説明

ASK変調とPSK変調によりエンコードされた信号の復調

【課題】ASK−PSK変調では、消光比はASK通信に最適な消光比とPSK通信に最適な消光比との間で選択され、ASK通信またはPSK通信にとって最適なものではない。
【解決手段】ASK変調とPSK変調によりエンコードされた信号を復調するシステムである。ASK変調とPSK変調により変調されたPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生されるASKデコード信号を受け取る1つ以上の反転変調器を有する。反転変調器は、ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせるインバータと、PSK復調の前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を、反転ASKデコード信号により変調する、インバータに結合した振幅変調器とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号通信に関し、より具体的にはASK変調とPSK変調によりエンコードされた信号の復調に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信においては、信号は位相シフトキーイング(PSK)と振幅シフトキーイング(ASK)を用いて変調される。PSK変調においては、信号の位相を使ってデータを表し、ASK変調においては、信号の振幅を変更してデータを表す。
【0003】
トランスミッタはPSK変調器とASK変調器とを有している。PSK変調器はビットシーケンスをそのビットシーケンスを表す信号位相の変化に変換し、ASK変調器は別のビットシーケンスをそのビットシーケンスを表す信号振幅に変換する。レシーバはPSK復調器とASK復調器とを有している。PSK復調器は位相変化を変換し、ASK復調器は振幅を復調して、それぞれビットシーケンスを読み出す。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ASK変調では、消光比(extinction ratio)とは、「1」を表すパルスの光強度と、「0」を表すパルスの光強度との比率である。一般的に、消光比が高いとASK通信の効率がよくなる。しかし、ASK−PSK変調では、消光比が10デシベルであれば、ASK通信は最適であるが、PSK通信は最適ではない。一般的に既知のシステムでは、消光比はASK通信に最適な消光比とPSK通信に最適な消光比との間で選択される。例えば、7デシベルの消光比が選択される。しかし、妥協的な消光比は一般的にはASK通信またはPSK通信にとって最適なものではない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、ASK変調とPSK変調によりエンコードされた信号を復調する従来の方法に付随する不利益と問題を小さくまたは無くなる。
【0006】
本発明の一実施形態では、ASK変調とPSK変調によりエンコードされたPSK−ASKエンコード信号を変調するシステムは、1つ以上の反転変調器を含む。反転変調器はPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生されたASKデコード信号を受け取る。反転変調器はインバータと振幅変調器とを含む。インバータはASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じ、振幅変調器は、PSK復調前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を反転ASKデコード信号により変調する。
【0007】
本発明の実施形態は1つ以上の技術的有利性を提供する。一実施形態の技術的な有利性は、復調器はPSK−ASK信号を変調し、PSK復調の前にその信号の振幅を選択的に修正することである。本実施形態では、復調器はASK及びPSK変調によりエンコードされたPSK−ASK信号を分離する。第1の信号はASK復調され、ASKデコード(ASK-decoded)信号を生じる。第2の信号は、反転されたASKデコード信号により変調され、第2の信号の振幅を選択的に修正する。振幅を選択的に大きくすると、PSK通信の消光比が低いことによる不利な効果が減少する。
【0008】
一実施形態の他の技術的な有利性は、多値ASK変調によりエンコードされたPSK−ASK信号を復調器が復調することである。弁別器を使用して結合ASKデコード信号をASKデコード信号に分割する。次にそのASKデコード信号を反転する。
【0009】
本発明の実施形態には、上記の技術的な有利性を含まないもの、一部を含むもの、すべてを含むものがある。図面、詳細な説明、及び特許請求の範囲に基づき、当業者には容易に1つ以上の技術的な有利性が明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明とその特徴及び優位性をよりよく理解してもらうため、添付した図面を参照しつつ以下に説明する。
