説明

CCR5拮抗薬のための医薬組成物および方法

本発明は、患者において高密度リポタンパク質(HDL)粒子を増加させ、患者において血漿脂質プロフィールを改善し、または患者においてトリグリセリドを減少させるCCR5拮抗薬化合物に関する。本発明はまた、CCR5拮抗薬化合物と、HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。本発明はまた、CCR5拮抗薬化合物と、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤化合物と、薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CCR5拮抗薬を使用して、HIVに感染した患者やアテローム性動脈硬化症または脂質異常症の患者などの、その必要のある患者において、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを含めた特定の血漿脂質レベルを上昇させることに関する。本発明はまた、CCR5拮抗薬を使用して、高トリグリセリド血症、アテローム性動脈硬化、異脂肪血症、高コレステロール血症、心血管疾患の患者などの、その必要のある患者において、トリグリセリドを含めた特定の血漿脂質レベルを低下させることに関する。本発明はまた、CCR5拮抗薬と、HMG−CoA還元酵素阻害剤、特にアトルバスタチンなどの他の医薬とを組み合わせて、その必要のある患者において、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロールを含めた特定の血漿脂質レベルを上昇させ、また低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールおよびトリグリセリドなどの他の血漿脂質レベルを低下させ、したがってHDLコレステロールレベルが低いかつ/またはLDLコレステロールおよびトリグリセリドレベルが高いことが影響する疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、心血管疾患、および糖尿病などの関連疾患を治療することに関する。本発明はまた、CCR5拮抗薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、およびCETP阻害剤をさらに組み合わせて、その必要のある患者の血漿脂質プロフィールを上述のように改善することに関する。本発明はまた、CCR5拮抗薬と第2または第3の治療薬を含む医薬組成物およびキットに関する。
【背景技術】
【0002】
アテローム性動脈硬化およびそれに伴う冠動脈疾患(CAD)は、工業諸国における主な死亡原因である。二次的なリスクファクター(例えば、喫煙、肥満、運動不足)を改善する試みや、食事の変更および薬物療法による異脂肪血症の治療にもかかわらず、冠動脈心疾患(CHD)は、依然として米国における最も一般的な死因であり、米国では心血管疾患が全死亡の44%を占め、その53%はアテローム硬化性の冠動脈心疾患に関連している。
【0003】
アテローム性動脈硬化症および冠動脈心疾患になる病理学的順序はよく知られている。この順序の最も早い段階は、頸動脈、冠状動脈、および大脳動脈、さらには大動脈での「脂肪線条」の形成である。こうした病変は、動脈および大動脈の内膜層の平滑筋細胞内およびマクロファージ中で主に認められる脂質沈着物の存在のために色調が黄色である。さらに、脂肪線条内に認められるコレステロールの大部分は、「線維性プラーク」の発生のもとになることが想定されるが、線維性プラークは、脂質を多く含む内膜平滑筋細胞が蓄積したものからなり、細胞外脂質、コラーゲン、エラスチン、およびプロテオグリカンによって囲まれている。この細胞とマトリックスは、より深さのある壊死組織片沈着物およびより多くの細胞外脂質を覆う線維性キャップになる。細胞外脂質は、主に遊離型およびエステル型のコレステロールである。線維性プラークはゆっくりと形づくられ、おそらくいずれは石灰化し、壊死性になって、「複雑な病変」へと進行するが、これは、進行したアテローム性動脈硬化症の特徴である動脈の閉塞、ならびに壁在血栓および動脈筋けいれんの傾向の原因である。
【0004】
アテローム性動脈硬化症および関連した心血管疾患発症のリスクは、特定の血漿脂質レベルと強い相関があることがわかっている。近年、医学界の先導者らは、血漿コレステロールレベル、特に低密度リポタンパク質(LDL)コレステロールを低下させることに重きを置いている。「正常」の上限は現在、これまで認められていたものより著しく低いことがわかっている。そのため、西側の人口の大部分は現在、特に高いリスクにさらされていることを認識している。その独立したリスクファクターとしては、耐糖能障害、左室肥大、高血圧、および性別が男性であることが挙げられる。心血管疾患は、糖尿病の対象の中で特に広く認められるが、これは、少なくとも一部には、この集団において独立したリスクファクターが複数存在するためである。したがって、一般の集団、特に糖尿病対象において高脂血症の治療で成功を収めることの医学的な重要性は格別である。
【0005】
LDLコレステロールの上昇は、異脂肪血症の最も認知された形であるかもしれないが、脂質に関連した、CHDの重大な一因は決してこれだけはない。HDL−Cが低いことも、CHDの知られたリスクファクターである。(D.J.Gordonら、「High−density Lipoprotein Cholesterol and Cardiovascular Disease」、Circulation(1989年)第79巻:8〜15ページ)。高LDLコレステロールと高トリグリセリドレベルは正の相関があり、高レベルのHDLコレステロールは、心血管疾患発症のリスクと負の相関がある。したがって、異脂肪血症は、CHDの一元のリスクプロフィールでなく、1つまたは複数の脂質異常からなるといえる。
【0006】
完全に満足な脂質モジュレート療法は存在しない。ナイアシンは、HDLコレステロールを著しく増加させ得るが、深刻な忍容性の問題を伴い、それが服薬遵守を低下させる。フィブラートおよびHMG−CoA還元酵素阻害剤は、LDLコレステロールを低下させるが、HDLコレステロールを中程度にしか上昇させない(平均して約20%未満)。結果として、血漿LDLレベルを低下させ、かつ/または血漿HDLレベルを上昇させ(すなわち、患者の血漿脂質プロフィールを改善し)、それによって特定の疾患の進行を逆転させ、または緩慢にすることのできる十分に許容される薬剤への医学的ニーズは相当にあり、未だ対処されていない。
【0007】
したがって、利用可能な療法は存在するものの、低レベルのHDLコレステロールおよび/または高レベルのLDLコレステロールおよびトリグリセリドが影響する疾患、例えば、アテローム性動脈硬化症、プラーク形成、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、冠動脈血管疾患、末梢血管疾患、異脂肪血症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心筋梗塞、メタボリックシンドローム、肥満、および糖尿病を治療するための別の療法が求められ続けており、また探索され続けている。
【0008】
WO01/90106(参照により本明細書に援用される)で開示されているCCR5拮抗薬であるマラビロック(化学名N−{(1S)−3−[3−イソプロピル−5−メチル−4H−1,2,4−トリアゾール−4−イル]−エキソ−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル}−1−フェニルプロピル)−4,4−ジフルオロシクロヘキサンカルボキサミド)は、CCR5補助受容体を介したHIVの侵入を抑制するケモカイン受容体拮抗薬である。マラビロックの製造方法は、WO01/90106で開示されている。マラビロックは、最近では、向CCR5性のHIV−1に感染した患者の治療用にCelsentri(商標)またはSelzentry(商標)として市場に出されている。
【0009】
他のCCR5拮抗薬は、WO2005/033107、WO03/084954、および以下に参考文献として挙げる他のものを含めた多くの文献および特許参考文献に記載されている。
【0010】
WO0004926A2およびWO0004926A3は、炎症性の障害およびそれに伴う組織損傷を治療するためのコンジュゲートを開示している。
【0011】
Arterioscler.Thromb.Vasc.Biol.2005年、第25巻:2448〜2450ページの論説は、アテローム性動脈硬化症およびHIV感染においてケモカイン受容体をターゲティングすることを記載している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
CCR5受容体の細胞表面発現の減少と関連付けられるCCR5δ32の欠失を伴うヒトの研究では、このような個人は、早期の心筋梗塞の発病率がより低く(Gonzalez Pら.Genes Immun 2001年、第2巻:191〜195ページ)、重症の冠動脈疾患のリスクがより低い(Szalai Cら.Atherosclerosis 2001年、第158巻:233〜239ページ)ことがわかっている。さらに、アテローム性動脈硬化症のリスクのあるマウスは、CCR5拮抗薬で処置すると、アテローム性動脈硬化症の進行が未処置のマウスと比べて遅延することがわかった(Veillard NRら.Circ Res 2004年、第94巻:253〜261ページ、van Wanrooij EJら.Arterioscler Thromb Vasc Biol 2005年、第25巻:2642〜2647ページ)。しかし、これらのマウスモデルのデータとCCR5拮抗作用との関連性は、ヒトでは不明である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、CCR5拮抗薬化合物の次のような使用、すなわち、患者において高密度リポタンパク質(HDL)粒子を増加させる医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用、患者において血漿脂質プロフィールを改善する医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用、および患者においてトリグリセリドを減少させる医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用を提供する。本発明はまた、CCR5拮抗薬化合物をその必要のある患者に投与するときの使用も提供する。
【0014】
本発明はまた、CCR5拮抗薬化合物の次のような使用、すなわち、患者において総コレステロールレベルを低下させる医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用、および患者において低密度リポタンパク質(LDL)粒子を減少させる医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用も提供する。本発明はまた、CCR5拮抗薬化合物をその必要のある患者に投与するときの使用も提供する。
【0015】
一態様では、本発明は、患者がHIVに感染している上記使用を提供する。本発明は、HIVウイルス個体群を使用して患者をCXCR4ウイルスに感染させる上記使用を提供する。一実施形態では、本発明は、HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを10%より多く含んでいる上記使用を提供する。HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを20%より多く含んでいる、HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを30%より多く含んでいる、HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを40%より多く含んでいる、HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを50%より多く含んでいる、本発明の追加の実施形態も提供される。
【0016】
一態様では、本発明は、CCR5拮抗薬が、マラビロック、ビクリビロック(vicriviroc)、NCB−9471、PRO−140、CCR5mAb004、8−[4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル]−1−イソブチル−N−[4−[[(1−プロピル−1H−イマダゾール−5−イル)メチル]スルフィニル]フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ベンザコシン−5−カルボキサミド、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸エチル、およびN−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)、および/またはこれらの薬学的に許容できる塩および/もしく溶媒和物から選択される上記使用を提供する。より詳細には、本発明は、CCR5拮抗薬がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物である上記使用を提供する。本明細書で開示する本発明の態様で使用するCCR5拮抗薬化合物は、遊離塩基形態のマラビロックであることが最も好ましい。
【0017】
さらに、本発明は、HIV患者が少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤またはNRTIを服用している上記使用を提供する。本発明はまた、患者が、低レベルのHDLコレステロールおよび/または高レベルのLDLコレステロールおよびトリグリセリドが影響する疾患と診断されており、その疾患が、アテローム性動脈硬化症、プラーク形成、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、冠動脈血管疾患、末梢血管疾患、異脂肪血症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心筋梗塞、メタボリックシンドローム、肥満、および糖尿病から選択される上記使用を提供する。
【0018】
本発明の別の態様では、患者において上で言及したように使用するためのCCR5拮抗薬化合物が提供される。別の態様では、患者は、本発明の上述の態様に記載したようにHIVに感染している。CCR5拮抗薬化合物は、本明細書で開示するCCR5拮抗薬化合物のうちの1種から選択されることが好ましい。CCR5拮抗薬化合物は、マラビロックまたは薬学的に許容できるその塩であることがより好ましい。本明細書で開示する本発明の態様で使用するCCR5拮抗薬化合物は、遊離塩基形態のマラビロックであることが最も好ましい。
【0019】
別の態様では、本発明は、a)CCR5拮抗薬化合物と、b)HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物と、c)薬学的に許容できる担体をと含む医薬組成物を提供する。より詳細には、本発明は、HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、およびピタバスタチン、またはこれらの薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物から選択されるそのような組成物を提供する。より詳細には、本発明は、HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物がアトルバスタチンまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物であるそのような組成物を提供する。さらにより詳細には、本発明は、HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物がアトルバスタチンまたは薬学的に許容できるその塩であるそのような組成物を提供する。
【0020】
また、一態様では、本発明は、CCR5拮抗薬が上で規定したとおりであるそのような組成物を提供する。より詳細には、本発明は、CCR5拮抗薬がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物であるそのような組成物を提供する。さらに別の態様では、本発明は、CETP阻害剤化合物、好ましくはシス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド、または(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、または薬学的に許容できるその塩をさらに含むそのような組成物を提供する。
【0021】
別の態様では、本発明は、CCR5拮抗薬化合物と、b)CETP阻害剤化合物と、c)薬学的に許容できる担体とを含む医薬組成物を提供する。本発明は、CETP阻害剤化合物が、シス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド、または(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、または薬学的に許容できるその塩であるそのような組成物を提供する。
【0022】
さらに別の態様では、本発明は、コレステロール吸収阻害剤化合物をさらに含むそのような組成物を提供する。
【0023】
また、一態様では、本発明は、CCR5拮抗薬化合物が上で規定したとおりであるそのような組成物を提供する。より詳細には、本発明は、CCR5拮抗薬がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物であるそのような組成物を提供する。
【0024】
特に、本発明は、アテローム性動脈硬化症、プラーク形成、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、冠動脈血管疾患、末梢血管疾患、異脂肪血症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心筋梗塞、メタボリックシンドローム、肥満、または糖尿病を治療するための上述のような組成物を提供する。
【0025】
別の態様では、本発明は、その必要のある哺乳動物において血漿脂質プロフィールを改善するための本発明の組成物の使用を提供する。
【0026】
別の態様では、本発明は、a)第1の単位剤形としてのCCR5拮抗薬化合物と薬学的に許容できる担体、媒体、または希釈剤、b)第2の単位剤形としてのHMG−CoA還元酵素阻害剤化合物と薬学的に許容できる担体、媒体、または希釈剤、ならびにc)第1の単位剤形と第2の単位剤形とを含有する手段を含む、その必要のある哺乳動物において高密度リポタンパク質(HDL)粒子を増加させるキットを提供する。より詳細には、本発明は、HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物が、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、およびピタバスタチン、またはこれらの薬学的に許容できる塩もしくは溶媒和物から選択される、そのようなキットを提供する。より詳細には、本発明は、HMG−CoA還元酵素阻害剤がアトルバスタチンまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物であるそのようなキットを提供する。さらにより詳細には、本発明は、HMG−CoA還元酵素阻害剤がアトルバスタチンまたは薬学的に許容できるその塩であるそのようなキットを提供する。
【0027】
また、一態様では、本発明は、CCR5拮抗薬が上で規定したとおりであるそのようなキットを提供する。より詳細には、本発明は、CCR5拮抗薬がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物であるそのようなキットを提供する。
【0028】
別の態様では、本発明は、その必要のある患者において高密度リポタンパク質(HDL)粒子を増加させる方法であって、その患者に治療有効量のCCR5拮抗薬を投与することを含む方法;その必要のある患者において血漿脂質プロフィールを改善する方法であって、その患者に治療有効量のCCR5拮抗薬を投与することを含む方法;その必要のある患者においてトリグリセリドを低下させる方法であって、その患者に治療有効量のCCR5拮抗薬を投与することを含む方法を提供する。
【0029】
一態様では、本発明は、患者がHIVに感染している上記方法を提供する。本発明は、患者を、HIVウイルス個体群を使用してCXCR4ウイルスに感染させる上記方法を提供する。一実施形態では、本発明は、HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを10%より多く含んでいる上記方法を提供する。HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを20%より多く含んでいる;HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを30%より多く含んでいる;HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを40%より多く含んでいる;またHIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを50%より多く含んでいる追加の本発明の実施形態も提供される。
【0030】
