で置換されたアリール又はヘテロアリールであり;
は、C1〜4のアルキルであり;
XとYが双方共CHであり、RとRが双方共Hであり、RがFであり、Rがメチルであるという条件で、そのときArがフェニル以外の基である。
【0032】
本発明の別の態様は、薬学上許容可能なキャリアと組み合わせて本発明の化合物を構成する医薬組成物に関する。
【0033】
本発明の別の態様は、5HT2C受容体を活性化する方法に関するものであり、該方法は、該受容体を治療上有効な量の本発明の化合物と接触させることを含む。一部の実施の形態では、該化合物は5HT2C受容体の作動薬である。
【0034】
本発明の別の態様は、5HT2C受容体に関連する障害を治療する方法に関するものであり、該方法は、そのような治療を必要とする個体に、有効量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。
【0035】
本発明の別の態様は、そのような治療を必要とする個体に、治療上有効量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸を治療する方法に関する。
【0036】
本発明の別の態様は、個体に、治療上有効量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む、個体の食物摂取を減らす方法に関する。
【0037】
本発明の別の態様は、個体に、治療上有効量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む、個体に飽満を誘導する方法に関する。
【0038】
本発明の別の態様は、体重制御に悩む個体に、治療上有効量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む、個体の体重増加を制御する方法に関する。
【0039】
本発明の別の態様は、本発明の化合物と薬学上許容可能なキャリアを混合することを含む医薬組成物を製造する方法に関する。
【0040】
本発明の別の態様は、治療法によってヒト又は動物の体を治療する方法における使用のための本発明の化合物に関する。
【0041】
本発明の別の態様は、治療法によってヒト又は動物の体の5HT2C受容体に関連する障害を治療する方法における使用のための本発明の化合物に関する。
【0042】
本発明の別の態様は、5HT2C受容体に関連する障害の治療で使用するために医薬を製造するための本発明の化合物に関する。
【0043】
本発明の別の態様は、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸の障害の治療で使用するために医薬を製造するための本発明の化合物に関する。
【0044】
一部の実施の形態では、中枢神経系の障害は、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安症、強制強迫障害、社会恐怖症又はパニック状態、睡眠障害、性的機能不全、精神病、総合失調症、片頭痛及び頭の痛み若しくはそのほかの痛みに関連するそのほかの症状、頭蓋内圧の上昇、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、年齢に関連した行動障害、痴呆に関連した行動障害、有機金属障害、小児期の精神障害、攻撃性、年齢に関連した記憶障害、慢性疲労症候群、薬剤及びアルコール中毒、肥満、過食症、神経性食欲不振、並びに月経前緊張症から成る群から選択される。
【0045】
一部の実施の形態では、中枢神経系の障害は、肥満である。
【0046】
一部の実施の形態では、中枢神経系の障害は、アルツハイマー病である。
【0047】
一部の実施の形態では、中枢神経系の障害は、男性の勃起不全である。
【0048】
一部の実施の形態では、中枢神経系への損傷は、外傷、卒中、神経変性性疾患、毒性のCNS疾患、又は感染性のCNS疾患による。
【0049】
一部の実施の形態では、中枢神経系への損傷は、脳炎又は髄膜炎による。
【0050】
一部の実施の形態では、循環器障害は、血栓症である。
【0051】
一部の実施の形態では、消化管障害は、消化管の運動性の機能不全である。
【0052】
一部の実施の形態では、個体は哺乳類である。一部の実施の形態では、哺乳類はヒトである。一部の実施の形態では、ヒトは約18.5〜約45の肥満度指数を有する。一部の実施の形態では、ヒトは約25〜約45の肥満度指数を有する。一部の実施の形態では、ヒトは約30〜約45の肥満度指数を有する。一部の実施の形態では、ヒトは約35〜約45の肥満度指数を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
(発明の詳細な説明)
定義
明瞭さ及び一貫性のために、本特許文書の全体にわたって以下の定義を使用する。
【0054】
「作動薬」は、たとえば、5HT2C受容体のような受容体と相互作用し、活性化し、その受容体に特徴的な生理的又は薬学的な反応を開始させる部分を意味するものとする。たとえば、一部が受容体に結合する際、細胞内の反応を活性化させる、又は膜へのGTPの結合を高めるとき。
【0055】
用語「拮抗剤」は、作動薬(たとえば、内因性のリガンド)と同じ部位で受容体に競合して結合するが、受容体の活性化型によって開始される細胞内の反応を活性化することはなく、それによって作動薬又は部分作動薬による細胞内の反応を阻害することができる部分を意味するように意図される。
【0056】
「化学基、部分又はラジカル」
用語「C1〜4のアシル」は、カルボニルに結合したアルキルラジカルを示し、その際、アルキルの定義は本明細書に記載されるのと同様の定義を有し、一部の例には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブタノイル、イソ−ブタノイルなどが挙げられる。
【0057】
用語「C1〜4のアシルオキシ」は、酸素原子に結合したアシルラジカルを示し、その際、アシルは本明細書に記載されるのと同様の定義を有し、一部の例には、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブタノイルオキシ、イソ−ブタノイルオキシなどが挙げられる。
【0058】
用語「C1〜4のアシルチオキシ」は、酸素原子に結合したチオアシル[すなわち、アルキル−C(=S)−]を示し、一部の例には、アセチルチオキシ[すなわち、CHC(=S)O−]、プロピオニルチオキシ、イソ−ブタノイルチオキシなどが挙げられる。
【0059】
用語「C2〜4のアルケニル」は、2〜4の炭素を含有するラジカルを示し、その際、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合が存在し、一部の実施の形態は3つの炭素を有し、一部の実施の形態は2つの炭素を有する。用語「アルケニル」によって、E異性体とZ異性体の双方及びE異性体とZ異性体の混合物が包含される。アルケニルの例として、ビニル、アリル、2−ブテニル、3−ブテニルなどが挙げられる。
【0060】
用語「C1〜4のアルコキシ」は、本明細書で使用される様に、酸素原子に直接結合した、本明細書で定義されるようなラジカルアルキルを示す。例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、t−ブトキシ、イソ−ブトキシなどが挙げられる。
【0061】
用語「C1〜4のアルキル」は、それぞれ1〜8の炭素又は1〜4の炭素を含有する直鎖又は分枝鎖の炭素ラジカルを示し、一部の実施の形態は1〜6の炭素であり、一部の実施の形態は1〜3の炭素であり、一部の実施の形態は1〜2の炭素である。アルキルの例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、t−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチル、sec−ペンチル、neo−ペンチル、ペント−3−イル、2−メチル−ブタ−1−イル、1,2−ジメチル−プロプ−1−イル、n−ヘキシル、イソ−ヘキシル、sec−ヘキシル、neo−ヘキシル、1−エチル−2−メチル−プロプ−1−イル、1,2,2−トリメチル−プロプ−1−イル、1,1,2−トリメチル−プロプ−1−イル、1−エチル−1−メチル−プロプ−1−イル、1,1−ジメチル−ブタ−1−イル、1,2−ジメチル−ブタ−1−イル、2,3−ジメチル−ブタ−1−イル、2,2−ジメチル−ブタ−1−イル、1,3−ジメチル−ブタ−1−イル、ヘクス−3−イル、2−メチル−ペント−1−イル、3−メチル−ペント−1−イルなどが挙げられる。
【0062】
用語「C1〜4のアルキルカルボキサミド」は、アミドに結合した単一のアルキル基を示し、その際、アルキルは本明細書で見い出されるのと同様の定義を有する。C1〜5のアルキルカルボキサミドは以下によって表されてもよい。
【0063】
【化4】

用語「C1〜4のアルキルスルフィニル」は、式−S(O)−のスルホキシドラジカルに結合したアルキルラジカルを示し、その際、アルキルラジカルは、本明細書で記載されるのと同様の定義を有する。例には、メチルスルフィニル、エチルスルフィニルなどが挙げられる。
【0064】
用語「C1〜4のアルキルスルホンアミド」は以下の基を言う。
【0065】
【化5】

用語「C1〜4のアルキルスルホニル」は、式−S(O)−のスルホンラジカルに結合したアルキルラジカルを示し、その際、アルキルラジカルは、本明細書で記載されるのと同様の定義を有する。例には、メチルスルホニル、エチルスルホニルなどが挙げられる。
【0066】
用語「C1〜4のアルキルチオ」は、式−S−のスルフィドに結合したアルキルラジカルを示し、その際、アルキルラジカルは、本明細書で記載されるのと同様の定義を有する。例には、メチルスルファニル(すなわち、CHS−)、エチルスルファニル、イソプロピルスルファニルなどが挙げられる。
【0067】
用語「C1〜4のアルキルアミノ」は、アミノラジカルに結合した1つのアルキルラジカルを示し、その際、アルキルラジカルは、本明細書で記載されるのと同様の定義を有する。一部の例には、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノなどが挙げられる。
【0068】
用語「アリール」は、6〜10の環の炭素を含有する芳香族環ラジカルを示す。例には、フェニル及びナフチルが挙げられる。
【0069】
用語「カルボ−C1〜4のアルコキシ」は、カルボン酸のアルキルエステルを言い、その際、アルキル基はC1〜4である。例には、カルボメトキシ、カルボエトキシ、カルボイソプロポキシなどが挙げられる。
【0070】
用語「カルボキサミド」は、基−CONHを言う。
【0071】
用語「シアノ」は、基−CNを示す。
【0072】
用語「C2〜6のジアルキルアミノ」は、同一又は異なった2つのC1〜3のアルキルラジカルで置換されたアミノを示し、その際、アルキルラジカルは、本明細書で記載されるのと同様の定義を有する。一部の例には、ジメチルアミノ、メチルエチルアミノ、ジエチルアミノなどが挙げられる。
【0073】
用語「C1〜4のハロアルコキシ」は、本明細書で定義されるようなハロアルキルを示し、それは、酸素に直接結合して、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、2,2,2−トリフルオロエトキシ、ペンタフルオロエトキシなどを形成する。
【0074】
用語「アミノ」は、基−NHを示す。
【0075】
用語「C1〜4のハロアルキル」は、本明細書で定義されるアルキル基を示し、その際、少なくとも1つのハロゲンによる置換から、Lがハロゲンである式C2n+1によって表される完全置換までアルキルが置換され、複数のハロゲンが存在する場合、それらは同一であっても、異なっていてもよく、F、Cl、Br及びIから選択される。例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロジフルオロメチル、2,2,2−トリフルオロエチルスルフィニル、ペンタフルオロエチルなどが挙げられる。
【0076】
用語「C1〜4のハロアルキルスルフィニル」は、式−S(O)−のスルホキシドに結合したハロアルキルラジカルを示し、その際、アルキルラジカルは、本明細書で記載されるのと同様の定義を有する。例には、トリフルオロメチルスルフィニル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2−ジフルオロエチルスルフィニルなどが挙げられる。
【0077】
用語「C1〜4のハロアルキルスルホニル」は、式−S(O)−のスルホンに結合したハロアルキルを示し、その際、ハロアルキルは、本明細書で記載されるのと同様の定義を有する。例には、トリフルオロメチルスルホニル、2,2,2−トリフルオロエチルスルホニル、2,2−ジフルオロエチルスルホニルなどが挙げられる。
【0078】
用語「C1〜4のハロアルキルチオ」は、1以上のハロゲンで置換されたアルキルチオラジカルを示す。例には、トリフルオロメチルチオ、1,1−ジフルオロエチルチオ、2,2,2−トリフルオロエチルチオなどが挙げられる。
【0079】
用語「ハロゲン」又は「ハロ」は、F、Cl、Br及びIを示す。
【0080】
用語「ヘテロアリール」は、単一の環、2つの縮合環又は3つの縮合環であってもよい芳香族環系を示し、その際、少なくとも1つの環炭素が、O、S及びNから成る群から選択されるが、これらに限定されないヘテロ原子で置換され、H、C1〜4のアシル又はC1〜4のアルキルにより任意でNを置換することができる。ヘテロアリール基の例には、ピリジル、ベンゾフラニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、トリアジニル、キノリン、ベンゾキサゾール、ベンゾチアゾール、1H−ベンズイミダゾール、イソキノリン、キナゾリン、キノキサリンなどが挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施の形態では、ヘテロアリール原子は基、O、S、NH及びNから選択され;例には、ピロール、インドールなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
用語「ヒドロキシル」は、−OH基を言う。
【0082】
用語「チオール」は、−SH基を示す。
【0083】
「組成物」は、少なくとも2つの化合物又は2つの成分を含む物質を意味するものとし、たとえば、限定ではなく、医薬組成物は組成物である。
【0084】
「接触」又は「接触すること」は、生体内の系であろうと、試験管内の系であろうと、指示された部分を接触させることを意味するものとする。従って、5HT2C受容体を本発明の化合物に「接触させること」は、本発明の化合物の個体への、好ましくは、5HT2C受容体を有するヒトへの投与、並びに、たとえば、5HT2C受容体を含有する細胞性調製物又はさらに精製された調製物を含有する試料に本発明の化合物を導入することを含む。
【0085】
本明細書で使用するとき、「治療を必要とする」は、介護人(たとえば、ヒトの場合、内科医、看護師、臨床看護師;非ヒト哺乳類を含む動物の場合、獣医)により為される個体又は動物が治療を必要とする又は治療により利益が得られるという判断を言う。この判断は、介護人の経験の領域にあるが、本発明の化合物によって治療可能である疾患、症状又は障害の結果として、個体又は動物が病気である又は病気になるという認識を含む様々な因子に基づいて行われる。従って、本発明の化合物は、保護的方法又は予防的方法で使用することができ、或いは、本発明の化合物を使用して疾患、症状又は障害を緩和する、抑制する又は改善することができる。
【0086】
本明細書で使用するとき、「個体」は、哺乳類、好ましくは、マウス、ラット、そのほかのげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ又は霊長類、最も好ましくは、ヒトを含む任意の動物を言う。
【0087】
「医薬組成物」は、少なくとも1つの有効成分を含む組成物を意味するものとし、そのために、組成物は、哺乳類(たとえば、ヒト、しかし、これに限定されない)における特定の、有効な成果に関する検討を免れない。当業者は、有効成分が熟練者のニーズに基づいた所望の有効な転帰を有するかどうかを判定する適当な技法を了解し、十分理解するであろう。
【0088】
本明細書で使用するとき、「治療上の有効量」は、研究者、獣医、医師又はそのほかの臨床家によって求められる、組織、系、動物、個体又はヒトにおける生物学的又は医学的な反応を引き出す有効成分又は医薬剤の量を言い、以下の1以上を包含する。
【0089】
(1)疾患を防止すること;たとえば、疾患、症状又は障害の素因を有してもよいが、疾患の病態又は徴候を未だ経験していない又は表していない個体において疾患、症状又は障害を防止すること。
【0090】
(2)疾患を抑制すること;たとえば、疾患、症状又は障害の病態又は徴候を経験しつつある又は表しつつある個人において疾患、症状又は障害を抑制すること(すなわち、病態及び/又は徴候のさらなる進展を停止させること)。
【0091】
(3)疾患を改善すること;たとえば、疾患、症状又は障害の病態又は徴候を経験しつつある又は表しつつある個人において疾患、症状又は障害を改善すること(すなわち、病態及び/又は徴候を逆転すること)。
本発明の化合物
本発明の態様の1つは、式(Ia)によって表されるような特定のN−ビアリール及びN−アリールヘテロアリール2−置換ピペラジン誘導体、又は薬学上許容可能なその塩に関する:
【0092】
【化6】

