説明

C型肝炎阻害化合物

下記式(I):


(I)
(式中、B、R3、L0、L1、R2、RC及びR1は、本出願で定義される)の化合物。本化合物は、C型肝炎ウイルス感染症の治療のためHCV NS3プロテアーゼの阻害剤として有用である。特に、本発明は、新規ペプチド類似体、該類似体を含む医薬組成物、及びHCV感染症の治療におけるこれらの類似体の使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
この出願は、2008年9月23日に出願された米国特許出願第61/099292号、及び2009年6月12日に出願された米国特許出願第61/186632号の利益を主張する。これらの出願は、参照によって本明細書に援用される。
(発明の分野)
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症の治療のための化合物、それらの合成方法、HCV感染症の治療のための組成物及び方法に関する。特に、本発明は、新規ペプチド類似体、該類似体を含む医薬組成物及びこれらの類似体をHCV感染症の治療に使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
世界中で1億7千万の人がC型肝炎ウイルス(HCV)に感染していると推測される。多くの場合、急性HCV感染症が慢性HCV感染症に進行し、また、感染個体によっては、慢性感染症が肝硬変及び肝細胞癌などの重篤な肝臓疾患につながる。
現在、慢性C型肝炎ウイルス感染症の標準的治療は、リバビリンと共にペグ化インターフェロン-αを投与することを含む。しかし、この療法は、多くの感染患者でHCV RNAを検出不能レベルに低減するには有効でなく、発熱及び他のインフルエンザ様症状、うつ状態、血小板減少及び溶血性貧血などの耐えられない副作用を伴うことが多い。さらに、この治療に禁忌を示す状態が共存するHCV感染患者もいる。
従って、C型肝炎ウイルス感染症の代替治療が要望されている。この要望に取り組むための一つの可能な戦略は、ウイルス又はウイルスの複製に必須の宿主細胞因子を不活化する有効な抗ウイルス薬の開発である。
HCVは、フラビウイルス科(Flaviviridae)ヘパシウイルス属(Hepacivirus)のエンベロープを有するプラス鎖RNAウイルスである。一本鎖HCV RNAゲノムは約9500個のヌクレオチド長であり、5’及び3’非翻訳領域に隣接した単一のオープンリーディングフレーム(ORF)を有する。HCV 5’非翻訳領域は341個のヌクレオチドの長さであり、キャップ非依存的翻訳開始のための内部リボソーム侵入部位(internal ribosome entry site)として機能する。オープンリーディングフレームは、約3000個のアミノ酸の単一の大きいポリタンパク質であり、細胞及びウイルスのプロテアーゼによって複数部位で切断されて、成熟した構造及び非構造(NS2、NS3、NS4A、NS4B、NS5A、及びNS5B)タンパク質を生成する。ウイルスNS2/3プロテアーゼがNS2-NS3接合部で切断し;一方ではウイルスNS3プロテアーゼがNS3-NS4A、NS4A-NS4B、NS4B-NS5A及びNS5A-NS5B切断部位でNS3の下流の切断を媒介する。NS3タンパク質はヌクレオシドトリホスファターゼ及びRNAヘリカーゼ活性をも示す。NS4Aタンパク質はNS3プロテアーゼの補助因子として作用し、かつNS3及び他のウイルスレプリカーゼ成分の膜局在化をも補助し得る。NS4B及びNS5Aリンタンパク質も同様にレプリカーゼの成分であるが、それらの特異的役割は未知である。NS5Bタンパク質は、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRp)活性を有するHCVレプリカーゼの伸長サブユニットである。
【0003】
HCV NS3プロテアーゼ阻害剤の臨床的な抗ウイルス活性の第1の証拠が2日の臨床試験の結果によって与えられ、それはHCV NS3プロテアーゼ阻害剤BILN 2061がC型肝炎ウイルスに感染した患者のウイルス負荷を急速に低減するのに有効であることを示す(Gastroenterology (2004) 127(5): 1347-1355)。さらに最近、HCV NS3プロテアーゼ阻害剤VX-950を単独で(Gastroenterology (2006) 131(4): 997-1002)又はペグ化インターフェロンと共に用いた(リバビリンがあるか又はない)14日及び28日の臨床試験では、治療中に大部分のHCV患者のウイルス負荷が急速に検出不能レベルに低減した(Hepatology (2006) 44(4 s1): 532A及び614A)。
WO 00/09543では、下記式
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、R2はO-R20であってよく、R20は、無置換又は一、二若しくは三置換Hetであってよい)の化合物が、C型肝炎ウイルスの複製に必須の酵素であるC型肝炎ウイルスNS3プロテアーゼの阻害剤として開示されている。
経口投与は、最も一般的に使用されている薬物投与経路の一つである。吸収、分布、代謝及び排出を評価するin vitroアプローチが開発されて、薬物発見プログラムで合成される増大した数の化合物の特徴づけを加速した。これらの実験は、適切なPKプロファイルを有する可能性が最も高い候補を同定するように設計されるが(初期薬物発見中の実験アプローチを用いた薬物動態学的特性の予測(Prediction of pharmacokinetic properties using experimental approaches during early drug discovery), Pravin R Chaturvedi*, Caroline J Decker and Aleksandrs Odinecs, Current Opinion in Chemical Biology, 2001, 5, 452-463.)、まだin vivo法に取って代わることはない(初期薬物発見における薬物動態及び代謝(Pharmacokinetics and metabolism in early drug discovery), Dennis A Smith and Han van de Waterbeemd, Current Opinion in Chemical Biology, 1999, 3, 373-378)。これらの文献は参照によって本明細書に援用される。
ラットは、前臨床PK研究で最も一般的に使用される動物の一つであり、経口投与量のラットに吸収されるフラクションは、多くの薬物についてヒトで観察される当該フラクションと相関し得る(ヒトとラットの間の64種の薬物の経口投与量の吸収されるフラクションの線形相関(Linear correlation of the fraction of oral dose absorbed of 64 drugs between humans and rats), Win L. Chiou and Abhijit Barve, Pharmaceutical Research,Vol. 15, No. 11, 1792-1795,1998;参照によって本明細書に援用される)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、HCVに対する良い細胞ベースの効力及び好ましい薬物動態特性を示す薬物開発のための新規化合物を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の驚くべき利点の少なくとも1つを有する新規な一連の化合物を提供する:
・予想外に良い細胞ベースの効力;及び/又は
・経口投与後の予想外に良いラット血漿レベル。
当業者にとっては、以下の説明及び実施例からこの発明のさらなる目的が生じる。
本発明の一態様は、下記式(I):
【0008】
【化2】

【0009】
(式中、
R3は、(C2-8)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-3)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、及びアルキル-シクロアルキル基はそれぞれ、(C1-4)アルキルで一、二又は三置換されていてもよく;
L0は、ハロゲン、(C1-4)アルキル、-OH、-O-(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル又は-N((C1-4)アルキル)2であり;
L1は、ハロゲン、(C1-4)アルキル、-O-(C1-4)アルキル、-S-(C1-4)アルキル、-SO-(C1-4)アルキル、又は-SO2-(C1-4)アルキルであり、前記アルキル基は、それぞれ任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;
R2は、-NR22COR20、-NR22COOR20、-NR22R21又は-NR22CONR21R23であり、ここで、
R20は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル又はアルキル-シクロアルキルは、(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一、二若しくは三置換されていてもよく;
R21は、H又は前記定義どおりのR20であり、
R22及びR23は、独立にH又はメチルであり、
R1は、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル又は(C3-7)シクロアルキルであり;
RCは、ヒドロキシ又はNHSO2RSであり、RSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、アリール又はHetであり;それぞれ任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1-4)アルキル、O-(C1-6)アルキル、-CO-NH2、-CO-NH(C1-4)アルキル、-CO-N((C1-4)アルキル)2、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2から選択される置換基で一、二又は三置換されていてもよく、前記(C1-4)アルキル及びO-(C1-6)アルキルは、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;
Bは、C(=O)-R4であり;ここで、R4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、(C3-7)シクロアルケニル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルケニル、Het、アリール、(C1-4)アルキル-Het、又は(C1-4)アルキル-アリールであり;全て任意に1〜3回(C1-4)アルキル、ヒドロキシ、O-(C1-4)アルキル又はハロゲンで置換されていてもよく;或いは
Bは、アリール又はHetであり、任意にハロゲン、ヒドロキシ、(C1-6)アルキル、O-(C1-6)アルキル、O-アリール、O-Het、S-(C1-6)アルキル、-CO-(C1-6)アルキル、-CO-NH2、-CO-NH(C1-4)アルキル、-CO-N((C1-4)アルキル)2、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2で一、二又は三置換されていてもよく、前記アルキル及びO-アルキル基は任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Hetは、1〜4個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する4員〜7員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ環、又は可能な限り1〜5個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する7員〜14員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ多環であり、ここで、各Nヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに酸素原子と結合してN-オキシド基を形成するように酸化状態で存在してよく、各Sヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに1又は2個の酸素原子と結合して基SO又はSO2を形成するように酸化状態で存在してよい)
の化合物のラセミ体、ジアステレオ異性体、若しくは光学異性体、
又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを提供する。
【0010】
さらに、この発明の化合物は、以下の驚くべき利点の1つ以上を示す:
・予想外に良い細胞ベースの効力;及び/又は
・予想外に良いDMPKプロファイル。
この発明の別の態様は、以下の驚くべき利点の少なくとも1つを示す式(I)の化合物を提供する:
・細胞ベースアッセイにおける予想外に良い活性;及び/又は
・経口投与後の予想外に良いラット血漿レベル。
この発明の別の態様は、薬物としての式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを提供する。
抗C型肝炎ウイルス的に有効な量の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを、少なくとも1種の医薬的に許容できる担体媒体又は補助剤との混合物中に含んでなる医薬組成物は、この発明の範囲に包含される。
この実施形態のさらなる態様によれば、この発明の医薬組成物は、治療的に有効な量の少なくとも1種の他の抗ウイルス薬をさらに含む。
本発明は、本明細書で上述した医薬組成物の、感染しているか又は感染している危険性がある哺乳動物のC型肝炎ウイルス感染症の治療のための使用をも提供する。
本発明の別の重要な態様は、哺乳動物に抗C型肝炎ウイルス的に有効な量の式(I)の化合物、その医薬的に許容できる塩若しくはエステル、又は上述した通りの組成物を、単独で又は一緒若しくは別々に投与される少なくとも1種の他の抗ウイルス薬と共に投与することによって、哺乳動物のC型肝炎ウイルス感染症を治療又は予防する方法を含む。
本明細書に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルの、哺乳動物のC型肝炎ウイルス感染症の治療又は予防用薬物の製造のための使用もこの発明の範囲内である。
【0011】
この発明のさらなる態様は、C型肝炎ウイルス感染症を治療するために有効な組成物と、C型肝炎ウイルスによる感染を該組成物を用いて治療できることを示すラベルを含む包装材料とを含んでなる製品であって、該組成物がこの発明の式(I)の化合物又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを含む、製品にも関する。
この発明のさらに別の態様は、C型肝炎ウイルスの複製が阻害される条件下で、有効量の式(I)の化合物、又はその塩若しくはエステルにC型肝炎ウイルスをさらす工程を含む、C型肝炎ウイルスの複製を阻害する方法に関する。
さらに、式(I)の化合物、又はその塩若しくはエステルの、C型肝炎ウイルスの複製を阻害するための使用が本発明の範囲に包含される。
この発明のさらに別の態様は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを投与することによって、哺乳動物内のHCV NS3プロテアーゼ活性を阻害する方法を提供する。
この発明の別の態様は、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを投与することによって、哺乳動物を感染させているC型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼ活性を低減する方法を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
(定義)
本明細書では、特に断らない限り、以下の定義が適用される。
(R)又は(S)を用いて式(I)の化合物の置換基又は不斉中心の絶対配置を命名する場合に関しては、その命名は化合物全体との関連で行なわれ、置換基又は不斉中心のみの関連では行なわれない。
本明細書で使用する場合、命名「P1、P2、及びP3」は、ペプチド類似体のC末端から始まってN末端に向けて伸長するアミノ酸残基の位置を表す(すなわちP1はC末端からの位置1を表し、P2:C末端から2番目の位置など)(参照によって本明細書に援用されるBerger A. & Schechter I., Transactions of the Royal Society London series B257, 249-264 (1970)参照)。
本明細書で使用する場合、用語「ビニル-ACCA」は下記式:
【0013】
【化3】

【0014】
の化合物、すなわち、(1R,2S)1-アミノ-2-エテニルシクロプロパンカルボン酸を表す。本明細書では、ビニル-ACCAとも称する。
本明細書で使用する場合、用語「エチル-ACCA」は下記式:
【0015】
【化4】

【0016】
の化合物、すなわち、(1R,2R)1-アミノ-2-エチルシクロプロパンカルボン酸を表す。本明細書ではエチル-ACCAとも称する。
本明細書で使用する場合、用語「シクロプロピル-ACCA」は下記式:
【0017】
【化5】