一態様では、本発明は、CCR5拮抗薬が、マラビロック、ビクリビロック(vicriviroc)、NCB−9471、プロ−140、CCR5mAb004、8−[4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル]−1−イソブチル−N−[4−[[(1−プロピル−1H−イマダゾール−5−イル)メチル]スルフィニル]フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ベンザコシン−5−カルボキサミド、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸エチル、N−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩および溶媒和物から選択される、上記方法を提供する。より詳細には、本発明は、CCR5拮抗薬がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物である上記方法を提供する。
【0031】
さらに、本発明は、HIV患者が少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤またはNRTIを服用している上記方法を提供する。本発明はまた、患者が低レベルのHDLコレステロールおよび/または高レベルのLDLコレステロールおよびトリグリセリドが影響する疾患と診断されており、その疾患が、アテローム性動脈硬化症、プラーク形成、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、冠動脈血管疾患、末梢血管疾患、異脂肪血症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心筋梗塞、メタボリックシンドローム、肥満、および糖尿病から選択される上記方法を提供する。
【0032】
本発明の使用、方法、および組成物によって治療する疾患が、アテローム性動脈硬化症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、心血管疾患、および糖尿病、より好ましくはアテローム性動脈硬化症および異脂肪血症から選択されることが好ましい。本発明は、患者が、HIVおよび/またはその治療と関連付けられる異脂肪血症またはアテローム性動脈硬化症と診断されている、本明細書に記載するようなCCR5拮抗薬化合物の本明細書で記載するような使用を包含する。本発明はまた、患者が、HIVおよび/またはその治療と関連付けられる異脂肪血症またはアテローム性動脈硬化症と診断されている、本明細書に記載するような使用のための本明細書で記載するようなCCR5拮抗薬化合物を包含する。
【0033】
より詳細には、本発明は、好ましくはロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、およびピタバスタチンから選択されるHMG−CoA還元酵素阻害剤化合物または薬学的に許容できるその塩、より好ましくはアトルバスタチンまたは薬学的に許容できるその塩もしくは溶媒和物、最も好ましくはアトルバスタチンまたは薬学的に許容できるその塩を投与することをさらに含むそのような方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】脂質パラメーターのベースラインからの最大変化の中央値を示すグラフである。
【図2】ベースラインNCEPコレステロールカテゴリー毎のLDLコレステロールレベルのベースラインからの最大変化の中央値を示すグラフである。
【図3】1または複数の調査中評価の時点で、脂質値が、NCEP指針によるLDL低下療法開始の切点を超えた患者の百分率を示すグラフである。
【図4】24週目および48週目の両方でNCEP指針によるLDL低下療法開始の切点を超えた患者の百分率を示すグラフである。
【図5】模擬喫煙比率50%で10年以内にCHD事象にかかる相対リスク(および95%信頼区間)(Framinghamの式)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明への理解は、以下の、好例となる本発明の実施形態およびその中に含まれる実施例の詳細な記述を参照することにより、より容易なものとなり得る。
【0036】
本発明の化合物、組成物、および方法を開示し、記載する前に、本発明が、特定の合成製造法に限定されず、当然様々となり得ることを理解されたい。本明細書で使用する用語は、特定の実施形態について述べる目的のためのものにすぎず、限定するものではないことも理解されたい。
【0037】
本発明の第1の態様によれば、ヒト患者においてHDLレベルを増大させるCCR5拮抗薬の使用が提供される。
【0038】
本発明の一実施形態では、患者は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している。
【0039】
本発明の別の実施形態では、HIV患者は、CXCR4使用型ウイルス個体群に感染している。
【0040】
本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者は、そのHIV治療の一環として、プロテアーゼ阻害剤またはヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)の少なくとも一方を服用している。
【0041】
「治療有効量」という用語は、疾患を治療し、特定の疾患の1種または複数の症状を寛解させ、軽減し、もしくは解消し、または疾患の1種または複数の症状の発症を予防し、もしくは遅らせる、化合物または化合物の組合せの量を意味する。
【0042】
「患者」という用語は、イヌ、ネコ、乳牛、ウマ、ヒツジ、ガチョウ、ヒトなどの動物を意味する。特に好ましい患者は、両方の性別のヒトを含めた哺乳動物である。
【0043】
「薬学的に許容できる」という用語は、物質または組成物が、製剤の他の成分と適合性があり、患者にとって有害でないものでなければならないことを意味する。
【0044】
「薬学的に許容できる塩」という用語は、健全な医学的判断の範囲内にあり、過度の毒性、刺激、アレルギー反応などなしに患者への使用に適し、妥当な利益/リスク比に見合い、かつその意図した使用に有効である化合物の塩、ならびに考えられる場合は双性イオンの形の化合物を包含する。
【0045】
特定の本発明の化合物は、溶媒和していない形態だけでなく、水和形態(水和物)を含めた溶媒和した形態で存在し得る。一般に、水和形態(水和物)を含めた溶媒和した形態は、溶媒和していない形態と等価であり、本発明の範囲内に含まれるものとする。
【0046】
「治療すること」、「治療する」、または「治療」という用語は、予防的治療(例えば予防法)および姑息的治療を包含する。
【0047】
CCR5拮抗薬は、5型走化性サイトカイン受容体の拮抗薬である。
【0048】
ヒトCD4陽性細胞は、HIVが細胞に侵入するのに使用すると思われるCCR5とCXCR4の両方の補助受容体をその表面に有する。しかし、異なる個体群のウイルスが存在し、細胞への侵入に通常使用することになる補助受容体(CCR5またはCXCR4)によって分類することができる。以下では、実質的にCCR5ウイルスを含んでいるウイルス個体群を向CCR5性として分類する。実質的にCXCR4ウイルスを含んでいるウイルス個体群は、向CXCR4性として分類し、CCR5とCXCR4の両方のウイルスを含んでいるウイルス個体群は混合指向性として分類するが、二重指向性ウイルスは、CCR5またはCXCR4のいずれかの補助受容体を介してCD4細胞に侵入することができる。本明細書では、CXCR4使用型ウイルス個体群は、若干のCXCR4ウイルス、好ましくは2%より多くのCXCR4ウイルス、より好ましくは5%より多くのCXCR4ウイルス、最も好ましくは10%より多くのCXCR4ウイルスを含んでいるものとして分類する。
【0049】
したがって、HIV患者が感染しているウイルス個体群の指向性を決定し、したがって適切な治療を提供するアッセイが開発されている。特に、マラビロックなどのCCR5拮抗薬は、(CXCR4使用型ウイルス個体群というよりも)向CCR5性HIVウイルス個体群に感染した患者の治療用に開発されている。
【0050】
Phenosense(商標)(Trofile)アッセイ(Monogram Biosciences、米国カリフォルニア州)を使用すると、HIV患者が向CCR5性であるかどうかを判定することができ、そうならばマラビロックを投与することができる。マラビロックは、非向CCR5性(すなわち、向CXCR4性、二重/混合指向性)を適応症とせず、マラビロックまたは他の任意のCCR5拮抗薬は、こうしたHIV患者への治療利益になることが期待されないことになる。
【0051】
本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを2%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを5%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを10%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを15%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを20%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを25%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを30%より多く含んでいる.本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを35%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを40%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを45%より多く含んでいる。本発明のさらに別の実施形態では、HIV患者のウイルス個体群は、CXCR4ウイルスを50%より多く含んでいる。
【0052】
さらに別の実施形態では、CCR5拮抗薬は、(Combadiereら、J.Leukoc.Biol.、第60巻、147〜152ページ(1996年)のMIP−1βアッセイによって求めた)CCR5結合についてのIC50が1μM未満である。
【0053】
本発明のさらに別の実施形態では、CCR5拮抗薬は、マラビロック、好ましくは遊離塩基のマラビロック、NCB−9471、PRP−140、CCR5mAb004、TAK−779(WO99/32468)、TAK−220(WO01/25200)、TAK−652(WO03014105で開示されており、化学名は8−[4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル]−1−イソブチル−N−[4−[[(1−プロピル−1H−イマダゾール−5−イル)メチル]スルフィニル]フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ベンザコシン−5−カルボキサミドである)、SC−351125、アンクリビロック(ancriviroc)(以前はSCH−Cとして知られていた)、ビクロビロック(vicroviroc)(化学名は(4,6−ジメチルピリミジン−5−イル){4−[(3S)−4−{(1R)−2−メトキシ−1−[4−(トリフルオロメチル)フェニル]エチル}−3−メチルピペラジン−1−イル]−4−メチルピペリジン−1−イル}メタノンである)、PRO−140、アプリビロック(apliviroc)(以前はGW−873140、Ono−4128、AK−602として知られていた)、AMD−887、INC−B9471、CMPD−167(化学名はN−メチル−N−((1R,3S,4S)−3−[4−(3−ベンジル−1−エチル−1H−ピラゾール−5−イル)ピペリジン−1−イルメチル]−4−[3−フルオロフェニル]シクロペンタ−1−イル]−D−バリン)である)、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸エチル、およびN−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)、ならびに上記の薬学的に許容できる塩、溶媒和物、または誘導体から選択される。最後の4種の化合物は、WO03/084954およびWO05/033107で開示されており、その製造法は、その中で開示されている。
【0054】
さらに別の実施形態では、CCR5拮抗薬は、マラビロック、ビクリビロック(vicriviroc)、NCB−9471、PRO−140、CCR5mAb004、8−[4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル]−1−イソブチル−N−[4−[[(1−プロピル−1H−イマダゾール−5−イル)メチル]スルフィニル]フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ベンザコシン−5−カルボキサミド、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸エチル、およびN−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)、ならびに上記の薬学的に許容できる塩、溶媒和物、または誘導体から選択される。
【0055】
さらに別の実施形態では、CCR5拮抗薬は、好ましくは遊離塩基としてのマラビロックである。
【0056】
本発明で使用する追加のCCR5拮抗薬は、選択した化合物、薬学的に許容できるその塩、溶媒和物、もしくは誘導体がケモカイン受容体活性をモジュレートする能力によって同定することができるが、その能力は、当業界で知られている方法によって、例えば、Combadiereら、J.Leukoc.Biol.、第60巻、147〜52ページ(1996年)で開示されている手順に従うCCR5結合アッセイを使用する、および/または同じ著者によって記載されている細胞内カルシウム動員アッセイを使用することにより実証される。問題の受容体を発現する細胞系としては、受容体を自然に発現するもの、例えば、PM−1、もしくはIL−2によって刺激される末梢血リンパ球(PBL)、または組換え型受容体を発現するように操作された細胞、例えば、CHO、300.19、L1.2、またはHEK−293が挙げられる。
【0057】
プロテアーゼ阻害剤(PI)およびヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)は、患者の脂質レベルに悪影響を及ぼす副作用を有することが知られている。
【0058】
本発明の別の態様では、プロテアーゼ阻害剤またはヌクレオシド/ヌクレオチド逆転写酵素阻害剤を服用するHIV患者においてHDL粒子を増加させる医薬の調製におけるCCR5拮抗薬の使用が提供される。
【0059】
PIの例には、アンプレナビル(141W94)、CGP−73547、CGP−61755、DMP−450(モゼナビル(mozenavir))、ネルフィナビル、リトナビル、サキナビル、ロピナビル、TMC−126、アタザナビル、パリナビル(palinavir)、GS−3333、KNI−413、KNI−272、LG−71350、CGP−61755、PD173606、PD177298、PD178390、PD178392、U−140690、ABT−378、DMP−450、AG−1776、MK−944、VX−478、インジナビル、チプラナビル、TMC−114、DPC−681、DPC−684、ホスアンプレナビルカルシウム、WO03/053435で開示されているベンゼンスルホンアミド誘導体、R−944、Ro−03−34649、VX−385、GS−224338、OPT−TL3、PL−100、PPL−100、SM−309515、AG−148、DG−35−VIII、DMP−850、GW−5950X、KNI−1039、L−756423、LB−71262、LP−130、RS−344、SE−063、UIC−94−003、Vb−19038、A−77003、BMS−182193、BMS−186318、SM−309515、JE−2147、GS−9005が含まれるがこの限りでない。
【0060】
NRTIの例には、アバカビル、GS−840、ラミブジン、アデホビルジピボキシル、β−フルオロ−ddA、ザルシタビン、ジダノシン、スタブジン、ジドブジン、フマル酸テノホビルジソプロキシル、アムドキソビル(amdoxovir)(DAPD)、SPD−754、SPD−756、ラシビル(racivir)、レベルセト(reverset)(DPC−817)、MIV−210(FLG)、β−L−Fd4C(ACH−126443)、MIV−310(アロブジン、FLT)、dOTC、DAPD、エンテカビル、GS−7340、エムトリシタビン(FTC)が含まれるがこの限りでない。
【0061】
本発明の一実施形態では、マラビロックをジドブジンおよびラミブジンと組み合わせて投与する。
【0062】
CCR5拮抗薬は、以下の疾患/状態、例えば、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、末梢血管疾患、心臓血管障害、狭心症、虚血、心臓虚血、発作、心筋梗塞、再灌流傷害、血管形成再狭窄、糖尿病の血管合併症、不安定狭心症、アルツハイマー病、脳血管疾患、冠動脈疾患、および心室機能障害の治療において、単独で、または本明細書に記載の別の医薬と組み合わせて使用することができる。
【0063】
本発明の組合せは、それぞれ本明細書に記載の薬学的に活性のある担体、希釈剤、溶媒、または媒体をさらに含有する医薬組成物の一部となる場合もある。
【0064】
薬学的に活性のある適切な薬剤の例としては、HMG−CoA還元酵素阻害剤、コレステロール合成阻害剤、コレステロール吸収阻害剤、別のCETP阻害剤、MTP/ApoB分泌阻害剤、PPARモジュレーター、およびフィブラート、ナイアシン、イオン交換樹脂、酸化防止剤、ACAT阻害剤、胆汁酸金属イオン封鎖剤などの他のコレステロール低下薬が挙げられる。他の医薬には、胆汁酸再取込み阻害剤、回腸胆汁酸輸送体阻害剤、ACC阻害剤、血圧降下薬(例えばNORVASC(登録商標))、選択的エストロゲン受容体モジュレーター、選択的アンドロゲン受容体モジュレーター、抗生物質、抗糖尿病薬(例えば、メトホルミン、PPARγ活性化剤、スルホニル尿素、インスリン、アルドース還元酵素阻害剤(ARI)、およびソルビトール脱水素酵素阻害剤(SDI))、抗肥満化合物、甲状腺模倣薬剤、アルツハイマー病薬、およびアスピリン(アスピリンまたは一酸化窒素遊離型アスピリン)も含まれるはずである。本明細書では、「ナイアシン」は、即時型放出、徐放、延長放出、低紅潮性ナイアシンなどの利用可能なすべての形態を包含する。ナイアシンは、他の治療薬、例えばプロスタグランジンおよび/またはスタチン、すなわちロバスタチンもしくはシンバスタチンと組み合わせてもよい。これらの治療薬は、HMG−CoA還元酵素阻害剤であり、以下でさらに記載する。この併用療法は、ADVICOR(登録商標)(Kos Pharmaceuticals Inc.)として知られている。併用療法治療では、本発明の化合物と他の薬物療法の両方を、従来の方法によって哺乳動物(例えば、男性または女性のヒト)に投与する。
【0065】
併用療法治療では、CCR5拮抗薬および他の薬物療法を、従来の方法によって哺乳動物に投与する。以下の論述では、本発明の様々な組合せの態様についてより詳細に述べる。
【0066】
3−ヒドロキシ−3−メチルグルタリル−コエンザイムA(HMG−CoA)のメバロン酸への変換は、コレステロール生合成経路の初期段階であり、律速段階である。この段階は、HMG−CoA還元酵素という酵素を触媒とする。スタチンは、HMG−CoA還元酵素がこの変換を触媒するのを阻害する。好例となるスタチンとしては、ロバスタチン、シンバスタチン、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、リバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチン、(3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、および(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、ならびにこれらの薬学的に許容できる塩が挙げられる。
【0067】
アトルバスタチンカルシウム(すなわち、アトルバスタチンヘミカルシウム)は、本明細書に参照により援用される米国特許第5,273,995号で開示されており、現在Lipitor(登録商標)として販売され、次式を有する。
【0068】
【化1】

アトルバスタチンカルシウムは、HMG−CoAの選択的な競合的阻害薬である。アトルバスタチンカルシウムは、それ自体、強力な脂質低下性化合物である。遊離カルボン酸形態のアトルバスタチンは、大部分は次式のラクトンとして存在し、
【0069】
【化2】

本明細書に参照により援用される米国特許第4,681,893号で開示されている。
【0070】
スタチンには、U.S.RE37,314Eで開示されているロスバスタチン、EP304063B1およびUS5,011,930で開示されているピチバスタチン(pitivastatin)、参照により本明細書に援用されるU.S.4,444,784で開示されているシンバスタチン、参照により本明細書に援用されるU.S.4,346,227で開示されているプラバスタチン、参照により本明細書に援用されるU.S.5,502,199で開示されているセリバスタチン、参照により本明細書に援用されるU.S.3,983,140で開示されているメバスタチン、どちらも参照により本明細書に援用されるU.S.4,448,784およびU.S.4,450,171で開示されているベロスタチン(velostatin)、参照により本明細書に援用されるU.S.4,739,073で開示されているフルバスタチン、参照により本明細書に援用されるU.S.4,804,770で開示されているコンパクチン、参照により本明細書に援用されるU.S.4,231,938で開示されているロバスタチン、欧州特許出願公開第738510A2号で開示されているダルバスタチン、欧州特許出願公開第363934A1号で開示されているフルインドスタチン(fluindostatin)、参照により本明細書に援用される米国特許第4,681,893号で開示されているアトルバスタチン、参照により本明細書に援用される米国特許第5,273,995号で開示されているアトルバスタチンカルシウム(アトルバスタチンの半カルシウム塩)、および参照により本明細書に援用されるU.S.4,450,171で開示されているジヒドロコンパクチンといった化合物が含まれる。