(式中、Ar、X、Y、R、R、R及びRは、上記においても下記においても本明細書で記載されたのと同様の定義を有する)。
【0093】
明確にするために別個の実施の形態の背景で記載される、本発明の特定の特徴が単一の実施の形態との組み合わせで提供されてもよいことが十分に理解される。逆に、簡潔にするために単一の実施の形態の背景で記載される種々の特徴が、別々に又は好適な副次的な組み合わせで提供されてもよい。本明細書で記載される一般的な化学式[たとえば、(Ia)、(Ic)、(Ie)]の中に含有される変数(たとえば、Ar、X、Y、R、R、R、Rなど)によって表される化学基に関する実施の形態の組み合わせはすべて、そのような組み合わせが安定な化合物(すなわち、単離し、性状分析し、生物活性について調べることができる化合物)を生じる程度にそれらが、まさにあたかも明白に開示されるように、本発明によって具体的に包含される。さらに、そのような変数を記載する実施の形態に列記される化学基の副次的組み合わせはすべて、並びに本明細書で記載される使用及び医学的適応の副次的組み合わせはすべて、化学基のそのような副次的組み合わせ並びに使用及び医学的適応の副次的組み合わせも、まさにあたかも本明細書で明白に開示されるかのように、本発明によって具体的に包含される。
【0094】
本明細書で使用するとき、「置換された」は、化学基の少なくとも1つの水素原子が非水素の置換基又は基によって置き換えられ、非水素の置換基又は基は、一価又は二価であってもよいことを示す。置換基又は基が二価である場合、この基は別の置換基又は基によってさらに置換されることが理解される。本明細書で化学基が「置換される」場合、それは全部の価数の置換を有してもよく;たとえば、メチル基は1、2又は3の置換基で置換することができ、メチレン基は、1又は2の置換基で置換することができ、フェニル基は、1、2、3、4又は5の置換基で置換することができ、ナフチル基は、1、2、3、4、5、6又は7の置換基などで置換することができる。同様に、「1以上の置換基で置換される」は、1の置換基による基の置換から、基によって物理的に許される合計数の置換基までによる基の置換を言う。さらに、複数の基によって基が置換される場合、それらは同一であっても異なっていてもよい。
【0095】
式(Ia)の化合物は、1以上のキラル中心を有するので、エナンチオマー及び/又はジアステレオマーとして存在できることが分かっており、十分に理解される。ラセミ体を含むが、これに限定されないそのようなエナンチオマー、ジアステレオマー及びそれらの混合物すべてにまで及び、これらを包含するように本発明は理解される。従って、本発明の実施の形態の1つは、式(Ia)及び本開示の全体にわたって使用される式の、Rエナンチオマーである化合物に関する。さらに、本発明の実施の形態の1つは、式(Ia)及び本開示の全体にわたって使用される式の、Sエナンチオマーである化合物に関する。特に述べれられない又は示されない限り、式(Ia)及び本開示の全体にわたって使用される式の化合物は、個々のエナンチオマー及びそれらの組み合わせすべてを表すように意図されることが了解される。
【0096】
本発明の一部の実施の形態は、XがNである化合物に関する。一部の実施の形態は、以下で説明されるような式(Ic)で表すことができ、
【0097】
【化7】

その際、式(Ic)における各変数は、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0098】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRである化合物に関する。一部の実施の形態は、以下で説明されるような式(Ie)で表すことができ、
【0099】
【化8】

その際、式(Ie)における各変数は、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0100】
本発明の一部の実施の形態は、YがNである化合物に関する。一部の実施の形態は、以下で説明されるような式(Ig)で表すことができ、
【0101】
【化9】

その際、式(Ig)における各変数は、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0102】
本発明の一部の実施の形態は、YがCRである化合物に関する。一部の実施の形態は、以下で説明されるような式(Ii)で表すことができ、
【0103】
【化10】

その際、式(Ii)における各変数は、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0104】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがCRである化合物に関する。一部の実施の形態は、以下で説明されるような式(Ik)で表すことができ、
【0105】
【化11】

その際、式(Ik)における各変数は、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0106】
本発明の一部の実施の形態は、RがHである化合物に関する。一部の実施の形態は、以下で説明されるような式(Im)で表すことができ、
【0107】
【化12】

その際、式(Im)における各変数は、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0108】
本発明の一部の実施の形態は、RがC1〜4のアルキルである化合物に関する。
【0109】
本発明の一部の実施の形態は、Rがメチルである化合物に関する。
【0110】
本発明の一部の実施の形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。
【0111】
本発明の一部の実施の形態は、RがFである化合物に関する。
【0112】
本発明の一部の実施の形態は、RがCFである化合物に関する。
【0113】
本発明の一部の実施の形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。
【0114】
本発明の一部の実施の形態は、RがFである化合物に関する。
【0115】
本発明の一部の実施の形態は、RがCFである化合物に関する。
【0116】
本発明の一部の実施の形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。
【0117】
本発明の一部の実施の形態は、RがFである化合物に関する。
【0118】
本発明の一部の実施の形態は、RがCFである化合物に関する。
【0119】
本発明の一部の実施の形態は、Rがハロゲンである化合物に関する。
【0120】
本発明の一部の実施の形態は、RがFである化合物に関する。
【0121】
本発明の一部の実施の形態は、RがCFである化合物に関する。
【0122】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがCRであり、Rがハロゲンであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0123】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがCRであり、RがFであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0124】
本発明の一部の実施の形態は、以下で説明される化合物に関するものであり、
【0125】
【化13】

その際、式(Io)におけるAr、R、R及びRは、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0126】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがCRであり、Rがハロゲンであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0127】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがCRであり、RがFであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0128】
本発明の一部の実施の形態は、以下で説明される化合物に関するものであり、
【0129】
【化14】

その際、式(Iq)におけるAr、R、R及びRは、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0130】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがCRであり、Rがハロゲンであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0131】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがCRであり、RがFであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0132】
本発明の一部の実施の形態は、以下で説明される化合物に関するものであり、
【0133】
【化15】

その際、式(Is)におけるAr、R、R及びRは、上記及び下記にて本明細書に記載されるのと同一の意味を有する。
【0134】
本発明の一部の実施の形態は、XがCRであり、YがNであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0135】
本発明の一部の実施の形態は、XがNであり、YがCRであり、R、R及びRがそれぞれHである化合物に関する。
【0136】
本発明の一部の実施の形態は、Arがチエニル、ピリジニル、フェニル及びフラニルから成る群から選択される化合物に関する。
【0137】
本発明の一部の実施の形態は、Arがチオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル及びフラン−3−イルから成る群から選択される化合物に関する。
【0138】
本発明の一部の実施の形態は、Arがチオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、フラン−3−イル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル及び2,6−ジフルオロフェニルから成る群から選択される化合物に関する。
【0139】
本発明の一部の実施の形態は、Rがメチルである化合物に関する。
【0140】
本発明の一部の実施の形態は、
がHであり;
X及びYの両方がNでないという条件で、XがN又はCRであり、YがN又はCRであり;
少なくとも1つの基がハロゲンであるという条件で、R、R、R及びRが独立してH又はハロゲンであり;
Arが、チエニル、ピリジニル、フェニル及びフラニルから成る群から選択され;
がメチルである
化合物に関する。
【0141】
本発明の一部の実施の形態は、
がHであり;
X及びYの両方がNでないという条件で、XがN又はCRであり、YがN又はCRであり;
少なくとも1つの基がハロゲンであるという条件で、R、R、R及びRが独立してH又はハロゲンであり;
Arが、それぞれ、任意で1又は2のハロ基により置換されたチエニル、ピリジニル、フェニル及びフラニルから成る群から選択され
がメチルである
化合物に関する。
【0142】
本発明の一部の実施の形態は、
がHであり;
XがNであり;
YがCRであり;
、R及びRがそれぞれHであり;
Arが、チオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル及びフラン−3−イルから成る群から選択され;
がメチルである
化合物に関する。
【0143】
本発明の一部の実施の形態は、
がHであり;
XがCRであり;
YがNであり;
、R及びRがそれぞれHであり;
Arが、チオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル及びフラン−3−イルから成る群から選択され;
がメチルである
化合物に関する。
【0144】
本発明の一部の実施の形態は、
がHであり;
XがCRであり;
YがCRであり;
少なくとも1つの基がハロゲンであるという条件で、R、R、R及びRがそれぞれ独立してH又はハロゲンであり;
Arが、チオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル及びフラン−3−イルから成る群から選択され;
がメチルである
化合物に関する。
【0145】
本発明の一部の実施の形態は、
がHであり;
XがCRであり;
YがCRであり;
少なくとも1つの基がハロゲンであるという条件で、R、R、R及びRがそれぞれ独立してH又はハロゲンであり;
Arがチオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、フラン−3−イル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル及び2,6−ジフルオロフェニルから成る群から選択され;
がメチルである
化合物に関する。
【0146】
本発明の一部の実施の形態は、以下の表2に表されるような化合物に関する。本発明の一部の実施の形態は、表2の化合物から選択される1以上の化合物のあらゆる組み合わせを含む。
【0147】
【化16】