【0011】
本発明の実施形態とその有利性は、図1乃至図4を参照してよく理解される。図面において、同じ参照符号は同一または対応する要素を示している。
【0012】
図1は、振幅シフトキーイング(ASK)及び位相シフトキーイング(PSK)変調により信号を通信するシステム10の一実施形態を示す図である。本実施形態では、システム10は復調器を含み、この復調器はPSK−ASK信号を変調し、PSK復調の前にその信号の振幅を選択的に修正する。本実施形態では、復調器はASK及びPSK変調によりエンコードされたPSK−ASK信号を分離する。第1の信号はASK復調され、ASKデコード(ASK-decoded)信号を生じる。第2の信号は、反転されたASKデコード信号により変調され、第2の信号の振幅を選択的に修正する。振幅を選択的に大きくすると、PSK通信の消光比が低いことによる不利な効果が減少する。
【0013】
一実施形態では、システム10は信号を通信する。信号は光のパルスとして送信される光信号であってもよい。例えば、光信号の波長は約1550ナノメートルであり、データレートは毎秒10ギガビット、20ギガビット、40ギガビット、またはそれ以上である。信号は、音声、データ、オーディオ、ビデオ、マルチメディアその他の情報、またはこれらの任意の組合せ等の任意の情報を通信ことができる。
【0014】
システム10は複数の装置を含み、その装置はその動作を実行するように動作可能なコンポーネント(components)を有する。例えば、1つの装置(device)はロジック、インターフェイス、メモリ、またはこれらの好適な任意の組合せを含む。「ロジック(logic)」とは、ハードウェア、ソフトウェア、その他のロジック、またはこれらの好適な組合せをいう。ロジックは装置の動作を管理するものであってもよく、例えばプロセッサを含んでいてもよい。「プロセッサ」とは、命令を実行し、データを操作して演算を実行する任意の好適な装置をいう。
【0015】
「インターフェイス」は、入力を受け取り、出力の送り出し、その入出力を好適に処理し、またはこれらの組合せを行うことができ、1つ以上のポート、変換ソフトウェア、またはこれら両方を含む。「メモリ」は、情報を格納してその読み出し、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、磁気ドライブ、ディスクドライブ、コンパクトディスク(CD)ドライブ、デジタルビデオディスク(DVD)ドライブ、リムーバブルメディアストレージ、その他の任意の好適なストレージメディア、またはこれらの任意の組合せを含む。
【0016】
図示した実施形態では、システム10はトランスミッタ20を含む。このトランスミッタ20はレシーバ28と信号を通信する。本実施形態では、トランスミッタ20はPSK及びASK変調により信号を変調し、データをエンコードしてPSK−ASKエンコード信号(encoded signal)にする。レシーバ28は、PSK及びASK復調によりPSK−ASK信号を復調し、信号にエンコードされているデータをデコードする。トランスミッタ20とレシーバ28は、図2Aと図2Bを参照して説明するPSK及びASKの変復調を実行する。
【0017】
図2Aと図2Bは、図1のシステム10が行う信号のPSK及びASKの変復調の例を示す図である。図2Aの線図2乃至線図4は、信号のPSK及びASK変調を示す。この変調により信号はPSK−ASKエンコード信号(encoded signal)を生じ、送信される。線図2はPSK変調を示し、ビットシーケンス11010を信号にエンコードしている。線図3はPSK信号の振幅を変調するRZ(return-to-zero)変調を示している。線図4はビットシーケンス1100をエンコードした信号をASK変調して生じたPSK−ASKエンコード信号(encoded signal)を示す。
【0018】
線図5と線図6は、PSK−ASKエンコード信号の復調を示す。信号は第1の信号と第2の信号に分離される。線図5は第1の信号をASK変調したASKデコード信号(decoded signal)を示し、これはビットシーケンス1100に対応する。線図6はASKデコード信号(decoded signal)を反転した反転ASKデコード信号(decoded signal)を示し、これはビットシーケンス0011に対応する。線図7は第2の信号を反転ASKデコード信号を用いて変調してその振幅を選択的に修正したものである。振幅を選択的に修正すると、PSK通信の消光比が低いことによる不利な効果が減少する。
【0019】
図1に戻り、トランスミッタ20はPSK変調とASK変調により信号を変調する1つ以上の好適な構成要素を含む。図示した実施形態では、トランスミッタ20は光源22、PSK変調器24、ASK変調器26を含み、これらは図示したように結合している。
