説明

7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を含む抗菌活性製剤

【課題】7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸(7,10−dihydroxy−8(E)−octadecenoic acid,以下,DOD)を有効成分として含む抗菌活性製剤を提供する。
【解決手段】シュードモナスエルギノーサ菌株を培養培地で5〜48時間培養する工程、前記工程の培養液に天然植物性オイルを0.01〜10重量%で添加する工程、
前記工程の培養液を1〜7日間さらに培養した後、細胞を除去する工程を含む7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を含む培養液の製造方法を提供する。
本発明の方法で生産されたDODは、広い範囲の多様な微生物に対して高い程度の抗菌活性を示していて抗菌活性製剤として使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を有効成分として含む抗菌活性製剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシ脂肪酸(Hydroxy fatty acid、HFA)は、脂肪酸の中心鎖に一つ以上のヒドロキシル基を連結した形態の化合物で、前記ヒドロキシル基によって脂肪酸が高い粘性または反応性などの特異な性質を有するようにする。前記特異な性質によってHFAは、多様な生理活性機能を有することができ、その結果、新農薬、新医薬、高機能性レジン及び繊維素材、生分解性プラスチック素材、滑剤、化粧品、ペイントなどの産業全般に幅広く応用され得る。従来、キャスターオイル(ヒマシ油)の誘導体であるリシノール酸やセバシン酸などが、新機能性、高効率ポリマーの合成素材として一部使用されており、これは米政府によって産業的必須物質に分類されている。前記HFAは、連結されているヒドロキシル基の数によって、モノ−、ジ−、トリ−ヒドロキシ脂肪酸に分類されて、ヒドロキシル基以外に別途の構造を含むエポキシヒドロキシ脂肪酸やオキソヒドロキシ脂肪酸なども含まれる。
【0003】
ヒドロキシ脂肪酸の多くの機能性が知られているが、自然界に存在するヒドロキシ脂肪酸は、植物体内に微量存在することが知られている。したがって、微生物を使用してヒドロキシ脂肪酸を生産しようとする研究が試みられている。フラボバクテリウム属DS5(Flavobacterium sp DS5)は、オレイン酸から10−ヒドロキシ−オクタデカジエン酸を生産することができることが報告された。これは、前記微生物の10−特異的ヒドラターゼ(10−specific hydratase)によって成り立つと推測される。シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)PR3の場合は、もう少し広い範囲の基質を使用してモノ−、ジ−、トリ−ヒドロキシ脂肪酸を生産することができることが知られている(非特許文献1)。
【0004】
最近、HFA等が多様な生理活性を示していることが報告されている。HFAの中で三個のヒドロキシ基を有する12,13,17−トリヒドロキシ−9(Z)−オクタデセン酸は、植物病原性カビに対して生長阻害能力を有することが報告された(非特許文献2)。脂肪酸とその誘導体の抗菌活性も知られていて、生変換したEPA(eicosapentaenoic acid)とDHA(docosahexaenoic acid)の場合、食中毒菌に対する抗菌活性が報告されていて(非特許文献3)、活性物質の正体は知られていないが、シュードモナスによって生変換したリノール酸やリシノール酸の抽出物が様々な細菌に対する抗菌活性を示すことが報告された(非特許文献4、非特許文献5)。
【0005】
以上のことに鑑みて本発明者等は、天然植物性オイルを基質に使用して、微生物によって生産された物質が7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸であることと、前記化合物が抗菌活性を示すことを確認することにより本発明を完成した。
【非特許文献1】Chang,I.A.等,Appl Microbiol Biotechnol,2007年,第74卷,301−306頁
【非特許文献2】Hou,C.T.& Forman,R.J.,J.Ind.Microbiol Biotechnol,2000年,第24卷,275−276頁
【非特許文献3】Shin,S.Y.等,Int.J.Food Microbiol,2007年,第113卷,233−236頁
【非特許文献4】Shin,S.Y.等,Agricultural Chemistry and Biotechnology,2005年,第48卷,167−169頁
【非特許文献5】Shin,S.Y.等,Agricultural Chemistry & Biotechnology,2004年,第47卷,205−208頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、天然植物性オイルを基質にして、微生物によって生産された抗菌活性を有する7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸及びそれを含む培養液の製造方法を提供することである。
【0007】
また、本発明の目的は、前記製造方法によって製造されたDODを含む培養液を提供することである。
【0008】
また、本発明の目的は、前記培養液から有機溶媒を使用して、7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を生産する方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の目的は、前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を有効成分として含む抗菌活性製剤を提供することである。
【0010】
また、本発明の目的は、前記培養液または前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を使用した食品、または環境の有害微生物の生長抑制方法を提供することである。
【0011】
さらに、本発明の目的は、前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を使用した個体で前記病原性微生物による感染症を治療または予防する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記目的を達成するために、本発明は、
1)シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)菌株を培養培地で5〜48時間培養する工程、
2)工程1)の培養液に天然植物性オイルを0.01〜10重量%で添加する工程、
3)工程2)の培養液を1〜7日間さらに培養した後、細胞を除去する工程を含む下記化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸(7,10−dihydroxy−8(E)−octadecenoic acid)を含む培養液の製造方法を提供する。
【0013】
【化1】

【0014】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されたDODを含む培養液を提供する。
【0015】
また、本発明は前記DODを含んだ培養液から有機溶媒を使用して7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を回収する工程を含む 7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の生産方法を提供する。
【0016】
また、本発明は前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を有効成分として含む抗菌活性製剤を提供する。
【0017】
また、本発明は前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を食品に添加する工程を含む食品内の有害微生物の生長抑制方法を提供する。
【0018】
また、本発明は、前記培養液または前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を微生物の成長を抑制することができる濃度で土壌または植物体に処理する工程を含む、有害微生物の生長抑制方法を提供する。
【0019】
また、本発明は、前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を病原性微生物に感染した個体に、前記病原性微生物を殺菌することができる程度の量で投与する工程を含む、前記個体で前記病原性微生物による感染症を治療する方法を提供する。
【0020】
同時に、本発明は、個体に前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を病原性微生物の増殖を抑制することができる量で投与する工程を含む、前記個体で前記病原性微生物による感染症を予防する方法を提供する。
【0021】
以下、本発明を詳しく説明する。
【0022】
前記目的を達成するために、本発明は、
1)シュードモナスエルギノーサ菌株を培養培地で5〜48時間培養する工程、