【0018】
の化合物、すなわち、(1R,2S)1-アミノ-2-シクロプロピルシクロプロパンカルボン酸を表す。本明細書ではシクロプロピル-ACCAとも称する。
用語「(C1-n)アルキル」は、単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用する場合、1〜n個の炭素原子を含む非環式の直鎖又は分岐鎖アルキル置換基を意味する。「(C1-6)アルキル」として、限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、1-メチルエチル(i-プロピル)、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルエチル(tert-ブチル)、ペンチル及びヘキシルが挙げられる。略語Me及びPrは、それぞれメチル基及びn-プロピル基を表す。
用語「(C3-n)シクロアルキル」は、単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用する場合、3〜n個の炭素原子を含むシクロアルキル置換基を意味し、限定するものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル及びシクロヘプチルが挙げられる。
用語「(C3-n)シクロアルケニル」は、単独又は別の置換基と組み合わせて本明細書で使用する場合、3〜n個の炭素原子を含む不飽和環式基を意味し、限定するものではないが、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル及びシクロヘプテニルが挙げられる。
用語「(C1-n)アルキル-(C3-n)シクロアルキル」は、本明細書で使用する場合、3〜n個の炭素原子を含むシクロアルキル基が直接結合している、1〜n個の炭素原子を含むアルキレン基を意味し;限定するものではないが、シクロプロピルメチル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、1-シクロペンチルエチル、2-シクロペンチルエチル、シクロヘキシルメチル、1-シクロヘキシルエチル、2-シクロヘキシルエチル及びシクロヘプチルプロピルが挙げられる。
【0019】
用語「(C1-n)アルキル-(C3-n)シクロアルケニル」は、本明細書で使用する場合、3〜n個の炭素原子を含むシクロアルケニル基が直接結合している、1〜n個の炭素原子を含むアルキレン基を意味し;限定するものではないが、シクロプロペニルメチル、シクロブテニルメチル、シクロペンテニルメチル、1-シクロペンテニルエチル、2-シクロペンテニルエチル、シクロヘキセニルメチル、1-シクロヘキセニルエチル、2-シクロヘキセニルエチル及びシクロヘプテニルプロピルが挙げられる。
用語「O-(C1-n)アルキル」又は「(C1-n)アルコキシ」は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、基-O-(C1-n)アルキル(ここで、アルキルは前記定義どおりであり、1〜n個の炭素原子を含む)を意味し、限定するものではないが、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ及び1,1-ジメチルエトキシが挙げられる。後者の基は一般的にtert-ブトキシとして知られている。
用語「(C2-n)アルケニル」(nは整数である)は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、2〜n個の炭素原子を含み、その少なくとも2つが相互に二重結合で結合している不飽和の非環式直鎖又は分岐鎖基を意味するものとする。該基の例として、限定するものではないが、エテニル(ビニル)、1-プロペニル、2-プロペニル、及び1-ブテニルが挙げられる。特に断らない限り、用語「(C2-n)アルケニル」は、可能な限り個々の立体異性体を包含するものと解釈し、限定するものではないが、(E)及び(Z)異性体、並びにその混合物が挙げられる。(C2-n)アルケニル基が置換される場合、特に断らない限り、置換されなければ水素原子を有するであろう該基のいずれの炭素原子上でも、該置換が、当業者に認められるような化学的に安定な化合物をもたらすように、置換されるものと解釈される。
用語「アリール」は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、6個の炭素原子を含む炭素環式芳香族単環式基を意味するものとし、芳香族、飽和又は不飽和であってよい第2の5員又は6員炭素環式基にさらに縮合していてもよい。アリールとしては、限定するものではないが、フェニル、インダニル、インデニル、1-ナフチル、2-ナフチル、テトラヒドロナフチル及びジヒドロナフチルが挙げられる。
用語「シアノ」又は「CN」は、本明細書で使用する場合、三重結合(C≡N)で炭素原子に結合した窒素原子を意味するものとする。
用語「ハロ」又は「ハロゲン」は、本明細書で使用する場合、フルオロ、クロロ、ブロモ又はヨードから選択されるハロゲン置換基を意味する。
用語「炭素環」又は「炭素環式」は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、芳香族又は非芳香族、飽和又は不飽和のどちらでも、環員の全てが炭素原子である環式化合物を意味するものとする。炭素環基は、5又は6個の炭素原子を含んでよく、かつ芳香族、飽和又は不飽和であってよい第2の5員又は6員炭素環式基にさらに縮合していてもよい。炭素環は置換されていてもよい。炭素環が置換される場合、置換基は、特に断らない限り、置換されなければ水素原子を有するであろういずれの炭素原子にも、該置換が、当業者に認められるような化学的に安定な化合物をもたらすように、結合され得るものと解釈される。
【0020】
用語「Het」は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、それぞれ独立にO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する4員〜7員飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ環、又は可能な限りそれぞれ独立にO、N及びSから選択される1〜5個のヘテロ原子を有する7員〜14員飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ多環を意味するものとし、ここで、特に断らない限り、各Nヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに酸素原子と結合してN-オキシド基を形成するように酸化状態で存在してよく、各Sヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに1又は2個の酸素原子と結合して基SO又はSO2を形成するるように酸化状態で存在してよい。Het基が置換される場合、置換基は、特に断らない限り、置換されなければ水素原子を有するであろういずれの炭素原子又はヘテロ原子にも、該置換が、当業者に認められるような化学的に安定な化合物をもたらすように、結合され得るものと解釈される。
用語「(C1-n)アルキル-Het」(nは整数である)は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、特に断らない限り、それ自体前記定義どおりのHet置換基で置換されている、1〜n個の炭素原子を有する前記定義どおりのアルキル基を意味するものとする。(C1-n)アルキル-Hetの例として、限定するものではないが、チエニルメチル、フリルメチル、ピペリジニルエチル、2-ピリジニルメチル、3-ピリジニルメチル、4-ピリジニルメチル、キノリニルプロピル等が挙げられる。(C1-n)アルキル-Het基が置換される場合、置換基は、特に断らない限り、Het若しくはそのアルキル部分又は両方に、該置換が、当業者に認められるような化学的に安定な化合物をもたらすように、結合され得るものと解釈される。
【0021】
用語「ヘテロ原子」は、本明細書で使用する場合、O、S又はNを意味するものとする。
用語「ヘテロ環」は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、特に断らない限り、それぞれ独立にO、N及びSから選択される1〜4個のヘテロ原子を含む3員〜7員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ環;又はそれから水素原子を除去することによって得られる一価基を意味するものとする。該ヘテロ環の例としては、限定するものではないが、アゼチジン、ピロリジン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロチオフェン、チアゾリジン、オキサゾリジン、ピロール、チオフェン、フラン、ピラゾール、イミダゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、イソチアゾール、チアゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピペリジン、ピペラジン、アゼピン、ジアゼピン、ピラン、1,4-ジオキサン、4-モルフォリン、4-チオモルフォリン、ピリジン、ピリジン-N-オキシド、ピリダジン、ピラジン及びピリミジン、並びにその飽和、不飽和及び芳香族誘導体が挙げられる。
用語「-S-(C1-n)アルキル」又は「(C1-n)アルキルチオ」(nは整数である)は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で互換的に使用する場合、1〜n個の炭素原子を有する前記定義どおりのアルキル基にさらに結合しているイオウ原子を意味するものとする。-S-(C1-n)アルキルの例としては、限定するものではないが、メチルチオ(CH3S-)、エチルチオ(CH3CH2S-)、プロピルチオ(CH3CH2CH2S-)、1-メチルエチルチオ(イソプロピルチオ;(CH3)2CH-S-)及び1,1-ジメチルエチルチオ(tert-ブチルチオ;(CH3)3C-S-)が挙げられる。-S-(C1-n)アルキル基、又はその酸化誘導体、例えば-SO-(C1-n)アルキル基又は-SO2-(C1-n)アルキル基が置換される場合、該置換が、当業者に認められるような化学的に安定な化合物をもたらすように、それぞれその(C1-n)アルキル部分上で置換されるものと解釈する。
用語「医薬的に許容できるエステル」は、単独又は別の基と組み合わせて本明細書で使用する場合、式(I)中、該分子のカルボキシル官能のいずれか、好ましくはカルボキ末端が、下記アルコキシカルボニル基:
【0022】
【化6】

