ABSアクチュエータ取付ブラケット
【課題】ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを集約して取り付けることによってコストダウンと軽量化、組付作業性の向上、配置スペースの縮小等を図ることができるABSアクチュエータ取付ブラケットを提供すること。
【解決手段】車両に搭載されるABSアクチュエータ20を車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケット1に、前記ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40をそれぞれ取り付けるための取付部を形成する。又、ABSアクチュエータ取付ブラケット1を前記車体フレームに取り付けられる第1ブラケット2と前記取付部が形成された第2ブラケット3とに2分割し、前記第2ブラケット3を前記第1ブラケット2の上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定する。
【解決手段】車両に搭載されるABSアクチュエータ20を車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケット1に、前記ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40をそれぞれ取り付けるための取付部を形成する。又、ABSアクチュエータ取付ブラケット1を前記車体フレームに取り付けられる第1ブラケット2と前記取付部が形成された第2ブラケット3とに2分割し、前記第2ブラケット3を前記第1ブラケット2の上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるABSアクチュエータを車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、例えば凍結した路面上を走行している場合に急ブレーキを掛けても車輪がロックしないようにするためのABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が搭載されているが、このABSは、車両の減速度を検出する加速度センサ(Gセンサ)、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ、ブレーキ液圧を検出する液圧センサ、これらの加速度センサや車輪速センサ、液圧センサの検出値に基づいて各車輪の最適回転速度を算出するコントローラ、該コントローラから出力される制御信号によって各車輪のブレーキにそれぞれ供給されるブレーキ液圧を制御するABSアクチュエータ等によって構成されている。
【0003】
斯かるABSに備えられる前記ABSアクチュエータは、作動時の音や振動が車室に伝播するのを防ぐため、車両側部において前後方向に延びる一対のサイドメンバの一方の内側にABSアクチュエータ取付ブラケットを介して取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、ABSアクチュエータは前輪の後方に配置されているため、前輪が跳ね上げた泥水や小石を該ABSアクチュエータが受け易く、ABSアクチュエータに水が侵入したり、損傷を受ける等の問題が発生する可能性があった。
【0005】
そこで、特許文献2には、ABSアクチュエータをABSアクチュエータ取付ブラケットを介して車体フレームのクロスメンバの後方、且つ、一方のサイドメンバの車幅方向内側面に設置する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−297457号公報
【特許文献2】特開2007−055422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、車両には、坂道で停止したときに運転者によってブレーキペダルが開放された後も所定の制動力を保持することによって、例えば上り坂でのズリ下がりを防いで発進操作を円滑且つ容易に行うようにしたヒルホールド装置を備えたものがある。斯かるヒルホールド装置は、ブレーキのマスタシリンダとホイールシリンダとを接続するブレーキ配管にヒルホールドバルブを設け、車両停止時にヒルホールドバルブを閉じてホイールシリンダ側のブレーキ配管に所定のブレーキ液圧を保持することによって車両の移動を阻止し、車両の発進時にはヒルホールドバルブを開き、保持していたブレーキ液圧を抜いて制動力を開放する機能を果たすものである。
【0008】
而して、特許文献1,2において提案されたABSアクチュエータ取付ブラケットはABSアクチュエータだけを取り付けるものであって、ヒルホールドバルブと液圧センサはABSアクチュエータ取付ブラケットとは別のブラケットによってそれぞれ車体に取り付けられていたため、各ブラケットの取付工数が増えるとともに、ブレーキ配管の長さが長くなり、コストアップや重量増加、組付作業性の悪化を招くという問題があった。
【0009】
又、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサをそれぞれ別の箇所に配置するため、それらの設置スペースが大きくなるという問題もあった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを集約して取り付けることによってコストダウンと軽量化、組付作業性の向上、配置スペースの縮小等を図ることができるABSアクチュエータ取付ブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、車両に搭載されるABSアクチュエータを車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケットに、前記ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサをそれぞれ取り付けるための取付部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ABSアクチュエータ取付ブラケットを前記車体フレームに取り付けられる第1ブラケットと前記取付部が形成された第2ブラケットとに2分割し、前記第2ブラケットを前記第1ブラケットの上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ヒルホールドバルブを前記ABSアクチュエータの車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブをその配管接続部が車幅方向中央側に向くよう取り付けることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、ABSアクチュエータ取付ブラケットに、前記ヒルホールドバルブの配管接続部が臨む開口部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、1つのABSアクチュエータ取付ブラケットにABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを集約して取り付けるようにしたため、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを各々別個のブラケットによってそれぞれ取り付ける従来の構成に対してABSアクチュエータ取付ブラケットの取付工数が削減されるとともに、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサにそれぞれ接続されるブレーキ配管の長さが短縮される。このため、軽量化とコストダウンを図ることができるとともに、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの設置スペースを縮小することができる。又、車両搭載前に1つのABSアクチュエータ取付ブラケットにABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを予め集約して取り付けておくことが可能となって、生産性を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、ABSアクチュエータ取付ブラケットを車体フレームに取り付けられる第1ブラケットと取付部が形成された第2ブラケットとに2分割したため、第2ブラケットにABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを予め取り付けるとともに、これらのABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを接続するブレーキ配管を予め取り付けた後、この第2ブラケットを第1ブラケットに取り付けることができる。このため、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの取付作業性とブレーキ配管の接続作業性が高められる。
