説明

ALK5及び/又はALK4の抑制剤としての2−ピリジル置換イミダゾール類

本発明は形質転換成長因子−β(TGF−β)第I型受容体(ALK5)及びアクチビン第I型受容体(ALK4)の少なくとも1種に対する抑制活性が2−ピリジルが置換されたイミダゾール誘導体、前記誘導体の製造方法、及び前記受容体により誘発された各種疾患の予防及び治療剤に使用される前記誘導体の医薬的用途に関するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は形質転換成長因子−β(TGF−β)第I型受容体(ALK5)及びアクチビン第I型受容体(ALK4)の少なくとも1種に対する抑制活性が2−ピリジルが置換されたイミダゾール誘導体、前記誘導体の製造方法、及び前記受容体により誘発された各種疾患の予防及び治療剤に使用される前記誘導体の医薬的用途に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TGF(Transforming growth factor)−βは細胞分裂と分化、傷の治療、細胞外基質の生成、及び免疫抑制に対する多面的な組成物としてのTGF−β1、TGF−β2及びTGF−β3を含むタンパク質群である。前記超科(superfamily)を構成する別の物質としてはアクチビン、インヒビン、骨形成タンパク質、成長と分化因子、及びミュラー管(Mullerian)抑制物質がある。
【0003】
TGF−β1は2個の非常によく保存された単一膜セリン/スレオニンキナーゼである第I型受容体(ALK5)とTGF−β第II型受容体を通してシグナルを伝達する。リガンドによりオリゴマー化が誘導されると、第II型受容体はALK5のGS付近のセリン/スレオニン残基を高リン酸化させ、スマッド(Smad)タンパク質の結合部位を生成させることで、ALK5の活性化を誘導する。活性化されたALK5は再びスマッド2タンパク質とスマッド3タンパク質のC−末端のSSXS−モチーフをリン酸化させ、これらのタンパク質の受容体からの分離とスマッド4との2量複合体形成を誘導する。スマッド複合体は核内に移動して特定DNAと結合する補助因子と補助調節物と会合して細胞外基質構成物と基質分解性プロテアーゼ抑制剤の転写を活性化させる。
【0004】
アクチビン(Activin)はTGF−βと類似する方法でシグナルを伝達する。アクチビンはセリン/スレオニンキナーゼであるアクチビン第II型受容体(ActRIIB)と結合し、活性化された第II型受容体はALK4のGS付近のセリン/スレオニン残基を高リン酸化させる。そして、活性化されたALK4は再びスマッド2タンパク質とスマッド3タンパク質をリン酸化させる。その結果として形成されたスマッド4とスマッドの2量複合体はアクチビンによって誘導される遺伝子転写を調節する。
【0005】
数多くの動物実験を通してTGF−βの糸球体発現と線維症(fibrosis)間の連関性を明らかにし、例えば、増殖性糸球体腎炎に関するThy−1ラットモデル、抗−GBM糸球体腎炎に関するラビットモデル、及び巣状分節状糸球体硬化症に関する5/6腎摘出術ラットモデルである[Bitzer, M. et al., Kidney Blood Press. Res. 21:1-12 (1998)]。また、Thy−1腎炎モデルにおいて、TGF−βを中和する抗体が糸球体の組織学を増進させた例もある[Border, W. A. et al., Nature 346:371-374 (1990)]。
【0006】
マウスの近位尿細管細胞とヒトのメサンギウム細胞においては、高血糖条件下でTGF−β mRNA及びタンパク質合成が増加する[Wahab, N. A. et al., Biochem. J. 316:985-992 (1996);Rocco, M. V. et al., Kidney Int. 41:107-114 (1992)]。腎臓病を患ったことのある糖尿病患者は糸球体内にTGF−β mRNAとタンパク質の蓄積が増加する[Yoshioka, K. et al., Lab. Invest. 68:154-163 (1993)]。慢性的な間隙性腎線維症においては、コラーゲンI、III、V、VII、及びフィブロネクチンが増加し、管最下部の膜が厚くなり、間質部分が拡張される[Eddy, A. A., J. Am. Soc. Nephrol. 7:2495-2508 (1996)]。
【0007】
ブレオマイシン、シリカ、石綿そして放射物による場合を含む肺線維症に対する多様な動物モデルでは、TGF−β遺伝子発現とタンパク質生成が増加する[Phan, S. H. and Kunkel, S. L., Exp. Lung Res. 18:29-43 (1992);Williams, A. O. et al., Am. J. Pathol. 142:1831-1840 (1993);Rube, C. E. et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 47:1033-1042 (2000)]。特発性肺線維症と隣接した組織切片でのTGF−β1タンパク質とコラーゲン遺伝子の発現の同時増加は、ヒトの肺線維疾患で観察される[Broekelmann, T. J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88: 6642-6646 (1991)]。サルコイド、じん肺症、石綿症及び放射能によって誘導される線維症にかかった患者に対し、TGF−β産物が増加されたと報告されている[Khalil, N. et al., Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 14:131-138 (1996);Jagirdar, J. et al., Environ. Health Perspect. 105:1197-1203 (1997)]。抗−TGF−β抗体とTGF−β−溶解性受容体は、部分的にブレオマイシンによって誘導された肺線維症のげっ歯類モデルにおいて、線維症を抑制することができる[Giri, S. N. ea al., Thorax 48:959-966 (1993);Wang, Q. et al., Thorax 54:805-812 (1999)]。タバコの煙は慢性閉塞性肺疾患(COPD)における末梢気道病変を引き起こす最も重要な要因のうちの一つである[Wright, J. M. et al., Am. Rev. Respir. Dis. 146:240-262 (1992)]。COPDは気道閉塞の機能的異常によるもので、ゆっくり進行して不可逆的な疾患である。TGF−□はCOPDのような慢性の炎症性疾患に見られる気道リモデリングによって生じると考えられている[Takizawa, H. Int. J. Mol. Med. 1:367-378 (1998);Ning, W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:14895-14900(2004)]。
【0008】
肝線維症において、肝星細胞(HSC)は細胞外マトリクスタンパク質の主源泉である。活性化された肝星細胞による細胞外マトリクス生成はTGF−β1の活動を通して著しく増加する[Friedman, S. L., Prog. Liver Dis. 14:101-130 (1996);Pietrangelo, A., Semin. Liver Dis. 16:13-30 (1669)]。肝からTGF−β1が過剰発現されたトランスジェニックマウスにおいては、腎線維症のような肝以外の疾患だけでなく、肝線維症も発病する[Sanderson, N. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:2572-2576(1995)]。
【0009】
TGF−β1及びその受容体は細胞外基質の過剰発現をもたらす、損傷された血管と線維増殖性血管の傷から過剰発現される[Saltis, J. et al., Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 23:193-200 (1996);McCaffrey, T. A. et al., J. Clin. Invest. 96:2667-2675 (1995)]。
【0010】
抗−TGF−β抗体は傷跡を減少させ、ラットモデルにおいてネオダーミス(neodermis)の細胞構造形成を増進させ[Shah, M., J. Cell. Sci. 108:985-1002 (1995)]、ラビットモデルにおいては、角膜の傷の治療が改善され[Moller-Pedersen, T., Curr. Eye Res. 17:736-747 (1998)]、ラットモデルにおいて、胃潰瘍の傷の治療を加速化させた[Ernst, H., Gut 39:172-175 (1996)]。
【0011】
放射能線維症は正常なヒト組織が、治療により、または偶然放射能に過多露出された場合によく発生される。最近レビューされたように、TGF−β1は放射能線維症の開示、展開そして持続に重要な役割を果たす[ Martin, M. et al., Int. J. Tadiat. Oncol. Biol. Phys. 47:277-290 (2000)]。
【0012】
臓器移植において、慢性的な拒否反応は多くの場合において複雑な問題を発生させ、腎臓のような数個の臓器の場合、拒否反応が移植失敗の主な原因となる。ヒトの場合、肺と腎臓移植の慢性的拒否反応は、その組織内でTGF−βの発現増加と連関がある[El-Gamel, A. et al., Eur. J. Cardiothorac. Surg. 13:424-430 (1998);Shihab, F. S. et al., J. Am. Soc. Nephrol. 6:286-294 (1995)]。
【0013】
TGF−βは腹膜癒着に関与する[Saed, G. M. et al., Wound Repair Regeneration 7:504-510 (1999)]。腹膜及び皮下線維性癒着はALK5及びALK4のうち少なくとも1種の抑制剤により防止することができる。
【0014】
数種類の癌の末期段階にある腫瘍細胞と、その中の基質細胞は一般的にTGF−βを過剰発現させる。これは血管形成と細胞運動性の刺激、免疫体系の抑制、そして腫瘍細胞と細胞外基質の相互作用の増加を発生させる[Hojo, M. et al., Nature 397:530-531 (1999)]。結果的に腫瘍細胞は更に侵略を始め、遠く離れた器官に転移する[Maehara, Y. et al., J. Clin. Oncol. 17:607-614 (1999);Picon, A. et al., Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 7:497-504 (1998)]。
【0015】
1型プラスミノーゲン活性化因子阻害剤(PAI−1)は、組織型プラスミノーゲン活性因子とウロキナーゼ型プラスミノーゲン活性因子の主な生理学的抑制剤である。PAI−1のレベル上昇は血栓症と血管疾患をもたらし、高いプラズマPAI−1は線維素溶解と凝固間の自然のバランスを壊すことによって凝固亢進状態を促進させる可能性があることを示唆している[Vaughan, D. E., J. Invest. Med. 46:370-376 (1998)]。また、TGF−□はPAI−1の発現を刺激することが知られている[Dennler, S. et al., EMBO J. 17:3091-3100]。従って、TGF−□のシグナルパスウェイ抑制剤によるPAI−1の生成抑制は、新規の線溶療法を実現させた。
【0016】
