説明

AGE阻害剤

本発明は、一般式I(式中、XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、または1以上のCF基によって置換されていてもよいアミノ酸を表し、かつn=0、1または2であるか、あるいは、XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは2つのアミノ酸を含むペプチドを表し、各アミノ酸は、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよく、かつn=0または1であるか、あるいは、XRはPOHまたはSOHを表し、かつn=0、1または2であり;RはH、XR、C−Cのアルキル基、C−Cのアラルキル基、またはアリール基(ここで、アルキル基、アラルキル基およびアリール基は、アミンNH、カルボン酸基COOH、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよい)を表す)を有する化合物、または前記化合物の医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体およびジアステレオ異性体、およびそれらの混合物、ならびにそれらを含む医薬組成物または化粧料組成物、ならびに反応性カルボニル化合物を捕捉するAGE阻害剤としてのそれらの使用に関する。


【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
非酵素的糖化反応であるメイラード反応は、タンパク質中に存在するアミノ基と、カルボニル基を有する化合物、一般には糖、との縮合により開始される。この複雑な過程の最終段階で「終末糖化産物」(AGE)と呼ばれる多数の産物が生じる。これらAGEの形成は、結果としてタンパク質の架橋をもたらす。このような架橋は、コラーゲン、水晶体クリスタリン、フィブロネクチン、チューブリン、ミエリン、ラミニン、アクチン、ヘモグロビン、アルブミン、および低密度リポタンパク質(LDL)関連脂質などの長寿命タンパク質で観察されている。AGE修飾タンパク質は、加齢とともに徐々に増加し、それらが正常組織のリモデリングに寄与すると考えられている。さらに、AGEの形成増強および蓄積は、白内障(Nagaraj et al., J. Biol. Chem. (1996) 271, 19338)、尿毒症(Miyata et al., Kidney Int. (1999) 55, 389)、アテローム性動脈硬化症(Kume et al., Am. J. Pathol. (1995) 147, 654; Stitt et al., Mol. Med. (1997) 3, 617)、アルツハイマー病(Munch et al., Biochem. Soc. Trans. (2003) 31 (6), 1397; Luth et al., Cerebral Cortex (2005) 15(2), 211)、パーキンソン病(Webster et al., Neurotoxicity Res. (2005)/(172), 95)、炎症性疾患(Anderson et al., J. Clin. Invest. (1999) 104, 103)、加齢に伴うリウマチ障害、および、とりわけ、真性糖尿病の臨床的合併症(Brownlee, M. Ann. Rev. Med (1995) 461, 223; Brinkmann et al., J. Biol Chem. (1998) 273, 18714)の発生に関係していた。糖血症が高まり、その糖血症が持続性である糖尿病患者は、架橋タンパク質の増加したレベルを有し、そのことにより、関連タンパク質の構造および機能の改変を通じて組織損傷を引き起こす。さらに、AGEは膜受容体と結合し、細胞応答を刺激する。前世紀初頭のMaillardの発見以来、その架橋反応に関与する糖はグルコースであると考えられてきた。しかしながら、最近になって、in vivoおよびin vitroでの活性架橋剤としてのメチルグリオキサール(MG)、グリオキサール(GO)、および3−デオキシグルコソン(3−DG)などのα−ジカルボニル化合物に注目が集まってきている。MGの主な供給源は、グルコース代謝産物であるトリオース−ジヒドロキシアセトンリン酸およびグリセルアルデヒド三リン酸の非酵素的脱リン酸化であると考えられている。MGはまた、トリオースリン酸の自然分解によっても、またはトレオニンもしくはアセトンの代謝によっても形成され得る。ある研究では、グルコースの自動酸化によるα−ジカルボニルの生成も確認されている。α−ジカルボニルは、メイラード反応における重要な中間体であるアマドリ生成物として知られるケトアミンの変換中に生成され得ると考えられている。このケトアミンは、グルコースとアミンとの反応中に最初に形成されるシッフ塩基付加物の変換により生成される。加えて、細菌がMGを生産することが報告されている。また、多価不飽和脂肪酸の脂質過酸化反応によっても、MGおよびGOなどの反応性カルボニル化合物やマロンジアルデヒド(MDA)および4−ヒドロキシノネナールなどの脂質に特有のものが生ずる。一般に、このような高反応性ジカルボニルは、タンパク質のアミノ基、グアニジン基およびスルフヒドリル基と結合し、Nε−(1−カルボキシエチル)リジン(CEL)、Nε−(1−カルボキシメチル)リジン(CML)、メチルグリオキサール由来ヒドロイミダゾロン Nσ−(5−ヒドロ−5−メチル−4−イミダゾロン−2−イル)−オルニチン(MG−H)、グリオキサール由来ヒドロイミダゾロン(G−H)、アルグピリミジン、グリオキサール由来リジンダイマー、1,3−ジ(Nε−リジノ)イミダゾリウム塩(GOLD)、およびメチルグリオキサール由来リジンダイマー、1,3−ジ(Nε−リジノ)−4−メチルイミダゾリウム塩(MOLD)などのAGEを不可逆的に形成する。これらのα−ジカルボニル化合物のin vivo作用機序は、生物におけるメイラード反応の進行を理解するために研究されてきた。糖尿病患者では、AGEの形成および蓄積の増加が起こるため、糖尿病の一連の長期合併症(腎症、網膜症、神経障害、潰瘍、ならびに微小血管合併症および大血管合併症など)が引き起こされる(Bucala et al., Diabetes Reviews (1995) 3, 258; Ulrich et al., Recent Prog. Horm. Res. (2001) 56, 1; Porta et al., Diabetologia (2002) 45, 1617; Lorenzi et al., Diabetologia (2001) 44, 791; Ziegler et al., Int. Rev. Neurobiol. (2002) 50, 451; Thornallay, P. J. Int. Rev. Neurobiol. (2002) 50, 37; Chiarelli et al., Diab. Nutr. Metab. (2000) 13, 192)。より詳細には、AGEによって引き起こされた腎組織損傷によって、進行性の腎機能低下が起こる(Makita Z., et al., N. Eng. J. Med. (1991) 325, 836)。実際、糖尿病患者(1型および2型)の間では、メチルグリオキサールの血漿中濃度が健常者より2〜6倍高いことが判明している(McLellan et al., Clin. Sci. (1994) 87, 21)。
【0002】
酸化的ストレスは、加齢にも、慢性疾患(糖尿病、アテローム性動脈硬化症および関連血管疾患、リウマチ様多発関節炎、ならびに尿毒症など)の現行基準にも関係するもう1つの要因である。酸化的ストレスは、抗酸化体生成系および酸化体生成系間の大幅な不均衡と定義される。酸化的ストレスの増加は、リポタンパク質の修飾、転写だけでなく、細胞の機能や代謝への影響も大きい。酸化的ストレスは、酸素ラジカルの過剰生成に関連するいくつかの機構(グルコースや糖化タンパク質の自動酸化、および抗酸化酵素の糖化など)を通じて現れ得る。実際、MGが糖化反応中に活性酸素種(ROS)(フリーラジカル)を生み出すことが報告されている。このように、酸化的ストレスとAGE形成は密接に関連しているといえる。
【0003】
通常、グリオキサラーゼ系(グリオキサラーゼIおよびグリオキサラーゼII)およびアルドースレダクターゼは、これらのα−ジカルボニルのD−乳酸塩、グリコール酸塩およびアセトールへの解毒化を触媒する。しかしながら、この解毒代謝の機能不全は、生物において高反応性α−ジカルボニルにより形成されるAGEの量の増加をもたらす。
【0004】
AGE形成を阻害することにより、加齢に伴う疾患の生理病理の進行を遅らせることができ、加齢の間の生活の質を改善することができる。よって、α−ジカルボニル化合物の薬理学的スカベンジングが糖尿病の合併症の予防における有益な治療戦略であると考えることができる。架橋の長期的な影響に対する早期の薬理学的介入が糖尿病の後期合併症の発生を予防するという事実に関して、多数の文献が存在する。AGE形成阻害剤は、根底にある病理過程を治療できなくとも、根本的な障害から生じる合併症の発生を遅らせるはずである。AGE形成阻害剤として特別に開発された薬物の中で、アミノグアニジン(ピマゲジン、AG)が最も多く研究され、最も多く使用されている薬剤である。AGは、2つの重要な反応性官能基、すなわち、求核性ヒドラジン官能基−NHNHおよびα−ジカルボニル指向性グアニジン官能基−NH−C(=NH)NHを有する求核性化合物である。相互に結合されるこれらの2つの官能基は、一緒になって、メチルグリオキサール、グリオキサールおよび3−デソキシグルコソン(3-desoxyglucosone)の反応性二官能性スカベンジャーを形成する(Brownlee, et al., Science (1986) 232, 1629)。糖尿病の合併症に対するAGの有益な効果は、その大部分について糖尿病ラットモデルで確認されているが、AGは周知の選択的一酸化窒素(NO)阻害剤であり、AGによる糖尿病性腎症の進行の予防に関する臨床試験は安全上の懸念から中止された(Oturai et al., APMIS (1996) 104, 259; Monnier, V. M. Arch. Biochem. Biophys. (2003) 419, 1)。ピリドキサミン(ピリドン)は、糖尿病ラットにおける合併症をアミノグアニジンより高い有効性で予防することができる別の薬剤であり、脂質過酸化生成物およびα−ジカルボニル化合物をスカベンジすることができる(Metz et al., Archives of Biochemistry and Biophysics (2003) 419, 41)。メトホルミンは、2型糖尿病の管理に広く使用されている血糖降下薬であるが、メチルグリオキサールおよびグリオキサールのレベルも、in vivoおよびin vitroのいずれにおいても、トリアゼピノン(triazepinones)を形成することにより低下させる(Beisswenger et al., Diabetes Metab. (2003) 29, 6895)。しかしながら、AGは、メトホルミンと比べてはるかに優れた(450倍)、メチルグリオキサールのスカベンジャーであることが証明されている(Battah et al., Intern, Congress Series 1245 (2002) 355)。AGE形成阻害活性を有する他の化合物には、D−ペニシラミン(Wondrak Get al., Biochem. Pharmacol. (2002) 63, 361)、LR−90、メチレンビス(4,4’−(2−クロロフェニルウレイドフェノキシイソ酪酸))(Rahbar et al., Arch. Biochem. Biophys. (2003) 419, 63)、チアミン(ベンフォチアミン)(Stracke et al., J. Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes (2001) 109, 330)、カルノシン(β−アラニル−L−ヒスチジン)、哺乳類組織全体に広く分布する天然ジペプチド(Hipkiss A. R., Int. J. .Biochem. Cell Biol, (1998) 30, 863)、クルクミン(Sajithlal et al., G. Biochem. Pharmacol, (1998) 56, 1607) Curcuma longaから単離されたもう1つの天然化合物、2,3−ジアミノフェナジン(NNC39−0028)(Soulis, et al., Diabetologia (1999) 42, 472)がある。AGEが加齢の間の生活の質に著しい影響を及ぼすとすれば、メチルグリオキサール、グリオキサールおよび3−デソキシグルコソンなどの高反応性α−ジカルボニル化合物をスカベンジすることができ、かつ低細胞毒性および低変異原性の有効な薬剤を開発する必要性が依然として存在する。
【0005】
本発明者らは、驚くべきことに、反応性α−ジカルボニル化合物をスカベンジすることにより終末糖化産物の形成を阻害することができる新規化合物群を見出した。
【0006】
これらの化合物のいくつかは、それ自体は既に知られているが、それらの治療用途に関しては知られていない。
【0007】
特許文献WO02/100344には、合成中間体:
【化1】