2)工程1)の培養液に天然植物性オイルを0.01〜10重量%で添加する工程、
3)工程2)の培養液を1〜7日間さらに培養した後、細胞を除去する工程を含む下記の化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸(7,10−dihydroxy−8(E)−octadecenoic acid;以下、DOD)を含む培養液の製造方法を提供する。
【0023】
【化2】

【0024】
前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸(DOD)は、化学的に合成したり微生物によって生産したりすることもできるが、好ましくはオレイン酸、トリオレインまたはオレイン酸を含む天然植物性オイルを基質に使用してシュードモナスエルギノーサ微生物によって生産することを特徴とする。
【0025】
本発明の好ましい実施例で、紅花種油、ごま油、オリーブ油またはオリーブとぶどう種油混合物を基質にしてシュードモナスエルギノーサPR3を培養した結果、天然植物性オイルと培養抽出物から差を示すスポット(矢印)が確認され(図1参照)、前記スポットにあたる物質のみを回収することができた(図4参照)。前記物質をガスクロマトグラフィー/質量分析器を通じてDODであることを確認し、前記DODは、ヒドロキシ脂肪酸の一種で炭素数18個の脂肪酸鎖上に7番炭素と10番炭素に各々1個ずつ総2個のヒドロキシル基を有し、8番炭素と9番炭素との間に1個のトランス二重結合を含んでいる構造を特徴とする(図2及び図3参照)。
【0026】
工程1)のシュードモナスエルギノーサ菌株は、シュードモナスエルギノーサPR3(Pseudomonas aeruginosa PR3)(NRRL B−18602)であることが好ましい。前記菌株は、米国農産部研究所微生物保管所(Agricultural Research Service Culture Collection,米国)に受託番号NRRL B−18602で寄託されている。
【0027】
工程1)のシュードモナスエルギノーサの培養時間は5〜48時間で、好ましくは24時間である。また、培養温度は10℃〜45℃で、好ましくは28℃で、培地のpHは4.0〜10.0で、好ましくはpH7.0である。また、前記培養培地は好ましくはYPD培地(1%酵母抽出物,2%ペプトン,2%デキストロース)で、前記YPD培地はデキストロースの代りにブドウ糖、果糖、砂糖、グリセロール、キシロース、ガラクトース、マルトース、ラクトースなどを単独で、または混合して炭素源の代わりとして含むことができ、酵母抽出物の代りに、麦芽エキス、グルタミン、硝酸アンモニウム、ペプトン、トリプトン、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素などを単独で、または混合して窒素源として含むことができる。
【0028】
工程2)の天然植物性オイルは、オレイン酸、トリオレイン酸またはオレイン酸を含むいかなる天然植物性オイルであってもよく、好ましくはオリーブ油、紅花種油、大豆油、とうもろこし油、ごま種子油、えごま種子油、ぶどう種油、唐辛子種油、キャノーラ油、ひまわり種油、まくわ瓜種油、菜種油、米油、トリオレインなどを単独でまたは混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。前記天然植物性オイルは、従来天然植物の種子や実からオイルを抽出するのに多く使用されてきた溶媒抽出法や加圧抽出法など、様々な方法でも準備することができ、市販のものを手軽に購入することもできる。前記天然植物性オイルは、0.01〜10重量%で工程1)の培養液に添加することができ、好ましくは1重量%で添加することができる。
【0029】
工程3)の培養期間は、1〜7日で、好ましくは3日である。
【0030】
また、本発明は、前記製造方法によって製造されたDODを含む培養液を提供する。
【0031】
本発明の培養液は、グラム陽性またはグラム陰性のすべてのバクテリアに対して抗菌活性を示すことを特徴とする。本発明の実施例で前記培養液の粗抽出物の多様な微生物に対する抗菌活性を固体アガー培地または液体培地を使用して調査した結果、3mg程度を処理した時、高い抗菌活性を示した(図5参照)。また、前記培養液から分離した7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸は、多様な微生物に対して高い抗菌活性を示し、グラム陽性とグラム陰性の両方の場合に抗菌活性を示していて、グラム染色による別途の特異性は示されないことを確認した(図7及び図8参照)。すなわち、本発明の培養液に含有されるDODの多様な微生物に対する抗菌活性を確認したので、本発明のDODは、これら微生物によって誘発される人体、動物体及び植物体の感染症の治療または予防または食品の腐敗予防にも非常に効果的である。
【0032】
また、本発明は、前記DODを含んだ培養液から有機溶媒を使用して7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を回収する工程を含む、7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸生産方法を提供する。
【0033】
前記有機溶媒は、エチルアセテート、ジエチルエーテル、ブタノール、N−ヘキサンなどを単独でまたは混合して使用することができるが、それらに限定されるものではない。本発明の具体的な実施例では、培養液と同量のエチルアセテートとジエチルエーテルに各々2回にわたって順次に抽出した後、抽出物を回転蒸発器で濃縮する方法によって遂行した。
【0034】
また、本発明の生産方法は、さらにクロマトグラフィーを使用して前記回収液から7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を純粋分離する工程を含むことができる。前記純粋分離は、前記クロマトグラフィー外にも溶融点の差を使用した結晶化方法、分留を使用する方法、カラムクロマトグラフィー法を使用することができるが、それらに限定されるものではない。本発明の具体的な実施例では、薄層クロマトグラフィーを使用して純粋分離した(図1参照)。
【0035】
また、本発明は、前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を有効成分として含む抗菌活性製剤を提供する。
【0036】
本発明の抗菌活性製剤は、グラム陽性またはグラム陰性のすべてのバクテリアに対して抗菌活性を示すことを特徴とする。本発明の実施例で前記抗菌活性製剤の多様な微生物に対する抗菌活性を、固体アガー培地または液体培地を使用して調査した結果、5mg程度を処理した時に非常に高い抗菌活性を示していて、これは市販されている抗菌軟膏であるムピロシン(mupirocin)を有効成分として含有するバクトロバン(商品名)の抗菌活性と類似の程度を示した(図5参照)。また、多様な微生物に対して高い抗菌活性を示し、グラム陽性とグラム陰性の両方の場合に抗菌活性を示して、グラム染色による別途の特異性は示さないことを確認した(図7及び図8参照)。すなわち、本発明の抗菌活性製剤に有効成分として含まれるDODの抗菌活性を確認したので、産業上、抗菌製剤として非常に有用に使用されることが期待される。また、本発明のDODは、多様な微生物に対して力強い抗菌活性を示すので、これら微生物によって誘発される人体、動物体及び植物体の感染症の治療または予防または食品の腐敗予防にも非常に効果的である。
【0037】
本発明の抗菌活性製剤における、有効成分であるDODの含有量は、製剤方法及び使用目的によって異なるが、普通は個体1kg当たり0.0001〜2000mgの範囲で決定することができる。
【0038】
本発明の抗菌活性製剤は、通常の製剤化方法を使用して散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、軟質カプセル剤、懸濁液、エマルジョン、シロップ、エアゾールなどの経口投与用製剤、外用剤、座薬及び滅菌注射溶液などの非経口投与用製剤に剤形化して使用することができる。経口投与のための固形製剤は、さらに少なくとも一つ以上の賦形剤、例えば、澱粉、カルシュムカーボネート、スクロースまたはラクトース、ゼラチンなどを混ぜて調剤される。また単純な賦形剤以外にステアリン酸マグネシウム、タルクのような滑剤も使用される。経口のための液状製剤では、懸濁剤、内用液剤、乳剤、シロップ剤などが該当し、よく使用される単純希釈剤である水、リキッドパラフィン以外に様々な賦形剤、例えば湿潤剤、甘味料、芳香剤、保存剤などを含むことができる。また、非経口投与のための製剤は、滅菌水溶液、液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤、座薬などが含まれる。懸濁剤では、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、オリーブオイルのような植物性油、エチルオレイン酸のような注射可能なエステルなどが使用できる。座薬の基剤では、ハードファット(witepsol)、マクロゴ−ル、ツイーン61、カカオ脂、ラウリン脂、グリセロゼラチンなどが使用できる。
【0039】
非経口投与は、全身投与または局所投与が可能だが、全身投与がより好ましい。具体的には、硬皮内、筋肉内、静脈内または腸を通過するように投与される。非経口投与のために注射器や滴注法(drip法)、座薬を使用して投与したり軟膏剤の形態で皮膚に塗布したりして使用することができる。