【0017】
又、第2ブラケットを第1ブラケットの上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定するようにしたため、第2ブラケットに取り付けられたABSアクチュエータを平面視で避けた位置に第1及び第2ブラケットの締付固定部を配置する必要がなく、締付固定部を平面視でABSアクチュエータにオーバーラップする位置に配置することができ、ABSアクチュエータ取付ブラケットの小型化と軽量化を図ることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、ヒルホールドバルブをABSアクチュエータの車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブをその配管接続部が車幅方向中央側に向くよう取り付けたため、ヒルホールドバルブとABSアクチュエータを車幅方向にコンパクトに配置することができるとともに、ヒルホールドバルブへのブレーキ配管の接続を車幅方向中央側から作業性良く行うことができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、ヒルホールドバルブへのブレーキ配管の接続をABSアクチュエータ取付ブラケットを迂回することなく、ABSアクチュエータ取付ブラケットに形成された開口部を介して直接行うことができるため、ブレーキ配管の接続作業性が高められるとともに、ブレーキ配管の長さが短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両のブレーキ配管系の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの斜視図である。
【図3】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第1ブラケットの斜視図である。
【図4】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第1ブラケットの平面図である。
【図5】図4の矢視A方向の図である。
【図6】図4の矢視B方向の図である。
【図7】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第2ブラケットの斜視図である。
【図8】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第2ブラケットの平面図である。
【図9】図8の矢視C方向の図である。
【図10】図8の矢視D方向の図である。
【図11】図8の矢視E方向の図である。
【図12】図8の矢視F方向の図である。
【図13】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットへのABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの取付構造を示す分解斜視図である。
【図14】図13の矢視G方向に図である。
【図15】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットによるABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの車体フレームへの取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は車両のブレーキ配管系の構成を示す斜視図であり、同図において、50は不図示のブレーキペダルに加えられる運転者の踏力を負圧を利用して倍力するブレーキブースタであって、該ブレーキブースタ50の中央部に突出するロッド50aには不図示のブレーキ装置のブレーキアームが連結されている。そして、ブレーキアームの下端に設けられたブレーキペダルを運転者が踏み込むと、ロッド50aが押されてマスタシリンダ51にブレーキ液圧が発生するが、運転者の踏力は大気圧と負圧との差圧を利用して発生する力を駆動源として作動する前記ブレーキブースタ50によって倍力されるために運転者の肉体的負担が軽減される。
【0023】
ところで、本実施の形態に係る車両は、ABSとヒルホールド装置を備えており、ABSを構成するABSアクチュエータ20とヒルホールド装置を構成するヒルホールドバルブ30及びブレーキ液圧を検出する液圧センサ40は、本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられている。
【0024】
而して、前記マスタシリンダ51から延びる2本のブレーキ配管52は、前記ヒルホールドバルブ30に接続されており、ヒルホールドバルブ30から延びる2本のブレーキ配管53,54のうちの一方のブレーキ配管53はABSアクチュエータ20に接続され、他方のブレーキ配管54は液圧センサ40に接続されている。又、ABSアクチュエータ20の上部から延びる2本のブレーキ配管55は左右の前輪にそれぞれ設けられた不図示のホイールシリンダに接続され、ABSアクチュエータ20の上部から延びる1本のブレーキ配管56は、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられたジョイント60に接続されており、ジョイント60から延びるブレーキ配管57は左右の後輪にそれぞれ設けられた不図示のホイールシリンダに接続されている。
【0025】
次に、本発明に係る前記ABSアクチュエータ取付ブラケット1の構成を図2〜図12に基づいて以下に説明する。
【0026】
図2は本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの斜視図、図3は同ABSアクチュエータ取付ブラケットの第1ブラケットの斜視図、図4は同第1ブラケットの平面図、図5は図4の矢視A方向の図、図6は図4の矢視B方向の図、図7は本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第2ブラケットの斜視図、図8は同第2ブラケットの平面図、図9は図8の矢視C方向の図、図10は図8の矢視D方向の図、図11は図8の矢視E方向の図、図12は図8の矢視F方向の図である。
【0027】
本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケット1は、図2に示すように、下側の第1ブラケット2と上側の第2ブラケット3とに2分割されており、下側の第1ブラケット2は、後述の車体フレーム100(図15参照)に取り付けられるものであり、この第1ブラケット2の上部に上側の第2ブラケット3が締付固定されている。尚、第2ブラケット3には前記ABSアクチュエータ20と前記ヒルホールドバルブ30及び前記液圧センサ40(図1参照)を取り付けるための後述の取付部がそれぞれ形成されている。
【0028】
ここで、第1ブラケット2の構成の詳細を図3〜図6に基づいて説明する。尚、取付ブラケット1の説明では、ヒルホールドバルブ30が配置される側を前、ABSアクチュエータ20が配置される側を後ろとして説明する。
【0029】
車体フレーム100への取り付け面となる第1ブラケット2の水平で平坦な取付面2Aの前後(車幅方向内側と外側)には、2つの取付座2aと1つの取付座2bがそれぞれ直角に上方に折り曲げられて垂直に立設されている。そして、前側(図4の下側)の左右に配置された2つの取付座2aには円孔4がそれぞれ形成されており、各取付座2aの裏面の円孔4の周りには角ナット5がそれぞれ溶接されている。同様に、後側(図4の上側)の1つの取付座2bには円孔6が形成されており、取付座2bの裏面の円孔6の周りには角ナット7が溶接され、取付座2bは左右方向(車両前後方向)で2つの取付座2aの間のほぼ中央位置に設けられている。
【0030】
又、図4に示すように、第1ブラケット2の取付面2Aには左右方向(車両前後方向)には3つの円孔8が適当な間隔で形成されている。尚、取付面2Aには剛性を高めるためのビード2c,2dが形成されている。
【0031】
次に、第2ブラケット3の構成の詳細を図7〜図12に基づいて説明する。
【0032】
第2ブラケット3は、板金のプレス成形品である3つの部材3A,3B,3Cを溶接して構成されており、ベース部材としての水平な部材3Aの前後(車幅方向内側と外側)には垂直下方に折り曲げられた取付座3a,3bがそれぞれ形成されている。そして、第1ブラケット2の2つの取付座2aに対応するように前側(図9の手前側)に設けられた左右2箇所の取付座3aには横方向に長い長孔9が形成されており、後側(図9の奥側)の左右方向(車両前後方向)中央に設けられた1つの取付座3bには下方が開口する切欠き孔10が形成されている。尚、部材3Aの前側に設けられた一方(図7及び図8の右側)の取付座3aの下端は直角に前側に折り曲げられて水平な舌片3cを形成している。
【0033】