が開示されており;
Jones et al.による論文(Tetrahedron Letters (1988), 29 (31), pages 3856-3856)には、合成中間体:
【化2】

が開示されており;
Kasina et al.による論文(Journal of Medicinal Chemistry (1986), 29 (10), pages 1933-1940)には、合成中間体:
【化3】

が開示されており;
Tada et al.による論文(Journal of Agricultural And Food Chemistry (1984), 32 (5), pages 992-996)には、式I(式中、Rは水素原子を表し、XはC=Oを表し、Rは−NH−(CH−COOHを表し、かつm=1、2または3である)のペプチドの香味について開示されており;
Shinoda et al.による論文(Peptide Chemistry (1984), volume date 1983, 21st, pages 43-46)には、塩辛い香味を有するペプチド:
【化4】

および
【化5】

が開示されている。
【0008】
特許文献WO2004/002418にのみ、下式:
【化6】

のペプチドとその治療用途について開示されているが、この文献はこのペプチドがAGE阻害剤であることを示していない。
【0009】
さらに、本発明者らによって見出されたものと類似した誘導体、特に2,3−ジアミノプロピオン酸(DAPA)も、特許文献(WO92/14456)に開示されている。DAPAは、多数のポリアミンの合成に関与する普遍的な酵素であるオルニチンデカルボキシラーゼによる脱炭酸に対して高度の感受性を示し、エチレンジアミンおよび/または2−アミノアセトアミドをもたらすと思われる。α−ジカルボニル化合物とスカベンジング剤の縮合生成物の尿を介した除去を促進する目的で、スカベンジャー分子における酸性官能基(−COOHまたはSOHなど)の存在は、非常に重要な要件である。そうでなければ、縮合生成物は腎尿細管による再吸収機構により循環中にとどまり、別の代謝反応後の放出α−ジカルボニルの危険性を伴うと思われる。オルニチンデカルボキシラーゼ代謝の観点からすれば、本発明者らによって見出された化合物は、尿中に排出される付加生成物を形成させることによってメチルグリオキサール、グリオキサールおよび3−デソキシグルコソンなどの反応性α−ジカルボニル化合物をスカベンジするために、DAPAよりも効果的な薬剤として使用することができる。実際、DAPAは、図1に示すように、MGによるインスリンの修飾を妨げる。しかしながら、図7では、本発明による化合物であるL−DAPA−L−Val(93%)、L−DAPA−L−Leu(81%)、およびL−DAPA−L−Ile(79%)と比べて、DAPAの細胞毒性が高いこと、および細胞の保護における有効性が低い(MGとともにインキュベートした場合の細胞生存68%)ことが示されている。加えて、DAPAは変異原性であるようである。
【発明の開示】
【0010】
よって、本発明は、次の一般式I:
【化7】

(式中、
XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、または1以上のCF基によって置換されていてもよいアミノ酸を表し、かつn=0、1または2であり、
あるいは、XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは2つのアミノ酸を含むペプチドを表し、各アミノ酸は、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよく、かつn=0または1であり、
あるいは、XRはPOHまたはSOHを表し、かつn=0、1または2であり;
はH、XR、C−Cアルキル基、C−Cアラルキル基、またはアリール基(ここで、アルキル基、アラルキル基およびアリール基は、アミン(NH)、カルボン酸基(COOH)、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよい)を表す)
の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物(但し、
−式中、Rが水素原子を表し、XがC=Oを表し、Rが−NH−(CH−COOHを表し、m=1、2または3であり、かつn=0、1または2である化合物;
−次の式:
【化8】

により表される化合物;
ならびに化合物:L−オルニチル−タウリン、L−ジアミノブチリル−タウリン、およびL−ジアミノプロピオニル−タウリンを除く)に関する。
【0011】
本発明において、「C−Cアルキル基」との用語は、1〜6個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のいずれものアルキル基を意味する。特に、この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチルおよびn−ヘキシル基に関するものとすることができる。
【0012】
本発明において、「アリール基」との用語は、5〜8個の炭素原子の1以上の芳香環を意味し、場合によって、隣接しているかまたは縮合されていてもよい。特に、アリール基はフェニル基またはナフチル基、有利にはフェニル基であり得る。
【0013】
本発明において、「アラルキル基」との用語は、上記のアルキル基を介して結合された上記のいずれものアリール基を意味する。特に、ベンジル基はアラルキル基である。
【0014】
本発明において、化合物の「医薬上許容される付加塩」とは、医薬上許容され、かつ親化合物の所望の薬理学的活性を有するいずれもの塩を意味する。このような塩には:
(1)無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸など)で形成されるか;または有機酸(例えば、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタン−スルホン酸、フマル酸、グルコヘプトン酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、ヒドロキシナフトエ酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムコン酸、2−ナフタレンスルホン酸(2-naphtalenesulfonic acid)、プロピオン酸、サリチル酸、コハク酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、トリメチル酢酸、トリフルオロ酢酸など)で形成される酸付加塩;あるいは
(2)親化合物中に存在する酸プロトンが、金属イオン、例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオンもしくはアルミニウムイオンに置き換えられるか;または有機もしくは無機塩基と配位結合する場合に形成される塩
が含まれる。許容される有機塩基としては、ジエタノールアミン、エタノールアミン、N−メチルグルカミン、トリエタノールアミン、トロメタミンなどが挙げられる。許容される無機塩基としては、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、および水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0015】
有利な医薬上許容される塩は、塩酸、トリフルオロ酢酸、ジベンゾイル−L−酒石酸、およびリン酸から形成される塩である。
【0016】
当然のことながら、医薬上許容される塩への総ての言及には、特定の酸付加塩の、本明細書に定義したとおりの溶媒付加形態(溶媒和物)または結晶形(多形)が含まれる。
【0017】
式IのC−1位(NH基とX基の接合部の炭素原子)の立体化学は、RもしくはS、またはそれらの混合であり得る。C−2位(NH基とR基の接合部の炭素原子)の立体化学は、RもしくはS、またはそれらの混合であり得る。
【0018】
本発明において、「アミノ酸」とは、DまたはL型のあらゆる天然α−アミノ酸残基(例えば、アラニン(Ala)、アルギニン(Arg)、アスパラギン(Asn)、アスパラギン酸(Asp)、システイン(Cys)、グルタミン(Gln)、グルタミン酸(Glu)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、ロイシン(Leu)、リジン(Lys)、メチオニン(Met)、フェニルアラニン(Phe)、プロリン(Pro)、セリン(Ser)、トレオニン(Thr)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、およびバリン(Val))、ならびに非天然アミノ酸(例えば、β−アラニン、アリルグリシン、tert−ロイシン、ノルロイシン(Nle)、3−アミノ−アジピン酸、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ−1−カルボキシメチルピペリジン、1−アミノ−1−シクロブタンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサン酢酸、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸、(1R,2R)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1R,2S)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1S,2R)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1S,2S)−2−アミノシクロヘキサンカルボン酸、3−アミノシクロヘキサンカルボン酸、4−アミノシクロヘキサンカルボン酸、(1R,2R)−2−アミノシクロペンタンカルボン酸、(1R,2S)−2−アミノシクロペンタンカルボン酸 1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸、4−(2−アミノエトキシ)−安息香酸、3−アミノメチル安息香酸、4−アミノメチル安息香酸、2−アミノ酪酸、4−アミノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、1−アミノインダン−1−カルボン酸、4−アミノメチル−フェニル酢酸、4−アミノフェニル酢酸、3−アミノ−2−ナフトエ酸、4−アミノフェニル酪酸、4−アミノ−5−(3−インドリル)−ペンタン酸、(4R,5S)−4−アミノ−5−メチルヘプタン酸、(R)−4−アミノ−5−メチルヘキサン酸、(R)−4−アミノ−6−メチルチオヘキサン酸、(S)−4−アミノ−ペンタン酸、(R)−4−アミノ−5−フェニルペンタン酸、4−アミノフェニルプロピオン酸、(R)−4−アミノピメリック酸((R)-4-aminopimeric acid)、(4R,5R)−4−アミノ−5−ヒロキシヘキサン酸((4R,5R)-4-amino-5-hyroxyhexanoic acid)、(R)−4−アミノ−5−ヒドロキシペンタン酸、(R)−4−アミノ−5−(p−ヒドロキシフェニル)−ペンタン酸、8−アミノオクタン酸、(2S,4R)−4−アミノ−ピロリジン−2−カルボン酸、(2S,4S)−4−アミノ−ピロリジン−2−カルボン酸、アゼチジン−2−カルボン酸、(2S,4R)−4−ベンジル−ピロリジン−2−カルボン酸、(S)−4,8−ジアミノオクタン酸、tert−ブチルグリシン、γ−カルボキシグルタミン酸塩、β−シクロヘキシルアラニン、シトルリン、2,3−ジアミノプロピオン酸、馬尿酸、ホモシクロヘキシルアラニン(homocyclohexylalanine)、モロイシン(moleucine)、ホモフェニルアラニン、4−ヒドロキシプロリン、インドリン−2−カルボン酸、イソニペコチン酸、α−メチル−アラニン、ニコペチック酸(nicopetic acid)、ノルバリン、オクタヒドロインドール−2−カルボン酸、オルニチン、ペニシラミン、フェニルグリシン(Phg)、4−フェニル−ピロリジン−2−カルボン酸、ピペコリン酸、プロパルギルグリシン、3−ピリジニルアラニン、4−ピリジニルアラニン、1−ピロリジン−3−カルボン酸、サルコシン、スタチン類、テトラヒドロイソキノリン−1−カルボン酸、1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−3−カルボン酸、トラネキサム酸、4,4−ジフルオロプロリン、4−フルオロプロリン、α−(3,4−ジフルオロベンジル)−プロリン、γ−(3,4−ジフルオロベンジル)−プロリン、α−(トリフルオロメチル)フェニルアラニン、ヘキサフルオロロイシン、5,5,5−トリフルオロロイシン、6,6,6−トリフルオロノルロイシン、2−(トリフルオロメチル)ロイシン、2−(トリフルオロメチル)ノルロイシン、4,4,4−トリフルオロバリン、4,4,4,4’,4’,4’−ヘキサフルオロバリン、ペンタフルオロフェニルアラニン、2,3−ジフルオロフェニルアラニン、2,4−ジフルオロフェニルアラニン、2,5−ジフルオロフェニルアラニン、2,6−ジフルオロフェニルアラニン、3,4−ジフルオロフェニルアラニン、3,5−ジフルオロフェニルアラニン、3,3−ジフルオロ3−(4−フルオロフェニル)アラニン、2,3−ジフルオロフェニルグリシン、2,4−ジフルオロフェニルグリシン、2,5−ジフルオロフェニルグリシン、3,4−ジフルオロフェニルグリシン、4,4−ジフルオロエチルグリシン、4,4,4−トリフルオロエチルグリシン、およびヘキサフルオロノルロイシン)を意味する。また、この用語には、通常のアミノ保護基(例えば、アセチル基、tert−ブチルオキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、または9−フルオレニルメチルカルボニル)を有する天然および非天然アミノ酸、ならびにカルボキシル末端で(有利にはC−C18アルキル基、エステル、フェニルアミドもしくはベンジルアミド、またはアミドにより(これらはそれぞれ、次式:−CO(C−C18アルキル)、−COO(C−C18アルキル)、−CONHフェニル、CONHベンジル、またはCONHのカルボキシル末端を与える))保護された天然および非天然アミノ酸も含まれる。有利には、本発明におけるアミノ酸は、保護されていないカルボキシル末端を有する。
【0019】
有利には、本発明におけるアミノ酸は、C−C18アルキルエステル(−COO(C−C18アルキル))、好ましくはC13−C18アルキルエステル(−COO(C13−C18アルキル))の形態で保護されたカルボキシル末端を有する。
【0020】
有利には、そのアミノ酸は、N末端により式Iの化合物のX基に連結されている。有利には、そのように形成された結合は以下のとおりである:−X−NH−R(式中、Rはそのアミノ酸分子の残りの部分を表す)。
【0021】
有利には、本発明におけるアミノ酸は、1以上のハロゲン原子(Br、Cl、I、もしくはF)、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されている。有利には、この置換はそのアミノ酸のアルキルまたはアリール部分に存在する。さらに有利には、その窒素原子は置換されない。ハロゲン原子による、特にフッ素原子による、またはCF基による置換の主な利点は、得られる化合物のバイオアベイラビリティ、特に、それらの細胞膜透過特性および結合特性の向上にある。
【0022】
有利には、そのアミノ酸は、アラニン、バリン、イソロイシン、プロリン、ロイシン、フェニルアラニン、グリシン、β−アラニン、ノルロイシン、アスパラギン酸、リジン、またはtert−ロイシンの中から選択され、有利にはアラニン、バリン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、ロイシン、ノルロイシン、またはtert−ロイシンの中から選択される。
【0023】
有利には、フェニルアラニンのフェニル基は、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、または1以上のCF基によって、有利にはパラ位において、パラ位ほど有利ではないがオルト位またはメタ位において置換されている。
【0024】
有利には、ノルロイシンのブチル基は、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、または1以上のCF基によって置換されている。
【0025】
本発明において、「C−C18アルキル基」との用語は、1〜18個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のいずれものアルキル基を意味する。特に、この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシル基に関するものとすることができる。
【0026】
本発明において、「2つのアミノ酸を含むペプチド」との用語は、以下で定義するとおりの2つのアミノ酸の、またはペプチジル残基のいずれもの配列を意味する。その配列は直鎖状または環状であり得る。例えば、環状ペプチドは調製することもでき、あるいは、配列中の2つのシステイン残基間のジスルフィド架橋の形成によっても生じ得る。有利には、そのペプチドはN末端により式Iの化合物の残りの部分に連結されている。ペプチド誘導体は、以下の実施例に記載されているものなどの当技術分野で公知のいずれの従来の(液相または固相による)方法によっても調製することができる。本願において具体的に記載したペプチド配列は、アミノ末端を左側にし、カルボキシル末端を右側にして表記されている。有利には、そのペプチドは、Ala−Gly、Ala−Ala、Ala−Pro、またはAla−Valの中から、有利にはL−Ala−Gly、L−Ala−L−Ala、L−Ala−L−Pro、またはL−Ala−L−Valの中から選択される。
【0027】
有利には、本発明による化合物は、XがC=O、CH、またはC=Sを表すものである。
【0028】
有利には、本発明による化合物は、RがHまたはXR、有利にはXRを表すものである。
【0029】
一つの具体的な実施態様では、本発明による化合物は、Rが、アミノ酸、有利には、アラニン、バリン、イソロイシン、プロリン、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、またはtert−ロイシンの中から選択されるアミノ酸を表すものとされる。
【0030】
有利には、本発明による化合物は、XがC=Oであり、n=0であり、かつRがアラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、ノルロイシン、フェニルアラニン、またはtert−ロイシンであるものである。
【0031】
有利には、本発明による化合物は、RがXRまたはHであり、かつn=0であるものである。
【0032】
本発明のもう1つの具体的な実施態様では、本発明による化合物は、次の一般式II:
【化9】