【0040】
本発明の抗菌活性製剤の投与量は、患者の状態及び体重、疾病の程度、薬物形態、投与経路及び期間によって異なるが、当業者によって適切に選択され得る。しかし、好ましい効果のため、本発明の抗菌活性製剤は、1日に0.0001〜1000mg/kgで、100〜200mg/kgで投与するのが好ましい。投与は、一日に一度投与することもでき、数回に分けて投与することもできる。前記投与量と投与方法は、いかなる面においても本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
本発明の抗菌活性製剤は、食品の腐敗予防のために前記抗菌活性製剤の浸漬液に食品を浸漬して使用し、必要によって食品に噴霧して使用することもでき、そのまま添加したり他の食品または食品成分とともに使用したりすることができ、通常的な方法によって適切に一般的な食品すべてに適用することができる。食品を浸漬する場合、抗菌活性製剤の濃度と浸漬時間は、抗菌活性があまり低くない濃度で食品に影響を与えない範囲で使用することが好ましい。一般的に、食品または飲料の製造に使用される場合には、本発明の抗菌活性製剤は原料に対して15重量部以下で、10重量部以下の量で添加するのが好ましい。
【0042】
本発明の抗菌活性製剤は、植物病原性細菌の殺菌及び予防のために植物体の種子及び植物体自体に使用することができ、必要によって噴霧して使用したり浸漬して使用したりすることもでき、そのまま噴霧したり他の剤形製剤とともに使用したりすることができ、通常的な方法によって適切に一般的な植物体すべてに適用することができる。噴霧の形態で使用する場合、液剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤などの形態に製剤化した後、必要な程度にしたがって水溶液に希釈して使用することができる。植物体種子を浸漬する場合、抗菌活性製剤の濃度と浸漬時間は、抗菌活性があまり低くない濃度で種子に影響を与えない範囲で使用することが好ましい。
【0043】
また、本発明は、前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を食品に添加する工程を含む、食品内有害微生物の生長抑制方法を提供する。
【0044】
本発明の前記DODは、食品の腐敗予防のために前記DODの浸漬液に食品を浸漬して使用し、必要によって食品に噴霧して使用することもでき、そのまま添加したり他の食品または食品成分とともに使用したりすることができ、通常的な方法によって適切に一般的な食品すべてに適用することができる。食品を浸漬する場合、DODの濃度と浸漬時間は、抗菌活性があまり低くない濃度で食品に影響を与えない範囲で使用することが好ましい。一般的に、食品または飲料の製造に使用する場合には、本発明のDODは原料に対して15重量部以下で、10重量部以下の量で添加するのが好ましい。
【0045】
本発明の好ましい実施例で前記DODの量を変えて多くの微生物に対する抗菌活性を確認した結果、ある程度のDOD処理濃度以上では微生物が成長しなくて、DODが液体培地上でも微生物の成長を抑制して抗菌活性を示していることを確認することができ(図6参照)、前記結果を基に多くの微生物に対する微生物が成長しないDOD濃度を最小制限濃度として決定した(図7及び図8参照)。
【0046】
前記有害微生物は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtillis)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・セサミ(Pseudomonas syringae pv.sesami)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・アクチニダエ(Pseudomonas syringae pv.actinidae)、エルビニア属(Erwinia sp.)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・シリンガ(Pseudomonas syringae pv.syringae)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotricum candidum)、リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、コレトトリチューム・カプシシ(Collectotrichum capsici)、フザリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)、フィトフトラ・カプシシ(Phytophtora capsici)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エルニシア・シュードツベクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アルカノバクテリウム・ヘモリチカム(Arcanobacterium haemolyticum)、エンテロバクター・インターメディウス(Enterobacter intermedius)、アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobcaterium tumefaciens)、クラビバクター・ミシガネンシス(Clavibacter michiganensis)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・アロイデアエ(Erwinia aroideae)、シュードモナス・コラプタ(Pseudomonas corrupta)、シュードモナス・ソラナセアルム(Pseudomonas solanasearum)、シュードモナス・グラディオリ(Pseudomonas gladioli)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・シトリ(Xanthomonas campestris pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・プラニ(Xanthomonas campestri pv.prani)、ボトリオスファエリア・ドチデア(Botryosphaeria dothidea)、コレトリカム・グロエスポリオデス(Colletoricum gloesporiodes)、コレトリカム・アクツアツム(Colletoricum acutuatum)、アシドボラ・アンスリー・スペキエス・ノヴァ・アグロバクテリウム属(Acidovora anthurii sp.Nov Agrobacterium sp.)、マレセチア・フルフル(Malassezia furfur)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、トリコフィートン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィートン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、エピデルモフィトン フロコサム(Epidermophyton floccosum)、シュードモナス・コルガタ(Pseodumonas corrugata)、キサントモナス・アリソノボティス・パソバー・シトリ(Xanthomonas axonopodis pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・アスビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロマイセス・セレビシエ(Sacccharomyces cerevisiae)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、ピチア・メメブラネファシエンス(Pichia memebranefaciens)及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)からなる群から選択されるが、それに制限されるものではなく、グラム陽性及びグラム陰性に分類されるどんな微生物も該当し得る。
【0047】
また、本発明は、前記培養液または前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を微生物の成長を抑制することができる濃度で土壌または植物体に処理する工程を含む、有害微生物の生長抑制方法を提供する。
【0048】
本発明の培養液またはDODは、植物病原性細菌の殺菌及び予防のために植物体の種子及び植物体自体に使用することができ、必要に応じて噴霧して使用したり浸漬して使用したりすることもでき、そのまま噴霧したり他の剤形製剤とともに使用したりすることができ、通常的な方法によって適切に一般的な植物体すべてに適用することができる。噴霧の形態で使用する場合、液剤、非水性溶剤、懸濁剤、乳剤、凍結乾燥製剤などの形態に製剤化した後、必要な程度にしたがって水溶液に希釈して使用することができる。植物体種子を浸漬する場合、培養液またはDODの濃度と浸漬時間は、抗菌活性があまり低くない濃度で種子に影響を与えない範囲で使用するのが好ましい。
【0049】