アクチビンシグナルとアクチビンの過剰発現は、細胞外マトリクスの蓄積と線維症[Matsuse, T. et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 13:17-24 (1995);Inoue, S. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 205:441-448 (1994);Matsuse, T. et al., Am. J. Pathol. 148:707-713 (1996);De Bleser et al., Hepatology 26:905-912 (1997);Pawlowski, J. E., et al., J. Clin. Invest. 100:639-648 (1997);Sugiyama, M. et al., Gastroenterology 114:550-558 (1998);Munz, B. et al., EMBO J. 18:5205-5215 (1999)]、炎症を引き起こす反応[Rosendahl, A. et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 25:60-68 (2001)]、悪液質または消耗[Matzuk, M. M. et al., Proc. Natl. Acd. Sci. USA 91:8817-8821 (1994);Coerver, K. A. et al., Mol. Endocrinol. 10:534-543 (1996);Cipriano, S. C. et al., Edocrinology 141:2319-2327 (2000)]、中枢神経系での疾患または病理的反応[Logan, A. et al., Eur. J. Neurosci. 11:2367-2374 (1999);Logan, A. et al., Exp. Meurol. 159:504-510 (1999);Masliah, E. et al., Neurochem. Int. 39:393-400 (2001);De Groot, C. J. A. et al., J. Neuropathol. Exp. Neurol. 58:174-187 (1999);John, G. R. et al., Nat. Med. 8:1115-1121 (2002)]、及び高血圧[Dahly, A. J. et al., Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol. 283:R757-767 (2002)]を含む病理学的障害と関連している。研究は、TGF−β及びアクチビンは細胞外基質の生成を誘導するように相互的に活動することができることを見せている[Sugiyama, M. et al., Gastroenterology 114:550-558(1998)]。
【0017】
従って、本発明による好ましい化合物によって、スマッド2とスマッド3によるALK5およびALK4のうち少なくとも1種のリン酸化を抑制することはシグナルパスウェイを含む疾患を治療及び予防することができることが確認できる。
【0018】
WO 00/61576及び米国特許2003/0149277 A1にはALK5抑制剤としてトリアリルイミダゾール誘導体とその使用が開示されている。また、WO 01/62756 A1には、ALK5抑制剤としてピリジニルイミダゾール誘導体とその使用について、WO 02/055077 A1にはALK5としてイミダゾリル環状アセタール(imidazolyl cyclic acetal)誘導体とその使用について開示されている。そして、WO 03/087304 A2には三置換へテロアリールとその使用について開示されている。
【0019】
【特許文献1】国際特許公開WO 00/61576
【特許文献2】米国特許2003/0149277 A1
【特許文献3】国際特許公開WO 01/62756 A1
【特許文献4】国際特許公開WO 02/055077 A1
【特許文献5】国際特許公開WO 03/087304 A2
【特許文献6】国際特許公開WO 02/096875号
【非特許文献1】Bitzer, M. et al., Kidney Blood Press. Res. 21:1-12 (1998)
【非特許文献2】Border, W. A. et al., Nature 346:371-374 (1990)
【非特許文献3】Wahab, N. A. et al., Biochem. J. 316:985-992 (1996)
【非特許文献4】Rocco, M. V. et al., Kidney Int. 41:107-114 (1992)
【非特許文献5】Yoshioka, K. et al., Lab. Invest. 68:154-163 (1993)
【非特許文献6】Eddy, A. A., J. Am. Soc. Nephrol. 7:2495-2508 (1996)
【非特許文献7】Phan, S. H. and Kunkel, S. L., Exp. Lung Res. 18:29-43 (1992)
【非特許文献8】Williams, A. O. et al., Am. J. Pathol. 142:1831-1840 (1993)
【非特許文献9】Rube, C. E. et al., Int. J. Radiat. Oncol. Biol. Phys. 47:1033-1042 (2000)
【非特許文献10】Broekelmann, T. J. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:6642-6646 (1991)
【非特許文献11】Khalil, N. et al., Am. J. Respir. Cell. Mol. Biol. 14:131-138 (1996)
【非特許文献12】Jagirdar, J. et al., Environ. Health Perspect. 105:1197-1203 (1997)
【非特許文献13】Giri, S. N. ea al., Thorax 48:959-966 (1993)
【非特許文献14】Wang, Q. et al., Thorax 54:805-812 (1999)
【非特許文献15】Wright, J. M. et al., Am. Rev. Respir. Dis. 146:240-262 (1992)
【非特許文献16】Takizawa, H. Int. J. Mol. Med. 1:367-378 (1998)
【非特許文献17】Ning, W. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 101:14895-14900 (2004)
【非特許文献18】Friedman, S. L., Prog. Liver Dis. 14:101-130 (1996)
【非特許文献19】Pietrangelo, A., Semin. Liver Dis. 16:13-30 (1669)
【非特許文献20】Sanderson, N. et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 92:2572-2576 (1995)
【非特許文献21】Saltis, J. et al., Clin. Exp. Pharmacol. Physiol. 23:193-200 (1996)
【非特許文献22】McCaffrey, T. A. et al., J. Clin. Invest. 96:2667-2675 (1995)
【非特許文献23】Shah, M., J. Cell. Sci. 108:985-1002 (1995)
【非特許文献24】Moller-Pedersen, T., Curr. Eye Res. 17:736-747 (1998)
【非特許文献25】Ernst, H., Gut 39:172-175 (1996)
【非特許文献26】Martin, M. et al., Int. J. Tadiat. Oncol. Biol. Phys. 47:277-290 (2000)
【非特許文献27】El-Gamel, A. et al., Eur. J. Cardiothorac. Surg. 13:424-430 (1998)
【非特許文献28】Shihab, F. S. et al., J. Am. Soc. Nephrol. 6:286-294 (1995)
【非特許文献29】Saed, G. M. et al., Wound Repair Regeneration 7:504-510 (1999)
【非特許文献30】Hojo, M. et al., Nature 397:530-531 (1999)
【非特許文献31】Maehara, Y. et al., J. Clin. Oncol. 17:607-614 (1999)
【非特許文献32】Picon, A. et al., Cancer Epidemiol. Biomarkers Prev. 7:497-504 (1998)
【非特許文献33】Vaughan, D. E., J. Invest. Med. 46:370-376 (1998)
【非特許文献34】Dennler, S. et al., EMBO J. 17:3091-3100
【非特許文献35】Matsuse, T. et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 13:17-24 (1995)
【非特許文献36】Inoue, S. et al., Biochem. Biophys. Res. Comm. 205:441-448 (1994)
【非特許文献37】Matsuse, T. et al., Am. J. Pathol. 148:707-713 (1996)
【非特許文献38】De Bleser et al., Hepatology 26:905-912 (1997)
【非特許文献39】Pawlowski, J. E., et al., J. Clin. Invest. 100:639-648 (1997)
【非特許文献40】Sugiyama, M. et al., Gastroenterology 114:550-558 (1998)
【非特許文献41】Munz, B. et al., EMBO J. 18:5205-5215 (1999)
【非特許文献42】Rosendahl, A. et al., Am. J. Respir. Cell Mol. Biol. 25:60-68 (2001)
【非特許文献43】Matzuk, M. M. et al., Proc. Natl. Acd. Sci. USA 91:8817-8821 (1994)
【非特許文献44】Coerver, K. A. et al., Mol. Endocrinol. 10:534-543 (1996)
【非特許文献45】Cipriano, S. C. et al., Edocrinology 141:2319-2327 (2000)
【非特許文献46】Logan, A. et al., Eur. J. Neurosci. 11:2367-2374 (1999)
【非特許文献47】Logan, A. et al., Exp. Meurol. 159:504-510 (1999)
【非特許文献48】Masliah, E. et al., Neurochem. Int. 39:393-400 (2001)
【非特許文献49】De Groot, C. J. A. et al., J. Neuropathol. Exp. Neurol. 58:174-187 (1999)
【非特許文献50】John, G. R. et al., Nat. Med. 8:1115-1121 (2002)
【非特許文献51】Dahly, A. J. et al., Am. J. Physiol. Regul. Integr. Comp. Physiol. 283:R757-767 (2002)
【非特許文献52】Sugiyama, M. et al., Gastroenterology 114:550-558(1998)
【非特許文献53】Liquid Crystals 10:273-287 (1991)
【非特許文献54】Kelly, S. M. Liquid 10:273-287 (1991)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本発明の発明者は2−ピリジルが置換されたイミダゾール誘導体の新規化合物を合成し、合成された新規化合物がALK5及びALK4のうち少なくとも1種に対して優れた抑制活性を示すため、ALK5及びALK4により媒介される多様な疾患、例えば、糸球体腎炎、糖尿病性腎症、ループス腎炎、高血圧による腎臓病、間質腎線維症、薬による合併症による線維症、HIVと関連した腎臓病、臓器移植懐死、全ての病因による肝線維症、感染による肝臓の機能障害、酒による肝炎、胆道系疾患、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、感染性のある、または毒性物質による突発性肺線維症、心筋梗塞後の心臓線維症、うっ性心不全、拡張型心筋症、心筋炎、血管狭窄症、再狭窄、アテローム性動脈硬化、眼球損傷、角膜損傷、 増殖性硝子体網膜症、外傷または手術での傷を治療する間に発生する真皮への過度または肥厚性瘢痕、またはケロイドの形成、腹膜及び皮下癒着、皮膚硬化症、線維硬化症、全身性進行性硬化、皮膚筋炎、多発性筋炎、関節炎、骨粗鬆症、潰瘍、損傷した神経機能、男性の勃起不全、アルツハイマー病、レイノー症候群、線維癌、腫瘍転移の成長、放射能による線維症、及び血栓症などの治療及び予防に有用であることを明らかにすることで本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は下記化学式1で表される化合物及びその薬剤学的に許容可能な塩をその特徴とする。
化学式1
【化1】