[式中、
は−NH−R−(C=O)Rまたは
【化10】

を表し、
は、
−ハロゲン原子、有利にはフッ素、−CF、フェニル、フェノール、−COOH、アミン、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されたフェニル基の中から選択される1以上の基によって置換されていてもよいC−C12アルキル基、有利にはC−Cアルキル基;または
−アミン、OH基、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよいフェニル基
を表し、かつ
はOH、NH、C−C30アルコキシ、有利にはC−C20アルコキシを表し;
はH、COR、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されていてもよいC−Cアルキル基を表し;
n=0、1または2であり;
Yは酸素または硫黄原子、有利には酸素原子を表す]
により表される化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物とされる。
【0033】
本発明において、「C−C12アルキル基」との用語は、1〜12個の炭素原子の直鎖または分岐鎖のいずれものアルキル基を意味する。特に、この用語は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシル基に関するものとすることができる。
【0034】
「C−C30アルコキシ」との用語は、いずれもの−O−R基(式中、Rは本明細書に定義したとおりのC−C30アルキル基である)を意味する。アルコキシ基の例としては、限定されるものではないが、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシなどが挙げられる。
【0035】
有利には、本発明による化合物はn=0であるものである。
【0036】
有利には、R=HまたはCORである。
【0037】
一つの具体的な実施態様では、本発明による化合物は、
【化11】




の中から選択される化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物とされる。
【0038】
本発明はまた、食物中のタンパク質の劣化を防ぐための、本発明による化合物の使用にも関する。
【0039】
前記食物は動物または植物起源のものであり得る。本発明による化合物は、前記食物において有効な量で、その食物中に含まれるタンパク質の劣化および分解を防ぐために投与される。このような使用は、その食物を消費および保存することを可能とし、かつそれらの栄養価および官能特性を維持する期間を増加させる。
【0040】
さらに、本発明は、本発明による化合物と、医薬上または化粧料上許容される賦形剤とを含んでなる医薬組成物または化粧料組成物に関する。
【0041】
本発明は、薬物として用いるための、次の一般式I:
【化12】

(式中、
XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、または1以上のCF基によって置換されていてもよいアミノ酸を表し、かつn=0、1または2であり、
あるいは、XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは2つのアミノ酸を含むペプチドを表し、各アミノ酸は、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよく、かつn=0または1であり、
あるいは、XRはPOHまたはSOHを表し、かつn=0、1または2であり;
はH、XR、C−Cアルキル基、C−Cアラルキル基、またはアリール基(ここで、アルキル基、アラルキル基およびアリール基は、アミン(NH)、カルボン酸基(COOH)、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよい)を表す)
の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物(但し、化合物:
【化13】

を除く)に関する。
【0042】
有利には、薬物として用いるための本発明による化合物は、次の一般式II:
【化14】

[式中、
はNH−R−(C=O)Rまたは
【化15】

を表し、
は、
−ハロゲン原子、有利にはフッ素、−CF、フェニル、フェノール、−COOH、アミン、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されたフェニル基の中から選択される1以上の基によって置換されていてもよいC−C12アルキル基、有利にはC−Cアルキル基;または
−アミン、OH基、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよいフェニル基
を表し、かつ
はOH、NH、C−C30アルコキシ、有利にはC−C20アルコキシを表し;
はH、COR、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されていてもよいC−Cアルキル基を表し;
n=0、1または2であり;
Yは酸素または硫黄原子、有利には酸素原子を表す]
により表される化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物である。
【0043】
有利には、薬物として用いるための本発明による化合物は、
【化16】