又、図8に示すように、部材3Aの後端側(車幅方向外側)には互いに連通する大小異径の円孔11,12が形成されており、小径側の円孔12は前記ABSアクチュエータ20(図1参照)を取り付けるための取付部を構成している。更に、部材3Aの前端側(車幅方向内側)の左右には直角上方に折り曲げられたその面が左右方向を向く矩形のブラケット3dが形成されている。そして、ブラケット3dの後端から左右方向内側に向かって直角に折り曲げられた左右の後壁3iが延設され、この後壁3iには、図11及び図12に示すように、上方が開口する切欠き孔14がそれぞれ形成されており、これらの切欠き孔14は前記円孔11,12と共にABSアクチュエータ20の取付部を構成している。尚、部材3Aには剛性を高めるためのビード3e,3fが形成されている。
【0034】
前記部材3Bは、車両の中央側を向く面であってヒルホールドバルブ30(図1参照)の取付部となる前壁3hを有し、前壁3hの左右端縁から後ろ側に屈曲した側壁3gを有している。その左右のステー状の側壁3gが部材3Aの左右に形成された前記ブラケット3dに外側から重ねられて溶接されることによって部材3Aの上に部材3Bは固定されており、その垂直に立設する前壁3hの中央部には矩形の開口部13が形成されている。又、前壁3hは、部材3Aの前側に設けられた取付座3aよりも前側(車両の中央側)に突出するように配置されている。
【0035】
更に、図7及び図9に示すように、部材3Bの前壁3hの上端部(開口部13の上側部分)はヒルホールドバルブ30(図1参照)の取付部となっており、上端部の左右方向片側(図9の左側)には、前記ヒルホールドバルブ30(図1参照)を締め付けるための円孔15が形成されているとともに、上端部の左右方向反対側には、ヒルホールドバルブ30の孔に挿入されて支持及び位置決めをするピンが後ろ側に向かって突設されている。
【0036】
又、図8及び図11に示すように、部材3Bの一方(図8の右側)の側壁3gには円孔16(図11参照)が形成されており、側壁3gの内面の円孔16の周りには角ナット17が溶接されている。尚、側壁3gに設けられた円孔16と角ナット17は前記液圧センサ40(図1参照)の取付部(詳細には、液圧センサ40を取り付けるジョイント41の取付部)を構成している。
【0037】
前記部材3Cは、前記液圧センサ40の取付部(詳細には、液圧センサ40を取り付けるジョイント41の取付部)となる部材3Bの一方(図8の右側)の側壁3gと同じ側に配置されている。そして、その面が左右方向を向く垂直壁3jと、該垂直壁3jの下端から左右方向の内側に直角に折曲げられることによって形成された舌片3kとを有し、その垂直壁3jが部材3Bの一方の側壁3gに左右方向の外側から重ねられてスポット溶接されるととともに、垂直壁3jの下端が直角に折り曲げられることによって形成された舌片3kが部材3Aの前記舌片3cに下側から重ねられてスポット溶接されている。部材3Cが部材3Aと部材3Bの各側部に固定されることによって、各部材の剛性が向上されている。そして、この部材3Cの垂直壁3jには円孔18が形成されており、垂直壁3jの内面の円孔18の周りには角ナット19が溶接されている。尚、垂直壁3jに設けられた円孔18と角ナット19は、後述するジョイント60の取付部を構成している。
【0038】
而して、以上のように構成されたABSアクチュエータ取付ブラケット1を介してABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が車体フレーム100に取り付けられるが、これらの取付構造を図13〜図15に基づいて以下に説明する。
【0039】
図13はABSアクチュエータ取付ブラケットへのABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの取付構造を示す分解斜視図、図14は図13の矢視G方向の図、図15はABSアクチュエータ取付ブラケットによるABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの車体フレームへの取付構造を示す斜視図である。
【0040】
ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40の車体フレーム100への取り付けに際しては、これらがABSアクチュエータ取付ブラケット1にそれぞれ取り付けられる。
【0041】
即ち、図13に示すように、ABSアクチュエータ20の下部がゴムマウント21とスペーサ22及びこれらの下方から挿通するボルト23によってABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3に取り付けられる。具体的には、ゴムマウント21がABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3(部材3A)に形成された大径側の円孔11に通された後に小径側の円孔12に嵌め込まれ、該ゴムマウント21に内挿されたスペーサ22にボルト23を下方から通し、第2ブラケット3上に載置されたにABSアクチュエータ20の下面に形成された不図示のネジ孔にボルト23をねじ込むことによってABSアクチュエータ20の下部がゴムマウント21を介して第2ブラケット3に取り付けられる。
【0042】
又、第2ブラケット3上に載置されたABSアクチュエータ20は、その前面が部材3Bの後壁3iの後ろ側に配置され、左右の後壁3iにそれぞれ形成された切欠き孔14に嵌め込まれたゴムマウント24とこれに内挿されたスペーサ25にボルト26をそれぞれ通し、各ボルト26をABSアクチュエータ20の前面下部の左右に形成されたネジ孔27(図13には一方のみ図示)にねじ込むことによって第2ブラケット3にゴムマウント24を介して取り付けられる。
【0043】
ヒルホールドバルブ30は、ABSアクチュエータ20の前側(車幅方向内側)と第2ブラケット3(部材3B)の前壁3hとの間に配置され、その前面上部の片側(左側)にはネジ孔31が形成され、反対側には貫通孔が形成されている。その下方には左右2つの配管接続部32が同一方向(前方)を向いて形成され、その下方の前面下端部にはカプラー33が配管接続部32と同一方向に向かって突設されている。そして、このヒルホールドバルブ30は、その前面が第2ブラケット3(部材3B)の前壁3hに後ろ側(内側)から当てられ、前壁3hに突設されたピンを貫通孔に受け入れるとともに、これに形成されたネジ孔31を第2ブラケット3の前壁3hに形成された円孔15に合わせ、円孔15に挿通するボルト34をネジ孔31にねじ込むことによって第2ブラケット3に取り付けられる。このように、ヒルホールドバルブ30がABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3に取り付けられると、該ヒルホールドバルブ30の前面に設けられた配管接続部32とカプラー33は、図15に示すように、第2ブラケット3の開口部13から前方(車幅方向内側)に向かって露出する。つまり、配管接続部32とカプラー33は、前壁3hの面から前方(車幅方向内側)に突出する。
【0044】
又、図14に示すように、第2ブラケット3の部材3Bの側壁3gにはジョイント41がボルト42によって取り付けられる。即ち、ジョイント42には取付孔43と円孔44が形成されており、ジョイント41は、円孔44に挿通するボルト42を第2ブラケット3(部材3B)の側壁3gに形成された円孔16に通し、その裏側に溶接された角ナット17にボルト42をねじ込むことにとって第2ブラケット3(部材3B)に取り付けられる。そして、このジョイント41の取付孔43に液圧センサ40を車幅方向内側からねじ込むことによって、液圧センサ40がジョイント41を介して第2ブラケット3に取り付けられる。
【0045】
更に、図14に示すように、第2ブラケット3の下部には左右の後輪のホイールシリンダへのブレーキ配管57が接続されるジョイント60がボルト61によって取り付けられる。即ち、ジョイント60には円孔62が形成されており、ジョイント60は、円孔62に挿通するボルト61を第2ブラケット3の部材3Cに形成された円孔18に通し、その裏側に溶接された角ナット19にボルト61をねじ込むことによって第2ブラケット3(部材3C)に取り付けられる(図13参照)。
【0046】
以上のようにしてABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が第2ブラケット3に取り付けられると、ヒルホールドバルブ30とABSアクチュエータ20がブレーキ配管53によって接続され、ヒルホールドバルブ30と液圧センサ40がブレーキ配管54によって接続されるとともに、ABSアクチュエータ20から延びるブレーキ配管56がジョイント60に接続される。
【0047】
以上のように第2ブラケット3にABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が取り付けられるとともに、ヒルホールドバルブ30とABSアクチュエータ20、ヒルホールドバルブ30と液圧センサ40、ABSアクチュエータ20とジョイント60がブレーキ配管53,54,56によってそれぞれ接続されてこれらが第2ブラケット3に部組みされると、第2ブラケット3は、車体フレーム100に予め取り付けられている第1ブラケット2の上部に取り付けられる。