【0022】
前記化学式1において、
1は置換された、ナフチル基、アントラセニル基、またはフェニル基であり、前記置換基はハロゲン原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、−O−(CH2n−Ph、−S−(CH2n−Ph、シアノ基、フェニル基、及びCO2R(この時、Rは水素原子またはC1-6アルキル基であり、nは0または1〜3の整数である)で構成された群から選択され、またはR1は5〜7員の芳香族または非芳香族環で融合されたフェニル基またはピリジル基であり、この時、環はN、O及びSから独立的に選択された3種以下のヘテロ原子を含有することができ、前記融合されたフェニル基またはピリジル基はハロゲン原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、シアノ基、フェニル基、または=Oで置換することができる。
【0023】
2は水素原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、フェニル基、NH2、NH(CH2n−Ph、NH−C1-6アルキル基、ハロゲン原子、CN、NO2、CONHR、またはSO2NHRである(この時、Rは水素原子またはC1-6アルキル基であり、nは0または1〜3の整数である)。
【0024】
3は水素原子、C1-6アルキル基、C3-7シクロアルキル基、−(CH2p−NO2、−(CH2p−NR45、−(CH2p−CHO、−(CH2p−CONHOH、−(CH2p−CN、−(CH2p−CO2H、−(CH2p−CO24、−(CH2p−CONR45、−(CH2p−テトラゾール、−(CH2p−COR4、−(CH2q−(OR62、−(CH2p−OR4、−(CH2p−CH=CH−CN、−(CH2p−CH=CH−CO2H、−(CH2p−CH−CO24、−(CH2p−CH=CH−CONR45、−(CH2p−NHCOR4、−(CH2p−NHCO24、−(CH2p−CONHSO24、−(CH2p−NHSO24または−(CH2p−CH=CH−テトラゾールであり、
【0025】
4及びR5は各々水素原子、またはC1-6アルキル基であり、
6はC1-6アルキル基であり、
pは0または1〜4の整数であり、
qは1〜4の整数であり、
XはC1-10アルキレン基、C2-10アルケニレン基、またはC2-10アルキニレン基であり、
1とA2のうち一つはNであり、もう一つはNR7であり、及び
7は水素原子、OH、C1-6アルキル基、またはC3-7シクロアルキル基である。
前記化学式1の構造において、二重結合線上の点線は互変異性環を形成することができることを示したものであり、非置換された窒素に二重結合が位置するようになる。
【0026】
前記化学式1で表される化合物において、好ましくは、R1は任意に置換されたフェニル基またはナフチル基である。更に好ましくは、R1はハロゲン原子、OH、−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、及びフェニル基で構成される群から選択された置換基で置換されたフェニル基であるか、またはR1は5〜7員の芳香族または非芳香族の環で融合されたフェニル基であり、この時、環はN、O及びSから独立的に選択された2種以下のヘテロ原子を含有することができ、前記融合されたフェニル基またはピリジル基はハロゲン原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、または=Oで置換することができる。具体的に、R1はベンゾ[1,3]ジオキソリル(dioxolyl)、2,3−ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシニル(dioxinyl)、 ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾ[1,2,5]オキサジアゾリル、ベンゾ[1,2,5]チアジアゾリル、キノキサリニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾイミダゾリル、C1−6ベンゾイミダゾリル、[1,2,4]トリアゾロ[1,5−α]ピリジル、ベンゾ[1,4]オキサジニル−3−オン、ベンゾオキサゾニル−2−オンまたはベンゾ[1,4]オキサジニルが含まれる。
【0027】
前記化学式1で表される化合物において、R2は水素原子以外の化合物であることが好ましい。R2が水素原子以外である時、ピリジル環窒素のオルトの位置で置換される。また、R2はC1-4アルキル基であることがより更に好ましい。
前記化学式1で表される化合物において、R3は−(CH2p−CONHOH、−(CH2p−CN、−(CH2p−CO2H、−(CH2p−CONR45、または−(CH2p−テトラゾールであることが好ましい。
前記化学式1で表される化合物において、R4及びR5は各々水素原子またはC1-3アルキル基であることが好ましい。
前記化学式1で表される化合物において、pは0、1または2であることが好ましい。
前記化学式1で表される化合物において、XはC1-6アルキレン基であることが好ましい。
前記化学式1で表される化合物において、A1とA2のうち一つはNであり、もう一つはNR7であることが好ましく、この時R7は水素原子である。
前記化学式1で表される化合物において、代表的な化合物を具体的に例示すると下記の通りである。
【0028】
4−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル、
4−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル、
3−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−(2−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンゾニトリル、
4−(2−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(3−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンゾニトリル、
4−(3−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル、
3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、及び
その薬剤学的に許容可能な塩が含まれる。
【0029】
本発明による前記化学式1で表される化合物はその大きさが約1000ダルトン以下で典型的な有機低分子(非ペプチド性低分子)である。非ペプチド性低分子の分子量は、好ましくは約750ダルトン以下であり、より好ましくは約500ダルトン以下であり、最も好ましくは約300ダルトン以下である。
【0030】
また、前記化学式1で表される化合物は患者に投与する際、放出が容易に設計された‘プロドラッグ(prodrug)’形態で提供することができる。プロドラッグの製造は化学式1で表される化合物に含まれる置換基に応じて、当分野で一般的に知られた公知方法による。例えば、ヒドロキシル基が含まれた置換基は内因性酵素(endogenous enzymes)、または生体内の特定受容体や位置に、特異的な酵素により除去されるまでその化合物を生物学的不活性なものを生成することができる担体と結合させることができる。
【0031】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物が構造的にカルボキシル基またはフェノール性ヒドロキシ基などを含んでおり、本質的に酸性であればナトリウム、カリウム、カルシウムまたは金と共に薬剤学的に許容可能な塩を形成することもできる。また、本発明による前記化学式1で表される化合物はアンモニア、アルキルアミン類、ヒドロキシアルキルアミン類、及びN−メチルグリカミン(N−methylglycamine)の中から選択された薬剤学的に許容可能なアミン類と共に塩を形成することもできる。また、本発明による前記化学式1で表される化合物は酸で処理し、酸付加塩を形成することもできる。酸は当分野で公知されたものであり、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、p−ブロモフェニルスルホン酸、炭酸、コハク酸、クエン酸、安息香酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、アスコルビン酸、マレイン酸、酢酸などを含む無機及び有機酸が含まれる。酸付加塩を製造する方法として、遊離塩基状態の前記化学式1で表される化合物を有効量の酸(例えば、塩酸)で処理することで、酸付加塩(例えば、塩化水素塩)を製造することができる。また、酸付加塩は適切な塩基性水溶液(例えば、水酸化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、またはアンモニア)で処理し、遊離塩基に再び転換させることもできる。
【0032】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物の一部は水溶液及び有機溶媒のような溶媒を使用して結晶化または再結晶化させることができる。そのような場合、溶媒和物が形成される。従って、本発明は前記化学式1で表される化合物の水和物はもちろん、凍結乾燥のような方法により製造可能な多様な量の水が含有された化合物と同様な化学量論的な溶媒和物も、本発明の範囲に含まれる。
【0033】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物が少なくとも一つのキラル中心が存在すると、鏡像異性体またはジアステレオマーが存在し得る。また、アルケニル基を含む前記化学式1で表される化合物はシス−またはトランス−異性体が存在し得る。従って、本発明は前記化学式1で表される化合物の異性体混合物または各々の分離された異性体が本発明の範囲に含まれる。
【0034】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物は互変異性型でも存在し得るため、本発明は互変異性混合物または各々の互変異性を本発明の範囲に含む。
また、本発明は前記化学式1で表される化合物の放射性誘導体を含み、これらの放射性化合物は生体研究分野で有用である。
【0035】
本発明において‘アルキル基’は炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)の飽和脂肪族炭化水素基を称するもので、直鎖または分枝鎖でもある。例えば、アルキル基はメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘプチル基、及び2−エチルヘキシル基が含まれ、本発明はこれらに局限されない。また、アルキル基は場合によって少なくとも1つの置換基、例えば、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、またはメルカプト基で置換することができる。
【0036】
本発明において‘アルキレン基’は炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6、より好ましくは炭素数1〜4)の飽和脂肪族炭化水素を称するもので、本発明はこれらに局限されない。アルキレン基は直鎖または分枝鎖でもあり、具体的に例を挙げると、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、sec−ブチレン基、t−ブチレン基、n−ペンチレン基、n−ヘプチレン基、及び2−エチルへキシレン基が含まれる。また、アルキレン基は場合によっては少なくとも1つの置換基、例えば、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、またはメルカプト基で置換することができる。
【0037】
本発明において‘アルケニレン基’は炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4)の二重結合が少なくとも1つ存在する脂肪族炭化水素を称するもので、アルキレン基と同様に直鎖または分枝鎖でもある。例えば、アルケニレン基はアリレン基、イソプレニレン基、2−ブテニレン基、及び2−ヘキセニレン基が含まれ、本発明はこれらに極言されない。また、アルケニレン基は場合によって、少なくとも1つの置換基、例えば、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ヘテロアリールアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、アルキルスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルホニル機、アミノカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、シクロアルキルカルボニルアミノ基、シクロアルキルカルボニルアミノ基、シクロアルキルアルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アラルキルカルボニルアミノ基、ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ基、ヘテロシクロアルキルアルキルカルボニルアミノ基、ヘテロアリールカルボニルアミノ基、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ基、尿素基、チオ尿素基、スルファモイル基、スルファミド基、アルコキシカルボニル基、またはアルキルカルボニルオキシ基で置換することができる。
【0038】
本発明において‘アルキニレン基’は炭素数2〜10(好ましくは炭素数2〜6、より好ましくは炭素数2〜4)の三重結合が少なくとも1つ存在する脂肪族炭化水素を称するもので、直鎖または分枝鎖でもある、例えば、アルキニレン基はプロパルギレン基及びブチニレン基が含まれ、本発明はこれらに局限されない。また、アルキニレン基は場合によっては少なくとも1つの置換基、例えば、アルコキシ基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アラルコキシ基、ヘテロアリールアルコキシ基、アミノ基、ニトロ基、カルボキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、スルホ基、メルカプト基、アルキルスルファニル基、アルキルスルフィニル基、アルキルスルフォニル基、アミノカルボニル基、アルキルカルボニルアミノ基、シクロアルキルカルボニルアミノ基、シクロアルキルアルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、アラルキルカルボニルアミノ基、ヘテロシクロアルキルカルボニルアミノ基、ヘテロシクロアルキルアルキルカルボニルアミノ基、ヘテロアリールカルボニルアミノ基、ヘテロアラルキルカルボニルアミノ基、尿素基、チオ尿素基、スルファモイル基、スルファミド基、アルコキシカルボニル基、またはアルキルカルボニルオキシ基で置換することができる。
【0039】
本発明において‘シクロアルキル基’は炭素数3〜10(好ましくは炭素数4〜8)の脂肪族炭素環を称する。例えば、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、、アダマンチル基、ノルボルニル基、クビル(cuyl)基、オクタヒドロインデニル基、及びデカヒドロナフチル基を含むシクロアルキル基、ビシクロ[3.2.1]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[3.3.1]ノニル基、及びビシクロ[3.2.3]ノニル基を含むビシクロアルキル基が含まれる。
【0040】
本発明において‘アルコキシ基’は−O−アルキル基を意味し、この時、アルキルは前記で定義した通りである。
本発明において‘ハロアルキル基’はハロゲン原子を少なくとも1つ以上含むアルキルを意味する。例えば、ハロアルキル基はフルオロメチル基、クロロメチル基、ブロモメチル基、及びトリフルオロメチル基が含まれている。
本発明において‘ハロゲン基’または‘ハロ基’はフッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味する。
【0041】
本発明において‘ALK5及びALK4のうち少なくとも1種の抑制剤’は、抑制性スマッド(例えば、スマッド6及びスマッド7)以外のALK5及びALK4のうち少なくとも1種の受容体、好ましくはp38または第II型受容体に対して選択的に抑制する化合物を意味する。
本発明において‘ALK5−及びALK4−のうち少なくとも1種の媒介疾患’はALK5及びALK4のうち少なくとも1種により媒介または調節される任意の疾患、例えば、TGF−β及びアクチビンのうち少なくとも1種のシグナルパスウェイでスマッド2及びスマッド3のリン酸化の抑制により調節される疾患を言う。
【0042】
本発明において‘潰瘍’は糖尿病性潰瘍、慢性潰瘍、胃潰瘍、及び十二指腸潰瘍を挙げることができるが、これらにのみ局限されない。
【0043】
また、本発明は前記化学式1で表される化合物の製造方法を含む。前記化学式1で表される化合物は公知されているか、または市販中の出発物質を使用して当業者に知られている通常の手順を行い製造が可能である。出発物質が商業的に利用可能でなければ、本発明で記述されているか、または当業界に公知されている方法により製造して使用することもできる。



