【0071】
別のHMGCoA還元酵素阻害剤は、国際公開WO2005/105079および2005年11月14日出願のPCT/IB2005/003461号で開示されており(これらの開示は参照により本明細書に援用される)、(3R,5R)−7−(4−(ベンジルカルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、(3R,5R)−7−(4−((3−フルオロベンジル)カルバモイル)−5−シクロプロピル−2−(4−フルオロフェニル)−1H−イミダゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、および(3R,5R)−7−(4−((4−メチルベンジル)カルバモイル)−2−(4−フルオロフェニル)−5−イソプロピル−1H−ピラゾール−1−イル)−3,5−ジヒドロキシヘプタン酸、ならびに前記化合物の薬学的に許容できる塩がこれに含まれる。
【0072】
本発明の組合せの態様では任意のPPARモジュレーターを使用することもできる。PPARモジュレーターという用語は、哺乳動物、特にヒトにおいてペルオキシソーム増殖因子活性化因子受容体(PPAR)活性をモジュレートする化合物を指す。このようなモジュレーションは、文献で知られている標準の検定法に従い当業者によって容易に測定される。このような化合物は、PPAR受容体をモジュレートすることにより、脂肪酸酸化などの脂質およびグルコース代謝に関与する鍵遺伝子の転写、また高密度リポタンパク質(HDL)構築に関与するもの(例えば、アポリポタンパク質AI遺伝子転写)を調節し、したがって全身の脂肪を減少させ、HDLコレステロールを増加させると考えられている。これらの化合物はまた、その活性によって、哺乳動物、特にヒトにおいて、トリグリセリド、VLDLコレステロール、LDLコレステロール、およびその関連する成分、例えばアポリポタンパク質Bの血漿レベルを低下させるばかりでなく、HDLコレステロールおよびアポリポタンパク質AIを増加させる。したがって、これらの化合物は、低αリポタンパク血症および高トリグリセリド血症を含めた、アテローム性動脈硬化症および心血管疾患の発症および発病に関連することが認められている様々な異脂肪血症の治療および正常化に有用である。こうした様々な化合物を以下に記載し、参照事項を付けるが、他の化合物も当業者の知るところとなろう。国際公開WO2004/048334、WO2005/092845、およびWO2006/003495(これらの開示は参照により本明細書に援用される)は、PPARα活性化因子である特定の化合物を開示しており、それには、3−[3−(1−カルボキシ−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸3−トリフルオロメチル−ベンジルエステル、3−[3−(1−カルボキシ−1−メチル−エトキシ)−フェニル]−ピペリジン−1−カルボン酸4−トリフルオロメチル−ベンジルエステル、5−[4−(4−エチル−ベンジルスルファニル)−フェニルスルファモイル]−2−メチル−安息香酸、および5−{2−[4−(3,4−ジフルオロ−フェノキシ)−フェニル]−エチルスルファモイル}−2−メチル−安息香酸、ならびに前記化合物の薬学的に許容できる塩が含まれる。
【0073】
本発明の組合せの態様では他の任意のPPARモジュレーターを使用することもできる。特に、PPARβおよび/またはPPARγのモジュレーターは、本発明の化合物と組み合わせるのに有用となり得る。好例となるPPAR阻害剤は、国際公開WO2003/084916に、{5−メトキシ−2−メチル−4−[4−(4−トリフルオロメチル−ベンジルオキシ)−ベンジルスルファニ]−フェノキシ}−酢酸および{5−メトキシ−2−メチル−4−[4−(5−トリフルオロメチル−ピリジン−2−イル)−ベンジルスルファニル]−フェノキシ}−酢酸、ならびに前記化合物の薬学的に許容できる塩として記載されている。
【0074】
本発明の組合せの態様では任意のMTP/ApoB(ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質およびまたはアポリポタンパク質B)分泌阻害剤を使用することもできる。MTP/ApoB分泌阻害剤という用語は、トリグリセリド、コレステリルエステル、およびリン脂質の分泌を阻害する化合物を指す。このような阻害は、標準の検定法(例えば、Wetterau、J.R.1992年、Science第258巻:999ページ)に従い当業者によって容易に測定される。こうした様々な化合物を以下に記載し、参照事項を付けるが、しかし、インプリタピド(Bayer)および追加の化合物、例えばWO96/40640およびWO98/23593(2件の例示的な公開)で開示されているものを含めて、他のMTP/ApoB分泌阻害剤も当業者の知るところとなろう。
【0075】
例えば、以下のMTP/ApoB分泌阻害剤が特に有用である。
4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(1H−[1,2,4,]トリアゾール−3−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド、
4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(2−アセチルアミノ−エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド、
(2−{6−[(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−3,4−ジヒドロ−1H−イソキノリン−2−イル}−エチル)−カルバミン酸メチルエステル、
4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(1H−イミダゾール−2−イルメチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド、
4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(2,2−ジフェニル−エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド、
4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボン酸[2−(2−エトキシ−エチル)−1,2,3,4−テトラヒドロ−イソキノリン−6−イル]−アミド、
(S)−N−{2−[ベンジル(メチル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニルエチル}−1−メチル−5−[4’−(トリフルオロメチル)[1,1’−ビフェニル]−2−カルボキサミド]−1H−インドール−2−カルボキサミド、
(S)−2−[(4’−トリフルオロメチル−ビフェニル−2−カルボニル)−アミノ]−キノリン−6−カルボン酸(ペンチルカルバモイル−フェニル−メチル)−アミド、
1H−インドール−2−カルボキサミド,1−メチル−N−[(1S)−2−[メチル(フェニルメチル)アミノ]−2−オキソ−1−フェニルエチル]−5−[[[4’−(トリフルオロメチル)[1,1’−ビフェニル]−2−イル]カルボニル]アミノ]、および
N−[(1S)−2−(ベンジルメチルアミノ)−2−オキソ−1−フェニルエチル]−1−メチル−5−[[[4’−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]カルボニル]アミノ]−1H−インドール−2−カルボキサミド。
【0076】
本発明の組合せの態様では任意のHMG−CoA合成酵素阻害剤を使用することもできる。HMG−CoA合成酵素阻害剤という用語は、HMG−CoA合成酵素という酵素を触媒とする、アセチルコエンザイムAおよびアセトアセチル−コエンザイムAからのヒドロキシメチルグルタリルCoAの生合成を阻害する化合物を指す。このような阻害は、標準の検定法(Meth Enzymol.1975年、第35巻:155〜160ページ;Meth.Enzymol.1985年、第110巻:19〜26ページ、およびその中に引用されている参考文献)に従い当業者によって容易に測定される。こうした様々な化合物を以下に記載し、参照事項を付けるが、しかし他のHMG−CoA合成酵素阻害剤も当業者の知るところとなろう。米国特許第5,120,729号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるβラクタム系薬物を開示している。米国特許第5,064,856号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、微生物(MF5253)を培養して調製したあるスピロラクトン誘導体を開示している。米国特許第4,847,271号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、11−(3−ヒドロキシメチル−4−オキソ−2−オキセタイル)−3,5,7−トリメチル−2,4−ウンデカ−ジエン酸誘導体などの特定のオキセタン化合物を開示している。
【0077】
本発明の組合せの態様ではHMG−CoA還元酵素遺伝子発現を減少させる任意の化合物を使用することもできる。こうした物質は、DNAの転写をブロックするHMG−CoA還元酵素転写阻害剤でもよいし、またはHMG−CoA還元酵素タンパク質をコードするmRNAの翻訳を妨げ、もしくは減少させる翻訳阻害剤でもよい。そのような化合物は、転写または翻訳に直接に影響を及ぼすものでもよいし、またはコレステロール生合成カスケード中の1種または複数の酵素によって上述の活性を有する化合物に生体内変換され得るものか、上述の活性を有するイソプレン代謝産物を蓄積させるものでもよい。こうした化合物は、サイト1プロテアーゼ(S1P)の活性を阻害し、またはoxzgenal受容体もしくはSCAPのアゴニストになることによってSREBP(ステロール受容体結合タンパク質)のレベルを低下させることにより、この効果を生じ得る。このような調節は、標準の検定法(Meth.Enzymol.1985年、第110巻:9〜19ページ)に従い当業者によって容易に測定される。いくつかの化合物を以下に記載し、参照事項を付けるが、しかし、HMG−CoA還元酵素遺伝子発現の他の阻害剤も当業者の知るところとなろう。米国特許第5,041,432号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、ある15−置換ラノステロール誘導体を開示している。HMG−CoA還元酵素の合成を抑制する他の酸素化ステロールは、E.I.Mercer(Prog.Lip.Res.1993年;第32巻:357〜416ページ)によって論述されている。
【0078】
本発明の併用療法の態様では、CETP阻害剤としての活性を有する任意の化合物が役立つ場合もある。CETP阻害剤という用語は、コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)の仲介による、様々なコレステリルエステルおよびトリグリセリドのHDLからLDLおよびVLDLへの輸送を阻害する化合物を指す。このようなCETP阻害活性は、標準の検定法(例えば米国特許第6,140,343号)に従い当業者によって容易に測定される。例えば本願の譲受人に譲渡された米国特許第6,140,343号、本願の譲受人に譲渡された米国特許第6,197,786号および第6,723,752号で開示されている様々なCETP阻害剤が当業者の知るところとなろう。これらの特許で開示されているCETP阻害剤には、(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノールなどの化合物が含まれる。さらに、本明細書に含まれるCETP阻害剤は、WO2007/105050、WO2007/105049、WO2006/056854、WO2006/014357、WO2006/014413、WO2007/005572、WO2007/079186、WO2007/047591、WO2007/081571、米国特許第6,426,365号、およびWO2004/20393にも記載されている。米国特許第5,512,548号が、CETP阻害剤としての活性を有するあるポリペプチド誘導体を開示しており、ある種のCETP阻害性ロセノノラクトン誘導体およびコレステリルエステルのリン酸含有類似体が、J.Antibiot.、第49巻(8):815〜816ページ(1996年)、およびBioorg.Med.Chem.Lett.、第6巻:1951〜1954ページ(1996年)でそれぞれ開示されている。
【0079】
好例となるCETP阻害剤として、米国特許第6,426,365号に記載の2−メチル−,S−[2[[[1−(2−エチルブチル)シクロヘキシル]カルボニル]アミノ]フェニル]エステルプロパンチオ酸;WO2004/20393に記載のトランス−(4−{[N−(2−{[N’−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンジル]−N’−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)アミノ]メチル}−5−メチル−4−トリフルオロメチルフェニル)−N−エチルアミノ]メチル}シクロヘキシル)酢酸メタンスルホナート;WO2006/014357、WO2006/014413、およびWO2007/005572に記載の(4S,5R)−5−[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]−3−{[4’−フルオロ−5’イソプロピル−2’−メトキシ−4−(トリフルオロメチル)ビフェニル−2−イル]メチル}−4−メチル−1,3−オキサゾリジン−2−オン;WO2006/033002に記載のS−[2−[1−(2−エチルブチル)シクロヘキサンカルボニルアミノ]−フェニル]2−メチルチオプロピオナートシス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド;および米国特許第6,723,752号に記載の(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、または前記化合物の薬学的に許容できる塩が挙げられる。
【0080】
本発明の組合せの態様では任意のスクアレン合成酵素阻害剤を使用することもできる。スクアレン合成酵素阻害剤という用語は、スクアレン合成酵素という酵素を触媒とする、スクアレンを生成する2分子のファルネシルピロリン酸の縮合を阻害する化合物を指す。このような阻害は、標準の検定法(Meth.Enzymol.1969年、第15巻:393〜454ページ、およびMeth.Enzymol.1985年、第110巻:359〜373ページ、ならびにこれらの中に含まれている参考文献)に従い当業者によって容易に測定される。こうした様々な化合物を以下に記載し、参照事項を付けるが、他のスクアレン合成酵素阻害剤も当業者の知るところとなろう。米国特許第5,026,554号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、ザラゴジン酸を含めた、微生物MF5465(ATCC74011)の発酵産物を開示している。特許を取得した他のスクアレン合成酵素阻害剤の概略がまとめられている(Curr.Op.Ther.Patents(1993年)861〜4ページ)。
【0081】
本発明の組合せの態様では任意のスクアレンエポキシダーゼ阻害剤を使用することもできる。スクアレンエポキシダーゼ阻害剤という用語は、スクアレンと分子状酸素がスクアレンエポキシダーゼ酵素を触媒としてスクアレン−2,3−エポキシドに生物変換されるのを阻害する化合物を指す。このような阻害は、標準の検定法(Biochim.Biophys.Acta 1984年、第794巻:466〜471ページ)に従い当業者によって容易に測定される。こうした様々な化合物を以下に記載し、参照事項を付けるが、しかし他のスクアレンエポキシダーゼ阻害剤も当業者の知るところとなろう。米国特許第5,011,859号および第5,064,864号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、スクアレンのある種のフルオロ類似体を開示している。EP公開395,768A(この開示は参照により本明細書援用される)は、ある置換アリルアミン誘導体を開示している。PCT公開WO9312069A(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるアミノアルコール誘導体を開示している。米国特許第6,110,909号、第6,613,761号は、2−(1−(2−((3S,6S)−1−(3−アセトキシ−2,2−ジメチルプロピル)−8−クロロ−6−(2,3−ジメトキシフェニル)−2−オキソ−2,3,4,6−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[c][1,5]オキサゾシン−3−イル)アセチル)ピペリジン−4−イル)酢酸を含む。米国特許第5,051,534号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるシクロプロピルオキシ−スクアレン誘導体を開示している。
【0082】
本発明の組合せの態様では任意のスクアレン環化酵素阻害剤を第2の成分として使用することもできる。スクアレン環化酵素阻害剤という用語は、スクアレン−2,3−エポキシドがスクアレン環化酵素という酵素を触媒としてラノステロールに生物変換されるのを阻害する化合物を指す。このような阻害は、標準の検定法(FEBS Lett.1989年;第244巻:347〜350ページ)に従い当業者によって容易に測定される。また、以下に記載し、参照事項を付けた化合物がスクアレン環化酵素阻害剤であるが、しかし他のスクアレン環化酵素阻害剤も当業者の知るところとなろう。PCT公開WO9410150(この開示は参照により本明細書に援用される)は、ある1,2,3,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−5,5,8(β)−トリメチル−6−イソキノリンアミン誘導体、例えばN−トリフルオロアセチル−1,2,3,5,6,7,8,8a−オクタヒドロ−2−アリル−5,5,8(β)−トリメチル−6(β)−イソキノリンアミンを開示している。フランス特許公開2697250(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるβ,β−ジメチル−4−ピペリジンエタノール誘導体、例えば1−(1,5,9−トリメチルデシル)−β,β−ジメチル−4−ピペリジンエタノールを開示している。
【0083】
本発明の組合せの態様では任意のスクアレンエポキシダーゼ/スクアレン環化酵素複合阻害剤を第2の成分として使用することもできる。スクアレンエポキシダーゼ/スクアレン環化酵素複合阻害剤という用語は、スクアレンがスクアレン−2,3−エポキシド中間体を経てラノステロールに生物変換されるのを阻害する化合物を指す。一部の検定法では、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤とスクアレン環化酵素阻害剤を識別することは不可能であるが、しかしそうした検定法は当業者によって認識されている。すなわち、スクアレンエポキシダーゼ/スクアレン環化酵素複合阻害剤による阻害は、スクアレン環化酵素阻害剤またはスクアレンエポキシダーゼ阻害剤用の上述の標準の検定法に従い、当業者によって容易に測定される。こうした様々な化合物を以下に記載し、参照事項を付けるが、しかし他のスクアレンエポキシダーゼ/スクアレン環化酵素阻害剤も当業者の知るところとなろう。米国特許第5,084,461号および第5,278,171号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるアザデカリン誘導体を開示している。EP公開468,434(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるピペリジルエーテルおよびチオ−エーテル誘導体、例えば2−(1−ピペリジル)ペンチルイソペンチルスルホキシドおよび2−(1−ピペリジル)エチルエチルスルフィドを開示している。PCT公開WO9401404(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるアシル−ピペリジン、例えば1−(1−オキソペンチル−5−フェニルチオ)−4−(2−ヒドロキシ−1−メチル)−エチル)ピペリジンを開示している。米国特許第5,102,915号(この開示は参照により本明細書に援用される)は、あるシクロプロピルオキシ−スクアレン誘導体を開示している。
【0084】
本発明の化合物は、血漿コレステロールレベルを低下させる働きをする天然の化合物と組み合わせて投与することもできる。そうした天然の化合物は、一般に栄養補助食品と呼ばれ、例えばニンニク抽出物およびナイアシンがこれに含まれる。緩徐放出形態のナイアシンが利用可能であり、Niaspanとして知られている。ナイアシンは、ロバスタチンなどの他の治療薬と組み合わせてもよく、または別のものはHMG−CoA還元酵素阻害剤である。このロバスタチンとの併用療法は、ADVICOR(商標)(Kos Pharmaceuticals Inc.)として知られている。
【0085】