【0020】
実施形態では、光源22は光ビームを放射し、その光ビームはビットによりエンコードされ情報を通信する信号を生じる。光源22は連続波の光ビームを放射して、その光ビームを1つ以上の信号に分離してエンコードしてもよい。
【0021】
PSK変調器24はPSK変調により信号を変調する。一実施形態では、PSK変調は差分PSK(DPSK)変調を意味する。DPSK変調では、連続するシンボル間の位相シフトはビットを表す。n位相シフトキーイング(n−PSK)変調では、n個の相異なる位相シフトを使用してシンボルごとにpビットをエンコードする。ここでn=2である。例えば、差分2値PSK(DBPSK)は2つの位相シフトを使用してシンボルごとに1ビットをエンコードし、差分4相位相シフトキーイングは4つの位相シフトを使用してシンボルごとに2ビットをエンコードする。
【0022】
図示した実施形態では、PSK変調器24はDQPSKモジュール40とRZ(return-to-zero)モジュール44とを含み、これらは図示したように結合している。図示した実施形態では、DQPSKモジュール40はスプリッタ46、位相シフタ50、1つ以上のPSKデータエンコーダ54、及びカプラ58を含み、これらは図示したように結合している。
【0023】
スプリッタ46は光源22からの信号を分離して、各PSKデータエンコーダ54の信号を生じる。位相シフタ50は、n−PSK変調のレベルnに適した位相差にするため、信号の位相をシフトする。図示した実施形態では、位相はπ/2だけシフトされる。
【0024】
PSKデータエンコーダ54はPSK変調によりPSKデータ56をエンコードし、プリコーダ62と位相変調器66を含む。これらは図示したように結合している。プリコーダ62はPSKデータ56にプリコーディング操作(pre-coding operations)をする。位相変調器66は、PSKデータ56をエンコードして信号にするため、PSKデータ56により信号の位相を変調する。カプラ58はPSKデータエンコーダ54からのエンコード信号(encoded signals)を結合してPSKエンコード信号を生じる。
【0025】
RZモジュール44はRZ変調によりPSKエンコード信号を変調し、各パルス間で信号の振幅をゼロに戻す。RZモジュール44はクロック70と振幅変調器74とを含む。クロック70はクロック信号を供給する。振幅変調器74はクロック70から受け取ったクロック信号によりPSKエンコード信号を変調する。振幅変調器74は好適な振幅変調器を表す。一般的に、振幅変調器の例はマッハ・ゼンダー変調器等の強度変調器を含む。
【0026】
ASK変調器26はASK変調により信号をエンコードする。ASK変調では、連続するシンボル間の振幅シフトがビットを表す。n位相振幅キーイング(n−レベルASK)変調では、n個の相異なる振幅シフトを使用してシンボルごとにpビットをエンコードする。ここでn=2である。例えば、2レベルASKは2つの振幅シフトを使用してシンボルごとに1ビットをエンコードし、4レベルASKは4つの振幅シフトを使用してシンボルごとに2ビットをエンコードする。
【0027】
ASK変調器26は、図1に示したASKデータエンコーダ76のように、1つ以上のASKデータエンコーダ76を含む。ASKデータエンコーダ76はASKデータ77をエンコードしてASK変調による信号にする。ASKデータエンコーダ76は信号をエンコードする1つ以上の構成要素を含む。図示した実施形態では、ASKデータエンコーダ76はASKデータ77により信号の振幅を変調する振幅変調器78を含む。
【0028】
レシーバ28はPSKとASK変調により信号を変調する1つ以上の好適な構成要素を含む。図示した実施形態では、レシーバ28はASK変調器78、プリPSK変調・復調器80、及びPSK復調器82を含み、これらは図示したように結合している。
【0029】
スプリッタ84はPSK−ASKエンコード信号を分離してPSK及びASK復調する信号を生じる。ASK復調器78はPSK−ASKエンコード信号から分離した信号を復調し、ASKデータ77に対応するASKデコード信号を生じる。ASK復調器78はフォトダイオード90を含む。フォトダイオード90は振幅シフトを電気信号に変換してASKデコード信号(decoded signal)を生じる。
【0030】
プリPSK変調・復調器80は反転されたASKデコード信号によりPSK−ASKエンコード信号から分離した信号を変調し、その信号の振幅を選択的に修正する。振幅を選択的に大きくすると、PSK通信の消光比が低いことによる不利な効果が減少する。
【0031】
プリPSK変調・復調器80は、図1に示した反転変調器92のような1つ以上の反転変調器92を含む。反転変調器92はASKデコード信号(decoded signal)を反転する。反転変調器92はインバータ94、遅延素子(delay)98、変調器102を含み、これらは図示したように結合している。インバータ94はASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じる。インバータ94は論理インバータを含む。