前記濃度は、有害微生物によって変化し得るので特定の濃度に制限されないが、好ましくは土壌または植物体の表面積m当たり0.0001mg〜50,000mgであることを特徴とする。
【0050】
また、本発明は、前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を病原性微生物に感染した個体に前記病原性微生物を殺菌することができる程度の量で投与する工程を含む、前記個体で前記病原性微生物による感染症を治療する方法を提供する。
【0051】
同時に、本発明は、前記7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を個体に病原性微生物の増殖を抑制することができる量で投与する工程を含む、前記個体で前記病原性微生物による感染症を予防する方法を提供する。
【0052】
前記投与量は、有害微生物によって変化し得るので特定量に制限されないが、好ましくは体重1kg当たり0.0001mg〜50,000mgであることを特徴とする。
【0053】
前記病原性微生物は、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtillis)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・セサミ(Pseudomonas syringae pv.sesami)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・アクチニダエ(Pseudomonas syringae pv.actinidae)、エルビニア属(Erwinia sp.)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・シリンガ(Pseudomonas syringae pv.syringae)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotricum candidum)、リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、コレトトリチューム・カプシシ(Collectotrichum capsici)、フザリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)、フィトフトラ・カプシシ(Phytophtora capsici)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エルニシア・シュードツベクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アルカノバクテリウム・ヘモリチカム(Arcanobacterium haemolyticum)、エンテロバクター・インターメディウス(Enterobacter intermedius)、アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobcaterium tumefaciens)、クラビバクター・ミシガネンシス(Clavibacter michiganensis)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・アロイデアエ(Erwinia aroideae)、シュードモナス・コラプタ(Pseudomonas corrupta)、シュードモナス・ソラナセアルム(Pseudomonas solanasearum)、シュードモナス・グラディオリ(Pseudomonas gladioli)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・シトリ(Xanthomonas campestris pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・プラニ(Xanthomonas campestri pv.prani)、ボトリオスファエリア・ドチデア(Botryosphaeria dothidea)、コレトリカム・グロエスポリオデス(Colletoricum gloesporiodes)、コレトリカム・アクツアツム(Colletoricum acutuatum)、アシドボラ・アンスリー・スペキエス・ノヴァ・アグロバクテリウム属(Acidovora anthurii sp.Nov Agrobacterium sp.)、マレセチア・フルフル(Malassezia furfur)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、トリコフィートン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィートン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、エピデルモフィトン フロコサム(Epidermophyton floccosum)、シュードモナス・コルガタ(Pseodumonas corrugata)、キサントモナス・アリソノボティス・パソバー・シトリ(Xanthomonas axonopodis pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・アスビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロマイセス・セレビシエ(Sacccharomyces cerevisiae)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、ピチア・メメブラネファシエンス(Pichia memebranefaciens)及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)からなる群から選択されるが、これに制限されるものではなく、グラム陽性及びグラム陰性に分類されるいかなる微生物も該当し得る。
【0054】
また、前記方法が適用され得る個体は、動物及び植物で、動物個体は脊椎動物で好ましくは哺乳動物であり、さらに好ましくはヒトを除いた哺乳動物であり、それより好ましくはネズミ、ウサギ、ギニアピーク、ハムスター、犬、猫のような実験動物で、チンパンジー、ゴリラのような類人猿類動物が最も好ましい。また、前記方法が適用され得る植物個体は、種子植物と胞子植物に分類されるすべての植物体、被子植物と裸子植物に分類されるすべての植物体、双子葉植物と単子葉植物に分類されるすべての植物体が該当する。
【発明の効果】
【0055】
本発明のDODは、多様な微生物に対して力強い抗菌活性を示すので、これら微生物によって誘発される人体、動物体及び植物体の感染症の治療または予防または食品の腐敗予防にも非常に効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0056】
以下、実施例を通じて本発明をさらに詳しく説明する。これらの実施例は単に本発明を例示するためだけのものであって、本発明の範囲がこれら実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0057】
実施例1:天然植物性オイルとともにシュードモナスエルギノーサPR3培養
1−1:シュードモナスエルギノーサPR3の培養
シュードモナスエルギノーサ(Agricultural Research Service Culture Collection,米国;NRRL B−18602)をYPD培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%デキストロース;pH7.0)を使用して24時間、28℃、200rpmの条件下で培養した。
1−2:天然植物性オイル添加
市販されている紅花種油、ごま油、オリーブ油またはブドウ種油を購入して実施例1−1の培養液に1%濃度で各々または混合して添加した後、3日間実施例1−1の方法で追加に培養した後、6N HClを加えて培地pHを2.0以下に下げて培養を終了した。
1−3:培養産物抽出
培養終了後、直ちに培養液と同量の酢酸エチルとジエチルエーテルで各々2回にわたって順次に抽出した後、上澄み液抽出物を集めて回転蒸発器(Hanhn Shin Co,韓国)で濃縮することによって培養産物を抽出した。
実施例2:薄層クロマトグラフィーを使用した分析
2−1:培養抽出物の分析
実施例1の方法で収得した培養抽出物及び様々な天然植物性オイルを下記のように薄層クロマトグラフィーを遂行した。
【0058】
レーン1:紅花種油
レーン2:紅花種油の微生物培養抽出物
レーン3:ごま油
レーン4:ごま油の微生物培養抽出物
レーン5:オリーブ油
レーン6:オリーブ油の微生物培養抽出物
レーン7:ブドウ種油とオリーブ油の1:1混合物、及び、
レーン8:ブドウ種油とオリーブ油の1:1混合物の微生物培養抽出物。
【0059】
具体的に、シリカゲルでコーティングされたガラス基板上に前記抽出物1mgを点滴した後、トルエン:ジオキサン:酢酸(79:14:7、v/v/v)の混合溶液を使用して前記抽出物を分離した。分離後、50%硫酸溶液を基板上に噴霧した後、100℃で10分以上加熱して現れたスポットを確認した。
【0060】
その結果、図1に示されたように天然植物性オイルと培養抽出物で差を示すスポット(矢印)が確認された。
2−2:スポットの分析
実施例2−1の方法で確認された差を示すスポットに対して、分離精製と構造確認を実施した。