【0148】
【化17】

【0149】
【化18】

さらに、本発明の個々の化合物及び化学物質種、たとえば、式(Ia)及びそれに関連する式は、薬学上許容可能なそれらの塩、溶媒和物、及び特に、水和物を含む。
【0150】
本発明は、本明細書で開示される化合物のラセミ体混合物を包含することが了解される。従って、本発明の一部の実施の形態は、以下の群から選択される1以上の化合物のあらゆる組み合わせを含む。
【0151】
1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(3−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
2−メチル−1−(5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン;
2−メチル−1−(6−フェニル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン;
1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
2−メチル−1−(5,2’,6’−トリフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(4,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(4,4’−ジフェニル−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;及び
1−ビフェニル−3−イル−2−メチル−ピペラジン。
【0152】
本発明は、本明細書で開示される各化合物及び一般式の各ジアステレオマー、各エナンチオマー及びそれらの混合物が、まさにあたかも、各キラル原子、たとえば、炭素について特定の立体化学的な意味を持って個々に開示されるかのように、それらを包含することが了解される。従って、本発明の一部の実施の形態は、以下の群から選択される1以上の化合物のあらゆる組み合わせを含む。
【0153】
(S)−1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(3−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−1(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−2−メチル−1−(5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン;
(S)−2−メチル−1−(6−フェニル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン;
(S)−1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−2−メチル−1−(5,2’,6’−トリフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
(S)−1−(4,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
(S)−(S)−1−(4,4’−ジフェニル−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;及び
1−ビフェニル−3−イル−2−メチル−ピペラジン。
【0154】
本発明の式(Ia)の化合物は、図1及び2における一般的な合成スキーム、並びに当業者によって使用される関連する公開された文献の手順に従って調製することができる。これらの反応の例示となる試薬及び手順は、作業用実施例にて以下に記載する。保護及び脱保護は、当該技術で一般的に知られる手順(たとえば、Greece TW & Wuts PGM,有機合成における保護基、第3版、1999年、Wileyを参照のこと;その全体を参照によって本明細書に組み入れる)によって実行してもよい。
【0155】
本発明はまた、本発明の特定の化合物の構造的不斉の結果生じる、個々のエナンチオマー及びジアステレオマーと同様に、光学異性体、たとえば、ラセミ体混合物を含むエナンチオマーの混合物と同様にジアステレオマーも包含する。個々の異性体の分離又は個々の異性体の選択的合成は、当該技術の熟練者に周知の種々の方法、たとえば、エナンチオマーを分離するためのキラルHPLCの適用によって達成される。
【0156】
本明細書の様々な箇所で、本発明の化合物の一部として存在する置換基が、群又は範囲において開示される。本発明は、そのような群及び範囲のメンバーの各副次的組み合わせ及びあらゆる個々の副次的組み合わせを含むことを具体的に目的としている。たとえば、用語「C1〜4のアルキル」は、メチル、エチル、Cアルキル及びCアルキルを個々に且つ別々に開示することを具体的に目的としている。
【0157】
方法及び使用
本発明の態様の1つは、受容体を、治療上有効な量又は用量の、本明細書で開示されるような化合物と接触させることを含む、5HT2C受容体を活性化させる方法に関する。
【0158】
本発明の別の態様は、個体における5HT2C受容体に関連する疾患の治療方法に関するものであり、該方法は、そのような治療を必要とする個体に、治療上有効な量又は用量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む。一部の実施の形態では、5HT2C受容体に関連する疾患は、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、及び睡眠時無呼吸から成る群から選択される。一部の実施の形態では、個体は哺乳類である。好ましくは、哺乳類はヒトである。
【0159】
一部の実施の形態では、5HT2C受容体に関連する疾患は、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安症、不安障害、強制強迫障害、社会恐怖症、パニック状態、注意欠陥多動性障害、分裂行動障害、衝動調節障害、境界性人格障害、睡眠障害(たとえば、睡眠時無呼吸)、自閉症、発作障害、無言症、選択性無言症、小児期不安症、男性における性的機能不全(たとえば、早漏及び勃起困難又は不全)、女性における性的機能不全、精神病、総合失調症、偏頭痛及び頭痛又はそのほかの痛みに関連する症状、頭蓋内圧の上昇、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、年齢に関連した行動障害、痴呆に関連した行動障害、加齢による痴呆、有機金属障害、小児期の精神障害、攻撃性、年齢に関連した記憶障害、慢性疲労症候群、薬剤及びアルコール中毒、アルコール依存症、タバコの乱用、体重減少、肥満、過食、過食症、神経性食欲不振、過食障害、月経前緊張症、月経前症候群(PMS若しくは黄体後期不機嫌障害)、外傷後症候群、脊髄損傷、中枢神経系の損傷(たとえば、外傷、卒中、神経変性疾患若しくは毒性障害若しくは感染性障害(たとえば、血栓症))、消化器の障害(たとえば、消化器の運動性の機能不全)、尿崩症及びII型糖尿病から成る群から選択される。
【0160】
一部の実施の形態では、5HT2C受容体に関連する疾患は、高血圧、高血圧症、高血中コレステロール、異常脂質血症、II型(インスリン非依存性)糖尿病、インスリン耐性、ブドウ糖耐性、高インスリン血症、冠状動脈心疾患、狭心症、鬱血性心不全、卒中、胆石、胆嚢炎及び胆石症、痛風、変形性関節症、閉塞型睡眠時無呼吸症候群及び呼吸器の問題、ある種の癌(たとえば、子宮内膜癌、乳癌、前立腺癌及び結腸癌)、妊娠合併症、女性の性と生殖に関する乏しい健康(たとえば、月経不順、不妊、不順な排卵)、膀胱の制御の問題(たとえば、ストレス性尿失禁)、尿酸腎結石症、心理的障害(たとえば、うつ病、摂食障害、歪められた身体図式及び低い自己尊重)から成る群から選択される。
【0161】
一部の実施の形態では、5HT2C受容体に関連する疾患は、たとえば、神経性食欲不振及び過食症のような、しかし、これらに限定されない摂食障害のある個体における精神科的症状及び行動から成る群から選択される。摂食障害のある個体は、社会的隔離を示すことが多い。たとえば、神経性食欲不振の個体は、元気のない、不安な、執着した、完全主義的な特徴、及びかたくなな認識様式、並びに性的無関心を提示することが多い。神経性食欲不振及び過食症に加えて、そのほかの摂食障害には、過食障害((脅迫的摂食)及びED−NOS(すなわち、特に特定されない摂食障害−公式の診断)が挙げられる。ED−NOSと診断された個体は、その個体が特定の診断について2、3の基準を除いてすべて満たす状況を含めて非定型の摂食障害を持つ。本質的に、個体が食物及び体重に関して行っていることは正常でもなければ健康的でもない。
【0162】
一部の実施の形態では、5HT2C受容体に関連する疾患は、拒食運動(強制的運動)、身体醜形障害(ビゴレキシア)、小児における感染が原因の亜型自己免疫、健康的な食事への不健康な執着、夜食症候群、夜行性の睡眠関連の摂食障害、反芻症候群、食道楽症候群、プラダー・ウィリ症候群、異食症、及び周期性嘔吐症候群から成る群から選択される。
【0163】
本発明の別の態様は、個体に、治療上有効な量又は用量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む、個体の食物摂取を減らす方法に関する。一部の実施の形態では、個体は哺乳類である。好ましくは、哺乳類はヒトである。さらなる実施の形態では、ヒトは約18.5〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約25〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約30〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約35〜約45の肥満度指数を有する。
【0164】
本発明の別の態様は、個体に、治療上有効な量又は用量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む、個体の飽満を誘導する方法に関する。一部の実施の形態では、個体は哺乳類である。好ましくは、哺乳類はヒトである。さらなる実施の形態では、ヒトは約18.5〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約25〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約30〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約35〜約45の肥満度指数を有する。
【0165】
本発明の別の態様は、体重の制御に悩む個体に、治療上有効な量又は用量の本発明の化合物又はその医薬組成物を投与することを含む、個体の体重増加を制御する方法に関する。一部の実施の形態では、個体は哺乳類である。好ましくは、哺乳類はヒトである。さらなる実施の形態では、ヒトは約18.5〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約25〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約30〜約45の肥満度指数を有する。さらなる実施の形態では、ヒトは約35〜約45の肥満度指数を有する。
【0166】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの本発明の化合物及び少なくとも1つの薬学上許容可能なキャリアを混合することを含む医薬組成物を製造する方法に関する。
【0167】
本発明の別の態様は、治療法によってヒト又は動物の体の中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸を治療する方法における使用のための、本明細書に記載されるような化合物に関する。
【0168】
本発明の別の態様は、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸の治療又は予防に使用するための医薬を製造するための、本明細書に記載されるような化合物の使用に関する。
【0169】
一部の実施の形態では、中枢神経系の障害は、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安症、強制強迫障害、社会恐怖症又はパニック状態、睡眠障害、性的機能不全、精神病、総合失調症、片頭痛及び頭の痛み若しくはそのほかの痛みに関連するそのほかの症状、頭蓋内圧の上昇、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、年齢に関連した行動障害、痴呆に関連した行動障害、有機金属障害、小児期の精神障害、攻撃性、年齢に関連した記憶障害、慢性疲労症候群、薬剤及びアルコール中毒、肥満、過食症、神経性食欲不振、並びに月経前緊張症から成る群から選択される。さらなる実施の形態では、中枢神経系の障害は肥満である。さらなる実施の形態では、中枢神経系の障害はアルツハイマー病である。さらなる実施の形態では、性的機能不全は男性の勃起不全である。
【0170】
一部の実施の形態では、中枢神経系への損傷は、外傷、卒中、神経変性疾患、毒性CNS疾患又は感染性CNS疾患による。さらなる実施の形態では、中枢神経系への損傷は、脳炎又は髄膜炎による。
【0171】
一部の実施の形態では、循環器障害は血栓症である。
【0172】
一部の実施の形態では、消化管障害は、消化管の運動性の機能不全である。
【0173】
本発明の別の態様は、少なくとも1つの本発明の化合物及び少なくとも1つの薬学上許容可能なキャリアを混合することを含む医薬組成物を製造する方法に関する。
【0174】
本発明の別の態様は、治療法によってヒト又は動物の体を治療する方法において使用するための、本明細書に記載されるような化合物に関する。
【0175】
本発明の別の態様は、治療法によってヒト又は動物の体の中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸を治療する方法において使用するための、本明細書に記載されるような化合物に関する。
【0176】
本発明の別の態様は、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸の治療において使用するための医薬を製造するための、本明細書に記載されるような化合物の使用に関する。
【0177】
本発明の別の態様は、AD及びADに関連する障害の治療のための、セロトニン5HT2C受容体にて作動薬活性を持つ本発明の化合物の使用に関する。本発明の化合物は、単独で使用することができ、又は通常ADに処方される別の作用剤(しかし、これに限定されない、たとえばAChE阻害剤)との併用で使用することができる。
【0178】
併用療法−予防及び治療
本発明の背景で、式(Ia)の化合物又は薬学上許容可能なその化合物を利用して、本明細書で記載されるような疾患、症状及び/又は障害に関係する5HT2C受容体を活性化することができる。たとえば、5HT2C受容体を活性化することは、食物摂取を減らすこと、飽満を誘導すること(すなわち、満腹感)、体重増加を制御すること、体重を減らすこと及び/又は受入者が体重を失う及び/又は体重を維持するように代謝に影響を及ぼすことによって、肥満及び/又は太り過ぎの治療に有用である。従って、そのような化合物及び医薬組成物は、体重増加が本明細書で列記されるもののような疾患及び/又は障害の構成成分である障害及び/又は疾患の背景において使用することができる。さらに、本発明の化合物及び組成物は、アルツハイマー病、勃起不全及び本明細書で記載されるような5HT2C受容体に関連する疾患及び/又は障害の予防及び/又は治療に使用することができる。本発明の化合物は、単独の活性医薬剤(すなわち、単一療法)として投与することができる一方で、本明細書に記載される疾患/症状/障害の治療のためのそのほかの医薬剤との併用で(すなわち、併用療法)化合物を使用することもできる。従って、本発明の別の態様は、予防及び/又は治療を必要とする個体に、本明細書に記載されるような1以上の追加の医薬剤との併用で、治療上有効量の本発明の化合物、たとえば、式(Ia)を投与することを含む予防及び/又は治療の方法を包含する。