、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物の中から選択される。
【0044】
一つの具体的な実施態様では、本発明における薬物は、反応性カルボニル化合物のスカベンジャー、有利には終末糖化産物形成の阻害剤とされる。
【0045】
有利には、本発明における薬物は、終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋に起因する状態または疾患の予防および/または治療を目的とし、生物の加齢の悪影響(この悪影響は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋である)の予防および/または治療を目的とし、あるいは患者における糖尿病から生じる合併症(この合併症は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋から生じるものである)の進行の遅延または停止を目的とするものである。
【0046】
有利には、本発明における薬物は、患者における、リウマチ様多発関節炎、アルツハイマー病、尿毒症、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、糖尿病の微小血管合併症および大血管合併症(糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症に起因する腎不全を含む)、微小血管症および大血管症、白内障、透析関連またはアルツハイマー病関連アミロイドーシス、パーキンソン病、歯肉炎、虫歯、頬歯科病態(bucco-dental conditions)、糖尿病性潰瘍、慢性腎不全、慢性腎臓透析、炎症性疾患、加齢に伴うリウマチ障害、ならびにポルフィリン症の中から選択される疾患の治療、予防および/または進行の遅延、ならびに早期癌の治療を目的とするものである。
【0047】
さらに有利には、本発明における薬物は経口経路による投与を目的とするものである。
【0048】
さらに、本発明は、反応性カルボニル化合物をスカベンジする薬物、有利には終末糖化産物形成の阻害剤の調製のための、有利には、
−終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋に起因する状態または疾患の予防および/または治療を目的とし、生物の加齢の悪影響の予防および/または治療(前記悪影響は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋である)を目的とし、または患者における糖尿病から生じる合併症の進行の遅延または停止(前記合併症は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋から生じるものである)を目的とする薬物;あるいは
−患者における、リウマチ様多発関節炎、アルツハイマー病、尿毒症、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、糖尿病の微小血管合併症および大血管合併症(糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症に起因する腎不全を含む)、微小血管症および大血管症、白内障、透析関連またはアルツハイマー病関連アミロイドーシス、パーキンソン病、歯肉炎、虫歯、頬歯科病態、糖尿病性潰瘍、慢性腎不全、慢性腎臓透析、炎症性疾患、加齢に伴うリウマチ障害、ならびにポルフィリン症の中から選択される疾患の治療、予防および/または進行の遅延、ならびに早期癌の治療を目的とする薬物
の調製のための、上記の一般式IまたはIIの化合物の使用に関する。
【0049】
本発明はまた、終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋に起因する状態または疾患の予防および/または治療、生物の加齢の悪影響の予防および/または治療(前記悪影響は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋である)、または患者における糖尿病から生じる合併症の進行の遅延または停止(前記合併症は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋から生じるものである)のための方法;患者における、リウマチ様多発関節炎、アルツハイマー病、尿毒症、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、糖尿病の微小血管合併症および大血管合併症(糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症に起因する腎不全を含む)、微小血管症および大血管症、白内障、透析関連またはアルツハイマー病関連アミロイドーシス、パーキンソン病、歯肉炎、虫歯、頬歯科病態、糖尿病性潰瘍、慢性腎不全、慢性腎臓透析、炎症性疾患、加齢に伴うリウマチ障害、ならびにポルフィリン症の中から選択される疾患の治療、予防および/または進行の遅延、ならびに早期癌の治療のための方法であって、かかる処置を必要とする患者における上記の本発明による一般式IまたはIIの化合物の有効量の投与を含んでなる方法に関する。
【0050】
よって、本発明は、本発明による化合物を含んでなる薬物または医薬組成物に関する。
【0051】
この組成物または薬物は、ヒトをはじめとする哺乳類における投与のために製剤化することができる。投薬は治療や治療しようとする疾患に応じて異なる。この組成物または薬物は、消化経路または非経口経路による投与に適するように提供される。
【0052】
経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、局所、または直腸投与用の本発明による医薬組成物または薬物では、有効成分を、従来の医薬担体との混合物として、単位用量形で動物またはヒトに投与することができる。好適な単位用量形としては、経口投与用の形態(錠剤、ゼラチンカプセル剤、散剤、顆粒剤、および経口液剤、または懸濁剤など)、舌下および口腔投与形態、皮下、筋肉内、静脈内、鼻腔内、眼内、または直腸投与形態が挙げられる。
【0053】
固体の組成物または薬物を錠剤形態で調製する場合には、主な有効成分を医薬担体(ゼラチン、デンプン、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、タルク、アラビアガム、またはこれらの類似物など)と混合する。錠剤は、スクロースまたは他の好適な材料でコーティングすることができ、あるいは、活性を延長または遅延させるように、かつ所定量の有効成分を継続的に放出するように処理することができる。
【0054】
ゼラチンカプセル製剤は、有効成分を希釈剤と混合すること、および得られた混合物を軟ゼラチンカプセルまたは硬ゼラチンカプセルに入れることにより得られる。
【0055】
シロップまたはエリキシル形態の製剤は、有効成分を、甘味料および防腐剤、ならびに香味剤および適した色を提供する薬剤とともに含有することができる。
【0056】
水分散性粉剤または顆粒剤は、有効成分を、分散剤、湿潤剤、または懸濁剤との混合物として、さらに香味矯正剤(flavor correctors)または甘味料との混合物として含有することができる。
【0057】
直腸投与には、直腸の温度で溶解する結合剤(カカオ脂またはポリエチレングリコールなど)とともに調製された坐剤が用いられる。
【0058】
非経口、鼻腔内または眼内投与では、好適な製剤としては、薬理学的に適合する分散剤および/または湿潤剤を含む水性懸濁液、等張食塩水、または滅菌注射剤が挙げられる。
【0059】
有効成分はまた、マイクロカプセル形態で、所望により1以上の担体添加剤(carrier additives)とともに製剤化することもできる。
【0060】
有効成分はまた、局所経路によっても投与することができる。
【0061】
本発明はまた、表皮および真皮乳頭層の老化防止および再構築有効成分としての、ならびに/またはシワ取り有効成分としての本発明による化合物の化粧料的使用にも関する。
【0062】
本発明による化合物は皮膚に対して張筋効果を有する。これらの化合物は経口または局所経路により投与することができる。
【0063】
本発明による化粧料組成物または医薬組成物は、局所経路による投与用に製剤化することができる。これらの組成物は、このタイプの投与に一般的に用いられる形態、すなわち、特にローション、フォーム、ゲル、分散液、スプレー、シャンプー、美容液、マスク、ボディミルク、またはクリーム(例えば、有効成分の特性および接近性を向上させるために、特に皮膚浸透を可能にする賦形剤を含む)の形態で提供することができる。これらの形態は、中性ヒドロキシプロピルセルロースゲルまたはカルボキシメチルセルロースナトリウムを含有するゲルからなる単相ビヒクルであり得る。また、クリーム、および親油性相中に分散された親水性相を含む二相ビヒクルを調製することもできる。
【0064】
本発明による組成物に加えて、この組成物または薬物は、一般に、水または溶媒(例えば、アルコール、エーテル、またはグリコールなど)を含有する生理学的に許容される媒質を含有する。これらはまた、化粧料上または医薬上許容される賦形剤を含んでいてもよい。このような賦形剤は、有効成分との好適な適合性を示す化合物の中から選択することができる。このような賦形剤の例としては、天然水溶性ポリマー(多糖類(キサンタンガム、イナゴマメガム、ペプチンなど)またはポリペプチドなど)、セルロース誘導体(メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースなど)、ならびに合成ポリマー、ポロキサマー(poloxamers)、カルボマー(carbomers)、PVA、またはPVPが挙げられる。
【0065】
最後に、当業者は、この化粧料組成物または医薬組成物に、様々な補助溶媒添加剤(co-solvent excipient)(エタノール、グリセロール、ベンジルアルコール、保湿剤(グリセロール)、拡散剤(diffusion agents)(Transcutol、尿素)または抗菌性保存剤(0.15%p−ヒドロキシ安息香酸メチル)など)を添加することを選択してよい。前記組成物はまた、界面活性剤、安定剤、乳化剤、増粘剤、相補的効果もしくは場合によって相乗効果を与える他の有効成分、微量元素、精油、香料、着色剤、コラーゲン、化学もしくは無機フィルター、水和剤、または温泉水も含み得る。
【0066】
本発明はまた、本発明による化合物を含んでなる組成物の適用による皮膚の化粧料的老化防止処置のための方法に関する。
【0067】
本願の範囲内で用いられる略語は以下のとおりである:DAPA=2,3−ジアミノプロピオン酸、DABA=2,3−ジアミノ酪酸(それと異なるという詳述がない場合)または2,4−ジアミノ酪酸、DASA=ジアミノコハク酸、EDC=1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド塩酸塩、HOBt=1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物、Boc=t−ブトキシカルボニル、TFA=トリフルオロ酢酸、THF=テトラヒドロフラン。
【0068】
本発明は添付の図を参照してより良く理解されるであろう。
【0069】
本発明による化合物を製造するための一般的な方法は、工程(a)、または工程(a)および(b)、または工程(a)、(b)および(c)、または工程(a)および(d)、または工程(a)、(d)および(e)を含み、それらの工程は以下のとおりである:
−a)アミノ酸またはペプチドアルキルエステルとN−保護ジアミノ酸(例えば、nの値に従いDAPA、DABA、DASA、OrnまたはLys)との、有機溶媒、有利にはジクロロメタン中での、有利には活性エステルを形成させる試薬(EDCおよびHOBtなど)を用いることによる、例えば、有利には室温での攪拌下でのカップリング;
−b)工程(a)で得られたアルキルエステルの、有利にはLiOHを用いた、有利には溶媒THF/MeOH/HO、MeOH/HO、またはHO中でのアルカリ加水分解、その後の、純粋な酸を得るための、有利にはpH5のKHSO水溶液を用いた酸性化;
−c)工程(b)で得られた酸のN−保護基の、有利には3M HCl−ジオキサン(またはTHF)を用いた脱保護、および揮発成分の除去;
−d)工程(a)で得られたペプチドへの、有利には不活性雰囲気下でのローソン試薬の添加によるチオアミドの調製、および有利には80℃での2時間の加熱;
−e)工程(d)で得られた、ジ−Boc、tert−ブチルエステル保護基を有するチオアミドの、有機溶媒、有利にはジクロロメタン中のTFAの低温、有利には0℃での添加による脱保護。
【0070】
有利な実施態様では、本発明による化合物は以下に記載する方法、すなわち、工程(1)の実施、または工程(1)および(2)の実施、または工程(1)、(2)および(3)の実施、または工程(1)および(4)の実施、または工程(1)、(4)および(5)の実施、に従って製造することができる。
【0071】
1.N−保護カルボン酸とアミノ酸アルキルエステルとのカップリング反応
ジクロロメタン(5.0ml)中の、適切に(好ましくはBoc基により)N−保護したジアミノ酸(例えば、DAPA、DABA、DASA、Orn、またはLys)(1.0mmol)とアミノ酸アルキルエステル(1.1mmol)との溶液に、活性エステルを形成させる試薬(例えば、EDC(1.2mmol)およびHOBt(1.1mmol))を添加し、その反応混合物を室温で一晩攪拌した。水を添加し、その水相をEtOAcで抽出した。合わせた有機層を1N HCl、HO、飽和NaHCO、およびブラインで連続洗浄し、NaSOで乾燥させた後、濾過した。溶媒を減圧下で蒸発させた後、残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィーにより精製して、ジペプチドを得た。
【0072】
2.アルキルエステルのアルカリ加水分解
室温のTHF/MeOH/HOまたはMeOH/HO中のアルキルエステル(1.0mmol)の溶液に、アルカリ性溶液(好ましくは1.0mmol LiOH)を添加した。その反応混合物を、その後、出発物質であるエステルの総てが消失するまで(およそ一晩)攪拌した。反応混合物をpH5のKHSO水溶液で酸性化した後、有機溶媒(好ましくはCHCl)で抽出した。その有機相を乾燥させた(NaSO)後、減圧下で蒸発させて、粗酸を得た。その粗酸はさらに精製せずにそのまま次の反応に用いられる。
【0073】
3.N−保護基の脱保護
3M HCl−ジオキサン(またはTHF)中のN−保護ジペプチドカルボン酸(1mmol)の溶液を室温で3〜9時間攪拌した。揮発成分を蒸発除去して、ジペプチド塩酸塩を得た。
【0074】
4.チオアミドの調製
アルゴン雰囲気下、室温で、トルエン(10ml)中の上記ジペプチド(工程1)(2.0mmol)の溶液に、ローソン試薬(1.1mmol)を一度に添加した。その反応混合物を80℃で2時間攪拌した。溶媒を減圧下で蒸発除去した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl、その後、10/1 CHCl/EtO)により精製して、対応するチオアミドを得た。
【0075】
5.ジ−Boc、tert−ブチルエステル保護を有するチオアミドの脱保護
0℃のジクロロメタン(5ml)中の、ジ−Boc保護を有するチオアミド tert−ブチルエステル(1mmol)の溶液にTFA(5ml)を添加し;得られた溶液を0℃で一晩保存した。揮発成分を蒸発除去して、トリフルオロ酢酸塩形態のジチオペプチドを得た。
【0076】
次の実施例を非限定的な例として示す。
【実施例】
【0077】
本発明による次の化合物を、上記方法を実行することにより調製した。
【0078】
実施例1:L−DAPA−L−Leu・2HCl
【化17】

【0079】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.37(t,J=5.8Hz,1H),4.30(dd,J=9.4,5.6Hz,1H),3.45(dd,J=13.9,6.0Hz,1H),3.34(dd,J=13.9,5.3Hz,1H),1.64−1.49(m,3H),0.78(d,J=6.4Hz,3H),0.74(d,J=6.4Hz,3H),0.74(d,J=6.4Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,CDOD)δ 176.6,167.3,53.0,51.7,41.4,40.6,26.1,23.4,21.5;
MS(ESI)m/z 218[M+H]
20のHRMS理論値 (M+H) 218.1505;実測値:218.1512.
[α]26 +3.41 (c 1.0,6N HCl)
【0080】
実施例2:L−DAPA−D−Leu・2HCl
【化18】

【0081】
[α]22 +7.8(c 1.0 HO)
[α]26 +39.59(c 1.0,6N HCl)
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.38(dd,J=5.0,6.7Hz,1H),4.30(t,J=7.8Hz,1H),3.60−3.43(m,2H),1.67−1.56(m,3m),0.86(d,J=6.0Hz,3H),0.83(d,J=6.0Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,CDOD)δ 175.9,160.0,52.3,50.7,39.6,39.1,24.5,22.0,20.9;
MS(ESI)m/z 218 [M+H]
20のHRMS理論値 (M+H) 218.1505;実測値:218.1552.
【0082】
実施例3:L−DAPA−L−Leu・2TFA
【化19】

【0083】
[α]22 +20(c 0.5 MeOH);
[α]24 +1.13(c 1.0,6N HCl)
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.51−4.46(m,1H),4.12(t,J=6.2Hz,1H),3.36(d,J=5.9Hz,2H),1.78−1.62(m,3H),0.98(d,J=6.1Hz,3H),0.95(d,J=6.1Hz,3H);
13C NMR(62.5 MHz,CDO)δ 176.6,166.8,52.6,51.1,40.3,39.7,25.1,22.7,21.1;
MS(ESI)m/z 218[M+H],240[M+Na]
20のHRMS理論値 (M+H) 218.1505;実測値:218.1512、C19Naの理論値 (M+Na) 240.1324;実測値:240.1364.
【0084】
実施例4:L−DAPA−L−LeuOMe・2TFA
【化20】