本発明の組合せの態様では任意のコレステロール吸収阻害剤を付加的なものとして使用することもできる。コレステロール吸収阻害という用語は、化合物が、腸管内に含まれるコレステロールを腸の細胞に入らせない、かつ/または腸細胞内からリンパ系および/もしくは血流へと移らせない能力を指す。このようなコレステロール吸収阻害活性は、標準の検定法(例えば、J.Lipid Res.(1993年)第34巻:377〜395ページ)に従い当業者によって容易に測定される。コレステロール吸収阻害剤は、当業者に知られており、例えばPCT WO94/00480に記載されている。最近認可されたコレステロール吸収阻害剤の例は、ZETIA(商標)(エゼチミベ)(Schering−Plough/Merck)である。現在開発中の他のコレステロール吸収阻害剤として、米国特許第7,205,290号および第6,992,067号で開示されているものが挙げられる。
【0086】
本発明の併用療法の態様では任意のACAT阻害剤を使用することもできる。ACAT阻害剤という用語は、食事性コレステロールがアシルCoA:コレステロールアシルトランスフェラーゼという酵素によって細胞内でエステル化されるのを阻害する化合物を指す。このような阻害は、Journal of Lipid Research.、第24巻:1127ページ(1983年)に記載されているHeiderらの方法などの標準の検定法に従い当業者によって容易に測定することができる。こうした様々な化合物は、当業者に知られており、例えば、米国特許第5,510,379号がある種のカルボキシスルホナートを開示しており、WO96/26948およびWO96/10559の両方がACAT阻害活性を有する尿素誘導体を開示している。ACAT阻害剤の例として、Avasimibe(ファイザー)、CS−505(三共)、Eflucimibe(Eli LillyおよびPierre Fabre)などの化合物が挙げられる。
【0087】
本発明の併用療法の態様ではリパーゼ阻害剤を使用することもできる。リパーゼ阻害剤は、食事性トリグリセリドまたは血漿リン脂質が代謝的に切断されて遊離脂肪酸と対応するグリセリドになるのを阻害する化合物(例えばEL、HLなど)である。正常な生理的条件下では、脂肪分解は、リパーゼ酵素の活性化したセリン部分のアシル化を含む2段階の過程を経て起こる。これによって脂肪酸−リパーゼヘミアセタール中間体が産生され、次いでこれが切断されて、ジグリセリドを遊離させる。さらに脱アシル化された後、リパーゼ−脂肪酸中間体が切断され、遊離のリパーゼ、グリセリド、および脂肪酸となる。腸では、生じた遊離脂肪酸およびモノグリセリドが胆汁酸−リン脂質ミセルに取り込まれ、その後これが小腸の刷子縁のレベルで吸収される。ミセルは、最終的にカイロミクロンとして末梢循環に入る。このようなリパーゼ阻害活性は、標準の検定法(例えば、Methods Enzymol.第286巻:190〜231ページ)に従い当業者によって容易に測定される。
【0088】
膵リパーゼは、脂肪酸がトリグリセリドから1−および3−炭素位で代謝的に切断されるのを仲介する。摂取された脂肪の膵リパーゼによる主な代謝部位は十二指腸および近位空腸にあり、膵リパーゼは通常、上部小腸での脂肪の分解に必要な量を大幅に超過して分泌される。膵リパーゼは、食事性トリグリセリドの吸収に必要となる主たる酵素であるので、阻害剤は、肥満および他の関連した状態の治療において有用である。このような膵リパーゼ阻害活性は、標準の検定法(例えば、Methods Enzymol.第286巻:190〜231ページ)に従い当業者によって容易に測定される。
【0089】
胃リパーゼは、食事性脂肪の消化の約10〜40%を司る免疫学的に異なるリパーゼである。胃リパーゼは、機械的刺激、食物摂取、脂肪質の食事の存在に応答して、または交感神経系の薬剤によって分泌される。摂取された脂肪の胃での脂肪分解は、腸での膵リパーゼ活性のきっかけとなるのに必要となる脂肪酸の供給において生理学的に重要であり、膵不全に関連する様々な生理的および病理学的状態では脂肪吸収のためにも重要である。例えば、C.K.Abramsら、Gastroenterology、第92巻、125ページ(1987年)を参照されたい。このような胃リパーゼ阻害活性は、標準の検定法(例えば、Methods Enzymol.第286巻:190〜231ページ)に従い当業者によって容易に測定される。
【0090】
様々な胃リパーゼおよび/または膵リパーゼ阻害剤が当業者に知られている。好ましいリパーゼ阻害剤は、リプスタチン、テトラヒドロリプスタチン(オーリスタット)、バリラクトン(valilactone)、エステラスチン(esterastin)、エベラクトンA、およびエベラクトンBからなる群から選択される阻害剤である。テトラヒドロリプスタチン化合物が特に好ましい。リパーゼ阻害剤のN−3−トリフルオロメチルフェニル−N’−3−クロロ−4’−トリフルオロメチルフェニル尿素、およびこれに関連した様々な尿素誘導体が、米国特許第4,405,644号で開示されている。リパーゼ阻害剤のエステラシン(esteracin)が、米国特許第4,189,438号および第4,242,453号で開示されている。リパーゼ阻害剤のシクロ−O,O’−[(1,6−ヘキサンジイル)−ビス−(イミノカルボニル)]ジオキシムおよびこれに関連した様々なビス(イミノカルボニル)ジオキシムは、Petersenら、Liebig’s Annalen、第562巻、205〜229ページ(1949年)に記載のとおりに調製することができる。
【0091】
様々な膵リパーゼ阻害剤を以下で本明細書に記載する。膵リパーゼ阻害剤のリプスタチン、(2S,3S,5S,7Z,10Z)−5−[(S)−2−ホルムアミド−4−メチル−バレリルオキシ]−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−7,10−ヘキサデカン酸ラクトン、およびテトラヒドロリプスタチン(オーリスタット)、(2S,3S,5S)−5−[(S)−2−ホルムアミド−4−メチル−バレリルオキシ]−2−ヘキシル−3−ヒドロキシ−ヘキサデカン1,3酸ラクトン、および様々に置換されたN−ホルミルロイシン誘導体、ならびにこれらの立体異性体が米国特許第4,598,089号で開示されている。例えば、テトラヒドロリプスタチンは、例えば米国特許第5,274,143号、第5,420,305号、第5,540,917号、および第5,643,874号に記載のとおりに調製される。膵リパーゼ阻害剤のFL−386、1−[4−(2−メチルプロピル)シクロヘキシル]−2−[(フェニルスルホニル)オキシ]−エタノン、およびこれに関連した様々に置換されたスルホナート誘導体が、米国特許第4,452,813号で開示されている。膵リパーゼ阻害剤のWAY−121898、4−フェノキシフェニル−4−メチルピペリジン−1−イル−カルボキシラート、およびこれに関連した様々なカルバミン酸エステルおよび薬学的に許容できる塩が、米国特許第5,512,565号、第5,391,571号、および第5,602,151号で開示されている。膵リパーゼ阻害剤のバリラクトン(valilactone)、および放線菌系統MG147−CF2を微生物培養することによるその調製方法が、Kitaharaら.、J.Antibiotics、第40巻(11)、1647〜1650ページ(1987年)で開示されている。膵リパーゼ阻害剤のエベラクトンAおよびエベラクトンB、ならびに放線菌系統MG7−G1を微生物培養することによるその調製方法が、Umezawaら、J.Antibiotics、第33巻、1594〜1596ページ(1980年)で開示されている。モノグリセリド生成を抑制する際のエベラクトンAおよびBの使用は、1996年6月4日公開の特開平08−143457で開示されている。
【0092】
高コレステロール血症を含めた高脂血症用に市販されており、アテローム性動脈硬化症の予防または治療を助けることを意図した他の化合物としては、Welchol(登録商標)、Colestid(登録商標)、LoCholest(登録商標)、Questran(登録商標)などの胆汁酸金属イオン封鎖剤、およびAtromid(登録商標)、Lopid(登録商標)、Tricor(登録商標)などのフィブリン酸誘導体が挙げられる。
【0093】
本発明の化合物は、他の降圧薬と組み合わせて使用することもできる。そのような組合せではどんな抗高血圧薬も第2の薬剤として使用することができ、本明細書で例を示す。そのような血圧降下薬活性は、標準の検定法(例えば血圧測定)に従い当業者によって容易に測定される。
【0094】
降圧薬を含有する現在市販されている製品の例としては、Cardizem(登録商標)、Adalat(登録商標)、Calan(登録商標)、Cardene(登録商標)、Covera(登録商標)、Dilacor(登録商標)、DynaCirc(登録商標)、Procardia XL(登録商標)、Sular(登録商標)、Tiazac(登録商標)、Vascor(登録商標)、Verelan(登録商標)、Isoptin(登録商標)、Nimotop(登録商標)、Norvasc(登録商標)、Plendil(登録商標)などのカルシウムチャネル遮断薬、Accupril(登録商標)、Altace(登録商標)、Captopril(登録商標)、Lotensin(登録商標)、Mavik(登録商標)、Monopril(登録商標)、Prinivil(登録商標)、Univasc(登録商標)、Vasotec(登録商標)、Zestril(登録商標)などのアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤が挙げられる。
【0095】
アムロジピンおよび同類のジヒドロピリジン化合物は、参照により本明細書に援用される米国特許第4,572,909号および第5,155,120号で強力な抗虚血薬および降圧薬として開示されている。参照により本明細書に援用される米国特許第4,879,303号は、アムロジピンベンゼンスルホン酸塩(ベシル酸アムロジピンとも呼ばれる)を開示している。アムロジピンおよびベシル酸アムロジピンは、強力かつ長時間効果のあるカルシウムチャネル遮断薬である。アムロジピン、ベシル酸アムロジピン、マレイン酸アムロジピン、およびアムロジピンの他の薬学的に許容できる酸付加塩は、それ自体が降圧薬および抗虚血薬として有用である。ベシル酸アムロジピンは、現在Norvasc(登録商標)として販売されている。アムロジピンは、次式を有する。
【0096】
【化3】

【0097】
本発明の範囲内にあるカルシウムチャネル遮断薬には、その限りでないが、以下のものが含まれる。ベプリジル(米国特許第3,962,238号または米国再発行出願第30,577号で開示されているとおりに調製できる)、クレンチアゼム(米国特許第4,567,175号で開示されているとおりに調製できる)、ジルチアゼム(米国特許第3,562号で開示されているとおりに調製できる)、フェンジリン(米国特許第3,262,977号で開示されているとおりに調製できる)、ガロパミル(米国特許第3,261,859号で開示されているとおりに調製できる)、ミベフラジル(米国特許第4,808,605号で開示されているとおりに調製できる)、プレニルアミン(米国特許第3,152,173号で開示されているとおりに調製できる)、セモチアジル(米国特許第4,786,635号で開示されているとおりに調製できる)、テロジリン(米国特許第3,371,014号で開示されているとおりに調製できる)、ベラパミル(米国特許第3,261,859号で開示されているとおりに調製できる)、アラニピン(aranipine)(米国特許第4,572,909号で開示されているとおりに調製できる)、バルニジピン(米国特許第4,220,649号で開示されているとおりに調製できる)、ベニジピン(欧州特許出願公開第106,275号で開示されているとおりに調製できる)、シルニジピン(米国特許第4,672,068号で開示されているとおりに調製できる)、エホニジピン(米国特許第4,885,284号で開示されているとおりに調製できる)、エルゴジピン(elgodipine)(米国特許第4,952,592号で開示されているとおりに調製できる)、フェロジピン(米国特許第4,264,611号で開示されているとおりに調製できる)、イスラジピン(米国特許第4,466,972号で開示されているとおりに調製できる)、ラシジピン(米国特許第4,801,599号で開示されているとおりに調製できる)、レルカニジピン(米国特許第4,705,797号で開示されているとおりに調製できる)、マニジピン(米国特許第4,892,875号で開示されているとおりに調製できる)、ニカルジピン(米国特許第3,985,758号で開示されているとおりに調製できる)、ニフェジピン(米国特許第3,485,847号で開示されているとおりに調製できる)、ニルバジピン(米国特許第4,338,322号で開示されているとおりに調製できる)、ニモジピン(米国特許第3,799,934号で開示されているとおりに調製できる)、ニソルジピン(米国特許第4,154,839号で開示されているとおりに調製できる)、ニトレンジピン(米国特許第3,799,934号で開示されているとおりに調製できる)、シンナリジン(米国特許第2,882,271号で開示されているとおりに調製できる)、フルナリジン(米国特許第3,773,939号で開示されているとおりに調製できる)、リドフラジン(米国特許第3,267,104号で開示されているとおりに調製できる)、ロメリジン(米国特許第4,663,325号で開示されているとおりに調製できる)、ベンシクラン(ハンガリー特許第151,865号で開示されているとおりに調製できる)、エタフェノン(ドイツ特許第1,265,758号で開示されているとおりに調製できる)、およびペルヘキシリン(英国特許第1,025,578号で開示されているとおりに調製できる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0098】
本発明の範囲内にあるアンジオテンシン変換酵素阻害剤(ACE阻害剤)には、その限りでないが、以下のものが含まれる。アラセプリル(米国特許第4,248,883号で開示されているとおりに調製できる)、ベナゼプリル(米国特許第4,410,520号で開示されているとおりに調製できる)、カプトプリル(米国特許第4,046,889号および第4,105,776号で開示されているとおりに調製できる)、セロナプリル(米国特許第4,452,790号で開示されているとおりに調製できる)、デラプリル(米国特許第4,385,051号で開示されているとおりに調製できる)、エナラプリル(米国特許第4,374,829号で開示されているとおりに調製できる)、フォシノプリル(米国特許第4,337,201号で開示されているとおりに調製できる)、イマダプリル(imadapril)(米国特許第4,508,727号で開示されているとおりに調製できる)、リシノプリル(米国特許第4,555,502号で開示されているとおりに調製できる)、モベルトプリル(moveltopril)(ベルギー特許第893,553号で開示されているとおりに調製できる)、ペリンドプリル(米国特許第4,508,729号で開示されているとおりに調製できる)、キナプリル(米国特許第4,344,949号で開示されているとおりに調製できる)、ラミプリル(米国特許第4,587,258号で開示されているとおりに調製できる)、スピラプリル(米国特許第4,470,972号で開示されているとおりに調製できる)、テモカプリル(米国特許第4,699,905号で開示されているとおりに調製できる)、およびトランドラプリル(米国特許第4,933,361号で開示されているとおりに調製できる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0099】
本発明の範囲内にあるアンジオテンシンII受容体拮抗薬(A−II拮抗薬)には、その限りでないが、以下のものが含まれる。カンデサルタン(米国特許第5,196,444号で開示されているとおりに調製できる);エプロサルタン(米国特許第5,185,351号で開示されているとおりに調製できる);イルベサルタン(米国特許第5,270,317号で開示されているとおりに調製できる);ロサルタン(米国特許第5,138,069号で開示されているとおりに調製できる);オルメサルタンおよび/またはオルメサルタンメドキソミル(米国特許第5,616,599号で開示されているとおりに調製できる);およびバルサルタン(米国特許第5,399,578号で開示されているとおりに調製できる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0100】
本発明の範囲内にあるホスホジエステラーゼ5型阻害剤(PDE5阻害剤)には、米国特許第5,250,534号で開示されているとおりに調製できるシルデナフィル、ならびに国際公開WO2004096810、WO2005049616、WO2005049617、WO2006120552、WO2007054778、およびEP1348707で開示されているPDE5阻害剤が含まれるがこの限りでない。
【0101】
本発明の範囲内にあるβアドレナリン受容体遮断薬(ベータまたはβ遮断薬)には、その限りでないが、以下のものが含まれる。アセブトロール(米国特許第3,857,952号で開示されているとおりに調製できる);アルプレノロール(オランダ特許出願第6,605,692号で開示されているとおりに調製できる);アモスラロール(米国特許第4,217,305号で開示されているとおりに調製できる);アロチノロール(米国特許第3,932,400号で開示されているとおりに調製できる);アテノロール(米国特許第3,663,607号または第3,836,671号で開示されているとおりに調製できる);ベフノロール(米国特許第3,853,923号で開示されているとおりに調製できる);ベタキソロール(米国特許第4,252,984号で開示されているとおりに調製できる);ベバントロール(米国特許第3,857,981号で開示されているとおりに調製できる);ビソプロロール(米国特許第4,171,370号で開示されているとおりに調製できる);ボピンドロール(米国特許第4,340,541号で開示されているとおりに調製できる);ブクモロール(米国特許第3,663,570号で開示されているとおりに調製できる);ブフェトロール(米国特許第3,723,476号で開示されているとおりに調製できる);ブフラロール(米国特許第3,929,836号で開示されているとおりに調製できる);ブニトロロール(米国特許第3,940,489号および第3,961,071号で開示されているとおりに調製できる);ブプランドロール(buprandolol)(米国特許第3,309,406号で開示されているとおりに調製できる);ブチリジン塩酸塩(フランス特許第1,390,056号で開示されているとおりに調製できる);ブトフィロロール(butofilolol)(米国特許第4,252,825号で開示されているとおりに調製できる);カラゾロール(ドイツ特許第2,240,599号で開示されているとおりに調製できる);カルテオロール(米国特許第3,910,924号で開示されているとおりに調製できる);カルベジロール(米国特許第4,503,067号で開示されているとおりに調製できる);セリプロロール(米国特許第4,034,009号で開示されているとおりに調製できる);セタモロール(cetamolol)(米国特許第4,059,622号で開示されているとおりに調製できる);クロラノロール(ドイツ特許第2,213,044号で開示されているとおりに調製できる);ジレバロール(Cliftonら、Journal of Medicinal Chemistry、1982年、第25巻、670ページで開示されているとおりに調製できる);エパノロール(欧州特許公開出願第41,491号で開示されているとおりに調製できる);インデノロール(米国特許第4,045,482号で開示されているとおりに調製できる);ラベタロール(米国特許第4,012,444号で開示されているとおりに調製できる);レボブノロール(米国特許第4,463,176号で開示されているとおりに調製できる);メピンドロール(Seemanら、Helv.Chim.Acta、1971年、第54巻、241ページで開示されているとおりに調製できる);メチプラノロール(チェコスロバキア特許出願第128,471号で開示されているとおりに調製できる);メトプロロール(米国特許第3,873,600号で開示されているとおりに調製できる);モプロロール(moprolol)(米国特許第3,501,769l号で開示されているとおりに調製できる);ナドロール(米国特許第3,935,267号で開示されているとおりに調製できる);ナドキソロール(nadoxolol)(米国特許第3,819,702号で開示されているとおりに調製できる);ネビバロール(nebivalol)(米国特許第4,654,362号で開示されているとおりに調製できる);ニプラジロール(米国特許第4,394,382号で開示されているとおりに調製できる);オクスプレノロール(英国特許第1,077,603号で開示されているとおりに調製できる);ペルブトロール(perbutolol)(米国特許第3,551,493号で開示されているとおりに調製できる);ピンドロール(スイス特許第469,002号および第472,404号で開示されているとおりに調製できる);プラクトロール(米国特許第3,408,387号で開示されているとおりに調製できる);プロネタロール(pronethalol)(英国特許第909,357号で開示されているとおりに調製できる);プロプラノロール(米国特許第3,337,628号および第3,520,919号で開示されているとおりに調製できる);ソタロール(Ulothら、Journal of Medicinal Chemistry、1966年、第9巻、88ページで開示されているとおりに調製できる);スフィナロール(sufinalol)(ドイツ特許第2,728,641号で開示されているとおりに調製できる);タリンドール(talindol)(米国特許第3,935,259号および第4,038,313号で開示されているとおりに調製できる);テルタトロール(米国特許第3,960,891号で開示されているとおりに調製できる);チリソロール(米国特許第4,129,565号で開示されているとおりに調製できる);チモロール(米国特許第3,655,663号で開示されているとおりに調製できる);トリプロロール(toliprolol)(米国特許第3,432,545号で開示されているとおりに調製できる);およびキシベノロール(xibenolol)(米国特許第4,018,824号で開示されているとおりに調製できる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0102】