【0179】
本発明の化合物と併用して使用することができる好適な医薬剤には、たとえば、アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(アポ−B/MTP)阻害剤、MCR−4作動薬、コレスシストキニン−A(CCK−A)作動薬、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(たとえば、シブトラミン)、交感神経様作用薬、βアドレナリン受容体作動薬、ドーパミン作動薬(たとえば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類縁体、カンナビノイドI受容体拮抗剤[たとえば、SR141716:N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、メラニン濃縮ホルモン拮抗剤、レプトン(OBタンパク質)、レプチン類縁体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗剤、リパーゼ阻害剤(たとえば、テトラヒドロリプスタチン、すなわち、オルリスタット)、食欲抑制剤(たとえば、ボンベスチン作動薬)、神経ペプチド−Y拮抗剤、甲状腺ホルモン様作用剤、デヒドロエピアンドロステロン又はその類縁体、グルココルチコイド受容体作動薬又は拮抗剤、オレキシン受容体拮抗剤、ウロコルチン結合タンパク質拮抗剤、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動薬、毛様神経栄養因子(たとえば、アキソキン(商標)、ニューヨーク州、タリタウンのレーゲネロン製薬会社及びオハイオ州、シンシナティのプロクター&ギャンブル社から入手可能)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体拮抗剤、ヒスタミン3受容体拮抗剤又は逆作動薬、ニューロメディンU受容体作動薬、ノルアドレナリン様食欲抑制剤(たとえば、フェンテルミン、マジンドールなど)及び食欲抑止剤(たとえば、ブプロピオン)のような肥満防止剤が挙げられる。
【0180】
上記の作用剤を含むそのほかの肥満防止剤は、当業者に周知であるか、又は本開示に照らして当業者に明らかになるであろう。
【0181】
一部の実施の形態では、肥満防止剤は、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、フェンテルミン及びシュードエフェドリンから成る群から選択される。さらなる実施の形態では、本発明の化合物及び併用療法は、運動及び/又は目的に合った食餌療法と併せて投与される。
【0182】
当然のことながら本発明の化合物と、そのほかの肥満防止剤、食欲抑制薬、食欲抑止剤及び関連作用剤との併用療法の範囲は、上で列記されたものに限定されないが、原則として、太り過ぎ及び肥満の個体の治療に有用であるいかなる医薬剤又は医薬組成物との併用も含む。
【0183】
本発明の化合物との併用に使用することができる、肥満防止剤以外のそのほかの好適な医薬剤には、合併症の治療に有用な作用剤が挙げられる。たとえば、太り過ぎ又は肥満である個人は、たとえば、鬱血性心不全、II型糖尿病、アテローム性硬化症、異型脂質血症、高インスリン血症、高血圧症、インスリン耐性、高カルシウム血症、網膜症、腎症及び神経症のような、しかし、これらに限定されない合併症から生じる罹患率及び死亡率のリスクを高めている。本明細書で引用された1以上の疾患の治療には、以下に引用されるが、これらに限定されない薬剤の部類に属する当該技術で既知の1以上の医薬剤の使用が挙げられる:スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−γ(すなわち、PPAR−γ)作動薬、インスリン、インスリン類縁体、HMG−CoA還元酵素阻害剤、コレステロール低下剤(たとえば、フェノフィブレート、ベザフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレートを含むフィブレート類;コレスチラミン、コレスチポールなどを含む胆汁酸金属イオン封鎖剤;及びナイアシン)、抗血小板剤(たとえば、アスピリン、及びクロピドグレル、チコピジンなどを含むアデノシン二リン酸受容体拮抗剤)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗剤並びにアジポネクチン。本発明の1つ態様によれば、本発明の化合物は、本明細書で引用される1以上の薬剤の部類に属する医薬剤との併用で使用することができる。
【0184】
本発明の化合物とそのほかの医薬剤との併用療法の範囲は、上記又は下記にて、本明細書で列記されるものに限定されないが、原則として、太り過ぎ及び肥満の個体に関連付けられる疾患、症状又は障害の治療に有用であるいかなる医薬剤又は医薬組成物との併用も含むことが理解されるであろう。
【0185】
本発明の一部の実施の形態は、治療を必要とする個体に、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−γ(すなわち、PPAR−γ)作動薬、インスリン、インスリン類縁体、HMG−CoA還元酵素阻害剤、コレステロール低下剤(たとえば、フェノフィブレート、ベザフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレートを含むフィブレート類;コレスチラミン、コレスチポールなどを含む胆汁酸金属イオン封鎖剤;及びナイアシン)、抗血小板剤(たとえば、アスピリン、及びクロピドグレル、チコピジンなどを含むアデノシン二リン酸受容体拮抗剤)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗剤並びにアジポネクチンから成る群から選択される少なくとも1以上の医薬剤との併用で、治療上有効な量又は用量の本発明の化合物を投与することを含む、本明細書で記載されるような疾患、障害又は症状を治療する方法を含む。一部の実施の形態では、本発明の方法は、本発明の化合物を含み、医薬剤は別々に投与される。さらなる実施の形態では、本発明の化合物及び医薬剤は一緒に投与される。
【0186】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはα−グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。α−グルコシダーゼ阻害剤は、膵臓及び/又は小腸でα−アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなどのような消化酵素を競合的に阻害する薬剤の部類に属する。α−グルコシダーゼ阻害剤よる可逆的阻害は、デンプンや糖の消化を遅らせることによって血中のグルコースレベルを抑える、減少させる又はさもなければ低下させる。α−グルコシダーゼ阻害剤の一部の代表例には、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオールアミン(一般名:ボグリボース)、ミグリトール、及び当該技術で既知のα−グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。
【0187】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはスルホニル尿素が挙げられる。スルホニル尿素(SU)は、細胞膜におけるSU受容体を介してインスリン分泌のシグナルを伝達することによって膵臓のβ細胞からのインスリン分泌を促進する薬剤である。スルホニル尿素の例には、グリブリド、グリピジド、グリメピリド及び当該技術で既知のそのほかのスルホニル尿素が挙げられる。
【0188】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはメグリチニド類が挙げられる。メグリチニド類は、インスリン分泌促進薬の新規の部類を表す安息香酸誘導体である。これらの作用剤は、食後の高血糖を標的とし、HbA1Cを下げる点でスルホニル尿素に匹敵する有効性を示す。メグリチニド類の例には、レパグリニド、ナテグリニド及び当該技術で既知のそのほかのメグリチニド類が挙げられる。
【0189】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはビグアニド類が挙げられる。ビグアニド類は、嫌気性の解糖を刺激し、末梢組織におけるインスリンへの感受性を高め、腸からのグルコースの吸収を阻害し、肝臓での糖新生を抑制し、脂肪酸の酸化を阻害する薬剤の部類を代表する。ビグアニド類の例には、フェンフォルミン、メトフォルミン、ブフォルミン、及び当該技術で既知のビグアニド類が挙げられる。
【0190】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはα−グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。α−グルコシダーゼ阻害剤は、膵臓及び/又は小腸でα−アミラーゼ、マルターゼ、α−デキストリナーゼ、スクラーゼなどのような消化酵素を競合的に阻害する。α−グルコシダーゼ阻害剤による可逆的阻害は、デンプンや糖の消化を遅らせることによって血中のグルコースレベルを抑える、減少させる又はさもなければ低下させる。α−グルコシダーゼ阻害剤の一部の代表例には、アカルボース、N−(1,3−ジヒドロキシ−2−プロピル)バリオールアミン(一般名:ボグリボース)、ミグリトール、及び当該技術で既知のα−グルコシダーゼ阻害剤が挙げられる。
【0191】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−γ(すなわち、PPAR−γ)作動薬が挙げられる。ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−γ作動薬は、核受容体PPAR−γを活性化するので、グルコースの産生、輸送及び利用の制御に関与するインスリン反応性遺伝子の転写を調節する化合物の部類を代表する。この部類の作用剤はまた、脂肪酸代謝の調節も促進する。PPAR−γ作動薬の例には、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン、テサグリタザール、ネトグリタゾン、GW−409544、GW−501516及び当該技術で既知のPPAR−γ)作動薬が挙げられる。
【0192】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはHMG−CoA還元酵素阻害剤が挙げられる。HMG−CoA還元酵素阻害剤は、ヒドロキシメチルグルタリルCoA(HMG−CoA)還元酵素を阻害することによって血中コレステロールのレベルを低下させる薬剤の部類に属するスタチン化合物とも呼ばれる作用剤である。HMG−CoA還元酵素は、コレステロール生合成における律速酵素である。スタチン類は、LDL受容体の活性を上方制御することによって血清LDL濃度を低下させ、血液からのLDLのクリアランスに関与する。スタチン化合物の一部の代表例には、ロスバスタチン、プラバスタチン及びそのナトリウム塩、シムバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、BMSの「スーパースタチン」及び当該技術で既知のHMG−CoA還元酵素阻害剤が挙げられる。
【0193】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはアンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤が挙げられる。アンギオテンシン変換酵素阻害剤は、アンギオテンシン変換酵素を阻害することによって、血圧を下げるのと同様に、血糖レベルを部分的に下げる薬剤の部類に属する。アンギオテンシン変換酵素阻害剤の例として、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル、ラミプリル、リシノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、セロナプリル、シラザプリル、エナラプリラット、フォシノプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、キナプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、及び当該技術で既知のアンギオテンシン変換酵素阻害剤が挙げられる。
【0194】
本発明の化合物と共に使用することができる好適な医薬剤にはアンギオテンシンII受容体拮抗剤が挙げられる。アンギオテンシンII受容体拮抗剤は、アンギオテンシンII受容体亜型1(すなわち、AT1)を標的とし、高血圧症に有益な効果を示す。アンギオテンシンII受容体拮抗剤の例には、ロサルタン(及びそのナトリウム塩形態)並びに当該技術で既知のアンギオテンシンII受容体拮抗剤が挙げられる。
【0195】
本明細書で引用される1以上の疾患のそのほかの治療には、以下に引用するが、それらに限定されない薬剤の部類に属する当該技術で既知の医薬剤の使用が挙げられる:アミリン作動薬(たとえば、プラムリンチド)、インスリン分泌促進薬(たとえば、GLP−1作動薬;エクセンジン−4;インスリノトロピン(NN2211);ジペプチルペプチダーゼ阻害剤(たとえば、NVP−DPP−728)、アシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼ阻害剤(たとえば、エゼチミベ、エフルシミベなどの化合物)、コレステロール吸収阻害剤(たとえば、エゼチミベ、パマクエシドなどの化合物)、コレステロールエステル輸送タンパク質阻害剤(たとえば、CP−529414、JTT−705、CETi−1などの化合物)、ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質阻害剤(たとえば、イムプリタピドなどの化合物)、コレステロールモジュレータ(たとえば、NO−1886などの化合物)、胆汁酸モジュレータ(たとえば、GT103−279などの化合物)、及びスクアレン合成酵素阻害剤。
【0196】
スクアレン合成酵素阻害剤は、スクアレンの合成を阻害することによって血中コレステロールのレベルを下げる薬剤の部類に属する。スクアレン合成酵素阻害剤の例には、(S)−α−[ビス[2,2−ジメチル−1−オキソプロポキシ)メトキシ]ホスフィニル]−3−フェノキシベンゼンブタンスルホン酸、一カリウム塩(BMS−188494)及び当該技術で既知のスクアレン合成酵素阻害剤が挙げられる。
【0197】
本発明の組成物
さらなる態様によれば、本発明はまた、式(Ia)又は本明細書で開示されるいずれかの式の1以上の化合物及び1以上の薬学上許容可能なキャリアを含む医薬組成物にも関する。
【0198】
本発明の一部の実施の形態は、本明細書で開示される化合物実施の形態のいずれかに係る少なくとも1つの化合物及び薬学上許容可能なキャリアを混合することを含む医薬組成物を製造する方法を含む。
【0199】
製剤は、好適な方法によって、通常、液体又は微細に分割した固形のキャリア又はその両方と共に活性化合物を均一に混合し、必要に応じて得られた混合物を所望の形状に形成することによって調製されてもよい。
【0200】
経口投与用の錠剤及びカプセルには、従来の賦形剤、たとえば、結合剤、充填剤、許容可能な湿潤剤、錠剤形成用の潤滑剤及び崩壊剤を使用してもよい。経口投与用の液体製剤は、溶液、エマルション、水性又は油性の懸濁液、及びシロップの形態であってもよい。或いは、経口製剤は、使用前、水又は別の好適な液体賦形剤で再構成することができる乾燥粉末の形態であってもよい。追加の添加剤、たとえば、懸濁剤又は乳化剤、非水性賦形剤(食用油を含む)、防腐剤、及び風味剤及び着色剤を液体製剤に添加してもよい。非経口の投与形態は、本発明の化合物を好適な液体賦形剤に溶解し、適当なバイアル又はアンプルに充填し、密封する前に溶液をフィルターで滅菌することによって調製されてもよい。これらは、投与形態を調製するために当該技術で周知の多数の適当な方法のまさに2、3の例である。
【0201】