【0085】
[a] +3.8(c1.2,MeOH);
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.55(t,J=7.4Hz,1H),4.42(t,J=5.9Hz,1H),3.75(s,3H),3.52(d,J=5.9Hz,2H),1.81−1.61(m,3H),0.95(d,J=6.8Hz,3H),0.93(d,J=6.6Hz,3H);
13C NMR(62.5 MHz,CDOD)δ 175.0,167.4,53.4,52.8,51.9,41.3,40.9,25.9,23.3,21.6;
MS(ESI)m/z 232[M+H],254[M+Na]
1022のHRMS理論値 (M+H) 232−1661;実測値:232.1660.
【0086】
実施例5:L−DAPA−L−LeuOMe・2HCl
【化21】

【0087】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.46(t,J=7.7,5.6Hz,1H),4.44(t,J=4.9Hz,1H),3.67(s,3H),3.48(d,J=5.6Hz,2H),1.75−1.55(m,3H),0.89(d,J=6.4Hz,3H),0.86(d,J=6.4Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,CDOD)δ 175.0,167.1,53.4,52.9,51.8,41.4,40.8,26.0,23.3,21.6;
MS(ESI)m/z 232[M+H]
1022のHRMS理論値 (M+H) 232.1661;実測値:232.1660.
[α]24 +6.2 (c 0.7,MeOH)
【0088】
実施例6:L−DAPA−L−IleNH・2HCl
【化22】

【0089】
[a] +25(c 0.5,MeOH);
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.59(dd,J=7.0,5.5Hz,1H),4.37(d,J=5.5Hz,1H),3.57(dd,J=13.4,5.5Hz,1H),3.36(dd,J=13.4,7.2Hz,1H),2.01−1.91(m,1H),1.58−1.47(m,1H),1.44−1.28(m,1H),1.05(d,J=6.8Hz,3H),0.95(t,J=7.4Hz,3H);
13C NMR(62.5 MHz,CDOD)δ 176.3,167.6,60.6,51.3,41.2,37.8,25.5,16.3,12.0;
MS(ESI)m/z 217[M+H],236[M+Na]
21のHRMS理論値 (M+H) 217.1665;実測値:217.1674、C20Naの理論値 (M+Na) 239.1484;実測値:239.1499.
【0090】
実施例7:D−DAPA−D−Leu・2HCl
【化23】

【0091】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.38−4.31(m,2H),3.50−3.34(m,2H),1.62−1.50(m,3H),0.79(d,J=6.4Hz,3H),0.75(d,J=6.4Hz,3H);
[a] −11.7(c 1.0,HO)
MS(ESI)m/z 218[M+H];240[M+Na]
20のHRMS理論値 (M+H) 218.1505;実測値:218.1537
【0092】
実施例8:D−DAPA−D−Ala・2HCl
【化24】

【0093】
[a] −21.9(c 1.0,MeOH);
[a]26 −6.15(c 1.0,6 N HC1)
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.53(q,J=7.4Hz,1H),4.48(t,J=6.0Hz,1H),3.64(d,J=6.0Hz,2H),1.50(d,J=7.4Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 176.7,166.5,51.2,49.9,40.3,16.6;
MS(ESI)m/z 176[M+H]
分析、C15Clの理論値:C, 29.05;H, 6.09;N, 16.94;Cl, 28.58;実測値:C, 28.67;H, 6.24;N, 16.67;Cl, 27.64.
【0094】
実施例9:L−DAPA−L−Ala・2HCl
【化25】

【0095】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.51(q,J=7.5Hz,1H),4.46(t,J=6.0Hz,1H),3.62(d,J=6.0Hz,2H),1.49(d,J=7.5Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 176.8,166.5,51.2,49.9,40.3,16.6;
MS(ESI)m/z 176[M+H]
14のHRMS理論値、(M+H) 176.1035;実測値:176.1037.
[α]26 +7.83 (c 1.0,6N HCl)
【0096】
実施例10:L−DAPA−D−Ala・2HCl
【化26】

【0097】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.33−4.24(m,2H),3.50−3.39(m,2H),1.41(d,J=7.4Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 176.0,166.0,50.9,49.5,39.8,16.3;
MS(ESI)m/z 176[M+H]
14のHRMS理論値 (M+H) 176.1035;実測値:176.1044.
[α]26 +64.56 (c 1.0,6N HCl)
【0098】
実施例11:D−DAPA−L−Ala・2HCl
【化27】

【0099】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.49−4.41(m,2H),3.68−3.54(m,2H),1.49(d,J=7.3Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 176.4,166.3,51.3,49.8,40.1,16.6;
MS(ESI)m/z 176[M+H]
14のHRMS理論値 (M+H) 176.1035;実測値:176.1043.
[α]26 −60.9 (c 1.0,6N HCl)
【0100】
実施例12:(2S,3S)−DABA−L−Leu・2HCl
【化28】

【0101】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.34(t,J=7.2Hz,1H),4.22(d,J=4.2Hz,1H),3.87(dq,J=4.2,7.2Hz,1H),1.58−1.56(m,3H),1.34(d,J=6.8Hz,3H),0.79(d,J=6.0Hz,3H),0.76(d,J=6.0Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 175.9,165.6,54.4,52.0,47.9,39.0,24.3,22.0,20.5,14.0;
MS(ESI)m/z 232[M+H]
1022のHRMS理論値 (M+H) 232.1661;実測値:232.1663.
[α]22 +9.6(c 0.2,HO)
【0102】
実施例13:L−DAPA−Gly−OC1633・2HCl
【化29】

【0103】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.44(t,J=5.8Hz,1H),4.20(t,J=6.7Hz,2H),4.17,4.07(AB q,J=17.8Hz,2H),3.53(d,J=5.8Hz,2H),1.73−1.64(m,2H),1.43−1.30(m,26H),0.91(t,J=6.7Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,CDOD)δ 171.6,167.5,67.0,51.9,42.3,41.2,33.1,30.8,30.7,30.5,30.4,29.7;
MS(ESI)m/z 386[M+H]
2144のHRMS理論値 (M+H) 386.3383;実測値:386.3352.
[α]26 −5.98(c 0.5,MeOH)
【0104】
実施例14:L−DAPA−L−Leu−OC1633・2HCl
【化30】

【0105】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.34−4.28(m,2H),4.01−3.86(m,2H),3.41−3.29(m,2H),1.61−1.39(m,5H),1.16−1.05(m,26H),0.76(d,J=6.4Hz,3H),0.72(d,J=6.4Hz,3H),0.66(t,J=6.7Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,CDOD)δ 174.6,167.2,67.2,53.0,51.8,41.4,40.9,33.2,30.9,30.6,30.6,30.6,30.4,29.7,27.0,26.1,23.8,23.4,21.8,14.6;
MS(ESI)m/z 442[M+H]
2552のHRMS理論値 (M+H) 442.4009;実測値:441.3983.
[α]26 +13.1 (c 2.0,MeOH)
【0106】
実施例15:L−DAPA−L−(S)−Leu・2TFA
【化31】

【0107】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.79(dd,J=9.3,5.4Hz,1H),4.56(t,J=6.4Hz,1H),3.48(dd,J=13.8,5.8Hz,1H),3.41(dd,J=13.8,6.6Hz,1H),1.79−1.53(m,3H),0.81(d,J=6.4Hz,3H),0.77(t,J=6.4Hz,3H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 194.5,174.9,58.0,54.6,41.5,38.8,24.7,22.0,20.7;
MS(ESI)m/z 234[M+H]
20SのHRMS理論値:234.1276;実測値:234.1306.
[α]26 +60.6(c 2.5,MeOH)
【0108】
実施例16:L−DAPA−L−(S)−Leu・2HCl
【化32】

【0109】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.80(dd,J=9.6,4.9Hz,1H),4.60(t,J=6.2Hz,1H),3.52−3.39(m,2H),1.81−1.58(m,3H),0.82(d,J=6.4Hz,3H),0.78(d,J=6.2Hz,3H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 194.5,174.8,57.9,54.6,41.5,38.8,24.7,22.0,20.7;
MS(ESI)m/z 234[M+H]
20SのHRMS理論値:234.1276;実測値:234.1306.
[α]26 +90.6(c 1.0,MeOH)
【0110】
実施例17:L−DAPA−Gly−2HCl
【化33】

【0111】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.54(t,J=5.8Hz,1H),4.20(d,J=18.0Hz,1H),4.10(d,J=18.0Hz,1H),3.65(d,J=5.8Hz,1H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 173.1,166.5,50.5,41.6,39.5;
MS(ESI)m/z 162[M+H]
12のHRMS理論値 (M+H) 162.0879;実測値:162.0864.
[α]25 +28(c 1.8,HO)
【0112】
実施例18:L−DAPA−L−Ile・2HCl
【化34】

【0113】
H NMR(300 MHz,DO)δ ,4.52(t,J=5.9Hz,1H);4.46(d,J=4.9Hz,1H);3.60(d,J=5.9Hz,2H);2.05(m,1H);1.45(m,1H);1.27(m,1H);0.97(d,J=6.9Hz,3H);0.90(t,J=7.3Hz,3H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 175.5,166.8,58.8,51.1,40.3,37.0,25.3,15.7,11.6;
MS(ESI)m/z 218[M+H],240[M+Na]
20のHRMS理論値:218.1505;実測値:218.1537.
[α]26 +22.4(c 1.2,HO)
【0114】
実施例19:L−DAPA−β−Ala・2HCl
【化35】

【0115】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.40(t,J=5.8Hz,1H),3.54(m,4H); 2.64(m,2H);
13C NMR(62.5 MHz,CDOD)δ 174.0,166.6,52.1,41.1,36.9,34.2;
MS(ESI)m/z 176[M+H]
14のHRMS理論値 (M+H) 176.1035;実測値:176.1068;
[α]26 +3.8(c 0.5,HO)
【0116】
実施例20:D−DAPA−β−Ala・2HCl
【化36】

【0117】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.40(t,J=5.8Hz,1H),3.54(m,4H); 2.64(m,2H);
13C NMR(62.5 MHz,CDOD)δ 174.0,166.6,52.1,41.1,36.9,34.2;
MS(ESI)m/z 176[M+H]
実施例21:L−DAPA−L−Phe・2HCl
【化37】

【0118】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 7.32(m,5H),4.79(dd,J=9.9,4.4Hz,1H);4.48(t,J=5.9Hz,1H);3.61(dd,J=13.9,6.1Hz,1H);3.51(dd,J=13.9,5.7Hz,1H);3.35(dd,J=14.2,3.4Hz,1H);3.08(dd,J=14.2,9.9Hz,1H);
13C NMR(62.5 MHz,CDOD)δ 175.1,167.2,138.2,130.3,129.7,128.1,68.2,56.2,51.7,41.3,37.5;
MS(ESI)m/z 252[M+H]
1218のHRMS理論値 (M+H) 252.1348;実測値:252.1341.
[α]26 +41.8(c 1.0,HO)
【0119】
実施例22:D−DAPA−D−Phe・2HCl
【化38】

【0120】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 7.32(m,5H);4.79(dd,J=9.9,4.4Hz,1H);4.48(t,J=5.9Hz,1H);3.61(dd,J=13.9,6.1Hz,1H);3.51(dd,J=13.9,5.7Hz,1H);3.35(dd,J=14.2,3.4Hz,1H);3.08(dd,J=14.2,9.9Hz,1H);
13C NMR(62.5 MHz,CDOD)δ 175.1,167.2,138.2,130.3,129.7,128.1,68.2,56.2,51.7,41.3,37.5;
MS(ESI)m/z 252[M+H],269[M+HO]
1218のHRMS理論値 (M+H) 252.1348;実測値:252.1349.
[α]26 −38.0(c 1.9,HO)
【0121】
実施例23:L−DAPA−L−Val・2HCl
【化39】