【0048】
即ち、第1ブラケット2は、図15に示すように、前側(2つの取付座2aが形成された側)が車幅方向中央(内側)となり、2つの取付座2aが車幅方向中央(内側)に向くよう車体フレーム100上に設置され、図13に示すように、これに形成された3つの円孔8(図4参照)に上方から挿通する各ボルト35を車体フレーム100にねじ込むことにとって車体フレーム100上に取り付けられる。詳細には、運転席90の下方の車体フロア101は、運転者の足の後方にて上方に立ち上がる前壁と、運転席の後方の後ろ壁と、前壁と後ろ壁を連結して車体フレーム100よりも車両の側方側に配置される側壁とで、上方に膨出する膨出部が形成され、車体フレーム100の上方に空間Sが形成されている。そして、第1ブラケット2は、前壁と後ろ壁と側壁及び車体フレーム100とで囲まれた空間S内に、車体フレーム100の上方に配置されている。運転席90の下方の車体フロア101の前壁と後ろ壁と側壁及び車体フレーム100とで囲まれた空間S内に、車体フレーム100の上方に取付座2bを奥側にして取り付け固定される。
【0049】
次に、予めABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が取り付けられた第2ブラケット3が第1ブラケット1の上に重ねられる。このとき、第2ブラケット3は、ヒルホールドバルブ20の前面に設けられた配管接続部32とカプラー33が車幅方向中央(内側)を向く向きに設置され、前側の取付座3aと後側中央の取付座3bが第1ブラケット2の前側の左右の取付座2aと後側中央の取付座2bに車両の中央側から重ねられる。
【0050】
そして、互いに重ねられた第1ブラケット2と第2ブラケット3の各前側の取付座2a,3aにそれぞれ形成された円孔4と長孔9及び各後側の取付座2b,3bに形成された円孔6と切欠き孔10にボルト36を車幅方向中央側(内側)から外側に向けて通し、各ボルト36を第1ブラケット1の取付座2a,2bの裏面に溶接された角ナット5,7にそれぞれねじ込むことによって第2ブラケット3が第1ブラケット2の上部に締付固定される。このとき、第1ブラケット2の取付座2bに予めボルト36を取り付けておき、切欠き孔10を利用して取付座3bを取付座2bとボルト36の頭部との間に挿入して、組付性を向上させることができる。又、第1ブラケット2と第2ブラケット3との間(上下方向の空間)を利用して、各後側の取付座2b,3bを固定する締付作業を行うことができる。
【0051】
上述のようにして第2ブラケット3が第1ブラケット2の上部に取り付けられることによって、第2ブラケット3に予め取り付けられていたABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が図15に示すようにABSアクチュエータ取付ブラケット1を介して車体フレーム100に取り付けられる。このとき、ヒルホールドバルブ30の前面に設けられた配管接続部32とカプラー33は第2ブラケット3の開口部13から車幅方向内側の向かって露出しているため、図1に示すマスタシリンダ51から延びる2本のブレーキ配管52をヒルホールドバルブ30の2つの配管接続部32にそれぞれ車幅方向内側から接続することができるとともに、ハーネス70の端部に取り付けられたコネクタ71をカプラー33に車幅方向内側から嵌め込んで接続することができる。
【0052】
又、前輪に設けられた不図示のホイールシリンダに連なる2本のブレーキ配管55をABSアクチュエータ20の上部に上方から接続するとともに、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられたジョイント60に、後輪の左右のホイールシリンダに連なる1本のブレーキ配管57を車幅方向内側から接続することによって配管作業が終了する。
【0053】
以上において、本実施の形態では、1つのABSアクチュエータ取付ブラケット1にABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40を集約して取り付けるようにしたため、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40を各々別個のブラケットによってそれぞれ取り付ける従来の構成に対してABSアクチュエータ取付ブラケット1の取付工数が削減されるとともに、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30を接続するブレーキ配管53とヒルホールドバルブ30と液圧センサ40とを接続するブレーキ配管54及びABSアクチュエータ20とジョイント60とを接続するブラーキ配管56の長さが短縮される。このため、軽量化とコストダウンを図ることができるとともに、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40の設置スペースを縮小することができる。
【0054】
又、本実施の形態では、ABSアクチュエータ取付ブラケット1を第1ブラケット2と第2ブラケット3とに2分割したため、第2ブラケット3にABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40を予め取り付けるとともに、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30を接続するブレーキ配管53とヒルホールドバルブ30と液圧センサ40とを接続するブレーキ配管54及びABSアクチュエータ20とジョイント60とを接続するブラーキ配管56を予め組み付けた後、この第2ブラケット2を車両に取り付けた第1ブラケット1に取り付けることができる。このため、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40の取付作業性とブレーキ配管53,54,56の接続作業性が高められる。
【0055】
更に、本実施の形態では、第2ブラケット3を第1ブラケット2の上部に車幅方向中央側から外側方に向けて第1ブラケット2と第2ブラケット3との間の空間(ABSアクチュエータ20の下方の空間)を利用して締付固定するようにしたため、第2ブラケット3に取り付けられたABSアクチュエータ20を平面視で避けた位置に第1ブラケット2と第2ブラケット3の締付固定部を配置する必要がなく、締付固定部を平面視でABSアクチュエータ20にオーバーラップする位置に配置することができ、ABSアクチュエータ取付ブラケット1の小型化と軽量化を図ることができる。
【0056】
又、本実施の形態では、ヒルホールドバルブ30をABSアクチュエータ20の車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブ30をその配管接続部32が車幅方向中央側に向くよう取り付けたため、ヒルホールドバルブ30とABSアクチュエータ20を車幅方向にコンパクトに配置することができるとともに、ヒルホールドバルブ30へのブレーキ配管52の接続を車幅方向中央側から作業性良く行うことができる。そして、本実施の形態では、ABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3に、ヒルホールドバルブ30の配管接続部32が臨む開口部13を形成したため、ヒルホールドバルブ30へのブレーキ配管52の接続をABSアクチュエータ取付ブラケット1を迂回することなく、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に形成された開口部13を介して直接行うことができ、ブレーキ配管52の接続作業性が高められるとともに、ブレーキ配管52の長さが短縮される。
【符号の説明】
【0057】
1 ABSアクチュエータ取付ブラケット
2 第1ブラケット
3 第2ブラケット
13 第2ブラケットの開口部
20 ABSアクチュエータ
30 ヒルホールドバルブ
32 ヒルホールドバルブの配管接続部
40 液圧センサ
41 ジョイント
50 ブレーキブースタ
52〜57 ブレーキ配管
60 ジョイント
100 車体フレーム
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されるABSアクチュエータを車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、例えば凍結した路面上を走行している場合に急ブレーキを掛けても車輪がロックしないようにするためのABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が搭載されているが、このABSは、車両の減速度を検出する加速度センサ(Gセンサ)、各車輪の回転速度を検出する車輪速センサ、ブレーキ液圧を検出する液圧センサ、これらの加速度センサや車輪速センサ、液圧センサの検出値に基づいて各車輪の最適回転速度を算出するコントローラ、該コントローラから出力される制御信号によって各車輪のブレーキにそれぞれ供給されるブレーキ液圧を制御するABSアクチュエータ等によって構成されている。