当業者に周知の技法を用いて、本発明の化合物を医薬組成物に製剤化することができる。本明細書で言及されるもの以外の好適な薬学上許容可能なキャリアは、当該技術で既知であり、たとえば、レミングトンの「製薬学の科学と実践」第20版、2000年、Lippincott Williams & Wilkins (編者:Gennaro,AR,et al.)を参照のこと。
【0202】
代替的使用において、本発明の化合物をそのままの化学物質又は純粋な化学物質として投与してもよい一方で、しかしながら、薬学上許容可能なキャリアをさらに含む医薬製剤又は医薬組成物として化合物又は有効成分を提示することが好ましい。従って、本発明の別の態様は、式(Ia)に係る少なくとも1つの化合物との組み合わせで薬学上許容可能なキャリアを含む医薬組成物に関する。
【0203】
本発明はさらに、1以上の薬学上許容可能そのなキャリア及び/又は予防的成分と一緒に本発明の化合物又は薬学上許容可能なその塩若しくは誘導体を含む医薬製剤を提供する。キャリアは、製剤のそのほかの成分と相溶性であるという意味で「許容可能で」なければならず、その受容体に過度に有害であってはならない。
【0204】
医薬製剤は、経口、直腸内、鼻内、局所(頬内及び舌下を含む)、膣内若しくは非経口(筋肉内、皮下及び静脈内を含む)の投与に好適なもの、又は吸入、吸い込みによる投与、又は経皮貼付剤による投与に好適な形態のものを含む。経皮貼付剤は、薬剤の分解を最少限に抑えて、効果的な方法での吸収のために薬剤を提示することによって制御された速度で薬剤を分配する。通常、経皮貼付剤は、不透性の背面層、単一の圧着接着剤及び剥離ライナを伴った取り外し可能な保護層を含む。当業者は、熟練者のニーズに基づく所望の有効な経皮貼付剤を製造するのに適当な技法を理解し、認識するであろう。
【0205】
従って、従来のアジュバント、キャリア又は希釈剤と一緒になった本発明の化合物は、医薬製剤の形態及びその単位投与量の形態にしてもよく、そのような形態を、錠剤若しくは充填されたカプセルのような固体として、又は溶液、懸濁液、エマルション、エリキシル、ゲル若しくはそれらを充填したカプセルのような液体として、すべて経口用途で、直腸投与のための坐薬の形態で、又は非経口用途(皮下を含む)での無菌の注射用溶液の形態で、用いてもよい。そのような医薬組成物及びその単位投与量形態は、追加的な活性のある化合物若しくは主成分と共に又はそれを伴わずに、従来の比率での従来の成分を含み、そのような単位投与量形態は、意図される、採用されるべき1日投与量の範囲と釣り合った、好適な有効量の有効成分を含有してもよい。
【0206】
経口投与については、医薬組成物は、たとえば、錠剤、カプセル、懸濁液又は液体の形態であってもよい。医薬組成物は好ましくは、特定量の有効成分を含有する投与量単位の形態で作製される。そのような投与量単位の例は、従来の添加剤、たとえば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ若しくはジャガイモデンプンを伴う;結合剤、たとえば、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ若しくはゼラチンを伴う;崩壊剤、たとえば、コーンスターチ、ジャガイモデンプン若しくはカルボキシメチルセルロースナトリウムを伴う;及び潤滑剤、たとえば、ステアリン酸マグネシウムを伴うカプセル、錠剤、粉末、顆粒又は懸濁液である。有効成分は、組成物として注射によって投与されてもよく、その際、たとえば、好適な薬学上許容可能なキャリアとして生理食塩水、デキストロース又は水を使用してもよい。
【0207】
本発明の化合物又はその溶媒和物又は生理的に機能的なその誘導体は、医薬組成物中の有効成分として、特に5HT2C受容体作動薬として使用することができる。用語によって、「有効成分」は、「医薬組成物」の背景で定義され、一般的に薬学上の価値を提供しないと認識される「不活性成分」に相対して、主な薬学上の効果を提供する医薬組成物の構成成分を意味するべきである。
【0208】
本発明の化合物を使用する場合の用量は、広い限定の範囲内で変化することができ、内科医にとって慣例であり、既知であるように、各個体の症例においてそれは個体の症状に調整されるべきである。たとえば、それは、治療されるべき病気の性質及び重症度、患者の症状、採用される化合物、又は急性若しくは慢性の疾患状態が治療されるのかどうか、又は本発明の化合物に加えてさらなる活性化合物を投与するのかどうか、に依存する。本発明の代表的な用量には、約0.001〜約5000mg、約0.001〜約2500mg、約0.001〜約1000mg、0.001〜約500mg、0.001〜約250mg、約0.001〜約100mg、約0.001〜約50mg、及び約0.001〜約25mgが挙げられるが、これらに限定されない。1日の間で複数回用量を投与してもよく、特に、相対的に大量に必要とされると考えられる場合、たとえば、2、3又は4回の用量が投与されてもよい。個体によって、且つ患者の内科医又は介護人から適当であると考えれられるように、本明細書で記載される用量から上下に変動させることが必要であってもよい。
【0209】
治療での使用に必要とされる、有効成分、その有効な塩又は水和物の量は、選択される特定の塩によってのみならず、投与経路、治療される症状の性質、並びに患者の年齢及び症状によっても変化し、最終的には、主治医又は臨床医の裁量である。
【0210】
一般に、当業者は、モデル系、通常、動物で得られた生体内データを別のもの、たとえば、ヒトにどのように推定するかを理解している。通常、動物モデルにはげっ歯類モデルが挙げられるが、これに限定されない。一部の状況では、これらの推定は、別のもの、たとえば、哺乳類、好ましくはヒトと比較して単に動物モデルの体重に基づいてもよいが、これらの推定は、単純に体重に基づくのではなく、むしろ、種々の因子を組み入れることが多い。代表的な因子には、患者の種類、年齢、体重、性別、食事及び医学症状、疾患の重症度、投与経路、採用される特定の化合物の活性、有効性、薬物動態特性及び毒性特性、利用される薬剤送達系、急性若しくは慢性の疾患状態が治療されているのかどうか又は予防がおこなわれているかどうかということ、或いは併用療法の一部として、式(Ia)の化合物に加えてさらなる活性化合物が投与されるかどうかなどの薬理学的検討ということが挙げられるが、これらに限定されない。本発明の化合物及び/又は組成物によって疾患症状を治療するための投与量計画は、上記で引用されたような種々の因子に従って選択される。従って、採用される実際の投与量計画は、広く変化してもよく、従って、好ましい投与量計画から変動してもよく、当業者は、これらの典型的な範囲を外れる投与量及び投与量計画を試すことができ、適当であれば、本発明の方法で使用してもよいことを認識するであろう。
【0211】
所望の用量は、単回用量で、又は適当な間隔、たとえば、1日当たり、2、3、4以上の副用量で投与される分割用量として、都合よく提示されてもよい。副用量自体は、たとえば、多数の別々の緩やかに間隔を空けた投与にさらに分割してもよい。1日用量は、特に相対的に大量に投与される場合、適当であると考えられるように、数回、たとえば、2、3又は4回の投与に分割することができる。適宜、個体の行動によって、示された1日用量から上下に変動させることが必要であってもよい。
【0212】
多種多様な経口及び非経口の投与形態で、本発明の化合物を投与することができる。以下の投与形態が有効成分として、本発明の化合物又は本発明の化合物の薬学上許容可能な塩のいずれかを含んでもよいことが当業者に明らかであろう。
【0213】
本発明の化合物から医薬組成物を調製することについては、好適な薬学上許容可能なキャリアの選択は、固体、液体又は両者の混合物であることができる。固体形態の製剤には、粉剤、錠剤、丸薬、カプセル、カシェ剤、坐薬及び分散可能な顆粒が挙げられる。固体のキャリアは、希釈剤、風味剤、可溶化剤、潤滑剤、懸濁剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤及び内包材としても作用してもよい1以上の物質であることができる。
【0214】
粉剤では、キャリアは、微細に分割された有効成分との混合物中にある微細に分割された固体である。
【0215】
錠剤では、有効成分は、必要な結合能を有するキャリアと好適な比率で混合され、所望の形状及び大きさに圧縮される。
【0216】
粉剤及び錠剤は、種々の比率の量の活性化合物を含有してもよい。粉剤又は錠剤における代表的な量は、0.5〜約90パーセントの活性化合物を含有してもよいが、熟練者は、この範囲を外れる量が必要とされる場合を知っている。粉剤及び錠剤にとって好適なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点ワックス、カカオバターなどである。用語「調製」は、キャリアを伴った又は伴わない有効成分がキャリアに取り囲まれるので、それに関連するカプセルを提供するキャリアとしての内包材による活性化合物の製剤化を含むことを意図される。同様に、カシェ剤及びトローチ剤が含まれる。錠剤、粉剤、カプセル、丸薬、カシェ剤及びトローチ剤は経口投与に好適な固体形態として使用することができる。
【0217】
坐薬の調製については、低融点のワックス、たとえば、脂肪酸グリセリド又はカカオバターの混合物を先ず融解し、撹拌するように、有効成分をその中に均質に分散する。次いで、融解した均質な混合物を都合のよい大きさの金型に注ぎ、冷却し、それによって固化する。
【0218】
膣内投与に好適な製剤は、有効成分に加えて、適当であることが当該技術で既知であるようなキャリアを含有するペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォーム又はスプレーとして提示されてもよい。
【0219】
液体形態の製剤には、溶液、懸濁液、及びエマルション、たとえば、水、又は水−プロピレングリコール溶液が挙げられる。たとえば、非経口の注射用液体製剤は、水性ポリエチレングリコール溶液において溶液として製剤化することができる。注射用製剤、たとえば、無菌の注射用の水性又は油性の懸濁液は、好適な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、既知の技術に従って製剤化してもよい。無菌の注射用製剤は、非毒性の非経口で許容可能な希釈剤または、溶媒における、たとえば、1,3−ブタンジオールにおける溶液としての無菌の注射用溶液又は懸濁液であってもよい。中でも、採用されてもよい許容可能な賦形剤及び溶媒は、水、リンゲル液、及び等張の塩化ナトリウム溶液である。さらに、無菌の不揮発性油は、溶媒又は分散媒として好都合に採用される。この目的で、合成のモノ−又はジ−グリセリドを含むいかなる銘柄の不揮発性油も採用してもよい。さらに、オレイン酸のような脂肪酸は注射用製剤での使用を見い出す。
【0220】
従って、本発明に係る化合物は、非経口投与(たとえば、注射によって、たとえば、ボーラス注射又は連続的な点滴)用に製剤化されてもよく、アンプル、事前に充填された注射器、保存剤を添加した小容量の点滴容器又は複数回用量の容器にて単位用量形態で提示されてもよい。医薬組成物は、油性又は水性の賦形剤中で懸濁液、溶液又はエマルションとしての形態を取ってもよく、たとえば、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような製剤化剤を含有してもよい。或いは、有効成分は、無菌の固体の無菌の単離によって、又は溶液からの凍結乾燥によって得られ、使用前、好適な賦形剤、たとえば、無菌の発熱物質を含まない水によって構成するための粉末形態であってもよい。
【0221】
経口使用に好適な水溶液は、有効成分を水に溶解し、所望に応じて好適な着色剤、風味剤、安定剤及び濃厚剤を添加することによって調製することができる。
【0222】
経口使用に好適な水溶液は、粘性の材料、たとえば、天然の若しくは合成のゴム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、又はそのほかの周知の懸濁剤と共に、微細に分割した有効成分を水に分散することによって作製することができる。
【0223】
また包含されるのは、使用直前に経口投与のための液体形態の製剤に変換することが意図される固体形態の製剤である。そのような液体形態には、溶液、懸濁液及びエマルションが挙げられる。これらの製剤は、有効成分に加えて、着色剤、風味剤、安定剤、緩衝液、人工の及び天然の甘味剤、分散剤、濃厚剤、可溶化剤などを含有してもよい。
【0224】
表皮への局所投与については、本発明に係る化合物は、軟膏、クリーム又はローション又は経皮貼付剤として製剤化されてもよい。
【0225】
軟膏及びクリームは、たとえば、好適な濃厚剤及び/又はゲル化剤の添加と共に、水性又は油性の基剤によって製剤化されてもよい。ローションは、水性又は油性の基剤によって製剤化されてもよく、一般に、1以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁剤、濃厚剤又は着色剤も含有するであろう。
【0226】
口での局所投与に好適な製剤には、風味のある基剤、普通、スクロース及びアカシア又はトラガカントにて活性剤を含むトローチ剤;不活性基剤、たとえば、ゼラチン及びグリセリン又はスクロース及びアカシアにて有効成分を含む香錠;及び好適な液体キャリアにて有効成分を含む洗口剤が挙げられる。
【0227】
従来の手段、たとえば、点滴器、ピペット又はスプレーによって溶液又は懸濁液を鼻腔に直接適用する。製剤は、単回用量形態又は複数回用量形態で提供されてもよい。点滴器又はピペットの場合、製剤化は患者によって達成されてもよく、それによって適当な、所定の容量の溶液又は懸濁液を投与する。スプレーの場合、たとえば、計測型噴霧スプレーポンプによってこれを達成してもよい。
【0228】
気道への投与は、有効成分が好適な高圧ガスとともに加圧包装で提供されるエアゾール製剤によって達成されてもよい。式(Ia)の化合物又はそれを含む医薬組成物が、エアゾールとして、たとえば、鼻エアゾールとして又は吸入によって投与されるのであれば、たとえば、スプレー、ネブライザー、ポンプネブライザー、吸入装置、計器付き吸入器又は乾燥粉末吸入器を用いて、これを行うことができる。エアゾールとしての式(Ia)の化合物の投与のための医薬形態は、当業者に周知の方法によって調製することができる。その調製については、慣例の添加剤、たとえば、ベンジルアルコール若しくはそのほかの好適な防腐剤、生物利用性を高めるための吸収増強剤、可溶化剤、分散剤など、及び適宜、慣例の高圧ガス、たとえば、二酸化炭素、CFC、たとえば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン若しくはジクロロテトラフルオロエタンなどを用いて、水、水/アルコールの混合物又は好適な生理食塩水溶液の中の式(Ia)の化合物の溶液又は分散液を採用することができる。エアゾールはまた、レシチンのような界面活性剤も好都合に含有してもよい。薬剤の用量は、計器付き弁を提供することによって制御されてもよい。
【0229】
鼻内製剤を含む気道への投与を目的とする製剤では、化合物は一般に、たとえば、10ミクロン以下の位数の小さな粒度を有する。そのような粒度は、たとえば、微粒子化によって当該技術で既知の手段によって得てもよい。所望であれば、有効成分の持続した放出を与えるように適応させた製剤を採用してもよい。
【0230】
或いは、有効成分は、乾燥粉末の形態で、たとえば、好適な粉末基剤、たとえば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体、たとえば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びポリビニルピロリドン(PVP)における化合物の粉末混合物の形態で提供されてもよい。好都合なことに、粉末キャリアは鼻腔内でゲルを形成するであろう。粉末組成物は、たとえば、そこから粉末を吸入器によって投与してもよい、たとえば、ゼラチン又はブリスター包装のカプセル又はカートリッジでの単位用量形態で提示されてもよい。
【0231】
医薬製剤は好ましくは単位投与量形態である。そのような形態では、製剤は、適当量の有効成分を含有する単位用量にさらに分割される。単位投与量形態は、包装された製剤、個々の量の製剤を含有する包装、たとえば、包装された錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル中の粉末であってもよい。また、単位投与量形態は、カプセル、錠剤、カシェ剤又はトローチ剤自体であってもよく、又は、包装された形態における任意のこれらの適当な数であってもよい。