【0044】
反応式1
【化2】

【0045】
本発明による前記化学式1で表される化合物において、A1=Nであり、A2=NH、またはA1=NHであり、A2=Nである化合物の製造方法は前記反応式1に表すことができる。特に、前記化学式2で表される置換された2−メチルピリジンをLDAまたはLiHMDSのような塩基を使用して脱水素化反応をさせた後、前記化学式3a(この時R8はC1-6アルキル基)、3bまたは3cで表される化合物と反応させ、前記化学式4で表されるケトン化合物を製造する。前記化学式3cで表されるメトキシ−メチル−アミドは相応する前記化学式3bで表される酸塩化物とN,O−ジメチルヒドロキシルアミン塩化水素を反応させて製造することができる。その後、前記化学式4で表されるケトン化合物をHBrとDMSOを使用して酸化反応を行い、前記化学式5で表されるジケトン化合物を製造する。そして、前記化学式5で表されるジケトン化合物を酢酸アンモニウム存在下で前記化学式6で表される置換されたアルデヒド化合物、または保護アルデヒド誘導体と適切に縮合反応させ、前記化学式1で表される化合物を製造する。前記反応式において、R1、R2、R3及びXは各々前記化学式1で定義した通りである。前記化学式6で表されるアルデヒド化合物は一般的な製造方法[WO 02/096875号;Liquid Crystals 10:273-287 (1991)]により製造することができる。また、前記反応式1による製造方法を行う際、前記化学式4で表されるケトン化合物は塩酸または酢酸と亜硝酸ナトリウムで処理して前記化学式7で表されるα−ケト・オキシム化合物を製造した後、酢酸アンモニウム存在下で、前記化学式6で表される置換されたアルデヒド化合物、または保護アルデヒド誘導体と縮合反応させ、N−ヒドロキシイミダゾール化合物を加えた後、亜リン酸トリエチルで処理し、前記化学式1で表される化合物を製造することができる。
【0046】
また、本発明による前記化学式1で表される化合物において、R3=−(CH2p−CNまたは−(CH2p−CH=CH−CNである化合物から下記反応式2により前記化学式1で表される化合物を製造することもできる。下記反応式2において、R1、R2、X及びpは各々前記化学式1で定義した通りであり、R4及びR5は各々水素原子、またはC1-6アルキル基である。
反応式2
【化3】