【0122】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.54(t,J=5.9Hz,1H);4.42(d,J=5.0Hz,1H);3.60(d,J=5.9Hz,2H);2.29(m,1H);0.97(t,J=6.7Hz,6H);
13C NMR(62.5MHz,DO)δ 175.5,166.9,59.5,51.1,40.3,30.4,19.0,17.6;
MS(ESI)m/z 204[M+H]
18のHRMS理論値:204.1348;実測値 204.1365.
[α]26 +22.2 (c 2.0,HO)
【0123】
実施例24:L−DAPA−D−DAPA・3HCl
【化40】

【0124】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.60(m,1H);4.55(dd,J=6.5,4.9Hz,1H);3.65(m,3H);3.45(dd,J=13.5,7.7Hz,1H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 171.6,167.6,51.8,51.5,40.2,40.1;
MS(ESI)m/z 191[M+H]
15のHRMS理論値:191.1144;実測値:191.1146.
[α]26 −43.4(c.0.4,HO)
【0125】
実施例28:(2S,3R)−DASA−1−Gly−4−Gly・2HCl
【化41】

【0126】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.61(s,1H);4.43(s,1H);4.06,4.04(2s,4H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 172.9,172.7,52.7,42.5;
MS(ESI)m/z 263[M+H];285[M+Na]
15のHRMS理論値:263.0992;実測値:263.0970.
[α]26 −2.2(c 1.5,HO)
【0127】
実施例29:(2S,3S)−DASA−1−L−Val−4−L−Val・2HCl
【化42】

【0128】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.78(m,1H);4.65(m,1H);4.35(m,1H),4.21(m,1H);2.12(m,2H);0.85(m,12H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 175.7,174.8,59.2,59.0,52.8,52.3,30.0,29.7,18.4,18.3,17.2,16.9;
MS(ESI)m/z 347[M+H],369[M+Na]
1426NaのHRMS理論値:369.1750;実測値:369.1760.
[α]26 −38.8(c 0.5,HO)
【0129】
実施例30:(2S,3S)−DASA−1−L−Ile−4−L−Ile・2HCl
【化43】

【0130】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.78(m,1H);4.62(m,1H);4.40(m,2H);1.75(m,6H);0.85(m,12H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 173.9,173.1,164.9,163,7,56.3,54.8,52.0,51.8,39.4,24.5,24.4,22.5,22.2,20.5;
MS(ESI)m/z 375[M+H],397[M+Na]
1630NaのHRMS理論値:397.2063;実測値:397.1995.
[α]26 −18.7(c 0.3,MeOH)
【0131】
実施例31:L−DAPA−L−Pro・2HCl
【化44】

【0132】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.62(m,1H);4.39(m,1H);3.62(d,J=7.6Hz,1H);3.57(m,2H);3.42(dd,J=13.6,6.1Hz,1H);2.05(m,2H);1.95(m,2H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 173.1,164.9,59.6,52.6,46.0,39.2,28.2,22.3;
MS(ESI)m/z 202[M+H]
16のHRMS理論値:202.1192;実測値 202.1196.
[α]26 −72.2(c 1.3,HO)
【0133】
実施例34:L−DAPA−L−Ala−L−Ala・2HCl
【化45】

【0134】
実施例35:L−DAPA−L−Ala−L−Val・2HCl
【化46】

【0135】
実施例36:L−DAPA−L−Ala−L−Pro・2HCl
【化47】

【0136】
実施例37:D−DAPA−Gly・2HCl
【化48】

【0137】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.42(t,J=5.8Hz,1H),4.00(d,J=18.1Hz,1H),4.10(d,J=18.1Hz,1H),3.53(d,J=5.8Hz,2H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 172.7,166.4,50.5,41.4,39.5;
MS(ESI)m/z 162[M+H]
12のHRMS理論値 (M+H) 162.0879;実測値:162.0863.
[α]25 −28.8(c 1.3,HO)
【0138】
実施例38:L−DAPA−GlyOMe.2THF
【化49】

【0139】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.39(t,J=5.7Hz,1H),4.15(d,J=17.8Hz,1H),4.05(d,J=17.8Hz,1H),3.75(s,3H),3.52(dd,J=5.7Hz,2H);
13C NMR(75 MHz,CDOD)δ 171.9,167.5,53.1,51.9,42.1,41.0;
MS(ESI)m/z 176[M+H]
14のHRMS理論値 (M+H) 176.1035;実測値:176.1005.
[α]25 +24.0(C 1.1,HO)
【0140】
実施例39:L−DAPA−GlyNH・2HCl
【化50】

【0141】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.43(t,J=5.9Hz,1H),4.0(m,2H),3.52(d,J=5.9Hz,2H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 173.1,166.7,50.6,42.1,39.4;
MS(ESI)m/z 161[M+H]
13のHRMS理論値 (M+H) 161.1039;実測値:161.1042.
[α]25 +38.6(c 0.23,HO)
【0142】
実施例40:D−DAPA−D−Asp・2HCl
【化51】

【0143】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.75(m,1H),4.38(dd,J=6.3,5.3Hz,1H),3.50(dd,J=14.4,5.3Hz,1H),3.42(dd,J=14.4,6.4Hz,1H),2.93(d,J=6.3Hz,2H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 174.2,173.2,165.9,50.6,49.4,39.4,35.1;
MS(ESI)m/z 220[M+H]
14のHRMS理論値 (M+H) 220.0933;実測値:220.0903.
[α]25 −32.4(c 0.7,HO)
【0144】
実施例41:D−DAPA−L−Phe・2HCl
【化52】

【0145】
H NMR(300 MHz,DO)δ 7.25(m,5H),4.72(dd,J=8.7,5.6Hz,1H),4.28(dd,J=6.1,5.7Hz,1H),3.49(dd,J=14.3,6.2Hz,1H),3.43(dd,J=14.3,5.7Hz,1H),3.22(dd,J=14.3,5.6Hz,1H),3.03(dd,J=14.3,8.7Hz,1H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 174.4,165.8,136.3,129.2,128.8,127.3,66.6,54.6,50.4,39.6;
MS(ESI)m/z 252[M+H]
1218のHRMS理論値 (M+H) 252.1348;実測値:252.1357.
[α]25 −42.3(c 1.0,HO)
【0146】
実施例42:D−DAPA−D−Phg・2HCl
【化53】

【0147】
H NMR(300 MHz,DO)δ 7.32(s,5H),5.43(s,1H),4.38(m,1H),3.52(d,J=5.9Hz,2H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 173.2,165.5,134.4,129.3,127.8,57.6,50.4,39.6;
MS(ESI)m/z 238[M+H]
1116のHRMS理論値 (M+H) 238.1192;実測値:238.1190.
[α]25 −81.4(c 1.0,HO)
【0148】
実施例43:L−DAPA−L−Nle・2HCl
【化54】

【0149】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.35(m,2H),3.48(d,J=5.9Hz,2H),1.70(m,1H),1.60(m,1H),1.20(m,4H),0.72(t,J=7.2Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 175.6,166.1,57.1,53.6,50.4,39.6,29.9,27.0,21.5,13.0;
MS(ESI)m/z 218[M+H]
20のHRMS理論値 (M+H) 218.1505;実測値:218.1518.
[α]25 +6.8(c 0.5,HO)
【0150】
実施例44:D−DAPA−D−L−Nle・2HCl
【化55】

【0151】
実施例45:D−DAPA−L−Lys・3HCl
【化56】

【0152】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.42(dd,J=6.6,5.1Hz,1H),4.28(dd,J=8.0,5.8Hz,1H),3.52(m,2H),2.90(t,J=7.6Hz,2H),1.82(m,2H),1.60(m,2H),1.37(m,2H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 174.9,166.1,53.5,50.7,39.5,39.2,29.7,26.3,22.1;
MS(ESI)m/z 233[M+H]
10のHRMS理論値 (M+H) 233.1614;実測値 233.1624.
[α]25 −41.0(c 0.6,HO)
【0153】
実施例46:D−DAPA−L−Leu・2HCl
【化57】

【0154】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.37(dd,J=6.8,4.9Hz,1H),4.28(dd,J=8.0,6.5Hz,1H),3.49(m,2H),1.7−1.5(m,3H),0.85(d,J=6.2Hz,3H),0.81(d,J=6.2Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 176.0,166.0,52.4,50.7,39.6,39.1,24.5,22.0,20.9;
MS(ESI)m/z 218[M+H]
20のHRMS理論値 (M+H) 218.1505;実測値:218.1506.
[α]25 −2.5(c 1.4,HO)
【0155】
実施例47:L−DAPA−(CH)−L−Val・2TFA
【化58】

【0156】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 3.74(クインテット(quintet),J=6.2Hz,1H),3.42(d,J=4.3Hz,1H),3.36(dd,J=6.2Hz,2H),3.12−3.10(m,2H),2.25−2.14(m,1H),1.05(d,J=7.0Hz,1H);
13C NMR(62.5 MHz,CDOD)δ 175.9,68.3,49.7,49.1,41.6,32.1,18.9,18.8;
MS(ESI)m/z 190[M+H]
19のHRMS理論値 (M+H) 190.1556;実測値:190.1552.
[α]26 +3.0(c 1.0,MeOH)
【0157】
実施例48:L−DAPA−L−Asp・2TFA
【化59】

【0158】
H NMR(300 MHz,CDOD)δ 4.86(dd,J=6.3,4.8Hz,1H),4.42(t,J=5.7Hz,1H),3.57(dd,J=13.9,5.8Hz,1H),3.52(dd,J=13.9,5.8Hz,1H),2.99(dd,J=17.2,4.6Hz,1H),2.91(dd,J=17.2,4.6Hz,1H);
13C NMR(62.5 MHz,DO)δ 174.5,173.8,167.1,51.8,50.8,41.2,36.2;
MS(ESI)m/z 220[M+H]
14のHRMS理論値 (M+H) 220.0933;実測値:220.0950.
[α]26 +36.6(c 1.0,MeOH)
【0159】
実施例49:D−DAPA−L−(4−トリフルオロメチル)−Phe・OH・2HCl
【化60】

【0160】
H NMR(300 MHz,DO)δ 7.58(d,J=7.9Hz,2H),7.35(d,J=8.1Hz,2H),4.69(m,1H),4.25(t,J=6.0Hz,1H),3.27(dd,J=13.9,5.8Hz,1H),3.17(d,J=6.0Hz,2H),3.04(dd,J=14.0,9.3Hz,1H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 174.1,165.7,140.7,130.0,129.6(q,J=32.9Hz),125.5,125.0(q,J=271.1Hz),54.3,50.7,39.5,36.3;
MS(ESI)m/z 320[M+H]
1317のHRMS理論値 (M+H) 320.1222;実測値:320.1236.
【0161】
実施例50:D−DAPA−L−ε−トリフルオロメチル−Nle・OH・2HCl
【化61】

【0162】
実施例51:D−DAPA−L−Nle・2HCl
【化62】

【0163】
H NMR(300 MHz,DO)δ 4.43(dd,J=6.6,5.1Hz,1H),4.33(dd,J=8.1,5.7Hz,1H),3.60(dd,J=14.5,5.1Hz,1H),3.53(dd,J=14.5,6.6Hz,1H),1.82(m,2H),1.34(m,4H),0.86(t,J=7.2Hz,3H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 175.6,166.0,53.8,50.6,39.4,29.9,27.1,21.6,13.0;
MS(ESI)m/z 218[M+H]
20のHRMS理論値 (M+H) 218.1505;実測値:218.1506.
[α]25 −43.0(c 1.4,HO)
【0164】
実施例52:D−DAPA−DL−p−フルオロPhe・2HCl
【化63】