【0023】
と置き換わっている、式(I)の化合物のエステルを意味する。ここで、エステルのR成分は、アルキル(限定するものではないが、メチル、エチル、n-プロピル、t-ブチル、n-ブチルが挙げられる);アルコキシアルキル(限定するものではないが、メトキシメチルが挙げられる);アルコキシアシル(限定するものではないが、アセトキシメチルが挙げられる);アルキル-アリール(限定するものではないが、ベンジルが挙げられる);アリールオキシアルキル(限定するものではないが、フェノキシメチル);アリール(限定するものではないが、フェニルが挙げられる)、任意に置換されていてもよいハロゲン、(C1-4)アルキル又は(C1-4)アルコキシから選択される。他の適切なプロドラッグエステルは、参照によって本明細書に援用されるDesign of prodrugs、Bundgaard、H. Ed. Elsevier (1985)で見つけられる。このような医薬的に許容できるエステルは、哺乳動物に注入されると、通常in vivoで加水分解されて式(I)の化合物の酸型に変換される。上記エステルに関しては、特に断らない限り、存在するいずれのアルキル成分も有利には1〜16個の炭素原子、特に1〜6個の炭素原子を含む。該エステル中に存在するいずれのアリール成分も有利にはフェニル基を含む。特にエステルは、C1-16アルキルエステル、無置換ベンジルエステル又は少なくとも1つのハロゲン、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、ニトロ若しくはトリフルオロメチルで置換されているベンジルエステルであってよい。
用語「医薬的に許容できる塩」は、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などがなくヒト及び下等動物の組織と接触させて使うのに適し、利益/危険比に見合った、一般的に水若しくは油に可溶性又は分散性であり、かつそれらの意図した用途に有効な、式(I)の化合物の塩を意味する。この用語は、医薬的に許容できる酸付加塩及び医薬的に許容できる塩基付加塩を包含する。適切な塩のリストは、例えば、参照によって本明細書に援用されるS.M. Berge et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, pp. 1-19で見つかる。
【0024】
用語「医薬的に許容できる酸付加塩」は、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、硝酸、リン酸などの無機酸、及び酢酸、トリフルオロ酢酸、アジピン酸、アスコルビン酸、アスパラギン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、酪酸、ショウノウ酸、ショウノウスルホン酸、ケイ皮酸、クエン酸、ジグルコン酸、エタンスルホン酸、グルタミン酸、グリコール酸、グリセロリン酸、ヘミスルフ酸、ヘキサン酸、ギ酸、フマル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸(イセチオン酸)、乳酸、ヒドロキシマレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、マンデル酸、メシチレンスルホン酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ニコチン酸、2-ナフタレンスルホン酸、シュウ酸、パモ酸、ペクチン酸、フェニル酢酸、3-フェニルプロピオン酸、ピバル酸、プロピオン酸、ピルビン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、酒石酸、p-トルエンスルホン酸、ウンデカン酸などの有機酸と形成された、遊離塩基の生物学的有効性及び特性を保持し、かつ生物学的及び他の意味でも望ましくなくない当該塩を意味する。
用語「医薬的に許容できる塩基付加塩」は、アンモニア又はアンモニウム若しくはナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウム等の金属カチオンの水酸化物、炭酸塩、若しくは炭酸水素塩などの無機塩基と形成された、遊離酸の生物学的有効性及び特性を保持し、かつ生物学的及び他の意味でも望ましくなくない当該塩を意味する。特にアンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム、及びマグネシウム塩が好ましい。医薬的に許容できる無毒有機塩基から誘導される塩としては、一級、二級、及び三級アミン、四級アミン化合物、天然に存在する置換アミンを含めた置換アミン、環状アミン並びに塩基性イオン交換樹脂、例えばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、2-ジメチルアミノエタノール、2-ジエチルアミノエタノール、ジシクロヘキシルアミン、リシン、アルギニン、ヒスチジン、カフェイン、ヒドラバミン、コリン、ベタイン、エチレンジアミン、グルコサミン、メチルグルカミン、テオブロミン、プリネス、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、四メチルアンモニウム コンポウンドス、四エチルアンモニウム コンポウンドス、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジシクロヘキシルアミン、ジベンジルアミン、N,N-ジベンジルフェンエチルアミン、1-エフェンアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、ポリアミン樹脂などの塩が挙げられる。特に好ましい無毒有機塩基は、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、エタノールアミン、トリメチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、コリン、及びカフェインである。
【0025】
用語「哺乳動物」は、本明細書で使用する場合、ヒトのみならず、ウシ、ブタ、ウマ、イヌ及びネコ等の家畜、並びに非家畜動物を含め、C型肝炎ウイルスによる感染に感受性の非ヒト動物を包含することを意味する。
用語「抗ウイルス薬」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物内でウイルスの形成及び/又は複製を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。これには、哺乳動物内におけるウイルスの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルス機構を妨害する薬剤が含まれる。別の抗HCV剤、HIV阻害剤、HAV阻害剤及びHBV阻害剤から該薬剤を選択することができる。抗ウイルス薬として、例えば、リバビリン、アマンタジン、VX-497(merimepodib, Vertex Pharmaceuticals)、VX-498(Vertex Pharmaceuticals)、Levovirin)、Viramidine、Ceplene(maxamine)、XTL-001及びXTL-002(XTL Biopharmaceuticals)が挙げられる。
用語「他の抗HCV剤」は、本明細書で使用する場合、疾患のC型肝炎関連症状を減弱するか又はその進行を阻止するのに有効な当該薬剤を意味する。免疫調節剤、HCV NS3プロテアーゼの阻害剤、HCVポリメラーゼの阻害剤又はHCV生活環の別の標的の阻害剤から該薬剤を選択することができる。
用語「免疫調節剤」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物において免疫系反応を強化又は増強するのに有効な当該薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。免疫調節剤としては、限定するものではないが、イノシンモノホスファートデヒドロゲナーゼ阻害剤、例えばVX-497(merimepodib, Vertex Pharmaceuticals)、クラスIインターフェロン、クラスIIインターフェロン、コンセンサスインターフェロン、アシアロ-インターフェロンペグ化インターフェロン及び複合インターフェロン、例えば限定するものではないが、他のタンパク質、例えば限定するものではないが、ヒトアルブミンと複合化したインターフェロンが挙げられる。クラスIインターフェロンは、全てI型受容体に結合する一群のインターフェロンであり、自然又は合成によって生成された両クラスIインターフェロンが含まれ、一方クラスIIインターフェロンは、全てII型受容体に結合する。クラスIインターフェロンの例として、限定するものではないが、α-、β-、δ-、ω-、及びτ-インターフェロンが挙げられ、クラスIIインターフェロンの例としては、限定するものではないが、γ-インターフェロンが挙げられる。
【0026】
用語「HCV NS3 プロテアーゼの阻害剤」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物においてHCV NS3プロテアーゼの機能を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。HCV NS3プロテアーゼの阻害剤として、例えば、WO 99/07733、WO 99/07734、WO 00/09558、WO 00/09543、WO 00/59929、WO 03/064416、WO 03/064455、WO 03/064456、WO 2004/030670、WO 2004/037855、WO 2004/039833、WO 2004/101602、WO 2004/101605、WO 2004/103996、WO 2005/028501、WO 2005/070955、WO 2006/000085、WO 2006/007700、WO 2006/007708、WO 2007/009227(全てBoehringer Ingelheimによる)、WO 02/060926、WO 03/053349、WO 03/099274、WO 03/099316、WO 2004/032827、WO 2004/043339、WO 2004/094452、WO 2005/046712、WO 2005/051410、WO 2005/054430、WO 2006/122188、WO 2007/056120、WO 2007/044933、WO 2007/008657、WO 2008/008776、WO 2008/064066、WO 2008/064057、WO 2008/060927、WO 2008/057871、WO 2008/057873、WO 2008/057875(全てBMSによる)、WO 2004/072243、WO 2004/093798、WO 2004/113365、WO 2005/010029(全てEnantaによる)、WO 2005/037214(Intermune)、WO 01/77113、WO 01/81325、WO 02/08187、WO 02/08198、WO 02/08244、WO 02/08256、WO 02/48172、WO 03/062228、WO 03/062265、WO 2005/021584、WO 2005/030796、WO 2005/058821、WO 2005/051980、WO 2005/085197、WO 2005/085242、WO 2005/085275、WO 2005/087721、WO 2005/087725、WO 2005/087730、WO 2005/087731、WO 2005/107745 and WO 2005/113581(全てScheringによる)、WO 2006/119061、WO 2007/016441、WO 2007/015855、WO 2007/015787、WO 2008/057208、WO 2008/051514(全てMerckによる)、WO 2006/043145(Pfizer)、WO 2008/059046(Tibotec)、WO 2008/057209、WO 2008/051477、WO 2008/051475(全てMerck & IRBMによる)(全て参照によって本明細書に援用される)に記載の当該化合物;並びに候補VX-950、SCH-503034、ITMN-191、TMC 435350、及びMK7009が挙げられる。
【0027】
用語「HCVポリメラーゼの阻害剤」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物においてHCVポリメラーゼの機能を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。これには、例えば、HCV NS5Bポリメラーゼの阻害剤がある。HCVポリメラーゼの阻害剤として、例えば、WO 03/007945、WO 03/010140、WO 03/010141、US 6,448、281、WO 02/04425、WO 2008/019477、WO 2007/087717、WO 2006/007693、WO 2005/080388、WO 2004/099241、WO 2004/065367、WO 2004/064925(全てBoehringer Ingelheimによる)、WO 2006/093801、US 2005/0107364、WO 2005/019191、US 2004/0167123、WO 2004/041818、WO 2008/011337(全てAbbott Laboratoriesによる)、WO 01/32153(Biochem Pharma Inc.)、WO 01/60315(Biochem Pharma Inc.)、US 2004/0138170、WO 2004/106350、WO 2006/050161、WO 2006/104945、WO 2006/002231、US 2005/080053、US 2004/0242599、US 2004/0229839、WO 03/087298、WO 02/069903(全てBiocryst Pharmaceuticals, Inc.による)、WO 2006/094347(Biota, Inc.)、WO 2005/021568(Biota, Inc.)、WO 2008/051637、WO 2007/150001、WO 2006/066079(全てAnadys Pharmaceuticalsによる)、WO 2007/033032、WO 2007/033175、WO 03/026587、WO 2007/143521、WO 2007/140109、WO 2007/140200、WO 2007/140254、WO 2007/136982、WO 2007/092000、WO 2007/092888、WO 2006/020082、US 2005/0119318、WO 2005/034850(全てBristol-Myers Squibbによる)、WO 2007/034127(Arrow Therapeutics Limited)、WO 2005/063734(Bayer)、WO 03/093290、WO 2005/012288、WO 2008/011521、WO 2008/008907、WO 2008/008912、WO 2007/084157、WO 2007/019397、WO 2006/138744、WO 2006/121468、WO 2006/116557、WO 2006/102594、WO 2006/076529、WO 2006/075993、US 2006/0111311、WO 2005/054268、WO 2005/042556、US 2005/0090463、WO 2004/108687、WO 2004/028481、WO 2006/093986、WO 2006/093987(全てGenelabs Technologiesによる)、WO 2006/117306、WO 2004/046159、WO 2007/113159、WO 2007/093541、WO 2007/068615、WO 2007/065829、WO 2007/020193、WO 2006/021341、WO 2006/021340、WO 02/100415、WO 02/094289、WO 02/18404(全てF. Hoffmann-La Rocheによる)、WO 2007/039142、WO 2007/039145、WO 2007/039144、WO 2006/045613、WO 2006/045615、WO 2005/103045、WO 2005/092863、WO 2005/079799、WO 2004/096774、WO 2004/096210、WO 2004/076415、WO 2004/060889、WO 2004/037818、WO 2004/009543、WO 03/097646、WO 03/037893、WO 03/037894、WO 03/037895、WO 03/000713(全てGlaxo Groupによる)、WO 2007/144686、WO 2006/000922、WO 2004/046331、WO 2004/002422、WO 2004/002999、WO 2004/003000、WO 2005/009418、WO 03/026675、WO 03/026589、WO 2007/025043(全てIdenixによる)、US 03/050320、WO 2007/119889、WO 2006/052013、WO 2005/080399、WO 2005/049622、WO 2005/014543、EP 1 162 196、WO 01/47883(全てJapan Tobaccoによる)、WO 2007/095269、WO 2007/054741、WO 03/062211、WO 00/06529、WO 99/64442、WO 2006/119975、WO 2006/046030、WO 2006/046039、WO 2005/034941、WO 2005/023819、WO 2004/110442、WO 2004/087714、WO 2007/065883、WO 02/06246、WO 2007/129119、WO 2007/029029、WO 2007/028789、WO 2006/029912、WO 2006/027628、WO 2006/008556(全てIstituto Di Richerche Di Biologia Molecolare P. Angeletti SPAによる)、WO 2008/005542、WO 2006/091905、WO 2005/063751、WO 2004/005286(全てGilead Sciencesによる)、WO 2008/043704(Medivir)、WO 2005/123087、WO 2007/021610、WO 2006/065335、WO 2006/012078、WO 2004/003138、WO 2004/000858、WO 03/105770、WO 03/020222、WO 2005/084192、WO 2004/009020、WO 2004/007512、WO 02/057425、WO 02/057287、WO 2007/022073、US 2004/0229840(全てMerck and Co.による)、WO 2006/018725、WO 2004/073599、WO 2004/074270、WO 03/095441、WO 03/082848(全てPfizerによる)、US 2005/00154056、WO 2004/002977、WO 2004/002944、WO 2004/002940(全てPharmacia & Upjohn Companyによる)、WO 00/04141(Ribozyme)、WO 2006/050035 (Schering)、WO 2006/050034(Schering)、US 2003/0203948(Shionogi)、WO 02/20497(Shionogi)、WO 2005/121132(Shionogi) EP 1321463(Shire Biochem)、WO 02/100851(Shire Biochem)、WO 02/100846(Shire Biochem)、WO 03/061385、WO 03/062256、WO 03/062255、US 6,906,190、WO 2004/080466 (全てRibapharmによる)、WO 2007/026024(Tibotec)、WO 2006/065590(XTL Biopharmaceuticals)、WO 2008/051244、WO 2007/092558、WO 2006/034337、WO 03/099275、WO 03/099824(全てWyethによる)、WO 03/059356、WO 01/85172、WO 01/85720、WO 03/037262、WO 2008/059042、WO 2008/043791、WO 2008/017688、WO 2007/147794、WO 2007/088148、WO 2007/071434、WO 2007/039146、WO 2006/100106、WO 2004/058150、WO 2004/052312、WO 2004/052313、WO 03/099801、WO 02/098424(全てSmithkline Beechamによる)、WO 2007/027248(Valeant)、WO 2008/058393、WO 2006/119646、WO 2004/052879、WO 2004/052885、WO 00/18231、WO 00/13708、WO 00/10573、WO 2004/041201、WO 03/090674(全てViropharmaによる)(全て参照によって本明細書に援用される)に記載の当該化合物が挙げられる。HCVポリメラーゼの阻害剤の具体例としては、R-1626及びR-7128(Roche)、GL60667(Genelabs/Novartis)、VCH-759及びVCH-916(Virochem)、GS9190(Gilead)、MK-3281(Merck)及びPF868554(Pfizer)、ABT-333 (Abbott)が挙げられる。
【0028】
用語「HCV生活環の別の標的の阻害剤」は、本明細書で使用する場合、HCV NS3プロテアーゼの機能を阻害することによって以外に、哺乳動物においてHCVの形成及び/又は複製を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。これには、HCV生活環に必要な宿主又はHCVウイルス標的を妨害する薬剤或いは定義されていないか又は不完全に定義された機構を介してHCV細胞培養アッセイで特異的に阻害する薬剤が含まれる。HCV生活環の別の標的の阻害剤としては、例えば、ウイルス標的、例えばCore、E1、E2、p7、NS2/3プロテアーゼ、NS3ヘリカーゼ、NS4A、NS5A、NS5Bポリメラーゼ、及び内部リボソーム侵入部位(IRES)、又は宿主標的、例えばシクロフィリンB、ホスファチジルイノシトール4-キナーゼIIIα、CD81、SR-B1、Claudin 1、VAP-A、VAP-Bを阻害する薬剤が挙げられる。HCV生活環の別の標的の阻害剤の具体例として、ISIS-14803(ISIS Pharmaceuticals)、GS9190(Gilead)、GS9132(Gilead)、A-831(AstraZeneca)、NM-811(Novartis)、及びDEBIO-025(Debio Pharma)が挙げられる。
用語「HIV阻害剤」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物においてHIVの形成及び/又は複製を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。これには、哺乳動物においてHIVの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルス機構を妨害する薬剤が含まれる。HIV阻害剤として、例えば、ヌクレオシド阻害剤、非ヌクレオシド阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤及びインテグラーゼ阻害剤が挙げられる。
用語「HAV阻害剤」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物においてHAVの形成及び/又は複製を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。これには、哺乳動物においてHAVの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルス機構を妨害する薬剤が含まれる。HAV阻害剤として、A型肝炎ワクチン、例えば、Havrix(登録商標)(GlaxoSmithKline)、VAQTA(登録商標)(Merck)及びAvaxim(登録商標)(Aventis Pasteur)が挙げられる。
用語「HBV阻害剤」は、本明細書で使用する場合、哺乳動物においてHBVの形成及び/又は複製を阻害するのに有効な薬剤(化合物又は生物学的製剤)を意味する。これには、哺乳動物においてHBVの形成及び/又は複製に必要な宿主又はウイルス機構を妨害する薬剤が含まれる。HBV阻害剤として、例えば、HBVウイルスDNAポリメラーゼを阻害する薬剤又はHBVワクチンが挙げられる。HBV阻害剤の具体例として、Lamivudine(Epivir-HBV(登録商標))、Adefovir Dipivoxil、Entecavir、FTC(Coviracil(登録商標))、DAPD(DXG)、L-FMAU(Clevudine(登録商標))、AM365(Amrad)、Ldt(Telbivudine)、monoval-LdC(Valtorcitabine)、ACH-126,443(L-Fd4C)(Achillion)、MCC478(Eli Lilly)、Racivir(RCV)、Fluoro-L及びDヌクレオシド、Robustaflavone、ICN 2001-3(ICN)、Bam 205 (Novelos)、XTL-001(XTL)、Imino-Sugars(Nonyl-DNJ)(Synergy)、HepBzyme;及び免疫調節製剤、例えばインターフェロンα2b、HE2000(Hollis-Eden)、Theradigm(Epimmune)、EHT899(Enzo Biochem)、Thymosin alpha-1(Zadaxin(登録商標))、HBV DNAワクチン(PowderJect)、HBV DNAワクチン(Jefferon Center)、HBV抗原(OraGen)、BayHep B(登録商標)(Bayer)、Nabi-HB(登録商標)(Nabi)及び抗B型肝炎(Cangene);及びHBVワクチン製品、例えば以下の製品:Engerix B、Recombivax HB、GenHevac B、Hepacare、Bio-Hep B、TwinRix、Comvax、Hexavacが挙げられる。
【0029】
これらの薬剤のいくつかの特に好ましい例を以下に列挙する。
・抗ウイルス薬:リバビリン又はアマンタジン;
・免疫調節剤:クラスIインターフェロン、クラスIIインターフェロン又はそれらのペグ化型;
・HCVポリメラーゼ阻害剤:ヌクレオシド類似体又は非ヌクレオシド;
・以下から選択される標的を阻害する、HCV生活環の別の標的の阻害剤:NS3ヘリカーゼ、NS2/3プロテアーゼ、内部リボソーム侵入部位(IRES)、NS4A、NS5A、NS5Bポリメラーゼ、又は宿主標的、例えばシクロフィリンA若しくはシクロフィリンB;
・HIV阻害剤:ヌクレオシド阻害剤、非ヌクレオシド阻害剤、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤又はインテグラーゼ阻害剤;或いは
・HBV阻害剤:ウイルスDNAポリメラーゼを阻害する薬剤又はHBVワクチン。
上述したように、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩を、下記薬剤:抗ウイルス薬、免疫調節剤、HCV NS3プロテアーゼの別の阻害剤、HCVポリメラーゼの阻害剤、HCV生活環の別の標的の阻害剤、HIV阻害剤、HAV阻害剤及びHBV阻害剤から選択される少なくとも1種の追加薬剤と共投与する併用療法を企図する。このような薬剤の例は上記定義セクションで提供した。これらの追加薬剤を本発明の化合物と併用して、単回医薬剤形を作り出すことができる。或いは例えば、キットを用いて、複数回剤形の一部としてこれらの追加薬剤を患者に別個に投与してよい。式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩の投与前、投与と同時、又は投与後にこのような追加薬剤を患者に投与してよい。
【0030】
本明細書で使用する場合、用語「治療」は、C型肝炎の症状を軽減又は排除するため及び/又は患者のウイルス負荷を低減するために本発明の化合物又は組成物を投与することを意味する。
本明細書で使用する場合、用語「予防」は、ウイルスへの個体の暴露後であるが疾患の症状の出現前、及び/又は血中でウイルスが検出される前に、疾患の症状の出現を防止するために本発明の化合物又は組成物を投与することを意味する。
用語「治療的に有効な量」は、治療が必要な患者に投与したとき、該化合物が有用な病状、状態、又は障害の治療を達成するのに十分な本発明の化合物の量を意味する。このような量は、研究者又は臨床医が探求している組織系、又は患者の生物学的若しくは医学的応答を誘発するのに十分であろう。治療的に有効な量を構成する本発明の化合物の量は、化合物及びその生物学的活性、投与のために使用する組成物、投与の時間、投与の径路、化合物の排泄速度、治療の持続期間、治療する病状又は障害のタイプ及びその重症度、本発明の化合物と併用又は同時に使用する薬物、患者の年齢、体重、総体的な健康、性別及び食事制限のような因子によって変化するだろう。当業者は、自分の知識、最新技術、及びこの開示を考慮して、このような治療的に有効な量を日常的に決定することができる。
【0031】
(好ましい実施形態)
以下の好ましい実施形態では、本発明の下記式(I)の基及び置換基について詳述する。
【0032】
【化7】

【0033】
B:
B-A:一実施形態では、BがC(=O)-R4であり;R4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、(C3-7)シクロアルケニル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルケニル、Het、アリール、(C1-4)アルキル-Het、又は(C1-4)アルキル-アリールであり;全て任意に1〜3回、(C1-4)アルキル、ヒドロキシ、O-(C1-4)アルキル又はハロゲンで置換されていてもよく;或いは
Bが、任意にハロゲン、ヒドロキシ、(C1-6)アルキル、O-(C1-6)アルキル、O-アリール、O-Het、S-(C1-6)アルキル、-CO-(C1-6)アルキル、-CO-NH2、-CO-NH(C1-4)アルキル、-CO-N((C1-4)アルキル)2、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2で一、二又は三置換されていてもよいアリール又はHetであり;ここで、前記アルキル及びO-アルキル基は任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Hetは、1〜4個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する4員〜7員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ環、又は可能な限り1〜5個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する7員〜14員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ多環として定義され、ここで、各Nヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに酸素原子と結合してN-オキシド基を形成するように酸化状態で存在してよく、各Sヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに1又は2個の酸素原子と結合して基SO又はSO2を形成するように酸化状態で存在してよい。
【0034】
B-B:別の実施形態では、BがC(=O)-R4であり;このときR4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、(C3-7)シクロアルケニル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルケニル、アリール又は(C1-4)アルキル-アリールであり;全て任意に1〜3回、(C1-4)アルキル、ヒドロキシ、O-(C1-4)アルキル又はハロゲンで置換されていてもよく;或いは
Bが、任意にハロゲン、ヒドロキシ、(C1-6)アルキル、O-(C1-6)アルキル、O-アリール、O-Het、S-(C1-6)アルキル、-CO-(C1-6)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2で一、二又は三置換されていてもよいアリール又はHetであり;ここで、前記アルキル及びO-アルキル基は、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Hetは、1〜3個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する4員〜7員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ環、又は可能な限り1〜3個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する7員〜14員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ多環として定義される。
【0035】
B-C:別の実施形態では、BがC(=O)-R4であり;このときR4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルケニル又はC6-アリールであり;全て任意に1〜3回、(C1-4)アルキル、O-(C1-4)アルキル又はハロゲンで置換されていてもよく;或いは
Bが、任意にハロゲン、(C1-6)アルキル、O-(C1-6)アルキル、O-アリール、O-Het又はS-(C1-6)アルキルで一、二又は三置換されていてもよいアリール又はHetであり、ここで、前記アルキル及びO-アルキル基は、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Hetは、1〜3個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する4員〜6員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ環、又は可能な限り1〜3個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する7員〜10員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ多環である。
【0036】
B-D:別の実施形態では、BがC(=O)-R4であり;R4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルケニル又はC6-アリールであり;全て任意に1〜3回、(C1-4)アルキルで置換されていてもよく;或いは
Bが、任意にハロゲン、(C1-6)アルキル、O-(C1-6)アルキル、O-アリール、O-Het又はS-(C1-6)アルキルで一、二又は三置換されていてもよいアリール又はHetであり、ここで、前記アルキル及びO-アルキル基は、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Het基は、以下のように定義される。
【0037】
【化8】