【0232】
経口投与用の錠剤又はカプセル及び静脈内投与用の液体は好ましい組成物である。
【0233】
本発明に係る化合物は任意で、無機酸及び有機酸を含む薬学上許容可能な非毒性の酸から調製される薬学上許容可能な酸付加塩を含む薬学上許容可能な塩として存在してもよい。代表的な酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンホスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモイック酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、スルフィル酸、酒石酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない、たとえば、その全体を参照によって本明細書に組み入れるJournal of Pharmaceutical Science 66,2,1977に列記されるそれらの薬学上許容可能な塩。
【0234】
酸付加塩は、化合物合成の直接生成物として得てもよい。代替的には、適当な酸を含有する好適な溶媒に遊離の塩基を溶解し、溶媒を蒸発させること、又はさもなければ塩と溶媒を分離することによって塩を単離してもよい。熟練者に既知の方法を用いて、本発明の化合物は、標準的な低分子量溶媒と溶媒和物を形成してもよい。
【0235】
本発明の化合物を「プロドラッグ」に変換することができる。用語「プロドラッグ」は、当該技術で既知の特定の化学基で修飾され、個体に投与されると、これらの基が生体転換を受けて、親化合物を生じる化合物を言う。従って、プロドラッグは、一時的な方法で1以上の特定の非毒性の保護基を含有して化合物の特性を変える又は除く本発明の化合物とみなすことができる。一般に、「プロドラッグ」によるアプローチは、経口吸収を促進するために利用される。十分な議論が、T.Higuchi & V.Stella,A.C.Sシンポジウムシリーズの第14巻、「新規の送達系としてのプロドラッグ」及びEdward B.Roche 編、American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987,「薬剤設計における生体可逆性キャリア」に提供されており、双方共、その全体を参照によって本明細書に組み入れる。
【0236】
本発明の一部の実施の形態は、本明細書で開示される化合物の実施の形態のいずれかに係る少なくとも1つの化合物、本明細書で記載されるような少なくとも1つの医薬剤及び薬学上許容可能なキャリアを混合することを含む、「併用療法」のための医薬組成物を製造する方法を含む。
【0237】
一部の実施の形態では、医薬剤は、アポリポタンパク質−B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(アポ−B/MTP)阻害剤、MCR−4作動薬、コレスシストキニン−A(CCK−A)作動薬、セロトニン及びノルエピネフリン再取り込み阻害剤(たとえば、シブトラミン)、交感神経様作用薬、βアドレナリン受容体作動薬、ドーパミン作動薬(たとえば、ブロモクリプチン)、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類縁体、カンナビノイドI受容体拮抗剤[たとえば、SR141716:N−(ピペリジン−1−イル)−5−(4−クロロフェニル)−1−(2,4−ジクロロフェニル)−4−メチル−1H−ピラゾール−3−カルボキサミド]、メラニン濃縮ホルモン拮抗剤、レプトン(OBタンパク質)、レプチン類縁体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗剤、リパーゼ阻害剤(たとえば、テトラヒドロリプスタチン、すなわち、オルリスタット)、食欲抑制剤(たとえば、ボンベスチン作動薬)、神経ペプチド−Y拮抗剤、甲状腺ホルモン様作用剤、デヒドロエピアンドロステロン又はその類縁体、グルココルチコイド受容体作動薬又は拮抗剤、オレキシン受容体拮抗剤、ウロコルチン結合タンパク質拮抗剤、グルカゴン様ペプチド−1受容体作動薬、毛様神経栄養因子(たとえば、アキソキン(商標)、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体拮抗剤、ヒスタミン3受容体拮抗剤又は逆作動薬、ニューロメディンU受容体作動薬、ノルアドレナリン様食欲抑制剤(たとえば、フェンテルミン、マジンドールなど)及び食欲抑止剤(たとえば、ブプロピオン)から成る群から選択される。さらなる実施の形態では、医薬剤は、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、フェンテルミン及びシュードエフェドリンから成る群から選択される。
【0238】
一部の実施の形態では、医薬剤は、スルホニル尿素、メグリチニド、ビグアニド、α−グルコシダーゼ阻害剤、ペルオキシソーム増殖因子−活性化受容体−γ(すなわち、PPAR−γ)作動薬、インスリン、インスリン類縁体、HMG−CoA還元酵素阻害剤、コレステロール低下剤(たとえば、フェノフィブレート、ベザフィブレート、ゲムフィブロジル、クロフィブレートを含むフィブレート類;コレスチラミン、コレスチポールなどを含む胆汁酸金属イオン封鎖剤;及びナイアシン)、抗血小板剤(たとえば、アスピリン、及びクロピドグレル、チコピジンなどを含むアデノシン二リン酸受容体拮抗剤)、アンギオテンシン変換酵素阻害剤、アンギオテンシンII受容体拮抗剤並びにアジポネクチンから成る群から選択される。
【0239】
5HT2C受容体作動薬が医薬組成物における有効成分として利用される場合、ヒトのみでの使用が意図されるのではなく、そのほかの非ヒト哺乳類での使用も同様に意図されることが言及される。実際、動物の健康管理の領域における最近の進歩は、家畜(たとえば、ネコ及びイヌ)における肥満や関連する障害の治療への5HT2C受容体作動薬のような作用剤の使用、及び疾患や障害が明らかではない家畜(たとえば、ウシ、ニワトリ、魚のような食物に方向付けられた動物)における5HT2C受容体作動薬の使用が考慮されていることを示している。それらの当業者は、そのような設定でそのような化合物の有用性を理解することで容易に高い評価を得る。
そのほかの有用性
本発明の別の目的は、ヒトを含む組織試料において5HT2C受容体を局在化する及び定量するための、及び放射性標識された化合物の阻害結合によって5HT2C受容体のリガンドを同定するための、試験管内及び生体内双方での放射性画像解析のみならず、アッセイで有用である、式(Ia)の放射性標識された化合物に関する。本発明のさらなる目的はそのような放射性標識化合物を含む新規の5HT2C受容体アッセイを開発することである。
【0240】
本発明は、式(Ia)及びたとえば、式(Ia)〜式(Is)、しかし、これらに限定されない本明細書の亜属のいずれかの同位元素で標識した化合物を包含する。「同位元素で」又は「放射性標識した」化合物は、1以上の原子が、通常、天然に見い出される(すなわち、天然に生じる)原子量又は原子番号とは異なる原子量又は原子番号を有する原子で置き換えられる又は置換されるという事実を別にすれば、本明細書で開示される化合物と同一のものである。本発明の化合物に組み込まれてもよい好適な放射性核種には、H(重水素についてDとも記される)、H(トリチウムについてTとも記される)、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、18F、35S、36Cl、82Br、75Br、76Br、123I、124I、125I及び131Iが挙げられるが、これらに限定されない。即席の放射性標識化合物に組み込まれる放射性核種は、その放射性標識化合物の特定の適用に依存するであろう。たとえば、試験管内での5HT2C受容体の標識及び競合アッセイについては、H、14C、82Br、125I、131I、又は35Sを組み入れる化合物が一般に最も有用であろう。放射性画像解析への適用については、11C、18F、125I、123I、124I、131I、75Br、76Br又は77Brが一般に最も有用であろう。
【0241】
当然ながら「放射性標識された化合物」又は「標識された化合物」は、少なくとも1つの放射性核種を組み入れた式(Ia)の化合物であり;一部の実施の形態では、該放射性核種は、H、14C、125I、35S及び82Brから成る群から選択される。
【0242】
本発明の特定の同位元素で標識された化合物は、化合物及び/又は基質の組織分布アッセイで有用である。一部の実施の形態では、放射性核種、H及び/又は14C同位元素がこれらの試験で有用である。さらに、たとえば、重水素(すなわち、H)のようなさらに重い同位元素による置換は、さらに大きな代謝的安定性(たとえば、生体内での半減期の増大又は必要な投与量の低下)の結果、特定の治療上の利点を与え、従って一部の状況では好まれてもよい。本発明の同位元素で標識された化合物は、上記のスキーム及び下記の実施例で開示されるものに類似した以下の手順によって、非同位元素で標識された試薬について同位元素で標識された試薬を置き換えることにより、一般に調製することができる。有用であるそのほかの合成方法は、以下で議論される。さらに、当然のことながら本発明の化合物で表される原子はすべて、そのような原子の最も一般に生じる同位元素又はさらに稀な放射性同位元素若しくは非放射性同位元素のいずれかでありうる。
【0243】
放射性同位元素を有機化合物に組み入れるための合成方法は本発明の化合物に適用可能であり、当該技術で周知である。これらの合成方法は、たとえば、以下のように標的分子にトリチウムの活性レベルを組み入れる。
【0244】
A.トリチウム気体による触媒的還元−この手順は通常、高い比活性の生成物を生じ、ハロゲン化された又は不飽和の前駆体を必要とする。
【0245】
B.水素化ホウ素ナトリウム[H]による還元−この手順はどちらかと言えば安価であり、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなどのような還元可能な官能基を含有する前駆体を必要とする。
【0246】
C.水素化リチウムアルミニウム[H]による還元−この手順は、ほぼ理論的な比活性で生成物を提供する。それもまた、アルデヒド、ケトン、ラクトン、エステルなどのような還元可能な官能基を含有する前駆体を必要とする。
【0247】
D.トリチウム気体暴露での標識−この手順には、好適な触媒の存在下、交換可能なプロトンを含有する前駆体をトリチウム気体に暴露することを伴う。
【0248】
E.ヨウ化メチル[H]を用いたN−メチル化−普通、この手順を用いて、高い比活性のヨウ化メチル[H]で適当な前駆体を処理することによってO−メチル又はN−メチル[H]生成物を調製する。この方法は一般に、高い比活性、たとえば、約70〜90Ci/mMが可能である。
【0249】
標的分子に125Iの活性レベルを組み入れるための合成方法には、以下が挙げられる。
【0250】
A.ザンドマイヤー反応−この手順は、アリール又はヘテロアリールアミンをテトラフルオロボレート塩のようなジアゾニウム塩に変換し、続いてNa125Iを用いて125I標識化合物に変換する。代表的な手順は、Zhu,DG,et al.,J.Org.Chem.,67:943−948,2002に報告された。
【0251】
B.フェノールのオルソ125Iヨード化−この手順は、Collier TL,et al.,J.Labeled Compd.Radiopham.,42:S246−S266,1999に報告されたように、フェノールのオルソ位への125Iの取り込みが可能である。
【0252】
C.125Iによるアリールと臭化ヘテロアリールの変換−この方法は、一般に2工程法である。第1の工程は、トリアルキルチンハライド又はヘクサアルキルディチン[たとえば、(CHSnSn(CH]の存在下、たとえば、Pd触媒反応[すなわち、Pd(PhP)]を用いた、又はアリール若しくはヘテロアリールリチウムを介した、アリール又は臭化ヘテロアリールの相当するトリアルキルチン中間体への変換である。代表的な手順は、Bas MD,et al.,J.Labeled Compd.Radiopharm.,44:S280−S282,2001に報告された。
【0253】
式(Ia)の放射性標識された5HT2C受容体化合物は、化合物を同定し/評価するためのスクリーニングアッセイに使用してもよい。一般論では、新しく合成された又は同定された化合物(すなわち、試験化合物)は、「式(Ia)の放射性標識化合物」の5HT2C受容体への結合を減らす能力について評価されうる。従って、5HT2C受容体への結合についての、試験化合物の「式(Ia)の放射性標識化合物」と競合する能力は、直接、その結合親和性に相関する。
【0254】
本発明の標識化合物は、5HT2C受容体に結合する。実施の形態の1つでは、標識化合物は、約500μM未満のIC50を有し、別の実施の形態では、標識化合物は、約100μM未満のIC50を有し、さらに別の実施の形態では、標識化合物は、約10μM未満のIC50を有し、さらに別の実施の形態では、標識化合物は、約1μM未満のIC50を有し、その上さらに別の実施の形態では、標識化合物は、約0.1μM未満のIC50を有する。
【0255】
開示された受容体及び方法のそのほかの使用は、とりわけ、本開示の概説に基づいて当業者に明らかになるであろう。
【0256】
認識されるように、本発明の方法の工程は、いかなる特定の回数又はいかなる特定の順で行われる必要はない。本発明の追加の目的、利点及び新規の特徴は、説明することを目的とし、限定することを目的としない、以下のその実施例の検討の際、当業者に明らかになるであろう。
【実施例】
【0257】
(実施例1)
細胞内IP蓄積アッセイ
25μLのリポフェクタミンを用いて、15cmの無菌シャーレにて、16μgのヒト5HT2C受容体cDNA[たとえば、Saltzman AG,et al.,Biochem.Biophys.Res.Commun.,181:1469−1478,1991を参照のこと]の存在下又は非存在下(対照)にてHEK293細胞に形質移入した。次いで、37℃/5%COにて細胞を3〜4時間インキュベートし、次いで、形質移入培地を除き、100μLのDMEMに置き換えた。次いで、細胞を100cmの無菌シャーレに入れた。翌日、55K/0.2mLの密度で細胞を96穴PDLマイクロタイタープレートに入れた。6時間後、イノシトールを含まないDMEM中に[H]イノシトール(0.25μCi/ウエル)を加えたもので培地を交換し、37℃/5%COにてプレートを一晩インキュベートした。翌日、ウエルを吸引し、試験化合物、10μMのパルジリン及び10mMのLiClを含有する200μLのDMEMを適当なウエルに加えた。次いで、37℃/5%COにてプレートを3時間インキュベートし、次いで吸引し、新鮮な氷冷した停止溶液(1MのKOH、19mMのホウ酸ナトリウム、3.8mMのEDTA)を各ウエルに加えた。プレートを氷上で5〜10分間保持し、200μLの新鮮な氷冷した中和溶液(7.5%HCl)の添加によってウエルを中和した。次いで、さらなる処理が望まれるまでプレートを凍結した。次いで、細胞溶解液を1.5mLのエッペンドルフチューブに移し、1mLのクロロホルム/メタノール(1:2)を加えた。溶液を15秒間ボルテックスし、上の相をバイオラッドのAGI−X8(商標)陰イオン交換樹脂(100〜200メッシュ)に適用した。先ず、1:25W/Vの水で樹脂を洗浄し、0.9mLの上相をカラムに負荷した。次いで、10mLの5mMミオイノシトール及び10mLの5mMホウ酸ナトリウム/60mMギ酸ナトリウムでカラムを洗浄した。2mLの0.1Mギ酸/1Mギ酸アンモニウムと共に10mLのシンチレーションカクテルを含有するシンチレーションバイアルにイノシトール三リン酸を溶出した。10mLの0.1Mギ酸/3Mギ酸アンモニウムで洗浄し、HOで2回すすぐことによってカラムを再生し、4℃にて水中で保存した。
【0258】
数種の代表的な化合物に関するIP蓄積アッセイにおける生物活性を以下の表3に示す。
【0259】
【化19】