【0032】
遅延素子98は反転ASKデコード信号とPSK−ASK信号から分離した信号とが変調器102にほぼ同時に付くように遅延させる。図ではインバータ94は遅延素子98の前に配置してあるが、遅延素子98をインバータ94の前に配置してもよい。反転変調器92は反転ASKデコード信号を増幅する増幅器も含む。変調器102は反転ASKデコード信号によりASK−PSKエンコード信号を変調する。変調器102の消光比はASK変調器78の消光比と同じかほぼ同じである。
【0033】
PSK変調器82は変調器80が変調した信号を変調してPSKデコード信号を生じる。PSK復調器82は連続するビット間の位相シフトを比較してPSKエンコード信号を復調する。PSK復調器82はスプリッタ110と1つ以上のPSKデータデコーダ114とを含む。スプリッタ110は受け取った信号を各PSKデータデコーダ114の信号に分離する。
【0034】
データデコーダ114は信号をデコードしてPSKデータ116を生じる。PSKデータデコーダ114はデコーダ118とレシーバ122とを含む。デコーダ118は受け取った信号を分離して複数の信号を生じ(yield)、1ビットだけ信号を遅延させて、遅延信号と非遅延信号とを作る。デコーダ118は遅延信号及び非遅延信号と強め合うように(constructively)及び弱め合うように(destructively)干渉して連続するビットの位相を比較する。レシーバ122はフォトディテクタを含み、そのフォトディテクタが干渉を検出する。PSKデータ116は干渉により発生する。
【0035】
本発明の範囲から逸脱することなく、システム10に修正、追加、または削除をすることができる。システム10の構成要素は具体的な必要性に応じて一体化されたり、分離されたりしてもよい。さらに、システム10の動作を実行する装置は、これより多くても少なくてもよいし、他の装置であってもよい。また、システム10の動作の実行は、いかなる好適なロジックを用いて行われてもよい。本明細書では、「各」とは、集合の各要素、または集合の部分集合の各要素を指す。
【0036】
図3は、ASK及びPSK変調により信号を通信するシステム110の他の実施形態を示す図である。システム110は、トランスミッタ120とレシーバ128とを含む。これらは図1のトランスミッタ20及びレシーバ28と同様の動作をする。
【0037】
トランスミッタ120はPSK変調及びASK変調により信号を変調する。トランスミッタ120は光源22とPSKモジュール24とを含む。これらは図1を参照して説明したのと同様である。トランスミッタ120もASK変調器126を含み、これは図1のASK変調器26と同様の動作をする。ASK変調器126は、図1に示した2つのASKデータエンコーダ176a、bのように、1つ以上のASKデータエンコーダ176を含む。ASKデータエンコーダ176はASKデータ177をエンコードしてASK変調による信号にする。例えば、ASKデータエンコーダ176aはASKデータ177aをエンコードし、ASKデータエンコーダ176bはASKデータ177bをエンコードする。ASKデータエンコーダ176は図1のASKデータエンコーダ76とほぼ同じである。図示した実施形態では、ASKデータエンコーダ176aは振幅変調器178aを含み、ASKデータエンコーダ176bは振幅変調器178bを含む。
【0038】
レシーバ128はPSK復調とASK復調によりPSK−ASKエンコード信号(encoded signal)を復調する。レシーバ128はPSK復調器82とASK復調器78とを含む。これらは図1を参照して説明したのと同様である。ASK復調器78はPSK−ASKエンコード信号から分離した信号を復調し、結合ASKデコード信号(combined ASK-decoded signal)を生じる。結合ASKデコード信号はASKモジュール126がエンコードしたASKデータ177a、bに対応する。
【0039】
レシーバ128はプリPSK変調・復調器180を含む。これは図1のプリPSK変調・復調器80と同様の動作を行う。プリPSK変調・復調器180は、弁別器130と、図1に示した2つの反転変調器92のような1つ以上の反転変調器192とを含む。これらは図示したように結合している。
【0040】
弁別器130は結合ASKデコード信号を受け取り、分離してASKデコード信号を生じる。各ASKデコード信号はASKデータ177を伝送する。この例では、1つのASKデコード信号がASKデータ177aを伝送し、他のASKデコード信号がASKデータ177bを伝送する。各ASKデコード信号は反転変調器192に送られる。この例では、1つのASKデコード信号は反転変調器192aに送られ、他のASKデコード信号は反転変調器192bに送られる。
【0041】