【0038】
B-E:別の実施形態では、BがC(=O)-R4であり;R4は、(C1-6)アルキル、(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルケニル又はC6-アリールであり;全て任意に1〜3回、(C1-2)アルキルで置換されていてもよく;或いは
Bが、任意にハロゲン、ヒドロキシ、(C1-4)アルキル、O-(C1-4)アルキル、O-フェニル、O-テトラヒドロピラニル、S-(C1-4)アルキルで一、二又は三置換されていてもよい、アリール又はHetであり、ここで、前記アルキル及びO-アルキル基は、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Het基は、以下のように定義される。
【0039】
【化9】

【0040】
B-F:別の実施形態では、BがC(=O)-R4であり、R4は、(C1-6)アルキル、(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルケニル又はC6-アリールであり;全て任意に(C1-2)アルキルで一置換されていてもよく;或いは
Bが、アリール又はHetであり、任意にハロゲン、(C1-6)アルキル、O-(C1-6)アルキル、O-フェニル、O-テトラヒドロピラニル、S-(C1-6)アルキルで一又は二置換されていてもよく、ここで、前記アルキル及びO-アルキル基は、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Het基は、以下のように定義される。
【0041】
【化10】

【0042】
B-G:別の実施形態では、BがC(=O)-R4であり、R4が下記:
【0043】
【化11】

【0044】
であり;或いは
Bが下記である。
【0045】
【化12】

【0046】
B-H:別の実施形態では、BがC(=O)-R4であり、R4は、(C1-6)アルキル、(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルケニル又はC6-アリールであり;全て任意に(C1-2)アルキルで一置換されていてもよい。
B-I:別の実施形態では、Bが、任意にハロゲン、ヒドロキシ、(C1-4)アルキル、O-(C1-4)アルキル、O-フェニル、O-テトラヒドロピラニル、S-(C1-4)アルキルで一、二又は三置換されていてもよいアリール又はHetであり、
前記アルキル及びO-アルキル基は、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Het基は、以下のように定義される。
【0047】
【化13】

【0048】
本明細書で示すBのいずれの各個々の定義も、本明細書で示すR1、R2、R3、RC、L0及びL1のいずれの各個々の定義とも組み合わせてよい。
R3
R3-A:一実施形態では、R3が、(C2-8)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-3)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、このとき前記アルキル、シクロアルキル、及びアルキル-シクロアルキル基はそれぞれ(C1-4)アルキルで一、二又は三置換されていてもよい。
R3-B:別の実施形態では、R3が、(C2-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-3)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、及びアルキル-シクロアルキル基はそれぞれ(C1-3)アルキルで一又は二置換されていてもよい。
R3-C:別の実施形態では、R3が、エチル、プロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであり、それぞれ任意に、メチル、エチル及びプロピルから選択される1又は2個の置換基で置換されていてもよい。
R3-D:別の実施形態では、R3が、1-メチルエチル、1,1-ジメチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-メチルシクロプロピル、1-メチルシクロブチル、1-メチルシクロペンチル又は1-メチルシクロヘキシルである。
R3-E:別の実施形態では、R3が下記である。
【0049】
【化14】

【0050】
本明細書で示すR3のいずれの各個々の定義も、本明細書で示すR1、R2、RC、B、L0及びL1のいずれの各個々の定義とも組み合わせてよい。
L0
L0-A:一実施形態では、L0が、ハロゲン、(C1-4)アルキル、-OH、-O-(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル又は-N((C1-4)アルキル)2である。
L0-B:別の実施形態では、L0がハロゲン、(C1-4)アルキル又は-O-(C1-4)アルキルである。
L0-C:別の実施形態では、L0が(C1-4)アルキル又は-O-(C1-4)アルキルである。
L0-D:別の実施形態では、L0が-O-(C1-4)アルキルである。
L0-E:別の実施形態では、L0が-O-(C1-2)アルキルである。
L0-F:別の実施形態では、L0が-OCH3である。
本明細書で示すL0のいずれの各個々の定義も、本明細書で示すR1、R2、R3、RC、B及び L1のいずれの各個々の定義とも組み合わせてよい。
【0051】
L1
L1-A:一実施形態では、L1が、ハロゲン、(C1-4)アルキル、-O-(C1-4)アルキル、-S-(C1-4)アルキル、-SO-(C1-4)アルキル、又は-SO2-(C1-4)アルキルであり、前記アルキル基はそれぞれ任意に、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。
L1-B:別の実施形態では、L1がハロゲン、(C1-4)アルキル又は-O-(C1-4)アルキルである。
L1-C:別の実施形態では、L1が-CH3、-C2H5、-C3H7、-F、-Cl、-Br、-OCH3、-OC2H5又は-OC3H7である。
L1-D:別の実施形態では、L1が-CH3、-C2H5、-Cl又は-Brである。
L1-E:別の実施形態では、L1がCH3、-Cl又は-Brである。
本明細書で示すL1のいずれの各個々の定義も、本明細書で示すR1、R2、RC、R3、B及びL0のいずれの各個々の定義とも組み合わせてよい。
【0052】
R2
R2-A:一実施形態では、R2が、-NR22COR20、-NR22COOR20、-NR22R21又は-NR22CONR21R23であり、ここで、
R20は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル又はアルキル-シクロアルキルは、(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一、二又は三置換されていてもよく;
R21は、H又は前記定義どおりのR20であり、
R22及びR23は、独立にH又はメチルである。
R2-B:別の実施形態では、R2が、-NR22COR20、-NR22COOR20又は-NR22R21であり、ここで、
R20は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、このとき前記アルキル、シクロアルキル又はアルキル-シクロアルキルは、(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一、二又は三置換されていてもよく;
R21は、H又は前記定義どおりのR20であり、
R22は、H又はメチルである。
R2-C:別の実施形態では、R2が-N(H)COR20、-N(H)COOR20又は-N(H)R21であり、ここで、
R20は、(C1-6)アルキル又は(C3-7)シクロアルキルであり、前記アルキル又はシクロアルキルは(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一又は二置換されていてもよく;
R21は、前記定義どおりのR20である。
R2-D:別の実施形態では、R2が-N(H)COR20、-N(H)COOR20又は-N(H)R21であり、ここで、
R20は、(C1-4)アルキル又は(C3-5)シクロアルキルであり、前記アルキル又はシクロアルキルは、(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一又は二置換されていてもよく;かつ
R21は、前記定義どおりのR20である。
R2-E: 別の実施形態では、R2が-N(H)COR20、-N(H)COOR20又は-N(H)R21であり、ここで、
R20は、(C1-4)アルキル又は(C3-5)シクロアルキルであり、前記アルキルは、(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一又は二置換されていてもよく;かつ
R21は、前記定義どおりのR20である。
R2-F:さらに別の実施形態では、R2が下記である。
【0053】
【化15】

【0054】
本明細書で示すR2のいずれの各個々の定義も、本明細書で示すR1、R3、RC、L0、L1及びBのいずれの各個々の定義とも組み合わせてよい。
RC
RC-A:一実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、アリール又はHetであり;それぞれ任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1-4)アルキル、O-(C1-6)アルキル、-CO-NH2、-CO-NH(C1-4)アルキル、-CO-N((C1-4)アルキル)2、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2から選択される置換基で一、二又は三置換されていてもよく、ここで、(C1-4)アルキル及びO-(C1-6)アルキルは、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。
RC-B:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり;それぞれ任意に、(C1-4)アルキル、O-(C1-6)アルキルから選択される置換基で一、二又は三置換されていてもよく、ここで、(C1-4)アルキル及びO-(C1-6)アルキルは、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。
RC-C:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり;それぞれ任意に、(C1-4)アルキル及びO-(C1-6)アルキルから選択される置換基で一、二又は三置換されていてもよい。
RC-D:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキルであり、それぞれ任意に、(C1-4)アルキル及びO-(C1-6)アルキルから選択される置換基で一又は二置換されていてもよい。
RC-E:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、それぞれ任意に、(C1-4)アルキルから選択される置換基で一置換されていてもよい。
RC-F:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは(C3-7)シクロアルキルであり、任意に、(C1-4)アルキルから選択される置換基で一置換されていてもよい。
RC-G:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは、任意に(C1-4)アルキルで一置換されていてもよいシクロプロピルである。
RC-H:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSは下記基である。
【0055】
【化16】

【0056】
RC-I:別の実施形態では、RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、このときRSはシクロプロピルである。
RC-J: 別の実施形態では、RCがヒドロキシである。
本明細書で示すRCのいずれの各個々の定義も、本明細書で示すR1、R2、R3、L0、L1及びBのいずれの各個々の定義とも組み合わせてよい。
R1
R1-A:一実施形態では、R1が(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル又は(C3-7)シクロアルキルである。
R1-B:別の実施形態では、R1が(C2-4)アルキル、(C2-4)アルケニル又は(C3-5)シクロアルキルである。
R1-C:別の実施形態では、R1がエチル、ビニル又はシクロプロピルである。
本明細書で示すR1のいずれの各個々の定義も、本明細書で示すR2、R3、RC、L0、L1及びBのいずれの各個々の定義とも組み合わせてよい。
P1部分中、置換基R1及びカルボニルは、syn配向を取る。
従って、R1がエチルの場合、シクロプロピル基中の不斉炭素原子は、下記部分式のようにR,R配置を取る。
【0057】
【化17】