2−2−1:分離精製
実施例2−1の方法と同一な方法で主抽出物を薄層クロマトグラフィー基板上に展開させた後、分離精製しようとする目標スポット(矢印)と同一位置にある分離物を薄層クロマトグラフィー基板から掻き出した後、回収されたシリカゲル及び対象物質の混合物からクロロホルムで2回抽出して対象物質を分離した。
【0061】
前記分離物及び精製過程中で除去された他の産物を下記のように実施例2−1の薄層クロマトグラフィー方法で分析した。
【0062】
レーン1:トリオレイン
レーン2:精製する前の粗抽出物
レーン3:分離精製産物、及び、
レーン4:精製後残留物。
【0063】
その結果、図4に示されたようにレーン3で単一スポット(矢印)で現れて精製がよくできたことを確認した。
2−2−2:構造分析
実施例2−2−1の方法で精製した産物の構造をガスクロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー/質量分析器で分析した。
ガスクロマトグラフィー分析
試料10mgにジアゾメタン[ジアザルド(Diazald;Sigma Co,米国)から製造]1mlを入れた後、5分間室温に放置した。以後、窒素ガスを使用してジアゾメタンを除去した後、TMSI+ピリジン(1:4、v/v)を1ml入れて40分間放置した。再び、窒素ガスを使用して残留溶媒を飛ばした後、ガスクロマトグラフィーのための溶液(ジクロロメタン:メタノール=95:5、v/v)を200μl入れた。前記方法で修得した最終試料1μlをガスクロマトグラフィー分析器(Shimadzu、日本)に注入した後、分析した。ここで使用されたカラムは、疎水性カラム(Supelco,米国)を使用し、分析温度条件は、100℃〜300℃の範囲で施行し、分析時間は1時間以内にした。
ガスクロマトグラフィー/質量分析器分析
前記ガスクロマトグラフィー方法に準じて実施し、長さが30m以上のカラム(SPB−1,Supelco,米国)を使用して分離した分子のディテクター(detector)に質量分析器(Agilent,米国)を設置して遂行した。
【0064】
その結果、図2及び図3に示されたように炭素数18個の脂肪酸鎖上に7番炭素と10番炭素に各々1個ずつ総2個のヒドロキシル基を有して、8番炭素と9番炭素との間に1個のトランス二重結合を含む7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸(7,10−dihydroxy−8(E)−octadecenoic acid,以下,DOD)の構造を確認した。
実施例3:前記DODの抗菌活性確認
3−1:固体アガー培地を使用した確認1
ネズミチフス菌KCTC2515と黄色ブドウ球菌KCTC1621に対するDODの抗菌活性を固体アガー培地を使用して調査した。アガープレート上にクリアーゾーンが示される程度によって抗菌活性を確認することができ、クリアーゾーンが大きいほど抗菌活性程度が高いと判断する。
【0065】
スポットA:微生物によってトリオレインから生変換された生成物の粗抽出物(3mg)
スポットB:オレイン酸(5mg)(Sigma Co,米国)
スポットC:バクトロバン(3mg Mupirocin)(Glaxo Smith Kline)
スポットD:DOD(1mg)
スポットE:DOD(5mg)
スポットF:DMSO(20μl)(Sigma Co,米国)及び、
スポットG:DODを除外した粗抽出物の残余物。
【0066】
具体的に、YPD培地に1.5%のポテトアガー(Difco,米国)を添加して滅菌した後、プラスチックペトリ皿に20ml程度を注いで固めた固体アガー培地を作った。前記KCTC2515とKCTC1621を10細胞/ml程度にYPD培地に希釈した後、500μl程度を前記固体アガー培地に均一に分散させて接種した。前記固体アガー培地上に滅菌した直径5mm程度のフィルターペーパー(Whatman Co,米国)を載せた後、前記記述のとおりスポット A〜Fの物質を注入した。ここで、DODはDMSO(Sigma Co,米国)溶媒に溶解して適正濃度に希釈して、各処理当り20μlずつを注入した。追加で 2〜3日間、30℃で培養した後、フィルターペーパー周囲のクリアーゾーンの大きさを測定して抗菌活性程度を確認した。
【0067】
その結果、図5に示されたようにDODの場合、5mg程度を処理した時、非常に高い抗菌活性を示している。これは市販されている抗菌軟膏であるバクトロバンの抗菌活性と類似の程度を示した。
3−2:液体培地を使用した確認1
バチルス・スブティリスATCC6501と青枯病菌KACC10475に対してDODの微生物成長抑制程度を液体培地を使用して確認した。
【0068】
具体的に、24ウェルプレートにYDP培地を1ml位ずつ分注した後、確認しようとする0.125mg/ml〜16mg/mlの濃度でDMSOに希釈されたDODを100μl以下の体積で各ウェルに添加した。前記バチルス・スブティリスATCC6501と青枯病菌KACC10475をYPD培地に希釈した後、100μl程度を注入して接種した。培養開始後2時間ごとに24時間後まで、各ウェルから培養液を回収して遠心分離を通じて培地成分は除去して蒸溜水を使用して2回洗浄した後、540nmで吸光度を測定して微生物成長程度を測定した。測定された微生物の量をグラフで示して、微生物が成長しないDOD濃度を最小制限濃度に決定した。
【0069】
その結果、図6に示されたように、ある程度のDOD処理濃度以上では微生物が成長しなくて、DODが液体培地上でも微生物の成長を抑制して抗菌活性を示していることを確認することができる。また、前記菌に対する最小制限濃度は、各々<125μg/mlであった(図8参照)。
3−3:固体アガー培地を使用した確認2
グラム陽性またはグラム陰性菌である大腸菌ATCC8739(−)、表皮ブドウ球菌KCTC1917(+)、ネズミチフス菌KCTC2515(−)、リステリア・モノサイトゲネスATCC19111(+)、黄色ブドウ球菌ATCC 6538(+)、バチルス・スブティリスATCC6501(+)に対するDODの微生物成長抑制程度を実施例3−1の方法で固体アガー培地を使用して確認した(−:グラム陰性、+:グラム陽性)。
【0070】
その結果、図7に示されたようにグラム陽性とグラム陰性すべての場合で、抗菌活性を示していて、グラム染色による別途の特異性は現れていない。
3−4:液体培地を使用した確認2
多様な微生物に対するDODの抗菌活性程度を実施例3−2の方法で液体培地を使用して確認した。
【0071】
具体的には、シュードモナス・シリンガ・パソバー・セサミ(Pseudomonas syringae pv.sesami)KACC10649(−)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・アクチニダエ(Pseudomonas syringae pv.actinidae)KACC10659(−)、エルビニア属(Erwinia sp.)KACC10207(−)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・シリンガ(Pseudomonas syringae pv.syringae)KACC10361(−)、青枯病菌KACC10475(−)、コリネバクテリウム・グルタミカムKACC10784(+)、シュードモナス・コルガタKACC10141(−)、キサントモナス・アリソノボディス・パソバー・シトリ(Xanthomonas axonopodis pv.citri)KACC10443(−)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)KACC10490(−)及びクラビバクター・ミシガネンシス亜属ミシガネンシス(Clavibacter michiganesis subsp.Michiganensis)KACC20122(+)に対するDODの微生物成長抑制程度を、実施例3−2の方法で液体培地を使用して確認した。
【0072】
その結果、図8に示されたように、Psuedomonas corrugate KACC10141及びClavibacter michiganesis subsp.Michiganensis KACC20122を除いた多様な微生物に対して、高い程度の微生物生長抑制効果を示している。また、グラム染色による別途の特異性は現れていないことが分かる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の多様な天然植物性オイルからシュードモナスエルギノーサPR3を使用して3日間培養して生産した産物の薄層クロマトグラフィー分析写真である。
【図2】本発明の多様な基質からシュードモナスエルギノーサPR3を使用して生産された7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の化学構造を示した図である。
【図3】本発明の多様な基質からシュードモナスエルギノーサPR3を使用して生産された7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の構造をガスクロマトグラフィー/質量分析器で分析した図である。
【図4】本発明の図1で示した3日目に生産された産物中で矢印で指摘された産物のみを分離精製した後、薄層クロマトグラフィーで分析した写真である。
【図5】本発明の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の抗菌活性を固体アガー培地を使用して確認した写真である。