反転変調器192はASKデータ177を伝送するASKデコード信号(decoded signal)を反転する。この実施例では、反転変調器192aがASKデータ177aを伝送するASKデコード信号を反転し反転変調器192bがASKデータ177bを伝送するASKデコード信号を反転する。反転変調器192の消光比はASK変調器178の消光比と同じかほぼ同じである。
【0042】
本発明の範囲から逸脱することなく、システム110に修正、追加、または削除をすることができる。システム110の構成要素は具体的な必要性に応じて一体化されたり、分離されたりしてもよい。さらに、システム110の動作を実行する装置は、これより多くても少なくてもよいし、他の装置であってもよい。また、システム10の動作の実行は、いかなる好適なロジックを用いて行われてもよい。
【0043】
図4は、ASK及びPSK変調により信号を通信する方法の一実施形態を示す図である。この方法は図1のシステム10または図3のシステム110により実行される。
【0044】
この方法はステップ210で始まり、光源22が信号を発生する。ステップ214において、その信号をPSK変調により変調する。一実施形態では、DQPSKモジュール40がその信号をPSK変調してPSKデータ56をエンコードし、RZモジュール44がその信号をRZ変調する。ステップ218において、その信号をASK変調により変調する。一実施形態では、ASKモジュール26がその信号をASK変調してASKデータ77をエンコードする。ステップ222において、PSK−ASKエンコード信号を送信する。
【0045】
ステップ226において、レシーバ28がPSK−ASK信号を受信する。ステップ234において、PSK−ASK信号から分離した第1の信号をASK復調により復調し、ASKデコード信号を生じる。ステップ238において、プリPSK変調・復調器80がASKデコード信号受け取る。ステップ242において、インバータ80がASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じる。ステップ246において、遅延素子98が反転ASKデコード信号を遅延させる。
【0046】
ステップ250において、変調器102が、PSK−ASK信号から分離した第2の信号を、反転ASKデコード信号により変調する。その変調により第2の信号の振幅を選択的に修正すると、PSK通信の消光比が低いことによる不利な効果が減少する。ステップ254において、第2の信号をPSK復調して、PSKデコード信号を生じる(yield)。PSK復調をして、本方法は終了する。
【0047】
本発明の範囲から逸脱することなく、本方法に修正、追加、または削除をすることができる。本方法に含まれるステップはこれより多くても少なくてもよく、他のステップが含まれてもよい。また、ステップを好適な任意の順序で実行してもよい。
【0048】
本発明の実施形態は1つ以上の技術的有利性を提供する。一実施形態の技術的な有利性は、復調器はPSK−ASK信号を変調し、PSK復調の前にその信号の振幅を選択的に修正することである。本実施形態では、復調器はASK及びPSK変調によりエンコードされたPSK−ASK信号を分離する。第1の信号はASK復調され、ASKデコード(ASK-decoded)信号を生じる。第2の信号は、反転されたASKデコード信号により変調され、第2の信号の振幅を選択的に修正する。振幅を選択的に大きくすると、PSK通信の消光比が低いことによる不利な効果が減少する。
【0049】
一実施形態の他の技術的な有利性は、多値ASK変調によりエンコードされたPSK−ASK信号を復調器が復調することである。弁別器を使用して結合ASKデコード信号をASKデコード信号に分割する。次にそのASKデコード信号を反転する。
【0050】
本開示を実施形態とそれに一般的に関連づけられた方法とに関して説明したが、これらの実施形態及び方法の変形や置き換えは当業者には明らかである。従って、上記の実施形態の説明には、これは開示していない。添付した特許請求の範囲に記載した本開示の精神と範囲から逸脱せずに、その他の変更、置き換え、改変も可能である。
【0051】
なお、本発明のいくつかの実施形態を整理すると以下の通りである。
(付記1) 振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調するシステムであって、
ASK変調とPSK変調により変調されたPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生されるASKデコード信号を受け取る1つ以上の反転変調器を有し、
前記反転変調器は、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせるインバータと、
PSK復調の前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を、前記反転ASKデコード信号により変調する、前記インバータに結合した振幅変調器とを有するシステム。