【0058】
R1がビニルの場合、シクロプロピル基中の不斉炭素原子は、下記部分式のようにR,S配置を取る。
【0059】
【化18】

【0060】
R1がシクロプロピルの場合、シクロプロピル基中の不斉炭素原子は、下記部分式のようにR,S配置を取る。
【0061】
【化19】

【0062】
本発明の好ましい下位概念の実施形態の例を下表に示す。各実施形態の各置換基は、前記定義に従って定義される。
【0063】



【0064】
本発明の最も好ましい化合物の例は、下表1〜8に列挙する各単一化合物である。
別の実施形態によれば、本発明の医薬組成物は、さらに少なくとも1種の他の抗HCV剤を含んでよい。抗HCV剤の例として、α-(アルファ)、β-(ベータ)、δ-(デルタ)、γ-(ガンマ)、ω-(オメガ)又はτ-(タウ)インターフェロン、ペグ化α-インターフェロン、リバビリン及びアマンタジンが挙げられる。
別の代替実施形態によれば、本発明の医薬組成物はさらに、HCV NS3プロテアーゼの少なくとも1種の他の阻害剤を含み得る。
別の代替実施形態によれば、本発明の医薬組成物はさらに、HCVポリメラーゼの少なくとも1種の他の阻害剤を含み得る。
さらに別の代替実施形態によれば、本発明の医薬組成物はさらに、HCV生活環の他の標的、例えば、限定するものではないが、ヘリカーゼ、NS2/3プロテアーゼ又は内部リポソーム侵入部位(IRES)などの少なくとも1種の阻害剤を含み得る。
本発明の医薬組成物は、経口、非経口投与又は移植レザバーを介して投与され得る。経口投与又は注射による投与が好ましい。この発明の医薬組成物は、いずれの通常の無毒の医薬的に許容できる担体、アジュバント又はビヒクルを含有し得る。場合によっては、製剤のpHを医薬的に許容できる酸、塩基又は緩衝液で調整して、処方化合物又はその送達形態の安定性を高めることができる。本明細書で使用する場合、非経口という用語は、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、及び病巣内注射又は注入法を包含する。
本医薬組成物は、例えば、無菌の注射用水性又は油性懸濁液のように、無菌注射製剤の形態であってよい。この懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤(例えば、Tween 80など)及び懸濁剤を用いて、当業者に既知の技法で処方され得る。
【0065】
本発明の医薬組成物は経口的に許容できるいずれの剤形としても経口投与することができ、該剤形としては、限定するものではないが、水性懸濁液及び水溶液、カプセル剤、散剤、シロップ剤、エリキシル剤又は錠剤が挙げられる。経口用途の錠剤の場合、常用される担体として、ラクトース及びコーンスターチが挙げられる。典型的に、ステアリン酸マグネシウム等の潤沢剤も添加される。カプセル形態の経口投与では、有用な希釈剤として、ラクトース及び乾燥コーンスターチが挙げられる。水性懸濁液を経口投与する場合、活性成分を乳化剤及び懸濁剤と混合する。所望により、特定の甘味料及び/又は調味料及び/又は着色料を添加し得る。限定するものではないが、皮下、皮内、静脈内、筋肉内、関節内、滑膜内、胸骨内、くも膜下腔内、及び病巣内注射又は注入法などによる全身投与では、医薬的に許容できる無菌水性ビヒクル中の化合物、又はその塩若しくはエステルの溶液を使用することが好ましい。
医薬的に許容できる担体、アジュバント、希釈剤、ビヒクル、賦形剤及び添加剤並びに種々の投与モードに合わせて医薬組成物を処方する方法は、当業者に周知であり、以下のような、参照によって本明細書に援用される医薬テキストに記載されている:Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 21st Edition, Lippincott Williams & Wilkins, 2005;及びL.V. Allen, N.G. Popovish and H.C. Ansel, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 8th ed., Lippincott Williams & Wilkins, 2004。
HCV媒介疾患の予防及び治療のための単剤療法又は併用療法では、1日当たり約0.01〜約100mg/kg(体重)、好ましくは1日当たり約0.1〜約50mg/kg(体重)の本明細書に記載のプロテアーゼ阻害化合物の投与量レベルが有用である。典型的に、本発明の医薬組成物を1日当たり約1〜約5回投与するか或いは、連続注入として投与する。このような投与を慢性又は急性療法として利用することができる。担体材料と混合して単回剤形を作製し得る活性成分の量は、治療宿主及び特定の投与様式によって変わるだろう。典型的製剤は、約5%〜約95%の活性化合物(w/w)を含むだろう。好ましくは、該製剤は約20%〜約80%の活性化合物を含む。
【0066】
当業者は認めるように、上記用量より少ないか又は多い用量が要求されることがある。いずれかの特定患者のための具体的な投与量及び治療計画は、利用する具体的な化合物、年齢、体重、総体的な健康状態、性別、食事制限、投与の時間、排泄速度、薬物の組合せ、感染の重症度と経過、感染に対する患者の素質及び治療医師の判断などの種々の因子によって左右されるだろう。一般的に、ペプチドの最適用量より実質的に少ない小用量で治療を開始する。その後、その環境下で最適効果を達成するまで少しずつ用量を増やす。一般に、如何なる有害又は有毒な副作用もなく、通常は抗ウイルス的に有効な結果が得られるであろう濃度レベルで化合物を投与するのが最も望ましい。
この発明の組成物が式(I)の化合物と、1種以上の追加の治療薬又は予防薬の組合せを含む場合、化合物と追加薬は両方とも、単剤療法投与計画で一般的に投与される用量の約10〜100%、さらに好ましくは約10〜80%の用量レベルで存在すべきである。
これらの化合物は、それらの医薬的に許容できる塩及びエステルを含め、医薬的に許容できる担体と共に処方され、結果として生じる組成物は、ヒト等の哺乳動物にin vivo投与されて、HCV NS3プロテアーゼを阻害するか又はHCVウイルス感染症を治療若しくは予防し得る。該治療は、本発明の化合物を別の抗ウイルス薬と併用しても達成され得る。好ましい他の抗ウイルス薬は定義セクション及び本発明の好ましい医薬組成物のセクションに記載されており、限定するものではないが、α-、β-、δ-、ω-、γ-又はτ-インターフェロン、リバビリン、アマンタジン;HCV NS3プロテアーゼの阻害剤;HCVポリメラーゼの阻害剤;限定するものではないが、ヘリカーゼ、NS2/3プロテアーゼ、又は内部リボソーム侵入部位(IRES)などのHCV生活環の他の標的の阻害剤;又はその組合せが挙げられる。追加薬剤を本発明の化合物と組み合わせて単回剤形を作り出すことができる。或いはこれらの追加薬剤を複数回剤形の一部として哺乳動物に別個に投与してよい。
【0067】
従って、本発明の別の実施形態は、式(I)の化合物(その医薬的に許容できる塩又はエステルを含め)を投与することによって、哺乳動物におけるHCV NS3プロテアーゼ活性を阻害する方法を提供する。
好ましい実施形態では、この方法は、哺乳動物に感染しているC型肝炎ウイルスのNS3プロテアーゼ活性を低減するのに有用である。
上述したように、式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを、少なくとも1種の追加の抗ウイルス薬と共投与する併用療法を企図する。好ましい抗ウイルス薬については前述し、該薬剤の例は定義セクションで提示してある。これらの追加薬剤を本発明の化合物と組み合わせて単回医薬剤形を作製することができる。或いはこれらの追加薬剤を例えば、キットを用いて、複数回剤形の一部として別個に投与してよい。式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルの投与前、投与と同時、又は投与後に該薬剤を投与してよい。
【0068】
本明細書で示す式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを検査用試薬として使用することもできる。さらに本発明の化合物(その医薬的に許容できる塩若しくはエステルを含め)を用いて、物質(例えば血液、組織、手術器具及び衣類、並びに採血装置及び材料)のウイルス汚染を処理又は防止し、ひいては該物質と接触する検査室若しくは医療関係者又は患者のウイルス感染のリスクを軽減することもきる。
本明細書で示す式(I)の化合物(その医薬的に許容できる塩若しくはエステルを含め)を研究用試薬として使用することもできる。式(I)の化合物(その医薬的に許容できる塩若しくはエステルを含め)をポジティブコントロールとして用いて、代替細胞ベースアッセイ又はin vitro若しくはin vivoウイルス複製アッセイを検証することもできる。
【0069】
(方法論)
本発明の式(I)の化合物の合成は、下記スキームで概略を示す一般手順に従って便利に達成される。スキーム中、R1、R2、R3、RC、RS、L0、L1及びBは、本明細書で定義するとおりである。本明細書で後述する具体例によって、さらなる指導を当業者に提供する。本発明の化合物の合成又は分割の他の具体的手段は、全て参照によって本明細書に援用されるWO 00/09543、WO 00/09558、WO 00/59929、WO 99/07733及びWO2004/103996で見つけられる。
以下のスキームは、R1がビニル又はエチルであり、かつRCがOHである場合の式(I)の化合物を調製するための既知の方法を用いる便利なプロセスを示す。
(スキーム1)
【0070】
【化20】

【0071】
適切に保護されたtrans-ヒドロキシプロリンに標準条件下でP1残基をカップリングすることによってジペプチド1の合成を行なう。パラニトロ安息香酸を用いて既知のMitsunobu反応でヒドロキシル基の立体化学を反転させる。ジペプチドとP3成分(2a-h)(商業的供給源から得られる)のカップリングがトリペプチド3をもたらす。Mitsonobu反応を利用するか又はフリーのヒドロキシル基を良い脱離基(例えばブロシラート)に転換し、それをヒドロキシルキノリン誘導体5と置き換えることによって、立体化学が反転したトリペプチド3のヒドロキシル基へのキノリン部分の導入を行なうことができる。2-(2-アミノ-4-チアゾリル)誘導体の合成では、使用するキノリンは、5に示すように2-カルボメトキシ基を含む。カルボキシラート基のアミノチアゾール誘導体への変換は周知の合成方法論で行なわれ、参照によって本明細書に援用されるWO 00/09543及びWO 00/09558に記載かつ例証されている。P3のboc保護基の除去後、適切なカルボン酸とのペプチドカップリング反応によって所望アミドを得る。或いは、P3のboc保護基の除去後、2位で脱離基によって適切に置換された2-ピリミジンとのSNAr反応が、対応する2-ピリミジル化合物を与える。他のHetの導入については、スキーム3を参照されたい。塩基性水性条件下でC末端エステルを加水分解して、R1がビニルである式(I)の化合物を得る。ジイミド源としてヒドラジン一水和物を用いてビニル基を還元して、R1がエチルである式(I)の化合物を得ることができる。
(スキーム2)
【0072】
【化21】

【0073】
スキーム2は、式(I)の化合物を作るための別の反応順序を表す。この場合、スキーム1で述べたのと同様にキノリン成分をジペプチドに導入する。P3部分(2a-h)を標準条件下でジペプチド17とカップリングして、対応するトリペプチド類似体9を得る。結果として生じるトリペプチド(9)の、式(I)の所望阻害剤(11及び12)への変換を、スキーム1で述べたように行なう。
(スキーム3)
【0074】
【化22】

【0075】
スキーム3は、中間体21及び22を調製するために使用する反応順序を示す。P3フラグメント19a-hを調製するため、銅触媒を用いて市販のハロゲン化アリールの存在下で市販のアミノ酸(18a-h)を加熱して、N-アリール化アミノ酸19a-hを得る。N-アリール化アミノ酸19a-hが、脱保護されたジペプチド17とのペプチドカップリング反応を受けてN-アリール化トリペプチド20をもたらし得る。これらの中間体の塩基性水性加水分解が、R1がビニルであり、かつBがアリールである式(I)の化合物(21)を与える。ヒドラジン一水和物をジイミド源として用いてビニル基を還元して、R1がエチルであり、かつBがアリールである式(I)の化合物(22)を得る。BがHet(Hetは、スキーム1で述べた2-ピリミジル以外である)である式(I)の化合物について、同じ方法論が適用される。
(スキーム4)
【0076】
【化23】

【0077】
スキーム4は、R1がエチルである式(I)の化合物の合成の代替合成経路を表す。Rh/Cを用いて45psi(0.31MPa)の水素ガス下でビニルシクロプロパン誘導体23を還元してエチル-シクロプロパン誘導体24を得る。次にこの化合物を、保護されたアミノ酸25及び2a-hと連続して結合してトリペプチド類似体26を得る。化合物3から化合物9に変換するためにスキーム1で述べたのと同様の変換を利用してトリペプチド26をキノリンアミノチアゾール誘導体30に変換する。化合物9から化合物10に変換するためにスキーム1で述べたのと同様の変換を利用して、R1がエチルである式(I)の化合物に化合物30を変換することができる。
(スキーム5)
【0078】
【化24】

【0079】
スキーム5は、R1がシクロプロピルである式(I)の化合物を作るための反応順序を表す。酢酸パラジウム及びジアゾメタンを用いてビニルシクロプロパン誘導体17をシクロプロパン化して中間体33を得る。脱保護されたジペプチド33とP3フラグメント2a-h又は19a-hの一方との間のペプチドカップリングがトリペプチド誘導体を与える。スキーム1〜4で既に述べた反応順序を利用して、このトリペプチド誘導体を式(I)の化合物に変換することができる。
(スキーム6)
【0080】
【化25】

【0081】
スキーム6は、式(I)のカルボン酸を対応するアシルスルホンアミドに変換する反応順序を表す。酸をペプチドカップリング試薬又はクロロホルマートで活性化し、それによって対応するアザ-ラクトンに変換する。スルホンアミドの求核付加によってアザラクトンを開いて、対応するアシルスルホンアミド類似体を得る。
(スキーム7)
【0082】
【化26】

【0083】
スキーム7は、スキーム6で使用するスルホンアミド42-Cを調製するための反応順序を表す。化合物42-Aを適切な溶媒中、適切な反応温度でまず二酸化イオウと反応させてからN-クロロスクシンイミド(NCS)と反応させて化合物42-Bを得る。次にこれを適切な溶媒中、適切な反応温度でアンモニアと反応させてスルホンアミド42-Cを得る。
RSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、アリール又はHetから選択され;それぞれ任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1-4)アルキル、O-(C1-6)アルキル、-CO-NH2、-CO-NH(C1-4)アルキル、-CO-N((C1-4)アルキル)2、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2から選択される置換基で一、二又は三置換されていてもよく、ここで、(C1-4)アルキル及びO-(C1-6)アルキルは任意に、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよい。別の実施形態では、RSが、C1-10-アルキル、C3-12-シクロアルキル、アリール、アリール-C1-10-アルキル又はヘテロアリールから選択される基で置換されているC3-7シクロアルキル基である。
(スキーム8)
【0084】
【化27】

【0085】
スキーム8は、スルホンアミド42-Cを調製するための代替方法を示し、適切な溶媒中、適切な反応温度で化合物42-Aとスルフリルジクロリドの反応によって化合物42-Bを得てから適切な溶媒中、適切な反応温度でアンモニアと反応させてスルホンアミド42-Cを得る。
(スキーム9)
【0086】
【化28】

【0087】
スキーム9は、N-置換スルホンアミド中間体経由でスルホンアミド42-Cを調製するための代替方法を表す。化合物42-Bを置換アミン化合物NHR1R2と反応させて化合物42-Dを得る。ここで、R1及びR2は、R1とR2両方ともが水素ではないという条件で、水素又はC1-10-アルキルである。次に化合物42-Dを酸と反応させてスルホンアミド42-Cを得る。
(スキーム10)
【0088】
【化29】

【0089】
スキーム10は、特定の置換シクロアルキルスルホンアミド42-F(RSは、C1-10-アルキル、C3-12-シクロアルキル、アリール、アリール-C1-10-アルキル又はヘテロアリールから選択されるR6基で置換されているC3-7シクロアルキル基である)を調製するための反応順序を表す。化合物42-Dを塩基と反応させた後、ハロゲン化物R6X(Xはクロロ、ブロモ又はヨウ化物である)と反応させてから酸と反応させて42-Fスルホンアミドを得る。
【0090】
(P1フラグメントの合成)
2000年10月12日に公開されたWO 00/59929、及び2000年2月24日に公開されたWO 00/09543で概要が述べられているプロトコルを利用して式(I)の化合物のP1部分を調製する。これらの文献は参照によって本明細書に援用される。特に、1-アミノシクロプロパンカルボン酸P1成分の調製について、WO00/59929の33〜35ページ、実施例1及びWO00/09543の56〜69ページ、実施例9〜20を参照されたい。
(P2置換基の合成)
全て参照によって本明細書に援用される国際特許出願WO 00/59929、WO 00/09543、WO 00/09558、WO2004/103996及び米国特許6,323,180に記載の技術を用いて、市販材料から式5の化合物を合成することができる。
(チオ尿素8a〜8kの合成)
参照によって本明細書に援用される国際特許出願WO2004/103996に記載の技術を用いて、市販材料から式8a〜8kの化合物を合成することができる。
【0091】
【化30】

【0092】
P3残基の合成:
アミノ酸2a-h及び18a-hは、種々のベンダーから入手可能であり、受け取ったままで使用した。
【0093】
【化31】

【0094】
実施例17、工程3で詳述するスキーム3に従ってP3残基9a-hを調製した。
【0095】
【化32】

【実施例】
【0096】
温度は摂氏度で与える。特に断らない限り、溶液パーセンテージは質量対体積の関係を表し、溶液比は体積対体積の関係を表す。Stillのフラッシュクロマトグラフィー法(W.C. Still et al., J. Org. Chem., (1978), 43, 2923)に従ってシリカゲル(SiO2)上でフラッシュクロマトグラフィーを行なう。フローインジェクション分析質量分析法を利用して質量スペクトル分析を記録する。標準条件下、SunFireTMC18 3.5μM逆相カラム、4.6×30mm及び線形勾配(5又は8分にわたって2.5mL/分で0〜100%)を用いて、溶媒として0.1%TFA/アセトニトリル及び0.1%TFA/水を利用して分析HPLCを行なう。
実施例で使用する略語には以下のものがある:
Ac:アセチル;ACCA:1-アミノシクロプロピル-カルボン酸;BOC又はBoc:tert-ブチルオキシカルボニル;DBU:1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン;DCM:ジクロロメタン;DIAD:ジイソプロピルアゾジカルボキシラート;DIEA:ジイソプロピルエチルアミン;DIPEA:ジイソプロピルエチルアミン;DMF:N,N-ジメチルホルムアミド;DMAP:4-(ジメチルアミノ)ピリジン;DMSO:ジメチルスルホキシド;equiv:当量;EtOAc:酢酸エチル;HATU:[O-7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート];hex:ヘキサン;HPLC:高速液体クロマトグラフィー;MS:質量分析法(FIA MS-フローインジェクション分析質量分析法);Me:メチル;MeOH:メタノール;mmol:ミリモル;NCS:N-クロロスクシンイミド;Ph:フェニル;RT:室温(18〜22℃);sat:飽和;SNAr:芳香族求核置換;tert-ブチル又はt-ブチル:1,1-ジメチルエチル;Tbg:tert-ブチルグリシン:tert-ロイシン;TBTU:2-(1H-ベンゾトリアゾール-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウムテトラフルオロボラート;TEA:トリエチルアミン;TFA:トリフルオロ酢酸;及びTHF:テトラヒドロフラン。
【0097】
実施例1:ジペプチド36の合成
【0098】
【化33】

【0099】
DMF(800mL)中のBoc-ヒドロキシプロリンP2(50.0g,216mmol)、ビニル-ACCAメチルエステルP1(23)(42.25g,238mmol)、TBTU(76.36g,238mmol)及びDIPEA(113mL,649mmol)の混合物を窒素雰囲気下RTで撹拌する。約3.5時間後、溶媒を蒸発させて残留物をEtOAcで抽出する。抽出物をHCl(10%)、飽和炭酸水素ナトリウム及び食塩水で洗浄する。次に有機相をMgSO4上で乾燥させ、ろ過かつエバポレートして油を得る。高真空下で一晩乾燥後、ジペプチド36を得る(72.0g,収率94%,純度>95% HPLCで)。
【0100】
実施例2:ジペプチド1の調製
【0101】
【化34】