【図6】本発明の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の処理濃度による微生物生長阻害効果を示した図である。
【図7】本発明の多様な微生物に対する7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の抗菌活性を固体アガー培地を使用して確認した結果を示した表である。
【図8】本発明の多様な微生物に対する7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の抗菌活性を液体培地を使用して最小制限濃度を確認した結果を示した表である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)シュードモナスエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)菌株を培養培地で 5〜48時間培養する工程、
2)工程1)の培養液に天然植物性オイルを0.01〜10重量%で添加する工程、
3)工程2)の培養液を1〜7日間さらに培養した後、細胞を除去する工程を含む下記化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸(7,10−dihydroxy−8(E)−octadecenoic acid;以下,DOD)を含む培養液の製造方法。
【化1】

【請求項2】
前記培養培地が、YPD培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%デキストロース)であること特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記YPD培地が、デキストロースの代りにブドウ糖(glucose)、果糖(fructose)、砂糖(sucrose)、グリセロール(glycerol)、キシロース(xylose)、ガラクトース(galactose)、マルトース(maltose)、ラクトース(lactose)などを単独でまたは混合して炭素源として含むことができることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記YPD培地が、酵母抽出物(yeast extract)代りに麦芽エキス(malt extract)、グルタミン(glutamine)、硝酸アンモニウム、ペプトン(peptone)、トリプトン(tryptone)、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、尿素(urea)などを単独で、または混合して窒素源として含むことができることを特徴とする、請求項2に記載の製造方法。
【請求項5】
工程2)の天然植物性オイルが、オレイン酸を含むことを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
工程2)の天然植物性オイルが、オリーブ油、紅花種油、大豆油、とうもろこし油、胡麻種子油、荏胡麻種子油、ブドウ種油、唐辛子種油、キャノーラ油、ひまわり種油、まくわ瓜種油、菜種油、米油、トリオレインなどを単独でまたは混合して使用することができることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
請求項1に記載の方法によって製造されたDODを含む培養液。
【請求項8】
請求項7に記載のDODを含んだ培養液から有機溶媒を使用して7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を回収する工程を含む、7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸の生産方法。
【請求項9】
前記有機溶媒が、エチルアセテート、ジエチルエーテル、ブタノールまたはN−ヘキサンであることを特徴とする、請求項8に記載の生産方法。
【請求項10】
追加的にクロマトグラフィーを使用して回収液から7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を純粋分離する工程を含むことを特徴とする、請求項8に記載の生産方法。
【請求項11】
化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を有効成分として含む抗菌活性製剤。
【化2】

【請求項12】
前記抗菌活性製剤が、グラム陽性あるいはグラム陰性バクテリアに対して抗菌活性を示すことを特徴とする、請求項11に記載の抗菌活性製剤。
【請求項13】
下記化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を食品に添加する工程を含む、食品内の有害微生物の生長抑制方法。
【化3】

【請求項14】
前記有害微生物が、グラム陽性及びグラム陰性バクテリアであることを特徴とする、請求項13に記載の生長抑制方法。
【請求項15】
前記有害微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtillis)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・セサミ(Pseudomonas syringae pv.sesami)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・アクチニダエ(Pseudomonas syringae pv.actinidae)、エルビニア属(Erwinia sp.)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・シリンガ(Pseudomonas syringae pv.syringae)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotricum candidum)、リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、コレトトリチューム・カプシシ(Collectotrichum capsici)、フザリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)、フィトフトラ・カプシシ(Phytophtora capsici)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エルニシア・シュードツベクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アルカノバクテリウム・ヘモリチカム(Arcanobacterium haemolyticum)、エンテロバクター・インターメディウス(Enterobacter intermedius)、アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobcaterium tumefaciens)、クラビバクター・ミシガネンシス(Clavibacter michiganensis)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・アロイデアエ(Erwinia aroideae)、シュードモナス・コラプタ(Pseudomonas corrupta)、シュードモナス・ソラナセアルム(Pseudomonas solanasearum)、シュードモナス・グラディオリ(Pseudomonas gladioli)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・シトリ(Xanthomonas campestris pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・プラニ(Xanthomonas campestri pv.prani)、ボトリオスファエリア・ドチデア(Botryosphaeria dothidea)、コレトリカム・グロエスポリオデス(Colletoricum gloesporiodes)、コレトリカム・アクツアツム(Colletoricum acutuatum)、アシドボラ・アンスリー・スペキエス・ノヴァ・アグロバクテリウム属(Acidovora anthurii sp.Nov Agrobacterium sp.)、マレセチア・フルフル(Malassezia furfur)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、トリコフィートン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィートン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、エピデルモフィトン フロコサム(Epidermophyton floccosum)、シュードモナス・コルガタ(Pseodumonas corrugata)、キサントモナス・アリソノボティス・パソバー・シトリ(Xanthomonas axonopodis pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・アスビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロマイセス・セレビシエ(Sacccharomyces cerevisiae)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、ピチア・メメブラネファシエンス(Pichia memebranefaciens)及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項13に記載の生長抑制方法。