【0003】
斯かるABSに備えられる前記ABSアクチュエータは、作動時の音や振動が車室に伝播するのを防ぐため、車両側部において前後方向に延びる一対のサイドメンバの一方の内側にABSアクチュエータ取付ブラケットを介して取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、ABSアクチュエータは前輪の後方に配置されているため、前輪が跳ね上げた泥水や小石を該ABSアクチュエータが受け易く、ABSアクチュエータに水が侵入したり、損傷を受ける等の問題が発生する可能性があった。
【0005】
そこで、特許文献2には、ABSアクチュエータをABSアクチュエータ取付ブラケットを介して車体フレームのクロスメンバの後方、且つ、一方のサイドメンバの車幅方向内側面に設置する構成が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−297457号公報
【特許文献2】特開2007−055422号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、車両には、坂道で停止したときに運転者によってブレーキペダルが開放された後も所定の制動力を保持することによって、例えば上り坂でのズリ下がりを防いで発進操作を円滑且つ容易に行うようにしたヒルホールド装置を備えたものがある。斯かるヒルホールド装置は、ブレーキのマスタシリンダとホイールシリンダとを接続するブレーキ配管にヒルホールドバルブを設け、車両停止時にヒルホールドバルブを閉じてホイールシリンダ側のブレーキ配管に所定のブレーキ液圧を保持することによって車両の移動を阻止し、車両の発進時にはヒルホールドバルブを開き、保持していたブレーキ液圧を抜いて制動力を開放する機能を果たすものである。
【0008】
而して、特許文献1,2において提案されたABSアクチュエータ取付ブラケットはABSアクチュエータだけを取り付けるものであって、ヒルホールドバルブと液圧センサはABSアクチュエータ取付ブラケットとは別のブラケットによってそれぞれ車体に取り付けられていたため、各ブラケットの取付工数が増えるとともに、ブレーキ配管の長さが長くなり、コストアップや重量増加、組付作業性の悪化を招くという問題があった。
【0009】
又、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサをそれぞれ別の箇所に配置するため、それらの設置スペースが大きくなるという問題もあった。
【0010】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを集約して取り付けることによってコストダウンと軽量化、組付作業性の向上、配置スペースの縮小等を図ることができるABSアクチュエータ取付ブラケットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、車両に搭載されるABSアクチュエータを車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケットに、前記ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサをそれぞれ取り付けるための取付部を形成したことを特徴とする。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ABSアクチュエータ取付ブラケットを前記車体フレームに取り付けられる第1ブラケットと前記取付部が形成された第2ブラケットとに2分割し、前記第2ブラケットを前記第1ブラケットの上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定するようにしたことを特徴とする。
【0013】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明において、前記ヒルホールドバルブを前記ABSアクチュエータの車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブをその配管接続部が車幅方向中央側に向くよう取り付けることを特徴とする。
【0014】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、ABSアクチュエータ取付ブラケットに、前記ヒルホールドバルブの配管接続部が臨む開口部を形成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、1つのABSアクチュエータ取付ブラケットにABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを集約して取り付けるようにしたため、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを各々別個のブラケットによってそれぞれ取り付ける従来の構成に対してABSアクチュエータ取付ブラケットの取付工数が削減されるとともに、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサにそれぞれ接続されるブレーキ配管の長さが短縮される。このため、軽量化とコストダウンを図ることができるとともに、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの設置スペースを縮小することができる。又、車両搭載前に1つのABSアクチュエータ取付ブラケットにABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを予め集約して取り付けておくことが可能となって、生産性を向上させることができる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、ABSアクチュエータ取付ブラケットを車体フレームに取り付けられる第1ブラケットと取付部が形成された第2ブラケットとに2分割したため、第2ブラケットにABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを予め取り付けるとともに、これらのABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサを接続するブレーキ配管を予め取り付けた後、この第2ブラケットを第1ブラケットに取り付けることができる。このため、ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの取付作業性とブレーキ配管の接続作業性が高められる。
【0017】
又、第2ブラケットを第1ブラケットの上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定するようにしたため、第2ブラケットに取り付けられたABSアクチュエータを平面視で避けた位置に第1及び第2ブラケットの締付固定部を配置する必要がなく、締付固定部を平面視でABSアクチュエータにオーバーラップする位置に配置することができ、ABSアクチュエータ取付ブラケットの小型化と軽量化を図ることができる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、ヒルホールドバルブをABSアクチュエータの車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブをその配管接続部が車幅方向中央側に向くよう取り付けたため、ヒルホールドバルブとABSアクチュエータを車幅方向にコンパクトに配置することができるとともに、ヒルホールドバルブへのブレーキ配管の接続を車幅方向中央側から作業性良く行うことができる。
【0019】
請求項4記載の発明によれば、ヒルホールドバルブへのブレーキ配管の接続をABSアクチュエータ取付ブラケットを迂回することなく、ABSアクチュエータ取付ブラケットに形成された開口部を介して直接行うことができるため、ブレーキ配管の接続作業性が高められるとともに、ブレーキ配管の長さが短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】車両のブレーキ配管系の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの斜視図である。
【図3】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第1ブラケットの斜視図である。
【図4】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第1ブラケットの平面図である。
【図5】図4の矢視A方向の図である。