本発明の範囲内にあるαアドレナリン受容体遮断薬(アルファまたはα遮断薬)には、その限りでないが、以下のものが含まれる。アモスラロール(米国特許第4,217,307号で開示されているとおりに調製できる);アロチノロール(米国特許第3,932,400号で開示されているとおりに調製できる);ダピプラゾール(米国特許第4,252,721号で開示されているとおりに調製できる);ドキサゾシン(米国特許第4,188,390号で開示されているとおりに調製できる);フェンスピリド(米国特許第3,399,192号で開示されているとおりに調製できる);インドラミン(米国特許第3,527,761号で開示されているとおりに調製できる);ラベトロール(labetolol);ナフトピジル(米国特許第3,997,666号で開示されているとおりに調製できる);ニセルゴリン(米国特許第3,228,943号で開示されているとおりに調製できる);プラゾシン(米国特許第3,511,836号で開示されているとおりに調製できる);タムスロシン(米国特許第4,703,063号で開示されているとおりに調製できる);トラゾリン(米国特許第2,161,938号で開示されているとおりに調製できる);トリマゾシン(米国特許第3,669,968号で開示されているとおりに調製できる);およびヨヒンビン(当業者によく知られている方法に従って天然供給源から単離することができる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0103】
「血管拡張薬」という用語は、本明細書で使用する場合、大脳血管拡張薬、冠状動脈の血管拡張薬、および末梢血管拡張薬を包含する意味である。本発明の範囲内にある大脳の血管拡張薬には、その限りでないが、以下のものが含まれる。ベンシクラン;シンナリジン;シチコリン(Kennedyら、Journal of the American Chemical Society、1955年、第77巻、250ページで開示されているとおりに天然供給源から単離し、またはKennedy、Journal of Biological Chemistry、1956年、第222巻、185ページで開示されているとおりに合成することができる);シクランデラート(米国特許第3,663,597号で開示されているとおりに調製できる);シクロニカート(ドイツ特許第1,910,481号で開示されているとおりに調製できる);ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン(英国特許第862,248号で開示されているとおりに調製できる);エブルナモニン(Hermannら、Journal of the American Chemical Society、1979年、第101巻、1540ページで開示されているとおりに調製できる);ファスジル(米国特許第4,678,783号で開示されているとおりに調製できる);フェノキセジル(fenoxedil)(米国特許第3,818,021号で開示されているとおりに調製できる);フルナリジン(米国特許第3,773,939号で開示されているとおりに調製できる;イブジラスト(米国特許第3,850,941号で開示されているとおりに調製できる);イフェンプロジル(米国特許第3,509,164号で開示されているとおりに調製できる);ロメリジン(米国特許第4,663,325号で開示されているとおりに調製できる);ナフロニル(米国特許第3,334,096号で開示されているとおりに調製できる);ニカメタート(Blickeら、Journal of the American Chemical Society、1942年、第64巻、1722ページで開示されているとおりに調製できる);ニセルゴリン(上で開示したとおりに調製できる);ニモジピン(米国特許第3,799,934号で開示されているとおりに調製できる);パパベリン(Goldberg、Chem.Prod.Chem.News、1954年、第17巻、371ページで総説されている);ペンチフィリン(ドイツ特許第860,217号で開示されているとおりに調製できる);チノフェドリン(tinofedrine)(米国特許第3,563,997号で開示されているとおりに調製できる);ビンカミン(米国特許第3,770,724号で開示されているとおりに調製できる);ビンポセチン(米国特許第4,035,750号で開示されているとおりに調製できる);およびビキンジル(viquidil)(米国特許第2,500,444号で開示されているとおりに調製できる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0104】
本発明の範囲内にある冠状動脈の血管拡張薬には、その限りでないが、以下のものが含まれる。アモトリフェン(amotriphene)(米国特許第3,010,965号で開示されているとおりに調製できる);ベンダゾール(J.Chem.Soc.1958年、2426ページで開示されているとおりに調製できる);ヘミコハク酸ベンフロジル(benfurodil hemisuccinate)(米国特許第3,355,463号で開示されているとおりに調製できる);ベンズヨーダロン(米国特許第3,012,042号で開示されているとおりに調製できる);クロラシジン(chloracizine)(英国特許第740,932号で開示されているとおりに調製できる);クロモナール(chromonar)(米国特許第3,282,938号で開示されているとおりに調製できる);クロベンフラル(clobenfural)(英国特許第1,160,925号で開示されているとおりに調製できる);クロニトラート(clonitrate)(当業者によく知られている方法に従ってプロパンジオールから調製できる。例えば、Annalen、1870年、第155巻、165ページを参照されたい);クロリクロメン(米国特許第4,452,811号で開示されているとおりに調製できる);ジラゼプ(米国特許第3,532,685号で開示されているとおりに調製できる;ジピリダモール(英国特許第807,826号で開示されているとおりに調製できる);ドロプレニラミン(droprenilamine)(ドイツ特許第2,521,113号で開示されているとおりに調製できる);エフロキサート(英国特許第803,372号および第824,547号で開示されているとおりに調製できる);四硝酸エリスリチル(当業者によく知られている方法に従い、エリスリトールをニトロ化して調製できる);エタフェノン(ドイツ特許第1,265,758号で開示されているとおりに調製できる);フェンジリン(米国特許第3,262,977号で開示されているとおりに調製できる);フロレジル(floredil)(ドイツ特許第2,020,464号で開示されているとおりに調製できる);ガングレフェン(ganglefene)(ソビエト連邦特許第115,905号で開示されているとおりに調製できる);ヘキセストロール(米国特許第2,357,985号で開示されているとおりに調製できる);ヘキソベンジン(米国特許第3,267,103号で開示されているとおりに調製できる);トシル酸イトラミン(スウェーデン特許第168,308号で開示されているとおりに調製できる);ケリン(khellin)(Baxterら、Journal of the Chemical Society、1949年、S30で開示されているとおりに調製できる);リドフラジン(米国特許第3,267,104号で開示されているとおりに調製できる);六硝酸マンニトール(当業者によく知られている方法に従い、マンニトールをニトロ化して調製できる);メジバジン(medibazine)(米国特許第3,119,826号で開示されているとおりに調製できる);ニトログリセリン;四硝酸ペンタエリスリトール(当業者によく知られている方法に従い、ペンタエリスリトールをニトロ化して調製できる);ペントリニトロール(pentrinitrol)(ドイツ特許第638,422−3号で開示されているとおりに調製できる);ペルヘキシリン(上で開示したとおりに調製できる);ピメフィリン(pimefylline)(米国特許第3,350,400号で開示されているとおりに調製できる);プレニルアミン(米国特許第3,152,173号で開示されているとおりに調製できる);硝酸プロパチル(フランス特許第1,103,113号で開示されているとおりに調製できる);トラピジル(東ドイツ特許第55,956号で開示されているとおりに調製できる);tricromyl(米国特許第2,769,015号で開示されているとおりに調製できる);トリメタジジン(米国特許第3,262,852号で開示されているとおりに調製できる);リン酸トロールニトラート(当業者によく知られている方法に従い、トリエタノールアミンをニトロ化した後、リン酸で沈殿させて調製できる);ビスナジン(visnadine)(米国特許第2,816,118号および第2,980,699号で開示されているとおりに調製できる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0105】
本発明の範囲内にある末梢血管拡張薬には、その限りでないが以下のものが含まれる。ニコチン酸アルミニウム(米国特許第2,970,082号で開示されているとおりに調製できる);バメタン(Corriganら、Journal of the American Chemical Society、1945年、第67巻、1894年で開示されているとおりに調製できる);ベンシクラン(上で開示したとおりに調製できる);ベタヒスチン(Walterら、Journal of the American Chemical Society、1941年、第63巻、2771ページで開示されているとおりに調製できる);ブラジキニン(Hamburgら、Arch.Biochem.Biophys.、1958年、第76巻、252ページで開示されているとおりに調製できる);ブロビンカミン(米国特許第4,146,643号で開示されているとおりに調製できる);ブフェニオド(bufeniode)(米国特許第3,542,870号で開示されているとおりに調製できる);ブフロメジル(米国特許第3,895,030号で開示されているとおりに調製できる);ブタラミン(米国特許第3,338,899号で開示されているとおりに調製できる);セチエジル(フランス特許第1,460,571号で開示されているとおりに調製できる);シクロニカート(ドイツ特許第1,910,481号で開示されているとおりに調製できる);シネパジド(ベルギー特許第730,345号で開示されているとおりに調製できる);シンナリジン(上で開示したとおりに調製できる);シクランデラート(上で開示したとおりに調製できる);ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン(上で開示したとおりに調製できる);エレドイシン(英国特許第984,810号で開示されているとおりに調製できる);フェノキセジル(fenoxedil)(上で開示したとおりに調製できる);フルナリジン(上で開示したとおりに調製できる);ヘプロニカート(米国特許第3,384,642号で開示されているとおりに調製できる);イフェンプロジル(上で開示したとおりに調製できる);イロプロスト(米国特許第4,692,464号で開示されているとおりに調製できる);ナイアシン酸イノシトール(Badgettら、Journal of the American Chemical Society、1947年、第69巻、2907ページで開示されているとおりに調製できる);イソクスプリン(米国特許第3,056,836号で開示されているとおりに調製できる);カリジン(Biochem.Biophys.Res.Commun.、1961年、第6巻、210ページで開示されているとおりに調製できる);カリクレイン(ドイツ特許第1,102,973号で開示されているとおりに調製できる);モキシシリト(ドイツ特許第905,738号で開示されているとおりに調製できる);ナフロニル(上で開示したとおりに調製できる);ニカメタート(上で開示したとおりに調製できる);ニセルゴリン(上で開示したとおりに調製できる);ニコフラノース(スイス特許第366,523号で開示されているとおりに調製できる);ニリドリン(米国特許第2,661,372号および第2,661,373号で開示されているとおりに調製できる);ペンチフィリン(上で開示したとおりに調製できる);ペントキシフィリン(米国特許第3,422,107号で開示されているとおりに調製できる);ピリベジル(米国特許第3,299,067号で開示されているとおりに調製できる);プロスタグランジンE(Merck Index、第12版、Budaveri編、ニュージャージー州、1996年、1353ページで参照される方法のいずれかによって調製できる);スロクチジル(ドイツ特許第2,334,404号で開示されているとおりに調製できる);トラゾリン(米国特許第2,161,938号で開示されているとおりに調製できる);およびナイアシン酸キサンチノール(ドイツ特許第1,102,750号またはKorbonitsら、Acta.Pharm.Hung.、1968年、第38巻、98ページで開示されているとおりに調製できる)。このような米国特許の開示はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0106】
CCR5拮抗薬は、抗糖尿病化合物、すなわち、糖尿病(特にII型)、インスリン抵抗性、もしくは耐糖能障害など、またはニューロパチー、腎症、網膜症、白内障といった糖尿病合併症のいずれかの治療において使用される任意の化合物(例えばインスリン)と組み合わせて使用することができる。抗糖尿病化合物の追加の例には、グリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤、アルドース還元酵素阻害剤、ソルビトール脱水素酵素阻害剤、グルコシダーゼ阻害剤、およびアミラーゼ阻害剤が含まれるがこの限りでない。
【0107】
グリコーゲンがグリコーゲンホスホリラーゼ酵素を触媒としてグルコース−1−リン酸に生物変換されるのを阻害する、当業界で知られている任意のグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤を使用することができる。そのようなグリコーゲンホスホリラーゼ阻害活性は、標準の検定法(例えば、J.Med.Chem.第41巻(1998年)2934〜2938ページ)に従って容易に測定することができる。WO96/39384およびWO96/39385に記載のものを含めて、様々なグリコーゲンホスホリラーゼ阻害剤が当業者に知られている。
【0108】
グルコースがアルドース還元酵素という酵素を触媒としてソルビトールに生物変換されるのを阻害する、当業界で知られている任意のアルドース還元酵素阻害剤。アルドース還元酵素の阻害は、標準の検定法(例えば、J.Malone、Diabetes、第29巻:861〜864ページ(1980年)「Red Cell Sorbitol,an Indicator of Diabetic Control」)に従って容易に測定することができる。
【0109】
ソルビトールがソルビトール脱水素酵素という酵素を触媒としてフルクトースに生物変換されるのを阻害する、当業界で知られている任意のソルビトール脱水素酵素阻害剤を使用することができる。そのようなソルビトール脱水素酵素阻害剤活性は、標準の検定法(例えば、Analyt.Biochem(2000年)第280巻:329〜331ページ)に従って容易に測定することができる。適切なソルビトール脱水素酵素阻害剤の例には、米国特許第5,728,704号および第5,866,578号に記載のものが含まれるがこの限りでない。
【0110】
複合糖質が、グリコシドヒドロラーゼ、例えばアミラーゼまたはマルターゼによって、生物が利用可能な単純な糖、例えばグルコースに酵素的に加水分解されるのを阻害する、当業界で知られている任意のグルコシダーゼ阻害剤。そのようなグルコシダーゼ阻害活性は、標準の検定法(例えば、Biochemistry(1969年)第8巻:4214ページ)に従い当業者によって容易に測定することができる。
【0111】
一般に好ましいグルコシダーゼ阻害剤として、アミラーゼ阻害剤が挙げられる。デンプンまたはグリコーゲンがマルトースに酵素的に分解されるのを阻害する、当業界で知られている任意のアミラーゼ阻害剤を使用することができる。そのようなアミラーゼ阻害活性は、標準の検定法(例えば、Methods Enzymol.(1955年)第1巻:149ページ)に従い当業者によって容易に測定することができる。
【0112】
他の好ましいグルコシダーゼ阻害剤としては、その限りでないが、アカルボースおよびこれに関連した様々なアミノ糖誘導体(米国特許第4,062,950号および第4,174,439号);アジポシン(adiposine)(米国特許第4,254,256号);ボグリボース、すなわち3,4−ジデオキシ−4−[[2−ヒドロキシ−1−(ヒドロキシメチル)エチル]アミノ]−2−C−(ヒドロキシメチル)−D−エピイノシトール、およびこれに関連した様々なN−置換擬アミノ糖(米国特許第4,701,559号);ミグリトール、すなわち(2R,3R,4R,5S)−1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(ヒドロキシメチル)−3,4,5−ピペリジントリオール、およびこれに関連した様々な3,4,5−トリヒドロキシピペリジン(米国特許第4,639,436号);エミグリテート、すなわちp−[2−[(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ]エトキシ]−安息香酸エチル、これに関連した様々な誘導体、および薬学的に許容できるその酸付加塩(米国特許第5,192,772号);MDL−25637、すなわち2,6−ジデオキシ−7−O−β−D−グルコピラノシル−2,6−イミノ−D−グリセロ−L−グルコヘプチトール、これに関連した様々なホモ二糖、および薬学的に許容できるその酸付加塩(米国特許第4,634,765号);カミグリボース(camiglibose)、すなわちメチル6−デオキシ−6−[(2R,3R,4R,5S)−3,4,5−トリヒドロキシ−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジノ]−α−D−グルコピラノシドセスキ水和物、これに関連したデオキシノジリマイシン誘導体、その様々な薬学的に許容できる塩、およびこれを調製するための合成法(米国特許第5,157,116号および第5,504,078号);プラジマイシンQ;ならびにサルボスタチン(salbostatin)およびこれに関連した様々な擬糖類(米国特許第5,091,524号)が挙げられる。
【0113】
当業界で知られている任意のアミラーゼ阻害剤を使用してもよい。例として、テンダミスタットおよびこれに関連した様々な環状ペプチド(米国特許第4,451,455号);AI−3688およびこれに関連した様々な環状ポリペプチド(米国特許第4,623,714号);ならびにトレスタチンA、トレスタチンB、およびトレスタチンCの混合物からなるトレスタチンとこれに関連した様々な含トレハロースアミノ糖(米国特許第4,273,765号)が挙げられるがこの限りでない。
【0114】
本発明の組合せで使用する抗糖尿病化合物の追加の例には、ビグアナイド(例えばメトホルミン)、インスリン分泌促進物質(例えばスルホニル尿素およびグリニド)、グリタゾン、非グリタゾンPPARγ作動薬、PPARβ作動薬、DPP−IVの阻害剤、PDE5の阻害剤、GSK−3の阻害剤、グルカゴン拮抗薬、f−1,6−BPaseの阻害剤(Metabasis/三共)、GLP−1/類似体(AC2993、エキセンジン4としても知られる)、インスリンおよびインスリン模倣物(Merck natural products)、PKC−β阻害剤、ならびにAGEブレーカーが含まれる。
【0115】
本発明の化合物は、当業界で知られている任意の抗肥満薬と組み合わせて使用することができる。抗肥満活性は、当業界で知られている標準の検定法に従って容易に測定することができる。適切な抗肥満薬の例には、その限りでないが、フェニルプロパノールアミン、エフェドリン、プソイドエフェドリン、フェンテルミン、βアドレナリン受容体作動薬、アポリポタンパク質B分泌/ミクロソームトリグリセリド転送タンパク質(apo−B/MTP)阻害剤、MCR−4作動薬、コレシストキニン−A(CCK−A)作動薬、モノアミン再取込み阻害剤(例えばシブトラミン−米国特許第4,929,629号)、交感神経刺激薬、セロトニン作動性薬剤、カンナビノイド受容体拮抗薬(例えばリモナバント(SR−141,716A))、ドーパミン作動薬(例えばブロモクリプチン−米国特許第3,752,814号および第3,752,888号)、メラニン細胞刺激ホルモン受容体類似体、5HT2c作動薬、メラニン濃縮ホルモン拮抗薬、レプチン(OBタンパク質)、レプチン類似体、レプチン受容体作動薬、ガラニン拮抗薬、リパーゼ阻害剤(例えばテトラヒドロリプスタチン、すなわちオーリスタット)、ボンベシン作動薬、食欲低下薬(例えばボンベシン作動薬)、ニューロペプチドY拮抗薬、サイロキシン、甲状腺模倣薬剤、デヒドロエピアンドロステロンまたはその類似体、グルココルチコイド受容体作動薬または拮抗薬、オレキシン受容体拮抗薬、ウロコルチン結合タンパク質拮抗薬、グルカゴン様ペプチド1受容体作動薬、繊毛様神経栄養因子(例えばAxokine(商標))、ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP)、グレリン受容体拮抗薬、ヒスタミン3受容体拮抗薬または逆作動薬、ニューロメディンU受容体作動薬などが含まれる。
【0116】
当業界で知られている任意の甲状腺模倣薬剤を本発明の化合物と組み合わせて使用してもよい。甲状腺模倣物活性は、標準の検定法(例えば、Atherosclerosis(1996年)第126巻:53〜63ページ)に従って容易に測定することができる。適切な甲状腺模倣薬剤の例には、米国特許第4,766,121号、第4,826,876号、第4,910,305号、第5,061,798号、第5,284,971号、第5,401,772号、第5,654,468号、および第5,569,674号に記載のものが含まれるがこの限りでない。