(付記2) 前記反転変調器は、前記反転ASKデコード信号をPSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号と同期させる、前記インバータに結合した遅延素子をさらに有する、付記1に記載のシステム。
(付記3) 前記PSK−ASKエンコード信号により発生した結合ASKデコード信号を受け取り、前記結合ASKデコード信号を分割して前記1つ以上の反転変調器の1つ以上のASKデコード信号を生じさせる、前記1つ以上の反転変調器に結合した弁別器をさらに有する、付記1に記載のシステム。
(付記4) 前記1つ以上の反転変調器はn個の反転変調器よりなり、前記PSK−ASKエンコード信号をn値のASK変調によりエンコードする、付記1に記載のシステム。
(付記5) 前記1つ以上の反転変調器は2個の反転変調器よりなり、前記PSK−ASKエンコード信号を2値のASK変調によりエンコードする、付記1に記載のシステム。
(付記6) 前記PSK−ASKエンコード信号をRZ変調によりエンコードする、付記1に記載のシステム。
(付記7) 前記1つ以上の反転変調器に結合した、前記PSK−ASKエンコード信号を分離して前記第1の信号と前記第2の信号とを生じさせるスプリッタをさらに有する、付記1に記載のシステム。
(付記8) 前記1つ以上の反転変調器に結合した、前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第1の信号を復調し、前記ASKデコード信号を生じさせるASK復調器をさらに有する、付記1に記載のシステム。
(付記9) 前記1つ以上の反転変調器に結合した、前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号を復調し、PSKデコード信号を生じさせるPSK復調器をさらに有する、付記1に記載のシステム。
(付記10) 前記反転変調器の消光比は前記PSK−ASKエンコード信号をエンコードする変調器とほぼ同じ消光比である、付記1に記載のシステム。
(付記11) 振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調する方法であって、
ASK変調とPSK変調により変調されたPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生される1つ以上のASKデコード信号のうちの各ASKデコード信号について、
ASKデコード信号を受け取る段階と、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせる段階と、
PSK復調の前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を、前記反転ASKデコード信号により変調する段階とを有する方法。
(付記12) PSK−ASKエンコードエンコード信号から分離した第1の信号により発生された1つ以上のASKデコード信号うちの各ASKデコード信号について、
前記反転ASKデコード信号をPSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号と同期させる段階をさらに有する、付記11に記載の方法。
(付記13) 前記PSK−ASKエンコード信号により発生した結合ASKデコード信号を受け取る段階と、
前記結合ASKデコード信号を分離して前記1つ以上のASKデコード信号を生じさせる段階とをさらに有する、付記11に記載の方法。
(付記14) 前記1つ以上のASKデコード信号はn個のASKデコード信号よりなり、
前記PSK−ASKエンコード信号をn値のASK変調によりエンコードする、付記11に記載の方法。
(付記15) 前記1つ以上のASKデコード信号は2つのASKデコード信号よりなり、
前記PSK−ASKエンコード信号を2値のASK変調によりエンコードする、付記11に記載の方法。
(付記16) 前記PSK−ASKエンコード信号をRZ変調によりエンコードする、付記11に記載の方法。
(付記17) 前記PSK−ASKエンコード信号を分離して前記第1の信号と前記第2の信号とを生じさせる段階をさらに有する、付記11に記載の方法。
(付記18) 前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第1の信号を復調し、前記1つ以上のASKデコード信号を生じさせる段階をさらに有する、付記11に記載の方法。
(付記19) 前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号を復調し、PSKデコード信号を生じさせる段階をさらに有する、付記11に記載の方法。
(付記20)
前記第2の信号を変調する段階は、さらに