【請求項16】
請求項7に記載の培養液または下記化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を、微生物の成長を抑制することができる濃度で土壌または植物体に処理する工程を含む、有害微生物の生長抑制方法。
【化4】

【請求項17】
前記濃度が、土壌または植物体の表面積m当たり0.0001mg〜50,000mgであることを特徴とする、請求項16に記載の有害微生物の生長抑制方法。
【請求項18】
前記有害微生物が、グラム陽性及びグラム陰性バクテリアであることを特徴とする、請求項16に記載の生長抑制方法。
【請求項19】
前記有害微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtillis)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・セサミ(Pseudomonas syringae pv.sesami)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・アクチニダエ(Pseudomonas syringae pv.actinidae)、エルビニア属(Erwinia sp.)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・シリンガ(Pseudomonas syringae pv.syringae)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotricum candidum)、リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、コレトトリチューム・カプシシ(Collectotrichum capsici)、フザリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)、フィトフトラ・カプシシ(Phytophtora capsici)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エルニシア・シュードツベクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アルカノバクテリウム・ヘモリチカム(Arcanobacterium haemolyticum)、エンテロバクター・インターメディウス(Enterobacter intermedius)、アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobcaterium tumefaciens)、クラビバクター・ミシガネンシス(Clavibacter michiganensis)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・アロイデアエ(Erwinia aroideae)、シュードモナス・コラプタ(Pseudomonas corrupta)、シュードモナス・ソラナセアルム(Pseudomonas solanasearum)、シュードモナス・グラディオリ(Pseudomonas gladioli)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・シトリ(Xanthomonas campestris pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・プラニ(Xanthomonas campestri pv.prani)、ボトリオスファエリア・ドチデア(Botryosphaeria dothidea)、コレトリカム・グロエスポリオデス(Colletoricum gloesporiodes)、コレトリカム・アクツアツム(Colletoricum acutuatum)、アシドボラ・アンスリー・スペキエス・ノヴァ・アグロバクテリウム属(Acidovora anthurii sp.Nov Agrobacterium sp.)、マレセチア・フルフル(Malassezia furfur)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、トリコフィートン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィートン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、エピデルモフィトン フロコサム(Epidermophyton floccosum)、シュードモナス・コルガタ(Pseodumonas corrugata)、キサントモナス・アリソノボティス・パソバー・シトリ(Xanthomonas axonopodis pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・アスビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロマイセス・セレビシエ(Sacccharomyces cerevisiae)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、ピチア・メメブラネファシエンス(Pichia memebranefaciens)及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項16に記載の生長抑制方法。
【請求項20】
化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を病原性微生物に感染された個体に、前記病原性微生物を殺菌することができる程度の量で投与する工程を含む、前記個体で前記病原性微生物による感染症を治療する方法。
【化5】

【請求項21】
投与量が、体重1kg当たり0.0001mg〜50,000mgであることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記対象微生物が、グラム陽性及びグラム陰性バクテリアであることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項23】
前記病原性微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtillis)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・セサミ(Pseudomonas syringae pv.sesami)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・アクチニダエ(Pseudomonas syringae pv.actinidae)、エルビニア属(Erwinia sp.)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・シリンガ(Pseudomonas syringae pv.syringae)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotricum candidum)、リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、コレトトリチューム・カプシシ(Collectotrichum capsici)、フザリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)、フィトフトラ・カプシシ(Phytophtora capsici)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エルニシア・シュードツベクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アルカノバクテリウム・ヘモリチカム(Arcanobacterium haemolyticum)、エンテロバクター・インターメディウス(Enterobacter intermedius)、アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobcaterium tumefaciens)、クラビバクター・ミシガネンシス(Clavibacter michiganensis)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・アロイデアエ(Erwinia aroideae)、シュードモナス・コラプタ(Pseudomonas corrupta)、シュードモナス・ソラナセアルム(Pseudomonas solanasearum)、シュードモナス・グラディオリ(Pseudomonas gladioli)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・シトリ(Xanthomonas campestris pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・プラニ(Xanthomonas campestri pv.prani)、ボトリオスファエリア・ドチデア(Botryosphaeria dothidea)、コレトリカム・グロエスポリオデス(Colletoricum gloesporiodes)、コレトリカム・アクツアツム(Colletoricum acutuatum)、アシドボラ・アンスリー・スペキエス・ノヴァ・アグロバクテリウム属(Acidovora anthurii sp.Nov Agrobacterium sp.)