【0047】
前記化学式1〜6で表される本発明による最終目的化合物は通常の方法、例えば、カラムクロマトグラフィ及び再結晶法などにより分離し収得することができる。
前記化学式1で表される化合物は適切な投与経路、例えば、経口、口腔内、舌下、直腸内、膣内、鼻腔内、局所性または非経口(静脈内、筋肉内、皮下、及び冠動脈内を含む)投与により投与することができる。
本発明の局所製剤は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、眼軟膏剤および点眼液または点耳液、含浸ドレッシングおよびエアロゾルの形態で提供することができ、その他にも既存の適合した添加剤、例えば、防腐剤、薬物透過を助ける溶媒、または軟膏及びクリームのような皮膚軟化剤を含有することができる。
【0048】
また、本発明の製剤はクリームまたは皮膚軟膏剤の基材、及びローション用エタノールまたはオレイル・アルコールのような常用性の既存の担体を含有することができる。このような担体は製剤の約1質量%〜98質量%の範囲で存在することができる。更に好ましくは、担体は製剤中に約80質量%以下で存在することである。
【0049】
疾病の治療または予防を目的として前記化学式1で表される化合物を経口、口腔内または舌下投与する場合、投与量は平均体重が70kgの成人患者を基準する時、一般的に50〜5000mg/日である。従って、一般成人患者の場合、薬剤学的に許容可能な賦形剤または担体を使用して、有効化合物が25〜500mgほど含有されるように錠剤またはカプセル剤に剤形化し、1日1回〜数回に分けて単回または複数回投与により服用する。非経口投与のための剤形においては、有効化合物は25〜250mgの単回投与量が投与されるが、実質的に医師は各々患者に対して患者の年齢、体重及び患者の特性によって最も適当な投与量を決定する。前記投与量は平均的な場合を例示したものであり、個人的な差によってその投与量が高いか、または低いこともあり、これらは本発明の範囲に属する。
【0050】
ヒトに適用する際、前記化学式1で表される化合物は単独で投与することができるが、一般的に投与方式と標準薬学的慣行(standard phamaceutical practice)を考慮して選択された薬剤学的担体と混合させて投与することができる。例えば、前記化合物は澱粉またはラクトースのような賦形剤を含有させて錠剤形態で、またはカプセルまたは包嚢(ovules)を単独で、または賦形剤を含有させてカプセルまたは包嚢(ovules)形態で、または味を付けたり色を付ける化学薬品を含有させてエリキシル剤または懸濁剤形態に剤形化して、経口、口腔内または舌下に投与することができる。このような液体製剤は懸濁剤(例えば、メチルセルロース、ウイテプゾールのような半合成グリセリド、または杏仁油とPEG−6エステルの混合物、またはPEG−8とカプリル/カプリン酸グリセリドの混合物のようなグリセリド混合物)などの薬剤学的に許容可能な添加剤と共に製造される。また、非経口的には、例えば、静脈内、筋肉内、皮下、及び冠動脈内を通して注射することができる。また、非経口投与のためには前記化合物を無菌の水溶液形態で使用することがもっとも好ましく、例えば、塩類、またはマンニトール、グルコースなどの単糖類のような物質を含有させ、血液等張液を作り使用することもできる。
【0051】
従って、本発明は前記化学式1で表される化合物、薬剤学的に許容可能な塩、またはこれらの溶媒和物と共に薬剤学的に許容可能な希釈剤または担体が含有されている薬剤学的組成物を提供する。
また、本発明は前記化学式1で表される化合物、薬剤学的に許容可能な塩、またはこれらの溶媒和物、またはこれを含有する薬剤学的組成物の医薬品用途を提供する。
また、本発明は前記化学式1で表される化合物、薬剤学的に許容可能な、これらの塩、これらの溶媒和物、またはこれを含有する薬剤学的組成物、哺乳類においてALK5及びALK4のうち少なくとも1種により媒介される疾患の治療を目的とする医薬品製造に使用することを含む。
【0052】
ALK5−及びALK4−のうち少なくとも1種の媒介疾患には糸球体腎炎、糖尿病性腎症、ループス腎炎、高血圧による腎臓病、間質腎線維症、薬による合併症による線維症、HIVと関連した腎臓病、臓器移植懐死、全ての病因による肝線維症、感染による肝臓の機能障害、酒による肝炎、胆道系疾患、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、感染性のある、または毒性物質による突発性肺線維症、心筋梗塞後の心臓線維症、うっ性心不全、拡張型心筋症、心筋炎、血管狭窄症、再狭窄、アテローム性動脈硬化、眼球損傷、角膜損傷、 増殖性硝子体網膜症、外傷または手術での傷を治療する間に発生する真皮への過度または肥厚性瘢痕、またはケロイドの形成、腹膜及び皮下癒着、皮膚硬化症、線維硬化症、全身性進行性硬化、皮膚筋炎、多発性筋炎、関節炎、骨粗鬆症、潰瘍、損傷した神経機能、男性の勃起不全、アルツハイマー病、レイノー症候群、線維癌、腫瘍転移の成長、放射能による線維症、及び血栓症などが含まれる。但し、ALK5及びALK4のうち少なくとも1種の媒介疾患が前記列挙された疾患に局限されるわけではない。
【0053】
また、本発明は哺乳類において、ALK5及びALK4のうち少なくとも1種によるスマッド2またはスマッド3のリン酸化抑制により、TGF−β及びアクチビンのうち少なくとも1種のシグナルパスウェイを抑制する方法を提供する。
また、本発明は哺乳類において、ALK5及びALK4のうち少なくとも1種によるスマッド2またはスマッド3のリン酸化を抑制することで、TGF−β及びアクチビンのうち少なくとも1種のシグナルパスウェイを抑制させ、過剰細胞外マトリクス蓄積を減少させる方法を提供する。
また、本発明は哺乳類において、TGF−βのシグナルパスウェイの抑制により癌細胞の転移を抑制する方法を提供する。
また、本発明は哺乳類において、TGF−βのシグナルパスウェイの抑制によりTGF−βと発現により媒介される悪性腫瘍の治療方法を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0054】
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。下記の実施例での電子噴霧イオン化質量分析(ESI−MS)はQ−Tof2質量分析器(Micromass,Manchester,UK)を使用して行った。
【0055】
(実施例1)3−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリルの合成(化合物番号5)
【0056】
【化4】

【0057】
酢酸(3mL)に1−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−2−(6−メチルピリジン−2−イル)エタン−1,2−ジオン(50mg,0.19mmol)を溶解させた後、3−(ホルミルメチル)ベンゾニトリル(28mg,0.19mmol)[国際特許公開WO 02/096875号]とNH4OAc(86mg,1.11mmol)を添加した後、120℃で3時間加熱し、攪拌した。0℃まで冷却した後、28%NH4OH溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。CH2Cl2(10mL)で抽出した後、有機層を水(5mL)と塩水(5mL)で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥し、濾過した後、減圧下で蒸留した。濃縮物をシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:19(v/v))で精製することで固体の3−((4−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル26mg(36%)を得た。
MS(ESI)m/z 395.13(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7.52(s、1H)、7.46(m、1H)、7.40(t、1H)、7.33(d、1H)、7.32−7.26(m、2H)、7.09−7.04(m、2H)、6.90(d、1H)、6.82(d、1H)、5.96(s、2H)、4.10(s、2H)、2.38(s、3H)
【0058】
(実施例2)3−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミドの合成(化合物番号6)






【0059】
【化5】

【0060】
エタノール(4mL)に3−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル(70mg,0.17mmol)を溶解させた後、室温で30%H22溶液(0.59mmol)と6N NaOH溶液(0.04mmol)を添加した後、50〜60℃で3時間攪拌した。0℃まで冷却した後、1N NCl溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。エタノールを減圧下で蒸留した。濃縮物をCH2Cl2(30mL)に加えて、水(15mL)と塩水(15mL)で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥させた後、濾過し、減圧下で蒸留した。濃縮物をシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:9(v/v))で精製することで固体の3−((3−ベンゾ[1,3]ジオキソール−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド23mg(33%)を得た。
MS(ESI)m/z 413.11(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7.59(s、1H)、7.52(d、1H)、7.37(dd、1H)、7.24(m、2H)、7.15(t、1H)、7.01(overlapped、1H)、7.00(s、1H)、6.88(d、1H)、6.75(d、1H)、6.70(br s、1H)、6.02(br s、1H)、5.92(s、2H)、4.00(s、2H)、2.34(s、3H)
【0061】
(実施例3)4−((1−ヒドロキシ−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリルの合成(化合物番号30)
【0062】
【化6】