本発明の特定の化合物は、約200nM未満の範囲のIP蓄積アッセイにおけるEC50値を有する。
【0260】
本発明の化合物は、5HT2A受容体及び5HT2B受容体に比べて5HT2C受容体に選択的であり、たとえば、化合物10は、5HT2A受容体に対して約1.7μMのEC50値を有し、5HT2B受容体に対しては本質的に不活性である。
【0261】
(実施例2)
ラットにおける基本的な摂食の抑制
試験に先立って、オスのスプラーグ・ドーリー系ラット(250〜350g)から一晩、餌を剥奪する。餌の剥奪に先立って、体重に従って群の均衡をはかるために、動物の体重を測定し、処理群に分ける。試験当日、9:00に動物を個別ケージ(寝床なし)に入れ、水は自由に飲ませる。午前10:00、試験化合物を動物に注射し(p.o.、i.p.又はs.c.)、薬剤投与の60分後(p.o.)又は30分後(i.p.及びs.c.)のいずれかに、事前に秤量した量の餌を皿で提示する。餌を提示した後、1、2、4及び6時間に餌カップを秤量することによって様々な時点での餌の消費を測定する。従って、p.o.試験では注射後2、3、5及び7時間で、並びにi.p.及びs.c.試験では、注射後1.5、2.5、4.5及び6.5時間に、餌の消費を測定する。
【0262】
(実施例3)
本発明の選択された化合物の合成
本発明の化合物について図解した合成を図1及び2に示すが、その際、記号は、本開示の全体にわたって使用されたのと同一の定義を有する。
【0263】
本発明の化合物及びその合成は以下の実施例によってさらに説明される。以下の実施例を提供して、しかしながら、本発明をこれら実施例の事項に限定することなく、さらに本発明を定義する。本明細書の上記及び下記で記載される化合物は、CS Chem Draw Ulta Virsion7.0.1又はAutoNom2000に従って命名される。特定の例では、一般名が使用され、これら一般名は、当業者によって認識されることが理解される。
【0264】
化学反応:4つの核自動切替可能プローブ及びz−勾配を備えたVarian MercuryVx−400又はQNP(クアッド核プローブ)又はBBI(ブロードバンドインバース)及びz−勾配を備えたBruker Avance−400にてプロトン核磁気共鳴(H−NMR)のスペクトルを記録した。化学シフトは、参照として使用される残りの溶媒のシグナルと共に百万分の1(ppm)で与えられる。NMRの略記は以下のように使用される:s=シングレット、d=ダブレット、dd=ダブレットのダブレット、dt=トリプレットのダブレット、t=トリプレット、q=カルテット、m=多重項、br=ブロード。Emyrs合成機(パーソナルケミストリ)を用いてマイクロ波の照射を行った。シリカゲル60F254(メルク)にて薄層クロマトグラフィ(TLC)を行い、PK6Fシリカゲル60A1mm板(ワットマン)で調製用薄層クロマトグラフィ(prepTLC)を行い、Kieselgel60、0.063〜0.200mm(メルク)を用いてシリカゲルカラムにてカラムクロマトグラフィを行った。Buchi回転エバポレータにて減圧下蒸発を行った。パラジウムろ過の間、セライト545(登録商標)を用いた。
【0265】
LCMSの仕様:1)PC:HPLCポンプ:LC−10ADVP、島津製作所;HPLCシステムコントローラ:SCL−10AVP、島津製作所;UV検出器:SPD−10AVP、島津製作所;自動試料採取装置:CTC HTS、PAL、リープ・サイエンティフィック;質量分光光度計:API 150EXターボイオンスプレー源付き、AB/MDSシエックス;ソフトウエア:アナリスト1.2。2)Mac:HPLCポンプ:LC−8AVP、島津製作所;HPLCシステムコントローラ:SCL−10AVP、島津製作所;UV検出器:SPD−10AVP、島津製作所;自動試料採取装置:215液体ハンドラ、ギルソン社;質量分光光度計:API 150EXターボイオンスプレー源付き、AB/MDSシエックス;ソフトウエア:マスクローム1.5.2。
【0266】
(実施例3)
本発明の選択された化合物の合成
(実施例3.1)
(R)−1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンの調製
工程A:3−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−チオフェンの調製
1,3−ジブロモ−5−フルオロベンゼン(0.50g、1.99mM)、3−チオフェンボロン酸(0.254g、1.99mM)、2.0Mの炭酸ナトリウム水溶液(1.99mL、3.97mM)及びPd(PPH(115mg、0.10mM)のトルエン(9.2mL)とエタノール(2.4mL)の溶液をマイクロ波により100℃にて1.5時間加熱した。生成混合物をEtOAc(100mL)で希釈し、ろ過し、水(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(ヘキサン中2%EtOAc、シリカ)によって透明な油として400mgの純粋な生成物を生じた。
【0267】
工程B:(R)−1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンの調製
3−(3−ブロモ−5−フルオロ−フェニル)−チオフェン(200mg、0.78mM)、(R)−3−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tertブチルエステル(156mg、0.78mM)、tert−ブトキシドナトリウム(112mg、1.17mM)、ヘキサン中10%P(t−Bu)(0.13mL、0.06mM)、Pd(dba)(36mg、0.04mM)のトルエン(1.6mL)溶液をマイクロ波により100℃にて6時間加熱した。シリカのプラグを介して粗生成混合物をろ過し、ヘキサン(20mL)中5%のEtOAc、次いで純粋なEtOAcで溶出し、次いで集めた溶液を濃縮した。生成物をCHCl(1.0mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(0.5mL)で3時間処理し、NaHCOのカラムを通し、濃縮した。HPLCで生成物を精製し、次いでエーテル中2MのHClで粉砕し、128mgの白色の固形物を得た。H−NMR(400MHz、CDOD)δ7.69(s,1H)、7.49−7.43(m,2H)、7.12(s,1H)、7.00(d,J=10Hz,1H)、6.73(d,J=11Hz,1H)、4.13(m,1H)、3.55−.341(m,3H)、3.36−3.24(m,4H)、1.16(d,J=7Hz,3H)、C1517FNS+Hに対するMS計算値:277、観察値:277。
【0268】
(実施例3.2)
(R)−1−(3−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、3−ピリジンボロン酸から白色の固形物として(R)−1−(3−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ9.09(s,1H)、8.76(d,J=5Hz,1H)、6.68(d,J=8Hz,1H)、7.99(dd,J=8,5Hz,1H)、7.49−7.44(m,2H)、7.30(dd,J=12,9Hz,1H)、3.44(bs,8H)。C1516FN+Hに対するMS計算値:258、観察値:258。
【0269】
(実施例3.3)
(R)−1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、フェニルボロン酸から白色の固形物として(R)−1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ7.59(d,J=7Hz,2H)、7.44(dd,J=7,7Hz,2H)、7.36(dd,J=7,7Hz,1H)、7.05(s,1H)、6.94(d,J=10Hz,1H)、6.79(d,J=11Hz,1H)、4.13(m,1H)、3.57−3.41(m,3H)、3.36−3.24(m,4H)、1.16(d,J=7Hz,3H)、C1719FN+Hに対するMS計算値:271、観察値:271。
【0270】
(実施例3.4)
(R)−1−(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、2−フルオロフェニルボロン酸から白色の固形物として(R)−1−(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ7.48(dd,J=8,8Hz,1H)、
7.42−7.36(m,1H)、7.26(dd,J=8,8Hz,1H)、7.19(dd,J=11,8Hz,1H)、6.99(s,1H)、6.88−6.81(m,2H)、4.10(m,1H)、3.52−3.40(m,3H)、3.35−3.24(m,3H)、1.17(d,J=7Hz,3H)。C1718+Hに対するMS計算値:289、観察値:289。
【0271】
(実施例3.5)
(R)−1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、3−フランボロン酸から白色の固形物として(R)−1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ7.94(s,1H)、7.56(s,1H)、7.01(s,1H)、6.90(d,J=10Hz,1H)、6.80(s,1H)、6.69(d,J=11Hz,1H)、4.11(m,1H)、3.52−3.41(m,3H)、3.37−3.24(m,4H)、1.14(d,J=7Hz,3H)。C1517FNO+Hに対するMS計算値:261、観察値:261。
【0272】
(実施例3.6)
(R)−1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、フェニルボロン酸及び2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色の固形物として(R)−1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ7.52(d,J=8Hz,2H)、7.44(dd,J=8,8Hz,2H)、7.37(dd,J=7,7Hz,1H)、7.20−7.11(m,3H)、3.66(m,1H)、3.44(dd,J=12,4Hz,1H)、3.36−3.26(m,4H)、3.09(dd,J=14,8Hz,1H)、1.04(d,J=7Hz,3H)。C1719FN+Hに対するMS計算値:271、観察値:271。
【0273】
(実施例3.7)
(R)−1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、3−ピリジンボロン酸及び2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色の固形物として(R)−1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ9.08(s,1H)、8.84(d,J=6Hz,1H)、8.73(d,J=8Hz,1H)、8.09(dd,J=8,6Hz,1H)、7.38−7.28(m,3H)、3.88(m,1H)、3.46(dd,J=13,4Hz,1H)、3.42−3.33(m,5H)、3.17(dd,J=13,6Hz,1H)、1.09(d,J=7Hz,3H)。C1618FN+Hに対するMS計算値:272、観察値:272。
【0274】
(実施例3.8)
(R)−2−メチル−1−(5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、フェニルボロン酸及び3,5−ジブロモピリジンから白色の固形物として(R)−2−メチル−1−(5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジンを得た。C1619+Hに対するMS計算値:254、観察値:254。
【0275】
(実施例3.9)
(R)−2−メチル−1−(6−フェニル−ピリジン−2−イル)−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、フェニルボロン酸及び2,6−ジブロモピリジンから白色の固形物として(R)−2−メチル−1−(6−フェニル−ピリジン−2−イル)−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ7.93(d,J=6Hz,2H)、7.61(dd,J=8,8Hz,1H)、7.45−7.37(m,3H)、7.17(d,J=8Hz,1H)、6.60(d,J=8Hz,1H)、4.34(d,J=10Hz,1H)、3.60−3.10(m,6H)、1.39(d,J=7Hz,3H)、C1619+Hに対するMS計算値:254、観察値:254。
【0276】
(実施例3.10)
(R)−1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
工程A:(R)−1−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−2−メチル−ピペラジンの調製
2−クロロ−3−フルオロヨード−ベンゼン(1.54g、6.0mM)、(R)−3−メチル−ピペラジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(1.5g、7.5mM)、tert−ブトキシドナトリウム(0.86g、9.0mM)、2−ジフェニルホスフィノ−2’−(N,N−ジメチルアミノ)ビフェニル(0.09g、0.24mM)、Pd(dba)(0.11g、0.12mM)のトルエン(12mL)溶液をマイクロ波により140℃にて30分間加熱した。粗生成混合物をセライトを介してろ過し、EtOAc(100mL)で溶出し、濃縮し、次いでカラムクロマトグラフィ(ヘキサン中5〜30%のEtOAc、シリカ)によって精製して0.80gの白色固形物を得た。
【0277】
工程B:(R)−1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
(R)−1−(3−クロロ−2−フルオロ−フェニル)−2−メチル−ピペラジン(96mg、0.29mM)、フェニルボロン酸(37mg、0.35mM)、KPO(189mg、0.88mM)、2−ジクロロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリ−イ−プロピル−1,1’−ビフェニル(7mg、0.014mM)及びPd(OAc)(1.6mg、0.007mM)のTHF(1.0mL)溶液をマイクロ波で150℃にて30分間加熱した。粗生成混合物をセライトを介してろ過し、EtOAc(20mL)で溶出し、濃縮した。粗生成物をCHCl(1mL)に溶解し、トリフルオロ酢酸(1mL)で30分間処理し、濃縮し、次いでHPLCで精製して19mgの白色固形物を得た。H−NMR(400MHz,CDOD)δ7.50(d,J=8Hz,2H)、7.44(dd,J=8,8Hz,2H)、7.37(dd,J=8,8Hz,1H)、7.31−7.21(m,3H)、3.61(m,1H)、3.45−3.35(m,5H),3.00(dd,J=9,12Hz,1H)、1.04(d,J=6Hz,3H)。C1719FN+Hに対するMS計算値:271、観察値:271。
【0278】
(実施例3.11)
(R)−1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、3−フルオロフェニルボロン酸から白色の固形物として(R)−1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンを得た。1H−NMR(400MHz,DMSO−d)d9.68(bs,1H)、9.16(bs,1H)、7.60−7.47(m,3H)、7.24(dd,J=8,8Hz,1H)、7.06(s,1H)、6.98(d,J=10Hz,1H),6.83(d,J=12Hz,1H)、4.39(m,1H)、3.69(d,J=13Hz,1H)、3.31−3.18(m,4H)、3.03(m,1H)、1.16(d,J=7Hz,3H)。C1718+Hに対するMS計算値:289、観察値:289。
【0279】
(実施例3.12)
(R)−1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、4−フルオロフェニルボロン酸から白色の固形物として(R)−1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)d9.75(bs,1H)、9.23(bs,1H)、7.74(dd,J=6,6Hz,2H)、7.29(dd,J=9,9Hz,2H)、7.01(s,1H)、6.92(d,J=10Hz,1H)、6.81(d,J=12Hz,1H)、4.36(m,1H)、3.68(d,J=13Hz,1H)、3.30−3.18(m,4H)、3.03(m,1H),1.16(d,J=7Hz,3H)。C1718+Hに対するMS計算値:289、観察値:289。
【0280】
(実施例3.13)
(R)−2−メチル−1−(5,2’,6’−トリフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、2,6−ジフルオロフェニルボロン酸から白色の固形物として(R)−2−メチル−1−(5,2’,6’−トリフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)d9.18(bs,1H)、8.72(bs,1H)、7.54−7.46(m,1H)、7.23(dd,J=8,8Hz,1H)、6.90(d,J=10Hz,1H)、6.83(s,1H)、6.72(d,J=7Hz,1H)、4.28(m,1H)、3.60(d,J=13Hz,1H)、3.29−3.07(m,5H)、1.12(d,J=7Hz,3H)。C1718+Hに対するMS計算値:307、観察値:307。
【0281】
(実施例3.14)
(R)−1−(4,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、3−フルオロフェニルボロン酸及び2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色の固形物として(R)−1−(4,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)d9.27(bs,1H)、8.91(bs,1H)、7.52(m,1H)、7.41(m,2H)、7.26(dd,J=8,8Hz,2H)、7.12(m,1H)、7.07(m,1H)、4.04(m,1H)、3.41(m,1H)、3.32(m,2H)、3.17(m,3H)、1.04(d,J=7Hz,3H)。C1718+Hに対するMS計算値:289、観察値:289。
【0282】
(実施例3.15)
(R)−1−(4,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、4−フルオロフェニルボロン酸及び2−ブロモ−4−クロロ−1−フルオロベンゼンから白色の固形物として(R)−1−(4,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)d9.24(bs,1H)、8.91(bs,1H),7.62(m,2H)、7.31(dd,J=10,10Hz,2H)、7.21(dd,J=10,10Hz,1H)、7.09−7.02(m,2H)、4.01(m,1H)、3.39(m,1H)、3.30(m,2H)、3.17(m,3H)、1.03(d,J=7Hz,3H)。C1718+Hに対するMS計算値:289、観察値:289。
【0283】
(実施例3.16)
(R)−1−ビフェニル−3−イル−2−メチル−ピペラジンの調製
実施例3.1と同様の一般的手順によって、フェニルボロン酸及び3−ブロモ−クロロベンゼンから白色の固形物として(R)−1−ビフェニル−3−イル−2−メチル−ピペラジンを得た。H−NMR(400MHz,DMSO−d)d9.09(bs,1H)、8.70(bs,1H)、7.66(d,J=8Hz,2H)、7.46(dd,J=8,8Hz,2H)、7.36(dd,J=8,8Hz,2H)、7.20(s,1H)、7.17(d,J=8Hz,1H)6.98(d,J=8Hz,1H)、4.20(m,1H)、3.53(m,1H)、3.32(m,2H)、3.22−3.12(m,3H)、1.06(d,J=7Hz,3H)。C1720+Hに対するMS計算値:253、観察値:253。
【0284】
本明細書で言及された又は引用された特許、出願、印刷出版物及びそのほかの公開された文書それぞれについて、その全体を参照によって本明細書に組み入れることを目的とする。
【0285】
本発明の好ましい実施の形態に対し多数の変更及び修正を行ってもよく、そのような変更や修正が本発明の精神から逸脱することなく行われてもよいことを当業者は十分に理解するであろう。従って、添付のクレームは、そのような同等の変形物が本発明の真の精神及び範囲に含まれるとして、すべて網羅することを目的とする。
【0286】
図において概説され、説明された合成では、標識置換基は、式(Ia)及び本明細書で記載されるような亜属の式の本発明の化合物の定義で設定されたのと同様の同定を有する。
【図面の簡単な説明】
【0287】
【図1】本発明の中間体及び化合物を調製するための2つの一般的な合成スキームを示す。本発明の化合物への経路の1つは、当該技術で既知の好適なカップリング条件下にて、任意で置換された1,3−ジハロベンゼンをアリールボロン酸又はヘテロアリールボロン酸とカップリングさせ、続いて、モノ−保護−2−置換のピペラジンとカップリングさせることを包含する。PGは保護基を表し、その際、特に有用な基の1つは、BOC基である。保護基が取り外され、RがHである本発明の化合物を提供する。本発明の化合物への別の経路は、任意で置換された1,3−ジハロベンゼンをモノ−保護−2−置換−ピペラジンとカップリングさせ、脱保護し、続いてさらにアリールボロン酸又はヘテロアリールボロン酸とカップリングさせることを包含する。当該技術で既知の類似のカップリング法を種々のカップリングに使用できることが理解され、ハロには、たとえば、I、Br及びClが挙げられ、特定の合成条件下ではハロは、トリフレート基で置換することができる。それに続く工程では、ピペラジン(RがHである場合)をアルキル化してアルキル基としてRを導入することができる;Rについてアルキル基を導入する代替方法を図2に示す。
【図2】Rがアルキル基である場合の本発明の中間体及び化合物を調製するための2つの一般的な合成スキームを示す。図2に示す経路は、保護基がRで置換されることを除いて、図1で記載されるものに類似する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(Ia):
【化1】