、マレセチア・フルフル(Malassezia furfur)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、トリコフィートン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィートン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、エピデルモフィトン フロコサム(Epidermophyton floccosum)、シュードモナス・コルガタ(Pseodumonas corrugata)、キサントモナス・アリソノボティス・パソバー・シトリ(Xanthomonas axonopodis pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・アスビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロマイセス・セレビシエ(Sacccharomyces cerevisiae)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、ピチア・メメブラネファシエンス(Pichia memebranefaciens)及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
化学式(1)の7,10−ジヒドロキシ−8(E)−オクタデセン酸を個体に、病原性微生物の増殖を抑制することができる量で投与する工程を含む、前記個体で前記病原性微生物による感染症を予防する方法。
【化6】

【請求項25】
投与量が、体重1kg当たり0.0001mg〜50,000mgであることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記対象微生物が、グラム陽性及びグラム陰性バクテリアであることを特徴とする、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記病原性微生物が、スタフィロコッカス・アウレウス(Staphylococcus aureus)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtillis)、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)、スタフィロコッカス・エピダーミディス(Staphylococcus epidermidis)、サルモネラ・ティフィムリウム(Salmonella typhimurium)、リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・セサミ(Pseudomonas syringae pv.sesami)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・アクチニダエ(Pseudomonas syringae pv.actinidae)、エルビニア属(Erwinia sp.)、シュードモナス・シリンガ・パソバー・シリンガ(Pseudomonas syringae pv.syringae)、ラルストニア・ソラナセラム(Ralstonia solanacearum)、ゲオトリクム・キャンディダム(Geotricum candidum)、リゾクトニア ソラニ(Rhizoctonia solani)、ボトリティス・シネレア(Botrytis cinerea)、コレトトリチューム・カプシシ(Collectotrichum capsici)、フザリウム・オキスポラム(Fusarium oxysporum)、フィトフトラ・カプシシ(Phytophtora capsici)、エンテロバクター・アグロメランス(Enterobacter agglomerans)、セラチア・マルセセンス(Serratia marcescens)、エルニシア・シュードツベクロシス(Yersinia pseudotuberculosis)、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)、アルカノバクテリウム・ヘモリチカム(Arcanobacterium haemolyticum)、エンテロバクター・インターメディウス(Enterobacter intermedius)、アグロバクテリウム・トゥメファシエンス(Agrobcaterium tumefaciens)、クラビバクター・ミシガネンシス(Clavibacter michiganensis)、エルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、エルウィニア・アロイデアエ(Erwinia aroideae)、シュードモナス・コラプタ(Pseudomonas corrupta)、シュードモナス・ソラナセアルム(Pseudomonas solanasearum)、シュードモナス・グラディオリ(Pseudomonas gladioli)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・シトリ(Xanthomonas campestris pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス・パスバー・プラニ(Xanthomonas campestri pv.prani)、ボトリオスファエリア・ドチデア(Botryosphaeria dothidea)、コレトリカム・グロエスポリオデス(Colletoricum gloesporiodes)、コレトリカム・アクツアツム(Colletoricum acutuatum)、アシドボラ・アンスリー・スペキエス・ノヴァ・アグロバクテリウム属(Acidovora anthurii sp.Nov Agrobacterium sp.)、マレセチア・フルフル(Malassezia furfur)、プロピオニバクテリウム・アクネス(Propionibacterium acnes)、トリコフィートン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、トリコフィートン・ルブルム(Trichophyton rubrum)、エピデルモフィトン フロコサム(Epidermophyton floccosum)、シュードモナス・コルガタ(Pseodumonas corrugata)、キサントモナス・アリソノボティス・パソバー・シトリ(Xanthomonas axonopodis pv.citri)、キサントモナス・カンペストリス(Xanthomonas campestris)、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans)、カンジダ・アスビカンス(Candida albicans)、カンジダ・グラブラータ(Candida glabrata)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、ロドトルラ・ルブラ(Rhodotorula rubra)、サッカロマイセス・セレビシエ(Sacccharomyces cerevisiae)、トリコスポロン・ベイゲリ(Trichosporon beigelii)、ピチア・メメブラネファシエンス(Pichia memebranefaciens)及びコリネバクテリウム・グルタミカム(Corynebacterium glutamicum)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項24に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−34097(P2009−34097A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−154033(P2008−154033)
【出願日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【出願人】(508177817)キョンプク ナショナル ユニバーシティー インダストリー−アカデミック コーポレーション ファンデーション (1)
【氏名又は名称原語表記】KYUNGPOOK NATIONAL UNIVERSITY INDUSTRY−ACADEMIC COOPERATION FOUNDATION
【住所又は居所原語表記】Kyungpook National University 1370 Sangyeok−dong Buk−gu Daegu 702−701 Republic of Korea
【Fターム(参考)】