【図6】図4の矢視B方向の図である。
【図7】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第2ブラケットの斜視図である。
【図8】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第2ブラケットの平面図である。
【図9】図8の矢視C方向の図である。
【図10】図8の矢視D方向の図である。
【図11】図8の矢視E方向の図である。
【図12】図8の矢視F方向の図である。
【図13】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットへのABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの取付構造を示す分解斜視図である。
【図14】図13の矢視G方向に図である。
【図15】本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットによるABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの車体フレームへの取付構造を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0022】
図1は車両のブレーキ配管系の構成を示す斜視図であり、同図において、50は不図示のブレーキペダルに加えられる運転者の踏力を負圧を利用して倍力するブレーキブースタであって、該ブレーキブースタ50の中央部に突出するロッド50aには不図示のブレーキ装置のブレーキアームが連結されている。そして、ブレーキアームの下端に設けられたブレーキペダルを運転者が踏み込むと、ロッド50aが押されてマスタシリンダ51にブレーキ液圧が発生するが、運転者の踏力は大気圧と負圧との差圧を利用して発生する力を駆動源として作動する前記ブレーキブースタ50によって倍力されるために運転者の肉体的負担が軽減される。
【0023】
ところで、本実施の形態に係る車両は、ABSとヒルホールド装置を備えており、ABSを構成するABSアクチュエータ20とヒルホールド装置を構成するヒルホールドバルブ30及びブレーキ液圧を検出する液圧センサ40は、本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられている。
【0024】
而して、前記マスタシリンダ51から延びる2本のブレーキ配管52は、前記ヒルホールドバルブ30に接続されており、ヒルホールドバルブ30から延びる2本のブレーキ配管53,54のうちの一方のブレーキ配管53はABSアクチュエータ20に接続され、他方のブレーキ配管54は液圧センサ40に接続されている。又、ABSアクチュエータ20の上部から延びる2本のブレーキ配管55は左右の前輪にそれぞれ設けられた不図示のホイールシリンダに接続され、ABSアクチュエータ20の上部から延びる1本のブレーキ配管56は、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられたジョイント60に接続されており、ジョイント60から延びるブレーキ配管57は左右の後輪にそれぞれ設けられた不図示のホイールシリンダに接続されている。
【0025】
次に、本発明に係る前記ABSアクチュエータ取付ブラケット1の構成を図2〜図12に基づいて以下に説明する。
【0026】
図2は本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの斜視図、図3は同ABSアクチュエータ取付ブラケットの第1ブラケットの斜視図、図4は同第1ブラケットの平面図、図5は図4の矢視A方向の図、図6は図4の矢視B方向の図、図7は本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケットの第2ブラケットの斜視図、図8は同第2ブラケットの平面図、図9は図8の矢視C方向の図、図10は図8の矢視D方向の図、図11は図8の矢視E方向の図、図12は図8の矢視F方向の図である。
【0027】
本発明に係るABSアクチュエータ取付ブラケット1は、図2に示すように、下側の第1ブラケット2と上側の第2ブラケット3とに2分割されており、下側の第1ブラケット2は、後述の車体フレーム100(図15参照)に取り付けられるものであり、この第1ブラケット2の上部に上側の第2ブラケット3が締付固定されている。尚、第2ブラケット3には前記ABSアクチュエータ20と前記ヒルホールドバルブ30及び前記液圧センサ40(図1参照)を取り付けるための後述の取付部がそれぞれ形成されている。
【0028】
ここで、第1ブラケット2の構成の詳細を図3〜図6に基づいて説明する。尚、取付ブラケット1の説明では、ヒルホールドバルブ30が配置される側を前、ABSアクチュエータ20が配置される側を後ろとして説明する。
【0029】
車体フレーム100への取り付け面となる第1ブラケット2の水平で平坦な取付面2Aの前後(車幅方向内側と外側)には、2つの取付座2aと1つの取付座2bがそれぞれ直角に上方に折り曲げられて垂直に立設されている。そして、前側(図4の下側)の左右に配置された2つの取付座2aには円孔4がそれぞれ形成されており、各取付座2aの裏面の円孔4の周りには角ナット5がそれぞれ溶接されている。同様に、後側(図4の上側)の1つの取付座2bには円孔6が形成されており、取付座2bの裏面の円孔6の周りには角ナット7が溶接され、取付座2bは左右方向(車両前後方向)で2つの取付座2aの間のほぼ中央位置に設けられている。
【0030】
又、図4に示すように、第1ブラケット2の取付面2Aには左右方向(車両前後方向)には3つの円孔8が適当な間隔で形成されている。尚、取付面2Aには剛性を高めるためのビード2c,2dが形成されている。
【0031】
次に、第2ブラケット3の構成の詳細を図7〜図12に基づいて説明する。
【0032】
第2ブラケット3は、板金のプレス成形品である3つの部材3A,3B,3Cを溶接して構成されており、ベース部材としての水平な部材3Aの前後(車幅方向内側と外側)には垂直下方に折り曲げられた取付座3a,3bがそれぞれ形成されている。そして、第1ブラケット2の2つの取付座2aに対応するように前側(図9の手前側)に設けられた左右2箇所の取付座3aには横方向に長い長孔9が形成されており、後側(図9の奥側)の左右方向(車両前後方向)中央に設けられた1つの取付座3bには下方が開口する切欠き孔10が形成されている。尚、部材3Aの前側に設けられた一方(図7及び図8の右側)の取付座3aの下端は直角に前側に折り曲げられて水平な舌片3cを形成している。
【0033】
又、図8に示すように、部材3Aの後端側(車幅方向外側)には互いに連通する大小異径の円孔11,12が形成されており、小径側の円孔12は前記ABSアクチュエータ20(図1参照)を取り付けるための取付部を構成している。更に、部材3Aの前端側(車幅方向内側)の左右には直角上方に折り曲げられたその面が左右方向を向く矩形のブラケット3dが形成されている。そして、ブラケット3dの後端から左右方向内側に向かって直角に折り曲げられた左右の後壁3iが延設され、この後壁3iには、図11及び図12に示すように、上方が開口する切欠き孔14がそれぞれ形成されており、これらの切欠き孔14は前記円孔11,12と共にABSアクチュエータ20の取付部を構成している。尚、部材3Aには剛性を高めるためのビード3e,3fが形成されている。
【0034】
前記部材3Bは、車両の中央側を向く面であってヒルホールドバルブ30(図1参照)の取付部となる前壁3hを有し、前壁3hの左右端縁から後ろ側に屈曲した側壁3gを有している。その左右のステー状の側壁3gが部材3Aの左右に形成された前記ブラケット3dに外側から重ねられて溶接されることによって部材3Aの上に部材3Bは固定されており、その垂直に立設する前壁3hの中央部には矩形の開口部13が形成されている。又、前壁3hは、部材3Aの前側に設けられた取付座3aよりも前側(車両の中央側)に突出するように配置されている。
【0035】
更に、図7及び図9に示すように、部材3Bの前壁3hの上端部(開口部13の上側部分)はヒルホールドバルブ30(図1参照)の取付部となっており、上端部の左右方向片側(図9の左側)には、前記ヒルホールドバルブ30(図1参照)を締め付けるための円孔15が形成されているとともに、上端部の左右方向反対側には、ヒルホールドバルブ30の孔に挿入されて支持及び位置決めをするピンが後ろ側に向かって突設されている。
【0036】
又、図8及び図11に示すように、部材3Bの一方(図8の右側)の側壁3gには円孔16(図11参照)が形成されており、側壁3gの内面の円孔16の周りには角ナット17が溶接されている。尚、側壁3gに設けられた円孔16と角ナット17は前記液圧センサ40(図1参照)の取付部(詳細には、液圧センサ40を取り付けるジョイント41の取付部)を構成している。
【0037】