の化合物又は薬学上許容可能なその塩、溶媒和物若しくは水和物であって、
式中
Xは、N又はCRであり;
Yは、N又はCRであり;
は、H又はC1〜4のアルキルであり;
、R、R及びRは、少なくとも1つの基がH以外であるという条件で、それぞれ独立して、H、C1〜4のアルキル、C1〜4のヘテロアルキル又はハロゲンであり、
Arは、C1〜4のアシル、C1〜4のアシルオキシ、C1〜4のアシルチオキシ、C2〜4のアルケニル、C1〜4のアルコキシ、C1〜4のアルキル、C1〜4のアルキルカルボキサミド、C1〜4のアルキルスルフィニル、C1〜4のアルキルスルホンアミド、C1〜4のアルキルスルホニル、C1〜4のアルキルチオ、アミノ、C1〜4のアルキルアミノ、カルボ−C1〜4のアルコキシ、カルボキサミド、シアノ、C2〜6のジアルキルアミノ、C1〜4のハロアルコキシ、C1〜4のハロアルキル、C1〜4のハロアルキルスルフィニル、C1〜4のハロアルキルスルホニル、C1〜4のハロアルキルチオ、ハロゲン、ヒドロキシル及びチオールから成る群から独立して選択される1、2、3、4、又は5の置換基で任意で置換されたアリール又はヘテロアリールであり;
は、C1〜4のアルキルであり;
XとYが双方共CHであり、RとRが双方共Hであり、RがFであり、Rがメチルであるという条件で、そのときArはフェニル以外の基である、化合物又は薬学上許容可能なその塩、溶媒和物若しくは水和物。
【請求項2】
XがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
XがCRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
YがNである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
YがCRである、請求項1に記載の化合物。
【請求項6】
がHである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
がC1〜4のアルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項8】
がメチルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
XがCRであり、YがCRであり、Rがハロゲンであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
XがCRであり、YがCRであり、RがFであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
XがCRであり、YがCRであり、Rがハロゲンであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
XがCRであり、YがCRであり、RがFであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
XがCRであり、YがCRであり、Rがハロゲンであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項14】
XがCRであり、YがCRであり、RがFであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項15】
XがCRであり、YがNであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項16】
XがNであり、YがCRであり、R、R及びRがそれぞれHである、請求項1及び6〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項17】
Arが、それぞれ1又は2のハロ基で任意に置換されたチエニル、ピリジニル、フェニル及びフラニルから成る群から選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項18】
Arが、チオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、フラン−3−イル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル及び2,6−ジフルオロフェニルから成る群から選択される、請求項1〜16のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項19】
がメチルである、請求項1〜18のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項20】
がHであり;
X及びYの両方がNでないという条件で、XがN又はCRであり、YがN又はCRであり;
少なくとも1つの基がハロゲンであるという条件で、R、R、R及びRがそれぞれ独立してH又はハロゲンであり;
Arが、それぞれ1又は2のハロ基で任意に置換されたチエニル、ピリジニル、フェニル及びフラニルから成る群から選択され;
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項21】
がHであり;
XがNであり;
YがCRであり;
、R及びRがそれぞれHであり;
Arが、チオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル及びフラン−3−イルから成る群から選択され;
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項22】
がHであり;
XがCRであり;
YがNであり;
、R及びRがそれぞれHであり;
Arが、チオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル及びフラン−3−イルから成る群から選択され;
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項23】
がHであり;
XがCRであり;
YがCRであり;
少なくとも1つの基がハロゲンであるという条件で、R、R、R及びRがそれぞれ独立してH又はハロゲンであり;
Arがチオフェン−3−イル、ピリジン−3−イル、フェニル、2−フルオロフェニル、フラン−3−イル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル及び2,6−ジフルオロフェニルから成る群から選択され;
がメチルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項24】
1−(3−フルオロ−5−チオフェン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(3−フルオロ−5−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(3−フルオロ−5−フラン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;及び
1−(4−フルオロ−3−ピリジン−3−イル−フェニル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(5−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(5,2’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(6−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
2−メチル−1−(5−フェニル−ピリジン−3−イル)−ピペラジン;
2−メチル−1−(6−フェニル−ピリジン−2−イル)−ピペラジン;及び
1−(2−フルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;又は
薬学上許容可能なその塩、溶媒和物若しくは水和物から成る群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項25】
1−(5,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(5,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
2−メチル−1−(5,2’,6’−トリフルオロ−ビフェニル−3−イル)−ピペラジン;
1−(4,3’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;
1−(4,4’−ジフルオロ−ビフェニル−3−イル)−2−メチル−ピペラジン;及び
1−ビフェニル−3−イル−2−メチル−ピペラジン;又は
薬学上許容可能なその塩、溶媒和物若しくは水和物から成る群から選択される、請求項1の化合物。
【請求項26】
薬学上許容可能なキャリアと組み合わせて請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物を含む医薬組成物。
【請求項27】
治療を必要とする個体に有効量の、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物又は請求項26に記載の医薬組成物を投与することを含む、5HT2C受容体に関連する障害を治療する方法。
【請求項28】
前記5HT2C受容体に関連する障害が、中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記中枢神経系の障害が、うつ病、異型うつ病、双極性障害、不安症、強制強迫障害、社会恐怖症又はパニック状態、睡眠障害、性的機能不全、精神病、総合失調症、片頭痛及び頭の痛み若しくはそのほかの痛みに関連するそのほかの症状、頭蓋内圧の上昇、癲癇、人格障害、アルツハイマー病、年齢に関連した行動障害、痴呆に関連した行動障害、有機金属障害、小児期の精神障害、攻撃性、年齢に関連した記憶障害、慢性疲労症候群、薬剤及びアルコール中毒、肥満、過食症、神経性食欲不振、並びに月経前緊張症から成る群から選択される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記中枢神経系の障害が肥満である、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記中枢神経系の障害がアルツハイマー病である、請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記中枢神経系の障害が男性の勃起不全である、請求項28に記載の方法。
【請求項33】
個体が哺乳類である、請求項27〜32のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
哺乳類がヒトである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
個体に治療上有効量の、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物又は請求項26に記載の医薬組成物を投与することを含む、個体の食物摂取を減らす方法。
【請求項36】
個体に治療上有効量の、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物又は請求項26に記載の医薬組成物を投与することを含む、個体に飽満を誘導する方法。
【請求項37】
体重の制御に悩む個体に治療上有効量の、請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物又は請求項26に記載の医薬組成物を投与することを含む、個体の体重増加を制御する方法。
【請求項38】
前記個体が哺乳類である、請求項35、36又は37に記載の方法。
【請求項39】
前記哺乳類がヒトである、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
請求項1〜25のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物と薬学上許容可能なキャリアを混合することを含む、医薬組成物を製造する方法。
【請求項41】
治療法によってヒト又は動物の体を治療する方法において使用するための請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項42】
治療法によってヒト又は動物の体の5HT2C受容体に関連する障害を治療する方法において使用するための請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項43】
治療法によってヒト又は動物の体の中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸を治療する方法において使用するための請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項44】
治療法によってヒト又は動物の体の肥満を治療する方法において使用するための請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項45】
治療法によってヒト又は動物の体のアルツハイマー病を治療する方法において使用するための請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項46】
治療法によってヒト又は動物の体の男性の勃起不全を治療する方法において使用するための請求項1〜25のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項47】
5HT2C受容体に関連する障害の治療において使用するために医薬を製造するための請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項48】
中枢神経系の障害、中枢神経系への損傷、循環器障害、消化器障害、尿崩症、又は睡眠時無呼吸の治療において使用するために医薬を製造するための請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項49】
肥満の治療において使用するために医薬を製造するための請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項50】
アルツハイマー病の治療において使用するために医薬を製造するための請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項51】
男性の勃起不全の治療において使用するために医薬を製造するための請求項1〜26のいずれか1項に記載の化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−523100(P2008−523100A)
【公表日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−545699(P2007−545699)
【出願日】平成17年12月9日(2005.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2005/044815
【国際公開番号】WO2006/065706
【国際公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【出願人】(500478097)アリーナ ファーマシューティカルズ, インコーポレイテッド (97)
【Fターム(参考)】