反転変調器を用いて前記第2の信号を変調する段階をさらに有し、前記反転変調器の消光比は前記PSK−ASKエンコード信号をエンコードする変調器とほぼ同じ消光比である、付記11に記載の方法。
(付記21) 振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調するシステムであって、
ASK変調とPSK変調により変調されたPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生される1つ以上のASKデコード信号のうちの各ASKデコード信号について、
ASKデコード信号を受け取る手段と、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせる手段と、
PSK復調の前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を、前記反転ASKデコード信号により変調する手段とを有するシステム。
(付記22) 振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調するシステムであって、
ASK変調とPSK変調により変調され、RZ変調によりエンコードされたPSK−ASKエンコード信号を分離して第1の信号と第2の信号とを生じさせるスプリッタと、
前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第1の信号を復調し、前記ASKデコード信号を生じさせる、前記スプリッタに結合したASK復調器と、
前記結合ASKデコード信号を分離して1つ以上のASKデコード信号を生じさせる、前記ASK復調器に結合した弁別器と、
前記弁別器に結合した1つ以上の反転変調器とを有し、
前記1つ以上の反転変調器は2個の反転変調器よりなり、
前記PSK−ASKエンコード信号を2値のASK変調によりエンコードし、
反転変調器は、前記1つ以上のASKデコード信号のうちの一ASKデコード信号を受け取り、前記反転変調器の消光比は前記PSK−ASKエンコード信号をエンコードする変調器の消光比とほぼ同じであり、
前記反転変調器は、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせるインバータと、
前記反転ASKデコード信号をPSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号と同期させる、前記インバータに結合した遅延素子と、
PSK復調の前に、前記反転ASKデコード信号により前記第2の信号を変調する、前記インバータに結合した振幅変調器と、
前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号を復調し、PSKデコード信号を生じさせる、前記1つ以上の反転変調器に結合したPSK復調器を有するシステム。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】振幅シフトキーイング(ASK)及び位相シフトキーイング(PSK)変調により信号を通信するシステムの一実施形態を示す図である。
【図2A】図1のシステムが行う信号のPSK及びASKによる変復調を示す図である。
【図2B】図1のシステムが行う信号のPSK及びASKによる変復調を示す図である。
【図3】ASK及びPSK変調により信号を通信するシステムの他の実施形態を示す図である。
【図4】ASK及びPSK変調により信号を通信する方法の一実施形態を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
10、110 システム
20、120 トランスミッタ
22 光源
24 PSK変調器
26、126 ASK変調器
28、128 レシーバ
40 DQPSKモジュール
44 RZモジュール
46 スプリッタ
50 位相シフタ
54 PSKデータエンコーダ
56 PSKデータ
58 カプラ
62 プリコーダ
66 位相変調器
70 クロック
74 振幅変調器
76、176 ASKデータエンコーダ
77、177 ASKデータ
78、178 振幅変調器
80、180 プリPSK変調・復調器
82 PSK復調器
84 スプリッタ
90 フォトダイオード
92、192 反転変調器
94 インバータ
98 遅延素子
102 変調器
110 スプリッタ
114 PSKデータデコーダ
116 PSKデータ
118 デコーダ
122 バランスレシーバ
130 弁別器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調するシステムであって、
ASK変調とPSK変調により変調されたPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生されるASKデコード信号を受け取る1つ以上の反転変調器を有し、
前記反転変調器は、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせるインバータと、