【0117】
本発明の組合せでは当業界で知られている任意の降圧薬を使用することもできる。血圧降下薬活性は、標準の試験(例えば血圧測定)に従って測定することができる。適切な降圧薬の例には、(a)上で開示したようなアムロジピンおよび同類のジヒドロピリジン化合物、(b)上で開示したようなカルシウムチャネル遮断薬、(c)上で開示したようなアンジオテンシン変換酵素阻害剤(「ACE阻害剤」)、(d)上で開示したようなアンジオテンシンII受容体拮抗薬、(e)上で開示したようなβアドレナリン受容体遮断薬、および(f)上で開示したようなαアドレナリン受容体遮断薬(アルファまたはα遮断薬)(当業者によく知られている方法に従って天然供給源から単離することもできる)が含まれるがこの限りでない。
【0118】
本発明の組合せではアルツハイマー病の治療に有用であることが知られている任意の化合物を使用することもできる。そのような化合物としては、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤が挙げられる。既知のアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の例には、その限りでないが、ドネペジル(ARICEPT(登録商標)、米国特許第4,895,841号、第5,985,864号、第6,140,321号、第6,245,911号、および第6,372,760号)、タクリン(COGNEX(登録商標)、米国特許第4,631,286号および第4,816,456号)、リバスチグミン(EXELON(登録商標)、米国特許第4,948,807号および第5,602,17号)、およびガランタミン(REMINYL、米国特許第4,663,318号および第6,099,863号)が含まれる。
【0119】
上述の組合せにおいて、CCR5拮抗薬と追加の治療薬は、剤形に関して別々にまたは互いに一緒に、またその投与時期に関して同時にまたは逐次投与することができる。したがって、ある構成薬剤の投与は、他の構成薬剤の投与の前でも、それと同時期でも、またはその後でもよい。
【0120】
本発明はまた、本発明の化合物の薬学的に許容できる酸付加塩に関する。本明細書中に挙げた医薬薬学的に許容できる塩には、その酸追加塩および塩基の塩が含まれる。
【0121】
適切な酸付加塩は、非毒性の塩を形成する酸から生成されるものである。例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、重硫酸塩/硫酸塩、ホウ酸塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、酸性クエン酸塩、シクラミン酸塩、エジシル酸塩、エシル酸塩、ギ酸塩、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシル酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、ナフチル酸塩、2−ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロト酸塩、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(すなわち1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸塩))、リン酸塩/リン酸水素塩/リン酸二水素塩、酸性リン酸塩、ピログルタミン酸塩、糖酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、酒石酸水素塩、トシル酸塩、トリフルオロ酢酸塩、およびキシノホ酸塩(xinofoate)が挙げられる。
【0122】
適切な塩基の塩は、非毒性の塩を形成する塩基から生成されるものである。例としては、アンモニウム付加塩または水溶性アミン付加塩、例えばN−メチルグルカミン−(メグルミン)、低級アルカノールアンモニウム塩および薬学的に許容できる有機アミンの他の塩基の塩、アルミニウム、アルギニン、ベンザチン、カルシウム、コリン、ジエチルアミン、ジオールアミン、グリシン、リジン、マグネシウム、オールアミン、カリウム、ナトリウム、トロメタミン、および亜鉛の塩が挙げられる。
【0123】
酸および塩基の半塩、例えば、半硫酸塩および半カルシウム塩を生成してもよい。
【0124】
適切な塩に関する総説については、参照により本明細書に援用されるStahlおよびWermuthの「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection,and Use」(Wiley−VCH、2002年)を参照されたい。
【0125】
通常の技能の化学者ならば、ある種の本発明の化合物は、特定の立体化学的または幾何的な立体配置にあるといえる1個または複数の原子を含んでおり、立体異性体および配置異性体を生じさせることがわかるであろう。そのようなすべての異性体およびその混合物が本発明に含まれる。本発明の化合物の水和物および溶媒和物も含まれる。
【0126】
本発明の化合物が2つ以上の不斉中心を有し、名称中に絶対または相対立体化学が示される場合、各分子について従来のIUPAC番号スキームに従い、RおよびSの表示が各不斉中心を昇順の番号(1、2、3など)でそれぞれ示す。本発明の化合物が1つまたは複数の不斉中心を有し、名称または構造中に立体化学が示されていない場合、その名称または構造は、ラセミ体を含めて、化合物のすべての形態を包含するものと理解される。
【0127】
本発明の化合物は、オレフィン様二重結合を含んでいる場合もある。そのような結合が存在するとき、本発明の化合物は、シスおよびトランス立体配置として、またその混合物として存在する。「シス」という用語は、互いと環の平面を基準とした2個の置換基の配向を指す(両方とも「上」または両方とも「下」)。同様に、「トランス」という用語は、互いと環の平面を基準とした2個の置換基の配向を指す(置換基が環の反対側にある)。
【0128】
本発明は、1個または複数の原子が特定の原子質量または質量数を有する1個または複数の原子によって置換されていることを除き、式Iによって記載されるものと同一である、同位体標識された化合物も包含する。本発明の化合物に組み込むことのできる同位体の例には、それぞれH、H、13C、14C、15N、18O、17O、18F、36Clなどの水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、フッ素、および塩素の同位体が含まれる。上述の同位体および/または他の原子の他の同位体を含んでいる本発明の化合物、そのプロドラッグ、ならびに化合物またはプロドラッグの薬学的に許容できる塩は、本発明の範囲内である。例えばHや14Cなどの放射性同位体が組み込まれている、ある同位体標識された本発明の化合物は、薬物および/または基質の組織分布アッセイにおいて有用である。トリチウム化(すなわちH)同位体、カーボン14(すなわち14C)同位体は、調製しやすく、検出性が良好であるために特に好ましい。さらに、ジュウテリウム(すなわちH)などのより重い同位体で置換すると、代謝安定性がより高いために得られる特定の治療上の利点、例えば、in vivo半減期の延長または投与必要量の減少がもたらされる場合があり、したがってある状況では好ましい場合もある。同位体標識された本発明の化合物およびそのプロドラッグは、一般に、同位体標識されていない試薬の代わりに容易に入手可能な同位体標識された試薬を用いることにより、スキームおよび/または以下の実施例で開示する手順を実施して調製することができる。
【0129】
本明細書および添付の請求項において言及されるいくつかの用語は、以下の意味を有すると定義されるものとする。
【0130】
本明細書では、「a」または「an」は、1または複数を意味し得る。請求項で用いる場合、「comprise」という単語と共に使用するとき、「a」または「an」という単語は、1または1より多いことを意味し得る。本明細書では、「another」は少なくとも2つ目またはそれ以上を意味し得る。
【0131】
「化合物」または「化合物」は、本明細書で使用するとき、立体配座異性体(例えば、シスおよびトランス異性体)およびすべての光学異性体(例えば、鏡像異性体およびジアステレオ異性体)、このような異性体のラセミ混合物、ジアステレオ異性体混合物、および他の混合物、ならびに溶媒和物、水和物、同形体、多形体、互変異性体、エステル、塩形態、およびプロドラッグを含めて、薬学的に許容できる任意の誘導体または変形形態を包含する。「互変異性体」とは、通常は水素原子の位置が異なっている、平衡状態にある構造の異なる2種以上の形態(異性体)で存在し得る化学化合物を意味する。ケト−エノール、環−鎖、および環−環互変異性を含めて様々なタイプの互変異性が起こり得る。「プロドラッグ」という表現は、投与の後、ある種の化学的または生理的過程を経てin vivoで薬物を放出する薬物前駆体である化合物を指す(例えば、プロドラッグは、生理的なpHにさらされて、または酵素の作用を経て、所望の薬物形態に変換される)。好例となるプロドラッグは、切断されると、対応する遊離酸を放出するものであり、そのような加水分解可能な本発明の化合物のエステル生成残基としては、その限りでないが、カルボキシル部分を有し、遊離の水素が、(C〜C)アルキル、(C〜C)アルカノイルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルカノイルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルカノイルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、γ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C〜C)アルキルアミノ(C〜C)アルキル(β−ジメチルアミノエチルなど)、カルバモイル−(C〜C)アルキル、N,N−ジ(C〜C)アルキルカルバモイル−(C〜C)アルキル、ならびにピペリジノ−、ピロリジノ−、またはモルホリノ(C〜C)アルキルによって置換されているものが挙げられる。
【0132】
一態様では、本発明の化合物および組合せ、そのプロドラッグ、ならびにそのような化合物およびプロドラッグの塩はすべて、哺乳動物、特にヒトにおいてHDLコレステロール活性を上昇させる薬剤としての治療用途に適合させる。こうした薬剤は、その活性によって、哺乳動物、特にヒトにおいて、トリグリセリド、VLDLコレステロール、Apo−B、LDLコレステロール、およびその関連する成分の血漿レベルも低下させる。また、こうした化合物および組合せは、LDLコレステロールとHDLコレステロールを一様にするのに有用である。したがって、こうした化合物および組合せは、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、冠動脈血管疾患、末梢血管疾患、低αリポタンパク血症、高βリポタンパク血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、家族性高コレステロール血症、HDLおよび関連成分が低いこと、LDLおよび関連成分の上昇、Lp(a)の上昇、小型高密度LDLの上昇、VLDLおよび関連成分の上昇、および食後脂肪血症を含めた、アテローム性動脈硬化症および心血管疾患の発症および発病に関連する様々な異脂肪血症の治療および正常化に有用である。
【0133】
心血管疾患、脳血管疾患、および末梢血管疾患の発症と、HDLコレステロールおよびHDLに関連するリポタンパク質のレベルとの負の相関、また血中のトリグリセリド、LDLコレステロール、およびその関連するアポリポタンパク質との正の相関を考えると、本発明の化合物および組合せ、そのプロドラッグ、ならびにそのような化合物およびプロドラッグの塩は、その薬理作用によって、アテローム性動脈硬化症およびそれに関連する疾患状態を予防し、阻止し、かつ/または後退させるのに有用である。それら疾患には、心臓血管障害(例えば、狭心症、虚血、心臓虚血、および心筋梗塞)、心血管疾患治療による合併症(例えば、再灌流傷害および血管形成再狭窄)、高血圧、高血圧に関連する心血管リスクの増大、発作、臓器移植に関連するアテローム性動脈硬化症、脳血管疾患、認知機能不全(その限りでないが、アテローム性動脈硬化症に付随する認知症、一過性脳虚血発作、神経変性、ニューロン欠陥、およびアルツハイマー病の遅発性の発症または進行を含める)、酸化ストレスレベルの上昇、C反応性タンパク質レベルの上昇、メタボリックシンドローム、およびHbA1Cレベルの上昇が含まれる。
【0134】
HDLレベルの上昇と関連付けられる有益な効果は範囲が広いので、HDLコレステロールを増加させる薬剤は、他のいくつかの疾患領域における治療の有用な接近手段ともなる。
【0135】
したがって、本発明の化合物および組合せ、そのプロドラッグ、ならびにそのような化合物およびプロドラッグの塩がリポタンパク質組成を変化させ得ることを考えると、これらは、糖尿病に関連する血管合併症、糖尿病に関連するリポタンパク質異常、ならびに糖尿病および血管性疾患に関連する性機能不全の治療において有用である。高脂血症は、真性糖尿病の大部分の対象に見られる(Howard,B.V.、1987年、J.Lipid Res.第28巻、613ページ)。脂質レベルが正常である場合でさえ、糖尿病の対象では心血管疾患のリスクがより高くなっている(Kannel,W.B.およびMcGee,D.L.、1979年、Diabetes Care第2巻、120ページ)。コレステロール転送が異常に増大すると、特によりアテローム生成的であるVLDLおよびLDLについて、リポタンパク質組成が変化することが示唆されている(Bagdade,J.D.、Wagner,J.D.、Rudel,L.L.、およびClarkson,T.B.、1995年、J.Lipid Res.第36巻、759ページ)。そうした変化は、ごく普通の脂質スクリーニングの際には必ずしも認められないことになる。したがって、本発明は、糖尿病状態の結果としての血管合併症のリスクを低減するのに有用となる。
【0136】
HDLコレステロールを上昇させる薬剤は、グラム陰性敗血症および敗血症ショックによる炎症の治療において有用である。例えば、グラム陰性敗血症の全身毒性は、大部分が、細菌の外表面から放出される。広範囲にわたる炎症応答を引き起こすリポ多糖(LPS)であるエンドトキシンによるものである。リポ多糖は、リポタンパク質と錯体を形成し得る(Ulevitch,R.J.、Johnston,A.R.、およびWeinstein,D.B.、1981年、J.Clin.Invest.第67巻、827〜37ページ)。in vitro研究では、LPSがHDLに結合すると、炎症メディエーターの産生および放出が実質的に減少することが実証されている(Ulevitch,R.J.、Johnston,A.R.、1978年、J.Clin.Invest.第62巻、1313〜24ページ)。in vivo研究では、ヒトapo−AIを発現し、HDLレベルの上昇を示すトランスジェニックマウスが、敗血症ショックから守られることがわかっている(Levine,D.M.、Parker,T.S.、Donnelly,T.M.、Walsh,A.M.、およびRubin,A.L.、1993年、Proc.Natl.Acad.Sci.第90巻、12040〜44ページ)。重要なことに、エンドトキシンを接種したヒトに再形成されたHDLを投与すると、炎症応答が軽減する(Pajkrt,D.、Doran,J.E.、Koster,F.、Lerch,P.G.、Arnet,B.、van der Poll,T.、ten Cate,J.W.、およびvan Deventer,S.J.H.、1996年、J.Exp.Med.第184巻、1601〜08ページ)。本発明の化合物および組合せは、HDLレベルを上昇させるということによって、炎症および敗血症ショックの発症を弱める。こうした化合物および組合せは、内毒血症、自己免疫疾患、および他の全身性疾患の徴候、臓器または組織移植拒絶反応、ならびに癌の治療において有用となるはずである。
【0137】
一般に、本発明の組成物は、1種または複数の薬学的に許容できる賦形剤と合同で製剤として投与される。「賦形剤」という用語は、本明細書では、本発明の化合物以外の任意の成分について述べるのに使用する。賦形剤の選択は、大部分は、特定の投与方式、賦形剤が溶解性および安定性に及ぼす影響、剤形の種類などの要素に応じて決まる。
【0138】
CCR5拮抗薬およびその組合せの送達に適する医薬組成物ならびにその調製方法は、当業者には直ちに明白となろう。そのような組成物およびその調製方法は、例えば、参照により本明細書に援用される「Remington’s Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company、1995年)で見ることができる。
【0139】
適切な投与方式としては、経口、非経口、局所、吸入/鼻腔内、直腸/膣内投与、および眼/耳への投与が挙げられる。
【0140】
CCR5拮抗薬およびその組合せは、経口的に投与することができる。経口投与は、化合物が消化管に入るように飲み込むものでもよいし、かつ/または化合物が口から直接血流に入る頬側、舌側、または舌下投与を含むものでもよい。
【0141】
経口投与に適する製剤としては、固体、半固体、および液体の系、例えば、錠剤;多粒子、ナノ粒子、液体、または粉末を含有する軟または硬カプセル剤;(液体充填型を含めた)トローチ剤;咀嚼剤;ゲル;急速分散型の剤形;フィルム;膣坐剤;スプレー;ならびに頬側/粘膜付着性パッチが挙げられる。
【0142】
液体製剤としては、懸濁液、溶液、シロップ、およびエリキシルが挙げられる。このような製剤は、(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製の)軟または硬カプセル中に充填剤として用いることもでき、通常は、担体、例えば、水、エタノール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセルロース、または適切な油と、1種または複数の乳化剤および/または懸濁化剤とを含む。液体製剤は、例えば、小袋から出した固体を再形成して調製することもできる。
【0143】
CCR5拮抗薬およびその組合せは、参照により本明細書に援用されるLiangおよびChenによるExpert Opinion in Therapeutic Patents、第11巻(6)、981〜986ページ(2001年)に記載のものなどの急速溶解急速崩壊型の剤形にして使用することもできる。
【0144】
錠剤剤形では、用量に応じて、薬物が剤形の1重量%〜80重量%、より典型的な例では剤形の5重量%〜60重量%を占めてよい。薬物に加え、錠剤は一般に崩壊剤を含有する。崩壊剤の例としては、ナトリウムデンプングリコラート、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換されたヒドロキシプロピルセルロース、デンプン、α化デンプン、およびアルギン酸ナトリウムが挙げられる。一般に、崩壊剤は、剤形の1重量%〜25重量%、好ましくは5重量%〜20重量%を占める。
【0145】
結合剤は一般に、錠剤製剤に粘着性の性質を付与するのに使用する。適切な結合剤としては、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレングリコール、天然および合成のゴム、ポリビニルピロリドン、α化デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。錠剤は、ラクトース(一水和物、噴霧乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、キシリトール、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、デンプン、第二リン酸カルシウム二水和物などの希釈剤も含有してよい。
【0146】
錠剤は、場合により、ラウリル硫酸ナトリウムやポリソルベート80などの界面活性剤、および二酸化ケイ素やタルクなどの滑剤も含んでよい。存在するとき、界面活性剤は錠剤の0.2重量%〜5重量%を占めてよく、滑剤は錠剤の0.2重量%〜1重量%を占めてよい。
【0147】
錠剤は一般に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムの混合物などの滑沢剤も含有する。滑沢剤は一般に、錠剤の0.25重量%〜10重量%、好ましくは0.5重量%〜3重量%を占める。
【0148】
考えられる他の成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤、保存剤、および矯味剤が挙げられる。
【0149】
好例となる錠剤は、約80%までの薬物、約10重量%〜約90重量%の結合剤、約0重量%〜約85重量%の希釈剤、約2重量%〜約10重量%の崩壊剤、および約0.25重量%〜約10重量%の滑沢剤を含有する。
【0150】
錠剤ブレンドを直接にまたはローラーによって圧縮すると、錠剤を形成することができる。別法として、錠剤ブレンドまたはブレンドの一部分を湿式、乾式、もしくは溶融造粒、溶融凝固、または押出し成形処理にかけた後、打錠してもよい。最終製剤は、1または複数の層を含んでもよく、コーティングされていてもされていなくてもよいし、カプセル封入されていてもよい。好ましいフィルムコーティングは、Opadry(登録商標)である。
【0151】
錠剤の製剤については、参照により本明細書に援用されるH.LiebermanおよびL.Lachmanの「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets」、第1巻、(Marcel Dekker、ニューヨーク、1980年)で論述されている。
【0152】