【0063】
t−ブチルメチルエーテル(2.5mL)に1−(6−メチルピリジン−2−イル)−2−(キノキサリン−6−イル)エタン−1,2−ジオン 1−オキシム(67mg,0.23mmol)を溶解させた。前記反応液に4−(ホルミルメチル)ベンゾニトリル(101mg,0.69mmol)[国際特許公開WO 02/096875号]とNH4OAc(89mg、1.15mmol)をメタノール(1.2mL)に溶解させて添加した後、室温で夜通し攪拌した。0℃まで冷却させた後、NaHCO3飽和溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。反応混合物をCH2Cl2(40mL)と水(40mL)で層分離した。水層はCH2Cl2(3×15mL)で繰り返し抽出した。有機層を集めて無水Na2SO4で乾燥した後、濾過し、減圧下で蒸留した。濃縮物をシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:30→1:19(v/v))で精製することで固体の4−((1−ヒドロキシ−5−(6−メチルピリジン−2−イル)4−(キノキサリン−6イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル38mg(40%)を得た。
MS(ESI)m/z 419.23(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.86(m、2H)、8.35(d、1H)、8.17(d、1H)、8.06(dd、1H)、7.62(m、2H)、7.56(m、2H)、7.52(t、1H)、7.36(d、1H)、7.06(d、1H)、4.31(s、2H)、2.61(s、3H)
【0064】
(実施例4)4−((5−6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミドの合成(化合物番号31)
【0065】
【化7】

【0066】
エタノール(16mL)とDMSO(4mL)の混合溶液に4−((1−ヒドロキシ−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル(264mg、0.631mmol)を溶解させた後、室温で30%H22溶液(6.62mmol)と6N NaOH溶液(0.47mmol)を添加し、50〜60℃で夜通し攪拌した。0℃まで冷却させた後、1N NCl溶液を加え、反応混合物のpHを7〜8に調節した。エタノールを減圧下で蒸留した。濃縮物にCH2Cl2(30mL)と水(50mL)を加えて層分離した。水層はNaClで飽和させた後、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。有機層は塩水(30mL)で洗浄した後、無水Na2SO4で乾燥した後、濾過し、減圧下で蒸留した。濃縮物を無水DMF(20mL)に溶かした後、亜リン酸トリエチル(2.39mmol)を加えて100℃で3日間加熱、攪拌した。反応混合物を室温まで冷却した後、減圧下で乾燥、蒸留した。反応混合物をCH2Cl2(30mL)と水(50mL)で層分離し、水層はCH2Cl2(2×30mL)で繰り返し抽出した。有機層を集めてNaHCO3飽和溶液(40mL)と塩水(50mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥、濾過した後、減圧下で蒸留した。濃縮物をシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:NeOH/CH2Cl2、1:9→1:5(v/v))で精製することで固体の4−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド96mg(36%)を得た。
MS(ESI)m/z 421.14(MH+);1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 12.01(br s、1H)、8.83(m、2H)、8.38(s、1H)、8.15(dd、2H)、7.55(d、2H)、7.42(dd、1H)、7.33(d、1H)、7.21(d、2H)、6.95(d、1H)、6.62(br s、1H)、5.83(br s、1H)、4.13(s、2H)、2.29(s、3H)
【0067】
(実施例5)4−(2−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミドの合成(化合物番号48)
【0068】
【化8】

【0069】
メタノール(50mL)に4−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル)ベンゾニトリル(1.50g、7.34mmol)[Kelly, S. M. Liquid 10:273-287 (1991)]を溶解させた後、室温で30%H22溶液(25.70mmol)と6N NaOH溶液(7.34mmol)を添加して50〜60℃で2時間攪拌した。0℃まで冷却させた後、1N HCl溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。メタノールを減圧、蒸留して、濃縮物はCH2Cl2(3×30mL)で抽出した。有機層を塩水(30mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥、濾過した後、減圧下で蒸留した。濃縮物をシリカゲルを充填しMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:19→1:9(v/v))で精製することで固体の4−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル)ベンズアミド1.58g(97%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 7.74(dd、2H)、7.29(d、2H)、6.01(br s、1H)、5.71(br s、1H)、4.89(t、1H)、3.99(m、2H)、3.88(m、2H)、2.80(m、2H)、1.99(m、2H)
【0070】
THF(22mL)に4−(2−(1,3−ジオキソラン−2−イル)エチル)ベンズアミド(0.50g、2.26mmol)を溶解させた後、室温で1N HCl溶液(20mL)を添加した。反応混合物を80〜90℃で1時間加熱し攪拌した後、室温まで冷却した。反応混合物を塩で飽和させた後、CHCl3(20mL)で5回抽出した。有機層は無水Na2SO4で乾燥、濾過した後、減圧下で蒸留することで固体の4−(2−ホルミルエチル)ベンズアミド0.40g(98%)を得た。
1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 9.82(t、1H)、7.74(m、2H)、7.27(m、2H)、6.14(br s、1H)、6.03(br s、1H)、3.01(m、2H)、2.81(m、2H)
【0071】
t−ブチルメチルエーテル(35mL)とメタノール(25mL)の混合溶液に1−(6−メチルピリジン−2−イル)−2−(キノキサリン−6−イル)エタン−1,2−ジオン(1.05g、3.79mmol)を溶解させた。前記反応液に、4−(2−ホルミルエチル)ベンズアミド(1.00g、5.69mmol)とNA4OAc(1.46g、18.95mmol)を添加した後、室温で夜通し攪拌した。0℃まで冷却した後、NaHCO3飽和溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。溶媒を除去した後、反応混合物はCH2Cl2(3×25mL)で抽出した後、有機層は無水Na2SO4で乾燥、濾過した後、減圧下で蒸留した。濃縮物はシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:19→1:9(v/v))で精製することで固体の4−(2−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)エチルベンズアミド1.08g(66%)を得た。
MS(ESI)m/z 435.19;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.82(d、2H)、7.64(d、2H)、7.43(t、1H)、7.32(d、1H)、7.17(d、2H)、6.99(d、1H)、6.58(br s、1H)、6.09(br s、1H)、3.06(s、4H)、2.45(s、3H)
【0072】
(実施例6)4−(3−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)プロピル)ベンゾニトリルの合成(化合物番号13)
【0073】
【化9】

【0074】
酢酸(8mL)に1−ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−2−(6−メチルピリジン−2−イル)エタン−1,2−ジオン(230mg、0.86mmol)を溶解させた後、4−(3−ホルミルプロピル)ベンゾニトリル(156mg、0.90mmol)[Kelly, S. M. Liquid 10:273-287 (1991)]とNH4OAc(396mg、5.14mmol)を添加し、120℃で3時間加熱、攪拌した。0℃まで冷却させた後、28%NH4OH溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。反応混合物はCH2Cl2(3×30mL)で抽出した後、有機層は無水Na2SO4で乾燥、濾過した後、減圧下で蒸留した。濃縮物をシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:30→1:19(v/v))で精製することで固体の4−(3−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1H−イミダゾール−2−イル)プロピル)ベンゾニトリル130mg(36%)を得た。
MS(ESI)m/z 423.14;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 10.63(br s、1H)、7.51(d、2H)、7.42(dd、1H)、7.30(d、1H)、7.24(d、2H)、7.10−7.04(m、2H)、6.93(d、1H)、6.82(d、1H)、5.98(s、2H)、2.74(m、4H)、2.47(s、3H)、2.07(m、2H)
【0075】
(実施例7)3−((5−(6−メチルピリジン−2イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリルの合成(化合物番号40)
【0076】
【化10】

【0077】
t−ブチルメチルエーテル(350mL)とメタノール(350mL)の混合液に1−(6−メチルピリジン−2−イル)−2−(キノキサリン−6−イル)エタン−1,2−ジオン(40.0g、144.26mmol)[国際特許公開WO 02/055077 A1]を溶解させた後、3−(ホルミルメチル)ベンゾニトリル(23.03g、158.69mmol)[国際特許公開WO 02/096875 A1]を添加し、t−ブチルメチルエーテル(350mL)と3−(ホルムメチル)ベンゾニトリル(23.03g、158.69mmol)の混合液と、メタノール(350mL)とNH4OAc(111.00g、1.44mol)の混合液を添加し、45℃で夜通し攪拌した。0℃まで冷却させた後、NaHCO3飽和溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。溶媒を除去した後、反応混合物はCH2Cl2(3×800mL)で抽出した後、有機層は無水MgSO4で乾燥、濾過した後、減圧下で蒸留した。濃縮物はシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:19→1:9(v/v))で精製することで固体の3−((5−(6−メチルピリジン−2イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル28.98g(50%、未精製化合物)を得た。
MS(ESI)m/z 403.14;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.84(m、2H)、8.39(s、1H)、8.15(s、2H)、7.56(s、1H)、7.46(m、3H)、7.37(d、1H)、7.32(t、1H)、6.99(d、1H)、4.17(s、2H)、2.37(s、3H)
【0078】
(実施例8)3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミドの合成(化合物番号41)
【0079】
【化11】