【0102】
ジペプチド36(72.0g,203mmol)、トリフェニルホスフィン(63.94g,243.8mmol)及び4-ニトロ安息香酸(41.08g,245.8mmol)を乾燥THF(1.4L)に溶かす。撹拌溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却する。次にジエチルアゾジカルボキシラート(38.4mL,244mmol)を約45分にわたって滴下し、反応をRTに戻す。約4時間後、溶媒を蒸発させる。残留物を4つに分ける。これらをそれぞれ微細シリカゲル(10〜40μmメッシュ,カラム径12cm,カラム長16cm)上で2:1ヘキサン/EtOAc→1:1ヘキサン/EtOAc→純粋EtOAcの勾配を用いて精製する。溶媒の蒸発及び残留物の高真空下70℃での約1時間の乾燥後、Boc-ジペプチドエステル13が非晶質白色固体として得られる(108.1g,定量的収率)。ジオキサン中4NのHCl溶液をBoc-ジペプチドエステル13(108g,243mmol)に添加する。溶液をRTで約1時間撹拌する。溶媒を蒸発させ、残留物を高真空下に約3時間置いて化合物1の塩酸塩を得る(定量的収率)。
【0103】
実施例3:トリペプチド3Aの合成
【0104】
【化35】

【0105】
カルバマート2a(121.4g,525mmol)及びHATU(228.2g,2.6mol)をDCM(1L)に懸濁させ、懸濁液を迅速に撹拌する。DIPEA(91.7mL,525mmol)をRTで添加し、約10分後、反応はほとんど均質である。次にこの反応に、DIPEA(87mL,500mmol)を含む無水DCM(3L)中のジペプチド1(220.0g,500mmol)の溶液を注ぐ。結果として生じる黄色溶液を約15時間撹拌する。反応が完了しないので(HPLCで示されるように)、追加量のHATU(22.8g,260mmol)、DIPEA(18mL,100mmol)及びカルバマート2a(12.1g,52.5mmol)を加えて反応をさらに約5時間撹拌する。次に溶媒を蒸発させて黄色シロップを得、EtOAcで抽出し(300+150mL)、0.05N HCl(2×200mL)、飽和Na2CO3(300mL)及び食塩水(150mL)で洗浄する。混ぜ合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥させ、エバポレートしてトリペプチド3aを得る(529g,定量的収率)。
【0106】
実施例4:トリペプチド4aの合成
【0107】
【化36】

【0108】
粗製トリペプチド3a(529g,0.79mol)をTHF(3L)に溶かして水(800mL)を加える。結果として生じる溶液を0℃に冷却し、水酸化リチウム一水和物(111.1g,0.99mol)の溶液を約3分にわたって激しく撹拌しながら加える。0℃で約3時間後、過剰の塩基を1N HClで中和し(最終pH約6)、THFを蒸発させると水性懸濁液になる(黄色ガム)。混合物をEtOAc(2×200mL)で抽出し、飽和NaHCO3(2×300mL)で洗浄する。混ぜ合わせた抽出物をMgSO4上で乾燥させ、エバポレートして淡黄色泡を得る。この泡の、溶離液として6:4のEtOAc-Hexから8:2のEtOAc-Hexを用いるシリカゲル上のフラッシュクロマトグラフィーにより4aを得る(160g,SMの未精製質量に基づいた収率43%)。
【0109】
実施例5:ブロシラート誘導体37aの合成
【0110】
【化37】

【0111】
DCM(2L)に溶かしたトリペプチド4a(180g,0.385mol)、4-ブロモ-ベンゼンスルホニルクロリド(206.6g,0.809mol)及びジメチルアミノピリジン(4.7g,38.5mmol)の冷却溶液(0℃)にトリエチルアミン(187mL,1.34mol)を滴下して加える。この黄色溶液を0℃で約1時間撹拌した後、ゆっくりRTに戻す。次に溶液をRTで約60時間撹拌する。反応混合物を濃縮乾固させ、EtOAcで希釈し、炭酸水素ナトリウム飽和溶液、水及び食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、蒸発乾固させて粗生成物を得る(50g)。この粗製物質をフラッシュカラムクロマトグラフィーでヘキサン:EtOAc;40:60→20:80を用いて精製して純粋生成物37aを得る(170g;収率64%)。
【0112】
実施例6:化合物1005の合成
【0113】
【化38】

1005
【0114】
工程1:トリペプチド上へのキノリン成分の導入
【0115】
【化39】

【0116】
ブロシラート37a(2.0g,2.91mmol)、ブロモキノリン5a(1.1g,3.58mmol)及び粉砕炭酸セシウム(1.9g,5.83mmol)を1-メチル-2-ピロリジノン(37mL)に溶かす。溶液を70℃に加熱し、約7時間撹拌してからRTで一晩撹拌を続ける。反応混合物をEtOAc中に注ぎ、H2O(3×)、飽和NaHCO3(2×)、H2O(2×)、食塩水(1×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつ濃縮して粗生成物を得る(2.1g)。フラッシュカラムクロマトグラフィー(1:30シリカゲル;5:5EtOAc/ヘキサン)で精製して純粋生成物6aを得る(収率84%;1.86g)。
工程2:エステル6aの選択的モノ加水分解
【0117】
【化40】

【0118】
THF-MeOH-H2Oの2:1:1混合物30mL中のトリペプチド6a(1.86g,2.44mmol)を0℃に冷却し、1N NaOH水溶液(2.6mL,2.56mmol)を加える。結果として生じる溶液を0℃で約15分間撹拌してからRTで約1.5時間撹拌を続ける。反応が不完全であることが分かるので(HPLCによって示されるように)、追加の1N NaOH(0.1mL,0.1mmol)を添加して反応をさらに約1.5時間撹拌する。混合物をほぼ乾固するまでエバポレートし、水で希釈し、冷凍及び凍結乾燥して酸38を得る(次工程で使用する粗製物質;1.84g,2.39mmol)。
工程3:ジアゾケトン39の合成
【0119】
【化41】

【0120】
ナトリウム塩38(1.84g,2.39mmol)をTHF(40mL)に溶かし、トリエチルアミン(467μL,3.35mmol)を加え、溶液を0℃に冷却する。イソブチルクロロホルマート(434μL,3.35mmol)を滴下し、白色懸濁液を0℃で約1.5時間撹拌した後、ジアゾメタンの溶液(ジエチルエーテル中0.67M,22mL;14.70mmol)を添加する。反応混合物を0℃で約60分間撹拌してから混合物をRTに戻して約1時間撹拌を続ける。反応混合物をエバポレートして濃懸濁液を得る。この懸濁液をEtOAcに溶かし、飽和NaHCO3(2×)、食塩水(1×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過かつエバポレートして粗製ジアゾケトン生成物39(2.1g)を得る。フラッシュカラムクロマトグラフィーで精製して(1:30シリカゲル;4:6EtOAc/ヘキサン)、純粋生成物39を得る(収率87%,1.60g)。
工程4:ブロモケトン7aの合成
【0121】
【化42】

【0122】
0℃で、THF(38mL)中のジアゾケトン39(1.60g,2.07mmol)の溶液にHBr溶液(48%水溶液,1.5mL)を滴下し、混合物を約1.25時間撹拌する。混合物を飽和NaHCO3溶液でクエンチしてからTHFを蒸発させる。残留物をEtOAcで希釈し、飽和NaHCO3溶液(2×)、食塩水(1×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、エバポレートして粗製ブロモケトン7aを得る(1.72g,収率100%)。
工程5:チアゾリルトリペプチド9aの合成
【0123】
【化43】

【0124】
α-ブロモケトン7a(700mg,0.85mmol)及びチオ尿素8h(134mg,1.02mmol)をイソプロパノール(5mL)に溶かし、この黄色溶液を75℃で約1時間加熱する。溶液をRTに戻して蒸発乾固させる。この粗製物質9aをそのまま次工程で使用する。
工程6:9aの脱boc及びカップリング
【0125】
【化44】

【0126】
粗製9a(107mg,0.125mmol)を4N HCl/ジオキサン(2mL)に溶かしてRTで約1時間撹拌してから減圧下で蒸発乾固させる。この物質をDCMと共に2回エバポレートする。次にこの物質をDCM(3mL)に再び溶かし、DIPEA(0.087mL,0.5mmol)、シクロプロピル酢酸(0.013mL,0.14mmol)及びHATU(57mg,0.15mmol)を加えて反応をRTで約18時間撹拌する。反応混合物をEtOAcで希釈し、NaHCO3(飽和)、H2O、及び食塩水で洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、濃縮乾固させて10a(103mg,収率99%)を得、そのまま次反応で使用する。
工程7:エステルの加水分解
【0127】
【化45】

【0128】
3.0mLのTHF:H2O(2:1)混合物中のメチルエステル10a(104mg,0.124mmol)の溶液に1N NaOH(1.24mL,1.24mmol)を加える。均質溶液を得るためには1mLのMeOHが必要である。結果として生じる反応をRTで一晩撹拌する。有機溶液を濃縮して褐色油を得る。この粗製物質を分取HPLC(YMC Combiscreen ODS-AQ,5×20mm ID S-5ミクロン,120 A;λ=220nm)で線形勾配及び0.06%TFA CH3CN/H2Oを利用して精製する。精製フラクションを混ぜ合わせ、濃縮し、凍結乾燥して生成物1005をTF塩として得る(44mg,収率38%)。
【0129】
実施例7:化合物2006の合成
【0130】
【化46】

【0131】
実施例6、工程1〜7で述べたプロトコルを利用し、かつ工程5のチオ尿素として
【0132】
【化47】

(8k)
【0133】
を用いて化合物1003を調製する。
工程8:ビニルACCAの還元:
MeOH(0.4mL)中の化合物1003(35mg,0.04mmol)の溶液にヒドラジン一水和物(0.1mL,2.06mmol)を加える。反応混合物全体に空気を吹き込みながら反応混合物を60℃で加熱する。混合物を60℃で約4.5時間撹拌してからRTに冷まし、真空中で濃縮乾固させる。この物質を再び1:1のDMSO:MeCNに溶かし、AcOHを2滴加え、生成物を分取HPLC(YMC Combiscreen ODS-AQ,50×20mm ID S-5ミクロン,120 A;λ=220nm,30〜45%のMeCN,0.1%TFA)で精製する。適切なフラクションを混ぜ合わせ、冷凍し、凍結乾燥して化合物2006を得る(17mg,収率49%)。
【0134】
実施例8:化合物2008の合成
【0135】
【化48】

【0136】
工程1〜5:
実施例6、工程1〜5で述べたプロトコルを利用し、工程5のチオ尿素として
【0137】
【化49】

(8b)
【0138】
を使用し、かつ実施例3の手順に従うトリペプチドの合成の際にP3フラグメント
【0139】
【化50】

(2b)
【0140】
を使用することによって化合物15bを調製する。
工程6〜7:
実施例7、工程6及び7で述べたプロトコルを利用し、シクロプロピル酢酸の代わりにシクロブチル酢酸を用いて15bを2001に変換する。
工程8:
実施例7、工程8で述べた手順と類似の手順を利用して化合物2001を化合物2008に変換する。
【0141】
実施例9:化合物1008の合成
【0142】
【化51】

【0143】
実施例6、工程1〜7で述べたプロトコルを利用し、工程5のチオ尿素として
【0144】
【化52】

(8b)
【0145】
を使用し、かつ工程6のシクロプロピル酢酸の代わりに
【0146】
【化53】

【0147】
を使用することによって化合物1008を調製する。
【0148】
実施例10:化合物1034の合成
【0149】
【化54】

【0150】
実施例6、工程1〜7で述べたプロトコルを利用し、工程5のチオ尿素として
【0151】
【化55】

(8b)
【0152】
を使用し、かつ工程6のシクロプロピル酢酸の代わりに
【0153】
【化56】

【0154】
を用いて化合物1034を調製する。
【0155】
実施例11:表3のアシルスルホンアミド類似体の合成
【0156】
【化57】

【0157】
実施例11a:化合物3002及び3004の合成
工程1:加水分解及びアザ-ラクトンの合成
実施例6の工程1〜5で述べた合成に従い、工程1で5aのC8メチル類似体及び工程5でチオ尿素8bを用いてエステル40を調製した。5aのC8メチル類似体の合成を説明するさらなる詳細は、全て参照によって本明細書に援用されるWO2004/103996及び米国特許6,323,180で見つけられる。
化合物40(600mg,0.77mmol)をTHF(4.0mL)に溶かし、MeOH(2.0mL)及びNaOH(7.7mLの1.0N溶液,7.7mmol)を加えて反応をRTで約6時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮してほとんど乾固させる。残留物をEtOAcに取り、1.0N HClを用いて酸性にしてpHを約5.5〜6.0にする。混合物を分液ロートに移し、水相をEtOAcで抽出する(3×)。混ぜ合わせた有機物をH2Oと食塩水で洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して泡を得る(507.5mg,収率86%)。
上記の泡(507.5mg,0.66mmol)を再びDCM(5mL)及びEt3N(0.31mL,2.2mmol)に溶かし、氷浴で溶液を0℃に冷却する。イソブチルクロロホルマート(0.129mL,1.0mmol)を滴下し、反応を0℃で約1時間、次にRTで約16時間撹拌する。反応混合物を蒸発乾固させてアザラクトン41を固体として得る(0.715mg,定量的)。
【0158】
工程2:シクロプロピルスルホンアミド42は市販されており、或いは下記工程2Aに従って調製することができる。
工程2A:シクロプロピルスルホンアミド42の合成
約-10℃の無水THF(10mL)中のシクロプロピルマグネシウムブロミド(0.5M,20mL,10.0mmol)の溶液に、SO2のTHF溶液(約16wt%,4.8mL,12mmol)を-10〜-5℃でゆっくり10分にわたって加える。反応混合物を0.5時間かけて周囲温度に温めてからNCS(2.0g,15mmol)を約-5〜0℃で添加する。反応混合物を周囲温度まで温めて50mLのメチルtert-ブチルエーテルで希釈する。反応混合物に50mLの水を加えて混合物を5分間撹拌する。有機層を50mLの食塩水で洗浄する。有機層を濃縮し、結果として生じたシクロプロピルスルホニルクロリドをCH2Cl2に溶かし(総体積は約50mL)、約0℃で約5分間アンモニアガスを吹き込み、混合物をゆっくり周囲温度に戻して当該温度で2時間撹拌する。Celiteで混合物をろ過して固体(NH4Cl)を除去し、ろ液を濃縮して粗製シクロプロピルスルホンアミド固体を得る(約1.2g)。この粗生成物のEtOAc/ヘキサンからの再結晶が全体収率80%でシクロプロピルスルホンアミド42をもたらす。
工程2B:アシルスルホンアミドの合成
オーブン乾燥したフラスコ内で無水THF(8.5mL)にスルホンアミド42を溶かして-15℃に冷却する。LiHMDS(THF中1.0M溶液0.66mL,0.66mmol)を全て一度に加えて反応を約5分間撹拌し、約20分間RTに温めてから-15℃に再冷却する。粗製アザ-ラクトン41(0.33mmol)を無水THF(3mL)に溶かし、上記溶液に約10分かけて滴下する。冷浴を除去して反応をRTに戻し、約16時間撹拌する。数滴の氷HOAcを添加して反応をクエンチし、反応を約5分間撹拌してから真空中で濃縮乾固させる。残留物をTHF(3mL)に再び溶かし、MeOH(1.5mL)及び1N NaOH(2mL,2mmol)を添加して反応をRTで約4時間撹拌する。反応を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに取る。1.0N HClを加えてpHを約3にして水相をEtOAc(3×)で抽出する。混ぜ合わせた有機物をH2O、食塩水で洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して固体43を得る(296.8mg,定量的収率)。
【0159】
工程3:アミドフラグメントの脱boc及びカップリング
固体43(297mg,0.33mmol)をジオキサン中4N HCl(2mL)に再び溶かし、反応をRTで約30分間撹拌してから真空中で濃縮乾固させる。この物質(0.17mmol)の半分を再びDCM(2mL)に溶かし、DIPEA(0.144mL,0.83mmol)、シクロプロピル酢酸(0.018mL,0.183mmol)及びHATU(76mg,0.199mmol)を加え、結果として生じる反応をRTで約16時間撹拌する。反応混合物をEtOAcで希釈し、10%クエン酸(2×)、H2O(2×)、食塩水(1×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して固体を得る(153mg,0.17mmol)。この物質(0.085mmol)の半分を分取HPLCで精製し、冷凍及び凍結乾燥して化合物3002を白色のふわふわした固体として得る(42%)。
工程4:ビニル-ACCAの還元
実施例6、工程8で述べたヒドラジン一水和物手順を用いて化合物3002を還元して20%の収率で化合物3004を得る。
【0160】
実施例11b:化合物3001の合成
実施例6、工程1で述べたプロトコルを利用し、工程5のチオ尿素として
【0161】
【化58】