ヒトまたは獣医学で使用するための摂取可能な経口フィルムは通常、急速溶解性でも粘膜付着性でもよい水溶性または水膨張性の可撓性薄膜剤形であり、通常は、式(I)の化合物、フィルム形成ポリマー、結合剤、溶媒、湿潤剤、可塑剤、安定剤または乳化剤、粘度調整剤、ならびに溶媒を含む。製剤の一部の成分が複数の機能を果たす場合もある。
【0153】
CCR5拮抗薬は、水溶性でも水不溶性でもよい。水溶性化合物は通常、溶質の1重量%〜80重量%、より典型的な例では20重量%〜50重量%を占める。それほど可溶性でない化合物は、組成のより高い割合、通常は溶質の88重量%までを占めてよい。別法として、式(I)の化合物は、多粒子ビーズの形でもよい。
【0154】
フィルム形成ポリマーは、天然の多糖類、タンパク質、または合成親水コロイドから選択されるものでよく、通常は0.01〜99重量%の範囲、より典型的な例では30〜80重量%の範囲で存在する。
【0155】
考えられる他の成分としては、抗酸化剤、着色剤、着香剤および香味剤、保存剤、唾液腺刺激剤、冷却剤、共溶媒(油を含める)、緩和剤、増量剤、消泡剤、界面活性剤、ならびに矯味剤が挙げられる。
【0156】
本発明によるフィルムは通常、可剥性の支持担体または紙上にコートされた薄い水溶性フィルムを蒸発乾燥して調製する。これは通常、乾燥オーブンもしくは乾燥トンネル、通常は複合塗工乾燥機において、または凍結乾燥もしくは真空乾燥によって行うことができる。
【0157】
経口投与用の固体製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0158】
本発明の目的に適する変更型放出製剤は、参照により本明細書に援用される米国特許第6,106,864号に記載されている。高エネルギー分散や浸透性粒子および被覆粒子などの他の適切な放出技術の詳細は、参照により本明細書に援用されるVermaら(2001年)によるPharmaceutical Technology On−line、第25巻(2)、1〜14ページで見られる。制御放出を実現するためのチューインガムの使用は、参照により本明細書に援用されるWO00/35298に記載されている。
【0159】
CCR5拮抗薬およびその組合せは、血流中、筋肉、または内臓に直接投与することもできる。非経口投与に適する手段としては、静脈内、動脈内、腹腔内、髄腔内、側脳室内、尿道内、胸骨内、脳内、筋肉内、滑液包内、および皮下が挙げられる。非経口投与に適する装置としては、(微細針を含めた)針注射器、無針注射器、および注入技術が挙げられる。
【0160】
非経口製剤は通常、塩、炭水化物、および(好ましくはpH3〜9にするための)緩衝剤などの賦形剤を含有してもよい水溶液であるが、一部の適用例では、無菌の非水性溶液として、また発熱物質を含まない無菌水などの適切な媒体と共に使用する乾燥形態としてより適切に製剤してもよい。
【0161】
例えば凍結乾燥による、無菌条件下での非経口製剤の調製は、当業者によく知られている標準の製薬技術を使用して容易に実現することができる。
【0162】
非経口溶液の調製で使用するCCR5拮抗薬の溶解性は、溶解性改善剤を混ぜるなどの適切な製剤技術を使用して増大させることができる。
【0163】
非経口投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することができる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。したがって、本発明の化合物は、懸濁液として、または活性化合物の変更型放出をもたらす移植デポー剤として投与するための固体、半固体、もしくは揺変性液体として製剤することもできる。そのような製剤の例として、薬物でコーティングされたステント、ならびに薬物を内包したdl−乳酸−グリコール酸共重合体(PGLA)マイクロスフェアを含む半固体および懸濁液が挙げられる。
【0164】
CCR5拮抗薬の製剤はまた、局所的に、すなわち皮膚(内)に、または皮膚もしくは粘膜に経皮的に投与される。この目的のための典型的な製剤としては、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、散粉剤、包帯剤、フォーム、フィルム、皮膚パッチ、ウェーハ、植込錠、スポンジ、繊維、絆創膏、およびマイクロエマルジョンが挙げられる。リポソームを使用してもよい。典型的な担体としては、アルコール、水、鉱油、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレングリコール、およびプロピレングリコールが挙げられる。浸透性改善剤を混ぜてもよい。例えば、参照により本明細書に援用される、FinninおよびMorganによるJ Pharm Sci、第88巻(10)、955〜958ページ(1999年10月)を参照されたい。
【0165】
局所投与の他の手段としては、電気穿孔法、イオン導入法、音波泳動法、超音波導入法、ならびに微細針または無針(例えばPowderject(商標)、Bioject(商標)など)注射による送達が挙げられる。
【0166】
局所投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0167】
CCR5拮抗薬およびその組合せは、通常は(単独、例えばラクトースとの乾燥ブレンドにした混合物として、もしくは例えばホスファチジルコリンなどのリン脂質と混合した混合型成分粒子としての)乾燥粉末の形で乾燥粉末吸入器から;1,1,1,2−テトラフルオロエタンや1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンなどの適切な噴射剤を使用しもしくは使用せずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー(好ましくは電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザー)、もしくはネブライザーからエアロゾルスプレーとして;または点鼻液として、鼻腔内投与または吸入投与することもできる。鼻腔内の使用では、粉末は、生体接着剤、例えばキトサンまたはシクロデキストリンを含んでもよい。
【0168】
加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、またはネブライザーは、例えばエタノール、エタノール水溶液、または活性薬剤を分散させ、可溶化し、もしくはその放出を延長するのに適する別の薬品を含む本発明の化合物の溶液または懸濁液と、溶媒としての噴射剤と、トリオレイン酸ソルビタン、オレイン酸、オリゴ乳酸などのオプションの界面活性剤とを含有する。
【0169】
乾燥粉末または懸濁液製剤にして使用する前に、薬物製品を超微粉砕して、吸入による送達に適する大きさ(通常は5ミクロン未満)にする。これは、スパイラルジェット粉砕、流動層ジェット粉砕、ナノ粒子を形成する超臨界流体処理、高圧ホモジナイズ、噴霧乾燥などの任意の適切な微粉砕法によって実現することができる。
【0170】
吸入器または注入器に入れて使用するカプセル(例えばゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース製のもの)、ブリスター、およびカートリッジは、本発明の化合物の粉末混合物、ラクトースやデンプンなどの適切な粉末基剤、l−ロイシン、マンニトール、ステアリン酸マグネシウムなどの性能改質剤を含有するように製剤することができる。ラクトースは、無水でも、または一水和物の形でもよく、後者が好ましい。他の適切な賦形剤としては、デキストラン、グルコース、マルトース、ソルビトール、キシリトール、フルクトース、スクロース、およびトレハロースが挙げられる。
【0171】
電気水力学を使用して微細な霧を生成するアトマイザーに入れて使用するのに適する溶液製剤は、1作動あたり1μg〜20mgの本発明の化合物を含有してよく、作動体積は1μl〜100μlと様々でよい。典型的な製剤は、式Iの化合物、プロピレングリコール、滅菌水、エタノール、および塩化ナトリウムを含んでよい。プロピレングリコールの代わりに使用することができる別の溶媒としては、グリセロールおよびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0172】
メントールやl−メントールなどの適切な香味剤、またはサッカリンやサッカリンナトリウムなどの甘味剤を、吸入投与/鼻腔内投与を目的とする本発明の製剤に加えることもできる。
【0173】
吸入投与/鼻腔内投与用の製剤は、例えばPGLAを使用して、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0174】
乾燥粉末吸入器およびエアロゾルの場合では、投与量単位は、計量された量を送達する弁によって決定される。本発明による単位は通常、1μg〜10mgの本発明の化合物を含有する計量された用量または「ひと吹き」を投与するように整えられる。全体的な1日量は通常、1μg〜200mgの範囲であり、これを1回で、またはより普通にはその日を通して数回に分けて投与することができる。
【0175】
適切な製剤は、薬局で即座に調製して作ることもできる。
【0176】
CCR5拮抗薬および組合せは、例えば坐剤、膣坐剤、膣リング、殺菌剤、または浣腸の形で直腸投与または経膣投与することができる。カカオ脂が旧来の坐剤基剤であるが、様々な代替品を適宜使用することができる。
【0177】
直腸/経膣投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、およびプログラム放出が挙げられる。
【0178】
CCR5拮抗薬およびその組合せは、通常はpH調整された等張性無菌食塩水中の微粒子化懸濁液または溶液の液滴の形で眼または耳に直接投与することもできる。眼および耳への投与に適する他の製剤としては、軟膏、ゲル、生分解性(例えば吸収性のゲルスポンジ、コラーゲン)および非生分解性(例えばケイ素樹脂)の植込錠、ウェーハ、レンズ、ならびにニオソームやリポソームなどの微粒子系またはベシクル系が挙げられる。架橋ポリアクリル酸、ポリビニルアルコール、ヒアルロン酸などのポリマー、セルロース系ポリマー、例えばヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、もしくはメチルセルロース、またはヘテロ多糖体ポリマー、例えばゲランガムを、塩化ベンザルコニウムなどの保存剤と共に混ぜてもよい。このような製剤は、イオン導入法によって送達してもよい。
【0179】
眼/耳への投与用の製剤は、即時型および/または変更型の放出がなされるように製剤することもできる。変更型放出製剤としては、遅延放出、持続放出、パルス放出、制御放出、標的指向性放出、またはプログラム放出が挙げられる。
【0180】
CCR5拮抗薬およびその組合せは、上述の投与方式のいずれかでの使用に向けてその溶解性、溶解速度、矯味、生体利用度、および/または安定性を向上させるために、シクロデキストリンおよびその適切な誘導体やポリエチレングリコール含有ポリマーなどの可溶性の高分子物質と組み合わせることもできる。
【0181】
例えば、薬物−シクロデキストリン錯体は、一般に大部分の剤形および投与経路に有用であることがわかっている。包接錯体および非包接錯体の両方を使用することができる。薬物との直接の錯形成に代わるものとして、シクロデキストリンを補助添加剤として、すなわち担体、希釈剤、または可溶化剤として使用してもよい。このような目的のために最も一般的に使用されるのは、α、β、およびγシクロデキストリンであり、その例は、参照により本明細書に援用される国際特許出願WO91/11172、WO94/02518、およびWO98/55148で見ることができる。
【0182】
例えば特定の疾患または状態を治療する目的で、活性化合物の組合せを投与することが望ましい場合もあるので、その少なくとも1種が本発明による化合物を含有する2種以上の医薬組成物を、組成物の共投与に適するキットの形で好都合に組み合わせてもよいことは、本発明の範囲内である。
【0183】
したがって、本発明のキットは、その少なくとも1種が本発明による式(I)の化合物を含有する2種以上の別個の医薬組成物と、容器、分割されたボトル、分割されたホイル製袋などの、前記組成物を別々に保持する手段とを含む。そのようなキットの例は、錠剤、カプセル剤などの包装に使用されるよく知られているブリスターパックである。
【0184】
本発明のキットは、例えば経口と非経口の異なる剤形を投与する、別個の組成物を異なる投与間隔で投与する、または別個の組成物の用量を互いに対して調節するのに特に適する。服薬遵守を援助するために、キットは通常、投与の説明書を含み、いわゆるメモリーエイドを添えて提供してもよい。
【0185】
本発明の別の態様は、以下のものを包含する。
A)その必要のある患者において高密度リポタンパク質を増加させるためのCCR5拮抗薬の使用。
B)その必要のある患者の脂質プロフィールを改善するための組み合わせた、分離した、または逐次の投与用の医薬の調製における、CCR5拮抗薬とHMG−CoA還元酵素阻害剤の相乗的な組合せの使用。
C)その必要のある患者の脂質プロフィールを改善するための組み合わせた、分離した、または逐次の投与用の医薬の調製における、CCR5拮抗薬、HMG−CoA還元酵素阻害剤、およびCETP阻害剤の相乗的な組合せの使用。
【0186】
本明細書で引用した文書はすべて、参照により本明細書に援用される。
【0187】
ここで、本発明を添付の実施例に即して説明する。以下で示す実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するものであり、決して請求項を含めた本明細書の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0188】
(実施例1)
CXCR4使用型ウイルス個体群に感染している、治療経験のあるHIV−1患者を以下のプロトコルに従って選択し、最適化されたバックグラウンド治療(OBT)のみの第1群を、OBTプラスマラビロック1日1回およびOBTプラスマラビロック1日2回の各群と比較した。
【0189】
選択判定基準
試験に参加した患者は、
(a)16才以上であった。
(b)Monogram Biosciences Phenosense(商標)(Trofile)HIV侵入アッセイ(WO02/099383、US5837464)によって判定したとき二重/混合のCXCR4使用型ウイルス個体群に感染しており、またはウイルス指向性不確定の表現型を有していた。
(c)無作為化の前に安定した抗ウイルス薬投与計画に少なくとも4週間従っていた。
(d)Roche Amplicor HIV−1 Monitor(バージョン1.5)によって測定したとき、HIV−1 RNAカウントが少なくとも5,000コピー/mLであった。
(e)(i)少なくとも3カ月の、4つの抗レトロウイルス薬物クラス、すなわちNTRI、NNRTI、プロテアーゼ阻害剤、融合阻害剤のうちの3クラスから少なくとも1種ずつの薬剤による事前の抗レトロウイルス治療経験があった(すなわち三重クラス経験があった)。または
(ii)4つの抗レトロウイルス薬物クラスのうち2クラスの少なくとも1メンバーに対する耐性の記録があった(すなわち、二重クラス耐性であった)。
【0190】
試験処置
適格の患者を、患者が受けた薬物投与計画に基づき3群に無作為化した。
1群:最適化されたバックグラウンド治療(OBT)(その少なくとも1種が使用中であり、NNRTIは1種以下である3〜6種の抗レトロウイルス薬物(低用量リトナビルをカウントしない))プラス偽薬
2群:最適化されたバックグラウンド治療(上記のとおり)プラスマラビロック150mgまたは300mgの1日1回(QD)の経口的な服用
3群:最適化されたバックグラウンド治療(上記のとおり)プラスマラビロック150mgまたは300mgの1日2回(BID)の経口的な服用
【0191】
自身の最適化されたバックグラウンド治療がプロテアーゼ阻害剤(PI)またはデラビルジン(NNRTI)を含んでいない患者を無作為化して、300mg用量のマラビロックを1日1回または2回与えた(すなわち、患者に300mgの等価用量のマラビロックをQDまたはBIDで与えた)。
【0192】
プロテアーゼ阻害剤を服用している患者は、1群(97%)、2群(91%)、および3群(88%)であった。
【0193】
HIV−1 RNAカウントが100,000コピー/mLより多いか少ないか、またその最適化されたバックグラウンド治療の一環としてエンフビルチドを与えられていたかどうかに従い、患者を等級別に分けた。それらの患者を3つの患者群に均等に分配した。
【0194】
ベースラインHIV−1 RNAカウントは、最初の投与(1日目)の前、および24週の調査期間中の複数の時期に計測した。
【0195】
初回投与(1日目)の前に、絶食評価を行ったが、この評価では、総コレステロール、HDL、LDL、トリグリセリド、グルコース、およびグリコシル化ヘモグロビンを測定し、ベースライン測定値とした。
【0196】
脂質プロフィールの一部としてのHDLは、Covance laboratories(インディアナポリス、インディアナ州)によって測定されたものである。
【0197】
24週間の治療後または早期終了後、同じ脂質パラメーター(特にHDLレベル)を再度測定した。
【0198】
HDLおよびLDLの結果を表1a〜3aに示す。
【0199】
表4は、24週間の治療後のウイルス負荷平均値の軽減を示す。
【0200】
【表1】

【0201】
【表2】

【0202】
【表3】

【0203】
【表4】

【0204】
表1aに示すように、マラビロックでの治療後に偽薬(1群)を上回るLDLレベルの上昇は見られない。
【0205】
しかし、表2aでは、HDL−Cレベルがベースラインより上昇している個体の数から、マラビロックの投与の増加との関係性が明らかになっている。HDL−Cレベルの上昇度平均値を表3aに要約する。1日2回のマラビロック300mgでの治療後、HDL−Cレベルが投与に関連して上昇したことは明らかである。
【0206】
マラビロックはCCR5拮抗薬であるので、CXCR4使用型ウイルス個体群(二重指向性または混合指向性ウイルス個体群)のHIV感染患者においてウイルス負荷(VL)を軽減することは期待されないことになる。表4に示すように、24週間後のウイルス負荷の軽減は、1群および2群については同様であり、3群については統計学的に有意ではないがわずかにより大きかった。このHIV患者群ではウイルス負荷(VL)の統計学的に有意な軽減が見られないことから、HDLレベルの上昇は、CCR5拮抗薬マラビロックでの治療に直接起因し得ると思われる。
【0207】
(実施例2)
バックグラウンド
・ MERIT調査は、抗レトロウイルス薬(ARV)無処置の、Trofile(商標)アッセイ(Monogram Biosciences、カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)によるR5 HIV−1患者において、どちらもコンビビル(CBV、ジドブジンとラミブジンの固定用量の組合せ)と共に投与されるマラビロック(MVC)対エファビレンツ(EFV)で安全性および有効性を比較するように設計した。MERIT調査の設計には、ベースラインと24週目および48週目または早期の調査中断時での絶食代謝評価が含まれ、MERIT調査での絶食による脂質値、および心血管へのリスクに対するその潜在的効果が評価される。
【0208】
方法
・ MERITは、Trofile(登録商標)アッセイによってR5 HIVにのみ感染しているとされるARV無処置の成人患者において、どちらもコンビビル(ジドブジン/ラミブジン)と組み合わせたマラビロック300mgBID対エファビレンツ600mgQDで安全性および有効性を比較する多国籍二重盲検無作為化試験である。
・ ジドブジンまたはラミブジンに毒性を覚える患者は、別のNRTIを代わりに用いてよいこととした。
・ ベースライン、24週目、および48週目、または早期終了時に、各患者について絶食リポタンパク質プロフィールを得た。
・ 総コレステロール(TC)、高密度リポタンパク質(HDL)コレステロール、トリグリセリド(TG)、低密度リポタンパク質(LDL)コレステロール計算値、および総コレステロール/HDL比の最大変化の中央値、ならびに各治療部門において、National Cholesterol Education Program(NCEP)ATP III臨床ガイドライン(NCEP Expert Panel on Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults、JAMA 2001年、第285巻:2486〜2497ページ)で特定された切点を超える患者の比率を各群間で比較した。
・ 総コレステロール、HDLコレステロール、年齢、性別、喫煙状況、および血圧降下薬療法の使用の有無(収縮期圧が>120mm/Hgであるとき)を変数として用いたFraminghamの式(http://hp2010.nhlbihin.net/atpiii/calculator.asp)を使用して、各患者について総合的な心血管疾患リスクを評価し、冠動脈心疾患(CHD)10年間無条件リスクを予測した。
○ この調査では喫煙状況についてのデータを収集しなかったので、別の喫煙比率のシナリオに従って投与群間でCHDリスクを比較した。喫煙比率50%のシナリオ(DAD調査で見られる喫煙比率に近い−Friis−Moller Nら、N Engl J Med 2003年、第349巻:1993〜2003ページ)では、成功確率0.5の二項分布からサンプリングして、喫煙状況(有/無)を調査母集団に無作為に500回帰属させた。喫煙状況は、調査期間中は一定のままであると仮定した。
【0209】
結果
北米、ヨーロッパ、南米、南アフリカ、およびオーストラリアにある調査センターの合計721人の患者を無作為化し、調査薬物を少なくとも1回投与した。ベースラインの特徴は、投与群で同等であった(表1b)。
【0210】
【表5】

【0211】
・ ベースライン絶食時脂質値は、投与群間で有意に異なってはいなかった(表2b)。各部門において約7人に1人の患者で総コレステロールレベルが≧200mg/dLであった。同様の比率の患者でトリグリセリドレベルが≧200mg/dLであった。