【0080】
エタノール(250mL)に3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1−(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル(28.98g、72.58mmol)を溶解させた後、30%H2O2(4.85mL、39.92mmol)と1N NaOH(250mL)を添加し、40℃で30分間加熱し30%H22(4.85mL、39.92mmol)を加えて攪拌した。30分後、0℃まで冷却させた後、1N HCl溶液を加えて反応混合物のpHを7〜8に調節した。溶媒を除去した後、反応混合物はCH2Cl2(3×450mL)で繰り返し抽出した後、有機層は無水MgSO4で乾燥、濾過した後、減圧下で蒸留した。濃縮物をシリカゲルを充填したMPLC(溶出液:MeOH/CH2Cl2、1:9→1:5(v/v))で精製することで固体の3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド18.49g(61%)を得た。
MS(ESI)m/z 421.23;1H NMR(400MHz、CDCl3)δ 8.79(s、2H)、8.34(s、1H)、8.06(s、2H)、7.71(s、1H)、7.55(d、1H)、7.41(t、1H)、7.34(d、1H)、7.29(d、1H)、7.19(t、1H)、6.96(d、1H)、6.83(br s、1H)、6.30(br s、1H),4.13(s、2H)2.36(s、3H)
【0081】
(実施例9)3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)塩酸ベンズアミドの合成(化合物番号58)
【0082】
【化12】

【0083】
乾燥したCH2Cl2(40mL)に3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド(5.0g、11.89mmol)を溶解した後、ガラス濾過器で濾過し、乾燥したCH2Cl2(20mL)で洗浄した。0℃まで冷却させた後、Et2O(18mL,18mmol)溶液と1.0M HClの混合液を反応混合物に添加し、室温で15分間攪拌し、減圧下で蒸留した後、リン酸塩で夜通し乾燥させて、黄白色粉末の3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)塩酸ベンズアミド5.25g(97%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 9.03(s、2H)、8.48(d、1H)、8.19(d、1H)、8.11(m、1H)、8.06(d、1H)、8.04(d、1H)、7.83(m、1H)、7.80(t、1H)、7.74(m、1H)、7.48(m、2H)、7.45(br s、1H)、7.38(d、1H)、4.54(s、2H)、2.54(s、3H)
【0084】
(実施例10)3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)硫酸ベンズアミドの合成(化合物番号59)
【0085】
【化13】

【0086】
乾燥したCH2Cl2(2mL)に3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミドを溶解した後、10%H2SO4とエタノール(80μL、0.14mmol)の混合液を添加し、室温で15分間攪拌した。反応混合液をMeOH(1mL)に加えた後、無水Et2O(15mL)に注ぎ、沈殿物を濾過してリン酸塩で夜通し乾燥させて、黄白色粉末の3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)硫酸ベンズアミド54mg(88%)を得た。
1H NMR(400MHz、DMSO−d6)δ 9.03(s、2H)、8.41(d、1H)、8.22(d、1H)、8.01−7.88(m、3H)、7.83(m、1H)、7.79(t、1H)、7.62(d、1H)、7.49(t、1H)、7.44(br s、1H)、7.39(d、1H)、7.35(d、1H)、4.45(s、2H)、2.58(s、3H)
【0087】
前記実施例1〜10と類似した方法により合成された化合物を下記表1に示し、質量分析の結果も共に示した。
【0088】
【表1】





【0089】




【0090】











【0091】











【0092】



【0093】












【0094】











【0095】











【0096】








【0097】











【0098】






【0099】







【0100】







【0101】













【0102】

【0103】
[生物学的データ]
本発明による化合物の生物学的活性は下記試験方法を利用して評価した。
【0104】
(1)スマッド3のALK5キナーゼのリン酸化抑制を評価するための無細胞分析
ヒスチジン(histidine)で表された、活発なALK5(T204D)とスマッド3のタンパク質は、インビトロジェン社のBacNBlueのバキュロ・ウイルス(bacurovirus)発現システムを利用して昆虫細胞内で発現させた。発現されたタンパク質はQiagenのNi−NTA樹脂カラムを使用して精製した。精製されたスマッド3タンパク質(200ng)は0.1M NaHCO3コーティング用緩衝液(100μL)と混合してピペットでフラッシュプレートにコーティングした。プレートはフタを閉じて室温で16時間培養した。その後、プレートをコーティング緩衝液(200μL)で3度洗い、室温で1時間PBS緩衝液内の1%ウシ血清アルブミン(BSA)を阻害させる。精製されたALK5タンパク質(100ng)、20mM t−塩酸(pH7.4)が含まれている反応緩衝液(100μL)、5mM MgCl2、1mM CaCl2、1mM DTT、1μM ATPおよび2μCi γ−32p−ATP、および各々異なる濃度の前記化学式1で表される試験化合物が溶解された100%DMSO溶液(1μL)を混合した。そして、分析試料はスマッド3でコーティングされたフラッシュプレートにALK5反応混合物を添加し、30℃で3時間培養した後、緩衝液を除去し、10mMピロリン酸塩ナトリウム溶液(200μL)で3度洗浄した。その後、フラッシュプレートを空気中で乾燥させ、パッカード社のTopCountで数えた。
【0105】
本発明による前記化学式1で表される化合物は典型的にIC50値が10μM以下であった。いくつかの化合物はIC50値が1μM以下であり、またいくつかの化合物はIC50値が50nM以下であった。
【0106】
(2)スマッド3のALK4キナーゼのリン酸化抑制を評価するための無細胞分析
本発明による前記化学式1で表される試験化合物によるスマッド3のALK4キナーゼリン酸化の抑制活性を調べるための実験である。前記ALK5抑制評価方法において、ヒスチジンで表されたALK5の代りにALK4を使用すること以外は類似した方法によって行った。
その結果、本発明による前記化学式1で表される化合物は典型的にIC50値が10μM以下であった。また、いくつかの化合物はIC50値が1μM以下であった。
【0107】
(3)TGF−βシグナルの細胞的抑制を評価するための分析
本発明による前記化学式1で表される化合物の生物学的活性はHepG2細胞内で試験化合物のTGF−βにより誘導されたスマッド結合発光酵素(SBE−Luc)伝達活性およびPAI−1−発光酵素(p3TP−Lux)伝達活性を抑制する能力を測定することで決めた。HepG2細胞は一時的にDMEM培地[10%FBS、ペニシリン100U/mL、L−グルタミン2mM、ピルビン酸ナトリウム1mM、および非必須アミノ酸]で育ったSBE−Luc伝達構造またはp3TP−Lux伝達構造を感染させた。感染された細胞を96−ウェルプレートにウェル当り2.5×104細胞濃度で敷き、0.5%FBSが含まれた培地で3〜6時間ほど37℃の5%CO2培養器に入れて置いておいた。そして、細胞は前記化学式1で表される試験化合物が存在する場合とそうでない場合に分けて1%DMSOが含まれたスタベーション培地で5ng/mL TGF−βリガンドで刺激し、37℃の5%CO2培養器に入れて24時間培養した。培地を洗い、細胞破砕液の発光活性を発光分析システム(Promega)を利用して評価した。
【0108】
本発明による前記化学式1で表される化合物は典型的にIC50値が10μM以下であった。いくつかの化合物はIC50値が1μM以下であり、またいくつかの化合物がIC50値が50nM以下であった。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明による化合物番号6、9、10、13および31によるHepG2細胞でのTGF−βにより誘導されたSBE−Luc伝達活性結果を表す。
【図2】本発明による化合物番号41によるHepG2細胞でのTGF−βにより誘導されたSBE−Luc伝達活性結果を表す。
【図3】本発明による化合物番号41によるHepG2細胞でのTGF−βにより誘導された3TP−Lux伝達活性結果を表す。
【図4】本発明による化合物番号41によるHepG2細胞でのTGF−βにより誘導されたPAI−1プロモーター−Luc伝達活性結果を表す。
【図5】本発明による化合物番号41によるHaCaTヒト・ケラチノサイト生成細胞でのTGF−βにより誘導されたPIP−1の発現結果を表す。
【図6】本発明による化合物番号41によるヒト皮膚線維芽細胞でのTGF−βにより誘導されたスマッド2およびスマッド3リン酸化の結果を表す。
【図7A】本発明による化合物番号41による、ラットの胆管結さつによる肝線維症の結果を表す。肝繊維症はラットに4週間胆管結さつを行って誘導し、次に薬剤を胆管結さつラットに1週間に3回、4週間経口投与した。
【図7B】本発明による化合物番号41による、ラットの胆管結さつによる肝線維症の結果を表す。
【図8】本発明による化合物番号41による体外タンパク質キナーゼの活性化の結果を表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される化合物またはその薬剤学的に許容可能な塩。
化学式1
【化1】