【0165】
H NMR(300 MHz,DO)δ 7.20−7.15(m,2H),7.03−6.95(m,2H),4.66−4.59(m,1H),4.27(t,J=5.7Hz,0.5H),4.25(t,J=5.8Hz,0.5H),3.43(d,J=6.2Hz,0.5H),3.42(d,J=5.7Hz,0.5H),3.20−3.10(m,1H),3.17(d,J=6.0Hz,1H),2.97(dd,J=14.1,8.6Hz,0.5H),2.94(dd,J=14.1,9.2Hz,0.5H);
13C NMR(75 MHz,DO)δ 174.3,174.2,165.8,165.7,162.8(d,J=243.7Hz),133.0,132.8,131.7,131.6,116.3,116.0,54.7,54.5,50.7,39.5,35.7,35.5;
MS(ESI)m/z 270[M+H]
1217FNのHRMS理論値 (M+H) 270.1254;実測値:270.1255.
【0166】
実施例53:生化学的結果と生物学的結果
本発明による新規化合物の有効性は以下の方法で示される。
【0167】
メチルグリオキサールによるインスリンの修飾と本発明による化合物の抑制効果:これらの生成物と従来技術の阻害剤との比較
ヒトインスリン(Ins)を生理条件下でメチルグリオキサール(MG)とともにインキュベートすると、図1に示されるように、24時間後、インスリンは完全に修飾されている(Ins+MG)。
【0168】
もう一方で、インスリンを、生理条件下、等モル量の本発明によるAGE阻害剤の存在下でメチルグリオキサールとともにインキュベートすると、図1に示されるように、24時間後、MGによるインスリンの修飾はかなり減少している。
【0169】
図2は、いくつかの既知反応性ジカルボニルスカベンジャーの、MGによるインスリン修飾の抑制における有効性を示している。
【0170】
HPLC分析により、本発明によるAGE阻害剤のいくつかはメチルグリオキサールをスカベンジし、そうでない場合には、メチルグリオキサールによりインスリンが修飾され得ることが明らかに実証されている(図3)。ソマトスタチン−14(2Lys含有)およびリボヌクレアーゼ(RNアーゼ)A(10Lysおよび4Arg含有)に対する本発明によるAGE阻害剤の効果のいくつかの例は、それぞれ図4および5に示される。
【0171】
本発明による新規化合物、MGスカベンジャーの、AGE形成に対する阻害能力の電気泳動研究
リボヌクレアーゼAおよびリゾチーム(10mg/ml)を、メチルグリオキサール(10mM)の存在下で、または等モル量のメチルグリオキサールと本発明による阻害剤の1つの存在下で、37℃でインキュベートする。インキュベーションの48時間後、タンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動(8%〜16%SDS PAGEゲル)により分析する。
【0172】
結果を解析したところ、メチルグリオキサールの存在下で、リボヌクレアーゼAおよびリゾチームが大幅な修飾を示すということが示されており、これはダイマー型タンパク質の出現により示される。
【0173】
本発明による阻害剤、すなわち、L−DAPA−L−Leu(実施例1)、L−DAPA−L−Ile(実施例18)、L−DAPA−L−Val(実施例23)、D−DAPA−D−Ala(実施例8)、(2S,3S)−DASA−L−Leu(実施例29)、L−DAPA−L−Gly(実施例17)、またはL−DABA−L−Leu(実施例12)の1つの添加により、メチルグリオキサールによってもたらされるこれらの構造修飾からの保護が提供される。本発明による阻害剤の存在により、メチルグリオキサールをスカベンジすることによって架橋タンパク質の形成が大部分回避される。
【0174】
メチルグリオキサールおよび本発明による様々な阻害剤での処理後のリボヌクレアーゼAの酵素活性は、Greiner-Stoffele et al. (Anal. Biochem. (1996) 240, 24)のメチレンブルーRNA染色技術を用いて測定される。
【0175】
これらの結果は以下の表1にまとめている。
【0176】
【表1】

【0177】
分光測光法により688nmで測定した酵素反応速度により、メチルグリオキサールによりもたらされる酵素活性の阻害が本発明による阻害剤の存在下でかなり減少することが分かる。
【0178】
リボヌクレアーゼAまたはリゾチームについて、阻害剤としてアミノグアニジン(AG)を用いて(電気泳動および酵素活性測定による)比較分析を行う。これらの結果によれば、本発明による阻害剤がAGよりもはるかに効果的であることが明確に示される。
【0179】
リゾチーム(6Lysおよび11Arg含有)では、リボヌクレアーゼAと同じ条件下で実施した試験において同じ傾向が認められる。
【0180】
MGはタンパク質のリジン残基およびアルギニン残基と反応し、修飾されたポリペプチドの電荷を変化させる。このことは非変性状態でMGで処理したグリオキサラーゼIの電気泳動によって実証された。グリオキサラーゼIのMG(10mM)への24時間の曝露は、タンパク質の陽極への移動性、すなわち、ε-アミノ基およびグアニジノ基からの正電荷の損失および負電荷の増加と一致する変化を高める。本発明による阻害剤(L−DAPA−L−Leu(実施例1)またはL−DAPA−L−Ile(実施例18))をインキュベーション混合物に含めると、これらの化合物が存在することにより負電荷の増加が抑えられる。
【0181】
α−オキソアルデヒド解毒系において重要なタンパク質であるグリオキサラーゼIのメチルグリオキサールの存在下でのインキュベーションにより、そのタンパク質が修飾される。この修飾により電荷の変化が生じ、対照と比べて酵素活性の50%低下が起こる。
【0182】
本発明による化合物(L−DAPA−L−LeuまたはL−DAPA−L−Ile)の添加は、メチルグリオキサールによってもたらされる阻害を抑制し、構造修飾から保護する。
【0183】
電気泳動により得られた比較結果により、アミノグアニジン(AG)は、(本発明による)AGE阻害剤よりも、MGによるリボヌクレアーゼA構造修飾に対するこれらの化合物の保護効果に関して、ずっと効果が低いということが分かる。本発明によるAGE阻害剤、すなわち、L−DAPA−L−Leu(実施例1)およびL−DAPA−L−Ile(実施例18)、またはAG(10mM)を、MGおよびリボヌクレアーゼAとともに37℃で40時間インキュベートする。
【0184】
本発明および従来技術のMGスカベンジャー、ならびに/またはメチルグリオキサールの存在下でのEA細胞の増殖
試験に用いる細胞は、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)と肺癌細胞(A549)との交雑により得られた内皮細胞であるEA.hy926細胞系由来のものである。EA.hy926内皮細胞を、10%ウシ胎児血清を補充した「ダルベッコ改変イーグル培地」(DMEM)中でインキュベートする。細胞は12−ウェルプレートでインキュベートする。各ウェルには最初100,000細胞を含める。細胞増殖は、細胞を、様々な阻害剤候補(1mM)および/またはメチルグリオキサール(600μM)を添加したまたは添加していない2mlの培養培地中、5%COを含む湿潤雰囲気下、37℃で48時間インキュベートすることにより行う。
【0185】
細胞数は次の方法により評価する:
臭化(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウム(MTT)アッセイを用いて細胞を染色する。MTTは細胞内に浸透し、そこでホルマザンへと変換される。生成したホルマザンの量は生細胞数に比例する。
【0186】
これらの結果は、処理していない対照細胞数に対する処理後の細胞数の相対百分率[100*OD(処理細胞)/OD(対照細胞)]として表される。検出は、UV/可視分光測光法により570nmで実施する。
【0187】
原理:MTT(黄色)は細胞に浸透し、生細胞のミトコンドリアデヒドロゲナーゼ酵素によるそのテトラゾリウム環の開裂により、青色の不溶性化合物であるホルマザンへと変換される。ホルマザンはイソプロパノールにより可溶化される。細胞数は生成したホルマザンの量およびその吸光度に比例する。
【0188】
図6に示されるように、メチルグリオキサール(MG)は細胞増殖を抑制する。
【0189】
これらの結果は以下の表2にまとめている。
【0190】
【表2】

【0191】
既知MGスカベンジャーであるアミノグアニジン(AG)の添加は、このプロセスを見事に抑制する。本発明による化合物、特にL−DAPA−L−Val(実施例23)、L−DAPA−L−Leu(実施例1)、およびL−DAPA−L−Ile(実施例18)でも同じ傾向を観察することができる。カルノシンおよびメトホルミンなどの他の既知MGスカベンジャーは、この試験において効果が低いことが分かった。MGによる細胞増殖の抑制と比較した、本発明による化合物の抑制効果のさらなる例を図7に示している。
【0192】
これらの結果から、本発明による化合物はEA細胞に対して毒性がないことが示される。これは、特にL−DAPA−L−Val・2HCl(実施例23)、L−DAPA−L−Leu・2HCl(実施例1)、L−DAPA−L−Ile・2HCl(実施例18)、(2S,3S)−DASA−L−Val・2HCl(実施例29)、およびL−DAPA−L−Leu・2TFA(実施例3)についても言え、それらの場合の細胞数は、いずれの生成物も添加せずに増殖している対照細胞数と比べて15%に満たない低下である。分子のジアミノ部分の組成は毒性に関係しておらず、関連する塩も同様である。実際、L−DAPA、(2S,3S)DASA、およびD−DAPA、ならびにHClおよびTFA塩は、毒性および非毒性生成物の両方に見られる。化合物に毒性がないことが、MG単独で増殖している細胞と比べて、それらのMG−スカベンジング活性を高めるという点に着目することができる。分析化合物で増殖している細胞数と、MGおよび分析化合物の存在下で増殖している細胞数との相対値間の差により、MGスカベンジャーとしての生成物の役割を評価することができる。本発明による8つの化合物、すなわち、L−DAPA−L−Val・2HCl(−3)(実施例23)、L−DAPA−L−Leu・2HCl(−13)(実施例1)、L−DAPA−L−Ile・2HCl(−9)(実施例18)、(2S,3S)−DASA−L−Val・2HCl(−15)(実施例29)、L−DAPA−L−Leu・2TFA(−18)(実施例3)、L−DABA−L−Leu・2HCl(−4)(実施例12)、およびL−DAPA−L−Phe・2HCl(−6)(実施例21)は、特にこの活性を有する。他の2つの化合物、すなわち、D−DAPA−D−Ala・2HCl(+1)(実施例8)およびL−DAPA−Gly・2HCl(+3)(実施例17)もまたスカベンジング活性を示すが、その一方で、それらの細胞毒性はより高い(それぞれ、39%および43%)。メトホルミンは、このメトホルミン分子がこの濃度において極低毒性であったとしても、弱いスカベンジャーであるということを指摘することができる。
【0193】
本発明による2つの化合物:L−DAPA−L−Leu(実施例1)およびL−DAPA−L−Val(実施例23)の変異原性試験
ヒト肝臓S9画分および7種のサルモネラ菌(Salmonella)株において、L−DAPA−L−Leu(実施例1)およびL−DAPA−L−Val(実施例23)について、単独およびメチルグリオキサールとの組み合わせにおいてAmes試験を行った。
【0194】
Ames試験に用いた濃度は以下のとおりであった:
−L−DAPA−L−Leu単独またはL−DAPA−L−Val単独:10μM、1μM、および0.1μM.
−L−DAPA−L−Leu/メチルグリオキサール混合物またはL−DAPA−L−Val/メチルグリオキサール混合物:10μM、1μM、および0.1μM.
−メチルグリオキサール:10μM.
【0195】
その結果は以下の表3にまとめている。
【0196】
【表3】