・ エファビレンツ部門の5人の患者およびマラビロック部門の11人の患者でベースラインのLDLコレステロール値が≧160mg/dLであった。
○ これは、NCEP指針によって、CHDのリスクファクター(例えば、高血圧、早発性CHDの家族歴、高齢、喫煙者)が≧2であり、CHDの10年リスクが<10%である患者においてLDL低下療法を検討することが勧告される閾値である。
・ エファビレンツ部門の31人およびマラビロック部門の42人の患者でベースラインのLDLコレステロール値が≧130mg/dLであった。
○ これは、NCEP指針によってCHDのリスクファクターが≧2であり、CHDの10年リスクが10〜20%である患者においてLDL低下療法を検討することが勧告される閾値である。
・ エファビレンツ部門の3人の患者およびマラビロック部門の5人の患者は、ベースラインでLDL低下療法を受けていた。こうした患者、および調査中にLDL低下療法を開始した患者は、ここで示すすべての分析に含めた。
【0212】
【表6】

【0213】
治療中のNRTIの置換
マラビロック部門の合計7人(1.9%)およびエファビレンツ部門の10人(2.9%)の患者が、そのNRTIをコンビビルからツルバダ(テノホビルとエムトリシタビンの固定用量の組合せ)に変更した。
【0214】
治療中の絶食脂質パラメーターの変化
・ 総コレステロール、HDLコレステロール、LDLコレステロール、およびトリグリセリドレベルのベースラインからの最大変化の中央値は、エファビレンツ投与群でマラビロック投与群より有意により大きかった(図1b)。
・ 総コレステロール/HDL比の低下中央値は、マラビロック群でエファビレンツ群より大きかった(それぞれ−0.54対−0.43、P=0.005)。
・ エファビレンツではLDLコレステロールの変化はベースラインLDLコレステロールに正比例したが、マラビロックではLDLコレステロールの変化はベースラインLDLコレステロールに反比例した(図2b)。
・ エファビレンツ療法を受けている患者は、マラビロック療法を受けている患者と比べてより高い割合で、ベースライン後のいくつかの時点での総コレステロールおよびLDLコレステロールレベルが≧130mg/dLに上昇した(P<0.0001)(図3b)。
○ 調査中にLDLコレステロールレベルが≧160mg/dLになったのは、エファビレンツを与えられている患者では31/343人(9%)であったのに対し、マラビロックを与えられている患者では3/336人(0.9%)であった(P<0.0001)。
・ 同様に、24週目および48週目の両方でこれらの切点を超えた患者の比率は、エファビレンツ群でマラビロック群より高かった(総コレステロールではP<0.0001、LDLコレステロールではP=0.002)(図4b)。
○ 24週目および48週目の両方で治療中のLDLコレステロールレベルが高かった(≧160mg/dL)のは、エファビレンツ部門では10/343人(2.9%)の患者であったのに対し、マラビロック部門では1/336(0.3%)人の患者であった(P=0.007)。
・ これらの分析には、ベースラインの時点で脂質レベルが閾値を既に超えていた患者を含めなかった。
・ 各投与群で同様の少数の患者(エファビレンツ部門の6人の患者およびマラビロック部門で3人の患者)が、調査中にLDL低下療法を開始した。
【0215】
心血管疾患リスク
・ 母集団の喫煙比率を50%と想定した(「方法」を参照されたい)、10年以内にCHD事象にかかる相対リスクを、2つの投与群について図5bに示す。このリスクは、24週目および48週目で、マラビロック投与群よりエファビレンツ投与群において一貫して高かった。
・ マラビロック投与群およびエファビレンツ投与群の無条件CHD 10年リスク(平均[SD])は、それぞれ、24週目で2.1%(3.31%)および3.0%(4.72%)、48週目で2.2%(3.73%)および3.3%(5.06%)であった。
【0216】
結論
・ 48週目で、総コレステロール、LDLコレステロール、およびトリグリセリドのベースラインからの上昇は、エファビレンツ+コンビビルを与えられている患者で、マラビロック+コンビビルを与えられている患者より有意に大きく、より高い比率のエファビレンツ患者で、脂質レベルがNCEP指針によって推奨されるレベルを上回っていた。高いLDLコレステロールレベルおよびトリグリセリドの上昇は、どちらも心血管疾患の独立したリスクファクターである(NCEP Expert Panel on Detection,Evaluation,and Treatment of High Blood Cholesterol in Adults JAMA 2001年、第285巻:2486〜2497ページ)。
○ HDLコレステロールレベルは、両方の投与群で改善された。最大上昇中央値は、エファビレンツ群でマラビロック群より有意に大きかった。LDLコレステロールまたはトリグリセリドレベルの低下に関係なく、HDLコレステロールレベルを上昇させることの恩恵は、心血管に関する重大な成果に関して証明されている(Singh IMら、JAMA 2007年、第298巻:786〜798ページ)。
・ 総コレステロール/HDL比は、マラビロック+コンビビルを与えられている患者ではエファビレンツ+コンビビルを与えられている患者よりベースラインから大きく低下しており、小さいが有意な差が見られた。
・ LDL低下療法の使用は、数少なく、2つの投与群で同様であった。
・ これらのデータは、マラビロックが脂質プロフィールにマイナスの影響を及ぼしておらず、総コレステロール/HDL比を低下させたようであることを実証している。全体的に見て、マラビロックは、少なくともエファビレンツと同程度に脂質に対して中立であり、例えば治療前にLDLコレステロールレベルが上昇している患者において、エファビレンツと比べてある種の利点をもたらし得る。マラビロックが、マウスモデル(Veillard NRら、Circ Res 2004年、第94巻:253〜261ページ)で見られるようにヒトにおいても脂質への効果とは無関係のアテローム性動脈硬化症の進行の減速と関連付けられるかどうかは、これから断定されることになろう。
【0217】
(実施例3)
心血管疾患を患い、脂質正常化治療を必要とする患者を選択し、その脂質プロフィールおよびCCR5遺伝子の変異について遺伝子型を決定した。CCR5機能を低下させることがわかっているCCR5変異のある患者は、HDLコレステロールがより高く、トリグリセリドがより低いことを含めて、脂質プロフィールがより好都合であった。
【0218】
選択判定基準
様々なスタチンに対する応答および心血管疾患への効果を評価するため、患者をTNT(1)試験またはIDEAL(2)試験に登録した。どちらの試験も長期的な設計であり、スタチンに対する患者の応答を数年間にわたり追跡したが、無作為化する前にスクリーニングに来診した時点で測定した最初の脂質の値のみを使用した。
【0219】
TNTでは、患者は、
・ 35〜75才であった。
・ スクリーニングでLDLコレステロールレベルが130mg/dl〜250mg/dlの間であることがわかっている。
・ アトルバスタチンで8週間治療した後のLDLコレステロールが130mg/dl未満であることがわかっている。
・ 臨床的に明白な冠動脈心疾患であるとされた。
【0220】
IDEALでは、患者は、
・ 80才未満であった。
・ 冠動脈心疾患であるとされた。
・ スタチン治療適格者である。
【0221】
遺伝学
CCR5は、46,386,636位から46,392,694位に及ぶ、染色体3p21.31に位置した6058塩基対の遺伝子である。CCR5は、第3染色体上のケモカイン受容体遺伝子群内に属し、CCR2遺伝子から約9kb 3’側かつCCRL2遺伝子31kb 5’側に位置する。CCR5は、3つのエキソンからなり、7回膜貫通型Gタンパク質共役型受容体タンパク質を生じる。del32多型は、CCR5遺伝子産物を不活性化することがわかっている(3)ので、これを発明者らの分析の焦点としたが、CCR5内またはCCR5付近の他のいくつかの多型も同様の結果を示した。どちらの試験でも、適正なインフォームドコンセントを示したすべての患者から血液を収集し、DNAを調製した。次いで、TaqMan(登録商標)またはSNPlex(商標)技術を製造者(ABI)の説明書に従って使用して、そのDNAの遺伝子型を同定した(4)。自らをヨーロッパ人の家系であるとする患者のみを分析に含めたが、これは、この群では他の利用可能な集団よりはるかに高い頻度で多型が存在することがわかっているからである。TNTコホートにおいて5656個体の遺伝子型をdel32について約99%の度数で首尾よく判定した。この集団は、Hardy−Weinberg平衡にあった(p=0.1)。IDEAL試験では、6555個体の遺伝子型を99%より高い度数で首尾よく判定した。この集団もHardy−Weinberg平衡にあった(p=0.61)。
【0222】
分析
記載されているような標準の手順に従って(1、2)、絶食脂質レベルを測定した。HDLコレステロールまたはトリグリセリドの対数変換値を用いた、遺伝子型の直線回帰分析を、年齢および性別を共変量として使用して実施した。各試験で各表現型についてp値を求めた。TNTにおいて、del32は、劣性の形でのみHDLコレステロールが高めであることと関連付けられるが、これは、2コピーの欠失を有する個体は、1もしくは2コピーまたは一般的な対立遺伝子のものよりHDL−Cレベルが高いということである。複数の試験で補正しない場合、この関連性はp=0.007で有意となる。この欠失は、補正なしのp値が0.007で、トリグリセリドが低めであることと関連付けられる。LDL−Cとの有意な関連は認められなかった。IDEALでは、この欠失対立遺伝子は、加算的な方法で分析したときp=0.019であり、HDLコレステロールが高めであることと関連付けられた。IDEALでは、この欠失対立遺伝子は、加算的な方法で分析したときp=0.029であり、トリグリセリドが低めであることと関連付けられた。
【0223】
したがって、遺伝学的データは、この場合では遺伝子の変異体という手段によってであるが、より一般には治療的手段によってCCR5の機能を低下させると、LDLコレステロールレベルにほとんどまたはまったく影響を及ぼすことなく、HDL−Cを上昇させ、トリグリセリドを低下させることによって、脂質プロフィールに有益な影響が及ぼされるはずであるという仮説と一致している。
【0224】
【表7】

【0225】
1.LaRosa,J.C.ら、「Intensive lipid lowering with atorvastatin in patients with stable coronary disease」、N Engl J Med第352巻、1425〜35ページ(2005年)
2.Pedersenら、「High−Dose Atorvastatin vs Usual−Dose Simvastatin for Secondary Prevention After Myocardial Infarction.The IDEAL Study:A Randomized Controlled Trial」、JAMA第294巻:2437〜2445ページ(2005年)
3.PA Zimmermanら、「Inherited resistance to HIV−1 conferred by an inactivating mutation in CC chemokine receptor 5」、Mol.Med.第3巻:23〜36ページ(1997年)
4.FM De La Vega、KD Lazaruk、MD Rhodes、およびMH Wenz、「Assessment of two flexible and compatible SNP genotyping platforms:TaqMan(登録商標)SNP genotyping assays and SNPlex(商標)genotyping system」、Mutation Research第573巻:111〜135ページ(2005年)
【0226】
本出願のいたるところで、様々な出版物を参考文献として挙げている。これらの出版物の開示の全体をすべての目的で参照により本出願に援用する。
【0227】
本発明の範囲または真意から逸脱することなく本発明に様々な改変および変更を行ってよいことは、当業者に明白となろう。本発明の他の実施形態は、本明細書を検討し、本明細書で開示する本発明を実施するところから当業者に明らかとなろう。本明細書および実施例は、例示的であるとしかみなされず、本発明の真の範囲および真意は、以下の請求項によって示されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において高密度リポタンパク質(HDL)粒子を増加させる医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用。
【請求項2】
患者において血漿脂質プロフィールを改善する医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用。
【請求項3】
患者においてトリグリセリドを減少させる医薬を調製するためのCCR5拮抗薬化合物の使用。
【請求項4】
患者がHIVに感染している、請求項1、2、または3のいずれか一項に記載の使用。
【請求項5】
HIVウイルス個体群を使用して患者をCXCR4ウイルスに感染させる、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
HIV患者のウイルス個体群がCXCR4ウイルスを50%より多く含んでいる、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
CCR5拮抗薬化合物が、マラビロック、ビクリビロック、NCB−9471、PRO−140、CCR5mAb004、8−[4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル]−1−イソブチル−N−[4−[[(1−プロピル−1H−イマダゾール−5−イル)メチル]スルフィニル]フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ベンザコシン−5−カルボキサミド、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸エチル、およびN−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)、またはこれらの薬学的に許容できる塩から選択される、請求項1、2、3、4、5、または6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
CCR5拮抗薬化合物がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
HIV患者が、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤化合物またはヌクレオシドもしくはヌクレオチド逆転写酵素阻害剤化合物を服用している、請求項4、5、6、7、または8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
患者が、低レベルのHDLコレステロールおよび/または高レベルのLDLコレステロールおよびトリグリセリドが影響する疾患と診断されており、疾患が、アテローム性動脈硬化症、プラーク形成、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、冠動脈血管疾患、末梢血管疾患、異脂肪血症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心筋梗塞、メタボリックシンドローム、肥満、および糖尿病から選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の使用。
【請求項11】
患者において高密度リポタンパク質(HDL)粒子を増加させるのに使用するCCR5拮抗薬化合物。
【請求項12】
患者において血漿脂質プロフィールを改善するのに使用するCCR5拮抗薬化合物。
【請求項13】
患者においてトリグリセリドを減少させるのに使用するCCR5拮抗薬化合物。
【請求項14】
患者が請求項4、5、または6のいずれか一項に記載のとおりに感染している、請求項11、12、または13のいずれか一項に記載の使用のためのCCR5拮抗薬化合物。
【請求項15】
CCR5拮抗薬化合物が、マラビロック、ビクリビロック、NCB−9471、PRO−140、CCR5mAb004、8−[4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル]−1−イソブチル−N−[4−[[(1−プロピル−1H−イマダゾール−5−イル)メチル]スルフィニル]フェニル]−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ベンザコシン−5−カルボキサミド、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、3−エンド−{8−[(3S)−3−(アセトアミド)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−3H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸メチル、1−エンド−{8−[(3S)−3−(アセチルアミノ)−3−(3−フルオロフェニル)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−5−カルボン酸エチル、およびN−{(1S)−3−[3−エンド−(5−イソブチリル−2−メチル−4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−イミダゾ[4,5−c]ピリジン−1−イル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−8−イル]−1−(3−フルオロフェニル)プロピル}アセトアミド)、またはこれらの薬学的に許容できる塩から選択される、請求項11から14のいずれか一項に記載の使用のためのCCR5拮抗薬化合物。
【請求項16】
CCR5拮抗薬化合物がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項15に記載の使用のためのCCR5拮抗薬化合物。
【請求項17】
HIV患者が、少なくとも1種のプロテアーゼ阻害剤化合物またはヌクレオシドもしくはヌクレオチド逆転写酵素阻害剤化合物を服用している、請求項14、15、または16に記載の使用のためのCCR5拮抗薬化合物。
【請求項18】
(i)CCR5拮抗薬化合物と、
(ii)HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物と、
(iii)薬学的に許容できる担体と
を含む医薬組成物。
【請求項19】
HMG−CoA還元酵素阻害剤化合物がアトルバスタチンもしくは薬学的に許容できるその塩である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
CCR5拮抗薬化合物がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項18または請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤化合物または薬学的に許容できるその塩をさらに含む、請求項18、19、または20のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
(i)CCR5拮抗薬化合物と、
(ii)コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤化合物と、
(iii)薬学的に許容できる担体と
を含む医薬組成物。
【請求項23】
CCR5拮抗薬化合物がマラビロックまたは薬学的に許容できるその塩である、請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
コレステリルエステル転送タンパク質(CETP)阻害剤化合物が、シス−(2R,4S)−2−(4−{4−[(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ベンジル)−(2−メチル−2H−テトラゾール−5−イル)−アミノ]−2−エチル−6−トリフルオロメチル−3,4−ジヒドロ−2H−キノリン−1−カルボニル}−シクロヘキシル)−アセトアミド、または(2R)−3−{[3−(4−クロロ−3−エチル−フェノキシ)−フェニル]−[[3−(1,1,2,2−テトラフルオロ−エトキシ)−フェニル]−メチル]−アミノ}−1,1,1−トリフルオロ−2−プロパノール、または薬学的に許容できるその塩である、請求項21、22、または23に記載の組成物。
【請求項25】
アテローム性動脈硬化症、プラーク形成、冠動脈疾患、冠動脈心疾患、冠動脈血管疾患、末梢血管疾患、異脂肪血症、高βリポタンパク血症、低αリポタンパク血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、家族性高コレステロール血症、心筋梗塞、メタボリックシンドローム、肥満、および糖尿病から選択される疾患を治療するための、請求項18から24のいずれか一項に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2010−519216(P2010−519216A)
【公表日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549866(P2009−549866)
【出願日】平成20年2月8日(2008.2.8)
【国際出願番号】PCT/IB2008/000361
【国際公開番号】WO2008/099278
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】