(8c)
【0162】
を使用し、次に実施例11aの工程1〜3によって化合物3001を調製する。
実施例11c:化合物3003の合成
実施例6、工程1〜7で述べたプロトコルを利用し、工程5のチオ尿素として
【0163】
【化59】

(8b)
【0164】
を使用し、次に実施例11aの工程1〜3によって化合物3003を調製する。工程3では、シクロプロピル酢酸の代わりに
【0165】
【化60】

【0166】
を使用する。
実施例11d:化合物3006の合成
実施例6、工程1〜7で述べたプロトコルを利用し、工程5のチオ尿素として
【0167】
【化61】

(8b)
【0168】
を使用し、次に実施例11aの工程1〜3によって化合物3006を調製する。工程3では、シクロプロピル酢酸の代わりに
【0169】
【化62】

【0170】
を使用する。
実施例11e:化合物3005の合成
実施例6、工程8で述べたプロトコルを利用して化合物3003を還元することによって化合物3005を得る。
実施例11f:化合物3007の合成
実施例6、工程8で述べたプロトコルを利用して化合物3006を還元して化合物3007を得る。
【0171】
実施例12:SNAr反応を利用する、Bがピリミジンである化合物の合成
実施例12a:化合物4001の合成
工程1〜5:
実施例6、工程1〜5のプロトコルに従い、工程5で
【0172】
【化63】

(8b)
を用いて化合物9bを調製する。
工程6:化合物9bの脱boc及びカップリング
【0173】
【化64】

【0174】
粗製9b(1.2g,1.35mmol)を4N HCl/ジオキサン(20mL)に溶かし、RTで約1時間撹拌してから減圧下で蒸発乾固させる。この物質をDCMと共に2回エバポレートする。この物質を次にEtOAcに再び溶かし、飽和NaHCO3で2回洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して1.0gの中和されたアミンを得る。
2-クロロ-5-フルオロピリミジン(0.664mL,5.38mmol)をDMSO(16.5mL)に溶かし、K3PO4(0.343g,1.61mmol)及びTBAF(THF中1.0M溶液3.36mL,3.36mmol)を加えて混合物を70℃に約2時間加熱する。上記アミン(1.0g,1.35mmol)をDMSO(16.5mL)に溶かして該ピリミジン溶液に約25分かけて滴下する。反応を約65時間熟成させてからRTに冷まし、EtOAcで希釈し、飽和NaHCO3(2×)、H2O(2×)及び食塩水(1×)で洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。残留物をフラッシュクロマトグラフィーでヘキサン/EtOAc(4/1)を用いて精製して化合物44(556mg,収率49%)を淡黄色固体として得る。
工程7:エステルの加水分解
【0175】
【化65】

【0176】
THF(10mL)、H2O(5mL)及びMeOH(5mL)の混合物中のメチルエステル44(1.5g,1.79mmol)の溶液に1N NaOH(17.9mL,17.9mmol)を加える。結果として生じる反応をRTで一晩撹拌する。この有機溶液を真空中で濃縮し、再びEtOAcに溶かし、1.0N HClを添加して酸性にしてpHを約5.5〜6.0とし、水相をEtOAcで抽出する(3×)。混ぜ合わせた有機物をH2O、食塩水で洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。この粗製物質をフラッシュクロマトグラフィーで溶離液としてヘキサン/EtOAc(8/2)を用いて精製して化合物4001を得る(1.13g,収率77%)。
実施例12b:化合物4003、4012、4014及び4017の合成
これらの化合物は、実施例12の工程6及び7を利用するが、5-フルオロ-2-クロロピリミジンを適宜置換された2-クロロ又は2-ブロモピリミジンと交換して、化合物9bから調製される。
実施例12c:化合物4002、4004、4005、4006、4007、4008、4009、4010、4011、4013、4015、4016及び4018の合成
これらの化合物は、実施例12a、工程6及び7を利用して調製される。これらの化合物の出発原料(9a〜9k類似体)は、実施例6、工程1〜5で述べたプロトコルを利用し、工程5で適切なチオ尿素(8a〜8k)を用いて調製される。
【0177】
実施例13:ビニル-ACCAの還元
実施例13a:化合物5009の合成
工程1:ビニルACCAの還元:
【0178】
【化66】

【0179】
MeOH(25mL)中の化合物4001(400mg,0.48mmol)の溶液にヒドラジン一水和物(1.76mL,36.3mmol)を加える。反応混合物全体に空気を吹き込みながら反応混合物を60℃で加熱する。混合物を60℃で約5時間撹拌してからRTに冷まして真空中で濃縮乾固させる。この物質をフラッシュクロマトグラフィーで溶離液として7/3ヘキサン/EtOAcを用いて精製して化合物5009を得る(196mg,収率49%)。
実施例13b:化合物5010、5011、5015、5016、5017、5021、5022、5023、5025、5028、5029及び5030の合成
これらの化合物も、化合物4001の還元について実施例13aで述べたプロトコルを利用して適切なビニル-ACCA誘導体を還元することによって調製される。この径路より収率は低いが、エステル(すなわち化合物44)に対して還元手順を行なった後、アルカリ性加水分解によりカルボン酸阻害剤を得ることもできる。
【0180】
実施例14:化合物5030の合成によって例示する、エチル-ACCAを含む化合物の代替合成
合成の最後に還元を行なうのではなく、合成の初期にビニルシクロプロパンのエチル-シクロプロパンへの還元を行なうことができる。
工程1:ビニルシクロプロパンアミノエステルの還元
【0181】
【化67】

【0182】
ビニル-ACCAメチルエステル23のトシラート塩(5.0g)とRh/C(6モル%)を50mLのMeOH:テトラヒドロフラン(1:3)に溶かし、反応を機械的に撹拌しながら(450rpm)45psi(0.31MPa)の水素雰囲気下に3.5時間置く。3時間後に反応が完了する(水素消費のモニタリングによって)。窒素パージ後に反応容器を減圧し、懸濁液をCelite(登録商標)のプラグを通してろ過し、プラグを100mLのメタノールで洗浄する。混ぜ合わせたろ液から減圧下で溶媒を取り除き、残留物を20mLのEtOAcを用いてスラリーにして固体をろ別する。真空下で乾燥させた後、4.5g(90%)の白色粉末状固体(化合物24)が単離される。
【0183】
【化68】

【0184】
種々のやり方で化合物45を調製することができる。1つの径路は、実施例1〜5で述べた37aの合成手順を利用し、かつ実施例1に記載のジペプチドの調製用のビニル-ACCA類似体23に代えてエチル-ACCA類似体24を使用することを含む。
化合物47は、実施例6、工程1〜5で述べたプロトコルを利用し、工程5でチオ尿素として
【0185】
【化69】

(8k)
【0186】
を用いて化合物45から調製される。
工程2:脱boc、中和及びピリミジンSNAr(化合物48の合成)
化合物47(7.01g,6.05mmol)をCH2Cl2(10mL)に溶かし、ジオキサン中4NのHCl(35mL)を加える。反応をRTで3時間撹拌してから真空中で濃縮して塩酸塩を黄色固体として得る。固体をEtOAc(300mL)に懸濁させて飽和NaHCO3(150mL)を加え、固体が溶解するまで混合物を15分間撹拌する。混合物を分液ロートに移して有機相をNaHCO3で1回、H2Oで1回及び食塩水で1回洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して黄褐色ガムとして中和されたアミンを得る。
別のフラスコで2-クロロ-5-フルオロピリミジン(2.99mL,24.2mmol)をDMSO(78mL)に溶かし、K3PO4(1.54g,7.26mmol)及びTBAF(THF中1.0M溶液15.12mL,15.12mmol)を加える。混合物を75℃に加熱して1時間撹拌する。
上記ガムを再びDMSO(78mL)に溶かし、25分かけて上記混合物に滴下する。反応容器を光から保護して75℃で42時間撹拌する。反応をRTに冷まし、EtOAcで希釈し、H2Oで2回、10%クエン酸で2回、飽和NaHCO3で2回、食塩水で2回洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して5.7gの化合物48を黄褐色泡として得る。
工程3:加水分解
化合物48をTHF(55mL)とMeOH(26mL)に溶かしてから1.0N NaOH(60.5mL,60.5mmol)を加え、反応をRTで18時間撹拌する。反応混合物を真空中で濃縮してからH2Oに溶かし、次に1.0N HClで酸性にしてpHを約4とする。この物質を次にEtOAcで抽出する(3×)。混ぜ合わせた有機物をH2O、食塩水で洗浄してからMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。
この黄橙色有機固体をフラッシュクロマトグラフィー7/3ヘキサン/EtOAcで精製した後、Et2Oから研和して1.30g(収率25%)の最終化合物5030を淡黄色固体として得る。
【0187】
実施例15:化合物5011の合成
【0188】
【化70】

【0189】
化合物5011は、実施例14a、工程1〜3のプロトコルを利用し、アミノチアゾール形成工程(すなわち46の47への変換)でチオ尿素として
【0190】
【化71】

(8f)
【0191】
を用いて合成される。
【0192】
実施例16:化合物5023の合成
【0193】
【化72】

【0194】
工程1:シクロプロパン化
化合物49(200mg,0.274mmol)をCH2Cl2(1mL)に溶かし、ジアゾメタン(Et2O中0.67M溶液4.1mL)を加えて混合物を-20℃に冷却する。Pd(OAc)2(6.15mg,0.027mmol)を5分かけて少しずつ添加する。反応を-20℃で4時間撹拌し、RTに戻してRTで2時間撹拌する。反応を真空中で濃縮してからフラッシュクロマトグラフィーで40%ヘキサン/EtOAcを用いて精製する。生成物50を黄色泡として得る(149mg,収率73%)。
工程2:P3とのカップリング
化合物50(149mg,0.20mmol)を4N HCl/ジオキサン(3mL)に溶かしてRTで1時間撹拌してから真空中で濃縮する。残留物を再びCH2Cl2に溶かし、CH2Cl2(2mL)、HATU(91mg,0.24mmol)及びDIPEA(0.173mL,1mmol)中のBoc-シクロペンチル-L-グリシン2b(54mg,0.22mmol)の混合物に加える。反応混合物をEtOAcで希釈し、NaHCO3(2×)、水(2×)、食塩水で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮して180mgの粗製物質を得、そのまま工程3で使用した。
工程3:脱boc、中和及び2-クロロ-5-フルオロピリミジンとのSNAr反応
実施例14aの工程2で述べたプロトコルに従ってこれらの工程を行なって化合物51を得る。
工程4:加水分解
実施例14の工程2で述べたプロトコルに従ってこの工程を行なって化合物5023を得る。
【0195】
実施例17:Bがフェニル又はヘテロ環である化合物の代替合成
実施例17a:化合物6006の合成
工程1:加水分解及びP1-P2カップリング
【0196】
【化73】

【0197】
エステル52(5.0g,10.77mmol)をTHF(100mL)及びMeOH(30mL)に溶かし、1.0N NaOH(30mL,30mmol)を加えて反応をRTで3時間撹拌する。反応混合物をH2Oで希釈し、濃縮してTHFとMeOHを除去する。残存水溶液を1.0N HClで酸性にしてからEtOAcで2回抽出し、混ぜ合わせた有機物をMgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。
結果として生じる酸をCH3CN(10mL)に再び溶かし、Et3N(6.0mL,43.1mmol)及びHATU(4.1g,10.77mmol)を加えて混合物を5分間撹拌する。アミン24(3.4g,10.8mmol)を加えて反応をRTで一晩撹拌する。混合物を真空中で濃縮し、残留物をEtOAcに取り、1.0N HClで2回、1.0N NaOHで2回洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。粗製物質(6.3g,定量的収率)をそのまま次反応で使用する。
工程2:ブロシラート置換
【0198】
【化74】

【0199】
ブロシラート53(3.5g,6.1mmol)をNMP(10.0mL)に溶かしてCs2CO3(1.98g,6.1mmol)を加える。キノロン54(6.1mmol)を加えて反応を65℃に16時間加熱する。反応混合物を周囲温度に冷ましてからEtOAc中に注ぎ、1.0N HCl(2×)、1.0N NaOH(2×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。フラッシュクロマトグラフィーで溶離液として30〜100%のEtOAc/ヘキサンを用いて精製して化合物55を淡黄色固体として得る(2.6g,収率56%)。
工程3:N-アリール誘導体の調製
【0200】
【化75】

【0201】
DMA(35ml)を含む丸底フラスコにヨード-ベンゼン(4.0mL,35.9mmol)、L-tertロイシン(4.71g,35.9mmol)、CuI(2.05g,10.8mmol)及びCs2CO3(17.55g,53.9mmol)を加え、反応を120℃に加熱して18時間激しく撹拌する。反応をRTに冷ましてH2O(100mL)で希釈し、結果として生じる溶液をcelite(登録商標)を通してろ過して如何なる不溶物をも除去し、celiteパッドを別の50mLのH2Oですすぐ。結果として生じる水溶液を1.0N HClで中和してpHを約6とする。沈殿物質をEtOAc(2×)で抽出し、混ぜ合わせた有機物をH2O(3×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。この物質を高真空下で乾燥させ、薄緑色固体(6.4g,収率86%)をそのまま次反応で使用する。
工程4:脱boc、P1P2-P3カップリング及び加水分解
【0202】
【化76】