前記部材3Cは、前記液圧センサ40の取付部(詳細には、液圧センサ40を取り付けるジョイント41の取付部)となる部材3Bの一方(図8の右側)の側壁3gと同じ側に配置されている。そして、その面が左右方向を向く垂直壁3jと、該垂直壁3jの下端から左右方向の内側に直角に折曲げられることによって形成された舌片3kとを有し、その垂直壁3jが部材3Bの一方の側壁3gに左右方向の外側から重ねられてスポット溶接されるととともに、垂直壁3jの下端が直角に折り曲げられることによって形成された舌片3kが部材3Aの前記舌片3cに下側から重ねられてスポット溶接されている。部材3Cが部材3Aと部材3Bの各側部に固定されることによって、各部材の剛性が向上されている。そして、この部材3Cの垂直壁3jには円孔18が形成されており、垂直壁3jの内面の円孔18の周りには角ナット19が溶接されている。尚、垂直壁3jに設けられた円孔18と角ナット19は、後述するジョイント60の取付部を構成している。
【0038】
而して、以上のように構成されたABSアクチュエータ取付ブラケット1を介してABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が車体フレーム100に取り付けられるが、これらの取付構造を図13〜図15に基づいて以下に説明する。
【0039】
図13はABSアクチュエータ取付ブラケットへのABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの取付構造を示す分解斜視図、図14は図13の矢視G方向の図、図15はABSアクチュエータ取付ブラケットによるABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサの車体フレームへの取付構造を示す斜視図である。
【0040】
ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40の車体フレーム100への取り付けに際しては、これらがABSアクチュエータ取付ブラケット1にそれぞれ取り付けられる。
【0041】
即ち、図13に示すように、ABSアクチュエータ20の下部がゴムマウント21とスペーサ22及びこれらの下方から挿通するボルト23によってABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3に取り付けられる。具体的には、ゴムマウント21がABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3(部材3A)に形成された大径側の円孔11に通された後に小径側の円孔12に嵌め込まれ、該ゴムマウント21に内挿されたスペーサ22にボルト23を下方から通し、第2ブラケット3上に載置されたにABSアクチュエータ20の下面に形成された不図示のネジ孔にボルト23をねじ込むことによってABSアクチュエータ20の下部がゴムマウント21を介して第2ブラケット3に取り付けられる。
【0042】
又、第2ブラケット3上に載置されたABSアクチュエータ20は、その前面が部材3Bの後壁3iの後ろ側に配置され、左右の後壁3iにそれぞれ形成された切欠き孔14に嵌め込まれたゴムマウント24とこれに内挿されたスペーサ25にボルト26をそれぞれ通し、各ボルト26をABSアクチュエータ20の前面下部の左右に形成されたネジ孔27(図13には一方のみ図示)にねじ込むことによって第2ブラケット3にゴムマウント24を介して取り付けられる。
【0043】
ヒルホールドバルブ30は、ABSアクチュエータ20の前側(車幅方向内側)と第2ブラケット3(部材3B)の前壁3hとの間に配置され、その前面上部の片側(左側)にはネジ孔31が形成され、反対側には貫通孔が形成されている。その下方には左右2つの配管接続部32が同一方向(前方)を向いて形成され、その下方の前面下端部にはカプラー33が配管接続部32と同一方向に向かって突設されている。そして、このヒルホールドバルブ30は、その前面が第2ブラケット3(部材3B)の前壁3hに後ろ側(内側)から当てられ、前壁3hに突設されたピンを貫通孔に受け入れるとともに、これに形成されたネジ孔31を第2ブラケット3の前壁3hに形成された円孔15に合わせ、円孔15に挿通するボルト34をネジ孔31にねじ込むことによって第2ブラケット3に取り付けられる。このように、ヒルホールドバルブ30がABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3に取り付けられると、該ヒルホールドバルブ30の前面に設けられた配管接続部32とカプラー33は、図15に示すように、第2ブラケット3の開口部13から前方(車幅方向内側)に向かって露出する。つまり、配管接続部32とカプラー33は、前壁3hの面から前方(車幅方向内側)に突出する。
【0044】
又、図14に示すように、第2ブラケット3の部材3Bの側壁3gにはジョイント41がボルト42によって取り付けられる。即ち、ジョイント42には取付孔43と円孔44が形成されており、ジョイント41は、円孔44に挿通するボルト42を第2ブラケット3(部材3B)の側壁3gに形成された円孔16に通し、その裏側に溶接された角ナット17にボルト42をねじ込むことにとって第2ブラケット3(部材3B)に取り付けられる。そして、このジョイント41の取付孔43に液圧センサ40を車幅方向内側からねじ込むことによって、液圧センサ40がジョイント41を介して第2ブラケット3に取り付けられる。
【0045】
更に、図14に示すように、第2ブラケット3の下部には左右の後輪のホイールシリンダへのブレーキ配管57が接続されるジョイント60がボルト61によって取り付けられる。即ち、ジョイント60には円孔62が形成されており、ジョイント60は、円孔62に挿通するボルト61を第2ブラケット3の部材3Cに形成された円孔18に通し、その裏側に溶接された角ナット19にボルト61をねじ込むことによって第2ブラケット3(部材3C)に取り付けられる(図13参照)。
【0046】
以上のようにしてABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が第2ブラケット3に取り付けられると、ヒルホールドバルブ30とABSアクチュエータ20がブレーキ配管53によって接続され、ヒルホールドバルブ30と液圧センサ40がブレーキ配管54によって接続されるとともに、ABSアクチュエータ20から延びるブレーキ配管56がジョイント60に接続される。
【0047】
以上のように第2ブラケット3にABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が取り付けられるとともに、ヒルホールドバルブ30とABSアクチュエータ20、ヒルホールドバルブ30と液圧センサ40、ABSアクチュエータ20とジョイント60がブレーキ配管53,54,56によってそれぞれ接続されてこれらが第2ブラケット3に部組みされると、第2ブラケット3は、車体フレーム100に予め取り付けられている第1ブラケット2の上部に取り付けられる。
【0048】
即ち、第1ブラケット2は、図15に示すように、前側(2つの取付座2aが形成された側)が車幅方向中央(内側)となり、2つの取付座2aが車幅方向中央(内側)に向くよう車体フレーム100上に設置され、図13に示すように、これに形成された3つの円孔8(図4参照)に上方から挿通する各ボルト35を車体フレーム100にねじ込むことにとって車体フレーム100上に取り付けられる。詳細には、運転席90の下方の車体フロア101は、運転者の足の後方にて上方に立ち上がる前壁と、運転席の後方の後ろ壁と、前壁と後ろ壁を連結して車体フレーム100よりも車両の側方側に配置される側壁とで、上方に膨出する膨出部が形成され、車体フレーム100の上方に空間Sが形成されている。そして、第1ブラケット2は、前壁と後ろ壁と側壁及び車体フレーム100とで囲まれた空間S内に、車体フレーム100の上方に配置されている。運転席90の下方の車体フロア101の前壁と後ろ壁と側壁及び車体フレーム100とで囲まれた空間S内に、車体フレーム100の上方に取付座2bを奥側にして取り付け固定される。
【0049】
次に、予めABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が取り付けられた第2ブラケット3が第1ブラケット1の上に重ねられる。このとき、第2ブラケット3は、ヒルホールドバルブ20の前面に設けられた配管接続部32とカプラー33が車幅方向中央(内側)を向く向きに設置され、前側の取付座3aと後側中央の取付座3bが第1ブラケット2の前側の左右の取付座2aと後側中央の取付座2bに車両の中央側から重ねられる。
【0050】