PSK復調の前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を、前記反転ASKデコード信号により変調する、前記インバータに結合した振幅変調器とを有するシステム。
【請求項2】
前記反転変調器は、前記反転ASKデコード信号をPSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号と同期させる、前記インバータに結合した遅延素子をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記PSK−ASKエンコード信号により発生した結合ASKデコード信号を受け取り、前記結合ASKデコード信号を分割して前記1つ以上の反転変調器の1つ以上のASKデコード信号を生じさせる、前記1つ以上の反転変調器に結合した弁別器をさらに有する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記1つ以上の反転変調器はn個の反転変調器よりなり、前記PSK−ASKエンコード信号をn値のASK変調によりエンコードする、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調する方法であって、
ASK変調とPSK変調により変調されたPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生される1つ以上のASKデコード信号のうちの各ASKデコード信号について、
ASKデコード信号を受け取る段階と、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせる段階と、
PSK復調の前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を、前記反転ASKデコード信号により変調する段階とを有する方法。
【請求項6】
振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調するシステムであって、
ASK変調とPSK変調により変調されたPSK−ASKエンコード信号から分離された第1の信号により発生される1つ以上のASKデコード信号のうちの各ASKデコード信号について、
ASKデコード信号を受け取る手段と、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせる手段と、
PSK復調の前に、PSK−ASKエンコード信号から分離した第2の信号を、前記反転ASKデコード信号により変調する手段とを有するシステム。
【請求項7】
振幅シフトキーイング(ASK)変調と位相シフトキーイング(PSK)変調によりエンコードされた信号を復調するシステムであって、
ASK変調とPSK変調により変調され、RZ変調によりエンコードされたPSK−ASKエンコード信号を分離して第1の信号と第2の信号とを生じさせるスプリッタと、
前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第1の信号を復調し、前記ASKデコード信号を生じさせる、前記スプリッタに結合したASK復調器と、
前記結合ASKデコード信号を分離して1つ以上のASKデコード信号を生じさせる、前記ASK復調器に結合した弁別器と、
前記弁別器に結合した1つ以上の反転変調器とを有し、
前記1つ以上の反転変調器は2個の反転変調器よりなり、
前記PSK−ASKエンコード信号を2値のASK変調によりエンコードし、
反転変調器は、前記1つ以上のASKデコード信号のうちの一ASKデコード信号を受け取り、前記反転変調器の消光比は前記PSK−ASKエンコード信号をエンコードする変調器の消光比とほぼ同じであり、
前記反転変調器は、
ASKデコード信号を反転して反転ASKデコード信号を生じさせるインバータと、
前記反転ASKデコード信号をPSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号と同期させる、前記インバータに結合した遅延素子と、
PSK復調の前に、前記反転ASKデコード信号により前記第2の信号を変調する、前記インバータに結合した振幅変調器と、
前記PSK−ASKエンコード信号から分離した前記第2の信号を復調し、PSKデコード信号を生じさせる、前記1つ以上の反転変調器に結合したPSK復調器を有するシステム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−172787(P2008−172787A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−667(P2008−667)
【出願日】平成20年1月7日(2008.1.7)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】