【0203】
boc-保護されたアミン55(1.5g,1.97mmol)を4N HCl/ジオキサン(30mL)に溶かしてRTで2時間撹拌する。反応を真空中で濃縮し、高真空下で乾燥させてアミン塩酸塩を明黄色固体として得る。別のフラスコで酸56(0.49g,2.37mmol)をアセトニトリル(20mL)に溶かし、Et3N(1.1mL,7.89mmol)及びHATU(0.90g,2.37mmol)を加えて反応を10分間撹拌する。前記塩酸塩をCH3CN中の溶液として加え、結果として生じるカップリング反応を3時間撹拌する。アセトニトリルを真空中で除去し、残留物をEtOAcに取り、1.0N HCl(3×)、1.0N NaOH(2×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。結果として生じる黄色固体をEt2O(100mL)から粉末化して非常に微細な固体を得、吸引ろ過で収集し(生成物が非常に微細な固体なのでかなりゆっくり)、ヘキサンで洗浄してから高真空下で乾燥させて1.3gの淡黄色固体を得る(>98%の均一性)。
淡黄色固体を再びTHF/MeOHに溶かし、1.0N NaOHを加えて溶液をRTで一晩撹拌する。溶液を真空中で濃縮し、再びH2Oに溶かして混合物を1.0N HClで中和してpHを約5とする。沈殿固体をEtOAcに取り、H2O(2×)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、ろ過し、真空中で濃縮する。残留物をEt2Oと粉砕して非常に微細な固体を再び得る。この固体を吸引ろ過で収集し(ゆっくり)、ヘキサンで洗浄し、高真空下で乾燥させる。固体をCH3CNに取り、H2Oを加えて混合物を冷凍し、凍結乾燥して化合物6006を淡黄色の非常にふわふわした固体を得る(1.1g,収率60%)。
【0204】
実施例17b:化合物4021〜4048及び6001〜6008の合成
これらの化合物は、実施例17a、工程1〜4で述べたプロトコルを利用して調製される。工程3で適切な市販のアリール又はヘテロアリールハライドを用いてP3フラグメント19a-hを調製する。化合物4021〜4048の調製では、工程1で化合物24の代わりに化合物23を用い、かつ実施例6、工程1〜5で述べたように、ブロモケトンを介してアミノチアゾールを導入する。工程5では、チオ尿素として下記(8b)を用いる。
【0205】
【化77】

(8b)
【0206】
実施例18:細胞ベースのルシフェラーゼ受容体HCV RNA複製アッセイ
(細胞培養)
修飾されたルシフェラーゼレポーター遺伝子(ルシフェラーゼ-FMDV2A-ネオマイシンホスホトランスフェラーゼ融合遺伝子として発現される)をコードする安定なサブゲノムHCVレプリコンを有するHuh-7細胞は、レプリコン細胞が0.25mg/mLのG418を用いて選択されたことを除いて、以前に記載されているように確立されている(全て参照によって本明細書に援用されるLohman et al., 1999. Science 285: 110-113; Vroljik et al., 2003 J.Virol Methods 110:201-209)。選択細胞によって発現されるルシフェラーゼの量はHCV複製のレベルと直接の相関がある。MP-1細胞と命名されたこれらの細胞を、10%FBS及び0.25mg/mLのG418(標準培地)で補充したDulbecco’s Modified Earle Medium(DMEM)内で維持する。細胞をトリプシン処理によって継代培養し、90%FBS/10%DMSO中で冷凍する。アッセイ中、0.5%DMSOを含み、G418を欠く10%FBSで補充したDMEM培地を用いた(アッセイ培地)。アッセイの日、MP-1細胞をトリプシン処理し、15000個の細胞/70μLのアッセイ培地に希釈する。70μLを黒の96-ウェルViewPlateTM(Packard)の各ウェルに分配する。次に化合物を添加するまでプレートを37℃でインキュベートする。
【0207】
試薬及び材料:

【0208】
試験化合物の調製:
100%DMSO中の試験化合物をまずアッセイ培地で0.5%の最終DMSO濃度に希釈する。溶液を15分間超音波処理する。Polyropylene Deep-Well Titer Plateのカラム3内に、適切な体積をアッセイ培地内に移して、試験すべき開始濃度(2×)を得る。カラム4〜11内には、400μLのアッセイ培地(0.5%DMSOを含む)を添加する。カラム3からカラム4に、次にカラム4からカラム5に、次から次へとカラム11に、200μLを移すことによって段階希釈(1/3)を調製する。カラム12は非阻害コントロールである。
【0209】
試験化合物の細胞への添加:
化合物希釈プレートの各ウェルから体積70μLを細胞プレートの対応するウェルに移す(3個のカラムを「非阻害コントロール」として使用し;9個のカラムを用量反応のために使用する)。細胞培養プレートを37℃及び5%CO2で28時間インキュベートする。
【0210】
ルシフェラーゼアッセイ:
28時間のインキュベーション時間後、培地を96-ウェルアッセイプレートから吸引し、予めRTに温めた体積50μLの1×Glo Lysis Buffer(Promega)を各ウェルに加えた。プレートを時々振とうさせながらRTで10分間インキュベートする。プレートの底に黒テープを置いた。予めRTに温めた50μLのBright-Gloルシフェラーゼ基質(Promega)を各ウェルに添加した後、穏やかに混合する。Packard Topcount機器でData Mode Luminescenceを用いて1分のカウント遅延及び2秒のカウント時間でルミネセンスを測定する(CPS)。
【0211】

【0212】
ルミネセンス測定(CPS)は、種々の濃度の阻害剤の存在下におけるHCV RNA複製の量の尺度である。阻害%を下記方程式で計算する。
阻害%=100-[CPS(阻害剤)/CPS(コントロール)×100]。
Hillモデルを用いた非線形曲線フィットを阻害-濃度データに適用し、SASソフトウェア(Statistical Software; SAS Institute, Inc. Cary, N.C.)を利用して50%有効濃度(EC50)を計算する。
上記細胞ベースアッセイで試験した場合、表1〜8の化合物は50nM以下のEC50値を有することが分かった。結果を下表1〜8に示す。表中、列挙したEC50値は、小数点第2位で四捨五入してある。
【0213】
実施例19:ラットの薬物動態プロファイリング
経口ビヒクルと化合物の調製:
1%N-メチル-2-ピロリドン、0.5%水性メチルセルロース及び0.3%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレアート(Tween-80)から成る懸濁液を用いて化合物を5mg/kgで投与する。投与体積は、経口胃管栄養によって10mL/kgである。
投与及び血漿サンプリング:
全ての実験でオスのSprague-Dawleyラットを使用した。投与前少なくとも16時間ラットの右頚動脈をカニューレ処置する。水中10%のデキストロースを入手できるようにして動物を一晩絶食させる。投与後0、0.25、0.5、1、1.5、2、3、4、6及び8時間にて各時点で3匹のラットから血液サンプルを収集し、プールする。遠心分離によって血漿を分けて分析まで-20℃で冷凍する。
化合物抽出及び分析:
血漿サンプルを解凍し、化合物を混ぜたブランク血漿から0.01〜20μMの範囲の標準曲線を調製する。以下の方法に従い、Oasis HLB 30mg/1ccカートリッジで固相抽出によって全てのサンプルを抽出する。
条件カートリッジ:1mLの5%NH4OH(アセトニトリル中)
1mLのアセトニトリル
1mLのmilli-Q水
負荷: 5μLの20%H3PO4(水中)、50μLの血漿、150μLのmilli-Q水、50μLのアセトニトリル(添加前にボルテックス)
洗浄カートリッジ:1mLのmilli-Q水
1mLの5%メタノール(水中)
1mLの2%CH3COOH(メタノール:アセトニトリル:水(1:1:8)中)
溶出: 2×500μLの5%NH4OH(アセトニトリル中)
45℃でTurboVap LVを用いて窒素流下で蒸発乾固
残留物を500μLの0.2%NH4OH(アセトニトリル:水(1:1)中)で再構成
サンプルをLC/MS-MS(Thermo Finnigan TSQ AM Quantum Ultra)で分析し、血漿中濃度を標準曲線に基づいて評価する。
結果:
前述のスクリーニングでアッセイすると、下記化合物はラットの血漿中に有意レベルで存在することが分かる。観察された血漿濃度対時間のプロファイルに基づいて、薬物動態パラメーター(Cmax及びAUC)をToxKin V3.3を用いて計算し、下表に示す。表中、値は小数点以下第2位で四捨五入してある。
【0214】

【0215】
(化合物の表)
この発明の代表化合物を下表1〜8にリストする。表中、Meはメチルを定義する。表1〜8中の全ての化合物は、上記実施例と同様に合成される。当業者は、表1〜8中の化合物を作るためには実施例に明白な修正が必要なことを認めるであろう。
【0216】
表1






【0217】
表2





【0218】
表3



【0219】
表4











【0220】
表5







【0221】
表6



【0222】
表7



【0223】
表8



【0224】
本出願で引用した全ての特許、特許出願、及び刊行物などの各文献は、あたかもそれぞれ個々に援用されたかのように、参照によってその全体が本明細書に援用される。さらに、本発明の上記教示において、当然のことながら、当業者は本発明に一定の変更又は修正を加えることができ、それでもこれらの等価物は、本出願に添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(I):

(式中、
R3は、(C2-8)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-3)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル、及びアルキル-シクロアルキル基はそれぞれ、(C1-4)アルキルで一、二又は三置換されていてもよく;
L0は、ハロゲン、(C1-4)アルキル、-OH、-O-(C1-4)アルキル、-NH2、-NH(C1-4)アルキル又は-N((C1-4)アルキル)2であり;
L1は、ハロゲン、(C1-4)アルキル、-O-(C1-4)アルキル、-S-(C1-4)アルキル、-SO-(C1-4)アルキル、又は-SO2-(C1-4)アルキルであり、前記アルキル基は、それぞれ任意に、1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;
R2は、-NR22COR20、-NR22COOR20、-NR22R21又は-NR22CONR21R23であり、R20は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル又は(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキルであり、前記アルキル、シクロアルキル又はアルキル-シクロアルキルは、(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一、二若しくは三置換されていてもよく;
R21は、H又は前記定義どおりのR20であり、
R22及びR23は、独立にH又はメチルであり、
R1は、(C1-4)アルキル、(C2-4)アルケニル又は(C3-7)シクロアルキルであり;
RCは、ヒドロキシ又はNHSO2RSであり、RSは、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-6)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、アリール又はHetであり;それぞれ任意に、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、(C1-4)アルキル、O-(C1-6)アルキル、-CO-NH2、-CO-NH(C1-4)アルキル、-CO-N((C1-4)アルキル)2、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2から選択される置換基で一、二又は三置換されていてもよく、前記(C1-4)アルキル及びO-(C1-6)アルキルは、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;
Bは、C(=O)-R4であり;R4は、(C1-6)アルキル、(C3-7)シクロアルキル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルキル、(C3-7)シクロアルケニル、(C1-4)アルキル-(C3-7)シクロアルケニル、Het、アリール、(C1-4)アルキル-Het、又は(C1-4)アルキル-アリールであり;全て任意に1〜3回(C1-4)アルキル、ヒドロキシ、O-(C1-4)アルキル又はハロゲンで置換されていてもよく;或いは
Bは、アリール又はHetであり、任意にハロゲン、ヒドロキシ、(C1-6)アルキル、O-(C1-6)アルキル、O-アリール、O-Het、S-(C1-6)アルキル、-CO-(C1-6)アルキル、-CO-NH2、-CO-NH(C1-4)アルキル、-CO-N((C1-4)アルキル)2、-NH2、-NH(C1-4)アルキル及び-N((C1-4)アルキル)2で一、二又は三置換されていてもよく、前記アルキル及びO-アルキル基は、任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ
Hetは、1〜4個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する4員〜7員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ環、又は可能な限り1〜5個のそれぞれ独立にO、N及びSから選択されるヘテロ原子を有する7員〜14員の飽和、不飽和若しくは芳香族ヘテロ多環であり、ここで、各Nヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに酸素原子と結合してN-オキシド基を形成するように酸化状態で存在してよく、各Sヘテロ原子は、独立にかつ可能な限り、さらに1又は2個の酸素原子と結合して基SO又はSO2を形成するように酸化状態で存在してよい)
の化合物及びその医薬的に許容できる塩又はエステル。
【請求項2】
BがC(=O)-R4であり、R4は、(C1-6)アルキル、(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルキル、(C1-2)アルキル-(C3-5)シクロアルケニル又はC6-アリールであり;全て任意に、(C1-2)アルキルで一置換されていてもよい、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Bが、任意にハロゲン、ヒドロキシ、(C1-4)アルキル、O-(C1-4)アルキル、O-フェニル、O-テトラヒドロピラニル、S-(C1-4)アルキルで一、二又は三置換されていてもよいアリール又はHetであり、前記アルキル及びO-アルキル基は任意に1〜3個のハロゲン原子で置換されていてもよく;かつ前記Het基が、以下のように定義される、請求項1に記載の化合物:


【請求項4】
R3が、1-メチルエチル、1,1-ジメチルエチル、1-メチルプロピル、2-メチルプロピル、1,1-ジメチルプロピル、1,2-ジメチルプロピル、2,2-ジメチルプロピル、ブチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-メチルシクロプロピル、1-メチルシクロブチル、1-メチルシクロペンチル又は1-メチルシクロヘキシルである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
L0が-OCH3である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
L1がハロゲン、(C1-4)アルキル又は-O-(C1-4)アルキルである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
L1がCH3、-Cl又は-Brである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
R2が、-N(H)COR20、-N(H)COOR20又は-N(H)R21であり、
R20は(C1-4)アルキル又は(C3-5)シクロアルキルであり、前記アルキルは(C1-3)アルキル又は-O(C1-3)アルキルで一又は二置換されていてもよく;かつ
R21は、前記定義どおりのR20である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
RCがヒドロキシ又はNHSO2RSであり、RSは、任意に、(C1-4)アルキルから選択される置換基で一置換されていてもよい(C3-7)シクロアルキルである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
R1が、(C2-4)アルキル、(C2-4)アルケニル又は(C3-5)シクロアルキルである、請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項11】
R1が、エチル、ビニル又はシクロプロピルである、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
薬物としての、請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステル。
【請求項13】
抗C型肝炎ウイルス的に有効な量の請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルを、少なくとも1種の医薬的に許容できる担体媒体又は補助剤との混合物中に含んでなる医薬組成物。
【請求項14】
治療的に有効な量の少なくとも1種の他の抗ウイルス薬をさらに含む、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
請求項1〜11のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、又はその医薬的に許容できる塩若しくはエステルの、哺乳動物のC型肝炎ウイルス感染症を治療又は予防するための使用。

【公表番号】特表2012−502925(P2012−502925A)
【公表日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−527161(P2011−527161)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【国際出願番号】PCT/CA2009/001237
【国際公開番号】WO2010/034105
【国際公開日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】