そして、互いに重ねられた第1ブラケット2と第2ブラケット3の各前側の取付座2a,3aにそれぞれ形成された円孔4と長孔9及び各後側の取付座2b,3bに形成された円孔6と切欠き孔10にボルト36を車幅方向中央側(内側)から外側に向けて通し、各ボルト36を第1ブラケット1の取付座2a,2bの裏面に溶接された角ナット5,7にそれぞれねじ込むことによって第2ブラケット3が第1ブラケット2の上部に締付固定される。このとき、第1ブラケット2の取付座2bに予めボルト36を取り付けておき、切欠き孔10を利用して取付座3bを取付座2bとボルト36の頭部との間に挿入して、組付性を向上させることができる。又、第1ブラケット2と第2ブラケット3との間(上下方向の空間)を利用して、各後側の取付座2b,3bを固定する締付作業を行うことができる。
【0051】
上述のようにして第2ブラケット3が第1ブラケット2の上部に取り付けられることによって、第2ブラケット3に予め取り付けられていたABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40が図15に示すようにABSアクチュエータ取付ブラケット1を介して車体フレーム100に取り付けられる。このとき、ヒルホールドバルブ30の前面に設けられた配管接続部32とカプラー33は第2ブラケット3の開口部13から車幅方向内側の向かって露出しているため、図1に示すマスタシリンダ51から延びる2本のブレーキ配管52をヒルホールドバルブ30の2つの配管接続部32にそれぞれ車幅方向内側から接続することができるとともに、ハーネス70の端部に取り付けられたコネクタ71をカプラー33に車幅方向内側から嵌め込んで接続することができる。
【0052】
又、前輪に設けられた不図示のホイールシリンダに連なる2本のブレーキ配管55をABSアクチュエータ20の上部に上方から接続するとともに、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に取り付けられたジョイント60に、後輪の左右のホイールシリンダに連なる1本のブレーキ配管57を車幅方向内側から接続することによって配管作業が終了する。
【0053】
以上において、本実施の形態では、1つのABSアクチュエータ取付ブラケット1にABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40を集約して取り付けるようにしたため、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40を各々別個のブラケットによってそれぞれ取り付ける従来の構成に対してABSアクチュエータ取付ブラケット1の取付工数が削減されるとともに、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30を接続するブレーキ配管53とヒルホールドバルブ30と液圧センサ40とを接続するブレーキ配管54及びABSアクチュエータ20とジョイント60とを接続するブラーキ配管56の長さが短縮される。このため、軽量化とコストダウンを図ることができるとともに、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40の設置スペースを縮小することができる。
【0054】
又、本実施の形態では、ABSアクチュエータ取付ブラケット1を第1ブラケット2と第2ブラケット3とに2分割したため、第2ブラケット3にABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40を予め取り付けるとともに、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30を接続するブレーキ配管53とヒルホールドバルブ30と液圧センサ40とを接続するブレーキ配管54及びABSアクチュエータ20とジョイント60とを接続するブラーキ配管56を予め組み付けた後、この第2ブラケット2を車両に取り付けた第1ブラケット1に取り付けることができる。このため、ABSアクチュエータ20とヒルホールドバルブ30及び液圧センサ40の取付作業性とブレーキ配管53,54,56の接続作業性が高められる。
【0055】
更に、本実施の形態では、第2ブラケット3を第1ブラケット2の上部に車幅方向中央側から外側方に向けて第1ブラケット2と第2ブラケット3との間の空間(ABSアクチュエータ20の下方の空間)を利用して締付固定するようにしたため、第2ブラケット3に取り付けられたABSアクチュエータ20を平面視で避けた位置に第1ブラケット2と第2ブラケット3の締付固定部を配置する必要がなく、締付固定部を平面視でABSアクチュエータ20にオーバーラップする位置に配置することができ、ABSアクチュエータ取付ブラケット1の小型化と軽量化を図ることができる。
【0056】
又、本実施の形態では、ヒルホールドバルブ30をABSアクチュエータ20の車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブ30をその配管接続部32が車幅方向中央側に向くよう取り付けたため、ヒルホールドバルブ30とABSアクチュエータ20を車幅方向にコンパクトに配置することができるとともに、ヒルホールドバルブ30へのブレーキ配管52の接続を車幅方向中央側から作業性良く行うことができる。そして、本実施の形態では、ABSアクチュエータ取付ブラケット1の第2ブラケット3に、ヒルホールドバルブ30の配管接続部32が臨む開口部13を形成したため、ヒルホールドバルブ30へのブレーキ配管52の接続をABSアクチュエータ取付ブラケット1を迂回することなく、ABSアクチュエータ取付ブラケット1に形成された開口部13を介して直接行うことができ、ブレーキ配管52の接続作業性が高められるとともに、ブレーキ配管52の長さが短縮される。
【符号の説明】
【0057】
1 ABSアクチュエータ取付ブラケット
2 第1ブラケット
3 第2ブラケット
13 第2ブラケットの開口部
20 ABSアクチュエータ
30 ヒルホールドバルブ
32 ヒルホールドバルブの配管接続部
40 液圧センサ
41 ジョイント
50 ブレーキブースタ
52〜57 ブレーキ配管
60 ジョイント
100 車体フレーム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されるABSアクチュエータを車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケットであって、
前記ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサをそれぞれ取り付けるための取付部を形成したことを特徴とするABSアクチュエータ取付ブラケット。
【請求項2】
前記車体フレームに取り付けられる第1ブラケットと、前記取付部が形成された第2ブラケットとに2分割され、前記第2ブラケットが前記第1ブラケットの上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定されるよう構成したことを特徴とする請求項1記載のABSアクチュエータ取付ブラケット。
【請求項3】
前記ヒルホールドバルブを前記ABSアクチュエータの車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブをその配管接続部が車幅方向中央側に向くよう取り付けることを特徴とする請求項1又は2記載のABSアクチュエータ取付ブラケット。
【請求項4】
前記ヒルホールドバルブの配管接続部が臨む開口部を形成したことを特徴とする請求項3記載のABSアクチュエータ取付ブラケット。
【請求項1】
車両に搭載されるABSアクチュエータを車体フレームに取り付けるためのABSアクチュエータ取付ブラケットであって、
前記ABSアクチュエータとヒルホールドバルブ及び液圧センサをそれぞれ取り付けるための取付部を形成したことを特徴とするABSアクチュエータ取付ブラケット。
【請求項2】
前記車体フレームに取り付けられる第1ブラケットと、前記取付部が形成された第2ブラケットとに2分割され、前記第2ブラケットが前記第1ブラケットの上部に車幅方向中央側から外側方に向けて締付固定されるよう構成したことを特徴とする請求項1記載のABSアクチュエータ取付ブラケット。
【請求項3】
前記ヒルホールドバルブを前記ABSアクチュエータの車幅方向中央側に配置するとともに、該ヒルホールドバルブをその配管接続部が車幅方向中央側に向くよう取り付けることを特徴とする請求項1又は2記載のABSアクチュエータ取付ブラケット。
【請求項4】
前記ヒルホールドバルブの配管接続部が臨む開口部を形成したことを特徴とする請求項3記載のABSアクチュエータ取付ブラケット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−192763(P2012−192763A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56339(P2011−56339)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】
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