前記化学式1において、
1は置換された、ナフチル基、アントラセニル基、またはフェニル基であり、前記置換基はハロゲン原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、−O−(CH2n−Ph、−S−(CH2n−Ph、シアノ基、フェニル基、及びCO2R(この時、Rは水素原子またはC1-6アルキル基であり、nは0または1〜3の整数である)で構成された群から選択された1種以上であり、またはR1は5〜7員の芳香族または非芳香族環で融合されたフェニル基またはピリジル基であり、この時、環はN、O及びSから独立的に選択された3種以下のヘテロ原子を含有することができ、前記融合されたフェニル基またはピリジル基はハロゲン原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、シアノ基、フェニル基、または=Oで置換することができ、
2は水素原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、フェニル基、NH2、NH(CH2n−Ph、NH−C1-6アルキル基、ハロゲン原子、CN、NO2、CONHR、またはSO2NHRであり(この時、Rは水素原子またはC1-6アルキル基であり、nは0または1〜3の整数である)、
3は水素原子、C1-6アルキル基、C3-7シクロアルキル基、−(CH2p−NO2、−(CH2p−NR45、−(CH2p−CHO、−(CH2p−CONHOH、−(CH2p−CN、−(CH2p−CO2H、−(CH2p−CO24、−(CH2p−CONR45、−(CH2p−テトラゾール、−(CH2p−COR4、−(CH2q−(OR62、−(CH2p−OR4、−(CH2p−CH=CH−CN、−(CH2p−CH=CH−CO2H、−(CH2p−CH−CO24、−(CH2p−CH=CH−CONR45、−(CH2p−NHCOR4、−(CH2p−NHCO24、−(CH2p−CONHSO24、−(CH2p−NHSO24または−(CH2p−CH=CH−テトラゾールであり、
4及びR5は各々水素原子、またはC1-6アルキル基であり、
6はC1-6アルキル基であり、
pは0または1〜4の整数であり、
qは1〜4の整数であり、
XはC1-10アルキレン基、C2-10アルケニレン基、またはC2-10アルキニレン基であり、
1とA2のうち一つはNであり、もう一つはNR7であり、及び
7は水素原子、OH、C1-6アルキル基、またはC3-7シクロアルキル基である。
【請求項2】
前記R1はハロゲン原子、OH、−O−C1-6−アルキル基、−S−C1-6アルキル基、及びフェニル基の中から選択された少なくとも1種の置換基で置換されたフェニル基、またはR1は5〜7員の芳香族または非芳香族環で融合されたフェニル基であり、この時、環はN、O及びSから独立的に選択された2種以下のヘテロ原子を含有することができ、前記融合されたフェニル基またはピリジル基はハロゲン原子、OH、−O−C1-6アルキル基、−S−C1-6アルキル基、C1-6アルキル基、C1-6ハロアルキル基、または=Oで置換することができ、
2は水素原子以外の置換基として、前記置換基はピリジル環窒素のオルトの位置で置換され、
3は−(CH2p−CONHOH、−(CH2p−CN、−(CH2p−CO2H、−(CH2p−CONR45、または−(CH2p−テトラゾールであり、
4及びR5は各々水素原子またはC1-3アルキル基であり、
pは0、1または2であり、
XはC1-6アルキレン基であり、及び
1とA2のうち一つはNであり、もう一つはNR7であり、この時R7は水素原子である
ことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項3】
前記化学式1で表される化合物が、
4−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル、
4−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル、
3−((4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−(2−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンゾニトリル、
4−(2−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(3−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンゾニトリル、
4−(3−(4−(ベンゾ[1,3]ジオキソル−5−イル)−5−(6−メチルピリジン−2−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−((5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンゾニトリル、
3−((5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
3−((5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)メチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
4−(2−(5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−メチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−エチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−n−プロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−イソプロピルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、
3−(2−(5−(6−n−ブチルピリジン−2−イル)−4−(キノキサリン−6−イル)−1(3)H−イミダゾール−2−イル)エチル)ベンズアミド、及び
その薬剤学的に許容可能な塩の中から選択されることを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項4】
請求項1の化学式1で表される化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物(solvate)が含有していることを特徴とする薬剤組成物および薬剤学的に許容可能な賦形剤または担体。
【請求項5】
請求項1の化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を哺乳類に治療学的有効量を投与し、TGF−β及びアクチビンのうち少なくとも1種のシグナルパスウェイ(signaling pathway)を抑制する方法。
【請求項6】
請求項1の化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を哺乳類に治療学的有効量を投与し、過剰細胞外マトリクスの蓄積を抑制する方法。
【請求項7】
請求項1の化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を哺乳類に治療学的有効量を投与し、癌細胞の転移を抑制する方法。
【請求項8】
請求項1の化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を哺乳類に治療学的有効量を投与し、TGF−βのシグナルパスウェイを抑制することで、TGF−βの過剰発現により媒介される悪性腫瘍を治療する方法。
【請求項9】
請求項1の化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を哺乳類に治療学的有効量を投与し、
糸球体腎炎、糖尿病性腎症、ループス腎炎、高血圧による腎臓病、間質腎線維症、薬による合併症による線維症、HIVと関連した腎臓病、臓器移植懐死、全ての病因による肝線維症、感染による肝臓の機能障害、酒による肝炎、胆道系疾患、肺線維症、慢性閉塞性肺疾患、感染性のある、または毒性物質による突発性肺線維症、心筋梗塞後の心臓線維症、うっ性心不全、拡張型心筋症、心筋炎、血管狭窄症、再狭窄、アテローム性動脈硬化、眼球損傷、角膜損傷、 増殖性硝子体網膜症、外傷または手術での傷を治療する間に発生する真皮への過度または肥厚性瘢痕、またはケロイドの形成、腹膜及び皮下癒着、皮膚硬化症、線維硬化症、全身性進行性硬化、皮膚筋炎、多発性筋炎、関節炎、骨粗鬆症、潰瘍、損傷した神経機能、男性の勃起不全、アルツハイマー病、レイノー症候群、線維癌、腫瘍転移の成長、放射能による線維症、そして繊維化が主要構成成分である疾患、及び血栓症からなる群から選択された疾病の治療方法。
【請求項10】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項8記載の治療方法。
【請求項11】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項9記載の治療方法。
【請求項12】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項10記載の治療方法。
【請求項13】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項11記載の治療方法。
【請求項14】
前記R2がC1-4アルキル基であることを特徴とする請求項2記載の化合物。
【請求項15】
哺乳類に投与する際、請求項1の化合物を放出することを特徴とするプロドラッグ(prodrug)。
【請求項16】
内因的に除去されるまで不活性なものに精製する担体と結合されたヒドロキシ基を含む請求項1の化合物であることを特徴とする請求項15記載のプロドラッグ。
【請求項17】
少なくとも1つ以上のキラル中心を含むことを特徴とする請求項1記載の化合物。
【請求項18】
鏡像異性体であることを特徴とする請求項17記載の化合物。
【請求項19】
ジアステレオマーであることを特徴とする請求項17記載の化合物。
【請求項20】
請求項1の化合物、薬剤学的に許容可能なその塩、またはその溶媒和物を哺乳類に治療学的有効量を投与し、血栓症を抑制する方法。
【請求項21】
前記哺乳類がヒトであることを特徴とする請求項20記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8−1】
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【図8−2】
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【公表番号】特表2007−533734(P2007−533734A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−509388(P2007−509388)
【出願日】平成16年11月9日(2004.11.9)
【国際出願番号】PCT/KR2004/002891
【国際公開番号】WO2005/103028
【国際公開日】平成17年11月3日(2005.11.3)
【出願人】(506355637)アイエヌ2ジェン カンパニー リミテッド (1)
【出願人】(504035663)エスケイ ケミカルズ カンパニー リミテッド (4)
【出願人】(506355648)エファ ユニヴァーシティー コラボレイション ファンデイション (1)
【Fターム(参考)】