【0197】
単独またはメチルグリオキサールとの組み合わせにおいて試験したいずれの物質(L−DAPA−L−LeuまたはL−DAPA−L−Val)も、試験濃度において、TA98、混合株、またはヒト肝臓S9画分に対して変異原性ではなかった。ヒト肝臓S9画分によって生じた代謝産物は、試験濃度において、変異原性ではなかった。
【図面の簡単な説明】
【0198】
【図1】メチルグリオキサール(MG)によるインスリン(Ins)の修飾についての、本発明による二塩酸塩形態のジカルボニルスカベンジャーの比較効果およびDAPAとの比較を示す図である。インスリンの割合は、ジカルボニルスカベンジャーの存在下または不在下でのメチルグリオキサールとのインキュベーション後のものである。インスリン(0.034mM)は、in vitroで10mMリン酸バッファー、pH7.45(0.1M NaCl含有)中、ジカルボニルスカベンジャー(4.08mM)の存在下でメチルグリオキサール(3.4mM)とともに37℃で21時間インキュベートする。インスリン濃度は、HPLC(図3の場合と同じ条件)により測定する。
【図2】メチルグリオキサールによるインスリンの修飾についての、従来技術のジカルボニルスカベンジャーの比較効果を示す図である。試験条件は図1に記載のものと同一である。アスタリスク()の付いた化合物は塩酸塩形態で用いられる。
【図3】本発明による2つの化合物、L−DAPA−L−Leu(実施例1)およびL−DAPA−L−Val(実施例23)についてHPLCにより得られた、メチルグリオキサールによるインスリン修飾の結果を示す図である。これらの修飾が抑制されたことが認められる。HPLC条件は以下のとおりである:C−18、Symmetry 300(4.6x250mm)カラム、注入量 100μlの反応混合物;流量1ml/分;温度40℃;溶媒A:HO+0.1%TFA;溶媒B:60/40 CHCN/HO+0.1%TFA;50%B〜55%B 15分内の直線勾配;検出:215nmのUV:PDA(220nmで得られたクロマトグラム)。
【図4】本発明の2つの化合物、L−DAPA−L−Leu(実施例1)およびL−DAPA−L−Val(実施例23)について、HPLCにより得られた、メチルグリオキサールによるソマトスタチン−14修飾の結果を示す図である。HPLC条件は以下のとおりである:C−18、Symmetry 300(4.6x250mm)カラム、注入量 反応混合物の100μl;流量1ml/分;溶媒A:HO+0.1%TFA;溶媒B:80/20 CHCN/HO+0.1%TFA;直線勾配:20%B〜60%B 15分内および60%Bの定組成 10分間;周囲温度;検出:PDA(215nmで得られたクロマトグラム)。本発明による化合物はメチルグリオキサールによる修飾を抑制する。 この図では、(a)はソマトスタチン−14単独の結果であり;(b)はソマトスタチン−14+メチルグリオキサールの結果であり;(c)はソマトスタチン−14+メチルグリオキサール+L−DAPA−L−Val(実施例23)の結果であり、および(d)はソマトスタチン−14+メチルグリオキサール+L−DAPA−L−Leu(実施例1)の結果である。これらの結果を得るために、ソマトスタチン−14(0.03mm)をin vitroで10mMリン酸バッファー、pH7.45(0.1M NaCl含有)中、本発明による化合物(4.3mM)の存在下((c)および(d))または不在下(b)で、メチルグリオキサール(3.6mM)とともにまたはなし(a)で、37℃で24時間インキュベートする。
【図5】本発明の3つの化合物、L−DAPA−L−Ile(実施例18)、L−DAPA−L−Val(実施例23)、およびL−DAPA−L−Leu(実施例1)について、HPLCにより得られた、メチルグリオキサールによるRNアーゼA修飾の結果を示す図である。HPLC条件は以下のとおりである:C−18、Symmetry 300(4.6x250mm)カラム、注入量 1/10希釈した反応混合物の100μl;流量1ml/分;温度40℃;溶媒A:HO+0.1%TFA;溶媒B:60/40 CHCN/HO+0.1%TFA;20%B〜80%B 20分内の直線勾配;検出:215nmのUV:PDA(225nmで得られたクロマトグラム)。本発明による化合物はRNアーゼAの修飾を抑制する。この図では:(a)はRNアーゼAの結果であり;(b)はRNアーゼA+メチルグリオキサールの結果であり;(c)はRNアーゼA+メチルグリオキサール+L−DAPA−L−Ile(実施例18)の結果であり;(d)はRNアーゼA+メチルグリオキサール+L−DAPA−L−Val(実施例23)の結果であり;(e)はRNアーゼA+メチルグリオキサール+L−DAPA−L−Leu(実施例1)の結果である。これらの結果を得るために、RNアーゼA(0.08mM)をin vitroで100mMリン酸バッファー、pH7.45中、本発明による化合物(38mM)の存在下((c)、(d)、および(e))または不在下(b)で、メチルグリオキサール(32mM)とともにまたはなし(a)で、37℃で21時間インキュベートする。
【図6】図6および図7は、本発明による化合物および従来技術の化合物、特にアミノグアニジン(AG)およびジアミノプロピオン酸(DAPA)の存在下における、メチルグリオキサール(MG)の存在下または不在下でのEA内皮細胞増殖を示す図である。
【図7】図6および図7は、本発明による化合物および従来技術の化合物、特にアミノグアニジン(AG)およびジアミノプロピオン酸(DAPA)の存在下における、メチルグリオキサール(MG)の存在下または不在下でのEA内皮細胞増殖を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の一般式:
【化1】

(式中、
XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、または1以上のCF基によって置換されていてもよいアミノ酸を表し、かつn=0、1または2であり、
あるいは、XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは2つのアミノ酸を含むペプチドを表し、各アミノ酸は、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよく、かつn=0または1であり、
あるいは、XRはPOHまたはSOHを表し、かつn=0、1または2であり;
はH、XR、C−Cアルキル基、C−Cアラルキル基、またはアリール基(ここで、アルキル基、アラルキル基およびアリール基は、アミン(NH)、カルボン酸基(COOH)、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよい)を表す)
の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物(但し、
−式中、Rが水素原子を表し、XがC=Oを表し、Rが−NH−(CH−COOHを表し、m=1、2または3であり、かつn=0、1または2である化合物;
−次の式:
【化2】

により表される化合物;
ならびに化合物:L−オルニチル−タウリン、L−ジアミノブチリル−タウリン、およびL−ジアミノプロピオニル−タウリンを除く)。
【請求項2】
Xが、C=O、CHまたはC=Sを表す、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、XRまたはHを表す、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
が、アミノ酸、有利には、アラニン、バリン、イソロイシン、プロリン、ロイシン、ノルロイシン、フェニルアラニン、またはtert−ロイシンの中から選択されるアミノ酸を表し、かつn=0、1または2である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
次の一般式II:
【化3】

(式中、
は−NH−R−(C=O)Rまたは
【化4】

を表し、
は、
−ハロゲン原子、有利にはフッ素、−CF、フェニル、フェノール、−COOH、アミン、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されたフェニル基の中から選択される1以上の基によって置換されていてもよいC−C12アルキル基、有利にはC−Cアルキル基;または
−アミン、OH基、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよいフェニル基
を表し、かつ
はOH、NH、C−C30アルコキシ、有利にはC−C20アルコキシを表し;
はH、COR、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されていてもよいC−Cアルキル基を表し;
n=0、1または2であり;
Yは酸素または硫黄原子、有利には酸素原子を表す)
により表される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物。
【請求項6】
n=0である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
次の式:
【化5】




の中から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物。
【請求項8】
食物中のタンパク質の劣化を防ぐための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の使用。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物と、医薬上または化粧料上許容される賦形剤とを含んでなる、医薬組成物または化粧料組成物。
【請求項10】
薬物として用いるための、次の一般式I:
【化6】

(式中、
XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、または1以上のCF基によって置換されていてもよいアミノ酸を表し、かつn=0、1または2であり、
あるいは、XはCH、C=O、C=SまたはCHOHを表し、Rは2つのアミノ酸を含むペプチドを表し、各アミノ酸は、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよく、かつn=0または1であり、
あるいは、XRはPOHまたはSOHを表し、かつn=0、1または2であり;
はH、XR、C−Cアルキル基、C−Cアラルキル基、またはアリール基(ここで、アルキル基、アラルキル基およびアリール基は、アミン(NH)、カルボン酸基(COOH)、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよい)を表す)
の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物(但し、化合物:
【化7】

を除く)。
【請求項11】
次の一般式II:
【化8】

[式中、
はNH−R−(C=O)Rまたは
【化9】

を表し、
は、
−ハロゲン原子、有利にはフッ素、−CF、フェニル、フェノール、−COOH、アミン、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されたフェニル基の中から選択される1以上の基によって置換されていてもよいC−C12アルキル基、有利にはC−Cアルキル基;または
−アミン、OH基、1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素、または1以上のCF基によって置換されていてもよいフェニル基
を表し、かつ
はOH、NH、C−C30アルコキシ、有利にはC−C20アルコキシを表し;
はH、COR、または1以上のハロゲン原子、有利にはフッ素によって、もしくは1以上のCF基によって置換されていてもよいC−Cアルキル基を表し;
n=0、1または2であり;
Yは酸素または硫黄原子、有利には酸素原子を表す]
により表される、請求項10に記載の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物。
【請求項12】
次の式:
【化10】




の中から選択される、請求項10または11に記載の化合物、またはその医薬上許容される付加塩、異性体、鏡像異性体、およびジアステレオ異性体、ならびにそれらの混合物。
【請求項13】
前記薬物が、反応性カルボニル化合物のスカベンジャー、有利には終末糖化産物形成の阻害剤である、請求項10〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項14】
前記薬物が、終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋に起因する状態または疾患の予防および/または治療を目的とし、生物の加齢の悪影響(この悪影響は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋である)の予防および/または治療を目的とし、あるいは患者における糖尿病から生じる合併症(この合併症は終末糖化産物の形成またはタンパク質の架橋から生じるものである)の進行の遅延または停止を目的とするものである、請求項10〜13のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
前記薬物が、患者における、リウマチ様多発関節炎、アルツハイマー病、尿毒症、神経変性疾患、アテローム性動脈硬化症、糖尿病の微小血管合併症および大血管合併症(糖尿病性網膜症、および糖尿病性腎症に起因する腎不全を含む)、微小血管症および大血管症、白内障、透析関連またはアルツハイマー病関連アミロイドーシス、パーキンソン病、歯肉炎、虫歯、頬歯科病態、糖尿病性潰瘍、慢性腎不全、慢性腎臓透析、炎症性疾患、加齢に伴うリウマチ障害、ならびにポルフィリン症の中から選択される疾患の治療、予防および/または進行の遅延、ならびに早期癌の治療を目的とするものである、請求項10〜14のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項16】
前記薬物が経口経路による投与を目的とするものである、請求項10〜15のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項17】
表皮および真皮乳頭層の老化防止および再構築有効成分としての、ならびに/またはシワ取り有効成分としての、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物の化粧料的使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−534557(P2008−534557A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−503523(P2008−503523)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際出願番号】PCT/EP2006/061191
【国際公開番号】WO2006/103274
【国際公開日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【出願人】(506032071)
【氏名又は名称原語表記】PHARMAMENS
【出願人】(594016872)サントル、ナショナール、ド、ラ、ルシェルシュ、シアンティフィク、(セーエヌエルエス) (83)
【Fターム(参考)】